(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】超音波溶接を使用して電極タブを集電体に接合するための方法、電池のための電極アセンブリ、およびアセンブリの使用
(51)【国際特許分類】
H01M 50/536 20210101AFI20240416BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240416BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20240416BHJP
H01M 50/54 20210101ALI20240416BHJP
H01M 50/534 20210101ALI20240416BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01M50/536
H01M4/38 Z
H01M4/134
H01M50/54
H01M50/534
H01M4/66 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568373
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 NL2022050241
(87)【国際公開番号】W WO2022235158
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522044490
【氏名又は名称】ライデンジャー・テクノロジーズ・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】タイス・ウィレム・ドゥベリンク
(72)【発明者】
【氏名】アリエン・ピーター・ディーデン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ホームウッド
(72)【発明者】
【氏名】モニク・ラムハット
(72)【発明者】
【氏名】ジャオロン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ダン・ルオ
(72)【発明者】
【氏名】イソップ・アン
【テーマコード(参考)】
5H017
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS02
5H017AS10
5H017CC03
5H017EE01
5H017EE04
5H017EE05
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA13
5H043CB10
5H043EA06
5H043EA13
5H043EA15
5H043EA18
5H043EA32
5H043EA37
5H043EA39
5H043EA60
5H043HA17E
5H043KA01E
5H043KA05E
5H043KA07E
5H043KA08E
5H043KA10E
5H050AA19
5H050BA16
5H050CB11
5H050DA03
5H050DA04
5H050DA06
5H050DA07
5H050FA20
5H050GA07
5H050GA26
5H050HA01
(57)【要約】
本出願は、電極アセンブリ、電極アセンブリを含む組成物および電池、電極アセンブリの使用、ならびに電極アセンブリを作製するための方法であって、a. 集電体材料上に少なくとも1つのシリコン層を含む少なくとも第1の複合電極材料を提供するステップと、b. 整列された電極アセンブリスタックを形成するために、集電体材料と接触する電極タブ材料を提供するステップと、c. 整列された電極アセンブリスタックを形成するために、任意選択で、別の複合電極の集電体材料と接触する集電体材料上に少なくとも1つのシリコン層を含む複合電極材料を提供するステップと、d. 任意選択で、ステップcを少なくとも1回繰り返すステップと、e. 整列された電極アセンブリスタックの一部に超音波エネルギーを印加して、i. 溶接部材料、ii. 電極タブを貫通し、任意選択で複合材料を貫通する溶け込み溶接部、および/または、iii. 溶接部材料と複合材料との間の少なくとも取り付け溶接部を形成し、それによって電極アセンブリを形成する、ステップと、を含む方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極アセンブリを作製するための方法であって、
a. 集電体材料上に少なくとも1つのシリコン層を含む少なくとも第1の複合電極材料を提供するステップと、
b. 整列された電極アセンブリスタックを形成するために、前記集電体材料と接触する電極タブ材料を提供するステップと、
c. 整列された電極アセンブリスタックを形成するために、任意選択で、別の複合電極の集電体材料と接触する前記集電体材料上に少なくとも1つのシリコン層を含む複合電極材料を提供するステップと、
d. 任意選択で、ステップcを少なくとも1回繰り返すステップと、
e. 前記整列された電極アセンブリスタックの一部に超音波エネルギーを印加して、
i. 溶接部材料、
ii. 電極タブを貫通し、任意選択で前記複合電極材料を貫通する溶け込み溶接部、および/または
iii. 前記溶接部材料と前記複合電極材料との間の少なくとも取り付け溶接部
を形成し、
それによって前記電極アセンブリを形成する、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記溶接部材料の少なくとも一部および前記電極タブ材料は、第1の溶接部界面材料を形成し、前記溶接部材料の少なくとも一部および前記複合材料、好ましくは前記集電体材料、は第2の溶接部界面材料を形成する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
超音波エネルギーを印加する前記ステップの前に、2つの複合電極材料の間に溶接材料を供給する追加のステップを含み、任意選択で前記追加のステップを繰り返す請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複合電極材料は、前記集電体材料の2つの側面の各々にシリコンの少なくとも1つの層を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
材料は、実質的に平坦なシート状の材料であり、前記材料は、溶接プロセスの前および前記溶接プロセス中に整列され、固定される請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶接材料は、アルミニウム、金、銅、鉄、リチウム、マンガン、パラジウム、白金、ツリウム、チタン、タングステン、銀、ベリリウム、マグネシウム、ニッケル、ケイ素、および/またはジルコニウム、好ましくは銅を含む請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記電極タブ材料は、ニッケルもしくは銅、またはニッケル、銅、スズ、ケイ素、銅およびニッケル、銅およびスズ、もしくは銅およびケイ素を含む合金を含む請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1および第2の溶接部界面材料は、前記電極タブ材料および前記複合電極材料またはその合金を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記集電体材料は、銅、スズ、クロム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼、もしくは銀、または銅、スズ、クロム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼、もしくは銀を含む合金を含む請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記シリコン層は、ナノ結晶領域が存在するアモルファス構造を有し、好ましくは前記シリコン層は、最大30%までのナノ結晶シリコンを含む請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
電極アセンブリであって、
i)溶接部材料を含む電極タブであって、前記溶接部材料の少なくとも一部および電極タブ材料は第1の溶接部界面材料を形成する、電極タブと、
ii)前記溶接部材料および集電体材料層上のシリコン活物質層を含むシリコン電極複合材料であって、前記溶接部材料の少なくとも一部および前記集電体材料は、第2の溶接部界面材料を形成する、シリコン電極複合材料と、
iii)前記電極タブおよび前記集電体材料に隣接する前記溶接部材料であって、それにより前記電極タブ、複合材料、および溶接部材料が互いに電気的に連通して接合される、前記溶接部材料と、
を備える、電極アセンブリ。
【請求項12】
前記溶接部材料は、超音波溶接部材料である請求項11に記載の電極アセンブリ。
【請求項13】
前記電極タブ材料は、ニッケルもしくは銅、またはニッケル、銅、スズ、ケイ素、銅およびスズ、もしくは銅およびケイ素を含む合金を含み、前記集電体材料、前記溶接部材料、前記溶接部材料、または前記溶接部界面材料は、アルミニウム、金、銅、鉄、リチウム、マンガン、パラジウム、白金、ツリウム、チタン、タングステン、銀、ベリリウム、マグネシウム、ニッケル、ケイ素もしくはジルコニウムを含む請求項11または12に記載の電極アセンブリ。
【請求項14】
前記第1および第2の溶接部界面材料は、前記電極タブ材料および前記複合電極材料またはその合金を含む請求項11から13のいずれか一項に記載の電極アセンブリ。
【請求項15】
電解質、カソード、セパレータ、および請求項1から10のいずれか一項に記載の前記方法により、または請求項11から14のいずれか一項に記載の前記アセンブリにより得ることが可能な前記アセンブリを含む、電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用負極アセンブリおよびその製造、特に、超音波溶接技術を使用する、電極タブとシリコン活物質および集電体を含む電極との間の改良された接合に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、蓄積された化学エネルギーを電気エネルギーに変換する外部接続部を有する1つまたは複数の電気化学セルからなるデバイスである。セルは、正極および負極を有し、それぞれカソードおよびアノードとも呼ばれる。電池が外部回路に接続されたときに、電子は、アノードから外部回路を通ってカソードに流れ、それによって、回路および回路に接続されている任意のデバイスに電気エネルギーを送達する。
【0003】
アルカリ電池などの一次電池は、放電中に電極材料が永久的に変化するので1回限り使用可能な電池である。リチウムイオン電池などの二次電池は、逆電流を印加することによって電極材料の元の組成物が復活し得るので何度も充放電が可能である。
【0004】
セルは、導電性電解質材料によって直列に接続された2つのハーフセルから構成されている。セルの一方はカソードを含み、他方のセルはアノードを含み、両方のセルに電解質が存在する。セパレータが両方のセルの間に存在してよく、それが、セルの各々における2つの異なる種類の電解質が使用されるときに電解質の混合を防ぐが、それでもイオンが両方のセルの間を流れることを可能にする。
【0005】
電極は、集電体、たとえば銅板上に形成された、たとえば主としてシリコンからなる活物質層からなり、これにリードまたはタブ、たとえばニッケル板が接続される。電極タブは、典型的には、集電体の露出部分、すなわち活物質が形成されていない、または活物質が除去された部分、に溶接することによって接続される。
