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特表2024-517849ゴルフのパッティング面の特性測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ゴルフのパッティング面の特性測定装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
A63B71/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568143
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 US2022027859
(87)【国際公開番号】W WO2022235924
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/184,390
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ANDROID
3.UNIX
4.Linux
5.iOS
(71)【出願人】
【識別番号】517394946
【氏名又は名称】ユナイテッド、ステイツ、ゴルフ、アソシエイション
【氏名又は名称原語表記】UNITED STATES GOLF ASSOCIATION
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ、イー.ハッベル
(72)【発明者】
【氏名】スコット、エイ.ミンゲイ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー、エム.プリングル
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン、ユー.ステイツ
(57)【要約】
ゴルフコースの競技面の硬度、平滑性、真正度、グリーン・スピードなどの物理的特性を測定する方法は、測定装置を介して測定を実行することを含む。測定装置は、球形センサを含み、これは、ひいては、球形センサの動きに関する動きのデータを測定するための加速度計と、動きのデータを記憶するためのメモリと、動きのデータをコンピューティングデバイスに無線で送信するための通信モジュールとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフコースの競技面の物理的特性を測定する測定装置であって、
球形センサであって、前記球形センサの動きに関する動きのデータを測定するための加速度計と、前記動きのデータを記憶するためのメモリと、前記動きのデータをコンピューティングデバイスに無線で送信するための通信モジュールとを備える球形センサと、
第1の端部および第2の端部を有する実質的に円筒形本体であって、前記第1の端部が前記球形センサを収容するように構成されている、実質的に円筒形本体と、
前記球形センサを収容するように成形され、前記円筒形本体の前記第1の端部に取り外し可能に取り付けられるように構成されたキャップと、を備える、測定装置。
【請求項2】
前記円筒形本体および前記キャップの各々は、前記球形センサを収容するため半球の形状を有する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記加速度計は、前記球形センサの加速度を測定する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記球形センサの向きを判定するためのジャイロスコープをさらに備える、請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
前記球形センサが移動を停止した後、前記球形センサが前記動きのデータを前記コンピューティングデバイスに通信する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項6】
前記キャップは、前記球形センサおよび前記円筒形本体各々の質量を超える質量を含む、請求項1に記載の測定装置。
【請求項7】
前記キャップは雌ねじ面を含み、前記円筒形本体は雄ねじ面を含み、前記雌ねじ面と前記雄ねじ面との嵌合によって前記キャップが前記円筒形本体に取り外し可能に取り付けられる、請求項1に記載の測定装置。
【請求項8】
前記競技面の硬度を測定する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項9】
前記パッティング面の前記硬度が、前記円筒形本体に配置された前記球形センサ、および前記キャップを、所定の高さから前記パッティング面の上に落下させることにより測定される、請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
