(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】冷却一体型ポールリテーナの方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
H02K9/19 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569977
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 US2022028841
(87)【国際公開番号】W WO2022241038
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523126881
【氏名又は名称】ディーアールエス ネイバル パワー システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137969
【氏名又は名称】岡部 憲昭
(74)【代理人】
【識別番号】100104824
【氏名又は名称】穐場 仁
(72)【発明者】
【氏名】コリー サード,カルビン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ウィンク,ウィリアム アール.
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609PP02
5H609PP07
5H609PP08
5H609PP09
5H609QQ05
5H609QQ12
5H609QQ13
5H609RR26
5H609RR36
5H609RR42
5H609RR43
5H609RR58
5H609RR60
(57)【要約】
本明細書に記載の開示された装置、システム、および技術により、電気モータのポール保持ハードウェアが、電気コイルによって発生した熱を除去するための冷却マニホールドとしても機能することができる。ポールリテーナ装置は、ポールをハブに保持するポールリテーナを含むことができる。ポールリテーナは、ハブに取り付けられた近位端と遠位端とを含むことができる。ポールリテーナは、ハブに取り付けられたポールリテーナの近位端からポールリテーナの遠位端までポールリテーナを通って延びるチャネルを含むことができる。本装置は、ポールリテーナの遠位端に配置され、ポールをハブ上に保持するように構成されたマウントを含むことができる。本装置は、マウントに接続された流体移送ダクトを含むことができる。本冷却システムは、TORUSアキシャルフラックス永久磁石モータ、およびその他のさまざまなモータ設計に採用され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブに取り付けられた近位端と、遠位端を備え、前記ハブにポールを保持するためのポールリテーナと、
前記ポールリテーナの前記近位端から前記ポールリテーナの前記遠位端まで前記ポールリテーナを通って延びるチャネルと、
前記ポールリテーナの前記遠位端に配置され、前記ハブ上に前記ポールを保持するように構成されたマウントと、
前記マウントに接続された流体移送ダクトと、
を備える、ポールリテーナ装置。
【請求項2】
前記流体移送ダクトは、1つまたは複数のフィンおよび貯留層を含むコンデンサに接続する、請求項1に記載のポールリテーナ装置。
【請求項3】
前記チャネルは、前記ハブに一体化されたマニホールドに接続されるように構成される、請求項1に記載のポールリテーナ装置。
【請求項4】
前記チャネルは、液体冷却剤を含むように構成される、請求項1に記載のポールリテーナ装置。
【請求項5】
前記チャネルは、ヒートパイプを含むように構成される、請求項1に記載のポールリテーナ装置。
【請求項6】
前記ポールリテーナの前記遠位端には、ねじが切ってある、請求項1に記載のポールリテーナ装置。
【請求項7】
前記流体移送ダクトは、チューブを備える、請求項1に記載のポールリテーナ装置。
【請求項8】
前記流体移送ダクトはパイプを備える、請求項1に記載のポールリテーナ装置。
【請求項9】
固定子ポールは凹部を含み、コイルまたは磁石の少なくとも1つを保持するように構成される固定子ポールと、
前記固定子ポールの前記凹部の内側に嵌合し、前記固定子ポールを前記ハブに取り付けるように構成されるポールリテーナであって、前記ポールリテーナが、
ハブに取り付けられるように構成された前記ポールリテーナの近位端から前記ポールリテーナの遠位端まで前記ポールリテーナを通って延びるチャネルと、
前記ポールリテーナの前記近位端に配置され、前記ポールリテーナを前記ハブに取り付けるように構成される近位マウントと、
前記ポールリテーナの前記遠位端に配置され、前記チャネルを流体移送ダクトに接続するように構成される遠位マウントと、を備える、ポールリテーナと、
を備える、電気モータを冷却するシステム。
【請求項10】
前記ハブは、一体型流体マニホールドを備える、請求項9に記載の電気モータを冷却するシステム。
【請求項11】
前記近位マウントと前記ハブとの間に配置された流体シールをさらに備える、請求項10に記載の電気モータを冷却するシステム。
【請求項12】
前記流体移送ダクトは、1つまたは複数のフィンおよび貯留層を含むコンデンサに接続する、請求項9に記載の電気モータを冷却するシステム。
【請求項13】
前記チャネルは、前記ハブに一体化されたマニホールドに接続されるように構成される、請求項9に記載の電気モータを冷却するシステム。
【請求項14】
前記チャネルは、液体冷却剤を含むように構成される、請求項9に記載の電気モータを冷却するシステム。
【請求項15】
前記チャネルは、ヒートパイプを含むように構成される、請求項9に記載の電気モータを冷却するシステム。
【請求項16】
第1のポールをハブに取り付けるように構成された第1のポールリテーナを通って延びる第1のチャネルを介して、前記ハブ内のマニホールドからの冷却流体を案内することと、
前記冷却流体によって、前記第1のポールに取り付けられた1つまたは複数の第1のコイルまたは1つまたは複数の第1の永久磁石によって生成された熱を吸収することと、
流体移送ダクトを介して、前記第1のチャネルから、第2のポールを前記ハブに取り付けるように構成された第2のポールリテーナを通って延びる第2のチャネルへ前記冷却流体を案内することと、
前記冷却流体によって、前記第2のポールに取り付けられた1つまたは複数の第2のコイルまたは1つまたは複数の第2の永久磁石によって発生する熱を吸収することと、
前記冷却流体を前記第2のチャネルから前記ハブの前記マニホールドに案内することと、
を備える、電気モータを冷却する方法。
【請求項17】
前記ハブ内の前記マニホールド内の熱交換器を通って前記冷却流体を案内することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のチャネルと前記第2のチャネルとの間に配置された熱交換器を通って前記冷却流体を案内することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ハブを回転させることにより前記冷却流体を循環させることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記冷却流体と連通する温度センサを介して前記冷却流体の温度を測定することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年5月13日に出願された「冷却一体型ポールリテーナの方法およびシステム」と題する米国仮出願第63/188,043号の利益を主張するものであり、その開示は、その全体およびすべての目的のために参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] 一般的に、電気機械の性能は、機械的応力および熱的性能によって制限される。電流トロイダル固定子(TORUS)アキシャルフラックス永久磁石(AFPM)電気モータの冷却技術は、空冷またはダイレクト油冷に頼ることができる。ダイレクト油冷は、より高い電力密度が必要な場合に、電気コイルを油に浸すこと、または電気コイル巻線に油を吹き付けることを含むことができる。電気モータの回転子アセンブリをオイル中で回転させると、オイルの流体密度と動的粘度に起因する損失が固定および回転部品と相互作用するため、モータの全体的な効率が低下し、摩擦損失と風量損失が発生する。
