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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】液体冷却モジュールの熱管理
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20240416BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240416BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240416BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20240416BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240416BHJP
   H01M 10/627 20140101ALI20240416BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/643
H01M10/625
H01M10/627
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568279
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 SE2022050435
(87)【国際公開番号】W WO2022235192
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】2150581-3
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523416025
【氏名又は名称】エイピーアール・テクノロジーズ・アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】APR Technologies AB
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】ビョルネケレット,アレ
(72)【発明者】
【氏名】ルンディーン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】セーデルルンド,エリーサベト
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン,ペータル
(72)【発明者】
【氏名】トーシュルンド,ロベルト
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031KK08
(57)【要約】
特に液体冷却モジュール(1)が記載される。前記液体冷却モジュールは、液体冷却モジュール(1)において改善された熱放散と改善された流れを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体冷却モジュール(1;1a;1b;1c)であって、
複数の発熱部品(11)であって、移動流体を収容するための空間(12)が前記発熱部品の周りに形成されるように配置された複数の発熱部品(11)と、
前記発熱部品(11)を囲む液体密閉ケーシング(2)であって、移動流体を収容するための前記空間(12)内に少なくとも1つの規制部材(14,17,160)が位置付けられた、液体密閉ケーシング(2)と、を有する、
液体冷却モジュール。
【請求項2】
前記流体は、前記空間(12)内に形成された流体流路内を軸方向に移動され、前記流体の軸方向の流れの邪魔になる構造が位置付けられていない、
請求項1に記載の液体冷却モジュール。
【請求項3】
前記流体をポンプで送り出すためのポンプが、前記液体密閉ケーシングの内部に位置付けられる、
請求項1又は請求項2に記載の液体冷却モジュール。
【請求項4】
前記ポンプは、電気流体力学(EHD)ポンプである、
請求項3に記載の液体冷却モジュール。
【請求項5】
前記ポンプは、円筒形状である、
請求項3又は請求項4に記載の液体冷却モジュール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの規制部材は、ピン形状である、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の液体冷却モジュール。
【請求項7】
前記ケーシング(2)と前記発熱部品(11)との間に配置された分配プレート(14)であって、前記分配プレートが前記発熱部品間の空間(12)に前記流体を分配するための複数の開口部(15)を備えた分配プレート(14)と、少なくとも1つの流体入口(8;8´)から前記分配プレートの開口部(15)に前記流体を案内するために少なくとも1つの流体入口(8;8´)と分配プレート(14)との間に配置された複数の流体流路(18;18a;18b;18c)を有するマニホールド構造(17;17a;17b;17c)とをさらに有する、
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の液体冷却モジュール。
【請求項8】
前記流体流路(18;18a;18b;18c)のそれぞれは、前記分配プレート(14)に面する開放側を有し、前記分配プレートは、前記流路の開放側が前記分配プレートによって部分的にシールされるように前記マニホールド構造(17;17a;17b;17c)にしっかりと取り付けられている、
請求項7に記載の液体冷却モジュール。
【請求項9】
前記分配プレートは、導電性材料から作られ、電気コネクタとして機能するように構成されている、
請求項7又は請求項8に記載の液体冷却モジュール。
【請求項10】
少なくとも1つの少なくとも部分的に円筒形状の熱膨張補償構造をさらに有する、
請求項1から請求項9の何れか1項に記載の液体冷却モジュール。
【請求項11】
前記規制部材は、弾性材料によって形成されている、
請求項1から請求項10の何れか1項に記載の液体冷却モジュール。
【請求項12】
前記規制部材は、導電性材料によって形成されている、
請求項1から請求項11の何れか1項に記載の液体冷却モジュール。
【請求項13】
前記液体密閉ケーシングは、フランジ及び又は少なくとも1つの波形部分を有する、
請求項1から請求項12の何れか1項に記載の液体冷却モジュール。
【請求項14】
前記ケーシングの壁部又は前記ケーシングの底部に位置付けられた少なくとも1つの部分的に円筒形のヒートシンク部材をさらに有し、前記少なくとも1つの部分的に円筒形のヒートシンク部材は、少なくとも1つのフランジを備える、
請求項1から請求項13の何れか1項に記載の液体冷却モジュール。
【請求項15】
前記少なくとも1つの規制部材は、前記規制部材の圧縮を可能にする中空部分を有する、
請求項1から請求項14の何れか1項に記載の液体冷却モジュール。
【請求項16】
前記少なくとも1つの規制部材は、電気絶縁材料によって形成されている、
請求項1から請求項15の何れか1項に記載の液体冷却モジュール。
【請求項17】
前記複数の発熱部品(11)は、円筒形状である、
請求項1から請求項16の何れか1項に記載の液体冷却モジュール。
【請求項18】
マニホールド構造(17;17a;17b;17c)が設けられ、前記マニホールド(17;17a;17b;17c)は、前記ケーシング(2)の一体部品である、
請求項1から請求項17の何れか1項に記載の液体冷却モジュール。
【請求項19】
前記流体は、前記空間(12)内に形成された流体流路内において軸方向に移動され、前記流体流路の長さは、前記発熱部品の軸方向の長さに対応する、
請求項1から請求項19の何れか1項に記載の液体冷却モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングと、ハウジング内に配置された複数の発熱部品と、発熱部品の熱管理のための液体とを有する液体冷却モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気部品及び再充電可能バッテリなどの発熱装置の使用が増加している。例えば、エネルギ貯蔵、電力供給電気設備及び車両へのエネルギ変換、又は定置用の電力バックアップの用途がある。動作中、発熱部品は、部品が安全に機能できるようにするとともに、このような発熱部品が収容されるモジュールの故障を防止するために、効果的に放散される必要がある熱を発生する。発熱部品の性能は、大部分は部品を適切な温度範囲に保持するための利用可能な熱管理技術によって制限される。
【0003】
例えばバッテリ用途では、バッテリセルの動作温度を最適温度範囲内に制御するために、バッテリモジュール内に用いられる熱管理システムを有することが知られている。
【0004】
エネルギ貯蔵容量の増大及び充電時間の短縮によって、一般的により効率的な熱管理、特に発生した熱の放散が求められるようになった。1つの一般的に用いられている熱管理方法は、浸漬冷却として知られており、液体浸水冷却とも呼ばれる。これは、例えばバッテリセルなどの部品を熱伝導性液体に浸すことである。従って、熱は、熱源、例えばバッテリセル、電子機器、プリント回路基板から作動流体に直接伝達され、他の場所にある熱交換器を通じて放散され得る。
【0005】
貯蔵容量に関する性能要件、及びより空間効率の良いシステムのための努力が増え続ける状態で、改善されたより効率的な熱管理技術が必要である。