落下デバイスを用いて前記球形センサを落下させる、請求項9に記載の測定装置。
【請求項11】
前記球形センサは、前記円筒形本体および前記キャップから分解されたときに、前記競技面の平滑性または真正度を測定する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項12】
ゴルフコースの競技面の物理的特性を測定する方法であって、
円筒形本体およびキャップに配置された球形センサで前記競技面の硬度を測定するステップであって、前記球形センサは、前記球形センサの動きに関する動きのデータを測定するための加速度計と、前記動きのデータを記憶するためのメモリと、前記動きのデータをコンピューティングデバイスに無線で送信するための通信モジュールとを備える、測定するステップ、および
前記球形の本体および前記キャップから前記球形センサを分解した状態で、前記競技面の平滑性または真正度を測定するステップ、を備える、方法。
【請求項13】
前記競技面の硬度を測定する前記ステップが、
前記円筒形本体に配置された前記球形センサと前記キャップとを、前記競技面の上に落下させるステップ、をさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記落下させるステップが、落下デバイスを用いて行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記競技面の平滑性または真正度を測定する前記ステップが、
前記球形センサを前記円筒形本体および前記キャップから分解するステップ、および
前記球形センサを前記競技面で転動させるステップ、をさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
ゴルフコースの競技面の物理的特性を測定する方法であって、
球形センサの動きに関する動きのデータを測定するための加速度計と、前記動きのデータを記憶するためのメモリと、前記動きのデータをコンピューティングデバイスに無線で送信するための通信モジュールとを備える前記球形センサを用いて前記競技面の硬度を測定するステップ、および
前記球形センサを用いて前記競技面の平滑性または真正度を測定するステップを備える、方法。
【請求項17】
前記競技面の硬度を測定する前記ステップが、
前記球形センサを前記パッティング面の上に落下させるステップをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記落下させるステップが、落下デバイスを用いて行われる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記競技面の平滑性または真正度を測定する前記ステップが、
前記球形センサを前記競技面で転動させるステップをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年5月5日に出願された米国仮特許出願第63/184,390号の優先権を主張するPCT国際出願であり、その開示および教示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、パッティンググリーンまたはフェアウェイなどの競技面またはパッティング面の特性を測定するための装置に関し、特に、競技面またはパッティング面の硬度、平滑性、真正度、およびグリーン・スピードを測定することができる装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ショットを打つとゴルフコースの一貫性のない状態に起因してゴルフボールがランダムに反応するのではなく、ゴルフコースの様々な特性の状態の一貫性を維持して、ゴルファーが自分のスキルの水準に基づいてショットを予測可能であるようにすることが重要である。したがって、ゴルフコースの特性は、硬度(表面の硬度の程度)、平滑性(表面がどの程度凹凸か、すなわち垂直移動による)、真正度(ゴルフボールが左右に、すなわち水平にどの程度移動するか)、およびグリーン・スピード(ゴルフボールが表面を横切って移動する速さ)を含む。パッティング面の理想的な硬度は、良好に打たれたアプローチショットを受け入れる硬度である。ボールは、表面に衝突し、前方に跳ね返り、保持し、次いで解放されるべきである。パッティング面は、衝撃後に最小のピッチマークで回復すべきである。理想的な平滑性は、ゴルフボールが表面に対して跳ね返ったり上方に移動したりせず、むしろ移動するにつれて一貫した動きを維持するものである。理想的な真正度は、ゴルフボールが左右に移動することなく完全に直線状に移動するところのことである。理想的なグリーン・スピードは、ゴルフボールの速度がトポグラフィ、例えば、硬度、平滑性、真正度、およびゴルファーのスキルレベルと一致して、適度な挑戦を生じるものである。
