IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プライムジェン ユーエス インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-517954肝疾患を治療するための方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】肝疾患を治療するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/28 20150101AFI20240416BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 5/0775 20100101ALN20240416BHJP
【FI】
A61K35/28
A61P1/16 ZNA
C12N5/0775
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570088
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 US2022028948
(87)【国際公開番号】W WO2022241090
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/188,121
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523426851
【氏名又は名称】プライムジェン ユーエス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】マール、ジョエル
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065BB19
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB44
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA75
(57)【要約】
必要とする対照に治療有効量の活性化幹細胞を罹患組織または器官に投与することを含む治療方法が提供される。本明細書に記載の方法は、幹細胞の「活性化」または「プレコンディショニング」を含むMSCの精製および製剤化方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝疾患の治療を必要とする患者にMSCを投与することを含む肝疾患を治療するための方法。
【請求項2】
前記MSCは活性化MSCを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性化MSCは、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)のうち少なくとも1つにより活性化されたMSCを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記活性化MSCは、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)のうち少なくとも2つにより活性化されたMSCを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記活性化MSCは、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)により活性化されたMSCを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記患者は哺乳類である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記哺乳類はヒトである、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記投与は、皮下、関節内、病巣内、静脈内、腹腔内、または筋肉内の投与のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記MSCは自己由来である、請求項9に記載の方法。
【請求項10】
前記MSCは同種異系である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記MSCは1×10細胞から1×1012細胞の間の用量で投与される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記用量は少なくとも2回の投与を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記用量は少なくとも3回の投与を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記用量は少なくとも4回の投与を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記用量は少なくとも5回の投与を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)のうち少なくとも1つによりMSCを刺激することを含む、サイトカイン産生MSCを活性化するための方法。
【請求項17】
インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)のうち少なくとも2つによりMSCを刺激することを含む、サイトカイン産生MSCを活性化するための方法。
【請求項18】
インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)によりMSCを刺激することを含む、サイトカイン産生MSCを活性化するための方法。
【請求項19】
前記サイトカインが、IL-6、IL-17A、IFNγ、TNFα、TGFβ、MCP1、HGF、IL-8、TIMP-1、TIMP-2、VEGF、IDO、MIP-1b、およびIL-10のうち少なくとも1つを含む、請求項16から18のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、幹細胞を用いて肝疾患を治療するための方法および組成物に関する。本明細書でより具体的に記載されるのは、哺乳類の治療において間葉系幹細胞(MSC)を用いた治療方法、ならびに、幹細胞の「活性化」または「プレコンディショニング」を含むMSCの精製および製剤化方法である。
【背景技術】
【0002】
幹細胞は、特殊な細胞であり、細胞分裂を通じて自己を複製し、多系統の細胞に分化することができる。これらの細胞は、胚性幹細胞(ESC)、人工多能性幹細胞(iPSC)および成体幹細胞に分類される。間葉系幹細胞(MSC)は、ヒトおよび動物から単離することができる成体幹細胞である。ヒトMSC(hMSCまたはhuMSC)は、骨細胞、脂肪細胞、および軟骨細胞等の中胚葉系、ならびに外胚葉系(神経細胞)および内胚葉系(肝細胞)への分化能を有する、非造血性の多能性幹細胞である。MSCは、分化クラスタ(CD)29、CD44、CD73、CD90、CD105を含む細胞表面マーカーを発現し、CD14、CD34、CD45、およびHLA(ヒト白血球型抗原)-DRの発現を欠く。hMSCは、脂肪組織、羊水、子宮内膜、歯組織、臍帯、ホウォートンゼリーを含む様々な組織から単離されている。hMSCは、重篤な異常なしに特定の培地で長期培養されている。
【0003】
MSCは免疫調節機能を示し、ホスト組織において微小環境を制御するサイトカインおよび免疫受容体を分泌することができる。多分化能、免疫調節、抗炎症分子の分泌により、MSCは慢性疾患の治療に効果的なツールとなる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、少なくとも部分的には、MSCを用いて肝疾患の治療において有益な因子を産生することにより、MSCは様々な状態、たとえば、肝疾患等の哺乳類が罹患する状態を治療し得るという非限定的な理論に基づく。このような因子には、サイトカイン、たとえばIL-6が含まれ得る。IL-6は、多面的サイトカインであり、適応免疫の調節により、炎症、肝再生、および感染防御に様々な作用を及ぼす。炎症が起きている環境ではIL-6が多く存在するため、IL-6は有害なサイトカインとみなされることが多い。しかし、累積しゆく証拠は、肝再生および特定の状態における抗炎症反応の促進におけるIL-6の役割により、IL-6は多くの肝病態において有益な影響を及ぼすという見解を支持する。IL-6は、増殖、血管新生、および代謝を促進し、アポトーシスおよび酸化ストレスを下方制御する。これらの機能は共に肝保護を仲介するために重要である。また、IL-6は、それがT細胞の分化を誘導し自己免疫を制御する適応免疫の重要な制御因子でもある。これは、抗ウイルス適応免疫応答を増強し、慢性感染時のT細胞の枯渇を緩和することができる。
【0005】
開示される実施形態には、患者を、たとえば、肝疾患またはその症状に罹患しているヒトまたは非ヒト哺乳類を治療するための組成物が含まれ、該組成物は、たとえば、脂肪組織、臍帯、胎盤組織、骨髄、歯組織、精巣組織、子宮組織、臍帯組織、または皮膚組織から単離された前駆細胞由来であり、標的患者と同種他家または自己由来であるMSCと、生理食塩水とを含み、該組成物は、標的患者における肝疾患の症状を予防、軽減、または除去することができる。
【0006】
開示される実施形態には、「活性化された」MSCの治療的使用が含まれる。たとえば、実施形態には、たとえば磁気活性化セルソーティング(MACS)または蛍光活性化セルソーティング(FACS)を用いること等により、異なる能力を有するMSCを精製して、特定の用途向けのその治療上の利点を最大化することが含まれる。さらなる実施形態には、たとえばサイトカイン、反応性タンパク質、化学物質、小分子、およびそれらの組み合わせを含む特定の刺激剤によりMSCを活性化することが含まれる。これらの刺激剤は、MSCの機能、たとえば、炎症誘導性サイトカインにより誘導され得るMSCによる免疫抑制を増強または抑制することができる。
【0007】
開示される実施形態には、冷凍され解凍されたMSCが含まれる。MSCには、不活性化された、または活性化されたMSCが含まれ得る。活性化された後に冷凍されたMSCの使用を含む実施形態では、MSCは再度活性化され得る。活性化された後に冷凍されたMSCの使用を含む実施形態では、活性化されたMSCはさらなる活性化を必要としない。
【0008】
さらなる実施形態には、併用療法におけるMSCの使用、たとえば、薬剤もしくは医薬活性剤、または医薬組成物と組み合わせたMSCの使用が含まれる。たとえば、開示された実施形態には、たとえば、精製エクソソーム等のエクソソームと組み合わせたMSCの投与が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】MSC処理により、アルコール性肝炎のヒト化FRGマウスの死亡率が改善されたことを示す(全生存期間)。アルコール過剰コホート(Alcohol binging Cohort)は、PBS対照群と比較して、MSC処理マウスにおいて高い生存率を示す。ログランク(マンテル・コックス)検定P<0.0001。ゲーハン・ブレスロウ・ウィルコクソン検定P<0.0001。
図2】コホート1のALTおよびASTを示す。ALTおよびASTは、生化学アッセイにより測定された。アルコール性肝炎のマウスに非活性化MSCを反復注射した後、ALTとASTの両方の濃度が低下した。スチューデントのT検定解析は、処理後のALTおよびASTがMSC反復注射群で有意に低い値を示したが、PBS注射ではALTとASTの値に有意な変化がなかったことを示す。
図3】活性化MSC処理により、アルコール性肝炎のヒト化FRGマウスの死亡率が改善されたことを示す(全生存期間)。MSC注射の有/無でのFRGマウスの生存データを示す。ログランク(マンテル・コックス)検定のP値は0.0130、ログランク・トレンド検定のP値は0.0032、ゲーハン・ブレスロウ・ウィルコクソン検定のP値は0.0270であった。
図4】アルコール性肝炎のヒト化FRGマウスの死亡時または屠殺時の組織学的所見を示す。(A)軽度の(1+)脂肪症を示すPBS対照マウスである(HE×100倍)。(B)軽度(1+脂肪症)を示すPBS対照マウスである(HE×100倍)。(C)軽度(1+脂肪症)と30%の壊死を示す、非活性化IPで処理したマウスである(HE×100倍)。(D)脂肪症を示さない、非活性化MSC IPで処理したマウスである(HE×100倍)。(E)有意な脂肪症を示さない(<5%)、活性化MSC IPで処理したマウスである(HE×100倍)。(F)軽度(1+脂肪症)と20%の壊死を示す、活性化MSC IVで処理したマウスである(HE×100倍)。
図5】コホート2のASTおよびALTの濃度を示す。ASLおよびALTは、処理開始時、および安楽死を含む死亡時に測定された。スチューデントのT検定解析は、処理後のALTおよびASTがMSC反復注射群で有意に低い値を示したが、PBS注射ではマウス血清のALTとASTの値に有意な変化がなかったことを示す。
図6】MSC活性化後のMSCによるサイトカイン発現を示す。
図7】ベースラインの化学パネルデータ(ブタ)を示す。
図8】ベースラインの化学パネルデータ(ブタ)を示す。
図9図7および図8のブタのエンドポイントの化学パネルデータを示す。
図10図7および図8のブタのエンドポイントの化学パネルデータを示す。
図11】ベースラインの化学パネルデータ(ブタ)を示す。
図12】ベースラインの化学パネルデータ(ブタ)を示す。
図13図11および図12のブタのエンドポイントの化学パネルデータを示す。
図14図11および図12のブタのエンドポイントの化学パネルデータを示す。
図15】ベースラインの化学パネルデータ(ブタ)を示す。
図16】ベースラインの化学パネルデータ(ブタ)を示す。
図17図15および図16のブタのエンドポイントの化学パネルデータを示す。
図18図15および図16のブタのエンドポイントの化学パネルデータを示す。
図19】試験動物の健康状態を示す全血球計算のベースラインデータを示す。
図20】実施例8に記載されるように、フラスコごとに採取された細胞数を示す。
図21】実施例6に記載されるように、48時間培養後の細胞集団の倍加時間を示す。
図22】実施例8の活性化細胞の平均生存率を示す。
