(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-23
(54)【発明の名称】心血管疾患を治療するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20240416BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240416BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240416BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20240416BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240416BHJP
A61K 31/357 20060101ALI20240416BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20240416BHJP
A61K 31/26 20060101ALI20240416BHJP
A61K 31/4196 20060101ALI20240416BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240416BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240416BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240416BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20240416BHJP
A61K 31/221 20060101ALI20240416BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P9/00
A61P43/00 121
A61P9/04
A61P9/10
A61K31/357
A61K31/198
A61K31/26
A61K31/4196
A61K39/395 N
A61K31/7088
A61K48/00
A61K38/02
A61K31/221
A61K31/4709
A61P9/10 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515285
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022029395
(87)【国際公開番号】W WO2022245702
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523432748
【氏名又は名称】メタノイア バイオ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ツザノヴァ-トゥラコヴスカ,スラヴィカ
(72)【発明者】
【氏名】グリーフ,オッペル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ウィク,アブラハム
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA13
4C084AA20
4C084AA24
4C084BA44
4C084NA14
4C084ZA36
4C084ZA45
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA15
4C086BC28
4C086BC60
4C086EA16
4C086GA02
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA53
4C206JA70
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA36
4C206ZA45
4C206ZC75
(57)【要約】
本開示は、HIF1-a経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を用いて、心血管疾患を治療するための方法ならびに組成物を提供する。提供される方法及び組成物を用いて治療される例示的な心血管疾患としては、急性冠症候群、冠動脈疾患、心筋梗塞、冠動脈心疾患、心炎または心筋症、虚血性心血管疾患、心不全、脳卒中、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、及び虚血/再灌流障害が挙げられる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心血管疾患を治療することを必要とする対象における、前記心血管疾患を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、を含み、
前記PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
【請求項2】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤及び有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記PFKFB3阻害剤を投与されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記対象は、有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記HIF1-α経路阻害剤を投与されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1(a)~1(c)のいずれか1つに記載の方法は、前記心血管疾患の予防的治療として投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記対象は、前記心血管疾患を患っているか、または前記心血管疾患を患うリスクがある、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記対象は、前記心血管疾患を患っているか、または前記心血管疾患を患っていると診断されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記心血管疾患は、急性冠症候群、冠動脈疾患、心筋梗塞、冠動脈心疾患、心炎または心筋症、虚血性心血管疾患、心不全、脳卒中、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、及び虚血/再灌流障害である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記心血管疾患は、心筋虚血などの虚血性心血管疾患である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記心血管疾患は、末梢血管疾患または末梢動脈疾患である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記心血管疾患は、心炎または心筋症である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記心血管疾患は、虚血または虚血/再灌流障害である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記対象に共投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記HIF1-α経路阻害剤及び/または前記PFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記心血管疾患の1つ以上の症状の発症前に投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記心血管疾患を治療することは、前記心血管疾患の発症を遅延させることを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記心血管疾患の1つ以上の症状の発症後に投与される、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記方法により、結果として、治療前の前記対象と比較して、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤を投与された前記対象において前記心血管疾患の1つ以上の症状が軽減される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記心血管疾患の前記1つ以上の症状の軽減は、心血管細胞及び/または組織(例えば、内皮細胞、心筋細胞、及び心臓)のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)の軽減;心血管細胞及び/または組織(例えば、内皮細胞、心筋細胞、及び心臓)の生存及び/または機能の増加;心血管細胞/組織への及び/または周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;心血管細胞/組織の炎症の減少;心血管細胞/組織の酸化ストレスの軽減;または、TNFα、IL-1β、IL6、MCP1、IL8、PAF、カスパーゼ-3、MMP-2、MMP-9、エンドセリン-1、ロイコトリエンB4及びC4、ICAM-1、VCAM-1、PECAM-1、クレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、トランスフェリン、及び/または高強度急性再灌流障害マーカー(HARM)などの前記対象の血清バイオマーカーレベルの低下;によって示される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記心血管細胞及び/または組織(例えば、内皮細胞、心筋細胞、及び心臓)のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)の軽減;心血管細胞及び/または組織(例えば、内皮細胞、心筋細胞、及び心臓)の生存及び/または機能の増加;心血管細胞/組織への及び/または周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;心血管細胞/組織の炎症の減少;心血管細胞/組織の酸化ストレスの軽減;のうちの1つ以上は、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少する、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
TNFα、IL-1β、IL6、MCP1、IL8、PAF、カスパーゼ-3、MMP-2、MMP-9、エンドセリン-1、ロイコトリエンB4及びC4、ICAM-1、VCAM-1、PECAM-1、クレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリン及び/またはHARMのうちの少なくとも1、2、3、4または5つの血清レベルは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも20%減少する、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
TNFα、IL-1β、IL6、MCP1、IL8、PAF、カスパーゼ-3、MMP-2、MMP-9、エンドセリン-1、ロイコトリエンB4及びC4、ICAM-1、VCAM-1、PECAM-1、及び/またはHARMのうちの少なくとも1、2、3、4または5つの血清レベルは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも30%減少する、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
追加の治療剤を前記対象に投与することを更に含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
急性冠症候群を治療することを必要とする対象における、前記急性冠症候群を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、を含み、
前記PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
【請求項34】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤及び有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記PFKFB3阻害剤を投与されている、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記対象は、有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記HIF1-α経路阻害剤を投与されている、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
請求項33(a)~33(c)のいずれか1つに記載の方法は、前記急性冠症候群の予防的治療として投与される、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記対象は、前記急性冠症候群を患っているか、または前記急性冠症候群を患うリスクがある、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記対象は、前記急性冠症候群を患っているか、または前記急性冠症候群を患っていると診断されている、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記急性冠症候群は、不安定狭心症、または心筋梗塞(MI)(例えば、非ST部分上昇型MI(NSTEMI)及びST部分上昇型MI(STEMI))から選択される、請求項33~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記急性冠症候群は不安定狭心症である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記急性冠症候群は心筋梗塞である、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記急性冠症候群は非ST部分上昇型MIである、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記急性冠症候群はST部分上昇型MI(STEMI)である、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、請求項33~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、請求項33~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、請求項33~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、請求項33~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、請求項33~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、請求項33~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、請求項33~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記対象に共投与される、請求項33~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記HIF1-α経路阻害剤及び/または前記PFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、請求項33~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記急性冠症候群の1つ以上の症状の発症前に投与される、請求項33~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記急性冠症候群を治療することは、前記急性冠症候群の発症を遅延させることを含む、請求項33~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記急性冠症候群の1つ以上の症状の発症後に投与される、請求項33~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記方法により、結果として、治療前の前記対象と比較して、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤を投与された前記対象において前記急性冠症候群の1つ以上の症状が軽減される、請求項33~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記急性冠症候群の前記1つ以上の症状の軽減が、(A)狭心症、胸痛、吐き気または嘔吐、消化不良、呼吸困難;突然の発汗;立ちくらみ、めまい、もしくは失神;異常な疲労感;落ち着きのなさ、もしくは不安の軽減、(b)ECGの正常化(例えば、Q波及びST部分の変化を正常に戻す)、または(c)心筋酵素または他のバイオマーカー(例えば、クレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリン)の血漿中濃度レベルの低下、によって示される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記急性冠症候群の前記1つ以上の症状は、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
前記バイオマーカーであるクレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリンのうちの少なくとも1つは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、減少する、請求項59~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記対象の前記バイオマーカーであるクレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリンのうちの少なくとも1、2、3、4、5つ以上は、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%改善する、請求項59~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
追加の治療薬を前記対象に投与することを更に含む、請求項33~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
心筋梗塞を治療することを必要とする対象における、前記心筋梗塞を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、を含み、
前記PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
【請求項66】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤及び有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記PFKFB3阻害剤を投与されている、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記対象は、有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記HIF1-α経路阻害剤を投与されている、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
請求項65(a)~65(c)のいずれか1つに記載の方法は、心筋梗塞の予防的治療として投与される、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記対象は、心筋梗塞を患っているか、または心筋梗塞を患うリスクがある、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記対象は、心筋梗塞(例えば、非ST部分上昇型MI(NSTEMI)及びST部分上昇型MI(STEMI))を患っているか、または心筋梗塞を患っていると診断されている、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、請求項65~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、請求項65~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、請求項65~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、請求項65~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、請求項75または76に記載の方法。
【請求項78】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、請求項65~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、請求項65~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、請求項65~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記対象に共投与される、請求項65~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記HIF1-α経路阻害剤及び/または前記PFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、請求項65~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、心筋梗塞の1つ以上の症状の発症前に投与される、請求項65~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記心筋梗塞を治療することは、心筋梗塞の発症を遅延させることを含む、請求項65~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、心筋梗塞の1つ以上の症状の発症後に投与される、請求項65~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記方法により、結果として、治療前の前記対象と比較して、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤を投与された前記対象において心筋梗塞の1つ以上の症状が軽減される、請求項65~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
心筋梗塞の前記1つ以上の軽減された症状は、
(a)狭心症、胸痛;吐き気もしくは嘔吐、消化不良、呼吸困難;発汗;立ちくらみ、めまい、もしくは失神;異常な疲労感;及び落ち着きのなさ;の軽減、
(b)ECGの正常化(例えば、Q波及びST部分の変化を正常に戻す)、
(c)心筋細胞及び/または組織(例えば、心臓)のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)、または損傷の軽減;心筋細胞及び心臓の生存及び/または機能の増加;心筋細胞及び周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;心血管細胞/組織の炎症の減少;心血管細胞/組織の酸化ストレスの軽減;及び生存/生存期間の増加、または、
(d)血漿MIバイオマーカー(例えば、クレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリン)のレベルの低下
によって示される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
心筋梗塞の前記1つ以上の症状は、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、請求項86または87に記載の方法。
【請求項89】
前記血漿MIバイオマーカーであるクレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリンのうちの少なくとも1つは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、改善する、請求項86~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
少なくとも1、2、3、4または5つの前記血漿MIバイオマーカーであるクレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリンは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少する、請求項86~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
追加の治療剤を前記対象に投与することを更に含む、請求項65~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
心不全を治療することを必要とする対象における、前記心不全を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、を含み、
前記PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
【請求項93】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤及び有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与される、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記PFKFB3阻害剤を投与されている、請求項92に記載の方法。
【請求項95】
前記対象は、有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記HIF1-α経路阻害剤を投与されている、請求項92に記載の方法。
【請求項96】
請求項92(a)~92(c)のいずれか1つに記載の方法は、心不全の予防的治療として投与される、請求項92~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記対象は、心不全を患っているか、または心不全を患うリスクがある、請求項92~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記対象は、心不全を患っているか、または心不全を患っていると診断されている、請求項92~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、請求項92~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、請求項92~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、請求項92~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、請求項92~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、請求項102または103に記載の方法。
【請求項105】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、請求項92~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、請求項92~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、請求項92~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記対象に共投与される、請求項92~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記HIF1-α経路阻害剤及び/または前記PFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、請求項92~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、心不全の1つ以上の症状の発症前に投与される、請求項92~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
心不全を治療することは、心不全の発症を遅延させることを含む、請求項92~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、心不全の1つ以上の症状の発症後に投与される、請求項92~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記方法により、結果として、治療前の前記対象と比較して、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤を投与された前記対象において心不全の1つ以上の症状が軽減される、請求項92~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
心不全の1つ以上の症状の軽減は、(a)息切れ、疲労、脱力感、脚のむくみ、運動不耐症、心拍数及び呼吸数の上昇、ラ音(肺内の液体の徴候)、浮腫、頸静脈怒張、ならびに肥大心の軽減、または、(b)HFに関する少なくとも1つの血清バイオマーカー(例えば、血漿hsCRP、IL-1β、及びIL-6、ならびにB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP))の減少、によって示される、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前と比較して、前記対象における以下の症状:息切れ、疲労、脱力感、脚のむくみ、運動不耐症、心拍数及び呼吸数の上昇、ラ音(肺内の液体の徴候)、浮腫、頸静脈怒張、ならびに肥大心のうちの少なくとも1つは、改善される、請求項113または114に記載の方法。
【請求項116】
前記バイオマーカーhsCRP、IL-1β、及びIL-6、ならびにB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)のうちの少なくとも1つは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少する、請求項113~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記バイオマーカーhsCRP、IL-1β、IL-6、及びB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)のうちの少なくとも1、2または3つは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少する、請求項113~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
