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特表2024-518064医療装置に設定パラメータ値を提供するための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】医療装置に設定パラメータ値を提供するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/34 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
A61M1/34
A61M1/34 125
A61M1/34 145
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568747
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2022062482
(87)【国際公開番号】W WO2022238328
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】102021000012110
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
2.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】501473877
【氏名又は名称】ガンブロ・ルンディア・エービー
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グエン, ニー
(72)【発明者】
【氏名】ネイマン, デレク
(72)【発明者】
【氏名】ホアン, フイ
(72)【発明者】
【氏名】ピエホフスキー, テイラー
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077BB02
4C077EE01
4C077EE02
4C077EE04
4C077HH06
4C077HH10
4C077HH15
4C077JJ08
4C077JJ16
(57)【要約】
医療処置を実行する医療装置に設定パラメータ値を提供するための方法および関連するシステムであって、方法は、ユーザインタフェースを備えるリモートデバイスを提供することと、ユーザインタフェースによってリモートデバイスに設定パラメータ値を入力することと、のステップを含むリモート手順を含み、設定パラメータ値は、医療装置の設定を定義し、識別された患者に関連し、識別された患者のための患者処方の一部である。リモート手順は、設定パラメータ値を符号化した設定信号を生成することをさらに含む。方法は、リーダを医療装置に提供することと、医療装置のリーダをリモートデバイスに相対的に近付けることによって設定信号を読み取ることと、読み取るステップを介して設定パラメータ値を取得することと、を含む取得手順をさらに含む。医療装置は、設定パラメータ値に基づいて設定される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外血液治療装置(1)とリモートデバイス(60)とを備えるシステム(90)であって、前記体外血液治療装置(1)は、
-半透膜(5)によって分離された一次チャンバ(3)および二次チャンバ(4)を有する濾過ユニット(2)と、
-血液回路であって、
○前記一次チャンバの入口に接続された第1端部と、患者(P)に接続するための第2端部と、の間に延びる脱血ライン(6)と、
○前記一次チャンバ(3)の出口に接続された第1端部と、前記患者(P)に接続するための第2端部と、の間に延びる返血ライン(7)と、
を備える血液回路と、
-前記血液回路の血液を循環させるための血液ポンプ(10)と、
-前記二次チャンバ(4)の出口に接続された排出ライン(12)と、
-光学パターン(80)を読み取るためのリーダ(40)と、
-前記血液ポンプを制御し、前記リーダ(40)に接続されたコントロールユニット(50)と、
を備え、
前記リモートデバイス(60)は、ユーザインタフェース(61)と、コントローラ(51)であって、
●前記ユーザインタフェース(61)を介して設定パラメータ値のための値の入力を可能にし、ここで、前記設定パラメータ値は、前記体外血液治療装置(1)の設定を定義し、識別された患者に関連し、前記設定パラメータ値は、前記識別された患者のための患者処方(73)の一部であり、前記設定パラメータ値は、
○前記識別された患者のための患者液体除去速度(PFR)と、
○総体重ロス、総治療時間および限外濾過流量のうち前記識別された患者のための2つのパラメータと、
のうち少なくとも1つを含み、
●前記設定パラメータ値(70)を符号化した光学パターン(80)を生成し、前記光学パターン(80)は、入力された前記設定パラメータ値に応じて可変である、
のステップを含むリモート手順を実行するように構成された、コントローラ(51)と、を備え、
前記体外血液治療装置(1)の前記コントロールユニット(50)は、
●前記リーダ(40)を介して前記光学パターン(80)を読み取ることによって、前記設定パラメータ値(70)を取得し、
●前記設定パラメータ値の前記値に基づいて前記体外血液治療装置(1)を設定する、
のステップを含む取得手順を実行するように構成される、
システム。
【請求項2】
体外血液治療を実行するために体外血液治療装置(1)に設定パラメータ値を提供するための方法(1000)であって、
前記方法は、
-ユーザインタフェース(61)を備えるリモートデバイス(60)を提供することと、
-前記ユーザインタフェース(61)を介して前記リモートデバイス(60)への設定パラメータ値(70)を入力することであって、前記設定パラメータ値は、前記体外血液治療装置(1)の設定を定義し、識別された患者に関連し、前記識別された患者のための患者処方(73)の一部であり、前記設定パラメータ値(70)は、
○前記識別された患者のための患者液体除去速度(PFR)と、
○総体重ロス(WL)、総治療時間(TT)および限外濾過流量(UFR)のうち前記識別された患者のための2つのパラメータと、
のうち少なくとも1つを含む、ことと、
-前記設定パラメータ値(70)を符号化した光学パターン(80)を生成することであって、前記光学パターン(80)は、入力された前記設定パラメータ値に応じて可変である、ことと、
のステップを含むリモート手順を含み、
前記方法は、
-リーダ(40)を備える前記体外血液治療装置(1)を提供することと、
-前記光学パターン(80)をディスプレイ(62)に表示することと、
-前記体外血液治療装置(1)の前記リーダ(40)を前記ディスプレイ(62)に相対的に近付けることによって、前記ディスプレイ(62)に表示された前記光学パターン(80)を読み取ることと、
-前記読み取るステップを介して、前記設定パラメータ値(70)を取得することと、
のステップを含む取得手順をさらに含み、
前記体外血液治療装置(1)は、前記設定パラメータ値の前記値に基づいて設定される、
方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムまたは方法であって、前記総体重ロスのパラメータは、前記総治療時間および前記限外濾過流量の両方に応じ、具体的には、
WL=UFR・TT
であり、
WL=総体重ロス
UFR=限外濾過流量
TT=総治療時間