【0004】
しかしながら、ゴルフコースの状態は、毎日または頻繁に変化し得る。そのため、ゴルフコースの硬度、平滑性、真正度、グリーン・スピードに関して理想に近い状態を維持することが重要である。従来の測定手段は、ゴルフコースの状態および特性の正確な測定値を得るために多数の人および設備を必要とするという事実のために、これらの特性(硬度、平滑性、真正度、およびグリーン・スピード)を測定することが困難であることが多い。
【発明の概要】
【0005】
一般に、一態様では、本願の例示的な実施形態は、ゴルフコースの競技面の物理的特性を測定する測定装置を提供し、測定装置は、球形センサであって、球形センサの動きに関する動きのデータを測定するための加速度計と、動きのデータを記憶するためのメモリと、動きのデータをコンピューティングデバイスに無線で送信するための通信モジュールとを備える球形センサと、第1の端部および第2の端部を有する実質的に円筒形本体であって、第1の端部が球形センサを収容するように構成されている、実質的に円筒形本体と、球形センサを収容するように成形され、円筒形本体の第1の端部に取り外し可能に取り付けられるように構成されたキャップと、を含む。本願の様々な例示的な実施形態の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。円筒形本体およびキャップの各々は、球形センサを収容するため半球の形状を有する。加速度計は、球形センサの加速度を測定する。測定装置は、球形センサの向きを判定するためのジャイロスコープをさらに含む。球形センサは、球形センサが移動を停止した後に動きのデータをコンピューティングデバイスに通信する。キャップは、球形センサおよび円筒形本体各々の質量を超える質量を含む。キャップは雌ねじ面を含み、円筒形本体は雄ねじ面を含み、雌ねじ面と雄ねじ面との嵌合によってキャップが円筒形本体に取り外し可能に取り付けられ得る。測定装置は、競技面の硬度を測定する。パッティング面の硬度は、円筒形本体に配置された球形センサおよびキャップをパッティング面の上に所定の高さから落下させることにより測定される。落下デバイスを用いて球形センサを落下させる。球形センサは、円筒形本体およびキャップから分解されると、競技面の平滑性または真正度を測定する。
【0006】
一般に、一態様では、本願の例示的な実施形態は、ゴルフコースの競技面の物理的特性を測定するための方法を提供し、方法は、円筒形本体およびキャップに配置された球形センサで競技面の硬度を測定するステップであって、球形センサは、球形センサの動きに関連する動きのデータを測定するための加速度計と、動きのデータを記憶するためのメモリと、動きのデータをコンピューティングデバイスに無線で送信するための通信モジュールとを含む、測定するステップ、および球形センサが球形の本体およびキャップから分解された状態で競技面の平滑性または真正度を測定するステップを含む。本願の様々な例示的な実施形態の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。競技面の硬度を測定するステップは、円筒形本体に配置された球形センサおよびキャップを競技面の上に落下させるステップをさらに含む。落下ステップは、落下デバイスを用いて行われる。競技面の平滑性または真正度を測定するステップは、球形センサを円筒形本体およびキャップから分解するステップと、球形センサを競技面で転動させるステップとをさらに含む。
【0007】
一般に、一態様では、本願の例示的な実施形態は、ゴルフコースの競技面の物理的特性を測定するための方法を提供し、方法は、球形センサの動きに関する動きのデータを測定するための加速度計と、動きのデータを記憶するためのメモリと、動きのデータをコンピューティングデバイスに無線で送信するための通信モジュールとを備える球形センサを用いて競技面の硬度を測定するステップ、および球形センサを用いて競技面の平滑性または真正度を測定するステップを含む。本願の様々な例示的な実施形態の実装形態は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。競技面の硬度を測定するステップは、球形センサをパッティング面に落下させるステップをさらに含む。落下ステップは、落下デバイスを用いて行われる。
【0008】
競技面の平滑性または真正度を測定するステップは、競技面上で球形センサを転動させるステップをさらに含む。
【0009】
