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特表2024-517871プロテアーゼ活性化治療剤を含む組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】プロテアーゼ活性化治療剤を含む組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20240416BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240416BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240416BHJP
   C07K 14/52 20060101ALI20240416BHJP
   C07K 14/715 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C12N15/12 ZNA
C12N15/11 Z
C07K19/00
C07K14/52
C07K14/715
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K38/20
A61K47/65
A61K47/68
A61K39/395 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568310
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022072121
(87)【国際公開番号】W WO2022236292
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/185,941
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/313,087
(32)【優先日】2022-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】399019892
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・オブ・シカゴ
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF CHICAGO
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ハベル ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】石原 純
(72)【発明者】
【氏名】メンドーサ ジュアン
(72)【発明者】
【氏名】マンスロフ アスラン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA95
4C076BB13
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF67
4C084AA02
4C084AA07
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA02
4C084BA41
4C084BA44
4C084DA12
4C084DA46
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA06
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB072
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB11
4C085EE03
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA01
4H045DA51
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、1つまたは複数の腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を含むマスクされた治療剤のコラーゲン結合修飾の操作に関する。腫瘍微小環境において腫瘍関連プロテアーゼに曝露されると、ポリペプチドが切断され、これにより治療剤がアンマスクされ、全身投与に関連するオフターゲットの副作用および毒性を低減する。したがって、本開示の局面は、リンカーを通じてマスキング剤に連結された治療剤を含むポリペプチドに関し、リンカーが1つまたは複数の腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を含み、マスキング剤が治療剤のその治療標的への会合を遮断し、さらに、ポリペプチドがコラーゲン結合ドメインまたは腫瘍ターゲティング剤に機能的に連結されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンカーを通じてマスキング剤に連結されたサイトカインを含むポリペプチドであって、
該リンカーがグリシン-セリンリンカーを含み; かつ
該マスキング剤が、該サイトカインに特異的に結合するサイトカイン受容体ポリペプチドまたはその断片を含む、
前記ポリペプチド。
【請求項2】
リンカーがSEQ ID NO:48を含む、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
SEQ ID NO:248を含む、請求項2記載のポリペプチド。
【請求項4】
リンカーを通じてマスキング剤に連結されたサイトカインを含むポリペプチドであって、
該リンカーが、少なくとも2つのSEQ ID NO:138のプロテアーゼ切断部位および少なくとも2つのSEQ ID NO:134のプロテアーゼ切断部位を含み、かつ
該マスキング剤が、該サイトカインに特異的に結合するサイトカイン受容体ポリペプチドまたはその断片を含む、
前記ポリペプチド。
【請求項5】
リンカーを通じてマスキング剤に連結されたサイトカインを含むポリペプチドであって、
該リンカーが、SEQ ID NO:48、103~108または219~246のうちの1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ
該マスキング剤が、該サイトカインに特異的に結合するサイトカイン受容体ポリペプチドまたはその断片を含む、
前記ポリペプチド。
【請求項6】
リンカーが、SEQ ID NO:48、103~108または219~246のうちの1つのアミノ酸配列を含む、請求項5記載のポリペプチド。
【請求項7】
サイトカインがIL12を含み、かつマスキング剤がIL12RポリペプチドまたはそのIL12結合断片を含む、請求項1~6のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項8】
IL12がp35サブユニットおよびp40サブユニットの一方または両方を含む、請求項7記載のポリペプチド。
【請求項9】
IL12が、ジスルフィド結合を通じて連結されたp35サブユニットおよびp40サブユニットを含む、請求項8記載のポリペプチド。
【請求項10】
IL12が、ペプチドリンカーを通じて連結されたp35サブユニットおよびp40サブユニットを含む、請求項8記載のポリペプチド。
【請求項11】
IL12が、SEQ ID NO:3のポリペプチドまたはSEQ ID NO:3と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、請求項7~10のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項12】
前記IL12Rポリペプチドまたは断片が、IL12Rβ1またはその断片を含む、請求項7~11のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項13】
IL12Rβ1ポリペプチドが、IL-12Rβ1のヒトFNI-IIドメインを含む、請求項12記載のポリペプチド。
【請求項14】
IL12Rβ1ポリペプチドが、SEQ ID NO:195のポリペプチドまたはSEQ ID NO:195と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、請求項13記載のポリペプチド。
【請求項15】
SEQ ID NO:195と少なくとも80%の配列同一性を有し、かつIL12に結合する、請求項14記載のポリペプチド。
【請求項16】
SEQ ID NO:197またはSEQ ID NO:197と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、請求項4~15のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項17】
マスキング剤がIL12のp35サブユニットのN末端に融合されており、かつリンカーがマスキング剤とIL12のp35サブユニットとの間にある、請求項7~15のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項18】
マスキング剤がIL12のp40サブユニットのC末端に融合されており、かつリンカーがマスキング剤とIL12のp40サブユニットとの間にある、請求項7~13のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項19】
サイトカインがIL-2を含み、マスキング剤がIL-2Rα、IL-2Rβ、IL-2Rγ、それらの断片、または断片の組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項20】
サイトカインが、SEQ ID NO:23のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:23と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項19記載のポリペプチド。
【請求項21】
マスキング剤が、SEQ ID NO:27、29、31またはSEQ ID NO:27、29もしくは31の断片もしくは組み合わせのアミノ酸配列を含む、請求項19または20記載のポリペプチド。
【請求項22】
マスキング剤が、SEQ ID NO:27、29および/または31と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項19~21のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項23】
サイトカインがIFNγを含み、マスキング剤がIFNγR1、IFNγR2、それらの断片、または断片の組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項24】
サイトカインが、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列またはSEQ ID NO:26と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項23記載のポリペプチド。
【請求項25】
マスキング剤が、SEQ ID NO:33、35またはSEQ ID NO:33および/もしくは35の断片もしくは組み合わせのアミノ酸配列を含む、請求項23または24記載のポリペプチド。
【請求項26】
マスキング剤が、SEQ ID NO:33および/または35と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項23~25のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項27】
リンカーが、少なくとも1つのセリンプロテアーゼ感受性切断部位をさらに含む、請求項4~26のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項28】
セリンプロテアーゼ感受性切断部位が、SEQ ID NO:47またはSEQ ID NO:3の切断部位を含む、請求項27記載のポリペプチド。
【請求項29】
リンカーが、SEQ ID NO:219またはSEQ ID NO:219と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、請求項28記載のポリペプチド。
【請求項30】
リンカーが(GGGS)nを含むかまたは(GGGS)nをさらに含み、ここでnが1~4である、請求項1~29のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項31】
nが2である、請求項29記載のポリペプチド。
【請求項32】
リンカーが、SEQ ID NO:220またはSEQ ID NO:220と少なくとも80%の配列同一性を有するポリペプチドを含む、請求項4~31のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項33】
サイトカインが炎症促進性サイトカインを含む、請求項1~32のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項34】
腫瘍ターゲティング剤にコンジュゲートされている、請求項1~33のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項35】
腫瘍ターゲティング剤が抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項35記載のポリペプチド。
【請求項36】
抗体または抗原結合断片が、間質ターゲティング抗体またはその間質結合断片を含む、請求項35記載のポリペプチド。
【請求項37】
前記抗体または結合断片が、フィブロネクチン、フィブロネクチン選択的スプライスドメイン、コラーゲン、テネイシン、ペリオスチン、シンデカン、プロテオグリカン、または腫瘍間質細胞特異的抗原に特異的に結合する、請求項36記載のポリペプチド。
【請求項38】
前記抗体または結合断片が、フィブロネクチンのエクストラドメインA (EDA)またはエクストラドメインB (EDB)に特異的に結合する、請求項37記載のポリペプチド。
【請求項39】
腫瘍ターゲティング剤が、エクストラドメインA (EDA)を含むフィブロネクチンの選択的スプライスドメインに特異的に結合するFabを含む、請求項37記載のポリペプチド。
【請求項40】
腫瘍ターゲティング剤が、腫瘍関連抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項35記載のポリペプチド。
【請求項41】
腫瘍ターゲティング剤がコラーゲン結合ドメインを含む、請求項34記載のポリペプチド。
【請求項42】
少なくとも2個のコラーゲン結合ドメインを含む、請求項41記載のポリペプチド。
【請求項43】
デコリンまたはフォンヴィルブランド因子(VWF)由来のコラーゲン結合ドメインを含む、請求項41または42記載のポリペプチド。
【請求項44】
コラーゲン結合ドメインが、SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:1と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む、請求項43記載のポリペプチド。
【請求項45】
前記ポリペプチドにコンジュゲートされた血清タンパク質をさらに含む、請求項1~43のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項46】
血清タンパク質が、ペプチド結合を通じて前記ポリペプチドにコンジュゲートされている、請求項45記載のポリペプチド。
【請求項47】
血清タンパク質がアルブミンを含む、請求項45または46記載のポリペプチド。
【請求項48】
第2のリンカーを含む、請求項4~47のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項49】
第2のリンカーがグリシンおよびセリンアミノ酸残基を含む、請求項48記載のポリペプチド。
【請求項50】
リンカーがSEQ ID NO:47またはSEQ ID NO:191を含む、請求項49記載のポリペプチド。
【請求項51】
SEQ ID NO:248もしくは197~218または247のうちの1つのアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:248もしくは197~218または247のうちの1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
【請求項52】
タンパク質タグを含む、請求項4~51のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項53】
粒子にも、ナノベシクルにも、リポソームにも機能的に連結されていない、請求項4~52のいずれか一項記載のポリペプチド。
【請求項54】
請求項4~53のいずれか一項記載のポリペプチドを含む、薬学的組成物。
【請求項55】
リポソームも、粒子も、ナノベシクルも含まない、請求項54記載の薬学的組成物。
【請求項56】
さらなるポリペプチドをさらに含む、請求項55記載の薬学的組成物。
【請求項57】
前記さらなるポリペプチドがIL-12のp35サブユニットまたはp40サブユニットを含む、請求項56記載の薬学的組成物。
【請求項58】
前記さらなるポリペプチドが、SEQ ID NO:3もしくは4のポリペプチド、またはSEQ ID NO:3もしくは4と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項57記載の薬学的組成物。
【請求項59】
請求項4~53のいずれか一項記載のポリペプチドをコードする、核酸。
【請求項60】
請求項59記載の核酸を含む、宿主細胞。
【請求項61】
細胞において請求項59記載の核酸を発現させる段階、および発現されたポリペプチドを単離する段階を含む、ポリペプチドを作製するための方法。
【請求項62】
請求項4~53のいずれか一項記載のポリペプチドまたは請求項54~58のいずれか一項記載の組成物を投与する段階を含む、がんを処置するための方法。
【請求項63】
がんが黒色腫、結腸がん、または乳がんを含む、請求項62記載の方法。
【請求項64】
がんが黒色腫を含む、請求項63記載の方法。
【請求項65】
がんが固形腫瘍を含む、請求項62~64のいずれか一項記載の方法。
【請求項66】
1つまたは複数のさらなるがん療法の投与をさらに含む、請求項62~65のいずれか一項記載の方法。
【請求項67】
対象が免疫療法を受けているか、または受けるであろう、請求項62~66のいずれか一項記載の方法。
【請求項68】
免疫療法の投与をさらに含む、請求項62~67のいずれか一項記載の方法。
【請求項69】
免疫療法が免疫チェックポイント阻害剤を含む、請求項67または68記載の方法。
【請求項70】
免疫チェックポイント阻害剤が、抗PD-1モノクローナル抗体または抗CTLA-4モノクローナル抗体を含む、請求項69記載の方法。
【請求項71】
免疫チェックポイント阻害剤が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、イピリムマブまたはトレメリムマブのうちの1つまたは複数を含む、請求項70記載の方法。
【請求項72】
免疫療法が前記ポリペプチドの前に、後に、または前記ポリペプチドと同時に投与される、請求項68~71のいずれか一項記載の方法。
【請求項73】
前記ポリペプチドまたは組成物が全身投与される、請求項62~72のいずれか一項記載の方法。
【請求項74】
前記ポリペプチドまたは組成物が腫瘍内に投与される、請求項62~72のいずれか一項記載の方法。
【請求項75】
前記ポリペプチドまたは組成物が静脈内注射によって投与される、請求項73または74記載の方法。
【請求項76】
対象が、がん療法で以前に処置されている、請求項62~75のいずれか一項記載の方法。
【請求項77】
対象が以前の処置に非応答性であると判定されているか、または対象が以前の処置に対して非特異的毒性を経験している、請求項76記載の方法。
【請求項78】
さらなるポリペプチドの投与をさらに含む、請求項62~77のいずれか一項記載の方法。
【請求項79】
前記さらなるポリペプチドがIL-12のp35サブユニットまたはp40サブユニットを含む、請求項78記載の方法。
【請求項80】
前記さらなるポリペプチドが、SEQ ID NO:3もしくは4のポリペプチド、またはSEQ ID NO:3もしくは4と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項79記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月7日付で出願された米国仮特許出願第63/185,941号、および2022年2月23日付で出願された米国仮特許出願第63/313,087号の優先権の恩典を主張するものであり、これらはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
I. 発明の分野
本発明は疾患の処置の分野に関し、特に、がんの処置に関する。
【背景技術】
【0003】
II. 背景
インターロイキン(IL)-12を用いたサイトカインがん免疫療法は、マウスとヒトの両方において強力な抗腫瘍効力を示している。しかしながら、その重度の毒性のために、一部のIL12臨床試験は終了または失敗している。IL12は、これまで臨床で用いることが承認されていない。免疫療法は免疫応答を活性化するのに役立ち、そのため、副作用は通常、健全な臓器での薬物作用に起因する。治療的処置の毒性を低減するための戦略が、当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、1つまたは複数の腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を含むマスクされた治療剤の操作に関する。腫瘍微小環境において腫瘍関連プロテアーゼに曝露されると、ポリペプチドが切断され、これにより治療剤がアンマスクされ、全身投与に関連するオフターゲットの副作用および毒性を低減する。したがって、本開示の局面は、リンカーを通じてマスキング剤に連結されたサイトカインを含むポリペプチドに関し、ここでリンカーが、少なくとも2つのSEQ ID NO:138のプロテアーゼ切断部位および少なくとも2つのSEQ ID NO:134のプロテアーゼ切断部位を含み、かつここでマスキング剤が、サイトカインに特異的に結合するサイトカイン受容体ポリペプチドまたはその断片を含む。さらなる局面は、リンカーを通じてマスキング剤に連結されたサイトカインを含むポリペプチドに関し、ここでリンカーがSEQ ID NO:48、103~108または219~246のうちの1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつここでマスキング剤が、サイトカインに特異的に結合するサイトカイン受容体ポリペプチドまたはその断片を含む。同様に記述されるのは、リンカーを通じてマスキング剤に連結されたサイトカインを含むポリペプチドであり、ここでリンカーがグリシン-セリンリンカーを含み; かつここでマスキング剤が、サイトカインに特異的に結合するサイトカイン受容体ポリペプチドまたはその断片を含む。
【0005】
リンカーは、SEQ ID NO:48、103~108または219~246のうちの1つと70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含みうる。いくつかの局面において、リンカーは、SEQ ID NO:48、103~108もしくは219~246のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはSEQ ID NO:48、103~108もしくは219~246のうちの1つのアミノ酸配列からなる。いくつかの局面において、リンカーはSEQ ID NO:48を含む。
【0006】
さらなる局面は、SEQ ID NO:197~218、247もしくは248のうちの1つのアミノ酸配列またはSEQ ID NO:197~218、247もしくは248のうちの1つと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。いくつかの局面において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:197~218、247~248のうちの1つと70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、あるいはSEQ ID NO:197~218、247~248のうちの1つと70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなる。
【0007】
本開示のさらなる局面は、リンカーを通じてマスキング剤に連結されたサイトカインを含むポリペプチドに関し、ここでリンカーは1つまたは複数の腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を含み、かつここでマスキング剤は、サイトカインに特異的に結合するサイトカイン受容体ポリペプチドまたはその断片を含む。マスキング剤とは、治療剤と少なくとも1つの結合パートナーとの会合を遮断する分子をいう。いくつかの局面において、治療剤は抗体を含み、かつ結合パートナーは抗原を含む。 いくつかの局面において、治療剤はサイトカインを含み、かつ結合パートナーは受容体ポリペプチドを含む。
【0008】
さらなる局面は、本開示のポリペプチドを含む組成物に関する。さらなる局面は、本開示のポリペプチドをコードする核酸、ならびに本開示の核酸および/またはポリペプチドを含む宿主細胞に関する。宿主細胞において本開示の核酸を発現させる段階、および発現されたポリペプチドを単離する段階を含む、ポリペプチドを作製するための方法も提供される。さらなる局面は、本開示のポリペプチドまたは組成物を、がんを有する対象などの、それを必要とする対象に投与する段階を含む、がんを処置するための方法に関する。
【0009】
サイトカインはインターロイキン-12 (IL12)を含み、マスキング剤はインターロイキン12受容体(IL12R)ポリペプチドまたはそのIL12結合断片を含みうる。いくつかの局面において、IL12はp35サブユニットおよびp40サブユニットの一方または両方を含む。いくつかの局面において、IL12は、ジスルフィド結合を通じて連結されたp35サブユニットおよびp40サブユニットを含む。いくつかの局面において、IL12は、ペプチドリンカーを通じて連結されたp35サブユニットおよびp40サブユニットを含む。いくつかの局面において、IL12Rポリペプチドまたは断片は、インターロイキン12受容体ベータ1 (IL12Rβ1)、またはその断片を含む。IL12は、SEQ ID NO:3のポリペプチド、あるいはSEQ ID NO:3と70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するポリペプチド、または少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するポリペプチドを含みうる。IL12Rポリペプチドまたは断片は、インターロイキン12受容体ベータ2 (IL12Rβ2)、またはその断片を含みうる。IL12Rβ1ポリペプチドは、IL-12Rβ1のヒトFNI-IIドメインを含みうる。いくつかの局面において、IL12Rβ1ポリペプチドは、SEQ ID NO:195のポリペプチド、あるいはSEQ ID NO:195と70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するポリペプチド、または少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。いくつかの局面において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:195と70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するか、または少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有し、かつここでポリペプチドはIL12に結合する。いくつかの局面において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:197、あるいはSEQ ID NO:197と70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するポリペプチド、または少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0010】
