(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】自動車レーダアプリケーション用のアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 19/10 20060101AFI20240416BHJP
H01Q 15/14 20060101ALI20240416BHJP
H01Q 13/06 20060101ALI20240416BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20240416BHJP
H01Q 19/06 20060101ALI20240416BHJP
H01Q 17/00 20060101ALI20240416BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01Q19/10
H01Q15/14 Z
H01Q13/06
H01Q1/32 Z
H01Q19/06
H01Q17/00
G01S7/02 210
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569761
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2022063535
(87)【国際公開番号】W WO2022243415
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522224999
【氏名又は名称】フーバー プラス スーナー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コワレフスキー、イエジ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア テヘロ、アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ロマノ、ピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】ピーパー、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルマン、オイゲン
(72)【発明者】
【氏名】ノッター、マイク
(72)【発明者】
【氏名】メールリ、フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】フレーニ、アンジェロ
(72)【発明者】
【氏名】マッツィンギ、アニェーゼ
【テーマコード(参考)】
5J020
5J045
5J046
5J070
【Fターム(参考)】
5J020AA02
5J020AA03
5J020BA06
5J020BB01
5J020BC06
5J020DA03
5J020DA04
5J020EA09
5J045AA21
5J045DA01
5J045FA02
5J045FA08
5J045HA01
5J045LA01
5J045NA07
5J046AB03
5J046AB09
5J046MA00
5J070AB24
5J070AD03
5J070AF03
(57)【要約】
自動車レーダアプリケーション用のアンテナ装置は、少なくとも1つのアンテナ開口内で衝突する一次放射線の形態の入射信号を受信するように構成された少なくとも1つのアンテナ開口が配置された前面を備えるアンテナアセンブリを備えている。アンテナアセンブリの前面は、少なくとも1つにアンテナ開口に隣接して散乱要素を備え、それにより、散乱要素の領域内で衝突する一次放射線が、散乱要素により少なくとも部分的に反射されて、第1の二次放射線および第2の二次放射線へと、第1の二次放射線および第2の二次放射線が少なくとも部分的に干渉により互いに相殺するように分離される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車レーダアプリケーション用のアンテナ装置(1)であって、
a.少なくとも1つのアンテナ開口(4)であって前記少なくとも1つのアンテナ開口(4)内で衝突する一次放射線(5)の形態の入射信号を受信するように構成されている少なくとも1つのアンテナ開口(4)が配置された前面(3)を備えるアンテナアセンブリ(2)を備えており、
b.前記前面(3)が、前記少なくとも1つのアンテナ開口(4)に隣接して散乱要素(6)を備え、それにより、前記散乱要素(6)の領域内で衝突する一次放射線(5)が、前記散乱要素(6)により少なくとも部分的に反射されて、第1の二次放射線(7)および第2の二次放射線(8)へと、前記第1の二次放射線(7)および前記第2の二次放射線(8)が少なくとも部分的に干渉により互いに相殺するように、分離される、
自動車レーダアプリケーション用のアンテナ装置(1)。
【請求項2】
前記散乱要素(6)が、前記前面(3)に対して、くぼみ(10)および/もしくは突起(9)、またはそれらの組み合わせとして設計されている、請求項1に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項3】
前記散乱要素(6)が、平行な少なくとも2つの行(11)に配置されている、請求項1または2に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項4】
各行の前記散乱要素(6)が、周期的に、または準周期的に、互いに離間している、請求項1~3のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項5】
各行の前記散乱要素(6)が、互いの間で、および前記行の間で、周期的に、または準周期的に、互いに離間している、請求項4に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項6】
2つの隣接する行(12)の前記散乱要素(6)は、複数の反射された前記放射線が干渉により互いに相殺するように位相差180°が実現されるように、前記行の方向において、および/または前記行の方向に垂直な方向において実質的にλ/2の空間的ずれで、前記行の方向において互いにオフセットされている、請求項1~5のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項7】
2つの隣接する行(12)の前記散乱要素(6)が実質的にλの空間的ずれで前記行の前記方向において互いにオフセットされており、位置ずれさせられた散乱要素(6)が、それぞれの前記行の2つの隣接する散乱要素(6)間に配置されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項8】
前記位置ずれさせられた散乱要素(6)が前記行の前記方向に対して実質的に垂直に配置された、請求項7に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項9】
前記散乱要素(6)が散乱要素(6)の周期または準周期パターンに配置されている、請求項1~8のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項10】
前記散乱要素(6)は、実質的に、矩形、および/または角錐形、および/または、それらの組み合わせである断面を、前記前面(3)に対して垂直に有している、請求項1~9のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項11】
前記散乱要素(6)が、矩形、方形、円形、楕円形、C字形、リング形、S字形、十字形、T字形の要素の群のうちの少なくとも1つの要素、またはそれらの組み合わせであるレイアウト(14)を前記前面(3)内に有している、請求項1~10のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項12】
前記散乱要素(6)の領域内の前記アンテナアセンブリ(2)は、前記一次放射線を少なくとも部分的に吸収する材料で、少なくとも部分的に覆われる、または前記材料からなる、請求項1~11のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項13】
吸収材料(40)が、衝突する一次放射線(5)を吸収するように構成されている前記前面(3)を少なくとも部分的に覆う前記アンテナアセンブリ(2)に配置されている、請求項1~12のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項14】