【0006】
US2020266506は、ハウジングと、ハウジング内に受容されたバッテリスタック内に配置された複数のバッテリセルとを含むバッテリモジュールを開示する。バッテリセルは、長方形であり、2つの平行な主表面を有する。スタック内のバッテリモジュールは、スタック内の隣接するセルの主表面が互いに密接に接触するように配置される。バッテリモジュールは、ハウジングと複数のバッテリセルとの間に配置された内側カバーをさらに含む。内側カバーは、ハウジングに面する上面と、複数のバッテリセルに面する底面とを含む。内側カバーはまた、底面に規定されて内側カバーの長さに沿って延在する複数の流体流路を含む。複数の流体流路のそれぞれは、熱管理液体などの流体を受容するように構成される。流体流路は、流体をバッテリセルの一方側からバッテリセルの反対側にバッテリセルの主表面に垂直な方向に導き、それによってバッテリモジュール内部の流体の循環を改善する。内側カバーはまた、バッテリセルの上方に配置されてバッテリセルによって発生されるガスを逃がすための開口部を備えている。
【0007】
US4522898は、複数のバッテリセルと冷却媒体と含むハウジングを備えたバッテリを開示する。バッテリセルは、円筒形であり、冷却媒体を収容するための細長い空間がバッテリセル間に形成されるように長手方向軸を平行にして互いに隣接して配置される。バッテリは、冷却媒体をバッテリセルに供給及び分配するためにハウジングの内部に設けられた分配プレートを有する。分配プレートは、開口部を備え、開口部を通じて冷却媒体をバッテリセル間の空間に供給することができる。分配プレートは、バッテリセルの上端部より上に又はバッテリセルの下端部より下に配置される。冷却媒体は、バッテリセルより上の開放空間に注入される。冷却媒体は、分配プレートの開口部を通じて、バッテリセル間の細長い空間を流れる。このバッテリは、主に空気を媒体として意図されている。
【0008】
また、US2014/0162106は、冷却媒体が、バッテリ内のセルの端子を冷却するためにバッテリのコネクタプレートに噴霧されるバッテリのための冷却装置を記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
液体冷却モジュールの熱管理を改善し、それによってモジュール内部に収容された発熱部品の性能を向上させるという絶えず続く要望が存在する。従って、改善された液体冷却モジュールに対する要求がある。
【0010】
本発明の目的は、上記の問題を少なくとも部分的に克服し、液体冷却モジュールの改善された熱管理を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、添付の特許請求の範囲に従った液体冷却モジュールによって達成される。
【0012】
一態様によれば、複数の発熱部品であって、移動流体を収容するための空間が発熱部品の周りに形成されるように配置された複数の発熱部品を有する液体冷却モジュールが提供される。液体冷却モジュールは、発熱部品を囲む液体密閉(liquid sealed)ケーシングを有する。少なくとも1つの規制部材(restricting member)は、移動流体の流れ経路に位置付けられる。規制部材は、空間内に配置することができる。流れ経路内に部材/要素を配置することによって、バッテリセルなどの発熱部品の周りの流れは、改善することができる。規制部材は一般的に、複数の空間又は全ての空間に配置することができる。別の実施形態では、マニホールドは、移動流体の分配を改善するのに役立つ規制部材として使用される。他のタイプの規制部材も使用することができる。規制部材の使用は、熱輸送の改善を引き起こし、発熱部品は、より効率的に冷却することができる。複数の発熱部品は、効率的な空間使用を可能にするために有利には円筒形とすることができるが、角柱形状などの他の形状も可能である。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、流体をポンプで送り出す(pumping)ためのポンプは、液体密閉ケーシング内部に位置付けられる。これによって、液体冷却モジュールは、自己完結型とすることができ、ケーシング外部の部品は必要ではない。例えば、液体冷却モジュールはそのとき、簡単に移動することができるとともに車両又は家庭において電源バックアップとして使用することができる液体冷却(独立型)バッテリパックとして使用することができる。ポンプは、例えば電気流体力学(EHD)ポンプとすることができる。一般的に、流体は、空間内に形成された流体流路内において発熱部品の軸方向に移動され、流体流路の長さは、発熱部品の軸方向の長さに対応する、又は発熱部品の長さの少なくとも80%などの発熱部品の長さの少なくともほとんどの長さに対応する。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、ポンプは、円筒形である。これによって、バッテリセルなどの他の部品も円筒形である場合、液体冷却モジュールのケーシング内部の空間の使用は、改善することができる。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、規制部材は、ピン形状であり、発熱部品間の空間に位置付けられる。これによって、良好な流れ規制を実現することができ、規制部材は、発熱部品の熱膨張を許容するなどの追加機能を有するように設計することができる。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、液体冷却モジュールは、ケーシングと発熱部品との間に配置された分配プレートを有する。分配プレートは、流体を発熱部品間の空間に分配するための複数の開口部と、少なくとも1つの流体入口と分配プレートとの間に配置されて少なくとも1つの流体入口から分配プレートの開口部に流体を案内する複数の流体流路を有するマニホールド構造とを備える。マニホールドは、移動流体の分配を改善するための規制部材として機能することができる。これによって、全ての発熱部品に亘って液体がより均等に、それによって改善された分配を得ることができる。さらに、マニホールド構造が提供される場合、マニホールド構造は、ケーシングのある部分に一体化することができる。これによって、製造及び組立が容易になる。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、流体流路のそれぞれは、分配プレートに面する開放側を有し、分配プレートは、流路の開放側が分配プレートによって部分的にシールされるようにマニホールド構造にしっかりと取り付けられる。これによって、冷却は改善することができる。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、分配プレートは、導電性材料から作られ、電気コネクタ/コネクタプレートとして機能するように構成される。これによって、分配プレートは、複数の機能を有するように作ることができ、別個の電気コネクタが求められる。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの少なくとも部分的に円筒形状の熱膨張補償構造が提供される。これは別個の部品とすることも、規制部材によって形成することも、あるいはその両方とすることもできる。例えば、規制部材は、熱膨張を可能にするために弾性材料によって形成することができる。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、規制部材は、電気的接続を可能にするために導電性材料によって形成される。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、液体密閉ケーシングは、フランジ及び又は少なくとも1つの波形部分を有する。これによって、熱放散を改善することができ、ケーシングを介して熱を逃がすことができる。これは、液体冷却モジュールから熱をそのとき効率的に逃がすことができるという点において、液体冷却モジュールから液体の注入口/排出口がない場合に特に有益である。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの部分的に円筒状のヒートシンク部材は、ケーシングの壁部又はケーシングの底部に位置付けられ、少なくとも1つの部分的に円筒状のヒートシンク部材は、少なくとも1つのフランジを備えている。これによって、熱放散は、熱放散を促進するために液体冷却ケーシング内部において使用されない空間を使用することによって改善することができる。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、規制部材は、規制部材の圧縮を可能にする中空部分を有する。これによって、規制部材の圧縮は容易になる。
【0024】
いくつかの実施形態に従って、規制部材は、電気絶縁材料によって形成される。これによって、発熱部品間の効率的な絶縁を得ることができる。
【0025】
本発明の一態様によれば、液体冷却モジュール、特にバッテリモジュールは、流体を収容するための空間がバッテリセル間に形成されるように配置された複数のバッテリセルと、バッテリセルを囲むケーシングであって、ケーシングが少なくとも1つの流体入口を備えたケーシングと、ケーシングとバッテリセルとの間に配置されるとともに流体をバッテリセル間の空間に分配するための複数の開口部を備えた分配プレートとを有する。この態様によれば、前記モジュールは、流体を少なくとも1つの流体入口から分配プレートの開口部に案内するために少なくとも1つの流体入口と分配プレートとの間に配置された複数の流体流路を有するマニホールド構造を有する。
