(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】無菌水性コリン塩組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/14 20060101AFI20240417BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240417BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240417BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240417BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240417BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
A61K31/14
A61K47/18
A61K47/12
A61P1/16
A61P43/00 111
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566927
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 US2022026693
(87)【国際公開番号】W WO2022232371
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523408721
【氏名又は名称】プロタラ・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Protara Therapeutics, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221534
【氏名又は名称】藤本 志穂
(72)【発明者】
【氏名】リアダン,デイトン
(72)【発明者】
【氏名】ズモ,ジャクリーン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076BB13
4C076CC09
4C076DD41
4C076DD51
4C076GG43
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA42
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA86
4C206NA14
4C206ZA75
4C206ZC54
(57)【要約】
無菌水性のコリン塩組成物、その製造および使用方法を開示する。また、コリン欠乏症、腸管不全関連肝障害(IFALD)および脂肪肝疾患の処置方法を開示する。さらに、コリン塩の合成方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体中に塩化コリンを含む静脈内注射用の無菌組成物であって、塩化コリンが、重量/体積%で25~75%の塩化コリンのレベルで組成物中に存在する、組成物。
【請求項2】
組成物が、重量/体積%で50%の塩化コリンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
水性媒体が、注射用水である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
組成物が、ガンマ線照射により滅菌されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ガンマ線照射が、少なくとも20kGyである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
ガンマ線照射が、25~33kGyである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
組成物の無菌性保証水準が、少なくとも10
-6である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が、10
-1CFU/mL未満のS.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
組成物が、防腐剤を含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
組成物が、防腐剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が、少なくとも1つのアミノ酸、少なくとも1つのビタミンおよび/または少なくとも1つの脂肪酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
組成物が、医薬的に許容される担体、希釈剤または添加剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
組成物のイオン強度が、0.3~7Mである、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
組成物のイオン強度が、約7Mである、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
組成物のpHが、約4~7である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
組成物が、間接注射または直接注射による投与に適する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
塩化コリンを注射用水に配合して、イオン強度が約7Mで、pHが約4~7の50%(w/v)溶液を製造する工程、および溶液をガンマ線照射に曝露させて、少なくとも10
-6の無菌性保証水準を得る工程を含む、無菌塩化コリン組成物を製造する方法。
【請求項18】
ガンマ線照射が、少なくとも20kGyである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ガンマ線照射が、25~33kGyである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
下記工程:
i)重量/体積%で40~60%の塩化コリンの最終濃度に、塩化コリンを注射用水中に溶解させる工程;
ii)0.2μmフィルターを通して溶液をろ過する工程;
iii)溶液をガラスバイアルに移す工程;
iv)バイアルを密封する工程;および
v)ガンマ線照射を用いて医薬品を滅菌する工程
により製造される無菌水性の塩化コリン医薬品。
【請求項21】
医薬品が、重量/体積%で50%の塩化コリンを含む、請求項20に記載の無菌水性の塩化コリン医薬品。
【請求項22】
医薬品が、連続した2つの0.2μmフィルターを通してろ過されている、請求項20に記載の無菌水性の塩化コリン医薬品。
【請求項23】
ガンマ線照射が、少なくとも20kGyである、請求項20に記載の無菌水性の塩化コリン医薬品。
【請求項24】
ガンマ線照射が、25~33kGyである、請求項20に記載の無菌水性の塩化コリン医薬品。
【請求項25】
有効量の請求項1に記載の組成物を対象体に投与することを含む、対象体におけるコリン欠乏症を処置する方法。
【請求項26】
対象体に非経腸サポートまたは非経腸栄養を提供することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
コリン欠乏症が、肝胆汁うっ滞または肝脂肪症に関連する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
コリン欠乏症が、腸管不全関連肝障害(IFALD)に関連する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
コリン欠乏症が、脂肪肝疾患に関連する、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
脂肪肝疾患が、AFL、ASH、NAFL、NASH、NASH-関連肝線維症またはASH-関連肝線維症である、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無菌水性コリン塩組成物、その製造、および特にコリン欠乏症に関連する状態の処置に関連した使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
コリンは必須栄養素であり、通常の食事の一般的な成分であり、典型的には、卵、肉、ナッツおよび野菜にみられるホスファチジルコリンの形態で摂取される(Buchman, Gastroent., 2009, 137:S119-S128)。コリンの構造は、第四級アミンを含み、これはビタミンBおよび葉酸と同様に、多くの代謝反応においてメチル供与体として作用する。コリンは、細胞膜構造(例えばリン脂質)、超低密度リポタンパク質(VLDL)合成によるトリグリセリド輸送、胆汁のコレステロール輸送、細胞内メッセージ伝達、脳の発達および機能に必要である(アセチルコリンなど)。コリンは、細胞の健康および生存に不可欠である:肝細胞は、コリンを除去した培地ではアポトーシスで死滅し;DNA損傷およびアポトーシスの増加が、正常なヒトと比較してコリン欠乏症のリンパ球では観察され、これは長期間のコリン欠乏後のげっ歯類における肝臓癌の割合の増加と一致している(Shin et al., J. Cell. Biochem., 1997; 64:196-208; and da Costa et al., Am. J. Clin. Nutr., 2006; 84:88-94)。
【0003】
体内のコリンの95%は、ホスファチジルコリン(PC)の形態である。PCは、VLDL粒子表面単層および重要な分泌小胞の膜(例えば、ER、ゴルジ体、細胞膜)の主要な脂質である。PCレベルが低いと、VLDLのパッケージングおよび分泌が阻害される(Vance, J. E., and Vance, D. E., 1985, Can. J. Biochem. Cell Biol., 263, 12, 5898-5909)。適切なPC貯蔵を維持するには、外因性コリンが必要である。複数のPC合成経路が存在するが、de novo経路のみがPCを適切に補充する(Boyer, 2013, Compr. Physiol., 3:3)。PCへのde novo経路は、根源基質として血漿遊離コリンを必要とし、哺乳動物の組織に遍在しているCDP-コリンである(Vance, D. E., 2002, in Biochemistry of Lipids, Lipoproteins, and Membranes (Vance, D. E., and Vance, J. E., eds) pp. 205-232)。PC合成のためのCDP-コリン経路に加えて、肝臓は、PC合成のための代替経路を提供する固有のホスファチジルエタノールアミンメチルトランスフェラーゼ(PEMT)活性を有する(Noga and Vance D.E., 2003, J. Biol. Chem., 278, 24, 21851-21859)。しかしながら、PEMT自体は、ベタイン(コリンの代謝産物)としてコリンに一部依存している(Sunden, S., Renduchintala, M., Park, E., Miklasz, S., & Garrow, T., 1997 Arch. Biochem. Biophys., 345, 171-174)。他のコリンおよびPCのサルベージおよび再合成経路も存在するが、新たにPCを生成するのではなく、再循環させることしかできない(Boyer, 2013, Compr. Physiol., 3:3)。
【0004】
ホスファチジルコリンレベルの低下をもたらすコリン欠乏症は、複数の肝胆道機能に悪影響を及ぼし、脂肪症、胆汁うっ滞および/または肝細胞死を引き起こし得る。脂肪症または脂肪肝は、肝臓内の脂肪の蓄積を表す広義の用語である。胆汁うっ滞は、肝臓からの胆汁の流れが減少または遮断された場合に生じる肝疾患である。胆汁の流れが変化すると、ビリルビンが蓄積し得る。PCは、胆汁の有機物の約40%を含む(Schmitz MGJ, Renooij W., Gastroent., 1990, 99:1292-1296)。胆汁中のPCが不十分であると、コレステロールとの小胞/混合ミセル形成が減少し、遊離胆汁酸塩が増加する(Barrios and Lichtenberger, 2000, Gastroent., 118:1179-1186)。遊離胆汁酸塩は、胆管細胞に対して界面活性剤活性を発揮し、胆汁の流れを制限する(De Vree, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1998, 95:282-287)。また、コリンは細胞内シグナル伝達中間体の重要な供給源である(Albright, et al., (2005) Cell. Physiol. Biochem., 15(1-4):59-68)。コリン欠乏症は、培養中の肝細胞のDNA断片化を誘発する(Albright, et al., 1996, FASEBJ, 10, 510-516)。さらに、肝細胞はコリン欠乏培地ではアポトーシスによって死滅する。
