(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】ポリエステル耐衝撃性改良剤
(51)【国際特許分類】
C08G 63/16 20060101AFI20240416BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20240416BHJP
C08L 67/04 20060101ALI20240416BHJP
D01F 6/92 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
C08G63/16
C08L67/02
C08L67/04
D01F6/92 307A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570386
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022029234
(87)【国際公開番号】W WO2022241242
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523348656
【氏名又は名称】ダニマー・アイピーシーオー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ターウィルガー,アーネ・マシュー
(72)【発明者】
【氏名】デューリー,カースン
(72)【発明者】
【氏名】クンドゥ,マンガルディープ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J029
4L035
【Fターム(参考)】
4J002CF032
4J002CF03X
4J002CF181
4J002CF18W
4J002GK01
4J029AA05
4J029AE02
4J029AE03
4J029BD10
4J029BF30
4J029CA04
4J029EA02
4J029HB06
4J029JF371
4J029KE03
4J029KE06
4L035AA05
4L035BB31
4L035EE08
4L035HH10
(57)【要約】
(1)約15~約40重量パーセントのイソソルビド単量体繰返し単位と、(2)約25~約60重量パーセントのジカルボン酸又はジカルボン酸無水物単量体繰返し単位、例えば、コハク酸又はコハク酸無水物と、及び(3)約10~約20重量パーセントの多価アルコール単量体繰返し単位、例えば、1,3-プロパンジオールと、でできたポリエステルが開示される。一部の例において、本ポリマーは、メチルナジ酸無水物又はナジ酸無水物単量体繰返し単位も含むことができる。ポリエステル、並びにポリ(乳酸)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、及びそれらの混合物からなる群より選択される生分解性ポリマーを含む、ポリマー組成物もまた、開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルであって、以下:
前記ポリエステルの合計重量に基づき、15~40重量パーセントのイソソルビド単量体繰返し単位と、
前記ポリエステルの合計重量に基づき、25~60重量パーセントのジカルボン酸又はジカルボン酸無水物単量体繰返し単位と、及び
前記ポリエステルの合計重量に基づき、10~20重量パーセントの多価アルコール単量体繰返し単位と、を含み、
ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が少なくとも8000ダルトンである、前記ポリエステル。
【請求項2】
前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸、コハク酸無水物、グルタル酸、ピメリン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ドデカン二酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、フタル酸無水物、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、イソフタル酸、1,8-ナフタル酸無水物、1,8-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、フタル酸、ピロメリト酸無水物、メリト酸無水物、メリト酸、トリメリト酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメリト酸、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、部分水素化C36ダイマー酸、ポリエチレンテレフタレート再生ポリマー、ポリブチレンテレフタレート再生ポリマー、ポリエチレンテレフタレート新ポリマー、ポリブチレンテレフタレート新ポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項3】
前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸、コハク酸無水物、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、セバシン酸、C36ダイマー酸、部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項4】
前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、(1)コハク酸又はコハク酸無水物と、並びに(2)ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物と、の混合物を含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項5】
前記ポリエステルは、25~35重量パーセントのコハク酸又はコハク酸無水物と、及び10~25重量パーセントのナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸と、を含む、請求項4に記載のポリエステル。
【請求項6】
前記多価アルコールは、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,3-トリメチロールプロパン、メチルプロパンジオール、ペンタエリスリトール、及びエチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシド単量体繰返し単位を含むポリ(オキシアルキレン)ポリオール、並びにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項7】
前記多価アルコールは、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メチルプロパンジオール、及びそれらの混合物からなる群より選択
される、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項8】
前記多価アルコールは、1,3-プロパンジオールを含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項9】
前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸又はコハク酸無水物を含み、及び前記多価アルコールは、1,3-プロパンジオールを含む、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項10】
前記ポリエステルは、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が約10,000~約15,000ダルトンである、請求項1に記載のポリエステル。
【請求項11】
ポリマー組成物であって、以下:
50~95重量パーセントの、ポリ(乳酸)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、及びそれらの混合物からなる群より選択される生分解性ポリマーと、並びに
5~50重量パーセントの耐衝撃性改良ポリエステルと、を含み、
前記耐衝撃性改良ポリエステルは、
前記ポリエステルの合計重量に基づき、15~40重量パーセントのイソソルビド単量体繰返し単位と、
前記ポリエステルの合計重量に基づき、25~60重量パーセントのジカルボン酸又はジカルボン酸無水物単量体繰返し単位と、及び
前記ポリエステルの合計重量に基づき、10~20重量パーセントの多価アルコール単量体繰返し単位と、を含み、
前記ポリエステルは、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が少なくとも8000ダルトンである、前記ポリマー組成物。
【請求項12】
前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸、コハク酸無水物、グルタル酸、ピメリン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ドデカン二酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、フタル酸無水物、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、イソフタル酸、1,8-ナフタル酸無水物、1,8-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、フタル酸、ピロメリト酸無水物、メリト酸無水物、メリト酸、トリメリト酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメリト酸、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、部分水素化C36ダイマー酸、ポリエチレンテレフタレート再生ポリマー、ポリブチレンテレフタレート再生ポリマー、ポリエチレンテレフタレート新ポリマー、ポリブチレンテレフタレート新ポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸、コハク酸無水物、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、セバシン酸、C36ダイマー酸、部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、(1)コハク酸又はコハク酸無水物と、並びに(2)ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物と、の混合物を含む、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