【0006】
しかしながら、集電体上に活物質を形成する際に、集電体から活物質を除去するか、または集電体をマスキングすることは、困難で複雑なプロセスであり、電極の完全性を危険に曝す可能性もある。たとえば、スラリーコーティングまたはプラズマ励起化学気相成長法(PECVD)などの気相成長法では、集電体材料の適切な露出領域を形成するために高い精度が必要とされる。
【0007】
集電体材料の露出領域を有する電極を製造しなければならないという前述の欠点は、たとえば電極タブを電極の活物質に間接的に溶接することによって回避され得る。米国特許US9979009B2は、電極タブと、電極タブよりも薄い金属層を含むシリコン電極と、電極タブをシリコン電極に結合するレーザー溶接とを備えるエネルギー貯蔵デバイスを開示しており、レーザー溶接の接合部は、電極タブの溶融材料を含み、金属層の溶融材料と電気的に接触している。
【0008】
国際特許出願WO2013080459A1は、抵抗溶接または超音波溶接ではなく、アーク溶接によってタブの端面および電極の端面にわたって連続的に形成される溶融部を介して活物質および集電体を含む負極に接続されたタブを開示している。
【0009】
代替的に、この欠点は、2つの側面のうちの一方にのみ活物質を有し、他方の側面は裸の露出した集電体材料である電極を供給することによって回避され得る。英国特許出願GB2458942Aから、銅がニッケルに超音波溶接され得ることが知られている。しかしながら、電極として集電体上に形成されるシリコン層は、通常、剛体のプロト結晶(proto-crystalline)組成物を有し、したがって脆い。したがって、シリコン層材料を溶接の熱応力、特に超音波溶接の付加的な厳しい機械的応力に曝すことは、効果的な溶接が確立され得る前にシリコン層が損傷すること、または破壊されることすら引き起こすと予想される。それに加えて、意図された電極タブと集電体との取り付けの反対側で集電体に取り付けられたシリコン層を有する集電体材料に電極タブを間接的に溶接することも、効果的な溶接が確立され得る前に反対側のシリコン層が損傷することまたは破壊されることすら引き起こすことが予想される。このような状況では、溶接前に集電体材料とシリコン活物質との間で確立された取り付けは、したがって(超音波)溶接の応力の悪影響を受けることになる。
【0010】
本出願の発明の目標は、超音波溶接を使用して電極タブを電極に溶接することによって電極アセンブリを作製する改良された方法、改良方式で電極タブを電極に取り付ける超音波溶接を含む電極アセンブリ、ならびに本発明によるアセンブリを含む組成物および電池を提供することである。別の目標は、1つの溶接部を介して1つの電極タブに溶接された複数の電極を含む電極アセンブリ、およびアセンブリを製造するための方法を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許US9979009B2
【特許文献2】国際特許出願WO2013080459A1
【特許文献3】英国特許出願GB2458942A
【特許文献4】国際特許出願WO2021029769
【特許文献5】国際特許出願WO2015188959A1
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】ISO 15901-2:2006「Pore size distribution and porosity of solid materials by mercury porosimetry and gas adsorption -- Part 2: Analysis of mesopores and macropores by gas adsorption」
【非特許文献2】Barrett, E. P.、Joyner, L.G.、Halenda, P. P.(1951)、「The Determination of Pore Volume and Area Distributions in Porous Substances. I. Computations from Nitrogen Isotherms」、Journal of the American Chemical Society、73 (1): 373-380
【非特許文献3】Brunauer, S.、Emmett, P. H.、Teller, E. (1938)、「Adsorption of Gases in Multimolecular Layers」、Journal of the American Chemical Society、60 (2): 309-319)
【非特許文献4】「Characterization of Joint Quality in Ultrasonic Welding of Battery Tabs」、S. Shawn Lee、Tae Hyung Kim、S. Jack Hu、Wayne W. Cai、Jeffrey A. Abell、Jingjing Li.、J. Manuf. Sci. Eng.、Apr. 2013、135(2):021004(13頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記説明を鑑みて、本発明の目的は、したがって、電極アセンブリを作製するための方法を提供することであり、これは
a. 集電体材料上に少なくとも1つのシリコン層を含む少なくとも第1の複合電極材料を提供するステップと、
b. 整列された電極アセンブリスタックを形成するために、集電体材料と接触する電極タブ材料を提供するステップと、
c. 整列された電極アセンブリスタックを形成するために、任意選択で、別の複合電極の集電体材料と接触する集電体材料上に少なくとも1つのシリコン層を含む複合電極材料を提供するステップと、
d. 任意選択で、ステップcを少なくとも1回繰り返すステップと、
e. 整列された電極アセンブリスタックの一部に超音波エネルギーを印加して、
i. 溶接部材料(weld material)、
ii. 電極タブを貫通し、任意選択で複合材料を貫通する溶け込み溶接部(penetration weld)、および/または
iii. 溶接部材料と複合材料との間の少なくとも取り付け溶接部を形成し、
それによって電極アセンブリを形成する、ステップとを含む。
【0014】
さらなる目的は、本発明による方法によって得ることが可能な電極アセンブリを提供することである。
【0015】
さらなる態様において、本発明の主題は、電極アセンブリを提供することであり、これは
i)溶接部材料を含む電極タブであって、溶接部材料の少なくとも一部および電極タブ材料は第1の溶接部界面材料を形成する、電極タブと、
ii)溶接部材料および集電体材料層上のシリコン活物質層を含むシリコン電極複合材料であって、溶接部材料の少なくとも一部および集電体材料は、第2の溶接部界面材料を形成する、シリコン電極複合材料と、
iii)電極タブおよび集電体材料に隣接する溶接部材料であって、それにより電極タブ、複合材料、および溶接部材料が互いに電気的に連通して接合される、溶接部材料とを備える。
【0016】
本発明のさらなる目的は、電解質、カソード、セパレータ、および本発明によるアセンブリまたは本発明による組成物を含む電池を提供することである。
【0017】
本発明のなおもさらなる目的は、エネルギー貯蔵および/または放出デバイスとしての本発明によるアセンブリ、組成物、または電池の使用を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
出願人は、本発明による方法、アセンブリ、組成物、および電池により、その目標が達成されることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】超音波溶接装置のホーンおよびアンビルと接触する本発明による電極アセンブリスタックを示す概略図である。
【
図2】任意選択の溶接材料(welding material)がアンビルの上に置かれている超音波溶接装置のホーンおよびアンビルと接触する本発明による電極アセンブリスタックを示す概略図である。
【
図3】任意選択の溶接材料がアンビルの上に置かれている超音波溶接装置のホーンおよびアンビルと接触する、複数の複合電極を備える、本発明による電極アセンブリスタックを示す概略図である。
【
図4】任意選択の溶接材料がアンビルの上に、また複合電極の間に、置かれている超音波溶接装置のホーンおよびアンビルと接触する、複数の複合電極を備える、本発明による電極アセンブリスタックを示す概略図である。
【
図5】任意選択の溶接材料がアンビルの上に置かれている超音波溶接装置のホーンおよびアンビルと接触する、本発明によらない、複数の複合電極を備える、電極アセンブリスタックを示す概略図である。
【
図6】任意選択の溶接材料がアンビルの上に、必須の溶接材料が複合電極の間に置かれている超音波溶接装置のホーンおよびアンビルと接触する、複数の複合電極を備える、本発明による電極アセンブリスタックを示す概略図である。
【
図7】4点接触抵抗測定用の回路に取り付けられた本発明による電極アセンブリを示す概略図である。
【
図8】溶接前の、薄箔複合電極材料を含む電極アセンブリスタックの断面を示す概略図である。
【
図9】
図8の特許請求されている溶接ステップの結果である、接触溶接部(116)を含む、本発明による電極アセンブリの断面を示す概略図である。
【
図10】本発明の超音波溶接プロセスの前に、そのシリコン層が直接接触するように積層された2つの薄箔複合電極材料を含む電極アセンブリスタックの断面を示す概略図である。
【
図11】集電体層(106)を電極タブ材料(103)に接続する溶け込み溶接部(116)を含む、本発明による電極アセンブリの断面を示す概略図である。
【
図12】(i)集電体材料(106)のいずれかの側にシリコン層(105)をコーティングされた2つの薄箔複合電極材料と、(ii)本発明の超音波溶接プロセスの前に、各シリコン層(105)が少なくとも1つの溶接材料と直接接触するように積層された3つの溶接材料層(104、108、114、115)とを含む電極アセンブリスタックの断面を示す概略図である。
【
図13】集電体層(106)を電極タブ材料(103、113)に接続する溶け込み溶接部(116)を含む、本発明による電極アセンブリの断面を示す概略図である。
【
図14】(i)集電体材料(106)のいずれかの側にシリコン層(105)をコーティングされた3つの薄箔複合電極材料と、(ii)本発明の超音波溶接プロセスの前に、各シリコン層(105)が少なくとも1つの溶接材料と直接接触するように積層された5つの溶接材料層(104、108、114、115)とを含む電極アセンブリスタックの断面を示す概略図である。
【
図15】溶け込み溶接部を含む、本発明による電極アセンブリの断面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明者らは、驚くべきことに、電極タブが超音波溶接を介してシリコン活物質を含む複合電極の集電体材料に溶接され得ることを見出した。
【0021】
したがって、本発明は、電極アセンブリを作製するための方法を対象とし、この方法は
a. 集電体材料上に少なくとも1つのシリコン層を含む少なくとも第1の複合電極材料を提供するステップと、
b. 整列された電極アセンブリスタックを形成するために、集電体材料と接触する電極タブ材料を提供するステップと、
c. 整列された電極アセンブリスタックを形成するために、任意選択で、別の複合電極の集電体材料と接触する集電体材料上に少なくとも1つのシリコン層を含む複合電極材料を提供するステップと、
d. 任意選択で、ステップcを少なくとも1回繰り返すステップと、
e. 整列された電極アセンブリスタックの一部に超音波エネルギーを印加して、
