(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】タンク充填装置と車両との間で通信をする方法
(51)【国際特許分類】
F17C 5/06 20060101AFI20240417BHJP
B60K 15/077 20060101ALI20240417BHJP
B60S 5/02 20060101ALI20240417BHJP
F17C 13/02 20060101ALI20240417BHJP
B60K 8/00 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
F17C5/06
B60K15/077 Z
B60S5/02
F17C13/02 301A
B60K8/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560066
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2022058239
(87)【国際公開番号】W WO2022214354
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】102021203386.5
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッテ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,トマス
【テーマコード(参考)】
3D026
3D038
3D235
3E172
【Fターム(参考)】
3D026CA05
3D038CC18
3D038CD14
3D235AA01
3D235BB57
3D235CC24
3D235FF23
3D235HH63
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD03
3E172BD05
3E172DA87
3E172EA12
3E172EA14
3E172EA22
3E172EA24
3E172EA35
3E172KA22
(57)【要約】
タンク充填装置(2)と車両(4)との間で通信をする方法が提案され、タンク充填装置と車両のタンク(6)とがタンクホース(10)によって連結されるステップと、圧力で付勢された燃料がタンクホースで提供されるステップと、伝送されるべき第1の信号を加算変調するために所定のベース圧力が圧力シーケンスと重ね合わされることでタンクホースでの圧力が変更されるステップと、タンクホースで印加される圧力が車両によって検出されるステップと、検出された圧力から伝送されるべき第1の信号が抽出されるステップとを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク充填装置(2)と車両(4)との間で通信をする方法において、
前記タンク充填装置(2)と前記車両(4)のタンク(6)とがタンクホース(10)によって連結(28)されるステップと、
圧力で付勢された燃料が前記タンクホース(10)で提供(30)されるステップと、
伝送されるべき第1の信号を加算変調するために所定のベース圧力(22)が圧力シーケンスと重ね合わされることで前記タンクホース(10)での圧力が変更(32)されるステップと、
前記タンクホース(10)で印加される圧力が前記車両(4)によって検出(34)されるステップと、検出された圧力から伝送されるべき第1の信号が抽出(36)されるステップとを有する、方法。
【請求項2】
伝送されるべき第2の信号を加算変調するために所定のベース質量流量が質量流量シーケンスと重ね合わされることで前記車両(4)により取り出される質量流量が前記車両(4)によって変更(38)されることと、
前記タンクホース(10)を通って流れる質量流量が前記タンク充填装置(2)により検出(40)されることと、検出された質量流量から伝送されるべき第2の信号が抽出されることとをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンク充填装置(2)と前記車両(4)の識別指標または暗号化キーが交換されることと、
前記識別指標または暗号化キーを利用したうえで前記タンク充填装置(2)と前記車両(4)の無線接続が確立されることとをさらに有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ベース圧力(22)は時間とともに上昇または下降する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記圧力シーケンス(24)は方形信号、正弦波状信号、またはのこぎり歯状信号をベースとし、方形信号、正弦波状信号、またはのこぎり歯状信号の振幅は前記ベース圧力(22)を下回る、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ベース圧力(22)としての事前設定された安全な最小圧力をもってタンク充填プロセスが開始されることをさらに有し、その後に圧力の変更(32)が行われる、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記車両(4)によって前記第2の信号を用いて伝送される圧力要求をベースとして、迅速化されたタンク充填のために前記タンク充填装置(2)で圧力がコントロールされることをさらに有する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
