(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】広帯域二重偏波平面アンテナアレイ
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/06 20060101AFI20240416BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20240416BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20240416BHJP
H01Q 13/10 20060101ALI20240416BHJP
H01Q 5/42 20150101ALI20240416BHJP
【FI】
H01Q21/06
H01Q21/24
H01Q13/08
H01Q13/10
H01Q5/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023569800
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 IB2021057932
(87)【国際公開番号】W WO2022238744
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523423698
【氏名又は名称】サーブ リミティド-アブダビ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム モハメド アブデルガイド アブデラティフ
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA09
5J021GA05
5J021JA02
5J021JA03
5J021JA05
5J021JA06
5J021JA07
5J045AA02
5J045AA03
5J045AA12
5J045AA14
5J045AA26
5J045AB05
5J045CA01
5J045CA04
5J045DA06
5J045DA10
5J045FA08
5J045FA09
5J045MA07
5J045NA07
(57)【要約】
アンテナ素子は、多層プリント回路基板(PCB)を有する。PCBは、上側金属層、第2の金属層、第3の金属層及び下側金属層を有する。各金属層の間に誘電体層が配置される。PCBの厚さは、層の合計の厚さによって規定される。上側金属層、第2の金属層及び第3の金属層は、全てが異なる長さである。第2の金属層及び第3の金属層は、その中に形成された複数のスロットを有する。複数のスロットの各々は、中心周波数に調整されたサイズ及び位置を有する。複数のアンテナ素子のアンテナアレイは、二つの直交偏波に向けて配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層プリント回路基板(PCB)であって、上側金属層、第2の金属層、第3の金属層及び下側金属層を有し、各金属層の間に配置された誘電体層を有し、前記PCBの厚さは、前記層の合計の厚さによって規定され、前記上側金属層、前記第2の金属層及び前記第3の金属層は、全てが異なる長さを有し、前記第2の金属層及び前記第3の金属層は、その中に形成された複数のスロットを有し、前記複数のスロットの各々は、中心周波数及び周波数帯域幅に調整されたサイズ及び位置を有する、PCBを備える、アンテナ素子。
【請求項2】
前記上側金属層の下面と前記第2の金属層の上面との間の第1距離と、前記第2の金属層の下面と前記第3の金属層の上面との間の第2距離と、前記第3の金属層の下面と前記下側金属層の上面との間の第3距離と、が等しい、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項3】
前記誘電体層は、
前記上側金属層と前記第2の金属層との間の上側誘電体層であって、上側コア層及び上側プリペグ層を有する、上側誘電体層と、
前記第2の金属層と前記第3の金属層との間の中央誘電体層であって、中央コア層を有する、中央誘電体層と、
前記第3の金属層と前記下側金属層との間の下側誘電体層であって、下側コア層及び下側プリペグ層を有する、下側誘電体層と、
を備える、請求項1又は2に記載のアンテナ素子。
【請求項4】
前記誘電体層は、同一の誘電体材料から構成されている、請求項1~3のいずれかに記載のアンテナ素子。
【請求項5】
