(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】涙点プラグの材料及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
A61F9/007 150
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570387
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 US2022029272
(87)【国際公開番号】W WO2022241266
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522471984
【氏名又は名称】グラウコス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】GLAUKOS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】カリー,ケネス
(72)【発明者】
【氏名】トラン,ウィリアム
(57)【要約】
涙点プラグ又は涙点インサートは、モノリシック材料で構成され、眼の小管に挿入されたとき約90°方向転換するように構成されている。涙点プラグ又は涙点インサートは、高分子量多糖類類及び添加された可塑剤を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノリシック材料で構築され、眼の小管に挿入されたとき約90°方向転換するように構成されている涙点プラグ。
【請求項2】
長さが5mmよりも大きい、請求項1記載の涙点プラグ。
【請求項3】
直径が0.2mmよりも大きく、かつ1.0mmよりも小さい、請求項2記載の涙点プラグ。
【請求項4】
前記モノリシック材料が水中で崩壊性である、請求項1記載の涙点プラグ。
【請求項5】
前記モノリシック材料が崩壊性であり、除去のために鼻道から洗い流されるように構成されている、請求項1記載の涙点プラグ。
【請求項6】
高分子量多糖類を少なくとも50重量%含む、請求項1記載の涙点プラグ。
【請求項7】
高分子量多糖類類及び添加された可塑剤で構築されている、請求項1記載の涙点プラグ。
【請求項8】
前記高分子量多糖類がヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項7記載の涙点プラグ。
【請求項9】
前記高分子量多糖類がカルボキシメチルセルロースである、請求項7記載の涙点プラグ。
【請求項10】
前記高分子量多糖類がヒアルロン酸である、請求項7記載の涙点プラグ。
【請求項11】
前記添加される可塑剤が、グリセリン、ポリエチレングリコール6000、ステアリン酸、ラウリン酸及びジミリストイルホスファチジルグリセロールの一つ以上を含む、請求項7記載の涙点プラグ。
【請求項12】
挿入中の涙点プラグの視認性を改善するための蛍光部分を含む、請求項1記載の涙点プラグ。
【請求項13】
涙点プラグの持続期間中のその場の視覚化を可能にする蛍光部分を含む、請求項1記載の涙点プラグ。
【請求項14】
眼の中で涙液膜を保持するように構成され、潤滑点眼薬への配合に適した材料で全体的に構成され、前記材料が涙液膜中にゆっくりと崩壊する、請求項1記載の涙点プラグ。
【請求項15】
崩壊性モノリシック材料で構築され、眼の小管に挿入されるように構成されている涙点プラグ。
【請求項16】
長さが5mmよりも大きい、請求項15記載の涙点プラグ。
【請求項17】
直径が0.2mmよりも大きく、かつ1.0mmよりも小さい、請求項16記載の涙点プラグ。
【請求項18】
前記モノリシック材料が崩壊性であり、除去のために鼻道から洗い流されるように構成されている、請求項15記載の涙点プラグ。
【請求項19】
高分子量多糖類を少なくとも50重量%含む、請求項15記載の涙点プラグ。
【請求項20】
高分子量多糖類類及び添加された可塑剤で構築され、前記高分子多糖類類が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒアルロン酸の一つである、請求項15記載の涙点プラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張及び関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月14日に出願された「MATERIALS AND METHODS FOR PUNCTAL PLUGS」と題する米国特許仮出願第63/188,733号の優先権及び恩典を主張する。同出願の内容全体が、すべての表、図面及び請求項を含め、参照により本明細書に組み入れられ、依拠される。
【背景技術】
【0002】
分野
本開示は、涙液の保持及び/又は所望の標的眼組織への薬物又は不活性分子の徐放を提供するように構造化された医療用及び/又は薬物送達デバイス、ならびに眼の疾患及び障害の治療のためにそのようなデバイスを使用する関連の方法に関する。特定の実施形態では、本開示は、涙点を介して小管に挿入するためのデバイス、及びこれらのデバイスを介して制御されたやり方で治療剤を眼に送達するためのデバイスに関する。
【0003】
関連技術の説明
哺乳動物の眼は、光を受けることができる特化した感覚器官であり、視覚的画像を受け取ることができる。眼の網膜は、様々なレベルの光を感知する光受容体と、光受容体からの信号を網膜神経節細胞(その光誘導信号を脳に伝達する)に中継する介在ニューロンとからなる。虹彩は、網膜に到達する光の量の制御に関与する眼内膜である。虹彩は、二つの層(前から後へ配置)、すなわち、間質として知られる色素性線維血管組織及び色素性上皮細胞からなる。間質は、瞳孔を収縮させる括約筋(瞳孔括約筋)と、瞳孔を開く一連の拡張筋(瞳孔散大筋)とを接続する。色素性上皮細胞は、光が虹彩を通過するのを遮断し、それにより、瞳孔への光の通過を制限する。
【0004】
眼瞼内には、涙腺によって産生された涙液のための排出管がある。涙腺点、すなわち涙道開口部の直後にある排出管の部分が涙点である。上下の眼瞼それぞれに一つの涙点が存在する。各涙点は、線維組織によって包囲された非角化扁平上皮で裏打ちされた直径約0.5mmのL字形開口からなる。
【0005】
眼の外傷、感染症、退化、血管異常及び炎症問題をはじめとする数多くの病状が、視覚的画像を認識する個人の能力を損なわせる、又は完全に失わせることができる。網膜の中央部分は黄斑として知られる。中心視、精細な視覚化及び色の区別を担う黄斑は、数ある病状の中でも特に、加齢黄斑変性(湿性又は乾性)、糖尿病性黄斑浮腫、特発性脈絡膜血管新生又は高度近視黄斑変性症の影響を受けるおそれがある。
【0006】
角膜、涙腺、粘液細胞及びマイボーム腺はすべて濃密な神経支配を受ける。副交感神経、交感神経及び感覚神経支配は複雑な刺激又は抑制の役割を演じ、神経経路は複雑な表面結果カスケードを介して相互作用する。これらの経路のいずれかの地点における異常は、涙腺機能の全体的な調節不全を招くことができる。これらの異常は、不快感、視覚障害及び涙液膜の不安定化(眼表面への潜在的な損傷を伴う)を特徴とする、ドライアイ、乾性角結膜炎又は乾性角膜炎として知られる症状を招くことができる。アレルギー性結膜炎が、眼組織の相互作用によって影響を受けるもう一つの症状であり、通常はマスト細胞によるヒスタミン放出の結果として生じ、発赤、結膜の腫れ、かゆみ及び涙液産生の増加を特徴とする。
【0007】
眼圧の異常などの他の病状もまた、視力に影響を与えることができる。房水は、少なくとも眼の前面にある角膜と水晶体との間の領域を満たす透明な液体であり、眼腔内に圧力を生成する役割を担う。正常な眼圧は、虹彩と角膜との間にある前房隅角に位置する線維柱帯を介して、又は「ぶどう膜強膜流出経路」を介して、前房から房水を排出することによって維持される。「ぶどう膜強膜流出経路」は、眼房水が、前房隅角に位置する毛様体筋束を通って眼から出て、視神経の後方に延びる脈絡膜と強膜との間の組織面に入るところの空間又は通路である。米国では、国民の約2%が緑内障を患っている。緑内障とは、広範囲の臨床症状及び病因を包含するが、眼圧の上昇によって統合されるグループの眼疾患である。緑内障は、視神経中に病理学的変化(視神経乳頭上に見られる)を生じさせ、それが、対応する視野喪失を生じさ、それが、治療されないならば失明を招くことができる。眼圧上昇が、処置することができる、緑内障と関連する唯一の危険因子であり、したがって、眼圧を下げることが、すべての緑内障における主要な治療目標であり、薬物療法、外科的治療又はそれらの組み合わせによって達成することができる。
【0008】
多くの眼の病状は、症状を改善するために必要な十分な量及び/又は持続期間で治療剤を眼に投与する際の困難さのせいで、進行する。多くの場合、治療剤の薬物成分の取り込み及び処理は、薬物が眼の標的部位に達する前に起こる。この代謝により、全身投与は、眼の標的部位で治療レベルに到達させるために、望ましくないほど高濃度の薬剤を必要とする場合がある。これは、非現実的又は高価であるだけでなく、より高い副作用発生率をもたらすおそれがある。局所投与は、潜在的に、角膜全体での限られた拡散、すなわち涙液作用による局所適用薬物の希釈によって制限される。角膜を透過する薬物でさえ、眼液の流れによって許容できないほど眼から瀉出され、全身循環に移行するおそれがある。したがって、制御され、標的を絞ったやり方で治療剤を眼内投与するための手段が、他の送達経路の課題に対処するであろう。
【0009】
眼の病状のための現在の治療としては、多くの治療法又はそれらの組み合わせ、特に、ただし非限定的に、人工涙液、医薬品(マスト細胞安定剤、免疫抑制剤、コルチコステロイドなど)、マイボーム腺の圧出、温湿布又は涙点プラグがある。問題として、既存の涙点プラグは、小管内の解剖学的「曲がり」又は「方向転換」を避けるために、短い(たとえば2~2.5mm)。さらに、既存の涙点プラグは永久的なデバイスであり、目詰まりを生じさせ、のちに除去を要することができる。また、アレルギー性結膜炎の治療には、局所用医薬品、特に抗ヒスタミン薬、NASID及びコルチコステロイドを使用することができる。これらの治療は、患者による眼への医薬品の頻繁な適用を要求し、それが、患者にとって薬剤負担及び他の生活上の制限を増すことができる。長期的な薬物送達の解決手段がこの負担を軽減するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるデバイスは、対象の眼に治療効果を提供するように作用する。デバイスは、涙液保持及び/又は涙液膜への薬物もしくは他の非活性分子の制御された送達を提供する涙点プラグ又は涙点インサートを含む。好都合には、本明細書に開示されるデバイスは、小管内の解剖学的「曲がり」又は「方向転換」を通過して挿入されるよう、長く、かつ柔軟である。加えて、本明細書に開示されるデバイスは完全に崩壊性(erodible)である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書における開示に照らして、かつ本発明の範囲をいかなるふうにも限定することなく、別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第一の態様において、涙点プラグはモノリシック材料で構築されている。涙点プラグは、眼の小管に挿入されたとき約90°方向転換するように構成されている。
