(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】開放型ヘッドホン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
H04R1/10 104A
H04R1/10 104Z
H04R1/10 101A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568086
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 US2022027367
(87)【国際公開番号】W WO2022235603
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】トッド・レイリー
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BA08
5D005BA13
5D005BE01
(57)【要約】
ユーザの外耳の耳甲介内に少なくとも部分的に配置されるように構成されている音響モジュールを有する開放型ヘッドホン。音響モジュールは、音響トランスデューサと、音響トランスデューサによって生成された音を放射するように構成されている放音開口部と、を含む。本体は、音響モジュールに結合され、且つ対耳輪及び耳輪のうち少なくとも1つの外側並びに外耳の耳朶の上を通過するように構成されている第1の部分と、外耳の後方に配置されるように構成されている第2の部分と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放型ヘッドホンであって、
ユーザの外耳の耳甲介内に少なくとも部分的に配置されるように構成されている音響モジュールであって、音響トランスデューサと、前記音響トランスデューサによって生成された音を放射するように構成されている第1の放音開口部とを具備する前記音響モジュールと、
前記音響モジュールに結合されている本体であって、対耳輪及び耳輪のうち少なくとも1つの外側において前記外耳の耳朶の上を通過するように構成された第1の部分と、前記外耳の後方に配置されるように構成された第2の部分とを備える本体と、
を備えている、開放型ヘッドホン。
【請求項2】
前記第1の放音開口部が、前記ユーザの外耳道開口部から離隔され、且つ前記外耳道開口部に近接するように構成されている、請求項1に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項3】
前記音響モジュールが、前記外耳の耳甲介腔内に少なくとも部分的に配置されるように構成されている、請求項1に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項4】
前記音響モジュールが、外向きに凸状である下部分を備える、請求項3に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項5】
前記音響モジュールの外向きに凸状の下部分が、前記ユーザの前記外耳の対珠に隣接する前記耳甲介腔の下部凹面に着座するように構成されている、請求項4に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項6】
前記外耳の前記対耳輪、前記耳輪、及び耳朶のうち少なくとも1つが、前記本体の前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置されるように構成されている、請求項1に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項7】
前記本体が、略「L字」形状である、請求項1に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項8】
前記音響モジュール及び前記本体が、全体として略「C字」形状である、請求項7に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項9】
前記開放型ヘッドホンの重心が、前記音響モジュールと前記本体の前記第2の部分との間にある、請求項1に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項10】
前記開放型ヘッドホンの前記重心が、前記外耳内に配置されるように構成されている、請求項9に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項11】
前記音響モジュールの前記第1の放音開口部が、前記ユーザの耳の耳甲介腔内に、外耳道開口部に近接して配置されるように構成されている、請求項1に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項12】