【0003】
[0003] トロイダル固定子AFPMモータは、固定子アセンブリにおける背鉄の排除のために、1ポンド当たりのフィートポンドまたはキログラム当たりのニュートンメートルベースでトルク密度が高いまたは電力密度が高いと広く考えられており、フラックス線が固定子を横切ってまっすぐ進むことを可能にする。ただし、TORUS AFPMモータの冷却は困難な場合があるが、これは通常、背鉄が冷却に使用されるか、固定子と冷却システムの熱生成部品との間の熱伝達媒体として使用されるためである。したがって、当該技術分野においては、電気モータの冷却に関する改良された方法およびシステムが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] 本明細書に記載の開示された装置、システム、および技術は、電気モータのポールリテーナハードウェアが、電気コイルによって発生した熱を除去するための冷却マニホールドとして機能することを可能にする。開示された装置、システム、および技術は、トロイダル巻線、アキシャルフラックスモータの文脈において特に有益であり得、冷却水を損失源(例えば、コイル導体およびポール積層)に隣接して、または近接して配置することを可能にする。さらに、本技術は巻線界磁回転子ポールに実装できるため、ダイレクトポール冷却または永久磁石回転子ポールにより高速永久磁石機に一般的である回転子損失を除去することを可能とする。
【0005】
[0005] 開示の態様において、ポールリテーナ装置は、ポールをハブに保持するためのポールリテーナを含むことができ、ポールリテーナは、ハブに取り付けられた近位端と遠位端とを含む。本装置は、ポールリテーナの近位端からポールリテーナの遠位端までポールリテーナを通って延びるチャネルを含むことができる。本装置は、ポールリテーナの遠位端に配置され、ポールをハブ上に保持するように構成されるマウントを含むことができる。本装置は、マウントに接続された流体移送ダクトを含むことができる。
【0006】
[0006] 様々な実施形態において、流体移送ダクトは、1つまたは複数のフィンおよび貯留層を含むコンデンサに接続される。
【0007】
[0007] 様々な実施形態において、チャネルは、ハブに統合されたマニホールドに接続されるように構成される。
【0008】
[0008] 様々な実施形態において、チャネルは、液体冷却水を含むように構成される。
【0009】
[0009] 様々な実施形態において、チャネルは、ヒートパイプを含むように構成される。
【0010】
[0010] 様々な実施形態において、ポールリテーナの遠位端には、ねじが切ってある。
【0011】
[0011] 様々な実施形態において、流体移送ダクトはチューブを備える。
【0012】
[0012] 様々な実施形態において、流体移送ダクトはパイプを備える。
【0013】
[0013] 本開示の態様において、電気モータを冷却するためのシステムは、コイルまたは磁石のうちの少なくとも1つを保持するように構成される固定子ポールを含むことができる。固定子ポールは凹部を含む。本システムは、固定子ポールの凹部の内側に嵌め込むように、および固定子ポールをハブに取り付けるように構成されたポールリテーナを含むことができ、ポールリテーナは、ハブに取り付けられるように構成されたポールリテーナシャフトの近位端から、ポールリテーナの遠位端へポールリテーナシャフトを通って延びるチャネルを含むことができる。近位マウントは、ポールリテーナの近位端に配置され、ポールリテーナをハブに取り付けるように構成することができる。本システムは、ポールリテーナの遠位端に配置され、チャネルを流体移送ダクトに接続するように構成される遠位マウントを含むことができる。
【0014】
[0014] 様々な実施形態において、ハブは、一体型の流体マニホールドを含む。
【0015】
[0015] 様々な実施形態において、本システムは、近位マウントとハブとの間に配置された流体シールを含む。
【0016】
[0016] 様々な実施形態において、流体移送ダクトは、1つまたは複数のフィンおよび貯留層を含むコンデンサに接続される。
【0017】
[0017] 様々な実施形態において、チャネルは、ハブに統合されたマニホールドに接続されるように構成される。
【0018】
[0018] 様々な実施形態において、チャネルは、液体冷却水を含むように構成される。
【0019】
[0019] 様々な実施形態において、チャネルは、ヒートパイプを含むように構成される。
【0020】
[0020] 本開示の態様において、電気モータを冷却する方法は、第1のポールをハブに取り付けるように構成された第1のポールリテーナを通って延びる第1のチャネルを通って、ハブ内のマニホールドからの冷却流体を案内することを含む。本方法は、冷却流体によって第1のポールに取り付けられた1つまたは複数の第1の永久磁石の1つまたは複数の第1のコイルによって発生した熱を吸収することを含むことができる。本方法は、第1のチャネルから、第2のポールをハブに取り付けるように構成された第2のシャフトポールリテーナを通って延びる第2のチャネルへ、流体移送ダクトを介し冷却流体を案内することを含むことができる。本方法は、冷却流体によって第2のポールに取り付けられた1つまたは複数の第2のコイルまたは、1つまたは複数の第2の永久磁石によって発生する熱を吸収することを含むことができる。本方法は、冷却流体を第2のチャネルからハブ内のマニホールドに案内することを含むことができる。
【0021】
[0021] 様々な実施形態において、本方法は、ハブ内のマニホールド内の熱交換器を通って冷却流体を案内することを含む。
【0022】
[0022] 様々な実施形態において、本方法は、第1のチャネルと第2のチャネルとの間に配置された熱交換器を通って冷却流体を案内することを含む。
【0023】
[0023] 様々な実施形態において、本方法は、ハブを回転させることによって冷却流体を循環させることを含む。
【0024】
[0024] 様々な実施形態において、本方法は、冷却流体と連通する温度センサを介して冷却流体の温度を測定することを含む。
【0025】
[0025] 本開示の性質および利点をよりよく理解するために、以下の説明および添付の図を参照すべきである。しかしながら、各図は例示のみを目的として提供されており、本開示の範囲の限界の定義として意図されたものではないことを理解されたい。また、一般的な規則として、説明から反対のことが明らかでない限り、異なる図の要素が同一の参照番号を使用する場合、要素は一般的に同一であるか、少なくとも機能または目的において類似している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
