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特表2024-518044自動的炭素強度計算および追跡のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】自動的炭素強度計算および追跡のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20240101AFI20240417BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20240417BHJP
【FI】
G06Q10/083
G06Q50/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566517
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 US2022026375
(87)【国際公開番号】W WO2022232162
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/180,309
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523406093
【氏名又は名称】グルーバー, パトリック
(71)【出願人】
【識別番号】523406107
【氏名又は名称】インペコーフェン, クリストフ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】グルーバー, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】インペコーフェン, クリストフ
(57)【要約】
本開示の実施例は、製品が加工プラントおよびサプライチェーンにおける離散的ステップを通して横断する際、特定の製品に割り当てられる炭素強度(CI)スコアを自動的に発生させ、追跡するためのシステム/方法を説明する。いくつかの実施例では、中間CIスコアが、これがそのライフサイクルにおける各ステップを完了する際、製品に割り当てられ得る。中間CIスコアは、最終CIスコアを生産するために集約され得る。各中間CIスコアは、CIスコアが独立して検証可能かつ監査可能であるように、ブロックチェーン上に記録される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに結合されるメモリであって、前記メモリは、コンピュータ実行可能命令を備え、前記コンピュータ実行可能命令は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、
少なくとも1つの契約条件を受信するステップであって、前記少なくとも1つの契約条件は、プログラムコードの形態である、ステップと、
ブロックチェーン上で、前記少なくとも1つの契約条件に基づいて、少なくとも1つのスマートコントラクトを構築するステップと、
サプライチェーンにおける少なくとも1つの参加者と関連付けられる入力データを受信するステップと、
前記少なくとも1つの参加者からの前記入力データと関連付けられる少なくとも1つの状態を発生させるステップと、
前記ブロックチェーン上に前記少なくとも1つの状態を記録するステップと、
前記少なくとも1つの参加者と関連付けられる前記入力データおよび前記少なくとも1つのスマートコントラクトに基づいて、少なくとも1つの炭素強度(CI)スコアを決定するステップと、
前記ブロックチェーン上に前記少なくとも1つのCIスコアを記録するステップであって、前記少なくとも1つのCIスコアは、前記少なくとも1つの状態と関連付けられる、ステップと、
少なくとも1つの機械学習モデルを前記少なくとも1つのCIスコアおよび前記少なくとも1つの状態に適用するステップと、
前記少なくとも1つのCIスコアを減少させるための少なくとも1つの提案を発生させるステップと
を含むステップを実施する、メモリと
を備える、システム。
【請求項2】
前記ブロックチェーン上に農場または生産施設の少なくとも1つの状態を記録するステップと、
前記ブロックチェーン上に前記農場または前記生産施設のエーカー数の少なくとも1つの測定値を記録するステップと
をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記入力データは、少なくとも1つの農業慣行を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記入力データは、少なくとも1つの化学生産慣行を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記入力データは、場所、プロセス、財務的制約、再生農業慣行、グリーンエネルギー入力、水使用の測定値、および少なくとも1つのエネルギー源の測定値のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記CIスコアはさらに、少なくとも1つの規制機関のCIスコア計算を参照することによって決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ステップはさらに、
前記CIスコアに基づいて、CIトークンを発生させるステップと、
前記ブロックチェーン上に前記CIトークンを記憶するステップと
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ステップはさらに、
前記CIトークンを適用し、炭素排出量の少なくとも1つの事例をオフセットするステップと、
前記CIトークンの適用に基づいて、前記CIトークンを焼却するステップと
を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの提案は、前記サプライチェーンの将来の反復において前記少なくとも1つのCIスコアを減少させるための前記少なくとも1つの参加者への提案である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの提案は、前記少なくとも1つのCIスコアを減少させるための前記サプライチェーンにおける第2の参加者への提案であり、前記第2の参加者は、前記サプライチェーンにおける前記少なくとも1つの参加者に続くものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの提案は、前記少なくとも1つのCIスコアがCIスコア閾値を超えることに基づいて、前記サプライチェーンにおける少なくとも1つの後続加工施設を選択するための提案である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの後続加工施設は、前記少なくとも1つのCIスコアが、前記CIスコア閾値を超える場合、再生可能エネルギーを動力とする加工施設である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの後続加工施設は、前記少なくとも1つのCIスコアが、前記CIスコア閾値を超えない場合、化石燃料を動力とする加工施設である、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの提案は、出荷方法、燃料選択、肥料の銘柄、および殺虫剤の適用率と関連付けられる少なくとも1つの提案を備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの機械学習モデルは、以下のアルゴリズム、すなわち、線形回帰、ロジスティック回帰、線形判別分析、分類および回帰木、ナイーブベイズ、k最近傍、学習ベクトル量子化、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン(SVM)、バギングおよびランダムフォレスト、およびAdaBoostのうちの少なくとも1つを利用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
CIスコアを低下させるための知的提案を発生させるための方法であって、
サプライチェーンにおける少なくとも1つの段階と関連付けられる入力データを受信するステップと、
少なくとも1つの機械学習モデルを使用して、前記サプライチェーンにおける前記少なくとも1つの段階を分析するステップであって、前記少なくとも1つの機械学習モデルは、炭素強度(CI)スコアを増加させるか、または減少させるかのいずれかである複数の特性を識別するように訓練される、ステップと、
前記サプライチェーンにおける前記少なくとも1つの段階の分析に基づいて、中間CIスコアを計算するステップと、
前記中間CIスコアを前記少なくとも1つの段階に割り当てるステップと、
前記中間CIスコアを閾値CIスコアと比較するステップと、
前記中間CIスコアと前記閾値CIスコアとの比較に基づいて、前記中間CIスコアを低下させることと関連付けられる少なくとも1つの知的提案を発生させるステップと
を含む、方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの段階は、前記サプライチェーンにおける少なくとも1つの現在の参加者および前記サプライチェーンにおいて加工されている少なくとも1つの製品に関するデータを備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの知的提案は、前記サプライチェーンの将来の反復において前記中間CIスコアを減少させるための前記少なくとも1つの参加者への提案である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの提案は、前記サプライチェーンにおける前記少なくとも1つの参加者に続く第2の参加者への提案であり、前記第2の参加者は、前記サプライチェーンにおいて前記少なくとも1つの製品をまだ受け取っていない、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読媒体は、非一過性コンピュータ実行可能命令を記憶しており、前記非一過性コンピュータ実行可能命令は、実行されると、コンピューティングシステムに、
少なくとも1つの契約条件を受信するステップであって、前記少なくとも1つの契約条件は、プログラムコードの形態である、ステップと、
ブロックチェーン上で、前記少なくとも1つの契約条件に基づいて、少なくとも1つのスマートコントラクトを構築するステップと、
サプライチェーンにおける複数の段階と関連付けられる入力データを受信するステップと、
前記複数の段階のそれぞれからの前記入力データと関連付けられる複数の状態を発生させるステップと、
前記ブロックチェーン上に前記複数の状態のそれぞれを記録するステップと、
少なくとも1つの機械学習モデルを使用して、前記複数の状態のそれぞれを分析するステップであって、前記少なくとも1つの機械学習モデルは、炭素強度(CI)スコアを増加および減少させる複数の特性を識別するように訓練される、ステップと、
前記ブロックチェーン上の前記複数の状態のそれぞれの分析に基づいて、複数の中間CIスコアを計算するステップと、
前記ブロックチェーンに前記中間CIスコアのそれぞれを記録するステップと、
前記複数の中間CIスコアに基づいて、集約的CIスコアを発生させるステップと、
前記集約的CIスコアに基づいて、CIトークンを発生させるステップであって、前記CIトークンは、少なくとも1つの炭素クレジット市場において取引可能である、ステップと、
を含むCIトークンを発生させるためのステップを実施させる、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その開示が、参照することによって本明細書に組み込まれる、2021年4月27日に出願された米国仮出願第63/180,309号の優先権および利益を主張する。
【0002】
本開示は、炭素強度追跡、ブロックチェーンシステム、およびスマートコントラクトの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
それらのカーボンフットプリントを低減させようとしている今日の実体は、事業本部から世界的活動、サプライチェーンへのそれらの企業活動の環境影響を測定および検証することに苦労している。例えば、環境に配慮した製品を購入することを所望する顧客は、通常、ある製品の環境影響を透明性をもって監査および検証するための能力が、今日の気候会計技術では困難であるため、供給業者の言葉に依拠しなければならない。気候に関する誓約を行う企業が増え続けるにつれて、これらの企業に説明責任を課すことが、ますます重要になっている。
【0004】
いくつかの「環境に優しい製品」の提供者の重要な目的は、(例えば、連邦規則集第16編第260条「環境マーケティング主張の使用に関する指針」に基づいて要求されるように)環境マーケティング主張を効率的かつ正確に立証し、そのようなマーケティング主張の収益化を支援し、不当な請求(例えば、「グリーンウォッシング」)の申し立てに対して保護し、環境に優しい製品を生産する際にかかる費用に基づく経済的価値を確保することである。
【0005】
異なる供給元から、すなわち、エネルギー使用および可能性として考えられる炭素からデータを集め、これを使用し、排出量を決定することは、炭素会計に関する包括的基準またはサプライチェーン全体を通して炭素排出量を監査、検証、および報告する方法に関するガイドラインの単一のセットの欠如に起因して、困難である。気候会計の1つの今日の方法は、炭素クレジットを伴い、これは、炭素強度(すなわち、原料、プロセス、または取扱の単位あたりの排出される炭素)に影響を及ぼす製品の原料、製造プロセス、および取扱の変化を説明することを伴う。炭素クレジットは、1メートルトンの二酸化炭素または同等の量の異なる温室効果ガスである(例えば、二酸化炭素を同等の値に変換するために地球温暖化係数を利用する)。キャップアンドトレードシステムでは、企業は、ある数の炭素クレジットを割り当てられる。企業が、それらの上限よりも多い温室効果ガスを排出するであろう場合、企業は、温室効果ガスのそれらの過剰な生産をオフセットするために、炭素クレジットを購入しなければならない。炭素クレジットは、それらの上限未満を生産している企業から直接、または過剰な炭素クレジットを集約する取引所から購入されることができる。別の炭素市場機構は、(例えば、地域温室効果ガスイニシアチブ(RGGI)によって要求されるように)実体が炭素クレジットを購入することを要求されるシナリオを含み得る。そのような炭素クレジット市場は、コンプライアンスおよび非コンプライアンス(すなわち、自主的)環境において存在し得、ある炭素追跡は、規制された基準とは対照的に、内部実績基準に対して追跡される。
【0006】