前記音響モジュールが、前記第1の放音開口部よりも外耳道開口部から遠くに位置するように構成されている第2の放音開口部を更に備える、請求項1に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項13】
前記音響トランスデューサが、前記音響モジュールの前部音響キャビティ及び後部音響キャビティ内に音圧を生成し、前記第1の放音開口部が、前記前部音響キャビティに流体結合されており、前記第2の放音開口部が、前記後部音響キャビティに流体結合されている、請求項12に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項14】
前記本体の前記第2の部分が、前記開放型ヘッドホンのためのバッテリ電源を収容するように構成されているバッテリ筐体を備える、請求項1に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項15】
前記本体の前記第1の部分内にプリント回路基板を更に備え、前記プリント回路基板が、前記バッテリ電源に電気的に結合されている、請求項14に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項16】
前記プリント回路基板を前記音響トランスデューサに電気的に結合するフレキシブル回路要素を更に備える、請求項15に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項17】
前記本体の前記第1の部分内に一対のマイクロホンを更に備え、前記マイクロホンが、前記第1の部分の両側に配置されており、そのため、一方のマイクロホンが、第2のマイクロホンよりも前記ユーザの口から遠くにあるように構成されている、請求項1に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項18】
開放型ヘッドホンであって、
ユーザの外耳の耳甲介腔内に少なくとも部分的に配置されるように構成されている音響モジュールであって、前記音響モジュールが、音響トランスデューサと第1の放音開口部とを備えており、前記第1の放音開口部が、前記音響トランスデューサによって生成された音を放射するように構成されており、且つ、前記ユーザの耳の外耳道開口部内ではなく、前記耳甲介腔内に、前記外耳道開口部に近接して配置されるように構成されている、前記音響モジュールと、
前記音響モジュールに結合されている本体であって、前記本体が、対耳輪及び耳輪のうち少なくとも1つの外側において前記外耳の耳朶の上を通過するように構成された第1の部分と、前記外耳の後方に配置されるように構成された第2の部分とを備えており、前記耳の前記対耳輪、前記耳輪、及び耳朶のうち少なくとも1つが、前記本体の前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置されるように構成されている、前記本体と、
を備えている、開放型ヘッドホン。
【請求項19】
前記本体の前記第2の部分が、前記開放型ヘッドホンのためのバッテリ電源を収容するように構成されているバッテリ筐体を備える、請求項18に記載の開放型ヘッドホン。
【請求項20】
前記音響モジュールが、外向きに凸状であり、且つ前記ユーザの耳の対珠に隣接する前記耳甲介腔の下部凹面に着座するように構成されている下部分を備える、請求項19に記載の開放型ヘッドホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年5月3日に出願された特許出願第17/306,208号の優先権を主張するものであり、その開示全体は、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、耳に装着する開放型ヘッドホンに関する。
【0003】
開放型ヘッドホンは、典型的には、外耳道内ではなく外耳道に近い場所で音を放射する。
【発明の概要】
【0004】
態様及び実施例は、ユーザの外耳の耳甲介腔内に配置されるように構成されている音響モジュールを有する開放型ヘッドホンを対象とする。音響モジュールは、音響トランスデューサと、音響トランスデューサによって生成された音を放射するように構成されている放音開口部と、を含む。音響モジュールに結合されたヘッドホン本体は、外耳の外側の上を通過するように構成されている第1の部分と、外耳の後方に配置されるように構成されている第2の部分と、を有する。放音開口部は、ユーザの外耳道開口部から離隔され、且つ外耳道開口部に近接するように構成されている。いくつかの実施例では、音響モジュールは、耳にクランプすることを必要とせずに、その使用位置において開放型ヘッドホンを支持するように、外向きに凸状である下部分を有し、且つ耳甲介腔の下部凹面内に着座するように構成されている。
