(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】乳頭再建用インプラント
(51)【国際特許分類】
A61L 27/56 20060101AFI20240416BHJP
A61L 27/14 20060101ALI20240416BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20240416BHJP
A61L 27/44 20060101ALI20240416BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61L27/56
A61L27/14
A61L27/18
A61L27/44
A61L27/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570025
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 US2022028284
(87)【国際公開番号】W WO2022240725
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512315555
【氏名又は名称】テファ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リメム,スカンダー
(72)【発明者】
【氏名】サリブラヒモグル,ケマル
(72)【発明者】
【氏名】スコット,ジェフリー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,サイモン,エフ.
(72)【発明者】
【氏名】バトラー,ティモシー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ホール ロペス,ゲルマン オズワルド
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AB36
4C081AB38
4C081CA161
4C081DA04
4C081DB01
4C081DB03
(57)【要約】
吸収性インプラントが、再生した組織で乳頭を再建するために使用され得、美的な満足感を高める。インプラントは、例えば、乳房全切除術及び乳房再建後に乳頭を再建するために、形成外科的処置において使用するのに特に好適である。インプラントは、吸収性メッシュ及び/又は乾紡シートから形成され得る。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーの編み又は織りのマクロ多孔質テキスタイルの第1の部分、及びポリマーのマイクロ多孔質の不織又は発泡体の第2の部分
を含む、乳頭インプラントであって、
前記第1の部分及び前記第2の部分は、シリンダー状本体部分、及び前記シリンダー状本体部分の端部に少なくとも部分的にドーム形状を形成するように構成される、乳頭インプラント。
【請求項2】
前記第1の部分及び前記第2の部分の一方は前記インプラントのコアであり、前記第1の部分及び前記第2の部分の他方は前記コアを取り囲む、請求項1に記載の乳頭インプラント。
【請求項3】
さらに、前記少なくとも部分的にドーム形状端部に対向する前記シリンダー状本体部分の端部にフランジベースを含む、請求項1に記載の乳頭インプラント。
【請求項4】
前記第1の部分は、マイクロ多孔質のポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマーの少なくとも1枚のシートを含む、請求項2に記載の乳頭インプラント。
【請求項5】
前記第1の部分は、紡糸されたポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマーの少なくとも1枚のシートを含む、請求項2に記載の乳頭インプラント。
【請求項6】
前記少なくとも1枚のシートを操って、シリンダー形状及び少なくとも部分的にドーム形状にした、請求項4に記載の乳頭インプラント。
【請求項7】
前記第2の部分は、紡糸されたポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマーの少なくとも1枚のシートを含む、請求項2に記載の乳頭インプラント。
【請求項8】
前記少なくとも1枚の紡糸シートを操って、シリンダー形状及び少なくとも部分的にドーム形状にした、請求項7に記載の乳頭インプラント。
【請求項9】
前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方は、ヒドロゲルで少なくとも部分的に満たされる、請求項1に記載の乳頭インプラント。
【請求項10】
前記第1の部分は複数のマクロ細孔を含み、前記マクロ細孔の平均直径又は平均幅は、75~2,000ミクロンである、請求項1に記載の乳頭インプラント。
【請求項11】
前記第1の部分に含まれるフィラメントは、以下の特性:平均直径10μm~5mm、破断荷重0.1~200N、破断点伸び10~1,000%、及び弾性率0.05~1,000MPaのうちの1つ以上を有する、請求項1に記載の乳頭インプラント。
【請求項12】
前記第1の部分に含まれる前記フィラメントは、以下の特性:(i)破断点伸び100%超;(ii)破断点伸び200%超;(iii)溶融温度60℃以上、(iv)溶融温度100℃超、(v)ガラス転移温度0℃未満、(vi)ガラス転移温度-55℃~0℃、(vii)引張弾性率300MPa未満、及び(viii)引張強度25MPa超のうちの1つ以上を有する、請求項11に記載の乳頭インプラント。
【請求項13】
前記第1の部分及び前記第2の部分は、それぞれ:グリコリド、ラクチド、グリコール酸、乳酸、1,4-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシブチレート、3-ヒドロキシヘキサノエート、4-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシブチレート、3-ヒドロキシオクタノエート、ε-カプロラクトン、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、グルタル酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、又はアジピン酸からなる群から選択される1種以上のモノマーを含む若しくはそれから準備される吸収性ポリマーから形成されるか、或いは前記吸収性ポリマーは、ポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマー、又はポリ(ブチレンサクシネート)若しくはそのコポリマーを含む、請求項1に記載の乳頭インプラント。
【請求項14】
前記第1の部分は、ポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマーで形成され、前記第2の部分は、ポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマーで形成される、請求項13に記載の乳頭インプラント。
【請求項15】
ベース、前記ベースから突出する中空シリンダー状部分、及び前記ベースに対向する前記中空シリンダー状部分の端部に少なくとも部分的にドーム形状を有する、外部本体であって、内部キャビティを画成する、外部本体と;
前記内部キャビティ内に位置し、前記内部キャビティを少なくとも部分的に満たす内部耐荷重本体と
を含む、乳頭インプラントであって、
前記外部本体及び前記内部耐荷重本体のそれぞれは、編み、織り又は不織の吸収性テキスタイルのうちの少なくとも1つから形成される、乳頭インプラント。
【請求項16】
前記吸収性テキスタイルは:グリコリド、ラクチド、グリコール酸、乳酸、1,4-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシブチレート、3-ヒドロキシヘキサノエート、4-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシブチレート、3-ヒドロキシオクタノエート、ε-カプロラクトン、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、グルタル酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、又はアジピン酸からなる群から選択される1種以上のモノマーを含む若しくはそれから準備される吸収性ポリマーから形成されるか、或いは前記吸収性ポリマーは、ポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマー、又はポリ(ブチレンサクシネート)若しくはそのコポリマーを含む、請求項15に記載の乳頭インプラント。
【請求項17】
前記内部耐荷重本体は、ベースと、前記ベースから上方へ突出する弾性構造とを含み、前記弾性構造は、半径方向で見るとき、前記内部キャビティの一部分のみを占める、請求項15に記載の乳頭インプラント。
【請求項18】
前記弾性構造は、少なくとも2つの隣接する巻回を含み、前記半径方向で見るとき、前記2つの隣接する巻回間には間隙がある、請求項17に記載の乳頭インプラント。
【請求項19】
前記弾性構造は多角形形状を有する、請求項17に記載の乳頭インプラント。
【請求項20】
前記多角形形状は、前記内部キャビティの形状とは異なる、請求項19に記載の乳頭インプラント。
【請求項21】
多角形形状の前記弾性構造は、前記中空シリンダー状部分、及び前記外部本体の前記少なくとも部分的にドーム形状内に位置する、請求項19に記載の乳頭インプラント。
【請求項22】
前記弾性構造は、クローバーの葉の形状を有する、請求項19に記載の乳頭インプラント。
【請求項23】
前記弾性構造は波形面を有する、請求項17に記載の乳頭インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001] 35 U.S.C. § 119(a)-(d)又は35 U.S.C. § 365(b)下で、2021年5月11日出願の米国仮特許出願第63/187010号の外国の優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
[0002] 本発明は、概して、外科用インプラントに、より詳細には、乳頭の再建に好適な三次元多孔質インプラントに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
[0003] いくつかの乳房切除処置後の乳頭再建は、外科手術によって患者に美的及び心理・社会的双方の恩恵をもたらし得るため、一部の患者の乳癌の治療に重要な部分になってきている。
【0004】
[0004] 乳房の乳頭の見た目を作り直すためのいくつかのオプションが利用可能である。これらのオプションは、患者の皮膚に一時的に固定され得る、例えばシリコーンベースの材料から作製された人工乳頭を含む。しかしながら、これらの補綴物は、時間が経つにつれて摩滅する仮接着剤によって取り付けられた外部装置であり、且つ人工的であると認識される。
【0005】
[0005] 或いは、乳頭が、患者自身の組織を使用して外科的に再建されても、又はインプラントを使用して再建されてもよい。
【0006】
[0005] 外科的に作られた乳頭は、永久的であり、且つより自然な感触を有するが、一般に、ドナー皮膚と、好適な組織を採取するための二次的な手術とを必要とする。それらはまた、外科医が、適切なサイズ、隆起及び形状を備える置換用乳頭を構築することを必要とし、これは、反対側の乳頭と調和する必要があるときに、難易度が高いとし得る。
【0007】
[0007] 患者から乳頭再建のために好適な組織を採取する必要性を回避するために、いくつかの乳頭再建用インプラントが開発されている。
【0008】
[0008] Edwardsによる米国特許出願公開第20210052774号には、無細胞組織マトリクス及び三次元生物学的足場から得られる乳頭再建用インプラントが開示されている。
【0009】
[0009] Spectorによる国際公開第2020081806号には、外部生体適合性足場によって閉じ込められる、細かく切られた又は削り取られた軟骨を含む、乳頭再建のための外科用インプラントが開示されている。
【0010】
[0010] Choiによる国際公開第2020230997号には、円柱状本体及び主本体部分を備える二輪の複合体を含む、乳輪乳頭(NAC:nipple areolar complex)の再建用のインプラントが開示されている。
【0011】
[0011] Dempseyによる米国特許出願公開第2013/0211519号には、再造形可能な細胞外マトリクス材料、例えば哺乳類又は他の組織源からシート形状で隔離される細胞外マトリクスシートを含み、付形されたインプラントを提供するために、巻く及び/又は成形することによって構成された、再造形可能なインプラントが開示されている。
【0012】