【0005】
コリン欠乏症は、動物および健常成人に肝臓損傷を引き起こす。実験的なコリン欠乏食は、急速に発症する肝臓異常(例えば、MRIで示される肝臓脂肪の増加)を引き起こしたが、これは正規の食事によって回復した(Zeisel, et al., FASEBJ, 1991, 5:2093-2098;およびFischer, et al., Am. J. Clin. Nutr., 2007, 85:1275-1285)。これらの所見は、コリン欠乏症が肝脂肪症および硬変、骨格筋ならびに他の臓器の異常を引き起こすといういくつかの動物種における所見と一致している(Patek, et al., Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 1975, 148:370-374;およびBuchman, Nutr. Clin. Pract., 2003, 18:353-358)。
【0006】
腸不全(IF)は、腸の機能が主要栄養素および/または水および電解質の吸収に必要な最低限未満に低下すると発生し、健康および/または成長を維持するために静脈内補給が必要になる。多くの場合、腸の外科的切除(短腸症候群)または疾患性の腸機能不全が原因である。IFは3つのタイプに分類される:(T-1)一過性で、通常は術後であり、完全に可逆的である;(T-2)重篤な病気が原因で、数週間または数か月間の非経腸栄養(PN)が必要である;(T-3)生存のために長期のPNが必要である。T-3の根本的な病因は、癌、クローン病、血管疾患、エイズ、放射線性腸炎などの疾患に由来する(Bakker, H. et al., Clin. Nutr., 1999, 18:135-140)。また、消化管(GI)疾患を克服した後、PN依存性IF患者のかなりの割合が進行性肝疾患または腸管不全関連肝障害(IFALD)を発症する。
【0007】
成人および小児におけるPN依存性の肝疾患は、数十年にわたって広く観察されてきた。現在はIFALDと呼ばれており、IF患者において死亡リスクが最も高い合併症である(Pironi et al., Clin. Nutr., 2012, 31:831-45)。成人PN患者の47~65%に慢性胆汁うっ滞がみられる(Cavicchi, et al., Ann. Intern. Med., 2000, 132:525-532;およびSalvino et al., JPEN, 2006, 30:3, 202-208)。すべての成人PN患者の42%が複雑な肝疾患(すなわち、広範な門脈線維症または硬変、1か月以上ビリルビンが3.5mg/dl以上、腹水、門脈HTN、肝性脳症または第V因子<50%)を発症し、PN患者死亡の内22%が肝疾患によるものである(Cavicchi, et al., Ann. Intern. Med., 2000, 132:525-532)。病因は多因子であると推定されており、PN毒性(脂質)、感染症、コリン欠乏症を含む栄養欠乏症がすべて、文献で示唆されている。
【0008】
PN患者におけるコリン欠乏症は、一般的であり、肝障害と関連している(Buchman, et al., Clin. Nutr., 1993, 12:33-37;Buchman, Gastroent., 2009, 137:S119-128; Chawla, et al., Gastroent., 1989, 97:1514-20;およびBurt et al., Lancet, 1980, Sep 20, 638-9)。PN製品には微量のコリン(乳化剤として)しか存在せず、新規合成および二次経路が障害を受け、コリン不足は、VLDL脂肪輸送の障害、および有毒な胆汁酸塩の蓄積を生じる肝細胞(hpatoxyce)での病的な脂肪の蓄積を引き起こす(Noga, et al., J. Biol. Chem., 2003, 278:21851-21859;Lombardi, et al., J. Lipid Res., 1968, 9:437-446; Yao, et al., J. Biol. Chem., 1988, 263:2998-3004;およびDe Vree, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1998, 95:282-287)。コリンは、PN製品に十分な量含まれておらず、American Society for Parenteral and Enteral Nutrition(ASPEN)によって必要と認められているが、市販のPN製品としては入手できない(Vanek et al., Nutr. Clin. Pract., 2012, 27(4), 440-491)。
【0009】
IFALDに対するコリンの静脈内(IV)投与は、脂肪症の軽減に有望であることが示されている(Buchman, et al., Hepatol., 1995, 22:1399-1403)。80%超のPNを必要とする16歳超の患者へのコリンのIV投与は、脂肪症の逆転および胆汁うっ滞の改善を示した(Buchman, et al., J. Parent. Ent. Nutr., 2001, 25:260-268)。また、コリンのIV投与は、患者の忍容性が良好である(Buchman, et al., Clin. Pharm. Ther., 1994, 55:277-83)。ヒト患者における脂肪肝疾患を抑制する方法として、コリン塩を含む栄養溶液を患者に非経腸投与することが記載されている(米国特許第5,567,736号)。
【0010】
食品医薬品局(FDA)は、すべての注射用医薬品が最終滅菌または無菌処理方法によって滅菌されること必要としている。最終滅菌は、注射用医薬品の好ましい滅菌方法であり、医薬品を一次包装に入れた後に行われる。水溶液である医薬品の最終滅菌は、加熱または照射を含み得る。適切な滅菌方法を選択するには、原薬の物理化学的性質および最終製剤の特性を深く理解する必要がある。
【0011】
ガンマ線照射プロセスは、放射性崩壊中にキログレイ(kGy)単位で測定されるガンマ線を放出するコバルト60を使用する。高エネルギーのガンマ線は、物質と相互作用して、電子を放出することでイオン対を形成し、これはフリーラジカルの形成および励起を引き起こす。フリーラジカルは反応性が高く、ガスの放出、二重結合の形成および切断、交換反応、電子の移動または架橋を含むいくつかの種類の反応に関与し得る。微生物において、放射線によって誘発される損傷は、細胞死を引き起こす生物学的変化を引き起こし得る。細菌DNAの共有結合の切断は細胞損傷の主な経路と考えられているが、膜損傷も生殖細胞死に大きく寄与し得る。溶液中では、分子は、入射放射線から直接エネルギーを受け取ってもよく(「直接効果」)、あるいは、非経腸剤などの水溶液中では、水の放射線分解生成物(例えば、水素、ヒドロキシルラジカル、水和電子)から溶質分子へのエネルギー移動によるものであってもよい(「間接効果」)。
【0012】
放射線安定性を評価するには、新しい化合物各々を検査する必要がある。さらに、製剤化された薬剤の場合、製品の一部として照射されると、個々の成分の安定性が変化する可能性がある(Jacobs G.P., Pharmaceutical Technology, 2007 Supplement, Iss. 2)。水性非経腸医薬品は、「間接効果」のため、固形のものと比較してガンマ線照射による滅菌において更なる課題ある。例えば、ヒドロキシルラジカルは、最も強力な既知の酸化種であり、照射された水溶液中の溶質の放射線誘発損傷の主な原因である(Sharma et al. Advances in Pharmaceutical Product Development and Research, 2020, Ch. 21, 789-848)。
【0013】
したがって、コリン欠乏症に関連する状態を処置するための、無菌水性コリン塩組成物およびその製造方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0014】
本開示は、水性媒体中のコリン塩無菌組成物、その製造および使用方法を提供する。本開示はさらに、コリン欠乏症、腸管不全関連肝障害(IFALD)および脂肪肝疾患の処置方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、50%塩化コリン組成物中に懸濁させたG.ステアロサーモフィルス胞子の蒸気生存曲線を示す(R
2=0.9895、直線の-1/傾き=D
121値=34分)。
【
図2】
図2は、実施例5で用いた段階希釈スキームを示す。
【
図3】
図3は、熱による最終滅菌前後の、注射用水(WFI)中の塩化コリン溶液50%w/vのpH試験について「原液」試料のpH結果をプロットしている。
【
図4】
図4は、熱による最終滅菌前後の、WFI中の塩化コリン溶液50%w/vのpH試験について「1:5希釈」試料のpH結果をプロットしている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明では、様々な実施態様の完全な理解を提供するために、特定の具体的な詳細を示す。しかしながら、当業者は、本発明がこれらの詳細がなくても実施できることを理解する。他の例では、実施態様の説明を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の構造を詳細には示さない、または説明していない。文脈上別段の定めがない限り、以下の明細書および特許請求の範囲全体を通じて、「含む(comprise)」という語およびその変形、例えば「含む(comprises)」および「含む(comprising)」は、オープンで包括的な意味で、すなわち「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。
【0017】
本明細書全体にわたる「一実施態様では(one embodiment)」または「実施態様(in an embodiment)」への言及は、実施態様に関連して説明される特定の特徴、構造または特徴が少なくとも1つの実施態様に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「一実施態様において(in one embodiment)」または「ある実施態様において(in an embodiment)」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施態様を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つまたは複数の実施態様において任意の適切な方法で組み合わせることができる。また、本明細書および添付の特許請求の範囲で用いる、単数形「ある(a)」、「ある(an)」および「その(the)」は、その内容が明確に他に断らない限り、複数の指示対象を含む。用語「または」は、その内容が明確に他に断らない限り、一般的に「および/または」を含む意味で用いられることにも留意すべきである。用語「約」は、プラスまたはマイナス10%を意味すると解釈される。例示すると、「約5」は5±0.5を意味する。本明細書で具体的に定義されていない用語には、本開示および文脈に照らして当業者によって与えられるであろう意味が与えられるべきである。
【0018】
本明細書で用いる以下の用語は、他に断らない限り、次の意味を有する。
【0019】
「無菌」は、生存微生物が存在しないことと定義される。「滅菌」は、製品が生存微生物を含まないようにするために用いられるバリデーション済みのプロセスとして定義される。微生物の存在は確率として表される。確率を極めて低い数に減らすことはできるが、確実にゼロに減らすことはできない。したがって、用語「無菌性保証水準(SAL)」は、無菌性の尺度として用いられる。「無菌性保証水準(SAL)」は、滅菌後の製品上に生存微生物が存在する確率を指し、通常は10-nで表される。SALは、滅菌プロセスによって破壊された微生物個体数を記載するために使用することもできるが、これは確率論的な定義と同じではない。しばしば「対数減少(log減少)」(専門的には1桁の減少)と呼ばれるものは、微生物個体数の90%の減少を表す。したがって、「6log減少」(10-6)を達成するプロセスは、理論的には、100万個の生物の初期個体数をゼロに極めて近くまで減少させる。無菌性はまた、「コロニー形成単位(CFU)」の存在によっても表現され得て、ここでCFUは、単一細胞または複数の細胞から生じる微生物の目に見える増殖を記載するために用いられる。
【0020】
「コリン塩」は、N,N,N-トリメチルエタノールアンモニウムカチオンおよび対応するカウンターアニオンを含む第四級アンモニウム塩のクラスを指し、これは以下の一般式によって表すことができ、式中、X
