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特表2024-518049複数の磁気共鳴受信コイルを有する可撓性アレイを備える磁気共鳴コイル装置
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  • 特表-複数の磁気共鳴受信コイルを有する可撓性アレイを備える磁気共鳴コイル装置 図1A
  • 特表-複数の磁気共鳴受信コイルを有する可撓性アレイを備える磁気共鳴コイル装置 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】複数の磁気共鳴受信コイルを有する可撓性アレイを備える磁気共鳴コイル装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
A61B5/055 355
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567097
(86)(22)【出願日】2022-05-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2022062383
(87)【国際公開番号】W WO2022238275
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】21173798.6
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】シュマール インゴ
(72)【発明者】
【氏名】ルッスラー クリストフ グンター
(72)【発明者】
【氏名】リップス オリヴァー
(72)【発明者】
【氏名】フェルニッケル ペーター
(72)【発明者】
【氏名】マズルケウィッツ ペーター シーザー
(72)【発明者】
【氏名】フィンデクリー クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ ヨセフ
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB47
4C096AD10
4C096CC06
4C096CC32
(57)【要約】
複数の磁気共鳴受信コイル(440)を有する可撓性アレイを備える磁気共鳴コイル装置に関する。磁気共鳴高周波信号を受信するように構成される複数の磁気共鳴受信コイルを有するアレイと、2つの外部層とを備える磁気共鳴コイル装置が提供され、磁気共鳴受信コイルは磁気共鳴受信コイルの少なくともいくつかがそれぞれ少なくとも1つの他の隣接する磁気共鳴受信コイルと部分的に重なるように外部層の間に配置され、2つのそれぞれの隣接する磁気共鳴受信コイルの間のそれぞれの重複領域が形成され、これらの重複領域の少なくともいくつかの中に、少なくとも1つのスペーサがそれぞれ配置され、外部層の少なくとも1つが可撓性である。このようにして、人体の異なる部分の形状に容易に適合させることができる、複数の磁気共鳴受信コイルのアレイを有する磁気共鳴システムのための多用途の磁気共鳴コイル装置が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴システムのための磁気共鳴コイル装置であって、
磁気共鳴高周波信号を受信するように構成される複数の磁気共鳴受信コイルを有するアレイと、2つの外部層とを有し、前記磁気共鳴受信コイルは、2つのそれぞれの隣接する磁気共鳴受信コイルの間のそれぞれの重なり合う領域が形成されるように、前記磁気共鳴受信コイルの少なくともいくつかは、少なくとも1つの他の隣接する磁気共鳴受信コイルとそれぞれ部分的に重なり合う態様で、前記外部層の間に配置され、これらの重なり合う領域の少なくともいくつかの内部に、少なくとも1つのスペーサがそれぞれ配置され、前記スペーサの少なくともいくつかは、磁気共鳴受信コイルが前記スペーサによって互いに対して所定の位置に保持されるように、前記外部層の内側に固定して取り付けられ、前記外部層の少なくとも1つは可撓性である、磁気共鳴コイル装置。
【請求項2】
前記スペーサの少なくともいくつかについて、前記外部層の内側に対向する前記スペーサの表面は平坦な表面である、請求項1に記載の磁気共鳴コイル装置。
【請求項3】
前記平坦な表面に垂直な断面ビューにおいて、前記スペーサの少なくともいくつかは矩形状を有する、請求項2に記載の磁気共鳴コイル装置。
【請求項4】