タンク充填装置(2)と車両(4)との間で通信をするためのシステム(5)において、前記タンク充填装置(2)は前記車両(4)のタンク(6)と連結可能であるタンクホースを有し、前記タンク充填装置(2)は変更可能な圧力で付勢された燃料を前記タンクホース(10)を通して提供するために構成され、前記タンク充填装置(2)は、伝送されるべき第1の信号を加算変調するために所定のベース圧力(22)が圧力シーケンス(24)と重ね合わされることで前記タンクホース(10)での圧力の変更(32)を惹起するために構成された第1の制御ユニット(12)を有し、前記車両(4)は、前記タンクホース(10)で印加される圧力をタンク圧力センサ(16)を通じて検出し、検出された圧力から伝送されるべき前記第1の信号を抽出するために構成された第2の制御ユニット(14)を有する、システム。
【請求項9】
前記第2の制御ユニット(14)は、伝送されるべき第2の信号を加算変調するために所定のベース質量流量が質量流量シーケンスと重ね合わされることで質量流量をタンク弁(18)によって変更するために構成され、前記第1の制御ユニット(12)は、前記タンクホース(10)を通って流れる質量流量を質量流量センサ(20)を通じて検出し、検出された質量流量から伝送されるべき前記第2の信号を抽出するために構成される、請求項8に記載のシステム(5)。
【請求項10】
前記タンク充填装置(2)は水素タンク充填装置である、請求項8または9に記載のシステム(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンク充填装置と車両との間で通信をする方法に関し、および、タンク充填装置と車両との間で通信をするためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラックの水素タンク充填では、SAE J2799に基づき、充填されるべきタンクでの損傷を回避するために、比較的低い一定の水素圧力をタンク充填装置で適用することが定められている。そのために、水素タンクの現在の内圧がタンク充填前にタンク充填装置に送信される。このような通信は、赤外線インターフェース(irDA)を通じて行うことができる。伝送される内圧と、タンク充填装置により判定される外気温とを用いて、SAE J2799に基づき、安全な圧力上昇ならびに安全な目標値がタンクの内圧について決定される。引き続き、タンク充填装置がこれらのパラメータによって水素タンクをタンク充填する。irDAが利用されることで、タンク充填装置と水素タンクとの間の通信には傾向的に不具合が生じやすい。たとえば太陽光の赤外線割合だけでも、通信に障害を起こすのに十分であり得るからである。送信光学系や受信光学系の掻き傷、ならびにタンクホースないしタンク接続管の周辺での氷形成も、同じく有害な影響を及ぼし得る。その結果としてパラメータを交換できなくなり、タンク充填プロセスが非常に低い水素圧力でしか行われず、そのためにタンク充填プロセスが長くかかる。
【0003】
タンク充填プロセスを最適化するために、特にタンク充填時間を短縮するために、車両とタンク充填装置とを信号接続し、タンク充填のための最大で安全な水素圧力を各時点でダイナミックに調整する方法が知られている。そのためには障害の起こりにくい通信テクノロジーが必要である。特に、複数のタンク充填装置と比較的高いタンク充填頻度とを有するタンクステーションでは、障害のない通信に加えて、通信相手の一義的な割当をすることが課題となる。
【0004】
特許文献1では、タンクに入る水素の質量流量と、それに応じたタンク内の圧力の上昇とを相関関係づけることで、上述した割当の問題を解決することが提案されている。そのために、タンク充填装置は特定の時点で質量流量を短時間のあいだ変化させ、その際にタンク内の圧力を観測して、これが無線接続を介して伝送される。それにより相関関係づけを行うことができ、その帰結として無線通信相手の一義的な割当を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第9022080B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、通信相手の一義的な割当が常に行われる確実な通信接続をタンク充填装置と車両との間で実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このことは、独立請求項1の構成要件を有する方法によって解決される。好ましい実施形態と発展形態は、従属請求項および以下の説明から読み取ることができる。