【0012】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第二の態様において、涙点プラグの長さは5mmよりも大きい。
【0013】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第三の態様において、涙点プラグの直径は0.2mmよりも大きく、かつ1.0mmよりも小さい。
【0014】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第四の態様において、モノリシック材料は水中で崩壊性である。
【0015】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第五の態様において、モノリシック材料は崩壊性であり、除去のために鼻道から洗い流されるように構成されている。
【0016】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第六の態様において、涙点プラグは高分子量多糖類を少なくとも50重量%含む。
【0017】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第七の態様において、涙点プラグは、高分子量多糖類類及び添加された可塑剤で構築されている。
【0018】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第八の態様において、高分子量多糖類はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0019】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第九の態様において、高分子量多糖類はカルボキシメチルセルロースである。
【0020】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第10の態様において、高分子量多糖類はヒアルロン酸である。
【0021】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第11の態様において、添加される可塑剤は、グリセリン、ポリエチレングリコール6000、ステアリン酸、ラウリン酸及びジミリストイルホスファチジルグリセロールの一つ以上を含む。
【0022】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第12の態様において、涙点プラグは、挿入中の涙点プラグの視認性を改善するための蛍光部分を含む。
【0023】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第13の態様において、涙点プラグは、涙点プラグの持続期間中のその場での視覚化を可能にするための蛍光部分を含む。
【0024】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第14の態様において、涙点プラグは、眼の中で涙液膜を保持するように構成されている。涙点プラグは、潤滑点眼薬への配合に適した材料で全体的に構成されており、材料は涙液膜中にゆっくりと崩壊する。
【0025】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第15の態様において、涙点プラグは、崩壊性のモノリシック材料で構築され、眼の小管に挿入されるように構成されている。
【0026】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第16の態様において、涙点プラグの長さは5mmよりも大きい。
【0027】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第17の態様において、涙点プラグの直径は0.2mmよりも大きく、かつ1.0mmよりも小さい。
【0028】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第18の態様において、モノリシック材料は崩壊性であり、除去のために鼻道から洗い流されるように構成されている。
【0029】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第19の態様において、涙点プラグは高分子量多糖類を少なくとも50重量%含む。
【0030】
別段の指定がない限り本明細書に挙げられる他の態様と組み合わされてもよい本開示の第20の態様において、涙点プラグは、高分子量多糖類類及び添加された可塑剤で構築されている。高分子多糖類類は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒアルロン酸の一つである。
【0031】
開示されるデバイス、システム及び方法のさらなる特徴及び利点が、以下の詳細な説明及び図面に記載され、かつ、それらから明らかになるであろう。本明細書に記載される特徴及び利点はすべてを網羅するものではなく、特に、数多くのさらなる特徴及び利点が、図面及び詳細な説明を考慮して、当業者には明らかとなるであろう。また、特定の実施形態は、本明細書に挙げられた利点のすべてを必ずしも有しない。そのうえ、本明細書で使用される文言は、読みやすさ及び教示目的のために選択されたものであり、本発明の主題の範囲を限定するために選択されたものではないことが留意されるべきである。
【0032】
本開示のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下、実施形態の図面を参照して説明されるが、これらの実施形態は、本開示を例示することを意図したものであり、限定することを意図したものではない。当業者は、例示的な実施形態に示される特徴を、本明細書に明示的には示されないが、構想され、かつ開示されるやり方で組み合わせ得ることを容易に理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本明細書に開示される実施形態に従う、典型的な眼環境を示す。
【
図1A】本明細書に開示される実施形態に従う、典型的な眼環境を示す。
【
図2】本明細書に開示される実施形態に従う、眼への挿入の前後の真っ直ぐな円柱形涙点プラグ及び曲がった円柱形涙点プラグを示す。
【
図2A】本明細書に開示される実施形態に従う、眼への挿入の前後の真っ直ぐな円柱形涙点プラグ及び曲がった円柱形涙点プラグを示す。
【
図3】本明細書に開示される実施形態に従う、着色部分を有する結び目のある円柱形涙点プラグを示す。
【
図4】本明細書に開示される実施形態に従う、曲がった通路への円柱形涙点プラグの挿入を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
詳細な説明
薬物の局所的眼内投与の達成は、直接的な注射又は適用を必要とする場合があるが、薬物放出デバイスの使用を含むこともでき、そのようなデバイスの一部は、眼内の標的作用部位のすぐ近く、又は眼房内の、標的部位が位置するところ、たとえば前房、後房又はその両方(同時)に配置することができる。薬物放出デバイスの使用はまた、特定の眼組織、たとえば黄斑、網膜、毛様体、視神経又は眼の特定の領域への血管供給への薬物の標的化送達をも許すことができる。薬物放出デバイスの使用はまた、病状に依存して、制御された量の薬物を所望の時間だけ投与する機会をも提供することができる。
【0035】
本明細書中で使用される「患者」は、その通常の意味を与えられるものとし、また、哺乳動物一般を指すものとする。「哺乳動物」という用語は、それ自体、とりわけ、ヒト、イヌ、ネコ、ウサギ、げっ歯類、ブタ、ヒツジ及び霊長類を含むが、それらに限定されない。加えて、本明細書全体を通して、数値の範囲は、特定のパラメータの場合の数値のリストとともに記される。そのような場合、そのような開示は、挙げられた数値だけでなく、挙げられた数値の任意の二つの間の整数値及び小数値を含む数値の範囲をも含むことが留意されるべきである。
【0036】
本明細書中で使用される「薬物」とは一般に、単独で、又は本明細書に記載されるデバイス内に収容することができるような一つ以上の薬学的に許容される賦形剤、たとえばバインダ、崩壊剤、充填剤、希釈剤、滑沢剤、薬物放出制御ポリマーもしくは他の薬剤など、助剤又は化合物と混合及び/又は配合して投与することができる一つ以上の薬物を指す。「薬物」という用語は、「治療剤」及び「医薬品」又は「薬理作用物質」と互換可能に使用することができる広範な用語であり、いわゆる小分子薬だけでなく、高分子薬及び生物学的製剤、たとえばタンパク質、核酸、抗体などをも含み、そのような薬物が天然であるか、合成であるか、組換えであるかを問わない。薬物は、薬物単独を指す場合もあるし、上記賦形剤と組み合わせた薬物を指す場合もある。「薬物」はまた、活性薬物又は活性薬物のプロドラッグもしくは塩を指すこともある。薬剤がデバイス中にあるとき、それは「薬物負荷」又は「薬物」と呼ばれることがあり、これらの用語が互換可能であることが理解されるべきである。
【0037】
ドライアイ疾患治療
ここで図面を参照すると、
図1及び1Aは典型的な眼環境を示す。すなわち、眼環境の解剖学的特徴は上眼瞼1及び下眼瞼2を含む。眼はさらに、上下の涙点3と、それぞれの涙点3と連通する上下の涙管4とを含む。下涙管4(一般に管とも呼ばれる)は通常、下涙点3から下降する長さ2mmの近位管4aとして形成されている。この涙管4は直角に曲がり、管を鼻涙管5に接続する約8mmの遠位管4bとして続く。
【0038】
涙管4及び関連する解剖学的構造と関連する一つのそのような病状がドライアイ疾患(DED)と呼ばれている。DEDは、涙腺、涙管、角膜、結膜及びマイボーム腺を含む涙器系の障害として認識される眼の病状である。DEDの症状は、発赤、灼熱感、反射性流涙、かゆみ及び異物感を含む。DEDの重症度は通常、1~4のカテゴリー(1は軽度、2は中等度、3は重度、4は機能障害性又は恒常的)へと分類される。
【0039】
軽度~中等度のDEDの場合、症状は、必要に応じて適用される市販品潤滑点眼薬の使用によって緩和することができる。これらの溶液は通常、高分子量(HMW)多糖類、たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はヒアルロン酸(HA)で構成されている。これらのHMWセルロース系材料は、ムチンを含有する角膜表面に結合する。市販品(OTC)潤滑点眼薬はまた、通常、グリセリンなどの皮膚軟化又は保湿成分を含有する。最後に、潤滑点眼薬はまた、ジミリストイルホスファチジルグリセロールなどの脂質模倣化合物を含有することもできる。これらの分子は涙液表面改質剤として作用し、涙液膜蒸発を防ぐのに役立つことができる。OTC点眼薬は有用であるが、中等度のドライアイ症状を改善するためには頻繁に再適用されなければならない。