前記スペーサの少なくともいくつかは、前記平坦な表面に垂直な断面ビューにおいて、前記外部層の内側に対向する前記平坦な表面を互いに接続する横方向表面における溝を備える長方形形状を有する、請求項2に記載の磁気共鳴コイル装置。
【請求項5】
少なくとも1つの他の隣接する磁気共鳴受信コイルと部分的に重なり、それぞれの重なり合う領域にスペーサを備える、磁気共鳴受信コイルのうちの少なくともいくつかは、別の空間に固定されることも、前記外部層のうちのいずれにも固定されない、請求項1乃至4の何れか一項に記載の磁気共鳴コイル装置。
【請求項6】
前記スペーサの少なくともいくつかは、可撓性材料から少なくとも部分的に形成される、請求項1乃至5の何れか一項に記載の磁気共鳴コイル装置。
【請求項7】
前記スペーサの少なくともいくつかは、互いに分離されているか、又はヒンジによって、好ましくはフィルムヒンジによって互いに接続される2つの部分を備える、請求項1乃至6の何れか一項に記載の磁気共鳴コイル装置。
【請求項8】
前記スペーサの少なくともいくつかは、少なくとも1つの電気的装置が配置される剛体区画を備える、請求項1乃至7の何れか一項に記載の磁気共鳴コイル装置。
【請求項9】
前記電気的装置は、前記磁気共鳴受信コイルによって受信される磁気共鳴高周波信号を増幅するためのLNAである、請求項8に記載の磁気共鳴コイル装置。
【請求項10】
可撓性である前記一つ又は複数の外部層は、凸面に対して可逆的に変形可能である、請求項1乃至9の何れか一項に記載の磁気共鳴コイル装置。
【請求項11】
可撓性である前記一つ又は複数の外部層はテキスタイルシートから作製される、請求項10に記載の磁気共鳴コイル装置。
【請求項12】
可撓性である前記一つ又は複数の外部層は、それらの延在方向に沿って可撓性を示さない、請求項1乃至11の何れか一項に記載の磁気共鳴コイル装置。
【請求項13】
前記外部層のうちの少なくとも1つは通気孔を備える、請求項1乃至12の何れか一項に記載の磁気共鳴コイル装置。
【請求項14】
両方の外部層は可撓性である、請求項1乃至13の何れか一項に記載の磁気共鳴コイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気共鳴イメージング(MRI)システムの分野に関し、特に、磁気共鳴高周波信号を受信するように構成された複数の磁気共鳴受信コイルを有するアレイを備える、磁気共鳴システムのための磁気共鳴コイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴CTは核磁気共鳴の原理に基づく撮像技術であり、すなわち、非ゼロスピンを有する原子核は磁気モーメントを有する。医療用MRIでは、非ゼロスピンを有する原子核が通常、ヒト又は動物の体内に存在する水素原子の核である。B1励起場を形成する無線周波数(RF)波は、外部磁場中の原子核に向けられ、陽子の励起及びその後の陽子の緩和処理をもたらす。陽子の緩和は、RE信号、検出され、画像を形成するために処理され得る原子核によって放出されることをもたらす。
【0003】
典型的なMRIシステムは一般に、強い静磁場を生成する磁石、例えば超伝導電磁石、静磁場に線形変動を生成する傾斜コイル、B1励起場を生成するRF送信コイル、及び緩和原子核によって放出される磁気共鳴RE信号を検出するRF受信コイルを備える。
【0004】
典型的には、複数のRF受信コイルが受信コイルアレイを形成するMRIシステムにおいて使用される。「表面コイル」とも呼ばれるこれらのRF受信コイルは、典型的にはアレイ状に配置されるいくつかの受信ループを備える。これらのアレイの典型的な空間的配向は、デカルト又は六角形である。従来のRF受信コイル及びRF受信コイルアレイはバルク及び/又は剛体である傾向があり、コイルアレイ内の他のRF受信コイルに対して、及び撮像対象に対してそれぞれ固定位置に維持されるように構成される。嵩高さ及び柔軟性の欠如は、RF受信コイルが撮像対象の所望の解剖学的構造と最も効率的に結合することを妨げ、撮像プロセスを撮像対象にとって不快にする傾向がある。したがって、多くの異なる撮像状況、すなわち、個々の身体部分のためのフットコイル、足首コイル、膝コイル、肩コイルなど、又は胴体のための心臓コイルもしくは前方コイルについて、多くの異なるコイルが存在する。
【0005】