である、システムまたは方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のシステムまたは方法であって、前記光学パターン(80)は、前記設定パラメータ値(70)を含む画像符号化情報を含み、具体的には、前記画像符号化情報は、バーコード、QRコード、ステガノグラフィ画像のうち少なくとも1つを含む、システムまたは方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のシステムまたは方法であって、前記リモートデバイス(60)は、1つのボディを定義するポータブルデバイスであって、ユーザが前記設定パラメータ値を入力することを可能にする入力デバイス(63)と、前記光学パターン(80)を視覚化する前記ディスプレイ(62)と、の両方を物理的に備えるポータブルデバイスであり、前記リモートデバイス(60)の前記コントローラ(51)は、前記ディスプレイ(62)に前記光学パターン(80)を視覚化するように構成される、システムまたは方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のシステムまたは方法であって、前記設定パラメータ値(70)は、前記体外血液治療装置(1)が前記患者にその後に前記体外血液治療治療を実行するための複数の命令を含み、前記設定パラメータ値(70)は、患者識別情報と、任意で患者の年齢、患者の体重、患者のヘマトクリット値、患者の性別および患者の関連疾患のうち少なくとも1つの情報と、を含む患者情報(71)を含む、システムまたは方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載のシステムまたは方法であって、前記設定パラメータ値(70)は、
-限外濾過治療(UF)、血液透析治療(HD)、血液濾過治療(HF)、血液透析濾過治療(HDF)のうち1つを含む透析治療タイプ、
-前記透析治療タイプを任意で示す、使い捨て液体ラインセットタイプ、
-透析器タイプまたは前記透析器タイプを含む使い捨てセットを示す透析フィルタまたはフィルタセットタイプ、
-前記体外血液治療装置(1)のための抗凝固設定であって、具体的には前記抗凝固は、ヘパリン抗凝固と、局所抗凝固、例えば、クエン酸抗凝固と、から選択される抗凝固設定、および、
血液加温器の有無、
のうち少なくとも1つの情報を含む治療構成(72)を含む、
システムまたは方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のシステムまたは方法であって、前記患者処方(73)は、前記体外血液治療装置(1)に設定される1つ以上の流量値を含み、前記流量は、血液流量、プレ血液ポンプ(PBP)流量、シリンジ流量、未使用透析流量、および、置換液流量の中から選択される、システムまたは方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載のシステムまたは方法であって、前記方法は、
-実施される治療のために必要な前記体外血液治療装置(1)のための少なくとも1つの使い捨てコンポーネントを提供することと、
-前記使い捨てコンポーネントを識別するための前記少なくとも1つの使い捨てコンポーネントの識別コードを前記装置に提供することと、
をさらに含み、
前記方法、または、前記体外血液治療装置(1)の前記コントロールユニット(50)は、
-前記少なくとも1つの使い捨てコンポーネントの前記識別コードを読み取ることであって、
○前記体外血液治療装置(1)の前記リーダ(40)が、前記使い捨てコンポーネントを識別し、前記少なくとも1つの使い捨てコンポーネントの前記識別コードは、それぞれの光学パターン(80)の形態である、または、
○前記装置の前記リーダ(40)とは異なる周波数スキャナが、前記使い捨てコンポーネントを識別し、前記少なくとも1つの使い捨てコンポーネントの前記識別コードは、周波数関連信号の形態である、
ことによって、読み取ることと、
-識別された前記使い捨てコンポーネントと前記ディスプレイから前記光学画像を読み取ることによって取得された前記設定パラメータ値との間の整合性を照合することと、
-少なくとも1つの設定パラメータが前記体外血液治療装置(1)のための識別された前記使い捨てコンポーネントと一致しない場合に、前記体外血液治療装置(1)が前記設定パラメータ値に基づいて設定されることを防止することと、
のステップを含む整合性手順を、さらに含み、または、実行するように構成され、
-各使い捨てコンポーネントは、前記識別コードを符号化したコンポーネント識別子を備え、
-前記設定パラメータ値は、前記体外血液治療装置(1)に設定される前記透析治療を示す治療識別子を含み、具体的には前記透析治療は、限外濾過治療(UF)、血液透析治療(HD)、血液濾過治療(HF)、血液透析濾過治療(HDF)のうち1つであり、
前記整合性手順は、前記使い捨てコンポーネントの前記コンポーネント識別子が前記装置の前記治療識別子と予め定義された整合性リストに従って一致するか否かを照合することを含み、前記予め定義された整合性リストは、一連のコンポーネント識別子と一連の治療識別子との間のリストであり、
具体的には前記整合性リストは、限外濾過治療(UF)、血液透析治療(HD)、血液濾過治療(HF)、血液透析濾過治療(HDF)の各透析治療について、整合性がある使い捨てコンポーネントを示す一連の識別コードを含む、
システムまたは方法。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載のシステムまたは方法であって、前記設定パラメータ値(70)は、前記設定パラメータ値が関連する前記患者を識別する前記患者の識別情報、具体的には名前を含む患者情報(71)を含み、
前記方法、または、前記体外血液治療装置の前記コントロールユニット(50)は、
-前記体外血液治療装置(1)に前記体外血液治療を受けようとする患者を関連付けることと、
-前記体外血液治療装置(1)に、前記光学パターン(80)とは異なる情報源からの前記患者の識別情報を提供することであって、具体的には前記識別情報は、前記患者の前記名前または識別コードを含むことと、
-前記光学パターン(80)を介して読み取られた前記設定パラメータ値(70)の前記患者識別情報と、前記光学パターン(80)とは異なる前記情報源を介して提供された前記患者に関連する前記識別情報と、の間の一致のチェックすることと、
-前記設定パラメータ値の前記患者識別情報と、前記情報源からの前記患者に関連する前記識別情報と、の間に一致が見つからない場合に、前記体外血液治療装置(1)が前記設定パラメータ値(70)に基づいて設定されることを防止し、任意でアラーム、すなわち音響または可視アラームを発することと、
のステップを含むクロスチェック手順を、さらに含む、または、実行するように構成される、
システムまたは方法。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載のシステムまたは方法であって、前記取得手順は、前記光学パターン(80)によって取得された前記設定パラメータ値の有効性を照合するステップを含む安全手順を含み、
具体的には前記安全手順は、すべての前記設定パラメータ値が所定の有効範囲内にあるか否かを照合することを含み、
前記設定パラメータ値のうち1つ以上が前記有効範囲を超える場合に、前記方法は、前記設定パラメータ値に基づいて前記体外血液治療装置(1)が設定されることを防止し、
