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特表2024-518060高脂血症を治療するための薬物組成物及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】高脂血症を治療するための薬物組成物及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/216 20060101AFI20240417BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240417BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 31/4415 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 31/714 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 31/191 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 9/19 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240417BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
A61K31/216
A61P3/06
A61P43/00 121
A61K45/06
A61K31/4415
A61K31/714
A61K31/375
A61K31/355
A61K31/191
A61K9/16
A61K9/19
A61K9/08
A61K9/20
A61K9/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568628
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 CN2022091766
(87)【国際公開番号】W WO2022237731
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202110509462.6
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516331498
【氏名又は名称】スーチョアン チウチャン バイオロジカル サイエンス アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジエ
(72)【発明者】
【氏名】リー ウェンビン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ヤー
(72)【発明者】
【氏名】シュー ミン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB17
4C076CC21
4C076DD24
4C076DD38
4C076DD41
4C076EE31
4C084AA23
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZC222
4C084ZC331
4C084ZC332
4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA09
4C086BA18
4C086BC18
4C086DA39
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZC33
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206DA02
4C206DB20
4C206DB56
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA37
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA61
4C206MA72
4C206MA86
4C206NA14
4C206ZC33
4C206ZC75
(57)【要約】
高脂血症を治療するための薬物組成物及びその調製方法であって、前記薬物組成物はクロロゲン酸、ビタミン、薬学的に許容可能な補助材料及び任意の微量元素を含み、該高脂血症を治療するための薬物組成物は、血清総コレステロール及び血清トリグリセリドを低下させ、高比重リポタンパク含有量を向上させる優れた効果を有するとともに、薬物組成物の成分が明確であり、構成がシンプルであり、安全で副作用がないため、高脂血症の臨床治療に広く応用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロゲン酸、ビタミン、薬学的に許容可能な補助材料及び任意の微量元素を含むことを特徴とする、高脂血症を治療するための薬物組成物。
