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  • 特表-脱水物の汚染を低減する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】脱水物の汚染を低減する方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/07 20060101AFI20240417BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20240417BHJP
   A23L 5/20 20160101ALI20240417BHJP
【FI】
A61L2/07
A23L19/00 A
A23L5/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023564033
(86)(22)【出願日】2022-01-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 MX2022050006
(87)【国際公開番号】W WO2022220671
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】MX/A/2021/004306
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MX
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523391674
【氏名又は名称】アグローティカ エス.デ アール.エル.デ シー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マゾロ,セルジオ アルド
【テーマコード(参考)】
4B016
4B035
4C058
【Fターム(参考)】
4B016LC06
4B016LG16
4B016LK02
4B016LP06
4B016LP08
4B016LP13
4B035LC05
4B035LG04
4B035LG32
4B035LP03
4B035LP24
4B035LP44
4B035LP46
4B035LP55
4B035LP59
4C058AA21
4C058BB05
4C058CC05
(57)【要約】
汚染された部分又は完全脱水物を受け取ることと、汚染因子の存在を検出する従来の解析技術を介して、汚染された脱水物を解析しそれが有する汚染のタイプ及び程度を決定することと、高い温度及び圧力に耐える材料で作製された、且つガス状流体の循環を可能にして除染される物品に前記ガス状流体が一様に接触するように構成された容器内に、汚染された脱水物を配置することと、汚染解析の結果に従って、汚染された脱水物を少なくとも1つの除染処理に付すことと、除染された脱水物をパッケージすることと、を含む、脱水物の汚染を低減する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
i)天然又は誘導脱水に起因するかにかかわらず、汚染された部分又は完全脱水物を受け取ることと、
ii)前記汚染が化学的、物理的、及び/又は生物学的汚染である場合、汚染因子の存在を検出する従来の解析技術を介して前記汚染された部分又は完全脱水物を解析し、それが有する汚染のタイプ及び程度を決定することと、
iii)高い温度及び圧力に耐える材料で作製された、且つガス状流体の循環を可能にして除染する物品に前記ガス状流体が一様に接触するように構成された容器内に、前記汚染された部分又は完全脱水物を配置することと、
iv)前記汚染された脱水物をステージii)の解析結果が示唆する汚染のタイプに従って少なくとも1つの除染処理に付すことであって、前記除染処理は、安全規格により許容可能なパラメーターに化学的、物理的、及び/又は生物学的汚染を低減する処理である、ことと、
v)すでにクリーン化及び/又は除染された前記脱水物をパッケージすることと、
を含む、脱水物又は乾燥物の汚染を低減する方法。
【請求項2】