図23】「オリジナル」のP.5細胞(実施例8)が、細胞あたりでより高い濃度を放出したことを示す。事前に活性化された細胞を凍結・解凍して48時間培養した場合、細胞は依然として重要なサイトカイン(IL6、MCP1、TGFB等のサイトカイン)を高レベルで産生することができた。また、グラフのデータは、事前に活性化された細胞を凍結・解凍して48時間培養し、2度目の再活性化をさせた場合も示す。細胞は、依然として、既に一度活性化された細胞、または既に活性化され、凍結/解凍され、48時間培養された細胞と同様に、重要なサイトカインを産生することができた。
図24】間葉系幹細胞(MCS)処理により、アルコール性肝炎のヒト化Fah-/-、Rag2-/-、Il2rgc-/-(FRG)マウスの死亡率が改善されたことを示す。(A)ASH1コホートの関連時点を示す概略図である。(B)非活性化MSCで処理したマウスの生存率は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で処理したマウスよりも有意に良好であった(ウィルコクソン p<0.0001)。HSC、造血幹細胞;Hep、肝細胞;IP、腹腔内;IV、静脈内;qRT-PCR、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応。
図25】MSC処理により、アルコール性肝炎のヒト化FRGマウスの死亡率が改善されたことを示す。(A)ASH2コホートの関連時点を示す概略図である。(B)活性化されたMSCでいずれかの経路により処理したマウスの生存率は、非活性化MSCまたはPBS単独で処理されたマウスよりも有意に良好であった(ウィルコクソン p<0.0001)。活性化MSC IP+IV群、活性化MSC IV群、活性化MSC IP群、および活性化MSC IP+IV群は重なり、いずれも同様の100%の生存ラインであった。HFCD、高脂肪食。*=p<0.05。
図26】コホート2のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)濃度を示す。ASTおよびALTは、処理開始時、および屠殺を含む死亡時に測定された。(A)最終日のALTのボンフェローニ補正による事後解析:活性化対PBS:<0.0001;非活性化対PBS:<0.0001。(B)最終日のASTのボンフェローニ補正による事後解析:活性化対PBS:<0.0001;非活性化対PBS:<0.0001。ASTの変化のボンフェローニ補正による事後解析:活性化対PBS:<0.0001;非活性化対PBS:<0.0001。
図27】ビメンチンが肝臓におけるヒトMSCの位置を検証することを示す。(A)ビメンチン(ヒト特異的)免疫組織化学(IHC)は、活性化MSC処理群のみで最小の発現を示す。スケールバー=10μm。(B)定量的PCRは、PBS対照群と比較して、ビメンチンMSCマーカーが有意に2倍増加したことを示す。(C)活性化MSC群において、PBSおよび非活性化MSC群と比較して、Ki-67マーカーが有意に上昇した。(D)活性化および非活性化MSCの両方で、PBS処理群と比較して、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)発現マーカーが有意に減少した。(E)活性化MSCは、PBS対照と比較して、有意に低いレベルでヒト血清アルブミンを発現した。DAPI、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール。*=p<0.05、**:P<0.01、****:p<0.0001。
図28】受容体相互作用タンパク質キナーゼ(RIPK3)IHCがネクロトーシス経路に関する洞察を提供することを示す。(A)PBS、非活性化MSC、および活性化MSCにおけるDAPI(青)およびRIPK3(赤)の発現を示す共焦点蛍光画像である。スケールバー=10μm。(B)免疫反応性スコア(IRS)は、活性化MSC組織においてRIPS3の発現が有意に減少したことを示す。各群について、代表的な3つのパラフィン包埋肝組織を染色した。(C)活性化MSC処理マウス群およびPBS処理マウス群におけるRIP3の発現を示すウェスタンブロッティングである。活性化MSC群では、PBS対照群と比較して、RIP3の発現が減少した。(D)B細胞リンパ腫2(BCL-2)の発現を示すウェスタンブロッティングである。活性化MSC処理群は、PBSおよび非活性化MSC群と比較して、最も高いBCL-2の発現を示す。(E)BCL-2プロモーターは、シグナル伝達兼転写活性化因子3(Stat3)および環状アデノシン一リン酸応答配列結合タンパク質(CREB1)結合部位により制御される。(F)活性化MSC処理マウスにおける切断型ガスダーミンD(GSDMD)発現の減少を示すウェスタンブロッティングである。切断型ガスダーミンDは、非活性化およびPBS処理マウスにおいて高度に発現した。(G)提案される仮説メカニズムである。*:p<0.05、**:P=<0.01、***:p<0.001。
図29】短鎖ヘアピンCD44(sh-CD44)導入後のMSCの減少を示す生物発光画像を示す。(A)sh-スクランブル活性化MSC IP注射後のマウスの像である。(B)sh-CD44導入活性化MSC後のマウスの像である。画像は、sh-スクランブルと比較してルシフェラーゼの量が少ないことを示す。ROI、関心領域。
図30】性別に基づく全生存期間を示す。カプラン・マイヤープロットは、雄マウスと雌マウスとの間の生存における最小の差を示す。
図31】FRG置換率を示すヒトミトコンドリア染色を示す。ヒトミトコンドリアDNAのIHCは、ヒト化FRGマウスが60~70%の置換率を有することを示す。
図32】活性化MSCにおけるIL-6、IL-10、およびMCPの重要性を明らかにするElisaアッセイを示す。
図33】雄マウスが雌マウスよりも有意に生存率が高かったことを示す(p=0.03)。但し、これらは群間で同等であった。
図34】処理群による生存率を示す。100万個の細胞を投与されたマウスの生存率は、プラセボ群より有意に良好な生存率である唯一のコホートであった(p=0.03)。
図35】各用量処理群中に死亡したマウスと、処理後28日間生存した各用量処理群のマウスとの肝臓組織像の比較を示す。(A)は、中等度(2+)の脂肪症を示して死亡した、プラセボを注射したマウス#604を示す(HE×100倍)。(B)は、中等度(2+)の脂肪症を示して処理後28日間生存した、プラセボを注射したマウス#606を示す(HE×100倍)。(C)は、中等度(2+)の脂肪症を示して死亡した、28,000個の活性化MSCを注射したマウス#645を示す(HE×100倍)。(D)は、軽度(1+)の脂肪症を示して処理後28日間生存した、28,000個の活性化MSCを注射したマウス#654を示す(HE×100倍)。(E)は、中等度(2+)の脂肪症を示して死亡した、100,000個の活性化MSCを注射したマウス#658を示す(HE×100倍)。(F)は、軽度(1+)の脂肪症を示して処理後28日間生存した、100,000個の活性化MSCを注射したマウス#119を示す(HE×100倍)。(G)は、顕著(3+)な脂肪症および壊死を示して死亡した、250,000個の活性化MSCを注射したマウス#701を示す(HE×100倍)。(H)は、軽度(1+)の脂肪症を示して処理後28日間生存した、250,000個の活性化MSCを注射したマウス#607を示す(HE×100倍)。(I)は、顕著(3+)な脂肪症および壊死を示して死亡した、500,000個の活性化MSCを注射したマウス#691を示す(HE×100倍)。(J)は、軽度(1+)の脂肪症を示して処理後28日間生存した、500,000個の活性化MSCを注射したマウス#632を示す(HE×100倍)。(K)は、顕著(3+)な脂肪症を示して死亡した、1,000,000個の活性化MSCを注射したマウス#727を示す(HE×100倍)。(L)は、軽度(1+)の脂肪症を示して処理後28日間生存した、1,000,000個の活性化MSCを注射したマウス#601を示す(HE×100倍)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
肝臓は、腹部の右上に位置する重要な器官である。重量は2~3ポンドであり、体内において、有害物質の代謝と解毒、食物由来の栄養素の変換、血液凝固の調節、ホルモンバランスの維持、ビタミンの貯蔵、免疫系成分の生成、消化に不可欠な胆汁の生成を含む多くの機能を果たす。
【0011】
したがって、肝疾患は生活の質に重大な影響を与え得る。原因には、感染症、怪我、薬物または毒性化合物への曝露、自己免疫プロセス、薬物やアルコールの過剰摂取等が含まれ得る。肝疾患の影響には、炎症、瘢痕化、閉塞、血液凝固異常、及び肝不全を含むことができる。
【0012】
本開示は、少なくとも部分的には、MSC、たとえば、臍帯由来、胎盤由来、脂肪由来のMSCを用いて患者を治療することの利点に基づく。治療には、疼痛または他の疾患もしくは状態症状を改善または軽減する方法、たとえば、肝疾患の少なくとも1つの症状を軽減する、たとえば、疼痛、吐き気、疲労、食欲不振、皮膚の黄変、およびそれらの組み合わせを軽減する方法が含まれる。本開示の治療に適した対象には、たとえば、ヒトまたは動物等の哺乳類が含まれる。本明細書で開示される治療には、他の生物活性剤、たとえば免疫抑制剤の投与を含むことができる。
【0013】
本明細書で開示されるのは、MSC、たとえば、臍帯MSC、胎盤MSC、脂肪由来MSC等を単離および精製する方法である。さらなる実施形態には、MSC、たとえば、臍帯MSC、胎盤MSC、または脂肪由来MSC等を増殖および貯蔵する方法が含まれる。実施形態には、たとえば磁気活性化セルソーティング(MACS)または蛍光活性化セルソーティング(FACS)を用いること等により、細胞の異なる能力に基づいてMSCを精製して、特定の使用のためにその治療上の利点を最大化することが含まれる。
【0014】
さらなる実施形態には、MSCを活性化して、それらの治療利益を調節すること、たとえば、それらの能力を増大させて免疫応答を抑制または増強することが含まれる。さらなる実施形態では、MSCに、少なくとも1種のサイトカイン、たとえば、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-8(IL-8)、マクロファージ炎症性タンパク質-1ベータ(MIP-1b)、またはインターロイキン-17(IL-17)を接触させることにより、患者への投与の前にMSCを活性化させることができる。
【0015】
(定義)
ALD:アルコール性肝疾患
ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ
AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
HFCD:高脂肪高コレステロール食
HSC:ヒト造血幹細胞
hUCMSC:ヒト臍帯間葉系幹細胞
LPS:リポ多糖
MSC:間葉系幹細胞
PBS:リン酸緩衝食塩水
【0016】
本明細書では、単数の表記はその対象1つまたは1つより多くを(すなわち、少なくとも1つを)指すて用いられる。たとえば、『1つの要素』は、1つの要素または1つより多くの要素を意味する。
【0017】
本明細書でMSCに関して用いる場合、『活性化』(または『プレコンディション』)は、MSCに刺激剤を接触させることでMSC機能を増強するための、たとえばサイトカイン、反応性タンパク質、化学物質、小分子、およびそれらの組み合わせを含む刺激剤の使用を指す。
【0018】
『含む』、『備える』、『有する』は、包括的且つ開放的な意味で用いられ、追加の要素が含まれ得ることを意味する。本明細書で用いられる場合、『等』、『たとえば』といった用語は、非限定的で、例示のみを目的としており、『を含む』、『これらに限定される分けではないが、~を含む』が互換的に用いられる。
【0019】
『有効』、『有効量』、及び『治療有効量』は、投与後に有益な結果を生じるMSCまたはその医薬組成物の量を指す。
【0020】
『インビトロ』は、人工的環境および人工的環境内で生じる処理または反応を指す。インビトロ環境は、これらに限定されるわけではないが、試験管及び細胞培養を含む。『インビボ』は、自然環境(たとえば、動物または細胞)および自然環境内で生じる処理または反応を指す。
【0021】
『肝疾患』は、肝臓の炎症または損傷を引き起こし肝機能に影響を与え得る任意の状態である。
【0022】
本明細書で用いる場合、『または』、『もしくは』は、文脈が明白に他の意味を示さない限り、『および/または』を意味すると解すべきである。
【0023】
『非経口投与』および『非経口的に投与される』は、本技術分野で周知の用語であり、経腸投与および局所投与を除く注射等の投与の形態を含み、これらに限定されるわけではないが、後眼窩、眼内、静脈内、筋肉内、腹膜内、血管内、心膜内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、および、胸骨内の、注射および注入を含む。
【0024】
主題の方法により治療される予定の、『患者』、『対象』、または『ホスト』は、ヒト、または、哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類等の、非ヒト動物のいずれかを意味し得る。
【0025】
『医薬的に許容可能な』または『治療上許容可能な』は、活性成分の有効性または生物活性と干渉せず患者に有毒ではない物質を指す。
【0026】
『医薬的に許容可能な担体』は、本技術分野で周知であり、たとえば、任意の主題の組成物を1つの器官または身体の一部から別の器官または身体の一部へと運ぶまたは輸送することに関与する、医薬的に許容可能な、材料、組成物、または、媒体(液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤、または、封入材料等)を含む。各担体は対象組成物の他の成分に適合する患者に有害ではないという意味で『許容可能』でなければならない。特定の実施形態では、医薬的に許容可能な担体は非発熱性である。医薬的に許容可能な担体として働き得る例示的な材料は、糖類(ラクトース、グルコース、およびスクロース等)、デンプン類(トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン等)、セルロースおよびその誘導体(カルボキシメチルナトリウムセルロース、エチルセルロース、および酢酸セルロース等)、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、賦形剤(ココアバターおよび坐剤ワックス等)、油(ピーナツ油、綿実油、向日葵油、ごま油、オリーブ油、トウモロコシ油、および大豆油等)、グリコール類(プロピレングリコール等)、ポリオール類(グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコール等)、エステル類(オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル等)、アガー、緩衝剤(水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等)、アルギン酸、無発熱物質水、等張食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、リン酸緩衝液、および、医薬製剤で採用される他の無毒な適合する物質を含む。