【0026】
マニホールド構造の流路と分配プレートとは、流体を少なくとも1つの流体注入口からバッテリセル間の空間に均等に分配することを可能にする。流体流路は、流体入口と開口部との間の流体の流れを制御することを可能にする。従って、流体の流れの乱流は、回避することができ、バッテリモデルの温度管理は、改善される。バッテリモジュール内部の異なるバッテリセル間の温度変化は、制御され、最小限にすることができる。さらに、流体が移動しなければならない距離は、低減され、それによって流体の制御された温度を引き起こす。バッテリモジュールのもう1つの利点は、流体の圧力損失が低減されるように流体流路を設計することができることである。
【0027】
流体流路は、流体流路を収容する機械構造として機能するマニホールド構造内に配置される。マニホールド構造は、前記流路の製造を容易にする。
【0028】
分配プレートの開口部は、流体の流れがバッテリセル間の空間に向かって案内されるようにバッテリセル間の空間の位置に対応するように配置される。従って、流体の流れは、バッテリセル間に均等に分配することができる。
【0029】
一態様によれば、バッテリセルは、細長く、長手方向軸が平行になるように配置される。従って、バッテリセル間の空間は、細長く、平行に配置される。
【0030】
一態様によれば、バッテリセルは円筒形であり、対称軸が平行になるように配置される。
【0031】
一態様によれば、流体流路は、細長く、バッテリセルの軸に垂直な面内に延在する。
【0032】
一態様によれば、分配プレート及びそれに応じて分配プレートの複数の開口部は、バッテリセル間の空間より下に又は上に配置される。
【0033】
本発明の一態様によれば、マニホールド構造は、プレート形状であり、平面を規定する。複数の流体流路は、それらがマニホールド構造によって規定された平面に延在するように配置される。
【0034】
本発明の一態様によれば、流体流路のそれぞれは、分配プレートに面する開放側を有し、分配プレートは、前記流路の開放側が分配プレートによって部分的にシールされるようにマニホールド構造にしっかりと取り付けられる。
【0035】
一態様では、流体流路のそれぞれは、分配プレートの開口部が流体流路と流体連通するように、分配プレートの開口部の1つ又は複数にわたって延在する、又は分配プレートの開口部の1つにおいて終端する。
【0036】
本発明の一態様によれば、分配プレートは、導電性材料から作られ、分配プレートは、電気コネクタとして更なる機能を有する。分配プレートは、バッテリセルの少なくともいくつかに電気的に接続される。
【0037】
本発明の一態様によれば、マニホールド構造は、分配プレートに面する底面を有し、複数の流体流路は、マニホールド構造の底面に細長い開口部を規定し、分配プレートは、マニホールド構造の底面の細長い開口部が分配プレートによって部分的にシールされるようにマニホールド構造にしっかりと取り付けられる。マニホールド構造の細長い開口部は、流体流路内の流体が分配プレートの開口部を通じて流路から去ることができるように分配プレートの開口部に面するように配置される。マニホールド構造のそれぞれの細長い開口部は、分配プレートの1つ又は複数の開口部に面する。従って、1つの流体流路は、分配プレートの1つ又は複数の開口部に流体を供給し得る。分配プレートの開口部に面していない細長い開口部の部分は、分配プレートによってシールされる。従って、分配プレートは、流体流路の底部を形成する。これは、流体流路の製造を容易にする。
【0038】
本発明の一態様によれば、分配プレートは、可撓性材料から作られ、分配プレートは、マニホールド構造に押し付けられる。
【0039】
本発明の一態様によれば、ケーシングは、バッテリセルの1つの側に配置された第1壁部を有し、マニホールド構造は、第1壁部に取り付けられる。別個のマニホールド構造を有することは、マニホールド構造を製造することを容易にする。
【0040】
本発明の一態様によれば、流体流路は、第1壁部に面する上側と、分配プレートに面する下側とを有する。流体流路の上側は開放され、マニホールド構造の上面に細長い開口部を形成し、細長い開口部は、第1壁部に面している。流体流路の下側は、開放され、マニホールド構造の底面に細長い開口部を形成し、細長い開口部は、分配プレートに面している。分配プレートは、マニホールド構造の底面の細長い開口部が分配プレートによって部分的にシールされるようにマニホールド構造にしっかりと取り付けられる。流体流路は、第1壁部、マニホールド構造、及び分配プレートによって規定される。マニホールド構造の上面は、マニホールド構造の上面の細長い開口部が第1壁部によってシールされるように第1壁部にしっかりと取り付けられる。従って、第1壁部と分配プレートとは、マニホールド構造内の流体流路をシールする。この態様は、流体流路の製造を容易にする。
【0041】
本発明の一態様によれば、バッテリセルは、細長く、平行に配置され、第1壁部は、バッテリセルの長手方向軸に垂直に配置される。
【0042】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの流入口は、第1壁部に配置される。
【0043】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの流入口は、第1壁部とマニホールド構造との間に配置される。
【0044】
本発明の一態様によれば、ケーシングは、バッテリセルの反対側に配置される第2壁部を有し、第2壁部は、少なくとも1つの流体排出口を備えている。この実施形態では、流れ注入口及び流れ排出口は、バッテリセルより上に及び下にそれぞれ配置される。従って、バッテリセル間の空間における流体の流れは、バッテリセルの軸方向に平行であり、個々のバッテリセルの外皮表面に直接接触する。これは、バッテリの効率的な冷却を提供するであろう。
【0045】
本発明の一態様によれば、マニホールド構造は、第1壁部に一体化される。従って、流体流路は、ケーシングの壁部に配置される。これは、バッテリモジュールの部品点数を低減するであろう。
【0046】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの流体入口は、第1壁部の縁部から距離をおいて配置され、第1壁部は、第1壁部の1つの縁部と、流体を流体入口に供給するための流体入口との間に配置された注入口流路を備えている。好ましくは、流体入口は、第1壁部の中央部分に配置される。従って、流体が流体入口からバッテリセル間の空間に移動するために必要である距離は、短縮され、それは、流体の温度上昇を制御することを引き起こす。
【0047】
本発明の一態様によれば、流体流路の断面積は、流体入口から離れるほど小さくなっている。流体流路は、流体入口から離れるほど狭くなっている。従って、流体流路の断面積は、流路の両端部に向かって減少している。この態様は、流路内の圧力を低下させるであろう。また、液体の流れは、より良くバランスがとられて分配されるであろう。
【0048】
本発明の一態様によれば、流路の少なくとも一部は、分配プレートの開口部の少なくとも1つを通過する複数の狭い流路に分岐する。
【0049】
本発明の一態様によれば、流路は、滑らかに曲げられる。鋭い曲げは、回避される。流路の形状は、乱流を回避するために且つ圧力を制御するために、滑らかな曲げを通じてバランスがとられている。この態様は、減少された流れの乱れを提供し、流れの抵抗を最小限にする。
【0050】
本発明の一態様によれば、ケーシングは、少なくとも1つの流体排出口を備え、バッテリは、分配プレートに対してバッテリセルの反対側にケーシングとバッテリセルとの間に配置されたコレクタプレートを有し、コレクタプレートは、バッテリセル間の空間から流体を受け入れるための複数の開口部を備え、バッテリモジュールは、コレクタプレートと少なくとも1つの流体排出口との間に配置された第2のマニホールド構造を有し、第2のマニホールド構造は、流体をコレクタプレートの開口部から少なくとも1つの流体排出口に案内するように配置された複数の第2の流体流路を有する。
【0051】
本発明の一態様によれば、バッテリは、バッテリセルを保持及び支持するための少なくとも1つのセルホルダーを有し、セルホルダーは、バッテリセルを保持するための複数の貫通穴と、貫通穴間に配置されて流体がセルホルダーを通過することを可能にする複数の開口部とを有する。一態様では、セルホルダーの開口部は、分配プレートの開口部と位置調整される。セルホルダーは、バッテリセル間の最小距離を確保し、セルホルダーの開口部は、バッテリセルの軸方向に流体の流れを可能にする。この態様は、液体がセルホルダーを通過することを可能にする。バッテリセル間の空間における流体の流れは、改善され、それに応じてバッテリセルの冷却は、改善される。
【0052】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つのセルホルダーは、バッテリセルの上端部及び/又は下端部に配置される。セルホルダーがバッテリセルの表面に沿った流体の流れを妨げないので、セルホルダーのこの位置は有利である。従って、バッテリセル間の流体の層流が実現される。
【0053】
本発明の一態様によれば、バッテリモジュールは、複数の隣接するバッテリセル間に電気的接続を提供するように構成された少なくとも1つの導電体を有し、導電体は、流体が導電体を通過することを可能にするために分配プレートの開口部と位置調整された複数の開口部を有する。
