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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】キメラ抗原受容体T細胞療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20240416BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240416BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240416BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20240416BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240416BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240416BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20240416BHJP
【FI】
A61K35/17
A61P35/02
A61K31/7076
A61K31/675
A61K39/395 N
A61K31/573
A61K39/00 H
C12N5/10 ZNA
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570138
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 US2022029047
(87)【国際公開番号】W WO2022241151
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/188,916
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/248,941
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/328,364
(32)【優先日】2022-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514266932
【氏名又は名称】カイト ファーマ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Kite Pharma, Inc
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ライン シェン
(72)【発明者】
【氏名】プラクス ヴィッキー
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA02
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB18
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086DA38
4C086EA18
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA65
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB27
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB63
4C087BB65
4C087CA04
4C087MA65
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB27
(57)【要約】
本開示は、有効用量の免疫細胞療法(例えば、キメラ抗原受容体遺伝子改変T細胞免疫療法)を投与することを含む、悪性腫瘍を治療する方法、及びそのような免疫療法を製造するための方法を提供する。本開示のいくつかの態様は、患者への免疫療法の投与前及び投与後の患者のレベル及び製品属性に基づいて、免疫細胞免疫療法に対する患者の客観的奏功を決定する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における再発性/治療抵抗性B前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病を治療する方法であって、治療有効量の、腫瘍抗原に対する免疫細胞を前記対象に投与することを含み、前記対象は小児又は青年期対象である、方法。
【請求項2】
前記治療有効量の免疫細胞は、体重1kg当たり約1×10個~約2×10個の免疫細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記免疫細胞は、約40mL~68mLの総体積で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記免疫細胞は、約40mLの総体積で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記治療有効量の免疫細胞は、体重1kg当たり約1×10個の免疫細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記免疫細胞は、第一、第二、第三、第四、第五、若しくは第六選択治療として、又は疾患進行の前に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記腫瘍抗原は、腫瘍関連表面抗原、5T4、アルファフェトプロテイン(AFP)、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、BCMA、B-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、CA-125、がん胎児性抗原(CEA)、CD123、CD133、CD138、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD25、CD30、CD33、CD34、CD4、CD40、CD44、CD56、CD8、CLL-1、c-Met、CMV特異的抗原、CS-1、CSPG4、CTLA-4、DLL3、ジシアロガングリオシドGD2、管上皮ムチン、EBV特異的抗原、EGFR変異体III(EGFRvIII)、ELF2M、エンドグリン、エフリンB2、上皮増殖因子受容体(EGFR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮腫瘍抗原、ErbB2(HER2/neu)、線維芽細胞関連タンパク質(fap)、FLT3、葉酸結合タンパク質、GD2、GD3、神経膠腫関連抗原、スフィンゴ糖脂質、gp36、HBV特異的抗原、HCV特異的抗原、HER1-HER2、HER2-HER3の組み合わせ、HERV-K、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、HPV特異的抗原、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、IGFI受容体、IGF-II、IL-11Rα、IL-13R-a2、インフルエンザウイルス特異的抗原;CD38、インスリン増殖因子-1(IGF1)、腸管カルボキシルエステラーゼ、κ鎖、LAGA-1a、λ鎖、ラッサウイルス特異的抗原、レクチン反応性AFP、系列特異的抗原又は組織特異抗原、例えば、CD3、MAGE、MAGE-A1、主要組織適合複合体(MHC)分子、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合複合体(MHC)分子、M-CSF、黒色腫関連抗原、メソテリン、MN-CA IX、MUC-1、変異型hsp70-2、変異型p53、変異型ras、好中球エラスターゼ、NKG2D、Nkp30、NY-ESO-1、p53、PAP、プロスターゼ、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺がん腫瘍抗原-1(PCTA-1)、前立腺特異抗原タンパク質、STEAP1、STEAP2、PSMA、RAGE-1、ROR1、RU1、RU2(AS)、表面接着分子、サバイビン及びテロメラーゼ、TAG-72、フィブロネクチンのエクストラドメインA(EDA)及びエクストラドメインB(EDB)並びにテネイシンCのA1ドメイン(TnC A1)、チログロブリン、腫瘍間質抗原、血管内皮増殖因子受容体-2(VEGFR2)、ウイルス特異的表面抗原、例えば、HIV特異的抗原(例えば、HIV gp120)、並びにこれらの表面抗原の任意の誘導体又はバリアントから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記標的抗原はCD19である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
1種以上のプレコンディショニング剤で前記対象をプレコンディショニングすることを更に含み、前記1種以上のプレコンディショニング剤は、アルキル化剤及び白金系薬剤のうちの少なくとも1つから選択され、前記アルキル化剤は、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロレタミン、ムスチン(HN2)、ウラムスチン、ウラシルマスタード、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、ベンダムスチン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、スルホン酸アルキル、ブスルファン、チオテパ又はその類似体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、前記白金系プレコンディショニング剤は、白金、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、四硝酸トリプラチン、プロカルバジン、アルトレタミン、トリアゼン、ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、ダカルバジン、テモゾロミド、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記プレコンディショニング剤はシクロホスファミド及びフルダラビンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シクロホスファミドは200mg/m/日~2000mg/m/日の用量で投与され、前記フルダラビンは20mg/m/日~900mg/m/日の用量で投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記1種以上のプレコンディショニング剤の投与は、前記免疫細胞の投与の少なくとも7日前、少なくとも6日前、少なくとも5日前、少なくとも4日前、少なくとも3日前、少なくとも2日前、又は少なくとも1日前に開始する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記対象は高腫瘍量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
サイトカイン放出症候群の状況においてのみ神経学的事象の管理のためにトシリズマブを投与すること、及びグレード2の神経学的事象の管理のためにコルチコステロイドを投与することのうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記対象は疾患進行のリスクが高く、前記対象が初回診断後24か月以内に疾患の進行を示す場合、前記対象は高リスクである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、NK細胞、自家T細胞、同種異系T細胞、及び遺伝子操作された自家T細胞(eACT)、並びにそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫細胞はCAR T細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
がんの治療を必要とする対象において前記がんを治療する方法であって、前記がんは、非ホジキンリンパ腫(NHL)又は再発性/治療抵抗性B前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病又は再発性/治療抵抗性B細胞非ホジキンリンパ腫(R/R B-ALL)であり、治療有効量の、腫瘍抗原に対する免疫細胞を前記対象に投与することを含み、前記免疫細胞は、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現する自家T細胞である、方法。
【請求項19】
前記がんはNHLであり、前記NHLは、マントル細胞リンパ腫(MCL)又は低悪性度NHL(iNHL)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記iNHLは、辺縁帯リンパ腫(MZL)又は濾胞性リンパ腫(FL)である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記がんはNHLであり、前記NHLは、(再発性又は治療抵抗性)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)・非特異型、縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、又は濾胞性リンパ腫から発生したDLBCLである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年5月14日に出願された米国特許仮出願第63/188,916号、2021年9月27日に出願された同第63/248,941号、及び2022年4月7日に出願された同第63/328,364号の優先権を主張し、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ヒトがんは、本質的に、遺伝子変換又はエピジェネティクス変換を起こして、異常ながん細胞になった正常細胞から構成される。そうすることで、がん細胞は、正常細胞によって発現されるものとは異なるタンパク質及び他の抗原を発現し始める。これらの異常な腫瘍抗原は、がん細胞を特異的に標的とし、これを死滅させるために、身体の自然免疫系により使用され得る。しかしながら、がん細胞は様々なメカニズムを用いて、T及びBリンパ球などの免疫細胞が正常にがん細胞を標的とするのを阻止する。
【0003】
ヒトT細胞治療法は、患者のがん細胞を標的とし、これを死滅させるように濃縮又は改変されたヒトT細胞に基づく。特定のがん細胞を標的とし、これを死滅させるT細胞の能力を増加させるために、T細胞を特定の標的がん細胞に指向する構築物を発現するようにT細胞を遺伝子操作する方法が開発されてきた。特定の腫瘍抗原と相互作用することができる結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)により、T細胞は特定の腫瘍抗原を発現するがん細胞を標的化して死滅させる。
【0004】
CAR陽性T細胞及び患者の免疫学的状態の属性が免疫療法の臨床転帰とどのように相関するかを理解する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、概してがん若しくは腫瘍であるか、又はそれを含む疾患若しくは状態、例えば、白血病若しくはリンパ腫を有する対象の治療のための、細胞(例えば、遺伝子操作されたT細胞)及び/又はその組成物の方法及び使用が提供される。いくつかの態様では、本方法及び使用は、いくつかの方法で治療された対象における、ある特定の代替方法と比較した、奏効の改善及び/又はより持続的な奏効若しくは有効性及び/又は毒性若しくは他の副作用のリスクの低減を提供又は達成する。いくつかの実施形態では、本方法は、特定の数又は相対数の遺伝子操作された細胞の投与、既定の比率の特定種類の細胞の投与、特定のリスクプロファイル、ステージ分類、及び/又は前治療歴を有する患者集団などの特定の患者集団の治療、追加の治療薬の投与、及び/又はそれらの組み合わせを含む。
【0006】
また、細胞療法の投与後の特定のパラメータ、例えば、完全奏効(CR)若しくは部分奏効(PR)などの奏効が含まれる、治療転帰;又は毒性、例えば、神経毒性若しくはCRSの発現などの安全性転帰などの転帰と相関し得る特異的なバイオマーカーの発現又は分析物を評価することを含む方法も提供される。また、パラメータ、例えば、バイオマーカーの発現又は分析物の評価に基づいて、奏効の可能性及び/又は毒性のリスクの可能性を評価する方法も提供される。
【0007】
一態様では、本開示は、がんの治療を必要とする対象における腫瘍抗原を発現するがんの治療方法であって、腫瘍抗原を認識する抗原結合分子を発現する、治療有効量のCAR T細胞を対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、がんは、白血病又はリンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、マントル細胞リンパ腫(MCL)である。いくつかの実施形態では、MCLは、2種類以上の全身療法後に再発性/治療抵抗性である。いくつかの実施形態では、がんは、(再発性/治療抵抗性)低悪性度非ホジキンリンパ腫(iNHL)である。いくつかの実施形態では、がんは濾胞性リンパ腫(FL)である。いくつかの実施形態では、がんは、辺縁帯リンパ腫(MZL)である。いくつかの実施形態では、対象は、1回目の抗CD20含有化学免疫療法の開始から24か月以内に進行という高リスク特徴を有するMCL(MCL POD24)を有する。いくつかの実施形態では、がんは、診断から24か月以内に疾患の進行という高リスク特徴を有するiNHL(iNHL POD24)である。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原はCD19である。いくつかの実施形態では、CAR T細胞治療は早期に投与される。例えば、CAR-T細胞治療は、第一選択治療として、及び/又は進行の前に投与され得る。
【0008】
以下の実施形態は、本開示の例示であり、非限定的である。
1.がん、非ホジキンリンパ腫(NHL)の治療方法であって、治療有効量の、腫瘍抗原に対する免疫細胞を対象に投与することを含む、方法。
2.対象は、疾患進行のリスクが高い、実施形態1に記載の方法。
3.NHLは、マントル細胞リンパ腫(MCL)又は低悪性度NHL(iNHL)である、実施形態1又は2に記載の方法。
4.iNHLは、辺縁帯リンパ腫(MZL)又は濾胞性リンパ腫(FL)である、実施形態1又は2に記載の方法。
5.対象が初回診断後24か月以内に疾患の進行を示す場合、対象は高リスクである、実施形態2に記載の方法。
6.対象が1回目の抗CD20含有化学免疫療法から24か月以内に疾患の進行を示す場合、対象は高リスクである、実施形態2に記載の方法。
7.化学免疫療法はアルキル化剤を含む、実施形態6に記載の方法。
8.免疫細胞は、第一、第二、第三、第四、第五、又は第六選択治療として投与される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、NK細胞、自家T細胞、同種異系T細胞、及び遺伝子操作された自家T細胞(eACT)、並びにそれらの任意の組み合わせから選択される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.免疫細胞はCAR T細胞である、実施形態9に記載の方法。
11.CAR T細胞治療は、アキシカブタゲンシロルユーセル又はブレクスカブタゲンオートルユーセル/KTE-X19を含む、実施形態10に記載の方法。
12.免疫細胞の治療有効量、又は有効用量は、少なくとも約10個の細胞、少なくとも約10個の細胞、少なくとも約10個の細胞、少なくとも約10個の細胞、少なくとも約10個の細胞、少なくとも約10個、又は少なくとも約1010個の細胞である、実施形態1、2、又は9に記載の方法。
13.免疫細胞の治療有効量、又は有効用量は、約10個の細胞、約10個の細胞、約10個の細胞、約10個の細胞、又は約10個の細胞である、実施形態1、2、又は9に記載の方法。
14.免疫細胞の治療有効量、又は有効用量は、約2×10個の細胞/kg、約3×10個の細胞/kg、約4×10個の細胞/kg、約5×10個の細胞/kg、約6×10個の細胞/kg、約7×10個の細胞/kg、約8×10個の細胞/kg、約9×10個の細胞/kg、約1×10個の細胞/kg、約2×10個の細胞/kg、約3×10個の細胞/kg、約4×10個の細胞/kg、約5×10個の細胞/kg、約6×10個の細胞/kg、約7×10個の細胞/kg、約8×10個の細胞/kg、又は約9×10個の細胞/kgである、実施形態1、2、又は9に記載の方法。
15.免疫細胞の治療有効量、又は有効用量は、体重1kg当たり約1×10個~約2×10個の免疫細胞であり、最大で約1×10個の免疫細胞である、実施形態1、2、又は9に記載の方法。
16.免疫細胞の治療有効用量は75~200×10個の免疫細胞である、実施形態1、2又は9に記載の方法。
17.腫瘍抗原は、腫瘍関連表面抗原、5T4、アルファフェトプロテイン(AFP)、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、BCMA、B-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、CA-125、がん胎児性抗原(CEA)、CD123、CD133、CD138、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD25、CD30、CD33、CD34、CD4、CD40、CD44、CD56、CD8、CLL-1、c-Met、CMV特異的抗原、CS-1、CSPG4、CTLA-4、DLL3、ジシアロガングリオシドGD2、管上皮ムチン、EBV特異的抗原、EGFR変異体III(EGFRvIII)、ELF2M、エンドグリン、エフリンB2、上皮増殖因子受容体(EGFR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮腫瘍抗原、ErbB2(HER2/neu)、線維芽細胞関連タンパク質(fap)、FLT3、葉酸結合タンパク質、GD2、GD3、神経膠腫関連抗原、スフィンゴ糖脂質、gp36、HBV特異的抗原、HCV特異的抗原、HER1-HER2、HER2-HER3の組み合わせ、HERV-K、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、HPV特異的抗原、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、IGFI受容体、IGF-II、IL-11Rα、IL-13R-a2、インフルエンザウイルス特異的抗原;CD38、インスリン増殖因子-1(IGF1)、腸管カルボキシルエステラーゼ、κ鎖、LAGA-1a、λ鎖、ラッサウイルス特異的抗原、レクチン反応性AFP、系列特異的抗原又は組織特異抗原、例えば、CD3、MAGE、MAGE-A1、主要組織適合複合体(MHC)分子、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合複合体(MHC)分子、M-CSF、黒色腫関連抗原、メソテリン、MN-CA IX、MUC-1、変異型hsp70-2、変異型p53、変異型ras、好中球エラスターゼ、NKG2D、Nkp30、NY-ESO-1、p53、PAP、プロスターゼ(prostase)、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺がん腫瘍抗原-1(PCTA-1)、前立腺特異抗原タンパク質、STEAP1、STEAP2、PSMA、RAGE-1、ROR1、RU1、RU2(AS)、表面接着分子、サバイビン及びテロメラーゼ、TAG-72、フィブロネクチンのエクストラドメインA(EDA)及びエクストラドメインB(EDB)並びにテネイシンCのA1ドメイン(TnC A1)、チログロブリン、腫瘍間質抗原、血管内皮増殖因子受容体-2(VEGFR2)、ウイルス特異的表面抗原、例えば、HIV特異的抗原(例えば、HIV gp120)、並びにこれらの表面抗原の任意の誘導体又はバリアントから選択される、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
18.標的抗原はCD19である、実施形態17に記載の方法。
19.NHLは、(再発性又は治療抵抗性)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)・非特異型、縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、又は濾胞性リンパ腫から発生したDLBCLである、実施形態1又は2に記載の方法。
20.1種以上のプレコンディショニング剤で対象をプレコンディショニングすることを更に含む、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
21.対象は、アルキル化剤及び/又は白金系薬剤の投与でプレコンディショニングされる、実施形態20に記載の方法。
22.アルキル化剤は、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロレタミン、ムスチン(HN2)、ウラムスチン、ウラシルマスタード、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、ベンダムスチン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、スルホン酸アルキル、ブスルファン、チオテパ又はその類似体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態21に記載の方法。
23.白金系プレコンディショニング剤は、白金、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、四硝酸トリプラチン、プロカルバジン、アルトレタミン、トリアゼン、ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、ダカルバジン、テモゾロミド、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施形態21に記載の方法。
24.プレコンディショニング剤はシクロホスファミド及びフルダラビンを含む、実施形態20に記載の方法。
25.1種以上のプレコンディショニング剤の投与は、細胞療法の投与の少なくとも7日前、少なくとも6日前、少なくとも5日前、少なくとも4日前、少なくとも3日前、少なくとも2日前、又は少なくとも1日前に開始する、実施形態20~24のいずれか1つに記載の方法。
【0009】
以下の更なる実施形態は、本開示の例示であり、非限定的である。
1.がんの治療を必要とする対象におけるがんの治療方法であって、がんは、非ホジキンリンパ腫(NHL)又は再発性/治療抵抗性B前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病又は再発性/治療抵抗性B細胞非ホジキンリンパ腫(R/R B-ALL)であり、治療有効量の、腫瘍抗原に対する免疫細胞を対象に投与することを含み、任意選択的に、対象は、小児対象又は青年期対象である、方法。
2.前記対象は、疾患進行のリスクが高い、請求項1に記載の方法。
3.前記NHLは、マントル細胞リンパ腫(MCL)又は低悪性度NHL(iNHL)である、請求項1又は2に記載の方法。
4.前記iNHLは、辺縁帯リンパ腫(MZL)又は濾胞性リンパ腫(FL)である、請求項1又は2に記載の方法。
5.前記対象が初回診断後24か月以内に疾患の進行を示す場合、前記対象は高リスクである、請求項2に記載の方法。
6.前記対象が1回目の抗CD20含有化学免疫療法から24か月以内に疾患の進行を示す場合、前記対象は高リスクである、請求項2に記載の方法。
7.前記化学免疫療法はアルキル化剤を含む、請求項6に記載の方法。
8.前記免疫細胞は、第一、第二、第三、第四、第五、若しくは第六選択治療として、及び/又は疾患進行の前に投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
9.前記免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、NK細胞、自家T細胞、同種異系T細胞、及び遺伝子操作された自家T細胞(eACT)、並びにそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
10.前記免疫細胞はCAR T細胞である、請求項9に記載の方法。
11.前記CAR T細胞治療は、アキシカブタゲンシロルユーセル又はブレクスカブタゲンオートルユーセル/KTE-X-19を含む、請求項10に記載の方法。
12.前記免疫細胞の前記治療有効量、又は前記有効用量は、少なくとも約10個の細胞、少なくとも約10個の細胞、少なくとも約10個の細胞、少なくとも約10個の細胞、少なくとも約10個の細胞、少なくとも約10個、又は少なくとも約1010個の細胞である、請求項1、2、又は9に記載の方法。
13.前記免疫細胞の前記治療有効量、又は前記有効用量は、約10個の細胞、約10個の細胞、約10個の細胞、約10個の細胞、又は約10個の細胞である、請求項1、2、又は9に記載の方法。
14.前記免疫細胞の前記治療有効量、又は前記有効用量は、約2×10個の細胞/kg、約3×10個の細胞/kg、約4×10個の細胞/kg、約5×10個の細胞/kg、約6×10個の細胞/kg、約7×10個の細胞/kg、約8×10個の細胞/kg、約9×10個の細胞/kg、約1×10個の細胞/kg、約2×10個の細胞/kg、約3×10個の細胞/kg、約4×10個の細胞/kg、約5×10個の細胞/kg、約6×10個の細胞/kg、約7×10個の細胞/kg、約8×10個の細胞/kg、又は約9×10個の細胞/kgである、請求項1、2、又は9に記載の方法。
15.前記免疫細胞の前記治療有効量、又は前記有効用量は、体重1kg当たり約1×10個~約2×10個の免疫細胞であり、最大で約1×10個の免疫細胞である、請求項1、2、又は9に記載の方法。
16.免疫細胞の前記治療有効用量は75~200×10個の免疫細胞である、請求項1、2又は9に記載の方法。
17.前記腫瘍抗原は、腫瘍関連表面抗原、5T4、アルファフェトプロテイン(AFP)、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、BCMA、B-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、CA-125、がん胎児性抗原(CEA)、CD123、CD133、CD138、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD25、CD30、CD33、CD34、CD4、CD40、CD44、CD56、CD8、CLL-1、c-Met、CMV特異的抗原、CS-1、CSPG4、CTLA-4、DLL3、ジシアロガングリオシドGD2、管上皮ムチン、EBV特異的抗原、EGFR変異体III(EGFRvIII)、ELF2M、エンドグリン、エフリンB2、上皮増殖因子受容体(EGFR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮腫瘍抗原、ErbB2(HER2/neu)、線維芽細胞関連タンパク質(fap)、FLT3、葉酸結合タンパク質、GD2、GD3、神経膠腫関連抗原、スフィンゴ糖脂質、gp36、HBV特異的抗原、HCV特異的抗原、HER1-HER2、HER2-HER3の組み合わせ、HERV-K、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、HPV特異的抗原、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、IGFI受容体、IGF-II、IL-11Rα、IL-13R-a2、インフルエンザウイルス特異的抗原;CD38、インスリン増殖因子-1(IGF1)、腸管カルボキシルエステラーゼ、κ鎖、LAGA-1a、λ鎖、ラッサウイルス特異的抗原、レクチン反応性AFP、系列特異的抗原又は組織特異抗原、例えば、CD3、MAGE、MAGE-A1、主要組織適合複合体(MHC)分子、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合複合体(MHC)分子、M-CSF、黒色腫関連抗原、メソテリン、MN-CA IX、MUC-1、変異型hsp70-2、変異型p53、変異型ras、好中球エラスターゼ、NKG2D、Nkp30、NY-ESO-1、p53、PAP、プロスターゼ、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺がん腫瘍抗原-1(PCTA-1)、前立腺特異抗原タンパク質、STEAP1、STEAP2、PSMA、RAGE-1、ROR1、RU1、RU2(AS)、表面接着分子、サバイビン及びテロメラーゼ、TAG-72、フィブロネクチンのエクストラドメインA(EDA)及びエクストラドメインB(EDB)並びにテネイシンCのA1ドメイン(TnC A1)、チログロブリン、腫瘍間質抗原、血管内皮増殖因子受容体-2(VEGFR2)、ウイルス特異的表面抗原、例えば、HIV特異的抗原(例えば、HIV gp120)、並びにこれらの表面抗原の任意の誘導体又はバリアントから選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
18.前記標的抗原はCD19である、請求項17に記載の方法。
19.前記NHLは、(再発性又は治療抵抗性)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)・非特異型、縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、又は濾胞性リンパ腫から発生したDLBCLである、請求項1又は2に記載の方法。
20.1種以上のプレコンディショニング剤で前記対象をプレコンディショニングすることを更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
21.前記対象は、アルキル化剤及び/又は白金系薬剤の前記投与でプレコンディショニングされる、請求項20に記載の方法。
22.前記アルキル化剤は、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロレタミン、ムスチン(HN2)、ウラムスチン、ウラシルマスタード、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、ベンダムスチン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、スルホン酸アルキル、ブスルファン、チオテパ又はその類似体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
23.前記白金系プレコンディショニング剤は、白金、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、四硝酸トリプラチン、プロカルバジン、アルトレタミン、トリアゼン、ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、ダカルバジン、テモゾロミド、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
24.前記プレコンディショニング剤はシクロホスファミド及びフルダラビンを含む、請求項20に記載の方法。
25.前記1つ以上のプレコンディショニング剤の前記投与は、前記細胞療法の前記投与の少なくとも7日前、少なくとも6日前、少なくとも5日前、少なくとも4日前、少なくとも3日前、少なくとも2日前、又は少なくとも1日前に開始する、請求項20~24のいずれか一項に記載の方法。
26.前記対象は、抗CD19 CAR T細胞療法による治療後に同種異系幹細胞療法(alloSCT)を投与された、請求項1に記載の方法。
27.前記対象は高腫瘍量を有する、請求項1に記載の方法。
28.トシリズマブは、サイトカイン放出症候群の状況においてのみ神経学的事象の管理のために投与され、及び/又はステロイドは、グレード2の神経学的事象の管理のために開始される、請求項1に記載の方法。
【0010】
以下の更なる実施形態は、本開示の例示であり、非限定的である。
【0011】
本開示の一実施形態は、対象において再発性/治療抵抗性B前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病を治療する方法であって、治療有効量の、腫瘍抗原に対する免疫細胞を対象に投与することを含み、対象は小児又は青年期対象である、方法に関する。
【0012】
本開示の一実施形態は、免疫細胞の治療有効量が、体重1kg当たり約1×10個~約2×10個の免疫細胞である、上記の方法に関する。
【0013】
本開示の一実施形態は、免疫細胞が約40mL~68mLの総体積で投与される、上記の方法に関する。
【0014】
本開示の一実施形態は、免疫細胞が約40mLの総体積で投与される、上記の方法に関する。
【0015】
本開示の一実施形態は、免疫細胞の治療有効量が、体重1kg当たり約1×10個の免疫細胞である、上記の方法に関する。
【0016】
本開示の一実施形態は、免疫細胞が、第一、第二、第三、第四、第五、若しくは第六選択治療として、又は疾患進行の前に投与される、上記の方法に関する。
【0017】
本開示の一実施形態は、抗原が、腫瘍関連表面抗原、例えば、5T4、アルファフェトプロテイン(AFP)、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、BCMA、B-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、CA-125、がん胎児性抗原(CEA)、CD123、CD133、CD138、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD25、CD30、CD33、CD34、CD4、CD40、CD44、CD56、CD8、CLL-1、c-Met、CMV特異的抗原、CS-1、CSPG4、CTLA-4、DLL3、ジシアロガングリオシドGD2、管上皮ムチン、EBV特異的抗原、EGFRバリアントIII(EGFRvIII)、ELF2M、エンドグリン、エフリンB2、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮腫瘍抗原、ErbB2(HER2/neu)、線維芽細胞関連タンパク質(fap)、FLT3、葉酸結合タンパク質、GD2、GD3、神経膠腫関連抗原、スフィンゴ糖脂質、gp36、HBV特異的抗原、HCV特異的抗原、HER1-HER2、HER2-HER3の組み合わせ、HERV-K、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、HPV特異的抗原、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、IGFI受容体、IGF-II、IL-11Rα、IL-13R-a2、インフルエンザウイルス特異的抗原;CD38、インスリン増殖因子-1(IGF1)、腸管カルボキシルエステラーゼ、κ鎖、LAGA-1a、λ鎖、ラッサウイルス特異的抗原、レクチン反応性AFP、系列特異的抗原又は組織特異抗原、例えば、CD3、MAGE、MAGE-A1、主要組織適合複合体(MHC)分子、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合複合体(MHC)分子、M-CSF、黒色腫関連抗原、メソテリン、MN-CA IX、MUC-1、変異型hsp70-2、変異型p53、変異型ras、好中球エラスターゼ、NKG2D、Nkp30、NY-ESO-1、p53、PAP、プロスターゼ、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺がん腫瘍抗原-1(PCTA-1)、前立腺特異抗原タンパク質、STEAP1、STEAP2、PSMA、RAGE-1、ROR1、RU1、RU2(AS)、表面接着分子、サバイビン及びテロメラーゼ、TAG-72、フィブロネクチンのエクストラドメインA(EDA)及びエクストラドメインB(EDB)並びにテネイシンCのA1ドメイン(TnC A1)、チログロブリン、腫瘍間質抗原、血管内皮増殖因子受容体-2(VEGFR2)、ウイルス特異的表面抗原、例えば、HIV特異的抗原(例えば、HIV gp120)、並びにこれらの表面抗原の任意の誘導体又はバリアントから選択される、上記の方法に関する。
【0018】
本開示の一実施形態は、標的抗原がCD19である、上記の方法に関する。
【0019】
本開示の一実施形態は、1種以上のプレコンディショニング剤で対象をプレコンディショニングすることを更に含み、1種以上のプレコンディショニング剤は、アルキル化剤及び白金系薬剤のうちの少なくとも1つから選択され、アルキル化剤は、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロレタミン、ムスチン(HN2)、ウラムスチン、ウラシルマスタード、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、ベンダムスチン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、スルホン酸アルキル、ブスルファン、チオテパ又はその類似体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、白金系プレコンディショニング剤は、白金、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、四硝酸トリプラチン、プロカルバジン、アルトレタミン、トリアゼン、ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、ダカルバジン、テモゾロミド、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、上記の方法に関する。
【0020】
本開示の一実施形態は、プレコンディショニング剤がシクロホスファミド及びフルダラビンを含む、上記の方法に関する。
【0021】
本開示の一実施形態は、シクロホスファミドが200mg/m/日~2000mg/m/日の用量で投与され、フルダラビンが20mg/m/日~900mg/m/日の用量で投与される、上記の方法に関する。
【0022】
本開示の一実施形態は、1種以上のプレコンディショニング剤の投与が、免疫細胞の投与の少なくとも7日前、少なくとも6日前、少なくとも5日前、少なくとも4日前、少なくとも3日前、少なくとも2日前、又は少なくとも1日前に開始する、上記の方法に関する。
【0023】
本開示の一実施形態は、対象が高腫瘍量を有する、上記の方法に関する。
【0024】
本開示の一実施形態は、サイトカイン放出症候群の状況においてのみ神経学的事象の管理のためにトシリズマブを投与すること、及びグレード2の神経学的事象の管理のためにコルチコステロイドを投与することのうちの少なくとも1つを更に含む、上記の方法に関する。
【0025】
本開示の一実施形態は、対象が疾患進行のリスクが高く、対象が初回診断後24か月以内に疾患の進行を示す場合、対象は高リスクである、上記の方法に関する。
【0026】
本開示の一実施形態は、免疫細胞が、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、NK細胞、自家T細胞、同種異系T細胞、及び遺伝子操作された自家T細胞(eACT)、並びにそれらの任意の組み合わせから選択される、上記の方法に関する。
【0027】
本開示の一実施形態は、免疫細胞がCAR T細胞である、上記の方法に関する。
【0028】
本開示の一実施形態は、がんの治療を必要とする対象においてがんを治療する方法に関し、がんは、非ホジキンリンパ腫(NHL)又は再発性/治療抵抗性B前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病又は再発性/治療抵抗性B細胞非ホジキンリンパ腫(R/R B-ALL)であり、治療有効量の、腫瘍抗原に対する免疫細胞を対象に投与することを含み、免疫細胞は、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現する自家T細胞である。
【0029】
本開示の一実施形態は、がんがNHLであり、NHLはマントル細胞リンパ腫(MCL)又は低悪性度NHL(iNHL)である、上記の方法に関する。
【0030】
本開示の一実施形態は、iNHLが、辺縁帯リンパ腫(MZL)又は濾胞性リンパ腫(FL)である、上記の方法に関する。
【0031】
本開示の一実施形態は、がんがNHLであり、NHLは、(再発性又は治療抵抗性)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)・非特異型、縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、又は濾胞性リンパ腫から発生したDLBCLである、上記の方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】CLINICAL TRIAL-2臨床試験の設計。a.白血球アフェレーシス後に投与され、コンディショニング化学療法を開始する5日以上前に完了した。PET-CTは必要なポストブリッジング(postbridging)であった。b.骨髄生検は、スクリーニング時に行われるべきであり、陽性、未実施、又は不確定であった場合、CRを確認するために生検を必要とした。AEは、有害事象、CARは、キメラ抗原受容体、CRは、完全奏効、CRSは、サイトカイン放出症候群、IVは、静脈内、MCL、マントル細胞リンパ腫;ORRは、客観的奏効率、PO、経口;R/Rは、再発性/治療抵抗性を意味する。
図2】MCL POD24の患者、及びMCL POD24ではない患者におけるIRRC評価によるORR。Lugano分類に従ってIRRCによって評価した。 1人の患者は評価不能であった。CRは、完全奏効、IRRC、独立放射線審査委員会;ORRは、客観的奏効率、PDは、進行性疾患、POD24の場合、疾患の進行は初回診断後24か月未満であり、POD24ではない場合、疾患の進行は初回診断後24か月以上であり、PRは、部分奏効、SDは、病態の安定を意味する。
図3A】MCL POD24ステータスによる奏効期間(DR)(図3A)、無増悪生存期間(PFS)(図3B)、及び全生存期間(OS)(図3C)。奏功患者のうち。DOR、奏功期間;NEは、推定不可、OSは、全生存期間、PFSは、無増悪生存期間、POD24の場合、疾患の進行は初回診断後24か月未満であり、POD24ではない場合、疾患の進行は初回診断後24か月以上である。
図3B】MCL POD24ステータスによる奏効期間(DR)(図3A)、無増悪生存期間(PFS)(図3B)、及び全生存期間(OS)(図3C)。奏功患者のうち。DOR、奏功期間;NEは、推定不可、OSは、全生存期間、PFSは、無増悪生存期間、POD24の場合、疾患の進行は初回診断後24か月未満であり、POD24ではない場合、疾患の進行は初回診断後24か月以上である。
図3C】MCL POD24ステータスによる奏効期間(DR)(図3A)、無増悪生存期間(PFS)(図3B)、及び全生存期間(OS)(図3C)。奏功患者のうち。DOR、奏功期間;NEは、推定不可、OSは、全生存期間、PFSは、無増悪生存期間、POD24の場合、疾患の進行は初回診断後24か月未満であり、POD24ではない場合、疾患の進行は初回診断後24か月以上である。
図4】MCL POD24の患者、及びMCL POD24ではない患者におけるCAR T細胞増殖。
図5】MCL POD24の患者、及びMCL POD24ではない患者の間で経時的に検出可能なB細胞。
図6】CLINICAL TRIAL-5臨床試験の設計。最後の治療の完了から1年超の疾患が安定している患者(再発なし)は適格ではなかった。単剤の抗CD20抗体は、適格性について選択治療としてカウントしなかった。 有効性評価対象患者は、データ締切日時点でaxi-cel注入後に18か月以上の経過観察を有した80人以上のFL治療患者、及びaxi-cel注入後に4週間以上の経過観察を有したMZL治療患者を含んだ。axi-celは、アキシカブタゲンシロルユーセル、CARは、キメラ抗原受容体、FLは、濾胞性リンパ腫、iNHLは、低悪性度非ホジキンリンパ腫、IVは、静脈内、mAbは、モノクローナル抗体、MZLは、辺縁帯リンパ腫、POD24の場合、疾患の進行は最初の抗CD20含有化学免疫療法を開始してから24か月未満であり、R/Rは、再発性/治療抵抗性を意味する。
図7】iNHL POD24の患者、及びiNHL POD24ではない患者におけるIRRC評価によるORR。Lugano分類に従ってIRRCによって評価した(Cheson BD,et al.J Clin Oncol.2014;32:3059-68)。NDとして報告された5人の患者のうち、4人(POD24ではない1人のFL、3人のMZL)は、IRRCによるベースライン時及びベースライン後に疾患を有さなかったが、治験担当医師によって疾患を有するとみなされた。1人のFL及びPOD24患者は、最初の疾患評価の前に死亡した。CRは、完全奏効、FLは、濾胞性リンパ腫、IRRC、独立放射線審査委員会;MZLは、辺縁帯リンパ腫、NDは、未実施/未定義、ORRは、全奏効率、iNHL POD24の場合、疾患の進行は最初の抗CD20含有化学免疫療法を開始してから24か月未満であり、PDは、進行性疾患、PRは、部分奏効、SDは、病態の安定を意味する。
