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特表2024-518037フィルタ装置とその中に収容可能なフィルタ部材及びこの種のフィルタ部材と装置を駆動する方法
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  • 特表-フィルタ装置とその中に収容可能なフィルタ部材及びこの種のフィルタ部材と装置を駆動する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】フィルタ装置とその中に収容可能なフィルタ部材及びこの種のフィルタ部材と装置を駆動する方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 27/04 20060101AFI20240417BHJP
   B01D 29/01 20060101ALI20240417BHJP
   B01D 39/18 20060101ALI20240417BHJP
   B01D 29/39 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B01D27/04
B01D29/04 510A
B01D39/18
B01D29/34 501E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564178
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2022061180
(87)【国際公開番号】W WO2022242994
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】102021002647.0
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516269571
【氏名又は名称】ハイダック フルイドケアセンター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】エトビン コッホ
(72)【発明者】
【氏名】ティモ ラング
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン アーダム
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ノル
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス シュタウト
【テーマコード(参考)】
4D019
4D116
【Fターム(参考)】
4D019AA03
4D019AA04
4D019BA12
4D019BB01
4D019CA05
4D019CB03
4D116AA01
4D116AA07
4D116AA12
4D116BB07
4D116BC06
4D116BC23
4D116BC25
4D116BC44
4D116BC47
4D116DD05
4D116FF03B
4D116GG13
4D116QB32
4D116QB36
4D116QB37
4D116QB43
4D116VV01
4D116VV07
(57)【要約】
フィルタハウジング10を有するフィルタ装置であって、前記フィルタハウジングが未濾液のための入口12と濾液のための出口14を有し、かつ交換可能なフィルタ部材16を収容し、前記フィルタ部材が未濾液によって外側から内側へ貫流される場合に、中空円筒状の部材材料18も、前記中空円筒18の一方の自由端部20を閉鎖する部材材料22も貫流され、前記中空円筒の他方の自由端部24において、中央切り欠き28を有する部材キャップ26が、濾液を前記フィルタハウジング10内の前記出口14へ放出するために用いられ、前記出口が前記中央切り欠き28に接続されており、かつ前記それぞれの部材材料18、22が、外側から内側へ向けてすべての側で流着させるために、前記フィルタハウジング10内にシールなしで収容されている、フィルタ装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタハウジング(10)を有するフィルタ装置であって、前記フィルタハウジングが未濾液のための入口(12)と濾液のための出口(14)を有し、かつ交換可能なフィルタ部材(16)を収容し、前記フィルタ部材が未濾液によって外側から内側へ貫流される場合に、中空円筒状の部材材料(18)も、前記中空円筒(18)の一方の自由端部(20)を閉鎖する部材材料(22)も貫流され、前記中空円筒の他方の自由端部(24)において、中央切り欠き(28)を有する部材キャップ(26)が、濾液を前記フィルタハウジング(10)内の前記出口(14)へ放出するために用いられ、前記出口が前記中央切り欠き(28)に接続されており、かつ前記それぞれの部材材料(18、22)が、外側から内側へ向けてすべての側で流着させるために、前記フィルタハウジング(10)内にシールなしで収容されている、フィルタ装置。
