(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】水溶性植物タンパク質、それを製造する方法、及びその使用
(51)【国際特許分類】
A23J 1/00 20060101AFI20240417BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20240417BHJP
A23J 3/16 20060101ALI20240417BHJP
A23J 1/14 20060101ALI20240417BHJP
A23J 3/00 20060101ALI20240417BHJP
C07K 14/415 20060101ALI20240417BHJP
A23L 13/60 20160101ALN20240417BHJP
A23L 13/00 20160101ALN20240417BHJP
A23G 9/00 20060101ALN20240417BHJP
A01J 25/00 20060101ALN20240417BHJP
A23L 2/66 20060101ALN20240417BHJP
A23L 15/00 20160101ALN20240417BHJP
A23G 3/00 20060101ALN20240417BHJP
A23L 27/60 20160101ALN20240417BHJP
【FI】
A23J1/00 B
A23J3/14
A23J3/16
A23J1/14
A23J3/00 502
A23J3/00 506
A23J3/00 505
C07K14/415
A23L13/60 A
A23L13/00 Z
A23G9/00 101
A01J25/00
A23L2/00 J
A23L15/00 B
A23G3/00
A23L27/60 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565241
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 DE2022100356
(87)【国際公開番号】W WO2022237938
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202021102596.4
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508071319
【氏名又は名称】エムスランド-シュテルケ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Emsland-Staerke GmbH
【住所又は居所原語表記】Emslandstrasse 58, 49824 Emlichheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボウウェルス,ヤンチェ
(72)【発明者】
【氏名】ボウカンプ,マルティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ボール,カール-ルートビヒ
(72)【発明者】
【氏名】ベンネゲルツ,ナディヤ
【テーマコード(参考)】
4B014
4B042
4B047
4B117
4H045
【Fターム(参考)】
4B014GB18
4B014GE05
4B014GG06
4B014GG13
4B014GK05
4B014GK07
4B014GK12
4B014GL01
4B014GL07
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4B042AD03
4B042AD37
4B042AK06
4B042AK08
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4B047LB09
4B047LG11
4B047LG18
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4B047LP02
4B117LC15
4B117LG07
4B117LG17
4B117LK08
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4B117LL01
4B117LL02
4B117LL06
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045CA33
4H045EA01
4H045FA71
4H045GA05
4H045GA10
(57)【要約】