i. 溶接部材料、
ii. 電極タブを貫通し、任意選択で複合材料を貫通する溶け込み溶接部、および/または
iii. 溶接部材料と複合材料との間の少なくとも取り付け溶接部を形成し、
それによって電極アセンブリを形成する、ステップとを含む。
【0022】
本発明は、また、
i)溶接部材料を含む電極タブであって、溶接部材料の少なくとも一部および電極タブ材料は第1の溶接部界面材料を形成する、電極タブと、
ii)溶接部材料および集電体材料層上のシリコン活物質層を含むシリコン電極複合材料であって、溶接部材料の少なくとも一部および集電体材料は、第2の溶接部界面材料を形成する、シリコン電極複合材料と、
iii)電極タブおよび集電体材料に隣接する溶接部材料であって、それにより電極タブ、複合材料、および溶接部材料が互いに電気的に連通して接合される、溶接部材料とを備える電極アセンブリを対象とする。
【0023】
本発明の別の態様は、本発明による方法によって得ることが可能な電極アセンブリである。
【0024】
超音波溶接は、固体溶接部を形成するために加圧下で一緒に保持される要素に高周波超音波音響振動が局所的に印加される溶接技術である。超音波溶接が金属を接合するために使用されるときに、金属の温度は、典型的には、融点未満に留まり、それによって複合電極材料の損傷などの高温暴露に起因して発生し得る望ましくない特性を防止する。さらに、結果としてほとんどの融接プロセスから生じ得る、溶融ゾーン内の脆硬相または空隙などの望ましくない金属間化合物および冶金的欠陥が防止される。
【0025】
超音波溶接は、レーザー溶接、アーク溶接、または抵抗溶接などの従来技術において使用されている他の溶接技術に勝る利点を提供する。これらの利点は、エネルギー要件の低減、速度の向上、安全性の向上、さらに薄層をより正確に効果的に溶接できる点にある。
【0026】
しかしながら、電極タブは、複合電極のシリコン層に直接的に効果的に溶接され得ない。電極として集電体上に形成されるシリコン層は、通常、剛体のプロト結晶組成物を有し、したがって脆い。したがって、シリコン層材料を溶接の熱応力、特に超音波溶接の付加的な厳しい機械的応力に曝すことは、効果的な溶接が確立され得る前にシリコン層が損傷すること、または破壊されることすら引き起こすと予想される。それに加えて、意図されたタブと集電体との取り付けの反対側で集電体に取り付けられたシリコン層を有する集電体材料に電極タブを間接的に溶接することも、効果的な溶接が確立され得る前に反対側のシリコン層が損傷することまたは破壊されることすら引き起こすことが予想される。このような状況では、溶接前に集電体材料とシリコン活物質との間で確立された取り付けは、したがって(超音波)溶接の応力の悪影響を受けることになる。
【0027】
しかしながら、これまでの予想に反して、本出願人は、集電体材料上のシリコン層を含む複合電極材料の集電体層に電極タブが超音波溶接され得ることを見出した。集電体材料およびシリコン活物質を含む複合電極の集電体材料と接続する電極タブを含むアセンブリスタックに超音波溶接を施すことによって、溶接部材料が形成され、溶け込み溶接部が、電極タブおよび任意選択で複合材料を通して形成され、安定した機械的および導電性の接続が関わるすべてのコンポーネント間に形成される。それに加えて、溶接部材料の少なくとも一部および電極タブ材料は、第1の溶接部界面材料を形成し、溶接部材料の少なくとも一部および複合材料は第2の溶接部界面材料を形成する。
【0028】
二次電池に使用するアノードを製造するための新規性のある工業的方法は、化学気相成長法(CVD)を使用して集電体材料のシート上に活物質電極材料としてケイ素および/または炭素を堆積させることを含む。電極タブが接続され得る集電体材料の露出セクションを得るために、活物質材料は、集電体のいくつかの定められたマスクされた部分上には堆積されない。タブは、後で、集電体のこれらの露出部分に溶接される。代替的に、活物質電極材料は、集電体材料を露出させるために堆積後にレーザーアブレーションまたは機械的研磨などの技術によってエッチング除去されるか、または取り除かれ得る。
【0029】
本発明によれば、電極タブは、電極の集電体材料に接続されてよく、シリコン活物質は、電極タブが取り付けられる場所とは正反対の場所で集電体に取り付けられている。このような状況は、集電体(シート)の片面にのみシリコン活物質が付着している複合電極材料が提供されるときに起こり得る。さらに、これにより超音波溶接の前述の利点が利用され得る。
【0030】
1つまたは複数の追加の電極タブが、溶接を改善するために本発明によるアセンブリに超音波溶接され得る。このようにして、アセンブリは、少なくとも2つの電極タブの間に挟装され溶接された溶接部材料、複合材料、および任意選択で溶接する材料を含む対向する端部上の少なくとも2つの電極タブからなる。
【0031】
本発明の方法によれば、集電体材料と接触する電極タブ材料を提供することは、整列された電極アセンブリスタックを形成するために複合材料の集電体材料と接触する追加の電極タブ材料を提供することをさらに含み得る。
【0032】
1つまたは複数の追加の電極タブを備える第2の電極アセンブリは、
a. 本発明による第1のアセンブリを提供するステップと、
b. 任意選択で、第1のアセンブリと接触する、好ましくは第1のアセンブリのシリコン層と接触する溶接材料を提供するステップであって、好ましくは溶接材料は、第1のアセンブリの電極タブ材料に隣接する層と接触しない、ステップと、
c. 整列された電極アセンブリスタックを形成するために、第1のアセンブリの複合材料の集電体材料または任意選択の溶接材料と接触する第2の電極タブ材料、好ましくは任意選択の溶接材料を提供するステップと、
d. 整列された電極アセンブリスタックの一部に超音波エネルギーを印加して、
i. 溶接部材料、
ii. 第2の電極タブおよび任意選択の溶接材料を貫通し、任意選択で複合材料を貫通する溶け込み溶接部、および/または
iii. 溶接部材料と複合材料との間の少なくとも取り付け溶接部を形成する、ステップと
を含み、
好ましくは、溶接部材料の少なくとも一部および第2の電極タブ材料は、第1の溶接部界面材料を形成し、溶接部材料の少なくとも一部および複合材料は第2の溶接部界面材料を形成し、それによって第2の電極アセンブリを形成する、ステップを含む方法によって作製され得る。
【0033】
したがって、本発明によるアセンブリは、第2の電極タブおよび複合材料に隣接する溶接部材料を含む第2の電極タブを備え、それにより電極タブ、複合材料、および溶接部材料は互いに電気的に連通して接合され、好ましくは、溶接部材料の少なくとも一部および電極タブ材料は、第1の溶接部界面材料を形成する。
【0034】
好ましくは、本発明の方法によれば、この方法は、超音波エネルギーを印加する前に整列された電極アセンブリスタックおよび超音波溶接装置のアンビルと接触する溶接材料を提供することをさらに含む。この結果、本発明による溶接がさらに改善され、本発明による電極アセンブリに複合材料層のさらに多くのユニットを組み込むことを円滑にすることもできる。
【0035】
好ましくは、本発明の方法によれば、別の複合電極の集電体材料と接触する集電体材料上に少なくとも1つのシリコン層を含む複合電極材料を提供し、整列された電極アセンブリスタックを形成することは、別の複合電極の集電体材料と接触する少なくとも1つのシリコン層または集電体材料、より好ましくは少なくとも1つのシリコン層を提供することを含む。
【0036】
好ましくは、ステップcを少なくとも1回繰り返すことは、ステップcを1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、または9回繰り返すことを含む。
【0037】
好ましくは、本発明によれば、溶け込み溶接部は、複合材料の集電体材料を貫通して形成される。
【0038】
好ましくは、本発明によれば、取り付け溶接部は、複合材料の溶接部材料と集電体材料との間に形成される。
【0039】
本発明の方法によれば、方法は、好ましくは、超音波エネルギーを印加するステップの前に、2つの複合電極材料の間に溶接材料を提供する追加のステップを含み、任意選択で追加のステップを繰り返す。好ましくは、本発明による、複合材料と接触する、または2つの複合電極材料の間にある溶接材料を提供することは、集電体材料と接触する、または複合材料の少なくとも1つのシリコン層と接触する、溶接材料を提供すること、より好ましくは、複合材料の少なくとも1つのシリコン層と接触する溶接材料を提供することを含む。
【0040】
好ましくは、本発明による複合材料は、集電体材料の2つの側面の各々にシリコンの少なくとも1つの層を備える。
【0041】
有利には、本発明によれば、材料は、実質的に平坦なシート状の材料であり、材料は溶接プロセスの前および溶接プロセス中に整列され固定される。電極材料は、たとえば、物理気相成長法(PVD)、化学気相成長法(CVD)、またはプラズマ励起化学気相成長法(PECVD)によって、電極活物質が集電体箔のシート上に層として堆積される工業プロセスで一般的に作製される。電極タブは、一般的に、実質的に平坦なシート状材料の形態で電極にも取り付けられる。実質的に平坦でシート状の構造である材料のスタックは、溶接前および溶接中の容易な整列および固定を可能にする。ここで、本発明によるシリコン層は活物質層である。シリコン層およびシリコン活物質層は互換的に使用される。
【0042】
好ましくは、本発明によるアセンブリは、溶接材料を含む。
【0043】
好ましくは、本発明による溶接材料は、アルミニウム、金、銅、鉄、リチウム、マンガン、パラジウム、白金、ツリウム、チタン、タングステン、銀、ベリリウム、マグネシウム、ニッケル、ケイ素、またはジルコニウム、より好ましくはアルミニウム、金、または銅、さらに好ましくは銅を含む。
【0044】
好ましくは、本発明による溶接材料または集電体材料はそれぞれ、1から100μm、好ましくは5もしくは10から50μm、より好ましくは10から15μm、または約10もしくは12μmの厚さを有する。
【0045】
有利には、本発明による集電体材料は、銅、スズ、クロム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼、もしくは銀、またはそれらの合金、より好ましくは銅もしくはニッケル、またはそれらの合金、最も好ましくは銅を含む。
【0046】
集電体材料は、冷間圧延または電気メッキのいずれかによって作製されたシート状材料を含み、銅またはチタンとマグネシウム、亜鉛、スズ、リン光体および/または銀などの元素との合金を含むことができる。これは滑らかであるか、粗いか、またはざらつきを有することができ、引っ張り強さは好ましくは150から600MPaの範囲であり、銅箔を空気中の酸化から保護するために銅箔上に堆積された不動態化層を備えることもあり得る。冷間圧延または電気メッキによって作製されたシート状材料は、圧延ライン、電位ひずみ、不純物、および自然酸化物などのいくつかの欠陥を有することがあり、これは活物質層の品質に影響を及ぼし得る。したがって、集電体材料は、表面処理を施されることがある。たとえば、集電体材料の表面に集電体材料または他の金属の小塊を、たとえば電気メッキにより付着させることによって、箔の粗さが様々な程度で高められ得る。当技術分野において知られている他の表面処理技術は、アニール処理、ローレット加工、エッチング、液状化、物理的研磨、および電気研磨を含み、活物質の堆積前に集電体材料の形態を改善するために使用される。
【0047】
好ましくは、本発明による集電体材料は、金属、金属合金および/または金属塩ならびに/もしくは酸化物を含む。
【0048】
