(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】車両照明のためのLEDレトロフィット
(51)【国際特許分類】
F21K 9/233 20160101AFI20240416BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20240416BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20240416BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240416BHJP
【FI】
F21K9/233 100
F21S41/148
F21W102:13
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568299
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 US2022028359
(87)【国際公開番号】W WO2022236177
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500507009
【氏名又は名称】ルミレッズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】キュッペル,ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ニーダーステ-ヴェルベック,ディルク
(57)【要約】
LEDレトロフィットランプは、車両リフレクタ内でのランプの取付け位置と、基準軸線と、ランプの基部から上端部までの基準軸線に沿った基準方向と、基準軸線と交差し、許容範囲のベース側端部から許容範囲のトップ側端部まで基準方向に沿って軸線方向に延びる許容範囲とを規定する位置合せ機構を含むセンタリングリングを有する。このランプは、基準軸線に対して横方向に光を放射し、LEDベース側端部からLEDトップ側端部まで軸線方向に延びる発光領域を有する装置も含む。LEDベース側端部は、基準方向において許容範囲のベース側端部から少なくとも0.1mmの軸線方向距離を有しており、LEDトップ側端部は、基準方向において許容範囲のトップ側端部から最大1.5mmの軸線方向距離を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード(LED)レトロフィットランプであって、当該LEDレトロフィットランプは、
車両のリフレクタ内での前記LEDレトロフィットランプの取付け位置と、基準軸線と、前記LEDレトロフィットランプの基部から上端部までの前記基準軸線に沿った基準方向と、前記基準軸線と交差し、許容範囲のベース側端部から許容範囲のトップ側端部まで前記基準方向に沿って軸線方向に延びる許容範囲とを規定する位置合せ機構を含むセンタリングリングと、
前記基準軸線に対して横方向に光を放射するように構成され、LEDベース側端部からLEDトップ側端部まで軸線方向に延びる発光領域を含むLED装置と、を含み、
前記LEDベース側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のベース側端部から少なくとも0.1mmの軸線方向距離を有しており、
前記LEDトップ側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のトップ側端部から最大1.5mmの軸線方向距離を有する、
LEDレトロフィットランプ。
【請求項2】
前記LEDベース側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のベース側端部から0.3mm、0.6mm、1.0mm、1.4mm、及び1.8mmのうちの少なくとも1つの軸線方向距離を有しており、
前記LEDトップ側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のトップ側端部から最大1.0mm、0.5mm、0.3mm、及び0.1mmのうちの1つの軸線方向距離を有する、請求項1に記載のLEDレトロフィットランプ。
【請求項3】
前記LEDベース側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のベース側端部から0.8mm~1.0mmの間の軸線方向距離を有する、請求項1に記載のLEDレトロフィットランプ。
【請求項4】
前記センタリングリングの軸線方向位置は、前記センタリングリングを当該LEDレトロフィットランプから分離せずに調整可能である、請求項3に記載のLEDレトロフィットランプ。
【請求項5】
前記LED装置の前記発光領域は、3.0mm~3.5mmの間の軸線方向の広がりを有する、請求項1に記載のLEDレトロフィットランプ。
【請求項6】
前記LED装置の発光領域は、3.2mmの軸線方向の広がりを有する、請求項5に記載のLEDレトロフィットランプ。
【請求項7】
前記センタリングリングの軸線方向位置が変更可能である、請求項1に記載のLEDレトロフィットランプ。
【請求項8】
前記LEDレトロフィットランプは、H1、H3、H4、H7、H11、H13、HB3(9005)、HB4(9006)、HB5(9007)、又はHIR2ハロゲンランプのうちの少なくとも1つで動作するように構成された前記車両の前記リフレクタのために構成される、請求項1に記載のLEDレトロフィットランプ。
【請求項9】
車両のヘッドライトであって、車両のヘッドライトは、
リフレクタを含むランプ固定具と、
前記リフレクタ内の取付け位置に取り付けられた発光ダイオード(LED)レトロフィットランプと、を含み、
該LEDレトロフィットランプは、
前記リフレクタ内での前記LEDレトロフィットランプの取付け位置と、基準軸線と、前記LEDレトロフィットランプの基部から上端部までの前記基準軸線に沿った基準方向と、前記基準軸線と交差し、許容範囲のベース側端部から許容範囲のトップ側端部まで前記基準方向に沿って軸線方向に延びる許容範囲とを規定する位置合せ機構を含むセンタリングリングと、
前記基準軸線に対して横方向に光を放射するように構成され、LEDベース側端部からLEDトップ側端部まで軸線方向に延びる発光領域を含むLED装置と、を含み、
前記LEDベース側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のベース側端部から少なくとも0.1mmの軸線方向距離を有しており、
前記LEDトップ側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のトップ側端部から最大1.5mmの軸線方向距離を有する、
車両のヘッドライト。
【請求項10】
前記車両のヘッドライトは、反射型ヘッドライト又は二重投影型ヘッドライトのうちの一方である、請求項9に記載の車両のヘッドライト。
【請求項11】
前記LEDベース側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のベース側端部から0.3mm、0.6mm、1.0mm、1.4mm、及び1.8mmのうちの少なくとも1つの軸線方向距離を有しており、
前記LEDトップ側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のトップ側端部から最大1.0mm、0.5mm、0.3mm、及び0.1mmのうちの1つの軸線方向距離を有する、請求項9に記載の車両のヘッドライト。
【請求項12】
前記LEDベース側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のベース側端部から0.8mm~1.0mmの間の軸線方向距離を有する、請求項9に記載の車両のヘッドライト。
【請求項13】
前記センタリングリングの軸線方向位置は、前記センタリングリングを前記LEDレトロフィットランプから分離せずに調整可能である、請求項12に記載の車両のヘッドライト。
【請求項14】
前記LED装置の前記発光領域は、3.0mm~3.5mmの間の軸線方向の広がりを有する、請求項9に記載の車両のヘッドライト。
【請求項15】
前記LED装置の前記発光領域は、3.2mmの軸線方向の広がりを有する、請求項14に記載の車両のヘッドライト。
【請求項16】
前記センタリングリングの軸線方向位置が変更可能である、請求項9に記載の車両のヘッドライト。
【請求項17】
前記LEDレトロフィットランプは、H1、H3、H4、H7、H11、H13、HB3(9005)、HB4(9006)、HB5(9007)、又はHIR2ハロゲンランプのうちの少なくとも1つで動作するように構成された車両のリフレクタのために構成される、請求項9に記載の車両のヘッドライト。