米国特許出願公開第2008/238424(A1)号は、可撓性ヒンジによって結合されたPCBベースのコイルループに基づく可撓性RFコイルアレイを開示している。この文献によれば、無線周波数コイルアレイは、磁気共鳴信号を励起又は受信するように構成された複数の導電性RFループと、複数の導電性RFループに対応する複数の電子モジュールとを含む。電子モジュールは、コンパクトな電子領域にグループ化される。各RFコイルは、対応する電子モジュールと動作可能に接続される。各電子モジュールは、少なくとも前置増幅器を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、人体の異なる部分の形状に容易に適合させることができる、複数の磁気共鳴受信コイルのアレイを有する磁気共鳴システム用の汎用磁気共鳴コイル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、請求項1の主題によって対処される。本発明の好ましい実施形態は従属請求項に記載されている。
【0008】
したがって、本発明によれば、磁気共鳴高周波信号を受信するように構成された複数の磁気共鳴受信コイルを有するアレイと、2つの外部層とを備える磁気共鳴コイル装置が提供され、磁気共鳴受信コイルは、磁気共鳴受信コイルの少なくともいくつかがそれぞれ少なくとも1つの他の隣接する磁気共鳴受信コイルと部分的に重複するように外部層間に配置され、2つのそれぞれの隣接する磁気共鳴受信コイル間のそれぞれの重複領域が形成され、これらの重複領域の少なくともいくつかの中に少なくとも1つのスペーサがそれぞれ配置され、外部層の少なくとも1つが可撓性である。
【0009】
このようにして、2つの外部層によって挟まれた磁気共鳴受信器コイルが外部層の間を滑り、緩く移動することが可能である。互いに対するそれらのそれぞれの位置及び1つ又は複数の隣接する磁気共鳴受信コイルとのそれらの重複は、スペーサによって保証され得る。これにより、磁気共鳴コイル装置はその構成要素が位置を維持したまま、2方向に曲がることが可能となり、それぞれの磁気共鳴受信コイルの互いに対する重なりが維持される。このようにして、シリンダ又は胴体の周りでの曲げ、すなわち一方向での曲げだけでなく、頭部、肩部、又は膝のような2次元で凸状である構造の周りでの曲げも可能である。本発明の好ましい実施形態によれば、磁気共鳴受信コイルの一部だけではなく、すべての磁気共鳴受信コイルがそれぞれ少なくとも1つの他の隣接する磁気共鳴受信コイルと部分的に重なり、その結果、2つのそれぞれの隣接する磁気共鳴受信コイル間のそれぞれの重なり領域が形成され、これらの重複領域、少なくとも1つのスペーサがそれぞれ配置される。
【0010】
一般に、スペーサの表面は本発明の好ましい実施形態によれば、スペーサの少なくともいくつかについて、外層の内側に対向するスペーサの表面は平坦な表面で異なる方法で設計されてもよい。好ましくはスペーサの全てについて、外層の内側に対向するスペーサの表面は平坦な表面である。また、スペーサの平面ビューにおいて、スペーサの形状はアーモンド形状であり、各磁気共鳴受信コイルの形状は円形であることが好ましい。ここで、用語「アーモンド形状」は、2つの曲線、好ましくは円のセグメントによって達成される形状であると理解され、これらの曲線の端部で互いに取り付けられる。これは、楕円形又は毛嚢の形状を形成し得る。正方形、六角形、又は八角形など、スペーサ及びコイルのための他の形状の組み合わせが可能である。
【0011】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、スペーサの少なくともいくつかは、平面に垂直な断面図において、長方形の形状を有する。好ましくは、平面に垂直な断面図において、スペーサの全てが長方形の形状を有する。本発明の別の好ましい実施形態によれば、スペーサの少なくともいくつかは、平坦な表面に垂直な断面図において、外部層の内側に対向する平坦な表面を互いに接続する横方向表面に溝を有する矩形形状を有する。好ましくは、これはスペーサの全てに当てはまる。このようにして、それぞれの磁気共鳴受信コイルのループはこれらの溝内に摺動することができ、したがって、それらは、それらの意図された場所に容易に保持されることができる。
【0012】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、スペーサの少なくともいくつかは、外層の内側に固定して取り付けられる。好ましくは、これはスペーサの全てに当てはまる。スペーサは、異なる方法で外部層の内側に固定することができる。好ましくは、スペーサが外部層の内側に接着される。
