(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】疎水性表面領域を有する燃料電池又はレドックスフロー電池用の流れ場プレート及び該流れ場プレートの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0258 20160101AFI20240416BHJP
H01M 8/0213 20160101ALI20240416BHJP
H01M 8/18 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/0213
H01M8/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569971
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2021063204
(87)【国際公開番号】W WO2022242837
(87)【国際公開日】2022-11-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523060943
【氏名又は名称】シュンク コーレンシュトッフテクニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】フーアマン, ハウケ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィトゥカ, ドミニク
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA08
5H126AA10
5H126AA12
5H126BB10
5H126FF07
5H126GG06
5H126HH01
(57)【要約】
基板(3)と、基板(3)の表面の流路入口(7)から基板(3)の内部(9)に延びる流路(5)とを備えた、燃料電池又はフロー電池用のバイポーラプレート(1)について記載する。基板(3)の表面は、流路入口(7)に隣接する流路(5)内側の第1領域(19)において、第2領域(21)よりも疎水性が強い。これにより、とりわけ、水分が流路(5)に入り、そこに蓄積することを防止し得る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池又はフロー電池用のバイポーラプレート(1)であって、
基板(3)と、
前記基板(3)の表面の流路入口(7)から前記基板(3)の内部(9)に延びる流路(5)と、を備え、
前記基板(3)の表面は、前記流路(5)内側の、前記流路入口(7)に隣接する第1領域(19)において、第2領域(21)よりも疎水性が強い、バイポーラプレート(1)。
【請求項2】
前記第1領域(19)が前記流路入口(7)を環状に取り囲む、請求項1に記載のバイポーラプレート。
【請求項3】
前記第1領域(19)が、前記流路(5)内側の前記基板(3)の前記表面の、前記流路入口(7)とガス連通する一部を含む、請求項1又は2に記載のバイポーラプレート。
【請求項4】
前記バイポーラプレート(1)の前記基板(3)が、2つの板状副基板(13)からなり、
前記2つの板状副基板(13)は接合面(15)をはさんで接合され、
溢流路(17)が前記接合面(15)に隣接して延び、
前記第1領域(19)が、前記溢流路(17)の少なくとも一部に沿って延び、
前記第2領域(21)が、前記接合面(15)の少なくとも一部に沿って延びる、
請求項1から3のいずれか一項に記載のバイポーラプレート。
【請求項5】
前記流路(5)が、流動加工可能な接着剤(23)で部分的に充填され、
前記第1領域(19)が、前記基板(3)の前記流路(5)内側の表面の、前記接着剤(23)が前記基板(3)と接触していない部分を形成し、
前記基板(3)の前記第2領域(21)が、前記基板(3)の前記流路(5)内側の表面の、前記接着剤(23)が前記基板(3)と接触している部分を形成する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のバイポーラプレート。
【請求項6】
前記第1領域(19)が、前記流路(3)内側の、前記接着剤(23)が接触していない前記基板(3)の表面全体に沿って延びる、
請求項5に記載のバイポーラプレート。
【請求項7】
前記第1領域(19)が、レーザ(27)によって局所的に処理され、疎水性の局所的向上をもたらす、
請求項1から6のいずれか一項に記載のバイポーラプレート。
【請求項8】
前記第1領域(19)が、ロータス効果を生じさせる表面テクスチャ(25)を有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載のバイポーラプレート。
【請求項9】
前記バイポーラプレート(1)がグラファイト含有材料で形成される、
請求項1から8のいずれか一項に記載のバイポーラプレート。
【請求項10】
燃料電池又はフロー電池用のバイポーラプレート(1)を製造する方法であって、
