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特表2024-517953アルファ5ベータ1インテグリン結合剤及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】アルファ5ベータ1インテグリン結合剤及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240416BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240416BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/255 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/475 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/4523 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20240416BHJP
   C07D 491/22 20060101ALN20240416BHJP
   C07H 15/252 20060101ALN20240416BHJP
   C07D 475/08 20060101ALN20240416BHJP
   C07D 305/14 20060101ALN20240416BHJP
   C07D 519/04 20060101ALN20240416BHJP
   C07D 239/94 20060101ALN20240416BHJP
   C07D 401/04 20060101ALN20240416BHJP
   C07D 215/233 20060101ALN20240416BHJP
   C07D 487/04 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61K39/395 L
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P29/00
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K47/68
A61K31/675
A61K31/255
A61K31/4745
A61K31/704
A61K31/519
A61K31/337
A61K31/475
A61K31/517
A61K31/4523
A61K31/47
C07D491/22
C07H15/252
C07D475/08
C07D305/14
C07D519/04
C07D239/94
C07D401/04
C07D215/233
C07D487/04 140
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570085
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 US2022028520
(87)【国際公開番号】W WO2022240833
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/187,371
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523426666
【氏名又は名称】パシシア セラピューティクス コープ.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】リサ ライナー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C050
4C057
4C063
4C072
4C076
4C084
4C085
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA92X
4B065AB05
4B065AC14
4B065BA08
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C050AA01
4C050AA07
4C050BB04
4C050CC07
4C050CC08
4C050DD02
4C050EE02
4C050EE03
4C050FF02
4C050FF10
4C050GG01
4C050GG03
4C050HH01
4C050HH04
4C057BB02
4C057CC04
4C057DD01
4C057JJ50
4C063AA01
4C063BB01
4C063CC10
4C063DD02
4C063EE01
4C072QQ00
4C072UU01
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC29
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE41N
4C076EE59
4C076FF34
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB11
4C084ZB26
4C084ZC41
4C084ZC75
4C085AA14
4C085AA21
4C085EE01
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086BC21
4C086BC28
4C086BC46
4C086CB05
4C086CB09
4C086CB21
4C086CB22
4C086DA38
4C086EA10
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA07
4C086NA05
4C086NA13
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JA06
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA11
4C206NA05
4C206NA13
4C206ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、α5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの多重特異性抗体を含む抗体)及びその使用を提供する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
α5β1インテグリンに対する結合に関して:
(A)(i)配列番号:25のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:26のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(ii)配列番号:42のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:43のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(iii)配列番号:51のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:52のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(iv)配列番号:109のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:110のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(v)配列番号:135のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:26のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(vi)配列番号:136のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:137のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(vii)配列番号:138のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:139のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(viii)配列番号:144のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:145のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(ix)配列番号:146のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:147のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;又は
(B)(i)配列番号:77のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:78のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(ii)配列番号:91のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:92のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(iii)配列番号:140のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:141のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;並びに/もしくは(iv)配列番号:142のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:143のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域
を含む抗体と競合する、抗体又はその断片。
【請求項2】
α5β1インテグリンに結合し、かつ:(i)配列番号:25に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3並びに/もしくは配列番号:26に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(ii)配列番号:42に記載のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3並びに/もしくは配列番号:43に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(iii)配列番号:51に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3並びに/もしくは配列番号:52に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(iv)配列番号:77に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3並びに/もしくは配列番号:78に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(v)配列番号:91に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3並びに/もしくは配列番号:92に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(vi)配列番号:109に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3並びに/もしくは配列番号:110に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(vii)配列番号:135に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3並びに/もしくは配列番号:26に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(viii)配列番号:136に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3並びに/もしくは配列番号:137に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(ix)配列番号:138に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3並びに/もしくは配列番号:139に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(x)配列番号:140に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3並びに/もしくは配列番号:141に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(xi)配列番号:142に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3並びに/もしくは配列番号:143に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;(xii)配列番号:144に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3並びに/もしくは配列番号:145に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3;又は(xiii)配列番号:146に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3並びに/もしくは配列番号:147に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3
を含む、請求項1記載の抗体又はその断片。
【請求項3】
α5β1インテグリンに結合し、かつ:
(a)表1~表6に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域;又は
(b)表1~表6に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、請求項1記載の抗体又はその断片。
【請求項4】
(a)表1~表6に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域;及び
(b)表1~表6に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、請求項3記載の抗体又はその断片。
【請求項5】
表1~表6に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域を含む、請求項3記載の抗体又はその断片。
【請求項6】
表1~表6に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域を含む、請求項3記載の抗体又はその断片。
【請求項7】
α5β1インテグリンに結合し、かつ:
(a)以下:
(1)配列番号:1、7、12、13、及び18からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:2、8、14、19、及び24からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:3、9、15、及び20からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:4、10、16、及び21からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5、11、及び22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:6、17、及び23からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、請求項1記載の抗体又はその断片。
【請求項8】
α5β1インテグリンに結合し、かつ:
(a)以下:
(1)配列番号:27、31、34、35、及び38からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:8、14、19、24、及び28からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:29、32、36、及び39からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:30、33、37、及び40からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5、11、及び41からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び
(3)配列番号:6、17、及び23からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、請求項1記載の抗体又はその断片。
【請求項9】
α5β1インテグリンに結合し、かつ:
(a)以下:
(1)配列番号:1、7、12、13、及び18からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:2、8、14、19、及び24からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:3、9、15、及び20からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:44、46、47、及び49からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5、11、及び22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:45、48、及び50からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、請求項1記載の抗体又はその断片。
【請求項10】
α5β1インテグリンに結合し、かつ:
(a)以下:
(1)配列番号:53、59、64、65、及び70からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:54、60、66、71、及び76からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:55、61、67、及び72からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:56、62、68、及び73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:57、63、及び74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:58、69、及び75からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、請求項1記載の抗体又はその断片。
【請求項11】
α5β1インテグリンに結合し、かつ:
(a)以下:
(1)配列番号:53、59、64、65、及び70からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:79、82、84、87、及び90からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:80、83、85、及び88からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:56、62、68、及び73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:57、63、及び74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:81、86、及び89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、請求項1記載の抗体又はその断片。
【請求項12】
α5β1インテグリンに結合し、かつ:
(a)以下:
(1)配列番号:93、97、100、101、及び105からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:8、14、19、24、及び28からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:94、98、102、及び106からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:95、99、103、及び107からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5、11、及び22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:96、104、及び108からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、請求項1記載の抗体又はその断片。
【請求項13】
前記VH領域又はVL領域が、ヒトフレームワーク配列をさらに含む、請求項3~12のいずれか1項記載の抗体又はその断片。
【請求項14】
前記VH領域及びVL領域が、ヒトフレームワーク配列をさらに含む、請求項13記載の抗体又はその断片。
【請求項15】
前記VH領域又はVL領域が、フレームワーク1(FR1)、フレームワーク2(FR2)、フレームワーク3(FR3)、及び/又はフレームワーク4(FR4)配列をさらに含む、請求項3~12のいずれか1項記載の抗体又はその断片。
【請求項16】
前記VH領域及びVL領域が、フレームワーク1(FR1)、フレームワーク2(FR2)、フレームワーク3(FR3)、及びフレームワーク4(FR4)配列をさらに含む、請求項15記載の抗体又はその断片。
【請求項17】
前記抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1~16のいずれか1項記載の抗体又はその断片。
【請求項18】
前記モノクローナル抗体が、ヒト化、ヒト、又はキメラ抗体である、請求項17記載の抗体又はその断片。
【請求項19】
Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、(scFv)2、単鎖抗体分子、二重可変領域抗体、単一可変領域抗体、線状抗体、V領域、又は抗体断片から形成された多重特異性抗体である、請求項1~18のいずれか1項記載の抗体又はその断片。
【請求項20】
診断用薬剤、検出可能薬剤、もしくは治療用薬剤にコンジュゲートされた又は組換えで融合された、請求項1~19のいずれか1項記載の抗体又はその断片。
【請求項21】
前記治療用薬剤が、化学療法剤、細胞毒、又は薬物である、請求項20記載の抗体又はその断片。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか1項記載の抗体又はその断片と本質的に同じエピトープに結合する結合剤。
【請求項23】
抗体又はその断片である、請求項22記載の結合剤。
【請求項24】
非抗体タンパク質スキャフォールドを含む、請求項22記載の結合剤。
【請求項25】
前記非抗体タンパク質スキャフォールドが、フィブロネクチンスキャフォールド、アンチカリン、アドネクチン、アフィボディ、DARPin、フィノマー、アフィチン、アフィリン、アビマー、システインリッチノッティンペプチド、又は操作されたKunitz型阻害剤を含む、請求項24記載の結合剤。
【請求項26】
ヒトα5インテグリンに対する結合に関して請求項1~21のいずれか1項記載の抗体又はその断片と競合する結合剤。
【請求項27】
抗体又はその断片である、請求項26記載の結合剤。
【請求項28】
請求項1~21のいずれか1項記載の抗体又はその断片をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む1つ以上のベクター。
【請求項29】
請求項28記載の1つ以上のベクターを含む宿主細胞。
【請求項30】
請求項1~21のいずれか1項記載の抗体又はその断片、及び医薬として許容し得る担体を含む組成物。
【請求項31】
対象においてα5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態を治療するための方法であって、該対象に、請求項1~21のいずれか1項記載の抗体もしくはその断片又は請求項30記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項32】
対象においてα5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態に関連する1つ以上の症状を軽減するための方法であって、該対象に、請求項1~21のいずれか1項記載の抗体もしくはその断片又は請求項30記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項33】
対象においてがん又は腫瘍を治療するための方法であって、該対象に、請求項1~21のいずれか1項記載の抗体もしくはその断片又は請求項30記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項34】
対象においてがん又は腫瘍に関連する1つ以上の症状を軽減するための方法であって、該対象に、請求項1~21のいずれか1項記載の抗体もしくはその断片又は請求項30記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項35】
対象において血管新生介在性の疾患、障害、又は状態を治療するための方法であって、該対象に、請求項1~21のいずれか1項記載の抗体もしくはその断片又は請求項30記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項36】
対象においてがん又は腫瘍に関連する1つ以上の症状を軽減するための方法であって、該対象に、請求項1~21のいずれか1項記載の抗体もしくはその断片又は請求項30記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項37】
対象において炎症性の疾患、障害、又は状態を治療するための方法であって、該対象に、請求項1~21のいずれか1項記載の抗体もしくはその断片又は請求項30記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項38】
対象において炎症性の疾患、障害、又は状態に関連する1つ以上の症状を軽減するための方法であって、該対象に、請求項1~21のいずれか1項記載の抗体もしくはその断片又は請求項30記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項39】
前記対象が、前記抗体もしくはその断片又は前記医薬組成物と組み合わせて1種以上の治療用薬剤を投与される、請求項31~38のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、その開示がその全体として引用により本明細書に組み込まれている2021年5月11日に出願された米国仮特許出願第63/187,371号の利益を主張する。
【0002】
(配列表)
本出願は、2022年5月8日に作成されサイズが142,533バイトの「14700-001-228_SEQ_LISTING.txt」と名付けられたテキストファイルとして本出願と共に提出される配列表を引用により組み込む。
【0003】
(分野)
本開示は、概して、アルファ5ベータ1(α5β1)インテグリン(ヒトα5β1インテグリンを含む)に結合する抗体などの結合剤、及びその使用の方法に関する。
【背景技術】
【0004】
(背景)
インテグリンは、細胞外マトリックス(ECM)成分に結合し、細胞接着、遊走、及び活性化を調節する膜貫通型タンパク質である。各インテグリンは、膜貫通型インテグリンサブユニットのαが1つ及びβが1つで構成される。ヒトゲノム内には18種のαインテグリンサブユニット及び8種のβインテグリンサブユニットが存在し、これらが合わさって、23種のユニークなヘテロ二量体インテグリンを生じる。これらのヘテロ二量体は、「インサイド-アウト」及び「アウトサイド-イン」シグナル伝達として知られる機構を通じて細胞の挙動を調節する。前者では、細胞内タンパク質が、インテグリン細胞質ドメインに結合して、細胞外リガンドに高い親和性で結合するコンホメーションを安定化する。その後、「アウトサイド-イン」シグナル伝達を通じて、リガンドが結合したインテグリンが、細胞の挙動を調節する細胞内シグナル伝達カスケードを刺激する。
【0005】
α5β1インテグリンは、細胞外マトリックス(ECM)におけるフィブロネクチン(FN)に対するその高い親和性のために、フィブロネクチン(FN)受容体として知られている。この結合は、α5β1のヘッドピースにおけるα及びβサブユニット間の境界面のリガンド結合部位、及びFNのIII型反復におけるアルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)ペプチドモチーフによって媒介される。α5β1インテグリンは、CD40L、IL-1b、及びTNF-α変換酵素ADAM-17などのRGDモチーフを欠くタンパク質と一緒に、オステオポンチン及びフィブリリンのような追加のRGD含有タンパク質に結合する。そのリガンドの組織分布と一致して、α5β1は、内皮細胞、肥満細胞、及び末梢組織及び中枢神経系(CNS)におけるマクロファージ系列(例えば、ミクログリア及び血管周囲マクロファージ)などの種々の細胞タイプにより発現される。
【0006】
α5β1インテグリンの腫瘍血管新生との関連が、よく確立されている。加えて、α5β1が、腫瘍細胞上に存在することが実証されている。α5β1に結合する抗体が、血管新生を阻害することだけでなく、α5β1を発現している腫瘍細胞の死滅を促進することも示されている。また、α5β1インテグリンの、多発性硬化症(MS)及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経炎症性疾患との関連も実証されている。α5β1に結合する抗体が、MSの実験的な自己免疫性脳炎(EAE)モデル及びALSのSOD1G93Aトランスジェニックモデルにおける症状を改善させることが示されている。α5β1の発現は、それを抗血管新生及びがん療法における並びに神経炎症性疾患療法における標的として有望なものとすると思われるが、α5インテグリンを標的とする抗体を用いた臨床的な成功は、未だ達成されていない。
【0007】
従って、本技術分野において、α5β1インテグリンを標的として、腫瘍細胞及びマクロファージなどのα5β1を発現している細胞が関与する疾患、障害、又は状態などの、α5介在性の疾患、障害、又は状態を治療、予防、又は軽減することができる薬剤に対する必要性が残ったままである。
【発明の概要】
【0008】
(概要)
本開示は、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤を提供する。そのような薬剤は、α5β1インテグリンに結合する抗体、例えば、α5β1インテグリンに結合する単一特異性又は多重特異性(例えば、二重特異性)抗体を含む。そのような抗体は、いくつかの実施態様において、ヒトα5β1インテグリンの結合に関して、本明細書(例えば、表1~表6)に記載される重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗体と競合する。
【0009】
また、本開示は、α5β1インテグリン結合剤を含む組成物も提供する。そのような組成物は、いくつかの実施態様において、α5β1インテグリンに結合する抗体、例えば、α5β1インテグリンに結合する単一特異性又は多重特異性(例えば、二重特異性)抗体を含む。そのような組成物は、いくつかの実施態様において、ヒトα5β1インテグリンの結合に関して、本明細書(例えば、表1~表6)に記載される重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗体と競合する抗体を含む。
【0010】
また、本開示は、α5β1インテグリン結合剤又は当該薬剤を含む組成物などのα5β1インテグリン結合剤又は当該薬剤を含む組成物で、α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態を治療、予防、又は軽減する方法(該疾患、障害、又は状態の1つ以上の症状を治療、予防、又は軽減する方法を含む)も提供する。そのような組成物は、α5β1インテグリンに結合する抗体、例えば、α5β1インテグリンに結合する単一特異性又は多重特異性(例えば、二重特異性)抗体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
(図面の簡単な説明)
図1図1は、実施例5でさらに説明されるフィブロネクチン(FN)阻害アッセイの例示的な結果を示す。
【0012】
図2図2A図2Bは、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3についての例示的なコンセンサス配列を含む、(i)A-15B08、A2-3B06、A2-5D10、C-14D12及び(ii)A2-7A05、A2-7F01の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の配列アラインメントを示す。CDRの境界は、Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTに従い示される(例えば、表1~表6も参照されたい)。
【0013】
図2C図2Dは、A-15B08-T62A並びに例示的なヒト改変可変領域A-15B08_Low及びA-15B08_Low+Modの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の配列アラインメントを示す。CDRの境界は、Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTに従い示される。
【0014】
図2E図2Fは、A-7A05並びに例示的なヒト改変可変領域A-7A05_Low及びA-7A05_Low+Modの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の配列アラインメントを示す。CDRの境界は、Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTに従い示される。
【0015】
図2G図2Hは、C-14D12並びに例示的なヒト改変C-14D12_Low及びC-14D12_Low+Modの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の配列アラインメントを示す。CDRの境界は、Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTに従い示される。
【0016】
図3図3は、バリアントFc配列を含む例示的なFc配列の配列アラインメントを示す。
【0017】
図4図4A及び図4Bは、実施例7でさらに説明されるα5β1-FNインテグリン-リガンド複合体を破壊(discrupt)する本明細書で提供される抗体の例示的な結果を示す。
【0018】
図5図5は、実施例8でさらに説明されるα5β1インテグリンFNブロッキングアッセイの例示的な結果を示す。
【0019】
図6図6は、実施例8でさらに説明されるハイブリドーマと比較したキメラの効力の例示的な結果を示す。
【0020】
図7図7は、実施例8でさらに説明されるさまざまなIgG4キメラ抗体の例示的なSDS-PAGEの結果を示す。
【0021】
図8図8は、実施例9でさらに説明されるコンホメーションアッセイの例示的な結果を示す。
【0022】
図9図9は、実施例10でさらに説明される細胞接着アッセイの例示的な結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(詳細な説明)
本開示は、α5β1インテグリン結合剤を提供する。そのような薬剤は、ヒトα5β1インテグリンに結合する抗体などのα5β1インテグリンに結合する抗体(例えば、単一特異性又は多重特異性(二重特異性を含む))を含む。そのような結合剤は、α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態(該疾患、障害、又は状態の1つ以上の症状を含む)を治療、予防、又は軽減する組成物において及び方法において有用である。α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、及び状態には、がん、血管新生介在性疾患(例えば、異常な血管新生を伴う疾患)、及び炎症性疾患(例えば、神経炎症性疾患)が含まれる。加えて、α5β1インテグリン結合抗体(例えば、単一特異性又は多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む))などの本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤は、(i)フィブロネクチンへのα5β1インテグリン結合を阻害する、(ii)血管新生を阻害する、及び/又は(iii)(i)がん、(ii)血管新生介在性の疾患、障害、もしくは状態、又は(iii)炎症性の疾患、障害、もしくは状態の1つ以上の症状を治療もしくは軽減するのに有用である。α5β1インテグリン結合抗体(例えば、単一特異性又は多重特異性(二重特異性を含む))などの本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤は、α5β1介在性の疾患、障害、又は状態の治療の組成物において及び方法において有用である。
【0024】
「α5インテグリン」、「CD49e」、又は「α5インテグリンポリペプチド」という用語及び類似の用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト、カニクイザル(cyno))、イヌ、及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物起源由来の、ポリペプチド(「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において互換的に使用される)又は任意の天然のα5インテグリンを意味する。また、当技術分野においてインテグリンα-5、ITGA5タンパク質、CD49e抗原、糖タンパク質Ic(GPIc)、VLA5A、FNRA、及びフィブロネクチン受容体サブユニットαとしても知られるα5インテグリンは、β-プロペラ(例えば、7つの60アミノ酸FG-GAP反復を有する)、thigh、genu、calf1、calf2、膜貫通型、及び細胞内ドメインを含む複数のドメイン、並びに4つのカルシウム結合部位を有する。α5インテグリンという用語は、「全長」、「プロセシングされていないα5インテグリン、及び細胞内でのプロセシングの結果として生じるα5インテグリンの任意の形態又はその任意の断片を包含する。また、α5インテグリンという用語は、SNPバリアント、スプライスバリアント、及び対立遺伝子バリアントなどの、天然に存在するα5インテグリンのバリアントを包含する。ヘテロ二量体としてのβ1と会合したα5インテグリンは、いくつかのリガンド(例えば、フィブロネクチン)と相互作用することが当技術分野において知られており、この相互作用は、タンパク質の立体構造の変化及びシグナル伝達に繋がり、細胞接着、増殖、アポトーシス、遊走、及びファゴサイトーシスなどの細胞活性の変化を招く。ヒトα5インテグリンの全長アミノ酸配列を、以下に示す(例示的なシグナル配列=イタリック文字;例示的な細胞外ドメイン=下線を付した文字):
【化1】
【0025】
マウスα5インテグリンの全長アミノ酸配列を、以下に示す(例示的なシグナル配列=イタリック文字;例示的な細胞外ドメイン=下線を付した文字):
【化2】
【0026】
α5インテグリンという用語に同じく包含される他の関連するα5インテグリンポリペプチドとしては、α5インテグリン活性を保持しておりかつ/又は抗α5インテグリン免疫応答を生じさせるのに十分である断片、誘導体(例えば、置換、欠失、トランケーション、及び挿入バリアント)、融合ポリペプチド、並びに種間ホモログが挙げられる。当業者が認識するであろうように、本明細書に記載されるα5インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、α5インテグリンポリペプチド、α5インテグリンポリペプチド断片、α5インテグリン抗原、及び/又はα5インテグリンエピトープに結合することができる。エピトープは、より大きなα5インテグリン抗原の一部であり得、α5インテグリン抗原は、より大きなα5インテグリンポリペプチド断片の一部であり得、さらに、α5インテグリンポリペプチド断片は、より大きなα5インテグリンポリペプチドの一部であり得る。α5インテグリンは、天然の又は変性した形態で存在し得る。本明細書に記載されるα5インテグリンポリペプチドは、ヒト組織タイプから又は別の起源からなどの種々の起源から単離され得、或いは、組換え又は合成法によって調製され得る。α5インテグリンポリペプチドは、天然由来の対応するα5インテグリンポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み得る。α5インテグリンポリペプチドに対するオルソログも、 で周知である。
【0027】
「β1インテグリン」、「CD29」、又は「β1インテグリンポリペプチド」という用語及び類似の用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト、カニクイザル(cyno)、イヌ、及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物起源由来のポリペプチド(「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において互換的に使用される)又は任意の天然のβ1インテグリンを意味する。本技術分野においてインテグリンβ-1、ITGB1タンパク質、CD29抗原、フィブロネクチン受容体サブユニットβ、及び糖タンパク質IIaとしても知られるβ1インテグリンは、β1ヘッドピース(β1 headpiece)、ハイブリッド、及びプレキシン-セマフォリング-インテグリン(plexin-semaphoring-integrin)(PSI)ドメイン、4つのインテグリン-上皮成長因子ドメイン(I-EGF1、I-EGF2、I-EGF3、I-EGF4)、β-テイル、膜貫通型、及び細胞内ドメインを含む複数のドメインを有する。β1インテグリンという用語は、「全長」、プロセシングされていないβ1インテグリン、及び細胞内でのプロセシングの結果として生じるβ1インテグリンの任意の形態又はその任意の断片を包含する。また、β1インテグリンという用語は、SNPバリアント、スプライスバリアント、及び対立遺伝子バリアントなどのβ1インテグリンの天然に存在するバリアントも包含する。ヘテロ二量体としてのα5と会合したβ1インテグリンが、いくつかのリガンド(例えば、フィブロネクチン)と相互作用することが当技術分野において知られており、この相互作用が、タンパク質立体構造の変化及びシグナル伝達に繋がり、細胞接着、増殖、アポトーシス、遊走、及びファゴサイトーシスなどの細胞活性の変化を招く。ヒトβ1インテグリンの全長アミノ酸配列を、以下に示す(例示的なシグナル配列=イタリック文字;例示的な細胞外ドメイン=下線を付した文字):
【化3】
【0028】
マウスβ1インテグリンの全長アミノ酸配列を、以下に示す(例示的なシグナル配列=イタリック文字;例示的な細胞外ドメイン=下線を付した文字):
【化4】
【0029】
「α4インテグリン」、「CD49d」、又は「α4インテグリンポリペプチド」という用語及び類似の用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト、カニクイザル(cyno))、イヌ、及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物起源由来のポリペプチド(「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において互換的に使用される)又は任意の天然のα4インテグリンを意味する。本技術分野においてインテグリンα-4、ITGA4タンパク質、CD49d、VLA-4サブユニットαとしても知られるα4インテグリンは、β-プロペラ(例えば、7つの60アミノ酸FG-GAP反復を有する)、thigh、genu、calf1、calf2、膜貫通型、及び細胞内ドメインを含む複数のドメインを有し、また、3つのカルシウム結合部位も有する。α4インテグリンという用語は、「全長」、プロセシングされていないα4インテグリン、及び細胞内でのプロセシングの結果として生じるα4インテグリンの任意の形態又はその任意の断片を包含する。また、α4インテグリンという用語は、SNPバリアント、スプライスバリアント、及び対立遺伝子バリアントなどのα4インテグリンの天然に存在するバリアントも包含する。ヘテロ二量体としてのβ1と会合したα4インテグリンが、いくつかのリガンド(例えば、VCAM1、フィブロネクチン)と相互作用することが当技術分野において知られており、この相互作用が、タンパク質立体構造の変化及びシグナル伝達に繋がり、細胞接着、増殖、遊走、及びファゴサイトーシスなどの細胞活性の変化を招く。ヒトα4インテグリンの全長アミノ酸配列を、以下に示す(例示的なシグナル配列=イタリック文字;例示的な細胞外ドメイン=下線を付した文字):
【化5】
【0030】
「フィブロネクチン」又は「FN」という用語及び類似の用語は、別途示されない限り霊長類(例えば、ヒト、カニクイザル(cyno))、イヌ、及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物起源由来のポリペプチド(「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において互換的に使用される)又は任意の天然のフィブロネクチンを意味する。フィブロネクチンは、ジスルフィド結合を介して連結された二量体又は多量体として存在し、FN-I、FN-II、及びFN-IIIと名付けられた3つの異なる反復で主に構成されるマルチモジュール構造を有する。二量体形態では、2つのフィブロネクチンサブユニットのそれぞれは、それぞれ、12個のFN-I、2個のFN-II、及び15~17個のFN-IIIモジュールからなる。また、フィブロネクチンという用語は、SNPバリアント、スプライスバリアント、及び対立遺伝子バリアントなどのフィブロネクチンの天然に存在するバリアントも包含する。フィブロネクチンは、細胞外マトリックスの必須の構成要素であり、フィブリン結合、コラーゲン結合、フィビュリン-1-結合、ヘパリン結合、及びシンデカン結合のためのドメインを含む複数のタンパク質結合ドメインを有する。フィブロネクチンは、(例えば、RGDを介して)インテグリンと相互作用することが当技術分野において知られており、α5β1インテグリン、α8β1インテグリン、及びαvβ3インテグリンのリガンドである。ヒトフィブロネクチンの全長アミノ酸配列を、以下に示す(例示的なシグナル配列=イタリック文字):
【化6】
【0031】
本明細書で使用される、「結合剤」という用語又はその文法的等価物は、抗原に結合する抗原結合性部位を1つ以上有する分子(例えば、抗体)を意味する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤は、ヒトα5β1インテグリンなどのα5β1インテグリンに結合する抗体、抗体断片、又は他のペプチドベースの分子である。
【0032】
「抗体」、「免疫グロブリン」、又は「Ig」という用語は、本明細書において互換的に使用され、かつ最も広い意味で用いられ、具体的には、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト、中和抗体、完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリエピトープ又はモノエピトープ特異性を有する抗体組成物、組換えにより製造される抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、合成抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、又は完全長重鎖及び/又は軽鎖を有するヒトバージョンの抗体に及ぶ。また、本開示は、α5インテグリン結合特性を保持する抗体断片(及び/又は抗体断片を含むポリペプチド)も含む。抗体断片の非限定的な例としては、抗体の抗原結合領域及び/又はエフェクター領域、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、(scFv)2、単鎖抗体分子、二重可変領域抗体、単一可変領域抗体、線状抗体(linear antibody)、V領域、抗体断片から形成された多重特異性抗体、F(ab)2、Fd、Fc、ダイアボディ、ジダイアボディ、ジスルフィド連結Fvs(dsFv)、単一ドメイン抗体(例えば、VHH、ナノボディ)、又は他の断片(例えば、非共有結合的にカップリングされた重鎖及び軽鎖の可変領域からなる断片)が挙げられる。一般的には、可変領域ドメインは、免疫グロブリン重(VH)及び/又は軽(VL)可変領域の任意の適当な配列であり得る。また、例えば、本開示は、2つの重鎖分子及び2つの軽鎖分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、並びに抗体重鎖単量体も含む。従って、例えば、可変領域ドメインは、二量体であり得、α5インテグリンに結合するVH-VH、VH-VL、又はVL-VL二量体を含み得る。望ましい場合、VH鎖及びVL鎖は、直接的に又はリンカーを介してのいずれかで共有結合的にカップリングされて、単鎖Fv(scFv)を形成していてもよい。言及を容易にするために、本明細書においては、scFvタンパク質は、「抗体断片」のカテゴリーに含まれるものする。抗体断片の別の形態は、抗体の1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含むペプチドである。CDR(「最小認識単位(minimal recognition unit)」又は「超可変領域」とも名付けられている)は、対象となるCDRをコードするポリヌクレオチドを構築することにより得ることができる。そのようなポリヌクレオチドは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて、抗体産生細胞のmRNAをテンプレートとして用いて、可変領域を合成することによって調製される(例えば、Larrickらの文献、「方法:酵素学における方法の手引き(Methods: A Companion to Methods in Enzymology)」、 2:106 (1991);Ritterら編集の文献「モノクローナル抗体の製造、操作、及び臨床応用(Monoclonal Antibodies Production, Engineering and Clinical Application)」、Cambridge University Press (1995)の166頁のCourtenay-Luckの文献、「モノクローナル抗体の遺伝子操作(Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies)」;及びBirchら編集の文献「モノクローナル抗体:原理及び応用(Monoclonal Antibodies: Principles and Applications)」、Wiley-Liss、Inc. (1995)の137頁のWardらの文献、「抗体の遺伝子操作及び発現(Genetic Manipulation and Expression of Antibodies)」を参照されたい)。抗体断片は、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、新規抗原受容体の可変ドメイン(variable domains of new antigen receptors; v-NAR)、及びビス単鎖Fv領域内に組み込まれていてもよい(例えば、Hollinger及びHudsonの文献、Nature Biotechnology, 23(9):1126-1136, 2005を参照されたい)。結合剤は、いくつかの実施態様において、1つ以上のIgG1、IgG2、IgG3及び/又はIgG4定常領域を含む1つ以上の定常領域などの、軽鎖及び/又は重鎖定常領域を含む。いくつかの実施態様において、抗体は、上記のもののいずれかのエピトープ結合性断片を含むことができる。本明細書に記載される抗体は、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)のもの又は任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)のものとすることができる。抗体は、アンタゴニスト抗体又はアゴニスト抗体を含むα5β1結合抗体であり得る。
【0033】
本明細書で使用される結合剤(例えば、抗体)に関連して用いられる場合の「単一特異性」という用語は、それぞれが同じ抗原の同じエピトープに結合する1つ以上の結合部位を有する結合剤を意味する。
【0034】
結合剤(例えば、抗体)に関連して用いられる場合の「二重特異性」という用語は、それぞれが異なる抗原に又は同じ抗原上の異なるエピトープに結合する1組の抗体重鎖可変ドメイン(VH)及び抗体軽鎖可変ドメイン(VL)によって形成される少なくとも2つの別個の抗原決定基、例えば、2つの結合部位に特異的に結合することができる結合剤を意味する。そのような二重特異性結合剤(例えば、抗体)は、1+1フォーマットを有していてもよい。他の二重特異性結合剤(例えば、抗体)フォーマットは、2+1又は1+2フォーマット(第1の抗原又はエピトープについて2つの結合部位及び第2の抗原又はエピトープについて1つの結合部位を含む)又は2+2フォーマット(第1の抗原又はエピトープについて2つの結合部位及び第2の抗原又はエピトープについて2つの結合部位を含む)であり得る。二重特異性結合剤(例えば、抗体)が、2つの抗原結合性部位を含む場合、それぞれは、異なる抗原決定基に結合してもよい。そのような二重特異性結合剤(例えば、抗体)は、同じ抗原上の2つの異なるエピトープ(例えば、α5β1インテグリン上のエピトープ)又は異なる抗原(例えば、α5β1インテグリン上のエピトープ及びαvβ1インテグリン上のエピトープ)に結合してもよい。
