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特表2024-517865合成ポリヌクレオチドおよび遺伝子分析におけるその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】合成ポリヌクレオチドおよび遺伝子分析におけるその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/686 20180101AFI20240416BHJP
   C12Q 1/6876 20180101ALI20240416BHJP
   C12Q 1/6827 20180101ALN20240416BHJP
【FI】
C12Q1/686 Z
C12Q1/6876 Z
C12Q1/6827 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568285
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 US2022016177
(87)【国際公開番号】W WO2022235315
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/185,732
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521209823
【氏名又は名称】パーソナル ゲノム ダイアグノスティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー, デレク
(72)【発明者】
【氏名】セルケイラ, グスタヴォ
(72)【発明者】
【氏名】マドックス, シンディ
(72)【発明者】
【氏名】キーファー, ローレル
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA05
4B063QQ02
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR36
4B063QR62
4B063QS24
4B063QS25
(57)【要約】
本開示は、複数の臨床上重要な生殖系列および体細胞バリアントを含むポリヌクレオチド(例えば、DNAまたはRNA)を含む合成標準品を提供する。1つの局面において、本開示は、アッセイ性能を検証するための方法を提供し、上記方法は、既知のアレル頻度を有するバリアントを含む合成バリアントDNAフラグメントを生成する工程であって、ここで上記フラグメントは、分子タグを含む、生成する工程;上記合成バリアントDNAを野生型DNAと組み合わせて、試験サンプルを作製する工程;上記試験サンプルの1またはこれより多くの希釈物を調製する工程;試験サンプルの上記1またはこれより多くの希釈物に対して目的のアッセイを行う工程;および上記アッセイの結果と目的の既知のアレル頻度を有する上記試験サンプルとを比較し、それによって、上記アッセイの性能を検証する工程を包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッセイ性能を検証するための方法であって、前記方法は、
既知のアレル頻度を有するバリアントを含む合成バリアントDNAフラグメントを生成する工程であって、ここで前記フラグメントは、分子タグを含む、生成する工程;
前記合成バリアントDNAと野生型DNAとを組み合わせて、試験サンプルを作製する工程;
前記試験サンプルの1またはこれより多くの希釈物を調製する工程;
試験サンプルの前記1またはこれより多くの希釈物に対して目的のアッセイを行う工程;および
前記アッセイの結果と、目的の既知のアレル頻度を有する前記試験サンプルとを比較し、それによって、前記アッセイの前記性能を検証する工程、
を包含する方法。
【請求項2】
変更は、ゲノム全体を通じて起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変更は、エキソンにある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アッセイは、次世代シーケンシング(NGS)、リアルタイムPCR、デジタルPCR、ターゲットシーケンシングおよびゲノムシーケンシングからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記試験サンプルは、細胞株、組織学スライド、生検サンプル、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織、体液、糞便、尿、血漿、血清、全血、単離された血球、および血液から単離された細胞からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記試験サンプル核酸は、cfDNA、ctDNA、mRNA、ゲノムDNA、およびcDNAからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記変更は、生殖系列または体細胞バリアントである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記合成フラグメントDNAは、DNAベースのNGSアッセイを検証するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記合成バリアントDNAフラグメントは、臨床的DNAフラグメントから区別するために、各DNAフラグメントの3’末端および5’末端において分子タグを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記変更は、一塩基バリアント(SNV)、INDELS、コピー数バリアント(CNV)、ヘテロ接合性喪失(LOH)、マイクロサテライト不安定性(MSI)、および転座を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記合成バリアントDNAフラグメントは、標的化されたバリアント位置の上流および下流にある別個の開始位置および終了位置を有する増分のスライディングウインドウに基づくバリアントにまたがる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも約20×合成バリアントDNAフラグメントが生成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各フラグメントは、単一のバリアントを表すために約8bpの間隔を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記フラグメントは、約167bpである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記合成DNAフラグメントは、約10~500の遺伝子のパネルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
各遺伝子は、少なくとも1個の変異を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
1またはこれより多くの遺伝子は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、NTRK1、NTRK2、NTRK3、RET、ROS1、BRAF、BRCA1、BRCA2、EGFR、ERBB2、H3F3A、IDH1、IDH2、KIT、KRAS、MET、NRAS、PDGFR、およびALKから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記合成バリアントDNAフラグメントは、改変された塩基を有するフラグメントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記改変された塩基は、5-メチルシトシン(5mC)、N4-メチルシトシン(N4mC)、および/または6-メチルアデニン(6mA)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記合成バリアントDNAフラグメントは、1またはこれより多くの改変された塩基を有する個々のフラグメントの種々の部分組成から構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
被験体において疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を検出する方法であって、前記方法は、
前記いずれかの請求項に記載の方法を使用してアッセイ性能を検証する工程であって、前記目的のアッセイは、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を検出する、検証する工程;
前記被験体からサンプルを得る工程;および
前記検証したアッセイを、前記被験体に由来する前記サンプルのDNAに対して行い、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を示す目的の標的を検出し、それによって、前記被験体において疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を検出する工程、
を包含する方法。
【請求項22】
前記目的の標的は、ゲノムバリアントである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ゲノムバリアントは、変異アレルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記疾患もしくは障害は、がんである、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
被験体において薬物耐性を検出する方法であって、前記方法は、
前記いずれかの請求項に記載の方法を使用してアッセイ性能を検証する工程であって、ここで前記目的のアッセイは、薬物耐性を検出する、検証する工程;
前記被験体からサンプルを得る工程;および
前記検証したアッセイを、前記被験体に由来する前記サンプルのDNAに対して行い、薬物耐性を示す目的の標的を検出し、それによって、前記被験体において薬物耐性を検出する工程、
を包含する方法。
【請求項26】
前記薬物は、化学療法薬である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
各合成バリアントDNAフラグメントは、SNV/INDEL転座および増幅の複数のバリアントを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2021年5月7日出願の米国仮特許出願第63/185,732号の優先権の利益を主張する。先の出願の開示は、本出願の開示の一部とみなされ、参考として援用される。
【0002】
本発明の背景
発明の分野
本発明は、一般に、遺伝子分析、およびより具体的には、遺伝子分析アッセイの性能測定基準を開発および評価するための、合成ポリヌクレオチドの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景情報
人為的臨床サンプルおよび細胞株サンプルは、目的の標的バリアントを含む臨床サンプルが獲得困難または不可能である場合に、上記アッセイの性能を訓練するおよび評価するために、次世代シーケンシング(NGS)アッセイ開発の間に利用される。これらの人為的サンプルはまた、臨床患者血漿の生物学的制限、すなわち、循環する無細胞DNA(cfDNA)の低収量および単一の臨床検体において検出可能である実施可能な変更(actionable alteration)の数が制限されていることに対処するために作り出される。
【0004】