【0040】
潤滑点眼薬に加えて、涙点プラグデバイスを軽度~中等度のドライアイ症状のために使用することもできる。例示的なデバイスが
図2及び2Aに示されている。これらのデバイスは、涙点3に挿入され、下眼瞼2の縁に位置する。デバイスは、小管の上部4aに途中まで挿入される。所定の位置に達したならば、デバイスは、自然に発生した涙液が小管から鼻涙管5に出るのをブロックする。涙点プラグはまた、点眼薬の薬剤の貯留及び増強を高めるための使用を指示されている。
【0041】
好ましい実施形態では、プラグ6などのデバイスは、涙液膜を保持することによって軽度~中等度のドライアイ症状を治療すると同時に、ムチン結合ポリマー、皮膚軟化剤及び脂質模倣生体分子などの成分を放出して、ドライアイ疾患の関連症状を緩和する。
【0042】
具体的に、本明細書に記載され、
図2に示されるデバイスは、直径約0.5mm、長さ6mmの円柱形の涙点プラグ6である。しかし、本明細書中、代替の直径及び長さが考慮されることが理解されるべきである。たとえば、涙点プラグは、約1mmまで、約2mmまで、約3mmまで、約4mmまで、約5mmまで、約6mmまで、約7mmまで、約8mmまで、約9mmまで、もしくは10mmまで、又はより大きい長さを有することができる。理解されるように、長めのプラグは、全容積がより大きいため、より多量の薬物及び関連成分を含むことができる。さらに、本明細書の開示は主に涙点プラグ(たとえば涙点プラグ6)と呼ぶが、これらのデバイスは、追加的に又は代替的に、涙管インサートと呼ばれてもよいことが理解されるべきである。
【0043】
いくつかの実施形態では、プラグ6のサイズは、患者に依存じて任意選択で変更することができる。他の実施形態では、プラグ6は、より容易に様々なサイズの涙点に適合することができる「フリーサイズ」デバイスとして設計される。たとえば、本明細書に開示される膨潤可能なプラグ6は、多様な異なる涙点3に容易に挿入することができる。いくつかの実施形態では、プラグ6は、左眼又は右眼のいずれかに適合するように設計される。
【0044】
プラグ6は、
図2Aに示すように、涙点3を介して眼の涙管4に挿入されるように構成されていることが理解されるべきである。特定の実施形態では、プラグ6は、非外科的処置によって患者の中に配置することができる。また、この送達スキームは、点眼薬からの、有用であることが知られる薬物放出動態を容易に再現する。具体的には、プラグ6は、たとえばドライアイなどの慢性病状下、眼への治療剤送達に理想的なプラットフォームである。また、その交換しやすさ及び他の眼送達プラットフォームと比べて比較的大きいサイズのため、小児の近視進行治療のためのアトロピンなどの長期治療に有用であるともいえる。
図2Aは、このように、患者の眼の解剖学的構造及び患者の眼の涙管4へのプラグ6の挿入の拡大模式図を示す。図示するように、プラグ6は、眼の涙管4内に挿入されたならば、約90°の方向転換又は曲がりを形成するように構成されている。
【0045】
デバイス構成及び構築
概して、プラグ6はホットメルト押出し法によって構築される。具体的には、プラグ6は、室温で柔軟なままである均質なモノリシックフィラメントである。プラグ6が涙液膜で水和を受けたならば、柔軟性が変化し、プラグ6は崩壊する。一般に、崩壊性であることにより、プラグ6は1回限りの使用のために構成され、したがって、永久的なプラグに伴う特定のリスク、たとえば感染、肉芽腫及び関連する安全上の問題、たとえば過挿入及びその後の外科的除去が回避される。ある実施形態では、プラグ6は、水中で崩壊性であるモノリシック材料を含む。関連する実施形態では、水は涙液である。プラグ6はまた、小管からの除去のために鼻道から洗い流される(崩壊後)ことができるように構成されてもよい。
【0046】
ある実施形態では、
図3に示すように、プラグ6は、結び目を維持するのに十分な強度及び柔軟性を有する。
図3に示すように、プラグ6は、結び目全体が約2mmの寸法を有するような柔軟性を有し;この結び目の寸法は、プラグ6が、小管の近位部分4aから小管の遠位部分4bまで通過するのに必要な、解剖学的寸法における必要な柔軟性及び強度を有することを実証する。たとえば、プラグ6は、小管の近位部分4aから小管の遠位部分4bまで通過するとき、約90°の方向転換又は曲がりを形成する。
【0047】
ある実施形態では、ホットメルト押出しのバルク材料は、たとえば高分子量多糖類のファミリーをはじめとする水溶性ポリマーである。特定の実施形態では、高分子量多糖類はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0048】
一般に、崩壊性は、多糖類を吸収し、柔軟になるようにそれを可塑化することによって付与される。これらの水溶性ポリマーは、低分子量の湿潤剤及び非湿潤剤と混合され、それが、ホットメルト押出し時に好都合に可塑性を付与する。ある実施形態では、モノリシック材料は、添加された可塑剤を含む。関連する実施形態では、添加される可塑剤は、グリセリン、ポリエチレングリコール6000、ステアリン酸、ラウリン酸及びジミリストイルホスファチジルグリセロールの一つ以上を含む。
【0049】
これらの添加剤はまた、プラグ6の崩壊速度を加減することもできる。たとえば、親油性のロウ質添加物を加えることにより、プラグ6中への水の取り込み速度が遅くなり、それが、小管中のプラグ6の挙動及び寿命を変化させる。
【0050】
ある実施形態では、まず、プラグ6を構築するために使用される材料を、均質な混合物になるまで、たとえば手で、又は市販の装備を使用して、ブレンドし、混合する。この均質な混合物を、均質な混合物を約160~220℃に加熱することができる押出し装置に加える。加熱すると、材料は均一に結合し、可塑剤成分が湿潤し、バルクポリマー成分と結合する。また、押出し時、添加物が混合物に溶け込む。特定の実施形態では、眼への挿入の可視化を改善するために、D&CグリーンNo. 6成分又は色素が0.05%までの濃度で添加される。この成分が、
図3の結び目に示されるような青色の外観をプラグ6に与える。もう一つの関連する実施形態では、紫色の外観をプラグ6に与えるために、D&CバイオレットNo. 20成分が添加される。
【0051】
ある実施形態では、蛍光成分が挿入中の涙点プラグの視認性を改善する。ある実施形態では、蛍光成分は、涙点プラグの持続期間中、その場での視覚化を可能にする。蛍光成分は、加工時に配合物に添加される小分子の形態をとることもできることが理解されるべきである。追加的又は代替的に、成分は、たとえば、より大きな多糖類に結合したペンダント基の形態をとることもできる。
【0052】
次いで、材料を、円柱形のフィラメント様ロッド又は他の関連する形へと押し出す。
【0053】
押出し後、材料を室温に戻すと、長くて柔軟なフィラメント様ロッドが得られる。このフィラメントは、0.2~0.8ミリメートルの範囲であることができる一定の直径を有する。フィラメントを、2~10mmであることができる長さに切断して、プラグ6を形成する。このプラグ6を包装し、最終的に、一般的な滅菌法、たとえばガンマ線照射、ETOガス、オートクレーブ処理又は他の関連する滅菌法によって滅菌する。
【0054】
包装し、滅菌したならば、プラグ6はすぐに挿入することができる。
【0055】
デバイス挿入及び使用
具体的には、プラグ6が構築されたならば、得られる押出し材料は、水和の前でさえ、室温で柔軟であり;この柔軟性が、プラグ6が、小管中の解剖学的角度(
図2Aに示す)に押し通されて曲がり、撓むことを可能にする。同時に、プラグ6は、一般的な挿入方法である溝付き鉗子で挿入される、又は手で挿入されるのに十分な引張強さ及び剛性を維持する。特定の実施形態では、プラグ6は5mmよりも長く、眼の小管に挿入されたならば、90°の方向転換又は曲がりを形成することができる。概して、長めのプラグは、大きめの長さに伴う大きめの表面積のせいで、改善された保持を提供する。長めのプラグはまた、崩壊を要する材料の大きめの長さのため、作用の持続期間改善を提供する。
【0056】
プラグ6の直線から解剖学的方向転換への移行が
図4によってさらに示されている。すなわち、
図4のスライド1では、プラグ6は溝付き鉗子に掴まれ、下涙点3に導入される。あるいはまた、プラグ6は、手で下涙点3に導入されることもできる。スライド2及び3では、プラグ6は小管の近位部分4aの中へと前進する。スライド4では、プラグ6は、小管の遠位部分4bへの解剖学的方向転換を開始している。スライド5では、プラグ6はさらに前進している。スライド6では、プラグ6は、涙点を越えて完全に挿入されている。
【0057】
たとえば、一つの実施形態では、プラグ6は長さ約10mmである。この実施形態では、挿入されると、プラグ6の近位端(たとえば、10mmプラグ6のうち2mm分)が小管の近位部分4aに位置し;同様に、挿入されると、プラグ6の遠位端(たとえば、10mmプラグ6のうち8mm分)が小管の遠位部分4bに位置する。
【0058】
水和すると、プラグ6はゼラチン状の塊となり、それがわずかに膨潤して小管内の保持を確実にする。このゼラチン状の塊は形状適合性でもあり、それが患者にとってより良い快適さをもたらす。好都合には、プラグ6は、膨潤することにより、フリーサイズのアプローチを可能にする。膨潤プラグは、患者のサイズ設定要件を簡素化し、挿入後にプラグ6が所定の位置に留まることを保証するための保持機構の使用を必要としない。ゼラチン状の塊は完全に崩壊性であり、完全に水和したならば洗い流すことができ、たとえば生理食塩水洗浄による鼻腔からの洗浄による除去の容易さ及び安全性を保証する。
【0059】
実験結果では、プラグ6が水溶液中で完全に崩壊することを実証するために、三つのプラグ6を生理食塩水バッファの個々のバイアルに入れ、37℃の水浴中に配置した。プラグ6は膨潤し、数日後に完全に崩壊することが認められた。その後、各バイアルのバッファを、屈折率検出器を用いるゲル浸透クロマトグラフィーにより、HPMCの%組成に関して試験した。サンプルは92%、105%及び88%で回収され、平均回収率95%であった。これは、バルクポリマーHPMCがバッファ中に溶解したことを実証する。
【0060】