前記上側金属層、前記第2の金属層、前記第3の金属層、前記下側金属層及び前記誘電体層内の金属ビアによって形成された直接プローブを更に備える、請求項1~4のいずれかに記載のアンテナ素子。
【請求項6】
前記直接プローブは、前記上側金属層、前記第2の金属層及び前記第3の金属層のうちの二つへの直接給電を有し、前記直接プローブは、前記直接給電を有しない前記上側金属層、前記第2の金属層及び前記第3の金属層のうちの一つへの寄生結合給電を有する、請求項1~5のいずれかに記載のアンテナ素子。
【請求項7】
前記上側金属層、前記第2の金属層、前記第3の金属層及び前記下側金属層の各々は、矩形のアームの形状を有し、前記上側金属層の長さは、前記第2の金属層の長さよりも短く、前記第2の金属層の長さは、前記第3の金属層の長さよりも短く、前記第3の金属層の長さは、前記下側金属層の長さよりも短い、請求項1~6のいずれかに記載のアンテナ素子。
【請求項8】
前記複数のスロットは、複数の形状及びサイズを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のアンテナ素子。
【請求項9】
平面2次元アレイに配列された請求項1~8のいずれか一項に記載の複数のアンテナ素子を備える、アンテナアレイ。
【請求項10】
前記複数のアンテナ素子は、二つの直交偏波に向けて配置されている、請求項9に記載のアンテナアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナアレイ及びデジタルレーダの分野に関し、特に、3Dビームステアリング及び全次元MIMOを実現する平面アンテナアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
フェーズドアレイアンテナは、完全デジタルレーダ、AESAレーダ、回転レーダ、5G移動通信のような様々な用途において電子ビームステアリングに使用されている。
【0003】
スロット導波管アレイは、レーダ用途で広く使用されているフェーズドアレイアンテナの一種である。スロット導波管アレイは、重量が重いこと、周波数帯域幅が狭いこと、交差偏波レベルが高いこと、放射効率が低いことを含む欠点がある。さらに、スロット導波管アレイは、低い公差の高い製造精度を必要とし、これによって、製造コストが高くなる。
【0004】
二重偏波電子可動アレイ技術に広く使用されている他のタイプの従来のアンテナ技術は、エンドファイアアンテナ素子設計に基づく。エンドファイアアンテナアレイもいくつかの欠点がある。エンドファイアアンテナ素子は、フェーズドアレイを実現するために平衡アンテナ素子を使用し、システムに複雑さ及び損失を追加する平衡-不平衡変換器を必要とする。さらに、インピーダンス整合を、ストリップラインからマイクロストリップラインへの移行によって行うとき、交差偏波放射が増大する。さらに、2次元エンドファイアアンテナアレイの設計において、アンテナ素子がグランドプレーンに別々に垂直に取り付けられ、これによって機械設計が更に複雑になり、製造コストが増大する。
【0005】
可動フェーズドアレイアンテナを、従来の積層パッチアレイ又は不平衡多層アンテナアレイを使用して多層プリント回路基板(PCB)に実装することもできる。これらのアンテナ設計は、周波数帯域幅が狭いことを含む欠点がある。さらに、これらの設計は、120°のセクターをカバーするようにビームを電子的にステアリングする必要があるときは特にステアリング角度の一部のインピーダンス不整合の問題を有する。
【0006】
二重偏波レーダは、通常、両方の偏波が交互に切り替わるオルタネートモード又は両方の偏波が同時に送受信されるハイブリッドモードで実装されるアンテナの別のタイプである。最近の二重偏波レーダは、通常、両方の偏波方向で同時に送信を行う。そのために、これまでの課題に加えて、二重偏波レーダアンテナは、二重偏波レーダの両方の動作モードで動作する必要がある。
【0007】
したがって、従来技術の一つ以上の制限を回避又は緩和する広帯域二重偏波平面アンテナアレイを必要性とする。
【0008】