[0026] 添付の図面は、例示のためのものであり、ポールリテーナのための一体型冷却のための開示された発明装置および方法のための可能な構造および配置の例を提供するためにのみ役立つ。図面は、開示の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって開示に加えられる可能性のある形態および詳細の変更を決して制限しない。実施形態は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明によって容易に理解され、同様の参照番号は、同様の構造要素を示す。
【
図1】本開示の一実施形態による例示的なポールリテーナ冷却器を示す。
【
図2】本開示の一実施形態によるハブと一体化された例示的なポールリテーナ冷却器を示す。
【
図3】本開示の一実施形態による明瞭さのために画像からポール巻線が排除された例示的なTORUSアキシャルフラックス永久磁石モータポールを示す。
【
図4】本開示の一実施形態によるダイレクトポール冷却システムを備えた巻線界磁突極同期回転子アセンブリの例示的な等角図を示す。
【
図5】本開示の一実施形態による巻線界磁突極同期回転子アセンブリのダイレクトポール冷却システムの側面図を示す。
【
図6】本開示の一実施形態による巻線界磁突極同期回転子アセンブリのダイレクトポール冷却システムのポールの拡大図を示す。
【
図7】本開示の一実施形態による突極リテーナ冷却器の側面図を示す。
【
図8】本開示の一実施形態による突極リテーナ冷却器のポールおよびリテーナの拡大図を示す。
【
図9】本開示の一実施形態による例示的なヒートパイプ一体型ポールリテーナを示す。
【
図10】本開示の一実施形態による軸方向磁場トポロジーのための第1の例示的な回転子冷却システムのプロファイル図を示す。
【
図11】本開示の一実施形態による軸方向磁場トポロジーのための例示的な回転子冷却システムの断面図を示す。
【
図12】本開示の一実施形態による軸方向磁場トポロジーのための第2の例示的な回転子冷却システムの俯瞰図を示す。
【
図13】本開示の一実施形態による軸方向磁場トポロジーのための第3の例示的な回転子冷却システムの俯瞰図を示す。
【
図14】本開示の一実施形態による放射場トポロジーのための例示的な回転子冷却システムのプロファイル図を示す。
【
図15】本開示の一実施形態による放射場トポロジーのための例示的な回転子冷却システムの俯瞰図を示す。
【
図16】本開示の一実施形態による例示的なリニアモータ回転子ポール冷却システムのプロファイル図を示す。
【
図17】本開示の一実施形態による例示的なリニアモータ回転子ポール冷却システムの側面図を示す。
【
図18】本開示の一実施形態による、エアギャップ内の空気およびエアギャップ内のオイルを有する例示的なモータについての風量損失対回転子速度のグラフを示す。
【
図19】本開示の一実施形態による電気モータの冷却方法を示す例示的なフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0046] 以下の実装例の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同一の参照番号は、同一または類似の要素を識別し得る。
【0028】
[0047] 本開示は、一般に、電気機械の分野、より具体的には回転子(回転)および固定子(静止)ポールの機械的保持および冷却に適用される。通常、電気モータの性能は、機械的ストレスと熱性能によって制限される。本開示の実施形態は、ポール保持ハードウェアが機械的機能を提供するだけでなく、冷却マニホールドとしても機能することができる。本明細書に記載の装置、システム、および技術により、電気モータのポール保持ハードウェアが、電気コイルおよび/または永久磁石によって発生した熱を除去するための冷却マニホールドとして機能することができる。本明細書に記載の装置、システム、および技術により、トロイダル巻線、アキシャルフラックスモータの文脈において特に有益であり得、冷却水を損失源(例えば、コイル導体およびポール積層)に隣接して、または近接して配置することができる。さらに、本開示の実施形態は、巻線界磁回転子ポール上に実施することができ、ダイレクトポール冷却および永久磁石回転子ポールの使用を可能にして、高速永久磁石機械に存在する回転子損失から生じる熱を除去する。
【0029】
[0048] 電気モータは様々な源から熱を発生させる(例えば、ワイヤコイルに電流を流すことによって磁場を発生させる)。現在の冷却技術は、モータを粘性のある冷却液に浸すことにより、さまざまな発生源から発生する熱の低減を試みる。モータを粘性流体に浸すことで、流体の粘性抗力を克服するために必要な力のために、モータの速度を制限できる。これらの損失は、大型のモータほど大きくなる。従来のポールリテーナ装置は、固体金属製の機械式マウント機構またはポールリテーナを使用して構築されており、ポールリテーナ装置を通る冷却液の流れを妨げていた。本明細書に記載の技術により、高速(例えば、毎分3000回転(RPM)を超える)でのモータの動作が可能になる。高速モータの一例として、3000RPMを超えることを許容するモータが提供されるが、実際の速度は本開示の制限ではない。
【0030】
[0049]
図1は、本開示の一実施形態によるポールリテーナ冷却器100の切り欠き、プロファイル図を示す。ポールリテーナ冷却器100は、ポールリテーナ102を含むことができる。ポールリテーナ102は、ポール112をハブ104に保持する。ポールリテーナ102は、金属(例えば、鉄またはチタン)または金属の合金(例えば、鋼)で形成することができる。ポールリテーナ102は、近位端103および遠位端109を含むことができる。ポールリテーナ102の近位端103は、ハブ104に取り付けることができる。ハブ104に複数のポールリテーナ102を取り付けることができる。ポールリテーナ102は、ポールリテーナ102の近位端103からポールリテーナ102の遠位端109まで走るポールリテーナ102の中心を通るチャネル105を含むことができる。様々な実施形態において、チャネル105はポールリテーナ102に穿孔され得る。ポールリテーナ102は、ハブマウント106を介してハブ104に結合することができる。ハブマウント106は、近位マウント106としても知られ得る。ハブマウント106は、ポールリテーナ102の一部として形成することも、または、適宜互いに結合することができる1つまたは複数の別個の部品として形成することもできる。ハブマウント106は、1つまたは複数の留め具108を使用してハブ104に結合することができる。流体の漏れを防止するため、流体シール110をハブマウント106とハブ104との間に配置することができる。流体シール110は、1つまたは複数のOリングを含むことができる。
【0031】
[0050] ポールリテーナ102は、ポール112をハブ104に保持するために、ポール112の凹部114内に収まるような大きさにすることができる。様々な実施形態において、凹部114は、長方形の形状とすることができる。様々な実施形態において、凹部114は、ポールリテーナ102の外形寸法よりも僅かに大きくすることができる。これにより、ポールリテーナ102およびポール112の熱膨張および収縮が可能になる。ポール112は、コイル116の複数の巻線を含むことができる。コイル116の巻線は、交流電流がコイル116を通過するとき磁場を発生させることができる。ポール112は、コイル116とポールリテーナ102との間の積層118を含むこともできる。積層118は、磁束を配向し、電気モータ内の渦電流を減少させることによって、損失を最小化することができる。積層は、様々な材料から作ることができる。