図8A】iNHL POD24ステータスによるDOR(図8A)、PFS(図8B)、及びOS(図8C)。DOR、奏功期間;FLは、濾胞性リンパ腫、moは、月数、MZLは、辺縁帯リンパ腫、NEは、推定不可、NRは、未到達、OSは、全生存期間、PFSは、無増悪生存期間、POD24の場合、疾患の進行は最初の抗CD20含有化学免疫療法を開始してから24か月未満である。
図8B】iNHL POD24ステータスによるDOR(図8A)、PFS(図8B)、及びOS(図8C)。DOR、奏功期間;FLは、濾胞性リンパ腫、moは、月数、MZLは、辺縁帯リンパ腫、NEは、推定不可、NRは、未到達、OSは、全生存期間、PFSは、無増悪生存期間、POD24の場合、疾患の進行は最初の抗CD20含有化学免疫療法を開始してから24か月未満である。
図8C】iNHL POD24ステータスによるDOR(図8A)、PFS(図8B)、及びOS(図8C)。DOR、奏功期間;FLは、濾胞性リンパ腫、moは、月数、MZLは、辺縁帯リンパ腫、NEは、推定不可、NRは、未到達、OSは、全生存期間、PFSは、無増悪生存期間、POD24の場合、疾患の進行は最初の抗CD20含有化学免疫療法を開始してから24か月未満である。
図9A】iNHL POD24ステータスによる、FL患者におけるCAR T細胞増殖(図9A及び図9B)及び治療前血清分析物(図9C)。P値は、ウィルコクソンの順位和検定を使用して計算した。データは、再治療前の2人のFL患者については入手不能であった。AUC0~28は、0日目~28日目の曲線下面積、CARは、キメラ抗原受容体、CCLは、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド、FLは、濾胞性リンパ腫、LOQは、定量限界、MDCは、マクロファージ由来ケモカイン、POD24の場合、疾患の進行は最初の抗CD20含有化学免疫療法を開始してから24か月未満であり、TARCは、胸腺及び活性化制御ケモカインを意味する。
図9B】iNHL POD24ステータスによる、FL患者におけるCAR T細胞増殖(図9A及び図9B)及び治療前血清分析物(図9C)。P値は、ウィルコクソンの順位和検定を使用して計算した。データは、再治療前の2人のFL患者については入手不能であった。AUC0~28は、0日目~28日目の曲線下面積、CARは、キメラ抗原受容体、CCLは、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド、FLは、濾胞性リンパ腫、LOQは、定量限界、MDCは、マクロファージ由来ケモカイン、POD24の場合、疾患の進行は最初の抗CD20含有化学免疫療法を開始してから24か月未満であり、TARCは、胸腺及び活性化制御ケモカインを意味する。
図9C】iNHL POD24ステータスによる、FL患者におけるCAR T細胞増殖(図9A及び図9B)及び治療前血清分析物(図9C)。P値は、ウィルコクソンの順位和検定を使用して計算した。データは、再治療前の2人のFL患者については入手不能であった。AUC0~28は、0日目~28日目の曲線下面積、CARは、キメラ抗原受容体、CCLは、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド、FLは、濾胞性リンパ腫、LOQは、定量限界、MDCは、マクロファージ由来ケモカイン、POD24の場合、疾患の進行は最初の抗CD20含有化学免疫療法を開始してから24か月未満であり、TARCは、胸腺及び活性化制御ケモカインを意味する。
図10A】CAR遺伝子コピー数/μg DNA(図10A)、奏効(図10B)、MRD率(図10C)、並びに毒性(図10D及び図10E)のAUC間の関連性。
図10B】CAR遺伝子コピー数/μg DNA(図10A)、奏効(図10B)、MRD率(図10C)、並びに毒性(図10D及び図10E)のAUC間の関連性。
図10C】CAR遺伝子コピー数/μg DNA(図10A)、奏効(図10B)、MRD率(図10C)、並びに毒性(図10D及び図10E)のAUC間の関連性。
図10D】CAR遺伝子コピー数/μg DNA(図10A)、奏効(図10B)、MRD率(図10C)、並びに毒性(図10D及び図10E)のAUC間の関連性。
図10E】CAR遺伝子コピー数/μg DNA(図10A)、奏効(図10B)、MRD率(図10C)、並びに毒性(図10D及び図10E)のAUC間の関連性。
図11】経時的な更なるサイトカイン及び炎症マーカーレベル。CRPは、C反応性タンパク質、CXCL10、C-X-Cモチーフケモカインリガンド10;GM-CSFは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ILは、インターロイキン、MCP、単球誘引性タンパク質;Rα、受容体α;RAは、受容体アンタゴニスト、SAAは、血清アミロイドA、VCAMは、血管細胞接着分子を示す。
図12-1】全寛解率のサブグループ分析。BM、骨髄;ORR、全寛解率;SCT、幹細胞移植。
図12-2】全寛解率のサブグループ分析。BM、骨髄;ORR、全寛解率;SCT、幹細胞移植。
【発明を実施するための形態】
【0033】
定義
本開示をより容易に理解するために、特定の用語を以下で最初に定義する。以下の用語及び他の用語の追加の定義は、本明細書全体に記載されている。
【0034】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0035】
本明細書で使用される場合、特に明記されるか、又は文脈から明らかでない限り、「又は」という用語は包括的であると理解され、「又は」及び「及び」の両方を包含する。
【0036】
本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、他のものの有無にかかわらず、2つの指定された特徴又は構成要素の各々の具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書で、「A及び/又はB」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、A及びB、A又はB;A(単独);並びにB(単独)を含むことを意図している。同様に、「A、B、及び/又はC」などの語句で使用される「及び/又は」という用語は、次の態様、A、B、及びC;A、B、又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);並びにC(単独)の各々を包含することを意図している。
【0037】
本明細書で使用する場合、用語「例えば」及び「すなわち」は、単に一例として使用され、限定を意図するものではなく、本明細書で明示的に列挙される項目のみを指すと解釈されるべきではない。
【0038】
「以上」、「少なくとも」、「超」などの用語、例えば、「少なくとも1つ」は、限定されるものではないが、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19 20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、若しくは150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、又は記載される値を超える値を包含するものと理解される。その間の任意のより大きい数又は分数も含まれる。
【0039】
逆に、「以下」という用語は、記載された値よりも小さい各値を含む。例えば、「100個以下のヌクレオチド」には、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、及び0個のヌクレオチドが含まれる。その間の任意のより少ない数又は分数も含まれる。
【0040】
「複数」、「少なくとも2つ」、「2つ以上」、「少なくとも第2」などの用語は、限定するものではないが、少なくとも、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19 20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、若しくは、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、又はそれ以上を含むものと理解される。その間の任意のより大きい数又は分数も含まれる。
【0041】
本明細書全体を通して、「含む(comprising)」という語又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変化形は、記載された要素、整数若しくは工程、又は要素、整数若しくは工程の群を含むことを意味するが、任意の他の要素、整数若しくは工程、又は要素、整数若しくは工程の群を除外することを意味しないと理解される。態様が「含む(comprising)」という文言で本明細書に記載されている場合は常に、「からなる(consisting of)」及び/又は「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で記載されている他の類似の態様もまた提示されていることが理解される。用語「からなる」は、特許請求の範囲において指定されていない任意の要素、工程、又は成分を除外する。In re Gray,53 F.2d 520,11 USPQ 255(CCPA 1931);Ex parte Davis,80 USPQ 448,450(Bd.App.1948)(「からなる」は「通常それに結び付く不純物を除いて記載された材料以外の材料の包含に対して特許請求の範囲を閉ざす」と定義される)。「から本質的になる」という用語は、特定される材料又は工程、並びに、請求される特許の「基本的かつ新しい特徴に実質的に影響しないもの」に、特許請求の範囲を制限する。
【0042】
本明細書で使用する場合、特に明記されるか、又は文脈から明らかでない限り、用語「約」は、当業者によって決定される特定の値又は組成の許容可能な誤差範囲内にある値又は組成を指し、これは、当該値又は組成がどのように測定又は決定されるか、すなわち、測定システムの限界にある程度依存する。例えば、「約」又は「およそ」は、当技術分野における慣習に従って1標準偏差又は2標準偏差以上の範囲内であることを意味し得る。「約」又は「およそ」は、最大10%(すなわち、±10%)の範囲を意味し得る。したがって、「約」は、明示される値よりも10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、又は0.001%大きいか、又は小さいと理解され得る。例えば、約5mgは、4.5mg~5.5mgの任意の量を包含し得る。更に、特に生物学的系又はプロセスに関して、この用語は、1桁違いの値まで又は値の5倍までを意味し得る。本開示において特定の値又は組成が提示される場合、特に明記しない限り、「約」又は「およそ」の意味は、その特定の値又は組成物の許容可能な誤差の範囲内であると想定されるべきである。
【0043】
本明細書に記載されるように、任意の濃度範囲、パーセンテージ(百分率)範囲、比の範囲、又は整数の範囲は、特に明記しない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、及び適宜その分数(整数の10分の1及び100分の1など)を含むと理解されるべきである。
【0044】
本明細書で使用される単位、接頭辞及び記号は、Systeme International de Unites(SI)で受け入れられている形式を使用して提示される。数値範囲は、範囲を定義する数を含む。
【0045】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Juo,「The Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology」,2nd ed.,(2001),CRC Press;「The Dictionary of Cell & Molecular Biology」,5th ed.,(2013),Academic Press;及び「The Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology」,Cammack et al.eds.,2nd ed,(2006),Oxford University Pressが、本開示において使用される用語の多くの一般的な辞書を当業者に提供している。
【0046】
「投与する」は、当業者に公知の種々の方法及び送達系のいずれかを使用した、対象への薬剤の物理的導入を指す。本明細書中に開示される製剤のための例示的な投与経路としては、例えば、注射又は注入による、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄又は他の非経口投与経路が挙げられる。本明細書に開示される組成物の例示的な投与経路としては、例えば、注射又は注入による、静脈内投与経路、筋肉内投与経路、皮下投与経路、腹腔内投与経路、脊髄投与経路、又は他の非経口投与経路が挙げられる。本明細書で使用する場合、語句「非経口投与」は、通常、注射による、経腸投与及び局所投与以外の投与様式を意味し、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、クモ膜下腔内、リンパ腺内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外、及び胸骨内注射及び注入、並びにインビボエレクトロポレーションが挙げられる。いくつかの実施形態では、製剤は、非経静脈経路により、例えば、経口的に投与される。他の非経口でない経路としては、局所、表皮又は粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、膣内、直腸、舌下、又は局所が挙げられる。また投与は、例えば、1回、複数回、及び/又は1つ以上の長期間にわたり実行されてもよい。一実施形態では、CAR T細胞治療は、CAR T細胞を含む「注入製品」により投与される。
【0047】
「抗体」(antibody、Ab)という用語は、抗原に特異的に結合する糖タンパク質免疫グロブリンを含むが、これに限定されない。一般に、抗体は、ジスルフィド結合により相互に連結された少なくとも2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖、又はその抗原結合分子を含み得る。各H鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つの定常ドメイン、CH1、CH2及びCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つの定常ドメインCLを含む。VH領域及びVL領域は、「相補性決定領域」(CDR)と称される超可変領域に更に細分され得、「フレームワーク領域」(FR)と称されるより保存的な領域が間に置かれている。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4の順序で配置される3つのCDR及び4つのFRを含む。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。Abの定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1成分(C1q)が含まれる、宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
【0048】
抗体として、例えば、モノクローナル抗体、組換えにより生成された抗体、単一特異性抗体、多特異性抗体(二重特異性抗体が含まれる)、ヒト抗体、改変抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2本の重鎖及び2本の軽鎖分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、抗体重鎖単量体、抗体軽鎖二量体、抗体重鎖二量体、抗体軽鎖-抗体重鎖対、細胞内抗体、抗体融合物(場合により、本明細書において「抗体コンジュゲート」と称される)、ヘテロコンジュゲート抗体、単一ドメイン抗体、一価抗体、一本鎖抗体又は単鎖Fv(single-chain Fv、scFv)、ラクダ化抗体、アフィボディ、Fab断片、F(ab’)2断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗-抗Id抗体が含まれる)、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(場合により、本明細書において「抗体ミメティック」と称される)、及び上記のいずれかの抗原結合断片が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。
【0049】
「抗原結合分子」、「抗原結合部分」、又は「抗体断片」は、当該分子が由来する抗体の抗原結合部分(例えば、CDR)を含む任意の分子を指す。抗原結合分子は、抗原相補性決定領域(CDR)を含み得る。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFvフラグメント、dAb、線状抗体、scFv抗体、及び抗原結合分子から形成された多重特異的抗体が挙げられるが、これらに限定されない。ペプチボディ(すなわち、ペプチド結合ドメインを含むFc融合分子)は、好適な抗原結合分子の別の例である。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、腫瘍細胞上の抗原に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、過剰増殖性疾患に関与する細胞上の抗原又はウイルス抗原若しくは細菌抗原に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、CD19に結合する。更なる実施形態では、抗原結合分子は、抗原に特異的に結合する抗体断片であり、その相補性決定領域(CDR)のうちの1つ以上を含む。更なる実施形態では、抗原結合分子は、一本鎖可変フラグメント(single chain variable fragment、scFv)である。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、アビマーを含むか、又はアビマーからなる。
【0050】
「抗原」は、免疫応答を誘発するか、又は抗体若しくは抗原結合分子により結合されることができる任意の分子を指す。免疫応答は、抗体産生若しくは特定の免疫担当細胞の活性化のいずれか、又はその両方を伴い得る。当業者は、実質的に全てのタンパク質又はペプチドが含まれる、任意の高分子が抗原として機能し得ることを容易に理解するであろう。抗原は、内因的に、すなわちゲノムDNAにより発現され得るか、又は組換えにより発現され得る。抗原は、がん細胞などのある特定の組織に特異的であり得るか、又は広く発現され得る。更に、より大きな分子の断片が抗原として作用し得る。いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍抗原である。
【0051】
「中和する」という用語は、リガンドに結合し、そのリガンドの生物学的作用を防止又は低減する抗原結合分子、scFv、抗体、又はそのフラグメントを指す。いくつかの実施形態では、抗原結合分子、scFv、抗体、又はそれらの断片は、リガンド上の結合部位を直接遮断するか、又はそうでなければ間接的手段(リガンド内の構造変化又はエネルギー変化など)によりリガンドの結合する能力を変化させる。いくつかの実施形態では、抗原結合分子、scFv、抗体、又はそのフラグメントは、それが結合しているタンパク質が生物学的機能を果たすのを妨げる。
【0052】
「自己」という用語は、後に再導入される同じ個体に由来する任意の材料を指す。例えば、本明細書に記載される遺伝子操作自家細胞療法(eACT(商標))の方法は、患者からのリンパ球の採取を含み、次いで、このリンパ球は、例えば、CAR構築物を発現するように操作され、次いで、同じ患者に投与される。
【0053】
用語「同種異系」は、1つの個体に由来し、次いで、同じ種の別の個体に導入される任意の材料、例えば、同種異系T細胞移植を指す。
【0054】
一実施形態では、CAR T細胞治療は、「アキシカブタゲンシロルユーセル治療」を含む。「アキシカブタゲンシロルユーセル治療」は、2×10個の抗CD19 CAR T細胞/kgの標的用量で静脈内投与される、抗CD19 CARを形質導入した自家T細胞の単回注入からなる。100kg超の体重である対象では、最大固定用量の2×10個の抗CD19 CAR T細胞が投与され得る。抗CD19 CAR T細胞は、CD19に対する特異性を有し、CD28及びCD3ζ(CD3ゼータ)分子由来のシグナル伝達ドメインからなる直列に配置された細胞内シグナル伝達部分に連結された細胞外単鎖可変断片(scFv)を発現するように遺伝子操作された自家ヒトT細胞である。抗CD19 CARベクター構築物は、設計され、最適化され、米国国立癌研究所の外科部門で最初に試験された(National Cancer Institute、NCI、IND 13871)(Kochenderfer et al,J Immunother.2009;32(7):689-702;Kochenderfer et al,Blood.2010;116(19):3875-86)。scFvは、抗CD19モノクローナル抗体FMC63の可変領域に由来する(Nicholson et al,Molecular Immunology.1997;34(16-17):1157-65)。CD28共刺激分子の一部は、マウスモデルにより、これが抗CD19 CAR T細胞の抗腫瘍効果及び持続性に重要であることが示唆されるため、追加される(Kowolik et al,Cancer Res.2006;66(22):10995-1004)。CD3ζ鎖のシグナル伝達ドメインは、T細胞活性化のために使用される。これらの断片は、マウス幹細胞ウイルスベースのベクター(MSGV1)にクローニングされ、自家T細胞を遺伝子操作するために利用された。CAR構築物は、レトロウイルスベクター形質導入によりT細胞のゲノムに挿入される。要約すると、末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cell、PBMC)が白血球アフェレーシス及びフィコール分離により取得される。末梢血単核細胞は、組換えインターロイキン2(interleukin 2、IL-2)の存在下で抗CD3抗体と培養することにより活性化される。刺激された細胞は、抗CD19 CAR遺伝子を含むレトロウイルスベクターで形質導入され、投与に十分な遺伝子操作されたT細胞を生じさせるために培養下で増殖される。アキシカブタゲンシロルユーセルは、対象特異的な製品である。
【0055】
一実施形態では、CAR T細胞治療は、再発性/治療抵抗性(R/R)MCLの治療に対して米国及び欧州連合において承認されている自家抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法であるKTE-X19を含む(TECARTUS(登録商標)(ブレクスカブタゲンオートルユーセル)処方情報。Kite Pharma,Inc;2021;TECARTUS(登録商標)(自家抗CD19形質導入CD3+細胞)製品特性の概要。Kite Pharma EU B.V.;2021)。KTE-X19の製造プロセスは、CD4/CD8細胞の正の濃縮によって循環リンパ腫細胞を除去するためのアキシカブタゲンシロルユーセルに対して改変した。
【0056】
一実施形態では、製品は細胞組成に関して特徴付けられる。細胞は、CD3(汎T細胞マーカー)、CD14、CD19(B細胞マーカー)、CD45(汎白血球マーカー)、及びCD56(活性化及びNKマーカー)に対する蛍光結合抗体で標識し、フローサイトメトリーによって評価し得る。細胞生存率は、Viability Dye(SYTOX、近IR)の死細胞染色を使用して評価し得る。アッセイの定量下限(LLOQ)は0.2%であり得、NK細胞及び単球については5%であった。NK細胞のパーセンテージを決定し得る(NK細胞は、CD45、CD14、CD3、及びCD56であり、T細胞は、CD45、CD14、及びCD3であった)。23ロットのアキシカブタゲンシロルユーセル及び97ロットのKTE-X19のNK細胞のパーセンテージ中央値は、それぞれ、1.9%(範囲、0.8%~3.2%)及び0.1%(範囲、0.0%~2.8%)であり得る。同じロットのアキシカブタゲンシロルユーセル及びKTE-X19のCD3細胞不純物のパーセンテージ中央値は、それぞれ、2.4%(範囲、0.9%~4.6%)及び0.5%(範囲、0.3%~3.9%)であり得る。KTE-X19(ブレクスカブタゲンオートルユーセル、TECARTUS)及びアキシカブタゲンシロルユーセル(YESCARTA)の細胞生存率は、それぞれ72%及以上及び80%以上であり得、抗CD19 CAR発現は、それぞれ24%以上及び15%以上であり得、IFN-γ産生は、それぞれ190pg/mL以上及び520pg/mL以上であり得、CD3細胞のパーセンテージは、それぞれ90%以上及び85%以上であり得る。ブレクスカブタゲンオートルユーセルは、主にCD3+T細胞(99.3%±0.8%)からなり得、これは、CD4+(37.9%±16.5%)サブセット及びCD8+(59.3%±16.5%)サブセットに更に分類され得る。
【0057】
用語「形質導入」及び「形質導入された」は、外来DNAがウイルスベクターにより細胞に導入されるプロセスを指す(Jones et al.,「Genetics:principles and analysis,」 Boston:Jones & Bartlett Publ.(1998)を参照のこと)。いくつかの実施形態では、ベクターは、レトロウイルスベクター、DNAベクター、RNAベクター、アデノウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、エプスタインバーウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、アデノウイルス関連ベクター、レンチウイルスベクター、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0058】
「がん」は、体内の異常細胞のコントロール不能な増殖を特徴とする様々な疾患の広範な群を指す。制御されない細胞分裂及び増殖は、隣接組織に侵入し、リンパ系又は血流を介して身体の遠位部分に転移する可能性もある悪性腫瘍の形成をもたらす。「がん」又は「がん組織」は、腫瘍を包含し得る。本出願において、がんという用語は、悪性腫瘍と同義である。本明細書において開示される方法により治療され得るがんの例としては、限定されるものではないが、リンパ腫、白血病、骨髄腫、及び他の白血球悪性腫瘍が含まれる免疫系のがんが挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、例えば、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部がん、皮膚又は眼内悪性黒色腫、子宮がん、卵巣がん、直腸がん、肛門領域のがん、胃がん、精巣がん、子宮がん、ファロピウス管のがん、子宮内膜がん、子宮頸がん、膣がん、外陰がん、多発性骨髄腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBC)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換型濾胞性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫(SMZL)、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺のがん、副腎がん、軟部肉腫、尿道がん、陰茎がん、慢性又は急性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)(非T細胞ALLを含む)、慢性リンパ性白血病(CLL)、小児期の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓又は尿管のがん、腎盂のがん、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、脊椎軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮がん、T細胞リンパ腫、アスベストによって誘発されたものを含む環境的に誘発されたがん、他のB細胞悪性腫瘍、及び上記のがんの組み合わせに由来する腫瘍の腫瘍サイズを縮小するために使用され得る。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、NHLである。特定のがんは化学療法若しくは放射線療法に応答性であり得るか、又は特定のがんは治療抵抗性であり得る。治療抵抗性のがんは、外科的介入に適していないがんを指し、当該がんが最初から化学療法若しくは放射線療法に非応答性であるか、又は当該がんが時間の経過と共に非応答性になるかのいずれかである。
【0059】
本明細書で使用する場合、「抗腫瘍効果」は、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞数の減少、腫瘍細胞増殖の減少、転移の数の減少、全生存期間又は無増悪生存期間の増加、平均余命の延長、又は腫瘍に関連する様々な生理学的症状の改善として表れ得る生物学的効果を指す。抗腫瘍効果はまた、腫瘍の発生の予防、例えば、ワクチンを指し得る。
【0060】
本明細書で使用する場合、「サイトカイン」は、特定の抗原との接触に応答してある細胞により放出される非抗体タンパク質を指し、ここで、当該サイトカインは、別の細胞と相互作用して当該別の細胞における応答を媒介する。本明細書で使用する場合、「サイトカイン」は、ある細胞集団により放出される、細胞間メディエーターとして別の細胞に作用するタンパク質を指すことを意図する。サイトカインは、細胞により内因的に発現され得、又は対象に投与され得る。サイトカインは、免疫応答を伝播するために、マクロファージ、B細胞、T細胞、及び肥満細胞などの免疫細胞によって放出され得る。サイトカインは、レシピエント細胞における様々な応答を誘発し得る。サイトカインとしては、恒常性サイトカイン、ケモカイン、炎症誘発性サイトカイン、エフェクター、及び急性期タンパク質が挙げられ得る。例えば、インターロイキン(IL)7及びIL-15が含まれる、恒常性サイトカインは、免疫細胞の生存及び増殖を促進し、炎症誘発性サイトカインは、炎症応答を促進し得る。恒常性サイトカインの例としては、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12p40、IL-12p70、IL-15、及びインターフェロン(IFN)ガンマが挙げられるが、これらに限定されない。炎症誘発性サイトカインの例としては、IL-1a、IL-1b、IL-6、IL-13、IL-17a、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor、TNF)-アルファ、TNF-ベータ、線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor、FGF)2、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte macrophage colony-stimulating factor、GM-CSF)、可溶性細胞間接着分子1(soluble intercellular adhesion molecule 1、sICAM-1)、可溶性血管接着分子1(soluble vascular adhesion molecule 1、sVCAM-1)、血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor、VEGF)、VEGF-C、VEGF-D、及び胎盤増殖因子(placental growth factor、PLGF)が挙げられるが、これらに限定されない。エフェクターの例としては、グランザイムA、グランザイムB、可溶性Fasリガンド(soluble Fas ligand、sFasL)、及びパーフォリンが挙げられるが、これらに限定されない。急性期タンパク質の例としては、C反応性タンパク質(C-reactive protein、CRP)及び血清アミロイドA(serum amyloid A、SAA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
「ケモカイン」は、細胞の走化性又は方向性運動を媒介するサイトカインの一種である。ケモカインの例としては、IL-8、IL-16、エオタキシン、エオタキシン-3、マクロファージ由来ケモカイン(MDC又はCCL22)、単球走化性タンパク質1(MCP-1又はCCL2)、MCP-4、マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP-1α、MIP-1a)、MIP-1β(MIP-1b)、ガンマ誘導性タンパク質10(IP-10)、並びに胸腺及び活性化制御ケモカイン(TARC又はCCL17)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書で使用する場合、「キメラ受容体」は、特定の分子を認識することができる、表面に発現される遺伝子操作された分子を指す。特定の腫瘍抗原と相互作用することができる結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)及び遺伝子操作されたT細胞受容体(TCR)は、T細胞が特定の腫瘍抗原を発現するがん細胞を標的とし、これを死滅させることを可能にする。一実施形態では、T細胞治療は、(i)抗原結合分子、(ii)共刺激ドメイン、及び(iii)活性化ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)を発現するように操作されたT細胞に基づく。共刺激ドメインは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含み得、ここで、当該細胞外ドメインは、短縮され得るヒンジドメインを含む。
【0063】
治療薬、例えば、遺伝子操作されたCAR T細胞、低分子、本明細書に記載される「薬剤」の「治療上有効量」、「有効用量」、「有効量」、又は「治療上有効な投与量」は、単独で又は別の治療薬と組み合わせて使用される場合に、疾患の発症から対象を保護するか、あるいは疾患症状の重症度の減少により証明される疾患の退縮、疾患の無症状期間の頻度及び期間の増加、又は疾患の苦痛に起因する機能障害若しくは身体障害の予防を促進する任意の量である。かかる用語は互換的に使用され得る。疾患の退縮を促進する治療薬の能力は、当業者に公知の種々の方法を使用して、例えば、臨床試験中のヒト対象において、ヒトにおける有効性を予測する動物モデル系において、又はインビトロアッセイで薬剤の活性を分析することにより評価され得る。治療有効量及び投与レジメンは、公知のインビトロ又はインビボ(例えば、動物モデル)系での試験により経験的に決定され得る。
【0064】
用語「組み合わせ」は、1つの単位剤形での固定された組み合わせ、又は本開示の化合物及び併用相手(例えば、「治療薬」又は「薬剤」とも称される、後述される別の薬物)が独立して同時に、又は時間間隔内で別々に投与され得る併用投与のいずれかを指し、ここで特に、これらの時間間隔は、併用相手が協同効果、例えば、相乗効果を示すことを可能にする。個々の成分は、キットに包装され得るか、又は別々に包装され得る。成分のうちの一方又は両方(例えば、粉末又は液体)は、投与前に再構成され得るか、又は所望の用量に希釈される。本明細書で使用する場合、用語「共投与」又は「併用投与」などは、選択された併用相手の投与する必要がある単一の対象(例えば、患者)への投与を含むことを意図し、薬剤が必ずしも同じ投与経路により、又は同時に投与されるわけではない治療計画を包含することを意図する。
【0065】
用語「製品」又は「注入製品」は、本明細書において互換的に使用され、投与する必要がある対象に投与されるT細胞組成物を指す。代表例として、CAR T細胞療法では、T細胞組成物が注入製品として投与される。
【0066】
本明細書で使用する場合、用語「リンパ球」は、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、又はB細胞を包含する。NK細胞は、先天的免疫系の主要構成要素である細胞傷害性(細胞毒性)リンパ球の一種である。NK細胞は、腫瘍及びウイルスに感染した細胞を拒絶する。それは、アポトーシス又はプログラム細胞死の過程を通して作用する。それらは、細胞を死滅させるために活性化を必要としないので、「ナチュラルキラー」と呼ばれた。T細胞は、細胞媒介性免疫(抗体が関与しない)において主な役割を果たす。そのT細胞受容体(TCR)は、他のリンパ球型から分化する。免疫系の分化した器官である胸腺は、主にT細胞の成熟化を担う。6種類のT細胞、すなわち、ヘルパーT細胞(例えば、CD4+細胞)、細胞傷害性T細胞(TC、細胞傷害性Tリンパ球、CTL、Tキラー細胞、細胞溶解性T細胞、CD8+T細胞、又はキラーT細胞としても公知)、メモリーT細胞((i)ステムメモリーTSCM細胞は、ナイーブ細胞と同様に、CD45RO-、CCR7+、CD45RA+、CD62L+(L-セレクチン)、CD27+、CD28+、及びIL-7Rα+であるが、大量のCD95、IL-2Rβ、CXCR3、及びLFA-1も発現し、メモリー細胞に特有の多数の機能的特性を示す;(ii)セントラルメモリーTCM細胞は、L-セレクチン及びCCR7を発現し、IL-2を分泌するが、IFNγ又はIL-4を分泌せず、しかしながら、(iii)エフェクターメモリーTEM細胞は、L-セレクチン又はCCR7を発現しないが、IFNγ及びIL-4のようなエフェクターサイトカインを産生する)、制御性T細胞(Treg、サプレッサーT細胞、又はCD4+CD25+制御性T細胞)、ナチュラルキラーT細胞(NKT)、及びガンマデルタT細胞が存在する。一方、B細胞は、体液性免疫(抗体の関与を伴う)において主要な役割を果たす。B細胞は、抗体及び抗原を産生し、抗原提示細胞(APC)の役割を果たし、抗原相互作用による活性化後にメモリーB細胞に変わる。哺乳動物では、未成熟B細胞は骨髄で形成され、その名称はここに由来する。
【0067】
本開示の文脈において、「TN」、「Tナイーブ様」、及びCCR7+CD45RA+という用語は、実際には、正規のナイーブT細胞というより幹細胞様メモリー細胞に近い細胞を指す。したがって、実施例及び特許請求の範囲における全てのTへの言及は、それらのCCR7+CD45RA+細胞としての特徴付けによってのみ実験的に選択された細胞を指し、そのように解釈されなければならない。本開示の文脈におけるそれらのより望ましい名称は、幹細胞様メモリー細胞であるが、それらはCCR7+CD45RA+細胞と称される。幹細胞様メモリー細胞への更なる特徴付けは、例えば、Arihara Y,Jacobsen CA,Armand P,et al.Journal for ImmunoTherapy of Cancer.2019;7(1):P210に記載されている。
【0068】
「遺伝子操作された」又は「操作された」という用語は、限定するものではないが、コード領域若しくは非コード領域又はその一部を削除すること、又はコード領域若しくはその一部を挿入することなど、細胞のゲノムを改変する方法を指す。いくつかの実施形態では、改変されている細胞は、患者又はドナーのいずれかから取得され得るリンパ球、例えば、T細胞である。細胞は、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)などの外来性構築物を発現するように改変され得、外来性構築物は細胞のゲノムに組み込まれる。
【0069】
「免疫応答」は、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞及び好中球)及びこれらの細胞又は肝臓のいずれかによって産生される可溶性巨大分子(Ab、サイトカイン及び補体を含む)の作用であって、侵入している病原体、病原体に感染した細胞若しくは組織、がん性若しくは他の異常な細胞、又は自己免疫若しくは病理学的炎症の場合には正常なヒト細胞若しくは組織の、選択的標的化、結合、損傷、破壊、及び/又は脊椎動物の体からの排除をもたらす作用を指す。
【0070】
「免疫療法」という用語は、免疫応答を誘導する、増強する、抑制する又は他の様態で改変すること、を含む、方法による、疾患に罹患しているか、又は疾患に罹患するか若しくは再発するリスクがある対象の治療を指す。免疫療法の例としては、限定されるものではないが、T細胞療法が挙げられる。T細胞療法としては、養子T細胞療法、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)免疫療法、自家細胞療法、遺伝子操作自家細胞療法(eACT(商標))、及び同種異系T細胞移植が挙げられ得る。しかしながら、当業者は、本明細書に開示される前処置方法が任意の移植T細胞療法の有効性を高めることを理解するであろう。T細胞療法の例は、米国特許出願公開第2014/0154228号及び同第2002/0006409号、米国特許第7,741,465号、米国特許第6,319,494号、米国特許第5,728,388号、並びに国際公開第2008/081035号に記載されている。いくつかの実施形態では、免疫療法は、CAR T細胞治療を含む。いくつかの実施形態では、CAR T細胞治療製品は、注入により投与される。
【0071】
免疫療法のT細胞は、当該技術分野において公知の任意の供給源に由来し得る。例えば、造血幹細胞集団からインビトロでT細胞を分化させることができ、又は対象からT細胞を得ることができる。T細胞は、例えば、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、及び腫瘍から得ることができる。更に、T細胞は、当技術分野で利用可能な1つ以上のT細胞株に由来し得る。T細胞はまた、FICOLL(商標)分離及び/又はアフェレーシスなどの当業者に公知の様々な技術を使用して、対象から採取された血液単位から得ることができる。T細胞療法のためのT細胞を単離する更なる方法は、米国特許出願公開第2013/0287748号に開示されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0072】
養子細胞移入としても公知の用語「遺伝子操作自家細胞療法」又は「eACT(商標)」は、患者自身のT細胞が採取され、その後に、1種以上の特定の腫瘍細胞又は悪性腫瘍の細胞表面上に発現される1種以上の抗原を認識し、これを標的とするように遺伝子改変されるプロセスである。T細胞は、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作され得る。CAR陽性(+)T細胞は、少なくとも1つの共刺激ドメイン及び少なくとも1つの活性化ドメインを含む細胞内シグナル伝達部分に連結された特定の腫瘍抗原に特異的な細胞外一本鎖可変フラグメント(scFv)を発現するように操作される。CAR scFvは、例えば、全ての正常B細胞が含まれるB細胞系列の細胞、並びに限定されるものではないが、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)・非特異型、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、並びに濾胞性リンパ腫、NHL、CLL、及び非T細胞ALLから発生したDLBCLが含まれるB細胞悪性腫瘍により発現される膜貫通タンパク質であるCD19を標的化するように設計され得る。例示的なCAR T細胞療法及び構築物は、米国特許出願公開第2013/0287748号、同第2014/0227237号、同第2014/0099309号、及び同第2014/0050708号に記載されており、これらの参考文献は参照によりその全体が組み込まれる。
【0073】
本明細書で使用する場合、「患者」又は「対象」は、がん(例えば、リンパ腫又は白血病)に罹患している任意のヒトを包含する。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0074】
本明細書で使用する場合、用語「インビトロ細胞」は、エクスビボで培養される任意の細胞を指す。特に、インビトロ細胞は、T細胞を含み得る。用語「インビボ」は患者内を意味する。
【0075】
「ペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は互換的に使用され、ペプチド結合によって共有結合したアミノ酸残基から構成される化合物を指す。タンパク質又はペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有し、タンパク質又はペプチドの配列を構成し得るアミノ酸の最大数に制限は設けられていない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに結合した2つ以上のアミノ酸を含む任意のペプチド又はタンパク質を含む。本明細書で使用される場合、この用語は、例えば、当該技術分野で一般にペプチド、オリゴペプチド及びオリゴマーとも称される短鎖と、当該技術分野で概してタンパク質と称される長鎖の両方を指し、そのうち多くの種類がある。「ポリペプチド」には、例えば、とりわけ、生物学的に活性なフラグメント、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドのバリアント、改変ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドには、天然ペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0076】
本明細書で使用する場合、「刺激」は、刺激分子とその同族リガンドとの結合により誘発される一次応答を指し、ここで、当該結合はシグナル伝達事象を媒介する。「刺激分子」は、T細胞上の分子、例えば、抗原提示細胞上に存在する同族刺激リガンドと特異的に結合するT細胞受容体(TCR)/CD3複合体である。「刺激リガンド」は、抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、B細胞など)上に存在する場合、T細胞上の刺激分子と特異的に結合し、これにより、限定されるものではないが、活性化、免疫応答の開始、増殖などが含まれる、T細胞による一次応答を媒介し得るリガンドである。刺激リガンドとしては、限定されるものではないが、抗CD3抗体、ペプチドが負荷されたMHCクラスI分子、スーパーアゴニスト抗CD2抗体、及びスーパーアゴニスト抗CD28抗体が挙げられる。
【0077】
本明細書で使用する場合、「共刺激シグナル」は、TCR/CD3ライゲーションなどの一次シグナルと組み合わせて、T細胞応答、例えば、限定されるものではないが、増殖及び/又は主要な分子の上方調節若しくは下方調節を引き起こすシグナルを指す。
【0078】
本明細書で使用する場合、「共刺激リガンド」は、T細胞上の同族共刺激分子に特異的に結合する抗原提示細胞上の分子を包含する。共刺激リガンドの結合は、限定するものではないが、増殖、活性化、分化などのT細胞応答を媒介するシグナルを提供する。共刺激リガンドは、刺激分子によって提供される一次シグナルに加えて、例えば、T細胞受容体(TCR)/CD3複合体と、ペプチドを負荷した主要組織適合遺伝子複合体(major histocompatibility complex、MHC)分子との結合によって、シグナルを誘導する。共刺激リガンドとしては、限定されるものではないが、3/TR6、4-1BBリガンド、Tollリガンド受容体に結合するアゴニスト又は抗体、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、CD30リガンド、CD40、CD7、CD70、CD83、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)、ヒト白血球抗原G(HLA-G)、ILT4、免疫グロブリン様転写物(ILT)3、誘導性共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、B7-H3と特異的に結合するリガンド、リンホトキシンβ受容体、MHCクラスI鎖関連タンパク質A(MICA)、MHCクラスI鎖関連タンパク質B(MICB)、OX40リガンド、PD-L2、又はプログラム細胞死(PD)L1が挙げられ得る。ある特定の実施形態では、共刺激リガンドとしては、限定されるものではないが、T細胞に存在する共刺激分子、例えば、限定されるものではないが、4-1BB、B7-H3、CD2、CD27、CD28、CD30、CD40、CD7、ICOS、CD83に特異的に結合するリガンド、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、ナチュラルキラー細胞受容体C(NKG2C)、OX40、PD-1、又は腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14(TNFSF14又はLIGHT)と特異的に結合する抗体が挙げられる。
【0079】