【請求項18】
車両のヘッドライトのリフレクタ内に取り付けるように構成された従来型ランプを交換するためのLEDレトロフィットランプを製造する製造方法であって、当該製造方法は、
前記従来型ランプのセンタリングリングに基づいて、前記LEDレトロフィットランプ用のセンタリングリングを形成するステップであって、前記LEDレトロフィットランプ用の前記センタリングリングは、前記リフレクタ内での前記LEDレトロフィットランプの取付け位置と、前記従来型ランプの前記センタリングリングによって規定されるのと同じ基準軸線と、前記従来型ランプの前記センタリングリングによって規定されるのと同じ基準方向と、前記従来型ランプの前記センタリングリングによって規定されるのと同じ許容範囲とを規定する位置合せ機構を含む、ステップと、
前記LEDレトロフィットランプ用のLED装置の仮想の発光領域を、前記リフレクタの開口部のエッジ上の点から投影された前記基準軸線上の前記LED装置の発光領域の投影として規定するステップであって、前記LED装置の前記仮想の発光領域は、仮想のLEDベース側端部から仮想のLEDトップ側端部まで軸線方向に延びる、ステップと、
前記仮想のLEDベース側端部が、前記基準方向とは反対側の前記許容範囲のベース側端部から最大0.2mmの軸線方向距離を有しており、及び
前記LEDトップ側端部が、前記基準方向において前記許容範囲のトップ側端部から最大0.5mmの軸線方向距離を有するように、
前記LED装置の発光領域の形状及び位置を選択するステップと、を含む、
製造方法。
【請求項19】
前記LED装置の前記発光領域の前記形状及び前記位置は、
前記仮想のLEDベース側端部が、前記基準方向とは反対側の前記許容範囲のベース側端部から最大0.0mm及び-0.1mmのいずれか1つの軸線方向距離を有しており、
前記LEDトップ側端部が、前記基準方向において前記許容範囲のトップ側端部から最大0.3mm、0.1mm、0.0mm、及び-0.1mmのいずれか1つの軸線方向距離を有する、ようにさらに選択される、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記LEDベース側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のベース側端部から0.8mm~1.0mmの間の軸線方向距離を有する、請求項18に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年5月7日に出願した米国仮特許出願第63/185,814号の利益を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、車両照明のためのLEDレトロフィット(retrofit:改造、換装)に関する。
【背景技術】
【0003】
発光ダイオード(LED)は、エネルギ効率及び寿命等の優れた技術的特性により、ハロゲン、ガス放電、キセノンランプ(一般に総称して従来型ランプと呼ばれる)等の古い技術の光源に益々取って代わりつつある。これは、例えば輝度、光度、ビーム整形等の要求の厳しい用途(車両のヘッドライト等)にも当てはまる。従来型ランプの広大な設置ベース(base:基部)を考慮すると、従来型ランプをいわゆるLEDレトロフィットランプ(略して、LEDレトロフィット)に1対1対応で置き換えながら、光学系(例えば、リフレクタ及び/又はレンズ)及び照明器具等の他の既存のシステム構成要素の継続使用を可能にし、これは大きな経済的利益となり得る。
【発明の概要】
【0004】
LEDレトロフィットランプは、車両リフレクタ内でのランプの取付け位置と、基準軸線と、ランプの基部から上端部までの基準軸線に沿った基準方向と、基準軸線と交差し、許容範囲のベース側端部から許容範囲のトップ側端部まで基準方向に沿って軸線方向に延びる許容範囲とを規定する位置合せ機構を含むセンタリングリングを含む。このランプは、基準軸線に対して横方向に光を放射し、LEDベース側端部からLEDトップ側端部まで軸線方向に延びる発光領域を有する装置(arrangement)を含む。LEDベース側端部は、基準方向において許容範囲のベース側端部から少なくとも0.1mmの軸線方向距離を有しており、LEDトップ側端部は、基準方向において許容範囲のトップ側端部から最大1.5mmの軸線方向距離を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図面と併せて例として与えられる以下の説明から、より詳細な理解が得られる。
【
図2】2フィラメントハロゲンH4ランプの概略断面図である。
【
図3】H4ランプ用のLEDレトロフィットの概略断面図である。
【
図4】従来型ランプフィラメントとLEDレトロフィットのLED装置との間の相対的な大きさ及び位置関係を模式的な断面で示す図である。
【
図5】車両のヘッドライトリフレクタにおける光学的検討事項を加味したサイズ及び位置関係を示すLEDレトロフィットの概略断面図である。
【
図6】車両のヘッドライトリフレクタにおける光学的検討事項を加味したサイズ及び位置関係を示す例示的なLEDレトロフィットの概略断面図である。
【
図7】例示的なLEDレトロフィットの軸線方向位置パラメータの規定を示す概略断面図である。
【
図8】例示的なLEDレトロフィットの軸線方向位置パラメータの規定を示す概略断面図である。
【
図9】従来のLEDレトロフィット及びロービーム用の例示的なLEDレトロフィットについて車両前方の計算した照度レベルを示す図である。
【
図10】従来のLEDレトロフィット及びロービーム用の例示的なLEDレトロフィットについて車両前方の計算した照度レベルを示す図である。
【
図11】従来のLEDレトロフィット及びハイビーム用の例示的なLEDレトロフィットについて車両前方の計算した照明レベルを示す図である。
【
図12】従来のLEDレトロフィット及びハイビーム用の例示的なLEDレトロフィットについて車両前方の計算した照明レベルを示す図である。
【
図13】レトロフィットLEDを製造する方法のフロー図である。
【
図14】例示的な車両ヘッドランプシステムを示す図である。
【
図15】別の例示的な車両ヘッドランプシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
異なる光照射システム及び/又は発光ダイオード(LED)の実施態様の例について、添付の図面を参照して以下にさらに詳しく説明する。これらの例は互いに排他的ではなく、ある例に見出される特徴を1つ又は複数の他の例に見出される特徴と組み合わせて、追加の実施態様を実現することができる。従って、添付図面に示される例は、例示のみを目的として提供されており、決して本開示を限定するものではないことが理解されよう。同様の参照符号は、全体を通じて同様の要素を指す。
【0007】
本明細書では、第1、第2、第3等の用語を使用して様々な要素を説明し得るが、これらの要素はこれらの用語によって限定すべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するために使用され得る。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことがあり、第2の要素を第1の要素と呼ぶことがある。本明細書で使用する場合に、「及び/又は」という用語は、関連する列挙した項目の1つ又は複数のいずれか及び全ての組合せを含み得る。
【0008】
層、領域、又は基板等の要素が、別の要素「上に」ある、又は別の要素「上に」延びていると言及する場合に、その要素は、他の要素の上に直接あるか、又は他の要素の上に直接延びていてもよく、或いは介在要素が存在してもよいことが理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素「上に直接」ある、又は別の要素「上に直接」延びていると言及する場合に、介在要素が存在しない場合がある。また、ある要素が別の要素に「接続される」又は「結合される」と言及する場合に、その要素は、他の要素に直接接続又は結合してもよく、及び/又は1つ又は複数の介在要素を介して他の要素に接続又は結合してもよいことも理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続される」又は「直接結合される」と言及する場合に、その要素と他の要素との間に介在要素は存在しない。これらの用語は、図に示した任意の向きに加えて、要素の異なる向きを包含することを意図していることが理解されよう。
【0009】