追加の治療剤を前記対象に投与することを更に含む、請求項92~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
脳卒中を治療することを必要とする対象における、前記脳卒中を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、を含み、
前記PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
【請求項120】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤及び有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与される、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記PFKFB3阻害剤を投与されている、請求項119に記載の方法。
【請求項122】
前記対象は、有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記HIF1-α経路阻害剤を投与されている、請求項119に記載の方法。
【請求項123】
請求項119(a)~119(c)のいずれか1つに記載の方法は、脳卒中の予防的治療として投与される、請求項119~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記対象は、脳卒中を患っているか、または脳卒中を患うリスクがある、請求項119~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
前記対象は、脳卒中を患っているか、または脳卒中を患っていると診断されている、請求項119~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、請求項119~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、請求項119~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、請求項119~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、請求項119~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、請求項129または130に記載の方法。
【請求項132】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、請求項119~131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、請求項119~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、請求項119~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記対象に共投与される、請求項119~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記HIF1-α経路阻害剤及び/または前記PFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、請求項119~135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、脳卒中の1つ以上の症状の発症前に投与される、請求項119~136のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
脳卒中を治療することは、脳卒中の発症を遅延させることを含む、請求項119~137のいずれか一項に記載の方法。
【請求項139】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、脳卒中の1つ以上の症状の発症後に投与される、請求項119~138のいずれか一項に記載の方法。
【請求項140】
前記方法により、結果として、治療前の前記対象と比較して、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤を投与された前記対象において脳卒中の1つ以上の症状が軽減される、請求項119~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
脳卒中の前記1つ以上の軽減された症状は、
(a)顔、腕もしくは脚、特に体の片側のしびれまたは脱力感;混乱、発話の困難、または会話の理解の困難;片目または両目で見ることの困難;及び/または歩行困難、めまい、平衡感覚の喪失、または協調の欠如の軽減、
(b)病変体積の減少、脳の炎症レベルの減少、mRSスコアの回復確率の増加、及び/または細胞傷害性浮腫の減少、
(c)内皮細胞、神経細胞、及び/または組織(例えば、神経組織)のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)、または損傷の軽減;血管内皮細胞及び/または神経細胞の生存及び/または機能の増加;血管内皮細胞、神経細胞、及び周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;血管内皮及び/または神経細胞/組織の炎症の減少;血管内皮細胞及び/または神経細胞の酸化ストレスの軽減;及び生存/生存期間の増加、または、
(D)前記対象における脳卒中の血清バイオマーカー(例えば、E-セレクチン、ICAM-1、VCAM、及びMCP-1)のレベルの低下
によって示される、請求項140に記載の方法。
【請求項142】
脳卒中の前記1つ以上の症状は、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、請求項140または141に記載の方法。
【請求項143】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、以下の症状:顔、腕もしくは脚のしびれまたは脱力感;混乱、発話の困難、または会話の理解の困難;片目または両目で見ることの困難;及び/または歩行困難、めまい、平衡感覚の喪失、または協調の欠如;のうちの少なくとも1つが前記対象において軽減される、請求項140~142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
E-セレクチン、ICAM-1、VCAM及びMCP-1から選択される少なくとも1つの脳卒中に関する血清バイオマーカーは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、請求項140~143のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
追加の治療剤を前記対象に投与することを更に含む、請求項119~144のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
虚血または虚血/再灌流障害を治療することを必要とする対象における、前記虚血または虚血/再灌流障害を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を前記対象に投与することであって、前記対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、前記対象に投与すること、を含み、
前記PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
【請求項147】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤及び有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与される、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記対象は、有効量の前記HIF1-α経路阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記PFKFB3阻害剤を投与されている、請求項146に記載の方法。
【請求項149】
前記対象は、有効量の前記PFKFB3阻害剤を投与され、前記対象は、以前に前記HIF1-α経路阻害剤を投与されている、請求項146に記載の方法。
【請求項150】
請求項146(a)~146(c)のいずれか1つに記載の方法は、虚血または虚血/再灌流障害の予防的治療として投与される、請求項146~149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項151】
前記対象は、虚血もしくは虚血/再灌流障害を患っているか、または虚血/再灌流障害を患うリスクがある、請求項146~149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
前記対象は、虚血もしくは虚血/再灌流障害を患っているか、または虚血/再灌流障害を患っていると診断されている、請求項146~149のいずれか一項に記載の方法。
【請求項153】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、請求項146~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、請求項146~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、請求項146~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
前記投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、請求項146~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
前記投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、請求項156または157に記載の方法。
【請求項159】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)
2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、請求項146~158のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、請求項146~159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
前記投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、請求項146~159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、前記対象に共投与される、請求項146~161のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
前記HIF1-α経路阻害剤及び/または前記PFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、請求項146~162のいずれか一項に記載の方法。
【請求項164】
前記虚血または前記虚血/再灌流障害は、梗塞、アテローム性動脈硬化症、血栓症、血栓塞栓症、脂質塞栓症、出血、ステント、手術、血管形成術、手術中のバイパスの終了、臓器移植、または完全虚血から選択される状態に起因する、請求項146~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項165】
前記虚血または前記虚血/再灌流障害は、臓器の機能不全、梗塞、炎症、酸化的損傷、ミトコンドリア膜電位損傷、アポトーシス、再灌流関連不整脈、心臓気絶、心臓脂肪毒性、または虚血由来の瘢痕形成から選択される、請求項146~163のいずれか一項に記載の方法。
【請求項166】
虚血/再灌流傷害は、心筋梗塞によるものである、請求項146~165のいずれか一項に記載の方法。
【請求項167】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、
(a)虚血中または再灌流前、
(b)再灌流中、または、
(c)前記虚血及び前記虚血/再灌流後
に投与される、請求項146~166のいずれか一項に記載の方法。
【請求項168】
虚血または虚血/再灌流障害を治療することは、虚血または虚血/再灌流障害の発症を遅延させることを含む、請求項146~167のいずれか一項に記載の方法。
【請求項169】
前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤は、虚血または虚血/再灌流障害の1つ以上の症状の発症後に投与される、請求項146~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項170】
前記方法により、結果として、治療前の前記対象と比較して、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤を投与された前記対象において虚血または虚血/再灌流障害の1つ以上の症状が軽減される、請求項146~169のいずれか一項に記載の方法。
【請求項171】
虚血または虚血/再灌流傷害の前記1つ以上の症状の軽減は、(a)内皮細胞及び/または組織(例えば、神経組織)のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)、または損傷の軽減;内皮細胞の生存及び/または機能の増加;内皮細胞及び周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;内皮細胞/組織の炎症の減少;内皮の酸化ストレスの軽減;及び生存/生存期間の増加、(b)少なくとも1つの虚血/再灌流バイオマーカー(例えば、カスパーゼ-3、MMP-2、MMP-9、エンドセリン-1、ロイコトリエンB4及びC4、TNFα、IL1、IL6、IL8、PAF、ICAM-1、VCAM-1、PECAM-1、及びHARM)のレベルの低下、または(c)前記対象の非再灌流現象の程度の低下、によって示される、請求項170に記載の方法。
【請求項172】
虚血または虚血/再灌流障害の前記1つ以上の症状は、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、請求項170または171に記載の方法。
【請求項173】
前記非再灌流現象の程度が、前記対象において低下する、請求項170~172のいずれか一項に記載の方法。
【請求項174】
カスパーゼ-3、MMP-2、MMP-9、エンドセリン-1、ロイコトリエンB4及びC4、TNFα、IL1、IL6、IL8、PAF、ICAM-1、VCAM-1、PECAM-1、ならびにHARMから選択される少なくとも1、2、3、4または5つの虚血/再灌流バイオマーカーのレベルは、前記HIF1-α経路阻害剤及び前記PFKFB3阻害剤による治療前の前記対象におけるものと比較して、前記対象において少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少する、請求項170~173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項175】
追加の治療剤を前記対象に投与することを更に含む、請求項146~174のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、心血管疾患の分野に関する。具体的には、本開示は、急性冠症候群、冠動脈疾患、心筋梗塞、冠動脈心疾患、心炎または心筋症、虚血性心疾患、心不全、脳卒中、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、及び虚血/再灌流障害などの心血管疾患を治療するための方法、ならびに組成物に関する。
【0002】
心血管疾患は、世界的に罹患率及び死亡率の主な原因の1つであり、今後10年以上、世界的な主な死亡原因であり続けると予測されている。心血管疾患は、心血管疾患患者だけに影響を及ぼすのではなく、心血管リスクの増加につながることが多い、肥満及び/または糖尿病などの代謝障害を患う個人の増加という深刻な健康上の問題を引き起こしている。
【0003】
動脈の閉塞または虚血の別の原因による心不全の後、心筋は、虚血中に無動または運動障害になる。再灌流後、心臓の収縮機能は数日かけて徐々に回復し、生存可能な心筋細胞が再び観察される。これまでの研究では、この心筋の「スタンニング」が心筋梗塞(MI)の動物モデルでも起こることが示されている。気絶心筋の原因となるメカニズム(複数可)は、再灌流の最初の数分間に起こる活性酸素種(ROS)による損傷と、更に、筋フィラメントを脱感作させ、その結果、筋フィラメントの反応性を低下させ得るカルシウム流の変化と、に関連していると考えられている。更に、スタンニングは、筋小胞体の機能不全と、その結果として生じるカルシウム過負荷(興奮-収縮反応の脱共役につながり得る)と、に関連していると考えられている。
【0004】
2型糖尿病(T2D)及び肥満は、心不全発症の危険因子である一方で、疾患が確定している患者の罹患率及び死亡率を高める。T2D、肥満、及び心不全の両方を患う患者の有病率は、増加傾向にある。更に、本格的な2型糖尿病T2Dの発症に先立ってインスリン抵抗性を引き起こす症状は、アミリンまたは膵島アミロイド膵臓ポリペプチドの膵β細胞から循環系への分泌増加の結果として、高アミリン血症を引き起こす。アミリンは心臓を含む様々な臓器に沈着する可能性があり、その沈着により、異常なカルシウム振動及びHIF1-α-PFKFB3経路の活性化が引き起こされる。
【0005】
心血管疾患に苦しむ個人の数が増え続けていることと、その影響が世界規模に及んでいることと、を考慮すると、心血管疾患を軽減または緩和する治療方法が緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、急性冠症候群、冠動脈疾患、心筋梗塞、冠動脈心疾患、心炎または心筋症、虚血性心疾患、心不全、脳卒中、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、及び虚血/再灌流障害などの心血管疾患を治療するための方法、ならびに組成物を提供する。より詳細には、本開示は、有効量のHIF1-α経路阻害剤またはHIF1-α阻害剤、及びPFKFB3阻害剤を、心血管疾患を患う対象または心血管疾患を患うリスクのある対象に投与することを含む、心血管疾患を治療する方法を提供する。
【0007】
低酸素誘導因子(HIF1-α)及びその転写標的である6-ホスホフルクト-2-キナーゼ/フルクトース-2,6-ビホスファターゼ3(PFKFB)は、特に虚血再灌流障害後に心臓の心筋細胞で活性化される。HIF1-α及びPFKFB3経路は、酸化ストレスの媒介、筋小胞体によるカルシウムの取り込み、及び過度のストレス下での筋小胞体の機能不全に関与している。
【0008】
HIF1-α-PFKFB3シグナル伝達が活性化されると、HIF1-α-PFKFB3シグナル伝達は、損傷した心筋細胞を捕捉し、損傷した細胞を除去する組織の品質管理に抵抗力を付与する。細胞競合として知られるこの組織の品質管理は、損傷、ストレス及び/または機能不全の心筋細胞の蓄積から心筋を保護する。
【0009】
HIF1-α/PFKFB3経路を介して好気的解糖に代謝的に切り替えることにより細胞競合を生き残る、損傷心筋細胞の蓄積は、特に肥満及びT2Dなどの細胞競合を緩和する条件下で、心不全の原因となる。
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、HIF1-α阻害剤とPFKFB3阻害剤の組み合わせが、心血管疾患及び心不全によって引き起こされる損傷を緩和し、場合によっては回復させることさえできることを発見した。理論に束縛されるものではないが、心不全という文脈において、開示された方法は、損傷した心筋細胞をパージし、細胞競合による恒常性組織品質管理を再確立した後、機能的な心筋細胞の再生を誘導すると考えられる。
【0011】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、慢性心血管疾患を治療する。いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、急性心血管疾患を治療する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示は以下を提供する。
[1]心血管疾患を治療することを必要とする対象における、心血管疾患を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
[2]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される、[1]に記載の方法。
[3]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、[1]に記載の方法。
[4]対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、[1]に記載の方法。
[5]1(a)~1(c)のいずれか1つに記載の方法は、心血管疾患の予防的治療として投与される、[1]~[4]のいずれか1つに記載の方法。
[6]対象は、心血管疾患を患っているか、または心血管疾患を患うリスクがある、[1]~[4]のいずれか1つに記載の方法。
[7]対象は、心血管疾患を患っているか、または心血管疾患を患っていると診断されている、[1]~[4]のいずれか1つに記載の方法。
[8]心血管疾患は、急性冠症候群、冠動脈疾患、心筋梗塞、冠動脈心疾患、心炎または心筋症、虚血性心疾患、心不全、脳卒中、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、及び虚血/再灌流障害である、[1]~[7]のいずれか1つに記載の方法。
[9]心血管疾患は、心筋虚血などの虚血性心血管疾患である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の方法。
[10]心血管疾患は、末梢血管疾患または末梢動脈疾患である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の方法。
[11]心血管疾患は、心炎または心筋症である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の方法。
[12]心血管疾患は、虚血または虚血/再灌流障害である、[1]~[8]のいずれか1つに記載の方法。
[13]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、[1]~[12]のいずれか1つに記載の方法。
[14]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、[1]~[13]のいずれか1つに記載の方法。
[15]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、[1]~[14]のいずれか1つに記載の方法。
[16]投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、[1]~[15]のいずれか1つに記載の方法。
[17]HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、[16]に記載の方法。
[18]投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、[16]または[17]に記載の方法。
[19]投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、[1]~[18]のいずれか1つに記載の方法。
[20]投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、[1]~[19]のいずれか1つに記載の方法。
[21]投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、[1]~[20]のいずれか1つに記載の方法。
[22]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、対象に共投与される、[1]~[21]のいずれか1つに記載の方法。
[23]HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、[1]~[22]のいずれか1つに記載の方法。
[24]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、心血管疾患の1つ以上の症状の発症前に投与される、[1]~[23]のいずれか1つに記載の方法。
[25]心血管疾患を治療することは、心血管疾患の発症を遅延させることを含む、[1]~[24]のいずれか1つに記載の方法。
[26]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、心血管疾患の1つ以上の症状の発症後に投与される、[1]~[23]のいずれか1つに記載の方法。
[27]本方法により、結果として、治療前の対象と比較して、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を投与された対象において心血管疾患の1つ以上の症状が軽減される、[26]に記載の方法。
[28]心血管疾患の1つ以上の症状の軽減は、心血管細胞及び/または組織(例えば、内皮組織、心筋細胞、及び心臓)のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)の軽減;心血管細胞及び/または組織(例えば、内皮細胞、心筋細胞、及び心臓)の生存及び/または機能の増加;心血管細胞/組織への及び/または周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;心血管細胞/組織の炎症の減少;心血管細胞/組織の酸化ストレスの軽減;または、TNFα、IL-1β、IL6、MCP1、IL8、PAF、カスパーゼ-3、MMP-2、MMP-9、エンドセリン-1、ロイコトリエンB4及びC4、ICAM-1、VCAM-1、PECAM-1、クレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、トランスフェリン、及び/または高強度急性再灌流障害マーカー(HARM)などの対象の血清バイオマーカーレベルの低下;によって示される、[27]に記載の方法。
[29]心血管細胞及び/または組織(例えば、内皮細胞、心筋細胞、及び心臓)のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)の軽減;心血管細胞及び/または組織(例えば、内皮細胞、心筋細胞、及び心臓)の生存及び/または機能の増加;心血管細胞/組織への及び/または周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;心血管細胞/組織の炎症の減少;心血管細胞/組織の酸化ストレスの軽減;のうちの1つ以上は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少する、[27]または[28]に記載の方法。
[30]TNFα、IL-1β、IL6、MCP1、IL8、PAF、カスパーゼ-3、MMP-2、MMP-9、エンドセリン-1、ロイコトリエンB4及びC4、ICAM-1、VCAM-1、PECAM-1、クレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、トランスフェリン及び/またはHARMのうちの少なくとも1、2、3、4または5つの血清レベルは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも20%減少する、[27]~[29]のいずれか1つに記載の方法。
[31]TNFα、IL-1β、IL6、MCP1、IL8、PAF、カスパーゼ-3、MMP-2、MMP-9、エンドセリン-1、ロイコトリエンB4及びC4、ICAM-1、VCAM-1、PECAM-1、及び/またはHARMのうちの少なくとも1、2、3、4または5つの血清レベルは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも30%減少する、[27]~[30]のいずれか1つに記載の方法。
[32]追加の治療剤を対象に投与することを更に含む、[1]~[31]のいずれか1つに記載の方法。
[33]急性冠症候群を治療することを必要とする対象における、急性冠症候群を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
[34]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される、[33]に記載の方法。
[35]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、[33]に記載の方法。
[36]対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、[33]に記載の方法。
[37]1(a)~1(c)のいずれか1つに記載の方法は、急性冠症候群の予防的治療として投与される、[33]~[36]のいずれか1つに記載の方法。
[38]対象は、急性冠症候群を患っているか、または急性冠症候群を患うリスクがある、[33]~[36]のいずれか1つに記載の方法。
[39]対象は、急性冠症候群を患っているか、または急性冠症候群を患っていると診断されている、[33]~[36]のいずれか1つに記載の方法。
[40]急性冠症候群は、不安定狭心症、または心筋梗塞(MI)(例えば、非ST部分上昇型MI(NSTEMI)及びST部分上昇型MI(STEMI))から選択される、[33]~[39]のいずれか1つに記載の方法。
[41]急性冠症候群は不安定狭心症である、[40]に記載の方法。
[42]急性冠症候群は心筋梗塞である、[40]に記載の方法。
[43]急性冠症候群は非ST部分上昇型MIである、[40]に記載の方法。
[44]急性冠症候群はST部分上昇型MI(STEMI)である、[40]に記載の方法。
[45]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、[33]~[44]のいずれか1つに記載の方法。
[46]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、[33]~[45]のいずれか1つに記載の方法。
[47]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、[33]~[45]のいずれか1つに記載の方法。
[48]投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、[33]~[47]のいずれか1つに記載の方法。