前記容器が、ガス状流体へのアクセスを有するバスケット、バスケット、グリッドボックス、及び/又はトップオープンボックスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化学的及び/又は生物学的汚染を低減する前記処理が、少なくとも1つの化学的及び/又は生物学的コンタミナントを排除するために、前記汚染された脱水物を、こうした条件に好適なチャンバー又はオートクレーブ内で、15~90minにわたり、水蒸気を用いて、55~140℃の温度、0.3~3.5barの圧力から-1~-29mmHgの真空までに付すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記化学的コンタミナントが、次の群:殺有害生物剤、毒性重金属、硝酸塩、マイクロプラスチック、マイコトキシン、ダイオキシン、及びポリ塩化ビフェニル(PCB)から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記生物学的コンタミナントが、次の群:微生物及び昆虫から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記物理的除染処理が、強制逆エア循環システムの助けを借りて、前記汚染物を、1~10sにわたり、20℃で、10~35m/sのスピードの向流エアフローに付すことを含み、前記汚染物が、物理的外来物質を外部からクリーン化するために、前記エアの流れに対抗して移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記外来物質が、ガーベッジ、ダスト、結晶、トゲ、骨、殻、スケール、プラスチック、石、砂、グラベル、土、及びパーソナルオブジェクトである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記脱水物中に存在する可能性のある金属パーツを検出し排除するために、金属検出器装置内で前記脱水物を金属パーツにより引き起こされる汚染を低減する処理に付すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記汚染された部分又は完全脱水物が農畜産物である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記農産物が農産物である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記農産物が、乾燥チリタイプの「チリ・デ・アルボル(chile de arbol)」(トウガラシ属(Capsicum)の種)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
95~99.95%低減された化学的汚染、最大97%低減された物理的汚染、及び最大99%低減された生物学的汚染を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法により除染された脱水物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、農業及び食材の技術分野に関する。というのは、それは、化学的、物理的、及び/又は生物学的汚染を受ける農産物などの脱水物又は乾燥物の汚染を低減するための方法に関するものであるからである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
現在、農産物のクリーン化、除染、衛生化などのために存在する技術及びプロセスのほとんどは、果実、野菜、青物などの生鮮農産物向けである(特許文書の韓国特許出願公開第20130119606(A)号、中国特許出願公開第106359553(A)号、及び中国特許出願公開第107950640(A)号)。かかる技術及びプロセスは、乾燥又は脱水農産物の除染に使用するには好適でない。
【0003】
特許文書の仏国特許出願公開第2905286(A1)号は、ガス状流体を用いてバルク物理品及び/又は化学品、好ましくは食品を処理するための方法及びデバイスに関し、この流体は、その性質、その組成、及び/又はその物理化学的特性に起因して、その処理を実施するのに好適なものである。このため、処理を行うガス状流体のフローが(トップからボトムへ)横切ることができるように、穿孔コンベアベルトが使用され、この場合、ベルトの孔又はメッシュベルトの場合はそのメッシュは、処理される当該物品の性質及びサイズに従って選ばれる寸法を有する。このプロセスによれば、物品は、ベルト上に分配されて相対的に均一な層を形成するように、移動用穿孔ベルトを有するコンベア上に堆積され、その移動中、こうした物品は、一方では、物品に接触してその処理を確保するように、ベルト上で発生されるとともにブローイングにより下方に方向付けられる前記ガス状流体の少なくとも1つのフローに、他方では、移動用ベルト又はベルト下で発生されるとともにそれに対して物品をプレスする傾向のある吸引に、晒される。