(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】車両近接センサシステム
(51)【国際特許分類】
G01V 3/08 20060101AFI20240416BHJP
【FI】
G01V3/08 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513559
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 GB2022050360
(87)【国際公開番号】W WO2022234242
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513268058
【氏名又は名称】スリー スミス グループ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】THREE SMITH GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Habergham Works, Ainley Industrial Estate, Elland, West Yorkshire, HX5 9JP United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エドガー
(72)【発明者】
【氏名】ミロス・ボジック
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ロー
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB05
2G105BB16
2G105DD02
2G105EE02
2G105HH08
2G105KK06
(57)【要約】
磁力計と、磁力計から基準磁場信号を受信し、磁力計から測定磁場信号を受信し、測定磁場信号及び基準磁場信号に基づいて磁場変位データを決定し、磁場変位データに基づいて車両の存在をシグナリングするように構成されたコントローラと、を備える、車両近接センサシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両近接センサシステムであって、
車両衝突の影響を受けやすく、磁力計を備える安全構造と、
コントローラと、を備え、前記コントローラは、
前記磁力計から基準磁場信号を受信し、
前記磁力計から測定磁場信号を受信し、
前記測定磁場信号及び前記基準磁場信号に基づいて磁場変位データを決定し、
前記磁場変位データに基づいて車両の存在をシグナリングするように構成されている、車両近接センサシステム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記磁場変位データが1つ以上の変位閾値を超えることに応答して、車両の前記存在をシグナリングするように構成されている、請求項1に記載の車両近接センサシステム。
【請求項3】
警告信号発生器を更に備え、前記コントローラは、前記警告信号発生器を作動させることによって車両の前記存在をシグナリングするように構成されている、請求項1又は2に記載の車両近接センサシステム。
【請求項4】
前記警告信号発生器は、可聴信号発生器及び/又は可視信号発生器を備える、請求項3に記載の車両近接センサシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、データ信号を外部デバイスに伝送することによって、車両の前記存在をシグナリングするように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の車両近接センサシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、
ある期間にわたって前記磁力計から複数の測定磁場信号を受信し、前記複数の磁場信号に基づいて前記磁場変位データを決定するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両近接センサシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記複数の磁場変位データに基づいて、前記車両の1つ以上の動的パラメータを決定し、
前記1つ以上の動的パラメータに基づいて車両の前記存在をシグナリングするように構成されている、請求項6に記載の車両近接センサシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記複数の磁場変位データに基づいて前記車両の軌道を決定し、
前記車両の前記軌道の少なくとも一部が前記近接センサの閾値範囲内にある場合に、前記車両の前記存在をシグナリングするように構成されている、請求項6又は7に記載の車両近接センサシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記磁力計と同じ場所に配置され、
前記コントローラは、ネットワークを介して前記磁力計に結合され、又は、
前記コントローラは、前記磁力計と同じ場所に配置されるか、又は前記ネットワークを介して前記磁力計に結合されるかの間で分散された複数のプロセッサを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の車両近接センサシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記車両近接センサシステムの感知範囲内の物体を示すトリガセンサからのトリガシグナリングを受信し、
前記磁力計が前記測定磁場信号を前記コントローラに提供するように、前記トリガシグナリングに基づいて前記磁力計を選択的に作動させ、
前記磁場変位データを決定し、
前記磁場変位データに基づいて、前記物体が車両であると判定するように更に構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の車両近接センサシステム。