【請求項2】
中空円筒状の部材材料(18)を有する、特に請求項1に記載のフィルタ装置のための、フィルタ部材であって、前記部材材料の自由な前側(20)に、前記中空円筒(18)を閉鎖する部材材料(22)が設けられている、フィルタ部材において、
前記それぞれの部材材料(18、22)が、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、セルロース材料からなる、ことを特徴とするフィルタ部材。
【請求項3】
前記フィルタ部材(16)の前記中空円筒(18)が、個々の、好ましくは等しい、リング形状のフィルタディスク(36)から形成されており、前記フィルタディスクが重なり合った配置でそれらの互いに隣接する前側において互いに堅固に結合され、好ましくは互いに接着されており、かつ
前記中空円筒(18)の一方の端部を閉鎖する前記部材材料(22)が、閉鎖されたフィルタディスク(36)から形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載のフィルタ部材。
【請求項4】
セルロース材料からなるすべてのフィルタディスク(36)が、同一のフィルタ特性、特に同一のフィルタ細度を有し、かつ
前記リング形状のフィルタディスク(36)が、そのフィルタ材料から、すべて等しく構築されている、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のフィルタ部材。
【請求項5】
前記個々のリング形状のフィルタディスク(36)が外周側に切り欠き(42、44、48)を有し、前記切り欠きが切り込み、刻印により、あるいは前記フィルタディスク(36a、36b)間の隣接するスペースホルダ(46)によって、形成されている、ことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のフィルタ部材。
【請求項6】
前記ディスク形状のフィルタ部材(22)に、好ましくは導入装置(50)の形式の、付加幾何学配置が設けられており、前記導入装置が前記中空円筒(18)の内部(14)内へ嵌入する、ことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のフィルタ部材。
【請求項7】
前記導入装置(50)が外周からトランペット形状を有し、その最大の横断面が一体的に、前記閉鎖されたフィルタディスク(36)の前記部材材料(22)に移行している、ことを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載のフィルタ部材。
【請求項8】
前記中空円筒状の部材材料(18)が、2つの終端キャップ(26、32)の間に収容されており、その一方の終端キャップ(32)がダブル収容部として形成されて、同時に、ディスク形状に閉鎖して形成された前記部材材料(22)を前記リング形状の部材材料(18)の端部に固定するために用いられる、ことを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載のフィルタ部材。
【請求項9】
前記2つの終端キャップ(26、32)が、それぞれ中央切り欠き(28、29)を有し、それらの切り欠きの直径が等しく、かつ
前記フィルタ部材(16)を前記フィルタハウジング(10)の出口(14)に接続することのできる前記終端キャップ(26)の直径が、前記フィルタ部材(16)の前記中空円筒(18)の内径に実質的に等しい直径を有している、ことを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載のフィルタ部材。
【請求項10】
前記閉鎖されたディスク形状の部材材料(22)が、フィルタラウンドブランクから形成されている、ことを特徴とする請求項2から9のいずれか1項に記載のフィルタ部材。
【請求項11】
前記フィルタラウンドブランクが、シートフォーマーによるものである、ことを特徴とする請求項2から10のいずれか1項に記載のフィルタ部材。