【0005】
下記で言及される全ての実施例及び特徴は、任意の技術的に可能な方式で組み合わせることができる。
【0006】
一態様では、開放型ヘッドホンは、ユーザの外耳の耳甲介内に少なくとも部分的に配置されるように構成され、且つ音響トランスデューサによって生成された音を放射するように構成されている放音開口部を有する音響トランスデューサを備える音響モジュールと、音響モジュールに結合され、且つ対耳輪及び耳輪のうち少なくとも1つの外側並びに外耳の耳朶の上を通過するように構成された第1の部分と、外耳の後方に配置されるように構成された第2の部分と、を備える本体と、を含む。
【0007】
いくつかの実施例は、上記及び/若しくは下記の特徴のうち1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含む。一実施例では、放音開口部は、ユーザの外耳道開口部から離隔され、且つ外耳道開口部に近接するように構成されている。一実施例では、音響モジュールは、外耳の耳甲介腔内に少なくとも部分的に配置されるように構成されている。一実施例では、音響モジュールは、外向きに凸状である下部分を備える。一実施例では、音響モジュールの外向きに凸状の下部分は、ユーザの耳の対珠に隣接する耳甲介腔の下部凹面に着座するように構成されている。一実施例では、耳の対耳輪、耳輪、及び耳朶のうち少なくとも1つが本体の第1の部分と第2の部分との間に配置されるように構成されている。一実施例では、開放型ヘッドホンはまた、本体の第1の部分内に一対のマイクロホンを含み、マイクロホンは、一方のマイクロホンが第2のマイクロホンよりもユーザの口から遠くにあるように構成されるように、第1の部分の両側に配置されている。
【0008】
いくつかの実施例は、上記及び/若しくは下記の特徴のうち1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含む。一実施例では、本体は、略「L字」形状である。一実施例では、音響モジュール及び本体は全体として、略「C字」形状である。一実施例では、開放型ヘッドホンの重心は、音響モジュールと本体の第2部分との間にある。一実施例では、開放型ヘッドホンの重心は、外耳内に配置されるように構成されている。
【0009】
いくつかの実施例は、上記及び/若しくは下記の特徴のうち1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含む。一実施例では、音響モジュールの第1の放音開口部は、ユーザの耳の耳甲介腔内に、外耳道開口部に近接して配置されるように構成されている。一実施例では、音響モジュールは、第1の放音開口部よりも外耳道開口部から遠くにあるように構成されている第2の放音開口部を更に備える。一実施例では、音響トランスデューサは、音響モジュールの前部音響キャビティ及び後部音響キャビティ内に音圧を生成し、第1の放音開口部は、前部音響キャビティに流体結合され、第2の放音開口部は、後部音響キャビティに流体結合されている。
【0010】
いくつかの実施例は、上記及び/若しくは下記の特徴のうち1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含む。一実施例では、本体の第2部分は、開放型ヘッドホンのためのバッテリ電源を収容するように構成されているバッテリ筐体を備える。一実施例では、本体の第1の部分にあり、且つバッテリに電気的に結合されたプリント回路基板が存在する。一実施例ではまた、プリント回路基板を音響トランスデューサに電気的に結合するフレキシブル回路要素が存在する。
【0011】
別の態様では、開放型ヘッドホンは、ユーザの外耳の耳甲介腔内に少なくとも部分的に配置されるように構成され、且つ音響トランスデューサと、音響トランスデューサによって生成された音を放射するように構成されている放音開口部と、を備える音響モジュールを含む。音響モジュールは、耳甲介腔内に、ユーザの耳の外耳道開口部内ではなく、耳甲介腔内に、外耳道開口部に近接して配置されるように構成されている。音響モジュールに結合され、且つ対耳輪及び耳輪のうち少なくとも1つの外側並びに外耳の耳朶の上を通過するように構成された第1の部分と、外耳の後方に配置されるように構成された第2の部分と、を備える本体が存在する。耳の対耳輪、耳輪、及び耳朶のうち少なくとも1つが本体の第1の部分と第2の部分との間に配置されるように構成されている。
【0012】
いくつかの実施例は、上記及び/若しくは下記の特徴のうち1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含む。一実施例では、本体の第2部分は、開放型ヘッドホンのためのバッテリ電源を収容するように構成されているバッテリ筐体を備える。一実施例では、音響モジュールは、外向きに凸状であり、且つユーザの耳の対珠に隣接する耳甲介腔の下部凹面に着座するように構成されている下部分を備える。
