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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】パッド表面の再生および金属の回収
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/017 20120101AFI20240416BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240416BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20240416BHJP
   B24B 55/12 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
B24B53/017 Z
H01L21/304 621D
B24B37/24 B
B24B55/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508997
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 US2022026364
(87)【国際公開番号】W WO2022232154
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/179,995
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523404114
【氏名又は名称】ケムパワー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】スリャデバラ,バブ
(72)【発明者】
【氏名】ミスラ,ズートハンシュ
【テーマコード(参考)】
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C047AA34
3C047FF09
3C047FF19
3C047GG13
3C158AA19
3C158AC04
3C158CB01
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED21
3C158ED26
5F057AA24
5F057BB22
5F057BB23
5F057BB25
5F057BB26
5F057BB27
5F057BB29
5F057DA03
5F057EA02
5F057EB27
(57)【要約】
官能化化学平坦化パッドで基材を平坦化することからなる方法。官能化化学平坦化パッドには、パッドの材料に結合した複数の官能基が含まれる。前記官能基は、基材の一部がその官能基と結合するように、基材と化学反応するべく構成される。パッドは、官能基と官能基に結合した基材との結合を切断して除去された物質を形成するように構成された再生溶液を塗布することによって再生される。除去された物質は溶解錯化剤で錯化され、廃液相に溶解物質を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦化プロセスにおいて官能化化学平坦化パッドを使用する方法であって、
官能化化学平坦化パッドを用いて基材を平坦化する工程であって、前記官能化化学平坦化パッドは、前記パッドの材料に結合された複数の官能基を含み、前記官能基は、基材の一部が前記官能基に結合するように前記基材と化学反応するように構成されている工程、
前記官能基と前記官能基に結合した前記基材との間の結合を切断し、除去された材料を形成するように構成された再生溶液を使用することによって前記パッドを再生する工程、および
前記除去された材料を溶解錯化剤で錯化し、廃液相に溶解材料を形成する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記基材が、銅、コバルト、金、ハフニウム、ジルコニウム、レニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、タンタル、バナジウム、タングステン、TaN、TiN、ポリシリコン、またはシリコンのうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パッドを再生することが、前記官能基に結合した前記基材を、前記官能基と前記官能基に結合した前記基材との間の結合を切断するように構成された剥離剤と反応させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記官能基に結合した前記基材を剥離剤と反応させることが、前記基材を溶解した錯化剤と反応させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記溶解した錯化剤中で除去物質を錯化させることが、水酸化物、アルコール、酸、アミン、アゾール、大環状化合物、スルホン酸塩、亜硫酸エステル、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、モノDADMAC、過硫酸塩、アンモニア、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン、アミノ酸、イミノジコハク酸(IDS)、エチレンジアミノジコハク酸(EDDS)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、またはメチルグリシン二酢酸(MGDA)のうちの1つまたは複数と前記除去物質とを錯化させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基材が金属を含み、前記官能基と前記基材との間の結合を切断するために前記再生溶液を適用することが、前記金属から金属酸化物を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記廃液相から前記溶解物質を回収することが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記溶解物質を回収することが、液液抽出、溶媒抽出、または膜分離のうちの1つまたは複数を介して前記溶解物質を抽出することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記溶媒抽出の活性溶媒成分が、アミン、アルキルリン酸、またはスルホネートのうちの1つまたは複数を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