「共刺激分子」は、共刺激リガンドと特異的に結合し、それによってT細胞による共刺激応答、例えば、限定するものではないが、増殖を媒介するT細胞上の同族結合パートナーである。共刺激分子としては、限定されるものではないが、4-1BB/CD137、B7-H3、BAFFR、BLAME(SLAMF8)、BTLA、CD33、CD45、CD100(SEMA4D)、CD103、CD134、CD137、CD154、CD16、CD160(BY55)、CD18、CD19、CD19a、CD2、CD22、CD247、CD27、CD276(B7-H3)、CD28、CD29、CD3(α;ベータ、デルタ、イプシロン、ガンマ、ζ)、CD30、CD37、CD4、CD4、CD40、CD49a、CD49D、CD49f、CD5、CD64、CD69、CD7、CD80、CD83リガンド、CD84、CD86、CD8α、CD8β、CD9、CD96(Tactile)、CD11a、CD11b、CD11c、CD11d、CDS、CEACAM1、CRT AM、DAP-10、DNAM1(CD226)、Fcγ受容体、GADS、GITR、HVEM(LIGHTR)、IA4、ICAM-1、ICOS、Igα(CD79a)、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、インテグリン、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB2、ITGB7、ITGBl、KIRDS2、LAT、LFA-1、LIGHT(腫瘍壊死因子スーパーファミリーメンバー14;TNFSF14)、LTBR、Ly9(CD229)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1(CD11a/CD18)、MHCクラスI分子、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80(KLRF1)、OX40、PAG/Cbp、PD-1、PSGL1、SELPLG(CD162)、シグナル伝達リンパ球活性化分子、SLAM(SLAMF1;CD150;IPO-3)、SLAMF4(CD244;2B4)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAMF7、SLP-76、TNF、TNFr、TNFR2、Tollリガンド受容体、TRANCE/RANKL、VLA1、若しくはVLA-6、又はそれらの断片、切断型、若しくは組み合わせが挙げられる。
【0080】
用語「低減する」及び「減少させる」は、本明細書において互換的に使用され、元のもの未満になる任意の変化を意味する。「低減する」及び「減少させる」は相対的な語句であり、前後の測定値間の比較を必要とする。「低減する」及び「減少させる」は、完全な枯渇を包含する。同様に、用語「増加させる」は、元の値より高くなる任意の変化を意味する。「増加させる」、「より高い」、「より低い」は相対的な語句であり、前後の測定値間の比較及び/又は参照標準間の比較を必要とする。いくつかの実施形態では、基準値は、患者の一般集団であり得る一般集団から取得される。いくつかの実施形態では、基準値は、一般患者集団の四分位分析から出される。
【0081】
対象の「治療」又は「治療する」は、症状、合併症、若しくは状態、又は疾患に関連する生化学的徴候の発症、進行、進展、重症度、又は再発を後退させるか、軽減するか、改善するか、阻害するか、遅延するか、又は予防することを目的として、対象に対して実行される任意の種類の介入若しくはプロセス、又は対象への活性薬剤の投与を指す。いくつかの実施形態では、「治療」又は「治療する」は、部分寛解を包含する。別の実施形態では、「治療」又は「治療すること」は、完全寛解を含む。いくつかの実施形態では、治療は、予防であり得、この場合、治療は状態の任意の症状が観察される前に施される。本明細書で使用する場合、用語「予防」は、疾患又は病態の防止又はそれらに対する保護治療を意味する。症状、疾患、又は病態の予防としては、例えば、参照レベル(例えば、治療を施されない同様の対象における症状)と比較した、当該疾患又は病態の1つ以上の症状の低減(例えば、緩和)が挙げられ得る。予防としては、例えば、参照レベル(例えば、治療を施されない同様の対象における症状の発症)と比較して、疾患又は病態の1つ以上の症状の発症を遅延させることも挙げられ得る。実施形態において、疾患は、本明細書に記載される疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、がんである。いくつかの実施形態では、病的状態は、CRS又は神経毒性である。いくつかの実施形態では、改善又は治療成功の指標としては、毒性評価尺度(例えば、CRS又は神経毒性評価尺度)に関して該当するスコアを示さなかったという判定、例えば、3未満のスコア、又は本明細書において述べる評価尺度でのグレード若しくは重症度の変化、例えば、4のスコアから3のスコアへの変化、又は4のスコアから2、1、若しくは0のスコアへの変化が挙げられる。
【0082】
本明細書で使用される場合、「多機能性T細胞」という用語は、産生される各タンパク質の量(すなわち、分泌されたタンパク質の数とその強度の組み合わせ)と組み合わせて、細胞ごとに予め指定されたパネルから少なくとも2つのタンパク質を共分泌する細胞を指す。いくつかの実施形態では、単一細胞機能プロファイルは、操作されたT細胞の評価可能な各集団について決定される。プロファイルは、エフェクター(グランザイムB、IFN-γ、MIP-1α、パーフォリン、TNF-α、TNF-β)、刺激性(GM-CSF、IL-2、IL-5、IL-7、IL-8、IL-9、IL-12、IL-15、IL-21)、調節性(IL-4、IL-10、IL-13、IL-22、TGF-ベータ1、sCD137、sCD40L)、化学誘引性(CCL-11、IP-10、MIP-1β、RANTES)、及び炎症性(IL-1 b、IL-6、IL-17 A、IL-17 F、MCP-1、MCP-4)群に分類することができる。いくつかの実施形態では、各細胞の機能プロファイルは、細胞多官能性(すなわち、非分泌細胞又は単官能性細胞と比較して、どのパーセンテージの細胞が複数のサイトカインを分泌しているか)による各サンプルの分解、及び官能基(すなわち、どの単官能基及び多官能基が試料中の細胞によって分泌されているか、及びそれらの頻度)によるサンプルの分解を含む他のメトリックの計算を可能にする。
【0083】
本明細書で使用する場合、「骨髄性細胞」は、顆粒球、単球、マクロファージ、及び樹状細胞が挙げられる白血球の亜群である。
【0084】
本明細書で使用する場合、用語「四分位数」は、データの値及びそれらの観測値の全集合との差に基づく観測値の4つの既定の間隔への分割を表現する統計用語である。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語「試験0日目」は、対象が最初にCAR T細胞注入を受けた日と定義される。試験0日目の前日は、試験-1日目となる。登録後かつ試験-1日目より前のいずれの日も連続的であり、負整数値である。
【0086】
本明細書で使用する場合、用語「持続的な奏効」は、CAR T細胞注入後の少なくとも経過観察1年目に奏効持続であった対象を指す。一実施形態では、「奏効期間」(DOR)は、客観的奏効を経験する対象についてのみ定義され、最初の客観的奏効から、疾患進行(Cheson et al,2014による)又は疾患関連死のいずれか早い方までの時間である。
【0087】
本明細書で使用する場合、用語「再発」は、完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)を達成し、その後に疾患の進行を経験した対象を指す。
【0088】
本明細書で使用される場合、「非奏効」という用語は、CAR T細胞注入後にCR又はPRを経験したことがない対象を指す。
【0089】
本明細書で使用する場合、用語「客観的奏効」は、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、又は無効を指す。これは、IWG Response Criteria for Malignant Lymphoma(Cheson et al.,J Clin Oncol.2007;25(5):579-86)。
【0090】
本明細書で使用する場合、用語「完全奏効」は、放射性イメージング及び臨床検査値評価により検出不可能になる疾患の完全な回復を指す。所与の時点でがんの兆候がない。
【0091】
本明細書で使用する場合、用語「部分奏効」は、完全な回復を伴わない腫瘍の30%超の減少を指す。
【0092】
本明細書で使用する場合、「客観的奏効率」(ORR)は、International Working Group(IWG)2007基準(Cheson et al.J Clin Oncol.2007;25(5):579-86)に従って決定される。
【0093】
本明細書で使用する場合、「無増悪生存期間(progression-free survival、PFS)」は、T細胞注入の日付から疾患の進行又は何らかの原因による死亡の日付までの時間と定義され得る。進行は、IWG基準(Cheson et al.,J Clin Oncol.2007;25(5):579-86)によって定義される奏効の治験担当医師の評価に従って定義される。
【0094】
用語「全生存期間(overall survival、OS)」は、T細胞注入の日付から何らかの原因による死亡の日付までの時間と定義され得る。
【0095】
本明細書で使用する場合、末梢血中CAR T細胞の増殖及び持続性は、CARのscFv部分(例えば、CD19結合ドメインの重鎖)及びそのヒンジ/CD28膜貫通ドメインに対するCAR特異的プライマーを使用してqPCR分析によりモニタリングされ得る。あるいは、これは、CAR細胞/血液単位容量を計数することにより測定され得る。
【0096】
本明細書で使用する場合、CAR T細胞のための採血のスケジュールは、CAR T細胞注入前、7日目、2週目(14日目)、4週目(28日目)、3ヶ月目(90日目)、6ヶ月目(180日目)、12ヶ月目(360日目)、及び24ヶ月目(720日目)であり得る。
【0097】
本明細書で使用する場合、「CAR T細胞のピーク」は、0日目後に達成された血清中のCAR+PBMC/μLの最大絶対数と定義される。
【0098】
本明細書で使用する場合、「CAR T細胞のピーク到達時間」は、0日目からCAR T細胞のピークが達成される日までの日数と定義される。
【0099】
本明細書で使用する場合、「0日目から28日目までのCAR T細胞のレベルの曲線下面積(Area Under Curve、AUC)」は、0日目から28日目までの予定来院に対するCAR T細胞のレベルのプロットにおける曲線下面積と定義される。このAUCは、長期間の間のCAR T細胞の総レベルである。
【0100】
本明細書で使用する場合、サイトカインのための採血のスケジュールは、コンディショニング化学療法(-5日目)の前日又はその日、0日目、1日目、3日目、5日目、7日目、入院するのであれば入院中の1日おき、2週目(14日目)、及び4週目(28日目)である。
【0101】
本明細書で使用する場合、サイトカインの「ベースライン」は、コンディショニング化学療法前に測定される最後の値と定義される。
【0102】
本明細書で使用する場合、X日目でのベースラインからの倍率変化は、
【0103】
【数1】
として定義される。
【0104】
本明細書で使用する場合、「ベースライン後のサイトカインのピーク」は、ベースライン(-5日目)後から28日目までに達成される血清中サイトカインの最大レベルと定義される。
【0105】
本明細書で使用する場合、CAR T細胞注入後の「サイトカインのピーク到達時間」は、0日目からサイトカインのピークが達成される日までの日数と定義される。
【0106】
本明細書で使用する場合、-5日目から28日目までの「サイトカインレベルの曲線下面積(AUC)」は、-5日目から28日目までの予定来院に対するサイトカインレベルのプロットにおける曲線下面積として定義される。このAUCは、長期間の間のサイトカインの総レベルである。サイトカイン及びCAR+T細胞がある特定の別個の時点で測定されると仮定して、台形公式がAUCを推定するために使用され得る。
【0107】
本明細書で使用する場合、緊急の対処を要する有害事象(TEAE)は、コンディショニング化学療法の初回投与時又はその後に発症する有害事象(adverse event、AE)と定義される。有害事象は、医薬品規制用語集(MedDRA)22.0版を用いてコード化され得、米国国立癌研究所(NCI)の有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events、CTCAE)4.03版を使用してグレード分けされ得る。サイトカイン放出症候群(CRS)事象は、Leeら(Lee et al,2014 Blood.2014;124(2):188-95)に従って症候群レベルでグレード分けされ得る。個々のCRS症状は、CTCAE 4.03に従ってグレード分けされ得る。神経学的事象は、例えば、Topp,MS et al.Lancet Oncology.2015;16(1):57-66に記載されている、CAR T免疫療法に関連する既知の神経毒性に基づいた探索戦略を用いて同定され得る。
【0108】
本開示の様々な態様は、以下のサブセクションで更に詳細に説明される。
【0109】
治療前属性
アフェレーシス細胞及び免疫細胞(T細胞など遺伝子操作された細胞とも称される)の治療前特性、並びに患者試料から測定される患者の免疫学的因子は、奏効及び毒性が含まれる、臨床転帰の確率を評価するために使用され得る。臨床転帰と関連する特性は、腫瘍関連パラメータ(例えば、腫瘍量、低酸素/細胞死マーカーとしての血清LDH、腫瘍量及び骨髄性細胞活性と関連する炎症マーカー)、T細胞特性(例えば、T細胞適合性、機能、特にT1に関連するIFNγ産生、及び注入されたCD8 T細胞の総数)、及び早期の時点での血中のCAR T細胞レベルピークにより測定されるCAR T細胞生着であり得る。
【0110】
T細胞特性及び患者の治療前特性から推定される情報は、悪性腫瘍(例えば、がん)を治療するのに好適な治療上有効量を決定、改良、又は調整するために使用され得る。更に、一部のT細胞特性及び患者の治療前特性は、遺伝子操作キメラ抗原受容体(CAR)免疫療法による治療後に患者が有害事象(例えば、神経毒性(NT)、サイトカイン放出症候群(CRS))を発現するかどうか決定するために使用され得る。結果として、効果的な有害事象管理戦略(例えば、1つ以上の特性の測定されたレベルに基づいた毒性予防のためのトシリズマブ、コルチコステロイド治療、又は抗発作薬の投与)が決定され得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、治療前特性は、1種以上のキメラ抗原受容体を含む遺伝子操作されたT細胞の特性である。いくつかの実施形態では、治療前特性は、T細胞形質導入率、主要なT細胞表現型、CAR T細胞及びT細胞サブセットの数、CAR T細胞の適合性、T細胞機能性、T細胞多機能性、分化したCAR+CD8+T細胞の数、CCR7+CD45RA+T細胞の数、CD4/CD8比、培養中のIFN-γ)である。
【0112】
いくつかの実施形態では、治療前特性は、患者から得られた試料(例えば、脳脊髄液(cerebrospinal fluid、CSF)、血液、血清、又は組織生検)から測定される。いくつかの実施形態では、1つ以上治療前特性は、腫瘍量、IL-6のレベル、又はLDHのレベルである。
【0113】
T細胞適合性
いくつかの実施形態では、内因性細胞適合性は、インビトロでの非特異的刺激中にCAR T細胞が拡大する能力(例えば、より短い倍加時間)、CAR T細胞の分化状態(好都合な若年性表現型)、CAR T細胞集団における特殊化CAR T細胞サブセットのレベル(例えば、注入製品中のCD8及びナイーブ様CD8細胞(例えば、CD8+CCR7+CD45RA+T細胞)の数)、及びインビボCAR T細胞増殖速度に基づいて評価される。
【0114】
一実施形態では、T細胞適合性は、細胞が急速に増殖する能力である。操作されたT細胞との関連において、一実施形態では、T細胞適合性は、操作されたT細胞集団が治療前にどの程度迅速に増殖するかの測定値である。本明細書に記載されるように、T細胞適合性は、臨床転帰と関連する操作されたT細胞の属性である。いくつかの実施形態では、T細胞適合性は、倍加時間又は増殖速度によって測定される。製造プロセス中のT細胞集団倍加時間(DT)として測定されたT細胞「適合性」の例示的な導出を以下に示す。
【0115】
【数2】
【0116】
期間は、総製造時間枠から3日を引いたものとして定義され得る(本質的には、形質導入後であって採取及び凍結保存前の培養物中の生成細胞の日数)。組換えIL-2(例えば抗CD3抗体による非特異的刺激の後で、)を使用して、ポリクローナルT細胞増殖を標的用量の達成に向けて駆動することができる。DTが短いほど、操作されたT細胞の適合性が高くなる。インビトロ増殖速度は、以下の式を使用して計算することができる。
増殖速度=ln(2)/倍加時間
上記の例では、増殖速度は「速度/日」又は「/日」の単位で提供される。
【0117】
いくつかの実施形態では、インビボ増殖速度が、CAR細胞/血液体積単位を列挙することによって測定される。いくつかの実施形態ではて、インビボ増殖速度は、宿主DNAの1μg当たりのCAR遺伝子コピー数によって測定される。いくつかの実施形態では、インビボ増殖速度が、CAR細胞/血液体積単位を列挙することによって測定される。
【0118】
本明細書に記載されるように、一般にCAR T細胞注入後2週間以内に起こる末梢血中のCAR T細胞のより高いピーク増殖は、1年間の最小限の経過観察での継続奏効として定義される、客観的奏効及び持続的奏効の両方と関連し得る。血液中のCAR T細胞のピーク数は奏効と相関した。血中の曲線下面積(AUC)で測定した最初の28日間にわたる累積CAR T細胞レベルもまた、治療に対するより良好な客観的及び持続的奏効と関連し得る。いくつかの実施形態では、CAR T細胞レベルは、単位血液量当たりのCAR T細胞の数を計数することによって計算される。一実施形態では、末梢血中のCAR T細胞のより高いピーク増殖は、より高い四分位の範囲内に入るピーク増殖値を意味する。いくつかの実施形態では、インビボ増殖速度が、CAR細胞/血液体積単位を列挙することによって測定される。いくつかの実施形態ではて、インビボ増殖速度は、宿主DNAの1μg当たりのCAR遺伝子コピー数によって測定される。
【0119】
本明細書に記載されるように、産物倍加時間によって測定されるT細胞増殖測定前処置の固有の能力は、産物T細胞適合性の主要な属性である。他の製品特性と比較して、DTは最終注入バッグ中のT細胞分化サブセットの頻度と最も強く関連していた。具体的には、DTはエフェクターメモリーT(TEM)細胞の頻度と正に関連し、ナイーブ様T(TN)細胞の頻度と負に関連した。一実施形態(例えば、アキシカブタゲンシロルユーセル)では、CCR7+CD45RA+細胞として同定されるT細胞は、実際には幹細胞様メモリー細胞であり、正規のナイーブT細胞ではない。本明細書に記載されるように、ベースライン腫瘍負荷は、最終注入生成物中の分化表現型と正に関連する。本明細書に記載されるように、製品組成及び臨床成績は、患者の治療前免疫状態に関連する。したがって、一実施形態では、本開示は、基準値と比較して、注入産物中のナイーブ様T(TN)細胞の頻度が増加した注入産物を投与すること、を含む、CAR T細胞による治療による治療後の腫瘍負荷を減少させる方法を提供する。別の実施形態では、本開示は、最終注入製品の分化表現型を予測又は推定する方法であって、値を得るために患者のベースライン腫瘍負荷を測定することと、値に基づいて分化表現型を推定又は予測することと、を含む、方法を提供する。一実施形態では、その尺度は、その値に基づいて最終産物中のCAR T細胞の有効用量を調製すること、を更に含む。
【0120】
T細胞表現型
本明細書に記載されるように、出発材料(アフェレーシス)を製造する際のT細胞表現型は、T細胞適合性(DT)と関連し得る。Tn様細胞及びTcm細胞(CCR7+細胞)の%合計は、DTと逆相関する。Tem(CCR7-CD45RA-)細胞の%は、DTと直接的に関連する。したがって、いくつかの実施形態では、治療前特性は、Tn様細胞及びTcm細胞の%である。いくつかの実施形態では、Tn様細胞及びTcm細胞の%は、CCR7+細胞の百分率により決定される。いくつかの実施形態では、CCR7+細胞の百分率は、フローサイトメトリーにより測定される。
【0121】
いくつかの実施形態では、治療前特性は、Tem(CCR7-CD45RA-)細胞の%である。いくつかの実施形態では、Tem細胞の%は、CCR7-CD45RA-細胞の百分率により決定される。いくつかの実施形態では、CCR7-CD45RA-細胞の百分率は、フローサイトメトリーにより測定される。
【0122】
本明細書に記載されるように、アフェレーシス産物におけるCD3+T細胞全体又はCD4及びCD8サブセット内のエフェクター記憶T細胞の比率が高いほど、製造上の倍増時間が長くなる。しかし、本明細書に記載されるように、出発材料におけるT細胞表現型が幼若であるほど、製品T細胞適合性は良好である。本明細書に記載されるように、T細胞の免疫適格サブセットとなる、共刺激分子を発現するCD27+CD28+T細胞は、産物倍加時間と正の関連を示す。本明細書に記載されるように、最終製品表現型と比較した、アフェレーシス産物におけるCD3、CD4、及びCD8亜集団における分化マーカーにより定義されるT細胞サブセットの比率が含まれる、全ての主要な表現型群にわたる直接的な関連が存在する。本明細書に記載されるように、アフェレーシス材料における、おそらく制御性T細胞を表すCD25hiCD4発現を有するT細胞の比率は、製品におけるCD8 T細胞生産量と負の相関を示す。本明細書に記載されるように、CAR T細胞治療後の腫瘍量は、最終製品の分化表現型と正の関連を示す。
【0123】
T1機能
遺伝子操作されたT細胞は、それらの免疫機能特徴によって特徴付けられ得る。本開示の方法は、エクスビボでのサイトカイン産生レベルの測定を提供する。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IFNγ、TNFa、IL-12、MIP1β、MIP1α、IL-2、IL-4、IL-5、及びIL-13からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、T細胞機能は、Th1サイトカインのレベルにより測定される。
【0124】
いくつかの実施形態では、Th1サイトカインは、IFNγ、TNFa、及びIL-12からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、T細胞機能は、IFNγ産生のレベルにより測定される。いくつかの実施形態では、過剰なT細胞IFNγ(治療前特性)及び治療後のT1活性は、患者が有害事象(例えば、神経毒性)を発現するかどうかを決定するために使用され得る特性である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたCAR T細胞により産生されるIFNγのレベルは、遺伝子操作されたCAR T細胞の投与前に共培養により測定される。
【0125】
他の免疫細胞の製品特性
いくつかの実施形態では、対象に投与される免疫細胞製品は、その有効性に関連するいくつかの他の製品特性を有する。いくつかの実施形態では、製品特性は、1μL当たりのCAR T細胞の総数、1μL当たりのT細胞の総数、形質導入率、%、IFN-γレベル、pg/mL、生存率、%、CD4/CD8比;ナイーブ(CCR7+CD45RA+)T細胞;%、セントラルメモリー(CCR7+CD45RA-)T細胞;%、(T+TCM)/(TEM+TEFF)比(TCM、セントラルメモリーT細胞;TEFF、エフェクターT細胞;TEM、エフェクターメモリーT細胞;T、ナイーブT細胞)から選択される。
【0126】
キメラ抗原受容体
キメラ抗原受容体(CAR)は、遺伝子操作された受容体である。これらの遺伝子操作された受容体は、当該技術分野において公知の技術に従って、T細胞及び他のリンパ球が含まれる、免疫細胞に挿入され得、免疫細胞で発現し得る。CARにより、単一の受容体は、特異的抗原を認識すること、及びその抗原に結合した場合に、その抗原を有する細胞を攻撃し、破壊するように免疫細胞を活性化することの両方を行うようにプログラム化され得る。これらの抗原が腫瘍細胞上に存在する場合、CARを発現する免疫細胞は、腫瘍細胞を標的化して死滅させ得る。キメラ抗原受容体には、それらの効力を増強するための共刺激(シグナル伝達)ドメインが組み込まれ得る。米国特許第7,741,465号及び同6,319,494号、並びにKrause et al.及びFinney et al.(前出)、Song et al.,Blood 119:696-706(2012);Kalos et al.,Sci.Transl.Med.3:95(2011)、Porter et al.,N.Engl.J.Med.365:725-33(2011)、及びGross et al.,Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.56:59-83(2016)を参照のこと。
【0127】
いくつかの実施形態では、短縮型ヒンジドメイン(「THD」)を含む共刺激ドメインは、免疫グロブリンファミリーのメンバーの一部又は全て、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgD、IgE、IgM、又はそれらの断片を更に含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、THDは、ヒト完全ヒンジドメイン(「CHD」)に由来する。他の実施形態では、THDは、げっ歯類、マウス、又は霊長類(例えば、非ヒト霊長類)の共刺激タンパク質のCHDに由来する。いくつかの実施形態では、THDは、共刺激タンパク質のキメラCHDに由来する。
【0129】
本開示のCARの共刺激ドメインは、膜貫通ドメイン及び/又は細胞内シグナル伝達ドメインを更に含むことができる。膜貫通ドメインは、CARの細胞外ドメインに融合され得る。共刺激ドメインは、CARの細胞内ドメインに同様に融合され得る。いくつかの実施形態では、CARにおけるドメインのうちの1つと自然界において結合している膜貫通ドメインが使用される。場合によっては、膜貫通ドメインは、かかるドメインと同じ又は異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインとの結合を回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限にするように選択されるか、又はアミノ酸置換により改変される。膜貫通ドメインは、天然の供給源又は合成の供給源のいずれかに由来し得る。天然の供給源である場合、ドメインは、任意の膜結合タンパク質又は膜貫通タンパク質に由来し得る。本開示において特に有用である膜貫通領域は、4-1BB/CD137、活性化NK細胞受容体、免疫グロブリンタンパク質、B7-H3、BAFFR、BLAME(SLAMF8)、BTLA、CD100(SEMA4D)、CD103、CD160(BY55)、CD18、CD19、CD19a、CD2、CD247、CD27、CD276(B7-H3)、CD28、CD29、CD3δ、CD3ε、CD3γ、CD3ζ、CD30、CD4、CD40、CD49a、CD49D、CD49f、CD69、CD7、CD84、CD8、CD8α、CD8β、CD96(Tactile)、CD11a、CD11b、CD11c、CD11d、CDS、CEACAM1、CRT AM、サイトカイン受容体、DAP-10、DNAM1(CD226)、Fcγ受容体、GADS、GITR、HVEM(LIGHTR)、IA4、ICAM-1、Igα(CD79a)、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-7Rα、誘導性T細胞補助刺激分子(ICOS)、インテグリン、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB2、ITGB7、ITGBl、KIRDS2、LAT、LFA-1、CD83と特異的に結合するリガンド、LIGHT、LTBR、Ly9(CD229)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1;CD11a/CD18)、MHCクラスI分子、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80(KLRF1)、OX-40、PAG/Cbp、プログラム細胞死1(PD-1)、PSGL1、SELPLG(CD162)、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、SLAM(SLAMF1;CD150;IPO-3)、SLAMF4(CD244;2B4)、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAMF7、SLP-76、TNF受容体タンパク質、TNFR2、TNFSF14、Tollリガンド受容体、TRANCE/RANKL、VLA1、若しくはVLA-6、又はそれらのフラグメント、切断、若しくは組み合わせに由来し得る(例えば、少なくとも膜貫通ドメインを含み得る)。
【0130】
任意により、短いリンカーが、CARの細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインのうちのいずれか又はいくつかの間の結合を形成し得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-セリンのリピート(配列番号2、(G4S)n)又はGSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号1)に由来し得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、3~20アミノ酸を含み、GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号1)と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一なアミノ酸配列を含む。
【0131】
本明細書に記載されるリンカーは、ペプチドタグとして使用され得る。リンカーペプチド配列は、1つ以上の関心対象のタンパク質を連結するのに適した任意の長さのものであり得、好ましくは、それが連結するペプチドのうちの一方又は両方の適切なフォールディング及び/又は機能及び/又は活性を可能にするように、十分に柔軟になるように設計されている。したがって、リンカーペプチドは、10アミノ酸以下、11アミノ酸以下、12アミノ酸以下、13アミノ酸以下、14アミノ酸以下、15アミノ酸以下、16アミノ酸以下、17アミノ酸以下、18アミノ酸以下、19アミノ酸以下、又は20アミノ酸以下の長さを有し得る。いくつかの実施形態では、リンカーペプチドは、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20アミノ酸の長さである。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも7アミノ酸かつ20アミノ酸以下、少なくとも7アミノ酸かつ19アミノ酸以下、少なくとも7アミノ酸かつ18アミノ酸以下、少なくとも7アミノ酸かつ17アミノ酸以下、少なくとも7アミノ酸かつ16アミノ酸以下、少なくとも7アミノ酸かつ15アミノ酸以下、少なくとも7アミノ酸かつ14アミノ酸以下、少なくとも7アミノ酸かつ13アミノ酸以下、少なくとも7アミノ酸かつ12アミノ酸以下、又は少なくとも7アミノ酸かつ11アミノ酸以下を含む。ある特定の実施形態では、リンカーは、15~17アミノ酸を含み、特定の実施形態では、16アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、10~20アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、14~19アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、15~17アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、15~16アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、16アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20アミノ酸を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、スペーサードメインが使用される。いくつかの実施形態では、スペーサードメインは、CD4、CD8a、CD8b、CD28、CD28T、4-1BB、又は本明細書に記載される他の分子に由来する。いくつかの実施形態では、低分子の添加により発現を制御するために、スペーサードメインは、化学誘導性二量体化因子を含み得る。いくつかの実施形態では、スペーサーは、使用されない。
【0133】
本開示の遺伝子操作されたT細胞の細胞内(シグナル伝達)ドメインは、活性化ドメインへのシグナル伝達をもたらし得、次いで、これは免疫細胞の正常なエフェクター機能のうちの少なくとも1つを活性化する。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性、又はサイトカインの分泌が含まれるヘルパー活性であり得る。
【0134】
ある特定の実施形態では、好適な細胞内シグナル伝達ドメインとしては、限定されるものではないが、4-1BB/CD137、活性化NK細胞受容体、免疫グロブリンタンパク質、B7-H3、BAFFR、BLAME(SLAMF8)、BTLA、CD100(SEMA4D)、CD103、CD160(BY55)、CD18、CD19、CD19a、CD2、CD247、CD27、CD276(B7-H3)、CD28、CD29、CD3δ、CD3ε、CD3γ、CD30、CD4、CD40、CD49a、CD49D、CD49f、CD69、CD7、CD84、CD8、CD8α、CD8β、CD96(Tactile)、CD11a、CD11b、CD11c、CD11d、CDS、CEACAM1、CRT AM、サイトカイン受容体、DAP-10、DNAM1(CD226)、Fcγ受容体、GADS、GITR、HVEM(LIGHTR)、IA4、ICAM-1、Igα(CD79a)、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-7Rα、誘導性T細胞補助刺激分子(ICOS)、インテグリン、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB2、ITGB7、ITGBl、KIRDS2、LAT、CD83と特異的に結合するリガンド、LIGHT、LTBR、Ly9(CD229)、Ly108)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1;CD11a/CD18)、MHCクラスI分子、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、NKp80(KLRF1)、OX-40、PAG/Cbp、プログラム細胞死1(PD-1)、PSGL1、SELPLG(CD162)、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、SLAM(SLAMF1;CD150;IPO-3)、SLAMF4(CD244;2B4)、SLAMF6(NTB-A、SLAMF7、SLP-76、TNF受容体タンパク質、TNFR2、TNFSF14、Tollリガンド受容体、TRANCE/RANKL、VLA1、若しくはVLA-6、又は断片、切断、若しくはそれらの組み合わせを含む。
【0135】
抗原結合分子
適切なCARは、その標的抗原と相互作用する抗原結合分子を組み込むことによって、抗原(細胞表面抗原等)に結合し得る。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、その抗体断片、例えば、1種以上の単鎖抗体断片(「scFv」)である。scFvは、互いに連結された抗体重鎖及び軽鎖の可変領域を有する単鎖抗体断片である。米国特許第7,741,465号及び同6,319,494号、並びにEshhar et al.,Cancer Immunol Immunotherapy(1997)45:131-136を参照のこと。scFvは、標的抗原と特異的に相互作用する親抗体の能力を保持する。scFvは、それらが他のCAR構成要素と共に単鎖の一部として発現されるように遺伝子操作され得るため、キメラ抗原受容体に有用である(同上)。Krause et al.,J.Exp.Med.,Volume 188,No.4,1998(619-626);Finney et al.,Journal of Immunology,1998,161:2791-2797も参照のこと。抗原結合分子は、典型的には、目的の抗原を認識して結合することができるようにCARの細胞外部分内に含まれることが理解されよう。二重特異性CAR及び多重特異性CARが本開示の範囲内で意図され、2つ以上の目的の標的に対する特異性を有する。
【0136】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、(切断型)ヒンジドメインと、標的抗原に特異的に結合する抗原結合分子とを含むCARをコードする。いくつかの実施形態では、標的抗原は、腫瘍抗原である。いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍関連表面抗原、例えば、5T4、アルファフェトプロテイン(AFP)、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、BCMA、B-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、CA-125、がん胎児性抗原(CEA)、CD123、CD133、CD138、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD25、CD30、CD33、CD34、CD4、CD40、CD44、CD56、CD8、CLL-1、c-Met、CMV特異的抗原、CS-1、CSPG4、CTLA-4、DLL3、ジシアロガングリオシドGD2、管上皮ムチン、EBV特異的抗原、EGFRバリアントIII(EGFRvIII)、ELF2M、エンドグリン、エフリンB2、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮腫瘍抗原、ErbB2(HER2/neu)、線維芽細胞関連タンパク質(fap)、FLT3、葉酸結合タンパク質、GD2、GD3、神経膠腫関連抗原、スフィンゴ糖脂質、gp36、HBV特異的抗原、HCV特異的抗原、HER1-HER2、HER2-HER3の組み合わせ、HERV-K、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、HPV特異的抗原、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、IGFI受容体、IGF-II、IL-11Rα、IL-13R-a2、インフルエンザウイルス特異的抗原;CD38、インスリン増殖因子-1(IGF1)、腸管カルボキシルエステラーゼ、κ鎖、LAGA-1a、λ鎖、ラッサウイルス特異的抗原、レクチン反応性AFP、系列特異的抗原又は組織特異抗原、例えば、CD3、MAGE、MAGE-A1、主要組織適合複合体(MHC)分子、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合複合体(MHC)分子、M-CSF、黒色腫関連抗原、メソテリン、MN-CA IX、MUC-1、変異型hsp70-2、変異型p53、変異型ras、好中球エラスターゼ、NKG2D、Nkp30、NY-ESO-1、p53、PAP、プロスターゼ(prostase)、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺がん腫瘍抗原-1(PCTA-1)、前立腺特異抗原タンパク質、STEAP1、STEAP2、PSMA、RAGE-1、ROR1、RU1、RU2(AS)、表面接着分子、サバイビン及びテロメラーゼ、TAG-72、フィブロネクチンのエクストラドメインA(EDA)及びエクストラドメインB(EDB)並びにテネイシンCのA1ドメイン(TnC A1)、チログロブリン、腫瘍間質抗原、血管内皮増殖因子受容体-2(VEGFR2)、ウイルス特異的表面抗原、例えば、HIV特異的抗原(例えば、HIV gp120)、並びにこれらの表面抗原の任意の誘導体又はバリアントから選択される。
【0137】
本開示は、以下の実施例によって更に説明されるが、これらは、更なる限定として解釈されるべきではない。本出願によって提供される開示は、上記の方法に加えて、又は上記の方法の組み合わせとして、種々の方法において使用され得る。以下は、本出願において提供される本開示から派生し得る例示的な方法をまとめたものである。
【0138】
遺伝子操作された免疫細胞及び使用
一実施形態では、本開示の細胞は、対象から得られたT細胞を介して得ることができる。T細胞は、例えば、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、腫瘍から取得され得るか、又はインビトロで分化され得る。更に、T細胞は、当技術分野で利用可能な1つ以上のT細胞株に由来し得る。T細胞はまた、FICOLL(商標)分離及び/又はアフェレーシスなどの当業者に公知の様々な技術を使用して、対象から採取された血液単位から得ることができる。いくつかの実施形態では、アフェレーシスにより採取された細胞は、血漿分画を除去するために洗浄され、その後の処理のために適切な緩衝液又は培地中に入れられる。いくつかの実施形態では、細胞は、PBSで洗浄される。理解されるように、例えば、半自動フロースルー遠心分離機、例えば、Cobe(商標)2991細胞処理装置、Baxter CytoMate(商標)などを使用することによる洗浄工程が使用され得る。いくつかの実施形態では、洗浄した細胞を、1つ以上の生体適合性緩衝液、又は緩衝液を含むか若しくは含まない他の生理食塩水に再懸濁する。いくつかの実施形態では、アフェレーシスの試料の望ましくない成分が除去される。T細胞療法のためにT細胞を単離する更なる方法は、米国特許出願公開第2013/0287748号に開示されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0139】
いくつかの実施形態では、T細胞は、例えばPERCOLL(商標)グラジエントによる遠心分離を使用して、赤血球を溶解し、単球を枯渇させることによってPBMCから単離される。いくつかの実施形態では、CD4+、CD8+、CD28+、CD45RA+、及びCD45RO+T細胞などのT細胞の特異的亜集団は、当技術分野で公知の正又は負の選択技術によって更に単離される。例えば、負の選択によるT細胞集団の濃縮は、負に選択された細胞に固有の表面マーカーに対する抗体の組み合わせを用いて達成することができる。いくつかの実施形態では、負に選択された細胞上に存在する細胞表面マーカーに対するモノクローナル抗体のカクテルを使用する、負の磁気免疫接着又はフローサイトメトリーによって細胞選別及び/又は選択を行ってもよい。例えば、負の選択によってCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的には、CD8、CD11b、CD14、CD16、CD20、及びHLA-DRに対する抗体を含む。いくつかの実施形態では、フローサイトメトリー及び細胞選別を行って、本開示で使用するための目的の細胞集団を単離する。
【0140】
いくつかの実施形態では、PBMCは、本明細書に記載される方法を使用する免疫細胞の遺伝子改変(CARなど)に直接使用される。いくつかの実施形態では、PBMCを単離した後、Tリンパ球を更に単離し、細胞傷害性Tリンパ球とヘルパーTリンパ球の両方を、遺伝子改変及び/又は増殖の前又は後に、ナイーブT細胞、メモリーT細胞、及びエフェクターT細胞の亜集団に選別する。
【0141】
いくつかの実施形態では、CD8+細胞は、CD8+細胞のこれらのタイプのそれぞれに関連する細胞表面抗原を識別することによって、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、及びエフェクター細胞に更に選別される。いくつかの実施形態では、セントラルメモリーT細胞の表現型マーカーの発現としては、CCR7、CD3、CD28、CD45RO、CD62L、及びCD127の発現、並びにグランザイムBについて陰性が挙げられる。いくつかの実施形態では、セントラルメモリーT細胞は、CD8+、CD45RO+、かつCD62L+のT細胞である。いくつかの実施形態では、エフェクターT細胞は、CCR7、CD28、CD62L、及びCD127について陰性であり、グランザイムB及びパーフォリンについて陽性である。いくつかの実施形態では、CD4+T細胞は、亜集団に更に分類される。例えば、CD4+Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を識別することによって、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、及びエフェクター細胞に選別され得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、免疫細胞、例えば、T細胞は、公知の方法を使用した単離後に遺伝子改変されるか、又は免疫細胞は、遺伝子改変される前にインビトロで活性化され、増やされる(又は前駆細胞の場合は分化される)。別の実施形態では、免疫細胞、例えば、T細胞は、本明細書に記載されるキメラ抗原受容体で遺伝子改変され(例えば、CARをコードする1種以上のヌクレオチド配列を含むウイルスベクターで形質導入される)、次いで、インビトロで活性化され、及び/又は増やされる。T細胞を活性化及び拡大させるための方法は当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第6,905,874号、同第6,867,041号、及び同第6,797,514号、並びに国際公開第2012/079000号に記載されており、それらの内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。全般的に、かかる方法は、IL-2などの適切なサイトカインを含む培養培地中で、PBMC又は単離T細胞を、概して、ビーズその他の表面に結合した刺激剤及び共刺激剤、例えば、抗CD3及び抗CD28抗体と接触させることを含む。同じビーズに結合した抗CD3抗体及び抗CD28抗体は、「代理」抗原提示細胞(APC)として機能する。1つの例は、ヒトT細胞の生理学的活性化のためのCD3/CD28活性化因子/刺激因子システムであるDynabeads(登録商標)システムである。他の実施形態では、T細胞は、米国特許第6,040,177号及び同第5,827,642号並びに国際公開第2012/129514号(それらの内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている方法などの方法を使用して、フィーダー細胞並びに適切な抗体及びサイトカインを用いて活性化され、増殖するように刺激される。いくつかの実施形態では、T細胞はドナー対象から取得される。いくつかの実施形態では、ドナー対象は、がん又は腫瘍に罹患しているヒト患者である。いくつかの実施形態では、ドナー対象は、がん又は腫瘍に罹患していないヒト患者である。
【0143】
一実施形態では、本開示は、改善された臨床的有効性及び/又は減少した毒性を有する免疫療法製品を製造する方法を提供する。いくつかの実施形態では、免疫療法製品は、血液細胞を含む。いくつかの実施形態では、対象から採取された血液細胞は、例えば、血漿分画を除去し、その後の処理工程のために当該細胞を適切な緩衝液又は培地中に入れるために洗浄される。いくつかの実施形態では、細胞は、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄される。いくつかの実施形態では、洗浄溶液は、カルシウム及び/又はマグネシウム及び/又は多数若しくは全ての二価カチオンを欠く。いくつかの実施形態では、洗浄工程は、半自動「フロースルー」遠心分離機(例えば、Cobe 2991細胞処理装置、Baxter)を製造者の使用説明書に従って使用して達成される。いくつかの実施形態では、洗浄工程は、製造者の使用説明書に従ってタンジェンシャルフロー濾過(TFF)により達成される。いくつかの実施形態では、細胞は、洗浄後に、例えば、Ca++Mg++を含有しないPBSなどの種々の生体適合性の緩衝剤中に再懸濁される。ある特定の実施形態では、血液細胞試料の成分が除去され、細胞が培養培地中に直接再懸濁される。
【0144】
いくつかの実施形態では、本方法は、密度に基づく細胞分離法、例えば、赤血球の溶解及びパーコール又はフィコール密度勾配法による遠心分離による末梢血からの白血球の調製を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、白血球アフェレーシスを含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、選択工程の少なくとも一部は、細胞の選択試薬とのインキュベーションを含む。例えば、選択法の一部として、選択試薬又は複数の選択試薬とのインキュベーションは、1種以上の特異的な分子、例えば、表面マーカー、例えば、表面タンパク質、細胞内マーカー、又は核酸の細胞内又は細胞上での発現又は存在に基づく1つ以上の異なる細胞種の選択のための1種以上の選択試薬を使用して実行され得る。いくつかの実施形態では、かかるマーカーに基づいた分離のための選択試薬又は複数の選択試薬を使用した任意の公知の方法が使用され得る。いくつかの実施形態では、選択試薬又は複数の選択試薬は、親和性又は免疫親和性に基づく分離である分離をもたらす。例えば、いくつかの実施形態における選択は、典型的には細胞表面マーカーである1種以上のマーカーの細胞による発現又は発現レベルに基づく細胞及び細胞集団の分離のための試薬とのインキュベーション、例えば、かかるマーカーに特異的に結合する抗体又は結合パートナーとのインキュベーション、通常これに続く、洗浄工程及び抗体又は結合パートナーに結合した細胞の、抗体又は結合パートナーに結合しなかった細胞からの分離を含む。