本発明は、5kDaより大きく75kDa未満の分子量を有し、及びタンパク質含有植物部分から作られる、低分子量水溶性植物タンパク質であって、a)60~95重量%のタンパク質含有量;b)4~8重量%の水分含有量;c)1700~3100mlの泡体積;d)80~100%の泡安定性;及びe)100%の水中での製造物溶解性(pH7~pH9)を含む、タンパク質;並びにまた、a)植物部分及び水から作られた植物部分パルプを製造し、植物パルプを、デンプン及び繊維及び水性溶液(ジュース)に機械的に分離するステップ;b)64~70℃の温度でジュースを熱的に凝固させ、次に75kDaより大きい分子量を有する凝固したタンパク質を機械的に分離するステップ;c)ファイテート還元処理を実行して、ファイテート還元水溶性低分子量タンパク質画分を得るステップ;d)ファイテートを分離するステップ;e)任意選択的にナノ濾過処理を実行するステップ;並びにf)5~50kDaのカットオフを有する限外濾過膜を使用してファイテート還元の濾液又はナノ濾過リテンテートに対して限外濾過処理を実行し、それにより限外濾過リテンテートを製造するステップ;水を使用して限外濾過リテンテートに対して透析濾過処理を実行するステップ;任意選択的に限外濾過リテンテートを殺菌するステップ;並びに任意選択的にそれを乾燥させるステップを有する、それを製造する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質含有植物部分から調製される、5kDaより大きく75kDa未満、好ましくは7kDaより大きく70kDa未満、特に好ましくは10kDaより大きく68kDa未満の(SDS-page一次構造による)分子量を有する低分子量水溶性植物タンパク質であって、
a)60~95重量%のタンパク質含有量
b)4~8%の水分含有量
c)1700~3100mlの泡体積
d)80~100%の泡安定性
e)100%の製造物溶解性(pH7~pH9)
により特徴付けられる、タンパク質。
【請求項2】
請求項1に記載のタンパク質を製造する方法であって、前記タンパク質が、
a)ピー及び水からピーパルプを調製し、前記ピーパルプを、不溶性デンプン及び繊維、並びに水溶性タンパク質、ペプチド、糖、塩、及びアミノ酸を含有する水性溶液(ピー果実水)に機械的に分離すること;
b)64~70℃で前記ピー果実水を熱的に凝固させ、続いて75kDaより大きい分子量を有する凝固した変性ピータンパク質を機械的に分離すること;
c)ファイテート化合物の沈殿、ファイテート吸着剤への吸着又は酵素分解によりファイテートの還元を実行すること;
d)遠心分離又は濾過により、沈殿したファイテートを分離して、ファイテート還元水溶性低分子量タンパク質画分を得ること;
e)任意選択的に、150~300Da、好ましくは約180~220Daのカットオフの膜を用いて遠心分離上清のナノ濾過処理を実行して、タンパク質リッチナノ濾過リテンテート及び塩含有浸透液を得ること;
f)5~50kDa、好ましくは5~30kDa、特に好ましくは10kDaのカットオフ又はセラミック膜の場合に0.09~0.14マイクロメートルの細孔径を有するプラスチック限外濾過膜を使用して前記ナノ濾過リテンテートの限外濾過処理を実行して、よりタンパク質リッチな限外濾過リテンテートを製造すること;
g)水を使用して前記限外濾過リテンテートに対して透析濾過処理を実行すること;
h)任意選択的に前記限外濾過リテンテートを殺菌すること、並びに
i)任意選択的に前記限外濾過リテンテートを乾燥させること
により得られ得る低分子量ピータンパク質画分であることを特徴とする、方法。
【請求項3】
リテンテート溶液の伝導度が、20~80%、好ましくは50~75%、特に好ましくは60~73%低減されるまで、限外濾過リテンテートが、水道水、上水、工程水又は脱イオン水を用いる透析濾過により洗浄されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
65~100℃で1~10分の保持時間にわたり殺菌されることを特徴とする、請求項2~3の一項に記載の方法。
【請求項5】
デンプン含有植物部分が、根及び塊茎植物;ビーン、ピー、ヒヨコマメ、レンズマメ、ダイズから選択されるマメ科植物種子;木に成る果実;多年生植物及び草本に成る果実;ドジョウツナギ及びそれらの果実;並びに藻類から選択されることを特徴とする、請求項1~4の1つ以上に記載のタンパク質。
【請求項6】
食品又は食品添加物の成分、ヒト又は動物消費用の食品又は食品添加物であることを特徴とする、請求項1~5の1つ以上に記載のタンパク質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5kDaより大きく75kDa未満、好ましくは7kDaより大きく70kDa未満、特に好ましくは10kDaより大きく68kDa未満の(SDS-page一次構造による)分子量を有する水溶性植物タンパク質;それを製造する方法及びその使用に関する。本出願の文脈において、タンパク質は、特に、多様な個々のタンパク質を含むタンパク質混合物として参照される。
【0002】
ここではピー(pea)タンパク質により例示される、植物タンパク質の抽出はこれまで、比較的に単純な方法を使用して実行されてきた。ピータンパク質はピー果実水から単離され、それにおいて、熱処理が水に可溶性の該タンパク質を変性させて、それらの機能性及び溶解性を劇的に低減させる。ピー果実水中の可溶性タンパク質は、例えば動物飼料用の、植物タンパク質製造、例えばダイズ、オートムギ、ルピナス及びピータンパク質製造の、副生成物として製造される。サイドストリーム、すなわち、75kDa未満の分子量を有する熱的に凝固していないより小さいタンパク質、塩、糖、ペプチドなどは現在、高エネルギーインプットを用いて濃縮され、動物飼料として販売されているが、より高い付加的な価値を有する価値のある成分を依然として含有している。
【0003】