製造された前記バイポーラプレート(1)の前記基板(1)の内側を流路(5)が通るような構造を有する基板(3)を提供する工程であって、前記流路(5)は、前記基板(3)の表面の流路入口(7)から前記基板(3)の内部(9)へ延びる、工程と、
第1領域(19)内の前記基板(3)の前記表面が、第2領域(21)内の前記基板(3)の前記表面よりも疎水性が強くなるように、前記流路入口(7)に隣接する前記流路(5)内側の前記第1領域(19)内の前記基板(3)の前記表面を処理する工程と、
を含む、方法。
【請求項11】
前記基板(3)が、2つの板状副基板(13)を備え、
接合面(15)が前記2つの板状副基板(13)に形成され、溢流路(17)が前記接合面(15)に隣接して形成され、
前記第1領域(19)が、前記溢流路(17)の少なくとも一部に沿って延び、前記第2領域(21)が、前記接合面(15)の少なくとも一部に沿って延びる、方法であって、
前記2つの板状副基板(13)を、前記接合面(15)をはさんで互いに接合する工程を更に含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1領域(19)が、前記基板(3)の前記表面をレーザで局所的に照射することによって処理される、
請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記基板(3)の前記表面の前記第2領域(21)及び/又は前記基板(3)の前記表面の第3領域(29)において、前記レーザ(27)で前記基板を処理する工程を更に含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記レーザ(27)が、前記基板(3)の前記表面の前記第2領域及び/又は前記第3領域(21、29)を処理するときに、前記基板(3)の前記表面の前記第1領域(19)を処理するときとは異なるレーザパラメータで動作される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基板(3)の前記表面の前記第1領域(19)が、ロータス効果を生じさせる表面テクスチャ(25)の処理によって形成される、
請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池又はフロー電池のバイポーラプレート及びそのようなバイポーラプレートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイポーラプレートは、燃料電池システムの中核を形成するために積み重ねられる燃料電池のために、いくつかの異なった課題を実行するように意図されている。それらは、一方では、隣接する燃料電池を相互接続すること、すなわち、1つのセルのアノードを隣接セルのカソードと物理的及び電気的に接続することを意図している。他方では、バイポーラプレートの表面を介して、ガスを燃料電池内の反応空間へ分配することが可能であるべきであり、すなわち、バイポーラプレートは反応ガスを反応区域に運ぶべきものである。この目的のために、典型的には、バイポーラプレートは両側に流れ形状(いわゆる流れ場)を有し、これは圧延、鋳造又は形成されたものであってもよく、一方の側で水素が流れ、他方の側で空気が供給される。バイポーラプレートは、一般に、水蒸気の除去又は熱及び電気エネルギーの放出も制御する。更に、バイポーラプレートは、隣接セル間のガス分離、外部との封止、及び必要に応じた冷却をも行うべきものである。
【0003】
バイポーラプレートは、バイポーラプレートの基板の内部を通る流路を有することが多い。そのような流路は、例えば、バイポーラプレートの製造中に、特定の課題を実行することができる。例えば、そのような流路内に接着剤が収容されてもよく、その助力により、バイポーラプレートを形成する2つの副基板が互いに接合される。あるいは、流路はまた、他の機能を実装するために設けられてもよい。
【0004】
特定の動作条件下で、特に低温下又は低温下を経た後に、燃料電池又はフロー電池を動作させると問題が発生する可能性があることが観察されている。これらの問題は、燃料電池又はフロー電池に用いられるバイポーラプレートに関するものであると推測される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、低温下又は低温下を経た後の動作条件下を含め、確実に動作することができるバイポーラプレート又はバイポーラプレートを備えた燃料電池若しくはフロー電池が必要とされ得る。特に、設計が簡素で、安価に製造することができ、及び/又は特に堅固に動作することができるバイポーラプレートが必要とされ得る。更にそのようなバイポーラプレートを製造する方法が必要とされ得る。特に、バイポーラプレートを安価に、少ない労力で、及び/又は確実に製造することができる方法が必要とされ得る。
そのような必要性は、独立請求項の主題によって満たされ得る。有利な実施形態は、従属請求項に定義され、以下の説明に記載され、図面に示される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、燃料電池又はフロー電池用のバイポーラプレートに関し、バイポーラプレートは、基板と、基板の表面の流路入口から基板の内部に延びる流路とを備える。基板の表面は、流路入口に隣接する流路内側の第1領域において、第2領域よりも疎水性が強い。