【0035】
2つ以上の核酸又はポリペプチドの文脈において「同一の」又はパーセント「同一性」という用語は、2つ以上の配列又は部分配列であって、保存的アミノ酸置換を配列同一性の一部であるとみなすことなく、最高の対応関係となるように比較されアラインメントされた場合に(必要であればギャップを導入)、同じであるか、又は同じであるヌクレオチド又はアミノ酸残基の百分率が特定の値を有する、前記2つ以上の配列又は部分配列を意味する。パーセント同一性は、配列比較ソフトウェアもしくはアルゴリズムを用いて又は目視での検査によって測定可能である。アミノ酸又はヌクレオチド配列のアラインメントを得るのに使用することができるさまざまなアルゴリズム及びソフトウェアが、当技術分野において周知である。これらのアルゴリズム及びソフトウェアとしては、BLAST、ALIGN、Megalign、BestFit、GCG Wisconsin Package、及びそれらの変形が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、2つの核酸又はポリペプチドは、実質的に同一であり、このことは、これらが、配列比較アルゴリズムを用いて又は目視での検査によって測定して、最高の対応関係となるように比較されアラインメントされた場合に、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、及び、いくつかの実施態様において、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%のヌクレオチド又はアミノ酸残基同一性を有することを意味する。いくつかの実施態様において、同一性は、長さが少なくとも約10残基、少なくとも約20残基、少なくとも約40~60残基、少なくとも約60~80残基又はそれらの間の任意の整数値であるアミノ酸配列の領域にわたって存在する。いくつかの実施態様において、同一性は、少なくとも約80~100残基などの60~80残基よりも長い領域にわたって存在し、いくつかの実施態様において、該配列は、標的タンパク質又は抗体のコード領域などの比較されている配列の完全長にわたって実質的に同一である。いくつかの実施態様において、同一性は、長さが少なくとも約10塩基、少なくとも約20塩基、少なくとも約40~60塩基、少なくとも約60~80塩基又はそれらの間の任意の整数値であるヌクレオチド配列の領域にわたって存在する。いくつかの実施態様において、同一性は、少なくとも約80~1000塩基又はそれを超える塩基などの60~80塩基よりも長い領域にわたって存在し、いくつかの実施態様において、配列は、対象となるタンパク質をコードするヌクレオチド配列などの比較されている配列の完全長にわたって実質的に同一である。
【0036】
「保存的アミノ酸置換」は、1つのアミノ酸残基が、類似の化学的特徴を持つ側鎖を有する別のアミノ酸残基と置き換えられるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、本技術分野において一般に明示されており、それには、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β-分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、並びに芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。例えば、チロシンの代わりのフェニルアラニンの置換は、保存的置換である。一般に、本開示のポリペプチド、可溶性タンパク質、及び/又は抗体の配列における保存的置換は、当該アミノ酸配列を含む当該ポリペプチド、可溶性タンパク質、又は抗体の、標的結合部位への結合を抑止しない。結合を失わせないアミノ酸の保存的置換を識別する方法は、当技術分野において周知である。
【0037】
「ポリペプチド」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを意味する。当該ポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、それは、修飾されたアミノ酸を含むことができ、かつそれは、非アミノ酸を含むことができる(例えば、非アミノ酸によって中断されることができる)。また、当該用語は、天然に又は介入;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質修飾、アセチル化、リン酸化、又は例えば、標識成分などの部位への結合又はそれとのコンジュゲーション(直接的な又は間接的なもの)などの任意の他の操作もしくは修飾によって修飾されているアミノ酸ポリマーを包含する。例えば、アミノ酸の1つ以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸など)及び当技術分野において公知の他の改変を含有するポリペプチドも定義内に含まれる。本件開示のポリペプチドが、免疫グロブリンスーパーファミリーの抗体又は他の成員をベースとすることができるために、いくつかの実施態様において、当該ポリペプチドが、単鎖として存在することができることが理解される。
【0038】
本明細書で使用される、「抗原」は、結合剤(例えば、抗体)が、結合することができるエピトープを含む部位又は分子である。従って、抗原は、抗体によって結合されることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される結合剤(例えば、抗体)が結合する抗原は、α5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)又はその断片である。
【0039】
本明細書で使用される、「エピトープ」は、本技術分野の用語であり、抗体が結合することができる抗原の局在的な領域を意味する。エピトープは、線状エピトープ又は立体構造の(conformational)、非線状の、もしくは不連続のエピトープとすることができる。ポリペプチド抗原の場合には、例えば、エピトープは、当該ポリペプチドの隣接アミノ酸(「線状」エピトープ)であってもよく、又はエピトープは、該ポリペプチドの2つ以上の非連続な領域のアミノ酸を含むことができる(「立体構造の」、「非線状の」、又は「不連続の」エピトープ)、例えば、ヒトα5β1インテグリン。当業者は、一般に、線状エピトープが、二次、三次、又は四次構造に依存することもしないこともあり得ることを認識しているであろう。例えば、いくつかの実施態様において、抗体は、アミノ酸が天然の3次元的タンパク質構造に折りたたまれているか否かにかかわらず該アミノ酸の群に結合する。別の実施態様において、抗体は、当該エピトープを認識しそれに結合するために、エピトープを構成して特定のコンホメーション(例えば、曲げ、ねじれ、回転、又は折り畳み)示すアミノ酸残基を必要とする。
【0040】
2つの抗体(抗体及び参照抗体)が、三次元空間において同一の、重なりあう、又は隣接するエピトープを認識する場合、該抗体は、参照抗体と「エピトープ」又は「本質的に同じエピトープ」又は「同じエピトープ」に結合する。2つの抗体が、三次元空間において同一の、重なりあう、又は隣接するエピトープに結合するか否かを決定するための最も広く用いられておりかつ迅速な方法は、競合アッセイであり、これは、いくつかの異なる形式で、例えば、標識化抗原又は標識化抗体のいずれかを用いて構成することができる。いくつかのアッセイにおいて、抗原は、96ウェルプレート上に固定化されるか、又は細胞表面上に発現され、標識化抗体の結合をブロッキングする非標識化抗体の能力が、放射活性、蛍光又は酵素標識を用いて測定される。
【0041】
「エピトープビニング(epitope binning)」は、それらが認識するエピトープに基づいて抗体を分類するプロセスである。より特定的には、エピトープビニングは、例えば、競合アッセイを用いて、異なる抗体のエピトープ認識特性を区別するための方法及びシステムを含む。そのようなアッセイは、それらのエピトープ認識特性に基づいて抗体をクラスター化し、かつ別個の結合特異性を有する抗体を特定するための計算プロセスと組み合わせることができる。
【0042】
本明細書で使用される、「特異的に結合する」、「特異的に認識する」、「免疫特異的に結合する」、「選択的に結合する」、「免疫特異的に認識する」、及び「免疫特異的な」という用語は、抗体の文脈においては類似の用語であり、抗原(例えば、エピトープ)に結合する分子を意味し、そのような結合は、当業者により理解される。いくつかの実施態様において、「特異的に結合する」は、例えば、ポリペプチド又は分子が、関連する又は無関連のタンパク質などの別の物質の場合よりも頻繁に、急速に、長い期間、高い親和性で、又は上記のいずれかの組合せでエピトープ、タンパク質、又は標的分子に対して相互作用することを意味する。例えば、抗原に特異的に結合する分子は、他のペプチド又はポリペプチドに、一般に、例えば、イムノアッセイ、Biacore(商標)、KinExA 3000装置(Sapidyne Instruments, Boise, ID)、又は当技術分野において公知の他のアッセイによって決定した場合により低い親和性で結合し得る。いくつかの実施態様において、抗体又は抗原結合性ドメインは、それが、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの実験技術を用いて決定した場合に、任意の交差反応性抗原に対してよりも高い親和性で抗原に結合する場合に、抗原に結合するか又はそれに特異的に結合する。通常、特異的又は選択的な反応は、バックグラウンドシグナル又はノイズの少なくとも2倍であり、バックグラウンドの10倍超であることもある。結合特異性に関する解説については、例えば、Paul編集の文献、「基礎免疫学(Fundamental Immunology)」332-36(第2版、1989年)を参照されたい。いくつかの実施態様において、抗体又は抗原結合性ドメインの「非標的」タンパク質に対する結合の度合いは、例えば、蛍光標識細胞分取(FACS)分析又はRIAによって決定した場合に、当該抗体又は抗原結合性ドメインのその特定の標的抗原に対する結合の約10%未満である。いくつかの実施態様において、抗原に特異的に結合する分子は、当該抗原に、当該分子が別の抗原に結合する場合のKaの少なくとも2 log、2.5 log、3 log、4 logの、又はそれを超えるKaで結合する。いくつかの実施態様において、抗原に特異的に結合する分子は、他のタンパク質と交差反応しない。いくつかの実施態様において、抗原に特異的に結合する分子は、他の非α5β1インテグリンタンパク質と交差反応しない。いくつかの実施態様において、「特異的に結合する」は、例えば、ポリペプチド又は分子が、タンパク質又は標的に約0.1mM以下であるが、より一般的には、約1μM未満であるKDで結合することを意味する。いくつかの実施態様において、「特異的に結合する」は、ポリペプチド又は分子が、少なくとも約0.1μM以下、少なくとも約0.01μM以下、又は少なくとも約1nM以下であるKDで標的に結合することを意味する。異なる種における相同タンパク質間の配列同一性のために、特異的結合が、2つ以上の種においてタンパク質又は標的を認識するポリペプチド又は分子を含むことがある。同様に、異なるタンパク質のポリペプチド配列のある領域内の相同性のために、特異的結合が、2つ以上のタンパク質又は標的を認識するポリペプチド又は分子を含むことがある。いくつかの実施態様において、第1の標的に特異的に結合するポリペプチド又は分子が、第2の標的に特異的に結合してもしなくてもよいことが理解される。従って、「特異的結合」は、排他的な結合、例えば、単一の標的に対する結合を(含むことはできるが)必ずしも必要としない。従って、ポリペプチド又は分子は、いくつかの実施態様において、2つ以上の標的に特異的に結合することができる。いくつかの実施態様において、複数の標的が、ポリペプチド又は分子上の同じ抗原結合性部位によって結合されることができる。例えば、抗体は、ある例において、それぞれが2つ以上のタンパク質上の同じエピトープに特異的に結合する2つの同一の抗原結合性部位を含むことができる。いくつかの別の実施態様において、抗体は、二重特異性であってもよく、異なった特異性を有する少なくとも2つの抗原結合性部位を含むことができる。必ずしもそうではないが、一般に、「結合」に対する言及は、「特異的結合」を意味する。
【0043】
「結合親和性」は、一般に、分子(例えば、抗体などの結合タンパク質)の単一の結合部位と、その結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合性相互作用の総計の強度を意味する。別途指示されない限り、本明細書で使用される「結合親和性」は、結合ペアの成員(例えば、抗体及び抗原)の間の1:1の相互作用を反映する固有結合親和性(intrinsic binding affinity)を意味する。結合性分子Xのその結合パートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(KD)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載されるものなどの当技術分野において公知の通常の方法により測定可能である。低親和性抗体が、一般に、ゆっくりと抗原に結合し、容易に解離する傾向があるのに対し、高親和性抗体は、一般に、抗原により速く結合し、より長く結合したままでいる傾向がある。結合親和性を測定する種々の方法が、当技術分野において公知であり、それらのいずれをも、本開示の目的に使用することができる。一実施態様において、「KD」又は「Kd値」は、例えば、OctetQK384システム(ForteBio, Menlo Park, CA)を用いるバイオレイヤー干渉法(BLI)によって測定され得る。あるいは、KDは、例えば、対象となる抗体のFabバージョン及びその抗原を用いて行われる放射標識化抗原結合アッセイ(RIA)で(Chenらの文献、(1999) J. Mol Biol 293:865-881)、又は、例えば、BIAcoreTM-2000又はBIAcoreTM-3000(BIAcore社, Piscataway, NJ)を用いるBiacoreによる表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイを用いても測定され得る。「ON速度」又は「結合の速度」又は「結合速度」又は「kon」、及び「OFF速度」又は「解離の速度」又は「解離速度」又は「koff」を、上述の同じSPR又はBLI技術によって、それぞれ、例えば、OctetQK384システム(ForteBio, Menlo Park, CA)又はBIAcoreTM-2000もしくはBIAcoreTM-3000 (BIAcore社, Piscataway, NJ)を用いて決定することもできる。
【0044】
α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)の文脈で用いられる場合の「競合する」という用語は、ある標的上の同じエピトープ又は結合部位に関して競合する結合剤を意味し、これは、試験される結合剤が、共通の抗原(例えば、α5β1インテグリン)に対する参照分子(例えば、参照リガンド、又は参照抗原結合タンパク質、例えば、参照抗体など)の特異的結合を防ぐ又は阻害するアッセイによって決定される場合のそのような結合剤の間の競合を含む。多くの種類の競合的結合アッセイを、試験結合剤が、α5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)に対する結合に関して参照分子と競合するか否かを決定するのに使用することができる。採用することができるアッセイの例としては、固相直接又は間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接又は間接エンザイムイムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahliらの文献、(1983) Methods in Enzymology 9:242-253を参照されたい);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirklandらの文献、(1986) J. Immunol. 137:3614-3619を参照されたい);固相直接標識化アッセイ、固相直接標識化サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow及びLaneの文献、(1988) Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press);1-125標識を用いる固相直接標識RIA(例えば、Morelらの文献、(1988) Molec. Immunol. 25:7-15を参照されたい);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheungらの文献、(1990) Virology 176:546-552を参照されたい);及び直接標識化RIA(Moldenhauerらの文献、(1990) Scand. J. Immunol. 32:77-82)が挙げられる。通常、そのようなアッセイは、非標識化試験抗原結合タンパク質(例えば、試験α5β1インテグリン抗体)又は標識化参照抗原結合タンパク質(例えば、参照α5β1インテグリン抗体)のいずれかを担持した固体表面又は細胞に結合した精製抗原(例えば、ヒトα5β1インテグリンなどのα5β1インテグリン)の使用を伴う。競合阻害は、試験抗原結合タンパク質の存在下で固体表面又は細胞に結合した標識の量を決定することによって測定され得る。通常、試験抗原結合タンパク質は、過剰に存在する。競合アッセイによって確認される抗体(競合抗体)には、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体及び/又は抗体の立体障害が生じるのに十分なほどに、参照によって結合されるエピトープに近い隣接エピトープ(例えば、類似のエピトープ又は重なりあうエピトープ)に結合する抗体が含まれる。競合的結合を決定するための方法に関する追加の詳細は、実施例6に示されるように、本明細書に記載される。通常、競合する抗体が、過剰に存在する場合には、それは、共通の抗原に対する参照抗体の特異的結合を、少なくとも20%、例えば、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、又は75%阻害するものである。いくつかの例において、結合は、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%もしくは97%、98%、99%、又はそれを超えて阻害される。
【0045】
本明細書で使用される、「定常領域」又は「定常ドメイン」という用語は、本技術分野の周知の抗体用語であり、抗体部分、例えば、例として、抗原への抗体の結合に直接関与しないが、Fc受容体との相互作用などのさまざまなエフェクター機能を発揮することができる軽鎖及び/又は重鎖のカルボキシル末端部分を意味する。当該用語は、免疫グロブリン可変ドメインと比較して概してより保存されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子の部分を含む。
【0046】
抗体「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(例えば、天然配列Fc領域又はアミノ酸配列バリアントFc領域)に帰すことができる生物活性を意味し、抗体アイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例としては:C1q結合及び補体依存性細胞傷害性;Fc受容体結合;抗体依存性細胞介在性細胞傷害活性(ADCC);ファゴサイトーシス;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御;及びB細胞活性化が挙げられる。
【0047】
本明細書における「Fc領域」という用語は、例えば、天然配列Fc領域、組換えFc領域、及びバリアントFc領域などの免疫グロブリン重鎖のC-末端領域を定義するのに用いられる。免疫グロブリン重鎖のFc領域境界は、様々であり得るものの、ヒトIgG重鎖Fc領域は、多くの場合、位置Cys226(EU付番系による)のアミノ酸残基から、又はPro230(EU付番系による)から、そのカルボキシル末端までにわたるものとして定義される。Fc領域のC末端リジン(EU付番系による残基447)は、例えば、抗体の製造又は精製の間に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換えによって操作することによって除去されてもよい。例示的なFc領域配列を、以下に示す(CH2ドメイン=太字の文字;CH3ドメイン=下線を付した文字):
【化7】
【0048】
「機能的Fc領域」は、天然配列Fc領域の「エフェクター機能」を有する。例示的な「エフェクター機能」としては、C1q結合;補体依存性細胞傷害性(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞介在性細胞傷害活性(ADCC);ファゴサイトーシス;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)の下方制御などが挙げられる。そのようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域が、結合領域又は結合ドメイン(例えば、抗体可変領域又はドメイン)と組み合わされることを必要とし、開示されるもののようなさまざまなアッセイを用いて評価することができる。
【0049】
「天然配列Fc領域」は、天然にみられ、ヒトによって操作、改変、及び/又は変更(例えば、単離、精製、選択、可変領域配列などの他の配列の包含、又はそのような他の配列との組み合わせ)がされていないFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域としては、天然配列ヒトIgG1 Fc領域(非A及びAアロタイプ);天然配列ヒトIgG2 Fc領域;天然配列ヒトIgG3 Fc領域;及び天然配列ヒトIgG4 Fc領域、並びに天然に存在するそれらのバリアントが挙げられる。例示的なIgG1及びIgG4 Fc配列を、図3に示す。
【0050】
「バリアントFc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸改変(例えば、置換、付加、又は欠失)、好ましくは、1つ以上のアミノ酸置換のために天然配列Fc領域のそれとは異なるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様において、バリアントFc領域は、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を有し、例えば、天然配列Fc領域内に又は該親ポリペプチドのFc領域内に約1個の~約10個のアミノ酸置換、好ましくは、約1個~約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書に記載されるバリアントFc領域は、天然配列Fc領域と及び/又は親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、又はそれと少なくとも約90%の相同性、例えば、それと少なくとも約95%の相同性を有することができる。本明細書に記載される本明細書のバリアントFc領域は、エフェクター機能を喪失していてもよい(例えば、サイレントFc)。例示的なバリアントFc領域(「サイレントFc」)配列を、以下に示す(CH2ドメイン=太字の文字(アミノ酸の変化に下線が付されている);CH3ドメイン=下線を付した文字):
【化8】
以下のバリアント(EU付番系による):N297A/Q(N297A又はN297Q)、LALA(L234A、L235A)、LALAPS(L234A、L235A、P331S)、LALAPG(L234A、L235A、P329G)、及びTM(L234F、L235E、P331S)を含む例示的なバリアントFc配列を、図3に示す。
【0051】
本明細書で使用される、抗体に関連して用いられる場合の「重鎖」という用語は、約50~70kDaのポリペプチド鎖であって、アミノ末端部分が、約120個~130個又はそれを超えるアミノ酸の可変領域を含み、カルボキシ末端部分が、1つ以上の定常領域を含む、前記ポリペプチド鎖を意味する。「重鎖」は、IgGのサブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む、抗体のIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMクラスをそれぞれが生じさせる、定常ドメインのアミノ酸配列に基づく任意の別個の種類、例えば、例えば、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、及びミュー(μ)を意味することもある。
【0052】
本明細書で使用される、抗体に関連して用いられる場合の「軽鎖」という用語は、約25kDaのポリペプチド鎖であって、アミノ末端部分が、約100個~約110個又はそれを超えるアミノ酸の可変領域を含み、カルボキシ末端部分が、定常領域を含む、前記ポリペプチド鎖を意味することができる。軽鎖のおおよその長さは、211~217個のアミノ酸である。定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの別個の種類、例えば、ラムダ(λ)のカッパ(κ)が存在する。軽鎖アミノ酸配列は、当技術分野において周知である。
【0053】
「抗原結合性断片」、「抗原結合性ドメイン」、「抗原結合領域」という用語、及び類似の用語は、抗原と相互作用しかつ結合性断片、ドメイン、又は領域上に該抗原に対するその特異性及び親和性を付与するアミノ酸残基を含む抗体の部分(例えば、CDR)を意味する。本明細書で使用される場合「抗原結合性断片」は、1つ以上のCDR(抗体の抗原結合性領域又は可変領域など)などの抗体の一部を含む「抗体断片」を含む。
【0054】
本明細書に記載される抗体としては、合成抗体、モノクローナル抗体、組換えにより製造される抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体など)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、イントラボディ、単鎖Fv(scFv)(例えば、単一特異性、二重特異性など)、ラクダ化抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド連結Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、及び上記のもののいずれかのエピトープ結合性断片が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗体は、α5β1インテグリン抗原に結合する1つ以上の抗原結合性部位を含む分子などの、免疫グロブリン分子、及び免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分を含む。
【0056】
抗体は、任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、もしくはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、もしくはIgA2)、又は任意のサブクラス(例えば、IgG2aもしくはIgG2b)の免疫グロブリン分子とすることができる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗体は、IgG抗体(例えば、ヒトIgG)、又はそのクラス(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4)もしくはサブクラスである。
【0057】
いくつかの実施態様において、抗体は、H鎖のアミノ酸配列が、同一であり、かつL鎖のアミノ酸配列が、同一である、2つの重(H)鎖/軽(L)鎖ペアを含む、4本鎖抗体ユニットである。いくつかの実施態様において、H鎖及びL鎖は、定常領域、例えば、ヒト定常領域を含む。いくつかの実施態様において、そのような抗体のL鎖定常領域は、カッパ又はラムダ軽鎖定常領域、例えば、ヒトカッパ又はラムダ軽鎖定常領域である。いくつかの実施態様において、そのような抗体のH鎖定常領域は、ガンマ重鎖定常領域、例えば、ヒトガンマ重鎖定常領域を含む。いくつかの実施態様において、そのような抗体は、IgG定常領域、例えば、ヒトIgG定常領域(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及び/又はIgG4定常領域)を含む。
【0058】
抗体又はその断片は、ヒトα5β1インテグリンなどのα5β1インテグリンに優先的に結合し得る。これは、当該抗体又はその断片が、それが、関連性がない対照タンパク質に結合する場合よりも高い親和性でα5β1インテグリンに結合すること及び/又はそれが、関連性がない対照タンパク質に結合する場合よりも高い親和性でヒトα5β1インテグリンに結合することを意味する。例えば、抗体又はその断片は、α5β1インテグリン又はその部分を特異的に認識して結合し得る。「特異的結合」は、抗体又はその断片が、関連性がない対照タンパク質(例えば、ニワトリ卵白リゾチーム)に対する親和性よりも少なくとも5、10、15、20、25、50、100、250、500、1000、又は10,000倍大きい親和性でα5β1インテグリンに結合することを示す。いくつかの実施態様において、抗体又はその断片は、α5β1インテグリンに実質的に排他的に結合し得る(例えば、他の公知ポリペプチドからα5β1インテグリンを区別することができる(例えば、測定できるほどの結合親和性の差のため))。いくつかの実施態様において、α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、ヒトα5β1インテグリン配列以外のα5β1インテグリン配列(例えば、カニクイザル(cynomolgous)α5β1インテグリン配列)と反応し得る。
【0059】
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、一般に、軽鎖又は重鎖のアミノ末端に位置し、重鎖では約120~130個のアミノ酸、軽鎖では約100~110個のアミノ酸の長さを有し、各特定の抗体のそれの特定の抗原に対する結合及び特異性に用いられる抗体の軽鎖又は重鎖の一部を意味する。重鎖の可変領域は、「VH」と呼ばれることもある。軽鎖の可変領域は、「VL」と呼ばれることもある。「可変」という用語は、可変領域のあるセグメントが、配列に関して抗体間で大幅に異なるという事実を意味する。V領域は、抗原結合性を媒介し、特定の抗体のそれの特定の抗原に対する特異性を規定する。しかしながら、可変性は、可変領域の約110個のアミノ酸範囲の全体にわたって均一に分布しているのではない。そうではなく、V領域は、「超可変領域」と呼ばれる、あるいは、「相補性決定領域」と呼ばれるより可変性の高い(例えば、非常に高い可変性の)より短い領域によって分離された、約15~30個のアミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれるより可変性の低い(例えば、比較的変化しない)区間からなる。重鎖及び軽鎖の可変領域のそれぞれは、4つのFR(FR1、FR2、FR3、及びFR4)を含み、これらは、大部分は、βシート構造をとっており、当該βシート構造を接続し、かつ、ある場合には、その一部を形成するループを形成する3つの超可変領域によって接続されている。各鎖における超可変領域は、FRによって別の鎖の超可変領域と一緒に近接して保持されて、抗体の抗原結合性部位の形成に寄与する(例えば、Kabatらの文献、「免疫学的対象であるタンパク質の配列(Sequences of proteins of Immunological Interest)」、第5版、Public Health Service、アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health)、Bethesda、MD、1991)を参照されたい)。定常領域は、抗体を抗原に結合させるのに直接的には関与しないが、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)及び補体依存性細胞傷害性(CDC)への抗体の参加などのさまざまなエフェクター機能を発揮する。可変領域は、異なる抗体間で配列が大幅に異なる。配列の可変性は、CDRに集中しており、可変領域におけるより可変性の低い部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。軽鎖及び重鎖のCDRは、主に、抗原との抗体の相互作用を担う。具体的な実施態様において、可変領域は、ヒト可変領域である。
【0060】
本明細書で使用される場合の「超可変領域」、「HVR」、「HV」、「相補性決定領域」、又は「CDR」という用語は、配列が超可変であり、かつ/又は構造的に明確化されたループを形成する抗体可変領域の領域を意味する。一般に、抗体は、6つの超可変領域;VHに3つ(H1、H2、H3)、及びVLに(L1、L2、L3)3つを含む。いくつかの超可変領域の記述が、用いられており、本明細書に包含される。Kabat CDRは、配列可変性に基づいており、最もよく使用される(例えば、Kabatらの文献、「免疫学的対象であるタンパク質の配列(Sequences of proteins of Immunological Interest)」、第5版、Public Health Service、アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health)、Bethesda、MD. (1991)を参照されたい)。Chothiaは、その代わりに、構造的ループの位置に言及している(例えば、Chothia及びLeskの文献、J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)を参照されたい)。Kabat付番規約(the Kabat numbering convention)を用いて番号をつけた場合、Chothia CDR-H1ループの末端は、ループの長さに応じてH32とH34との間で変化する。(これは、Kabat付番スキームが、H35A及びH35Bに挿入を入れるためである;35Aも35Bも存在しない場合、ループは、32で終わる;35Aのみが存在する場合、ループは、33で終わる;35A及び35Bの双方が、存在する場合、ループは、34で終わる)。AbM超可変領域は、KabatのCDRとChothiaの構造的ループとの折衷案となり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(例えば、Martinの文献、Antibody Engineering, Vol. 2, Chapter 3, Springer Verlagを参照されたい)で用いられる。「Contact」超可変領域は、利用可能な複雑な結晶構造(complex crystal structure)の解析に基づいている。これらの超可変領域又はCDRのそれぞれの残基を、以下に記載する。
【0061】
普遍的な付番システムImMunoGeneTics(IMGT) Information System(登録商標)(Lefrancらの文献、Dev. Comp. Immunol. 27(1):55-77 (2003))が、開発され広く用いられている。IMGTは、ヒト及び他の脊椎動物の免疫グロブリン(IG)、T細胞受容体(TR)、及び主要組織適合複合体(MHC)に特化した統合情報システムである。本明細書において、CDRは、アミノ酸配列及び軽鎖又は重鎖内での位置の双方の観点から言及される。免疫グロブリン可変ドメインの構造内でのCDRの「位置」は、種間で保存されておりループと呼ばれる構造内に存在している構造的な特徴に従い可変ドメイン配列を整列させる付番システムを用いることによって、CDR及びフレームワーク残基が、容易に識別される。この情報を、通常、ヒト抗体由来のアクセプターフレームワーク内へのある種の免疫グロブリン由来のCDR残基の移植及び置き換えに使用することができる。さらなる付番システム(AHon)が、Honegger及びPluckthunによって開発されている(Honegger及びPluckthunの文献、J. Mol. Biol. 309: 657-670 (2001)。付番システム間の、例えば、Kabat付番とIMGTユニーク付番システムとの間の対応は、当業者に周知であり(例えば、上記Kabatの文献;上記Chothia及びLeskの文献;上記Martinの文献;上記Lefrancらの文献を参照されたい)、以下にも例示される。本明細書で示されるExemplaryシステムは、Kabat及びChothiaを組み合わせている。
【表1】
【0062】
超可変領域は、以下:VLにおける24~36又は24~34(L1)、46~56又は50~56(L2)、及び89~97又は89~96(L3)、並びにVHにおける26~35又は26~35A(H1)、50~65又は49~65(H2)、及び93~102、94~102、又は95~102(H3)のように「延長された超可変領域」を含み得る。本明細書で使用される、「超可変領域」、「HVR」、「HV」、「相補性決定領域」、又は「CDR」という用語は、互換的に使用される。
【0063】
「ベクター」という用語は、例えば、核酸配列を宿主細胞内に導入するためなどの、核酸配列を運ぶ又は含めるのに用いられる物質を意味する。使用に適用可能なベクターとしては、例えば、発現ベクター、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソーム、及び人工染色体が挙げられ、これらは、宿主細胞の染色体内への安定な組込みのために動作可能な選択配列又はマーカーを含むことができる。さらに、ベクターは、1つ以上の選択マーカー遺伝子及び適切な発現制御配列を含むことができる。含めることができる選択マーカー遺伝子は、例えば、抗生物質又は毒素に対する抵抗性を提供し、栄養要求性欠陥(auxotrophic deficiencies)を補完し、又は培養培地に含まれていない重要な栄養素を供給する。発現制御配列は、当技術分野において周知の恒常的及び誘導性プロモーター、転写エンハンサー、転写ターミネーターなどを含むことができる。2種以上の核酸分子が、共発現されることとなる場合(例えば、抗体重鎖及び軽鎖又は抗体VH及びVLの双方)、双方の核酸分子を、例えば、単一の発現ベクター内に又は別々の発現ベクター内に挿入することができる。単一ベクター発現の場合、コード核酸を、1つの共通の発現制御配列に作動的に連結することができ、又は1つの誘導性プロモーター及び1つの恒常的プロモーターなどの異なる発現制御配列に連結することができる。核酸分子の宿主細胞内への導入は、当技術分野において周知の方法を用いて確認することができる。そのような方法としては、例えば、mRNAのノーザンブロット法もしくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅などの核酸分析、又は遺伝子産物の発現についての免疫ブロット法、又は導入された核酸配列もしくはその対応遺伝子産物の発現を試験する他の適当な分析方法が挙げられる。核酸分子が、所望の産物(例えば、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤)を産生するのに十分な量で発現されることが当業者により理解され、また、当技術分野において周知の方法を用いて、発現レベルを、最適化して十分な発現を得ることができることがさらに理解される。
【0064】
「α5β1インテグリン介在性疾患」及び「α5β1インテグリン介在性障害」及び「α5β1インテグリン介在性状態」は、互換的に使用され、α5β1インテグリン又はα5β1インテグリンのフィブロネクチンとの相互作用によって完全にもしくは部分的に引き起こされるか又は該相互作用の結果である任意の疾患、障害、又は状態、及び/又はあるいは、α5β1インテグリンのフィブロネクチンとの相互作用のインビボでの作用を阻害することが望ましい任意の疾患、障害、又は状態を意味する。α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態としては、がん、血管新生介在性疾患(例えば、異常な血管新生を伴う疾患)、及び炎症性疾患(例えば、神経炎症性疾患(MS及びALSなど))が挙げられる。いくつかの実施態様において、α5β1インテグリン介在性疾患には、α5β1インテグリンを発現又は過剰発現する腫瘍細胞を特徴とするか又はそれに関連するがんである疾患、障害、又は状態が含まれる。いくつかの実施態様において、α5β1インテグリン介在性疾患には、細胞(例えば、腫瘍細胞)の異常に増加した血管新生活性を特徴とするか又はそれに関連する疾患、障害、又は状態が含まれる。いくつかの実施態様において、α5β1インテグリン介在性疾患は、異常な血管新生に特異的に関連する疾患、障害、又は状態(例えば、糖尿病性網膜症又は年齢誘発性黄斑変性などの眼疾患)である。いくつかの実施態様において、α5β1インテグリン介在性疾患には、炎症性の免疫応答を特徴とするか又はそれに関連する炎症性疾患(例えば、多発性硬化症などの炎症性自己免疫疾患)である疾患、障害、又は状態が含まれる。いくつかの実施態様において、α5β1インテグリン介在性疾患には、神経変性を特徴とするか又はそれに関連する神経炎症性疾患(例えば、MS又はALS)である疾患、障害、又は状態が含まれる。
【0065】
「有効量」は、一般に、1つ以上の症状の重症度及び/もしくは頻度を減らす、1つ以上の症状及び/もしくは根底にある原因を無くす、1つ以上の症状及び/もしくはそれらの根底にある原因の発生を予防する、並びに/又は疾患、障害、もしくは状態に起因するもしくはそれと関連する損傷を改善するもしくは治療するのに十分な量である。いくつかの実施態様において、有効量は、治療有効量又は予防有効量である。
【0066】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、所与の疾患、障害、もしくは状態及び/もしくはそれに関連する症状の重症度及び/もしくは期間を減少させる並びに/又は改善するのに十分な薬剤(例えば、本明細書に記載される抗体又は本明細書に記載される任意の他の薬剤)の量を意味する。治療用薬剤などの薬剤の治療的有効量は、(i)所与の疾患、障害、又は状態の進行又は増悪の減少又は改善、(ii)所与の疾患、障害、又は状態の再発、発症(development)、又は発症(onset)の減少又は改善、並びに/又は(iii)別の療法(例えば、本明細書に記載される抗体などのα5β1インテグリン結合剤の投与以外の療法)の予防又は治療効果を向上させ又は強化することに必要な量とすることができる。本開示の物質/分子/薬剤(例えば、α5β1インテグリン抗体)の「治療有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重、並びに個体において所望の反応を誘発する物質/分子/薬剤の性能などの因子により変化し得る。治療有効量は、当該物質/分子/薬剤の有毒な又は有害な作用を、治療上有益な作用が上回る量を包含する。いくつかの実施態様において、「治療有効量」という用語は、対象又は哺乳動物において疾患、障害、又は状態「を治療する」のに有効な抗体又は他の薬剤(例えば、又は薬物)の量を意味する。
【0067】
「予防有効量」は、対象に投与された場合に、意図した予防効果を発揮する、例えば、疾患、障害、もしくは状態の発症(もしくは再発生)を予防もしくは遅延させる、又は疾患、障害、もしくは状態もしくは関連症状の発症(又は再発生)の可能性を減らす医薬組成物の量である。1回の用量の投与によって、完全な治療又は予防効果が、必ずしも生じるわけではなく、完全な治療又は予防効果が、一連の用量の投与の後にのみ生じることもある。従って、治療又は予防有効量は、1回以上の投与で投与され得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、「医薬として許容し得る」という用語は、動物、特に、ヒトにおける使用のために連邦政府もしくは州政府規制当局によって承認されていること、又は米国薬局方、欧州薬局方、もしくは他の一般的に認識される薬局方に収載されていることを意味する。
【0069】
本明細書で使用される場合、「担体」は、採用される投薬量及び濃度でそれらに曝露される細胞又は哺乳動物に対して無毒の担体、賦形剤、又は安定化剤を含む。多くの場合、担体は、pH緩衝水溶液である。担体の例としては、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸などの抗酸化剤;低分子量(例えば、約10アミノ酸残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンなどのモノサッカライド、ジサッカライド、及び他の糖質;EDTAなどのキレート化剤;マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;並びに/又はTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。「担体」という用語は、それと共に治療用物質が投与される、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全型又は不完全型)))、賦形剤、又はビヒクルを意味することもある。そのような担体は、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの石油、動物、植物、又は合成の起源のものを含む水及び油などの無菌の液体とすることができる。水は、組成物(例えば、医薬組成物)が、静脈内投与される場合の例示的な担体である。生理食塩水溶液並びに水性ブドウ糖及びグリセロール溶液を、液体担体として、特に、注射用溶液用に採用することもできる。好適な賦形剤(例えば、医薬賦形剤)としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、胡粉(chalk)、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。組成物は、望ましい場合、少量の湿潤もしくは乳化剤、又はpH緩衝剤も含有することができる。組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、持続放出製剤などの形態をとることができる。製剤などの経口組成物は、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な担体を含むことができる。好適な担体の例は、「Remingtonの薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、(1990) Mack Publishing Co., Easton、PAに記載されている。医薬化合物などの組成物は、例えば、単離又は精製された形態の予防的又は治療的有効量のα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を、対象(例えば、患者)への適切な投与のための形態を提供するために適当な量の担体と一緒に含有していてもよい。製剤は、投与様式にふさわしいものとするべきである。
【0070】
いくつかの実施態様において、本開示は、本明細書で治療用薬剤として使用することができるα5β1インテグリン結合剤を提供する。そのような薬剤としては、α5β1インテグリンに結合する抗体(例えば、単一特異性又は多重特異性(二重特異性を含む))が挙げられる。例示的な抗体としては、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、ヒト、二重特異性、及びヘテロコンジュゲート抗体、並びに増加もしくは低下した親和性又は他の性質を有するそれらのバリアントが挙げられる。
【0071】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、α5β1インテグリンポリペプチド、α5β1インテグリンポリペプチド断片、α5β1インテグリンペプチド、又はα5β1インテグリンエピトープなどのα5β1インテグリンに結合するα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)である。いくつかの実施態様において、α5β1インテグリン結合剤は、α5インテグリンポリペプチド、α5インテグリンポリペプチド断片、α5インテグリンペプチド、又はα5インテグリンエピトープなどのα5β1インテグリンに結合するヒト、ヒト化、又はキメラ抗体(例えば、ヒト定常領域を含む)である。いくつかの実施態様において、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、α5β1インテグリン発現腫瘍細胞などの哺乳動物(例えば、ヒト)細胞の表面に発現されたα5β1インテグリンに結合することができる。いくつかの実施態様において、α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、腫瘍細胞などの細胞上に露出されたα5β1インテグリン細胞外エピトープ(例えば、α5β1インテグリンエピトープ)に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、ヒトα5β1インテグリンなどのα5β1インテグリン又はその部分に結合するα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)である。いくつかの実施態様において、α5β1インテグリンは、ヒトα5β1インテグリンである。いくつかの実施態様において、α5β1インテグリン結合剤は、ヒトα5β1インテグリン結合剤(例えば、ヒトα5β1インテグリンに結合する抗体)である。ヒトα5インテグリン及びヒトβ1インテグリンの例示的なアミノ酸配列が、本明細書に記載される。
【0072】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、ヒトα5β1インテグリンなどのα5β1インテグリンに対する結合に関して、表1~表6に記載のVH領域、VL領域、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3のアミノ酸配列などの、本明細書に記載される抗体のうちのいずれか1つのVH領域、VL領域、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)と競合する。従って、いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、ヒトα5β1インテグリンなどのα5β1インテグリンに対する結合に関して、表1~表6に示されるような:(a)A-15B08と名付けられた抗体;(b)A2-3B06と名付けられた抗体;(c)A2-5D10と名付けられた抗体;(d)A2-7A05と名付けられた抗体;(e)A2-7F01と名付けられた抗体;又は(f)C-14D12と名付けられた抗体由来の1つ、2つ、及び/又は3つのVH CDR及び/又は1つ、2つ、及び/又は3つのVL CDRを含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)と競合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、ヒトα5β1インテグリンなどのα5β1インテグリンに対する結合に関して、表1~表6に示されるような:a)A-15B08と名付けられた抗体;(b)A2-3B06と名付けられた抗体;(c)A2-5D10と名付けられた抗体;(d)A2-7A05と名付けられた抗体;(e)A2-7F01と名付けられた抗体;又は(f)C-14D12と名付けられた抗体由来の1つ、2つ、及び/又は3つのVH CDR及び1つ、2つ、及び/又は3つのVL CDRを含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)と競合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、ヒトα5β1インテグリンなどのα5β1インテグリンに対する結合に関して、表1~表6に示されるような:a)A-15B08と名付けられた抗体;(b)A2-3B06と名付けられた抗体;(c)A2-5D10と名付けられた抗体、(d)A2-7A05と名付けられた抗体、(e)A2-7F01と名付けられた抗体、又は(f)C-14D12と名付けられた抗体由来のVH領域及びVL領域を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)と競合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、ヒトα5β1インテグリンなどのα5β1インテグリンに対する結合に関して:(a)配列番号:25のアミノ酸配列を含むVH領域もしくはそのヒト化バリアント及び配列番号:26のアミノ酸配列を含むVL領域もしくはそのヒト化バリアント;(b)配列番号:42のアミノ酸配列を含むVH領域もしくはそのヒト化バリアント及び配列番号:43のアミノ酸配列を含むVL領域もしくはそのヒト化バリアント;(c)配列番号:51のアミノ酸配列を含むVH領域もしくはそのヒト化バリアント及び配列番号:52のアミノ酸配列を含むVL領域もしくはそのヒト化バリアント;(d)配列番号:77のアミノ酸配列を含むVH領域もしくはそのヒト化バリアント及び配列番号:78のアミノ酸配列を含むVL領域もしくはそのヒト化バリアント;(e)配列番号:91のアミノ酸配列を含むVH領域もしくはそのヒト化バリアント及び配列番号:92のアミノ酸配列を含むVL領域もしくはそのヒト化バリアント、又は(f)配列番号:109のアミノ酸配列を含むVH領域もしくはそのヒト化バリアント及び配列番号:110のアミノ酸配列を含むVL領域もしくはそのヒト化バリアントを含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)と競合する。
【0073】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、表1~表6に記載のVH領域、VL領域、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3のアミノ酸配列などの、本明細書に記載される抗体のうちのいずれか1つのVH領域、VL領域、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。従って、いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は:(a)A-15B08と名付けられた抗体;(b)A2-3B06と名付けられた抗体;(c)A2-5D10と名付けられた抗体;(d)A2-7A05と名付けられた抗体;(e)A2-7F01と名付けられた抗体;又は(f)C-14D12と名付けられた抗体由来の表1~表6に示されるような1つ、2つ、及び/又は3つの重鎖CDR及び/又は1つ、2つ、及び/又は3つの軽鎖CDRを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は:(a)A-15B08と名付けられた抗体;(b)A2-3B06と名付けられた抗体;(c)A2-5D10と名付けられた抗体;(d)A2-7A05と名付けられた抗体;(e)A2-7F01と名付けられた抗体;又は(f)C-14D12と名付けられた抗体由来の表1~表6に示されるような1つ、2つ、及び/又は3つの重鎖CDR及び1つ、2つ、及び/又は3つの軽鎖CDRを含む。