前記アンテナアセンブリ(2)は、鋸歯形状を有しており、前記アンテナアセンブリ(2)に対して互いに反対側に配置された少なくとも2つの外側エッジ(15)を備える、請求項1~13のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)であって、前記アンテナ装置(1)は、前記アンテナアセンブリ(2)の前記前面(3)を少なくとも部分的に覆うレドーム(16)を備える、アンテナ装置(1)。
【請求項16】
前記レドーム(16)は、前記アンテナアセンブリ(2)の前記前面(3)と少なくとも部分的に面一に取り付けられた後面(18)を有する、請求項15に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項17】
前記レドーム(16)は、アンテナの前面(13)に部分的に面一に取り付けられた後面(18)を有しており、前記レドームの前記後面に配置された、表面波の伝搬を止めるように構成されている少なくとも1つの長手方向の溝(26)および/または凹部(24)が存在している、請求項16に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項18】
前記レドーム(16)の前記後面(18)は、取り付けられた状態で前記アンテナアセンブリ(2)の前記前面(3)において前記散乱要素(6)に少なくとも部分的に係合する少なくとも1つの突起(25)を備える、請求項16に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項19】
前記レドーム(16)は、入射一次放射線(5)が前記アンテナ開口(4)に対して集中されるように、前記少なくとも1つのアンテナ開口(4)の領域内にドーム状のレンズ(28)を備える、請求項15~18のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項20】
前記アンテナアセンブリ(2)は、外部物体により反射されて一次放射線(5)として少なくとも部分的に戻ると予測される放射線(19)の出射信号を発出するように構成されている少なくとも1つのアンテナ開口(4)を備える、請求項1~19のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項21】
前記アンテナ開口(4)は、前記アンテナアセンブリ(2)の内側に配置されている中空導波路構造(20)に接続される、請求項1~20のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項22】
前記アンテナ装置(1)は、プリント回路基板(21)と、その上に配置されている電子部品(22)とを備えている、請求項1~21のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項23】
前記アンテナアセンブリ(2)は、吸収材料(39)により少なくとも部分的に覆われる後側にある、請求項1~22のいずれか1項に記載のアンテナ装置(1)。
【請求項24】
前記吸収材料(39)は、射出成形により前記アンテナアセンブリに相互接続されている、請求項23に記載のアンテナ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車レーダアプリケーション用のアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術より、いくつかの放射要素が、たとえば、同一出願人の特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4により知られている。
【0003】
2017年に公開された、Commscope社による特許文献5は、その第1の側の入力フィードを、その第2の側の複数の一次結合キャビティに結合する導波路ネットワークを含む入力層と、上記入力層の第2の側の出力層とを備えるパネルアレイアンテナを示している。上記出力層は、それぞれのホーン放射器入口ポートが上記ホーン放射器と連通しており、それぞれのスロット状の出力ポートがそれぞれのホーン放射器入口ポートと連通して、上記ホーン放射器を上記一次結合キャビティに結合する、ホーン放射器のアレイを含んでいる。
【0004】
2017年に公開されたNec社による特許文献6は、アンテナ層と、結合層と、フィーダ回路層とを含むアンテナを示している。アンテナ層は、その中心が任意の方向に整列されるように、且つ、上記ホーンアンテナが任意の方向において上記ホーンアンテナと離間されるように、配置されており、上記ホーンアンテナの中心は上記方向において整列されず、導波路が上記結合層内に形成されている。
【0005】
2019年に公開された、Waymo社による特許文献7は、第1の偏波で動作するように構成された、第1のアレイ内に配置された複数の導波路アンテナ要素を含むアンテナを示している。上記アンテナは、第2の偏波で動作するように構成された、第2のアレイ内に配置された複数の導波路出力ポートも含んでいる。第2の偏波は第1の偏波とは異なる。上記アンテナは、チャネルがその中に画定された偏波修正層をさらに含んでおり、上記チャネルは、上記導波路アンテナ要素に対して第1の角度で、および上記第1の偏波を有する入力電磁波を受信して第1の中間偏波を有する出力電磁波を送信するように構成された上記導波路出力ポートに対して第2の角度で向けられている。
【0006】
2020年に公開された、Conti Temic社による特許文献8は、プラスチックベースのアンテナを有する車両の周囲を検出するためのレーダシステムを示しており、センサおよび/または車両側のカバーに面する前側にあるプラスチックアンテナが、レーダ信号を送信し、および/または受信するための複数の個々のアンテナを有しており、上記複数の個々のアンテナが、複数の物体を検出し、および/またはそれらの複数の角度を判定するために使用され、アンテナの表面上の干渉波、ならびに/または、アンテナとセンサ側および/もしくは車両側のカバーとの間の反射が抑制されるか特に角度の判定に対するそれらの悪影響が防止、または低減される、解決策を開示している。
【0007】
2018年に公開された、Denso社による特許文献9は、誘電体基板と、接地板と、アンテナセクションと、付加機能セクションとを備えるアンテナ装置を示している。誘電体基板は複数のパターン形成層を含んでいる。接地板は、複数のパターン形成層のうちの第1のパターン形成層上に形成されており、アンテナ接地面として機能する。アンテナセクションは、複数のパターン形成層のうちの、第1のパターン形成層とは別のパターン形成層上に形成されており、放射器要素として機能するように構成された1つまたは複数のアンテナパターンを含んでいる。付加機能セクションは、誘電体基板上を伝搬する音響波の伝搬経路上に配置されている、1つまたは複数の非フィードパターンを含んでおり、および上記音響波を使用して放射波を発生させ、上記放射波は、アンテナセクションにより、送信され、および受信される電波のものとは異なる偏波を有する。
【0008】
2001年に公開された、University of Californiaによる特許文献10は、金属シートの表面内に画定された、容量および誘導素子の二次元周期パターンが、導電性バックプレーンシートにそれぞれが接続されていて、それらの間に絶縁誘電体が配置された複数の導電性パッチにより提供されることを示している。上記素子は、それらにより画定された表面内の表面電流を抑制するようにふるまう。特に、アレイは、アンテナと組み合わせて使用するためのグランドプレーンメッシュを形成する。グランドプレーンメッシュの性能は、グランドプレーンメッシュに沿って伝搬することができる大きな表面電流がその中に実質的に存在しない周波数帯により特徴付けられる。飛行機または他の金属製車両内のそうしたグランドプレーンの使用はそれにより、飛行機または車両の金属表皮に沿って、アンテナからの放射が伝搬するのを防ぐ。表面はまた、通常の金属表面上に発生する位相シフトなしで電磁波を反射する。
【0009】
2020年に公開された、Aptiv Tech社による特許文献11は、基板を含んでいるアンテナ装置を示している。基板内の複数の導電性部材は基板一体型導波路を確立しており、複数の第1および第2のスロットが基板の第1の部分の外面上にある。上記第2のスロットそれぞれは、上記第1のスロットのそれぞれの1つと関連付けられる。上記第1および第2のスロットは、アンテナ装置により放射される放射ビームを横切って変化する放射パターンを確立するように構成される。複数の寄生的な遮断は、基板の第2の部分の外面上の複数のスロットを含んでいる。上記寄生的な遮断は、それがなければ、隣接するアンテナによりもたらされるリップルの影響を低減させる。
【0010】