[49]HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、[48]に記載の方法。
[50]投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、[48]または[49]に記載の方法。
[51]投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、[33]~[50]のいずれか1つに記載の方法。
[52]投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、[33]~[51]のいずれか1つに記載の方法。
[53]投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、[33]~[51]のいずれか1つに記載の方法。
[54]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、対象に共投与される、[33]~[53]のいずれか1つに記載の方法。
[55]HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、[33]~[54]のいずれか1つに記載の方法。
[56]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、急性冠症候群の1つ以上の症状の発症前に投与される、[33]~[55]のいずれか1つに記載の方法。
[57]急性冠症候群を治療することは、急性冠症候群の発症を遅延させることを含む、[33]~[56]のいずれか1つに記載の方法。
[58]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、急性冠症候群の1つ以上の症状の発症後に投与される、[33]~[57]のいずれか1つに記載の方法。
[59]本方法により、結果として、治療前の対象と比較して、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を投与された対象において急性冠症候群の1つ以上の症状が軽減される、[33]~[58]のいずれか1つに記載の方法。
[60]急性冠症候群の1つ以上の症状の軽減は、
(a)狭心症、胸痛、吐き気もしくは嘔吐、消化不良、呼吸困難;突然の発汗;立ちくらみ、めまい、もしくは失神;異常な疲れ;落ち着きのなさ、もしくは不安;の軽減、
(b)ECGの正常化(例えば、Q波及びST部分の変化を正常に戻す)、または
(c)心筋酵素または他のバイオマーカー(例えば、クレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリン)の血漿中濃度のレベルの低下
によって示される、[59]に記載の方法。
[61]急性冠症候群の1つ以上の症状は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、[59]または[60]に記載の方法。
[62]バイオマーカーであるクレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリンのうちの少なくとも1つは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、減少する、[59]~[61]のいずれか1つに記載の方法。
[63]対象の行動反射、認知スキル、平衡感覚、協調性、及び認知スキルのうちの少なくとも1つは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%改善される、[59]~[62]のいずれか1つに記載の方法。
[64]追加の治療剤を対象に投与することを更に含む、[33]~[63]のいずれか1つに記載の方法。
[65]心筋梗塞を治療することを必要とする対象における、心筋梗塞を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
[66]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される、[65]に記載の方法。
[67]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、[65]に記載の方法。
[68]対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、[65]に記載の方法。
[69]1(a)~1(c)のいずれか1つに記載の方法は、心筋梗塞の予防的治療として投与される、[65]~[68]のいずれか1つに記載の方法。
[70]対象は、心筋梗塞を患っているか、または心筋梗塞を患うリスクがある、[65]~[68]のいずれか1つに記載の方法。
[71]対象は、心筋梗塞(例えば、非ST部分上昇型MI(NSTEMI)及びST部分上昇型MI(STEMI))を患っているか、または心筋梗塞を患っていると診断されている、[65]~[68]のいずれか1つに記載の方法。
[72]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、[65]~[71]のいずれか1つに記載の方法。
[73]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、[65]~[72]のいずれか1つに記載の方法。
[74]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、[65]~[72]のいずれか1つに記載の方法。
[75]投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、[65]~[72]のいずれか1つに記載の方法。
[76]HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、[75]に記載の方法。
[77]投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、[75]または[76]に記載の方法。
[78]投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、[65]~[77]のいずれか1つに記載の方法。
[79]投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、[65]~[78]のいずれか1つに記載の方法。
[80]投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、[65]~[78]のいずれか1つに記載の方法。
[81]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、対象に共投与される、[65]~[80]のいずれか1つに記載の方法。
[82]HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、[65]~[81]のいずれか1つに記載の方法。
[83]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、心筋梗塞の1つ以上の症状の発症前に投与される、[65]~[82]のいずれか1つに記載の方法。
[84]心筋梗塞を治療することは、心筋梗塞の発症を遅延させることを含む、[65]~[83]のいずれか1つに記載の方法。
[85]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、心筋梗塞の1つ以上の症状の発症後に投与される、[65]~[84]のいずれか1つに記載の方法。
[86]本方法により、結果として、治療前の対象と比較して、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を投与された対象において心筋梗塞の1つ以上の症状が軽減される、[65]~[85]のいずれか1つに記載の方法。
[87]心筋梗塞の1つ以上の軽減された症状は、
(a)狭心症、胸痛;吐き気もしくは嘔吐、消化不良、呼吸困難;発汗;立ちくらみ、めまい、もしくは失神;異常な疲労感;及び落ち着きのなさ;の軽減、
(b)ECGの正常化(例えば、Q波及びST部分の変化を正常に戻す)、
(c)心筋細胞及び/または組織(例えば、心臓)のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)、または損傷の軽減;心筋細胞及び心臓の生存及び/または機能の増加;心筋細胞及び周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;心血管細胞/組織の炎症の減少;心血管細胞/組織の酸化ストレスの軽減;及び生存/生存期間の増加、及び/または、
(d)血漿MIバイオマーカー(例えば、クレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリン)のレベルの低下
によって示される、[86]に記載の方法。
[88]心筋梗塞の1つ以上の症状は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、[86]または[87]に記載の方法。
[89]血漿MIバイオマーカーであるクレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリンのうちの少なくとも1つは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、改善する、[86]~[88]のいずれか1つに記載の方法。
[90]少なくとも1、2、3、4または5つの血漿MIバイオマーカーであるクレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリンは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少する、[86]~[89]のいずれか1つに記載の方法。
[91]追加の治療剤を対象に投与することを更に含む、[65]~[90]のいずれか1つに記載の方法。
[92]心不全を治療することを必要とする対象における、心不全を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
[93]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される、[92]に記載の方法。
[94]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、[92]に記載の方法。
[95]対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、[92]に記載の方法。
[96][92(a)~(c)]のいずれか1つに記載の方法は、心不全の予防的治療として投与される、[92]~[95]のいずれか1つに記載の方法。
[97]対象は、心不全を患っているか、または心不全を患うリスクがある、[92]~[95]のいずれか1つに記載の方法。
[98]対象は、心不全を患っているか、または心不全を患っていると診断されている、[92]~[95]のいずれか1つに記載の方法。
[99]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、[92]~[98]のいずれか1つに記載の方法。
[100]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、[92]~[99]のいずれか1つに記載の方法。
[101]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、[92]~[99]のいずれか1つに記載の方法。
[102]投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、[92]~[99]のいずれか1つに記載の方法。
[103]HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、[102]に記載の方法。
[104]投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、[102]または[103]に記載の方法。
[105]投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、[92]~[104]のいずれか1つに記載の方法。
[106]投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、[92]~[105]のいずれか1つに記載の方法。
[107]投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、[92]~[105]のいずれか1つに記載の方法。
[108]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、対象に共投与される、[92]~[107]のいずれか1つに記載の方法。
[109]HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、[92]~[108]のいずれか1つに記載の方法。
[110]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、心不全の1つ以上の症状の発症前に投与される、[92]~[109]のいずれか1つに記載の方法。
[111]心不全を治療することは、心不全の発症を遅延させることを含む、[92]~[110]のいずれか1つに記載の方法。
[112]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、心不全の1つ以上の症状の発症後に投与される、[92]~[111]のいずれか1つに記載の方法。
[113]本方法により、結果として、治療前の対象と比較して、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を投与された対象において心不全の1つ以上の症状が軽減される、[92]~[112]のいずれか1つに記載の方法。
[114]心不全の1つ以上の症状の軽減は、(a)息切れ、疲労、脱力感、脚のむくみ、運動不耐症、心拍数及び呼吸数の上昇、ラ音(肺内の液体の徴候)、浮腫、頸静脈怒張、ならびに肥大心の軽減、または、(b)HFに関する少なくとも1つの血清バイオマーカー(例えば、血漿hsCRP、IL-1β、及びIL-6、ならびにB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP))の減少によって示される、[113]に記載の方法。
[115]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前と比較して、対象における以下の症状:息切れ、疲労、脱力感、脚のむくみ、運動不耐症、心拍数及び呼吸数の上昇、ラ音(肺内の液体の徴候)、浮腫、頸静脈怒張、ならびに肥大心のうちの少なくとも1つは、改善される、[113]または[114]に記載の方法。
[116]バイオマーカーhsCRP、IL-1β、及びIL-6、ならびにB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)のうちの少なくとも1つは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少する、[113]~[115]のいずれか1つに記載の方法。
[117]バイオマーカーhsCRP、IL-1β、及びIL-6、ならびにB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)のうちの少なくとも1、2または3つは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少する、[113]~[116]のいずれか1つに記載の方法。
[118]追加の治療剤を対象に投与することを更に含む、[92]~[117]のいずれか1つに記載の方法。
[119]脳卒中を治療することを必要とする対象における、脳卒中を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
[120]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される、[119]に記載の方法。
[121]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、[119]に記載の方法。
[122]対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、[119]に記載の方法。
[123][119(a)~(c)]のいずれか1つに記載の方法は、脳卒中の予防的治療として投与される、[119]~[122]のいずれか1つに記載の方法。
[124]対象は、脳卒中を患っているか、または脳卒中を患うリスクがある、[119]~[122]のいずれか1つに記載の方法。
[125]対象は、脳卒中を患っているか、または脳卒中を患っていると診断されている、[119]~[122]のいずれか1つに記載の方法。
[126]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、[119]~[125]のいずれか1つに記載の方法。
[127]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、[119]~[126]のいずれか1つに記載の方法。
[128]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、[119]~[126]のいずれか1つに記載の方法。
[129]投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、[119]~[126]のいずれか1つに記載の方法。
[130]HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、[129]に記載の方法。
[131]投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、[129]または[130]に記載の方法。
[132]投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、[119]~[131]のいずれか1つに記載の方法。
[133]投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、[119]~[132]のいずれか1つに記載の方法。
[134]投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、[119]~[132]のいずれか1つに記載の方法。
[135]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、対象に共投与される、[119]~[134]のいずれか1つに記載の方法。
[136]HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、[119]~[135]のいずれか1つに記載の方法。
[137]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、脳卒中の1つ以上の症状の発症前に投与される、[119]~[136]のいずれか1つに記載の方法。
[138]脳卒中を治療することは、脳卒中の発症を遅延させることを含む、[119]~[137]のいずれか1つに記載の方法。
[139]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、脳卒中の1つ以上の症状の発症後に投与される、[119]~[138]のいずれか1つに記載の方法。
[140]本方法により、結果として、治療前の対象と比較して、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を投与された対象において脳卒中の1つ以上の症状が軽減される、[119]~[139]のいずれか1つに記載の方法。
[141]脳卒中の1つ以上の軽減された症状は、
(a)顔、腕もしくは脚、特に体の片側のしびれまたは脱力感;混乱、発話の困難、または会話の理解の困難;片目または両目で見ることの困難;及び/または歩行困難、めまい、平衡感覚の喪失、または協調の欠如の軽減、
(b)病変体積の減少、脳の炎症レベルの減少、mRSスコアの回復確率の増加、及び/または細胞傷害性浮腫の減少、
(c)内皮細胞、神経細胞、及び/または組織(例えば、神経組織)のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)、または損傷の軽減;血管内皮細胞及び/または神経細胞の生存及び/または機能の増加;血管内皮細胞、神経細胞、及び周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;血管内皮及び/または神経細胞/組織の炎症の減少;血管内皮細胞及び/または神経細胞の酸化ストレスの軽減;及び生存/生存期間の増加、または、
(d)対象における脳卒中の血清バイオマーカー(例えば、E-セレクチン、ICAM-1、VCAM、及びMCP-1)のレベルの低下
によって示される、[140]に記載の方法。
[142]脳卒中の1つ以上の症状は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、[140]または[141]に記載の方法。
[143]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、以下の症状:顔、腕もしくは脚のしびれまたは脱力感;混乱、発話の困難、または会話の理解の困難;片目または両目で見ることの困難;及び/または歩行困難、めまい、平衡感覚の喪失、または協調の欠如;のうちの少なくとも1つが対象において軽減される、[140]~[142]のいずれか1つに記載の方法。
[144]E-セレクチン、ICAM-1、VCAM及びMCP-1から選択される少なくとも1つの脳卒中に関する血清バイオマーカーが、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、[140]~[143]のいずれか1つに記載の方法。
[145]追加の治療剤を対象に投与することを更に含む、[119]~[144]のいずれか1つに記載の方法。
[146]虚血または虚血/再灌流障害を治療することを必要とする対象における、虚血または虚血/再灌流障害を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法。
[147]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される、[146]に記載の方法。
[148]対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、[146]に記載の方法。
[149]対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、[146]に記載の方法。
[150][146(a)~(c)]のいずれか1つに記載の方法は、虚血または虚血/再灌流障害の予防的治療として投与される、[146]~[149]のいずれか1つに記載の方法。
[151]対象は、虚血もしくは虚血/再灌流障害を患っているか、または虚血/再灌流障害を患うリスクがある、[146]~[149]のいずれか1つに記載の方法。
[152]対象は、虚血もしくは虚血/再灌流障害を患っているか、または虚血/再灌流障害を患っていると診断されている、[146]~[149]のいずれか1つに記載の方法。
[153]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である、[146]~[153]のいずれか1つに記載の方法。
[154]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である、[146]~[153]のいずれか1つに記載の方法。
[155]投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である、[146]~[153]のいずれか1つに記載の方法。
[156]投与されるHIF1-α経路阻害剤はHIF1-α阻害剤である、[146]~[153]のいずれか1つに記載の方法。
[157]HIF1-α阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である、[156]に記載の方法。
[158]投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである、[156]または[157]に記載の方法。
[159]投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、MiRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である、[146]~[158]のいずれか1つに記載の方法。
[160]投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である、[146]~[159]のいずれか1つに記載の方法。
[161]投与されるPFKFB3阻害剤は、(a)KAN0436151もしくはKAN0436067、もしくはそれらの塩である、(b)
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067、もしくはBrAcNHErOP、もしくはそれらの塩の構造を有する、(c)
図1Eに示す、式AZ44~式AZ70もしくは式AZ71、もしくはそれらの塩の構造を有する、または(d)AZ67もしくはその塩である、[146]~[159]のいずれか1つに記載の方法。
[162]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、対象に共投与される、[146]~[161]のいずれか1つに記載の方法。
[163]HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口、非経口、同所性、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、腫瘍内、または静脈内である、[146]~[162]のいずれか1つに記載の方法。
[164]虚血または虚血/再灌流障害は、梗塞、アテローム性動脈硬化症、血栓症、血栓塞栓症、脂質塞栓症、出血、ステント、手術、血管形成術、手術中のバイパスの終了、臓器移植、または完全虚血から選択される状態に起因する、[146]~[163]のいずれか1つに記載の方法。
[165]虚血または虚血/再灌流障害は、臓器の機能不全、梗塞、炎症、酸化的損傷、ミトコンドリア膜電位損傷、アポトーシス、再灌流関連不整脈、心臓気絶、心臓脂肪毒性、または虚血由来の瘢痕形成から選択される、[146]~[163]のいずれか1つに記載の方法。
[166]虚血/再灌流傷害は、心筋梗塞によるものである、[146]~[165]のいずれか1つに記載の方法。
[167]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、
(a)虚血中または再灌流前、
(b)再灌流中、または、
(c)虚血及び虚血/再灌流後
に投与される、[146]~[165]のいずれか1つに記載の方法。
[168]虚血または虚血/再灌流障害を治療することは、虚血または虚血/再灌流障害の発症を遅延させることを含む、[146]~[167]のいずれか1つに記載の方法。
[169]HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、虚血または虚血/再灌流障害の1つ以上の症状の発症後に投与される、[146]~[168]のいずれか1つに記載の方法。
[170]本方法により、結果として、治療前の対象と比較して、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を投与された対象において虚血または虚血/再灌流障害の1つ以上の症状が軽減される、[146]~[169]のいずれか1つに記載の方法。
[171]虚血または虚血/再灌流障害の1つ以上の軽減された症状は、
(a)内皮細胞及び/または組織(例えば、神経組織)のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)、または損傷の軽減;内皮細胞の生存及び/または機能の増加;内皮細胞及び周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;内皮細胞/組織の炎症の減少;内皮の酸化ストレスの軽減;及び生存/生存期間の増加、
(b)少なくとも1つの虚血/再灌流バイオマーカー(例えば、カスパーゼ-3、MMP-2、MMP-9、エンドセリン-1、ロイコトリエンB4及びC4、TNFα、IL1、IL6、IL8、PAF、ICAM-1、VCAM-1、PECAM-1、及びHARM)のレベルの低下、または、
(c)対象の非再灌流現象の程度の低下
によって示される、[170]に記載の方法。
[172]虚血または虚血/再灌流障害の1つ以上の症状は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される、[170]または[171]に記載の方法。
[173]非再灌流現象の程度が、対象において低下する、[170]~[172]のいずれか1つに記載の方法。
[174]カスパーゼ-3、MMP-2、MMP-9、エンドセリン-1、ロイコトリエンB4及びC4、TNFα、IL1、IL6、IL8、PAF、ICAM-1、VCAM-1、PECAM-1、ならびにHARMから選択される少なくとも1、2、3、4または5つの虚血/再灌流バイオマーカーのレベルは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象におけるものと比較して、対象において少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少する、[170]~[173]のいずれか1つに記載の方法。
[175]追加の治療剤を対象に投与することを更に含む、[146]~[174]のいずれか1つに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】例示的なPFKFB3小分子阻害剤を示す。
【
図1B】例示的なPFKFB3小分子阻害剤を示す。
【
図1C】例示的なPFKFB3小分子阻害剤を示す。
【
図1D】例示的なPFKFB3小分子阻害剤を示す。
【
図1E】例示的なPFKFB3小分子阻害剤を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
特に定義されない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法及び材料は、提供される組成物の実施または試験で使用することができるが、好適な方法及び材料が以下に記載される。本明細書で言及される各刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含めて本明細書が優先する。加えて、材料、方法、及び例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
【0015】
開示された方法及び組成物の他の特徴ならびに利点は、以下の開示、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0016】