前述および他の態様、特徴および利点は、添付の図面を参照すると、以下の詳細な説明から、さらに容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態による球形センサの分解図を示す。
図2】本発明の実施形態による測定アセンブリを示す。
図3】本発明の実施形態による、測定アセンブリを分解したときの測定アセンブリの円筒形本体を示す。
図4】本発明の実施形態による、測定アセンブリを分解したときの測定アセンブリのキャップを示す。
図5】本発明の実施形態による円筒形本体に配置された球形センサを示す。
図6】本発明の実施形態による、測定アセンブリが接続された落下デバイスを示す。
図7】本発明の実施形態による、初期の静止位置から最終的な静止位置までパッティング面に亘って移動する際の球形センサの角速度対時間を表すグラフを示す。
図8】本発明の実施形態による、球形センサがパッティング面に亘って移動するときの球形センサの異なる軸に関連する加速度対時間を表すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面に示されている好ましい実施形態を説明する際に、明確にするために、本明細書では特定の用語が使用されている。しかしながら、本開示は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図するものではなく、各特定の要素は、同様の方法で動作するすべての技術的等価物を含むことを理解されたい。加えて、既知の機能および構成の詳細な説明は、本明細書に記載の本発明の態様を不明瞭にする可能性がある場合、本明細書から省略される。
【0012】
図1を参照すると、球形センサが、第1の部分11と、第2の部分12と、第1の加速度計13と、第2の検知デバイス14と、回路基板15とを有する本体10を含んでいる。例示的な一実施形態では、本体10は、プラスチック材料で作られてもよい。別の例示的な実施形態では、本体10は、約46グラムの質量および/または約1.68インチの直径を有してもよい。さらに別の例示的な実施形態では、本体10は、無線充電、例えば誘導充電システムを介して電力を受け取ることができる。球形センサ10を製造している最中、防水性または耐水性にするために、ポリマーカバーが球形センサ上に成形され得ることにも留意されたい。
【0013】
本体10はまた、充電状態および/または無線通信接続の表示を提示することができる状態表示灯(図示せず)を含むことができる。別の例では、本体10は、本体10が静止したままである所定の期間の後に、オフにする、または動作を停止することができる。さらに別の例では、ユーザは、本体10を動作モード(オン)または非動作モード(オフ)に据えるために、本体10を所定の回数、例えば2回タップまたはタッチすることができる。
【0014】
本体10は、好ましくは、第1の部分11および第2の部分12の各々が中空の半球の形状を有するように、外側球形を有する。例示的な一実施形態では、第1の部分11および第2の部分12の各々は、競技面またはパッティング面の平滑性または他の物理的特性を正確に測定することができるように、滑らかな外面を有する。例えば、競技面またはパッティング面は、これらに限定されないが、フェアウェイ、パッティンググリーン、バンカー、ペナルティエリア、粗面、および/または境界エリア外などのゴルフコース内部の任意のグラウンドを指すことができる。また、競技面およびパッティング面という用語は、本願で互換的に使用することができるということ、および、競技面およびパッティング面は、ゴルフコースのグラウンドに限定されるのではなく、他のスポーツのグラウンド、例えば限定されることなくクリケットのグラウンド、を表すことができるということに留意されたい。別の例示的な実施形態では、第1の部分11および第2の部分12は、スナップ嵌め機構によって互いに恒久的に固定されてもよい。
【0015】
回路基板15は、プロセッサ50、メモリ51、バッテリ(充電式または非充電式)52、充電回路53、ならびに例えばWi-Fi、RFID、磁気共鳴および/またはBluetoothなどの無線通信モジュール54を含むことができる。回路基板15は、回路基板15の重心が球体の本体10の内部にあるように本体10に据え付けられ得て、それによって、例えば、本体10が滑らかで均一に転動するようにする。また、第1の加速度計13および第2の検知デバイス14は、回路基板15に据え付けることができる。例えば、第1の加速度計13は、球形センサの動きに関するデータを生成し、そのデータをメモリに記憶することができる多軸、例えば3軸加速度計であってもよい。別の例では、第2の検知デバイス14は、球形センサの動きに関するデータを生成し、そのデータをメモリ51に記憶することができる加速度計またはジャイロスコープであってもよい。さらに別の例では、球形センサ10は、第3の検知デバイスまたはセンサ13a(図示せず)および第4の検知デバイスまたはセンサ13b(図示せず)を含むことができる。第3のセンサ13aは、高加速度を計測する多軸加速度計であり得、第4のセンサ13bは、低加速度を計測する高感度多軸加速度計であり得る。