【0032】
[0051] 様々な実施形態において、熱伝導性コンパウンド120(例えば、放熱グリス、熱インターフェースパッド、エポキシなど)を、ポールリテーナ102とポール112の凹部114の内面との間に適用することができる。熱性コンパウンド120は、積層118およびコイル116からチャネル105を通って流れる冷却流体への熱の伝達を容易にすることができる。液体冷却材(例えば、液体冷却流体)は、例えば、
図1に示す矢印で例示するようにチャネル105を通って油を循環させることができる。冷却流体は、コイル116および/または永久磁石によって発生する熱を吸収することができる。
【0033】
[0052] 冷却流体は、淡水、海水、油、グリコールおよびグリコール混合物、または液体窒素などの低温流体など、現在使用されている任意の流体または気体であり得る。他の冷却剤には、液体または気体状態の空気または他の気体が含まれる。
【0034】
[0053] ポールリテーナ102の遠位端109は、ポール112をハブ104上に保持するように構成することができるポールマウント111(別称遠位マウント)を含むことができる。ポールリテーナ102の遠位端109は、複数のねじ山121を含むことができる。ワッシャプレート122および保持ナット124により、ポール112をポールリテーナ102上に固定することができる。ポールリテーナ102の遠位端109は、流体接続部126を含むこともできる。流体接続部126は、チャネル105を流体移送ダクトに接続することができる。流体移送ダクトは、チューブ、ダクト、マニホールド、またはそれらのいくつかの組み合わせであり得る。
【0035】
[0054] ハブ104は、マニホールド107を含むことができる。マニホールド107は、一体型流体マニホールド107であり得る。マニホールド107により、一方のポールから隣接するポール(図示せず)への冷却流体の移送が可能になる。マニホールド107は、ポンプへ、またはポンプから、あるいは貯留層へ、または貯留層から冷却流体を移送することもできる。貯留層は、必要になるまで冷却流体を貯蔵する。過剰な冷却流体は、システムが十分に冷却されて負圧が発生し、貯留層から余分な冷却剤を循環に戻すまで貯留層に留まる。
図1に示す矢印は、遠位端109から近位端103に流れるように、チャネル105およびマニホールド107における冷却流体の流れの方向を示しているが、冷却流体の流れの実際の方向は、用途に応じて変化し得る。例えば、いくつかのポールにおいて、流体の流れは、近位端から遠位端へ、またはその逆に流れ得る。同様に、マニホールド内の冷却流体の流れの方向は、図示の方向または反対方向のいずれかであり得る。当業者であれば、多くの変形、修正、および代替を認識するであろう。
【0036】
[0055] 温度プローブ128は、マニホールド107内に設置することができる。様々な実施形態において、温度プローブ128は、チャネル105、
図2に示す流体移送ダクト208、または図示しないラジエータに設置することができる。様々な実施形態において、複数の温度プローブ128を流体経路内に設置することができる。温度プローブ128は、冷却流体の温度を測定することができる。1つまたは複数の温度プローブ128は、コイルからの熱を低減する際の冷却流体の有効性の推定値を提供することができる。
【0037】
[0056]
図2は、本開示の実施形態による例示的なポールリテーナ冷却器200の一部を、冷却剤が流れる経路を示す矢印とともに示す。冷却剤は一般的なものであるが、他の直列並列フロー構成も可能である。
図2に示す例示的なポールリテーナ冷却器200は、
図1に示すようにポールリテーナ冷却器100に対応することができる。
図2は、複数のポールリテーナ202、複数の固定子ポール204、およびハブ206を示す。ポールリテーナ202は、
図1に示すようにポールリテーナ102に対応することができる。ポールリテーナ202の各々は、固定子ポール204をハブ206に保持するように構成することができる。流体移送ダクト208は、冷却流体をポールリテーナ202内のチャネルから隣接するポールリテーナ202内のチャネルに移送することができる。ハブ206は、冷却流体が対応するポールリテーナ内のチャネルを通過した後、ポールリテーナ202間の冷却流体の流れを容易にするマニホールド210を含むことができる。
図2は、固定子ポール204を包み込むワイヤ212のコイルも示す。
【0038】
[0057]
図3は、本開示の実施形態による例示的なトロイダル巻線(TORUS)AFPMモータポール300を示す。モータポール300は、金属(例えば、鉄)金属合金(例えば、鋼)を用いて、鋳造、鍛造、機械加工、個々の板金積層体を積層し、または適切な工程を行うことができる。TORUS AFPMモータポール300は、凹部302を含むことができる。凹部302は、
図2に示すように、ポールリテーナ202を受け入れる大きさにすることができる。様々な実施形態において、凹部302は、他の幾何学的形状が本開示の範囲内に含まれるが、長方形であり得る。ポール300は、モータポール300の各アーム306の端部にエンドプレート304を含むことができる。コイル116は、
図1に示すように、モータポール300の各アーム306に巻き掛けることができる。コイル116は、交流電流がコイル116に案内され通過するときに磁界を発生させることができる。積層118は、
図1に示すように、モータポール300の各アーム306の周囲に形成することができる。
【0039】
[0058]
図2および
図3に示す静止固定子に加えて、本明細書に記載の冷却構造および技術は、電気モータ回転子(例えば、突極回転子)などの回転部品に適用することができる。
【0040】
[0059]
図4は、本開示の実施形態による突極ダイレクトポール冷却システム400の例示的な等角図を示す。突極回転子は、その長さに比べて直径が大きくなることがある。突極回転子は低速電気機械(例えば、100RPMから1500RPMの範囲で動作する電気機械)で使用できる。突極回転子は、動作中の回転子の振動を回避するためのダンパー巻線を含むことができる。
【0041】
[0060] ダイレクトポール冷却システム400は、電気モータの回転子シャフト402に結合することができる。電気モータは、複数のポール404を含むことができる。複数のポール404の各セットは、一組の回転子ポールコイル406を保持することができる。回転子ポールコイル406の各セットに交流電流が流れ、発熱する。複数のチャネル(図示せず)は、複数のポール404の各ポールを通過することができる。冷却流体は、複数のチャネルを通過することができる。冷却流体は、回転子ポールコイル406によって発生する熱を吸収することができる。複数のチャネルは、ハブ408の内部のマニホールド(図示せず)に接続することができる。チャネルは、冷却マニホールド410に接続することもできる。冷却マニホールド410は、回転子シャフト402の回転に伴って冷却流体によって吸収された熱を放射することができる。
【0042】
[0061]
図5は、本開示の実施形態による突極ダイレクト冷却システム500の側面図を、冷却剤が流れる経路を示す矢印とともに示す。冷却剤は一般的なものであるが、他の直列並列フロー構成も可能である。本構成は、固定冷却剤供給を回転冷却システムに結合する回転流体カプラ514を含む。他の実施形態において、冷却システムは、回転アセンブリに統合され得る。突極ダイレクト冷却システム500は、