諸実施形態が「含む(comprising)」という語を用いて本明細書で説明されている場合は常に、「含有する(containing)」「からなる(consisting of)」及び/または「から本質的になる(consisting essentially of)」という観点から説明されている別の類似の実施形態も提供されるものと理解されたい。ただし、特許請求の範囲内で移行句として使用される場合、それぞれを個別に、適切な法的及び事実的文脈の中で解釈する必要がある(例えば、特許請求の範囲内では、移行句「含む」は、よりオープンエンドな表現とみなされ、「からなる」はより排他的であり、「から本質的になる」は中間に位置する)。
【0017】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、そのような意図がないことが明示的に述べられていない限り、または文脈から明確に明らかでない限り、複数形を含む。単数形「a」、「an」及び「the」には、粒子集団内の粒子の統計的平均組成、特性、またはサイズ(例えば、平均ポリエチレングリコール分子量、平均リポソーム直径、平均リポソームゼータ電位)も含まれる。医薬組成物中のリポソームの平均粒径及びゼータ電位は、動的光散乱法などの当技術分野で公知の方法を使用して日常的に測定することができる。ナノ粒子組成物中の治療薬の平均量は、例えば、吸収分光法(例えば、紫外-可視分光法)を使用して日常的に測定され得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、目的の1つ以上の値に適用される「およそ」または「約」という用語は、記述される参照値と類似する値を指す。特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、別途記載のない限り、または別途文脈から明らかでない限り(そのような数が可能な値の100%を超え得る場合を除く)、述べられた基準値のいずれかの方向(上回るまたは下回る)において、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以内に含まれる値の範囲を指す。例えば、ナノ粒子組成物の脂質成分中の所定の化合物の量との関連で使用される場合、「約」は、記載された値の+/-10%を意味し得る。例えば、所定の化合物を約40%有する脂質成分を含むナノ粒子組成物は、その化合物を30~50%含むことができる。
【0019】
「及び/または」という用語は、本明細書で「A及び/またはB」などの表現で使用される場合、A及びBの両方、AまたはB、A(単独)、ならびにB(単独)を含むように意図されている。同様に、「及び/または」という用語は、「A、B、及び/またはC」のような句で使用される場合、以下の実施形態:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)のそれぞれを包含するように意図されている。
【0020】
本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書で別様が示されない限り、単に、範囲内に収まるそれぞれの別個の値を個々に指す速記方法としての役割を果たすことが意図され、それぞれの別個の値は、本明細書に個々に列挙されるかのように、本明細書に組み込まれる。
【0021】
本開示の実施形態がマーカッシュ群またはその他の代替のグループに関して説明される場合、本開示の組成物または方法は、全体として挙げられたグループ全体を包含するだけでなく、グループの各メンバーも個別に包含し、メイングループのすべての可能なサブグループも包含し、更にグループメンバーの1つ以上不在のメイングループも包含する。また、本開示の方法及び組成物は、本開示の組成物または方法におけるグループメンバーのいずれかの1つ以上が明示的に除外されることも想定している。
【0022】
本明細書で使用される場合、「抗体」及び「抗原結合抗体断片」などの用語には、これらに限定されないが、重鎖もしくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、またはその抗原結合部分などの、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含む任意のタンパク質またはペプチド含有分子が含まれる。
【0023】
「抗体」という用語にはまた、単鎖抗体、単一結合ドメイン抗体及び抗原結合抗体断片を含む、抗体またはその特定の断片もしくは一部分の構造及び/または機能を模倣する、抗体模倣物または抗体の一部分を含む、その断片、特定の部分及び変異体が含まれる。
【0024】
「抗体断片」という用語は、インタクトな抗体の一部分、一般にはインタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域を指す。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、一本鎖(scFv)及びFv断片、ダイアボディ;直鎖状抗体;一本鎖抗体分子;単一Fabアーム「ワンアーム」抗体、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体などが挙げられるが、これらに限定されない。抗体断片には、これらに限定されないが、重鎖もしくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)もしくはそのリガンド結合部分、重鎖もしくは軽鎖可変領域、重鎖もしくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域もしくはその任意の部分、または抗原もしくは抗原受容体もしくは結合タンパク質の少なくとも一部などの免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含む、任意のタンパク質またはペプチド含有分子が含まれ、これらは、本明細書で提供される抗体に組み込むことができる。
【0025】
抗体断片は、当技術分野で公知のように、酵素的切断、合成または組換え技術によって生成することができる。抗体は、1つ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を使用して、様々な切断型で生成することもできる。例えば、F(ab’)2重鎖部分をコードする組み合わせ遺伝子は、重鎖のCH1ドメイン及び/またはヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計することができる。抗体の様々な部分は、従来の技術によって化学的に結合することも、遺伝子工学技術を使用して連続したタンパク質として調製することもできる。
【0026】
「核酸」または「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書では互換的に使用され、共有結合で一緒に結合した少なくとも2つのヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤は、治療用核酸である。いくつかの実施形態では、投与される核酸は、ENMD-1198、shRNA、ダイサー基質(例えば、dsRNA)、miRNA、抗miRNA、アンチセンス分子、デコイ、もしくはアプタマー、またはENMD-1198、shRNA、ダイサー基質、miRNA、抗miRNA、アンチセンス分子、デコイ、もしくはアプタマーを発現させるプラスミドである。
【0027】
提供される方法に従って投与される核酸は、好ましくは一本鎖または二本鎖であり、一般にホスホジエステル結合を含むが、場合によっては、核酸/オリゴヌクレオチドアナログは、例えば、ホスホルアミド、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、O-メチルホスホロアミダイト結合、ならびにペプチド核酸骨格及び結合を含む、代替骨格を有するものが含まれる。他のアナログ核酸/オリゴヌクレオチドには、ポジティブ骨格、非イオン性骨格、及び非リボース骨格を有するものが含まれる。1つ以上の炭素環状糖を含む核酸/オリゴヌクレオチドも、核酸及びオリゴヌクレオチドの定義に含まれる。リボース-ホスフェート骨格のこれらの修飾は、例えば、標識などの付加部分の付加を容易にするため、または生理学的環境におけるそのような分子の安定性及び半減期を増加させるために行うことができる。提供される方法に従って使用されるオリゴヌクレオチドの核酸/オリゴヌクレオチド骨格は、約5ヌクレオチド~約750ヌクレオチドの範囲であり得る。好ましい核酸/オリゴヌクレオチド骨格は、長さが約5ヌクレオチド~約500ヌクレオチド、好ましくは約10ヌクレオチド~約100ヌクレオチドの範囲である。
【0028】
提供される方法に従って投与されるオリゴヌクレオチドは、核酸標的の少なくともある領域に特異的にハイブリダイズできるヌクレオシド及び/またはヌクレオチドモノマーのポリマー構造である。上記のように、提供される方法に従って使用される「核酸」及び「オリゴヌクレオチド」には、天然に存在する塩基、糖及び糖間(骨格)連結を含む化合物、天然に存在する対応物と同様に機能する、天然に存在しない修飾モノマー、またはその一部(例えば、オリゴヌクレオチド類似体もしくは模倣体)、及びこれらの天然に存在するモノマーと天然に存在しないモノマーの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「修飾された」または「修飾」という用語は、核酸などの出発または天然オリゴマー化合物からの任意の置換及び/または任意の変更を含む。核酸への修飾は、本明細書に記載のもの及び別様に当技術分野で公知のもののような、ヌクレオシド間連結、糖部分、または塩基部分への置換または変更を包含する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「小分子」とは、従来の有機化学法(例えば、実験室における)によって合成されるか、または自然界で見出される有機化合物を指す。通常、小分子は、いくつかの炭素-炭素結合を含み、分子量が約1500グラム/モル未満であることを特徴とする。特定の実施形態では、小分子は約1000グラム/モル未満である。特定の実施形態では、小分子は約550グラム/モル未満である。特定の実施形態では、小分子は約200~約550グラム/モルである。特定の実施形態では、小分子には、ペプチド(例えば、ペプチジル結合によって結合された2つ以上のアミノ酸を含む化合物)が含まれない。特定の実施形態では、小分子には、核酸が含まれない。
【0030】
「状態」及び「疾患」という用語は、本明細書では互換的に使用され、細胞、組織もしくは器官の正常な機能を損傷、妨害、もしくは調節不全にする、任意の状態または障害を指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「心血管疾患」及び「CVD」とは、身体の心臓、心臓弁、及び/または脈管構造(例えば、動脈及び静脈)に影響を及ぼす状態を指すために使用される用語であり、これらに限定されないが、冠動脈疾患(CAD)(例えば、狭心症及び心筋梗塞(一般に心臓発作として知られる)、冠動脈心疾患(例えば、虚血性心疾患)、急性冠症候群、狭心症、心不全、大動脈瘤、大動脈解離、腸骨または大腿動脈瘤、肺塞栓症、原発性高血圧、心房細動、脳卒中、一過性脳虚血発作、収縮不全、拡張障害、心炎(例えば、心内膜炎、心筋炎、急性心筋炎、急性心膜炎及び収縮性心膜炎)、心房頻拍、心室細動、心臓移植拒絶動脈症、血管炎、血栓症、粥状動脈硬化、動脈硬化プラーク、不安定プラーク、急性冠症候群、急性虚血性発作、心臓突然死、脳血管疾患、末梢血管疾患、末梢動脈疾患(PAD)、及び脳血管疾患、心筋症、不整脈、炎症性心疾患を含む、疾患及び状態を包含する。
【0032】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物に従って治療される対象は、記録された冠動脈疾患、記録された脳血管疾患、記録された頸動脈疾患、記録された末梢動脈疾患、またはこれらの組み合わせのうちの1つ以上の存在によって、心血管疾患を有すると特定される。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される対象は、対象が少なくとも45歳であり、ならびに(a)2つの主要な心外膜冠動脈に50%を超える1つ以上の狭窄を有する、(b)以前に記録されたMIを有する、(c)虚血の客観的証拠(例えば、ST部分偏位及び/またはバイオマーカー陽性)を伴う高リスクNSTE ACSのために入院している、(d)過去に記録された虚血性脳卒中を有する、(e)少なくとも50%の頸動脈狭窄を伴う症候性動脈疾患を有する、(0 血管造影または二重超音波検査で少なくとも70%の頸動脈狭窄を伴う無症候性頸動脈疾患を有する、(g)間欠性跛行の症状を伴う足関節-上腕指数(「ABI」)が0.9未満である、及び/または(h)大動脈腸骨または末梢動脈介入(カテーテルベースまたは外科的)の病歴がある場合、心血管疾患を有すると特定される。
【0033】
本明細書で使用される場合、心血管イベントとは、心臓突然死、またはこれらに限定されないが、心筋梗塞、不安定狭心症、動脈瘤または脳卒中を含む急性冠症候群などの心血管疾患によってもたらされる、対象における有害な状態の徴候を指す。「心血管イベント」という用語は、本明細書では心血管合併症という用語と互換的に使用することができる。心血管イベントは急性の状態であり得るが、既知の動脈瘤の拡大または生命を脅かすレベルまでの高血圧の増加など、以前に検出された状態が対象の健康に重大な脅威となるまで悪化したことを表す場合もあり得る。
【0034】
本明細書で使用される場合、「心血管疾患の進行」という用語は、時間の経過と共に疾患が徐々に悪化し、それによって症状及び心血管の化学的欠損がますます衰弱し、及び/または激しくなることを指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「CVD疾患の進行を阻害する」という用語は、心血管疾患の症状の進行を遅延させる、及び/または停止させることを指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、急性冠症候群、冠動脈疾患、心筋梗塞、冠動脈心疾患、心炎、心不全、脳卒中、末梢血管疾患及び/または再灌流障害などの心血管疾患の「発症を遅延させる」ことは、患者の疾患が進行する速度を低下させること(例えば、患者を急速に進行する疾患からより緩徐に進行する疾患に移行させるため)を含む、病気の1つ以上の症状の発現を遅延させる、妨げる、遅くする、抑制する、安定化させる、及び/または延期することを意味する。この遅延は、治療されている個体の病歴及び/または既往歴に応じて異なる長さの期間であり得る。当業者に明らかであるように、十分なまたは有意な遅延は、事実上、個体が検出可能な疾患を発症しないという点で予防を包含し得る。疾患の発症を「遅延」させる方法は、その方法を使用しないときと比較して、所与の時間枠内で疾患の程度を低減させる方法である。かかる比較は、典型的には、統計的に有意な数の対象を使用する臨床研究に基づくが、この知識は、事例証拠に基づくことができる。「発症の遅延」は、薬剤を投与しない場合と比較して、臨床症状の程度及び/または望ましくない臨床症状が軽減されること、及び/または進行の時間経過が遅くなるか、もしくは延長されることを意味し得る。したがって、この用語はまた、検出可能であるかまたは検出不能であるかに関わらず、症状の軽減、疾患の程度の縮小、疾患の病態の安定化(すなわち、悪化しない)、疾患進行の遅延または減速、及び(部分的かまたは完全かに関わらず)緩解を含むが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書で使用される場合、「有効量」とは、心血管疾患(例えば、CVD)に対する医学的に望ましい予防及び/または治療効果を提供するのに十分な薬剤の用量を指す。有効量は、所望の結果、治療される(または、予防される)特定のCVD、治療される対象の年齢及び身体状態、状態の重篤度、治療期間、同時治療または併用治療の性質(存在する場合)、特定の投与経路、ならびに医療従事者の知識と技能の範囲内の同様の要素によって異なる。「有効量」は、記載された目的に関連して、経験的にかつ日常的な方法で決定することができる。予防的効果及び/または治療的効果には、心血管細胞及び/または組織のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)の軽減;心血管細胞及び/または組織の生存及び/または機能の増加;心血管細胞/組織への及び/または周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;心血管細胞/組織の炎症の減少;心血管細胞/組織の酸化ストレスの軽減;ならびに生存/生存期間の増加が含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
「対象」、「患者」、「個体」及び「動物」という用語は互換的に使用され、ヒト患者及び非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびにウサギ、ラット及びマウス及び他の実験動物などの実験用動物を指す。動物には、ニワトリ、両生類及び爬虫類などのすべての脊椎動物、例えば、哺乳動物及び非哺乳動物が含まれる。本明細書で使用される場合、「哺乳動物」とは、哺乳綱の任意のメンバーを指し、限定されないが、ヒト、及びチンパンジー及び他の類人猿及びサル種などの非ヒト霊長類;牛、羊、豚、ヤギ及び馬などの家畜;犬及び猫などの家畜哺乳動物;マウス、ラット及びモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物;ならびに当技術分野で公知の哺乳綱の他のメンバーが含まれる。特定の実施形態では、患者はヒトである。
【0039】
「治療すること」もしくは「治療」、「治療する」、または「療法」などの用語は、(a)病的状態の症状を治癒、減速、減弱、緩和する、及び/またはその進行を停止させる治療手段と、(b)標的となる状態及び/またはその関連症状の発症を予防及び/または遅延させる予防的または防止的手段と、の両方を指す。
【0040】
したがって、治療が必要な対象には、既に心血管疾患を患っている対象、心血管疾患を患うリスクがある対象、及び心血管疾患を予防したい対象が含まれる。対象は、当技術分野で公知の医学及び診断技術を使用して、心血管疾患または本明細書で言及される別の状態を「有するか、または有するリスクがある」と日常的に特定され得る。特定の実施形態では、対象が、例えば、患者が狭心症、疲労、脱力感、息切れ、脚のむくみ、ラ音、心拍数もしくは呼吸数、浮腫、もしくは頸静脈怒張のいずれか1つの症状の軽減を示しているか、または感じているなどの状態に関連する少なくとも1つの症状の全体的、部分的、または一過性の寛解または消失を示す場合、対象は、提供される方法に従って順調に「治療」されている。患者はまた、より大きな運動耐容能を示し、より小さな心臓で改善された心室及び心臓機能を有し、一般に心臓病に関連する通院の必要性が少なくなり得る。心血管機能の改善は患者の代謝ニーズを満たすのに十分であり得、患者は軽度の運動または安静時には症状を示さない可能性がある。これらの徴候や症状の多くは、目で容易に観察でき、及び/または医師にとって馴染みのある日常的な手順によって測定できる。心血管機能の改善の指標には、治療した組織の血流及び/または収縮機能の増加が含まれる。以下に記載するように、患者の血流は、タリウムイメージング(Braunwald in Heart Disease,4th ed.,pp.276-311(Saunders,Philadelphia,1992)に記載)、または心エコー検査(実施例1及び実施例5、ならびにSahn,D J.,et al.,Circulation.58:1072-1083,1978に記載)によって測定することができる。これらの方法を使用して、血管新生遺伝子導入の前後の血流を比較できる。上述のとおり、心機能の改善は、徴候及び症状の減少と関連している。心エコー検査に加えて、当技術分野で公知の核(非侵襲的)技術によって駆出率(LV)を測定することができる。血流及び収縮機能も同様に、本発明に従って治療された末梢組織において測定することができる。
【0041】
他の実施形態では、「治療する」もしくは「治療」、「治療すること」または「療法」という用語は、物理的に(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理的に(例えば、物理パラメーターの安定化)のいずれか、またはその両方で、心血管疾患の進行を阻害することを指す。他の実施形態では、「治療する」もしくは「治療」、「治療すること」または「療法」という用語は、症状の軽減または緩和、炎症の軽減、細胞死の阻害、及び/または細胞機能の回復を指す。治療は、本明細書に開示されるHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤組成物を用いて、または1つ以上の追加の治療薬と更に組み合わせて行うことができる。
【0042】
「薬学的に許容される担体」という用語は、対象に対して非毒性である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、限定されないが、緩衝剤、担体、賦形剤、安定剤、希釈剤または保存剤が挙げられる。薬学的に許容される担体には、例えば、ヒトまたは他の対象への投与に適した1つ以上の適合性の固体もしくは液体の充填剤、希釈剤、またはカプセル化物質が含まれ得る。
【0043】
開示された方法及び組成物に従って使用される「治療薬(複数可)」には、対象の状態を治療するための任意の薬剤が更に含まれ得る。
【0044】
PFKFB3阻害剤
PFKFB3(6-ホスホフルクト-2-キナーゼ-フルクトース-2,6-ビスホスファターゼ3)は、真核生物の解糖を制御する調節分子であるフルクトース-2,6-二リン酸の合成及び分解の両方に関与する、二機能性タンパク質であり、細胞周期の進行及びアポトーシスの予防に必要である。
【0045】
いくつかの実施形態では、本開示は、心血管疾患を治療することを必要とする対象における心血管疾患を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤またはHIF1-α阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤またはHIF1-α阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤またはHIF1-α阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法を提供する。
【0046】
提供される方法に従って使用することができるPFKFB3阻害剤は、特に限定されない。いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくはPFKFB3結合抗体(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3阻害性結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である。
【0047】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、PFKFB3活性について、PFKFB3活性/機能のIC50が100μM以下の濃度である。いくつかの実施形態では、PFKFB3阻害剤は、少なくとももしくは最大もしくは約200、100、80、50、40、20、10、5もしくは1μM、または少なくとももしくは最大もしくは約100、10もしくは1nM以下(または、そこから導出される任意の範囲もしくは値)のIC50を有する。いくつかの実施形態では、PFKFB3阻害剤は、PFKFB3の発現を阻害する。化合物のPFKFB3活性を阻害する能力を決定するためのアッセイは、当技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、PFKFB3活性または発現の阻害は、対照レベルまたは試料と比較した場合の減少である。いくつかの実施形態では、MTTアッセイ、細胞増殖アッセイ、BRDUもしくはKi67免疫蛍光アッセイ、アポトーシスアッセイまたは解糖アッセイなどの機能アッセイを使用し、PFKFB3活性を阻害する組成物の能力をアッセイする。
【0048】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体またはPFKFB3結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)である。特定の実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、ナノボディ(例えば、VHH)である。
【0049】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-A阻害剤は、治療用核酸である。いくつかの実施形態では、治療用核酸は、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNAである。特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、siRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤はEZN-4178である。
【0050】
ヒトPFKFB3コード配列の代表的な例は、GenBank受入番号NM_004566.3、NM_001145443.2、NP_001138915.1、NM_001282630.2、NM_001314063.1、NM_001323016.1、NM_001323017.1及びNM_001363545.2で提供される。これらのGenbank受入番号のそれぞれに関連する配列は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。PFKFB3活性を阻害する治療用核酸は、当技術分野で公知の方法を使用して、上記のヒトPFKFB3転写配列のそれぞれに基づいて日常的に設計及び調製することができる。
【0051】
提供される方法の特定の実施形態では、PFKFB3阻害性核酸の投与、または当技術分野で公知のPFKFB3の遺伝子発現を阻害する任意の方法が企図される。阻害性核酸の例には、低分子干渉RNA(SiRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、二本鎖RNA、及び任意の他のアンチセンスオリゴヌクレオチドなどのアンチセンス核酸が含まれるが、これらに限定されない。また、本明細書に記載の阻害剤のいずれかをコードするリボザイムまたは核酸も含まれる。阻害性核酸は、細胞におけるPFKFB3の転写を阻害するか、またはPFKFB3遺伝子転写物の翻訳を妨げ得る。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害性核酸は、長さが16~1000ヌクレオチドである。特定の実施形態では、投与されるPFKFB3阻害性核酸は、18~100ヌクレオチド長である。特定の実施形態では、投与されるPFKFB3阻害性核酸は、少なくとももしくは最大2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、50、60、70、80、90ヌクレオチド、またはそこから導出される任意の範囲である。
【0052】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害性核酸は、PFKFB3の発現を少なくとも10%、20%、30%もしくは40%、より具体的には少なくとも50%、60%、もしくは70%、最も具体的には少なくとも75%、80%、90%、95%以上、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値で減少させることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害性核酸は、長さが17~25ヌクレオチドであり、成熟PFKFB3 mRNA(例えば、GenBank受入番号NM_004566.3、NM_001145443.2、NM_001282630.2、NM_001314063.1、NM_001323016.1、NM_001323017.1及びNM_001363545.2のいずれか1つ以上に開示される配列)の5’~3’配列に対して少なくとも90%相補的な5’~3’配列を含む。いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害性核酸は、長さが17、18、19、20、21、22、23、24もしくは25ヌクレオチド、またはそこから導出される任意の範囲である。いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害性核酸は、成熟PFKFB3 mRNA(例えば、GenBank受入番号NM_004566.3、NM_001145443.2、NM_001282630.2、NM_001314063.1、NM_001323016.1、NM_001323017.1及びNM_001363545.2のいずれか1つ以上に開示される配列)の対応する5’~3’配列に対して、少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9もしくは100%相補的であるか、またはそこから導出される任意の範囲である配列(5’~3’)を有する。当業者であれば、成熟mRNAの配列に相補的なプローブ配列の一部を、mRNA阻害剤の配列として使用することができるであろう。更に、プローブ配列のその部分は、成熟mRNAの配列に対して依然として90%相補的であるように変更することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害性核酸は、miRNAである。更なる実施形態では、投与されるmiRNAは、hsa-mir-26b-5p(MIRT028775)、hsa-mir-330-3p(MIRT043840)、hsa-mir-6779-5p(MIRT454747)、hsa-mir-6780a-5p(MIRT454748)、hsa-mir-3689c(MIRT454749)、hsa-mir-3689b-3p(MIRT454750)、hsa-mir-3689a-3p(MIRT454751)、hsa-mir-30b-3p(MIRT454752)、hsa-mir-1273h-5p(MIRT454753)、hsa-mir-6778-5p(MIRT454754)、hsa-mir-1233-5p(MIRT454755)、hsa-mir-6799-5p(MIRT454756)、hsa-mir-7106-5p(MIRT454757)、hsa-mir-6775-3p(MIRT454758)、hsa-mir-1291(MIRT454759)、hsa-mir-765(MIRT454760)、hsa-mir-423-5p(MIRT454761)、hsa-mir-3184-5p(MIRT454762)、hsa-mir-6856-5p(MIRT454763)、hsa-mir-6758-5p(MIRT454764)、hsa-mir-3185(MIRT527973)、hsa-mir-6892-3p(MIRT527974)、hsa-mir-6840-5p(MIRT527975)、及びhsa-mir-6865-3p(MIRT527976)から選択されるメンバーである。