2つの操作、すなわち、上からのブローイング及び下からの吸引の組合せにより、相対的に強力な流量による操作が可能になることから、ベルト上の物品の分散又は無制御な移動を引き起こしてそれを損傷するおそれがなく、非常に効率的な処理が可能になる。ブローイングは、感度良く移動用ベルトの長手方向に対して横方向に延在する少なくとも一群又は一連のガスジェットを利用して行われ、ブローイングに使用される一連のガスジェットは、2つの近接吸引ゾーン間に配置され、ブローイング15に使用される一連のガスジェットは、吸引ゾーンの直前に配置され、ブローイングに使用されるガス状流体は、高温である。ブローイングに使用されるガス状流体は、水蒸気であり、ブローイングに使用されるガス状流体は、物品を乾燥及び/又は解凍する機能を有し、ブローイングに使用されるガス状流体は、低温である。ブローイングに使用されるガス状流体は、物品を冷却又はフリーズする機能を有する。ブローイングに使用されるガス状流体は、空気である。物品の化学的又は物理的処理、たとえば、除染又は着色を行う能力のある添加剤は、ブローイング前にスプレーイングによりガス状流体に組み込まれ、ブローイングに使用されるガス状流体の少なくとも一部は、ベルト下で吸収された流体の再循環から生じ、且つこの方法は、食品を処理するために使用される。
【0004】
文書の仏国特許出願公開第2905286(A1)号の方法は、物品がそれに沿って移動するコンベアベルト及び除染を助ける衛生化用物質を使用し、より大きなエネルギー消費を必要とするため、この方法は高価なものとなる。
【0005】
見ての通り、上述した文書のシステム及び方法ではすべて、冷水又は熱水、化学消毒剤(塩素化)、UV、オゾンなどによる処理が述べられており、そしてほとんどで洗浄及びパスツール殺菌が行われ、いくつかで滅菌が述べられており、本発明の方法より行うことが意図される殺有害生物剤、マイコトキシン、及び重金属の汚染の低減には焦点が当てられていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上述した欠点の解決を助けるために、とくに化学的、物理的、生物学的なものが原因で汚染を受ける、圃場又は生産地域に由来する農産物などの脱水物又は乾燥物の汚染を低減す方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴的詳細事項は、その概念及びその好ましい実施形態のいくつかを単に立証する目的で、添付の下記の詳細な説明、図面、及び実施例に明確に示される。したがって、かかる詳細な説明、図面、及び実施例は、本発明の保護の範囲に対する限定とみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な説明
図1】本発明に係る、脱水物の汚染を低減するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の開示
本発明は、天然又は誘導脱水物の汚染を低減するための方法に関する。前記脱水物が、その生産、取扱い、及び貯蔵に起因して、なんらかのタイプの外的汚染を有し、その汚染を低減するプロセスに付されるひいては確立された安全規格を遵守する必要のあるものでありうる場合、かかる脱水物は、脱水又は乾燥農産物、たとえば、乾燥チリ、乾燥果実、乾燥種子、乾燥穀粒、乾燥葉、乾燥肉などでありうる。
【0010】
外的汚染のタイプは、殺有害生物剤、重金属、マイコトキシンなどにより引き起こされる化学的汚染、外来物質、ダート、トラッシュ、ダストなどにより引き起こされる物理的汚染、及び/又はなかでもとくに微生物(細菌、ウイルス、真菌など)、昆虫により引き起こされる生物学的汚染でありうる。
【0011】
したがって、本発明の第1の目的は、下記ステップ:
i)天然又は誘導脱水に起因するかにかかわらず、汚染された部分又は完全脱水物を受け取るステップと、
ii)汚染が化学的、物理的、及び/又は生物学的汚染でありうる場合、汚染因子の存在を検出する従来の解析技術を介して汚染された部分又は完全脱水物を解析し、それが有する汚染のタイプ及び程度を決定するステップと、