【0027】
『医薬組成物』は、対象への投与に適した形態の、本明細書に記載の治療活性剤を含有する製剤を指す。実施形態では、医薬組成物はバルクまたは単位投与量形態である。組成物の単位用量での活性成分(たとえば、MSC)の量は有効量であり、関連する特定の治療にしたがって変わり得る。当業者であれば、患者の年齢および状態に応じて投与量へのルーチン的な変更がときに必要とされることを理解するだろう。投与量は投与の経路にも依存するだろう。好ましい実施形態では、活性成分は、医薬的に許容可能な担体と、また、必要とされる、任意の保存料、緩衝剤、または噴射剤と無菌条件下で混合される。
【0028】
『治療』は、哺乳類、たとえば、ヒトまたはペット等の動物における、任意の治療的介入を指し、(i)予防、すなわち、臨床症状が発症しないようにすること、たとえば、感染または炎症が生じることおよび/または有害な状態に発展すること、(ii)阻害、すなわち、臨床症状の発症を抑止すること、たとえば、感染症が完全に取り除かれるように、または、感染症がもはや有害ではなくなる程度まで、進行中の感染症を止めること、および/または、(iii)軽減、すなわち、臨床症状の後退を引き起こすこと、たとえば、微生物感染により引き起こされたまたはそれに関連する発熱および/または炎症の軽減を引き起こすこと、を含む。治療は本明細書に記載の組成物を複数回投与することを含み得る。
【0029】
『減少』、『抑制』、および『阻害』は、少なくするまたは減らすというそれらが一般的に理解されている意味を有する。
【0030】
(MSCの単離)
開示の実施形態は、MSCを採取および単離する方法を含み得る。
【0031】
開示の実施形態では、MSCは種々の組織から採取および単離され、これらに限定されるわけではないが、胎盤、骨格筋、脂肪組織、臍帯、滑膜、循環器系(たとえば、血液)、歯髄、羊水、胎児血液、肺、肝臓、性腺組織、および骨髄を含む。
【0032】
実施形態では、こうした方法は、適格な哺乳類ドナーから組織を無菌的に収集することを含み得る。たとえば、臍帯または胎盤のMSCを用いる実施形態では、組織は正常満期出産の胎児からまたは妊娠第三期中に収集され得る。実施形態では、胎盤は、特定病原体除去ドナーから、または、外来性病原性因子のない、健康および旅行履歴が既知の健康ドナーから、収集される。胎盤の複数の部分がMSCの誘導のために用いられ得、たとえば、内皮絨毛膜、絨毛尿膜、羊膜、臍帯、およびホウォートンゼリーを含む。
【0033】
臍帯または胎盤のMSCの単離を含む実施形態では、以下の工程は、認証済みクリーンルームで、たとえば、cGMP条件下で、実行され得る。実施形態では、組織はリンス緩衝液内で広範に洗われ、その後、小片(1~5グラム)に切り分けられる。実施形態では、脱落膜巨細胞が工程の1つまたはそれらの組み合わせにより、たとえば、無菌さじによる脱落膜表面の機械的剥離により、除去される。その後、組織は、プロテアーゼ、たとえば、セリンプロテアーゼ、たとえば、トリプシンとともに、30~90分間、37℃、5%COで、インキュベートされ得る。その後、たとえば、ナイロンメッシュを用いて、たとえば、20、25、および30ミクロンのナイロンメッシュを用いて、濾過が実行され得る。その後、細胞の勾配分離が、たとえば、BSA、パーコール、またはフィコールを用いて、実行され得る。実施形態では、差次接着法が用いられ、迅速に接着する細胞が培地中で浮遊している接着しない細胞から分離されるに任される。その後、胎盤組織は、たとえば、90秒間または150切断周期の間、刻まれ得る。
【0034】
開示の実施形態では、その後、組織、たとえば、胎盤組織は、消化に、たとえば、コラゲナーゼ等の酵素を用いた37℃の酵素消化に、たとえば100から140周期/分の速度で、攪拌しながら、60~180分間、掛けられる。コラゲナーゼ濃度は1mg/mlから5mg/mlの範囲であり得る。実施形態では、その後、細胞は、一連のセルストレイナー(たとえば、100ミクロン、40ミクロン等)を通過させられ、その後、たとえば、20、25、または30ミクロンの、ナイロンメッシュを通過させられる。実施形態では、細胞は勾配を通過させられる。赤血球(RBC)はRBC溶解緩衝液で除去される(4℃3分)。RBC溶解は、PBSを添加することにより、たとえば、15~20回のPBSにより、中和される。その後、細胞は、たとえば、10分間にわたり400gで、遠心分離される。その後、細胞は、たとえば200~300×10/cmの密度で、培養フラスコ内で、たとえば5~7日の培養期間にわたり、培養される。場合によっては、混合液から残余の巨細胞を除去するために、差次接着法が適用され、細胞は1~10時間等の期間にわたり接着するに任され、その後、浮遊細胞が接着細胞から分離される。培養期間後、胎盤MSCがフラスコからP0(passage zero、初代細胞)として採取できる。
【0035】
開示の実施形態では、MSCは、組織、たとえば、臍帯組織から、1×10MSC/グラム臍帯、2×10MSC/グラム臍帯、3×10MSC/グラム臍帯、4×10MSC/グラム臍帯、5×10MSC/グラム臍帯、6×10MSC/グラム臍帯、7×10MSC/グラム臍帯、8×10MSC/グラム臍帯、9×10MSC/グラム臍帯、1×10MSC/グラム臍帯、2×10MSC/グラム臍帯、3×10MSC/グラム臍帯、または4×10MSC/グラム臍帯などの量で、単離され得る。
【0036】
実施形態では、MSCは、単離後に、50%超、60%超、70%超、80%超、または90%超などの、生存率を示し得る。実施形態では、MSCは、単離後に、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上などの、生存率を示し得る。実施形態では、MSCは、単離後に、50%と60%との間の、60%と70%との間の、70%と80%との間の、80%と90%との間の、または90%と100との間の、生存率を示し得る。
【0037】
MSCは、Mesenchymal and Tissue Stem Cell Committee of the International Society for Cellular Therapyにより確立された最小基準を用いて同定できる。これらの基準は、第1に、MSCが標準培養条件で維持したときにプラスチック接着性でなければならないこと、第2に、MSCが、CD105、CD73、およびCD90を発現し、CD45、CD34、CD14またはCD11b、CD79αまたはCD19、およびHLA-DR表面分子を発現しないものでなければならないこと、第3に、MSCが、インビトロで、骨芽細胞、脂肪細胞、および軟骨芽細胞への分化能を有するものでなければならないことを含む。
【0038】
実施形態では、MSCは、治療分子、たとえば、サイトカインを産生するそれらの能力に基づいて分離できる。たとえば、磁気活性化セルソーティング(MACS)が、特定のサイトカインを産生する細胞の能力に基づいてMSCを精製するために用いられ得る。開示の実施形態は、特定のサイトカインを産生する細胞の能力に基づいてMSCを精製するためのフローサイトメトリーの使用も含み得る。開示の実施形態は、特定のサイトカインを産生する細胞の能力に基づいてMSCを精製するためのクロマトグラフィー、たとえば、アフィニティークロマトグラフィーの使用も含み得る。
【0039】
実施形態では、単離MSC細胞の100%がIL-6を発現する。実施形態では、細胞が継代されるにつれて、IL-6の発現が増加する。実施形態では、サイトカインの発現は上方制御される。たとえば、実施形態では、IL-6、IL-17A、IFNγ、TNFα、TGFβ、MCP1、HGF、IL-8、TIMP-1、TIMP-2、VEGF、IDO、IL-10、およびこれらの組み合わせの発現が、上方制御され得る。
【0040】
実施形態では、単離MSCは、たとえば、フローサイトメトリーによる表面マーカーの発現、3血球系中胚葉分化能(脂肪細胞、骨細胞、および軟骨細胞)、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)活性、無菌性、エンドトキシン、およびマイコプラズマ試験について特性評価される。
【0041】
(MSCの拡大培養)
実施形態では、任意の上述の組織に由来する細胞についての細胞拡大培養は、細胞治療製造を目的として建てられたGMPクリーンルームクラス分類を満たすクリーンルーム設備で行われる。実施形態では、細胞拡大培養はバイオリアクター、たとえば、40Lバイオリアクター(40L Bioreactor)で行われる。
【0042】
たとえば、クラス10,000クリーン製造スイートに位置する無菌クラスII生物学的安全キャビネットで、細胞は制御された条件下で解凍され、100EU/mL以下のエンドトキシンレベル(ルーチン的には10EU/mL以下のレベル)および30mg/dl以下のヘモグロビンレベル(ルーチン的には25mg/dl以下のレベル)を有するように規定されている10%ウシ胎児血清(Hyclone)を補充された10MLの完全DMEM低グルコース培地(cDMEM)(GibcoBRL、ニューヨーク州グランドアイランド)を含む15mLのコニカルチューブ内で洗われる。実施形態では、用いられた血清ロットは隔離されており、一つのロットが全ての実験について用いられる。実施形態では、培地は、たとえば、10%ヒトプラズマライト(Plasmalyte)またはヒト血清アルブミンまたはこれらの組み合わせ等により補充され得る。
【0043】
実施形態では、細胞は次にRoosterNourish-MSC-XF-basal mediumおよびRoosterReplenish-MSC-XF supplementから構成される25mLのRB完全培地を含有するT-225フラスコの中に入れられ、完全加湿雰囲気中、37℃、5%COで、48時間培養される。非接着細胞はcDMEMを用いてフラスコを穏やかにリンスすることにより洗い落とされる。実施形態では、フラスコに入れられた細胞の数は、たとえば、2.5×10細胞から3×10細胞の間、1.5×10細胞から2×10細胞の間などであり得る。実施形態では、接着細胞は、次に、完全加湿雰囲気中、37℃、5%COで、2分間、PBSおよびたとえばEDTA含有0.05%トリプシン(Gibco、米国ニューヨーク州グランドアイランド)の添加により細胞を洗うことにより解離される。実施形態では、細胞は、組換え組成物、たとえば、TrypLE CTSを用いて解離され得る。
【0044】
細胞は、遠心分離され、洗われ、45mLのcDMEMの入ったT-225の中に入れられる。
【0045】
実施形態では、開示の細胞拡大培養方法は、開始時のT-225フラスコ1個当たりで600万から2000万個の間の細胞を製造し得る。その後、最初のフラスコの細胞は、たとえば、複数のフラスコに分割され得る。その後、たとえば4日にわたり、細胞は生育され得るが、その後には、フラスコ1つ当たりおよそ600万個の細胞が存在する(合計では2400万細胞)。実施形態では、この方法は繰り返されるが10代を超えて拡大培養されはせず、その後、配送のために封止されたバイアル内に600万細胞の分割量で保管される。
【0046】
さらなる実施形態では、細胞は培地中で生育され、約2~10日後に培地と併せて細胞は回収される。細胞はこの『条件』培地で輸注のために約100,000細胞/mL未満の濃度で調製される。実施形態では、生理的電解質添加剤が添加されてもよい。実施形態では、細胞溶液は静脈内投与され得る。
【0047】
さらなる方法では、細胞は約5~10日にわたり培地中で生育される。その後、この培地は、細胞をともなわず静脈内輸注され、または、傷害部位に局所投与される。さらなる方法は、幹細胞産生因子の単離および/もしくは濃縮ならびに/またはこれらの化学物質および/もしくは化合物のさらなる改良をともなう。
【0048】
実施形態では、細胞増殖は継代毎の生育量により表現できる。たとえば、開示の実施形態では、単離MSCの数は、継代毎に40%、継代毎に50%、継代毎に60%、継代毎に70%、継代毎に80%、継代毎に90%、継代毎に100%、継代毎に120%、継代毎に150%、継代毎に200%、継代毎に250%等だけ、増加し得る。
【0049】
実施形態では、細胞は増殖後に凍結され、その後、以降の使用のために解凍され得る。
【0050】
(MSCの活性化)
実施形態では、幹細胞、たとえば、単離MSCは、所望の性質を有するMSCを産生するために活性化され得る。たとえば、MSCは刺激されたToll様受容体(TLR)に依存して炎症誘発性または抗炎症性に向けて極性化され得る。実施形態では、MSCは炎症性サイトカイン等の刺激因子に暴露される。炎症性サイトカインまたは炎症誘発性サイトカインは、ヘルパーT細胞(T)およびマクロファージのような免疫細胞ならびに炎症を促進する特定の他の細胞種から分泌されるシグナル伝達分子の一種である。炎症性サイトカインは、インターロイキン-1(IL-1)、IL-12、IL-17、およびIL-18、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターフェロンγ(IFNγ)、ならびに、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を含む。開示の実施形態は、IL-1、IL-8、MIP-1b、IL-12、IL-17、IL-18、TNF-α、IFNγ、およびGM-CSFのうち少なくとも1つによるMSCの活性化を含む。開示の実施形態は、IL-1、IL-8、MIP-1b、IL-12、IL-17、IL-18、TNF-α、IFNγ、およびGM-CSFのうち少なくとも2つによるMSCの活性化を含む。開示の実施形態は、IL-1、IL-8、MIP-1b、IL-12、IL-17、IL-18、TNF-α、IFNγ、およびGM-CSFのうち少なくとも3つによるMSCの活性化を含む。開示の実施形態は、IL-1、IL-8、MIP-1b、IL-12、IL-17、IL-18、TNF-α、IFNγ、およびGM-CSFのうち少なくとも4つによるMSCの活性化を含む。
