(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】動力電池のケース、動力電池、電力消費装置及び温度差自動調整用冷却板
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6568 20140101AFI20240417BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240417BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20240417BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240417BHJP
H01M 10/617 20140101ALI20240417BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/651
H01M10/6556
H01M10/617
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555490
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 CN2022100425
(87)【国際公開番号】W WO2023273983
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202121480283.6
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】唐江▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】郭舒
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】李▲しん▼
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031HH08
5H031KK08
(57)【要約】
動力電池は、ケースを有する。当該ケースは、トレイ、液冷板及び冷膨張部を含む。当該トレイは、セルを収容する収容空間を有する。当該液冷板は、当該トレイの頂部及び底部のうちの少なくとも一方の外表面で当該トレイに接続される。当該液冷板は、当該トレイの外表面と共に、冷却液が流れる流路を画定する。当該冷膨張部は、当該流路内に位置し、当該トレイ及び当該液冷板のうちの少なくとも1つに接続される。当該冷膨張部は、膨張時に膨張領域に対応する当該流路の冷却液通過断面積を低下させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイ(100)と、液冷板(200)と、冷膨張部(300)とを含むケース(10)であって、
前記トレイ(100)は、セルを収容する収容空間(110)を有し、
前記液冷板(200)は、前記トレイ(100)の頂部及び底部のうちの少なくとも一方の外表面で前記トレイ(100)に接続され、前記液冷板(200)は、前記トレイ(100)の外面と共に、冷却液が流れる流路(210)を画定し、
前記冷膨張部(300)は、前記流路(210)内に位置し、前記トレイ(100)及び前記液冷板(200)のうちの少なくとも1つに接続され、前記冷膨張部(300)は、膨張時に膨張領域に対応する流路(210)の冷却液通過断面積を低下させる、ことを特徴とする動力電池(30)のケース(10)。
【請求項2】
前記液冷板(200)内に内部キャビティ(220)が形成され、前記内部キャビティ(220)の前記トレイ(100)に向かう側が開放し、前記トレイ(100)の表面は、前記内部キャビティ(220)の開放した側を封止し、前記液冷板(200)の内部キャビティ(220)が設置されていない領域(230)は、前記トレイ(100)の表面に接続され、前記冷膨張部(300)は、前記液冷板(200)の内部キャビティ(220)に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項3】
前記冷膨張部(300)は、前記液冷板(200)の内部キャビティ(220)に印刷又は塗布された塗布層である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項4】
前記液冷板(200)の内部キャビティ(220)は、内側壁(221)と、前記トレイ(100)に対向して設置された内頂壁(222)とを含み、前記冷膨張部(300)は、少なくとも前記内頂壁(222)に設置される、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項5】
前記セルが非動作状態にある場合、前記冷膨張部(300)の初期厚さは、0.1mm~0.5mmである、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項6】