【0007】
本発明の第2の態様は、燃料電池又はフロー電池用のバイポーラプレートを製造する方法に関し、この方法は、
製造されたバイポーラプレートの基板の内側を流路が通るような構造を有する基板を提供する工程であって、この流路は基板の表面の流路入口から基板の内部へ延びる、工程と、
第1領域内の基板の表面が第2領域内の基板の表面よりも疎水性が強くなるように、流路入口に隣接する流路内側の第1領域内の基板の表面を処理する工程と、を少なくとも含む。
【0008】
本発明の範囲を決して限定するものではないが、本発明の実施形態に関する考え及び可能な特徴は、とりわけ、以下に記載される考え及び知見に基づいていると考えられ得る。
簡潔かつ広範に要約すると、本明細書に記載された概念の基本原理は、特に低温下又は低温下を経た後の燃料電池又はフロー電池の動作に見られるような問題が、水がバイポーラプレートの流路に浸透し、又は水蒸気がこれらの流路で凝縮した後に凍結し、このプロセスで発生する熱誘起膨張によりバイポーラプレートに力及び/又は損傷を生じるという事実に起因する可能性があるという認識に基づいていると理解され得る。以前の目的は、流路内又は流路上に水又は水蒸気が浸透するのを封止手段によって防止することであったが、本明細書では、代替として、流路入口に隣接する基板の表面の少なくとも一部を、好ましくは流路内側の表面の露出領域をも、基板の表面の他の部分の場合よりも特に疎水性が強くなるように作製することが提案される。これにより、水が流路内の露出領域に浸透すること、及び/又は凝縮によってそこに蓄積することを防ぐことが可能である。
【0009】
本明細書において提案するバイポーラプレート及び製造方法の実施形態の可能な詳細を以下に説明する。
【0010】
バイポーラプレートが形成される基板は、典型的には板状である。したがって、基板の高さ及び幅の両方が、基板の厚さよりも著しく大きい、つまり、基板の厚さの例えば10倍を超える。基板は、例えば基板表面上の所定の経路に沿って反応流体を案内するための、及び/又は基板表面を拡張するための構造及び/又はテクスチャを、外面に有することができる。
基板は、典型的には、導電性が非常に良好な材料からなるか、又は少なくともその表面にそのような材料が設けられる。
【0011】
例えば、一実施形態によれば、バイポーラプレート又はその基板は、グラファイト含有材料で形成されてもよく、又はグラファイト含有材料からなってもよい。
炭素含有材料として、グラファイトは多くの用途に有利な特性を提供する。例えば、バイポーラプレートに使用される場合、グラファイトは、非常に高い導電性と、高い熱弾性及び十分に高い機械的強度とをもたらす。とりわけ、バイポーラプレートは、グラファイト粒子がポリマーマトリックスに埋め込まれたグラファイト含有材料を使用する。グラファイト粒子は、所望の電気的及び/又は熱的特性を材料に与える。とりわけ、ポリマーマトリックスは、グラファイト粒子を機械的に結合させるのに役立つ。高分子マトリックスは、例えばエポキシ樹脂を含んでもよい。したがって、グラファイト粒子は充填剤として作用し、ポリマーマトリックスは一種の結合剤として作用する。グラファイト粒子及びポリマーに加えて、材料混合物は、他の成分、例えばカーボンブラック、他の結合剤又は同様の形態の他の成分をも含有してよい。有利には、グラファイト含有材料のグラファイト含有量は、少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、更には少なくとも80%であってよい。百分率は、体積について言及するものであってよい。グラファイト含有量が多いため、材料は、とりわけ非常に良好な導電性を提供することができ、これはバイポーラプレートの形成に使用される場合に特に有利である。グラファイト含有材料の例と可能な特性とは、とりわけ本出願人の先の特許出願PCT/EP2020/078489に記載されている。その明細書に記載のグラファイト含有材料は、本明細書に記載のバイポーラプレートの実施形態において使用することができ、その表面で局所的に疎水性を持たせることができる。先の特許出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
少なくとも1つの内部流路、すなわち好ましくは細長い空隙が基板内に形成される。流路は、基板の表面上の流路入口から基板内部に延びる。換言すれば、流路入口において、流路は、基板を取り囲む容積又は大気に向けて開口する。流路は、流路入口から基板内部まで、場合によっては基板の表面の別の領域にある流路出口まで延びる。流路は、基板の厚さよりも小さな断面寸法を有してもよい。例えば、断面寸法は、基板の厚さの半分未満、好ましくは1/3未満であってもよい。流路は、断面が円形又は長方形であってもよく、又は任意の他の形状を有してもよい。流路は、その全範囲をバイポーラプレートの基板の材料によって取り囲まれてもよい。あるいは、その範囲の一部が、流路に導入された封止剤、接着剤又は粘着剤などの他の材料によって覆われてもよい。
【0013】