[0012] Collinsによる米国特許出願公開第2016/0243286号には、細胞、足場及び任意選択的に他の物質、例えば栄養素及び増殖因子を含む、乳頭再建のための組織工学構築物が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
[0013] 上記にもかかわらず、移植時に、特定の望ましい見た目及び感触を備える新しい組織を生成し得る、改良型の乳頭再建用インプラントに対するニーズが依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
[0014] 本明細書で説明する乳頭インプラントは、乳房全切除術及び乳房再建後に乳輪乳頭(NAC:nipple-areola complex)を再建する、乳房の見た目を良くする、失われた又は欠落した組織を再建する、NACの組織構造を強化する、NACの軟組織の自然な感触を回復する、並びにNACの組織の再生、修復、及び再建を支援するために生体材料及び合成材料を送達することにおいて、外科医を支援する。
【0015】
[0015] 実施形態では、乳頭インプラントは多孔質であり、組織の内方成長のためにマクロ多孔質ネットワークを提供し、並びにさらに、コラーゲン、細胞、及び脂肪を含み得る。移植後、インプラントは、結合組織が入り込み、十分に一体化されるように設計される。実施形態では、乳頭インプラントはシリンダー形状を含み、シリンダー形状の各端部に、同じ円周の第1及び第2の円形ベースを備える。
【0016】
[0016] 実施形態では、インプラントは、さらに、インプラントのシリンダー形状の第2の円形ベースに接続された半球形状、又はドーム形状を含む。
【0017】
[0017] 実施形態では、インプラントは、マクロ多孔質ネットワークを少なくとも部分的に取り囲む殻を含み、殻は、シリンダー形状を含み、シリンダー形状の各端部に第1及び第2の円形ベース、並びにシリンダー形状の第2の円形ベースに接続された半球形状を備える。
【0018】
[0018] 実施形態では、インプラントは、軸の一方の端部にあるインプラントの第1の端部と、軸の対向端部にあるインプラントの第2の端部との間で長手方向に測定された高さhを備える長手方向軸を有する。
【0019】
[0019] 実施形態では、殻は多孔質である。
【0020】
[0020] 実施形態では、殻は、インプラントの第1の端部においてマクロ多孔質ネットワークを囲んでいない。
【0021】
[0021] 実施形態では、インプラントは、さらに、フランジを含む。フランジは、インプラントの第1の端部に位置する。フランジは、インプラントのシリンダー形状よりも大きい円周を有するため、フランジは、シリンダー形状の円形ベースから突き出る。実施形態では、フランジは多孔質である。実施形態では、フランジは吸収性である。フランジを備えるインプラントが患者の体内に移植されるとき、フランジは、乳房の膨らみ上に及びインプラントの第2の端部の後方に配置されるように設計される。
【0022】
[0022] 実施形態では、乳頭インプラントは、開細孔構造を備える耐荷重マクロ多孔質ネットワークを含む。
【0023】
[0023] 実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、インプラントの殻を満たすような形状にされる。実施形態では、マクロ多孔質ネットワークは、一方の端部で半球形状に接続されるシリンダー形状を有する。
【0024】
[0024] 実施形態では、マクロ多孔質ネットワークの細孔の平均直径又は平均幅は、75ミクロン~10mm、及び一層好ましくは100ミクロン~2mmである。
【0025】
[0025] 実施形態では、インプラントのフィラメントは、以下の特性:平均直径又は平均幅10ミクロン~5mm、破断荷重0.1~200N、破断伸度10~1,000%、及び弾性率0.05~1,000MPaのうちの1つ以上を有する。
【0026】
[0026] 実施形態では、インプラントのフィラメントは、表面粗さ(Ra)を備えて形成される。表面粗さは、インプラントでの細胞付着性及び組織形成を促す。表面粗さはまた、隣接する組織へのインプラントの取り付けを促し、組織の内方成長を促進し、移植後の装置の動きを防止するのを助ける。実施形態では、インプラントは、表面粗さが0.02~75ミクロン、一層好ましくは0.1~50又は0.5~30ミクロン、及びさらに一層好ましくは5~30ミクロンであるフィラメントを含む。
【0027】
[0027] 実施形態では、インプラントは、乳頭再建において使用するのに好適な形状及びサイズを有する。実施形態では、インプラントの高さhは、0.1~2cm、一層好ましくは0.5~1.5cm、及びさらに一層好ましくは0.3~1cmである。実施形態では、インプラントのシリンダー形状の直径は、2~10mm、及び一層好ましくは4~7mmである。
【0028】
[0028] 実施形態では、マクロ多孔質ネットワークは、吸収性ポリマーを含む。実施形態では、吸収性ポリマーは、以下の特性:(i)破断点伸び100%超;(ii)破断点伸び200%超;(iii)溶融温度60℃以上;(iv)溶融温度100℃超;(v)ガラス転移温度0℃未満;(vi)ガラス転移温度-55℃~0℃;(vii)引張弾性率300MPa未満;及び(viii)引張強度25MPa超のうちの1つ以上を有する。実施形態では、吸収性ポリマーは:グリコリド、ラクチド、グリコール酸、乳酸、1,4-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、3-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシブチレート、3-ヒドロキシヘキサノエート、4-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシブチレート、3-ヒドロキシオクタノエート、ε-カプロラクトン、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、グルタル酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、又はアジピン酸からなる群から選択される1種以上のモノマーを含む、若しくはそれから準備されるか、或いは吸収性ポリマーは、ポリ-4-ヒドロキシブチレート(P4HB)若しくはそのコポリマー、又はポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)若しくはそのコポリマーを含む。実施形態では、インプラントは、P4HB及びそのコポリマー、又はPBS及びそのコポリマーを含み、架橋されていない。実施形態では、PBSポリマー及びコポリマーは、さらに、以下:分岐剤、架橋剤、鎖延長剤、及びリアクティブブレンディング剤のうちの1つ以上を含み得る。PBS及びP4HBポリマー及びコポリマーは、同位体濃縮され得る。実施形態では、インプラントの準備に使用されるポリマーの重量平均分子量は、GPCによって決定されたポリスチレンに対して、50~1,000kDa、一層好ましくは90~600kDa、及びさらに一層好ましくは200~450kDaである。
【0029】
[0029] 実施形態では、インプラントは吸収性である。インプラントは、好ましくは、生体内で、予測可能な分解速度、及び予測可能な強度保持率のポリマー材料を含む。インプラントが吸収性であるとき、インプラントの分解は、インプラントへの組織のさらなる入り込みを可能にし得、及びこのプロセスは、インプラントが完全に吸収されるまで、継続し得る。
【0030】
[0030] 実施形態では、インプラントは、さらに、以下:自家脂肪、脂肪吸引物(fat lipoaspirate)、注入可能な脂肪、脂肪細胞、線維芽細胞、幹細胞、ゲル、ヒドロゲル、ヒアルロン酸、コラーゲン、抗菌薬、抗生剤、及び生体活性作用物質のうちの1つ以上を含む。
【0031】
[0031] 実施形態では、インプラントは異方性特性を有する、つまり、インプラントは、異なる方向に異なる特性を有する。
【0032】
[0032] 実施形態では、インプラントは無殻であり、任意選択的に、インプラントの周辺縁は、例えば、かかりを除去しインプラントを全体的により滑らかにするように、処理される。縁は、例えば、トリミング又は熱処理によって、処理され得る。
【0033】
[0033] 実施形態では、インプラントは、インプラントが占めた空間を新しい組織が満たすことを可能にするのに十分な期間、強度を保持し、それにより、インプラントの移植後に乳頭の形状を維持する。インプラントは、乳頭を形成するために、患者の組織の再造形を管理する。インプラントは、好ましくは、この移行期間の最中、乳頭を支持する。乳頭インプラントの形状は、長期間維持されて、組織の内方成長をインプラント中へ方向付け、及び所望の乳頭形状を生み出す。
【0034】
[0034] 実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、分解性ポリマーで少なくとも部分的に満たされる。分解性ポリマーは、好ましくは、マクロ多孔質ネットワークよりも速く分解される。実施形態では、マクロ多孔質ネットワークはヒドロゲルを含む。
【0035】
[0035] 実施形態では、インプラントは、マクロ多孔質吸収性メッシュ及びマイクロ多孔質乾紡シートを含む。実施形態では、インプラントは、マクロ多孔質吸収性メッシュをシリンダーに巻いて、インプラントのコアを形成し、及びコアにマイクロ多孔質乾紡シートを巻き付けることによって、形成される。実施形態では、マクロ多孔質吸収性メッシュは、編みモノフィラメントメッシュである。実施形態では、モノフィラメントの直径は、サイズ5/0又はサイズ6/0である。実施形態では、メッシュ及び乾紡シートは、ポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマーから形成される。
【0036】
[0036] 実施形態では、インプラントは、インプラントのシリンダー状コアを形成するように巻かれた吸収性乾紡シートと、インプラントのコアに巻き付けられたマクロ多孔質メッシュとを含む。実施形態では、マクロ多孔質メッシュは、編みモノフィラメントメッシュである。実施形態では、モノフィラメントの直径は、サイズ5/0又はサイズ6/0である。実施形態では、メッシュ及び乾紡シートは、ポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマーから形成される。
【0037】
[0037] 実施形態では、インプラントは、マクロ多孔質吸収性メッシュと、フランジを備えるシリンダー形状を形成するように折られた乾紡シートとを含み、吸収性メッシュは、シリンダー形状のコアに位置し、及び乾紡は、インプラントの外面に位置する。実施形態では、マクロ多孔質メッシュは、編みモノフィラメントメッシュである。実施形態では、モノフィラメントの直径は、サイズ5/0又はサイズ6/0である。実施形態では、メッシュ及び乾紡シートは、ポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマーから形成される。
【0038】
[0038] 実施形態では、インプラントの内毒素含量は、インプラント当たり20エンドトキシン活性単位未満である。
【0039】
[0039] 実施形態では、インプラントは滅菌インプラントである。インプラントは、ある範囲の技術、例えば、限定されるものではないが、エチレンオキシド、電子ビーム、又はガンマ線照射によって、滅菌され得る。
【0040】
[0040] 実施形態では、乳頭インプラントの製造方法は、さらに、マクロ多孔質ネットワークをポリマー組成物でコーティングすることによって、マクロ多孔質ネットワークを殻で少なくとも部分的に囲むことを含む。
【0041】
[0041] 実施形態では、インプラントは、ポリマーの編み又は織りのマクロ多孔質テキスタイルの第1の部分と、ポリマーのマイクロ多孔質の不織又は発泡体の第2の部分とを含み、第1の部分及び第2の部分は、シリンダー状本体部分と、シリンダー状本体部分の一方の端部に少なくとも部分的にドーム形状とを形成するように構成される。
【0042】
[0042] 実施形態では、インプラントは、編み又は織りのマイクロ多孔質のポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマーの第1の部分と、紡糸されたポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマーの第2の部分とを含む。第1の部分及び第2の部分は、シリンダー状本体部分と、シリンダー状本体部分の一方の端部に少なくとも部分的にドーム形状とを形成するように構成される。いくつかの実施形態では、第1の部分はインプラントのコアとし得、及び第2の部分はコアを取り囲む。いくつかの実施形態では、少なくとも部分的にドーム形状端部に対向するインプラントの端部にフランジベースが提供される。
【0043】