「の下」、「の上」、「上」、「下」、「水平」又は「垂直」等の相対的な用語は、本明細書では、図に示されるように、ある要素、層、又は領域と別の要素、層、又は領域との関係を説明するために使用され得る。これらの用語は、図に示された向きに加えて、装置の異なる向きを包含することを意図していることが理解されよう。
【0010】
従来型ランプの完全に機能的な代替品を提供するLEDレトロフィットの場合に、一般的な照明技術要件に加えて、LEDレトロフィットは、他のシステム構成要素の継続使用によってさらに制約される可能性がある。輝度及び配光角度等の光の技術データに加えて、LEDレトロフィットを、交換する従来型ランプと同じ設置スペースに収める必要があるため、サイズ及び形状に関する機械的な境界条件が発生する可能性がある。ハロゲン又はガス放電ランプの光の再生に関する技術データは、様々な理由によりLEDでは複雑になる場合がある。例えば、LEDは従来型ランプとは異なる発光パターンを有する場合がある。従来型ランプは360°に光を放射し得るが、LEDはランベルト(Lambertian)放射パターンを有し得る。さらに、廃熱にもかかわらず接合温度を低く保つ必要があるため、LEDにはヒートシンクが必要になる場合がある。これにより、総設置スペース要件が悪化するだけでなく、基板上に取り付けたLEDがハロゲンランプのフィラメント又はガス放電ランプのアークよりも大きくなる可能性がある。
【0011】
図1は、ハロゲンH7ランプの概略断面図である。
図1に示される例では、1フィラメントH7ランプ110は、車両のヘッドライトリフレクタに応じて、ロービーム又はハイビームを生成するために使用される。
【0012】
図2は、2フィラメントハロゲンH4ランプの概略断面図である。
図2に示される例では、2フィラメントH4ランプ210は、車両のヘッドライトリフレクタ内でハイビームを生成するために使用され得るベース(base:基部)付近のフィラメント214aと、(シャッター218とともに)ロービームを生成するために使用され得る上部付近のフィラメント214bとを有する。
【0013】
図1及び
図2に示されるH7ランプ及びH4ランプ等のランプは、現在配備されている車両で依然として広く使用されている。よりエネルギ効率の高いLEDランプに置き換えることは、経済的利益が高くなるだけでなく、環境面でも大きなメリットがある。このようなランプは、米国特許第10,161,614号にさらに詳細に記載され得、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
図1及び
図2のH7ランプ及びH4ランプ等の従来型ランプ用の車両のヘッドライトリフレクタは、これらのランプの標準化した特性に基づいて設計され得る。これには、サイズ、形状、固定機構等の機械的特性だけでなく、光技術も含まれ得る。リフレクタは、例えば、これらのランプの光源(例えば、
図1及び
図2のH7ランプ及びH4ランプのフィラメント114、214a、214b)の標準化したサイズ、形状、及び位置を想定して設計され得る。多くの国では、特定の規制でランプに対するこれらの要件を定めている。欧州、日本、米国等にとって特に重要なのは、フィラメントランプに関するECE規制No.37及びガス放電ランプに関するECE規制No.99等の国連ECE規制であり得る。
【0015】
図1及び
図2のH7及びH4のフィラメント114、214a、214bとしての光源は、ランプの固定機構に対して位置合わせすることができる。
図1及び
図2に示されるH7及びH4について、フィラメントとしての光源は、特に
図1及び
図2のセンタリングリング117及び217に対して位置合わせすることができる。車両のヘッドライトリフレクタは、リフレクタネックにおけるランプの固定機構、こうして特にランプのセンタリングリングを占める機構に対して設計することができる。これにより、リフレクタの反射面に対するランプの光源の相対位置をリフレクタの設計者が知ることができる。大まかに言えば、リフレクタの設計者は、光源がリフレクタの焦点にあることを気にかける場合もある。現代のハイエンドリフレクタの多くは、このような基本的な要件に加えて、ハイビームの長距離照射だけでなく(運転車線上等の)ロービームの照射距離等、ビーム特性を最適化するために複雑な形状の反射面を使用している場合があり、そして、ロービームの場合に特に重要なのは、対向車の運転者への眩しさを避けることである。多くの国では、ロービームの眩しさ回避等を含む、このようなビーム特性及び同様のビーム特性について厳しい要件を規定している。
【0016】
リフレクタの設計を可能にするために、ランプ規制はランプの許容差(tolerance intervals)を指定することができる。例えば、基準軸線及び基準面を規定した後に、光源(ハロゲンランプのフィラメント等)の偏心及び傾き等の制限値を与えることができる。特に、光源のサイズ、形状、及び位置を制限する許容範囲(tolerance box)を規定することができる。例えば、
図1及び
図2のH7及びH4のフィラメント114、214a、214bは、それらの規制に従って、そのような許容範囲内に収まるように要求される場合がある。
【0017】
そのような許容範囲は、典型的には、光源のベース側(base-side)端部の位置がトップ側(top-side)端部よりも低い(lower:緩い)許容誤差(tolerance)を有するように、非対称であってもよい。例えば、H7ハロゲンランプのECE規則No.37では、フィラメントのベース側端部の軸線方向位置(「e測定」)を許容誤差0.1mmで指定し、フィラメントの軸線方向の延長部(「f測定」)も許容誤差0.1mmで指定し、フィラメントのトップ側端部の追加される許容誤差は0.1+0.1=0.2mmとなる。ベース側端部でのこのような低い許容誤差を用いて、リフレクタ設計者は、典型的に、リフレクタの焦点をベース側端部の近くに設計する場合がある。
【0018】
LEDレトロフィットランプは、市場では比較的新しいものである。法的には、従来型ランプの規制はLEDレトロフィットには現在適用されないが、LEDレトロフィットに対する規制はこれから制定される予定である。現在、規制を適用している国々では、少数のLEDレトロフィットタイプのみに許可が限定されており、その許可は限られた数の車両のヘッドライトタイプに制限されている。
【0019】
上述したように、LEDレトロフィットは、大まかに言えば、従来型ランプを1対1対応で置き換える。換言すれば、LEDレトロフィットは、従来型ランプの取付け位置に物理的に適合する必要があるだけでなく、車両のヘッドライトを変更せずに許容可能なビーム形状を取得する必要もある。そのために、従来のLEDレトロフィットでは、LEDの発光領域を従来型ランプの光源の許容範囲内に配置する等によって、交換する従来型ランプの構造をできるだけ正確に再現しようとする。
【0020】
LEDレトロフィットの発光領域の軸線方向位置に関して、上述した許容範囲の非対称性を考慮することができる。例えば、LEDレトロフィットの発光領域の軸線方向の延長部が、交換する従来型ランプの軸線方向の延長部と異なる場合に、ベース側端部の許容範囲の低い許容誤差が優先される場合があり、LEDレトロフィットの発光領域のベース側端部は、許容範囲のベース側端部(tolerance box base-side end)に配置され得る。トップ側端部でのより大きなずれ(deviations:偏差)は、許容範囲の指定した許容誤差よりも大きい場合でも、トップ側端部でのずれが車両のヘッドライトの光学系にとってそれほど悪影響を及ぼさないという仮定の下で受け入れられる場合がある。
【0021】
許容範囲に対する軸線方向の固執の問題を軽減するために、上記で参照により組み込まれる、同じ出願人の米国特許第10,1616,14号は、LED光源の問題に対処しており、この文献には、ハロゲンランプのフィラメントよりも短いLEDの軸線方向の配置が示されている。この文献は、LED装置のトップ側端部にミラーを設けて、LED装置の発光領域をそのトップ側端部を超えて事実上拡張することを提案している。通常の非対称性の検討事項に従い、この文献では、LED装置のベース側端部を、交換するハロゲンランプのフィラメントのベース側端部と同じ軸線方向位置に配置している。次に、ミラー415a、415bによるLED装置の事実上の拡張は、ハロゲンランプのフィラメントのトップ側端部とほぼ同等であると想定される、LED装置の一種のあいまいなトップ側端部を形成することがある。
【0022】
LEDレトロフィットの発光領域の横方向の位置に関しては、上で議論したLEDレトロフィットの嵩高さのため、また以下でより詳細に議論するように、許容範囲内に留めることは技術的にさらに困難である可能性がある。通常、従来技術によるLEDレトロフィットは、その発光領域が許容範囲の横方向のはるか外側にあることを単純に受け入れていた。