いくつかの局面において、マスキング剤はIL12のp35サブユニットのN末端に融合されており、かつ腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を含むリンカーはマスキング剤とIL12のp35サブユニットとの間にある。いくつかの局面において、マスキング剤はIL12のp35サブユニットのC末端に融合されており、かつ腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を含むリンカーはマスキング剤とIL12のp35サブユニットとの間にある。いくつかの局面において、マスキング剤はIL12のp40サブユニットのC末端に融合されており、かつリンカーはマスキング剤とIL12のp40サブユニットとの間にある。いくつかの局面において、マスキング剤はIL12のp40サブユニットのN末端に融合されており、かつリンカーはマスキング剤とIL12のp40サブユニットとの間にある。いくつかの局面において、サイトカインはインターロイキン-2 (IL-2)を含み、マスキング剤はインターロイキン2受容体アルファサブユニット(IL-2Rα)、インターロイキン2受容体ベータサブユニット(IL-2Rβ)、インターロイキン2受容体ガンマサブユニット(IL-2Rγ)、それらの断片、または断片の組み合わせを含む。いくつかの局面において、サイトカインは、SEQ ID NO:23のアミノ酸配列、あるいはSEQ ID NO:23と70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、マスキング剤は、SEQ ID NO:27、29、31またはSEQ ID NO:27、29もしくは31の断片もしくは組み合わせのアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、マスキング剤は、SEQ ID NO:27、29および/もしくは31と70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0011】
いくつかの局面において、サイトカインはインターフェロン-ガンマ(IFNγ)を含み、マスキング剤はインターフェロン-ガンマ受容体1 (IFNγR1)、インターフェロン-ガンマ受容体2 (IFNγR2)、断片、またはそれらの断片の組み合わせを含む。いくつかの局面において、サイトカインは、SEQ ID NO:26のアミノ酸配列、あるいはSEQ ID NO:26と70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、マスキング剤は、SEQ ID NO:33、35またはSEQ ID NO:33および/もしくは35の断片もしくは組み合わせのアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、マスキング剤は、SEQ ID NO:33および/もしくは35と70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0012】
いくつかの局面において、ポリペプチドは、少なくとも4つの腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を含む。いくつかの局面において、ポリペプチドは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12個、またはその中で導出可能な任意の範囲の腫瘍関連プロテアーゼ切断部位、多くとも4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12個、またはその中で導出可能な任意の範囲の腫瘍関連プロテアーゼ切断部位、あるいは正確に4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12個、またはその中で導出可能な任意の範囲の腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を含む。いくつかの局面において、リンカーは少なくとも1つのセリンプロテアーゼ感受性切断部位をさらに含む。セリンプロテアーゼ感受性切断部位は、SEQ ID NO:47またはSEQ ID NO:3の切断部位を含みうる。いくつかの局面において、リンカーはSEQ ID NO:219、あるいはSEQ ID NO:219と70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するポリペプチド、または少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。いくつかの局面において、リンカーはSEQ ID NO:220、あるいはSEQ ID NO:220と70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するか、または少なくとも70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0013】
いくつかの局面において、リンカーは(GGGS)nを含むかまたは(GGGS)nをさらに含み、ここでnは1~4である。いくつかの局面において、nは2に等しい。
【0014】
いくつかの局面において、腫瘍関連プロテアーゼ切断部位は、本明細書において記述される少なくとも1つの腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を含む。いくつかの局面において、腫瘍関連切断部位は、SEQ ID NO:13、14、49、51、55、109~190のうちの1つのアミノ酸を有する切断部位を含む。いくつかの局面において、ポリペプチドは、少なくとも2つの異なる腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を含む。いくつかの局面において、ポリペプチドは、少なくとも2、3、もしくは4個、またはその中で導出可能な任意の範囲の異なる腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を含む。いくつかの局面において、ポリペプチドは、同じ腫瘍関連プロテアーゼ切断部位の少なくとも2個を含む。いくつかの局面において、ポリペプチドは、同じプロテアーゼ切断部位の少なくとも2、3、4、5、6、7、もしくは8個、またはその中で導出可能な任意の範囲を含む。2個以上のプロテアーゼ切断部位を含む局面において、プロテアーゼ切断部位は隣接していてもよく、または介在性のアミノ酸を有していてもよい。いくつかの局面において、少なくとも0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20個、またはその中で導出可能な任意の範囲のアミノ酸、多くとも0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20個、またはその中で導出可能な任意の範囲のアミノ酸、あるいは正確に0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20個、またはその中で導出可能な任意の範囲のアミノ酸が、1つの腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を別の腫瘍関連プロテアーゼ切断部位から分離する。
【0015】
いくつかの局面において、サイトカインは抗炎症性サイトカインを含む。いくつかの局面において、サイトカインは炎症誘発性サイトカインを含む。
【0016】
いくつかの局面において、ポリペプチドは腫瘍ターゲティング剤にコンジュゲートされている。いくつかの局面において、腫瘍ターゲティング剤は抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの局面において、抗体または抗原結合断片は、間質ターゲティング抗体またはその間質結合断片を含む。いくつかの局面において、抗体または結合断片は、フィブロネクチン、フィブロネクチン選択的スプライスドメイン、コラーゲン、テネイシン、ペリオスチン、シンデカン、プロテオグリカン、または腫瘍間質細胞特異的抗原に特異的に結合する。いくつかの局面において、抗体または結合断片は、フィブロネクチンのエクストラドメインA (EDA)またはエクストラドメインB (EDB)に特異的に結合する。いくつかの局面において、腫瘍ターゲティング剤は、エクストラドメインA (EDA)を含むフィブロネクチンの選択的スプライスドメインに特異的に結合するFabを含む。いくつかの局面において、腫瘍ターゲティング剤は、腫瘍関連抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む。他の腫瘍ターゲティング剤は、US20140294723A1、WO2001062298A2、WO1997045544A1、WO2006119897A2、WO2006050834A2、WO2008120101A2、WO2010078916A1に列挙されているものを含み、これらは参照により本明細書に組み入れられる。
【0017】
いくつかの局面において、腫瘍ターゲティング剤はコラーゲン結合ドメインを含む。いくつかの局面において、ポリペプチドは少なくとも2個のコラーゲン結合ドメインを含む。いくつかの局面において、ポリペプチドは少なくとも2、3、4、5、または6個のコラーゲン結合ドメインを含む。いくつかの局面において、ポリペプチドはデコリンまたはフォンヴィルブランド因子(VWF)由来のコラーゲン結合ドメインを含む。いくつかの局面において、コラーゲン結合ドメインは、SEQ ID NO:1あるいはSEQ ID NO:1と78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、または少なくとも78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0018】
いくつかの局面において、ポリペプチドは、ポリペプチドにコンジュゲートされた血清タンパク質をさらに含む。いくつかの局面において、血清タンパク質は、ペプチド結合を通じてポリペプチドにコンジュゲートされている。いくつかの局面において、血清タンパク質はアルブミンまたはその断片を含む。いくつかの局面において、血清タンパク質は少なくとも40、45、50、55、60、65、70、もしくは75 kDa (またはその中で導出可能な任意の範囲)である。
【0019】
いくつかの局面において、ポリペプチドは第2のリンカーを含む。いくつかの局面において、第2のリンカーはグリシンおよびセリンアミノ酸残基を含む。いくつかの局面において、ポリペプチドは第3、第4、または第5のリンカーを含む。いくつかの局面において、第3、第4、または第5のリンカーは、グリシンおよびセリンアミノ酸残基を含む。いくつかの局面において、リンカーは、n = 1、2、3、4、5、6、7、もしくは8、またはその中で導出可能な任意の範囲である(GGGS)n, (SEQ ID NO:191)、またはGGGSGGGS (SEQ ID NO:47)を含む。いくつかの局面において、第2のリンカーは、n = 6である(GGGS)n (SEQ ID NO:191)を含む。いくつかの局面において、ポリペプチドはタンパク質タグを含む。いくつかの局面において、タンパク質タグは6Hタグ(SEQ ID NO:87)を含む。いくつかの局面において、タンパク質タグは、本明細書において記述されるタンパク質タグを含む。いくつかの局面において、ポリペプチドは、粒子にも、ナノベシクルにも、リポソームにも機能的に連結されていない。いくつかの局面において、組成物はリポソームも、粒子も、ナノベシクルも含まない。
【0020】
組成物は、さらなるポリペプチドを含みうるか、またはさらに含みうる。本開示の局面において、本方法は、さらなるポリペプチドの投与を含みうるか、またはさらに含みうる。さらなるポリペプチドは、本明細書において記述されるポリペプチドでありうる。いくつかの局面において、組成物はさらなるポリペプチドを含み、ここで該ポリペプチドがIL-12のp35サブユニットまたはp40サブユニットである。いくつかの局面において、さらなるポリペプチドは、SEQ ID NO:3もしくは4のポリペプチド、またはSEQ ID NO:3もしくは4と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの局面において、さらなるポリペプチドは、SEQ ID NO:3もしくは4と60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%またはその中で導出可能な任意の範囲の配列同一性を有するアミノ酸配列、または少なくとも60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99もしくは100%またはその中で導出可能な任意の範囲の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの局面において、本方法または本開示は、黒色腫の処置のためなどの、皮膚がんの処置に関する。いくつかの局面において、がんは黒色腫、結腸がん、または乳がんを含む。いくつかの局面において、がんは固形腫瘍を含む。
【0021】
いくつかの局面において、本開示の方法は、1つまたは複数のさらなるがん療法の投与をさらに含む。いくつかの局面において、さらなる治療は、本明細書において記述されているものである。いくつかの局面において、対象は免疫療法を受けているか、または受けるであろう。いくつかの局面において、本方法は免疫療法の投与をさらに含む。特定の局面において、免疫療法は免疫チェックポイント阻害剤を含む。免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1モノクローナル抗体または抗CTLA-4モノクローナル抗体でありうる。本開示の局面において阻害されうるさらなる例示的な免疫チェックポイントタンパク質は、本明細書において記述されている。いくつかの局面において、免疫チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、ピディリズマブ、イピリムマブまたはトレメリムマブのうちの1つまたは複数を含む。いくつかの局面において、免疫チェックポイント療法は単剤療法である。単剤療法という用語は、免疫チェックポイント療法の文脈において、治療の過程での1つの免疫チェックポイント阻害剤の投与をいう。単剤療法は、PD-1阻害剤、PDL1阻害剤、PDL2阻害剤、CTLA-4阻害剤、B7-1阻害剤、またはB7-2阻害剤のうちの1つのみを含む療法でありうる。いくつかの局面において、免疫チェックポイント阻害剤療法は、併用療法を含む。例えば、併用療法は、(i) PD-1、PDL1、またはPDL2阻害剤および(ii) CTLA-4、B7-1、またはB7-2阻害剤の組み合わせでありうる。特定の併用療法には、抗PD-1抗体および抗CTLA-4抗体を含むものが含まれる。本開示の方法および組成物において有用なさらなる免疫療法は、本明細書において記述されている。いくつかの局面において、免疫療法またはさらなる療法は、ポリペプチドの前に、後に、またはポリペプチドと同時に投与される。いくつかの局面において、ポリペプチドまたは組成物は全身投与される。いくつかの局面において、ポリペプチドまたは組成物は腫瘍内に投与される。いくつかの局面において、ポリペプチドまたは組成物は、本明細書において記述される投与経路によって投与される。いくつかの局面において、ポリペプチドまたは組成物は静脈内注射によって投与される。いくつかの局面において、対象は、がん療法で以前に処置されている。いくつかの局面において、対象は以前の処置に非応答性であると判定されているか、または対象は以前の処置に対して非特異的毒性を経験している。
【0022】
いくつかの局面において、本開示のマスクされたサイトカインポリペプチドを含む処置の毒性は、マスクされていない同じ用量のポリペプチドの投与の毒性と比較して低減される。低減は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%もしくはその中で導出可能な任意の範囲でありうる、あるいは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%もしくはその中で導出可能な任意の範囲でありうる。
【0023】
いくつかの局面において、本開示のマスクされたサイトカインポリペプチドによって誘導される血清IFN-ガンマレベルは、マスクされていないサイトカインポリペプチドによって誘導される血清IFN-ガンマレベルよりも有意に低い。いくつかの局面において、本開示のマスクされたサイトカインポリペプチドによって誘導される血清IFN-ガンマレベルは、マスクされていないサイトカインポリペプチドによって誘導される血清IFN-ガンマレベルよりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%もしくはその中で導出可能な任意の範囲低い、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%もしくはその中で導出可能な任意の範囲低い。
【0024】
いくつかの局面において、本開示のマスクされたサイトカインポリペプチドによって誘導される腫瘍IFN-ガンマレベルは、マスクされていないサイトカインポリペプチドによって誘導される腫瘍IFN-ガンマレベルよりも有意に低い。いくつかの局面において、本開示のマスクされたサイトカインポリペプチドによって誘導される腫瘍IFN-ガンマレベルは、マスクされていないサイトカインポリペプチドによって誘導される腫瘍IFN-ガンマレベルよりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%もしくはその中で導出可能な任意の範囲低い、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%もしくはその中で導出可能な任意の範囲低い。
【0025】
いくつかの局面において、腫瘍体積は、本開示のマスクされたサイトカインポリペプチドによって有意に減少する。いくつかの局面において、腫瘍体積は、本開示のマスクされたサイトカインポリペプチドの投与後に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%もしくはその中で導出可能な任意の範囲だけ減少する、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%もしくはその中で導出可能な任意の範囲だけ減少する。いくつかの局面において、マスクされたサイトカインポリペプチドの投与は、マスクされていないサイトカインポリペプチドの投与後の腫瘍体積の減少よりも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%もしくはその中で導出可能な任意の範囲高い腫瘍体積の減少または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%もしくはその中で導出可能な任意の範囲高い腫瘍体積の減少を引き起こす。
【0026】
本明細書において用いられる「サイトカインポリペプチド」という用語は、サイトカインまたはその受容体結合ドメインであり、サイトカイン活性の一部分を保持するポリペプチドをいう。ある種の局面において、サイトカインポリペプチドはサイトカインの活性断片である。
【0027】
「タンパク質」、「ポリペプチド」および「ペプチド」という用語は、アミノ酸の重合体を含む遺伝子産物をいう場合、本明細書において互換的に用いられる。
【0028】
「対象」、「哺乳類」および「患者」という用語は互換的に用いられる。いくつかの局面において、対象は哺乳類である。いくつかの局面において、対象はヒトである。いくつかの局面において、対象はマウス、ラット、ウサギ、イヌ、ロバまたは実験用被験動物、例えばショウジョウバエ、ゼブラフィッシュなどである。
【0029】
方法および組成物は、本明細書において記述される態様のいずれかの除外を含むことが企図される。
【0030】
「1つの(a)」または「1つの(an)」という単語の使用は、「含む」という用語とともに用いられる場合、「1つの(one)」を意味しうるが、それは「1つまたは複数の」、「少なくとも1つの」および「1つまたは2つ以上」のという意味とも一致する。
【0031】
「および/または」という語句は、「および」または「または」を意味する。例示すると、A、Bおよび/またはCは、A単独、B単独、C単独、AおよびBの組み合わせ、AおよびCの組み合わせ、BおよびCの組み合わせ、またはA、BおよびCの組み合わせを含む。言い換えれば、「および/または」は包括的な、またはとして機能する。
【0032】
「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの、含む(comprising)の任意の形態)、「有する(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」などの、有する(having)の任意の形態)、「含む(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」などの、含む(including)の任意の形態)または「含有する(containing)」(ならびに「含有する(contains)」および「含有する(contain)」などの、含有する(containing)の任意の形態)という単語は、包括的または非制限的であり、さらなる、引用していない要素または方法の段階を除外しない。
【0033】
その使用のための組成物および方法は、本出願の全体に開示されている成分または段階のいずれか「を含む」、「から本質的になる」または「からなる」ことができる。開示される成分または段階のいずれか「から本質的になる」組成物および方法は、特許請求の範囲を主張する発明の基本かつ新規の特徴に実質的に影響を与えない特定の材料または段階に限定する。
【0034】
治療的、診断的または生理学的な目的または効果の文脈におけるいずれの方法も、記述された治療的、診断的または生理学的な目的または効果を達成または実施するための、本明細書において論じられる任意の化合物、組成物または薬剤「の使用」などの「使用」クレーム言語で記述されうる。
【0035】
1つまたは複数の配列または組成物の使用は、本明細書において記述される方法のいずれかに基づいて利用されうる。他の態様は本出願を通して論じられる。本開示の1つの局面に関して論じられる任意の態様は、本開示の他の局面にも適用され、逆の場合も同様である。
【0036】
本明細書において論じられる任意の態様を、本発明の任意の方法または組成物に関して実施することができ、逆の場合も同様であることが企図される。さらに、本発明の組成物を、本発明の方法を達成するために用いることができる。
【0037】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および具体的な実施例は、本発明の特定の態様を示しているが、この詳細な説明から本発明の趣旨および範囲の中でさまざまな修正および変更が当業者には明らかになるので、例示にすぎないことが理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
以下の図面は、本明細書の一部を構成し、本発明のある種の局面をさらに実証するために含められている。本発明は、これらの図面の1つまたは複数を本明細書に提示した具体的な態様の詳細な説明と併せて参照することによってよりよく理解されうる。
【0039】
図1】マスクされたIL-12の作用機序の提案。
図2図2A~D. プロIL12構築体のインビトロでの特徴付け。a, 操作されたプロIL12変種のデザインを例示する概略図。b, 予め活性化された初代CD8+ T細胞におけるリン酸化STAT4とIL-12およびプロIL12変種との用量応答関係。c, MMP感受性(左)またはuPA感受性(右)プロIL12分子の対応するプロテアーゼによる活性化。d, MMPおよびuPAによるIL12Rβ1-VP-IL12のインビトロ切断およびIL12Rβ1-LS-IL12のインビトロ切断。IL-12、IL12Rβ1-VP-IL12およびIL12Rβ1-LS-IL12をアッセイ緩衝液のみ(ブランク)、MMP2、MMP9またはuPAにより37℃で30分間処理した。およそ105 kDaからおよそ60 kDaまでの分子量の減少は、IL12Rβ1-VP-IL12およびIL12Rβ1-LS-IL12のタンパク質分解的切断を示す。
図3】MMP2による異なるリンカーの切断。示されたリンカー配列を含むプロIL12分子(全て同じ濃度)をさまざまな濃度のMMP2とともにインキュベートし、切断をSDS-PAGEによって可視化した。
図4】L4およびL6のMMP2感受性の比較。
図5】C3H/HeJマウスの体重。8週齢の雌性C3H/HeJマウスに、表示した量のIL-12またはプロIL12を8日間毎日s.c.投薬した(全てIL-12基準, n = 8/群)。マウスを最後の注射の翌日に秤量した。
図6図6A~F. 循環中および腫瘍内炎症性サイトカイン/ケモカインの定量化。0日目にC57BL/6マウスの背部皮膚にB16F10腫瘍を接種した。7日目に、マウスをPBS、5 mgのIL-12、15 mgのM-L5-IL12-CBD (IL-12基準で)または15 mg M-L6-IL12-CBD (IL-12基準で)によりi.v.処置した。9日目に、マウスを採血し、血清を分離した。10日目に、マウスを安楽死させ、その腫瘍を採取してホモジナイズした。血清IFNg (a)、血清CCL4 (c)、血清CCL2 (e)、腫瘍内IFNg (b)、腫瘍内CXCL9 (d)、および腫瘍内CCL4 (f)をLEGENDPlexによって測定した。腫瘍内サイトカイン/ケモカイン値を総タンパク質濃度により正規化した。
図7図7A~B. 同系腫瘍モデルにおけるプロIL12の抗腫瘍効力。a, 0日目にC57BL/6マウスの背部皮膚にMC38腫瘍を接種した。7日目、10匹および13匹のマウスをPBS (n = 7)、5 mgのIL-12 (n = 7)、または15 mgのM-L6-IL12-CBD (n = 7; IL-12基準で)によりi.v.処置した。b, 0日目にC57BL/6マウスの背部皮膚にB16F10腫瘍を接種した。7日目、10日目および13日目に、マウスをPBS (n = 5)、15 mgのM-L6-IL12-CBD (n = 8; IL-12基準で) i.v.処置し、100 mgのaPD-1 (n = 5)またはM-L6-IL12-CBDおよびaPD-1 (n = 11)の組み合わせでi.p.処置した。
図8】ヒト腫瘍ホモジネートによるプロIL12の活性化。IL-12およびプロIL12を50 mg/mLに希釈し、2 mg/mLのヒト腫瘍溶解物またはANT溶解物とともに37℃で終夜インキュベートした。陰性対照として、プロIL12も緩衝液のみとともにインキュベートした。反応混合物を培地中でさらに連続希釈し、予め活性化されたマウスCD8+ T細胞(ウェルあたりn = 2)に表示濃度で適用した。
図9】非切断性のマスクされたIL-12は、腫瘍内IFNγを維持しながら全身のIFNγ産生を最小限に抑える。B16F10黒色腫担持マウスを5μgのIL-12または15μgのM-(G3S)11-IL12で1回静脈内処置した。サイトカイン処置の2日後および3日後に、それぞれ、血漿および腫瘍を採取した。LEGENDPlexを用いて、血漿IFNγ(左)および腫瘍内IFNγ(右, 総タンパク質により正規化)を定量化した。