より高い分子量の熱的に凝固したタンパク質は、水溶性及びエマルション形成に関して機能性の大きい喪失を有し、すなわち、それらはもはや水に溶解しないか又は乏しい溶解性であり、より水に結合しにくく、それらが泡を形成する能力は低減している。より小さいタンパク質は、温度に対して感受性がより低いことが示されている。
【0004】
食品製造における用途のために今日必要とされるタンパク質機能性(例えば、100%の溶解性、高い乳化性、発泡能力及び泡安定性)を達成するために、特別なタンパク質が、これまでのタンパク質の大規模な熱変性及びそれによる機能性の喪失を予防するため、すなわち、水溶性の欠如をも予防するために、必要とされる。
【背景技術】
【0005】
現在までに、完全に水溶性の、及び75kDa未満の分子量を有する、高度に機能的な植物タンパク質、例えばピータンパク質は、市場において入手可能でない。
【0006】
ピー果実水の技術的な加工は文献において記載されている。例えば、国際公開第2008049385A1号及びその調査報告において参照された刊行物は、膜技術がピータンパク質の回収及び分画のために好適であるが、その時点においてそれらは産業製造のためにはコストがかかりすぎることを既に指し示していた。しかしながら、当時、膜技術は、依然として未開発であり、高価な分離方法であると考えられていた。引き続いての限外濾過を伴う遠心分離によるピータンパク質の回収を取り扱う論文「Pilot scale recovery of proteins from a pea whey discharge by ultrafiltration」(Lei(Leigh)Gao、Khai D.Nguyen及びAlphonsus C.Utioh、Food Science and technology、vol 34、pp.149-158、2001)に見ることができるように、これは今や変化している。特に水溶性画分から、マメ科植物タンパク質を得る別の方法は、米国特許第4766204号明細書に記載されている。
【0007】
植物ベースタンパク質が我々の日々の食事において重要性を増しているので、それらはますます重要になりつつある。とりわけ、以下において本発明が説明される基礎となる、ピータンパク質は、ますます重要になりつつある。というのも、GMOフリー及びアレルゲンフリーの製造物に対する需要が世界中で上昇しており、またピーは生育に相対的に問題がないからである。追加的に、ピータンパク質は、重要な栄養上の、機能的な及び加工上の利点を提供する。
【0008】
しかしながら、製造方法はまた、他の高度に機能的な植物タンパク質、特にマメ科植物からのタンパク質のために使用可能であり、ピーに決して限定されない。以下において、タンパク質は、特に、多様な個々のタンパク質を含むタンパク質混合物として参照される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2008/049385号
【特許文献2】米国特許第4766204号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「Pilot scale recovery of proteins from a pea whey discharge by ultrafiltration」(Lei(Leigh)Gao、Khai D.Nguyen及びAlphonsus C.Utioh、Food Science and technology、vol 34、pp.149-158、2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
植物果実水中に存在する水溶性高品質タンパク質、特にピーからのものの75kDa未満の分子量を有するタンパク質画分の機能性を向上させることが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
該目的は、請求項1の特徴を有する植物タンパク質並びにそれを製造する方法及びその使用により達成される。有利な発展は、従属請求項の結果としてもたらされる。
【0013】
本発明によれば、5kDaより大きく75kDa未満、好ましくは7kDaより大きく70kDa未満、特に好ましくは10kDaより大きく68kDa未満の分子量を有し、及びタンパク質含有植物部分から製造される、低分子量水溶性植物タンパク質であって、
a)60~95重量%のタンパク質含有量
b)4~8%の水分含有量
c)1700~3100mlの泡体積
d)80~100%の泡安定性
e)100%の製造物溶解性(pH7~pH9)
を含む、低分子量水溶性植物タンパク質が得られる。
【0014】
本発明はさらに、このタンパク質混合物を製造する方法であって、このタンパク質混合物が、以下の方法ステップ:
a)ピー及び水からピーパルプを調製し、ピーパルプを、不溶性デンプン及び繊維、並びに水溶性タンパク質、ペプチド、糖、塩、及びアミノ酸を含有する水性溶液(ピー果実水)に機械的に分離するステップ;
b)64~70℃でピー果実水を熱的に凝固させ、続いて75kDaより大きい分子量を有する凝固した変性ピータンパク質を機械的に分離するステップ;
c)ファイテート化合物の沈殿、ファイテート吸着剤への吸着又は酵素分解によりファイテートの還元を実行するステップ;
d)遠心分離又は濾過により、沈殿したファイテートを分離して、ファイテート還元水溶性低分子量タンパク質画分を得るステップ;
