(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】予測ルーティング及び占有バランシングに関するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 16/332 20190101AFI20240416BHJP
G06Q 30/015 20230101ALI20240416BHJP
H04M 3/523 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
G06F16/332
G06Q30/015
H04M3/523
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568200
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 US2022028369
(87)【国際公開番号】W WO2022236180
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523074490
【氏名又は名称】ジェネシス クラウド サービシーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムニョス、エミール
(72)【発明者】
【氏名】ダブロフスキ、マチェイ
(72)【発明者】
【氏名】マッティーグ、ロリー
(72)【発明者】
【氏名】ファレル、デビッド
【テーマコード(参考)】
5B175
5K201
【Fターム(参考)】
5B175HA01
5K201BA13
5K201BC06
5K201CA09
5K201DC04
5K201ED10
(57)【要約】
一実施形態による、インタラクションをコンタクトセンターエージェントにルーティングする方法は、コンタクトセンターエージェントにルーティングされるべきインタラクションを識別することと、インタラクションのルーティングのための候補としてコンタクトセンターエージェントのグループを識別することと、インタラクションのルーティングのための候補として識別されたコンタクトセンターエージェントのグループの各候補エージェントのエージェントパフォーマンスデータを取り出すことと、エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの重要パフォーマンスインジケータの予測スコアを判定することと、エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの占有率を判定することと、各候補エージェントの重要パフォーマンスインジケータの予測スコア及び各候補エージェントの占有率に基づいて、ルーティング優先順位付けのために候補エージェントのランキングを生成することと、候補エージェントのランキングに基づいて、インタラクションを選択された候補エージェントにルーティングするようにルーティングデバイスにシグナリングすることと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インタラクションをコンタクトセンターエージェントにルーティングするためのシステムであって、前記システムが、
少なくとも1つのプロセッサと、
記憶された複数の命令を含む少なくとも1つのメモリとを含み、前記複数の命令が、前記少なくとも1つのプロセッサによる実行に応答して、前記システムに、
コンタクトセンターエージェントにルーティングされるべきインタラクションを識別することと、
前記インタラクションのルーティングのための候補としてコンタクトセンターエージェントのグループを識別することと、
前記インタラクションのルーティングのための候補として識別された前記コンタクトセンターエージェントのグループの各候補エージェントのエージェントパフォーマンスデータを取り出すことと、
前記エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの重要パフォーマンスインジケータの予測スコアを判定することと、
前記エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの占有率を判定することと、
各候補エージェントの前記重要パフォーマンスインジケータの前記予測スコア及び各候補エージェントの前記占有率に基づいて、ルーティング優先順位付けのために前記候補エージェントのランキングを生成することと、
前記候補エージェントの前記ランキングに基づいて、前記インタラクションを選択された候補エージェントにルーティングするようにルーティングデバイスにシグナリングすることと、を行わせる、システム。
【請求項2】
ルーティング優先順位付けのために前記候補エージェントの前記ランキングを生成することが、
前記重要パフォーマンスインジケータの前記予測スコア及び対応する前記候補エージェントの前記占有率に基づいて、各候補エージェントの修正された予測スコアを生成することと、
各候補エージェントの修正された前記予測スコアに基づいて、ルーティング優先順位付けのために前記候補エージェントをランキングすることと、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
対応する候補エージェントの前記修正された予測スコアを生成することは、
前記対応する候補エージェントの前記占有率が第1の閾値未満であるという判定に応答して、前記対応する候補エージェントの前記予測スコアを増加させることと、
前記対応する候補エージェントの前記占有率が第2の閾値よりも大きいという判定に応答して、前記対応する候補エージェントの前記予測スコアを減少させることと、を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
対応する候補エージェントの前記修正された予測スコアを生成することは、
前記対応する候補エージェントの前記占有率が第1の閾値未満であるという判定に応答して、前記対応する候補エージェントの前記予測スコアに1よりも大きい実数を乗算することと、
前記対応する候補エージェントの前記占有率が第2の閾値よりも大きいという判定に応答して、前記対応する候補エージェントの前記予測スコアに0~1の実数を乗算することと、を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
対応する候補エージェントの前記修正された予測スコアを生成することが、前記対応する候補エージェントの前記予測スコアを前記対応する候補エージェントの利用可能性率で除算することを含み、
前記対応する候補エージェントの前記利用可能性率が、1から前記対応する候補エージェントの前記占有率を引いたものに等しい、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
対応する候補エージェントの前記修正された予測スコアを生成することが、
前記対応する候補エージェントの前記占有率に重み係数を乗算して、前記対応する候補エージェントの修正された占有率を生成することと、
前記対応する候補エージェントの修正された利用可能性率を、1から前記対応する候補エージェントの前記修正された占有率を引いたものとして計算することと、
前記対応する候補エージェントの前記予測スコアを、前記対応する候補エージェントの前記修正された利用可能性率で除算することと、を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムがコンタクトセンターシステムを含み、前記重み係数が、前記コンタクトセンターシステムの管理者によって修正可能である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
対応する候補エージェントの前記重要パフォーマンスインジケータが、前記候補エージェントの平均処理時間(AHT)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記重要パフォーマンスインジケータの前記予測スコアが、0~100の正規化値である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
インタラクションをコンタクトセンターシステム内のコンタクトセンターエージェントにルーティングする方法であって、前記方法が、
コンタクトセンターエージェントにルーティングされるべきインタラクションを識別することと、
前記インタラクションのルーティングのための候補としてコンタクトセンターエージェントのグループを識別することと、
前記インタラクションのルーティングのための候補として識別された前記コンタクトセンターエージェントのグループの各候補エージェントのエージェントパフォーマンスデータを取り出すことと、
前記エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの重要パフォーマンスインジケータの予測スコアを判定することと、
前記エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの占有率を判定することと、
各候補エージェントの前記重要パフォーマンスインジケータの前記予測スコア及び各候補エージェントの前記占有率に基づいて、ルーティング優先順位付けのために前記候補エージェントのランキングを生成することと、
前記候補エージェントの前記ランキングに基づいて、前記インタラクションを選択された候補エージェントにルーティングするようにルーティングデバイスにシグナリングすることと、を含む、方法。
【請求項11】
ルーティング優先順位付けのために前記候補エージェントの前記ランキングを生成することが、
前記重要パフォーマンスインジケータの前記予測スコア及び前記対応する候補エージェントの前記占有率に基づいて、各候補エージェントの修正された予測スコアを生成することと、
各候補エージェントの前記修正された予測スコアに基づいて、ルーティング優先順位付けのために前記候補エージェントをランキングすることと、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
対応する候補エージェントの前記修正された予測スコアを生成することが、
前記対応する候補エージェントの前記占有率が第1の閾値未満であると判定することに応答して、前記対応する候補エージェントの前記予測スコアを増加させることと、
前記対応する候補エージェントの前記占有率が第2の閾値よりも大きいと判定することに応答して、前記対応する候補エージェントの前記予測スコアを減少させることと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
対応する候補エージェントの前記修正された予測スコアを生成することは、
前記対応する候補エージェントの前記占有率が第1の閾値未満であると判定することに応答して、前記対応する候補エージェントの前記予測スコアに1よりも大きい実数を乗算することと、
前記対応する候補エージェントの前記占有率が第2の閾値よりも大きいと判定することに応答して、前記対応する候補エージェントの前記予測スコアに0~1の実数を乗算することと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
対応する候補エージェントの前記修正された予測スコアを生成することが、前記対応する候補エージェントの前記予測スコアを前記対応する候補エージェントの利用可能性率で除算することを含み、
前記対応する候補エージェントの前記利用可能性率が、1から前記対応する候補エージェントの前記占有率を引いたものに等しい、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
対応する候補エージェントの前記修正された予測スコアを生成することが、
前記対応する候補エージェントの前記占有率に重み係数を乗算して、前記対応する候補エージェントの修正された占有率を生成することと、
前記対応する候補エージェントの修正された利用可能性率を、1から前記対応する候補エージェントの前記修正された占有率を引いたものとして計算することと、
前記対応する候補エージェントの前記予測スコアを、前記対応する候補エージェントの前記修正された利用可能性率で除算することと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記コンタクトセンターシステムの管理者によって前記重み係数を修正することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
対応する候補エージェントの前記重要パフォーマンスインジケータが、前記候補エージェントの平均処理時間(AHT)を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記重要パフォーマンスインジケータの前記予測スコアが、0~100の正規化値である、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
記憶された複数の命令を含む1つ以上の非一時的機械可読記憶媒体であって、前記複数の命令が、システムによる実行に応答して、前記システムに、
コンタクトセンターエージェントにルーティングされるべきインタラクションを識別することと、
前記インタラクションのルーティングのための候補としてコンタクトセンターエージェントのグループを識別することと、
前記インタラクションのルーティングのための候補として識別された前記コンタクトセンターエージェントのグループの各候補エージェントのエージェントパフォーマンスデータを取り出すことと、
前記エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの重要パフォーマンスインジケータの予測スコアを判定することと、
前記エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの占有率を判定することと、
各候補エージェントの前記重要パフォーマンスインジケータの前記予測スコア及び各候補エージェントの前記占有率に基づいて、ルーティング優先順位付けのために前記候補エージェントのランキングを生成することと、
前記候補エージェントの前記ランキングに基づいて、前記インタラクションを選択された候補エージェントにルーティングするようにルーティングデバイスにシグナリングすることと、を行わせる、1つ以上の非一時的機械可読記憶媒体。
【請求項20】
ルーティング優先順位付けのために前記候補エージェントの前記ランキングを生成することが、
前記重要パフォーマンスインジケータの前記予測スコア及び対応する候補エージェントの前記占有率に基づいて、各候補エージェントの修正された予測スコアを生成することと、
各候補エージェントの前記修正された予測スコアに基づいて、ルーティング優先順位付けのために前記候補エージェントをランキングすることと、を含む、請求項19に記載の1つ以上の非一時的機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年5月7日に出願された「Systems and Methods Relating to Predictive Routing and Occupancy Balancing」と題する米国仮特許出願第63/185,716号の優先権及び利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
コールセンター及び他のコンタクトセンターは、多くの組織によって、それらのエンドユーザに技術的及び他のサポートを提供するために使用される。エンドユーザは、例えば、電話、電子メール、ウェブチャット、ショートメッセージサービス(Short Message Service、SMS)、専用ソフトウェアアプリケーション、及び/又は他の技術を含む、1つ以上の通信技術を介して電子通信を確立することによって、コンタクトセンターの人間及び/又は仮想エージェントとインタラクションすることができる。コンタクトセンターは、エンドユーザクエリに効率的に応答するために、かなりの数のエージェントを有し得、したがって、コンタクトセンターは、通信又はインタラクションを適切なエージェントにルーティングするために何らかの機構を使用する
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は、インタラクションをコンタクトセンターエージェントにルーティングするための独自のシステム、構成要素、及び方法を対象とする。他の実施形態は、インタラクションをコンタクトセンターエージェントにルーティングするための装置、システム、デバイス、ハードウェア、方法、及びそれらの組み合わせを対象とする。
【0004】