前記設定パラメータ値のうち1つ以上が前記有効範囲を超える場合に、前記安全手順は、音響アラーム信号または前記体外血液治療装置(1)のディスプレイ(62)に表示されるアラームなど、アラーム信号を発信するように前記体外血液治療装置(1)に命令することを含む、
システムまたは方法。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載のシステムまたは方法であって、前記方法、または、前記装置(1)のコントロールユニット(50)および前記リモートデバイス(60)の前記コントローラ(51)は、許可されたユーザがペアリングするステップを実行することを可能にする認証コードに基づいて、前記リモートデバイス(60)を前記体外血液治療装置(1)に前記ペアリングするステップを、含み、または、実行するように構成され、
-前記ペアリングするステップが成功した場合に、前記取得手順が実行され、
-前記ペアリングするステップが成功しない場合に、前記取得手順が実行されることを防止し、または、設定パラメータ値が前記体外血液治療装置(1)に設定されることを防止し、
任意で、前記ペアリングは、NFCまたはBluetoothプロトコルに基づき、
任意で、前記認証コードは、パスワード、シリアルナンバー、指紋、顔認識アルゴリズムのうち少なくとも1つを含む、
システムまたは方法。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか1項に記載のシステムまたは方法であって、前記リモート手順は、前記患者からおよび/または前記体外血液治療装置(1)からリモート距離で実行され、前記取得手順は、前記患者からおよび/または前記医療装置から取得距離で実行され、前記リモート距離は、前記取得距離よりも長く、
前記リモート手順は、
-前記患者に対しておよび/または前記医療装置に対して安全距離で、具体的には前記安全距離は、2メートルと100メートルとの間、具体的には3メートルと50メートルとの間、より具体的には4メートルと20メートルとの間を含み、および/または、
-バリア、例えば、壁、窓、透明な壁のうち1つによって患者から分離されて、
実行され、
前記バリアおよび/または前記安全距離は、前記患者とユーザとの間の細菌および/またはウイルスの伝播を回避するために、前記設定パラメータ値(70)の前記リモートデバイス(60)への入力を担当する前記ユーザを前記患者から隔離するように構成され、
前記取得手順は、前記医療装置、具体的には前記体外血液治療装置(1)の近く、および、前記患者の近くで実行され、前記取得手順の間、前記取得手順を実行する担当の前記ユーザは、前記患者から10メートルよりも短い、具体的には5メートルよりも短い、より具体的には3メートルよりも短い、より具体的には1メートルよりも短い距離にいる、
システムまたは方法。
【請求項14】
請求項10に記載のシステムまたは方法であって、前記クロスチェック手順は、前記取得距離に実質的に等しいクロスチェック距離で実行される、システムまたは方法。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか1項に記載のシステムまたは方法であって、前記リモートデバイス(60)の前記ユーザインタフェース(61)は、前記ディスプレイ(62)と、前記設定パラメータ値を入力するための入力デバイス(63)と、の両方を備え、
前記方法、または、前記リモートデバイス(60)の前記コントローラ(51)は、
-前記リモートデバイス(60)の前記ユーザインタフェース(61)を介して前記リモートデバイス(60)に1つ以上のさらなる設定パラメータ値(70)を入力すること、または、ユーザが入力することを可能にすることであって、前記さらなる設定パラメータ値は、前記設定パラメータ値のうち1つ以上、具体的には患者処方(73)、治療構成(72)、および、患者情報(71)のうち少なくとも1つの設定パラメータ値(70)を含む、こと、および/または、
-前記リモートデバイス(60)の前記ユーザインタフェース(61)を介して、前記リモート手順中に入力された前記設定パラメータ値(70)のうち1つ以上を修正すること、または、更新すること、または、ユーザが修正または更新することを可能にすること、
のステップを含む、前記リモート手順と前記取得手順との間に時間的に挿入されたローカル手順を、含む、または、実行するように構成され、
前記ローカル手順は、前記患者からおよび/または前記体外血液治療装置(1)からローカル距離でユーザによって実行され、前記リモート手順は、前記患者からおよび/または前記体外血液治療装置(1)からリモート距離でユーザによって実行され、前記ローカル距離は、前記リモート距離よりもより短く、
前記ローカル手順および前記取得手順は、実質的に同じ場所で、具体的には前記患者および/または前記体外血液治療装置に対して同じ距離で実行される、
システムまたは方法。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか1項に記載のシステムまたは方法であって、前記取得手順は、前記リーダ(40)を介して前記光学パターン(80)を読み取ることによって、前記設定パラメータ値(70)を取得する前記ステップの時間的に後に確認手順を含み、
前記確認手順は、
-装置(1)のディスプレイに、前記設定パラメータ値(70)のうち1つ以上を表示することと、
-前記装置(1)によって受信された前記設定パラメータ値(70)のうち前記1つ以上の承認信号をユーザから受信することを要求することと、
-前記承認信号を受信したか否かをチェックすることと、
のステップを含み、
-前記承認信号が前記装置(1)によって適切に受信された場合に、前記装置によって受信された前記設定パラメータ値(70)の前記値に基づいて前記体外血液治療装置(1)を設定する前記ステップを可能にし、
-前記承認信号が前記装置(1)によって適切に受信されない場合に、前記装置によって受信された前記設定パラメータ値(70)の前記値に基づいて前記体外血液治療装置(1)を設定する前記ステップを防止する、
システムまたは方法。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムまたは方法であって、前記確認手順の前記要求するステップは、
-前記装置(1)によって受信されたすべての前記設定パラメータ値(70)の承認を示す1つおよび1つのみの承認信号を要求する、または、
-前記設定パラメータ値(70)を、前記装置(1)によって受信されたそれぞれの設定パラメータ値(70)を含む2つ以上のグループに区分し、設定パラメータ値(70)のグループごとに承認信号を要求する、
システムまたは方法。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムまたは方法であって、前記設定パラメータ値(70)は、各設定パラメータ値のカテゴリに基づいて前記グループ内で区分され、前記体外血液治療装置(1)を設定するための流量に関連する前記設定パラメータ値のみを含む流量グループが少なくとも提供される、システムまたは方法。
【請求項19】