【0146】
かかるプロセスのいくつかの実施形態では、ある容量の細胞が、ある量の所望の親和性に基づく選択試薬と混合される。免疫親和性に基づく選択は、分離される細胞と細胞上のマーカーに特異的に結合する分子、例えば、固体表面、例えば、粒子上の抗体又は他の結合パートナーとの間の好ましいエネルギー的相互作用をもたらす任意のシステム又は方法を使用して実行され得る。いくつかの実施形態では、方法は、細胞のマーカーに特異的な選択薬剤(例えば、抗体)でコーティングされているビーズ、例えば、磁気ビーズなどの粒子を使用して実行される。粒子(例えば、ビーズ)は、チューブ又はバッグなどの容器内で振盪又は混合しながら、エネルギー的に好ましい相互作用を促進するのに役立つ一定の細胞密度対粒子(例えば、ビーズ)比率で細胞とインキュベート又は混合され得る。他の場合には、本方法は、選択の全体又は一部が、例えば、遠心回転下のチャンバーの内部空洞で実行される細胞の選択を含む。いくつかの実施形態では、免疫親和性に基づく選択試薬などの選択試薬との細胞のインキュベーションがチャンバー内で実行される。
【0147】
いくつかの実施形態では、かかる選択工程又はその一部(例えば、抗体でコーティングされた粒子、例えば、磁気ビーズとのインキュベーション)をチャンバーの空洞で実施することにより、使用者は、ある特定のパラメータ、例えば、様々な溶液の容量、処理中の溶液の添加及びそのタイミングを制御することができ、このことが他の利用可能な方法と比較して利点を提供し得る。例えば、インキュベーションの間の空洞内の液体容量を減少させることができることにより、選択に使用される粒子(例えば、ビーズ試薬)の濃度を増加させることができ、これにより、空洞内の細胞の総数に影響を及ぼすことなく溶液の化学ポテンシャルを増加させることができる。このことが、結果として、処理される細胞と選択に使用される粒子との間の二つ一組の相互作用を増強し得る。いくつかの実施形態では、チャンバー内でインキュベーション工程を実行することは、例えば、チャンバーが本明細書に記載されるシステム、回路、及び制御部に付随する場合、ユーザがインキュベーションの間の所望の時点で溶液の撹拌を達成することを可能にし、このこともまた相互作用を改善し得る。
【0148】
いくつかの実施形態では、細胞の選択試薬とのインキュベーションを含む、選択工程の少なくとも一部は、チャンバーで実行される。かかるプロセスのいくつかの実施形態では、ある容量の細胞が、同じ数の細胞及び/又は同じ容量の細胞の選択のために同様の選択をチューブ又は容器内で製造者の使用説明書に従って実行する場合に通常用いられるよりはるかに少ない量の所望の親和性に基づく選択試薬と混合される。いくつかの実施形態では、同じ数の細胞及び/又は同じ容量の細胞のチューブ又は容器ベースのインキュベーションでの製造者の使用説明書に従った細胞の選択に用いられるのと同じ選択試薬の量の5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、50%以下、60%以下、70%以下、又は80%以下である量の選択試薬又は複数の選択試薬が用いられる。
【0149】
いくつかの実施形態では、細胞の選択、例えば、免疫親和性に基づく選択のために、細胞は、チャンバー内の組成物であって、濃縮及び/又は除去することが望ましい細胞上の表面マーカーに特異的に結合するが、組成物中の他の細胞上の表面マーカーに特異的に結合しない分子、例えば、足場、例えば、ポリマー又は表面、例えば、ビーズ、例えば、磁気ビーズに任意に結合している抗体などの選択試薬、例えば、CD4及びCD8に特異的なモノクローナル抗体に結合された磁気ビーズと共に選択緩衝液も含有する、当該組成物中でインキュベートされる。いくつかの実施形態では、記載されるように、選択試薬は、選択が振盪又は回転させながらチューブで実行される場合に、同じ数の細胞若しくは同じ容量の細胞のほぼ同じ若しくは同程度の選択効率を達成するために通常使用されるか、又は必要とされる選択試薬の量と比較して実質的により少ない量(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%以下の量)でチャンバーの空洞内の細胞に添加される。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、例えば、10mL~200mL、例えば、少なくとも10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mL、若しくは200mL又は少なくとも約10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mL、若しくは200mLの試薬のインキュベーションでの標的容量を達成するための、細胞及び選択試薬への選択緩衝液の添加と共に実行される。いくつかの実施形態では、選択緩衝液及び選択試薬は、細胞への添加前に予め混合される。いくつかの実施形態では、選択緩衝液及び選択試薬は、細胞に別々に添加される。いくつかの実施形態では、選択のためのインキュベーションは、定期的な穏やかな混合条件下で実施され、これは、エネルギー的に好ましい相互作用を促進するのに役に立ち得、これにより、高い選択効率を達成すると共に全体としてより少ない選択試薬の使用を可能にし得る。いくつかの実施形態では、選択試薬とのインキュベーションの総継続時間は、約5分~6時間、例えば、30分~3時間、例えば、少なくとも約30分、60分、120分、若しくは180分、又は少なくとも約30分、60分、120分、若しくは180分である。
【0150】
いくつかの実施形態では、通常、インキュベーションは、混合条件下で、例えば、一般的に比較的に弱い力又は低い速度、例えば、細胞をペレット化するために使用される速度より低い速度、例えば、600rpm~1700rpm又は約600rpm~1700rpm(例えば、600rpm、1000rpm、若しくは1500rpm、若しくは1700rpm、又は約600rpm、1000rpm、若しくは1500rpm、若しくは1700rpm、又は少なくとも600rpm、1000rpm、若しくは1500rpm、若しくは1700rpm)での回転、例えば、80g~100g又は約80g~100g(例えば、80g、85g、90g、95g、若しくは100g、又は約80g、85g、90g、95g、若しくは100g、又は少なくとも80g、85g、90g、95g、若しくは100g)の試料又はチャンバー若しくは他の容器の内壁でのRCFでの遠心の存在下で実行される。いくつかの態様では、遠心は、かかる低速での遠心時間に続く休止時間の繰り返し、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10秒間の遠心及び/又は休止、例えば、約1又は2秒間の遠心に続く約5、6、7、又は8秒間の休止を使用して実行される。
【0151】
いくつかの実施形態では、かかるプロセスは、チャンバーに不可欠な完全に密閉された系内で実行される。いくつかの実施形態では、このプロセスは(及びいくつかの実施形態では、1つ以上の追加の工程、例えば、アフェレーシス試料などの細胞を含有する試料を洗浄する直前の洗浄工程も)、自動化プログラムを使用して単一の密閉された系で洗浄及び結合工程を完了するように、適切な時点で細胞、試薬、及び他の成分がチャンバー内に注入され、及びチャンバーから押し出され、遠心分離が達成されるような自動化された方法で実施される。
【0152】
いくつかの実施形態では、細胞並びに選択試薬及び/又は複数の選択試薬のインキュベーション及び/又は混合後、インキュベートされた細胞は、特定の試薬又は複数の試薬の存在又は不存在に基づいて細胞を選択するための分離に供される。いくつかの実施形態では、分離は、細胞と選択試薬とのインキュベーションが実行されたのと同じ閉鎖系内で実行される。いくつかの実施形態では、選択試薬とのインキュベーション後、選択試薬が結合した細胞が含まれる、インキュベートされた細胞は、細胞の免疫親和性に基づく分離のための系に移される。いくつかの実施形態では、免疫親和性に基づく分離のための系は、磁気分離カラムであるか、又はそれを含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、単離方法は、1種以上の特異的な分子、例えば、表面マーカー、例えば、表面タンパク質、細胞内マーカー、又は核酸の細胞における発現又は存在に基づく異なる細胞種の分離を含む。いくつかの実施形態では、かかるマーカーに基づく分離のための任意の公知の方法が使用され得る。いくつかの実施形態では、分離は、親和性又は免疫親和性に基づく分離である。例えば、いくつかの実施形態における分離は、そのようなマーカーに特異的に結合する抗体又は結合パートナーとのインキュベーションによる、細胞の発現又は1つ以上のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの発現レベルに基づく細胞及び細胞集団の分離を含み、その後、一般的に洗浄工程及び抗体又は結合パートナーに結合した細胞の、抗体又は結合パートナーに結合しなかった細胞からの分離が続く。そのような分離工程は、試薬に結合した細胞が更なる使用のために確保されるポジティブセレクション、及び/又は、抗体又は結合パートナーに結合しなかった細胞が確保されるネガティブセレクションに基づき得る。いくつかの例では、両方の画分が更なる使用のために確保される。
【0154】
いくつかの実施形態では、分離が目的の集団以外の細胞により発現されるマーカーに基づいて最も良好に実行されるように、不均一集団内の細胞種を特異的に同定する抗体が利用できないネガティブセレクションが特に有用であり得る。
【0155】
分離は、特定の細胞集団又は特定のマーカーを発現する細胞の100%濃縮又は除去をもたらす必要はない。例えば、特定の種類の細胞、例えば、マーカーを発現する細胞のポジティブセレクション又は濃縮とは、かかる細胞の数又は百分率を増加させることを指すが、マーカーを発現しない細胞の完全な非存在をもたらす必要はない。同様に、特定の種類の細胞、例えば、マーカーを発現する細胞のネガティブセレクション、除去、又は枯渇とは、かかる細胞の数又は百分率を減少させることを指すが、全てのかかる細胞の完全な除去をもたらす必要はない。
【0156】
いくつかの例では、1つの工程によりポジティブ又はネガティブセレクションされた画分が別の分離工程、例えば、その後のポジティブ又はネガティブセレクションに供される複数ラウンドの分離工程が実行される。いくつかの例では、例えば、細胞と各々がネガティブセレクションの標的とされるマーカーに特異的な複数の抗体又は結合パートナーとをインキュベートすることにより、単一の分離工程により複数のマーカーを同時に発現する細胞が除去され得る。同様に、細胞と様々な細胞種で発現される複数の抗体又は結合パートナーとをインキュベートすることにより、複数の細胞種が同時にポジティブセレクションされ得る。
【0157】
例えば、いくつかの実施形態では、T細胞の特定の亜集団、例えば、1種以上の表面マーカーについて陽性であるか、又は高レベルのそれを発現する細胞、例えば、CD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、及び/又はCD45RO+T細胞が、ポジティブ又はネガティブセレクション技術により単離される。例えば、抗CD3/抗CD28コンジュゲート磁気ビーズ(例えば、DYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28 T Cell Expander)を使用してCD3+、CD28+T細胞がポジティブセレクションされ得る。いくつかの実施形態では、細胞集団は、ナイーブ表現型(CD45RA+CCR7+)を有するT細胞が濃縮される。
【0158】
いくつかの実施形態では、単離は、ポジティブセレクションによる特定の細胞集団の濃縮、又はネガティブセレクションによる特定の細胞集団の枯渇により実行される。いくつかの実施形態では、ポジティブ又はネガティブセレクションは、ポジティブ又はネガティブセレクションされる細胞上にそれぞれ、発現されるか、又は相対的により高レベル(マーカー高)で発現される(マーカー+)1種以上の表面マーカーに特に結合する1種以上の抗体又は他の結合作用物質と細胞をインキュベートすることにより達成される。
【0159】
特定の実施形態では、生体試料、例えば、PBMC又は他の白血球の試料は、ネガティブ及びポジティブ画分の両方が確保されるCD4+T細胞の選択に供される。ある特定の実施形態では、CD8+T細胞は、ネガティブ画分から確保される。いくつかの実施形態では、生体試料は、ネガティブ及びポジティブ画分の両方が確保されるCD8+T細胞の選択に供される。ある特定の実施形態では、CD4+T細胞は、ネガティブ画分から確保される。
【0160】
いくつかの実施形態では、T細胞は、非T細胞、例えば、B細胞、単球、又は他の白血球上に発現されるマーカー、例えば、CD14のネガティブセレクションにより、PBMC試料から分離される。いくつかの実施形態では、CD4+又はCD8+選択工程は、CD4+ヘルパー及びCD8+細胞傷害性T細胞を分離するために使用される。かかるCD4+及びCD8+集団は、1種以上のナイーブT細胞、メモリーT細胞、及び/又はエフェクターT細胞亜集団上で発現されるか、又は相対的により高度に発現されるマーカーについてのポジティブ又はネガティブセレクションにより亜集団に更に選別され得る。
【0161】
いくつかの実施形態では、CD8+細胞は、例えば、各亜集団に関連する表面抗原に基づくポジティブ又はネガティブセレクションにより、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、エフェクターメモリー細胞、及び/又はセントラルメモリー幹細胞が更に濃縮されるか、又はそれらが更に除去される。いくつかの実施形態では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、有効性を増加させるために、例えば、投与後の長期生存、増殖、及び/又は生着を改善するために、実行され、いくつかの実施形態では、有効性は、かかる亜集団において特に強い。いくつかの実施形態では、TcMが濃縮されたCD8+T細胞及びCD4+T細胞を組み合わせることにより、有効性が更に増強される。いくつかの実施形態では、ナイーブ表現型(CD45RA+CCR7+)を有するT細胞の濃縮により有効性が増強される。実施形態では、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+サブセット及びCD62Lサブセットの両方に存在する。PBMCは、例えば、抗CD8及び抗CD62L抗体を使用して、CD62L CD8+及び/又はCD62L+CD8+画分が濃縮され得るか、又はそれらが除去され得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、及び/又はCD127の陽性又は表面高発現に基づき、いくつかの実施形態では、これは、CD45RA及び/又はグランザイムBを発現するか、又は高度に発現する細胞のネガティブセレクションに基づく。いくつかの実施形態では、TCM細胞が濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇、及びCD62Lを発現する細胞のポジティブセレクション又は濃縮により実行される。一実施形態では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD4発現に基づいて選択された細胞のネガティブ画分から出発して実行され、これは、CD14及びCD45RAの発現に基づくネガティブセレクション、及びCD62Lに基づくポジティブセレクションに供される。いくつかの実施形態では、かかる選択は同時に実行され、他の実施形態では、いずれかの順序で逐次的に実行される。いくつかの実施形態では、CD8+細胞集団又は亜集団を調製する際に使用されたのと同じ、CD4発現に基づく選択工程が、CD4+細胞集団又は亜集団を生成するためにも使用され、その結果、CD4に基づく分離からのポジティブ及びネガティブ画分の両方が確保され、任意により、1つ以上の更なるポジティブ又はネガティブセレクション工程の後に、本方法のその後の工程で使用される。特定の例では、PBMCの試料又は他の白血球試料が、ネガティブ及びポジティブ画分の両方が確保されるCD4+細胞の選択に供される。次いで、ネガティブ画分は、CD14及びCD45RA又はCD19の発現に基づくネガティブセレクション、並びにセントラルメモリーT細胞に特徴的なマーカー、例えば、CD62L又はCCR7に基づくポジティブセレクションに供され、ここで、当該ポジティブ及びネガティブセレクションは、いずれかの順序で実行される。
【0163】
CD4+Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することにより、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、及びエフェクター細胞に選別される。CD4+リンパ球は、標準的方法により取得され得る。いくつかの実施形態では、ナイーブCD4+Tリンパ球は、CD45RO、CD45RA+、CD62L+、CD4+T細胞である。いくつかの実施形態では、セントラルメモリーCD4+細胞は、CD62L+かつCD45RO+である。いくつかの実施形態では、エフェクターCD4+細胞は、CD62LかつCD45ROである。いくつかの実施形態では、ナイーブ表現型を有するT細胞は、CD45RA+CCR7+である。
【0164】
一つの例では、ネガティブセレクションによりCD4+細胞を濃縮するためのモノクローナル抗体カクテルは、通常、CD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、及びCD8に対する抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗体又は結合パートナーは、ポジティブ及び/又はネガティブセレクションでの細胞の分離を可能にするために、磁気ビーズ又は常磁性ビーズなどの固体支持体又は固体マトリックスに結合している。例えば、いくつかの実施形態では、細胞及び細胞集団は、免疫磁気(又は親和性磁気)分離技術を使用して分離又は単離される。いくつかの実施形態では、分離されるべき細胞の試料又は組成物は、小型の磁化可能材料又は磁気応答性材料、例えば、磁気応答性粒子又は微小粒子、例えば、常磁性ビーズ(例えば、Dynabeads又はMACSビーズなど)と共にインキュベートされる。磁気応答性材料、例えば、粒子は、通常、結合パートナー、例えば、分子、例えば、分離することが所望される、例えば、ネガティブ又はポジティブセレクションすることが所望される細胞、複数の細胞、又は細胞集団に存在する表面マーカーに特異的に結合する抗体に直接又は間接的に結合される。
【0165】
いくつかの実施形態では、磁気粒子又はビーズは、抗体又は他の結合パートナーなどの特異的に結合するメンバーに結合した磁気応答性材料を含む。磁気分離方法に使用される多数の周知の磁気応答性材料が存在する。インキュベーションは、通常、磁気粒子又はビーズに結合している、抗体若しくは結合パートナー、又はかかる抗体若しくは結合パートナーに特異的に結合する二次抗体若しくは他の試薬などの分子が、細胞表面分子(試料内の細胞上に存在する場合)に特異的に結合する条件下で実行される。いくつかの実施形態では、試料が磁界中に置かれ、磁気応答性粒子又は磁化可能粒子が結合した細胞が、磁石に引き寄せられ、非標識の細胞から分離される。ポジティブセレクションでは、磁石に引き寄せられる細胞が確保され、ネガティブセレクションでは、引き寄せられない細胞(非標識の細胞)が確保される。いくつかの実施形態では、ポジティブセレクション及びネガティブセレクションの組み合わせが、同じ選択工程中に行われ、ポジティブ画分及びネガティブ画分は確保され、更に処理されるか、又は更なる分離工程に供される。いくつかの実施形態では、磁気応答性粒子は、一次抗体若しくは他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、又はストレプトアビジンでコーティングされる。ある特定の実施形態では、磁気粒子は、1種以上のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングにより細胞に結合される。ある特定の実施形態では、ビーズではなく細胞が、一次抗体又は結合パートナーで標識され、次いで、細胞型に特異的な二次抗体又は他の結合パートナー(例えば、ストレプトアビジン)でコーティングされた磁気粒子が添加される。ある特定の実施形態では、ストレプトアビジンでコーティングされた磁気粒子が、ビオチン化された一次抗体又は二次抗体と共に使用される。いくつかの実施形態では、磁気応答性粒子は、その後にインキュベート、培養、及び/又は操作されるべき細胞に結合したままにされ、いくつかの実施形態では、粒子は、患者への投与のために細胞に結合したままにされる。いくつかの実施形態では、磁化可能粒子又は磁気応答性粒子は、細胞から除去される。細胞から磁化可能粒子を除去するための方法は、公知であり、例えば、競合非標識抗体、及び切断可能なリンカーとコンジュゲートされた磁化可能粒子又は抗体の使用が挙げられる。いくつかの実施形態では、磁化可能粒子は、生分解性である。
【0166】
いくつかの実施形態では、親和性に基づく選択は、磁気活性化セルソーター(MACS)(Miltenyi Biotech,Auburn,CA)によるものである。磁気活性化セルソーター(MACS)システムは、磁化粒子を結合させた細胞の高純度選択が可能である。ある特定の実施形態では、MACSは、外部磁界の適用後に非標的種及び標的種が順次溶出される方式で動作する。すなわち、磁化粒子に結合した細胞は、所定位置に保持され、結合していない種が溶出される。次いで、この最初の溶出工程が完了した後、磁界内に捕捉され、溶出が阻止されていた種が、それらが溶出及び回収され得るようないくつかの様式で遊離される。ある特定の実施形態では、非標的細胞が標識され、不均一な細胞集団から枯渇される。
【0167】
いくつかの実施形態では、単離又は分離は、本方法の単離、細胞調製、分離、処理、インキュベーション、培養、及び/又は製剤工程のうちの1つ以上を実行するシステム、デバイス、又は装置を使用して実行される。いくつかの実施形態では、このシステムは、例えば、誤り、使用者による取り扱い、及び/又は汚染を最小限にするために、これらの工程の各々を閉鎖環境又は無菌環境の実行するために使用される。一つの例では、システムは、国際公開第2009/072003号又は米国特許出願公開第20110003380(A1)号に記載されているようなシステムである。いくつかの実施形態では、システム又は装置は、単離、処理、操作、及び製剤化工程のうちの1つ以上、例えば、全てを、統合型若しくは自己完結型システムで、及び/又は自動化された若しくはプログラム可能な様式で実行する。いくつかの実施形態では、システム又は装置は、システム又は装置と通信しているコンピュータ及び/又はコンピュータプログラムを含み、これは、処理、単離、操作、及び製剤化工程の種々の実施形態をユーザがプログラムすること、制御すること、その結果を評価すること、及び/又は調整することを可能にする。いくつかの実施形態では、分離及び/又は他の工程は、閉鎖された無菌のシステム内で臨床規模レベルでの細胞の自動分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を使用して実行される。構成要素としては、組み込み型マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、及び様々なピンチバルブが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、組み込み型マイクロコンピュータは、機器の全ての構成要素を制御し、反復手順を標準化されたシーケンスで実行するようシステムに指示する。いくつかの実施形態では、磁気分離ユニットは、可動永久磁石及び選択カラム用のホルダーを含む。蠕動ポンプは、チューブセット内の流速を制御し、ピンチバルブと共に、システムを通した緩衝液の制御流れ及び細胞の継続的懸濁を確実にする。
【0168】
いくつかの実施形態では、CliniMACSシステムは、無菌の非発熱性溶液中に供給される、抗体にカップリングされた磁化可能粒子を使用する。いくつかの実施形態では、細胞の磁気粒子での標識後に、細胞が洗浄され、過剰の粒子が除去される。次いで、細胞調製物のバッグがチューブセットに接続され、次に、チューブセットが、緩衝液を含むバッグ及び細胞収集バッグに接続される。チューブセットは、プレカラム及び分離カラムが含まれる、組み立て済みの無菌チューブからなり、単回使用のみを目的とする。分離プログラムの開始後、システムは、細胞試料を分離カラム上に自動的にアプライする。標識された細胞は、カラム内に保持され、一方で非標識の細胞は、一連の洗浄工程により除去される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法で使用される細胞集団は、非標識であり、カラム内に保持されない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法で使用される細胞集団は、標識されており、カラム内に保持される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法で使用される細胞集団は、磁界の除去後にカラムから溶出され、細胞収集バッグ内に収集される。
【0169】
いくつかの実施形態では、分離及び/又は他の工程は、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を使用して実行される。いくつかの実施形態では、CliniMACS Prodigyシステムは、遠心分離による細胞の自動洗浄及び分画を可能にする細胞処理ユニットを備えている。CliniMACS Prodigyシステムは、供給源の細胞産物の肉眼的な層を識別することにより最適な細胞分画エンドポイントを判定する搭載カメラ及び画像認識ソフトウェアも含み得る。例えば、末梢血は、赤血球、白血球、及び血漿層に自動的に分離される。CliniMACS Prodigyシステムは、例えば、細胞分化及び増殖、抗原負荷、並びに長期細胞培養などの細胞培養プロトコールを遂行する組み込み型細胞培養チャンバーも含み得る。投入口は、培地の無菌除去及び補充を可能にし得、細胞は、組み込み型顕微鏡を使用してモニタリングされ得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、複数の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体流れで運ばれるフローサイトメトリーにより収集及び濃縮(又は枯渇)される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、分取スケール(FACS)での選別により収集及び濃縮(又は枯渇)される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される細胞集団は、FACSベースの検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップの使用により収集及び濃縮(又は枯渇)される(例えば、国際公開第2010/033140号、Cho et al.(2010)Lab Chip 10,1567-1573;及びGodin et al.(2008)J Biophoton.l(5):355-376を参照されたい)。いずれの場合でも、細胞は複数のマーカーで標識され得、このことは、明確に定義されたT細胞サブセットの高純度での単離を可能にする。
【0171】
いくつかの実施形態では、抗体又は結合パートナーは、ポジティブ及び/又はネガティブセレクションでの分離を容易にするために、1種以上の検出可能なマーカーで標識される。例えば、分離は、蛍光標識抗体への結合に基づき得る。いくつかの例では、1種以上の細胞表面マーカーに特異的な抗体又は他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、例えば、分取スケール(FACS)が含まれる蛍光活性化セルソーティング(FACS)及び/又は例えば、フローサイトメトリー検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップにより流体流れ中で実施される。かかる方法は、複数のマーカーに基づく同時のポジティブ及びネガティブセレクションを可能にする。
【0172】
いくつかの実施形態では、調製方法は、単離、インキュベーション、及び/又は操作の前又は後のいずれかで細胞を凍結、例えば、凍結保存するための工程を含む。いくつかの実施形態では、凍結及びその後の解凍工程により、細胞集団中の顆粒球及びある程度の単球が除去される。いくつかの実施形態では、細胞は、例えば、血漿及び血小板を除去するための洗浄工程の後に、凍結溶液中に懸濁される。いくつかの実施形態では、種々の公知の凍結溶液及びパラメータのいずれかが使用され得る。1つの例は、20%のDMSO及び8%のヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS又は他の好適な細胞凍結媒体を使用することを含む。次いで、これは、DMSO及びHSAの最終濃度がそれぞれ10%及び4%となるように、媒体中に1:1で希釈される。次いで、細胞は分速1°で-80℃まで凍結され、液体窒素貯蔵タンクの気相中で保存される。
【0173】
いくつかの実施形態では、単離及び/又は選択は、濃縮されたT細胞、例えば、CD3+T細胞、CD4+T細胞、及び/又はCD8+T細胞の1つ以上のインプット組成物をもたらす。いくつかの実施形態では、2つ以上の別個のインプット組成物が、単一の生体試料から単離、選択、濃縮、又は取得される。いくつかの実施形態では、別個のインプット組成物が、同じ対象から収集、採取、及び/又は取得された別個の生体試料から単離、選択、濃縮、及び/又は取得される。
【0174】
ある特定の実施形態では、1つ以上のインプット組成物は、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、又は100%若しくは約100%のCD3+T細胞を含む濃縮されたT細胞の組成物であるか、又はそれを含む。一実施形態では、濃縮されたT細胞のインプット組成物は、CD3+T細胞から本質的になる。
【0175】
ある特定の実施形態では、1つ以上のインプット組成物は、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、又は100%若しくは約100%のCD4+T細胞を含む濃縮されたCD4+T細胞の組成物であるか、又はそれを含む。ある特定の実施形態では、CD4+T細胞のインプット組成物は、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、又は0.01%未満のCD8+T細胞を含み、及び/又はCD8+T細胞を含有せず、及び/又はCD8+T細胞を含まないか、若しくは実質的に含まない。いくつかの実施形態では、濃縮されたT細胞の組成物は、CD4+T細胞から本質的になる。
【0176】
ある特定の実施形態では、1つ以上の組成物は、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、又は100%若しくは約100%のCD8+T細胞であるか、又はそれを含むCD8+T細胞の組成物であるか、又はそれを含む。ある特定の実施形態では、CD8+T細胞の組成物は、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、又は0.01%未満のCD4+T細胞を含有し、かつ/又はCD4+T細胞を含有せず、かつ/又はCD4+T細胞を含まないか、若しくは実質的に含まない。いくつかの実施形態では、濃縮されたT細胞の組成物は、CD8+T細胞から本質的になる。
【0177】
いくつかの実施形態では、細胞は、遺伝子操作の前に、又は遺伝子操作に付随してインキュベート及び/又は培養される。インキュベーション工程は、培養、栽培、刺激、活性化、及び/又は増殖を含み得る。インキュベーション及び/又は操作は、培養容器、例えば、ユニット、チャンバー、ウェル、カラム、チューブ、チューブセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、又は培養若しくは細胞を培養するための他の容器内で実行され得る。いくつかの実施形態では、組成物又は細胞は、刺激条件又は刺激剤の存在下でインキュベートされる。かかる条件としては、集団内の細胞の増殖、増大、活性化、及び/又は生存を誘発するように設計された条件、抗原曝露を模倣するように設計された条件、及び/又は遺伝子操作、例えば、組換え抗原受容体の導入のために細胞を下準備するように設計された条件が挙げられる。条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、薬剤、例えば、栄養分、アミノ酸、抗生物質、イオン、及び/又は刺激因子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、及び細胞を活性化するように設計された任意の他の薬剤のうちの1つ以上を含み得る。
【0178】
いくつかの実施形態では、刺激条件又は刺激剤は、1種以上の薬剤、例えば、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを刺激又は活性化することができるリガンドを含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを活性化するか、又は惹起する。かかる薬剤としては、TCRに特異的な抗体、例えば、抗CD3などの抗体が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、刺激条件は、1種以上の薬剤、例えば、共刺激受容体を刺激することができるリガンド、例えば、抗CD28を含む。いくつかの実施形態では、かかる薬剤及び/又はリガンドは、ビーズなどの固体支持体に結合していてもよく、及び/又は1種以上のサイトカインであってもよい。任意に、増殖方法は、抗CD3及び/又は抗CD28抗体を培養培地に(例えば、少なくとも約0.5ng/mLの濃度で)添加する工程を更に含み得る。いくつかの実施形態では、刺激剤は、IL-2、IL-15、及び/又はIL-7を含む。いくつかの実施形態では、IL-2濃度は、少なくとも約10単位/mLである。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、Riddellらに属する米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al.(2012)J Immunother.35(9):651- 660、Terakura et al.(2012)Blood.1:72-82、及び/又はWang et al.(2012)J Immunother.35(9):689-701に記載される技術など技術に従って実行される。
【0179】
いくつかの実施形態では、T細胞は、非分裂性末梢血単核細胞(PBMC)などのフィーダー細胞を培養開始組成物に添加し(例えば、その結果、得られる細胞集団は、増殖される最初の集団における各Tリンパ球に対して少なくとも約5、10、20、又は40個以上のPBMCフィーダー細胞を含有する)、培養物を(例えば、T細胞の数を増大させるのに十分な時間)インキュベートすることにより増殖される。いくつかの実施形態では、非分裂性フィーダー細胞は、ガンマ線照射PBMCフィーダー細胞を含み得る。いくつかの実施形態では、PBMCは、細胞分裂を阻止するために約3000~3600radの範囲のガンマ線を照射される。いくつかの実施形態では、フィーダー細胞は、T細胞集団の添加前に培養培地に添加される。
【0180】
いくつかの実施形態では、刺激条件は、ヒトTリンパ球の増殖に好適な温度、例えば、少なくとも摂氏約25度、一般に少なくとも約30度、一般に摂氏37度又は摂氏約37度を含む。任意により、インキュベーションは、非分裂性EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダー細胞として添加することを更に含み得る。LCLは、約6000~10,000radの範囲のガンマ線を照射され得る。いくつかの実施形態では、LCLフィーダー細胞は、任意の好適な量、例えば、少なくとも約10:1のLCLフィーダー細胞対最初のTリンパ球の比率で提供される。
【0181】
実施形態では、抗原特異的T細胞、例えば、抗原特異的CD4+及び/又はCD8+T細胞は、ナイーブ又は抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することにより取得される。例えば、サイトメガロウイルス抗原に対する抗原特異的T細胞株又はクローンは、感染した対象からT細胞を単離し、同じ抗原を用いて細胞をインビトロで刺激することにより生成され得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、1種以上の刺激条件又は刺激薬の存在下でのインキュベーションの少なくとも一部は、例えば、国際公開第2016/073602号に記載される、例えば、遠心回転下の遠心チャンバーの内部空洞で実行される。いくつかの実施形態では、遠心チャンバー内で実行されるインキュベーションの少なくとも一部は、刺激及び/又は活性化を誘発するための試薬又は複数の試薬と混合することを含む。いくつかの実施形態では、選択された細胞などの細胞は、遠心チャンバー内にて刺激条件下で、又は刺激薬剤と混合される。かかるプロセスのいくつかの実施形態では、ある容量の細胞が、細胞培養プレート又は他の系で同様の刺激を実行する場合に通常用いられるよりはるかに少ない量の1種以上の刺激条件又は刺激薬と混合される。
【0183】
いくつかの実施形態では、刺激薬は、選択が混合を行わずに、チャンバー、例えば、チューブ又はバッグ内で定期的に振盪又は回転させながら実行される場合に、同じ数の細胞若しくは同じ容量の細胞のほぼ同じ若しくは同程度の選択効率を達成するために通常使用されるか、又は必要とされる刺激薬の量と比較して実質的により少ない量(例えば、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%以下の量)でチャンバーの空洞内の細胞に添加される。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、例えば、10mL~200mL、例えば、少なくとも10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mL、若しくは200mL又は少なくとも約10mL、20mL、30mL、40mL、50mL、60mL、70mL、80mL、90mL、100mL、150mL、若しくは200mLの試薬のインキュベーションでの標的容量を達成するための、細胞及び刺激薬へのインキュベーション緩衝液の添加と共に実行される。いくつかの実施形態では、インキュベーション緩衝液及び刺激薬は、細胞への添加前に予め混合される。いくつかの実施形態では、インキュベーション緩衝液及び刺激薬は、細胞に別々に添加される。いくつかの実施形態では、刺激のためのインキュベーションは、定期的な穏やかな混合条件下で実施され、これは、エネルギー的に好ましい相互作用を促進するのに役に立ち得、これにより、細胞の刺激及び活性化を達成すると共に全体としてより少ない刺激薬の使用を可能にし得る。
【0184】
いくつかの実施形態では、通常、インキュベーションは、混合条件下で、例えば、一般的に比較的に弱い力又は低い速度、例えば、細胞をペレット化するために使用される速度より低い速度、例えば、600rpm~1700rpm又は約600rpm~1700rpm(例えば、600rpm、1000rpm、若しくは1500rpm、若しくは1700rpm、又は約600rpm、1000rpm、若しくは1500rpm、若しくは1700rpm、又は少なくとも600rpm、1000rpm、若しくは1500rpm、若しくは1700rpm)での回転、例えば、80g~100g又は約80g~100g(例えば、80g、85g、90g、95g、若しくは100g、又は約80g、85g、90g、95g、若しくは100g、又は少なくとも80g、85g、90g、95g、若しくは100g)の試料又はチャンバー若しくは他の容器の内壁でのRCFでの遠心の存在下で実行される。いくつかの態様では、遠心は、かかる低速での遠心時間に続く休止時間の繰り返し、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10秒間の遠心及び/又は休止、例えば、約1又は2秒間の遠心に続く約5、6、7、又は8秒間の休止を使用して実行される。
【0185】
いくつかの実施形態では、例えば、刺激薬とのインキュベーションの総継続時間は、1時間~96時間、1時間~72時間、1時間~48時間、4時間~36時間、8時間~30時間、若しくは12時間~24時間、又は約1時間~約96時間、約1時間~約72時間、約1時間~約48時間、約4時間~約36時間、約8時間~約30時間、若しくは約12時間~約24時間、例えば、少なくとも6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、若しくは72時間、又は少なくとも約6時間、12時間、18時間、24時間、36時間、若しくは72時間である。いくつかの実施形態では、更なるインキュベーションは、1時間~48時間、4時間~36時間、8時間~30時間、若しくは12時間~24時間、又は約1時間~約48時間、約4時間~約36時間、約8時間~約30時間、若しくは約12時間~約24時間(両端を含む)である。
【0186】
いくつかの実施形態では、刺激条件は、濃縮されたT細胞の組成物を、1種以上のサイトカインと共に、及び/又は1種以上のサイトカインの存在下でインキュベート、培養、及び/又は栽培することを含む。特定の実施形態では、1種以上のサイトカインは、組換えサイトカインである。いくつかの実施形態では、1種以上のサイトカインは、ヒト組換えサイトカインである。ある特定の実施形態では、1種以上のサイトカインは、T細胞により発現され、及び/又はT細胞に内在する受容体に結合し、かつ/又はそれに結合することができる。特定の実施形態では、1種以上のサイトカインは、サイトカインの4αヘリックスバンドルファミリーのメンバーであるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、サイトカインの4αヘリックスバンドルファミリーのメンバーは、としては、限定されるものではないが、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-9(IL-9)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン15(IL-15)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)が挙げられる。いくつかの実施形態では、刺激は、例えば、形質導入前の、細胞の活性化及び/又は増殖をもたらす。
【0187】
いくつかの実施形態では、提供される方法、用途、製造物品、又は組成物に関連して使用される遺伝子操作された細胞、例えば、T細胞は、組換え受容体、例えば、本明細書に記載されるCAR又はTCRを発現するように遺伝子操作された細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、組換え受容体及び/又は他の分子をコードする核酸配列の導入、送達、又は転移により遺伝子操作される。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細胞を作製するための方法は、組換え受容体(例えば、抗CD19 CAR)をコードするポリヌクレオチドの、例えば、刺激又は活性化された細胞などの細胞への導入を含む。特定の実施形態では、組換えタンパク質は、組換え受容体、例えば、記載される任意のものである。組換えタンパク質、例えば、組換え受容体をコードする核酸分子の細胞への導入は、多数の公知のベクターのいずれかを使用して実行され得る。かかるベクターとしては、レンチウイルス及びγレトロウイルス系が含まれる、ウイルス系及び非ウイルス系、並びにトランスポゾンベースの系、例えば、PiggyBac又はSleeping Beautyベースの遺伝子導入系が挙げられる。例示的な方法としては、ウイルス導入、例えば、レトロウイルス又はレンチウイルス導入、トランスポゾン、及びエレクトロポレーションによるものが含まれる、受容体をコードする核酸の導入のためのものが挙げられる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作は、濃縮されたT細胞の1つ以上の遺伝子操作された組成物をもたらす。
【0188】
ある種の実施形態では、刺激されたT細胞の1つ以上の組成物は、濃縮されたT細胞の2つの別個の刺激された組成物であるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、濃縮されたT細胞の2つの別個の組成物、例えば、同じ生体試料から選択、単離、及び/又は濃縮された、濃縮されたT細胞の2つの別個の組成物は、別々に遺伝子操作される。ある特定の実施形態では、2つの別個の組成物は、濃縮されたCD4+T細胞の組成物を含む。いくつかの実施形態では、2つの別個の組成物は、濃縮されたCD8+T細胞の組成物を含む。いくつかの実施形態では、濃縮されたCD4+T細胞及び濃縮されたCD8+T細胞の2つの別個の組成物は、別々に遺伝子操作される。いくつかの実施形態では、同一の組成物がCD4+T細胞及びCD8+T細胞について濃縮され、これらが同時に遺伝子操作される。
【0189】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたT細胞を含む組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、可溶化剤、乳化剤、防腐剤、及び/又は補助剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、賦形剤を含む。「薬学的に許容される担体」は、対象に対して無毒性である、医薬製剤中の活性成分以外の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、限定されるものではないが、緩衝液、賦形剤、安定剤、又は防腐剤が挙げられる。
【0190】
いくつかの実施形態では、組成物は、非経口送達、吸入、又は経口などの消化管を介した送達用に選択される。そのような薬学的に許容され得る組成物の調製は、当業者の能力の範囲内である。いくつかの実施形態では、生理的pH又はわずかにより低いpH、典型的には約5~約8のpH範囲内に組成物を維持するために、緩衝液が使用される。いくつかの実施形態では、非経口投与が意図される場合、組成物は、薬学的に許容されるビヒクル中の、本明細書に記載される組成物を追加の治療薬と共に又は追加の治療薬なしで含む、発熱物質を含まない非経口的に許容される水溶液の形態である。いくつかの実施形態では、非経口注射用ビヒクルは、滅菌蒸留水であり、その滅菌蒸留水中に本明細書に記載される組成物が少なくとも1種の追加の治療薬と共に又はそれなしで無菌の等張溶液として製剤化され、適切に保存される。いくつかの実施形態では、調製は、目的の分子と、製品の制御放出又は持続放出を提供するポリマー化合物(例えば、ポリ乳酸又はポリグリコール酸)、ビーズ、又はリポソームとの製剤化を含み、次いで、当該製品は、蓄積注射により送達される。いくつかの実施形態では、移植可能な薬剤送達デバイスを使用して、目的の分子が導入され得る。
【0191】
いくつかの実施形態では、がんを治療する必要がある対象におけるがんを治療する方法は、T細胞療法を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるT細胞療法は、遺伝子操作自家細胞療法(eACT(商標))である。この実施形態によれば、本方法は、患者から血液細胞を採取することを含み得る。単離された血液細胞(例えば、T細胞)は、次いで、本明細書において開示されるCARを発現するように遺伝子操作され得る。特定の実施形態では、CAR T細胞は、患者に投与される。いくつかの実施形態では、CAR T細胞は、患者の腫瘍又はがんを治療する。いくつかの実施形態では、CAR T細胞は、腫瘍又はがんのサイズを低減する。
【0192】
いくつかの実施形態では、T細胞療法に使用するためのドナーT細胞は、(例えば、自家T細胞療法のために)患者から取得される。他の実施形態では、T細胞療法に使用するためのドナーT細胞は、患者ではない対象から取得される。ある特定の実施形態では、T細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、遺伝子操作自家T細胞(eACT(商標))、同種異系T細胞、異種T細胞、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0193】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたT細胞は、治療上有効量で投与される。例えば、遺伝子操作されたT細胞の治療上有効量は、少なくとも約10個細胞、少なくとも約10個細胞、少なくとも約10個細胞、少なくとも約10個細胞、少なくとも約10個細胞、少なくとも約10個、又は少なくとも約1010個であり得る。別の実施形態では、T細胞の治療上有効量は、約10個細胞、約10個細胞、約10個細胞、約10個細胞、又は約10個細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞の治療上有効量は、約2×10個細胞/kg、約3×10個細胞/kg、約4×10個細胞/kg、約5×10個細胞/kg、約6×10個細胞/kg、約7×10個細胞/kg、約8×10個細胞/kg、約9×10個細胞/kg、約1×10個細胞/kg、約2×10個細胞/kg、約3×10個細胞/kg、約4×10個細胞/kg、約5×10個細胞/kg、約6×10個細胞/kg、約7×10個細胞/kg、約8×10個細胞/kg、又は約9×10個細胞/kgである。