iii)高温、高真空、及び正圧に耐える材料で作製された、且つガス状流体の循環を可能にして除染される物品に前記ガス状流体が一様に接触するように構成された容器内に、たとえば、いくつかの例を挙げると、ガス状流体へのアクセスを有するバスケット、バスケット、グリッドボックス、及び/又はトップオープンボックス内に、汚染された部分又は完全脱水物を配置するステップと、
iv)汚染された脱水物を、ステージii)の解析結果に従って、安全規格により許容可能なパラメーターに化学的、物理的、及び/又は生物学的汚染を低減する処理でありうる少なくとも1つの除染処理に付すステップと、
v)すでにクリーン化及び/又は除染された脱水物をパッケージするステップと、
を含む、脱水物又は乾燥物の汚染を低減する方法である。
【0012】
本発明の方法の変法は、除染処理が化学的及び/又は生物学的汚染を低減することであるときのものであり、それは、少なくとも1つの化学的及び/又は生物学的コンタミナントを排除するために、汚染された脱水物を、こうした条件に好適なチャンバー又はオートクレーブ内で、15~90minにわたり、水蒸気を用いて、55~140℃の温度、0.3~3.5barの圧力から1~29mmHgの真空までに付すことを含む。この場合、汚染性化学剤は、次の群:殺有害生物剤、毒性重金属、硝酸塩、マイクロプラスチック、マイコトキシン、ダイオキシン、ポリ塩化ビフェニル(PCB)などから選択され、また、生物学的コンタミナントは、次の群:微生物(なかでもとくに、細菌、ウイルス、真菌)、昆虫などから選択される。
【0013】
本発明に係る方法のさらなる変法は、除染処理が物理的汚染を低減することであるときのものであり、それは、強制逆エア循環システムの助けを借りて1~10sにわたり20℃で汚染物を10~35m/sのスピードの向流エアフローに付すことを含み、この場合、物理的外来物質、たとえば、少し例を挙げると、ガーベッジ、ダスト、結晶、トゲ、骨、殻、プラスチック、石、砂、グラベル、ダート、パーソナルオブジェクトなどを外部からクリーン化するために、汚染物は、エアの流れに対抗して移動する。
【0014】
当該方法の他の一実施形態は、脱水物中に存在する可能性のある金属パーツを検出し排除するために、金属検出器デバイスの助けを借りて、脱水物を、金属パーツの除染を低減する処理に任意に付すことも含むものである。金属パーツの汚染を低減するこの処理は、脱水物が物理的汚染の低減処理を抜けた後に行われることが好ましい。
【0015】
したがって、本発明の第2の目的は、本発明により提案された方法により除染された脱水物であり、その化学的汚染は、最大95~99.95%低減され、その物理的汚染は最大97%及びその生物学的汚染は最大99%低減される。
【実施例
【0016】
実施例
下記の実施例は、本発明の概念を例示するために含まれ、本発明の範囲に対する限定とみなされるべきではない。
【0017】
実施例1
乾燥チリ(カプシカム・アンヌウムL.(Capsicum annuum L.))変種「チリ・デ・アルボル(chile de arbol)」のバッチの化学的除染。
【0018】
2020年10月2日、採取された画地に由来し、すでに天然乾燥が行われ、バッチ番号CTE 20.10.02とラベルされた「チリ・デ・アルボル(chile de arbol)」の6トンのバッチを受け取った。
【0019】
A.初期汚染解析
化学的汚染解析
同年同日の10月2日、IAS認定試験検査室TL-667解析プロトコルに準拠して、24のチリペッパーサンプルを各サンプル150gでランダムに取り出した。サンプルは、Guadalajara, Jalisco, Mexicoに位置するAGQLABSと呼ばれる検査室で解析され、そこでは、前記作物に適用された農薬からの残りの残留化学物質で汚染されたかを検出するために、Gc+Lc+MX-2020解析が適用された。この解析は、2020年10月2~7日に行われた。サンプルの解析により、表1に示される下記の結果が得られた。
【0020】
見ての通り、いくつかの国及び/又は国ブロック(EU)の安全規制により許容された規格を超えるいくつかの農薬物質(ボールド体のデータ)で「チリ・デ・アルボル(chile de arbol)」のバッチが汚染されていることが、表1の結果から示唆された。したがって、前記バッチは、化学的除染を必要とすると決定された。
【0021】