2010年に公開された、Nippon Telegraph and Telephone社による特許文献12は、当該開示による反射アレイが、反射波の位相を制御することにより、反射波(散乱波)の方向を制御するように構成されたアレイを形成する複数のアレイ素子と、グランドプレーン(30)とを含んでいることを示している。グランドプレーンは周波数選択性機能を有する構造を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第2676327号明細書
【特許文献2】国際公開第2017/167916号
【特許文献3】国際公開第2017/158020号
【特許文献4】国際公開第2018/001921号
【特許文献5】米国特許出願公開第2017/0271776号明細書
【特許文献6】米国特許第9692117号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2020/0365976号明細書
【特許文献8】国際公開第2020/052719号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2020/0052396号明細書
【特許文献10】米国特許第6262495号明細書
【特許文献11】米国特許第10944184号明細書
【特許文献12】米国特許第8390531号明細書
【発明の概要】
【0012】
通信および自動車レーダアプリケーションにミリ波(MMW)周波数を使用することは、拡がり続けている。アンテナ装置はこれらのアプリケーションすべてにおいて重要な構成要素であり、性能、サイズ、重量、および環境基準への準拠の点で、高度な要件が課されている。性能の点では、アンテナ利得および効率は重要なパラメータである。というのは、それらは、システムリンクバジェット全体(言い換えれば、通信システムの場合にはリンク距離およびカバレッジ、および自動車レーダの場合には最大検出範囲ということになる)に直接影響をおよぼすからである。通常、自動車レーダアプリケーション用のアンテナ装置は、バンパのシェルまたは表面層の後ろに取り付けられる。アンテナ特性に焦点を当てることに加えて、センサ性能全体の向上を継続的に追求することには、アンテナとその周囲との、たとえばその後ろに取り付けられた場合バンパとの、相互作用、レドームおよびPCBの干渉の緩和が求められる。特に、自動車アプリケーションでは、レドームおよびバンパの存在は、レーダセンサ性能を低下させ、放射および/もしくは受信パターンを歪ませ、ならびに/またはノイズレベルを増加させ、および、一般に、検出の精度を低下させる。通常、アンテナ装置は多くの場合、車体の表面の下に少なくとも部分的に隠れて、たとえば、バンパの外側シェルがアンテナアセンブリの手前に配置されるように配置され、それは、アンテナアセンブリの送信および/または受信能力に悪影響をおよぼし得る。さらに、レドームの存在は特に、表面波の励起につながり、それは、レーダ検出目的での、エネルギの使用可能な部分を減少させる場合があり、および誤ったターゲットをもたらす場合がある。
【0013】
アンテナ装置と、たとえば、アンテナ装置の手前に取り付けられたバンパとの間の複数の反射された放射線により、もたらされるノイズおよび干渉の低減のために、複数の異なる手法が知られている。従来技術により、一種の内部導波路構造における方向転換により、過剰な放射線を吸収する複数のダミーアンテナを備えた複数のアンテナアセンブリが知られている。この場合、複数のアンテナ開口は、アンテナの前面に配置され、それらは通常、電子部品に相互接続されないが、受信放射線がアンテナアセンブリの材料により吸収され、またはPCB上に配置された部品または電子部品により吸収されるようにアンテナアセンブリ内で終端する。知られているアセンブリの欠点は、ダミーアンテナを製造することが比較的複雑であるということである。アンテナアセンブリの前面上に突起を配置する代替的な手法は、この解決策が全体的なアンテナの厚さを増加させるというものである。
【0014】
本開示による、自動車レーダアプリケーション用のアンテナ装置は通常、入射放射線を受信するように構成されたアンテナアセンブリを備えている。アプリケーションに応じて、アンテナアセンブリは、出射放射線を送信し、および入射放射線を受信するように構成されてもよい。アンテナアセンブリは、少なくとも1つのアンテナ開口であってそのアンテナ開口の領域内で衝突する一次放射線の形態の入射信号を受信するように構成されている少なくとも1つのアンテナ開口が配置された前面を備えている。アンテナアセンブリは通常、導波路構造を内側に備え、それにより、少なくとも1つのアンテナ開口が電子部品および/またはプリント回路基板に相互接続される。設計に応じて、アンテナアセンブリの前面に配置されたアンテナ開口は、前面内に、ホーンアンテナとして、または代替的に、スロットとして設計され得る。アンテナ装置が、たとえば金属、金属化プラスチック、または表面において何らかの導電性材料で作られており、互いに面一に取り付けられた2つの層を備えている場合に、有利な単純な設計が実現され得る。2つの層は、電磁波吸収材料を含む、鋳造または射出成形に好適な異なる材料でできていてもよい。あるいは、吸収材料は干渉を避けるために使用され得る。
【0015】
導波路技術に基づいたアンテナアセンブリの大量生産については、典型的手法には、積層された複数の層を使用した部品の製造、およびこれらの層を接続するための関連した接合手法が含まれる。表面仕上げが、MMW(ミリ波)においても重要であるため、アンテナアセンブリは、アンテナアセンブリの層の良好な成形性が実現されるように、正確な抜き勾配の角度および半径で設計される。PVD、スパッタリング、塗装、ガルバニックコーティングのようなメタライゼーション手法が、アンテナアセンブリの前面、および/または少なくとも1つのアンテナ開口を少なくとも部分的に金属被覆するために使用される場合もある。好ましい変形例では、アンテナアセンブリは水平に二極化され、ハーフパワービーム幅(HPBW)は、方位各面(水平面、それぞれEプレーン)において+/-15°から最大+/-75°までの範囲内にある。仰角面では、HPBWは、たとえば、仰角(垂直面、それぞれHプレーン)において+/-1°から+/-3°までの範囲内にあり得る。主ビームは典型的には、ボアサイト方向を向いている。レドームがアンテナアセンブリに取り付けられている場合、レドームからアンテナまでの距離は典型的には、自動車レーダアプリケーション用の動作帯域(76~81GHz)内ではλ/2(約1.9mm)である。λ=ラムダはここでは、波長を表している。
【0016】
少なくとも1つのアンテナ開口に隣接して、アンテナアセンブリの前面は、散乱要素を備え、それにより、散乱要素の領域内で衝突する一次放射線が、複数の散乱要素により、少なくとも部分的に反射されて、第1の二次放射線および第2の二次放射線へと第1の二次放射線および第2の二次放射線が干渉により少なくとも部分的に互いに相殺するように異なるように、分離される。散乱要素が、前面に対して、突起および/もしくはくぼみ、またはそれらの組み合わせとして設計されている場合に、良好な結果が実現され得る。設計に応じて、少なくとも1つのくぼみの深さは、干渉により、不必要に反射された複数の放射線を相殺する反射を得るために目標とされる特定の位相分布に結びつけられ得る。位相変化は典型的には、少なくとも1つのくぼみの底面上の反射により、引き起こされる。少なくとも1つのくぼみの底面が、アンテナアセンブリの前面に対して実質的に平行に配置された実質的に平坦な面である場合に良好な結果が実現され得る。好ましくは、散乱要素は、矩形、方形、円形、楕円形、C字形、リング形、S字形の要素の群のうちの少なくとも1つの要素、またはそれらの組み合わせであるレイアウト(フットプリント)を前面内に有している。散乱要素は、単一の偏波(矩形、楕円形、s字形、c字形)で、または複数の偏波(方形/円形/リング)で設計され得る。少なくとも1つのくぼみは、電磁波の動作周波数および偏波に関係するレイアウトを有している。偏波ベクトルに垂直な方向における散乱要素の延長は、矩形/楕円形および方形/円形の場合、約0.7λ(自由空間)に対応し得る。リング状の散乱要素の円周は、長さの2倍に相当し得る。S字形の、およびc字形の散乱要素は、サイズを低減させるために使用される。位相変化は典型的には、少なくとも1つのくぼみの深さにより生じる。少なくとも1つのくぼみの深さの典型的な寸法はλ/2である。少なくとも1つのくぼみの開口のレイアウトの典型的な寸法はλ/4×0.7λである。波長が77GHzの自動車アプリケーションの場合、これにより、少なくとも1つのくぼみの深さが約1.4mmに、および少なくとも1つのくぼみの開口のレイアウトが1mm×2.8mmになる。好ましい変形例では、散乱要素は、実質的に矩形、および/または角錐形、および/または、それらの組み合わせである断面を、前面に対して垂直に有する。