従来、バイポーラプレートの基板内の流路を、水分が浸透しないように封止する試みがなされている。この目的のために、例えば、好ましくは流路の全容積に沿って、少なくともその流路入口でチャネルを充填及び封止する封止剤が流路に導入されている。
しかしながら、バイポーラプレートを製造する際に、流路又はその流路入口を確実に封止することは困難であり得ることが観察されている。例えば、流路が完全に充填されるように、又は少なくともその流路入口が十分に封止されるように封止剤を塗布することは困難であり得る。ほとんどの場合、許容される公差が非常に小さいため、製造プロセスが不安定になる可能性がある。更に、例えば、過剰な封止剤を流路入口から漏出させ、それによって流路入口を十分に封止することができるように、過剰量の封止剤を塗布する必要があることが多い。しかしながら、この場合、過剰な封止剤は機能しないままとなり、封止剤の消費量が過剰になる。更に、封止された流路の改修及び/又は検査を実施する、及び/又は使用工具を洗浄することが必要となる可能性がある。更に、封止剤の材料要件が、バイポーラプレートの技術要件と矛盾する可能性がある。更に、例えば熱応力及び関連する形状変化に起因して、流路と封止剤との間に経時的な漏出が発生するリスクがあり得る。
【0014】
上述の問題又は欠点を少なくとも部分的に克服するために、水分が流路内側に侵入又は蓄積するのを防ぐための代替的な手法が本明細書に記載されている。ここで、流路内側の基板表面の一部領域は、基板表面の他の領域、特に流路内側又は流路に隣接する基板表面の他の領域よりも高い疎水性が確立されるように、特異的に処理又は特異的に構成される。この、疎水性がより高い一部領域は、本明細書では第1領域と呼ばれる。疎水性のより低い領域は、本明細書では第2領域又は第3領域と呼ばれる。第2領域又は第3領域は、第1領域に直接隣接していてもよい。
【0015】
第1領域では、基板表面は、特に、水滴が表面と形成する接触角が40°超、好ましくは60°超、更には80°超となるように処理されてもよい。特に、第1領域の基板表面は超疎水性を有してもよく、すなわち接触角は90°超であってもよい。特に、第1領域における接触角は、第2領域における接触角よりも、例えば、5°超、好ましくは10°超、20°超、又は更には30°超大きくてもよい。
【0016】
流路入口に隣接する第1領域における基板表面の疎水性の向上により、液体、特に水が流路入口を介して流路に浸透するリスクが大幅に低減され得る。
【0017】
一実施形態によれば、第1領域が流路入口を環状に取り囲むことが有利であり得る。換言すれば、好ましくは、流路入口の周囲を囲む表面全体の疎水性を特に高めてもよい。こうして、液体浸透のリスクを更に最小限に抑えることができる。疎水性流路入口は、液体の障壁として作用し、例えば毛管力によって液体が流路に入るのを防いでもよい。
【0018】
更に、一実施形態によれば、第1領域は、流路入口とガス連通する流路内側の基板表面の一部を含んでもよい。換言すれば、入口に隣接する一部領域に加えて、第1領域は、流路の内部まで更に延びてもよく、特に、流路入口からのガスが到達し得る基板表面の一部を含んでもよい。流路入口と流路の更に内側に位置する第1領域の一部領域との間のガス連通は、ここではガス流通及び/又はガス拡散によって行われ得る。
【0019】
疎水性の高い第1領域は、流路内側の基板表面の一部も含むため、蒸気、特に水蒸気が流路入口を通って流路内部に入り、凝縮によってそこに液滴を形成するリスクを低減することも可能である。
【0020】
一実施形態によれば、バイポーラプレートの副基板は、2つの板状基板から構成される。2つの基板は、接合面上で互いに接合される。接合面に隣接して溢流路が延びる。ここで、第1領域は、溢流路の少なくとも一部に沿って延びる。第2領域は、接合面の少なくとも一部に沿って延びる。バイポーラプレートを製造する場合、2つの板状副基板は、最初は別個の構成要素として提供され、次いで接合面をはさんで互いに接合されてもよい。
【0021】
換言すれば、バイポーラプレートは、2つ以上の部分で構成されてもよい。板状副基板は、最初に個々の構成要素として予め製作されてもよい。例えば、凹部、溝などの形態の構造が1つの表面に形成されてもよく、これらの構造は、2つの副基板が互いに結合された後に、得られた基板全体に流路を形成する。
【0022】
これらの構造は、互いに積層された2つの隣接する副基板が互いに接合され得る接合面を形成するように構成されてもよい。積層された副基板の接合面は、それらが互いに対向し、互いに非常に近く、好ましくは互いに平行に延びるように構成されてもよい。2つの副基板を接合する際、対向する接合面の一方又は両方に接着剤を塗布してもよい。
【0023】
構造は、少なくとも1つの溢流路が接合面の隣に形成されるように更に構成されてもよい。溢流路の領域において、副基板の表面の窪みは、接合面の領域よりも大きくてもよい。したがって、1つの副基板の溢流路の表面は、上に積層された第2副基板の対向する表面から、対向する接合面と比べて、遠く離間されてもよい。
【0024】