乾燥「チリの木」のこの同一バッチCTE 20.10.02で、各50gの3つのサンプルを取り出し、アフラトキシンにより引き起こされた汚染を有するかを決定した。この解析もまた、Zapopan, Jalisco, Mexicoに位置するAGROETIKA検査室で行われ、そこでは、「FAST AFLATOXINA SC」解析が2020年10月2~7日に適用された。各サンプルを異なる波長吸光度濃度の7つの標準(0、2、4、10、20、50、及び100)と比較した。表2は、サンプルの各々に対するアフラトキシンの計算量の平均を示す。
【0022】
【表1】
【0023】
表2に示されるデータによれば、このバッチはまた、アフラトキシン汚染も有する。というのは、その許容限界が20μg/kgであるからである。したがって、それはまた、アフラトキシン除染が必要とされると決定された。
【0024】
【表2】
【0025】
物理的汚染解析
前記バッチCTE 20.10.02で12のサンプルを取り出して、物理的汚染解析も行った。この解析は、AGROETIKA検査室でROSTECH WT3003GHスケール顕微鏡により視覚的(巨視的)に行われた。ZEISS 18U640630及びCEM 9000湿分分析計デバイス、2020年10月3日。結果は、表3に提示される。
【0026】
糞便の存在に起因するバイオ汚染が存在するため、肝炎ウイルス、エンテロウイルスなどの病原性ウイルスの存在の可能性がある。ダスト、昆虫による攻撃を受けた原材料の形態で高含有率のダートが観測された。
【0027】
このタイプの物品の摂取が認められるためには、それは物理的汚染が6%未満、糞便の最大存在量が2,203mg/kg、真菌、昆虫などによる攻撃を受けた物品の最大量が3%でなければならないことを挙げることが重要である(FDA)。
【0028】
【表3】
【0029】
B.バッチCTE 20.10.02の除染処理
化学的除染
化学的及びアフラトキシン解析の結果が得られたら、乾燥「チリ・デ・アルボル(chile de arbol)」のバッチCTE 20.10.02を消毒した。これを行うために、水蒸気の循環を可能にするグリッドを備えたプラスチックボックス中に乾燥チリを配置し、除染される物品にこのスチームが一様に接触するようにした。
【0030】
オートクレーブ内で水蒸気を用いて70minにわたり1.5barの圧力で、チリペッパーを25mmHgまでの真空、120℃の温度に付した。
【0031】
物理的除染
その後、強制逆エア循環システムの助けを借りて1~10sにわたり20℃でチリペッパーを10~35m/sのスピードの向流エアフローに移し、外来物質、ガーベッジ、ダストなどを外部からクリーン化するために脱水物をエアの流れに対抗して移動させた。
【0032】
チリペッパーが強制逆エア循環システムから出たら、乾燥チリを汚染する可能性のある金属片を排除するために、それを金属検出器デバイスに付した。この場合、進入不純物解析は実施されなかった。
【0033】
最後に、除染されたクリーンなチリペッパーを分配に好適な容器中に従来通りパッケージした。
【0034】
C.結果
化学的除染
処理された脱水物は、最終的に化学的汚染が初期値の5%からクロマトグラフィーにより検出不能な値になった。すなわち、その汚染の全体的低減はほぼ95%である。
【0035】
アフラトキシンによる汚染に関して、それは、初期値に対して0.5%のアフラトキシンまで低減された汚染を有し、これは、すでに安全規格により許容されたパラメーターの範囲内にある。
【0036】
物理的除染
物理的汚染に関しては3%未満まで低減され、糞便が0mg、真菌による攻撃を受けた物品が最大1%、ダスト及びダートが完全フリーとなった。
【0037】
したがって、この除染方法は、いくつかの国で確立された安全規格を遵守すべく、汚染物の処理で好結果が期待される。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、農業及び食材の技術分野に関する。というのは、それは、化学的、物理的、及び/又は生物学的汚染を受ける農産物などの脱水物又は乾燥物の汚染を低減するための方法に関するものであるからである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
現在、農産物のクリーン化、除染、衛生化などのために存在する技術及びプロセスのほとんどは、果実、野菜、青物などの生鮮農産物向けである(特許文書の韓国特許出願公開第20130119606(A)号、中国特許出願公開第106359553(A)号、及び中国特許出願公開第107950640(A)号)。かかる技術及びプロセスは、乾燥又は脱水農産物の除染に使用するには好適でない。
【0003】