【請求項11】
前記トリガセンサを備える、請求項10に記載の車両近接センサシステム。
【請求項12】
前記トリガセンサは、光学センサ、機械センサ、及び受信機のうちの1つ以上を備える、請求項11に記載の車両近接センサシステム。
【請求項13】
前記トリガシグナリングは、前記物体から受信される、請求項10から12のいずれか一項に記載の車両近接センサシステム。
【請求項14】
前記コントローラは、前記磁場変位がスリープ閾値未満であるとき、前記車両近接センサのスリープモードを有効にするように構成されている、請求項10から13のいずれか一項に記載の車両近接センサシステム。
【請求項15】
前記コントローラは、前記磁力計から複数の基準磁場信号を受信し、前記複数の基準磁場信号に基づいて前記磁場変位を決定するように構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載の車両近接センサシステム。
【請求項16】
前記車両近接センサシステムは、磁化構造に関連付けられ、前記コントローラは、前記複数の基準磁場信号に基づいて前記磁化構造の状態を決定するように更に構成されている、請求項15に記載の車両近接センサシステム。
【請求項17】
少なくとも前記磁力計は、前記安全構造内に配置され、前記安全構造は、安全バリア、安全ボラード、安全レール、安全レール用のポスト、衝突センサ、又はそれらの構成部品のうちのいずれかを備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の車両近接センサシステム。
【請求項18】
複数の磁力計であって、各磁力計は、対応するトランシーバに結合される、複数の磁力計と、
前記対応するトランシーバを介して前記複数の磁力計の各々と通信するように構成されたサーバと、を更に備える、請求項1から17のいずれか一項に記載の車両近接センサシステム。
【請求項19】
前記安全構造は、資産又は歩行者を車両から保護又は隔離するための構造、あるいは歩行者を危険エリアから保護又は隔離するための構造を備える、請求項1から18のいずれか一項に記載の車両近接センサシステム。
【請求項20】
車両の近接を感知するためのコンピュータ実装方法であって、
車両衝突の影響を受けやすい安全構造の磁力計から基準磁場信号を受信することと、
前記磁力計から測定磁場信号を受信することと、
前記測定磁場信号及び前記基準磁場信号に基づいて磁場変位データを決定することと、
前記磁場変位データに基づいて車両の存在をシグナリングすることと、を含む、コンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両近接センサシステムに関し、特に、磁力計を備える車両近接センサシステムに関する。
【発明の概要】
【0002】
本開示の第1の態様によれば、車両近接センサシステムであって、
車両衝突の影響を受けやすく、磁力計を備える安全構造と、
コントローラと、を備え、コントローラは、
磁力計から基準磁場信号を受信し、
磁力計から測定磁場信号を受信し、
測定磁場信号及び基準磁場信号に基づいて磁場変位データを決定し、
磁場変位データに基づいて車両の存在をシグナリングするように構成されている、車両近接センサシステムが提供される。
【0003】
磁力計を使用することによって、システムは、車両の存在を歩行者などの非車両物体から有利に区別することができる。このようにして、システムは、歩行者の危険でない単独の存在をシグナリングすることはない。
【0004】
コントローラは、強磁性体を有する車両の存在をシグナリングするように構成され得る。
【0005】
コントローラは、1つ以上の軸に沿った測定磁場と基準磁場との間の差又は比に基づいて磁場変位データを決定するように構成され得る。
【0006】
磁場変位データは、1つ以上の軸に沿った磁場変位データを含み得る。
【0007】
コントローラは、較正ルーチンの一部として、較正基準磁場として基準磁場信号を受信するように構成され得る。
【0008】
コントローラは、1つ以上の変位閾値を超える磁場変位データに応答して車両の存在をシグナリングするように構成され得る。
【0009】
車両近接センサシステムは、警告信号発生器を更に備え得る。コントローラは、警告信号発生器を作動させることによって車両の存在をシグナリングするように構成され得る。
【0010】
警告信号発生器は、可聴信号発生器及び/又は可視信号発生器を備え得る。
【0011】
コントローラは、データ信号を外部デバイスに伝送することによって車両の存在をシグナリングするように構成され得る。
【0012】
コントローラは、ある期間にわたって磁力計から複数の測定磁場信号を受信し、複数の磁場信号に基づいて磁場変位データを決定するように構成され得る。
【0013】
コントローラは、
複数の磁場変位データに基づいて、車両の1つ以上の動的パラメータを決定し、
1つ以上の動的パラメータに基づいて車両の存在をシグナリングするように構成され得る。
【0014】
1つ以上の動的パラメータは、車両の位置、速さ、速度、加速度、及び/又は軌道のうちのいずれかを含み得る。
【0015】
コントローラは、
複数の磁場変位データに基づいて車両の軌道を決定し、
車両の軌道の少なくとも一部が近接センサの閾値範囲内にある場合に、車両の存在をシグナリングするように構成され得る。
【0016】
コントローラは、磁力計と同じ場所に配置され得る。コントローラは、ネットワークを介して磁力計に結合され得る。コントローラは、磁力計と同じ場所に配置されるか、又はネットワークを介して磁力計に結合されるかの間で分散された複数のプロセッサを備え得る。
【0017】
コントローラは、
車両近接センサシステムの感知範囲内の物体を示すトリガセンサからのトリガシグナリングを受信し、
磁力計が測定磁場信号をコントローラに提供するように、トリガシグナリングに基づいて磁力計を選択的に作動させ、
磁場変位データを決定し、
磁場変位データに基づいて、物体が車両であると判定するように更に構成され得る。
【0018】