【0054】
一態様によれば、電気コネクタは、バスバーである。この態様は、流体が導電体を通過することを可能にし、バッテリセルの冷却を改善する。
【0055】
一態様によれば、電気コネクタは、流体が導電体を通過することを可能にするために分配プレートの開口部と位置調整された複数の開口部を有する金属シートである。
【0056】
一態様によれば、電気コネクタは、流体が導電体を通過することを可能にするために分配プレートの開口部と位置調整された複数の開口部を有する、プリント回路を備えたフレキシフィルム(flexifilm)又はプリント回路基板である。
【0057】
一態様によれば、複数の開口部を備えた電気コネクタは、分配プレートとして複数の機能を有し、開口部は、バッテリセル間の容積と調整される。
【0058】
本発明の一態様によれば、第1壁部は、ケーシングの蓋である。従って、流体流路は、ケーシングの蓋の一部である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
次に、本発明の異なる実施形態の説明によって、添付図面を参照して、本発明をより詳しく説明する。
【0060】
図1】バッテリモジュールの例を示す斜視図である。
図2a】バッテリセルのスタックの例を示す斜視図である。
図2b図2aのバッテリセルのスタックを上から見た図である。
図3】バッテリモジュールの形をした液体冷却モジュールの例を示す分解図である。
図4】分配プレートの例を示す図である。
図5a】流体を分配するための流路を含むマニホールド構造の例を下から見た図である。
図5b】流体を分配するための流路を含むマニホールド構造の例を下から見た図である。
図5c】流体を分配するための流路を含むマニホールド構造の例を下から見た図である。
図6図5aに示されるマニホールド構造を含むバッテリモジュールの例を示す図である。
図7図5b及び図5cに示されるマニホールド構造のいずれかを含むバッテリモジュールの別の例を示す図である。
図8図7のバッテリモジュールを上から見た図である。
図9】バッテリモジュールのさらに別の例を示す分解図である。
図10】バッテリセルを保持するためのセルホルダーの例を示す図である。
図11】バッテリセルに接続された導電体の例を示す図である。
図12】規制部材を示す図である。
図13】規制部材を示す図である。
図14】液体冷却モジュールのケーシング内部のポンプを示す図である。
図15】ヒートシンク部材を示す図である。
図16】液体冷却モジュールの上部断面図である。
図17】様々な気泡トラップ配置を示す図である。
図18】様々な気泡トラップ配置を示す図である。
図19】様々な気泡トラップ配置を示す図である。
図20】バッテリ内の冷却液体の流れを示す図である。
図21】液体冷却モジュールのケーシング内の流路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、添付図面を参照して本開示の態様をより十分に説明する。以下の説明では、発熱部品を備えた液体冷却モジュールについて説明する。発熱部品は、例示的な実施形態のいくつかではバッテリセルとされている。しかしながら、発熱部品は、モータ、電気部品、マイクロプロセッサー、プリント回路基板などの他のタイプの発熱部品とすることができる。さらに、本明細書では、熱管理の異なる態様について説明することが理解される。異なる態様が1つずつ使用することができるが、好ましくは、目の前にある用途のために良好な熱管理を達成するように異なる組合せにおいて使用することもできることを理解されたい。従って、いくつかの態様が組み合わせて説明されたとしても、その態様は、組み合わされることなく適用することができる。同様に、異なる例の態様は、熱管理を改善するために組み合わせることができる。図面の同様の番号は、全体を通じて同様の要素に言及する。
【0062】
図1は、液体冷却モジュール1の例を示す。図1の例の液体冷却モジュールは、斜視図のバッテリモジュール1である。バッテリは、互いに電気的及び流体的に接続された1つ又は複数のバッテリモジュールを含むことができる。バッテリモジュールは、互いに直列又は並列に電気的に接続することができる。バッテリモジュール1は、電気自動車、産業用電気システム、定置エネルギ貯蔵システムなど、あらゆる電気システムに電力を貯蔵及び供給するために使用することができる。説明のために、単一バッテリモジュール1について、以下の説明において詳しく説明する。
【0063】
バッテリモジュールは、発熱部品5のスタック(stack)を囲むケーシング2を有する。この例では、発熱部品の全ては、バッテリセル5である。しかしながら、発熱部品5のいくつか又は全てが他のタイプの発熱部品5であり得ることも想定される。また、発熱部品のスタックの全ての部品が発熱部品である必要はなく、他のタイプの部品であってもよい。図示した実施形態では、ケーシング2は、実質的に中空及び長方形の構成を有する。ケーシング2は、第1端部2aと、第1端部2aの反対側に配置された第2端部2bとを規定する。ケーシング2は、適用の要件に応じて他の構成を有し得る。ケーシングはまた、第1端部2a及び第2端部2間に延在する長さを規定する。ケーシングは、第1壁部3a、第1壁部3aの反対側に配置された第2壁部3b、ハウジング2の第1端部2aに配置された第1端壁部3c、ハウジングの第2端部2bに配置された第2端壁部3d、前壁部3e、及び後壁部3fなどの複数の壁部3a-fを有する。第1及び第2壁部3a-bは、平行に配置され、端壁部3c-d間に延在する。第1壁部3aは、例えばケーシングの蓋とすることができ、他の壁部は、ケーシング2の箱状の底部を規定する。そのような場合、第1壁部3aは、ケーシングの底部又はその端壁部に取り外し可能に取り付けることができる。ケーシング2は、ポリマー、金属、例えばアルミニウム、合金(アルミニウム合金など)などの任意の適切な材料から作ることができる。ケーシング2は、ケーシング内部に流体を保持するためにシールされる。
【0064】
図1の例示的な実施形態では、ケーシング2は、少なくとも1つの流体入口8と少なくとも1つの流体排出口9とを有する。流体入口8は、ハウジング2への流体の流れを受け入れるように構成されたケーシングの開口部である。流体入口8は、流体のための注入口ポートに接続することができる。流体入口は、第1壁部とバッテリセルの最上位レベルとの間に位置付けられる。ケーシングは、2以上の流体入口8と2以上の流体排出口9とを備えることができる。流体排出口9は、流体がケーシング2から去ることができるようにするためのケーシング2の開口部である。流体排出口9は、流体のための排出口ポートに接続することができる。流体排出口は、第2壁部とバッテリセルの最下位レベルとの間に位置付けられる。液体の入口と排出口とは、切り替えることができ、その結果、液体は、第2壁部とバッテリセルの最下位レベルとの間に入り、第1壁部とバッテリセルの最上位レベルとの間から去る。流体は、誘電液体、気体、又は液体と気体の組み合わせなど、任意の熱管理流体であり得る。図示した実施形態では、流体入口8と流体排出口9とは、前壁部3eに配置される。しかしながら、流体入口8と流体排出口9とは、例えば、第1壁部3a及び第2壁部3bにそれぞれ、又は第1及び第2端壁部3c-dにそれぞれなど、壁部3a-eのいずれにも配置することができる。流体排出口9は、流体入口8から間隔をあけて配置される。代替実施形態では、ケーシングは、複数のバッテリセルを互いに流体接続することができるように2以上の流体入口8と2以上の流体排出口9とを有することができる。ケーシングはまた、バッテリモジュールを外部回路及び/又は他のバッテリモジュールに電気的に接続することができるように2つ以上の電気ポート10を備えている。
【0065】
代替実施形態によれば、流体の入口/注入口又は排出口は設けられていない。このような実施形態では、液体は、ケーシング内部にポンプで送り込むことができ、熱は、ケーシング2を介して放散することができる。
【0066】
バッテリモジュールは、いくつかの実施形態によれば、バッテリ管理システム(BMS)を備えることができる。バッテリ管理システムは、バッテリモジュールの異なるバッテリセル間のエネルギのバランスをとるために設けられる。通常、バッテリ管理システムの目的は、各バッテリセルのエネルギが、それぞれ個別のバッテリセルの容量に対して各バッテリセルに同じであることを確保することである。バッテリ管理システムは、満充電されていると決定されたバッテリセルをバイパスして充電するパッシブ型、又は各セルを個別に充電するために積極的に分配して充電するアクティブ型であり得る。
【0067】