【0051】
開示の実施形態は以下の実施例でさらに詳細に記載される。実施形態では、各刺激因子の活性化量は、たとえば、1ng/mLから5ng/mLの間、または2ng/mLから4ng/mLの間等であり得る。実施形態では、各刺激因子の量は、たとえば、1ng/mL、2ng/mL、3ng/mL、4ng/mL、5ng/mL、6ng/mL、7ng/mL、8ng/mL、9ng/mL、12ng/mL、14ng/mL、16ng/mL、18ng/mL、20ng/mL、22ng/mL、24ng/mL、26ng/mL、28ng/mL、30ng/mL、32ng/mL、34ng/mL、36ng/mL、38ng/mL、40ng/mL、42ng/mL、44ng/mL、46ng/mL、または、これより多く等であり得る。実施形態では、刺激因子は等量で適用される。たとえば、ある実施形態では、刺激因子は、等量のIL-17、TNF-α、およびIFNγを含み得る。ある実施形態では、刺激因子は、異なる量の(非等量の)、たとえば、IL-17、TNF-α、およびIFNγを含み得る。
【0052】
実施形態では、MSCの活性化は、MSCを、刺激因子、たとえば、サイトカイン、たとえば、IL-1、IL-8、MIP-1b、IL-12、IL-17、IL-18、TNF-α、IFNγ、またはGM-CSFに接触させることを含む。実施形態では、たとえば、37℃で、たとえば、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、これより長い時間を含む期間にわたり、実行される。実施形態では、活性化期間は、1から20時間の間、2から18時間の間、3から16時間の間、4から14時間の間、6から12時間の間、8から10時間の間等であり得る。実施形態では、活性化期間は、たとえば、10から12時間の間であり得る。実施形態では、活性化期間は異なる刺激因子について異なり得る。
【0053】
実施形態では、MSCの活性化は、MSCを、刺激因子、たとえば、サイトカイン、たとえば、IL-1、IL-8、MIP-1b、IL-12、IL-17、IL-18、TNF-α、IFNγ、またはGM-CSFに接触させることを含む。実施形態では、37℃で、たとえば、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、少なくとも12時間、少なくとも13時間、少なくとも14時間、少なくとも15時間、少なくとも16時間、少なくとも17時間、少なくとも18時間、少なくとも19時間、少なくとも20時間、少なくとも21時間、少なくとも22時間、少なくとも23時間、少なくとも24時間等を含む期間にわたり、実行される。
【0054】
実施形態では、MSCの活性化は、MSCを、刺激因子、たとえば、サイトカイン、たとえば、IL-1、IL-8、MIP-1b、IL-12、IL-17、IL-18、TNF-α、IFNγ、またはGM-CSFに接触させることを含む。実施形態では、37℃で、たとえば、多くとも1時間、多くとも2時間、多くとも3時間、多くとも4時間、多くとも5時間、多くとも6時間、多くとも7時間、多くとも8時間、多くとも9時間、多くとも10時間、多くとも11時間、多くとも12時間、多くとも13時間、多くとも14時間、多くとも15時間、多くとも16時間、多くとも17時間、多くとも18時間、多くとも19時間、多くとも20時間、多くとも21時間、多くとも22時間、多くとも23時間、多くとも24時間等を含む期間にわたり、実行される。
【0055】
実施形態では、MSCの活性化は、MSCを、刺激因子、たとえば、サイトカイン、たとえば、IL-1、IL-8、MIP-1b、IL-12、IL-17、IL-18、TNF-α、IFNγ、またはGM-CSFに接触させることを含む。実施形態では、室温で、たとえば、1から24時間の間、2から22時間の間、4から18時間の間、6から16時間の間、8から14時間の間、10から12時間の間等を含む期間にわたり、実行される。
【0056】
実施形態では、MSCは活性化後に凍結され、その後、以降の使用のために解凍され得る。実施形態では、MSCは活性化前に凍結され、その後、解凍され、活性化され得る。
【0057】
(MSCの収集)
実施形態では、T225フラスコからの細胞採取は以下のように行うことができる。培地、たとえば、Rooster培養液が除去され、フラスコが10mLのD-PBS-/-(Gibco)で洗われ、PBSが除去され、その後、10mLのCTS-TrypLE(Gibco)がフラスコに添加され、37℃で5~6分間インキュベートされる。その後、培地、たとえば、10mLのRooster培地が、トリプシン活性を消すために添加される。実施形態では、細胞懸濁液が除去され、培養容器が25mLのD-PBS-/-で追加的に洗われる。実施形態では、その後、細胞懸濁混合液は、たとえば、280×g、4℃で、10分間、遠心分離される。
【0058】
(MSC組成物)
実施形態では、単離MSCは、たとえば少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体を用いることで、医薬的に許容可能な組成物へと製剤化され得る。実施形態では、医薬的に許容可能な担体は、一般的に安全で無毒で且つ生物学的にもその他の意味でも望ましくないものではない医薬組成物または製剤を調製するのに役立つ担体を意味し、ヒトでの医薬的使用のみならず獣医学的使用に許容可能な担体を含む。医薬的に許容可能な担体は、たとえば、生理食塩水、リン酸緩衝食塩水、プラズマライト、リンゲル血清、リンゲル乳酸血清、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、ラバーアラブル(rubber arable)、リン酸カリウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カリウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱物油を含み得る。
【0059】
開示の製剤は、組成物、たとえば、それによる治療を必要とする対象への投与に適した医薬組成物の形態で、サイトカインと組み合わされたMSCを含む。
【0060】
開示の製剤は、使用前に、投与装置、たとえば、シリンジに、『事前充填』され得る。
【0061】
開示の製剤は、キットとして提供され得る。たとえば、開示のキットは、医薬的に許容可能な担体、間葉系幹細胞の単離集団、単離インターフェロン、単離インターロイキン、および免疫応答を減弱するための方法でキットを用いるための説明書を含み得る。キットの、細胞、および、刺激因子、たとえば、サイトカイン成分は、個別に投与されてもよいし、インビトロで組み合わせた後に混合物として投与されてもよい。キットは、任意で、組成物をたとえば注射により投与する手段を含んでもよい。
【0062】
実施形態では、ペレット状のhUC-MSCが、たとえば1×10hUC-MSCが注射されることを保証するよう200uLのD-PBS-/-中に1.3×10細胞の濃度で、D-PBS-/-に再懸濁される。実施形態では、hUC-MSC/D-PBS溶液(200uL)が、マウスでの注射、たとえば、尾静脈注射のために、ひとつのU-100 BD Ultra-Fine Short Insulin Syringes(Beckton,Dickinson,and Company)に充填される。
【0063】
(MSCを用いた治療法)
開示の実施形態は、さまざまな状態および疾患を治療するためのMSCの投与を含み得る。たとえば、胎盤MSCに由来する小胞が治療的使用のために採用され得る。実施形態では、幹細胞は対象に自己由来するものでもよい。利用可能であれば、自己由来幹細胞は、有害な免疫応答の可能性を、たとえば、幹細胞の拒絶または移植片対宿主疾患を減少または排除するので、対象に有益であり得る。自己由来幹細胞は、たとえば、対象から直接単離された幹細胞(たとえば、MSC)、または、対象に由来する非幹細胞から産生されたiPS細胞であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、自己由来幹細胞が利用可能でないまたは特定対象向けに適応されない場合、同種異系幹細胞が用いられ得る。実施形態では、拒絶または移植片対宿主疾患の可能性を減少させるために、同種異系幹細胞は(たとえば、HLA遺伝子型を介して)対象に可能な限り厳密に『一致』させられる。別の実施形態では、幹細胞ドナーは対象の第一度近親者(たとえば、親、兄弟姉妹、または子)であり、これは厳密に一致するドナーを見つける可能性を増やす。さらに別の実施形態では、幹細胞ドナーは対象の拡大近親者であり得る。いくつかの実施形態では、幹細胞ドナーは対象と同じ人種または民族集団に由来し得る。しかし、特定の幹細胞は、免疫特権を有し得、ドナーと対象との間の一致を要せず同種異系間で用いられ得る。
【0065】
実施形態では、MSCが、患者の治療、たとえば、疾患、状態、障害等、たとえば、肝疾患、およびその症状の、治療のために、用いられる。
【0066】
MSCは、任意の適切な方法で、たとえば、皮下、関節内、病巣内(腱、靱帯、ディスク)、静脈内、腹腔内、または筋肉内の投与で、投与、たとえば、注入され得る。実施形態では、投与は、たとえば、注射を含み得る。たとえば、実施形態では、投与は、MSCを、たとえば、血漿、HypoThermasol HTS-FRS、Cryostor(CSB、CS2、CS5、およびCS10として、0、2、5、および10%のDMSOを含有する)、ヒト血清、ヒト血清アルブミン、0.7~0.9%の等張食塩水、プラズマライト、リン酸緩衝食塩水(PBS)、幹細胞培養培地(Rooster Replenish CC/RoosterNourish CCなど)、エクソソーム単離培地(RoosterCollect-EV CCなど)、Infuvite、乳酸リンゲル液等と、混合するまたは懸濁させることを含み得る。これらの溶液は単独でまたは互いに組み合わせて用いられ得る。
【0067】
適切なMSC投与量は、たとえば、1×10細胞、2.5×10細胞、5×10細胞、1×10細胞、2.5×10細胞、5×10細胞、1×10細胞、2.5×10細胞、5×10細胞、1×10細胞、2.5×10細胞、5×10細胞、1×10細胞、2.5×10細胞、5×10細胞、1×10細胞、2.5×10細胞、5×10細胞、1×10細胞、2.5×10細胞、5×10細胞、1×1010細胞、2.5×1010細胞、5×1010細胞、1×1011細胞、2.5×1011細胞、5×1011細胞、1×1012細胞、2.5×1012細胞、5×1012細胞、1×1013細胞、2.5×1013細胞、5×1013細胞、1×1014細胞、2.5×1014細胞、5×1014細胞、1×1015細胞、2.5×1015細胞、5×1015細胞、または、これより多く等であり得る。
【0068】
実施形態では、適切なMSC投与量は、たとえば、1×10細胞から2.5×10細胞の間、5×10細胞から1×10細胞の間、2.5×10細胞から5×10細胞の間、1×10細胞から2.5×10細胞の間、5×10細胞から1×10細胞の間、2.5×10細胞の間、5×10細胞から1×10細胞の間、2.5×10細胞から5×10細胞の間、1×10細胞から2.5×10細胞の間、5×10細胞から1×10細胞の間、2.5×10細胞から5×10細胞の間、1×1010細胞から2.5×1010細胞の間、5×1010細胞から1×1011細胞の間、2.5×1011細胞から5×1011細胞の間、1×1012細胞から2.5×1012細胞の間、5×1012細胞から1×1013細胞の間、2.5×1013細胞から5×1013細胞の間、1×1014細胞から2.5×1014細胞の間、5×1014細胞から1×1015細胞の間、2.5×1015細胞から5×1015細胞の間、または、これより多く等であり得る。
【0069】
実施形態では、適切なMSC投与量は、たとえば、少なくとも1×10細胞少なくとも2.5×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも1×10細胞少なくとも2.5×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも2.5×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも2.5×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも2.5×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも2.5×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも1×10細胞、少なくとも2.5×10細胞、少なくとも5×10細胞、少なくとも1×1010細胞、少なくとも2.5×1010細胞、少なくとも5×1010細胞、少なくとも1×1011細胞、少なくとも2.5×1011細胞、少なくとも5×1011細胞、少なくとも1×1012細胞、少なくとも2.5×1012細胞、少なくとも5×1012細胞、少なくとも1×1013細胞、少なくとも2.5×1013細胞、少なくとも5×1013細胞、少なくとも1×1014細胞、少なくとも2.5×1014細胞、少なくとも5×1014細胞、少なくとも1×1015細胞、少なくとも2.5×1015細胞、少なくとも5×1015細胞、または、これより多く等であり得る。
【0070】
実施形態では、適切なMSC投与量は、たとえば、多くとも1×10細胞、多くとも2.5×10細胞、多くとも5×10細胞、多くとも1×10細胞、多くとも2.5×10細胞、多くとも5×10細胞、多くとも1×10細胞、多くとも2.5×10細胞、多くとも5×10細胞、多くとも1×10細胞、多くとも2.5×10細胞、多くとも5×10細胞、多くとも1×10細胞、多くとも2.5×10細胞、多くとも5×10細胞、多くとも1×10細胞、多くとも2.5×10細胞、多くとも5×10細胞、多くとも1×10細胞、多くとも2.5×10細胞、多くとも5×10細胞、多くとも1×1010細胞、多くとも2.5×1010細胞、多くとも5×1010細胞、多くとも1×1011細胞、多くとも2.5×1011細胞、多くとも5×1011細胞、多くとも1×1012細胞、多くとも2.5×1012細胞、多くとも5×1012細胞、多くとも1×1013細胞、多くとも2.5×1013細胞、多くとも5×1013細胞、多くとも1×1014細胞、多くとも2.5×1014細胞、多くとも5×1014細胞、多くとも1×1015細胞、多くとも2.5×1015細胞、多くとも5×1015細胞、または、これより多く等であり得る。