それらの上限未満を使用する企業から購入されない炭素クレジットは、大気から温室効果ガスを回収するプロジェクトから、または現在の代替よりも少ない温室効果ガスを生産するプロジェクトから取得される。典型的な方法よりも少ない温室効果ガスを生産するプロジェクトの実施例は、通常、石炭を燃焼させることによって動力供給されるが、石炭が、太陽光発電等の温室効果ガス排出を伴わないエネルギー源と置き換えられているプロジェクトであろう。大気から温室効果ガスを回収するプロジェクトの実施例は、森林の植林等の炭素捕捉プロジェクトである。しかしながら、炭素クレジットおよび炭素オフセットに関する1つの課題は、炭素クレジットの購入が、実際、別の実体によってすでに購入されていない炭素クレジットの購入であることを確実にすることである。信頼できるエンドツーエンドかつ完全に監査可能な解決策は、今日存在しないため、炭素クレジットの二重購入が、頻繁に起こっている。別の課題は、炭素クレジットの起源の日付、場所、入力技術、および他の特性を決定すること等、炭素クレジットと関連付けられる主張を適正に立証することである。
【0007】
今日の炭素排出量を測定する既存の方法は、炭素強度(CI)スコア、または欧州で称されるように、直接炭素値(DCV)である。CIスコアは、作物を生育し、バイオ燃料に加工するプロセスの間に生産される二酸化炭素の量に基づいて計算される。現在、いくつかの管轄区域では、特定のプラントにおいてバイオ燃料を生産するために使用される作物は、集約され、生育方法における差異にかかわらず、CIスコアを割り当てられる(例えば、g/MJ(メガジュール)、g/TJ(テラジュール)等)。生育方法および輸送における差異は、考慮されていない。結果として、CIスコアから導出される炭素クレジットは、低減されている(または低減されていない)炭素排出量を正確に反映し得ない。例えば、ある作物生産者からのCIスコアが、その作物生産者の生産方法を正確に反映しているかどうかを決定するための証拠資料は、殆ど残されない。
【0008】
炭素クレジットに関する別の問題は、炭素クレジットを交換/取引する際の非効率性である。買い手および売り手は、通常、炭素クレジットの真の値を検証および確証し、同時に、炭素クレジットの値を監査する(すなわち、炭素クレジットが合法的な環境を意識し、炭素に配慮したプロセスに由来することを決定する)ことができない。買い手および売り手はまた、通常、それらの炭素クレジットが譲渡および決済されるまで数日待たなければならない。したがって、より効率的かつ透明性をもって炭素クレジットの値を検証し、実体の間でこれを譲渡する必要性が、存在する。
【0009】
本願の一側面は、ブロックチェーンベースの技術であり、より一般的には、分散型台帳技術(DLT)である。ブロックチェーンは、ブロックと呼ばれる、連続的に増加する記録のリストであり、これは、暗号法を使用してリンクされ、セキュアにされる。各ブロックは、以前のブロックへのリンクとしてのハッシュポインタ、タイムスタンプ、およびトランザクションデータを含有し得る(例えば、各ブロックは、多くのトランザクションを含み得る)。設計上、ブロックチェーンは、本質的に、すでに記録されたトランザクションデータの修正に耐性がある(すなわち、いったんブロックがブロックチェーンに付加されると、これは、変更されることができない)。付加的ブロックが、ブロックチェーンに付加され得、各付加的ブロック(すなわち、「変更」)は、ブロックチェーン上に記録され得る。ブロックチェーンは、新しいブロックを確証するためのコンセンサスプロトコルを集合的に遵守するノード(例えば、デバイス)のピアツーピアネットワークによって管理され得る。いったん記録されると、所与のブロック内のトランザクションデータは、全ての以前のブロックの改変を伴わずに遡及的に改変されることができず、これは、ネットワークノードの大部分の結託を要求する。
【0010】
公開の自由参加型ブロックチェーンは、相互を完全には信頼しないノードのネットワークによって維持される、付加専用データ構造である。許可型ブロックチェーンは、ノードのネットワークへのアクセスがある様式において、例えば、中央権力および/またはネットワークの他のノードによって制御されるブロックチェーンのタイプである。ブロックチェーンネットワークにおける全てのノードは、ブロックの順序付けられたセットに合意し、各ブロックは、1つまたはそれを上回るトランザクションを含有し得る。したがって、ブロックチェーンは、順序付けられたトランザクションのログと見なされ得る。1つの特定のタイプのブロックチェーン(例えば、Bitcoin)は、ネットワークの全てのノードによって共有されるシステム状態としてコインを記憶する。Bitcoinベースのノードは、コインを1つのノードアドレスから別のノードアドレスに移動させる、単純な複製状態マシンモデルを実装し、各ノードは、多くのアドレスを含み得る。さらに、公開のブロックチェーンは、フルノードを含み得、フルノードは、トランザクション履歴全体(例えば、トランザクションのログ)を含み得、ノードは、トランザクション履歴全体を含み得ない。例えば、Bitcoinは、Bitcoinに接続されるノードの全てにおいて数千個のフルノードを含む。
【0011】
分散型ブロックチェーンの登場とともに、分散型金融、すなわち、「DeFi」が、登場した。DeFiは、分散型自由参加型金融インフラストラクチャに関する総称であり、様々な暗号通貨ベースの金融アプリケーションが、動作している。これらのアプリケーションを分散型にするものは、それらが中央機関によって管理されず、代わりに、これらのアプリケーションのルールが、コードに記述され、コードが、誰でも監査できるように公衆に公開されていることである。コードに記述されるこれらのルールは、「スマートコントラクト」として公知であり、これは、ある条件が満たされるときに自動的に実行される、ブロックチェーン上で起動するプログラムである。DeFiアプリケーションは、スマートコントラクトを使用して構築される。DeFiアプリケーションは、ブロックチェーンの上で起動する第2層分散型アプリケーション(例えば、DApps)のクラスタと見なされることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書に開示される側面は、これらおよび他の一般的な考慮事項に対して行われた。また、比較的に具体的な問題が、議論され得るが、実施例が、背景または本開示の別の場所に識別される具体的問題を解決することに限定されるべきではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
非限定的かつ非網羅的実施例が、以下の図を参照して説明される。
【0014】
図1図1は、CIスコアを自動的に発生させ、追跡するための分散システムの実施例を図示する。
【0015】
図2図2は、CIスコアを自動的に発生させ、追跡するための例示的分散ブロックチェーンアーキテクチャを図示する。
【0016】
図3図3は、CIスコアを自動的に発生させ、追跡するためのシステムおよび方法を実装するための例示的入力処理システムを図示する。
【0017】
図4図4は、CIスコアを自動的に発生させ、追跡するための例示的方法を図示する。
【0018】
図5図5は、ブロックチェーン上でCIスコアを確証するための例示的方法を図示する。
【0019】
図6図6は、CIスコアを減少させるための知的提案を提供するための例示的方法を図示する。
【0020】
図7図7は、CIスコアを自動的に発生させ、追跡するための例示的環境を図示する。
【0021】
図8図8は、サプライチェーンに沿ってCIスコアを自動的に発生させ、追跡するために使用される、例示的入力および出力を図示する。
【0022】
図9図9は、CIスコアを自動的に発生させ、追跡するために使用される、例示的状態図を図示する。
【0023】
図10図10は、CIスコアを自動的に発生させ、追跡するためにそれからデータが捕捉される、例示的環境を図示する。
【0024】
図11図11は、CIスコアを自動的に発生させ、確証するための例示的環境を図示する。
【0025】
図12図12は、CIスコアを介してCIトークンを発生させるための例示的環境を図示する。
【0026】
図13図13は、Cordaアプリケーションを使用してCIトークンを発生させるための例示的環境を図示する。
【0027】
図14図14は、本実施形態のうちの1つまたはそれを上回るものが実装され得る、好適な動作環境の一実施例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
本開示の種々の側面は、本明細書の一部を形成し、具体的な例示的側面を示す、付随の図面を参照して下記により完全に説明される。しかしながら、本開示の異なる側面は、多くの異なる形態において実装されてもよく、本明細書に記載される側面に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの側面は、本開示が、徹底的かつ完全であり、側面の範囲を当業者に完全に伝えるであろうように提供される。側面は、方法、システム、またはデバイスとして実践されてもよい。故に、側面は、ハードウェア実装、完全にソフトウェア実装、またはソフトウェアおよびハードウェア側面を組み合わせる実装の形態をとってもよい。以下の詳細な説明は、したがって、限定の意味でとられるものではない。
【0029】
本願の実施形態は、炭素強度(CI)スコアを自動的に発生させ、追跡するためのシステムおよび方法を対象とする。加えて、本願はまた、CIスコアから導出される値を有するCIトークンを発生させる例示的実施形態を説明する。またさらなる実施例では、本願は、少なくとも1つの機械学習(ML)アルゴリズムを使用して、製品がサプライチェーンを通して移動する際、CIスコアを低下させるための動的かつ知的提案を発生させることを対象とする。
【0030】
一実施例では、分散型台帳を使用して特定の作物と関連付けられるCIスコアを追跡するための方法が、説明される。作物が、サプライチェーンを通して横断するにつれて、作物と関連付けられるCIスコアは、作物が収穫される方法および作物が最終製品、例えば、バイオ燃料に加工される方法等のある入力に基づいて、更新されてもよい。作物および後続のバイオ燃料についての関連情報が、作物が、例えば、収穫され、生産施設に輸送され、バイオ燃料に加工され、配合され、輸送され、売却され、最終的に消費されるにつれて、分散型台帳に連続的に追加される。他の実施例は、電気および水素のためにバイオ燃料を利用することを含んでもよい。情報が、ブロックチェーン上で捕捉されてもよく、情報は、デバイス(例えば、IOTデバイス)を使用して(例えば、農家、プラントオペレータ、加工業者等によって)入力されてもよい。特定の製品(例えば、トウモロコシのバッチ)と関連付けられるCIスコアは、サプライチェーンに沿って継続的に発展し、CIスコアは、顧客への最終製品(例えば、ジェット燃料)の配送に応じて、確定した状態になり得る。確定されたCIスコアは、証明書に捕捉され、ブロックチェーン上に記憶されてもよい。証明書は、次いで、証明書上に記録されたCIスコアに直接相関される値を伴う交換可能なCIトークンを発生させるために使用されてもよい。CIトークンは、トークンが実際の炭素排出量をオフセットするために使用/適用されない限り、値を保持し得る。いったんCIトークンが、実際の炭素排出量をオフセットするために適用されると、CIトークンは、「焼却」されてもよい。
【0031】
いくつかの実施例では、中間CIスコアが、サプライチェーンにおけるある場所において計算されてもよい。CIスコア(例えば、属性)は、物理的な基礎となる商品(例えば、トウモロコシ)から独立して売買されてもよい。例えば、これらの中間CIスコアは、最終消費の時点で、またはその前に組み合わせられ、再組み合わせされてもよい。中間CIスコアは、サプライチェーンにおける次のステップまたは後続ステップにおいてCIスコアを低下させるための知的提案を発生させるための機械学習モデルへの入力として使用されてもよい。例えば、中間CIスコアが、サプライチェーンにおける特定の場所に関して異常に高い場合、機械学習アルゴリズムは、CIスコアを低下させる、または少なくともCIスコアの増加を減速させる試みにおいて、サプライチェーンにおける次のステップにおけるある調節(例えば、化石燃料の代わりに電気のために太陽光を使用すること)を提案してもよい。本明細書に説明されるシステムおよび方法は、具体的CIスコアおよび金銭的費用を伴うバイオ燃料を生産するために、どの作物負荷がどの加工技法およびエネルギー源と対合されるべきであるかを決定してもよい。機械学習アルゴリズムによって推奨され得るエネルギー源は、製品の現在のCIスコアおよびサプライチェーンにおける現在の参加者(例えば、農家、出荷業者、加工業者、プラントオペレータ、精製業者、買い手等)の入力制約に応じて、プラントにおいてグリーンエネルギー源と従来のエネルギー源との間で交互してもよい(例えば、MLアルゴリズムは、サプライチェーンにおける現在の工場が、太陽光発電を使用するように装備していない場合、太陽光エネルギーの使用を提案しないであろう)。他の例示的側面では、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、商品(例えば、トウモロコシ)を加工している特定のプラント内のエネルギー源を追跡することができる。エネルギー源は、分単位、時間単位等で追跡されてもよい。そのようなエネルギー源は、風力、コージェネレーション(CHP)電気、バイオガス、再生可能天然ガス(RNG)、天然ガス、グリッド電気、および/または前述の組み合わせを備えてもよい。
【0032】
別の実施例では、機械学習モデルが、サプライチェーンにおける以前の参加者に知的提案を提供するために使用されてもよい。例えば、CIスコアが、サプライチェーンにおけるある場所においていつになく高かった場合、機械学習アルゴリズムは、過去の参加者が、将来的にこれらの最適化方法を実装し得、これが、ひいては、上手くいけば、サプライチェーンにおけるその時点でのCIスコアを低下させるであろうように、過去の参加者(または以前のプロセス)にある最適化方法を提案してもよい。CIスコアが低くなるほど、発生されるCIトークンが有するであろう値は、高くなる(すなわち、効率的な市場は、CIスコアをより低い状態にし得る)。本明細書の教示が、より低いCIスコアを達成するだけではなく、また、標的CI範囲を達成するために、または標的CI閾値を下回って留まるために適用され得ることを理解されたい。
【0033】
図1は、CIスコアを自動的に発生させ、追跡するための分散システムの実施例を図示する。提示される例示的システム100は、1つまたはそれを上回るスマートコントラクトに基づいて、資産を自動的に譲渡するための統合された全体を形成するように相互作用する、相互依存コンポーネントの組み合わせである。本システムのコンポーネントは、ハードウェアコンポーネントまたは本システムのハードウェアコンポーネント上で実装される、および/またはそれによって実行されるソフトウェアであってもよい。例えば、システム100は、クライアントデバイス102、104、および106と、ローカルデータベース110、112、および114と、ネットワーク108と、サーバデバイス116、118、および/または120とを備える。
【0034】
