(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】患者の解剖学的構造および動作のために磁性粒子にかかる力を調整する磁場を形作る方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20240416BHJP
【FI】
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568297
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 US2022072080
(87)【国際公開番号】W WO2022236264
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520152766
【氏名又は名称】オトマグネティクス,インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】19 Firstfield Road #200,Gaithersburg,MD 20878 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャピロ,ベンジャミン
(57)【要約】
【解決手段】医療用カート500上の磁気アセンブリを構成する複数の磁気素子のための磁化および力の方向を決定するための方法である。磁気アセンブリは、医療用カート上の被シミュレーション対象の患者に対する特定の位置における磁性治療薬にかかる押込み力および/または引出し力を作り出す磁力を発生させるよう構成されていてもよい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用カートを構成するための方法であって、
第1の投与ポジションおよび第2の投与ポジションにおいて患者を支持するよう構成された、前記医療用カート上のヘッドレストの位置を選択すること、
前記第1の投与ポジションおよび前記第2の投与ポジションに位置決めされる被シミュレーション対象の患者の位置およびポジションを決定すること、
前記被シミュレーション対象の患者の解剖学的構造に基づいて複数の標的位置を決定すること、
原点位置(0,0,0)に対する前記複数の標的位置の(X,Y,Z)座標を決定すること、
磁気アセンブリのポジションを選択することであって、前記ポジションが前記原点位置に対して相対的であり、前記磁気アセンブリが複数の磁気素子を含み、前記複数の磁気素子のそれぞれが、前記磁気アセンブリの結果として生じる磁場を生成するよう組み合わさる磁化を発生させる、選択すること、
前記磁気アセンブリと前記複数の標的位置との間の空間内の相対的距離を決定すること、
前記複数の標的位置のそれぞれに対する磁力の方向を選択すること、
前記磁気アセンブリが前記複数の標的位置のそれぞれに対する前記磁力の方向を発生させるように、前記磁気アセンブリにより発生される、結果として生じる磁場を決定すること、
前記複数の磁気素子のそれぞれについて磁化および方向を決定すること、
前記磁気アセンブリが前記複数の標的位置のそれぞれに対する磁力の方向を生じさせるように、前記複数の磁気素子が空間的に位置付けられ、かつ方向的に位置決めされている前記磁気アセンブリを構成すること
を含む方法。
【請求項2】
前記複数の標的位置を決定することが、
前記第1の投与ポジションにおける前記被シミュレーション対象の患者に対する第1の標的位置を決定することであって、前記第1の標的位置が、投与中の耳における、前記被シミュレーション対象の患者の第1の耳の外耳道の解剖学的構造に基づいている、決定すること、
前記第1の投与ポジションにおける前記被シミュレーション対象の患者に対する第2の標的位置を決定することであって、前記第2の標的位置が、非投与中の耳における、前記被シミュレーション対象の患者の第2の耳の外耳道の解剖学的構造に基づいている、決定すること、
前記第2の投与ポジションにおける前記被シミュレーション対象の患者に対する第3の標的位置を決定することであって、前記第3の標的位置が、前記投与中の耳における、前記被シミュレーション対象の患者の前記第2の耳の外耳道の解剖学的構造に基づいている、決定すること、および
前記第2の投与ポジションにおける前記被シミュレーション対象の患者に対する第4の標的位置を決定することであって、前記第4の標的位置が、前記非投与中の耳における、前記被シミュレーション対象の患者の前記第1の耳の外耳道の解剖学的構造に基づいている、決定すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の磁気素子のそれぞれの前記磁化が、前記複数の磁気素子の組成材料に基づく最大磁気飽和である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
複数の磁石の材料組成が、前記複数の磁石のすべてにおいて同じ材料組成である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の磁気素子の各磁気素子が、前記磁気アセンブリ内で、前記原点位置に対する(X,Y,Z)座標位置に選択的に位置決めかつ配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記結果として生じる磁場が、前記複数の標的位置に基づいて所望の1つ以上の角度で方向性力を作り出す、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記所望の1つ以上の角度が、前記患者の鼓膜を貫通する向きの角度を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記結果として生じる磁場が、前記複数の標的位置において中耳方向への押込み力を作り出す、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記結果として生じる磁場が、前記第1の標的位置および前記第3の標的位置において外耳道方向への押込み力、ならびに前記第2の標的位置および前記第4の標的位置において外耳道方向への引出し力を作り出し、前記押込み力および前記引出し力の方向が、外側から内向きで前記外耳道に沿っている、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記結果として生じる磁場が、前記第1の標的位置および前記第3の標的位置において外耳道方向への引出し力、ならびに前記第2の標的位置および前記第4の標的位置において外耳道の押込みノード方向を作り出し、前記押込み力および前記引出し力の方向が、外側から内向きで前記外耳道に沿っている、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の標的位置のそれぞれを決定することが、前記ヘッドレストの位置合わせグリッド上の垂直ポジションインジケータおよび水平ポジションインジケータによる、前記被シミュレーション対象の患者の位置合わせに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の標的位置および前記第2の標的位置が、前記第1の耳の中耳であり、前記第3の標的位置および前記第4の標的位置が、前記第2の耳の中耳である、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の標的位置が、前記第1の耳の中耳であり、前記第3の標的位置が、前記第1の耳の中耳である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の標的位置が、前記第1の耳の外耳であり、前記第4の標的位置が、前記第2の耳の外耳である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記被シミュレーション対象の患者の外耳道の解剖学的構造が、前記患者の所定の年齢範囲および発達を基にして形作られる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記被シミュレーション対象の患者の年齢範囲および発達が、3~7歳の間の小児の頭部の大きさの中央値および外耳道の中央値である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の磁気素子のそれぞれについての前記磁化および方向が、m