【0016】
第1のセンサ13(加速度計)および第2のセンサ14(ジャイロスコープ)の測定軸は、互いに直交および/または位置合わせされてもよいことに留意されたい。
【0017】
第1の加速度計13および第2の検知デバイス14は、回路基板15のメモリ51に一時的または恒久的に記憶され得る動きのデータを生成する。
【0018】
プロセッサ50は、第1の加速度計13、第2の検知デバイス14、メモリ51、および無線通信モジュール54の動作を制御するようにプログラムされている。バッテリ52は、充電回路52を介して外部から無線で充電され得る。バッテリ52は、第1の加速度計13、第2の検知デバイス14、プロセッサ50、メモリ51、および無線通信モジュール54を含む球形センサ10の構成要素の内的動作のための電力を供給する。
【0019】
無線通信モジュール54は、外部コンピューティングデバイス(図示せず)と無線通信することができる。コンピューティングデバイスは、メモリ51に記憶された球形センサ10の動きに関するデータを受信し、ユーザへの通信および/または表示のためのパッティング面の物理的特性に関する計算を実行する。コンピューティングデバイスは、デスクトップ、タブレットもしくはノートブックコンピュータ、PDA(携帯情報端末)、携帯電話もしくはハンドセット、または例えば無線で、他のデバイスと直接および/もしくはネットワークを介して通信することができる別の携帯情報端末を含むことができるが、これらに限定されない。コンピューティングデバイスは、Microsoft Windows、Android、iOS、および/または任意の他のUnixまたはLinux由来のオペレーティングシステムなどのオペレーティングシステムを含むことができる。ユーザは、球形センサ10が正しく動作または機能しているかどうかを判定するために、コンピューティングデバイスから球形センサ10にテストコマンドを送信することができる。
【0020】
図3図5を参照すると、組み立てられた球形センサ10は、円筒形本体16の一端に配置され、および/または円筒形本体16の一端の内部に部分的に載置され得て、キャップ20、円筒形本体16、およびキャップ20によって取り外し可能に固定されて測定アセンブリ24を形成し得る。例示的な一実施形態では、測定アセンブリ24は、ユーザが手動で取り扱うことができる。図3を参照すると、円筒形本体16は、実質的に円筒形本体部分17と、ねじ部材18と、窪み面19とを含むことができる。円筒形本体部分17は、球形センサ10を収容するための滑らかな外面を含むことができる。円筒形本体部分17の直径は、例えば、ゴルフボールの直径、すなわち1.68インチにほぼ等しくしてもよい。ねじ部材18は、雄ねじであってもよい。面19は、図5に示すように、球形センサ10が面19に対して保持されるように、球形センサ10を収容するように構成された凹部を含むことができる。
【0021】
図2および図4を参照すると、キャップ20は、球形センサ10がキャップ20および円筒形本体16の両方によって定位置に固定されるように、円筒形本体16に取り外し可能に固定されるように構成される。例示的な一実施形態では、キャップ20は単一の要素として形成され得る。キャップ20は、内部に空洞を形成するために、囲まれた第1の端部および開いた第2の端部を含む。キャップ20の空洞におもりが含まれてもよい。キャップ20はまた、円筒形であってもよく、ねじ部22を含む壁21を備える。ねじ部22は、キャップ20の第2の端部の近くに配置され得る。さらに、閉じた第1の端部の内面は半球形であってもよく、それにより、球形センサ10の一部は、キャップ20の閉じた第1の端部の半球形の面の内部に嵌合することができる。したがって、測定アセンブリ24を組み立てるために、図5に示すように、球形センサ10が最初に円筒形本体16の面19の凹部に配置される。次に、キャップ20は、球形センサ10の上に配置され、キャップ20の雌ねじ部22が雄ねじ部材18と接触するまで円筒形本体16に向かって移動する。その後、キャップ20をねじる、または回して、雄ねじ部材18と雌ねじ部22とを互いに強固に固定する。組み立てられた測定アセンブリ24は、100から5,000グラム、好ましくは950グラムの質量を有することができることに留意されたい。