(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】サーキットブレーカに組み込むように構成された可動スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 73/02 20060101AFI20240416BHJP
H01H 1/06 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01H73/02 C
H01H1/06 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568495
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 EP2022062213
(87)【国際公開番号】W WO2022238242
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516314136
【氏名又は名称】ヘイガー-エレクトロ エスエーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】エロイ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ケッテラー,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】プー,ニコラ
【テーマコード(参考)】
5G030
5G051
【Fターム(参考)】
5G030AA04
5G030AA08
5G030XX08
5G051AA11
5G051AA27
(57)【要約】
本発明は、カットオフチャンバ付近で固定接点に当接してサーキットブレーカ内に組み込まれるように構成された可動接点を対象とし、その可動接点は、ほぼ平行に並置されて互いにアラインメントされた複数のフィンガ(2)の形状を呈し、それらの一端(2a)により共通コアに結合されており、可動接点の2つの並置されたフィンガ(2)の各表面を分離する櫛歯状スペースが、1.3ミリメートル以下の値の離隔幅を有することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カットオフチャンバ付近で固定接点に当接してサーキットブレーカ内に組み込むように構成された可動接点(1)であって、前記可動接点は、ほぼ平行に並置されて互いにアラインメントされ、端部(2a)の1つによって共通コア(2b)に結合される複数のフィンガ(2)の形状を呈する、可動接点であり、前記可動接点(1)の2つの並置されたフィンガ(2)のそれぞれの表面を分離する櫛歯状スペース(3)が1.3ミリメートル以下の値の離隔幅を有し、前記櫛歯状スペース(3)のレベルで2つの並置された各接触フィンガ(2)の面(2a)が個々の分離要素(4)に結合される一方で、前記分離要素(4)の各々が個々のフィンガ(2)に固定式に装着され、前記分離要素(4)の各々が対応分離要素の表面を擦ることができるようにされていることを特徴とする、可動接点。
【請求項2】
前記可動接点(1)が、少なくとも6個の接触フィンガ(2)を含み、前記フィンガが、2つの並置されたフィンガ(2)を隔てる櫛歯状スペース(3)に位置づけられる少なくとも1つの分離要素(4)にそれぞれ結合され、前記分離要素(4)が70×10
-8Ω・m(オームメートル)以上の抵抗率を有することを特徴とする、請求項1に記載の可動接点(1)。
【請求項3】
前記可動接点(1)の並置された様々なフィンガ(2)が、前記フィンガ(2)の主軸の垂直面における断面では少なくとも、ほぼ同じ寸法を有することを特徴とする、先行する請求項の一項に記載の可動接点(1)。
【請求項4】
ステンレス鋼製の少なくとも1つの分離要素(4)が、前記フィンガ(2)の主軸の垂直面における断面に沿って、1つのフィンガ(2)の1つの櫛歯面(2a)に対して挿入されるように構成されたUリンク状の配置を有し、脚部が、前記櫛歯面(2a)との共通縁を有する前記フィンガ(2)の2つの対向面(2a)の位置にくるようにされていることを特徴とする、先行する請求項の一項に記載の可動接点(1)。
【請求項5】
ステンレス鋼製の少なくとも1つの分離要素(4)が、前記フィンガ(2)の主軸の垂直面における断面に沿ってUリンク状の配置を有し、その脚部が、同一フィンガ(2)の両側に位置づけられる櫛歯面(2a)の少なくとも大部分を覆うように配置されることを特徴とする、先行する請求項の一項に記載の可動接点(1)。
【請求項6】