【0194】
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された生存T細胞の治療上有効量は、kg体重当たり約1×10個及び約2×10個の遺伝子操作された生存T細胞から、約1×10個の遺伝子操作された生存T細胞の最大用量までの間である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作されたT細胞は、抗CD19 CART T細胞である。いくつかの実施形態では、抗CD19 CAR T細胞はアキシカブタゲンシロルユーセル製品である。いくつかの実施形態では、抗CD19 CAR T細胞は、KTE-X19としても知られるブレクスカブタゲンオートルユーセル製品である。
【0195】
治療方法
本明細書において開示される方法は、対象におけるがんを治療するために、腫瘍のサイズを低減するために、腫瘍細胞を死滅させるために、腫瘍細胞増殖を予防するために、腫瘍の成長を予防するために、患者から腫瘍を除去するために、腫瘍の再発を予防するために、腫瘍転移を予防するために、患者における寛解を誘発するために、又はそれらの任意の組み合わせのために使用され得る。いくつかの実施形態では、本方法は、完全奏効を誘発する。他の実施形態では、本方法は、部分奏効を誘発する。
【0196】
治療され得るがんには、血管新生していない腫瘍、まだ実質的に血管新生していない腫瘍、又は血管新生している腫瘍が含まれる。がんはまた、固形又は非固形腫瘍を含み得る。いくつかの実施形態では、がんは、血液がんである。いくつかの実施形態では、がんは、白血球のがんである。他の実施形態では、がんは、形質細胞のがんである。いくつかの実施形態では、がんは、白血病、リンパ腫、又は骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)(非T細胞ALLが含まれる)、急性リンパ性白血病(ALL)、及び血球貪食性リンパ組織球症(HLH))、B細胞性前リンパ球性白血病、B細胞性急性リンパ性白血病(「BALL」)、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、バーキットリンパ腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性若しくは急性肉芽腫症、慢性若しくは急性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、濾胞性リンパ腫(FL)、毛様細胞性白血病、赤血球貧食症候群(マクロファージ活性化症候群(MAS))、ホジキン病、大細胞肉芽腫、白血球粘着不全症、リンパ球増殖性悪性疾患、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、意義不明の単クローン性高γグロブリン血症(MGUS)、多発性骨髄腫、脊髄形成異常症及び骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)が含まれるがこれに限定されない骨髄疾患、非ホジキンリンパ腫(NHL)、形質細胞増殖性疾患(例えば、無症候性骨髄腫(くすぶり型多発性骨髄腫又は無症候性骨髄腫))、形質芽細胞性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞腫瘍、プラズマ細胞腫(例えば、形質細胞異常増殖症、孤立性骨髄腫、孤立性形質細胞腫、髄外形質細胞腫、及び多発性骨髄腫)、POEMS症候群(Crow-Fukase症候群、高月病、PEP症候群)、縦隔原発大細胞型B細胞性リンパ腫(PMBC)、小細胞型若しくは大細胞型濾胞性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫(SMZL)、全身性アミロイド軽鎖アミロイドーシス、T細胞性急性リンパ性白血病(「TALL」)、T細胞リンパ腫、形質転換濾胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、又はそれらの組み合わせである。
【0197】
いくつかの実施形態では、がんは、骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、急性骨髄性白血病である。
【0198】
いくつかの実施形態では、がんは、非ホジキンリンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、再発性/治療抵抗性NHLである。いくつかの実施形態では、がんは、マントル細胞リンパ腫である。
【0199】
いくつかの実施形態では、がんは、濾胞性リンパ腫(FL)及び辺縁帯リンパ腫(MZL)が含まれる、進行期低悪性度非ホジキンリンパ腫(iNHL)である。いくつかの実施形態では、患者は、抗CD20モノクローナル抗体とアルキル化剤との組み合わせが含まれる、2種類以上の前治療後に再発性/治療抵抗性疾患を発症した。いくつかの実施形態では、患者は、PI3K阻害剤を投与されたことがあってもよい。いくつかの実施形態では、患者は、自家幹細胞移植を(も)受けたことがあってもよい。いくつかの実施形態では、患者は、CAR T細胞製造のためにT細胞を取得するために、白血球アフェレーシスを受け、続いて、-5日目、-4日目、及び-3日目に投与される500mg/m/日のシクロホスファミド及び30mg/m/日のフルダラビンによるコンディショニング化学療法を受け、0日目に、患者は、2×10個のCAR T細胞/kgの標的用量でCAR T細胞療法(例えば、アキシカブタゲンシロルユーセル)の単回静脈内注入を受け得る。いくつかの実施形態では、追加の注入は、その後の期間に提供され得る。いくつかの実施形態では、患者が最初の投与の3ヶ月後の評価で効果を示した後に進行を示す場合、患者は、CAR T細胞治療(例えば、アキシカブタゲンシロルユーセル)による再治療を受け得る。いくつかの実施形態では、患者は、橋渡し療法を受け得る。ブリッジング療法の例としては、デキサメタゾン、リツキシマブ、エトポシド、カルボプラチン、イホスファミド、ベンダムスチン-リツキシマブ、ベンダムスチン、メチルプレドニゾロン、ミトキサントロン、シクロホスファミド、フルダラビン、イブルチニブが挙げられる。いくつかの実施形態では、患者は、CRSを経験する。いくつかの実施形態では、CRSは、実施例を含む本出願に記載されるプロトコールのいずれかを使用して管理される。いくつかの実施形態では、CRSは、トシリズマブ、コルチコステロイド、及び/又は昇圧剤により管理される。
【0200】
いくつかの実施形態では、がんは、再発性/治療抵抗性低悪性度非ホジキンリンパ腫であり、治療する必要がある対象を治療する方法は、再治療として治療上有効量のCAR T細胞当該対象に投与することを含み、ここで、当該対象は、CAR T細胞による最初の治療を以前に受けたことがある。いくつかの実施形態では、CAR T細胞による最初の治療は、第一選択治療又は第二選択療法として投与されていてもよく、ここで、任意により、リンパ腫は、R/R濾胞性リンパ腫(FL)又は辺縁帯リンパ腫(MZL)であり、任意により、過去の前治療は、アルキル化剤と組み合わせた抗CD20モノクローナル抗体を含んでいた。いくつかの実施形態では、コンディショニング療法は、-5日目、-4日目、及び-3日目のフルダラビン30mg/mのIV注入及びシクロホスファミド500mg/mのIV注入を含む。いくつかの実施形態では、CAR T細胞治療は、0日目の2×10個のCAR T細胞/kgの単回IV注入を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも約10個細胞、少なくとも約10個細胞、少なくとも約10個細胞、少なくとも約10個細胞、少なくとも約10個細胞、少なくとも約10個、又は少なくとも約1010個のCAR T細胞が投与される。別の実施形態では、T細胞の治療上有効量は、約10個細胞、約10個細胞、約10個細胞、約10個細胞、又は約10個細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞の治療上有効量は、約2×10個細胞/kg、約3×10個細胞/kg、約4×10個細胞/kg、約5×10個細胞/kg、約6×10個細胞/kg、約7×10個細胞/kg、約8×10個細胞/kg、約9×10個細胞/kg、約1×10個細胞/kg、約2×10個細胞/kg、約3×10個細胞/kg、約4×10個細胞/kg、約5×10個細胞/kg、約6×10個細胞/kg、約7×10個細胞/kg、約8×10個細胞/kg、又は約9×10個細胞/kgである。いくつかの実施形態では、CAR T細胞は、抗CD19 CAR T細胞である。いくつかの実施形態では、CAR T細胞は、アキシカブタゲンシロルユーセルCAR T細胞である。いくつかの実施形態では、CAR T細胞は、ブレクスカブタゲンオートルユーセル/KTE-X19である。いくつかの実施形態では、再治療適格基準は、3ヶ月目の疾患評価でのCR又はPRの奏効とその後の進行;局所的再検討による進行後生検におけるCD19消失の証拠がないこと;及び/又はCAR T細胞による最初の治療によってグレード4のCRS若しくは神経学的事象若しくは生命を脅かす毒性を示さないことを含む。いくつかの実施形態では、治療方法は、CLINICAL TRIAL-2臨床試験(NCT02601313)が後に続く治療方法である。いくつかの実施形態では、治療方法は、CLINICAL TRIAL-5臨床試験(NCT03105336)が後に続く治療方法である。いくつかの実施形態では、治療方法は、Neelapu,SS et al.2017,N Engl J Med 2017;377(26):2531-44)及びLocke,et al.Lancet Oncol.2019;20:31-42に詳細に記載されているCLINICAL TRIAL-1(NCT02348216)臨床試験が続くものである。
【0201】
いくつかの実施形態では、がんはNHLであり、CAR T細胞治療が第一選択治療として投与される。いくつかの実施形態では、がんは、LBCLである。いくつかの実施形態では、LBCLは、MYC及びBCL2転座及び/又はBCL6転座を伴う高リスク/高悪性度LBCL又は登録前の任意の時点で3以上のIPIスコアを示すDLBCLである。いくつかの実施形態では、第一選択治療は、抗CD20モノクローナル抗体及びアントラサイクリンを含むレジメンと組み合わせたCAR T細胞治療を含む。いくつかの実施形態では、CAR T細胞治療が最初に投与される。いくつかの実施形態では、抗CD20モノクローナル抗体/アントラサイクリンを含むレジメンが最初に投与される。いくつかの実施形態では、治療は、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも6週間、少なくとも1ヵ月、少なくとも2ヵ月、少なくとも3ヵ月、少なくとも4ヵ月、少なくとも5ヵ月、1年未満の間隔をあけて投与される。いくつかの実施形態では、本方法は、白血球アフェレーシス後に投与され、コンディショニング化学療法を開始する前に完了する橋渡し療法を更に含む。いくつかの実施形態では、追加の組み入れ基準は、18歳以上の年齢及び0~1のECOG PSを含む。いくつかの実施形態では、コンディショニング療法は、-5日目、-4日目、及び-3日目のフルダラビン30mg/mのIV注入及びシクロホスファミド500mg/mのIV注入を含む。他の例示的な有益なプレコンディショニング治療レジメンは、米国特許仮出願第62/262,143号及び同62/167,750号並びに米国特許第9,855,298号及び同10,322,146号に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらは、例えば、T細胞療法を必要とする患者をコンディショニングする方法であって、指定された有益な用量のシクロホスファミド(200mg/m/日~2000mg/m/日)及び指定された用量のフルダラビン(20mg/m/日~900mg/m/日)を当該患者に投与すること、を含む、方法を記載している。そのような投与レジメンは、患者に治療上有効量の遺伝子操作されたT細胞を投与する前に、患者に約500mg/m/日のシクロホスファミド、及び約60mg/m/日のフルダラビンを3日間毎日投与することを含む、患者を治療することを含む。別の実施形態は、T細胞投与前の-4日目、-3日目、及び-2日目の、その期間の間の1日当たり500mg/体表面積mのシクロホスファミドの用量及び1日当たり30mg/体表面積mのフルダラビンの用量での血清シクロホスファミド及びフルダラビンを含む。別の実施形態は、T細胞投与前の-2日目のシクロホスファミド、並びに-4日目、-3日目、及び-2日目のフルダラビンを、その期間の間の1日当たり900mg/体表面積mのシクロホスファミドの用量及び25mg/体表面積mのフルダラビンの用量で含む。別の実施形態では、コンディショニングは、T細胞投与前の-5日目、-4日目、及び-3日目の、その期間の間の1日当たり500mg/体表面積mのシクロホスファミドの用量及び1日当たり30mg/体表面積mのフルダラビンの用量でのシクロホスファミド及びフルダラビンを含む。他のプレコンディショニングの実施形態は、3日間の1日当たり200~300mg/m体表面積のシクロホスファミド及び1日当たり20~50mg/m体表面積の用量のフルダラビンを含む。CLINICAL TRIAL-1(NCT02348216)臨床試験は、Examples and in Neelapu,SS et al.2017,N Engl J Med 2017;377(26):2531-44)及びLocke,et al.Lancet Oncol.2019;20:31-42に詳細に記載されている。
【0202】
いくつかの実施形態では、治療方法は、他の治療薬又は治療(例えば、放射線、減量)と組み合わせた免疫細胞の投与を含む。いくつかの実施形態では、追加の治療薬又は治療は、有害事象を管理するために含まれる。いくつかの態様では、追加の治療薬又は治療は、細胞治療の治療有効性を改善するために含まれる。いくつかの例では、それらは両方を達成する。免疫細胞と併用され得る(前、後、及び/又は同時に)治療薬の例は、以下及び本明細書の他の箇所に提供される。
【0203】
いくつかの実施形態では、本方法は、化学療法剤を投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、選択される化学療法剤は、リンパ球枯渇(プレコンディショニング)化学療法剤である。有益なプレコンディショニング治療レジメンは、相関する有益なバイオマーカーと共に、米国仮特許出願第62/262,143号及び同第62/167,750号、並びに米国特許第9,855,298及び同第10,322,146号に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらは、例えば、T細胞療法を必要とする患者をコンディショニングする方法であって、指定された有益な用量のシクロホスファミド(200mg/m/日~2000mg/m/日)及び指定された用量のフルダラビン(20mg/m/日~900mg/m/日)を当該患者に投与すること、を含む、方法を記載している。そのような投与レジメンは、患者に治療上有効量の遺伝子操作されたT細胞を投与する前に、患者に約500mg/m/日のシクロホスファミド、及び約60mg/m/日のフルダラビンを3日間毎日投与することを含む、患者を治療することを含む。別のコンディショニングの実施形態は、-5日目、-4日目及び-3日目の3日間、シクロホスファミド500mg/m/日及びフルダラビン30mg/m/日を含む。別の実施形態は、T細胞投与前の-4日目、-3日目、及び-2日目の、その期間の間の1日当たり500mg/体表面積mのシクロホスファミドの用量及び1日当たり30mg/体表面積mのフルダラビンの用量での血清シクロホスファミド及びフルダラビンを含む。別の実施形態は、T細胞投与前の-2日目のシクロホスファミド、並びに-4日目、-3日目、及び-2日目のフルダラビンを、その期間の間の1日当たり900mg/体表面積mのシクロホスファミドの用量及び25mg/体表面積mのフルダラビンの用量で含む。別の実施形態では、コンディショニングは、T細胞投与前の-5日目、-4日目、及び-3日目の、その期間の間の1日当たり500mg/体表面積mのシクロホスファミドの用量及び1日当たり30mg/体表面積mのフルダラビンの用量でのシクロホスファミド及びフルダラビンを含む。別の実施形態は、3日間1日1回の300mg/mのシクロホスファミド及び3日間1日1回の30mg/mのフルダラビンを含む。別の実施形態は、3日間のフルダラビン(30mg/m)を含み、シクロホスファミド(300mg/m)は、T細胞投与の2~7日前に与えられる。別の実施形態は、-7日目~-2日目に1日1回の3000mg/mのシクロホスファミドを含む。別の実施形態は、3日間1日1回の300mg/mのシクロホスファミド及び3日間1日1回の30mg/mのフルダラビンを含み、最終日は-7日目~-2日目に生じる。
【0204】
いくつかの実施形態では、抗原結合分子、形質導入された(又はそうでなければ遺伝子操作された)細胞(例えば、CAR)、及び化学療法薬は、それぞれ、対象の疾患又は状態を治療するのに有効な量で投与される。
【0205】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される免疫細胞(例えば、CAR発現免疫エフェクター細胞)を含む組成物を、任意の数の他の化学療法剤及び/又は放射線と組み合わせて(免疫細胞投与の前、後及び/又は同時に)投与してよい。化学療法剤の例としては、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商標));アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メトレドパ、及びウレドパ;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチロールメラミンが含まれる、エチレンイミン及びメチルアメルアミン(methylamelamine);ナイトロジェンマスタード類、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロフォスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトレビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフル、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU;アンドロゲン、例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗アドレナリン、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充剤、例えば、フロリン酸;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン、ベストラブシル;ビサントレン;エダトレキサート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;ポリサッカリドK(PSK);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(商標)、Bristol-Myers Squibb)及びドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金類似体、例えば、シスプラチン及びカルボプラチン;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼロダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオミチン(DMFO);Targretin(商標)(ベキサロテン)、Panretin(商標)(アリトレチノイン)等のレチノイン酸誘導体;ONTAK(商標)(デニロイキンジフチトクス);エスペラマイシン;カペシタビン;並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書において開示されるCAR発現免疫エフェクター細胞を含む組成物は、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼを阻害する4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びトレミフェン(フェアストン)が含まれる、抗エストロゲン剤;及び、抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びに、上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体と併せて投与し得る。必要に応じて、限定されるものではないが、CHOP、すなわち、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、ドキソルビシン(ヒドロキシドキソルビシン)、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、及びプレドニゾン、R-CHOP(CHOPに加えてリツキシマブ)、並びにG-CHOP(CHOPに加えてオビヌツズマブ)が含まれる、化学療法薬の組み合わせも投与される。
【0206】
いくつかの実施形態では、化学療法剤は、同時に又は遺伝子操作された免疫細胞の投与後1週間以内に投与される。他の実施形態では、化学療法剤は、操作された細胞又は核酸の投与後、1~4週間、又は1週間~1ヶ月、1週間~2ヶ月間、1週間~3ヶ月間、1週間~6ヶ月間、1週間~9ヶ月間、又は1週間~12ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、細胞又は核酸を投与する少なくとも1ヶ月前に投与される。いくつかの実施形態では、本方法は、2つ以上の化学療法剤を投与することを更に含む。
【0207】
種々の追加の治療薬は、本明細書に記載される組成物と共に(T細胞投与前、T細胞投与後、及び/又はT細胞投与と同時に)使用され得る。例えば、潜在的に有用な追加の治療薬としては、PD-1阻害剤、例えば、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))、セミプリマブ(Libtayo)、ピディリズマブ(CureTech)、及びアテゾリズマブ(Roche)、並びにPD-L1阻害剤、例えば、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、及びアベルマブが挙げられる。
【0208】
本明細書において開示される組成物及び方法と組み合わせて(T細胞投与前、T細胞投与前後、及び/又はT細胞投与と同時に)使用するのに適している追加の治療薬としては、限定されるものではないが、イブルチニブ(IMBRUVICA(登録商標))、オファツムマブ(ARZERRA(登録商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、トラスツズマブエムタンシン(KADCYLA(登録商標))、イマチニブ(GLEEVEC(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標))、カツマクソマブ、イブリツモマブ、オファツムマブ、トシツモマブ、ブレンツキシマブ、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、ラパチニブ、ネラチニブ、アキシチニブ、マシチニブ、パゾパニブ、スニチニブ、ソラフェニブ、トセラニブ、レストールチニブ、アキシチニブ、セジラニブ、レンバチニブ、ニンテダニブ、パゾパニブ、レゴラフェニブ、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、チボザニブ、トセラニブ、バンデタニブ、エヌトレクチニブ、カボザンチニブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ポナチニブ、ラドチニブ、ボスチニブ、レストールチニブ、ルキソリチニブ、パクリチニブ、コビメチニブ、セルメチニブ、トラメチニブ、ビニメチニブ、アレクチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、アフリベルセプト、アディポチド、デニロイキンジフチトクス、mTOR阻害剤、例えば、エベロリムス及びテムシロリムス、ヘッジホッグ阻害剤、例えば、ソニデジブ及びビスモデギブ、CDK阻害剤、例えば、CDK阻害剤(パルボシクリブ)、GM-CSF、CSF1、GM-CSFR、又はCSF1Rの阻害剤に加えて、抗胸腺細胞グロブリン、レンジルマブ、及びマブリリムマブが挙げられる。
【0209】
一実施形態では、GM-CSF阻害剤は、レンジルマブ;ナミルマブ(AMG203);GSK3196165/MOR103/オチリマブ(GSK/MorphoSys);KB002及びKB003(KaloBios);MT203(Micromet及びNycomed);MORAb-022/ジムシルマブ(Morphotek);又はそれらのいずれかのバイオシミラー;E21R;及び低分子から選択される。一実施形態では、CSF1阻害剤は、RG7155、PD-0360324、MCS110/ラクノツズマブ、又はそれらのいずれかのバイオシミラー版;及び低分子から選択される。一実施形態では、GM-CSFR阻害剤及びCSF1R阻害剤は、マブリリムマブ(以前はCAM-3001;MedImmune,Inc.);カビラリズマブ(Five Prime Therapeutics);LY3022855(IMC-CS4)(Eli Lilly)、RG7155又はRO5509554としても公知のエマクツズマブ;FPA008(Five Prime/BMS);AMG820(Amgen);ARRY-382(Array Biopharma);MCS110(Novartis);PLX3397(Plexxikon);ELB041/AFS98/TG3003(ElsaLys Bio、Transgene)、SNDX-6352(Syndax);それらのいずれかのバイオシミラー版;及び低分子から選択される。
【0210】
いくつかの実施形態では、薬剤は、注射、例えば、静脈内若しくは皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下(subconjectval)注射、結膜下(subconjuntival)注射、テノン下注射、眼球後注射、眼球周囲注射、又は後側強膜近傍送達により投与される。いくつかの実施形態では、それらは、非経口投与、肺内投与、及び鼻腔内投与、局所治療が望ましい場合は、病巣内投与により投与される。非経口注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が挙げられる。
【0211】
いくつかの実施形態では、治療は、コンディショニングと本明細書において開示される組成物との間の治療であるブリッジング療法、又は白血球アフェレーシス後に投与され、コンディショニング化学療法を開始する前に完了する治療である治療を更に含む。いくつかの実施形態では、橋渡し療法は、CHOP、G-CHOP、R-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロン)、コルチコステロイド、ベンダムスチン、白金化合物、アントラサイクリン、及び/又はホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、PI3K阻害剤は、デュベリシブ、イデラリシブ、ベネトクラクス、ピクチリシブ(GDC-0941)、コパンリシブ、PX-866、ブパルリシブ(BKM120)、ピララリシブ(XL-147)、GNE-317、アルペリシブ(BYL719)、INK1117、GSK2636771、AZD8186、SAR260301、及びタセリシブ(GDC-0032)から選択される。いくつかの実施形態では、AKT阻害剤は、ペリホシン、MK-2206である。一実施形態では、mTOR阻害剤は、エベロリムス、シロリムス、テムシロリムス、リダホロリムスから選択される。いくつかの実施形態では、PI3K/mTOR二重阻害剤は、BEZ235、XL765、及びGDC-0980から選択される。いくつかの実施形態では、PI3K阻害剤は、デュベリシブ、イデラリシブ、ベネトクラクス、ピクチリシブ(GDC-0941)、コパンリシブ、PX-866、ブパルリシブ(BKM120)、ピララリシブ(XL-147)、GNE-317、アルペリシブ(BYL719)、INK1117、GSK2636771、AZD8186、SAR260301、及びタセリシブ(GDC-0032)から選択される。
【0212】
いくつかの実施形態では、橋渡し療法は、アカラブルチニブ、ブレンツキシマブ・ベドチン、コパンリシブ塩酸塩、ネララビン、ベリノスタット、ベンダムスチン塩酸塩、カルムスチン、硫酸ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ザヌブルチニブ、カルムスチン、クロラムブシル、コパンリシブ塩酸塩、デニロイキンジフチトクス、デキサメタゾン、塩酸ドキソルビシン、デュベリシブ、プララトレキサート、オビヌツズマブ、イブリツモマブ・チウキセタン、イブルチニブ、イデラリシブ、組換えインターフェロンα-2b、ロミデプシン、レナリドミド、メクロレタミン塩酸塩、メトトレキサート、モガムリズマブ-kpc、プレリキサホル、ネララビン、オビヌツズマブ、デニロイキンジフチトクス、ペムブロリズマブ、プレリキサホル、ポラツズマブベドチン-piiq、モガムリズマブ-kpc、プレドニゾン、リツキシマブ、ヒアルロニダーゼ、ロミデプシン、ボルテゾミブ、ベネトクラクス、硫酸ビンブラスチン、ボリノスタット、ザヌブルチニブ、CHOP、COPP、CVP、EPOCH、R-EPOCH、HYPER-CVAD、ICE、R-ICE、R-CHOP、R-CVP、及びそれらの組み合わせを含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、細胞免疫療法は、腫瘍量を低減する目的で使用される減量療法と共に投与される。一実施形態では、減量療法は、白血球アフェレーシスの後かつコンディショニング化学療法の投与又は細胞注入の前に投与されるべきである。減量療法の例は以下の通りである。
【0214】
略語:AUC、曲線下面積
その他の減量治療選択肢が使用され得、メディカルモニターと共に協議される。現地の基準に従って、水分補給、制吐剤、メスナ、増殖因子支持薬、及び腫瘍崩壊予防による支持療法が使用され得る。1クール超が許可される。
腫瘍測定を可能にするために、少なくとも1つの標的病変を放射線照射野外に残す。
【0215】
いくつかの実施形態では、免疫細胞(例えば、遺伝子操作されたCAR T細胞)を含む組成物は、(免疫細胞投与前、免疫細胞投与後、及び/又は免疫細胞投与と同時に)抗炎症剤と共に投与される。抗炎症剤又は抗炎症薬としては、限定されるものではないが、ステロイド及び糖質コルチコイド(ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンが含まれる)、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンが含まれる、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、抗TNF薬、シクロホスファミド、並びにミコフェノレートが挙げられる。例示的なNSAIDとしては、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、Cox-2阻害剤、及びシアリレートが挙げられる。例示的な鎮痛剤としては、アセトアミノフェン、オキシコドン、プロポルキシフェン塩酸塩のトラマドールが挙げられる。例示的なグルココルチコイドとしては、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン又はプレドニゾンが挙げられる。例示的な生物学的応答調節剤としては、細胞表面マーカーに対する分子(例えば、CD4、CD5など)、サイトカイン阻害剤、例えば、TNFアンタゴニスト(例えば、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))及びインフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、ケモカイン阻害剤、及び接着分子阻害剤が挙げられる。生物学的応答調節剤としては、モノクローナル抗体並びに分子の組換え形態が挙げられる。例示的なDMARDとしては、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、メトトレキサート、ペニシラミン、レフルノミド、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、Gold(経口(オーラノフィン)及び筋肉内)及びミノサイクリンが挙げられる。
【0216】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、(T細胞投与前、T細胞投与後、又はT細胞投与と同時の)サイトカインと共に投与される。サイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインには、成長ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば、卵胞刺激ホルモン(follicle stimulating hormone、FSH)、甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone、TSH)、黄体形成ホルモン(luteinizing hormone、LH);肝成長因子(HGF);線維芽細胞増殖因子(FGF);プロラクチン;胎盤ラクトゲン;ムレラン阻害物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(thrombopoietin、TPO);神経成長因子(NGF)、例えば、NGF-ベータ;血小板増殖因子;形質転換成長因子(TGF)、例えば、TGF-α及びTGF-β;インスリン様成長因子-I及び成長因子-II;エリスロポエチン(EPO、Epogen(登録商標)、Procrit(登録商標));骨誘導因子;インターフェロン、例えば、インターフェロン-アルファ、ベータ、及び-ガンマ;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、マクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球・マクロファージCSF(GM-CSF);及び顆粒球CSF(G-CSF);インターロイキン(IL)、例えば、IL-1、IL-1アルファ、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12;IL-15、腫瘍壊死因子、例えば、TNF-アルファ又はTNF-ベータ;及びLIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書で使用される場合、サイトカインという用語には、天然源又は組換え細胞培養物由来のタンパク質、及び天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物が含まれる。
【0217】
いくつかの実施形態では、細胞の投与及び追加の治療薬の投与は、同じ日に実行されるか、36時間以下の間隔、24時間以下の間隔、12時間以下の間隔、6時間以下の間隔、4時間以下の間隔、2時間以下の間隔、又は1時間以下の間隔、又は30分以下の間隔で実行される。いくつかの実施形態では、細胞の投与及び追加の治療薬の投与は、0時間若しくは約0時間~48時間若しくは約48時間の間、0時間若しくは約0時間~36時間若しくは約36時間の間、0時間若しくは約0時間~24時間若しくは約24時間の間、0時間若しくは約0時間~12時間若しくは約12時間の間、0時間若しくは約0時間~6時間若しくは約6時間の間、0時間若しくは約0時間~2時間若しくは約2時間の間、0時間若しくは約0時間~1時間若しくは約1時間の間、0時間若しくは約0時間~30分若しくは約30分の間、30分若しくは約30分~48時間若しくは約48時間の間、30分若しくは約30分~36時間若しくは約36時間の間、30分若しくは約30分~24時間若しくは約24時間の間、30分若しくは約30分~12時間若しくは約12時間の間、30分若しくは約30分~6時間若しくは約6時間の間、30分若しくは約30分~4時間若しくは約4時間の間、30分若しくは約30分~2時間若しくは約2時間の間、30分若しくは約30分~1時間若しくは約1時間の間、1時間若しくは約1時間~48時間若しくは約48時間の間、1時間若しくは約1時間~36時間若しくは約36時間の間、1時間若しくは約1時間~24時間若しくは約24時間の間、1時間若しくは約1時間~12時間若しくは約12時間の間、1時間若しくは約1時間~6時間若しくは約6時間の間、1時間若しくは約1時間~4時間若しくは約4時間の間、1時間若しくは約1時間~2時間若しくは約2時間の間、2時間若しくは約2時間~48時間若しくは約48時間の間、2時間若しくは約2時間~36時間若しくは約36時間の間、2時間若しくは約2時間~24時間若しくは約24時間の間、2時間若しくは約2時間~12時間若しくは約12時間の間、2時間若しくは約2時間~6時間若しくは約6時間の間、2時間若しくは約2時間~4時間若しくは約4時間の間、4時間若しくは約4時間~48時間若しくは約48時間の間、4時間若しくは約4時間~36時間若しくは約36時間の間、4時間若しくは約4時間~24時間若しくは約24時間の間、4時間若しくは約4時間~12時間若しくは約12時間の間、4時間若しくは約4時間~6時間若しくは約6時間の間、6時間若しくは約6時間~48時間若しくは約48時間の間、6時間若しくは約6時間~36時間若しくは約36時間の間、6時間若しくは約6時間~24時間若しくは約24時間の間、6時間若しくは約6時間~12時間若しくは約12時間の間、12時間若しくは約12時間~48時間若しくは約48時間の間、12時間若しくは約12時間~36時間若しくは約36時間の間、12時間若しくは約12時間~24時間若しくは約24時間の間、24時間若しくは約24時間~48時間若しくは約48時間の間、24時間若しくは約24時間~36時間若しくは約36時間の間、又は36時間若しくは約36時間~48時間若しくは約48時間の間に実行される。いくつかの実施形態では、細胞及び追加の治療薬は、同時に投与される。
【0218】
いくつかの実施形態では、薬剤は、50mg~1000mg、50mg~500mg、50mg~200mg、50mg~100mg、100mg~1000mg、100mg~500mg、100mg~200mg、200mg~1000mg、200mg~500mg又は500mg~1000mgなど30mg~5000mg又は約30mg~5000mgの投与量で投与される。いくつかの実施形態では、薬剤は、0.5mg/kg~100mg/kg、1mg/kg~50mg/kg、1mg/kg~25mg/kg、1mg/kg~10mg/kg、1mg/kg~5mg/kg、5mg/kg~100mg/kg、5mg/kg~50mg/kg、5mg/kg~25mg/kg、5mg/kg~10mg/kg、10mg/kg~100mg/kg、10mg/kg~50mg/kg、10mg/kg~25mg/kg、25mg/kg~100mg/kg、25mg/kg~50mg/kg、50mg/kg~100mg/kgの投与量で投与される。いくつかの実施形態では、薬剤は、それぞれ1mg/kg~10mg/kg、2mg/kg~8mg/kg、2mg/kg~6mg/kg、2mg/kg~4mg/kg、又は6mg/kg~8mg/kgの投与量で投与される。いくつかの態様では、薬剤は、少なくとも1mg/kg、2mg/kg、4mg/kg、6mg/kg、8mg/kg、10mg/kg、又はそれ以上の投与量で投与される。
【0219】
奏効及び有効性の測定
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、臨床効果を対象に提供し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%の患者が臨床効果を達成する。いくつかの実施形態では、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、0%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%、及びその間の任意の列挙されていない%の患者が臨床効果を達成する。いくつかの実施形態では、奏効率は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、9.5%、10.5%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、25 55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、若しくは100%、又は他の列挙されていない百分率、及び1%~100%の範囲である。いくつかの実施形態では、奏効率は、0%~10%、10%~20%、20%~30%、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~80%、80%~90%、又は90%~100%である。いくつかの実施形態では、奏効率は、0%~1%、1%~1.5%、1.5%~2%、2%~3%、3%~4%、4%~5%、5%~6%、6%~7%、7%~8%、8%~9%、9%~10%、10%~15%、15%~20%、20~25%、25%~30%、35~40%、その他95%~100%までの様々な範囲などである。
【0220】
臨床的利益は、1年間の経過観察期間中央値での継続奏効として定義される客観的奏効又は持続的臨床奏効であってもよい。いくつかの実施形態では、奏効、CAR T細胞の血中レベル、又は免疫関連因子は、遺伝子操作されたCAR T細胞の投与の約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、又は約7日後での経過観察により決定される。いくつかの実施形態では、奏効、CAR T細胞の血中レベル、又は免疫関連因子は、遺伝子操作されたCAR T細胞の投与の約1週間、約2週間、約3週間、又は約4週間後での経過観察により決定される。いくつかの実施形態では、奏効、CAR T細胞の血中レベル、及び/又は免疫関連因子は、遺伝子操作されたCAR T細胞の投与の約1ヵ月、約2ヵ月、約3ヵ月、約4ヵ月、約5ヵ月、約6ヵ月、約7ヵ月、約8ヵ月、約9ヵ月、約10ヵ月、約11ヵ月、約12ヵ月、約13ヵ月、約14ヵ月、約15ヵ月、約16ヵ月、約17ヵ月、約18ヵ月、約19ヵ月、約20ヵ月、約21ヵ月、約22ヵ月、約23ヵ月、又は約24ヵ月後での経過観察により決定される。いくつかの実施形態では、奏効、CAR T細胞の血中レベル、及び/又は免疫関連因子は、遺伝子操作されたCAR T細胞の投与の約1年、約1.5年、約2年、約2.5年、約3年、約4年、又は約5年後での経過観察により決定される。
【0221】
モニタリング
いくつかの実施形態では、キメラ受容体T細胞免疫療法の投与は、認定医療機関で行われる。
【0222】
いくつかの実施形態では、本明細書において開示される方法は、CRS及び神経毒性並びにCAR T細胞治療に対する他の有害反応の徴候及び症状について、注入後に認定医療機関で少なくとも7日間毎日患者をモニタリングすることを含む。いくつかの実施形態では、神経毒性の症状は、脳症、頭痛、振戦、めまい、失語症、せん妄、不眠症、及び不安から選択される。いくつかの実施形態では、有害反応の症状は、発熱、低血圧、頻脈、低酸素症、及び悪寒からなる群から選択され、心不整脈(心房細動及び心室性頻脈が含まれる)、心停止、心不全、腎不全、毛細血管漏出症候群、低血圧、低酸素症、臓器毒性、血球貪食性リンパ組織球症/マクロファージ活性化症候群(HLH/MAS)、発作、脳症、頭痛、振戦、眩暈、失語症、せん妄、不眠、不安、アナフィラキシー、発熱性好中球減少症、血小板減少症、好中球減少症、及び貧血が挙げられる。いくつかの実施形態では、患者は、注入後少なくとも4週間、認定医療施設の近くに留まるように指示される。
【0223】
臨床転帰
いくつかの実施形態では、臨床転帰は、完全奏効である。いくつかの実施形態では、臨床転帰は、持続的な奏効である。いくつかの実施形態では、臨床転帰は、完全奏効である。いくつかの実施形態では、臨床転帰は、奏効ではない。いくつかの実施形態では、臨床転帰は、部分奏効である。いくつかの実施形態では、臨床転帰は、客観的奏効である。いくつかの実施形態では、臨床転帰は、生存である。いくつかの実施形態では、臨床転帰は、再発である。
【0224】
いくつかの実施形態では、客観的奏効(OR)が、悪性リンパ腫に対する改訂IWG治療効果判定基準(Cheson,2007)に従って決定され、悪性リンパ腫に対するIWG治療効果判定基準(Cheson et al.Journal of Clinical Oncology 32,no.27(September 2014)3059-3067)によって決定される。奏効期間(DOR)は、客観的奏効を経験する対象についてのみ定義され、最初の客観的奏効から、疾患進行(Cheson et al,2014による)又は疾患関連死のいずれか早い方までの時間である。無増悪生存期間(PFS)は、Lugano分類の効果判定基準に従って治験担当医師の評価により評価される。
【0225】
重度の有害反応の予防又は管理
いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上の特性のレベルに基づいて有害反応の発症を予防するか、又は有害反応の重症度を低減する方法を提供する。いくつかの実施形態では、細胞療法は、サイトカイン放出症候群及び神経毒性を含む、有害事象を予防する、発症を遅延する、症状を低減する、治療する、1つ以上の薬剤と共に投与される。一実施形態では、薬剤は上記で説明されている。他の実施形態では、薬剤は以下に記載される。いくつかの実施形態では、薬剤は、細胞の投与前、投与後、又は投与と同時に、本明細書の他箇所に記載される方法及び用量のうちの1つにより投与される。一実施形態では、薬剤は、疾患になりやすい傾向を有し得るが、まだ疾患であると診断されていない対象に投与される。
【0226】
この点において、開示される方法は、毒性予防のために、「予防有効量」のトシリズマブ、コルチコステロイド療法、及び/又は抗けいれん薬の投与を含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、GM-CSF、CSF1、GM-CSFR、又はCSF1Rの阻害剤、レンジルマブ、マブリリムマブ、サイトカイン、及び/又は抗炎症剤を投与することを含む。薬理学的及び/又は生理学的効果は、予防的であってよく、すなわち、効果は、疾患又はその症状を完全に又は部分的に予防する。「予防有効量」は、必要な投与量及び期間で所望の予防結果(例えば、有害反応の発症の予防)を達成するための有効量を指し得る。
【0227】
いくつかの実施形態では、方法は、あらゆる対象における有害反応の管理を含む。いくつかの実施形態では、有害反応は、サイトカイン放出症候群(CRS)、神経毒性、過敏反応、重篤な感染症、血球減少症、及び低γグロブリン血症からなる群から選択される。
【0228】
いくつかの実施形態では、有害反応の徴候及び症状は、発熱、低血圧、頻脈、低酸素症、及び悪寒からなる群から選択され、心不整脈(心房細動及び心室頻脈を含む)、心停止、心不全、腎機能不全、毛細血管漏出症候群、低血圧、低酸素症、臓器毒性、血球貪食性リンパ組織球増加症/マクロファージ活性化症候群(HLH/MAS)、発作、脳症、頭痛、振戦、めまい、失語症、せん妄、不眠症不安、アナフィラキシー、発熱性好中球減少症、血小板減少症、好中球減少症、及び貧血を含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、患者は、本出願に記載されるバイオマーカーのうちの1つ以上に基づいて特定及び選択される。いくつかの実施形態では、患者は、臨床症状(例えば、毒性症状の存在及びグレード)によって単に特定及び選択されている。
【0230】
サイトカイン放出症候群(CRS)
いくつかの実施形態では、方法は、キメラ受容体治療におけるCRSを予防、又はその重症度を低減することを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された免疫細胞(例えば、CAR T細胞)は、患者への投与後に不活化される。
【0231】
いくつかの実施形態では、方法は、臨床症状に基づいてCRSを特定することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、発熱、低酸素症、及び低血圧の他の原因を評価し、治療することを含む。グレード2以上のCRS(例えば、輸液が効果を示さない低血圧、又は酸素補給を必要とする低酸素症)を示す患者は、継続的な心電図遠隔測定及びパルスオキシメトリーでモニタリングする必要がある。いくつかの実施形態では、重度のCRSを示す患者には、心機能を評価するために心エコー図を実行することを検討する。重度又は生命を脅かすCRSの場合、集中治療による支持療法が検討され得る。
【0232】