【0017】
散乱要素がT字形のレイアウトまたは十字形のレイアウトを有する場合に、良好な結果が実現され得る。T字形のレイアウトは、垂直方向に長い矩形に隣接して配置された、水平方向に長い矩形により形成され得る。あるいは、水平方向に長い矩形および垂直方向に長い矩形により形成され得る十字形のレイアウトにより、水平方向に長い矩形の中心点および垂直方向に長い矩形の中心点が一致する。T字形の、および十字形のレイアウトはいずれも、水平、および垂直偏波をいずれも相殺することを可能にする。散乱要素が、前面内に面一に取り付けられたくぼみとして設計されている場合、アンテナアセンブリは、好ましく薄い全体厚さを有する。くぼみの形態の散乱要素を備えるアンテナアセンブリを備えるアンテナ装置はさらに、レドームがアンテナアセンブリの前面と面一に取り付けられ得るという利点を有する。突起および/またはくぼみは、アンテナ開口の領域内で衝突しない一次放射線を少なくとも部分的に反射するように構成される。二次放射線は、一次放射線の反射された部分、すなわち、第1の二次放射線および第2の二次放射線が、干渉により、互いに大きく相殺されるように、突起および/またはくぼみにより影響を受ける。ブラインド/ダミーアンテナと比較して、散乱要素は、さらなる導波路ルーティングを必要としない。前層および後層を備えて設計されたアンテナアセンブリでは、突起またはくぼみは通常、前層にのみ配置される。したがって、複雑度、およびさらなる製造努力がかなり低減され得る。散乱要素は通常、それらの寸法が波長に強く関係するような共振特性を有する。散乱要素は好ましくは、特異な電流分布がアンテナアセンブリの前面に生成されるように電磁場分布を乱すように構成される。好ましくは、不必要に反射された複数の放射線が、互いの干渉により、減らされ、または相殺されるように位相遅延がもたらされる。
【0018】
散乱要素が、アンテナアセンブリの前面に、散乱要素の周期または準周期パターンに配置されている場合に、良好な結果が実現され得る。散乱要素のパターンの散乱要素は好ましくは、複数の行および/または複数の列に配置される。散乱要素はたとえば、平行な少なくとも2つの行に配置され得る。少なくとも2つの行は典型的には、互いに対して側方に間隔を空けられる。好ましくは、各行の複数の散乱要素は、互いに等しく間隔を空けられる。干渉により、第1の二次放射線および第2の二次放射線が互いに相殺する反射を実現するために、2つの隣接する行の散乱要素は通常、行の方向に互いにオフセットされる。2つの隣接する行の散乱要素は好ましくは、反射された放射線が干渉により互いに相殺するように位相差180°が実現されるように、行の方向において、または行の方向に垂直な方向において実質的にλ/2の空間的ずれで、行の方向において互いにオフセットされている。少なくとも1つのアンテナ開口に隣接する前面に配置された散乱要素は好ましくは、水平面放射線が相殺され得るように少なくとも1つのアンテナ開口に実質的に平行に配置される。あるいは、少なくとも1つのアンテナ開口は、垂直面内の放射線が相殺され得るようにアンテナアセンブリの垂直面内に配置され得る。散乱要素による、アンテナの上面のカバレッジのパーセンテージに応じて、65%を上回る、散乱係数の低減が実現され得る。アンテナアセンブリの前面における散乱要素の周期的間隔(p)および散乱要素の数に応じて、0°と180°との間の位相が、散乱構造なしの一様な位相分布の代わりに生成される。周期的間隔は、隣接する行の2つの散乱要素間の側方距離として定義される。好ましい変形例では、散乱要素は、グライド対称性(グライド反射)に基づいてアンテナアセンブリの前面に配置される。散乱要素はしたがって、好ましくは、少なくとも1つのアンテナ開口に対してミラーリングされ、少なくとも1つのアンテナ開口に対して横方向にシフトされる。この特定の周期性は、必要な0°および180°の位相分布の生成をサポートする。理想的には、所望の方向において少なくとも1つのアンテナ開口に隣接して配置される散乱要素の数は無限であり得る。理論的に実現可能な変形例では、散乱要素の数は1まで低減させられ得る。好ましい変形例では、周期的間隔はλ/2の倍数である。干渉を低減させるための異なる手法には、干渉波が拡散されて散乱させられるようなランダムな位相分布を有する反射アレイのような構造が作られるようなランダムの深さを有する複数の散乱要素を使用することがある。前面に配置された複数の散乱要素は、長さが異なる場合もある。変形例では、複数の散乱要素はそれぞれ、ベース長さとして定義される同じ長さを実質的に有し得る。代替的な変形例では、複数の散乱要素のいくつかは同様にベース長さを有しており、残りの散乱要素は、その長さの二倍、またはベース長さの倍数の長さを有する。残りの散乱要素が、ベース長さの二倍または四倍を有する場合に良好な結果が実現され得るが、奇数の倍数も考えられる。好ましくは、ベース長さの、およびベース長さの二倍の複数の散乱要素が交互に配置される。
【0019】
変形例では、複数の散乱要素は少なくとも2つの平行な行に配置される。上記少なくとも2つの平行な行は典型的には、互いに側方に離間している。好ましくは、各行の複数の散乱要素は互いに等間隔に離間しており、少なくとも2つの行が、行の方向において実質的にλの空間的ずれで行の方向において互いにオフセットされる。実質的にλの位置ずれは、さらなる散乱要素が2つの隣接する散乱要素間に配置され得、さらなる散乱要素が、少なくとも2つの行の散乱要素に対して実質的に垂直に配置され得ることを可能にする。行の方向に対する垂直のずれは、垂直偏波された波からの反射を相殺することも可能にする。行の方向に配置された散乱要素は、水平偏波を相殺するように構成され、90°回転して配置された散乱要素は、垂直偏波を相殺するように構成される。
【0020】
アンテナアセンブリが鋸歯形状の外側エッジを少なくとも1つ備える場合に、放射パターンにおけるリップルを低減させるための良好な結果が実現され得る。好ましい変形例では、アンテナアセンブリは、鋸歯形状を有しており、アンテナアセンブリに対して互いに反対側に配置された少なくとも2つの外側エッジを備える。この構造は、アンテナのエッジ上の表面電流の方向を変え、衝突フィールドの後方散乱の破壊的干渉につながる。一方、アンテナの金属上面の有限寸法のために、わずかな振幅および位相誤差がエッジ効果によりもたらされる。エッジ上に鋸歯構造を加えることにより、エッジ効果の悪影響を低減させ得る。とりわけ、それは、アンテナエッジ上のナイフエッジ屈折のために通常現れる、放射パターンにおけるリップルを低減させる。この対策のおかげで、角度放射パターンの標準偏差が低減させられる場合があり、これは、レーダの最適な性能に重要であり得る。鋸歯は、プラスチックの三次元形状を変えることにより、またはエッジ上の選択的メタライゼーションにより、実現され得る。
【0021】
好ましい変形例では、アンテナ装置は、アンテナアセンブリの前面を少なくとも部分的に覆うレドームを備える。理論上、最適なのは、実用的な機械的観点からは用途が限定的なものに過ぎない、空気と同様の材料でできているレドーム、または、極端に薄いレドームとのレドームの相互作用になる。知られているレドームは、アンテナアセンブリに対して、実質的にλ/sの距離(77GHzの自動車レドームの場合、ほぼ2mm)で配置される。この距離は通常、アンテナアセンブリとレドームとの間の強い相互作用を避けるために選ばれる。本開示によるレドームでは、アンテナアセンブリとレドームとの間の距離は実質的にゼロに低減させられ得る。好ましい変形例では、レドームは、アンテナアセンブリの前面と少なくとも部分的に面一に取り付けられた後面を有する。くぼみの形態の散乱要素は、レドームがアンテナアセンブリと面一に取り付けられることを可能にする。レドームが板状であり、および実質的に均一の厚さを有する場合に良好な結果が実現され得る。好ましい変形例では、レドームの後面は、放射を向上させるように構成された少なくとも1つの凹部を有し得る。通常、アンテナアセンブリにより放射されたエネルギの一部は、レドーム内に捉えられたままである。凹部はレドームの厚さを最小にし、したがって、放射の損失が最小にされる。代替的な変形例では、レドームの後面は、前面および散乱要素の輪郭をたどる。したがって、レドームは、アンテナアセンブリの前面に配置された散乱要素のパターンに対応する突起のパターンを有する場合があり、したがって散乱構造の深さは低減され得る。突起は好ましくは、取り付けられた状態でくぼみに係合する。変形例では、レドームは、入射一次放射線がアンテナ開口に対して集束されるようなドーム状のレンズを、少なくとも1つのアンテナ開口の上の領域内に備える。