クライアントデバイス102、104、および/または106は、サプライチェーンを横断する製品に関連する情報、およびその特定の製品と関連付けられるCIスコアを受信および伝送するように構成されてもよい。CIスコアは、製品がサプライチェーンを通して進み続けるにつれて継続的に発展し、CIスコアは、クライアントデバイス102、104、および/または106によって記憶およびアクセスされ得るブロックチェーン上で更新されてもよい。クライアントデバイス102、104、および/または106はまた、ブロックチェーンネットワーク内で通信し、かつローカルデータベース110、112、および/または114内でブロックチェーンのコピーをローカルでホストするように構成されてもよい。ブロックチェーンの上には、クライアントデバイス102、104、および/または106が起動する(および/またはそれと相互作用する)ように構成される、DeFiアプリケーションが、常駐してもよい。一実施例では、クライアントデバイス102は、モバイル電話であってもよく、クライアントデバイス104は、工場におけるIOTデバイス(例えば、工場内のコンベヤベルト上の監視デバイス)であってもよく、クライアントデバイス106は、ラップトップ/パーソナルコンピュータであってもよい。他の可能性として考えられるクライアントデバイスは、限定ではないが、タブレット、スマートデバイス/センサ、無人航空車両(例えば、加工ステップの航空映像を捕捉するため)、無人陸上車両(例えば、サプライチェーンにおいて使用されるある機械の加工ステップを監視するため)等を含む。
【0035】
いくつかの例示的側面では、クライアントデバイス102、104、および/または106は、衛星122等の衛星と通信するように構成されてもよい。衛星122は、セルラーシステム内の衛星(または複数の衛星)であってもよい。クライアントデバイス102、104、および/または106は、衛星122からセルラープロトコルを介してデータを受信してもよい。クライアントデバイス102、104、および/または106によって受信されたセルラーデータは、ローカルデータベース110、112、および/または114において記憶されてもよい。加えて、そのようなセルラーデータは、遠隔サーバ116、118、および/または120において遠隔で記憶されてもよい。他の実施例では、クライアントデバイス102、104、および/または106は、Bluetooth(登録商標)等の近距離通信プロトコルを介して相互と通信するように構成されてもよい。
【0036】
クライアントデバイス102、104、および/または106はまた、サプライチェーンにおける製品と関連付けられるCIスコアを自動的に発生させ、追跡し、かついったんこれが確定されると、CIスコアを確証するために、少なくとも1つのDeFiアプリケーションを伴うブロックチェーンを実装する(および/またはそれと相互作用する)ソフトウェアを起動するように構成されてもよい。さらに、クライアントデバイス102、104、および/または106は、サプライチェーンにおける特定の製品/未加工材料を加工するための現在の加工技法および入力データへのアクセスを有する少なくとも1つのMLモデルを使用して、CIスコアを低減させるための知的提案を発生させるソフトウェアを起動するように構成されてもよい。例えば、知的提案の発生は、少なくとも1つのブロックチェーンおよび/またはデータベース等の他の従来的な情報の保存場所上にすでに記憶されている情報(例えば、農業技法、プラントオペレータエネルギー源等)から集められた情報に依存し得る。いくつかの実施例では、サプライチェーンにおける各参加者の特性は、ブロックチェーン内に「状態」として記憶されてもよく、参加者の状態は、特定のCIスコアを決定し、および/または将来のCIスコアを予測するために、本システムによってアクセスされ得る値を伴う情報識別子を含む。サプライチェーンにおけるこれらの参加者の同一の状態はまた、サプライチェーンにおける各ステップにおけるCIスコアを低減させるための知的提案を発生させるために、少なくとも1つのMLモデルによってアクセスされてもよい。実施例として、知的提案を実践する(例えば、工場における電気を化石燃料から太陽光に変更する)参加者は、参加者に関する新しい「状態」を記録してもよく、これは、サプライチェーンを通して移動する将来の製品と関連付けられる将来のCIスコアに影響を及ぼし得る。
【0037】
例えば、初期設定の間、サプライチェーンにおける参加者は、クライアントデバイス102、104、および/または106を介して本システムにある情報を提供してもよい。本システムは、その情報を処理し、その参加者の「状態」を構築してもよい。その参加者の状態は、サーバ116、118、および/または120上に遠隔で、および/またはデータベース110、112、および/または114においてローカルで記憶されてもよい。状態プロファイルは、ブロックチェーン上にブロックとして記憶されてもよい。参加者は、ネットワーク108または衛星122を経由してサプライチェーンにおける他の参加者の状態を観察してもよい。例えば、参加者は、サプライチェーンにおけるある参加者の状態情報を検証している政府機関(例えば、規制当局)であってもよい。そのような状態方法へのアクセスは、ブロックチェーンの上で起動するDeFiアプリケーションを介して提供されてもよい。
【0038】
1つまたはそれを上回るスマートコントラクトはまた、ブロックチェーンネットワーク上に常駐してもよい。スマートコントラクトのコピーが、ローカルデータベース110、112、および/または114においてローカルで、およびサーバ116、118、および/または120において遠隔で記憶されてもよい。スマートコントラクトは、最終製品の確定されたCIスコアに基づいて、最終消費者が最終製品に対して支払う金額を決定してもよい。例えば、あるCIスコアを伴うある製品を購入するために供給業者と契約する消費者は、より高いまたはより低いCIスコアを伴う製品を受け取り得る。ブロックチェーン上に記憶されたスマートコントラクトは、確定されたCIスコアに基づいて、供給業者と顧客との間の支払を自動的に調節してもよい。顧客が、より低いCIスコアを伴う製品を購入することを所望したが、より高いCIスコアを伴う製品を受け取った場合、顧客は、スマートコントラクトの条件に従って、自動的に割引を受けてもよい。製品が、予期されるものよりも低いCIスコアを有する場合、顧客は、いくつかの実施例では、より低いCIスコアの製品に関して割増金を支払う、または製品の所有権を得ないことを選択してもよい(例えば、標準燃料購入合意)。最終顧客と供給業者との間で譲渡されるべき資産は、ブロックチェーン上のエスクロ内に設置されてもよい。例えば、スマートコントラクトは、燃料供給業者と航空会社(顧客)との間のスマートコントラクトであり得る。航空会社によって受け取られたジェットの各単位と関連付けられる集約的CIスコアに基づいて、航空会社の預託された資産は、ある条件がスマートコントラクト上で満たされることに基づいて、ジェット燃料供給業者に自動的に譲渡されてもよい。例えば、集約的CIスコアが、予期されるものよりも1ポイント高い場合、ある額の資産が、合意された額から差し引かれ、エスクロアカウント(例えば、ウォレット)から供給業者アカウント(例えば、ウォレット)に譲渡される。トランザクションは、ブロックチェーン上でブロックとして記録されてもよく、これは、サプライチェーンにおける炭素利益に関する主張の完全性を確実にする。
【0039】
加えて、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、CIスコアを低下させることが証明されている履歴加工技法の少なくとも1つのデータベースへのアクセスを有する、少なくとも1つのMLモデルを実装してもよい。例えば、データベースは、化石燃料を動力とする機械類から水力を動力とする機械類に移行することによるCIスコアの平均減少に関する情報を備えてもよい。そのようなデータは、ネットワーク108および/または衛星122を介してクライアントデバイス102、104、および/または106によってアクセスされてもよい。データベースはまた、データベース110、112、および/または114においてローカルで記憶されてもよい。
【0040】
いくつかの例示的側面では、クライアントデバイス102、104、および/または106は、入力デバイスから信号を受信するように装備してもよい。信号は、信号を伝送/受信するための他の媒体およびプロトコルの中でもとりわけ、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、赤外線、光信号、バイナリを介してクライアントデバイス102、104、および/または106上で受信されてもよい。例えば、ユーザは、モバイルデバイス102を使用し、ブロックチェーンの上で起動するDeFiアプリケーションにクエリを行い、ある製品(例えば、大量のトウモロコシ)の現在のCIスコアおよびサプライチェーンにおける将来の加工ステップに基づくある製品の予測CIスコアに関する更新を受信してもよい。DeFiアプリケーションと関連付けられるグラフィカルユーザインターフェースが、モバイルデバイス102上に表示され、CIスコアトラッカ、およびCIスコアが確定および認証された後にCIトークン内に捕捉されるべき予想値を示してもよい。
【0041】
図2は、CIスコアを自動的に発生させ、追跡するための例示的分散ブロックチェーンアーキテクチャを図示する。図2は、図1のシステム100のような分散システム200の代替図示である。図2では、ネットワークデバイスはそれぞれ、相互接続され、相互と通信する。ネットワーク内の各デバイスは、いくつかの実施例では、ブロックチェーンが、いかなる単一の実体によっても制御されず、むしろ、分散システムによって制御されるため、ブロックチェーンのコピー(またはブロックチェーンの少なくとも部分的コピー、例えば、ライトノード)を有する。他の実施例では、ブロックチェーンは、アクセス制御層を含む許可型ブロックチェーンであり、いくつかのデバイスがある情報を読み取り、ブロックチェーンに書き込むことを防止および許可し得る。
【0042】
具体的には、図2では、モバイルデバイス202、206、210、および214は、分散システム200内のラップトップ204および212および「スマート」工場208および216(例えば、工場内の機械類上の監視デバイス等の加工プラントまたは工場におけるIOTデバイス)と接続される。図2に描写されるデバイスは、ブロックチェーンネットワーク220内で相互と通信する。各ノードは、ブロックチェーンのローカルコピーまたはブロックチェーンの少なくとも一部を記憶してもよい。例えば、ラップトップ204は、ブロックチェーンネットワーク内のブロックチェーンにクエリを行ってもよく、サーバが、クエリを受信し、サーバ上に記憶されるブロックチェーンのコピーからブロックを生産してもよい。ラップトップ204は、ブロック内に位置する情報(例えば、現在のCIスコア、予想されるCIスコア、CIスコアを低下させるためのMLベースの提案等)を受信してもよい。要するに、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、図2に表示されるような分散アーキテクチャ内で実装され、いくつかの実施例では、分散ブロックチェーンネットワーク内の単一のノード上で実装されてもよい。
【0043】
図3は、CIスコアを自動的に発生させ、追跡するためのシステムおよび方法を実装するための例示的入力処理システムを図示する。入力処理システム(例えば、1つまたはそれを上回るデータプロセッサ)は、CIスコアの発生および追跡、および特定の製品のCIスコアを減少させるためのサプライチェーン内の実体への知的提案の発生に関連する様々なソースによって提供されるデータを処理することに基づいて、アルゴリズム、ソフトウェアルーチン、および/または命令を実行することが可能である。入力処理システムは、汎用目的コンピュータまたは専用の特殊目的コンピュータであり得る。図3に示される実施形態によると、開示されるシステムは、メモリ305と、1つまたはそれを上回るプロセッサ310と、データ収集モジュール315と、スマートコントラクトモジュール320と、炭素強度(CI)計算モジュール325と、機械学習(ML)提案モジュール330と、通信モジュール335とを含むことができる。本技術の他の実施形態は、他のモジュール、アプリケーション、データ、および/またはコンポーネントとともに、これらのモジュールおよびコンポーネントのうちのいくつかを含む、全てを含む、またはいずれも含まない場合がある。なおもさらに、いくつかの実施形態は、これらのモジュールおよびコンポーネントのうちの2つまたはそれを上回るものを単一のモジュールの中に組み込み、および/またはこれらのモジュールのうちの1つまたはそれを上回るものの機能性の一部を異なるモジュールと関連付けてもよい。
【0044】
メモリ305は、プロセッサ310上で1つまたはそれを上回るアプリケーションまたはモジュールを起動するための命令を記憶することができる。例えば、メモリ305は、1つまたはそれを上回る実施形態において、データ収集モジュール315、スマートコントラクトモジュール320、CI計算モジュール325、ML提案モジュール330、および通信モジュール335の機能性を実行するために必要とされる命令の全てまたはそのうちのいくつかを格納するために使用され得る。概して、メモリ305は、ブロックチェーンデータ構造のローカルコピーを含む、情報を記憶するために使用される任意のデバイス、機構、または取り込みデータ構造を含むことができる。本開示のいくつかの実施形態によると、メモリ305は、限定ではないが、任意のタイプの揮発性メモリ、不揮発性メモリ、および動的メモリを包含することができる。例えば、メモリ305は、ランダムアクセスメモリ、メモリ記憶デバイス、光学メモリデバイス、磁気媒体、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、ハードドライブ、SIMM、SDRAM、RDRAM、DDR、RAM、SODIMM、EPROM、EEPROM、コンパクトディスク、DVD、および/または同等物であり得る。いくつかの実施形態によると、メモリ305は、1つまたはそれを上回るディスクドライブ、フラッシュドライブ、1つまたはそれを上回るデータベース、1つまたはそれを上回るテーブル、1つまたはそれを上回るファイル、ローカルキャッシュメモリ、プロセッサキャッシュメモリ、リレーショナルデータベース、フラットデータベース、および/または同等物を含んでもよい。加えて、当業者は、メモリ305として使用され得る、情報を記憶するための多くの付加的デバイスおよび技法を理解するであろう。いくつかの例示的側面では、メモリ305は、特定の製品に関する現在のCIスコア、規制情報に基づくあるCIスコア閾値(例えば、特定の地域/州における税額控除を決定するためのCIスコア閾値)、ある製品に関する履歴平均CIスコア、ある加工技法に基づくCIスコアの平均減少または増加等を含有する、少なくとも1つのデータベースを記憶してもよい。他の例示的側面では、メモリ305は、ブロックチェーン上で起動する少なくとも1つのDeFiアプリケーションを伴うブロックチェーンの少なくとも1つのコピーを記憶してもよい。また他の例示的側面では、メモリ305は、DeFiアプリケーションを介してブロックチェーンに提出され得る、資産(例えば、代替可能または非代替可能CIトークン、ステーブルコイン等)を記憶してもよい。他の側面では、メモリ305は、少なくとも1つの現在のCIスコアおよび予測されるサプライチェーン経路を記憶するように構成されてもよく、予測されるサプライチェーン経路および現在のCIスコアは、製品がサプライチェーンを横断する際にCIスコアを低減させるための知的MLベースの提案を発生させることに対する入力として使用される。メモリ305内に記憶され得るデータ、プログラム、およびデータベースのうちのいずれかが、データ収集モジュール315によって収集されたデータに適用されてもよい。