請求項1乃至18の何れか1項に記載のシステムまたは方法であって、入力される前記設定パラメータ値の変化が、前記リモートデバイス(60)の前記ユーザインタフェース(61)上に表示される前記光学パターン(80)の変化に対応し、前記光学パターン(80)は、前記リモートデバイス(60)の前記ディスプレイ(62)に表示され、前記ディスプレイ(62)に前記光学パターン(80)を表示するステップは、前記取得手順の間、および、前記リモート手順の時間的に後に実行され、前記リモートデバイス(60)と前記体外血液治療装置(1)との間のペアリングの成功に従属し、前記ペアリングが成功しない場合に、前記方法は、前記光学パターン(80)が表示されることを防止する、システムまたは方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、体外血液治療装置などの医療装置に設定パラメータ値をワイヤレスで提供するための方法および関連するシステムに関する。設定パラメータ値は、体外血液治療装置などの医療デバイスによって使用され、患者に対して医療処置を設定し、その後に実行する。
【背景技術】
【0002】
医療装置、具体的には体外血液治療装置は、患者に対して適切な医療処置を行うために、看護師、施術者または臨床医などのオペレータによって設定される。具体的には透析分野では、いくつかの設定パラメータ値が最初に決定され、処方を定義し、次いで、医療装置が処方に従って動作するように医療装置に提供される必要がある。透析分野では、設定パラメータ値は、限外濾過治療(UF)、血液透析治療(HD)、血液濾過治療(HF)、血液透析濾過治療(HDF)など、実行される透析治療タイプを含みうる。次いで、これらのタイプの透析治療のそれぞれについて、液体流量、治療時間および限外濾過速度などのさらなる関連設定パラメータ値が入力される必要がありうる。言い換えれば、オペレータは、各患者のところまで行き、医療装置に関連設定パラメータ値を手動で入力する必要がある。この場合、オペレータは、医療装置において物理的にユーザインタフェースを介して設定パラメータ値を入力する必要がある。
【0003】
代わりに、設定パラメータ値を入力するステップが、有線接続またはローカル通信ネット、すなわち、イントラネットによって医療装置に接続されたリモートコンピュータなどのリモートデバイスを使用することによって実行されてもよい。この場合、オペレータは、リモートデバイスのユーザインタフェースを介して設定パラメータ値を入力することができる。
【0004】
いずれにせよ、医療装置に設定パラメータ値を提供するための方法および関連するシステムは、非常に剛直であり、設定手順に悪影響を及ぼす欠点をもたらす。具体的には、医療装置のユーザインタフェースは更新可能であるが、医療装置の一部であるため、その結果として厳しい再認証を意味する。さらに、デバイスを設定するとき、ユーザは、医療装置に設定パラメータ値を入力するために、医療装置に物理的に位置し、したがって、各患者の近くにいなければならない。
【0005】
ユーザインタフェースがリモートで接続される代替形態では、オペレータは、医療装置をリモートで設定することができるが、オペレータは、物理的に患者の近くにいないため、これは、患者の安全性に悪影響を及ぼすこともありうる。
【発明の概要】
【0006】
発明の目的
したがって、本発明の目的は、前述の解決策の欠点および/または制限のうち1つ以上を少なくとも部分的に解決することである。
【0007】
第1の目的は、医療装置を設定するための柔軟な方法および関連するシステムを提供することである。
【0008】
さらなる目的は、医療装置の信頼性および安全性を同時に維持しながら、更新および修正が容易な設定方法および関連する設定システムを提供することである。
【0009】
補助的な目的は、伝染性疾患によって潜在的に影響を受ける、患者へのオペレータの長時間の曝露を避けるために、オペレータが可能な限り迅速に患者に近い医療装置を設定することを可能にする設定方法および関連する設定システムを提供することである。
【0010】
補助的な目的は、オペレータが、医療装置に対してリモートおよびローカルの両方で設定パラメータ値を入力することを可能にする設定方法および関連する設定システムを提供することであり、その結果、オペレータは、ほとんどのパラメータをリモートで快適に入力し、患者に近付いたときに設定パラメータ値に変更を加えることができる。
【0011】
さらなる補助的な目的は、医療装置の信頼性および安全性を同時に維持しながら、オペレータにとって設定手順をより容易に、より速く、より安全にするための設定方法および関連する設定システムを提供することである。
【0012】
さらなる補助的な目的は、設定パラメータ値の入力エラーを回避することによって、設定手順をより信頼性のあるものにするための設定方法および関連する設定システムを提供することである。
【0013】
さらなる目的は、慢性または急性の血液透析(HD)治療のための設定方法および関連する設定システムを提供することである。
【0014】
以下の説明からより明らかになるこれらの目的、目的、およびより多くは、以下の特許請求の範囲および/または態様のうち1つ以上によるシステムおよび設定方法によって実質的に達成される。
【0015】
第1態様は、医療処置を実行するために医療装置に設定パラメータ値を提供するための方法(100)に関し、方法は、
-ユーザインタフェース(61)を備えるリモートデバイス(60)を提供することと、
-ユーザインタフェース(61)によってリモートデバイス(60)への設定パラメータ値(70)を入力することであって、設定パラメータ値は、医療装置の設定を定義し、識別された患者および識別された患者のための患者処方(73)の一部に関連する、ことと、
-信号生成器によって、設定パラメータ値(70)を符号化した設定信号を生成することであって、設定信号は、入力された設定パラメータ値に応じて可変であり、光学パターン(80)と、任意でNFCまたはBluetoothプロトコルに基づく周波数関連信号と、のうち少なくとも1つを含む、ことと、
のステップを含むリモート手順を含み、
方法は、
-リーダ(40)を備える医療装置を提供することと、
-医療装置のリーダ(40)をリモートデバイス(60)に相対的に近付けることによって、設定信号を読み取ることと(通信システムは、リーダに物理的に近接することを必要とする)と、
-読み取るステップを介して、設定パラメータ値(70)を取得することと、
のステップを含む取得手順をさらに含み、
医療装置は、設定パラメータ値の値に基づいて設定される。
【0016】
第2態様は、体外血液治療を実行するために体外血液治療装置(1)に設定パラメータ値を提供するための方法に関し、
方法は、
-ユーザインタフェース(61)を備えるリモートデバイス(60)を提供することと、
-ユーザインタフェース(61)によってリモートデバイス(60)への設定パラメータ値(70)を入力することであって、設定パラメータ値は、体外血液治療装置(1)の設定を定義し、識別された患者に関連し、識別された患者のための患者処方(73)の一部であり、設定パラメータ値は、
○識別された患者のための患者液体除去速度(PFR)と、
○総体重ロス(WL)、総治療時間(TT)および限外濾過流量(UFR)のうち識別された患者のための2つのパラメータと、
のうち少なくとも1つを含む、ことと、
-入力された設定パラメータ値に応じて可変である設定信号を生成することであって、設定パラメータ値(70)を符号化し、設定信号は、光学パターン(80)と、任意でNFCまたはBluetoothプロトコルに基づく(または任意の物理的近接ワイヤレスプロトコルに基づく)周波数関連信号と、のうち少なくとも1つを含む、ことと、
のステップを含むリモート手順を含み、
方法は、
-リーダ(40)を備える体外血液治療装置(1)を提供することと、
-体外血液医療装置(1)のリーダ(40)をリモートデバイス(60)に相対的に近付けることによって、設定信号を読み取ることと、