車両近接センサシステムは、トリガセンサを備え得る。
【0019】
トリガセンサは、光学センサを備え得る。トリガセンサは、機械的センサを備え得る。トリガセンサは、振動センサ又は衝撃センサを備え得る。トリガセンサは、加速度計を備え得る。トリガセンサは、受信機を備え得る。
【0020】
トリガシグナリングは、物体から受信され得る。
【0021】
コントローラは、磁場変位がスリープ閾値未満であるとき、車両近接センサのスリープモードを有効にするように構成され得る。
【0022】
コントローラは、磁力計から複数の基準磁場信号を受信し、複数の基準磁場信号に基づいて磁場変位を決定するように構成され得る。
【0023】
車両近接センサシステムは、磁化構造に関連付けられ得る。コントローラは、複数の基準磁場信号に基づいて磁化構造の状態を決定するように更に構成され得る。
【0024】
少なくとも磁力計は、安全構造内に位置決めされ得る。安全構造は、安全バリア、安全ボラード、安全レール、安全レール用のポスト、衝突センサ、又はそれらの構成部品のうちのいずれかを備え得る。
【0025】
車両近接センサシステムは、
複数の磁力計であって、各磁力計は、対応するトランシーバに結合される、複数の磁力計と、
対応するトランシーバを介して複数の磁力計の各々と通信するように構成されたサーバと、を更に備え得る。
【0026】
サーバは、コントローラを備え得る。
【0027】
車両近接センサシステムは、それぞれが対応する磁力計から基準磁場及び測定磁場を受信するように構成された複数のコントローラを更に備え得る。
【0028】
安全構造は、資産又は歩行者を車両から保護又は隔離するための構造を備え得る。安全構造は、危険エリアから歩行者を保護又は隔離するための構造を備え得る。
【0029】
安全構造は、安全バリア、安全ボラード、安全レール、安全レール用のポスト、バンパー、衝突センサ、ラック、ガード、機械ガード、機械フェンシング、それらの組み合わせ、又はそれらの構成部品のうちのいずれかを備え得る。
【0030】
本明細書に開示される車両近接センサシステムのいずれかを備える、安全構造。安全構造は、安全バリア、安全ボラード、安全レール、安全レール用のポスト、衝突センサ、又はそれらの構成部品のうちのいずれかを備え得る。
【0031】
本明細書に開示される複数の車両近接センサシステムのいずれか及び/又は本明細書に開示される複数の安全構造のいずれかに接続されるサーバを備える、ネットワークシステム。
【0032】
本開示の更なる態様によれば、車両の近接を感知するためのコンピュータ実装方法であって、
磁力計から基準磁場信号を受信することと、
磁力計から測定磁場信号を受信することと、
測定磁場信号及び基準磁場信号に基づいて磁場変位データを決定することと、
磁場変位データに基づいて車両の存在をシグナリングすることと、を含む、コンピュータ実装方法が提供される。
【0033】
本開示の更なる態様によれば、車両近接センサシステムであって、
磁力計と、
コントローラと、を備え、コントローラは、
磁力計から基準磁場信号を受信し、
磁力計から測定磁場信号を受信し、
測定磁場信号及び基準磁場信号に基づいて磁場変位データを決定し、
磁場変位データに基づいて車両の存在をシグナリングするように構成されている、車両近接センサシステムが提供される。
【0034】
以下、1つ以上の実施形態について、添付の図を参照しながら、例示的にのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本開示の一実施形態による車両近接センサシステムの概略図を示す。
【
図2A】本開示の一実施形態による更なる車両近接センサシステムの概略図を示す。
【
図2B】本開示の一実施形態による更に別の車両近接センサシステムの概略図を示す。
【
図3】本開示の一実施形態による安全構造に実装された車両近接センサシステムの一実装形態を示す。
【
図4】本開示の一実施形態による、車両近接センサシステムを通過するフォークリフトトラックについての磁場変位データを示す。
【
図5】フォークリフトトラックまでの距離に対する磁場変位データの線形依存性を示す。
【
図6】本開示の一実施形態による、車両の近接を感知するための方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
車両衝突は、運転者及び歩行者を含む人に傷害を与え、構造及び車両自体に損傷を与える可能性がある。工場又は倉庫環境では、車両は、限られた空間内で、貴重な商品及び人員に近接して移動することが必要となる場合がある。例えば、倉庫では、フォークリフトトラック(FLT)が、貴重な在庫を含むラック又は棚の通路の間を通過することがある。FLTは、ラックから在庫を積み降ろしするために、急な旋回及び操作を行わなければならない場合がある。熟練した運転者であっても、特に衝突が検出されないか、又は報告されない場合には、偶発的にラックと衝突して損傷を引き起こし、ラックの崩壊による潜在的な安全上の問題を引き起こす可能性がある。
【0037】
ラック上の衝突センサは、衝突を検出して報告することによって、このリスクを軽減することができる。しかしながら、衝突センサは、例えば、歩行者が構造物をすり抜けた結果として生じる損害のない衝突に対して、多くの誤警報を生成する可能性がある。
【0038】
倉庫又は工場環境における更なる危険は、車両交通と人員との間の衝突である。運転者又は歩行者は、特定の在庫の位置を特定しようとして注意散漫になる場合があり、死角が広がることによって、車両と歩行者との衝突の危険性が更に高まる可能性がある。
【0039】
近接センサは、動きを検出し、それに応じてユーザに警告することができる。しかしながら、近接センサは、歩行者と車両とを区別できないため、人が徒歩で通過するために不要な警告を作成する場合がある。また、歩行者は注意喚起の疲労を感じ、警報信号を無視する可能性がある。
【0040】
とりわけ空港ターミナル、駐車場又は建設現場の大気側などの他の環境においても、上述したものと同様の危険が存在する。本明細書に開示される車両近接センサは、車両衝突が安全上の危険をもたらす任意の適切な環境での使用に適することができる。