改質剤を含む溶液で溶媒抽出を行うことをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記改質剤は、ジ-ブチル-ブチルホスホン酸、ホスフィンオキシド、リン酸トリブチル、イソプロピルアルコールのうちの1つまたは複数を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒抽出を介して前記溶解物質を抽出することには、イオン対抽出を介して前記溶解物質を抽出することが含まれる、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記膜分離を介して前記溶解物質を抽出することには、液膜系または界面活性剤液膜系を介して前記溶解物質を抽出することが含まれる、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記界面活性剤液膜系を用いて金属種を単一工程で回収すること、または金属種を前記廃液から前記液膜系を介して有機溶液に抽出し、前記金属種を前記有機溶液から水相に剥離することからなる2段階プロセスで前記金属種を回収することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項7に記載の方法であって、前記廃液が少なくとも第1の金属種および第2の金属種を含み、さらに、
第1の抽出段階において前記第1の金属種を抽出する工程であって、前記第2の金属種が前記第1の抽出段階の後に前記廃液中に残存する工程、および
第2の抽出段階において前記第2の金属種を抽出する工程、
を含む、方法。
【請求項16】
平坦化プロセスにおいて金属種を回収する方法であって、
平坦化プロセスから、錯化剤と錯化した除去された金属基材を含む液体廃液相を受け取る工程、
溶解した物質を液体抽出相に抽出する工程、および
前記除去された金属基材を前記液体抽出相から回収する工程、
を含む、方法。
【請求項17】
前記除去された金属基材が、銅、コバルト、金、ハフニウム、ジルコニウム、レニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、タンタル、バナジウム、タングステン、TaN、TiN、ポリシリコン、またはシリコンのうちの1つまたは複数を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記溶解された材料を受け取ることが、水酸化物、アルコール、酸、アミン、アゾール、大環状化合物、スルホン酸塩、亜硫酸エステル、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、モノDADMAC、過硫酸塩、アンモニア、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン、アミノ酸、イミノジコハク酸(IDS)、エチレンジアミノジコハク酸(EDDS)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、またはメチルグリシン二酢酸(MGDA)のうちの1つまたは複数と錯化された前記除去された金属基材を受け取ることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記溶解物質の抽出には、液液抽出、溶媒抽出、膜分離のうちの1つまたは複数を介した前記溶解物質の抽出が含まれる、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
官能化化学平坦化パッドを使用し、平坦化プロセスにおいて金属種を回収するための方法であって、
前記パッドの材料に結合された複数の官能基を含む前記官能化化学平坦化パッドで基材を平坦化する工程であって、前記官能基は、基材の一部が前記官能基に結合するように前記基材と化学反応するように構成される工程、
前記官能基と前記官能基に結合した前記基材との間の結合を切断し、除去された材料を形成するように構成された再生溶液を適用することにより、前記パッドを再生する工程、
前記除去された材料を溶解錯化剤で錯化し、廃液相に溶解材料を形成する工程;および
前記廃液相から前記溶解物質を回収する工程、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2021年4月26日に出願された「NOVEL METHODOLOGY FOR REGENERATION AND RECOVERY OF SPECIES IN AN ENHANCED PLANARIZATION PROCESS」と題する米国仮出願第63/179,995の優先権を主張するものであり、その全内容はその目的を問わず参照によりここに援用される。
【背景技術】
【0002】
ロジック、メモリ、その他の半導体デバイスにおいて、複数の金属層や誘電体層を平坦化する際に発生する欠陥を除去することは、欠陥がもたらすリスクは加工寸法が小さくなるにつれて増大することもあり、デバイスのノードが微細化されるにつれてますます重要となる。場合によっては、研磨剤フリー、または反応性の水溶液を使用し、平坦化の際に研磨粒子の使用が不要となる反応性または官能化パッド構造を使用した平坦化により、欠陥を低減することが可能である。しかし、研磨された基板の金属層や誘電体層の原子がパッド内の反応性物質と結合するにつれて、各パッドの反応性が低下する可能性があるため、このようなパッドから高水準の性能を継続的に維持することは困難である。
【発明の概要】
【0003】
上述の問題に対処するため、一例として、平坦化プロセスにおいて官能化化学平坦化パッドを使用する方法が提供される。この方法には、官能化化学平坦化パッドで基材を平坦化することが含まれる。官能化化学平坦化パッドには、パッドの材料に結合した複数の官能基が含まれる。前記官能基は、基材の一部がその官能基と結合するように、基材と化学反応するべく構成される。さらに、この方法には、官能基と官能基に結合した基材との間の結合を切断して除去された物質を形成するように構成された再生溶液を使用することによってパッドを再生することが含まれる。除去された物質は溶解錯化剤で錯化され、廃液相に溶解物質を形成する。
【0004】
別の例では、平坦化プロセスで金属種を回収する方法が与えられる。本方法は、平坦化プロセスから、錯化剤と錯化した除去金属基材を含む廃液相を受け取ることが含まれる。溶解物質は液体抽出相に抽出される。除去された金属基材は、液体抽出相から回収される。