前記冷膨張部(300)の分布面積は、前記液冷板(200)全体の面積の40%~60%である、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項7】
前記冷膨張部(300)の体積変化範囲は、1~10倍である、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項8】
前記冷膨張部(300)の材料は、発泡材である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項9】
前記冷膨張部(300)の冷膨張係数は、100%~500%である、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項10】
前記トレイ(100)は、一体押出成形式の構造であり、前記液冷板(200)は、プレス成形式のアルミニウム合金板である、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の動力電池(30)のケース(10)を含む、ことを特徴とする動力電池(30)。
【請求項12】
電力消費装置(40)であって、請求項11に記載の動力電池(30)を含み、前記動力電池(30)は、前記電力消費装置(40)に電気エネルギーを供給することを特徴とする電力消費装置(40)。
【請求項13】
動力電池(30)の熱管理に使用される温度差自動調整用冷却板(20)であって、前記温度差自動調整用冷却板(20)は、液冷板(200)と、冷膨張部(300)とを含み、
前記液冷板(200)は、内部に内部キャビティ(220)が形成され、前記内部キャビティ(220)の一側が開放し、かつ開放した側が動力電池(30)のトレイ(100)に接続され、
前記冷膨張部(300)は、前記内部キャビティ(220)内において前記液冷板(200)と固定され、対応する液冷板(200)に温度差が発生した場合に温度の変化とともに冷膨張部(300)の厚さが変化して、内部キャビティ(220)における局所領域の、冷却液が通過する空間の大きさを調整する、ことを特徴とする温度差自動調整用冷却板(20)。
【請求項14】
前記冷膨張部(300)は、内部キャビティ(220)の内頂壁(222)に設置された塗布層である、ことを特徴とする請求項13に記載の温度差自動調整用冷却板(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、出願番号が202121480283.6で、出願日が2021年6月30日である中国特許出願に基づいて提出され、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、セル冷却の技術分野に関し、特に、動力電池のケース、動力電池、電力消費装置及び温度差自動調整用冷却板に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術において、動力電池パックは、複数の単セルを含む。各セルの特性が異なるため、各セルの環境温度も異なる。一部のセルの使用温度が高いため、セルの一致性が低く、さらに一部のセルの使用温度が高すぎるため、電池パックが放電し、電池の使用特性に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る動力電池のケースは、セルの使用状況に応じて冷却液の流量を調整することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本開示に係る動力電池のケースは、トレイ、液冷板及び冷膨張部を含み、前記トレイは、セルを収容する収容空間を有し、前記液冷板は、前記トレイの頂部及び底部のうちの少なくとも一方の外表面で前記トレイに接続され、前記液冷板は、前記トレイの外表面と共に、冷却液が流れる流路を画定し、前記冷膨張部は、前記流路内に位置し、前記トレイ及び前記液冷板のうちの少なくとも1つに接続され、当該冷膨張部は、膨張時に膨張領域に対応する流路の冷却液通過断面積を低下させる。
【0006】
本開示に係る動力電池内には、上述したような動力電池のケースが設置される。
【0007】
本開示に係る電力消費装置は、上述したような動力電池を含む。
【0008】
本開示は、温度差自動調整用冷却板をさらに含む。
【0009】
本開示の動力電池のケースにおいて、トレイに液冷板が設置され、液冷板内に設置された冷膨張部が液冷板上の流路の冷却液通過断面積を調整することができ、セルの温度が高い場合、流路を流れる冷却液が多く、セルの温度が低い場合、冷膨張部が膨張して流路の冷却液通過断面積を低下させるため、対応する箇所の冷却液の流量を低下させ、他のセルの冷却液の流量を増加させることができ、それにより、他のセルの使用温度がより低くなり、セル全体の使用特性がより高くなる。
【0010】
いくつかの実施例では、前記液冷板内に内部キャビティが形成され、前記内部キャビティの前記トレイに向かう側が開放し、前記トレイの表面は、前記内部キャビティの開放した側を封止し、前記液冷板の内部キャビティが設置されていない領域は、前記トレイの表面に接続され、前記冷膨張部は、前記液冷板の内部キャビティに接続される。