この背景情報を、本発明に関連する可能性があると出願人が考える情報を明らかにするために提供する。いかなる先行情報も、本発明に対する先行技術であることを必ずしも認めるものではなく、本発明に対する先行技術であると解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施形態の目的は、デジタルレーダ及びビームステアリング用途のための広帯域二重偏波平面アンテナアレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によれば、多層プリント回路基板(PCB)を有するアンテナ素子を提供する。PCBは、上側金属層、第2の金属層、第3の金属層及び下側金属層を有する。各金属層の間に誘電体層が配置される。PCBの厚さは、層の合計の厚さによって規定される。上側金属層、第2の金属層及び第3の金属層は、全てが異なる長さである。第2の金属層及び第3の金属層は、その中に形成された複数のスロットを有する。複数のスロットの各々は、中心周波数及び周波数帯域幅に調整されたサイズ及び位置を有する。
【0011】
他の実施形態において、上側金属層の下面と第2の金属層の上面との間の第1距離と、第2の金属層の下面と第3の金属層の上面との間の第2距離と、第3の金属層の下面と下側金属層の上面との間の第3距離と、が等しい。
【0012】
他の実施形態において、誘電体層は、上側金属層と第2の金属層との間の上側誘電体層であって、上側コア層及び上側プリペグ層を有する、上側誘電体層を有する。誘電体層は、第2の金属層と第3の金属層との間の中央誘電体層であって、中央コア層を有する、中央誘電体層を更に有する。誘電体層は、第3の金属層と下側金属層との間の下側誘電体層であって、下側コア層及び下側プリペグ層を有する、下側誘電体層を更に有する。
【0013】
他の実施形態において、誘電体層は、同一の誘電体材料から構成されている。
【0014】
他の実施形態は、上側金属層、第2の金属層、第3の金属層、下側金属層及び誘電体層内の金属ビアによって形成されたダイレクトプローブを有する。
【0015】
他の実施形態において、ダイレクトプローブは、上側金属層、第2の金属層及び第3の金属層のうちの二つへの直接給電を有し、ダイレクトプローブは、直接給電を有しない上側金属層、第2の金属層及び第3の金属層のうちの一つへの寄生結合給電を有する。
【0016】
他の実施形態において、上側金属層、第2の金属層、第3の金属層及び下側金属層の各々は、矩形のアームの形状を有する。上側金属層の長さは、第2の金属層の長さよりも短い。第2の金属層の長さは、第3の金属層の長さよりも短い。第3の金属層の長さは、下側金属層の長さよりも短い。
【0017】
他の実施形態において、複数のスロットは、複数の形状及びサイズを有する。
【0018】
本発明の実施形態によれば、平面2次元アレイに配列された本明細書で規定するような複数のアンテナ素子を備える、アンテナアレイを提供する。
【0019】
他の実施形態において、複数のアンテナ素子は、二つの直交偏波に向けて配置されている。
【0020】
実施形態を、実施形態を実施することができる本発明の態様と関連して上述した。当業者は、実施形態を実施形態が記載されている態様と組み合わせて実施することができるがその態様の他の実施形態と組み合わせて実施することもできることを理解する。実施形態が相互に排他的であるとき又は実施形態が相互に互換性がないとき、当業者には明らかである。いくつかの実施形態を一つの態様に関連して説明することができるが、当業者には明らかなように、他の態様にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の他の特徴及び他の利点は、添付図面と組み合わせて取り込まれた以下の詳細な説明から明らかになる。
【0022】
【
図1】
図1は、実施形態による金属層を示すアンテナ素子の斜視図である。
【0023】
【
図2】
図2は、実施形態によるアンテナ素子のPCB層の側面図を示す。
【0024】
【
図3】
図3は、実施形態による断面寸法を示したアンテナ素子のPCB層の側面図を示す。
【0025】
【
図4】
図4は、実施形態による寸法を示した金属層を示すアンテナ素子の斜視図である。
【0026】
【
図5】
図5は、実施形態による寸法を示したアンテナの金属層の平面図を示す。
【0027】
【
図6】
図6は、実施形態による二重偏波アンテナアレイの配置の平面図を示す。
【0028】
【
図7】
図7は、実施形態による単偏波アンテナアレイの金属レイアウトの平面図を示す。
【0029】