【0022】
アンテナアセンブリの前面上の少なくとも1つのアンテナ開口に隣接して配置された散乱要素の他に、アンテナアセンブリの前面はさらに、少なくとも部分的に吸収材料でできており、または吸収材料を備える場合もある。散乱要素は、散乱要素の領域内で衝突する一次放射線を少なくとも部分的に反射し、それにより、それらを第1の二次放射線および第2の二次放射線に分離するように構成される一方、吸収材料は、吸収材料の領域内で衝突する一次放射線を少なくとも部分的に吸収するように構成される。吸収材料は、アンテナアセンブリを完全に、または部分的に覆い得る。吸収材料が層状に前面上に、または前面内に配置されており、それにより、実質的に、少なくとも1つのアンテナ開口により覆われた領域および散乱要素により覆われた領域以外は前面全体を覆う場合に、良好な結果が実現され得る。
【0023】
吸収材料は、アンテナアセンブリの前面に接合される、別個の吸収材料層の形態でアンテナアセンブリに組付けられ得る。吸収材料層は、締結手段により、たとえば、ねじ止め、またはクランプにより、機械的に接合され得る。代替的に、またはさらに、吸収材料層は、溶接、接着、ホットスタンピング、クリッピング、圧入、はんだ付け等により、接合され得る。吸収材料は典型的には、樹脂または複合材料、たとえば電磁波吸収特性を有するハイブリッド材料である。吸収材料は、それをアンテナアセンブリの前面内に埋め込むことにより、好ましくは、それを基材のキャビティ内に射出成形することにより、組立てられ、または前面に配置され得る。
【0024】
アンテナアセンブリが多成分射出成形またはインモールド転写により、作られる場合、効率的な製造プロセスが実現され得る。多成分射出成形プロセスは典型的には、2つ以上のプラスチック材料を含んでおり、それにより、少なくとも1つのプラスチック材料は電磁波(EM)吸収特性を有する。代替的に、またはさらに、アンテナアセンブリには、完全な、または選択的な表面処理プロセスが施され得る。アンテナアセンブリの前層および後層が一旦、製造されると、塗料またはコーティングの層がアンテナアセンブリの前面に少なくとも部分的に塗布され得る。塗料またはコーティングも、好ましくは、電磁波(EM)吸収特性を有する。変形例では、アンテナアセンブリのプラスチック材料は電磁波(EM)吸収特性を有し得る。代替的な変形例では、アンテナアセンブリの前面は、第1の工程で完全に金属被覆される場合があり、電磁波吸収が望まれる領域では、メタライゼーションが第2の工程で部分的に除去される。
【0025】
代替的に、またはさらに、吸収材料は、取り付けられた状態におけるアンテナアセンブリに面して、レドームの内側に配置され得る。吸収材料の別個の層が、接合手法、たとえば、ねじ止め、クランプ、溶接、接着、ホットスタンピング、クリッピング、圧入、はんだ付け等を使用してレドームに接続され得る。吸収材料はレドームに取り付けられ、またはレドーム内に埋め込まれ得る。吸収材は、レドームに対する距離をおいて組み立てられる場合もある。本開示によるアンテナアセンブリは通常、アンテナ装置の一部である。好ましい変形例では、アンテナ装置は、電子部品と、プリント回路基板(PCB)と、少なくとも1つのアンテナアセンブリと、レドームとを備える。典型的には、アンテナ装置の構成要素は、機械的保護のためにレドームにより密閉されたケース内に収納されている。レドームは通常、アンテナアセンブリを環境の影響から保護するために必要であるが、レドームは通常、不必要にアンテナアセンブリの放射特性と相互作用し、放射パターン、利得、および位相の純正度に悪影響をおよぼす。アンテナ装置の変形例では、電子部品がプリント回路基板上に配置される。電子部品(たとえば、PCB基板上に取り付けられたレーダチップ)から来る信号は通常、導波路給電開口内に結合され、空気で充填された中空導波路構造を介して放射線の出射信号を発出するように構成された少なくとも1つのアンテナ開口に向けて伝搬する。少なくとも1つのアンテナ開口は、外部物体により反射され、一次放射線として少なくとも部分的に戻ると予測される放射線の出射信号を発出するように構成される。放射線の出射信号を発出するように構成された少なくとも1つのアンテナ開口は好ましくは、アンテナアセンブリの前面に配置される。少なくとも1つの中空導波路構造は、底部アンテナ層内に配置され、または部分的に両方の層内に配置され、少なくとも1つの給電開口と、放射線の出射信号を発出するように構成されたアンテナ開口とを相互接続する。あるいは、またはさらに、導波路構造は、リッジ導波路、ギャップ導波路、またはリッジギャップ導波路として設計される場合もある。アンテナアセンブリは、アンテナアセンブリの前面に配置された、いくつかのアンテナ開口、及び放射線の出射信号を発出するように構成されたアンテナ開口を備えている場合もあり、放射線の出射信号を発出するように構成されたアンテナ開口は送信器(TX)としての役目を果たし、少なくとも1つのアンテナ開口は受信器(RX)としての役目を果たす場合がある。各アンテナ開口は、ホーンおよび/またはスロット状の構成要素であり得る少なくとも1つの放射要素からなる。少なくとも1つのアンテナ開口は、単一の放射要素、および/または複数の放射要素のアレイとして設計され得る。中空導波路構造、少なくとも1つのアンテナ開口、導波路チャネル、導波路スプリッタ、および導波路アレイの壁は金属であり、または金属被覆され得る。アンテナアセンブリのすべての変形例は好ましくは、それらが成形製造手法に好適であるように設計される。アンテナアセンブリは好ましくは、金属被覆されたプラスチック射出成形またはダイカストにより、作られる。したがって、アンテナアセンブリの角部は典型的には、垂直エッジすべてが半径を有し、複数の散乱要素すべてが抜き勾配が付けられた壁を有するように丸められている。散乱要素は好ましくは、成形手法の製造性が向上させられるように設計される。これは、アンテナアセンブリの層の最適な表面仕上げおよび機械的な安定性/堅牢性をもたらす。それに加えて、垂直壁の抜き勾配も、プラスチック射出成形が、アンテナ上層および/またはアンテナ底層に選択された場合に、メタライゼーション層の厚さおよび品質を最適化するように選択される。好ましくはこの概念について選択された特定のメタライゼーション手法(たとえば、PVD、スパッタリング、塗装)のために、垂直壁は、MMWでの満足なRF性能を保証するのに十分な、金属層の厚さおよび品質を持たせなくなる。この点で、抜き勾配が付けられた壁の使用は、より広い投影面を有し、メタライゼーションプロセスを向上させる。
【0026】
自動車レーダアプリケーション用のアンテナ装置は典型的には、チップ(MMC)を備え、レーダがそのチップ上で実現される。電子システム/部品は通常、PCB上に配置される。これらの電子システム/部品はすべて、アンテナ装置内のノイズレベル全体に多くの場合寄与する電磁信号を発出する。レーダチップの単一のチャネルは、レーダの動作周波数で干渉信号を発出し、これは、複数のレーダチップが使用される場合に、その他のレーダチャネルおよび/またはレーダチップ内に、不必要なクロストークをもたらし得る。全体的なセンサ性能の向上を追求し続けることは、この干渉の緩和を必要とする。ノイズの増加、および干渉は、ノイズレベルが増加させられる一方でレーダセンサ性能を低減させる。その結果、センサは鈍感になり、精度、または検出の確率を低下させる。プリント回路基板アンテナの場合、この問題を緩和する可能性は限られている。導波路アンテナアセンブリを有するアンテナ装置は、プリント回路基板アンテナアセンブリと比較して複数の利点を示している。アンテナアセンブリは、少なくとも1つの金属被覆されたキャビティを備え得る。金属被覆されたキャビティは好ましくは、アンテナアセンブリの後面に配置される。少なくとも2つの層を備えるプラスチック導波路アンテナアセンブリの場合、金属被覆されたキャビティは好ましくは、アンテナアセンブリの後部に配置される。少なくとも1つのチップは、周囲の電子部品および/または他のチップからの影響が低減されるように、少なくとも部分的に、金属被覆されたキャビティ内に配置され得る。本発明の概念では、少なくとも1つのキャビティが、電磁波吸収材料の少なくとも1つの層、および/またはコーティングを備えている場合に良好な結果が実現され得る。知られているアンテナアセンブリでは、電磁波吸収材料の少なくとも1つの層および/またはコーティングは、少なくとも1つのキャビティにパッドで付けられる、および/または接着される。しかし、これはアンテナ装置の全体コストを増加させる。電磁ノイズおよび/不必要な電波を吸収するように構成された吸収材料が、射出成形により、アンテナアセンブリに既に配置されている場合に良好な結果が実現され得る。