【0041】
図1は、本開示の一実施形態による車両近接センサシステム100の概略図を示している。車両近接センサシステム100(本明細書ではシステム100と称される)は、磁力計104及びコントローラ106を備える。コントローラ106は、磁力計104から磁場信号を受信するように構成されている。磁場信号は、(i)第1の時間に磁力計の近傍におけるバックグラウンド又は較正基準磁場を提供する基準磁場信号と、(ii)第1の時間の後の第2の時間に磁力計の近傍における磁場測定値を提供する測定磁場信号と、を含む。コントローラ106は、測定磁場信号と基準磁場信号との差に基づいて磁場変位データを決定する。次いで、コントローラ106は、磁場変位データが変位閾値よりも大きい差を示す場合、磁力計の近傍の車両の存在をシグナリングすることができる。この例では、コントローラ106は、警告信号発生器108を使用して車両の存在をシグナリングすることができる。
【0042】
車両、特にFLT及び重車両(HV)は、典型的には、相当の質量の強磁性(又は鉄)材料を有する。この車両が移動すると、地磁場が乱れる。したがって、車両が磁力計104の近くに移動すると、磁力計104は、磁場の変化を測定し、磁場変位データを決定することができる。
【0043】
磁力計を使用することによって、システム100は、歩行者などの非車両物体から車両の存在を有利に区別することができる。このようにして、システムは、歩行者の危険でない単独の存在をシグナリングしない。以下に説明するように、システム100の例は、危険を更に定量化するために、車両の位置及び動的特性を有利に決定することもできる。
【0044】
センサシステム100は、車両衝突の影響を受けやすい構造に関連付けることができる。構造は、固定構造であってもよく、例えば、システム100は、倉庫環境内のポスト、バリア、ラック、壁、機械ガード、機械フェンシングなどに関連付けられてもよい。システム100はまた、建設現場、駐車場、又は空港などの屋外環境におけるボラード及びバリアに関連付けられてもよい。システム100はまた、スライディングラック、スライディングバリア、自律誘導車両、移動ロボット、及び他の車両などの、車両衝突の影響を受けやすい移動構造に関連付けられてもよい。
【0045】
構造は、車両衝突の影響を受けやすい安全構造を備える。安全構造は、資産又は歩行者を車両から保護又は隔離するための構造、あるいは歩行者を危険エリアから保護又は隔離するための構造を備え得る。安全構造は、安全バリア、安全ボラード、安全レール、安全レール用のポスト、バンパー、衝突センサ、ラック、ガード、機械ガード、機械フェンシング、それらの組み合わせ、又はそれらの構成部品のうちのいずれかを備え得る。
【0046】
一部の例では、安全構造は、ポリマー安全構造を備え得る。ポリマー安全構造(例えば、ポリウレタン安全構造)は、倉庫及び工場環境のための堅牢な保護安全構造を提供することができ、安全バリア、安全ボラード、安全レール、ポスト、バンパー、ラック、ガード、機械ガード、機械フェンシング、又は歩行者及び/若しくは資産を車両衝突から保護若しくは隔離するための、若しくは歩行者を危険区域から保護若しくは隔離するための任意の他の構造を含み得る。システム100は、有利には、ポリマー安全構造が、車両の磁場信号に影響を及ぼし得る金属安全構造に対して低減された磁場干渉を提供するため、ポリマー安全構造を用いて改善された性能を有することができる。他の例では、安全構造は、金属又は複合安全構造を備え得る。
【0047】
システム100はメモリを備えてもよく、コントローラ106は、安全構造の少なくとも1つの材料特性をメモリに記憶してもよい。例えば、コントローラ106は、安全構造材料の透磁率を記憶することができる。コントローラ106は、材料特性に基づいて、車両の存在に関する1つ以上のパラメータを決定することができる。例えば、以下で説明するように、コントローラ106は、車両までの距離及び/又は車両の動的特性を決定することができる。コントローラ106は、安全構造の記憶された材料特性に基づいて、車両の距離及び/又は1つ以上の動的特性をスケーリング又は計算することができる。このようにして、システム100は、車両によって提供される磁場擾乱に対する異なる応答を有する安全構造の異なる材料タイプと、磁力計によって検出される結果として生じる異なる信号とを補償することができる。少なくとも1つの材料特性と、車両パラメータと、検出された磁場信号との間の関係は、較正ルーチンの一部として決定されてもよく、アルゴリズムとして記憶されてもよい。
【0048】
一部の例では、コントローラ106は、筐体102内の磁力計104の近くに位置することができる。筐体102は、筐体102が監視のために構造に取り付け可能である自己完結型ユニットとしてシステム100を提供することができる。他の例では、システム100は、構造又は構造のサブコンポーネントに一体化されてもよく、例えば、安全ポスト又は安全ポスト用のキャップに一体化されてもよい。筐体102(又は安全構造)は、1つ以上の入力コントロール(図示せず)を有し得る。例えば、1つ以上の入力コントロールは、1つ以上の機能ボタン、タッチスクリーン、スイッチなどを含み得る。コントローラ106は、1つ以上の入力コントロールの作動に応答して、磁力計104に基準磁場を提供させ、又は(以下で説明するように)較正ルーチンを実施させ、かつ/又は例えば警告信号発生器108を無効にすることによってシステム100をリセットさせることができる。
【0049】