一実施形態によれば、インタラクションをコンタクトセンターエージェントにルーティングするためのシステムは、少なくとも1つのプロセッサと、記憶された複数の命令を含む少なくとも1つのメモリとを含むことができ、複数の命令は、少なくとも1つのプロセッサによる実行に応答して、システムに、コンタクトセンターエージェントにルーティングされるべきインタラクションを識別することと、インタラクションのルーティングのための候補としてコンタクトセンターエージェントのグループを識別することと、インタラクションのルーティングのための候補として識別されたコンタクトセンターエージェントのグループの各候補エージェントのエージェントパフォーマンスデータを取り出すことと、エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの重要パフォーマンスインジケータの予測スコアを判定することと、エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの占有率を判定することと、各候補エージェントの重要パフォーマンスインジケータの予測スコア及び各候補エージェントの占有率に基づいて、ルーティング優先順位付けのために候補エージェントのランキングを生成することと、候補エージェントのランキングに基づいて、インタラクションを選択された候補エージェントにルーティングするようにルーティングデバイスにシグナリングすることと、を行わせる。
【0005】
いくつかの実施形態では、ルーティング優先順位付けのために候補エージェントのランキングを生成することは、重要パフォーマンスインジケータの予測スコア及び対応する候補エージェントの占有率に基づいて、各候補エージェントの修正された予測スコアを生成することと、各候補エージェントの修正された予測スコアに基づいて、ルーティング優先順位付けのために候補エージェントをランキングすることと、を含んでもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、対応する候補エージェントの修正された予測スコアを生成することは、対応する候補エージェントの占有率が第1の閾値未満であるという判定に応答して、対応する候補エージェントの予測スコアを増加させることと、対応する候補エージェントの占有率が第2の閾値よりも大きいという判定に応答して、対応する候補エージェントの予測スコアを減少させることと、を含んでもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、対応する候補エージェントの修正された予測スコアを生成することは、対応する候補エージェントの占有率が第1の閾値未満であるという判定に応答して、対応する候補エージェントの予測スコアに1よりも大きい実数を乗算することと、対応する候補エージェントの占有率が第2の閾値よりも大きいという判定に応答して、対応する候補エージェントの予測スコアに0~1の実数を乗算することと、を含んでもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、対応する候補エージェントの修正された予測スコアを生成することは、対応する候補エージェントの予測スコアを対応する候補エージェントの利用可能性率で除算することを含んでもよく、対応する候補エージェントの利用可能性率は、1から対応する候補エージェントの占有率を引いたものに等しくてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、対応する候補エージェントの修正された予測スコアを生成することは、対応する候補エージェントの占有率に重み係数を乗算して、対応する候補エージェントの修正された占有率を生成することと、対応する候補エージェントの修正された利用可能性率を、1から対応する候補エージェントの修正された占有率を引いたものとして計算することと、対応する候補エージェントの予測スコアを、対応する候補エージェントの修正された利用可能性率で除算することと、を含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、システムは、コンタクトセンターシステムを含んでもよく、重み係数は、コンタクトセンターシステムの管理者によって修正可能であってもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、対応する候補エージェントの重要パフォーマンスインジケータは、候補エージェントの平均処理時間(average handle time、AHT)であってもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、重要パフォーマンスインジケータの予測スコアは、0~100の正規化値であってもよい。
【0013】
別の実施形態によれば、インタラクションをコンタクトセンターシステム内のコンタクトセンターエージェントにルーティングする方法は、コンタクトセンターエージェントにルーティングされるべきインタラクションを識別することと、インタラクションのルーティングのための候補としてコンタクトセンターエージェントのグループを識別することと、インタラクションのルーティングのための候補として識別されたコンタクトセンターエージェントのグループの各候補エージェントのエージェントパフォーマンスデータを取り出すことと、エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの重要パフォーマンスインジケータの予測スコアを判定することと、エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの占有率を判定することと、各候補エージェントの重要パフォーマンスインジケータの予測スコア及び各候補エージェントの占有率に基づいて、ルーティング優先順位付けのために候補エージェントのランキングを生成することと、候補エージェントのランキングに基づいて、インタラクションを選択された候補エージェントにルーティングするようにルーティングデバイスにシグナリングすることと、を含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、ルーティング優先順位付けのために候補エージェントのランキングを生成することは、重要パフォーマンスインジケータの予測スコア及び対応する候補エージェントの占有率に基づいて、各候補エージェントの修正された予測スコアを生成することと、各候補エージェントの修正された予測スコアに基づいて、ルーティング優先順位付けのために候補エージェントをランキングすることと、を含んでもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、対応する候補エージェントの修正された予測スコアを生成することは、対応する候補エージェントの占有率が第1の閾値未満であると判定することに応答して、対応する候補エージェントの予測スコアを増加させることと、対応する候補エージェントの占有率が第2の閾値よりも大きいと判定することに応答して、対応する候補エージェントの予測スコアを減少させることと、を含んでもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、対応する候補エージェントの修正された予測スコアを生成することは、対応する候補エージェントの占有率が第1の閾値未満であると判定することに応答して、対応する候補エージェントの予測スコアに1よりも大きい実数を乗算することと、対応する候補エージェントの占有率が第2の閾値よりも大きいと判定することに応答して、対応する候補エージェントの予測スコアに0~1の実数を乗算することと、を含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、対応する候補エージェントの修正された予測スコアを生成することは、対応する候補エージェントの予測スコアを対応する候補エージェントの利用可能性率で除算することを含んでもよく、対応する候補エージェントの利用可能性率は、1から対応する候補エージェントの占有率を引いたものに等しくてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、対応する候補エージェントの修正された予測スコアを生成することは、対応する候補エージェントの占有率に重み係数を乗算して、対応する候補エージェントの修正された占有率を生成することと、対応する候補エージェントの修正された利用可能性率を、1から対応する候補エージェントの修正された占有率を引いたものとして計算することと、対応する候補エージェントの予測スコアを、対応する候補エージェントの修正された利用可能性率で除算することと、を含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、本方法は、コンタクトセンターシステムの管理者によって重み係数を修正することを更に含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、対応する候補エージェントの重要パフォーマンスインジケータは、候補エージェントの平均処理時間(AHT)であってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、重要パフォーマンスインジケータの予測スコアは、0~100の正規化値であってもよい。
【0022】
更に別の実施形態によれば、1つ以上の非一時的機械可読記憶媒体は、記憶された複数の命令を含むことができ、複数の命令は、システムによる実行に応答して、システムに、コンタクトセンターエージェントにルーティングされるべきインタラクションを識別することと、インタラクションのルーティングのための候補としてコンタクトセンターエージェントのグループを識別することと、インタラクションのルーティングのための候補として識別されたコンタクトセンターエージェントのグループの各候補エージェントのエージェントパフォーマンスデータを取り出すことと、エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの重要パフォーマンスインジケータの予測スコアを判定することと、エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの占有率を判定することと、各候補エージェントの重要パフォーマンスインジケータの予測スコア及び各候補エージェントの占有率に基づいて、ルーティング優先順位付けのために候補エージェントのランキングを生成することと、候補エージェントのランキングに基づいて、インタラクションを選択された候補エージェントにルーティングするようにルーティングデバイスにシグナリングすることと、を行わせる。
【0023】
いくつかの実施形態では、ルーティング優先順位付けのために候補エージェントのランキングを生成することは、重要パフォーマンスインジケータの予測スコア及び対応する候補エージェントの占有率に基づいて、各候補エージェントの修正された予測スコアを生成することと、各候補エージェントの修正された予測スコアに基づいて、ルーティング優先順位付けのために候補エージェントをランキングすることと、を含んでもよい。
【0024】
この概要は、特許請求される主題の重要な又は本質的な特徴を識別することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を限定する助けとして使用されることも意図されていない。本出願の更なる実施形態、形態、特徴、及び態様は、本明細書とともに提供される説明及び図から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本明細書に説明される概念は、例として例解的なものであり、添付の図面における限定としてではない。例解を単純かつ明確にするために、図に例解される要素は、必ずしも縮尺通りに描画されていない。適切であると考えられる場合、参照ラベルは、対応する又は類似の要素を示すために図面間で繰り返されている。
【
図1】コンピューティングデバイスの少なくとも1つの実施形態の簡略ブロック図である。
【
図2】コンタクトセンターシステム及び/又は通信インフラストラクチャの少なくとも1つの実施形態の簡略ブロック図である。
【
図3】
図2のコンタクトセンターシステムのチャットサーバの少なくとも1つの実施形態の簡略ブロック図である。
【
図4】チャットモジュールの少なくとも1つの実施形態の簡略ブロック図である。
【
図5】例示的な顧客チャットインターフェースの簡略図である。
【
図6】顧客自動化システムの少なくとも1つの実施形態の簡略ブロック図である。
【
図7】顧客のためにインタラクションを自動化する方法の少なくとも1つの実施形態の簡略フロー図である。
【
図8】インタラクションをコンタクトセンターエージェントにルーティングする方法の少なくとも1つの実施形態の簡略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の概念は、様々な修正及び代替形態の余地があるが、具体的な実施形態が図面に例として示されており、本明細書に詳細に説明される。しかしながら、本開示の概念を開示された特定の形態に限定する意図はなく、逆に、その意図は、本開示及び添付の特許請求の範囲と一致する全ての修正、等価物、及び代替物を網羅することであることを理解されたい。
【0027】
「1つの実施形態」、「一実施形態」、「例解的な実施形態」などの本明細書における言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得るが、全ての実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を必ず含む場合があるか、又は含まない場合があることを示す。更に、かかる句は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。「好ましい」構成要素又は特徴への言及は、一実施形態に関する特定の構成要素又は特徴の望ましいことを示すことができるが、本開示は、そのような構成要素又は特徴を省略し得る他の実施形態に関してそのように限定するものではないことを更に理解されたい。更に、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態と関連して説明される場合、明確に説明されているかどうかに関わりなく、他の実施形態と関連するこのような特徴、構造、又は特性への実装は、当業者の知見内であるものとする。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、様々な実施形態において、任意の好適な組み合わせ及び/又は部分的組み合わせで組み合わされ得る。
【0028】
更に、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」の形態のリストに含まれる項目は、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(B及びC)、(A及びC)、又は(A、B、及びC)を意味することができることを理解されたい。同様に、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」の形態で列挙された項目は、(A)(B)、(C)、(A及びB)、(B及びC)、(A及びC)、又は(A、B、及びC)を意味することができることを理解されたい。更に、特許請求の範囲に関して、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「少なくとも1つの(at least one)」、及び/又は「少なくとも1つの部分(at least one portion)」などの語及び句の使用は、具体的に反対のことが述べられていない限り、そのような要素の1つのみに限定されるように解釈されるべきではなく、「少なくとも一部の(at least a portion)」及び/又は「一部の(a portion)」などの句の使用は、具体的なに反対のことが述べられていない限り、そのような要素の一部のみを含む実施形態及びそのような要素の全体を含む実施形態の両方を包含するように解釈されるべきである。
【0029】
開示された実施形態は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせで実装され得る。開示された実施形態はまた、1つ以上のプロセッサによって読み取られ実行され得る1つ以上の一時的又は非一時的機械可読(例えば、コンピュータ可読)記憶媒体によって実行されるか又は記憶される命令として実装され得る。機械可読記憶媒体は、機械(例えば、揮発性若しくは不揮発性メモリ、メディアディスク、又は他のメディアデバイス)によって読み取り可能な形態で情報を記憶又は伝送するための任意の記憶デバイス、機構、又は他の物理的構造として具現化され得る。
【0030】
図面では、いくつかの構造的又は方法的特徴は、具体的な配置及び/又は順序付けで示され得る。しかしながら、そのような具体的な配置及び/又は順序付けは必要とされない場合があることを理解されたい。むしろ、いくつかの実施形態では、そのような特徴は、反対のことが示されていない限り、例解的な図面に示されているものとは異なる方法及び/又は順序で配置され得る。更に、特定の図に構造的又は方法的特徴を含めることは、そのような特徴が全ての実施形態で必要とされることを意味するものではなく、いくつかの実施形態では、含まれない場合があるか、又は他の特徴と組み合わされる場合がある。
【0031】
次に