図4の突極ダイレクト冷却システム400に対応する。突極ダイレクト冷却システム500は、電気モータの回転子シャフト502に結合された回転子501を含むことができる。電気モータは、複数のポール504を含むことができる。複数のポール504の各ポールは、一組の回転子ポールコイル506を保持することができる。回転子ポールコイル506の各セットに交流電流が流れ、発熱する。複数のチャネル(図示せず)は、複数のポール504の各ポールを通過することができる。冷却流体は、複数のチャネルを通過することができる。冷却流体は、回転子ポールコイル506によって発生する熱を吸収することができる。複数のチャネルは、
図4に示すように、ハブ408内のマニホールドに接続することができる。チャネルは、冷却マニホールド510に接続することもできる。冷却マニホールドは、回転子シャフト502の回転に伴って冷却流体によって吸収された熱を放射することができる。冷却流体は、チャネル512を通って案内され得る。回転子501が回転する際に、回転ユニオン514を使用して、回転子501内のチャネル512との間で冷却流体を移送することができる。冷却流体は、チャネル512を通り、次に回転ユニオン514を通り、次に回転子(図示せず)の内部のチャネルを通って、回転子のマニホールド(図示せず)に流れ込むことができる。冷却流体は、様々な冷却マニホールド510を通ってポール504の各々における1つまたは複数のチャネルを通って流れ、回転ユニオン514を介してチャネル512を通って回転子から出ることができる。
【0043】
[0062] 様々な実施形態において、1つまたは複数のポンプ、フィルタ、およびラジエータをチャネルに接続することができる。このようにして、ポンプは流体を加圧してチャネルを通って流れることができる。フィルタは冷却流体から不純物を除去することができる。ラジエータは、冷却流体によって吸収された熱を放散させることができる。冷却された冷却流体は、閉ループシステムを形成する回転ユニオン514を介してチャネルおよび回転子に戻ることができる。
図5に示す冷却流体の方向流れを示す方向矢印は例示的であり、本開示はそれほど限定されず、流体の流れは別の方向に向けることができる。当業者であれば、多くの変形、修正、および代替を認識するであろう。
【0044】
[0063]
図6は、本開示の一実施形態による突極ダイレクトポール冷却システム600のポールの拡大図を示す。
図6に示す突極ダイレクトポール冷却システム600の部分は、突極ダイレクトポール冷却システム400および500に対応する。回転子ポール604は、一組の回転子ポールコイル606を保持することができる。回転子ポールコイル606の各セットに交流電流が流れ、発熱する。
図6に示すように、冷却マニホールド614は、回転子ポール604を通過するチャネルに接続される。冷却流体は、冷却マニホールド614を通過して、放射を介して流体を冷却することができる。ポールリテーナ610は、回転子ポール604がナット612で固定されるようにねじ込むことができる。
【0045】
[0064]
図7は、本開示の一実施形態による突極リテーナ冷却器700の他の例示的な実施形態の側面図を示す。突極リテーナ冷却器700は、
図5に示すように、突極ダイレクト冷却システム500と同様である。しかしながら、冷却マニホールド710は、
図5に示すように、回転子ポール504を通過するのではなく、回転子ポール704と回転子ポールコイル706のそれぞれの間に配置されるくさびの上に取り付けられる。
【0046】
[0065] ダイレクトポール冷却システム700は、電気モータの回転子シャフト702に結合された回転子701を含むことができる。電気モータは、複数のポール704を含むことができる。複数のポール704の各ポールは、一組の回転子ポールコイル706を保持することができる。回転子ポールコイル706の各セットに交流電流が流れ、発熱する。
【0047】
[0066] 複数のチャネル(図示せず)は、複数のポール704の各ポールの間に配置されたくさびを通過することができる。冷却流体は、複数のチャネルを通過することができる。冷却流体は、回転子ポールコイル706によって発生する熱を吸収することができる。複数のチャネルは、図示しないハブ内のマニホールドに接続できる。チャネルは、冷却マニホールド710に接続することもできる。冷却マニホールドは、回転子シャフト702が回転する際に冷却流体によって吸収された熱を伝達することができる。冷却流体は、チャネル712を通って案内され得る。回転子701が回転する際に、回転ユニオン714を使用して、回転子701内のチャネルとの間で流体を移送することができる。冷却流体は、チャネル712を通り、回転ユニオン714を通り、回転子(図示せず)の内部のチャネルを通り、様々な冷却マニホールド710を介してポール704の間に配置されたくさびの各々の1つまたは複数のチャネルを通って回転子のマニホールド(図示せず)に流れ込み、回転ユニオン714を介してチャネル712を通って回転子から出ることができる。
【0048】
[0067]
図8は、本開示の一実施形態によるポールリテーナ冷却システム800の一部の拡大図を示す。
図8は、説明のために縮尺どおりに描画されていない。
図8は、回転子ポールコイル806をハブ808に保持する複数の回転子ポール804を示す。冷却マニホールド810は、留め具814(例えば、保持ナット)を使用して、ねじ込み式ポールリテーナ812を介してくさび816に取り付けることができる。ポールリテーナ812は、ハブ808内のマニホールドから、回転子コイル806の間に配置されたウェッジ816を通って、冷却マニホールド810を通って、次いで、ハブ808内のマニホールドに戻る冷却流体を循環させるためのチャネルを含むことができる。冷却流体は、コイル806によって発生した熱を吸収することができる。
【0049】
[0068]
図9は、本開示の一実施形態による例示的なヒートパイプ一体型ポール保持装置900の切り欠きプロファイル図を示す。この配置において、ヒートパイプが従来の流体冷却システムに取って代わり、冷却剤用の流体が不要になる。ポールリテーナ装置900は、ポールリテーナ902を備えることができる。ポールリテーナ902は、金属(例えば、鉄またはチタン)または金属の合金(例えば、鋼)で形成することができる。ポールリテーナ902は、近位端903および遠位端909を含むことができる。ポールリテーナ902の近位端903は、ハブ904に取り付けることができる。ポールリテーナ902は、ポールリテーナ902の中心を通って形成されるチャネル905を含むことができる。ポールリテーナ902は、ハブマウント906を介してハブ904に結合することができる。ハブマウント906は、ポールリテーナ902の一部として形成することも、または互いに結合される1つまたは複数の別個の部品として形成することもできる。ハブマウント906は、1つまたは複数の留め具908を使用してハブ904に結合することができる。
【0050】
[0069] ポールリテーナ902は、ポール912をハブ904に保持するために、ポール912の凹部内に収まるような大きさにすることができる。様々な実施形態において、凹部は、長方形の形状とすることができる。ポール912は、コイル916の複数の巻線を含むことができる。コイル916の巻線は、交流電流がコイル916を通過する際に磁場を発生させることができる。ポールは、コイル916とポールリテーナ902との間の積層918を含むこともできる。積層918は、磁束を配向し、モータ内の渦電流を低減することによって、損失を最小にすることができる。