人為的cfDNAサンプルの作製のための現在の方法は、不正確で、高価であり、労働集約的である。その人為的サンプルの作製プロセスは、各サンプルの包括的な変異シグナチャーを特定するために、NGSベースのアッセイでの細胞株および/または臨床サンプルの予備的な特徴付けを含む。各サンプルについてのシグナチャーがいったん得られた後、目的の特定のバリアントを含む細胞株または臨床サンプルは、最終的な人為的ブレンドにおける上記バリアントの所望の表示を達成するために特定の比において合わせられる。これらのブレンドされたサンプルがいったん作製された後、それらは再び、分析アッセイ開発試験における登録の前に、目的の特定されたレベルにおいて上記目的のバリアントを含むことを確実にするように予備的に特徴づけられる。
【0005】
各作製された人為的ブレンドは、代表的には、少数のバリアントを含み、各バリアントタイプ(SNVs/INDELs、転座および増幅)は、別個の人為的ブレンドによって表されることを必要とする。従って、多数の人為的サンプルブレンドは、しばしば、包括的なNGSアッセイの性能を訓練し、検証するために必要とされる。NGSアッセイにおいて細胞株ブレンドを使用するさらなる制限は、細胞株ブレンドが再生可能である一方で、それらはcfDNAを模倣する適切なサイズ分布を提供しないということである。
【0006】
cfDNAアッセイ技術(例えば、ハイスループットNGS、qPCRまたはデジタルPCR)の開発は、cfDNAサンプルのプロファイリングを可能にする。しかし、性能評価および異なるアッセイ間での比較は、サンプル変動性および技術バイアスに起因して困難であり得る。アッセイ性能を較正、評価、および検証する能力に起因して、より頑健でありかつ臨床上関連する遺伝子分析アッセイが必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
本開示は、遺伝子分析アッセイ開発の間に人為的臨床サンプルおよび細胞株サンプルを使用することの制限に対処して、目的の標的バリアントを含む臨床サンプルが獲得困難または不可能である場合に、上記アッセイの性能を訓練および評価するために、合成ポリヌクレオチドを使用する方法を提供する。本開示は、複数の臨床上重要な生殖系列および体細胞バリアントを含む合成ポリヌクレオチド(例えば、DNA)サンプルの生成を記載する。これらの材料は、ポリヌクレオチドベースの遺伝子分析アッセイ(例えば、NGSアッセイ)の性能を較正、評価、および検証するために利用される。
【0008】
一実施形態において、本開示は、合成ポリヌクレオチド(例えば、DNAフラグメント)を使用してアッセイ性能を検証するための方法を提供する。上記方法は、既知のアレル頻度を有するバリアントを含む合成バリアントDNAフラグメントを生成する工程であって、ここで上記フラグメントは、分子タグを含む、生成する工程;上記合成バリアントDNAと野生型DNAとを組み合わせて、試験サンプルを作製する工程;上記試験サンプルの1またはこれより多くの希釈物を調製する工程;試験サンプルの上記1またはこれより多くの希釈物に対して目的のアッセイを行う工程;および上記アッセイの結果と、目的の既知のアレル頻度を有する上記試験サンプルとを比較し、それによって、上記アッセイの性能を検証する工程を包含する。
【0009】
別の実施形態において、本開示は、被験体において疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を検出する方法を提供する。上記方法は、本開示の方法を使用してアッセイ性能を検証する工程であって、ここで上記目的のアッセイは、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を検出する、検証する工程;上記被験体からサンプルを得る工程;および上記検証したアッセイを、上記被験体に由来する上記サンプルのDNAに対して行い、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を示す目的の標的を検出し、それによって、上記被験体において疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を検出する工程を包含する。
【0010】
さらに別の実施形態において、本開示は、被験体において薬物耐性を検出する方法を提供する。上記方法は、本開示の方法を使用してアッセイ性能を検証する工程であって、ここで上記目的のアッセイは、薬物耐性を検出する工程;上記被験体からサンプルを得る工程;および上記検証したアッセイを、上記被験体に由来する上記サンプルのDNAに対して行い、薬物耐性を示す目的の標的を検出し、それによって、上記被験体において薬物耐性を検出する工程を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、合成ポストシーケンスとして上記分子の特定を可能にする合成DNA分子の3’末端および5’末端における分子タグの存在を示す模式図である。
【0012】
図2図2は、人為的サンプルに由来するDNAフラグメントおよびホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)臨床サンプルに由来するDNAのサイズを示す画像である。
【0013】
図3図3は、特定のDNAフラグメントまたは合成ポリヌクレオチドが、ポストシーケンシングNGSデータにおいて内因性および外因性のバーコードによってどのように表されるかを図示する模式図である。
【0014】
図4図4は、本発明の1つの局面において、一塩基バリアント(SNVs)および挿入/欠失(INDELS)事象の両方を標的化する合成cfDNAフラグメントの設計を図示する模式図である。
【0015】
図5図5は、本発明の1つの局面において、目的の特定の転座バリアントを表す合成キメラcfDNAポリヌクレオチドの設計を図示する模式図である。
【0016】
図6図6は、本発明の1つの局面において、コピー数バリアントの合成DNAポリヌクレオチドの設計を図示する模式図である。
【0017】
図7図7は、初期バリアントパネルが希釈を介して野生型DNAとどのように組み合わされ得るかを図示する模式図である。希釈は、合成サンプルおよび正常サンプルについてのゲノム当量の分子量が非常に異なるという前提で行われる。
【0018】
図8図8は、希釈系列線形性およびアッセイ比較を示す。
【0019】
図9図9は、合成cfDNA V1 対 V2におけるアレル頻度の分布を示す。V2は、目標MAFの周辺の変動性の低減を示す。
【0020】
図10図10は、設計のv1およびv2における推測される2% 合成cfDNA+WT細胞株DNA人為的サンプルからの配列フラグメント長の分布を示す。
【0021】
図11図11は、cfDNAサンプルからのフラグメント長分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本開示は、複数の臨床上重要な生殖系列および体細胞バリアントを含むポリヌクレオチド(例えば、DNAまたはRNA)を含む合成標準品の生成を記載する。これらの材料は、ポリヌクレオチドベースの遺伝子分析アッセイ(例えば、NGSアッセイ)の性能を較正、評価、および検証するために利用される。
【0023】
本発明の組成物および方法を記載する前に、本発明が、記載される特定の組成物、方法および実験条件に限定されないことは、理解されるべきである。なぜならこのような組成物、方法および条件は変動し得るからである。本明細書で使用される用語法は、特定の局面および実施形態を記載する目的に過ぎず、限定であるとは意図されないことも理解されるべきである。なぜなら本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲においてのみ限定されるからである。
【0024】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a(1つの、ある)」、「an(1つの、ある)」および「the(上記、この、その)」は、文脈が別段明確に規定しなければ、複数形への言及を含む。従って、例えば、「上記方法(the method)」への言及は、本開示を読んだ際に当業者に明らかになる本明細書に記載されるタイプの1もしくはこれより多くの方法、および/または工程を含むなどである。さらなる例証の目的で、用語「標的核酸」は、複数の標的核酸(その混合物を含む)を含む。
【0025】
用語「約(about)」または「およそ(approximately)」とは、当業者によって決定される場合、特定の値に関する許容可能な誤差範囲内であることを意味し、これは、その値が測定または決定される方法(例えば、測定系の制限)に一部依存する。例えば、「約」は、当該分野の実務に従って、1または1より大きい標準偏差以内を意味し得る。あるいは、「約」は、所定の値の20%まで、10%まで、5%まで、または1%までの範囲を意味し得る。あるいは、特に、生物学的システムまたはプロセスに関して、上記用語は、値の一桁内、好ましくは5倍以内、およびより好ましくは2倍以内を意味し得る。特定の値が本明細書および特許請求の範囲において記載される場合、別段述べられなければ、その特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味する用語「約」が想定されるべきである。
【0026】
別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載されるものに類似または等価な任意の方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、その好ましい方法および材料がここで記載される。
【0027】
本開示は、アッセイの性能を訓練および評価するために、遺伝子分析アッセイの開発および実行における標準品として合成ポリヌクレオチド(例えば、DNA)を使用する革新的な方法を提供する。
【0028】
用語「標準品」、「参照」、または「合成サンプル」とは、本明細書で使用される場合、一般に、ある特定のあらかじめ規定された基準に対して調製された物質に言及し、例えば、アッセイのある特定の局面を評価するために使用され得る。標準品または参照は、好ましくは、再現性のある、一貫したかつ信頼性のある結果を生じる。これらの局面は、性能測定基準を含み得る。その例としては、正確度、特異度、感度、線形性、再現性、および検出限界または定量限界が挙げられるが、これらに限定されない。標準品または参照は、アッセイ開発、アッセイ検証、および/またはアッセイ最適化のために使用され得る。標準品は、アッセイの定量的および定性的局面を評価するために使用され得る。標準品は、規定された参照が必要および/または有用である任意の適用において使用され得ることが認識される。いくつかの局面において、適用としては、所定のアッセイに関してQCサンプル/コントロール、アッセイコントロール(製品)、フィラーサンプル、訓練サンプル、および/またはロット間性能をモニタリング、比較および/または別の方法で評価することが挙げられ得る。
【0029】
用語「ポリヌクレオチド」、「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は、交換可能に使用される。それらは、任意の長さのヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはそのアナログのいずれかのポリマー形態に言及する。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である: 遺伝子もしくは遺伝子フラグメントのコード領域もしくは非コード領域、連鎖分析から規定された遺伝子座、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、ショートヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝状ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、cfDNAおよび無細胞RNA(cfRNA)を含む無細胞ポリヌクレオチド、核酸プローブ、ならびにプライマー。ポリヌクレオチドは、1またはこれより多くの改変されたヌクレオチド(例えば、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログ)を含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造の改変は、ポリマーのアセンブリの前または後ろに付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、重合後に、例えば、標識構成要素との結合体化によってさらに改変され得る。