前記ポリエステルは、25~35重量パーセントのコハク酸又はコハク酸無水物と、10~25重量パーセントのナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸と、を含む、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
前記多価アルコールは、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,3-トリメチロールプロパン、メチルプロパンジオール、ペンタエリスリトール、及びエチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシド単量体繰返し単位を含むポリ(オキシアルキレン)ポリオール、並びにそれらの混合物からなる群より選択される、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
前記多価アルコールは、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メチルプロパンジオール、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
前記多価アルコールは、1,3-プロパンジオールを含む、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項19】
前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸又はコハク酸無水物を含み、及び前記多価アルコールは、1,3-プロパンジオールを含む、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項20】
前記耐衝撃性改良ポリエステルは、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が10,000~15,000ダルトンである、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項21】
前記ポリマー組成物は、60~85重量パーセントの前記生分解性ポリマーと、及び5~30重量パーセントの前記耐衝撃性改良ポリエステルと、を含む、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項22】
前記生分解性ポリマーは、ポリ(乳酸)を含む、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項23】
前記生分解性ポリマーは、少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)を含む、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項24】
前記少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート(「P(3HB-co-3HHx)」)を含む、請求項23に記載のポリマー組成物。
【請求項25】
前記P(3HB-co-3HHx)は、75~99モルパーセントのヒドロキシブチレートと、及び1~25モルパーセントのヒドロキシヘキサノエートと、を含む、請求項24に記載のポリマー組成物。
【請求項26】
前記P(3HB-co-3HHx)は、93~98モルパーセントのヒドロキシブチレートと、及び2~7モルパーセントのヒドロキシヘキサノエートと、を含む、請求項24に記載のポリマー組成物。
【請求項27】
前記少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、75~99.9モルパーセントの3-ヒドロキシブチレート単量体繰返し単位と、0.1~25モルパーセントの
3-ヒドロキシヘキサノエート単量体繰返し単位と、及び0.1~25モルパーセントの5~12個の炭素原子を有する第三の3-ヒドロキシアルカノエート単量体繰返し単位と、でできたターポリマーを含む、請求項23に記載のポリマー組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が50,000ダルトン~250万ダルトンである、請求項23に記載のポリマー組成物。
【請求項29】
前記少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が500,000ダルトン~750,000ダルトンである、請求項23に記載のポリマー組成物。
【請求項30】
前記ポリマー組成物は、前記ポリマー組成物の総重量に基づいて、5~25重量パーセントのポリ(乳酸)と、及び70~90重量パーセントの少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)と、を含む、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項31】
更に以下:
1~10重量パーセントの少なくとも1種の可塑剤と、
0.1~5重量パーセントの少なくとも1種の核形成剤と、及び
0.1~10重量パーセントの増量剤と、
を含む、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項32】
前記ポリマー組成物は、ASTM標準D5988を用いて特定した場合、生分解性である、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項33】
前記ポリマー組成物は、ASTM標準D6868を用いて特定した場合、家庭で堆肥化可能である、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項34】
更に、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(エチレンセバケート)、ポリ(ブチレンスクシネート)、ポリ(ブチレンスクシネート-コ-アジペート)、ポリ(ブチレン アジペート テレフタレート)、ポリ(ビニルアセテート)、及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の生分解性ポリマーを5~50重量パーセント含む、請求項11に記載のポリマー組成物。
【請求項35】
請求項11に記載のポリマー組成物を含む、成形シート。
【請求項36】
請求項11に記載のポリマー組成物を含む、成形物品であって、熱成形、射出成形、又はブロー成形により形成された、前記物品。
【請求項37】
請求項11に記載のポリマー組成物を含む、フィルムであって、インフレートフィルム又はキャストフィルムである、前記フィルム。
【請求項38】
請求項11に記載のポリマー組成物を含む、繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、耐衝撃性改良剤としての使用に適したポリエステル、及びそのような耐衝撃性改良剤を組み込んだ生分解性ポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)等の石油系ポリマーは、長年にわたり、多種多様な用途に使用されている。こうしたポリマーは、良好な強度、遮断性、及び/又は印刷適性という特徴を提供できるもの、残念なことに、これらは廃棄後、埋立地又は家庭堆肥化技法いずれにおいても、すぐに分解することも腐敗することもない。すなわち、そのようなポリマー製のフィルム、バッグ、及び他の材料は、廃棄後数世紀の間、埋立地に存在する可能性がある。
【0003】
結果として、生物原料由来、生分解性、及び/又は堆肥化可能であり得る代替ポリマーの需要は高まり続けている。そのようなポリマーの例として、ポリ(乳酸)及びポリ(ヒドロキシアルカノエート)が挙げられる。こうしたバイオポリマーは、生分解性及び/又は堆肥化可能性の明白な利点を提供するもの、典型的には、バイオポリマーの物理的特性を改善するために、バイオポリマーに様々な添加剤をブレンドすることが望ましい。
【0004】
バイオポリマーにブレンドされた添加剤が、生分解性ではない及び/又は堆肥化可能ではない場合、バイオポリマーの環境面での有益性は低下する。結果として、バイオポリマーと共に使用する、例えば、ポリ(乳酸)及びポリ(ヒドロキシアルカノエート)に組み込むための、それ自身生分解性である及び/又は堆肥化可能である添加剤を提供することが望ましいと思われる。
【発明の概要】
【0005】
上記及び他の需要は、本開示による堆肥化可能なポリエステルにより満たされる。
【0006】
第一の態様において、本開示は、ポリエステルを提供する。ある特定の実施形態に従って、このポリエステルは、以下のものでできている:(1)約15~約40重量パーセントのイソソルビド単量体繰返し単位と、(2)約25~約60重量パーセントのジカルボン酸又はジカルボン酸無水物単量体繰返し単位と、及び(3)約10~約20重量パーセントの多価アルコール単量体繰返し単位。これらの重量パーセンテージは全て、ポリエステルの合計重量に基づいている。
【0007】
ポリエステルはまた、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が少なくとも8000ダルトンである。より好ましくは、ポリエステルは、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が約10,000~約15,000ダルトンである。
【0008】