【0005】
本概要は、「詳細な説明」で後述する概念の一部を簡略化して紹介するものである。本概要は、請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、また請求される主題の範囲を限定するために使用することを意図したものでもない。さらに、請求される主題は、本開示のいずれかの部分で示される欠点のいずれかまたはすべてを解決する実施態様に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、化学平坦化システムの一例のブロック図である。
図2図2は、化学平坦化用の多孔性パッドの一例の概略図を示し、基板のトポロジー的に高い部分とパッドの上層との接点を示している。
図3図3は、材料の少なくとも一部と反応して除去するように構成された複数の官能基を含むパッド表面で材料を平坦化する機序の一例を示す概略図である。
図4図4は、図1のパッド表面から材料を分離する機序の一例を示す概略図である。
図5図5は、図1の化学平坦化システムにおいて基材を回収するために使用可能な、廃液相から基板の材料を抽出する機序の一例を示す概略図である。
図6図6は、パッド表面で材料を平坦化し、パッドを再生し、パッド表面によって材料から除去された金属種を回収するシステムであって、図3および図4に示す機序例の実施に使用することができるシステムの例を示す概略図である。
図7A図7A~7Bは、本願の開示の実施例の一実施形態に従った平坦化プロセスにおいて官能化化学平坦化パッドを使用する方法の例を示すフローチャートである。
図7B図7A~7Bは、本願の開示の実施例の一実施形態に従った平坦化プロセスにおいて官能化化学平坦化パッドを使用する方法の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[詳細な説明]
化学機械平坦化(CMP)は、化学作用と機械的力の組み合わせによって材料を除去し、半導体基板などの表面を平滑化するために、集積回路製造プロセスにおいて一般的に使用されている。一般的なCMPプロセスでは、平坦化パッドと組み合わせて、研磨剤と除去される材料に対して腐食性もしくは非腐食性の化学スラリーを使用する。基板と平坦化パッドはプレスされ、非同心回転軸で互いに相対的に回転させる。その力とスラリーを組み合わせることにより、基材でトポロジー的に低い領域に比較してトポロジー的に高い領域が除去され、それにより表面が滑らかになる。
【0008】
現行のCMP法は、さまざまなデバイス製造の場面で利用されているが、一方でさまざまな欠点もある。例えば、現行のCMPプロセスは、パッドコンディショナーの使用や、平坦化中に材料を機械的に研削する研磨スラリーとパッドが一因となり、他の製造プロセスと比較して汚染度が比較的高くなる。CMPによって発生する欠陥は、製造工場にとって大きな歩留まり損失の要因となり得る。CMPにおいて発生する欠陥や傷は、スラリーに含まれる研磨剤、パッドの基板への押しつけ力、パッド調整による屑、プロセスの摩擦学的側面など、プロセスの機械的要素に起因することが多い。さらに、スラリーには研磨剤が含まれているため、デバイス層に傷がつき、ピットができたりカスが残るなどして欠陥となる可能性がある。さらに、研磨やパッド調整の際にもパッド屑が発生する。このようなパッド屑は、処理基板を汚染する粒子や凝集物を生成し、また、パッドがウェハに押し付けられる力によりパッドの変形が起こり得る。その結果、基板との密接な接触や基板とパッド間の相対運動による界面のせん断応力を引き起こす可能性がある。さらに、CMPプロセスは必ずしも予測可能でないこともあり、分析的アプローチではなく、試行錯誤的なアプローチが主流となることもある。さらに、スラリーの取り扱い、供給、および安定化は、固形物の含有量のため製造施設に困難をもたらし、その結果、施設の維持コストが増大する可能性がある。平坦化プロセスの非効率性により、従来のCMPプロセスでは、成膜の冗長性や過平坦化が必要となり、リソースの浪費、コストの増加、生産性の低下につながる可能性がある。
【0009】
このような問題を回避するには、従来のCMP法で使用される、汚れたり欠陥が生じやすい機械的プロセスを使用せずに、化学的に平坦化を行うことが可能である。簡単に説明すると、研磨剤フリー平坦化溶液を研磨スラリーの代わりに使用して、平坦化溶液の基板表面への接触を制御することにより、基板のトポロジー的に低い部分に対してトポロジー的に高い部分からより高速で材料を選択的に除去することができる。「研磨剤フリー」とは、基材除去用の機械的研磨固体成分を含まない平坦化溶液を意味する。以下に詳述するように、いくつかの実施例では、研磨剤フリー平坦化の化学作用は、パッドと基板の間のパッド上でのものではなく、多孔性パッド内のものである。このようにして、基板のトポロジー的に高い特徴部を多孔性パッドに接触させ、基板のトポロジー的に低い特徴部には接触させないように制御することができる。平坦化化学物質は、多孔性パッドと接触している基材の部分に作用し、それにより基材のそれらの部分から物質を選択的に除去する。このようにして、研磨剤を使用することなく、基板に対して比較的軽い圧力を加えるだけで、基板表面のトポロジーをより滑らかにすることができる。これにより、デバイス層への傷やその他の損傷を避けることができるため、欠陥の発生を防ぎ、従来のCMPプロセスよりも歩留まり向上に資することも可能である。
【0010】
さらに、化学平坦化パッドは、除去された基材種をパッド上の官能基に結合した状態で保持するように構成することができる。除去された基材種の保持は、除去された基材種を基板表面から除去するのに役立つ。しかし、時間の経過とともに、基材種とパッド表面の官能基との結合によりパッドのグレージングが生じ、パッドの性能に影響を与える可能性がある。
【0011】
したがって、パッドに結合している基材種を解離させることによる化学平坦化パッドの再生に関する実施例が開示される。簡単に説明すると、パッドは、官能基と官能基に結合した基材との結合を切断して除去された物質を形成するべく構成された再生溶液を塗布することにより再生される。除去された物質は溶解錯化剤で錯化され、廃液相に溶解物質を形成する。このプロセスによりパッドが再生され、生産性や機能性を損なうことなく継続使用が可能になり、パッドの寿命が延びる。さらに、除去された物質は廃液相から回収することができ、廃液相を洗浄し、潜在的に貴重な物質のリサイクルが可能となる。
【0012】