プラグ6は一般に生分解性又は生体内崩壊性であることが理解されるべきである。この生分解性プラグ6は、ポリ(乳酸)、ポリエチレン-酢酸ビニル、ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド-炭酸トリメチレン共重合体)、コラーゲン、ヘパリン化コラーゲン、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸)及び/又は他のポリマーもしくはコポリマーをはじめとする適当な材料を含むことができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、プラグ6は、全体に分布又は分散した薬物を有するポリマーを含む。薬物又はプロドラッグをポリマーマトリックスに組み込むための詳細な方法が、US8,628,792、WO2009/035565及びUS2016/0172268に開示されており、それらの開示が全体として参照により本明細書に組み込まれる。ポリマー内の薬物の分布は、粉末状又は液状の薬物を軟質又は流動性の形態の熱可塑性ポリマー(ポリウレタンなど)とともに攪拌すること;又は、粉末状又は液状の薬物をプレポリマー形態の熱硬化性ポリマー(ポリジメチルシロキサン又は他のシリコーンなど)又はハイドロゲル(ポリアクリルアミドなど)とともに撹拌することによって達成されるように、均一にすることができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、プラグ6と関連する薬物負荷は、1μg/日、2μg/日、3μg/日、4μg/日、5μg/日、6μg/日、7μg/日、8μg/日、9μg/日、10μg/日の初期溶出範囲を提供する。いくつかの例では、薬物負荷は、少なくとも1μg~約5μg/日、約5μg~約10μg/日、約2μg~約4μg/日、約4μg~約6μg/日、約6μg~約8μg/日、約8μg~約10μg/日、約3μg~約8μg/日の薬物溶出速度を含むことができる。いくつかの実施形態では、薬物負荷は、0.2μg/日、0.3μg/日、0.4μg/日、0.5μg/日、0.6μg/日、0.7μg/日、0.8μg/日、1.0μg/日、1.1μg/日、1.2μg/日、1.3μg/日、1.4μg/日、1.5μg/日、1.6μg/日、1.7μg/日、1.8μg/日、1.9μg/日、2.0μg/日、2.1μg/日、2.2μg/日、2.3μg/日、2.4μg/日、2.5μg/日、2.6μg/日、2.7μg/日、2.8μg/日、2.9μg/日、3.0μg/日、3.1μg/日、3.2μg/日、3.3μg/日、3.4μg/日、3.5μg/日、3.6μg/日、3.7μg/日、3.8μg/日、3.9μg/日、4.0μg/日、4.1μg/日、4.2μg/日、4.3μg/日、4.4μg/日、4.5μg/日及び約0.2μg/日~約0.8μg/日、約0.8μg/日~約1.0μg/日~約1.5μ/日、約1.5μg/日~約2.0μg/日、約2.0μg/日~約2.5μg/日、約2.5μg/日~約3.0μg/日、約3.0μg/日~約3.5μg/日、約3.5μg/日~約4.0μg/日、約4.0μg/日~約4.5μg/日の範囲の薬物溶出速度を含むことができる。
【0063】
本明細書に記載される実施形態は、生分解性材料、賦形剤、ポリマー又は薬物の放出特性を加減させる他の薬剤と混合又は配合されて固体又は軟固体、たとえばペースト、ゲルなどを形成する薬物(本明細書中では製剤又は薬物製剤又は薬物負荷と呼ぶこともある)を含み得ることが理解されよう。薬剤製剤又は他の形態の薬物は、デバイスに直接装填することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、プラグ6は、複数の医薬品有効成分(「API」)を含有することができる。いくつかの例では、涙管インサート6は、エタボン酸ロテプレドノールなどのコルチコステロイドの初期放出と、シクロスポリンAなどの免疫抑制剤の徐放とを提供する二つの医薬品を含有するように構成されることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、そのような材料としては、ポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)又はPLGAとも知られる、乳酸とグリコール酸との生分解性又は生体内崩壊性コポリマーがある。本明細書における一部の開示はPLGAの使用を具体的に記載するが、そのような実施形態では、他の適当な生分解性材料を、PLGAの代わりに使用し得る、又はPLGAと組み合わせて使用し得ることが当業者には理解されよう。
【0066】
いくつかの実施形態では、PLGAコポリマー、他のポリマー材料又は他の賦形剤からの薬物の特定の放出速度を提供することが望ましい場合がある。ポリマーからの薬物の放出速度はそのポリマーの分解速度と相関するため、分解速度の制御が、治療剤内に含まれる薬物の送達速度の制御のための手段を提供する。PLGAコポリマー又は他のポリマーを構成するポリマー鎖又はコポリマー鎖の平均分子量の変更を使用して、コポリマーの分解速度を制御し、それにより、眼への治療剤送達の所望の持続期間又は他の放出プロファイルを達成することができる。
【0067】
PLGAコポリマーを用いる特定の他の実施形態では、PLGAコポリマーの生分解速度は、コポリマー中の乳酸単位とグリコール酸単位との比を変更することによって制御することもできる。
【0068】
さらに他の実施形態は、所望の生分解速度を達成するために、コポリマーの構成成分の平均分子量を変更することと、コポリマー中の乳酸とグリコール酸との比を変更することとの組み合わせを利用することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、薬物は、一つ以上のポリマーと配合されて、薬物の溶出速度の決定に役立つゲル又はペーストを形成する。特定の好ましい製剤は、三つの性質:高い薬物成分密度及び高い材料全体の密度;自由に流動してデバイスの充填を容易にして、チキソトロピー材料を含むことができるデバイス中のエアギャップ又は他の無駄なスペースを防ぐ能力;使用中又は挿入中に撓むことができる設計の場合、デバイス中に配置された後で柔軟性又は展性の薬物完成形態;及び、封入ポリマーが破裂、破損又は他のやり方で損傷した場合でも、薬物送達において効果的であり続ける能力、の一つ以上を有する。
【0070】
いくつかの実施形態では、治療剤はタンパク質であり、そのような実施形態では、乾燥及び/又は錠剤化は、治療剤の生物学的活性に悪影響を及ぼさない特定の温度、酸/塩基などの条件下で完了されるべきである。マイクロペレット化された治療剤の生物学的活性の維持を支援するために、いくつかの実施形態において、タンパク質治療剤は、治療用タンパク質の構造(ひいては活性)を維持するために、マンニトール、トレハロース、デンプン又は他のポリヒドロキシポリマーなどの安定化剤とともに製剤化される。
【0071】
上述したように、実施形態に依存して、薬物送達デバイスを介して投与される薬物は、ナノ分散体の形態であってもよい。ナノ分散体は、投与される薬物が水溶液に難溶性又は不溶性であり、それが不安定化及び/又はバイオアベイラビリティ低下を招くおそれがある場合に特に好都合である。
【0072】
本明細書中で使用される「ナノ分散体」という用語は、その通常の意味を与えられるものとし、薬物及び/又は水性ビヒクルを含むナノ粒子を含む組成物を指すものとする。いくつかの実施形態では、水性ビヒクルは水混和性溶媒及び水を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、薬物と、ポリマーと、いくつかの実施形態においては脂肪酸又はその塩とステロール又はその誘導体又はその塩との混合物を含む界面活性剤とを含んでもよい。
【0073】
本明細書中で使用される「ナノ粒子」という用語は、その通常の意味を与えられるものとし、また、ナノメートルオーダの制御された寸法を有する粒子も指すものとする。たとえば、ナノ粒子は、いくつかの実施形態では、ポリマーナノ粒子(薬物を閉じ込めるポリマーの製剤)及び/又はポリマーナノベシクル(薬物を封入するポリマー安定化されたナノサイズのベシクル)及び/又はポリマーナノカプセル(コアにある薬物を取り囲むポリマー膜)及び/又は界面活性剤によって安定化された薬物のナノサイズ粒子などであり、約300nm未満、たとえば約10nm~約275nmの範囲又は約10nm~約200nmの範囲の平均粒径を有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、ナノ分散体に使用される水混和性溶媒としては、アルコール、グリコール及びその誘導体、ポリアルキレングリコール及びその誘導体、グリセロール、グリコフロール及びそれらの組み合わせの一つ以上がある。さらなる非限定的な例は、アルコール、たとえばエタノール、n-プロパノール、イソプロパノール;グリコール、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール及びその誘導体;ポリエチレングリコール、たとえばPEG400又はPEG3350;ポリプロピレングリコール及びその誘導体、たとえばPPG-10ブタンジオール、PPG-10メチルグルコースエーテル、PPG-20メチルグルコースエーテル、PPG-15ステアリルエーテル;グリセロール;グリコフロールなど、及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。なおさらなる実施形態では、非水溶媒は、アルコール、ポリエチレングリコール及び/又はそれらの混合物、たとえばエタノールとPEG(ポリエチレングリコール)との混合物からなる群より選択される。ナノ分散体中にエタノールが使用されるいくつかの実施形態では、エタノールは、約0.001%w/v~約5%w/v、より好ましくは約0.05%w/v~約0.5%w/v、最も好ましくは約0.1%w/v~約0.25%w/vの範囲の量で存在する。好ましく使用されるポリエチレングリコールとしては、PEG-400及びPEG-3350がある。PEG-400は、実施形態に依存して、約0.01%w/v~約20.0%w/v、より好ましくは約0.05%w/v~約5.0%w/v、最も好ましくは約1.0%w/v~約2.5%w/vの範囲の量で使用される。PEG-3350は、実施形態に依存して、約0.001%w/v~約10.0%w/v、より好ましくは約0.05%w/v~約5.0%w/v、最も好ましくは約0.1%w/v~約3%w/vの範囲の量で使用される。
【0075】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は一つ以上のポリマーを含む。いくつかの実施形態で使用されるポリマーは好ましくは水溶性である。いくつかの実施形態で使用されるそのような水溶性ポリマーの一つであるポリビニルピロリドンは、直鎖状に配置された1-ビニル-2-ピロリドンのモノマー単位を有する第三級アミドポリマーである。約10,000~約700,000の範囲の平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、約2000~約3000、約7000~約11,000、約28,000~約34,000又は約1,000,000~約1,5000,000の範囲の分子量を有する他のグレードのポリビニルピロリドンが使用される。なおさらなる実施形態では、ポリマーに使用されるポリビニルピロリドンは、約1,000~約45,000、好ましくは約4,000~約30,000の範囲の分子量を有する。いくつかの実施形態にしたがって、ナノ分散体に使用されるポリマーの量は、約0.001%w/v~約20%w/v、好ましくは約0.01%w/v~約5.0%w/v及び約0.01%w/v~約1.0%w/vの範囲である。