特許文書の仏国特許出願公開第2905286(A1)号は、ガス状流体を用いてバルク物理品及び/又は化学品、好ましくは食品を処理するための方法及びデバイスに関し、この流体は、その性質、その組成、及び/又はその物理化学的特性に起因して、その処理を実施するのに好適なものである。このため、処理を行うガス状流体のフローが(トップからボトムへ)横切ることができるように、穿孔コンベアベルトが使用され、この場合、ベルトの孔又はメッシュベルトの場合はそのメッシュは、処理される当該物品の性質及びサイズに従って選ばれる寸法を有する。このプロセスによれば、物品は、ベルト上に分配されて相対的に均一な層を形成するように、移動用穿孔ベルトを有するコンベア上に堆積され、その移動中、こうした物品は、一方では、物品に接触してその処理を確保するように、ベルト上で発生されるとともにブローイングにより下方に方向付けられる前記ガス状流体の少なくとも1つのフローに、他方では、移動用ベルト又はベルト下で発生されるとともにそれに対して物品をプレスする傾向のある吸引に、晒される。2つの操作、すなわち、上からのブローイング及び下からの吸引の組合せにより、相対的に強力な流量による操作が可能になることから、ベルト上の物品の分散又は無制御な移動を引き起こしてそれを損傷するおそれがなく、非常に効率的な処理が可能になる。ブローイングは、感度良く移動用ベルトの長手方向に対して横方向に延在する少なくとも一群又は一連のガスジェットを利用して行われ、ブローイングに使用される一連のガスジェットは、2つの近接吸引ゾーン間に配置され、ブローイング15に使用される一連のガスジェットは、吸引ゾーンの直前に配置され、ブローイングに使用されるガス状流体は、高温である。ブローイングに使用されるガス状流体は、水蒸気であり、ブローイングに使用されるガス状流体は、物品を乾燥及び/又は解凍する機能を有し、ブローイングに使用されるガス状流体は、低温である。ブローイングに使用されるガス状流体は、物品を冷却又はフリーズする機能を有する。ブローイングに使用されるガス状流体は、空気である。物品の化学的又は物理的処理、たとえば、除染又は着色を行う能力のある添加剤は、ブローイング前にスプレーイングによりガス状流体に組み込まれ、ブローイングに使用されるガス状流体の少なくとも一部は、ベルト下で吸収された流体の再循環から生じ、且つこの方法は、食品を処理するために使用される。
【0004】
文書の仏国特許出願公開第2905286(A1)号の方法は、物品がそれに沿って移動するコンベアベルト及び除染を助ける衛生化用物質を使用し、より大きなエネルギー消費を必要とするため、この方法は高価なものとなる。
【0005】
見ての通り、上述した文書のシステム及び方法ではすべて、冷水又は熱水、化学消毒剤(塩素化)、UV、オゾンなどによる処理が述べられており、そしてほとんどで洗浄及びパスツール殺菌が行われ、いくつかで滅菌が述べられており、本発明の方法より行うことが意図される殺有害生物剤、マイコトキシン、及び重金属の汚染の低減には焦点が当てられていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上述した欠点の解決を助けるために、とくに化学的、物理的、生物学的なものが原因で汚染を受ける、圃場又は生産地域に由来する農産物などの脱水物又は乾燥物の汚染を低減す方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴的詳細事項は、その概念及びその好ましい実施形態のいくつかを単に立証する目的で、添付の下記の詳細な説明、図面、及び実施例に明確に示される。したがって、かかる詳細な説明、図面、及び実施例は、本発明の保護の範囲に対する限定とみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な説明
図1】本発明に係る、脱水物の汚染を低減するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の開示
本発明は、天然又は誘導脱水物の汚染を低減するための方法に関する。前記脱水物が、その生産、取扱い、及び貯蔵に起因して、なんらかのタイプの外的汚染を有し、その汚染を低減するプロセスに付されるひいては確立された安全規格を遵守する必要のあるものでありうる場合、かかる脱水物は、脱水又は乾燥農産物、たとえば、乾燥チリ、乾燥果実、乾燥種子、乾燥穀粒、乾燥葉、乾燥肉などでありうる。
【0010】