図2aは、部品、この例ではバッテリセル11のスタック5の例の斜視図を示す。スタック5とは、規定された構成に配置された複数の部品を意味する。図示された例では、部品、ここではバッテリセルは、六角形の構成に配置されている。この構成は、例えば六角形のバッテリセルに使用することができる。しかしながら、構成部品であるバッテリセルは、正方形の構成などの他の構成に配置することができる。この構成は、例えば角柱のバッテリセルのために使用することができる。図2bは、図2aのバッテリセルのスタック5を上から示す。バッテリセル11は、流体を収容するための空間12がバッテリセル11間に形成されるように配置される。これらの空間12は、流体のために邪魔になる構造を与えることなく、滑らかな流体容積を形成する。空間12は一般的に、バッテリセルの外皮表面間に形成される。空間12はそのとき、バッテリセルを冷却するために使用される液体/流体のために邪魔になる構造を与えることなく、バッテリセル間に細長い平行な容積を形成する。容積は、バッテリセルの一方側からバッテリセルの他方側に軸方向に走行する流路として見ることができる。バッテリセルを冷却するために使用される液体/流体は、空間12の方向と平行な方向から空間に供給することができる。従って、冷却流体/液体が空間12に供給されるとき、冷却流体/液体の供給は、空間と平行な方向にある。図2aでは、後ほどさらに詳細に説明されるように、液体/流体は、上方から細長い空間12に下方に供給することができる。図示した実施形態では、バッテリセル11は、円筒形である。バッテリセル11のそれぞれは、対称軸、空間12に面する外皮表面、及び上端部と下端部を有する。図示した実施形態では、バッテリセル11は、細長く、バッテリセルの長手方向軸は、対称軸と一致する。バッテリセル11は、対称軸が平行になるように配置される。空間12は、構造を乱すことなく、バッテリセル間に細長い平行な流路を形成する。代替実施形態では、バッテリセルは、長方形、例えば角柱のセルなどの他の形状を有することができる。バッテリセルは、互いに近接して配置することができる、又は空間12がバッテリセルを囲むように互いに距離を置いて配置することができる。空間12は、構造を乱すことなく、バッテリセル間に細長い且つ平行な容積を形成する。一態様では、バッテリセル11は、第1及び第2壁部3a-bに垂直に配置される。また、添付図面に示されるバッテリセル11の数は、単なる例示であり、適用要件に基づいて変化し得る。従って、冷却液体/流体は、邪魔になるあらゆる妨害する要素なしに、空間12内をバッテリセル11の側面に沿って自由に走行することができる。流れは、反対方向であることもある。例えば、流れは、下から上であり得る。従って、流れが妨げられないバッテリセル12の軸方向の流れが達成される。さらに別の実施形態では、バッテリセルは、冷却液体/流体の注入口/排出口の両側に位置付けられる。例えば、1つ又は2つの層のバッテリセルは、冷却液体/流体の注入口/排出口の上方に位置付けることができ、1つ又は2つの層のバッテリセルは、冷却液体/流体の注入口/排出口の下方に位置付けることができる。他の実施形態では、さらなる層が配置することができるが、冷却効率は、冷却液体/流体がそれ自体を冷却する前に冷却する必要があるバッテリセルが多いほど低下する。
【0068】
バッテリセル11はまた、バッテリセルが互いに電気的に接続することを可能にするために1つ又は複数の電気端子を含む。例えば、電気端子は、バッテリセルの上端部に配置される。図示した例では、電気端子の一部が下方を向き、電気端子の一部が上方を向くように、バッテリセルが1つおきに上下逆さまにされている。これは、バッテリセルの電気的接続を容易にする。バッテリセル11は、リチウムイオン型電気化学セル、リチウムポリマー型電気化学セル、固体電池など、あらゆる電気化学セルであってもよい。代替実施形態では、バッテリモジュールは、2つ以上の層のバッテリセルを含むことができる。
【0069】
図3は、一実施形態によるバッテリモジュール1の例を分解図で示す。バッテリモジュール1は、流体を収容するための空間12がバッテリセル間に形成されるように互いに隣接して配置される複数の円筒形バッテリセル11を含むスタック5を有する。バッテリモジュール1は、流体をバッテリセル11間の空間12に分配するために互いに間隔をあけて配置された複数の開口部15を備えた分配プレート14と、流体をケーシング2の少なくとも1つの流体入口8と分配プレートの開口部15との間に案内するように配置された複数の流体流路18を有するマニホールド構造17とをさらに有する。分配プレート14は、液体冷却モジュール内において移動する流体の流路を改善することができる。また、マニホールド構造17は、液体冷却モジュール内において移動する流体の流路を改善するための規制部材として機能することができる。分配プレート14の開口部15は、バッテリセル間の空間12が位置付けられる領域の上方又は下方に開口部を配置するように配置される。マニホールド構造17は、ケーシングの少なくとも1つの流体入口8と分配プレート14との間に配置される。本発明の一態様では、マニホールド構造17は、第1壁部3aに一体化される。別の態様では、マニホールド構造17は、第1壁部3aに取り付けられる。マニホールド構造17の流体流路18のそれぞれは、ケーシング2の1つ又は複数の流体入口8と流体連通している。分配プレートの開口部15は、流体流路18を介して少なくとも1つの流体入口8と流体連通している。流体/液体が空間12に流れるとき、セルは、流れがセルの1つの層のみを冷却し、連続的に配置された複数のセルを冷却しないように配置することができる。例えば、バッテリセル11の1つの層は、流体/液体の流入の上方に配置することができ、バッテリセルの1つの層は、流体/液体の流入の下方に配置することができる。これによって、流体は、冷却される前におよそバッテリセルの軸方向長さの距離だけ流れる。このようにして、全てのバッテリセルは、均等に冷却される。
【0070】
分配プレート14は、バッテリセル11の軸に垂直に配置された平面を規定する。分配プレート14は、バッテリセル11の上端部より上に及び/又はバッテリセルの下端部より下に配置される。従って、分配プレートの開口部15は、流体がバッテリセル11の軸方向にバッテリセルの外皮表面と平行に流れるように、バッテリセル間の空間の上方及び/又は下方にある。分配プレート14の複数の開口部15の位置は、空間12の位置に対応する。分配プレート14の開口部15は好ましくは、流体がバッテリセル11間の空間12に入り、バッテリセルの表面に沿って流れるように、バッテリセル間の空間12と位置調整される。また、バッテリセルの電極の上方に位置調整された開口部があってもよい。
【0071】
一態様では、マニホールド構造17は、プレート状本体を有し、流体流路18は、プレート状本体に形成される。マニホールド構造17はそのとき、バッテリセル11の軸に垂直な平面を規定し、複数の流体流路18は、マニホールド構造によって規定される平面に延在するように配置される。マニホールド構造17は、ポリマー、金属、合金など任意の好適な材料から作ることができる。好ましくは、マニホールド構造17は、EPDM、ネオプレン、ポリアミドなどの材料から作られる。マニホールド構造17は、射出成形、押出成形、3D-iExtrusion(登録商標)技術、フライス加工、打抜き加工、水切断、レーザ切断、又は同様の製造プロセスによって作ることができる。マニホールド構造17は、分配プレート14に面する底面19を有する。分配プレート14及びマニホールド構造17は、ケーシングの第1及び第2壁部3a-bと実質的に平行に配置される。分配プレート14及びマニホールド構造17は、バッテリセル11の上端部の上方及び/又はバッテリセル11の下端部の下方に配置することができる。
【0072】
分配プレート14は、マニホールド構造17とバッテリセル11のスタック5との間に配置される。一態様では、分配プレート14は、マニホールド構造17に取り付けられる。別の態様では、分配プレートは、マニホールド構造に一体化することができる。別の態様では、分配プレートは、コネクタプレートを形成するために電気コネクタと組み合わされる。一態様では、セルホルダーは、バッテリセルのスタックと分配プレートとの間に配置することができる。個々のバッテリセル11への接続がどのように形成されるかにかかわらず、機能不良のバッテリセル11の切断を可能にするように各セルのためにヒューズを設けることができる。コネクタプレートが使用される場合、ヒューズは、コネクタプレートに形成することができる。
【0073】
ケーシング2は、バッテリセル11のスタック5と分配プレート14とを囲む。マニホールド構造17は、ケーシング2の第1及び第2壁部3a-bの一方に一体化することができる。マニホールド構造17は、ケーシングの蓋に一体化することができる。蓋は、例えば、第1壁部3aとすることができる。あるいは、マニホールド構造17は、第1及び第2壁部3a-bの一方と分配プレート14との間に配置することができる。その場合、マニホールド構造17は、ケーシングの壁部3a-bに面する上面を有し、マニホールド構造17は、第1及び第2壁部3a-bの一方に取り付けることができる。
【0074】
図4は、複数の開口部15を含む分配プレート14の例を示す。分配プレートの開口部15は、流体の流れがバッテリセル間の空間12に向かって案内されるように空間12の上下に配置される。従って、開口部の位置は、バッテリセルの構成に依存する。好ましくは、開口部15は、分配プレートの上に実質的に均等に広がっている。従って、流体は、バッテリセル間に均等に分配することができる。開口部15の数は、バッテリモジュール内のバッテリセル11の数に依存して変化し得る。開口部15の位置は、バッテリセルの形状及び位置、並びにバッテリセル間の空間に依存して変化する。開口部15の大きさ及び形状は、バッテリセル間の空間12の大きさ及び形状に依存して変化し得る。図示した実施形態では、開口部は、円形である。しかしながら、開口部15は、長方形、三角形又はY字形など他の形状を有していてもよい。分配プレート14は、軟質、硬質、又は半硬質であってもよい。別の態様では、少なくとも2つの分配プレートを組み合わせて使用することができ、1つの分配プレートは、硬質材料から作られ、他方の分配プレートは、軟質又は半硬質材料から作られる。分配プレート14は、ポリマー、金属、合金などの任意の適切な材料から作ることができる。好ましくは、分配プレートは、EPDM、ネオプレン、ポリアミドなどの軟質材料から作られる。一態様では、分配プレートは、金属又は金属合金、フレキシフィルム又はPCBなどの導電性材料から作ることができ、電気コネクタとしての追加機能を有する。