図1を参照すると、コンピューティングデバイス100の少なくとも1つの実施形態の簡略ブロック図が示されている。例解的なコンピューティングデバイス100は、本明細書に説明されるコンピューティングデバイス、システム、サービサ、コントローラ、スイッチ、ゲートウェイ、エンジン、モジュール、及び/又はコンピューティング構成要素(例えば、説明を簡潔にするために、集合的に、コンピューティングデバイス、サーバ、又はモジュールと互換的に称され得る)の各々の少なくとも1つの実施形態を示す。例えば、サーバは、本明細書に説明される様々な機能を実施するために、コンピュータプログラム命令を実行しており、かつ他のシステムモジュールとインタラクションしている場合がある、1つ以上のコンピューティングデバイス100のうちの1つ以上のプロセッサ上で実行されているプロセス又はスレッドであり得る。
【0032】
別途具体的に限定されない限り、複数のコンピューティングデバイスに関連して説明される機能は、単一のコンピューティングデバイスに統合され得るか、又は単一のコンピューティングデバイスに関連して説明される様々な機能は、いくつかのコンピューティングデバイスにわたって分散され得る。更に、
図2のコンタクトセンターシステム200などの本明細書に説明されるコンピューティングシステムに関連して、そのシステムの様々なサーバ及びコンピューティングデバイスは、ローカルコンピューティングデバイス100(例えば、コンタクトセンターのエージェントと同じ物理的位置のオンサイト)、リモートコンピューティングデバイス100(例えば、オフサイト、すなわちクラウドベースの環境内、又はクラウドコンピューティング環境内、例えば、ネットワークを介して接続されたリモートデータセンター内)、又はそれらの何らかの組み合わせ上に位置し得る。いくつかの実施形態では、オフサイトのコンピューティングデバイス上に位置するサーバによって提供される機能は、かかるサーバがオンサイトにあるかのように、仮想プライベートネットワーク(virtual private network、VPN)を介してアクセス及び提供され得るか、又は機能は、様々なプロトコルを使用してインターネットを介してアクセスされるサービスとしてのソフトウェア(software as a service、SaaS)を使用して、例えば、拡張可能なマークアップ言語(extensible markup language、XML)、JSONを介してデータを交換することによって提供され得、及び/又は機能は、別様にアクセス/活用され得る。
【0033】
例解された実施例に示されるように、コンピューティングデバイス100は、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)又はプロセッサ105及びメインメモリ110を含み得る。コンピューティングデバイス100はまた、記憶デバイス115、リムーバブルメディアインターフェース120、ネットワークインターフェース125、入出力(input/output、I/O)コントローラ130、及び1つ以上の入出力(I/O)デバイス135を含み得る。例えば、図示のように、I/Oデバイス135は、表示デバイス135A、キーボード135B、及び/又はポインティングデバイス135Cを含み得る。コンピューティングデバイス100は、更に、メモリポート140、ブリッジ145、1つ以上のI/Oポート、1つ以上の追加の入出力(I/O)デバイス135D、135E、135F、及び/又はプロセッサ105と通信するキャッシュメモリ150など、追加の要素を含み得る。
【0034】
プロセッサ105は、メインメモリ110からフェッチされた命令に応答し、及び処理する任意の論理回路であり得る。例えば、プロセス105は、集積回路(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、若しくはグラフィックス処理ユニット)によって、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)若しくは特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)において実装され得る。図示のように、プロセッサ105は、二次バス又はバックサイドバスを介してキャッシュメモリ150と直接通信し得る。キャッシュメモリ150は、典型的には、メインメモリ110よりも速い応答時間を有することを理解されたい。メインメモリ110は、データを記憶することが可能であり、記憶されたデータがプロセッサ105によって直接アクセスされることを可能にする1つ以上のメモリチップであり得る。記憶デバイス115は、スケジューリングタスク及びシステムリソースへのアクセスを制御するオペレーティングシステム、及び他のソフトウェアのための記憶装置を提供し得る。特に限定されない限り、コンピューティングデバイス100は、本明細書に記載の機能性を実行することが可能なオペレーティングシステム及びソフトウェアを含み得る。
【0035】
例解された実施例において示されるように、コンピューティングデバイス100は、多種多様なI/Oデバイス135を含み得、それらのうちの1つ以上は、I/Oコントローラ130を介して接続され得る。入力デバイスとしては、例えば、キーボード135B及びポインティングデバイス135C(例えば、マウス又は光学ペン)が挙げられ得る。出力デバイスとしては、例えば、ビデオ表示デバイス、スピーカ、及びプリンタが挙げられ得る。I/Oデバイス135及び/又はI/Oコントローラ130は、複数の表示デバイスの使用を可能にするための好適なハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る。コンピューティングデバイス100はまた、ディスクドライブ、USBポート、又はコンピュータ可読メディアからデータを読み取るか、若しくはコンピュータ可読メディアにデータを書き込むための好適な任意の他のデバイスなど、1つ以上のリムーバブルメディアインターフェース120をサポートし得る。より概して、I/Oデバイス135は、本明細書に記載の機能を実行するための任意の従来のデバイスを含み得る。
【0036】
コンピューティングデバイス100は、任意のワークステーション、デスクトップコンピュータ、ラップトップ若しくはノートブックコンピュータ、サーバマシン、仮想マシン、モバイル若しくはスマートフォン、ポータブル電気通信デバイス、メディア再生デバイス、ゲームシステム、モバイルコンピューティングデバイス、又は本書に記載の動作及び機能を実行することが可能である、任意の他のタイプのコンピューティング、電気通信、若しくはメディアデバイスであり得るが、これらに限定されない。説明を明確かつ簡潔にするために単数形で説明されているが、コンピューティングデバイス100は、ネットワークによって接続された、又はネットワークを介して他のシステム及びリソースに接続された複数のデバイスを含み得る。本明細書で使用される場合、ネットワークは、1つ以上の他のコンピューティングデバイス、マシン、クライアント、クライアントノード、クライアントマシン、クライアントコンピュータ、クライアントデバイス、エンドポイント、又はエンドポイントノードと通信する、1つ以上のコンピューティングデバイス、マシン、クライアント、クライアントノード、クライアントマシン、クライアントコンピュータ、クライアントデバイス、エンドポイント、又はエンドポイントノードとして具現化されるか、又はそれらを含み得る。例えば、ネットワークは、プライベート又は公衆交換電話網(public switched telephone network、PSTN)、無線キャリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、プライベートワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)、インターネットなどのパブリックWANなどとして具現化されるか、又はそれらを含んでもよく、適切な通信プロトコルを使用して接続が確立される。より一般的には、特に限定されない限り、コンピューティングデバイス100は、任意の好適な通信プロトコルを使用して任意のタイプのネットワークを介して他のコンピューティングデバイス100と通信し得ることを理解されたい。更に、ネットワークは、様々なネットワーク構成要素が仮想化される仮想ネットワーク環境であり得る。例えば、様々なマシンは、物理マシン上で動作するソフトウェアベースのコンピュータとして実装された仮想マシンであってもよく、又は複数の仮想マシンが同じホスト物理マシン上で動作する「ハイパーバイザ」タイプの仮想化が使用されてもよい。他の実施形態では、他のタイプの仮想化を使用することができる。
【0037】
次に
図2を参照すると、本明細書に説明される実施形態のうちの1つ以上と併せて使用され得る、通信インフラストラクチャ及び/又はコンテンツセンターシステムの少なくとも1つの実施形態の簡略ブロック図が示されている。コンタクトセンターシステム200は、コンタクトセンターサービス(例えば、コールセンターサービス、チャットセンターサービス、SMSセンターサービスなど)をエンドユーザに提供すること、及び別様に本明細書に説明される機能を実施することが可能な任意のシステムとして具現化され得る。例示的なコンタクトセンターシステム200は、顧客デバイス205、ネットワーク210、スイッチ/メディアゲートウェイ212、コールコントローラ214、双方向メディア応答(interactive media response、IMR)サーバ216、ルーティングサーバ218、記憶デバイス220、統計サーバ226、エージェントデバイス230A、230B、230C、メディアサーバ234、知識管理サーバ236、知識システム238、チャットサーバ240、ウェブサーバ242、インタラクション(iXn)サーバ244、ユニバーサルコンタクトサーバ246、レポーティングサーバ248、メディアサービスサーバ249、及び分析モジュール250を含む。
図2の例解的な実施形態には1つの顧客デバイス205、1つのネットワーク210、1つのスイッチ/メディアゲートウェイ212、1つのコールコントローラ214、1つのIMRサーバ216、1つのルーティングサーバ218、1つの記憶デバイス220、1つの統計サーバ226、1つのメディアサーバ234、1つの知識管理サーバ236、1つの知識システム238、1つのチャットサーバ240、1つのiXnサーバ244、1つのユニバーサルコンタクトサーバ246、1つのレポーティングサーバ248、1つのメディアサービスサーバ249、及び1つの分析モジュール250のみが示されているが、コンタクトセンターシステム200は、他の実施形態では、複数の顧客デバイス205、ネットワーク210、スイッチ/メディアゲートウェイ212、コールコントローラ214、IMRサーバ216、ルーティングサーバ218、記憶デバイス220、統計サーバ226、メディアサーバ234、知識管理サーバ236、知識システム238、チャットサーバ240、iXnサーバ244、ユニバーサルコンタクトサーバ246、レポーティングサーバ248、メディアサービスサーバ249、及び/又は分析モジュール250を含み得る。更に、いくつかの実施形態では、本明細書に説明される構成要素のうちの1つ以上は、システム200から除外され得、独立しているものとして説明されている構成要素のうちの1つ以上は、別の構成要素の一部分を形成し得、かつ/又は別の構成要素の一部分を形成するものとして説明されている構成要素のうちの1つ以上は、独立し得る。
【0038】
本明細書では、「コンタクトセンターシステム」という用語は、
図2に描写されるシステム及び/又はその構成要素を指すために使用される一方、「コンタクトセンター」という用語は、より一般的に、コンタクトセンターシステム、これらのシステムを動作させる顧客サービスプロバイダ、及び/又はそれらに関連付けられた組織若しくは企業を指すために使用されることを理解されたい。したがって、別途具体的に限定されない限り、「コンタクトセンター」という用語は、概して、コンタクトセンターシステム(コンタクトセンターシステム200など)、関連する顧客サービスプロバイダ(コンタクトセンターシステム200を通して顧客サービスを提供する特定の顧客サービスプロバイダなど)、並びに顧客サービスが代理で提供されている組織又は企業を指す。
【0039】
背景として、顧客サービスプロバイダは、コンタクトセンターを通して多くのタイプのサービスを提供し得る。そのようなコンタクトセンターは、従業員若しくは顧客サービスエージェント(又は単に「エージェント」)が配置され得、エージェントは、会社、企業、政府機関、又は組織(以下、互換的に「組織」又は「企業」と称される)と、ユーザ、個人、又は顧客などの人々(以下、互換的に「個人」又は「顧客」と称される)との間のインターフェースとして機能する。例えば、コンタクトセンターのエージェントは、購入の決定、注文の受け付け、又はすでに受け取った製品若しくはサービスに関する問題を解決する際に顧客を支援することができる。コンタクトセンター内で、コンタクトセンターエージェントと外部エンティティ又は顧客との間のそのようなインタラクションは、例えば、音声(例えば、電話コール又はボイスオーバーIP、すなわち、VoIPコール)、ビデオ(例えば、ビデオ会議)、テキスト(例えば、電子メール及びテキストチャット)、画面共有、コブラウジング、及び/又は他の通信チャネルなどの様々な通信チャネルを介して、行われ得る。
【0040】
運用上、コンタクトセンターは、一般に、コストを最小限に抑えながら、質の高いサービスを顧客に提供するように努力する。例えば、コンタクトセンターが動作する1つの方法が、ライブエージェントとの全顧客インタラクションを取り扱うことである。このアプローチは、サービス品質の観点から十分に成功し得る一方、エージェントの労働の高いコストに起因して、法外に高価となる可能性が高いであろう。このため、ほとんどのコンタクトセンターは、ライブエージェントの代わりに、例えば、双方向音声応答(interactive voice response、IVR)システム、双方向メディア応答(IMR)システム、インターネットロボット、すなわち、「ボット」、自動チャットモジュール、すなわち、「チャットボット」、及び/又は他の自動処理されたなどの、あるレベルの自動プロセスを利用する。多くの場合、これは、自動プロセスが、特定のタイプのインタラクションを取り扱うのに非常に効率的であり、ライブエージェントの必要性を低減するのに効果的であり得るため、成功戦略であることが証明されている。そのような自動化により、コンタクトセンターが、人間のエージェントの使用をより困難な顧客インタラクションに標的化することを可能にする一方で、自動プロセスは、より反復的又は日常的なタスクを取り扱う。更に、自動プロセスは、効率を最適化し、繰り返し性を促進する方法で構造化され得る。人間のエージェント、すなわち、ライブエージェントは、特定の質問に応える、若しくは特定の詳細を徹底的に追及することを忘れ得るが、そのような誤りは、典型的には、自動プロセスの使用を通して回避される。顧客サービスプロバイダは、顧客とインタラクションする自動プロセスにますます依存する一方、顧客によるそのような技術の使用は、はるかに未発達のままである。したがって、インタラクションのコンタクトセンター側では、IVRシステム、IMRシステム、及び/又はボットが使用されて、インタラクションの部分を自動化する一方、顧客側のアクションは、顧客が手動で実施するままである。
【0041】
コンタクトセンターシステム200は、様々なタイプのサービスを顧客に提供するために、顧客サービスプロバイダによって使用され得ることを理解されたい。例えば、コンタクトセンターシステム200は、自動プロセス(若しくはボット)又は人間のエージェントが顧客と通信するインタラクションに関与し、及びそれを管理するために使用され得る。理解されるべきであるように、コンタクトセンターシステム200は、企業を通して利用可能な製品及びサービスに関連する販売及び顧客サービスの機能を実施するためのビジネス又は企業の社内施設であり得る。別の実施形態では、コンタクトセンターシステム200は、別の組織に代わって、サービスを提供するように契約するサードパーティサービスプロバイダによって運用され得る。更に、コンタクトセンターシステム200は、企業又はサードパーティサービスプロバイダ専用の機器上に展開され、かつ/又は、例えば、複数の企業のために複数のコンタクトセンターをサポートするためのインフラストラクチャを備えたプライベート若しくはパブリッククラウド環境などのリモートコンピューティング環境内に展開され得る。コンタクトセンターシステム200は、構内で若しくはリモートで、又はそれらの何らかの組み合わせで実行され得るソフトウェアアプリケーション若しくはプログラムを含み得る。更に、コンタクトセンターシステム200の様々な構成要素は、様々な地理的位置にわたって分散され得、必ずしも単一の場所又はコンピューティング環境に含まれるわけではないことを理解されたい。
【0042】