【0074】
いくつかの実施態様において、α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、本明細書に記載される結合剤(例えば、表1、表2、表3、表4、表5、表6を参照されたい)のうちのいずれか1つのVH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3を含むVH領域並びにVL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含むVL領域を含む。従って、いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、表1から1つ、2つ、及び/もしくは3つの重鎖CDR(例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3)、並びに/又は1つ、2つ、及び/もしくは3つの軽鎖CDR(例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3)を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤は、表2から1つ、2つ、及び/もしくは3つの重鎖CDR(例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3)、並びに/又は1つ、2つ、及び/もしくは3つの軽鎖CDR(例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3)を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、表3から1つ、2つ、及び/もしくは3つの重鎖CDR(例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3)、並びに/又は1つ、2つ、及び/もしくは3つの軽鎖CDR(例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3)を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤は、表4から1つ、2つ、及び/もしくは3つの重鎖CDR(例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3)、並びに/又は1つ、2つ、及び/もしくは3つの軽鎖CDR(例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3)を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤は、表5から1つ、2つ、及び/もしくは3つの重鎖CDR(例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3)、並びに/又は1つ、2つ、及び/もしくは3つの軽鎖CDR(例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3)を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤は、表6から1つ、2つ、及び/もしくは3つの重鎖CDR(例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3)、並びに/又は1つ、2つ、及び/もしくは3つの軽鎖CDR(例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3)を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、多重特異性(例えば、二重特異性)であり、かつ表1、表2、表3、表4、表5、又は表6から1つ、2つ、及び/もしくは3つの重鎖CDR(例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3)、並びに/又は1つ、2つ、及び/もしくは3つの軽鎖CDR(例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3)を含む第1の結合ドメイン、並びにα5β1インテグリンではない第2の標的抗原(例えば、αvβ3インテグリン、α4β1インテグリン、α4β7インテグリン、TREM2、TNFα、IL-6、IL-1β、CSF1、CSF-1R、C1Q、CD40L、FGFR、IL-12、及びタイプIインターフェロン)に結合する結合剤由来の1つ、2つ、及び/もしくは3つの重鎖CDR(例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3)、並びに/又は1つ、2つ、及び/もしくは3つの軽鎖CDR(例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3)を含む第2の結合ドメインを含む。
【0075】
A-15B08と名付けられた抗体は、表1に示されるようなKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるCDR配列を含み、いくつかの実施態様において、配列番号:25であるVH配列又はそのヒト化バリアント及び配列番号:26であるVL配列又はそのヒト化バリアントを含むことができる。
【0076】
A2-3B06と名付けられた抗体は、表2に示されるようなKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるCDR配列を含み、いくつかの実施態様において、配列番号:42であるVH配列又はそのヒト化バリアント及び配列番号:43であるVL配列又はそのヒト化バリアントを含むことができる。
【0077】
A2-5D10と名付けられた抗体は、表3に示されるようなKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるCDR配列を含み、いくつかの実施態様において、配列番号:51であるVH配列又はそのヒト化バリアント及び配列番号:52であるVL配列又はそのヒト化バリアントを含むことができる。
【0078】
A2-7A05と名付けられた抗体は、表4に示されるようなKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるCDR配列を含み、いくつかの実施態様において、配列番号:77であるVH配列又はそのヒト化バリアント及び配列番号:78であるVL配列又はそのヒト化バリアントを含むことができる。
【0079】
A2-7F01と名付けられた抗体は、表5に示されるようなKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるCDR配列を含み、いくつかの実施態様において、配列番号:91であるVH配列又はそのヒト化バリアント及び配列番号:92であるVL配列又はそのヒト化バリアントを含むことができる。
【0080】
C-14D12と名付けられた抗体は、表6に示されるようなKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるCDR配列を含み、いくつかの実施態様において、配列番号:109であるVH配列又はそのヒト化バリアント及び配列番号:110であるVL配列又はそのヒト化バリアントを含むことができる。
(表1: 抗体A-15B08)
【表2】
VH CDR2におけるNSTは、あるいは、NSA又はX1SX2であり、ここで、X1は、N、Q、S、又はAでありかつ/又はX2は、A又はTである。
(表2: 抗体A2-3B06)
【表3】
(表3: 抗体A2-5D10)
【表4】
VH CDR2におけるNSTは、あるいは、NSA又はX1SX2であり、ここで、X1は、N、Q、S、又はAでありかつ/又はX2は、A又はTである。VL CDR1におけるCは、あるいは、S、A、又はVである。
(表4: 抗体A2-7A05)
【表5】
(表5: 抗体A2-7F01)
【表6】
(表6: 抗体C-14D12)
【表7】
【0081】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、VH領域又はVHドメインを含む。別の実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、VL領域又はVLドメインを含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、(i)VHドメインもしくはVH領域;及び/又は(ii)VLドメインもしくはVL領域の組合せを有する。
【0082】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、(i)表1~表6のうちのいずれか1つに記載されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるCDRを含むVHドメイン;及び(ii)1つ以上の重鎖定常ドメイン(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3)の組合せを有する重鎖を含む。例示的なIgG重鎖は、本明細書に記載される任意のVHドメイン、並びに以下:
【化9】
のCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3アミノ酸配列を含む。別の例示的なIgG重鎖は、本明細書に記載されるCDRを有する任意のVHドメイン、並びに以下:
【化10】
のCH1、ヒンジ、CH2、及びCH3アミノ酸配列を含む。例示的なFc配列を、図3に示す。
【0083】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、(i)表1~表6のうちのいずれか1つに記載されるCDRを含むVLドメイン;及び(ii)軽鎖定常ドメイン(CL)の組合せを有する軽鎖を含む。例示的な軽鎖(例えば、IgG重鎖との対形成のためのもの)は、本明細書に記載されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるCDRを有する任意のVLドメイン、及び以下:
【化11】
のCLアミノ酸配列を含む。
【0084】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、(a)(i)表1~表6のうちのいずれか1つに記載されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるCDRを有するVHドメイン、及び(ii)1つ以上の重鎖定常ドメイン(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3)の組合せを有する重鎖;並びに(b)(i)表1~表6のうちのいずれか1つに記載されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるCDRを有するVLドメイン、及び(ii)軽鎖定常ドメイン(CL)の組合せを有する軽鎖を含む。
【0085】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1で特定される1つ以上のCDR(6つのCDRなど)、例えば、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表2で特定される1つ以上(6つを含む)のCDR、例えば、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表3で特定される1つ以上(6つを含む)のCDR、例えば、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表4で特定される1つ以上(6つを含む)のCDR、例えば、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表5で特定される1つ以上(6つを含む)のCDR、例えば、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表6で特定される1つ以上(6つを含む)のCDR、例えば、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1、2、3、4、5、及び/又は6で特定される1つ以上(6つを含む)のCDR、例えば、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0086】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVH CDRを含む)、例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。別の実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのCDRを含む)、例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。さらに別の実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVH CDRを含む)、例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3、並びに表1に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVL CDRを含む)、例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0087】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表2に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVH CDRを含む)、例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。別の実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表2に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのCDRを含む)、例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。さらに別の実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表2に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVH CDRを含む)、例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3、並びに表2に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVL CDRを含む)、例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0088】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表3に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVH CDRを含む)、例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。別の実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表3に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのCDRを含む)、例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。さらに別の実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表3に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVH CDRを含む)、例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3、並びに表3に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVL CDRを含む)、例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0089】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表4に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVH CDRを含む)、例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。別の実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表4に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのCDRを含む)、例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。さらに別の実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表4に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVH CDRを含む)、例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3、並びに表4に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVL CDRを含む)、例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0090】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表5に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVH CDRを含む)、例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。別の実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表5に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのCDRを含む)、例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。さらに別の実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表5に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVH CDRを含む)、例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3、並びに表5に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVL CDRを含む)、例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0091】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表6に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVH CDRを含む)、例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3を含む。別の実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表6に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのCDRを含む)、例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。さらに別の実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表6に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVH CDRを含む)、例えば、VH CDR1、VH CDR2、及び/又はVH CDR3、並びに表6に列挙されるKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる1つ以上のCDR(3つのVL CDRを含む)、例えば、VL CDR1、VL CDR2、及び/又はVL CDR3を含む。
【0092】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号:1~24、27~41、44~50、53~76、79~90、及び93~108からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号:1~24、27~41、44~50、53~76、79~90、及び93~108からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む2つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号:1~24、27~41、44~50、53~76、79~90、及び93~108からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む3つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号:1~24、27~41、44~50、53~76、79~90、及び93~108からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む4つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号:1~24、27~41、44~50、53~76、79~90、及び93~108からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む5つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号:1~24、27~41、44~50、53~76、79~90、及び93~108からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む6つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。
【0093】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1~表6に列挙される1つ以上の(例えば、1、2、又は3つの)VH CDRを含む。別の実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1~表6に列挙される1つ以上の(例えば、1、2、又は3つの) VL CDRを含む。さらに別の実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1~表6に列挙される1つ以上の(例えば、1、2、又は3つの)VH CDR、及び表1~表6に列挙される1つ以上のVL CDRを含む。従って、いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号:1、7、12、13、18、27、31、34、35、38、53、59、64、65、70、93、97、100、101、及び105のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVH CDR1を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号:2、8、14、19、24、28、54、60、66、71、76、79、82、84、87、及び90のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号:3、9、15、20、29、32、36、39、55、61、67、72、80、83、85、88、94、98、102、及び106のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1~表6に記載されるアミノ酸配列のうちのいずれか1つに記載されるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3から独立に選択されるVH CDR1及び/又はVH CDR2及び/又はVH CDR3を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号:4、10、16、21、30、33、37、40、44、46、47、49、56、62、68、73、95、99、103、及び107のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。別の実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号:5、11、22、41、57、63、及び74のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、配列番号:6、17、23、45、48、50、58、69、75、81、86、89、96、104、及び108のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、表1~表6に記載のアミノ酸配列のうちのいずれか1つに記載されるVL CDR1、VL CDR2、VL CDR3から独立に選択されるVL CDR1及び/又はVL CDR2及び/又はVL CDR3を含む。
【0094】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は:(1)以下:(i)配列番号:1、27、53、又は93、(ii)配列番号:7、31、59、又は97、(iii)配列番号:12、34、64、又は100、(iv)配列番号:13、35、65、又は101、及び(v)配列番号:18、38、70、又は105からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)以下:(i)配列番号:2、28、54、又は79、(ii)配列番号:8、60、又は82、(iii)配列番号:14、66、又は84、(iv)配列番号:19、71、又は87、及び(v)配列番号:24、76;又は90からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2、及び(3)以下:(i)配列番号:3、29、55、80、又は94、(ii)配列番号:9、32、61、83、又は98、(iii)配列番号:15、36、67、85、又は102、及び(iv)配列番号:20、39、72、88、又は106からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに/又は:(1)以下:(i)配列番号:4、30、44、56、又は95、(ii)配列番号:10、33、46、62、又は99、(iii)配列番号:16、37、47、68、又は103、及び(iv)配列番号:21、40、49、73、又は107からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)以下:(i)配列番号:5又は57、(ii)配列番号:11又は63、及び(iii)配列番号:22、41、又は74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)以下:(i)配列番号:6、45、58、81、又は96、(ii)配列番号:17、48、69、86、又は104、及び(iii)配列番号:23、50、75、89、又は108からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む。
【0095】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は:(1)以下:(i)配列番号:1、27、53、又は93、(ii)配列番号:7、31、59、又は97、(iii)配列番号:12、34、64、又は100、(iv)配列番号:13、35、65、又は101、及び(v)配列番号:18、38、70、又は105からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)以下:(i)配列番号:2、28、54、又は79、(ii)配列番号:8、60、又は82、(iii)配列番号:14、66、又は84、(iv)配列番号:19、71、又は87、及び(v)配列番号:24、76;又は90からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2、並びに(3)以下:(i)配列番号:3、29、55、80、又は94、(ii)配列番号:9、32、61、83、又は98、(iii)配列番号:15、36、67、85、又は102、及び(iv)配列番号:20、39、72、88、又は106からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域を含む。
【0096】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は:(1)以下:(i)配列番号:4、30、44、56、又は95、(ii)配列番号:10、33、46、62、又は99、(iii)配列番号:16、37、47、68、又は103、及び(iv)配列番号:21、40、49、73、又は107からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)以下:(i)配列番号:5又は57、(ii)配列番号:11又は63、及び(iii)配列番号:22、41、又は74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに(3)以下:(i)配列番号:6、45、58、81、又は96、(ii)配列番号:17、48、69、86、又は104、及び(iii)配列番号:23、50、75、89、又は108からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む。
【0097】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、α5β1インテグリンに結合する抗体又はその断片であって:(a):(1)以下:(i)配列番号:1、27、53、又は93、(ii)配列番号:7、31、59、又は97、(iii)配列番号:12、34、64、又は100、(iv)配列番号:13、35、65、又は101、及び(v)配列番号:18、38、70、又は105からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)以下:(i)配列番号:2、28、54、又は79、(ii)配列番号:8、60、又は82、(iii)配列番号:14、66、又は84、(iv)配列番号:19、71、又は87、及び(v)配列番号:24、76;又は90からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2、及び(3)以下:(i)配列番号:3、29、55、80、又は94、(ii)配列番号:9、32、61、83、又は98、(iii)配列番号:15、36、67、85、又は102、及び(iv)配列番号:20、39、72、88、又は106からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに/又は: (1)以下:(i)配列番号:4、30、44、56、又は95、(ii)配列番号:10、33、46、62、又は99、(iii)配列番号:16、37、47、68、又は103、及び(iv)配列番号:21、40、49、73、又は107からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)以下:(i)配列番号:5、又は57、(ii)配列番号:11、又は63、及び(iii)配列番号:22、41、又は74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)以下:(i)配列番号:6、45、58、81、又は96、(ii)配列番号:17、48、69、86、又は104、及び(iii)配列番号:23、50、75、89、又は108からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む、前記抗体又はその断片である。
【0098】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、α5β1インテグリンに結合する抗体又はその断片であって:(1)以下:(i)配列番号:1、27、53、又は93、(ii)配列番号:7、31、59、又は97、(iii)配列番号:12、34、64、又は100、(iv)配列番号:13、35、65、又は101、及び(v)配列番号:18、38、70、又は105からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)以下:(i)配列番号:2、28、54、又は79、(ii)配列番号:8、60、又は82、(iii)配列番号:14、66、又は84、(iv)配列番号:19、71、又は87、及び(v)配列番号:24、76;又は90からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2、並びに(3)以下:(i)配列番号:3、29、55、80、又は94、(ii)配列番号:9、32、61、83、又は98、(iii)配列番号:15、36、67、85、又は102、及び(iv)配列番号:20、39、72、88、又は106からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域を含む前記抗体又はその断片である。
【0099】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、α5β1インテグリンに結合する抗体又はその断片であって:(1)以下:(i)配列番号:4、30、44、56、又は95、(ii)配列番号:10、33、46、62、又は99、(iii)配列番号:16、37、47、68、又は103、及び(iv)配列番号:21、40、49、73、又は107からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)以下:(i)配列番号:5、又は57、(ii)配列番号:11、又は63、及び(iii)配列番号:22、41、又は74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに(3)以下:(i)配列番号:6、45、58、81、又は96、(ii)配列番号:17、48、69、86、又は104、及び(iii)配列番号:23、50、75、89、又は108からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む、前記抗体又はその断片である。
【0100】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(i)配列番号:25であるVH配列又はそのヒト化バリアント及び配列番号:26であるVL配列又はそのヒト化バリアントを含むA-15B08と名付けられた抗体;(ii)配列番号:42であるVH配列又はそのヒト化バリアント及び配列番号:43であるVL配列又はそのヒト化バリアントを含むA2-3B06と名付けられた抗体;(iii)配列番号:51であるVH配列又はそのヒト化バリアント及び配列番号:52であるVL配列又はそのヒト化バリアントを含むA2-5D10と名付けられた抗体;(iv)配列番号:77であるVH配列又はそのヒト化バリアント及び配列番号:78であるVL配列又はそのヒト化バリアントを含むA2-7A05と名付けられた抗体;(v)配列番号:91であるVH配列又はそのヒト化バリアント及び配列番号:92であるVL配列又はそのヒト化バリアントを含むA2-7F01と名付けられた抗体;又は(vi)配列番号:109であるVH配列又はそのヒト化バリアント及び配列番号:110であるVL配列又はそのヒト化バリアントを含むC-14D12と名付けられた抗体由来の3つの重鎖相補性決定領域(CDR)全て及び/又は3つの軽鎖CDR全てを含む、α5β1インテグリンに結合する抗体又はその断片である。いくつかの実施態様において、抗体又はその断片は、A-15B08と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び/又は3つの軽鎖CDR全て(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)を含む。いくつかの実施態様において、抗体又はその断片は、A2-3B06と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び/又は3つの軽鎖CDR全て(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)を含む。いくつかの実施態様において、抗体又はその断片は、A2-5D10と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び/又は3つの軽鎖CDR全て(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)を含む。いくつかの実施態様において、抗体又はその断片は、A2-7A05と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び/又は3つの軽鎖CDR全て(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)を含む。いくつかの実施態様において、抗体又はその断片は、A2-7F01と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び/又は3つの軽鎖CDR全て(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)を含む。いくつかの実施態様において、抗体又はその断片は、C-14D12と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び/又は3つの軽鎖CDR全て(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)を含む。いくつかの実施態様において、抗体又はその断片は、前記結合に関して:(i)A-15B08と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び/もしくは3つの軽鎖CDR全て(例えば、表1を参照されたい)、(ii)A2-3B06と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び/もしくは3つの軽鎖CDR全て(例えば、表2を参照されたい)、(iii)A2-5D10と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び/もしくは3つの軽鎖CDR全て(例えば、表3を参照されたい)、又は(iv)C-14D12と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び/もしくは3つの軽鎖CDR全て(例えば、表6を参照されたい)を含む抗体又はその断片と競合する。いくつかの実施態様において、抗体又はその断片は、前記結合に関して:(i)A2-7A05と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び/もしくは3つの軽鎖CDR全て(例えば、表4を参照されたい)、又は(ii)A2-7F01と名付けられた抗体(例えば、表5を参照されたい)由来の3つの重鎖CDR全て及び/もしくは3つの軽鎖CDR全てを含む抗体又はその断片と競合する。
【0101】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、α5β1インテグリンに結合する抗体又はその断片であって、該抗体が:(a)表1~表6に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域;並びに/又は(b)表1~表6に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域を含む、前記抗体又はその断片である。いくつかの実施態様において、抗体は、表1~表6に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域を含む。いくつかの実施態様において、抗体は、表1~表6に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域を含む。
【0102】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:1、7、12、13、及び18からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:2、8、14、19、及び24からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:3、9、15、及び20からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:4、10、16、及び21からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5、11、及び22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:6、17、及び23からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0103】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:3のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0104】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:7のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:9のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:10のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0105】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:12のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:3のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0106】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:13のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:14のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:15のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:16のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:17のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0107】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:18のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:19のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:20のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:21のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:22のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:23のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0108】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:24のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:3のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0109】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:27、31、34、35、及び38からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:8、14、19、24、及び28からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:29、32、36、及び39からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:30、33、37、及び40からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5、11、及び41からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び(3)配列番号:6、17、及び23からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0110】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:27のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:28のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:29のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:30のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0111】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:31のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:32のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:33のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0112】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:34のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:28のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:29のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:30のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0113】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:35のアミノ酸配列を有するVH