ある特定の実施形態において、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、好ましくは、コハク酸、コハク酸無水物、グルタル酸、ピメリン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ドデカン二酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、フタル酸無水物、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、イソフタル酸、1,8-ナフタル酸無水物、1,8-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、フタル酸、ピロメリト酸無水物、メリト酸無水物、メリト酸、トリメリト酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメリト酸、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸
、部分水素化C36ダイマー酸、ポリエチレンテレフタレート再生ポリマー、ポリブチレンテレフタレート再生ポリマー、ポリエチレンテレフタレート新ポリマー、ポリブチレンテレフタレート新ポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0009】
より好ましくは、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸、コハク酸無水物、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、セバシン酸、C36ダイマー酸、部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0010】
特に好適な実施形態において、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、(1)コハク酸又はコハク酸無水物と、並びに(2)ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物と、の混合物でできている。この実施形態の場合、ポリエステルは、好ましくは、約25~約35重量パーセントがコハク酸又はコハク酸無水物であり、約10~約25重量パーセントがナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸である。
【0011】
一部の実施形態において、多価アルコールは、好ましくは、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,3-トリメチロールプロパン、メチルプロパンジオール、ペンタエリスリトール、及びエチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシド単量体繰返し単位を含むポリ(オキシアルキレン)ポリオール、並びにそれらの混合物からなる群より選択される。
【0012】
より好ましくは、多価アルコールは、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メチルプロパンジオール、及びそれらの混合物からなる群より選択される。更により好ましくは、多価アルコールは、1,3-プロパンジオールを含む。
【0013】
一部の例において、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、好ましくは、コハク酸又はコハク酸無水物を含み、多価アルコールは、好ましくは、1,3-プロパンジオールを含む。
【0014】
代替実施形態において、イソソルビドを、ポリエステルから除外することができる。そのような例において、ポリエステルは、以下からできている:(1)約35~約65重量パーセントの、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物がコハク酸、コハク酸無水物、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、セバシン酸、C36ダイマー酸、部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物からなる群より選択されるからなる群より選択される、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物単量体繰返し単位と、並びに(2)約35~約65重量パーセントの多価アルコール単量体繰返し単位。
【0015】
好適な実施形態において、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、(1)コハク酸又はコハク酸無水物と、並びに(2)ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物と、の混合物でできている。この実施形態の場合、ポリエステルは、好ましくは、約30~約40重量パーセントがコハク酸又はコハク酸無水物であり、及び約10~約20重量パーセントがナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸である。
【0016】
この代替ポリエステルに適切な多価アルコールは、イソソルビドを含むポリエステルについて上記した多価アルコールと同じである。同じく、代替ポリエステルについて、このポリエステルの重量平均分子量は、ASTM D5296-05により特定した場合、少なくとも8000ダルトンである。より好ましくは、このポリエステルは、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が約10,000~約15,000ダルトンである。
【0017】
第二の態様において、本開示は、ポリマー組成物を提供する。ポリマー組成物は、典型的には、約50~約95重量パーセントの生分解性ポリマーを含み、この分解性ポリマーは、ポリ(乳酸)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、及びそれらの混合物からなる群より選択される。ポリマー組成物は、約5~約50重量パーセントの耐衝撃性改良ポリエステルも含む。耐衝撃性改良ポリエステルは、今度は、以下でできている:(1)ポリエステルの合計重量に基づき、約15~約40重量パーセントのイソソルビド単量体繰返し単位と、(2)ポリエステルの合計重量に基づき、約25~約60重量パーセントのジカルボン酸又はジカルボン酸無水物単量体繰返し単位と、及び(3)ポリエステルの合計重量に基づき、約10~約20重量パーセントの多価アルコール単量体繰返し単位。耐衝撃性改良ポリエステルはまた、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が少なくとも8000ダルトンである。
【0018】
ある特定の実施形態において、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、好ましくは、コハク酸、コハク酸無水物、グルタル酸、ピメリン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ドデカン二酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、フタル酸無水物、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、イソフタル酸、1,8-ナフタル酸無水物、1,8-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、フタル酸、ピロメリト酸無水物、メリト酸無水物、メリト酸、トリメリト酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメリト酸、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、部分水素化C36ダイマー酸、ポリエチレンテレフタレート再生ポリマー、ポリブチレンテレフタレート再生ポリマー、ポリエチレンテレフタレート新ポリマー、ポリブチレンテレフタレート新ポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0019】
より好ましくは、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸、コハク酸無水物、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、セバシン酸、C36ダイマー酸、部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0020】
特に好適な実施形態において、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、(1)コハク酸又はコハク酸無水物と、並びに(2)ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物と、の混合物でできている。この実施形態の場合、ポリエステルは、好ましくは、約25~約35重量パーセントがコハク酸又はコハク酸無水物であり、及び約10~約25重量パーセントがナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸である。
【0021】
一部の実施形態において、多価アルコールは、好ましくは、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,3-トリメチロールプロパン、メチルプロパンジオール、ペンタエリスリトール、及びエチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシド単量体繰返し単位を
含むポリ(オキシアルキレン)ポリオール、並びにそれらの混合物からなる群より選択される。
【0022】