前記分離要素(4)のUリンクの一方の脚部の少なくとも1つの縁が保持手段(41)を有し、前記保持手段が、前記分離要素(4)の一方の脚部によって覆われる櫛歯面(2a)との共通縁を有するフィンガ(2)の面の1つに接して位置づけられることを特徴とする、請求項4または5の一項に記載の可動接点(1)。
【請求項7】
1つのフィンガの櫛歯面に接して位置づけられる分離要素(4)の部分では少なくとも、厚さが0.7ミリメートル以下の値であることを特徴とする、先行する請求項の一項に記載の可動接点(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの分離要素(4)が、2つの並置された分離要素(4)を離隔するように構成されたばね手段を備えることを特徴とする、先行する請求項の一項に記載の可動接点(1)。
【請求項9】
フィンガ(2)の櫛歯面に当接する少なくとも1つの分離要素(4の)表面は、前記分離要素(4)が位置づけられるフィンガ(2)の櫛歯面の表面の大部分とほぼ同じ形状および寸法を有することを特徴とする、先行する請求項の一項に記載の可動接点(1)。
【請求項10】
前記可動接点(1)が、前記可動接点(1)の各フィンガ(2)および結合される各分離要素(4)により支持される貫通穴(10、14)を介して装着される直線状の貫通ピボット軸(5)に結合されることを特徴とする、先行する請求項の一項に記載の可動接点(1)。
【請求項11】
前記可動接点(1)が、前記可動接点(1)の端部で前記フィンガ(2)の櫛歯面の対向面に接して位置づけられるステンレス鋼製の少なくとも1つのセパレータ(40)を同様に含むことを特徴とする、先行する請求項の一項に記載の可動接点(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーキットブレーカ内部の遮断機構における接触インターフェースの分野に関し、より詳しくは、これらの接触インターフェースの配置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
サーキットブレーカには、このサーキットブレーカが配置される回路に沿って過負荷または過電圧が発生した場合に電気的遮断を作動させる機構が組み込まれている。この機構は、カットオフチャンバ内に配置された一対の接触要素を介在させて、互いに接続位置にあるときは電流を流し、分離位置にあるときは2つの接触要素間のあらゆる導通を停止する。機械的には、これらの接触要素は、一方が、サーキットブレーカの支持構造に備わる固定接点、他方が、この固定接点に対して移動する可動接点の形態で構成される。固定接点と可動接点の2つの接点は、電流を確実に流すために互いに当接するように構成されたそれぞれの表面を備えている。しかし、固定接点の表面に当接する可動接点の表面は、サーキットブレーカの遮断機構を通過する電流量を最適化するために十分に大きくなければならない点に留意する必要がある。
【0003】
一般に、固定接点に対する可動接点による接続は、互いに平行に配置された複数のフィンガを有する導電性材料からなる構造の位置で実施され、各フィンガの表面は、固定接点の表面に当接するように構成された表面を備える。固定接点と同様の幅の単一のフィンガを有する可動接点とは違って、互いに間隔をあけて配置された複数のフィンガの形状を呈する可動接点を実現すれば、各可動フィンガの平面と固定接点の平面との接触面を最適化することができる。単一のフィンガによって形成される可動接点の平面と、固定接点の平面との間には傾斜が生じるリスクがあり、その結果、存在する固定接点および可動接点の表面に比べて当接面が制限され、そうした場合には離隔が生じてしまう。しかし、フィンガの数が多すぎると、固定接点の表面に対する各フィンガの当接面が著しく狭くなり、可動接点が及ぼす圧力の影響下でこれらのフィンガの端部が固定接点の表面の品質を劣化させる可能性がある。
【0004】
さらに、可動接点には、そのフィンガ間の櫛歯状スペースの位置に分離要素が組み込まれる。これらの分離要素は、可動接点の様々なフィンガを互いに平行な向きに保ち、それによって固定接点の表面に対する可動接点のフィンガの当接面の分布を最適化するのに必要不可欠な部品である。それと併せて、可動接点が占める容積を形成するカットオフチャンバの寸法も同様に、外形寸法の様々な制約によって左右される。これらの制約により、可動接点の長さ、特に固定接点に当接する可動接点の表面の幅を最大値にすることが課される。
【0005】