CDR1、(2)配列番号:14のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:36のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:37のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:17のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0114】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:38のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:19のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:39のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:40のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:41のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:23のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0115】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:27のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:24のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:29のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:30のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0116】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:1、7、12、13、及び18からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:2、8、14、19、及び24からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:3、9、15、及び20からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:44、46、47、及び49からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5、11、及び22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:45、48、及び50からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0117】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:3のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:44のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:45のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0118】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:7のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:9のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:46のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:45のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0119】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:12のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:3のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:44のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:45のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0120】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:13のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:14のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:15のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:47のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:48のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0121】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:18のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:19のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:20のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:49のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:22のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:50のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0122】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:24のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:3のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:44のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:45のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0123】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:53、59、64、65、及び70からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:54、60、66、71、及び76からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:55、61、67、及び72からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:56、62、68、及び73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:57、63、及び74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び(3)配列番号:58、69、及び75からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0124】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:53のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:54のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:55のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:56のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:58のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0125】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:59のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:60のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:61のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:62のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:63のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:58のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0126】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:64のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:54のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:55のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:56のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:58のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0127】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:65のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:66のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:67のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:68のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:63のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:69のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0128】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:70のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:71のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:72のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:73のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:74のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:75のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0129】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:53のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:76のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:55のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:56のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:58のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0130】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:53、59、64、65、及び70からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:79、82、84、87、及び90からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:80、83、85、及び88からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:56、62、68、及び73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:57、63、及び74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び(3)配列番号:81、86、及び89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0131】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:53のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:79のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:80のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:56のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:81のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0132】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:59のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:82のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:83のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:62のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:63のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:81のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0133】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:64のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:79のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:80のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:56のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:81のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0134】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:65のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:84のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:85のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:68のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:63のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:86のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0135】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:70のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:87のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:88のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:73のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:74のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:89のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0136】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:53のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:90のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:80のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:56のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:81のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0137】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:93、97、100、101、及び105からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:8、14、19、24、及び28からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:94、98、102、及び106からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:95、99、103、及び107からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5、11、及び22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び(3)配列番号:96、104、及び108からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0138】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:93のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:28のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:94のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:95のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:96のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0139】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:97のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:98のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:99のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:96のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0140】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a)重鎖 、を含む抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:100のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:28のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:94のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:95のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:96のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0141】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:101のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:14のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:102のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:103のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:104のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0142】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:105のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:19のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:106のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:107のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:22のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:108のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0143】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは:(a):(1)配列番号:93のアミノ酸配列を有するVH CDR1;(2)配列番号:24のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)配列番号:94のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに(b):(1)配列番号:95のアミノ酸配列を有するVL CDR1;(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び(3)配列番号:96のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域を含む抗体である。
【0144】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、ヒトフレームワーク配列をさらに含む、本明細書に記載されるVH領域及び/又はVL領域を含む抗体である。いくつかの実施態様において、VH領域及び/又はVL領域は、フレームワーク1(FR1)、フレームワーク2(FR2)、フレームワーク3(FR3)、及び/又はフレームワーク4(FR4)配列をさらに含む。
【0145】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施態様において、前記モノクローナル抗体は、ヒト化、ヒト、又はキメラ抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、(scFv)2、単鎖抗体分子、二重可変領域抗体、単一可変領域抗体、線状抗体(linear antibody)、V領域、又は抗体断片から形成された多重特異性抗体である。
【0146】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示されるCDRは、関連する抗体の群(例えば、表1~表6を参照されたい)に由来するコンセンサス配列を含む。本明細書に記載される場合、「コンセンサス配列」は、いくつかの配列の間で共通の保存アミノ酸及び所与のアミノ酸配列内で相違する可変アミノ酸(variable amino acid)を有するアミノ酸配列を意味する。提供される例示的なCDRコンセンサス配列は、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2及び/又はCDRL3に対応するCDRを含む。α5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)のCDRの例示的なコンセンサス配列を、図2A及び図2Bに示す。いくつかの実施態様において、本明細書で開示されるCDRは、関連する抗体の群(例えば、例えば、表1、2、3、及び6の第1の例示的な群並びに表4及び5の第2の例示的な群など、表1~表6を参照されたい)に由来する例示的なコンセンサス配列を含む。α5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)のCDRの例示的なコンセンサス配列を、図2A及び図2Bに示す。従って、いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、(a):(1)アミノ酸配列
【化12】
(ここで、X1は、天然に存在するアミノ酸(例えば、S、T、又はD)である)を有するVH CDR1;(2)
【化13】
(ここで、X1及び/又はX2のそれぞれ(又はいずれか)は独立に、天然に存在するアミノ酸である(例えば、X1は、N、Q、S、又はAでありかつ/又はX2は、A又はTである))のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)
【化14】
(ここで、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9、及び/又はX10のそれぞれ(又はいずれか)は独立に、天然に存在するアミノ酸である(例えば、X1は、Y、G、又はAであり、X2は、D、G、又はPであり、X3は、Y、L、又はSであり、X4は、D、L、又はFであり、X5は、G、R、又はIであり、X6は、D又はRであり、X7は、W、D、又はYであり、X8は、F、A、又はGであり、X9は、不存在、M、又はSであり、かつ/又はX10は、D又はAである))のアミノ酸を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに/又は(b):(1)アミノ酸配列
【化15】
(ここで、X1、X2、X3、X4、及び/又はX5のそれぞれ(又はいずれか)は独立に、天然に存在するアミノ酸である(例えば、X1は、R又はSであり、X2は、S又はTであり、X3は、N、R、又はSであり、X4は、S、F、C、A、又はVであり、かつ/又はX5は、L又はFである))を有するVL CDR1;(2)アミノ酸配列
【化16】
を有するVL CDR2;及び(3)アミノ酸配列
【化17】
(ここで、X1は、天然に存在するアミノ酸(例えば、L、Y、又はH)である)を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域、を含む。従って、いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、二重特異性抗体などの抗体)は、(a):(1)アミノ酸配列
【化18】
を有するVH CDR1;(2)
【化19】
(ここで、X1、X2、X3、及び/又はX4のそれぞれ(又はいずれか)は、天然に存在するアミノ酸であり(例えば、X1は、K又はNであり、X2は、I又はSであり、X3は、D又はNであり、及び/又はX4は、S又はTである))のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び(3)
【化20】
(ここで、X1は、天然に存在するアミノ酸である(例えば、X1は、不存在、L、又はFである))のアミノ酸を有するVH CDR3を含む重鎖可変(VH)領域;並びに/又は(b):(1)アミノ酸配列
【化21】
を有するVL CDR1;(2)アミノ酸配列
【化22】
を有するVL CDR2;及び(3)アミノ酸配列
【化23】
(ここで、X1及び/又はX2のそれぞれ(又はいずれか)は、天然に存在するアミノ酸である(例えば、X1は、F又はLでありかつ/又はX2は、T又はGである))を有するVL CDR3を含む軽鎖可変(VL)領域、を含む。
【0147】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される抗体のうちのいずれか1つの抗体又はその断片と本質的に同じエピトープに結合する結合剤(例えば、抗体)である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、ヒトα5β1インテグリンに対する結合に関して、本明細書に記載されるいずれか1つの抗体又はその断片と競合する結合剤(例えば、抗体)である。いくつかの実施態様において、結合剤は、抗体又はその断片である。
【0148】
ある態様において、ヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)のCDRは、Kabatのシステム(Kabatらの文献、(1971) Ann. NY Acad. Sci. 190:382-391、及びKabatらの文献、(1991)「免疫学的対象であるタンパク質の配列(Sequences of proteins of Immunological Interest)」、第5版、米国保健福祉省(U.S. Department of Health and Human Services), NIH Publication No. 91-3242.)により決定することができる。
【0149】
ある態様において、ヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)のCDRは、Chothiaのシステムにより決定することができ、これを、本明細書では「Chothia CDR」と称するものとする(例えば、Chothia及びLeskの文献、1987, J. Mol. Biol., 196:901-917; Al-Lazikaniらの文献、1997、J. Mol. Biol., 273:927-948; Chothiaらの文献、1992, J. Mol. Biol., 227:799-817; Tramontano Aらの文献、1990, J. Mol. Biol. 215(1):175-82;及び米国特許第7,709,226号を参照されたい)。
【0150】
ある態様において、ヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)のCDRは、例えば、Lefranc、M.-Pの文献、1999、The Immunologist, 7:132-136 及びLefranc、M.-P.らの文献、1999、Nucleic Acids Res., 27:209-212に記載されているようにImMunoGeneTics(IMGT)のシステムにより決定することができ、これを、本明細書では、「IMGT CDR」と称するものとする。
【0151】
ある態様において、ヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)のCDRは、例えば、MacCallumらの文献、1996、J. Mol. Biol., 262:732-745に記載されているようにAbMのシステムにより決定することができ、これを、本明細書では、「AbM CDR」と称するものとする。また、例えば、Kontermann及びDubel編集の文献、「抗体工学(Antibody Engineering)」、Springer-Verlag, Berlin (2001)の第31章、422頁~439頁のMartin, Aの文献「抗体可変ドメインのタンパク質配列及び構造解析(Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains)」も参照されたい。
【0152】
ある態様において、ヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)のCDRは、Contactのシステムにより決定することができ、これを、本明細書では、「Contact CDR」と称するものとする(例えば、MacCallum RMらの文献、1996、J Mol Biol 5: 732-745を参照されたい)。Contact CDRは、利用可能な複雑な結晶構造の解析に基づくものである。
【0153】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)のVH(例えば、CDR1、CDR2、もしくはCDR3)及び/又はVL(例えば、CDR1、CDR2、もしくはCDR3)領域に沿った1つ以上のCDRの位置(例えば、表1~表6のKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるCDRを参照されたい)は、α5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)への結合が、維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%)限りは、1、2、3、4、5、又は6つのアミノ酸位置だけ変化してもよい(例えば、1以上のアミノ酸改変)。例えば、いくつかの実施態様において、表1、2、3、4、5、又は6のいずれかのCDRを定義する位置(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)は、α5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)への結合が、維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%)限りは、現行のCDR位置と比較して当該CDRのN-末端及び/又はC-末端の境界を1、2、3、4、5、又は6アミノ酸だけ移動させることによって変化することがある。別の実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)のVH(例えば、CDR1、CDR2、もしくはCDR3)及び/又はVL(例えば、CDR1、CDR2、もしくはCDR3)領域に沿った1つ以上のCDRの長さ(例えば、表1~表6のKabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるCDRを参照されたい)は、α5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)への結合が、維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%)限りは、1、2、3、4、5つ、又はそれを超えるアミノ酸だけ変化してもよい(例えば、より短い又は長くなってもよい)。例えば、いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるVH及び/又はVLのCDR1、CDR2、及び/又はCDR3は、α5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)への結合が、維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%)限りは、配列番号:1~24、27~41、44~50、53~76、79~90、及び93~108で記述されるCDR(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)のうちの1つ以上よりも1、2、3、4、5つ又はそれを超えるアミノ酸の分だけ短くてもよい。別の実施態様において、本明細書に記載されるVH及び/又はVLのCDR1、CDR2、及び/又はCDR3は、α5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)への結合が、維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%)限りは、配列番号:1~24、27~41、44~50、53~76、79~90、及び93~108で記述されるCDR(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)のうちの1つ以上よりも1、2、3、4、5つ又はそれを超えるアミノ酸の分だけ長くてもよい。別の実施態様において、本明細書に記載されるVH及び/又はVLのCDR1、CDR2、及び/又はCDR3のアミノ末端は、α5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)への結合が、維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%)限りは、配列番号:1~24、27~41、44~50、53~76、79~90、及び93~108で記述されるCDR(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)のうちの1つ以上と比較して1、2、3、4、5つ又はそれを超えるアミノ酸の分だけ延長されていてもよい。別の実施態様において、本明細書に記載されるVH及び/又はVLのCDR1、CDR2、及び/又はCDR3のカルボキシ末端は、α5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)への結合が、維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%)限りは、配列番号:1~24、27~41、44~50、53~76、79~90、及び93~108で記述されるCDR(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)のうちの1つ以上と比較して1、2、3、4、5つ又はそれを超えるアミノ酸の分だけ延長されていてもよい。別の実施態様において、本明細書に記載されるVH及び/又はVLのCDR1、CDR2、及び/又はCDR3のアミノ末端は、α5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)への結合が、維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%)限りは、配列番号:1~24、27~41、44~50、53~76、79~90、及び93~108で記述されるCDR(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)のうちの1つ以上と比較して1、2、3、4、5つ又はそれを超えるアミノ酸の分だけ短縮されていてもよい。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるVH及び/又はVLのCDR1、CDR2、及び/又はCDR3のカルボキシ末端は、α5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)への結合が、維持される(例えば、実質的に維持される、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%)限りは、配列番号:1~24、27~41、44~50、53~76、79~90、及び93~108で記述されるCDR(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)のうちの1つ以上と比較して1、2、3、4、5つ又はそれを超えるアミノ酸の分だけ短縮されていてもよい。当技術分野において公知の任意の方法、例えば、本明細書に記載される「実施例」セクションに記載される結合アッセイ及び条件を使用して、α5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)への結合が維持されているか否かを確認することができる。例えば、本明細書に記載される実施例2では、α5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)への結合を測定するためのアッセイが記載される。
【0154】
別の実施態様において、本明細書で提示される、α5β1インテグリンに結合するヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、保存的な配列改変(例えば、上述のような1つ以上のCDRにおける1つ以上のアミノ酸の改変)を含む。ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)であるポリペプチドに関して、保存的な配列改変は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基と置き換えられるものを含む保存的アミノ酸置換を含む。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、本技術分野において明示されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β-分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、並びに芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を含む。従って、いくつかの実施態様において、α5β1インテグリン結合剤における重要ではないと予測されるアミノ酸残基が、同じ側鎖ファミリーの別のアミノ酸残基と置き換えられる。抗原結合性を失わせないヌクレオチド及びアミノ酸の保存的置換を識別する方法は、当技術分野において周知である(例えば、Brummellらの文献、Biochem. 32:1180-1187 (1993); Kobayashiらの文献、Protein Eng. 12(10):879-884 (1999);及びBurksらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:412-417 (1997)を参照されたい)。いくつかの実施態様において、ヌクレオチド及びアミノ酸の配列改変は、表1、表2、表3、表4、表5、又は表6に記載されるCDRに対する多くとも1、2、3、4、5、又は6個のアミノ酸置換を意味する。従って、例えば、そのようなCDRのそれぞれは、最大で5つの保存的アミノ酸置換、例えば、最大で4つ(以下)の保存的アミノ酸置換、例えば、最大で3つ(以下)の保存的アミノ酸置換、例えば、最大で2つ(以下)の保存的アミノ酸置換、又はわずか1つの保存的アミノ酸置換を含有していてもよい。
【0155】
本開示は、本明細書に記載される抗体(例えば、表1、表3を参照されたい)のバリアントを提供する。以下の実施例8に記載されるA-15B08-T62Aと名付けられた抗体は、そのような例示的な抗体バリアントである。A-15B08-T62Aは、抗体A-15B08のCDRH2における位置62のスレオニン残基を、アラニンで置き換えて、想定されるN-グリコシル化部位を除去することによって作製された。A-15B08-T62Aのさまざまな付番スキームによるVH、VL、及びCDR配列を、図2C及び図2Dに示す。より詳細には、A-15B08-T62Aと名付けられた抗体は、配列番号:135のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:26のアミノ酸配列を含むVLを含む。Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTによるA-15B08-T62Aの6つのCDR配列を、図2C及び図2Dに示す。
【0156】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:135のアミノ酸配列を含むVHに記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:26のアミノ酸配列を含むVLに記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:135のアミノ酸配列を含むVHに記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;並びに配列番号:26のアミノ酸配列を含むVLに記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLを含む。いくつかの実施態様において、CDRは、Kabat付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、AbM付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Chothia付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Contact付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、IMGTによるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTから選択される2つ以上の付番スキームの組合せによるものである。
【0157】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される抗体又はその断片は、配列番号:135に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:26に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVLを含み、かつ該抗体又はその断片のα5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)に対する結合が、維持されている(例えば、実質的に維持されている、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%)。
【0158】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される抗体又はその断片は、配列番号:135のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:26のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0159】
望ましい場合、ヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、細胞傷害活性(例えば、化学療法部位もしくは放射性同位元素)又は免疫動員活性などのエフェクター機能を有する部位に(直接的に又は間接的に)連結又はコンジュゲートされ、抗体・薬物コンジュゲート(ADC)を形成する。(直接的に又は間接的に)連結又はコンジュゲートされる部位は、細胞傷害性又は非細胞傷害性の薬物を含む。それに代えて、又はそれに加えて、ヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、任意に、混合物からの単離を容易にする部位(例えば、タグ)又はレポーター活性を有する部位(例えば、検出標識又はレポーター)に(直接的に又は間接的に)連結又はコンジュゲートされる。本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)の特徴が、α5β1インテグリン結合剤断片を含むポリペプチドにも適用されることが認識されるであろう。
【0160】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、治療用薬剤(例えば、細胞傷害剤)に又は診断用もしくは検出可能薬剤(例えば、標識化抗体などの標識化薬剤)に(直接的に又は間接的に)コンジュゲートされ又は組換によって連結される。コンジュゲートされた又は組換によって連結された抗体は、例えば、がん(例えば、α5β1インテグリンを発現又は過剰発現する腫瘍細胞に関連する又はそれを特徴とするがん)、血管新生介在性疾患(例えば、異常な血管新生に関連する又はそれを特徴とする疾患)、並びに炎症性疾患(例えば、MS及びALSなどの神経炎症性疾患)などの、α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、及び状態を診断、治療、及び/又は予防するのに有用となり得る。
【0161】
そのような診断及び/又は検出(診断用薬剤及び/又は検出可能薬剤によるものなど)は、例えば、α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を、例えば:酵素(これらに限定されないが、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、又はアセチルコリンエステラーゼなど);補欠分子族(これらに限定されないが、ストレプトアビジン/ビオチン又はアビジン/ビオチンなど);蛍光物質(これらに限定されないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、又はフィコエリトリンなど);発光物質(これらに限定されないが、ルミノールなど);生物発光物質(これらに限定されないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、又はエクオリンなど);化学発光物質(これらに限定されないが、アクリジニウムベースの化合物又はHALOTAGなど);放射性物質(これらに限定されないが、ヨウ素(131I、125I、123I、及び121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In、113In、112In、及び111In)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga及び67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、又は117Snなど);さまざまな陽電子放出断層撮影を用いる陽電子放出金属;並びに非放射性常磁性金属イオンなどの検出可能な物質(例えば、標識化抗体などの標識化薬剤)にカップリングさせることによって達成し得る。
【0162】
α5β1インテグリンに特異的に結合する標識化剤(例えば、標識化抗体)を、α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態を検出、診断、又はモニタリングする診断上の目的のために使用することができる。本明細書に記載されるのは:(a)本明細書に記載されるような、α5β1インテグリンに特異的に結合する1種以上のα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を用いて対象の細胞又は組織試料におけるα5β1インテグリンの発現をアッセイすること;及び(b)α5β1インテグリンのレベルを、対照レベル(例えば、α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態を有しない患者由来のもの又は疾患発症前の同じ患者由来のものなどの正常組織試料におけるレベル)と比較することであって、それによって、α5β1インテグリンの対照レベルと比較してα5β1インテグリンのアッセイされたレベルが増加していれば、α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態であることが示される、前記比較すること、を含むα5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態の検出のための方法である。また、本明細書に記載されるのは:(a)本明細書に記載されるような、α5β1インテグリンに特異的に結合する1種以上のα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を用いて、個体の細胞又は組織試料におけるα5β1インテグリンのレベルについてアッセイを行うこと;及び(b)α5β1インテグリンのレベルを対照レベル(例えば、正常組織試料におけるレベル)と比較することであって、それによって、α5β1インテグリンの対照レベルと比較してアッセイされたα5β1インテグリンレベルが増加していれば、α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態であることが示される、前記比較することを含む、α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態を診断するための診断アッセイである。ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、対象においてα5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態を治療する方法であって:(a)本明細書に記載されるような、α5β1インテグリンに特異的に結合する1種以上のα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を用いて該対象の細胞又は組織試料におけるα5β1インテグリンのレベルについてアッセイを行うこと;及び(b)α5β1インテグリンのレベルを対照レベル(例えば、正常組織試料におけるレベル)と比較することであって、それによって、α5β1インテグリンの対照レベルと比較してアッセイされたα5β1インテグリンレベルが増加していれば、α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態であることが示される、前記比較することを含む、前記方法である。いくつかの実施態様において、前記方法は、(c)有効量の本明細書のα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を、前記α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態を有するものと確認された対象に投与することをさらに含む。α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態のより確定的な診断は、医療専門家が、予防的処置又は積極的な治療をより早く採用することを可能とし、それによって、α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態の発症又はさらなる進行を予防し得る。
【0163】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、キットの中の構成要素である。いくつかの実施態様において、キットは、適当な包装材料内にパッケージングされたα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)又は当該α5β1インテグリン結合剤(例えば、当該抗体)を含む組成物(例えば、医薬組成物)を含む。キットは、任意に、構成要素の説明又はそれに入っている構成要素のインビトロ、インビボ、又はエクスビボでの使用のための説明書を含むラベル又は添付文書を含む。
【0164】
また、本明細書に記載されるのは、融合タンパク質が生じるように異種タンパク質又はポリペプチド(もしくはそれらの断片)に、例えば、ポリペプチド(例えば、約10、約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90、又は約100アミノ酸のもの)に組換えで連結又はコンジュゲート(共有結合的又は非共有結合的コンジュゲーション、直接又は間接的に)されているα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)、並びにその使用である。特に、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)の抗原結合性断片(例えば、VH及び/又はVLのCDR1、CDR2、及び/又はCDR3を含む)、及び異種タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを含む融合タンパク質である。いくつかの実施態様において、α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)が連結される前記異種タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドは、当該α5β1インテグリン結合剤を特定の細胞(例えば、腫瘍細胞などのα5β1インテグリン発現細胞)へと標的化するのに有用である。
【0165】
さらに、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を、ペプチドなどのマーカー又は「タグ」配列に(直接的に又は間接的に)連結して、精製を容易にすることができる。いくつかの実施態様において、マーカー又はタグのアミノ酸配列は、特に、pQEベクターに提供されるタグ(例えば、QIAGEN社を参照されたい)などのヘキサ-ヒスチジンペプチドであり、その多くは、商業的に入手可能である。例えば、Gentzらの文献、1989、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-24に記載されているように、ヘキサ-ヒスチジンは、融合タンパク質の簡便な精製を可能にする。精製に有用な他のペプチドタグとしては、ヘマグルチニン(「HA」)タグ、これは、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質由来のエピトープに対応する(Wilsonらの文献、1984, Cell 37:767-78)、及び「FLAG」タグが挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
部位(ポリペプチド)を抗体に(直接的に又は間接的に)連結又はコンジュゲーションさせるための方法は、当技術分野において周知であり、そのうちのいずれか1つを使用して、本明細書に記載される抗体・薬物コンジュゲート又は融合タンパク質を作製することができる。
【0167】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、融合タンパク質である。本明細書で使用される「融合タンパク質」という用語は、結合剤(例えば、抗体)のアミノ酸配列及び異種ポリペプチド又はタンパク質(例えば、通常は当該抗体の一部ではないポリペプチド又はタンパク質(例えば、非α5β1インテグリン結合抗体))のアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。いくつかの実施態様において、融合タンパク質は、α5β1インテグリン結合剤の生物活性を維持している。いくつかの実施態様において、融合タンパク質は、α5β1インテグリン抗体のVH領域、VL領域、VH CDR(1つ、2つ、又は3つのVH CDR)、及び/又はVL CDR(1つ、2つ、又は3つのVL CDR)を含み、ここで、該融合タンパク質は、α5β1インテグリンエピトープ、α5β1インテグリン断片、及び/又はα5β1インテグリンポリペプチドに結合している。