【0071】
実施形態では、各MSC注射の用量は、たとえば、5×10細胞/kgから5×10細胞/kgの間であり得る。
【0072】
実施形態では、MSCは、1回、2回、3回、4回、5回、毎月、または、3ヶ月、6ヶ月、または、毎年、投与され得る。
【0073】
開示の方法は、幹細胞と生物活性剤の共投与もともない得る。『共投与』は、上述の治療組成物の投与の前、(たとえば、同一の製剤としてまたは個別の製剤としての生物活性剤と併用しての)当該投与と同時、または、当該投与の後での、投与を意図している。本明細書では、『生物活性剤』は、生物学的に活性のあるまたは関連する任意の有機剤、無機剤、または生物剤を指す。たとえば、生物活性剤は、タンパク質(たとえば、アルブミン)、ポリペプチド、核酸、多糖(たとえば、ヘパリン)、オリゴ糖、単糖、二糖、有機化合物、有機金属化合物、または、無機化合物であり得る。生物活性剤は、生細胞または老化細胞、細菌、ウイルス、またはこれらの一部を含み得る。生物活性剤は、ホルモン、増殖因子、増殖因子産生ウイルス、増殖因子阻害剤、増殖因子受容体、抗炎症剤、代謝拮抗剤、インテグリンブロッカー、または、完全なまたは部分的な機能的センスまたはアンチセンス遺伝子(siRNAを含む)などの、生物活性分子を含み得る。生物活性剤は、生物関連材料または生物活性材料を担持する人造粒子または材料、たとえば、薬物を有する芯と当該芯上のコーティングとを含むナノ粒子なども含み得る。生物活性剤は、生物有機体への治療効果を有し得る化学的または生物学的化合物などの薬物も含み得る。非限定的例は、これらに限定されるわけではないが、増殖因子、抗拒絶反応剤、抗炎症剤、抗感染症剤(たとえば、抗生物質および抗ウイルス剤)、ならびに、鎮痛剤および鎮痛配合剤を含む。抗炎症剤は、線維形成過程の炎症側面を相殺する追加剤として役立ち得る。
【0074】
前述の例の任意の、合剤、混合剤、または、他の製剤が、作られ得るが、それらも依然として本明細書の意図した意味に含まれる生物活性剤と考えられ得る。生物活性剤を対象とする本開示の態様では、前述の例のいずれかまたは全てを含み得る。別の実施形態では、生物活性剤は増殖因子でもよい。増殖因子は、移植された幹細胞の、増殖、分化、および機能性を促進する任意の剤である。適切な増殖因子の非限定的例は、これらに限定されるわけではないが、白血病抑制因子(LIF)、上皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、ヒト成長ホルモン(hGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インターロイキン、サイトカイン、および/または、これらの組み合わせを含み得る。生物活性剤は、血小板ライセートなどの増殖因子の混合物を含有する血液由来サプリメントであり得る。
【0075】
実施形態では、生物活性剤は免疫抑制剤を含み得る。免疫抑制剤は、望ましくない免疫応答、例えば、移植された、細胞、組織、または器官の拒絶、または、移植片対宿主疾患を、予防する、これらの発症を遅らせる、または、これらの強さを減少させる、任意の剤である。好ましいものは、免疫系により非自己と同定される細胞に対しての細胞性免疫応答を抑制する免疫抑制剤である。免疫抑制剤の例は、これらに限定されるわけではないが、シクロスポリン、シクロホスファミド、プレドニゾン、デキサメタゾン、メトトレキサート、アザチオプリン、ミコフェノレート、サリドマイド、FK-506、全身性ステロイド剤、ならびに、広範な、抗体、受容体アゴニスト、受容体アンタゴニスト、および、当業者に周知の他のこうした剤を含む。別の実施形態では、生物活性剤は、これらに限定されるわけではないが、ニンテダニブ、INT-767、エムリカサン、VBY-376、PF-04634817、EXC001、GM-CT-01、GCS-100、レファナリン、SAR156597、トラロキヌマブ、ポマリドミド、STX-100、CC-930、シムツズマブ、抗miR-21、PRM-151、BOT191、パロミド529、IMD1041、セレラキシン、PEG-リラキシン、ANG-4011、FT011、ピルフェニドン、F351(パーフェニドン(perfenidone)誘導体)、THR-184、CCX-140、FG-3019、アボセンタン、GKT137831、PF-00489791、ペントキシフィリン、フレソリムマブ、および、LY2382770を含む抗繊維化剤を含み得る。
【0076】
開示の治療方法は、凍結して解凍されたMSCを含み得、たとえば、細胞は活性化の前にまたは活性化に続いて凍結され、その後に、以降の使用のために解凍され得る。
【0077】
(実施例)
以下の非限定的例は、代表的な実施形態のより完全な理解を促進することのみの例示を目的として提供される。これらの例は本明細書に記載のいかなる実施形態を限定するものと解されるべきではない。
【0078】
(実施例1)
Fah-/-、Rag2-/-、Il2rgc-/-(FRG)のKO肝臓ヒト化マウスが、Fah-/-マウス(RIKEN)およびRag2-/-、Il2rgc-/-の交雑により作られる。
【0079】
マウスは、2mmのフィルターを用いて、250kV、16mA、50cm FSDで、照射を受けた。照射線量率(cGy)は10cm×10cmの領域で150cGyであった。
【0080】
ヒト造血幹細胞(HSC)は胎児肝ドナー細胞から収集された後に無菌培地で調製され(照射1日後に)5×10細胞/マウスの用量で照射済みレシピエントに肝内注射された。
【0081】
動物はオートクレーブ/照射済みの食料を与えられ、また、離乳後の動物の一生の期間にわたって週交代でSMZ有りまたは無しの(飲水250ml毎にSMZを7.8ml)酸性化オートクレーブ水を与えられた。
【0082】
血液が顔面静脈から収集されヒト幹細胞異種移植マウスが検出された。
【0083】
マウス毎に100μlの血液が20mMのPBS-EDTAの100μlを含有する1.5mLの無菌マイクロ遠心チューブに収集され、氷上に置かれた。PBMCが赤血球細胞リシスバッファー(1×ACKリシスバッファー)に再懸濁され、室温(25℃)で5分間インキュベートされた。
【0084】
細胞は469×gで2回遠心され、ヒトCD45、マウスCD45抗体、および7-AAD混合物を含有する2%(体積/体積)FBS/PBSに再懸濁された。ヒト免疫再構成物(%ヒトCD45細胞/全CD45細胞)がフローサイトメトリー分析を用いて調べられた。
【0085】
ヒト臍帯間葉系幹細胞(hUC-MSC)がヒト臍帯の血管周囲性ホウォートンゼリー領域から単離され、当該細胞はフローサイトメトリーによる表面マーカーの発現、3血球系中胚葉分化能(脂肪細胞、骨細胞、および軟骨細胞)、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)活性、無菌性、エンドトキシン、およびマイコプラズマ試験について特性評価された。hUC-MSCは、RB製造ブロトコルにしたがって培養および採取された。150万から200万個のhUC-MSCが、25mlのRB完全培地でT225通気フラスコに入れられ、37℃、5%COで、48時間培養された。
【0086】
hUC-MSCの初期培養後、たとえば、hUC-MSCの初期培養後20から50時間の間または36から38時間の間に、ヒトTNF-α、ヒトIFNγ、およびヒトIL-17からなる活性化がhUC-MSCを含む各T225フラスコに各サイトカインについて2ng/mLの終濃度で添加された。フラスコは、添加された活性化培地で、追加の、たとえば、2から20時間の間(10から12時間の間等)の時間にわたり、37℃、5%COで培養され得る。
【0087】
その後、細胞が採取された。Rooster培養培地が除去され、細胞が10mLのD-PBS-/-で洗われ、その後、培地が除去された。10mLのCTS-TrypLEがフラスコに添加され、37℃で5~6分間インキュベートされた。その後、10mLの培地がトリプシン活性を消すために添加された。細胞懸濁液が除去され、フラスコが25mLのD-PBS-/-で追加的に洗われた。細胞懸濁混合液は、280×g、4℃で、10分間、遠心分離された。
【0088】
ペレット状のhUC-MSCが、1,000,000個のhUC-MSCが注射されることを保証するよう200uLのD-PBS-/-中に1,300,000細胞の濃度で、D-PBS-/-に再懸濁された。hUC-MSC/D-PBS溶液(200uL)が、尾静脈注射のために、ひとつのU-100 BD Ultra-Fine Short Insulin Syringesに充填された。各マウスは3週間内に1,000,000細胞/注射で5回の投与で注射されたが、最初の週は0日目、2日目、および5日目に1回注射され、その後、追加の2週間にわたり毎週1回注射された。
【0089】
(コホート1)
50匹のマウスが4週間(75日齢から103日齢)にわたりアルコール(3.5%w/v)および高脂肪のまたは等カロリーのデキストリンとともに改変高脂肪Lieber-DeCarli(L-D)液体飼料を与えられた。HFCDの給餌中に、マウスは53%のエタノール水溶液を週2回だけ強制経口投与により合計8回について4g/kgのエタノールの投与量で与えられた。マルトース対照群については、1ヶ月HFCD給餌マウスが同時に等カロリーのデキストリン-マルトースを週2回だけ強制経口投与により合計8回にわたり与えられた。31匹のマウスが、治療およびその後のCT+/-超音波エラストグラフィーで画像を得る試みの前に、死亡した。アルコールによる前処理および鎮静をともなうコンピュータ断層撮影画像を得る試みの後に、コホート1研究を無作為化し完了するために104日齢の19匹のヒト化マウスが生存していた(雄10匹、雌9匹)。
【0090】
マウスはプラセボ(PBS)(n=5)または非活性化MSC(n=14)に無作為に割り振られ、PBSまたはMSCがプロトコルにしたがって投与された。14匹の処理マウスのうち、8匹がMSCをIVおよびIPで受け、6匹がIPのみで受けた。
【0091】
群1:5匹のマウスがビークル(PBS)をIPおよびIVで投与された。
【0092】
群2:8匹のマウスが1,000,000個の非活性化間葉系幹細胞治療剤を静脈内(IV)および腹腔内(IP)に投与された。
【0093】
群3:6匹のマウスが1,000,000個の非活性化間葉系幹細胞治療剤を腹腔内(IP)に投与された。
【0094】
過剰量のアルコールが3週間にわたり隔週で投与された。MSCまたはPBSが、最初の週に3回、および、次の2週にわたり各週2回(3週で8回)、マウスに投与された。
【0095】
(コホート2)
初期データの解析後、過剰飲酒時期は短縮され、コンピュータ断層撮影スキャンを得るための試みはなされなかった。3週間にわたり過剰アルコール前処理を受けた追加の33匹のヒト化マウスが5群に分けられた。
【0096】
群1:5匹のマウスが1,000,000個の非活性化間葉系細胞をIVおよびIPで受けた。
【0097】
群2:7匹のマウスがビークル(PBS)をIVおよびIPで受けた。
【0098】
群3:7匹のマウスが1,000,000個の活性化間葉系細胞をIPで受けた。
【0099】
群4:7匹のマウスが1,000,000個の活性化間葉系細胞をIVで受けた。
【0100】
群5:7匹のマウスが1,000,000個の活性化間葉系細胞をIVおよびIPで受けた。
【0101】
細胞/PBSは、最初の週の間に3回、追加の2週間にわたり週1回、投与された(図25A)。
【0102】
両コホートについて、処理の最初の日と死亡日または安楽死日とに血液サンプルが取られた。サンプルはALTおよびASTレベルの測定に送られた。
【0103】
コホート1について、MSCまたはPBSの処理の開始後93日までマウスは生存が観察された。生存マウスはこの実験の終了時に心臓穿刺術および頚椎脱臼により安楽死させられた。肝組織はヘマトキシリンエオシン染色および腫瘍の組織学的評価のために10%中性緩衝ホルマリンで固定された。
【0104】
コホート2について、MSCまたはPBSの処理の開始後25日までマウスは生存が確認された。生存マウスは最後のMSC処理後2日目に同様のやり方で安楽死させられた。エンドポイント前に死亡したマウスについて検死が行われた。
【0105】
FRG-huHSC/Hepマウスから収集された血液が、感染後4週での、および、安楽死エンドポイント、MSC処理の開始後60日(167日目)でのヒト白血球再構成を定量するために用いられた。血液は胎児肝細胞のヒト移植有効性を測定するために収集された。
【0106】
安楽死後、肝組織の代表的断面が、10%中性緩衝ホルマリンで固定され、組織学的評価のために処理された。脂肪症、壊死、ならびに、線維症の、程度は、代表的なヘマトキシリンエオシン染色切片検査による盲検標本分析により、定量された。
【0107】
脂肪症は、0を<5%の脂肪症、1を5~33%、2を34~66%、3を>66%とする、4段階のスコア(0~3)で、段階分けされた。壊死も、0を<5%の壊死、1を5~10%、2を≦20%、3を>21%とする、4段階のスコア(0~3)で、段階分けされた。
【0108】
ログランク(マンテル・コックス)検定、ゲーハン・ブレスロウ・ウィルコクソン検定、および、カイ二乗検定が、マウス生存研究についての統計値を計算するために用いられた。マウス組織学的研究のために、ANOVA検定またはステューデントのT検定が用いられた。
【0109】
表1は、無作為化され研究を完了した全52匹のマウスについての、投与、生存、病理学、ならびに、ASTおよびALTレベルの詳細を含む。
【表1】
【0110】
表2は、性別、処理、生存、ASTおよびALTレベル、ならびに、組織学に関する、マウスの詳細を提供する。
【表2】
【0111】
表3は、qPCRに用いられたプライマーセットを示す。プライマーセットはIntegrated DNA technologies (IDT)に注文された。
【表3】
【0112】
(コホート1)