[0043] 実施形態では、インプラントは、ベース、ベースから突出する中空シリンダー状部分、及びベースに対向する中空シリンダー状部分の端部に少なくとも部分的にドーム形状を有する、外部本体を含む。外部本体は内部キャビティを画成し、及び内部耐荷重本体が、内部キャビティ内に位置し、それを少なくとも部分的に満たす。外部本体及び内部耐荷重本体のそれぞれは、編み、織りの又は紡糸された吸収性テキスタイルのうちの少なくとも1つで形成される。実施形態では、吸収性テキスタイルは、ポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマーから形成される。
【0044】
[0044] 実施形態では、インプラントは、ベース、ベースから突出する中空シリンダー状部分、及びベースに対向する中空シリンダー状部分の端部に少なくとも部分的にドーム形状を有する、外部本体を含む。耐荷重本体は、ベースと、ベースから上方へ突出する弾性構造とを含む。外部本体は内部キャビティを画成し、及び弾性構造は内部キャビティ中へ突出する。いくつかの実施形態では、弾性構造は、シリンダー状部分及び少なくとも部分的にドーム形状内に位置する。いくつかの実施形態では、半径方向で見るとき、弾性構造には1つ以上の間隙がある。いくつかの実施形態では、弾性構造は多角形形状を有し、これは、クローバーの葉の形状を含み得る。他の実施形態では、弾性構造は、シート材料の2つ以上の隣接する巻回を含み、ここで、隣接する巻回は、それらの間に間隙があっても又は連続的でもよい。弾性構造は、内部キャビティと同じ又はそれとは異なる形状を有し得る。いくつかの実施形態では、弾性構造は波状面を有する。
【0045】
[0045] 実施形態では、インプラントは、円錐形を形成するように折られたマクロ多孔質吸収性メッシュを含む。実施形態では、マクロ多孔質吸収性メッシュはモノフィラメントメッシュである。実施形態では、二次元マクロ多孔質吸収性メッシュは、三次元マクロ多孔質メッシュ乳頭インプラントを形成するように折られる。実施形態では、二次元の三角形のマクロ多孔質吸収性メッシュは、円錐形に折られ、及びその形状が、例えば、ヒートシーリング、縫い合わせ又は糊付けによって、固定される。
【0046】
[0046] 実施形態では、インプラントの製造方法は、以下:自家脂肪、脂肪吸引物、注入可能な脂肪、脂肪細胞、線維芽細胞、幹細胞、ゲル、ヒドロゲル、ヒアルロン酸、コラーゲン、抗菌剤、抗生物質、及び生体活性作用物質のうちの1種以上の構成要素を加えることを含む。実施形態では、これらの構成要素は、コーティング、噴霧、浸漬又は注入によって、マクロ多孔質ネットワークに加えられる。
【0047】
[0047] 実施形態では、インプラントは:乳頭インプラントを受け入れるように構成される組織エンクロージャを作り出すために、患者に1か所切開部を作ること;及び組織エンクロージャに乳頭インプラントを挿入することであって、組織エンクロージャは、乳頭インプラントの周りに一致するように構成されることを含む方法によって、移植される。実施形態では、インプラントの移植方法は、向かい合わせにできる縁を備える組織弁を作り出すように切開部を構成することを含み、縁がくっつけられると、組織弁が、組織弁の内面が乳頭インプラントと接触するように、乳頭インプラントを受け入れるための空隙を形成するようにする。実施形態では、インプラントの移植方法は、CV-flap切開経路、S-flap切開経路、又はstar-flap切開経路によって切開部を作ることを含む。実施形態では、インプラントは、インプラントのシリンダー形状から突き出るフランジを含み、インプラントは、フランジが患者の乳房の膨らみ上及びシリンダー形状の第2の端部の後方に位置決めされる状態で、患者に移植される。実施形態では、インプラントは半球形状を含み、及びインプラントは、半球形状が患者の皮膚に隣接し、残りのインプラントの前方にあるように、移植される。
【0048】
[0048] 実施形態では、インプラントは、外科医に、細胞、幹細胞、分化した細胞、脂肪細胞、筋細胞、血小板、組織、脂肪吸引物(lipoaspirate)、細胞外脂肪マトリクスタンパク質、ゲル、ヒドロゲル、ヒアルロン酸、コラーゲン、生体活性作用物質、薬物、抗生物質、及び他の物質を移植部位へ送達する手段をもたらす働きをする。
【0049】
[0049] 実施形態では、インプラントは、軟組織体積又は組織塊に置き換わる及び/又はそれを増加させるために移植され得る。
【0050】
[0050] これらの利点並びに本発明の他の目的及び利点は、添付図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1A】[0051]マクロ多孔質P4HBモノフィラメント編みメッシュのコア及びマイクロ多孔質P4HB乾紡の殻によって形成された乳頭インプラントの写真である。
【
図1B】[0052]
図1Aに示す乳頭インプラントの代替的な見え方を示す写真である。
【
図2】[0053]マイクロ多孔質乾紡シート、及びシリンダーに巻かれたマクロ多孔質吸収性メッシュの複合体で形成された乳頭インプラントの写真である。
【
図3】[0054]3Dの円錐形を形成するように折られたモノフィラメントP4HBメッシュの2Dヒートセットシートから形成された乳頭インプラントの写真である。
【
図4A】[0055]熱成形メッシュ乳頭インプラントの写真である。
【
図4B】[0055]熱成形メッシュ乳頭インプラントの写真である。
【
図4C】[0055]熱成形メッシュ乳頭インプラントの写真である。
【
図4D】[0055]熱成形メッシュ乳頭インプラントの写真である。
【
図4E】[0055]熱成形メッシュ乳頭インプラントの写真である。
【
図5】[0056]ゆるく巻かれたメッシュ内側本体及び外側メッシュ殻の写真である。
【
図6】[0057]比較的きつく巻かれたメッシュ乳頭インプラントの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
発明の詳細な説明
[0058] 本発明を詳細に説明する前に、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、説明される本発明に様々な変更又は修正が行われ得、及び等価物が代わりとなり得るため、本発明は、本明細書で説明する特定の変形例に限定されないことを理解されたい。本開示を読むことで当業者には明らかなように、本明細書で説明し及び示した個々の実施形態のそれぞれは、本発明の範囲又は趣旨から逸脱せずに、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と簡単に分離されたり又は組み合わせられたりしてもよい別々の構成要素及び特徴を有する。さらに、本発明の1つ又は複数の目的、趣旨又は範囲に特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスの1つ又は複数の行為又は1つ又は複数のステップを適応させるために、多くの修正がなされ得る。そのような修正の全ては、本明細書で特許請求されるものの範囲内にあるものとする。
【0053】
[0059] 本明細書で説明される方法は、論理的に可能である、説明した事象のいずれかの順序で、並びに説明した事象の順序で、実施され得る。さらに、ある範囲の値が提供される場合、その範囲内の上限と下限との間のいずれの中間値も、及びその述べた範囲内の任意の他の述べた値又は中間値も、本発明に含まれることが理解される。また、説明される本発明の変形例のいずれの任意選択的な特徴も、独立して、又は本明細書で説明する特徴のうちのいずれかの1つ以上と組み合わせて、説明され及び特許請求され得ると考えられる。
【0054】
[0060] 本明細書で述べる全ての既存の主題(例えば、刊行物、特許、特許出願及びハードウェア)は、主題が本発明の主題と矛盾し得ることがない限り(その場合、本明細書で提示されることが優先する)、その全体が本明細書に参照することにより援用される。
【0055】
[0061] 単数形のアイテムへの言及は、同じアイテムが複数存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるような、単数形「a」、「an」、「前記」及び「the」は、文脈上明白に他の意味を指示する場合を除いて、複数の指示対象を含む。特許請求の範囲は、いずれの任意選択的な要素も除外するために起草されているかもしれないことにさらに留意されたい。そのようなものとして、本ステートメントは、特許請求する要素の列挙に関連するような「単に」、「のみ」などのような排他的な用語の使用、又は「否定的」な限定の使用に対する先行詞の機能を果たすものとする。
【0056】
[0062] さらに理解を助けるために、以下の定義について下記で説明する。しかしながら、本明細書で説明するものとは別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有することも認識されたい。
【0057】
[0063] I.定義
[0064] 本明細書で一般的に使用されるような「吸収性」は、物質が体内で分解されて、分解産物が体から排出されるか又は排除されることを意味する。接頭辞「生、生体(bio)」が有る又は無い、用語「吸収性」、「再吸収性」、「分解性」、及び「侵食性」は、分解(degradation)が主に加水分解によるものか又は代謝過程を介して行われたものかに関わらず、分解(broken down)されて、体によって次第に吸収されるか、排出されるか、又は排除される物質を説明するために、本明細書では区別しないで使用され得る。
【0058】
[0065] 本明細書で一般的に使用されるような「生体活性作用物質」は、治療薬、予防薬又は診断用薬、好ましくは宿主組織の治癒及び再生を促す薬、並びにまた、感染を防ぐ、阻害する又は除去する治療薬を指す。「作用物質(Agent)」は、単一のそのような作用物質を含み、複数のそのようなものを含むことも意図する。
【0059】
[0066] 一般的に本明細書で使用されるような「生体適合性」は、生体内でのインプラントの意図した用途に適切である、材料又はインプラントに対する生物学的反応を意味する。これらの材料のいずれの代謝産物も生体適合性であるべきである。
【0060】
[0067] 本明細書で一般的に使用されるような「ブレンド」は、2種以上の異なるモノマーで形成されたコポリマーとは対照的に、異なるポリマーの物理的な組み合わせを意味する。
【0061】
[0068] 本明細書で使用されるような「圧縮弾性率(compressive modulus)」は、クロスヘッド速度20mm min-1で万能試験機において測定される。インプラントは、荷重を加えるように前もって負荷が加えられて、インプラントの長手方向軸に沿って荷重が加えられる状態で、5~15%の歪みで圧縮される。臨床的に意義のある繰り返し荷重が10回繰り返され、圧縮弾性率は、たるみを取ること、及び被検査物のアライメント又は載置に起因するアーチファクトのせいで、二次繰り返し荷重に基づいて計算される。圧縮弾性率はまた、ASTM規格ASTM D1621-16又はASTM D695-15を使用して測定され得る。
【0062】
[0069] 一般的に本明細書で使用されるような「ポリ-4-ヒドロキシブチレートのコポリマー」は、1種以上の異なるヒドロキシ酸単位を備える4-ヒドロキシブチレートを含む任意のポリマーを意味する。コポリマーは、同位体濃縮され得る。
【0063】
[0070] 一般的に本明細書で使用されるような「ポリ(ブチレンサクシネート)のコポリマー」は、1,4-ブタンジオール及びコハク酸単位、並びに1種以上の異なるジオール又は二酸単位又はヒドロキシ酸単位を含む任意のポリマーを意味する。コポリマーは、以下:分岐剤(branching agent)、架橋剤、鎖延長剤、及びリアクティブブレンディング剤のうちの1種以上を含み得る。コポリマーは、同位体濃縮され得る。
【0064】
[0071] 本明細書で一般的に使用されるような「内毒素含量」は、インプラント又はサンプル中に存在する内毒素の量を指し、及びカブトガニ変形細胞溶解物(LAL:limulus amebocyte lysate)アッセイを使用して決定される。
【0065】
[0072] 本明細書で一般的に使用されるような「分子量」は、他に特に規定がなければ、数平均分子量(Mn)ではなく、重量平均分子量(Mw)を指し、及びポリスチレンに対してGPCによって測定される。
【0066】
[0073] 「ポリ(ブチレンサクシネート)」は、1,4-ブタンジオール単位及びコハク酸単位を含むポリマーを意味する。ポリマーは、以下:分岐剤、架橋剤、鎖延長剤、及びリアクティブブレンディング剤のうちの1種以上を含み得る。ポリマーは、同位体濃縮され得る。
【0067】
[0074] 「ポリ(ブチレンサクシネート)及びコポリマー」は、以下:鎖延長剤、カップリング剤、架橋剤及び分岐剤のうちの1種以上で作製されたポリマー及びコポリマーを含む。
【0068】
[0075] 一般的に本明細書で使用されるような「ポリ-4-ヒドロキシブチレート」は、4-ヒドロキシブチレート単位を含むホモポリマーを意味する。本明細書では、P4HB又はTephaFLEX(登録商標)生体材料(Tepha, Inc., Lexington, MA製)とも呼ばれ得る。ポリマーは、同位体濃縮され得る。