e)任意選択的に、150~300Da、好ましくは約180~220Daのカットオフの膜を用いて遠心分離上清のナノ濾過処理を実行して、タンパク質リッチナノ濾過リテンテート及び塩含有浸透液を得るステップ;
f)5~50kDa、好ましくは5~30kDa、特に好ましくは10kDaのカットオフ又はセラミック膜の場合に0.09~0.14マイクロメートルの細孔径を有するプラスチック限外濾過膜を使用してナノ濾過リテンテートの限外濾過処理を実行して、よりタンパク質リッチな限外濾過リテンテートを製造するステップ;
g)水を使用して限外濾過リテンテートに対して透析濾過処理を実行するステップ;
h)任意選択的に限外濾過リテンテートを殺菌するステップ;並びに
i)任意選択的に限外濾過リテンテートを乾燥させるステップ
を使用して製造される低分子量ピータンパク質画分である、方法に関する。
【0015】
限外濾過浸透液は、ガラクトオリゴ糖(GOS)、糖、及びアミノ酸の供給源として下流の逆浸透に供することができ、逆浸透浸透液中の精製された水は、工程水若しくは上水として再利用可能であるか、又は処分され得る。
【0016】
リテンテート溶液の伝導度が、20~80%、好ましくは50~75%、特に好ましくは60~73%低減されるまで、限外濾過リテンテートが、水道水、工程水、上水又は脱イオン水を用いる透析濾過により洗浄されることが、本発明による低分子量ピータンパク質の機能のために好都合であり、その理由は、これは不都合な風味、及び乳化能力を妨げる付随物質を除去するためである。
【0017】
本発明によるタンパク質は、根及び塊茎植物;ビーン(bean)、ピー、ヒヨコマメ、レンズマメ、ダイズから選択されるマメ科植物種子;木に成る果実;多年生植物及び草本に成る果実;ドジョウツナギ(sweet grasses)及びそれらの果実;並びに藻類から選択されるデンプン含有植物又はその部分から単離される。低分子量タンパク質は、食品又は食品添加物の成分として、ヒト又は動物消費用の食品又は食品添加物として好適であり、エマルションの形成をサポートする。
【0018】
出発材料としてのピーは、高い機能性及び純度を有する、5kDaより大きく75kDa未満の分子量を有する水溶性植物タンパク質である。本発明にしたがってピー果実水を加工することにより、原材料ピーはより効率的に使用され、特に、5kDaより大きく75kDa未満の分子量を有する小さいタンパク質が、泡及び乳化挙動妨害性又は反栄養的成分なしで提供される。
【0019】
植物タンパク質の発泡能力は、例えば、ビールから、周知である。しかしながら、塩及び他のイオン性成分はタンパク質の発泡挙動を低減させることもまた公知である。しかしながら、例えばミルクフォーム又は卵白泡の代用物として、安定な植物泡を製造できることが望ましい。植物性泡形成可能タンパク質はまた、動物起源のもの、例えば卵白よりも持ちがよいという利点を有し、したがって、すぐに食べられる(ready-to-eat)食品(植物性卵白代用物;植物性泡形成可能ミルク代用物、純度調節にしたがって醸造されないビールへの添加物など)の乾燥ブレンド物のために特に関心対象となる。特にアレルギー保持者のためだけでなく、ビーガンのためにも、それらは大きな需要がある。さらには、それらは、乳化剤として、そしてまた、動物タンパク質の代用物として、並びに5℃~65℃で加工可能であり、室温で少なくとも1年間貯蔵可能な気泡剤及び乳化剤として良好に適する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明によるピータンパク質の調製
ピーから得られる主な成分は、デンプン、繊維及びタンパク質である。この目的のために、乾燥した又は新鮮なピーは圧砕され、ピーフラワー又はピーポリッジは水(水道水又は脱イオン水)と混合される。マッシュは、機械的な液体/固体分離装置、例えばデカンターを使用して公知の方式で水不溶性デンプン繊維画分及びタンパク質リッチ果実水に分離される(例えば国際公開第2008049385A1号を参照)。機械的な液体/固体分離装置からのタンパク質含有液体は、64℃~70℃の温度に加熱されて、熱凝固により温度感受性のより大きいタンパク質に凝集する。凝集した、熱変性したタンパク質は、別の液体/固体分離デバイス、例えば、別のデカンターによって分離されて、以下において低分子量タンパク質溶液として参照される、低分子量タンパク質、アミノ酸、糖、及び小さいペプチドの水性溶液をもたらす。これらのステップは、例えば、国際公開第2008049385A1号から公知である。
【0021】
以下において、本発明による水性低分子量タンパク質溶液のさらなる加工が、機械的な分離デバイスとしてデカンターを使用してより詳細に説明されるが、分離デバイスはデカンターに決して限定されない。
【0022】
水溶性タンパク質、一部の水不溶性の懸濁された軽い成分、例えば様々なコロイド及び小タンパク質、ペプチド、糖、ヌクレオチド、並びに塩は、(例えば、デカンターオーバーフローからの)水性低分子量タンパク質溶液中に残存する。この画分はこれまで特別なタンパク質画分用のタンパク質の供給源として使用されておらず、家畜類飼料において使用されている。この水性低分子量タンパク質溶液はまた、反栄養的なタンパク質成分、例えばPAb1を依然として有するが、望ましくない糖及びGOSも有する。それは泡立てられ得るが、泡の品質は改善できる可能性がある。そのようなタンパク質混合物の乳化性及び味もまた、改善できる可能性がある。