より好ましくは、多価アルコールは、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メチルプロパンジオール、及びそれらの混合物からなる群より選択される。更により好ましくは、多価アルコールは、1,3-プロパンジオールを含む。
【0023】
一部の例において、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、好ましくは、コハク酸又はコハク酸無水物を含み、多価アルコールは、好ましくは、1,3-プロパンジオールを含む。
【0024】
ある特定の実施形態に従って、ポリマー組成物は、より好ましくは、約60~約85重量パーセントの生分解性ポリマーと、及び約5~約30重量パーセントの耐衝撃性改良ポリエステルと、を含む。更により好ましくは、ポリマー組成物は、約7.5~約15重量パーセントの耐衝撃性改良ポリエステルを含む。
【0025】
一部の例において、生分解性ポリマーは、好ましくは、ポリ(乳酸)を含む。他の実施形態において、生分解性ポリマーは、好ましくは、少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)を含む。一部の実施形態において、生分解性ポリマーは、好ましくは、ポリ(乳酸)とポリ(ヒドロキシアルカノエート)の混合物を含む。例えば、一部の実施形態において、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の合計重量に基づき、約5~約25重量パーセントのポリ(乳酸)と、及び約70~約90重量パーセントの少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)と、を含むことができる。
【0026】
ポリマー組成物がポリ(ヒドロキシアルカノエート)を含むある特定の実施形態に従って、少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、好ましくは、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート(「P(3HB-co-3HHx)」)でできている。
【0027】
一部の例において、この(3HB-co-3HHx)は、好ましくは、約75~約99モルパーセントのヒドロキシブチレートと、及び約1~約25モルパーセントのヒドロキシヘキサノエートと、でできている。より好ましくは、(3HB-co-3HHx)は、約93~約98モルパーセントのヒドロキシブチレートと、及び約2~約7モルパーセントのヒドロキシヘキサノエートとでできている。
【0028】
なおも他の実施形態において、少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、約75~約99.9モルパーセントの3-ヒドロキシブチレート単量体繰返し単位と、約0.1~約25モルパーセントの3-ヒドロキシヘキサノエート単量体繰返し単位と、及び約0.1~約25モルパーセントの5~12個の炭素原子を有する第三の3-ヒドロキシアルカノエート単量体繰返し単位と、でできたターポリマーを含むことができる。
【0029】
ある特定の実施形態に従って、少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、好ましくは、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が約50,000ダルトン~約250万ダルトンである。より好ましくは、少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が約500,000ダルトン~約750,000ダルトン、である。
【0030】
ポリマー組成物は、更なる添加剤も含むことができる。一部の実施形態において、ポリマー組成物は、約1~約10重量パーセントの少なくとも1種の可塑剤と、約0.1~約
5重量パーセントの少なくとも1種の核形成剤と、及び約0.1~約10重量パーセントの増量剤と、も含むことができる。
【0031】
一部の例において、ポリマー組成物は、ポリ(乳酸)及び/又はポリ(ヒドロキシアルカノエート)の他に追加の生分解性ポリマーを含むことができる。すなわち、ある特定の実施形態において、ポリマー組成物は、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(エチレンセバケート)、ポリ(ブチレンスクシネート)、ポリ(ブチレンスクシネート-コ-アジペート)、ポリ(ブチレン アジペート テレフタレート)、ポリ(ビニルアセテート)、及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の生分解性ポリマーも、約5~約50重量パーセント含むことができる。
【0032】
ある特定の実施形態に従って、ポリマー組成物は、好ましくは、ASTM標準D5988を用いて特定した場合に、生分解性である。さらに、一部の実施形態において、ポリマー組成物は、好ましくは、ASTM標準D6868を用いて特定した場合に、家庭で堆肥化可能である。
【0033】
本開示は、上記ポリマー組成物から形成することができる様々な最終製品も提供する。すなわち、1つの実施形態に従って、本開示は、ポリマー組成物でできた成形シートを提供する。第二の実施形態において、本開示は、ポリマー組成物でできた成形物品を提供し、この成形物品は、熱成形、射出成形、又はブロー成形により形成される。別の実施形態において、本開示は、ポリマー組成物でできたフィルムを提供し、このフィルムは、インフレートフィルム又はキャストフィルムである。なおも別の実施形態において、本開示は、ポリマー組成物でできた繊維を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示は、最初に、生分解性及び/又は堆肥化可能なポリマー組成物において耐衝撃性改良剤として使用するのに適した新規ポリエステルを提供する。
【0035】
一般に、ポリエステルは、少なくとも3種の異なる単量体繰返し単位でできており、これらの繰返し単位は、(1)イソソルビド、(2)コハク酸又はコハク酸無水物、及び(3)1,3-プロパンジオールに由来する。量に関しては、ポリエステルは、典型的には、(1)約15~約40重量パーセントのイソソルビド単量体繰返し単位と、(2)約25~約60重量パーセントのジカルボン酸又はジカルボン酸無水物単量体繰返し単位と、及び(3)約10~約20重量パーセントの多価アルコール単量体繰返し単位と、でできている。
【0036】
様々なジカルボン酸及びジカルボン酸無水物が、ポリエステルの調製に使用するのに適すると考えられる。例えば、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸、コハク酸無水物、グルタル酸、ピメリン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ドデカン二酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、フタル酸無水物、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、イソフタル酸、1,8-ナフタル酸無水物、1,8-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、フタル酸、ピロメリト酸無水物、メリト酸無水物、メリト酸、トリメリト酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメリト酸、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、部分水素化C36ダイマー酸、ポリエチレンテレフタレート再生ポリマー、ポリブチレンテレフタレート再生ポリマー、ポリエチレンテレフタレート新ポリマー、ポリブチレンテレフタレート新ポリマー、及びそれらの混合物からなる群より適切に選択することができる。
【0037】
より好ましくは、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸、コハク酸無水物
、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、セバシン酸、C36ダイマー酸、部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物からなる群より選択される。
【0038】
特に好適な実施形態において、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、(1)コハク酸又はコハク酸無水物と、(2)ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物と、の混合物でできている。この実施形態の場合、ポリエステルは、好ましくは、約25~約35重量パーセントがコハク酸又はコハク酸無水物であり、及び約10~約25重量パーセントがナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸である。
【0039】
一定範囲の多価アルコールもポリエステルに適していると考えられる。適切な多価アルコールの例は、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,3-トリメチロールプロパン、メチルプロパンジオール、ペンタエリスリトール、及びエチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシド単量体繰返し単位を含むポリ(オキシアルキレン)ポリオール、並びにそれらの混合物からなる群より選択することができる。
【0040】
より好ましくは、多価アルコールは、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メチルプロパンジオール、及びそれらの混合物からなる群より選択される。なおもより好ましくは、多価アルコールは、1,3-プロパンジオールを含む。
【0041】
特に好適な実施形態において、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、好ましくは、コハク酸又はコハク酸無水物を含み、多価アルコールは、好ましくは、1,3-プロパンジオールを含む。