-は対応するカウンターアニオンを表す:
【化1】
【0021】
適切なカウンターアニオンは、ハロゲン化物、例えば塩化物Cl-、および重酒石酸塩((2R,3R)-2,3,4-トリヒドロキシ-4-オキソブタノエート)を含むがこれらに限定されない。コリン塩は、無機酸または有機酸から製造され得る。無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸およびリン酸が挙げられる。適切な有機酸は、脂肪族、シクロ脂肪族、芳香族、芳香脂肪族、複素環、カルボン酸およびスルホン酸クラスの有機酸より選択され得て、その例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、馬尿酸、マロン酸、シュウ酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、βヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸が挙げられる。
【0022】
「水性媒体」は、約50%を超える水を含む液体として定義される。
【0023】
「重量/体積%」は、溶液の濃度を表す方法である。
【数1】
【0024】
「注射用水(WFI)」は、静菌剤、抗菌剤または緩衝剤を含まない、注射用の水の無菌で非発熱性調製物である。
【0025】
「静菌剤」は、細菌を死滅させることなく細菌の増殖を阻止する物質を指す。
【0026】
「抗菌剤」は、細菌、真菌および藻類などの微生物を死滅させるか、その増殖を阻害する天然または合成物質を指す。
【0027】
「防腐剤」は、微生物汚染物質の増殖を阻害するか、微生物汚染物質の量を減少させるか、あるいはその両方によって組成物の安全性を維持するのを助けるために組成物に添加される抗菌成分を指す。
【0028】
「アミノ酸」は、カルボキシル(-COOH)基とアミノ(-NH2)基の両方を含む単純な有機化合物である。用語「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸または合成(すなわち人工)アミノ酸を指し得る。
【0029】
「ビタミン」は、正常な成長および栄養に必須であり、身体によって合成できないため食事に少量必須である有機化合物の群のいずれかを指す。ビタミンの例は、ビタミンA(オールトランスレチノール、オールトランスレチニルエステル、オールトランスベータカロテン、および他のプロビタミンAカロテノイド類など)、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸または葉酸塩)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(カルシフェロール類)、ビタミンE(トコフェロール類およびトコトリエノール類)およびビタミンK(キノン類)を含み得るがこれらに限定されない。
【0030】
「脂肪酸」は、炭化水素鎖および末端カルボキシル基からなるカルボン酸、特に脂肪および油中でエステルとして存在するもののいずれかを指す。脂肪酸は、α-リノレン酸、リノール酸、ドコサヘキサエン酸およびγ-リノレン酸を含み得るが、これらに限定されない。
【0031】
「イオン強度」は、溶液中の総イオン濃度である。イオン強度は、式Iで計算される。
【数2】
[式中、c
iはイオンIのモル濃度(mol/L)であり、z
iはそのイオンの電荷数であり、合計は溶液中のすべてのイオンにわたって取られる。例えば、各イオンが単電荷である塩化コリンなどの1:1電解質の場合、イオン強度は各イオンの濃度の合計(コリン
+1、塩化物
1)に等しい。]
【0032】
「微生物、細菌または具体的な細菌株、例えばスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus、S.アウレウス)またはゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus、G.ステアロサーモフィルス)を実質的に含まない」は、低い(すなわち、≦1コロニー形成単位、CFU/mL)レベルの細菌は存在するが、細菌レベルは臨床的に許容されることを意味する。微生物は、ウイルス、細菌、古細菌、真菌、藻類などの植物、原生動物を含む。
【0033】
「微生物の増殖に対する耐性」は、組成物が、例えば、水性基剤またはビヒクルを用いて製造された製品に関して食品医薬品局および米国薬局方によって定められた基準を満たすことを意味する。例えば、細菌の場合、微生物の増殖に対する耐性は、7日目に最初に計算した数に対して1.0 log以上の減少、14日目に3.0 log以上の減少、および28日目に14日目の数から増加がないことを意味し得る。例えば、酵母およびカビの場合、微生物の増殖に対する耐性は、7日目、14日目および28日目に最初に計算した数から増加がないことを意味し得る。
【0034】
「D値」または10進数減少時間(または10進数減少用量)は、所定の条件(例えば温度)または一連の条件において、log減少を達成する、すなわち関連微生物の90%(1 log以上)を死滅させるのに必要な時間(または用量)である。
【0035】
「化学的に安定」は、物質が既知または未知の分解生成物に分解する耐性を指す。例えば、トリメチルアミンは、塩化コリンの既知の分解生成物である。許容されるトリメチルアミンのレベルは、最大0.2%であり得る。
【0036】
「医薬品」は、一般に、必ずしもではないが、不活性成分と関連して活性薬物成分を含む、最終剤形、例えば錠剤、カプセル剤、液剤などを意味する。
【0037】
本発明の特定の実施態様において、pH調節剤は、組成物に添加され得る。pH調節剤の選択は、分析可能な分解生成物の減少によって測定されるように、微生物攻撃に対する耐性および/またはコリン塩の安定性に影響を及ぼし得る。pH調節剤は、酸、例えばリンゴ酸、クエン酸、酢酸、ホウ酸、乳酸、塩酸、リン酸、硫酸、スルホン酸または硝酸を含み得る。pH調節剤は、塩基、例えばアセトアニリド、アンモニア、水酸化カルシウム、重炭酸カリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、チオウレアまたはウレアを含み得る。本明細書に開示される、または当業者に公知であるあらゆるpH調節剤が、本明細書で企図される。
【0038】
本明細書に記載の「医薬組成物」は、組成物と同義である。
【0039】
「医薬的に許容される」は、対象体に投与した場合に、有害な、アレルギー性のまた他の好ましくない反応を生じない分子実体および組成物を指す。本明細書で用いる「医薬的に許容される担体」は、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。医薬的に活性な物質のためのこのような媒体および物質の使用は、当技術分野で周知である。従来の媒体または物質が活性成分と不適合である限り、治療用組成物中での使用は適切ではない。補助的な適合性活性成分を組成物に組み込むことができる。ヒトへの投与のために、製剤は、食品医薬品局(FDA)が要求する無菌性、発熱性、一般的な安全性および純度の基準を満たすべきである。適切な組成物の選択および製造のための従来の手順および成分は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Ed., Gennaro, Ed., Lippencott Williams & Wilkins (2005)および米国薬局方: The National Formulary (USP 36 NF31), published in 2013に記載されている。
【0040】
「添加剤」は、希釈剤(ここで、「希釈剤」は、何かを希釈するために用いられる物質を指す)またはビヒクルとして、または形態もしくは粘度を提供するために添加される多かれ少なかれ不活性物質である特定の実施態様を指す。添加剤はまた、微生物の増殖に対する耐性を高め得て、したがって防腐剤として機能し得る。このような添加剤は、キシリトール、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウム サッカリン、セルロース、セルロース誘導体、マグネシウム カルボネートなどを含むがこれらに限定されない。
【0041】
本明細書で用いる用語「有効量」は、特定の薬物で処置されている対象体において所望の効果を達成するのに十分なその特定の薬物の量を指す。理想的には、薬物の有効量は、対象体において実質的な毒性を引き起こすことなく疾患を阻害または処置するのに十分な量である。薬物の有効量は、処置される対象体、疾患の重症度、および医薬組成物の投与方法に依存する。対象体において所望の効果を達成するのに十分である開示薬物の有効量を決定する方法は、本開示に照らして当業者には理解される。
【0042】
本明細書で用いる用語「慢性」は、長期にわたって持続するか、または頻繁に再発する医学的障害または状態を指す。
【0043】
投与形態は、1日1回、または1日2回以上、例えば1日2回または3回投与され得る。あるいは、処方医師または薬剤の処方情報によって望ましいと判断された場合、投与形態は、1日1回よりも少ない頻度で、例えば2日に1回または1週間に1回投与され得る。投与レジメンは、例えば、処置される適応症に必要なまたは有用な程度までの用量漸増を含み、これにより、患者の身体が処置に適応し、処置に伴う望ましくない副作用を最小化または回避し、および/または処置の治療効果を最大化することができる。適切な投与レジメンおよび/または投与形態には、例えば、参照により本明細書に組み込まれるPhysicians' Desk Referenceの最新版に記載されているものが挙げられる。
【0044】
「直接注射」は、物質を静脈に直接注射する静脈内注射を指す。
【0045】
「間接注射」は、物質を静脈に直接注射する前に別の供給源に導入する静脈内注射を指す。例えば、間接注射の可能な経路を制限するものではないが、間接注射は、物質をIVバッグに導入し、その後、IVバッグの内容物を、移動の終点としての静脈への注射によって対象体に投与すること(例えば、導入される物質を含む、または含まないIVバッグの内容物は、最終的に静脈に注射する前に、他のチャネルまたは装置を通って流れてもよく、またはそれらの中に含まれてもよい)を含む。
【0046】
本明細書で用いる「キット」は、任意の数のアイテムの組合せを指す。例えば、キットは、組成物と、組成物の注射用のシリンジを含み得る。キットはまた、注射用の予め充填されたシリンジを含み得る。
【0047】
「ガンマ線照射」は、材料を、高エネルギー光子が同位体源(例えばコバルト60)から放出されるガンマ放射線に供することを指す。高エネルギーガンマ放射線は、それが遭遇するあらゆる物質において電子の破壊(イオン化)を引き起こす。生きている細胞において、これらの破壊は、DNAおよび他の細胞構造への損傷をもたらす。分子レベルでのこれらの光子誘発変化は、生物の死を引き起こすか、または生物を生殖不能にする場合がある。この効果は、物質内または物質上に存在し得る細菌、昆虫または他の生存汚染物を死滅させるのに有用である。
【0048】
「コリン欠乏」は、臨床的に決定されたコリン欠乏を指す。コリンは、ヒトに必須の栄養素であり、すべての細胞の正常な機能に必要である。細胞膜の重要な構成要素として、細胞の構造的完全性とシグナル伝達機能を保証する。コリンはまた、神経伝達に(代謝産物のアセチルコリンとして)用いられ、メチル供与体の主要な供給源であり、肝臓からの脂質輸送に必要とされる。これらの多くの多様な役割を考慮すると、コリン欠乏症は、ヒトにおいて肝臓、筋肉およびリンパ球、さらに動物において腎臓、膵臓および発達中の脳および神経系を含む、多くの身体系に障害を引き起こし得る。コリン欠乏症は、遊離コリンが7nmol未満を特徴とし得る。
【0049】
「非経腸栄養(PN)」は、栄養の静脈内投与を指し得て、これには、良好な栄養状態を維持するために、経管栄養製剤を通してまたは口から、十分な食物を摂取または吸収できない患者のための、タンパク質、炭水化物、脂肪、ミネラルおよび電解質、ビタミンおよび他の微量元素が含まれ得る。
【0050】
「非経腸サポート」は、非経腸液体の単独投与または非経腸栄養溶液との組合せの投与を含む。
【0051】
「腸不全(IF)」は、健康および/または成長を維持するために静脈内補給が必要となる、主要栄養素および/または水および電解質の吸収に必要な最低限を下回る腸機能の低下を指す。いくつかの例において、IFは、腸の外科的切除(短腸症候群)または疾患性の腸機能不全が原因であり得る。
【0052】
「腸管不全関連肝障害(IFALD)」は、PN依存性対象体において生じ得る、腸不全に関連する肝疾患を指す。いくつかの例において、IFALDは、慢性腸不全のため長期非経腸栄養を受けている患者で発症し、肝脂肪症および/または胆汁うっ滞を特徴とし得て、肝機能検査値の上昇、線維症、硬変および末期肝疾患(ESLD)を含むがこれらに限定されない肝損傷の1つ以上の他の兆候を伴い得る。いくつかの例において、IFALDは、以前はPN関連肝疾患(PNALD)と呼ばれていたこともある。