【請求項2】
前記高脂血症を治療するための薬物組成物は、クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素のみを活性成分とすることを特徴とする、請求項1に記載の高脂血症を治療するための薬物組成物。
【請求項3】
前記ビタミンがビタミンC、ビタミンE、ビタミンB6、ビタミンB12又はそれらの組み合わせから選択され、好ましくは、前記ビタミンがビタミンCから選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の高脂血症を治療するための薬物組成物。
【請求項4】
前記微量元素が亜鉛、マンガン、セレン、クロム、銅又はそれらの組み合わせから選択され、好ましくは、前記微量元素がグルコン酸亜鉛、グルコン酸マンガン、塩化クロム、グルコン酸銅又はそれらの組み合わせから選択され、より好ましくは、前記微量元素がグルコン酸マンガンから選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の高脂血症を治療するための薬物組成物。
【請求項5】
前記クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素の重量比が100:1~5:0.01~0.05であり、好ましくは、前記クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素の重量比が100:2~4:0.02~0.04であり、より好ましくは、前記クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素の重量比が100:3:0.03であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の高脂血症を治療するための薬物組成物。
【請求項6】
前記高脂血症を治療するための薬物組成物は、消化管又は消化管以外の経路を介して投与され、好ましくは、消化管を介して投与される薬物剤形が錠剤、カプセル、顆粒剤、内服液を含み、消化管以外の経路を介して投与される薬物剤形が注射液、輸液、凍結乾燥粉末注射剤を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の高脂血症を治療するための薬物組成物。
【請求項7】
各原料を秤量するステップ(1)と、
当分野の通常の方法に従って、消化管又は消化管以外の経路を介して投与するための薬物剤形に調製するステップ(2)と、
を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか1つに記載の高脂血症を治療するための薬物組成物の調製方法。
【請求項8】
クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素の組み合わせの、高脂血症を治療するための薬物組成物の調製における使用。
【請求項9】
前記ビタミンが、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB6、ビタミンB12又はそれらの組み合わせから選択され、前記微量元素が、亜鉛、マンガン、セレン、クロム、銅又はそれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素の重量比が、100:1~5:0.01~0.05であることを特徴とする、請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物の分野に属し、具体的には高脂血症を治療するための薬物組成物及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高脂血症(Hyperlipoproteinemia)とは、血漿中のコレステロール及びトリグリセリドのレベルの上昇、高比重リポタンパク含有量の低下であり、アテローム性動脈硬化、冠状動脈性心疾患、高血圧、糖尿病、脳卒中等の病気を引き起こす重要な要因の一つである。現在、国内外において、高脂血症に対する統一された診断基準はまだなく、一般的には血漿中の総コレステロール濃度>5.17mmol/L(200mg/dl)の場合に高コレステロール血症と診断でき、血漿中のトリグリセリド濃度>2.3mmol/L(200mg/dl)の場合に高トリグリセリド血症と診断できる。
【0003】
高脂血症は、原発性高脂血症と続発性高脂血症の2つに分類することができる。原発性高脂血症は、脂質及びリポタンパクの代謝の先天的欠陥によって引き起こされ、続発性高脂血症は、例えば糖尿病、高血圧、肝疾患、腎疾患、甲状腺疾患、ならびに飲酒、喫煙、高脂肪食等の代謝障害に続いて発症することが多い。