【0055】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、小分子である。投与される小分子PFKFB3阻害剤は、PFKFB3の機能または活性を阻害すると決定された任意の小分子であり得る。このような小分子は、in vitroまたはin vivoでの機能アッセイに基づいて決定することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤小分子は、米国特許公開第20130059879号、同第20120177749号、同第20100267815号、同第20100267815号、及び同第20090074884号に開示されている小分子PFKFB3阻害分子であり、それぞれの開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、(1H-ベンゾ[g]インドール-2-イル)-フェニル-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-フェニル-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(4-メトキシ-フェニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-ピリジン-4-イル-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-ピリジン-4-イル-メタノンのHCl塩、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(3-メトキシ-フェニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-ピリジン-3-イル-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(2-メトキシ-フェニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(2-ヒドロキシ-フェニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(4-ヒドロキシ-フェニル)-メタノン、(5-メチル-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-フェニル-メタノン、フェニル-(7H-ピロロ[2,3-h]キノリン-8-イル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(3-ヒドロキシ-フェニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(2-クロロ-ピリジン-4-イル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(1-オキシ-ピリジン-4-イル)-メタノン、フェニル-(6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシルテニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシ-フェニル)-メタノン、4-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボニル)-安息香酸メチルエステル、4-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボニル)-安息香酸、(4-アミノ-フェニル)-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、5-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボニル)-2-ベンジルオキシ-安息香酸メチル、5-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボニル)-2-ベンジルオキシ-安息香酸メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(2-メトキシ-ピリジン-4-イル)-メタノン、(5-フルオロ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(3-メトキシ-フェニル)-メタノン、(5-フルオロ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-ピリジン-4-イル-メタノン、(4-ベンジルオキシ-3-メトキシ-フェニル)-(5-フルオロ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(5-フルオロ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(4-ヒドロキシ-3-メトキシ-フェニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(3-ヒドロキシメチル-フェニル)-メタノン、シクロヘキシル-(5-フルオロ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(5-フルオロ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(3-フルオロ-4-ヒドロキシ-フェニル)-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-p-トリル-メタノン、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(3-メトキシ-フェニル-メタノール、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-ピリジン-4-イル-メタノール、3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボン酸フェニルアミド、3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボン酸(3-メトキシ-フェニル)-アミド、(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(4-ジメチルアミノ-フェニル)-メタノン、(4-アミノ-3-メトキシ-フェニル)-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-3-メトキシ-フェニル)-(5-ヒドロキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-3-メトキシ-フェニル)-(5-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、N-[4-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボニル)-フェニル]-メタンスルホンアミド、3H-ベンゾ[e]インドール-2-カルボン酸(4-アミノ-フェニル)-アミド、(4-アミノ-フェニル)-(5-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-2-フルオロ-フェニル)-(5-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-3-フルオロ-フェニル)-(5-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-2-メトキシ-フェニル)-(5-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-フェニル)-(9-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-3-メトキシ-フェニル)-(9-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-2-メトキシ-フェニル)-(9-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-3-フルオロ-フェニル)-(9-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-2-フルオロ-フェニル)-(9-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-3-フルオロ-フェニル)-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-2-フルオロ-フェニル)-(3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-フェニル)-(7-メトキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(4-アミノ-フェニル)-(5-ヒドロキシ-3-メチル-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、(7-アミノ-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-(3-メチル-ピリジン-4-イル)-メタノン、(5-アミノ-3H-ピロロ[3,2-f]イソキノリン-2-イル)-(3-メトキシ-ピリジン-4-イル)-メタノン、(4-アミノ-2-メチル-フェニル)-(9-ヒドロキシ-3H-ピロロ[2,3-c]キノリン-2-イル)-メタノン、及び(4-アミノ-フェニル)-(7-メタンスルホニル-3H-ベンゾ[e]インドール-2-イル)-メタノン、またはそれらの塩のうちの少なくとも1つである。
【0058】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、1-ピリジン-4-イル-3-キノリン-4-イル-プロペノン、1-ピリジン-4-イル-3-キノリン-3-イル-プロペノン、1-ピリジン-3-イル-3-キノリン-2-イル-プロペノン、1-ピリジン-3-イル-3-キノリン-4-イル-プロペノン、1-ピリジン-3-イル-3-キノリン-3-イル-プロペノン、1-ナフタレン-2-イル-3-キノリン-2-イル-プロペノン、1-ナフタレン-2-イル-3-キノリン-3-イル-プロペノン、1-ピリジン-4-イル-3-キノリン-3-イル-プロペノン、3-(4-ヒドロキシ-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-4-イル-プロペノン、3-(8-ヒドロキシ-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-3-イル-プロペノン、3-キノリン-2-イル-1-p-トリル-プロペノン、3-(8-ヒドロキシ-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-4-イル-プロペノン、3-(8-ヒドロキシ-キノリン-2-イル)-1-p-トリル-プロペノン、3-(4-ヒドロキシ-キノリン-2-イル)-1-p-トリル-プロペノン、1-フェニル-3-キノリン-2-イル-プロペノン、1-ピリジン-2-イル-3-キノリン-2-イル-プロペノン、1-(2-ヒドロキシ-フェニル)-3-キノリン-2-イル-プロペノン、1-(4-ヒドロキシ-フェニル)-3-キノリン-2-イル-プロペノン、1-(2-アミノ-フェニル)-3-キノリン-2-イル-プロペノン、1-(4-アミノ-フェニル)-3-キノリン-2-イル-プロペノン、またはそれらの塩のうちの少なくとも1つである。
【0059】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、4-(3-キノリン-2-イル-アクリロイル)-ベンズアミド、4-(3-キノリン-2-イル-アクリロイル)-安息香酸、3-(8-メチル-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-4-イル-プロペノン、1-(2-フルオロ-ピリジン-4-イル)-3-キノリン-2-イル-プロペノン、3-(8-フルオロ-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-4-イル-プロペノン、3-(6-ヒドロキシ-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-4-イル-プロペノン、3-(8-メチルアミノ-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-4-イル-プロペノン、3-(7-メチル-キノリン-2-イル)-1-ピリジン-4-イル-プロペノン、及び1-メチル-4-[3-(8-メチル-キノリン-2-イル)-アクリロイル]-ピリジニウム、またはそれらの塩のうちの少なくとも1つである。
【0060】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、(2S)-N-[4-[[3-シアノ-1-(2-メチル-プロピル)-1H-インドール-5-イル]オキシ]フェニル]-2-ピロリジン-カルボキサミド3PO(3-(3-ピリジニル)-1-(4-ピリジニル)-2-プロペン-1-オン)、(2S)-N-[4-[[3-シアノ-1-[(3,5-ジメチル-4-イソオキサゾリル)メチル]-1H-インドール-5-イル]オキシ]フェニル]-2-ピロリジン-カルボキサミド、及びエチル7-ヒドロキシ-2-オキソ-2H-1-ベンゾピラン-3-カルボキシレート、またはそれらの塩のうちの少なくとも1つである。
【0061】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、PFK15またはその塩である。
【0062】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、PFK158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはその塩である。
【0063】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、またはその塩である。
【0064】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、AZ67またはその塩である。
【0065】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067もしくはBrAcNHErOP、またはそれらの塩の構造を有する、少なくとも1つのPFKFB3阻害剤である。他の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1Eに示す、式AZ44~AZ70もしくはAZ71、またはそれらの塩の構造を有するPFKFB3阻害剤である。
【0066】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436151またはその塩である。
【0067】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436067またはその塩である。
【0068】
HIF1-α経路阻害剤
低酸素誘導因子1-α(HIF-1-α)は、低酸素に対する細胞及び発生応答のマスター転写制御因子であると考えられている、ヘテロ二量体転写因子低酸素誘導因子1(HIF-1)のサブユニットである。
【0069】
いくつかの実施形態では、本開示は、心血管疾患を治療することを必要とする対象における心血管疾患を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤またはHIF1-α阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤またはHIF1-α阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤もしくはHIF1-α阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法を提供する。
【0070】
本明細書で使用される場合、「HIF1-α経路-α阻害剤」という用語は、HIF1-αを直接的に、もしくはHIF1-α経路の上流にあるPI3K/AKT/mTOR経路の1つ以上の活性を阻害することを介して間接的に、阻害または低減する組成物を指す。「HIF1-α阻害剤」という用語は、本明細書では、HIF1-αを直接阻害または低減する組成物を指すために使用される。したがって、例えば、テムシロリムス、エベロリムス及びシロリムスなどのmTOR経路阻害剤は、本明細書では「HIF1-α経路-α阻害剤」とみなされ、「HIF1-α阻害剤」とはみなされない。
【0071】
提供される方法に従って投与することができる「HIF1-α経路-α阻害剤」は、特に限定されない。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくはHIF1-α結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、ENMD-1198、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である。
【0072】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与される、投与されたHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α活性について、HIF1-α活性/機能のIC50が100μM以下の濃度である。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤は、少なくとももしくは最大もしくは約200、100、80、50、40、20、10、5もしくは1μM、または少なくとももしくは最大もしくは約100、10もしくは1nM以下(または、そこから導出される任意の範囲もしくは値)のIC50を有する。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤は、HIF1-αの発現を阻害する。HIF1-α活性を阻害する化合物の能力を決定するためのアッセイは、当技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、HIF1-α活性または発現の阻害は、対照レベルまたは試料と比較した場合の減少である。いくつかの実施形態では、MTTアッセイ、細胞増殖アッセイ、BRDUもしくはKi67免疫蛍光アッセイ、アポトーシスアッセイまたは解糖アッセイなどの機能アッセイを使用し、HIF1-α活性を阻害する組成物の能力をアッセイする。
【0073】
提供される方法に従って投与することができるHIF1-α阻害剤は、特に限定されない。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、HIF-1α mRNA発現、HIF-1αタンパク質の翻訳または分解、HIF-1α/HIF-1β二量体化、HIF-1α-DNA結合(例えば、HIF-1α/HRE)、及び/またはHIF-1α転写活性(例えば、p300のCH-1/HIF-1αのC-TAD)のうちの1つ以上を調節する。
【0074】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、小分子である。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、タンパク質またはポリペプチド(例えば、HIF1に結合する抗HIF1抗体または抗体断片)である。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、治療用核酸(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、siRNA、miRNA、dsRNA、ssRNA、またはshRNA)である。
【0075】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α経路阻害剤(例えば、PI3K経路阻害剤、MAPK経路阻害剤、Akt経路阻害剤、及び/またはmTOR阻害剤);HIF翻訳阻害剤(例えば、トポイソメラーゼ阻害剤、微小管標的薬、強心配糖体、またはアンチセンスHIF-1a mRNA);HIFの安定性、核局在化または二量体化の阻害剤(例えば、アクリフラビンまたはHDAC阻害剤);HIFトランス活性化の阻害剤(例えば、HIF1コアクチベーター動員阻害剤またはHIF1 DNA結合阻害剤)である。
【0076】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、HIF1-α経路阻害剤(例えば、PI3K経路阻害剤、MAPK経路阻害剤、Akt経路阻害剤、及び/またはmTOR阻害剤)である。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、PI3K経路阻害剤である。一実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、P3155、LY29、LY294002、ワートマニン、またはGDC-0941である。一実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、レスベラトロールである。別の実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、グリセオリンである。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、mTOR阻害剤である。一実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ラパマイシン、テムシロリムス(CC1-779)、エベロリムス、シロリムス、またはPP242である。
【0077】
特定の実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、シリビニンである。
【0078】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、HIF翻訳阻害剤である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、PX-478(S-2-アミノ-3-[4’-N,N-ビス(クロロエチル)[アミノ]フェニルプロピオン酸N-オキシド二塩酸塩)、NSC-64421、カンプトテシン(CPT)、SN38、イリノテカン、トポテカン、NSC-644221、シクロヘキシミド、もしくはアピゲニン、またはそれらの塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アミノフラボン、KC7F2(N,N’-(ジスルファンジイルビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(2,5-ジクロロベンゼンスルホンアミド)、2-メトキシエストラ-ジオール(2ME2)、またはそれらの類似体もしくは塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、ENMD-1198、ENMD-1200、もしくはENMD-1237、またはそれらの塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、EZN-2208またはその塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、EZN-2968またはその塩である。
【0079】
特定の実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、PX-478またはその塩である。
【0080】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、強心配糖体である。一実施形態では、投与される強心配糖体は、ジゴキシンまたはその塩である。別の実施形態では、投与される強心配糖体は、ウアバインもしくはプロスシラリジンA、またはそれらの塩である。
【0081】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、トポイソメラーゼ阻害剤である。一実施形態では、投与されるトポイソメラーゼ阻害剤は、カンプトテシン(CPT)、SN38、イリノテカン、もしくはトポテカン(例えば、PEG-SN38)、またはそれらの塩である。
【0082】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、微小管標的薬である。一実施形態では、投与される微小管標的薬は、2メトキシエストラジオール(2ME2)、ENMD-1198、ENMD-1200、ENMD-1237、もしくはタキソテール、またはそれらの塩である。
【0083】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、治療用核酸である。いくつかの実施形態では、治療用核酸は、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、siRNA、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNAである。いくつかの実施形態では、治療用核酸は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0084】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-A阻害剤は、siRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、EZN-2968である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、RX-0047である。
【0085】
ヒトHIF1-Αコード配列の代表的な例は、GenBank受入番号NM_004566.3、NM_001145443.2、NP_001138915.1、NM_001282630.2、NM_001314063.1、NM_001323016.1、NM_001323017.1及びNM_001363545.2で提供される。これらのGenbank受入番号のそれぞれに関連する配列は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。HIF1-Α活性を阻害する治療用核酸は、当技術分野で公知の方法を使用して、上記のヒトHIF1-Α転写配列のそれぞれに基づいて日常的に設計及び調製することができる。
【0086】
提供される方法の特定の実施形態では、HIF1-Α阻害性核酸の投与、または当技術分野で公知のHIF1-Αの遺伝子発現を阻害する任意の方法が企図される。阻害性(治療用)核酸の例には、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、二本鎖RNA、及び任意の他のアンチセンスオリゴヌクレオチドなどのアンチセンス核酸が含まれるが、これらに限定されない。また、本明細書に記載の阻害剤のいずれかをコードするリボザイムまたは核酸も含まれる。阻害性核酸は、細胞におけるHIF1-Αの転写を阻害するか、またはHIF1-Α遺伝子転写物の翻訳を妨げ得る。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、長さが16~1000ヌクレオチドである。特定の実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、18~100ヌクレオチド長である。特定の実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、少なくとももしくは最大2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、50、60、70、80、90ヌクレオチド、またはそこから導出される任意の範囲である。
【0087】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、HIF1-Αの発現を少なくとも10%、20%、30%もしくは40%、より具体的には少なくとも50%、60%、もしくは70%、最も具体的には少なくとも75%、80%、90%、95%以上、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値で減少させることができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、長さが17~25ヌクレオチドであり、成熟HIF1-Α mRNA(例えば、GenBank受入番号NM_001530.4、NM_181054.3及びNM_001243084.2のいずれか1つ以上に開示される)の5’~3’配列に対して少なくとも90%相補的な5’~3’配列を含む。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、長さが17、18、19、20、21、22、23、24もしくは25ヌクレオチド、またはそこから導出される任意の範囲である。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、成熟HIF1-Α mRNA(例えば、GenBank受入番号NM_001530.4、NM_181054.3及びNM_001243084.2のいずれか1つ以上に開示される)の対応する5’~3’配列に対して、少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9もしくは100%相補的であるか、またはそこから導出される任意の範囲である配列(5’~3’)を有する。当業者であれば、成熟mRNAの配列に相補的なプローブ配列の一部を、mRNA阻害剤の配列として使用することができるであろう。更に、プローブ配列のその部分は、成熟mRNAの配列に対して依然として90%相補的であるように変更することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、miRNA模倣物である。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、miR-483模倣物である。