【0013】
一般に、本発明は本発明の好ましい実施形態によれば、磁気共鳴受信コイルを外部層間のサンドイッチ構造内に固定することを可能にするが、少なくともいくつかの磁気共鳴受信コイルは少なくとも1つの他の隣接する磁気共鳴受信コイルと部分的に重なり、それぞれの重複領域にスペーサを備えるが、別のスペーサに固定されず、外部層のいずれにも固定されない。したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、磁気共鳴受信コイルのループは、外部層間に非常に緩く、例えばコイルアレイ内の空隙内に配置される。ループの動きは、外部層の内側の間のスペーサによってのみ制限される。これは、磁気共鳴コイル装置の高い柔軟性を提供する。この点において、好ましくは少なくとも1つの他の隣接する磁気共鳴受信コイルと部分的に重なり、それぞれの重複領域にスペーサを備える磁気共鳴受信コイルの全ては別のスペーサに固定されず、また、いずれの外部層にも固定されない。
【0014】
一般に、異なるタイプの材料をスペーサに使用することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、スペーサの少なくとも一部は、可撓性材料から少なくとも部分的に形成される。好ましくは、スペーサの少なくとも一部が可撓性発泡体から少なくとも部分的に形成される。より好ましくは、スペーサの全ては可撓性発泡体から形成される。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、スペーサの少なくともいくつかは、互いに分離しているか、又はヒンジによって、好ましくはフィルムヒンジによって互いに接続されている2つの部分を含む。これは、さらなる柔軟性を提供する。好ましくは、スペーサの全ては互いに分離されているか、又はヒンジによって互いに接続されている2つの部分を備える。
【0016】
さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、スペーサの少なくともいくつかは、少なくとも1つの電気的装置が配置される剛体区画を備える。この点に関して、本発明の好ましい実施形態によれば、電気的装置は、磁気共鳴受信コイルによって受信された磁気共鳴高周波信号を増幅するための低雑音増幅器(LNA)である。好ましくは、LNAがマイクロ同軸ケーブルによって磁気共鳴コイル装置の給電点に接続される。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、可撓性である外層は、凸面に対して可逆的に変形可能である。このようにして、外部層に領域保存材料が使用されないので、2つの方向に曲げることが可能である。この点に関して、好ましくは、可撓性である外層がテキスタイルシートから作製される。そのようなテキスタイルシートは異なるタイプの布地、例えば、織布又は不織布フリースから作製され得る。本発明の好ましい実施形態によれば、可撓性である外層は、その延在方向に沿って可撓性を示さない。本発明の好ましい実施形態によれば、布材料から作られた外層の場合、このことは延伸材料が使用されないことを意味する。本発明によれば、外部層は完全に閉じていてもよいが、本発明の好ましい実施形態によれば、外部層の少なくとも1つ、好ましくは両方が通気孔を含む。これは、空気循環を可能にし、したがって、磁気共鳴コイル装置が適用される患者の身体部分の特定の冷却を可能にする。好ましくは磁気共鳴受信コイルの少なくともいくつか、より好ましくはすべてが、互いに対してデカルト又は六角形の空間的配向で配置される。
【0018】
上述のように、アレイの柔軟性は磁気共鳴受信コイルの少なくともいくつかが、スペーサと、柔軟性の外部層の少なくとも1つとの間の空隙内に配置されるという事実によって達成される。この点において、両方の外部層が可撓性であることが好ましい。さらに、このようにして、磁気共鳴受信コイルは柔軟性を提供するように移動することができるが、それらはスペーサによって、それらの意図された場所に保持される。すべての磁気共鳴受信コイルがこのように2つの外部層の間に配置されるときに、最も高い柔軟性が達成されるが、このように配置されたアレイの特定の領域内に磁気共鳴受信コイル又は磁気共鳴受信コイルのいくつかを有するだけで十分であり得る。したがって、当業者は異なるアプリケーションのための所望の柔軟性を達成するために、どのように磁気共鳴受信コイルをこのように配置すべきかを、彼の専門知識に基づいて決定することができる。