【0053】
「脂肪肝疾患」は、肝臓における脂質(lipid)(脂肪(fat))の過剰な蓄積を特徴とする状態を指す。肝臓における脂肪の蓄積は、様々な臨床徴候および段階的な進行をもたらす。病因に応じて、各段階は、非アルコール性またはアルコール性を特徴とし得る。進行は、単純な脂肪肝または脂肪症から始まる。この段階は一般に良性とみなされ、肝臓における脂肪出現の増加を特徴とする。脂肪肝は、非アルコール性(NAFL)またはアルコール性(AFL)を特徴とし得る。脂肪肝疾患の次の段階は、脂肪性肝炎として知られる一種の肝炎であり、更なる脂肪の蓄積と肝臓組織の炎症を特徴とする。脂肪性肝炎は、非アルコール性(NASH)またはアルコール性(ASH)であり得る。NASHおよびASHの両方が、脂肪肝疾患の次の段階の、肝臓の瘢痕化を特徴とするNASH関連またはASH関連線維症を引き起こし得る。最後に、線維症は、硬変に進行し得て、これは肝臓に不可逆的な損傷を引き起こし、最も重篤な段階である。硬変は、非アルコール性またはアルコール性であり得る。
【0054】
「タイプ1ガラス」は、化学品耐性が良好であるホウケイ酸ガラスを指す。タイプ1ガラスは、反応性が最も低い容器を必要とする医薬品に用いられる。例示的な製品は、ガラスバイアル、充填済みシリンジ、カートリッジおよびアンプルを含むがこれらに限定されない。
【0055】
「層間剥離制御(DC)ガラス」は、層間剥離(すなわち表面ガラスの劣化)に対して耐性のあるガラスを指す。例示的な製品は、ガラスバイアル、充填済みシリンジ、カートリッジおよびアンプルを含むがこれらに限定されない。
【0056】
「純粋なエタノール」は、200プルーフ(100%)エタノールを指す。
【0057】
2-クロロエタノールまたはアルミニウムのいずれかに言及するとき、「実質的に検出できない」は、検出限界の10%以内であるいずれかの物質の量を指す。
【0058】
いくつかの実施態様において、本発明は、水性媒体中にコリン塩を含む無菌組成物を提供する。
【0059】
特定の実施態様において、組成物は、重量/体積%で25~75%のコリン塩を含む。具体的な実施態様において、組成物は、重量/体積%で50%のコリン塩を含む。
【0060】
いくつかの実施態様において、コリン塩は、塩化コリンである。他の実施態様において、コリン塩は、重酒石酸コリンである。
【0061】
いくつかの実施態様において、本発明は、水性媒体中に塩化コリンを含む静脈内注射用の無菌組成物であって、塩化コリンが、重量/体積%で25~75%の塩化コリン塩のレベルで組成物中に存在する、組成物を提供する。
【0062】
いくつかの実施態様において、本発明は、水性媒体中に塩化コリンを含む静脈内注射用の無菌組成物であって、塩化コリンが、重量/体積%で50%の塩化コリン塩のレベルで組成物中に存在する、組成物を提供する。
【0063】
いくつかの実施態様において、本発明は、水性媒体中の塩化コリンからなる静脈内注射用の無菌組成物であって、塩化コリンが、重量/体積%で50%の塩化コリンのレベルで組成物中に存在する、組成物を提供する。
【0064】
いくつかの実施態様において、水性媒体は、注射用水である。
【0065】
特定の実施態様において、組成物は、防腐剤を含まない。他の実施態様において、組成物は、防腐剤を含む。いくつかの実施態様において、組成物は、少なくとも1つのアミノ酸、少なくとも1つのビタミンおよび/または少なくとも1つの脂肪酸を含む。いくつかの実施態様において、組成物は、少なくとも1つのアミノ酸を含む。さらに他の実施態様において、組成物は、少なくとも1つのビタミンを含む。特定の実施態様において、組成物は、少なくとも1つの脂肪酸を含む。他の実施態様において、組成物は、医薬的に許容される担体、希釈剤または添加剤を含む。
【0066】
いくつかの実施態様において、組成物のイオン強度は、少なくとも0.3Mである。特定の実施態様において、組成物のイオン強度は、0.3~7Mである。特定の具体的な実施態様において、組成物のイオン強度は、約7Mである。
【0067】
いくつかの実施態様において、組成物のpHは、約4~7である。
【0068】
いくつかの実施態様において、組成物は、微生物を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、組成物は、細菌を実質的に含まない。
【0069】
いくつかの実施態様において、組成物は、S.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを実質的に含まない。特定の実施態様において、組成物は、10-1CFU/mL未満のS.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-2CFU/mL未満のS.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-3CFU/mL未満のS.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-4CFU/mL未満のS.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-5CFU/mL未満のS.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-6CFU/mL未満のS.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを含む。
【0070】
いくつかの実施態様において、組成物は、S.アウレウスを実質的に含まない。特定の実施態様において、組成物は、10-1CFU/mL未満のS.アウレウスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-2CFU/mL未満のS.アウレウスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-3CFU/mL未満のS.アウレウスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-4CFU/mL未満のS.アウレウスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-5CFU/mL未満のS.アウレウスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-6CFU/mL未満のS.アウレウスを含む。
【0071】
いくつかの実施態様において、組成物は、G.ステアロサーモフィルスを実質的に含まない。特定の実施態様において、組成物は、10-1CFU/mL未満のG.ステアロサーモフィルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-2CFU/mL未満のG.ステアロサーモフィルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-3CFU/mL未満のG.ステアロサーモフィルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-4CFU/mL未満のG.ステアロサーモフィルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-5CFU/mL未満のG.ステアロサーモフィルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-6CFU/mL未満のG.ステアロサーモフィルスを含む。
【0072】
いくつかの実施態様において、組成物は、B.プミルスを実質的に含まない。特定の実施態様において、組成物は、10-1CFU/mL未満のB.プミルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-2CFU/mL未満のB.プミルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-3CFU/mL未満のB.プミルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-4CFU/mL未満のB.プミルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-5CFU/mL未満のB.プミルスを含む。特定の実施態様において、組成物は、10-6CFU/mL未満のB.プミルスを含む。
【0073】
いくつかの実施態様において、組成物の無菌性保証水準は、少なくとも10-3~10-6である。特定の実施態様において、組成物の無菌性保証水準は、少なくとも10-3である。他の実施態様において、組成物の無菌性保証水準は、少なくとも10-4である。他の実施態様において、組成物の無菌性保証水準は、少なくとも10-5である。さらに他の実施態様において、組成物の無菌性保証水準は、少なくとも10-6である。
【0074】
いくつかの実施態様において、組成物は、組成物のイオン強度により滅菌される。いくつかの実施態様において、組成物は、ガンマ線照射により滅菌される。更なる実施態様において、組成物は、イオン強度およびガンマ線照射の組合せにより滅菌される。いくつかの実施態様において、ガンマ線照射は、少なくとも20kGyである。いくつかの実施態様において、ガンマ線照射は、18~25kGyである。いくつかの実施態様において、ガンマ線照射は、25~33kGyである。いくつかの実施態様において、ガンマ線照射は、45~59kGyである。
【0075】
いくつかの実施態様において、組成物は、間接注射または直接注射による投与に適する。具体的な実施態様において、組成物は、直接注射による投与に適する。他の具体的な実施態様において、組成物は、間接注射による投与に適する。
【0076】
いくつかの実施態様において、組成物は、微生物の増殖に対する耐性がある。いくつかの実施態様において、組成物は、化学的に安定である。
【0077】
いくつかの実施態様において、本発明は、コリン塩を水性媒体に配合する工程、および水性媒体中のコリン塩の濃度を調節する工程を含む、組成物を製造する方法を提供する。
【0078】
いくつかの実施態様において、pHもまた、調節される。特定の実施態様において、pH調節剤は、酸である。具体的な実施態様において、酸は、リンゴ酸、クエン酸、酢酸、ホウ酸、乳酸、塩酸、リン酸、硫酸、スルホン酸または硝酸である。
【0079】
他の実施態様において、pH調節剤は、塩基である。他の具体的な実施態様において、塩基は、アセトアニリド、アンモニア、水酸化カルシウム、重炭酸カリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、チオウレアまたはウレアである。
【0080】
いくつかの実施態様において、方法は、組成物を組成物のイオン強度により滅菌する工程を含む。いくつかの実施態様において、方法は、組成物をガンマ線照射により滅菌する工程を含む。更なる実施態様において、方法は、組成物をイオン強度およびガンマ線照射の組合せにより滅菌する工程を含む。
【0081】
いくつかの実施態様において、ガンマ線照射は、少なくとも20kGyである。いくつかの実施態様において、ガンマ線照射は、18~25kGyである。いくつかの実施態様において、ガンマ線照射は、25~33kGyである。いくつかの実施態様において、ガンマ線照射は、45~59kGyである。
【0082】
いくつかの実施態様において、本発明は、塩化コリンを注射用水に配合して、イオン強度が約7Mで、pHが約4~7の50%(w/v)溶液を製造する工程、および溶液をガンマ線照射に曝露させて、少なくとも10-6の無菌性保証水準を得る工程を含む、本明細書に記載の組成物を製造する方法を提供する。
【0083】
いくつかの実施態様において、ガンマ線照射は、少なくとも20kGyである。いくつかの実施態様において、ガンマ線照射は、18~25kGyである。いくつかの実施態様において、ガンマ線照射は、25~33kGyである。いくつかの実施態様において、ガンマ線照射は、45~59kGyである。
【0084】
いくつかの実施態様において、本発明は、本明細書に記載の方法により製造される、本明細書に記載の組成物を提供する。
【0085】
いくつかの実施態様において、本発明は、組成物のイオン強度が組成物の滅菌を促進するようにコリン塩および注射用水を配合し、ガンマ線照射への曝露により組成物を滅菌することにより製造される組成物を提供する。具体的な実施態様において、組成物は、重量/体積%で50%の塩化コリンを含む。
【0086】
いくつかの実施態様において、組成物は、ミクロンフィルターを通してろ過される。いくつかの実施態様において、組成物は、連続した2つのミクロンフィルターを通してろ過される。いくつかの実施態様において、組成物は、0.2μmフィルターを通してろ過される。いくつかの実施態様において、組成物は、連続した2つの0.2μmフィルターを通してろ過される。いくつかの実施態様において、組成物は、0.45μmフィルターを通してろ過される。いくつかの実施態様において、組成物は、連続した2つの0.45μmフィルターを通してろ過される。