【0042】
ポリエステルはまた、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が少なくとも8000ダルトンである。より好ましくは、ポリエステルは、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が約10,000~約15,000ダルトンである
【0043】
一般に、ポリエステルは、窒素入口、真空機能、加熱、及び撹拌を備えた反応フラスコ又は他の反応器に、イソソルビドを投入することにより調製することができる。最初に、イソソルビドを溶融させ、次いで、溶融塊として真空脱気する。続いて、二酸を加え、フラスコの内容物を、水の発生が落ち着くまで、最高220℃の温度で反応させ、水の発生が落ち着いたら、残りのグリコールを全て投入する。エステル化は、最高220℃の温度及び3.3kPaという低い真空圧で完了する。
【0044】
代替実施形態において、イソソルビドを、ポリエステルから除外することができる。そのような例において、ポリエステルは、以下からできている:(1)約35~約65重量パーセントの、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物がコハク酸、コハク酸無水物、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、セバシン酸、C36ダイマー酸、部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物からなる群より選択されるからなる群より選択される、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物単量体繰返し単位と、及び(2)約35~約65重量パーセントの多価アルコール単量体繰返し単位。
【0045】
好適な実施形態において、ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、(1)コハク酸又はコハク酸無水物と、並びに(2)ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物と、の混合物でできている。この実施形態の場合、ポリエステルは、好ましくは、約30~約40重量パーセントがコハク酸又はコハク酸無水物であり、及び約10~約20重量パーセントがナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸である。
【0046】
この代替ポリエステルに適切な多価アルコールは、イソソルビドを含むポリエステルについて上記した多価アルコールと同じである。同じく、代替ポリエステルについて、このポリエステルの重量平均分子量は、ASTM D5296-05により特定した場合、少なくとも8000ダルトンである。より好ましくは、このポリエステルは、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が約10,000~約15,000ダルトンである。
【0047】
本開示に従うポリエステルは、ポリマー組成物において耐衝撃性改良剤として使用するのに適する。本明細書中使用される場合、「耐衝撃性改良剤」とは、ポリマー樹脂の耐久性及び靱性を改善するのに使用される添加剤であり、靱性は、標準引張伸び及び弾性率試験の応力ひずみ曲線下の面積として測定される。また、ポリマーの靱性は、ノッチアイゾット試験(notched Izod test)による試験と相関するものになり得る。ポリマーが示す衝撃数が高いほど、高い靱性を示すと思われる。
【0048】
本開示に従うポリエステルは、好ましくは、ASTM標準D5511を用いて特定した場合に、生分解性でもある。さらに、一部の実施形態において、ポリエステルは、好ましくは、ASTM標準D6868を用いて特定した場合に、家庭で堆肥化可能である。
【0049】
本開示は、記載されるとおりのポリエステルを含むポリマー組成物も提供する。一般に、ポリマー組成物は、耐衝撃性改良剤ポリエステルと、少なくとも1種の生分解性ポリマーとを組み合わせており、少なくとも1種の生分解性ポリマーは、ポリ(乳酸)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、及びそれらの混合物からなる群より選択される。典型的には、ポリマー組成物は、約5~約50重量パーセントの耐衝撃性改良ポリエステルと、及び約50~約95重量パーセントの、ポリ(乳酸)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、及びそれらの混合物からなる群より選択される生分解性ポリマーと、を含む。
【0050】
ポリマー組成物は、より好ましくは、約60~約85重量パーセントの生分解性ポリマーと、及び約5~約30重量パーセントの耐衝撃性改良ポリエステルと、を含む。なおもより好ましくは、ポリマー組成物は、約7.5~約15重量パーセントの耐衝撃性改良ポリエステルを含む。
【0051】
またしても、ポリマー組成物に使用される耐衝撃性改良剤は、上記開示に従うポリエステルである。すなわち、耐衝撃性改良ポリエステルは、以下でできている:(1)約15~約40重量パーセントのイソソルビド単量体繰返し単位と、(2)約25~約60重量パーセントのジカルボン酸又はジカルボン酸無水物単量体繰返し単位と、及び(3)約10~約20重量パーセントの多価アルコール単量体繰返し単位。耐衝撃性改良ポリエステルはまた、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が少なくとも8000ダルトンである。
【0052】
一部の例において、生分解性ポリマーは、好ましくは、ポリ(乳酸)を含む。他の実施形態において、生分解性ポリマーは、好ましくは、少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)を含む。そのうえ、ある特定の実施形態において、生分解性ポリマーは、好ましくは、ポリ(乳酸)とポリ(ヒドロキシアルカノエート)の混合物を含む。例えば
、一部の実施形態において、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、約5~約25重量パーセントのポリ(乳酸)と、約70~約90重量パーセントの少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)と、を含むことができる。
【0053】
ポリマー組成物がポリ(ヒドロキシアルカノエート)を含むある特定の実施形態に従って、少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、好ましくは、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート(「P(3HB-co-3HHx)」)でできている。
【0054】
一部の例において、この(3HB-co-3HHx)は、好ましくは、約75~約99モルパーセントのヒドロキシブチレートと、及び約1~約25モルパーセントのヒドロキシヘキサノエートとでできている。より好ましくは、(3HB-co-3HHx)は、約93~約98モルパーセントのヒドロキシブチレートと、及び約2~約7モルパーセントのヒドロキシヘキサノエートと、でできている。
【0055】
なおも他の実施形態において、少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、約75~約99.9モルパーセントの3-ヒドロキシブチレート単量体繰返し単位と、約0.1~約25モルパーセントの3-ヒドロキシヘキサノエート単量体繰返し単位と、及び約0.1~約25モルパーセントの5~12個の炭素原子を有する第三の3-ヒドロキシアルカノエート単量体繰返し単位と、でできたターポリマーを含むことができる。
【0056】
ある特定の実施形態に従って、少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、好ましくは、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が約50,000ダルトン~約250万ダルトンである。より好ましくは、少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が約500,000ダルトン~約750,000ダルトンである。
【0057】
ポリマー組成物は、更なる添加剤も含むことができる。例えば、ポリマー組成物は、可塑剤、核形成剤、及び/又は増量剤を含むことができる。一部の実施形態において、ポリマー組成物は、約1~約10重量パーセントの少なくとも1種の可塑剤と、約0.1~約5重量パーセントの少なくとも1種の核形成剤と、及び約0.1~約10重量パーセントの増量剤と、も含むことができる。
【0058】
ポリマー組成物に使用するのに適切な核形成剤は、例えば、ペンタエリスリトール、窒化ホウ素、ポリ(ヒドロキシブチレート)、イノシトール、粘土、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、及びそれらの混合物からなる群より選択することができる。
【0059】
ポリマー組成物に使用するのに適切な増量剤は、例えば、アラゴナイト、粘土、炭酸カルシウム、セルロース、ナノセルロース、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、ベントナイト、シリカ、キチン、デンプン、珪藻土、二酸化チタン、ナノ粘土、雲母、及びそれらの混合物からなる群より選択することができる。
【0060】
ポリマー組成物に使用するのに適切な可塑剤は、例えば、セバシン酸エステル、クエン酸エステル、アジピン酸脂肪エステル、コハク酸脂肪エステル、及びグルカル酸脂肪エステル、乳酸エステル、アルキルジエステル、クエン酸エステル、アルキルメチルエステル、ジ安息香酸エステル、炭酸プロピレン、数平均分子量200~10,000g/molを有するカプロラクトンジオール、数平均分子量400~10,000g/molを有するポリ(エチレン)グリコール、植物油エステル、長鎖アルキル酸、アジピン酸エステル、グリセロール、イソソルビド誘導体、又はそれらの混合物、HALLGREEN IM-8830エステル、HALLGREEN R-8010エステル、ヒドロキシブチレー