【0051】
[0070] 様々な実施形態において、熱コンパウンド920(例えば、放熱グリス)を、ポールリテーナ902とポール912の凹部の内面との間に塗布することができる。熱性コンパウンド920は、積層918およびコイル916からチャネル905に配置されたヒートパイプ922への熱の伝達を容易にすることができる。ヒートパイプ922は、熱伝導率と相転移の両方の原理を組み合わせて、2つの固体界面間で効果的に熱を伝達する熱伝達装置である。ヒートパイプ922の高温界面では、熱伝導性固体表面と接触している液体は、その表面から熱を吸収することによって蒸気に変わる。次いで、蒸気は、ヒートパイプ922に沿って低温界面まで移動し、凝縮して液体に戻り、潜熱を放出する。その後、液体は毛細管現象、遠心力、または重力のいずれかによって高温の界面に戻り、サイクルが繰り返される。沸騰および凝縮のための非常に高い熱伝達係数のために、ヒートパイプ922は非常に効果的な熱伝導体である。
【0052】
[0071] ポールリテーナ902の遠位端909は、ポール912をハブ904上に保持するように構成することができるポールマウント911を含むことができる。ポールリテーナ902の遠位端909は、ねじ込むことができる。ワッシャプレート923及び保持ナット924は、ポール912をポールリテーナ902上に固定することができる。ポールリテーナ902の遠位端909は、コンデンサ926を含むこともできる。コンデンサ926がヒートパイプ922に接続することで、コンデンサ926上に存在する1つまたは複数のフィンおよび/または水、油、空気などの冷却剤貯留層を介してヒートパイプ922からの熱の伝達が可能になる。1つまたは複数のフィン(例えば、コンデンサフィン)は、熱交換器の輪郭に沿って走る薄い金属スラットであり得る。1つまたは複数のフィンの目的は、電気モータの動作中に熱交換器から暖かい空気を遠ざけることであり得る。
【0053】
[0072]
図10は、本開示の一実施形態による軸方向界磁トポロジー冷却システム1000のプロファイル図を示す。本構成は、回転冷却システムへの固定冷却剤供給を結合するための回転流体カプラ(アイテム1014)を含む。他の実施形態において、冷却システムは、回転アセンブリに統合され得る。軸方向界磁電気モータは、回転用に取り付けられた回転子や、回転子によって運ばれる複数の軸方向磁束永久磁石などの1つまたは複数の要素を含む。軸方向磁束永久磁石は、生成される関連する磁束が少なくとも実質的に軸方向に向けられるように配向される。軸方向磁束永久磁石は、隣接する磁石の磁束方向が少なくとも実質的に軸方向に配向しているが、方向が反対になるように、磁束方向を交互に配向させて回転子の周囲に配置することができる。ラジアル磁束永久磁石もまた、回転子によって運ばれ、生成される関連する磁束が少なくとも実質的にラジアル配向するように配向される。
【0054】
[0073] コイルの代わりに、
図10に示される回転子は、軸方向界磁トポロジー冷却システム1000のために、ポールリテーナ1004によって分離された永久磁石1008を使用する。ポールリテーナ1004は、1つまたは複数の永久磁石1008を回転子1001に固定することができる。永久磁石が閾値温度(例えば、80°C)を超えると、永久磁石1008は、キュリー温度を超えて加熱された場合、磁気を失うか、または永久に消磁することさえある。したがって、本開示の実施形態は、
図10に示される軸磁場トポロジー冷却システム1000において利用される永久磁石1008を冷却するための方法およびシステムを提供する。ポールリテーナ1004を通過するチャネルにより、ポールリテーナ1004内のチャネルを流れる冷却流体を使用して、回転子1001からの熱を除去し、熱伝達を実施することができる。
図10に示す本開示の実施形態でにおいて、冷却流体は、チャネル1010を通って、回転ユニオン1014を通って案内され、次いで、回転子シャフト1002内のチャネル1010を通って流れることができる。回転ユニオン1014は、冷却媒体を回転子の回転部品に接続することができる。冷却流体は、回転子シャフト1002内のマニホールドを通って、チャネル1010を通って、冷却ダクトを通ってポールリテーナ1004へ案内され得る。
【0055】
[0074]
図11は、本開示の一実施形態による軸方向磁場トポロジーのための例示的な回転子冷却システム1100の断面図を示し、矢印は冷却剤が流れる経路を示す。冷却剤は一般的なものであるが、他の直列並列フロー構成も可能である。例示的なロータ冷却システム1100は、
図10に示す回転子冷却システムに対応する。
図11は、回転子シャフト1102に取り付けられた回転子を示す。回転子は、複数のポールリテーナ1104を含むことができる。冷却流体は、チャネル1110を通って、回転ユニオン1114を通り、ポールリテーナを通過するチャネル1110へ案内され得る。
図11に示す実施形態は、回転子シャフト1102内のマニホールドからポールリテーナ1104内のチャネル1110に冷却流体を案内するための冷却ダクト1130を含む。
【0056】
[0075]
図12は、本開示の一実施形態による軸方向界磁トポロジーのための第2の例示的なロータ冷却システム1200の俯瞰図を示す。第2の例示的なロータ冷却システム1200のためのポールリテーナ1204は、回転子シャフト1202から延びている。したがって、
図11に示す冷却ダクト1130は、本実施形態においては任意である。冷却流体は、チャネル1210を通って、回転ユニオン1214を通り、ポールリテーナ1204を通過するチャネル1230に案内され、回転ユニオン1214を通って戻ってくることができる。
【0057】
[0076]
図13は、本開示の一実施形態による軸方向界磁トポロジーのための第3の例示的なロータ冷却システム1300の俯瞰図を示す。第3の例示的なロータ冷却システム1300のためのポールリテーナ1304は、回転子シャフト1302から延びている。
図13に示す実施形態において、
図12に示す背鉄トポロジーは任意である。冷却ダクト1330は、回転子シャフト1302内のマニホールドに出入りする流体を案内する。冷却流体は、チャネル1310を通って、回転ユニオン1312を通り、ポールリテーナ1304を通過するチャネル1310に案内され、回転ユニオン1312を通って戻ってくることができる。
【0058】
[0077]
図14は、本開示の一実施形態による放射場トポロジーのための例示的なロータ冷却システム1400のプロファイル図を示す。
図14は、回転子シャフト1402に取り付けられた回転子を示す。回転子は、複数の永久磁石1408を保持することができる複数のポールリテーナ1404を含むことができる。冷却流体は、チャネル1410を通って、回転ユニオン1414を通り、および回転子シャフト1402内のマニホールド(図示せず)へ案内することができる。マニホールドは、冷却ダクト1432を通ってポールリテーナ1404に冷却流体を案内することができる。ポールリテーナ1404内のチャネル1410を通って案内される冷却流体は、永久磁石1408から熱を吸収し、冷却ダクト1432を通ってマニホールドおよび回転ユニオン1414に戻り、チャネル1410を介して熱交換器に戻すことができる。
【0059】
[0078]
図15は、本開示の一実施形態による放射場トポロジーのための例示的な回転子冷却システム1500の俯瞰切り欠き図を、冷却剤が流れる経路を示す矢印とともに示す。冷却剤は一般的なものであるが、他の直列並列フロー構成も可能である。本構成は、回転冷却システムへの固定冷却剤供給を結合するための回転流体カプラ(アイテム514)を含む。他の実施形態において、冷却システムは、回転アセンブリに統合され得る。