パッド再生および物質回収の例を論じるにあたり、図1は、本開示に従った化学平坦化システム100の例の概略図を示す。システム100は、多孔性パッド104を支持する圧盤102からなる。システム100はさらに、多孔性パッド104の表面に対して基板108を保持するように構成された基板ホルダー106と、多孔性パッド104上に平坦化溶液112を導入するための平坦化溶液導入システム110とを含む。システム100はさらに、基板108の表面から除去された錯化物質など、多孔性パッド104から可能性のある汚染物質を洗浄するように構成されたパッド洗浄システム114を含んでもよい。パッド洗浄システム114はまた、異なる平坦化溶液化学物質の使用の間でのパッドの洗浄に使用することも可能である。システム100に組み込むことができる他の構成要素としては、使用済み溶液回収システム、(例えば、閉ループプロセスにおいて平坦化溶液を再循環させるための)材料再循環システム、および種剥離システムが挙げられるが、これらに限定されない。化学平坦化システム100の他の態様については、「化学平坦化」の発明の名称で米国出願15/931,556に詳細に記載されており、その全内容は、あらゆる目的のために、参照によりその全体がここに組み込まれる。
【0013】
図2は、多孔性パッド104として使用するのに適した多孔性パッド200の例を示す概略図である。多孔性パッド200は第1層202と第2層204を含む。このような二層構造は、2段階の物質除去・分離プロセスを実装するために使用することができ、第1工程は除去される種の加水分解(および場合によっては溶解)を含み、第2工程はその種の化学的錯体形成を含む。第1層202は、第2のパッドと比較して比較的薄くてもよく、平坦化プロセスにおいて除去される物質の加水分解(例えば、いくつかの例では金属種の酸化)用に構成されてもよい。このように、第1層202は、比較的大きな細孔を含んでいてもよく、親水性であってもよく、ポリマー表面を官能化するように表面修飾されていてもよく、それによって第1層202のポリマーが基材206と加水分解反応させることが可能である。
【0014】
図3は、官能化化学平坦化パッド304を用いて基材302を平坦化する例を示す概略図である。官能化化学平坦化パッド304は、図2の多孔性パッド200の一例である。官能化化学平坦化パッド304は、遷移金属、耐火金属、誘電体材料など、任意の適当な基板材料を研磨するために使用することができる。適当な基板材料の例としては、銅、コバルト、金、ハフニウム、ジルコニウム、レニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、タンタル、バナジウム、タングステン、TaN、TiN、ポリシリコン、シリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
官能化化学平坦化パッド304は、パッド304の物質に結合された複数の官能基「R」からなる。官能基Rは、基材302の一部が官能基Rに結合するように、基材302と化学反応するべく構成されている。いくつかの例では、官能基Rは、パッド304を形成する分子(例えば、ポリマー鎖)に結合するカルボキシル基、アミノ基、およびヒドロキシル基のうちの1つまたは複数を含む。また、官能基Rは、スルホニル基などの他の適当な官能基を含むことが可能であると理解されよう。上記で紹介したように、官能基Rにより、研磨剤を使用せずに基材表面を平滑化することができる。しかし、場合によっては、基材の一部が官能基と結合し、これによりパッドの反応性が低下したり、前述のようにパッドのグレージングにつながることもある。
【0016】
従って、ここで図4を参照すると、官能基Rと基材302(例えば、M)との間の結合を分離して除去された物質(例えば、MX)を形成するように構成された再生溶液(例えば、HX)を使用することによって、官能化化学平坦化パッド304が再生される。除去された物質は溶解錯化剤で錯化され、廃液相に溶解物質を形成する。このようにして、再生溶液は、官能化化学平坦化パッドから基材を剥離するように構成される。いくつかの例では、再生プロセスは、平坦化されるウェハが、研磨ツールから取り外され、かつ官能化パッドとは非接触のときに実施される。
【0017】
いくつかの例では、再生溶液は、酸化および/または加水分解を介して官能化化学平坦化パッドから基材を除去するように構成された剥離剤を含む。適切な剥離剤の例としては、過酸化物(例えば、過酸化水素)、HCl、HNO、硫酸、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および多くの公知のアミノ酸が含まれるが、これらに限定されない。例えば、官能基Rの1つに結合した金属基材(例えば、金属銅原子)は、金属から金属酸化物(例えば、CuOまたはCuO)を形成することによって除去することができる。金属の酸化は、表面を劣化させることなく、官能化化学平坦化パッド304の表面を酸またはアルカリと反応させることによっても可能である。
【0018】
適切な錯化剤の例としては、水酸化物、アルコール、酸、アミン、アゾール、大環状化合物(例えば、シクロデキストリン)、スルホネート、亜硫酸エステル、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、モノDADMAC、および過硫酸塩(例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。適切な酸のいくつかの例としては、カルボン酸(例えば、酢酸、シュウ酸、クエン酸、ニコチン酸、およびピコリン酸)、ならびにHCl、HNO、および硫酸などの強酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。適切なアミンのいくつかの例としては、アンモニア、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン、およびアミノ酸(例えば、グリシン、システイン)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。適当な水酸化物の例としては、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。適当なアゾール類の例としては、1,2,4-トリアゾールおよびその誘導体が挙げられる。さらに他の例では、錯化剤は生分解性化合物からなる。適当な生分解性錯化剤の例としては、イミノジコハク酸(IDS)、エチレンジアミノジコハク酸(EDDS)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの生分解性錯化剤は、再生可能な資源に由来し、有機および無機錯化剤の他の例よりも比較的安全な毒物学的および生態学的特徴を有するものもある。銅の錯形成/溶解反応の例として、以下のような2つが挙げられる。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