j=(m
jx,m
jy,m
jz)に従って決定され、式中、mは前記磁化、jは前記磁気アセンブリ中のj番目の磁気素子である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年5月4日提出の、患者の解剖学的構造および動作のために磁性粒子にかかる力を調整する磁場を形作る方法およびシステムという名称の米国仮特許出願第63/184,072号の利益を、米国特許法第119条(e)に基づき主張するものであり、上記各出願の開示は、本明細書中に参照により全体として組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本願は、患者における所望の標的への磁性ナノ粒子製剤の送達のための磁気システム、具体的には、患者の解剖学的構造に合わせてより良好に磁力を調整するためのシステムおよび方法に関する。
【発明の概要】
【0003】
さまざまな態様において、本開示は、医療用カートを構成するための方法であって、第1の投与ポジションおよび第2の投与ポジションにおいて患者を支持するよう構成された、上記医療用カート上のヘッドレストの位置を選択すること、上記第1の投与ポジションおよび上記第2の投与ポジションに位置決めされる被シミュレーション対象の患者の位置およびポジションを決定すること、上記被シミュレーション対象の患者の解剖学的構造に基づいて複数の標的位置を決定すること、原点位置(0,0,0)に対する上記複数の標的位置の(X,Y,Z)座標を決定すること、磁気アセンブリのポジションを選択することであって、上記ポジションが上記原点位置に対して相対的であり、上記磁気アセンブリが複数の磁気素子を含み、上記複数の磁気素子のそれぞれが、上記磁気アセンブリの結果として生じる磁場を生成するよう組み合わさる磁化を発生させる、選択すること、上記磁気アセンブリと上記複数の標的位置との間の空間内の相対的距離を決定すること、上記複数の標的位置のそれぞれに対する磁力の方向を選択すること、上記磁気アセンブリが上記複数の標的位置のそれぞれに対する上記磁力の方向を発生させるように、上記磁気アセンブリにより発生される、結果として生じる磁場を決定すること、上記複数の磁気素子のそれぞれについて磁化および方向を決定すること、上記磁気アセンブリが上記複数の標的位置のそれぞれに対する磁力の方向を生じさせるように、上記複数の磁気素子が空間的に位置付けられ、かつ方向的に位置決めされている上記磁気アセンブリを構成することを含む方法を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
機構と動作方法との両方に関して、そのさらなる目的および利点とともに、本明細書中で説明されるさまざまな態様は、以下の通り、添付図面と併せて考慮される以下の説明を参照することによりもっともよく理解され得る。
【
図1】本開示の少なくとも一つの態様に係る、患者の頭部ならびに右耳および左耳の解剖学的構造を示す断面図である。
【
図2】本開示の少なくとも一つの態様に係る、医療用カート上の第1および第2の薬剤送達ポジションにおける患者の断面図である。
【
図3】本開示の少なくとも一つの態様に係る、医療用カートを含む、薬剤を小児患者に投与するためのシステムを示す図である。
【
図4A】本開示の少なくとも一つの態様に係る、磁気アレイの磁石を含む磁気アセンブリを示す三次元図である。
【
図4B】本開示の少なくとも一つの態様に係る、磁気アレイの磁石を含む磁気アセンブリを示す側面図である。
【
図5A】本開示の少なくとも一つの態様に係る、ヘッドレストの表面の透明位置合わせグリッドを示す図である。
【
図5B】本開示の少なくとも一つの態様に係る、ヘッドレストの表面の透明位置合わせグリッドを示す図である。
【
図5C】本開示の少なくとも一つの態様に係る、ヘッドレストの表面の透明位置合わせグリッドを示す図である。
【
図5D】本開示の少なくとも一つの態様に係る、ヘッドレストの表面の透明位置合わせグリッドを示す図である。
【
図6】本開示の少なくとも一つの態様に係る、安全バーまたはガードレールを備える医療用カートを示す上面図である。
【
図7】本開示の少なくとも一つの態様に係る、折りたたみ可能な片持ち脚を備える医療用カートを示す側面図である。
【
図8】本開示の少なくとも一つの態様に係る、磁気アセンブリにおける各磁気素子について磁化および力の方向を決定するためのシステムを示す図である。
【
図9】本開示の少なくとも一つの態様に係る、医療用カートを構成するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示は、磁力を用いて磁性薬剤を押して標的ポジションに向かわせることにより、患者の中耳に影響する病態を処置するための医療用カートを説明する。さまざまな態様において、患者(例えば、小児または成人)は、医療用カートまたはベッド上に横たわるか、座って、磁性薬剤による医療処置を受けてもよい。磁性薬剤は、薬物、タンパク質、または遺伝子などの付随療法とともに磁性粒子を含み、磁性薬剤は、米国特許出願公開第2020/0146995号に開示されているように、磁力により患者の1つ以上の中耳に向けられており、上記出願公開は、参照により全体として本明細書中に組み込まれる。一態様において、医療用カートは、ベッドプラットフォーム、ヘッドレスト、1本以上のガイドレール、医師または臨床家により患者の頭部の位置合わせを案内するための位置合わせグリッド、および患者を快適に保つための他の構成要素(例えば、カバー、クッションなど)を備える。医療用カートは、ベッドプラットフォームの下方に位置付けられ、かつ磁性粒子を患者の中耳内へ引き込むよう構成された磁気アセンブリをさらに備える。磁気アレイは、患者を怖がらせることの少ない外観となるよう取り外し可能なサイドカバーまたはフェアリングにより隠されていてもよい。
【0006】
さまざまな態様において、医療用カートは、患者の一方、または両方の耳を処置するよう構成され、かつ処置手順中の患者の快適さのために最適化されている。加えて、医療用カートは、医者または臨床家による効果的かつ容易な使用のために設計されており、臨床の場に適合可能である(安全かつ便利に使用され、非使用時には収納可能である、など)。一態様において、ヘッドレストは、医療用カート上で患者を位置決めするために臨床家を案内し、かつ医師または臨床家による磁性治療薬の投与を支援する位置合わせグリッドを備える。ヘッドレストの形状、および位置合わせグリッドの位置は、
図1および
図2に示すように、磁気アセンブリに対する位置および近さによって、ならびに物理学の原理(例えば、重力や磁力)および左右の耳の人体解剖学的制約を考慮して、構成されてもよい。
【0007】
図1は、患者の頭部102と、左耳104および右耳106の解剖学的構造とを示す断面図である。該断面図は、患者の頭部上方から見下ろした図(横断面)であり、鼻108が上部ポジションを向いており、後頭部110が底部ポジションを向いている。右外耳道(外耳)の向き112の角度は、円錐形の印で示されている。右鼓膜(right ear drum)(右鼓膜(right tympanic membrane))の向き114は、「右鼓膜を貫通する方向」という矢印で印されている。左外耳道の向き118、および左鼓膜120は、点線で描写されている。
図1は、患者の近似的または典型的な解剖学的向きを示しており、正確な向きは、患者により異なっていてもよいことは理解される。
【0008】
図1により示されているこれらの解剖学的特徴は、左右の耳への治療薬の投与のための患者の最適な位置決めを決定するために考慮される。処置手順中に、磁性治療薬は、外耳を通って外耳道内へ投与され、重力と磁力の組合せにより中耳へ導かれる。磁性治療薬は、複数の治療磁性粒子を含み、液体組成物または製剤の状態でスポイトやシリンジにより外耳を通って投与されてもよい。
【0009】