一方ではカットオフチャンバによって課される寸法設定と分離要素の外形寸法とに関連し、他方では可動接点と固定接点との当接面を通って移動する電流量の最適化に関連する上記の様々な制約を考慮して、現在までに開発されている第三のサーキットブレーカのための遮断機構は、可動接点が各幅約6ミリメートルの最大5個のフィンガを含み、これらのフィンガが平行に配置され、分離要素により互いに数ミリメートルの間隔をあけて保持されるという技術的妥協に基づいている。こうした状況において、産業用途で使用されている既存のサーキットブレーカの性能は、70ケルビン程度の加熱幅に耐えながら最大50kAのICW値(定格短時間耐電流)に達し得る電流量を流すことができる。しかし、サーキットブレーカの電気遮断機構のこのレベルの技術的性能では、産業用途の範囲で必要とされるニーズと安全条件に関して不十分になる傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、既存の装置により解決されているカットオフチャンバの寸法設定の制約に対応しながら、接点の加熱幅を低減すると同時にサーキットブレーカが耐え得る電流強度を改善可能な解決方法を提案することによって、上記の様々な不都合を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、カットオフチャンバ付近で固定接点に当接してサーキットブレーカ内に組み込まれるように構成された可動接点を対象とし、この可動接点は、ほぼ平行に並置されて互いにアラインメントされた複数のフィンガの形状を呈し、それらの一端により共通コアに結合されており、この可動接点の2つの並置されたフィンガの各表面を分離する櫛歯状スペースが、値1.3ミリメートル以下の離隔幅を有することを特徴とする。
【0008】
本発明は、限定的ではない例として挙げられ、添付図面に関して記載された好ましい実施形態に関する以下の説明を読めば、いっそう理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による可動接点の配置の一例を示す概略図である。
【
図2】本発明による可動接点の配置の一例を示す分解組立図である。
【
図3】分離要素が組み込まれた本発明による可動接点のフィンガの一例を示す概略図である。
【
図4】本発明による可動接点のフィンガ用の分離要素の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、カットオフチャンバ付近で固定接点に当接してサーキットブレーカ内に組み込まれるように構成された可動接点1に関し、この可動接点は、ほぼ平行に並置されて互いにアラインメントされた複数のフィンガ2の形状を呈し、それらの一端2aにより共通コア2bに結合されており、可動接点1の2つの並置されたフィンガ2の各表面を分離する櫛歯状スペース3が、値1.3ミリメートル以下の離隔幅を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によるこのような可動接点1の構造は、様々なフィンガ2の配置を統合して、それらの個々の位置を互いに接近させ、既存の従来技術による可動接点に比べて追加フィンガ2を存在可能にするのに十分なスペースをカットオフチャンバの幅内に解放できるようにするものである。追加フィンガ2の存在により、可動接点1は、固定接点の表面との当接面を最適化することができる。したがって、従来技術から公知の可動接点は、固定接点の表面に当接する5個のフィンガ2を備えるが、本発明の可動接点では6番目のフィンガ2が存在することにより、可動接点と固定接点との間の総交換断面を増やすことができる。この解決方法により、一方ではサーキットブレーカのICW値を上げることができ、他方では、サーキットブレーカのカットオフチャンバの寸法設定に影響を及ぼすことなくサーキットブレーカが引き受ける加熱を低減することができる。
【0012】
本発明による可動接点の特定の実施例に関連する構造変形実施形態によれば、可動接点1が少なくとも6個の接触フィンガ2を含み、このフィンガが、2つの並置されたフィンガ2を隔てる櫛歯状スペース3に位置づけられる少なくとも1つの分離要素4にそれぞれ結合され、分離要素4が70×10-8Ω・m(オームメートル)以上の抵抗率を有する。1つの実施例によれば、分離要素4はステンレス鋼で作られる。分離要素4が組み込まれたこの配置は、櫛歯状スペース3の両側に配置された一対のフィンガ2に剛性を与え、フィンガ2の変形リスクを抑えるとともに、少なくとも一方のフィンガが変形した場合、2つの並置されたフィンガ2が接触するリスクを制限する。
【0013】