【0023】
LEDレトロフィットに関する別の問題は、異なる角度放射パターンであり得る。LEDは(ランベルトパターンでの追加手段なしに)半空間でのみ発光するが、フィラメント及びガス放電アークは360°の全空間で発光する。これは、典型的に、例えば
図3に示されるように、基板412の対向面上に対向放射方向を有する2つのLED装置414a、414bを配置することによって対処することができ、これは、H4ランプ用のLEDレトロフィット410の断面図を示している。
【0024】
図3は、例示的なH4ランプ410用のLEDレトロフィットの概略断面図である。
図3に示される例では、LEDレトロフィットランプ410は、LEDレトロフィットランプ410をリフレクタに接続するためのコネクタ411と、長手方向軸413に沿って延びる基板412とを含む。コネクタ411は、センタリングリング417を含み得る。そのような構造では、基板412は、LEDのヒートスプレッダとして機能する必要があり得る。従って(機械的安定性のためにも)、基板412は、LED装置414a、414bの発光領域が互いに離れる最小距離tをもたらす最小の厚さを有し得る。残念なことに、そのような距離t、ある意味では(複合)LED光源の厚さは、フィラメント又はガス放電ランプの直径よりも大きく、またそれらの許容範囲の横方向の寸法よりも大きくなる可能性がある。LED装置414a、414bのそれぞれは、それぞれの反射要素/ミラー415a、415bに隣接していてもよい。
図3において、D41a、D41bは、LED装置414a、414bの軸線方向の延長部又は長さを表し、D42aは、センタリングリング417からベース側(ロービーム)LED装置の開始/ベース側端部までの距離を表し、D43a、D43bは、センタリングリング417からLED装置414a、414bの端部(例えば、トップ側端部)までの距離を表す。これを
図4に模式的に示す。
【0025】
図4は、従来型ランプフィラメントとLEDレトロフィットのLED装置との間の相対的な大きさ及び位置関係を模式的な断面で示す図である。
図4に示される例では、左側に、交換されるハロゲンランプのフィラメント14がその許容範囲14’の中心にある。フィラメント14の直径Dは、許容範囲14’の横寸法/幅wより小さくてもよい。右側では、LED1は、基板2の対向面に取り付けられ得る。対向するLED1の発光領域の横方向の間隔t(例えば、LED光源の幅又は厚さt)は、より大きくなり得、多くの場合、フィラメント14の直径Dよりもはるかに大きく、フィラメントの許容範囲の幅wよりもさらに大きい、又ははるかに大きくてもよい。
【0026】
このように横寸法/幅/厚さが大きくなると、ハイビーム及びロービームのビーム形状が最適ではなくなる可能性がある。LED1の発光領域同士の間の横方向の距離tが大きいと、それらの間に(例えば、基板2内に)光が生成されないギャップが生じる可能性があり、そのギャップは、車両のヘッドライトリフレクタによっては、道路の照明領域上に結像する可能性がある。換言すれば、それは、ヘッドライトのビームに薄暗い領域が生じる可能性がある。このような薄暗い領域は、特にハイビームの場合に、煩わしくさらに危険であり得る。さらに、LED1の発光領域が許容範囲14’の外側にあると、リフレクタの設計者が光を予期し得なかった場合に、光源がリフレクタの焦点から外れることがある。これにより、ヘッドライトビームの光強度が計画外に分布する可能性があり、リフレクタの種類によっては、ロービームの明暗の境界を越えてかなりの光が発生し得、こうして対向車を眩しくさせる可能性がある。
【0027】
米国特許第10,458,613号(参照により本明細書に組み込まれる)では、対向するLED装置のビーム方向を逆転させることによってこの問題に対処した。換言すれば、LED装置は、それらLED装置が取り付けられている基板の側に放射するのではなく、代わりに基板の透明な部分を通って反対側に放射することができる。これにより、LED装置の発光面が互いに近づくことになる。このような解決策は、LEDレトロフィットの標準構造から大幅に逸脱している。
【0028】
しかしながら、本明細書で説明する実施形態は、LEDレトロフィットの証明された構造原理から逸脱する必要なく、この問題に対処する。従来型ランプ用に設計されたリフレクタにおいて従来型のLEDレトロフィットから形成されるビームを解析することで、同じことを行うことができる。
【0029】
図5は、車両のヘッドライトリフレクタにおける光学的検討事項を加味したサイズ及び位置関係を示すLEDレトロフィットの概略断面図である。より具体的には、
図5は、リフレクタ20内の交換されるハロゲンランプのフィラメント14(及びその許容範囲14')の位置と比較した、
図4と同様の対向するLED装置の発光領域1'の位置を示す。リフレクタにおける従来のLEDレトロフィットによるビームフォーミングでは、多くのタイプのリフレクタでは、リフレクタ20の開口部のエッジ20'付近の部分等、反射面の外周部分が、ハイビームの長いビーム範囲及び/又はロービームのシャープなカットオフ(明暗の境界)にとって重要であり得ることが認識されていた。このような外周エッジ20’から見て、基準軸線13からオフセットされたLED発光領域1’がリフレクタネックに向けてシフトして(ずれて)見える可能性があることも認識された。換言すれば、ベース側端部がフィラメント14と同じ横方向位置に位置付けされたLED発光領域1'によって放射される光は、端部20'から見て、基準軸線13の仮想の発光領域1''から放射されるように見える可能性があり、これは、真の発光領域1'に対して拡大され、基準方向13とは反対にシフトされる。
【0030】
しかしながら、上述したように、発光領域のベース側端部における許容誤差を低く維持することは、従来型ランプのリフレクタによる最適なビーム整形にとって非常に重要であり得る。多くのタイプのリフレクタでは、許容範囲のベース側端部を超えて内側に移動すると、ハイビームの照射範囲が短くなり、ロービームの眩しさの発生(及び目標のカットオフライン直下の明るさの低下)が生じる可能性がある。
【0031】
また、(真の)発光領域1'をリフレクタ20の開口部に向けてシフトさせることによって、仮想の発光領域1''を許容範囲14'内に移動できることも認識された。これは、
図6の断面に概略的に示されている。
図6から分かり得るように、仮想の発光領域1’’のベース側端部が許容範囲14’のベース側端部と一致するまで、発光領域1’は右(リフレクタ開口部に向けて)シフトされる。この例では、次に、仮想の発光領域1''のトップ側端部も許容範囲14'のトップ側端部と一致する。一般に、特定の相対位置は、一方では、LED発光領域1'の横方向の分離等のLEDレトロフィットランプの他の寸法に依存し、他方では、リフレクタの長さL及びリフレクタの開口部の直径D等のリフレクタ寸法に依存し得る。
【0032】
例えば、LEDレトロフィットランプに配置されたLEDの発光領域の形状及び位置は、その仮想の発光領域のベース側端部が、基準方向とは反対側の許容範囲のベース側端部から最大0.2mmの軸線方向距離を有しており、仮想の発光領域のトップ側端部が、基準方向における許容範囲のトップ側端部から最大0.5mmの軸線方向距離を有するように選択してもよい。多くの種類のリフレクタでは、このように選択した形状及び/又は位置によって満足のいく結果が得られ、さらに最適化することで、LEDレトロフィットが、交換するように設計された従来型ランプと同等又はそれ以上のビーム形状を生成できる可能性がある。
【0033】
この状況は、
図7の断面図に概略的に示されている。
図7に示される例では、仮想の発光領域1’’は、許容範囲14’を超えて距離vd
b、vd
tだけ延びる。距離vd
bは、許容範囲のベース側端部からリフレクタネックに向けて測定され得、距離vd
tは、許容範囲のトップ側端部からリフレクタ開口部に向けて測定され得る。本明細書で説明する実施形態では、vd
bを最大0.2mmに制限し、vd
tを最大0.5mmに制限することが望ましい場合がある。上で説明したように、許容範囲の非対称性により、ベース側の制限はトップ側の制限よりも厳しい、又はさらに厳しい場合がある。
【0034】