図10】非切断性のマスクされたIL-12は、MC38結腸がんにおいて抗腫瘍効力を及ぼす。0日目に、マウスにMC38結腸がん細胞を皮下接種し、7日目、10日目および13日目に生理食塩水または15μgのM-(G3S)11-IL12で静脈内処置した。平均腫瘍サイズ(上)および個別腫瘍曲線(下)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
詳細な説明
サイトカインは抗腫瘍活性の重要な因子であるが、今日までそれらの多くは臨床に技術移転されていない。IL12は最も強力な抗腫瘍サイトカインの1つであるが、その高い毒性のために、臨床試験は終了または失敗している。したがって、その毒性を減らすことは、それを臨床に技術移転するための重要な戦略である。CBD-IL12療法を改善するために、IL12受容体IL12Rβ1のドメインをIL12に融合させて、IL12Rβ1-IL12を形成させた。この融合は不活性であるが、受容体マスキング剤とサイトカインとの間にMMPまたはトロンビン切断部位を含めると、腫瘍微小環境内で活性化されうるプロサイトカインが生成される。本発明者らは、IL12の免疫毒性がこうして低減されること、およびプロテアーゼ感受性リンカーとのIL12Rβ1-IL12の融合が治療的有用性を保持することを実証した。本発明者らはまた、リンカーに複数の切断部位を導入すること(例えば、タンデムMMP、タンデムトロンビン、ならびにMMP-トロンビン二分子および繰り返し)で、プロテアーゼ感受性を増加させ、IL12Rβ1-IL12療法の抗腫瘍効力が高められる可能性があることを見出した。さらに、本開示のマスクされた治療用分子に融合されたコラーゲン結合ドメインの使用は、CBDが腫瘍微小環境におけるマスクされた治療剤の滞留を増加させ、それがプロテアーゼへのマスクされた治療剤の曝露を引き延ばし、マスクされていない治療剤の局所濃度を増加させるので、特に有用である。結論として、本発明者らは、サイトカイン受容体をサイトカインに融合させることによって治療剤の毒性を低減するための技術を開発した。腫瘍特異的プロテアーゼはリンカーを切断して、腫瘍内のサイトカインを活性化する。
【0041】
I. ポリペプチドの局面
A. 治療剤およびマスキング剤
本開示の局面は、治療剤および治療剤に結合し、治療剤とその標的との会合を抑止して治療剤に関連する毒性を低減するマスキング剤に関する。本開示のポリペプチドは、関連するプロテアーゼに遭遇した場合に治療剤をアンマスクする腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を含む。プロテアーゼは、腫瘍微小環境において富化されているプロテアーゼであるため、全身投与された場合、マスクされていない治療剤の全身投与と比較して、正常組織における活性治療剤の低減が認められる。
【0042】
1. サイトカインおよびマスキングポリペプチド
いくつかの局面において、治療剤は、サイトカインまたはサイトカイン由来の治療用ポリペプチドを含む。ある種の局面において、サイトカインは、サイトカインの機能的に活性な断片を含む。いくつかの局面において、機能的に活性なサイトカイン断片は、対応する受容体に結合し、それを活性化する。いくつかの局面において、サイトカインはIL12を含む。IL12は、ジスルフィド結合したp35 (およそ35 kDa)およびp40 (およそ40 kDa)サブユニットから構成されるヘテロ二量体グリコシル化サイトカインである。ヒトIL12 p35配列は以下:
によって表される。ヒトIL12 p40配列は以下:
によって表される。マウスIL12 p35配列は以下:
によって表される。マウスIL12 p40配列は以下:
によって表される。
【0043】
適当なIL12マスキング剤には、IL12Rなどの、IL12に結合しかつ他の分子へのIL12の結合を抑止するポリペプチドが含まれる。例示的なポリペプチドとしては、IL12Rβ1およびIL12Rβ2などの、IL12R由来のポリペプチドが挙げられる。
【0044】
マウスIL12Rβ1は、以下のアミノ酸配列:
のいずれかを有するポリペプチドによって表される。
【0045】
ヒトIL12Rβ1は、以下のアミノ酸配列:
を有するポリペプチドによって表される。
【0046】
ヒトIL12Rβ2は、以下のアミノ酸配列:
を有するポリペプチドによって表される。マウスIL12Rβ2は、以下のアミノ酸配列:
を有するポリペプチドによって表される。
【0047】
いくつかの局面において、サイトカインは、SEQ ID NO:3~6のアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはSEQ ID NO:3~6によって表されるポリペプチドの断片のアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはSEQ ID NO:3~6のポリペプチドもしくはその断片と少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100% (またはその中で導出可能な任意の範囲)の同一性を有するポリペプチドを含む。
【0048】
いくつかの局面において、サイトカインはIL12ポリペプチドを含み、マスキング剤はSEQ ID NO:2、もしくは19~22のアミノ酸配列、あるいはSEQ ID NO:2、もしくは19~22によって表されるポリペプチドの断片のアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいはSEQ ID NO:2、もしくは19~22のポリペプチドまたはその断片と少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100% (またはその中で導出可能な任意の範囲)の同一性を有するポリペプチドを含む。
【0049】
いくつかの局面において、サイトカインはIL-2を含む。ヒトIL-2配列は
を含む。マウスIL-2配列は
を含む。
【0050】
いくつかの局面において、IL-2のマスキング剤はIL-2Rポリペプチドを含む。いくつかの局面において、IL-2RポリペプチドはIL-2Rベータ、IL-2Rアルファ、またはIL-2Rガンマサブユニット由来のポリペプチドを含む。ヒトインターロイキン-2受容体サブユニットベータは、以下のアミノ酸配列:
を含む。マウスインターロイキン-2受容体サブユニットベータは、以下のアミノ酸配列:
を有する。ヒトインターロイキン-2受容体サブユニットアルファは、以下のアミノ酸配列:
を有する。マウスインターロイキン-2受容体サブユニットアルファは、以下のアミノ酸配列:
を有する。ヒトインターロイキン-2受容体サブユニットガンマは、以下のアミノ酸配列:
を有する。マウスインターロイキン-2受容体サブユニットガンマは、以下のアミノ酸配列:
を有する。
【0051】
いくつかの局面において、サイトカインはSEQ ID NO:23もしくは24のアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいはSEQ ID NO:23および24によって表されるポリペプチドの断片のアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいはSEQ ID NO:23もしくは24のポリペプチドまたはその断片と少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100% (またはその中で導出可能な任意の範囲)の同一性を有するポリペプチドを含む。
【0052】
いくつかの局面において、サイトカインはIL-2ポリペプチドを含み、マスキング剤はSEQ ID NO:27~32のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:27~32によって表されるポリペプチドの断片のアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはSEQ ID NO:27~32のポリペプチドもしくはその断片と少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100% (またはその中で導出可能な任意の範囲)の同一性を有するポリペプチドを含む。
【0053】
いくつかの局面において、サイトカインはIFNγを含む。マウスIFNγは以下の配列:
を含む。ヒトIFNγは以下の配列:
を含む。SEQ ID NO:25および26のIFNgがメチオニンを最初のアミノ酸として含むことも企図される。IFNγは、C末端で切り詰められたものなどの、機能的断片でありうる。例えば、IFNγポリペプチドは、SEQ ID NO:25または26の少なくとも30、31、32、33、34、35、36、37 38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、または132個の連続したアミノ酸を含むものでありうる。いくつかの局面において、IFNγポリペプチドは、SEQ ID NO:25または26の少なくともアミノ酸1~30、31、32、33、34、35、36、37 38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、もしくは132 (またはその中で導出可能な任意の範囲)を含むものでありうる。
【0054】
いくつかの局面において、IFNγポリペプチドのマスキング剤は、IFNγ受容体1またはIFNγ受容体2からのポリペプチドを含む。ヒトIFNγ受容体1は以下の配列:
を含む。マウスIFNγ受容体1は以下の配列:
を含む。ヒトIFNγ受容体2は以下の配列:
を含む。マウスIFNγ受容体2は以下の配列:
を含む。
【0055】
いくつかの局面において、サイトカインは、SEQ ID NO:25もしくは26のアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいはSEQ ID NO:25および26によって表されるポリペプチドの断片のアミノ酸配列を含むポリペプチド、あるいはSEQ ID NO:25もしくは26のポリペプチドまたはその断片と少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100% (またはその中で導出可能な任意の範囲)の同一性を有するポリペプチドを含む。
【0056】
いくつかの局面において、サイトカインはIFNγポリペプチドを含み、マスキング剤はSEQ ID NO:33~36のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:33~36によって表されるポリペプチドの断片のアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはSEQ ID NO:33~36のポリペプチドもしくはその断片と少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100% (またはその中で導出可能な任意の範囲)の同一性を有するポリペプチドを含む。
【0057】
本開示の局面において、マスキング剤は、本明細書において記述されるポリペプチドまたはポリペプチドの機能的断片でありうる。いくつかの局面において、マスキング剤は、サイトカインに結合する受容体ポリペプチドまたはその断片を含む。
【0058】
2. 抗体
いくつかの局面において、治療剤は、治療用抗体などの抗体を含む。いくつかの局面において、治療用抗体は、システイン(Cys)による重鎖または軽鎖可変領域のいずれかにおけるアミノ酸の部位特異的置換によって改変される。置換挿入(substituted-in) Cysの側鎖中のスルフヒドリル(SH)基は、抗体がその抗原に結合する能力を妨げるマスキング剤を付着させるための化学的ハンドルとして機能する。マスキング剤は、抗体-抗原結合を立体的に阻害する基でありうるが、そうでなければ、抗体または抗原のいずれとも特異的に相互作用しない。
【0059】
あるいは、マスキング剤は、例えば静電力またはファンデルワールス力によって、抗体と相互作用することができる。腫瘍関連プロテアーゼ切断部位は、マスキング剤と抗体の間にあり、またはそれらを連結しうる。
【0060】
いくつかの局面において、マスキング剤は、腫瘍関連プロテアーゼ切断部位の切断によるその放出後に、それ自体の薬理学的活性を有することができる。Cys置換部位は、元のアミノ酸をCysに置き換えても、抗体がその抗原に特異的かつ強力に結合する能力に悪影響を及ぼさないように選択される。さらに、マスキング剤の除去により、Cysに共有結合したままの残留化学基を残しておくことができる。
【0061】
1つの局面において、式(I)によるプロドラッグ抗体が提供される:
(M-L)m-Ab I
式中でAbは、その重鎖または軽鎖可変領域における少なくとも1つのアミノ酸がCysによって置換されている抗体であり、ここで置換されるアミノ酸(a)はフレームワーク領域にあり; (b) 少なくとも30%の側鎖曝露を有し、(c) CDRアミノ酸の10 A、好ましくは5 A以内であり; MはAbのその抗原への結合を阻害するマスキング剤であり; 各Lは、独立して、MおよびAbに結合したリンカー部分であり、Lは腫瘍関連切断部位を含み、前記CysでAbに結合しており; かつmは1、2、3、または4である。
【0062】
いくつかの局面において、抗体Abにおける少なくとも1つの置換されるアミノは、重鎖可変領域のKabat位置番号1、3、5、19、23、25、43、46、68、72、74、75、76、82a、82b、83、84、85、もしくは105または軽鎖可変領域のKabat位置番号1、3、5、7、8、18、20、45、57、60、63、65、66、67、69、77、もしくは100にある。いくつかの局面において、抗体Abにおける少なくとも1つの置換されるアミノ酸は、重鎖のKabat位置番号23または軽鎖のKabat位置番号67にある。いくつかの局面において、軽鎖のKabat位置番号67にCysを有する抗体が提供される。抗体は、抗CTLA4抗体または抗CD137抗体であることができる。いくつかの局面において、重鎖のKabat位置番号23にCysを有する抗体が提供される。抗体は、抗CTLA4抗体または抗CD137抗体であることができる。
【0063】
本開示のマスクされた治療用抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、マウス、ヒト、ヒト化、またはキメラであることができる。Cysで置換するための重鎖および軽鎖可変領域における適当なアミノ酸は、置換挿入Cysがマスキング剤の付着にアクセス可能であるように、側鎖が溶媒に曝露される、好ましくは少なくとも30%曝露されるフレームワークアミノ酸である。マスキング剤が抗体-抗原結合を効果的に妨害できるように、置換除去される(substituted-out)アミノ酸がCDRアミノ酸の近くにあることも重要である。10 A以下、より好ましくは5 A以下の距離が好ましい。Cys置換のための好ましい位置は、Kabatによって付番された、重鎖可変領域における位置番号23および軽鎖可変領域における位置番号67を含む。両方の位置は、各可変領域のフレームワーク領域中にある。Cysは、当技術分野において周知の部位特異的置換技法によってこれらの位置に挿入置換することができる。最初の部位での置換は略記法を用いて、VL X67Cということができ、ここでXは置換除去されるアミノ酸を示す。自然抗体では、この部位は高度に保存されており、多くの場合Serである。第2の部位での置換は、同様にVH X23Cということができる。
【0064】
本開示のマスクされた抗体は、VH領域もしくはVL領域、またはその両方における置換を有することができる。抗体がこれらの置換の1つしか有しない場合、付着できるブロッキング部分-リンカー化合物の理論上の最大数は2であるが、マスクされた抗体調製物は、付着プロセスの化学的非効率性を反映して、統計的にさらに少数についてアッセイしうる。抗体が両方の置換を有する場合、理論上の最大数は4である。
【0065】
いくつかの局面において、抗体は、重鎖および軽鎖の2つの異なる対を有する二重特異性抗体である。したがって、本開示のマスクされた抗体は、1つの重鎖/軽鎖対のみがマスクされている二重特異性抗体、または両方の重鎖/軽鎖対がマスクされている二重特異性抗体であることができる。マレイミド付加化学によるコンジュゲーションに適したスルフヒドリル側鎖を導入して抗体-薬物コンジュゲートを作製する目的で、VHまたはVL領域中のアミノ酸をCysで置換することも知られている。例えば、Eigenbrot et al. 2007 and Bhakta et a/. 2016)を参照されたい。
【0066】
マスクされた抗体のその抗原による活性を妨害または遮断するために使用できるマスキング剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、アルブミン結合ポリペプチド、アドネクチン、ペプチド、およびアルブミンまたはフィブリノゲンなどの可溶性球状タンパク質を含む。いくつかの局面において、遮断剤には、2 kDaが約45個の-(CH2CH2O)-繰り返し単位を有するPEGに対応する、少なくとも約2 kDaの分子量を有するPEG、および好ましくは、5 kDaが約115個の-(CH2CH2O)-繰り返し単位を有するPEGに対応する、少なくとも約5 kDaの分子量を有するPEGが含まれる。
【0067】
本明細書において記述されるCysを有する抗体は、当技術分野において公知であるように、Cysスルフヒドリル(SH)のマイケル付加によってマレイミド末端基を有するマスキング剤にコンジュゲートすることができる。そのようなコンジュゲーションの手順は、当技術分野において周知である; 例えば、Shepard et al, WO 2017/112624 A 1 (2017)を参照されたく、これは参照により本明細書に組み入れられる。治療用抗体のための特定のマスキング剤のさらなる例は、WO2019036433に開示されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0068】
さらなる局面において、治療剤は、可変領域鎖のN末端のコイルドコイル形成ペプチドへの連結によって可変領域がマスクされる抗体でありうる。コイルドコイル形成ペプチドは互いに会合して、コイルドコイルを形成する(すなわち、各ペプチドはそれぞれコイルを形成し、これらのコイルは互いにコイル状に巻かれる)。コイルドコイルは、抗体結合部位のその標的への結合を立体的に阻害しうる。いくつかの局面において、抗体は二価抗体を含む。コイルドコイル形成ペプチド間の非共有結合は、抗体可変領域の結合を阻害する安定したコイルドコイルを形成するのに十分である; 例えば、コイルドコイル形成ペプチドが各ペプチドの末端システイン間のジスルフィド架橋によってさらに連結される必要はない。天然に存在しないシステインの存在は、誤った折り畳みまたは誤った結合の問題を引き起こす可能性があるため、潜在的に不利である。この形式による抗体のマスキングは、結合親和性(およびADCの場合は細胞毒性活性)を100倍超まで低減することができる。抗体は、発現、精製、コンジュゲーション、薬物動態、またはアンマスキング時の結合もしくは他の活性を著しく損なうことなく、この形式でマスキングすることができる。
【0069】
いくつかの局面において、マスキング剤はコイルドコイルを含む。コイルドコイル形成ペプチドは、互いに会合してコイルドコイルを形成することができるペプチド対である。「コイルドコイル」は、超らせん構造に巻かれたアルファヘリックスのバンドルをいう専門用語である。ロイシンジッパー形成ペプチドは、コイルドコイルを形成するように会合するペプチドの一例である。本開示において形成されるコイルドコイルは、典型的には、2つのコイルドコイル形成ペプチドから形成される。コイルドコイルは、平行または反対の配向でペプチドのアルファヘリックスにより形成することができる。コイルドコイルは、ノブ・イントゥ・ホールと呼ばれる、バンドルのコアにおけるアミノ酸側鎖のパッキングによってさらに特徴付けられ、そこでは1つのらせんからの残基(ノブ)が、向かい合うらせんの4つの側鎖に囲まれた空間(ホール)にパッキングされる。ノブ・イントゥ・ホール相互作用に関与する残基は通常、疎水性であるが、外側の残基は親水性であるため、コイルドコイルの配列は側鎖の化学的性質において「ヘプタッド」リピートを示す。コイルドコイル形成ペプチドにおけるヘプタッドリピートのコンセンサスな式の例は、WO2011034605によって提供されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0070】
いくつかの局面において、コイルドコイルは式IIを含む:
(XI, X2, X3, X4, X5, X6, X7)n II
式中でXIは疎水性アミノ酸またはアスパラギンである; X2、X3およびX6は任意のアミノ酸である; X4は疎水性アミノ酸である; ならびにX5およびX7はそれぞれ荷電アミノ酸残基である。
【0071】
コイルドコイルの例は以下:
を含む。
【0072】
コイルドコイル形成ペプチドは、腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を含むリンカーを介して抗体可変領域のN末端に連結されている。典型的な抗体は、重鎖および軽鎖可変領域を含み、この場合、コイルドコイル形成ペプチドがそれぞれのN末端に連結されている。二価抗体は2つの結合部位を有し、これは同じものであっても同じものでなくてもよい。通常の単一特異性抗体では、結合部位は同じものであり、抗体は2つの同一の軽鎖および重鎖の対を有する。この場合、各重鎖は同じコイルドコイル形成ペプチドに連結され、各軽鎖は同じコイルドコイル形成ペプチド(これは重鎖に連結されたペプチドと同じものであっても同じものでなくてもよい)に連結されている。
【0073】
二重特異性抗体では、結合部位は異なり、2つの異なる重鎖および軽鎖の対から形成される。結合部位は、異なる標的または同じ標的上の異なるエピトープに対して特異性を有することができる。結合部位が異なる標的に対して特異性を有する場合、標的は、同じ細胞上(例えば、がん細胞上の2つの異なる表面抗原)または2つの異なる細胞上(例えば、1つはがん細胞上の1つの表面抗原および1つはT細胞などの免疫細胞上)にありうる。例えば、二重特異性抗体の1つの結合部位は、CD3または4-1BBに向けられうる。
【0074】
二重特異性抗体では、1つの結合部位の重鎖および軽鎖可変領域をそれぞれコイルドコイル形成ペプチドに連結させることができる。他の結合部位の重鎖および軽鎖可変領域も、コイルドコイルペプチドに連結されていても連結されていなくてもよい。両方の結合部位の重軽対が両方ともコイルドコイルペプチドに連結されている場合、通常、両方の重鎖可変領域は、両方の軽鎖可変領域と同様に、同じタイプのコイルドコイル形成ペプチドに連結されている。両方の結合部位のマスキングは、例えば、両方の結合部位が同じ腫瘍上の表面抗原に対して特異性を有する場合に有用でありうる。両方ではなく一方の結合部位のマスキングは、例えば、一方の結合部位が腫瘍表面抗原に特異的であり、もう一方が免疫細胞上の表面抗原に特異性を有する場合に有用でありうる。腫瘍表面抗原または免疫細胞抗原に特異性を有する結合部位を、マスキングすることができる。腫瘍表面抗原と免疫細胞の両方に特異性を有するいくつかの二重特異性抗体は、両方の部位のマスキングを有する。
【0075】
コイルドコイルは、ホモ二量体を形成する同じペプチドまたはヘテロ二量体を形成する2つの異なるペプチドから形成することができる。ホモ二量体の形成の場合、抗体軽鎖および重鎖は同じコイルドコイル形成ペプチドに連結されている。ヘテロ二量体の形成の場合、抗体軽鎖および重鎖は異なるコイルドコイルペプチドに連結されている。コイルドコイル形成ペプチドのいくつかの対については、逆配向も可能であるが、対の一方が抗体の重鎖に連結され、他方が軽鎖に連結されることが好ましい。
【0076】
各抗体鎖は、単一のコイルドコイル形成ペプチドまたはタンデムに複数のそのようなペプチド(例えば、2、3、4または5コピーのペプチド)に連結することができる。後者の場合、タンデム連結のペプチドは通常、同じものである。また、タンデム連結が利用される場合、軽鎖および重鎖は通常、同じ数のペプチドに連結されている。
【0077】
コイルドコイル形成ペプチドへの抗体鎖の連結は、抗体の結合親和性を、例えば、そのような連結なしのまたはそのような連結の切断後の同じ抗体と比べて少なくとも10、50、100、200、500、1000、1500、2000、4000、5000または10,000倍だけ低減することができる。いくつかのそのような抗体では、結合親和性は50~10,000、50~5000、50~4000、50~1000、100~10,000、100~5000、100~4000、200~10,000、200~5000、50~1500、100~1500、200~1500、200~1000、500~1500、50~1000、100~1000、200~1000、500~1000、50~500、100~500倍低減される。
【0078】
抗体は、非ヒト抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、キメラ抗体、およびベニア抗体(veneered antibody)、ナノボディ、dAbs、scFV's、Fabなどを含む。いくつかのそのような抗体は、がん細胞抗原に特異的な免疫、好ましくは、抗体結合時に細胞内に内部移行可能な細胞表面上のものを含む。抗体を向けることができる標的は、がん細胞上の受容体およびそれらのリガンドまたは対抗受容体(例えば、CD3、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD34、CD40、CD44、CD52、CD70、CD79a、CD123、Her-2、EphA2、リンパ球関連抗原1、VEGFまたはVEGFR、CTLA-4、LIV-1、ネクチン-4、CD74、およびSLTRK-6)を含む。
【0079】
いくつかの局面において、抗体は、ブレンツキシマブまたはブレンツキシマブベドチン、抗CD30、アレムツズマブ、抗CD52、リツキシマブ、抗CD20、トラスツズマブ Her/neu、ニモツズマブ、セツキシマブ、抗EGFR、ベバシズマブ、抗VEGF、パリビズマブ、抗RSV、アブシキシマブ、GpIIb/IIIa、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブTNF-α、バシリキシマブ、ダクリズマブ、抗IL-2、オマリズマブ、抗IgE、ゲムツズマブまたはバダスツキシマブ、抗CD33、ナタリズマブ、抗VLA-4、ベドリズマブα4β7、ベリムマブ、抗BAFF、オテリキシズマブ、テプリズマブ、抗CD3、オファツムマブ、オクレリズマブ、エプラツズマブ、抗CD22、アレムツズムマブ、エクリズマブ、カナキムマブ、メポリズマブ、レスリズマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブ、およびブリアキヌマブを含む。
【0080】
さらなる局面はWO2018107125に記述されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0081】
B. コラーゲン結合ドメイン