【0090】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、HIFの安定性、核局在化または二量体化の阻害剤である。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、HIFを不安定化する。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACI)である。更なる実施形態では、投与されるHDACIは、LW6/CAY10585、ボリノスタット、ロミデプシン(FK228)、パノビノスタット、ベリノスタット、トリコスタチンA(TSA)、LAQ824、もしくはフェネチルイソチオシアネート、またはそれらの塩である。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、PX-12/プレウロチン、HIF-1α阻害剤(CAS番号934593-90-5)、クリプトタンシノン、もしくはBAY87-2243(1-シクロプロピル-4-[4-[[5-メチル-3-[3-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル]-1H-ピラゾール-1-イル]メチル]-2-ピリジニル]-ピペラジン)、またはそれらの塩である。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、IDF-11774、ビスフェノールA/ジメチルビスフェノールA、またはそれらの塩である。クリシン(5,7-ジヒドロキシ-フラボン)、もしくはSCH66336、またはそれらの塩。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、ゲルダナマイシンまたはその類似体、17-AAG(タネスピマイシン:アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン)、17-DMAG(アルベスピマイシン)、17AG、ラジシコール、KF58333、ENMD-1198、ENMD-1237、もしくはガネテスピブ、またはそれらの塩である。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、HIF二量体化を妨げる。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、アクリフラビンまたはその塩である。一実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、TC-S7009、PT2385、もしくはTAT-シクロ-CLLFVY、またはそれらの塩である。
【0091】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、ガネテスピブまたはその塩である。
【0092】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与される阻害剤は、BAY87-2243である。
【0093】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACI)である。一実施形態では、投与されるHDACIは、LW6/CAY10585(メチル3-(2-(4-(アダマンタン-1-イル)フェノキシ)アセトアミド)-4-ヒドロキシ-ベンゾエート)、ボリノスタット、ロミデプシン(FK228)、パノビノスタット、ベリノスタット、トリコスタチンA(TSA)、LAQ824、もしくはフェネチルイソチオシアネート、またはそれらの塩である。
【0094】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、熱ショックタンパク質阻害剤である。一実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HSP90阻害剤である。一実施形態では、投与されるHSP90阻害剤は、ゲルダナマイシンまたはその類似体、17-AAG(タネスピマイシン:アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン)、17-DMAG(アルベスピマイシン)、17AG、ラジシコール、KF58333、ENMD-1198、ENMD-1237、もしくはガネテスピブ、またはそれらの塩である。特定の実施形態では、投与される熱ショックタンパク質阻害剤は、ガネテスピブまたはその塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HSP70阻害剤である。一実施形態では、投与されるHSP70阻害剤は、トリプトライドまたはその塩である。
【0095】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、HIFトランス活性化阻害剤である。一実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、HIFコアクチベーターの動員を阻害する。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、ケトミン、YC-1もしくはKCN-1(3,4-ジメトキシ-N-[(2,2-ジメチル-2H-クロメン-6-イル)メチル]-N-フェニルベンゼンスルホンアミド)、またはその塩である。別の特定の実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、NSC607097またはその塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、プロテアソーム阻害剤である。更なる実施形態では、投与される阻害剤は、ボルテゾミブもしくはカルフィルゾミブ、またはそれらの塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、インデノピラゾール21、FM19G11、フラボピリドール、アンホテリシンB、アクチノマイシン、AJM290、もしくはAW464、またはそれらの塩である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、トリプトライドまたはその塩である。
【0096】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、YC-1またはその塩である。
【0097】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、HIF1-αに結合する抗体またはHIF1-α結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、AG1-5 VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)である。特定の実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、VHHまたはナノボディである。一実施形態では、投与される抗体は、AGI-5である。一実施形態では、投与される抗体は、AHPCである。
【0098】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、HIF1 DNA結合阻害剤である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、エキノマイシン(NSC-13502)または化合物DJ12.162である。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アントラサイクリンである。更なる実施形態では、投与される阻害剤は、ドキソルビシンまたはダウノルビシンである。一実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、ポリアミドである。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、HIF1-αに結合する抗体であるか、またはVHHもしくはナノボディなどのHIF1-α結合抗体断片である。
【0099】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-A阻害剤は、治療用核酸である。いくつかの実施形態では、治療用核酸は、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、ダイサー基質、ENMD-1198、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNAである。いくつかの実施形態では、治療用核酸は、ENMD-1198またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0100】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-A阻害剤は、siRNAまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-A阻害剤は、RX-0047である。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-A阻害剤は、EZN-2968である。
【0101】
ヒトHIF1-Αコード配列の代表的な例は、GenBank受入番号NM_004566.3、NM_001145443.2、NP_001138915.1、NM_001282630.2、NM_001314063.1、NM_001323016.1、NM_001323017.1及びNM_001363545.2で提供される。これらのGenbank受入番号のそれぞれに関連する配列は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。HIF1-Α活性を阻害する治療用核酸は、当技術分野で公知の方法を使用して、上記のヒトHIF1-Α転写配列のそれぞれに基づいて日常的に設計及び調製することができる。
【0102】
提供される方法の特定の実施形態では、HIF1-Α阻害性核酸の投与、または当技術分野で公知のHIF1-Αの遺伝子発現を阻害する任意の方法が企図される。阻害性核酸の例には、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、二本鎖RNA、及び任意の他のアンチセンスオリゴヌクレオチドなどのアンチセンス核酸が含まれるが、これらに限定されない。また、本明細書に記載の阻害剤のいずれかをコードするリボザイムまたは核酸も含まれる。阻害性核酸は、細胞におけるHIF1-Αの転写を阻害するか、またはHIF1-Α遺伝子転写物の翻訳を妨げ得る。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、長さが16~1000ヌクレオチドである。特定の実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、18~100ヌクレオチド長である。特定の実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、少なくとももしくは最大2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、40、50、60、70、80、90ヌクレオチド、またはそこから導出される任意の範囲である。
【0103】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、HIF1-Αの発現を少なくとも10%、20%、30%もしくは40%、より具体的には少なくとも50%、60%、もしくは70%、最も具体的には少なくとも75%、80%、90%、95%以上、またはそれらの間の任意の範囲もしくは値で減少させることができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、長さが17~25ヌクレオチドであり、成熟HIF1-Α mRNA(例えば、GenBank受入番号NM_001530.4、NM_181054.3及びNM_001243084.2のいずれか1つ以上に開示される)の5’~3’配列に対して少なくとも90%相補的な5’~3’配列を含む。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、長さが17、18、19、20、21、22、23、24もしくは25ヌクレオチド、またはそこから導出される任意の範囲である。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、成熟HIF1-Α mRNA(例えば、GenBank受入番号NM_001530.4、NM_181054.3及びNM_001243084.2のいずれか1つ以上に開示される)の対応する5’~3’配列に対して、少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.1、99.2、99.3、99.4、99.5、99.6、99.7、99.8、99.9もしくは100%相補的であるか、またはそこから導出される任意の範囲である配列(5’~3’)を有する。当業者であれば、成熟mRNAの配列に相補的なプローブ配列の一部を、mRNA阻害剤の配列として使用することができるであろう。更に、プローブ配列のその部分は、成熟mRNAの配列に対して依然として90%相補的であるように変更することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-Α阻害性核酸は、miRNA模倣物である。いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、miR-483模倣物である。
【0106】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるHIF1-α阻害剤は、治療用核酸である。いくつかの実施形態では、治療用核酸は、ENMD-1198分子、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0107】
活性剤の投与用キット
別の実施形態では、本開示は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤、及び/または他の治療剤及び送達剤を含む、キットを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療法を調製及び/または投与するためのキットが提供され得る。キットは、医薬組成物、治療薬、及び/または他の治療薬及び送達剤のいずれかを含む1つ以上の密封バイアルを含んでもよい。いくつかの実施形態では、キットは、脂質送達系を含む。いくつかの実施形態では、脂質は1つのバイアル内にあり、治療薬は別のバイアル内にある。キットには、例えば、少なくとも1つのPFKFB3発現/活性の阻害剤、少なくとも1つのHIF1-α発現/活性の阻害剤、及び、本明細書に記載の成分を調製、製剤化及び/または投与するための、または本方法の1つ以上の工程を実施するための、1つ以上の試薬が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、キットはまた、エッペンドルフチューブ、アッセイプレート、シリンジ、ボトル、または管などのキットの構成要素と反応しない容器である、適切な容器手段を含んでもよい。容器は、プラスチックまたはガラスなどの滅菌可能な材料から作製され得る。
【0108】
キットは、本明細書に記載の方法の手順工程を概説する説明書を更に含んでもよく、本明細書に記載の手順または当業者に公知の手順と実質的に同じ手順に従う。指示情報は、コンピュータを使用して実行される場合に、薬学的に有効な量の治療薬を送達する実際の手順または仮想の手順を表示させる、機械可読指示を含むコンピュータ可読媒体中にあってもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、キットは、PFKFB3及び/またはHIF-α、または関連分子の発現を評価するために提供され得る。このようなキットは、容易に入手可能な材料及び試薬から調製することができる。例えば、そのようなキットは、以下の物質:酵素、反応管、緩衝液、界面活性剤、プライマー及びプローブ、核酸増幅、及び/またはハイブリダイゼーション剤のいずれか1つ以上を含むことができる。特定の実施形態では、これらのキットにより、医師は、血液、涙、精液、唾液、尿、組織、血清、便、結腸、直腸、痰、脳脊髄液、及び細胞溶解物からの上清の試料を取得することができる。別の実施形態では、これらのキットには、RNA抽出、RT-PCR、及びゲル電気泳動を実行するために必要な装置が含まれる。アッセイを実施するための説明書も、キットに含めることができる。
【0110】
キットは、管、ボトル、バイアル、シリンジ、もしくは他の適切な容器手段などの容器に個別に包装、または配置され得る、成分を含み得る。成分には、プローブ、プライマー、抗体、アレイ、陰性及び/または陽性対照が含まれ得る。個々の成分を、濃縮した量でキットに提供することもできる。いくつかの実施形態では、成分は、他の成分と共に溶液中に含まれるのと同じ濃度で個別に提供される。成分の濃度は、1×、2×、5×、10×、または20×以上として提供され得る。
【0111】
キットは、試料中のPFKFB3及び/またはHIF-1αを標識するための試薬を更に含むことができる。キットはまた、アミン修飾ヌクレオチド、ポリ(A)ポリメラーゼ、及びポリ(A)ポリメラーゼ緩衝液のうちの少なくとも1つを含む、標識試薬を含んでもよい。標識試薬には、アミン反応性色素または当技術分野で公知の任意の色素が含まれ得る。
【0112】
キットの成分は、水性媒体または凍結乾燥形態のいずれかで包装され得る。キットの容器手段は一般に、成分を配置し、好ましくは適切に等量分割することができる少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジまたは他の容器手段を含む。キット内に複数の成分がある場合(標識試薬及びラベルは、一緒に包装されていてもよい)、キットは一般に、追加の成分を別々に配置できる第2、第3、または他の追加の容器も含む。しかしながら、成分の様々な組み合わせがバイアル内に含まれてもよい。キットには、核酸、抗体、または他の試薬容器を商業販売用に密封して収容する手段も含まれ得る。このような容器には、所望のバイアルが保持される射出成形またはブロー成形されたプラスチック容器が含まれ得る。
【0113】
キットの成分が1つ及び/または複数の溶液中に提供される場合、溶液は水溶液であり、滅菌水溶液が特に好ましい。あるいは、キットの成分は、乾燥粉末(複数可)として提供されてもよい。試薬及び/または成分が乾燥粉末として提供される場合、粉末は、適切な溶媒を添加することによって再構成され得る。溶媒は別の容器手段に提供されてもよいことが想定される。容器手段は一般に、核酸配合物を配置し、好ましくは適切に等量分割することができる少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ及び/または他の容器手段を含む。キットはまた、滅菌した薬学的に許容される緩衝液及び/または他の希釈剤を収容するための第2の容器手段を含んでもよい。
【0114】
キットは、例えば、所望のバイアルが保持される射出及び/またはブロー成形プラスチック容器などの商業販売用にバイアルを密封して収容する手段を含んでもよい。キットには、キットの成分を使用するための説明書、及びキットに含まれていない他の試薬の使用に関する説明書も含まれ得る。説明書には、実施可能なバリエーションが含まれ得る。
【0115】
投与方法
本明細書で提供される方法による投与レジメン(例えば、投与頻度と組み合わせた用量)は、一般に、所望の効果を提供する量及び頻度での投与、例えば、ADまたは神経損傷に関連する1つ以上の症状など対象における心血管疾患の1つ以上の症状の改善を提供するのに有効な量の投与を含む。各薬物の組み合わせ投与は、他の成分と組み合わせて患者の状態を緩和するか、または疾患または障害を効果的に治療するための薬物の濃度を高めることができる、任意の適切な手段によるものであり得る。可能な組成物には、経口、直腸、局所(経皮、経口及び舌下を含む)、または非経口(皮下、筋肉内、静脈内及び皮内を含む)投与に適したものが含まれる。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態では、組成物は、単独で、または他の療法、医薬品、サプリメント及び/または特定の食事と組み合わせて、または賦形剤(複数可)もしくは他の薬学的に許容される担体と混合された医薬組成物として、患者に投与される。投与の目標(例えば、状態の重症度、治療期間など)に応じて、組成物(例えば、DMBなどの式Iの化合物を含む)を製剤化し、全身または局所に投与することができる。製剤化及び投与の技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co,Easton Pa.)の最新版で見出せ得る。適切な経路には、例えば、経口または経粘膜投与、及び筋肉内、皮下、髄内、くも膜下腔内、脳室内、静脈内、腹腔内、または鼻腔内投与を含む、非経口送達が含まれ得る。いくつかの実施形態では、式Iの化合物(例えば、DMB)は、錠剤、カプセル剤、錠剤、散剤、坐剤、溶液、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁剤、クリーム剤、ロゼンジ剤、ペースト剤及びスプレー剤など、所望の治療プロファイルを提供するように適切に製剤化された固形剤、半固形剤または液剤の形態で投与することができる。当業者であれば認識するように、選択された投与経路に応じて、組成物の形態が選択される。
【0117】
本明細書で使用される場合、「非経口投与」及び「非経口的に投与された」という語句は、経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、例えば、注射によるものであり、静脈内、筋肉内、胸膜内、血管内、心膜内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、及び胸骨内の注射ならびに注入が含まれるが、これらに限定されない。
【0118】
医薬組成物は、従来の製薬慣行に従って製剤化され得る(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(20th ed.),Ed.AR Gennaro,Lippincott Williams&Wilkins,2000及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds J.Swarbrick and JC Boylan,1988-1999,Marcel Dekker,New Yorkを参照のこと)。
【0119】
経口投与に適した製剤は、それぞれが所定の量の活性成分を含むカプセル剤、カシェ剤、ロゼンジ剤もしくは錠剤などの分離した単位として;粉末もしくは顆粒として;水性液体もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として;または水中油型乳剤もしくは油中水型乳剤として提示されてもよい。このような製剤は、活性化合物と適切な担体(上記のような1つ以上の副成分を含み得る)を組み合わせる工程を含む、任意の適切な調剤方法によって調製することができる。一般に、本発明の製剤は、活性化合物を液体担体または微粉化固体担体またはその両方と均一かつ完全に混合し、次いで、必要に応じて、得られた混合物を成形することによって調製される。例えば、錠剤は、活性剤を含有する粉末もしくは顆粒を、任意選択で1つ以上の副成分と共に、圧縮または成形することにより調製することができる。圧縮された錠剤は、好適な機械内で、任意選択で結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤及び/または表面活性剤/分散剤(複数可)と混合された、粉末または顆粒としての自由流動形態の化合物を圧縮することより調製され得る。成形された錠剤は、好適な機械において、不活性液結合剤で加湿された粉末化化合物を成形することによって作成され得る。
【0120】
頬側(舌下)投与に適した製剤には、通常スクロース及びアカシアまたはトラガカントなどの風味付けされた基剤中に活性剤を含むロゼンジ剤;ならびにゼラチン及びグリセリン、またはスクロース及びアカシアなどの不活性基剤中に活性剤を含むトローチ剤が含まれる。
【0121】
非経口投与用の製剤は、活性剤の滅菌水性製剤が好都合であり、この製剤は、好ましくは、対象となるレシピエントの血液と等張である。これらの製剤は、皮下、静脈内、筋肉内、または皮内注射によって投与することができる。このような製剤は、化合物を水またはグリシン緩衝液と混合し、得られた溶液を滅菌かつ血液と等張にすることによって都合よく調製することができる。
【0122】
局所適用(例えば、口腔、鼻咽頭、または中咽頭中の)に適した製剤は、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾール、またはオイルの形態をとる。使用できる担体としては、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮促進剤、及びこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0123】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書で提供される組成物が1つ以上の追加の治療薬と組み合わせて投与される治療方法を提供する。提供される組成物と治療薬(複数可)の組み合わせは、任意の従来の剤形で投与または共投与(例えば、連続的に、同時に、異なる時点で)することができる。本明細書における共投与とは、改善された臨床転帰を達成するための調整された治療の過程で、対象に複数の治療薬を投与することを指す。このような共投与は、同じ範囲に及ぶこともあり得、つまり、重複する期間中に行われることもあり得る。例えば、第1の治療薬は、第2の活性薬剤の投与前、投与と同時に、投与の前後に、または投与後に患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、治療薬は単一の組成物中に組み合わされ/製剤化され、したがって同時に対象に投与される。
【0124】
治療及び使用方法
心血管疾患
本開示は一般に、心血管疾患を治療するための方法、及び組成物を提供する。
【0125】
一実施形態では、本開示は、心血管疾患を治療することを必要とする対象における心血管疾患を治療する方法であって、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない、前記方法を提供する。
【0126】
一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される。一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている。一実施形態では、対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている。
【0127】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物に従って治療される心血管疾患は、冠動脈疾患(CAD)(狭心症及び心筋梗塞など)、冠動脈心疾患(例えば、虚血性心疾患)、急性冠症候群、狭心症、心不全、大動脈瘤、大動脈解離、腸骨または大腿動脈瘤、肺塞栓症、原発性高血圧、心房細動、脳卒中、一過性脳虚血発作、収縮不全、拡張障害、心炎(例えば、心内膜炎、心筋炎、急性心筋炎、急性心膜炎及び収縮性心膜炎)、心房頻拍、心室細動、心臓移植拒絶動脈症、血管炎、血栓症、粥状動脈硬化、動脈硬化プラーク、不安定プラーク、急性冠症候群、急性虚血性発作、心臓突然死、脳血管疾患、末梢血管疾患、末梢動脈疾患(PAD)、及び脳血管疾患から選択される。
【0128】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物に従って治療されるCVDは、急性冠症候群、冠動脈疾患、心筋梗塞、冠動脈心疾患、心炎、虚血性心血管疾患、心不全、脳卒中、末梢血管疾患、及び虚血/再灌流障害から選択される。
【0129】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物に従って治療されるCVDは、虚血性CVDである。いくつかの実施形態では、治療されるCVDは、心筋虚血である。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療されるCVDは、心筋梗塞である。いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療されるCVDは、脳卒中である。
【0130】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療されるCVDは、虚血性心血管疾患である。虚血性心血管疾患は、血栓形成などの何らかの原因による血管閉塞から生じる心血管疾患であり、具体的には、心筋梗塞または狭心症である。
【0131】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、虚血性心疾患を治療する。虚血性心疾患は、通常はアテローム性動脈硬化により、心筋への血液供給が低下することによって特徴付けられる。虚血性心疾患の徴候及び症状には、狭心症(労作時、寒冷時または感情的な状況下での胸痛)、急性冠症候群などの急性胸痛(つまり、心臓発作)、不安定狭心症または心筋梗塞、呼吸困難または四肢の腫れを伴う心不全、及び胸焼けが含まれる。虚血性心疾患の危険因子には、年齢、喫煙、高コレステロール血症、糖尿病、及び高血圧が含まれる。
【0132】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物に従って治療されるCVDは、心筋虚血(MI)である。MIは、心臓の筋肉(心筋)が適切な血液供給を受けられず、必要なレベルの酸素及び栄養素が欠乏した場合に発生する、心機能不全の一態様である。心筋虚血は、例えば、狭心症、心臓発作及び/または心不全を含む、様々な心臓病を引き起こす可能性がある。
【0133】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物に従って治療されるCVDは、脳血管疾患である。脳血管疾患とは、脳に供給する血管の疾患に関連する脳の機能障害を指す。
【0134】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、心疾患(HD)を治療する。HDとは、急性及び/または慢性の心機能不全を指す。心疾患は心収縮機能の低下と関連していることが多く、(例えば、冠動脈疾患の結果として)心筋への血流の観察可能な減少と関連している場合もある。心疾患の症状には心筋虚血が含まれ、それは、狭心症、心臓発作及び/またはうっ血性心不全を引き起こす可能性がある。うっ血性心不全は、代謝要求を満たすのに不十分な心拍出量を引き起こす、異常な心機能として定義される。
【0135】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物に従って治療されるCVDは、末梢血管疾患(PVD)である。PVDとは、末梢(すなわち、非心臓)血管系及び/またはそれによって供給される組織の急性または慢性機能不全を指す。心疾患と同様に、末梢血管疾患は通常、血管系から供給される組織への血流が不十分なことから生じ、血液不足により、例えば、虚血、または重篤な場合には組織細胞死が生じる可能性がある。末梢血管疾患の態様としては、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)及び末梢筋虚血が挙げられるが、これらに限定されない。多くの場合、末梢血管疾患の症状は、患者の四肢、特に脚に現れる。
【0136】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物に従って治療されるCVDは、虚血/再灌流障害である。
【0137】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される対象は、心血管疾患を患うリスクがある。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、心血管疾患の予防的治療として行われる。
【0138】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、心血管疾患を発症するリスクがある対象、例えば、心血管疾患の発症に関連する1つ以上の危険因子を有する対象において、心血管疾患を予防する。いくつかの実施形態では、対象は、高血糖、高血圧、高脂血症、高総コレステロール、低HDLコレステロール、高平均収縮期血圧及び高ヘモグロビンA1c、CVDの家族歴、喫煙、腎疾患、肥満、糖尿病(例えば、進行性糖尿病)から選択される1つ以上の危険因子を有する。