【0076】
いくつかの実施形態では、ポリビニルピロリドンに加えて、又はポリビニルピロリドンの代わりに、ポリエチレングリコールが使用される。いくつかの実施形態では、ナノ分散体に使用されるポリマーの量は、約0.001%w/v~約20%w/v、たとえば約0.01%w/v~約5.0%w/v及び、いくつかの実施形態では、約0.01%w/v~約1.0%w/vの範囲である。
【0077】
薬物のためのナノ分散体のいくつかの実施形態では、界面活性剤が使用される。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、脂肪酸又はその塩とステロール又はその誘導体又はその塩との混合物を含む。
【0078】
本明細書中で使用される「脂肪酸」という用語は、その通常の意味を与えられるものとし、また、動物性又は植物性の脂肪、油又はロウに由来する、又は動物性又は植物性の脂肪、油又はロウ中にエステル化形態で含まれる脂肪族(飽和又は不飽和)モノカルボン酸を含むものとする。いくつかの実施形態で使用することができる脂肪酸(又はその塩)の非限定的な例は、「n」個(「n」は約4~約28の範囲である)の炭素原子を有する脂肪酸又はその塩を含むが、これらに限定されない。脂肪酸は、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸及びそれらの塩及びそれらの組み合わせであってもよい。実施形態に依存して、飽和脂肪酸及びその塩は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、カプリル酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウムなど、及び/又はそれらの混合物から選択することができる。不飽和脂肪酸及びその塩は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、αリノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、オレイン酸ナトリウム、アラキドン酸ナトリウムなど、及び/又はそれらの混合物から選択することができる。
【0079】
加えて、ナノ分散体又はナノ粒子に使用することができるステロール又はその誘導体又はその塩の非限定的な例は、ステロールの酸エステルであることができる。適当であることができるステロールとしては、コレステロール、植物ステロール、エルゴステロール、胆汁酸塩及びそれらの混合物があるが、これらに限定されない。使用することができるコレステロールの酸塩としては、硫酸コレステリル、酢酸コレステロール、クロロ酢酸コレステロール、安息香酸コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、ヘミコハク酸コレステロール、リン酸コレステロール、リン酸コレステロール、ホスホン酸塩、ホウ酸塩、硝酸塩、桂皮酸コレステロール、クロタン酸コレステロール、酪酸コレステロール、ヘプタン酸コレステロール、ヘキサン酸コレステロール、オクタン酸コレステロール、ノナン酸コレステロール、デカン酸コレステロール、オレイン酸コレステロール、プロピオン酸コレステロール、吉草酸コレステロール、炭酸ジコレステリルなど、及びそれらの混合物がある。組成物に使用することができる植物ステロールとしては、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール及びその誘導体、塩及びそれらの混合物がある。たとえば、β-シトステロール、カンペステロール及びジヒドロブラシカステロールを含む、Sigma, U. S. A.によって市販されている植物ステロール。胆汁酸としては、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、ウルソデオキシコール酸及びその誘導体、塩及びそれらの混合物がある。ステロールはまた、コレステロールのエステル、たとえばヘミコハク酸コレステロール、コレステロールの塩、たとえば硫酸水素コレステロール及び硫酸コレステロール、エルゴステロール、エルゴステロールのエステル、たとえばヘミコハク酸エルゴステロール、エルゴステロールの塩、たとえば硫酸水素エルゴステロール及び硫酸エルゴステロール、ラノステロール、ラノステロールのエステル、たとえばヘミコハク酸ラノステロール、ラノステロールの塩、たとえば硫酸水素ラノステロール及び硫酸ラノステロールであることができる。
【0080】
一つの実施態様にしたがって、ナノ粒子は、ステロール又はその誘導体又はその塩と脂肪酸又はその塩との混合物である界面活性剤を含む。さらなる実施形態では、ナノ粒子はコレステロールエステル又は極性酸で構成される。なおさらなる実施形態では、ナノ分散体に使用される界面活性剤は、カプリル酸と硫酸コレステリルとの混合物である。オクタン酸とも知られるカプリル酸は、このような実施形態では、約0.001%w/v~約5.0%w/v、より好ましくは約0.01%w/v~約1.0%w/v、最も好ましくは約0.01%w/v~約0.5%w/vの範囲の量で使用することができる。硫酸コレステリルは、特定の実施形態では、約0.001%w/v~約5.0%w/v、より好ましくは約0.01%w/v~約1.0%w/v、最も好ましくは約0.01%w/v~約0.5%w/vの範囲の量で使用される。一つの実施形態では、使用される界面活性剤は、オレイン酸及び硫酸コレステリル及び/又はそれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、使用される界面活性剤は、飽和脂肪酸及び胆汁酸又は胆汁酸塩及び/又はそれらの混合物から選択される。胆汁酸塩は、いくつかの実施形態にしたがって使用される場合、約0.001%w/v~約5.0%w/v、より好ましくは約0.01%w/v~約1.0%w/v、最も好ましくは約0.01%w/v~約0.75%w/vの範囲の量で存在する。本明細書に開示される他の実施形態と関連して他の量が使用されてもよい。ナノ分散体は、当技術分野で認識されている方法、たとえば、全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,778,364号に開示されている方法(及び得られるナノ分散体)によって生成することができる。
【0081】
加えて、治療剤領域の一つ以上は、薬物-シクロデキストリン包接複合体;リポソームカプセル化;多糖類、ポリ(エチレングリコール)-ポリ(ラクチド)、メトキシポリ(エチレングリコール)-ポリ(ヘキシルラクチド)又は疎水変性されたヒドロキシプロピルセルロースなどのポリマーに基づくミセル;反溶媒沈殿によって形成され、ポリソルベート80又はヒドロキシステアリン酸ポリオキシル15などの界面活性剤で安定化された非晶質薬物のナノ粒子;一つ以上の薬物、ポリマー及び界面活性剤(界面活性剤は、脂肪酸又はその塩とステロール又はその誘導体又はその塩との混合物を含むことができる)を含む平均粒径500nm未満のナノ粒子;微結晶セルロース、乳糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はポビドンなどの賦形剤とで共加工又は造粒された薬物;薬物、ポリマー又は界面活性剤に付加されたポリエチレングリコール鎖(PEG化);酢酸コハク酸ヒプロメロース、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ブチル及びメタクリル酸メチルに基づくコポリマー、ポリ(ビニルピロリドン-酢酸ビニル)又はラウロイルマクロゴールグリセリドなどのポリマー担体中の固体分散体;又はミクロスフェア(たとえば、PLGA又はキトサンに基づくもの)を含むことができる。
【0082】
プラグ6は、材料の組成物から形成することができる。材料の組成物としては、セルロース系又は均等な高分子量ポリマー、高分子量ポリマーのための可塑剤及び脂質模倣小分子があるが、これらに限定されない。
【0083】
さらに、プラグ6は、徐放を可能にするように調合することができる。いくつかの実施形態では、この徐放は、水性流体又は媒体に曝露されたときの崩壊によるものであることができる。いくつかの実施形態では、徐放は、少なくとも1日間、少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月間、少なくとも6ヶ月間又は少なくとも1年間であることができる。
【0084】
プラグ6が撓むことを許す材料特性はまた、プラグ6が、湾曲又は屈曲した形状に適合することをも許す。いくつかの実施形態では、プラグ6は、柔軟であるが、開口部に押し込むのに十分な剛性を有することができる。この柔軟性と押し込み可能性との組み合わせが、はじめは非常に硬いが、すぐに、数ミリメートルを超える押し込みを維持することができないほど軟らかくなる、他の涙管インサートとは異なる独特な材料特性を作り出す。したがって、本明細書に記載されるプラグは、チューブもしくはスリーブ又はそれを収容するために必要な他の構造を要することなく、独立型のインサートとして有用であることができる。
【0085】
プラグ6は、独立型のインサートとして働くことができるが、いくつかの実施形態では、それを特定の位置に保持するために適切に設計されたボディとともに使用されてもよい。
【0086】
プラグ6の材料特性は、押し込み可能性、柔軟性及び、崩壊が完了したときの、除去の容易さを含む。一つの実施形態では、その化学的性質は、崩壊時に放出する物質がドライアイなどの眼の症状の改善に有用であることができるようなものである。いくつかの実施形態で、化学的性質は、崩壊時に放出するすべての物質が眼の症状の改善に有用であることができるようなものである。
【0087】
プラグ6を形成するために使用される材料の組成物は、OTC点眼薬などの眼科用組成物のためのFDA店頭販売(OTC)モノグラフ成分ですべて構成されることができる。このOTCモノグラフ成分の使用は、バルク特性には必要であるが、臨床的必要性には役立たない、PLGAなどのポリマーを使用する典型的な薬物送達押出し成形物とは対照的である。
【0088】
いくつかの実施形態では、プラグ6を形成するために使用されるポリマーは有効成分であることができ、したがって、有効成分を支持及び/又は放出するために使用される無駄なポリマーはない。有効成分であってもなくてもよいこのポリマーは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、メチルセルロースなどのセルロース誘導体であることができる。ポリマーはまた、ポリビニルアルコール(PVA)、ポビドン(ポリビニルピロリドン)であることもできる。いくつかの実施形態では、ポリマーはまた、ヒアルロン酸、グアーガム又はコンドロイチン硫酸であることもできる。