例示的な実施形態では、ねじ込みの代わりに、キャップ20は、クリップ、および/またはスキーでの結合に見られるものと同様の結合の機構、すなわち、スキー用ブーツをスキーに接続する機構を介して、円筒形本体16に、取り外し可能に取り付けられ得る。パッティング面の硬度を測定するために、球形センサ10は、最初にキャップ20で円筒形本体16に固定され、それによって測定アセンブリ24を形成する。次に、測定アセンブリ24を、適切な所定の高さからパッティング面に垂直に落下させる。適切な高さは、ゴルフボールの打撃および/またはパッティング面への落下の運動量およびエネルギーを表したものにし得る。例えば、適切な高さは、150mm~2,000mm、好ましくは406mmであり得る。
【0022】
例示的な実施形態では、アセンブリ24を形成するために球形センサ10を円筒形本体16およびキャップ20に固定する必要はなく、アセンブリ24を所定の高さからパッティング面に落下させることによってパッティング面の硬度を測定することができる。これに代えて、球形センサ10(円筒形本体16およびキャップ20を欠く)を、パッティング面に、所定の高さから単独で落下させてもよい。球形センサ10のセンサ、例えば加速度計13は、落下から動きのデータを取り込むことができる。さらに別の例示的な実施形態では、球形センサ10とは別個の球形センサを代わりに利用して、パッティング面の硬度を測定することができる。
【0023】
別個の球形センサはまた、球形を有し得るが、最も正確な硬度測定の値を得るように構成され得る異なる質量または重量(より重いまたはより軽い)など、球形センサ10とは異なる物理的特性を有し得る。球形センサ10と同様に、硬度を測定するために、別のアセンブリ24を形成するために円筒形本体16およびキャップ20と組み合わされた別個の球形センサを有する必要はない。
【0024】
その代わりに、球形センサ10bを、それ自体パッティング面に落下させることができる。別個の球形センサは、落下から動きのデータを取り込む、例えば加速度計13などの球形センサ10と同様のセンサを含むことができる。
【0025】
別の例示的な実施形態では、キャップ20は、円筒形本体16および/または球形センサ10の質量または重量を超える質量または重量を有することができ、その結果、測定アセンブリ24がいずれかの向きから落下するときに、キャップ20の重量により、円筒形本体16が地面と接触する前にキャップ20が最初に地面に衝突するか、または測定アセンブリ24が真っ逆さまにキャップ20で地面に衝突するようになる。さらに、測定アセンブリ24は、いかなる初期の加速または回転もなしで、一貫した落下の高さを保証するように、測定アセンブリ24を解放するように構成された落下デバイス25を介して、解放され得る。
【0026】
落下デバイス25の例を図6に示す。落下デバイス25は、ベース26と、シャフト27と、ガイド28と、ハンドル29とを含む。ベース26は地面に配置され、地面を露出させる開口部を含むことができ、例えば、ベース26はU字形である。
【0027】
シャフト27は、シャフト27が地面およびベース26に垂直な方向に配置されるように、ベース26に接続され得る、または据え付けられ得る。ガイド30は、ガイド30がシャフト27に移動可能にまたは固定式に据え付けられることを可能にする、ガイド30の第1の端部に開口(図示せず)を含むことができる。さらに、ガイド30は、ガイド30の第2の端部がベース26の開口部と位置合わせされるように、シャフト27から垂直方向に離れるように延在する。また、ガイド30の第2の端部は、ハンドル29に接続されている。
【0028】
測定アセンブリ24は、ハンドル29が、アセンブリ24をハンドル29に固定する非解放位置と、ハンドル29を測定アセンブリ24から解放する解放位置とになることができるように、ハンドル29に取り外し可能に取り付けられ得る。
【0029】
落下デバイス25を利用するために、ユーザは、ハンドル29が非解放位置にあるように、測定アセンブリ24をハンドル29に取り付ける。次いで、ユーザは、ハンドル29を解放位置に移動させ、これにより、やがて測定アセンブリ29がパッティング面に落下する。例えば、測定アセンブリ29がパッティング面と接触する位置は、ベース26の開口部に対応する露出した地面であってもよい。地面に与える測定アセンブリ24の衝撃は、球形センサ10内の加速度計、例えば、加速度計13またはセンサ14、13a、および/または13bを使用して測定される。測定アセンブリ24が手でまたは落下デバイス25を介して落下された後、球形センサ10は、加速度計13またはセンサ14、13a、および/または13bの少なくとも1つから得られた動きのデータをコンピューティングデバイスに通信する。