2つの副基板を接合するとき、接着剤は、最初に、好ましくは接合面の一方又は両方にのみ塗布されるが、溢流路には塗布されない。しかしながら、2つの副基板が一緒に押圧されると、接着剤は溢流路内に横方向に流れ、溢流路を少なくとも部分的に充填することができる。したがって、溢流路は過剰な接着剤を吸収し得る。したがって、2つの副基板は、副基板が互いに緊密に押圧されるのを妨げる過剰な接着剤を用いることなく、互いに効率的に接合され得る。必要に応じて、接合面の対向する両側に溢流路を配置してもよい。
【0025】
接合面は2つの副基板を接合するように働くように意図されており、したがって、接着剤はこれらの接合面に良好に接着すべきであるため、これらの接合面を、比較的疎水性の低い、又は親水性さえ有する第2領域として形成することが好都合であり得る。これにより、一般に液体又は流動可能な状態で加工される接着剤は、広い領域にわたって接合面に接着し、接合面と効果的に接着する材料接合を形成することができる。
【0026】
対照的に、溢流路の表面を、より強い疎水性を持たせて形成することが好都合であり得る。一般に認められるように、この表面の一部は、最終的に接合面の間で横方向に滲み出す接着剤によって覆われてもよい。しかしながら、溢流路の容積は、接着剤で完全に充填されないように選択されることが好ましいため、溢流路の表面の少なくとも一部は露出したままであり得る。水分が表面のこの部分に蓄積するのを防ぐために、この部分を疎水性を高めた第1領域として構成してもよい。
【0027】
したがって、一実施形態によれば、一実施形態により完成したバイポーラプレートにおいて、流路は流動加工可能な接着剤で部分的に充填されてもよい。第1領域は、基板の流路内側の表面の、接着剤が基板と接触していない部分である。基板の第2領域は、基板の流路内側の表面の、接着剤が基板と接触している部分を形成する。
【0028】
換言すれば、2つの副基板から構成されるバイポーラプレートは、例えば、接着剤で部分的に充填された流路を有することができる。接着剤は、加工されている間は流動可能であってよく、その後架橋又は固化することができる。したがって、接着剤は、2つの副基板の接合面に接着し、2つの副基板を互いに接合することができる。流路内側の副基板の表面の、接着剤が接合面と接触している部分は、疎水性の低い第2領域として構成されることが好ましい。対照的に、副基板の表面の、そのような接合プロセス後に接着剤に覆われない部分は、疎水性の強い第1領域として構成されてもよい。
【0029】
好ましくは、流路内側の第1領域は、接着剤が基板と接触していない基板の表面全体に沿って延びる。
【0030】
別の言い方をすれば、流路内側の第1領域は、好ましくは、接着剤を用いて2つの副基板を接合した後、接着剤によって覆われていない流路内側の基板のすべての表面領域の疎水性が強くなるように寸法決めされ、配置される。とりわけ、これにより、例えば浸透する水蒸気が凝縮する可能性がある流路内側に、疎水性の弱い表面が確実に残らないようにすることができる。
【0031】
疎水性を得るために基材の表面を処理する様々な方法が一般に知られている。例えば、極性分子及びその中に含まれる基が存在しないことなどにより高度に疎水性を有する材料で、表面を被膜してもよい。逆に、基板の表面を処理して、疎水性を低下させる又は親水性を与える様々な好適な方法が知られている。例えば、極性分子及びその中に含まれる基により少なくともいくらかの親水性を有する材料で、表面を被膜してもよい。あるいは、表面を、例えばフッ素又は三酸化硫黄で処理することによって、特異的に酸化させてもよい。プラズマ処理又はコロナ処理もまた、疎水性の低い又は親水性のある表面特性を生成し得る。
【0032】
一実施形態によれば、本明細書に記載の基板表面の第1領域は、レーザを用いた基板表面の局所的照射によって処理し、より強い疎水性を与えてもよい。
【0033】
レーザビームは、特に基板表面の第1領域に向けてもよい。基板表面の第2領域は、未処理のままとするか、又は別の方法で処理して疎水性を低下させてもよい。基板表面の第1領域及び第2領域は、レーザを用いることにより、様々な強度の疎水性を有するように局所的に構成されてもよい。レーザビームはまた、非常に小さな領域に特に向けてもよい。対照的に、疎水性材料による被膜などの他の技術を用いて小さな領域を処理することは困難なプロセスであり得る。
【0034】
したがって、一実施形態によれば、完成したバイポーラプレートの第1領域をレーザで局所的に処理し、所望の通り疎水性を局所的に強くすることができる。
【0035】
第1領域は、典型的には、レーザビームの照射による特徴的な微視的特性を有する。例えば、レーザビームで処理された領域は、短時間溶融し、その後硬化すると、レーザ処理の構造及び/又は組成特徴を達成し得る。代替的又は追加的に、材料は、高エネルギーレーザビームを利用して、表面から局所的に除去すなわち切除してもよい。表面の近傍にプラズマを生成し、次いで材料を気化させてもよい。追加的又は代替的に、材料は、レーザ照射によって生じる熱的影響によって化学的に変化し、すなわち「亀裂」が入り、次いで、例えば炭素構造として残るか、又は気相に移行し得る。全体として、レーザ処理は、レーザ処理していない領域よりも粗い表面テクスチャを生成し得る。代替的又は追加的に、例えば、レーザ処理した材料の体積構造、特に結晶構造は、レーザ処理に典型的な方法で変化し得る。