【0023】
膜技術を使用して機能的な水溶性ピータンパク質を得るために、これらの溶解していない成分は、添付の
図1a及び
図1bに示されるように、さらなる機械的な分離処理、例えば遠心分離によって分離され得る。この場合、ナノ濾過の性能は任意選択的である。残留する液体、例えば遠心分離オーバーフローは、150~300Da、好ましくは180~220Daのカットオフを有するクロスフローナノ濾過に供され得る。所望される低分子量タンパク質を含むナノ濾過リテンテート又はより単純にはデンプン/繊維分離からの遠心分離オーバーフローは、例えば、5~50kDa、好ましくは5~30kDa、特に好ましくは10kDaのカットオフ又はセラミック膜の場合に0.09~0.14マイクロメートルの細孔径を有するプラスチック限外濾過膜を用いるナノ濾過リテンテートの限外濾過(以下UF)を介して、水を用いて洗浄され、タンパク質リッチ限外濾過リテンテートの製造を伴い、これは、20~80%、好ましくは50~75%、特に好ましくは60~73%の電導度における低減まで透析濾過され、次いでさらに加工される(任意選択的に殺菌及び乾燥される)。膜製造業者のカットオフ仕様にかかわらず、UF膜が所望されるタンパク質のために好適であるかどうかがチェックされなければならず、適切なカットオフの仕様にかかわらずすべてのUF膜が低分子量タンパク質の事実上の分離のために好適なわけではなく、塩、ペプチド、糖及びGOSが浸透液に入ることを許容する。例えば、二価イオン(カルシウム若しくは類似物)を用いる沈殿又は吸着剤、例えば樹脂への吸着又は酵素分解により、タンパク質溶液中のファイテートを低減させることが有用なことがある。本発明の文脈におけるファイテートの負の効果及び結果的なファイテートの分離は周知であり、全体が参照される2017年11月29日のthe International Phytate Conference in Bad Neuenahrにおいて包括的に説明された。
【0024】
本発明によるUFリテンテートは、直接的に食品混合物中の溶液として加工され得るが、乾燥され、次に粉末として販売されることもまた可能である。特に穏やかな乾燥処理、例えば凍結乾燥、噴霧乾燥、フィルム乾燥、流動床乾燥などは、この目的のために好適である。
【0025】
低分子量タンパク質は、ミルク、ニワトリ卵白又はクリームの代用物として使用され得るが、その低い脂肪含有量により、これらよりも持ちが良く、及びより高い温度で貯蔵可能である。それはゲル化せず、これは液体の調製のために有利であり、1重量%未満の炭水化物を用いて濃化なしにタンパク質強化を可能とする。
【0026】
分析的性質決定
分析方法:
水分決定:
・デバイス:表面乾燥機(乾燥温度105℃ ステップ2)
【0027】
タンパク質含有量:
・Kjeldahl(Nx6.25)、DIN EN ISO 3188による窒素決定
【0028】
製造物溶解性:
・計量:40gの脱ミネラル化H2 0+0.5gの製造物
・撹拌時間:1h
・メスフラスコ中50mLまで充填する
・2770×gで30分間遠心分離する
・Whatmannフィルター(No.1)(11マイクロメートルの細孔径を有するペーパーフィルター)を通して濾過する
・20~25gの濾液を計量してガラス皿に入れる
・乾燥オーブン中100℃で24時間乾燥させる
【0029】
タンパク質溶解性:
・製造物溶解性を参照
・Kjeldahl(Nx6.25)、DIN EN ISO 3188にしたがって濾液の窒素含有量を決定する
・計量:約6gの濾液
【0030】
灰:
・計量:約1gの製造物
・マイクロ波オーブン:MAS 7000
・灰化温度:550℃
・灰化時間:60分
【0031】
泡活性及び安定性:
・95gの脱ミネラル化H2 0に5gの製造物を溶解させる
・ステップ3(Hobart 50-N)で15分間ホイップする
・泡体積=mLにおける泡活性を決定する
・60分の静置時間後の泡体積=%における泡安定性を決定する
【0032】
エマルション能力:
・計量:80gの脱ミネラル化H2 0+10gの製造物
・250mlのヒマワリ油を滴下漏斗に注ぐ
・20℃の温度を維持して、Ultra Turraxを用いて20000rpmで撹拌する
・転相(エマルションが急激に薄まるまで)ヒマワリ油を連続的に加える
・未消費のヒマワリ油の体積を決定する
・250ml-残留体積=消費(ヒマワリ油)
・結果:10gの製造物:80gの脱ミネラル化H2 0:消費/ 10
・Brookfield HAT、スピンドル4、20rpmを使用する粘度測定
【0033】
このようにして製造された、5kDaより大きく75kDa未満の分子量を有する水溶性タンパク質は、高い泡形成性及び泡安定性の他に、ミルクタンパク質又は家禽タンパク質用の以前に利用可能な代用物と比較して向上した乳化能力により特徴付けられる。
【0034】
本発明による低分子量タンパク質の栄養分析は以下を示した(但し天然産物における変動は不可避である):
【0035】
化学的試験の結果
試料番号:L2207754.003
試料名:17725可溶性ピータンパク質
【0036】
【0037】
アミノ酸分析:
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