【0075】
流体流路18を含むマニホールド構造17は、様々な方法で設計することができる。図5a-cは、異なるマニホールド構造17a-cの3つの例を示す。図5a-cは、マニホールド構造17a-cの底面19を示す。
【0076】
図5aは、マニホールド構造17aの第1の例を下方から見た図で示す。マニホールド構造17aは、ケーシング2の第1端部2aから第2端部2bに延在する複数の一直線の流体流路18aを有する。流体流路18aのそれぞれは、分配プレート14に面する開放側を有する。流体流路18aの開放側は、マニホールド構造17aの底面19aに細長い開口部20aを規定する。細長い開口部20aは、分配プレート14と分配プレートの開口部15に面している。細長い開口部20aは、分配プレートの開口部15が流路18aと流体連通するように分配プレートの開口部15を覆ってケーシング2の第1端部2aから第2端部2bに延在する。分配プレート14は、分配プレートの開口部15に面していない細長い開口部2aの部分が分配プレート14によってシールされるようにマニホールド構造17aにしっかりと取り付けることができる。分配プレート14は、流体流路18aの底部を形成する。マニホールド構造18aの細長い開口部20aは、流体流路18a内の流体が分配プレートの開口部15を通じて流路から去ることができるように分配プレートの開口部15に面するように配置される。この例では、マニホールド構造の細長い開口部20aのそれぞれは、分配プレートの開口部15の2つ以上に面する。従って、1つの流体流路18aは、分配プレートの複数の開口部15に流体を供給する。流体流路18aの上側は、閉じていても開いていてもよい。流体流路18aの上側が閉じられる場合、マニホールド構造17aは、第1及び第2壁部3a-bの1つに一体化され得る。マニホールド構造17aは、流体流路18aに垂直に配置され、流体流路18aに流体を供給するために流体流路18aと流体連通する注入口流路21を有する。注入口流路21は、流体を受け入れるためにケーシングの注入口入口8と流体連通するように配置された注入口開口部を有する。あるいは、マニホールド構造がケーシングの壁部の1つに一体化される場合、注入口流路21の注入口開口部は、注入口入口8である。
【0077】
図5bは、マニホールド構造17bの第2の例を下方から見た図で示す。マニホールド構造17bは、複数の流体流路18bを有する。この例では、流体流路18bは、複数のより狭い流体流路18b´に分岐する。流体流路18bは、流体流路の端部にさらに近づくとより狭くなる。流体流路18bの断面積は、流体入口からさらに離れると小さくなっている。流体流路18aのそれぞれは、分配プレート14に面する開放側を有する。流体流路18bの開放側は、マニホールド構造17bの底面19bに細長い開口部20bを規定する。流体流路18bの細長い開口部20bは、分配プレートの開口部15が前記流路18bと流体連通するように分配プレートの開口部15に面する。分配プレート14は、マニホールド構造の底面19の細長い開口部20bが分配プレートによって部分的にシールされるようにマニホールド構造17bに取り付けられる。マニホールド構造の各細長い開口部20bは、分配プレートの1つ又は複数の開口部15に面する。流体流路18bの上側は、閉じられる又は開放されることができる。流体流路18bの上側が閉じられる場合、マニホールド構造17bは、第1及び第2壁部3a-bの一方に一体化することができる。流体流路18bの上側が開放される場合、マニホールド構造17bは、流体流路18bの上側がケーシングの壁部によってシールされるように第1及び第2壁部3a-bのいずれかに取り付けることができる。この例では、流体は、マニホールド構造17bの中央部分の流体流路18bに供給される。
【0078】
図5cは、マニホールド構造17cの第3の例を下から見た図で示す。マニホールド構造17cは、複数の流体流路18cを有する。この例では、流体流路18cは、複数のより狭い流体流路18c´に分岐する。流体流路18bは、流路の端部にさらに近づくと薄くなる。流体流路18cの断面積は、流体入口からさらに離れると小さくなっている。流体流路18cは、図5cに見られるように、滑らかに曲げられる。流路18cの形状は、乱流を回避するために且つ圧力を制御するために、滑らかな曲げを通じてバランスがとられている。流路18cの鋭い曲げは、回避される。流体流路18cは、分配プレートの開口部15が前記流路18cと流体連通するように分配プレートの開口部15の1つ又は複数の開口部15に亘って延在し得る。一態様では、流体流路18cの分岐のそれぞれは、分配プレートの開口部15の1つにおいて終端する。
【0079】
流体流路18cのそれぞれは、第1壁部3aに面する上側と、分配プレート14に面する下側とを有する。この例では、流体流路18cの上側と下側とは、開放されている。従って、流体流路18cは、マニホールド構造の細長い開口部20cを規定する。流路18cの上側は、マニホールド構造の上面に細長い開口部を形成する。流路18cの下側は、開放され、マニホールド構造17cの底面19cに細長い開口部20cを形成する。
【0080】
一例では、マニホールド構造17cは、分配プレート14と第1壁部3aとの間に配置される。分配プレート14は、マニホールド構造の底面の細長い開口部20cが分配プレート14によって部分的にシールされるようにマニホールド構造17cの底面19にしっかりと取り付けられる。マニホールド構造17cの上面は、マニホールド構造の上面の細長い開口部が第1壁部3aによってシールされるように第1壁部3aにしっかりと取り付けられる。従って、第1壁部3aと分配プレート14とは、マニホールド構造の流体流路18cをシールする。従って、流体流路18cは、第1壁部3a、マニホールド構造、及び分配プレート14によって規定される。この態様は、流体流路の製造を容易にする。
【0081】
図6は、図5aに示すマニホールド構造17aを含むバッテリモジュール1aの例を示す。この例では、マニホールド構造17aは、ケーシングの第1壁部3aに一体化される。この例では、流体入口8は、ケーシング2の第1端部2aに近接してケーシング前壁部3eに配置される。分配プレート14は、マニホールド構造17aに取り付けられる。流体は、流体入口8を通じてケーシング2に入り、流体流路18aによって分配プレート14の開口部15に案内される。流体は、バッテリセル11間の空間12に入り、バッテリセルの外皮表面に沿ってバッテリセルの軸に平行に流れる。流体は、バッテリセルのスタック5の反対側にある流体排出口9を通じてケーシングから退出する。この例では、流体排出口9は、ケーシングの第2端部2bに近接してケーシングの前壁部3eに配置される。
【0082】
図7は、図5b及び図5cに示すマニホールド構造17b-cのいずれかを含むバッテリモジュール1bの別の例を示す。
【0083】
図8は、図7のバッテリモジュール1bを上から示す。この例では、マニホールド構造17b-cは、分配プレート14と第1壁部3aとの間に配置される。分配プレート14は、マニホールド構造17b-cに取り付けられ、マニホールド構造17b-cは、第1壁部3aに取り付けられる。この例では、流体入口8´は、第1壁部3aの縁部4からある距離に第1壁部3aの中央部分に配置され、第1壁部3aは、図8に示すように、第1壁部3aの一縁部4aと流体を流体入口8´に供給するための流体入口8´との間に配置された注入口流路22を備えている。注入口ポート23は、流体入口8´に接続される。ケーシングの第2壁部3bは、流体のための流体排出口9´を備えている。第2流体排出口9´は、第2壁部3bの縁部からある距離に第2壁部3bの中央部分に配置される。流体は、流体入口8´を通じてケーシング2に入り、流体流路18b-cによって分配プレート14の開口部15に案内される。流体は、バッテリセル間の空間12に入り、バッテリセルの外皮表面に沿ってバッテリセル11の軸に平行に流れる。流体は、図7に示すように、バッテリセル11のスタック5の反対側において流体排出口9´を通じてケーシング2を退出する。
【0084】
図9は、バッテリモジュール1cのさらに別の例を示す。バッテリモジュール1cは、バッテリが、分配プレート14に対してバッテリセルのスタック5の反対側に第2壁部3bとバッテリセルのスタック5との間に配置されたコレクタプレート24を有する点において、図3及び図7に開示されたバッテリモジュール1bとは異なる。コレクタプレート24は、バッテリセル11間の空間12から流体を受け入れるための複数の開口部15´を備えている。コレクタプレート24の開口部15´は好ましくは、分配プレート14の開口部15と位置調整される。好ましくは、コレクタプレート24は、分配プレート14と同様に設計される。バッテリモジュール1cは、コレクタプレート24と流体排出口9との間に配置された第2マニホールド構造17´をさらに有する。第2マニホールド構造17´は、コレクタプレート24の開口部15´から第2壁部3bの流体排出口9に流体を案内するために配置された複数の第2流体流路12´を有する。第2マニホールド構造17´は、例えば、図5a-cに示すマニホールド構造17a-cのいずれかである。