一部の例では、コントローラ106は、磁力計から離れて、例えば筐体102の外側及び/又はサーバ上に位置することができる。かかる例では、コントローラ106は、無線で及び/又はネットワークを介して磁力計104に結合され得る。一部の例では、コントローラ106は、磁力計104に対してローカルに(例えば、筐体102内に)配置された1つ以上のプロセッサと、磁力計104からリモートに(例えば、筐体102の外部又はサーバ上に)配置された1つ以上のプロセッサとを有する複数のプロセッサを備え得る。換言すれば、本明細書で説明されるコントローラ106の任意の機能は、磁力計に対してローカルに、かつ/又は磁力計からリモートに実施され得る。システム100及び/又はコントローラ106は、リモートコントローラ106又はサーバなどの任意のリモート処理デバイスと通信するためのトランシーバを含み得る。
【0050】
コントローラ106は、較正ルーチンの一部として較正基準磁場として磁力計104から基準磁場信号を受信することができる。較正ルーチンは、製造時、設置時、サービス時、再配置時を含む任意の時に、かつ/又は使用中に定期的に、例えばスケジュールに従って、又は要求に応じて、コントローラ106によって実施されてもよい。一例として、コントローラ106は、1日に1回、車両が存在しないことが分かっているとき(例えば、夜間)に基準磁場を捕捉することができる。基準磁場信号は、車両が存在しない期間にわたって捕捉された複数の磁場信号の平均を含み得る。このようにして、背景磁場を周期的に測定して、FLT/HV(大型車両)の移動に関連しない、発生する可能性のある任意の背景変化に対する基準を提供することができる。基準磁場信号は、地球の磁場信号と、システムの近傍の任意の静的磁気物体とを含み得る。したがって、基準磁場信号は、システム100の位置に応じて変化する可能性がある。したがって、システム100が新しい位置に再配置された場合、新しい基準磁場信号が較正ルーチンの一部として受信され得る。
【0051】
磁場信号は、1つ以上の座標軸に沿った磁場測定値、又は軸線方向分解能のない絶対値としての磁場測定値を含み得る。コントローラ106は、1つ以上の軸に沿った測定磁場B
measと基準磁場B
refとの間の差又は比に基づいて、磁場変位データΔBを決定することができる。例えば、磁場変位データは、以下の形式をとることができる。
【数1】
又は、これに代えて、
【数2】
コントローラ106は、磁場変位データΔBを1つ以上の変位閾値と比較することができる。例えば、コントローラ106は、磁場変位データΔBの大きさを絶対変位閾値と比較してもよい。代替として、又は加えて、コントローラ106は、各軸に沿った磁場変位データの値を対応する軸線方向変位閾値と比較してもよい。1つ以上の閾値を使用することによって、トロリーなどのより少ない鉄質量を有する金属物体によって引き起こされる可能性がある低磁場擾乱を無視することができる。
【0052】
コントローラ106は、磁場変位データΔBに基づいて、車両の位置又は車両までの距離を決定することができる。一部の例では、車両の磁気特性は予め決定することができる。例えば、倉庫環境では、それぞれが実質的に同じ質量の強磁性材料を有するフォークリフトトラックが、検出のための唯一の車両タイプであってもよい。コントローラ106は、1つ以上の軸における磁場変位の値を、1つ以上の軸に沿ったフォークリフトトラックまでの対応する距離に変換するための換算係数で事前構成又はプログラムすることができる。他の例では、コントローラ106は、車両から識別信号を受信し、識別信号に基づいて車両の磁気特性又は強磁性質量を識別することができる。次いで、コントローラ106は、磁場変位データ及び識別信号に基づいて、車両の位置又は車両までの距離を決定することができる。
【0053】
一部の例では、コントローラ106は、ある期間、例えば数秒にわたって磁力計104から複数の測定磁場信号を受信することができる。コントローラ106は、複数の測定磁場信号Bmeas(t)と基準磁場信号Brefとの間の差(又は比)に基づいて、時間依存磁場変位データΔB(t)を決定することができる。
【0054】
コントローラ106は、時間依存磁場変位データΔB(t)に基づいて車両の存在をシグナリングすることができる。加えて、コントローラは、時間依存変位データΔB(t)に基づいて、車両に関連する動的パラメータを決定することができる。例えば、コントローラ106は、時間依存変位データΔB(t)の変化率がゼロよりも小さいか又は大きいかに基づいて移動方向を決定することができる。ここで、時間依存変位データの変化率ΔB(t)がゼロより大きいことは、車両が磁力計104に近づくことを表し、時間依存変位データの変化率ΔB(t)がゼロより小さいことは、車両が磁力計104から遠ざかることを表す。
【0055】
コントローラ106はまた、時間依存変位データΔB(t)に基づいて、車両の速さ、速度、加速度、及び又は軌道の形態の1つ以上の動的パラメータを決定することができる。例えば、上記の距離測定に類似して、コントローラ106は、磁気変位データの変化率dΔB(t)/dt、及び車両の所定の磁気特性又は車両から受信した磁気特性を含む情報信号のいずれかに基づいて、車両の速度を決定することができる。コントローラ106はまた、上述のように、ある期間にわたって距離を決定し、距離測定値の変化率として速度を決定することができる。同様に、コントローラ106は、加速度を速度の変化率として決定することができる。コントローラ106は、車両の決定された位置及び決定された速度に基づいて、単純な位置-速度ベクトルとして軌道を決定することができる。コントローラ106は、ニュートン力学を適用することによって、車両の加速度に基づいて軌道を決定することもできる。コントローラ106は、1つ以上の軸及び/又は変位の絶対的な大きさについて、記載された動的パラメータのいずれかを判定することができる。
【0056】
磁場変位データを監視することによって、システムは、磁力計104の近傍の磁場を監視する。コントローラ106は、各方向における電界強度の変化を分析して、車両の存在を判定することができる。コントローラ106は、変位の値及び磁場変位データの変化率を分析して、車両までの距離及び/又は車両速度を決定することができる。
【0057】