更に、別途具体的に限定されない限り、本明細書に説明される技術のコンピューティング要素のいずれかは、クラウドベース又はクラウドコンピューティング環境内に実装され得ることを理解されたい。本明細書で使用され、更にコンピューティングデバイス400に関連して以下に説明されるように、「クラウドコンピューティング」又は単に「クラウド」は、構成可能なコンピューティングリソース(例えば、ネットワーク、サーバ、記憶装置、アプリケーション、及びサービス)の共有プールへのユビキタスで便利なオンデマンドのネットワークアクセスを可能にするためのモデルとして定義され、これは、仮想化を介して迅速にプロビジョンされ、最小限の管理努力若しくはサービスプロバイダインタラクションでリリースされ、次いで、それに応じてスケーリングされ得る。クラウドコンピューティングは、様々な特性(例えば、オンデマンドセルフサービス、広域ネットワークアクセス、リソースプーリング、迅速な弾力性、測定可能なサービスなど)、サービスモデル(例えば、サービスとしてのソフトウェア(「SaaS」)、サービスとしてのプラットフォーム(Platform as a Service、「PaaS」)、サービスとしてのインフラストラクチャ(Infrastructure as a Service、「IaaS」)、及び配備モデル(例えば、プライベートクラウド、コミュニティクラウド、パブリッククラウドなど)で構成され得る。「サーバレスアーキテクチャ」としばしば称されるクラウド実行モデルは、一般に、所望の機能を達成するために、リモートサーバの割り当て及びプロビジョニングを動的に管理するサービスプロバイダを含む。
【0043】
図2に関連して説明されたコンピュータ実装構成要素、モジュール、又はサーバのいずれも、例えば、
図1のコンピューティングデバイス100などのコンピューティングデバイスのうちの1つ以上のタイプを介して実装され得ることを理解されたい。理解されるように、コンタクトセンターシステム200は、一般に、電話、電子メール、チャット、又は他の通信機構を介したサービスの配信を可能にするために、リソース(例えば、人材、コンピュータ、電気通信機器など)を管理する。そのようなサービスは、コンタクトセンターのタイプに応じて変化し得、例えば、顧客サービス、ヘルプデスク機能、緊急応答、テレマーケティング、受注、及び/又は他の特性を含み得る。
【0044】
コンタクトセンターシステム200からサービスを受けることを所望する顧客は、顧客デバイス205を介して、コンタクトセンターシステム200へのインバウンド通信(例えば、電話コール、電子メール、チャットなど)を開始し得る。
図2は、1つのそのような顧客デバイス、すなわち顧客デバイス205を示しているが、任意の数の顧客デバイス205が存在し得ることを理解されたい。顧客デバイス205は、例えば、電話、スマートフォン、コンピュータ、タブレット、又はラップトップなどの通信デバイスであり得る。本明細書に説明される機能によれば、顧客は、一般に、顧客デバイス205を使用して、電話コール、電子メール、チャット、テキストメッセージ、ウェブブラウジングセッション、及び他のマルチメディアトランザクションなど、コンタクトセンターシステム200との通信を開始、管理、及び実行し得る。
【0045】
顧客デバイス205からの、及び顧客デバイス205へのインバウンド通信及びアウトバウンド通信は、典型的には、使用されている顧客デバイスのタイプ及び通信の形態に依存するネットワークの性質により、ネットワーク210を横断し得る。一例として、ネットワーク210としては、電話、セルラ、及び/又はデータサービスの通信ネットワークが挙げられ得る。ネットワーク210は、プライベート若しくは公衆交換電話網(PSTN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、プライベートワイドエリアネットワーク(WAN)、及び/又はインターネットなどのパブリックWANであり得る。更に、ネットワーク210は、符号分割多重アクセス(code division multiple access、CDMA)ネットワーク、モバイル通信のためのグローバルシステム(global system for mobile communications、GSM)ネットワーク、又は3G、4G、LTE、5Gなどを含むが、これらに限定されない、当該技術分野で慣用の任意の無線ネットワーク/技術を含む、無線キャリアネットワークを含み得る。
【0046】
スイッチ/メディアゲートウェイ212は、顧客とコンタクトセンターシステム200との間の電話コールを受信及び伝送するために、ネットワーク210に結合され得る。スイッチ/メディアゲートウェイ212としては、センター内でのエージェントレベルルーティングのための中央スイッチとして機能するように構成されている電話スイッチ又は通信スイッチが挙げられ得る。スイッチは、ハードウェアスイッチングシステムであるか、又はソフトウェアを介して実装され得る。例えば、スイッチ212は、自動コールディストリビュータ、構内交換機(private branch exchange、PBX)、IPベースのソフトウェアスイッチ、及び/若しくは顧客からインターネットソース型インタラクション並びに/又は電話網ソース型インタラクションを受信し、これらのインタラクションを、例えば、エージェントデバイス230のうちの1つにルーティングするように構成されている専用ハードウェア及びソフトウェアを有する任意の他のスイッチを含み得る。したがって、一般に、スイッチ/メディアゲートウェイ212は、顧客デバイス205とエージェントデバイス230との間の接続を確立することによって、顧客とエージェントとの間の音声接続を確立する。
【0047】
更に示すように、スイッチ/メディアゲートウェイ212は、例えば、コンタクトセンターシステム200のスイッチと他のルーティング、監視、及び通信処理構成要素との間のアダプタ又はインターフェース接続として機能するコールコントローラ214に結合され得る。コールコントローラ214は、PSTNコール、VoIPコール、及び/又は他のタイプのコールを処理するように構成され得る。例えば、コールコントローラ214は、スイッチ/メディアゲートウェイ及び他の構成要素とインターフェース接続するためのコンピュータ電話統合(computer-telephone integration、CTI)ソフトウェアを含み得る。コールコントローラ214は、セッション開始プロトコル(session initiation protocol、SIP)コールを処理するためのSIPサーバを含み得る。コールコントローラ214はまた、顧客の電話番号、IPアドレス、又は電子メールアドレスなどの着信インタラクションに関するデータを抽出し、次いで、インタラクションを処理する際に、これらを他のコンタクトセンター構成要素と通信し得る。
【0048】
双方向メディア応答(IMR)サーバ216は、自己ヘルプ機能又は仮想アシスタント機能を可能にするように構成され得る。具体的には、IMRサーバ216は、IMRサーバ216が音声に制限されず、様々なメディアチャネルもカバーし得ることを除いて、双方向音声応答(IVR)サーバと同様であり得る。音声を例解する例において、IMRサーバ216は、顧客に顧客のニーズを問い合わせるためのIMRスクリプトで構成され得る。例えば、銀行のコンタクトセンターは、顧客が自分の預金残高を取り出したい場合に「1を押す」ように、IMRスクリプトを介して顧客に指示し得る。IMRサーバ216との継続的なインタラクションを介して、顧客は、エージェントと話をすることを必要とせずに、サービスを受け得る。IMRサーバ216はまた、通信が、適切なリソースにルーティングされ得るように、顧客がコンタクトセンターに接触している理由を確認するように構成され得る。IMR構成は、コンタクトセンター環境(例えば、Genesys(登録商標)Designer)内で実行されるIVRアプリケーション及びルーティングアプリケーションを開発するためのウェブベースのツールを含むセルフサービス及び/又はアシストサービスツールの使用を通して実施され得る。
【0049】
ルーティングサーバ218は、着信インタラクションをルーティングするように機能し得る。例えば、インバウンド通信が、人間のエージェントによって処理されるべきであると判定されると、ルーティングサーバ218内の機能は、最も適切なエージェントを選択して、通信をそのエージェントにルーティングし得る。このエージェント選択は、どの利用可能なエージェントが通信を取り扱うために最適であるかに基づき得る。より具体的には、適切なエージェントの選択は、ルーティングサーバ218によって実装されるルーティング戦略又はアルゴリズムに基づき得る。これを行う際に、ルーティングサーバ218は、着信インタラクションに関連するデータ、例えば、特定の顧客、利用可能なエージェント、及びインタラクションのタイプに関連するデータを問い合わせ得、このデータは、本明細書に説明されるように、特定のデータベースに記憶され得る。エージェントが選択されると、ルーティングサーバ218は、コールコントローラ214とインタラクションして、着信インタラクションを対応するエージェントデバイス230にルーティング(すなわち、接続)し得る。この接続の一部として、顧客に関する情報が、選択されたエージェントに、それらのエージェントデバイス230を介して提供され得る。この情報は、エージェントが顧客に提供できるサービスを強化することを意図している。
【0050】
コンタクトセンターシステム200は、データをコンタクトセンターの機能に関連する1つ以上のデータベースに記憶するための1つ以上の大容量記憶デバイス(一般的に記憶デバイス220によって表される)を含み得ることを理解されたい。例えば、記憶デバイス220は、顧客データベースに維持される顧客データを記憶し得る。そのような顧客データとしては、例えば、顧客プロファイル、連絡先情報、サービスレベル合意書(service level agreement、SLA)、及びインタラクション履歴(例えば、以前のインタラクションの性質、処分データ、待ち時間、処理時間、及び顧客の問題を解決するためにコンタクトセンターによって取られたアクションを含む、特定の顧客との以前のインタラクションの詳細)が挙げられ得る。別の例として、記憶デバイス220は、エージェントデータをエージェントデータベースに記憶し得る。コンタクトセンターシステム200によって維持されるエージェントデータは、例えば、エージェントの利用可能性及びエージェントプロファイル、スケジュール、スキル、処理時間、及び/又は他の関連するデータを含み得る。別の例として、記憶デバイス220は、インタラクションデータをインタラクションデータベースに記憶し得る。インタラクションデータは、例えば、顧客とコンタクトセンターとの間の多数の過去のインタラクションに関連するデータを含み得る。より一般的には、別途具体的に指定されない限り、記憶デバイス220は、データベースを含み、かつ/又は本明細書に説明される情報のタイプのいずれかに関連するデータを記憶するように構成され得、これらのデータベース及び/又はデータは、本明細書に説明される機能を容易にする方法で、コンタクトセンターシステム200の他のモジュール又はサーバにアクセス可能であることを理解されたい。例えば、コンタクトセンターシステム200のサーバ又はモジュールは、そのようなデータベースを問い合わせて、データベース内に記憶されたデータを取り出すか、又は記憶のためにデータをデータベースに伝送し得る。記憶デバイス220は、例えば、任意の従来の記憶媒体の形態を採り得、ローカルに収容されるか、又はリモート位置から操作され得る。一例として、データベースは、Cassandraデータベース、NoSQLデータベース、又はSQLデータベースであり、Oracle、IBM DB2、Microsoft SQLサーバ、又はMicrosoft Access、PostgreSQLなどのデータベース管理システムによって管理され得る。
【0051】
統計サーバ226は、コンタクトセンターシステム200の性能及び動作態様に関連するデータを記録及び集計するように構成され得る。そのような情報は、統計サーバ226によってコンパイルされ、他のサーバ及びモジュール、例えば、レポーティングサーバ248に利用可能にされ得、次いで、レポーティングサーバは、データを使用して、コンタクトセンターの動作態様を管理し、本明細書に説明される機能に従って、自動化されたアクションを実行するために使用されるレポートを生成し得る。そのようなデータは、コンタクトセンターのリソースの状態、例えば、平均待ち時間、破棄率、エージェント占有、及び本明細書に説明される機能が必要とするであろう他に関連し得る。
【0052】
コンタクトセンターシステム200のエージェントデバイス230は、本明細書に説明される機能を容易にする方法で、コンタクトセンターシステム200の様々な構成要素及びモジュールとインタラクションするように構成されている通信デバイスであり得る。例えば、エージェントデバイス230は、通常の電話コール又はVoIPコールに適合された電話を含み得る。エージェントデバイス230は、コンタクトセンターシステム200のサーバと通信し、動作に関連付けられたデータ処理を実施し、本明細書に説明される機能に従って、音声、チャット、電子メール、及び他のマルチメディア通信機構を介して顧客とインターフェース接続するように構成されているコンピューティングデバイスを更に含み得る。
図2は、3つのそのようなエージェントデバイス230、すなわち、エージェントデバイス230A、230B、及び230Cを示すが、特定の実施形態では、任意の数の薬剤デバイス230が存在し得ることを理解されたい。
【0053】
マルチメディア/ソーシャルメディアサーバ234は、顧客デバイス205及び/又はサーバ242との(音声以外の)メディアインタラクションを容易にするように構成され得る。そのようなメディアインタラクションは、例えば、電子メール、音声メール、チャット、ビデオ、テキストメッセージング、ウェブ、ソーシャルメディア、コブラウジングなどに関連し得る。マルチメディア/ソーシャルメディアサーバ234は、マルチメディアイベント及び通信を受信、処理、及び転送するための専用ハードウェア及びソフトウェアを有する、当該技術分野で慣用の任意のIPルータの形態を採り得る。
【0054】
知識管理サーバ236は、顧客と知識システム238との間のインタラクションを容易にするように構成され得る。概して、知識システム238は、質問又はクエリを受信し、それに応じて回答を提供することができるコンピュータシステムであり得る。知識システム238は、コンタクトセンターシステム200の一部として含まれるか、又はサードパーティによってリモートで操作され得る。知識システム238は、参考資料として知識システム238に提出された百科事典、辞書、ニュースワイヤ記事、文学作品、又は他の文書などの情報源から情報を取得することによって、自然言語で提示された質問に回答することができる人工知能コンピュータシステムを含み得る。一例として、知識システム238は、IBMワトソン又は同様のシステムとして具現化され得る。
【0055】
チャットサーバ240は、顧客との電子チャット通信を行い、オーケストレーションし、かつ管理するように構成され得る。一般に、チャットサーバ240は、チャット会話を実装及び維持し、チャットトランスクリプトを生成するように構成されている。そのようなチャット通信は、顧客が、自動化されたチャットボット、人間のエージェント、又はその両方と通信するような方法で、チャットサーバ240によって行われ得る。例示的な実施形態では、チャットサーバ240は、チャットボット及び利用可能な人間のエージェントの間にチャット会話をディスパッチするチャットオーケストレーションサーバとして機能し得る。そのような場合、チャットサーバ240の処理ロジックは、利用可能なチャットリソース間でインテリジェントな作業負荷分配を活用するために、そのように駆動されるルールであり得る。チャットサーバ240は更に、顧客デバイス205又はエージェントデバイス230のいずれかで生成されるユーザインターフェース(user interfaces、UI)を含む、チャット機能に関連付けられたUIを実装、管理、及び円滑化し得る。チャットサーバ240は、特定の顧客との単一のチャットセッション内で、例えば、チャットセッションが、チャットボットから人間のエージェントに、又は人間のエージェントからチャットボットに転送するように、チャットを自動ソースと人間ソースとの間で転送するように構成され得る。チャットサーバ240はまた、例えば、関連する記事へのリンクが提供され得るように、チャット中に顧客によって提示された問い合わせに対する提案及び回答を受信するために、知識管理サーバ236及び知識システム238に結合され得る。
【0056】