(5匹のうち)4匹の対照マウスが、無作為化および最初の処理の後の3、5、9、および13日目に、死亡した。非活性化MSCで処理された14匹のマウスは実験中には死亡しなかった。全ての生存動物は無作為化後93日目に屠殺された。
【0113】
4週間の間葉系幹細胞治療(PrimeGen)の後、MSC注射群(n=14)はPBS対照群(n=5)に比べて高い生存率を示した(図1)。マンテル・コックス検定およびゲーハン・ブレスロウ・ウィルコクソン検定によりp<0.0001で統計的有意性が示された。
【0114】
病理は混合型であり、脂肪症の程度はばらついており、6匹の動物のみが5から10%の間のどこかの壊死率を示した。ヘマトキシリンエオシン染色切片では線維症は認められなかった。表1では、全ての対照マウス(n=5)はある程度の脂肪症を呈し、3匹はある程度の小葉内炎症を呈した。MSCで処理した14匹のマウスのうち、11匹は脂肪症やその他の顕著な所見を呈さず、3匹は脂肪症を呈さず最小限の炎症のみを呈した。注目すべきは、処理マウスは、全て生存していたが、最後の注射から2ヶ月超後に安楽死させられており、これは生存マウスがその時点で治癒したはずなので損傷をみるには遅すぎたかもしれない。これは次のセットの実験で考慮された。
【0115】
全ての動物は無作為化時に上昇したASTおよびALTを呈したが、これは肝損傷の存在を示した。これらのレベルは屠殺までにMSC処理動物において顕著に減少した。しかし、単独生存動物を含むPBS処理動物においては、これらのレベルは高いままであった(表1、図2)。
【0116】
(コホート2)
生存マウスは最初の処理後25日目に安楽死させられた。5匹の非活性化MSC処理マウスのうち、60%が生存した。7匹のPBS(非処理マウス)のうち、7分の1または14%のみが生存した。活性化MSCで処理された21匹のマウスの100%が生存した。
【0117】
7匹のPBS処理マウスのうち6匹(86%)が無作為化および最初の処理の後の5~19日目に死亡した。5匹の非活性化MSC処理マウスのうち2匹が無作為化および最初の処理の後の4日目に死亡した(図3)。全ての生存マウスは最後の処理後2日目に安楽死させられた。
【0118】
肝臓の代表的切片が10%中性緩衝ホルマリンで固定され、処理され、ヘマトキシリンエオシン染色切片が得られ、脂肪症、炎症、壊死、および線維症を評価するために検討された。7匹のプラセボマウスのうち、3匹は顕著な病理学的変化を呈さず、3匹は脂肪症を示し、2匹は5~10%の壊死を示した。
【0119】
活性化間葉系幹細胞をIPおよびIVの両方で受けた7匹のマウスのうち、5匹は1の脂肪症を呈し、2匹は顕著な所見を呈さなかった。いずれのマウスでも壊死や顕著な炎症はみられなかった。
【0120】
活性化間葉系幹細胞をIPで有した7匹のマウスのうち、6匹は脂肪症を呈し、1匹は顕著な所見を呈さなかった。いずれのマウスでも壊死や顕著な炎症はみられなかった。
【0121】
活性化間葉系細胞をIVで有した7匹のマウスのうち、5匹は脂肪症を呈し、2匹は顕著な所見を呈さず、1匹は壊死を呈した。
【0122】
非活性化幹細胞で処理された5匹のマウスのうち、2匹は脂肪症を呈し、3匹は顕著な所見を呈さず、1匹は壊死を呈した。
【0123】
ヘマトキシリンエオシン染色ではいずれの群でも線維症は認められなかった。
【0124】
図4は、死亡時または安楽死時の病理所見のいくつかを示す。
【0125】
3種類の活性化MSC注射経路の全てがアルコール性肝炎の死亡率を改善したが、これはIPおよび/またはIVがMSC治療に利用できることを示している。病理学的検査は全ての群で顕著な差を示さなかったが、これはMSC治療がアルコール性肝炎の全身性の改善に影響を与え得ることを示す。
【0126】
ASTおよびALTは処理の開始時および安楽死させられたものを含む死亡時に出された。全てのマウスは無作為化の時点で上昇した酵素を呈したが、これは肝損傷を示す。1匹の生存マウスを含む全てのPBS処理マウスは死亡時に上昇した酵素を呈した。死亡したもの(非活性化細胞で2匹)を含む非活性化または活性化細胞を受けた全てのマウスが死亡時点で酵素の顕著な減少を示した。最も明白な減少はIPおよびIVの両方で活性化細胞を受けたマウスでみられた(図5)。
【0127】
MSC群はPBS群よりも良好な生存率を呈し、活性化MSC群は非活性化群よりも良好な生存率を呈したが、これはこの動物モデルでの生存におけるMSCの役割をさらに実証し、また、活性化MSCがより良好な転帰を呈することを示す。
【0128】
ASTおよびALTは治療の開始時および屠殺されたものを含む死亡時に調べられた。全てのマウスは無作為化の時点で上昇した酵素を呈したが、これは肝損傷を示す。1匹の生存マウスを含むPBS処理マウスの100%が死亡時に上昇した酵素を呈した。死亡したもの(非活性化細胞で2匹)を含む非活性化または活性化細胞を受けた全てのマウスが死亡時点で酵素の顕著な減少を示した。最も明白な減少はMSCを受けたマウスでみられた(p<0.0001)(図4A、B)。上昇したASTおよびALTの重要性を決定するために、マウスの対照群は等カロリーのデキストリン-マルトースを4週間にわたり週2回だけ強制経口投与によりアルコール過剰摂取なしで給餌された。これらのマウスは、アルコール過剰摂取を受けたマウスと同じ時点で、ASTおよびALTについて血液採取を受けた。試験マウスについての上昇した検査値と比べ、ALTおよびASTレベルは7U/Lから16U/Lの間の範囲であった。
【0129】
(MSC系統マーカービメンチンの存在が肝臓でのヒトMSCを実証する)
ヒトMSCの位置を調べるために、我々は、PBS群、非活性化MSC群、および活性化MSC群を、ヒト特異的MSC系統マーカーであるビメンチンで、染色した。免疫組織化学では、活性化MSC処理マウスでのみビメンチン発現が明らかになった(図5A)。ビメンチン発現をさらに分析するために、我々は全3群のマウス群からRNAを単離し、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。定量PCRでは、PBS対照群(n=3)に比べて活性化MSC処理群(n=3)で統計的に有意なビメンチン発現の増加が明らかになった(図5B)。これらの結果は、活性化MSC群の肝臓でみられるMSCが実際にヒトのものであることを実証する。
【0130】
(KI67およびミエロペルオキシダーゼ相補DNAレベルが活性化MSCの重要性を示す)
肝臓再生マーカーであるKi-67は、これまで、アルコール肝を患う患者で上昇すること示されてきた。好中球マーカーであるミエロペルオキシダーゼ(MPO)も、アルコール処理マウスで上昇することが示されてきた。
【0131】
MSCの有効性を調べるために、我々は全3群のマウス群からRNAを単離し、定量PCRを行った(表S2)。Ki-67発現はPBS対照群に比べて活性化MSC群で顕著に上昇した(図5C)。反対に、MPOレベルはMSC処理マウスで顕著に減少した(図5D)。まとめると、これらのデータセットはこれらのマウスでのアルコール誘導性肝損傷の緩和における活性化MSCの重要性を示す。
【0132】
(活性化MSC処理マウスは処理後にヒト血清アルブミンレベルを保持した)
処理後の肝臓での機能的肝細胞の量を調べるために、我々は全3群のマウス群からRNAを単離し、マウスに対するヒトアルブミンレベルを測定した。アルコール肝損傷前に、我々は我々のヒト化FRGマウスのヒトミトコンドリアDNAレベルが60%から70%の間であることを示した(図S2)。定量PCR分析では活性化MSC処理マウスにおけるマウスに対して顕著に高いヒトアルブミンレベルが明らかになった(図5E)。これらのデータは我々のヒト化マウスモデルでの肝損傷の緩和における活性化MSCの重要性を示す。
【0133】
(受容体相互作用タンパク質キナーゼ3(RIPK3)免疫蛍光はMSCのネクロトーシス経路阻害能を示す)
受容体相互作用タンパク質キナーゼ3(RIPK3)は、これまで、ネクロトーシスを制御する重要分子であることが示されてきた[26]。我々のMSC処理マウスがRIPK3を発現するか否かを決定するために、我々は、パラフィン包埋された、PBS群、非活性化MSC群、および活性化MSC群の肝組織を染色した。共焦点顕微鏡では、MSC処理群と比べてPBS処理マウスでRIPK3の上昇したレベルが明らかになった(図6A)。共焦点画像の免疫反応性スコアは、PBS対照群と比べて活性化MSC群で顕著に低いRIPK3レベルを示した(図6B)。タンパク質レベルでのRIPK3の発現を確認するために、我々は活性化およびPBS処理群の肝臓からのタンパク質ライセートを用いてウェスタンブロット分析を行った。我々の結果では、PBS対照群に比べ活性化MSC群でRIPK3レベルが減少することが明らかになった(図6C)。したがって、我々のRIPK3研究は活性化MSCがこのマウス群でのネクロトーシスを阻害したことを示す。
【0134】
(B細胞リンパ腫2(BCL2)が活性化MSC処理マウスで発現している)
B細胞リンパ腫2(BCL2)はネクロトーシスおよびピロトーシス経路に関与する抗アポトーシス分子としてよく研究されてきた。BCL-2が我々のアルコール過剰摂取FRGマウスで発現しているか否かを決定するために、我々はタンパク質ライセートを単離し、ウェスタンブロット分析を行った。我々の結果は活性化MSC処理マウスでのBCL-2発現を明らかにした(図6D)。BCL-2は非活性化MSC処理群では僅かに存在するものの、PBS処理マウスでは発現していなかった。これらの結果は肝損傷の緩和における活性化MSC処理の重要性を示す。
【0135】
(BCL-2プロモーターがMSC条件培地の添加後に誘導される)
BCL-2がネクロトーシスおよびピロトーシスを阻害することが示されてきていたので、我々は次にBCL-2プロモーターにおけるシグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)およびサイクリックアデノシン一リン酸応答要素結合タンパク質(CREB1)を標的としたルシフェラーゼレポーターアッセイを行った。具体的には、Huh7細胞が種々のBCL-2プロモーターコンストラクトを遺伝子導入され、プラズマライトまたはMSC条件培地のいずれかで刺激された。我々の結果は、MSC条件培地がSTAT3およびCREB1欠失BCL-2コンストラクトでBCL-2発現を活性化することを示した(図6E)。興味深いことに、他のBCL-2プロモーターコンストラクトは両群で最小の相対ルシフェラーゼ活性を示した。これはこれまでにBCL-2発現のリプレッサーであることが示されてきたAML-1(急性骨髄性白血病-1)結合部位(TSSの上流-1473)が理由かもしれない。
【0136】
(切断ガスダーミンDレベルは肝損傷の緩和における活性化MSCの重要性を強調する)
我々は、次に、PBS処理群、非活性化MSC処理群、および活性化MSC処理群での、ガスダーミンD(GSDMD)レベルを調べた。GSDMDは重要な炎症反応分子であることが示されてきた。ウェスタンブロットは非活性化MSC群およびPBS対照群の両方に比べて活性化MSC処理群で切断GSDMDの減少した発現を示した(図6F)。この結果は我々の処理マウスでの肝損傷の緩和における活性化MSCの重要性を示す。
【0137】
(sh-CD44の形質導入はMSCが肝臓に移動する能力を減少させる)
CD44はこれまでそのリガンドであるヒアルロン酸への結合による細胞輸送に関与していることが示されてきた。アルコール誘導性肝損傷後にMSCが行く位置を追跡するために、我々は活性化MSCにsh-CD44レンチウイルスを形質導入した。生物発光画像はsh-スクランブル注射マウスの肝臓に存在する細胞の数がより多いことを明らかにした。対照的に、sh-CD44注射マウスはより低い量のルシフェラーゼ発現を呈した(図7A、B)。これらの画像はCD44がアルコール誘導性肝損傷後の肝臓へのMSCの移動に影響を与えることを示す。
【0138】
MSCは、さまざまな種類の細胞に分化し、損傷部位に遊走し、抗炎症特性を示す能力を有する。体内で組織の損傷または傷害が生じた場合、MSCは損傷部位に遊走する。一旦MSCがこの損傷部位に到着すると、それらはさまざまな炎症性細胞および異なる種類の間質細胞と相互作用して、再生プロセスを開始し損傷域を修復する。これまでの研究は、損傷組織域に影響し、ひいては、組織修復プロセスへの正のパラクライン効果を維持する、異なる種類の増殖因子、サイトカイン、および接着分子をMSCが分泌することを示してきた。他の研究は、MSCが、血管内皮増殖因子、肝細胞増殖因子、上皮増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、インスリン様増殖因子1、およびIL-6などの、多くの異なる増殖因子を産生し得ることを示してきた。これらのサイトカイン因子の大多数は、TNF-α、IFN-γ、IL-1β、リポ多糖、および低酸素症などの炎症誘発性刺激の暴露に由来するNF-κBの活性化により上方制御される。いくつかの研究は、MSCが自然に免疫抑制性であるわけではなく、それらの免疫調節特性の上方制御について活性化を要することを提案する。最も重要なMSCの活性化またはプライミング因子は、IFN-γ、TNF-α、IL-17、およびIL-1βである。これら3つの炎症促進性サイトカインに由来するMSC活性化の後、これらの増殖サイトカイン因子は上方制御されて、損傷組織域における組織前駆細胞、線維芽細胞、および内皮細胞の動員または刺激により、または、抗炎症性サイトカインの産生により、組織再生および修復を促進する。これらの活性化MSCはさまざまな経路を介してTヘルパー細胞および細胞傷害性T細胞の増殖を阻害する機能を果たし得る。抗炎症反応の開始は制御性T細胞分化およびTヘルパー2型細胞の活性化により誘発される。IL-6は、共刺激分子であるCD40、CD80、およびCD86の発現の減少により、炎症誘発性サイトカインの抑制により、および、IL-10のような抗炎症性サイトカインの上方制御により、T細胞活性化の阻害および未成熟樹状細胞の成熟を阻害し得る。我々独自の方法を用いたこれまでの研究では、我々の活性化MSCはインビトロでIL-6を高度に発現する能力を有していた。我々の活性化MSCでのIL-6の増加した産生が、生存率を増加させ、アポトーシスおよびパイロリシスを防ぐ、急性アルコール肝損傷モデルでの炎症状態の調節の原因であるかもしれないことを我々は提唱する。将来の研究では、潜在的な炎症促進性、抗アポトーシス経路と、なぜ我々の活性化MSCが我々のモデルでの生存率を増加させたかを説明するための機序とを、より良く理解し提案するために、我々は潜在的な炎症促進性および抗炎症性の我々の処理群の全てを分析したいと考えている。急性アルコール性肝炎は慢性肝疾患とは多くの点で異なり、最も重要な点は可逆可能性である。したがって、生存率を増加させ肝損傷の経路に影響する可能性についてアルコール過剰摂取により損傷されたヒト化マウス肝臓は非活性化臍帯細胞および活性化臍帯細胞の両方を試験するための理想的なモデルを提示した。我々の最初のアルコール性肝炎コホートは2つの群(PBS対照群および非活性化MSC処理群)を含んでいた。非活性化MSC処理マウスは全て生存したが、一方、PBS処理対照群は20%の生存率を呈した。統計的有意性はp<0.0001を示した。第2のコホートでは、活性化MSC処理マウスは100%の生存率を呈し、非活性化MSC処理マウスは60%の生存率を呈したが、コホート1と同様に、PBS対照群は14%の生存率を呈した。