一部の例では、システム100は、警告信号発生器108を更に備えることができ、コントローラ106は、警告信号発生器108を作動させることによって車両の存在をシグナリングすることができる。警告信号発生器108は、サイレンなどの可聴信号発生器、又は(点滅)光若しくは警告メッセージを表示する表示画面などの可視信号発生器を備え得る。このようにして、警告信号発生器108は、車両の運転者(又は歩行者)に、センサシステム及び関連する影響を受けやすい構造への車両の近接を警告することができる。加えて、センサシステムが倉庫内のラック又は棚の角に配置される場合、警告信号発生器は、ユーザ(歩行者など)に、ユーザに可視ではない可能性がある車両の存在を警告することができる。
【0058】
コントローラ106は、車両の位置及び/又は動的パラメータのうちの1つ以上に基づいて警告信号発生器108を制御することができる。例えば、コントローラ106が、車両の速度が速度閾値よりも大きいと判定した場合、コントローラは、警告信号発生器を制御して、表示画面上に、警報光、警報音、又は警報メッセージ(例えば、「減速」)などの警報信号を発生させることができる。更なる例として、コントローラ106が、車両の軌道がシステム100の警告範囲内にあると判定した場合、コントローラは、警告信号を発生させるように警告信号発生器を制御することができる。警告信号は、警報信号とは異なってもよく、例えば、警報信号よりも強くてもよい。
【0059】
警告信号発生器108は、警告信号を外部デバイスに伝送するように構成された送信機を備え得る。例えば、送信機は、警告信号を車両に伝送して、車両の警報を作動させて運転者に警告することができる。送信機は、警告信号を遠隔サーバに伝送して、車両の存在に関するデータを捕捉することができる。例えば、警告信号は、磁場センサ信号、磁場変位データ、及び/又は動的車両パラメータのうちの1つ以上のうちのいずれかを含むデータ信号を備え得る。このようにして、データは、システムに関連付けられた構造が、例えば、毎日又は毎週、いくつの衝突及び/又はニアミスにさらされるかを示すために、センサシステム100のために捕捉され得る。
【0060】
図示の例では、警告信号発生器108は、筐体102内に示されている。他の例では、警告信号発生器108は、筐体の外側にあってもよく、有線又は無線手段を介してコントローラと通信してもよい。例えば、警告信号発生器は、センサシステムに近い壁に配置された可聴又は可視信号発生器を含み得る。
【0061】
システム100は、電源(図示せず)を含み得る。システムが固定構造と関連付けられる場合、電源は、バッテリを備え得る。磁力計は、高い電力消費を有し、無視できない電流を消費する可能性がある。したがって、1つ以上の例では、システム100は、スリープモード又はアイドルモードで動作するように構成され得る。システム100は、磁場変位データが任意の変位閾値又はスリープ閾値を超えていない所定の期間の後にスリープモードに入ることができる。スリープモードでは、磁力計104は、電力を消費しない(又はごくわずかな量しか消費しない)ように無効にされ得る。スリープモードでは、コントローラ106はまた、低減された状態で動作することができる。例えば、コントローラ106は、スリープモードからシステムをウェイクさせるためのトリガシグナリングをリッスンするなどの必須の機能のみを実施することができる。このようにして、システム100は、バッテリ電力が節約されるスリープモードで動作する。
【0062】
システム100(又はコントローラ106)は、システム100をスリープモードからウェイクさせるためのトリガシグナリングを受信することができる。システム100は、近接センサの感知範囲内の物体の存在を示すトリガセンサからのトリガシグナリングを受信することができる。コントローラ106は、磁力計104が測定磁場信号をコントローラ106に提供するように、トリガシグナリングに応答して磁力計104を作動させることができる。次いで、コントローラ106は、対応する磁場変位データを決定することができる。コントローラ106は、磁場変位データに基づいて(例えば、磁場変位データが1つ以上の変位閾値よりも大きい場合)、物体が車両であると判定することができる。例えば、磁場変位データが1つ以上の変位閾値よりも大きい場合、コントローラ106は、物体が車両であると判定することができ、そうでない場合、コントローラ106は、物体が車両ではない(例えば、歩行者)と判定し、システム100をスリープモードに戻すことができる。物体が車両であると判定された場合、システムは、磁場変位データが所定の期間にわたって1つ以上のスリープ閾値を下回ったままであるまで、磁力計104をアクティブ状態に維持することができる。これは、任意の車両検出イベントの完全なデータ捕捉を保証することができる。
【0063】
一部の例では、システム100は、トリガセンサを更に備え得る。トリガセンサは、スリープモード中にアクティブのままであり得る低電力デバイスであってもよい。例えば、システム100は、光学センサ、機械的センサ、又は受信機を備えてもよい。光学センサは、所定の半径内の物体の動きを検出することができる受動赤外線(PIR)センサを備えてもよい。コントローラは、PIRセンサから信号を受信し、所定の半径内で何らかの移動が起こったときに磁力計を作動させることができる。
【0064】
機械的センサは、加速度計などの振動センサを備え得る。機械センサは、物体(車両など)の動きから、又は物体とシステム100若しくはシステム100に関連付けられた構造との衝突から生じる振動を検出することができる。次いで、コントローラ100は、磁力計104を作動させ、磁場変位データを1つ以上の変位閾値と比較することによって、振動又は衝突の発生源が車両であったかどうかを判定することができる。このようにして、システム100は、損傷を与える可能性のある車両衝突に起因する関連する構造における振動を、歩行者が構造を擦過するなどの低リスクの振動から生じる振動と区別することができる。したがって、システム100は、衝突センサシステムにおける誤警報を低減することができる。1つ以上の例では、システム100は、衝突センサシステムの一部を形成することができ、システム100は、次の二重の機能、すなわち(i)接近している車両に衝突リスクを警告することと、(ii)検出された振動又は衝突が車両に関連するかどうかを判定することと、を提供できる。次いで、衝突センサシステムは、車両が検出された場合、車両衝突をユーザに警告することができる。