図2は、医療用カート上の第1および第2の薬剤投与ポジションにおける患者の断面図である。第1のポジション222は、患者の右耳への治療薬の投与に関連しており、第2のポジション224は、患者の左耳への治療薬の投与に関連している。第1のポジション222および第2のポジション224は、治療薬の液体製剤が外耳にとどまり、重力のせいで漏れ出ることがないため最適である。投与ポジション222、224は、それぞれの外耳道を水平面より上方のポジションに向け、その結果、外耳道は、下向きの角度に向いていない。ヘッドレスト226の形状は、磁力および重力が磁性治療薬に作用し、該治療薬を中耳へ導いている間、患者が第1のポジション222に快適にとどまることができるように、患者の頭部を第1のポジション222に支持するための第1の頭部輪郭228を含む。同様に、ヘッドレスト226の形状は、患者が自らの頭部を第2のポジション224に載せておくための第2の頭部輪郭230を含む。ヘッドレスト226の側面図は、患者の頭部を第1のポジション222および第2のポジション224に固定するために、両端にウェッジ232、234(例えば、正規分布の第1パーセンタイルおよび第99パーセンタイル)を有する正規分布曲線に似ている。ヘッドレスト226は、フォームまたは非常に硬いメモリーフォームなどの高密度支持材料からなってもよい。
【0010】
図2は、磁場を生成し、磁性治療薬に作用する、ヘッドレスト226の下方に位置付けられた磁気アセンブリ236をさらに示す。さまざまな態様において、磁気アセンブリ236は、磁気アセンブリ236の患者からの視認を防ぐ取外し可能なフェアリングにより覆われていてもよい。中耳の状態はあらゆる年齢群を冒す可能性があるものの、中耳炎は、低年齢児において特に広く見られる。幼児にとって、保護者や小児を怖がらせる可能性のある他のいかなる特徴をも患者に示すことなく、処置システムを単なるベッドなどのように見慣れたものとすることが望ましい。取外し可能なフェアリングは、磁気アセンブリを隠し、医療用カートを従来のベッドのように見えるようにするよう構成されている。このことが、患者のストレス軽減に役立ち、患者を安心させることができる。患者が落ち着いているときは、動きが少なく、患者の耳が水平面より下方に落ち込む可能性が低い。これにより、最終的には、患者がより長い期間最適な送達ポジションにとどまることができ、治療薬が投与した耳からうっかり滴り出ることを予防できる。したがって、
図2に示されるように、磁石アレイ236は、ベッドプラットフォーム238の下方に位置付けられ、かつヘッドレスト226の下に位置決めされ、その結果、磁気アレイ236は患者には視認不能である。
【0011】
図2は、磁気アレイ236により生成された方向性磁力をさらに示す。磁力240a~240nは、矢印で示され、該矢印は磁力の方向も示している。磁気アセンブリ236の位置、大きさ、形状、および磁化は、磁力240a、240cが患者の鼓膜214、220を実質的に貫く方向を指すように、選択される。例えば、磁力240aは、右鼓膜214を貫く方向を指し、一方、右外耳道の向き212は、依然として水平面より上方にある。
【0012】
さまざまな態様において、右耳と左耳の両方が、単一の投与セッションにおいて処置されてもよい。単一のセッションにおいて両耳を処置するためには、一旦、第1の耳が処置されると、第1の耳に対して今しがた完了した処置が、第2の耳の処置により逆転または部分的に逆転しないことが必要である。例えば、患者の右耳206が第1の処置ポジション222において最初に処置されることにより、磁性治療薬が患者の右の中耳空間に引き込まれることができる。次に、患者の左耳を右耳の後に続いて処置してもよい。第2の処置ポジション224において左耳204を処置している間、「漂遊」磁力が右耳206から磁性粒子を引き出さないことが必要である。第1の処置ポジション222および第2の処置ポジション224は、磁力240bおよび240nが磁性治療薬を前回処置した耳の中に保持するように、特別に設計されている。例えば、患者が第2の処置ポジション224にいるとき、右耳206’にかかる磁力240nは、右鼓膜を実質的に貫く方向に向けられているが、左耳204にかかる磁力240cもまた依然として、左鼓膜を貫く方向に向けられており、かつ左の中耳空間から粒子を引き出すようには向けられていない。
【0013】
医療用カートが、患者の頭部を自然に支持するよう構成されることがさらに望ましく、その結果、磁気アセンブリにより生成される磁力に従って頭部が方向付けられる。したがって、システムは、第1のおよび第2の耳への投与について、重力および磁力に従って患者の頭部を特定して位置決めする所定のヘッドレスト形状を開示する。さらに、透明の位置合わせグリッドは、患者の頭部の投与ポジションへの迅速かつ正確な配置において臨床家を支援するために、視認可能であるか、またはヘッドレストに彫り込まれていてもよい。
【0014】
さまざまな態様において、ヘッドレストの形状、第1のおよび第2のヘッドレストの輪郭の位置、ならびに位置合わせグリッドの位置は、磁気アセンブリに対する相対的なポジション、および磁気アセンブリにより生成される力に従って決定される。よって、磁気アセンブリは、患者の外耳道における治療薬にかかる所望の磁力(例えば、投与耳の外耳道において経験される1テスラの力)を生成するために、磁石の位置、大きさ、形状、および磁化に従って構成される。磁場とは同一でも同等でもない磁力は、第1の投与ポジション222および第2の投与ポジション224において、左右の耳に対する方向性力(ベクトル)を生成するよう構成される。
【0015】
ベクトル磁場をBで表し、
B=[Bx(x,y,z),By(x,y,z),Bz(x,y,z)]を、空間X=(x,y,z)にわたって変化する3次元ベクトルとした場合、磁性ナノ粒子にかかる力は、
【0016】
【数1】
で示され、かつ、自身もまた空間にわたって変化する3次元ベクトル、すなわち、F=[F
x(x,y,z),F
y(x,y,z),F
z(x,y,z)]である。ここで、
【0017】
【数2】
は、ヤコビ行列であり、kは、磁性1ナノ粒子の大きさおよび材料パラメータに基づきその特性が変わる係数である。あるいは同等に、磁力Fは、
【0018】
【数3】
とも記載可能であり、gradは勾配であり、
【0019】
【数4】
はBのノルムである。発明者らは、磁力F=[F
x(x,y,z),F
y(x,y,z),F
z(x,y,z)]が所望の方向を指す、つまり、
図3に示される方向と一致するように、磁石アセンブリの選択が行われたことを開示している。この選択は、意図された患者頭部の向きに対して両耳について適正な方向における力を生み出す選択可能な磁石配置を見出すために、磁石素子配置についての数理最適化により行われた。
【0020】
図3は、医療用カート350を含む、小児患者302に磁性治療薬を投与するためのシステム300を示す。本態様において、磁性治療薬組成物は、患者に投与可能な治療成分に付着させた鉄などの磁性ナノ粒子を含む。上記システムは、磁気アセンブリ336により生成された磁場348の結果としての磁力により患者の中耳内へ薬剤の磁性粒子を押し込むか、または引き出すよう構成されている。したがって、治療薬は、標的位置内へ押し込まれたり、引き出されたりする。一態様において、システム300は、生後6ヶ月の若さの患者302向けに構成可能である。患者の頭部用ヘッドレスト326は、患者の頭部直径に基づき選択または構成されてもよい。磁気アセンブリ336は、ヘッドレストの下方で切り欠き図にて示されており、患者や患者の周辺の人々に視認不能であってもよい。
【0021】
一態様において、ヘッドレストは、図示されているように成形可能であり、磁石は、カート内部でヘッドレストの下にある。患者の自然な頭部ポジションは、ヘッドレストにより設定されてもよく、かつ磁力が外耳道から鼓膜を介して中耳内へ至る方向を指すように、耳を方向付けることができる。医療用カートは、磁気アセンブリにより従前に処置した耳の「治療を帳消しにする(untreating)」ことなく、一度に一方の耳を処置するよう構成される。
【0022】
図4A~
図4Bは、磁気アレイを備える矩形磁気アセンブリ400を示す三次元図および側面図である。磁気アセンブリ400は、治療薬が鼓膜をわたって導かれるように、磁性ナノ粒子にかかる所定の磁力をもたらすよう構成される。加えて、その患者は、磁力方向が、磁場方向とは異なった別の、両方の鼓膜と同じ方向に向けられるように、位置決めされる。よって、磁気アセンブリにより生成された磁場は、頭部の両方の向き、すなわち