【0085】
バッテリモジュールはまた、バッテリセル11を互いに相対する位置に保持するための1つ又は複数のセルホルダーを有することができる。セルホルダーは、バッテリセルの対称軸と平行な方向にバッテリセル11の外皮表面に沿った流体の流れを可能にするバッテリセル間の最小距離を確保する。前記ホルダーはまた、短絡を回避するための最小距離を確保する。
【0086】
図10は、セルホルダー26の例を示す。セルホルダー26は、バッテリセル11を受け入れるための複数の貫通穴28と、セルホルダー26を流体が通過することを可能にするように貫通穴28の間に配置された複数の開口部30とを有する。好ましくは、複数の開口部30は、分配プレート14の開口部15と位置調整される。好適には、開口部30は、分配プレートの開口部15に対応し、分配プレートの開口部15と同じ形状及び位置を有する。セルホルダー26は、ケーシング2内に配置され、スタック5内のバッテリセル11をケーシング内部に受け入れて支持するように構成される。一実施形態では、バッテリモジュールは、2つのセルホルダー26を有する。セルホルダー26の一方は、バッテリセルのスタックの上部に配置され、他方のセルホルダーは、バッテリセルのスタック5の底部に配置される。セルホルダーのこの位置は、セルホルダーがバッテリセルの表面に沿った流体の流れを妨げないので有利である。従って、バッテリセル間の流体の層流が達成される。セルホルダー26は、ポリマー、金属、合金などのような任意の適切な材料から作ることができる。また、いくつかの実施形態では、セルホルダー26は、分配プレート14によって形成することができる。
【0087】
スタック5のバッテリセル11は、互いに電気的に接続される。一実施形態では、バッテリセルのそれぞれは、直列配置において互いに電気的に接続され得る。さらに他の実施形態では、バッテリセルのそれぞれは、適用の要件に基づいて並列配置において互いに電気的に接続され得る。バッテリモジュールは、隣接するバッテリセル間に電気的接続を提供するように構成された、バスバーなどの1つ又は複数の導電体を有する。バッテリセルのそれぞれは、導電体に接続するための電極を備えている。
【0088】
図11は、バッテリセル11がバッテリセルに接続された導電体32によって互いに電気的に接続された例を示す。図示した例では、導電体32は、バスバーである。導電体32は、複数の隣接するバッテリセル間に電気的接続を提供するように構成される。導電体32は、複数の隣接するバッテリセル11の電極と電気的に接触している。導電体32は、流体が導電体を通過することを可能にするために複数の開口部43を有する。好ましくは、電気コネクタ32の開口部43は、分配プレートの開口部15と位置調整される。バッテリモジュールは、1つ又は複数の導電体32を有し得る。導電体32は、バッテリセル11の上に及び/又は下に配置することができる。導電体32は、金属、合金などのようなあらゆる導電性材料から作ることができる。例えば、導電体32は、金属箔、又はポリマーと電気配線の積層物である。導電体32はまた、1つ又は複数の電気ポート10に接続することができる。例えば、分配プレート14は、導電性材料から作ることができ、導電体32として使用することができる。一態様では、導電体32は、分配プレート14である。
【0089】
液体冷却を改善するために、液体冷却モジュール1;1a;1b;1c内部の液体の流れは、発熱部品11間に形成された空間12に規制部材を有することができる。これは、図12に示される。
【0090】
図12では、細長い要素160の形をした規制部材は、円筒状の発熱部品11間に形成された空間12に位置付けられて示されている。空間12内の規制部材は、複数の目的を有することができる。例えば、円筒状の発熱部品11間に規制部材160を位置付けることによって、円筒状の発熱部品の周りの液体の流れは、その主な流れを発熱部品11により近づけさせることを引き起こし、それによって発熱部品からの熱放散を改善するという点において改善することができる。規制部材160が空間12に位置付けられる間、それらは、バッテリセル12の側面に沿った軸方向の流れを妨げない。規制部材は、代わりに発熱部品12の周りに流れを再分配する。言い換えれば、規制部材160は、空間12に形成される流路が別の形状を有するように空間12の形状を再構成する。発熱部品12を冷却するために使用される冷却液体/流体の自由な流れをサポートするために妨げられない軸方向の経路がまだ存在する。従って、空間12の流路の形状は、このようにして変更することができる。流体は次に、空間(12)に形成された流体流路において軸方向に移動される。流体流路の長さはそのとき、発熱部品の軸方向長さに対応する。他の実施形態では、流体流路は、発熱部品の長さの少なくとも80%など発熱部品のほとんどの長さに延在する。
【0091】
規制部材160は、電気絶縁体としても機能し、絶縁材料から作ることができる。規制部材は、発熱部品を所望の位置に適所に保持するための間隔部材としても機能することができる。従って、バッテリセルのような発熱部品は、規制部材(複数可)を使用して互いに対して固定することができる。これによって、他の固定構造は、発熱部品が規制部材によって固定することができるので、削減又は省略することができる。これは、発熱部品、典型的にはバッテリセルが、例えばバッテリモジュールのハウジング内に位置付けることができる固定構造に取り付ける必要がないので、組立てを容易にする。
【0092】
さらに、規制部材160は、発熱部品11の熱膨張を可能にするための補償部材として機能することができる。図13には、例示的な規制部材160が示されている。図13の規制部材160は、概括的に円筒形であり、ピン形状であるということができる。規制部材160の内部に中空部分を設けることによって、規制部材160は、規制部材160が発熱部品間の空間12に位置付けられるとき、発熱部品11の熱膨張を補償するために少なくとも部分的に崩壊するように作ることができる。図13は、そのような崩壊される規制部材161を示す。また、本明細書において規定されるような規制部材を設けることによって、発熱部品12を冷却するために使用される液体/流体によって占有される全容積は、低減することができる。これによって、必要である液体/流体が少なくなるので、モジュール全体の重量を減らすことができる。
【0093】
上記に示したように、規制部材(複数可)は、有利には、プラスチック材料のような弾性材料によって形成することができる。例えば、ナイロンを使用することができる。いくつかの実施形態では、弾性材料は、好適な方法で補強することができる。例えば、ガラス繊維は、弾性材料を補強するために使用することができる。
【0094】
図13に示すように、規制部材160は、概括的に円筒形とすることができる。これは、規制部材が円筒状の発熱部品間の空間に位置付けられるときに特に有利である。しかしながら、他の形状の規制部材160を使用することもできる。例えば、半円筒形状の規制部材160を使用することもできる、又は角柱形状の規制部材を使用することができる。他の実施形態では、4分の1円筒又は他のタイプのカット円筒などの半円筒以外の部分円筒又は角柱を使用することができる。規制部材は有利には、発熱部品11と同じ軸方向長さを有することができる。
【0095】
規制部材160の目的に応じて、材料は、適宜選択することができる。例えば、いくつかの実施形態に従って、規制部材は、弾性材料によって形成される。これは、規制部材が熱膨張補償器として機能すべきときに有用であり得る。規制部材はまた、通電することを補助するために導電性材料によって形成することができる、あるいは規制部材は、絶縁部材を形成するために電気絶縁材料によって形成することができる。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、液体冷却モジュール内部に流れを発生させるためのポンプは、液体冷却モジュール内部に位置付けることができる。特に、流体をポンプで送り出すためのポンプは、液体密閉ケーシング内部に位置付けられる。ポンプは、有利には電気流体力学(EHD)ポンプとすることができる。しかしながら、機械式ポンプ、磁気流体力学ポンプ、遠心ポンプ、浸透圧ポンプ、音波ポンプ、ダイヤフラムポンプ、圧電ポンプ、蠕動ポンプ、ノズル拡散ポンプ、テスラポンプ、キャピラリーポンプなど他のタイプのポンプも考えられる。ポンプは、円筒形とすることができる。
【0097】
図14には、ポンプ111は、液体密閉ケーシング2内部に位置付けられて示されている。ポンプは、液体を熱吸収構造に向かって又は熱吸収構造から離れてポンプで送り出すことができる。熱吸収構造は、液体冷却モジュール内の壁部とすることができる。特に、熱吸収構造は、図14に示すように、液体密閉ケーシング2の側壁部とすることができる。側壁部は、フィン又はフランジを備えることができる、あるいは熱伝達を高めるためにいくつかの他の不規則な形状又は突起部を有することができる。例えば、側壁部は、図14に示すように、毛細管形又は波形構造を有することができる。図14では、ポンプ111は、ケーシング2内部の液体112内に位置付けられる。液体112は、ケーシング2内部に配置された発熱部品11からの熱を伝達する。いくつかの実施形態では、ポンプ111は、発熱部品内部に位置付けることができ、いくつかの実施形態では、ポンプは、ここにあるように、そのような発熱部品11間の空間12に位置付けられる。
【0098】