【0089】
いくつかの実施形態では、任意の数のこれらのポリマーを組み合わせることができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、薬物は、粘度調整剤を配合されることができる。粘度調整剤は、製剤化された薬物の粘度を増減させるために使用することができる。粘度調整剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒアルロン酸及びそれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0091】
使用されるポリマーは、バルク又は粘度調整性ポリマーであることができる。そのようなポリマーは、涙液膜の天然水性物質と合わされると、ムチン結合層として働くことができ、角膜組織の刺激を和らげ、ひいては有効成分として治療効果を発揮することができる。
【0092】
プラグ6を形成するために使用される材料の組成物は可塑剤を含むことができる。可塑剤はOTCモノグラフ成分であることができる。いくつかの実施形態では、可塑剤は、OTC粘滑剤又は皮膚軟化剤、たとえばポリエチレングリコール、たとえばポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400もしくはポリエチレングリコール6000、グリセリン、鉱油、白色ワセリン、白ロウ、パラフィン、ラノリン、プロピレングリコール又はそれらの組み合わせであることができる。
【0093】
可塑剤の含有は、プラグ6をたとえば涙点を介して小管に挿入し、配置することをより容易にするために求められるように、ポリマーの材料特性を改変して、それをより押出し可能、適合性、押し込み可能及び/又は剛性にすることができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、プラグ6を形成するために使用される材料の組成物はリン脂質を含むことができる。リン脂質は、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-グリセロールナトリウム塩(DMPG-Na)又はその関連の遊離酸であることができる。このリン脂質成分は、涙液膜の自然な脂質層を模倣することにより、いくつかのドライアイ症状を改善することができる。この層は、水性涙液膜の最外側の部分を構成し、水の蒸発を遅らせる。
【0095】
いくつかの実施形態では、プラグ6はポリエチレングリコールを含むことができる。そのポリエチレングリコールはPEG6000であることができる。いくつかの実施形態では、プラグ6はヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むことができる。いくつかの実施形態では、プラグ6はリン脂質を含むことができる。そのリン脂質は1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-グリセロールであることができる。
【0096】
一つの実施形態では、フィラメントは、約10%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、10%ポリエチレングリコール及び80%リン脂質を含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約10%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、80%ポリエチレングリコール及び10%リン脂質を含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約80%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、10%ポリエチレングリコール及び10%リン脂質を含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約20%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、20%ポリエチレングリコール及び60%リン脂質を含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約20%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、60%ポリエチレングリコール及び20%リン脂質を含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約60%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、20%ポリエチレングリコール及び20%リン脂質を含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約40%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、40%ポリエチレングリコール及び20%リン脂質を含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約40%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、20%ポリエチレングリコール及び40%リン脂質を含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約20%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、40%ポリエチレングリコール及び40%リン脂質を含む。
【0097】
一つの実施形態では、フィラメントは、約10%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、10%PEG6000及び80%1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-グリセロールを含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約10%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、80%PEG6000及び10%1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-グリセロールを含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約80%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、10%PEG6000及び10%1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-グリセロールを含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約20%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、20%PEG6000及び60%1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-グリセロールを含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約20%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、60%PEG6000及び20%1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-グリセロールを含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約60%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、20%PEG6000及び20%1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-グリセロールを含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約40%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、40%PEG6000及び20%1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-グリセロールを含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約40%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、20%PEG6000及び40%1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-グリセロールを含む。もう一つの実施形態では、フィラメントは、約20%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、40%PEG6000及び40%1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-グリセロールを含む。
【0098】
利用される治療剤は、以下に提供される一つ以上の薬物を単独で、又は組み合わせて含むことができる。利用される薬物はまた、以下に提供される一つ以上の薬物の均等物、誘導体又は類似体であってもよい。
【0099】
特定の病状の治療のために二つ以上の薬物が望まれる場合、又は第一の薬物の副作用に対抗するためなどに第二の薬物が投与される場合、いくつかの実施形態は、同じ形態の二つの薬剤を利用することもできる。他の実施形態では、異なる形態の薬剤が使用されてもよい。同様に、たとえば安定性を高める、又は溶出プロファイルを調整するために一つ以上の薬物が補助薬、賦形剤又は補助化合物を利用するならば、その化合物もまた、薬物と混和性であり、デバイスとともに妥当に保持されることができる任意の形態にあることができる。いくつかの実施形態では、デバイスから放出される薬物による特定の病状の治療は、病状を治療するだけでなく、特定の望まれない副作用を誘発することもある。
【0100】