本発明による金属、金属合金および/または金属塩ならびに/もしくは酸化物は、有利には、アルミニウム、銅、ニッケル、スズ、インジウム、および亜鉛、好ましくはニッケル、ZnO、またはSnO2、最も好ましくはZnOから選択され、好ましくは、集電体は、銅またはニッケルコア層、より好ましくは亜鉛、アルミニウム、スズ、もしくはインジウムの酸化物またはフッ化物をドープされたコア層を含む。好ましくは、金属、金属合金および/または金属塩ならびに/もしくは酸化物またはコア層は、0.1から5nm、より好ましくは1から2nmの厚さの層内にある。好ましくは、銅またはニッケルを含む本発明による集電体は、ニッケル、ZnOまたはSnO2を含む。
【0049】
用語「ドープする」は、本明細書では、材料に微量の元素を導入して、材料の本来の電気的特性を変化させること、またはシリコン材料の結晶構造を改善することを意味すると理解される。
【0050】
現出願人の係属中の国際特許出願WO2021029769において、出願人は、集電体材料に付着した金属、金属合金および/または金属塩ならびに/もしくは酸化物を含む接着層が、複合電極の集電体材料に対するシリコン材料の接着を高めることを見出した。本発明によれば、金属、金属合金および/または金属塩ならびに/もしくは酸化物接着層を含む集電体材料は、好ましくは、接着層を含む。この接着層は、集電体材料とシリコンとの間の界面上にシリコンの異なる複合体が形成されるのでシリコン材料と集電体材料との間の接着性を高める。このような接着層は、好ましくは、ZnOまたはSnO2などの、ニッケル、亜鉛、またはスズを含む。接着層は、金属、金属合金および/または金属塩ならびに/もしくは酸化物を集電体材料上にコーティングするか、または堆積することによって形成され得る。好ましくは、接着層は、0.1から5nm、より好ましくは1から2nmの厚さの層内にある。
【0051】
好ましくは、本発明によれば、少なくとも1つのシリコン層は、0.1から500μm、好ましくは1から100もしくは200μm、より好ましくは1から30もしくは50μm、最も好ましくは3もしくは5から15もしくは20μmまたは約10μmの厚さを有する。代替的に、本発明によれば、少なくとも1つのシリコン層は、好ましくは0.1から4.0mg/cm2、より好ましくは0.5もしくは0.8から2.0もしくは2.5mg/cm2、または2.5から3.5もしくは4.0mg/cm2、最も好ましくは1.0から2.0mg/cm2の質量負荷を有する。質量負荷は、集電体層の片面に存在する1つのシリコン層の質量負荷に関係する。
【0052】
有利には、本発明による少なくとも1つのシリコン層は、0%から50%、より好ましくは1%、2%、5%または10%から50%の空隙率を有する。好ましくは、シリコン層の平均孔径は、0.5から40nm、好ましくは1から20nmの範囲内にある。本発明による空隙率および(平均)孔径は、好ましくはISO(国際標準化機構)規格、窒素ガスを使用するISO 15901-2:2006「Pore size distribution and porosity of solid materials by mercury porosimetry and gas adsorption -- Part 2: Analysis of mesopores and macropores by gas adsorption」によって指定された方法に従って決定される。簡単に言うと、約-196℃(液体窒素の温度)でN2吸着等温線が測定される。Barrett-Joyner-Halenda(Barrett, E. P.、Joyner, L.G.、Halenda, P. P.(1951)、「The Determination of Pore Volume and Area Distributions in Porous Substances. I. Computations from Nitrogen Isotherms」、Journal of the American Chemical Society、73 (1): 373-380)の計算方法に従って、孔径および孔容積が決定され得る。比表面積は、Brunauer-Emmett-Teller(Brunauer, S.、Emmett, P. H.、Teller, E.(1938)、「Adsorption of Gases in Multimolecular Layers」、Journal of the American Chemical Society、60 (2): 309-319)の計算方法に従って同じ等温線から決定され得る。計算方法は両方とも、当技術分野でよく知られている。等温線を決定するための簡単な実験的試験方法は、次のように説明され得る。試験サンプルが高温により不活性雰囲気下で乾燥される。サンプルは、次いで、乾燥されて測定装置内に置かれる。次に、サンプルは、真空状態に置かれ、液体窒素を使用して冷却される。等温線を記録する間、サンプルは、液体窒素温度に保持される。
【0053】
本発明によるシリコン層は、好ましくは、少なくとも5nm、最大50nm、より好ましくは10から最大20nmまでの範囲の直径を有する複数の隣接するカラムおよび凝集粒子を含む層として集電体層または接着層に付着され、カラムは銅箔表面から垂直方向に延在し、隣接するカラムは垂直方向に延在するカラム境界によって分離される。
【0054】
本発明によるシリコン層は、好ましくは、ナノ結晶領域が存在するアモルファス構造を有する。より好ましくは、シリコン層またはカラムは、最大30%までのナノ結晶シリコンを含む。一実施形態によれば、シリコン層は、それぞれn型導電性またはp型導電性のシリコン層を得るために有利にはn型またはp型ドーパントを含む。
【0055】
有利には、シリコンカラムは、シリコン合金をさらに含み、シリコン合金は、好ましくは、Si-Cおよび/またはSi-Nを含む群から選択される。好ましくは、本発明による複合材料は、炭素、または炭素もしくはケイ素を含む合金を含む。シリコン合金は、アモルファスシリコンへの添加物または代替物であってもよい。したがって、本発明の一態様によれば、カラムの材料は、アモルファスシリコンおよびアモルファスシリコン合金から選択される少なくとも1つの材料を含む。
【0056】
さらなる態様によれば、カラムの材料は、アモルファスシリコンおよびナノ結晶シリコン合金を含む。いくつかの実施形態では、シリコン合金は、ナノ結晶相として電極層に存在してもよい。また、陽極層は、アモルファス材料とナノ結晶相との混合物を含み得る。たとえば、アモルファスシリコンとナノ結晶シリコンとの混合物、またはアモルファスシリコンとナノ結晶シリコン合金との混合物、またはナノ結晶状態の混合物の一部(最大約30%)を含むもっぱらアモルファス状態のシリコンとシリコン系合金との混合物である。本発明によれば、アモルファスシリコンカラムは、好ましくは、アノード表面、すなわちアノード層と電解質層との間の界面から垂直方向に延在し、複数のシリコンカラムは、アノード表面に対して垂直に延在する界面によって分離されつつ互いに隣接して配置される。
【0057】
本発明によるシリコン層は、酸化シリコンを含み得る。
【0058】
本明細書において「アモルファスシリコン」という用語は、ナノ結晶シリコンの分画を含むアモルファスシリコンについての定義である、プロト結晶シリコンを含むことを意味すると理解される。この分画は、シリコン層の約30%までであってよい。本明細書では、参照を容易にするために、アモルファスシリコンという用語は、シリコン層がアモルファスシリコンからなることを示すために使用されるが、この場合、シリコン層のナノ結晶領域は、約30%までのナノ結晶シリコンの分画で存在し得る。
【0059】
本発明によるシリコン層は、様々な構成で集電体層上に存在してよい。シリコンは、集電体層または接着層などの基板に取り付けられたナノワイヤテンプレート上にあり得る。本明細書における「ナノワイヤ」という用語は、長さが最大約1μmまでである少なくとも1つの寸法を有する分岐または非分岐のワイヤ状構造を意味すると理解される。ナノワイヤは、たとえば、炭素、金属、またはケイ化ニッケル、ケイ化銅、ケイ化銀、ケイ化クロム、ケイ化コバルト、ケイ化アルミニウム、ケイ化亜鉛、ケイ化チタン、またはケイ化鉄などの金属ケイ化物を含む導電性材料であり、好ましくはNi2Si、NiSi、またはNiSi2を含む少なくとも1つのケイ化ニッケル相を含む。ナノワイヤは、ニッケル、銅、またはチタンなどの集電体と同じ材料のものであってよい。代替的に、ナノワイヤは、ニッケル層でコーティングされた銅集電体などの集電体材料とは別の材料および層であってもよい。シリコンなどの活物質の1つまたは複数の層は、たとえばPVD、CVDまたはPECVDを介してナノワイヤ上に堆積され得る。シリコン層は、炭素、銅、硫化物、金属酸化物、フッ素含有化合物、ポリマー、またはオキシ窒化リン酸リチウムを含み得る。シリコン層は、炭素、銅、硫化物、金属酸化物、フッ素含有化合物、ポリマー、またはオキシ窒化リン酸リチウムを含む層、好ましくは1nmから5μm、より好ましくは10nmから1μmの厚さの炭素層でコーティングされ得る。
【0060】
有利には、本発明によれば、電極タブ材料は、好ましくは1μmから1mm、より好ましくは10から500μm、20から200μm、50から150μm、または約100μmの厚さを有する。
【0061】
本発明によれば、電極タブは、好ましくは1μmから1mm、より好ましくは10から500μm、20から200μm、50から150μm、または約100μmの厚さの金属を含むシート状材料である。
【0062】
本発明によれば、電極タブ材料は、好ましくは、ニッケルもしくは銅、またはニッケル、銅、スズ、ケイ素、銅およびニッケル、銅およびスズ、または銅およびケイ素を含む合金を含む。より好ましくは、電極タブ材料はニッケルを含む。
【0063】
好ましくは、本発明によれば、電極タブ材料がニッケルを含む場合、集電体材料または溶接材料は、アルミニウム、金、銅、鉄、リチウム、マンガン、パラジウム、白金、ツリウム、チタン、タングステン、またはそれらの組合せを含む材料、より好ましくは、アルミニウム、金、銅、リチウム、またはマンガン、なおいっそう好ましくは銅から選択され、電極タブ材料がニッケルではなく銅を含む場合、集電体材料または溶接材料は、銀、アルミニウム、金、ベリリウム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、パラジウム、白金、ケイ素、ツリウム、チタン、タングステン、ジルコニウム、またはそれらの組合せを含む材料、より好ましくは銀、アルミニウム、金、銅、またはマグネシウムから選択される。
【0064】
好ましくは、本発明による電極タブ材料は、集電体材料の融点よりも高い融点を有する。
【0065】