【0004】
現在の高脂血症の治療方法には、一般に体重コントール、運動、禁煙、食事療法等の方法によって高脂血症を治療する非薬物療法と、血清総コレステロール及び低比重リポタンパクのレベルを低下させるスタチン系薬物又は血清中のトリグリセリドのレベルを低下させるフィブラート及びナイアシン等の薬物の投与を含む薬物療法とが含まれる。
【0005】
クロロゲン酸は、植物が好気呼吸を行う過程において、ペントースリン酸経路の中間生成物によって合成されるフェニルプロパノイド系物質であり、その抽出技術は成熟しており、少量を合成することも可能である。クロロゲン酸は既に食品、健康食品、化粧品及び医薬品等の複数の分野において開発・応用されている。現在の研究結果は、クロロゲン酸が心血管の保護、抗酸化、抗紫外線、抗放射線、抗癌、抗菌、抗ウイルス、免疫調節及び代謝異常の治療等の様々な薬理作用を有することを示している。
【0006】
従来の研究は、ビタミンE、ビタミンCのようなビタミンや、亜鉛、銅、マンガン、鉄、クロム、セレン、カルシウム、マグネシウム等のような微量元素がいずれも脂質代謝に関係することを示しており、また、これを基に、微量元素の補給によって脂質代謝レベルを調節するという提案をしている学者もいる。しかし、ビタミン及び微量元素の血中脂質に対する調節効果はいまだ明確ではなく、しかもビタミンや微量元素の過剰な補給は様々な健康問題を引き起こすことから、ビタミン及び微量元素の補給により高脂血症を治療するという臨床報告はまだない。
【0007】
本発明は、高脂血症に対し優れた治療効果を有する薬物組成物の提供を目的とする。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、高脂血症を治療するための薬物組成物及びその調製方法と使用を提供することである。
【0009】
一態様では、本発明はクロロゲン酸、ビタミン、薬学的に許容可能な補助材料及び任意の微量元素を含む高脂血症を治療するための薬物組成物を提供する。
【0010】
好ましくは、前記ビタミンがビタミンC、ビタミンE、ビタミンB6、ビタミンB12又はそれらの組み合わせから選択され、より好ましくは、前記ビタミンがビタミンCから選択される。
【0011】
好ましくは、前記微量元素が亜鉛、マンガン、セレン、クロム、銅又はそれらの組み合わせから選択され、より好ましくは、前記微量元素がグルコン酸亜鉛、グルコン酸マンガン、塩化クロム、グルコン酸銅又はそれらの組み合わせから選択され、最も好ましくは、前記微量元素がグルコン酸マンガンから選択される。
【0012】
好ましくは、前記薬学的に許容可能な補助材料が充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、溶媒、酸化防止剤、足場剤等から選択され、より好ましくは、前記酸化防止剤が亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、L-システイン塩酸塩のうちの1種又は2種以上の混合から選択され、前記足場剤がスクロース、マンニトール、グルコース、ラクトース、トレハロース、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン20、ソルビトール、PEG1000、グリセロール、グリシン、1,2-プロパンジオールのうちの1種又は2種以上の混合から選択される。
【0013】
好ましくは、前記高脂血症を治療するための薬物組成物は、クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素のみを活性成分とする。
【0014】
好ましくは、前記クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素の重量比が100:1~5:0.01~0.05であり、より好ましくは、前記クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素の重量比が100:2~4:0.02~0.04であり、最も好ましくは、前記クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素の重量比が100:3:0.03である。
【0015】
本発明に記載の高脂血症を治療するための薬物組成物は、消化管又は消化管以外の経路を介して投与することができ、より好ましくは、本発明に記載の高脂血症を治療するための薬物組成物が、消化管以外の経路を介して投与される。
【0016】
好ましくは、本発明に記載の高脂血症を治療するための薬物組成物は、消化管を介して投与可能な薬物剤形が錠剤、カプセル、顆粒剤、内服液等を含み、消化管以外の経路を介して投与可能な薬物剤形が注射液、輸液、凍結乾燥粉末注射剤等を含む。