【0036】
レーザは、基板の材料がレーザ処理表面上で溶融又は切除されることを可能にする特性を有し得る。レーザは、例えばパルスレーザ、特にナノ秒以下の範囲の持続時間でレーザパルスを放射することができる短パルスレーザであってもよい。レーザは、例えば赤外線レーザであってもよい。
【0037】
一実施形態によれば、流路内側の第1領域を処理して、ロータス効果を生じさせる表面テクスチャを生成することができる。
【0038】
複雑な微視的及びナノスケールの表面構造が形成された結果、液滴は表面との非常に小さな接触領域を形成することしかできないため、テクスチャ加工された表面上で玉のようになり得る。この効果はロータス効果とも呼ばれ、表面の強疎水性又は超疎水性を表し得る。表面テクスチャは、小さく緊密に離間された多数の凹部及び/又はトレンチによって形成されてもよい。
【0039】
例えば、表面テクスチャは、テクスチャ加工される表面上の規則的又は不規則的な経路に沿ってレーザビームを走査し、表面上の材料を短時間溶融、攪拌及び/又は切除することによって生成することができる。
【0040】
一実施形態によれば、疎水性を高めるために第1領域の基板表面処理に用いるのと同じレーザを用いて、表面の第2領域及び又は第3領域の基板表面を処理してもよい。
【0041】
好適に適合されたプロセス制御を用い、レーザ加工によって表面の疎水性を強化及び弱化し得ることが認識されている。したがって、同じレーザを用いた局所処理によってバイポーラプレートの基板上に提供される、異なる疎水性を有する第1領域及び第2領域を生成することが特に有利であり得る。必要に応じて、基板表面の第3領域も同じレーザで処理することができる。例えば、第3領域の基板表面は、レーザ加工によって表面層が除去されていてもよい。特に、高分子マトリックスを有するグラファイト含有材料の場合、例えば、表面に形成された高分子層をレーザ処理によって開放又は除去してもよい。これにより、プロセス制御が簡素化し、及び/又は必要な機器の数が減少し得る。
【0042】
特に、より具体的な実施形態によれば、基板表面の第2領域及び/又は第3領域の処理時にレーザが動作されるレーザパラメータは、基板表面の第1領域の処理時に選択されるものとは異なるように選択してもよい。
【0043】
例えば、ロータス効果を生じさせる表面テクスチャの形成をもたらすレーザパラメータが使用される場合、有利には、第1領域は、強い疎水性を有するように構成され得ることが認識されている。一方、他のレーザパラメータを使用する場合、表面特性は疎水性が低くなるか、又は親水性さえ有することが観察されている。例えば、非常に強力な短いレーザパルスを照射すると、グラファイト含有材料が親水性を獲得し得ることが観察されている。これに関連し、「Verfahren zum Ausbilden einer hydrophilenOberflacheauf einem graphithaltigen Werkstoff und Verfahren zum Fertigen einer Bipolarplatte sowie Bipolarplatte und Brennstoffzelle bzw.Flussbatterie mit derselben」(グラファイト含有材料上に親水性表面を形成する方法、及び、それを用いたバイポーラプレート並びにバイポーラプレート及び燃料電池又はフロー電池の製造方法)と題する別の特許出願が本出願の出願人によって出願されている。この更なる特許出願は、本明細書に記載のバイポーラプレートの実施形態でも用いられるレーザ加工、及び同じ又は同様の方法を用いたその製造の詳細について記載する。この更なる特許出願の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
本明細書に開示されるバイポーラプレートの実施形態は、基板の流路への液体又は水分の浸透を抑制し得る。これにより、例えば、水の膨張及び凍結による損傷を防止し得る。例えば、接合される副基板間に接着剤を塗布する塗布時間をより短く、かつ材料使用量をより少なくすることが可能であり得る。全体として、より堅固なプロセス、より広い公差範囲、安定したプロセス能力、低いプロセス費用及び/又はより少ない廃棄物を達成することができる。
【0045】
本発明の実施形態の可能な特徴及び利点は、本明細書において、部分的にはバイポーラプレートを参照し、部分的にはバイポーラプレートの製造方法を参照して説明されることに留意されたい。当業者であれば、個々の実施形態について記載された特徴が、本発明の更なる実施形態及び場合によっては相乗効果に到達するために、他の実施形態に類似した好適な方法で、移転、適合及び/又は置換され得ることを認識するであろう。
【0046】