薬物としては、非限定的に、医薬品、たとえば抗緑内障薬、眼科用薬剤、抗菌剤、たとえば抗生物質、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤及び抗真菌剤、抗炎症剤(ステロイド又は非ステロイド抗炎症剤を含む)、生物学的製剤、たとえばホルモン、酵素又は酵素関連成分、抗体又は抗体関連成分、オリゴヌクレオチド(DNA、RNA、短鎖干渉RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどを含む)、DNA/RNAベクター、ウイルス(野生型又は遺伝子改変)又はウイルスベクター、ペプチド、タンパク質、酵素、細胞外製剤成分及び一つ以上の生物学的成分を産生するように構成された生細胞を挙げることができる。特定の薬物の使用は、その主な効能又は規制当局承認の治療適応もしくは使用方法に限定されない。薬物はまた、別の薬物又は治療剤の一つ以上の副作用を軽減又は治療する化合物又は他の物質を含む。多くの薬物が二つ以上の作用機序を有するため、以下の任意の一つの治療クラス内の特定の薬物の記載は、薬物の一つの可能な使用を表すにすぎず、眼科用デバイスシステムとのその使用の範囲を限定することを意図したものではない。
【0101】
上述したように、治療剤は、当技術分野において公知である任意の数の賦形剤と組み合わせることができる。上述の生分解性ポリマー賦形剤に加えて、ベンジルアルコール、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セチルアルコール、クロスカルメロースナトリウム、デキストラン、ブドウ糖、果糖、ゼラチン、グリセリン、モノグリセリド、ジグリセリド、カオリン、塩化カルシウム、乳糖、乳糖一水和物、マルトデキストリン、ポリソルベート、αデンプン、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、コーンスターチ、タルクなどをはじめとする他の賦形剤を使用することもできる。一つ以上の賦形剤は、約1%、5%又は10%の低めの総量で含まれてもよいし、他の実施形態では、50%、70%又は90%の高めの総量で含まれてもよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、薬物は抗菌剤を配合されることができる。抗菌剤はポロキサマーを含むことができる。ポロキサマーは、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのコポリマーであることができる。いくつかの実施形態では、ポロキサマーはポロキサマー188であることができる。
【0103】
他の実施形態では、抗菌活性は、たとえば、親水性又は親油性の表面をデバイスに付加することによって本明細書に記載されるデバイスの表面を改質して微生物の付着に抵抗することによって達成することができる。デバイスの表面はまた、銀又は塩化ベンザルコニウムなどの抗菌剤のコーティングによって改質することもできる。
【0104】
プラグ6とともに使用される薬物の例は、様々な抗分泌剤;抗有糸分裂剤及び他の抗増殖剤、とりわけ、抗血管新生剤、たとえばアンギオスタチン、酢酸アネコルタブ、トロンボスポンジン、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害薬及び抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)薬、たとえばラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))及びベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))、ペガプタニブ(MACUGEN(登録商標))、アフリベルセプト(EYLEA)、スニチニブ及びソラフェニブならびに抗血管新生効果を有する多様な公知の小分子及び転写阻害薬のいずれか;公知の眼科用薬のクラス、たとえば緑内障の薬剤、たとえばアドレナリン作動性アンタゴニスト、たとえばβ遮断薬、たとえばアテノロール、プロプラノロール、メチプラノロール、ベタキソロール、カルテオロール、レボベタキソロール、レボブノロール及びチモロール;アドレナリン作動薬又は交感神経刺激剤、たとえばエピネフリン、ジピベフリン、クロニジン、アパルクロニジン及びブリモニジン;副交感神経作動薬又はコリン作動薬、たとえばピロカルピン、カルバコール、ホスホリンヨウ素及びフィゾスチグミン、サリチル酸塩、塩化アセチルコリン、エセリン、フルオロリン酸ジイソプロピル、臭化デメカリウム);ムスカリン薬;炭酸脱水酵素阻害薬、たとえば局所及び/又は全身剤、たとえばアセトゾールアミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド及びメタゾラミド、エトキゾラミド、ダイアモックス及びジクロルフェンアミド;散瞳・調節麻痺剤、たとえばアトロピン、シクロペントラート、スクシニルコリン、ホマトロピン、フェニレフリン、スコポラミン及びトロピカミド;プロスタグランジン、たとえばプロスタグランジンF2α、抗プロスタグランジン、プロスタグランジン前駆体又はプロスタグランジン類似体、たとえばビマトプロスト、ラタノプロスト、トラボプロスト及びウノプロストンを含むことができる。
【0105】
プラグ6とで実用される薬物の他の例はまた、抗炎症剤、たとえばグルココルチコイド及びコルチコステロイド、たとえばベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21-リン酸、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン21-リン酸、酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロン、フルオロメトロン、ロテプレドノール、メドリゾン、フルオシノロンアセトニド、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルオロメトロン、フルチカゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ロテプレドノール、リメキソロン及び非ステロイド抗炎症剤、たとえばジクロフェナク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ブロムフェナク、ネパフェナク及びケトロラック、サリチル酸、インドメタシン、イブプロフェン、ナキソプレン、ピロキシカム及びナブメトン;抗感染又は抗菌剤、たとえば抗生物質、たとえばテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、バシトラシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、セファレキシン、オキシテトラサイクリン、クロラムフェニコール、リファンピシン、シプロフロキサシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、スルホンアミド、スルファジアジン、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルフィソキサゾール、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウム、アミノグリコシド、たとえばゲンタマイシン及びトブラマイシン;フルオロキノロン、たとえばシプロフロキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン;バシトラシン、エリスロマイシン、フシジン酸、ネオマイシン、ポリミキシンB、グラミシジン、トリメトプリム及びスルファセタミド;抗真菌剤、たとえばアンフォテリシンB及びミコナゾール;抗ウイルス剤、たとえばイドクスウリジン、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ガンシクロビル、インターフェロン;抗カビ剤;免疫調整剤、たとえば抗アレルギー剤、たとえばクロモグリク酸ナトリウム、アンタゾリン、メタピリリン、クロルフェニラミン、セトリジン、ピリラミン、プロフェンピリダミン;抗ヒスタミン剤、たとえばアゼラスチン、エメダスチン及びレボカバスチン;免疫学的薬(ワクチン、免疫刺激薬及び/又は免疫抑制薬など);マスト細胞安定剤、たとえばクロモリンナトリウム、ケトチフェン、ロドキサミド、ネドクリミル、オロパタジン及びペミロラスト;毛様体アブレーション剤、たとえばゲンチミシン及びシドフォビル;及び他の眼科用薬剤、たとえばベルテポルフィン、プロパラカイン、テトラカイン、シクロスポリン及びピロカルピン;細胞表面糖タンパク質受容体の阻害薬;充血除去剤、たとえばフェニルエフリン、ナファゾリン、テトラヒドラゾリン;脂質又は降圧脂質;ドーパミン作動薬及び/又は拮抗薬、たとえばキンピロール、フェノールドーパム及びイボパミン;血管攣縮阻害薬;血管拡張剤;抗高血圧剤;アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬;アンギオテンシン-1受容体拮抗薬、たとえばオルメサルタン;微小管阻害薬;分子モータ(ダイニン及び/又はキネシン)阻害薬;アクチン細胞骨格調節剤、たとえばサイトカラシン、ラトランキュリン、スウィンホリドA、エタクリン酸、H-7及びRho-キナーゼ(ROCK)阻害薬;リモデリング阻害薬;細胞外マトリックスのモジュレータ、たとえばtert-ブチルハイドロキノロン及びAL-3037A;アデノシン受容体作動薬及び/又は拮抗薬、たとえばN-6-シクロへキシルアデノシン及び(R)-フェニルイソプロピルアデノシン;セロトニン作動薬;ホルモン剤、たとえばエストロゲン、エストラジオール、黄体ホルモン、プロゲステロン、インスリン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、ペプチド及びバソプレシン視床下部放出因子;増殖因子拮抗薬又は増殖因子、たとえば上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子又はその拮抗薬(たとえば、いずれも全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,759,472号又は米国特許出願第12/465,051号、第12/564,863号もしくは第12/641,270号に開示されているもの)、形質転換増殖因子β、ソマトトロピン、フィブロネクチン、結合組織増殖因子、骨形成タンパク質(BMP);サイトカイン、たとえばインターロイキン、CD44、コクリンならびに血清アミロイド、たとえば血清アミロイドAを含むことができる。
【0106】