【0017】
さらに別の態様では、本発明は、高脂血症を治療するための薬物組成物の調製方法を提供し、該調製方法は、
各原料を秤量するステップ(1)と、
当分野の通常の方法に従って、消化管又は消化管以外の経路を介して投与するための薬物剤形に調製するステップ(2)と、を含む。
【0018】
具体的には、本発明は、高脂血症を治療するための注射液の調製方法を提供し、該調製方法は、
各原料を秤量するステップ(1)と、
注射用水を準備し、クロロゲン酸、酸化防止剤、ビタミン及び任意の微量元素を順に加え、撹拌して十分に溶解させ、定容し、pHを2~5に制御し、活性炭を加え、20~40分間撹拌した後に活性炭を濾過により除去し、さらに0.22umの親水性微孔濾過膜で濾液が清澄になるまで精密濾過し、無菌充填して、高脂血症を治療するための注射液を得るステップ(2)と、を含む。
【0019】
本発明は、高脂血症を治療するための凍結乾燥粉末注射剤の調製方法を提供し、該調製方法は、
各原料を秤量するステップ(1)と、
注射用水を準備し、クロロゲン酸、酸化防止剤、足場剤、ビタミン及び任意の微量元素を順に加え、撹拌して十分に溶解させ、定容し、pHを2~5に制御し、活性炭を加え、20~40分間撹拌した後に活性炭を濾過により除去し、さらに0.22umの親水性微孔濾過膜で濾液が清澄になるまで精密濾過し、無菌充填し、凍結乾燥させて、高脂血症を治療するための凍結乾燥粉末注射剤を得るステップ(2)と、を含む。
【0020】
本発明は、高脂血症を治療するための錠剤の調製方法を提供し、該調製方法は、
各原料を秤量するステップ(1)と、
クロロゲン酸、ビタミン、任意の微量元素及び充填剤、崩壊剤を60~100メッシュの篩にかけた後、均一に混合し、適量の結合剤を用いて軟質材料を調製し、14メッシュの篩にかけて造粒した後に乾燥させ、12メッシュの篩にかけて整粒し、潤滑剤を加えた後に均一に混合し打錠して、高脂血症を治療するための錠剤を得るステップ(2)と、を含む。
【0021】
また別の態様では、本発明は、クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素の組み合わせの、高脂血症を治療するための薬物組成物の調製における使用を提供する。
【0022】
好ましくは、前記ビタミンがビタミンC、ビタミンE、ビタミンB6、ビタミンB12又はそれらの組み合わせから選択され、より好ましくは、前記ビタミンがビタミンCから選択される。
【0023】
好ましくは、前記微量元素が亜鉛、マンガン、セレン、クロム、銅等から選択され、より好ましくは、前記微量元素がグルコン酸亜鉛、グルコン酸マンガン、塩化クロム、グルコン酸銅又はそれらの組み合わせから選択され、最も好ましくは、前記微量元素がグルコン酸マンガンから選択される。
【0024】
好ましくは、前記薬学的に許容可能な補助材料が充填剤、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、溶媒、酸化防止剤、足場剤等から選択され、より好ましくは、前記酸化防止剤が亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、L-システイン塩酸塩のうちの1種又は2種以上の混合から選択され、前記足場剤がスクロース、マンニトール、グルコース、ラクトース、トレハロース、ヒドロキシエチルデンプン、デキストラン20、ソルビトール、PEG1000、グリセロール、グリシン、1,2-プロパンジオールのうちの1種又は2種以上の混合から選択される。
【0025】
好ましくは、前記高脂血症を治療するための薬物組成物は、クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素のみを活性成分とする。
【0026】
好ましくは、前記クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素の重量比が100:1~5:0.01~0.05であり、より好ましくは、前記クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素の重量比が100:2~4:0.02~0.04であり、最も好ましくは、前記クロロゲン酸、ビタミン及び任意の微量元素の重量比が100:3:0.03である。
【0027】
本発明に記載の高脂血症を治療するための薬物組成物は、消化管又は消化管以外の経路を介して投与することができ、より好ましくは、本発明に記載の高脂血症を治療するための薬物組成物が、消化管以外の経路を介して投与される。
【0028】