好ましくは、アンテナアセンブリは、吸収材料の少なくとも1つの層がキャビティ内に、アンテナアセンブリの基材が第2の工程で注入される前に注入されるように射出成形される。吸収材料がアンテナアセンブリに射出成形により相互接続される場合に、良好な結果が実現され得る。好ましい変形例では、アンテナアセンブリは、2つ以上の部品の金属被覆されたプラスチックアンテナとして作られ、プラスチックアンテナまたはプラスチックアンテナの複数の層の少なくとも1つは、少なくとも部分的に、干渉を低減させるように構成された吸収材料を含む。吸収材料は好ましくは、アンテナアセンブリにおいて、チップの領域内又は上に、配置される。吸収する(損失)材料を備えるアンテナアセンブリの一部は、コーティングされずに残されるか、または非常に薄い金属層でコーティングされ得る。よって、電磁適合性の問題をもたらす、チップおよび/または電子部品からの不必要な電磁放射は、そうした材料内の吸収により低減させられ得る。したがって、レーダセンサの性能が維持される場合があり、吸収材の付加に関するさらなる費用は存在しない。変形例では、アンテナアセンブリは、吸収材料のみで作られ得る。本変形例では、アンテナはさらに、部分的に金属被覆される。好ましくは、アンテナアセンブリは、吸収材料により少なくとも部分的に覆われた後側にある。同じ態様は、上述されたようなバンパ相互作用の問題を緩和するために使用され得る。射出成形に使用される複数の材料の1つが無線周波数吸収特性を有しており、およびこの材料が、複数の開口間の、アンテナアセンブリの前面を構成するために使用される場合、アンテナアセンブリの前面から反射される二次放射線のエネルギは大きく低減され得る。損失材料を備えるアンテナアセンブリの一部は、必要な機能を可能にするために、コーティングされずに残され、または非常に薄い金属層でコーティングされ得る。したがって、出願人は、上述されたさらなる発明概念に、分割特許出願の焦点を当てる権利を留保する。
【0027】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明がいずれも、実施形態を示しており、本開示の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付図面は、さらなる理解をもたらすために含まれており、および本明細書に組み入れられ、および本明細書の一部を構成する。上記図面は種々の実施形態を示しており、本明細書とともに、開示された概念の原理および動作を説明する役目を務める。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本明細書中に記載された開示は、本明細書中、以下に記載された詳細な説明、および添付図面から、より完全に理解されることになるが、添付の請求項に記載された開示に制限されるものとみなされない。
【0029】
【
図1】アンテナアセンブリの第1の実施形態の斜視図。
【
図2】仰角でのカット(左)および方位角でのカット(右)における、バンパなしの、およびバンパ有りの放射パターンの比較。
【
図3】鋸歯形状を有する2つの外側エッジを備えるアンテナアセンブリの第2の実施形態。
【
図4】鋸歯形状のエッジなし(青色)の、および鋸歯形状のエッジ有り(オレンジ色)の、放射パターンの比較。
【
図5】一次放射線の、第1および第2の二次放射線への分離の模式図
【
図6】散乱要素の第1および第2の実施形態の模式図。
【
図10】T字形のレイアウトを備える散乱要素の実施形態の模式図。
【
図11】十字形のレイアウトを備える散乱要素の実施形態の模式図。
【
図12】アンテナアセンブリから90°離れて折られているレドームの第1の実施形態の斜視図。
【
図14】アンテナアセンブリから90°離れて折られているレドームの第2の実施形態の斜視図。
【
図16】アンテナアセンブリから90°離れて折られているレドームの第3の実施形態の斜視図。
【
図20】アンテナ装置の第1の実施形態の切り欠きを備えた上方からの斜視図。
【
図22】アンテナ装置の第2の実施形態の切り欠きを備えた上方からの斜視図。
【
図23】
図18によるアンテナ装置の実施形態の後方からの分解図。
【
図24】アンテナアセンブリの第3の実施形態の斜視図。
【
図25】
図24によるアンテナアセンブリの第3の実施形態の分解斜視図。
【
図26】アンテナアセンブリの第4の実施形態の斜視図。
【
図27】
図26によるアンテナアセンブリの第4の実施形態の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、特定の実施形態について詳細に参照するが、それらの実施例は添付図面に示されており、すべての特徴ではないが、いくつかのものが示されている。実際に、本明細書中に開示された複数の実施形態は多くの異なる形態で実施される場合があり、本明細書中に記載された実施形態に制限されると解されるものでなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が、該当する法的要件を満たすように記載されている。可能な限り、同様の参照番号は、同様の構成部分または部品を参照するために使用される。
【0031】
図1は、アンテナアセンブリ2の第1の実施形態の斜視図を示す。
図1において最もよく見られるように、自動車レーダアプリケーション用のアンテナ装置1のアンテナアセンブリ2は、少なくとも1つのアンテナ開口4であって、アンテナ開口4内で衝突する一次放射線5の形態の入射信号を受信するように構成された少なくとも1つのアンテナ開口4が配置された前面3を備えている。示された変形例では、群(点線で模式的に示されている)に配置された幾つかのアンテナ開口4が存在している。アンテナアセンブリ2の前面3は、少なくとも1つのアンテナ4に隣接して複数の散乱要素6を備え、それらにより、散乱要素6のパターンの領域内で衝突する、
図5に模式的に示されたような一次放射線5が、複数の散乱要素6により、少なくとも部分的に反射されて、第1の二次放射線7および第2の二次放射線8へと、第1の二次放射線7および第2の二次放射線8が少なくとも部分的に干渉により互いに相殺するように、分離される。示された散乱要素6は、前面3に関してくぼみ10として設計されている。あるいは、散乱要素は、突起9、および/または突起およびくぼみ10の組み合わせとして設計される場合もある。示された散乱要素6は、複数の平行な行11に配置されており、各行の複数の散乱要素は互いに等間隔に離間している。示された実施形態では、隣接した2つの行の散乱要素6は、反射された第1および第2の二次放射線の位相シフトが180°であるように周期的間隔13で互いに対して配置される。好ましい変形例では、周期的間隔13はλ/2の倍数である。
図2a中の仰角でのカット(左)、および
図2b中の方位角でのカット(右)におけるバンパなしの、およびバンパ有りの放射パターンの比較を示す
図2に見られ得るように、
図2aおよび2bより、散乱要素が放射パターン内のリップルの抑制をもたらすことが見られ得る。
図2aおよび
図2bのグラフは、角度にわたる、アンテナアセンブリの指向性を示す。図で見られ得るように、点線は、散乱要素なしの、アンテナアセンブリの性能34を示しており、実線は、散乱要素6有りの性能35を示している。
【0032】
図3および
図4は、金属被覆されたアンテナアセンブリ2の実施形態を示し、アンテナアセンブリ2は、示された実施形態では鋸歯形状23を有していてアンテナアセンブリ2に関して互いに反対側に配置されている2つの外側エッジ15を備えている。鋸歯形状23の2つの外側エッジ15は、アンテナアセンブリ2の2つの外側エッジ15が衝突フィールドの後方散乱の破壊的干渉をもたらすように、前面3における電流の方向を変える。わずかな振幅および位相誤差がアンテナアセンブリ2の2つの外側エッジ15によりもたらされ、それらは、アンテナの金属上面の有限寸法による効果である。鋸歯形状23の2つの外側エッジ15は、エッジ効果の悪影響を低減させるように構成される。鋸歯形状23は、プラスチックの3D形状を変えることにより、または2つの外側エッジ15上の選択的メタライゼーションにより、実現され得る。
図4に見られ得るように、鋸歯形状23の2つの外側エッジ15は、アンテナアセンブリ2の外側エッジ15上のナイフエッジ屈折により通常生じる放射パターン内のリップルを低減させる。鋸歯形状23の上記2つの外側エッジ15は、角度放射パターンの標準偏差を低減させるように構成され、これはアンテナ装置1の最適な性能に重要である。
図4中のグラフは、角度にわたる、アンテナアセンブリの指向性を示す。図で見られ得るように、点線は鋸歯形状の外側エッジなしのアンテナアセンブリの性能36を示しており、および実線は鋸歯形状の外側エッジ15有りの性能37を示している。