-読み取るステップを介して、設定パラメータ値(70)を取得することと、
のステップを含む取得手順をさらに含み、
体外血液治療装置(1)は、設定パラメータ値の値に基づいて設定される。
【0017】
第3態様は、体外血液治療を実行するために体外血液治療装置(1)に設定パラメータ値を提供するための方法(1000)に関し、方法は、
-ユーザインタフェース(61)を備えるリモートデバイス(60)を提供することと、
-ユーザインタフェース(61)を介してリモートデバイス(60)への設定パラメータ値(70)を入力することであって、設定パラメータ値は、体外血液治療装置(1)の設定を定義し、識別された患者に関連し、識別された患者のための患者処方(73)の一部であり、設定パラメータ値(70)は、
○識別された患者のための患者液体除去速度(PFR)と、
○総体重ロス(WL)、総治療時間(TT)および限外濾過流量(UFR)のうち識別された患者のための2つのパラメータと、
のうち少なくとも1つを含む、ことと、
-設定パラメータ値(70)を符号化した光学パターン(80)を生成することであって、光学パターン(80)は、入力された設定パラメータ値に応じて可変である、ことと、
のステップを含むリモート手順を含み、
方法は、
-リーダ(40)を備える体外血液治療装置(1)を提供することと、
-光学パターン(80)をディスプレイ(62)に表示することと、
-体外血液治療装置(1)のリーダ(40)をディスプレイ(62)に相対的に近付けることによって、ディスプレイ(62)に表示された光学パターン(80)を読み取ることと、
-読み取るステップを介して、設定パラメータ値(70)を取得することと、
のステップを含む取得手順をさらに含み、
体外血液治療装置(1)は、設定パラメータ値の値に基づいて設定される。
【0018】
第5態様は、医療装置(1)とリモートデバイス(60)とを備えるシステムに関し、医療装置(1)は、
-光学パターン(80)および/または周波数関連信号を読み取るための(近接)リーダ(40)と、
-リーダ(40)に接続されたコントロールユニット(50)と、
を備え、
リモートデバイス(60)は、ユーザインタフェース(61)と、信号生成器と、コントローラ(51)であって、
●ユーザインタフェース(61)を介して設定パラメータ値(70)のための値の入力を可能にし、ここで、設定パラメータ値は、医療装置(1)の設定を定義し、識別された患者に関連し、設定パラメータ値は、識別された患者のための患者処方(73)の一部であり、
●リモートデバイス(60)の信号生成器によって、設定パラメータ値(70)を符号化した設定信号を生成し、設定信号は、入力された設定パラメータ値に応じて可変であり、光学パターン(80)と、任意でNFCまたはBluetoothプロトコルに基づく周波数関連信号と、のうち少なくとも1つを含む、
ように構成されたコントローラ(51)と、を備え、
リモートデバイス(60)は、設定信号を生成するポータブルデバイスであり、
医療装置(1)のコントロールユニット(50)は、
●リーダ(40)を介して光学パターン(80)を読み取ることによって、設定パラメータ値(70)を取得し、
●設定パラメータ値の値に基づいて医療装置(1)を設定する、
ように構成される。
【0019】
先の態様による第6態様において、リモートデバイス(60)は、設定パラメータ値を入力するための入力デバイス(63)と、信号生成器、具体的にはディスプレイと周波数エミッタとの間の信号生成器と、の両方を備え、具体的にはリモートデバイス(60)は、単一のポータブルボディを定義する。
【0020】
先の態様による第7態様において、
-設定信号は、光学パターン(80)であり、取得手順は、
○リモートデバイス(60)のディスプレイ(62)に光学パターン(80)を表示することと、
○医療装置のリーダ(40)をリモートデバイス(60)のディスプレイ(62)に相対的に近付けることによって、光学パターン(80)を読み取ることと、
のステップを含む、または、
-設定信号は、周波数関連信号であり、取得手順は、
○リモートデバイス(60)の周波数エミッタによって、周波数関連信号を発信することと、
○医療装置のリーダ(40)をリモートデバイス(60)のディスプレイ(62)に相対的に近付けることによって、周波数関連信号を読み取ることと、
のステップを含む。
【0021】
先の態様の何れか1つよるさらなる態様7の2において、方法は、リモートタイムインターバルでリモート手順を実行することと、取得タイムインターバルで取得手順を実行することとを含み、取得タイムインターバルは、リモートタイムインターバルよりも短い(例えば、はるかに短い)。
【0022】
先の態様によるさらなる態様7の3において、取得タイムインターバルは、0.1秒と40秒との間、より具体的には、1秒と20秒との間、より具体的には、2秒と10秒との間、持続する。
【0023】
先の2つの態様の何れか1つによるさらなる態様7の4において、リモートタイムインターバルは1分超(例えば、1分と30分との間)、より具体的には1.5分超(例えば、1.5分、20分の間)、より具体的には2/3分超(例えば、2/3分と5分との間)、持続する。
【0024】
先の3つの態様の何れか1つによるさらなる態様7の5において、取得タイムインターバルは、リモートタイムインターバルよりも少なくとも30%短く、具体的には50%短く、より具体的には80%短く、より詳細に90%短い。
【0025】
先の4つの態様の何れか1つによるさらなる態様7の6において、リモートタイムインターバルは、ユーザ、すなわち医師または看護師が、関連する医療処置を実行することができる医療装置または関連する体外血液治療を実行することができる体外血液治療装置のすべての設定パラメータを入力するのに必要な平均時間として定義される。
【0026】
先の5つの態様の何れか1つによるさらなる態様7の7において、取得タイムインターバルは、取得手順の少なくとも以下のステップを実行するために、具体的には装置(1)のコントロールユニット(50)に必要な時間として定義され、
-医療装置のリーダ(40)をリモートデバイス(60)に相対的に近付けることによって、設定信号を読み取ること、および
-読み取るステップを介して、設定パラメータ値(70)を取得すること、
-任意で、装置(1)を設定パラメータ値(70)に基づいて設定すること、
である。
【0027】
第8態様は、体外血液治療装置(1)とリモートデバイス(60)とを備えるシステムに関し、体外血液治療装置(1)は、
-半透膜(5)によって分離された一次チャンバ(3)および二次チャンバ(4)を有する濾過ユニット(2)と、
-血液回路であって、
○一次チャンバの入口に接続された第1端部と、患者(P)に接続するための第2端部と、の間に延びる脱血ライン(6)と、
○一次チャンバ(3)の出口に接続された第1端部と、患者(P)に接続するための第2端部と、の間に延びる返血ライン(7)と、
を備える血液回路と、
-血液回路の血液を循環させるための血液ポンプ(10)と、
-二次チャンバ(4)の出口に接続された排出ライン(12)と、
-光学パターン(80)を読み取るためのリーダ(40)と、
-血液ポンプ(10)を制御し、リーダ(40)に接続されたコントロールユニット(50)と、
を備え、
リモートデバイス(60)は、ユーザインタフェース(61)と、コントローラ(51)であって、