コラーゲンは細胞外マトリックス(ECM)タンパク質であり、正常組織と腫瘍組織の両方で増殖、分化、および接着などの、種々の細胞生物学的機能を調節する(Ricard-Blum, Cold Spring Harb Perspect Biol 3:a004978, 2011)。コラーゲンは哺乳動物の体内で最も豊富なタンパク質であり、ほぼ全ての組織において28のアイソフォームのうちの1つまたは複数として存在する(Ricard-Blum, Cold Spring Harb Perspect Biol 3:a004978, 2011)。血管の内皮下腔はコラーゲンが豊富である。生理学的条件下で不溶性のため、コラーゲンは血液内にほとんど存在しない(Dubois et al., Blood 107:3902-06, 2006; Bergmeier and Hynes, Cold Spring Harb Perspect Biol 4:a005132, 2012)。腫瘍脈管構造は、異常な構造のために透過性であると報告されている(Nagy et al., British journal of cancer 100:865, 2009)。したがって、その漏出性脈管構造により、コラーゲンは腫瘍中で露出されている(Liang et al., Journal of controlled release 209:101-109, 2015; Liang et al., Sci Rep 6:18205, 2016; Yasunaga et al., Bioconjugate Chemistry 22:1776-83, 2011; Xu et al. The Journal of cell biology 154:1069-80, 2001; Swartz and Lund, Nat Rev Cancer 12:210-19)。また、腫瘍組織は、正常組織と比較して増加した量のコラーゲンを含有する(Zhou et al. J Cancer 8:1466-76, 2017; Provenzano et al. BMC Med 6:11, 2008)。
【0082】
フォンヴィルブランド因子(vWF)は血液凝固因子であり、I型コラーゲンとIII型コラーゲンの両方、および血小板上の接着受容体GPIbに結合する(Lenting et al., Journal of thrombosis and haemostasis:JTH 10:2428-37, 2012; Shahidi Advances in experimental medicine and biology 906:285-306, 2017)。損傷時に、内皮細胞下のコラーゲンが血漿に露出され、vWF-コラーゲン結合が血栓形成カスケードを開始する(Shahidi Advances in experimental medicine and biology 906:285-306, 2017; Wu et al. Blood 99:3623-28, 2002)。報告されている非細菌起源のタンパク質/ペプチドの中で、vWF Aドメインがコラーゲンに対して最も高い親和性を有する(Addi et al., Tissue Engineering Part B: Reviews, 2016)。特にAドメイン内で、vWFのA3ドメインがコラーゲン結合ドメイン(CBD)であると報告されている(Ribba et al. Thrombosis and Haemostasis 86:848-54, 2001)。上記のように、本発明者らは、vWF A3 CBDとの融合タンパク質により、全身注射の場合であっても腫瘍の漏出性脈管構造によるコラーゲンの露出のため、標的サイトカイン免疫療法が実現されうると考えた。
【0083】
いくつかの局面において、コラーゲン結合ドメインは、デコリン由来のポリペプチドを含む。例示的なデコリンポリペプチドとしては、以下の配列:
によって表されるヒトデコリンまたはその断片、ヒトデコリンに由来するペプチド: LRELHLDNNC (SEQ ID NO:41)、およびウシデコリンに由来するペプチド: LRELHLNNNC (SEQ ID NO:44)が挙げられる。
【0084】
いくつかの局面において、CBDは、vWF由来のポリペプチド断片を含む。いくつかの局面において、CBDは、アミノ酸配列:
によって表される、ヒト配列に由来するvWF A1、残基番号1237~1458 (成熟VWFの474~695)またはその断片を含む。
【0085】
いくつかの局面において、CBPは、以下のアミノ酸配列:
によって表される、vWF A3の全部または断片を含む。
【0086】
いくつかの局面において、CBPは、以下のアミノ酸配列:
を有する、6Hタグ (SEQ ID NO:87)を持つvWF A3ドメインポリペプチドを含む。
【0087】
いくつかの局面において、CBPは、vWF由来のコラーゲン結合ペプチドなどの、フォンヴィルブランド因子(vWF)由来のペプチドまたはポリペプチドを含む。ヒトvWFの配列は以下:
を含む。
【0088】
いくつかの局面において、ペプチドはvWF A3ドメイン由来であり、以下のアミノ酸配列(またはその断片):
を有する。
【0089】
CBPペプチドまたはポリペプチドは、SEQ ID NO:1、37~41、および44~46などの、上記のCBDペプチドまたはペプチド断片と75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100% (またはその中で導出可能な任意の範囲)の同一性を有するペプチドでありうる。
【0090】
C. リンカー
いくつかの局面において、ポリペプチドはリンカーを含むか、またはさらに含む。リンカーは、ポリペプチドの任意の2つのドメイン間にありうる。いくつかの局面において、ポリペプチドはCBPとサイトカインとの間にリンカーを含む。いくつかの局面において、ポリペプチドはCBPと血清ポリペプチドとの間にリンカーを含む。いくつかの局面において、ポリペプチドはマスキング剤とサイトカインとの間にリンカーを含む。いくつかの局面において、ポリペプチドはアルブミンとサイトカインとの間にリンカーを含む。いくつかの局面において、ポリペプチドは治療剤とマスキング剤との間にリンカーを含む。いくつかの局面において、ポリペプチドは治療剤とCBPとの間にリンカーを含む。いくつかの局面において、リンカーは1つまたは複数の腫瘍関連プロテアーゼ切断部位を含む。腫瘍関連プロテアーゼ切断部位は、腫瘍微小環境において高度に上方制御または濃縮されているプロテアーゼによって認識される切断部位をいう。腫瘍関連プロテアーゼ切断部位は、腫瘍特異的(プロテアーゼが腫瘍においてのみ発現されることを意味する)ではない可能性があるが、プロテアーゼが腫瘍微小環境において、正常組織または大部分の正常組織よりも高いレベルで発現されることを意味する腫瘍富化、されている。いくつかの局面において、腫瘍関連プロテアーゼ切断部位は、マトリックスメタロプロテイナーゼにより認識され切断されるアミノ酸配列を含む。例えば、腫瘍関連プロテアーゼ切断部位は、MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP18、MMP19、MMP20、MMP21、MMP23A、MMP23B、MMP24、MMP25、MMP26、MMP27、MMP28、またはそれらの組み合わせによって切断される部位でありうる。いくつかの局面において、腫瘍関連プロテアーゼ切断部位は、SEQ ID NO:13: GLLSGRSDNHのMMP応答配列を含む。いくつかの局面において、腫瘍関連プロテアーゼ切断部位は、トロンビンによって切断される部位でありうる。いくつかの局面において、トロンビン応答性配列は、SEQ ID NO:14: LVPRGSを含む。
【0091】
いくつかの局面において、CBP、血清タンパク質、治療剤、マスキング剤、およびサイトカインのうちの2つのなどの、2つのポリペプチドは、二機能性リンカーを通じて連結されうる。アミノ酸またはペプチド模倣配列などの、リンカーが、ペプチドおよび/または抗体配列の間に挿入されうる。1つの局面において、ファイノマー(fynomer)ドメインが、重(H)鎖または軽(L)鎖のアミノ(NH2)末端またはカルボキシ(C)末端の最後のアミノ酸のすぐ後ろで重(H)鎖または軽(L)鎖につながれる。リンカーは、可動性の立体構造、規則正しい二次構造を形成できないこと、またはいずれかのドメインを促進し、もしくはいずれかのドメインと相互作用しうる疎水性もしくは荷電性を含む1つまたは複数の特性を有しうる。可動性のタンパク質領域において通常見られるアミノ酸の例としては、Gly、AsnおよびSerが挙げられうる。例えば、適当なペプチドリンカーはGGGSGGGS (SEQ ID NO:47)または(GGGS - SEQ ID NO:191)nでありえ、ここでn = 1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10 (またはその中で導出可能な任意の範囲)。ThrおよびAlaなどの、他のほぼ中性のアミノ酸もリンカー配列において用いられうる。リンカー配列の長さは、融合タンパク質の機能または活性に有意な影響を与えることなく変化しうる(例えば、米国特許第6,087,329号を参照のこと)。リンカーの例としては、スルホ-スクシンイミジル誘導体(スルホ-SMCC、スルホ-SMPB)、スベリン酸ジスクシンイミジル(DSS)、グルタル酸ジスクシンイミジル(DSG)および酒石酸ジスクシンイミジル(DST)などの、化学部分およびコンジュゲーション剤(conjugating agent)も挙げられうる。リンカーの例としては、CN (ここでN=1~100の炭素原子、例えばN= 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14もしくは15、またはそれ以上)などの、線状炭素鎖がさらに挙げられうる。いくつかの局面において、リンカーは、バリン-シトルリン(val-cit)、フェニルアラニン-リジン(phe-lys)リンカー、またはマレイミドカプロン-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル(vc)リンカーなどの、ジペプチドリンカーであることができる。いくつかの局面において、リンカーは、スルホスクシンイミジル-4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレート(smcc)である。スルホ-smccコンジュゲーションは、スルフヒドリル(チオール, --SH)と反応するマレイミド基を介して行われるが、そのスルホ-NHSエステルは一級アミン(リジンおよびタンパク質またはペプチドのN末端に見られる)に対して反応性である。さらに、リンカーはマレイミドカプロイル(mc)でありうる。
【0092】
いくつかの局面において、リンカーは、健常な組織または臓器と比較して、がんまたは腫瘍微小環境において固有に発現または過剰発現される酵素(プロテアーゼ)によって切断可能である、すなわち、その基質である1つまたは複数のポリペプチドを含む。好ましくは、酵素は腫瘍の細胞外環境に見出される。そのようなプロテアーゼの例としては、アスパラギン酸プロテアーゼ(例えば、レニン)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、アスパラギン酸カテプシン(例えば、カテプシンD、カスパーゼ1、カスパーゼ2など)、システインカテプシン(例えば、カテプシンB)、システインプロテアーゼ(例えば、レグマイン)、ディスインテグリン/メタロプロテイナーゼ(ADAM、例えば、ADAM8、ADAM9)、トロンボスポンジンモチーフを有するディスインテグリン/メタロプロテイナーゼ(ADAMTS、例えば、ADAMTSl)、インテグラル膜セリンプロテアーゼ(例えば、マトリプターゼ2、MT-SPl/マトリプターゼ、TMPRSS2、TMPRSS3、TMPRSS4)、カリクレイン関連ペプチダーゼ(KLK、例えばKLK4、KLK5)、マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP-1、MMP-2、MMP-9)、ならびにセリンプロテアーゼ(例えば、カテプシンA、凝固因子プロテアーゼ、例えばエラスターゼ、プラスミン、トロンビン、PSA、uPA、Vila因子、Xa因子、およびHCV NS3/4)が挙げられる。好ましくは、プロテアーゼは、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、ウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子(uPA、ウロキナーゼ)、MT-SPl/マトリプターゼ、レグマイン、またはマトリックスメタロプロテアーゼ(特にMMP-1、MMP-2、およびMMP-9)である。当業者は、酵素および対応する切断可能なペプチドの選択が、処置される疾患および影響を受けた組織または臓器によって発現されるプロテアーゼに依存することを理解するであろう。
【0093】
腫瘍関連プロテアーゼ部位のさらなる例としては、ウロキナーゼ、マトリプターゼまたはレグマインによって切断されるLSGRSDNH (SEQ ID NO:49); MMP2またはMMP9によって切断されるVPLSLYS (SEQ ID NO:50); MMP2によって切断されるPLGLAG (SEQ ID NO:51); MMP1によって切断されるVLVPMAMMAS (SEQ ID NO:52); マトリプターゼによって切断されるXXQARAX (SEQ ID NO:53)、ここでXはアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンまたはバリンである; マトリプターゼによって切断されるXXQARVX (SEQ ID NO:249)、ここでXはアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンまたはバリンである; マトリプターゼによって切断されるAGPR (SEQ ID NO:54); レグマインによって切断されるAANL (SEQ ID NO:55)およびPTNL (SEQ ID NO:56); ならびにTSGRSANP (SEQ ID NO:57)が挙げられる。
【0094】
リンカー配列が本開示のポリペプチドに含まれうる。例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100個もしくはそれ以上(またはその中で導出可能な範囲)、多くとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100個もしくはそれ以上(またはその中で導出可能な範囲)、あるいは正確に3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100個もしくはそれ以上(またはその中で導出可能な範囲)のアミノ酸を有するリンカーが、CBP、血清タンパク質、治療剤、マスキング剤、およびサイトカインのいずれか2つを分離し、またはそれらの間にありうる。
【0095】
リンカーは、SEQ ID NO:13、14、もしくは47~57の配列あるいはSEQ ID NO:13、14、もしくは47~57と少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100% (またはその中で導出可能な範囲)の同一性を有するペプチドを含みうる。
【0096】
腫瘍関連プロテアーゼ部位のさらなる例としては、以下の表中のものが挙げられる。
【0097】
D. 血清タンパク質
いくつかの局面において、本開示のポリペプチドは、血清タンパク質にさらに連結されている。血清タンパク質は、例えば、アルブミン、グロブリン、およびフィブリノゲンを含む。グロブリンは、アルファ1グロブリン、アルファ2グロブリン、ベータグロブリン、およびガンマグロブリンを含む。アルブミンは、マウス、ヒト、ウシ、または他の任意の相同アルブミンタンパク質でありうる。いくつかの局面において、アルブミンには、ALB遺伝子によりコードされ、以下のアミノ酸配列により例示されるヒト血清アルブミンが含まれる:
【0098】
いくつかの局面において、アルブミンは、以下の配列を有するマウスアルブミンを含む:
【0099】
いくつかの局面において、血清タンパク質は、SEQ ID NO:42もしくは43のポリペプチド、またはその断片、あるいはSEQ ID NO:42、43と75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100% (またはその中で導出可能な範囲)の同一性を有するポリペプチド、またはその断片を含む。
【0100】
E. ポリペプチドの局面
特定のポリペプチドの局面を以下に例示する。
【0101】
いくつかの局面において、ポリペプチドは、本開示のポリペプチド、例えばSEQ ID NO:7~12、および15~18、またはその断片と少なくとも75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100% (またはその中で導出可能な範囲)の同一性を有する。
【0102】
F. タンパク質タグ
いくつかの局面において、ポリペプチドはタンパク質タグをさらに含む。タンパク質タグは、例えば、タンパク質精製および/または免疫アッセイに用いることができる。例示的なタンパク質タグとしては、酵素BirAによるビオチン化を可能にし、したがってタンパク質をストレプトアビジンにより単離することができるペプチドであるAviTag (GLNDIFEAQKIEWHE (SEQ ID NO:82))、タンパク質カルモジュリンにより結合されるペプチドであるカルモジュリン-タグ
、Mono-Qなどの陰イオン交換樹脂に効率的に結合するペプチドであるポリグルタミン酸タグ(EEEEEE (SEQ ID NO:84))、抗体により認識されるペプチドであるE-タグ(GAPVPYPDPLEPR (SEQ ID NO:102))、抗体により認識されるペプチドであるFLAG-タグ(DYKDDDDK (SEQ ID NO:85))、抗体により認識される血球凝集素由来のペプチドであるHA-タグ(YPYDVPDYA (SEQ ID NO:86))、ニッケルまたはコバルトキレートにより結合される5~10個のヒスチジン(HHHHH - SEQ ID NO:193)であるHis-タグ(HHHHHH (SEQ ID NO:87))、抗体により認識されるc-mycに由来するペプチドであるMyc-タグ(EQKLISEEDL (SEQ ID NO:88))、ウエスタンブロッティング、ELISA、フローサイトメトリー、免疫細胞化学、免疫沈降、および組換えタンパク質の親和性精製を含む広範囲の用途において有用な、モノクローナルIgG1抗体により認識される新規の18アミノ酸合成ペプチドであるNE-タグ(TKENPRSNQEESYDDNES (SEQ ID NO:89))、リボヌクレアーゼAに由来するペプチドであるS-タグ(KETAAAKFERQHMDS (SEQ ID NO:90))、ストレプトアビジンに結合するペプチドであるSBP-タグ
、哺乳類発現用のSoftag 1 (SLAELLNAGLGGS (SEQ ID NO:92))、原核生物発現用のSoftag 3 (TQDPSRVG (SEQ ID NO:93))、ストレプトアビジンまたはストレプタクチンと呼ばれる修飾ストレプトアビジンに結合するペプチドであるStrep-タグ(Strep-タグII: WSHPQFEK (SEQ ID NO:94))、FlAsHおよびReAsH二ヒ素化合物により認識されるテトラシステインタグであるTCタグ(CCPGCC (SEQ ID NO:95))、抗体により認識されるペプチドであるV5タグ(GKPIPNPLLGLDST (SEQ ID NO:96))、抗体により認識されるペプチドであるVSV-タグ(YTDIEMNRLGK (SEQ ID NO:97))、Xpressタグ(DLYDDDDK (SEQ ID NO:98))、共有結合ペプチドタグ、ピリン-Cタンパク質に共有結合するペプチドであるIsopeptag (TDKDMTITFTNKKDAE (SEQ ID NO:99))、SpyCatcherタンパク質に共有結合するペプチドであるSpyTag (AHIVMVDAYKPTK (SEQ ID NO:100))、SnoopCatcherタンパク質に共有結合するペプチドであるSnoopTag (KLGDIEFIKVNK (SEQ ID NO:101))、ストレプトアビジンによる認識を可能にする BirA によりビオチン化されたタンパク質ドメインであるBCCP (ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質(Biotin Carboxyl Carrier Protein))、固定化グルタチオンに結合するタンパク質であるグルタチオン-S-トランスフェラーゼ-タグ、自発的に蛍光を発し、ナノボディによって結合されうるタンパク質である緑色蛍光タンパク質-タグ、反応性ハロアルカン基質に共有結合する変異細菌ハロアルカンデハロゲナーゼであり、多種多様な基質への付着を可能にするHaloTag、アミロースアガロースに結合するタンパク質であるマルトース結合タンパク質-タグ、Nus-タグ、チオレドキシン-タグ、免疫グロブリンFcドメインに由来し、二量体化および可溶化を可能にし、プロテイン-Aセファロースでの精製に用いることができるFc-タグ、障害促進アミノ酸(P、E、S、T、A、Q、G、)を含むデザインされた天然変性(Designed Intrinsically Disordered)タグ、ならびにTy-tagが挙げられる。いくつかの局面において、ポリペプチドは、SEQ ID NO:87の6Hタグを含む。
【0103】
II. タンパク性組成物
CBD、血清タンパク質、治療剤、マスキング剤、リンカー、またはサイトカインポリペプチドなどの、本開示のポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50個またはそれ以上の変種アミノ酸または核酸置換を含みうる、あるいはSEQ ID NO:1~249の、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、300、400、500、550、1000個もしくはそれ以上またはその中で導出可能な任意の範囲、あるいは多くとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、300、400、500、550、1000個もしくはそれ以上またはその中で導出可能な任意の範囲の連続するアミノ酸または核酸と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%類似、同一、または相同でありうる。
【0104】
CBD、血清タンパク質、治療剤、マスキング剤、リンカー、またはサイトカインポリペプチドなどの、本開示のポリペプチドは、SEQ ID NO:1~249の、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、300、400、500、550、1000個もしくはそれ以上またはその中で導出可能な任意の範囲の連続するアミノ酸を含みうる。
【0105】
いくつかの局面において、本開示のポリペプチドは、SEQ ID NO:1~249のアミノ酸1から2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、もしくは615まで (またはその中で導出可能な任意の範囲)を含みうる。
【0106】
いくつかの局面において、CBD、血清タンパク質、治療剤、マスキング剤、リンカー、またはサイトカインポリペプチドなどの、本開示のポリペプチドは、SEQ ID NO:1~249の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、もしくは615個(またはその中で導出可能な任意の範囲)、多くとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、もしくは615個(またはその中で導出可能な任意の範囲)、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、8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226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、もしくは615個(またはその中で導出可能な任意の範囲)の連続するアミノ酸を含みうる。
【0107】
いくつかの局面において、CBD、血清タンパク質、治療剤、マスキング剤、リンカー、またはサイトカインポリペプチドなどの、ポリペプチドは、SEQ ID NO:1~249のうちの1つと少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%、多くとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%、または約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%類似、同一、または相同であるSEQ ID NO:1~249の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、もしくは615個(またはその中で導出可能な任意の範囲)、多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、もしくは615個(またはその中で導出可能な任意の範囲)、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、8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【0108】
CBD、血清タンパク質、治療剤、マスキング剤、リンカー、またはサイトカインポリペプチドなどの、本開示のポリペプチドは、SEQ ID NO:1~249のうちの1つと少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100% (またはその中で導出可能な任意の範囲)、多くとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100% (またはその中で導出可能な任意の範囲)、あるいは約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100% (またはその中で導出可能な任意の範囲)類似、同一、または相同でありうる。
【0109】
本開示のポリペプチドおよび核酸は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、もしくは615個(またはその中で導出可能な任意の範囲)、多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、もしくは615個(またはその中で導出可能な任意の範囲)、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77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248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、もしくは615個(またはその中で導出可能な任意の範囲)の置換を含みうる。
【0110】
置換は、SEQ ID NO:1~249のうちの1つのアミノ酸位置番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、または615にありうる。これらの置換の1つまたは複数は、局面から特に除外されうる。
【0111】
SEQ ID NO:1~249のいずれか1つと少なくとも70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%の同一性を有するか、少なくとも70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%の同一性を有するか、または70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%の同一性を有するCBD、血清タンパク質、治療剤、マスキング剤、リンカー、またはサイトカインポリペプチドなどの、本開示のペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質は、アミノ酸位置番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、もしくは200 (またはその中で導出可能な任意の範囲)から始まる、かつアミノ酸位置番号10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、もしくは205 (またはその中で導出可能な任意の範囲)で終わるセグメントの断片を含む。