【0168】
融合タンパク質は、例えば、遺伝子シャフリング、モチーフシャフリング、エクソンシャフリング、及び/又はコドンシャフリング(まとめて、「DNAシャフリング」と呼ばれる)の技術によって作製され得る。DNAシャフリングは、例えば、より高い親和性及びより低い解離速度を有するα5β1インテグリン結合剤をはじめとする、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)の活性を変化させるのに採用され得る。いくつかの実施態様において、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤は、それに対して組換えの前にエラープローンPCRによるランダムな変異誘発、ランダムなヌクレオチド挿入、又は他の方法を行うことによって改変され得る。本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤をコードするポリヌクレオチドを、1種以上の異種の分子の1つ以上の成分、モチーフ、セクション、部分、ドメイン、断片などと組み換えてもよい。
【0169】
また、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を、固体の担体に取り付けてもよく、これは、標的抗原のイムノアッセイ又は精製に有用である。そのような固体の担体としては、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、又はポリプロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
ヒトα5β1インテグリン結合剤などの本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を、第2の抗体に(直接的に又は間接的に)連結又はコンジュゲートさせて、抗体ヘテロコンジュゲートを形成させることもできる。
【0171】
リンカーは、細胞内での連結又はコンジュゲートされている薬剤の放出を容易にする「切断可能な部位」であり得るが、切断不可能なリンカーも、本明細書において想定される。
本開示のコンジュゲート(例えば、抗体・薬物コンジュゲート)における使用のためのリンカーとしては、限定するものではないが、酸に不安定なリンカー(例えば、ヒドラゾンリンカー)、ジスルフィド含有リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー(例えば、シトルリン-バリン又はフェニルアラニン-リジンなどの、アミノ酸、例えば、バリン及び/又はシトルリンを含むペプチドリンカー)、感光性リンカー、ジメチルリンカー、チオエーテルリンカー、又は多剤輸送体介在耐性を回避するように設計された親水性リンカーが挙げられる。
【0172】
薬剤が、ADCの調製ための薬物であるの場合を含む抗体及び薬剤のコンジュゲートは、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、スルホ-SMPB、及びSVSB(サクシニミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)などの種々の二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製され得る。さらに、本開示は、薬剤が、ADCの調製ための薬物であるの場合を含む抗体及び薬剤のコンジュゲートが、本技術分野において開示されている任意の適当な方法(例えば、Hermansonら編集の文献、「バイオコンジュゲート技術(Bioconjugate Techniques)」、第2版、2008)を参照されたい)を用いて調製し得ることを予期している。
【0173】
薬剤が、ADCの調製ための薬物であるの場合を含む抗体及び薬剤のための従来のコンジュゲーション方針は、不均質のコンジュゲートをもたらすLys残基のε-アミノ基又はCys残基のチオール基が関与するランダムなコンジュゲーション化学に基づくものである。最近開発された技術は、抗体への部位特異的コンジュゲーションを可能とし、均質な担持をもたらし、変化した抗原結合性又は薬物動態を有するコンジュゲートの亜集団を回避する。これらは、反応性チオール基を提供し、かつ免疫グロブリンのフォールディング及び組み立てを妨害せず、抗原を変化させない重鎖及び軽鎖上の位置でのシステイン置換を含む「チオマブ(thiomab)」のエンジニアリングを含む。別の方法において、終止コドンUGAを終止からセレノシステイン挿入へと再コード化することによって、セレノシステインが、抗体配列内に同時翻訳的に挿入され、他の天然アミノ酸の存在下でのセレノシステインの求核的なセレノール基での部位特異的な共有結合性コンジュゲーションを可能とする。
【0174】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、細胞傷害剤にコンジュゲートされる。いくつかの実施態様において、ADCを作製するために、本明細書で開示されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を、本明細書で開示される又は当技術分野において公知の1種以上の細胞傷害剤と任意にコンジュゲートさせることができる。いくつかの実施態様において、細胞傷害剤は、これらに限定されないが、メトトレキサート、アドリアマイシン、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン、又は他のインターカレート剤などの化学療法剤である。いくつかの実施態様において、細胞傷害剤は、これらに限定されないが、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシシン(modeccin)A鎖、α-サルシン(sarcin)、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、ツルレイシ(Momordica charantia)阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン、サボンソウ(Sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセン類(tricothecenes)など、細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素的に活性な毒素、又はそれらの断片である。いくつかの実施態様において、細胞傷害剤は、放射性同位元素であり、放射性コンジュゲート又は放射性コンジュゲートした薬剤を生じる。これらに限定されないが、90Y、125I、131I、123I、111In、131In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ho、177Lu、186Re、188Re、及び212Biなどの種々の放射性核種が、放射性コンジュゲートした薬剤の製造に利用可能である。ポリペプチド又は分子とカリチアマイシン、マイタンシノイド類、トリコテン(trichothene)、及びCC1065、並びに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体などの1種以上の小分子毒素とのコンジュゲートも使用することができる。ポリペプチド又は分子と細胞傷害剤とのコンジュゲートは、N-サクシニミジル-3-(2-ピリジジチオール(pyridyidithiol))プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(アジプイミド酸ジメチルHCLなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタレルデヒド(glutareldehyde)など)、ビスアジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビスジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン 2,6-ジイソシアネートなど)、並びにビス活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)などの種々の二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製される。
【0175】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、シグナル伝達モジュレーター、アポトーシス促進剤、有糸分裂阻害剤、抗腫瘍抗生物質、免疫調節剤、遺伝子療法用の核酸、アルキル化剤、抗血管新生剤、代謝拮抗薬、含ホウ素剤、化学保護剤(chemoprotective agent)、ホルモン剤、抗ホルモン剤、コルチコステロイド、光活性治療剤(photoactive therapeutic agent)、オリゴヌクレオチド、放射性核種剤、放射線増感剤、トポイソメラーゼ阻害剤、及びチロシンキナーゼ阻害剤などの薬物にコンジュゲートされる。いくつかの実施態様において、有糸分裂阻害剤は、ドラスタチン、アウリスタチン、マイタンシノイド、及び植物アルカロイドである。いくつかの実施態様において、薬物は、ドラスタチン、アウリスタチン、マイタンシノイド、及び植物アルカロイドである。アウリスタチンの例は、モノメチルアウリサチンF (monomethylaurisatin F)(MMAF)又はモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。マイタンシノイド類の例としては、DM1、DM2、DM3、及びDM4が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、抗腫瘍抗生物質は、アクチノマイシン、アントラサイクリン、カリチアマイシン、及びデュオカルマイシンからなる群から選択される。いくつかの実施態様において、アクチノマイシンは、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)である。
【0176】
本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、単一特異性、二重特異性、三重特異性、又はより高い多重特異性のものであり得る。そのような薬剤は、抗体を含み得る。二重特異性抗体などの多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる標的(例えば、α5β1インテグリン及びαvインテグリン)又は同じ標的上の2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である(例えば、α5β1インテグリンの第1のエピトープに対する第1の結合ドメイン及びα5β1インテグリンの第2のエピトープに対する第2の結合ドメインを有する、α5β1インテグリンを対象とする二重特異性抗体)。いくつかの実施態様において、多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、本明細書に記載される抗体の配列、例えば、表1、表2、表3、表4、表5、及び/又は表6のCDR配列に基づいて構築することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される多重特異性抗体は、二重特異性抗体である。いくつかの実施態様において、二重特異性抗体は、マウス、キメラ、ヒト、又はヒト化抗体である。いくつかの実施態様において、多重特異性抗体の結合特異性の一方は、α5β1インテグリンに対するものであり、他方は、任意の他の標的(例えば、αvβ3インテグリン)に対するものである。いくつかの実施態様において、多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、異なる結合ドメインが、別々の標的に対して特異的である(例えば、α5β1インテグリンに結合する第1の結合ドメイン及び別の標的(例えば、αvβ3インテグリン)に結合する第2の結合ドメイン)2つ以上の標的(例えば、抗原)結合ドメインを含むことができる。いくつかの実施態様において、多重特異性(例えば、二重特異性)抗体分子は、同一の標的(例えば、α5β1インテグリン)上の1を超える(例えば、2つ以上の)エピトープに結合することができる。
【0177】
2本の重鎖が異なる特異性を有する2組の免疫グロブリン重鎖軽鎖ペアの共発現によるものなどの、多重特異性抗体を作製するための方法は、当技術分野において公知である(例えば、Milstein及びCuelloの文献、1983, Nature 305:537-40を参照されたい)。多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)の作製のさらなる詳細については、例えば、Kontermann編集の文献「二重特異性抗体(Bispecific Antibodies)」(2011)を参照されたい。
【0178】
多重特異性抗体の例示的な構造は、当技術分野において公知であり、Weidleらの文献、2013, Cancer Genomics & Proteomics 10: 1-18; Brinkmanらの文献、2017, MABS, 9:2, 182-212;Godarらの文献、2018, Expert Opinion on Therapeutic Patents, 28:3, 251-276;及びSpiessらの文献、2015, Mol. Immunol. 67 95-106でさらに説明されている。
【0179】
例えば、二重特異性抗体分子は、異なる構造群:(i)二重特異性免疫グロブリンG(BsIgG); (ii)追加の抗原結合部位が付加されたIgG;(iii)二重特異性抗体断片;(iv)二重特異性融合タンパク質;及び(v)二重特異性抗体コンジュゲートに分類することができる。非限定的な例として、BsIgGフォーマットは、crossMab、DAF(ツー・イン・ワン(two-in-one))、DAF(フォー・イン・ワン(four-in-one))、DutaMab、DT-IgG、ノブインホール(knobs-in-holes)共通LC(common LC)、ノブインホールアセンブリー、電荷対(charge pair)、Fabアーム交換、SEEDbody、トリオマブ(triomab)、LUZ-Y、Fcab、κλ-ボディ、直交Fab(orthogonal Fab)を含むことができる。
【0180】
いくつかの実施態様において、BslgGは、ヘテロ二量体化するよう操作された重鎖を含む。例えば、重鎖を、「ノブイントゥーホール(knobs-into-holes)」、SEEDプラットフォーム、共通重鎖(例えば、κλ-ボディにおいて)戦略を用い、かつヘテロ二量体Fc領域の使用によってヘテロ二量体化するよう操作することができる。ノブイントゥーホール、デュオボディ(duobody)、アジメトリック(azymetric)、電荷対、HA-TF、SEEDbody、及び差異のあるタンパク質A親和性などのBsIgGにおけるホモ二量体の重鎖対形成を回避する戦略が、当技術分野において公知である。
【0181】
別の二重特異性抗体フォーマットは、追加の抗原結合部位が付加されたIgGである。例えば、例えば、重鎖又は軽鎖いずれかのN又はC末端において単一特異性IgG上に追加の抗原結合ユニットを付加することによって、当該単一特異性IgGを、二重特異性を有するように操作することができる。例示的な追加の抗原結合ユニットとしては、単一ドメイン抗体(例えば、可変重鎖又は可変軽鎖)、操作されたタンパク質スキャフォールド、及び対をなす抗体可変ドメイン(例えば、単鎖可変断片又は可変断片)が挙げられる。付加されたIgGフォーマットの非限定的な例としては、二重可変ドメインIgG(DVD-Ig)、IgG(H)-scFv、scFv-(H)IgG、IgG(L)-scFv、scFv-(L)IgG、IgG(L,H)-Fv、IgG(H)-V、V(H)-IgG、IgG(L)-V、V(L)-IgG、KIH IgG-scFab、2scFv-IgG、IgG-2scFv、scFv4-Ig、ザイボディ(zybody)、及びDVI-IgG(フォー・イン・ワン)が挙げられる。Spiessらの文献、Mol. Immunol. 67(2015):95-106を参照されたい。いくつかの実施態様において、例示的な抗体フォーマットは、例えば、国際特許出願公開公報第WO2018/075692号及び米国特許出願公開公報第2018/0118811号に記載されているような、単一特異性又は多重特異性(例えば、二重特異性抗体)のためのBボディフォーマットである。
【0182】
二重特異性抗体断片(BsAb)は、抗体定常ドメインの一部又は全てを欠く二重特異性抗体分子のフォーマットである。例えば、一部のBsAbは、Fc領域を欠く。いくつかの実施態様において、二重特異性抗体断片は、単一の宿主細胞内でのBsAbの効率的な発現を可能とするペプチドリンカーによって接続された重鎖及び軽鎖領域を含む。二重特異性抗体断片の非限定的な例としては、ナノボディ、ナノボディ-HAS、BiTE、ダイアボディ、DART、TandAb、scダイアボディ、scダイアボディ-CH3、ダイアボディ-CH3、トリプルボディ、ミニ抗体(miniantibody)、ミニボディ(minibody)、TriBiミニボディ、scFv-CH3 KIH、Fab-scFv、scFv-CH-CL-scFv、F(ab’)2、F(ab’)2-scFv2、scFv-KIH、Fab-scFv-Fc、四価HCAb、scダイアボディ-Fc、ダイアボディ-Fc、タンデムscFv-Fc、及びイントラボディが挙げられるが、これらに限定されない。
【0183】
二重特異性融合タンパク質は、別のタンパク質に連結された抗体断片を含む。例えば、二重特異性融合タンパク質を、別のタンパク質に連結して、追加の特異性及び/又は機能性を付加することができる。いくつかの実施態様において、ドック・アンド・ロック(DNL)法を使用して、より高い価数を有する二重特異性抗体分子を作製することができる。例えば、アルブミン結合タンパク質又はヒト血清アルブミンに対する二重特異性抗体融合体は、抗体断片の血清半減期を延長することができる。いくつかの実施態様において、化学的コンジュゲーション、例えば、抗体及び/又は抗体断片の化学的コンジュゲーションを使用して、BsAb分子を作製することができる。例示的な二重特異性抗体コンジュゲートとしては、低分子量の薬物が、各Fabアーム又は抗体もしくはその断片において単一の反応性リジンに部位特異的にコンジュゲートしたCovXボディフォーマットが挙げられる。いくつかの実施態様において、コンジュゲーションは、血清半減期を向上させる。
【0184】
多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)の製造の方法は、当技術分野において公知である。例えば、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)は、異なる宿主細胞における成分抗体の別々の発現及びそれに続く精製/組み立てによって、又は単一の宿主細胞における成分抗体の発現によって製造することができる。多重特異性(例えば、二重特異性)抗体分子の精製は、アフィニティークロマトグラフィーなどの当技術分野において公知のさまざまな方法で行うことができる。
【0185】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を、本明細書で開示される又は当技術分野において公知のいずれかの抗体フォーマットで提供することができる。非限定的な例として、いくつかの実施態様において、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、Fabs・イン・タンデム-lg(Fabs-in-tandem-lg)(FIT-lg); DVD-lg;ハイブリッドハイブリドーマ(クアドローマ又はテトラドーマ(tetradoma));アンチカリンプラットフォーム(Pieris);ダイアボディ;単鎖ダイアボディ;タンデム単鎖Fv断片;TandAb、三重特異性Ab(Affimed);Darts二重親和性再標的化(Macrogenics);二重特異性Xmab(Xencor);二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE;Amgen;55kDa);トリプルボディ;トリボディ=Fab-scFv融合タンパク質多機能性組換え抗体誘導体(CreativeBiolabs);Duobodyプラットフォーム(Genmab);ドック・アンド・ロックプラットフォーム;ノブイントゥーホール(KIH)プラットフォーム;ヒト化二重特異性IgG抗体(REGN1979)(Regeneron);Mab2二重特異性抗体(F-Star);DVD-lg=二重可変ドメイン免疫グロブリン(AbbVie);カッパ-ラムダボディ;TBTI=四価二重特異性タンデムIg;及びCrossMab(Roche)から選択することができる。
【0186】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示される多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、α5β1インテグリン結合ドメイン及びα5β1インテグリンではない1つ以上の標的(例えば、αvインテグリン)に結合する1つ以上の追加の結合ドメインを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で開示される多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、表1のVH及び/又はVLアミノ酸配列のCDR(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)を含むα5β1インテグリン結合ドメインを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で開示される多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、表2のVH及び/又はVLアミノ酸配列のCDR(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)を含むα5β1インテグリン結合ドメインを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で開示される多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、表3のVH及び/又はVLアミノ酸配列のCDR(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)を含むα5β1インテグリン結合ドメインを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で開示される多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、表4のVH及び/又はVLアミノ酸配列のCDR(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)を含むα5β1インテグリン結合ドメインを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で開示される多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、表5のVH及び/又はVLアミノ酸配列のCDR(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)を含むα5β1インテグリン結合ドメインを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で開示される多重特異性(例えば、二重特異性)抗体は、表6のVH及び/又はVLアミノ酸配列のCDR(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)を含むα5β1インテグリン結合ドメインを含む。
【0187】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、表1に記載されるVH及びVL CDR(例えば、Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)を含むα5β1インテグリンに結合する結合ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、表2に記載されるVH及びVL CDR(例えば、Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)を含むα5β1インテグリンに結合する結合ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、表3に記載されるVH及びVL CDR(例えば、Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)を含むα5β1インテグリンに結合する結合ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、表4に記載されるVH及びVL CDR(例えば、Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)を含むα5β1インテグリンに結合する結合ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、表5に記載されるVH及びVL CDR(例えば、Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)を含むα5β1インテグリンに結合する結合ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗体である。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、表6に記載されるVH及びVL CDR(例えば、Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによるVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3)を含むα5β1インテグリンに結合する結合ドメインを含む多重特異性(例えば、二重特異性)抗体である。
【0188】
α5β1インテグリンに結合する抗体は、α5β1インテグリンを含む腫瘍細胞全体での免疫化及び抗体の回収、組換え技術、又はα5β1インテグリン細胞外ドメインエピトープを用いて抗体又は抗体断片のライブラリーをスクリーニングすることなど(但し、これらに限定されない)の任意の適当な方法によって入手し得る。モノクローナル抗体は、種々の公知技術を用いて作製され得る(例えば、Coliganらの編集の文献、Current Protocols in Immunology, 1:2.5.12.6.7 (John Wiley & Sons 1991); Kennett、McKearn、及びBechtol編集の文献、「モノクローナル抗体、ハイブリドーマ:生物学的分析の新しい次元(Monoclonal Antibodies, Hybridomas: A New Dimension in Biological Analyses)」、Plenum Press, (1980); Harlow及びLane編集の文献「抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual))」、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1988);及びGloverらの編集の文献「DNAクローニング2:発現系(DNA Cloning 2: Expression Systems)」第2版(Oxford University Press 1995)の93頁のPicksleyらの文献「大腸菌(E. coli)で発現されるタンパク質に対するモノクローナル抗体の製造(Production of monoclonal antibodies against proteins expressed in E. coli)」)を参照されたい。例えば、モノクローナル抗体を作製するための例示的な技術は、動物をヒトα5β1インテグリン抗原で免疫化すること、及び当該動物から採取した脾臓細胞からハイブリドーマを作製することを含む。ハイブリドーマは、α5β1インテグリンに結合するモノクローナル抗体又は抗体断片を産生し得る。
【0189】
いくつかの実施態様において、モノクローナル抗体又は抗体断片を、本明細書に記載されるものなどの抗体ファージライブラリーから単離することができる。いくつかの実施態様において、抗体ファージライブラリーは、例えば、P.M. O’Brien及びR. Aitken編集の文献、「抗体ファージディスプレイ:方法及びプロトコール(Antibody Phage Display: Methods and Protocols)」、 Humana Press, Totawa N.J., 2002に記載される技術を用いて作製することができる。いくつかの実施態様において、ファージライブラリーをスクリーニングすることによって、抗体クローンを選択することができる。ファージライブラリーは、ファージコートタンパク質に融合された抗体可変領域(Fv)のさまざまな断片(例えば、Fab、scFv)を提示するファージを含有することができる。そのようなファージライブラリーが、所望の抗原に対する抗体に関してスクリーニングされる。所望の抗原に結合することができるFv断片(例えば、Fab、scFv)を発現しているクローンが、抗原に吸着され、従って、ライブラリー内の非結合クローンから分離される。次いで、結合クローンが、抗原から溶出され、追加の抗原吸着/溶出サイクルによってさらに濃縮することができる。
【0190】
例えば、Winterらの文献、Ann. Rev. Immunol., 12: 433-455 (1994)に記載されているように、可変ドメインを、VH及びVLが、短い可撓性のペプチドを介して共有結合によって連結されている単鎖Fv(scFv)断片として、又はそれらが、それぞれ、定常ドメインに融合され、非共有結合的に相互作用するFab断片としてのいずれかでファージ上に機能的に提示させることができる。
【0191】
例えば、上記Winterらの文献に記載されるように、VH及びVL遺伝子のレパートリーを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別々にクローニングして、ファージライブラリーにおいて無作為に組み換えることができ、次いで、これを、抗原結合性クローンを求めて検索することができる。免疫化された起源由来のライブラリーは、ハイブリドーマを構築することを必要とせずに免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、例えば、Griffithsらの文献、EMBO J、12: 725-734 (1993)によって記載されるように、ナイーヴなレパートリーを、クローニングして、免疫化をなんら行うことなく広範な非自己抗原及び同じく自己抗原に対するヒト抗体の単一の供給源を提供することができる。最後に、例えば、Hoogenboom及びWinterの文献、J. Mol. Biol., 227: 381-388 (1992)によって記載されるように、ナイーヴライブラリーを、幹細胞由来の再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングすることによって、及び高度に可変のCDR3領域をコードしかつインビトロでの再配列を達成するランダムな配列を含有するPCRプライマーを用いて合成的に作製することもできる。
【0192】
ライブラリーのスクリーニングは、当技術分野において公知のさまざまな技術により達成することができる。例えば、α5β1インテグリン(例えば、α5β1インテグリンポリペプチド、断片、又はエピトープ)を、吸着プレートのウェルを覆うのに用いること、吸着プレートに固定された又は細胞選別に用いられる宿主細胞上に発現させること、又はストレプトアビジン被覆ビーズでの捕獲のためにビオチンにコンジュゲートさせること、又はディスプレーライブラリーをパニングするための任意の他の方法に用いることができる。Bassらの文献、Proteins, 8: 309-314 (1990)及びWO92/09690に記載されているような長い洗浄及び一価のファージディスプレイ並びにMarksらの文献、Biotechnol., 10: 779-783 (1992)に記載されているような抗原の低い被覆密度の使用により、遅い解離動態(例えば、良好な結合親和性)を有する抗体の選択を、促進することができる。
【0193】
α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、対象となるファージクローンを選択する適当な抗原スクリーニング手順を設計すること、及びそれに続く対象となるファージクローン由来のVH及び/もしくはVL配列(例えば、Fv配列)、又はVH及びVL配列由来のさまざまなCDR配列、並びにKabatらの文献、「免疫学的対象であるタンパク質の配列(Sequences of proteins of Immunological Interest)」、第5版、NIH Publication 91-3242、Bethesda MD (1991)、vols. 1-3に記載される適当な定常領域(例えば、Fc)配列を用いる完全長α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)クローンの構築によって得ることができる。
【0194】
同様に、α5β1インテグリンに結合するヒト抗体は、これらに限定されないが、ヒト末梢血細胞(例えば、Bリンパ球を含有)のエプスタイン・バーウイルス(EBV)形質転換、ヒトB細胞のインビトロ免疫化、挿入されたヒト免疫グロブリン遺伝子を有する免疫化されたトランスジェニックマウス由来の脾臓細胞の融合、ヒト免疫グロブリンV領域ファージライブラリーからの単離、又は当技術分野において公知でありかつ本明細書における開示に基づく他の手順などのいくつかの技術のうちのいずれかで作製され得る。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法は、例えば、Bruggemannらの文献、Curr. Opin. Biotechnol., 8: 455 58, 1997; Jakobovitsらの文献、Ann. N. Y. Acad. Sci., 764: 525 35. 1995; Greenらの文献、Nature Genet., 7: 13-21, 1994; Lonbergらの文献、Nature, 368: 856-859, 1994; Taylorらの文献、Int. Immun. 6: 579-591, 1994;及び米国特許第5,877,397号にさらに記載されている。
【0195】
例えば、α5β1インテグリンに結合するヒト抗体を、抗原曝露(antigenic challenge)に応答して特定のヒト抗体を産生するように操作されているトランスジェニック動物から得ることができる。例えば、国際特許公報第WO98/24893号は、内在性重鎖及び軽鎖遺伝子座の不活性化のために機能的内在性免疫グロブリンを産生しない、ヒトIg遺伝子座を有するトランスジェニック動物を開示している。免疫原に対する免疫応答を開始することができるトランスジェニック非霊長類哺乳動物宿主も記載されており、ここで、抗体は、霊長類の定常域及び/又は可変領域を有し、かつ遺伝子座をコードする内在性の免疫グロブリンは、置換又は不活化されている。例えば、国際特許公報第WO96/30498号は、哺乳動物の免疫グロブリン遺伝子座を改変する、例えば、定常又は可変領域の全て又は一部を置き換えて、修飾抗体分子を形成させるCre/Loxシステムの使用を開示している。例えば、国際特許公報第WO94/02602号は、不活化内在性Ig遺伝子座及び機能的ヒトIg遺伝子座を有する非ヒト哺乳動物宿主を開示している。例えば、米国特許第5,939,598号は、内在性重鎖を欠き、かつ1つ以上の異種定常領域を含む外来性免疫グロブリン遺伝子座を発現するトランスジェニックマウスを作製する方法を開示している。本明細書に記載されるトランスジェニック動物などのトランスジェニック動物を用いて、免疫応答を、選択された抗原性分子に対して生じさせることができ、抗体産生細胞を、該動物から取り出して、ヒト由来モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを製造するのに用いることができる。免疫化プロトコール、アジュバントなどは、当技術分野において公知であり、例えば、国際特許公報第WO96/33735号に記載されるような、例えば、トランスジェニックマウスの免疫化において用いられる。モノクローナル抗体を、対応するタンパク質の生物活性又は生理学的な作用を阻害又は中和する能力に関して試験することができる。
【0196】
本開示は、ヒトα5β1インテグリンなどのα5β1インテグリンに結合するヒト化抗体を提供する。非ヒト抗体をヒト化するためのさまざまな方法が、当技術分野において公知である。例えば、ヒト化抗体は、ヒトではない起源からそれに導入された1つ以上のアミノ酸残基を有することができる。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、「インポート」残基と呼ばれ、これは、通常、「インポート」可変ドメインから取られる。α5β1インテグリンに結合するヒト化抗体は、当業者に公知の技術を用いて製造され得る(例えば、Zhangらの文献、Molecular Immunology, 42(12): 1445-1451, 2005; Hwangらの文献、Methods, 36(1): 35-42, 2005; Dall’Acquaらの文献、Methods, 36(1): 43-60, 2005; Clarkの文献、Immunology Today, 21(8): 397-402, 2000、並びに米国特許第6,180,370号;同6,054,927号;同5,869,619号;同5,861,155号;同5,712,120号;及び同4,816,567号。
【0197】
ある場合には、ヒト化抗体は、親の非ヒト抗体(例えば、齧歯類)の6つの相補性決定領域(CDR)のアミノ酸配列が、ヒト抗体フレームワーク上にグラフトされる、CDRグラフティングによって構築される。例えば、Padlanらの文献、(FASEB J. 9:133-139, 1995)は、CDR中の残基の約1/3のみが、実際に抗原に接触していることを決定し、これらを「特異性決定残基」又はSDRと名付けた。SDRグラフティングの技術において、SDR残基のみが、ヒト抗体フレームワーク上にグラフトされた(例えば、Kashmiriらの文献、Methods 36: 25-34, 2005を参照されたい)。
【0198】
ヒト化抗体を作製するのに用いられる軽及び重双方のヒト可変ドメインの選択は、抗原性を低下させるのに重要となり得る。例えば、いわゆる「ベストフィット(best-fit)」法によれば、非ヒト(例えば、齧歯類)抗体の可変ドメインの配列が、公知のヒト可変ドメイン配列のライブラリーの全体に対してスクリーニングされる。齧歯類のものに最も近いヒト配列が、ヒト化抗体用のヒトフレームワークとして選択され得る(例えば、Simsらの文献、(1993) J. Immunol. 151:2296; Chothiaらの文献、(1987) J. Mol. Biol. 196:901を参照されたい)。別の方法は、軽鎖又は重鎖の特定の部分群の全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークを、いくつかの異なるヒト化抗体に用いてもよい(例えば、Carterらの文献、(1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285; Prestaらの文献、(1993) J. Immunol., 151:2623を参照されたい)。ある場合には、フレームワークは、最も大量に存在するヒトサブクラスであるVL6部分群I(VL6I)及びVH部分群III(VHIII)のコンセンサス配列に由来する。別の方法において、ヒト生殖系列遺伝子が、フレームワーク領域の起源に用いられる。
【0199】
超ヒト化(Superhumanization)と呼ばれるCDRの比較に基づく別の枠組みにおいては、FR相同性は、無関係である。この方法は、非ヒト配列の、機能的ヒト生殖系列遺伝子レパートリーとの比較からなる。次いで、マウスの配列と同じ又は密接に関連する標準的な構造(canonical structure)をコードする遺伝子が、選択される。次に、標準的な構造を該非ヒト抗体と共有している遺伝子内で、CDR内で最高の相同性を有するものが、FRドナーとして選択される。最後に、非ヒトCDRが、これらのFRに移植される(例えば、Tanらの文献、J. Immunol. 169: 1119-1125, 2002を参照されたい)。
【0200】
さらに、抗体が、抗原に対するその親和性及び他の好適な生物学的性質を維持したままでヒト化されることが、一般的に望ましい。この目的を達成するために、ある方法によれば、ヒト化抗体は、元となる配列及びさまざまな概念的なヒト化産物の当該元となる配列及びヒト化配列の三次元モデルを用いる分析のプロセスによって調製される。三次元的免疫グロブリンモデルは、一般に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の確からしい三次元コンホメーション構造を描画し表示するコンピュータープログラムが、利用可能である。そのようなものとしては、例えば、WAM (Whitelegg及びReesの文献、Protein Eng. 13: 819-824, 2000)、Modeller(Sali及びBlundellの文献、J. Mol. Biol. 234: 779-815, 1993)、及びSwiss PDB Viewer(Guex及びPeitschの文献、Electrophoresis 18: 2714-2713, 1997)が挙げられる。これらの表示の精査により、候補免疫グロブリン配列が機能することにおける残基の可能性のある役割の分析、例えば、候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を与える残基の分析が可能となる。このようにして、標的抗原に対する増加した親和性などの所望の抗体特性が達成されるように、FR残基を、レシピエント及びインポート配列から選択し、組み合わせることができる。一般に、超可変領域残基は、抗原結合性に影響を及ぼすことに直接的にかつ最も実質的に関与する。
【0201】
抗体のヒト化のための別の方法は、ヒトストリングコンテント(Human String Content; HSC)と名付けられた抗体のヒト化度(humanness)の計測法に基づく。この方法は、マウス配列をヒト生殖系列遺伝子のレパートリーと比較し、差を、HSCとしてスコア付けする。次いで、標的配列を、全体的な同一性尺度を用いるのではなくそのHSCを最大化することによってヒト化して、複数の多様なヒト化バリアントを生成させる。(例えば、Lazarらの文献、Mol. Immunol. 44: 1986-1998, 2007を参照されたい)。
【0202】
上述の方法に加えて、経験的な方法を用いて、ヒト化抗体を作製して選択してもよい。これらの方法としては、ヒト化バリアントの大型のライブラリーの作製及び濃縮技術又はハイスループットスクリーニング技術を用いる最高のクローンの選択ベースのものが挙げられる。抗体バリアントは、ファージ、リボソーム、及び酵母ディスプレーライブラリーから、並びに細菌コロニースクリーニングによって単離され得る(例えば、Hoogenboomの文献、Nat. Biotechnol. 23: 1105-1116, 2005; Dufnerらの文献、Trends Biotechnol. 24: 523-529, 2006; Feldhausらの文献、Nat. Biotechnol. 21: 163-70, 2003; Schlapschyらの文献、Protein Eng. Des. Sel. 17: 847-60, 2004を参照されたい)。
【0203】
FRライブラリーアプローチでは、残基バリアントの集合を、FRに特定の位置で導入し、それに続き、ライブラリーの選択を行って、移植されたCDRをもっとも良く支持するFRを選択する。置換される残基は、可能性としてCDR構造に貢献していると特定された「ベルニエ(Vernier)」残基の(例えば、Foote及びWinterの文献、J. Mol. Biol. 224: 487-499、1992を参照されたい)、又はBacaら(J. Biol. Chem. 272: 10678-10684, 1997)によって特定された標的残基のより限定された集合由来の一部又は全てを含む。
【0204】
FRシャフリングでは、選択された残基バリアントのコンビナトリアルライブラリーを作製する代わりに、FR全体を、非ヒトCDRと組み合わせる(例えば、Dall’Acquaらの文献、Methods 36: 43-60, 2005を参照されたい)。ライブラリーは、初めにVLをヒト化し、それに続き、VHをヒト化する2工程の選択プロセスで、結合に関してスクリーニングされ得る。あるいは、1工程FRシャフリングプロセスを用いてもよい。そのようなプロセスは、得られる抗体が、向上された発現、増加した親和性及び熱安定性などの向上した生化学的及び物理化学的性質を示したために、2工程スクリーニングよりも効率的であることが示されている(例えば、Damschroderらの文献、Mol. Immunol. 44: 3049-60, 2007を参照されたい)。
【0205】
「ヒューマニア化(humaneering)」方法は、必須な最小特異性決定基(MSD)の実験的な特定に基づいており、ヒトFRライブラリー内への非ヒト断片の逐次の置き換え及び結合の評価に基づく。これは、非ヒトVH鎖及びVL鎖のCDR3の領域で開始され、VH及びVL双方のCDR1及びCDR2を含む非ヒト抗体の他の領域を、ヒトFR内に連続的に置き換える。この方法体系は、通常、エピトープの維持及び別個のヒトVセグメントCDRを有する複数のサブクラス由来の抗体の特定をもたらす。ヒューマニア化は、ヒト生殖系列遺伝子抗体に91~96%相同の抗体の単離を可能とする。(例えば、Alfenitoの文献、Cambridge Healthtech Institute’s Third Annual PEGS, The Protein Engineering Summit, 2007を参照されたい)。
【0206】
「ヒューマンエンジニアリング(human engineering)」法は、ヒトにおける減少した免疫原性を有するが、それでもなお元の非ヒト抗体の所望の結合特性を維持している修飾抗体を製造するために、抗体のアミノ酸配列に対して特定の変更を加えることによって、マウスもしくはキメラ抗体又は抗体断片などの非ヒト抗体又は抗体断片を変化させることを含む。一般に、この技術は、非ヒト(例えば、マウス)抗体のアミノ酸残基を、「低リスク」、「中リスク」、又は「高リスク」残基として分類することを含む。分類は、特定の置換(例えば、ヒトでの免疫原性のために)を行うことの予測される利益を、当該置換が、得られる抗体のフォールディングに影響を及ぼすというリスクと比較して評価する全体的なリスク/リワード計算を用いて行われ、かつ/又はヒト残基で置換される。非ヒト(例えば、マウス)抗体配列の所与の位置(例えば、低又は中リスク)の置換されるべき特定のヒトアミノ酸残基を、非ヒト抗体の可変領域由来のアミノ酸配列を特定の又はコンセンサスヒト抗体配列の対応する領域と整列させることによって選択することができる。非ヒト配列における低(「Low」)及び/又は中(「Mod」)リスク位置でのアミノ酸残基を、アラインメントによるヒト抗体配列における対応する残基の代わりに置換することができる。ヒト改変タンパク質を作製するための技術が、Studnickaらの文献、Protein Engineering, 7: 805-814 (1994)、米国特許第5,766,886号、同第5,770,196号、同第5,821,123号、及び同第5,869,619号、並びにPCT出願公報第WO93/11794号により詳細に記載されている。
【0207】
A-15B08_Low、A-15B08_Low+Mod、A2-7A05_Low、A2-7A05_Low+Mod、C-14D12_Low及びC-14D12_Low+Modと名付けられたヒト化抗体を含む、上で言及されたヒューマンエンジニアリング法に基づいて作製された例示的なヒト化抗体が、本明細書で提供される。これらのヒト化抗体のさまざまな付番スキーム(例えば、Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGT)によるVH、VL、及びCDR配列を、図2C図2D図2E図2F図2G、及び図2Hに示す。
【0208】
より詳細には、A-15B08_Lowと名付けられた抗体は、配列番号:136のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:137のアミノ酸配列を含むVLを含む。Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTによるA-15B08_Lowの6つのCDR配列を、図2C及び図2Dに示す。
【0209】
A-15B08_Low+Modと名付けられた抗体は、配列番号:138のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:139のアミノ酸配列を含むVLを含む。Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTによるA-15B08_Low+Modの6つのCDR配列を、図2C及び図2Dに示す。
【0210】
A2-7A05_Lowと名付けられた抗体は、配列番号:140のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:141のアミノ酸配列を含むVLを含む。Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTによるA2-7A05_Lowの6つのCDR配列を、図2E及び図2Fに示す。
【0211】
A2-7A05_Low+Modと名付けられた抗体は、配列番号:142のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:143のアミノ酸配列を含むVLを含む。Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTによるA2-7A05_Low+Modの6つのCDR配列を、図2E及び図2Fに示す。
【0212】
C-14D12_Lowと名付けられた抗体は、配列番号:144のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:145のアミノ酸配列を含むVLを含む。Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTによるC-14D12_Lowの6つのCDR配列を、図2G及び図2Hに示す。
【0213】
C-14D12_Low+Modと名付けられた抗体は、配列番号:146のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:147のアミノ酸配列を含むVLを含む。Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTによるC-14D12_Low+Modの6つのCDR配列を、図2G及び図2Hに示す。
【0214】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるのは、図2C図2D図2E図2F図2G、及び図2Hに示されるようなA-15B08_Low、A-15B08_Low+Mod、A2-7A05_Low、A2-7A05_Low+Mod、C-14D12_Low及びC-14D12_Low+Mod由来の1つ以上のCDR配列を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、α5β1インテグリン、例えば、ヒトα5β1インテグリンに結合する抗体又はその断片)である。
【0215】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:136のアミノ酸配列を含むVHに記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:137のアミノ酸配列を含むVLに記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:136のアミノ酸配列を含むVHに記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;並びに配列番号:137のアミノ酸配列を含むVLに記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLを含む。いくつかの実施態様において、CDRは、Kabat付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、AbM付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Chothia付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Contact付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、IMGTによるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTから選択される2つ以上の付番スキームの組合せによるものである。