【0139】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って治療される対象は、CVDを患っている。いくつかの実施形態では、対象は、CVD(例えば、心不全、または狭心症もしくは心筋梗塞などの冠動脈疾患(CAD))を患っていると診断されている。心不全及びCADなどの心血管疾患の発症は日常的に検出でき、心エコー検査及びバイオマーカーなどの当技術分野で公知の標準的な臨床技術を使用して評価できる。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示は、心血管疾患の発症前、例えば、心血管疾患の1つ以上の症状の発症前に、本明細書に提供される組成物を対象に投与することによって、心血管疾患の発症を予防、阻害、または遅延させる方法及び組成物を提供する。
【0141】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、心血管疾患を予防、軽減、または遅延させる。この方法は、心血管疾患を発症するリスクのある患者に施すことができる。このような対象において、心血管疾患の予防は、例えば、血管造影法、心電図検査(ECG)によって、または心血管疾患の典型的な特徴の欠如によって監視され得る。例えば、有効量のHIF1-α阻害剤及びPFKFB3阻害剤が予防的に投与された対象は、狭心症、胸痛、吐き気、消化不良、息切れ、突然の大量の発汗、立ちくらみ、めまいまたは失神、異常な疲労感、及び落ち着きのなさまたは不安感のうちの1つ以上を経験しない可能性があるか、またはその発生率の低下を経験する可能性がある。
【0142】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って心血管疾患を治療することは、狭心症、心血管虚血、心筋梗塞、脳卒中、心不全、及び/または再灌流障害などの心血管疾患の1つ以上の症状の発症を遅延させることを含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、心血管疾患の1つ以上の症状の発症後に投与される。いくつかの実施形態では、阻害剤は、対象が心筋梗塞もしくは虚血/再灌流障害などの心血管イベントを経験した後、または経験したと診断された後に投与される。いくつかの実施形態では、阻害剤は、対象が心血管イベント(例えば、狭心症、心筋梗塞または虚血/再灌流障害)を経験した後、または経験したと診断された後に投与される。いくつかの実施形態では、阻害剤は、対象が心筋梗塞または脳卒中を経験した後に投与される。いくつかの実施形態では、阻害剤は、虚血/再灌流障害後に投与される。いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、心血管疾患の異なる段階を治療するために使用される。
【0144】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である。
【0145】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である。
【0146】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α阻害剤である。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路を阻害しない。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である。
【0148】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである。
【0149】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である。
【0150】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である。
【0151】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436151もしくはKAN0436067、またはそれらの塩である。
【0152】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、AZ67またはその塩である。
【0153】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067もしくはBrAcNHErOP、またはそれらの塩の構造を有する、少なくとも1つのPFKFB3阻害剤である。他の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1Eに示す、式AZ44~AZ70もしくはAZ71、またはそれらの塩の構造を有するPFKFB3阻害剤である。
【0154】
いくつかの実施形態では、心血管疾患を治療するために本明細書に提供される方法は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を対象に共投与することによって行われる。
【0155】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口投与、経粘膜投与、シロップ剤、局所投与、非経口投与、注射、皮下投与、直腸投与、頬側投与または経皮投与によって投与される。本明細書で使用される場合、「非経口投与」及び「非経口的に投与された」という語句は、経腸及び局所投与以外の投与様式を意味し、例えば、注射によるものであり、静脈内、筋肉内、胸膜内、血管内、心膜内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、及び胸骨内の注射ならびに注入が含まれるが、これらに限定されない。
【0156】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って心血管疾患を治療することは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象における心血管疾患の1つ以上の症状を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、心血管疾患の1つ以上の症状の軽減は、心血管細胞及び/または組織(例えば、内皮細胞、心筋細胞、及び心臓)のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)の軽減;心血管細胞及び/または組織(例えば、内皮細胞、心筋細胞、及び心臓)の生存及び/または機能の増加;心血管細胞/組織への及び/または周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;心血管細胞/組織の炎症の減少;心血管細胞/組織の酸化ストレスの軽減;ならびに生存/生存期間の増加から選択される。いくつかの実施形態では、心血管疾患の1つ以上の症状の軽減は、心拍数及び/または呼吸数、ラ音、浮腫、頸静脈怒張、1つ以上のバイオマーカーの発現、及び/または心臓の肥大の増大の軽減から選択される。いくつかの実施形態では、心血管疾患の1つ以上の症状は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される。
【0157】
心血管疾患の治療及び/または予防は、様々な手段によって測定できる。いくつかの実施形態では、治療または予防は、対象における梗塞、アポトーシス、炎症、ならびに血管内皮細胞及び/または心筋細胞の機能の低下のうちの1つ以上を治療することを含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、対象における血管内皮細胞及び/または心筋細胞のアポトーシス及び/または死の減少をもたらす。細胞死は、既知の方法に従って監視することができる。細胞死を検出するための例示的な方法には、ヨウ化プロピジウム、ヘキスト-33342、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、及びアクリジンオレンジ-臭化エチジウム染色などの核染色技術が含まれるが、これらに限定されない。非核染色技術には、アネキシンV染色が含まれるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、提供される方法は、対象における血管内皮細胞及び/または心筋細胞の損傷回復及び/または機能の増加をもたらす。血管内皮細胞及び心筋細胞の回復ならびに機能を評価するための技術は、当技術分野で公知である。
【0159】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、対象からの生体試料中のTNFα、IL-1β、IL-6またはMCP1などの炎症性サイトカインのレベルを低減させる。対象におけるサイトカインレベルは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、ルミネックス、サイトカインビーズアレイ、Proteo Plex、FAST Quant、当技術分野で公知の他の技術を介して日常的に監視することができる。
【0160】
いくつかの実施形態では、本開示は、追加の治療薬を対象に更に投与することを提供する。
【0161】
急性冠症候群(ACS)
いくつかの実施形態では、本開示は、「急性冠症候群」(「ACS」)を治療するための方法及び組成物を提供する。ACSは心臓の虚血性障害に起因する冠動脈疾患の群であり、一般に、アテローム性動脈硬化及び高血圧に依存し、米国で最も多い死因である。ACS患者は、病態生理、臨床状態、及び有害事象のリスクが異なる、異種混交的な群を形成している。ACSは、安定狭心症、不安定狭心症、または心筋梗塞として現れ得る。ACS対象は、不安定狭心症、非ST上昇(NST)非Q波心筋梗塞(MI)、ST上昇非Q波MI、または貫壁性(Q波)を患っている可能性がある。
【0162】
安定狭心症は、激しい活動及びストレスによって引き起こされる締め付けられるような胸痛によって特徴付けられ、安静及び舌下ニトログリセリンによって軽減される。不安定狭心症は、安定狭心症と心筋梗塞の間の臨床状態を表すと考えられ、通常、動脈硬化プラーク破裂及び血栓形成を伴う。不安定狭心症は、安静時の狭窄性胸痛によって特徴付けられ、舌下ニトログリセリンによって軽減される。心筋梗塞は、30分以上続く締め付けられる胸痛によって特徴付けられ、診断用心電図(ECG)のQ波を伴う場合がある。
【0163】
いくつかの実施形態では、本開示は、ACSを治療することを必要とする対象においてACSを治療するための方法及び組成物を提供し、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない。
【0164】
一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される。一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている。一実施形態では、対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている。
【0165】
いくつかの実施形態では、対象は、ACSを患うリスクがある。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法(例えば、上記(a)~(c)のいずれか)は、ACSの予防的治療として行われる。
【0166】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、ACSを発症するリスクがある対象、例えば、ACSの発症に関連する1つ以上の危険因子を有する対象において、ACSを予防する。いくつかの実施形態では、対象は、60歳以上、喫煙、肥満、偏った食事、高血糖、高血圧、高脂血症、腎疾患、及び糖尿病から選択される、1つ以上の危険因子を有する。いくつかの実施形態では、対象は、高い平均収縮期血圧、及び高いヘモグロビンA1cから選択される1つ以上の危険因子を有する。
【0167】
いくつかの実施形態では、本開示は、ACSの発症前、例えば、ACSの1つ以上の症状の発症前に、提供される組成物を対象に投与することによって、ACSの発症を予防、阻害、または遅延させる方法及び組成物を提供する。
【0168】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、ACSの1つ以上の症状の発症前に投与される。いくつかの実施形態では、提供される方法は、ACSを予防する。いくつかの実施形態では、提供される方法は、ACSの発症を遅延させる。
【0169】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、ACSを発症するリスクがある対象に投与される。このような対象では、ACSの予防は、ACSの典型的な特徴の欠如によって監視され得る。例えば、有効量のHIF1-α阻害剤及びPFKFB3阻害剤が予防的に投与された対象は、以下の症状:狭心症、胸から肩、腕、上腹部、背中、首または顎まで広がる胸痛;吐き気または嘔吐、消化不良、息切れ(呼吸困難)、突然の大量の発汗(発汗)、立ちくらみ、めまいまたは失神、異常な疲労感、及び落ち着きのなさまたは不安感のうちの1つ以上を経験しない可能性があるか、またはその発生率の低下を経験する可能性がある。いくつかの実施形態では、対象の血清は、1つ以上のACSバイオマーカー(例えば、クレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリン)のレベルが上昇していない。
【0170】
いくつかの実施形態では、対象は、ACSを患っていると診断されている。ACSを診断及び監視するための現在の方法には、一般に、臨床症状、心電図検査(ECG)、及び末梢循環心臓バイオマーカーの測定が含まれる。血管造影はまた、通常、不安定狭心症及び急性心筋梗塞(AMI)に伴う重度の胸痛にも使用される。ACS患者は、首、顎、肩、または左腕もしくは両腕の内側に広がることが多い、締め付けられるような胸痛を感じることが多く、呼吸困難、発汗、動悸、思考の錯乱、吐き気の症状を伴う場合がある。心筋虚血は、Q波及びST部分の変化など、診断用ECGに変化を引き起こす可能性がある。対象の心筋酵素の血漿濃度の上昇は、重度の不安定狭心症及び心筋梗塞に関連する心臓組織壊死の程度を反映している。
【0171】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、ACSの1つ以上の症状の発症後に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、以下:狭心症、胸から肩、腕、上腹部、背中、首または顎まで広がる胸痛;吐き気または嘔吐、消化不良、息切れ(呼吸困難)、突然の大量の発汗(発汗)、立ちくらみ、めまいまたは失神、異常な疲労感、及び落ち着きのなさまたは不安感のうちの少なくとも1つを示す。いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、上記の症状の1つ以上の発生率、重症度、またはレベルを低下させることができる。
【0172】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である。
【0173】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である。
【0174】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である。
【0175】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α阻害剤である。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路を阻害しない。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である。
【0176】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである。
【0177】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である。
【0178】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である。
【0179】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436151もしくはKAN0436067、またはそれらの塩である。
【0180】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、AZ67またはその塩である。
【0181】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067もしくはBrAcNHErOP、またはそれらの塩の構造を有する、少なくとも1つのPFKFB3阻害剤である。他の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1Eに示す、式AZ44~AZ70もしくはAZ71、またはそれらの塩の構造を有するPFKFB3阻害剤である。
【0182】
いくつかの実施形態では、ACSを治療するために本明細書に提供される方法は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を対象に共投与することによって行われる。
【0183】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口投与される。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経粘膜投与、シロップ剤、局所投与、非経口投与、注射、皮下投与、直腸投与、頬側投与または経皮投与を介して投与される。
【0184】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってACSを治療することは、対照の対象またはHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象におけるACSの1つ以上の症状を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、軽減されたACSの1つ以上の症状は、狭心症、胸から肩、腕、上腹部、背中、首または顎まで広がる胸痛;吐き気または嘔吐、消化不良、息切れ(呼吸困難)、突然の大量の発汗(発汗)、立ちくらみ、めまいまたは失神、異常な疲労感、及び落ち着きのなさまたは不安感から選択される。いくつかの実施形態では、提供された方法は、ECGの正常化(例えば、Q波及びST部分の変化を正常に戻す)、または心筋酵素もしくは他のバイオマーカー(例えば、クレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリン)の血漿中濃度のレベルの低下をもたらす。いくつかの実施形態では、ACSの1つ以上の症状は、対照対象と比較して、またはHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される。
【0185】
いくつかの実施形態では、対象の生体試料中の少なくとも1、2、3、4または5つ以上のACSバイオマーカー(例えば、クレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリン)は、対照対象と比較して、またはHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少する。
【0186】
追加の実施形態では、提供される方法は、追加の治療薬を対象に更に投与することを含む。
【0187】
心筋梗塞(MI)
「梗塞(infarct)」または「梗塞(infarction)」は、組織もしくは器官の動脈供給または静脈排出の閉塞後の酸素欠乏によって生じる虚血性壊死の局所領域に関する。心筋梗塞(MI)は、1つまたはいくつかの冠状動脈またはその分岐の閉塞による、心筋の一部の虚血性壊死を伴う。心筋梗塞は、機能的な心筋細胞の喪失、心筋組織が不可逆的に損傷されることにより特徴付けられる。進行した冠疾患が存在すると、心筋または心臓の筋肉が梗塞を起こす。
【0188】
いくつかの実施形態では、本開示は、MIを治療することを必要とする対象においてMIを治療するための方法及び組成物を提供し、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない。
【0189】
一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される。一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている。一実施形態では、対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている。
【0190】
いくつかの実施形態では、対象は、MIを患うリスクがある。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法(例えば、上記(a)~(c)のいずれか)は、MIの予防的治療として行われる。
【0191】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、MIを発症するリスクがある対象、例えば、MIの発症に関連する1つ以上の危険因子を有する対象において、MIを予防する。いくつかの実施形態では、対象は、60歳以上、心血管疾患の既往歴、早発性心筋梗塞の家族歴、喫煙、糖尿病、高血圧、身体活動の不足、肥満、慢性腎臓病、進行性冠疾患、肥満度指数、身体活動、非空腹時総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、及びトリグリセリド、及び過剰なアルコール摂取から選択される1つ以上の危険因子を有する。
【0192】
いくつかの実施形態では、本開示は、MIの発症前、例えば、MIの1つ以上の症状の発症前に、提供される組成物を対象に投与することによって、MIの発症を予防、阻害、または遅延させる方法及び組成物を提供する。
【0193】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、MIの1つ以上の症状の発症前に投与される。いくつかの実施形態では、提供される方法は、MIを予防する。いくつかの実施形態では、提供される方法は、MIの発症を遅延させる。いくつかの実施形態では、提供される方法は、MIを発症するリスクがある対象に投与される。このような対象では、MIの予防は、MIの典型的な特徴の欠如によって監視され得る。例えば、有効量のHIF1-α阻害剤及びPFKFB3阻害剤が予防的に投与された対象は、以下の症状:不安定狭心症、吐き気または嘔吐、消化不良、呼吸困難、発汗、立ちくらみ、めまいまたは失神、異常な疲労感、及び落ち着きのなさまたは不安感のうちの1つ以上を経験しない可能性があるか、またはその発生率の低下を経験する可能性がある。いくつかの実施形態では、対象の血清は、クレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリン、または心筋酵素レベルの上昇から選択される、1つ以上のバイオマーカーのレベルが上昇していない。
【0194】
いくつかの実施形態では、対象は、MIを患っていると診断されている。MIを診断及び監視するための現在の方法には、一般に、臨床症状、心電図検査(ECG)、及び末梢循環心臓バイオマーカーの測定が含まれる。血管造影はまた、通常、不安定狭心症及び心筋梗塞に伴う重度の胸痛にも使用される。MI患者は、首、顎、肩、または左腕もしくは両腕の内側に広がることが多い、締め付けられるような胸痛を感じることが多く、呼吸困難、発汗、動悸、思考の錯乱、吐き気の症状を伴う場合がある。心筋虚血は、Q波及びST部分の変化など、診断用ECGに変化を引き起こす可能性がある。心筋酵素の血漿濃度の上昇は、重度の不安定狭心症及び心筋梗塞に関連する心臓組織壊死の程度を反映している。
【0195】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、MIの1つ以上の症状の発症後に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、以下:狭心症、胸から肩、腕、上腹部、背中、首または顎まで広がる胸痛;吐き気または嘔吐、消化不良、呼吸困難、発汗、立ちくらみ、めまいまたは失神、異常な疲労感、及び落ち着きのなさまたは不安感のうちの少なくとも1つを示す。いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、上記の症状の1つ以上の発生率、重症度、またはレベルを低下させることができる。
【0196】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である。
【0197】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である。
【0198】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である。
【0199】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α阻害剤である。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路を阻害しない。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である。
【0200】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである。
【0201】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である。
【0202】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である。
【0203】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436151もしくはKAN0436067、またはそれらの塩である。
【0204】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、AZ67またはその塩である。
【0205】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067もしくはBrAcNHErOP、またはそれらの塩の構造を有する、少なくとも1つのPFKFB3阻害剤である。他の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1Eに示す、式AZ44~AZ70もしくはAZ71、またはそれらの塩の構造を有するPFKFB3阻害剤である。
【0206】
いくつかの実施形態では、MIを治療するために本明細書に提供される方法は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を対象に共投与することによって行われる。
【0207】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口投与される。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経粘膜投与、シロップ剤、局所投与、非経口投与、注射、皮下投与、直腸投与、頬側投与または経皮投与によって投与される。
【0208】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってMI疾患を治療することは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象における心血管疾患の1つ以上の症状を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法は、心筋細胞及び/または組織(例えば、心臓)のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)、または損傷の軽減;心筋細胞及び心臓の生存及び/または機能の増加;心筋細胞及び周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;心血管細胞/組織の炎症の減少;心血管細胞/組織の酸化ストレスの軽減;及び生存/生存期間の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、提供される方法は、心臓組織及び/または梗塞サイズの縮小をもたらす。いくつかの実施形態では、心血管疾患の1つ以上の症状は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される。
【0209】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってMIを治療することは、対照の対象またはHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象におけるMIの1つ以上の症状を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、軽減されたMIの1つ以上の症状は、狭心症、胸から肩、腕、上腹部、背中、首または顎まで広がる胸痛;吐き気または嘔吐、消化不良、息切れ(呼吸困難)、突然の大量の発汗(発汗)、立ちくらみ、めまいまたは失神、異常な疲労感、及び落ち着きのなさまたは不安感から選択される。
【0210】
いくつかの実施形態では、提供された方法は、ECGの正常化(例えば、Q波及びST部分の変化を正常に戻す)、または心筋酵素もしくは他のバイオマーカー(例えば、クレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリン)の血漿中濃度のレベルの低下をもたらす。いくつかの実施形態では、MIの1つ以上の症状は、対照対象と比較して、またはHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される。いくつかの実施形態では、対象の生体試料中の少なくとも1、2、3、4または5つ以上のACSバイオマーカー(例えば、クレアチンキナーゼ(CK-MB)、トロポニン、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド、α-1アンチトリプシン、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、及びトランスフェリン)は、対照対象と比較して、またはHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%減少する。ECG検査は、MIが通常より積極的な治療を必要とするST上昇MI(STEMI)であるかどうかを判定するために使用することができる。梗塞サイズを決定する方法は当技術分野で公知であり、血清試料中のクレアチンキナーゼ(CK)-MBレベルなどの血清マーカーの測定、塩化トリフェニルテトラゾリウムによる組織染色、テクネチウム(Tc)-99mセスタミビ単一光子放射断層撮影(SPECT)、心筋灌流イメージング、及び磁気共鳴が挙げられるが、これらに限定されない。