【0033】
図5は、一次放射線5の、第1(7)および第2(8)の二次放射線への分離を模式的に示している。入射一次放射線5は、アンテナアセンブリ2により反射される。第1の入射一次放射線5は、アンテナアセンブリ2の前面3により反射される。第2の入射一次放射線5は、散乱要素6により反射される。散乱要素6の形状のために、結果として生じる第1(7)および第2(8)の二次放射線は、λ/2の位相差を有する。点線により示されるように、第1(7)および第2(8)の二次放射線は、逆位相であり、したがって、破壊的干渉のために互いに相殺する。
図6は、散乱要素6の2つの変形例を模式的に示している。示された実施形態は、散乱要素6の長さが異なる点で異なる。第1の実施形態(図の左側)の複数の散乱要素6それぞれは、実質的に同じ長さを有し、ベース長さとして定義される。第2の実施形態(図の右側)の複数の散乱要素6も、ベース長さか、またはその長さの2倍を有する。好ましくは、ベース長さ、およびベース長さの2倍の複数の散乱要素6は交互に配置される。2つの隣接する行12の散乱要素6は、複数の反射された放射線が干渉により互いに相殺するように、行の方向において、または行の方向に垂直な方向において、位相差180°が実現されるように、約λ/2の空間的ずれで行の方向において互いにオフセットされている。
図7a~iは、散乱要素6の好適なレイアウト14の形状(フットプリント)をいくつか示している。好ましい変形例では、レイアウト14は、矩形(
図7a、b)、方形(
図7c、d)、楕円形(
図7e)、円形(
図7f)、S字形(
図7g)、C字形(
図7h)、リング形(
図7i)の要素の群の少なくとも1つの要素、またはそれらの組み合わせに対応する。
【0034】
図8および
図9は、散乱要素6の、第1(
図8)および第2(
図9)の配置を模式的に示している。示された複数の散乱要素6は、少なくとも2つの平行な行に配置されている。少なくとも2つの行は典型的には、互いに対して側方に離間している。各行の示された複数の散乱要素6は、互いに対して等間隔に離間している。示された変形例では、示された2つの隣接する行の複数の散乱要素6が、少なくともλ/2の空間的ずれで行の方向において互いにオフセットされている。空間的ずれが、行の方向においてλに対応する場合に良好な結果が実現され得る。
図9から最良に得られるように、この設計は、2つの行に実質的に垂直に配置されたさらなる散乱要素6が配置され得るという利点を有する。行の方向に垂直な位置ずれは、垂直偏波である波からの反射を相殺することも可能にする。行の方向において配置された散乱要素6は水平偏波を相殺するように構成され、90°回転して配置された散乱要素6は垂直偏波を相殺するように構成される。
【0035】
図10および11は、T字形のレイアウトを備える散乱要素6の実施形態(
図10)、および十字形のレイアウトを備える散乱要素6の実施形態(
図11)を示す。
図10に示される散乱要素は、垂直方向に長い矩形に隣接して配置された、水平方向に長い矩形により形成されたT字形のレイアウトを有する。このレイアウトは、水平偏波および垂直偏波いずれも相殺することを可能にする。同じことが、
図11に示される十字形のレイアウトにあてはまり、これは、水平方向に長い矩形の中心点および垂直方向に長い矩形の中心点が一致する、水平方向に長い矩形および垂直方向に長い矩形により実現される。このレイアウトは、水平偏波および垂直偏波いずれをも相殺することを可能にする。
【0036】
図12および
図13は、アンテナアセンブリから90°離れて折られているレドーム16の第1の実施形態を斜視図で示している。
図13は、
図12による第1の実施形態を断面図で示している。示されたレドーム16は、アンテナアセンブリ2の前面3と実質的に面一に取り付けられており、レドーム16の後面17がアンテナアセンブリ2の前面3と実質的に面一に取り付けられている。これは、レドーム16による一次放射線5の反射が阻止され得、ならびに、電磁放射線が空中に放射されず、それらがレドーム16から直接放射されるときにレドーム16で跳ね返るという利点を有している。さらに、面一に取り付けられたレドーム16は、アンテナ装置1の厚さ全体を低減させる。第1の実施形態のレドーム16は、アンテナアセンブリ2の前面3に配置された少なくとも1つのアンテナ開口4に対して実質的に一致している、レドーム16の後面17に配置された凹部24を備える。凹部24は、実質的に矩形であり得る。全体の厚さが2mm(自由空間のλ/2)のレドーム16により、アンテナアセンブリ2により放射されたエネルギの大部分は、レドーム16内に表面波の形態で捉えられたままになる。凹部24は、少なくとも、アンテナ開口4に一致する領域内でレドーム16を、より薄くすることにより、この問題を解消する。
【0037】
図14および15は、アンテナアセンブリから90°離れて折られているレドーム16の第2の実施形態を斜視図で示している。
図15は、
図14による第2の実施形態を断面図で示している。示されたレドーム16は、アンテナアセンブリ2の前面3と実質的に面一に取り付けられており、レドーム16の後面17がアンテナアセンブリ2の前面3と実質的に面一に取り付けられている。さらに、示された実施形態のレドーム16は、レドーム16の後面17に配置されてアンテナアセンブリの前面3に向けて突出している少なくとも1つの突起25を備えている。レドーム16の後面17に配置された少なくとも1つの突起25は、複数の散乱要素6の少なくとも1つと少なくとも部分的に係合し、および複数の散乱要素6の少なくとも1つを部分的に埋めるように構成される。これは、突起25の誘電体装填のために、散乱要素6の深さ(d)が低減させられ得るというプラスの効果を有する。これは、また、アンテナアセンブリ2の厚さのさらなる全体的な低減を可能にし、したがって、アンテナ装置1自体の厚さも低減させられ得る。
【0038】
図16および
図17は、アンテナアセンブリから90°離れて折られているレドームの第3の実施形態を斜視図で示している。
図13は、
図12による第3の実施形態を断面図で示している。示されたレドーム16は、アンテナアセンブリ2の前面3と、実質的に面一に取り付けられており、レドーム16の後面17がアンテナアセンブリ2の前面3と実質的に面一に取り付けられている。さらに、示されたレドーム16はいくつかの溝26を備える。いくつかの溝26は、レドーム16の後面17に配置されており、好ましくは、互いに離間して、少なくとも1つのアンテナ開口4に平行して配置されている。アンテナアセンブリ2の前面3は、互いに平行に、且つ少なくとも1つのアンテナ開口4に実質的に垂直に配置された幾つかのバー27をさらに備えている。いくつかのバー27は、レドーム16の後面17に配置された、対応するいくつかの凹部28と係合するように設計されている。いくつかの溝26は、表面波を低減させるように構成されている。いくつかのバー27は、アンテナアセンブリ2の放射パターンを向上させ、垂直方向における表面波の伝搬を阻止するように構成されている。レドーム16の後面17に配置された幾つかの溝26の寸法、およびバー27の数は、レドーム16の厚さ、およびレドーム16の材料の誘電率に依存する。厚さ1.4mm、誘電率3.46のレドームの場合、いくつかの溝26の高さ(h)は1mmであり、幅(w)は0.7mmである。壁の厚さwsは0.4mmであり、hsは0.4mmである。
【0039】
図18および
図19は、少なくとも1つのレンズ28を備えるレドーム16の実施形態を示し、レンズ28は、少なくとも1つのレンズ28がボアサイト方向にパワーを視準するのに役立つので、表面波の励起を回避して、パワーの大半がアンテナアセンブリ2の前面3でボアサイト方向に放射され得るように設計されている。これらの手法は、アンテナアセンブリ2およびレドーム16の3D構造を利用する。さらに、レンズ28は、アンテナ開口4のサイズを低減させるのに役立ち、これにより、ビームフォーマの適切な機能のためのアンテナ配置と、アンテナのビーム幅および指向性に関する要件との間の矛盾を明確に緩和し得る。レンズ28の半径は、レドーム16の材料、およびアンテナ開口4のタイプに強く依存する。
【0040】