【0069】
[0076] 本明細書で使用されるような「軟組織」は、硬化又は石灰化されていない体内組織を意味する。軟組織は、骨及び歯のエナメル質などの硬組織を除外する。
【0070】
[0077] 「強度保持率」は、材料が、ヒト又は動物への移植後に特定の機械的特性を維持する時間の量を指す。例えば、再吸収性繊維又はストラットの引張強度が動物への移植時から3か月で半分だけ低下する場合、3か月での繊維又はストラットの強度保持率は50%となるであろう。
【0071】
[0078] 本明細書で使用されるような「表面粗さ」(Ra)は、評価長内で記録される、平均線からの高さの輪郭のずれの絶対値の算術平均である。
【0072】
[0079] II.インプラントを準備するための材料
[0080] 実施形態では、インプラントは、乳頭を形成する、乳頭の形を変える、乳頭を再建する、乳頭を修正する、又は損傷された若しくは外科的に除去された乳頭を置き換えるために使用され得る。インプラントは、乳頭再建中のドナー部位の手術の必要性を排除し得る。インプラントは、生体適合性であり、及び好ましくは、インプラントが分解するにつれて、患者の組織によって生体内で取って代わられる。インプラントは、乳頭の再建に好適な圧縮弾性率を有する。任意選択的に、インプラントは、移植前、移植中、又は移植後に、ヒドロゲル、生体活性作用物質、自己組織、自家脂肪、脂肪吸引物、注入可能な脂肪、脂肪細胞、線維芽細胞、及び幹細胞でコーティングされ得るか又は満たされ得る。
【0073】
[0081] A.インプラントを準備するためのポリマー
[0082] インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、永久材料、例えば非分解性熱可塑性ポリマー、例えばエチレン及びプロピレンのポリマー及びコポリマー、例えば超高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリウレタン、ポリ(エーテル-ウレタン)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、及びポリ(エチレンオキシド)を含み得る。しかしながら、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、好ましくは、吸収性材料、一層好ましくは熱可塑性又はポリマー性吸収性材料を含み、さらに一層好ましくは、インプラント及びインプラントのマクロ多孔質ネットワークは、吸収性材料から完全に作製される。
【0074】
[0083] 好ましい実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、1種以上の吸収性ポリマー又はコポリマー、好ましくは吸収性熱可塑性ポリマー及びコポリマー、さらに一層好ましくは吸収性熱可塑性ポリエステルから製作される。インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、例えば、ポリマー、例えば、限定されるものではないが、グリコール酸、グリコリド、乳酸、ラクチド、1,4-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシブチレート、3-ヒドロキシヘキサノエート、3-ヒドロキシオクタノエート、ε-カプロラクトンを含むポリマー、例えばポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、グリコール酸と乳酸とのコポリマー、例えばVICRYL(登録商標)ポリマー、MAXON(登録商標)及びMONOCRYL(登録商標)ポリマー、並びに例えばポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン);ポリ(オルトエステル);ポリ無水物;ポリ(ホスファゼン);ポリヒドロキシアルカノエート;合成の若しくは生物学的に作製されたポリエステル;ポリカーボネート;チロシンポリカーボネート;ポリアミド(合成及び天然のポリアミド、ポリペプチド、及びポリ(アミノ酸)を含む);ポリエステルアミド;ポリ(アルキレンアルキレート);ポリエーテル(例えばポリエチレングリコール、PEG、及びポリエチレンオキシド、PEO);ポリビニルピロリドンすなわちPVP;ポリウレタン;ポリエーテルエステル;ポリアセタール;ポリシアノアクリレート;ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー;ポリアセタール、ポリケタール;ポリホスフェート;(リン含有)ポリマー;ポリホスホエステル;ポリアルキレンオキサレート;ポリアルキレンサクシネート;ポリ(マレイン酸);シルク(組換えシルク並びにシルク誘導体及び類似体を含む);キチン;キトサン;修飾キトサン;生体適合性多糖類;親水性若しくは水溶性ポリマー、例えば他の生体適合性若しくは生分解性ポリマーのブロックを備える、ポリエチレングリコール(PEG)又はポリビニルピロリドン(PVP)、例えば、ポリ(ラクチド)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、又はポリカプロラクトン及びそのコポリマー、例えばそのランダムコポリマー及びブロックコポリマーから作製され得る。
【0075】
[0084] 好ましくはインプラントのマクロ多孔質ネットワークは、移植後1~24か月の時間枠、一層好ましくは3~18か月の時間枠内で実質的に吸収され、及び少なくとも2週間~6か月、ある程度の残留強度を保持する吸収性ポリマー又はコポリマーから作製される。
【0076】
[0085] ポリマー及びコポリマー、好ましくは吸収性ポリマーのブレンドは、インプラントのマクロ多孔質ネットワークを作製するために使用され得る。吸収性ポリマーの特に好ましいブレンドは、吸収性ポリマー、例えば、限定されるものではないが、グリコール酸、グリコリド、乳酸、ラクチド、1,4-ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシブチレート、ε-カプロラクトン、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、グルタル酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸を含むポリマー、又はそれらのコポリマーから作製される。
【0077】
[0086] 特に好ましいある実施形態では、ポリ-4-ヒドロキシブチレート(Tepha’s P4HB(商標)ポリマー、Lexington,MA)若しくはそのコポリマーは、インプラントのマクロ多孔質ネットワークを製作するために使用される。コポリマーは、別のヒドロキシ酸、例えば3-ヒドロキシブチレートを備えるP4HB、及びグリコール酸又は乳酸モノマーを備えるP4HBを含む。ポリ-4-ヒドロキシブチレートは、生体適合性及び再吸収性である、強くてしなやかな熱可塑性ポリエステルである(Williams,et al.Poly-4-hydroxybutyrate (P4HB):a new generation of resorbable medical devices for tissue repair and regeneration,Biomed.Tech.58(5):439-452(2013))。移植すると、P4HBはそのモノマーに加水分解し、及びモノマーは、クレブス回路によって代謝されて、二酸化炭素と水になる。好ましい実施形態では、P4HBホモポリマー及びそのコポリマーの重量平均分子量Mwは、50kDa~1,200kDa(ポリスチレンに対するGPCによって)、一層好ましくは100kDa~600kDa、及びさらに一層好ましくは200kDa~450kDaの範囲内である。50kDa以上のポリマーの重量平均分子量が、加工及び機械的特性のために好ましい。
【0078】
[0087] 別の好ましい実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、少なくともジオール及び二酸を含むポリマーから作製される。特に好ましいある実施形態では、マクロ多孔質ネットワークを作製するために使用されるポリマーは、ポリ(ブチレンサクシネート)(PBS)であり、ここで、ジオールは1,4-ブタンジオールであり、及び二酸はコハク酸である。ポリ(ブチレンサクシネート)ポリマーは、他のジオール、他の二酸又はこれらの組み合わせを備えるコポリマーとし得る。例えば、ポリマーは、さらに、以下:1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、グルタル酸、アジピン酸、テレフタル酸、マロン酸、メチルコハク酸、ジメチルコハク酸、及びシュウ酸のうちの1種以上を含む、ポリ(ブチレンサクシネート)コポリマーとし得る。好ましいコポリマーの例は:ポリ(ブチレンサクシネート-コ-アジペート)、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-テレフタレート)、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-ブチレンメチルサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-ブチレンジメチルサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート-コ-エチレンサクシネート)及びポリ(ブチレンサクシネート-コ-プロピレンサクシネート)である。実施形態では、ポリマーは、ヒドロキシ酸をさらに含むポリ(ブチレンサクシネート)コポリマーとし得る。ヒドロキシ酸の例は:グリコール酸及び乳酸である。ポリ(ブチレンサクシネート)ポリマー又はコポリマーは、さらに、以下:鎖延長剤、カップリング剤、架橋剤及び分岐剤のうちの1種以上を含み得る。例えば、ポリ(ブチレンサクシネート)若しくはそのコポリマーは、以下の作用物質又は剤:リンゴ酸、トリメチロールプロパン、グリセロール、トリメシン酸、クエン酸、グリセロールプロポキシレート、及び酒石酸のうちの1種以上を加えることによって、分岐されても、又は架橋されてもよい。ポリ(ブチレンサクシネート)ポリマー又はそのコポリマーを分岐又は架橋するために特に好ましい作用物質又は剤は、ヒドロキシカルボン酸単位である。好ましくは、ヒドロキシカルボン酸単位は、2つのカルボキシル基と1つのヒドロキシル基、2つのヒドロキシル基と1つのカルボキシル基、3つのカルボキシル基と1つのヒドロキシル基、又は2つのヒドロキシル基と2つのカルボキシル基を有する。好ましい一実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、分岐剤又は架橋剤としてリンゴ酸を含むポリ(ブチレンサクシネート)から作製される。このポリマーは、リンゴ酸で架橋されたポリ(ブチレンサクシネート)、コハク酸-1,4-ブタンジオール-リンゴ酸コポリエステル、又はリンゴ酸で架橋されたポリ(1,4-ブチレングリコール-コ-コハク酸)と呼ばれ得る。リンゴ酸及び他の架橋剤、カップリング剤、分岐剤及び鎖延長剤への言及は、これらの作用物質又は剤で作製されたポリマーを含み、ここで、作用物質又は剤は、加工中にさらなる反応が起こされていることを理解すべきである。例えば、作用物質又は剤は、重合中に脱水されているかもしれない。それゆえ、ポリ(ブチレンサクシネート)-リンゴ酸コポリマーは、コハク酸、1,4-ブタンジオール及びリンゴ酸から作製されたコポリマーを指す。ある実施形態では、ポリ(ブチレンサクシネート)-リンゴ酸コポリマーは、さらに、1種以上のヒドロキシ酸、例えばグリコール酸及び乳酸を含み得る。別の好ましい実施形態では、リンゴ酸は、ポリ(ブチレンサクシネート)とアジペートとのコポリマーを作製するために、分岐剤又は架橋剤として使用され得、これは、リンゴ酸で架橋されたポリ[(ブチレンサクシネート)-コ-アジペート]と呼ばれ得る。本明細書で使用されるような、「ポリ(ブチレンサクシネート)及びコポリマー」は、以下:鎖延長剤、カップリング剤、架橋剤及び分岐剤のうちの1種以上で作製されたポリマー及びコポリマーを含む。特に好ましいある実施形態では、ポリ(ブチレンサクシネート)及びそのコポリマーは、少なくとも70重量%、一層好ましくは80重量%、及びさらに一層好ましくは90重量%のコハク酸、及び1,4-ブタンジオール単位を含む。二酸及びジオールを含むポリマー、例えばポリ(ブチレンサクシネート)及びそのコポリマー並びに本明細書で説明する他のものは、好ましくは、ポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography)に基づいて、10,000~400,000、一層好ましくは50,000~300,000及びさらに一層好ましくは100,000~200,000の重量平均分子量(Mw)を有する。特に好ましいある実施形態では、ポリマー及びコポリマーの重量平均分子量は、50,000~300,000、及び一層好ましくは75,000~300,000である。好ましい一実施形態では、マクロ多孔質ネットワークを製作するために使用されるポリ(ブチレンサクシネート)若しくはそのコポリマーは、以下の特性:密度1.23~1.26g/cm3、ガラス転移温度-31℃~-35℃、融点113℃~117℃、メルトフローレート(MFR:melt flow rate)190℃/2.16kgfで2~10g/10分、及び引張強度30~60MPaのうちの1つ以上、又は全てを有する。