ウェブサーバ242は、Facebook、Twitter、Instagramなど、顧客がサブスクライブする様々なソーシャルインタラクションサイトのサイトホストを提供するために含まれ得る。コンタクトセンターシステム200の一部として描写されているが、ウェブサーバ242は、サードパーティによって提供され得、及び/又はリモートに維持され得ることを理解されたい。ウェブサーバ242はまた、コンタクトセンターシステム200によってサポートされている企業又は組織のウェブページを提供し得る。例えば、顧客は、ウェブページを閲覧して、特定の企業の製品及びサービスに関する情報を受信し得る。そのような企業のウェブページ内で、例えば、ウェブチャット、音声、又は電子メールを介して、コンタクトセンターシステム200とのインタラクションを開始するための機構が提供され得る。そのような機構の一例が、ウェブサーバ242上にホストされるウェブページ又はウェブサイト上に展開され得るウィジェットである。本明細書で使用される場合、ウィジェットは、特定の機能を実施するユーザインターフェース構成要素を指す。いくつかの実装において、ウィジェットは、インターネットを介して顧客に表示されたウェブページ上にオーバーレイされ得るグラフィカルユーザインターフェースコントロールを含み得る。ウィジェットは、ウィンドウ又はテキストボックスなどに情報を示すか、又はファイルを共有若しくは開くこと、又は通信を開始することなど、特定の機能にユーザがアクセスすることを可能にするボタン又は他のコントロールを含み得る。いくつかの実装において、ウィジェットは、コンパイルなしで別個のウェブページ内にインストールされ、かつ実行され得るコードの可搬部分を有するユーザインターフェース構成要素を含む。いくつかのウィジェットは、対応する又は追加のユーザインターフェースを含み得、様々なローカルリソース(例えば、顧客デバイス上のカレンダー若しくはコンタクト情報)又はネットワークを介してリモートリソース(例えば、インスタントメッセージング、電子メール、又はソーシャルネットワーキングアップデート)にアクセスするように構成され得る。
【0057】
インタラクション(iXn)サーバ244は、コンタクトセンターの延期可能なアクティビティ、及び完了のための、そのアクティビティの人間のエージェントへのルーティングを管理するように構成され得る。本明細書で使用される場合、延期可能なアクティビティとしては、オフラインで実施され得るバックオフィスワーク、例えば、電子メールに対応すること、トレーニングに参加すること、及び顧客とのリアルタイム通信を必要としない他のアクティビティが挙げられる。一例として、インタラクション(iXn)サーバ244は、延期可能なアクティビティの各々を処理するのに適切なエージェントを選択するために、ルーティングサーバ218とインタラクションするように構成され得る。特定のエージェントに割り当てられると、延期可能なアクティビティは、そのエージェントにプッシュされ、その結果、延期可能なアクティビティは、選択されたエージェントのエージェントデバイス230上に表示される。延期可能なアクティビティは、選択されたエージェントが完了させるタスクとして、ワークビン内に表示され得る。ワークビンの機能は、例えば、リンクされたリスト、アレイなどの任意の従来のデータ構造、及び/又は他の好適なデータ構造を介して実装され得る。エージェントデバイス230の各々は、ワークビンを含み得る。一例として、ワークビンは、対応するエージェントデバイス230のバッファメモリ内に維持され得る。
【0058】
ユニバーサルコンタクトサーバ(universal contact server、UCS)246は、顧客データベースに記憶された情報を取り出し、及び/又は顧客データベースに記憶するために情報を顧客データベースに伝送するように構成され得る。例えば、UCS246は、特定の顧客とのチャットがどのように処理されたかに関する履歴を維持することを容易にするために、チャット機能の一部として利用され得、次いで、この履歴は、将来のチャット通信をどのように処理すべきかに関する参照として使用され得る。より一般的には、UCS246は、好ましいメディアチャネル及びコンタクトする最良の時間などの顧客選好の履歴を維持することを容易にするように構成され得る。これを行うために、UCS246は、例えば、エージェントからのコメント、顧客通信履歴などに関するデータなど、各顧客のインタラクション履歴に関連するデータを識別するように構成され得る。これらのデータタイプの各々は、次に、顧客データベース222又は他のモジュールに記憶されて、本明細書に記載の機能が必要とするときに、取り出され得る。
【0059】
レポーティングサーバ248は、統計サーバ226又は他のソースによってコンパイル及び集計されたデータからレポートを生成するように構成され得る。そのようなレポートは、準リアルタイムレポート又は履歴レポートを含み、例えば、平均待ち時間、破棄率、及び/又はエージェント占有など、コンタクトセンターリソース及び性能特性の状態に関係し得る。レポートは、自動的に、又は要求元(例えば、エージェント、管理者、コンタクトセンターアプリケーションなど)からの具体的な要求に応答して生成され得る。次いで、レポートは、本明細書に説明される機能に従って、コンタクトセンターの動作を管理するために使用され得る。
【0060】
メディアサービスサーバ249は、コンタクトセンター機能をサポートするために、オーディオサービス及び/又はビデオサービスを提供するように構成され得る。本明細書に説明される機能によると、そのような機能としては、IVR若しくはIMRシステムのプロンプト(例えば、オーディオファイルの再生)、保留音、ボイスメール/単一パーティの記録、マルチパーティの記録(例えば、オーディオ及び/若しくはビデオコールの)、音声認識、デュアルトーンマルチ周波数(dual tone multi frequency、DTMF)認識、ファックス、オーディオ及びビデオトランスコーディング、セキュアなリアルタイム転送プロトコル(secure real-time transport protocol、SRTP)、電話会議、ビデオ会議、コーチング(例えば、コーチが顧客とエージェントとの間のインタラクションを立ち聞きするための、及び顧客がコメントを聞くことなく、コーチがエージェントにコメントを提供するためのサポート)、コール分析、キーワードスポッティング、並びに/又は他の関連する機能が、挙げられ得る。
【0061】
分析モジュール250は、本明細書に説明される機能が必要とし得る場合に、複数の異なるデータソースから受信されたデータに対して分析を実施するためのシステム及び方法を提供するように構成され得る。例解的な実施形態によれば、分析モジュール250はまた、例えば、顧客データ、エージェントデータ、及びインタラクションデータなどの収集されたデータに基づいて、予測因子又はモデルを生成、更新、トレーニング、及び修正し得る。モデルは、顧客又はエージェントの行動モデルを含み得る。行動モデルは、様々な状況で、例えば、顧客又はエージェントの行動を予測するために使用され得、それにより、本明細書に説明される技術の実施形態が、そのような予測に基づいてインタラクションを調整するか、又は将来のインタラクションの予測される特性に備えてリソースを割り当てることを可能にし、それにより、全体的なコンタクトセンター性能及び顧客体験を改善する。分析モジュールは、コンタクトセンターの一部であると説明されているが、そのような行動モデルはまた、顧客システム(又は本明細書でも使用されているように、インタラクションの「顧客側」)に実装されて、顧客の利益のために使用され得ることが理解されよう。
【0062】
例示的な実施形態によれば、分析モジュール250は、顧客データベース及びエージェントデータベースを含む記憶デバイス220に記憶されたデータへのアクセスを有し得る。分析モジュール250はまた、インタラクション及びインタラクションコンテンツ(例えば、その中に検出されたインタラクション及びイベントのトランスクリプト)、インタラクションメタデータ(例えば、顧客識別子、エージェント識別子、インタラクションの媒体、インタラクションの長さ、インタラクション開始及び終了時間、部門、タグ付きカテゴリ)、並びにアプリケーション設定(例えば、コンタクトセンターを通るインタラクション経路)に関係するデータを記憶するインタラクションデータベースへのアクセスを有し得る。更に、分析モジュール250は、例えば、機械学習技法を適用することによって、アルゴリズム及びモデルを開発及びトレーニングする際に使用するために、記憶デバイス220内に記憶されたデータを取り出すように構成され得る。
【0063】
含まれるモデルのうちの1つ以上は、顧客若しくはエージェントの行動、並びに/又はコンタクトセンターの動作及び性能に関連する態様を予測するように構成され得る。更に、モデルのうちの1つ以上は、自然言語処理に使用されて、例えば、意図認識などを含み得る。モデルは、システムを記述する既知の第1原理方程式、実験モデルをもたらすデータ、又は既知の第1原理方程式とデータとの組み合わせに基づいて、開発され得る。本実施形態で使用するためのモデルを開発する際に、第1原理方程式は、多くの場合利用可能でないか又は容易に導出されないため、収集及び記憶されたデータに基づいて経験的モデルを構築することが一般的に好ましくあり得る。複雑系の操作変数/外乱変数と制御変数との間の関係を適切に捕捉するために、いくつかの実施形態では、モデルが非線形であることが好ましくあり得る。これは、非線形モデルが、本明細書で考察されるものなどの複雑系に一般的である、操作変数/外乱変数と制御変数との間の直線関係ではなく、曲線関係を示す可能性があるためである。前述の要件を考慮すると、機械学習又はニューラルネットワークベースのアプローチが、モデルを実装するための好ましい実施形態であり得る。例えば、ニューラルネットワークは、高度な回帰アルゴリズムを使用して、経験的データに基づいて開発され得る。
【0064】
分析モジュール250は、オプティマイザを更に含み得る。理解されるように、オプティマイザを使用して、制約のセットが適用される「コスト関数」対象を最小化することができ、コスト関数は、所望の目的又はシステム動作の数学的表現である。モデルは非線形であり得るため、オプティマイザは、非線形プログラミングオプティマイザであり得る。しかしながら、本明細書に説明される技術は、線形プログラミング、二次プログラミング、混合整数非線形プログラミング、確率的プログラミング、グローバル非線形プログラミング、遺伝的アルゴリズム、粒子/スワーム技法などを含むが、これらに限定されない、様々な異なるタイプの最適化アプローチを個々に又は組み合わせて使用することによって実装され得ることが企図される。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、モデル及びオプティマイザは、一緒に、最適化システム内で使用され得る。例えば、分析モジュール250は、最適化システムを、コンタクトセンターの性能及び動作の態様が最適化されるか、又は少なくとも強化される最適化プロセスの一部として利用し得る。これは、例えば、顧客体験、エージェント体験、インタラクションルーティング、自然言語処理、意図認識、又は自動プロセスに関連する他の機能に関連する特徴を含み得る。
【0066】
図2(並びに本明細書に含まれる他の図)の様々な構成要素、モジュール、及び/又はサーバは各々、コンピュータプログラム命令を実行し、かつ本明細書に説明される様々な機能を実施するために、他のシステム構成要素とインタラクションする1つ以上のプロセッサを含み得る。そのようなコンピュータプログラム命令は、例えば、ランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)などの標準のメモリデバイスを使用して実装されるメモリ内に記憶されるか、又は例えば、CD-ROM、フラッシュドライブなどの他の非一時的コンピュータ可読媒体に記憶され得る。サーバの各々の機能は、特定のサーバによって提供されるものとして記載されているが、当業者は、様々な実施形態では、様々なサーバの機能が、組み合わされるか若しくは単一のサーバに統合され得るか、又は特定のサーバの機能が、1つ以上の他のサーバにわたって分散され得ることを理解するべきである。更に、「インタラクション」及び「通信」という用語は、互換的に使用され、概して、電話コール(PSTN若しくはVoIPコール)、電子メール、Vメール、ビデオ、チャット、画面共有、テキストメッセージ、ソーシャルメディアメッセージ、WebRTCコールなどを含むが、これらに限定されない、任意の通信チャネルを使用する任意のリアルタイム及び非リアルタイムのインタラクションを指す。コンタクトシステム200の構成要素へのアクセス及びコンタクトシステム200の構成要素の制御は、顧客デバイス205及び/又はエージェントデバイス230上に生成され得るユーザインターフェース(UI)を通して影響を受けることがある。すでに述べたように、コンタクトセンターシステム200は、クラウドベースの環境又はクラウドコンピューティング環境などで一部又は全ての構成要素がリモートでホストされるハイブリッドシステムとして運用され得る。コールセンターシステム200のデバイスの各々は、
図1を参照して以下に説明されるコンピューティングデバイス100と同様の1つ以上のコンピューティングデバイスの一部として具現化されるか、それを含むか、又はそれを形成し得ることを理解されたい。
【0067】
次に
図3、
図4及び
図5を参照すると、チャットシステム及びチャットボットの様々な態様が示されている。理解されるように、本実施形態は、概して、異なる当事者間のテキストメッセージの交換を可能にする、そのようなチャット機能を含むか、又はそのようなチャット機能によって可能にされ得る。これらの当事者は、顧客及びエージェントなどの生きている人、並びにボット又はチャットボットなどの自動プロセスを含み得る。
【0068】
ボット(「インターネットボット」としても知られている)は、インターネット上で自動化されたタスク又はスクリプトを実行するソフトウェアアプリケーションであることを理解されたい。多くの状況では、ボットは、単純かつ構造的に反復的なタスクを、人にとって可能であるよりはるかに高いレートで実行することができる。チャットボットは、特定のタイプのボットであり、本明細書で使用される場合、聴覚方法又はテキスト方法を介して会話を行うソフトウェア及び/又はハードウェアの一部として定義される。理解されるように、チャットボットは、人間が会話相手としてどのように振舞うかを説得力のある方法でシミュレートするように設計されている。チャットボットは、典型的には、顧客サービス又は情報取得など様々な実用的な目的のためにダイアログシステムで使用される。いくつかのチャットボットは、洗練された自然言語処理システムを使用するが、より単純なチャットボットは、入力内のキーワードをスキャンし、次いで、一致するキーワード又は言い回しパターンに基づいてデータベースから応答を選択する。
【0069】
今後言及する場合に、前に説明された図において使用された対応する数値識別子が含まれるかどうかにかかわらず、言及は、前の図において説明された例を包含するものであり、特に具体的に限定されない限り、当業者によって理解されるように、所望の機能を満たすことができるそれらの実施例又は他の技術のいずれかに従って実装され得ることを理解されたい。したがって、例えば、今後の「コンタクトセンターシステム」への言及は、
図2の例示的な「コンタクトセンターシステム200」及び/又はコンタクトセンターシステムを実装するための他の技術を指すものとして理解されるべきである。追加の例として、以下での「顧客デバイス」、「エージェントデバイス」、「チャットサーバ」、又は「コンピューティングデバイス」に対する今後の言及は、それぞれ
図1~
図2の例示的な「顧客デバイス205」、「エージェントデバイス230」、「チャットサーバ240」、又は「コンピューティングデバイス200」、並びに同じ機能を満たすための技術を指すものとして理解されるべきである。
【0070】
次に、チャット機能及びチャットボットについて、
図3、
図4、及び
図5にそれぞれ示すチャットサーバ、チャットボット、及びチャットインターフェースの例示的な実施形態を参照しながら、より具体的に説明する。これらの例は、コンタクトセンター側で実装されるチャットシステムに関して提供されるが、そのようなチャットシステムは、インタラクションの顧客側で使用されてもよい。したがって、
図3、
図4、及び
図5の例示的なチャットシステムは、顧客のためにコンタクトセンターのエージェント及びチャットボットとインタラクションするように構成された顧客側チャットボットの使用を含む、類似の顧客側実装のために修正され得ることを理解されたい。チャット機能は、テキスト-スピーチ変換及び/又はスピーチ-テキスト変換を介して音声通信によって利用され得ることを更に理解されたい。
【0071】
次に特に
図3を参照すると、チャットシステム及び機能を実装するために使用され得るチャットサーバ240のより詳細なブロック図が提供されている。チャットサーバ240は、顧客がデータ通信ネットワーク210を介して顧客によって操作される顧客デバイス205に結合され得る(すなわち、電子通信し得る)。チャットサーバ240は、例えば、自動化されたチャット及び人間のエージェントとのチャットの両方を含む、顧客とのチャット会話を実装及び編成するためのコンタクトセンターの一部として、企業によって操作され得る。自動化されたチャットに関して、チャットサーバ240は、チャット会話に携わるためにコンピュータプログラム命令を用いて構成されている、チャット自動化モジュール又はチャットボット260A~260C(260と総称する)をホストし得る。したがって、チャットサーバ240は、概して、顧客デバイス205とエージェントデバイス230又はチャットボット260との間でのテキストベースの通信又はチャット通信の交換を含む、チャット機能を実装する。以下でより詳細に論じるように、チャットサーバ240は、チャット機能を容易にする、顧客デバイス205及びエージェントデバイス230のそれぞれにおいて特定のUIを生成するための顧客インターフェースモジュール265と、エージェントインターフェースモジュール266と、を含み得る。