【請求項12】
請求項1に記載のフィルタ装置内で請求項2から11のいずれか1項に記載のフィルタ部材を駆動する方法であって、前記方法が流体流から汚れ、好ましくはワニス、を除去するために用いられ、かつ未濾液のための入口(12)と濾液のための出口(14)とを有するフィルタハウジング(10)内に収容される、方法において、
前記フィルタ部材(16)が未濾液によって外側から内側へ向かって貫流される場合に、中空円筒状の部材材料(18)も、前記中空円筒の一方の自由端部を閉鎖する部材材料(22)も貫流され、
前記濾液流が前記中空円筒(18)の内側から前記フィルタハウジング(10)の前記出口(14)へ案内され、かつ
それぞれの部材材料(18、22)が、外側から内側へ向かってすべての側で環流させるために、前記フィルタハウジング(10)内に密閉なしで収容されている、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタハウジングを有するフィルタ装置に関するものであって、そのフィルタハウジングが未濾液のための入口と濾液のための出口とを有し、かつ未濾液を外側から内側へ貫流させるために、交換可能な中空円筒状のフィルタ部材を収容する。
【背景技術】
【0002】
この種の交換部材として考えられているフィルタ部材が、特許文献1(国際公開第2018/082799号)に示されており、そのフィルタ部材の、中空ボディとして形成されて、2つの終端キャップの間に延びる部材材料は、個々のフィルタ折り目によって襞をよせて形成されており、部材材料はセルロースからなるフィルタ材料を有している。流体によって貫流される場合に、セルロースファイバーが合体するように作用し、それによってエマルジョンの水成分から拡大された滴が形成され、その滴が水とオイルの密度の差から下方へ沈むので、密度の低い媒体の分離が行われる。このようなフィルタ部材は、機能的により確実なやり方で、言及された水分離を行い、かつさらにコスト的に好ましく形成される。
【0003】
この既知のフィルタ部材は、固定装置の部分としての収容ロッドを用いてフィルタハウジングを有する装置内に固定され、フィルタ部材の各終端キャップが、一方で固定装置における、そして他方ではフィルタハウジングの中間底におけるシール機能を備えたスペースホルダを有している。このようにして、フィルタ部材の外周を越えて張り出す付加的な保持手段が不要となり、それが場所をとらない構造を可能にする。
【0004】
特許文献2(欧州特許第3334512号明細書)によって、汚染されたオイルから固体の汚染物質を除去するためのオイル濾過ユニットが知られており、それは、
-ハウジングを有し、そのハウジングが、周囲から汚染されたオイルを収容して、汚染されたオイルを第1の圧力p1においてハウジングの内部の開口部へ放出するのに適したハウジング入口と、濾過されたオイルを周囲へ放出するのに適したハウジング出口とを有し、かつ
-汚染されたオイルを濾過するためのオイルフィルタを有し、オイルフィルタがハウジングの内側の開口部内に配置されており、かつ、オイルフィルタの外側面によって定められるフィルタ入口、第2の圧力p2において濾過されたオイルを収容するのに適した、内側のフィルタ容積(第2の圧力p2は第1の圧力p1よりも低い)及びハウジング内部のフィルタ出口を有し、そのフィルタ出口が、濾過されたオイルを内側のフィルタ容積から放出するために、内側のフィルタ容積とハウジング出口との間に流体/液体結合を形成し、
-オイルフィルタの終端プレートがフィルタ出口を有し、終端プレート全体が多孔の材料を有し、その材料を通してオイルが流出することができるので、終端プレートの少なくとも一部がフィルタ出口の一部を形成し、
-かつフィルタ出口が油圧抵抗を有し、その抵抗がオイルフィルタの一部を形成し、その油圧抵抗が、内側のフィルタ容積とハウジング出口との間に流体/液体流れ境界を形成し、それによって内側のフィルタ容積の内部の第2の圧力p2が増大され、かつ濾過されたオイルが内側のフィルタ容積から、第3の圧力p3においてハウジング出口内へ放出され、第3の圧力p3は第2の圧力p2よりも低い。
【0005】