【0079】
[0088] 別の実施形態では、P4HB及びそのコポリマー並びにPBS及びそのコポリマーを含む、インプラントのマクロ多孔質ネットワークを作製するために使用される、本明細書で説明するポリマー及びコポリマーは、水素、炭素及び/又は酸素の公知の同位体が濃縮されるポリマー及びコポリマーを含む。水素は、1H(プロチウム)、2H(ジュウテリウム)及び3H(トリチウム)を含む3つの天然同位体を有し、それらの最も一般的なものは、1H同位体である。ポリマー又はコポリマーの同位体含有量は、例えば濃縮され得るため、ポリマー又はコポリマーは、天然よりも高い比率で特定の同位体又は複数の同位体を含む。ポリマー又はコポリマーの炭素及び酸素含有量はまた、炭素及び酸素の同位体、限定されるものではないが、13C、17O又は18Oなどの比率が天然よりも高くなるように濃縮され得る。炭素、水素及び酸素の他の同位体が当業者には公知である。P4HB若しくはそのコポリマー又はPBS若しくはそのコポリマー内で濃縮された好ましい水素同位体は、ジュウテリウム、すなわち重水素化P4HB若しくはそのコポリマー又は重水素化PBS若しくはそのコポリマーである。重水素化の百分率は、少なくとも1%まで、及び最大5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%又は85%以上とし得る。
【0080】
[0089] 好ましい実施形態では、P4HB及びそのコポリマー並びにPBS及びそのコポリマーを含むマクロ多孔質ネットワークを作製するために使用されるポリマー及びコポリマーは、水分含量が低い。これは、高引張強度、長期の強度保持率、及び良好な寿命のインプラントが生産され得ることを保証するのに好ましい。好ましい実施形態では、インプラントを作製するために使用されるポリマー及びコポリマーの水分含量は、1,000ppm(0.1wt%)未満、500ppm(0.05wt%)未満、300ppm(0.03wt%)未満、一層好ましくは100ppm(0.01wt%)未満、及びさらに一層好ましくは50ppm(0.005wt%)未満である。
【0081】
[0090] インプラントを作製するために使用される組成物は、望ましくは、内毒素含量が低い。好ましい実施形態では、内毒素含量は十分に低いため、ポリマー組成物から生産されたインプラントの内毒素含量は、カブトガニ変形細胞溶解物(LAL)アッセイによって決定されるように、機器当たり20エンドトキシン活性単位未満である。一実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークを作製するために使用されるポリマー組成物の内毒素含量は、ポリマー又はコポリマーの<2.5EU/gである。例えば、P4HBポリマー若しくはコポリマー、又はPBSポリマー若しくはコポリマーの内毒素含量は、ポリマー又はコポリマーの<2.5EU/gである。
【0082】
[0091] B.添加剤
[0092] いくつかの添加剤が、インプラントに、好ましくは、マクロ多孔質ネットワークを作製するために使用されるポリマー組成物に組み入れられ得る。一実施形態では、これらの添加剤は、配合過程中に、本明細書で説明するポリマー又はコポリマーに組み入れられて、ペレットを生産し、これは、その後、マクロ多孔質ネットワークを生産するために加工され得る。必要ならば、加工に使用するための粉末は、最適な粒径範囲を選択するためにふるいにかけられ得る。別の実施形態では、添加剤は、溶液ベースの処理を使用して、インプラントのマクロ多孔質ネットワークを準備するために使用されるポリマー組成物に組み入れられ得る。
【0083】
[0093] 好ましい実施形態では、添加剤は生体適合性であり、さらに一層好ましくは、添加剤は、生体適合性及び吸収性の双方である。
【0084】
[0094] 一実施形態では、添加剤は核剤及び/又は可塑剤とし得る。これらの添加剤は、所望の結果を生じるために、インプラントのマクロ多孔質ネットワークを作製するために使用されるポリマー組成物に十分な量で加えられ得る。概して、これらの添加剤は、1重量%~20重量%の量で加えられ得る。核剤は、ポリマー、コポリマー又はブレンドの結晶化速度を増加させるために組み入れられ得る。そのような核剤は、例えば、マクロ多孔質ネットワークの製作を容易にするために、及びマクロ多孔質ネットワークの機械的特性を改善するために、使用され得る。好ましい核剤は、限定されるものではないが、クエン酸カルシウムなどの有機酸の塩、PHAポリマー及びコポリマーのポリマー又はオリゴマー、高融点ポリマー、例えばPGA、タルク、微粉化雲母、炭酸カルシウム、塩化アンモニウム、並びに芳香族アミノ酸、例えばチロシン及びフェニルアラニンを含む。
【0085】
[0095] インプラントのマクロ多孔質ネットワークを作製するためにポリマー組成物に組み入れられ得る可塑剤は、限定されるものではないが、マレイン酸ジ-n-ブチル、ラウリン酸メチル、フマル酸ジブチル、ジ(2-エチルヘキシル)(ジオクチル)マレエート、パラフィン、ドデカノール、オリーブ油、大豆油、ポリテトラメチレングリコール、オレイン酸メチル、n-プロピルオレエート、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、エポキシ化アマニ油、2-エチルヘキシルエポキシタレート、グリセロールトリアセテート、リノール酸メチル、フマル酸ジブチル、メチルアセチルリシノレエート、アセチルトリ(n-ブチル)シトレート、クエン酸アセチルトリエチル、トリ(n-ブチル)シトレート、クエン酸トリエチル、ビス(2-ヒドロキシエチル)ダイメレート、リシノール酸ブチル、グリセリルトリ-(アセチルリシノレエート)、リシノール酸メチル、n-ブチルアセチルリシノレエー、リシノール酸プロピレングリコール、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、アゼライン酸ジメチル、ジ(n-ヘキシル)アゼレート、リン酸トリ-ブチル、及びその混合物を含む。特に好ましい可塑剤はクエン酸エステルである。
【0086】
[0096] C.生体活性作用物質、細胞及び組織
[0097] インプラントは、生体活性作用物質が入れられ得る、それで満たされ得る、コーティングされ得る、又は他の方法でそれが組み入れられ得る。生体活性作用物質は、様々な理由でインプラントに含まれ得る。例えば、生体活性作用物質は、インプラント中への組織の内方成長を改善するために、組織の成熟を改善するために、活性作用物質の送達をもたらすために、インプラントの湿潤性を改善するために、感染を防ぐために、及び細胞付着性を改善するために、含まれ得る。生体活性作用物質はまた、インプラントのマクロ多孔質ネットワーク中に組み入れられ得る。
【0087】
[0098] インプラントは、成長因子、細胞接着因子、例えば細胞接着ポリペプチド、細胞分化因子、細胞動員因子、細胞受容体、細胞結合因子、細胞シグナリング分子、例えばサイトカイン、並びに細胞移動、細胞分裂、細胞増殖及び細胞外マトリクス沈着を促す分子を含む、細胞の内方成長を刺激するように設計された活性作用物質を含み得る。そのような活性作用物質は、線維芽細胞成長因子(FGF:fibroblast growth factor)、形質転換成長因子(TGF:transforming growth factor)、血小板由来成長因子(PDGF:platelet derived growth factor)、表皮成長因子(EGF:epidermal growth factor)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF:granulocyte-macrophage colony stimulation factor)、血管内皮細胞成長因子(VEGF:vascular endothelial growth factor)、インスリン様成長因子(IGF:insulin-like growth factor)、肝細胞成長因子(HGF:hepatocyte growth factor)、インターロイキン-1-B(IL-1 B)、インターロイキン-8(IL-8)、及び神経成長因子(NGF:nerve growth factor)、及びこれらの組み合わせを含む。本明細書で使用されるような、用語「細胞接着ポリペプチド」は、細胞表面分子によって細胞を結合できる、分子当たり少なくとも2つのアミノ酸を有する、化合物を指す。細胞接着ポリペプチドは、細胞接着において役割を果たすことで知られている、細胞外マトリクスのタンパク質のいずれか、例えばフィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、エラスチン、フィブリノーゲン、I型、II型、及びV型コラーゲン、並びに同様の細胞接着特性を備える合成ペプチドを含む。細胞接着ポリペプチドはまた、結合ドメインを含む小片又は配列を含め、上述のタンパク質のいずれか由来のペプチドを含む。
【0088】
[0099] インプラントは、流体が簡単にインプラント表面上に吸収されることを可能にし、細胞付着性を促す及び又はインプラント表面の水接触角度を修正するために、マクロ多孔質ネットワークの表面の湿潤性を改善するように設計された湿潤剤を組み入れ得る。湿潤剤の例は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、又はこれらのコポリマー、例えばPLURONICS(登録商標)を含む。他の好適な湿潤剤は、界面活性剤、乳化剤及びタンパク質、例えばゼラチンを含む。
【0089】
[00100] インプラントは、ゲル、ヒドロゲル又はリビングヒドロゲルハイブリッドを含み得、湿潤性をさらに改良し、インプラントのマクロ多孔質ネットワーク構造の至る所での細胞の増殖を促す。ヒドロゲルハイブリッドは、生体適合性ヒドロゲル、例えば、ゼラチン、メタクリル化ゼラチン(GelMa)、シルクゲル、及びヒアルロン酸(HA)ゲル内に封入された生細胞からなる。
【0090】
[00101] インプラントに組み入れられ得る他の生体活性作用物質は、抗菌薬、特に抗生物質、殺菌薬、腫瘍学的作用物質、抗瘢痕化作用物質、抗炎症剤、麻酔薬、小分子薬物、抗接着剤、細胞増殖の阻害物質、抗血管新生因子及び血管新生促進因子、免疫調節薬、並びに血液凝固剤を含む。生体活性作用物質は、タンパク質、例えばコラーゲン及び抗体、ペプチド、多糖類、例えばキトサン、アルジネート、ヒアルロン酸及びそれらの誘導体、核酸分子、小分子量化合物、例えばステロイド、無機材料、例えばヒドロキシアパタイト及びセラミック、又は複合混合物、例えば多血小板血漿とし得る。好適な抗菌薬は:バシトラシン、ビグアナイド、トリクロサン、ゲンタマイシン、ミノサイクリン、リファンピン、バンコマイシン、セファロスポリン、銅、亜鉛、銀、及び金を含む。核酸分子は、DNA、RNA、siRNA、miRNA、アンチセンス又はアプタマーを含み得る。
【0091】
[00102] インプラントはまた、同種移植材料及び異種移植材料、例えば無細胞真皮マトリクス材料及び小腸粘膜下組織(SIS:small intestinal submucosa)を含み得る。
【0092】
[00103] 別の実施形態では、インプラントは、治療薬又は予防薬の放出制御のためのシステムを組み入れ得る。
【0093】
[00104] ある実施形態では、インプラントは、移植前、移植中、又は移植後に、又はこれらの任意の組み合わせで、自家移植片、同種移植片又は異種移植片の組織及び細胞でコーティングされる。自己組織及び細胞は、好ましくは、以下:自家脂肪、脂肪吸引物、脂肪組織(fat tissue)、注入可能な脂肪、脂肪組織(adipose tissue)、脂肪細胞、線維芽細胞、及び幹細胞のうちの1つ以上である。本明細書で明らかになるように、インプラントのマクロ多孔質ネットワーク構造は、乳頭インプラントの形状だけでなく、組織の内方成長を促すために、組織及び細胞を保持し得る大きな表面領域も作り出すように設計される。
【0094】
[00105] III.インプラントを準備するための方法
[00106] 様々な方法が、インプラントを製造するために使用され得る。
【0095】
[00107] 実施形態では、インプラントは、以下のうちの1つ以上を提供できるように準備される:(i)構造支持体、(ii)組織の内方成長のためのマクロ多孔質ネットワーク足場、(iii)細胞、組織、コラーゲン、ヒアルロン酸、及び生体活性作用物質、例えば、脂肪、脂肪吸引物、脂肪細胞、線維芽細胞、及び幹細胞を送達するためのマクロ多孔質ネットワーク足場、(iv)機械的な間隔をもたらし得る構造、(v)針を使用する注入によって、マクロ多孔質ネットワークの内側が、細胞、組織、コラーゲン、ヒアルロン酸、及び生体活性作用物質、例えば、脂肪、脂肪吸引物、脂肪細胞、線維芽細胞、及び幹細胞でコーティングされ得る構造、並びに(vi)圧縮弾性率5~15%の歪みで0.1kPa~10MPa、又は一層好ましくは5~15%の歪みで5~500kPaである構造。