【0139】
PBSまたは細胞による処理の前後の肝臓の化学的成分の分析では、PBSを受けた動物と比べてMSCを受けた動物で顕著な改善が明らかになった。さらに、活性化細胞を受けたものは非活性化細胞に比べてより著しい改善を示した。コホート1では、PBS処理マウスではさまざまな程度の脂肪症が存在したが、一方、MSCで処理された14匹の生存マウスでは顕著な所見はなかった。生存マウスでの所見の欠如は長い観察時間のせいで肝臓の治癒が許された可能性があり、これは肝臓の化学的成分における著しい減少により実証されていると我々は仮説を立てた。コホート2では、動物は最後の処理後2日目に屠殺され、大多数のマウスはさまざまな程度の脂肪症ならびに他の損傷の徴候を示した。さらに、肝臓病理学が生存率の差を説明できなかったことから、アルコールがより全身性の作用を奏したのではないかと我々は仮説を立てた。公的に利用可能なRNA配列データセットは、ピロトーシスおよびネクロトーシス経路でのBCL-2およびCD44の重要性を示してきた。RIPK3、BCL-2、CD44、およびGSDMDによる我々の発見は、活性化MSCが肝損傷を緩和しネクロトーシスおよびピロトーシスを阻害したか否かについて手掛かりを提供する(図6G)。将来的には、我々はCREB1およびSTAT3が実際にBCL-2プロモーターを活性化するか否かをみるためにクロマチン免疫沈降/定量PCRおよび部位特異的変異誘発を行いたいと考えている。我々の2つのコホート実験での結果は、アルコール性肝炎と闘うための治療として有望な結果を示す。我々のマウス研究は数が限られてはいたものの、我々はより多数のFRGマウスコホートと最終的により大規模な動物研究とを待ち望んでいる。長期高脂肪/コレステロール+アルコール過剰摂取給餌が活性化MSC治療とどのようにやっていくかをみることは興味深いことである。要約すると、活性化MSC治療はアルコール性肝炎を患う患者の高い死亡率を改善するための戦略的に重要な戦略である。
【0140】
(実施例2:凍結/解凍MSCの使用)
急性損傷の後に、肝臓は、再生し回復するか、末期肝不全を発症するかのいずれかになり得る。回復と不全の間の均衡は、損傷の程度および基礎肝疾患を非排他的に含むいくつかの因子に影響され得る。これまでに報告された研究では、本群はアルコールに続発する肝損傷を発症したヒト化肝臓を持つマウスに投与された活性化臍帯間葉系幹細胞(MSC)が顕著に生存率に影響し得ることを示した。
【0141】
本研究の主要目的はヒト化マウス肝臓での急性アルコール誘導性肝損傷の治療におけるプラセボと比べたときのさまざまな用量の凍結解凍された活性化MSCの安全性および有効性を評価することであった。副次目的は、さまざまな用量でのm、肝臓の化学的成分、バイオマーカー、および病理学の評価を含む。
【0142】
24日間にわたり高脂肪飼料およびアルコール過剰飲酒を給餌された62匹のヒト化マウスが無作為化されて、最初の週は3回、追加の2週間は週1回、尾静脈を介して、100万、500,000、250,000、100,000、28,000個の活性化臍帯細胞の注射またはビークル(プラズマライト)のみの注射を受けた。ASTおよびALTは、ベースライン、1週目、2週目、3週目、および/または、死亡時に、取得された。マウスは、生存率について経過観察され、4週目に生存マウスは安楽死させられた。肝臓病理は死亡時に全ての動物について評価された。事象までの時間(Time-to-event)のデータが、カプラン・マイヤー曲線およびログランク検定またはウィルコクソンランク検定を用いて、必要に応じて多重比較調整のためにシダック法を用いて、分析された。全てのマウス肝臓についての組織学は死亡時に報告された。
【0143】
最高投与用量である100万の幹細胞では、プラセボ群に比べて統計的に有意な生存率であった(p=0.03)。組織学的所見は生存率と相関しており、27匹の生存動物は壊死をともなわず1から2+の脂肪症を示し、死亡した35匹の動物のうち23匹は壊死を示し、残りのマウスのうち3匹を除く全てはさまざまな程度の脂肪症を示した。
【0144】
高用量凍結解凍活性化臍帯MSCの処理はヒト化肝臓を持ちアルコール誘導性肝損傷をわずらうマウスにおいて改善された生存率および組織学をもたらし得る。
【0145】
肝臓はアルコール代謝の主要部位であり、アルコール誘導性損傷の主要標的として記述されてきた。肝疾患の範囲は、脂肪症、脂肪性肝炎、線維症、急性アルコール性肝炎、および、肝硬変を含む進行した肝疾患の発症までさまざまである。急性アルコール性肝炎は最近の重度の過剰飲酒に関連する肝臓の炎症性疾患であり、脂肪症、風船状肝細胞、マロリー・デンク体、および好中球の顕著な成分を含む小葉内炎症により特徴付けられる。転帰は可変性であり、判別関数により定義される重症例についての高い30日死亡率は30~50%と報告されている。治療は初期支援であり、異なる治療技術による有効性の異なる不定の報告がなされている。移植のための基準はセンター間で変わり得るものであり、器官の供給が限られているため、効率的な治療の需要は急務である。
【0146】
肝臓の顕著な再生特性は回復と不全との間の均衡を変化させ得る多くの因子に影響される。肝損傷への炎症反応を減少させながら再生を促進するMSCの可能性は、活性化幹細胞が再生の促進および急性肝不全における転帰の改善にいくらかの優位性を与えるかもしれないことを示唆している。これまでに公表された論文で、我々のグループは100万個のMSCの反復注射を用いた過剰アルコール飲酒による肝損傷を受けたヒト化肝臓を持つマウスでの生存率の改善を示した(表)。さらに、生存率は非活性化細胞に比べて活性化臍帯MSCを用いた場合に顕著に改善され、いずれの細胞もプラセボより顕著に良好であった。
【0147】
最適用量をより良好に決定し、さまざまな用量レベルでの毒性を評価し、肝臓の化学的成分および組織学的所見を経過観察するために、さまざまな用量を比較し、これらの用量をプラセボと比較し、追加の組織学的および生化学的データを取得するように、新しいセットの実験が計画された。
【0148】
我々自身の先行研究に加えて、いくつかの動物モデルにより肝損傷後の器官不全を改善するMSCの能力が示された。改善された生存率、組織学、肝臓の化学的成分および炎症マーカーの例示が存在している(表6)。
【0149】
(材料と方法)
(ヒト化マウスの調製)
IACUCの同意の取得後に、我々はFRG KO肝臓ヒト化マウスを利用した。この過程はマチダケイゴ博士の研究室でルーチンどおり行われた。
【0150】
(FRGマウスの繁殖)
我々の研究室は、Fah-/-マウス(RIKEN)およびRag2-/-、Il2rgc-/-(Jackson Lab)の交雑により、Fah-/-、Rag2-/-、Il2rgc-/-(FRG)を作成した。これらのFRGマウスは商業的に利用可能な系統とは異なっている。ジェノタイピングはUSCのジェノタイピングガイドラインに従い行われた。
【0151】
(FRG新生仔の照射)
照射は、2mmのフィルターを用いて、250kV、16mA、50cm FSDで、行われた。照射線量率(cGy):10cm×10cmの領域サイズで150cGy。マウスは、マイクロアイソレーターケージを有する無病原体施設に収容され、急性の病気がないことを保証するために監視された。
【0152】
(移植手順)
ヒト造血幹細胞(HSC)は胎児肝(ドナー細胞)から収集された。ヒトHSCは無菌培地で調製され照射済みレシピエントに肝内注射された。我々は、5×10細胞/マウスを用い、これは照射手順の1日後に注射された。
【0153】
(無菌水給餌)
我々は動物にオートクレーブ/照射済みの食料を与え、動物が3週齢で離乳された後の動物の一生の期間にわたって週交代でSMZ有りまたは無しの(飲水250ml毎にSMZを7.8ml)酸性化オートクレーブ水のもと動物を維持した。動物は照射およびHSC移植の後に研究者により合併症の潜在的徴候(貧弱な身体の状態/体重減少、荒れた外皮、不活動、体を丸めた姿勢、病気の前兆をともなわない死)について毎日監視された。体重が測定された。
【0154】
(FRGマウスでのヒト化免疫細胞のインビボ血液研究)
ヒト化免疫細胞がFRGマウス血流内に十分なレベルで保持されているかを決定するために、血液が顔面静脈から収集されヒト幹細胞異種移植マウスが検出された。
【0155】
(ヒトHSCで再構成されたFRGマウス由来の末梢血細胞を用いたFACS分析)
20mMのPBS-EDTAの100μlを含有する1.5mLの無菌マイクロ遠心チューブにマウス毎におよそ100μlの血液が収集され、氷上に置かれた。PBMC、下部(PBMC)が赤血球細胞リシスバッファー(1×ACKリシスバッファー)に再懸濁され、室温(25℃)で5分間インキュベートされた。細胞は469gで2回遠心され、ヒトCD45、マウスCD45抗体、および7-AAD混合物を含有する2%(体積/体積)FBS/PBSに再懸濁された。我々はヒト免疫再構成物(%ヒトCD45細胞/全CD45細胞)を測定たが、これはフローサイトメトリー分析を用いて調べられた。
【0156】
(臍帯間葉系細胞および活性化細胞の調製)
(ヒト臍帯MSC培養)
インフォームドコンセントのもとヒト臍帯間葉系間質細胞(hUC-MSC)がヒト臍帯の血管周囲性ホウォートンゼリー領域から単離され、これはRoosterBio社により提供された(メリーランド州フレデリック、RoosterBio社により製造販売され、Tissue Regeneration Therapeutics(TRT)社の核心技術および以下の特許ファミリーからの実施許諾済み技術により支持されるRoosterVial-hUC-XF;米国特許出願第8,790,923号、米国特許出願第8,278,102号、米国特許出願第7,547,546号、米国特許出願第9,611,456号、米国特許出願第9,611,456号、米国特許出願第8,481,311号、米国特許出願第9,611,456号)。購入されたhUC-MSCバイアルは追加的にInternational Society for Cell and Gene Therapy(ISCT)の最小基準(24)にしたがって完全に特性評価され、これはRBにより行われた。さらにRoosterBioはフローサイトメトリーによる表面マーカーの発現、3血球系中胚葉分化能(脂肪細胞、骨細胞、および軟骨細胞)、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)活性、無菌性、エンドトキシン、およびマイコプラズマ試験についてのhUC-MSCの特性評価のための追加試験を行った(データは示さず)。hUC-MSCは、RB製造プロトコルにしたがって培養および採取された。150万から200万個のhUC-MSCが、25mlのRB完全培地RoosterNourish-MSC-XF(RoosterBio社)でT225通気フラスコ(CorningまたはThermoFIsher)に入れられ、48時間培養され、37℃、5%COでインキュベートされた。
【0157】
(hUC-MSCの活性化)
hUC-MSCの初期培養後36~38時間に、ヒトTNF-α(PeproTech社)、ヒトIFNγ(PeproTech社)、およびヒトIL-17(PeproTech社)からなる三重活性化がhUC-MSCを含む各T225フラスコに各サイトカインについて2ng/mLの終濃度で添加された(25)。各hUC-MSCフラスコは5%COインキュベーターで追加の10~12時間にわたり37℃で添加活性化培地で培養するに任された。
【0158】
(hUC-MSCの収集)
T225フラスコからの細胞採取は以下のように行われた。Rooster培養液が除去され、10mLのD-PBS-/-(Gibco)で洗われ、除去され、その後、10mLのCTS-TrypLE(Gibco)が添加され、37℃で5~6分間インキュベートされた。その後、10mLのRooster培地が、トリプシン活性を消すために添加された。その後、細胞懸濁液が除去され、T225フラスコが25mLのD-PBS-/-で追加的に洗われ、遠心チューブに入れられた。全ての細胞懸濁混合液は、280×g、4℃で、10分間、遠心分離され、上清が除去された。
【0159】
(活性化hUC-MSCの凍結)
ペレット状の活性化hUC-MSCが5,000,000または10,000,000細胞/mLの濃度で1mlのCS10凍結培地(BioLife)に再懸濁され、1.8mlの凍結バイアル(Nunc)に分量された。その後、分量された細胞バイアルはPlaner Kryo-550-16 Control Rate Freezer(Planer Limited)を用いて凍結された。その後、使用まで保存のためにVapor phase LN2 tankに移された。
【0160】
(hUC-MSCの細胞およびシリンジ製剤の出荷)
活性化hUC-MSCの凍結バイアル1つがThawStar Automated Cell Thawing System(BioLife Solutions)を用いて解凍された。解凍済み凍結細胞を7mlのRooster完全栄養培地でゆっくりと再懸濁する。凍結解凍細胞懸濁液チューブは、280×g、4℃で、10分間、遠心分離された。上清を除去し、ペレット状の活性化hUC-MSCが10mLのRooster完全栄養培地で再懸濁された。NuceloCounter NC-200 Cell Counter(Chemometec)を用いて細胞数を計数した。細胞はRooster完全栄養培地で約1,300,000細胞/mLの濃度で各投与について1.8mLバイアルに分量された(これは1,000,000個のhUC-MSCが各対象に注射されることを保証するだろう)。その後、個々の活性化hUC-MSC投与バイアルはPrimeGen独自の検証済み4℃出荷輸送箱に入れられこれを用いて輸送された。処理群についての使用の準備が整ったときに、活性化hUC-MSC懸濁液を含む各バイアルは280×g、4℃で、10分間、遠心分離された。上清を除去し、ペレット状の活性化hUC-MSCが200uLのプラズマライト中に1,300,000細胞の濃度で再懸濁された。hUC-MSC/プラズマライト溶液(200uL)はマウスでの尾静脈注射のためにひとつのU-100 BD Ultra-Fine Short Insulin Syringes(Beckton,Dickinson,and Company)に即座に充填された。