図2に示されている第1のポジション222および第2のポジション224のために設計されていなければならない。最後に、磁気アセンブリは、製造コスト、容易さ、および安全性に基づき設計および構成されていてもよい。
【0023】
さまざまな態様において、磁気アセンブリ400は、電磁石、永久磁石、または永久磁石アレイを含んでいてもよい。
図4A~4Bは、単一のより大型で強力な磁石よりむしろ、複数の強力ではあるがより小型の永久磁石からなる磁気アセンブリのある態様を示している。複数のより小型の磁石は、1つの大型のものより容易に調達でき、かつ製造プロセス中により安全に取り扱える。
図4A~
図4Bの磁気アセンブリ400は、7行404、7列406に並べられた複数の柱状体402の磁気アレイを備える。加えて、磁気アレイはまた、類似のN行×M列構造で構成されてもよく、その結果、N×M構造は、鼓膜をわたって磁性薬剤を十分に導くために磁性ナノ粒子に所定の量の磁力をもたらす。一態様において、磁石アセンブリは、投与する耳の外耳道内の磁性治療薬に対して1テスラの力を生成するよう構成される。
【0024】
一態様において、磁石アセンブリ400の柱状体402は、各ディスクが、直径2インチ×高さ1インチであり、中央に支持棒が通る1/4インチの穴を有する、N42ディスク型ネオジム磁石などの複数の小型ディスク磁石408を含んでいてもよい。複数のディスク磁石は、支持棒410とともにまとめて接着されていてもよく、複数のディスクのそれぞれは、互いに引き付け合う反対極性の端部と同じ垂直方向に磁化されていてもよい。一態様において、アレイ内の各柱状体402につき10個の磁気ディスク408が存在していてもよい。一態様において、磁石アセンブリは、幅およそ14インチ+/-1インチ、深さ14インチ+/-1インチ、および高さ10インチ+/-1インチであってもよい。
【0025】
複数のディスクの磁場は、組み合わされて、結果として各柱状体のための磁場を作り出す。同様に、複数の柱状体の磁場は、組み合わされて、結果として磁気アセンブリのための磁場を作り出す。したがって、同じ結果として生じる磁場が、異なる磁気アセンブリの柱状体とディスクの組合せにより生成されてもよい。上述のように、結果として生じる磁場は、磁性ナノ粒子にかかる計算された磁力に従って決定される。
【0026】
複数のディスクの磁場は、組み合わされて、結果として各柱状体のための磁場を作り出す。同様に、複数の柱状体の磁場は、組み合わされて、結果として磁気アセンブリのための磁場を作り出す。したがって、同じ結果として生じる磁場が、異なる磁気アセンブリの柱状体とディスクの組合せにより生成されてもよい。上述のように、結果として生じる磁場は、磁性ナノ粒子にかかる計算された磁力に従って決定される。
【0027】
図5A~
図5Dは、ヘッドレスト325の表面上の透明位置合わせグリッド346に従って位置決めされた医療シミュレーションマネキンを示している。位置合わせグリッド346により、臨床家は、磁気アセンブリにより生成された、裸眼では視認不能な磁力に従って患者の頭部を容易に位置合わせすることができる。位置合わせグリッドが高コントラストで示され、かつ保護カバーを通して見えるように、位置合わせグリッドは、ヘッドレストの濃色とは対照的な淡色のインジケータであってもよい。保護または衛生カバーは、位置合わせグリッドとともに用いてもよく、これにより、臨床家は、患者がヘッドレストと直接接触することなしに、保護カバーを通して位置合わせグリッドを見ることができる。別の態様において、位置合わせグリッド346は、ヘッドレスト326の表面に彫り込まれていてもよい。同様に、物理的彫り込みは、保護カバーを通して知覚されてもよい。
【0028】
ヘッドレスト326はまた、取り外し可能であってもよく、かつ、位置合わせグリッドが、上部ベッドプラットフォーム338の下方の磁石アセンブリと正しく位置合わせされるようにヘッドレストを固定または位置合わせするための1つ以上のヘッドレストの印が必要となる。臨床家が、患者の背後または側方に立ち、ヘッドレスト326の位置合わせグリッド346との患者の頭部の位置合わせを助けることとなることが予期される。加えて、ヘッドレスト326は、種々の患者の頭部直径に適した種々の大きさであってもよく、かつ位置合わせグリッドがヘッドレストの形状に対して一意的に調整されている必要があってもよい。一態様において、ヘッドレストの第1および第2の頭部輪郭の形状ならびに大きさは、小さいまたは大きい患者に適合するために種々の大きさである。よって、位置合わせグリッドは、患者の頭部が、磁性治療薬に作用する磁力に対して所望のポジションとなるように調整される。
【0029】
図5Cは、右耳306が処置用に位置決めされた、第1の投与ポジション322における医療シミュレーションマネキンを示している。位置合わせグリッド346は、垂直第1ポジションインジケータ352と、垂直第2ポジションインジケータ354と、水平ポジションインジケータ356とをさらに備える。一態様において、臨床家は、水平ポジションインジケータ356に従って患者の目を、垂直第1ポジションインジケータ352に従って患者の鼻筋を位置合わせする。加えて、臨床家は、右耳の外側306が水平より上となるように患者の頭部を位置合わせする。
【0030】
図5Dは、上部ベッドプラットフォーム338の上に位置決めされたマットレス358と、調節可能な安全ベルト360と、患者の保持に役立つガードレール370とを任意選択で備える医療用カートを示している。
図6は、安全バーまたはガードレール370を備える医療用カート350の上面図をさらに示している。患者は、調節可能な安全ベルト360により固定されてもよいが、医療用カート350の側方をガードレール370でさらに支持することが望ましい。医療用カートは、患者を第1のポジションから第2のポジションへと動かせるよう構成されており、ガードレールは、ポジション転換中の患者のカートからの落下を防いでもよい。
【0031】
図7は、折り畳み可能な片持ち脚366を備える医療用カート350の側面図を示している。一態様において、医療用カート350は、専用の保管空間を要することなく、既存の診察室内に収まるように、コンパクト設計であってもよい。医療用カート350は、上部ベッドプラットフォーム338上に、より小型の保管サイズへと折り畳むための折り畳みヒンジ374を含んでいてもよい。加えて、医療用カート350は、医療用カート350の位置決めおよび移設のために1つ以上のキャスター362をさらに含んでいてもよい。キャスター362のうちの少なくとも1つは、医療用カート350が地面に垂直な枢動軸の周りを枢動できるようにするために、地面に沿った横方向の動きに対してロック可能であってもよい。ポジションが選択されると、その医療用カート350は、片持ち脚366および1つ以上のキャスターブレーキ364により適切な位置に固定される。したがって、使用後、カートは、折り畳んで、保管エリア内へと転がして行くことができる。
図7は、患者の視界から磁石アセンブリ336を覆い隠す取外し可能な側方フェアリング368をさらに示している。磁石アセンブリ336は、カートの近位端378に位置付けられており、かつカートの縦軸の中央に位置合わせされている。
【0032】
図8は、磁気アセンブリ536における各磁気素子について磁化および力の方向を決定するためのシステム500を示している。磁気アセンブリ536は、医療用カート上の被シミュレーション対象の患者522、524に対する特定の位置550a~550dにおける磁性治療薬にかかる押込みおよび/または引出し力を作り出す磁力540a~540dを発生させるよう構成されていてもよい。一態様において、被シミュレーション対象の患者522、524は、4~6歳の間の小児であってもよい。被シミュレーション対象の患者522、524は、外耳道が、所定の年齢範囲および発達の患者の外耳道構造の中央値からシミュレーションされるよう形作られてもよい。加えて、被シミュレーション対象の患者の頭部の位置は、医療用カートに対する三次元空間内にあり、かつ所定の年齢範囲および発達の患者の頭部の大きさの中央値に基づいている。
【0033】