【0045】
メモリ305はまた、製品および製造/加工技法のある「状態」を記憶するように構成されてもよい。例えば、ある農場は、化石燃料に依拠する収穫技法を以前に利用していた場合がある(状態A)。農場が、化石燃料ではなく、再生可能エネルギー源に依拠するようにその収穫技法を変更する場合、その状態は、更新され、メモリ305内に記憶されてもよい(状態B)。さらに、メモリ305は、それらがサプライチェーンを通して移動する際、製品または複数の製品のCIスコアを記録するように構成される。サプライチェーンの各ステップにおいて、CIスコアが、捕捉および記録される。例えば、処理前および処理後のCIスコアが、各サプライチェーンステップにおいて捕捉されてもよく、これは、いったん最終消費者が最終製品を受け取ると、確定されたCIスコアを正確に検証するために使用されてもよい。確定されたCIスコアは、CIトークンに関する値を決定する際に使用されてもよい。CIトークンの値を正確に決定するために、本明細書に説明されるシステムは、来歴を確立するためにCIスコアの正確かつ検証可能な監査証跡に依拠してもよい。CIスコアの監査証跡は、メモリ305内に記憶されてもよく、例えば、メモリ305は、ブロックチェーンに付加される個々の不変のブロックとしてサプライチェーンの各ステップにおいて記録されるCIスコアを有する、ブロックチェーンのコピーを記憶してもよい。いくつかの実施例では、ブロックの不変性を確実にするために、各ブロックは、全ての要求される署名者によって署名(すなわち、合意/受諾)されなければならない。いったん全ての署名が集められると、ブロックは、関与した状態になってもよく、そのブロックへの入力は、(例えば、サプライチェーンにおいて)履歴的なものとしてマーキングされてもよい。CIスコアに加えて、農地の航空画像(例えば、エーカー数が増加または減少していないことを確実にするため)を含む、場所に関連する他のデータが、捕捉され、ブロックチェーン上に記憶されてもよい。
【0046】
データ収集モジュール315は、サプライチェーン内の少なくとも1つのプロセスと関連付けられるデータを収集するように構成されてもよい。例えば、データ収集モジュール315は、農家の栽培慣行、化石燃料対再生可能エネルギーの機械の使用、発酵技法、出荷プロセスに関与する車両のタイプ(例えば、それらが電気車両または燃焼機関駆動であるかどうか)、および同等物と関連付けられるデータを受信するように構成されてもよい。データ収集モジュール315によって受信され得る他の情報は、産物生産と関連付けられる場所、動作、生産、環境、社会、規定、産出、および/または財務実績データを含んでもよい。そのような情報は、クライアントデバイスおよび/または信頼される第3者ソースを通してデータ収集モジュール315によって自動的に受信されてもよい(例えば、農家が、農業技法に関するデータを第3者アプリケーションに入力し得、これは、次いで、データを記憶し、データをデータ収集モジュール315に伝送する、または代替として、データをデータ収集モジュール315を介した観察および分析のために利用可能にする)。データ収集モジュール315はまた、サプライチェーンにおける履歴プロセスと関連付けられる少なくとも1つのデータベースにクエリを行うように構成されてもよい。いくつかの実施例では、プロセスは、生産されている製品および/または産業に従ってカテゴリ化されてもよい。履歴プロセスは、サプライチェーンにおけるある参加者によって使用される離散的加工ステップおよび入力を含む、状態情報を含んでもよい。加えて、データベース内の履歴データは、サプライチェーンにおけるその時点で発生されたある製品のCIスコアを備えてもよい。データベースはまた、関連付けられる製品がサプライチェーンにおける異なるステップを通して流れるにつれてCIスコアが変化した様子を反映してもよい(例えば、サプライチェーンにおけるあるプロセスは、より低いCIスコアにつながった一方、サプライチェーンにおける他のプロセスは、CIスコアを増加させた)。そのようなサプライチェーンデータおよびCIスコアの履歴処理は、過去の参加者の加工方法(例えば、新しいタイプの発酵技法を適用すること、収穫のためにガスを動力とする機械類をEVを動力とする機械類と置き換えること等)からのCIスコアを低下させるための成功および失敗した試みの履歴傾向を備えてもよい。データ収集モジュール315はまた、サプライチェーン内のあるステップにおけるCIスコアに関するリアルタイム更新を受信するように構成されてもよい。例えば、製品が、サプライチェーンにおける後続ステップに移動した後、本ステータス更新は、ブロックチェーン上に記録されてもよく、新しいCIスコアが、製品に適用されたこれまでの加工ステップに基づいて記録されてもよい。製品が、サプライチェーンにおける新しいステップにおいて加工された後、新しいCIスコアが、データ収集モジュール315によって捕捉されたデータに基づいて、更新(およびブロックチェーン上に記録)されてもよい。同様に、CIスコアが、確定され、CIトークンを作成するために使用されるとき、CIトークンの値と関連付けられる情報(例えば、その製品のCIスコアが各ステップにおいて発展した様子を呈する、サプライチェーンを通した製品の加工ステップの完全な不変の監査証跡)は、ブロックチェーン上に記憶され、データ収集モジュール315によって受信されてもよい。
【0047】
例えば、ネットゼロ加工プラントは、(例えば、ブロックチェーン上の状態図内である状態において記録される)その入力に基づいて、特定のCIスコアを取得することが予期され得る。1つの事例では、ネットゼロプラントは、風力発電、廃水から現場で発生されるバイオガス(例えば、化石燃料ベースの天然ガスの使用および依拠を低減させるため)、同様に現場で発生されるバイオガスから発生される電気、現場に持ち込まれる再生可能天然ガス(現場で発生されるバイオガスと異なるCIスコアによって特徴付けられ得る)、グリッド電気、および化石燃料天然ガスを利用することが予期され得る。サプライチェーンにおける特定の段階におけるCIスコアに影響を及ぼし得る他の入力は、輸送方法、補助機器動作(トラクタ、ローダ等)、エレベータ動作、中間製品の輸送、最終製品の輸送等を含む。本ネットゼロプラントから生産され得るCIスコアは、前述のエネルギー入力のそれぞれの使用の範囲によって影響を受け得る。ネットゼロプラントに到着する商品の現在のCIスコアおよびサプライチェーンにおける後の段階における加工された商品の予想されるCIスコアに基づいて、エネルギー入力の特定の混合物が、エネルギー効率および経済的効率の両方を最大限にする(すなわち、炭素排出量および費用を平衡させる)CIスコアを生産するために、ネットゼロプラントにおいて決定されてもよい。
【0048】
代替として、データ収集モジュール315は、そのような情報を備える1つまたはそれを上回るデータソース(例えば、ネットワーク内の他のノード)に問い合わせる、または別様にそれからデータを求めてもよい。例えば、データ収集モジュール315は、コンテンツシステム、分配システム、マーケティングシステム、サプライチェーン参加者/実体/パートナープロファイルまたは選好設定、認証/認可システム、デバイスマニフェスト、または同等物等の1つまたはそれを上回る外部システム内のデータへのアクセスを有してもよい。具体的には、データ収集モジュール315は、履歴CIスコアデータおよび最新のCIスコアデータおよび分析(例えば、サプライチェーンにおけるあるプロセスを適用することの、特定の製品に関する予測CIスコアを含む、環境影響に関する分析)の少なくとも1つのデータベースへのアクセスを有してもよく、これは、本システムに、ある製品が次に出荷されるべきであるサプライチェーン内のステップに関して知らせ得、これは、製品のCIスコアに、そのCIスコアを低下させる、または代替として、他のプロセスを製品に適用することと比較してCIスコアの増加を限定する最も最適な機会を提供し得る。データ収集モジュール315は、APIまたは類似するインターフェースのセットを使用し、そのようなデータソースに要求を通信し、それから応答データを受信してもよい。少なくとも1つの実施例では、データ収集モジュール315のデータ収集プロセスは、データを収集するための具体的ユーザ要求(例えば、ユーザが、現在サプライチェーンを横断しているより大きい製品群のあるバッチの現在のCIスコアを把握することを所望する)に応答して、または1つまたはそれを上回る基準を満たすこと(例えば、製品に関する更新されたCIスコアが、CIスコアが特定の閾値を超えることを明らかにした後、プッシュ通知が、ある実体に送信される)に応答して、事前設定されたスケジュールに従ってトリガされてもよい。
【0049】
スマートコントラクトモジュール320は、データ収集モジュール315から(例えば、スプレッドシートフォーマット、データベーステーブル等において)データを受信するように構成されてもよい。スマートコントラクトモジュール320によって受信されたデータは、スマートコントラクトモジュール320が、サプライチェーンにおける実体と本明細書に説明されるシステムとの間の少なくとも1つのスマートコントラクトを構築することを可能にし得る。スマートコントラクトは、CIスコアを発生させるためのものであってもよい。したがって、例えば、スマートコントラクトの条件(すなわち、特定の着目製品および農家および/または農家の機器を監視するIOTデバイスによって提供される特定の入力に基づいてCIスコアを計算するための離散的公式)に同意するサプライチェーンにおける実体(例えば、農家)が、本明細書に説明されるCIスコア発生および追跡システムと契約を結び、発生されたCIスコアが正しいことに合意するであろう。例えば、スマートコントラクトモジュール320によって受信される初期データは、炭素強度(CI)を計算するための契約条件(すなわち、ルール)であってもよい。顧客によって要求されるある条件(例えば、スマートコントラクトは、顧客が最大CIスコア閾値を上回るある製品を自動的に拒否するための条件を含有し得る)等、付加的契約条件が、いくつかの事例では、提供されてもよい。そのような実施例では、不変のCIスコアを計算する契約条件は、付加的契約条件と明確に異なる。しかしながら、CIスコアの初期発生/計算は、ある付加的顧客特有のスマートコントラクト条件がトリガされるかどうかを決定する際に入力値として使用されてもよい。別の実施例では、供給業者および生産者は、特定の閾値を下回るCIスコアを示すある製品が、自動的に製品に関する割増料金をもたらすことに合意してもよい。CIスコアのスマートコントラクト計算に基づいて、ある供給業者は、製品のより低いCIスコア(すなわち、最終顧客に対してより価値がある製品)のため、最終製品に関してより高い価格を自動的に受け取ってもよい。実施例では、スマートコントラクト(例えば、ブロックチェーンの上でDeFiアプリケーションを介して動作する)は、サプライチェーンにおける実体によるあるプロセスおよび機械類の使用を監視する、第3者アプリケーションへのアクセスを有してもよい。あるプロセスおよび機械類の使用を監視することから受信される情報(データ収集モジュール315によって収集され、スマートコントラクトモジュール320に提供され得る)に基づいて、あるスマートコントラクト条件が、自動的にトリガされることができる。
【0050】
別の実施例では、スマートコントラクトモジュール320は、エスクロウォレットから最終顧客のウォレットへの(逆もまた同様である)資金の譲渡をトリガするように構成されてもよい。例えば、誤動作が、製品の配送において生じる場合、スマートコントラクトのルールは、ある額の資産(例えば、不換通貨、暗号通貨等)が供給業者のウォレットアドレスから最終顧客のウォレットアドレスに譲渡されることを要求してもよい。逆に、いったん製品が正常に配送され、特定のCIスコアで検証されると、スマートコントラクトモジュール320は、最終顧客から供給業者への自動的支払をトリガするように構成されてもよい。
【0051】
また別の実施例では、スマートコントラクトモジュール320は、炭素強度(CI)計算モジュール325と相互作用するように構成されてもよい。CI計算モジュール325は、ある農場、加工プラント、製造施設、包装供給業者等の状態情報等、サプライチェーンにおけるある参加者からのリアルタイム入力を受信するように構成されてもよい。そのような状態情報は、サプライチェーンにおけるある参加者が、サプライチェーンにおけるその段階において特定の製品を加工しようとしている方法に関する情報を含有してもよい。情報は、施設における機械類に動力供給するために使用されているエネルギーのタイプ、ある環境に配慮した技法が適用されているかどうか、耕作慣行、農薬(例えば、肥料、除草剤、殺虫剤等)の適用率、作物に適用される農薬のタイプ、土壌監査から(例えば、第3者監査者および/またはセンサから)導出される情報、および他の炭素オフセット測定値を含んでもよい。
【0052】
いくつかの実施例では、CI計算モジュール325は、CIスコアを計算するための規制および標準化アルゴリズムと組み合わせて、サプライチェーンにおける参加者からの入力に基づいて、CIスコアを計算するように構成されてもよい。当業者は、CIスコア計算が、管轄区域に従って標準化されることを理解するであろう。例えば、米国のCalifornia州は、全燃料ライフサイクルの間に排出される温室効果ガスの集約的量を推定するための分析方法である、ライフサイクル分析に従ってCIスコアを計算する。GHGプロトコルは、製品の機能エネルギー単位あたりのCO排出量としてCIスコアを計算する。環境保護庁は、温室効果ガス等量計算機(例えば、CA.GREET 3.0)を利用する。他の管轄区域および機関は、エネルギーの英国熱量単位(Btu)あたりの炭素の重量として炭素強度を測定する。CIを計算するさらなる実施例は、California州、国際民間航空機関(ICAO)、および欧州連合(例えば、再生可能エネルギー指令(REDおよびREDII))等のある管轄区域および実体によって実装されるGREETモデル変形例を含む、アルゴンヌ国立研究所のGREETモデルを含む。前述の計算方法論はそれぞれ、前提における差異を有し、炭素クレジットが炭素市場を横断して等しく取引されることを可能にし得ない。