●ユーザインタフェース(61)を介して設定パラメータ値(70)のための値の入力を可能にし、ここで、設定パラメータ値は、体外血液治療装置(1)の設定を定義し、識別された患者に関連し、設定パラメータ値は、識別された患者のための患者処方(73)の一部であり、設定パラメータ値(70)は、
○識別された患者のための患者液体除去速度(PFR)と、
○総体重ロス、総治療時間および限外濾過流量のうち識別された患者のための2つのパラメータと、
のうち少なくとも1つを含み、
●設定パラメータ値(70)を符号化した光学パターン(80)を生成し、光学パターン(80)は、入力された設定パラメータ値に応じて可変である、
ように構成された、コントローラ(51)と、を備え、
体外血液治療装置(1)のコントロールユニット(50)は、
●リーダ(40)を介して光学パターン(80)を読み取ることによって、設定パラメータ値(70)を取得し、
●設定パラメータ値の値に基づいて体外血液治療装置(1)を設定する、
ように構成される。
【0028】
先の態様の何れか1つによる第9態様において、総体重ロスのパラメータは、総治療時間および限外濾過流量の両方に応じ、具体的には
WL=UFR・TT
であり、
WL=総体重ロス
UFR=限外濾過流量
TT=総治療時間
である。
【0029】
先の態様の何れか1つによる第10態様において、光学パターン(80)は、設定パラメータ値(70)を含む画像符号化情報を含み、具体的には画像符号化情報は、バーコード、QRコード、ステガノグラフィ画像のうち少なくとも1つを含む。
【0030】
先の態様の何れか1つによる第11態様において、取得手順は、リモートデバイス(60)のディスプレイ(62)を医用装置のリーダ(40)に近付ける、具体的には対向させるステップを含む。
【0031】
先の態様の何れか1つによる第12態様において、リモートデバイス(60)は、1つのボディを定義し、ユーザが設定パラメータ値(70)を入力することを可能にする入力デバイス(63)と、光学パターン(80)を視覚化するディスプレイ(62)と、の両方を物理的に備えるポータブルデバイスである。
【0032】
先の態様の何れか1つによる第13態様において、リモートデバイス(60)は、1つのボディを定義し、ユーザが設定パラメータ値(70)を入力することを可能にする入力デバイス(63)と、周波数関連信号を発信するためのエミッタと、の両方を物理的に備えるポータブルデバイスである。
【0033】
先の態様の何れか1つによる第14態様において、設定パラメータ値(70)は、体外血液治療装置(1)が患者にその後に体外血液治療を実行するための複数の命令を含む。
【0034】
先の態様の何れか1つによる第15態様において、設定パラメータ値(70)は、医療装置(1)が患者にその後に医療処置を実行するための複数の命令を含む。
【0035】
先の態様の何れか1つによる第16態様において、設定パラメータ値(70)は、体外血液治療装置(1)の患者情報(71)と治療構成(72)とのうち少なくとも1つをさらに含む。
【0036】
先の態様の何れか1つによる第17態様において、設定パラメータ値(70)は、医療装置(1)の患者情報(71)と治療構成(72)とのうち少なくとも1つをさらに含む。
【0037】
先の態様の何れか1つによる第18態様において、患者情報(71)は、患者の年令、患者の体重、患者のヘマトクリット値、患者識別情報、患者の性別、および、患者の関連疾患のうち少なくとも1つの情報を含む。
【0038】
先の態様の何れか1つによる第19態様において、患者情報(71)は、患者識別情報、具体的には患者の名前または識別コードを含む。
【0039】
先の態様の何れか1つによる第20態様において、治療構成(72)は、
-限外濾過治療(UF)、血液透析治療(HD)、血液濾過治療(HF)、血液透析濾過治療(HDF)のうち1つを含む透析治療タイプ、
-透析治療タイプを任意で示す、使い捨て液体ラインセットタイプ、
-透析器タイプまたは透析器タイプを含む使い捨てセットを示す透析フィルタまたはフィルタセットタイプ、
-体外血液治療装置(1)のための抗凝固設定であって、具体的には抗凝固は、全身(例えば、ヘパリン)抗凝固と、局所抗凝固、例えば、クエン酸抗凝固と、から選択される抗凝固設定、および、
-血液加温器の有無、
のうち少なくとも1つを含む。
【0040】
先の態様の何れか1つによる第21態様において、治療構成(72)は、限外濾過治療(UF)、血液透析治療(HD)、血液濾過治療(HF)、血液透析濾過治療(HDF)のうち1つを含む、透析治療タイプを含む。
【0041】
先の態様の何れか1つによる第22態様において、治療構成(72)は、透析治療タイプを任意で示す、使い捨て液体ラインセットタイプを含む。
【0042】
先の態様の何れか1つによる第23態様において、治療構成(72)は、透析器タイプまたは透析器タイプを含む使い捨てセットを示す透析フィルタまたはフィルタセットタイプを含む。
【0043】
先の態様の何れか1つによる第24態様において、治療構成(72)は、体外血液治療装置(1)のための抗凝固設定を含み、具体的には抗凝固は全身(例えば、ヘパリン)抗凝固と、局所抗凝固、例えば、クエン酸塩抗凝固と、から選択される。
【0044】
先の態様の何れか1つによる第25態様において、治療構成(72)は、血液加温器の有無の指標を含む。
【0045】
先の態様の何れか1つによる第26態様において、患者処方(73)は、体外血液治療装置(1)に設定される1つ以上の流量値を含み、流量は、血液流量、プレ血液ポンプ(PBP)流量、シリンジ流量、未使用透析流量、および、置換液流量の中から選択され、
具体的には患者処方のうち1つ以上の流量は、治療構成(72)に応じ、例えば、透析治療タイプおよび/または使い捨て液体ラインセットタイプに応じる。
【0046】
先の態様による第27態様において、流量値は、プレ血液ポンプ(PBP)流量および未使用透析流量を含む。
【0047】
先の2つの態様による第28態様において、流量値は、置換液流量を含む。
【0048】
先の態様の何れか1つによる第29態様において、方法は、
-実施される治療のために必要な体外血液治療装置(1)のための少なくとも1つの使い捨てコンポーネントを提供することと、
-使い捨てコンポーネントを識別するための少なくとも1つの使い捨てコンポーネントの識別コードを装置に提供することと、
をさらに含み、
方法は、
-識別された使い捨てコンポーネントとディスプレイから光学画像を読み取ることによって取得された設定パラメータ値との間の整合性を照合することと、
-少なくとも1つの設定パラメータが体外血液治療装置(1)のための識別された使い捨てコンポーネントと一致しない場合に、体外血液治療装置(1)が前記設定パラメータ値に基づいて設定されることを防止することと、
のステップを含む整合性手順をさらに含む。
【0049】
先の態様の何れか1つによる第30態様において、医療装置、具体的には体外血液治療装置は、
-実施される治療のために必要な体外血液治療装置(1)のための少なくとも1つの使い捨てコンポーネントを受け入れ、
-使い捨てコンポーネントを識別するための少なくとも1つの使い捨てコンポーネントの識別コードを受け入れる、
ように構成され、
医療装置のコントロールユニット(50)は、
-識別された使い捨てコンポーネントとディスプレイから光学画像を読み取ることによって取得された設定パラメータ値との間の整合性を照合することと、
-少なくとも1つの設定パラメータが体外血液治療装置(1)のための識別された使い捨てコンポーネントと一致しない場合に、体外血液治療装置(1)が前記設定パラメータ値に基づいて設定されることを防止することと、