【0008】
タンク充填装置と車両との間で通信をする方法が提案され、タンク充填装置と車両のタンクとがタンクホースによって連結されるステップと、圧力で付勢された燃料がタンクホースで提供されるステップと、伝送されるべき第1の信号を加算変調するために所定のベース圧力が圧力シーケンスと重ね合わされることでタンクホースでの圧力が変更されるステップと、タンクホースで印加される圧力が車両によって検出されるステップと、検出された圧力から伝送されるべき第1の信号が抽出されるステップとを有する。
【0009】
本発明の中心的態様は、タンク充填装置から車両への第1の信号の伝送が放出圧力の変調によって行われることにある。それにより、タンク充填装置からタンク充填されるべき車両へとデータを的確に送ることができ、無線式のインフラストラクチャーに左右されることがなく、不具合が生じることが多いirDA方式に左右されることもない。本方法を実施するための前提条件は、タンク充填装置で圧力をできる限り離散的な形態で的確に変更することが可能であり、それにより圧力シーケンスが一義的に認識可能なように加算変調され、その根底にある第1の信号を得るために車両での復調によって抽出可能であることにある。
【0010】
タンク充填装置とタンクとの連結は、タンクホースと車両のタンク接続管との機械的な結合によって行われる。タンク充填プロセスの開始は、連結プロセスの直後に行うことができる。そのために、たとえば連結に続けて作動化スイッチの操作を行うことができ、該作動化スイッチによってタンク充填プロセスが開始される。
【0011】
タンク充填装置は、燃料を圧力付勢してタンクホースで提供するために構成される。そのためにタンク充填装置はポンプを有することができ、該ポンプによって燃料がリザーバからタンクホースへと案内される。ポンプについてはさまざまに異なる態様が考慮の対象となり、本発明は特定の型式のポンプに限定されるものではなく、あらゆる好適なポンプおよびポンプを有する機構が明示的に含まれる。
【0012】
タンクホースでの圧力を変更するために、上記で述べたポンプがベース圧力を提供することが考えられる。このポンプは、ポンプの下流側に配置されたバルブ機構と連結されていてよい。バルブ機構は、減圧弁ないし圧力制御弁機構を含むことができる。少なくとも1つのバルブの切換によって、タンクホースでの急速な圧力変化が実現されることが考えられる。しかしながらポンプも、急速な圧力変化を直接的に実行するために構成されていてよい。ベース圧力を加算変調する圧力シーケンスは、必ずしも追加の圧力を含んでいなくてよく、選択的な圧力低下の形態で具体化することもできる。
【0013】
充填されるべきタンクが配置される車両は、タンクの内部の圧力を検出するために構成された少なくとも1つのタンク圧力センサを有する。この圧力は、タンクホースの圧力にも依存する。したがって、タンクホースの中の燃料の圧力が変化すると、これをタンク圧力センサによって検出することができる。車両は、タンク圧力センサと接続された制御ユニットを有することができる。そして検出された内圧を、制御ユニットで継続して少なくとも一時的に記録することができる。それにより、時間を通じての内圧曲線ないし内圧推移が得られる。フィルタリングをすることで、適用される変調方式に応じて、記録された圧力推移から圧力シーケンスを抽出することができる。それに伴い、タンク充填装置から車両への第1の信号の少なくとも単方向の伝送を行うことができる。
【0014】
変調は、たとえばパルス幅変調(PWM)によって行うことができるが、当然ながら、他の分野からすでに知られている別の変調技術も考えられる。このときシステムのベース圧力が時間を通じて安定して保たれる必要はなく、上昇または低下することもできる。
【0015】
さらに車両は、燃料が流れていないときにもタンク接続部で圧力を検出するために構成されることが考えられる。それに伴い、たとえばタンク接続部にあるタンク弁を開く前に、それにもかかわらず第1の信号を車両によってすでに検出することができる。
【0016】
このような方式の通信は、特に外部要因に対するirDAの不具合の起こりやすさを取り除き、それに加えて、タンクとポンプにすでに存在しているハードウェアコンポーネントだけを利用する。これに加えて本方法は、irDAの代替として利用される無線テクノロジーと比べても顕著な利点を有する。本発明による方法を通じての通信では、上記で説明した割当問題が発生しないからである。本発明による方法を通信相手の割当のために適用し、引き続いて、識別された各通信相手の無線接続を利用することも考えられる。
【0017】