【0087】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む、対象体におけるコリン欠乏症を処置する方法を提供する。
【0088】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む、対象体に非経腸サポートを提供する方法を提供する。
【0089】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む、対象体に非経腸栄養を提供する方法を提供する。
【0090】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む、対象体における肝胆汁うっ滞を処置する方法を提供する。
【0091】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む、対象体における肝脂肪症を処置する方法を提供する。
【0092】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む、対象体における腸管不全関連肝障害(IFALD)を処置する方法を提供する。
【0093】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む、対象体における脂肪肝疾患を処置する方法を提供する。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、AFL、ASH、NAFL、NASH、NASH-関連肝線維症またはASH-関連肝線維症である。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、アルコール性脂肪肝(AFL)である。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)である。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪肝(NAFL)である。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、NASH-関連肝線維症である。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、ASH-関連肝線維症である。
【0094】
いくつかの実施態様において、処置は、非経腸サポートとして本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む。非経腸サポートは、非経腸液体の単独投与または非経腸栄養溶液との組合せの投与を含む。例えば、本明細書に記載の組成物を含む溶液は、単なる液体が投与されるとき、独立型としてYライン投与によって提供され得る。いくつかの実施態様において、処置は、非経腸サポート溶液の一部として本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含み、ここで投与は、少なくとも1日1回、または処置医師によって決定されるとおり行われる。いくつかの実施態様において、処置は、非経腸サポート溶液の一部として本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含み、ここで投与は、少なくとも1日1回、または処置医師によって決定されるとおりコリンの正常な血漿レベルを得るスケジュールに従って行われる。例えば、注入時間は、数時間(例えば10~14時間)であり得て、連続的に投与されてもよく、あるいは1回以上の投与間隔に分割されてもよい。
【0095】
いくつかの実施態様において、処置は、非経腸栄養溶液の一部として本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む。いくつかの実施態様において、処置は、非経腸栄養溶液の一部として本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含み、ここで投与は、少なくとも1日1回、または処置医師によって決定されるとおり行われる。いくつかの実施態様において、処置は、非経腸栄養溶液の一部として本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含み、ここで投与は、少なくとも1日1回、または処置医師によって決定されるとおりコリンの正常な血漿レベルを得るスケジュールに従って行われる。例えば、注入時間は、数時間(例えば10~14時間)であり得て、連続的に投与されてもよく、あるいは1回以上の投与期間に分割されてもよい。
【0096】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の組成物は、直接注射により対象体に投与される。他の具体的な実施態様において、本明細書に記載の組成物、間接注射により対象体に投与される。
【0097】
いくつかの実施態様において、本発明は、コリン塩組成物であって、該組成物が、少なくとも25kGyのガンマ線照射により液体形態で滅菌されており、水性媒体中に重量/体積%で25~75%のコリン塩を含む組成物の照射生成物であり、組成物が、(a)約4~7のpH;(b)>0.3Mのイオン強度;および(c)少なくとも10-3~10-6の無菌性保証水準を有する、組成物を提供する。具体的な実施態様において、組成物のイオン強度は、約7Mである。具体的な実施態様において、組成物の無菌性保証水準は、少なくとも10-6Mである。具体的な実施態様において、水性媒体は、注射用水である。具体的な実施態様において、コリン塩は、塩化コリンである。具体的な実施態様において、組成物は、重量/体積%で50%のコリン塩を含む。
【0098】
いくつかの実施態様において、組成物は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む対象体におけるコリン欠乏症を処置する方法において用いるためである。いくつかの実施態様において、組成物は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む対象体における非経腸サポートにおける欠乏症を処置する方法において用いるためである。いくつかの実施態様において、組成物は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む対象体における非経腸栄養における欠乏症を処置する方法において用いるためである。いくつかの実施態様において、組成物は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む対象体における肝脂肪症を処置する方法において用いるためである。いくつかの実施態様において、組成物は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む対象体における肝胆汁うっ滞を処置する方法において用いるためである。いくつかの実施態様において、組成物は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む対象体における腸管不全関連肝障害(IFALD)を処置する方法において用いるためである。いくつかの実施態様において、組成物は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む対象体における脂肪肝疾患を処置する方法において用いるためである。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、AFL、ASH、NAFL、NASH、NASH-関連肝線維症またはASH-関連肝線維症である。
【0099】
いくつかの実施態様において、本発明は、組成物が注射用バイアルの形態で包装されている、本明細書に記載の組成物を提供する。
【0100】
いくつかの実施態様において、組成物は、ガラス容器に包装される。いくつかの実施態様において、組成物は、タイプ1のガラス容器に包装される。他の実施態様において、組成物は、層間剥離制御(DC)ガラス容器に包装される。
【0101】
いくつかの実施態様において、本発明は、組成物がIVバッグの形態で包装されている、本明細書に記載の組成物を提供する。
【0102】
いくつかの実施態様において、本発明は、組成物が予め充填されたシリンジの形態で包装されている、本明細書に記載の組成物を提供する。
【0103】
いくつかの実施態様において、本発明は、組成物が組成物およびシリンジを含むキットの形態で包装されている、本明細書に記載の組成物を提供する。具体的な実施態様において、キットは、ガラス容器に包装された組成物を含む。具体的な実施態様において、キットは、タイプ1のガラス容器に包装された組成物を含む。具体的な実施態様において、キットは、層間剥離制御(DC)ガラス容器に包装された組成物を含む。具体的な実施態様において、キットは、IVバッグに包装された組成物を含む。他の具体的な実施態様において、キットは、予め充填されたシリンジとして包装された組成物を含む。
【0104】
いくつかの実施態様において、本発明は、組成物および包装がガンマ線照射により滅菌されている、本明細書に記載の組成物および包装を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、組成物がイオン強度とガンマ線照射の両方で滅菌され、包装がガンマ線照射により滅菌されている、本明細書に記載の組成物および包装を提供する。具体的な実施態様において、組成物および包装は、少なくとも20kGyのガンマ線照射により滅菌される。いくつかの実施態様において、組成物および包装は、18~25kGyのガンマ線照射により滅菌される。いくつかの実施態様において、組成物および包装は、25~33kGyのガンマ線照射により滅菌される。いくつかの実施態様において、組成物および包装は、45~59kGyのガンマ線照射により滅菌される。
【0105】
いくつかの実施態様において、本発明は、無菌で使用準備済みの塩化コリンの医薬組成物であって、該医薬組成物が、水性媒体中、重量/体積%で25~75%の塩化コリンの濃度を有する無菌水性の塩化コリン溶液を含む、一次包装容器;および一次包装容器を密封するシールを含み;塩化コリン溶液に、少なくとも10-3~10-6の無菌性保証水準に従って、生存微生物のコンタミネーションがない、医薬組成物を提供する。具体的な実施態様において、水性塩化コリン溶液は、重量/体積%で50%の塩化コリンの濃度を有する。具体的な実施態様において、無菌性保証水準は、少なくとも10-6である。特定の実施態様において、水性媒体は、注射用水である。いくつかの実施態様において、一次包装は、ガラス容器である。いくつかの実施態様において、一次包装は、タイプ1のガラス容器である。他の実施態様において、一次包装は、DCガラス容器である。さらに他の実施態様において、一次包装はIVバッグである。更なる実施態様において、一次包装は、予め充填されたシリンジである。
【0106】
いくつかの実施態様において、使用準備済みの医薬組成物は、ガンマ線照射により滅菌される。具体的な実施態様において、使用準備済みの医薬組成物は、少なくとも20kGyのガンマ線照射により滅菌される。他の具体的な実施態様において、使用準備済みの医薬組成物は、25~33kGyのガンマ線照射により滅菌される。他の具体的な実施態様において、使用準備済みの医薬組成物は、45~59kGyのガンマ線照射により滅菌される。
【0107】
いくつかの実施態様において、使用準備済みの医薬組成物は、間接注射による投与に適する。他の実施態様において、使用準備済みの医薬は、直接注射による投与に適する。更なる実施態様において、使用準備済みの医薬は、一次包装中で少なくとも3か月間安定である。
【0108】
いくつかの実施態様において、本発明は、(i)重量/体積%で40~60%の塩化コリンの最終濃度に、塩化コリンを注射用水中に溶解させる工程;(ii)ミクロンフィルターを通して溶液をろ過する工程;(iii)溶液をガラスバイアルに移す工程;(iv)バイアルを密封する工程;(v)ガンマ線照射を用いて医薬品を滅菌する工程によって製造される、無菌水性の塩化コリン医薬品を提供する。特定の実施態様において、工程(ii)において、無菌水性の塩化コリン医薬品は、0.2μmフィルターを通してろ過される。特定の実施態様において、工程(ii)において、無菌水性の塩化コリン医薬品は、0.45μmフィルターを通してろ過される。特定の実施態様において、工程(ii)において、無菌水性の塩化コリン医薬品は、連続した2つのミクロンフィルターを通してろ過される。
【0109】
いくつかの実施態様において、本発明は、(i)重量/体積%で40~60%の塩化コリンの最終濃度に、塩化コリンを注射用水中に溶解させる工程;(ii)0.2μmフィルターを通して溶液をろ過する工程;(iii)溶液をガラスバイアルに移す工程;(iv)バイアルを密封する工程;(v)ガンマ線照射を用いて医薬品を滅菌する工程によって製造される、無菌水性の塩化コリン医薬品を提供する。