【0053】
CI計算モジュールは、スマートコントラクトモジュール320からのある契約条件が、CIスコアがCI計算モジュール325によって計算される方法を決定し得るため、スマートコントラクトモジュール320と通信するように構成されてもよい。例えば、スマートコントラクトモジュール320は、サプライチェーンにおける参加者からのいかなる入力も伴わないあるアルゴリズムを含有してもよいが、CI計算モジュール325は、(データ収集モジュール315を介して)それらの入力を受信し、特定の製品に関するCIスコアを発生させる(および/または更新および/または確定する)ために、スマートコントラクトモジュール320において定義されたアルゴリズム条件と併せてそれらの入力を使用してもよい。
【0054】
スマートコントラクトモジュール320およびCI計算モジュール325は、機械学習(ML)提案モジュール330と通信する(逆もまた同様である)ように構成されてもよい。ML提案モジュール330は、具体的には、参加者が将来の製品のCIスコアを低減させるためにその加工方法を改変し得る方法に関連する、サプライチェーンにおけるある参加者への知的な機械学習モデル駆動型提案を提供するために、スマートコントラクトモジュール320およびCI計算モジュール325によって提供される情報に依拠してもよい。代替実施形態では、ML提案モジュール330は、製品が次に送られるべきであるサプライチェーンにおける参加者に関するリアルタイム提案を本システムに提供してもよい。例えば、サプライチェーンにおけるステップ番号3において、製品が、プラントAまたはプラントBにおいてさらに加工され得る。製品の現在のCIスコアおよび履歴CIスコアおよびプラントAおよびプラントBからの状態情報に基づいて、ML提案モジュール330は、一方のプラントが、他方のプラントよりも現在の時点でその特定の製品に関してより低いCIスコアを生産する可能性がより高いという予測出力に基づいて、製品が加工のために次に出荷されるべきであるプラント(プラントAまたはプラントB)を本システムに知的に提案してもよい。
【0055】
ML提案モジュール330は、最終製品に関するより低いCIスコアを達成するために、それらをより生態系に配慮したものにするための微調整、代用、および改良プロセスに関してサプライチェーンにおける参加者および関係者に直接提案を提供することによって、サプライチェーンを最適化する(すなわち、CIスコアを低下させる)方法に関する知的提案を自動的に行うように構成されてもよい。手動でサプライチェーンの調節を行うことを試みる(典型的には、全体としてのサプライチェーンの不十分な情報を伴う)のではなく、ML提案モジュール330は、少なくとも2つのタイプの設定において、すなわち、(i)過去の実績インジケータ(例えば、サプライチェーンにおけるある機械類および参加者の動作についての現在のデータを反映する状態情報)に基づいてサプライチェーンにおけるある参加者に、および(ii)ある製品がその現在のCIスコアに基づいて次に加工されるべきである場所(例えば、ある加工プラントは、別のプラントよりも生態系に配慮し得、現在の製品のCIスコアは、ある閾値にあるため、製品は、製品のCIスコアが閾値を超えないことを確実にするために、より生態系に配慮したプラントにおいて加工される必要がある)に関してサプライチェーンオペレータ/制御者に、知的提案を自動的に行ってもよい。そのような決定は、データ収集モジュール315から受信され、ML提案モジュール330に供給され得る、現在のCIスコア、サプライチェーンにおけるある参加者と関連付けられる履歴データ、予算制約、最終顧客の要求等に従って行われてもよい。
【0056】
一実施例では、ML提案モジュール330は、入力(例えば、肥料、殺虫剤等)のある代用および適用率、出荷の集約およびタイミング(例えば、サプライチェーンにおける特定の段階において必要な入力をより経済的かつ効率的に配送するため)、輸送方法および経路指定の最適化、顧客のローテーション(例えば、貯蔵寿命に基づいて特定の共産物/副産物の配合を助長するため)を提案してもよい。言い換えると、サプライチェーンにおける関係者は、ML提案を受け取り、その出荷方法論の改変、製品を出荷する際に使用されるその燃料選択の変更、その肥料の銘柄の変更、特定の作物に適用される殺虫剤の適用率および量の変更等を行ってもよい。
【0057】
いくつかの側面では、ML提案モジュール330は、パターン認識器を伴って構成されてもよく、パターン認識器は、あるパターン(例えば、ある入力が、典型的には、CIスコアをX%低減させる、ある入力が、典型的には、CIスコアをY%増加させる等)を識別するために、ある履歴傾向を理解し得る。ML提案モジュール330内のパターン認識器は、2つのモード、すなわち、訓練モードと、処理モードとを有してもよい。訓練モードの間、パターン認識器は、1つまたはそれを上回るMLモデルを訓練するために、ある製品のCIスコアに影響を及ぼすことが証明されている識別された入力を使用してもよい。いったん1つまたはそれを上回るMLモデルが訓練されると、パターン認識器は、処理モードに入ってもよく、入力データは、パターン認識器における訓練されたMLモデルに対して比較される。パターン認識器は、次いで、サプライチェーンにおけるある入力が特定の製品に関するCIスコアを増加させるか、または減少させるかのいずれかであろう信頼度を表す信頼度スコアを生産し、高い信頼度スコアは、その特定の入力が(負または正のいずれかで)CIスコアに影響を及ぼす可能性がより高いことと関連付けられてもよい。他の側面では、訓練モードの間、パターン認識器は、1つまたはそれを上回るMLモデルを訓練し、ある入力がCIスコアを増加させる、またはCIスコアを減少させる(またはCIスコアに対していかなる効果も及ぼさない)であろうことを示唆する、あるデータ点を区別するために、履歴サプライチェーンにおける同様の立場の参加者からの異なるタイプの加工、製造、包装、農業、出荷等の入力を使用してもよい。例えば、再生可能エネルギー源によって動力供給される機械類を実装する農家は、本特定の農家の技法がある製品のCIスコアを低下させるであろうという高い信頼区間をもたらし得る一方、その機械類に動力供給するために化石燃料を使用する農家は、ある製品のCIスコアを増加させる高い信頼区間を有するであろう。
【0058】
ML提案モジュール330は、少なくとも1つの機械学習モデルを伴って構成されてもよい。いくつかの側面では、データ収集モジュール315によって収集されたサプライチェーン参加者データから抽出されたサプライチェーンプロセスおよび特徴は、訓練モードの間にパターン認識器と関連付けられる少なくとも1つの機械学習モデルを訓練するために使用されてもよい。例えば、機械学習モデルを訓練するために、抽出および識別されたサプライチェーン参加者プロセスは、増加されたCO排出量、化石燃料使用、有害廃棄物等の具体的リスク識別子と関連付けられてもよい。ML提案モジュール330のパターン認識器は、限定ではないが、他の機械学習アルゴリズムの中でもとりわけ、線形回帰、ロジスティック回帰、線形判別分析、分類および回帰木、ナイーブベイズ、k最近傍、学習ベクトル量子化、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン(SVM)、バギングおよびランダムフォレスト、および/またはブースティングおよびAdaBoostを含む、少なくとも1つの機械学習モデルを訓練するための種々の機械学習アルゴリズムを利用してもよい。前述の機械学習アルゴリズムはまた、入力データをすでに訓練された機械学習モデルと比較するときに適用されてもよい。識別および抽出されたサプライチェーン参加者特徴およびパターンに基づいて、パターン認識器は、少なくとも1つの機械学習モデルを訓練するためにサプライチェーンデータに適用するべき適切な機械学習アルゴリズムを選択してもよい。例えば、サプライチェーン特徴およびプロセスが、複雑であり、非線形関係を実証する場合、パターン認識器は、機械学習モデルを訓練するために、バギングおよびランダムフォレストアルゴリズムを選択してもよい。しかしながら、サプライチェーン特徴およびプロセスが、ある製品に関するCIスコアのある増加または減少に対する線形関係を実証する場合、パターン認識器は、機械学習モデルを訓練するために、線形またはロジスティック回帰アルゴリズムを適用してもよい。
【0059】
通信モジュール335は、遠隔サーバを用いて、または1つまたはそれを上回るクライアントデバイス、ストリーミングデバイス、サーバ、ブロックチェーンノード、IOTデバイス等を用いて、情報(例えば、データ収集モジュール315、スマートコントラクトモジュール320、CI計算モジュール325、およびML提案モジュール330によって収集される)を送信/受信することと関連付けられる。これらの通信は、Bluetooth(登録商標)、WiFi、WiMax、セルラー、シングルホップ通信、マルチホップ通信、専用狭域通信(DSRC)、または独自の通信プロトコル等の任意の好適なタイプの技術を採用することができる。いくつかの実施形態では、通信モジュール335は、データ収集モジュール315によって収集され、スマートコントラクトモジュール320およびCI計算モジュール325(およびML提案モジュール330)によって処理された情報を送信する。さらに、通信モジュール335は、スマートコントラクトモジュール320からのスマートコントラクトのある条件、CI計算モジュール325からの計算されたCIスコア、およびML提案モジュール330に基づく自動的サプライチェーンプロセス改良をクライアントデバイスに通信するように構成されてもよい。加えて、通信モジュール335は、製品がサプライチェーンにおけるあるステップにおいて加工を完了した後、更新されたCIスコアをクライアントデバイスに通信するように構成されてもよい。通信モジュール335はまた、農場から最終製品までの製品と関連付けられるCIスコア発展の完全な監査証跡を通信するように構成されてもよい。通信モジュール335はまた、CIスコアと関連付けられる値を通信してもよく、値は、炭素クレジット市場における第3者によって交換可能であり得る(取引、購入、および売却される)CIトークン内に捕捉されてもよい。
【0060】
図4は、CIスコアを自動的に発生させ、追跡するための例示的方法を図示する。方法400は、ステップ402から開始され、スマートコントラクト条件を受信する。ステップ402におけるスマートコントラクト条件は、CIスコアを計算するためのアルゴリズムを定義してもよい。CIスコアに関する計算は、製品のタイプ、製品の量、サプライチェーン全体を通した関係者からの入力、および生産プロセスの生態系配慮およびそのCO排出量の範囲を計測する他の入力変数に依存し得る。
【0061】
他の実施例では、ステップ402において受信されたスマートコントラクト条件は、最終製品の最終的なCIスコアと直接相関する価格調節を含み得る、顧客特有の条件を備えてもよい。他の例示的条件は、より低いCIスコアに関して割増価格を支払うことと、最終製品が、あるCIスコア閾値を超える場合、最終製品の所有権を拒否することとを含んでもよい。いくつかの事例では、スマートコントラクトは、サプライチェーンを通した製品の工程の間に達成(または逸失)されるあるCIスコアマイルストーンに基づいて、最終顧客が、供給業者への支払を段階的に送金するように設定されてもよい。本ペイパーステップ環境では、供給業者に送金される支払は、サプライチェーンにおいて各ステップが炭素集約的である程度に基づくことができる。標準的な契約では、支払構造が、ペイパーステップ構造として設定された場合、支払の送金およびサプライチェーンにおける各プロセスの手動監視が、規定された条件と同程度に高頻度において行われる必要性があるであろう。そのような手動契約の日常的な監視であっても、当事者にとって実行することが実行不可能かつ煩雑であろう。しかしながら、スマートコントラクトでは、条件は、当事者が所望するであろうものと同程度に高頻度において自動実行されることができる。例えば、60秒毎に、本システムは、特定の製品の加工ステップを監視し、その時点でプロセスによって受信されたデータに基づいて、資産をエスクロウォレット(最終顧客によって預けられた資産を表す)から供給業者/売り手のウォレットに譲渡し得る。いかなる仲介業者(例えば、銀行、金融機関)も、要求されない。
【0062】
いったんスマートコントラクト条件が、ステップ402において本システムによって受信されると、スマートコントラクトは、ステップ404において構築されてもよい。ここでは、スマートコントラクトは、売り手と買い手との間で合意された規定されたルールに従って、ブロックチェーン上で自動的に展開されてもよい。
【0063】
ステップ406において、本システムは、サプライチェーンにおけるステップから入力データを受信してもよい。例えば、サプライチェーンにおけるステップ番号1において、本システムは、農家の収穫技法に関するデータを受信し得る。着目製品が、トウモロコシである場合、農家がトウモロコシを収穫するために展開している機械類のタイプ、農家がトウモロコシに適用した殺虫剤(該当する場合)、およびトウモロコシが生育される土壌組成に関するある入力が、本システムによって受信されてもよい。そのような入力は、サプライチェーンにおける農家の「状態」として捕捉されてもよい。本状態データは、ステップ406において本システムによって受信されてもよい。状態データは、農家のプロセスが更新されるにつれて、更新されてもよい。例えば、農家が、それらの慣行(例えば、耕作技法)、土壌組成を変更した、または異なるタイプの殺虫剤をトウモロコシに適用した場合、そのような更新は、更新された「状態」データブロックにおいて反映されてもよい。
【0064】
いったんデータが、ステップ406において本システムによって受信されると、本システムは、408において入力データを分析してもよい。そのような分析は、入力データを(ステップ402において受信された)スマートコントラクト条件によって規定されたある公式と比較するステップを含んでもよい。さらに、本システムは、サプライチェーンにおけるその特定の関係者および他のサプライチェーンにおける同様の立場の関係者に関連する履歴データを考慮してもよい。そのような分析は、本システムに、本システムがサプライチェーンステップ番号1におけるステップ406において受信された入力データを比較し得るベンチマークを提供し得る。
【0065】
入力データがステップ408において分析された後、初期炭素強度(CI)スコアが、ステップ410において発生されてもよい。初期CIスコアは、スマートコントラクト条件およびサプライチェーンステップ番号1において受信された入力データの組み合わせの出力であってもよい。本初期CIスコアは、ステップ412においてブロックチェーン上に記憶および記録されてもよく、他の利害当事者は、CIスコアおよびCIスコアに関する論拠(すなわち、サプライチェーンにおける特定の参加者によって受信され、CIスコア公式およびスマートコントラクト条件に提供される入力データ)を閲覧することが可能であり得る。