【0030】
1つの実施形態において、本開示は、単一サンプルセット中に目的の複数の変更を含む合成cfDNAサンプル(本明細書において標準品または参照ともいわれる)の設計および使用を記載する。これらの材料の設計および開発は、所望の目的のバリアントを得るために必要な多数の臨床サンプルまたは細胞株サンプルを供給する、予備的に特徴づける、ブレンドする、および希釈する必要性を軽減する。上記合成標準品は、人為的材料の製造を合理化し、プロセスと関連するコストを劇的に低減する。さらに、単一の検体において複数のバリアントおよびバリアントタイプを評価することによって、アッセイ反応およびシーケンシング実行の数の低減が、アッセイを分析的に検証するために必要とされる。これは、アッセイ開発に関するコストの低減および開発時間のさらなる短縮を生じ得る。
【0031】
用語「無細胞核酸」または「CFNA」とは、細胞外核酸、ならびに循環する遊離核酸に言及する。よって、用語「細胞外核酸」、「無細胞核酸」および「循環する遊離核酸」は、交換可能に使用される。細胞外核酸は、生物学的供給源(例えば、血液、尿、および糞便)中で見出され得る。CFNAは、無細胞DNA(cfDNA)、循環する遊離DNA(cfDNA)、無細胞RNA(cfRNA)、または循環する遊離RNA(cfRNA)に言及し得る。CFNAは、アポトーシスまたは壊死を受けている細胞から核酸が脱落することから生じ得る。以前の研究は、CFNA(例えば、cfDNA)が、定常状態レベルで存在し、細胞傷害または壊死に伴って増加し得ることを明らかに示した。いくつかの場合には、CFNAは、異常な細胞または健常でない細胞(例えば、腫瘍細胞)から脱落する。腫瘍細胞から抜け出したcfDNAは、いくつかの場合には、ゲノム情報を使用して(例えば、正常細胞と異常細胞との間を区別する変異および/もしくは遺伝子融合を含む遺伝子バリエーション、ならびにポリヌクレオチドの長さ、末端位置、および塩基改変(例えば、メチル化、ヒドロキシメチル化、ホルミル化、カルボキシル化など)のようなさらなる識別子を特定することによって)、異常細胞または健常細胞から抜け出したcfDNAから区別され得る。いくつかの場合には、CFNAは、胎児と関連する細胞から母体循環へと脱落する。いくつかの場合には、CFNAは、宿主(例えば、被験体(例えば、患者))に感染した病原体に由来し得る。
【0032】
用語「変異体または「バリアント」とは、アレルまたは配列を参考にして作製される場合、一般に、特定の天然の集団において最も一般的な表現型をコードしないアレルまたは配列に言及する。用語「変異アレル(mutant allele)」および「バリアントアレル」は、交換可能に使用され得る。いくつかの場合には、変異アレルは、野生型アレルと比較して集団の中でより低い頻度において存在するアレルに言及し得る。いくつかの場合には、変異アレルまたは変異配列は、野生型配列から、疾患状態および/もしくは薬物耐性状態と関連する表現型を表す変異した配列へと変異したアレルまたは配列に言及し得る。変異アレルおよび変異配列は、野生型アレルおよび野生型配列とはわずか1塩基程度異なる場合があるが、数塩基までまたはそれより多く異なり得る。遺伝子を参考にして作製される場合に用語、変異体は、一般に、遺伝子において1またはこれより多くの配列変異に言及し、点変異、一塩基多形(SNP)、挿入、欠失、置換、転移、転座、コピー数バリエーション、または別の遺伝子変異、変更もしくは配列バリエーションが挙げられる。
【0033】
一般に、用語「配列バリアント」とは、1またはこれより多くの参照配列と比較して、配列における任意のバリエーションに言及する。代表的には、上記配列バリアントは、参照配列が既知である個体の所定の集団に関する参照配列より低頻度で起こる。いくつかの場合には、上記参照配列は、単一の既知の参照配列(例えば、単一個体のゲノム配列)である。いくつかの場合には、上記参照配列は、複数の既知の配列(例えば、参照集団として働く複数の個体のゲノム配列、または同じ個体に由来するポリヌクレオチドの複数のシーケンシングリード)を整列させることによって形成されるコンセンサス配列である。いくつかの場合には、上記配列バリアントは、上記集団において低頻度で起こる(「稀少」配列バリアントともいわれる)。例えば、上記配列バリアントは、おおよそ約5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、0.1%、0.075%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.005%、0.001%もしくはそれより低い、またはこれら未満の頻度で起こり得る。いくつかの場合には、上記配列バリアントは、おおよそ約0.1%もしくはこれ未満の頻度で起こる。配列バリアントは、参照配列に関連して任意のバリエーションであり得る。配列バリエーションは、単一ヌクレオチドの、または複数のヌクレオチド(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれより多くのヌクレオチド)の変化、挿入、または欠失からなり得る。配列バリアントが2個またはこれより多くのヌクレオチド差異を含む場合、上記異なるヌクレオチドは、互いと連続していてもよいし、不連続であってもよい。配列バリアントのタイプの非限定的な例としては、一塩基多形(SNP)、欠失/挿入多形(INDEL)、コピー数バリアント(CNV)、ヘテロ接合性喪失(LOH)、マイクロサテライト不安定性(MSI)、可変数のタンデム反復(VNTR)、およびレトロトランスポゾンベースの挿入多形が挙げられる。配列バリアントのタイプのさらなる例としては、ショートタンデムリピート(STR)および単純配列反復(simple sequence repeats)(SSR)内で起こるもの、または増幅フラグメント長多形(AFLP)または検出され得るエピジェネティックマークにおける差異(例えば、メチル化差異)に起因して起こるものが挙げられる。いくつかの局面において、配列バリアントは、転座もしくは融合遺伝子、または例えば、クロモスリプシスから生じる複数の遺伝子の融合が挙げられるが、これらに限定されない染色体再配列に言及し得る。
【0034】
用語[アレル]とは、本明細書で使用される場合、特定の遺伝子座における遺伝子の1またはこれより多くの代替の形態のいずれか(その形態は全て、その特定の遺伝子座における1つの形質または特徴に関連し得る)に言及する。生物の二倍体細胞において、所定の遺伝子のアレルは、特定の位置、または染色体上の遺伝子座(複数の遺伝子座)に位置し得る。異なるアレル間で異なるこれらのバリアント部位における配列は、「バリアント」、「多形」、または「変異」といわれる。
【0035】
用語「アレル頻度(allele frequency)」または「アレル頻度(allelic frequency)」とは、本明細書で使用される場合、一般に、例えば、分数またはパーセンテージとして表される、サンプル中のアレル(例えば、遺伝子のバリアント)の相対的頻度に言及する。いくつかの場合には、アレル頻度は、サンプル(例えば、無細胞核酸サンプル)中のアレル(例えば、遺伝子のバリアント)の相対的頻度に言及し得る。いくつかの場合には、アレル頻度は、サンプル(例えば、無細胞核酸標準品)中のアレル(例えば、遺伝子のバリアント)の相対的頻度に言及し得る。変異アレルのアレル頻度は、サンプル(例えば、無細胞核酸サンプル)中の野生型アレルと比較した変異アレルの頻度に言及し得る。例えば、サンプルが、ある遺伝子の100コピーを含み、そのうちの5個は、変異アレルであり、そのうちの95個は、野生型アレルである場合、上記変異アレルのアレル頻度は、約5/100または約5%である。変異アレルのコピーを有しない(例えば、約0% アレル頻度)サンプルは、例えば、陰性コントロールとして使用され得る。陰性コントロールは、変異アレルが検出されると予測されないサンプルであり得る。約50% アレル頻度において変異アレルを含むサンプルは、例えば、生殖系列ヘテロ接合性変異を表し得る。
【0036】
用語「野生型」とは、アレルまたは配列を参考にして作製される場合、一般に、特定の天然の集団において最も一般的である表現型をコードするアレルまたは配列に言及する。いくつかの場合には、野生型アレルは、上記集団中に最高頻度で存在するアレルに言及し得る。いくつかの場合には、野生型アレルまたは配列は、異常な状態(例えば、疾患状態)と比較して正常な状態と関連するアレルまたは配列に言及する。
【0037】
種々の局面において、本開示は、CFNA標準品を使用する方法、ならびにCFNA標準品を含む組成物およびキットを提供する。
【0038】
1つの実施形態において、本開示は、合成ポリヌクレオチド(例えば、ゲノムバリアントを含む合成DNAフラグメント)を含むCFNA標準品を使用して、アッセイ性能を検証するための方法を提供する。上記方法は、以下の工程を包含する: 既知のアレル頻度を有するバリアントを含む合成バリアントDNAフラグメントを生成する工程であって、ここで上記フラグメントは、分子タグを含む、生成する工程;上記合成バリアントDNAと野生型DNAとを組み合わせて、試験サンプルを作製する工程;上記試験サンプルの1またはこれより多くの希釈物を調製する工程;試験サンプルの上記1またはこれより多くの希釈物に対して目的のアッセイを行う工程;および上記アッセイの結果と目的の既知のアレル頻度を有する上記試験サンプルとを比較し、それによって、上記アッセイの性能を検証する工程。
【0039】
種々の局面において、本発明の方法とともに使用するための試験サンプルは、被験体から、例えば、被験体の生物学的サンプルから得られるCFNA(例えば、cfDNAおよび/またはcfRNA)を含む。被験体の非限定的な例は、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、齧歯類(例えば、マウスおよびラット)、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ウサギなど)である。いくつかの局面において、被験体は、疾患もしくは障害を有すると疑われ、上記被験体から得られる無細胞ポリヌクレオチドは、上記疾患もしくは障害と関連する配列バリアントを含み得る。いくつかの局面において、被験体は妊娠しており、上記被験体から得られる無細胞ポリヌクレオチドは、胎児ポリヌクレオチドを含む。
【0040】
本開示は、CFNA分析の文脈における合成ポリヌクレオチドフラグメントの開発および使用を例証する一方で、合成ポリヌクレオチドフラグメントは、CFNAに加えて、遺伝物質の多くのタイプの分析のために開発および使用され得ることが認識される。いくつかの局面において、合成ポリヌクレオチドフラグメントは、生物学的サンプルから得られ得る遺伝物質の実質的に任意のタイプの分析のために、開発され得、アッセイにおいて使用され得る。例えば、核酸は、組織、細胞またはその一部、全血、血漿もしくは血清から単離され得る。例示によれば、生物学的サンプル(例えば、試験サンプル)としては、組織、全血、血清、血漿、尿、糞便、胆汁、母乳、乳汁、胃酸、粘液、膿、カタル性分泌物、唾液、精液、喀痰、汗、涙液、腟分泌物、嘔吐物、臍帯血、および子宮頸管内液が挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの局面において、上記生物学的サンプルは、細胞株、組織学スライド、生検サンプル、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織、体液、糞便、尿、血漿、血清、全血、単離された血球、または血液から単離された細胞である。