結果+/-拡張不確かさ(95%;k=2)、サンプリングは含めず。
【0042】
本出願におけるすべての%情報は重量によるパーセントを指す。本出願において言及されるE番号は、Annex II,Part B LIST OF ALL ADDITIVES of Regulation(EC)No.1333/2008においてそれらのE番号と共にEUにおいて食品添加物として承認された物質として列挙される添加剤に対応する。とりわけ、それらは、デンプン修飾のタイプに関する情報を提供する。さらには、これらの植物部分の含有量における天然の増減が、天候、生育季節及び場所に起因して不可避であることが常に考慮に入れられなければならない。
【0043】
以下において、本発明が例示的な実施形態の他に図面によって説明されるが、本発明はこれらに決して限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1a】
図1aは、(任意選択的な)ナノ濾過を伴う方法の図表を示す。
【
図1b】
図1bは、ナノ濾過を伴わない方法の図表を示す。
【
図2】
図2は、低分子量ピータンパク質及び標準物質のHPLCクロマトグラムを示す。
【
図3】
図3は、透析濾過され、透析濾過を伴わない低分子量ピータンパク質のHPLCクロマトグラムを示す。
【
図4】
図4は、本発明によるピータンパク質の2つのバッチのSDS Pageゲルを示す。
【実施例】
【0045】
製造方法の実施例
[実施例1]
水溶性低分子量ピータンパク質画分を製造するために、乾燥したピーの皮をむき、圧砕し、水中にスラリー化し、国際公開第2008049385A1号に記載されるように、及び
図1aに図式的に示されるようにさらに加工した。最初の圧砕されたピーは水と混合され、次に重力分離(遠心分離)に供され、上清はタンパク質回収のためのタンパク質リッチジュースとしてさらに使用されることが見られ得る。熱凝固を60~80℃の温度で実行し、その後により高い分子量の得られた変性タンパク質を重力分離により分離する。液相中に残存する変性タンパク質の他に、ファイテートを、CaCI2の添加により沈殿させ、重力によりファイテートスラッジとして再び分離する。残存するタンパク質含有液体からナノ濾過を介して塩、糖及びGOSを枯渇させ、次に脱ミネラル化された水を用いて限外濾過及び透析濾過し、限外濾過リテンテートを本発明によるタンパク質として回収したが、ペプチド及びアミノ酸は濾液中に残存した(
図1aを参照)。
【0046】
脱イオン水を用いた透析濾過、80℃で10分間の殺菌及び引き続いての噴霧乾燥により20%の電導度における低減を伴う中分子量タンパク質の分離後に得られた高い機能性の低分子量ピータンパク質画分は以下を示した:
【0047】
【0048】
spindle 4と共にブルックフィールド粘度計(DV1MHATJO)を使用して20rpmにおいて室温でエマルションの粘度を測定した。
【0049】
本発明によるピータンパク質はゲルを形成しないが、強い乳化効果を有する。
【0050】
[実施例2]
実施例1におけるように調製された水溶性低分子量ピータンパク質画分を、脱塩水を用いて72%の電導度における低減まで10分間67℃で透析濾過し、殺菌し、次に噴霧乾燥した。本発明による噴霧乾燥されたピータンパク質は以下のデータを示した:
【0051】
【0052】
[実施例3]
水溶性低分子量ピータンパク質を製造するために、乾燥したピーの皮をむき、圧砕し、水中にスラリー化し、実施例1に記載されるようにさらに加工した。重力分離の上清をタンパク質回収のためのタンパク質リッチジュースとしてさらに使用する。液相中に残存するファイテートを沈殿剤、例えば塩化カルシウム添加により沈殿させ、重力によりファイテートスラッジとして再び分離する。限外濾過残留物の電導度が限外濾過フィードのわずか30%となるまで、残存するタンパク質含有液体をKoch Membrane SolutionsのSani-Pro MFK-618膜で限外濾過し、水道水を用いて数回透析濾過した。ペプチド、アミノ酸、塩、糖及びGOSをリテンテートから洗浄除去し、本発明によるタンパク質を限外濾過リテンテート中に回収した。水溶性低分子量ピータンパク質画分を、脱塩水を用いて67%の電導度における低減まで10分間67℃で透析濾過し、殺菌し、次に噴霧乾燥した。本発明によるピータンパク質は以下のデータを示した:
【0053】
【0054】
実施例3の方法を
図1bに示す。実施例1と比較した泡安定性及び灰含有量の他に水中のタンパク質溶解度に対するより長い透析濾過の効果を明確に見ることができる。
【0055】
[実施例4]
KnauerからのHPLCを使用して低分子量水溶性タンパク質を分析した。カラムとして、WatersからのHPLC Xbridge BEH SEC 200A、3.5umを使用し、pH7の0.02M Na2 HP04/NaH2 P04の水性溶液を用いて溶出させた。標準品として、Sigma-Aldrichからの以下を使用した:
670kDa-サイログロブリン
150kDa-ガンマ-グロブリン
44.3kDa-オボアルブミン
13.74kDa-リボヌクレアーゼA
【0056】
214nmにおけるUV吸収を検出のために使用した。測定されたHPLCクロマトグラムを