【0066】
製品が、サプライチェーンを横断し続けるにつれて、その製品のCIスコアは、更新されてもよい。サプライチェーンを通して横断する「製品」は、製造されている単一の製品または製品のまとまりを指し得る。あるCIスコア公式は、単一の製品に適用されてもよい一方、他のCIスコア公式は、まとめられた製品に適用されてもよい。製品が、サプライチェーンにおける次のステップに入る際、本システムは、方法400におけるステップ414において次のサプライチェーンステップ(例えば、サプライチェーンステップ番号2、ステップ番号3、...ステップ番号N等)において入力データを受信する。ステップ406に関して言及されるように、受信されたデータは、サプライチェーンにおける参加者のプロセスに関する状態情報を備えてもよい。関係者自身(または信頼される第3者、例えば、監査者)によって記録され得る状態情報に加えて、本システムはまた、加工が行われているある機械またはエリアに取り付けられ得る事前配設されたIOTデバイスから情報を受信してもよい。例えば、IOTデバイスは、機械から排出されるある排空気を測定する、二酸化炭素計であり得る。二酸化炭素IOTデバイスによって捕捉されたデータは、分析のために本システム(例えば、データ収集モジュール315)に提供されてもよい。別の実施例では、IOTデバイスは、加工施設内に配設されるカメラであり得、カメラは、ある機械に動力供給するために使用される電源のタイプを捕捉するように構成される。例えば、サプライチェーンにおけるある参加者が、バッテリにおける電力を使い果たした場合、参加者は、製品を加工し続けるために、その日に関して化石燃料に頼る必要があり得る。そのような逸脱は、IOTデバイス(例えば、カメラ、機械監視デバイス、バッテリ電力を監視するデバイス等)によって捕捉されてもよい。サプライチェーンにおけるこれらの日々の変化は、サプライチェーンにおける各ステップにおいて製品に割り当てられるCIスコアが、これがサプライチェーンを横断する際の製品の加工/製造の環境影響の正確な表現であるように、本明細書に説明されるシステムによって正確に捕捉されてもよい。
【0067】
データがステップ414において本システムによって受信された後、入力データは、ステップ416において分析される。ステップ408と同様に、入力データは、スマートコントラクトの条件に対して比較され、CIスコアが、計算されてもよく、他の顧客特有の条件が、並行して考慮されてもよい(例えば、部分的な支払の出金、通知のトリガ等)。入力データおよびスマートコントラクト条件に基づいて、その製品に関するCIスコアは、ステップ418において更新されてもよい。更新されたCIスコア(「中間CIスコア」とも称される)は、利害当事者が閲覧、監査、および検証するための付加されたブロックとして、ステップ420においてブロックチェーン上に記憶されてもよい。
【0068】
図5は、ブロックチェーン上でCIスコアを確証するための例示的方法を図示する。方法500は、ステップ502から開始され、CIスコアを検証するための要求を受信する。ブロックチェーンの上で起動するアプリケーション(例えば、DeFiアプリケーション)が、ユーザに、ある製品のCIスコアを要求および検証するためのインターフェースを提供してもよい。例えば、最終顧客が、あるCIスコアを有すると宣伝される特定の製品が、ブロックチェーン上に記録されたCIスコアとダブルチェックすることによって、実際にそのCIスコアを有することを検証することを所望し得る。本システムは、ステップ502において要求を受信してもよく、ステップ502において要求を受信することに応じて、本システムは、ステップ504においてブロックチェーンにクエリを行ってもよい。いくつかの例示的側面では、認証層が、ステップ504においてブロックチェーンにクエリを行うことに先立って適用され、認可されたユーザがCIスコアに関してクエリを行うことが可能であることを確実にしてもよい。そのような認可層はまた、公衆がCIスコアに関してブロックチェーンにクエリを行い得る、自由参加型ブロックチェーンネットワークとは対照的に、許可型ブロックチェーンネットワークの拡張機能であってもよい。
【0069】
いったんブロックチェーンがステップ504においてクエリを行われると、CIスコアが、ステップ506において本システムによって受信されてもよい。ブロックチェーン内の特定のブロックからのCIスコアは、確証され、不変であろう。CIスコア結果は、ステップ508において検証者に提供されてもよい。随意に、本システムは、ステップ510において検証者からアクション応答を受信してもよい。いくつかの実施例では、検証者は、CIスコアを伴うある製品を購入することを検討する最終顧客であり得る。例えば、本システムがステップ510において検証者から受信し得るアクション応答は、購入アクションである。別の実施例では、検証者は、ある宣伝されたCIスコアが、ブロックチェーン上の確証されたCIスコアに対応することを検証する、政府規制当局であり得る。確証されたCIスコアが、宣伝されたCIスコアと異なる場合、検証者は、その特定の製品のCIスコアを疑わしいものとしてフラグ付けしてもよい。CIスコアを疑わしいものとしてフラグ付けすることは、ステップ510において本システムによって受信されるアクション応答であってもよい。
【0070】
また他の実施例では、検証者は、CIトークンを売買することを所望し得る。CIトークンの値を検証するために、検証者は、確証されたCIスコアを要求してもよい。例えば、CIトークンを購入しようとする検証者は、最初に、特定のCIトークンに対するデューデリジェンスに従事し、ブロックチェーンにクエリを行い、結果を受信することによってその値を検証してもよい(ステップ502-508)。検証者に提供されたCIスコアに基づいて、検証者は、その基礎となる製品と連携するCIスコアと関連付けられるCIトークンの購入に従事してもよい。ステップ510におけるアクション応答は、取引所でCIトークンを購入する、売却する、および/または取引することであってもよい。
【0071】
図6は、CIスコアを減少させるための知的提案を提供するための例示的方法を図示する。方法600は、本明細書に説明される、CIスコアを発生させ、追跡する自動化システムへの人工知能(AI)および機械学習(ML)モデルの適用を対象とする。方法600は、ステップ602から開始され、入力データが、サプライチェーンにおけるあるステップ(サプライチェーンステップN(「N」は、数字の代用語である))において受信される。図4に説明される方法と同様に、本入力データは、そのステップにおいて行われる加工を特徴付ける、サプライチェーンにおける任意の関係者/参加者からのデータであってもよい。例えば、本入力データは、状態情報の形態であり得、農家の収穫技法のある特性(例えば、耕作、使用される機械類のタイプ、燃料消費、水使用、殺虫剤使用等)が、捕捉される。他の入力データが、入力データを自動的に測定および分析する、ある機械上およびある環境内に配設されるIOTデバイス(例えば、CO排出量測定デバイス、カメラ等)から受信されてもよい。本データは、ステップ602において本システムによって受信されてもよい。いくつかの実施例では、入力データは、炭素排出量を減少させることがすでに検証されている活動/入力のリストを備えてもよい。
【0072】
ステップ602における入力データの受信に続いて、炭素強度(CI)スコアが、ステップ604において発生および/または更新される。サプライチェーンにおけるステップNが、ステップ番号1である場合、これが、CIスコアを発生させるために要求される、本システムに入力される最初のサプライチェーン加工情報であるため、CIスコアが、発生されるであろう。ステップNが、例えば、ステップ番号3である場合、少なくとも2つのこれまでの中間CIスコアが、すでに計算されており、したがって、ステップ番号3における製造/加工データの結果は、更新されたCIスコア(例えば、中間CIスコア番号3)をもたらすであろう。前述で説明されるように、CIスコア計算技法は、当事者の間で交渉されたスマートコントラクトの条件に依存する。そのようなスマートコントラクト条件は、業界標準および/または規制機関(例えば、政府)に基づき得る、CIスコアを導出するための計算公式を含んでもよい。
【0073】
CIスコアがステップ604において発生/更新された後、CIスコアは、ステップ606においてブロックチェーン上に記録される。CIスコアは、図4の方法400に関して説明されるように、ブロックチェーンに付加される新しいブロックとして記録されてもよい。方法600は、次いで、随意のステップ608に進んでもよく、サプライチェーンステップN+1(「N」は、数字を表す)と関連付けられるデータが、本システムによって受信される。ステップN+1は、サプライチェーンにおけるステップNの後続ステップである。ステップ608において受信されるデータは、サプライチェーンにおけるステップN+1において製品に適用される加工方法および技法と関連付けられる入力データである。前述で説明される同一のタイプの入力データが、ここでは収集されてもよい。さらに、ステップNおよびステップN+1におけるサプライチェーンにおける参加者は、同一の参加者(例えば、関係者によって管理される異なる施設)であってもよい、またはそれらは、異なる参加者であってもよい(例えば、ステップNは、農家であり、ステップN+1は、最初の加工プラントである等)。
【0074】
いったん入力データがステップ608において受信されると、データは、ステップ610において少なくとも1つの機械学習(ML)モデルに提供されてもよい。ステップ610における本分析機能性は、図3の入力プロセッサ300に関して詳細に説明される。前述で説明されるように、入力データは、サプライチェーンにおける参加者および類似するサプライチェーンにおける同様の立場の参加者(例えば、同業参加者)の履歴データに対して比較されてもよい。比較データはまた、ステップ610においてMLモデルによって考慮されてもよい。MLモデルは、ある製品のCIスコアに影響を及ぼすある傾向および入力を識別し得る、少なくとも1つのパターン認識器を装備する。
【0075】
MLモデル分析の出力は、ステップ612において発生される、知的提案である。知的提案は、サプライチェーンにおける参加者(または第3者オペレータ/制御者)に、将来的にCIスコアを潜在的に低下させ得る、ある製造/加工変更を提案してもよい。具体的には、例えば、サプライチェーンにおけるステップN(またはステップN+1)を完了した後、製品がその中間CIスコアを受け取った後、MLモデル出力は、サプライチェーンを通した将来の反復においてより低いCIスコアを潜在的に取得するために、そのプロセスを微調整するための提案をサプライチェーンにおけるその参加者に提供してもよい。
【0076】
代替として、MLモデルは、サプライチェーンにおける次のステップに関する知的提案を発生させてもよい。例えば、現在のCIスコアと関連付けられるデータを受信した後、ステップ612においてMLモデルによって発生された知的提案は、サプライチェーンにおいて次に製品を送るべき場所をサプライチェーン参加者(および/またはオペレータ、制御者等)に提案してもよい。例えば、サプライチェーンにおける複数の参加者が、サプライチェーンにおける次のステップにおいて製品を受け取り、加工するために利用可能である場合、本明細書に説明されるシステムは、これらの参加者のそれぞれを分析および査定し、現在の製品のCIスコアに基づいて、現在の製品のために最も最適である参加者を決定してもよい。一実施例では、サプライチェーンにおける参加者Aが、その加工技法において最先端の環境に優しい技術を展開している場合があり、それによって、より低いCIスコアが、加工のために化石燃料ベースの機械類を適用している場合がある参加者Bよりも取得される可能性が高い。サプライチェーンにおけるあるステップにおける製品のCIスコアが、ある閾値を上回る場合、MLモデル出力は、製品がサプライチェーンにおける次のステップに関して(参加者Bの代わりに)参加者Aに提供されることを知的に提案してもよい。逆に、現在のCIスコアが、すでに十分に低い場合、MLモデルは、他の理由の中でもとりわけ、参加者Bが、参加者Aよりも安価な加工費用を有し得、参加者Bは、CIスコアを増加させる可能性がより高いであろうが、増加(参加者Bからの履歴データに基づく)は、製品の最終スコアに実質的に影響を及ぼすほど十分ではないであろうため、製品が(参加者Aの代わりに)参加者Bに提供されることを知的に提案してもよい。
【0077】
いったん知的提案がステップ612において発生されると、提案は、ステップ614において、サプライチェーンにおける参加者、サプライチェーンのオペレータ/制御者、売り手、買い手、および/またはサプライチェーンの現在の状態およびサプライチェーンを横断するある製品の現在の中間CIスコアに基づく知的提案を受け取ることから利益を享受するであろう任意の他の関係当事者および利害当事者に提供されてもよい。
【0078】
図7は、CIスコアを自動的に発生させ、追跡するための例示的環境を図示する。環境700は、農場702と、貯蔵ビン704と、加工プラント706と、ドック708とを備える。図7に図示される例示的環境では、農場における入力は、肥料と、殺虫剤と、燃料と、耕作とを備える。農場702におけるこれらの入力はそれぞれ、関連付けられるCIスコアを有する。これらのCIスコアは、農場702において使用されるべき製品(またはプロセス)として事前定義されてもよい。例えば、農場が使用する最終製品の肥料は、その製造プロセスの間に最終CIスコアを受け取っている場合がある。本最終CIスコアは、ここではサプライチェーンにおける最初のステップとして参照されてもよい。
【0079】
加えて、農場702において、異なる「農場」は、土壌差異、燃料可用性、耕作差異等に基づく異なる計算を有し得る。いくつかの実施例では、複数の農場が、各個々の農場の一意の入力(例えば、肥料、殺虫剤、燃料、耕作等)に基づいて、異なるCIスコアを受信し得る。これは、初期の農場702の下方の農場2、3、4...の群化によって図示される。
【0080】
いったん製品(例えば、大量のトウモロコシ)が収穫され、貯蔵ビンの中に設置されると、集約的CIスコアが、ビンに割り当てられてもよく(または代替シナリオでは、サプライチェーンにおけるCIスコアを操作するためにビン内の実際の商品を不正に置き換えないように防止するように、大量のトウモロコシに直接割り当てられる)、これは、ビン704において反映される。ビン704は、肥料、殺虫剤、燃料等の入力を含有する、製品に割り当てられる単一のCIスコアを示す。同様に、農場2-4等に関して、製品は、ビン段階において集約的CIスコアを受け取ってもよい。
【0081】
ビン704(例えば、大量のトウモロコシ)に続いて、製品は、次いで、加工プラント706に運送される。加工プラント706において、ガス、電気、水(HO)等の付加的入力が、製品の生産に帰属する。これらの入力は、所与の時点で生産される燃料に関する加工プラントからの派生的CIスコアを決定する際に測定および分析される。前述で説明されるように、CIスコア公式は、サプライチェーンにおけるその特定のステップに関するCIスコアを決定する際、加工プラントによって使用される水の量、機械類がガスまたは電気を介して動力供給されるかどうか等の異なる因子を考慮してもよい。