本発明の有利な実施形態は、添付の図面を参照して以下で更に説明されるが、図面及び説明のいずれも決して本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバイポーラプレートの平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るバイポーラプレートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図面は概略図にすぎず、縮尺通りではない。異なる図面における同一の参照符号は、同一又は同一に作用する特徴を示す。
【0049】
図1は、燃料電池又はフロー電池に使用できる種類のバイポーラプレート1の、高度に概略化された平面図を示す。
図2は、バイポーラプレート1の概略断面図を示す。
【0050】
バイポーラプレート1は、例えばグラファイト含有材料で作製することができる基板3を備える。基板3内を流路5が通っている。流路5は、流路入口7から基板3の内部9に延びている。図示の例では、流路5は環状であり、バイポーラプレート3の外周の近傍を通っている。複数の流路入口7が設けられる。流路入口7は、流路5の環状領域を通気するための開口部として機能してもよく、基板3の外縁部に向かって延びている。図示の例では、外縁部から離れて基板3の中心に向かう更なる開口部が構成され、これも流路入口7又は代替的に流路出口11と呼ばれ得る。
【0051】
流路5内側の基板3の表面の第1領域19は、第2領域21よりも疎水性が高くなるように処理又は構成される。第1領域19は、一方では流路入口7まで延び、好ましくは環状に流路入口7を取り囲む。他方では、流路5内側の第1領域19は、基板3の内部9、特に基板の内面が流路5内側で露出している場所へも部分的に延びているため、流路入口7から来るガス又は蒸気は、第1領域19のこの部分に到達することができる。更に、第1領域19は、流路出口11まで延びてもよく、好ましくは環状にそれを取り囲んでもよい。
【0052】
2つの副基板13を設けてバイポーラプレート1を製造してもよい。副基板13には、副基板13の外周の近傍に、局所的な窪みによって、一方では接合面15を形成し、他方では接合面15に隣接する両側に溢流路17を形成する構造を構成することができる。接合面15及び溢流路は、バイポーラプレート1の中央領域を環状に取り囲む。接合面15は、疎水性がより低い、又は親水性さえ有する第2領域21として構成され、一方、溢流路17に接する表面は、疎水性がより高い第1領域19として構成される。バイポーラプレート1の副基板13は、外向面の中央領域に、例えば、目標とする反応ガスの誘導に役立つ表面構造31を有する(明確にするため、
図2にのみ示し、
図1には示さない)。副基板13は、内向面に、例えばバイポーラプレート1の内側に冷却流路33を形成するための他の表面構造を有する。
【0053】
第1領域19における基板3の表面には、例えばレーザ27を照射してもよい。このレーザ27のレーザパラメータは、ロータス効果並びに/又は化学的及び/若しくは物理的効果を生じ、したがって強い疎水性を生じる、表面テクスチャ25の微視的及び/又はナノスケールの構造が第1領域19の表面に形成されるように設定されてもよい。
図3では、そのような表面テクスチャ25は、局所的に拡大された断面で概略的に表されている。
【0054】
第2領域21には、レーザ27を照射しなくてもよく、又はこの第2領域21の疎水性を低下させる、若しくは親水性を与える他のレーザパラメータを設定してもよい。同様に、第3領域29もまた、例えば、強い親水性を特異的にもたらすための好適なレーザパラメータを設定し、レーザ27で処理してもよい。
【0055】
2つの副基板13を互いに接合するために、例えば流動加工可能な接合剤の形態の接着剤23が、接合面15の間に塗布される。そこに構成された第2領域21の疎水性の低さ又は親水性によって、この接着剤23は接合面15に強く接着し得る。2つの副基板13が互いに押圧されると、過剰な接着剤23が溢流路17へ横方向に流れることができる。しかしながら、流路入口7までの溢流路17全体を接着剤23で充填して、流路5全体を封止するような、しばしば用いられる従来の方法のように、過剰に接着剤23を塗布する必要はない。代わりに、溢流路17の一部は露出したままでもよく、したがってそれらの内面は覆われないままでもよい。そこに形成される第1領域19の疎水性が強いことは、流路5内側のそのような露出面が流路入口7とガス連通しているにもかかわらず、そのような露出面に水分が付着できないことを意味する。こうして、流路5内側の水分が凍結することによる凍結損傷を回避することができる。
【0056】
最後に、「有する(having)」、「備える(comprising)」などの用語は、他の要素又は工程を排除するものではなく、「1つの(one)」又は「1つの(a)」などの用語は、複数を排除するものではないことに留意されたい。上記の実施形態のうちの1つを参照して説明された特徴又は工程はまた、上記の他の実施形態の他の特徴又は工程と組み合わせて使用されてもよいことに更に留意されたい。特許請求の範囲における参照符号は、限定と見なされるべきではない。
【符号の説明】
【0057】
1 バイポーラプレート
3 基板
5 流路
7 流路入口
9 基板内部
11 流路出口
13 副基板
15 接合面