いくつかの実施形態では、本方法は、CRSの徴候及び症状について注入後に認定医療施設で少なくとも7日間毎日患者をモニタリングすることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、注入後4週間、CRSの徴候又は症状について患者をモニタリングすることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、CRSの徴候又は症状が発生した場合にはいつでも、直ちに病院で診察を受けるように患者に勧告することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、CRSの最初の徴候における適応として、支持療法、トシリズマブ、若しくはトシリズマブ及びコルチコステロイドによる治療を開始することを含む。
【0233】
神経毒性(NT)
いくつかの実施形態では、方法は、神経毒性の徴候及び症状について患者をモニタリングすることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、神経学的症状の他の原因を排除することを含む。グレード2以上の神経毒性を経る患者は、連続心臓テレメトリー及びパルスオキシメトリーでモニタリングする必要がある。重度又は生命を脅かす神経毒性の場合、集中治療の支持療法を提供する。いくつかの実施形態では、神経毒性の症状は、脳症、頭痛、振戦、めまい、失語症、せん妄、不眠症、及び不安から選択される。
【0234】
有害事象の管理
いくつかの実施形態では、細胞治療は、有害事象の1つ以上の症状を治療するか、又は予防する(予防的である)1つ以上の薬剤の投与(例えば、ステロイド)又は治療(例えば、減量)の前、最中/同時、及び/又は後に投与される。「予防有効量」は、必要な投与量及び期間で所望の予防結果を達成するための有効量を指す。一実施形態では、予防有効量は、疾患に先立ち、又は早期の段階で対象において使用される。一実施形態では、予防有効量は、治療有効量未満であろう。いくつかの実施形態では、患者は、本明細書の中で記載されるマーカーのうちの1つ以上の発現に基づいて有害事象の管理に選択される。一実施形態では、有害事象の治療又は予防は、細胞療法を受ける、受けている、又は受けたことがある任意の患者に投与される。
【0235】
いくつかの実施形態では、有害事象を管理する方法は、神経毒性の徴候及び症状について注入後に認定医療施設で少なくとも7日間毎日患者をモニタリングすることを含む。いくつかの実施形態では、方法は、注入後4週間、神経毒性及び/又はCRSの徴候又は症状について患者をモニタリングすることを含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、本開示は、ステロイド及び抗IL6/抗IL-6R抗体によって、CAR T細胞治療を受ける対象において有害事象を管理する2つの方法を提供する。一実施形態では、方法は図46に記載されている。一実施形態では、本開示は、コホート4における早期ステロイド介入がコホート1+2において観察されるのと比べてより低い割合の重度のCRS及び神経学的事象と関連することを提示する。一実施形態では、本開示は、コホート4におけるステロイドの早期使用により、累積コルチゾン等価用量の中央値が、コホート1+2におけるそれの約15%になったことを提示し、このことは、早期のステロイド使用がステロイドの総曝露量の低減を可能にし得ることを示唆する。したがって、一実施形態では、本開示は、全てのグレード1以上の神経学的事象について3日後に改善が見られない場合、グレード1のCRSの全症例の管理のためにコルチコステロイド療法が開始される、有害事象の管理方法を提供する。一実施形態では、本開示は、全てのグレード≧2の神経学的事象について3日後に改善が見られない場合、グレード1のCRSの全ての症例の管理のためにトシリズマブが開始される。一実施形態では、本開示は、CAR T細胞投与後の有害事象管理を受けた患者における総ステロイド曝露量を減少させる方法を提供し、この方法は、全てのグレード≧1の神経学的事象について3日後に改善が見られない場合、グレード1のCRSの全ての症例の管理のためのコルチコステロイド療法の開始、及び/又は、全てのグレード≧2の神経学的事象について3日後に改善が見られない場合、グレード1のCRSの全ての症例に対するトシリズマブの開始を含む。一実施形態では、コルチコステロイド及びトシリズマブは、表12に例示されるものから選択されるレジメンで投与される。一実施形態では、本開示は、早期のステロイドの使用が、重度感染のリスクの増加、CAR T細胞の増殖の減少、又は腫瘍応答の減少に関連しないことを提供する。
【0237】
一実施形態では、本開示は、CAR T細胞がん治療におけるレベチラセタム予防の安全性を支持する。一実施形態では、がんは、NHLである。一実施形態では、がんはR/R LBCLであり、患者はアキシカブタゲンシロルユーセルを投与される。したがって、一実施形態では、本開示は、予防用量の抗けいれん薬を患者に投与することを含む、免疫細胞(例えば、CAR T細胞)で治療された患者における有害事象を管理する方法を提供する。いくつかの実施形態では、患者は、CAR T細胞治療(前治療後)の0日目から開始し、また、予防的レベチラセタムの中止後に神経学的事象が発生する場合、グレード≧2の神経毒性の発症時に、レベチラセタム(例えば、750mg経口又は静脈内、1日2回)を投与される。一実施形態では、患者が何らかのグレード≧2の神経毒性を経験しない場合、臨床的に示されるようにレベチラセタムを減らし、中止する。一実施形態では、レベチラセタム予防は、任意の他の有害事象管理プロトコールと組み合わされる。
【0238】
一実施形態では、本開示は、コホート4の有害事象管理プロトコールの対象となる患者におけるCAR T細胞レベルがコホート1+2のCAR T細胞レベルと同等であったことを提示する。一実施形態では、本開示は、CAR関連炎症性事象に関連する炎症性サイトカイン(例えば、IFNγ、IL-2、及びGM-CSF)のレベル数値がコホート4においてコホート1+2より低いことを提示する。したがって、本開示は、CAR T細胞レベルに影響を及ぼすことなくCAR T細胞治療関連炎症性事象を低減する方法であって、コホート4の有害事象管理プロトコールを患者に対して実行することを含む、方法を提供する。本開示は、CAR T細胞療法後の免疫細胞によるサイトカイン産生を低減する方法であって、コホート4の有害事象管理プロトコールを患者に対して実行することを含む、方法も提供する。一実施形態では、この効果は、CAR T細胞増殖及び奏効率に影響を及ぼすことなく達成される。一実施形態では、患者は、R/R LBCLに罹患している。一実施形態では、CAR T細胞治療は、抗CD19 CAR T細胞治療である。一実施形態では、CAR T細胞治療は、アキシカブタゲンシロルユーセルを含む。
【0239】
一実施形態では、本開示は、有害事象管理のためのアキシカブタゲンシロルユーセル後のトシリズマブの早期使用又は予防使用が、グレード3以上のサイトカイン放出症候群を減少させたが、グレード3以上の神経学的事象を増加させたことを提示する。したがって、本開示は、図56に記載されているCAR T細胞療法における有害事象管理のための方法を提供する。一実施形態では、患者は、0日目から開始してレベチラセタムを投与される(750mgを1日2回、経口又は静脈内投与)。グレード2以上の神経学的事象の発症時に、レベチラセタムの用量は、1000mgを1日2回に増加される。患者がなんらのグレード2以上の神経学的事象も示さなかった場合、レベチラセタムは、臨床的必要性に応じて漸減され、中止される。患者は、2日目にトシリズマブも(8mg/kg IVを1時間かけて[800mgを超えないように])投与される。更なるトシリズマブ(±コルチコステロイド)は、共存症を有する患者若しくは高齢の患者におけるグレード2のCRSの発症時、又はそうでなければグレード3以上のCRSの場合に推奨され得る。グレード2以上の神経学的事象を示す患者に対してトシリズマブが開始され、併存症を有する患者若しくは高齢の患者に対して、又はトシリズマブの使用にもかかわらず症状が悪化しているグレード3以上の神経学的事象が発現している場合に、コルチコステロイドが追加される。
【0240】
一実施形態では、本開示は、ステロイドの予防的使用により、アキシカブタゲンシロルユーセル投与後の早期のステロイド使用と同程度まで重度のCRS及びNEの割合が低減されるようであることを提示する。したがって、本開示は、CAR T細胞療法における有害事象管理のための方法であって、患者が0日目(アキシカブタゲンシロルユーセル注入前)、1日目、及び2日目に10mgのデキサメタゾンを経口投与される、方法を提供する。グレード1のNEの発生時に、及び3日間の支持療法後に改善が観察されない場合のグレード1のCRSに対してステロイドも投与される。24時間の支持療法後に改善が観察されない場合のグレード1以上のCRSに対してトシリズマブも投与される。
【0241】
一実施形態では、本開示は、GM-CSFを中和し、かつ/又は枯渇させる抗体によるCAR T細胞療法の有害事象管理により、治療された患者における治療に関連するCRS及び/又はNEが予防又は低減されることを提示する。一実施形態では、抗体は、レンジルマブである。
【0242】
いくつかの実施形態では、有害事象は、IL-6又はIL-6受容体(IL-6R)のアンタゴニスト又は阻害剤である薬剤/複数の薬剤の投与により管理される。いくつかの実施形態では、薬剤は、IL-6活性を中和する抗体、例えば、IL-6又はIL-6Rに結合する抗体又は抗原結合断片である。例えば、いくつかの実施形態では、薬剤は、抗IL-6R抗体であるトシリズマブ(アトリズマブ)又はサリルマブであるか、又はそれを含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、米国特許第8,562,991号に記載される抗IL-6R抗体である。いくつかの例では、IL-6を標的化する薬剤は、抗TL-6抗体、例えば、シルツキシマブ、エルシリモマブ、ALD518/BMS-945429、シルクマブ(CNTO 136)、CPSI-2634、ARGX 109、FE301、FM101、又はオロキズマブ(CDP6038)、及びそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、薬剤は、リガンド-受容体相互作用を阻害することによりIL-6活性を中和し得る。いくつかの実施形態では、IL-6/IL-6Rアンタゴニスト又は阻害剤は、IL-6ムテイン、例えば、米国特許第5591827号に記載されるものである。いくつかの実施形態では、IL-6/IL-6Rのアンタゴニスト又は阻害剤である薬剤は、低分子、タンパク質若しくはペプチド、又は核酸である。
【0243】
いくつかの実施形態では、有害反応及びそれらの症状を管理するために使用され得る他の薬剤としては、サイトカイン受容体又はサイトカインのアンタゴニスト又は阻害剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、サイトカイン又は受容体は、IL-10、TL-6、TL-6受容体、IFNy、IFNGR、IL-2、IL-2R/CD25、MCP-1、CCR2、CCR4、MIP13、CCR5、TNFα、TNFR1、例えば、TL-6受容体(IL-6R)、IL-2受容体(IL-2R/CD25)、MCP-1(CCL2)受容体(CCR2又はCCR4)、TGFβ受容体(TGFβI、II、又はIII)、IFNγ受容体(IFNGR)、MIP1P受容体(例えば、CCR5)、TNFα受容体(例えば、TNFR1)、IL-1受容体(IL1-Ra/IL-1RP)、又はIL-10受容体(IL-10R)、IL-1、及びIL-1Rα/IL-1βである。いくつかの実施形態では、薬剤は、シルツキシマブ、サリルマブ、オロキズマブ(CDP6038)、エルシリモマブ、ALD518/BMS-945429、シルクマブ(CNTO 136)、CPSI-2634、ARGX 109、FE301、又はFM101を含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、サイトカインのアンタゴニスト又は阻害剤、例えば、トランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)、インターロイキン6(TL-6)、インターロイキン10(IL-10)、IL-2、MIP13(CCL4)、TNFα、IL-1、インターフェロンγ(IFN-γ)、又は単球走化性タンパク質-1(MCP-1)である。いくつかの実施形態では、薬剤は、サイトカイン受容体を標的とする(例えば、阻害するか、又はそのアンタゴニストである)もの、例えば、TL-6受容体(IL-6R)、IL-2受容体(IL-2R/CD25)、MCP-1(CCL2)受容体(CCR2又はCCR4)、TGFβ受容体(TGFβI、II、又はIII)、IFNγ受容体(IFNGR)、MIP1P受容体(例えば、CCR5)、TNFα受容体(例えば、TNFR1)、IL-1受容体(IL1-Ra/IL-1RP)、又はIL-10受容体(IL-10R)、及びそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、薬剤は、細胞の投与前、投与後、又は投与と同時に、本明細書の他箇所に記載される方法及び用量のうちの1つにより投与される。
【0244】
いくつかの実施形態では、薬剤は、1mg/kg~10mg/kg若しくは約1mg/kg~10mg/kg、2mg/kg~8mg/kg若しくは約2mg/kg~8mg/kg、2mg/kg~6mg/kg若しくは約2mg/kg~6mg/kg、2mg/kg~4mg/kg若しくは約2mg/kg~4mg/kg、又は6mg/kg~8mg/kg若しくは約6mg/kg~8mg/kg(それぞれ両端を含む)の投与量で投与され、あるいは薬剤は、少なくとも2mg/kg若しくは少なくとも約2mg/kg若しくは約2mg/kg、少なくとも4mg/kg若しくは少なくとも約4mg/kg若しくは約4mg/kg、少なくとも6mg/kg若しくは少なくとも約6mg/kg若しくは約6mg/kg、又は少なくとも8mg/kg若しくは少なくとも約8mg/kg若しくは約8mg/kgの投与量で投与される。いくつかの実施形態では、約1mg/kg~12mg/kg、例えば、10mg/kg又は約10mg/kgの投与量で投与される。いくつかの実施形態では、薬剤は、静脈内注入により投与される。一実施形態では、薬剤は、トシリズマブである。いくつかの実施形態では、薬剤、例えば、特にトシリズマブは、細胞の投与前、投与後、又は投与と同時に、本明細書の他箇所に記載される方法及び用量のうちの1つにより投与される。
【0245】
いくつかの実施形態では、本方法は、臨床症状に基づいてCRSを特定することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、発熱、低酸素症、及び低血圧の他の原因を評価し、治療することを含む。CRSが観察されるか、又は疑われる場合、プロトコールAの推奨事項に従って管理されてもよく、またこれは、CSF/CSFR1系の中和又は低減が含まれる、本開示の他の治療と組み合わせて使用されてもよい。グレード2以上のCRS(例えば、輸液が効果を示さない低血圧、又は酸素補給を必要とする低酸素症)を示す患者は、継続的な心電図遠隔測定及びパルスオキシメトリーでモニタリングする必要がある。いくつかの実施形態では、重度のCRSを示す患者には、心機能を評価するために心エコー図を実行することを検討する。重度又は生命を脅かすCRSの場合、集中治療による支持療法が検討され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法において、トシリズマブの代わりに、トシリズマブのバイオシミラー又は等価物が使用され得る。他の実施形態では、トシリズマブの代わりに別の抗IL6Rが使用され得る。
【0246】
いくつかの実施形態では、有害事象は、以下のプロトコール(プロトコールA)に従って管理される。
【0247】
(a)Lee DWら(2014).Current concepts in the diagnosis and management of cytokine release syndrome.Blood.2014 Jul 10;124(2):188-195。
(b)神経毒性の管理については表2を参照されたい。
(c)詳細については、ACEMTRA(登録商標)(トシリズマブ)処方情報、https://www.gene.com/download/pdf/actemra_prescribing.pdf(最終アクセス日2017年10月18日)。最初の米国の承認は2010年に示されている。
【0248】
神経毒性
いくつかの実施形態では、方法は、神経毒性の徴候及び症状について患者をモニタリングすることを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、神経学的症状の他の原因を排除することを含む。グレード2以上の神経毒性を経る患者は、連続心臓テレメトリー及びパルスオキシメトリーでモニタリングする必要がある。重度又は生命を脅かす神経毒性の場合、集中治療の支持療法を提供する。あらゆるグレード2以上の神経毒性の発作予防のための非鎮静型抗発作薬(例えば、レベチラセタム)を検討する。以下の治療は、CSF/CSFR1軸の中和又は低減などの本開示の他の治療と組み合わせて使用することができる。
【0249】
いくつかの実施形態では、有害事象は、以下のプロトコール(プロトコールB)に従って管理される。
【0250】
【0251】
コルチコステロイドを用いた更なる安全性管理方法
グレード1におけるコルチコステロイド及び/又はトシリズマブの投与は予防的であると考えることができる。支持療法は、全てのCRS及びNE重症度グレードの全てのプロトコールで提供され得る。
【0252】
CRS、トシリズマブ及び/又はコルチコステロイドに関連する有害事象を管理するためのプロトコールの一実施形態では、以下のように投与される:グレード1のCRS:トシリズマブなし;コルチコステロイドなし;グレード2のCRS:トシリズマブ(併存症又は高齢の場合のみ);及び/又はコルチコステロイド(併存症又は高齢の場合のみ);グレード3のCRS:トシリズマブ;及び/又はコルチコステロイド;グレード4のCRS:トシリズマブ;及び/又はコルチコステロイド。CRSに関連する有害事象を管理するためのプロトコールの別の実施形態では、トシリズマブ及び/又はコルチコステロイドが以下のように投与される:グレード1のCRS:トシリズマブ(3日後に改善がない場合);及び/又はコルチコステロイド(3日後に改善がない場合);グレード2のCRS:トシリズマブ;及び/又はコルチコステロイド;グレード3のCRS:トシリズマブ;及び/又はコルチコステロイド;グレード4のCRS:トシリズマブ;及び/又はコルチコステロイド、高用量。
【0253】
NE、トシリズマブ及び/又はコルチコステロイドに関連する有害事象を管理するためのプロトコールの一実施形態では、以下のように投与される:グレード1のNE:トシリズマブなし;コルチコステロイドなし;グレード2のNE:トシリズマブなし;コルチコステロイドなし;グレード3のNE:トシリズマブ;及び/又はコルチコステロイド(トシリズマブに対する改善がない場合のみ、標準用量);グレード4のNE:トシリズマブ;及び/又はコルチコステロイド。
【0254】
NE、トシリズマブ及び/又はコルチコステロイドに関連する有害事象を管理するためのプロトコールの別の実施形態では、以下のように投与される:グレードの1NE:トシリズマブなし;及び/又はコルチコステロイド;グレード2のNE:トシリズマブ;及び/又はコルチコステロイド;グレード3のNE:トシリズマブ;及び/又はコルチコステロイド、高用量;グレード4のNE:トシリズマブ;及び/又はコルチコステロイド、高用量。
【0255】
一実施形態では、コルチコステロイド治療は、グレード2以上のCRSで開始され、トシリズマブは、グレード2以上のCRSで開始される。一実施形態では、コルチコステロイド治療は、グレード1以上のCRSで開始され、トシリズマブは、グレード1以上のCRSで開始される。一実施形態では、コルチコステロイド治療は、グレード3以上のNEで開始され、トシリズマブは、グレード3以上のCRSで開始される。一実施形態では、コルチコステロイド治療は、グレード1以上のCRSで開始され、トシリズマブは、グレード2以上のCRSで開始される。いくつかの実施形態では、2日目に投与されるトシリズマブの予防的使用は、グレード3以上のCRSの割合を減少させ得る。
【0256】
一実施形態では、有害事象は、プロトコールCを含む方法によって管理され得る。
【0257】
治験担当医師の裁量で症状の改善時に漸減される治療法;800mgを超えないこと;AEは、有害事象、CRSは、サイトカイン放出症候群、IVは、静脈内、N/Aは、該当せず、NEは、神経学的事象を示す。
【0258】
この使用には、任意のコルチコステロイドが適切であり得る。一実施形態では、コルチコステロイドは、デキサメタゾンである。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、メチルプレドニゾロンである。いくつかの実施形態では、これら2つを組み合わせて投与する。いくつかの実施形態では、グルココルチコイドとしては、合成及び非合成グルココルチコイドが挙げられる。例示的なグルココルチコイドとしては、アルクロメタゾン、アルギン酸塩、ベクロメタゾン(例えば、ベクロメタゾンジプロピオネート)、ベタメタゾン(例えば、ベタメタゾン17吉草酸エステル、ベタメタゾンナトリウムアセテート、ベタメタゾンナトリウムホスフェート、ベタメタゾン吉草酸エステル)、ブデソニド、クロベタゾール(例えば、プロピオン酸クロベタゾール)、クロベタゾン、クロコルトロン(例えば、クロコルトロンピバレート)、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン及びヒドロコルチゾン(例えば、酢酸ヒドロコルチゾン)、コルチバゾール、デフラザコール、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン(例えば、リン酸デキサメタゾン21、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム)、ジフロラゾン(例えば、ジフロラゾンジアセテート)、ジフルコルトラロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フラザコール、フルクロニド、フルドロコルチゾン(例えば、酢酸フルドロコルチゾン)、フルメタゾン(例えば、フルメタゾンピバレート)、フルニソリド、フルオシノロン(例えば、フルオシノロンアセトニド)、フルオシノニド、フルコルチン、フルトロロン、フルオロメトロン(例えば、酢酸フルオロメトロン)、フルペロロン(例えば、酢酸フルペロン)、フルプレドニデン、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸フルチカゾン)、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロベタソル、ハロメタゾン、ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン(例えば、ヒドロコルチゾン21-ブチレート、ヒドロコルチゾンアセポネート、ヒドロコルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾンブテプレート、ヒドロコルチゾンブチレート、ヒドロコルチゾンシピオネート、ヒドロコルチゾンヘミコハク酸、ヒドロコルチゾンプロブテート、ヒドロコルチゾンリン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾンコハク酸ナトリウム、吉草酸ヒドロコルチゾン)、ロテプレドノールエタボネート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニソロン(メチルプレドニゾロンアセポネート、酢酸メチルプレドニゾロン、ヘミコハク酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム)、モメタゾン(例えば、フロ酸モメタゾン)、パラメタゾン(例えば、酢酸パラメタゾン)、プレドニカルベート、プレドニゾロン(例えば、プレドニゾロン25-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニゾロン21-ヘミコハク酸塩、プレドニゾロン酢酸塩;プレドニゾロンファルネシル酸塩、プレドニゾロンヘミコハク酸塩、プレドニゾロン-21(ベータ-D-グルクロニド)、プレドニゾロンメタスルホ安息香酸、プレドニゾロンステアリン酸塩、プレドニゾロンテブト酸エステル、プレドニゾロンテトラヒドロフタレート)、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン(例えば、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、トリアムシノロンアセトニド21パルミテート、トリアムシノロンジアセテート)、が挙げられるが、これらに限定されない。これらの糖質コルチコイド及びその塩は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osol,ed.,Mack Pub.Co.,Easton,Pa.(16th ed.1980)及びRemington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd Edition,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,Pa.(2013)並びに任意の他の版に詳細に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、グルココルチコイドは、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、及びプレドニゾンの中から選択される。一実施形態では、グルココルチコイドは、デキサメタゾンである。他の実施形態では、ステロイドは、ミネラルコルチコイドである。任意の他のステロイドが、本明細書中に提供される方法で使用され得る。
【0259】
1つ以上のコルチコステロイドは、有害事象の重症度/グレード(例えば、CRS及びNE)に適合し得る任意の用量及び投与頻度で投与され得る。表1及び表2は、それぞれCRS及びNEを管理するための投与レジメンの例を提供する。別の実施形態では、コルチコステロイドの投与は、デキサメタゾン10mgの、1日当たり1~4回の経口又はIV投与を含む。「高用量」コルチコステロイドと呼ばれることもある別の実施形態は、メチルプレドニゾン1g/日を単独で、又はデキサメタゾンと組み合わせてIV投与することを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のコルチコステロイドは、1日当たり1~2mg/kgの用量で投与される。
【0260】
コルチコステロイドは、CRS又は神経毒性などの有害事象に関連する1つ以上の症状を改善するのに有効な任意の量で投与され得る。コルチコステロイド、例えば、糖質コルチコイドは、例えば、70kgの成人ヒト対象に対して、1用量当たり、0.1~100mg若しくは約0.1~100mg、0.1~80mg、0.1~60mg、0.1~40mg、0.1~30mg、0.1~20mg、0.1~15mg、0.1~10mg、0.1~5mg、0.2~40mg、0.2~30mg、0.2~20mg、0.2~15mg、0.2~10mg、0.2~5mg、0.4~40mg、0.4~30mg、0.4~20mg、0.4~15mg、0.4~10mg、0.4~5mg、0.4~4mg、1~20mg、1~15mg、又は1~10mgの量で投与され得る。典型的には、グルココルチコイドなどのコルチコステロイドは、平均的成人のヒト対象に対して、1用量当たり、約0.4~20mgの量、例えば、約、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.75mg、0.8mg、0.9mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、又は20mgの量で投与される。
【0261】
いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、典型的には体重が約70kg~75kgの平均的な成人対象に対して、例えば、0.001若しくは約0.001mg/(対象の)kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.025mg/kg、0.03mg/kg、0.035mg/kg、0.04mg/kg、0.045mg/kg、0.05mg/kg、0.055mg/kg、0.06mg/kg、0.065mg/kg、0.07mg/kg、0.075mg/kg、0.08mg/kg、0.085mg/kg、0.09mg/kg、0.095mg/kg、0.1mg/kg、0.15mg/kg、0.2mg/kg、0.25mg/kg、0.30mg/kg、0.35mg/kg、0.40mg/kg、0.45mg/kg、0.50mg/kg、0.55mg/kg、0.60mg/kg、0.65mg/kg、0.70mg/kg、0.75mg/kg、0.80mg/kg、0.85mg/kg、0.90mg/kg、0.95mg/kg、1mg/kg、1.05mg/kg、1.1mg/kg、1.15mg/kg、1.20mg/kg、1.25mg/kg、1.3mg/kg、1.35mg/kg、又は1.4mg/kgの投与量で投与され得る。
【0262】
一般に、投与されるコルチコステロイド投与の用量は、異なるコルチコステロイド間に効力の差が存在するため、特定のコルチコステロイドに依存する。典型的には、薬物は効力が異なるため、同等の効果を得るための用量が異なる場合があることが理解される。様々なグルココルチコイド及び投与経路に関する効力の点での当量は周知である。当量のステロイド用量(非時間治療的に)に関する情報は、British National Formulary(BNF)37,March 1999に見出され得る。
【0263】
いくつかの実施形態では、有害事象は、以下のプロトコールにより管理される:患者は、T細胞療法の投与の0日目から開始してレベチラセタムを投与される(750mgを1日2回経口又は静脈内投与);グレード2以上の神経学的事象の発症時に、レベチラセタム用量は1000mgを1日2回に増加される;患者がなんらのグレード2以上の神経学的事象も示さなかった場合、レベチラセタムは、臨床的必要性に応じて漸減され、中止される;患者は、2日目にトシリズマブも(8mg/kg IVを1時間かけて[800mgを超えないように])投与される;更なるトシリズマブ(±コルチコステロイド)は、併存疾患を有する患者若しくは高齢の患者におけるグレード2のCRSの発症時、又はそうでなければグレード3以上のCRSの場合に推奨され得る;グレード2以上の神経学的事象を示す患者に対してトシリズマブが開始され、併存疾患を有する患者若しくは高齢の患者に対して、又はトシリズマブの使用にもかかわらず症状が悪化しているグレード3以上の神経学的事象が発現している場合に、コルチコステロイドが追加される。いくつかの実施形態では、レベチラセタムは、予防のために、及びレベチラセタム予防投与の中止後に神経学的事象が発生する場合、グレード2以上の神経毒性の発症時に投与され、及び/又は患者がなんらのグレード2以上の神経毒性も示さない場合、レベチラセタムは、漸減され、中止される。
【0264】
いくつかの実施形態では、有害事象は、以下のプロトコールにより管理される:患者は、0日目(T細胞療法の注入前)、1日目、及び2日目に10mgのデキサメタゾンを経口投与される;グレード1のNEの発生時に、及び3日間の支持療法後に改善が観察されない場合のグレード1のCRSに対してステロイドも投与される;24時間の支持療法後に改善が観察されない場合のグレード1以上のCRSに対してトシリズマブも投与される。
【0265】
二次性悪性腫瘍
いくつかの実施形態では、(例えば、CD19を標的とする)免疫細胞(例えば、CAR T細胞)又は他の遺伝子改変自家T細胞免疫療法で治療された患者は、二次性悪性腫瘍を発症し得る。ある特定の実施形態では、(例えば、CD19を標的とする)CAR T細胞又は他の遺伝子改変同種異系T細胞免疫療法で治療された患者は、二次性悪性腫瘍を発症し得る。いくつかの実施形態では、本方法は、二次性悪性腫瘍について生涯にわたってモニタリングすることを含む。
【実施例
【0266】
実施例1
本実施例は、CLINICAL TRIAL-2臨床試験の分析からの結果を提供する。CLINICAL TRIAL-2試験の研究設計を図1に要約する。診断から24か月以内に疾患が進行した(POD24)患者及び進行しなかった患者の間の安全性及び有効性の結果、並びに薬物動態プロファイルに関する報告をここに示す。初回診断後24か月以内の疾患の進行(POD24)は、マントル細胞リンパ腫(MCL)患者の転帰不良の指標である(Visco C,et al.Br J Haematol.2019;185:940-944)。MCL患者の遡及的分析において、進行時からの全生存期間(OS)中央値は、POD24ではない患者が達しなかったのに対して、POD24患者は12か月であった。自家抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法であるKTE-X19は、再発性/治療抵抗性(R/R)MCLの治療に対して米国及び欧州連合において承認されている(TECARTUS(登録商標)(ブレクスカブタゲンオートルユーセル)処方情報。Kite Pharma,Inc;2021;TECARTUS(登録商標)(自家抗CD19形質導入CD3+細胞)製品特性の概要。Kite Pharma EU B.V.;2021)。極めて重要なフェーズ2 CLINICAL TRIAL-2研究は、ブルトンチロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)を含む1~5回の先行治療に対してR/RであったMCL患者におけるKTE-X19を評価した(Wang M,et al.N Engl J Med.2020;382:1331-1342)。CLINICAL TRIAL-2(N=60)における17.5か月の経過観察中央値の後、客観的奏効率(ORR)は92%であり、完全奏効(CR)率は67%であった(Wang M,et al.Blood.2020;136(Suppl 1):20-22)。全患者の48%及びCR患者の70%は、データ締切日において奏功継続中であった。サイトカイン放出症候群(CRS)及び神経学的事象(NE)は、ほとんどが可逆的であった(N=68人の治療患者)。患者の15%がグレード3以上のCRSを示したのに対し、31%はグレード3以上のNEを有した。2人の患者がグレード5の有害事象(AE)を示し、そのうちの1人のみがKTE-X19関連であった。より長い経過観察において新たな安全性の警告は観察されなかった(Wang M,et al.N Engl J Med.2020;382:1331-1342、Wang M,et al.Blood.2020;136(Suppl 1):20-22)。
【0267】
適格患者は、サイクリンD1過剰発現若しくはt(11;14)の存在のいずれかの記録を有する、病理学的に確認されたマントル細胞リンパ腫(MCL)を患う18歳以上、又はMCLに対する1~5回の先行レジメンに対して再発性/治療抵抗性であった。先行治療は、アントラサイクリン又はベンダムスチン含有化学療法、抗CD20モノクローナル抗体、及びイブルチニブ又はアカラブルチニブを含んでいた。全ての患者は、先行してBTKiを受けた。患者は、先行してBTKi療法を受けていなければならないが、試験エントリー前の直近の治療法である必要はなく、患者は、BTKi療法に対して抵抗性である必要はなかった。適格患者は、100/μL以上の絶対リンパ球数を有した。CD19 CAR-T注入の6週間以内に自家SCTを受けた患者、又はこれまでにCD19標的療法若しくは同種異系SCTを受けた患者は除外した。全ての患者は、CD19 CAR-T細胞治療剤の製造用の細胞を得るために白血球アフェレーシスを受けた。患者は、デキサメタゾン(20~40mg又は当量)、イブルチニブ(560mg、経口(PO)で1日1回)、又はアカラブルチニブ(100mg、POで1日2回)を含む、任意選択のブリッジング療法を受けた。KTE-X19の製造プロセスは、CD4/CD8細胞の正の濃縮によって循環リンパ腫細胞を除去するためのアキシカブタゲンシロルユーセルに対して改変した。この製品は、本明細書では「CAR T細胞」と称する。フルダラビン(30mg/m/日)及びシクロホスファミド(500mg/m/日)による前処置化学療法を、-5日目、-4日目、及び-3日目に投与した後、0日目に、2×10個のCAR T細胞/kgのCD19 CAR-T細胞を単回静脈内注入した。
【0268】
本実施例では、KTE-X19で治療した68人の患者全員について、安全性の結果、薬理学的プロファイル、及び製品属性を報告する。有効性の結果は、1年以上の経過観察(中央値17.5か月)を行った60人の治療患者において報告される。データは、2019年12月31日のデータ締切日で提示される。
【0269】
患者のベースライン特性を表1に要約する。高リスク疾患特性は、POD24の患者及びPOD24ではない患者において共通であった。POD24の患者は、より高い腫瘍量及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベルを有し、より多くが芽球様型MCL であり、これらの患者は、POD24ではない患者よりも適合度が低い可能性があることを示唆した。POD24の患者は、POD24ではない患者よりも高リスクの疾患特性(高腫瘍量、高LDHレベル、及び芽球様型MCL)を有する可能性が高かった。
【0270】
【0271】
全奏効率(ORR;CR、及び部分奏効)は、Lugano分類(Cheson BD et al.,Journal of clinical oncology 2014;32:3059-68)に従って、独立放射線審査委員会によって評価された。ORRは、POD24の患者とPOD24ではない患者との間で類似しており、POD24ではない患者におけるCR率がわずかに高かった(図2)。経過観察中央値である17.5か月の後、KTE-X19は、POD24の患者及びPOD24ではない患者において高いCR率をもたらした。微小残存病変(MRD;感度10-5)を、以前に報告されているように、次世代配列決定によって評価した(Wang M,et al.New Engl J Med.2020;382:1331-1342)。MRDは、4週目に入手可能な試料を有する患者において評価した。類似の割合のMRD陰性も、POD24の患者(75%、n=9/12)及びPOD24ではない患者(79%、n=15/19)の間で観察された。
【0272】
有効性に関連する二次エンドポイントには、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、及び全生存期間(OS)が含まれた(図3)。無増悪生存期間(PFS)中央値は、POD24の患者において11.3か月(95%CI、6.0~NE)であった。PFS中央値は、POD24ではない患者と比較して、POD24の患者の間でより短いようであった。いずれの群においても、奏効期間(DOR)及びOSの中央値には達しなかった(図3)。
【0273】
POD24の患者及びPOD24ではない患者の安全性プロファイルは、概ね類似していた。グレード3以上の有害事象の発生率は、POD24の患者とPOD24ではない患者とで概ね類似していた(表2)。血小板減少症及び好中球減少症の発生率は、POD24ではない患者よりもPOD24の患者において高いようであった。感染症の発生率は、POD24の患者よりもPOD24ではない患者の方が高いようであった。いずれの群においても、グレード5のサイトカイン放出症候群、KTE-X19関連の二次悪性腫瘍、又は 増殖性レトロウイルスの症例はなかった。
【0274】
CRSは、Lee DW,et al.Blood.2014;124:188-195に従ってグレード分けした。CRSの症状及び全ての他のAEは、米国国立がん研究所の有害事象共通用語規準4.03版に従ってグレード分けした。AEは、有害事象、CRSは、サイトカイン放出症候群、POD24の場合、疾患の進行は初回診断後24か月未満であり、POD24ではない場合、疾患の進行は初回診断後24か月以上である。
【0275】
製品属性及び血液中のCAR T細胞レベルは、以前に記載された方法を使用して分析した(Locke FL,et al.Mol Ther.2017;25:285-295)。KTE-X19製品特性は、POD24の患者とPOD24ではない患者との間で類似していた(表3)。POD24の患者は、POD24ではない患者よりも低いCAR T細胞増殖を有するようであった。POD24の患者では、ピークCAR T細胞レベル中央値及び曲線下面積(AUC)中央値は、53.4細胞/μL(範囲、0.2~2566)及び583.4細胞/μL×日数(範囲、1.8-27、743.6;図4)であった。POD24ではない患者は、112.4細胞/μL(範囲、0.2~2589)及び1588.3細胞/μL×日数(範囲、3.8~27,238.7)のピークCAR T細胞レベル中央値及びAUC中央値を有した。
【0276】
【0277】
利用可能なデータを有する有効性評価対象患者の中で、B細胞は、POD24の患者の8/11(73%)及びPOD24ではない患者の7/15(47%)において12か月まで検出可能であった(図5)。CD19標的CAR T細胞l療法による早期介入は、POD24など既知の高リスク因子を有するMCL患者に有益であり得る(Visco C,et al.Br J Haematol.2019;185:940-944)。
【0278】
実施例2
本実施例は、再発/治療抵抗性(R/R)低悪性度非ホジキンリンパ腫(R/R iNHL、NCT03105336)の患者における、CLINICAL TRIAL-5臨床試験、フェーズ2、多施設、アキシカブタゲンシロルユーセルのシングルアーム試験の分析からの結果を提供する。CLINICAL TRIAL-5試験の研究設計を図6に要約する。アキシカブタゲンシロルユーセル(axi-cel)は、2種類以上の全身療法後の再発性/治療抵抗性(R/R)FLの成人の治療に対して米国(US)において承認され、2種類以上の全身療法後のR/R大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の成人に対して米国及び欧州連合において承認された自家抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法である(YESCARTA(登録商標)(アキシカブタゲンシロルユーセル)処方情報。Kite Pharma,Inc;2021;YESCARTA(登録商標)(アキシカブタゲンシロルユーセル)。[製品特性の概要]。Amsterdam,The Netherlands:Kite Pharma EU B.V.;2018)。
【0279】
最初の抗CD20含有化学免疫療法を開始してから24か月以内の進行(POD24)は、低悪性度非ホジキンリンパ腫(iNHL)である患者における低生存率のリスク因子である(Casulo C and Barr P.Blood.2019;133(14):1540-154;Casulo C,et al.J Clin Oncol.2015;33(23):2516-2522)。濾胞性リンパ腫(FL)の患者の約20%がPOD24である。National LymphoCare Studyの観察分析において、早期に進行したFLの患者は、早期に進行しなかった患者(90%)よりも低い5年全生存(OS)率(50%)を有した。これは、CLINICAL TRIAL-5における、POD24の患者及びPOD24ではない患者の間のより長い 経過観察を伴う、安全性及び有効性の結果並びに薬物動態/薬力学的プロファイルに関する報告である。
【0280】
濾胞性リンパ腫(FL)(グレード1~3a)又は辺縁帯リンパ腫(MZL、節性又は節外性)の成人は、2種類以上の治療(抗CD20 mAb+アルキル化剤を含む)及びECOG 0-1の後にR/R疾患を有していた。患者は、白血球アフェレーシスに続いて、コンディショニング療法(-5、-4、及び-3日目に静脈内フルダラビン(30mg/m体表面積)及びシクロホスファミド(500mg/m体表面積))、並びに0日目に2×10個のCAR T細胞/kgでのアキシカブタゲンシロルユーセルの単回注入を受けた。一次エンドポイントは、中央判定による客観的奏効率(ORR)(完全奏効(CR)+部分奏効(PR))とした(Lugano分類による;Cheson BD,et al.J Clin Oncol.2014;32(27):3059-3068.doi:10.1200/JCO.2013.54.8800)。二次エンドポイントには、完全寛解(CR)率(ルガノ分類による;Cheson,et al.J Clin Oncol.2014)、奏効期間(DOR)(DORは、客観的奏効を経験する対象についてのみ定義され、最初の客観的奏効から、疾患進行(Cheson et al,2014による)又は疾患関連死のいずれか早い方までの時間である)、無増悪生存期間(PFS)(PFSは、アキシカブタゲンシロルユーセル注入日から疾患進行(Cheson et al,2014)又は任意の原因による死までの時間として定義される)、全生存期間(OS)(OSは、アキシカブタゲンシロルユーセル注入から死亡の日付までの時間として定義される)、有害事象(AE)の発生率、並びに血中のCAR T細胞及び血清中のサイトカインのレベルが含まれた。一次有効性分析は、80人以上のFL治療患者が12か月以上の経過観察を受けたときに行った。一次分析における17.5か月の経過観察中央値(Jacobson et al.ASH 2020.#700)では、患者の92%に奏功した(76%の完全奏効[CR]率)。FL患者のグレード3以上の神経学的事象(NE;MZL)率は、MZL患者(41%)よりも低かった(15%)。一次分析において、17.5か月の経過観察中央値後の全奏効率(ORR)は、POD24である患者とPOD24ではない患者との間で同様に高かった(93%対92%)。
【0281】
最新の有効性分析は、80人以上のFL治療患者が18か月以上経過観察を受けたときに行った。有効性評価対象患者は、データ締切日(2020年9月14日)の時点で、アキシカブタゲンシロルユーセル注入後に18か月以上の経過観察を受けたFL治療患者及びアキシカブタゲンシロルユーセル注入後に4週間以上の経過観察を受けたMZL治療患者の80人以上を含んでいた。アキシカブタゲンシロルユーセルによる治療を受けたFL患者又はMZL患者、及び抗CD20 mAb+アルキル化剤後の進行に関する利用可能なデータをPOD24分析に含めた(N=129)。
【0282】
ベースライン特性は、POD24の患者とPOD24ではない患者との間で概ね類似していた(表4)。評価対象のFL患者の中で、二方向積和(SPD)による腫瘍量中央値は、POD24の患者及びPOD24ではない患者において数値的に類似していた(2303mm対2839mm)。評価対象のMZL患者の中では、POD24の患者の中のSPD中央値は、POD24ではない患者よりも高いようであった(2028mm対954mm)。
【0283】
GELF基準によって定義される疾患負荷:3以上の結節部位(それぞれ直径3cm以上)を伴う;直径7cm以上の任意の結節性又は結節外腫瘍塊;B症状;巨脾腫;胸水又は腹水;血球減少症;又は白血病。1種類の先行治療を受けた3人のFL患者の登録は、2種類以上の先行治療を要するプロトコール修正の前にCLINICAL TRIAL-5で行われた。直近の先行治療の完了の6か月以内に進行したiNHL患者。FLは、濾胞性リンパ腫、FLIPIは、濾胞性リンパ腫国際予後指標、GELFは、Groupe d’Etude des Lymphomes Folliculaires;MZLは、辺縁帯リンパ腫、PI3Kiは、ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤、POD24の場合、疾患の進行は最初の抗CD20含有化学免疫療法を開始してから24か月未満であり、SCTは、幹細胞移植を意味する。
【0284】
有効性に関連する二次エンドポイントには、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、及び全生存期間(OS)が含まれた。全奏効率(ORR;CR、及び部分奏効)は、Lugano分類に従って、独立放射線審査委員会によって評価された(Cheson BD et al.,Journal of clinical oncology 2014;32:3059-68)。ORRは、POD24の有効性評価対象患者及びPOD24ではない有効性評価対象患者間で類似していた(図7;表5)。POD24の患者及びPOD24ではない患者では、それぞれ17.1か月及び17.5か月の経過観察中央値後に、推定奏効期間中央値(DOR)に達しなかった(図8A図8B図8C;表5)。POD24の有効性評価対象患者の52%及びPOD24ではない有効性評価対象患者の70%は、データ締切日において奏功中であった。POD24の患者及びPOD24ではない患者における18か月DOR率は、それぞれ60%及び78%であった。POD24の患者及びPOD24ではない患者は、無増悪生存期間中央値(PFS)及びOS中央値に達しなかった(図8B、8C;表5)。POD24の患者及びPOD24ではない患者における18か月PFS率は、それぞれ55%及び84%であった。18か月OS率は、それぞれ85%及び94%であった。
【0285】
CRは、完全奏効、DOR、奏功期間;FLは、濾胞性リンパ腫、moは、月数、MZLは、辺縁帯リンパ腫、NDは、未実施/未定義、NEは、推定不可、NRは、未到達、
OSは、全生存期間PFSは、無増悪生存期間、POD24の場合、疾患の進行は最初の抗CD20含有化学免疫療法を開始してから24か月未満であり、PRは、部分奏効を意味する。
【0286】