図15は、回転子シャフト1502に取り付けられた回転子を示す。回転子は、複数の永久磁石1508を保持することができる複数のポールリテーナ1504を含むことができる。冷却流体は、チャネル1510を通って、回転ユニオン1514を通り、回転子シャフト1502内のマニホールド(図示せず)へ案内することができる。マニホールドは、冷却ダクト1532を介して、冷却流体をポールリテーナ1504へ案内することが出来る。ポールリテーナ1504内のチャネル1510を通って案内される冷却流体は、永久磁石1508から熱を吸収し、冷却ダクト1532を通ってマニホールドへ、および回転ユニオン1514を通って、チャネル1510を介して熱交換器に送り戻すことができる。様々な実施形態において、リテーナハードウェア1534(例えば、保持ナット)を使用して、冷却ダクト1532をポールリテーナ1504に固定することができる。
【0060】
[0079]
図16は、本開示の一実施形態による例示的なリニアモータ回転子ポール冷却システム1600のプロファイル図を、冷却剤が流れる経路を示す矢印とともに示す。冷却剤は一般的なものであるが、他の直列並列フロー構成も可能である。リニアモータは、固定子と回転子を「展開」した電気モータである。したがって、トルク(つまり回転)を生成する代わりに、その長さに沿って直線的な力を生成する。リニアモータは、ポールリテーナ1604によって保持され得る複数の磁石1608を含むことができる。リニアモータ回転子ポール冷却システム1600は、ポールリテーナ1604の内部に配置され、その長さに沿って配向された図示しない冷却ダクトを通って冷却流体を案内することができる。流体接続部1610を介し、冷却流体をポールリテーナ内部の冷却ダクトへ案内することができる。1本または複数のホース、または冷却マニホールドに流体接続部1610を接続することができる。流体接続部1610は、ねじ込み可能である。ポールリテーナ1604は、留め具または他の一般的な締結方法(例えば、リベット、溶接、テンションロッド、接着剤など)を介して磁気背鉄1612に結合することができる。当業者は、すべてのポール保持ハードウェアが冷却剤を通さなければならないわけではないことを理解するであろう。
【0061】
[0080]
図17は、本開示の一実施形態による例示的なリニアモータ回転子ポール冷却システム1700の側面図を示す。
図17は、磁石1708を磁気背鉄1712に保持する複数のポールリテーナ1704を含むリニアモータの一部を示す。流体接続部1710が、ポールリテーナ1704の内部に形成された冷却ダクトを通るよう冷却流体を案内する。流体接続部1710は、ねじ込むことができ、ポールリテーナ1704を磁気背鉄1712に保持するための留め具1714を受け入れることができる。
【0062】
[0081]
図18は、エアギャップ内に空気があり、エアギャップ内にオイルがある例示的なモータについての風損対回転子速度のグラフを示す。本開示の実施形態において、冷却用の油入りエアギャップは、本開示のポールリテーナ冷却方法を用いて空気に置き換えることができ、同一の電磁モータ設計で低損失および高速ロータ速度を可能にする。TORUSスタイルのアキシャルフラックス電気機械は、より高い電力密度が必要な場合に、巻線の空冷またはダイレクト油冷(油に浸すか、または油に噴霧冷却する)を特徴とすることができる。これは、モータリングまたは発電中に発生する損失(たとえば、I
2Rの銅損失、または鉄心および/または磁石のヒステリシスおよび渦電流損失)を除去するために必要になる場合がある。本開示の実施形態によって提供される一体型冷却を備えた固定子ポールリテーナにより、TORUSアキシャルフラックススタイルのモータは、高い電力密度が要求されるアプリケーションに対して、より高速かつ高効率を達成することができる。この利点は、回転するモータ部品をオイルに浸したり、回転部品に冷却剤を噴霧または滴下したりすることによって引き起こされる風損の低減によって達成できる。アキシャルフラックスモータにおいて、風損は、以下の式で表されるように、流体密度と動的粘度の直接的な結果である可能性がある。
Pw = 0.5C
fρ(2πn)
3(R
5
out - R
5
sh)
ここで、C
f = 抗力係数
ρ=冷却材の密度(kg/m
2)
R
out=ロータ外径(m)
R
in = シャフト径 (m)
C
f =3.87 / R
e
0.5
Re = 2 πn ρR
2
out / μ
ここで、μ = 作動流体の動粘度(Pa S)
【0063】
[0082] 固定された回転子の大きさ(例えば、10インチの外径、2インチのシャフト径)の場合、電気機械は、熱を除去する冷却システムの能力および電磁設計によって制限される、固定量の電力(例えば、1,000ワット)しか生成できないであろう。この一定電力量を風損により超えると、機械はその速度で動作して電力を供給することができなくなる。これは通常加速中に観察でき、その間、モータは利用可能な最大出力に達すると加速を停止する。例えば、
図18は、風損(ワット)と回転子速度(毎分回転数)のプロットを示す。第1のライン1810は油冷モータを表し、第2のライン1820は空冷モータを表す。最大電力線制限1830は、生成可能な最大電力を表し、熱を除去する冷却システムの能力および電磁設計によって制限される。
図18において、最大電力制限1830は1,000ワットである。
【0064】
[0083]
図18に示すように、油冷モータは、低速(例えば、440rpm)で最大出力制限に達するのに対し、空冷モータは、6400rpmでしか最大出力制限に達しない。したがって、空冷モータは冷却流体の粘性抗力を克服する必要がないため、空冷モータはより高速に到達できる。したがって、モータを冷却流体に浸さない冷却技術により、より高速に到達できる、より電力密度の高いモータを実現できる。
【0065】
[0084]
図19は、本開示の一実施形態による電気モータ冷却のプロセス1900を示す例示的なフローチャートを示す。いくつかの実装において、
図19の1つまたは複数のプロセスブロックを電気機械によって実行することができる。いくつかの実装において、
図19の1つまたは複数のプロセスブロックは、電気機械とは別個の、または電気機械を含む別のデバイスまたはデバイスのグループによって実行することができる。
【0066】
[0085] 本方法は、第1のポールをハブに取り付けるために構成された第1のポールリテーナを通って延びる第1のチャネルを通って、ハブ内のマニホールドから冷却流体を案内することを含むことができる(1910)。この技術は、TORUS AFPMポールの1つまたは複数の部品(例えば、固定子)、回転子用の突極リテーナ、軸方向界磁トポロジー回転子、放射場トポロジー回転子、リニアモータ、またはそれらのいくつかの組み合わせに適用することができる。ポンプで冷却流体に圧力をかけて、冷却流体をモータのポールの1つまたは複数のポールリテーナを通過するチャネルを通って、ハブ内のマニホールドを通るように案内することができる。
【0067】
[0086] 本方法は、冷却流体によって、第1のポールに取り付けられた1つまたは複数の第1のコイルによって発生した熱を吸収することを含むことができる(1920)。モータのコイルに交流電流を流して磁場を発生させると、モータのコイルから発熱する。熱は、伝導を介してポールに取り付けられた1つまたは複数の第1のコイルまたは1つまたは複数の第1の永久磁石から伝達され得る。熱は、周囲の空気への対流によって、および、ポールを循環する冷却流体によってさらに伝達することができる。