被シミュレーション対象の患者の頭部の向きは、医療用カート上のヘッドレストポジションと、ヘッドレスト526上の位置合わせグリッド346と、第1の投与ポジション522および第2の投与ポジション524における患者の頭部ポジションとに従って決定される。一旦、被シミュレーション対象の患者の位置および向きが分かれば、患者の外耳道に対するさまざまな標的位置が決定できる。
【0034】
例えば、患者が第1の投与ポジションにあるとき、治療薬を引き出すために投与中の耳(active administration ear)の中耳において引出し力を発生させることが望ましい場合がある。同時に、重力を相殺し、かつ前回処置した耳から治療薬が滴り出ることを防ぐために非投与中の耳(passive administration ear)の外耳において押込み力を発生させることが望ましい場合がある。別の例において、押込み力および引出し力は、同じ外耳道に沿って発生させてもよい。
【0035】
図8は、ある患者の外耳道に対する、標的位置550a~550dにおける所定の磁力および方向540a~540gを達成するための、磁気アセンブリ536内の複数の磁気素子560a~560nを構成するためのシステム500をさらに示している。磁気アセンブリ536における各磁気素子560a~560nの磁化および向きは、二次写像に基づいて決定される。さまざまな態様において、磁気アセンブリ536における各磁気素子560a~560nに対する磁化は、磁気素子材料についての単位体積あたりの最大磁気飽和または最大磁気モーメントを生み出すよう構成されてもよい。一例において、高透磁率鉄合金は、1.6~2.2Tの最大磁気飽和を有する。
【0036】
複数の標的位置は、他方の耳の処置中に、治療薬が中耳に到達し、かつ中耳にとどまる必要性に基づいて決定される。標的位置550a~550dの特定位置は、医療用カートに対する(X,Y,Z)座標に基づく三次元空間において決定される。一態様において、座標(0,0,0)における原点位置552は、医療用カート上の、長さおよび幅方向におけるヘッドレストの中点である。標的位置550a~550dは、原点552に対するそれらの相対位置に基づいて決定される。
【0037】
磁力および方向540a~540dは、磁気アセンブリ536を構成する複数の磁気素子560a~560nの構成に基づいて各標的位置550a~550dにおいて発生する。別の態様において、複数の磁気素子560a~560nは、磁力および方向540a~540hに基づいて構成されてもよい。複数の磁気素子560a~560nは、磁気アセンブリ536の結果として生じる磁場を作り出すよう組み合わさる個々の磁場を発生させる。さまざまな態様において、二次写像を用いて、磁気アセンブリ構成を決定してもよい。
【0038】
一態様において、二次写像はm’Q
kmであり、式中、mは、磁気アセンブリ536の各磁気素子560a~560nにおける選択予定の磁化を表すベクトルである。式中、m=[m
1x,m
1y,m
1z;m
2x,m
2y,m
2z;...,m
Nx,m
Ny,m
Nz]、三重項(m
jx,m
jy,m
jz)は、j番目の成分のx,y,z磁化である。種々の(m
jx,m
jy,m
jz)を選択することにより、そのj番目の成分についてあらゆる方向において磁化を選択可能であり、式中、j番目の成分は、磁気アセンブリ536中のある1つの磁気素子560a~560nである。行列Q
kは、位置R
k=(X
k,Y
k,Z
k)において薬剤にかかる磁力の結果として生じる方向をカプセル化する(encapsulates)。さまざまな態様において、R
kは、右耳が処置されている際の右鼓膜の中心位置などのある標的位置であるか、または
図8における標的位置550a~550dである。被シミュレーション対象の患者の頭部のポジション、向き、および位置に基づいて、
図8における540a~540dなどの一組の所望の力方向を選択可能である。すなわち、二次写像m’Q
kmの所望の力方向vは、
m’Q
1m=v
1→方向1=d
1
m’Q
2m=v
2→方向2=d
2
m’Q
3m=v
3→方向3=d
3
m’Q
Km=v
K→方向K=d
K
となる。
【0039】
全体として、磁気アセンブリ536により発生する磁化方向mと、標的位置R=[R
1,R
2,...,R
k]において印加される力方向v=[v
1,v
2,...,v
K]との間には、複雑な比例関係がある。上に示した二次写像等式を用いて、磁化mを選択し、力方向vを達成し、所望の方向d=[d
1,d
2,...,d
K]に極力近づけてもよい。磁気アセンブリ536の磁気素子560a~560nを構成する目的は、
図8に例示するように、空間内の力を方向付けて被シミュレーション対象の患者の解剖学的構造と一致させる磁気システムを作り出すことである。
【0040】
さまざまな態様において、磁気アセンブリは、押込みノード、引出しノードを発生させてもよく、または、複雑な方向性力は、磁気アセンブリ内の磁気素子の配列およびポジションに基づいて「押込み」とも「引出し」ともならない。一例において、力は、標的位置に基づいて所望の方向に配列されてもよい。加えて、方向性力は、患者の鼓膜を貫通する方向にある角度をつけて実質的に向けられてもよい。
【0041】
図9は、医療用カートを構成するためのフロー
図600である。コンフィグレータは、医療用カート上でヘッドレストの第1の固定ポジションを選択する602。コンフィグレータは、第1のおよび第2の投与ポジションにおける医療用カート上の被シミュレーション対象の患者のポジションを決定する604。被シミュレーション対象の患者のポジションは、所定の年齢または発達の患者の頭部の大きさおよび解剖学的特徴の中央値に基づいて決定される。コンフィグレータは、第1の投与ポジションおよび第2の投与ポジションにおける空間内の患者の外耳道位置に基づいて、複数の標的位置を選択する506。第1のおよび第2の投与ポジションにおける両耳に対応する4つの標的位置を選択してもよい。患者が第1の投与ポジションにあるとき、第1の標的位置は、医師が治療薬を投与する投与中の耳に対応していてもよく、第2の標的位置は、医師がすでに治療薬を投与済みである非投与中の耳に対応していてもよい。患者が第2の投与ポジションにあるとき、第3の標的位置は、医師が治療薬を投与する投与中の耳に対応していてもよく、第4の標的位置は、医師がにすでに治療薬を投与済みである非投与中の耳に対応していてもよい。実際には3つの位置しか必要とされないことが典型的であるが、医師の処置開始が右耳からであるか左耳からであるかに関わらず4つの位置が用いられる。一旦、複数の標的位置が選択されると、原点位置(0,0,0)に対する、空間内の標的位置の相対的(X,Y,Z)座標が決定される608。コンフィグレータは、原点位置(0,0,0)に対する、医療用カートの磁気アセンブリ取り付け位置を選択する610。コンフィグレータは、標的位置と磁気アセンブリとの間の空間内の相対的距離を決定する612。コンフィグレータは、標的位置に対する複数の磁力方向を選択する614。コンフィグレータは、磁気アセンブリにより結果として発生する磁場を決定し616、その結果、上記磁場は、標的位置に対する選択された力方向を生成するのに十分となる。コンフィグレータは、磁気アセンブリにおける磁気素子のそれぞれに対して磁化および方向を決定し618、ここで、各磁化および方向は、磁気アセンブリにおける磁気素子の(X,Y,Z)位置に基づいて決定される。コンフィグレータは、各磁気素子が、決定された磁化および方向に従って構成されるように磁気アセンブリを構成する620。
【0042】
以下の番号付き実施例において、本明細書中で説明した主題のさまざまな追加の態様を記載する。
【0043】