【0041】
上記サンプルの標的核酸が、検出されることが望ましい任意の核酸に言及し得ることは、理解される。例えば、疾患(例えば、がんまたは腫瘍)を有するかまたは有すると疑われる被験体から得られるサンプルにおいて、上記標的核酸は、その疑われるがんまたは腫瘍と、弱くまたは強くいずれかで関連することが公知のバリアントアレルに言及し得る。さらに、薬物耐性状態を有するかまたは有すると疑われる被験体から得られるサンプルにおいて、上記標的核酸は、特定の治療薬物または薬物クラスに対する耐性と、弱くまたは強くいずれかで関連することが公知の配列バリアントまたはバリアントアレルに言及し得る。
【0042】
種々の局面において、上記試験サンプルは、cfDNAを含む。いくつかの局面において、上記cfDNAは、CFNAアッセイにおいて使用する前に、精製または濃縮され得る。例えば、cfDNAは、結合樹脂またはビーズ(それによって、所望のサイズのcfDNAが、保持され、別々の体積中に放出される)を使用して精製または濃縮され得る。種々の局面において、cfDNAは、例えば、モノヌクレオソームの長さであるcfDNAフラグメントの割合を富化するために、使用する前にサイズ(例えば、長さ)に関して選択され得る。
【0043】
無細胞ポリヌクレオチド(cfDNAを含む)は、無細胞ポリヌクレオチドが、細胞および他の体液の不溶性構成要素から分離される分割工程を通じて、体液から抽出および分離され得る。分割技術の例としては、例えば、結合樹脂またはビーズの使用、または任意の他の従来技術が挙げられる。いくつかの局面において、細胞は、最初は、無細胞ポリヌクレオチドから分割されるのではなく、むしろ溶解される。いくつかの局面において、無傷の細胞のゲノムDNAは、選択的沈殿を経て分割される。無細胞ポリヌクレオチド(DNAを含む)は、可溶性のままである場合もあり、不溶性ゲノムDNAから分離および抽出され得る。いくつかの手順によれば、種々のキットに特異的な、緩衝液の添加および他の洗浄工程の後に、DNAは、イソプロパノール沈殿を使用して沈殿され得る。さらなるクリーンアップ工程が、汚染物または塩を除去するために使用され得る(例えば、結合樹脂、ビーズ、またはシリカベースのカラム)。一般的な工程は、特定の適用のために最適化され得る。非特異的なバルクキャリアポリヌクレオチドは、例えば、収率などの手順のある特定の局面を最適化するために、反応全体を通じて添加され得る。
【0044】
いくつかの局面において、cfDNAフラグメントは、長さがおよそ均一である。いくつかの局面において、cfDNAフラグメントは、長さがおよそ均一でない。いくつかの局面において、cfDNAフラグメントは、長さが約50~1000ヌクレオチドの平均長を有する。いくつかの局面において、cfDNAフラグメントは、長さが約50~500ヌクレオチドの平均長を有する。いくつかの局面において、cfDNAフラグメントは、長さが約50~250ヌクレオチドの平均長を有する。いくつかの局面において、cfDNAフラグメントは、長さが約50~200ヌクレオチドの平均長を有する。いくつかの局面において、cfDNAフラグメントは、長さが約50~100ヌクレオチドの平均長を有する。いくつかの局面において、DNAフラグメントは、約100~300ヌクレオチドの平均長を有する。
【0045】
一局面において、本開示は、1またはこれより多くのゲノムポリヌクレオチド(1またはこれより多くの配列バリアントを含む)に由来するおよび/または表す複数の合成ポリヌクレオチドを含むCFNA標準品を提供する。上記複数の合成ポリヌクレオチドの個々のメンバーは、5’末端および3’末端を有する。いくつかの局面において、上記標準品の合成ポリヌクレオチドは、上記合成ポリヌクレオチドが、試験サンプル中に存在するCFNAから区別され得るように、分子タグ(例えば、バーコード配列)を含む。いくつかの局面において、少なくとも上記複数の合成ポリヌクレオチドの部分セットは、約100~300塩基の範囲に及ぶ長さを有する。
【0046】
用語「ゲノムポリヌクレオチド」とは、本明細書で使用される場合、染色体に由来するかまたは染色体から単離されたポリヌクレオチドに言及する。ゲノムポリヌクレオチドは、任意の長さの染色体の連続する部分に言及し得る。
【0047】
インビボでのcfDNAのフラグメントサイズは、約140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、または160~180の塩基対(およそ、ヌクレオソームとそのリンカーの周りに巻き付けられたDNAの長さ)あたりに概して集中している。本明細書で開示されるCFNA標準品の合成ポリヌクレオチドは、インビボでのcfDNAのものに類似のサイズ分布を有し得る。いくつかの局面において、少なくとも上記合成ポリヌクレオチドの部分セットは、約100~300塩基の範囲に及ぶ長さを有する。例えば、本明細書で開示される標準品の合成ポリヌクレオチドのうちの少なくとも30%(例えば、少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または95%超)は、約100~300塩基の範囲に及ぶ長さを有する。いくつかの局面において、本明細書で開示される標準品の合成ポリヌクレオチドのうちの大部分は、約100~300塩基の長さを有する。例えば、本明細書で開示される標準品の合成ポリヌクレオチドのうちの少なくとも50%(例えば、少なくとも 55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または95%超)は、約100~300塩基の範囲に及ぶ長さを有する。
【0048】
所定のアッセイにおいて分析されている核酸の供給源/タイプ(例えば、ゲノムまたは無細胞)に応じて、合成ポリヌクレオチドのサイズは変動し得ることが認識される。例えば、ゲノムDNAを分析するためにアッセイにおいて使用される核酸標準品の合成ポリヌクレオチドは、約50~500塩基、1,000塩基、10,000塩基またはこれより多くの塩基の範囲に及ぶ長さを有し得る。よって、CFNA標準品を記載する本開示の局面は、CFNA標準品のものより大きい長さを有する合成ポリヌクレオチドを有する核酸標準品に適用可能である。
【0049】
本明細書で考察されるように、本発明の標準品の合成ポリヌクレオチドは、配列バリアントを有するゲノムポリヌクレオチド配列と関連し得る。いくつかの局面において、標準品は、ゲノムポリヌクレオチドのうちの少なくとも1個の部分セット(例えば、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個の部分セット)を表す合成ポリヌクレオチドを含む。本明細書で提供されるCFNA標準品は、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個、100個、110個、120個、130個、140個、150個、160個、170個、180個、190個、200個、210個、220個、230個、240個、250個、260個、270個、280個、290個、300個、310個、320個、330個、340個、350個、360個、370個、380個、390個、400個、410個、420個、430個、440個、450個、460個、470個、480個、490個、または500個の部分セットを含み得る。
【0050】
本明細書で開示されるCFNA標準品は、ある特定のインビボでのCFNAサンプルを表す核酸の混合物(例えば、被験体の正常な健常細胞に由来する核酸および/または疾患もしくは障害と関連する細胞に由来する核酸、薬物耐性を有する被験体に由来する核酸、腫瘍細胞に由来する核酸、胎児細胞に由来する核酸、非自己供給源(例えば、細胞または組織移植片)に由来する核酸、ならびに/あるいは病原性または非病原性の微生物(例えば、細菌またはウイルス)に由来する核酸の混合物を含むサンプル)を含み得る。
【0051】
このような標準品のいくつかの局面において、1またはこれより多くの変異アレルおよび/または配列バリアントを含む1またはこれより多くの合成ポリヌクレオチドは、CFNAアッセイを開発する、CFNAアッセイを検証する、CFNAアッセイを最適化する、および/またはCFNAアッセイの性能を評価するために使用される。いくつかの局面において、上記1またはこれより多くの合成ポリヌクレオチドの検出は、CFNAアッセイから得られる結果を検証する、立証する、および/または正規化するために使用される。いくつかの局面において、CFNAアッセイは、サンプル中の合成ポリヌクレオチドの存在を検出するその能力に関して評価され得る。CFNA標準品中の合成ポリヌクレオチドの存在を検出するこの能力は、上記アッセイがCFNAサンプル中で標的核酸を検出する能力を表し得る。
【0052】
いくつかの局面において、本明細書で開示されるCFNA標準品は、CFNA(腫瘍核酸、胎児核酸、移植された細胞の非自己核酸、および/または病原性の核酸を含む疾患関連核酸を検出するためのCFNAアッセイ)アッセイを開発する、CFNAアッセイを検証する、CFNAアッセイを最適化する、および/またはCFNAアッセイの性能を評価するために有用である。いくつかの局面において、本明細書で開示されるCFNA標準品は、CFNAアッセイから得られる結果を検証する、立証する、および/または正規化するために有用である。
【0053】
本明細書で記載される合成サンプルは、旧来の細胞株、臨床由来の、および合成アンプリコンベースの材料にわたるいくつかの重要な利点を有する。
【0054】
種々の局面において、上記合成サンプルのポリヌクレオチドは、人為的バリアントを臨床サンプルから区別するために、各合成ポリヌクレオチドフラグメントへと組み込まれた分子タグを有する。本開示の合成サンプルは、遺伝子アッセイ(例えば、包括的なNGSアッセイ)において標的化されたエキソンの同時分析検証を可能にする複数の臨床的に関連するおよびゲノムワイドな変更を含む潜在性を有する。
【0055】
種々の局面において、本発明のCFNA標準品は、合成cfDNAサンプルである。合成cfDNAサンプル中に存在する多数の高純度、高頻度バリアントに起因して、交差汚染が臨床環境または研究環境内で起こる潜在性がある。アッセイ開発活動に影響するという微量の合成cfDNAサンプルのリスクを軽減するために、分子タグは、図1に示されるように、合成ポリヌクレオチドを含む各バリアントの配列へと設計されている。種々の局面において、バーコード配列は、各合成DNA分子の3’末端および5’末端に含む。このバーコード配列の存在は、位置および配列組成の両方において、隣接する合成DNA分子上のバーコード配列と重複しないような方法で配置される。シーケンシング後に、これらのバーコード配列は、通常の分析の間にフィルタを通して除去されるが、上記標準品の合成DNAフラグメントを、臨床起源または細胞株起源のDNAから区別するための方法として、データ中に存在したままである。上記設計のこの特徴は、旧来の人為的サンプルモデルを超える利点である。これらの合成材料に伴う汚染事象が、あらゆる合成DNA分子上のバーコード配列の存在に起因して、極めて低レベルまで容易に検出可能であるからである。
【0056】
本明細書で考察されるように、本開示の合成ポリヌクレオチドのフラグメント化プロフィールは、臨床症例で観察されるcfDNAフラグメント化プロフィールを模倣するように正確に適合させられ得る。
【0057】