【0013】
少なくとも1つの例の様々な態様を、添付図面を参照して、以下で考察するが、これらの図面は、縮尺通りに描かれることを意図しない。これらの図は、様々な態様と例の図示、及び更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するが、本発明の制約の定義として意図されない。図において、様々な図で図示される同一の、又はほとんど同一の構成要素は、同様の文字又は数字で表記され得る。明瞭にするために、全ての図において、全ての構成要素が、必ずしもラベル付けされていない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】それぞれ、開放型ヘッドホンの正面図、右側面図、左側面図、背面図、上面図、及び底面図である。
【
図1B】それぞれ、開放型ヘッドホンの正面図、右側面図、左側面図、背面図、上面図、及び底面図である。
【
図1C】それぞれ、開放型ヘッドホンの正面図、右側面図、左側面図、背面図、上面図、及び底面図である。
【
図1D】それぞれ、開放型ヘッドホンの正面図、右側面図、左側面図、背面図、上面図、及び底面図である。
【
図1E】それぞれ、開放型ヘッドホンの正面図、右側面図、左側面図、背面図、上面図、及び底面図である。
【
図1F】それぞれ、開放型ヘッドホンの正面図、右側面図、左側面図、背面図、上面図、及び底面図である。
【
図1G】それぞれ、開放型ヘッドホンの正面図、右側面図、左側面図、背面図、上面図、及び底面図である。
【
図1H】
図1A~
図1Gの開放型ヘッドホンの追加の斜視図であるが、開放型ヘッドホンの要素が識別される。
【
図1I】
図1A~
図1Gの開放型ヘッドホンの追加の斜視図であるが、開放型ヘッドホンの要素が識別される。
【
図2】
図1A~
図1Gの開放型ヘッドホンがどのように外耳とインターフェースするかを例示する。
【
図3A】それぞれ、耳の適所にある開放型ヘッドホンの側面斜視図及び背面斜視図である。
【
図3B】それぞれ、耳の適所にある開放型ヘッドホンの側面斜視図及び背面斜視図である。
【
図4】その重心を例示する、耳上の適所にある開放型ヘッドホンの背面図である。
【
図6】開放型ヘッドホンの音響モジュールの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
耳に装着される開放型ヘッドホンは、高品質の音を提供し、耳上で安定しており、長時間着用しても快適であり、目立ち難く、見た目がスタイリッシュでなければならない。これらの目的は、いくつかの点において互いに排他的であると考えられてきたので、達成が困難であり得る。例えば、安定性は、典型的には、外耳へのクランプにつながり、これは、長時間の着用対して不快に感じることがあり得、更には見た目がスタイリッシュでない場合がある。また、高品質の音のために、外耳道内ではなく、外耳道の近くに音響送達しなければならず、これは、ヘッドホン構造体を耳に重ねる必要があるので、他の人からはっきりと見え得ることを意味する。
【0016】
本開放型ヘッドホンは、これらの目的の全てを満たすことができる。音響トランスデューサ又はドライバは、外耳の耳甲介腔内で、外耳道の近くに配置されるように構成されている音響モジュールである。音響モジュールは、外耳道に最も近い側面に放音開口部を有し、より高品質の音につながる。音響モジュールは、耳甲介腔の下部凹面に収まるように成形されている。音響モジュールを装着する本体セクションは、耳の対耳輪/耳輪/耳朶の外側の上を通過するように成形され、外耳の後方に配置される遠位部分で終端する。開放型ヘッドホンの重心は、音響モジュールと遠位部分との間にあり、したがって、対耳輪、耳輪、又は耳朶内若しくはすぐ近くにあり、これは、耳にクランプすることを必要とせずに、耳上でのより高い安定性につながる。したがって、開放型ヘッドホンは、長時間の着用に対して快適である。
【0017】
本明細書に記載されるヘッドホンの実施例は、以下の説明に記載されるか、又は添付図面に例示される構成の詳細及び構成要素の配置に適用することに限定されない。ヘッドホンは、他の実施例で実装可能であり、様々な方式で実践又は実行可能である。具体的な実施例は、例示目的のみのために本明細書で提供され、限定を意図するものではない。具体的には、任意の1つ以上の実施例に関連して考察される機能、構成要素、要素、及び特徴は、任意の他の実施例において同様の役割から除外されることを意図するものではない。
【0018】