実施例1:医療用カートを構成するための方法であって、第1の投与ポジションおよび第2の投与ポジションにおいて患者を支持するよう構成された、上記医療用カート上のヘッドレストの位置を選択すること、上記第1の投与ポジションおよび上記第2の投与ポジションに位置決めされる被シミュレーション対象の患者の位置およびポジションを決定すること、上記被シミュレーション対象の患者の解剖学的構造に基づいて複数の標的位置を決定すること、原点位置(0,0,0)に対する上記複数の標的位置の(X,Y,Z)座標を決定すること、磁気アセンブリのポジションを選択することであって、上記ポジションが上記原点位置に対して相対的であり、上記磁気アセンブリが複数の磁気素子を含み、上記複数の磁気素子のそれぞれが、上記磁気アセンブリの結果として生じる磁場を生成するよう組み合わさる磁化を発生させる、選択すること、上記磁気アセンブリと上記複数の標的位置との間の空間内の相対的距離を決定すること、上記複数の標的位置のそれぞれに対する磁力の方向を選択すること、上記磁気アセンブリが上記複数の標的位置のそれぞれに対する上記磁力の方向を発生させるように、上記磁気アセンブリにより発生される、結果として生じる磁場を決定すること、上記複数の磁気素子のそれぞれについて磁化および方向を決定すること、上記磁気アセンブリが上記複数の標的位置のそれぞれに対する磁力の方向を生じさせるように、上記複数の磁気素子が空間的に位置付けられ、かつ方向的に位置決めされている上記磁気アセンブリを構成することを含む方法。
【0044】
実施例2:上記複数の標的位置を決定することが、上記第1の投与ポジションにおける上記被シミュレーション対象の患者に対する第1の標的位置を決定することであって、上記第1の標的位置が、投与中の耳における、上記被シミュレーション対象の患者の第1の耳の外耳道の解剖学的構造に基づいている、決定すること、上記第1の投与ポジションにおける上記被シミュレーション対象の患者に対する第2の標的位置を決定することであって、上記第2の標的位置が、非投与中の耳における、上記被シミュレーション対象の患者の第2の耳の外耳道の解剖学的構造に基づいている、決定すること、上記第2の投与ポジションにおける上記被シミュレーション対象の患者に対する第3の標的位置を決定することであって、上記第3の標的位置が、上記投与中の耳における、上記被シミュレーション対象の患者の上記第2の耳の外耳道の解剖学的構造に基づいている、決定すること、および上記第2の投与ポジションにおける上記被シミュレーション対象の患者に対する第4の標的位置を決定することであって、上記第4の標的位置が、上記非投与中の耳における、上記被シミュレーション対象の患者の上記第1の耳の外耳道の解剖学的構造に基づいている、決定することをさらに含む、実施例1に記載の方法。
【0045】
実施例3:上記複数の磁気素子のそれぞれの上記磁化が、上記複数の磁気素子の組成材料に基づく最大磁気飽和である、実施例2に記載の方法。
【0046】
実施例4:複数の磁石の材料組成が、上記複数の磁石のすべてにおいて同じ材料組成である、実施例3に記載の方法。
【0047】
実施例5:上記複数の磁気素子の各磁気素子が、上記磁気アセンブリ内で、上記原点位置に対する(X,Y,Z)座標位置に選択的に位置決めかつ配置されている、実施例1~4に記載の方法。
【0048】
実施例6:上記結果として生じる磁場が、上記複数の標的位置に基づいて所望の1つ以上の角度で方向性力を作り出す、請求項2~5に記載の方法。
【0049】
実施例7:上記所望の1つ以上の角度が、上記患者の鼓膜を貫通する向きの角度を含む、請求項6に記載の方法。
【0050】
実施例8:上記結果として生じる磁場が、上記複数の標的位置において中耳方向への押込み力を作り出す、実施例2~5に記載の方法。
【0051】
実施例9:上記結果として生じる磁場が、上記第1の標的位置および上記第3の標的位置において外耳道方向への押込み力、ならびに上記第2の標的位置および上記第4の標的位置において外耳道方向への引出し力を作り出し、上記押込み力および上記引出し力の方向が、外側から内向きで上記外耳道に沿っている、実施例2~5に記載の方法。
【0052】
実施例10:上記結果として生じる磁場が、上記第1の標的位置および上記第3の標的位置において外耳道方向への引出し力、ならびに上記第2の標的位置および上記第4の標的位置において外耳道の押込みノード方向を作り出し、上記押込み力および上記引出し力の方向が、外側から内向きで上記外耳道に沿っている、実施例2~9に記載の方法。
【0053】
実施例11:上記複数の標的位置のそれぞれを決定することが、上記ヘッドレストの位置合わせグリッド上の垂直ポジションインジケータおよび水平ポジションインジケータによる、上記被シミュレーション対象の患者の位置合わせに基づく、実施例1~10に記載の方法。
【0054】
実施例12:上記第1の標的位置および上記第2の標的位置が、上記第1の耳の中耳であり、上記第3の標的位置および上記第4の標的位置が、上記第2の耳の中耳である、実施例2~11に記載の方法。
【0055】
実施例13:上記第1の標的位置が、上記第1の耳の中耳であり、上記第3の標的位置が、上記第1の耳の中耳である、実施例1~12に記載の方法。
【0056】
実施例14:上記第2の標的位置が、上記第1の耳の外耳であり、上記第4の標的位置が、上記第2の耳の外耳である、実施例1~13に記載の方法。
【0057】
実施例15:上記被シミュレーション対象の患者の外耳道の解剖学的構造が、上記患者の所定の年齢範囲および発達を基にして形作られる、実施例1~14に記載の方法。
【0058】
実施例16:上記被シミュレーション対象の患者の年齢範囲および発達が、3~7歳の間の小児の頭部の大きさの中央値および外耳道の中央値である、実施例1~15に記載の方法。
【0059】
実施例17:上記複数の磁気素子のそれぞれについての上記磁化および方向が、mj=(mjx,mjy,mjz)に従って決定され、式中、mは上記磁化、jは上記磁気アセンブリ中のj番目の磁気素子である、実施例1~16に記載の方法。
【0060】
いくつかの形態を例示および説明したが、出願人は、添付の請求の範囲をそのような詳細に制限または限定することを意図していない。それらの形態に対する数多くの修正、変形、変更、置換え、組合せ、および均等物は、実施可能であり、かつ本開示の範囲から逸脱することなく当業者に想定されるであろう。その上、説明した形態に関連付けられた各要素の構造は、その要素により行われる機能を提供する手段として代替的に説明可能である。また、ある構成要素用に材料が開示されている場合、その他の材料を用いてもよい。よって、前述の説明および添付の請求項は、そのような修正、組合せ、および変形のすべてを、開示された形態の範囲内であるとして包含するよう意図されていることは理解されたい。添付の請求項は、そのような修正、変形、変更、置換え、修正、および均等物のすべてを包含するよう意図されている。
【0061】
前述の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、および/または実施例の使用により、さまざまな形態の装置、および/またはプロセスを記載している。そのようなブロック図、フローチャート、および/または実施例が、1つ以上の機能、および/または動作を含む限り、そのようなブロック図、フローチャート、および/または実施例中の各機能、および/または動作は、広範なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの実質的にあらゆる組合せにより、個別にかつ/または集合的に実施可能であることは、当業者により理解されるであろう。本明細書中で開示された形態のいくつかの態様が、全体としてまたは部分的に、1つ以上のコンピュータ上で動作する1つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ以上のコンピュータシステム上で動作する1つ以上のプログラムとして)、1つ以上のプロセッサ上で動作する1つ以上のプログラムとして(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ上で動作する1つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、またはそれらの実質的にあらゆる組合せとして集積回路において同等に実施可能であることと、ソフトウェアおよび/またはファームウェアのために回路構成を設計したり、かつ/またはコードを書いたりすることが、本開示を鑑みた当業者の技術に十分に含まれるであろうこととを当業者は認識するだろう。これに加えて、本明細書中で説明した主題の機構が、さまざまな形態で1つ以上のプログラム製品として頒布可能であることと、本明細書中で説明した主題の例示的形態が、その頒布を実際に行うために用いられる特定の種類の信号担持媒体に関わらず該当することとを当業者は理解するであろう。