【0011】
いくつかの実施例では、前記冷膨張部は、前記液冷板の内部キャビティに印刷又は塗布された塗布層である。
【0012】
いくつかの実施例では、前記液冷板の内部キャビティは、内側壁と、前記トレイに対向して設置された内頂壁とを含み、前記冷膨張部は、少なくとも前記内頂壁に設置されることを特徴とする。
【0013】
いくつかの実施例では、前記セルが非動作状態にある場合、前記冷膨張部の初期厚さは、0.1mm~0.5mmである。
【0014】
いくつかの実施例では、前記冷膨張部の分布面積は、前記液冷板全体の面積の40%~60%である。
【0015】
いくつかの実施例では、前記冷膨張部の体積変化範囲は、1~10倍である。
【0016】
いくつかの実施例では、前記冷膨張部の材料は、発泡材である。
【0017】
いくつかの実施例では、前記冷膨張部の冷膨張係数は、100%~500%である。
【0018】
いくつかの実施例では、前記トレイは、一体押出成形式の構造であり、前記液冷板は、プレス成形式のアルミニウム合金板である。
【0019】
本開示の実施例に係る動力電池は、本開示の実施例に係る動力電池のケースを含む。
【0020】
本開示の実施例に係る電力消費装置は、本開示の実施例に係る動力電池を含み、前記動力電池は、前記電力消費装置に電気エネルギーを供給する。
【0021】
本開示の実施例に係る温度差自動調整用冷却板は、動力電池の熱管理に使用され、液冷板と、冷膨張部とを含み、前記液冷板は、内部に内部キャビティが形成され、前記内部キャビティの一側が開放し、かつ開放した側が動力電池のトレイに接続され、前記冷膨張部は、前記内部キャビティ内において前記液冷板と固定され、対応する液冷板に温度差が発生した場合に温度の変化とともに自体の厚さが変化して、内部キャビティにおける局所領域の、冷却液が通過する空間の大きさを調整する。
【0022】
いくつかの実施例では、前記冷膨張部は、内部キャビティの内頂壁に設置された塗布層である。
【発明の効果】
【0023】
本開示の他の特徴及び利点については、以下の発明を実施するための形態において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図面は、本開示の更なる理解を提供し、明細書の一部を構成するものであり、以下の具体的な実施形態と共に本開示を説明するものであるが、本開示を限定するものではない。
【0025】
【
図1】本開示の実施例のケースの概略構成図である。
【
図2】本開示の実施例のケースの別の概略構成図である。
【
図3】本開示の実施例のケースのさらなる概略構成図である。
【
図5】
図3におけるA領域の別の概略構造図である。
【
図7】本開示の実施例の電力消費装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の実施例を詳細に説明し、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものである。
図1~
図5に示すように、動力電池30のケース10が開示される。当該ケース10は、トレイ100、液冷板200及び冷膨張部300を含む。
【0027】
具体的には、トレイ100は、セルを収容する収容空間110を有し、液冷板200は、トレイ100の頂部及び底部のうちの少なくとも一方の外表面でトレイ100に接続され、液冷板200は、トレイ100の表面と共に、冷却液が流れる流路210を画定し、冷膨張部300は、流路210内に位置し、トレイ100及び液冷板200のうちの少なくとも1つに接続され、冷膨張部300は、膨張時に膨張領域に対応する流路210の冷却液通過断面積を低下させる。
【0028】
理解できるように、トレイ100は、セルの取り付けに適用されるため、セルの使用がより安全的で確実になり、セルの耐用年数を延長する。トレイ100の頂面又は底面に液冷板200が設置され、液冷板200は、セルの熱量を吸収することができ、セルの使用環境を改善することに適するため、セルの耐用年数を延長し、セルの使用特性を向上させる。
【0029】
詳細には、液冷板200とトレイ100との間に冷却液が流れる流路210が設置され、冷却液は、流れ過程においてセルの熱量を吸収し、かつ他の部分に流れることができるため、セルの使用環境の温度がより低くなり、セルの使用特性がよく向上することができる。
【0030】
また、液冷板200とトレイ100との間に画定された流路210内に冷膨張部300がさらに設置され、冷膨張部300は、流路210を流れる冷却液の温度が高い場合に収縮するか、又は小さい厚さに維持されることにより、流路210内の冷却液通過断面積が大きくなり、冷却液の流量が大きくなるため、液冷板200は、セルの温度をよく低下させることができ、冷却液の温度が低い場合に、冷膨張部300は、膨張することにより、流路210内の冷却液通過断面積が小さくなるため、冷却液の流量を低下させて、他の部分の冷却液の流量を増加させる。
【0031】