【0112】
いくつかの局面において、SEQ ID NO:1~249のうちの1つのペプチドまたはポリペプチドの位置番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399または400のアミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンまたはバリンで置換される。
【0113】
置換変種は、典型的には、タンパク質内の1つまたは複数の部位での1つのアミノ酸と別のアミノ酸との交換を含み、他の機能または特性を失ってかまたは失うことなく、ポリペプチドについての1つまたは複数の特性を修飾するように設計されてもよい。置換は保存的であってもよく、すなわち、1つのアミノ酸が、類似の形状および電荷のアミノ酸に置換されてもよい。保存的置換は当技術分野において周知であり、これには、例えば、アラニンのセリンへの、アルギニンのリジンへの、アスパラギンのグルタミンまたはヒスチジンへの、アスパラギン酸のグルタミン酸への、システインのセリンへの、グルタミンのアスパラギンへの、グルタミン酸のアスパラギン酸への、グリシンのプロリンへの、ヒスチジンのアスパラギンまたはグルタミンへの、イソロイシンのロイシンまたはバリンへの、ロイシンのバリンまたはイソロイシンへの、リジンのアルギニンへの、メチオニンのロイシンまたはイソロイシンへの、フェニルアラニンのチロシン、ロイシンまたはメチオニンへの、セリンのトレオニンへの、トレオニンのセリンへの、トリプトファンのチロシンへの、チロシンのトリプトファンまたはフェニルアラニンへの、および、バリンのイソロイシンまたはロイシンへの変化が含まれる。あるいは、置換はポリペプチドの機能または活性が影響を受けるように非保存的であってもよい。非保存的変化は、典型的には、非極性アミノ酸または非荷電アミノ酸の代わりに極性アミノ酸または荷電アミノ酸を用いておよびその逆など、1つの残基を化学的に異なる残基に置換することを含む。これらの置換の1つまたは複数は、局面から特に除外されうる。
【0114】
タンパク質は、組換えであってもまたはインビトロで合成されてもよい。あるいは、非組換えまたは組換えタンパク質を細菌から単離してもよい。そのような変種を含有する細菌を、組成物および方法のなかで実践できることも考えられる。結果的に、タンパク質は単離されなくてもよい。
【0115】
「機能的に等価なコドン」という用語は、アルギニンまたはセリンに対する6種類のコドンなどの、同じアミノ酸をコードするコドンをいうように、本明細書において用いられ、同様に、生物学的に等価のアミノ酸をコードするコドンもいう。
【0116】
アミノ酸および核酸の配列は、タンパク質の発現が関与している生物学的タンパク質活性の維持を含む上記の基準を満たす限り、それぞれ、さらなるN末端もしくはC末端アミノ酸、または5'もしくは3'配列などのさらなる残基を含むこともあり、それでも本質的には、本明細書において開示されている配列の1つに記載の通りでありうることも理解されるであろう。末端配列の付加は核酸配列に特に当てはまり、例えば、コード領域の5'部分または3'部分のいずれか一方に隣接する種々の非コード配列を含むことができる。
【0117】
以下は、等価なまたは場合によっては改善された、第二世代の分子を作製するためにタンパク質のアミノ酸を変化させることに基づく考察である。例えば、ある特定のアミノ酸を、相互作用結合能をさほど失わないようにタンパク質構造中の他のアミノ酸の代わりに用いることができる。例えば、酵素触媒ドメインまたは相互作用成分などの構造は、そのような機能を維持するために置換されたアミノ酸を有しうる。タンパク質の機能活性を規定するのはタンパク質の相互作用能および性質であることから、タンパク質配列の中に、およびその基礎となるDNAコード配列の中にある特定のアミノ酸置換を施し、それでも、類似の特性を有するタンパク質を産生させることができる。このように、遺伝子のDNA配列において、その生物学的有用性または活性をさほど失わないように種々の変化を施すことができるものと本発明者らは企図している。
【0118】
他の局面において、1つまたは複数の置換を導入することによってポリペプチドの機能の改変が意図される。例えば、ある特定のアミノ酸を、相互作用成分の相互作用結合能を改変することを意図してタンパク質構造中の他のアミノ酸の代わりに用いることができる。例えば、タンパク質相互作用ドメイン、核酸相互作用ドメイン、および触媒部位などの構造は、そのような機能を改変するために置換されたアミノ酸を有しうる。タンパク質の機能活性を規定するのはタンパク質の相互作用能および性質であることから、タンパク質配列の中に、およびその基礎となるDNAコード配列の中にある特定のアミノ酸置換を施し、それでも、異なる特性を有するタンパク質を産生させることができる。このように、遺伝子のDNA配列において、その生物学的有用性または活性をかなり変化させるように種々の変化を施すことができるものと本発明者らは企図している。
【0119】
そのような変化を加える場合、アミノ酸の疎水性親水性指標を考慮してもよい。タンパク質に相互作用生物機能を付与する際の疎水性親水性アミノ酸指数の重要性は、一般的に当技術分野において理解されている(Kyte and Doolittle, 1982)。アミノ酸の相対的な疎水性親水性指標の特徴が、得られるタンパク質の二次構造に寄与し、さらには、タンパク質と他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原などとの相互作用を規定することが認められている。
【0120】
同様に、親水性に基づいて有効に同類のアミノ酸の置換がなされることも当技術分野において理解される。参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,554,101号は、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配されるタンパク質の最大局所平均親水性が、タンパク質の生物特性と相関すると述べている。1つのアミノ酸を、類似の親水性値を有する別のアミノ酸に置換することができ、それでもなお、生物学的に等価かつ免疫学的に等価なタンパク質を作製することができると理解される。
【0121】
上記で概説した通り、アミノ酸の置換は一般的に、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、例えば疎水性、親水性、電荷、大きさなどに基づく。前述のさまざまな特徴を考慮に入れた例示的置換は周知であり、アルギニンおよびリジン; グルタミン酸およびアスパラギン酸; セリンおよびトレオニン; グルタミンおよびアスパラギン; ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシンを含む。
【0122】
特定の局面において、本明細書において記述されるタンパク質の全部または一部を、従来の技術にしたがって溶液中でまたは固体支持体上で合成することもできる。各種の自動合成機が市販されており、それらを公知のプロトコルにしたがって用いることができる。例えば、Stewart and Young, (1984); Tarn et al., (1983); Merrifield, (1986); およびBarany and Merrifield (1979)を参照されたく、これらの各々が参照により本明細書に組み入れられる。あるいは、ペプチドまたはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現ベクターに挿入し、これを適切な宿主細胞に形質転換または形質移入し、これを発現に適した条件の下で培養する組換えDNA技術を使用することもできる。
【0123】
1つの局面では、タンパク質の産生および/または提示のための、微生物を含めた細胞への遺伝子移入の使用を含む。関心対象のタンパク質に対する遺伝子を適切な宿主細胞に移入し、引き続いて適切な条件下での細胞の培養を行うことができる。実質的にすべてのポリペプチドをコードする核酸を、使用することができる。組換え発現ベクターの作製、およびそのベクターに含まれる要素は、本明細書において論じられている。あるいは、産生されるタンパク質は、タンパク質の産生に用いられる細胞によって通常合成される内因性タンパク質であってもよい。
【0124】
III. 核酸
ある種の局面において、本開示は、CBD、血清タンパク質、治療剤、マスキング剤、リンカー、もしくはサイトカインポリペプチドおよび/または他の分子などの、本発明のタンパク質、ポリペプチド、およびペプチドをコードする組換えポリヌクレオチドに関する。それゆえ、ある種の局面は、CBD、血清タンパク質、治療剤、マスキング剤、リンカー、またはサイトカインポリペプチド、およびその断片をコードするヌクレオチドに関する。
【0125】
本出願において用いられる場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、組換えであるか、または、全ゲノム核酸がない状態で単離されているかのいずれかの核酸分子をいう。「ポリヌクレオチド」という用語の範囲内に含まれるのは、オリゴヌクレオチド(長さが100残基またはそれ未満の核酸)、例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルスなどを含む、組換えベクターである。ポリヌクレオチドは、ある局面において、天然の遺伝子またはタンパク質コード配列から実質的に単離されている、調節配列を含む。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コーディングもしくはアンチセンス)または二本鎖であってよく、RNA、DNA(ゲノム、cDNAもしくは合成)、その類似体、またはその組み合わせであってよい。ポリヌクレオチドのなかにさらなるコーディングまたは非コーディング配列が存在してもよいが、存在しなくてもよい。
【0126】
この点において、「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」、または「核酸」という用語は、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸(適切な転写、翻訳後修飾または局在化に必要とされる任意の配列を含む)をいうように用いられる。当業者に理解される通り、この用語はゲノム配列、発現カセット、cDNA配列、ならびにタンパク質、ポリペプチド、ドメイン、ペプチド、融合タンパク質、および変異体を発現するかまたは発現するように適合されうる、遺伝子操作されたもっと小さな核酸セグメントを包含する。ポリペプチドの全部または一部をコードする核酸は、本明細書において記述または参照される1つまたは複数のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの、以下の間の全ての値および範囲を含む10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、441、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、1000、1010、1020、1030、1040、1050、1060、1070、1080、1090、1095、1100、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000、5500、6000、6500、7000、7500、8000、9000、10000、またはそれ以上(またはその中で導出可能な任意の範囲)のヌクレオチド、ヌクレオシドまたは塩基対の連続核酸配列を含むことができる。また、特定のポリペプチドは、わずかに異なる核酸配列を有するが同じまたは実質的に類似のタンパク質をコードする変種を含む核酸によってコードされうることも考えられる。
【0127】
特定の局面において、本発明は、本開示のポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸配列を組み込んだ単離された核酸セグメントおよび組換えベクターに関する。「組換え」という用語は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと組み合わせて用いることができ、一般に、インビトロにおいて産生および/もしくは操作されているポリペプチドもしくはポリヌクレオチドまたはそのような分子の複製産物であるポリペプチドもしくはポリヌクレオチドをいう。
【0128】
他の局面において、本発明は、本開示のポリペプチドまたはペプチドをコードする核酸配列を組み込んだ単離された核酸セグメントおよび組換えベクターに関する。
【0129】
本開示において用いられる核酸セグメントは、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、付加的な制限酵素部位、マルチクローニング部位、他のコードセグメントなどのような、他の核酸配列と組み合わせてもよく、したがってその全長はかなり変化することがある。それゆえ、ほぼすべての長さの核酸断片を使用することができ、その全長は精製の容易さによっておよび意図された組換え核酸プロトコルにおける用途によって制限されることが好ましいものと考えられる。場合によっては、核酸配列は、例えば、ポリペプチドの精製、輸送、分泌、翻訳後修飾を可能にするための、またはターゲティングもしくは有効性などの治療的有用性を可能にするための、さらなる異種コード配列を有するポリペプチド配列をコードすることができる。先に論じられる通り、タグまたは他の異種ポリペプチドを、修飾されたポリペプチドをコードする配列に付加することができ、「異種」とは、修飾されたポリペプチドと同じものではないポリペプチドをいう。
【0130】
ある種の局面において、本開示は、本明細書において開示される配列と実質的同一性を有するポリヌクレオチド変種を提供し; 該変種は、本明細書において記述される方法(例えば、標準パラメータによるBLAST解析)を用い本開示のポリヌクレオチド配列と比べて、以下の間の全ての値および範囲を含む少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%、またはそれ以上の配列同一性を含む。
【0131】
本開示は同様に、上記の全てのポリヌクレオチドに相補的であるポリヌクレオチドの使用を企図する。
【0132】
A. ベクター
本開示のポリペプチドは、ベクターに含まれる核酸分子によってコードされてもよい。「ベクター」という用語は、異種核酸配列を、複製され発現されうる細胞へ導入するために、挿入できる担体核酸分子をいうように用いられる。核酸配列は「異種」であってよく、これは文脈中で、ベクターが導入されている細胞にとって、または核酸配列が組み入れられる核酸にとって核酸配列が異質であることを意味し、これには、細胞中または核酸中の配列と同種であるが、しかし、通常は見出されない、宿主細胞内または核酸内のある位置における配列が含まれる。ベクターにはDNA、RNA、プラスミド、コスミド、ウイルス(バクテリオファージ、動物ウイルスおよび植物ウイルス)、ならびに人工染色体(例えば、YAC)が含まれる。当業者は、標準的な組換え技術(例えば、ともに参照により本明細書に組み入れられるSambrook et al., 2001; Ausubel et al., 1996)を通じてベクターを構築するのに必要なものを十分に持っていると考えられる。本開示のポリペプチドをコードすることに加えて、ベクターは、1つまたは複数の他の細菌ペプチド、タグ、または免疫原性増強ペプチドなどの他のポリペプチド配列をコードすることができる。そのような融合タンパク質をコードする有用なベクターは、pINベクター(Inouye et al., 1985)、一続きのヒスチジンをコードするベクター、ならびに後の精製および分離または切断のためのグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)可溶性融合タンパク質の作製で用いるための、pGEXベクターを含む。
【0133】
「発現ベクター」という用語は、転写されうる遺伝子産物の少なくとも一部をコードする核酸配列を含むベクターをいう。場合によっては、次にRNA分子をタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドに翻訳する。発現ベクターは、特定の宿主生物において機能的に連結されたコード配列の転写およびおそらく翻訳にとって必要な核酸配列をいう種々の「制御配列」を含みうる。転写および翻訳を支配する制御配列に加えて、ベクターおよび発現ベクターは、他の機能も果たしかつ本明細書において記述される、核酸配列を含んでもよい。
【0134】
B. プロモーターおよびエンハンサー
「プロモーター」は制御配列である。プロモーターは、典型的には、転写の開始および速度が制御される核酸配列の領域である。これには、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子などの、調節タンパク質および分子が結合しうる遺伝要素を含めてもよい。「機能的に配置された」、「機能的に連結された」、「制御下」、および「転写制御下」という語句は、プロモーターが核酸配列との関連で、その配列の転写開始および発現を制御するのに正しい機能的位置および/または方向にあることを意味する。プロモーターは、核酸配列の転写活性化に関わるシス作用調節配列をいう「エンハンサー」とともに用いられてもまたは用いられなくてもよい。
【0135】
当然、発現用に選択された細胞型または生物においてDNAセグメントの発現を効率的に指令するプロモーターおよび/またはエンハンサーを用いることが重要でありうる。分子生物学の当業者は、タンパク質を発現させるためにプロモーター、エンハンサー、および細胞型の組み合わせを用いることを一般的に承知している(参照により本明細書に組み入れられるSambrook et al., 2001を参照のこと)。用いられるプロモーターは構成的、組織特異的、または誘導的であってよく、ある種の局面において、組換えタンパク質またはペプチドの大規模産生などの特定条件の下で、導入されたDNAセグメントの高レベル発現を指令しうる。
【0136】
本発明のペプチドまたはタンパク質をコードするポリヌクレオチドの発現を制御するために用いられる特定のプロモーターは、標的細胞、好ましくは細菌細胞においてポリヌクレオチドを発現できる限り、決定的に重要であるものとは考えられない。ヒト細胞が標的とされる場合、ポリヌクレオチドコード領域を、ヒト細胞において発現されうるプロモーターの近傍かつ制御下に位置付けることが好ましい。一般的に言えば、そのようなプロモーターは細菌プロモーター、ヒトプロモーター、またはウイルスプロモーターのいずれかを含みうる。
【0137】
C. 開始シグナルおよび内部リボソーム結合部位(IRES)
特異的開始シグナルもコード配列の効率的な翻訳に必要とされうる。これらのシグナルには、ATG開始コドンまたは隣接配列が含まれる。ATG開始コドンを含む外因性の翻訳制御シグナルを提供する必要がありうる。当業者は容易にこれを決定して、必要なシグナルを提供することができるであろう。
【0138】
本発明のある種の局面において、内部リボソーム進入部位(IRES)要素を用いて、多重遺伝子の、または多シストロン性の伝達暗号を作製する。IRES要素は、5'メチル化Cap依存的翻訳のリボソーム走査モデルを迂回して、内部部位で翻訳を開始することができる(Pelletier and Sonenberg, 1988; Macejak and Sarnow, 1991)。IRES要素は異種の読み取り枠に連結させることができる。IRESによって各々が隔てられた多数の読み取り枠をともに転写し、多シストロン性の伝達暗号を作製することができる。単一のプロモーター/エンハンサーを用いて多数の遺伝子を効率的に発現させ、単一の伝達暗号を転写させることができる(参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,925,565号および同第5,935,819号を参照のこと)。
【0139】
D. 選択可能およびスクリーニング可能なマーカー
本発明のある種の局面において、本開示の核酸構築体を含む細胞は、発現ベクターの中にスクリーニング可能または選択可能なマーカーをコードすることによってインビトロまたはインビボで同定することができる。転写され翻訳される場合、マーカーは同定可能な変化を細胞に付与し、発現ベクターを含む細胞の容易な同定を可能にする。一般的に、選択可能なマーカーは、選択を可能にする特性を付与するものである。陽性選択可能なマーカーは、マーカーが存在することでその選択が可能になるものであるのに対し、陰性選択可能なマーカーは、マーカーが存在することでその選択が妨害されるものである。陽性選択可能なマーカーの例は、薬物耐性マーカーである。
【0140】
E. 宿主細胞
本明細書において用いられる場合、「細胞」、「細胞株」、および「細胞培養物」という用語は互換的に用いることができる。これらの用語の全てが、任意のおよび全ての次世代のその子孫も含む。故意または偶然の変異により全ての子孫が同一ではないことがあると理解されると考えられる。異種核酸配列を発現するという文脈において、「宿主細胞」とは、原核細胞または真核細胞をいい、これには、ベクターを複製できるかまたはベクターによってコードされる異種遺伝子を発現できる、任意の形質転換可能な生物が含まれる。宿主細胞はベクターまたはウイルスのレシピエントとして、使用されることができかつ使用されている。宿主細胞は「形質移入」または「形質転換」されてもよく、それらは組換えタンパク質をコードする配列などの、外因性の核酸が宿主細胞に移入または導入される過程をいう。形質転換細胞には、初代被験細胞およびその子孫が含まれる。
【0141】
宿主細胞は、ベクターの複製または核酸配列の一部もしくは全部の発現のために、細菌、酵母細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞を含む、原核生物または真核生物に由来しうる。多数の細胞株および培養物が宿主細胞として使用可能であり、それらは、生きている培養物および遺伝物質のアーカイブとして機能する組織であるアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection; ATCC)から入手することができる(www.atcc.org)。
【0142】
F. 発現システム
先に論じた組成物の少なくとも一部または全部を含む多数の発現システムが存在する。原核生物および/または真核生物に基づくシステムを本発明で用いるために使用して、核酸配列、またはその同源のポリペプチド、タンパク質およびペプチドを産生することができる。そのような多くのシステムが市販されており、広く使用可能である。
【0143】
昆虫細胞/バキュロウイルスシステムは、ともに参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,871,986号、同第4,879,236号に記述されているように、異種核酸セグメントの高レベルのタンパク質発現をもたらすことができ、例えば、INVITROGEN(登録商標)からMAXBAC(登録商標) 2.0の名称で、およびCLONTECH(登録商標)からBACPACK(商標) BACULOVIRUS EXPRESSION SYSTEMの名称で購入することができる。
【0144】
本発明の開示される発現システムに加え、発現システムの他の例としては、合成エクダイソン誘導性受容体またはそのpET発現システム、つまり大腸菌発現システムを含む、STRATAGENE(登録商標)のCOMPLETE CONTROL□ Inducible Mammalian Expression Systemが挙げられる。誘導性発現システムの別例はINVITROGEN(登録商標)から入手可能で、T-REX(商標) (テトラサイクリン調節発現)システム、つまり全長CMVプロモーターを用いた誘導性の哺乳動物発現システムを有するものである。INVITROGEN(登録商標)は、メチロトローフ酵母ピチアメタノリカ(Pichia methanolica)における組換えタンパク質の高レベル産生のために設計された、Pichia methanolica Expression Systemと呼ばれる酵母発現システムも提供している。当業者なら、発現構築物などのベクターを発現させる方法、核酸配列、またはその同源のポリペプチド、タンパク質、もしくはペプチドを産生する方法を承知しているであろう。
【0145】
IV. さらなる治療法
A. 免疫療法
いくつかの局面において、本方法は、がん免疫療法を施すことを含む。がん免疫療法(免疫腫瘍学と呼ばれることもあり、IOと略される)は、がんを処置するための免疫系の使用である。免疫療法は能動的、受動的またはハイブリッド(能動的および受動的)に分類することができる。これらのアプローチは、がん細胞がその表面に、腫瘍関連抗原(TAA)として知られる、免疫系により検出されうる分子を有することが多いという事実を利用しており; それらはタンパク質または他の高分子(例えば炭水化物)であることが多い。能動免疫療法は、TAAをターゲティングすることによって腫瘍細胞を攻撃するように免疫系に指令する。受動免疫療法は、既存の抗腫瘍応答を増強し、モノクローナル抗体、リンパ球およびサイトカインの使用を含む。本開示の方法において有用な免疫療法を以下に記述する。
【0146】
3. チェックポイント阻害剤および併用処置
本開示の局面は、免疫チェックポイント阻害剤(チェックポイント阻害剤療法ともいわれる)の投与を含むことができ、これを以下にさらに記述する。
【0147】
b. PD-1、PD-L1、およびPD-L2阻害剤
PD-1は、T細胞が感染または腫瘍に遭遇する腫瘍微小環境において作用することができる。活性化されたT細胞はPD-1を上方制御し、末梢組織においてPD-1を発現し続ける。IFN-ガンマなどのサイトカインは、上皮細胞および腫瘍細胞でのPD-L1の発現を誘導する。PD-L2はマクロファージおよび樹状細胞に発現する。PD-1の主な役割は、末梢でのエフェクタT細胞の活性を制限し、免疫応答中の組織への過度の損傷を防ぐことである。本開示の阻害剤は、PD-1および/またはPD-L1活性の1つまたは複数の機能を遮断しうる。
【0148】
「PD-1」の代替名には、CD279およびSLEB2が含まれる。「PD-L1」の代替名には、B7-H1、B7-4、CD274、およびB7-Hが含まれる。「PD-L2」の代替名には、B7-DC、Btdc、およびCD273が含まれる。いくつかの局面において、PD-1、PD-L1、およびPD-L2は、ヒトPD-1、PD-L1、およびPD-L2である。
【0149】
いくつかの局面において、PD-1阻害剤は、PD-1とそのリガンド結合パートナーの結合を阻害する分子である。特定の局面において、PD-1リガンド結合パートナーはPD-L1および/またはPD-L2である。別の局面において、PD-L1阻害剤は、PD-L1とそのリガンド結合パートナーの結合を阻害する分子である。特定の局面において、PD-L1結合パートナーはPD-1および/またはB7-1である。別の局面において、PD-L2阻害剤は、PD-L2とそのリガンド結合パートナーの結合を阻害する分子である。特定の局面において、PD-L2結合パートナーはPD-1である。阻害剤は抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドでもよい。例示的な抗体は米国特許第8,735,553号、同第8,354,509号、および同第8,008,449号に記述されており、全てが参照により本明細書に組み入れられる。本明細書において提供される方法および組成物で用いるための他のPD-1阻害剤は、米国特許出願公開第US2014/0294898号、同第US2014/022021号、および同第US2011/0008369号に記述のように当技術分野において公知であり、これらは全て参照により本明細書に組み入れられる。
【0150】