図2に示す。標準タンパク質は、サイログロブリンについて18.84分、ガンマグロブリンについて14.12分、オボアルブミンについて15.74分、及びリボヌクレアーゼについて18.93分における相対的に鋭いピークとして示される。本発明によるタンパク質のクロマトグラムを標準品のクロマトグラムと比較した。異なるタンパク質画分を明確に見ることができ、小さいタンパク質が優勢である。
【0057】
図3において、タンパク質クロマトグラムに対する透析濾過の影響を同じ条件(同じHPLCアセンブリー)下で分析した。透析濾過は20~25分の範囲内のピークを除去したことを明確に見ることができる。
【0058】
タンパク質標準品及び本発明によるピータンパク質の両方についてそれらの相対的なピーク比は異なる検出器波長においても変化しないことを体積分布の評価は示した。したがって、体積分布に関する半定量的記述及び体積分布からそれらのモル質量への結論が可能である。本発明によるピータンパク質におけるタンパク質の体積はしたがって半定量的に分子量に割り当てられ得る:
【0059】
【0060】
0.053~23.5kDaの分子量を有する低分子量タンパク質がHPLCにおいて優勢であり、23.5~66.8kDaの分子量を有するタンパク質がそれに続くことが明確である。目立った量のタンパク質は121.1~595kDaの分子量でのみ存在する。
【0061】
実施例3による噴霧乾燥された低分子量タンパク質を溶出緩衝液に溶解させ、次にHPLCを介して分離し、標準品(高い狭いピーク)と比較した。結果的に、約12kDaのタンパク質の体積は、約20~150kDaのタンパク質の体積よりも大きく、670kDaを上回るタンパク質は本質的に見出されない。HPLCタンパク質クロマトグラムに対する透析濾過の効果もまた分析した(
図3)。20分よりも長い保持時間を有する小さいペプチド及び他のより小さい分子は透析濾過により有効に分離されることが見出された。
【0062】
本発明による低分子量タンパク質をまた、SDS-ゲルクロマトグラフィーにより分析した。
図4を参照。方法の選択性が明確に見られ、すなわち、75kDaより大きい分子量を有する、大きいタンパク質はもはや存在しない。また、3つの最も強いバンドが約15kDa、約40kDa及び約66kDaの範囲内に見られる。2つの方法は平均化された分子量に関して同等ではなく、その理由は、タンパク質は測定方法において異なって変性されるからである。それにもかかわらず、両方の方法は、3つのタンパク質がタンパク質混合物の主な成分であることを示す。
【0063】
さらなる応用例を以下に与え、これは本発明による水溶性タンパク質の可能な用途を示し、さらなる応用は当業者に自明である。
【0064】
肉代替物の分野において、実施例2及び3に記載されるような本発明によるピータンパク質は、粘度を増加させることなく肉のような質感を達成し、タンパク質強化のために使用され得る塗り広げ可能物を結果としてもたらす。変性ピーグロブリン(引き続いての洗浄及び噴霧乾燥と共に実施例1における熱凝固後に中間体として得られる大きい分子量の変性タンパク質)と組み合わせて、例えばビーガンソーセージのための、堅固な質感が得られ得る。ミルク、ミルク代替物及び他の飲料の分野において、心地よい食感のための高い溶解度、泡形成及び乳化特性は有利である。追加的に、加熱された場合であっても粘性は形成されず、そのためタンパク質濃縮のためにも使用され得る。強い泡形成は、ニワトリ卵白が通常は使用される焼成食品及び菓子において多くの場合に所望される。本発明によるピータンパク質は、ニワトリ卵タンパク質を置き換えることができるため、ビーガン製造物が製造され得る。すべての分野において、しかしながら、味は大きな利点であり、その理由は、EMRPO E86としてEMSLAND STARKEにより製造されたDE 102006050619 B4号明細書による中分子量タンパク質である変性ピーグロブリンは苦いピーの味を有し、これは本発明によるピータンパク質により中和されるからである。
【0065】
【0066】
12gのピータンパク質混合物、6gのサイリウムハスク、5.5gのスパイス、香味及び着色物質並びに1gのヒドロコロイドを混合し、次に63gの水と共に練った。混合物に12gの圧砕されたピータンパク質シュニッツェルを加え、よく混合し、混合物をソーセージケーシングに詰めた。得られたビーガンソーセージを対流オーブン中30%より下にて1時間90℃で加熱し、次に冷却した。本発明による実施例2のピータンパク質をタンパク質濃縮、質感形成及び味増強のために使用したところ、肉のような味、質感及び外見の成形物が得られた。
【0067】
本発明によるタンパク質は、タンパク質混合物中の変性ピーグロブリンの苦いピーの味を中和し、この苦いピーの味は肉及び乳製品代替物において特に望ましくないため、本発明によるソーセージは先行する食肉製品と比較して顕著に優れている。
【0068】
【0069】
ビーガンミンチを実施例5におけるように調製した。本発明による実施例2の低粘度ピータンパク質により、肉のような味を有するビーガンミンチとして塗り広げ可能物を製造することが可能となる。変性ピーグロブリンと比較して、90℃で加熱される場合の本発明によるピータンパク質を使用して製造の間に粘性もゲル化も生じず、すなわち、例えばスプレッドのために、それは塗り広げ可能なままである。
【0070】