プラグ6とで使用される他の治療剤としては、神経保護剤、たとえばルベゾール、ニモジピン及び関連化合物、たとえば血流促進剤、たとえばドルゾラミド又はベタキソロール;血液酸素化を促進する化合物、たとえばエリスロポエチン;ナトリウムチャネル遮断薬;カルシウムチャネル遮断薬、たとえばニルバジピン又はロメリジン;グルタミン酸阻害薬、たとえばメマンチン、ニトロメマンチン、リルゾール、デキストロメトルファン又はアグマチン;アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、たとえばガランタミン;ヒドロキシルアミン又はその誘導体、たとえば水溶性ヒドロキシルアミン誘導体OT-440;シナプスモジュレータ、たとえばイチョウなどのフラボノイド配糖体及び/又はテルペノイドを含有する硫化水素化合物;神経栄養因子、たとえばグリア細胞由来神経栄養因子、脳由来神経栄養因子;IL-6タンパク質ファミリーのサイトカイン、たとえば毛様神経栄養因子又は白血病抑制因子;酸化窒素レベルに影響する化合物又は因子、たとえば酸化窒素、ニトログリセリン又は一酸化窒素合成酵素阻害薬;カンナビノイド受容体作動薬、たとえばWIN55-212-2;フリーラジカルスカベンジャ、たとえばメトキシポリエチレングリコールチオエステル(MPDTE)又はEDTAメチルトリエステルと結合したメトキシポリエチレングリコールチオール(MPSEDE);抗酸化物質、たとえばアスタキサンチン、ジチオールチオン、ビタミンE又はメタロコロール、たとえば鉄、マンガン又はガリウムコロール;酸素ホメオスタシスに関与する化合物又は因子、たとえばニューログロビン又はシトグロビン;ミトコンドリア分裂に影響する阻害薬又は因子、たとえばMdivi-1(ダイナミン関連タンパク質1(Drp1)選択的阻害薬);キナーゼ阻害薬又はモジュレータ、たとえばRhoキナーゼ阻害薬H-1152又はチロシンキナーゼ阻害薬AG1478;インテグリン機能に影響する化合物又は因子、たとえばβ1インテグリン活性化抗体HUTS-21;N-アシル-タノールアミン及びその前駆体、N-アシル-エタノールアミンリン脂質;グルカゴン様ペプチド1受容体の刺激因子、たとえばグルカゴン様ペプチド1;ポリフェノール含有化合物、たとえばレスベラトロール;キレート化合物;アポトーシス関連プロテアーゼ阻害薬;新規タンパク質合成を減らす化合物;放射線治療剤;光線力学的療法用剤;遺伝子療法剤;遺伝子モジュレータ;神経又は神経の部分への損傷、たとえば脱髄を防ぐ自己免疫モジュレータ、たとえばglatimir;ミエリン阻害薬、たとえば抗NgR遮断タンパク質、NgR(310)ecto-Fc;他の免疫モジュレータ、たとえばFK506結合タンパク質、たとえばFKBP51;ならびにドライアイ用の薬、たとえばシクロスポリン、シクロスポリンA、粘滑剤及びヒアルロン酸ナトリウムを挙げることができる。
【0107】
プラグ6とで使用することができる他の治療剤としては、他のβ遮断薬、たとえばアセブトロール、アテノロール、ビソプロロール、カルベジロール、アスモロール、ラベタロール、ナドロール、ペンブトロール及びピンドロール;他のコルチコステロイド及び非ステロイド抗炎症剤、たとえばアスピリン、ベタメサゾン、コルチゾン、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルドロコルチゾン、フルルビプロフェン、ヒドロコルチゾン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、メクロフェナメート、メフェナム酸、メロキシカム、メチルプレドニゾロン、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、プレドニソロン、プリオキシカム、サルサラート、スリンダク及びトルメチン;COX-2阻害薬、たとえばセレコキシブ、ロフェコキシブ及びバルデコキシブ;他の免疫調節剤、たとえばアルデスロイキン、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標))、アザチオプリン、バシリキシマブ、ダクリズマブ、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))、ヒドロキシクロロキン、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、レフルノミド、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル及びスルファサラジン;他の抗ヒスタミン剤、たとえばロラタジン、デスロラタジン、セチリジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、クレマスチン、シプロヘプタジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン及びプロメタジン;他の抗感染剤、たとえばアミノグリコシド、たとえばアミカシン及びストレプトマイシン;抗真菌剤、たとえばアンフォテリシンB、カスポファンギン、クロトリマゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾール、テルビナフィン及びナイスタチン;抗マラリア剤、たとえばクロロキン、アトバコン、メフロキン、プリマキン、キニジン及びキニーネ;抗ミコバクテリア剤、たとえばエタンブトール、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピン及びリファブチン;抗寄生虫剤、アルベンダゾール、メベンダゾール、チオベンダゾール、メトロニダゾール、ピランテル、アトバコン、iodoquinaol、イベルメクチン、パロマイシン、プラジカンテル及びトリメトレキサート;他の抗ウイルス剤、たとえば抗CMV剤又は抗ヘルペス剤、たとえばアシクロビル、シドホビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビダラビン、トリフルリジン及びホスカルネット;プロテアーゼ阻害薬、たとえばリトナビル、サキナビル、ロピナビル、インジナビル、アタザナビル、アンプレナビル及びネルフィナビル;ヌクレオチド系/ヌクレオシド系/非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬、たとえばアバカビル、ddI、3TC、d4T、ddC、テノホビル及びエムトリシタビン、デラビルジン、エファビレンツ及びネビラピン;他の抗ウイルス剤、たとえばインターフェロン、リバビリン及びトリフルリジン;他の抗菌剤、たとえばカルバペネム系、たとえばエルタペネム、イミペネム及びメロペネム;セファロスポリン系、たとえばセファドロキシル、セファゾリン、セフジニル、セフジトレン、セファレキシン、セファクロル、セフェピム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフォテタン、セフォキシチン、セフポドキシム、セフプロジル、セフタキシジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフロキシム及びロラカルベフ;他のマクロライド系及びケトライド系、たとえばアジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン及びテリスロマイシン;ペニシリン系(クラブラン酸を含む、又は含まない)、たとえばアモキシシリン、アンピシリン、ピバンピシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、オキサシリン、ピペラシリン及びチカルシリン;テトラサイクリン系、たとえばドキシサイクリン、ミノサイクリン及びテトラサイクリン;他の抗菌剤、たとえばアズトレオナム、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リネゾリド、ニトロフラントイン及びバンコマイシン;α遮断薬、たとえばドキサゾシン、プラゾシン及びテラゾシン;カルシウムチャネル遮断薬、たとえばアムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピン及びベラパミル;他の抗高血圧剤、たとえばクロニジン、ジアゾキシド、フェノルドパン、ヒドララジン、ミノキシジル、ニトロプルシド、フェノキシベンズアミン、エポプロステノール、トラゾリン、トレプロスチニル及び硝酸塩系薬剤;抗凝固剤、たとえばヘパリン及びヘパリン類似物、たとえばヘパリン、ダルテパリン、エノキサパリン、チンザパリン及びフォンダパリヌクス;他の抗凝固剤、たとえばヒルジン、アプロチニン、アルガトロバン、ビバリルジン、デシルジン、レピルジン、ワーファリン及びキシメラガトラン;抗血小板剤、たとえばアブシキシマブ、クロピドグレル、ジピリダモール、オプチフィバチド、チクロピジン及びチロフィバン;プロスタグランジンPDE-5阻害薬及び他のプロスタグランジン剤、たとえばアルプロスタジル、カルボプロスト、シルデナフィル、タダラフィル及びバルデナフィル;トロンビン阻害薬;抗血栓剤;血小板凝集抑制剤;血栓溶解剤及び/又は線維素溶解剤、たとえばアルテプラーゼ、アニストレプラーゼ、レテプラーゼ、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ及びウロキナーゼ;抗増殖剤、たとえばシロリムス、タクロリムス、エベロリムス、ゾタロリムス、パクリタキセル及びミコフェノール酸;ホルモン関連薬剤、たとえばレボチロキシン、フルオキシメストロン、メチルテストステロン、ナンドロロン、オキサンドロロン、テストステロン、エストラジオール、エストロン、エストロピペート、クロミフェン、ゴナドトロピン、ヒドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ミフェプリストン、ノルエチンドロン、オキシトシン、プロゲステロン、ラロキシフェン及びタモキシフェン;抗腫瘍剤、たとえばアルキル化剤、たとえばカルムスチン、ロムスチン、メルファラン、シスプラチン、フルオロウラシル3及びプロカルバジン;抗生物質様薬剤、たとえばブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、マイトマイシン及びプリカマイシン;抗増殖剤(1,3-cis-レチノイン酸、5-フルオロウラシル、タキソール、ラパマイシン、マイトマイシンC及びシスプラチンなど);代謝拮抗剤、たとえばシタラビン、フルダラビン、ヒドロキシウレア、メルカプトプリン及び5-フルオロウラシル(5-FU);免疫調節剤、たとえばアルデスロイキン、イマチニブ、リツキシマブ及びトシツモマブ;有糸分裂阻害薬、たとえばドセタキセル、エトポシド、ビンブラスチン及びビンクリスチン;放射性薬剤、たとえばストロンチウム-89;ならびに他の抗腫瘍剤、たとえばイリノテカン、トポテカン及びミトタンがある。
【0108】
本開示の特定の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示されたものであり、本開示の範囲を限定することは意図したものではない。実際、本明細書に記載される新規な方法、システム及びデバイスは、多様な他の形態で具現化することもできる。たとえば、図示又は説明された一つのデバイスの実施形態を、図示又は説明された別のプラグ又はインサートの実施形態と組み合わせることができる。そのうえ、上記デバイスは他の目的に利用することもできる。たとえば、デバイスは、ヒアルロン酸の局所送達が有益であろう体の他の組織に配置することもできる。さらに、本開示の精神を逸脱することなく、本明細書に記載された方法、システム及びデバイスの形態における様々な省略、置換及び変更を加えることができる。
【国際調査報告】