臨床cfDNAサンプルは、ゲノムにわたる任意の所定の位置に関して開始位置および終了位置の多様な範囲を有する長さがおよそ167bpのフラグメント化された2本鎖DNA配列を含む。細胞株サンプル、新鮮凍結サンプルまたはFFPE臨床サンプルから人為的サンプルを作製するために確立された方法は、超音波処理または酵素による消化を通じて、およその長さへとゲノムDNAを剪断することを含む。人為的サンプルのフラグメント化プロフィールは、cfDNAとは異なる。なぜなら使用される剪断方法は、均一なフラグメントを作製するための解決策を欠いているからである。人為的サンプルのDNAフラグメント化の長さは、cfDNAの167bpプロフィールあたりに集中したより狭い分布よりむしろ、約100bp~約250bpの範囲に及ぶ。図2は、cfDNAと、剪断された細胞株と、臨床FFPEケースの間のフラグメント化プロフィールの差異を図示する。
【0058】
DNA製造技術を使用すると、各合成ポリヌクレオチドフラグメントの長さは、臨床cfDNA検体の予め特定されたフラグメント化長へと正確に制御され得る。
【0059】
高感度NGSアッセイは、内因性および外因性の分子バーコードの両方に依拠して、誤差を補正した別個の適用範囲(error-corrected distinct coverage)を作製し、これを利用して変異を確実に特定し、偽陽性バリアントを排除する。内因性の別個の適用範囲(EDC)は、フラグメントアラインメントの開始および終了ならびにアラインメントの配向によって表される、バリアントにまたがる別個の配列決定された分子として記載される。NGSアッセイの感度に対するEDCの重要性を考慮すると、所定の目的の領域(Region of Interest)(ROI)に関する開始位置および終了位置の多様な範囲で人為的合成サンプルを作製して、標的化されたバリアントの正確な検出を可能にすることが必要である。
【0060】
図3は、合成ポリヌクレオチドおよびアンプリコンが、本発明の1つの局面において、NGSデータにおける全体の適用範囲およびEDCによってどのように表されるかを詳述する。図3では、合成DNAフラグメントまたは合成されたポリヌクレオチドは、ポストシーケンシングNGSデータにおける内因性および外因性のバーコード配列によって表される。図3に図示されるように、特定のROIを網羅する3つのDNAフラグメントが表される。各オリゴマーは、特定の開始位置および終了位置または内因性バーコードを有する。これらのオリゴマーをそれらの天然の状態で配列決定することが可能であれば、全体の観察された適用範囲およびEDCはともに、3×(ROIを網羅する3つの本来のオリゴマーを表す値)として計算される。PCR増幅後に、2本鎖アンプリコンは、本来のオリゴマーから作製される。これらのアンプリコンは、標的ROIを表す6個のDNAフラグメントを含むが、上記アンプリコンの逆鎖は、その本来のオリゴマーの同じ内因性バーコード配列を維持する。これらのアンプリコンを配列決定することが可能であるならば、ROIの全体の適用範囲は6×である一方で、EDCは、3×において保持される。EDCは、特定の特有の分子バーコード配列で標的化されるフラグメントによって表されるバリアントにまたがる別個の分子として記載される。NGSライブラリー調製の間に、各DNAフラグメントは、特定の外因性バーコード配列でタグ化される(上記のカラーデコードされたフラグメントによって上記で表される)。この例では、各DNA鎖は、3× DNAコピーを作製するために増幅される。この調製されたNGSライブラリーを配列決定することで、18×の全体の適用範囲、6×の別個の適用範囲(DC; 外因性バーコード配列によって計算されるとおり)およびROIに関して3×のEDCが決定される。
【0061】
本発明の合成サンプルの設計において対処した重要な問題は、臨床cfDNAサンプルにおいて観察されたフラグメント化プロフィール(および従って、内因性の適用範囲)を模倣する様式において、合成変異/バリアントDNA分子を配置する方法であった。目的の各バリアントを標的化する単一のオリゴヌクレオチドフラグメントのみを有する人為的サンプルを設計した場合、上記サンプルは、臨床症例で観察されたcfDNAシグナチャーを表さず、EDCを利用して、標的化されたバリアントを呼び出すことは可能でない。1つの局面において、この課題に対処するために、合成DNAフラグメントを含む複数の変異を、上記標的化されたバリアント位置の上流および下流にある別個の開始位置および終了位置を有する約167bpの一貫したおよそのフラグメント長で合成した。
【0062】
DNAフラグメントの配置を知らせるために、248個の臨床サンプルにおいて観察された内因性分子バーコードを、PGDx elio Plasma ResolveTMアッセイを通じて処理した。このデータを使用して、8bpのスライディングウインドウによって規定される開始位置および終了位置で、最小で20×合成変異cfDNAフラグメントを作製することによって臨床データセットにおいて観察される内因性バーコードの分布を模倣することが可能であることが決定された(図4)。図4は、本発明の1つの局面において、SNVsおよびINDELSの両方を標的化する合成cfDNAフラグメントの設計を図示する。初期の概念実証設計は、8bp スライディングウインドウおよび20× フラグメントの適用範囲を使用するが、他のタイル型ウインドウ長および適用範囲深度は、合成cfDNA合成コスト 対 変更の所望の数および人為的サンプルが臨床的DNAを厳密に模倣する方法のバランスをとるために使用され得る。
【0063】
種々の局面において、単一の合成サンプルへとSNV/INDEL 転座および増幅の複数のバリアントを組み合わせると、各バリアントタイプの同時の評価が可能になる。合成オリゴマーを使用して、人為的材料を作製することにおける重要な利点は、何百ものバリアントが設計の中に含まれ得ることである。含めるべき最も単純なバリアントタイプは、SNVおよびINDELSである。なぜなら各フラグメントは、配列に組み込まれる点変異またはINDELで簡単に合成されるからである(図4)。1つの局面において、上記合成サンプルは、480の標的ゲノム領域を表す21遺伝子にわたるSNVsおよびINDELSの検出において有用なオリゴヌクレオチドを含む。各標的ゲノム領域は、単一バリアントを含む。59の臨床上実施可能なまたはホットスポットバリアントを、421のパネルワイドバリアントとともに含めた。以下の表1は、本発明の1つの局面において、上記設計において表される目的の遺伝子を列挙する。
【0064】
【表1】
【0065】
合成DNAフラグメントはまた、各分子が両方の融合遺伝子パートナーに由来する配列を含む転座事象の切断点適用範囲を模倣するために使用され得る。そのアプローチは、SNVsおよびINDELSに関して記載される同じ8×bpスライディングウインドウおよび>20×フラグメントストラテジーを利用する。図5は、転座バリアントが、その設計において表される方法を詳述する。1つの局面において、図5は、特定の目的の転座バリアントを表す合成キメラcfDNA配列の設計を図示する。1つの局面において、本発明の10個の標的転座事象を、表2に列挙する。
【0066】
【表2】
【0067】
増幅事象はまた、合成材料の設計の中に含められ得る。合成CNV事象を作製するために、増幅された遺伝子を標的化する野生型オリゴマーの別々のパネルを合成し得る(CNVパネル)。SNVs/INDELSおよび転座とは異なり、CNVsは、陽性細胞を作製するためにEDCまたはDCを必要としないが、上記オリゴマーの配置に対するスライディングウインドウアプローチがまた、実行され得る。上記合成配列は、標的遺伝子のコードエキソンに制限される。なぜならその遺伝子の全長の適用範囲は不要だからである。合成されたCNVパネルの濃度は、主要SNV/INDEL/転座バリアントパネルの濃度に対して正規化され得、臨床症例において観察される倍率変化事象を模倣するために特定の比において組み合わされ得る。図6は、通常のバックグラウンドと比較して合成野生型配列の濃度の増加を詳述する。図6は、本発明の1つの局面において、合成コピー数バリアントの設計を図示する。その設計は、合成増幅バリアントを含まないが、設計の中に既に含まれているSNV/INDELまたは転座呼び出しに干渉することなく、ERBB2遺伝子に増幅を含めることが可能になるように設計される。
【0068】
種々の局面において、本発明は、上記目的のバリアントのアレル頻度にわたる制御を可能にする。NGSアッセイの分析的検証の本質部分は、特定のバリアントの検出限界(LOD)を確立および確認を含む。LODを確立するために、標的化された目的のバリアントを含む臨床サンプルまたは人為的サンプルの複数の希釈レベルが作製される。各希釈レベルは、上記アッセイの予測されるLODを上回るか、そのLODにおいて、またはそのLODを下回る特定のバリアントアレル頻度(VAF)またはコピー数の値を目標とする。これらの系列希釈は、上記バリアントが所定の信頼区間(代表的には、99%)内でもはや検出されないレベルを決定するために、複数回上記アッセイを経て処理される。
【0069】
目的のバリアントを含む、複数の細胞株サンプルまたは臨床サンプルを組み合わせる場合、各バリアントの相対的VAFはしばしば、サンプル内でおよびサンプルにわたって異なる。バリアント存在量における差異に起因して、人為的サンプルの系列希釈は、異なる比において目標希釈レベルに達する別個のバリアントを生じる。表3は、この効果の例を提供する。
【0070】
【表3】
【0071】
表3に示されるように、7個の目的のバリアントを含む3種の細胞株を組み合わせて、標準品のための初期の人為的ブレンドを作製する。このブレンドは、4つのレベル、予測されるLODを上回るレベル1、レベル1とレベル3との間にあるレベル2、アッセイの予測されるLODにあるレベル3、およびアッセイの予測されるLODを下回るレベル4へとさらに希釈される。バリアントにわたるVAFレベルの差異は、上記ブレンド中のバリアントの各々に関するLODを同時に確立することを複雑にする。
【0072】
合成cfDNAサンプルは、組み合わせた細胞株または臨床症例の制限を克服する。なぜなら各オリゴヌクレオチドは、目的の単一バリアントを含むように合成されるからである。これらのオリゴヌクレオチドはまた、およそ等モル濃度を有し、これは、等しい存在量において100% 変異分子を含むバリアントパネルを生じる。希釈系列を作製するために、上記バリアントパネルを、先ず、野生型バックグラウンドの同等にしたゲノム等価濃度で希釈して、作業ストックを作製する。上記野生型バックグラウンドDNAを、バリアントパネルに類似の様式で作製した合成DNA、または細胞株もしくは健常な正常ドナーサンプルのいずれかから供給し得る。この作業ストックを、野生型DNAの比を増加させてさらに希釈して、所望の目標VAFレベルを作製する。
【0073】
表4は、一例としてFGFR1遺伝子にわたるバリアントを使用して、これらの合成標準品を使用することの利点を図示する。上記合成DNAの4つの希釈レベルを、10%、2%、1%および0.5% VAFレベルを目標として作製した。これらのサンプルを、バリアントパネル中に含まれる21の遺伝子を標的化するHybrid-capture NGSアッセイを使用して、三連で配列決定した。各希釈されたバリアントレベルの平均VAFは、目標とされた値にほぼ一致し、バリアントにわたるアレル頻度の変動性は、代表的に細胞株ブレンドにおいて認められるものより有意に低い。さらに、類似の傾向が、全21遺伝子および概念実証設計に含められた322バリアントにわたって観察された。図7は、初期バリアントパネルが野生型DNAと組み合わされ得る方法を示す。
【0074】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0075】