【0082】
製品(例えば、トウモロコシ)が加工プラント706において加工された後、生産され得る最終製品は、それぞれ、個々のCIスコアを受け取ってもよい。例えば、トウモロコシ加工の共産物/副産物は、エタノールアルコール、イソブタノール、イソオクタン、ジェット燃料、DDG(乾燥蒸留穀粒、すなわち、高タンパク質飼料)、油等であってもよい。これらの製品はそれぞれ、加工プラント706において適用される一意の加工要件を有する。したがって、これらの副産物はそれぞれ、それらが製造された方法に基づいて、一意のCIスコアと関連付けられるであろう。いくつかの実施例では、CIスコアはまた、これが消費されるときに副産物が生態系に配慮する程度を示してもよい。例えば、エタノールベースのガソリンを燃焼させることは、ジェット燃料を燃焼させることよりも少ないCO排出量を生産するため、エタノールは、ジェット燃料と比較してより低いCIスコアを有し得る。他の事例では、エタノールは、ジェット燃料よりも高いCIスコアを有し得る。
【0083】
加えて、各共産物および/または副産物(エタノール、イソブタノール、イソオクタン等)のCIスコアは、中間CIスコアをともに加算し、合計する、チェックサム機能を使用して検証されてもよい。例えば、最終CIスコアは、サプライチェーンにおける各ステップを通して製品に割り当てられた各中間CIスコアの合計であってもよい。具体的には、農場702において入力される各コンポーネントと関連付けられるCIスコアは、ビン704におけるCIスコアに合計されてもよい。ビン704における集約的な中間CIスコアは、次いで、加工プラント706において利用されるガス、電気、水等の量と関連付けられるCIスコアに加算されてもよい。他の実施例では、サプライチェーンにおける各ステップは、最終CIスコアを取得するために、最終サプライチェーンステップにおいて合計されるであろうその独自の付加的CIスコアを生産してもよい。本事例では、チェックサム機能は、これまでのCIスコア(ブロックチェーン内のブロックとして記憶される)を参照し、最終CIスコアが全てのこれまでの中間CIスコアの合計であることをチェックすることができる。最終的に、燃料製品のカーボンフットプリントを記述(および保証)する、持続可能性証明書が、発行されてもよい。
【0084】
図8は、サプライチェーンに沿ってCIスコアを自動的に発生させ、追跡するために使用される、例示的入力および出力を図示する。環境800は、トウモロコシおよびその潜在的共産物および副産物に関する加工ステップを図示する、例示的サプライチェーンである。前述で説明されるように、サプライチェーンにおける各離散的ステップは、CIスコア(中間CIスコア)を割り当てられてもよい。最終共産物/副産物は、(図7に説明される)チェックサム機能を適用することによって、ブロックチェーン上にブロックとして記憶されるこれまでのCIスコアを合計することによって検証され得る、最終的な確証されたCIスコアを受け取ってもよい。ここでは、環境800では、初期入力は、水と、エネルギーと、栄養素と、殺虫剤とを含む。初期入力の共産物は、トウモロコシ栽培に関する低減された耕作からの節約であってもよい。低減された耕作からの節約は、図8に図示されるサプライチェーンにおけるトウモロコシ栽培ステップにおけるより低いCIスコアにつながり得る。トウモロコシ栽培ステップに続いて、トウモロコシは、次いで、本実施例では、ビンの中に設置され、生産施設に輸送される。アルコール生産施設において、より多くの水およびより多くのエネルギーが、サプライチェーンにおけるプロセスへの入力として追加され得る。アルコール生産ステップからの例示的共産物は、トウモロコシ油、乾燥蒸留穀粒(DDGS)、イソブタノール、エタノール等であってもよい。各共産物は、サプライチェーンにおけるこれまでのステップからのこれまでのCIスコアの合計に基づくCIスコアを割り当てられてもよい。環境800からの実施例では、生産ステップからの製品のうちの1つは、輸送において使用され得る、イソブタノールである。イソブタノールはまた、炭化水素燃料および他の化学製品を製造するための原料としての役割を果たし得る。さらに、サプライチェーンにおける生産ステップからの他の製品は、サプライチェーンにおける炭化水素転化加工ステップに送られてもよい。再び、本ステップにおいて、より多くの水およびエネルギーが、そのステップに入力され得る。炭化水素転化ステップの出力は、ジェット燃料、ガソリン、ディーゼル、およびバンカー燃料等の炭化水素燃料であってもよく、炭化水素燃料製品は、最終製品(例えば、ジェット燃料)に関する最終的な確証されたCIスコアを取得するためにこれまでの中間CIスコアをともに加算することによって確証および監査され得るCIスコアを割り当てられるであろう。他の例示的側面では、化学副産物は、イソブチレン、パラキシレン、イソオクタン、および/または他の炭化水素ベースの化学製品を含んでもよい。
【0085】
前述で言及されるように、CIスコアは、ブロックチェーン上に記憶されてもよく、中間CIスコアと関連付けられるデータを含有する参照ノードにポイントするノードのブロックチェーン台帳を見ることによって、完全に監査可能であってもよい。
【0086】
図9は、CIスコアを自動的に発生させ、追跡するために使用される、例示的状態図を図示する。環境900は、例示的サプライチェーン(例えば、図8に図示されるサプライチェーン)における異なる参加者/関係者の異なる状態を図示する。図9の本実施例では、2つの農場状態、すなわち、農場状態902および農場状態904が、表示される。各農場状態は、他のオブジェクトの中でもとりわけ、識別子、生産物産出量、水分含有量、播種材料、肥料殺虫剤、他の肥料、殺虫剤、エネルギー消費、および合計排出量等のオブジェクトを含む。これらのオブジェクトはそれぞれ、CIスコア計算公式への入力として使用される。燃料関連、バイオガス、風力、太陽光、水素、水、農場関連(例えば、肥料タイプ、除草剤、殺虫剤、農場内部のライフサイクル最適化、水使用、地下水保護等)、および/または化学/材料資産等、任意の資産(例えば、出力)が、本明細書に説明される分散型台帳技術システムおよび方法を通して追跡されてもよい。例えば、より高いtotalEmissionsオブジェクトは、農場状態902のCIスコアを増加させ得る一方、農場状態904におけるより低いtotalEmissionsオブジェクトは、CIスコアを減少させ得る。図9に描写されるように、サプライチェーンにおける各参加者の状態は、経時的に変化し得る。例えば、農場が、その機械類または耕作プロセスをアップグレードする場合、農場状態902は、農場状態904に更新されてもよい。各状態は、その現在の状態を反映する一意のプロパティを備えてもよい。いったん新しい状態が作成されると、これは、リンクされた状態と関連付けられるある識別子のリストを含有してもよい。例えば、PlantStateは、それから製品(例えば、トウモロコシ)が収穫された識別子のリストを含有してもよく、製品は、以前の状態に遡るようにポイントするソース識別子を有してもよい。
【0087】
ある製品が、サプライチェーンにおいてステップからステップに運送および加工されるにつれて、各参加者のより多くの状態が、記録され、相互にリンクされる。例えば、製品が、農場から出荷企業に配送されるとき、配送状態(例えば、CornDeliveryState)が、作成されてもよい。CornDeliveryStateデータブロックは、ID、配送元、CIスコア、タイムスタンプ、および所有者等のオブジェクトを含んでもよい。一例示的側面では、トウモロコシが、サプライチェーンにおける1つのステップ(例えば、農場)から次のステップ(例えば、出荷業者)に移動されるとき、CIスコアが、更新され、および/または割り当てられる。図9に図示されるように、CornDeliveryStateは、CIスコアが製品に割り当てられた最初の時間を表示する。配送状態毎のCIスコアは、農場状態から受信された入力データに応じて、異なり得る。同様に、プラント状態は、本例示的環境900において、製品のあるバッチをともに組み合わせた状態を反映する。例えば、加工プラントにおいて、加工プラントは、本製品の加工が、大量のトウモロコシ(したがって、複数のCornDeliveryStates)において行われるであろうため、複数のCornDeliveryStatesを単一のPlantStateに組み合わせてもよい。プラントにおける加工ステップに続いて、PlantStateに遡るようにポイントする、ProductStateをそれぞれ有する、副産物が、作成されてもよい。プラントにおける加工入力およびPlantStateから受信された情報に基づいて、CIスコアが、ProductStateに関して導出されることができる。いくつかの実施例では、ProductStateは、最終CIスコアを構成する、最終的な確証された製品であってもよい。
【0088】
全体的アーキテクチャに関して、サプライチェーンにおける各参加者/関係者の状態は、ブロックチェーン内のブロックとして表されてもよい。各状態は、サプライチェーンにおける参加者および最終CIスコアの確実性および正確度を検証しようとする(最終的に、CIトークンの値を検証する)最終顧客によってアクセス可能なブロックチェーンに付加されるブロックであってもよい。参加者の状態が、更新されると、サプライチェーンにおける他の関係者(例えば、出荷企業、加工プラント等)が、サプライチェーンにおけるその特定の参加者と関連付けられるブロックチェーン内の直近のブロックからデータを読み出すことを把握するように、新しいブロックが、ブロックチェーンに付加され、以前の状態に遡るようにポイントしてもよい。例えば、これがプログラム的に実装される1つの方法は、あるブロックが正方向ポインタを有するかどうかをチェックすることによるものである。いかなる正方向ポインタも、存在しない場合、現在のブロックは、最新のブロック、すなわち、サプライチェーンにおける参加者の最新の状態である。
【0089】
いくつかの例示的側面では、各状態は、ブロックチェーン内のブロックを示してもよい。検証者/要求者が、最終製品のCIスコアを検証することを所望するとき、検証者/要求者は、確証されたCIスコア(状態のプロパティのうちの1つである)だけではなく、また、その状態に関する他のプロパティのそれぞれ、およびブロックチェーン内の他のブロックによって捕捉される(すなわち、現在の状態にリンクされる)参照された状態を受信してもよい。例えば、検証者は、最初に、ProductStateと関連付けられるCIスコアおよび他のプロパティを示す、ProductStateからのデータを受信してもよい。検証者は、次いで、ProductStateからPlantStateへのバックポインタを追跡し、PlantStateからプロパティデータを受信することによって、以前の状態を分析することを選択してもよい。そこから、検証者は、CornDeliveryStateおよびFarmStateを含む、他の利用可能な状態からのデータを受信してもよい。本実施例は、限定的ではなく、マルチステップサプライチェーンを利用する他の産業および製品に外挿されてもよい。サプライチェーンにおける各ステップにおいて、状態が、捕捉され、CIスコアは、その状態の1つのプロパティであり、プロパティは、その状態において記録されるべき後続CIスコアを計算する際に入力としての役割を果たす。
【0090】
図10は、CIスコアを自動的に発生させ、追跡するためにそれからデータが捕捉される、例示的環境を図示する。図10は、サプライチェーンにおける異なるステップと、サプライチェーンにおける各参加者が相互と通信し、相互のCIスコアを検証し、製品がサプライチェーンを通して横断するにつれて更新されたCIスコアを生産し得る方法とを示す、別の例示的環境1000を図示する。例えば、農家が、最初に、データベース1002にローカルで情報を入力し得る。本情報は、(図9に説明されるような)初期FarmStateを作成するために、本明細書に説明されるシステムによって利用されてもよい。FarmStateは、作成され、ブロックチェーンネットワーク1004を介してサプライチェーンにおける他の参加者にネットワーク全体を通して伝搬されてもよい。FarmStateのコピーもまた、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)および分散型台帳技術(DLT)ミドルウェア(例えば、DeFiアプリケーション)が起動し得る、中央データベース/サーバ1006を介してアクセスされてもよい。例えば、サプライチェーンにおけるトラックスケールの参加者が、農家から受け取られる特定の製品に関するFarmState情報にアクセスすることを所望し得る。本情報を受信し、製品の初期CIスコアを検証するために、トラックスケールの参加者は、中央(および分散)データベース/サーバ1006もまた利用する、DeFiアプリケーションインターフェースを介してブロックチェーンネットワーク1004にアクセスしてもよい。本システムは、FarmStateのコピーをトラックスケールの参加者に返してもよく、ひいては、トラックスケールの参加者は、その加工情報を入力してもよく、FarmStateからの情報およびトラックスケールの参加者の入力データに基づく新しい状態(例えば、TruckScaleState)が、作成されてもよい。
【0091】
図10に図示されるように、サプライチェーンにおける各参加者の状態を構成する入力データは、ウェブアプリケーションインターフェース(例えば、ブロックチェーンネットワーク、例えば、ネットワーク1004の上で起動するDeFiアプリケーションのユーザインターフェース)を介して取得されてもよい。他の実施例では、入力データは、一実施例では、ある炭素排出量を測定する、ある機械、貯蔵コンテナ、パイプ等に添着される、IOTデバイスから受信されてもよい。これらのIOTデバイスは、データを自動的に測定し、中央システムに報告し、そこで、本システムは、そのデータを使用し、サプライチェーンにおける参加者の状態を作成する。さらに、前述で記述されるように、各状態は、サプライチェーンを通して流れる製品毎に更新されてもよい。状態は、参加者が所望するものと同程度に高頻度または低頻度において変化し得る。例えば、農家は、1日だけある生態系に配慮した肥料を使い果たしている場合があり、したがって、より「環境に優しくない」肥料を適用せざるを得なくなる。本変更は(1日だけであるが)、CIスコアの最終計算において最終的に考慮される更新された状態データブロック内に捕捉されてもよい。
【0092】