以下の理論に束縛されることを望まないが、集電体材料のより低い融点と比較して電極タブ材料のより高い融点は、溶け込み溶接部が電極タブ材料内に形成されることを可能にすると推定され得、集電体材料は、電極タブ材料内に浸透し、それによって第1の溶接部界面を有する溶接部材料を形成する。したがって、電極タブ材料の融点よりも低い融点を有する任意の集電体材料は、発明により最も好適であり得る。それに加えて、シリコン材料の多孔質構造は、複合電極材料における溶け込み溶接部の潜在的形成を円滑にし得る。代替的に、複合材料中への浸透が小さいか、または最小ですらある、電極タブ材料および/または複合材料を含む取り付け溶接部が形成されてよく、これは確実な溶接および複合材料と電極タブとの間の効果的な電気的連通に十分である。したがって、溶け込み溶接部および取り付け溶接部は両方とも、第2の溶接部界面を持つ溶接部材料を形成することができる。複合材料における溶接部材料の浸透は、複合材料の複数の独立した層を互いに、またそれによって電極タブ材料にも溶接し、電気的に連通することを可能にし得る。このような状況において、溶接部材料は、シリコン材料、溶接材料、および/または集電体材料を含むか、またはそれらからなるもであってよい。好ましくは、溶接部材料はシリコンを含む。代替的に、複合材料、電極タブ材料、溶接材料および/または複合材料を含む溶接部、好ましくは溶接材料、集電体材料および/またはシリコン材料中への浸透が小さいか、または最小ですらある取り付け溶接部が、複合材料の独立した層間に形成されてよく、これは独立した層の間の確実な溶接および効果的な電気的連通に十分である。複合材料の独立した層の1つまたは複数の間に追加の溶接材料層を挿入することは、独立した層の1つまたは複数の後続の溶接を円滑にすることが可能であるが、複合材料の各独立した層のシリコン活物質の層が互いに面しているときにのみ必要であり、複合材料の1つの層の集電体材料の層が集電体材料の後続の層のシリコン活物質の層に面しているときには必要ではない。したがって、複合材料の複数の層が、溶接され、電極タブ材料と電気的に連通することができる。たとえば、後の電極タブ材料、複合材料の4つの層からなるスタックなどの溶接前の異なる構成が予見でき、複合材料層は、後続の複合層のシリコン層、溶接材料の2つの層、複合材料の2つの層に面する1つの複合層の集電体材料層を介して接触し、複合材料層は、後続の複合層のシリコン層、溶接材料の1つの層、複合材料の5つの層に面する1つの複合層の集電体材料層を介して接触し、複合材料層は、後続の複合層のシリコン層、および溶接材料の1つの層に面する1つの複合層の集電体材料層を介して接触し、溶接材料は、複合材料の少なくとも1つのシリコン層と接触している。電極タブ材料と接触していない溶接層も、複合材料の集電体材料と接触し得る。したがって、本発明の方法によれば、ステップdは、好ましくは、ステップcを少なくとも1回、たとえば2から100回、3から50回、4から30回、10から20回、または4から9回繰り返すことを含む。たとえば、大型パウチセルで使用される本発明による組成物は、ステップcを約50回繰り返す。
【0066】
以下の理論に束縛されることを望まないが、本発明による集電体材料は、超音波溶接中に超音波溶接装置によって生成されるエネルギー(たとえば、熱および/または振動)の散逸を可能にすると推測され得る。エネルギーのこの散逸は、超音波溶接による複合電極材料のより剛性の高いシリコン活物質の損傷または破壊を妨げ、したがって、任意選択で中に組み込まれた複合電極材料の複数のユニットを有する、本発明による電極アセンブリの製造を可能にする。
【0067】
本発明の方法によれば、この方法は、好ましくは、超音波エネルギーを印加するステップの前に、好ましくは50kPaもしくは200kPaから700kPaもしくは1500kPa、より好ましくは250kPaから550kPa、または300kPaから500kPa、または約415kPaの圧力を印加することによって、アセンブリスタックを層状にして適所に保持するステップを含む。
【0068】
本発明の方法によれば、エネルギーを印加することは、好ましくは、超音波音響振動を介してエネルギーを印加することを含む。本明細書における「超音波」という用語は、10kHz以上の周波数を有する音波を意味すると理解される。
【0069】
本発明の方法によれば、好ましくは、エネルギーを印加することは、10から200kHz、より好ましくは20から100kHz、20もしくは40から80kHz、最も好ましくは20から60kHz、30から50kHz、20から40kHz、40から60kHz、35から45kHz、または約40kHzの周波数のエネルギーを印加することを含む。
【0070】
本発明の方法によれば、エネルギーを印加することは、好ましくは、0.01から100秒、より好ましくは0.01から50秒、1から30秒、2から20秒、3から10秒、または4から8秒の持続時間でエネルギーを印加することを含む。好ましくは、本発明の方法によれば、エネルギーを印加することは、各別個の複合電極材料に対して0.01から100秒、より好ましくは0.01から50秒、1から30秒、2から20秒、3から10秒、4から8秒、なおいっそう好ましくは0.05から5秒、0.1から3秒、0.5から2秒、0.8から1.6秒の持続時間でエネルギーを印加することを含む。たとえば、10個の複合電極材料層が溶接の前に互いに接触させられるときに、エネルギーを印加する持続時間は、10×0.01から100秒の合計持続時間であり、これは0.1から1000秒に等しい。
【0071】
本発明の方法によれば、エネルギーを印加することは、好ましくは200Wから10kW、より好ましくは500Wから5もしくは6kW、800Wから3もしくは4kW、または1kWから2kWの電力のエネルギーを印加することを含む。エネルギーは、たとえば約9mm2の表面積に印加され得る。そのようなものとして、本発明の方法によれば、エネルギーを印加することは、好ましくは、22W/mm2から1100W/mm2、より好ましくは55W/mm2から555W/mm2もしくは666W/mm2、90W/mm2から333W/mm2もしくは444W/mm2、または111W/mm2から222W/mm2の電力のエネルギーを印加することを含む。
【0072】
本発明の方法によれば、エネルギーを印加することは、好ましくは、1から130μm、より好ましくは5から50μmまたは10から30μmの振幅で、ソノトロードを振動させることを介してエネルギーを印加することを含む。
【0073】
当業者であれば、超音波溶接デバイスの振動数、振動振幅、および出力を調整し、持続時間を調整し、加圧によりアセンブリスタックを層状に適所に保持することを調整することによって、本発明の方法により、整列された電極アセンブリスタックの一部が溶接材料、電極タブおよび複合材料を貫通する溶け込み溶接部、および/または少なくとも溶接部材料と複合材料との間の取り付け溶接部を形成することを可能にすることができるパラメータの多数の異なる組合せが可能であり、好ましくは、溶接部材料の少なくとも一部および電極タブ材料は第1の溶接部界面材料を形成し、溶接部材料の少なくとも一部および複合材料は第2の溶接部界面材料を形成し、それによって電極アセンブリを形成することを理解する。たとえば、より短い持続時間のより高い周波数でも、より長い持続時間のより低い周波数と同じ結果をもたらし得る。しかしながら、本発明による溶接の成功は、溶接パラメータの組合せだけでなく、溶接される材料(の組合せ)にも依存する。
【0074】
本発明による第1の溶接部界面材料は、好ましくは、電極タブ材料もしくはその合金、または電極タブ材料および複合材料、好ましくはシリコンもしくは集電体材料、またはその合金を含む。
【0075】
本発明による第2の溶接部界面材料は、好ましくは、溶接材料および複合材料、好ましくはシリコンもしくは集電体材料、またはそれらの合金、または電極タブ材料および複合材料、好ましくはシリコンもしくは集電体材料、またはそれらの合金を含む。
【0076】
本明細書における「溶接部界面」という用語は、第1の材料と少なくとも1つの第2の材料との超音波溶接の後に第1の材料において形成される新しいハイブリッド領域を意味すると理解され、ハイブリッド領域は混在構成で少なくとも第1の材料および少なくとも1つの第2の材料を含む。追加の材料が超音波溶接に曝されるときに、溶接部界面は、これらの追加の材料の1つまたは複数を含み得る。混合構成は、規則合金もしくは不規則合金、金属間化合物合金もしくは組成および特性が混合物全体にわたって均一である均一混合物、および/または組成および特性が混合物全体にわたって均一でない不均一混合物、またはそれらの組合せであってもよい。好ましくは、第1の溶接部界面材料は合金である。好ましくは、第2の溶接部界面材料は不均一混合物である。
【0077】
好ましくは、本発明によれば、溶接部材料はシリコンを含み、集電体材料、溶接材料、および/または電極タブ材料中に貫入するか、延長されるか、または浸透する。
【0078】
好ましくは、本発明によれば、溶接部材料は、集電体材料を含み、複合材料、集電体材料、シリコン層および/または電極タブ材料中に貫入するか、延長されるか、または浸透する。より好ましくは、溶接部材料は集電体材料を含み、電極タブ材料中に貫入するか、延長されるか、または浸透する。好ましくは、溶接部材料は集電体材料を含み、複合材料、好ましくは集電体材料またはシリコン、より好ましくは集電体材料との付着部を形成する。
【0079】
好ましくは、本発明によれば、溶接部材料は、電極タブ材料を含み、複合材料、集電体材料、溶接材料および/またはシリコン層中に貫入するか、延長されるか、または浸透する。好ましくは、溶接部材料は電極タブ材料を含み、集電体材料中に貫入するか、延長されるか、または浸透する。
【0080】
好ましくは、本発明によれば、溶接部材料は集電体材料を含み、シリコン層、溶接材料、および/または電極タブ材料中に貫入するか、延長されるか、または浸透する。より好ましくは、溶接部材料は集電体材料を含み、電極タブ材料中に貫入するか、延長されるか、または浸透する。
【0081】
本発明によれば、溶接部材料は、好ましくは、全体を通して複合材料の寸法の少なくとも0.01から0.1%または少なくとも0.1から1%、複合材料の寸法の少なくとも10から20%、全体を通して複合材料の寸法の少なくとも20から50%、全体を通して複合材料の寸法の少なくとも50から90%、または全体を通して複合材料の寸法の少なくとも0.01%、0.1%、1%、5%、10%、20%、50%、90%、95%、99%もしくは100%、複合材料中に貫入するか、延長されるか、または浸透する。
【0082】
本発明によれば、溶接部材料は、好ましくは、全体を通して電極タブ材料の寸法の少なくとも5もしくは10から20%、より好ましくは全体を通して電極タブ材料の寸法の少なくとも20から50%、さらに好ましくは全体を通して電極タブ材料の寸法の少なくとも50から90%、または全体を通して電極タブ材料の寸法の少なくとも5%、10%、20%、50%、90%、95%、99%もしくは100%、電極タブ材料中に貫入するか、延長されるか、または浸透する。
【0083】
溶接中、溶接部材料は、ソノトロードに由来する超音波音響振動の方向によって主として決定される方向に形成され、振動は、典型的には、主としてアンビルに向かう軸方向の向きである。溶接中、溶接部材料は、したがって、好ましくは主として超音波音響振動の方向によって決定される寸法方向に沿って、電極タブ材料および任意選択で複合材料中に貫入するかまたは浸透する。
【0084】
有利には、本発明によれば、溶接部材料は、好ましくは、シリコンを含み、集電体材料もしくは溶接材料中に貫入するか、延長されるか、または浸透する。
【0085】
好ましくは、本発明によるアセンブリは、1つまたは複数の、好ましくは4から9個の、互いに電気的に連通し、第1の複合材料と電気的に連通する追加の複合材料を含む。以下の理論に束縛されることなく、溶接部材料は、溶接前に溶接材料または集電体材料が後続の複合材料と接触していなかった後続の接続複合材料中に貫入するか、または浸透し得ると推測される。したがって、上記の効果は、1回の溶接動作によって生成された1つの溶接部を介して複数の複合材料が互いに接続され、電極タブ材料に接続されることを可能にするのに役立ち得る。
【0086】
本発明によれば、溶接部材料、溶接材料、集電体材料、または溶接部界面材料は、好ましくは、アルミニウム、金、銅、鉄、リチウム、マンガン、パラジウム、白金、ツリウム、チタン、タングステン、銀、ベリリウム、マグネシウム、ニッケル、ケイ素またはジルコニウムを含む。好ましくは、溶接部材料、集電体材料、または溶接材料は、銅およびニッケルを含む。
【0087】