マイクロサテライト不安定性(MSI)はまた、合成材料の設計の中に含められ得る。MSI生成の機序は、概して、複製のプロセスにおけるDNAのずれ(DNA slippage)、またはDNA複製および修復のプロセスにおけるずれのある鎖および相補鎖の塩基の基のミスマッチ、結果として、反復ユニットの1またはこれより多くのものが省略または挿入されると考えられている。MSIは、がんおよび腫瘍のある特定の部分セットを診断するにあたって有用であった。代表的には、1または2つの塩基の反復配列モチーフを有する領域は、体細胞バリエーションに関して調べられる。そのユニットは、それらが単一配列リード内で区別可能であるように、概して約5~40回反復される。DNAサンプル内での反復の長さにおけるバリエーションの程度は、体細胞バリエーションの性質の指標を提供する。このような反復構造の正確な検出は、しばしば問題となる。なぜならNGSシステムは、このような配列によって困難になる可能性があり、これらの困難は配列関係に応じて変動し得るからである。一連の規定された反復があると、人工的な技術的バリエーションを真の生物学的バリエーションから区別することに役立ち得、従って、疾患または薬物耐性を有する個体からの重要な生物学的リードアウトを特定する一助になる。
【0076】
本明細書で考察されるように、いくつかの局面において、本明細書で開示されるCFNA標準品は、CFNAアッセイを開発する、CFNAアッセイを検証する、CFNAアッセイを最適化する、および/またはCFNAアッセイの性能を評価するために有用である。例えば、CFNA標準品は、少なくとも1つの参照性能測定基準と比較して、少なくとも1つの性能測定基準を改善するために、1またはこれより多くのアッセイ条件の調整を可能にすることによって、CFNAアッセイを開発するにあたって有用であり得る。
【0077】
いくつかの局面において、少なくとも1つの性能測定基準は、検出率(観察される存在量/予測される存在量)またはLODである。いくつかの局面において、上記アッセイは、増幅反応を含む。いくつかの局面において、アッセイ条件は、増幅温度、増幅工程の長さ、または増幅サイクルの数である。
【0078】
用語「観察される存在量」とは、本明細書で使用される場合、一般に、例えば、観察、検出、または測定されるサンプル(例えば、核酸サンプル)中の特定の種(例えば、標的核酸)の相対的表示に言及する。例えば、観察される存在量は、例えば、無細胞核酸アッセイ(CFNAアッセイ)のようなアッセイによって観察または検出されるポリヌクレオチドサンプル中の標的ポリヌクレオチドの相対的表示に言及し得る。これは、例えば、ポリヌクレオチドサンプルのポリヌクレオチドの総数に対する標的ポリヌクレオチド分子の数であり得る。上記標的ポリヌクレオチドが変異アレルまたはバリアントアレルを含む場合、観察される存在量は、サンプル中の変異体の観察される、検出されるまたは測定されるアレル頻度に言及し得る。存在量は、例えば、全体のうちの分数もしくはパーセンテージ、または全体のうちの部分セット(例えば、サンプル中に存在する全アレル(野生型および他の変異体を含む)に対するバリアントアレル)として記載され得る。存在量は、いくつかの場合には、質量濃度、モル濃度、個数濃度、および体積濃度、または他の許容可能な測定単位が挙げられるが、これらに限定されない濃度として記載され得る。
【0079】
用語「予測される存在量」とは、本明細書で使用される場合、一般に、例えば、サンプルに特徴的であると予測されるサンプル(例えば、核酸サンプル)中の特定の種(例えば、標的核酸)の相対的表示に言及する。例えば、予測される存在量は、サンプル(例えば、参照サンプルまたは標準品サンプル)に特徴的であると予測されるポリヌクレオチドサンプル中の標的ポリヌクレオチドの相対的表示に言及し得る。ポリヌクレオチドサンプル中の標的ポリヌクレオチドの相対的表示は、例えば、上記サンプルが、標的ポリヌクレオチドの既知の量を、ポリヌクレオチドサンプル(その量もまた既知である)にコントロールとしてスパイクインすることまたは添加することによって、人工的に生成される場合に予測され得る。存在量は、例えば、全体のうちの分数もしくはパーセンテージ(例えば、サンプル中のポリヌクレオチド分子の総数に対する標的ポリヌクレオチド分子の数)、または全体のうちの部分セット(例えば、遺伝子(変異体および野生型アレルを含む)の分子の総数に対する変異アレルの分子の数)として記載され得る。存在量は、いくつかの場合には、質量濃度、モル濃度、個数濃度、および体積濃度、または他の許容可能な測定単位が挙げられるが、これらに限定されない濃度として記載され得る。
【0080】
用語「推定される存在量」とは、本明細書で使用される場合、一般に、例えば、サンプル(例えば、無細胞核酸サンプル)中の特定の種(例えば、標的核酸)の相対的表示の推定値に言及する。推定される存在量は、測定法および/またはシステムにおける変動性またはエラーを考慮する較正または補正スキームによって、観察される存在量を調整することから得られる値であり得る。測定法またはシステムが、変動性および/または誤差をほとんど有さず、高感度、特異度、および/または正確である場合、推定される存在量および観察される存在量は、偏差は有意でない可能性がある。測定法またはシステムが、高い変動性ならびに/または低い感度、特異度、および/もしくは正確度を有する場合、推定される存在量および観察される存在量は、有意に異なり得る。存在量は、例えば、全体のうちの分数もしくはパーセンテージ(例えば、ポリヌクレオチド分子の総数に対する標的ポリヌクレオチド分子の数)、または全体のうちの部分セット(例えば、遺伝子(変異体および野生型アレルを含む)の分子の総数に対する変異アレルの分子の数)として記載され得る。存在量は、いくつかの場合には、質量濃度、モル濃度、個数濃度、および体積濃度、または他の許容可能な測定単位が挙げられるが、これらに限定されない濃度として記載され得る。
【0081】
いくつかの局面において、上記標的核酸の観察される存在量は、増幅反応(例えば、デジタルポリメラーゼ連鎖反応(dPCR)、ドロップレットデジタルポリメラーゼ連鎖反応(ddPCR)、または定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR))によって決定される。増幅反応(例えば、dPCR、ddPCR、またはqPCR)は、標的核酸に特異的な増幅プライマーを用いて行われ得る。例えば、プライマーは、標的核酸が変異アレルである場合、アレル特異的プライマーであり得る。
【0082】
いくつかの局面において、上記CFNAサンプル中に存在する標的核酸の観察される存在量は、(a)複数の増幅生成物を配列決定して、複数の配列リードを生成する工程であって、ここで上記複数の増幅生成物は、上記CFNAサンプルの標的核酸および非標的核酸を増幅することによって生成される、工程;ならびに(b)上記配列リードを分析して、上記標的核酸の観察される存在量を計算する工程によって決定される。
【0083】
標的核酸および非標的核酸を増幅する工程は、出発材料の量が少ないおよび/または例えば、標的核酸のコピー数を評価するには不十分である場合、分析(例えば、配列決定分析)のために利用可能な材料の量を増加させるために使用され得る。
【0084】
1つの局面において、本明細書で開示されるCFNA標準品は、アッセイ(例えば、機器(例えば、dPCR機械、ddPCR機械、qPCR機械、NGS機械など)または特定の方法(例えば、核酸抽出、精製、ライゲーション、増幅、消化などの工程を含む方法)を要するCFNAアッセイ)の検出限界を決定するにあたって有用であり得る。上記アッセイは、例えば、複数のCFNA標準品(その各々は、予測される存在量においておよび集合的に合成ポリヌクレオチドを有する)を用いて行われ得る。各標準品に関して、上記合成ポリヌクレオチドの観察される存在量は、上記標準品に由来する合成ポリヌクレオチドの観察される存在量が上記バックグラウンド測定値から区別可能である予測される存在量を決定するために、核酸を含まないサンプルの観察される存在量(例えば、バックグラウンド測定値またはノイズレベル)と比較され得る。
【0085】
1つの局面において、本明細書で開示されるCFNA標準品は、アッセイ(例えば、機器(例えば、dPCR機械、ddPCR機械、qPCR機械、NGS機械など)または特定の方法(例えば、核酸抽出、精製、ライゲーション、増幅、消化などの工程を含む方法)を要するCFNAアッセイ)の検出限界を決定するにあたって有用であり得る。上記アッセイは、例えば、複数の特有の合成ポリヌクレオチドを有する単一のCFNA標準品(例えば、合成ポリヌクレオチドの各々は、例えば、バーコード配列のような分子タグの増幅および/または配列決定によって、独立して特定可能である)を用いて行われ得る。単一のCFNA標準品は、少なくとも2種の合成ポリヌクレオチド(例えば、少なくとも3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種または10種より多くの合成ポリヌクレオチド)を含み得る。上記CFNA標準品中に存在する合成ポリヌクレオチドの各々は、ほぼ同じ予測される存在量において標準品中に存在し得る。いくつかの局面において、上記CFNA標準品の各合成ポリヌクレオチドは、変異アレルを含む。上記CFNA標準品の各合成ポリヌクレオチドが変異アレルを含む場合、上記合成ポリヌクレオチドの予測される存在量は、約50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、0.01%未満、または0.001%未満のアレル頻度であり得る。<10%の低MAF範囲における合成ポリヌクレオチドは、好ましくは、検出限界試験において使用され得る。20%~50%のMAF範囲においてより高い存在量を有する合成ポリヌクレオチドは、好ましくは、処理の間に近くのサンプルのキャリーオーバー汚染を試験する、および、生殖系列レベルMAF検出のアッセイ能力を評価し報告するにあたって使用され得る。
【0086】
1つの実施形態において、本発明は、標的核酸および非標的核酸を含むCFNAサンプル中の配列バリアントを含む標的核酸の存在量を推定するためのシステムをさらに提供する。上記システムは、上記CFNAサンプル中の標的核酸のコピー数を決定して、上記標的核酸の観察される存在量を得るように構成された定量モジュール;および標準品の観察される存在量を使用して、上記標的核酸の観察される存在量を調整することによって、上記CFNAサンプル中の標的核酸の推定される存在量を決定するための機能性を有するコンピューターモジュールを含む。いくつかの局面において、上記システムは、受領者にレポートを送るレポートジェネレーターをさらに含み、ここで上記レポートは、上記標的核酸の観察される存在量、上記標的核酸の推定される存在量、上記合成ポリヌクレオチドの観察される存在量、および上記合成ポリヌクレオチドの予測される存在量のうちの少なくとも1つを含む。
【0087】
一局面において、本発明は、本開示の無細胞核酸(CFNA)標準品、ならびに必要に応じてCFNAアッセイを行うための1もしくはこれより多くの試薬および/またはCFNA分析において標準品を使用するための使用者への指示を含むキットをさらに提供する。
【0088】
本明細書で記載される発明の種々の局面において、無細胞核酸サンプル中の標的核酸または標準品中の合成ポリヌクレオチドのコピー数は、観察される存在量を得るために決定される。コピー数または分子数は、種々の適切な方法(デジタルPCR(dPCR)、ドロップレットデジタルPCR(ddPCR)、定量的PCRおよびNGS法が挙げられるが、これらに限定されない)を使用して決定され得る。
【0089】
NGS技術は、高度に並行した様式でヌクレオチド配列の決定を可能にする。核酸増幅およびNGS技術としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない: 単一分子リアルタイムシーケンシング、イオン半導体シーケンシング、パイロシーケンシング、合成によるシーケンシング(SBS)、ライゲーションによるシーケンシング(SBL)、チェーンターミネーションシーケンシング、大規模並列シグナチャーシーケンシング(massively parallel signature sequencing)、ポロニーシーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、Heliscope単一分子シーケンシング、Nanopore DNAシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、質量分析によるシーケンシング、マイクロ流体Sangerシーケンシング、および顕微鏡法ベースのシーケンシング技術。