【0216】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:138のアミノ酸配列を含むVHに記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:139のアミノ酸配列を含むVLに記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:138のアミノ酸配列を含むVHに記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;並びに配列番号:139のアミノ酸配列を含むVLに記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLを含む。いくつかの実施態様において、CDRは、Kabat付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、AbM付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Chothia付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Contact付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、IMGTによるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTから選択される2つ以上の付番スキームの組合せによるものである。
【0217】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:140のアミノ酸配列を含むVHに記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:141のアミノ酸配列を含むVLに記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:140のアミノ酸配列を含むVHに記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;並びに配列番号:141のアミノ酸配列を含むVLに記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLを含む。いくつかの実施態様において、CDRは、Kabat付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、AbM付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Chothia付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Contact付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、IMGTによるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTから選択される2つ以上の付番スキームの組合せによるものである。
【0218】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:142のアミノ酸配列を含むVHに記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:143のアミノ酸配列を含むVLに記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:142のアミノ酸配列を含むVHに記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;並びに配列番号:143のアミノ酸配列を含むVLに記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLを含む。いくつかの実施態様において、CDRは、Kabat付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、AbM付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Chothia付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Contact付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、IMGTによるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTから選択される2つ以上の付番スキームの組合せによるものである。
【0219】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:144のアミノ酸配列を含むVHに記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:145のアミノ酸配列を含むVLに記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:144のアミノ酸配列を含むVHに記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;並びに配列番号:145のアミノ酸配列を含むVLに記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLを含む。いくつかの実施態様において、CDRは、Kabat付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、AbM付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Chothia付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Contact付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、IMGTによるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTから選択される2つ以上の付番スキームの組合せによるものである。
【0220】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:146のアミノ酸配列を含むVHに記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVHを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:147のアミノ酸配列を含むVLに記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLを含む。いくつかの実施態様において、本明細書で提供されるα5β1インテグリン結合剤は、配列番号:146のアミノ酸配列を含むVHに記載されるVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3を含むVH;並びに配列番号:147のアミノ酸配列を含むVLに記載されるVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含むVLを含む。いくつかの実施態様において、CDRは、Kabat付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、AbM付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Chothia付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Contact付番によるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、IMGTによるものである。いくつかの実施態様において、CDRは、Kabat、AbM、Chothia、Contact、及びIMGTから選択される2つ以上の付番スキームの組合せによるものである。
【0221】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される抗体又はその断片は、配列番号:136に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号:137に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVLを含み、かつ該抗体又はその断片のα5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)に対する結合が、維持されている(例えば、実質的に維持されている、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%)。
【0222】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される抗体又はその断片は、配列番号:138に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号:139に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVLを含み、かつ該抗体又はその断片のα5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)に対する結合が、維持されている(例えば、実質的に維持されている、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%)。
【0223】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される抗体又はその断片は、配列番号:140に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号:141に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVLを含み、かつ該抗体又はその断片のα5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)に対する結合が、維持されている(例えば、実質的に維持されている、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%)。
【0224】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される抗体又はその断片は、配列番号:142に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号:143に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVLを含み、かつ該抗体又はその断片のα5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)に対する結合が、維持されている(例えば、実質的に維持されている、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%)。
【0225】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される抗体又はその断片は、配列番号:144に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号:145に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVLを含み、かつ該抗体又はその断片のα5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)に対する結合が、維持されている(例えば、実質的に維持されている、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%)。
【0226】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される抗体又はその断片は、配列番号:146に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、及び配列番号:147に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVLを含み、かつ該抗体又はその断片のα5β1インテグリン(例えば、ヒトα5β1インテグリン)に対する結合が、維持されている(例えば、実質的に維持されている、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%)。
【0227】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される抗体又はその断片は、配列番号:136のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:137のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0228】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される抗体又はその断片は、配列番号:138のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:139のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0229】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される抗体又はその断片は、配列番号:140のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:141のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0230】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される抗体又はその断片は、配列番号:142のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:143のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0231】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される抗体又はその断片は、配列番号:144のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:145のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0232】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される抗体又はその断片は、配列番号:146のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号:147のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0233】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤は、非抗体タンパク質スキャフォールドを含む。そのような非抗体タンパク質スキャフォールドの非限定的な例としては、フィブロネクチンスキャフォールド、アンチカリン、アドネクチン、アフィボディ、DARPin、フィノマー(fynomer)、アフィチン、アフィリン、アビマー(avimer)、システインリッチノッティンペプチド、又は操作されたKunitz型阻害剤が挙げられる。そのような非抗体タンパク質スキャフォールドを作製するための方法が、当技術分野において周知であり、それらのうちのいずれか1つを使用して、非抗体タンパク質スキャフォールドを含むα5β1インテグリン結合剤を作製することができる(例えば、Simeon及びChenの文献、Protein Cell, 9(1):3-14 (2018); Yangらの文献、Annu Rev Anal Chem (Palo Alto Calif). 10(1):293-320 (2017)を参照されたい)。
【0234】
さらに提供されるのは、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤、及びそれらの断片を作製するための材料である。例えば、単離された細胞(例えば、ハイブリドーマ、形質転換された又はトランスフェクションを行った細胞)は、α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体又は抗体断片)を産生し得る。この点に関して、細胞(例えば、単離された細胞)は、A-15B08、A2-3B06、A2-5D10、A2-7A05、A2-7F01、もしくはC-14D12AB1について、それぞれ、表1、2、3、4、5、もしくは6に示されるような、又はA-15B08-T62A、A-15B08_Low、A-15B08_Low+Mod、A2-7A05_Low、A2-7A05_Low+Mod、C-14D12_Low、及びC-14D12_Low+Modについて図2C図2Hに示されるようなVH及びVLを含む抗体又はその断片を産生し得る。いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるポリヌクレオチドは、α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体又は抗体断片)をコードする1つ以上の核酸配列を含み得る。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドは、単離された及び/又は組換えのポリヌクレオチドである。さまざまな態様において、単離されたポリヌクレオチドは、抗体重鎖可変領域(VH)及び/又は抗体軽鎖可変領域(VL)をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該VH及びVLは、表1に示されるCDR、表2に示されるCDR、表3に示されるCDR、表4に示されるCDR、表5に示されるCDR、表6に示されるCDR、又は図2C図2Hに示されるCDRと同一のCDR(Kabat及び/又はChothia、AbM、Contact、もしくはIMGTによる)を含む。
【0235】
いくつかの実施態様において、1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)は、適当な宿主細胞における1つ以上のポリヌクレオチドの発現のために該1つ以上のポリヌクレオチドを含み得る。そのようなベクターは、例えば、該ポリヌクレオチドを宿主細胞において増幅させて、有用な量のそれを作製するのに、及び抗体又は抗体断片などの結合剤を組換え技術を用いて発現させるのに有用である。
【0236】
いくつかの実施態様において、1つ以上のベクターは、抗体配列をコードする1つ以上のポリヌクレオチドが、発現制御配列を含む1つ以上のポリヌクレオチドに作動的に連結されている発現ベクターである。α5β1インテグリンに結合する抗体配列をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを組み入れたプラスミド及びウイルスDNAベクターなどの自己複製性組換え発現構築体が、具体的に想定される。発現制御DNA配列は、プロモーター、エンハンサー、及びオペレーターを含み、一般に、発現構築体(例えば、発現ベクター)が利用されることとなる発現系に基づいて選択される。プロモーター及びエンハンサー配列は、一般に、遺伝子発現を増加させる能力を求めて選択され、オペレーター配列は、一般に、遺伝子発現を調節する能力を求めて選択される。また、発現構築体(例えば、発現ベクター)は、該構築体を有する宿主細胞の特定を可能とする1種以上の選択マーカーをコードする配列も含む。また、発現構築体(例えば、発現ベクター)は、宿主細胞における相同組換えを容易にする、好ましくは、促進する配列も含む。いくつかの実施態様において、発現構築体(例えば、発現ベクター)は、宿主細胞における複製に必要な配列を含むこともできる。
【0237】
例示的な発現制御配列は、例えば、サイトメガロウイルスプロモーター/エンハンサー(Lehnerらの文献、J. Clin. Microbiol., 29: 2494-2502、1991; Boshartらの文献、Cell, 41: 521-530, 1985);ラウス肉腫ウイルスプロモーター(Davisらの文献、Hum. Gene Ther., 4: 151, 1993);Tieプロモーター(Korhonenらの文献、Blood, 86(5): 1828-1835, 1995);サルウイルス40プロモーター;DRA(腺腫で下方制御される; Alrefaiらの文献、Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol., 293: G923-G934, 2007);MCT1(モノカルボン酸輸送体1; Cuffらの文献、Am. J. Physiol. Gastrointet. Liver Physiol., G977-G979. 2005);及びMath1(マウスアトナール(atonal)ホモログ1; Shroyerらの文献、Gastroenterology, 132: 2477-2478, 2007)などのプロモーター/エンハンサー配列を含み、哺乳動物細胞における発現のために、該プロモーターは、ポリペプチドコード配列の上流(例えば、5’)に作動的に連結される。別の変形形態において、プロモーターは、上皮特異的プロモーター又は内皮特異的プロモーターである。また、ポリヌクレオチドは、ポリペプチドコード配列の下流(例えば、3’)に作動可能に連結された適当なポリアデニル化配列(例えば、SV40又はヒト成長ホルモン遺伝子ポリアデニル化配列)も任意に含む。
【0238】
望ましい場合、前記1つ以上のポリヌクレオチドは、前記ポリペプチド配列とインフレームで融合された、分泌型シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列も任意に含む。分泌型シグナルペプチドは、前記1つ以上のポリヌクレオチドを発現する細胞による抗体ポリペプチドの分泌を指揮し、該細胞によって分泌されたポリペプチドから切断される。さらに、前記1つ以上のポリヌクレオチドは、その唯一の意図される機能が、ベクターの大量生産を容易にすることである配列を任意に含む。種々の導入遺伝子について文献に記載されている手順を用いて、遺伝子療法用のポリヌクレオチドを生産し投与することができる。例えば、Isnerらの文献、Circulation, 91: 2687-2692、1995;及びIsnerらの文献、Human Gene Therapy, 7: 989-1011, 1996を参照されたい。
【0239】
いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドは、宿主細胞による取り込み及び前記抗体又はその断片(及び/又は任意の他のペプチド)の発現を容易にする追加の配列をさらに含んでもよい。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される抗体又はその断片をコードする「ネイキッド(naked)」導入遺伝子(例えば、トランスフェクションを容易にするウイルスベクター、リポソームベクター、又は他のベクターを有しない導入遺伝子)が、採用される。
【0240】
任意の適当なベクターを、抗体又はその断片をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを宿主内に導入するのに用いてもよい。記載されている例示的なベクターとしては、これらに限定されないが、レンチウイルスベクターなどの複製欠損性レトロウイルスベクター(例えば、Kimらの文献、J. Virol., 72(1): 811-816, 1998; Kingsman及びJohnsonの文献, Scrip Magazine, 1998年10月、43~46頁を参照されたい);アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターなどのパルボウイルスベクター(米国特許第5,474,935l号;同5,139,941号;同5,622,856号;同5,658,776号;同5,773,289号;同5,789,390号;同5,834,441号;同5,863,541号;同5,851,521号;同5,252,479号;Gnatenkoらの文献、J. Invest. Med., 45: 87-98, 1997);アデノウイルス(AV)ベクター(例えば、米国特許第5,792,453号;同5,824,544号;同5,707,618号;同5,693,509号;同5,670,488号;同5,585,362号; Quantinらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 2581-2584, 1992; Stratford Perricaudetらの文献、J. Clin. Invest., 90: 626-630、1992;及びRosenfeldらの文献、Cell、68: 143-155, 1992を参照されたい);アデノウイルスアデノ随伴ウイルスキメラ(米国特許第5,856,152号)又はワクシニアウイルスもしくはヘルペスウイルスベクター(米国特許第5,879,934号;同5,849,571号;同5,830,727号;同5,661,033号;同5,328,688号);リポフェクション媒介性遺伝子導入(Lipofectin mediated gene transfer; BRL);リポソームベクター(米国特許第5,631,237号);並びにそれらの組合せが挙げられる。これらの発現ベクターはいずれも、例えば、Sambrookらの文献、「分子クローニング、実験マニュアル(Molecular Cloning, a Laboratory Manual)」、第2版、 Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)、及びAusubelらの文献、「分子生物学における最新のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons, New York, N.Y. (1994)に記載される標準的組換えDNA技術を用いて調製することができる。任意に、例えば、ウイルス複製に必要とされる選択遺伝子を欠失させる又は破壊することによって、ウイルスベクターを、複製欠損性とすることができる。
【0241】
想定される他の非ウイルス性送達機構としては、リン酸カルシウム沈殿(Graham及びVan Der Ebの文献、Virology, 52: 456-467, 1973; Chen及びOkayamaの文献、Mol. Cell Biol., 7: 2745-2752, 1987; Rippeらの文献、Mol. Cell Biol., 10: 689-695, 1990)、DEAEデキストラン(Gopalの文献、Mol. Cell Biol., 5: 1188-1190, 1985)、電気穿孔法(Tur-Kaspaらの文献、Mol. Cell Biol., 6: 716-718, 1986; Potterらの文献、Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 81: 7161-7165, 1984)、直接マイクロインジェクション(Harland及びWeintraubの文献、J. Cell Biol., 101: 1094-1099, 1985、DNA担持リポソーム(DNA-loaded liposomes)(Nicolau及びSeneの文献、Biochim. Biophys. Acta, 721: 185-190,1982;Fraleyらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76: 3348-3352, 1979; Felgnerの文献、Sci Am., 276(6): 102-6, 1997; Felgnerの文献、Hum Gene Ther., 7(15): 1791-3, 1996)、細胞超音波処理(Fechheimerらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84: 8463-8467, 1987)、高速度のマイクロ投射物(microprojectile)を用いる遺伝子ボンバードメント法(gene bombardment)(Yangらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci USA, 87: 9568-9572, 1990)、及び受容体介在性トランスフェクション(Wu及びWuの文献、J. Biol. Chem., 262: 4429-4432, 1987; Wu及びWuの文献、Biochemistry, 27: 887-892, 1988; Wu及びWuの文献、Adv. Drug Delivery Rev., 12: 159-167, 1993)が挙げられる。
【0242】
発現ベクター(又は本明細書に記載される抗体もしくはその断片)は、リポソーム内に捕捉され得る。例えば、Wu G、Wu C編集の文献「肝疾患、特定の受容体及びリガンドを用いる標的化診断及び療法(Liver diseases, targeted diagnosis and therapy using specific receptors and ligands)」、 New York: Marcel Dekker, (1991)の87頁~104頁のGhosh及びBachhawatの文献; Radlerらの文献、Science, 275(5301): 810-814, 1997)を参照されたい。また、「リポフェクション」技術が関与するさまざまな商業的アプローチも想定される。いくつかの実施態様において、リポソームを、血球凝集性ウイルス(HVJ)と複合体形成させ得る。これが、細胞膜との融合を容易にし、リポソーム内部に封入されたDNAの細胞内移行を促進することが示されている(例えば、Kanedaらの文献、Science, 243: 375-378, 1989を参照されたい)。いくつかの実施態様において、リポソームは、核内非ヒストン染色体タンパク質(HMG-1)と複合体を形成しているか、又はそれと併用して採用される(例えば、Katoらの文献、J. Biol. Chem., 266: 3361-3364, 1991を参照されたい)。いくつかの実施態様において、リポソームは、HVJ及びHMG-1の双方と複合体を形成しているか、又はそれと併用して採用される。そのような発現構築体は、インビトロ及びインビボでの核酸の移入及び発現に成功裏に採用されている。いくつかの実施態様において、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)が、リポソームに入れられて、該リポソームが、α5β1インテグリンをその表面に発現している細胞(例えば、腫瘍細胞など)に対して標的化される。
【0243】
細胞は、1つ以上のポリヌクレオチド又は1つ以上のベクターを含んでよく、例えば、該細胞は、ヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)をコードする1つ以上のポリヌクレオチド、又は該1つ以上のポリヌクレオチドを含む1つ以上のベクターを用いて形質転換又はトランスフェクションされる。いくつかの実施態様において、細胞は、A-15B08のCDR(例えば、表1を参照されたい)に対して少なくとも75%の同一性(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、100%)を有する1つ以上(6つを含む)のCDRを含むヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を発現し産生する。いくつかの実施態様において、細胞は、A2-3B06のもの(例えば、表2を参照されたい)と同一のCDRを含むVH及びVLを含むヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を発現し産生する。いくつかの実施態様において、細胞は、A2-5D10のもの(例えば、表3を参照されたい)と同一のCDRを含むVH及びVLを含むヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を発現し産生する。いくつかの実施態様において、細胞は、A2-7A05のもの(例えば、表4を参照されたい)と同一のCDRを含むVH及びVLを含むヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を発現し産生する。いくつかの実施態様において、細胞は、A2-7F01のもの(例えば、表5を参照されたい)と同一のCDRを含むVH及びVLを含むヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を発現し産生する。いくつかの実施態様において、細胞は、C-14D12のもの(例えば、表6を参照されたい)と同一のCDRを含むVH及びVLを含むヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を発現し産生する。細胞は、大腸菌(Escherichia coli)などの原核細胞(例えば、Pluckthunらの文献、Methods Enzymol., 178: 497-515, 1989を参照されたい)であっても、動物細胞(例えば、骨髄腫細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、もしくはハイブリドーマ細胞)、酵母(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、又は植物細胞(例えば、タバコ、トウモロコシ、ダイズ、もしくはコメ細胞)などの真核細胞であってもよい。哺乳動物宿主細胞の使用は、組換え発現産物に対して最適な生物活性を付与するのに望ましいであろう翻訳修飾(例えば、グリコシル化、トランケーション、脂質修飾、及びリン酸化)を提供し得る。同様に、ポリペプチド(例えば、抗体などのα5β1インテグリン結合剤(ヒトα5β1インテグリン結合剤を含む))は、グリコシル化されていてもグリコシル化されていなくてもよく、かつ/又はポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、又はポリプロピレングリコールなどの1種以上の水溶性ポリマー付着物を含むように共有結合的に修飾されていてもよい。
【0244】
DNA又はRNAを宿主細胞内に導入するための方法が、周知であり、形質転換、トランスフェクション、電気穿孔法、核注入(nuclear injection)、又はリポソーム、ミセル、ゴースト細胞、及びプロトプラストなどの担体との融合などが挙げられる。そのような宿主細胞は、ポリヌクレオチドを増幅させるのに有用であり、また、該ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現させるのに有用である。この点に関して、α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)の製造のためのプロセスは、宿主細胞を培養すること、及びα5β1インテグリン結合剤を単離することを含み得る。ネイキッドDNA発現構築体を細胞に移入することは、DNAでコーティングされたマイクロ投射物を高速度まで加速して、細胞を死滅させることなく該マイクロ投射物が細胞膜を突き破り細胞に入ることを可能とする能力による粒子ボンバードメント法を用いて達成し得る(例えば、Kleinらの文献、Nature, 327: 70-73, 1987を参照されたい)。小粒子を加速するための装置がいくつか、開発されている。そのような装置の1つは、電流を生じさせ、それによって輸送力を提供する高電圧放出に頼っている(例えば、Yangらの文献、Proc. Natl. Acad. Sci USA、87: 9568-9572, 1990を参照されたい)。用いられているマイクロ投射物は、タングステン又は金ビーズなどの生物学的に不活性な物質からなるものである。宿主細胞は、単離されかつ/又は精製されていてもよい。また、宿主細胞は、インビボでのポリペプチドの一過性の又は永続的な発現を引き起こすようにインビトロで形質転換された細胞であってもよい。また、宿主細胞はエクスビボで形質転換された単離細胞であってもよく、例えば、治療目的のためにインビボでポリペプチドを産生するように形質転換後に導入されてもよい。宿主細胞の定義は、遺伝子導入されたヒトを明示的に排除する。
【0245】
ポリヌクレオチドから抗体を製造するための種々の方法が、一般に周知である。例えば、基本的な分子生物学手順が、Maniatisらの文献、「分子クローニング、実験マニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 1989によって記載されている(Maniatisらの文献、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory, New York, 2001も参照されたい)。さらに、多くの刊行物が、DNAの操作による抗体の調製、発現ベクターの作製、並びに適切な細胞の形質転換及び培養に適した技術を説明している(例えば、Tombs編の文献「バイオテクノロジー及び遺伝子工学総説(Biotechnology and Genetic Engineering Reviews)」、Intercept, Andover, UK, 1992内のMountain及びAdairの文献「第1章(Chapter 1)」);及びAusubel編集の文献「分子生物学における最新のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、 Wiley Interscience, New York, 1999を参照されたい)。
【0246】
ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、上述のものを含む任意の適当な方法を用いて製造され、例えば、免疫化された動物から単離され、組換えでもしくは合成的によって作製され、又は遺伝子操作される。抗体に由来する抗体断片は、例えば、抗体のタンパク分解性加水分解によって得られる。例えば、抗体全体のパパイン又はペプシン消化によって、それぞれ、F(ab’)2と名付けられた5S断片又は2つの一価のFab断片及びFc断片が得られる。F(ab)2は、チオール還元剤を用いてさらに切断することができ、3.5S Fab一価断片が得られる。抗体断片を作製する方法は、例えば、Edelmanらの文献、Methods in Enzymology, 1: 422 Academic Press (1967); Nisonoffらの文献、Arch. Biochem. Biophys., 89: 230-244, 1960; Porterの文献、Biochem. J., 73: 119-127, 1959;米国特許第4,331,647号で;及びColiganら編集の文献、「免疫学における最新のプロトコール(Current Protocols in Immunology)」, John Wiley & Sons, New York (2003)、2.8.1 2.8.10頁及び2.10A.1 2.10A.5頁においてAndrews, S.M.及びTitus, J.A.によってさらに説明されている。
【0247】
ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、遺伝子操作することができる。例えば、ヒトα5β1インテグリン結合剤を含むα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、例えば、組換えDNA操作技術によって作製された可変領域又は可変ドメインを含む。この点に関して、可変領域は、抗体のアミノ酸配列における挿入、欠失、又は変更によって任意に改変されて、上述のものを含む対象となる抗体を生じる。表1~表6に列挙されるようなCDRなどの対象となる相補性決定領域(CDR)をコードするポリヌクレオチドは、例えば、抗体産生細胞のmRNAをテンプレートとして用いて可変領域を合成するポリメラーゼ連鎖反応を用いることによって調製される(例えば、Ritterらの編集の文献「モノクローナル抗体:製造、操作、及び臨床応用(Monoclonal Antibodies: Production, Engineering and Clinical Application)」、(Cambridge University Press 1995)の166頁のCourtenay Luckの文献、「モノクローナル抗体の遺伝子操作(Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies)」;Birchら編集の文献「モノクローナル抗体:原理及び応用(Monoclonal Antibodies: Principles and Applications)」、(Wiley Liss社 1995)の137頁のWardらの文献、「抗体の遺伝子操作及び発現(Genetic Manipulation and Expression of Antibodies)」;及びLarrickらの文献、「方法:酵素学における方法の手引き(Methods: A Companion to Methods in Enzymology)」、2: 106-110、1991を参照されたい)。現行の抗体操作技術は、第1の抗体由来の少なくとも1つのCDR、及び、任意に、1つ以上のフレームワークアミノ酸、並びに第2の抗体由来の可変領域ドメインの残りを含有する改変可変領域ドメインの構築を可能とする。そのような技術は、例えば、抗体をヒト化するのに又は結合標的に対するその親和性を向上させるのに用いられる。
【0248】
「ヒト化抗体」は、非ヒト免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の可変鎖のCDRが、ヒト可変ドメインに移入されている抗体である。定常領域は、存在しなくてもよいが、存在する場合には、それは、任意に、ヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一であり、例えば、いくつかの実施態様において、少なくとも約85~90%、約95%、96%、97%、98%、99%、又はそれを超えて同一である。従って、ある例において、場合によってはCDRを除くヒト化免疫グロブリンの全ての部分が、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。例えば、ヒト化抗体は、宿主抗体の超可変領域残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、又は非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)由来の超可変領域残基によって置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(例えば、宿主抗体)である。
【0249】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、組成物において及びα5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態(該疾患、障害、又は状態の1つ以上の症状を含む)を治療、予防、又は軽減する方法において有用である。いくつかの実施態様において、対象は、α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態であると診断される。α5β1インテグリン介在性の疾患、障害、及び状態としては、がん(例えば、α5β1インテグリンを発現又は過剰発現する腫瘍細胞に関連する又はそれを特徴とするがん)、血管新生介在性疾患(例えば、異常な血管新生に関連する又はそれを特徴とする疾患)、及び炎症性疾患(例えば、MS及びALSなどの神経炎症性疾患)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0250】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、対象においてがん又は腫瘍を治療するための方法であって、該対象に、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)もしくはその断片又は本明細書に記載される結合剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法である。いくつかの実施態様において、対象は、がんと診断される。
【0251】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、対象においてがん又は腫瘍に関連する1つ以上の症状を軽減するための方法であって、該対象に、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)もしくはその断片又は本明細書に記載される結合剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法である。
【0252】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、(例えば、腫瘍を有する)対象において、(i)血管新生介在性の疾患、障害、又は状態を治療するための方法、又は(ii)血管新生を阻害するための方法であって、該対象に、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)もしくはその断片又は本明細書に記載される結合剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法である。いくつかの実施態様において、対象は、血管新生介在性の疾患、障害、又は状態と診断される。
【0253】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、対象において血管新生介在性の疾患、障害、又は状態に関連する1つ以上の症状を軽減するための方法であって、該対象に、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)もしくはその断片又は本明細書に記載される結合剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法である。
【0254】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、対象において、神経炎症性の疾患、障害、又は状態(例えば、MS、ALS)などの、炎症性の疾患、障害、又は状態を治療するための方法であって、該対象に、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)もしくはその断片又は本明細書に記載される結合剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法である。いくつかの実施態様において、対象は、神経炎症性の疾患、障害、又は状態(例えば、MS、ALS)などの、炎症性の疾患、障害、又は状態と診断される。
【0255】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、対象において、神経炎症性の疾患、障害、又は状態(例えば、MS、ALS)などの炎症性疾患に関連する1つ以上の症状を軽減するための方法であって、該対象に、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)もしくはその断片又は本明細書に記載される結合剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物を投与することを含む、前記方法である。
【0256】
上述の方法の対象に、本明細書に記載される1種以上の治療用薬剤を、本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)もしくはその断片又は本明細書に記載される結合剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物と組み合わせて投与することができる。
【0257】
いくつかの実施態様において、前記抗体は、これらに限定されないが、例えば、Kabatらの文献、(1991)「免疫学的対象であるタンパク質の配列(Sequences of proteins of Immunological Interest)」、第5版、米国保健福祉省(U.S. Department of Health and Human Services), NIH Publication No. 91-3242に記載されるような、フレームワーク領域及びCDR領域の双方が、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体などの、ヒト抗体である。抗体が、定常領域を含む場合、好ましくは、該定常領域も、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。ヒト抗体は、例えば、抗体の活性を向上させるために、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基を含んでもよいが、他の種に由来するCDR(例えば、ヒト可変フレームワーク領域内に配置されるマウスCDR)は、含まない。
【0258】
いくつかの実施態様において、α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、細胞培養物中の腫瘍細胞に結合してそれを殺す。そのような細胞培養物は、α5β1インテグリンを発現している又は過剰発現している腫瘍細胞を含み得る。腫瘍細胞としては、乳がん細胞、膀胱がん細胞、黒色腫細胞、前立腺がん細胞、中皮腫細胞、肺がん細胞、精巣がん細胞、甲状腺がん細胞、扁平上皮細胞癌細胞、膠芽腫細胞、神経芽腫細胞、子宮がん細胞、結腸直腸がん細胞、胃がん細胞、膀胱がん細胞、及び膵臓がん細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0259】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるのは、対象(例えば、腫瘍を有する)において異常な血管新生を阻害する方法である。例えば、この方法は、異常な血管新生を阻害するのに有効な量の本明細書に記載されるヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を投与することを含む。いくつかの実施態様において、本方法は、ヒトα5β1インテグリンに対する結合に関して抗体A-15B08、抗体A2-3B06、抗体A2-5D10、抗体A2-7A05、抗体A2-7F01、及び/もしくは抗体C-14D12AB1(例えば、表1、2、3、4、5、及び/又は6のCDR及びVH/VLを参照されたい)と競合し、かつ/又は抗体A-15B08、抗体A2-3B06、抗体A2-5D10、抗体A2-7A05、抗体A2-7F01、及び/もしくは抗体C-14D12(例えば、表1、2、3、4、5、及び/もしくは6のCDR及びVH/VLを参照されたい)によって認識されるα5β1インテグリンの領域に結合するα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を投与して、異常な血管新生の阻害をもたらすことを含む。いくつかの実施態様において、上述のような1種以上の結合剤(例えば、抗体)、ポリヌクレオチド、ベクター、及び/又は細胞を、インビボでの異常な血管新生を阻害する方法において(例えば、対象においてがんを治療する方法において)使用することができる。
【0260】
対象において腫瘍増殖を調節する(例えば、阻害する、減少させる、予防する)方法も、提供される。例えば、この方法は、当該対象に、α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を含む組成物を、該対象において腫瘍増殖を調節するのに効果的な量で投与することを含む。「腫瘍」は、悪性であれ良性であれ任意の腫瘍性の細胞成長又は増殖を意味し、全ての前がん性及びがん性の細胞及び組織を意味する。「がん」及び「がん性の」という用語は、未制御の又は異常な細胞増殖を通常特徴とする哺乳動物における生理的条件を意味又は記述し、これらに限定されないが:癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫、及び白血病などの全ての悪性新生物を含む。がんの例としては:乳がん(転移性乳がんを含む)、子宮頸がん、結腸がん、結腸直腸がん(転移性結腸直腸がんを含む)、肺がん(非小細胞性肺がんを含む)、線維肉腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ球性白血病、膀胱がん、膵臓がん、腎細胞がん、脾臓がん、ホルモン抵抗性前立腺がんなどの前立腺がん、肝臓がん、頭頸部がん、胃がん、膀胱がん、黒色腫、卵巣がん、中皮腫、軟部組織がん、消化管間質腫瘍、多形性膠芽腫及び多発性骨髄腫が挙げられるが、これらに限定されない。また、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を、それを必要としている対象に、単独で又は別の薬剤と組み合わせて投与することによって、がんを治療、予防、又は改善する方法も提供される。また、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を、それを必要としている対象に、単独で又は別の薬剤と組み合わせて投与することによってがんの1つ以上の症状を治療、予防、又は改善する方法も提供される。
【0261】
異常な血管新生を「阻害すること」は、100%の阻害を必要としない。腫瘍増殖及び/又は転移を減少させる任意の阻害が、想定される。同様に、腫瘍増殖を「調節すること」は、腫瘍のサイズを減少させること、腫瘍増殖の速度を落とすこと、又は既存の腫瘍のサイズの増加を阻害することを意味する。腫瘍の完全な消滅は、必要とされず;腫瘍サイズの任意の低減又は腫瘍増殖の任意の速度低下が、対象における有益な生物学的作用を構成する。この点に関して、腫瘍細胞の除去は、当該方法の非存在下(例えば、生物学的にマッチさせた対照の対象又は当該方法の薬剤に曝露されていない検体において)で認められる除去のレベルと比較して、例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、又は少なくとも約20%だけ向上され得る。効果は、例えば、腫瘍サイズもしくは腫瘍転移の減少、腫瘍マーカーのレベルの低減もしくは維持、又は腫瘍細胞集団の減少もしくは維持によって検出される。いくつかの実施態様において、腫瘍細胞の除去は、本方法のα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)の非存在下での腫瘍細胞の除去と比較して、例えば、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又はそれを超えて(約100%)向上される。
【0262】