仮想の発光領域を基準ボックスにさらに近づけて一致させることによって、一部のリフレクタタイプではさらに良好なビーム形状を得ることができる。いくつかの実施形態では、ベース側距離vdbの値は、これらの実施形態では、ベース側距離vdbが最大0.0mm及び-0.1mmであるようにさらに制限され得、これは、ベース側許容範囲と一致し得、又は許容範囲内に0.1mm移動することさえあり、これは、H7ハロゲンランプの場合に、規制ECE37によるベース側フィラメント端部の公称位置であり得る。いくつかの実施形態では、トップ側距離vdtについても同様であり、トップ側距離vdtは、最大0.3mm、0.1mm、0.0mm、及び-0.1mmであり得、トップ側端部の許容範囲との一致を超えて基準ボックスに向けて移動するか、又は許容範囲内に0.1mm移動する場合もあり、H7ハロゲンランプの場合に、これは、規制ECE37に基づく上側フィラメント端部の公称位置であり得る。
【0035】
LEDレトロフィットが対象とする特定のリフレクタから独立した位置間隔等の絶対位置間隔が、多くのリフレクタタイプに対して満足のいく結果をもたらすことも認識される。例えば、LEDレトロフィットランプのLED装置の発光領域は、基準方向においてそのベース側端部が許容範囲のベース側端部から少なくとも0.1mmの軸線方向距離を有し、且つ基準方向においてそのトップ側端部が許容範囲のトップ側端部から最大1.5mmの軸線方向距離を有するように位置付けすることができる。例えば、仮想の発光領域とは異なり、(真の)発光領域は、そのベース側端部を含めて、許容範囲を超えて拡張する必要はなく、リフレクタのネックに向けてシフトする必要がある。
【0036】
この状況は、
図8の断面図に概略的に示されている。
図8に示される例では、発光領域1’は、許容範囲14’に対して距離d
b、d
tだけシフトされ得る。距離d
bは、許容範囲のベース端部に対する発光領域のベース端部のずれを示し、d
tは許容範囲のトップ側端部に対する発光領域のトップ側端部のずれを示し、どちらも、基準方向13等のリフレクタネックに向けて測定される。上述したように、d
bは少なくとも0.1mmに制限され、d
tは最大1.5mmに制限され得る。上で説明したように、許容範囲の非対称性により、ベース側の制限はトップ側の制限よりも許容範囲にはるかに近く固定される可能性がある。
【0037】
仮想の発光領域の許容範囲へのより緊密な固定に対応して、(真の)発光領域のより緊密な位置付けは、一部のリフレクタタイプに対してさらに良好なビーム形状をもたらす可能性がある。ベース側の距離dbは、0.3mm、0.6mm、1.0mm、1.4mm、及び1.8mmのうちの少なくとも1つであってもよく、トップ側の距離dtは、最大でも1.0mm、0.5mm、0.3mm、及び0.1mmのうちの1つであってもよい。
【0038】
既に説明したように、発光領域1’のベース側端部の軸線方向位置dbは、ビーム品質にとって特に重要になり得る。0.8mm~1.0mmの間の値は、少なくとも一部のリフレクタタイプでは非常に満足のいく結果を達成し得る。これは、長さ(例えば、LED装置の軸線方向の延長部)を3.0mm~3.5mmの間、及び/又は具体的には3.2mmとして選択することによっても改善され得る。
【0039】
絶対値は、LEDレトロフィットランプを市場の各車両ライトリフレクタのために特別に設計する必要がなく、寸法の詳細とは独立して多くの既存のリフレクタタイプに対して機能し得るという利点を有し得る。その文脈において、理解を容易にするために、図中の許容範囲14’はリフレクタ20内に示されているが、許容範囲の規定はリフレクタから独立していてもよいことに言及する価値があり得る。換言すれば、フィラメント及びガス放電アークの許容範囲を含む従来型ランプの寸法は、特に
図1及び
図2に示されるセンタリングリング117、217によって構成され且つLEDレトロフィットのセンタリングリング417(
図3を参照)によって機能的に引き継がれた位置合わせ特徴に関して、従来型ランプ自体内で規定され得る。センタリングリング(固定、位置合せ、及び/又はキーイング手段とも呼ばれる)は、リフレクタ内の従来型ランプの取付け位置を完全に規定することができ、同様に、LEDレトロフィットのセンタリングリングもその取付け位置をリフレクタ内に規定することができる。従来型ランプのセンタリングリングとLEDレトロフィットのセンタリングリングとが同等であるため、従来型ランプの基準ボックスの形状、サイズ及び位置をLEDレトロフィット品にも引き継ぐことができる。
【0040】
本明細書で説明するLEDレトロフィットの製造方法とたった今述べた(given)絶対値との間の関係は、H7用に設計した典型的なリフレクタにおいて交換されるH7ハロゲンランプの寸法を使用する例で説明することができる。基準面から測定すると、H7許容範囲のベース側端部からそこ(基準面)までの距離(光中心長)が25mmになる場合がある。基準面からの測定を続けると、典型的なH7リフレクタの長さ(基準面からリフレクタ開口部までの距離)は60mmになる。このようなリフレクタの直径は典型的に130mmである。H7に関して開示するLEDレトロフィットの発光領域の距離、例えば
図4の厚さtは、2.8mmとすることができる。例えばvd
b=0mm(
図7)を選択することによって、仮想のLED発光領域のベース側端部を許容範囲のベース側端部と一致させる実施形態に本明細書で説明する方法を適用すると、切片定理(intercept theorem)により、d
b(
図8)等の、(真の)発光領域のベース端部の軸線方向シフトを計算することができる。
【0041】
((リフレクタ直径)/2)/(厚さ/2)=((リフレクタ長)-(光中心長))/dbである。
【0042】
130/2.8=(60-25)/dbである。
【0043】
db=(60-25)/(65/2.8)=35/130×2.8=0.75mmである。
【0044】
こうして、この例では、仮想のLED発光領域のベース側端部を許容範囲のベース側端部と一致させることは、(真の)発光領域のベース側端部を0.75mmだけシフトすることに対応し得る。
【0045】
LED装置におけるLEDの軸線方向の配置は、実際には、LEDのピックアンドプレース機構を適切に制御することによって実際に行うことができる。しかしながら、今述べたように、最終的には、LED装置からセンタリングリングまでの軸線方向の距離(ハロゲンランプの場合に
図1及び
図2の距離D11、D12、D13、D21a、D21b、D23a、D23b、そしてLEDレトロフィットの場合に
図3の距離D41a、D41b、D42a、D43a、D43b)が重要となり得る。こうして、基板412上のLED414a、414bの位置を変更する代わりに、センタリングリング417の軸線方向位置を変更する方がはるかにシンプルである可能性がある(
図3を参照)。これは、位置合せ機構の軸線方向位置を選択するために様々な厚さのセンタリングリングを用いることによって、特に容易に実際に実現することができる。あるいはまた、センタリングリングは、例えば選択した軸線方向位置で接着することによって固定してもよい。
【0046】
また、エンドユーザ等によるセンタリングリングの軸線方向位置の「時期が遅い(late)」選択も興味深いものであり、それにより、より広範囲のスペクトルのリフレクタタイプに対するLEDレトロフィットの有用性が高まる可能性がある。これは、LEDレトロフィットを、厚さの異なる交換可能なセンタリングリングと組み合わせることで実現できる可能性がある。ただし、センタリングリングをLEDレトロフィットから分離する必要がない場合に、エンドユーザにとっては、単にセンタリングリングを別の角度位置に回転させる等、軸線方向位置を変更する方がはるかに容易になる場合がある。現在の一部のLEDレトロフィットでは、LED装置の最適な角度位置を選択するための回転可能なセンタリングリングが既に予測されている場合がある。さらに、
図4のような2つの対向するLED装置が、従来型ランプの均一な360°発光を完全には再現できない可能性があるが、典型的に、LEDの取り付け面を横切る方向に最大強度を有する可能性がある。一部のリフレクタは、特定の位置でそのような強度が最大になるとより優れたパフォーマンスを発揮する可能性がある。このようなことは、例えば、様々な軸線方向のレベルを規定するノッチ及び隆起部での休止位置を予測すること等によって、センタリングリングの軸線方向のシフトと組み合わせることができる。
【0047】
本明細書で説明するLEDレトロフィットは、あらゆる従来型ランプを置き換えることができるが、H1、H3、H4、H7、H11、H13、HB3(9005)、HB4(9006)、HB5(9007)、又はHIR2ハロゲンランプの1つを置き換えるために特に有用であり得る。これらのうち、H7及びH4は、設置ベースが広大であるため、商業的な観点から特に興味深いものではないかもしれないが、本明細書で説明するLED発光領域の軸線方向のシフトにより、技術的には非常に高いビーム品質も可能になり得る。