ト以外のヒドロキシアルカノエート単量体繰返し単位を少なくとも18モルパーセント含むポリヒドロキシアルカノエートコポリマー、並びにそれらの混合物からなる群より選択することができる。
【0061】
そのうえ、ある特定の実施形態において、ポリマー組成物は、ポリ(乳酸)及び/又はポリ(ヒドロキシアルカノエート)の他に追加の生分解性ポリマーを含むことができる。すなわち、ある特定の実施形態において、ポリマー組成物は、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(エチレンセバケート)、ポリ(ブチレンスクシネート)、ポリ(ブチレンスクシネート-コ-アジペート)、ポリ(ブチレン アジペート テレフタレート)、ポリ(ビニルアセテート)、及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の生分解性ポリマーも、約5~約50重量パーセント含むことができる。
【0062】
ある特定の実施形態に従って、全ポリマー組成物は、好ましくは、ASTM標準D5988を用いて特定した場合に、生分解性である。さらに、一部の実施形態において、ポリマー組成物は、好ましくは、ASTM標準D6868を用いて特定した場合に、家庭で堆肥化可能である。
【0063】
様々な最終製品が、本開示に従うポリマー組成物から形成可能である。すなわち、1つの実施形態に従って、本開示は、ポリマー組成物でできた成形シートを提供する。第二の実施形態において、本開示は、ポリマー組成物でできた成形物品を提供し、この成形物品は、熱成形、射出成形、又はブロー成形により形成される。別の実施形態において、本開示は、ポリマー組成物でできたフィルムを提供し、このフィルムは、インフレートフィルム又はキャストフィルムである。なおも別の実施形態において、本開示は、ポリマー組成物でできた繊維を提供する。
【0064】
実施形態
本開示を、以下の実施形態によっても更に解説する:
【0065】
実施形態1.ポリエステルであって、以下:前記ポリエステルの合計重量に基づき、約15~約40重量パーセントのイソソルビド単量体繰返し単位と、前記ポリエステルの合計重量に基づき、約25~約60重量パーセントのジカルボン酸又はジカルボン酸無水物単量体繰返し単位と、及び前記ポリエステルの合計重量に基づき、約10~約20重量パーセントの多価アルコール単量体繰返し単位と、を含み、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が少なくとも8000ダルトンである、前記ポリエステル。
【0066】
実施形態2.前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸、コハク酸無水物、グルタル酸、ピメリン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ドデカン二酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、フタル酸無水物、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、イソフタル酸、1,8-ナフタル酸無水物、1,8-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、フタル酸、ピロメリト酸無水物、メリト酸無水物、メリト酸、トリメリト酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメリト酸、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、部分水素化C36ダイマー酸、ポリエチレンテレフタレート再生ポリマー、ポリブチレンテレフタレート再生ポリマー、ポリエチレンテレフタレート新ポリマー、ポリブチレンテレフタレート新ポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される、実施形態1に記載のポリエステル。
【0067】
実施形態3.前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸、コハク酸無水物、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、セバシン酸、C36ダイマー酸、部分水素化C3
6ダイマー酸、及びそれらの混合物からなる群より選択される、実施形態1又は2に記載のポリエステル。
【0068】
実施形態4.前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、(1)コハク酸又はコハク酸無水物と、並びに(2)ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物と、の混合物を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリエステル。
【0069】
実施形態5.前記ポリエステルは、約25~約35重量パーセントのコハク酸又はコハク酸無水物と、及び約10~約25重量パーセントのナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸と、を含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリエステル。
【0070】
実施形態6.前記多価アルコールは、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,3-トリメチロールプロパン、メチルプロパンジオール、ペンタエリスリトール、及びエチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシド単量体繰返し単位を含むポリ(オキシアルキレン)ポリオール、並びにそれらの混合物からなる群より選択される、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリエステル。
【0071】
実施形態7.前記多価アルコールは、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メチルプロパンジオール、及びそれらの混合物からなる群より選択される、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリエステル。
【0072】
実施形態8.前記多価アルコールは、1,3-プロパンジオールを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリエステル。
【0073】
実施形態9.前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸又はコハク酸無水物を含み、及び前記多価アルコールは、1,3-プロパンジオールを含む、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリエステル。
【0074】
実施形態10.前記ポリエステルは、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が約10,000~約15,000ダルトンである、先行実施形態のいずれか1つに記載のポリエステル。
【0075】
実施形態11.ポリマー組成物であって、以下:約50~約95重量パーセントの、ポリ(乳酸)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、及びそれらの混合物からなる群より選択される生分解性ポリマーと、約5~約50重量パーセントの耐衝撃性改良ポリエステルと、を含み、前記耐衝撃性改良ポリエステルは、前記ポリエステルの合計重量に基づき、約15~約40重量パーセントのイソソルビド単量体繰返し単位と、前記ポリエステルの合計重量に基づき、約25~約60重量パーセントのジカルボン酸又はジカルボン酸無水物単量体繰返し単位と、及び前記ポリエステルの合計重量に基づき、約10~約20重量パーセントの多価アルコール単量体繰返し単位と、を含み、前記ポリエステルは、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が少なくとも8000ダルトンである、前記ポリマー組成物。
【0076】
実施形態12.前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸、コハク酸無水物、グルタル酸、ピメリン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ドデカン二酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、フタル酸無水物、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸、イソフタル酸、1,8-ナフタル酸無水物、1,8-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、フタル酸、ピロメリト酸無水物、メリト酸無水物、メリト酸、トリメリト酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメリト酸、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、部分水素化C36ダイマー酸、ポリエチレンテレフタレート再生ポリマー、ポリブチレンテレフタレート再生ポリマー、ポリエチレンテレフタレート新ポリマー、ポリブチレンテレフタレート新ポリマー、及びそれらの混合物からなる群より選択される、実施形態11に記載のポリマー組成物。
【0077】