グレード3以上の有害事象の発生率は、POD24の患者とPOD24ではない患者とで概ね類似していた(表6)。サイトカイン放出症候群(CRS)の状況における1つの事象を含むグレード5の事象が、3人のPOD24患者で生じた。POD24ではない患者では、グレード5の事象は生じなかった。1人のPOD24患者では、グレード4のCRSが生じた。グレード4の神経学的事象は、2人のPOD24患者で生じた。POD24ではない患者では、グレード4のCRS又は神経学的事象は生じなかった。
【0287】
血液中のCAR T細胞レベル、血清中のサイトカインレベル、及び製品属性、並びにそれらの臨床転帰との関連性を、以前に記載された方法を使用することによって分析した(Locke FL,et al.Mol Ther.2017;25:285-295)。
【0288】
有効性評価対象のFL患者において、ピークCAR T細胞レベル中央値は、POD24の患者及びPOD24ではない患者において類似していた(それぞれ、36.9個の細胞/μL及び34.5個の細胞/μL;図I9A)。AUC中央値もまた、POD24の患者及びPOD24ではない患者の間で類似していた(それぞれ、422.5個の細胞/μL×日数及び407.6個の細胞/μL×日数。(図9B)。CCL17(TARC)及びCCL22(MDC)の治療前レベルは、POD24ではない患者よりもPOD24の患者において高かった。アキシカブタゲンシロルユーセルの毒性に関連するバイオマーカーのピークレベルは、POD24の治療患者及びPOD24ではない治療患者の全員において概ね類似していた(表7)。群間の薬物動態学的/薬力学的所見は、MZL患者において類似していた。
【0289】
P値は、ウィルコクソンの順位和検定を使用して計算した。使用したアッセイにおける定量化の下限。使用したアッセイにおける定量化の上限。ピークでは、2人のFL患者のデータが入手不能であった。CCLは、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド、CRPは、C反応性タンパク質、CXCL、C-X-Cモチーフケモカインリガンド;FLは、濾胞性リンパ腫、GM-CSFは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、IFNは、インターフェロン、ILは、インターロイキン、MCP-1は、単球走化性タンパク質1、POD24の場合、疾患の進行は最初の抗CD20含有化学免疫療法を開始してから24か月未満であり、RAは、受容体アンタゴニスト、SAAは、血清アミロイドA、TNFは、腫瘍壊死因子を意味する。
【0290】
アキシカブタゲンシロルユーセル後の再発時に利用可能なデータを有する、より広範なCLINICAL TRIAL-5集団の14人の患者(13人のFL、1人のMZL)のうちの100%で、CD19を検出可能であった。検出可能なCD19は、POD24の患者及びPOD24ではない患者からの評価可能な全ての生検において確認された。アキシカブタゲンシロルユーセル製品属性は、POD24の患者及びPOD24ではない患者の間で概ね類似していた(表8)。
【0291】
利用可能なデータに基づく:POD24、n=57;POD24ではない、n=36(CCR7+CD45RA+細胞)及びn=35(CD4/CD8比)。axi-celは、アキシカブタゲンシロルユーセル、FLは、濾胞性リンパ腫、IFNは、インターフェロン、POD24の場合、疾患の進行は最初の抗CD20含有化学免疫療法を開始してから24か月未満である。
【0292】
アキシカブタゲンシロルユーセルは、POD24 iNHL患者において高率の持続的な奏効を示した。いずれの群においてもPFSの中央値に達しなかったが、18か月での推定PFS率は、POD24ではない患者よりもPOD24の患者で低いようであった。FL患者の中で、以前に再発と関連していた、分析物のより高い治療前レベル(CC17[TARC]及びCCL22[MDC](Plaks V,et al.AACR 2021.#CT036))は、POD24ではない患者よりもPOD24の患者において観察され、18か月PFS率における差異に潜在的に寄与した。安全性プロファイルは、POD24の患者及びPOD24ではない患者において同様に管理可能であった。FL患者の中で、治療後の薬物動態プロファイル及び薬力学的プロファイルは、POD24の患者及びPOD24ではない患者においてほぼ同等であるようであった。アキシカブタゲンシロルユーセルは、POD24 iNHL患者、特に高リスク疾患の集団にとって有望な選択肢であり得る。
【0293】
実施例3
この実施例では、KTE-X19及びアキシカブタゲンシロルユーセルの2種類の抗CD19 CART療法の特徴を確認した。KTE-X19の製造プロセスは、CD4/CD8細胞の正の濃縮によって循環リンパ腫細胞を除去するためのアキシカブタゲンシロルユーセルに対して改変した。細胞を、CD3(汎T細胞マーカー)、CD14、CD19(B細胞マーカー)、CD45(汎白血球マーカー)、及びCD56(活性化及びNKマーカー)に対する蛍光結合抗体で標識し、フローサイトメトリーによって評価した。細胞生存率を、viability dye(SYTOX、近IR)の死細胞染色を使用して評価した。アッセイの定量下限(LLOQ)は0.2%であり、NK細胞及び単球については5%であった。NK細胞のパーセンテージを決定した(NK細胞は、CD45、CD14、CD3、及びCD56であり、T細胞は、CD45、CD14、及びCD3であった)。23ロットのアキシカブタゲンシロロイセル及び97ロットのKTE-X19のNK細胞のパーセンテージの中央値は、それぞれ、1.9%(範囲、0.8%~3.2%)及び0.1%(範囲、0.0%~2.8%)であった。同じロットのアキシカブタゲンシロロイセル及びKTE-X19のCD3細胞不純物の中央値は、それぞれ、2.4%(範囲、0.9%~4.6%)及び0.5%(範囲、0.3%~3.9%)であった。KTE-X19(ブレクスカブタゲンオートルユーセル、TECARTUS)及びアキシカブタゲンシロルユーセル(YESCARTA)の細胞生存率は、それぞれ72%及以上及び80%以上であり、抗CD19 CAR発現では、それぞれ24%以上及び15%以上であり、IFN-γ産生では、それぞれ190pg/mL以上及び520pg/mL以上であり、CD3細胞のパーセンテージでは、それぞれ90%以上及び85%以上であった。ブレクスカブタゲンオートルユーセルは、主にCD3+T細胞(99.3%±0.8%)からなり得、これは、CD4+(37.9%±16.5%)サブセット及びCD8+(59.3%±16.5%)サブセットに更に分類される。循環リンパ腫細胞の存在は、エクスビボ製造中の抗CD19 CAR T細胞の製造失敗及び枯渇においても役割を有し得る。
【0294】
実施例4
本実施例は、再発性/治療抵抗性(R/R)B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL;全治療患者の経過観察中央値:36.1か月)の小児/青年期患者における、KTE-X19、自家抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)T療法(上記)の安全性及び有効性を評価する、フェーズ1/2の多施設共同研究であるCLINICAL TRIAL-4(NCT02625480)の3年間の結果を参照する。低用量である1×10個のCAR T細胞/kgを投与された患者について、1つは総体積40mL、他方は体積68mLで、2つの製剤をフェーズ1で調査した。40mL製剤は、凍結/解凍プロセス中に細胞密度及び細胞生存率を維持することを意図していた。体重100kg超の対象では、最大固定用量の2×10又は1×10個の抗CD19 CAR T細胞を投与した。一次エンドポイントは、用量制限毒性(DLT)の発生率であった。31人の登録患者のうち、24人(年齢中央値13.5歳、範囲3~20)にKTE-X19を投与し、経過観察中央値は36.1か月であった。DLTは観察されなかった。全治療患者が、グレード3以上の有害事象、概して低血圧(50%)及び貧血(42%)を有した。グレード3のサイトカイン放出症候群の割合は、2×10個、1×10個(68mL製剤)、及び1×10個(40mL製剤)のCAR T細胞/kgの全治療群において、33%、75%、27%、及び22%であり、それぞれ患者の21%、25%、27%、及び11%が、グレード3以上の神経学的事象を経験した。全完全寛解(CR)率(CR及び不完全な血液学的回復を伴うCR)は、2×10個、1×10個(68mL製剤)、及び1×10個(40mL)のCAR T細胞/kgの全治療群において、それぞれ67%、75%、64%、及び67%であった。全MRD陰性率は、奏効者の間で100%であった。1×10個(40mL)群(推奨フェーズ2用量)では、寛解期間及び全生存期間の中央値に達しなかった。R/R B-ALLの小児/青年期患者は、KTE-X19の単回投与後に、管理可能な安全性プロファイルを有する高MRD陰性寛解率に達した。フェーズ2は、1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)の用量で進行中である。
【0295】
CLINICAL TRIAL-4のフェーズ1部分において、適格患者は、年齢21歳以下、体重6kg以上、R/R B-ALLのみを患い、第一選択治療に対して不適応、2種類以上の全身療法後にR/R、又は患者が登録時にalloSCTから100日以上であり、登録前に免疫抑制薬を4週間以上投与されていない場合にalloSCT後にR/Rと定義された。ブリナツモマブによる先行治療は許可された。用量制限毒性(DLT)を以下のように定義した。すなわち、基礎疾患に起因しない場合、30日超続くグレード4の血液毒性(リンパ球減少症を除く);全てのKTE-X19関連グレード3非血液毒性が7日超持続する;持続期間にかかわらず、全てのKTE-X19関連グレード4非血液毒性(例外は表9に記載されている)。-4、-3、及び-2日目の静脈内(IV)でのフルダラビン25mg/m/日、並びに-2日目のIVでのシクロホスファミド900mg/mの単回投与からなるコンディショニング化学療法を開始する前に、白血球アフェレーシス後の特定のブリッジング化学療法が許可され、少なくとも7日又は5半減期のいずれか短い方で完了した。KTE-X19の単回IV注入は、2×10個又は1×10個のCAR T細胞/kgの標的用量で0日目に投与した。注入後の入院は最低7日間を要した。3か月目の来診を完了した全患者は、生存及び疾患状態についての長期経過観察期間に進み、18か月目までは3か月毎に、24か月目から60か月目までは6か月毎に、次いで15年までは年1回、生存及び疾患状態について経過観察を行った。患者が更なる経過観察の同意を撤回した場合、経過観察不能になった場合、又は死亡した場合、研究から除外することができた。同種異系幹細胞移植(alloSCT)は、プロトコールに従って必要とされなかったが、治験担当医師の裁量で許可された。
【0296】
追加のフェーズ1組み入れ基準
5%超の骨髄芽球を有する形態学的疾患:
1.スクリーニング時に80%以上のLansky又はKarnofskyパフォーマンスステータス
2.フィラデルフィア染色体陽性疾患患者も、チロシンキナーゼ阻害剤療法に不耐性であった場合、又は少なくとも2つの異なるチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)を用いた治療にもかかわらずR/R疾患を有していた場合に適格であった
3.ブリナツモマブで事前に治療された患者の場合、CD19発現が90%以上である白血病性芽球が求められた
4.治験担当医師の意見で、細胞減少症が、潜在的な白血病に起因し、白血病の治療によって潜在的に可逆的ではない場合、500/μL以上の絶対好中球数(ANC)
5.治験担当医師の意見で、細胞減少症が、潜在的な白血病に起因し、白血病の治療によって潜在的に可逆的ではない場合、50,000/μL以上の血小板数
6.100/μL以上の絶対リンパ球数
7.十分な腎臓、肝臓、肺、及び心臓機能は以下のように定義された:
a.60mL/分以上のクレアチニンクリアランス(コッククロフト・ゴールト式又はシュワルツ式により推定)
b.5×正常上限(ULN)以下の血清アラニンアミノトランスフェラーゼ及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
c.1.5×ULN以下の総ビリルビン(ジルベール症候群患者を除く)
d.30%以上の左心室短縮率又は50%以上の左心室駆出率、心エコー検査によって決定されるような心嚢液貯留の証拠なし、及び臨床的に有意な不整脈なし
e.臨床的に問題となる胸水がないこと
f.92%超の室内空気中のベースライン酸素飽和度
8.妊娠の可能性がある女性(初経を有すると定義される)は、血清又は尿妊娠検査が陰性でなければならない
【0297】
追加のフェーズ1除外基準
1.世界保健機関分類によるバーキット白血病/リンパ腫の診断、又は慢性骨髄性白血病の急性転化
2.3年以上無病でない場合を除き、非黒色腫皮膚がん又は上皮内がん以外の悪性腫瘍の既往歴
3.アミノグリコシド又はこの試験で使用される薬剤のいずれかに対する重度の過敏症反応の既往歴
4.任意の中枢神経系(CNS)疾患、例えば、けいれん障害、脳血管虚血/出血、認知症、小脳疾患、CNSが関与する任意の自己免疫疾患、可逆性白質脳症、又は脳浮腫の既往歴又は現病歴
a.神経学的変化(CNS-2)を伴う5個未満の白血球/mm3を有する脳脊髄液試料中の検出可能な脳脊髄液芽細胞、又は神経学的変化(CNS-3)を伴う若しくは伴わない、5個以上の白血球/mm3を有する脳脊髄液試料中の検出可能な脳脊髄液芽細胞も除外した
5.ファンコニ貧血、コストマン症候群、又はシュバッハマン-ダイアモンド症候群などの骨髄不全に関連する随伴性遺伝症候群の既往歴
6.登録12か月以内の心筋梗塞、心臓血管形成術又はステント留置、不安定狭心症、又は他の臨床的に重大な心疾患の既往歴
7.登録の6ヵ月以内の症候性の深在静脈血栓症又は肺動脈塞栓症の病歴
8.原発性免疫不全症
9.HIV、B型肝炎、又はC型肝炎ウイルスによる既知の感染。B型肝炎又はC型肝炎の既往歴は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び/又は核酸試験によってウイルス負荷が検出不能である場合に許可される
10.コントロール不能であるか、又は管理のために抗菌剤の静脈内投与を必要とする真菌性感染症、細菌性感染症、ウイルス性感染症、他の感染症の現病歴。単純な尿路感染症及び合併症のない細菌性咽頭炎は、積極的治療に応答した場合は、Kiteメディカルモニターとの相談後に許可される
11.先行薬物治療
a.登録前1週間又は5半減期(いずれか短い方)以内のサルベージ全身療法(化学療法、Ph+ALL向けTKI、及びブリナツモマブを含む)
b.ブリナツモマブ以外の先行CD19標的療法
c.先行CD19標的療法によるCommon Terminology Criteria for Adverse Eventsグレード4の神経学的事象歴又はグレード4のCRS歴(Lee et al 2014による)
d.登録前6か月以内のアレムツズマブ、登録前3か月以内のクロファラビン若しくはクラドリビン、又は登録前3週間以内のPEG-アスパラギナーゼ
e.登録前28日以内のドナーリンパ球注入
f.登録前4週間以内に移植片対宿主病(GVHD)に使用される任意の薬物(例えば、カルシニューリン阻害剤、メトトレキサート、ミコフェノレート、ラパマイシン、サリドマイド)又は登録前4週間以内に使用される免疫抑制抗体(例えば、抗CD20、抗腫瘍壊死因子、抗インターロイキン6、若しくは抗インターロイキン6受容体)
g.任意の全身性阻害性/刺激性免疫チェックポイント分子先行療法から、少なくとも3半減期を経過している必要がある(例えば、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、OX40アゴニスト、4-1BBアゴニスト)
h.薬理学的用量のコルチコステロイド療法(0.7mg以上/kg/日のヒドロコルチゾン又は当用量のコルチコステロイド)及び他の免疫抑制薬は、登録前7日間は回避しなければならない
12.任意の留置ライン又は留置ドレイン(例えば、経皮腎瘻チューブ、留置フォーリーカテーテル、胆管ドレイン、又は胸膜/腹膜/心膜カテーテル)が存在すること。Ommayaリザーバ及び専用の中心静脈アクセスカテーテル、例えばPort-a-Cath又はHickmanカテーテルは許可される
13.Glucksberg基準によるグレードII~IV、又はInternational Bone Marrow Transplant Registry指標による重症度B~Dの急性GVHD。登録前4週間以内に全身治療を必要とする急性又は慢性GVHD
14.登録前4週間以内の生ワクチン
15.胎児又は乳児に対する予備化学療法の潜在的悪影響のため、妊娠又は授乳している妊娠の可能性がある女性
16.同意取得からKTE-X19の完了後6か月まで、避妊を実施する意思がない、子供をもうける可能性がある男性及び女性の被験者
17.治験担当医師の判断で、経過観察来院を含むプロトコールに必要な全ての試験来院若しくは試験手順を完了しそうになかったか、又は参加のための試験要件を遵守しそうになかった対象
18.この2年以内に、終末器官損傷を生じるか、又は全身性免疫抑制/全身性疾患改変剤を必要とする、自己免疫疾患(例えば、クローン病、慢性関節リウマチ、全身性狼瘡)の既往歴。
【0298】
研究設計及び治療は以下のとおりであった:フェーズ1の目的は、KTE-X19の安全性を評価し、用量制限毒性(DLT)の発生率及び全体的な安全性プロファイルに基づいて、KTE-X19の推奨フェーズ2用量(RP2D)を決定することであった。DLTは、以下のように定義した。すなわち、基礎疾患に起因しない場合、30日間超続くグレード4の血液学的毒性(リンパ球減少症を除く)、全てのKTE-X19関連グレード3非血液毒性が7日超持続する;持続期間にかかわらず、全てのKTE-X19関連グレード4非血液毒性(例外は表9に記載されている)。-4、-3、及び-2日目の静脈内(IV)でのフルダラビン25mg/m/日、並びに-2日目のIVでのシクロホスファミド900mg/m2の単回投与からなるコンディショニング化学療法を開始する前に、白血球アフェレーシスの後の特定のブリッジング化学療法が許可され、少なくとも7日又は5半減期のいずれか短い方で完了した。KTE-X19の単回IV注入は、2×10個又は1×10個のCAR T細胞/kgの標的用量で0日目に投与した。注入後の入院は最低7日間を要した。3か月目の来診を完了した全患者は、生存及び疾患状態についての長期経過観察期間に進み、18か月目までは3か月毎に、24か月目から60か月目までは6か月毎に、次いで15年までは年1回、生存及び疾患状態について経過観察を行った。患者は、更なる経過観察の同意を撤回した場合、経過観察不能になった場合、又は死亡した場合、研究から除外することができた。同種異系幹細胞移植(alloSCT)は、プロトコールに従って必要とされなかったが、治験担当医師の裁量で許可された。
【0299】
CRSは、サイトカイン放出症候群、DLT、用量制限的毒性;TLSは、腫瘍溶解症候群を意味する。
【0300】
DLTを、2×10個のCAR T細胞/kgの開始用量で治療した最初の3人の患者において評価した。更に1人の患者を登録して、2×10個のCAR T細胞/kgを投与した。安全性審査チームは、これらの患者を注入後28日間追跡し、その後の患者に1×10個のCAR T細胞/kgを投与した後の安全性データを評価して、リスク:利益比を改善するためにCRS及びNEのリスクを軽減する可能性を評価した(Shah BD et al.,J Clin Oncol 37:abstr 7006,2019;Shah BD et al.,Blood In Press,2021)。リスク:利益比を更に最適化するために、1×10個のCAR T細胞/kgで、第2のコホートの患者について、投与製剤を68mLから40mLに改変した。この小児研究集団における予想患者体重を考慮して、40mL製剤は、より低い最終製品体積の潜在的リスクを軽減するために、68mL製剤よりも高い細胞密度を提供することを意図した。患者は、CAR T細胞製造用の細胞を得るために白血球アフェレーシスを受け、続いてその後のコンディショニング化学療法を受けた。CAR T細胞製造のために新鮮な白血球アフェレーシス材料を使用した。白血球アフェレーシスとコンディショニング化学療法との間に、特定のブリッジング化学療法を許可した(表10)。
【0301】
上記レジメンのいずれかと組み合わせたTKIの使用は、Ph+ALL患者及びPh様ALL患者に対して許可される;ビンクリスチンに耐えられない患者については、別のアルカロイドが使用され得る。FLAG化学療法投与中のメトトレキサートの髄腔内投与との併用治療は、回避するべきである。ALLは、急性リンパ芽球性白血病、ANCは、絶対好中球数、FLAG、フルダラビン、高用量シタラビン、及びG-CSF;G-CSFは、顆粒球コロニー刺激因子、IVは、静脈内、Phは、フィラデルフィア染色体、PO、経口;SC、皮下;TKIは、チロシンキナーゼ阻害剤、VAD、ビンクリスチン、ドキソルビシン、及びデキサメタゾン。
【0302】
KTE-X19は、2×10個又は1×10個のCAR T細胞/kg(68mL又は40mL製剤)のそれぞれの標的用量で0日目に投与した。注入後の入院は最低7日間を要し、その後、所定の時点で反応評価を行った。3か月目の来診を完了した全患者は、生存及び疾患状態についての長期経過観察期間に進み、18か月目までは3か月毎に、24か月目から60か月目までは6か月毎に、次いで15年までは年1回、生存及び疾患状態について経過観察を行った。患者が更なる経過観察の同意を撤回した場合、経過観察不能になった場合、又は死亡した場合、研究から除外することができた。同種異系幹細胞移植(alloSCT)は、プロトコールに従って必要とされなかったが、治験担当医師の裁量で許可された。
【0303】
1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)を投与されている患者を、改訂毒性管理ガイドラインの下で治療した。トシリズマブは、サイトカイン放出症候群(CRS)の状況で神経学的事象(NE)に対してのみ投与され、ステロイドはグレード2のNEに対して開始された。1×10個のCAR T細胞/kg(68mL)コホートについては、元の毒性管理ガイドラインでグレード3のNEに対して開始された(表11)。
【0304】
【0305】
予防的レベチラセタムは全てのグレードに適用される。代替療法の開始は、メディカルモニターと協議するべきであり、アナキンラ、シルツキシマブ、ルキソリチニブ、シクロホスファミド、静脈内免疫グロブリン、及び抗胸腺細胞グロブリンを含む(ただし、これらに限定されない)。
BIDは、1日2回、CRSは、サイトカイン放出症候群、CSFは、脳脊髄液、EEGは、脳電図、ICUは、集中治療室、IVは、静脈内、MRIは、磁気共鳴画像検を意味する
【0306】
結果と評価
フェーズ1の一次エンドポイントは、2×10個のCAR T細胞/kgの用量のKTE-X19で治療された最初の3人の患者を含むDLT評価可能セットにおけるDLTの発生率であった。二次エンドポイントには、安全性、全CR率(CR+CRi)、寛解期間(DOR)、MRD陰性率、alloSCT率、OS、及び無再発生存率(RFS)が含まれた。サイトカイン放出症候群(CRS)の個々の症状及び神経学的事象(NE)を含む有害事象を、NCI 有害事象(AE)共通用語規準4.03版に従ってグレード分けした。CRSは、Lee et al.,Blood.2014;124(2):188-195の修正版基準に従ってグレード分けした。全奏効は、以下の表に詳述されるように、骨髄及び末梢血評価後に治験担当医師によって決定された(Cheson BD et al.,J Clin Oncol.2007;25(5):579-586)。骨髄評価及び奏効評価は28日目、並びに2か月目及び3か月目に行った。ブリッジング化学療法を受けた患者では、ブリッジング化学療法の終わりと-4日目(+/-2日)の間に追加の骨髄吸引液が必要であった。骨髄外疾患患者については、以下の表に詳述されるように、改訂された悪性リンパ腫のInternational Working Groupの基準における骨髄外及びCNS疾患の奏効基準に従って奏功を評価した(Cheson BD et al.,J Clin Oncol.2007;25(5):579-586)。微小残存病変(MRD)を、以下のマーカー、すなわちCD3、CD9、CD10、CD13/CD33、CD19、CD20、CD34、CD38、CD45、CD58、及びCD71を使用して0.01%の感度でフローサイトメトリー(Neogenomics)によって試験した(Gupta S et al.,Leukemia.2018;32(6):1370-1379;Borowitz MJ et al.,Blood.2015;126(8):964-971;Bruggemann M et al.,Hematology Am Soc Hematol Educ Program.2017;2017(1):13-21)。MRD陰性は、標準評価による10-4未満のMRDとして定義される。28日目並びに2か月目及び3か月目に採取した骨髄吸引液の一部をMRDについて分析した。小児のR/R B-ALLにおけるKTE-X19の薬物動態学的及び薬力学的プロファイルを探索的エンドポイントとして評価するために、製品、血液、及び腫瘍試料に対して翻訳解析を行った。薬物動態学的及び薬力学的評価並びに臨床転帰との関連は、以前に記載されている(Locke FL et al.,Mol Ther.2017;25(1):285-295)。全体的な疾患奏功は、表12に記載されるとおりであった。
【0307】
Plt及びANCの単位は1μL当たりである。ANC及びPlt値は、BM評価が実行されるたびに評価されるべきである。行われない場合、奏功評価に使用されるANC及びPlt値は、BM結果の7日前の任意の時間からBM結果後の任意の時間までであり得る。§非CNS EMDについて評価された患者において、全体的な疾患奏功の評価に使用される画像化及び骨髄の結果は、互いに30日以内でなければならない。BMにおける形態による芽球。28日目又は最初の推定奏功時のいずれか早い方における、CRに達した患者について。**循環白血病は、形態による1%未満の循環芽球ではない。循環白血病は、形態による1%以上の循環芽球である。形態による芽球が1%以上であり、白血病の他の証拠がない場合、芽球が白血病であることを確認するために、フロー又は分子研究を行うべきである。ANCは、好中球絶対数、BM、骨髄;CNS、中枢神経系;CR、完全寛解;CRhは、部分的な血液学的回復を伴う完全寛解、CRiは、不完全な血液学的回復を伴う完全寛解、EMDは、骨髄外疾患;PDは、進行性疾患、Pltは、血小板;PRは、部分奏効を意味する。
【0308】
結果
患者
2016年2月17日から2018年8月1日の間に31人の患者が登録され、白血球アフェレーシスを受けた。白血球アフェレーシスからKTE-X19製品放出までの時間中央値は、全治療患者について14.0日(範囲、9.0~20.0)、白血球アフェレーシスから研究施設への送達まで16.5日(範囲、12.0~23.0)、及び白血球アフェレーシスから注入まで27.0日(範囲、18.0~41.0)であった。データ締切日は、2020年9月9日であった。31人の登録患者のうち、24人(77%)がコンディショニング化学療法を受け、続いて投薬された。7人の患者は、以下の理由により投薬されなかった:有害事象(AE;n=1)、製品入手不能(n=3)、AEにより不適格(n=1)、製品入手不能かつ不適格(n=1)、及び死亡(n=1)。24人の患者がコンディショニング化学療法を受け、続いてKTE-X19を受けた。4人の患者が2×10個のCAR T細胞/kg用量を投与され、11人の患者が1×10個のCAR T細胞/kg(68mL)用量製剤を投与され、9人が1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)用量製剤を投与された。全治療患者の経過観察中央値は、36.1か月(範囲、24.0~53.9)であった。治療患者の年齢中央値は、13.5歳(範囲、3~20)であり、42%の患者が、3種類以上の先行治療を受けており、29%が一次治療抵抗性疾患を有しており、25%がalloSCT後にR/Rであり、スクリーニング時の骨髄芽球中央値は44%であった(範囲、6~99;表13)。登録前に、6人(25%)の患者が先行alloSCTを受け、8人(33%)が先行ブリナツモマブを受け、そのうちの3人(13%)が最後の先行治療としてブリナツモマブを受け、1人(4%)が髄外疾患を有していた。31人の登録患者のうち、30人(97%)は、リンパ球枯渇化学療法の直前に行われた新たなベースライン疾患評価と共に、プロトコールに従ってブリッジング療法を受けた。安全性分析及び有効性分析は、投薬を受けた24人の患者全員について提示される。
【0309】
【0310】
安全性
2×10個のCAR T細胞/kgを投与された3人のDLT評価対象患者の中では、DLTは観察されなかった。全治療患者(n=24)は、少なくとも1回のグレード3以上のAE、最も一般的には低血圧(50%)、及び貧血(42%、表14)を経験した。任意のグレードの重篤なAEは、患者の71%で生じた。グレード3以上の感染症は、患者の42%で生じた。
【0311】
表には、全患者の20%以上で生じた、任意のグレードの有害事象が含まれる。
【0312】
全治療患者(n=24)において、CRSは、21人の患者(88%)で報告され、8人の患者(33%)は、修正版Leeグレード分け基準によるグレード3以上のCRSを経験した(表15)(Lee DW et al.,Blood 124:188-95,2014)。グレード4又はグレード5のCRS事象は生じなかった。最も一般的なグレード3以上のCRS症状は、低血圧(50%)及び発熱(25%)であった。任意のグレード及びグレード3以上の低酸素症が、患者の13%及び8%でそれぞれ観察された。CRSの発症までの時間中央値及びKTE-X19注入後の持続期間は、それぞれ5日(範囲、1~14)及び7日であり、全ての事象が消散した。
【0313】
全患者の10%以上で生じるCRS症状及び神経学的事象を含む。サイトカイン放出症候群は、Lee et al.Blood,2014によって提案された修正版グレーディングシステムに従って分類された。
【0314】
全治療患者中、16人の患者(67%)において任意のグレードのNEが報告され、5人の患者(21%)においてグレード3以上の事象が生じ、脳症(13%)が最も一般的なグレード3以上の事象であった(表15)。1×106個のCAR T細胞/kg(68mL)用量を投与された患者において、グレード4の完全可逆性NEが1回発生した(脳浮腫)。この事象のために、患者をデキサメタゾン、マンニトール、塩化ナトリウム、及びトシリズマブで治療した。グレード5のNEはなかった。全体として、NEの発症までの時間中央値は注入後9.5日(範囲、3~60)であり、NEの持続期間中央値は8日であった。NEは、16人の患者のうち14人(88%)で消散した。残りの2人の患者のNEは、AE(n=1)又は進行性疾患(n=1)による死亡時に進行中であった。
【0315】
全治療患者のうち、42%がステロイドを投与され、63%がトシリズマブを投与され、46%が昇圧剤を投与された(表15)。元のガイドライン下で2×10個のCAR T細胞/kgで治療した4人の患者及び1×10個のCAR T細胞/kg(68mL)で治療した11人の患者と比較して、改訂毒性管理下で1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)用量で治療した9人の患者では、改善された全体的な安全性が観察された。2×10個のCAR T細胞/kgを投与された患者のうち、75%がグレード3以上のCRSを経験し、それに対して1×10個のCAR T細胞/kgを投与された患者は27%及び22%であった(それぞれ68mL及び40mL)。グレード3以上のNEは、2×10個のCAR T細胞/kgを投与された患者の25%及び1×10個のCAR T細胞/kg(68mL)を投与された患者の27%において観察されたが、1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)を投与された患者においては最低(11%)であった。加えて、NE及びCRSの発症までの時間中央値は、2×10個のCAR T細胞/kg用量コホートと比較して、1×10個のCAR T細胞/kg用量コホートにおいて遅延するようであった。
【0316】
研究で死亡した8人の患者(33%)のうち、6人が進行性疾患(KTE-X19注入後中央値190.5日)で死亡し、2人の患者が、播種性ムコール症(n=1、KTE-X19注入後15日目)及び大腸菌敗血症(n=1、KTE-X19注入後409日目)を含む、KTE-X19と無関係と考えられるAE(グレード5のB-ALL以外)で死亡した。死亡した患者のうち、3人の患者が2×10個のCAR T細胞/kgを投与され、4人が1×10個のCAR T細胞/kg(68mL)を投与され、1人が1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)を投与された。いずれの時点においても、増殖性レトロウイルス又は抗CD19 CARに対する抗体について陽性の試験患者はいなかった。
【0317】
有効性
36.1か月(範囲、24.0~53.9)の経過観察中央値で、全治療患者(n=24)が有効性の評価対象であった。治験担当医師の評価による全寛解率は67%であり、患者の29%(n=7)がCRに達し、38%がCRiに達した(n=9;表16)。2×10個、1×10個(68mL)、及び1×10個(40mL)のCAR T細胞/kg用量群において、CR+CRi率は、それぞれ75%、64%、及び67%であった。複数の用量レベルにわたる注入からCR+CRiまでの時間中央値は、30日(範囲、26~113日)であった。全MRD陰性率は、CR+CRiの16人の患者の間で100%であった。2×10個、1×10個(68mL)、及び1×10個(40mL)のCAR T細胞/kg用量群のそれぞれ2人、8人、及び6人の患者を含む、全体で16人の患者(67%)が、続いての地固め療法としてalloSCTを受けた。CR+CRiに達した16人の患者のうち14人(88%)(2×10個、1×10個[68mL]、及び1×10個[40mL]のCAR T細胞/kg用量群のそれぞれ2人、7人、及び5人)は、続いてのalloSCTを受けた。これらの患者のうち2人は、続いてのalloSCTの前に再発し、両者とも、alloSCTに進む前に地固め化学療法を受けた。CR+CRiに達したが、続いてのalloSCTを受けなかった2人の患者のうち、1人は進行性疾患のために死亡し、1人は経過観察不能であった。いずれの奏功にも達しなかった2人の患者は、続いてのalloSCTに進み、alloSCTに対する奏功としてCRに達した。全治療患者の移植までの時間中央値は、KTE-X19後2.3か月(範囲、1.4~24.9)であった。
【0318】
【0319】
KTE-X19後にCR+CRiに達した16人の患者のDOR中央値は、続いてのalloSCTの打ち切り後に7.2か月(95%CI、4.1~14.2)であり、2×10個、1×10個(68mL)、及び1×10個(40mL)のCAR T細胞/kg用量群においてそれぞれ4.1か月、10.7か月であり、達しなかった。DOR中央値は14.2か月(95%CI、3.9~NE)であり、続いてのalloSCTの打ち切り及びチロシンキナーゼ阻害剤の再開は行われなかった。KTE-X19後の続いてのalloSCTを受けたCR+CRiの14人の患者の間のDOR中央値は、10.7か月であった(95%CI、7.2~14.2)。全治療患者(n=24)のRFS中央値は、5.2か月(95%CI、0.0~17.8)であった。1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)群のRFS中央値には達せず、2×10個及び1×10個(68mL)の細胞/kgコホートでは、それぞれ、5.2か月(95%CI、0.0~5.2)及び9.1か月(95%CI、0.0~17.8)であった。続いてのalloSCTに進んだ16人の患者の間のRFS中央値は、9.1か月であった(95%CI、9.1~17.8)。OS中央値は、全治療患者の間で、及び1×10個のCAR T細胞/kg用量群において達せず、2×10個のCAR T細胞/kg用量群については8.0か月であった。1×10個の細胞/kg(40mL)用量の24か月OS率は、1×10個の細胞/kg(40mL)用量では87.5%(95%CI、38.7~98.1)であり、1×10個の細胞/kg(68mL)用量では72.7%(95%CI、37.1~90.3)であった。全体として、データ締切日の時点で、治療患者の33%(8/24)が死亡し、1人の患者が完全同意の撤回のために中止し、1人が経過観察不能であった。患者の残りの58%(14/24)は、依然として生存しており、データ締切日の時点で継続経過観察中であり、その全員がKTE-X19後に続いてのalloSCTを受けた。安全性及び有効性のデータ分析に基づいて、RP2Dは、改訂毒性管理を用いた1×10個のKTE-X19細胞/kg(40mL製剤)であった。
【0320】
翻訳解析
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって測定され、血液中のCAR遺伝子コピー数/μg DNAとして表される末梢血中のCAR T細胞増殖は、用量群にわたって観察され、14日目までにピークCAR T細胞レベルに達し、その後、ベースラインへのCAR T細胞収縮が続いた(表17)。CAR T細胞レベル中央値は、KTE-X19注入の3か月後に、全て用量群にわたってPCRによって血液中で検出不能であった(表17)。血液中のピークCAR遺伝子コピー数/μg DNA中央値は、1×10個のCAR T細胞/kg用量コホート間で類似していたが、2×10個のCAR T細胞/kgコホートではそれよりも高かった(図10A)。CR+CRiに達した患者は、MRD陽性と比較してMRD陰性患者がそうであったように、非奏功者よりも高いピークの血液中の血液CAR遺伝子コピー数/μg DNAに向かう傾向があった(図10C)。血液中CAR遺伝子コピー数/μg DNAは、グレード2以下のNEを有する患者と比較してグレード3以上のNEを有する患者においてより高い傾向にあった(図10D)。ただし、この限定された試料サイズでは、高グレード又は低グレードのいずれかのCRS患者では、血液中のピークCAR遺伝子コピー数/μg DNAに明らかな差はなかった。血液中のピークCAR遺伝子コピー数/μg DNA中央値は、先行ブリナツモマブを受けなかった16人の患者では5.16×10(範囲、0~2.40×10)であり、先行ブリナツモマブを受けた8人の患者では6.15×10(範囲、0~2×49×10)であった。
【0321】
【0322】
複数の重要な血清サイトカイン、ケモカイン、及び炎症促進性バイオマーカーのピークレベルは、7日目までに生じた。ピークCAR増殖に比例して、いくつかの血清分析物は、1×10個のCAR T細胞/kgと比較して2×10個のCAR T細胞/kgを投与された患者においてより高い傾向にあった(インターロイキン[IL]-2、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-15、IL-16、フェリチン、グランザイムB、細胞間接着分子1[ICAM-1]、インターフェロンガンマ[IFN-γ]、及び腫瘍壊死因子アルファ[TNF-α])(図11;表18)。
【0323】
【0324】
【0325】
分析物VCAM-1及びIL-16のピーク血清レベルは、グレード3以上CRSと関連していた。このような関連性は、3以上のNEを有する対象では観察されなかった。これは、3以上のNEを有する患者が少数であったことに起因した可能性がある(表19)。
【0326】
値は、使用したアッセイにおける定量化の下限を表す。値は、使用したアッセイにおける定量化の上限を表す。CRPは、C反応性タンパク質、CXCL、C-X-Cモチーフケモカインリガンド;GM-CSFは、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、IFNγは、インターフェロンγ、ICAMは、細胞間接着分子、ILは、インターロイキン、IP、インターフェロンγ誘導タンパク質;MCP、単球誘引性タンパク質;Rα、受容体α;RAは、受容体アンタゴニスト、SAAは、血清アミロイドA、TNF-αは、腫瘍壊死因子α、VCAMは、血管細胞接着分子を示す。
【0327】
製品特性は、用量レベルにわたって類似していた(表20)。製品中のあまり分化していないCCR7+T細胞のレベルは、CR+CRiの患者においてより高く、MRD陰性患者においてより高い傾向があった(表21)。
【0328】
【0329】
この製品プロファイルはまた、より高レベルの神経毒性を伴う傾向があるようであったが、CRSとは関連しなかった。CD4 T細胞対CD8 T細胞の比は、奏功又は毒性とは関連しなかった。
【0330】
CR、完全寛解;CRiは、不完全な血液学的回復を伴う完全寛解、CRSは、サイトカイン放出症候群、MRDは、微小残存病変、NEは、神経学的事象を示す。
【0331】
CLINICAL TRIAL-4のフェーズ1において、DLT評価対象であるR/R B-ALLの小児患者又は青年期患者の中で、KTE-X19によるDLTは観察されなかった。2×10個のCAR T細胞/kgの初回用量ではDLTは観察されなかったが、リスク:利益比を更に改善するために、68mL製剤を用いた1×10個のCAR T細胞/kgの低用量を患者の第2のコホートにおいて調査し、1×10個のCAR T細胞/kgの第3のコホートにおいて、40mL製剤及び改訂毒性管理を用いて投薬及び毒性管理を更に最適化した。これによって、1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)用量レベルについてより最適なリスク:利益比がもたらされ、CRS及びNEが顕著に改善された。加えて、MRD陰性率は、全製剤について73%以上であったが、MRD陰性率及びCRのみの比率は、1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)を投与された患者において最も高かった。全治療患者での36.1か月の経過観察後、1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)コホートは、DOR、RFS、及びOSの中央値に依然として達せず、24か月OS率は87.5%であり、R/R B-ALLの小児/青年期患者における、最適化されたKTE-X19の投薬/製剤による奏功の有意な持続性を潜在的に示唆している。
【0332】
R/R B-ALLの小児/青年期患者における抗CD19 CAR T細胞療法後のalloSCTの役割は、まだ十分に理解されておらず、成人集団における研究は、やや矛盾する結果を提供した(Park JH et al.,N Engl J Med 378:449-459,2018;Hay KA et al.,Blood 133:1652-1663,2019)。本研究では、36.1か月の経過観察中央値(全治療患者の中央値)後に1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)のRP2Dで治療された患者は、続いてのalloSCTで打ち切られたDOR及びOSの中央値に達しなかった。RP2Dで治療された5人を含む、CR+CRiに達した16人の患者のうち14人(88%)は、続いての治療としてalloSCTを受けた。alloSCTは、プロトコールに従って必要とされなかったが、治験担当医師の裁量で許可された。CLINICAL TRIAL-4は、ほとんどの奏功患者がKTE-X 19後にalloSCTに進まなかったことを考慮して、続いての治療後の転帰を評価するように設計されなかったが、alloSCTを含むその後の治療の打ち切りを伴わないDORの評価は、14.2か月の好ましい中央値を明らかにした。加えて、続いてのalloSCTの打ち切りを伴うRFS中央値は5.2か月であったが、打ち切りを伴わない値は9.1か月であり、これは、KTE-X 19後のalloSCTの潜在的に好ましい影響を示している。alloSCTを受けたことがないが、抗CD19 CAR T細胞療法後に地固めalloSCTを受けるR/R CD19+ALLの小児及び若年成人は、1年以上の経過観察で改善された無白血病生存に向かう傾向があることがこれまでに報告されている(Summers C.et al.,Blood 132:967-967,2018)。最近公開された、MRD陰性奏功患者の75%がalloSCTに進む、R/R B-ALLの小児及び若年成人における抗CD19 CAR T細胞療法のフェーズ1研究では、4.8年の経過観察時のOS中央値は、alloSCT後70.2か月であり、alloSCT後の5年無事象生存率は61.9%であり、alloSCT後再発の累積再発率はわずか9.5%であった(Shah NN.et al.,Journal of Clinical Oncology 0:JCO.20.02262)。これらのデータは、続いてのalloSCTが、小児R/R B-ALLにおけるCAR T細胞療法後の寛解を維持するために重要であり得ることを示唆する。小児及び若年成人患者における遡及的検討は、CAR T細胞療法後のCD 34選択T細胞枯渇alloSCTが、非改変alloSCTを用いた場合の移植関連死亡率及びOSと比較してこれらの改善をもたらし得ることを見出した(Fabrizio VA et al.,Bone Marrow Transplant 55:2160-2169,2020)。CLINICAL TRIAL-4における血中CAR T細胞レベル中央値は、注入後3か月において全用量にわたって検出不能であり、alloSCTまでの時間中央値は2.3か月であり、全患者数が少なく、続いてのalloSCTの割合が高いことを考慮すると、CAR T細胞の持続性と奏功の持続性との間の関連性を検討するべきである。チサゲンレクロイセルを用いた研究では、本研究とは対照的に、続いてのalloSCTを奏功患者の少数(12%~13%)で実施し、経過観察中央値は13.1か月と短く、一方、チサゲンレクロイセルを受けた奏功患者のおよそ40%は、CAR T細胞が持続しているにもかかわらず、ほとんどがCD19陰性白血病を既に再発していた(Maude SL et al,N Engl J Med 378:439-448,2018;Grupp SA et al,Blood 132:895-895,2018;Pasquini MC et al.,Blood Adv 4:5414-5424,2020.)。
【0333】
試験設計及び患者集団の差異が直接的な試験間比較を妨げる一方で、CD19も標的とするブリナツモマブを用いた最近の研究は、成人ALLでの結果と同様に、小児R/R B-ALLにおいてわずか7.7か月のOS中央値を示す(Kantarjian H et al,N Engl J Med 376:836-847,2017)。また、ブリナツモマブに関して、続いてのalloSCTを用いた地固めは、改善した結果を示した(続いてのalloSCTを行う患者対行わない患者の12か月RFS率:それぞれ70%対30%)(Locatelli F et al,Blood 136:24-25,2020)。加えて、ブリナツモマブによる寛解率は、高腫瘍量を有する小児患者(ベースラインで50%以上の芽球;33% CR)に対して、低ベースライン腫瘍量(ベースラインで50%芽球未満の芽球;56% CR)を有する小児患者の間の方が高い(von Stackelberg A et al.,J Clin Oncol 34:4381-4389,2016)。CLINICAL TRIAL-4において、寛解率とベースライン骨髄芽球との間の明確な関連は明らかではなかった。これは、CR率が、ベースライン腫瘍量において、5%超~25%以下、25%超~50%以下、50%超~75%以下、及び75%超~100%の芽球を有する患者でそれぞれ89%、25%、100%、及び50%であったためである。しかしながら、各四分位数に含まれる患者が少数であること、並びにベースライン時の腫瘍量中央値が比較的高いことにより、解釈が制限される(図12)。これは、CD19標的CAR T細胞療法を使用する別の小児及び若年成人の研究と一致しており、疾患負荷に基づく奏功率に差はない(Gardner RA et al.,Blood 129:3322-3331,2017)。CLINICAL TRIAL-4からのデータは、KTE-X19が、ブリナツモマブで報告された結果と比較して、高疾患負荷患者の患者においてより好ましい有効性を提供する可能性を有することを示唆する。CLINICAL TRIAL-4では、先行ブリナツモマブを受けた患者において、より低いCR+CRi率に向かう傾向が観察されたようであった。
【0334】
CLINICAL TRIAL-4におけるAEプロファイルは、抗CD19 CAR T細胞療法の先行研究と一致した。KTE-X19を受けた24人の患者について、白血球アフェレーシスから研究施設への送達までの時間中央値は、16.5日であった。比較すると、チサゲンレクロイセルは、白血球アフェレーシス産物の受け取りから研究施設への送達まで23日のスループットタイム中央値を有する(Tyagarajan S et al.,Mol Ther Methods Clin Dev 16:136-144,2020)。CLINICAL TRIAL-4における治療患者の迅速なターンアラウンドタイムは、迅速に増殖するALLの設定における実現可能性を支持する。RP2Dが確立されると、CLINICAL TRIAL-4は試験のフェーズ2部分に移行した。
【0335】