本明細書で開示する例は、本明細書に開示される原理の少なくとも1つと一致する任意の様式で、他の例と組み合わせることができ、更に、「一実施例(an example)」、「いくつかの実施例(some examples)」、「代替例(an alternate example)」、「様々な実施例(various examples)」、「一実施例(one example)」などへの言及は、必ずしも互いに独占的ではなく、説明される特定の特徴、構造、又は特性は、少なくとも1つの実施例に含まれ得ることを示すように意図される。本明細書におけるこうした用語の出現は、必ずしも全てが同じ実施例を示すわけではない。
【0019】
また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明目的のみを目的としており、限定的であるとみなされるべきではない。本明細書において単数で言及されるデバイスの実施例、構成要素、要素、行為、又は機能に対する任意の言及はまた、複数を含む実施形態を包含してもよく、本明細書における任意の例、構成要素、要素、動作、又は機能に対する複数での任意の言及もまた、単数形のみを含む実施例を包含してもよい。したがって、単数形又は複数形への言及は、本開示のデバイス、デバイスの構成要素、作用、又は要素を限定することを意図するものではない。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、並びに、それらの変形形態の使用は、以下で列挙する項目とその均等物、並びに、他の項目を包含することを意味する。「又は(or)」への言及は、「又は(or)」で記載された全ての用語が、記載された用語の単一、複数、及び、全ての用語のいずれかを示せるよう、包括的であると解釈され得る。
【0020】
本開示は、ユーザの外耳の耳甲介内に少なくとも部分的に配置されるように構成され、且つ音響トランスデューサと、音響トランスデューサによって生成された音を放射するように構成されている第1の放音開口部と、を備える音響モジュールと、音響モジュールに結合され、且つ外耳の外側の上を通過するように構成された第1の部分と、外耳の後方に配置されるように構成された第2の部分と、を備える本体と、を有する開放型ヘッドホンを特徴とする。第1の放音開口部は、ユーザの外耳道開口部から離隔され、且つ外耳道開口部に近接するように、好ましくは耳甲介腔内にあり、且つ外耳道開口部に近接するように構成されている。いくつかの実施例では、音響モジュールは、耳甲介腔内に配置されるように構成されている。特定の実施例では、音響モジュールは、外向きに凸状であり、且つユーザの耳の対珠及び耳朶に隣接する耳甲介腔の下部凹面に着座するように構成されている下部分を有する。
【0021】
開放型ヘッドホンは、音響モジュールが耳の耳甲介腔内に配置されたときに、本体が耳の対耳輪、螺旋、及び耳朶のうち少なくとも1つの上を通過するように構成されている。一実施例では、本体は、略「L字」形状であり、音響モジュール及び本体は全体として(すなわち、開放型ヘッドホン全体は)略「C字」形状である。一実施例では、開放型ヘッドホンの重心は、音響モジュールと本体の第2部分との間にある。重心は、音響モジュールと本体の第2部分(例えば、螺旋又は耳朶)との間にある外耳の一部内又はその近くに配置され得る。
【0022】
いくつかの実施例では、音響モジュールは、第1の放音開口部よりも外耳道開口部から遠くにあるように構成されている第2の放音開口部を含む。放音開口部は、他の人に聞こえ得る音漏れを低減する音響消去をもたらすことができる双極子状のパターンを達成するように配置することができる。一実施例では、音響トランスデューサは、音響モジュールの前部音響キャビティ及び後部音響キャビティ内に音圧を生成し、第1の放音開口部は、前部音響キャビティに流体結合され、第2の放音開口部は、後部音響キャビティに流体結合されている。
【0023】
いくつかの実施例では、本体の第2部分は、開放型ヘッドホンのためのバッテリ電源を収容するように構成されているバッテリ筐体を含む。本体の第1の部分にあり、且つバッテリに電気的に結合されたプリント回路基板、及びプリント回路基板を音響トランスデューサに電気的に結合するフレキシブル回路要素が存在し得る。いくつかの実施例では、開放型ヘッドホンはまた、本体の第1の部分内に一対のマイクロホンを含む。これらのマイクロホンは、一方のマイクロホンが第2のマイクロホンよりもユーザの口から遠くにあるように構成されるように、本体の第1の部分の両側に配置され得る。マイクロホンは、ノイズ又は他の外音の存在下でのユーザの声の取り出しを向上させるために、ビームステアリングなどによって配列することができる。
【0024】
図1A~