1つの好ましい実施形態では、車両は、伝送されるべき第2の信号を加算変調するために所定のベース質量流量が質量流量シーケンスと重ね合わされることで車両により取り出される質量流量が車両によって変更されることと、タンクホースを通って流れる質量流量がタンク充填装置により検出されることと、検出された質量流量から伝送されるべき第2の信号が抽出されることとをさらに有する。タンク充填装置から車両への第1の信号の伝送の上記で説明したコンセプトに準じて、質量流量に影響を与えることで、第2の信号を車両からタンク充填装置に伝送することもできる。それに伴って本方法は、タンク充填装置と車両との間の双方向の通信を可能にする。質量流量に影響を与えるために、車両側にタンク弁またはタンク弁機構が設けられていてよい。質量流量を検出するために、タンク充填装置は、制御ユニットとリンク可能である質量流量センサを有することができる。そして検出された質量流量を、継続して制御ユニットで少なくとも一時的に記録することができる。それにより、時間を通じて質量流量曲線ないし質量流量推移が得られる。フィルタリングをすることで、記録された質量流量推移から質量流量シーケンスを抽出することができる。このとき質量流量は圧力と同じく一定でなくてもよく、時間を通じて上昇または下降することができる。
【0018】
別の好ましい実施形態では、本方法は、タンク充填装置と車両の識別指標または暗号化キーが交換されることと、識別指標または暗号化キーを利用したうえでタンク充填装置と車両の無線接続が確立されることとをさらに含む。それに応じて本発明による方法は、この実施形態ではまず第1に安全で一義的な無線接続を開始するために利用される。本方法は、無線接続のための通信相手の非常に信頼度の高い割当を可能にする。
【0019】
本方法の好ましい実施形態では、ベース圧力は時間とともに上昇または下降する。タンク充填のコントロールにあたって、外気温および/またはタンク圧力に応じて、ベース圧力をタンク充填中に適合化することができる。
【0020】
さらに、圧力シーケンスは方形信号、正弦波状信号、またはのこぎり歯状信号をベースとすることができ、方形信号、正弦波状信号、またはのこぎり歯状信号の振幅はベース圧力を下回る。圧力シーケンスは、方形信号、正弦波状信号、またはのこぎり歯状信号とは僅少に相違していてもよい。圧力変化はそのような信号とともに開始されるが、ポンプやこれと接続されたバルブ機構の施工形態に依存して、圧力変化は直接的に起こるのではなく、ある程度の慣性をもって起こるからである。このことは「ベースとする」という概念によって考慮されている。振幅変調のほか、周波数変調も考慮の対象となる。
【0021】
本方法は、ベース圧力としての事前設定された安全な最小圧力をもってタンク充填プロセスが開始されることをさらに有することができ、その後に圧力の変更が行われる。安全な最小圧力は、タンク充填装置によってタンク充電される、考えられるタンクの総体が、タンクの損傷が起こり得ない安全な圧力でタンク充填されるように選択することができる。
【0022】
本方法は、車両によって第2の信号を用いて伝送される圧力要求をベースとして、迅速化されたタンク充填のためにタンク充填装置で圧力がコントロールされることをさらに有するのが特別に好ましい。それにより、タンク充填プロセスの前、途中、および/または後に、たとえば目下のタンク圧力、タンクホースでの所望の圧力、またはその他のパラメータを伝送することができる。
【0023】
本発明は上記に準じて、タンク充填装置と車両との間で通信をするためのシステムに関し、タンク充填装置は車両のタンクと連結可能であるタンクホースを有し、タンク充填装置は、変更可能な圧力で付勢された燃料をタンクホースを通して提供するために構成され、タンク充填装置は、伝送されるべき第1の信号を加算変調するために所定のベース圧力が圧力シーケンスと重ね合わされることでタンクホースでの圧力の変更を惹起するために構成された第1の制御ユニットを有し、車両は、タンクホースで印加される圧力をタンク圧力センサを通じて検出し、検出された圧力から伝送されるべき第1の信号を抽出するために構成された第2の制御ユニットを有する。
【0024】
1つの好ましい実施形態では、第2の制御ユニットは、伝送されるべき第2の信号を加算変調するために所定のベース質量流量が質量流量シーケンスと重ね合わされることで質量流量をタンク弁によって変更するために構成され、第1の制御ユニットは、タンクホースを通って流れる質量流量を質量流量センサを通じて検出し、検出された質量流量から伝送されるべき第2の信号を抽出するために構成される。
【0025】
タンク充填装置は水素タンク充填装置であるのが特別に好ましい。
【0026】
本発明を改良するその他の方策については、以下において、本発明の好ましい実施例の説明とともに図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】通信をするためのシステムを形成するタンク充填装置と車両である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、タンク充填装置2と、タンク充填装置2によって充填されるべきタンク6を有する車両4とを示している。本実施例では、タンク6は水素タンクであり、タンク充填装置2は水素タンク充填装置である。タンク充填装置2は、図示しない水素リザーバと接続されたポンプ8を有している。タンクホース10を介して、タンク充填装置2がタンク6に水素を供給することができる。