【0090】
NGS反応のために使用され得るテンプレートのタイプとしては、単一のDNA分子に由来するクローン増幅テンプレートおよび単一のDNA分子テンプレートが挙げられる。クローン増幅テンプレートを調製するための方法としては、エマルジョンPCR(emPCR)および固相増幅が挙げられる。クローン増幅テンプレートを調製するための他の方法としては、ランダムヘキサマープライマーがテンプレートにアニールされ、DNAが一定温度またはほぼ一定温度で高忠実度酵素(例えば、代表的には、phi29)によって合成される多重置換増幅(MDA)が挙げられる。
【0091】
単一分子テンプレートは、NGS反応のために使用され得るテンプレートの別のタイプである。空間的に分離された単一分子テンプレートは、種々の方法によって固体支持体上に固定され得る。1つのアプローチにおいて、個々のプライマー分子は、固体支持体に共有結合される。アダプターは、上記テンプレートに添加され、次いで、上記テンプレートは、その固定されたプライマーにハイブリダイズされる。別のアプローチにおいて、単一分子テンプレートは、プライミングし、固定されたプライマーから1本鎖の単一分子テンプレートを伸長することによって、固体支持体へと共有結合される。次いで、ユニバーサルプライマーは、上記テンプレートへとハイブリダイズされ得る。さらに別のアプローチにおいて、単一ポリメラーゼ分子が固体支持体に結合され、これに対してプライミングされたテンプレートが結合される。
【0092】
テンプレート調製の後に、シーケンシングが行われ得る。NGSに関する例示的な配列決定および画像化法としては、サイクリックリバーシブルターミネーション(cyclic reversible termination)(CRT)、ライゲーションによるシーケンシング(SBL)、単一分子付加(例えば、パイロシーケンシング)、およびリアルタイムシーケンシングが挙げられるが、これらに限定されない。NGSのための他のシーケンシング法としては、ナノポアシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、ナノトランジスタアレイベースのシーケンシング(nano-transistor array based sequencing)、ポロニーシーケンシング、走査型トンネル顕微鏡法(STM)ベースのシーケンシング、およびナノワイヤ分子センサーベースの配列決定が挙げられるが、これらに限定されない。ダブルエンドシーケンシング(Double-ended sequencing)方法がまた、NGSのために使用され得る。
【実施例
【0093】
本発明の例証的実施例は、作業実施例において提供され、本発明の利点および特徴をさらに例証するが、本発明の範囲を限定することは意図されない。これらの実施例は、使用され得るものの典型であるが、当業者に公知の他の手順、方法論、または技術が代わりに使用されてもよい。
【0094】
合成cfDNAサンプル作製(v1およびv2)。 概念実証合成cfDNA材料(v1)を製造し、これを、希釈方法論を開発し、PGDxハイブリッド捕捉アッセイおよびddPCRにおけるサンプルとしての機能性を評価し、シーケンシングおよび個々のバリアント性能測定基準を評価するために使用した。この概念実証データに基づく推奨を提示し、模倣バリアントにわたるDNAフラグメントの等しい表示およびフラグメント長の一貫性を改善するためのプロセスを改変して、合成cfDNA材料の更新バージョン(v2)へと組み込んだ。
【0095】
合計27の人為的サンプル、野生型(WT)DNAとブレンドした合成cfDNAを作製した(表5)。合成cfDNA人為的サンプルの120を超える複製物を、実行可能性試験に関する4種のPGDxプラズマアッセイ(アッセイA~D)および2つの検証試験において実行した。全てのアッセイは、ハイブリッド捕捉ライブラリー調製およびNGSシーケンシング方法論を利用するが、表5に示されるように、標的遺伝子パネル(サイズおよびバリアント)、または各シーケンサーについてのライブラリー化学における小さなバリエーションのいずれかにおいて異なる。
【0096】
【表5】
【0097】
サンプル作製: 合成cfDNA材料(v1およびv2の両方)を、1本のクライオチューブの中の100ngの凍結乾燥製品として獲得した。上記材料を、20μlのEBに再懸濁して、5ng/μl ストックを作製し、全バリアントに関して100% バリアントアレル頻度(VAF)を有すると想定した。材料の合成設計は、gDNAと比較して、サイズおよびMWの差異に起因して、蛍光分析定量の使用が信頼性のないものになった。投入量を標準化するために、希釈は、1マイクロリットルあたりのコピーに基づいた。1μlあたりのコピーを、5ng/μlのストック溶液中の160bp DNAフラグメント(650g/mol)に関して計算し、全ての部位数(332の標的化された変異)で除算して、ストック溶液における全コピー/部位/μlを推定した。このストック(87145626コピー/μl)を1000コピー/μl 作業ストックへと系列希釈した。100% VAFにある合成cfDNAのこの作業ストックを、細胞株に由来する、体積に基づいて1000コピー/μl(約3.56ng/μl)へと希釈された剪断ゲノム野生型(WT)DNAとブレンドすることによって、複数のVAFレベルを目標にした。
【0098】
目標VAFへとWT DNAとブレンドした合成cfDNAサンプルを、内部PGDxプラズマハイブリッドキャプチャーアッセイで実行し、Illuminaシーケンサーで配列決定した。剪断されたWT細胞株DNAまたは正常血漿cfDNAを、所望のVAFへとブレンドするためのバックグラウンドWT DNAとして使用した。
【0099】
【表6-1】
【表6-2】
【0100】
合成cfDNA v1を用いて、目標MAFs 0.5%~10%における単一複製物を、アッセイBにおいて実行したところ、予測されるSNV変異のうちのおよそ80%が、より高い目標MAF人為的サンプルにおいて特定された。全てのフィルタリング前のファイル(pre-filter files)を調べると、SNVバリアントのうちの97%が、上流のファイルにおいて特定された(表6)。予測される転座のうちの全5個は、1% 目標MAFを上回って検出された(表7)。
【0101】
【表7】
【0102】
【表8】
【0103】
0.5%~1% MAFを目標とする第2の希釈V1シリーズ(表8)を作製し、アッセイBの立証試験における使用のために、アッセイCにおいて事前認定した。アッセイCからの事前認定の結果から、予測されるSNVsの51~84%が検出された。
【0104】
【表9】
【0105】
合成cfDNA v2を使用して、複数の試験において使用される4つの希釈系列を作製した。v2 人為的サンプルに関するSNV測定基準を、アッセイおよび複製物を含む表9に列挙する。
【0106】
【表10-1】
【表10-2】
【0107】
合成cfDNAサンプルは、異なる目標VAFレベルにおいて複数のアッセイでの高い反復性を示す。V1からV2への製造改変は、模倣されたバリアントにわたるDNAフラグメントの表示、およびフラグメント長におけるより少ない変動性の両方において改善を示した(図9)。最新のものでは、v1において7塩基対ごとに認められる周期的ピークが除去され(図10)、分布がより均一になり、小さな(<150bp)フラグメントおよび大きなフラグメント(>200)が減少した。
【0108】
WT DNAでの合成cfDNAバリアントの希釈は、線形性を示し、一貫性をもって希釈された。100% cfDNAストックを5% サンプルを目標としてWT正常血漿で希釈した場合、バリアントシグナルは検出不能であった。希釈系列は、合成cfDNAおよび細胞株WTの以前に作製した10% 人為的サンプルを開始の親レベルとして使用し,次いで、0.1%~1.5%の低希釈レベルを目標とするために正常血漿WTを使用して、成功裡に作製された。
【0109】
合成cfDNAサンプルの利用は、実行可能性および立証試験において極めて価値のあるかつ有効なサンプルタイプであると判明した。
【0110】
本発明は、上記の実施例を参照しながら記載されているが、改変およびバリエーションは、本発明の趣旨および範囲内で包含されることが理解される。よって、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッセイ性能を検証するための方法であって、前記方法は、
既知のアレル頻度を有するバリアントを含む合成バリアントDNAフラグメントを生成する工程であって、ここで前記フラグメントは、分子タグを含む、生成する工程;
前記合成バリアントDNAと野生型DNAとを組み合わせて、試験サンプルを作製する工程;
前記試験サンプルの1またはこれより多くの希釈物を調製する工程;
試験サンプルの前記1またはこれより多くの希釈物に対して目的のアッセイを行う工程;および
前記アッセイの結果と、目的の既知のアレル頻度を有する前記試験サンプルとを比較し、それによって、前記アッセイの前記性能を検証する工程、
を包含する方法。
【請求項2】
変更は、ゲノム全体を通じて起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変更は、エキソンにある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アッセイは、次世代シーケンシング(NGS)、リアルタイムPCR、デジタルPCR、ターゲットシーケンシングおよびゲノムシーケンシングからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記試験サンプルは、細胞株、組織学スライド、生検サンプル、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織、体液、糞便、尿、血漿、血清、全血、単離された血球、および血液から単離された細胞からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記試験サンプル核酸は、cfDNA、ctDNA、mRNA、ゲノムDNA、およびcDNAからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記変更は、生殖系列または体細胞バリアントである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記合成フラグメントDNAは、DNAベースのNGSアッセイを検証するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記合成バリアントDNAフラグメントは、臨床的DNAフラグメントから区別するために、各DNAフラグメントの3’末端および5’末端において分子タグを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記変更は、一塩基バリアント(SNV)、INDELS、コピー数バリアント(CNV)、ヘテロ接合性喪失(LOH)、マイクロサテライト不安定性(MSI)、および転座を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記合成バリアントDNAフラグメントは、標的化されたバリアント位置の上流および下流にある別個の開始位置および終了位置を有する増分のスライディングウインドウに基づくバリアントにまたがる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも約20×合成バリアントDNAフラグメントが生成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各フラグメントは、単一のバリアントを表すために約8bpの間隔を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記フラグメントは、約167bpである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記合成DNAフラグメントは、約10~500の遺伝子のパネルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