他の例では、除去物質を錯化することには、除去物質をキレート剤でキレート化することが含まれる。適当なキレート剤の例としては、EDTA、アミノ酸(例えば、グリシンおよびセリン)、およびエチレンジアミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。グリシンはpHによって異なる形態で存在可能である(pHは各矢印上に示される)。
【0022】
【化3】
【0023】
アルカリ性領域では中性のNH基とCOO基が、より低いpH値ではCOOH基により、このアミンが比較的大きなpH範囲にわたって基材のイオン(例えば銅イオン)を安定化させることが可能である。
【0024】
同様に、エチレンジアミンもpHによって異なる形態で存在し得る(pHは各矢印上に示される)。
【0025】
【化4】
【0026】
高いpH値の下では、2つの中性NH基により銅は可溶化される。
【0027】
これらの反応性種の1つまたは複数を含む溶液に曝露することにより、基材を官能基から分離および/または隔離することができ、それにより官能化化学平坦化パッドの再生と、官能化化学平坦化パッドの継続的な使用が可能となる。剥離剤と同時に、または剥離剤の使用後の第2工程で、再生溶液中へ錯化剤を与えてもよいことは理解されよう。他の例では、錯化剤が剥離剤の役割を果たすか、もしくはその逆もある。また、除去物質を剥離し錯化する工程は、基板からの物質除去率に基づいて、任意の適当な回数、および/または、任意の適当な頻度で繰り返すことができることが理解されよう。
【0028】
基材の平坦化、官能基からの基材の除去、および/または、除去された基材の錯化の後、廃液相には、低濃度の除去された基材(例えば、いくつかの例では約5~100mg/L)が含まれ得る。例として、1日当たり30,000枚(200mm相当)のウェハを製造すると、毎日約300,000ガロンの廃液が発生する。この廃液中の除去物質には貴重な物質(例えば、Cu、Au)が含まれる。さらに、このような濃度の除去物質を含む廃液を安全に処理することが困難な場合もある。本願で開示する化学平坦化法は研磨剤を使用しないため、廃液は従来のCMP廃液よりも比較的清浄な混合物であり、従来のCMPと比較して廃液の純度レベルを高めることにつながる除去物質の抽出が可能である。
【0029】
様々な例において、溶解物質は、液液抽出、及び/又は、溶媒抽出を介して廃液相から抽出される。液液抽出法または溶媒抽出法は、有機相と廃液(例えば、水性)相が第1段階工程で選択的抽出を行い、次いで、種が選択的に剥離相(例えば、別の水性相)に捕捉される剥離が続くといった、2段階工程である。
【0030】
一例として、銅は適当な抽出溶液を使用することで回収可能である。適当な抽出溶液の例としては、ドイツ・ルートウィヒスハーフェンに所在のBASF欧州会社により提供されるLIX64及びLIX64N、デラウェア州ウィルミントンに所在のアシュランド・グローバル・スペシャルティ株式会社により提供されるKELEX 100及びKELEX 120、さらにホスホン酸塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。適当な抽出溶媒の他の例としては、ドイツ・ルートウィヒスハーフェンに所在のBASF欧州会社により提供されるALAMINE 308、ALAMINE 336及びALAMINE 304、またドイツ・デュッセルドルフに所在のヘンケル株式合資会社により提供されるALIQUAT 336が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの媒体は銅に対して高い抽出能力を持つため、適切なpH条件下で、また任意で他の添加剤の存在下でも、効率的な銅の除去を促進する。溶媒としては、前述のLIXやKELEXのような錯化剤を含むケロシンのような有機相が挙げられる。同様に、溶媒抽出装置(または、湿式冶金や化学工業で採用されているような類似の装置や方法論)を通して溶媒を再利用するために、その後の剥離工程で溶媒から除去することも可能である。コバルトや金、ハフニウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、レニウムや、コロンビウム、タンタルや他の希土類のような希少金属等の耐火性金属といった、半導体産業において関心が高いと思われる他の金属についても、同様の抽出及び剥離を行うことができる。
【0031】
いくつかの例では、少量の活性溶媒成分(例えば、有機化学物質)が第2の有機液体に溶解され、この第2の有機液体を希釈剤と呼称する。いくつかの例では、活性溶媒成分はアミン、アルキルリン酸、スルホン酸塩のうちの1つまたは複数からなる。アミン類はアニオンと有機可溶性塩を形成することにより作用するのに対し、アルキルリン酸は陽イオンと反応する。いくつかの例では、希釈剤はケロシンまたは溶解物質に対して(活性溶媒成分に比較して)不活性な他の炭化水素からなる。溶液の70~95%を占める希釈剤は、活性溶媒成分の担体として作用する。
【0032】
抽出操作の間、活性成分は水性供給物中の所望のイオンと化学的に反応し、不活性希釈剤または担体に可溶な新しい化合物を形成する。活性有機物質は、所望の金属イオンに付着した後、金属イオンを伴ってケロシンなどの溶媒中に移動する。このように、有機物の性質や特性を変えることで、多くの選択性を得ることができる。アミンによるウランの抽出は、この種の溶媒抽出の一例である。同様に、リン酸トリブチル(TBP)を使用したトリウムも、原子力分野で使用されている例である。
【0033】
いくつかの例では、溶媒抽出溶液はさらに改質剤を含む。適当な改質剤の例としては、ジ-ブチル-ブチルホスホネート、ホスフィンオキシド、リン酸トリブチル、およびイソプロピルアルコールが挙げられるが、これらに限定されることはない。これらの化合物は、溶媒の抽出力、選択性、相分離を高めることができる。改質剤の添加により、有機相中の不溶性化合物の生成を防ぐこともできる。例えば、アルコールの添加は、モリブデン抽出における有機相中のモリブデンアミン固体沈殿物の生成を抑制するのに役立つ。ジメチルヘキシルリン酸にリン酸トリブチルを加えると、不溶性のジ-2-エチル-ヘキシルリン酸ナトリウムの生成を防ぐことができる。