特定の構造実施例によれば、可動接点1の6個の各フィンガ2が約6ミリメートルの幅を有し、約1.2ミリメートルの櫛歯状スペース3により分離されている。したがって、この構造により、幅約46ミリメートルのカットオフチャンバの内部に6個のフィンガ2を備える可動接点1を位置づけることができる。したがって、6個のフィンガ2を有する可動接点1のこうした特定の配置は、このような寸法を有する接触フィンガ2の数によって、幅46ミリメートルのカットオフチャンバ内、つまり可動接点および固定接点の一対の接点を位置づけるために容積70ミリメートルが割り当てられるサーキットブレーカ内で、サーキットブレーカが引き受ける電流強度に対する抵抗と、その接点の加熱制限との組み合わせを最適化できる好ましい1つの実施形態に対応する。
【0014】
本発明による可動接点の別の特定の実施例に関連し、前述の変形実施形態と組み合わせ可能な別の構造変形実施形態によれば、可動接点1の並置された様々なフィンガ2は、これらのフィンガ2の主軸の垂直面における断面では少なくとも、ほぼ同じ寸法を有する。このように断面が同じであることにより、5個のフィンガ2からなる従来技術の固定接点と可動接点との間の総交換断面に比べて20%の交換面積の利得を得られる。このような配置により、可動接点と固定接点との間の性能が向上し、一方ではサーキットブレーカのICW値が55kAに達することができ、他方では、従来技術から公知のデバイスと比較して加熱温度を5K下げることができる。
【0015】
本発明による可動接点1の特定の実施例に関連し、前述の変形実施形態と組み合わせ可能な別の構造変形実施形態によれば、可動接点1の並置された様々なフィンガ2は、これらのフィンガ2の主軸の垂直面における断面では少なくとも、ほぼ同じ寸法を有する。フィンガ2の形状および構造のこうした相互均一性により、可動接点1内を流れる電流の分布は、様々なフィンガ2間で同一ではないにしても同様にすることができる。各フィンガ2が引き受ける制約も同じであるので、可動接点1の性能をいっそう容易に最適化することができる。
【0016】
本発明による可動接点1の特定の実施例に関連し、前述の変形実施形態と組み合わせ可能な別の構造変形実施形態によれば、櫛歯状スペース3の位置で、2つの並置された各接触フィンガの面2aが個々の分離要素4に結合される。各々の櫛歯状スペース3に一対の分離要素4を位置づけるこうした配置により、この櫛歯状スペース3における個々の表面の相互摩擦によって、一方の分離要素4が他方に対して移動することができる。さらに、櫛歯状スペース3内に一対の分離要素4を配置することにより、2つの並置されたフィンガ間に断熱および電気的絶縁という二重の遮断を設定できる。
【0017】
分離要素4の構造の変形実施形態の特定の実施例に関する別の構造変形実施形態によれば、各分離要素4は、これらの分離要素4の各々が、その対応する分離要素の表面を擦ることができるように個々のフィンガ2に固定式に装着される。この特定の変形実施形態によれば、櫛歯状スペース3は、可動接点1の個々のフィンガ2に結合される分離要素4を備え、並置された隣接フィンガに対する可動接点1の1つのフィンガの移動は、櫛歯状スペース3を囲む各フィンガ2にそれぞれ結合される分離要素4の表面を、互いにスライドすることによって行なわれる。
【0018】
分離要素4の構造変形実施形態の別の特定の実施例に関連し、前述の実施例と組み合わせ可能な別の構造変形実施形態によれば、ステンレス鋼製の少なくとも1つの分離要素4が、フィンガ2の主軸の垂直面における断面に沿って、フィンガ2の櫛歯面2aに対して挿入されるように構成されたUリンク状の配置を有し、脚部が、櫛歯面2aとの共通縁を有するフィンガ2の2つの対向面2aの位置にくるようにされる。Uリンクの形状を呈する分離要素4のこの配置により、フィンガ2の複数の面で断熱および電気的絶縁が得られる。さらに、分離要素4のUリンク状のこのような配置により、分離要素4の脚部の間へのフィンガ2の挿入によって、可動接点1の専用フィンガ2と分離要素4との装着および組立を簡単に実施できる。特定の変形実施形態によれば、分離要素4は、特に挟むことで操作されるクリップ機構によってフィンガ2に位置づけられる。
【0019】
分離要素4の構造変形実施形態の別の特定の実施例に関連し、前述の実施例と組み合わせ可能な別の構造変形実施形態によれば、ステンレス鋼製の少なくとも1つの分離要素4が、フィンガ2の主軸の垂直面における断面に沿ってUリンク状の配置を有し、その脚部が、同一フィンガ2の両側に位置する櫛歯面2aの少なくとも大部分を覆うように配置される。分離要素4のこのような配置により、対応する1つのフィンガの表面に向かい合って位置するフィンガ2の側面2aの大部分、さらには主要部分を覆うことができる。また、このように特徴づけられた分離要素4により、櫛歯状スペース3の大部分に沿って並置された2つのフィンガの間で断熱および電気的絶縁を実施可能になる。
【0020】