付属のオイルフィルタもしくはフィルタ部材は、中空円筒状に形成されており、その限りにおいてセルロース材料からなる。オイルフィルタのディスク形状の終端プレートは、フィルタハウジングのフィルタ出口を包囲しており、このような終端プレートは天然又は人造のポリマーとセルロース材料からなる多孔の材料を有することができる。この既知の、オイルフィルタとしてのフィルタ部材は、内側から外側へ貫流され、多孔の材料からなる、上述した終端プレートによって油圧抵抗が形成され、その油圧抵抗がその限りにおいて、内側のフィルタ容積と周囲との間の流れ境界を提供し、そのようにして上述した圧力段階p1>p2>p3が得られる。この圧力段階の趣旨は、このようにして、たとえばフィルタの出口側に油圧ポンプ装置又は同種のものが接続されている場合に生じる、フィルタ部材のための背圧(back pressure)を回避しようとすることである。
【0006】
外側から内側への貫流の他に、機能のためには、フィルタ部材の底側のフィルタ材料が、収容すべきフィルタハウジングに対してシール装置を有することが必要であって、それが、まず、フィルタ部材における有効な面積を制限し、他方ではフィルタハウジングにおける所定の装置技術的な手間をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2018/082799号
【特許文献2】欧州特許第3334512号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この従来技術に基づいて、本発明の課題は、既知の解決の利点、すなわち機能的により確実な濾過駆動を保証すること、を維持しながら、技術的に簡単な構造とコスト的に好ましいやり方において、濾過の間の効率が改良されるように、さらに改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題は、全体において特許請求項1の特徴を有するフィルタ装置と独立した特許請求項2の特徴に基づくフィルタ部材並びに独立した特許請求項12の特徴を有する、この種のフィルタ部材を駆動する方法が解決する。
【0010】
本発明に係るフィルタ装置において、交換可能なフィルタ部材が未濾液によって外側から内側へ貫流される場合に、中空円筒状のフィルタ部材も中空円筒の一方の自由端部を閉鎖する部材材料も貫流され、その中空円筒の他方の自由端部において中央切り欠きを有する終端キャップが、濾液をフィルタハウジング内の出口へ放出するために用いられ、その出口が中央切り欠きに接続されており、かつそれぞれのフィルタ部材が、外側から内側へ向かってすべての側で貫流させるためにフィルタハウジング内に密閉なしで収容されていることによって、一重の圧力段階がもたらされ、それにおいてフィルタ部材の外部の圧力p1は、中空円筒状に一方の側へ向かって閉鎖された部材材料の内側における放出圧p2よりも大きい。これが、未濾液流のための本質的に改良された浄化収支をもたらし、かつエネルギ的に好ましいことが明らかにされ、それについては、中空円筒状の部材材料の貫通した放出開口部を有する濾液放出側がフィルタハウジングの内部に収容されていることも寄与するので、このように底側からヘッド側へのフィルタ部材の貫流が行われる。このように圧力を減少された放出側へ立ち上がる、濾液流のための濾過方向も、エネルギ収支から見て、効果的である。
【0011】
フィルタ部材の部材材料が全体として外側から内側へ貫流されており、したがってフィルタハウジングの付加的なシール装置が底側においてフィルタ部材に作用することがないので、全体のフィルタ面積が濾過に使用され、かつ設備技術的手間と費用は、この種のシール装置を省くことによって減少されている。
【0012】
フィルタ装置のための本発明に係るフィルタ部材は、中空円筒状の部材材料の範囲内でも、中空円筒を閉鎖する部材材料についても、好ましくは完全にセルロース材料からなり、それは特に、たとえば、オイル劣化生成物(ワニス)を流体流から分離しようとする場合に、流体流から微小な粒子状の汚れを分離しなければならない場合に、部材材料が均質に形成されていることにより、効果的である。本発明に係る方法は、上述した装置と部材によってこのような濾過駆動を保証し、かつp2の方向に1段階で存在する圧力段p1に基づいて、流体抵抗を減少させ、かつ本発明に係る方法を使用する場合の高い濾過出力を達成する。
【0013】
本発明に係るフィルタ部材の特に好ましい実施形態において、フィルタ部材の中空円筒は、個々の、好ましくは等しい、リング形状のフィルタディスクから形成されており、それらのフィルタディスクが重なり合った配置においてそれらの互いに隣接する前側が互いに堅固に結合され、好ましくは互いに接着されており、かつ中空円筒の一方の自由端部を閉鎖する部材材料は、閉鎖されたフィルタディスクから形成されている。このようにしてフィルタ部材は、モジュールの趣旨において、重なり合った配置で等しいリング形状のフィルタディスクが貫流されることにより、任意の長さで構築される。さらに上述したフィルタディスクは等しい構造部品としてシリーズ生産の形式で大量に形成され、それがコスト的に好ましい。