【0034】
他の例では、溶媒抽出を介しての溶解物質の抽出は、イオン対抽出を介しての溶解物質の抽出を含む。この方法では、有機相全体が、水と有機相の両方に可溶な水相(例えば、廃液)のある成分に対する溶媒として作用する。その結果、優先的溶解性によって中性分子(イオン対)が抽出される。イオン対抽出の一例として、フッ化水素酸からタンタルとコロンビウムをヘキソンで分離する方法がある。イオン対抽出は、チオシアン酸塩のような適当な物質を廃液に添加することが可能な場合に実施される。添加された物質は、除去された基材と化合物を形成し、除去された基材を有機相に可溶化する。
【0035】
さらに他の例では、溶解物質を回収することには、膜分離(例えば、液膜(LM)系または界面活性剤液膜(SLM)系)を介して溶解物質を抽出することが含まれる。膜分離は、抽出と剥離の両方を一つの工程で行う。これは、小型の分離反応器や、微量金属が含まれ高い抽出効率と分離効率を必要とする操作に対して特に有用である。膜分離は、他の抽出技術(例えば、液液抽出や溶媒抽出)よりも高い純度が得ることが可能であり、これにより使用済み化学物質の閉ループリサイクルが可能となる。
【0036】
担持LMシステムでは、抽出相(有機相)は、固体の多孔性マトリックス(非反応性で、主に有機相の支持構造となる膜/ポリマー材料)内に埋め込まれ、固定化される。固定化または担持された膜は、廃液相と剥離(受入)相を分離する。膜と廃液(例えば、水性)相の間の界面の一つは、抽出工程を表す。もう一方の界面は回収工程を表し、これは剥離とも呼ばれる。LM骨格内の有機相は抽出剤であり、かつ、一方の端で金属種と化学反応/溶解し金属種を剥離相に移動/放出する担体である。
【0037】
SLMシステムでは、水/有機(W/O)および有機/水(O/W)界面が、水/有機/水の多相エマルション中に生成される。その結果、抽出と剥離が1つの工程で同時に行われる。前記抽出は外側のW/O界面で起こり、剥離は内側のO/W界面で起こる。前記反応は、有機相と剥離相の組成を選択することによって制御が可能である。酸化還元反応は、プロトンを放出したり消費したりするため、システムの成分のpHを調整することによって、追加として、または代替として、制御することができる。
【0038】
図5は、有機相を水相に分散させたSLMシステムの一例を示す概略図である。得られたエマルション(W/O)は界面活性剤によって安定化される。これにより、分散相の液滴の大きさを操作することで、他の抽出方法(例えば、液液抽出や溶媒抽出)と比較して、すぐれた分離プロセスの制御が可能となる。液滴が小さいほど表面積が大きくなり、分離速度が向上する。分離の化学的性質は、有機相中の活性化学試薬によって決定される。この方式では、抽出は別の第1の工程である。抽出の完了後、エマルションが分解され2相を分離する。それまでに、除去された基質物質(例えば、金属種)はすべて有機相に抽出される。別の工程では、同様のO/Wエマルションが考案され(界面活性剤、添加剤、安定剤などを含んでもよい)、金属種を有機相から剥離相(例えば、別の水相)に剥離する。さらなる相分離(エマルションの分解を通して)により、有機相が再利用のために回収される。これは溶媒抽出に似ているが、相間の界面表面積を増加させるためにある相を別の相に分散させことで分離が促進される点が異なる。水相と有機相の接触は、ミキサー、充填床、カラムなど、任意の適当な方法で行うことができる。同様に、相分離は、密度分離または熱分解に基づく重力を介して達成することができる。
【0039】
いくつかの例では、廃液は2つ以上の異なる金属種を含み、それらは段階的回収アプローチで抽出される。第1の金属種は第1抽出段階で抽出され、第2の金属種は廃液中に残る。第2の金属種は、第2の抽出段階で廃液から抽出される。例えば、ニッケルと銅は、LIX64Nを使用して廃液相から共抽出することができる。ニッケルと銅は、選択的剥離によって分離・濃縮することができる。しかし、コバルト(例えば、コバルト(III))はLIX64Nでは抽出されず、ラフィネートに残る。コバルトは、pH範囲5~6.5または11~12で、溶媒抽出により硫酸塩溶液から抽出することができる。コバルト抽出相用のアルカリ溶液は、硫酸アンモニウム濃度が40g/L以下である。CMPの半導体用途などの他の例においては、ラフィネートの安全な廃棄に対してコバルト濃度を十分低くしてもよい。
【0040】
他の例では、コバルト以外の金属イオン、例えばNiイオンやZnイオンを廃液から抽出することが可能である。ニッケルは、コバルト溶媒抽出の前に、LIX64Nでほぼ完全に抽出することが可能である。約0.01g/LのNiと0.001g/L未満のCuを含む溶液では、選択的抽出が起こり分離が可能となる。例えば、ZnはNiとCuの装入によってLIX64Nから押し出し(置換)される。したがって、亜鉛はニッケル―銅のラフィネートに残留する。ラフィネート中のニッケル量を制御するには、少量のブリード流を使用することが可能である。いくつかの例では、ラフィネート中の亜鉛量は、コバルト装入によって溶媒からZnを押し出しすることによって制御される。他の例では、亜鉛はラフィネートからジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(D2EHPA)で抽出され、結晶化した硫酸亜鉛として回収される。
【0041】
図6は、平坦化、再生、除去された化学種および使用済み化学物質の回収のためのシステム600の例の概略図である。システム600には、化学平坦化装置602が含まれる。化学平坦化装置602には、基材(例えば、図1の基板108、図2の基板206、あるいは図3の基材302)を研磨するべく動作可能に構成された官能化化学平坦化パッド(例えば、図1の多孔性パッド104、図3の多孔性パッド200、あるいは図3~4の官能化化学平坦化パッド304)が含まれる。
【0042】
システム600にはさらに、化学平坦化装置602の上流に再生溶液リザーバ604が含まれる。再生溶液リザーバ604は、再生溶液606を化学平坦化装置602に導入するように動作可能に構成され、それによって、上述したように、官能化化学平坦化パッドの表面から除去された物質を分離する。溶媒交換器608は、平坦化装置602の下流に配置されている。溶媒交換器608は、平坦化装置602から廃液610を受け取り、廃液相から除去材料を回収するように動作可能に構成されている。除去された物質は、上述したように、剥離溶液612中で廃液から剥離される。除去物質614を含む剥離溶液は処理され、616で除去物質が抽出される。このため、本開示の潜在的な利点の1つにおいて、閉ループシステムにおいて再生溶液606および/または剥離溶液612を再利用するのに十分なほど、抽出効率および純度を高くすることが可能である。