いくつかの局面において、PD-1阻害剤は抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)である。いくつかの局面において、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、およびピディリズマブからなる群より選択される。いくつかの局面において、PD-1阻害剤は、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)と融合したPD-L1またはPD-L2の細胞外部分またはPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。いくつかの局面において、PD-L1阻害剤はAMP-224を含む。ニボルマブはMDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558、およびOPDIVO(登録商標)としても知られ、WO2006/121168に記述の抗PD-1抗体である。ペンブロリズマブはMK-3475、Merck3475、ランブロリズマブ、KEYTRUDA(登録商標)、およびSCH-900475としても知られ、WO2009/114335に記述の抗PD-1抗体である。ピディリズマブはCT-011、hBAT、またはhBAT-1としても知られ、WO2009/101611に記述の抗PD-1抗体である。AMP-224はB7-DCIgとしても知られ、WO2010/027827およびWO2011/066342に記述のPD-L2-Fc融合可溶性受容体である。さらなるPD-1阻害剤は、AMP-514としても知られるMEDI0680、およびREGN2810を含む。
【0151】
いくつかの局面において、免疫チェックポイント阻害剤は、MEDI4736としても知られるデュルバルマブ、MPDL3280Aとしても知られるアテゾリズマブ、MSB00010118Cとしても知られるアベルマブ、MDX-1105、BMS-936559、またはそれらの組み合わせなどのPD-L1阻害剤である。ある種の局面において、免疫チェックポイント阻害剤は、rHIgM12B7などのPD-L2阻害剤である。
【0152】
いくつかの局面において、阻害剤はニボルマブ、ペンブロリズマブ、またはピディリズマブの重鎖および軽鎖CDRまたはVRを含む。したがって、1つの局面において、阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、またはピディリズマブのVH領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメイン、ならびにニボルマブ、ペンブロリズマブ、またはピディリズマブのVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の局面において、前記抗体は、前述した抗体と同じ、PD-1、PD-L1、もしくはPD-L2上のエピトープとの結合において競合する、および/または前述した抗体と同じ、PD-1、PD-L1、もしくはPD-L2上のエピトープに結合する。別の局面において、前記抗体は、上述した抗体と少なくとも約70、75、80、85、90、95、97、もしくは99% (またはその中で導出可能な範囲)の可変領域アミノ酸配列同一性を有する。
【0153】
c. CTLA-4、B7-1、およびB7-2
本明細書において提供される方法において標的にされることができる別の免疫チェックポイントは、CD152としても知られる細胞傷害性Tリンパ球タンパク質4 (CTLA-4)である。ヒトCTLA-4の完全cDNA配列はGenbankアクセッション番号L15006を有する。CTLA-4はT細胞表面に見出され、抗原提示細胞の表面上のB7-1 (CD80)またはB7-2 (CD86)に結合すると「オフ」スイッチとして働く。CTLA-4は、ヘルパーT細胞表面に発現し、阻害シグナルをT細胞に伝達する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA-4はT細胞補助刺激タンパク質であるCD28に類似し、両分子とも、抗原提示細胞上のB7-1およびB7-2に結合する。CTLA-4は阻害シグナルをT細胞に伝達するのに対して、CD28は刺激シグナルを伝達する。細胞内CTLA-4は調節性T細胞の中にも見出され、その機能にとって重要である可能性がある。T細胞受容体およびCD28を介してT細胞が活性化されると、B7分子に対する抑制性受容体であるCTLA-4の発現が増加する。本開示の阻害剤は、CTLA-4、B7-1、および/またはB7-2活性の1つまたは複数の機能を遮断しうる。いくつかの局面において、阻害剤はCTLA-4およびB7-1相互作用を遮断する。いくつかの局面において、阻害剤はCTLA-4およびB7-2相互作用を遮断する。
【0154】
いくつかの局面において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、もしくはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。
【0155】
本発明の方法で用いるのに適した抗ヒト-CTLA-4抗体(またはそれに由来するVHドメインおよび/もしくはVLドメイン)は、当技術分野において周知の方法を用いて作製することができる。あるいは、当技術分野において認められている抗CTLA-4抗体を用いることができる。例えば、米国特許第8,119,129号、WO01/14424、WO98/42752;WO00/37504 (CP675,206、トレメリムマブ; 以前はチシリムマブ(ticilimumab)としても知られる)、米国特許第6,207,156号; Hurwitz et al., 1998に開示される抗CTLA-4抗体は、本明細書において開示される方法において用いることができる。前述した刊行物のそれぞれの開示は参照により本明細書に組み入れられる。CTLA-4との結合では、これらの当技術分野において認められている任意の抗体と競合する抗体も用いることができる。例えば、ヒト化CTLA-4抗体は、国際特許出願番号WO2001/014424、WO2000/037504、および米国特許第8,017,114号に記述されており、全てが参照により本明細書に組み入れられる。
【0156】
本開示の方法および組成物においてチェックポイント阻害剤として有用なさらなる抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(10D1、MDX-010、MDX-101、およびYervoy(登録商標)としても知られる)またはその抗原結合断片および変種である(例えば、WO01/14424を参照されたい)。
【0157】
いくつかの局面において、阻害剤はトレメリムマブまたはイピリムマブの重鎖および軽鎖CDRまたはVRを含む。したがって、1つの局面において、阻害剤は、トレメリムマブまたはイピリムマブのVH領域のCDR1、CDR2、およびCDR3ドメイン、ならびにトレメリムマブまたはイピリムマブのVL領域のCDR1、CDR2およびCDR3ドメインを含む。別の局面において、前記抗体は、前述した抗体と同じ、PD-1、B7-1、もしくはB7-2上のエピトープとの結合において競合する、および/または前述した抗体と同じ、PD-1、B7-1、もしくはB7-2上のエピトープに結合する。別の局面において、前記抗体は、上述した抗体と少なくとも約70、75、80、85、90、95、97、もしくは99% (またはその中で導出可能な範囲)の可変領域アミノ酸配列同一性を有する。
【0158】
4. 共刺激分子の阻害
いくつかの局面において、免疫療法は共刺激分子の阻害剤を含む。いくつかの局面において、阻害剤は、B7-1 (CD80)、B7-2 (CD86)、CD28、ICOS、OX40 (TNFRSF4)、4-1BB (CD137; TNFRSF9)、CD40L (CD40LG)、GITR (TNFRSF18)の阻害剤、およびその組み合わせを含む。阻害剤は、阻害性の抗体、ポリペプチド、化合物、および核酸を含む。
【0159】
5. 樹状細胞療法
樹状細胞療法は、樹状細胞に腫瘍抗原をリンパ球へ提示させ、それによってリンパ球を活性化し、抗原を提示している他の細胞を死滅化するようにリンパ球を刺激することによって抗腫瘍応答を惹起する。樹状細胞は、哺乳動物免疫系における抗原提示細胞(APC)である。がん処置において、樹状細胞はがん抗原ターゲティングを助ける。樹状細胞に基づく細胞がん療法の一例は、シプリューセル-Tである。
【0160】
樹状細胞に腫瘍抗原を提示するように誘導する1つの方法は、自家腫瘍溶解物または短いペプチド(がん細胞上のタンパク質抗原に対応するタンパク質の小さな部分)をワクチン接種することによるものである。これらのペプチドは、免疫および抗腫瘍応答を高めるためにアジュバント(免疫原性の高い物質)と組み合わせて与えられることが多い。他のアジュバントは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)などの、樹状細胞を誘引および/または活性化するタンパク質または他の化学物質を含む。
【0161】
樹状細胞は腫瘍細胞にGM-CSFを発現させることによりインビボで活性化することもできる。これは、腫瘍細胞を遺伝子操作してGM-CSFを産生させることにより、またはGM-CSFを発現する腫瘍溶解性ウイルスを腫瘍細胞に感染させることにより達成することができる。
【0162】
別の戦略は、樹状細胞を患者の血液から除去し、それらを体外で活性化することである。樹状細胞は、単一の腫瘍特異的ペプチド/タンパク質または腫瘍細胞溶解物(破壊された腫瘍細胞の溶液)でありうる、腫瘍抗原の存在下で活性化される。これらの細胞(選択的なアジュバントを有する)が注入され、免疫応答を惹起する。
【0163】
樹状細胞療法は、樹状細胞の表面の受容体に結合する抗体の使用を含む。抗原を抗体に加えることができ、樹状細胞を成熟へ誘導し、腫瘍に対する免疫を提供することができる。
【0164】
6. CAR-T細胞療法
キメラ抗原受容体(キメラ免疫受容体、キメラT細胞受容体または人工T細胞受容体としても知られている、CAR)は、がん細胞をターゲティングする免疫細胞と新しい特異性を組み合わせた操作された受容体である。通常、これらの受容体はモノクローナル抗体の特異性をT細胞へ移植する。受容体は、異なる供給源からの部分が融合しているため、キメラと呼ばれる。CAR-T細胞療法は、がん療法のためにそのような形質転換細胞を用いる処置をいう。
【0165】
CAR-T細胞デザインの基本原理には、抗原結合機能とT細胞活性化機能を組み合わせた組換え受容体が含まれる。CAR-T細胞の一般的な前提は、がん細胞に見られるマーカーをターゲティングするようにされたT細胞を人工的に作製することである。科学者らは人からT細胞を取り除き、それらを遺伝的に改変し、がん細胞を攻撃するためにそれらを患者に戻すことができる。T細胞がCAR-T細胞になるように操作されると、それは「生きている薬物」として作用する。CAR-T細胞は、細胞外リガンド認識ドメインと細胞内シグナル伝達分子との間にリンクを作製し、これがT細胞を活性化する。細胞外リガンド認識ドメインは通常、一本鎖可変断片(scFv)である。CAR-T細胞療法の安全性の重要な局面は、正常細胞ではなく、がん性腫瘍細胞だけがターゲティングされることを確実にする方法である。CAR-T細胞の特異性は、標的とされる分子の選択によって決定される。
【0166】
例示的なCAR-T療法としてはチサゲンレクルユーセル(Tisagenlecleucel) (キムリア(Kymriah))およびアキシカブタゲンシロルユーセル(Axicabtagene ciloleucel) (イエスカルタ(Yescarta))が挙げられる。いくつかの局面において、CAR-T療法はCD19をターゲティングする。
【0167】
7. サイトカイン療法
サイトカインは、腫瘍内に存在する多くのタイプの細胞によって産生されるタンパク質である。それらは免疫応答を調節することができる。腫瘍は、多くの場合、サイトカインを利用して腫瘍を成長させ、免疫応答を低減させる。これらの免疫調節効果により、免疫応答を惹起させる薬物としてそれらを用いることが可能になる。一般的に用いられる2つのサイトカインは、インターフェロンおよびインターロイキンである。
【0168】
インターフェロンは免疫系によって産生される。それらは通常、抗ウイルス応答に関与しているが、がんにも使われている。それらは3つの群に分類される: タイプI (IFNαおよびIFNβ)、タイプII (IFNγ)ならびにタイプIII (IFNλ)。
【0169】
インターロイキンは、数々の免疫系効果を有する。IL-2は例示的なインターロイキンサイトカイン療法である。
【0170】
8. 養子T細胞療法
養子T細胞療法は、T細胞の輸血(養子細胞移入)による受動免疫の一形態である。T細胞は血液および組織中に見られ、通常、外来病原体を見つけると活性化する。具体的には、T細胞の表面受容体が、表面抗原上に外来タンパク質の一部を提示する細胞に遭遇すると、T細胞は活性化する。これらは感染細胞または抗原提示細胞(APC)のいずれかであることができる。それらは正常組織中および腫瘍組織中に見られ、その場合、それらは腫瘍浸潤リンパ球(TIL)として知られている。それらは、腫瘍抗原を提示する樹状細胞などのAPCの存在により活性化される。これらの細胞は腫瘍を攻撃しうるが、腫瘍内の環境は免疫抑制性が高く、免疫介在性の腫瘍死を防ぐ。
【0171】
腫瘍を標的としたT細胞を産生および取得する複数の方法が開発されている。腫瘍抗原に特異的なT細胞は、腫瘍サンプルから除去する(TIL)か、血液からろ過することができる。その後の活性化および培養はエクスビボで実施され、その結果、再注入される。活性化は、遺伝子治療を通じて、またはT細胞を腫瘍抗原に曝露することによって行うことができる。
【0172】
がん処置は、本明細書において記述されるがん処置のいずれかを除外しうることが企図される。さらに、本開示の局面は、本明細書において記述される治療法の処置を以前に受けたことのある患者、本明細書において記述される治療法の処置を現在受けている患者、または本明細書において記述される治療法の処置を受けたことのない患者を含む。いくつかの局面において、患者は、本明細書において記述される治療法に抵抗性であると判定された患者である。いくつかの局面において、患者は、本明細書において記述される治療法に感受性であると判定された患者である。
【0173】
B. 腫瘍溶解性ウイルス
いくつかの局面において、さらなる治療法は、腫瘍溶解性ウイルスを含む。腫瘍溶解性ウイルスは、選択的にがん細胞に感染し、がん細胞を死滅化するウイルスである。感染したがん細胞が腫瘍溶解によって破壊されると、それらは新しい感染性ウイルス粒子またはビリオンを放出して、残存している腫瘍を破壊するのを助ける。腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍細胞の直接破壊を引き起こすだけでなく、長期免疫療法のために宿主の抗腫瘍免疫応答を刺激すると考えられている。
【0174】
C. 多糖類
いくつかの局面において、さらなる治療法は多糖類を含む。キノコに見出されるある種の化合物、主に多糖類は、免疫系を上方制御することができ、抗がん特性を持ちうる。例えば、レンチナンなどのベータ-グルカンは、マクロファージ、NK細胞、T細胞および免疫系サイトカインを刺激することが実験室での研究において示されており、免疫学的アジュバントとして臨床試験で調べられている。
【0175】
D. 新生抗原
いくつかの局面において、さらなる治療法は新生抗原の投与を含む。多くの腫瘍は変異を発現している。これらの変異は、T細胞免疫療法で用いるための新しく標的とすることが可能な抗原(新生抗原)を潜在的に生じる。RNA配列決定データを用いて特定された、がん病変におけるCD8+ T細胞の存在は、変異負荷の高い腫瘍において高くなる。ナチュラルキラー細胞およびT細胞の細胞溶解活性に関連する転写物のレベルは、多くのヒト腫瘍における変異負荷と正の相関がある。
【0176】
E. 化学療法
いくつかの局面において、さらなる治療法は化学療法を含む。化学療法剤の適当なクラスは、(a) アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド(cylophosphamide)、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン、チオテパ)、アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン)、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、ロムスチン、クロロゾトシン(chlorozoticin)、ストレプトゾシン)およびトリアジン(例えば、ジカルバジン)、(b) 代謝拮抗薬、例えば葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、ピリミジン類似体(例えば、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、アザウリジン)およびプリン類似体ならびに関連物質(例えば、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、ペントスタチン)、(c) 天然産物、例えばビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシンおよびミトキサントロン)、酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ)、ならびに生物学的応答修飾物質(例えば、インターフェロン-α)、ならびに(d) 種々の作用物質(Miscellaneous Agents)、例えば白金配位錯体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)、置換尿素(例えば、ヒドロキシ尿素)、メチルヒドラジン(methylhydiazine)誘導体(例えば、プロカルバジン)、および副腎皮質抑制剤(adreocortical suppressant) (例えば、タキソールおよびミトタン)を含む。いくつかの局面において、シスプラチンは特に適当な化学療法剤である。
【0177】
シスプラチンは、例えば、転移性精巣がんもしくは卵巣がん、進行性膀胱がん、頭頸部がん、子宮頸がん、肺がんまたは他の腫瘍などのがんを処置するために広く用いられてきた。シスプラチンは経口的に吸収されず、それゆえ、例えば、静脈内、皮下、腫瘍内または腹腔内注射などの他の経路を介して送達しなければならない。シスプラチンは単独でまたは他の薬剤との組み合わせで用いることができ、ある種の局面では計3過程について3週間ごとに5日間、約15 mg/m2から約20 mg/m2を含め臨床用途において用いられる有効用量が企図される。いくつかの局面において、治療用ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結されたEgr-1プロモーターを含む構築体と併せて細胞および/または対象に送達されるシスプラチンの量は、シスプラチンを単独で用いる場合に送達されるであろう量よりも少ない。
【0178】
他の適当な化学療法剤は、抗微小管剤、例えば、パクリタキセル(「タキソール」)および塩酸ドキソルビシン(「ドキソルビシン」)を含む。アデノウイルスベクターおよびドキソルビシンを介して送達されるEgr-1プロモーター/TNFα構築体の組み合わせは、化学療法および/またはTNF-αに対する耐性を克服するのに効果的であることが確認されており、このことから、構築体およびドキソルビシンによる併用処置がドキソルビシンおよびTNF-αの両方に対する耐性を克服することが示唆される。
【0179】
ドキソルビシンは吸収が不十分であり、好ましくは静脈内投与される。ある種の局面において、成体に適切な静脈内用量は、約21日間隔で約60 mg/m2から約75 mg/m2または約3週間から約4週間間隔で繰り返される2日もしくは3日連続のそれぞれで約25 mg/m2から約30 mg/m2または週に1回、約20 mg/m2を含む。最低用量は、以前の化学療法によって引き起こされた以前の骨髄抑制もしくは腫瘍性骨髄浸潤がある場合、または薬物が他の骨髄造血抑制薬と組み合わされている場合、高齢患者において用いられるべきである。
【0180】
ナイトロジェンマスタードは、本開示の方法において有用な別の適当な化学療法剤である。ナイトロジェンマスタードは、メクロレタミン(HN2)、シクロホスファミドおよび/またはイホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン)、ならびにクロラムブシルを含みうるが、これらに限定されることはない。シクロホスファミド(シトキサン(CYTOXAN)(登録商標))はMead Johnsonから入手可能であり、NEOSTAR(登録商標)はAdriaから入手可能であり)、別の適当な化学療法剤である。成体に適した経口用量は、例えば、約1 mg/kg/日から約5 mg/kg/日を含み、静脈内用量は、例えば、最初に約2日から約5日にわたり分割用量で約40 mg/kgから約50 mg/kg、または約7日から約10日ごとに約10 mg/kgから約15 mg/kgまたは週2回、約3 mg/kgから約5 mg/kg、または約1.5 mg/kg/日から約3 mg/kg/日を含む。胃腸への悪影響のため、静脈内経路が好ましい。薬物はまた、筋肉内に、浸潤によりまたは体腔内に投与されることもある。
【0181】
さらなる適当な化学療法剤は、シタラビン(シトシンアラビノシド)、5-フルオロウラシル(フルオロウラシル; 5-FU)およびフロクスウリジン(フルオロデ-オキシウリジン; FudR)などの、ピリミジン類似体を含む。5-FUは、約7.5から約1000 mg/m2のどこかの投与量で対象に投与されうる。さらに、5-FU投薬スケジュールは種々の期間、例えば、最大6週間、または本開示が関連する当業者によって決定されるものでありうる。
【0182】
別の適当な化学療法剤であるゲムシタビン二リン酸(GEMZAR(登録商標), Eli Lilly & Co., 「ゲムシタビン」)は、進行性および転移性膵臓がんの処置に推奨され、それゆえ、同様にこれらのがんに対し本開示において有用であろう。
【0183】
患者に送達される化学療法剤の量は可変でありうる。1つの適当な局面において、化学療法剤は、化学療法が構築体とともに投与される場合、宿主におけるがんの停止または退行を引き起こすのに有効な量で投与されうる。他の局面において、化学療法剤は、化学療法剤の化学療法有効量よりも2から10,000倍少ないどこかの量で投与されうる。例えば、化学療法剤は、化学療法剤の化学療法有効量よりも約20倍少ない、約500倍少ない、またはさらには約5000倍少ない量で投与されうる。本開示の化学療法薬は、構築体との組み合わせでの所望の治療活性について、および有効な投与量の決定について、インビボで試験することができる。例えば、そのような化合物はヒトでの試験の前に、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギなどを含むが、これらに限定されない、適当な動物モデル系で試験することができる。実施例に記述されているように、インビトロ試験を用いて、適当な組み合わせおよび投与量を決定することもできる。
【0184】
F. 放射線療法
いくつかの局面において、さらなる治療法または以前の治療法は、電離放射線などの、放射線を含む。本明細書において用いられる場合、「電離放射線」は、十分なエネルギーを有するか、または電離(電子の獲得もしくは喪失)を生み出すための核相互作用を介して十分なエネルギーを生み出すことができる粒子または光子を含む放射線を意味する。例示的なかつ好ましい電離放射線は、x線である。標的組織または細胞にx線を送達するための手段は、当技術分野において周知である。
【0185】
いくつかの局面において、電離放射線の量は20 Gyより大きく、1回の線量で投与される。いくつかの局面において、電離放射線の量は18 Gyであり、3回の線量で投与される。いくつかの局面において、電離放射線の量は少なくとも2、4、6、8、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、18、19、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは40 Gy (またはその中で導出可能な任意の範囲)、多くとも2、4、6、8、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、18、19、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは40 Gy (またはその中で導出可能な任意の範囲)、あるいは正確に2、4、6、8、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、18、19、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは40 Gy (またはその中で導出可能な任意の範囲)である。いくつかの局面において、電離放射線は少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10回(またはその中で導出可能な任意の範囲)、多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10回(またはその中で導出可能な任意の範囲)、あるいは正確に1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10回(またはその中で導出可能な任意の範囲)の線量で投与される。2回以上の線量が投与される場合、線量は約1、4、8、12、もしくは24時間または1、2、3、4、5、6、7、もしくは8日または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、もしくは16週間、あるいはその中で導出可能な任意の範囲の間隔を空けてもよい。
【0186】
いくつかの局面において、IRの量はIRの総線量として提示されてもよく、それが分割線量で投与される。例えば、いくつかの局面において、総線量は、各5 Gyの10回の分割線量で投与される50 Gyである。いくつかの局面において、総線量は、各2~3 Gyの20~60回の分割線量で投与される50~90 Gyである。いくつかの局面において、IRの総線量は少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、125、130、135、140、もしくは150 (またはその中で導出可能な任意の範囲)、多くとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、125、130、135、140、もしくは150 (またはその中で導出可能な任意の範囲)、あるいは約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、125、130、135、140、もしくは150 (またはその中で導出可能な任意の範囲)である。いくつかの局面において、総線量は少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50 Gy (またはその中で導出可能な任意の範囲、多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50 Gy (またはその中で導出可能な任意の範囲、あるいは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50 Gy (またはその中で導出可能な任意の範囲の分割線量で投与される。いくつかの局面において、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100回、多くとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100回、または約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100回の分割線量が投与される(またはその中で導出可能な任意の範囲)。いくつかの局面において、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12回(またはその中で導出可能な任意の範囲)、多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12回(またはその中で導出可能な任意の範囲)、あるいは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12回(またはその中で導出可能な任意の範囲)の分割線量が1日当たり投与される。いくつかの局面において、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30回(またはその中で導出可能な任意の範囲)、多くとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30回(またはその中で導出可能な任意の範囲)、あるいは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30回(またはその中で導出可能な任意の範囲)の分割線量が1週間当たり投与される。