必要な場合、ビーガン脂肪粒子を10~20%の投薬量と共にビーガンミンチに加えることがさらに可能である。ビーガン脂肪粒子は、57.7%の水、21.8%のココナッツ脂肪(融点27℃)、18.3%のE1440-ピーデンプン及び2.2%のE1450-ジャガイモデンプンの組合せから作ることができる:
Thermomix(R)における調製;反時計回りのナイフ、バタフライミキサーなし。
【0071】
1.乾燥成分を混合した
2.水及び脂肪をThermomix(R)と呼ばれる加熱可能なフードプロセッサーに移し、速度を約2.5に設定し、最高で55℃に加熱した
3.速度を4に設定した後に、乾燥混合物を撹拌と共に緩徐に加えた
4.速度を3.5、熱を95℃に設定した
5.80℃の温度に達した後に、-5℃に設定した
6.温度を5分間保持した
7.製造物を形成させた
【0072】
【0073】
-すべての乾燥成分を混合する
-Thermomix(R)TM6撹拌容器に水を注ぐ
-乾燥成分を水に撹拌しながら加える(ステップ4)。
-グルコースシロップをマイクロ波中でわずかに加熱する
-ココナッツ脂肪をソースパン中で融解させる
-ココナッツ脂肪をグルコースシロップと混合し、撹拌しながら加え(ステップ4)、次に1分間撹拌する。
-速度を3.5に設定し、90℃に加熱し、温度を10分間保持する
-水浴中で冷却する(少なくとも15℃)
-香味剤を加える
-冷却器中で終夜貯蔵する
-アイスクリームメーカー(Telme-Gel 9 Gelatiera)を用いてアイスクリームに加工する
【0074】
結果は、くせのない味を有するクリーミーなビーガンアイスクリームであった。
【0075】
【0076】
-すべての乾燥成分を混合する
-水及び脂肪をレンジに移し、50℃に加熱して脂肪を融解させる
-チーズアロマを加え、混合物中で溶解させる20
-乾燥混合物を加え、80~85℃に加熱し、5分間保持する
-鋳型に注ぎ、6~8℃で冷却する
【0077】
本発明によるピータンパク質は、変性ピーグロブリンの苦い味を中和し、タンパク質含有量を上昇させた。
【0078】
【0079】
-乾燥成分を混合する
-30gの粉末を300mlのALPROアーモンドドリンク(乳化剤を含む2.3%のアーモンド)又はオートムギドリンク(乳化剤を含まない8.7%のオートムギ)と混合する
-30秒間シェイクする
高い製造物溶解性、乳化性及び低い粘性に起因して、本発明によるピータンパク質を使用して、変性ピーグロブリンのみを用いて製造されたドリンクと比較して非常に滑らかな食感及びフォーミーな質感を有するシェイク準備済みタンパク質ドリンクが製造された。
【0080】
【0081】
-タンパク質及びデンプンを混合する
-酢及びマスタードを混合する
-水を糖及び塩と混合する
-タンパク質-デンプン混合物を2倍量の油中に1分、3000rpmで分散させる
-残りの油を緩徐に加え、3000rpmで分散させる
-すべての他の成分を加える
-3000rpmで1~2分乳化させる
【0082】
結果は、このように製造された脂質小滴の非常に微細な分布及びエマルションの高い安定性を有する粘性のソースであった。
【0083】
[実施例11]-ビーガンメレンゲ中の卵白代用物
小量のタンパク質を使用して、強いが非常に微細な泡形成及び高度な光沢が焼成食品において達成された。この目的のために、実施例2に記載されるように、本発明にしたがって低分子量植物タンパク質から1.5%の溶液を調製した。0.6%の植物タンパク質に対応する、このように製造された39.9%のタンパク質溶液を59.9%の糖及び0.20%のキサンタンと共にホイップした。結果は、エアリーなビーガンメレンゲを作るために100℃で1時間又は80℃で4時間オーブン中で焼成可能な卵白のような泡であった。
【0084】
[実施例12]-ビーガンマシュマロ
マシュマロを作るために数十年にわたり動物タンパク質が使用されてきた。ビーガンマシュマロは、本発明によるピータンパク質の強い泡形成に起因して製造され得る。これを行うために、実施例2からの2gの本発明による低分子量植物タンパク質を3gの水に溶解させ、50℃で30分間静置する。懸濁液を43.5gの糖、42gのグルコースシロップ(D.E.40~44)、2.5gの75%ピーデンプンE1440及び25%の蝋様ジャガイモデンプンE1442、7gの水から調製した。この懸濁液を88%の乾燥物含有量まで煮沸した。調理後に、実施例2による本発明によるピータンパク質を撹拌と共に加えた。この混合物を次にホイップし、押し出した。
【0085】
タンパク質溶液及び調理された懸濁液を混合する代わりに、両方の溶液を延伸機の混合ヘッド中で合わせ、引き続いてその中で通気/ホイップすることができる。
【0086】
マシュマロは、弾性のある質感を有し、動物卵及びゼラチンを用いて作られた泡製造物のように咀嚼可能であり得る。
【0087】
本発明が例示的な実施形態を参照して記載されているが、これらの例示的な実施形態は、本発明のすべての可能な形態を記載することは決して意図されない。代わりに、本明細書において使用される表現は、限定的ではなく説明的な性質のものであり、当然ながら、当業者が精通する同等の修飾が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく含まれる。さらに、様々な例示的な実施形態の特徴は、本発明のさらなる例示的な実施形態を形成するために組み合わせられてもよい。
【国際調査報告】