【0043】
次に図7Aおよび7Bを参照すると、ここでは平坦化プロセスにおいて官能化化学平坦化パッドを使用するための方法700が与えられる。方法700については、上述の、かつ図1~6に示されるソフトウェアおよびハードウェア構成要素を参照し、以下のように説明される。方法700はまた、別の状況においては、他のハードウェアおよびソフトウェア構成要素を適宜用いて実行してもよいことが理解されよう。
【0044】
図7Aの工程702において、方法700には、官能化化学平坦化パッドで基材を平坦化することが含まれる。官能化化学平坦化パッドは、パッドの材料に結合された複数の官能基を含む。前記官能基は、基材の一部がその官能基と結合するように、基材と化学反応するべく構成される。例えば、図3の官能化化学平坦化パッド304は、基材(M)の一部が官能基(R)に結合するように、基材302と反応するべく構成される。いくつかの例では、704で示されるように、基材には、銅、コバルト、金、ハフニウム、ジルコニウム、レニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、タンタル、バナジウム、タングステン、TaN、TiN、ポリシリコン、またはシリコンのうちの1つまたは複数が含まれる。
【0045】
706において、方法700には、官能基と官能基に結合した基材との間の結合を切断して除去物質を形成するように構成された再生溶液を使用することによってパッドを再生することが含まれる。いくつかの例では、708で示されるように、パッドの再生には、官能基と官能基に結合した基材との間の結合を切断するように構成された剥離剤で官能基に結合した基材を反応させることが含まれる。例えば、官能化化学平坦化パッド304は、剥離剤HXを適用して基材(M)を官能基(R)から分離し、除去物質MXを形成することによって再生される。
【0046】
710で示されるように、いくつかの例において、官能基に結合した基材を剥離剤と反応させることには、基材を溶解した錯化剤と反応させることが含まれる。いくつかの例では、712において、基材には金属が含まれ、再生溶液を適用して官能基と基材との間の結合を切断することには、金属から金属酸化物を形成することが含まれる。
【0047】
714において、方法700には、除去物質を溶解錯化剤中で錯化して、廃液相中に溶解物質を形成することが含まれる。いくつかの例では、716において、溶解錯化剤中で除去物質を錯化することには、除去物質を、水酸化物、アルコール、酸、アミン、アゾール、大環状化合物、スルホネート、亜硫酸エステル、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、モノDADMAC、過硫酸塩、アンモニア、エチルジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)のうちの1つまたは複数と錯化することを含む、 モノDADMAC、過硫酸塩、アンモニア、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン、アミノ酸、イミノジコハク酸(IDS)、エチレンジアミノジコハク酸(EDDS)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、またはメチルグリシン二酢酸(MGDA)のうちの1つまたは複数を用いて錯化することが含まれる。
【0048】
ここで図7Bのステップ718を参照すると、いくつかの例では、方法700には、廃液相から溶解物質を回収することが含まれる。いくつかの例において、720で示されるように、溶解物質の回収には、液液抽出、溶媒抽出、または膜分離のうちの1つまたは複数を介して溶解物質を抽出することが含まれる。722で示されるように、いくつかの例において、溶媒抽出の活性溶媒成分には、アミン、アルキルリン酸、またはスルホン酸塩のうちの1つまたは複数が含まれる。いくつかの例では、724において、方法700には、改質剤を含む溶液を用いて溶媒抽出を行うことが含まれる。726において、いくつかの例では、改質剤には、ジ-ブチル-ブチルホスホン酸、ホスフィンオキシド、リン酸トリブチル、またはイソプロピルアルコールのうちの1つまたは複数が含まれる。いくつかの例において、728において、溶媒抽出を介して溶解物質を抽出することには、イオン対抽出を介して溶解物質を抽出することが含まれる。730において、膜分離を介して溶解物質を抽出することには、液膜系または界面活性剤液膜系を介して溶解物質を抽出することが含まれる。いくつかの例では、732において、方法700にはさらに、界面活性剤液膜系を用いて金属種を単一工程で回収すること、または、液膜系を介して金属種を廃液から有機溶液に抽出することと、有機溶液から金属種を水相に剥離することとを含む2段階プロセスで金属種を回収することが含まれる。
【0049】
いくつかの例では、734において、廃液には、少なくとも第1の金属種および第2の金属種が含まれる。方法700には、第1の抽出段階において第1の金属種を抽出することがさらに含まれる。第2の金属種は、第1の抽出段階の後、廃液中に残る。方法700には、第2の抽出段階において第2の金属種を抽出することがさらに含まれる。
【0050】