特定の対象のためのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)の特定の投与レジメンは、部分的には、用いられる薬剤、投与される薬剤の量、投与の経路、並びに何らかの副作用の原因及び程度次第である。対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に投与される薬剤の量は、所望の反応を妥当なタイムフレームにわたってもたらすのに十分であるべきである。従って、いくつかの実施態様において、対象に投与される本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)又は医薬組成物の量は、有効量である。いくつかの実施態様において、対象に投与される本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)又は医薬組成物の量は、治療有効量である。いくつかの態様において、前記方法は、例えば、約0.1μg/kg~最大で約100mg/kgを又はそれを超えて投与することを含む。一部の状態又は病状は、長期の治療を必要とし、これは、複数のヒトα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)などの複数のα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)の複数用量を、複数回の投与にわたって投与することを必要とすることもしないこともある。
【0263】
ヒトα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を含む組成物を投与する適当な経路は、当技術分野において周知である。2つ以上の経路を使用して、薬剤(例えば、抗体)を投与することができるが、ある特定の経路が、別の経路よりも迅速で効果的な反応をもたらす場合がある。状況に応じて、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を含む組成物は、体腔内に適用又は滴下され、皮膚又は粘膜を介して吸収され、摂取され、吸入され、及び/又は循環内に導入される。例えば、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を含む組成物を、静脈内、皮下、腹腔内、脳内(実質内)、側脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内、病巣内、髄内、くも膜下腔内、脳室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、経腸、局所、舌下、尿道、膣、もしくは直腸の手段による注入を介して、持続放出システムによって、又は植え込み型デバイスによって送達することは望ましいであろう。望ましい場合、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、対象となる領域に栄養を送る動脈内又は静脈内への投与を介して、例えば、肝臓への送達のために肝臓の動脈を介して局所投与される。あるいは、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、その上に結合剤が吸収されている又は内部に封入されている膜、スポンジ、又は別の適切な材料の植え込みによって局所投与される。植え込み型デバイスが、用いられる場合、当該デバイスは、一態様において、任意の適当な組織又は器官内に植え込まれ、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)の送達は、例えば、拡散、時限放出(timed-release)ボーラス、又は連続的な投与によるものとなる。別の態様において、α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)は、腫瘍切除又は他の外科的処置の間に露出される組織に直接投与される。
【0264】
本開示は、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)及び担体(例えば、医薬として許容し得る担体)を含む医薬組成物などの組成物を提供する。採用される特定の担体は、溶解度及び結合剤又は併用療法との反応性がないことなどの化学物理的な(chemico-physical)考慮事項に応じて、並びに投与の経路によって決まり得る。医薬として許容し得る担体は、当技術分野において周知である、その例が、本明細書に記載される。注射可能な用途に適した例示的な医薬形態としては、無菌の水溶液又は分散液及び無菌の注射可能な溶液又は分散液の要時調製用の無菌の粉末が挙げられる。注射用製剤は、例えば、Banker及びChalmers編集の文献、「医薬品及び薬学の実践(Pharmaceutics and Pharmacy Practice)」、 J. B. Lippincott Co., Philadelphia. Pa., 238頁~250頁(1982)、及びToisselの文献、「ASHP注射用薬物のハンドブック(ASHP Handbook on Injectable Drugs)」、第4版、622頁~630頁(1986))でさらに説明されている。ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を含む医薬組成物は、一態様において、そのような医薬組成物の使用に関する説明書を提供する包装材料と一緒に容器内に入れられる。一般に、そのような説明書は、試薬濃縮を記載する実質的な表示、及び、いくつかの実施態様において、医薬組成物を再構成するのに必要となり得る賦形剤成分又は希釈剤(例えば、水、生理食塩水、又はPBS)の相対量を含む。
【0265】
いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、組成物中に存在していてもよく、ヒトα5β1インテグリン結合剤などのα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)と共に投与されてもよく、又は同じ又は異なる投与経路を用いる別個の組成物中に提供されてもよい治療用薬剤などの1種以上の追加の薬剤を投与することをさらに含む。当該治療用薬剤などの1種以上の追加の薬剤は、α5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)と一緒に又は別々に(例えば、同時に、交互に、順次)投与され得る(例えば、併用療法のために)。そのような追加の治療用薬剤としては、治療用抗体、免疫療法及び免疫療法剤、細胞傷害剤、化学療法剤、並びに阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0266】
本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)とともに(例えば、併用療法のために)使用することができる治療用抗体としては、αvβ3結合抗体(例えば、エタラシズマブ)、α4β1結合抗体(例えば、ナタリズマブ)、α4β7結合抗体(例えば、ベドリズマブ)、TREM2結合抗体(例えば、AL002)、TNFα結合抗体(例えば、アダリムマブ)、CSF1結合抗体(例えば、MCS110)、CSF-1R結合抗体(例えば、AMG820)、C1Q結合抗体(ANX005)、CD40L結合抗体(例えば、ルプリズマブ)、FGFR抗体(例えば、ベマリツズマブ)、IL-1β結合抗体(例えば、カナキヌマブ、ゲボキズマブ)、IL-6結合抗体(例えば、トシリズマブ)、IL-12結合抗体(例えば、ウステキヌマブ)、並びにI型インターフェロン(IFN)に結合する抗体(例えば、シファリムマブ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0267】
本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)とともに(例えば、併用療法のために)使用することができる免疫療法及び免疫療法剤としては、サイトカイン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、当該免疫療法は、免疫応答を調節する免疫療法剤、例えば、チェックポイント阻害剤又はチェックポイントアゴニストを含む。いくつかの実施態様において、免疫療法剤は、当技術分野において公知のものの中でも特にPD-1、PD-L1、PD-L2、CEACAM(例えば、CEACAM-l、-3及び/又は-5)、CTLA-4、TIM-3、LAG-3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、TGFβ、OX40、41BB、LIGHT、CD40、GITR、TGF-β、TIM-3、SIRP-α、VSIG8、BTLA、SIGLEC7、SIGLEC9、ICOS、B7H3、B7H4、FAS、及び/又はBTNL2を標的とする抗体モジュレーターである。いくつかの実施態様において、免疫療法剤は、ナチュラルキラー(NK)細胞活性を増加させる薬剤である。いくつかの実施態様において、免疫療法剤は、免疫応答の抑制を阻害する薬剤である。いくつかの実施態様において、免疫療法剤は、抑制因子細胞又は抑制因子細胞活性を阻害する薬剤である。いくつかの実施態様において、免疫療法剤は、Treg活性を阻害する薬剤又は療法である。いくつかの実施態様において、免疫療法剤は、抑制性免疫チェックポイント受容体の活性を阻害する薬剤である。
【0268】
いくつかの実施態様において、免疫療法剤は、共刺激分子のアゴニスト又は活性化因子から選択されるT細胞モジュレーターを含む。一実施態様において、共刺激分子のアゴニストは、GITR、OX40、ICOS、SLAM(例えば、SLAMF7)、HVEM、LIGHT、CD2、CD27、CD28、CDS、ICAM-l、LFA-l(CD1 la/CDl8)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、CD30、CD40、BAFFR、CD7、NKG2C、NKp80、CD160、B7-H3、又はCD83リガンドのアゴニスト(例えば、アゴニスト抗体もしくはその抗原結合性断片、又は可溶性融合体)から選択される。別の実施態様において、エフェクター細胞の組合せは、二重特異性T細胞エンゲージャー(例えば、CD3及び腫瘍抗原(例えば、特に、EGFR、PSCA、PSMA、EpCAM、HER2)に結合する二重特異性抗体分子を含む。
【0269】
本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)とともに(例えば、併用療法のために)使用することができる細胞傷害剤としては、細胞機能を阻害又は予防しかつ/又は細胞死又は破壊を引き起こす物質が挙げられる。例示的な細胞傷害剤としては、放射性同位元素(例えば、I131、I125、Y90、及びRe186);化学療法剤;並びに細菌、真菌、植物、又は動物起源の毒素(それらの断片及び/又はバリアントを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0270】
本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)とともに(例えば、併用療法のために)使用することができる化学療法剤としては、がんの治療において有用な化学的な化合物が挙げられる。化学療法剤の例としては:チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロスホスファミド(cyclosphosphamide)などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのアルキルスルホネート;ベンゾドパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)、及びウレドパ(uredopa)などのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド(triethiylenethiophosphoramide)、及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamines);アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成の類似物トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビセレシン合成類似物を含む);クリプトフィシン(特に、クリトフィシン(crytophycin)1及びクリトフィシン(crytophycin)8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似物KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン(sarcodictyin);スポンギスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード類;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなどのニトロスレア(nitrosurea)類;エンジイン抗生物質(例えば、カリチアマイシン、特に、カリチアマイシンγ1I及びカリチアマイシンωI1(例えば、Agnew, Chem Intl. Ed. Engl., 33: 183-186 (1994)を参照されたい))などの抗生物質;ダイネマイシン(dynemicin)Aを含むダイネマイシン;クロドロネートなどのビスホスホネート類;エスペラミシン;並びにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン(aclacinomysin)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン(carabicin)、カミノマイシン(caminomycin)、カルジノフィリン、クロモマイシニス(chromomycinis)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシン(ADRIAMYCIN)(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリンo-ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎薬(anti-adrenal);フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート(edatraxate);デホファミン(defofamine);デメコルチン;ジアジコン;エルフォルミチン(elformithine)、酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);メイタンシン及びアンサミトシン類(ansamitocins)などのマイタンシノイド;ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダンモール(mopidanmol)、ニトラエリン(nitraerine)、ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)ポリサッカライド複合体(JHS Natural Products, Eugene, Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2′,2″-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(例えば、T-2毒素、ベラクリン(verracurin) A、ロリジン(roridin) A及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド類、例えば、タキソール(TAXOL)(登録商標)パクリタキセル(Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)、アブラキサン(ABRAXANE)(商標)パクリタキセルのクレモフォール不含アルブミン処理ナノ粒子製剤(albumin-engineered nanoparticle formulation)(American Pharmaceutical Partners, Schaumberg, Ill.)、及びタキソテール(TAXOTERE)(登録商標)ドキセタキセル(doxetaxel) (Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル(chloranbucil);ジェムザール(GEMZAR)(登録商標)ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ナベルビン(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(カンプトサール、CPT-11)(5-FU及びロイコボリンとのイリノテカンの治療レジメンを含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン治療レジメン(FOLFOX)を含むオキサリプラチン;細胞増殖を減少させるPKC-α、Raf、H-Ras、及びEGFRの阻害剤(例えば、エルロチニブ(タルセバ(Tarceva)(商標)))、並びに上記のもののいずれかの医薬として許容し得る塩、酸、又は誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。また、例えば、タモキシフェン(ノルバデックス(NOLVADEX)(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びフェアストン(FARESTON)・トレミフェンを含む、抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)などの腫瘍に対するホルモンの作用を調節又は阻害するように働く抗ホルモン剤;例えば、4(5)-イミダゾール類、アミノグルテチミド、メガース(MEGASE)(登録商標)酢酸メゲストロール、アロマシン(AROMASIN)(登録商標)エキセメスタン、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、フェマーラ(FEMARA)(登録商標)レトロゾール、及びアリミデックス(ARIMIDEX)(登録商標)アナストロゾールなどの、副腎でのエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤;及びフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリンなどの抗アンドロゲン薬;並びにトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、例えば、PKC-α、Raf、及びH-Rasなどの異常な細胞増殖と関係があるとされるシグナル伝達経路の遺伝子の発現を阻害するもの;VEGF発現阻害剤(例えば、アンギオザイム(ANGIOZYME)(登録商標)リボザイム)及びHER2発現阻害剤などのリボザイム;遺伝子療法ワクチン、例えば、アロベクチン(ALLOVECTIN)(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチンなどのワクチン;プロロイキン(PROLEUKIN)(登録商標)rIL-2;ルルトテカン(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;アバレリックス(登録商標)rmRH;ビノレルビン及びエスペラミシン、並びに上記のもののいずれかの医薬として許容し得る塩、酸、又は誘導体も挙げられる。
【0271】
本明細書に記載されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)とともに(例えば、併用療法のために)使用することができる阻害剤としては、FAK阻害剤(例えば、GSK2256098)、MEK阻害剤(例えば、コビメチニブ、ラメチニブ(rametinib)、ビニメチニブ、セルメチニブ)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、カボザンチニブ)などのキナーゼ阻害剤;EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ);ヤヌスキナーゼ(JAK)1選択的阻害剤(例えば、バリシチニブ、トファシチニブ、ウパダシチニブ)、CSF-1R阻害剤(例えば、BLZ945);Cキット阻害剤(例えば、マシチニブ);及びFGFR阻害剤(例えば、エルダフィチニブ)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0272】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を、PD-1の阻害剤又はPD-L1の阻害剤、例えば、抗PD-1モノクローナル抗体又は抗PD-L1モノクローナル抗体、例えば、ニボルマブ(オプジーボ)、ペンブロリズマブ(キイトルーダ、MK-3475)、アテゾリズマブ、又はアベルマブと組み合わせて用いることができる。
【0273】
いくつかの実施態様において、本明細書で開示されるα5β1インテグリン結合剤(例えば、抗体)を、CTLA-4阻害剤、例えば、抗CTLA-4抗体、例えば、イピリムマブ(Yervoy)と、又はサイトカインに対する抗体と、又はPD-L1及びCTLA-4もしくはPD-1及びCTLA-4に結合する二重特異性抗体と、又は他の抗がん剤と組み合わせて用いることができる。
【0274】
追加の薬剤は、上述の治療用薬剤又は他の薬剤のいずれかの医薬として許容し得る塩、エステル、アミド、水和物、及び/又はプロドラッグであってもよい。
【0275】
追加の治療用薬剤は、上述の治療用薬剤又は他の薬剤のいずれかの医薬として許容し得る塩、エステル、アミド、水和物、及び/又はプロドラッグであってもよい。
【0276】
本明細書に記載されるさまざまな実施態様の活性に実質的に影響を及ぼさない改変も、本明細書に記載される主題の定義内で提供されることが理解される。従って、以下の実施例は、本開示を説明することを意図しており、限定することは意図しない。
【実施例
【0277】
(実施例)
(実施例1: 抗体の世代及びα5インテグリン結合に関する初期スクリーニング)
NZBW及びCD-1マウスそれぞれ4頭に、100μgの精製組換えヒトα5β1インテグリンヘテロ二量体(rh-α5β1; Acro Biosystems, Newark, DE;カタログ番号IT1-H52W5)を注射した。4週間後、脾臓由来細胞及び流入領域リンパ節を融合させて、ハイブリドーマを作製した。約4000個のハイブリドーマの上清(NZBW系統由来2,500個及びCD-1系統由来1,500個)を、フローサイトメトリーによって、10ng/mL PMA(ホルボール12-ミリスタート13-アセタート; Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, カタログ番号5.00582)で24時間時間活性化され、凍結保存され、使用直前に解凍されたK562細胞(ATCC(登録商標)CCL-243(商標); Manassas, VA 20110)上で陽性に関してスクリーニングした。手短に言えば、ハイブリドーマ上清を、活性化されたK562細胞と20分間インキュベートし、洗浄し、次いで、蛍光コンジュゲート検出抗体と20分間インキュベートした、洗浄し、7-アミノアクチノマイシンD中に再懸濁し、平均蛍光強度(MFI)を、Guavaサイトメーター (Luminex Corporation, Austin, TX 78727)で測定した。表7に示されるように、ハイブリドーマ培地(K562細胞に対して125のMFI)のみよりもかなり高い(>1.5×)MFIを有していたハイブリドーマ上清に基づいて、さらなるスクリーニングのために249個の陽性クローンを選択した。
【0278】
(表7)
【表8】
【0279】
(実施例2: α5結合特異性に関するスクリーニング)
実施例1に記載したように選択された249個の陽性ハイブリドーマ上清を、プレートベースのELISAにおいてrh-α5β1に対する反応性に関してスクリーニングした。Immulon4 HBX ELISA 96ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA、カタログ番号3855)を、0.5 mM MgCl2、MnCl2、及びCaCl2を追加されたPBS中1μg/mLのrh-α5β1(R&D Systems, Minneapolis, MN 55413、カタログ番号3230-Α5)でコーティングし、4℃で1晩インキュベートした。プレートを、洗浄バッファー(Wash Buffer)(0.05% Tween20を含有する1×トリス緩衝生理食塩水)で3回洗浄した、1×TBS(TBS中に10×Thermo Scientific Blocker BSA(10×)から調製;Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA、カタログ番号37520)中2%のBSAで2時間室温(RT)でブロッキングし、ついで、標準的な希釈剤(2% BSA、1×TBS、0.05% Tween20)で1:10希釈されたハイブリドーマ上清とインキュベートした。室温で1時間のインキュベーション後に、ウェルを、3回洗浄し、1:8000の希釈度でビオチン化されたヤギ抗マウス二次抗体と1時間インキュベートし(Invitrogen, Carlsbad, CA、カタログ番号62-6540)、3回洗浄し、次いで、ポリ-HRPストレプトアビジン(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA、カタログ番号N200)と共に30分間インキュベートし、4回洗浄し、TMB (Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA、カタログ番号N301)と5~10分間インキュベートし、それに続き、ELISA Stop Solution (Invitrogen, Carlsbad, CA、カタログ番号SS04)を添加した。吸光度450nmを測定した。結果を、表8A及び表8Bに示す。
【0280】
(表8A)
【表9】
【0281】
(表8B)
【表10】
【0282】
並行して、rh-α4β1(R&D Systems, Minneapolis, MN 55413;カタログ番号3230-Α5及び5668-Α4)に対する反応性に関して試験を行うことによって、249種のハイブリドーマをヒトα5サブユニットに対する特異性に関してスクリーニングした。結果を、表8A及び表8Bに示す。rh-α4β1及びrh-α5β1の双方に反応したハイブリドーマはいずれも、β1サブユニット特異的であるように思われ、α5特異的であるとみなされない。上述のプロトコールを用いて、29種のハイブリドーマ上清が、rh-α4β1と強く(>1.0吸光度450nm)反応し、α5特異的であるとはみなされなかった。
【0283】
加えて、ハイブリドーマを、プレートを、rm-α5β1でコーティングした以外は上述と同じプロトコールを用いて、組換えマウスα5β1(rm-α5β1; R&D Systems, Minneapolis, MN 55413;カタログ番号7728-A5)に対する交差反応性に関して試験した。結果を、表8A及び表8Bに示す。3種のハイブリドーマが、rm-α5β1に対して強い結合(>1.0吸光度450nm)を示したが、rh-α4β1に対しても強い反応性を有していた。
【0284】
α5サブユニットに対する特異的結合を示した220種のハイブリドーマのうち、28種がさらなる特性評価キャラクタリゼーションのために選択され、これらは、rh-α4β1に対する交差反応性を有さず、0.32~2.3の範囲の吸光度450nm読み取り値を有するさまざまな抗α5結合抗体であった。この1:10希釈単一点アッセイ(single point assay)において、rm-α5β1に対する検出可能な交差反応性を有するものはなかった。
【0285】
(実施例3: 高いα5結合親和性を有する抗体の選択)
速度論的分析を、ForteBio Octet BMIA装置(ForteBio, Fremont, CA)を用いて、実施例2に記載したように選択された28種のハイブリドーマ上清に対して行って、抗体クローンの20nMのrh-α5β1(Acro Biosystems, Newark, DE;カタログ番号IT1-H52W5)への結合の平衡解離定数(KD=koff/kon)を算出した。抗マウスIgG Fcバイオセンサーを用いて、各クローン上清をローディングした。アッセイの工程は、以下のようであった:センサーチェック(Sensor Check)(30秒)→Abのローディング(Load Ab)(700秒)→クエンチ(480秒)→ベースライン(480秒)→Ab結合(Ab Assoc.)(600秒)→解離(Dissoc.)(600秒)。速度論データを、表9に示す。ハイブリドーマのうちの20種が、0.4~7.8nMの範囲の10ナノモル濃度(nM)未満のKDを有しており、それらが、さらなる特性評価のために選択された。
【0286】
(表9)
【表11】
【0287】
(実施例4: ユニークな抗体配列を特定するための可変領域シークエンシング)
実施例3に記載したように選択された20種のクローンの重鎖及び軽鎖可変領域のDNAシークエンシングを行った。DNAを、ハイブリドーマ細胞ペレットから単離し、サンガー法を用いて配列決定した。配列アラインメントによって、群番号1~9を割り当てられた9つのユニークな配列重鎖及び軽鎖ペアが明らかとなった。表10に示されるように、各ユニーク配列群を代表する1種の抗体クローンが、選択された。
【0288】
(表10)
【表12】
【0289】
(実施例5: α5β1に対するフィブロネクチンの結合を阻害する抗体の選択)
実施例4に記載したように選択された9種のユニークなハイブリドーマクローンが、α5β1インテグリンのフィブロネクチン(FN)に対する結合を阻害することができるか否かを決定するために、抗体を、先ず、タンパク質Aクロマトグラフィーによってハイブリドーマ上清から精製し、タンパク質濃度を、BCAアッセイ(Pierce(商標) BCAタンパク質アッセイキット; Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA、カタログ番号23225)によって測定し、次いで、ELISA形式の定量的FN阻害アッセイで試験した。
【0290】
Immulon4 HBX ELISA 96ウェルプレートを、1×PBS(0.01Mリン酸バッファー及び0.154M NaCl、pH 7.4)中での2.5μg/mLのヒトFN(R&D Systems, Minneapolis, MN 55413,カタログ番号1918-FN)を用いる4℃で1晩のインキュベーションによって、FNでコーティングした。次いで、プレートを、洗浄バッファー(Wash Buffer)(0.05% Tween20を含有する1×トリス緩衝生理食塩水)で3回洗浄し、1×TBS中2%のBSAで室温(RT)で2時間ブロッキングした。抗体を、0.1μg/mLのrh-α5β1-6xHisタグ化タンパク質(Acro Biosystems, Newark, DE, カタログ番号IT1-H52W5)を含有する標準的な希釈剤(2%BSA、1×TBS、0.05% Tween20)中に希釈して、10,000ng/mL~0.17ng/mLの範囲の11点の1:3抗体希釈系列を作製した。アイソタイプ対照抗体(対照Ab; Ms IgG2a EMD Millipore Corp, Billerica, MA、カタログ番号PP102)を用いて、異なるアッセイの実施全体にわたってデータが、規格化された。アッセイのために、ブロッキング溶液を除去し、ウェルを3回洗浄した後に、100uLの抗体希釈系列/Hisタグ化α5β1混合物を、ウェルに添加した。室温で1時間後に、ウェルを3回洗浄し、ビオチン化された抗6xHis-タグAb(Invitrogen, Carlsbad, CA、カタログ番号MAI-21315-BTIN)と標準的な希釈剤中1:1000で1時間インキュベートし、3回洗浄し、ポリ-HRPストレプトアビジン(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA、カタログ番号N200)と30分インキュベートし、4回洗浄し、TMB基質(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA、カタログ番号N301)と2~5分インキュベートし、それに続き、ELISA Stop Solution(Invitrogen, Carlsbad, CA、カタログ番号SS04)を添加した。吸光度450nmを測定した。データポイントを、各濃度でアイソタイプ対照Ab値に対して規格化し、対照Abに対して規格化された%吸光度450nmとして報告した。非線形回帰分析を用い、GraphPad Prismバージョン9.0.2(GraphPad Software, LLC, San Diego, CA)を用いてデータに曲線(4パラメーター)をフィッティングさせた。結果を、図1及び表11に示す。
【0291】
(表11)
【表13】
【0292】
抗体の3つのクラスが、それらの能力によって、α5β1のFNへの結合を強く阻害する(≧93%最大阻害)、FNに対する結合を部分的に阻害する(≦60%最大阻害)、又はFN結合を阻害しないと定義されるものとして特定された(表11)。α5β1のFNへの結合を強く又は部分的に阻害した6種の抗体を、さらなる特性評価のために選択した。
【0293】
(実施例6: エピトープ結合性 Groupsを特定する競合結合試験)
競合結合試験によるエピトープ分析を、実施例5に記載したように選択された6種の抗体に対してバイオレイヤー干渉法(BLI)を用いて行った。この抗体-抗原結合が、センサー上の抗体に対する結合を妨げるか又は可能にするかを決定するために、抗α5β1 FNブロッキング抗体A2-7A05、C-14D12、及びA-15B08を、センサー上に固定化し、rh-α5β1とプレインキュベートされた他の抗体のそれぞれとインキュベートした。観察された結合(反応)の大きさを、同じ条件下での単独での抗原の結合と比較した。総合的な反応が、単独での抗原結合性の120%よりも大きかった場合には、該抗体は、互いにペアとなることができる。反応が、単独での抗原結合性の反応の80%未満であった場合には、該抗体は、互いにブロッキングしあう。プロトコールは、以下のようであった:抗体のパネルを抗原とプレインキュベートする(1時間)。センサーを平衡化させる(30秒(秒))→リードAbをセンサー上にローディングする(700秒)→クエンチ(480秒)→ベースラインを読み取る(480秒)→ローディングされたセンサーを用いてプレインキュベートされたAb+Ag結合を測定する(600秒)。結果を、表12A及び表ss12Bに示す。
【0294】
例えば、A2-7A05又はA2-7F01と複合体形成したrh-α5β1は、センサー上のC-14D12及びA-15B08に結合することができた。A-15B08、A2-3B06、A2-5D10、又はC-14D12と複合体形成したrh-α5β1は、センサー上のA2-7A05に結合することができた。A2-3B06及びC-14D12は、α5β1と複合体形成した場合、センサー上のA-15B08に結合することができず、rh-α5β1と複合体形成したA-15B08及びA2-3B06は、センサー上のC-14D12に結合することができなかった。表12A及び表12Bの結果は、2つのエピトープ群が、これら6種の抗体によって提示されることを示す。A2-7A05及びA2-7F01が、一方の群を表し、A-15B08、A2-3B06、A2-5D10、及びC-14D12が、第2の群を表す。
【0295】
(表12A)
【表14】
*20nMのrh-α5β1と予備混合された
【0296】
(表12B)
【表15】
【0297】
(実施例7: 抗体結合は、α5β1-FNインテグリン-リガンド複合体を破壊する)
表面プラズモン共鳴(SPR)及び細胞ベースのアッセイを用いて、ヒトFNタンパク質に結合したrh-α5β1タンパク質の解離に対する抗体の作用を試験した。試験された抗体は、2つの異なるエピトープ結合性群を規定しかつ別個のリガンドブロッキング特性を有する実施例6で特定された抗体の2つの群の代表である。これらは、FN結合の強力なブロッカーであるA-15B08、及びFN結合の部分的ブロッカーであるA2-7A05である。加えて、小分子アンタゴニスト環状RGD(cRGD; Creative-Peptides, Shirley, New York, 11967、カタログ番号CP22175)を、α5β1インテグリンのFNに対する結合をリガンド結合ポケットにおいて競合することによって阻害する対照薬として試験した。
【0298】
用いられたSPR法の説明:水に溶解させたFNタンパク質を、裸の金(bare gold)でコーティングされた(厚さ47nm)PlexArray Nanocapture Sensor Chip (Plexera Bioscience, Seattle, WA)上に40%の湿度で手動でプリントした。チップを、80%湿度で4℃で1晩インキュベートし、10×PBST(0.1Mリン酸バッファー、1.54M NaCl、pH7.4、0.5%Tween20)で10分(min)、1×PBST(0.01Mリン酸バッファー、pH7.4、0.154M NaCl、0.05% Tween20)で10分、及び2回脱イオン水で10分すすいだ。次いで、チップを、水中5%(w/v)の脱脂乳で1晩ブロッキングし、10×PBSTで10分、1×PBSTで10分、及び2回脱イオン水で10分洗浄してから、使用前に窒素流下で乾燥させた。SPR測定を、ハイスループット表面プラズモン共鳴イメージング(SPRi)プラットフォームであるPlexArray HT (Plexera Bioscience, Seattle, WA)を用いて行った。コリメート光(660nm)が、カップリングプリズムを通過し、SPR活性な金表面で反射され、CCDカメラによって受け取られる。バッファー及び試料を、非拍動型ピストンポンプによって、カップリングプリム(coupling prim)上に載せられた30μLのフローセルの中に注入した。各SPR測定周期には、4つの工程:安定なベースラインを得るための2μL/秒(s)の一定速度での1×PBS流動バッファー(running buffer)での洗浄、FNに対する結合のための5uL/秒で300秒間(平衡とするため)の400nM rh-α5β1の注入、それに続く、rh-α5β1の解離を可能にするための2μL/秒で50秒間の流動バッファー単独の注入、及び最後の2μL/秒で250秒間の1μM抗体の注入を含めた。測定は全て、25℃で行われた。SPR結合反応(a.u.)を、経時的に記録しプロットした。
【0299】
抗体は双方とも、FNに結合したrh-α5β1タンパク質の解離に正の影響を与えたが、程度は異なっており、cRGDは、影響を与えなかった。図4Aは、抗体又はcRGDを添加した場合及び添加しない場合のSPR反応の重ね合わせを示す。いずれの抗体の注入も、FN、rh-α5β1タンパク質、及び抗体の三元複合体の形成を示すSPR反応の一過性の増加をもたらした。著しいことに、先にELISAによってFN結合の強力なブロッカーであることが示されているA-15B08抗体は、SPR反応によって検出した場合、FN-α5β1複合体の迅速な解離をもたらし、該抗体が注入されSPR反応が測定される250秒の間にほぼベースラインまで低下した。複合体を急速に解離させるこのA-15B08の性質は、類似の条件下での他の抗α5β1抗体によるかなり遅い解離速度示す公表されている結果とよい対照をなす(Mouldらの文献、J Bio Chem., 30; 291 (40): 20993-21007 (2016))。ELISAによりFNに対するα5β1の結合を部分的にのみブロッキングすることが示されたA2-7A05抗体は、そのようなSPR反応の迅速な低減を引き起こさなかったものの、いくつかの他の抗体についてMouldらの文献(2016)によって以前に公表されている結果と同程度のより低速の部分的な解離をもたらした。対照的に、小分子アンタゴニストcRGDの注入は、複合体の解離速度に対する認識できる作用を何ら有しなかった。抗体は双方とも、rh-α5β1タンパク質に対して類似の結合親和性有しており(A-15B08及びA2-7A05について、それぞれ、KD 1.31E-09及び0.8E-09、表9も参照されたい)、これらの抗体によって誘導される解離速度の差が、結合親和性の特定の機能ではなく、むしろ、結合相互作用の固有の性質であることを示唆していた。Mouldらの文献(2016)によって以前に示されているように、cRGDなどのリガンド部位競合的アンタゴニストは、アロステリックアンタゴニスト抗体がそうであるように、リガンド-インテグリン複合体の解離に効果的ではなく、アロステリック機構が、ここで試験された抗体でみられる解離活性に関与することを示唆している。
【0300】
また、A-15B08及びA2-7A05抗体並びにcRGDを、FNからの細胞α5β1インテグリンの解離を誘導するそれらの能力についても試験した。元々は膠芽腫腫瘍から誘導されたU87MG細胞(HTB-14(商標), ATCC, Manassas, VA)が、α5β1インテグリンを発現し、FNでコーティングされたプレートに接着することが知られている。FNでコーティングされたプレート上での1晩のインキュベーション後に、U87MG細胞は、緩く充填された単層を形成し、引き延ばされたスピンドル形状を有する。この細胞が、例えばトリプシンによってプレートから剥離するよう誘導されると、付着点が解放されて、細胞は、円形となる。この種の形態の変化を用いて、前記抗体及び小分子阻害剤cRGDが、U87MG細胞をFNでコーティングされたプレートから解離するように誘導することができるが否かを評価した。
【0301】
以下の方法を用いて、細胞剥離活性を評価した。1×PBS中32μg/mLのFN(ヒトフィブロネクチン、R&D Systems, Minneapolis, MN 55413,カタログ番号1918-FN)(1ウェルあたり50uL)の37℃で1時間のインキュベーションによって、96ウェル細胞培養プレート(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA、カタログ番号165306)をFNでコーティングし、次いで、10%ウシ胎仔血清(FBS; ATCC, Manassas, VA、カタログ番号30-2021)を追加したEMEM培地(ATCC, Manassas, VA、カタログ番号30-2003)で2回洗浄した。U87MG細胞を、EMEM培地+10%FBS中に1ウェルあたり細胞20,000個で1晩プレーティングし、最大の接着を可能とした。翌日に、培地を、抗体A-15B08、A2-7A05、又はアイソタイプ対照IgG4の2.0、0.4、0.08、及び0.016μg/mLの濃度又はcRGDの20、4、0.8、及び0.16μMの1:5希釈系列を含む新鮮な培地と置き換えた。全ての試験は、2連で行った。細胞の形態を、評価し、ECHO Rebel光学顕微鏡(ECHO, San Diego, CA)の10倍対物レンズを用いて画像を取り込んだ。
【0302】
結果は、強力なFNブロッキング抗体の代表である抗体A-15B08が、ほんの0.4μg/mLという該抗体の濃度で細胞の接触の剥離を原因とする著しい細胞の円形化を引き起こしたことを示しており、これは、1時間及び3時間の双方で観察され、後者は、画像が取り込まれた時間である(図4B)。部分的アンタゴニストA2-7A05も、0.4μg/mLの抗体濃度で細胞の剥離を示したが、かなり低いレベルであり、3時間の時点でのみ明らであった。より弱いこの抗体の接着細胞を剥離させる能力は、それが、部分的な阻害剤であるのみであることと一致している。IgG4アイソタイプ対照及びcRGD処理は、アッセイされた濃度又は時点のいずれでも顕著な細胞剥離を示さなかった(図4B)。該2つの抗体が、細胞をFNでコーティングされたウェルから解離させる程度は、当該強力なアンタゴニスト抗体が、インテグリン-FN複合体の迅速な解離を引き起こし、当該部分的アンタゴニストが、弱く解離を誘導するのみであった精製タンパク質を用いて得られたSPR解離データ(図4A)と一致する。
【0303】
(実施例8: ヒトIgG4キメラの世代及びCDRH2でのN-グリコシル化部位の除去が、抗体のFNブロッキング活性に著しい影響を与えることはない)
抗体発現プラスミドを、抗体A-15B08、C-14D12、及びA2-7A05由来の可変ドメインを有するヒトIgG4キメラとして構築した。加えて、抗体A-15B08のCDRH2の位置62のスレオニン残基を、アラニンに変更して想定されるN-グリコシル化部位を除去し、IgG4クローンA-15B08-T62Aと名付けた。A-15B08-T62AのVH及びVL配列並びに6つのCDR配列(さまざまな付番スキームによる)を、図2C及び図2Dに示す。配列の正確性を、サンガーシークエンシングを用いて検証し、プラスミド濃度を、260nmの波長での吸収を測定することにより決定した。発現クローンを、懸濁順応化(suspension-adapted)CHO K1細胞にトランスフェクションさせ、動物成分不含無血清培地で増殖させた。上清を、遠心分離及びそれに続く濾過(0.2μmフィルター)によって回収した。抗体を、MabSelect(商標) SuRe(商標) (Cytiva, Marlborough, MA)を用いて精製した。純度を、Agilent AdvanceBio SECカラム(300A 2.7um 7.8×300mm; Agilent Technologies社, Santa Clara, CA)を用いPBSを溶離バッファーとして0.8mL/分で用いる分析用サイズ排除クロマトグラフィーによって決定した。収量は、吸光度280nmによって決定した。4種のキメラ抗体A-15B08、A-15B08-T62A、C-14D12、及びA2-7A05は全て、250mLの培養物から、それぞれ、55、53、43、及び24mgの収量の高レベルで発現された。
【0304】
凍結解凍安定性を、3回繰り返される-80℃での1晩保管及びそれに続く氷上での解凍によって、各キメラ抗体の少量のアリコートに対して試験した。4℃で保管されるのみである抗体と比較してα5β1インテグリンのフィブロネクチン(FN)に対する結合を阻害する能力によって判断すると、4種のキメラ抗体は全て、3回の凍結解凍サイクルに対して安定であった。ELISA法は、実施例2に記載されているように用いた。IC50を、GraphPad Prismバージョン9.0.2(GraphPad Software, LLC, San Diego, CA)を用いるELISAデータの非線形回帰分析曲線フィッティング(4パラメーター)によって計算した(図5)。得られたIC50は、3回の凍結解凍(F/T)が、FNブロッキングアッセイにおいて抗体の効力を極々少しだけ達成したことを示している(表13)。加えて、同じFNブロッキングELISA及びIC50決定法を用いて、IgG4キメラの効力を、その誘導元のマウスハイブリドーマの効力と比較した。結果は、キメラが、差がそれよりも少なかった(IC50 0.115対0.130)A2-7A05の場合を除く全ての場合で、該ハイブリドーマよりも、約2倍(図6及び表14を参照されたい)という少し高い効力を有していたことを示している。
(表13)
【表16】
(表14)
【表17】
【0305】
A-15B08のグリコシル化状態を、SDS-PAGEにおいてその重鎖の移動度を、想定されるN-グリコシル化部位NSTにおける重鎖可変ドメインの位置62にTからAへの変異を含むA-15B08-T62Aのそれと比較することによって決定した。2μgの各抗体を、MOPSバッファー(Invitrogen, Carlsbad, CA、カタログ番号B0001)を用いて泳動させるBolt(商標) 4-12.5% Tris-Bis Plus(Invitrogen, Carlsbad, CA、カタログ番号NW04120BOX)ミニタンパク質ゲルを用いるSDS-PAGEによって分離した。変異型N-グリコシル化部位を有する抗体重鎖A-15B08-T62Aの移動度は、想定されるN-グリコシル化部位を含有しないC-14D12及びA2-7A05由来の他の2種の抗体重鎖と同様に移動した。特に、A-15B08の重鎖は、他の3種の抗体よりもゆっくり移動し、それが、実際に、この部位でグリコシル化されていたことのエビデンスを提供した(図7)。このデータに基づけば、抗体A2-5D10(変異型でなく、SDS-PAGEによって試験されてもいないもの)も、そのCDRH2内の類似のNST配列でグリコシル化されるであろうことが期待される。
【0306】
(実施例9: α5β1インテグリンへの抗体の結合が、そのコンホメーションを不活性型へとシフトさせる)
インテグリンのコンホメーションを活性なコンホメーションから不活性なコンホメーションへと調節する抗α5抗体の能力を、インテグリンが、活性な又は開いた(open)コンホメーションにある場合にβ1-鎖に優先的に結合する抗体である12G10(マウス抗ヒトインテグリンβ1/CD29抗体、Novus Biologicals, Littleton, CO、カタログ番号NB100-63255)を用いてアッセイした。Nunc MaxiSorp平底96ウェルプレート(Invitrogen, Waltham, MA、カタログ番号44-2404-21)を、4℃で1晩のインキュベーションによって、0.2M炭酸-重炭酸バッファー、pH9.4 (Thermo Scientific, Rockford, IL、カタログ番号28382)中2μg/mLの12G10抗体でコーティングした。次いで、プレートを、洗浄バッファー(1×トリス緩衝生理食塩水(0.05% Tween20含有))で3回洗浄し、次いで、1×TBS中2%のBSAで室温(RT)で2時間ブロッキングを行った。抗体のヒトIgG4キメラバージョンを、0.05μg/mL rh-α5β1-6xHisタグタンパク質(Acro Biosystems, Newark, DE、カタログ番号IT1-H52W5)及び0.5mM MnCl2 (TEKnova, Hollister, CA、カタログ番号M0350)を含有する標準的な希釈剤(2% BSA、1×TBS、0.05% Tween20)中に希釈して、10,000ng/mL~0.64ng/mLの範囲の7点の1:5抗体希釈系列を作製した。ヒトIgG4キメラ抗体A-15B08、C-14D12、及びA2-7A05に加えて、試験された3つの他の抗体は、IgG4アイソタイプ対照(ヒトIgG4、κ、抗フルオレセインAb00102-13.0、Absolute Antibody, Wilton, UK)、インテグリンα-5を活性なコンホメーションへと誘導することが知られている抗インテグリンα-5クローンSNAKA51(MilliporeSigma, St. Louis, MO、カタログ番号MABT201)、及び、最後に、MaxiSorpプレートに結合した12G10と直接競合することができる12G10抗体自体を含んでいた。アッセイのために、ブロッキング溶液を除去し、ウェルを3回洗浄した後に、100μLの抗体希釈系列、Hisタグ化α5β1混合物をウェルに添加した。室温で1時間後、ウェルを、3回洗浄し、ビオチン化抗6xHis-タグAb(Invitrogen, Carlsbad, CA、カタログ番号MAI-21315-BTIN)と、標準的な希釈剤中1:1000で1時間インキュベートし、3回洗浄し、ポリ-HRPストレプトアビジン(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA、カタログ番号N200)と30分間インキュベートし、3回洗浄し、TMB基質(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA、カタログ番号N301)と2~5分インキュベートし、それに続き、ELISA Stop Solution(Invitrogen, Carlsbad, CA、カタログ番号SS04)を添加した。吸光度450nmを測定した。データポイントを、希釈系列ごとに抗体が入っていないウェルの吸光度に対して規格化し、パーセント結合率として報告した。非線形回帰分析を用い、GraphPad Prismバージョン9.0.2(GraphPad Software, LLC, San Diego, CA)を用いて、曲線(3パラメーター)をデータにフィッティングした。結果を、図8に示す。
【0307】
結果は、先にα5β1のFNへの結合を強く阻害することが示された2つの抗体A-15B08及びC-14D12が、12G10に対するα5β1インテグリンの結合を約50%減少させ、その一方で、FNに対する結合を部分的に阻害する抗体A2-7A05が、12G10に対するα5β1インテグリンの結合を減少させなかったことを示す。同様に、IgG4アイソタイプ対照は、12G10に対するα5β1インテグリンの結合を減少させなかった。α5β1インテグリンを活性なコンホメーションへとシフトさせることが知られているSNAKA51抗体は、12G10に対するα5β1インテグリンの結合を増加させた。いかなる理論に束縛されるものではないが、α5β1インテグリンのその主要なリガンドであるFNへの結合を強く阻害する抗体は、一部には、α5β1インテグリンのコンホメーションを不活性なコンホメーション状態へとシフトさせることによってそのような阻害を行っている可能性がある。
【0308】
(実施例10: フィブロネクチンへの細胞接着の抗体阻害)
細胞表面α5β1インテグリン受容体は、FNと相互作用して、細胞接着を促進する。ヒトIgG4キメラ抗α5β1抗体が、接着を阻害するか否かを試験するために、プレートベースの細胞接着アッセイを、膠芽腫腫瘍に由来し、α5β1インテグリンを発現することが知られているU87MG細胞株(HTB-14(商標), ATCC, Manassas, VA)との使用のために開発した。U87MG細胞を、5% CO2、37℃のインキュベーター内で、10%ウシ胎仔血清(FBS; ATCC, Manassas, VA、カタログ番号30-2021)を追加したEMEM培地(ATCC, Manassas, VA、カタログ番号30-2003)中で、80%コンフルエンスまで増殖させた。細胞を、0.05%トリプシン、0.02% EDTA(Lifeline Cell Technology, Frederick, MD、カタログ番号CM0017)を用いてフラスコから解離させ、カルシウム及びマグネシウムを含有するダルベッコ変法1×PBS(DPBS)(HyClone, Logan, UT、カタログ番号SH30028-02)で1回洗浄し、何も追加していないEMEM培地中に1mlあたり細胞が2,000,000個の細胞濃度で再懸濁させた。細胞を、インキュベーター内で30分休ませてから、96ウェルポリプロピレン丸底プレート内で終濃度が3~0.01μg/mLの範囲の抗体の6点の1:3希釈系列と混合した。100,000個の休ませた細胞を、抗体の各希釈物と予備混合して、100μLの最終体積とし、次いで、ヒトFNでコーティングされた96ウェルプレート(R&D Systems, Minneapolis, MN、カタログ番号CWP001)に移した。細胞抗体混合物を、37℃、5% CO2で1時間インキュベートした。非接着細胞を、吸収パッド上でプレートを裏返すことによってウェルから除去し、次いで、カルシウム及びマグネシウム不含1×DPBS(EMD Millipore Corp, Billerica, MA、カタログ番号TMS-012-A)で各ウェル200uLを用いて2回洗浄した。細胞の計数を容易にするために、推奨希釈度(1:2000)の100μLの1×DPBS(Hoechst 33342色素(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA、カタログ番号62249)を含有)を、各ウェルに添加して、核を蛍光染色し、ウェルに接着したままであった細胞を、この場合には、Hoechst核染色を検出するのにDAPIフィルターを用いて蛍光染色された核の計数に基づくものであるImageXpress Pico Automated Cell Imaging System(Molecular Devices, San Jose, CA)によって提供される画像解析ソフトウェアを用いて計数した。非線形回帰分析を用い、GraphPad Prismバージョン9.0.2(GraphPad Software, LLC, San Diego, CA)を用いて、曲線(4パラメーター)をデータにフィッティングした。