好ましくは、本発明に記載の高脂血症を治療するための薬物組成物は、消化管を介して投与可能な薬物剤形が錠剤、カプセル、顆粒剤、内服液等を含み、消化管以外の経路を介して投与可能な薬物剤形が注射液、輸液、凍結乾燥粉末注射剤等を含む。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、クロロゲン酸とビタミン及び任意の微量元素を組み合わせることによって、高脂血症を治療するための優れた薬物組成物を得るものであり、特にクロロゲン酸、ビタミンC及びグルコン酸マンガンの組み合わせの効果が最も優れ、血清総コレステロール及び血清トリグリセリドのレベルを著しく低下させ、高比重リポタンパク質の含有量を向上させることができる。本発明の高脂血症を治療するための薬物組成物は成分が明確であり、構成がシンプルであり、血中脂質を下げる効果が適確であり、かつ安全で副作用がなく、高脂血症の臨床治療に広く応用できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の理解の助けとなるよう、以下において本発明を更に詳細に説明する。
【0031】
実施例1:高脂血症を治療するための注射液
クロロゲン酸100g、ビタミンC 3g、亜硫酸水素ナトリウム1g、グルコン酸マンガン0.03g、適量の注射用水を、以下の方法で調製した。
【0032】
(1)各原料を秤量した。
(2)注射用水を準備し、クロロゲン酸、亜硫酸水素ナトリウム、ビタミンC及びグルコン酸マンガンを順に加え、撹拌して十分に溶解させ、pHを3.5に制御し、2000mLに定容し、活性炭を加え、20~40分間撹拌した後に活性炭を濾過により除去し、さらに0.22umの親水性微孔濾過膜で濾液が清澄になるまで精密濾過し、1000本を無菌充填して、高脂血症を治療するための注射液を得た。
【0033】
実施例2:高脂血症を治療するための凍結乾燥粉末注射剤
クロロゲン酸100g、ビタミンC 4g、亜硫酸水素ナトリウム2g、グルコン酸マンガン0.05g、マンニトール80g、適量の注射用水を、以下の方法で調製した。
【0034】
(1)各原料を秤量した。
(2)注射用水を準備し、クロロゲン酸、亜硫酸水素ナトリウム、マンニトール、ビタミンC及びグルコン酸マンガンを順に加え、撹拌して十分に溶解させ、pHを4に制御し、2000mLに定容し、活性炭を加え、20~40分間撹拌した後に活性炭を濾過により除去し、さらに0.22umの親水性微孔濾過膜で濾液が清澄になるまで精密濾過し、1000本を無菌充填し、凍結乾燥して、高脂血症を治療するための凍結乾燥粉末注射剤を得た。
【0035】
実施例3:高脂血症を治療するための錠剤
クロロゲン酸100g、ビタミンC 3g、グルコン酸マンガン0.03g、微結晶セルロース364g、クロスカルメロースナトリウム30g、ステアリン酸マグネシウム3g、適量のエタノールを、以下の方法で調製した。
【0036】
(1)各原料を秤量した。
(2)クロロゲン酸、グルコン酸マンガン、ビタミンC、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウムを80メッシュの篩にかけた後、均一に混合し、適量のエタノールを用いて軟質材料を調製し、14メッシュの篩にかけて造粒した後に乾燥させ、12メッシュの篩にかけて整粒し、ステアリン酸マグネシウムを加えた後に均一に混合し打錠して、高脂血症を治療するための錠剤1000錠を調製した。
【0037】
効果例1:本発明の高脂血症を治療するための薬物組成物の脂質低減効果
1.1実験薬物
以上の薬物は、いずれも実施例1の方法に従って調製し注射液又は乳濁液にしたものであり、活性薬物の総濃度はいずれも0.53%に調整し、乳濁液は使用前に均一に混合した。
【0038】
1.2実験動物
体重18~20gの雄の昆明種マウス210匹を、1d適応飼育した後、無作為に各群10匹の21群に分け、それぞれを正常群、モデル群、ブランク群及び薬物1~18群とするとともに、実験1日目として記録した。ここで、正常群には一般的な飼料を与え、モデル群、ブランク群及び薬物1~18群のマウスには、いずれも高脂肪飼料を与えた。前記一般的な飼料の配合は、トウモロコシ粉60%、ふすま35%、小麦粉2%、魚粉1.5%、食塩1%、魚の肝油0.5%であり、前記高脂肪飼料の配合は、コレステロール2%、コール酸ナトリウム0.5%、ラード7.5%、一般的な飼料90%であり、全てのマウスに水を自由に摂取させた。各群のマウスに、対応する実験薬物を1日2回、毎回200μLを尾静脈注射し、正常群とブランク群には等量の注射用水を尾静脈注射した。給餌を4週間継続し、6日目、13日目、20日目及び27日目に、水の摂取を禁止して8h後に重量を測定した。実験の28日目に、最終投与の2h後にマウスの眼窩から採血し、ELISA法を用いて血清総コレステロール、トリグリセリド及び高比重リポタンパクの含有量を測定し、マウスの頸部を切断して屠殺した後に肝臓全体を取り出し、0~4℃の生理食塩水で肝臓を洗浄し、濾紙で吸水し乾燥させた後に重量を測定し、肝臓指数を計算した。具体的な実験結果を表1~2に示す。ここで、