本発明によるアセンブリは、好ましくは、電極タブの遠位端と複合材料の近位端との間で20mΩ以下、好ましくは10mΩ未満の抵抗を有し、溶接部材料は、4点測定構造を使用する電圧抵抗ミリアンペア計によって決定される約9mm2の表面積で電極タブおよび複合材料に隣接する。
【0088】
本発明によるアセンブリの電極タブ材料および複合材料の集電体材料は、好ましくは少なくとも0.5または1N/mm、好ましくは少なくとも5または8N/mm、より好ましくは少なくとも10、11、12、13、または14N/mmの接着強度を有する接続部を有する。本発明によるアセンブリの複合材料の電極タブ材料および集電体材料は、好ましくは0.5もしくは1から100N/mm、好ましくは5もしくは8から100N/mm、より好ましくは10から12から15、20、もしくは100N/mm、または約14N/mmの接着強度を有する接続部を有する。
【0089】
本発明による溶接部材料は、好ましくは超音波溶接部材料である。本明細書における「超音波溶接部材料」という用語は、超音波溶接によって形成される溶接部材料を意味すると理解される。超音波溶接部または溶接部材料は、超音波溶接の結果に特有の特性の組合せによって識別され得る。これらの特性は、たとえば、光学顕微鏡または(走査型)電子顕微鏡を介して評価され得る。これらの特性の例は、たとえば、「Characterization of Joint Quality in Ultrasonic Welding of Battery Tabs」、S. Shawn Lee、Tae Hyung Kim、S. Jack Hu、Wayne W. Cai、Jeffrey A. Abell、Jingjing Li.、J. Manuf. Sci. Eng.、Apr. 2013、135(2):021004(13頁)に開示されているような、接触材料の表面におけるソノトロードおよび/またはアンビルのくぼみ、マイクロボンド(冶金学的接着)、界面波(機械的インターロック)、ソノトロードと接触していない空間への変形された材料のオーバーフローである。
【0090】
本発明の別の態様は、組成物を作製するための方法であって、
a. 本発明による第1のアセンブリを提供するステップと、
b. 本発明による第2のアセンブリを提供するステップと、
c. 第1のアセンブリの電極タブを第2のアセンブリの電極タブに接触させるステップと、
d. 電極タブを溶接し、それによって第1のアセンブリの電極タブを第2のアセンブリの電極タブと隣接させて、それらが互いに接合して電気的に連通するようにするステップとを含む。
【0091】
本発明の別の態様は、本発明による少なくとも2つのアセンブリを含む組成物であり、第1のアセンブリの電極タブと第2のアセンブリの電極タブとを隣接させる溶接部を含む。
【0092】
本発明の別の態様は、組成物を作製するための方法であって、
a. 本発明による第1のアセンブリを提供するステップと、
b. 本発明による第2のアセンブリを提供するステップと、
c. 電極タブ材料を提供するステップと、
d. 任意選択で、第1および第2のアセンブリに接触する溶接材料を提供するステップと、
e. 組成物スタックを形成するために
i. 少なくとも1つのアセンブリの少なくとも集電体材料を他のアセンブリに、または
ii. 溶接材料を各アセンブリに、
iii. 電極タブ材料を集電体材料もしくは溶接材料に接触させるステップと、
組成物スタックの一部に超音波エネルギーを印加して、溶接部材料、電極タブ材料および溶接材料または集電体材料を貫通する溶け込み溶接部であって、好ましくは溶接部材料の少なくとも一部および電極タブ材料が第1の溶接部界面材料を形成する、溶け込み溶接部、ならびに/もしくは第1および第2のアセンブリを貫通する溶け込みまたは取り付け溶接部であって、好ましくは溶接部材料の少なくとも一部および複合材料は第2の溶接部界面材料を形成し、それによって組成物を形成する、溶け込みまたは取り付け溶接部を形成するステップとを含む、方法である。
【0093】
本発明の別の態様は、本発明による少なくとも2つのアセンブリを含む組成物であって、第1のアセンブリの複合材料および第2のアセンブリの複合材料に隣接する、好ましくは浸透する溶接部材料を含む溶接部を含み、溶接部材料の少なくとも一部および複合材料、好ましくはシリコンまたは集電体材料は、第2の溶接部界面材料を形成する。
【0094】
本発明のさらなる態様は、電解質、カソード、セパレータ、および本発明によるアセンブリまたは組成物を含む、電池である。
【0095】
本発明による電池は、好ましくは、カソードとアセンブリとの間に配置された媒質とリチウム塩化合物とを含む電解質を備える。
【0096】
媒質は、液体または固体であってもよい。液状媒質およびリチウム塩を含む電解質は、たとえば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、またはそれらの任意の組合せの混合物などの、有機溶媒中のLiPF6、LiBF4、またはLiClO4のいずれか、または室温イオン液体などの、当該技術分野で知られている他のリチウム塩および溶媒からなるものであってよい。電解質は、セラミック電解質などの固体であってもよい。固体セラミック電解質中のリチウム塩は、通常、リチウム金属酸化物として存在する。固体セラミック電解質の例は、超リチウムイオン伝導体、および任意選択でアモルファス構造として構成されるペロブスカイトである。
【0097】
本発明による電池は、好ましくは、単一のアセンブリもしくは組成物、または多数のアセンブリもしくは組成物を含む。本発明による単一のアセンブリもしくは組成物、または多数のアセンブリもしくは組成物は、電池に使用するのに適した構成を得るために折り畳まれるか、または巻かれてよい。
【0098】
有利には、本発明による電池は、好ましくは、巻かれたもしくは折り畳まれた構成、または非金属パウチ内に収容された、電解質、カソード、セパレータ、およびアセンブリまたは組成物を有する。
【0099】
そのようなセルの例は、円筒形、角柱形、パウチ形、およびコイン形のセルである。セルのいくつかの構成は、組み合わせてもよい。たとえば、コイン形セルは(国際特許出願WO2015188959A1において開示されているように)内部円筒形構成を有することができ、またはパウチセルは内部角柱形構成を有することができる。
【0100】
好ましくは、本発明による電池は、単一のアノード電極タブを含む。好ましくは、そのような電池は、角柱形セルまたは円筒形セルを含む。
【0101】
本発明の追加の態様は、エネルギー貯蔵および/または放出デバイスとしての本発明によるアセンブリ、組成物、または電池の使用である。
【0102】
本明細書における「エネルギー貯蔵および/または放出デバイス」という用語は、好適な電池ケース内に装着されたカソード/セパレータ/アノード構造の電極アセンブリを含む、二次電池を意味すると理解される。そのような電池は、高エネルギー密度および高容量を提供することに優れているリチウムイオン二次電池を含み、複数の二次電池を備える二次電池モジュールにおけるそれらの使用は、典型的には、モジュールを形成するためにケーシング内に組み込まれ得る電池パックを形成するために互いに直列に接続される。
【0103】
特に好ましい実施形態E1において、本発明は、電極アセンブリを作製するための方法に関係し、この方法は、
a. 1から100μmの厚さを有する集電体材料上に、0.1から500μmの厚さを有する少なくとも1つのシリコン層を含む第1の複合電極材料を提供するステップと、
b. 整列された電極アセンブリスタックを形成するために、第1の複合電極材料の集電体材料と接触する電極タブ材料を提供するステップと、
c. 整列された電極アセンブリスタックの一部に超音波エネルギーを印加して、
i. 溶接部材料、
ii. 電極タブを貫通し、任意選択で複合材料を貫通する溶け込み溶接部、および/または
iii. 溶接部材料と複合材料との間の少なくとも取り付け溶接部を形成する、ステップとを含み、
それによって電極アセンブリを形成する。
【0104】
この特に好ましい実施形態E1は、接触タブが導電性溶接部を通して集電体材料と電気的に連通させられることを、シリコン層が、著しい
(i)集電体材料からのシリコン層の一部のアブレーション、
(ii)集電体材料からのシリコン層の一部の層間剥離、または
(iii)集電体材料のクラッキング
を示すことなく、可能にする。
【0105】
この結果は、0.1から500μmの厚さを有するシリコンの薄い層は脆くなる傾向があり、一般的に従来の溶接技術による熱的または物理的応力下で集電体からのアブレーションおよび層間剥離を起こす傾向があることを考えると驚くべきことである。
【0106】
この実施形態E1の方法によって直接的に得られる製品は、0.1から500μmの厚さを有するシリコン層が溶接部位の近くでアブレーションまたは層間剥離を示さないという点で、知られている方法によって作られたものと区別され得る。これは、(i)溶接部の表面および(ii)溶接部の断面の走査型電子顕微鏡検査によって確認され得る。
【0107】
特に好ましい実施形態E2において、本発明は、電極アセンブリ(100)を作製するための方法に関係し、この方法は、
a. 1から100μmの厚さを有する集電体材料箔(106)上に、0.1から500μmの厚さを有する少なくとも1つのシリコン層(105)を含む第1の複合電極材料(109)を提供するステップと、
b. 別の複合電極の集電体材料と接触する1から100μmの厚さを有する集電体材料上に、0.1から500μmの厚さを有する少なくとも1つのシリコン層(105)を含む第2の複合電極材料(110)を提供するステップであって、一方の複合電極材料のシリコン層は、他方の複合電極材料のシリコン層と直接的に接触する、ステップと、
c. 第1のアセンブリの集電体材料に接触する1から100μmの厚さを有する溶接材料を提供するステップと、
d. 第2のアセンブリの集電体材料に接触する1から100μmの厚さを有する溶接材料を提供するステップと、
e. 整列された電極アセンブリスタックを形成するために、溶接材料の1つと接触する電極タブ材料を提供するステップと、
f. 整列された電極アセンブリスタックの一部に超音波エネルギーを印加して、
電極タブを貫通し、任意選択で複合材料を貫通する溶け込み溶接部を形成し、それによって電極アセンブリを形成するステップとを含む。
【0108】
方法ステップaからeは
図10に描かれており、最終的な電極アセンブリは
図11に描かれている。
【0109】
この特に好ましい実施形態E2は、接触タブが0.1から500μmの厚さを有する2つのシリコン層に浸透する導電性溶接部を通して集電体材料と電気的に連通させられることを、いずれのシリコン層も、著しい
(i)集電体材料からのシリコン層の一部のアブレーション、
(ii)集電体材料からのシリコン層の一部の層間剥離、または
(iii)集電体材料のクラッキング
を示すことなく、可能にする。
【0110】
この結果は、0.1から500μmの厚さを有するシリコンの薄い層は脆くなる傾向があり、一般的に従来の溶接技術による熱的または物理的応力下で集電体からのアブレーションおよび層間剥離を起こす傾向があることを考えると驚くべきことである。
【0111】
この実施形態E2の方法によって直接的に得られる製品は、溶接部が0.1から500μmの厚さを有する2つのシリコン層(したがって合計0.2から1,000μm)に浸透し、溶接部位の近くでアブレーションまたは層間剥離を示さないという点で、知られている方法によって作られたものと区別され得る。このことは、溶接部の断面の走査型電子顕微鏡検査によって確認され得る。
【0112】
特に好ましい実施形態E3において、本発明は、電極アセンブリを作製するための方法に関係し、この方法は