各遺伝子は、少なくとも1個の変異を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
1またはこれより多くの遺伝子は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、NTRK1、NTRK2、NTRK3、RET、ROS1、BRAF、BRCA1、BRCA2、EGFR、ERBB2、H3F3A、IDH1、IDH2、KIT、KRAS、MET、NRAS、PDGFR、およびALKから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記合成バリアントDNAフラグメントは、改変された塩基を有するフラグメントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記改変された塩基は、5-メチルシトシン(5mC)、N4-メチルシトシン(N4mC)、および/または6-メチルアデニン(6mA)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記合成バリアントDNAフラグメントは、1またはこれより多くの改変された塩基を有する個々のフラグメントの種々の部分組成から構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
目的の標的を、被験体において疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を検出するための指標として得る方法であって、前記方法は、
前記いずれかの請求項に記載の方法を使用してアッセイ性能を検証する工程であって、前記目的のアッセイは、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を検出する、検証する工程;および
前記検証したアッセイを、前記被験体から得られた前記サンプルのDNAに対して行い、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を示す前記目的の標的を検出し、それによって、前記被験体において疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を検出する工程、
を包含する方法。
【請求項22】
前記目的の標的は、ゲノムバリアントである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ゲノムバリアントは、変異アレルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記疾患もしくは障害は、がんである、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
目的の標的を、被験体において薬物耐性を検出するための指標として得る方法であって、前記方法は、
前記いずれかの請求項に記載の方法を使用してアッセイ性能を検証する工程であって、ここで前記目的のアッセイは、薬物耐性を検出する、検証する工程;および
前記検証したアッセイを、前記被験体から得られた前記サンプルのDNAに対して行い、薬物耐性を示す前記目的の標的を検出し、それによって、前記被験体において薬物耐性を検出する工程、
を包含する方法。
【請求項26】
前記薬物は、化学療法薬である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
各合成バリアントDNAフラグメントは、SNV/INDEL転座および増幅の複数のバリアントを含む、請求項1に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0110】
本発明は、上記の実施例を参照しながら記載されているが、改変およびバリエーションは、本発明の趣旨および範囲内で包含されることが理解される。よって、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
アッセイ性能を検証するための方法であって、前記方法は、
既知のアレル頻度を有するバリアントを含む合成バリアントDNAフラグメントを生成する工程であって、ここで前記フラグメントは、分子タグを含む、生成する工程;
前記合成バリアントDNAと野生型DNAとを組み合わせて、試験サンプルを作製する工程;
前記試験サンプルの1またはこれより多くの希釈物を調製する工程;
試験サンプルの前記1またはこれより多くの希釈物に対して目的のアッセイを行う工程;および
前記アッセイの結果と、目的の既知のアレル頻度を有する前記試験サンプルとを比較し、それによって、前記アッセイの前記性能を検証する工程、
を包含する方法。
(項目2)
変更は、ゲノム全体を通じて起こる、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記変更は、エキソンにある、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記アッセイは、次世代シーケンシング(NGS)、リアルタイムPCR、デジタルPCR、ターゲットシーケンシングおよびゲノムシーケンシングからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記試験サンプルは、細胞株、組織学スライド、生検サンプル、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織、体液、糞便、尿、血漿、血清、全血、単離された血球、および血液から単離された細胞からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記試験サンプル核酸は、cfDNA、ctDNA、mRNA、ゲノムDNA、およびcDNAからなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記変更は、生殖系列または体細胞バリアントである、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記合成フラグメントDNAは、DNAベースのNGSアッセイを検証するために使用される、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記合成バリアントDNAフラグメントは、臨床的DNAフラグメントから区別するために、各DNAフラグメントの3’末端および5’末端において分子タグを含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記変更は、一塩基バリアント(SNV)、INDELS、コピー数バリアント(CNV)、ヘテロ接合性喪失(LOH)、マイクロサテライト不安定性(MSI)、および転座を含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記合成バリアントDNAフラグメントは、標的化されたバリアント位置の上流および下流にある別個の開始位置および終了位置を有する増分のスライディングウインドウに基づくバリアントにまたがる、項目1に記載の方法。
(項目12)
少なくとも約20×合成バリアントDNAフラグメントが生成される、項目11に記載の方法。
(項目13)
各フラグメントは、単一のバリアントを表すために約8bpの間隔を有する、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記フラグメントは、約167bpである、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記合成DNAフラグメントは、約10~500の遺伝子のパネルを含む、項目1に記載の方法。
(項目16)
各遺伝子は、少なくとも1個の変異を含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
1またはこれより多くの遺伝子は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、NTRK1、NTRK2、NTRK3、RET、ROS1、BRAF、BRCA1、BRCA2、EGFR、ERBB2、H3F3A、IDH1、IDH2、KIT、KRAS、MET、NRAS、PDGFR、およびALKから選択される、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記合成バリアントDNAフラグメントは、改変された塩基を有するフラグメントを含む、項目1に記載の方法。
(項目19)
前記改変された塩基は、5-メチルシトシン(5mC)、N4-メチルシトシン(N4mC)、および/または6-メチルアデニン(6mA)である、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記合成バリアントDNAフラグメントは、1またはこれより多くの改変された塩基を有する個々のフラグメントの種々の部分組成から構成される、項目18に記載の方法。
(項目21)
被験体において疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を検出する方法であって、前記方法は、
前記いずれかの項目に記載の方法を使用してアッセイ性能を検証する工程であって、前記目的のアッセイは、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を検出する、検証する工程;
前記被験体からサンプルを得る工程;および
前記検証したアッセイを、前記被験体に由来する前記サンプルのDNAに対して行い、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を示す目的の標的を検出し、それによって、前記被験体において疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の重篤度を検出する工程、
を包含する方法。
(項目22)
前記目的の標的は、ゲノムバリアントである、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記ゲノムバリアントは、変異アレルである、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記疾患もしくは障害は、がんである、項目21に記載の方法。
(項目25)
被験体において薬物耐性を検出する方法であって、前記方法は、
前記いずれかの項目に記載の方法を使用してアッセイ性能を検証する工程であって、ここで前記目的のアッセイは、薬物耐性を検出する、検証する工程;
前記被験体からサンプルを得る工程;および
前記検証したアッセイを、前記被験体に由来する前記サンプルのDNAに対して行い、薬物耐性を示す目的の標的を検出し、それによって、前記被験体において薬物耐性を検出する工程、
を包含する方法。
(項目26)
前記薬物は、化学療法薬である、項目25に記載の方法。
(項目27)
各合成バリアントDNAフラグメントは、SNV/INDEL転座および増幅の複数のバリアントを含む、項目1に記載の方法。
【国際調査報告】