【0072】
チャットボット260に関して、各々は、要求に従って起動される実行可能プログラムとして動作することができる。例えば、チャットサーバ240は、双方向音声応答(IVR)機能のために、VoiceXMLファイルをメディアサーバにロードすることに類似して、チャットボット260の実行エンジンとして動作し得る。ロード及びアンロードは、双方向音声応答の文脈でVoiceXMLスクリプトが制御され得る方法に類似して、チャットサーバ240によって制御され得る。チャットサーバ240は、IVRの文脈で顧客データキャプチャと同様に、統一された方法で顧客データを取得し、収集する手段を更に提供し得る。そのようなデータは、同じチャットボット、異なるチャットボット、エージェントチャット、又は更には異なるメディアタイプであるかどうかにかかわらず、記憶され、共有され、後続の会話において利用され得る。例示的な実施形態では、チャットサーバ240は、あるチャットボットから別のチャットボットに、又はあるチャットボットから人間のエージェントにインタラクションが転送又は移行されるときに、様々なチャットボット260間でのデータの共有を調整するように構成されている。特定のチャットボットとのインタラクション中に取得されたデータは、第2のチャットボット又は人間のエージェントの呼び出し要求とともに転送され得る。
【0073】
例示的な実施形態では、チャットボット260の数は、チャットサーバ240の設計及び機能に応じて変化し得る。更に、異なるチャットボットが異なるプロファイルを有するように作成されてもよく、そのプロファイルは、特定のチャット又は特定の顧客の主題に一致するように選択され得る。例えば、特定のチャットボットのプロファイルは、特定の顧客の好みに向けられた特定の主題又は通信スタイルに関して顧客を支援するための専門知識を含むことができる。より具体的には、あるチャットボットは、第1の通信トピック(例えば、ビジネスでの新しいアカウントの開設)に携わるように設計され得、別のチャットボットは、第2の通信トピック(例えば、ビジネスによって提供される製品又はサービスに関する技術的サポート)に携わるように設計され得る。あるいは、チャットボットは、様々な方言若しくは俗語を用いるように構成されるか、又は様々な個性若しくは特性を有し得る。特定タイプの顧客に応えるプロファイルを有するチャットボットが関与することにより、より効果的な通信及び結果が可能になり得る。チャットボットプロファイルは、人口統計情報、インタラクション履歴、又はソーシャルメディア上で利用可能なデータなど、他の当事者について知られている情報に基づいて選択され得る。チャットサーバ240は、より専門的なチャットボットを呼び出すためには顧客に関する情報が不十分である場合に呼び出されるデフォルトのチャットボットをホストし得る。任意選択的に、異なるチャットボットは、顧客選択可能であってもよい。例示的な実施形態では、チャットボット260のプロファイルは、記憶デバイス220内でホストされるプロファイルデータベースに記憶され得る。そのようなプロファイルとしては、チャットボットの個性、人口統計、専門知識の領域などが挙げられ得る。
【0074】
顧客インターフェースモジュール265及びエージェントインターフェースモジュール266は、顧客とチャットボット260又は人間のエージェントとの間のチャット通信を容易にするユーザインターフェース(UI)を、顧客デバイス205上に表示するために生成するように構成され得る。同様に、エージェントインターフェースモジュール266は、エージェントデバイス230を動作させるエージェントと顧客との間のチャット通信を容易にする特定のUIをエージェントデバイス230上に生成することができる。エージェントインターフェースモジュール266はまた、エージェントがチャットボット260と顧客との間で進行中のチャットの状況を監視することを可能にするUIをエージェントデバイス230上で生成することができる。例えば、顧客インターフェースモジュール265は、チャットセッション中に、顧客デバイス205上で特定のUIを生成するように構成されたシグナルを顧客デバイス205に伝送することができ、これは、チャットボット260又は人間のエージェントから送信されているテキストメッセージの表示、並びに顔文字又はアニメーションなどのテキストメッセージに付随するように意図された他の非テキストグラフィックスを含み得る。同様に、エージェントインターフェースモジュール266は、チャットセッション中に、エージェントデバイス230上でUIを生成するように構成されているエージェントデバイス230にシグナルを伝送することができる。そのようなUIは、顧客への送信テキストメッセージに付随する非テキストグラフィックスのエージェント選択を容易にするインターフェースを含むことができる。
【0075】
例示的な実施形態では、チャットサーバ240は、メディア層、メディア制御層、及び(IVRメディアサーバ上でのVoiceXMLの実行と同様に)IMRサーバ216によって実行されるチャットボットを用いて、層状アーキテクチャで実装され得る。上述したように、チャットサーバ240は、知識管理サーバ234とインタラクションして、知識情報についてサーバに問い合わせるように構成され得る。例えば、クエリは、チャット中に顧客から受信した質問に基づき得る。次いで、知識管理サーバ234から受信した応答は、チャット応答の一部として顧客に提供され得る。
【0076】
次に特に
図4を参照すると、例示的なチャット自動化モジュール又はチャットボット260のブロック図が提供されている。図示のように、チャットボット260は、テキスト分析モジュール270、ダイアログマネージャ272、及び出力ジェネレータ274を含む、いくつかのモジュールを含むことができる。チャットボットの動作性のより詳細な説明において、例えば、意図認識に関連するモジュール、テキスト-スピーチ変換又はスピーチ-テキスト変換モジュール、並びにエージェント又は顧客プロファイルに記憶された情報に従うスクリプト記憶、取り出し、及びデータフィールド処理に関連するモジュールを含む、他のサブシステム又はモジュールが説明され得ることが理解されよう。しかしながら、そのようなトピックは、本開示の他の領域において(例えば、
図6及び
図7に関連して)より完全に網羅されており、したがって、説明を簡潔にするためにここでは繰り返さない。それにもかかわらず、これらの領域で行われる開示は、本明細書に説明される機能に従ってチャットボットの動作性に対して類似の方法で使用され得ることを理解されたい。
【0077】
テキスト分析モジュール270は、自然言語を分析し、理解するように構成され得る。これに関して、テキスト分析モジュールは、言語の辞書、構文パーサー、意味的パーサー、及び顧客デバイス205によって提供されたフレーズを構文的及び意味的内部表現に分割するための文法規則を用いて構成され得る。テキスト分析モジュールの構成は、チャットボットに関連する特定のプロファイルに依存する。例えば、特定のワードは、あるチャットボットの辞書には含まれるが、別のチャットボットの辞書からは除外され得る。
【0078】
ダイアログマネージャ272は、テキスト分析モジュール270から構文的表現及び意味的表現を受信し、決定規則セットに基づいて会話の大まかな流れを管理する。この点に関して、ダイアログマネージャ272は、会話の履歴及び状態を維持し、それらに基づいて、アウトバウンド通信を生成する。通信は、ダイアログマネージャ272によって選択された特定の会話経路のスクリプトに従い得る。以下で更に詳細に説明されるように、会話経路は、会話の特定の目的又はトピックの理解に基づいて選択され得る。会話経路のスクリプトは、例えば、アーティフィシャルインテリジェンスマークアップランゲージ(artificial intelligence markup language、AIML)、SCXMLなど、当該技術分野において従来の様々な言語及びフレームワークのいずれかを使用して生成され得る。
【0079】
チャット会話中、ダイアログマネージャ272は、会話フロー/スクリプトの特定の時点で適切とみなされる応答を選択し、出力ジェネレータ274に応答を出力する。例示的な実施形態では、ダイアログマネージャ272はまた、選択された応答の信頼度をコンピュータ処理し、信頼度をエージェントデバイス230に提供するように構成され得る。チャット通信における全てのセグメント、ステップ、又は入力は、考えられる応答の対応するリストを有し得る。応答は、トピック(好適なテキスト分析及びトピック検出スキームを使用して判定される)に基づいて分類され、提案される次のアクションが割り当てられ得る。アクションとしては、例えば、回答を伴う応答、追加の質問、支援する人間のエージェントへの転送などが挙げられ得る。信頼度は、検出、分析、及び顧客入力に対する応答が適切かどうか、又は人間のエージェントが関与するべきかどうかをシステムが決定することを支援するために利用され得る。例えば、閾値信頼度は、1つ以上のビジネスルールに基づいて、人間のエージェントを介入させるために割り当てられ得る。例示的な実施形態では、信頼度は、顧客フィードバックに基づいて判定され得る。説明されるように、ダイアログマネージャ272によって選択された応答は、知識管理サーバ234によって提供される情報を含み得る。
【0080】
例示的な実施形態では、出力ジェネレータ274は、ダイアログマネージャ272によって提供される応答の意味的表現を取得し、チャットボットのプロファイル又は個性に当該応答をマッピングし(例えば、チャットボットの方言、語彙、又は個性に従って応答の言語を調整することによる)、顧客デバイス205に表示される出力テキストを出力する。出力テキストは、チャットボットと対話している顧客が、人間のエージェントではなく、自動プロセスと対話していることを認識しないように、意図的に提示され得る。理解されるように、他の実施形態によると、出力テキストは、顧客のユーザインターフェースに組み込まれた、顔文字又はアニメーションなど視覚表現とリンクされ得る。
【0081】
次に
図5を参照すると、チャット機能282の例示的な実装を有するウェブページ280が示されている。ウェブページ280は、例えば、企業ウェブサイトに関連しており、ウェブページを訪問している将来の顧客及び現在の顧客と、企業に関連するコンタクトセンターとの間のインタラクションを開始することが意図され得る。理解されるように、チャット機能282は、ラップトップ、タブレットデバイス、又はスマートフォンなどのパーソナルコンピューティングデバイスを含む、任意のタイプの顧客デバイス205上で生成され得る。更に、チャット機能282は、ウェブページ内のウィンドウとして生成されてもよく、又は全画面インターフェースとして実装されてもよい。図示の例のように、チャット機能282は、ウェブページ280の定められた部分に含まれ得、例えば、上記のシステム及び構成要素、並びに/又は任意の他の従来の手段を介して、ウィジェットとして実装され得る。一般に、チャット機能282は、顧客がコンタクトセンターに配信するテキストメッセージを入力するための例示的な方法を含むことができる。
【0082】
一例として、ウェブページ280は、チャットボット又はライブエージェントとチャットするための通信チャネルを提供する顧客デバイスなどの顧客デバイスを介して顧客によってアクセスされ得る。例示的な実施形態では、示されるように、チャット機能282は、顧客デバイスのディスプレイ上に、本明細書では顧客チャットインターフェース284と称されるユーザインターフェースを生成することを含む。顧客チャットインターフェース284は、例えば、すでに説明されたチャットサーバなど、チャットサーバの顧客インターフェースモジュールによって生成され得る。説明されるように、顧客インターフェースモジュール265は、例えば、この例では、「Kate」という名前のチャットボット又はエージェントである、チャットソースによって発信されたチャットメッセージの内容に従って、所望の顧客チャットインターフェース284を生成するように構成されている顧客デバイス205にシグナルを送信し得る。顧客チャットインターフェース284は、指定領域又はウィンドウ内に含まれ得、当該ウィンドウは、ウェブページ280の指定部分を占める。顧客チャットインターフェース284はまた、テキスト表示領域286を含むことができ、テキスト表示領域286は、受信及び送信されたテキストメッセージの時系列表示に専用の領域である。顧客チャットインターフェース284は、顧客が彼らの次のメッセージのテキストを入力する指定領域であるテキスト入力領域288を更に含む。他の実施形態では、他の構成が使用されてもよいことを理解されたい。
【0083】
顧客サービスプロバイダ又はコンタクトセンターとのインタラクションの様々な段階の間の顧客アクションを自動化及び拡張するための様々なシステム及び方法が使用されてもよいことを理解されたい。インタラクションのそれらの様々な段階は、コンタクト前段階、コンタクト中段階、及びコンタクト後段階(又は、それぞれ、インタラクション前段階、インタラクション中段階、及びインタラクション後段階)として分類され得る。次に
図6を特に参照すると、本明細書に説明される様々な技術とともに使用され得る例示的な顧客自動化システム300が示されている。顧客自動化システム300がどのように機能するかをより良く説明するために、例えば、顧客がコンタクトセンターとインタラクションするときに、顧客アクションを自動化するための例示的な方法のフローチャート350を提供する
図7も参照する。顧客自動化に関する更なる情報は、2018年10月4日に出願された「System and Method for Customer Experience Automation」と題する米国特許出願第16/151,362号に提供されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0084】
図6の顧客自動化システム300は、本明細書で使用される場合、顧客サービスプロバイダ又はコンタクトセンターとのインタラクションにおいて顧客のために取られるアクションの自動化を指す、顧客側自動化のために使用され得るシステムを表す。そのようなインタラクションは、「顧客-コンタクトセンターインタラクション」又は単に「顧客インタラクション」と称されることもある。更に、そのような顧客-コンタクトセンターインタラクションを論じる際に、「コンタクトセンター」又は「顧客サービスプロバイダ」への言及は、一般に、ユーザ又は顧客がそれらとのビジネス、取引、業務、又は他の利害関係を有する組織又は企業(例えば、ビジネス、政府機関、非営利団体、学校など)に関連付けられた任意の顧客サービス部門又は他のサービスプロバイダを指すことが意図されていることを理解されたい。
【0085】
例示的な実施形態では、顧客自動化システム300は、モバイルデバイス若しくは他のコンピューティングデバイス、クラウドコンピューティングデバイス(例えば、ネットワークを介して顧客デバイス205に接続されたコンピュータサーバ)、又はそれらの組み合わせ上で実行されるソフトウェアプログラム若しくはアプリケーションとして実装され得る(例えば、システムのいくつかのモジュールがローカルアプリケーションに実装され、他のモジュールがクラウドに実装される。便宜上、実施形態は主に、顧客デバイス205上で実行されるアプリケーションを介した実装の文脈で説明される。しかしながら、本実施形態はそれに限定されないことを理解されたい。
【0086】
顧客自動化システム300は、いくつかの構成要素又はモジュールを含んでもよい。
図6の図示された例では、顧客自動化システム300は、ユーザインターフェース305、自然言語処理(natural language processing、NLP)モジュール310、意図推論モジュール315、スクリプト記憶モジュール320、スクリプト処理モジュール325、顧客プロファイルデータベース又はモジュール(又は単に「顧客プロファイル」)330、通信マネージャモジュール335、テキスト-スピーチ変換モジュール340、スピーチ-テキスト変換モジュール342、及びアプリケーションプログラミングインターフェース(application programming interface、API)345を含み、これらの各々は、
図7のフローチャート350も参照しながらより詳細に説明される。顧客自動化システム300の構成要素及びそれに関連付けられた機能のいくつかは、
図3、
図4、及び
図5に関連して上述したチャットボットシステムと重複し得ることが理解されよう。顧客自動化システム300及びそのようなチャットボットシステムが、顧客側実装の一部として一緒に採用される場合、そのような重複は、2つのシステム間のリソースの共有を含み得る。
【0087】
動作の一例では、次に
図7のフローチャート350を特に参照すると、顧客自動化システム300は、最初のステップ又は動作355において入力を受信することができる。そのような入力は、いくつかのソースから来てもよい。例えば、入力の主要なソースは顧客であってもよく、そのような入力は顧客デバイスを介して受信される。入力はまた、他の当事者、特に、顧客デバイスを通して顧客と対話する当事者から受信されたデータを含んでもよい。例えば、コンタクトセンターから顧客に送信される情報又は通信は、入力の態様を提供することができる。いずれの場合も、入力は、自由スピーチ又はテキスト(例えば、構造化されていない自然言語入力)の形態で提供され得る。入力はまた、顧客デバイス上で受信又は記憶される他の形態のデータを含んでもよい。