実施形態13.前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸、コハク酸無水物、ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、セバシン酸、C36ダイマー酸、部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物からなる群より選択される、実施形態11又は12に記載のポリマー組成物。
【0078】
実施形態14.前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、(1)コハク酸又はコハク酸無水物と、並びに(2)ナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸、及びそれらの混合物と、の混合物を含む、実施形態11から13のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0079】
実施形態15.前記ポリエステルは、約25~約35重量パーセントのコハク酸又はコハク酸無水物と、及び約10~約25重量パーセントのナジ酸無水物、メチルナジ酸無水物、C36ダイマー酸、又は部分水素化C36ダイマー酸と、を含む、実施形態11から14のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0080】
実施形態16.前記多価アルコールは、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,3-トリメチロールプロパン、メチルプロパンジオール、ペンタエリスリトール、及びエチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシド単量体繰返し単位を含むポリ(オキシアルキレン)ポリオール、並びにそれらの混合物からなる群より選択される、実施形態11から15のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0081】
実施形態17.前記多価アルコールは、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メチルプロパンジオール、及びそれらの混合物からなる群より選択される、実施形態11から16のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0082】
実施形態18.前記多価アルコールは、1,3-プロパンジオールを含む、実施形態11から17のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0083】
実施形態19.前記ジカルボン酸又はジカルボン酸無水物は、コハク酸又はコハク酸無水物を含み、前記多価アルコールは、1,3-プロパンジオールを含む、実施形態11から18のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0084】
実施形態20.前記耐衝撃性改良ポリエステルは、ASTM D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が約10,000~約15,000ダルトンである、実施形態11から19のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0085】
実施形態21.前記ポリマー組成物は、約60~約85重量パーセントの前記生分解性ポリマーと、約5~約30重量パーセントの前記耐衝撃性改良ポリエステルと、を含む、実施形態11から20のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0086】
実施形態22.前記生分解性ポリマーは、ポリ(乳酸)を含む、実施形態11から21のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0087】
実施形態23.前記生分解性ポリマーは、少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)を含む、実施形態11から22のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0088】
実施形態24.前記少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート(「P(3HB-co-3HHx)」)を含む、実施形態23に記載のポリマー組成物。
【0089】
実施形態25.前記P(3HB-co-3HHx)は、約75~約99モルパーセントのヒドロキシブチレートと、及び約1~約25モルパーセントのヒドロキシヘキサノエートと、を含む、実施形態24に記載のポリマー組成物。
【0090】
実施形態26.前記P(3HB-co-3HHx)は、約93~約98モルパーセントのヒドロキシブチレートと、及び約2~約7モルパーセントのヒドロキシヘキサノエートと、を含む、実施形態24に記載のポリマー組成物。
【0091】
実施形態27.前記少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、約75~約99.9モルパーセントの3-ヒドロキシブチレート単量体繰返し単位と、約0.1~約25モルパーセントの3-ヒドロキシヘキサノエート単量体繰返し単位と、及び約0.1~約25モルパーセントの5~12個の炭素原子を有する第三の3-ヒドロキシアルカノエート単量体繰返し単位と、でできたターポリマーを含む、実施形態23に記載のポリマー組成物。
【0092】
実施形態28.前記少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、ASTM
D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が約50,000ダルトン~約250万ダルトンである、実施形態23に記載のポリマー組成物。
【0093】
実施形態29.前記少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、ASTM
D5296-05により特定した場合、重量平均分子量が約500,000ダルトン~約750,000ダルトンである、実施形態23に記載のポリマー組成物。
【0094】
実施形態30.前記ポリマー組成物は、約5~約25重量パーセントのポリ(乳酸)と、及び約70~約90重量パーセントの少なくとも1種のポリ(ヒドロキシアルカノエート)と、を含む、実施形態11から29のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0095】
実施形態31.更に以下を含む、実施形態11から30のいずれか1つに記載のポリマー組成物:
約1~約10重量パーセントの少なくとも1種の可塑剤と、
約0.1~約5重量パーセントの少なくとも1種の核形成剤と、及び
約0.1~約10重量パーセントの増量剤。
【0096】
実施形態32.前記ポリマー組成物は、ASTM標準D5988を用いて特定した場合、生分解性である、実施形態11から31のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0097】
実施形態33.前記ポリマー組成物は、ASTM標準D6868を用いて特定した場合、家庭で堆肥化可能である、実施形態11から32のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0098】
実施形態34.更に、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(エチレンセバケート)、ポリ(ブチレンスクシネート)、ポリ(ブチレンスクシネート-コ-アジペート)、ポリ(ブチレン アジペート テレフタレート)、ポリ(ビニルアセテート)、及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の生分解性ポリマーを約5~約50重量パーセント含む、実施形態11から33のいずれか1つに記載のポリマー組成物。
【0099】
実施形態35.実施形態11から34のいずれか1つに記載のポリマー組成物を含む、成形シート。
【0100】
実施形態36.実施形態11から34のいずれか1つに記載のポリマー組成物を含む、成形物品であって、熱成形、射出成形、又はブロー成形により形成された、前記物品。
【0101】
実施形態37.実施形態11から34のいずれか1つに記載のポリマー組成物を含む、フィルムであって、インフレートフィルム又はキャストフィルムである、前記フィルム。
【0102】
実施形態38.実施形態11から34のいずれか1つに記載のポリマー組成物を含む、繊維。
【実施例】
【0103】
以下の限定ではない実施例は、本発明の様々な追加態様を解説する。特に記載がない限り、温度は、摂氏温度であり、パーセンテージは、配合物の乾燥重量に基づく重量パーセントである。
【0104】
実施例1
窒素入口及び真空機能(vacuum capability)を備えた反応フラスコに、イソソルビド800グラム及び亜リン酸5グラムを投入した。反応温度を100℃に上昇させ、フラスコの内容物を最大真空まで吸引し、次いで窒素等の不活性ガスで真空を解除する真空サイクルを3回行った。続いて、コハク酸1279グラムを投入し、真空サイクルを更に1回行った。次に、反応器温度を最高220℃まで上昇させ、その間ずっと水をレシーバーに留去した。いったん水の発生が落ち着いたら、反応器にプロパンジオール416グラムを投入した。再度、温度を最高210℃までゆっくりと上昇させた。反応終了に向けて、エチルヘキサン酸スズ(II)1グラムを加え、真空を印加した。材料は、適切な分子量明細が得られるまで、維持した。
【0105】
実施例2
窒素入口及び真空機能を備えた1514Lステンレス鋼反応器に、イソソルビド416kg及び亜リン酸2.27kgを投入した。反応温度を100℃に上昇させ、反応器の内容物を最大真空まで吸引し、次いで窒素等の不活性ガスで真空を解除する真空サイクルを3回行った。続いて、コハク酸590kgを投入し、真空サイクルを更に1回行った。次に、反応器温度を最高220℃まで上昇させ、その間ずっと水をレシーバーに留去した。いったん水の発生が落ち着いたら、反応器にプロパンジオール216kgを投入した。再度、温度を最高210℃までゆっくりと上昇させた。反応終了に向けて、エチルヘキサン