本開示の実施例に係る動力電池30のケース10において、トレイ100に液冷板200が設置され、液冷板200内に設置された冷膨張部300が液冷板200上の流路210の冷却液通過断面積を調整することができ、セルの温度が高い場合、流路210を流れる冷却液が多く、セルの温度が低い場合、冷膨張部300が膨張して流路210の冷却液通過断面積を低下させるため、対応する箇所の冷却液の流量を低下させ、他のセルの冷却液の流量を増加させることができ、それにより、他のセルの使用温度がより低くなり、セル全体の使用特性がより高くなる。
【0032】
いくつかの実施例では、
図4に示すように、液冷板200内に内部キャビティ220が形成され、内部キャビティ220のトレイ100に向かう側が開放し、トレイ100の表面は、内部キャビティ220の開放した側を封止し、液冷板200の内部キャビティ220が設置されていない領域230は、トレイ100の表面に接続され、冷膨張部300は、液冷板200の内部キャビティ220に接続される。このように、液冷板200内に内部キャビティ220を設置することにより、冷膨張部300を内部キャビティ220内に設置することができ、冷膨張部300の設置がより容易で確実になり、冷膨張部300が流路210内の冷却液通過断面積をよく調整することができるため、セルの使用状況に応じて冷却液の流量を調整することができ、セルをよりよく冷却することができ、セルの使用特性を向上させる。また、液冷板200上の内部キャビティ220が設置されていない領域230をトレイ100の表面に接続するため、液冷板200とトレイ100との間の接続がより安定的で確実になり、流路210を流れる冷却液がセルの動作中に生じた熱量を奪っていくことができ、セルの使用特性を向上させる。
【0033】
いくつかの実施例では、冷膨張部300は、液冷板200の内部キャビティ220に印刷又は塗布された塗布層である。このように、塗布層により、冷膨張部300の設置が容易になり、ケース10の組立効率を向上させることができ、塗布層を液冷板200の内部キャビティ220に設置することにより、塗布層の設置がより安定的になり、冷膨張部300が流路210の冷却液通過断面積をよりよく調整することができる。それとともに、印刷又は塗布の方式で塗布層を設置することにより、塗布層の配置効率がより高くなり、塗布層と内部キャビティ220との間の接続がより安定的になり、冷膨張部300が流路内の冷却液通過断面積をよりよく調整することができる。
【0034】
いくつかの実施例では、液冷板200の内部キャビティ220は、内側壁221と、トレイ100に対向して設置された内頂壁222とを含み、冷膨張部300は、少なくとも内頂壁222に設置される。このように、冷膨張部300が内頂壁222に設置されることにより、冷膨張部300は、流路210の上方から冷却液通過断面積を調整することができるため、冷却液の流れがよりスムーズになる。
【0035】
図3~
図5に示すように、いくつかの実施例では、セルが非動作状態にある場合、冷膨張部300の初期厚さは、0.1mm~0.5mmであるか、或いは、冷膨張部300の分布面積は、液冷板200全体の面積の40%~60%である。理解できるように、冷膨張部300の厚さ変化範囲が大きく、厚さの最小範囲が塗布層の配置厚さであり、即ち、0.1mmであり、厚さが最も大きい場合、冷膨張部300は、流路210を塞ぐことができるため、冷却液がこの流路210を通過することができず、他のセルを流れる冷却液がより多くなり、セル全体の使用特性を向上させる。
【0036】
いくつかの実施例では、
図2に示すように、トレイ100は、一体押出成形式のトレイ100であってもよく、材質がアルミニウム合金であり、上表面が平面である。このように、トレイ100の製造効率が高くなり、液冷板200がプレス成形のアルミニウム合金板であってもよく、プレス成形方式により液冷板200とトレイ100との間の流路210の設計を実現し、流路210の構造安定性を向上させ、冷却液が流路210内をよりよく流れることができる。また、(
図1に示すように)液冷板200とトレイ100とは、過炉ろう付けにより互いに結合されて、下表面が平坦であり、上表面に流路210が形成されるプレス成形式のろう付け冷板を形成する。冷膨張部300の初期厚さは、0.1mm~0.5mmであり、1~10倍の体積変化範囲を実現し、その面積について、異なる冷板に応じて、流路210の設計面積と液冷板200全体の面積との比が40~60%であり、電池が充放電動作状況にある場合、温度差が発生すると、低温領域にある冷膨張部300は、温度差の大きさに応じて自動的に膨張し、流路210のキャビティの高さを1~5mmの範囲で押圧し、キャビティの高さを押圧することにより低温領域内の対応する流路210の冷却液通過断面積を低下させ、冷却液の流れを低減し、冷却液の絞りを実現し、絞られた冷却液の低温領域に達する流量を減少させるため、当該箇所の温度が上がり、最終的に当該箇所にあるセルと、高温箇所にあるセルとの温度均一性を実現する。
【0037】
いくつかの実施例では、冷膨張部300の材料は、発泡材である。理解できるように、発泡材は、高い膨張効果を有し、流路210を塞ぐことができるため、セルの使用状況に応じて冷却液の流量を調整することができ、セルの使用特性を向上させる。