添付図面全体を通して同様の特徴が同様の参照数字によって識別されることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態は、デジタルレーダ及びビームステアリング用途のための広帯域二重偏波平面アンテナアレイを提供する。実施形態は、方位角、仰角又は方位角と仰角の両方でビームをステアリングする能力を有し、2次元(2D)、3次元(3D)又は2Dと3Dの両方のビームステアリングを実行する能力を有する。(2次元及び/又は3次元ビームステアリング)。実施形態を、2次元又は3次元でのビームステアリング及びビームフォーミングを必要とする無線用途で使用してもよい。提案したアンテナアレイは、最大120°の方位角又は仰角のセクターをカバーするために、方位角、仰角又は方位角と仰角の両方で電子的にステアリング可能な狭いビームを生成することができる。
【0031】
実施形態は、単一の周波数帯域又は二つの周波数帯域で動作してもよい。
【0032】
実施形態は、インピーダンス整合ネットワークを必要としない小型の不平衡アンテナ素子を有するアンテナアレイを有する。インピーダンス整合ネットワークの使用は、システムに損失を追加し、アンテナの効率を低下させる。インピーダンス整合ネットワークは、周波数依存成分を有し、したがって、周波数依存成分を利用するアンテナの動作周波数帯域幅を減少させる。
【0033】
図1を参照すると、実施形態は、多層回路基板に印刷されたアンテナ素子100の設計を有する。プリント回路基板(PCB)スタックは、平面上側金属層102と、下側金属層108と、第2の上側中央金属層104と、第3の下側中央金属層106と、を有する。下側金属層108は、アンテナアレイ100の共通グランド層としても機能する。
【0034】
図2は、アンテナ素子100の異なる金属層の間の3層の誘電体材料を示す。これらは、上側金属層102と第2の金属層104との間の第1の上側誘電体層202と、第2の金属層104と第3の下側金属層106との間の第2の中央誘電体層204と、第3の金属層106と下側金属層108との間の第3の誘電体層206と、を有する。実施形態において、上側金属層102は、第2の金属層104より小さい。第2の金属層104は、第3の下側中央金属層106より小さい。第3の下側中央金属層106は、下側金属層108より小さい。
【0035】
図3を参照すると、PCBを備える層の誘電体部分及び金属部分の厚さT 302は、アンテナ素子100の金属層の表面の間の距離を規定する。上側金属層102の上面と下側金属層108の下面との間の距離は、アンテナアレイ基板100の厚さT 302を規定する。上側金属層102の下面と上側中央金属層104の上面との間の距離は、アンテナ基板100の上側厚さT
1 304を規定し、下側金属層108の上面と下側中央金属層106の下面との間の距離は、アンテナ基板100の下側厚さT
3 308を規定する。アンテナ基板100の中央厚さT
2 306は、下側中央金属層106の上面と上側中央金属層104の下面との間の距離によって規定される。
【0036】
実施形態において、アンテナ基板100を、異なる方法で実現してもよい。上側厚さT
1 304、中央厚さT
2 306及び下側厚さT
3 308が等しくてもよい。
【数1】
実施形態において、上側厚さT
1 304及び中央厚さT
2 306が互いに等しくてもよいが、上側厚さT
1 304及び中央厚さT
2 306が下側厚さT
3 308と異なってもよい。
【数2】
【0037】
実施形態において、上側誘電体202は、上部コア層と、上側中央金属層104と上側コア層との間に配置された上側プリプレグ層と、を有し、中央誘電体204は、上側中央金属層104と下側中央金属層106との間のコア層である。下側誘電体206は、下側コア層と、下側コア層と下側中心金属層106との間に配置された下側プリプレグと、を有する。
【0038】
いくつかの実施態様において、上側誘電体、中央誘電体及び下側誘電体は、同一の誘電体材料を使用してもよい。他の実施例において、上側誘電体、中央誘電体及び下側誘電体は、異なる材料を使用することができる。
【0039】
実施形態において、アンテナ素子設計は、小型の垂直アンテナ素子の平面2次元アレイであってもよい。二つの直交偏波を有する二つの小型のアンテナ素子を、二つの垂直直線偏波を生成するために又は円偏波を生成するためにアレイ内で使用してもよい。垂直アンテナ素子は、全動作周波数帯域幅を同時にカバーすることができる。
【0040】
図1を参照すると、実施形態において、アンテナ素子100は、
図1に示すように、4層からなり、上側の3層102,104及び106は、長さの異なる狭い矩形の金属アームであり、下側層108は、