【0161】
(過剰飲酒)
過剰飲酒レジメンを始めさせられた64匹のマウスのうち、62匹が生存し、以下の処理群に無作為化された。
【0162】
(処理群)
生存した62匹のマウスは性別毎に以下の6群のうち1つに無作為化された。
【0163】
群1:100万個の活性化MSCを注射される。
【0164】
群2:500,000百万個の活性化MSCを注射される。
【0165】
群3:250,000百万個の活性化MSCを注射される。
【0166】
群4:100,000百万個の活性化MSCを注射される。
【0167】
群5:28,000百万個の活性化MSCを注射される。
【0168】
群6:ビークルであるプラズマライトのみを注射される。
【0169】
マウスは、最初の週は週3回注射され、その後、残りの3週は週1回注射された。マウスは尾静脈を介して注射された。各群には5匹の雄および5匹の雌のマウスが割り当てられたが、例外として、対照群には4匹の雌および6匹の雄が割り当てられた。追加の2匹の雌のマウスが群1および群4にそれぞれ1匹ずつで割り当てられた。
【0170】
マウスの半分は過剰飲酒後0日目に最初の注射を始め、半分は過剰飲酒後1日目に最初の注射を始めた。開始の注射を二日に分けた理由は、採血と、動物への注射と、適切な文書の管理に必要とする時間のためである。最初の注射後、各群は続けて最初の注射後3、7、14、および21日目に注射を受け、最初の注射の開始後28日目まで経過観察された。
【0171】
マウスは、経過観察期間中に、姿勢、毛繕い、呼吸数、体重、および食料消費について、調べられた。
【0172】
各注射の前および死亡時点でASTおよびALTのために採血が行われた。
【0173】
エンドポイント前に死亡したマウスについて検死が行われた。身体的症状をともなうマウスは監視され、一旦それらの身体的状態が安楽死エンドポイントの閾値まで悪化すると、マウスはUSC IACUCガイドラインに基づき安楽死させられた。
【0174】
(ヒト化FRGマウスの肝臓および血液の病理学的分析および評価)
感染後4週での、および、安楽死エンドポイント、MSC処理の開始後60日(167日目)でのヒト白血球再構成を測定するために、我々はFRG-huHSC/Hepマウスから血液を採取した。この血液は胎児肝細胞のヒト移植有効性を測定するために収集された。ASTおよびALTを測定するために血液はベースラインおよび死亡時に収集された。
【0175】
安楽死後、肝組織の代表的切片を10%中性緩衝ホルマリンで固定され、組織学的評価のために処理された。
【0176】
(統計的設計)
事象までの時間(Time-to-event)のデータが、カプラン・マイヤー曲線およびログランク検定またはウィルコクソンランク検定を用いて、必要に応じて多重比較調整のためにシダック法を用いて、分析された。
【0177】
カプラン・マイヤー曲線およびウィルコクソンランク検定が群間のデータ分析のために用いられた。各処理群および対照群の事後比較のためにシダック調整p値が多重比較調整を用いて報告された。
【0178】
(結果)
(群比較)
表4Aおよび4Bは、全6つのコホートについての、齢、性別、注射の開始日、ならびに、ベースラインのASTおよびALTを示す。
【表4】
【0179】
【表5】
【0180】
【表6】
【0181】
(実施例3:肝疾患の治療)
50歳の男性は肝疾患をわずらっている。彼は注射による1.5×10個の活性化MSCにより治療される。活性化処理は、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-12(IL-12)へのMSCの12時間の暴露を含んだ。
【0182】
患者の症状は治療後に減少する。
【0183】
(実施例4:肝疾患の治療)
40歳の女性は肝疾患をわずらっている。彼女は注射による1.2×10個の活性化MSCにより治療される。活性化処理は、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)へのMSCの10時間の暴露を含んだ。
【0184】
患者の症状は治療後に減少する。
【0185】
(実施例5:肝疾患の治療)
70歳の女性は肝疾患をわずらっている。彼女は注射による1.8×10個の活性化MSCにより治療される。活性化処理は、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)へのMSCの6時間の暴露を含んだ。
【0186】
患者の症状は治療後に減少する。
【0187】
(実施例6:肝疾患の治療)
55歳の男性は肝疾患をわずらっている。彼は注射による2×10個の活性化MSCにより治療される。活性化処理は、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)へのMSCの10時間の暴露を含んだ。
【0188】
患者の症状は治療後に減少する。
【0189】
(実施例7:MSCの凍結/解凍)
P5細胞が1.86×10細胞/フラスコで蒔かれる2回の注射により調製された。活性化フラスコからの余分な細胞と培地は凍結して保存された。事前の実験から既に活性化され凍結されていた残余の細胞(P5細胞の終期)が解凍され2つのフラスコで培養された(1.86×10細胞/フラスコで蒔かれたP6細胞)。一方のフラスコは48時間生育させるために残され、他方は38時間後に再活性化され追加で10時間培養された。
【0190】
48時間が経過したときに、両方のフラスコから採取し、Qiagen Multi- Analyte ELISA Kitについて各条件からの培地を用いた。
【表7】
【表8】
【0191】
これは、1回活性化される場合(P5細胞)、活性化P5細胞が凍結/解凍されて追加の48時間にわたり培養される場合(P6細胞)、および、活性化P5細胞が凍結/解凍され、2度目の再活性化をされ、合計で48時間にわたり培養される場合についての、活性化細胞の生育と生存率のデータを示す。
【0192】
特記のない限り、本明細書および請求項で用いられる、成分、性質(分子量など)、反応条件などの、量を表現する全ての数字は、全ての場合において、『約』という用語で修飾されていると解されるべきである。従って、矛盾した記載がない限り、本明細書および添付の請求項に規定される数値パラメータは、本発明で得ようとする所望の性質に依存して変わり得る近似値である。均等論の適用を請求項の範囲に限定することを図るわけではないが、少なくとも、各数値パラメータは、報告された有効数字の数を考慮して、通常の丸め手法を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。本発明の広範な範囲を規定する数値範囲およびパラメータが近似値ではあるが、特定の実施例に規定される数値は可能な限り正確に報告される。また、いかなる数値もそれらが関連する試験測定でみられる標準偏差から必然的に生ずるある種の誤差を本質的に含む。
【0193】
本発明を記載する文脈において(特に、添付の請求項の文脈において)用いられる単数の表記は、特記がなく且つ文脈に明白に反しない限り、単数及び複数の両方を包括するものと解釈されるべきである。本明細書において数値範囲の記載は、当該範囲に含まれる個々の数値のそれぞれを個別に参照する簡便な方法としての役割を果たすに過ぎない。本明細書に特記のない限り、これらの個々の数値のそれぞれはそれらが本明細書に個別に記載されているものとして本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の方法の全ては、本明細書に特記がなく且つ文脈に明白に反しない限り、任意の適切な順番で実行できる。本明細書に記載の、いかなる実施例及び例示的表現(例えば、「~など」)の使用も、本発明をより明瞭に理解できるようにすることを意図するに過ぎず、これらの実施例及び例示的表現とは異なったやり方で請求項に記載された発明の範囲になんら限定を加えるものではない。本発明に記載のいかなる表現も本発明の実施に必須であるが請求項には記載されていない要素を示すものと解釈してはならない。
【0194】
本明細書に記載の発明の選択的な要素又は実施形態の集合は限定と解釈すべきではない。各集合要素は、個別に参照されたり請求項に記載されたりしてもよいし、本明細書にみられる他の集合要素又は他の要素と組み合わせて参照されたり請求項に記載されたりしてもよい。ある集合の1種類以上の要素が、便宜的理由及び/又は特許的理由で、集合に加入されたり、又は、集合から削除されたりしてもよい。こうした加入や削除が生じた場合も、本明細書は修正後の集合を含むものとみなされ、特許請求の範囲に記載の請求項で用いられるマーカーッシュグループの全てについて記載要件を満たす。
【0195】
本明細書の特定の実施形態は、本発明の実施にあたり発明者が知る中で最善の態様を含んで、本明細書に記載されている。当然ながら、前述の記載に触れた当業者にとってこれら記載の実施形態の変形は明らかであろう。発明者は、当業者であればこうした変形を適切に採用するものと想定し、そして、本発明が本明細書に具体的に記載したのとは異なったやり方で実施されることを意図するものである。従って、本発明は、適用法令により許容されるように、特許請求の範囲に記載の請求項に記載の主題の修正例及び均等物の全てを包含する。さらに、全ての可能な変形形態の上述の要素の組み合わせのいずれも、本明細書に特記がなく且つ文脈に明白に反しない限り、本発明に包含される。
【0196】
本明細書に記載の特定の実施形態は、請求項において、「からなる」又は「から実質的になる」といった表現を用いてさらに限定されてもよい。出願時又は補正時に請求項で用いられる場合、「からなる」という移行句は、請求項で特定されていない、要素、工程、又は成分のいずれをも排除する。「から実質的になる」という移行句は、請求項の範囲を、特定された材料又は工程に加えて、基礎的で新規な性質に本質的な影響を与えないものを含むものに限定する。このように請求項に記載された発明の実施形態は、本明細書に内在的に又は明示的に記載されており、実施可能である。
【0197】
さらに、本明細書を通して特許及び刊行物への数々の参照がなされている。上述の参照及び刊行物のそれぞれはその全体を参照により本明細書で援用する。
【0198】
最後に、本明細書に記載の発明の実施形態は本発明の原理の例示であると理解されたい。採用可能な他の修正例も本発明の範囲に含まれる。そのため、制限ではなく、あくまで一例だが、本発明の代替的な構成を本明細書の教示に従い用いてもよい。従って、本発明は図示及び記載されるまさにそのものに限定されるわけではない。
【0199】
[付記]
[付記1]
肝疾患の治療を必要とする患者にMSCを投与することを含む肝疾患を治療するための方法。
【0200】
[付記2]
前記MSCは活性化MSCを含む、付記1に記載の方法。
【0201】
[付記3]
前記活性化MSCは、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)のうち少なくとも1つにより活性化されたMSCを含む、付記2に記載の方法。
【0202】
[付記4]
前記活性化MSCは、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)のうち少なくとも2つにより活性化されたMSCを含む、付記2に記載の方法。
【0203】
[付記5]
前記活性化MSCは、インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)により活性化されたMSCを含む、付記2に記載の方法。
【0204】
[付記6]
前記患者は哺乳類である、付記3に記載の方法。
【0205】
[付記7]
前記哺乳類はヒトである、付記4に記載の方法。
【0206】
[付記8]
前記投与は、皮下、関節内、病巣内、静脈内、腹腔内、または筋肉内の投与のうち少なくとも1つを含む、付記1に記載の方法。
【0207】
[付記9]
前記MSCは自己由来である、付記9に記載の方法。
【0208】
[付記10]
前記MSCは同種異系である、付記8に記載の方法。
【0209】
[付記11]
前記MSCは1×10細胞から1×1012細胞の間の用量で投与される、付記9または10に記載の方法。
【0210】
[付記12]
前記用量は少なくとも2回の投与を含む、付記11に記載の方法。
【0211】
[付記13]
前記用量は少なくとも3回の投与を含む、付記12に記載の方法。
【0212】
[付記14]
前記用量は少なくとも4回の投与を含む、付記13に記載の方法。
【0213】
[付記15]
前記用量は少なくとも5回の投与を含む、付記14に記載の方法。
【0214】
[付記16]
インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)のうち少なくとも1つによりMSCを刺激することを含む、サイトカイン産生MSCを活性化するための方法。
【0215】
[付記17]
インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)のうち少なくとも2つによりMSCを刺激することを含む、サイトカイン産生MSCを活性化するための方法。
【0216】
[付記18]
インターフェロンガンマ(IFNγ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、およびインターロイキン-17(IL-17)によりMSCを刺激することを含む、サイトカイン産生MSCを活性化するための方法。
【0217】
[付記19]
前記サイトカインが、IL-6、IL-17A、IFNγ、TNFα、TGFβ、MCP1、HGF、IL-8、TIMP-1、TIMP-2、VEGF、IDO、MIP-1b、およびIL-10のうち少なくとも1つを含む、付記16から18のいずれか1つに記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
【配列表】
2024517954000001.xml
【国際調査報告】