【0065】
一部の例では、システム100は、受信機、例えばRF受信機の形態のトリガセンサを備え得る。RF受信機は、車両のRF送信機からトリガシグナリングを受信することができる。例えば、倉庫環境では、フォークリフトトラック又は他の車両にRF送信機を取り付けることができる。車両がシステム100に接近すると、RF受信機は、車両のRF送信機からトリガシグナリングを受信することができる。これに応答して、コントローラ106は、上述のように1つ以上の測定磁場信号を提供するように磁力計106を作動させることができる。
【0066】
1つ以上の例において、システム100は、衝突又は損傷を受けやすい磁化構造に関連付けることができる。構造は、本質的に磁性であってもよく、又は磁性ストリップ、磁性プレートなどの磁性要素の適用によって磁化されてもよい。コントローラ106は、例えば、1時間に1回、1日に1回、1週間に1回など、所定のスケジュールに従って複数の基準磁場信号を受信してもよい。コントローラ106は、複数の基準磁場信号に基づいて磁化構造の状態を判定してもよい。例えば、構造が損傷又は分解された場合、(静的な)基準磁場信号は永続的な変化を受ける。コントローラ106は、基準磁場信号のこの変化を検出し、関連する出力信号を提供することができる。例えば、コントローラ106は、警告信号発生器108を作動させることができ、又はサーバ又はモバイル端末のような遠隔デバイスにデータ信号を伝送することができる。データ信号は、磁化構造の損傷又は組立状態を検査すべきであることをユーザに示すことができる。
【0067】
コントローラ106は、基準磁場信号の差の大きさと1つ以上の状態閾値との比較に基づいて、磁化構造の状態を判定することができる。例えば、障壁構造からの障壁の除去は、障壁が衝突において損傷された場合よりも高い基準磁場信号の変化をもたらし得る。したがって、分解閾値は、損傷閾値より高くてもよい。
【0068】
コントローラ106はまた、車両の存在を検出した後に、磁化構造の状態を判定することができる。コントローラ106は、受信された磁場信号に対する永続的な変化に基づいて、通過車両から磁化構造の状態の変化を区別することができる。通過車両の場合、車両が通過すると、磁場変位データはゼロに戻る。車両によって引き起こされる磁化構造への損傷に関して、磁場変位データは、車両が走り去るとゼロに戻らない。したがって、コントローラは、損傷閾値を超えて持続する磁場変位データに応答して、上述のように警告信号発生器を作動させることができる。
【0069】
図2Aは、本開示の一実施形態による別の車両近接センサシステム200の概略図を示している。
図1に関連して既に上述した
図2Aの特徴には、200番台の対応する参照番号が与えられており、ここでは必ずしも再度説明しない。
【0070】
システム200は、各々が倉庫などの環境内の監視のための構造に関連付けられた複数のサブシステムを含む。各サブシステムは、磁力計204a、204b、204n及びコントローラ206a、206b、206nを含む筐体202a、202b、202nを備える。各サブシステムはまた、サーバ210と通信することができるトランシーバ(図示せず)を備える。サーバ210は、ユーザインターフェースを備えてもよく、又はパーソナルモバイル端末若しくはコンピュータなどのユーザインターフェースを有する他のデバイスと通信してもよい。このようにして、サーバ210は、サブシステムの各々からデータを収集して、関連する構造の各々における車両衝突及びニアミスを監視することができる。システム200は、衝突に対して特に脆弱な1つ以上の構造を、対応する安全閾値よりも大きい衝突の頻度及び/又はニアミスの頻度を有する構造として決定することができる。このようにして、ユーザは、環境の安全性を向上させるために、監視データを分析し、構造レイアウトに対する変更(レイアウトの再配置、保護対策の実装など)を実装することができる。
【0071】
図2Aの例では、各サブシステムは、
図1に関連して上述したようなコントローラ機能を実装するために、専用の磁力計204a、204b、204nと、専用のローカルコントローラ206a、206b、206cとを有する。
【0072】
各サブシステムはまた、専用の警告信号発生器208を有する。他の例では、サブシステムは、共通の警告信号発生器と通信可能に結合されてもよい。例えば、2つ以上のサブシステムが、同じ可聴又は可視警告信号発生器に、かつ/又はコントローラ206の何らかの機能を実施することができ、かつ/又はサーバとの間で情報をやり取りすることができる共通のゲートウェイに無線で結合されてもよい。
【0073】
図2Bは、本開示の一実施形態による更なる車両近接センサシステム200’の概略図を示している。
図1に関連して既に上述した
図2Bの特徴には、200シリーズの対応する参照番号が与えられており、ここでは必ずしも再度説明しない。
【0074】
この例では、システム200’は、やはり、倉庫などの環境内で監視するための構造にそれぞれ関連付けられた複数のサブシステムを含む。しかしながら、コントローラ206’は、サーバ210’に配置され、
図1に関連して上述した機能を複数のサブシステムに提供する。各サブシステムは、磁力計204’a、204’b、204’n及びトランシーバ212’a、212’b、212’cを含む筐体202’a、202’b、202’nを備える。この例では、サブシステムは、トランシーバ212’a、212’b、212’nが処理のために対応する磁力計204’a、204’b、204’nからコントローラ206’に信号を伝送し、対応する警告信号発生器208’a、208’b、208’nを作動させるためにコントローラ206’から信号を受信するという点で、ダムデバイスとして機能する。このようにして、