図10はまた、第3者検証実体を備えてもよく、第3者検証実体は、ブロックチェーンネットワーク1004内のノードである。第3者検証実体は、あるトランザクションおよびブロックチェーンへの提出を成立させ、確認し得る、公証人(すなわち、独立した署名者)として作用し得る。そのような第3者検証は、二重支出(例えば、実体が、CIトークンを二重支出することを試み得る、サプライチェーンにおける参加者が、以前のブロックからより低いCIスコアをコピーし、より高い中間CIスコアを表示する以前のブロックではなく、サプライチェーンにおけるそのブロックの情報を使用することを試みることによって、中間CIスコアを偽造することを試み得る等)を防止し得る。
【0093】
図11は、CIスコアを自動的に発生させ、確証するための例示的環境を図示する。図11の例示的環境1100は、図10からのものと同一のサプライチェーンを示す。環境1100はまた、最終顧客が供給業者に支払うために利用し得る、Dapp(分散型アプリケーション)1102を図示する。Dapp1102は、ある製品の最終CIスコアを検証するためにブロックチェーン(ブロックチェーンネットワーク1004等)にクエリを行うために利用されてもよい。CIスコアが、(例えば、ブロックチェーン上のCIスコアを確証することによって生産されたCIスコア証明書1106を介して)検証される場合、供給業者は、最終顧客から金銭を受け取り得る。前述で説明されるように、本トランザクションは、スマートコントラクトを介して自動的に実行されてもよい。例えば、スマートコントラクトの条件は、いったんある最終製品が、あるCIスコアを有するものとして確証されると、買い手からのある預託された資金が、売り手に譲渡され得ることを規定し得る。CIスコアの検証プロセスは、ブロックチェーンにクエリを行い、最終製品に至る各状態データブロックを分析する(すなわち、製品が最初に生育されたときから、買い手のための最終製品になることに先立つその最終加工ステップまでのCIスコアの発展を監査する)ことを介して行われてもよい。
【0094】
図12は、CIスコアを介してCIトークンを発生させるための例示的環境を図示する。ある共産物があるCIスコアを有するものとして確証された後、確証されたCIスコア(例えば、ブロックチェーンから発生された証明書の形態における)は、CIトークンを作成するために使用されてもよく、これは、取引され得る炭素オフセットクレジットの値を表してもよい。例えば、金銭が、ある製品のCIスコアの確証に起因して買い手から売り手に運送された後、ある炭素排出量がサプライチェーン全体を通して生態系に配慮したプロセスを利用することによって回避されたという検証された不変の記録が、ここで存在する。CIスコア(およびプロパティを伴う付随の状態データブロック)は、これを反映し得る。CIスコアを追跡し、低いCIスコアを伴う製品を購入することの共産物として、回避された炭素排出量の値を捕捉するCIトークンが、作成されてもよい。これは、当事者間で購入および売却され得る炭素クレジットに似ている。好ましくは、CIトークンは、代替可能トークンであり、したがって、それらは、全て同じであるが、より小さい単位に分割可能であり、容易に交換されることができる。
【0095】
具体的には、CIトークンは、あるレベルの炭素排出量を排出し、CIトークンを介してその炭素排出量に関して支払うことを所望する企業に売却されてもよい。CIトークンは、測定可能で検証可能な排出量削減値の保管場所であり、これは、実体が、CIトークンを介して炭素排出量に関して支払うことができる場合、実体がある炭素排出量を排出することを可能にし得る。本質的に、CIトークンは、その保持者が、CIトークンの値と同等であるある量の炭素排出量を排出することを可能にする、取引可能な暗号通貨である。CIトークンはまた、市場セクタの間の共通基準通貨として機能してもよい(例えば、農業実体と電気提供者との間のトランザクションを促進する)。
【0096】
生態系に配慮した製品のある買い手は、検証された低いCIスコアを伴う製品に関して割増価格を支払い得る。支払われた本割増額をオフセットするために、買い手はまた、CIトークンを受け取ってもよく、これは、それらがそうでなければある管轄区域における規制および法律に基づいて排出することが許可され得ない、過剰な炭素排出量を排出することを所望する他の実体に買い手によって売却されてもよい。したがって、低いCIスコアは、より高い値のCIトークンにつながる。
【0097】
図13は、少なくとも部分的に、R3 Ltd.から入手可能なCordaブロックチェーン開発プラットフォームを使用して、CIトークンを発生させ、取引するための例示的環境を図示する。本具体的実装では、「Verity」と称される、環境1300は、大規模かつ透明性の高い自主的炭素クレジット市場を、ブロックチェーン技術を使用する不変かつ自動化された監査を通して材料の生産の低い、中立、および/または負の炭素強度の信頼性を確実にする供給管理システムと組み合わせる。Verityのブロックチェーンベースのシステムは、生産バリューチェーンを横断してただ1つの真実の源をもたらし、各経済的行為者は、本システム内で他の経済的行為者と相互作用する。本相互作用は、全ての当事者が、セキュアであり、一貫し、信頼性があり、非公開であり、監査可能な様式においてそれら自身の間の合意を記録および管理することを可能にする。
【0098】
Verityでは、各参加者は、農家、プラント、販売業者等であり得る。各参加者は、Cordaアプリケーション1302内のノードを実行する。各ノードは、APIを介して外部データソースに通信し、供給変更における各段階におけるCIスコアを計算するために、生産データを読み出す。各Cordaノードはまた、CIスコアを計算するために、GREETモデル(技術における温室効果ガス、規制排出量、およびエネルギー使用)に関連するアルゴリズム情報を受信してもよい。
【0099】
生産者は、それらのCIスコアを計算し、「Verity炭素市場」と称され得る市場を介してそれらの持続可能な慣行の値を読み出してもよい。CIスコアは、伝送され、データベース1304内に記憶されてもよく、これは、次いで、Verityトークンソリューション1306に通信する。参加者は、Verityトークンソリューション1306を介してそれらのCIスコアをトークン化してもよい。そのようなトークンは、Verityプラットフォーム内でCIスコアの計算に基づいて造幣され、ネットワーク参加者間で取引可能である、直接炭素値(DCV)トークンであってもよい。Verityトークンは、最終的に、暗号通貨取引所プラットフォーム1308上で取引および交換されてもよい。Verityソースデータは、Verityネットワーク内の各経済的行為者のサプライチェーンから直接抽出されるため、各炭素オフセットと関連付けられる確実性が、存在する(すなわち、いかなる二重計上もない)。
【0100】
図14は、本実施形態のうちの1つまたはそれを上回るものが実装され得る、好適な動作環境の一実施例を図示する。これは、好適な動作環境の一実施例にすぎず、使用または機能性の範囲に関する任意の限定を示唆することを意図していない。使用のために好適であり得る他の周知のコンピューティングシステム、環境、および/または構成は、限定ではないが、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドまたはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、スマートフォン等のプログラマブル消費者電子機器、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステムまたはデバイスのうちのいずれかを含む分散コンピューティング環境、および同等物を含む。
【0101】
その最も基本的な構成では、動作環境1400は、典型的には、少なくとも1つの処理ユニット1402と、メモリ1404とを含む。コンピューティングデバイスの厳密な構成およびタイプに応じて、メモリ604(とりわけ、デバイス、ブロックチェーンネットワーク、支払設定、資産残高、CIスコア公式、CIスコアを減少させるためのMLベースの提案、および本明細書に開示される方法を実施するための命令に関連する情報を記憶する)は、揮発性(RAM等)、不揮発性(ROM、フラッシュメモリ等)、または2つのある組み合わせであってもよい。本最も基本的な構成は、図14に破線1406によって図示される。さらに、環境1400はまた、限定ではないが、磁気または光学ディスクまたはテープを含む、記憶デバイス(リムーバブル1408および/または非リムーバブル1410)を含んでもよい。同様に、環境1400はまた、キーボード、マウス、ペン、音声入力等の入力デバイス1414および/またはディスプレイ、スピーカ、プリンタ等の出力デバイス1416を有してもよい。また、環境内に含まれるものは、Bluetooth(登録商標)、WiFi、WiMax、LAN、WAN、ポイントツーポイント等の1つまたはそれを上回る通信接続1412であってもよい。
【0102】
動作環境1400は、典型的には、少なくともある形態のコンピュータ可読媒体を含む。コンピュータ可読媒体は、処理ユニット1402または動作環境を構成する他のデバイスによってアクセスされ得る、任意の利用可能な媒体であり得る。実施例として、限定ではないが、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と、通信媒体とを備えてもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造(例えば、ブロックチェーン)、プログラムモジュール、または他のデータ等の情報の記憶のための任意の方法または技術において実装される、揮発性および不揮発性、リムーバブルおよび非リムーバブル媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、または他の磁気記憶デバイス、または所望の情報を記憶するために使用され得る任意の他の有形媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、通信媒体を含まない。
【0103】
通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または搬送波または他のトランスポート機構等の変調データ信号における他のデータを具現化し、任意の情報配信媒体を含む。用語「変調データ信号」は、信号内の情報をエンコードするような様式において、その特性のうちの1つまたはそれを上回るものが設定または変更された信号を意味する。実施例として、限定ではないが、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接有線接続等の有線媒体および音響、RF、赤外線、および他の無線媒体等の無線媒体を含む。上記のうちのいずれかの組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0104】
動作環境1400は、1つまたはそれを上回る遠隔コンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化環境内で動作する、単一のコンピュータ(例えば、モバイルコンピュータ)であってもよい。遠隔コンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス、IOT測定デバイス(例えば、炭素排出量測定デバイス)、または他の一般的なネットワークノードであってもよく、典型的には、上記に説明される要素のうちの多くまたは全て、およびそのように言及されないその他を含む。これらの動作デバイスのうちのいずれかは、より大きいブロックチェーンネットワーク(図2に図示されるような)の一部であってもよい。論理接続は、利用可能な通信媒体によってサポートされる任意の方法を含んでもよい。そのようなネットワーキング環境は、オフィス、企業全体のコンピュータネットワーク、イントラネット、およびインターネットにおいて一般的である。
【0105】
本明細書の教示の現在の実装は、部分的に、供給側管理(SSM)コンポーネントのためのオープンソースのCorda企業ブロックチェーンプラットフォームを利用して開発されている。Cordaは、リアルタイム情報を記録、分析、および監視するためのIOTデバイスまたはプロセス情報(PI)システムを相互接続することにおけるその技能に起因して、魅力的な開発プラットフォームを提示する。さらに、Cordaは、プラント制御システムのための標準的REST APIと協働する。Cordaの別の魅力的な特徴は、それらのプラットフォーム内でトークンを確立するためのその改良された能力である。これにより、そのトークンSDKを非推奨にしたFlyperledger Fabric等のその他よりも現時点で魅力的なプラットフォームとなっている。Cordaを利用する別の利点は、台帳上の各状態が不変である、未使用トランザクション出力(UTXO)モデルのその利用である。そうは言ったものの、当業者は、他のオープンソースまたは独自のブロックチェーンアーキテクチャおよびプロトコル、またはそれらの組み合わせが、本明細書に説明される利益を達成するために利用され得ることを認識および理解するであろう。
【0106】
本開示の側面は、例えば、本開示の側面による方法、システム、およびコンピュータプログラム製品のブロック図および/または動作図示を参照して上記に説明される。ブロック内に記述される機能/行為は、任意のフローチャートに示されるような順序以外で行われてもよい。例えば、関与する機能性/行為に応じて、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に並行して実行されてもよい、またはブロックは、時として、逆の順序で実行されてもよい。
【0107】
本願に提供される1つまたはそれを上回る側面の説明および例証は、いかようにも請求されるような開示の範囲を限定または制限することを意図していない。本願に提供される側面、実施例、および詳細は、占有を伝え、他者が請求される開示の最良モードを作製および使用することを可能にするために十分であると見なされる。請求される開示は、本願に提供される任意の側面、実施例、または詳細に限定されるものとして解釈されるべきではない。組み合わせて、または別個に示され、説明されるかどうかにかかわらず、種々の特徴(構造的および方法論的の両方)は、特徴の特定のセットを伴う実施形態を生産するために選択的に含まれる、または省略されることを意図している。本願の説明および例証を提供されているが、当業者は、請求される開示のより広範な範囲から逸脱しない、本願に具現化される一般的な本発明の概念のより広範な側面の精神内に該当する、変形例、修正、および代替側面を想定し得る。
【0108】
前述から、本発明の具体的実施形態が、例証の目的のために本明細書に説明されているが、種々の修正が、本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることを理解されたい。故に、本発明は、添付される請求項によるものを除いて、限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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【国際調査報告】