図2に示すように、異なる金属層の間に誘電体材料を有する共通の金属グランドプレーンである。
【0041】
実施形態において、上側金属層102は、長さ310の個体金属平面を有する。中央の第2の金属層104は、内部に形成された異なるサイズのスロット103及びスロット105のようなスロットを有する長さ312の金属平面を有し、スロット103及び105の領域は、金属を有しない。中央の第3の金属層106は、内部に形成された異なるサイズのスロット110及びスロット112のようなスロットを有する長さ314の金属平面を有し、スロット110及び112の領域は、金属を有しない。下側金属グランド層108は、長さ316の個体金属平面を含む。実施形態において、
【数3】
である。
【0042】
異なる金属層のスロットの設計は、正方形、長方形又は正方形と長方形の両方であってもよい。異なる層のスロットは、全てが同一の形状又は異なる形状であってもよい。異なる層のスロットは、全てが同一の寸法又は異なる寸法であってもよい。 実施形態において、アンテナ素子金属層の一つ又は二つは、スロットがなくてもよい。
【0043】
アンテナアレイ素子は、異なるプリント回路基板層を貫通して穿孔された金属ビアによって実装される直接プローブ給電114によって給電される。直接給電114は、当該技術分野で知られているような様々な通信プロトコルを実施するための電子信号を送受信するために外部の電子回路に接続するのに使用される。上側金属層102及び第3の金属層106は、直接給電を有し、第2の金属層104は寄生結合給電を有する。第2の金属層104及び第3の金属層106は、サイズ及び形状の異なる複数のスロットを有する。放射パターンは、異なるアンテナパラメータを計算及び変更することによって最適化することができる。アンテナを、シングルバンド(例えば、Xバンド)又はデュアルバンド(例えば、XバンドとKuバンド)で動作するように設計及び最適化することができる。
【0044】
小型のアンテナ素子100を設計に使用することによって、素子間の半波長の最小間隔及びサイドグレーティングローブレベルを低減するアンテナ素子間の高いアイソレーションを有する直交偏波アンテナアレイを実装することができる。
【0045】
小型で狭い幅のアンテナ素子100の設計によって、隣接するアンテナ素子間のアイソレーション及び相互結合を改善するとともに垂直偏波素子間の交差極結合及び交差偏波比を改善するために複数のアンテナ素子間の相対的な位置と距離を最適化することができる。交差偏波結合は、レーダ測定が同一偏波パラメータの推定に使用されるときのリトリーバル誤差になる可能性がある。この誤差率を低減するために、交差偏波結合の値を改善してもよい。
【0046】
実施形態において、アンテナアレイは、単一の平面回路基板に印刷することができる。誘電体材料の種類を、要求されるアンテナ性能及び周波数帯域幅に基づいて選択してもよい。いくつかの例において、使用される誘電体材料は、ロジャースRO3003であってもよい。他の例において、使用される誘電体材料は、ロジャースRT/Duroid5880であってもよい。いずれの材料も広く使用されるとともに市販されている。さらに、他の誘電体材料を使用してもよい。PCB技術の使用及び簡単な機械的設計によって、簡単な機械的サポート及び取付部品の使用が可能になり、アンテナ素子100のコスト抑制に役立つ。
【0047】
図4は、アレイ素子100の寸法がXバンド完全デジタルレーダ用途のために設計及び最適化された実施形態を示す。アンテナ素子100及びその層の各々の一般的な形状は、矩形のアームの形状である。アンテナ素子100の全長L 402は、13mmであり、全幅W 404は、3mmであり、合計の厚さT 302は、4.56mmである。全ての層の間の使用される誘電体材料は、3の比誘電率及び0.0013の損失正接を有するロジャースRO3003である。
【0048】
図3、
図4及び
図5を参照すると、
図4に示す実施形態において、Xバンドの中心周波数を有するアンテナ素子100の寸法を以下の表に示す。
【表1】
【0049】
実施形態において、
図3、
図4及び
図5に関連して上記に列挙したアンテナ素子100の寸法を、他の周波数で動作するようにスケーリング係数を用いてスケーリングしてもよい。例えば、
図3、
図4及び
図5の実施形態の中心周波数がF
oldであり、新しいアンテナがF
newの中心周波数で構築される場合、
【数4】
のスケーリング係数SFを使用してもよい。
【0050】
図6は、Xバンドでの動作に最適化されるとともに