分離要素4の構造変形実施形態の別の特定の実施例に関連し、前述の実施例と組み合わせ可能な別の構造変形実施形態によれば、分離要素4のUリンクの一方の脚部の少なくとも1つの縁が保持手段41を有し、この保持手段は、分離要素4の脚部によって覆われる櫛歯状面2aとの共通縁を有するフィンガ2の面の1つに接して位置づけられる。1つの構造実施例によれば、この保持手段41は、フィンガ2の面の1つと協働して、分離要素4の一方の脚部の表面が、それが当接するフィンガ2の櫛歯面に対してスライドすることを制限し、さらには阻止するように配置される。この保持手段41は、分離要素4の脚部との材料の連続性によって形成されたタブの形状を呈し、このタブは、2つの脚部を接合するUリンク部分にほぼ平行な面に配置されるように曲げられている。特定の構造実施例によれば、Uリンクの脚部は接合部に対して比較的柔軟性があるので、保持手段41のタブが、分離要素4の2つの脚部を接合するUリンク部分と相互作用するフィンガ2の面とは反対側のフィンガ2の面と協働するまで、フィンガ2に分離要素4のUリンクを挿入することができる。分離要素4のUリンクをフィンガ2に挿入すると、分離要素4の脚部によってフィンガ2が挟まれる。
【0021】
分離要素4の構造変形実施形態の別の特定の実施例に関連し、前述の実施例と組み合わせ可能な別の構造変形実施形態によれば、1つのフィンガの櫛歯面に接して位置づけられる分離要素4の部分では少なくとも、厚さが0.7ミリメートル以下、好ましくは約0.6ミリメートルの値である。
【0022】
分離要素4の構造変形実施例の別の特定の実施例に関連し、前述の実施例と組み合わせ可能な別の構造変形実施形態によれば、少なくとも1つの分離要素4は、2つの並置された分離要素を離隔するように構成されたばね手段を含む。このばね手段の構造の第1の実施例によれば、ばね手段は、分離要素4の少なくとも1つの突起により形成され、この突起は、1つのフィンガの櫛歯面に接するかまたは櫛歯状スペース内に位置するように構成された分離要素の表面のうちの、1つの表面に設けられる。この突起は、櫛歯面の平面に対して分離要素4の表面の平坦性を適度に変化させるボスの形状をとることができ、その結果、ボスの曲率により、分離要素4の表面の一部を、フィンガ2の櫛歯面に当接する分離要素の残りの表面から離隔させる。分離要素4の材料の弾性のおかげで、ボスの曲率によりその変形にある程度の柔軟性が与えられ、分離要素4の一部に組み込まれる皿ワッシャと同様の仕方でばね手段が形成される。第2の実施例によれば、ばね手段は皿ワッシャから形成され、櫛歯状スペース内に位置するように構成された分離要素4の表面の一部に結合される。
【0023】
分離要素4の構造変形実施形態の別の特定の実施例に関連し、前述の実施例と組み合わせ可能な別の構造変形実施形態によれば、フィンガ2の櫛歯面に当接する少なくとも1つの分離要素4の表面は、分離要素4が位置づけられるフィンガ2の櫛歯面の表面の大部分とほぼ同じ形状および寸法を有する。このような表面の相似性により、フィンガ2の櫛歯面に対して分離要素4を最適に当接させることができ、可動接点1のフィンガ2は、最大部分に沿ってその軸の向きに確実に維持される。
【0024】
本発明による可動接触子1の特定の実施例に関連し、前述の変形例と組み合わせ可能な別の構造変形実施形態によれば、可動接点1は、直線状の貫通ピボット軸5に結合され、このピボット軸は、可動接点1の各フィンガ2と、結合される分離要素4とが備える貫通穴10、14を介して装着される。直線状のピボット軸5は、可動接点および固定接点を組み込まれたサーキットブレーカが配置される回路に沿って過負荷または過電圧が発生した場合に可動接点1を固定接点から離隔する動作の一環として、可動接点1の各フィンガ2を旋回させる旋回軸を画定する。1つの配置例によれば、可動接点1のフィンガが、1つまたは複数のばね手段を備える分離要素4に結合されるとき、上記貫通穴14は、これらのばね手段の中心にくる。たとえば、ばね手段が湾曲ボスの形態をとるとき、貫通穴14はボスの中心に配置されるので、その結果、ボスの配置は、分離要素4の一部に組み込まれた皿ワッシャと同様になり、直線状のピボット軸5がこの皿ワッシャを通る。
【0025】
本発明による可動接点1の特定の実施例に関する別の構造変形実施形態によれば、可動接点1は、この可動接点1の端部でフィンガ2の櫛歯面の対向面に接して位置づけられるステンレス鋼製の少なくとも1つのセパレータ40を同様に含む。このセパレータ40は、可動接点1の側方端部の一端に位置するように構成され、可動接点1のフィンガ2の、端部に位置して櫛歯面に対応しない側面に接する。したがって、端部に位置するこれらのセパレータ40は、端部に位置する可動接点1のフィンガ2の側面と、本発明による可動接点1が組み込まれた遮断機構の支持構造の表面とを確実に分離することによって、櫛歯状の分離要素4と同様の機能を果たす。なお、可動接点1の側方端部に位置するこのセパレータ40は、可動接点1の端部に位置するフィンガに装着される分離要素4のUリンクの脚部から形成可能であることに留意されたい。