外的汚染のタイプは、殺有害生物剤、重金属、マイコトキシンなどにより引き起こされる化学的汚染、外来物質、ダート、トラッシュ、ダストなどにより引き起こされる物理的汚染、及び/又はなかでもとくに微生物(細菌、ウイルス、真菌など)、昆虫により引き起こされる生物学的汚染でありうる。
【0011】
したがって、本発明の第1の目的は、下記ステップ:
i)天然又は誘導脱水に起因するかにかかわらず、汚染された部分又は完全脱水物を受け取るステップと、
ii)汚染が化学的、物理的、及び/又は生物学的汚染でありうる場合、汚染因子の存在を検出する従来の解析技術を介して汚染された部分又は完全脱水物を解析し、それが有する汚染のタイプ及び程度を決定するステップと、
iii)高温、高真空、及び正圧に耐える材料で作製された、且つガス状流体の循環を可能にして除染される物品に前記ガス状流体が一様に接触するように構成された容器内に、たとえば、いくつかの例を挙げると、ガス状流体へのアクセスを有するバスケット、バスケット、グリッドボックス、及び/又はトップオープンボックス内に、汚染された部分又は完全脱水物を配置するステップと、
iv)汚染された脱水物を、ステージii)の解析結果に従って、安全規格により許容可能なパラメーターに化学的、物理的、及び/又は生物学的汚染を低減する処理でありうる少なくとも1つの除染処理に付すステップと、
v)すでにクリーン化及び/又は除染された脱水物をパッケージするステップと、
を含む、脱水物又は乾燥物の汚染を低減する方法である。
【0012】
本発明の方法の変法は、除染処理が化学的及び/又は生物学的汚染を低減することであるときのものであり、それは、少なくとも1つの化学的及び/又は生物学的コンタミナントを排除するために、汚染された脱水物を、こうした条件に好適なチャンバー又はオートクレーブ内で、15~90minにわたり、水蒸気を用いて、55~140℃の温度、0.3~3.5barの圧力から1~29mmHgの真空までに付すことを含む。この場合、汚染性化学剤は、次の群:殺有害生物剤、毒性重金属、硝酸塩、マイクロプラスチック、マイコトキシン、ダイオキシン、ポリ塩化ビフェニル(PCB)などから選択され、また、生物学的コンタミナントは、次の群:微生物(なかでもとくに、細菌、ウイルス、真菌)、昆虫などから選択される。
【0013】
本発明に係る方法のさらなる変法は、除染処理が物理的汚染を低減することであるときのものであり、それは、強制逆エア循環システムの助けを借りて1~10sにわたり20℃で汚染物を10~35m/sのスピードの向流エアフローに付すことを含み、この場合、物理的外来物質、たとえば、少し例を挙げると、ガーベッジ、ダスト、結晶、トゲ、骨、殻、プラスチック、石、砂、グラベル、ダート、パーソナルオブジェクトなどを外部からクリーン化するために、汚染物は、エアの流れに対抗して移動する。
【0014】
当該方法の他の一実施形態は、脱水物中に存在する可能性のある金属パーツを検出し排除するために、金属検出器デバイスの助けを借りて、脱水物を、金属パーツの除染を低減する処理に任意に付すことも含むものである。金属パーツの汚染を低減するこの処理は、脱水物が物理的汚染の低減処理を抜けた後に行われることが好ましい。
【0015】
したがって、本発明の第2の目的は、本発明により提案された方法により除染された脱水物であり、その化学的汚染は、最大95~99.95%低減され、その物理的汚染は最大97%及びその生物学的汚染は最大99%低減される。
【実施例
【0016】
実施例
下記の実施例は、本発明の概念を例示するために含まれ、本発明の範囲に対する限定とみなされるべきではない。
【0017】
実施例1
乾燥チリ(カプシカム・アンヌウムL.(Capsicum annuum L.))変種「チリ・デ・アルボル(chile de arbol)」のバッチの化学的除染。
【0018】
2020年10月2日、採取された画地に由来し、すでに天然乾燥が行われ、バッチ番号CTE 20.10.02とラベルされた「チリ・デ・アルボル(chile de arbol)」の6トンのバッチを受け取った。
【0019】
A.初期汚染解析
化学的汚染解析
同年同日の10月2日、IAS認定試験検査室TL-667解析プロトコルに準拠して、24のチリペッパーサンプルを各サンプル150gでランダムに取り出した。サンプルは、Guadalajara, Jalisco, Mexicoに位置するAGQLABSと呼ばれる検査室で解析され、そこでは、前記作物に適用された農薬からの残りの残留化学物質で汚染されたかを検出するために、Gc+Lc+MX-2020解析が適用された。この解析は、2020年10月2~7日に行われた。サンプルの解析により、表1に示される下記の結果が得られた。