【0019】
本発明のこれら及び他の態様は以下に記載される実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。しかしながら、そのような実施形態は必ずしも本発明の全範囲を表すものではなく、したがって、本発明の範囲を解釈するために、特許請求の範囲及び本明細書を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】互いに対してデカルト向きに複数の磁気共鳴受信コイルを有するアレイを概略的に示す。
図1B】互いに対して六角形の向きにある複数の磁気共鳴受信コイルを有するアレイを概略的に示す。
図2】本発明の好ましい実施形態による互いに重なり合う2つの隣接する磁気共鳴受信コイルを概略的に示す。
図3】本発明の好ましい実施形態による複数の磁気共鳴受信コイルを有するアレイの一部の断面図を概略的に示す。
図4】本発明の別の好ましい実施形態による複数の磁気共鳴受信コイルを有するアレイの一部の断面図を概略的に示す。
図5】本発明の好ましい実施形態による電気的装置のための剛体区画を有するスペーサの斜視図を概略的に示す。
図6】互いに重なり合い、本発明の好ましい実施形態による電気的装置のための剛体区画を備える、2つの隣接する磁気共鳴受信コイルを概略的に示す。
図7A】本発明の別の好ましい実施形態による電気的装置を挿入する前の電気的装置のための剛体区画を有するスペーサを概略的に示す。
図7B】本発明の別の好ましい実施形態による電気的装置を挿入した後の電気的装置用の剛体区画を有するスペーサを概略的に示す。
図7C】本発明の別の好ましい実施形態による、カバーで区画を閉じた後の電気的装置のための剛体区画を有するスペーサを概略的に示す。
図8】本発明の別の好ましい実施形態による、上側外部層を取り付ける前の下側外部層上に配置された複数の磁気共鳴受信コイルを有するアレイを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、磁気共鳴高周波信号を受信するように構成された磁気共鳴受信コイル400の異なる相対的な配置を可能にする。この点において、図1Aは互いに対してデカルト向きに複数の磁気共鳴受信コイル400を有するアレイ100を概略的に示し、図1Bは、互いに対して六角形向きに複数の磁気共鳴受信コイル400を有するアレイ100を概略的に示す。明確にするために、図に示す。図1A及び図1Bにおいて、全ての磁気共鳴受信コイル400が参照符号で示されているわけではない。両方の場合において、最も外側の磁気共鳴受信コイル400を除いて、すべての磁気共鳴受信コイル400は、4つの隣接する磁気共鳴受信コイル400と重複する。
【0022】
図2から、互いに重なり合う2つの隣接する磁気共鳴受信コイル400がより詳細に示される。好ましくは、本実施形態によるアレイ100の全ての重複領域がこのように設計される。明確にするために、図2では、他の全ての隣接する磁気共鳴受信コイル400が省略されている。図2を見ると、2つの磁気共鳴受信コイル400の間の重複領域はアーモンド形状を有する。この重複領域に、やはりアーモンド形状を有するスペーサ300が配置される。
【0023】
図3は、図2の磁気共鳴受信コイル400の図に対して垂直な断面図である。ここで、磁気共鳴受信コイル400及びスペーサ300は、布材料から作られた2つの可撓性外部層200、201の間に挟まれていることが分かる。外部層200、201の内側に対向するスペーサ300の表面250は平坦な表面であり、平坦な表面250に垂直な断面図において、スペーサ300は、外部層200、201の内側に対向するスペーサ300の表面250に垂直なスペーサ300の表面315が平坦な表面であることを意味する長方形形状を有する。このようにして、2つの磁気共鳴受信コイル400は、スペーサ300によって互いに対して所定の位置に保持される。
【0024】
図4に示される本発明の代替実施形態によれば、スペーサ300は、平面250に垂直な断面図において、外部層200、201の内側に対向する平面250を互いに接続する横方向表面315に溝320を有する矩形形状を有する。このようにして、それぞれの磁気共鳴受信コイル400のループはスペーサ300の外側領域310の間のこれらの溝320内に摺動することができ、したがって、それらは、それらの意図された場所に容易に保持されることができる。
【0025】