【0048】
本明細書で説明する実施形態は、投影光学系の無いヘッドライト等の反射型ヘッドライトに特に有利であることが示されており、ここで、光源の完全な結像をヘッドライトリフレクタによって実行する必要があり、こうして、指定した位置で光源を見つけることに大きく依存する場合がある。
【0049】
図9は、光学シミュレーション計算により、上部(a)の従来のLEDレトロフィットの明暗境界の品質と、下部(b)の本明細書で説明する実施形態によるLEDレトロフィット(3.2mmの長さ(1mmの幅)のLED発光領域を使用し、横方向にt=2.6mm離れており、そのベース側端部は許容範囲のベース側端部に対してd
b=1.5mmだけシフトしている)の明暗境界の品質とを比較する。このヘッドライトを構成したH7ハロゲンランプ(H7フィラメントには、(公称)長さ4.1mmのD11、(目標値で典型的には)1.3mmの直径Dがある)の代わりに、LEDレトロフィットが取り付けられたフィアット500の車両のヘッドライトの前部に配置された垂直スクリーン(H-Vスペース)上に強度等値線が示される。水平方向左側(水平方向中央線の僅かに下)と傾斜した右半分(右車線交通のための設計)との間にキンク31を有する所望のカットオフライン30が示される。高品質は、対向車への良好な照射と運転車線でのロービームの範囲が長いカットオフライン30の直下の高輝度、及び対向車の眩しさを避けるためにカットオフライン30の直上の低輝度から判断することができ、こうして、カットオフライン30を下から上に横切るときに、急激な強度の減少、従って等値線の密度が必要となる。下部(b)のLEDレトロフィットがそのような理想に近づいていることが明確に分かり得る。しかしながら、上部(a)の従来のLEDレトロフィットでは、等値線はカットオフライン30に平行ではなく、ある角度でそのカットラインと交差する可能性があり、カットオフライン30の下の等値線の密度はより低くなり(特に、カットオフライン30の傾斜部分の下)、これはロービームの範囲が減少していることを示している。さらに有害なのは、等値線がカットオフライン30を越えてキンク31の上及び側部の領域(図では点線領域32で示される)に移動することである。これは、対向車に深刻なグレアを引き起こすことになる。
【0050】
これは、
図10においてさらに明らかになる。
図10は、車両の前方の道路を鳥瞰図で見たときの強度等値線を示している。再び、上の行は従来のLEDのレトロフィットを示し、下の行は本明細書で説明する実施形態によるLEDのレトロフィットを示す。左の列(a)は、(
図9で行われたように)両方のLEDレトロフィットに対して、同じ光束等の同じ総光量を使用する。右の列(b)では、従来のLEDレトロフィットの光束は、ECE規制で規定されている対向車に対するグレア値を下回るように低減した。これらの図から、本明細書で説明する実施形態によるLEDレトロフィットを含む車両のヘッドライトは、非常に短い範囲(参照符号33で示される位置を参照)までしか対向車線を照射せず、対向車の運転手の目の高さより下に留まり、眩しさを与えず、代わりに自車線に光を集中させて長いロービーム範囲を実現することが明らかである。これに対して、従来のLEDレトロフィットでは、対向車の運転者の目の高さに多くの光が送られるため、かなりの眩しさを生じさせる一方、自車線を照らす光の部分が浪費される。眩しさのレベルを許容範囲に保つために従来のLEDレトロフィットの光束を低減しても、自車線のロービームの範囲が約30mのs
lbだけ大幅に減少するため、役に立たない可能性がある。
【0051】
図11及び
図12は、
図9と同様の垂直スクリーン及び鳥瞰図、並びに
図10の左列を示す(両方の図において、従来のLEDレトロフィット及び本明細書で説明する実施形態によるLEDレトロフィットは同じ輝度レベルにある)が、今回は、ハイビームモードのルノーのトゥインゴ(Twingo)のヘッドライトのH4LEDレトロフィットの場合である。
図9及び
図10の従来のLEDレトロフィット及び本明細書で説明する実施形態によるLEDレトロフィットの同じLED装置が、(H4LEDレトロフィットのハイビーム光源のために)使用される。従来のH4フィラメントランプでは、ハイビームフィラメントの長さは(公称)4.5mmであり、その直径は(目標値で典型的には)1.3mmである。
【0052】
図11は、本明細書で説明するLEDレトロフィットを含む車両のヘッドライトが、地平線H(車両の無限遠前方の道路中央)にほぼ正確に位置する強度最大値34dを有した状態で垂直スクリーン上に有利な形状の強度分布を生成できることを明確に示している。従来のLEDレトロフィットでは、代わりに、強度分布が地平線Hで分岐する可能性がある。換言すると、地平線Hから左右34pの位置に2つの強度最大値が存在する可能性がある(主な最大値は左側にある)。しかしながら、これは、地平線Hにおける強度が2つの最大値34pの間の極小値であり、これは運転者が暗い点35pとして認識することを意味し得る。従来のLEDレトロフィットの不利な特性は、2つの最大値34pの間の(地平線Hにつながる道路の中央線から右に位置している)暗いスポット35pを明確に示している
図12の鳥瞰図でさらに明らかになり得る。より大きい左側の最大値を従来技術のLEDレトロフィットのハイビーム範囲として考慮した場合でも、本明細書で説明するLEDレトロフィットは、そのようなハイビーム範囲をほぼs
hb=50~60mだけ増大させる可能性がある。
【0053】
マーケティング及び技術的な観点から、従来のLEDレトロフィットと、議論する反射型車両のヘッドライトにおける本明細書で説明するLEDレトロフィットとの最も重要な違いは、本明細書で説明するLEDレトロフィットのビームパターンがECEビーム要件に完全に準拠することができる一方で、従来技術のLEDレトロフィットではこのような要件は達成できない場合がある(又は、ロービームについては、光束、従ってロービーム範囲を減らすことによってのみ達成可能であり得る)。
【0054】
反射型車両のヘッドライトに加えて、本明細書で説明するLEDレトロフィットランプは、いわゆる二重投影型ヘッドライトにおいても有利であることが判明し得る。一般に、投影型ヘッドライトは、ロービームの明暗境界を規定するためにシャッターを使用することができるため、反射型ヘッドライトよりも光源の位置に依存しにくい。ただし、二重投影型のヘッドライトは、ハイビームだけでなくロービームにも同じ光源を再利用する場合がある。それら二重投影型のヘッドライトは、可動シャッターを採用し、ロービームの光路内にシャッターを入れてカットオフラインより上の光を遮ぎり、シャッターを光路から外して全ての光をハイビームに使用する場合もある。しかしながら、同じ光源から高品質のハイビームだけでなくロービームも生成することは技術的により困難であり、指定した形状及び位置に固執する光源により強く依存するリフレクタ及び投影光学系が必要になる。そこでは、本明細書で説明するLEDレトロフィットは、議論する反射型ヘッドライトと同様の利点を発揮し得る。
【0055】
図13は、LEDレトロフィットを製造する方法1300のフロー図である。
図13に示される例では、この方法は、車両のヘッドライトのリフレクタ内に取り付けるように構成された従来型ランプを交換するためのLEDレトロフィットランプを製造する方法であってもよく、従来型ランプのセンタリングリングに基づいてLEDレトロフィットランプ用のセンタリングリングを形成することを含んでもよい(1302)。LEDレトロフィットランプ用のセンタリングリングは、従来型ランプのセンタリングリングに基づいて、LEDレトロフィットランプ用のセンタリングリングがリフレクタ内のLEDレトロフィットランプの取付け位置、従来型ランプのセンタリングリングによって規定されるのと同じ基準軸線、従来型ランプのセンタリングリングによって規定されるのと同じ基準方向、及び従来型ランプのセンタリングリングによって規定されるのと同じ許容範囲のうちの少なくとも1つを規定する位置合せ機構を含むように形成してもよい。
【0056】
LED装置の仮想の発光領域は、LEDレトロフィットランプに対して規定され得る(1304)。LED装置の仮想の発光領域は、LEDレトロフィットランプに関して、リフレクタの開口部のエッジ上の点から投影される基準軸線上のLED装置の発光領域の投影として規定され得る。LED装置の仮想の発光領域は、仮想のLEDベース側端部から仮想のLEDトップ側端部まで軸線方向に延び得る。
【0057】