別の態様では、平坦化プロセスにおいて官能化化学平坦化パッドを使用する方法が提供され、この方法は、官能化化学平坦化パッドがパッドの材料に結合された複数の官能基を含み、官能基は基材の一部が官能基に結合するように基材と化学反応するように構成された、官能化化学平坦化パッドを用いて基材を平坦化する工程、官能基と官能基に結合された基材との間の結合を切断して除去物質を形成するように構成された再生溶液を使用することによってパッドを再生する工程、さらに、除去された材料を溶解錯化剤中で錯化して、廃液相中に溶解物質を形成する工程からなる。いくつかの例では、基材には、追加として、または代替として、銅、コバルト、金、ハフニウム、ジルコニウム、レニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、タンタル、バナジウム、タングステン、TaN、TiN、ポリシリコン、またはシリコンのうちの1つまたは複数が含まれる。いくつかの例において、パッドを再生することには、追加として、または代替として、官能基に結合した基材を、官能基と官能基に結合した基材との間の結合を切断するように構成された剥離剤と反応させることが含まれる。いくつかの例では、官能基に結合した基材を剥離剤と反応させることには、追加として、または代替として、基材を溶解した錯化剤と反応させることが含まれる。いくつかの例では、溶解した錯化剤で除去物質を錯化することには、追加として、または代替として、除去材料を、水酸化物、アルコール、酸、アミン、アゾール、大環状化合物、スルホン酸塩、亜硫酸エステル、ポリ-DADMAC、モノ-DADMAC、過硫酸塩、アンモニア、EDTA、DTPA、NTA、エチレンジアミン、アミノ酸、IDS、EDDS、GLDA、またはMGDAのうちの1つまたは複数と錯化することが含まれる。いくつかの例において、基材には、追加として、または代替として、金属が含まれ、官能基と基材との間の結合を切断するために再生溶液を適用することは、追加として、または代替として、金属から金属酸化物を形成することが含まれる。いくつかの例において、本方法には、追加として、または代替として、廃液相から溶解物質を回収することが含まれる。いくつかの例において、溶解物質を回収することには、追加として、または代替として、液液抽出、溶媒抽出、または膜分離のうちの1つまたは複数を介して溶解物質を抽出することが含まれる。いくつかの例において、溶媒抽出の活性溶媒成分には、追加として、または代替として、アミン、アルキルリン酸、またはスルホネートのうちの1つまたは複数が含まれる。いくつかの例において、本方法には、追加として、または代替として、改質剤を含む溶液を用いて溶媒抽出を行うことが含まれる。いくつかの例において、改質剤には、追加として、または代替として、ジ-ブチル-ブチルホスホン酸、ホスフィンオキシド、リン酸トリブチル、またはイソプロピルアルコールのうちの1つまたは複数が含まれる。いくつかの例では、溶媒抽出を介して溶解物質を抽出することには、追加として、または代替として、イオン対抽出を介して溶解物質を抽出することが含まれる。いくつかの例では、膜分離を介した溶解物質の抽出には、追加として、または代替として、液膜系または界面活性剤液膜系を介した溶解物質の抽出が含まれる。いくつかの例において、本方法には、追加として、または代替として、界面活性剤液膜系を用いて金属種を単一工程で回収すること、または、液膜系を介して金属種を廃液から有機溶液に抽出すること、および金属種を有機溶液から水相に剥離することを含む2段階プロセスで金属種を回収することが含まれる。いくつかの例において、廃液には、追加として、または代替として、少なくとも第1の金属種および第2の金属種が含まれ、また本方法には、追加として、または代替として、第1の抽出段階において第1の金属種を抽出することであって、ここで第2の金属種が第1の抽出段階の後に廃液中に残り、さらに第2の抽出段階において第2の金属種を抽出することが含まれる。
【0051】
別の態様では、平坦化工程において金属種を回収する方法が提供され、この方法には、平坦化工程から、除去された金属基材であり錯化剤に錯化されたものを含む液体廃液相を受け取る工程と、溶解物質を液体抽出相に抽出する工程と、液体抽出相から除去された金属基材を回収する工程とが含まれる。いくつかの例では、除去された金属基材には、追加として、または代替として、銅、コバルト、金、ハフニウム、ジルコニウム、レニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、タンタル、バナジウム、タングステン、TaN、TiN、ポリシリコン、またはシリコンのうちの1つまたは複数が含まれる。いくつかの例において、溶解物質を受け取ることには、追加として、または代替として、除去された金属基材を、水酸化物、アルコール、酸、アミン、アゾール、大環状化合物、スルホン酸塩、亜硫酸エステル、ポリ-DADMAC、モノ-DADMAC、過硫酸塩、アンモニア、EDTA、DTPA、NTA、エチレンジアミン、アミノ酸、IDS、EDDS、GLDA、またはMGDAのうちの1つまたは複数と錯化した状態で受け取ることが含まれる。いくつかの例では、溶解物質を抽出することには、追加として、または代替として、液液抽出、溶媒抽出、または膜分離のうちの1つまたは複数を介して溶解物質を抽出することが含まれる。
【0052】
別の態様では、平坦化プロセスにおいて官能化化学平坦化パッドを使用し、金属種を回収するための方法が提供され、この方法は、 官能化化学平坦化パッドがパッドの材料に結合された複数の官能基を含み、官能基は基材の一部が官能基に結合するように基材と化学反応するように構成された、官能化化学平坦化パッドを用いて基材を平坦化する工程、官能基と官能基に結合された基材との間の結合を切断して除去物質を形成するように構成された再生溶液を使用することによってパッドを再生する工程、除去された材料を溶解錯化剤中で錯化して、廃液相中に溶解物質を形成する工程、さらに、廃液相から溶解物質を回収する工程からなる。
【0053】
本明細書に記載される構成、および/または、アプローチは、本質的に例示的なものであり、多数の変種が可能であるため、これらの特定の実施形態または実施例は、限定的な意味でとらえられるべきではないことが理解されよう。本明細書に記載される特定のルーチンまたは方法は、任意の数の戦略のうちの1つまたは複数を表すことができる。そのため、図示、および/または、記載された様々な行為は、図示、および/または、記載された順序で実行されてもよく、他の順序で実行されてもよく、並行して実行されてもよく、省略されてもよい。同様に、上述した工程の順序を変更してもよい。
【0054】
本開示の主題には、本明細書に開示された様々な工程、システム、構成、および他の特徴、機能、作用、および/または、特性の新規かつ非自明な組み合わせおよび副組み合わせ、ならびにそれらのあらゆる均等物が含まれる。
【0055】
さらに、詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用される用語「includes」、「including」、「has」、「contains」、それらの変形、および他の類似の語は、付加的な要素または他の要素を妨げることなく、開放遷移語としての用語「comprising」と類似の形で包括的であることを意図していることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】