【0088】
フローチャート350を続けると、動作360において、顧客自動化システム300は、NLPモジュール310を使用して入力の自然言語をパースし、そこから、意図推論モジュール315を使用して意図を推論する。例えば、入力が顧客からのスピーチとして提供される場合、スピーチは、NLPモジュール310による構文解析の一部としてスピーチ-テキスト変換システム(大規模語彙連続音声認識すなわちLVCSRシステムなど)によってテキストに書き換えられてもよい。書き換えは、顧客デバイス205上でローカルに実行されてもよく、又はスピーチは、クラウドベースのサーバによるテキストへの変換のためにネットワークを介して送信されてもよい。特定の実施形態では、例えば、意図推論モジュール315は、人工知能又は機械学習技法を使用して、提供された入力のテキストから顧客の意図を自動的に推論することができる。そのような人工知能技法は、例えば、顧客入力から1つ以上のキーワードを識別することと、所与のキーワードに対応する潜在的な意図のデータベースを検索することと、を含み得る。潜在的な意図及び意図に対応するキーワードのデータベースは、履歴インタラクション記録の集合から自動的にマイニングされ得る。顧客自動化システム300が入力から意図を理解できない場合、いくつかの意図の選択が、ユーザインターフェース305において顧客に提供されてもよい。次いで、顧客は、代替のうちの1つを選択することによって彼らの意図を明確にし得るか、又は他の代替が提供されることを要求し得る。
【0089】
顧客の意図が判定された後、フローチャート350は動作365に進み、顧客自動化システム300は、所与の意図に関連付けられたスクリプトをロードする。そのようなスクリプトは、例えば、スクリプト記憶モジュール320に記憶され、そこから取り出されてもよい。そのようなスクリプトは、コマンド若しくは動作のセット、予め書かれたスピーチ若しくはテキスト、及び/又はパラメータ若しくはデータのフィールド(「データフィールド」とも呼ばれる)を含むことができ、これらは、顧客のためにアクションを自動化することを要求されるデータを表す。例えば、スクリプトは、顧客の意図によって指定された問題を解決するために必要とされるコマンド、テキスト、及びデータフィールドを含むことができる。スクリプトは、特定のコンタクトセンターに固有であり、特定の問題を解決するように調整されてもよい。スクリプトは、いくつかの方法で編成することができ、例えば、特定の組織に関係する全てのスクリプトが、共通の特徴を定義する共通の「親」スクリプトから導出される場合など、階層的に編成することができる。スクリプトは、以前の顧客インタラクションからのデータ、アクション、及びダイアログをマイニングすることによって作り出され得る。具体的には、特定の問題の解決を求める要求中に行われた一連のステートメントは、顧客と顧客サービスプロバイダとの間の履歴インタラクションの集合から自動的にマイニングされ得る。2014年1月12日に出願された「Computing Suggested Actions in Caller Agent Phone Calls By Using Real-Time Speech Analytics and Real-Time Desktop Analytics」と題する米国特許出願第14/153,049号に記載されている、コンタクトセンターエージェント側から記述されたようなステートメント及びコメントの有効なシーケンスを自動的にマイニングするためのシステム及び方法が採用されてもよく、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
スクリプトが取り出されると、フローチャート350は動作370に進み、顧客自動化システム300は、スクリプトを処理又は「ロード」する。このアクションは、スクリプト処理モジュール325によって実行されてもよく、スクリプト処理モジュール325は、スクリプトのデータフィールドに顧客に関する適切なデータを記入することによってそれを実行する。より具体的には、スクリプト処理モジュール325は、予想されるインタラクションに関連する顧客データを抽出することができ、その関連性は、顧客の意図に対応するものとして選択されたスクリプトによって事前に判定される。スクリプト内のデータフィールドの多くに対するデータは、顧客プロファイル330内に記憶されたデータから取り出されたデータとともに自動的にロードされてもよい。理解されるように、顧客プロファイル330は、顧客に関連する特定のデータ、例えば、顧客の名前、生年月日、住所、口座番号、認証情報、及び顧客サービスインタラクションに関連する他のタイプの情報を記憶することができる。顧客プロファイル330内に記憶するために選択されたデータは、顧客が以前のインタラクションで使用したデータに基づいてもよく、及び/又は顧客によって直接取得されたデータ値を含んでもよい。データフィールドに関する曖昧さ又はスクリプト内の情報の欠落がある場合、スクリプト処理モジュール325は、顧客が必要とされる情報を手動で入力することを促して可能にする機能を含むことができる。
【0091】
再びフローチャート350を参照すると、動作375において、ロードされたスクリプトは、顧客サービスプロバイダ又はコンタクトセンターに送信され得る。以下で更に論じるように、ロードされたスクリプトは、顧客のためにコンタクトセンターとのインタラクションの少なくとも一部を自動化するのに必要なコマンド及び顧客データを含むことができる。例示的な実施形態では、コンタクトセンターと直接インタラクションするために、API345が使用される。コンタクトセンターは、それらのシステムに一般的な要求を行うためのプロトコルを定義することができ、API345は、これを行うように構成される。そのようなAPIは、拡張マークアップ言語(Extensible Markup Language、XML)を使用するSimple Object Access Protocol(SOAP)、XML又はJavaScript Object Notation(JSON)を使用してフォーマットされたメッセージを有するRepresentational State Transfer(REST)APIなど、様々な標準プロトコルを介して実装され得る。したがって、顧客自動化システム300は、コンタクトセンターとの通信のための定義されたプロトコルに従ってフォーマットされたメッセージを自動的に生成することができ、メッセージは、フォーマットされたメッセージの適切な部分に、スクリプトによって指定された情報を含む
【0092】
本明細書に説明される技術は、コンタクトセンターシステム及び/又は他のコンテキスト若しくは環境における予測ルーティング及び占有バランシングのための様々なシステム及び方法を含む。予測ルーティングは、履歴データを活用して、所与のインタラクションにおいて所与の重要パフォーマンスインジケータ(key performance indicator、KPI)を最適化するためにエージェントの適合性に従ってエージェントをスコアリングするモデルを構築することを理解されたい。例えば、コール/コンタクトセンター管理者が平均ホールド時間(AHT)を最適化したい場合、予測ルーティングは、低い最終処理時間を生成する可能性が高いエージェントに高いスコアを割り当てることができる。いくつかの実施形態では、モデル予測からスコアが計算される最小化問題であるか最大化問題であるかにかかわらず、高いスコアが常に最良の(利用可能な)エージェントに割り当てられる。デフォルトでは、予測ルーティングは、エージェントが様々なインタラクションに適していることが分かっていないので、エージェントがコールを取得しないなどの要因を無視しながら、ターゲットKPIを最適化しようと試みることができる。これは、「エージェント枯渇」と呼ばれることがあり、いくつかのエージェントの「不公平な利用」に寄与することがある。更に、予測ルーティング割り当ては、いくつかのエージェントが何らかの点で良好であると考えられるためにインタラクションで過負荷になっている場合に「不公平」になる可能性があり、このことは、例えば、一般的には強力なエージェントの間でパフォーマンスの低下をもたらす可能性がある。不公平な利用は、いくつかの厄介な問題を有し得る。例えば、販売シナリオでは、コールを受信しないエージェントは、一般に、その販売目標を埋め合わせることができず、報酬を失うか、又はエージェントは悪用されていると感じる可能性がある。したがって、全てのエージェントにわたって公平なレベルの利用を保証する必要があるときにコールセンター管理者によって活用され得る、予測ルーティングに公平制御を導入するための手段を研究する必要がある。
【0093】
この問題を数学的に説明するために、R(x)=(a1,a2,...,an)を、f(x,ai)で示される、インタラクション(x)に対する予測ルーティング予測に基づく、ランクに従ってソートされたn人のエージェントのリストとする。所与のインタラクションxに対して、ランク関数rank(x,ai)は、それぞれ、最大化に対してf(x,ai)>f(x,ak)であり、最小化に対してf(x,ai)<f(x,ak)である場合、rank(x,ai)<rank(x,ak)であるように、任意のエージェントaiに対する予測子f(x,ai)の出力を{0,1,...,n}にマッピングする。ランクが低いほど、エージェントがルーティング中にインタラクションを割り当てられる可能性が高くなる。
【0094】
任意の特定のエージェントaiについて、rank(x,ai)は、繰り返し、(例えば、より低い四分位数において)他のエージェントのランク値よりも高い場合があり、これは、特定のエージェントがインタラクションを行うのにより適していないと考えられることを示し得る。しかしながら、これは、エージェントがコールを取得しないこと(例えば、十分に利用されておらず、「枯渇」状態に入ること)、エージェントがコールの大部分を取得すること(例えば、過剰に利用されていること)、エージェントパフォーマンスの低下、エージェントにわたる不均一な占有、及び/又はエージェントが報酬をロック解除するための販売目標を達成しないことになり得る。そのような結果は、エージェントの不公平な利用と考えられ、そのような予測ルーティングを利用するコンタクトセンターによる問題又は懸念として提起され得る。そのような問題に対処することができる範囲で、それはまた、人工知能(artificial intelligence、AI)及び/又は機械学習(machine learning、ML)を公平に適用することに向かう経路を提供し、サービスとして予測ルーティングを提供することの受け入れに寄与する。
【0095】
本明細書に説明される技術は、上述の問題に対する様々な解決策を提供することを理解されたい。しかしながら、そのような解決策の有効性を適切に理解する際に、いくつかの重要な問題が提起される可能性がある。例えば、第1の問題は、全てのメディアタイプにわたってエージェントの占有をどのように測定するかを含む。第2の問題は、エージェントの各々に対するバランスのとれた利用/占有がどのように保証され得るかを含む。これは、最小及び最大境界の考慮を含み得る。また、予測ルーティングに関連する利益に多かれ少なかれ影響を及ぼす、この問題を解決する方法があるか?別の問題は、エージェントに対して(占有以外の)パフォーマンスメトリックの最小レベルをどのように保証するかを含む。例えば、全ての販売員に同じ数の高い価値機会を与えることができるか?別の問題は、所与のエージェントが、選択されたメトリックに対してパフォーマンスを改善するために特定のトレーニングを必要とするかどうかをどのように判定するかに関する。及び別の問題は、エージェントの再ランキングが、予測ルーティングによって最初に行われた利益推定に影響を及ぼすので、全体的な販売目標に対する影響をどのように測定するかに関する。
【0096】
更に、「予測」という用語は、本明細書では、予測ルーティングプレディクタ/モデルによって返される生の値を記述するために使用することができ、「スコア」という用語は、本明細書では、割り当てに与えられる0~100の正規化された予測(又は別の正規化された範囲)を記述するために使用することができ、「ランク」という用語は、本明細書では、その(正規化された)スコア(例えば、1が最良であり、Nが最悪である)に基づいて結果リスト内のエージェントの位置を記述するために使用することができ、並びに/あるいは「占有」という用語は、本明細書では、エージェントがインタラクションに費やした総ログ記録時間のパーセンテージを測定するメトリックを記述するために使用することができることを理解されたい。より具体的には、「エージェント占有」は、エージェントがインタラクションの処理に実際に費やす総時間を表し得る。エージェンシー占有の「予測計算」は、エージェントがインタラクティングルーティングステータスにあると予測される総時間を、特定の間隔内のスケジュールされた総オンキュー時間で除算したものとして計算してもよい。エージェンシー占有の「実際の計算」は、インタラクティングルーティングステータスにある総時間を、特定の間隔内の実際の総オンキュー時間(例えば、インタラクティング時間、通信時間、及びアイドルルーティング状態時間の合計)で除算したものとして計算してもよい。
【0097】
コンタクトセンターは、エージェント作業負荷バランシングの問題に取り組んでおり、主な懸念は、制御メカニズムの導入なしの予測ルーティング技術を通じて起こり得る、最良のエージェント間の「バーンアウト」を防止することである。本明細書に説明される技術は、コンタクトセンターの動作優先順位とのバランスを同時にとられながら、実現されるべき予測ルーティングからの価値を提供する機構を導入する。
【0098】
予測ルーティングを活用することによって、コンタクトセンター管理者は、インタラクションがエージェント間でどのように分散されるかを制御することができ、それによって、結果パフォーマンスと他のビジネス目標との間の最適なバランスを達成することができる。上記で説明されたように、予測ルーティングは、肯定的なKPI結果を達成する可能性が最も高いエージェントにコールをプッシュする場合があり、これは、コンタクトセンターの標準的なアプローチ(例えば、最長待機中の好適なエージェントをターゲットにすること)と比較したとき、コールの不均衡な分配を生じ得る。いくつかのエージェント(例えば、ハイパフォーマ)は、他のエージェントよりも多くのコール、及び/又は予測ルーティングなしで受信したであろうコールよりも多くのコールを受信する可能性があり、その結果、エージェント間に著しい占有の差が生じる。これは、いくつかの理由で問題となり得る。例えば、占有率の高いエージェントは、バーンアウトに悩まされるか、又は同僚よりもハードに働いているという不満をもつ可能性がある。また、占有率の低いエージェントは、学習し、コーチングを受け、一般にパフォーマンスを向上させる機会を得ていない可能性がある。そのようなエージェントは、コンタクトセンターにおいて十分に利用されていない能力を表し、コミッションベースのインセンティブを獲得する機会の欠如に異議を唱える可能性がある。
【0099】
上記の問題に対処するために、コンタクトセンターが予測ルーティングの推奨をオーバーライドすることを可能にする機構が採用されてもよい。例えば、エージェント占有が彼らの許容限度外(例えば、75%~85%の範囲外)にあるとき、予測ルーティングの推奨をオーバーライドし、エージェントのうちのいくつかの占有率を増加させるための、1つ以上のアクションがとられてもよい。別の例として、コンタクトセンター管理者が上限及び下限占有率閾値を設定することを可能にする制御機構が提供されてもよい。エージェント占有が下限閾値未満である場合、着信インタラクションに対するエージェントのスコアは、エージェントのランキングを引き上げ、着信インタラクションがそのエージェントにルーティングされる可能性を増加させる係数によって乗算され得る。エージェント占有が上限閾値を超える場合、異なる係数を使用して、エージェントのランキングを引き下げて、着信インタラクションがそのエージェントにルーティングされる可能性を下げることができる。それによって、閾値外にあるエージェントは、インタラクションのための彼らの元のランキングに対して、優先順位を上げられるか又は優先順位を下げられ得る。
【0100】
占有も考慮するために単一又はターゲットKPIを最適化することから注意を逸らすと、主KPIが最適化され得る程度に悪影響を及ぼし得ることを理解されたい。言い換えれば、占有の要因分解は、複数の目的(例えば、KPIを最大化すること、及び占有をバランシングさせること)が競合している利益であり得るという点で、予測ルーティングに対して潜在的な副作用を有する。1つの極端な場合には、システムは、KPIのみを最適化することに焦点を当ててもよく、その場合、占有は二次的な考慮事項であり得る。別の極端な場合には、システムは、占有のみを最適化することに焦点を当ててもよく、その場合、ターゲットKPIは二次的な考慮事項であり得る。本明細書に説明される技術は、システムがターゲットKPIの最適化と占有率とのバランスをとる(例えば、全てのエージェントにわたって少なくとも最小占有率を維持しながらターゲットKPIを最適化する)という点で、それらの極端な場合の内で動作し得る。そのような実施形態では、不均衡な占有が回避される一方で、ターゲットKPIの好ましい結果も達成される。更に、本明細書に説明される技術は、そのような最適化が、コンタクトセンター管理者からの入力をほとんど又は全く伴わずに行われることを可能にする。