のステップを含む整合性手順を実行するように構成される。
【0050】
先の態様の何れか1つによる第31態様において、整合性手順は、
-医療装置、具体的には体外血液治療装置(1)のリーダ(40)が、使い捨てコンポーネントを識別し、少なくとも1つの使い捨てコンポーネントの識別コードは、それぞれの光学パターン(80)の形態である、または、
-例えば、医療装置のリーダ(40)とは異なる周波数スキャナが、使い捨てコンポーネントを識別し、少なくとも1つの使い捨てコンポーネントの識別コードは、周波数関連信号(例えば、RFIDタグ)の形態である、
ことによって、識別コードを読み取るステップを含む。
【0051】
先の態様の何れか1つによる第32態様において、各使い捨てコンポーネントは、識別コードを符号化したコンポーネント識別子を備え、
設定パラメータ値(70)は、体外血液治療装置(1)に設定される透析治療を示す治療識別子を含み、具体的には透析治療は、限外濾過治療(UF)、血液透析治療(HD)、血液濾過治療(HF)、血液透析濾過治療(HDF)のうち1つであり、
整合性手順は、コンポーネントのコンポーネント識別子が装置の治療識別子と予め定義された整合性リストに従って一致するか否かを照合することを含み、予め定義された整合性リストは、一連のコンポーネント識別子と一連の治療識別子との間のリストであり、
具体的には整合性リストは、限外濾過治療(UF)、血液透析治療(HD)、血液濾過治療(HF)、血液透析濾過治療(HDF)の各透析治療について、整合性がある使い捨てコンポーネントを示す一連の識別コードを含む。
【0052】
先の態様の何れか1つによる第33態様において、整合性手順は、
-コンポーネントの識別コードに基づいて、1つ以上の設定パラメータ値(70)のためのそれぞれの閾値範囲を定義する、具体的にはコンポーネントの識別コードに基づいて、それぞれの閾値範囲を定義することであって、
○識別された患者のための患者液体除去速度(PFR)と、
○総体重ロス(WL)、総治療時間(TT)および限外濾過流量(UFR)のうち識別された患者のための2つのパラメータと、
のうち少なくとも1つのための、閾値範囲を定義することと、
-少なくとも1つの設定パラメータ値がそれぞれの閾値範囲を超える場合に、設定パラメータ値に基づいて体外血液治療装置(1)が設定されることを防止することと、 のステップをさらに含む。
【0053】
先の態様による第34態様において、それぞれの閾値範囲は、患者情報(71)のうち少なくとも1つに関連するそれぞれの値を参照し、方法は、装置に取り付けられた使い捨てコンポーネントの識別コードに基づいて、患者の体重および/または年齢に対する閾値範囲を定義する、または、医療装置のコントロールユニット(50)が定義するように構成され、患者の実際の体重および/または年齢が、それぞれの閾値範囲を超える場合に、整合性手順は、体外血液治療装置(1)が設定パラメータ値に基づいて設定されることを防止する。
【0054】
先の態様の何れか1つによる第35態様において、設定パラメータ値は、設定パラメータ値が関連する患者を識別する患者識別情報、具体的には名前を含む患者情報(71)を含み、
-体外血液治療装置(1)に体外血液治療を受けようとする患者を関連付けることと、
-医療装置、具体的には体外血液治療装置(1)に、光学パターン(80)とは異なる情報源からの患者の識別情報を提供することであって、具体的には体外血液治療装置(1)に患者の名前を提供することと、
-光学パターン(80)を介して読み取られた設定パラメータ値の患者識別情報と、光学パターン(80)とは異なる情報源を介して提供された患者に関連する識別情報と、の間の一致のチェックすることと、
-設定パラメータ値の患者識別情報と、情報源からの患者に関連する識別情報と、の間に一致が見つからない場合に、医療装置(1)、具体的には体外血液治療装置(1)が設定パラメータ値に基づいて設定されることを防止し、任意でアラーム、すなわち音響または可視アラームを発することと、
のステップを含むクロスチェック手順を、方法はさらに含む、または、医療装置のコントロールユニットが実行するように構成される。
【0055】
先の態様の何れか1つによる第36態様において、医療装置、具体的には体外血液治療装置(1)に、人物に関連する情報を提供するステップは、
-識別カードまたは識別ウェアラブルデバイス、例えば、識別ブレスレットを患者に提供することと、
-スキャナを備える体外血液治療装置(1)を提供することと、
-体外血液治療装置(1)のスキャナによって識別カードまたは識別ウェアラブル装置をスキャンし、患者の識別に関連する情報を医療装置、具体的には体外血液治療装置(1)に提供することと、
のステップを含み、
識別カードまたは識別ウェアラブルデバイスは、QRコードまたはバーコードなどの光学パターン(80)、および、近距離無線通信NFCデバイスまたはRFIDのうち少なくとも1つを含み、
任意で、体外血液治療装置(1)のスキャナは、体外血液治療装置(1)のリーダ(40)と一致する。
【0056】
先の態様による第37態様において、医療装置、具体的には体外血液治療装置は、識別カードまたはウェアラブルデバイス、例えば、識別ブレスレット、をスキャンし、患者の識別に関連する情報を取得するように構成されたスキャナを備える。
【0057】
先の態様の何れか1つによる第38態様において、リモートデバイス(60)は、医療装置または体外血液治療装置(1)とは区別されかつ物理的に分離される。
【0058】
先の態様の何れか1つによる第39態様において、取得手順は、光学パターン(80)によって取得された設定パラメータ値の有効性を照合するステップを含む安全手順を含み、具体的には安全手順は、すべての設定パラメータ値が所定の有効範囲内にあるか否かを照合するステップを含み、設定パラメータ値のうち1つ以上が有効範囲を超える場合に、安全手順は、設定パラメータ値に基づいて医療装置または体外血液治療装置(1)が設定されることを防止する。
【0059】
先の態様による第40態様において、設定パラメータ値のうち1つ以上が有効範囲を超える場合に、安全手順は、医療装置または体外血液治療装置(1)に、音響アラーム信号または体外血液治療装置(1)のディスプレイ(62)に表示されるアラームなど、アラーム信号を発信するように命令することを含む。
【0060】
先の態様の何れか1つによる第40の2態様において、取得手順は、リーダ(40)を介して光学パターン(80)を読み取ることによって、設定パラメータ値(70)を取得するステップの時間的に後に行われる確認手順を含み、具体的には確認手順は、装置(1)によって実行され、
確認手順は、
-ディスプレイ、具体的には装置(1)のディスプレイに、設定パラメータ値(70)のうち1つ以上を表示することと、
-装置(1)によって受信された設定パラメータ値(70)のうち1つ以上の承認信号をユーザから受信することを要求することと、
-承認信号を受信したか否かをチェックすることと、
のステップを含み、
具体的には
-承認信号が装置(1)によって適切に受信された場合に、装置によって受信された設定パラメータ値(70)の値に基づいて体外血液治療装置(1)を設定するステップを可能にし、
-承認信号が装置(1)によって適切に受信されない場合に、装置によって受信された設定パラメータ値(70)の値に基づいて体外血液治療装置(1)を設定するステップを防止する。
【0061】
先の態様の何れか1つによる第40の3態様において、確認手順の要求するステップは、