a. 1から100μmの厚さを有する集電体材料箔(106)のいずれかの側に、各々0.1から500μmの厚さを有する2つのシリコン層、第1および第2のシリコン層(105A、105B)を含む第1の複合電極材料(109)を提供するステップと、
b. 第1の複合電極材料(109)の第2のシリコン層(105B)に接触する1から100μmの厚さを有する第1の溶接材料(114)を提供するステップと、
c. 1から100μmの厚さを有する集電体材料箔(106)のいずれかの側に、各々0.1から500μmの厚さを有する2つのシリコン層、第1および第2のシリコン層(105C、105D)を含む第2の複合電極材料(111)を提供するステップであって、第1の溶接材料(114)は第2の複合電極材料(111)の第1のシリコン層(105C)と接触している、ステップと、
d. 第2の複合電極材料(111)の第2のシリコン層(105D)に接触する1から100μmの厚さを有する第2の溶接材料(108)を提供するステップと、
e. 第1の複合電極材料(109)の第1のシリコン層(105A)に接触する1から100μmの厚さを有する第3の溶接材料(104)を提供するステップと、
f. 整列された電極アセンブリスタック(116)を形成し、第2または第3の溶接材料(104、108)の1つと接触する少なくとも1つの電極タブ材料(103、113)を提供するステップと、
g. 整列された電極アセンブリスタックの一部に超音波エネルギーを印加して、
電極タブを貫通し、任意選択で複合材料を貫通する溶け込み溶接部を形成する、ステップを含み、
それによって電極アセンブリ(100)を形成する。
【0113】
【0114】
この特に好ましい実施形態E3は、接触タブが0.1から500μmの厚さを有する2つのシリコン層に浸透する導電性溶接部を通して集電体材料と電気的に連通させられることを、いずれのシリコン層も、著しい
(i)集電体材料からのシリコン層の一部のアブレーション、
(ii)集電体材料からのシリコン層の一部の層間剥離、または
(iii)集電体材料のクラッキング
を示すことなく、可能にする。
【0115】
この結果は、0.1から500μmの厚さを有するシリコンの薄い層は脆くなる傾向があり、一般的に従来の溶接技術による熱的または物理的応力下で集電体からのアブレーションおよび層間剥離を起こす傾向があることを考えると驚くべきことである。
【0116】
この実施形態E3の方法によって直接的に得られる製品は、溶接部が0.1から500μmの厚さを有する2つのシリコン層(したがって合計0.2から1,000μm)に浸透し、溶接部位の近くでアブレーションまたは層間剥離を示さないという点で、知られている方法によって作られたものと区別され得る。このことは、溶接部の断面の走査型電子顕微鏡検査によって確認され得る。
【0117】
特に好ましい実施形態E4において、本発明は、電極アセンブリを作製するための方法に関係し、この方法は
a. 1から100μmの厚さを有する集電体材料箔(106)のいずれかの側に、各々0.1から500μmの厚さを有する2つのシリコン層、第1および第2のシリコン層(105A、105B)を含む第1の複合電極材料(109)を提供するステップと、
b. 第1の複合電極材料(109)の第2のシリコン層(105B)に接触する1から100μmの厚さを有する第1の溶接材料(114)を提供するステップと、
c. 1から100μmの厚さを有する集電体材料箔(106)のいずれかの側に、各々0.1から500μmの厚さを有する2つのシリコン層、第1および第2のシリコン層(105C、105D)を含む第2の複合電極材料(111)を提供するステップであって、第1の溶接材料(114)は第2の複合電極材料(111)の第1のシリコン層(105C)と接触している、ステップと、
d. 第2の複合電極材料(111)の第2のシリコン層(105D)に接触する1から100μmの厚さを有する第2の溶接材料(115)を提供するステップと、
e. 1から100μmの厚さを有する集電体材料箔(106)のいずれかの側に、各々0.1から500μmの厚さを有する2つのシリコン層、第1および第2のシリコン層(105E、105F)を含む第3の複合電極材料(111)を提供するステップであって、第2の溶接材料(114)は第3の複合電極材料(112)の第1のシリコン層(105E)と接触している、ステップと、
f. 第3の複合電極材料(112)の第2のシリコン層(105F)に接触する1から100μmの厚さを有する第3の溶接材料(108)を提供するステップと、
g. 第1の複合電極材料(109)の第1のシリコン層(105A)に接触する1から100μmの厚さを有する第4の溶接材料(104)を提供するステップと、
h. 整列された電極アセンブリスタックを形成するために、第3または第4の溶接材料(104、108)の1つと接触する少なくとも1つの電極タブ材料(103、113)を提供するステップと、
i. 整列された電極アセンブリスタックの一部に超音波エネルギーを印加して、
電極タブを貫通し、任意選択で複合材料を貫通する溶け込み溶接部を形成するステップとを含み、
それによって電極アセンブリを形成する。
【0118】
【0119】
この特に好ましい実施形態E4は、接触タブが0.1から500μmの厚さを有する2つのシリコン層に浸透する導電性溶接部を通して集電体材料と電気的に連通させられることを、いずれのシリコン層も、著しい
(i)集電体材料からのシリコン層の一部のアブレーション、
(ii)集電体材料からのシリコン層の一部の層間剥離、または
(iii)集電体材料のクラッキング
を示すことなく、可能にする。
【0120】
この結果は、0.1から500μmの厚さを有するシリコンの薄い層は脆くなる傾向があり、一般的に従来の溶接技術による熱的または物理的応力下で集電体からのアブレーションおよび層間剥離を起こす傾向があることを考えると驚くべきことである。
【0121】
この実施形態E4の方法によって直接的に得られる製品は、溶接部が0.1から500μmの厚さを有する2つのシリコン層(したがって合計0.2から1,000μm)に浸透し、溶接部位の近くでアブレーションまたは層間剥離を示さないという点で知られている方法によって作られたものと区別され得る。このことは、溶接部の断面の走査型電子顕微鏡検査によって確認され得る。
【0122】
図の詳細な説明
次に、本発明は、図を参照しつつ説明され、図は主題発明の好ましい例示的な実施形態を示している。
【0123】
図1は、超音波溶接装置のホーン(101)およびアンビル(102)に接触する、超音波溶接前または超音波溶接中の、本発明による電極アセンブリ(100)の概略図を示している。ホーン(101)は、スタックの上に押し下げられているように示されている。スタックは、電極タブ(103)、集電体層(106)、およびシリコン材料層(105)を順に含んでいる。アンビル(102)は、スタックの底部を適所に保持しているように示されている。複合電極材料(109)は、1つのシリコン材料層(105)と集電体層(106)を含む。
【0124】
図2は、超音波溶接装置のホーン(101)およびアンビル(102)に接触する、超音波溶接前または超音波溶接中の、本発明による電極アセンブリ(100)の概略図を示している。ホーン(101)は、スタックの上に押し下げられているように示されている。スタックは、電極タブ(103)、集電体層(106)、1つのシリコン材料層(105)、および任意選択の溶接材料層(108)を順に含んでいる。アンビル(102)は、スタックの底部を適所に保持しているように示されている。複合電極材料(109)が、1つの集電体層(106)と1つのシリコン材料層(105)とを含む。
【0125】
図3は、超音波溶接装置のホーン(101)およびアンビル(102)に接触する、超音波溶接前または超音波溶接中の、本発明による電極アセンブリ(100)の概略図を示している。ホーン(101)は、スタックの上に押し下げられているように示されている。スタックは、電極タブ(103)、集電体層(106)、1つのシリコン材料層(105)、第2の集電体層(106)、第2のシリコン材料層(105)、および任意選択の溶接材料層(108)を順に含んでいる。アンビル(102)は、スタックの底部を適所に保持しているように示されている。第1の複合電極材料(109)が、1つの集電体層(106)と1つのシリコン材料層(105)とを含む。第2の複合電極材料(110)が、1つの集電体層(106)と1つのシリコン材料層(105)とを含む。
【0126】
図4は、超音波溶接装置のホーン(101)およびアンビル(102)に接触する、超音波溶接前または超音波溶接中の、本発明による電極アセンブリ(100)の概略図を示している。ホーン(101)は、スタックの上に押し下げられているように示されている。スタックは、電極タブ(103)、集電体層(106)、1つのシリコン材料層(105)、任意選択の溶接材料層(108)、第2の集電体層(106)、第2のシリコン材料層(105)、および第2の任意選択の溶接材料層(108)を順に含んでいる。アンビル(102)は、スタックの底部を適所に保持しているように示されている。第1の複合電極材料(109)が、1つの集電体層(106)と1つのシリコン材料層(105)とを含む。第2の複合電極材料(110)が、1つの集電体層(106)と1つのシリコン材料層(105)とを含む。
【0127】
図5は、超音波溶接装置のホーン(101)およびアンビル(102)に接触する、超音波溶接前または超音波溶接中の、本発明によらない、電極アセンブリ(100)の概略図を示している。ホーン(101)は、スタックの上に押し下げられているように示されている。スタックは、電極タブ(103)、集電体層(106)、1つのシリコン材料層(105)、第2のシリコン材料層(105)、第2の集電体層(106)、および任意選択の溶接材料層(108)を順に含んでいる。アンビル(102)は、スタックの底部を適所に保持しているように示されている。第1の複合電極材料(109)が、1つの集電体層(106)と1つのシリコン材料層(105)とを含む。第2の複合電極材料(110)が、1つの集電体層(106)と1つのシリコン材料層(105)とを含む。別個の複合電極は、それらのシリコン層を介して互いに接触しているので、溶接が形成されないか、または不適切な溶接が形成され、そのようなものとして、このアセンブリは結果として、電極アセンブリの商業的運用性に必要とされる十分な接着強度および電気的な連通をアセンブリにもたらさない。アセンブリのいずれかの端部に加えられるわずかな引っ張り力が、アセンブリの他の層から1つまたは複数の層を分離する。
【0128】
図6は、超音波溶接装置のホーン(101)およびアンビル(102)に接触する、超音波溶接前または超音波溶接中の、本発明による電極アセンブリ(100)の概略図を示している。ホーン(101)は、スタックの上に押し下げられているように示されている。スタックは、電極タブ(103)、集電体層(106)、1つのシリコン材料層(105)、必須の溶接材料層(104)、第2の集電体層(106)、第2のシリコン材料層(105)、および任意選択の溶接材料層(108)を順に含んでいる。アンビル(102)は、スタックの底部を適所に保持しているように示されている。第1の複合電極材料(109)が、1つの集電体層(106)と1つのシリコン材料層(105)とを含む。第2の複合電極材料(110)が、1つの集電体層(106)と1つのシリコン材料層(105)とを含む。
【0129】
図1から
図4および
図6に示されている電極アセンブリスタックは、本発明に従って溶接することができ、その結果、各コンポーネントが互いに電気的に連通し、すべてのコンポーネントが電極アセンブリの商業的運用性に必要とされる十分以上の接着強度で一緒に保持される、本発明による電極アセンブリが得られる。