LED装置の発光領域の形状及び位置を選択することができる(1306)。実施形態では、形状及び位置は、仮想のLEDベース側端部が、基準方向とは反対側の許容範囲のベース側端部から最大0.2mmの軸線方向距離を有しており、LEDトップ側端部が、基準方向において許容範囲のトップ側端部から最大0.5mmの軸線方向距離を有するように選択され得る。
【0058】
図14は、本明細書で説明する実施形態及び例のうちの1つ又は複数を組み込むことができる例示的な車両ヘッドランプシステム1400の図である。
図14に示される例示的な車両ヘッドランプシステム1400は、電力線1402、データバス1404、入力フィルタ及び保護モジュール1406、バストランシーバ1408、センサモジュール1410、LED直流/直流(DC/DC)モジュール1412、論理低ドロップアウト(LDO)モジュール1414、マイクロコントローラ1416、及びアクティブヘッドランプ1418を含む。
【0059】
電力線1402は、車両から電力を受け取る入力を有することができ、データバス1404は、車両と車両ヘッドランプシステム1400との間でデータを交換することができる入力/出力を有することができる。例えば、車両ヘッドランプシステム1400は、方向指示器をオンにする命令又はヘッドランプをオンにする命令等、車両内の他の場所から命令を受信することができ、必要に応じて車両内の他の場所にフィードバックを送信することができる。センサモジュール1410は、データバス1404に通信可能に結合することができ、例えば、環境条件(例えば、時刻、雨、霧、又は周囲の光レベル)、車両の状態(例えば、駐車中、走行中、移動速度、移動方向)、他の物体の存在/位置(例えば、車両又は歩行者)に関連する追加データを車両ヘッドランプシステム700又は車両内の他の場所に提供することができる。車両データバスに通信可能に結合された車両コントローラとは別のヘッドランプコントローラも車両ヘッドランプシステム1400に含めもよい。
図14では、ヘッドランプコントローラは、マイクロコントローラ(μc)716等のマイクロコントローラであってもよい。マイクロコントローラ1416は、データバス1404に通信可能に結合してもよい。
【0060】
入力フィルタ及び保護モジュール1406は、電力線1402に電気的に結合することができ、例えば、伝導性放出を低減し、電力耐性を提供するために様々なフィルタをサポートすることができる。さらに、入力フィルタ及び保護モジュール1406は、静電放電(ESD)保護、ロードダンプ(load-dump)保護、オルタネータ磁気減衰保護、及び/又は逆極性保護を提供することができる。
【0061】
LED DC/DCモジュール1412は、入力フィルタ及び保護モジュール1406とアクティブヘッドランプ1418との間に結合され、フィルタリングした電力を受け取り、アクティブヘッドランプ1418内のLEDアレイ内のLEDに電力を供給するための駆動電流を供給することができる。LED DC/DCモジュール1412は、約13.2ボルトの公称電圧を有する7~18ボルトの入力電圧と、LEDアレイの最大電圧より僅かに高い(例えば、0.3ボルト)出力電圧とを有し得る(例えば、負荷、温度、又は他のファクタによる要因又はローカル校正及び動作条件の調整によって決定される)。
【0062】
論理LDOモジュール1414は、フィルタリングした電力を受け取るために入力フィルタ及び保護モジュール1406に結合され得る。論理LDOモジュール1414は、マイクロコントローラ1416及びアクティブヘッドランプ1418に結合され、マイクロコントローラ1416及び/又はCMOSロジック等のアクティブヘッドランプ1418内の電子機器に電力を供給することもできる。
【0063】
バストランシーバ1408は、例えば、ユニバーサル非同期受信機送信機(UART)又はシリアル周辺機器インターフェイス(SPI)インターフェイスを有し得、マイクロコントローラ1416に結合され得る。マイクロコントローラ1416は、センサモジュール1410からのデータに基づいて又はこのデータを含む車両入力を変換することができる。変換した車両入力は、アクティブヘッドランプ1418内の画像バッファに転送可能なビデオ信号を含むことができる。さらに、マイクロコントローラ1416は、デフォルトの画像フレームをロードし、起動時にオープン/ショートピクセルをテストすることができる。実施形態では、SPIインターフェイスはCMOSに画像バッファをロードすることができる。画像フレームは、フルフレーム、差分フレーム、又は部分フレームであってもよい。マイクロコントローラ1416の他の機能には、論理LDO出力だけでなく、ダイ温度を含むCMOSステータスの制御インターフェイスモニタリングが含まれてもよい。実施形態では、ヘッドルーム(headroom)を最小限に抑えるために、LED DC/DC出力を動的に制御することができる。画像フレームデータの提供に加えて、車幅灯又は方向指示器ライトと組み合わせた補完的な使用、及び/又は日中走行ライトの点灯等、他のヘッドランプ機能も制御することができる。
【0064】
図15は、別の例示的な車両ヘッドランプシステム1500の図である。
図15に示される例示的な車両ヘッドランプシステム800は、アプリケーションプラットフォーム1502、2つのLED照明システム1506及び1508、及び二次光学系1510及び1512を含む。
【0065】
LED照明システム808は、光ビーム1514(
図15の矢印1514aと矢印1514bとの間に示される)を放射することができる。LED照明システム1506は、光ビーム1516(
図15の矢印1516aと矢印1516bとの間に示される)を放射することができる。
図15に示される実施形態では、二次光学系1510はLED照明システム1508に隣接しており、LED照明システム1508から放射された光は二次光学系1510を通過する。同様に、二次光学系1512はLED照明システム1506に隣接しており、LED照明システム1506から放射された光は二次光学系1512を通過する。代替実施形態では、車両ヘッドランプシステムには二次光学系1510/1512は設けられない。
【0066】
二次光学系1510/1512が含まれる場合に、二次光学系1510/1512は、1つ又は複数の光ガイドであってもよく、又はそれを含んでもよい。1つ又は複数の光ガイドは、エッジライト(edge lit)であってもよく、又は光ガイドの内側エッジを規定する内側開口部を有してもよい。LED照明システム1508及び1506は、1つ又は複数の光ガイドの内部エッジ(内部開口光ガイド)又は外部エッジ(エッジライト光ガイド)に光を注入するように、1つ又は複数の光ガイドの内部開口部に挿入され得る。実施形態では、1つ又は複数の光ガイドは、LED照明システム1508及び1506によって発せられる光を、例えば、勾配、面取り分布、狭い(narrow)分布、広い(wide)分布、又は角度分布等を伴う所望の方法で形成することができる。
【0067】
アプリケーションプラットフォーム1502は、ライン1504を介してLED照明システム1506及び/又は1508に電力及び/又はデータを供給することができ、ライン1504は、
図14の電力線1402及びデータバス1404の1つ又は複数又は一部を含み得る。1つ又は複数のセンサ(車両ヘッドランプシステム1500内のセンサ又は他の追加のセンサであってもよい)は、アプリケーションプラットフォーム1502のハウジングの内部又は外部にあってもよい。代替又は追加として、
図14の例示的な車両ヘッドランプシステム1400に示されるように、各LED照明システム1508及び1506は、それ自体のセンサモジュール、接続及び制御モジュール、電力モジュール、及び/又はLEDアレイを含むことができる。
【0068】
諸実施形態では、車両ヘッドランプシステム1500は、LEDを選択的に作動して操縦可能な光を提供することができる操縦可能な光ビームを備えた自動車を表すことができる。例えば、LED又はエミッタのアレイを使用して、形状又はパターンを規定又は投影する、或いは道路の選択したセクションのみを照明することができる。例示的な実施形態では、LED照明システム1506及び1508内の赤外線カメラ又は検出器ピクセルは、照明を必要とするシーンの部分(例えば、車道又は横断歩道)を識別するセンサ(例えば、
図14のセンサモジュール1410内のセンサと同様)であってもよい。
【0069】
実施形態を詳細に説明してきたが、当業者であれば、本説明を考慮して、本発明の概念の精神から逸脱することなく、本明細書で説明する実施形態に修正を加えることができることを理解するだろう。従って、本発明の範囲が図示し説明した特定の実施形態に限定されることは意図していない。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード(LED)レトロフィットランプであって、当該LEDレトロフィットランプは、