【0110】
具体的な実施態様において、無菌水性の塩化コリン医薬品は、重量/体積%で50%の塩化コリンを含む。特定の実施態様において、無菌水性の塩化コリン医薬品は、連続した2つの0.2μmフィルターを通してろ過される。特定の実施態様において、無菌水性の塩化コリン医薬品は、連続した2つの0.45μmフィルターを通してろ過される。更なる実施態様において、無菌水性の塩化コリン医薬品は、少なくとも20kGyのガンマ線照射により滅菌される。更なる具体的な実施態様において、無菌水性の塩化コリン医薬品は、25~33kGyのガンマ線照射により滅菌される。更なる具体的な実施態様において、無菌水性の塩化コリン医薬品は、45~59kGyのガンマ線照射により滅菌される。
【0111】
いくつかの実施態様において、無菌水性の塩化コリン医薬品は、バイアルに移され、ここでバイアルは、ガラス容器である。いくつかの実施態様において、無菌水性の塩化コリン医薬品は、バイアルに移され、ここでバイアルは、タイプ1のガラス容器である。いくつかの実施態様において、無菌水性の塩化コリン医薬品は、バイアルに移され、ここでバイアルは、DCガラス容器である。具体的な実施態様において、無菌水性の塩化コリン医薬品は、バイアル中に密封され、バイアルは、ゴム栓で密封される。更なる具体的な実施態様において、無菌水性の塩化コリン医薬品は、バイアル中に密封され、バイアルはさらに、アルミニウムクリンプで密閉される。
【0112】
特定の実施態様において、医薬品は、防腐剤を含まない。他の実施態様において、医薬品は、防腐剤を含む。いくつかの実施態様において、医薬品は、少なくとも1つのアミノ酸、少なくとも1つのビタミンおよび/または少なくとも1つの脂肪酸を含む。いくつかの実施態様において、医薬品は、少なくとも1つのアミノ酸を含む。さらに他の実施態様において、医薬品は、少なくとも1つのビタミンを含む。特定の実施態様において、医薬品は、少なくとも1つの脂肪酸を含む。他の実施態様において、医薬品は、医薬的に許容される担体、希釈剤または添加剤を含む。
【0113】
いくつかの実施態様において、医薬品のイオン強度は、少なくとも0.3Mである。特定の実施態様において、医薬品のイオン強度は、0.3~7Mである。特定の具体的な実施態様において、医薬品のイオン強度は、約7Mである。
【0114】
いくつかの実施態様において、医薬品のpHは、約4~7である。
【0115】
いくつかの実施態様において、医薬品は、微生物を実質的に含まない。いくつかの実施態様において、医薬品は、細菌を実質的に含まない。
【0116】
いくつかの実施態様において、医薬品は、S.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを実質的に含まない。特定の実施態様において、医薬品は、10-1CFU/mL未満のS.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-2CFU/mL未満のS.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-3CFU/mL未満のS.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-4CFU/mL未満のS.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-5CFU/mL未満のS.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-6CFU/mL未満のS.アウレウス、G.ステアロサーモフィルスおよび/またはB.プミルスを含む。
【0117】
いくつかの実施態様において、医薬品は、S.アウレウスを実質的に含まない。特定の実施態様において、医薬品は、10-1CFU/mL未満のS.アウレウスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-2CFU/mL未満のS.アウレウスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-3CFU/mL未満のS.アウレウスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-4CFU/mL未満のS.アウレウスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-5CFU/mL未満のS.アウレウスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-6CFU/mL未満のS.アウレウスを含む。
【0118】
いくつかの実施態様において、医薬品は、G.ステアロサーモフィルスを実質的に含まない。特定の実施態様において、医薬品は、10-1CFU/mL未満のG.ステアロサーモフィルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-2CFU/mL未満のG.ステアロサーモフィルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-3CFU/mL未満のG.ステアロサーモフィルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-4CFU/mL未満のG.ステアロサーモフィルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-5CFU/mL未満のG.ステアロサーモフィルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-6CFU/mL未満のG.ステアロサーモフィルスを含む。
【0119】
いくつかの実施態様において、医薬品は、B.プミルスを実質的に含まない。特定の実施態様において、医薬品は、10-1CFU/mL未満のB.プミルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-2CFU/mL未満のB.プミルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-3CFU/mL未満のB.プミルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-4CFU/mL未満のB.プミルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-5CFU/mL未満のB.プミルスを含む。特定の実施態様において、医薬品は、10-6CFU/mL未満のB.プミルスを含む。
【0120】
いくつかの実施態様において、医薬品の無菌性保証水準は、少なくとも10-3~10-6である。特定の実施態様において、医薬品の無菌性保証水準は、少なくとも10-3である。他の実施態様において、医薬品の無菌性保証水準は、少なくとも10-4である。他の実施態様において、医薬品の無菌性保証水準は、少なくとも10-5である。さらに他の実施態様において、医薬品の無菌性保証水準は、少なくとも10-6である。
【0121】
いくつかの実施態様において、医薬品は、微生物の増殖に対する耐性がある。いくつかの実施態様において、医薬品は、化学的に安定である。
【0122】
具体的な実施態様において、本明細書に記載の医薬品は、直接注射により対象体に投与される。他の具体的な実施態様において、本明細書に記載の医薬品は、間接注射により対象体に投与される。
【0123】
いくつかの実施態様において、本発明は、医薬品が医薬品およびシリンジを含むキットの形態で包装されている、本明細書に記載の医薬品を提供する。
【0124】
いくつかの実施態様において、本発明は、医薬品および包装がガンマ線照射により滅菌されている、本明細書に記載の医薬品および包装を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、医薬品がイオン強度とガンマ線照射の両方で滅菌され、包装がガンマ線照射により滅菌されている、本明細書に記載の医薬品および包装を提供する。具体的な実施態様において、医薬品および包装は、少なくとも20kGyのガンマ線照射により滅菌される。いくつかの実施態様において、医薬品および包装は、18~25kGyのガンマ線照射により滅菌される。いくつかの実施態様において、医薬品および包装は、25~33kGyのガンマ線照射により滅菌される。いくつかの実施態様において、医薬品および包装は、45~59kGyのガンマ線照射により滅菌される。
【0125】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の医薬品を対象体に投与することを含む、対象体におけるコリン欠乏症を処置する方法を提供する。
【0126】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の医薬品を対象体に投与することを含む、対象体に非経腸サポートを提供する方法を提供する。
【0127】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の医薬品を対象体に投与することを含む、対象体に非経腸栄養を提供する方法を提供する。
【0128】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の医薬品を対象体に投与することを含む、対象体における肝胆汁うっ滞を処置する方法を提供する。
【0129】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の医薬品を対象体に投与することを含む、対象体における肝脂肪症を処置する方法を提供する。
【0130】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の医薬品を対象体に投与することを含む、対象体における腸管不全関連肝障害(IFALD)を処置する方法を提供する。
【0131】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の医薬品を対象体に投与することを含む、対象体における脂肪肝疾患を処置する方法を提供する。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、AFL、ASH、NAFL、NASH、NASH-関連肝線維症またはASH-関連肝線維症である。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、アルコール性脂肪肝(AFL)である。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)である。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪肝(NAFL)である。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、NASH-関連肝線維症である。いくつかの実施態様において、脂肪肝疾患は、ASH-関連肝線維症である。
【0132】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の組成物または医薬品を対象体に投与することを含む、対象体におけるコリン欠乏症を処置する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の組成物を対象体に投与することを含む、対象体におけるコリン欠乏症を処置する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の本明細書に記載の医薬品を対象体に投与することを含む、対象体におけるコリン欠乏症を処置する方法を提供する。
【0133】
いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症を処置する方法は、対象体に非経腸サポートまたは非経腸栄養を提供することをさらに含む。いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症を処置する方法は、対象体に非経腸サポートを提供することをさらに含む。いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症を処置する方法は、対象体に非経腸栄養を提供することをさらに含む。
【0134】
いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症は、肝胆汁うっ滞または肝脂肪症に関連する。いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症は、肝胆汁うっ滞に関連する。いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症は、肝脂肪症に関連する。いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症は、腸管不全関連肝障害(IFALD)に関連する。いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症は、脂肪肝疾患に関連する。いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症は、脂肪肝疾患に関連し、ここで脂肪肝疾患は、AFL、ASH、NAFL、NASH、NASH-関連肝線維症またはASH-関連肝線維症である。いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症は、脂肪肝疾患に関連し、ここで脂肪肝疾患は、AFLである。いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症は、脂肪肝疾患に関連し、ここで脂肪肝疾患は、ASHである。いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症は、脂肪肝疾患に関連し、ここで脂肪肝疾患は、NAFLである。いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症は、脂肪肝疾患に関連し、ここで脂肪肝疾患は、NASHである。いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症は、脂肪肝疾患に関連し、ここで脂肪肝疾患は、NASH-関連肝線維症である。いくつかの実施態様において、対象体におけるコリン欠乏症は、脂肪肝疾患に関連し、ここで脂肪肝疾患は、ASH-関連肝線維症である。
【0135】
いくつかの実施態様において、本発明は、気体状のトリメチルアミンを水素化装置へ、加圧下、2-クロロエタノールと共に、純粋なエタノールおよびメチル-tert-ブチルエーテルの存在下で導入することにより、塩化コリンを合成する方法であって、プロセスが非連続プロセスである、方法を提供する。
【0136】
いくつかの実施態様において、塩化コリンは、99%超の純度で製造される。いくつかの実施態様において、塩化コリンは、99.5%超の純度で製造される。いくつかの実施態様において、塩化コリンは、99.8%超の純度で製造される。
【0137】
いくつかの実施態様において、塩化コリンは、実質的に検出可能な2-クロロエタノールを含まずに製造される。いくつかの実施態様において、塩化コリンは、実質的に検出可能なアルミニウムを含まずに製造される。いくつかの実施態様において、塩化コリンは、0.05μg/g以下のアルミニウムを含んで製造される。いくつかの実施態様において、塩化コリンは、0.1%wt:wt以下のトリメチルアミンを含んで製造される。
【0138】
(略語)
以下の略語が例で用いられているが、他の略語は当該技術分野における通常の意味を有する:
MTBE:メチルtert-ブチルエーテル
WFI:注射用水
g:グラム
L:リットル
mL:ミリリットル
mol:モル
min:分
hまたはhr:時間
M:mol/Lまたは「モル濃度」
℃:摂氏温度
CFU:コロニー形成単位
TNTC:数え切れないほど多い
kGy:キログレイ
USP:米国薬局方
RH:相対湿度
VLDL:超低密度リポタンパク質
PC:ホスファチジルコリン
PEMT:ホスファチジルエタノールアミン メチルトランスフェラーゼ
DNA:デオキシリボ核酸
MRI:磁気共鳴画像
IF:腸管不全
PN:非経腸栄養
IFALD:腸管不全関連肝障害
IV:静脈内
ESLD:末期肝疾患
PNALD:PN関連肝疾患
NAFL:非アルコール性脂肪肝
AFL:アルコール性脂肪肝
NASH:非アルコール性脂肪性肝炎
ASH:アルコール性脂肪性肝炎
DC:層間剥離制御
TSB:トリプシン大豆ブロス
TSA:トリプシン大豆寒天
NLT:以上
NMT:以下
RRT:相対保持時間
RH:相対湿度
HIAC:高い正確性
LC:液体クロマトグラフィー
TS:最終滅菌
API:活性医薬成分
FTIR:フーリエ変換赤外分光法
GC-MS:ガスクロマトグラフィー質量分析法
ICP-MS:誘導結合プラズマ質量分析法
IC:イオンクロマトグラフィー
QL:定量限界
【実施例】
【0139】
本発明の実施態様を、以下の実施例によってさらに説明する。以下の実施例は、非限定的なものであり、本発明の実施態様の様々な態様を単に代表するものである。
【0140】
実施例1 コリン塩組成物の製造
塩化コリン(500g)をWFIと混ぜ合わせ、塩化コリンを溶解させ、全量を1Lにし、WFI中塩化コリン50%(w/v)を得る。
【0141】
実施例2 イオン強度によりコリン塩組成物の滅菌
ほとんどの単細胞生物は、約0.3Mの細胞内の正常イオン強度を維持する。イオン強度が0.3Mより高い任意の培地中の細胞は、内側および両側の両方が等しくなるまで細菌内部から水を引き抜く。細菌は、細胞膜内に水がほとんどまたはまったくないと正常に生存できない。したがって、イオン強度は、培地中の細菌個体数を減らし、これによりその培地を滅菌する方法として用いられ得る。ここで、WFI中の塩化コリン50%(w/v)のイオン強度は約7Mであり、殺菌効果をもたらすと考えられる。しかしながら、WFI中の塩化コリン50%(w/v)のイオン強度は、G.ステアロサーモフィルス、B.プミルスおよびS.アウレウスなどの生物に対して滅菌するには十分ではない。したがって、熱およびガンマ線照射などの他の滅菌方法を検討した。
【0142】
実施例3 熱によるコリン塩組成物の滅菌
D121値を、50%塩化コリン組成物中に懸濁させたG.ステアロサーモフィルス胞子について決定した。WFI中塩化コリン50%(w/v)を含有するバイアルに、バイアル当たり106胞子のG.ステアロサーモフィルスを接種し、密封した。微生物アッセイを、試験の最初(初期個体数=1.3031×106 胞子)および完了時(最終個体数=1.1813×106 胞子)に播種バイアルで実施した。これらのアッセイにより、バイアル内の胞子濃度が試験期間中安定していることが確認された。
【0143】
50%塩化コリン組成物中に懸濁させたG.ステアロサーモフィルス胞子のD
121値の決定を、非曝露バイアルならびに30.0、60.0、90.0および120.0分間曝露したバイアルからの胞子個体数データを用いて決定した。バイアルをJoslyn/Steris Sterilizer Corp.のsteam B.I.E.R.内で121℃に曝露した。その後、個体数アッセイを実施して、コロニー形成単位(CFU)の点で胞子個体数を決定した。4つの複製単位を各曝露時間で同じ希釈アッセイにおいて試験した。したがって、以下に示すプレート数は、アッセイごと(4単位ごと)であり、最終個体数を1単位当たりの胞子として示す。各曝露時間に対応するバイアル当たりの胞子個体数(表1を参照、太字の数字はUSPセクション55のガイダンスに従って最終個体数を計算するために使用)を用いて、生存曲線を作成し、D
121値を生存曲線 方法に従って計算した(
図1を参照)。
【表1】
【0144】
バイアル中の塩化コリン注射液中に懸濁させたG.ステアロサーモフィルス胞子の安定性が実証された。最終個体数は、1.0×106胞子/バイアル超であった。WFI中塩化コリン50%(w/v)に懸濁させたG.ステアロサーモフィルス胞子のD121値は、34.0分であることが分かった。D121値が31分の場合、滅菌サイクルは7時間を超える。7時間の滅菌サイクルは、分解または分解物の形成をもたらし得る。そのため、蒸気による最終滅菌は実施できない。
【0145】
実施例4 コリン塩組成物のガンマ線照射
極めて高いD121値(約34分)により最終滅菌による滅菌が実施できないため、コリン塩組成物の滅菌のためのガンマ線照射の実現可能性を、WFI中塩化コリン注射液50(w/v)を用いて評価した。ガンマ線照射の実施可能性試験の分析結果を表2にまとめる。
【0146】
簡潔には、バイアルおよびガラス製品を熱処理して、無菌性を確保した。WFI中塩化コリン50%(w/v)溶液の初期pHを測定した。スパイク試料を、G.ステアロサーモフィルス(10
6胞子)またはB.プミルス(10
6胞子)のいずれかの播種により調製した。バイアルを、25~33kGy(キログレイ)または45~59kGyのいずれかのガンマ線量で照射した。対照バイアルにはガンマ線照射に曝露しなかった。
【表2】
【0147】
表2の結果は、45~59kGyのガンマ線照射線量では、対照と比較して医薬品中により多くの不純物(既知および未知の両方)が生成されることを示している。25~33kGyのガンマ線照射線量では、対照と比較して医薬品中に既知の不純物であるトリエチルアミンがわずかに高い割合で生成されるが、未知不純物については検出限界未満である。これらの結果に基づいて、WFI中塩化コリン注射液50(w/v)の滅菌に最適な範囲は25~33kGyのガンマ線量であることが決定された。
【0148】
実施例5 ガンマ線照射によるコリン塩組成物の滅菌
I. G.ステアロサーモフィルス/ B.プミルスのガンマ線滅菌
ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(G.ステアロサーモフィルス)またはバチルス・プミルス(Bacillus pumilus、B.プミルス)のいずれかを接種したWFI中塩化コリン50%(w/v)の組成物のための滅菌法として、ガンマ線照射を試験した。組成物を含むバイアルに、106CFU/バイアルの個体数となる0.1mLのG.ステアロサーモフィルス胞子懸濁液を接種した。この方法で、別々のバイアルにバチルス・プミルス(B.プミルス)を接種した。バイアルを、25~33kGyまたは45~59kGyのいずれかを用いるガンマ線照射を用いて滅菌した。選択したバイアルを非曝露のままにして、陽性対照として用いた(表4を参照)。その後、すべてのバイアルをアッセイして、CFUの点で胞子個体数を決定した(表3を参照)。更なるバイアルもまた、個体数アッセイ試験のバリデーションに用いた(表5を参照)。
【0149】
簡潔には、滅菌バイアルの無菌性を、ろ過法を用いて試験した。ボルテックスした後、滅菌針およびシリンジを用いて各バイアルの内容物を除去し、それ自体のフィルター(例えば、0.2または0.45μm(ミクロン)フィルター)を通してろ過した。その後、バイアルごとに同じ針、シリンジおよびフィルターを用いて、バイアルをすすぎ、ボルテックスし、内容物を上記のとおりろ過した。その後、このプロセスを繰り返し、すべての残存製剤が各バイアルから確実に除去されたことを確認した。製剤およびバイアルすすぎ液のろ過後、その後各フィルターをすすぎ、トリプシン大豆寒天(TSA)にプレーティングした。フィルターを3回すすぎ、最後のアリコートに接種に使用した胞子懸濁液0.1mLでスパイクすることにより、各生物タイプについて試験陽性対照を実施した。すべてのプレートを生物タイプに従って、G.ステアロサーモフィルスでは55~60℃、B.プミルスでは30~35℃にて48時間以上インキュベートした(表3を参照)。
【表3】
【0150】
陽性対照に用いたバイアルを、段階希釈スキームを利用した混釈平板法を用いて、個体数および純度について試験した(
図2を参照)。簡潔には、バイアルをボルテックスした後、1mLの各バイアル(すなわち、塩化コリン溶液および10
5CFU/mL、10
4CFU/mL、10
3CFU/mLまたは10
2CFU/mLのいずれかを含むバイアル)を、滅菌針およびシリンジを用いて除去し、9mLの滅菌水を含む試験管に移した。試験管に熱ショックを与えた(例えば、G.ステアロサーモフィルスについて95~100℃を15分間、およびB.プミルスについて65~75℃を15分間)。熱ショック後、各管を氷浴中で冷却し、ボルテックスした。冷却後、1mLを、9mLの滅菌水を含む試験管に移し、ボルテックスした(デュプリケートでた)。10
2および10
1希釈物の1mLを、滅菌ペトリ皿にプレーティングし、18mLの溶融TSAをペトリ皿に注ぎ、固化させた。上記工程を、各生物タイプの3つすべての陽性対照バイアルについて完了した。すべてのプレートを生物タイプに従って、G.ステアロサーモフィルスでは55~60℃、およびバチルス・プミルスでは30~35℃にて48時間以上インキュベートした。インキュベート後、プレートを読み取り、バリデーションし、CFU/プレートとしてコロニーを示した(表4を参照)。
【表4】
【0151】
個体数アッセイ手順をチャレンジするために、陽性対照を実施した。滅菌針およびシリンジを用いて、1バイアルの製剤に0.1mLのG.ステアロサーモフィルス胞子懸濁液をスパイクした。この接種により、各バイアル中に10
6CFUの個体数を得た。この上記のプロセスを、B.プミルス胞子懸濁液を用いて繰り返した。非曝露の陽性対照バイアに対する個体数アッセイについての上記のプロセスを、両方の生物タイプについて完了した。結果を表5に示す。
【表5】
【0152】