【0014】
本発明に係るフィルタ部材の他の好ましい実施形態において、セルロース材料からなるすべてのフィルタディスクは、同一のフィルタ特性、特に同一のフィルタ細度を有し、かつリング形状のフィルタディスクは、その部材材料から、すべて同一に構築されている。セルロースからなる上述したフィルタディスクは、DIN EN ISO5269-2に準拠して、いわゆるラピッド・ケーテン方法(Rapid Koethen Methode)にしたがって形成されて、その限りにおいて標準化された方法として、製造する場合の高いプロセス安全性が達成されている。
【0015】
本発明に係るフィルタ部材の他の好ましい実施形態において、ここのリング形状のフィルタディスクは、外周側に切り欠きを有し、その切り欠きが切り込みにより、あるいはフィルタディスク間に隣接するスペースホルダによって、形成されている。得られた切り欠きは、まず、個々のフィルタディスクを有するシート複合体における安定性を高め、かつ、外側から内側へ向かってフィルタディスクを有するフィルタ部材を貫流する未濾液流のための流れガイドを許す。好ましいやり方で、中空円筒の終端側を閉鎖する、ディスク形状のフィルタ材料は、好ましくは導入装置の形式の、付加幾何学配置を有することができ、それが中空シリンダの内部へ嵌入する。中空円筒状のフィルタ部材の内部における、フィルタ部材の底側からヘッド側への所望の流れガイドのために、導入装置は好ましくは、外周からトランペット形状を有することができ、その最大の横断面が一体的に、閉鎖されたフィルタディスクの部材材料へ移行している。導入装置は部材材料の底側でフィルタ部材の貫流のためにある程度の抵抗ともなるので、部材のヘッド領域内での改良された貫流がもたらされ、それに伴って全体として濾過駆動における均一化された流れ分配がもたらされる。
【0016】
本発明に係るフィルタ部材の他の好ましい実施形態において、中空円筒状の部材材料が2つの終端キャップの間に収容されており、それの一方の終端キャップはダブル収容部として形成され、同時にディスク形状に閉鎖して形成された部材材料をリング形状の部材材料の端部に固定するために用いられる。このようにして、ダブル収容部を用いて中空円筒状の部材材料が、ディスク形状に形成された部材材料から分離され、かつ新たな部材材料とそれぞれ交換される。しかし好ましくは、ディスク形状に形成された部材材料は、終端側において中空円筒状の部材材料と堅固に接着され、あるいは溶接されているので、ディスクは間隔なしで中空円筒へ移行する。このようにして、ディスク形状の部材材料と中空円筒状の部材材料との結合領域内でも、均一化された流着が得られ、かつこのように構築されたフィルタ部材は、全体として個々の新しい部材と交換される。
【0017】
好ましい流れガイドのために、さらに、2つの終端キャップがそれぞれ中央切り欠きを有し、それらの直径は等しく、フィルタ部材をフィルタハウジングの出口に接続することができる、終端キャップの直径が、フィルタ部材の中空円筒の内径に相当する直径を有する。特に最後に挙げた特徴は、フィルタ装置の出口の方向における濾液の抵抗のない放出を可能にする。
【0018】
特に好ましくは、閉鎖されたディスク形状の部材材料がフィルタラウンドブランクから形成され、そのフィルタラウンドブランクがシートフォーマーに、特に市場に出ているラピッドケーテンシート形成装置に由来する。
【0019】
上述したようなフィルタ装置内でフィルタ部材を駆動する好ましい方法において、システムは流体から汚れ、好ましくはワニスを除去するために用いられ、フィルタ材料は、未濾液のための入口と濾液のための出口とを有するフィルタハウジング内に収容され、本発明によれば、フィルタ部材が未濾液によって外側から内側へ貫流される場合に、中空円筒状の部材材料も、中空円筒の一方の自由端部を閉鎖する部材材料も貫流され、濾液流は中空円筒の内側から外側へ案内され、かつそれぞれの部材材料は外側から内側へ向かってすべての側で環流させるために、対応づけられたフィルタハウジング内に密閉なしで収容される。ワニスは、文献においては規則的に「固体の」粒子ではないとリストアップされ、したがって本来の粒子状の汚れではない;むしろ、それは規則的に泥状のオイル劣化生成物である。
【0020】