【0101】
次に
図8を参照すると、使用時に、コンピューティングシステム(例えば、コンピューティングデバイス100、コンタクトセンターシステム200、及び/又は本明細書に説明される他のコンピューティングデバイス)は、インタラクションをコンタクトセンターエージェントにルーティングするための方法800を実行し得る。方法800の特定のブロックは、例として示されており、そのようなブロックは、反対のことが述べられていない限り、特定の実施形態に応じて、全体的又は部分的に組み合わされ、又は分割され、追加され、又は除去され、及び/又は並べ替えられ得ることを理解されたい。
【0102】
例示的な方法800はブロック802から始まり、システムは、エージェント(例えば、コンタクトセンターエージェント)にルーティングされるべき(例えば、コンタクトセンターシステムのエンドユーザとの)インタラクションを識別する。ブロック804において、システムは、インタラクションのルーティングのための候補としてエージェントのグループを識別する。例えば、いくつかの実施形態では、候補エージェントのグループは、インタラクションに応答するために現在利用可能な全てのエージェントであってもよく、一方、他の実施形態では、候補エージェントのグループは、インタラクションに応答するために現在利用可能なエージェントのサブセットであってもよい。更に別の実施形態では、候補エージェントのグループは、別の方法で判定又は識別されてもよい。
【0103】
ブロック806において、システムは、インタラクションのルーティングのための候補として識別されたコンタクトセンターエージェントのグループの各候補エージェントのエージェントパフォーマンスデータを取り出す。各候補エージェントのエージェントパフォーマンスデータは、例えば、占有率、アイドル時間、ステータス、履歴データ、及び/又は対応する候補エージェントのパフォーマンスに関連する他のデータを含み得る。更に、エージェントパフォーマンスデータは、対応する候補エージェントについての1つ以上の重要パフォーマンスインジケータ(KPI)に関連する1つ以上のエージェント予測及び/又はエージェントスコア(例えば、生の値、正規化された予測、中間値、及び/又は他の関連するパフォーマンスデータ)を含み得ることが関連付けられるべきである。
【0104】
ブロック808において、システムは、エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの特定の重要パフォーマンスインジケータ(KPI)の予測スコアを判定する。上記で説明されたように、関連性がある特定のKPIは、特定の実施形態に応じて変化し得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、最適化されるKPIは、エージェントの平均処理時間(AHT)であってもよい。他の実施形態では、最適化されるKPIは、例えば、顧客満足度(customer satisfaction、CSAT)、次のコンタクト回避(next contact avoidance、NCA)、転送数、正味プロモータスコア(net promoter score、NPS)、ケース解決時間(case resolution time、CRT)、販売コンバージョン、販売収益、平均待ち時間(average wait time、AWT)、ファーストコール解決(first call resolution、FCR)、及び/又は別のKPIであってもよい。いくつかの実施形態では、エージェントパフォーマンスデータ自体が、KPIについて関連する予測スコアを含み得るが、他の実施形態では、システムは、エージェントパフォーマンスデータとともに含まれる生のデータ、正規化されたデータ、及び/又は中間データに基づいて、予測スコアを計算してもよいことを更に理解されたい。いくつかの実施形態では、ブロック810において、システムはまた、予測KPIスコアに基づいて候補エージェントを(例えば、最初に)ランキングしてもよい。例えば、候補エージェントは、最良の予測KPIスコアを有する候補エージェントが最良のランクを有し(例えば、1番目にランキングされ)、最悪の予測KPIを有する候補エージェントが最悪のランクを有する(例えば、最後にランキングされる)ようにランキングされてもよい。予測KPIスコアは、KPIスコアの最適化がKPIの最大化/最小化を含むかどうかにかかわらず、KPIの基礎となるデータの可能な値にかかわらず、及び特定のKPIに固有の他の要因にかかわらず、システムが同じランキングシステムを使用することができるように正規化され得ることを理解されたい。
【0105】
ブロック812において、システムは、エージェントパフォーマンスデータに基づいて、各候補エージェントの占有率を判定する。予測スコアと同様に、いくつかの実施形態では、エージェントパフォーマンスデータ自体が占有率を含み得るが、他の実施形態では、システムは、エージェントパフォーマンスデータとともに含まれる生のデータ、正規化されたデータ、及び/又は中間データに基づいて、占有率を計算してもよい。更に、方法800は、占有率の使用に関して本明細書に説明されているが、システムは、いくつかの実施形態では占有率の代理として機能する他のデータを利用してもよいことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、システムは、エージェント占有率の代理としてエージェントアイドル時間を利用する、本明細書に説明される技法を活用してもよい。
【0106】
ブロック814において、システムは、各候補エージェントの予測KPIスコア及び占有率に基づいて、ルーティング優先順位付けのために候補エージェントのランキングを生成する。特に、システムは、対応するエージェントの予測KPIスコア及び占有スコアに基づいて、各候補エージェントの修正された予測スコアを生成し、各候補の修正された予測スコアに基づいて、ルーティング優先順位付けのために候補エージェントをランキングすることができる。システムは、特定の実施形態に応じて候補エージェントのランキングを生成するために様々な異なるアプローチ及び/又はアルゴリズムを利用することができることを理解されたく、それらのうちのいくつかについては以下でより詳細に説明する。
【0107】
ブロック816において、システムは、候補エージェントのランキングに基づいて、インタラクションをルーティングすべき候補エージェントを選択し、インタラクションを選択された候補エージェントにルーティングするように、及び/又は他の方法で選択された候補エージェントへのインタラクションのルーティングを引き起こすようにルーティングデバイスにシグナリングすることができる。いくつかの実施形態では、システムは、インタラクションを最良にランキングされた候補エージェント(例えば、1番目にランキングされたエージェント)にルーティングし得る。
【0108】
ブロック802~816は、比較的直列的に説明されているが、方法800の様々なブロックは、いくつかの実施形態では、並列に実施され得ることを理解されたい。
【0109】
上述したように、システムは、特定の実施形態に応じて候補エージェントのランキングを生成するために、様々な異なるアプローチ又はアルゴリズムを利用することができる。
【0110】
第1のアプローチによれば、システムは、所定の占有率閾値に従って高い占有率又は低い占有率を有するエージェントについて予測エージェントスコアに乗数を適用することによって、占有バランシングを実装することができる。すなわち、システムは、候補エージェントの占有率が所定の占有率閾値未満である場合、対応する候補エージェントの予測スコアを増加させ、候補エージェントの占有率が別の所定の占有率閾値よりも大きい場合、対応する候補エージェントの予測スコアを減少させることによって、候補エージェントの修正された予測スコアを生成することができる。
【0111】
第1のアプローチを数学的に説明するために、UOを上限占有率とし、LOを下限占有率とし、これらの各々は、例示的な実施形態ではコンタクトセンター管理者によって構成され得る。占有バランシング目標は、次いで、ある期間(例えば、1時間、4時間、8時間など)にわたって占有を維持することであってもよく、それはまた、可能な限りLO及びUO内での、管理入力であってもよい。いくつかの状況では、これらの閾値を満たすことができない場合(例えば、エッジの場合)があることを理解されたい。
【0112】
N人のエージェントを考慮する所与のスコアリング要求について、予測ルーティング予測をa=[a1,a2,...,aN]として、及び時間tにおける対応するエージェント占有を
【0113】
【数1】
として取り出す判定こと、取得すること、又はすることができる。システムは、最上位のエージェント及び最下位のエージェントの占有率を計算する。特に、最上位のエージェントの占有率は、o
top=o
t[argmax(a)]に従って計算することができ、o
top>UOの場合、システムは、o
topに、0よりも大きく1未満の実数α(0<α<1)を乗算して、予測スコアを減少させ、したがって、エージェントのランクを悪化させることができる。最下位のエージェントの占有率は、o
bottom=o
t[argmin(a)]に従って計算することができ、o
bottom>LOの場合、システムは、o
bottomに1よりも大きい実数β(β>1)を乗算して、予測スコアを増加させ、したがって、エージェントのランクを改善することができる。argmax()及びargmin()は、それぞれ、ベクトル内の最大値及び最小値のインデックスを返すことを理解されたい。上述したように、いくつかのKPIは最大化によって最適化されるが、他のKPIは最小化によって最適化される。しかしながら、例示的な実施形態では、予測スコアの正規化は、同じランキングアルゴリズムが両方のタイプのKPIに使用され得ることを保証する。
【0114】
第1のアプローチを使用して、最上位及び最下位のエージェントのスコア及びランクのみが影響を受け、「中間」のエージェントは、概して、(例えば、構成された閾値に応じて)不変のままにされたことを理解されたい。したがって、第2のアプローチは、より多数のエージェント(例えば、全てのエージェント)にわたる占有を考慮することを目的とする。第2のアプローチによれば、システムは、対応する候補エージェントの利用可能性率(1から占有率を引いたもの)を判定し、候補エージェントの予測スコアをその候補エージェントの利用可能性率で除算することによって、候補エージェントの修正された予測スコアを生成することができる。
【0115】
第2のアプローチを数学的に説明するために、a=[a1,a2,...,aN]を、所与のスコアリング要求に対する予測ルーティングによって生成される予測のベクトルとし、ここで、aiは、i番目のエージェントに対する生の予測であり、N人のエージェントが存在する。更に、a’を、それぞれ最大化では降順で及び最小化では昇順で予測に従ってソートされたaの順列とする。加えて、占有ベクトルは、
【0116】
【数2】
に従って定義され、これは、所与のタイムスタンプtにおける各エージェントの占有を表す。例示的な実施形態では、平均占有は、常に0.0(0%)~1.0(100%)である。更新された予測は、updated_prediction=pred/(1-occupancy)に従って計算される。占有率が低いほど、エージェントに対する更新された予測の増大は小さくなり、これは、より低い占有率を有するエージェントが、減少した(すなわち、改善された)ランクを経験するはずであることを意味することを理解されたい。例示的な実施形態では、第2のアプローチは、占有が決して1.0(すなわち、100%占有)に達しないと仮定する。しかしながら、そのような状況に対処しようとして、第2のアプローチのアルゴリズムは、分母に非常に小さい値(例えば、ε=0.0001)を加算するように修正されてもよい。
【0117】
第2のアプローチは、ユーザがエージェントがその内に含まれることを望む「占有の範囲」に対する制御がより少ないという点で、「副作用」を有する場合があり、KPI最適化は、上述のように(例えば、通常なら許容可能な占有範囲内に含まれるときであっても、しばしば、より高いランクのエージェントの優先順位を下げることを)妨げられる場合があることを理解されたい。以下に示す表1は、3つのエージェントの予測スコア、占有スコア、更新された予測スコア、及び更新されたランクを示す。上述したように、更新されたスコアは、updated_prediction=pred/(1-occupancy)に従って計算される。
【0118】
【0119】
第1及び第2のアプローチは、占有率に焦点を当てることを可能にするが、第3のアプローチは、管理者又はシステムの特定の必要性に応じて、パラメータ又は重み係数を変更することによって、コンタクトセンター管理者が占有率を重み付けすることをも可能にし得る。例えば、いくつかの実施形態では、システムは、占有率にどの程度の強調/重みが置かれるべきか(例えば、0.0~1.0の値)を管理者が選択することを可能にする、ユーザインターフェースオプション(例えば、グラフィカルスライダ)を表示してもよく、システムは、占有率にどの程度の重要性が与えられるかに基づいて、更新された予測値を計算してもよい。占有関連係数(すなわち、重み係数)はαとして定義されてもよく、更新されたスコアは、updated_prediction=pred/(1-occupancy*α)に従って計算されてもよい。第3のアプローチは、強調の3つのカテゴリを可能にする。α=0.0の場合、占有は完全に無視され、システムはKPIのみに焦点を当てる。α=1.0の場合、占有は完全に要因分解され、このアプローチは第2のアプローチと等価になる。0.0<α<1.0の場合、システムは、重み付けされた占有を使用して、ある程度、KPIと占有の最適化とのバランスをとる。
【0120】
以下に示す表2は、α=0.70のときの、3つのエージェントの予測、占有スコア、更新された予測スコア、及び更新されたランクを示す。占有が考慮され、最も低い占有率を有するエージェント#3が、インタラクションを行うための第2のオプションになることが理解されよう。
【0121】
【0122】
以下に示す表3は、占有関連係数がより低い値(すなわち、α=0.30)に設定されたときの、3つのエージェントの更新された予測を示す。
【0123】
【0124】
以下に示す表4は、占有関連係数がその最大値(すなわち、α=1.0)に設定されたときの、3つのエージェントの更新された予測を示す。表4のデータは表1のデータと同一であることが理解されよう。
【0125】
【0126】
第3のアプローチにおけるユーザ修正可能な占有関連係数(すなわち、重み係数)は、管理者が柔軟にターゲットKPIを占有メトリックとバランスさせることを可能にすることを理解されたい。
【0127】
上述したように、いくつかの実施形態では、システムは、占有の代理として機能するメトリックを利用することができる。特に、いくつかの実施形態では、システムは、本明細書に説明される技法と一致する方法で、占有の代理としてエージェントアイドル時間を利用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、どのエージェントが最大アイドル時間を有しても、そのエージェントはランキングリストの最上位に移動され、最小アイドル時間を有するエージェントはランキングリストの最下位に移動される。したがって、アイドル時間が(A:5、B:50、C:500)である場合、リスコアリング後に、スコアのリスト内のエージェントの順序は、(C:<new_score>、B:700、A:<new_score>)となる。アイドル時間が(A:500、B:5、C:50)である場合、リスコアリング後に、スコアのリスト内のエージェントの順序は、(A:<new_score>、C:400、B:<new_score>)となる。アイドル時間が(A:500、B:50、C:5)である場合、リスコアリング後に、スコアのリスト内のエージェントの順序は、(A:<new_score>、B:700、C:<new_score>)となる。別の実施形態では、システムは、フードの下で再スコアリングされるエージェントのパーセンテージを判定する作業負荷バランシングのためのレベル(例えば、1~5)を利用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、パーセンテージは、式((レベル*2)-1)*10によって判定され得る。更に他の実施形態では、システムは、本明細書に説明される技法と一致する方法で、エージェント作業負荷量のための別の信頼できるメトリックを利用することができることを理解されたい。
【国際調査報告】