肝臓指数=肝臓湿重量/体重*100。
【0039】
1.3実験結果
統計ソフトウェアSPSSの多因子分散分析モジュールを応用してデータ分析を行った。P<0.05は差異が統計学的に有意であることを示し、P<0.01は差異が有意差であることを示す。
【0040】
表1 本発明の薬物組成物が高脂肪食マウスの体重に与える影響
ブランク群との比較:△,P<0.05。
【0041】
表2 本発明の薬物組成物が高脂肪食マウスの肝臓指数及び血中脂質に与える影響
ブランク群との比較:△,P<0.05,△△,P<0.01。モデル群との比較:*,P<0.05,**,P<0.01。
【0042】
表1~2の実験結果により、モデル群のマウスは高脂肪食により、一般的な飼料を与えたブランク群のマウスに比べて体重、肝臓湿重量、肝臓指数、血清総コレステロール、トリグリセリドのレベルがいずれも顕著に高くなり、高比重リポタンパクの含有量が顕著に低下しており、高脂血症モデルのモデル化が成功したことが示された。
【0043】
クロロゲン酸、及びクロロゲン酸とビタミン及び/又は微量元素との薬物の組み合わせは、いずれも高脂肪食によるマウスの体重や肝臓重量の増加を抑制し、血清総コレステロールやトリグリセリドのレベルを低下させる一定の効果を示し、且つ高比重リポタンパクの含有量を顕著に向上させる効果を示し、クロロゲン酸、及びクロロゲン酸とビタミン及び/又は微量元素との組み合わせは、いずれも一定の血中脂質低減効果を有し、しかもクロロゲン酸とビタミン及び/又は微量元素との組み合わせに対応する効果は、一般的に単独のクロロゲン酸よりも優れており、これはクロロゲン酸とビタミン及び/又は微量元素との組み合わせが、明らかにより優れた血中脂質低減効果を有することを示している。しかし、実験結果は同時に、薬物活性成分の種類が多ければ多いほど、対応する薬物組み合わせの血中脂質低減効果が高くなるわけではないことを示しており、その原因には、活性物質の水溶性の影響、活性物質間の相互作用による様々な影響、及び活性物質の種類の増加に伴う単一活性物質の薬物濃度の低下等が含まれる。大量のスクリーニング実験により、投与薬物の濃度が同じ場合、クロロゲン酸とビタミンCやグルコン酸マンガンとの組み合わせは、他の薬物の組み合わせに対して、顕著に優れた血中脂質低減効果を有することが示された(注:上記のクロロゲン酸、及びクロロゲン酸とビタミン及び/又は微量元素の薬物組み合わせの血中脂質低減効果は例示的に示したものに過ぎず、本発明のクロロゲン酸、及びクロロゲン酸とビタミン及び/又は微量元素の薬物組み合わせをスクリーニングするための完全な実験プロセスではない)。
【0044】
効果例2:クロロゲン酸とビタミンC、グルコン酸マンガンの割合が薬物組成物の脂質低減効果に与える影響
2.1実験薬物
【0045】
2.2.実験方法
実施例1の方法に従って、クロロゲン酸とビタミンC、グルコン酸マンガンの様々な割合の組み合わせが、マウスの体重、肝臓湿重量、肝臓指数、血清総コレステロール、トリグリセリド及び高比重リポタンパクの含有量に与える影響を測定した。具体的な実験結果を表3~4に示す。
【0046】
表3 クロロゲン酸とビタミンC、グルコン酸マンガンの組み合わせが高脂肪食マウスの体重に与える影響
ブランク群との比較:△,P<0.05,△△,P<0.01。モデル群との比較:*,P<0.05。
【0047】
表4 クロロゲン酸とビタミンC、グルコン酸マンガンの組み合わせが高脂肪食マウスの肝臓指数及び血中脂質に与える影響
ブランク群との比較:△,P<0.05,△△,P<0.01。モデル群との比較:*,P<0.05,**,P<0.01。
【0048】
表3~4の実験結果により、クロロゲン酸とビタミンC、グルコン酸マンガンの配合比率は、その血中脂質低減効果に対して明らかな影響を及ぼし、ビタミンCとグルコン酸マンガンの比率の低下に伴って、薬物組み合わせの血中脂質低減効果が徐々に強化されることが示されたが、ここで、クロロゲン酸:ビタミンC:グルコン酸マンガン=100:3:0.03に対応する組み合わせが最適な血中脂質低減効果を示し、ビタミンCとグルコン酸マンガンの比率がさらに低下するに従い、対応する組み合わせの血中脂質低減効果が徐々に低下した(注:上記のクロロゲン酸とビタミンC、グルコン酸マンガンの割合は例示的に示したものに過ぎず、本発明のクロロゲン酸とビタミンC、グルコン酸マンガンの割合をスクリーニングするための完全な実験プロセスではない)。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱しない範囲で、ここに開示された実施形態に対して改良及び変形を加えることができる。
【国際調査報告】