【0062】
さまざまな開示された態様を実行する論理のプログラム作成に用いられる命令は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリ、またはその他の記憶装置などのシステムのメモリ内に記憶可能である。さらに、命令は、ネットワークを介して、または他のコンピュータ読取り可能な媒体により頒布可能である。よって、機械読取り可能な媒体は、機械(例えば、コンピュータ)により読取り可能な形態で情報を記憶または伝達するためのあらゆる機構を含んでもよいが、電気的、光学的、音響のもしくはその他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を介したインターネット上での情報の伝達に用いられるフロッピーディスケット、光ディスク、コンパクトディスク、読取り専用メモリ(CD-ROM)、および光磁気ディスク、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能なプログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)、磁気もしくは光カード、フラッシュメモリ、または有形の機械読取り可能な記憶装置には限定されない。したがって、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、機械(例えば、コンピュータ)により読取り可能な形態での電子的な命令または情報の記憶または伝達に適したあらゆる種類の有形の機械読取り可能な媒体を含む。
【0063】
本明細書中のあらゆる態様において用いられるとき、「制御回路」という用語は、例えば、ハードウェアに組込みの回路構成、プログラマブル回路構成(例えば、1つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理装置、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラ装置、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、状態機械回路構成、プログラマブル回路構成により実行される命令を記憶するファームウェア、およびそれらのあらゆる組合せを指してもよい。制御回路は、集合的にまたは個別に、より大型のシステム、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの一部を形成する回路構成として実現されてもよい。したがって、本明細書中で使用されるとき、「制御回路」は、少なくとも1つの別個の電気回路を有する電気回路構成、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路構成、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路構成、コンピュータプログラムにより構成された汎用コンピューティングデバイス(例えば、本明細書中で説明した処理および/または装置を少なくとも部分的に行うコンピュータプログラムにより構成される汎用コンピュータ、または本明細書中で説明した処理および/または装置を少なくとも部分的に行うコンピュータプログラムにより構成されるマイクロプロセッサ)を形成する電気回路構成、メモリデバイス(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路構成、および/または通信デバイス(例えば、モデム、通信スイッチ、もしくは光電気装置)を形成する電気回路構成を含むが、これらに限定されない。当業者は、本明細書中で説明した主題が、アナログ的もしくはデジタル的またはそれらのある組合せで実施可能であることを認識するだろう。
【0064】
本明細書中のいずれかの態様において用いられるとき、「論理」という用語は、前述の動作のうちのいずれかを行うよう構成されているアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、および/または回路構成を指していてもよい。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ読取り可能な記憶媒体上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、および/またはデータとして実現可能である。ファームウェアは、メモリデバイス内でハードコードされた(例えば、不揮発性の)コード、命令もしくは命令セット、および/またはデータとして実現可能である。
【0065】
本明細書中のいずれかの態様において用いられるとき、「構成要素」、「システム」、「モジュール」などの用語は、制御回路コンピュータ関連のエンティティ、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかを指し得る。
【0066】
本明細書中のいずれかの態様において用いられるとき、「アルゴリズム」は、所望の結果に至るステップの自己矛盾のないシーケンスを指し、ここで、「ステップ」は、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、組合せ、比較、およびそうでなければ操作されることのできる電気または磁気信号の形態をとってもよい物理量および/または論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、数などと呼ぶことは、一般的な使用である。これらの用語および類似の用語は、適切な物理量と関連付けられていてもよく、かつこれらの量および/または状態に適用される単なる便利な標題に過ぎない。
【0067】
ネットワークは、パケット交換網を含んでもよい。通信デバイスは、選択されたパケット交換網の通信プロトコルを用いて互いに通信可能であってもよい。通信プロトコルの一例として、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)を用いた通信を許容することができ得るイーサネット通信プロトコルが挙げられる。イーサネットプロトコルは、2008年12月発表の「IEEE802.3規定」という名称の米国電気電子学会(IEEE)により発表されたイーサネット規定、および/または本規定の後継版に準拠または適合していてもよい。あるいは、かつこれに加えて、通信デバイスは、X.25通信プロトコルを用いて互いに通信可能であってもよい。X.25通信プロトコルは、国際電気通信連合電気通信標準化部門(ITU-T)により公布された規定に準拠または適合していてもよい。あるいは、かつこれに加えて、通信デバイスは、フレームリレー通信プロトコルを用いて互いに通信可能であってもよい。フレームリレー通信プロトコルは、国際電信電話諮問委員会(CCITT)および/または米国規格協会(ANSI)により公布された規定に準拠または適合していてもよい。あるいは、かつこれに加えて、トランシーバは、非同期転送モード(ATM)通信プロトコルを用いて互いに通信可能であってもよい。ATM通信プロトコルは、2001年8月発表の「ATM-MPLSネットワークインタワーキング2.0」という名称のATMフォーラムにより発表されたATM規定、および/または本規定の後継版に準拠または適合していてもよい。当然ながら、異なるおよび/または後に開発されたコネクション指向のネットワーク通信プロトコルは、本明細書中で等しく考慮されている。
【0068】
上述の開示から明らかに別の意味が特定して記されていない限り、上述の開示全体を通じて、「処理する」、「算出する」、「計算する」、「決定する」、「表示する」などの用語を用いた説明は、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内で物理的(電子的)量として表されるデータを、コンピュータシステムのメモリもしくはレジスタまたは他のそのような情報記憶、伝達または表示装置内で物理量として同様に表される他のデータへと操作および変換するコンピュータシステムまたは類似の電子的コンピューティングデバイスの動作および処理を指すことが理解される。
【0069】