【0029】
タンク充填装置2は、ポンプ8とリンクされた第1の制御ユニット12を有している。それに伴ってタンク充填装置2は、タンクホース10での変更可能な圧力をもって水素を提供するために構成されている。第1の制御ユニット12は、伝送されるべき第1の信号を加算変調するために所定のベース圧力が圧力シーケンスと重ね合わされることで、タンクホース10での圧力の変更を惹起するために構成されている。
【0030】
車両4は、タンク圧力センサ16と接続された第2の制御ユニット14を有している。第2の制御ユニット14は、タンクホース10に印加される圧力を検出し、検出された圧力から伝送されるべき第1の信号を抽出するために構成されている。
【0031】
さらに車両4は、第2の制御ユニット14とリンクされ、タンク6に入る質量流量をコントロールするために構成された、タンク弁18を有することができる。第2の制御ユニット14は、例示として、伝送されるべき第2の信号を加算変調するために所定のベース質量流量が質量流量シーケンスと重ね合わされることで、質量流量をタンク弁18によって変更するために構成される。第1の制御ユニット12は、タンクホース10を通って流出する質量流量を検出するために構成された質量流量センサ20とリンクされている。したがって、第1の制御ユニット12は質量流量センサ20を介して質量流量を検出し、それに基づき、伝送されるべき第2の信号を検出された質量流量から抽出することができる。したがってタンク充填装置2と車両4は、水素に関するタンク充填指標が的確に変更されることによって通信をすることができる。
【0032】
図2は、第1の信号の伝送のためにタンク充填装置2により生成可能である圧力曲線を例示として示している。ここでは、時間の推移の中で連続して上昇するベース圧力22が示されている。ただしベース圧力はこれ以外の推移を有することもでき、たとえば一定であり、部分領域で上昇および/または下降および/または一定であってもよい。ベース圧力22に圧力シーケンス24が方形信号の形態で重ね合わされる。このことは、複数のインターバルをおいて圧力がポンプ8で選択的に引き上げられることを意味し、それにより
図2に示す圧力推移が生じる。このことは、第2の信号をタンク充填装置に伝送するために車両4によって影響が及ぼされる質量流量を用いる同じ方式でも考えられる。
【0033】
図3は、複数のタンク充填装置2を有するタンクステーション26を示している。ここでは2つの車両4がそれぞれタンク充填装置2のうちの1つとタンクホース10を介して連結されている。第1および場合により第2の信号が伝送されることで、車両4はタンク充填装置2から暗号化キーまたは識別指標を受けることができ、これによって通信相手が一義的に割り当てられたワイヤレス式の無線接続を確立することができる。このことは、互いに隣接するタンク充填装置2を有するこのような種類のタンクステーション26にとって有意義である。複数の車両4がそれぞれタンク充填装置2の無線到達範囲内に位置する可能性があり、安全な通信のために一義的な割当を必要とするからである。
【0034】
図4は、本発明による方法の模式的なブロック図を示している。この方法は、タンク充填装置2と車両4のタンク6とがタンクホース10によって連結28されるステップと、圧力で付勢された燃料がタンクホース10で提供30されるステップと、伝送されるべき第1の信号を加算変調するために所定のベース圧力22が圧力シーケンス24と重ね合わされることでタンクホース10での圧力が変更32されるステップと、タンクホースで印加される圧力が車両4によって検出34されるステップと、検出された圧力から伝送されるべき第1の信号が抽出36されるステップとを有する。
【0035】
本方法は、上記で説明したとおり、伝送されるべき第2の信号を加算変調するために所定のベース質量流量が質量流量シーケンスと重ね合わされることで車両4により取り出される質量流量が車両4によって変更38されることと、タンクホース10を通って流れる質量流量がタンク充填装置2によって検出40されることと、検出された質量流量から伝送されるべき第2の信号が抽出42されることとをさらに有することができる。
【符号の説明】
【0036】
2 タンク充填装置
4 車両
5 システム
6 タンク
10 タンクホース
12 第1の制御ユニット
14 第2の制御ユニット
16 タンク圧力センサ
18 タンク弁
20 質量流量センサ
22 ベース圧力
24 圧力シーケンス
28 連結
32 変更
34 検出
36 抽出
38 変更
40 検出
【国際調査報告】