【0130】
図7は、4点接触抵抗測定用の回路に取り付けられた本発明による電極アセンブリ(100)を示す概略図である。電極タブ材料(103)は、超音波溶接によって生成された溶接部材料を含む溶接部(200)を介して電極アセンブリ(100)に溶接される。電流を供給する電池(201)は、第1の端子(202)で電極タブの近位点に、第2の端子(203)で電極アセンブリの近位点に取り付けられる。電圧抵抗ミリアンペア計(204)は、電極タブの近位点(205)に、また電極アセンブリの遠位点(206)に取り付けられる。電圧抵抗ミリアンペア計(204)は、電圧抵抗ミリアンペア計(204)の2つの接触点(205、206)間の抵抗を決定し、それによって超音波溶接された電極タブ材料、溶接部材料、複合材料、および任意選択で溶接材料を含む回路の電気的な連通を検証するために使用され得る。
【0131】
図8は、超音波溶接前の実施例1の材料を概略として描いている。
図8は、超音波溶接装置のホーン(101)およびアンビル(102)に接触する、超音波溶接前の、整列された電極アセンブリスタック(116)を描いている。ホーン(101)は、スタックの上に押し下げられているように示されている。整列された電極アセンブリスタック(116)は、上から下へと、電極タブ(103)、集電体層(106)、およびシリコン材料層(105)を順に含んでいる。互いと共に、集電体層(106)とシリコン材料層(105)は電極タブ材料(109)を形成する。アンビル(102)は、スタックの底部を適所に保持しているように示されている。複合電極材料(109)は、1つのシリコン材料層(105)と集電体層(106)を含む。
【0132】
図9は、超音波溶接後の実施例1の材料を描いている。
図9は、超音波溶接装置のホーン(101)およびアンビル(102)に接触する、超音波溶接後の、電極アセンブリ(100)を描いている。ホーン(101)は、スタックの上に押し下げられているように示されている。整列された電極スタックアセンブリ(116)は、上から下へと、電極タブ(103)、集電体層(106)、およびシリコン材料層(105)を順に含んでいる。互いと共に、集電体層(106)とシリコン材料層(105)は電極タブ材料(109)を形成する。アンビル(102)は、スタックの底部を適所に保持しているように示されている。複合電極材料(109)は、1つのシリコン材料層(105)と集電体層(106)を含む。
【0133】
図10は、本発明の超音波溶接プロセスの前に、シリコン層が直接接触するように積層された2つの薄箔複合電極材料を含む電極アセンブリスタックの断面を示す概略図である。
【0134】
整列された電極アセンブリスタック(116)は、上から下へと、電極タブ(103)、溶接材料(108)、集電体層(106)、シリコン材料層(105)、別のシリコン材料層(105)、別の集電体層(106)、および別の溶接材料(108)を順に含んでいる。互いと共に、集電体層(106)とシリコン材料層(105)は、電極タブ材料(109、110)を形成する。アンビル(102)は、スタックの底部を適所に保持しているように示されている。複合電極材料(109)は、1つのシリコン材料層(105)と集電体層(106)を含む。
【0135】
図11は、集電体層(106)を電極タブ材料(103)に接続する溶け込み溶接部(116)を含む、本発明による電極アセンブリの断面を示す概略図である。
【0136】
図11は、超音波溶接装置のホーン(101)およびアンビル(102)に接触する、超音波溶接後の、電極アセンブリ(100)を描いている。ホーン(101)は、スタックの上に押し下げられているように示されている。
【0137】
電極アセンブリ(100)は、上から下へと、電極タブ(103)、溶接材料(108)、集電体層(106)、シリコン材料層(105)、別のシリコン材料層(105)、別の集電体層(106)、および別の溶接材料(108)を順に含んでいる。互いと共に、集電体層(106)とシリコン材料層(105)は、電極タブ材料(109、110)を形成する。電極タブ(103)および集電体層(106)は、溶け込み溶接部(116)によって接続され、これは電極タブ(103)および集電体層(106)を電気的に連通させる導体としての動作をさせる。
【0138】
図12は、(i)集電体材料(106)のいずれかの側にシリコン層(105)をコーティングされた2つの薄箔複合電極材料と、(ii)本発明の超音波溶接プロセスの前に、各シリコン層(105)が少なくとも1つの溶接材料と直接接触するように積層された3つの溶接材料層(104、108、114、115)と、を含む電極アセンブリスタックの断面を示す概略図である。
【0139】
整列された電極アセンブリスタック(116)は、上から下へと、電極タブ(103)、溶接材料(104)、シリコン層(105A)、集電体層(106)、シリコン層(105B)、溶接材料(114)、別のシリコン材料層(105C)、別の集電体層(106)、別のシリコン層(105D)、別の溶接材料(108)、および最後に任意選択の第2のタブ(113)を順に含んでいる。互いと共に、集電体層(106)とシリコン材料層(105A~D)は、2つの電極タブ材料(109、111)を形成する。アンビル(102)は、スタックの底部を適所に保持しているように示されている。複合電極材料(109)は、1つのシリコン材料層(105)と集電体層(106)を含む。
【0140】
図13は、集電体層(106)を電極タブ材料(103、113)に接続する溶け込み溶接部(116)を含む、本発明による電極アセンブリの断面を示す概略図である。
【0141】
電極アセンブリ(100)は、上から下へと、電極タブ(103)、溶接材料(104)、シリコン層(105A)、集電体層(106)、シリコン層(105B)、溶接材料(114)、別のシリコン材料層(105C)、別の集電体層(106)、別のシリコン層(105D)、別の溶接材料(108)、および最後に任意選択の第2のタブ(113)を順に含んでいる。電極タブ(103)および集電体層(106)は、溶け込み溶接部(116)によって接続され、これは電極タブ(103)および集電体層(106)を電気的に連通させる導体としての動作をさせる。
【0142】
図14は、(i)集電体材料(106)のいずれかの側にシリコン層(105)をコーティングされた3つの薄箔複合電極材料と、(ii)本発明の超音波溶接プロセスの前に、各シリコン層(105)が少なくとも1つの溶接材料と直接接触するように積層された5つの溶接材料層(104、108、114、115)と、を含む電極アセンブリスタックの断面を示す概略図である。
【0143】
整列された電極アセンブリスタック(116)は、上から下へと、電極タブ(103)、溶接材料(104)、シリコン層(105A)、集電体層(106)、シリコン層(105B)、溶接材料(114)、別のシリコン材料層(105C)、別の集電体層(106)、別のシリコン層(105D)、別の溶接材料(115)、別のシリコン層(105E)、別の集電体層(106)、別のシリコン層(105F)、別の溶接材料(108)、および最後に任意選択の第2のタブ(113)を順に含んでいる。互いと共に、集電体層(106)とシリコン材料層(105A~D)は、2つの電極タブ材料(109、111)を形成する。アンビル(102)は、スタックの底部を適所に保持しているように示されている。複合電極材料(109)は、1つのシリコン材料層(105)と集電体層(106)を含む。
【0144】
図15は、集電体層(106)を電極タブ材料(103、113)に接続する溶け込み溶接部(116)を含む、本発明による電極アセンブリの断面を示す概略図である。
【0145】
電極アセンブリ(100)は、上から下へと、電極タブ(103)、溶接材料(104)、シリコン層(105A)、集電体層(106)、シリコン層(105B)、溶接材料(114)、別のシリコン材料層(105C)、別の集電体層(106)、別のシリコン層(105D)、別の溶接材料(115)、別のシリコン層(105E)、別の集電体層(106)、別のシリコン層(105F)、別の溶接材料(108)、および最後に任意選択の第2のタブ(113)を順に含んでいる。電極タブ(103、113)および集電体層(106)は、溶け込み溶接部(116)によって接続され、これは電極タブ(103、113)および集電体層(106)を電気的に連通させる導体としての動作をさせる。
【0146】
定義:
「整列された電極スタックアセンブリ」は、最終的な電極アセンブリの一部となる材料の層の溶接前構成を意味する。
「電極アセンブリ」は、超音波溶接後の、最終的な電極アセンブリを意味し、(i)溶接部材料、(ii)溶け込み溶接部、または(iii)取り付け溶接部、の少なくとも1つを含む。
「溶け込み溶接部」は、少なくとも1つの集電体材料と1つの電極タブとを接続する少なくとも1つのシリコン層を貫通する溶接部である。
【0147】
次の非限定的な例は、本発明によるプロセスおよび材料を例示している。
【実施例1】
【0148】
電極アセンブリを作製するための1つの方法:
複合電極材料が、片面にシリコンをコーティングした銅箔の形態で提供された。銅箔それ自体の厚さは10μmであった。シリコン層の厚さは10μmであった。
【0149】
電極タブ材料は、100μmの厚さを有するニッケル電極タブの形態で提供された。ニッケル電極タブ材料は、銅箔がニッケル電極と直接的に接触するように複合電極材料の上に置かれた。材料の3つの層のこのセットが整列され(互いの上に積み重ねられ)て、整列した電極アセンブリスタックを形成した。超音波溶接の前に、ニッケルタブと銅箔は互いから容易に分離され得る。
図8に示されているように、スタックは、GN-800超音波溶接装置(GELON社製)のホーンとアンビルとの間に置かれた。超音波エネルギーが整列された電極アセンブリスタックの一部に印加され、それにより溶接部材料からなる溶接部を形成した。超音波溶接は、約3×3mmのソノトロードとニッケル電極タブとの接触表面積にわたって、414kPaの圧力を用い、3秒間、800Wの電力に設定された超音波溶接装置を用いて行われ、それによって本発明による有効な電極アセンブリを作製した。
【0150】
2つの異なる溶接方法の結果としての電極アセンブリの接触抵抗は、
図7による4点プローブ測定を使用して比較された。
【0151】
4点プローブ接触抵抗測定の結果、10mΩ未満の値が得られた。そのような値は、特に有利である。
【0152】
レーザー溶接または従来の溶接などの溶接の代替的方法は、結果として、シリコン層に著しい損傷を引き起こすと考えられる。
【符号の説明】
【0153】
100 電極アセンブリ
101 ホーン
102 アンビル
103 電極タブ、電極タブ材料
104、108、114、115 溶接材料層
105 シリコン層、シリコン材料層
105A 第1のシリコン層、シリコン材料層
105B 第2のシリコン層、シリコン材料層
105C 第1のシリコン層、シリコン材料層
105D 第2のシリコン層、シリコン材料層
105E 第1のシリコン層
105F 第2のシリコン層
106 集電体層、集電体材料、集電体材料箔
108 第2の溶接材料、第3の溶接材料、溶接材料層
109 第1の複合電極材料、電極タブ材料
110 第2の複合電極材料、電極タブ材料
111 第2の複合電極材料、電極タブ材料
112 第3の複合電極材料
113 電極タブ材料、第2のタブ
114 第1の溶接材料
115 溶接材料
116 接触溶接部
116 溶け込み溶接部、電極アセンブリスタック
200 溶接部
201 電池
202 第1の端子
203 第2の端子
204 電圧抵抗ミリアンペア計
205 近位点、接触点
206 遠位点、接触点
【国際調査報告】