さらに、液体密閉ケーシング2内部に複数のポンプ111を設けることができる。ポンプ111は、ケーシング2内部の冷却液体の流れをサポートするために個別に制御することができる。例えば、流れは、ある所定のイベントに応じて調整することができる。所定のイベントは、例えば、熱の異常/望ましくない状況とすることができる。いくつかの実施形態によれば、冷却液体の流れは、液体冷却モジュールの全体又は一部の決定された熱活性に応じて、停止又は減少させることができる。例えば、温度センサは、液体冷却モジュール内部又は液体冷却モジュール内部の一部の温度を決定するために設けることができる。温度が上昇してある所定の閾値を満たすと決定された場合、流れは、ポンプ(複数可)111によるポンピングを調整することによって制御することができる。例えば、所定の閾値は、絶対温度又は所定の温度上昇率とすることができる。このようなイベントに対応して、流れはそのとき、調整される。その調整は、決定されたイベントに依存することができ、流れは、決定されたイベントに応じて増加、減少、あるいは停止させることができる。複数のポンプ111が設けられる場合、流れは、複数のポンプ111の個別調整によって液体冷却モジュールの異なる部分において異なって調整することができる。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの部分円筒形、特に半円筒形のヒートシンク部材118は、ケーシング2の側壁部又はケーシング2の底部に位置付けられて設けられる。このような少なくとも1つの部分円筒形のヒートシンク部材118は、1つのフランジ又は複数のフランジ、あるいは他のタイプの突出部材を備えることができる。例示的なヒートシンク部材118は、図15に断面図で示されている。
【0100】
本明細書に記載されるような液体冷却モジュールの作動を改善するための他の変更も可能である。例えば、液体冷却モジュールは、少なくとも1つの少なくともヒータ要素を有することができる。ヒータ要素は、例えば開始段階中に熱を発生するように作ることができる。ヒータ要素は、円筒形又は半円筒形とすることができる。
【0101】
図16には、上記のような液体冷却モジュール1の断面上面図が示される。発熱部品11は、バッテリセル、モータ、ポンプ熱発生器を含むがこれらに限定されない異なる種類の構成部品を収容することができる。発熱部品間の空間に、流れ規制部材160を位置付けることができる。発熱部品11は、図16に示すように円筒形とすることができるが、角柱形などの他の形状を有することができる。また、円筒形又は角柱形を有しない部品とすることができる。いくつかの実施形態では、カット円筒又は角柱などのカット要素は、液体冷却モジュール1内部に位置付けられる。前記要素は、例えば、半円筒又は4分の1円筒、又は角柱とすることができる。カット要素は、モータ又はヒータなどの異なる構成部品を収容することができるが、ヒートシンク部材又は熱補償構造とすることもできる。図16では、カット要素は、ヒートシンク部材118によって例示されるが、上記のような他のタイプの要素を形成することができる。カット要素118は一般に、ケーシング2内部の空間をより良く利用するために液体冷却ケーシング2のリムに位置付けることができる。カット要素118は、いくつかの実施形態では、ケーシングに取り付けることができる。いくつかの他の実施形態では、カット要素は、ケーシング2に接続されない。
【0102】
また、カット要素118は、ケーシング2内部の流れを改善するために使用することができる。カット要素はそのとき、ケーシングの一部であり、ケーシング2内部の液体の流れを改善するような形にすることができる。
【0103】
本明細書に記載されるような液体冷却モジュール1の効率をさらに改善するために、液体冷却モジュール内部を流れる液体から空気を除去するための泡トラップ配置を追加することができる。図17では、注入口/排出口のない液体冷却モジュール1のための泡トラップ配置170が示されている。泡トラップ配置は、図18に示すように、液体冷却モジュール1が液体注入口及び液体排出口を備えている場合にも使用することができる。
【0104】
泡トラップ配置170は、様々なタイプがある。図19には、異なる種類の泡トラップ180が示されている。従って、図17及び図18の実施形態では、1つ又は複数の気泡トラップ構造は、気泡トラップ配置の上部に設けられる。図17及び図18の実施形態では、気泡トラップ構造171は、切り取られた円錐又はピラミッドとして形作られる。図19の実施形態では、少なくとも1つの気泡トラップ構造181は、半球として形作られる。
【0105】
図20には、バッテリ200を形成するために並べられた複数のバッテリモジュール1の例示的な実施形態が簡略図で示されている。複数のバッテリモジュール1は、冷却液体の共通供給が提供されるように流体接続される。共通供給は、共通の液体注入口201を介して供給される。冷却液体は、並列配置の複数のバッテリモジュールに亘って分配される。これによって、本質的に均等に冷却される冷却液体は、異なるバッテリモジュール1に入ることができる。冷却液体がそれぞれのバッテリモジュール1を退出するとき、冷却液体は、共通排出口202に供給することができる。これによって、空間効率の良い冷却回路を得ることができる。バッテリ200は、例えば、自動車のHVACシステム又はいくつかの他の電化設備に使用することができる。
【0106】
それぞれのバッテリモジュールの冷却液体は、いくつかの実施形態によれば、ケーシング2の上部分及び/又は底部に冷却液体を分配するための流路を形成することによって分配することができる。図21には、バッテリモジュール1の部品を示す分解図が示されている。図21では、バッテリセルは、ケーシング底部204とともに示されている。ケーシング底部204は、防水ケーシングの一部であり、ケーシング底部204は、その内部に形成された流路205を有する。流路は、スタック5を形成することができる複数のバッテリセル11に亘って冷却液体を分配する。いくつかの実施形態では、流路205は、図20に示されるように共通注入口201及び共通排出口202に接続される。さらに、流路は、冷却流体がバッテリセル11の列に亘って分配されるときに冷却流体がバッテリスタック5のバッテリセルの列に沿って蛇行パターンにおいて流れるように、蛇行形状を有することができる。図21では、流路205は、ケーシング底部204に形成されている。しかしながら、流路は、対応する方法においてケーシング上部に形成することができることも考えられる。
【0107】
本明細書に記載されるモジュールは、典型的には液体冷却式であるが、モジュール内部において熱を輸送するために液体に代えて気体を使用することも考えられる。流体が液体に代えて気体であるこのような実施形態では、流体は、気体状であり、少なくとも1つの静音イオン風に基づくポンプによって移動される。モジュールはそのとき、ケーシング外壁部に少なくとも1つの静音イオン風強化フランジ付きヒートシンク構造を有することができる。
【0108】
本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に記載された範囲内で変形及び変更され得る。例えば、流路はさまざまな方法において設計することができる。液体冷却モジュールは、多くのタイプの発熱部品を冷却するのに有利である。また、異なる実施形態は、液体冷却モジュールの冷却能力を高めるために、又は液体冷却モジュールの軽量化又は小型化を図るなど他のニーズを満たすために組み合わせることができる。例えば、液体冷却モジュールは、互いの上部に配置された2つ以上の分配プレートを有してもよい。開示された実施形態の異なる態様は、互いに組み合わせることができる。例えば、分配プレートは、マニホールド構造と分配プレートとを一体化して製造することができるようにマニホールド構造と一体化することができる。例えば、導電体は、分配プレートとして機能してもよい。また、分配プレートは、冷却を高めるために、又は液体の分配を高めるためにフランジ又は漏斗を有することができる。
【符号の説明】
【0109】
1,1a,1b,1c バッテリモジュール
2 ケーシング
2a ケーシングの第1端部
2b ケーシングの第2端部
3a-f ケーシングの壁部
4,4a 第1壁部の縁部
5 バッテリセルのスタック
8,8´ 流体入口
9,9´ 流体排出口
10 電気ポート
11 バッテリセル/発熱部品
12 セル間空間
14 規制部材/分配プレート
15 分配プレートの開口部
15´ コレクタプレートの開口部
17,17a-c 規制部材/マニホールド構造
17´ 第2マニホールド構造
18,18a-c,18b´,18c´ 流体流路
19,19a-c マニホールド構造の底面
20a-c マニホールド構造の細長い開口部
21 マニホールド構造の注入口流路
22 第1壁部の注入口流路
23 注入口ポート
24 コレクタプレート
25 第2流体流路
26 セルホルダー
28 貫通穴
30 セルホルダーの開口部
32 電気コネクタ
43 電気コネクタの開口部
111 ポンプ
112 液体/流体
118 カット要素/ヒートシンク部材
160,161 規制部材/ピン
170,180 泡トラップ配置
171,181 気泡トラップ構造
200 複数のバッテリモジュールを備えたバッテリ
201 共通流体注入口
202 共通流体排出口
204 ケーシング底部
205 流路
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】