【0096】
[00108] A.インプラント形状
[00109] ある実施形態では、インプラントは、製造時に三次元であるように設計される。実施形態では、インプラントは、NACの乳頭の再建に使用されるように設計される。実施形態では、インプラントは、特定の形状、サイズ及び隆起を備える乳頭を作り出すように設計される。実施形態では、インプラントは、形状、隆起、サイズ及び位置の点で反対側の乳頭と調和する乳頭を作り出すように設計される。
【0097】
[00110] インプラントの形状は、外科医が、組織体積を増加させる、失われた又は欠落した組織又は組織構造を再建する、組織の輪郭をつける、組織を増加させる、乳頭機能を回復する、損傷した組織構造を修復する、既存の組織構造を強化する、及び乳頭の隆起を変更することを可能にする。好ましい実施形態では、インプラントは、乳房切除術後に乳頭を再建するために使用される。ある実施形態では、インプラントは、永久インプラントを使用することなく、軟組織構造の形状を変更する、又はその形を整えることを可能にする。
【0098】
[00111] 実施形態では、インプラントは、弾丸、フランジ-シリンダー、又はシルクハット型の形状を有する。他の実施形態では、インプラントは、シリンダー形状の第2の端部に半球形状を含まない。実施形態では、インプラントは、シリンダー形状、又は一方の端部にフランジを備えるシリンダー形状を有する。
【0099】
[00112] 実施形態では、インプラントは、シリンダー形状の第1の端部にある円形ベースから突き出るフランジ構成要素を含まない。実施形態では、フランジ構成要素は多孔質である。実施形態では、フランジは多孔質ではない。
【0100】
[00113] 実施形態では、インプラントは無殻である。実施形態では、殻は、マクロ多孔質ネットワークを完全に取り囲む。実施形態では、殻は、マクロ多孔質ネットワークを部分的に取り囲む。
【0101】
[00114] 実施形態では、インプラントの寸法は、形状、隆起、及びサイズの点で反対側の乳頭と調和する乳頭を作り出すような形状及びサイズにされ得る。好ましくは、インプラントは、反対側の乳頭と調和するように、再建した乳頭のサイズ、形状、及び位置に対称性をもたらす。
【0102】
[00115] 実施形態では、乳頭インプラントは、乳頭に低い、適度な、又は高い隆起をもたらすようなサイズ又は形状にされ得る。実施形態では、インプラントの第1の端部と第2の端部との間で測定された高さhは、0.1~2cm、一層好ましくは0.5~1.5cm、及びさらに一層好ましくは0.3~1cmである。乳頭の隆起はまた、インプラントのシリンダー形状の直径を選択することによって、制御され得る。実施形態では、インプラントのシリンダー形状の第1及び第2のベースの直径は、2~10mm、及び一層好ましくは4~7mmである。
【0103】
[00116] B.インプラントの構築
[00117] 実施形態では、乳頭インプラントは、開多孔構造を備える耐荷重マクロ多孔質ネットワークを含む。マクロ多孔質ネットワークはフィラメントを含む。
【0104】
[00118] 実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークの細孔の幅又は直径は、75μm~10mm、及び一層好ましくは100μm~2mmである。実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークの細孔サイズは同じである。実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、複数の細孔サイズが混じり合っている。
【0105】
[00119] 好ましくは、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、マクロ多孔質ネットワークに細胞によってコロニーが作られ組織によって入り込まれることを可能にするのに好適な、大きな表面領域及び大きな空隙体積を提供するアーキテクチャを有する。
【0106】
[00120] 実施形態では、フィラメントの平均直径は、50~800μm、一層好ましくは100~600μm、及びさらに一層好ましくは150~550μmである。実施形態では、インプラントのフィラメント間の距離は、50μm~1mm、一層好ましくは100μm~1mm、及びさらに一層好ましくは200μm~1mmである。フィラメントの平均直径及びフィラメント間の距離は、望まれるインプラントのマクロ多孔質ネットワークの特性、例えば圧縮弾性率(compression modulus)、多孔度、及び百分率で表される、インプラントのマクロ多孔質ネットワーク内でフィラメント材料が占める体積が、マクロ多孔質ネットワークの全体積によって割られた比であると定義されるインフィル密度に従って、選択され得る。実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークのインフィル密度は、1~60%、及び一層好ましくは5~25%である。
【0107】
[00121] 実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークのアーキテクチャは、好ましくは、十分な多孔度を提供し、マクロ多孔質ネットワークの内側を、同種移植片又は異種移植片細胞、好ましくは自己細胞、例えば、限定されるものではないが、自家脂肪、脂肪吸引物、脂肪充填物(lipo-filling)、注入可能な脂肪、線維芽細胞、及び幹細胞でコーティングすることを可能にする。インプラントのマクロ多孔質ネットワークのアーキテクチャはまた、好ましくは、マクロ多孔質ネットワークの内面を、コラーゲン及び又はヒアルロン酸又はその誘導体でコーティングすることを可能にするように設計される。
【0108】
[00122] 実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークの細孔の寸法は、注入によって生体活性作用物質、細胞、脂肪、及び他の組成物を送達するために、マクロ多孔質ネットワークの細孔に針を挿入可能にするように、十分に大きい。実施形態では、マクロ多孔質ネットワークのアーキテクチャは、ゲージ12~21の針をマクロ多孔質ネットワークに挿入することを可能にするように設計される。この特性は、シリンジを使用して、マクロ多孔質ネットワークを損傷せずに、マクロ多孔質ネットワークに細胞、コラーゲン、生体活性作用物質及び添加剤、例えば脂肪が入れられることを可能にする。好ましくは、マクロ多孔質ネットワークは、外径0.5~3mmの針を開多孔構造中に挿入することを可能にする。
【0109】
[00123] インプラントのマクロ多孔質ネットワークの細孔の多孔度及び形状は、各層のフィラメント間のオフセット又は角度を変更することによって、合わせられ得る。
【0110】
[00124] 実施形態では、インプラントの殻は、インプラントのマクロ多孔質ネットワークの周辺において同心フィラメントの束から準備され得、平行フィラメントの連続する層を囲む。
【0111】
[00125] 実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、外殻(例えば、殻120)又はコーティングを含む。実施形態では、殻は、外面、及び前記殻の内部体積部を取り囲む内面を有する。外殻又はコーティングは、インプラントのマクロ多孔質ネットワークのフィラメントを部分的に又は全体的に覆ってもよい。実施形態では、殻又はコーティングの厚さは、10μm~5mm、及び一層好ましくは100μm~1mmである。実施形態では、マクロ多孔質ネットワークはポリマー組成物でコーティングされる。
【0112】
[00126] 実施形態では、殻又はコーティングは、針を通す。
【0113】
[00127] 実施形態では、殻は、連通孔を備える発泡体を含む。実施形態では、殻は、連続気泡発泡体であり、一層好ましくは、連続気泡発泡体は、ポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマー又はポリ(ブチレンサクシネート)若しくはそのコポリマーを含む。
【0114】
[00128] 実施形態では、殻は、コラーゲン、及び一層好ましくはI型コラーゲンを含む。実施形態では、殻は、コラーゲンを含み、及び厚さ0.1~5mm、又は一層好ましくは0.5~3mmである。
【0115】
[00129] 実施形態では、インプラントは殻を含み、ここで、殻は熱処理されており、殻の外面の粗さを最小限にする。
【0116】
[00130] 実施形態では、インプラントは、吸収性メッシュ及び又は吸収性乾紡から構築される。実施形態では、乳頭インプラントのコアは、吸収性メッシュ、及び一層好ましくはマクロ多孔質吸収性メッシュから形成される。実施形態では、コアは、マクロ多孔質メッシュを巻いて、インプラントのシリンダー状コアを形成することによって、形成される。実施形態では、マクロ多孔質メッシュはモノフィラメントメッシュである。実施形態では、モノフィラメントメッシュはMarlex設計を有する。実施形態では、モノフィラメントメッシュのモノフィラメント繊維の縫合糸サイズは、5/0又は6/0である。実施形態では、モノフィラメント繊維はポリ-4-ヒドロキシブチレートを含む。実施形態では、乳頭インプラントは、マクロ多孔質メッシュのシリンダー状コアに乾紡シートを巻き付け、それを適所に固定することによって形成される。実施形態では、乾紡シートはマイクロ多孔質である。実施形態では、乾紡シートは、ポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマーを含む。実施形態では、インプラントは、さらに、フランジを含む。
【0117】
[00131] 実施形態では、インプラントのコアは、乾紡、及び好ましくは吸収性乾紡から形成される。実施形態では、インプラントは、乾紡のシートを巻いて、インプラントのシリンダー状コアを形成することによって、形成される。実施形態では、乾紡は、ポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマーから形成される。実施形態では、乾紡のシリンダー状コアは、マクロ多孔質メッシュ、好ましくは吸収性マクロ多孔質メッシュ、及びさらに一層好ましくは吸収性モノフィラメント編みメッシュの外層で包まれる。実施形態では、モノフィラメントメッシュのモノフィラメント繊維の縫合糸サイズは、5/0又は6/0である。実施形態では、モノフィラメント繊維は、ポリ-4-ヒドロキシブチレートを含む。実施形態では、インプラントは、さらに、フランジを含む。
【0118】
[00132] 実施形態では、インプラントは、マクロ多孔質吸収性メッシュと乾紡シートの複合体から形成される。2つの層の複合体は折られて、フランジを備えるシリンダー形状を形成し、ここで、メッシュは、シリンダー形状のコア内に位置し、乾紡は、インプラントの外面に位置する。実施形態では、マクロ多孔質メッシュは、編みモノフィラメントメッシュである。実施形態では、モノフィラメントの直径はサイズ5/0又はサイズ6/0である。実施形態では、メッシュ及び乾紡シートは、ポリ-4-ヒドロキシブチレート若しくはそのコポリマーから形成される。
【0119】
[00133] 実施形態では、インプラントは、ベース、ベースから突出する中空シリンダー状部分、及びベースに対向する中空シリンダー状部分の端部において少なくとも部分的にドーム形状を有する外部本体で形成される。外部本体は、内部キャビティを画成する。内部耐荷重本体が、内部キャビティ内に位置し、そこを少なくとも部分的に満たす。実施形態では、外部本体及び内部耐荷重本体のそれぞれは、編み、織りの又は紡糸された吸収性テキスタイルのうちの少なくとも1つで形成される。
【0120】
[00134] 実施形態では、インプラントは、マクロ多孔質吸収性メッシュから形成される。実施形態では、インプラントは、メッシュを三次元の円錐形に折り(
図3及び実施例3参照)、及び任意選択的に、例えば、ヒートシーリング、縫い合わせ又は糊付けにより、折ったメッシュをしっかりと固定することによって、形成される。円錐を作るための、折り紙型の折りパターンがhttps://devilsfoodkitchen.com/recipe/101-paper-cones/に説明されている。
【0121】
[00135] C.インプラントの特性
[00136] 実施形態では、マクロ多孔質ネットワーク及び任意選択的な殻の機械的特性は、インプラントに、移植から3~6か月後に減少する初期圧縮弾性率を提供するように、設計される。
【0122】
[00137] 一実施形態では、インプラントの圧縮弾性率は、5~15%の歪みで0.1kPa~10MPa、一層好ましくは5~15%の歪みで1MPa~10MPa、及びさらに一層好ましくは5~15%の歪みで1MPa~5MPaである。