【0187】
G. 外科手術
がんを有する人のおよそ60%は、予防手術、診断、または進行度診断のための手術、根治的手術、および姑息的手術を含む何らかの種類の外科手術を受ける。根治的手術は、がん組織の全てまたは一部が物理的に除去、切除、および/または破壊される切除を含み、本発明の局面の処置、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、および/または代替療法などの他の療法とともに用いられる場合がある。腫瘍切除とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去をいう。腫瘍切除に加えて、外科手術による処置は、レーザー手術、凍結手術、電気手術、および顕微鏡的に管理される手術(microscopically-controlled surgery) (モース術)を含む。
【0188】
がんの細胞、組織、または腫瘍の一部または全てを切除すると体内に空洞が形成されることがある。処置は、その領域にさらなる抗がん療法を灌流、直接注射、または局所適用することによって行われてもよい。そのような処置は、例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日、もしくは7日ごとに、または1週間、2週間、3週間、4週間、および5週間ごとに、または1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、もしくは12ヶ月ごとに繰り返されてもよい。これらの処置もさまざまな投与量の処置であってよい。
【0189】
H. 他の作用物質
処置の治療有効性を改善するために、本発明の局面のある種の局面と組み合わせて他の作用物質が用いられうることが企図される。これらのさらなる作用物質には、細胞表面受容体およびギャップ結合の上方制御に影響を及ぼす作用物質、細胞分裂停止物質および分化物質、細胞接着阻害剤、アポトーシス誘導物質に対する過剰増殖性細胞の感受性を高める作用物質、または他の生物学的作用物質が含まれる。ギャップ結合数を増やすことで細胞間シグナル伝達を増大させると、付近の過剰増殖性細胞集団に対する抗過剰増殖作用が増大する。他の局面において、処置の抗過剰増殖有効性を改善するために、細胞分裂停止物質または分化物質は本発明の局面のある種の局面と組み合わせて用いることができる。細胞接着阻害剤は本発明の局面の有効性を改善することが企図される。細胞接着阻害剤の例は局所接着キナーゼ(FAK)阻害剤およびロバスタチンである。処置有効性を改善するために、アポトーシスに対する過剰増殖性細胞の感受性を高める他の作用物質、例えば、抗体c225を本発明の局面のある種の局面と併用できることがさらに企図される。
【0190】
V. 併用療法
本開示の組成物および関連する方法、特に本開示のマスキングされた治療剤の投与も、本明細書において記述されるさらなる治療法などのさらなる治療法を施すことと組み合わせて、またはがんの処置のための当技術分野において公知の他の従来の治療法と組み合わせて、用いられうる。
【0191】
本明細書において開示される治療用組成物および処置は、数分間から数週間に及ぶ間隔だけ、別の処置または薬剤に先行し、同時進行し、および/または後続しうる。薬剤が細胞、組織または生物に別々に適用される局面において、一般的に、治療剤がなお細胞、組織または生物に対して好都合な併用効果を奏することができうるように各送達時点同士の間の重要な期間を過ぎないことが確実にされるであろう。例えば、そのような場合、細胞、組織または生物が2、3、4種類またはそれ以上の薬剤または処置と実質的に同時に(すなわち、約1分未満以内に)接触されうることが企図される。他の局面において、1種類または複数種の治療剤または処置が、別の治療剤の投与または処置の実施の前および/または後の1分間、5分間、10分間、20分間、30分間、45分間、60分間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、40時間、41時間、42時間、43時間、44時間、45時間、46時間、47時間、48時間、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間もしくは8週間以内にまたはそれ以上の範囲内で、およびその中で導出可能な任意の範囲内で投与または提供されうる。
【0192】
治療剤および処置のさまざまな併用レジメンが利用されうる。そのような併用の非限定的な例を以下に示すが、ここで、治療剤、例えば本明細書において開示される組成物は「A」であり、本明細書において記述または当技術分野において公知の第2の薬剤、例えばさらなる薬剤または治療は「B」である。
【0193】
いくつかの局面において、2つ以上の治療過程が利用されうる。複数過程が実施されうることが企図される。
【0194】
VI. 治療方法
本方法および組成物は、がんを処置するための方法に関する。いくつかの局面において、がんは固形腫瘍を含む。いくつかの局面において、がんは非リンパ系である。いくつかの局面において、がんは乳がんまたは結腸がんである。
【0195】
本開示の組成物は、インビボ、インビトロまたはエクスビボでの投与に用いられうる。組成物の投与経路は、例えば腫瘍内、皮内、皮下、静脈内、リンパ管内および腹腔内投与でありうる。いくつかの局面において、投与は腫瘍内またはリンパ管内または腫瘍周囲である。いくつかの局面において、該組成物は、がん組織またはリンパ節内に直接投与される。
【0196】
「腫瘍」は、本明細書において用いられる場合、悪性であれ良性であれ、あらゆる新生細胞の成長および増殖、ならびにあらゆる前がん性およびがん性の細胞および組織をいう。用語「がん」、「がん性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」および「腫瘍」は、本明細書において言及される場合、相互に排他的でない。
【0197】
処置に適したがんは、全てのタイプ、位置、サイズおよび特徴の腫瘍を含むが、これらに限定されることはない。本開示の方法および組成物は、例えば、膵がん、結腸がん、急性骨髄性白血病、副腎皮質がん、AIDS関連がん、AIDS関連リンパ腫、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、小児の小脳または大脳の基底細胞がん、胆管がん、肝外膀胱がん、骨のがん、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、脳幹膠腫、脳腫瘍、小脳の星状細胞腫脳腫瘍、大脳の星状細胞腫/悪性膠腫脳腫瘍、上衣細胞腫脳腫瘍、髄芽細胞腫脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉腫瘍脳腫瘍、視覚伝導路および視床下部の膠腫、乳がん、特定の乳がん、例えば非浸潤性乳管がん、浸潤性乳管がん、乳房の管状腺がん、乳房の髄様がん、乳房の粘液性がん腫、乳房の乳頭状がん、乳房の篩状がん、浸潤性小葉がん、炎症性乳がん、非浸潤性小葉がん、男性の乳がん、乳頭のページェット病、乳房の葉状腫瘍、再発性および/または転移性乳がん、ルミナルAまたはB型乳がん、三重陰性/基底細胞様乳がん、およびHER2過剰型乳がん、リンパ系のがん、気管支腺腫/カルチノイド、気管がん、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、小児のカルチノイド腫瘍、原発不明の胃腸のがん、中枢神経系のリンパ腫、原発性の小脳の星状細胞腫、小児の大脳の星状細胞腫/悪性膠腫、小児の子宮頸がん、小児のがん、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、皮膚T細胞性リンパ腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、子宮内膜がん、上衣細胞腫、食道がん、ユーイング、小児の性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、目のがん、網膜芽細胞腫、胆嚢がん、胃(gastric/stomach)がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍:頭蓋外、性腺外または卵巣、妊娠性絨毛性腫瘍、脳幹の膠腫、膠腫、小児の大脳の星状細胞腫、小児の視覚伝導路および視床下部の膠腫、胃カルチノイド、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、心臓のがん、肝細胞(肝)がん、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、視床下部および視覚伝導路の膠腫、小児の眼内黒色腫、膵島細胞がん(内分泌膵)、カポジ肉腫、腎がん(腎細胞がん)、喉頭がん、白血病、急性リンパ芽球性(急性リンパ性白血病とも称される)白血病、急性骨髄性(myeloid)(急性骨髄性(myelogenous)白血病とも称される)白血病、慢性リンパ性(慢性リンパ性白血病とも称される)白血病、慢性骨髄性(myelogenous)(慢性骨髄性(myeloid)白血病とも称される)白血病、ヘアリー細胞口唇および口腔のがん、脂肪肉腫、肝がん(原発性)、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキン(ホジキン以外のすべてのリンパ腫の古い分類)リンパ腫、中枢神経原発リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、骨の悪性線維性組織球腫/骨肉腫、小児の髄芽細胞腫、眼内(目の)黒色腫、メルケル細胞がん、成人の悪性中皮腫、小児の中皮腫、転移性頸部扁平上皮(squamous neck)がん、口腔(mouth)がん、多発性内分泌腫瘍症、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、成人の急性骨髄性白血病、小児の急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性障害、鼻腔および副鼻腔のがん、鼻咽腔がん、神経芽細胞腫、口腔(oral)がん、口腔咽頭がん、骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫、卵巣がん、卵巣上皮がん(表層上皮性・間質性腫瘍)、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵がん、膵島細胞副鼻腔および鼻腔のがん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、松果体の星状細胞腫、松果体胚腫、松果体芽腫およびテント上原始神経外胚葉腫瘍、小児の下垂体腺腫、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽細胞腫、中枢神経原発リンパ腫、前立腺がん、直腸がん、腎細胞がん(腎がん)、腎盂および尿管の移行上皮がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、小児の唾液腺がん肉腫、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、カポジ肉腫、軟部組織肉腫、子宮のセザリー症候群肉腫、皮膚がん(非黒色腫)、皮膚がん(黒色腫)、皮膚がん、メルケル細胞小細胞肺がん、小腸のがん、軟部組織肉腫、扁平上皮がん、原発不明の頸部扁平上皮がん、転移性胃がん、テント上原始神経外胚葉腫瘍、小児のT細胞リンパ腫、精巣がん、喉のがん、胸腺腫、小児の胸腺腫、胸腺がん、甲状腺がん、尿道がん、子宮がん、子宮内膜の子宮肉腫、膣がん、視覚伝導路および視床下部の膠腫、小児の外陰がん、ならびにウィルムス腫瘍(腎がん)を処置するのに適している。
【0198】
VII. 薬学的組成物および方法
いくつかの局面において、薬学的組成物は、対象に投与される。異なる局面は、対象に組成物の有効量を投与することを伴う。いくつかの局面において、阻害剤を含む組成物は、がんを処置するためまたは腫瘍のサイズを小さくするために対象または患者に投与されうる。さらに、そのような化合物は、さらなるがん療法と組み合わせて投与することができる。
【0199】
組成物は、非経口投与用に製剤化することができ、例えば、静脈内、経カテーテル注射、動脈内注射、筋肉内、皮下、または腹腔内経路を介した注射用に製剤化することができる。典型的には、そのような組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかとして、注射剤として調製することができる; 注射前に液体を添加して溶液または懸濁液を調製するために用いるのに適した固体形態も調製することができる; および、調製物を乳化することもできる。そのような製剤の調製は、本開示に照らして当業者に公知であろう。他の投与経路は、腫瘍内、腫瘍周囲、リンパ内、がん組織への注射、およびリンパ節への注射を含む。いくつかの局面において、投与は全身性である。
【0200】
注射用の使用に適した薬学的形態としては、滅菌された水性の溶液または分散液; ゴマ油、ピーナッツ油または水性プロピレングリコールを含む配合物; および滅菌注射用液剤または分散剤の即時調製のための滅菌粉末が挙げられる。全ての場合において、該形態は、滅菌していなければならず、容易に注射されうる程度に流動性でなければならない。また、製造および保存の条件下で安定であるのがよく、微生物、例えば細菌および真菌の夾雑作用から保護されていなければならない。
【0201】
また、担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液状ポリエチレングリコールなど)、その適当な混合物ならびに植物油を含む溶媒または分散媒でありうる。適正な流動性は、例えば、コーティング、例えばレシチンの使用によって、分散剤の場合は必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持されうる。微生物の作用の抑制は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされうる。多くの場合、等張性剤、例えば糖類、塩化ナトリウムを含めることが好ましい。注射用組成物の長期吸収は、該組成物中における吸収遅延剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらされうる。
【0202】
滅菌注射用液剤は、必要とされる量の活性化合物を、上記に列挙した種々のその他の成分を必要に応じて有する適切な溶媒中に組み込んだ後、ろ過滅菌することにより調製される。一般的に、分散剤は、種々の滅菌活性成分を、ベースの分散媒および上記に列挙したもののうちの必要とされるその他の成分を含む滅菌媒体に組み込むことにより調製される。滅菌注射用液剤の調製用の滅菌粉末剤の場合、好ましい調製方法は真空乾燥および凍結乾燥手法であり、これにより、活性成分に加えてさらなる所望の成分の粉末が、先に滅菌ろ過したその溶液から得られる。
【0203】
本明細書において用いられる場合、「薬学的に許容される」という用語は、化合物、物質、組成物および/または投薬形態が、正しい医学的判断の範囲内において、人間および動物の組織との接触に適しており、過度な毒性、刺激、アレルギー応答または問題となる他の合併症がなく、妥当な便益/リスク比と釣り合っていることをいう。「薬学的に許容される担体」という用語は、化学剤の担持または輸送に関与する薬学的に許容される物質、組成物または媒体、例えば液状または固形の増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材を意味する。
【0204】
本明細書において用いられる場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物を、存在している酸部分または塩基部分をその塩形態に変換させることにより修飾した本開示の化合物の誘導体をいう。薬学的に許容される塩の例としては、非限定的に、アミンなどの塩基性残基の鉱酸または有機酸の塩; カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩などが挙げられる。薬学的に許容される塩としては、例えば非毒性の無機酸または有機酸で形成される親化合物の慣用的な非毒性の塩または第4級アンモニウム塩が挙げられる。薬学的に許容される塩を、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から、慣用的な化学的方法によって合成してもよい。
【0205】
対象の状態に応じて投薬量におけるいくらかの変動が必然的に生じる。投与を担う人は、任意の事象において個々の対象に適切な用量を決定する。治療用または予防用組成物の有効量は、意図された目的に基づいて決定される。「単位用量」または「投薬量」という用語は、対象における使用に適した物理的に独立した単位をいい、各単位は、その投与、すなわち適切な経路およびレジメンを伴って上記に論考した所望の応答がもたらされるように計算された所定量の該組成物を含む。投与される量は、処置回数および単位用量の両方に従って所望される効果に依存する。また、該組成物の厳密な量は実務者の判断にも依存し、各個体に固有である。用量に影響を及ぼす要素としては、対象の身体の状態および臨床状態、投与経路、意図される処置目的(症状の緩和か治癒か)、ならびに具体的な組成物の効力、安定性および毒性が挙げられる。
【0206】
液剤は、製剤化されたら、投薬製剤に適合する様式で、治療的または予防的に有効であるような量で投与される。製剤は、種々の剤形で、例えば上記の型の注射用液剤で容易に投与される。
【0207】
典型的には、ヒト成人(およそ70キログラムの体重)に対して、約0.1 mg~約3000 mg (その間のあらゆる値および範囲を含む)、または約5 mg~約1000 mg (その間のあらゆる値および範囲を含む)、または約10 mg~約100 mg (その間のあらゆる値および範囲を含む)の化合物が投与される。このような投薬量範囲は一例にすぎないこと、および投与は、当業者に公知の要素に応じて調整されうることが理解されよう。
【0208】
ある種の局面において、対象は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20.0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、410、420、425、430、440、441、450、460、470、475、480、490、500、510、520、525、530、540、550、560、570、575、580、590、600、610、620、625、630、640、650、660、670、675、680、690、700、710、720、725、730、740、750、760、770、775、780、790、800、810、820、825、830、840、850、860、870、875、880、890、900、910、920、925、930、940、950、960、970、975、980、990、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000、6000、7000、8000、9000、10000ミリグラム(mg)もしくはマイクログラム(mcg)もしくはμg/kgもしくはマイクログラム/kg/分もしくはmg/kg/分もしくはマイクログラム/kg/時もしくはmg/kg/時、またはその中で導出可能な任意の範囲、少なくとも約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20.0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、410、420、425、430、440、441、450、460、470、475、480、490、500、510、520、525、530、540、550、560、570、575、580、590、600、610、620、625、630、640、650、660、670、675、680、690、700、710、720、725、730、740、750、760、770、775、780、790、800、810、820、825、830、840、850、860、870、875、880、890、900、910、920、925、930、940、950、960、970、975、980、990、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000、6000、7000、8000、9000、10000ミリグラム(mg)もしくはマイクログラム(mcg)もしくはμg/kgもしくはマイクログラム/kg/分もしくはmg/kg/分もしくはマイクログラム/kg/時もしくはmg/kg/時、またはその中で導出可能な任意の範囲、あるいは多くとも約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20.0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、410、420、425、430、440、441、450、460、470、475、480、490、500、510、520、525、530、540、550、560、570、575、580、590、600、610、620、625、630、640、650、660、670、675、680、690、700、710、720、725、730、740、750、760、770、775、780、790、800、810、820、825、830、840、850、860、870、875、880、890、900、910、920、925、930、940、950、960、970、975、980、990、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000、6000、7000、8000、9000、10000ミリグラム(mg)もしくはマイクログラム(mcg)もしくはμg/kgもしくはマイクログラム/kg/分もしくはmg/kg/分もしくはマイクログラム/kg/時もしくはmg/kg/時、またはその中で導出可能な任意の範囲を投与される。
【0209】
投薬は必要に応じて行なわれうるか、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、18もしくは24時間毎に(あるいはその中で導出可能な任意の範囲)または1日に1、2、3、4、5、6、7、8、9回もしくはそれ以上(あるいはその中で導出可能な任意の範囲)行なわれうる。投薬は、病状の徴候の前または後に最初に行なわれてもよい。いくつかの局面において、患者は、レジメンの初回投薬を、該患者が病状の徴候または症状を起こすかまたは示してから1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12時間後(あるいはその中で導出可能な任意の範囲)または1、2、3、4または5日後(あるいはその中で導出可能な任意の範囲)に行なわれる。患者は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10日間もしくはそれ以上(あるいはその中で導出可能な任意の範囲)、または病状の症状が消失もしくは低減されるまで、または感染の症状が消失もしくは低減してから6、12、18もしくは24時間後または1、2、3、4もしくは5日後まで、処置されうる。
【実施例
【0210】
VIII. 実施例
以下の実施例は、本開示の好ましい態様を実証するために含めている。当業者には、以下の実施例に開示した手法が、本発明者が、本開示の実施において充分に機能を果たすと見出した手法であり、したがって、その実施のための好ましい形態を構成しているとみなされうることが認識されよう。しかしながら、当業者は、本開示に鑑みると、開示している具体的な態様において、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの変更が行なわれうるが、それでもなお同様または類似の結果が得られることが認識されるはずである。
【0211】
実施例1 - サイトカイン受容体をサイトカイン活性のマスクとしてサイトカインに融合し、その毒性を減少させ、かつ、その腫瘍特異的な活性化を増加させる
国立がん研究所によると、がんは米国における死亡原因の第2位である。がん免疫療法は、チェックポイント遮断抗体(固形がんの場合)および養子T細胞療法(液状がんの場合)のおかげで、腫瘍学の臨床的実践方法に革命をもたらした。固形悪性腫瘍を有する患者において、チェックポイント阻害剤(CPI)療法は、一部(2018年現在で12.46%)の患者に持続的応答を誘発する(1)。ごく一部の患者だけがCPI療法に応答する理由を理解するために多くの研究が行われ、現在も続けられている(2)。これらの研究は、CPI療法の成功が既存の腫瘍内炎症(3)、特に活性化T細胞のベースラインエビデンス(4)、IFNg関連遺伝子発現シグネチャー(5,6)および主要組織適合複合体(MHC)分子の発現(7)に依存することを示している。奏効率をさらに高めるためには、炎症を誘発することに焦点を当てた新しい処置戦略を臨床現場に導入する必要がある。炎症性サイトカインは、腫瘍反応性CD8+ T細胞の分化を駆動し、IFNg経路を活性化し、MHCクラスIおよびII分子の発現を増加させうる強力な分子である。これにもかかわらず、これらのサイトカインが引き起こす用量制限性の免疫関連有害事象(irAE)のために、臨床現場でのその使用は制限されてきた。この難題を克服することは、臨床現場でのサイトカインの橋渡しおよびその広範な使用の奏功、ならびに新規の免疫療法併用戦略のデザインに向けた重要なステップである。
【0212】
IL-12は、ジスルフィド結合を介して接続されたp35サブユニットおよびp40サブユニットから構成される60 kDaのヘテロ二量体サイトカインである。IL-12は、IL-12Rb1およびIL-12Rb2からなるIL-12受容体複合体に結合し、シグナル伝達物質および転写活性化因子4 (STAT4)のリン酸化を誘導し、T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞によるIFNgの分泌をもたらす。IL-12は、CD4/8 T細胞を活性化し、Tヘルパー1 (Th1)に偏った応答を駆動し(9)、NK細胞の増殖因子として働き(10)、MHC発現を増強することによって骨髄性細胞を刺激する(11,12)ため、免疫の自然免疫部門と適応部門を結び付ける重要な役割を果たしている(8)。IFNg受容体複合体(IFNGR1およびIFNGR2)はがん細胞によって発現されるため、IFNg自体が腫瘍細胞に直接作用することができる。IFNgは、がん細胞に対して強力な抗血管新生効果、抗増殖効果およびアポトーシス促進効果を発揮する(13)。IL-12の抗腫瘍活性のほとんどはIFNgと関連しており(14)、irAEも同様である(15)。臨床試験において、IL-12およびIFNg療法の主な毒性は「インフルエンザ様」症状(16,17)および肝酵素の上昇(18)であった。したがって、IL-12療法の成功には、腫瘍内のIFNgレベルを維持しながら、循環中のIFNgレベルを最小限に抑えなければならない(19)。