図3、
図4及び
図5と同様の寸法のアンテナ素子100を利用する二重偏波アンテナアレイ600の実施形態を示す。アンテナアレイ600を、上述したように複数のアンテナ素子100から構成してもよい。アンテナ素子は、垂直方向606及び水平方向608に一定間隔で配置される。また、アンテナ素子は、アンテナ素子602のように垂直方向に向けられるとともにアンテナ素子604のように水平方向に向けられる。
【0051】
図7は、Xバンドでの動作に最適化されるとともに
図3、
図4及び
図5と同様の寸法を利用する単一偏波アンテナアレイ700の実施形態を示す。アンテナアレイ700を、上述したように複数のアンテナ素子100から構成してもよい。アンテナ素子は、一定の距離708だけ間隔をあけて配置される。
【0052】
実施形態において、アンテナ素子100は、単一偏波モード、直線水平モード又は直線垂直モード又は二重偏波モードで動作してもよい。アンテナ100を、二重偏波レーダの異なるモード、両方の偏波が交互に切り替わるオルタネートモード又は両方の偏波が同時に送受信されるハイブリッドモードで使用することができる。
【0053】
本発明を、その特定の特徴及び実施形態を参照して説明してきたが、本発明から逸脱することなく様々な変更及び組合せが可能であることは明らかである。したがって、本明細書及び図面は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の単なる例示とみなされ、本発明の範囲内に入るあらゆる変更、変形、組合せ又は等価物をカバーすることが考えられる。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
他の実施形態において、誘電体層は、上側金属層と第2の金属層との間の上側誘電体層であって、上側コア層及び上側プリプレグ層を有する、上側誘電体層を有する。誘電体層は、第2の金属層と第3の金属層との間の中央誘電体層であって、中央コア層を有する、中央誘電体層を更に有する。誘電体層は、第3の金属層と下側金属層との間の下側誘電体層であって、下側コア層及び下側プリプレグ層を有する、下側誘電体層を更に有する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
本発明を、その特定の特徴及び実施形態を参照して説明してきたが、本発明から逸脱することなく様々な変更及び組合せが可能であることは明らかである。したがって、本明細書及び図面は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の単なる例示とみなされ、本発明の範囲内に入るあらゆる変更、変形、組合せ又は等価物をカバーすることが考えられる。
本明細書に開示される発明は以下を含む。
[態様1]
多層プリント回路基板(PCB)であって、上側金属層、第2の金属層、第3の金属層及び下側金属層を有し、各金属層の間に配置された誘電体層を有し、前記PCBの厚さは、前記層の合計の厚さによって規定され、前記上側金属層、前記第2の金属層及び前記第3の金属層は、全てが異なる長さを有し、前記第2の金属層及び前記第3の金属層は、その中に形成された複数のスロットを有し、前記複数のスロットの各々は、中心周波数及び周波数帯域幅に調整されたサイズ及び位置を有する、PCBを備える、アンテナ素子。
[態様2]
前記上側金属層の下面と前記第2の金属層の上面との間の第1距離と、前記第2の金属層の下面と前記第3の金属層の上面との間の第2距離と、前記第3の金属層の下面と前記下側金属層の上面との間の第3距離と、が等しい、態様1に記載のアンテナ素子。
[態様3]
前記誘電体層は、
前記上側金属層と前記第2の金属層との間の上側誘電体層であって、上側コア層及び上側プリプレグ層を有する、上側誘電体層と、
前記第2の金属層と前記第3の金属層との間の中央誘電体層であって、中央コア層を有する、中央誘電体層と、
前記第3の金属層と前記下側金属層との間の下側誘電体層であって、下側コア層及び下側プリプレグ層を有する、下側誘電体層と、
を備える、態様1又は2に記載のアンテナ素子。
[態様4]
前記誘電体層は、同一の誘電体材料から構成されている、態様1~3のいずれかに記載のアンテナ素子。
[態様5]
前記上側金属層、前記第2の金属層、前記第3の金属層、前記下側金属層及び前記誘電体層内の金属ビアによって形成された直接プローブを更に備える、態様1~4のいずれかに記載のアンテナ素子。
[態様6]