【0038】
いくつかの実施例では、冷膨張部300の冷膨張係数は、100%~500%である。このように、冷膨張部300は、高い冷膨張係数を有することにより、大きい厚さ範囲内の調整を行うことができるため、流路210を塞いで、対応する流路210内の冷却液の流量を調整することができる。
【0039】
本開示の実施例に係る動力電池30は、
図6に示すように、上述したような動力電池30のケース10を含む。このように、動力電池30内に上述したようなケース10が設置され、ケース10内に設置された冷膨張部300がセルの使用状況に応じて膨張できるため、高温箇所に対応する流路210内の冷却液がより多くなり、低温箇所に冷却を行う冷却液がより少なくなることにより、セルの使用環境がより良くなり、動力電池30の使用特性がより高くなる。
【0040】
図7に示すように、本開示の実施例に係る電力消費装置40は、上述したような動力電池30を含み、動力電池30は、電力消費装置40に電気エネルギーを供給する。このように、電力消費装置40内に上述したような動力電池30が設置され、動力電池30内の冷膨張部300がセルの使用状況に応じて冷却液の流量を調整することができるため、高温箇所にあるセルを冷却する冷却液がより多くなり、低温箇所にあるセルを冷却する冷却液がより少なくなることにより、セル全体の使用特性を向上させ、動力電池30が使用時に放電することを回避し、電力消費装置40の使用がより安全で確実になる。
【0041】
図1、
図2及び
図4に示すように、本開示の実施例に係る温度差自動調整用冷却板20は、動力電池30の熱管理に使用され、液冷板200と、冷膨張部300と、を含み、液冷板200は、内部に内部キャビティ220が形成され、内部キャビティ220の一側が開放し、かつ開放した側が動力電池30のトレイ100に接続され、冷膨張部300は、内部キャビティ220内において液冷板200と固定され、冷膨張部300は、対応する液冷板200に温度差が発生した場合に温度の変化とともに自体の厚さが変化して、内部キャビティ220における局所領域の、冷却液が通過する空間の大きさを調整する。このように、温度差自動調整用冷却板20に上述したような冷膨張部300を設置することにより、冷膨張部300が低温時に膨張し高温時に収縮することができるため、セルの使用状況に応じて、対応する冷却液の流量を調整することができ、セルの使用環境がより良くなり、セルの使用特性を向上させる。
【0042】
本開示の実施例に係る冷膨張部300は、内部キャビティ220の内頂壁222に設置された塗布層である。このように、内頂壁222に設置された塗布層により、冷膨張部300の設置が容易になり、組立効率を向上させるだけでなく、冷膨張部300が流路210の冷却液通過断面積をより良く制御することができるため、セルの使用温度に応じで、セルを冷却する冷却液を調整することができ、セルの環境温度がより低くなるため、セルの耐用年数を延長し、セルの使用特性が高くなる。
【0043】
本開示の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「半径方向」、「周方向」などの用語によって表される方位又は位置関係は、図面に基づいて示す方位又は位置関係であり、本開示を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有し、特定の方位において構成され、操作されなければならないと指示又は暗示するものではないため、本開示を限定するものとして理解してはならない。
【0044】
本開示の説明では、「第1特徴」、「第2特徴」は、1つ以上の該特徴を含んでもよい。本開示の説明において、「複数」とは、2つ以上を意味する。本開示の説明において、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触することを含んでもよく、第1特徴と第2特徴とが直接的に接触せず、それらの間の他の特徴を介して接触することを含んでもよい。本開示の説明において、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上にあることを含んでもよく、単に第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことだけを表してもよい。
【0045】
本明細書の説明では、参照用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などの説明は、当該実施例又は例と組み合わせて説明された具体的な特徴、構成、材料又は特点が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施例又は例を指すとは限らない。
【0046】
本開示の実施例を示し説明したが、当業者であれば、本開示の原理及び目的を逸脱しない限り、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができ、本開示の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定されていることを理解することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイ(100)と、液冷板(200)と、冷膨張部(300)とを含むケース(10)であって、