【0213】
I型IFN (IFNa/b)は強力な抗ウイルス性サイトカインとして発見され(20)、現在では抗腫瘍免疫の重要な構成要素としても広く認められている(21)。多くのI型IFNの成員が存在しており、それらは全てI型IFN特異的ヘテロ二量体受容体複合体IFNAR1およびIFNAR2に結合する。IFNa/bおよびIFNgは構造的に互いに似ており、部分的に重複する遺伝子シグネチャーを惹起するが、I型IFNによって刺激される応答はより広いようである(22)。I型IFNは主にSTAT1、STAT2を活性化するものの、STAT3およびSTAT5も活性化することができる(23-25)が、IFNgはSTAT1を主にリン酸化する。IFNaは、がん細胞のアポトーシス、樹状細胞(DC)の成熟およびDCによるIL-15の産生を誘導することができる(26)。IFNaは有毛細胞白血病(27)、後天性免疫不全症候群を有する患者のカポジ肉腫(28)および進行黒色腫(21)の処置のために承認されているが、患者の30~50%において用量制限性のirAEが起こる(29)。血清半減期を引き延ばし、投薬回数を減らすために、ポリエチレングリコール(PEG)がIFNa-2bにコンジュゲートされた(PEG Intron) (30)。この戦略は、より血清中に持続する形態のIFNaをもたらしたが、おそらく循環細胞および健常組織に発現されるIFNARに結合するため、重篤な副作用が依然として報告された(31)。腫瘍内で特異的に活性化されうるI型IFNを操作すれば、irAEを緩和させ、治療法から恩恵を受ける患者の割合を増加させられるであろう。
【0214】
ここで、本発明者らは、IL-12およびIFNの毒性を改善するために、IL-12およびIFNに対する結合部位マスキング方法論を開発しようとした。本発明者らは、IL-12受容体ベータ1 (IL-12Rb1)フィブロネクチンIおよびIIドメイン、つまりこの受容体タンパク質のサイトカイン結合ドメインを、IL-12結合部位のマスクとして用いた(図1)。本発明者らは、循環中は潜伏し、健常な器官に滞留するが、腫瘍内に入ると活性化される、マスクされたIL-12およびIFN (I型およびII型)を操作するための革新的なプラットフォームを提案する。本発明者らは、サイトカインとその受容体のサブユニットとの間の高親和性相互作用を利用することによってそれを行う。腫瘍プロテアーゼ感受性リンカーを介して融合されると、サイトカイン-受容体融合タンパク質はプロドラッグとして作用し、末梢では不活性なままである。マスク解除は、腫瘍関連プロテアーゼにより腫瘍細胞表面または腫瘍細胞外マトリックス(ECM)のいずれかにおける、腫瘍部位で行われる。このアプローチは、サイトカイン免疫療法に関連するirAEの発生率を大幅に低減し、腫瘍内炎症を増強し、腫瘍をCPI療法に対して感受性にし、その結果、処置耐容性と有効性の両方の増加をもたらす。
【0215】
B. 結果
IL-12Rb1との融合を介した「プロIL12」分子のデザイン: 本発明者らは、IL-12タンパク質とのIL-12Rb1フィブロネクチンIおよびIIドメイン組換え融合体をデザインした。タンパク質をHEK293細胞により発現させ、その後にヒスチジンタグアフィニティー精製およびサイズ排除カラム精製により精製した。サイトカインと受容体との相互作用を阻害するドメインの融合により、サイトカインに潜伏性が付与されうる(49,50)。マウスIL-12Rb1 (Q20-A261, マスク, 「M」と呼ぶ)の一部をIL-12に融合すると不活性化されるという仮説がある。この断片は高度にグリコシル化されており、27 kDaの分子量(MW)を有する。IL-12のヘテロ二量体構造を利用することにより、本発明者らは、Mをマウスp35サブユニットのN末端に融合させ、マウスp40、p40-CBD (腫瘍保持を増加させるため)またはp40-MSA (マウス血清アルブミン; 血清半減期を増加させるため)プラスミドとともに同時トランスフェクトした(図2A)。p35サブユニットとIL-12Rb1ドメインとの間の最適なリンカーの長さを、(G3S)nの繰り返し数を変化させることによって決定し、n = 11の繰り返しが、最も純粋かつ最も安定な融合タンパク質をもたらした(M-L1-IL12, L1は(G3S)11リンカーをいう)。それよりも短いリンカー(n = 2およびn = 5)では、折り畳みが不十分なタンパク質が得られた(データは示さず)。本発明者らはまた、M-L1-IL12-CBDおよびM-L1-IL12-MSAタンパク質を発現させることができた。次に、これらの構築物を、STAT4をリン酸化する能力について試験し、半最大有効濃度(EC50)を非修飾IL-12のそれと比較した(図2B)。IL-12をマスキングすると、活性がおよそ100倍低下し、マスキング剤としてのIL12Rb1の選択を支持していた。本発明者らは次に、(G3S)11リンカーをMMPおよびセリンプロテアーゼの報告された基質で置き換えることにより、マスクされたIL-12のいくつかの切断可能な変種を発現させた。M-L2-IL12はMMP2,9-感受性VPLSLYSG (SEQ ID NO:134) (VP)基質の3回の繰り返しを含み、M-L3-IL12はuPA-、マトリプターゼ-およびレグマイン-感受性LSGRSDNH (SEQ ID NO:49) (LS)基質の3回の繰り返しを含む。プロテアーゼ感受性のマスクされたIL-12変種の各プロテアーゼとのインキュベーションによって、活性は完全に回復した(図2C)。これは、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)を介してさらに可視化された(図2D)。プロIL12の分子量はおよそ100 kDaからIL-12のMWまで減少し、マスクの完全な切断を示す。これらの結果は、プロIL12分子がIL12Rb1の部分との融合のおかげで生物学的活性を大幅に低下させたが、プロテアーゼによるマスクされた構築物の処理により天然IL12R複合体への結合が完全に回復し、したがって好適なマスキングおよびマスキング解除を示すことを示唆している。
【0216】
リンカー操作: 多くの異なるリンカーデザインが可能であることを考慮して、本発明者らは、MMP2に対するインビトロでのリンカー効率を高めることが可能かどうかを検討した(図3)。L4と称されるHPVGLLAR (SEQ ID NO:138 -「HP」)の3つの繰り返しを含むリンカーは、74 ng/mLのMMP2濃度でほぼ完全に切断されたが、L2リンカーはそのMMP2濃度で部分的にしか切断されなかった。さらに、リンカーL5 (VPLSLYSGの1つの繰り返し - SEQ ID NO:134を含む)は、MMP2切断に対する感受性がさらに低く、基質の繰り返しを増やすと切断動態が改善することを示している。本発明者らは、L6と称される、HPVGLLAR (SEQ ID NO:138)およびVPLSLYSG (SEQ ID NO:134)の各々の2回繰り返しを有し、1つのセリンプロテアーゼ感受性LSGRSDNH (SEQ ID NO:49)を加えたリンカーをデザインし、プロテアーゼのレパートリーをさらに多様化した。得られたL6リンカーは、L4リンカーと同様にMMP2に感受性があった(図4)。感受性の改善が、毒性を悪化させることなく抗腫瘍効力の改善につながるかどうかを判定するために、本発明者らは、PBS、IL-12、M-L5-IL12-CBD (低感度リンカー)またはM-L6-IL12-CBD (高感度リンカー)でB16F10黒色腫担持マウスを処置し、血清および腫瘍内炎症性サイトカインレベルを定量化した(図6)。プロIL12分子は、毒性の主要なメディエータである血清IFNgをほとんど誘導しなかった(図5A)。しかしながら、IFNgの腫瘍内レベルは、低感度リンカーを受けたマウスにおけるよりも高感度リンカーを受けたマウスにおいて13倍高かった(図5B)。CCL2およびCCL4などの他の炎症促進性ケモカインの血清レベルは、IL-12と比較してプロIL12処置により大きく減少した(図5C,E)。M-L6-IL12-CBD処置は、エフェクタT細胞の動員に重要なケモカインであるCXCL9を、IL-12処置マウスと同様のレベルに誘導した(図5D)。累積的に、これらのデータは、高感度リンカーを担持するプロIL12分子が、毒性を引き起こすことなくかなりの腫瘍内炎症を誘導できることを実証している。さらに、これらの研究は、リンカー感受性が十分な腫瘍内炎症を発生させるために重要であることを指摘している。
【0217】
健常マウスにおけるプロIL12の毒性評価: B16F10黒色腫担持マウスにおける研究では、マスキング剤の融合が、循環中の炎症促進性バイオマーカーを劇的に減少させうることが示された。本発明者らは、低用量のIL-12処置に応答亢進性の健常C3H/HeJマウスにおいて毎日のプロIL12処置の効果を調べようとした(15,53)。これらのマウスは、IL-12を毎日投与すると、体重減少および無気力などの身体的変化を示す。本発明者らはC3H/HeJマウスを0.5 mgのIL-12、1 mgのM-L6-IL12-CBDまたは5 mgのM-L6-IL12-CBD (IL-12基準で)により8日間毎日処置し、最終投薬の翌日に体重を測定した(図6)。これらの結果から、10倍モル過剰で投薬した場合でさえ、プロIL12は未修飾IL-12よりも毒性が依然として低いことが例示される。本実施例のリンカーは、全身性肝トランスアミナーゼレベル、膵臓損傷レベルおよび完全血球数などの、より好ましい毒性学的読み出しを提供することも企図される。
【0218】
がんの同系マウスモデルにおけるプロIL12の抗腫瘍効力: プロIL12の投与が腫瘍退縮または腫瘍制御につながりうることを実証するために、本発明者らは、急速に増殖するMMP発現MC38結腸腺がんモデルにおいて操作された分子を試験した(図7A)。確立された腫瘍を担持するマウスを、PBS、5 mgのIL-12または15 mgのM-L6-IL12-CBD (3倍モル過剰)により、腫瘍接種後7日目に始めて3日ごとに3回処置した。IL-12もM-L6-IL12-CBDもともに、全ての処置マウスの完全な生存をもたらしたが、PBS処置マウスは全て13日目までに死亡した。これらの結果から、プロIL12は単剤として有効であり、その効力は免疫浸潤腫瘍モデルにおいてIL-12と同様であることが確認された。本発明者らはまた、B16F10黒色腫モデルにおいて、チェックポイント遮断抗体aPD-1と組み合わせたプロIL12の抗腫瘍効果を評価した(図7B)。プロIL12もaPD-1もともにある程度の腫瘍制御を実証したが、2つの薬物の併用によりマウスの生存が大幅に引き延ばされた。これらのデータを総合すると、プロIL12が抗腫瘍効果を誘導し、同系腫瘍モデルにおいてチェックポイント遮断抗体と相乗作用できることが実証される。
【0219】
ヒト腫瘍ホモジネートによるプロIL12の切断: 本発明者らは、プロIL12が腫瘍溶解物によって切断されうるかどうか、および切断された生成物がIL12R複合体に結合し、細胞シグナル伝達を活性化しうるかどうかを調べようとした。これを試験するために、本発明者らは急速凍結したヒト乳がん生検材料と、同じ患者からのANT (非悪性腫瘍組織)の生検材料を得た。腫瘍およびANTをMMP活性化アッセイに一般的に用いられるアッセイ緩衝液中でホモジナイズし、溶解物の総タンパク質濃度を正規化した。本発明者らは、プロIL12を腫瘍溶解物、ANT溶解物またはアッセイ緩衝液のみとともにインキュベートした。本発明者らはまた、非修飾IL-12を腫瘍溶解物とともにインキュベートした(図8)。ANT溶解物ではなく、ヒト腫瘍溶解物とのプロIL12のインキュベーションは、プロIL12の活性化をもたらし、非修飾IL-12と同じレベルでSTAT4のリン酸化を誘導した。ANTとのプロIL12のインキュベーションは、緩衝液のみとインキュベートしたプロIL12と比較してわずかな活性化をもたらしたが、これはおそらく細胞内プロテアーゼによるリンカー/マスクの非特異的分解によるものである。とはいえ、これらの結果はヒト腫瘍ホモジネートがプロIL12を切断できること、および活性化された産物がIL12R複合体を刺激できることを示している。
【0220】
操作されたIFNg部分アゴニストは、PD-L1なしにMHC-Iの上方制御によってSTAT1リン酸化のレベルを低下させ、抗がん活性の方向に偏らせる: IFNγは高度に多面的なサイトカインであり、マクロファージ、DCおよびT細胞を含む、広範な免疫細胞型でのその作用を通じて、自然免疫および適応免疫の中心的な調整役となっている(54)。IFNγはホモ二量体であり(55)、2つのIFNγR1受容体と2つのIFNγR2受容体に関与し、これらの受容体は全ての有核細胞に構成的に発現している。Mendoza教授の最近の研究では、IFNγの多面作用性を打ち破るための青写真を提供する六量体IFNγ受容体複合体の最初の完全な構造が記述されている(56)。構造に基づいたIFNγ変種のデザインは、細胞上に結合した受容体への結合の数および強さを変化させ、細胞シグナルの強さをチューンダウンする。部分アゴニストによるホスホSTAT1シグナルの低減により、腫瘍上での抗原提示に必要なMHC-Iの完全な上方制御がもたらされるが、免疫細胞の活性を制限するプログラム細胞死リガンド1 (PD-L1)の発現は制限される。それゆえ、部分アゴニストは、MHC-I:PD-L1軸に沿った抗がん特性に偏っている。これらの効果は、7つのがん細胞株および3つの免疫細胞集団を含む試験された全ての細胞に対して広く作用することが実証された(図9)。これらの知見は、マウス受容体と交差反応しないヒトIFNγタンパク質に基づいていたため、本発明者らはまず、部分アゴニストのマウスバージョンをデザインする必要がある。マウスIFNγリガンドまたは受容体の構造が存在しないため、マウス部分アゴニストのヒト類似体のデザインは難題である。さらに、2つの種間の配列同一性は39%と低い。その最初のアプローチは、ヒト受容体複合体からの相同性モデルを使用することであり、そこで本発明者らは13のマウス変種を予測し、スクリーニングした。マウス黒色腫細胞株B16F10に2.5または62.5 nMの野生型または変異体を投薬したが、表面染色ではMHC-IまたはPD-L1の低減は検出されなかった(データは示さず)。この実験から、相同性アプローチを用いた操作は難題であり、新たなアプローチを採用すべきであることが示唆された。
【0221】
C. 結論
要約すると、これらの研究は、サイトカイン特異的受容体の構造的に選択されたドメインとの融合によって達成される、マスクされたサイトカインの価値を実証している。マスクされたサイトカインは、i.v.注入により投与することができ、腫瘍内で優先的に活性化される。CBDは腫瘍内での滞留を引き延ばす。本発明者らは、マスクされたサイトカインの投与後、抗がん効果が維持されているにもかかわらず、irAEの発生率が大幅に低減することを示した。これにより、マスクされた炎症促進性サイトカインをさらに詳細に分析するための準備が整い、従来の免疫療法では効果がなかった腫瘍を処置するという最終目標に収れんする。結論として、本発明者らは、サイトカインにサイトカイン受容体を融合させることでサイトカインの毒性を低減する技術を開発した。腫瘍特異的プロテアーゼ応答部位融合は、腫瘍内のサイトカインを活性化する。CBD-IL-12療法をさらに改善するため、IL-12受容体IL-12Rb1のドメインをIL-12に融合させてIL-12Rb1-IL-12を形成させた。この融合体は不活性であるが、受容体マスクとサイトカインの間にMMPまたはuPA切断部位を含めると、腫瘍微小環境において活性化されうるプロサイトカインが得られる。本発明者らは、このようにしてIL-12の免疫毒性が低減されること、およびプロテアーゼ感受性リンカーとのIL-12Rb1-IL-12の融合が治療的有用性を保持することを実証した。
【0222】
D. 材料および方法
VWF A3ドメイン、IL12Rb1およびIL12の組換え融合タンパク質の産生および精製: タンパク質の産生および精製を既述のように実施した(57)。ヒトVWF A3ドメイン残基Cys1670~Gly1874 (成熟VWFの907~1111)、マウス/ヒトIL12、マウス/ヒトIL12Rb1 FNI-IIドメイン、融合タンパク質をコードする配列を合成し、Genscriptによる哺乳類発現ベクターpcDNA3.1(+)にサブクローニングした。組換えタンパク質のさらなる精製のためN末端に、6 His (SEQ ID NO:87)をコードする配列を付加した。浮遊適応したHEK-293F細胞を、無血清FreeStyle 293 Expression Medium (Gibco)中で日常的に維持した。トランスフェクションの日に、細胞を1×106個の細胞/mlの密度で新鮮培地中に接種した。2μg/mlのプラスミドDNA、2μg/mlの線形25 kDaポリエチレンイミン(Polysciences)、およびOptiPRO SFM培地(終濃度4%, Thermo Fisher)を順次添加した。培養フラスコを5% CO2の存在下、37℃で135 rpmにて軌道振とうにより攪拌した。トランスフェクションから7日後に、細胞培地を遠心分離によって収集し、0.22μmフィルタでろ過した。AKTA pure 25 (GE Healthcare)を用いて、培地をHisTrap HP 5 mlカラム(GE Healthcare)にロードした。洗浄緩衝液(20 mMイミダゾール, 20 mM NaH2PO4, 0.5 M NaCl, pH 7.4)でのカラムの洗浄後、500 mMイミダゾール(20 mM NaH2PO4, 0.5 M NaCl, pH 7.4中)の勾配でタンパク質を溶出した。HiLoad Superdex 200PGカラム(GE healthcare)を用いてサイズ排除クロマトグラフィーにより溶出液をさらに精製した。全ての精製段階は4℃で実行した。ラミニンLGドメインの発現を、抗Hisタグ抗体(BioLegend)を用いたウエスタンブロッティングによって決定し、タンパク質をSDS-PAGEにより>90%純粋であると確認した。
【0223】
インビトロ切断のための方法: 組換えマウスマトリックスメタロプロテイナーゼ-2 (MMP2)、MMP9および組換えヒトウロキナーゼプラスミノゲン活性化因子(uPA)はR&Dから購入した。MMP2およびMMP9はその酵素前駆体形態で供給されたため、MMPを最初に1 mM酢酸p-アミノフェニル水銀(APMA, Sigma)を用いて37℃で2時間活性化した。活性化後、pH = 7.5で150 mM NaCl, 50 mM Tris, 10 mM CaCl2, 0.05% Brij-35を含有するアッセイ緩衝液中でMMPおよびサイトカインを希釈した。MMP2、MMP9およびサイトカインの終濃度は、それぞれ2μg/mL、5μg/mLおよび50μg/mLであった。切断は37℃で30分間行った。次に、サンプルをゲル電気泳動により分析した。uPAを用いた切断は製造元のプロトコルにしたがって行った。uPAの濃度は10μg/mLであった。
【0224】
マウスおよび細胞株: マウスおよび細胞株を既述のように調製した(58)。8~12週齢C57BL/6およびC3H/HeJをCharles River laboratoriesから入手した。実験は、シカゴ大学の施設内動物管理使用委員会の承認を得て実施された。B16F10細胞をアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)から入手し、使用説明書にしたがって培養した。全ての細胞株を、病原体試験IMPACT I (IDEXX BioResearch)によりマイコプラズマ混入についてチェックした。
【0225】
pSTAT4評価のための方法: EasySepマウスCD8+ T細胞単離キット(Stem Cell)を用いてC57BL/6マウスの脾臓からマウスCD8+ T細胞を精製した。2μg/mL α-CD3 (クローン17A2, Bioxcell)でプレコーティングし、5μg/mLの可溶性α-CD28 (クローン37.51, BioLegend)および30 ng/mLのマウスIL-2 (Peprotech)を補充した6ウェルプレート中で、精製したCD8+ T細胞(106個/mL)を3日間活性化した。培地は、10%熱不活性化FBS、1%ペニシリン/ストレプトマイシンおよび50μM 2-メルカプトエタノール(Sigma Aldrich)を含有するIMDM (Gibco)であった。培養3日後、活性化CD8+ T細胞を新鮮培地中で6時間休止させ、96ウェルプレート中に移した(50,000細胞/ウェル)。表示した量のIL-12またはプロIL12変種を37℃で20分間CD8+ T細胞に適用して、STAT4リン酸化を誘導した。細胞を直ちにBD Phosflow Lyse/Fix緩衝液を用いて37℃で10分間固定し、その後にBD Phosflow Perm Buffer IIIを用いて氷上で30分間透過処理した。細胞を、Tyr693のリン酸化を認識するpSTAT4に対するAlexa Fluor (AF) 647結合抗体(クローン38, BD)で染色した。染色は暗所中、室温(RT)で1時間実施した。細胞はBD LSRで取得し、データはFlowJo (Treestar)を用いて分析した。pSTAT4+集団の平均蛍光強度(MFI)をサイトカイン濃度に対してプロットした。用量応答曲線は、Prism (v8, GraphPad)を用いてフィッティングした。
【0226】
血漿サイトカイン濃度分析: 測定を既述のように実施する(58)。5×105個のB16F10黒色腫細胞を、各8週齢C57BL/6マウスの背中の左側に皮内注射した。7日後、マウスに表示した量のIL-12またはプロIL-12変種を投与した。IL-12注射2日後に、EDTAを含有するヘパリン処理したチューブに血液サンプルを集め、引き続き遠心分離を行った。血漿中のサイトカイン濃度をLEGENDPLexキット(BioLegend)により製造元のプロトコルにしたがって測定した。
【0227】
B16F10腫瘍に対するIL12Rb1-IL12の抗腫瘍効力: 測定を既述のように実施する(58)。PBS 30μLに再懸濁した計5×105個のB16F10細胞を、各C57BL/6マウスの背中の左側に皮内接種した。7日後、マウスにIL-12 (5μg)、またはIL-12Rb1-IL-12 (IL-12基準で15μg)をi.v.注射した。腫瘍を、腫瘍接種7日後に始めてデジタルキャリパで測定し、体積を楕円体として計算した。ここでV = 4/3 ×3.14×深さ/2×幅/2×高さ/2。いずれかの腫瘍体積が500 mm3超に達した時点でマウスを殺処理した。
【0228】
実施例2-長期的循環のための血清タンパク質の付加
プロサイトカインは、CBD融合により改善して腫瘍内での長期的滞留をもたらすことができ、および/またはアルブミン融合により改善して長期的循環をもたらすことができる。サイトカインは一般に血中の半減期が非常に短い(9)。プロサイトカイン技術は身体(すなわち腫瘍)内のプロテアーゼに依存しているため、腫瘍内に注入されたプロサイトカインの滞留時間を増加させることが重要である。本発明者らは、CBD-サイトカインプラットフォームを改善するために2つのアプローチを採用している。最初の段階は、コラーゲン結合ドメインをプロサイトカインに融合させることである。実施例1に記述されているように、CBDは、腫瘍血管系の性質により、腫瘍内の融合タンパク質を標的にして保持することができる。したがって、CBD-プロサイトカインの活性は腫瘍内でより特異的であり、有効性および安全性の増強をもたらす。これは一種の二重腫瘍ターゲティングシステムである。
【0229】
別の段階は、プロサイトカインの血中半減期を引き延ばすことである。注入されたサイトカインの血中半減期が引き延ばされると、腫瘍組織に接触する機会が増えるため、CBD-プロサイトカインの効力がさらに増強されるものと仮定される。これは、アルブミンをCBD-プロサイトカインまたはプロサイトカインに融合させることによって達成することができる。したがって、腫瘍微小環境内でのみ活性である、血中半減期が引き延ばされた腫瘍標的サイトカインのこれらのさらなる局面がさらに企図される。
【0230】
実施例3: 非切断性のマスクされたサイトカイン
A. 背景
サイトカインの生物活性の減弱は、毒性という点で影響を与え、それによって耐容性および治療指数を増加させうる。サイトカインのマスキングは、サイトカインと受容体の相互作用を阻害するドメインの融合によって達成される。本発明者らの戦略では、関心対象のサイトカインへの受容体サブユニットドメイン(マスク, 「M」と称される)の融合を利用して、生物活性を低下させる。マスキングドメインおよびサイトカインは可動性リンカー(本発明者らの場合、(G3S)n、nはn = 3からn = 15の範囲でありうる)を介して接続される。以前の発明のなかで、本発明者らは酵素的に切断可能なリンカーの使用について教示した; 本明細書では、本発明者らは切断不可能な可動性のリンカーが、全身毒性を低下させながらもなお高い腫瘍内免疫活性化および抗がん効果をもたらす方法で活性を弱めることができるという驚くべき発見をした。
【0231】
B. 結果
非切断性の、減弱されマスクされたIL-12の全身毒性の減少を評価するため、本発明者らはB16F10黒色腫担持マウスを生理食塩水(PBS)、5μgのIL-12 (野生型)または15μgのM-(G3S)11-IL12 (非切断性のマスクされたIL-12)のいずれかで処置した。サイトカインによる処置の2日後、本発明者らは、全身毒性のバイオマーカーとして血清IFNγを測定するためにマウスを採血した(図9, 左)。処置後3日目に、本発明者らは腫瘍を採取し、抗腫瘍効力の指標として腫瘍内IFNγを測定した(図9, 右)。減弱された、非切断性M-(G3S)11-IL12は非修飾IL-12と比較して、血漿IFNγを有意に低減させたが、依然として腫瘍内炎症を維持していた。本発明者らは次に、M-(G3S)11-IL12がMC38結腸腺がんモデルにおいて抗腫瘍応答を駆動できるかどうかを評価した(図10)。非切断性M-(G3S)11-IL12は生理食塩水処置と比較して、より強い抗腫瘍免疫応答を発揮した。
【0232】
マウスおよびヒト非切断性マスクIL-12変種のアミノ酸配列。機能的IL-12ヘテロ二量体は、野生型p35 (またはマスクされたp35)およびp40をコードするサブユニットの同時トランスフェクションによって得られる。
【0233】
ある種の態様を、ある程度具体的に、または1つもしくは複数の個々の態様を参照しながら上記に説明したが、当業者であれば、本開示の態様に対して、本発明の範囲を逸脱することなく数多くの変形を行なうことができよう。さらに、同等または異なる特性を有し、同じまたは異なる問題に対処するさらなる実施例を形成するために、適切な場合は上記の任意の実施例の諸局面を記載の任意のその他の実施例の諸局面と組み合わせてもよい。同様に、上記の有益性および利点は一態様に関連していてもよく、いくつかの態様に関連していてもよいことは理解されよう。特許出願公開公報または他の刊行物に対する言及はいずれも、該公開公報/刊行物の開示内容の参照により本明細書に具体的に組み入れられる。特許請求の範囲は、ミーンズ-プラス-ファンクション限定またはステップ-プラス-ファンクション限定を、所与の請求項にそれぞれ、語句(1つまたは複数)「~のための手段(means for)」または「~のための段階(step for)」を用いて明示していない限り、かかる限定を含むと解釈されるべきでない。
【0234】
参考文献
本明細書全体において参照される以下の参考文献および刊行物は、それらが本明細書の記載を補足する例示的な手順のまたは他の詳細を提供する程度まで、参照により本明細書に具体的に組み入れられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024517871000001.app
【国際調査報告】