例示的な実施形態では、ユーザは、測定アセンブリ24の球形センサ10が、その状態を、ハンドル29に取り付けられていることに対応する、静止しているまたは動かないものとして知覚するプロセスを、開始することができる。測定アセンブリ24が落下した後、球形センサ10は、加速度計13またはセンサ14、13aおよび/または13bを介して動きを検出する。次いで、球形センサ10は、アセンブリ24がその初期移動後の動きのない次の時点で、球形センサ10が地面に衝突しており、したがって、処理のためにその直後に動きのデータをコンピューティングデバイスに通信すべきであることを認識するように構成される。
【0030】
コンピューティングデバイスが動きのデータを受信した後、コンピューティングデバイスは、動きのデータからの加速度計の情報を使用して、測定アセンブリ24の貫く深さを正確に判定することができる。コンピューティングデバイスは、例えば、加速度計の情報の垂直成分(z軸)、すなわちa(t)を積分して測定アセンブリ24の速度(V)を得る積分プロセスを最初に実行し得る。
【数1】
式中、V0は、衝突直前の測定アセンブリ24の初期の速度である。V0は、自由落下の高さに基づいて推定されてもよく、または解放と衝撃との間の加速度計の情報を用いて計算され得る。測定アセンブリ24が地面を貫く深さ(D)は、速度を経時的に積分することによって、すなわちV(t)によって判定することができる。
【数2】
貫く深さは、パッティング面の硬度を測定し、硬度は貫く深さに反比例する。すなわち、表面が硬いほど、貫く深さは浅くなる。パッティング面の貫く深さの可能な値は、2.5mm~25mmの範囲である。例えば、950グラムの質量を有するアセンブリ24が406mmの高さから解放される場合、衝撃による運動量は約1.15kg.m/sであり、エネルギーは約3.78Jである。
【0031】
球形センサ10は、それ自体で、パッティング面の平滑性および/または真正度を測定するために使用することもできる。まず、ユーザは、コンピューティングデバイスを利用して球形センサ10と通信し、パッティング面の平滑性および/または真正度の測定を開始することができる。次に、ユーザは、球形センサ10をパッティング面を横切って移動させることができる。例えば、ユーザは、球形センサ10を手動で転動させてもよく、または傾斜面、例えばStimpmeter(登録商標)という機器またはPerfect Putter(登録商標)という機器を使用し得る。加速度計13またはセンサ14、13aおよび/または13bは、転動の開始から転動の終了まで、すなわち球形センサ10が静止するまで、球形センサ10の加速度および/または球形センサ10の角速度を記録する。例示的な一実施形態では、コンピューティングデバイスは、消費電力を低減するために球形センサ10を転動させる前の瞬間、例えば数秒、加速度計13またはセンサ14、13a、および/または13bを作動させる。
【0032】
球形センサ10が転動を停止した後、球形センサ10は、加速度計13またはセンサ14、13a、および/または13bによって収集された動きのデータをコンピューティングデバイスに、例えば無線で通信する。動きのデータは、図8に示すように、コンピューティングデバイスを介してユーザに視覚的に提示される加速度計の情報を含むことができ、加速度計の情報は、時間を独立軸、加速度を従属軸とするグラフに正弦波としてプロットすることができる。図8は、パッティンググリーンに亘って転動する際の球形センサ10の異なる軸、すなわちx軸、y軸およびz軸をそれぞれ表す3つのグラフを表示している。
【0033】
例えば、球形センサ10がパッティング面に亘って移動するとき、その移動は、一方の軸、例えばy軸に沿って表される。しかしながら、パッティング面の特性が、球形センサ10に、y軸に垂直な方向に左右(水平)に多少不規則に移動させる可能性があり、そのような垂直移動がx軸によって表されている。加えて、パッティング面の特性はまた、球形センサ10がy軸方向に沿って移動するときに、球形センサ10をy軸およびx軸の両方に垂直な方向に(垂直に)上下に跳ね返らせる可能性があり、そのような動きはz軸によって表されている。
【0034】