【0026】
当然のことながら、本発明は、記載および添付図面に示した実施形態に制限されるものではない。特に各種要素の構成の観点から、あるいは同等技術の代替によって、本発明の保護範囲を逸脱することなく様々な修正をすることが依然として可能である。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カットオフチャンバ付近で固定接点に当接してサーキットブレーカ内に組み込むように構成された可動接点(1)であって、前記可動接点は、ほぼ平行に並置されて互いにアラインメントされ、端部(2a)の1つによって共通コア(2b)に結合される複数のフィンガ(2)の形状を呈する、可動接点であり、前記可動接点(1)の2つの並置されたフィンガ(2)のそれぞれの表面を分離する櫛歯状スペース(3)が1.3ミリメートル以下の値の離隔幅を有し、前記櫛歯状スペース(3)のレベルで2つの並置された各接触フィンガ(2)の面(2a)が個々の分離要素(4)に結合される一方で、前記分離要素(4)の各々が個々のフィンガ(2)に固定式に装着され、前記分離要素(4)の各々が対応分離要素の表面を擦ることができるようにされていることを特徴とする、可動接点。
【請求項2】
前記可動接点(1)が、少なくとも6個の接触フィンガ(2)を含み、前記フィンガが、2つの並置されたフィンガ(2)を隔てる櫛歯状スペース(3)に位置づけられる少なくとも1つの分離要素(4)にそれぞれ結合され、前記分離要素(4)が70×10
-8Ω・m(オームメートル)以上の抵抗率を有することを特徴とする、請求項1に記載の可動接点(1)。
【請求項3】
前記可動接点(1)の並置された様々なフィンガ(2)が、前記フィンガ(2)の主軸の垂直面における断面では少なくとも、ほぼ同じ寸法を有することを特徴とする、
請求項1に記載の可動接点(1)。
【請求項4】
ステンレス鋼製の少なくとも1つの分離要素(4)が、前記フィンガ(2)の主軸の垂直面における断面に沿って、1つのフィンガ(2)の1つの櫛歯面(2a)に対して挿入されるように構成されたUリンク状の配置を有し、脚部が、前記櫛歯面(2a)との共通縁を有する前記フィンガ(2)の2つの対向面(2a)の位置にくるようにされていることを特徴とする、
請求項1に記載の可動接点(1)。
【請求項5】
ステンレス鋼製の少なくとも1つの分離要素(4)が、前記フィンガ(2)の主軸の垂直面における断面に沿ってUリンク状の配置を有し、その脚部が、同一フィンガ(2)の両側に位置づけられる櫛歯面(2a)の少なくとも大部分を覆うように配置されることを特徴とする、
請求項1に記載の可動接点(1)。
【請求項6】
前記分離要素(4)のUリンクの一方の脚部の少なくとも1つの縁が保持手段(41)を有し、前記保持手段が、前記分離要素(4)の一方の脚部によって覆われる櫛歯面(2a)との共通縁を有するフィンガ(2)の面の1つに接して位置づけられることを特徴とする、請求項4または
5に記載の可動接点(1)。
【請求項7】
1つのフィンガの櫛歯面に接して位置づけられる分離要素(4)の部分では少なくとも、厚さが0.7ミリメートル以下の値であることを特徴とする、
請求項1に記載の可動接点(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの分離要素(4)が、2つの並置された分離要素(4)を離隔するように構成されたばね手段を備えることを特徴とする、
請求項1に記載の可動接点(1)。
【請求項9】
フィンガ(2)の櫛歯面に当接する少なくとも1つの分離要素(4の)表面は、前記分離要素(4)が位置づけられるフィンガ(2)の櫛歯面の表面の大部分とほぼ同じ形状および寸法を有することを特徴とする、
請求項1に記載の可動接点(1)。
【請求項10】
前記可動接点(1)が、前記可動接点(1)の各フィンガ(2)および結合される各分離要素(4)により支持される貫通穴(10、14)を介して装着される直線状の貫通ピボット軸(5)に結合されることを特徴とする、
請求項1に記載の可動接点(1)。
【請求項11】
前記可動接点(1)が、前記可動接点(1)の端部で前記フィンガ(2)の櫛歯面の対向面に接して位置づけられるステンレス鋼製の少なくとも1つのセパレータ(40)を同様に含むことを特徴とする、
請求項1に記載の可動接点(1)。
【国際調査報告】