車両のリフレクタ内での前記LEDレトロフィットランプの取付け位置と、基準軸線と、前記LEDレトロフィットランプの基部から上端部までの前記基準軸線に沿った基準方向と、前記基準軸線と交差し、許容範囲のベース側端部から許容範囲のトップ側端部まで前記基準方向に沿って軸線方向に延びる許容範囲とを規定する位置合せ機構を含むセンタリングリングと、
前記基準軸線に対して横方向に光を放射するように構成され、LEDベース側端部からLEDトップ側端部まで軸線方向に延びる発光領域を含むLED装置と、を含み、
前記発光領域は、
前記LEDベース側端部
が、前記基準方向において前記許容範囲のベース側端部から少なくとも0.1mmの軸線方向距離
に位置付けされ、
及び
前記LEDトップ側端部
が、前記基準方向において前記許容範囲のトップ側端部から最大1.5mmの軸線方向距離
に位置付けされるように、
前記センタリングリングに対して位置付けされる、
LEDレトロフィットランプ。
【請求項2】
前記LEDベース側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のベース側端部から0.3mm、0.6mm、1.0mm、1.4mm、及び1.8mmのうちの少なくとも1つの軸線方向距離
に位置付けされ、
及び
前記LEDトップ側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のトップ側端部から最大1.0mm、0.5mm、0.3mm、及び0.1mmのうちの1つの軸線方向距離
に位置付けされる、請求項1に記載のLEDレトロフィットランプ。
【請求項3】
前記LEDベース側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のベース側端部から0.8mm~1.0mmの間の軸線方向距離
に位置付けされる、請求項1に記載のLEDレトロフィットランプ。
【請求項4】
前記センタリングリングの軸線方向位置は、前記センタリングリングを当該LEDレトロフィットランプから分離せずに調整可能である、請求項3に記載のLEDレトロフィットランプ。
【請求項5】
前記LED装置の前記発光領域は、3.0mm~3.5mmの間の軸線方向の広がりを有する、請求項1に記載のLEDレトロフィットランプ。
【請求項6】
前記LED装置の発光領域は、3.2mmの軸線方向の広がりを有する、請求項5に記載のLEDレトロフィットランプ。
【請求項7】
前記センタリングリングの軸線方向位置が変更可能である、請求項1に記載のLEDレトロフィットランプ。
【請求項8】
前記LEDレトロフィットランプは、H1、H3、H4、H7、H11、H13、HB3(9005)、HB4(9006)、HB5(9007)、又はHIR2ハロゲンランプのうちの少なくとも1つで動作するように構成された前記車両の前記リフレクタのために構成される、請求項1に記載のLEDレトロフィットランプ。
【請求項9】
車両のヘッドライトであって、車両のヘッドライトは、
リフレクタを含むランプ固定具と、
前記リフレクタ内の取付け位置に取り付けられた発光ダイオード(LED)レトロフィットランプと、を含み、
該LEDレトロフィットランプは、
前記リフレクタ内での前記LEDレトロフィットランプの取付け位置と、基準軸線と、前記LEDレトロフィットランプの基部から上端部までの前記基準軸線に沿った基準方向と、前記基準軸線と交差し、許容範囲のベース側端部から許容範囲のトップ側端部まで前記基準方向に沿って軸線方向に延びる許容範囲とを規定する位置合せ機構を含むセンタリングリングと、
前記基準軸線に対して横方向に光を放射するように構成され、LEDベース側端部からLEDトップ側端部まで軸線方向に延びる発光領域を含むLED装置と、を含み、
前記発光領域は、
前記LEDベース側端部
が、前記基準方向において前記許容範囲のベース側端部から少なくとも0.1mmの軸線方向距離
に位置付けされ、
及び
前記LEDトップ側端部
が、前記基準方向において前記許容範囲のトップ側端部から最大1.5mmの軸線方向距離
に位置付けされるように、
前記センタリングリングに対して位置付けされる、
車両のヘッドライト。
【請求項10】
前記車両のヘッドライトは、反射型ヘッドライト又は二重投影型ヘッドライトのうちの一方である、請求項9に記載の車両のヘッドライト。
【請求項11】
前記LEDベース側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のベース側端部から0.3mm、0.6mm、1.0mm、1.4mm、及び1.8mmのうちの少なくとも1つの軸線方向距離
に位置付けされ、
及び
前記LEDトップ側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のトップ側端部から最大1.0mm、0.5mm、0.3mm、及び0.1mmのうちの1つの軸線方向距離
に位置付けされる、請求項9に記載の車両のヘッドライト。
【請求項12】
前記LEDベース側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のベース側端部から0.8mm~1.0mmの間の軸線方向距離
に位置付けされる、請求項9に記載の車両のヘッドライト。
【請求項13】
前記センタリングリングの軸線方向位置は、前記センタリングリングを前記LEDレトロフィットランプから分離せずに調整可能である、請求項12に記載の車両のヘッドライト。
【請求項14】
前記LED装置の前記発光領域は、3.0mm~3.5mmの間の軸線方向の広がりを有する、請求項9に記載の車両のヘッドライト。
【請求項15】
前記LED装置の前記発光領域は、3.2mmの軸線方向の広がりを有する、請求項14に記載の車両のヘッドライト。
【請求項16】
前記センタリングリングの軸線方向位置が変更可能である、請求項9に記載の車両のヘッドライト。
【請求項17】
前記LEDレトロフィットランプは、H1、H3、H4、H7、H11、H13、HB3(9005)、HB4(9006)、HB5(9007)、又はHIR2ハロゲンランプのうちの少なくとも1つで動作するように構成された車両のリフレクタのために構成される、請求項9に記載の車両のヘッドライト。
【請求項18】
車両のヘッドライトのリフレクタ内に取り付けるように構成された従来型ランプを交換するためのLEDレトロフィットランプを製造する製造方法であって、当該製造方法は、
前記従来型ランプのセンタリングリングに基づいて、前記LEDレトロフィットランプ用のセンタリングリングを形成するステップであって、前記LEDレトロフィットランプ用の前記センタリングリングは、前記リフレクタ内での前記LEDレトロフィットランプの取付け位置と、前記従来型ランプの前記センタリングリングによって規定されるのと同じ基準軸線と、前記従来型ランプの前記センタリングリングによって規定されるのと同じ基準方向と、前記従来型ランプの前記センタリングリングによって規定されるのと同じ許容範囲とを規定する位置合せ機構を含む、ステップと、
前記LEDレトロフィットランプ用のLED装置の仮想の発光領域を、前記リフレクタの開口部のエッジ上の点から投影された前記基準軸線上の前記LED装置の発光領域の投影として規定するステップであって、前記LED装置の前記仮想の発光領域は、仮想のLEDベース側端部から仮想のLEDトップ側端部まで軸線方向に延びる、ステップと、
前記仮想のLEDベース側端部が、前記基準方向とは反対側の前記許容範囲のベース側端部から最大0.2mmの軸線方向距離
に位置付けされ、及び
前記LEDトップ側端部が、前記基準方向において前記許容範囲のトップ側端部から最大0.5mmの軸線方向距離
に位置付けされるように、
前記LED装置の発光領域の形状及び位置を選択するステップと、を含む、
製造方法。
【請求項19】
前記LED装置の前記発光領域の前記形状及び前記位置は、
前記仮想のLEDベース側端部が、前記基準方向とは反対側の前記許容範囲のベース側端部から最大0.0mm及び-0.1mmのいずれか1つの軸線方向距離
に位置付けされ、
前記LEDトップ側端部が、前記基準方向において前記許容範囲のトップ側端部から最大0.3mm、0.1mm、0.0mm、及び-0.1mmのいずれか1つの軸線方向距離
に位置付けされるように、さらに選択される、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記LEDベース側端部は、前記基準方向において前記許容範囲のベース側端部から0.8mm~1.0mmの間の軸線方向距離
に位置付けされる、請求項18に記載の製造方法。
【国際調査報告】