図1Iは、例示的な開放型ヘッドホン10を例示する。開放型ヘッドホン10は、音響モジュール12がユーザの外耳の耳甲介内に配置されるように構成されるように開放型ヘッドホン本体14に対してサイズ決定され、成形され、且つ配置される、音響モジュール12を含む。概して、人間の外耳(耳殻又は耳翼としても知られている)は、耳珠の下(又は後ろ)にある、外耳道への入口に直接隣接する耳甲介を含む。耳甲介は、耳輪脚によって、耳甲介腔と呼称される下部分と、耳甲介舟と呼称される上部分と、に分けられる。耳甲介腔は、外耳道と直接隣接した略ボウル形状の特徴である。耳甲介腔は、典型的には、対耳輪の下部である対珠によって境界された、及び/又は耳朶によって境界されたくぼみを含む。耳輪の下端にある耳朶(すなわち、耳たぶ)は、典型的には、対珠の直下にある。
【0025】
開放型ヘッドホン10の本体14は、音響モジュール12に結合され、且つ耳の外側(例えば、外耳の対耳輪及び耳輪のうち少なくとも1つ並びに耳朶)の上を通過するように構成されている第1の部分16と、外耳の後方に配置されるように構成されている第2の部分18と、を含む。本体14は、概して、(
図2に示されるように)側面から「L字」形状であり、部分16が音響モジュール12に対して略直角に延び、接続部分17が部分16に対して略直角に伸び、且つ遠位部分18につながる。一実施例では、部分18は、略円筒形のバッテリ電源(例えば、充電式バッテリ)を保持するように構成されるように、略円筒形であり得る。
図2に示されるように、全体として、開放型ヘッドホン10は、略「C字」形状である。一実施例では、音響モジュール12及び本体14は、トランスデューサ、バッテリ、及びヘッドホンの動作に必要な任意の電子機器を含むように構成及び配置されている、一体成型されたプラスチック筐体の一部である。
【0026】
図2は、
図1A~
図1Iの開放型ヘッドホンがどのように外耳とインターフェースするかを例示する。
図2に示されるように、音響モジュール12は、外耳50の耳甲介腔51内に着座する。本明細書の他の場所でより詳細に説明されるように、音響モジュール12の音響トランスデューサによって生成された音を放射する第1の放音開口部100が存在する。放音開口部100は、ユーザの外耳道開口部(図示せず)から離隔され、且つ外耳道開口部に近接する。この実施例では、音響モジュール12は、外向きに凸状である下部分13を有し、且つ耳甲介腔51の下部凹面52内に着座するように構成されている。したがって、開放型ヘッドホンの重量は、耳甲介腔からぶら下がって懸架され、これは、開放型ヘッドホンを耳にクランプすることを必要とせずに耳上で保持する。下部分13が凹面52の平坦でない表面に着座するように下部分13に順応性を加えるために、下部分13の全て若しくは一部には、クッション又は他の順応性又は圧縮性の部材(図示せず)が存在し得るか、あるいは下部分13は、発泡体などの順応性材料から作製することができる。開放型ヘッドホンを耳に軽くクランプすることが望ましい場合は、順応性を組み込むことができる。例えば、少なくとも、部分17は、部分16に対して撓曲することができ、したがって、部分18の場所を変化させ、且つ耳部分54を包含する部分16と部分17との間の間隙の厚さを変化させるように、エラストマーで作製すること、又はヒンジ要素を含むことができる。好適な順応性エラストマーは、80デュロメータショアAの硬度を有し得る。
【0027】
開放型ヘッドホンは、音響モジュールが耳の耳甲介腔内に配置されたときに、本体が耳の対耳輪、耳輪、及び耳朶のうち少なくとも1つの上を通過するように構成され、
図2では、これらの耳50の部分のうち任意の1つ以上が概して54で表される。ユーザは、本体を外耳上の本体の快適な位置又は他の望ましい位置に枢動させることができる。外耳及び本体部分16が外耳に重なる様式のより完全な説明については、
図3Aを参照されたい。第2の本体部分18は、外耳の後方にある。換言すれば、
図2に示されるように、第2の本体部分18は、外耳50と頭部55の隣接する部分との間に配置される。部分17は、部分16及び18に接続し、且つ外耳50の縁部59の上を通過するように構成されている。
【0028】
図3A及び
図3Bは、それぞれ、外耳50上の適所にある開放型ヘッドホン10の側面図及び背面斜視図である。開放型ヘッドホン10が外耳50と相互作用する様式は、
図3Aに例示される外耳50の一部を参照してより良好に理解され得る。外耳50は、耳輪56と、対耳輪57と、耳朶64と、耳珠62と、反耳珠58が耳甲介腔51の下部境界を形成する耳甲介腔51を含む耳甲介60と、を含む。ユーザの外耳の解剖学的構造、及び開放型ヘッドホンのフィットに対するユーザの選好に応じて、本体部分16は、耳輪56、対耳輪57、耳朶64、及び対珠58のうち1つ以上の上を通過するように構成することができる。本体部分17は、耳輪56、対耳輪57、及び耳朶64のうち1つ以上の場所において耳の外縁59の上を通過する。
【0029】