フィルタ部材のために使用されるセルロースは、複合セルロースの形式で構築することができる。セルロースは、充填剤、添加剤、フィルタ補助剤などと結合することができる。
【0021】
充填剤として、規則的にたとえばカオリンのようなケイ酸塩、たとえば白亜のような炭酸塩、たとえば石膏のような硫酸塩、硫酸バリウム、たとえば二酸化チタンのような酸化物、アラミドファイバー及び/又はカーボンファイバーが使用される。添加物としては、接着剤、結合系、乾燥及び湿潤増強剤、顔料、色素、脱水及び保持剤並びに消泡剤が適している。フィルタ補助剤として、ケイ藻土、ケイ藻ゲル、パーライト、ゼオライト又は活性炭が用いられる。
【0022】
以下、実施例を用いて本発明に係る解決を詳細に説明する。図は、原理的かつ縮尺を離れた表示である:
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、フィルタハウジングと収容されたフィルタ部材とからなる、全体としてのフィルタ装置を縦断面図の形式で示している。
図2図2は、挿入されたフィルタ部材を、フィルタ部材の流れ挙動に関する矢印と共に示している。
図3図3は、フィルタ部材の第2の実施形態を、縦断面図の形式で詳細に示している。
図4図4は、図3と比較可能なフィルタ部材を、外側から内側へ向けた側面図で示している。
図5図5は、フィルタ部材の第3の実施形態を斜視図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明に係るフィルタ装置を全体として、著しく簡略化した形式で、縦断面図の形式で示している。フィルタ装置は、フィルタハウジング10を有し、そのフィルタハウジングは未濾液のための入口12と濾液のための出口14とを有している。フィルタハウジング10内には、交換可能なフィルタ部材16が収容されており、図2の表示に基づいて、そのフィルタ部材を未濾液が外側から内側へ貫流する場合に、中空円筒状のフィルタ材料18も、この中空円筒18の自由端部20を閉鎖する部材材料22も、貫流される。フィルタ部材16もしくは中空円筒状の部材材料18の他の自由端部24には、中央切り欠き28を備えた部材キャップ26が設けられており、その中央切り欠きは濾液の排出に用いられ、かつフィルタハウジング10の出口14に接続されている。同様な中央切り欠き29が、中空円筒18の自由端部によって形成されている(図2)。
【0025】
フィルタ部材16を交換するために、ヘッド側のハウジング部分が、フィルタ部材16を有する基部側又はカップ側のハウジング部分から分離されなければならず、それは一般的であるので、それについてここではこれ以上詳しく言及しない。上方の部材キャップ26は、出口14の一部としての短管を介してかぶせられて、この領域内で、部材16とハウジング10の間の唯一のシールとしてのシールリング30を介してハウジング側で密閉さされている。そのほかにおいて、図2に示す表示に基づいて外側から内側へ向かってすべての側で流着するためのそれぞれの部材材料18、22は、図1に示すように、フィルタハウジング10内に密閉なしで収容されている。特に、終端を形成する部材材料22に対向して、フィルタハウジング10の底側の領域内にはいかなるシールも設けられていない。
【0026】
図1と2に示すフィルタ部材16の実施形態において、終端を形成する部材材料22は、基部側又は底側の終端キャップ32内に収容されており、その終端キャップはダブル収容部の形式で形成されて、同時に、閉鎖されてディスク形状に形成された部材材料22を固定するためにも、中空円筒状の部材材料18を固定するためにも、用いられる。フィルタ部材16のこのような部材材料を、部材の終端を形成する終端キャップ内へ収容することは知られているので、これについてここではこれ以上詳しく言及しない。フィルタ部材16の部材材料18、22は、好ましくは完全に、したがって中空円筒状の部材材料18も、閉鎖して形成された、終端を形成する部材材料22も、セルロース材料からなるように構築されている。本出願の趣旨において「閉鎖された」という概念は、終端を形成する部材材料22が一貫して多孔で形成されているが、そのほかにおいては、たとえば、周囲を中空円筒18の中空円筒状の内部34と接続することができる、流体を案内する絞り通路のような、流体通路を有してはいないことを、意味している。その限りにおいて未濾液は、通過のためのフィルタ材料22の多孔性のみを介して部材16の内部34へ投入される。
【0027】