【0068】
[0087] 本方法は、流体移送ダクトと、第2のポールをハブに取り付けるように構成された第2のポールリテーナを通って延びる第1のチャネルから第2のチャネルへの冷却流体を含むことができる(1930)。流体移送ダクトは、マニホールドであり得る。流体移送ダクトは、チューブまたはパイプであり得る。ポンプからの圧力により、流体移送ダクトを介し、流体を第1のチャネルから第2のチャネルに案内することができる。
【0069】
[0088] ポンプは冷却流体に圧力を加えて、冷却流体がチャネルを通り、モータのポールの1つまたは複数のポールリテーナを通って、ハブ内のマニホールドを通るように案内することができる。様々な実施形態において、第2のポールリテーナは、第1のポールリテーナに隣接することができる。第2のポールは、TORUS AFPMポールの固定子とすることができる。
【0070】
[0089] 本方法は、冷却流体によって、第2のポールに取り付けられた1つまたは複数の第2のコイルによって発生した熱を吸収することを含むことができる(1940)。熱は、1つまたは複数の第2のコイルまたは1つまたは複数の第2の永久磁石から伝導を介してポールに取り付けられ、伝達することができる。熱は、周囲の空気への対流によって、および、ポールを循環する冷却流体によってさらに伝達することができる。
【0071】
[0090]本方法は、冷却流体を第2のチャネルからハブ内のマニホールドに案内することを含むことができる(1950)。ポンプからの圧力により、冷却流体を第2のチャネルからマニホールドに案内することができる。
【0072】
[0091] 様々な実施形態において、本方法は、ハブ内のマニホールド内の熱交換器を介して、冷却流体を案内することを含むことができる。
【0073】
[0092] 様々な実施形態において、本方法は、第1のチャネルと第2のチャネルとの間に配置された熱交換器を介して冷却流体を案内することを含むことができる。
【0074】
[0093] 様々な実施形態において、本方法は、ハブを回転させることによって冷却流体を循環させることを含むことができる。
【0075】
[0094] 様々な実施形態において、本方法は、冷却流体と連通する温度センサを介して、冷却流体の温度を測定することを含むことができる。
【0076】
[0095] 特定の実施形態の具体的な詳細は、開示の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、任意の適切な方法で組み合わせてもよく、または本明細書に示され説明されるものとは異っていてもよい。
【0077】
[0096] プロセス1900は、以下に説明される任意の単一の実装または実装の任意の組み合わせなど、および/または本明細書の他の箇所で説明される1つまたは複数の他のプロセスに関連して、追加の実装を含むことができる。
図19に示す特定のステップは、本開示の様々な実施形態に従った電気モータを冷却するための特定の技術を提供することを理解されたい。ステップの他のシーケンスもまた、代替実施形態に従って行うことができる。例えば、本開示の代替実施形態は、上記で概説したステップを異なる順序で実行することができる。さらに、
図19に示す個々のステップは、個々のステップに適宜、様々な順序で実行することができる複数のサブステップを含むことができる。
図19は、プロセス1900のステップの例を示すが、いくつかの実装形態において、プロセス1900は、
図19に描かれたものよりも、追加のステップ、より少ないステップ、異なるステップ、または異なる配置のステップを含むことができる。追加的に、または代替的に、プロセス1900の2つ以上のステップを並行して実行することができる。さらに、特定のアプリケーションに応じて、追加のステップを追加または削除できる。当業者であれば、多くの変形、修正、および代替を認識するであろう。
【0078】
[0097] 本開示の例示的な実施形態の上記の説明は、例示および説明の目的で提示される。上記の説明は、網羅的であることを意図したものではなく、または開示を記載された正確な形式に限定することを意図したものではなく、上記の教示に照らして多くの修正および変形が可能である。実施形態は、本開示の原理およびその実用的用途を最もよく説明するために選択され、記載され、それにより、当業者が、企図される特定の用途に適した様々な実施形態および様々な変更を伴って本開示を最もよく利用できることを可能にする。
【0079】
[0098] 本明細書に引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
[0099] 上記で論じた方法、システム、およびデバイスは一例である。様々な構成は、適宜、様々な手順または部品を省略、置換または追加し得る。例えば、代替的な構成において、本方法は、説明されたものとは異なる順序で実行されてもよく、および/または、様々な段階を追加、省略、および/または組み合わせてもよい。また、特定の構成に関して説明された特徴は、他の様々な構成で組み合わされてもよい。構成の異なる態様および要素は、同様の方法で組み合わされてもよい。また、技術は進化し、したがって、要素の多くは例示であり、開示または請求の範囲を限定するものではない。
【0081】
[0100] 具体的な詳細は、例の構成(実装を含む)完全な理解を提供するために、説明において与えられる。ただし、構成は、これらの特定の詳細なしで実行してもよい。例えば、よく知られた回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技術は、構成を曖昧にすることを避けるために、不必要な詳細なしで示される。説明は、構成例のみを提供し、請求の範囲、適用性、または構成を制限するものではない。むしろ、構成の前述の説明は、当業者に、記載された技術を実施するための有効な説明を提供するであろう。要素の機能および配置は、開示の精神または範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を加えられてもよい。
【0082】
[0101] また、構成は、フロー図またはブロック図として描かれるプロセスとして説明され得る。それぞれが操作を順次プロセスとして記述する場合があるが、操作の多くは並列または並行して実行できる。また、操作の順序を並べ替えてもよい。プロセスには、図に含まれていない追加の手順が含まれ得る。さらに、方法の例は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはそれらの任意の組み合わせによって実装され得る。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、またはマイクロコードで実装される場合、必要なタスクを実行するためのプログラムコードまたはコードセグメントは、記憶媒体などの非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されてもよい。プロセッサは、説明されたタスクを実行し得る。
【0083】
[0102] いくつかの例示の構成を説明した以上、様々な変形、代替的な構成、および均等物が、本開示の精神から逸脱することなく使用され得る。例えば、上記の要素は、より大きなシステムの構成要素であってもよく、他の規則が、開示の適用に優先するか、または、そうでなければ、修正し得る。また、上記の要素を検討する前、検討中、検討後に、多くのステップを踏むことがあり得る。
【国際調査報告】