図20および21は、アンテナアセンブリがケース30内に配置された、アンテナ装置1の第1の実施形態を示している。示された実施形態では、アンテナアセンブリ2は実質的に、ケース30により、実質的に完全に囲まれている。示されたアンテナアセンブリ2は導波路アンテナとして設計されている。少なくとも1つのアンテナ開口4は、アンテナアセンブリ2内に配置された中空導波路構造31に接続されている。中空導波路構造31は電子部品32に相互接続されている。示された実施形態では、電子部品32は、アンテナアセンブリ2の前面3に対して、アンテナアセンブリ2の後側に配置されている。アンテナ装置1はさらにプリント回路基板33と、その上に配置された電子部品32とを備えている。前面3に配置された少なくとも1つのアンテナ開口4に加えて、示されたアンテナアセンブリ2は、外部物体により反射され、そして一次放射線5として少なくとも部分的に戻ることが予測される、放射線の出射信号を発出するように構成された少なくとも1つのアンテナ開口4をさらに備える。代替的に、少なくとも1つのアンテナ開口4は、ホーンアンテナとして設計されてもよい。示された実施形態の散乱要素6は、実質的に矩形であり、および/または角錐形であり、および/または、それらの組み合わせである断面を、前面に対して垂直に有している。散乱要素6は、示された変形例では矩形であるレイアウト14を前面において有している。
図16に最もよく見られるように、示されたレドーム16は、アンテナアセンブリ2の前面3と離間して配置されている。あるいは、レドーム16は、アンテナアセンブリ2の前面3と面一に取り付けられる場合もある。変形例では、アンテナアセンブリ2は少なくとも、一次放射線5を少なくとも部分的に吸収する材料で部分的に覆われる、またはその材料からなる、散乱要素6の領域内にあり得る。
【0041】
図22および23は、アンテナアセンブリ2がケース30内に配置された、アンテナ装置1の第2の実施形態を示している。示された実施形態では、アンテナアセンブリ2は、ケース30により、実質的に完全に囲まれている。示されたアンテナアセンブリ2は、導波路アンテナとして設計されている。少なくとも1つのアンテナ開口4は、アンテナアセンブリ2内側に配置された中空導波路構造31に接続される。中空導波路構造31は、電子部品32に相互接続される。示された実施形態では、電子部品32は、アンテナアセンブリ2の前面3に対して、アンテナアセンブリ2の後側に配置される。アンテナ装置1は、プリント回路基板33、およびその上に配置された電子部品32も備える。前面3に配置された少なくとも1つのアンテナ開口4に加えて、示されたアンテナアセンブリ2は、外部物体により反射され、そして一次放射線5として少なくとも部分的に戻ることが予測される、放射線の出射信号を発出するように構成された少なくとも1つのアンテナ開口4をさらに備える。
図16において最もよく見られるように、示された実施形態は、吸収材料39の層を備える。示された実施形態はチップ(MMIC)38を備える。示されたアンテナアセンブリは射出成形により作られる。アンテナアセンブリ2の示された実施形態は、2つの射出成形材料を備えており、それらの1つは電磁波吸収特性を有している。吸収材料39の層は、アンテナアセンブリ2の後面に配置される。好ましい変形例では、吸収材料39の層、および基材は、一キャビティ内の一生産工程内で作られる。好ましくは二成分射出成形により。
【0042】
図24および
図25は、アンテナアセンブリ2の第3の実施形態の斜視図を示している。示された実施形態の前面3では、アンテナ開口4内で衝突する一次放射線5の形態の入射信号を受信するように構成されたアンテナ開口4が配置されている。示されたアンテナ開口4は群単位で配置される。示された散乱要素6は、前面3に対してくぼみ10として設計されている。さらに、示された複数の散乱要素6の一部は複数の平行な行11に配置され、各行の散乱要素6は互いに等間隔に離間している。アンテナアセンブリ2の前面3上の少なくとも1つのアンテナ開口4に隣接して配置された散乱要素6に加えて、示されたアンテナアセンブリ2は吸収材料40の層をさらに備える。散乱要素6は、散乱要素6の領域内で衝突する複数の一次放射線5を少なくとも部分的に反射し、よって、それらを第1の二次放射線7および第2の二次放射線8に分離するように構成されている一方、吸収材料40の示された層は、吸収材料において衝突する一次放射線5を少なくとも部分的に吸収する。図中で見られ得るように、吸収材料40の層は、アンテナアセンブリ2を完全に、または部分的に覆い得る。示された変形例では、吸収材料40の層は、前面3上に、または前面3内に配置され、アンテナ開口4により覆われた領域および散乱要素6により覆われた領域以外は、前面3全体を実質的に覆う。
【0043】
図25により、最もよく得られ得るように、示された吸収材料40の層は、アンテナアセンブリ2の前面3に接合される、吸収材料40の別個の層の形態でアンテナアセンブリ2に組付けられる。示された吸収材料40の層は、締結手段により、たとえば、ねじ止め、またはクランプにより、機械的に接合され得る。示された吸収材料40の層は、溶接、接着、ホットスタンピング、クリッピング、圧入、はんだ付け等により接合され得る。示された吸収材料40は、樹脂または複合材料、たとえば電磁波吸収特性を有するハイブリッド材料でできている。示された吸収材料40の層は、それをアンテナアセンブリ2の前面3内に、前面3内に配置されたキャビティ41内に埋め込む。
【0044】
図26および27は、アンテナアセンブリ2の第4の実施形態の斜視図を示している。示された実施形態は、
図24および25に示された第3の実施形態と類似である。アンテナアセンブリ2の前面3上の少なくとも1つのアンテナ開口4に隣接して配置された散乱要素6の他に、示されたアンテナアセンブリ2はさらに、吸収材料40の層も備えている。図に見られ得るように、吸収材料40はアンテナアセンブリ2を完全に、または部分的に覆い得る。示された変形例では、吸収材料40は、前面3上に、または前面3内に配置されており、アンテナ開口4により覆われた領域、および散乱要素6により覆われた領域を除いて、前面3全体を実質的に覆っている。
【0045】
図27から最もよく得られ得るように、示された実施形態は、吸収材料40の層が、アンテナアセンブリ2の前面3上に配置された、別個の吸収材料40の形態でアンテナアセンブリ2に組付けられるという点で、
図24および25により示された実施形態と異なる。示された吸収材料40の層は、締結手段により、たとえば、ねじ止め、またはクランプにより、機械的に接合され得る。示された吸収材料40の層は、溶接、接着、ホットスタンピング、クリッピング、圧入、はんだ付け等により接合され得る。示された吸収材料40は、樹脂または複合材料、たとえば電磁波吸収特性を有するハイブリッド材料でできている。アンテナアセンブリ2が多成分射出成形またはインモールド転写により作られる場合、示された実施形態の効率的な製造プロセスが実現され得る。多成分射出成形プロセスは典型的には、2つ以上のプラスチック材料を含んでおり、それにより、少なくとも1つのプラスチック材料は電磁波(EM)吸収特性を有する。代替的に、または加えて、アンテナアセンブリ2には、完全な、または選択的な表面処理プロセスが施され得る。アンテナアセンブリの前層および後層が一旦製造されると、塗料またはコーティングの層がアンテナアセンブリ2の前面3に少なくとも部分的に塗布され得る。
【0046】
図28および29は、レドーム16の第5の実施形態を斜視図で示している。示された実施形態では、吸収材料40は、取り付けられた状態におけるアンテナアセンブリ2に面して、レドーム16の内側に配置される。別個の吸収材料40が、接合手法、たとえば、ねじ止め、クランプ、溶接、接着、ホットスタンピング、クリッピング、圧入、はんだ付け等を使用して、レドーム16に接続される。吸収材料40はレドーム16に取り付けられ、またはレドーム16内に埋め込まれ得る。示された吸収材料40は、レドーム16に対して距離を空けて組み立てられてもよい。
【0047】
むしろ、本明細書中で使用されている文言は、限定でなく、記載の文言であり、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われ得ることが理解される。
【符号の説明】
【0048】
1 アンテナ装置
2 アンテナアセンブリ
3 前面
4 アンテナ開口
5 一次放射線
6 散乱要素
7 第1の二次放射線
8 第2の二次放射線
9 突起
10 くぼみ
11 2つの平行の行
12 2つの隣接する行
13 周期的間隔
14 レイアウト
15 外側エッジ
16 レドーム
17 後面
18 ドーム状のレンズ
19 出射放射線
20 中空導波路構造
21 プリント回路基板
22 電子部品
23 鋸歯形状
24 凹部(レドーム)
25 突起
26 溝
27 バー
28 レンズ
29 凹部
30 ケース
31 導波路構造
32 電子部品
33 PCB
34 散乱要素なしの指向性
35 散乱要素有りの指向性
36 鋸歯形状なしの指向性
37 鋸歯形状有りの指向性
38 チップ(MMIC)
39 吸収材料(後面)
40 吸収材料(前面/レドーム)
41 キャビティ(前面)
【国際調査報告】