前記トレイ(100)は、セルを収容する収容空間(110)を有し、
前記液冷板(200)は、前記トレイ(100)の頂部及び底部のうちの少なくとも一方の外表面で前記トレイ(100)に接続され、前記液冷板(200)は、前記トレイ(100)の外面と共に、冷却液が流れる流路(210)を画定し、
前記冷膨張部(300)は、前記流路(210)内に位置し、前記トレイ(100)及び前記液冷板(200)のうちの少なくとも1つに接続され、前記冷膨張部(300)は、膨張時に膨張領域に対応する流路(210)の冷却液通過断面積を低下させる、ことを特徴とする動力電池(30)のケース(10)。
【請求項2】
前記液冷板(200)内に内部キャビティ(220)が形成され、前記内部キャビティ(220)の前記トレイ(100)に向かう側が開放し、前記トレイ(100)の表面は、前記内部キャビティ(220)の開放した側を封止し、前記液冷板(200)の内部キャビティ(220)が設置されていない領域(230)は、前記トレイ(100)の表面に接続され、前記冷膨張部(300)は、前記液冷板(200)の内部キャビティ(220)に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項3】
前記冷膨張部(300)は、前記液冷板(200)の内部キャビティ(220)に印刷又は塗布された塗布層である、ことを特徴とする請求項
1に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項4】
前記液冷板(200)の内部キャビティ(220)は、内側壁(221)と、前記トレイ(100)に対向して設置された内頂壁(222)とを含み、前記冷膨張部(300)は、少なくとも前記内頂壁(222)に設置される、ことを特徴とする請求項
1に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項5】
前記セルが非動作状態にある場合、前記冷膨張部(300)の初期厚さは、0.1mm~0.5mmである、ことを特徴とする請求項
1に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項6】
前記冷膨張部(300)の分布面積は、前記液冷板(200)全体の面積の40%~60%である、ことを特徴とする請求項
1に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項7】
前記冷膨張部(300)の体積変化範囲は、1~10倍である、ことを特徴とする請求項
5に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項8】
前記冷膨張部(300)の材料は、発泡材である、ことを特徴とする請求項
1に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項9】
前記冷膨張部(300)の冷膨張係数は、100%~500%である、ことを特徴とする請求項
1に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項10】
前記トレイ(100)は、一体押出成形式の構造であり、前記液冷板(200)は、プレス成形式のアルミニウム合金板である、ことを特徴とする請求項
1に記載の動力電池(30)のケース(10)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の動力電池(30)のケース(10)を含む、ことを特徴とする動力電池(30)。
【請求項12】
電力消費装置(40)であって、請求項11に記載の動力電池(30)を含み、前記動力電池(30)は、前記電力消費装置(40)に電気エネルギーを供給することを特徴とする電力消費装置(40)。
【請求項13】
動力電池(30)の熱管理に使用される温度差自動調整用冷却板(20)であって、前記温度差自動調整用冷却板(20)は、液冷板(200)と、冷膨張部(300)とを含み、
前記液冷板(200)は、内部に内部キャビティ(220)が形成され、前記内部キャビティ(220)の一側が開放し、かつ開放した側が動力電池(30)のトレイ(100)に接続され、
前記冷膨張部(300)は、前記内部キャビティ(220)内において前記液冷板(200)と固定され、対応する液冷板(200)に温度差が発生した場合に温度の変化とともに冷膨張部(300)の厚さが変化して、内部キャビティ(220)における局所領域の、冷却液が通過する空間の大きさを調整する、ことを特徴とする温度差自動調整用冷却板(20)。
【請求項14】
前記冷膨張部(300)は、内部キャビティ(220)の内頂壁(222)に設置された塗布層である、ことを特徴とする請求項13に記載の温度差自動調整用冷却板(20)。
【国際調査報告】