【0123】
[00138] 実施形態では、乳頭インプラントのマクロ多孔質ネットワークに存在するフィラメントの平面は、ポリマー組成物から形成される。ポリマー組成物は、好ましくは、以下の特性:(i)破断点伸び100%超;(ii)破断点伸び200%超;(iii)溶融温度60℃以上、(iv)溶融温度100℃超、(v)ガラス転移温度0℃未満、(vi)ガラス転移温度-55℃~0℃、(vii)引張弾性率300MPa未満、及び(viii)引張強度25MPa超のうちの1つ以上を有する。
【0124】
[00139] 実施形態では、乳頭インプラントのマクロ多孔質ネットワークに存在するフィラメントの平面は、以下の特性:(i)破断荷重0.1~200N、1~100N、又は2~50N;(ii)破断点伸び10%~1,000%、一層好ましくは25%~500%、及びさらに一層好ましくは100%超又は200%、並びに(iii)弾性率0.05~1,000MPa、及び一層好ましくは0.1~200MPaのうちの1つ以上を有する。
【0125】
[00140] インプラントのマクロ多孔質ネットワーク中への組織の内方成長を可能にするために、マクロ多孔質ネットワークは、インプラントのマクロ多孔質ネットワークに細胞が入り込んで増殖することを可能にするために、強度保持率を十分に長く有するべきである。実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークの強度保持率は、2週間で少なくとも25%、一層好ましくは2週間で少なくとも50%、及びさらに一層好ましくは4週間で少なくとも50%である。他の実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、インプラントに作用する機械的な力を支え、及びマクロ多孔質ネットワークから再生した宿主組織へ機械的な力を着実に移行させることを可能にするように、設計される。特に、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、インプラントに作用する機械的な力を支え、新しい宿主組織へ機械的な力を着実に移行させることを可能にするように、設計される。
【0126】
[00141] D.インプラントの他の特徴
[00142] インプラント、又はインプラントのマクロ多孔質ネットワークは、ハサミ、ブレード、他の鋭い切断器具、又はサーマルナイフを用いてトリミング又は切断されて、所望のインプラント又はマクロ多孔質ネットワークの形状をもたらし得る。インプラント又はマクロ多孔質ネットワークはまた、レーザ切断技術を使用して所望の形状に切断され得る。これは、フィラメントベースのインプラントを形作るのに特に好都合とし得る。なぜなら、この技術は用途が広く、及び重要なことには、鋭端がない状態に形作られたインプラント及びマクロ多孔質ネットワークを提供し得るためである。
【0127】
[00143] インプラントは、保持具、例えばかかり又はびょうを含み得るため、インプラントは、縫合糸を使用することなく、体内に留められ得る。インプラントは、好ましくは、インプラントの第1の円形ベースの円周に又はフランジに保持具を含む。実施形態では、保持具は、好ましくは、インプラント上に位置して、インプラントを乳房に留めることを可能にする。
【0128】
[00144] インプラントは縫合糸タブを含み得るため、インプラントは、例えば縫合糸及び又はステープルを使用して体内で留められ得る。タブの数は変わってもよい。実施形態では、インプラントは、1個、2個、3個、4個のタブ又はそれよりも多いタブを含む。インプラントに取り付けられたタブは、機械的荷重に抵抗するために、及びインプラント中への組織の十分な内方成長を可能にするために、生体内での十分な強度保持率を有する必要があり、移植後のインプラントの動きを防止する。好ましい実施形態では、インプラントに取り付けられたタブの縫合糸引き抜き強さは、10N超、及び一層好ましくは20N超である。
【0129】
[00145] E.インプラントコーティング及び充填物
[00146] インプラントのマクロ多孔質ネットワークはネットワークを含み、ここでは、ネットワークを通る連続的な通り道があり、これは、インプラント中への組織の内方成長を促して可能にする。連続的な通り道はまた、以下:生体活性作用物質、コラーゲン、ヒアルロン酸又はその誘導体、添加剤、及び細胞、例えば、脂肪及び脂肪細胞のうちの1つ以上でマクロ多孔質ネットワーク全体をコーティングすることを可能にする。
【0130】
[00147] 一実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークの空所の25%~100%、及び一層好ましくは75%~100%は、以下:細胞、コラーゲン、及び生体活性作用物質、例えば、脂肪、脂肪吸引物、脂肪細胞、線維芽細胞、及び幹細胞のうちの1つ以上で満たされている。
【0131】
[00148] 細胞及び他の組成物、例えばコラーゲン、ヒアルロン酸又はその誘導体、及び他の生体活性作用物質が、移植前、移植後、又は移植前及び移植後の双方に、マクロ多孔質ネットワークにコーティングされ得る。
【0132】
[00149] 実施形態では、インプラントは、コーティングを備えて製作され、及び又はマクロ多孔質ネットワークのいくつか若しくは全ては、キャリアとして使用される。例えば、マクロ多孔質ネットワークは、マクロ多孔質ネットワークの空所のいくつか若しくは全てに、以下:細胞、例えば自家移植片、同種移植片及び異種移植片の細胞のうちの1つ以上を入れることによって、製作され得る。インプラントのマクロ多孔質ネットワークの空所中に挿入され、マクロ多孔質ネットワークの表面にコーティングされ得る細胞の例は、線維芽細胞、及び幹細胞を含む。好ましい実施形態では、自家脂肪、脂肪吸引物、又は注入可能な脂肪が、インプラントのマクロ多孔質ネットワークにコーティングされる、及び又はインプラントのマクロ多孔質ネットワークの空所に挿入される。さらに別の実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、1種以上の生体活性作用物質でコーティングされ得るか、又はそれで部分的に若しくは全体的に満たされ得る。インプラントのマクロ多孔質ネットワークにコーティングされ得るか又はインプラントのマクロ多孔質ネットワークを部分的に若しくは完全に満たすために使用され得る特に好ましい生体活性作用物質は、コラーゲン及びヒアルロン酸又はその誘導体を含む。他の実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、1種以上の抗生物質でコーティングされ得る。
【0133】
[00150] 任意の好適な方法は、細胞、生体活性作用物質及び他の添加剤でインプラントのマクロ多孔質ネットワークをコーティングしその空所を満たすために使用され得る。実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、注入、噴霧、又は浸漬コーティングによって、細胞、生体活性作用物質及び他の添加剤で満たされるか又はコーティングされる。コラーゲンが、コーティング及び凍結乾燥によって、インプラントのマクロ多孔質ネットワークに塗布され得る。特に好ましい実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、好ましくはマクロ多孔質ネットワークを損傷することなく、インプラントのマクロ多孔質ネットワークに挿入され得る針を使用して注入することによって、細胞、生体活性作用物質及び又は他の添加剤でコーティングされ得るか又は部分的に若しくは完全に満たされる。一実施形態では、細胞、脂肪、脂肪吸引物、生体活性作用物質、コラーゲン、ヒアルロン酸又はその誘導体、及び他の添加剤を注入するために使用される針の外径は、0.5mm~5mmである。
【0134】
[00151] IV.インプラントを移植するための方法
[00152] 実施形態では、インプラントは体内に移植される。好ましくは、インプラントは、再建、再造形、修復、及び又は再生の部位中へ移植される。実施形態では、インプラントは、乳頭を形成する、乳頭の形を変える、乳頭を再建する、乳頭を修正する、又は損傷された若しくは外科的に除去された組織を置き換えるために患者の体内に移植される。
【0135】
[00153] 好ましい実施形態では、インプラントは、患者の乳房の膨らみで組織エンクロージャに移植される。実施形態では、結合組織及び又は脈管構造が、移植後にインプラントのマクロ多孔質ネットワークに入り込む。特に好ましい実施形態では、インプラントは吸収性材料を含み、結合組織及び又は脈管構造は、吸収性材料が分解した空間にも入り込む。マクロ多孔質ネットワークの細孔は、移植前、又は、一層好ましくは、移植の後に、細胞によってコロニーが作られ得、及びインプラントのマクロ多孔質ネットワークの細孔に、組織、血管又はこれらの組み合わせが入り込む。
【0136】
[00154] インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、移植前、又は移植後、移植細胞、幹細胞、線維芽細胞、脂肪細胞、及び又は組織でコーティングされ得るか又は満たされ得る。実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、移植前、又は移植後に、分化した細胞でコーティングされる。分化した細胞は、特定の形態及び機能を有する。例は、脂肪細胞である。実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、移植前又は移植後に注入によって、さらに好ましくはインプラントのマクロ多孔質ネットワークを損傷させない針を使用することによって、細胞が入れられる。インプラントのマクロ多孔質ネットワークはまた、移植前に、血小板、細胞外脂肪マトリクスタンパク質、ゲル、ヒドロゲル、及び生体活性作用物質でコーティングされ得るか又は満たされ得る。ある実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、移植前、例えば、抗生物質の溶液中にインプラントをディッピングすることによって、抗生物質でコーティングされ得る。
【0137】
[00155] インプラントは、患者に自己細胞及び組織を送達するために使用され得る。自己組織は、好ましくは、以下:自家脂肪、脂肪吸引物、注入可能な脂肪、脂肪細胞、線維芽細胞、及び幹細胞のうちの1つ以上である。
【0138】
[00156] インプラントは、患者に脂肪組織を送達するために使用され得る。特に好ましいある実施形態では、自家脂肪組織は、インプラントの移植前、又は移植後に作製され、及びインプラントの移植前、又は移植後に、インプラントのマクロ多孔質ネットワーク中へ注入又は他の方法で挿入されるか又はその上にコーティングされる。自家脂肪組織は、好ましくは、患者の体のドナー部位での脂肪吸引術によって作製される。遠心分離後、脂肪細胞を含む脂質相が、血液成分から分離され、及び移植前にインプラントのマクロ多孔質ネットワークと組み合わせられるか、又は移植後に、インプラントのマクロ多孔質ネットワーク中に注入、若しくは他の方法で挿入される。ある実施形態では、インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、マクロ多孔質ネットワークの全体積の1%~50%、及び一層好ましくはマクロ多孔質ネットワークの全体積の1%~20%を示す体積の脂肪吸引物が注入されるか、又はそれで満たされる。
【0139】
[00157] 別の実施形態では、患者から取られた脂肪吸引物の脂肪組織が、インプラントのマクロ多孔質ネットワークに脂肪吸引物を加える前に、生体又は合成マトリクス、例えば極細繊維又は非常に小さい粒子と混合され得る。この実施形態では、加えられたマトリクスは、マイクロ脂肪球を保持又は結合し、インプラントのマクロ多孔質ネットワーク内にそれらを分散させて保持する働きをする。
【0140】
[00158] ある実施形態では、インプラントは、乳房の組織の膨らみに移植される。ある実施形態では、インプラントは、患者の両乳房の組織の膨らみに移植される。
【0141】
[00159] 特に好ましい実施形態では、インプラントは、乳房切除術を受けた患者に移植される。
【0142】
[00160] ある実施形態では、インプラントは、乳頭再建部位に形成された組織エンクロージャに挿入される。
【0143】
[00161] 好ましい実施形態では、インプラントは:乳頭インプラントを受け入れるように構成される組織エンクロージャを作り出すために、患者に1か所切開部を作ること;及び組織エンクロージャに乳頭インプラントを挿入することであって、組織エンクロージャは、乳頭インプラントの周りに一致するように構成されることを含む方法によって、移植される。実施形態では、インプラントの移植方法は、向かい合わせにできる縁を備える組織弁を作り出すように切開部を構成することを含み、縁がくっつけられると、組織弁が、組織弁の内面が乳頭インプラントと接触するように、乳頭インプラントを受け入れるための空隙を形成するようにする。実施形態では、インプラントの移植方法は、CV-flap切開経路、S-flap切開経路、又はstar-flap切開経路によって切開部を作ることを含む。