【0309】
結果を、図9に示す。抗体の非存在下でFNコーティングされたウェルに接着した平均U87MG細胞数は、37,022であり、標準偏差(stdev)は、2,364(n=16)であった。FNコーティングのないウェルからの細胞数は平均で、628個であり、標準偏差は、143(n=12)であった。3μg/mLで試験された抗体の最高濃度は、FN結合の強力なブロッカーである抗体A-15B08、A-15B08-T62A、及びC-14D12に関しては78%~86%の範囲で、FN結合の部分的ブロッカーであることが示された抗体A2-7A05に関しては25%で接着を阻害した(表15)。本細胞接着ブロッキングアッセイのデータは、α5β1のFnとの結合に対する及び細胞接着に対する本抗体の阻害作用を実証した。
(表15)
【表18】
(実施態様)
1. α5β1インテグリンに対する結合に関して:
(A)(i)配列番号:25のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:26のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(ii)配列番号:42のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:43のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(iii)配列番号:51のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:52のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(iv)配列番号:109のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:110のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(v)配列番号:135のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:26のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(vi)配列番号:136のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:137のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(vii)配列番号:138のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:139のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(viii)配列番号:144のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:145のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(ix)配列番号:146のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:147のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;又は
(B)(i)配列番号:77のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:78のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(ii)配列番号:91のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:92のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;(iii)配列番号:140のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:141のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域;並びに/もしくは(iv)配列番号:142のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び配列番号:143のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域
を含む抗体と競合する抗体又はその断片。
2. α5β1インテグリンに結合する抗体又はその断片であって:
(a)以下:
(1):(i)配列番号:1、27、53、又は93、
(ii)配列番号:7、31、59、又は97、
(iii)配列番号:12、34、64、又は100、
(iv)配列番号:13、35、65、又は101、及び
(v)配列番号:18、38、70、又は105
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2):(i)配列番号:2、28、54、又は79、
(ii)配列番号:8、60、又は82、
(iii)配列番号:14、66、又は84、
(iv)配列番号:19、71、又は87、及び
(v)配列番号:24、76、又は90
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3):(i)配列番号:3、29、55、80、又は94、
(ii)配列番号:9、32、61、83、又は98、
(iii)配列番号:15、36、67、85、又は102、及び
(iv)配列番号:20、39、72、88、又は106
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1):(i)配列番号:4、30、44、56、又は95、
(ii)配列番号:10、33、46、62、又は99、
(iii)配列番号:16、37、47、68、又は103、及び
(iv)配列番号:21、40、49、73、又は107
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2):(i)配列番号:5又は57、
(ii)配列番号:11又は63、及び
(iii)配列番号:22、41、又は74
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3):(i)配列番号:6、45、58、81、又は96、
(ii)配列番号:17、48、69、86、又は104、及び
(iii)配列番号:23、50、75、89、又は108
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、前記抗体又はその断片。
3. α5β1インテグリンに結合する抗体又はその断片であって:
(1):以下
(i)配列番号:1、27、53、又は93、
(ii)配列番号:7、31、59、又は97、
(iii)配列番号:12、34、64、又は100、
(iv)配列番号:13、35、65、又は101、及び
(v)配列番号:18、38、70、又は105
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2):以下
(i)配列番号:2、28、54、又は79、
(ii)配列番号:8、60、又は82、
(iii)配列番号:14、66、又は84、
(iv)配列番号:19、71、又は87、及び
(v)配列番号:24、76、又は90
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;並びに
(3):以下
(i)配列番号:3、29、55、80、又は94、
(ii)配列番号:9、32、61、83、又は98、
(iii)配列番号:15、36、67、85、又は102、及び
(iv)配列番号:20、39、72、88、又は106
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域
を含む、前記抗体又はその断片。
4. α5β1インテグリンに結合する抗体又はその断片であって:
(1):以下
(i)配列番号:4、30、44、56、又は95、
(ii)配列番号:10、33、46、62、又は99、
(iii)配列番号:16、37、47、68、又は103、及び
(iv)配列番号:21、40、49、73、又は107
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2):以下
(i)配列番号:5又は57、
(ii)配列番号:11又は63、及び
(iii)配列番号:22、41、又は74
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;並びに
(3):以下
(i)配列番号:6、45、58、81、又は96、
(ii)配列番号:17、48、69、86、又は104、及び
(iii)配列番号:23、50、75、89、又は108
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、前記抗体又はその断片。
5. 配列番号:25であるVH配列及び配列番号:26であるVL配列を含む、A-15B08と名付けられた抗体;
配列番号:135であるVH配列及び配列番号:26であるVL配列を含む、A-15B08と名付けられた抗体-T62A;
配列番号:136であるVH配列及び配列番号:137であるVL配列を含む、A-15B08_Lowと名付けられた抗体;
配列番号:138であるVH配列及び配列番号:139であるVL配列を含む、A-15B08_Low+Modと名付けられた抗体;
配列番号:42であるVH配列及び配列番号:43であるVL配列を含む、A2-3B06と名付けられた抗体;
配列番号:51であるVH配列及び配列番号:52であるVL配列を含む、A2-5D10と名付けられた抗体;
配列番号:77であるVH配列及び配列番号:78であるVL配列を含む、A2-7A05と名付けられた抗体;
配列番号:140であるVH配列及び配列番号:141であるVL配列を含む、A2-7A05_Lowと名付けられた抗体;
配列番号:142であるVH配列及び配列番号:143であるVL配列を含む、A2-7A05_Low+Modと名付けられた抗体;
配列番号:91であるVH配列及び配列番号:92であるVL配列を含む、A2-7F01と名付けられた抗体;
配列番号:109であるVH配列及び配列番号:110であるVL配列を含む、C-14D12と名付けられた抗体;
配列番号:144であるVH配列及び配列番号:145であるVL配列を含む、C-14D12_Lowと名付けられた抗体;又は
配列番号:146であるVH配列及び配列番号:147であるVL配列を含む、C-14D12_Low+Modと名付けられた抗体
由来の3つの重鎖相補性決定領域(CDR)全て又は3つの軽鎖CDR全てを含む、α5β1インテグリンに結合する抗体又はその断片。
6. A-15B08と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び3つの軽鎖CDR全てを含む、実施態様5記載の抗体又はその断片。
7. A2-3B06と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び3つの軽鎖CDR全てを含む、実施態様5記載の抗体又はその断片。
8. A2-5D10と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び3つの軽鎖CDR全てを含む、実施態様5記載の抗体又はその断片。
9. A2-7A05と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び3つの軽鎖CDR全てを含む、実施態様5記載の抗体又はその断片。
10. A2-7F01と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び3つの軽鎖CDR全てを含む、実施態様5記載の抗体又はその断片。
11. C-14D12と名付けられた抗体由来の3つの重鎖CDR全て及び3つの軽鎖CDR全てを含む、実施態様5記載の抗体又はその断片。
12. α5β1インテグリンに結合する抗体又はその断片であって、該抗体が:
(a)表1~表6に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域;又は
(b)表1~表6に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、前記抗体又はその断片。
13. 前記抗体が:
(a)表1~表6に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域;及び
(b)表1~表6に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様12記載の抗体又はその断片。
14. 前記抗体が、表1~表6に記載のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)領域を含む、実施態様12記載の抗体又はその断片。
15. 前記抗体が、表1~表6に記載のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)領域を含む、実施態様12記載の抗体又はその断片。
16. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:1、7、12、13、及び18からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:2、8、14、19、及び24からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:3、9、15、及び20からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:4、10、16、及び21からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5、11、及び22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:6、17、及び23からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様12記載の抗体又はその断片。
17. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:3のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様16記載の抗体又はその断片。
18. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:7のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:9のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:10のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様16記載の抗体又はその断片。
19. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:12のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:3のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様16記載の抗体又はその断片。
20. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:13のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:14のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:15のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:16のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:17のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様16記載の抗体又はその断片。
21. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:18のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:19のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:20のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:21のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:22のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:23のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様16記載の抗体又はその断片。
22. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:24のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:3のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様16記載の抗体又はその断片。
23. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:27、31、34、35、及び38からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:8、14、19、24、及び28からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:29、32、36、及び39からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:30、33、37、及び40からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5、11、及び41からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、及び
(3)配列番号:6、17、及び23からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様12記載の抗体又はその断片。
24. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:27のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:28のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:29のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:30のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様23記載の抗体又はその断片。
25. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:31のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:32のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:33のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様23記載の抗体又はその断片。
26. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:34のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:28のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:29のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:30のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様23記載の抗体又はその断片。
27. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:35のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:14のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:36のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:37のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:17のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様23記載の抗体又はその断片。
28. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:38のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:19のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:39のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:40のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:41のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:23のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様23記載の抗体又はその断片。
29. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:27のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:24のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:29のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:30のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:6のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様23記載の抗体又はその断片。
30. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:1、7、12、13、及び18からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:2、8、14、19、及び24からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:3、9、15、及び20からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:44、46、47、及び49からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5、11、及び22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:45、48、及び50からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様12記載の抗体又はその断片。
31. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:3のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:44のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:45のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様30記載の抗体又はその断片。
32. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:7のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:9のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:46のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:45のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様30記載の抗体又はその断片。
33. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:12のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:3のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:44のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:45のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様30記載の抗体又はその断片。
34. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:13のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:14のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:15のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:47のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:48のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様30記載の抗体又はその断片。
35. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:18のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:19のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:20のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:49のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:22のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:50のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様30記載の抗体又はその断片。
36. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:24のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:3のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:44のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:45のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様30記載の抗体又はその断片。
37. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:53、59、64、65、及び70からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:54、60、66、71、及び76からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:55、61、67、及び72からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:56、62、68、及び73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:57、63、及び74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:58、69、及び75からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様12記載の抗体又はその断片。
38. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:53のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:54のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:55のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:56のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:58のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様37記載の抗体又はその断片。
39. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:59のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:60のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:61のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:62のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:63のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:58のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様37記載の抗体又はその断片。
40. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:64のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:54のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:55のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:56のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:58のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様37記載の抗体又はその断片。
41. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:65のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:66のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:67のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:68のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:63のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:69のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様37記載の抗体又はその断片。
42. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:70のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:71のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:72のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:73のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:74のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:75のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様37記載の抗体又はその断片。
43. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:53のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:76のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:55のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:56のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:58のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様37記載の抗体又はその断片。
44. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:53、59、64、65、及び70からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:79、82、84、87、及び90からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:80、83、85、及び88からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:56、62、68、及び73からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:57、63、及び74からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:81、86、及び89からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様12記載の抗体又はその断片。
45. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:53のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:79のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:80のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:56のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:81のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様44記載の抗体又はその断片。
46. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:59のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:82のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:83のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:62のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:63のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:81のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様44記載の抗体又はその断片。
47. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:64のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:79のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:80のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:56のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:81のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様44記載の抗体又はその断片。
48. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:65のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:84のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:85のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:68のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:63のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:86のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様44記載の抗体又はその断片。
49. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:70のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:87のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:88のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:73のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:74のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:89のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様44記載の抗体又はその断片。
50. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:53のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:90のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:80のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:56のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:57のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:81のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様44記載の抗体又はその断片。
51. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:93、97、100、101、及び105からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:8、14、19、24、及び28からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:94、98、102、及び106からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:95、99、103、及び107からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5、11、及び22からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:96、104、及び108からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様12記載の抗体又はその断片。
52. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:93のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:28のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:94のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:95のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2:及び
(3)配列番号:96のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様51記載の抗体又はその断片。
53. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:97のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:8のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:98のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:99のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:96のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様51記載の抗体又はその断片。
54. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:100のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:28のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:94のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:95のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:96のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様51記載の抗体又はその断片。
55. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:101のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:14のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:102のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:103のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:11のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:104のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様51記載の抗体又はその断片。
56. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:105のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:19のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:106のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:107のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:22のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:108のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様51記載の抗体又はその断片。
57. 前記抗体が:
(a)以下:
(1)配列番号:93のアミノ酸配列を有するVH CDR1;
(2)配列番号:24のアミノ酸配列を有するVH CDR2;及び
(3)配列番号:94のアミノ酸配列を有するVH CDR3
を含む重鎖可変(VH)領域;並びに
(b)以下:
(1)配列番号:95のアミノ酸配列を有するVL CDR1;
(2)配列番号:5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;及び
(3)配列番号:96のアミノ酸配列を有するVL CDR3
を含む軽鎖可変(VL)領域
を含む、実施態様51記載の抗体又はその断片。
58. 前記VH領域又はVL領域が、ヒトフレームワーク配列をさらに含む、実施態様12~57のうちのいずれか1つの抗体又はその断片。
59. 前記VH領域及びVL領域が、ヒトフレームワーク配列をさらに含む、実施態様58記載の抗体又はその断片。
60. 前記VH領域又はVL領域が、フレームワーク1(FR1)、フレームワーク2(FR2)、フレームワーク3(FR3)、及び/又はフレームワーク4(FR4)配列をさらに含む、実施態様12~57のうちのいずれか1つの抗体又はその断片。
61. 前記VH領域及びVL領域が、フレームワーク1(FR1)、フレームワーク2(FR2)、フレームワーク3(FR3)、及びフレームワーク4(FR4)配列をさらに含む、実施態様60記載の抗体又はその断片。
62. 前記抗体が、モノクローナル抗体である、実施態様1~61のうちのいずれか1つ記載の抗体又はその断片。
63. 前記モノクローナル抗体が、ヒト化、ヒト、又はキメラ抗体である、実施態様62記載の抗体又はその断片。
64. Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、(scFv)2、単鎖抗体分子、二重可変領域抗体、単一可変領域抗体、線状抗体(linear antibody)、V領域、又は抗体断片から形成された多重特異性抗体である、実施態様1~63のうちのいずれか1つ記載の抗体又はその断片。
65. 診断用薬剤、検出可能薬剤、もしくは治療用薬剤にコンジュゲートされた又は組換えで融合された、実施態様1~64のうちのいずれか1つ記載の抗体又はその断片。
66. 前記治療用薬剤が、化学療法剤、細胞毒、又は薬物である、実施態様65記載の抗体又はその断片。
67. 実施態様1~66のうちのいずれか1つ記載の抗体又はその断片と本質的に同じエピトープに結合する結合剤。
68. 抗体又はその断片である、実施態様67記載の結合剤。
69. 非抗体タンパク質スキャフォールドを含む、実施態様67記載の結合剤。
70. 前記非抗体タンパク質スキャフォールドが、フィブロネクチンスキャフォールド、アンチカリン、アドネクチン、アフィボディ、DARPin、フィノマー、アフィチン、アフィリン、アビマー、システインリッチノッティンペプチド、又は操作されたKunitz型阻害剤を含む、実施態様69記載の結合剤。
71. ヒトα5β1インテグリンに対する結合に関して、実施態様1~66のうちのいずれか1つ記載の抗体又はその断片と競合する結合剤。
72. 抗体又はその断片である、実施態様71記載の結合剤。
73. 実施態様1~66のうちのいずれか1つ記載の抗体又はその断片をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを含む1つ以上のベクター。
74. 実施態様1~63のうちのいずれか1つ記載の抗体又はその断片、及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物。
75. 対象においてα5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態を治療するための方法であって、該対象に、実施態様1~66のうちのいずれか1つ記載の抗体もしくはその断片又は実施態様74記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
76. 対象においてα5β1インテグリン介在性の疾患、障害、又は状態に関連する1つ以上の症状を軽減するための方法であって、該対象に、実施態様1~66のうちのいずれか1つ記載の抗体もしくはその断片又は実施態様74記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
77. 対象においてがん又は腫瘍を治療するための方法であって、該対象に、実施態様1~66のうちのいずれか1つ記載の抗体もしくはその断片又は実施態様74記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
78. 対象においてがん又は腫瘍に関連する1つ以上の症状を軽減するための方法であって、該対象に、実施態様1~66のうちのいずれか1つ記載の抗体もしくはその断片又は実施態様74記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
79. 対象において血管新生介在性の疾患、障害、又は状態を治療するための方法であって、該対象に、実施態様1~66のうちのいずれか1つ記載の抗体もしくはその断片又は実施態様74記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
80. 対象において血管新生介在性の疾患、障害、又は状態に関連する1つ以上の症状を軽減するための方法であって、該対象に、実施態様1~66のうちのいずれか1つ記載の抗体もしくはその断片又は実施態様74記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
81. 対象において炎症性の疾患、障害、又は状態を治療するための方法であって、該対象に、実施態様1~66のうちのいずれか1つ記載の抗体もしくはその断片又は実施態様74記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
82. 対象において炎症性の疾患、障害、又は状態に関連する1つ以上の症状を軽減するための方法であって、該対象に、実施態様1~66のうちのいずれか1つ記載の抗体もしくはその断片又は実施態様74記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
83. 前記対象が、前記抗体もしくはその断片又は前記医薬組成物と組み合わせて1種以上の治療用薬剤を投与される、実施態様75~82のうちのいずれか1つ記載の方法。
【0310】
本出願の全体にわたって、さまざまな刊行物、特許、特許出願、及び他の文書が、引用されている。これらの刊行物、特許、特許出願、及び他の文書の開示は、その全体が、本明細書で開示される主題が関連する最新技術をより完全に説明する目的を含むあらゆる目的のためにこれによって本出願に引用により組み込まれる。開示される主題は、上で提供した例と関連して説明されているものの、開示される主題の趣旨から逸脱することなくさまざまな変更を行うことができることを理解すべきである。本明細書を読めば、多くの変形形態が、当業者には明らかとなるであろう。
図1
図2A-1】
図2A-2】
図2B-1】
図2B-2】
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3-1】
図3-2】
図4A-1】
図4A-2】
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024517953000001.app
【国際調査報告】