R/R小児ALLにおいて満たされていない医学的必要性は、早期に再発するか、又は21%~28%の5年OS率を有する一次治療抵抗性疾患を有する患者についてが最も高い(Sun W et al.,Leukemia 32:2316-2325,2018;Crotta A et al.,Curr Med Res Opin 34:435-440,2018;Nguyen K et al.,Leukemia 22:2142-50,2008;Rheingold SR et al.,Journal of Clinical Oncology 37:10008-10008,2019;Oskarsson T et al.,Haematologica 101:68-76,2016;Schrappe M et al.,N Engl J Med 366:1371-81,2012)。加えて、治療に関連する罹患率及び死亡率のリスクは、初回及び以降のラインの治療終了時のMRD陽性疾患の患者が、検出不能なMRDを有する患者よりも3~5倍高い。3 この進化する、満たされていない医学的必要性に対処するために、CLINICAL TRIAL-4を更に修正して、MRD陽性疾患の患者並びに初期の初回再発(18か月以下)を有する患者を含むように適格性基準を広げた。更に、第2のコホートは、R/R NHL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、及び原発性縦隔B細胞リンパ腫)の小児患者に対して開かれた。
【0336】
実施例5
再発性又は治療抵抗性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を有する成人患者における第二選択療法としての現在の標準治療(白金ベースのサルベージ併用化学療法レジメンに続いて、サルベージ化学療法に対して効果を示す患者における高用量療法及び自家幹細胞移植)に対するアキシカブタゲンシロルユーセルの安全性及び有効性を評価するための、非盲検グローバル多施設共同フェーズ3試験を実施した。この試験では、359人の患者が、アキシカブタゲンシロルユーセルの単回注入又は現在の標準治療の第二選択療法を投与されるように無作為化された(1:1)。一次エンドポイントは、無作為化からLugano分類(Cheson et al,J Clin Oncol.2014 Sep 20;32(27):3059-68を参照のこと)に従った疾患の進行、新たなリンパ腫の治療開始、又は何らかの原因による死亡のうちの最も早い日付までの時間と定義された無事象生存期間(EFS)であった。主要な二次エンドポイントは、客観的奏効率(ORR)及び全生存期間(OS)を含む。他の二次エンドポイントには、修正された無事象生存期間、無増悪生存期間(PFS)、及び奏効期間(DOR)が含まれる。試験に登録された患者は、22~81歳の範囲であり、65歳を超える患者は30%であった。この実施例に記載される試験により、再発性又は治療抵抗性LBCLの成人患者における、第二選択の標準治療(SOC)と比較したアキシカブタゲンシロルユーセル細胞療法の1回の注入が評価された。試験SOC群は、以下の2工程のプロセスであった:最初の再発後に免疫化学療法が再導入され、患者が効果を示し、かつ更なる治療に耐えられ得る場合に、高用量化学療法+幹細胞移植に移る。
【0337】
主要な組み入れ基準:
1.WHO 2016により定義された以下の種類が含まれる、組織学的に証明された大細胞型B細胞リンパ腫(Swerdlow et al Blood.2016 May 19;127(20):2375-90.doi:10.1182/blood-2016-01-643569.Epub 2016 Mar 15.Review.を参照のこと)
DLBCL・非特異型(ABC/GCB)
MYC及びBCL2及び/又はBCL6再構成を伴うか、又は伴わないHGBL
FLから発生したDLBCL
T細胞/組織球豊富型大細胞型B細胞リンパ腫
慢性炎症関連DLBCL、
原発性皮膚DLBCL・下肢型、
エプスタイン・バーウイルス(EBV)陽性DLBCL
2.第一選択の化学免疫療法後の再発性又は治療抵抗性疾患
第一選択療法に対して完全寛解を示さない疾患と定義される治療抵抗性疾患(第一選択の治療に不耐性である個体は除外される)。
第一選択の治療に対する最良奏効としての進行(PD)
少なくとも4クールの第一選択療法(例えば、4クールのR-CHOP)後の最良奏効としての病勢安定(SD)
少なくとも6クール後の最良奏効としての部分奏効(PR)及び治療の12ヵ月以内の生検により証明された残存病変又は疾患の進行
第一選択の治療に対する完全寛解に続く、第一選択療法の12ヵ月以内の生検により証明された再発として定義される再発性疾患
3.個体は、少なくとも以下を含む適切な第一選択療法を受けていなければならない:
腫瘍がCD20陰性であると治験担当医師が判断していない限り、抗CD20モノクローナル抗体、及び
アントラサイクリンを含む化学療法
4.リンパ腫による中枢神経系関与の既知の既往歴又は疑いなし
5.0又は1の東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス
6.以下によって証明される十分な骨髄機能:
1000個/uL以上の絶対好中球数(ANC)
75,000個/uL以上の血小板
100個/uL以上の絶対リンパ球数
7.以下によって証明される十分な腎機能、肝機能、心臓機能及び肺機能:
60mL/分以上のクレアチニンクリアランス(コッククロフト・ゴールト式)
正常値上限(ULN)の2.5倍以下の血清中アラニンアミノトランスフェラーゼ/アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ALT/AST)
1.5mg/dl以下の総ビリルビン
50%以上の心駆出率、心エコー図(ECHO)により決定して心膜液の証拠がないこと、かつ臨床的に問題となる心電図(ECG)所見がないこと
臨床的に問題となる胸水がないこと
室内気で92%超のベースライン酸素飽和度
【0338】
主要な除外基準は以下の通りであった:
1.少なくとも3年間無病でない場合を除き、黒色腫以外の皮膚がん又は上皮内がん(例えば、子宮頸部、膀胱、乳房)以外の悪性腫瘍の病歴
2.DLBCLに対して2種類以上の治療を受けていること
3.自家又は同種異系幹細胞移植歴
4.コントロール不能であるか、又は管理のために抗菌剤の静脈内投与を必要とする真菌性感染症、細菌性感染症、ウイルス性感染症、他の感染症の現病歴。
5.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)又はB型肝炎ウイルス(HBsAg陽性)若しくはC型肝炎ウイルス(抗HCV陽性)感染症の既往歴。B型肝炎又はC型肝炎の治療歴がある場合、ウイルス量が、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)及び/又は核酸検査によって検出不可能でなければならない。
6.検出可能な脳脊髄液中の悪性細胞若しくは既知の脳転移を有する個体、又は脳脊髄液中の悪性細胞若しくは脳転移の病歴を有する個体。
7.非悪性中枢神経系(CNS)疾患の病歴又は現病歴、例えば、発作疾患、脳血管虚血/出血、認知症、小脳疾患、又はCNS障害を伴う任意の自己免疫疾患
8.任意の留置ライン又はドレインの存在。専用の中心静脈カテーテル、例えば、Port-a-Cath又はヒックマンカテーテルは許容される。
9.登録の12ヵ月以内の心筋梗塞の病歴、心臓血管形成術又は心臓ステント術の既往、不安定狭心症、ニューヨーク心臓協会によるクラスII以上のうっ血性心不全、又は他の臨床的に問題となる心臓病の病歴
10.登録の6ヵ月以内の症候性の深在静脈血栓症又は肺動脈塞栓症の病歴
11.最近2年間以内の全身性免疫抑制剤及び/又は全身性疾患修飾剤を必要とする自己免疫疾患の病歴
12.抗CD19若しくはCAR-T治療歴又は以前に無作為化された過去があること
【0339】
試験の一次分析は、第二選択の再発性又は治療抵抗性大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)におけるアキシカブタゲンシロルユーセルの標準治療(SOC)と比較した優位性を示した。本試験では、無事象生存期間の一次エンドポイント(event free survival、EFS;ハザード比0.398、p<0.0001)、及び客観的奏効率(ORR)の主要な二次エンドポイントが達成された。全生存期間(OS)の中間解析は、アキシカブタゲンシロルユーセルの方が優れているという傾向を示したが、データは未完成であり、更なる解析及び/又は試験が必要であり得る。
【0340】
試験の安全性成績は、3次治療条件におけるLBCLの治療でのアキシカブタゲンシロルユーセルの既知の安全性プロファイルと一貫していた。6パーセントの患者がグレード3以上のCRSを示し、21%がグレード3以上の神経学的事象を示した。新たな安全上の懸念は、この2次治療条件において特定されなかった。
【0341】
検証されたフローサイトメトリー法を使用し、T細胞分化の既知の表面マーカーであるCCR7及びCCR 45 RAを分析して、この研究からアキシカブタゲンシロルユーセル製品においてT表現型を評価した。メトリックを、サイトカイン放出症候群(CRS)及び神経学的事象のグレードによって分析した。P値はKruskal-Wallis検定によって得た。
【0342】
表22は、グレード2以上のCRS事象の発生に関連する、注入されたセントラルメモリーT細胞(CCR7+CD45RA-)の総数を示し(グレード1及び事象なしと比較して)、一方、表23は、グレード3以上の神経学的事象の発生に関連する、注入されたエフェクターメモリー及びエフェクターT細胞(CCR7-)の総数を示す(グレード2、1、及び事象なしと比較して)。これらのデータは、アキシカブタゲンシロルユーセル中の異なるTサブセットが毒性と示差的に関連していることを明らかにしている。
【0343】
【0344】
【0345】
【0346】
【0347】
【0348】
実施例6
本実施例は、上記の実施例4からの追加及び経過観察の結果を提示する。
【0349】
フェーズ1では、2つの用量レベル及び製剤を調査した。一次エンドポイントは、用量制限毒性(DLT)の発生率であった。31人の登録患者のうち、24人にKTE-X19を投与した(年齢中央値13.5歳、範囲3~20歳;経過観察中央値36.1か月)。DLTは観察されなかった。全治療患者が、グレード3以上の有害事象、概して低血圧(50%)及び貧血(42%)を有した。グレード3のサイトカイン放出症候群の割合は、2×10個、1×10個(68mL製剤)、及び1×10個(40mL製剤)のCAR T細胞/kgの全治療群において、33%、75%、27%、及び22%であり、それぞれ患者の21%、25%、27%、及び11%が、グレード3以上の神経学的事象を経験した。全完全寛解(CR)率(不完全な血液学的回復を伴うCRを含む)は、2×10個、1×10個(68mL)、及び1×10個(40mL)のCAR T細胞/kgの全治療群において、それぞれ67%、75%、64%、及び67%であった。全微小残存病変(MRD)陰性率は、奏効者の間で100%であり、奏功者の88%が続いての同種異系幹細胞移植(alloSCT)を受けた。1×10個(40mL)群(推奨フェーズ2用量)では、alloSCTで打ち切られた寛解期間中央値及び全生存期間中央値に達しなかった。R/R B-ALLの小児/青年期患者は、KTE-X19の単回投与後に、管理可能な安全性を有する高MRD陰性寛解率に達した。フェーズ2は、1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)用量で進行中である。
【0350】
結果
患者
2016年2月17日から2018年8月1日の間に31人の患者が登録され、白血球アフェレーシスを受けた。白血球アフェレーシスからKTE-X19製品放出までの時間中央値は、全治療患者について14.0日(範囲、9.0~20.0)、白血球アフェレーシスから研究施設への送達まで16.5日(範囲、12.0~23.0)、及び白血球アフェレーシスから注入まで27.0日(範囲、18.0~41.0)であった。31人の登録患者のうち、24人(77%)がコンディショニング化学療法を受け、続いて投薬された。7人の患者は、以下の理由により投薬されなかった:有害事象(AE;n=1)、製品製造不能(n=3)、AEにより不適格(n=1)、製品製造不能かつ不適格(n=1)、及び死亡(n=1)。24人の患者がコンディショニング化学療法を受け、続いてKTE-X19を受けた。4人の患者が2×10個のCAR T細胞/kg用量を投与され、11人が1×10個のCAR T細胞/kg(68mL)用量製剤を投与され、9人が1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)用量製剤を投与された。全治療患者の経過観察中央値は、36.1か月(範囲、24.0~53.9)であった。治療患者の年齢中央値は、13.5歳(範囲:3~20)であり、42%の患者が、3種類以上の先行治療を受けており、29%が一次治療抵抗性疾患を有しており、25%がalloSCT後にR/Rであり、スクリーニング時の骨髄芽球中央値は44%であった(範囲、6~99)。登録前に、6人(25%)の患者が先行alloSCTを受け、8人(33%)が先行ブリナツモマブを受け(最後の先行治療としてブリナツモマブを受けた3人(13%)を含む)、1人(4%)が髄外疾患を有していた。31人の登録患者のうち、30人(97%)は、リンパ球枯渇化学療法の直前に行われた新たなベースライン疾患評価と共に、プロトコールに従ってブリッジング療法を受けた。
【0351】
安全性
2×10個のCAR T細胞/kgを投与された3人のDLT評価対象患者の中では、DLTは観察されなかった。全治療患者(n=24)は、少なくとも1回のグレード3以上のAE、最も一般的には低血圧(50%)、及び貧血(42%)を経験した。任意のグレードの重篤なAEは、患者の71%で生じた。グレード3以上の感染症は、患者の42%で生じた。
【0352】
CRSは、24人の治療患者のうち21人(88%)において報告され、8人(33%)が、修正版Leeグレーディング基準によるグレード3以上のCRSを経験した。33グレード4又はグレード5のCRS事象は生じなかった。最も一般的なグレード3以上のCRS症状は、低血圧(50%)及び発熱(25%)であった。任意のグレード及びグレード3以上の低酸素症が、患者の13%及び8%でそれぞれ観察された。CRSの発症までの時間中央値及びKTE-X19注入後の持続期間は、それぞれ5日(範囲、1~14)及び7日であり、全ての事象が消散した。
【0353】
全治療患者中、16人の患者(67%)において任意のグレードのNEが報告され、5人の患者(21%)においてグレード3以上の事象が生じ、脳症(13%)が最も一般的なグレード3以上の事象であった。1×10個のCAR T細胞/kg(68mL)を受けた患者において、グレード4の完全可逆性NEが1回発生した(脳浮腫)。この事象を管理するために、患者をデキサメタゾン、マンニトール、塩化ナトリウム、及びトシリズマブで治療した。グレード5のNEはなかった。全体として、NEの発症までの時間中央値は、注入後9.5日(範囲、3~60)であり、最初のCRSの消散から最初のNEの発症までの時間中央値は4日(範囲、-3~52[4人の患者では、最初のCRSは、最初のNEの発症後に消散した])であり、NEの持続期間中央値は8日であった。NEは、16人の患者のうち14人(88%)で消散した。残りの2人の患者のNEは、AE(n=1)又は進行性疾患(n=1)による死亡時に進行中であった。NEを経験した16人の患者のうち10人(63%)は、同時にCRSを有していた。
【0354】
全治療患者のうち、42%がステロイドを投与され、63%がトシリズマブを投与され、46%が昇圧剤を投与された。元のガイドライン下で2×10個のCAR T細胞/kgで治療した4人の患者及び1×10個のCAR T細胞/kg(68mL)で治療した11人の患者と比較して、改訂毒性管理下で1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)用量で治療した9人の患者では、改善された全体的な安全性が観察された。2×10個のCAR T細胞/kgを投与された患者のうち、75%がグレード3以上のCRSを経験したのに対し、1×10個のCAR T細胞/kgを投与された患者は27%及び22%であった(それぞれ68mL及び40mL)。グレード3以上のNEは、2×10個のCAR T細胞/kgを投与された患者の25%及び1×10個のCAR T細胞/kg(68mL)を投与された患者の27%において観察されたが、1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)を投与された患者が最低(11%)であった。加えて、NE及びCRSの発症までの時間中央値は、2×10個のCAR T細胞/kg用量コホートと比較して、1×10個のCAR T細胞/kg用量コホートにおいて遅延するようであった。
【0355】
研究で死亡した8人の患者(33%)のうち、6人が進行性疾患(KTE-X19注入後中央値190.5日)で死亡し、2人の患者が、播種性ムコール症(n=1、KTE-X19注入後15日目)及び大腸菌敗血症(n=1、KTE-X19注入後409日目)を含む、KTE-X19と無関係と考えられるAE(グレード5のB-ALL以外)で死亡した。死亡した患者のうち、3人の患者が2×10個のCAR T細胞/kgを投与され、4人が1×10個のCAR T細胞/kg(68mL)を投与され、1人が1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)を投与された。いずれの時点においても、増殖性レトロウイルス又は抗CD19 CARに対する抗体について陽性の試験患者はいなかった。
【0356】
有効性
36.1か月(範囲、24.0~53.9)の経過観察中央値で、全治療患者(n=24)が有効性の評価対象であった。治験担当医師の評価による全寛解率は67%であり、患者の29%(n=7)がCRに達し、38%がCRiに達した(n=9)。2×10個、1×10個(68mL)、及び1×10個(40mL)のCAR T細胞/kg用量群において、CR+CRi率は、それぞれ75%、64%、及び67%であった。複数の用量レベルにわたる注入からCR+CRiまでの時間中央値は、30日(範囲、26~113日)であった。全MRD陰性率は、CR+CRiの16人の患者の間で100%であった。2×10個、1×10個(68mL)、及び1×10個(40mL)のCAR T細胞/kg用量群のそれぞれ2人、8人、及び6人の患者を含む、全体で16人の患者(67%)が、続いての地固め療法としてalloSCTを受けた。CR+CRiに達した16人の患者のうち14人(88%)(2×10個、1×10個[68mL]、及び1×10個[40mL]のCAR T細胞/kg用量群のそれぞれ2人、7人、及び5人)は、続いてのalloSCTを受けた。加えて、部分的な血液回復を伴うCRに達した患者(n=1)及び無芽球低形成性/無形成性骨髄のCRに達した患者(n=1)はいずれもalloSCTに進み、続いて、CRに達した。全治療患者の移植までの時間中央値は、KTE-X19後2.3か月(範囲、1.4~24.9)であった。CR+CRiに達したが、続いてのalloSCTを受けなかった2人の患者のうち、1人は進行性疾患のために死亡し、1人は経過観察不能であった。
【0357】
KTE-X19後にCR+CRiに達した16人の患者のDOR中央値は、続いてのalloSCTの打ち切り後に7.2か月(95%CI、4.1~14.2)であり、2×10個、1×10個(68mL)、及び1×10個(40mL)CAR T細胞/kg用量群においてそれぞれ4.1か月、10.7か月であり、達しなかった。DOR中央値は14.2か月(95%CI、3.9~推定不可)であり、続いてのalloSCTの打ち切り及びチロシンキナーゼ阻害剤の再開は行われなかった。KTE-X19後の続いてのalloSCTを受けたCR+CRiの14人の患者の間のDOR中央値は、10.7か月であった(95%CI、7.2~14.2)。全治療患者(n=24)のRFS中央値は、5.2か月(95%CI、0.0~17.8)であった。1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)群のRFS中央値には達せず、2×10個及び1×10個(68mL)の細胞/kgコホートでは、それぞれ、5.2か月(95%CI、0.0~5.2)及び9.1か月(95%CI、0.0~17.8)であった。続いてのalloSCTに進んだ16人の患者の間のRFS中央値は、9.1か月であった(95%CI、9.1~17.8)。OS中央値は、全治療患者の間で、及び両方の1×10個のCAR T細胞/kg用量群において達せず、2×10個のCAR T細胞/kg用量群については8.0か月であった。24か月OS率は、1×10個の細胞/kg(40mL)用量では87.5%(95%CI、38.7~98.1)であり、1×10個の細胞/kg(68mL)用量では72.7%(95%CI、37.1~90.3)であった。全体として、データ締切日の時点で、24人の治療患者のうち8人(33%)が死亡し、1人が同意の撤回のために中止し、1人が経過観察不能であった。残り14人(58%)の患者は、依然として生存しており、データ締切日の時点で継続経過観察中であり、その全員がKTE-X19後に続いてのalloSCTを受けた。
【0358】
安全性及び有効性のデータ分析に基づいて、RP2Dは、改訂毒性管理を用いた1×10個のKTE-X19細胞/kg(40mL製剤)であった。
【0359】
翻訳解析
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって測定され、血液中のCAR遺伝子コピー数/μg DNAとして表される末梢血中のCAR T細胞増殖は、用量群にわたって観察され、ピークCAR T細胞レベルは14日目までに達し、その後、ベースラインへのCAR T細胞収縮が続いた。CAR T細胞レベル中央値は、KTE-X19注入の3か月後に、全ての用量群にわたってPCRによって血液中で検出不能であった。血液中のピークCAR遺伝子コピー数/μg DNA中央値は、1×10個のCAR T細胞/kg用量コホート間で類似していたが、2×10個のCAR T細胞/kgコホートにおいてより高かった。CR+CRiに達した患者は、MRD陽性患者と比較してMRD陰性患者がそうであったように、非奏功者よりも高いピークの血液中の血液CAR遺伝子コピー数/μg DNA中央値に向かう傾向があった。血液中のCAR遺伝子コピー数/μg DNAは、グレード2以下のNEを有する患者と比較してグレード3以上のNEを有する患者においてより高い傾向にあった。ただし、この限定された試料サイズでは、高グレード又は低グレードのいずれかのCRS患者では、血液中のピークCAR遺伝子コピー数/μg DNAに明らかな差はなかった。血液中のピークCAR遺伝子コピー数/μg DNA中央値は、先行ブリナツモマブを受けなかった16人の患者では5.16×10(範囲、0~2.40×10)であり、先行ブリナツモマブを受けた8人の患者では6.15×10(範囲、0~2×49×10)であった。
【0360】
複数の重要な血清サイトカイン、ケモカイン、及び炎症促進性バイオマーカーのピークレベルは、7日目までに生じた。ピークCAR増殖に比例して、いくつかの血清分析物は、1×10個のCAR T細胞/kgと比較して2×10個のCAR T細胞/kgを投与された患者においてより高い傾向にあった(インターロイキン[IL]-2、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-15、IL-16、フェリチン、グランザイムB、細胞間接着分子1[ICAM-1]、インターフェロンガンマ[IFN-γ]、及び腫瘍壊死因子アルファ[TNF-α])。
【0361】
分析物VCAM-1及びIL-16のピーク血清レベルは、グレード3以上CRSと関連していた。このような関連性は、3以上のNEを有する対象では観察されなかった。これは、3以上のNEを有する患者が少数であったことに起因した可能性がある。製品特性は、用量レベルにわたって類似していた。製品中のあまり分化していないCCR7+T細胞のレベルは、CR+CRiの患者においてより高く、MRD陰性患者においてより高い傾向があった。この製品プロファイルはまた、より高レベルの神経毒性を伴う傾向があるようであったが、CRSとは関連しなかった。CD4 T細胞対CD8 T細胞の比は、奏功又は毒性とは関連しなかった。
【0362】
考察
Clinical Trial-4のフェーズ1において、DLT評価対象のR/R B-ALの小児患者又は青年期患者の中で、KTE-X19によるDLTは観察されなかった。2×10個のCAR T細胞/kgの初回用量ではDLTは観察されなかったが、リスク:利益比を更に改善するために、68mL製剤を用いた1×10個のCAR T細胞/kgの低用量を患者の第2のコホートにおいて調査し、1×10個のCAR T細胞/kgの第3のコホートにおいて、40mL製剤及び改訂毒性管理を用いて投薬及び毒性管理を更に最適化した。これによって、1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)用量レベルについてより最適なリスク:利益比がもたらされ、CRS及びNEが顕著に改善された。加えて、MRD陰性率は、全製剤について73%以上であったが、MRD陰性率及びCRのみの比率は、1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)を投与された患者において最も高かった。重要なことに、DOR、RFS、及びOSの中央値は、1×10個のCAR T細胞/kg(40mL)コホートの9人の患者の間で達することなく、ほとんどの奏功者(5/6[83%])は、続いてのalloSCTに進んだ。小コホートの限界を認識したが、それにもかかわらず、この群における24か月OS率は87.5%であった。これらの結果は、R/R B-ALLの小児/青年期患者における、KTE-X19の最適化された投薬/製剤、続いてその後のalloSCTによる奏功の有意な持続性を潜在的に示唆する。
【0363】
R/R B-ALLの小児/青年期患者における抗CD19 CAR T細胞療法後のalloSCTの役割は、まだ十分に明らかになっておらず、成人集団における研究は、やや矛盾する結果を提供した。本研究では、続いてのalloSCT及びOSで打ち切られたDORの中央値は、1×10CAR T細胞/kg(40mL)のRP2Dで治療された患者で達しなかった。RP2Dで治療された5人を含む、CR+CRiに達した16人の患者のうち14人(88%)は、続いての療法としてalloSCTを受けた。alloSCTは、プロトコールに従って必要とされなかったが、治験担当医師の裁量で許可された。Clinical Trial-4は、それに続く治療後の転帰を評価するようには設計されていなかった。しかしながら、ほとんどの奏功患者は、治験担当医師の決定に従って、KTE-X 19後のalloSCTに進んだ。
【0364】
alloSCTを含むその後の治療の打ち切りを伴わないClinical Trial-4におけるDORの評価は、14.2か月という好ましい中央値を明らかにした。加えて、続いてのalloSCTの打ち切りを伴うRFS中央値は5.2か月であったが、打ち切りを伴わない値は9.1か月であった。alloSCTを受けたことがないが、抗CD19 CAR T細胞療法後に地固めalloSCTを受けるR/R CD19+ALLの小児及び若年成人は、1年以上の経過観察で改善された無白血病生存に向かう傾向があることがこれまでに報告されている。最近公開された、MRD陰性奏功患者の75%がalloSCTに進む、R/R B-ALLの小児及び若年成人における抗CD19 CAR T細胞療法のフェーズ1研究では、4.8年の経過観察時のOS中央値は、alloSCT後70.2か月であり、alloSCT後の5年無事象生存率は61.9%であり、alloSCT後再発の累積再発率はわずか9.5%であった。興味深いことに、小児及び若年成人患者における遡及的検討は、CAR T細胞療法後のCD 34選択T細胞枯渇alloSCTが、非改変alloSCTを用いた場合の移植関連死亡率及びOSと比較してこれらの改善をもたらし得ることを見出した。
【0365】
本明細書に提示されるデータは、特にalloSCTが続く場合、R/R B-ALLの小児/青年期患者における奏功の持続性及び生存期間の延長におけるKTE-X19の有望な潜在的役割を支持する。
【0366】
試験設計及び患者集団における差異により直接的な試験間比較はできないが、CD19も標的とするブリナツモマブを用いた最近の研究は、成人のALLにおける結果と同様に、小児のR/R B-ALLにおいてもわずか7.7か月のOS中央値を示す。40また、ブリナツモマブについて、続いてのalloSCTによる地固めは、転帰の改善を示した(続いてのalloSCTを行う患者対行わない患者について、それぞれ70%対30%の12か月RFS率)。加えて、ブリナツモマブによる寛解率は、高ベースライン腫瘍量を有する小児患者(50%以上の芽球;33% CR)に対して、低ベースライン腫瘍量(50%未満の芽球;56% CR)を有する小児患者の間での方が高い。CLINICAL-4において、寛解率とベースライン骨髄芽球との間の明確な関連は明らかではなかった。これは、CR率が、ベースラインにおいて、5%超~25%以下、25%超~50%以下、50%超~75%以下、及び75%超~100%の芽球を有する患者でそれぞれ89%、25%、100%、及び50%であったためである。これは、CD19標的CAR T細胞療法を使用する別の小児及び若年成人の研究と一致し、疾患負荷に基づく奏功率に差はない。CLINICAL-4からのデータは、KTE-X19が、ブリナツモマブで報告された結果と比較して、高疾患負荷を有する患者においてより好ましい有効性を提供する可能性を有することを示唆する。CLINICAL-4では、先行ブリナツモマブを受けた患者において、より低いCR+CRi率に向かう傾向が観察されたようであった。
【0367】
CLINICAL-4におけるAEプロファイルは、抗CD19 CAR T細胞療法の先行研究と一致した。KTE-X19を受けた患者について、白血球アフェレーシスから研究施設への送達までの時間中央値は、16.5日であった。比較すると、B-ALL患者のために商業的に製造された、最初の37のチサゲンレクロイセル製品に関して、報告されたスループットタイム中央値は、白血球アフェレーシス産物の受領から臨床施設への送達まで23日であった。CLINICAL-4における治療患者の迅速なターンアラウンドタイムは、迅速に増殖するALLの設定における実現可能性を支持する。
【0368】
R/R小児ALLにおいて満たされていない医学的必要性は、早期に再発する患者、又は21%~28%の5年OS率を有する一次治療抵抗性疾患の患者が最も高い。2,4,8,43-45加えて、治療に関連する罹患率及び死亡率のリスクは、初回及び以降の治療ラインの終了時にMRD陽性疾患の患者が、検出不能MRD3の患者よりも3~5倍高い。
【0369】
この進化する、満たされていない医学的必要性に対処するために、Clinical Trial-4を更に修正して、MRD陽性疾患の患者及び初期の初回再発(18か月以内)を有する患者を含めるように適格性基準を広げた。更に、第2のコホートは、R/R NHL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、及び原発性縦隔B細胞リンパ腫)の小児患者に対して開かれた。米国食品医薬品局/欧州医薬品庁が承認した、又は小児R/R B-ALLでの登録試験における治験薬のうち、Clinical Trial-4は、陽性結果を伴う3年超の経過観察を報告する最初のCAR T細胞療法試験である。
【0370】
本出願で引用されている全ての刊行物、特許、特許出願、及び他の文書は、各個々の刊行物、特許、特許出願、又は他の文書が全ての目的のために参照により組み込まれることが個別に示されている場合と同じ程度に、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。様々な特定の実施形態/態様が例示及び説明されてきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解されよう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12-1】
図12-2】
【配列表】
2024517956000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小児又は青年期対象における再発性/治療抵抗性B前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病を治療するための組成物であって、治療有効量の、腫瘍抗原に対する免疫細胞を含む、組成物
【請求項2】
前記治療有効量の免疫細胞は、体重1kg当たり約1×10個~約2×10個の免疫細胞である、請求項1に記載の組成物
【請求項3】
40mL~68mLの総体積で投与されることを特徴とする、請求項2に記載の組成物
【請求項4】
40mLの総体積で投与されることを特徴とする、請求項2に記載の組成物
【請求項5】
前記治療有効量の免疫細胞は、体重1kg当たり約1×10個の免疫細胞である、請求項1に記載の組成物
【請求項6】
一、第二、第三、第四、第五、若しくは第六選択治療として、又は疾患進行の前に投与されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物
【請求項7】
前記腫瘍抗原は、腫瘍関連表面抗原、5T4、アルファフェトプロテイン(AFP)、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、BCMA、B-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、CA-125、がん胎児性抗原(CEA)、CD123、CD133、CD138、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD25、CD30、CD33、CD34、CD4、CD40、CD44、CD56、CD8、CLL-1、c-Met、CMV特異的抗原、CS-1、CSPG4、CTLA-4、DLL3、ジシアロガングリオシドGD2、管上皮ムチン、EBV特異的抗原、EGFR変異体III(EGFRvIII)、ELF2M、エンドグリン、エフリンB2、上皮増殖因子受容体(EGFR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮腫瘍抗原、ErbB2(HER2/neu)、線維芽細胞関連タンパク質(fap)、FLT3、葉酸結合タンパク質、GD2、GD3、神経膠腫関連抗原、スフィンゴ糖脂質、gp36、HBV特異的抗原、HCV特異的抗原、HER1-HER2、HER2-HER3の組み合わせ、HERV-K、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、HPV特異的抗原、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、IGFI受容体、IGF-II、IL-11Rα、IL-13R-a2、インフルエンザウイルス特異的抗原;CD38、インスリン増殖因子-1(IGF1)、腸管カルボキシルエステラーゼ、κ鎖、LAGA-1a、λ鎖、ラッサウイルス特異的抗原、レクチン反応性AFP、系列特異的抗原又は組織特異抗原、例えば、CD3、MAGE、MAGE-A1、主要組織適合複合体(MHC)分子、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合複合体(MHC)分子、M-CSF、黒色腫関連抗原、メソテリン、MN-CA IX、MUC-1、変異型hsp70-2、変異型p53、変異型ras、好中球エラスターゼ、NKG2D、Nkp30、NY-ESO-1、p53、PAP、プロスターゼ、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺がん腫瘍抗原-1(PCTA-1)、前立腺特異抗原タンパク質、STEAP1、STEAP2、PSMA、RAGE-1、ROR1、RU1、RU2(AS)、表面接着分子、サバイビン及びテロメラーゼ、TAG-72、フィブロネクチンのエクストラドメインA(EDA)及びエクストラドメインB(EDB)並びにテネイシンCのA1ドメイン(TnC A1)、チログロブリン、腫瘍間質抗原、血管内皮増殖因子受容体-2(VEGFR2)、ウイルス特異的表面抗原、例えば、HIV特異的抗原(例えば、HIV gp120)、並びにこれらの表面抗原の任意の誘導体又はバリアントから選択される、請求項1に記載の組成物
【請求項8】
前記標的抗原はCD19である、請求項7に記載の組成物
【請求項9】
記対象が1種以上のプレコンディショニング剤でプレコンディショニングされることを更なる特徴とし、前記1種以上のプレコンディショニング剤は、アルキル化剤及び白金系薬剤のうちの少なくとも1つから選択され、前記アルキル化剤は、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロレタミン、ムスチン(HN2)、ウラムスチン、ウラシルマスタード、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、ベンダムスチン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、スルホン酸アルキル、ブスルファン、チオテパ又はその類似体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、前記白金系プレコンディショニング剤は、白金、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、四硝酸トリプラチン、プロカルバジン、アルトレタミン、トリアゼン、ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、ダカルバジン、テモゾロミド、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の組成物
【請求項10】
前記プレコンディショニング剤はシクロホスファミド及びフルダラビンを含む、請求項9に記載の組成物
【請求項11】
前記シクロホスファミドは200mg/m/日~2000mg/m/日の用量で投与されることを特徴とし、前記フルダラビンは20mg/m/日~900mg/m/日の用量で投与されることを特徴とする、請求項9に記載の組成物
【請求項12】
前記1種以上のプレコンディショニング剤の投与は、前記組成物の投与の少なくとも7日前、少なくとも6日前、少なくとも5日前、少なくとも4日前、少なくとも3日前、少なくとも2日前、又は少なくとも1日前に開始することを特徴とする、請求項9に記載の組成物
【請求項13】
前記対象は高腫瘍量を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物
【請求項14】
サイトカイン放出症候群の状況においてのみ神経学的事象の管理のためにトシリズマブ投与されること、及びグレード2の神経学的事象の管理のためにコルチコステロイド投与されることのうちの少なくとも1つを更なる特徴とする、請求項1に記載の組成物
【請求項15】
前記対象は疾患進行のリスクが高く、前記対象が初回診断後24か月以内に疾患の進行を示す場合、前記対象は高リスクである、請求項1に記載の組成物
【請求項16】
前記免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、NK細胞、自家T細胞、同種異系T細胞、及び遺伝子操作された自家T細胞(eACT)、並びにそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項1に記載の組成物
【請求項17】
前記免疫細胞はCAR T細胞である、請求項1に記載の組成物
【請求項18】
がんの治療を必要とする対象において前記がんを治療するための組成物であって、前記がんは、非ホジキンリンパ腫(NHL)又は再発性/治療抵抗性B前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病又は再発性/治療抵抗性B細胞非ホジキンリンパ腫(R/R B-ALL)であり、治療有効量の、腫瘍抗原に対する免疫細胞を含み、前記免疫細胞は、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現する自家T細胞である、組成物
【請求項19】
前記がんはNHLであり、前記NHLは、マントル細胞リンパ腫(MCL)又は低悪性度NHL(iNHL)である、請求項18に記載の組成物
【請求項20】
前記iNHLは、辺縁帯リンパ腫(MZL)又は濾胞性リンパ腫(FL)である、請求項19に記載の組成物
【請求項21】
前記がんはNHLであり、前記NHLは、(再発性又は治療抵抗性)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)・非特異型、縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、又は濾胞性リンパ腫から発生したDLBCLである、請求項19に記載の組成物
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0265
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0265】
二次性悪性腫瘍
いくつかの実施形態では、(例えば、CD19を標的とする)免疫細胞(例えば、CAR T細胞)又は他の遺伝子改変自家T細胞免疫療法で治療された患者は、二次性悪性腫瘍を発症し得る。ある特定の実施形態では、(例えば、CD19を標的とする)CAR T細胞又は他の遺伝子改変同種異系T細胞免疫療法で治療された患者は、二次性悪性腫瘍を発症し得る。いくつかの実施形態では、本方法は、二次性悪性腫瘍について生涯にわたってモニタリングすることを含む。
[項1]
対象における再発性/治療抵抗性B前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病を治療する方法であって、治療有効量の、腫瘍抗原に対する免疫細胞を前記対象に投与することを含み、前記対象は小児又は青年期対象である、方法。
[項2]
前記治療有効量の免疫細胞は、体重1kg当たり約1×10 個~約2×10 個の免疫細胞である、項1に記載の方法。
[項3]
前記免疫細胞は、約40mL~68mLの総体積で投与される、項2に記載の方法。
[項4]
前記免疫細胞は、約40mLの総体積で投与される、項2に記載の方法。
[項5]
前記治療有効量の免疫細胞は、体重1kg当たり約1×10 個の免疫細胞である、項1に記載の方法。
[項6]
前記免疫細胞は、第一、第二、第三、第四、第五、若しくは第六選択治療として、又は疾患進行の前に投与される、項1に記載の方法。
[項7]
前記腫瘍抗原は、腫瘍関連表面抗原、5T4、アルファフェトプロテイン(AFP)、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、BCMA、B-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、CA-125、がん胎児性抗原(CEA)、CD123、CD133、CD138、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD25、CD30、CD33、CD34、CD4、CD40、CD44、CD56、CD8、CLL-1、c-Met、CMV特異的抗原、CS-1、CSPG4、CTLA-4、DLL3、ジシアロガングリオシドGD2、管上皮ムチン、EBV特異的抗原、EGFR変異体III(EGFRvIII)、ELF2M、エンドグリン、エフリンB2、上皮増殖因子受容体(EGFR)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、上皮腫瘍抗原、ErbB2(HER2/neu)、線維芽細胞関連タンパク質(fap)、FLT3、葉酸結合タンパク質、GD2、GD3、神経膠腫関連抗原、スフィンゴ糖脂質、gp36、HBV特異的抗原、HCV特異的抗原、HER1-HER2、HER2-HER3の組み合わせ、HERV-K、高分子量黒色腫関連抗原(HMW-MAA)、HIV-1エンベロープ糖タンパク質gp41、HPV特異的抗原、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、IGFI受容体、IGF-II、IL-11Rα、IL-13R-a2、インフルエンザウイルス特異的抗原;CD38、インスリン増殖因子-1(IGF1)、腸管カルボキシルエステラーゼ、κ鎖、LAGA-1a、λ鎖、ラッサウイルス特異的抗原、レクチン反応性AFP、系列特異的抗原又は組織特異抗原、例えば、CD3、MAGE、MAGE-A1、主要組織適合複合体(MHC)分子、腫瘍特異的ペプチドエピトープを提示する主要組織適合複合体(MHC)分子、M-CSF、黒色腫関連抗原、メソテリン、MN-CA IX、MUC-1、変異型hsp70-2、変異型p53、変異型ras、好中球エラスターゼ、NKG2D、Nkp30、NY-ESO-1、p53、PAP、プロスターゼ、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺がん腫瘍抗原-1(PCTA-1)、前立腺特異抗原タンパク質、STEAP1、STEAP2、PSMA、RAGE-1、ROR1、RU1、RU2(AS)、表面接着分子、サバイビン及びテロメラーゼ、TAG-72、フィブロネクチンのエクストラドメインA(EDA)及びエクストラドメインB(EDB)並びにテネイシンCのA1ドメイン(TnC A1)、チログロブリン、腫瘍間質抗原、血管内皮増殖因子受容体-2(VEGFR2)、ウイルス特異的表面抗原、例えば、HIV特異的抗原(例えば、HIV gp120)、並びにこれらの表面抗原の任意の誘導体又はバリアントから選択される、項1に記載の方法。
[項8]
前記標的抗原はCD19である、項7に記載の方法。
[項9]
1種以上のプレコンディショニング剤で前記対象をプレコンディショニングすることを更に含み、前記1種以上のプレコンディショニング剤は、アルキル化剤及び白金系薬剤のうちの少なくとも1つから選択され、前記アルキル化剤は、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メクロレタミン、ムスチン(HN2)、ウラムスチン、ウラシルマスタード、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、ベンダムスチン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、スルホン酸アルキル、ブスルファン、チオテパ又はその類似体、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、前記白金系プレコンディショニング剤は、白金、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、四硝酸トリプラチン、プロカルバジン、アルトレタミン、トリアゼン、ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、ダカルバジン、テモゾロミド、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項8に記載の方法。
[項10]
前記プレコンディショニング剤はシクロホスファミド及びフルダラビンを含む、項9に記載の方法。
[項11]
前記シクロホスファミドは200mg/m2/日~2000mg/m2/日の用量で投与され、前記フルダラビンは20mg/m2/日~900mg/m2/日の用量で投与される、項9に記載の方法。
[項12]
前記1種以上のプレコンディショニング剤の投与は、前記免疫細胞の投与の少なくとも7日前、少なくとも6日前、少なくとも5日前、少なくとも4日前、少なくとも3日前、少なくとも2日前、又は少なくとも1日前に開始する、項9に記載の方法。
[項13]
前記対象は高腫瘍量を有する、項1に記載の方法。
[項14]
サイトカイン放出症候群の状況においてのみ神経学的事象の管理のためにトシリズマブを投与すること、及びグレード2の神経学的事象の管理のためにコルチコステロイドを投与することのうちの少なくとも1つを更に含む、項1に記載の方法。
[項15]
前記対象は疾患進行のリスクが高く、前記対象が初回診断後24か月以内に疾患の進行を示す場合、前記対象は高リスクである、項1に記載の方法。
[項16]
前記免疫細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、NK細胞、自家T細胞、同種異系T細胞、及び遺伝子操作された自家T細胞(eACT)、並びにそれらの任意の組み合わせから選択される、項1に記載の方法。
[項17]
前記免疫細胞はCAR T細胞である、項1に記載の方法。
[項18]
がんの治療を必要とする対象において前記がんを治療する方法であって、前記がんは、非ホジキンリンパ腫(NHL)又は再発性/治療抵抗性B前駆細胞性急性リンパ芽球性白血病又は再発性/治療抵抗性B細胞非ホジキンリンパ腫(R/R B-ALL)であり、治療有効量の、腫瘍抗原に対する免疫細胞を前記対象に投与することを含み、前記免疫細胞は、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)を発現する自家T細胞である、方法。
[項19]
前記がんはNHLであり、前記NHLは、マントル細胞リンパ腫(MCL)又は低悪性度NHL(iNHL)である、項18に記載の方法。
[項20]
前記iNHLは、辺縁帯リンパ腫(MZL)又は濾胞性リンパ腫(FL)である、項19に記載の方法。
[項21]
前記がんはNHLであり、前記NHLは、(再発性又は治療抵抗性)びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)・非特異型、縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫、高悪性度B細胞リンパ腫、又は濾胞性リンパ腫から発生したDLBCLである、項19に記載の方法。
【国際調査報告】