【0144】
[00162] ある実施形態では、インプラントは:(i)自由に動く皮弁を作り出すために、再建した患者の乳房の膨らみに1か所以上の切開部を作ること、(ii)突出する組織エンクロージャを生じるために、皮弁を操作及び固定すること、(iii)組織エンクロージャに乳頭インプラントを挿入すること、(iv)乳頭インプラントの外面に対して患者の組織を向かい合わせに置くこと、並びに(v)組織エンクロージャ内にインプラントを囲い込むために組織エンクロージャを固定することを含む方法によって、移植される。ある実施形態では、方法は、さらに、突出する組織エンクロージャを形成するために、皮弁を縫合することを含む。ある実施形態では、方法は、さらに、組織エンクロージャを縫合して、組織エンクロージャ内にインプラントを囲い込むことを含む。実施形態では、組織エンクロージャは、インプラントと患者の組織との間のデッドスペースがたとえあったにしてもごくわずかであるようなサイズにされる。実施形態では、組織エンクロージャは、インプラントの体積部に一致するようなサイズにされる。
【0145】
[00163] 実施形態では、移植方法は、インプラントのシリンダー形状の第1の端部を、インプラントのシリンダー形状の第2の端部の後方に移植することを含む。特に好ましい実施形態では、移植方法は、インプラントのシリンダー形状の第1の端部を、インプラントの第2の端部の後方に移植することを含む。実施形態では、インプラントの半球形状は、患者の皮膚の真下に移植され、及びインプラントのシリンダー形状の第1の端部は、患者の乳房の膨らみ上に移植される。
【0146】
[00164] 実施形態では、インプラントは、インプラントのシリンダー形状の第1の端部にフランジを含み、移植方法は、乳房の膨らみ上及びインプラントのシリンダー形状の第2の端部の後方にインプラントのフランジを移植することを含む。
【0147】
[00165] インプラントのマクロ多孔質ネットワークは、移植前又は移植の後に細胞及び組織で、並びにサイトカイン、血小板及び細胞外脂肪マトリクスタンパク質でコーティングされ得るか又は満たされ得る。インプラントのマクロ多孔質ネットワークはまた、他の組織細胞、例えば患者の病気を治療するための遺伝子を含むように遺伝子組み換えされた幹細胞でコーティングされ得るか又は満たされ得る。
【0148】
[00166] ある実施形態では、インプラントは、小さな切開部を通して、低侵襲手段によって送達されることを可能にする特性を有する。インプラントは、例えば、小さな切開部を通して送達されることを可能にするために、巻かれたり、折られたり又は圧縮されたりすることができるように設計され得る。ある実施形態では、インプラントは、三次元形状を有し、及び形状記憶特性を有して、切開部を通して組織エンクロージャ中へ送達された後、助けを受けずに、その元の三次元形状を取ることを可能にする。例えば、インプラントは、インサータを使用して送達される小径のシリンダー形状に巻くことによって、一時的に変形され得、その後、助けを受けずに、生体内でその元の三次元形状を取り戻すことを可能にする。
【実施例】
【0149】
[00167] 実施例
[00168] 本発明の実施形態は、以下の非限定的な例を参照してさらに理解される。
【0150】
[00169] 実施例1:マクロ多孔質P4HBモノフィラメント編みメッシュのコア及びP4HBマイクロ多孔質乾紡の殻を備える乳頭インプラント
[00170] Marlex設計のマクロ多孔質ポリ-4-ヒドロキシブチレート(P4HB)編みメッシュが、P4HBモノフィラメント繊維(サイズ5/0)から準備され、あるサイズになるように切断され、乳頭インプラントのコアを形成するように巻かれた。マイクロ多孔質P4HB乾紡(P4HB Mw250~400kDa)シートが、乾燥した圧縮空気(3バール)を使用して、1.0mmの環状紡糸口金(1.1mm内径及び2.1mm外径)を通して、クロロホルム中のP4HBの8%w/v溶液を溶液紡糸することによって、準備された。乾紡シートは、厚さ162μm、密度4.5mg/cm
2、及び平均繊維径3.9±4.3μmを有した。乾紡シートは、12mm×9.5mmの長方形に切断され、及びマクロ多孔質P4HBモノフィラメントのコアの周りに巻かれた。巻かれたメッシュの自由縁、例えばインプラントの上部は、それを適所に固定するために、80℃で3秒間、ヒートシールされた。同じヒートシーリングが、メッシュコアの周りに乾紡の殻を固定し
図1A及び
図1Bに示すインプラントを形成するために、実施された。
【0151】
[00171] 実施例2:P4HBモノフィラメント編みメッシュとP4HB乾紡の複合構造から形成された乳頭インプラント
[00172] Marlex設計のマクロ多孔質ポリ-4-ヒドロキシブチレート(P4HB)編みメッシュが、P4HBモノフィラメント繊維(サイズ5/0)から準備され、あるサイズになるように切断された。P4HB(Mw250~400kDa)乾紡シートが、乾燥した圧縮空気(3バール)を使用して、1.0mmの環状紡糸口金(1.1mm内径及び2.1mm外径)を通して、クロロホルム中のP4HBの8%w/v溶液を溶液紡糸し、メッシュと同じサイズに切断することによって、準備された。乾紡シートは、メッシュに重ね合わせられて、複合体を形成し、1つの縁に沿って、P4HB繊維(縫合糸サイズ5/0)を使用して縫い合わせられた。シリンダー形状のインプラントが、複合体の縫い合わせられた縁をひっくり返し、複合体を巻く(ロールケーキのように)ことによって、形成された。複合体の縁は切断され、フィブリン糊によって固定され、
図2に示すように、モノフィラメントメッシュと乾紡が交互に層になる状態で、シリンダーを形成した。
【0152】
[00173] 実施例3:円錐形のメッシュ乳頭インプラント
[00174] マクロ多孔質足場が、Marlexパターンで、14-ゲージ二重針棒機械を使用して編まれたポリ-4-ヒドロキシブチレート(P4HB)押出モノフィラメント(0.165mm、MW285kDa)で作製された。P4HBメッシュ密度は、およそ150g/m2であった。
【0153】
[00175]
図3に示す乳頭インプラントが、二次元メッシュを三次元円錐形に折ることによって、マクロ多孔質P4HB足場から準備された。円錐を作るための折り紙型の折りパターンがhttps://devilsfoodkitchen.com/recipe/101-paper-cones/に説明されている。
図3に示す乳頭インプラントは、長方形の二次元P4HBメッシュを、一方の角から他方の角まで対角線上に半分に切断し、P4HBメッシュの2つの三角形の片を形成することによって、形成された。1つの三角形の片の短辺は、三角形の最長の辺と交差する高さと位置合わせするように折られ、それにより、円錐を形成した。三角形の片の2番目に長い辺が、円錐の周りに巻き付けられ、及び尾部が円錐形の内側に折られて、インプラントの円錐形をロックした。円錐形は、任意選択的に、例えば、ヒートシーリング、縫い合わせ又は糊付けによって、しっかりと固定された。
【0154】
[00176] 実施例4:熱付形メッシュ乳頭インプラント
[00177] マクロ多孔質足場が、Marlexパターンで、14-ゲージ二重針棒機械を使用して編まれたポリ-4-ヒドロキシブチレート(P4HB)押出モノフィラメント(0.165mm、MW285kDa)から作製された。P4HBメッシュ密度は、およそ150g/m2であった。
【0155】
[00178]
図4A~4Eに示す乳頭インプラントが、マクロ多孔質P4HB足場から準備された。インプラントの外部本体が、環状ベース、環状ベースから上方へ延在する実質的にシリンダー状部分、及びシリンダー状部分の上方にドーム形状を有する。外部本体によって画成された内部キャビティ内に、内部本体が位置する。乳頭インプラントを形成するために、P4HBメッシュは、レーザカッターを使用して、半径5cmの2枚の円形シートに切断された。メッシュ片が、シリンダー状の雄型中へ配置され、その後、真空圧が加えられた。その後、加熱流体(空気)が、約20秒間、システムに送られて、環状ベース、一方の端部で開放しているシリンダー状部分、及び開放端部に対向するシリンダー状部分にドーム形状を備える熱付形外部メッシュ本体を形成した(
図4A参照)。メッシュ乳頭インプラントの内部本体は、(4つの)折られた小葉状部分を形成するために90度で4つの溝が設けられた円錐状の雄型中へ配置された、事前に切断されたメッシュの第2の片から準備された。その後、折られた小葉状部分は、中空キャビティの雌型中へ配置されて、4つの溝内にメッシュを固定し、及び57℃で5分間温水浴に浸され、折られた小葉状部分を備える熱付形内部本体を形成した(
図4B)。熱付形内部本体は、開放端部を通って、熱付形外部本体のキャビティ内に挿入されて、荷重支持をもたらした(
図4C参照)。フランジ(又はベース)が、事前に切断されたP4HB編みメッシュの別の円形シートから準備された。その後、熱付形外部メッシュ本体のフランジ及び環状ベースは、ヒートシールされて、メッシュ-乳頭インプラントを形成した(
図4D及び
図4E参照)。
【0156】
[00179] 実施例5:熱付形軽量メッシュ乳頭インプラント
[00180] 実施例4に説明されている方法は、シリンダー状部分の開放端部を通って熱付形外部本体に内部本体を挿入する前に、フランジが、内部本体を備えて熱成形されたことを除いて、乳頭インプラントを準備するために使用された。
【0157】
[00181] 実施例6:ゆるく巻かれた内側本体を備えるメッシュ乳頭インプラント
[00182] マクロ多孔質足場が、Marlexパターンで、14-ゲージ二重針棒機械を使用して編まれたポリ-4-ヒドロキシブチレート(P4HB)押出モノフィラメント(0.165mm、MW285kDa)で作製された。P4HBメッシュ密度は、およそ150g/m2であった。
【0158】
[00183] 乳頭インプラントが、マクロ多孔質P4HB足場から準備された。インプラントは、
図5の左側に示す内側本体、及び
図5の右側に示す外殻を含んだ。P4HBメッシュは、レーザカッターを使用して、平行な辺を持たない四角形(trapezium)形状に、及び円形状に切断された。メッシュ乳頭インプラントの内部本体は、最低5つの層又は巻回を作り出すために、ピンを覆うように巻かれた、事前に切断された平行な辺を持たない四角形メッシュから準備された。5層状の構築物が、中空キャビティ型中へ配置され、型が、57℃で5分間温水浴中へ配置され、その後、巻かれたメッシュ構築物が、型から除去された。この技術によって作り出された層は、等間隔であった。型にはめて作った内部本体は、一方の端部で、メッシュベースに接合された。メッシュ乳頭インプラントの外部本体は、シリンダー状の雄型中へ配置された、事前に切断されたメッシュ片から準備され、その後、真空圧が加えられ、突出するシリンダー状部分及びドーム形状の上部を備える環状ベースを形成した。加熱流体(空気)が、約20秒間型に送られ、外部本体を形成した。熱付形内部本体は、熱付形外部本体のキャビティ中へ配置され、荷重支持をもたらした。その後、外部本体の環状フランジ及び内部本体のベースは、ヒートシールされて、メッシュ-乳頭インプラントを形成した。或いは、内部本体は、外部本体がない状態で使用することができた。
【0159】
[00184] 実施例7:きつく巻かれた内側本体を備えるメッシュ乳頭インプラント
[00185] マクロ多孔質足場が、Marlexパターンで、14-ゲージ二重針棒機械を使用して編まれたポリ-4-ヒドロキシブチレート(P4HB)押出モノフィラメント(0.165mm、MW285kDa)で作製された。P4HBメッシュ密度は、およそ150g/m2であった。
【0160】
[00186]
図6に示す乳頭インプラントが、P4HB編みメッシュを熱成形することによって、マクロ多孔質P4HB足場から準備された。2つの平行な辺を持たない四角形形状及び1つの円形状が、レーザカッターを使用して、大きいP4HBシートから切断された。巻かれたメッシュ構築物が、きつい巻回を形成するために、ピンを覆うように、積み重ねられた平行な辺を持たない四角形シートを巻くことによって、準備された。その後、巻かれたメッシュ構築物は、中空キャビティ型中へ配置された。その後、型は、57℃で5分間温水浴中へ配置され、型にはめて作ったメッシュロールを作った。フランジが、インプラントのベースを形成するために円形メッシュ形状から作られ、フランジは、巻かれたメッシュにヒートシールされた。インプラントは、この特定の形状で使用することができたか、又は先の実施例におけるように、外部本体に関連付けることができた。
【0161】
[00187] 実施例4~7ではまた、乾紡P4HBを用いて、乾紡P4HBと編みP4HBの複合体を用いて、又は乳頭インプラントのP4HB編み部分のいくつか若しくは全てに巻き付けられた乾紡P4HBを用いて形成することができた。
【国際調査報告】