測定されたパッティング面の平滑性および/または真正度のさらなる分析は、残留加速度(x軸、y軸、およびz軸の各々について)を計算することによって得ることができ、これは、例えば、跳ね返りまたは左右の動きなしに、球形センサ10を完全な転動から偏向させるパッティング面の凹凸として解釈される。残留加速度は、最初に、完全な転動に対応する完全な正弦波を生の加速度計の情報に適合させ、完全な正弦波と生の加速度計の情報との間の差を判定することによって取得することができる。例示的な実施形態では、残留加速度の二乗平均平方根(RMS)の値、平均絶対残留加速度の値、または分類アルゴリズムなどの様々な方式を使用して、全体的な平滑性測定値を計算することができる。さらに、ガウス混合モデル(GMM)を使用して、測定されたパッティング面を有限数のプロトタイプのパッティング面の1つとして分類することができる。例えば、すべてのパッティング面は、例えば完全に滑らか、許容できないほどにでこぼこしている、および/またはわずかに滑らかであるなど、平滑性の分類に分類することができる。次いで、測定されたパッティング面は、GMM手法を使用して前述の分類の1つまたは複数に適合させることができる。
【0035】
パッティング面の平滑性および/または真正度の特徴付けを向上させるために、センサ14、すなわちジャイロスコープ、および/または第1の加速度計13とセンサ13aおよび/または13bとセンサ14との組み合わせを、開始から終了まで移動するときの円筒状センサ10のその向きに関する情報に対して、利用することができる。次いで、方位情報を使用して、3つの直交する加速度(x軸、y軸、z軸)から垂直加速度および水平加速度を判定するが、これらは一般に、垂直な平面および水平な面と整列されていない。次いで、3軸測定値のベクトルの組み合わせについて上述したのと同じ手法を使用して、平滑性を評価することができる。転動に対するパッティング面の抵抗であるグリーン・スピードは、ゴルフをするときに考慮すべき別の重要な特性である。抵抗が低いほど、ゴルファーによるエラーに対するパットの結果への感度が高くなる。速いグリーン(転動の抵抗が低い)は、遅いグリーン(転動の抵抗が高い)よりも長い距離を転動する。グリーン・スピードは、パッティング面の平滑性および/または真正度を評価するために使用される当該の転動と、同時に測定され得る。図7は、球形センサ10により生成された動きのデータを用いた球形センサ10の角速度のグラフを示している。より具体的には、グラフは、球形センサ10が初期の静止位置から最終的な静止位置に移動する際の球形センサ10の移動をマッピングする。グラフの第1の部分(第1の点線と第2の点線との間)において、球形センサ10は、傾斜面を下って加速し、続いて、球形センサ10が静止する前にパッティング面で遅くなるにつれて、減速していく(第3の点線と第4の点線との間)。
【0036】
転動距離は、角速度を積分し、球形センサ10の有効半径を知ることによって計算することができ、したがって、現在測定されているのと同じグリーン・スピードの測定値が得られるが、例えば、テープの測定またはレーザ距離計を使用した別個の距離の測定は必要ない。球形センサ10の有効半径の改善された推定値は、剛体の障壁が既知の距離で球の動きを止める較正した転動を使用することによって判定することができる。改善は、固定の距離の転動を較正し、球形センサ10の転動の有効半径を判定することによって行うことができる。さらに、この有効半径は、有効な草の高さまたは転動の変形のメトリックを与えることができる。ジャイロスコープおよび加速度計の十分な精度により、対象の測定領域が平坦でない事例で重力の影響を計算および除去することが可能である。より局所的な対象領域でグリーン・スピードを測定する別の方法は、局所的な角速度減衰率を使用することである。追加の方法はまた、角速度の勾配または減衰率を単純に使用して同等の値を判定し、より短い転動、または重力の影響を受ける転動を使用することであってもよい。
【0037】
このように、球形センサ10を含む測定アセンブリ24は、硬度、平滑性、真正度およびグリーン・スピードの特性を、例えばユーザのポケットに収まることができる単一の携帯装置を用いてユーザが測定することができ、その結果、オペレータのチームが多数の面倒な機器と共にこれらの特性を測定する必要がないという利点を設ける。
【0038】
加えて、球形センサ10を含む測定アセンブリ24は、ゴルフコースのパッティング面を測定することに限定されないことに留意されたい。実際、球形センサ10を含むアセンブリ24は、例えばクリケットなどの任意のスポーツで利用することができる。
【0039】
前述の特定の実施形態は例示であり、本開示の精神または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に多くの変形を導入することができる。さらに、本開示の範囲内で、異なる例、および例示的な実施形態の要素および/または特徴を互いに組み合わせ、および/または互いに置き換えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】