【0211】
追加の実施形態では、提供される方法は、追加の治療薬を対象に更に投与することを含む。
【0212】
心不全
心不全(HF)はしばしばうっ血性心不全とも呼ばれ、心臓が身体の代謝要求を満たすのに十分な血流を供給できないことによって特徴付けられる臨床症候群である。HFの一般的な原因には、心筋梗塞及び他の形態の虚血性心疾患、高血圧、心臓弁膜症、ならびに心筋症が含まれる。
【0213】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象におけるHFを治療するための方法及び組成物を提供し、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない。
【0214】
一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される。一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている。一実施形態では、対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている。
【0215】
いくつかの実施形態では、対象は、HFを患うリスクがある。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法(例えば、上記(a)~(c)のいずれか)は、HFの予防的治療として行われる。
【0216】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、HFを発症するリスクがある対象、例えば、HFの発症に関連する1つ以上の危険因子を有する対象において、HFを予防する。いくつかの実施形態では、対象は、60歳以上、喫煙、肥満、メタボリックシンドローム、高血圧(例えば、動脈性高血圧症)、冠動脈疾患、糖尿病、心筋症の家族歴、心臓弁膜症、及び心臓毒の使用から選択される1つ以上の危険因子を有する。いくつかの実施形態では、対象は、高い平均収縮期血圧、及び高いヘモグロビンA1cから選択される1つ以上の危険因子を有する。
【0217】
いくつかの実施形態では、本開示は、HFの発症前、例えば、HFの1つ以上の症状の発症前に、提供される組成物を対象に投与することによって、HFの発症を予防、阻害、または遅延させる方法及び組成物を提供する。
【0218】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、HFの1つ以上の症状の発症前に投与される。いくつかの実施形態では、提供される方法は、HFを予防する。いくつかの実施形態では、提供される方法は、HFの発症を遅延させる。いくつかの実施形態では、提供される方法は、HFを発症するリスクがある対象に投与される。このような対象では、HFの予防は、HFの典型的な特徴の欠如によって監視され得る。例えば、有効量のHIF1-α阻害剤及びPFKFB3阻害剤が予防的に投与された対象は、下記の症状:息切れ、疲労、脱力感、脚のむくみ、運動不耐症、心拍数及び呼吸数の上昇、ラ音(肺内の液体の徴候)、浮腫、頸静脈怒張、ならびに肥大心の1つ以上の症状を経験しない可能性があるか、またはその発生率の低下を経験する可能性がある。
【0219】
いくつかの実施形態では、対象は、HFを患っていると診断されている。HFを診断及び監視するための現在の方法には、一般に、臨床症状、心電図検査(ECG)、及び末梢循環心臓バイオマーカーの測定が含まれる。
【0220】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、HFの1つ以上の症状の発症後に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、以下:息切れ、疲労、脱力感、脚のむくみ、運動不耐症、心拍数及び呼吸数の上昇、ラ音(肺内の液体の徴候)、浮腫、頸静脈怒張、ならびに肥大心のうちの少なくとも1つを示す。いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、上記の症状の1つ以上の発生率、重症度、またはレベルを低下させることができる。
【0221】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である。
【0222】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である。
【0223】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である。
【0224】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α阻害剤である。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路を阻害しない。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である。
【0225】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである。
【0226】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である。
【0227】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である。
【0228】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436151もしくはKAN0436067、またはそれらの塩である。
【0229】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、AZ67またはその塩である。
【0230】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067もしくはBrAcNHErOP、またはそれらの塩の構造を有する、少なくとも1つのPFKFB3阻害剤である。他の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1Eに示す、式AZ44~AZ70もしくはAZ71、またはそれらの塩の構造を有するPFKFB3阻害剤である。
【0231】
いくつかの実施形態では、HFを治療するために本明細書に提供される方法は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を対象に共投与することによって行われる。
【0232】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口投与される。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経粘膜投与、シロップ剤、局所投与、非経口投与、注射、皮下投与、直腸投与、頬側投与または経皮投与によって投与される。
【0233】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従ってHFを治療することは、対照の対象またはHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象におけるHFの1つ以上の症状を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、HFの1つ以上の軽減された症状は、息切れ、疲労、脱力感、脚のむくみ、運動不耐症、心拍数及び呼吸数の上昇、ラ音(肺内の液体の徴候)、浮腫、頸静脈怒張、ならびに肥大心から選択される。いくつかの実施形態では、HFの1つ以上の症状は、対照対象と比較して、またはHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される。
【0234】
いくつかの実施形態では、対象の生体試料中の少なくとも1、2、3、4または5つ以上のHFバイオマーカー(例えば、血漿hsCRP、IL-1β及びIL-6、及び/またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP))は、対照対象と比較して、またはHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される。
【0235】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与により、対象は、CPXスコアの改善、ECG記録の改善、及び/または生体インピーダンス分析の改善のうちの1つ以上を有し、及び/または心不全に関連する徴候のために再入院するリスクが低減される。
【0236】
追加の実施形態では、提供される方法は、追加の治療薬を対象に更に投与することを含む。
【0237】
脳卒中
「脳卒中」という用語は、脳への動脈の閉塞または破裂によって脳への血流が損なわれた場合の酸素不足により、突然、脳細胞が死滅することを指す。脳卒中は、虚血性及び出血性の2つの主要なカテゴリに分類できる。虚血性脳卒中は、血液供給の中断によって引き起こされる脳卒中であり、出血性脳卒中は、血管の破裂または異常な血管構造によって引き起こされる脳卒中である。虚血性脳卒中では、脳の一部への血液供給は、血栓症(局所的に形成された血餅による血管の閉塞)、塞栓症(体内の他の場所からの塞栓による閉塞)、全身性低灌流(例えばショック状態での、全身の血液供給の低下)、または静脈血栓症の結果として減少する。
【0238】
いくつかの実施形態では、本開示は、脳卒中を治療することを必要とする対象において脳卒中を治療するための方法及び組成物を提供し、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない。
【0239】
一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される。一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている。一実施形態では、対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている。
【0240】
いくつかの実施形態では、対象は、脳卒中を患うリスクがある。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法(例えば、上記(a)~(c)のいずれか)は、脳卒中の予防的治療として行われる。
【0241】
いくつかの実施形態では、提供される方法及び組成物は、脳卒中を発症するリスクがある対象、例えば、脳卒中の発症に関連する1つ以上の危険因子を有する対象において、脳卒中を予防する。いくつかの実施形態では、対象は、60歳以上、高血圧、過去の脳卒中または一過性脳虚血発作、糖尿病、肥満、高コレステロール、喫煙、及び心房細動から選択される、1つ以上の危険因子を有する。
【0242】
いくつかの実施形態では、本開示は、脳卒中の発症前、例えば、脳卒中の1つ以上の症状の発症前に、提供される組成物を対象に投与することによって、脳卒中の発症を予防、阻害、または遅延させる方法及び組成物を提供する。
【0243】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、脳卒中の1つ以上の症状の発症前に投与される。いくつかの実施形態では、提供される方法は、脳卒中を予防する。いくつかの実施形態では、提供される方法は、脳卒中の発症を遅延させる。いくつかの実施形態では、提供される方法は、脳卒中を発症するリスクがある対象に投与される。このような対象では、脳卒中の予防は、脳卒中の典型的な特徴の欠如によって監視され得る。
【0244】
いくつかの実施形態では、対象は、脳卒中を患っていると診断されている。脳卒中を診断及び監視するための現在の方法には、一般に臨床症状が含まれ、脳卒中の場合には、非造影コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、磁気共鳴画像法(MRI)、及び血管造影検査、心電図検査(ECG)、ならびに末梢循環心臓バイオマーカーの測定が含まれる。
【0245】
脳卒中を患う患者は多くの場合、顔、腕もしくは脚、特に体の片側の突然のしびれまたは脱力感;突然の混乱、発話の困難、または会話の理解の困難;片目または両目で見ることの突然の困難;及び/または突然の歩行困難、めまい、平衡感覚の喪失、または協調の欠如を有する。
【0246】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、脳卒中の1つ以上の症状の発症後に投与される。いくつかの実施形態では、対象は、以下:顔、腕もしくは脚、特に体の片側の突然のしびれまたは脱力感;突然の混乱、発話の困難、または会話の理解の困難;片目または両目で見ることの突然の困難;及び/または突然の歩行困難、めまい、平衡感覚の喪失、または協調の欠如のうちの少なくとも1つを示す。
【0247】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である。
【0248】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である。
【0249】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である。
【0250】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α阻害剤である。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路を阻害しない。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である。
【0251】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである。
【0252】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である。
【0253】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である。
【0254】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436151もしくはKAN0436067、またはそれらの塩である。
【0255】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、AZ67またはその塩である。
【0256】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067もしくはBrAcNHErOP、またはそれらの塩の構造を有する、少なくとも1つのPFKFB3阻害剤である。他の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1Eに示す、式AZ44~AZ70もしくはAZ71、またはそれらの塩の構造を有するPFKFB3阻害剤である。
【0257】
いくつかの実施形態では、脳卒中を治療するために本明細書に提供される方法は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を対象に共投与することによって行われる。
【0258】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口投与される。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経粘膜投与、シロップ剤、局所投与、非経口投与、注射、皮下投与、直腸投与、頬側投与または経皮投与によって投与される。
【0259】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って脳卒中を治療することは、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象における心血管疾患の1つ以上の症状を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法により、結果として、内皮細胞、神経細胞、及び/または組織(例えば、神経組織)のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)、または損傷の軽減;血管内皮細胞及び/または神経細胞の生存及び/または機能の増加;血管内皮細胞、神経細胞、及び周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;血管内皮及び/または神経細胞/組織の炎症の減少;血管内皮細胞及び/または神経細胞の酸化ストレスの軽減;及び生存/生存期間の増加がもたらされる。
【0260】
いくつかの実施形態では、提供される方法により、結果として、病変体積の減少、脳の炎症レベルの減少、mRSスコアの回復確率の増加、及び/または細胞傷害性浮腫の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、提供される方法により、結果として、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の病変体積の減少がもたらされる。
【0261】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って脳卒中を治療することは、対照の対象またはHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤で治療する前の対象と比較して、対象における脳卒中の1つ以上の症状を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、脳卒中の症状の1つ以上の軽減は、顔、腕もしくは脚、特に体の片側のしびれまたは脱力感;混乱、発話の困難、または会話の理解の困難;片目または両目で見ることの困難;及び/または歩行困難、めまい、平衡感覚の喪失、または協調の欠如から選択される。
【0262】
いくつかの実施形態では、対象の1、2、3、4、5つ以上の血清バイオマーカー(例えば、E-セレクチン、ICAM-1、VCAM及びMCP-1)は、対照対象と比較して、またはHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される。
【0263】
追加の実施形態では、提供される方法は、追加の治療薬を対象に更に投与することを含む。一実施形態では、追加投与される治療薬は、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、抗凝固薬(例えば、ヘパリン)である。
【0264】
虚血/再灌流障害
器官への酸素欠乏である虚血は、影響を受けた細胞の事実上すべての細胞小器官及び細胞内システムの構造ならびに機能に影響を及ぼす、一連の複雑な事象を急速に引き起こす。虚血/再灌流障害は、過剰な量の活性酸素種(ROS)及び活性窒素種(RNS)の生成を引き起こし、ミトコンドリアの酸化的リン酸化の変化、ATPの枯渇、細胞内カルシウムの増加、ならびにタンパク質キナーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ、リパーゼ及びヌクレアーゼの活性化をもたらす酸化ストレスを引き起こし、細胞機能/完全性の喪失につながる。
【0265】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象における虚血または虚血/再灌流障害(総称して、IRI)を治療するための方法及び組成物を提供し、
(a)有効量のHIF1-α経路阻害剤、及び有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与すること、
(b)有効量のHIF1-α経路阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にPFKFB3阻害剤を投与されている、対象に投与すること、または
(c)有効量のPFKFB3阻害剤を対象に投与することであって、対象は以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている、対象に投与すること、を含み、
PFKFB3阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路またはHIF1-αを阻害しない。
【0266】
一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤及び有効量のPFKFB3阻害剤を投与される。一実施形態では、対象は、有効量のHIF1-α経路阻害剤を投与され、対象は、以前にPFKFB3阻害剤を投与されている。一実施形態では、対象は、有効量のPFKFB3阻害剤を投与され、対象は、以前にHIF1-α経路阻害剤を投与されている。
【0267】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法(例えば、上記(a)~(c)のいずれか)は、IRIの予防的治療として行われる。いくつかの実施形態では、対象は、IRIを患うリスクがある。いくつかの実施形態では、対象は、医療処置(例えば、外科手術、血管形成術、バイパス手術、臓器移植、またはステント手術)を受けようとしている。
【0268】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、虚血前に投与される。
【0269】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、虚血中または再灌流前に投与される。
【0270】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、再灌流中に投与される。
【0271】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤は、虚血及び虚血/再灌流後に投与される。
【0272】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α経路結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α経路阻害剤である。
【0273】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、シリビニン、PX-478もしくはYC-1、またはそれらの塩である。
【0274】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α経路阻害剤は、ガネテスピブ(ST-9090)、フェネチルイソチオシアネートもしくはBAY-87-2243、またはそれらの塩である。
【0275】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるHIF1-α経路阻害剤は、HIF1-α阻害剤である。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、PI3K/AKT/mTOR経路を阻害しない。いくつかの実施形態では、HIF1-α阻害剤は、抗体もしくはその抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH)、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、HIF1-α結合ポリペプチド、または低分子HIF1-α阻害剤である。
【0276】
いくつかの実施形態では、投与されるHIF1-α阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドEZN-2968、またはナノボディAG-1、AG-2、AG-3、AG-4、AG-5、VHH212もしくはAHPCである。
【0277】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片(例えば、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv、dAb断片、または別の改変分子、例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、及び最小認識単位)、核酸分子(例えば、アプタマー、アンチセンス分子、リボザイム、miRNA、dsRNA、ssRNA、及びshRNA)、ペプチボディ、ナノボディ、PFKFB3結合ポリペプチド、または低分子PFKFB3阻害剤である。
【0278】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、BrAcNHEtOP(N-ブロモアセチルエタノールアミンホスフェート)、PFK15(1-(4-ピリジニル)-3-(2-キノリニル)-2-プロペン-1-オン)、もしくはPFK-158((E)-1-(4-ピリジニル)-3-[7-(トリフルオロメチル)-2-キノリニル]-2-プロペン-1-オン)、またはそれらの塩である。
【0279】
いくつかの実施形態では、投与されるPFKFB3阻害剤は、KAN0436151もしくはKAN0436067、またはそれらの塩である。
【0280】
特定の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、AZ67またはその塩である。
【0281】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1A~
図1Cもしくは
図1Dに示す、式1~式53もしくは式54、PQP、N4A、YN1、PK15、PFK-158、YZ29、化合物26、KAN0436151、KAN0436067もしくはBrAcNHErOP、またはそれらの塩の構造を有する、少なくとも1つのPFKFB3阻害剤である。他の実施形態では、提供される方法に従って投与されるPFKFB3阻害剤は、
図1Eに示す、式AZ44~AZ70もしくはAZ71、またはそれらの塩の構造を有するPFKFB3阻害剤である。
【0282】
いくつかの実施形態では、IRIを治療するために本明細書に提供される方法は、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤を対象に共投与することによって行われる。
【0283】
いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経口投与される。いくつかの実施形態では、HIF1-α経路阻害剤及び/またはPFKFB3阻害剤の投与は、経粘膜投与、シロップ剤、局所投与、非経口投与、注射、皮下投与、直腸投与、頬側投与または経皮投与によって投与される。
【0284】
いくつかの実施形態では、虚血または虚血/再灌流障害は、梗塞、アテローム性動脈硬化症、血栓症、血栓塞栓症、脂質塞栓症、出血、ステント、手術、血管形成術、手術中のバイパスの終了、臓器移植、または完全虚血から選択される状態に起因する。
【0285】
いくつかの実施形態では、虚血または虚血/再灌流障害は、臓器の機能不全、梗塞、炎症、酸化的損傷、ミトコンドリア膜電位損傷、アポトーシス、再灌流関連不整脈、心臓気絶、心臓脂肪毒性、または虚血由来の瘢痕形成から選択される。
【0286】
「臓器の機能不全」は、特定の臓器がその期待された機能を果たさない状態を指す。臓器の機能不全は、外部からの臨床介入なしに正常な恒常性を維持できない場合、臓器不全に発展する。臓器の機能不全を判定するための方法は当技術分野で公知であり、逐次臓器不全評価(SOFA)スコア、多臓器不全(MOD)スコア、及びロジスティック臓器不全(LOD)スコアを含む、監視ならびにスコアが含まれるが、これらに限定されない。
【0287】
いくつかの実施形態では、虚血損傷または虚血/再灌流障害は、心筋梗塞によるものである。
【0288】
いくつかの実施形態では、提供される方法に従って予防及び/または治療される虚血/再灌流障害は、対象の器官または組織で生じる。虚血/再灌流障害が起こり得る臓器としては、脳、心臓、腎臓、肝臓、大腸、肺、膵臓、小腸、胃、筋肉、膀胱、脾臓、卵巣、及び精巣が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、臓器は、心臓、肝臓、腎臓、脳、腸、膵臓、肺、骨格筋、及びこれらの組み合わせから選択される。より特定の実施形態では、臓器は心臓である。組織には、神経組織、筋肉組織、皮膚組織、及び骨組織が含まれるが、これらに限定されない。
【0289】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法に従って虚血または虚血障害を治療することは、虚血または虚血障害の1つ以上の症状を軽減することを含む。いくつかの実施形態では、提供される方法により、結果として、内皮細胞及び/または組織(例えば、神経組織)のアポトーシス/破壊(すなわち、喪失)、または損傷の軽減;内皮細胞の生存及び/または機能の増加;内皮細胞及び周囲の細胞/組織への長期的な損傷の軽減;内皮細胞/組織の炎症の減少;内皮の酸化ストレスの軽減;及び生存/生存期間の増加がもたらされる。
【0290】
いくつかの実施形態では、提供される方法により、結果として、病変体積の減少、脳の炎症レベルの減少、mRSスコアの回復確率の増加、及び/または細胞傷害性浮腫の減少がもたらされる。いくつかの実施形態では、提供される方法により、結果として、HIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の病変体積の減少がもたらされる。虚血及び虚血/再灌流障害を検出する方法は当技術分野で公知であり、例えば、フルオレセイン分析、蛍光亜鉛2,2’-ジピコリルアミン配位化合物PSVue(登録商標)794、99mTcグルカル酸塩、及び網膜電図検査が含まれる。
【0291】
いくつかの実施形態では、対象の1、2、3、4、5つ以上の虚血再灌流障害バイオマーカー(例えば、高強度急性再灌流障害マーカー(HARM)、カスパーゼ-3、MMP-2、MMP-9、エンドセリン-1、ロイコトリエンB4及びC4;TNFα、IL1、IL6、IL8、PAF、ICAM-1、VCAM-1、PECAM-1、ならびに臓器/組織損傷のバイオマーカー)、及び非再灌流現象の程度が、対照対象と比較して、またはHIF1-α経路阻害剤及びPFKFB3阻害剤による治療前の対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%低下する。
【0292】
いくつかの実施形態では、提供される方法は、対象における心室性不整脈を軽減する。いくつかの実施形態では、提供される方法は、対象における非再灌流現象を低減する。
【0293】
追加の実施形態では、提供される方法は、追加の治療薬を対象に更に投与することを含む。
【0294】
それぞれ2021年5月16日出願の米国特許出願第63/189,204号、同第63/189,205号、同第63/189,206号、及び同第63/189,207号のそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0295】
本明細書に引用されるすべての参考文献、記事、刊行物、特許、特許公報、及び特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により援用される。しかし、本明細書で引用される任意の参考文献、記事、出版物、特許、特許公報、及び特許出願の言及は、世界の任意の国で、それらが有効な先行技術を構成し、または共通の一般知識の一部を形成する、承認または任意の形式の提案ではなく、かつそう解釈されるべきではない。
【国際調査報告】