いくつかの実施例では、開放型ヘッドホン10は、1つ以上の外部マイクロホンを担持する。外部マイクロホンは、ユーザの声を感知するために、及び/又は環境音を感知するために、及び/又はアクティブノイズ消去システムのフィードフォワードマイクロホンとして使用することができ、ヘッドホンの外部マイクロホンのこれらの及び他の機能は、当該技術分野において既知であるので、本明細書では更に説明しない。この実施例では、外部マイクロホン71及び72は、概して、ユーザの口の予測される場所の近くで交差する又はその場所を通過する軸73に沿って位置するように、本体部分16の両側に配置されている。このように、所望により、マイクロホンは、ビーム形成することができる。ビーム形成もまた、当該技術分野において既知であるので、本明細書では更に説明しない。
【0030】
図4は、その重心70を例示する、外耳50上の適所にある開放型ヘッドホン10の背面図である。重心は、音響モジュール12(この図では、部分的に見ることができる)と本体部分18との間にある。いくつかの実施例では、重心は、外耳に、例えば耳輪56にある。
【0031】
図5は、本体部分18の内側に担持されるバッテリ80を例示する、開放型ヘッドホン10の概略部分断面図である。音響モジュール12は、音響キャビティ90内に音圧を生成する音響トランスデューサ82を担持する。放音開口部100は、外耳道開口部63に最も近い音響モジュール12の端部にある。音は、矢印92によって示されるように、開口部100を通して放射される。開放型ヘッドホン10は、開口部100の場所、並びに音響モジュール12の特定の構成及び対称性に応じて、左耳又は右耳のいずれかに装着することができ得る。代替的に、一組のヘッドホンは、指定の耳に対して固有である構成を有する、1つの左ヘッドホンと、1つの右ヘッドホンと、を含むことができる。プリント回路基板(printed circuit board、PCB)84は、本体部分16内に配置され、且つバッテリ80に電気的に結合されている。フレックス回路要素86は、PCB84からトランスデューサ82まで通じて、少なくとも電力及びオーディオ信号をトランスデューサに搬送する。所望により、ユーザインターフェース要素は、本体部分内に組み込むことができる。例えば、フォースタッチ要素(例えば、前から後ろへの、又は頂部から底部への圧迫)は、コントローラ(図示せず)によって変換されて、当該技術分野において既知のタイプのユーザインターフェース要素を達成し得る。いくつかの実施例では、歪みゲージがフォースタッチ感知素子に使用される。一実施例では、歪みゲージがヘッドホン10の内面に装着される。
図5には、歪みゲージ88が音響モジュール12に載置され、歪みゲージ89が本体部分16に載置されている、2つの可能な場所が例示されている。
【0032】
図6は、トランスデューサ82を有する音響モジュール12の概略断面図である。いくつかの実施例では、音響モジュールは、第1の放音開口部100よりも外耳道開口部から遠くにあるように構成されている第2の放音開口部102を含む。放音開口部は、他の人に聞こえ得る音漏れを低減する音響消去をもたらすことができる双極子状のパターンを達成するように配置することができる。一実施例では、音響トランスデューサは、音響モジュールの音響キャビティ90の前部音響キャビティ部分96及び後部音響キャビティ部分98内に音圧を生成し、第1の放音開口部100は、前部音響キャビティ96に流体結合され、第2の放音開口部102は、後部音響キャビティ98に流体結合される。当該技術分野において既知であるように、放音開口部は、布地又は織物などの抵抗要素又は環境保護要素によって覆うことができる。
【0033】
少なくとも1つの実施例に関するいくつかの態様について述べてきたが、当業者であれば、様々な変更、修正、並びに、改良が容易に思い付くことが、理解されるであろう。こうした変更、修正、及び改善は、本開示の一部であり、本発明の範囲内であることが意図される。したがって、前述の説明及び図面は、例に過ぎず、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の適切な構成、並びに、それらの均等物から判定されるはずである。
【符号の説明】
【0034】
10 開放型ヘッドホン
12 音響モジュール
13 下部分
14 開放型ヘッドホン本体
16 第1の部分
17 本体部分
18 第2の部分
50 耳
51 耳甲介腔
52 凹面
54 耳部分
55 頭部
56 耳輪
57 対耳輪
58 反耳珠
59 縁部
60 耳甲介
62 耳珠
63 外耳道開口部
64 耳朶
70 重心
71 外部マイクロホン
72 外部マイクロホン
73 軸
80 バッテリ
82 音響トランスデューサ
82 トランスデューサ
84 プリント回路基板
86 フレックス回路要素
88 ゲージ
89 ゲージ
90 音響キャビティ
92 矢印
96 前部音響キャビティ部分
98 後部音響キャビティ部分
100 第1の放音開口部
102 第2の放音開口部
A デュロメータショア
【国際調査報告】