17 溢流路
19 第1領域
21 第2領域
23 接着剤
25 表面テクスチャ
27 レーザ
29 第3領域
31 表面構造
33 冷却流路
【手続補正書】
【提出日】2022-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池又はフロー電池用のバイポーラプレート(1)であって、
基板(3)と、
前記基板(3)の表面の流路入口(7)から前記基板(3)の内部(9)に延びる流路(5)と、を備え、
前記基板(3)の表面は、前記流路(5)内側の、前記流路入口(7)に隣接する第1領域(19)において、第2領域(21)よりも疎水性が強
く、
前記第1領域(19)が前記流路入口(7)を環状に取り囲む、バイポーラプレート(1)。
【請求項2】
前記第1領域(19)が、前記流路(5)内側の前記基板(3)の前記表面の、前記流路入口(7)とガス連通する一部を含む、請求項
1に記載のバイポーラプレート。
【請求項3】
前記バイポーラプレート(1)の前記基板(3)が、2つの板状副基板(13)からなり、
前記2つの板状副基板(13)は接合面(15)をはさんで接合され、
溢流路(17)が前記接合面(15)に隣接して延び、
前記第1領域(19)が、前記溢流路(17)の少なくとも一部に沿って延び、
前記第2領域(21)が、前記接合面(15)の少なくとも一部に沿って延びる、
請求項1
または2に記載のバイポーラプレート。
【請求項4】
前記流路(5)が、流動加工可能な接着剤(23)で部分的に充填され、
前記第1領域(19)が、前記基板(3)の前記流路(5)内側の表面の、前記接着剤(23)が前記基板(3)と接触していない部分を形成し、
前記基板(3)の前記第2領域(21)が、前記基板(3)の前記流路(5)内側の表面の、前記接着剤(23)が前記基板(3)と接触している部分を形成する、
請求項1から
3のいずれか一項に記載のバイポーラプレート。
【請求項5】
前記第1領域(19)が、前記流路(3)内側の、前記接着剤(23)が接触していない前記基板(3)の表面全体に沿って延びる、
請求項
4に記載のバイポーラプレート。
【請求項6】
前記第1領域(19)が、レーザ(27)によって局所的に処理され、疎水性の局所的向上をもたらす、
請求項1から
5のいずれか一項に記載のバイポーラプレート。
【請求項7】
前記第1領域(19)が、ロータス効果を生じさせる表面テクスチャ(25)を有する、
請求項1から
6のいずれか一項に記載のバイポーラプレート。
【請求項8】
前記バイポーラプレート(1)がグラファイト含有材料で形成される、
請求項1から
7のいずれか一項に記載のバイポーラプレート。
【請求項9】
燃料電池又はフロー電池用のバイポーラプレート(1)を製造する方法であって、
製造された前記バイポーラプレート(1)の前記基板(1)の内側を流路(5)が通るような構造を有する基板(3)を提供する工程であって、前記流路(5)は、前記基板(3)の表面の流路入口(7)から前記基板(3)の内部(9)へ延びる、工程と、
第1領域(19)内の前記基板(3)の前記表面が、第2領域(21)内の前記基板(3)の前記表面よりも疎水性が強くなるように、前記流路入口(7)に隣接する前記流路(5)内側の前記第1領域(19)内の前記基板(3)の前記表面を処理する工程と、
を含
み、
前記第1領域(19)が前記流路入口(7)を環状に取り囲む、方法。
【請求項10】
前記基板(3)が、2つの板状副基板(13)を備え、
接合面(15)が前記2つの板状副基板(13)に形成され、溢流路(17)が前記接合面(15)に隣接して形成され、
前記第1領域(19)が、前記溢流路(17)の少なくとも一部に沿って延び、前記第2領域(21)が、前記接合面(15)の少なくとも一部に沿って延びる、方法であって、
前記2つの板状副基板(13)を、前記接合面(15)をはさんで互いに接合する工程を更に含む、
請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1領域(19)が、前記基板(3)の前記表面をレーザで局所的に照射することによって処理される、
請求項
9又は
10に記載の方法。
【請求項12】
前記基板(3)の前記表面の前記第2領域(21)及び/又は前記基板(3)の前記表面の第3領域(29)において、前記レーザ(27)で前記基板を処理する工程を更に含む、
請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記レーザ(27)が、前記基板(3)の前記表面の前記第2領域及び/又は前記第3領域(21、29)を処理するときに、前記基板(3)の前記表面の前記第1領域(19)を処理するときとは異なるレーザパラメータで動作される、
請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記基板(3)の前記表面の前記第1領域(19)が、ロータス効果を生じさせる表面テクスチャ(25)の処理によって形成される、
請求項
9から
13のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】