図1に関連して説明したコントローラ206’の機能は、サーバ210’において実装される。
【0075】
図2A及び
図2Bはそれぞれ、コントローラ機能がサブシステムに対してローカルに又はサーバ上に実装される例を説明する。他の例では、
図1に関連して説明されるコントローラの機能の任意の要素は、サブシステムに対してローカルに、又はサーバ上のサブシステムからリモートに実施され得ることが理解されるであろう。例えば、システムは、2ステッププロセスで磁気データを処理することができる。最初に、ローカルプロセッサは、磁場変位データを決定し、上記で説明したように車両近接度を決定することができる。車両の存在が判定された場合、磁気データは、ローカルで更に分析され、かつ/又は記憶及び詳細な分析(動的パラメータの判定など)のために無線手段によってサーバに送信されることができる。
【0076】
図3は、本開示の一実施形態による、車両近接センサシステムの例示的な実装形態を図示する。この例では、車両近接センサシステム300は、安全ポスト316のキャップ314に統合されている。フォークリフトトラック(FLT)の形態の車両318は、vm/sの速度でポスト316に接近している。
【0077】
この例では、車両近接センサシステム300は、低電力トリガセンサを含む。この例では、低電力トリガセンサは、PIRセンサの形態の低電力近接センサである。
【0078】
最初に、システム300は、スリープ閾値を上回る磁場変位の検出なしに所定の期間が経過したため、スリープモードにある。スリープモードでは、磁力計は無効にされ、低電力トリガセンサはアクティブである。
【0079】
車両318がPIRセンサの所定の検出範囲内に移動すると、PIRセンサ(及びコントローラ)は、物体の動きを決定し、磁力計を起動又は作動させる。この例では、磁力計は、所定の期間にわたって、3つのデカルト軸Bx、By、Bzに沿って磁場を測定する。コントローラは、磁力計から磁場信号Bx(t)、By(t)、Bz(t)を受信し、磁場変位データΔBx、y、z(t)を取得するために、基準磁場信号Brefからそれらを減算する(又は、別様でそれらと比較する)。
【0080】
コントローラは、磁場変位データが変位閾値を超える場合、物体が車両(FLT)であると判定する。コントローラは、対応する軸に沿った磁場変位データの値又は変位データの絶対的な大きさ(二乗和平方根)に基づいて、各軸に沿った車両までの距離又は近さ(又は絶対値)を決定することもできる。コントローラは、絶対磁気変位の最大値又は軸に沿った値に基づいて車両までの距離を決定することができる。コントローラはまた、磁場変位データの変化率に基づいて車両の速度を決定することができる。
【0081】
図4は、本発明の一実施形態による、FLTが車両近接センサシステムを通過するときの経時的な磁場変位データの絶対値の変化を示している。第1の曲線420は、FLTがシステムを通過し、磁力計の20cm以内に入るときの磁場の変化を示す。第2の曲線422は、FLTがシステムを通過し、磁力計の50cm以内に入るときの磁場の変化を示す。第3の曲線424は、FLTがシステムを通過し、磁力計の100cm以内に入るときの磁場の変化を示す。各曲線は、FLTが最も近くに接近するにつれて磁場変位が増加し、次いでFLTが再び離れるにつれて減少することを示す。
【0082】
図5は、FLTが通過する最小距離の関数としての磁場変位の最大値の変化を示している。プロットは、
図4の3つの曲線のピーク値に対応する。
【0083】
図6は、本開示の一実施形態による、車両の近接を感知するための方法のフロー図を示している。本方法は、本明細書に開示されるシステムのいずれかに関連して説明されるコントローラなどのプロセッサ又はコントローラ上で行われる、コンピュータ実装方法であり得る。
【0084】
第1のステップは、磁力計から基準磁場信号を受信することを含む。基準磁場信号は、背景磁場信号を含み得る。第2のステップ632は、磁力計から測定磁場信号を受信することを含む。第3のステップは、測定磁場信号及び基準磁場信号に基づいて磁場変位データを決定することを含む。例えば、磁場変位データは、測定磁場信号と基準磁場信号との間の差又は比を含んでもよい。第4のステップ636は、磁場変位信号に基づいて車両の存在をシグナリングすることを含む。本方法は、磁場変位データが1つ以上の変位閾値を超える場合に、車両の存在をシグナリングすることを含み得る。車両の存在をシグナリングすることは、可聴及び/又は可視警告信号発生器を作動させることを含むことができ、あるいはモバイルコンピューティングシステム又はサーバなどの外部デバイスにデータ信号を伝送することを含み得る。
【0085】
開示される車両近接センサシステムは、FLT又は他の大型車両が、固定又は移動可能であり得る監視場所に近接しているときを検出することができる。磁場変位を経時的に監視することによって、車両のおおよその速度を決定することができ、これを使用して潜在的な又は実際の危険を決定することができる。
【符号の説明】
【0086】
100 システム、センサシステム、車両近接センサシステム
102 筐体
104 磁力計
106 コントローラ、リモートコントローラ
108 警告信号発生器
200 システム、車両近接センサシステム
200’ システム、車両近接センサシステム
202’a、202’b、202’n 筐体
202a、202b、202n 筐体
204’a、204’b、204’n 磁力計
204a、204b、204n 磁力計
206 コントローラ
206’ コントローラ
206a、206b、206c、206n コントローラ、ローカルコントローラ
208 警告信号発生器
208’a、208’b、208’n 警告信号発生器
210 サーバ
210’ サーバ
212’a、212’b、212’c、212’n トランシーバ
300 システム、車両近接センサシステム
314 キャップ
316 ポスト、安全ポスト
318 車両
420 第1の曲線
422 第2の曲線
424 第3の曲線
【国際調査報告】