酸スズ(II)453グラムを加えた。材料は、適切な分子量明細が得られるまで、維持した。
【0106】
実施例3
窒素入口及び真空機能を備えた反応フラスコに、イソソルビド575グラム、部分水素化蒸留ダイマー酸888グラム、及び亜リン酸5グラムを投入した。反応温度を100℃に上昇させ、反応器の内容物を最大真空まで吸引し、次いで窒素等の不活性ガスで真空を解除する真空サイクルを3回行った。続いて、コハク酸733グラムを投入し、真空サイクルを更に1回行った。次に、反応器温度を最高220℃まで上昇させ、その間ずっと水をレシーバーに留去した。いったん水の発生が落ち着いたら、反応器にプロパンジオール299グラムを投入した。再度、温度を最高220℃までゆっくりと上昇させた。反応終了に向けて、エチルヘキサン酸スズ(II)1グラムを加え、真空を印加した。材料は、適切な分子量明細が得られるまで、維持した。
【0107】
実施例4
窒素入口及び真空機能を備えた反応フラスコに、実施例2のポリエステル2314グラム及びメチルナジ酸無水物186グラムを投入した。反応器温度を最高220℃まで上昇させ、その間ずっと水をレシーバーに留去した。反応終了に向けて、エチルヘキサン酸スズ(II)0.63グラムを加えた。材料は、適切な分子量明細が得られるまで、維持した。
【0108】
実施例5
窒素入口及び真空機能を備えた反応フラスコに、1,6-ヘキサンジオール1124グラム、コハク酸548グラム、及びメチルナジ酸無水物827グラムを投入した。次に、反応器温度を最高210℃まで上昇させ、その間ずっと水をレシーバーに留去した。反応終了に向けて、エチルヘキサン酸スズ(II)0.63グラムを加えた。材料は、適切な分子量明細が得られるまで、維持した。
【0109】
実施例6
窒素入口及び真空機能を備えた反応フラスコに、1,6-ヘキサンジオール1155グラム、コハク酸563グラム、及びナジ酸無水物783グラムを投入した。次に、反応器温度を最高210℃まで上昇させ、その間ずっと水をレシーバーに留去した。反応終了に向けて、エチルヘキサン酸スズ(II)0.63グラムを加えた。材料は、適切な分子量明細が得られるまで、維持した。
【0110】
実施例7
窒素入口及び真空機能を備えた反応フラスコに、1,6-ヘキサンジオール1191グラム、コハク酸871グラム、及びメチルナジ酸無水物438グラムを投入した。次に、反応器温度を最高210℃まで上昇させ、その間ずっと水をレシーバーに留去した。反応終了に向けて、エチルヘキサン酸スズ(II)0.63グラムを加えた。材料は、適切な分子量明細が得られるまで、維持した。
【0111】
実施例8~20
これらの実施例それぞれにおいて、実施例1~7の耐衝撃性改良剤ポリエステルのうち1種を組み入れて、ポリマー組成物を調製した。ポリマー組成物を、27mm二軸Entek混練押出機で押出し成形した。実施例8~15、19、及び20では、押出し材料の試料を、Instron 34TM-10を用いてATSM D638に従って(I型検体)、引張強度及び伸びについて試験した。衝撃強度試験は、Instron 9050試験機を用いて、ATSM D256(試験方法A)に従って行った。実施例16~18では、押出し材料の試料を、Instron CEAST 9050 Pendulum
Impact System試験装置を用いて、ASTM D4812-19に従って復元力について試験した。
【0112】
各実施例について、対照試料も調製し、押出し成形し、試験試料と同様に試験した。各実施例において、対照試料の組成は、試験試料のものと同じであったが、ただし、耐衝撃性改良剤ポリエステルは、ポリマー組成物から除外した。
【0113】
実施例8
27mm混練押出機において、PHAを42.5kg、ペンタエリスリトール453グラム、及びJoncryl 4468を172グラムに、実施例1の反応生成物2.27kgを加え、混練押出機を稼働させた。プラスチックを試験したところ、引張強度26379kPa(対比として対照は24097kPa);伸び8.9%(対比として対照は10.6%)、及び衝撃強度0.344J/cm(対比として対照は0.288J/cm)を呈した。
【0114】
実施例9
27mm混練押出機において、PHAを40kg、ペンタエリスリトール453グラム、及びJoncryl 4468を340グラムに、実施例1の反応生成物4.53kgを加え、混練押出機を稼働させた。プラスチックを試験したところ、引張強度24242kPa(対比として対照は24097kPa);伸び11.3%(対比として対照は10.6%)、及び衝撃強度0.408J/cm(対比として対照は0.288J/cm)を呈した。
【0115】
実施例10
27mm混練押出機において、PHAを40kg、Joncryl 4468を317グラム、及びペンタエリスリトール453グラムに、実施例1の反応生成物4.5kgを加え、混練押出機を稼働させた。プラスチックを試験したところ、引張強度19981kPa(対比として対照は27303kPa);伸び2.2%(対比として対照は9.3%)、及び衝撃強度0.259J/cm(対比として対照は0.301J/cm)を呈した
【0116】
実施例11
27mm混練押出機において、PHAを37.6kg、Joncryl 4468を498グラム、及びペンタエリスリトール453グラムに、実施例1の反応生成物6.8kgを加え、混練押出機を稼働させた。プラスチックを試験したところ、引張強度26745kPa(対比として対照は27303kPa);伸び11.5%(対比として対照は9.3%)、及び衝撃強度0.256J/cm(対比として対照は0.301J/cm)を呈した
【0117】
実施例12
27mm混練押出機において、PHAを40.6kg及び窒化ホウ素227kgに、実施例1の反応生成物4.53kgを加え、混練押出機を稼働させた。プラスチックを試験したところ、引張強度19960kPa(対比として対照は24097kPa);伸び11.8%(対比として対照は10.6%)、及び衝撃強度0.232J/cm(対比として対照は0.288J/cm)を呈した。
【0118】
実施例13
27mm混練押出機において、PHAを42.9kg及び窒化ホウ素227グラムに、実施例6の反応生成物2.27kgを加え、混練押出機を稼働させた。プラスチックを試験したところ、引張強度16899kPa(対比として対照は24097kPa);伸び15.5%(対比として対照は10.6%)、及び衝撃強度0.275J/cm(対比と
して対照は0.288J/cm)を呈した。
【0119】
実施例14
27mm混練押出機において、PHAを40.6kg及び窒化ホウ素227グラムに、実施例6の反応生成物4.53kgを加え、混練押出機を稼働させた。プラスチックを試験したところ、引張強度12941kPa(対比として対照は24097kPa);伸び16.6%(対比として対照は10.6%)、及び衝撃強度0.324J/cm(対比として対照は0.288J/cm)を呈した。
【0120】
実施例15
27mm混練押出機において、PHAを40.6kg及び窒化ホウ素227グラムに、実施例5の反応生成物4.53kgを加え、混練押出機を稼働させた。プラスチックを試験したところ、引張強度19167kPa(対比として対照は24097kPa);伸び18.4%(対比として対照は10.6%)、及び衝撃強度0.277J/cm(対比として対照は0.288J/cm)を呈した。
【0121】
実施例16
27mm混練押出機において、PHAを42.87kg及び窒化ホウ素227グラムに、実施例6の反応生成物2.27kgを加え、混練押出機を稼働させた。プラスチックを試験したところ、復元力66.9kJ/m2を呈し、対比として対照は14.5kJ/m2であった。
【0122】
実施例17
27mm混練押出機において、PHAを40.6kg及び窒化ホウ素227グラムに、実施例6の反応生成物4.53kgを加え、混練押出機を稼働させた。プラスチックを試験したところ、復元力67.1kJ/m2を呈し、対比として対照は14.5kJ/m2であった。
【0123】
実施例18
27mm混練押出機において、PHAを40.6kg及び窒化ホウ素227グラムに、実施例7の反応生成物4.53kgを加え、混練押出機を稼働させた。プラスチックを試験したところ、復元力39.5kJ/m2を呈し、対比として対照は14.5kJ/m2であった。
【0124】
実施例19
27mm混練押出機において、PHAを40.6kg及び窒化ホウ素227グラムに、実施例4の反応生成物4.53kgを加え、混練押出機を稼働させた。プラスチックを試験したところ、復元力11.1kJ/m2を呈し、対比として対照は2.34kJ/m2であった。
【0125】
実施例20
27mm混練押出機において、PHAを44kgに、実施例3の反応生成物1.36kgを加え、混練押出機を稼働させた。プラスチックを試験したところ、引張強度1386kPa(対比として対照は1572kPa)、伸び5.3%(対比として対照は5.6%)、及び衝撃強度0.167J/cm(対比として対照は0.301J/cm)を呈した。
【0126】
上記から、本開示に従う耐衝撃性改良ポリエステルが、バイオプラスチック系に対して多種多様な機械特性の改善をもたらし得ることがわかると思われる。例えば、衝撃強度の4倍の上昇又は伸びの11%増加が、引張強度の相応の損失を伴わずに、達成可能である
。すなわち、本開示の耐衝撃性改良ポリエステルは、バイオプラスチック系の機械特性を、特定の最終用途に応じて調整することを可能にする。
【0127】
本発明の好適な実施形態についての上記記載は、解説及び説明を目的として提示されてきたものである。それらは、網羅的であることを意図せず、本発明を開示されるそのままの形態に限定することも意図しない。上記の教示に照らして、明らかな修飾又は変更が可能である。実施形態は、本発明の原則及びその実用的応用の最良な解説を提供し、それにより当業者が様々な実施形態において本発明を特定の使用目的に適したように様々な修飾とともに利用することを可能にする取り組みにおいて、選択及び記載されている。そのような修飾及び変更は全て、それらに対して適正に、合法的に、及び公平に与えられる広さに従って解釈した場合、添付の特許請求の範囲により定められるとおりの本発明の範囲内にある。
【国際調査報告】