【0020】
【表1】
【0021】
見ての通り、いくつかの国及び/又は国ブロック(UE)の安全規制により許容された規格を超えるいくつかの農薬物質(ボールド体のデータ)で「チリ・デ・アルボル(chile de arbol)」のバッチが汚染されていることが、表1の結果から示唆された。したがって、前記バッチは、化学的除染を必要とすると決定された。
【0022】
乾燥「チリの木」のこの同一バッチCTE 20.10.02で、各50gの3つのサンプルを取り出し、アフラトキシンにより引き起こされた汚染を有するかを決定した。この解析もまた、Zapopan, Jalisco, Mexicoに位置するAGROETIKA検査室で行われ、そこでは、「FAST AFLATOXINA SC」解析が2020年10月2~7日に適用された。各サンプルを異なる波長吸光度濃度の7つの標準(0、2、4、10、20、50、及び100)と比較した。表2は、サンプルの各々に対するアフラトキシンの計算量の平均を示す。
【0023】
表2に示されるデータによれば、このバッチはまた、アフラトキシン汚染も有する。というのは、その許容限界が20μg/kgであるからである。したがって、それはまた、アフラトキシン除染が必要とされると決定された。
【0024】
【表2】
【0025】
物理的汚染解析
前記バッチCTE 20.10.02で12のサンプルを取り出して、物理的汚染解析も行った。この解析は、AGROETIKA検査室でROSTECH WT3003GHスケール顕微鏡により視覚的(巨視的)に行われた。ZEISS 18U640630及びCEM 9000湿分分析計デバイス、2020年10月3日。結果は、表3に提示される。
【0026】
【表3】
【0027】
糞便の存在に起因するバイオ汚染が存在するため、肝炎ウイルス、エンテロウイルスなどの病原性ウイルスの存在の可能性がある。ダスト、昆虫による攻撃を受けた原材料の形態で高含有率のダートが観測された。
【0028】
このタイプの物品の摂取が認められるためには、それは物理的汚染が6%未満、糞便の最大存在量が2,203mg/kg、真菌、昆虫などによる攻撃を受けた物品の最大量が3%でなければならないことを挙げることが重要である(FDA)。
【0029】
B.バッチCTE 20.10.02の除染処理
化学的除染
化学的及びアフラトキシン解析の結果が得られたら、乾燥「チリ・デ・アルボル(chile de arbol)」のバッチCTE 20.10.02を消毒した。これを行うために、水蒸気の循環を可能にするグリッドを備えたプラスチックボックス中に乾燥チリを配置し、除染される物品にこのスチームが一様に接触するようにした。
【0030】
オートクレーブ内で水蒸気を用いて70minにわたり1.5barの圧力で、チリペッパーを25mmHgまでの真空、120℃の温度に付した。
【0031】
物理的除染
その後、強制逆エア循環システムの助けを借りて1~10sにわたり20℃でチリペッパーを10~35m/sのスピードの向流エアフローに移し、外来物質、ガーベッジ、ダストなどを外部からクリーン化するために脱水物をエアの流れに対抗して移動させた。
【0032】
チリペッパーが強制逆エア循環システムから出たら、乾燥チリを汚染する可能性のある金属片を排除するために、それを金属検出器デバイスに付した。この場合、進入不純物解析は実施されなかった。
【0033】
最後に、除染されたクリーンなチリペッパーを分配に好適な容器中に従来通りパッケージした。
【0034】
C.結果
化学的除染
処理された脱水物は、最終的に化学的汚染が初期値の5%からクロマトグラフィーにより検出不能な値になった。すなわち、その汚染の全体的低減はほぼ95%である。
【0035】
アフラトキシンによる汚染に関して、それは、初期値に対して0.5%のアフラトキシンまで低減された汚染を有し、これは、すでに安全規格により許容されたパラメーターの範囲内にある。
【0036】
物理的除染
物理的汚染に関しては3%未満まで低減され、糞便が0mg、真菌による攻撃を受けた物品が最大1%、ダスト及びダートが完全フリーとなった。
【0037】
したがって、この除染方法は、いくつかの国で確立された安全規格を遵守すべく、汚染物の処理で好結果が期待される。
【国際調査報告】