前記直接プローブは、前記上側金属層、前記第2の金属層及び前記第3の金属層のうちの二つへの直接給電を有し、前記ダイレクトプローブは、前記直接給電を有しない前記上側金属層、前記第2の金属層及び前記第3の金属層のうちの一つへの寄生結合給電を有する、態様1~5のいずれかに記載のアンテナ素子。
[態様7]
前記上側金属層、前記第2の金属層、前記第3の金属層及び前記下側金属層の各々は、矩形のアームの形状を有し、前記上側金属層の長さは、前記第2の金属層の長さよりも短く、前記第2の金属層の長さは、前記第3の金属層の長さよりも短く、前記第3の金属層の長さは、前記下側金属層の長さよりも短い、態様1~6のいずれかに記載のアンテナ素子。
[態様8]
前記複数のスロットは、複数の形状及びサイズを有する、態様1~7のいずれか一項に記載のアンテナ素子。
[態様9]
平面2次元アレイに配列された態様1~8のいずれか一項に記載の複数のアンテナ素子を備える、アンテナアレイ。
[態様10]
前記複数のアンテナ素子は、直交する二つの偏波に向けて配置されている、態様9に記載のアンテナアレイ。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層プリント回路基板(PCB)であって、上側金属層、第2の金属層、第3の金属層及び下側金属層を有し、各金属層の間に配置された誘電体層を有し、前記PCBの厚さは、前記層の合計の厚さによって規定され、前記上側金属層、前記第2の金属層及び前記第3の金属層は、全てが異なる長さを有し、前記第2の金属層及び前記第3の金属層は、その中に形成された複数のスロットを有し、前記複数のスロットの各々は、中心周波数及び周波数帯域幅に調整されたサイズ及び位置を有する、PCBを備え
、
前記上側金属層、前記第2の金属層、前記第3の金属層及び前記下側金属層の各々は、矩形のアームの形状を有し、前記上側金属層の長さは、前記第2の金属層の長さよりも短く、前記第2の金属層の長さは、前記第3の金属層の長さよりも短く、前記第3の金属層の長さは、前記下側金属層の長さよりも短い、アンテナ素子。
【請求項2】
前記上側金属層の下面と前記第2の金属層の上面との間の第1距離と、前記第2の金属層の下面と前記第3の金属層の上面との間の第2距離と、前記第3の金属層の下面と前記下側金属層の上面との間の第3距離と、が等しい、請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項3】
前記誘電体層は、
前記上側金属層と前記第2の金属層との間の上側誘電体層であって、上側コア層及び上側
プリプレグ層を有する、上側誘電体層と、
前記第2の金属層と前記第3の金属層との間の中央誘電体層であって、中央コア層を有する、中央誘電体層と、
前記第3の金属層と前記下側金属層との間の下側誘電体層であって、下側コア層及び下側
プリプレグ層を有する、下側誘電体層と、
を備える、請求項1又は2に記載のアンテナ素子。
【請求項4】
前記誘電体層は、同一の誘電体材料から構成されている、請求項
1に記載のアンテナ素子。
【請求項5】
前記上側金属層、前記第2の金属層、前記第3の金属層、前記下側金属層及び前記誘電体層内の金属ビアによって形成された直接プローブを更に備える、請求項
1に記載のアンテナ素子。
【請求項6】
前記直接プローブは、前記上側金属層、前記第2の金属層及び前記第3の金属層のうちの二つへの直接給電を有し、前記直接プローブは、前記直接給電を有しない前記上側金属層、前記第2の金属層及び前記第3の金属層のうちの一つへの寄生結合給電を有する、請求項
5に記載のアンテナ素子。
【請求項7】
前記複数のスロットは、複数の形状及びサイズを有する、請求項
1に記載のアンテナ素子。
【請求項8】
平面2次元アレイに配列された請求項
1に記載の複数のアンテナ素子を備える、アンテナアレイ。
【請求項9】
前記複数のアンテナ素子は、
第1の直交偏波及び第2の直交偏波に向けて配置され、
前記第1の直交偏波に向けて配置されたアンテナ素子の前記上側金属層、前記第2の金属層、前記第3の金属層及び前記下側金属層は、前記第2の直交偏波に向けて配置されたアンテナ素子の対応する前記上側金属層、前記第2の金属層、前記第3の金属層及び前記下側金属層と同一であり、前記複数のアンテナ素子の各々は、前記上側金属層、前記第2の金属層及び前記第3の金属層において互いに交差せず、前記複数のアンテナ素子の各々は、前記下側金属層を共有する、請求項
8に記載のアンテナアレイ。
【国際調査報告】