特に図3の形態が示すように、フィルタ部材16の中空円筒18は、個々の好ましくは等しいリング形状のフィルタディスク16からなり、それらは重なり合った配置で、もしくは積み重ねた順序において、その互いに隣接する前側が互いに堅固に結合され、好ましくは互いに接着されている。図2に示す実施形態とは異なり、図3を見る視線方向において、一番下に配置されているフィルタディスク36は、中空円筒18の自由端部を閉鎖する部材材料22として、付加的な終端キャップ32内に収容されておらず、むしろ積み重ねた順序において、中空円筒状の部材材料18の一番下に位置するフィルタディスク36と直接堅固に結合され、特に堅固に接着され、あるいは堅固に溶接されている。一番上に配置されているフィルタディスク36は、中央切り欠きを有する上方の部材キャップ26のための収容可能性を形成し、その中央切り欠きの画成端縁が、図1の表示に基づくシールリング30を収容するための、溝形状の凹部40を有している。部材キャップ26が、一番上に位置するフィルタディスク38の外側端縁の外周側を把持し、かつそれと、たとえば接着剤結合を用いて、堅固に結合されている。
【0028】
さらに図3が示すように、個々のフィルタディスク36は、半体36a、36bから形成することもでき、それらは両者の間にフィルタ部材16の長手軸線に対して直交して見て、互いに対向して等しく形成された切り欠き42を有し、それらはフィルタディスク36にノッチ状に切り込み又は刻印することによって形成されており、あるいはフィルタディスク36の2つのフィルタディスク半体36a、36bが互いに隣接することによって形成されている。さらに、積み重ね順序においてフィルタディスク36の間に、切り欠き42と同様に形成された、同様な他の切り欠き44が存在している。したがってそれぞれの切り欠き42、44は、矩形の中央領域から端縁側においてくさび形状に細くなってそれぞれのフィルタディスク36となり、あるいは隣接して配置されたディスク半体36a、36bとなる。切り込み又は刻印の形式の、上述した切り欠き42、44は、それぞれの部材材料18、22の上側のみに配置されており、フィルタ部材16の中空円筒状の内部空間34内へは嵌入しない。フィルタ部材16の可能な貫流方向が、図3においても矢印で示されており、積み重ね順序において一番下に位置するフィルタディスク36については、貫流は底側からフィルタ部材16の内部空間34の方向に行われる。
【0029】
その限りにおいて変更されている、図4に示す実施形態において、切り欠き42、44は、しかるべき周側の刻印又は切り込みによって形成されており、各場合において切り欠き42、44はセルロース部材の全体としての安定性を堅固なものにし、かつ外側からフィルタ部材16の内部34内への未濾液流のための流れガイドの改良に用いられる。この場合において各フィルタディスク36内に、あるいはフィルタディスク36のディスク半体36a、36bの間に、それぞれ4つの、共通のラジアル平面内に位置する切り欠き42、44が存在している。特にその多孔まで閉鎖して形成された、ディスク形状の部材材料22は、シートフォーマー由来のフィルタラウンドブランクから形成されている。
【0030】
図5に示す実施形態において、個々のディスク半体36a、36bは、個々のフィルタディスクを形成しながら互いに向き合って径方向に延びる、スペースホルダ46としての画成バーを有しており、それらのスペースホルダがそれら自身の間に切り欠き48を画成し、それらの切り欠きは、ここでも改良された流体ガイドに用いられるが、ここでも先行して記述された実施形態に基づく切り欠き42、44と比較可能に、濾過する材料に完全には入り込まない。
【0031】
さらに図1が破線で示すように、内部空間34は、付加的に、必要な場合においては流れ案内装置又は導入装置50を有することができ、同装置はフィルタ部材16の内部における改良された流れガイドのためにトランペット形状を有し、その最大の横断面が一体的に、閉鎖された下方のフィルタディスク36の部材材料へ移行している。
【0032】
本発明に係る解決は、特に流体流から、規則的にオイル劣化生成物(文献においては「固体粒子」としてリストアップされておらず、したがって本来の意味における粒子状の汚れではない)から形成された、いわゆるワニスを除去するために用いられる。適用は、さらに、脱水に関し、特にセルロースは水を吸収することができる特性を有している。このようにして、オイル-水-分離も達成される。最後に、粒子状の濾過の可能性も存在する。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】