本明細書中で、1つ以上の構成要素が、「するよう構成される(configured to)」、「するよう構成可能である(configurable to)」、「するよう動作可能である/動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「することが可能である(able to)」、「に準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及されてもよい。当業者は、文脈上別の意味が求められていない限り、「するよう構成される」が、アクティブ状態の構成要素および/または非アクティブ状態の構成要素および/またはスタンバイ状態の構成要素を一般的に包含し得ることを認識するだろう。
【0070】
「近位の」および「遠位の」という用語は、本明細書中で、外科用器具のハンドル部を操作している臨床家に関して用いられる。「近位の」という用語は、臨床家に最も近い部分を指し、「遠位の」という用語は、臨床家から離れて位置する部分を指す。さらに、便宜および明確性のため、「垂直の」「水平の」、「上」および「下」などの空間的用語が、本明細書中で図面に対して用いられてもよいことは、理解されるだろう。しかし、外科用器具は、多くの向きおよびポジションで用いられるので、これらの用語は、限定的かつ/または絶対的であるよう意図されてはいない。
【0071】
一般的に、本明細書中、および特に添付の請求項(例えば、添付の請求項の本文)において用いられている用語は、「オープンな」用語として概して意図されている(例えば、「含む(including)」という用語は、「含むが、これらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は、「少なくとも~を有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」とう用語は、「含むが、これらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)ことを当業者は認識するだろう。さらに、導入された請求項の記載の特定の数が意図されている場合、そのような意図は、請求項において明示的に記載され、そのような記載がなければ、そのような意図は存在しないとすることは当業者に理解されるであろう。例えば、理解の一助として、以下の添付の請求項は、請求項の記載を導入するための「少なくとも1つの(at least one)」および「1つ以上の(one or more)」という導入句の使用を含んでもよい。ただし、そのような句の使用は、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入により、その同じ請求項が導入句「1つ以上の」または「少なくとも1つの」と、「a」または「an」などの不定冠詞とを含むときでさえ、そのような導入された請求項の記載を含むいかなる特定の請求項もそのような記載を1つだけ含む請求項に限定することを暗示するとは解釈されるべきでない(例えば、「a」および/または「an」は典型的には、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)。請求項の記載の導入に用いられる定冠詞の使用に対しても、同様のことが当てはまる。
【0072】
加えて、たとえ導入された請求項の記載の特定の数が明示的に記載されていても、当業者は、そのような記載が典型的には、少なくとも記載されている数を意味すると解釈されるべきことを認識するだろう(例えば、他の修飾語なしに「2つの記載」とだけ記載されている場合は、典型的には、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B、およびCなどのうちの少なくとも1つ」に類似の慣用表現が用いられる場合は、一般的に、そのような構造は、当業者が該慣用表現を理解するであろう意味(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBをともに、AおよびCをともに、BおよびCをともに、および/またはA、B、およびCをともに、などを有するシステムを含むだろうが、これに限定されない。)において意図される。「A、B、またはCなどのうちの少なくとも1つ」に類似の慣用表現が用いられる場合は、一般的に、そのような構造は、当業者が該慣用表現を理解するであろう意味(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBをともに、AおよびCをともに、BおよびCをともに、および/またはA、B、およびCをともに、などを有するシステムを含むだろうが、これに限定されない。)において意図される。さらに、典型的には、明細書中であれ、請求項中であれ、図面中であれ、2つ以上の代替的用語を提示する選言的な語および/または句が、文脈上別の意味を示していない限り、上記用語のうちの1つ、上記用語のうちのいずれか、または両方の用語を含む可能性を考慮するよう理解されるべきであることは、当業者により理解されるだろう。例えば、「AまたはB」という句は、典型的には、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むよう理解されるだろう。
【0073】
添付の請求項に関して、当業者は、その中で記載された動作が、一般的にいずれの順序で行われてもよいことを理解するだろう。また、さまざまな動作フロー図がシーケンスで示されているが、上記さまざまな動作が、例示されているもの以外の順序で行われてもよく、同時に行われてもよいことは理解されたい。そのような代替的順序付けの例として、文脈上別の意味を示していない限り、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、または他の異なる順序付けが挙げられる。さらに、「に応答する」、「に関連する」、またはその他の過去時制の形容詞は一般的に、文脈上別の意味を示していない限り、そのような変化形を除外するよう意図されてはいない。
【0074】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへのいずれの言及も、当該態様に関連して説明されたある特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの態様に含まれていることを意味することは特記に値する。したがって、本明細書全体を通じてさまざまな箇所における「一態様において」、「態様において」、「例示において」、および「一例示において」という句の記載は、必ずしもすべてが同じ態様を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の態様において任意の適切な手法で組み合わせられてもよい。
【0075】
本明細書において言及され、かつ/またはいずれかの出願データシートにおいて列挙されているあらゆる特許出願、特許、非特許刊行物、または他の開示材料は、組み込まれた材料が本明細書と不整合でない範囲で、参照により本明細書中に組み込まれる。それ自体、かつ必要な範囲まで、本明細書中に明示的に記載されている開示は、参照により本明細書中に組み込まれているあらゆる矛盾する材料に取って代わる。参照により本明細書中に組み込まれているとされるが、既存の定義、陳述、または本明細書中に記載のその他の開示材料と矛盾するいかなる材料またはその部分も、その組み込まれた材料と既存の開示材料との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれることとなる。
【0076】
要約すると、本明細書中に記載された概念の使用によりもたらされる数多くの利益を説明した。1つ以上の形態の上記説明は、例示および説明の目的で提示した。徹底的であったり、開示されている厳密な形態に限定的であることは意図していない。上述の教示を鑑みて、修正や変形が可能である。上記1つ以上の形態は、原理および実用的応用を例示することにより、当業者が、考慮されている特定の使用に適したさまざまな修正とともにさまざまな形態を利用できるようにするために、選択され、かつ説明された。本明細書とともに提出する特許請求の範囲は、全体的な範囲を定義するよう意図されている。
【国際調査報告】