図3及び図4の概略図はスペーサ300と外部層200、201との間のある程度の空間を示しているが、本明細書に記載される本発明の好ましい実施形態によれば、アレイのすべてのスペーサ300は接着剤によって外部層200、201の内側に固定して取り付けられる。このようにして、2つの可撓性層200、201の間の空隙210が形成され、その中に磁気共鳴受信コイル400が配置され得る。また、これらの空隙210に配置された磁気共鳴受信コイル400は、他のスペーサ300に固定されておらず、外部層200、201のいずれにも固定されていない。これは、磁気共鳴受信コイル400がそれらのそれぞれの位置に保持されている間、2つの可撓性外部層200、201の間のサンドイッチ構造における磁気共鳴受信コイル400の自由な移動の可能性を提供する。このようにして、非常に柔軟なアレイ100が、磁気共鳴受信コイル400の一部がそれらの意図されたそれぞれの位置から離れるように移動するリスクなしに達成される。
【0026】
この柔軟性はスペーサ300自体が柔軟性材料から、好ましくは発泡体から形成され、アレイ100のスペーサ300の少なくともいくつかが、互いに別個の2つの部分311、312を含むので、さらに高められる。これは、外部層200、201が曝気孔220を含むことも示す図8に概略的に示されている。図8はまた、スペーサ300の2つの部分311、312がフィルムヒンジ313によって互いに接続される選択肢を示す。明確にするために、図8においても、アレイ100のすべての構成要素が参照番号で識別されるわけではない。
【0027】
図5は、本発明の好ましい実施形態による剛体区画500を有するスペーサの斜視図を概略的に示す。この剛体区画500には、電気的装置510が配置されている。この剛体区画500は、それぞれのカバー330、340を用いて、その上側及びその下側で閉じられてもよい。本明細書に記載される本発明の好ましい実施形態によれば、電気的装置510は、磁気共鳴受信コイル400によって受信される磁気共鳴高周波信号を増幅するための低雑音増幅器(LNA)である。本実施形態によれば、電気的装置510は、マイクロ同軸ケーブル(図示せず)によってアレイ100の給電点に接続される。図5及び図6に示すように、剛体区画500は2つのサブチャンバを備え、これらのサブチャンバのそれぞれに、電気的装置510が配置される。これらの電子装置510は2つの隣接する磁気共鳴受信コイル400のためのLNAであり、これは、アレイ100において、2つの隣接する磁気共鳴受信コイル400がその2つのLNAのための剛体区画500とそのようなスペーサ300を共有することを意味する。
【0028】
図7Aにより詳細に概略的に示されるように、電気的装置510のための剛体区画500を有するスペーサ300は、剛体区画500自体と、可撓性発泡体から作製され、好ましくは接着によって剛体区画の2つの対向する側部に接続される2つのスペーサ部分311、312とから構成される。次に、図7Bに概略的に示されるように、電気的装置510は剛体区画500の内側に配置され、図7Cに示されるように、剛体区画500は、カバー330で閉じられる。
【0029】
本発明は図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されているが、そのような図示及び説明は例示的又は例示的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形は図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、達成され得る。請求項において、単語「有する(comprising)」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、明瞭にするために、図面中のすべての要素に参照符号が付されているわけではない。
【符号の説明】
【0030】
アレイ 100
外部層 200
外部層 201
空隙 210
通気孔 220
スペーサの平坦な表面 250
スペーサ 300
スペーサの外側領域 310
スペーサの第1の部分 311
スペーサの第2の部分 312
フィルムヒンジ 313
横方向表面 315
溝 320
カバー 330
カバー 340
磁気共鳴受信コイル 400
剛体区画 500
電気的装置 510
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
【国際調査報告】