25~33kGyまたは45~59kGyのいずれかを用いてガンマ線照射を曝露されたバイアルは、細菌の増殖を示さなかった(すべての試料でCFU=0)。これらのデータは、WFI中塩化コリン50%(w/v)組成物の滅菌方法としてのガンマ線照射の有効性を示している。非曝露の陽性対照試料は、バイアル内に最初に接種されたものよりも回収された個体数が少ないことを示した。個体数アッセイ試験のバリデーションのために試験したバイアルでは、CFUが予想よりも低くなり、これは、結果/条件が変化すると、溶液中の生物が時間の経過とともに減少する可能性があることを示している可能性がある。試験対照に対して実施した個体数アッセイは、陽性対照バイアルよりはるかに高い回収を示し、これは接種に用いた方法が許容できるものであったことを示している。すべての結果は、微生物学的観点から、G.ステアロサーモフィルスおよびB.プミルスなどの生物に対するWFI中塩化コリン50%(w/v)組成物の効果的な滅菌方法であることを示している。
【0153】
II. S.アウレウスのガンマ線滅菌
スタフィロコッカス・アウレウス(S.アウレウス)を接種したWFI中塩化コリン50%(w/v)の組成物のための滅菌法として、ガンマ線照射を試験した。組成物を含むバイアル(5mL)に、0.1mLのS.アウレウス胞子懸濁液(109CFU/mL)を接種した。バイアルを、25~33kGyのガンマ線照射を用いて滅菌した。選択したバイアルを非曝露のままにして、陽性対照として用いた。その後、すべてのバイアルをアッセイして、CFUの点で胞子個体数を決定した(表7を参照)。更なるバイアルもまた、個体数アッセイ試験のバリデーションに用いた(表6を参照)。
【0154】
微生物保持を次のように決定した。簡潔には、S.アウレウスのストック溶液を、10~100CFUの生物を15mLのトリプシン大豆ブロス(TSB)に加えて作製し、30~35℃で約72時間インキュベートして、約10
9CFU/mL(番号4のマクファーランド標準を用いて概算)の培養物を作製した。10
3および10
2希釈物をデュプリケートでTSAにプレーティングし、30~35℃にて24時間以内でインキュベートすることにより、ストック培養物の希釈系列をデュプリケートで作製して、個体数のバリデーションについて試験した。5mL製剤バイアルに、調製したストック培養物0.1mLをスパイクした。スパイク製剤バイアルの段階希釈物もまた、スパイク製剤0.1mLを9.9mLの滅菌水に加え、その後その希釈物1mLを9mLの滅菌水に加えてデュプリケートで作製した。両方の希釈物0.1mLを、TSAにデュプリケートでプレーティングし、30~35℃にて24時間以内でインキュベートした。同じスパイク製剤バイアルの段階希釈物を、24時間、72時間および7日間の時間増分で上記のとおり試験した。微生物保持結果を表6に示す。
【表6】
【0155】
S.アウレウスの無菌性結果を次のように得た。スタフィロコッカス・アウレウスのストック培養物を、10~100CFUの生物を15mLのTSBに加えて作製し、30~35℃で約72時間インキュベートし、約10
9CFU/mL(番号4のマクファーランド標準を用いて概算)の培養物を作製した。10
3および10
2希釈物をデュプリケートでTSAにプレーティングし、30~35℃にて24時間以内でインキュベートすることにより、ストック培養物の希釈系列をデュプリケートで作製して、個体数の確認のために試験した。3つの5mL製剤バイアルに、調製したストック培養物0.1mLをスパイクした。2つの更なる製剤バイアルに、ストック培養物0.1mLをスパイクして、陽性対照とした。これらのバイアルを、25~33kGyのガンマ線照射を用いて滅菌した(陽性および陰性対照は未曝露のままであった)。滅菌後、3つの曝露バイアルおよび陰性対照を、ろ過法を用いて試験した。各バイアルの内容物を、別々に0.45μmのMCEフィルターを通してろ過した。バイアルをすすぎ、残りのすすぎ液とともに約100mLずつ3回に分けてろ過した。フィルターをTSAにプレーティングし、30~35℃で5日間インキュベートした。陽性対照に用いるスパイク製剤バイアルの段階希釈物を、スパイク製剤0.1mLを9.9mLの滅菌水に加え、その後その希釈物1mLを9mLの滅菌水に加えることを3回繰り返してデュプリケートで作製した。最終的な3つの希釈物0.1mLを、TSAにデュプリケートでプレーティングし、30~35℃にて5日間インキュベートした。S.アウレウスの無菌性結果を表7に示す。
【表7】
【0156】
微生物保持および無菌性試験の決定に用いた両方のストック培養物接種の個体数の確認により、報告された個体数が正しいことが確認される。接種製剤バイアルは、長期間にわたって微生物保持を示すことができ、個体数の減少は最小限であった。微生物保持試験は、1週間にわたってゼロlog減少を示したが、無菌性試験の決定で試験した陽性対照は、接種と試験の間の>5週間にわたって2~3log減少を示した。ガンマ線照射を利用した最終滅菌は、3つすべての曝露製剤バイアルにおいてCFU回収が0という結果により効果的であることを証明された。結果は、微生物学的観点から、S.アウレウスなどの生物に対するWFI中塩化コリン50%(w/v)組成物の効果的な滅菌方法であることを示している。高イオン強度とガンマ線照射の組合せは、塩化コリン水性組成物の滅菌に極めて効果的であることが示された。
【0157】
実施例6 塩化コリンの強制分解
塩化コリンを、表8に示すとおりストレス条件に曝露した。
【表8】
【0158】
各強制分解溶液を、25mgの塩化コリンを100mLメスフラスコに移し、その後適切な条件に曝露することにより調製した。処理終了時に、酸および塩基で処理した試料を、等量の塩酸または水酸化ナトリウムで中和した。室温に平衡化後、各分解試料を試験方法に従って調製した。処理した試料調製物と対照を、潜在的な遅延溶出分解ピークを考慮して実施時間を延長したことを除き、方法に従って分析した(単回注入)。各処理についてマスバランスを調べた。
【0159】
強制分解試験の結果を表9に示す。方法は、酸、塩基、酸化、光および熱の存在下での既知分解生成物(トリメチルアミン)と未知分解生成物を、正確に定量できる程度まで分離できた。酸化ストレスを受けた試料において2つの未知不純物(それぞれRRT0.75および0.78に約0.3%)が観察され、酸および塩基ストレスを受けた試料において1つの未知不純物(RRT1.42/1.44に0.14%)が観察された。活性溶出ピークと最も近い溶出ピークの間のクロマトグラフィー分解能(≧0.05%のレベルで存在する場合)は1.2以上(NLT)であり、分解ピーク≧0.05%は定量可能な程度まで、互いにおよび塩化コリンから分離された(標的分解能NLT1.2)。また、クロマトグラフィーは、すべてのストレス条件に対して許容可能なマスバランスを示した。塩化コリンは、あらゆるストレス条件下で良好な安定性を示し、最大ストレス条件に曝露された場合でも顕著な分解は観察されなかった。したがって、実施例5に記載するガンマ線照射による滅菌条件下では、塩化コリンの顕著な分解は予想されない。
【表9】
【0160】
実施例7 コリン塩組成物の安定性
WFI中塩化コリン溶液50%(w/v)を製造し、タイプIガラス管状バイアルまたは層間剥離制御(DC)バイアルに移し、25℃/60%相対湿度(RH)または40℃/75%RHの保存条件下で6か月間保存した。3か月間の安定性結果のデータを表10~13にまとめる。結果は、両方の保存条件、すなわち25℃/60%RHおよび40℃/75%RHにおいて医薬品の許容可能な安定性を示している。
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【0161】
実施例8 コリン塩組成物のpH試験
pH試験を実施して、加熱による最終滅菌後の塩化コリン溶液のpHを評価した。実施例1に従って、WFI中塩化コリン溶液50%w/vを製造した。Schott タイプIガラス管状バイアル、Schott タイプIプラスガラスバイアル、Schott 層間剥離制御(DC)ガラスバイアルおよびKimble タイプIガラス成形バイアルを含む、いくつかのバイアルタイプもまた評価した。簡潔には、WFI中塩化コリン溶液50%w/v(5.5mL)を各タイプのバイアルに充填した。各タイプの2つの充填バイアルを対照として保持し、残りのバイアルを121℃で45分間最終滅菌した。水中で10%塩化コリン有効医薬品成分(API)は、塩化コリンAPIのpHを測定するために推奨されるUSPの方法である。したがって、WFI溶液中の50%塩化コリンの1:5希釈もまた、各時点のpH試験に含まれた。各時点で、各バイアルタイプの2つのバイアルからの内容物をそれぞれ一緒にプールした。プールした溶液2mLを8mLのWFIで希釈して、1:5希釈試料を調製した。残りの9mL溶液を「原液」(希釈なし)試料として試験した。TS(最終滅菌)前の試料について、最終滅菌試料を試験する準備がされるまで、各バイアルタイプの2つの保持バイアルを室温で保管した。すべてのpHチェックを同時に実施した。各時点で、pHメーターを4.0、7.0および10.0のpH標準で較正し、その後試料のpHを試験した(表14を参照)。バイアルの各タイプについて、経時的なpH変化を
図3および
図4にプロットする。
図3は「原液」試料のpH結果をプロットし、
図4は加熱による最終滅菌前後のWFI中塩化コリン溶液50%w/vの「1:5希釈」のpH結果をプロットする。
【表14】
【0162】
結果は、この試験の過程中に溶液のpHが上昇したことを示している。開始時のpH測定値と比較して、タイプIプラスバイアル内の溶液pHはそれほど変動せず、希釈せずに「原液」試料のpH測定では安定であった。タイプI管状バイアル、DCおよび成形バイアルは、開始時pHの上昇を示し、その後4週間の時点でフラットになった。「原液」のpH結果と比較して、1:5希釈の結果はタイプIプラスおよび成形バイアルでより高く、タイプI管状およびDCバイアルではそれぞれ同等であった。DCバイアルの1:5希釈のpH結果は、他のバイアルタイプと比較して安定であった。
【0163】
実施例9 コリン塩組成物での処置方法
実施例1~7に記載のコリン塩組成物は、肝脂肪症および/または胆汁うっ滞に関連する対象体におけるコリン欠乏症の処置に用い得る。実施例1~7に記載のコリン塩組成物はまた、腸管不全関連肝障害(IFALD)、脂肪肝疾患(例えば、アルコール性脂肪肝(AFL)、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、非アルコール性脂肪肝(NAFL)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、NASH-関連肝線維症またはASH-関連肝線維症)に関連する対象体におけるコリン欠乏症の処置に用い得る。実施例1~7に記載のコリン塩組成物は、非経腸サポートの成分として用い得る。実施例1~7に記載のコリン塩組成物はまた、非経腸栄養の成分として用い得る。
【0164】
実施例10 塩化コリンの合成
【化2】
気体状のトリメチルアミンを、水素化装置中で、加圧下、2-クロロエタノールと共に、エタノールおよびメチル-tert-ブチルエーテルの存在下で合わせることにより、塩化コリンを合成した。
【0165】
実施例11 塩化コリンの分析
実施例10で合成した塩化コリンを分析した。塩化コリンの2つの異なるバッチの結果を表15に示す。両方のバッチを製造の3か月後に分析した。
【表15-1】
【表15-2】
【0166】
塩化コリン分析の結果は、両方のバッチが高純度(それぞれ99.5%と99.8%)で製造されたことを示している。残留クロロエタノール量は定量限界(QL)未満であった。また、検出されたアルミニウムの量は、塩化コリン1g当たり≦0.05μgであった。
【0167】
上記の様々な実施態様を組み合わせて、更なる実施態様を提供できる。2021年4月29日の米国仮出願第63/181,858号を含むがこれらに限定されない、本願明細書で参照するおよび/または出願データシートに列記する米国特許、米国特許出願公開公報、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許文献のすべてが、出典明示によりその全体として本明細書の一部とする。必要に応じて、実施態様の態様を変更して、様々な特許、出願および刊行物の概念を用いて、更なる実施態様を提供できる。
【0168】
上記の詳細な説明を考慮して、実施態様に対してこれらおよび他の変更をすることができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、用いる用語は、特許請求の範囲を明細書および特許請求の範囲に開示された特定の実施態様に限定するものと解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を有するすべての可能な実施態様およびその均等物の全範囲を含むものと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されるものではない。
【国際調査報告】