-装置(1)によって受信されたすべての設定パラメータ値(70)の承認を示す1つのみの承認信号を要求する、または、
-設定パラメータ値(70)を、装置(1)によって受信されたそれぞれの設定パラメータ値(70)を含む2つ以上のグループに区分し、設定パラメータ値(70)のグループごとに承認信号を要求する、
-設定パラメータ値(70)の各設定パラメータ値(70)について、装置(1)によって受信された設定パラメータ値(70)の承認を示すそれぞれの承認信号を要求する。
【0062】
先の態様による第40の4態様において、設定パラメータ値(70)は、各設定パラメータ値のカテゴリに基づいてグループ内で区分され、体外血液治療装置(1)を設定するための流量に関連する設定パラメータ値のみを含む流量グループが少なくとも提供され、
任意で、患者識別情報に関連する設定パラメータ値のみを含む識別情報グループが提供され、
任意で、治療構成(72)に関連する設定パラメータ値のみを含む治療グループが提供される。
【0063】
先の態様による第40の5態様において、確認手順は、流量グループ、識別情報グループおよび治療グループのうち少なくとも1つを提供することを含む。
【0064】
先の態様の何れか1つによる第41態様において、方法は、認証コードに基づいてリモートデバイス(60)を医療装置または体外血液治療装置(1)とペアリングするステップを含み、
-ペアリングするステップが成功した場合に、方法は、取得手順を実行し、
-ペアリングするステップが成功しない場合に、方法は、取得手順が実行されることを防止する、または、方法は、設定パラメータ値が体外血液治療装置(1)に設定されることを防止する、
ように、認証されたユーザが、ペアリングするステップを実行できるようにし、
任意で、ペアリングは、NFCまたはBluetoothプロトコルに基づく。
【0065】
先の態様の何れか1つによる第42態様において、医療装置のコントロールユニット(50)およびリモートデバイスのコントローラ(51)は、認証コードに基づいてリモートデバイスd(60)を医療装置、具体的には体外血液治療装置(1)とペアリングするステップを実行するように構成され、
-ペアリングするステップが成功した場合に、医療装置のコントロールユニット(50)およびリモートデバイスのコントローラ(51)は、取得手順を実行し、
-ペアリングするステップが成功しない場合に、医療装置のコントロールユニット(50)およびリモートデバイスのコントローラ(51)は、取得手順が実行されることを防止する、または、設定パラメータ値が体外血液治療装置(1)に設定されることを防止する、
ように、認証されたユーザが、ペアリングするステップを実行できるようにし、
任意で、ペアリングは、NFCまたはBluetoothプロトコルに基づく。
【0066】
先の態様の何れか1つによる第43態様において、認証コードは、パスワード、シリアルナンバー、指紋、顔認識アルゴリズムのうち少なくとも1つを含む。
【0067】
先の態様の何れか1つによる第44態様において、リモートデバイス(60)を、医療装置、具体的には体外血液治療装置(1)と、設定パラメータ値がリーダ(40)によって取得され、読み取られるたびに、ペアリングすることを方法は含む、または、ペアリングするようにコントロールユニット(50)およびコントローラ(51)は構成される。
【0068】
先の態様の何れか1つによる第45態様において、設定パラメータ値を符号化した光学パターン(80)は、リモートデバイス(60)を装置、具体的には体外血液治療装置(1)とのペアリングを可能にするための認証コードをさらに含む。
【0069】
先の態様の何れか1つによる第46態様において、入力される設定パラメータの変化が、リモートデバイス(60)のユーザインタフェース(61)上に表示される光学パターン(80)の変化に対応する。
【0070】
先の態様の何れか1つによる第47態様において、リモートデバイス(60)は、ケースと、ディスプレイ62と、バッテリと、ユーザが設定パラメータ値を入力することを可能にする入力デバイス(63)と、少なくともディスプレイ62、バッテリおよび入力デバイス(63)に動作可能に接続されたコントローラ(51)と、を備え、任意で、ディスプレイ(62)および入力デバイス(63)は、タッチスクリーンを定義する、または、入力デバイス(63)は、キーボード(例えば、リモートデバイスは携帯電話またはタブレットでありうる)である。
【0071】
先の態様の何れか1つによる第48態様において、取得手順は、リモート手順の時間的に後に実行される。
【0072】
先の態様の何れか1つによる第49態様において、設定パラメータ値(70)は、体外血液治療装置(1)が透析治療を実行するために必要である。
【0073】
先の態様のうち何れか1つによる第50態様において、設定パラメータ値(70)は、医療装置(1)が医療処置を実行するために必要である。
【0074】
先の態様の何れか1つによる第51態様において、リモート手順は、患者からおよび/または医療装置からリモート距離で実行され、取得手順は、患者からおよび/または医療装置から取得距離で実行され、リモート距離は取得距離よりも長く、任意で、医療装置は体外血液治療装置である。
【0075】
通常、リモート手順は、取得手順に対して異なる部屋で実行される。
【0076】
先の態様の何れか1つによる第52態様において、リモート手順は、
-患者に対しておよび/または医療装置に対して安全距離で、具体的には安全距離は、2メートルと100メートルとの間、具体的には3メートルと50メートルとの間、より具体的には4メートルと20メートルとの間を含み、および/または、
-バリア、例えば、壁、窓、透明な壁のうち1つによって患者から分離されて、
実行され、
バリアおよび/または安全距離は、患者とユーザとの間の細菌および/またはウイルスの伝播を回避するために、設定パラメータ値(70)のリモートデバイス(60)への入力を担当するユーザを患者から隔離するように構成され、
任意で、医療装置は、体外血液治療装置である。
【0077】
先の態様の何れか1つによる第53態様において、取得手順は、医療装置の近く、具体的には体外血液治療装置(1)の近く、および、患者の近くで実行され、取得手順の間、取得手順を実行する担当のユーザは、患者から10メートルよりも短い、具体的には5メートルよりも短い、より具体的には3メートルよりも短い、より具体的には1メートルよりも短い距離にいる。
【0078】
先の態様の何れか1つによる第54態様において、クロスチェック手順(400)は、取得距離に実質的に等しいクロスチェック距離で実行される。
【0079】
先の態様の何れか1つによる第55態様において、リモートデバイス(60)のユーザインタフェース(61)は、ディスプレイ(62)と、設定パラメータ値を入力するための入力デバイス(63)と、の両方を備え、
前記方法は、
-リモートデバイス(60)のユーザインタフェース(61)を介してリモートデバイス(60)に1つ以上のさらなる設定パラメータ値(70)を入力することであって、さらなる設定パラメータ値は、具体的には患者処方(73)、治療構成(72)、および、患者情報(71)のうち少なくとも1つの設定パラメータ値のうち1つ以上を含む、こと、および/または、
-リモートデバイス(60)のユーザインタフェース(61)を介して、リモート手順中に入力された設定パラメータ値(70)のうち1つ以上を修正または更新すること、
のステップを含む、リモート手順と取得手順との間に時間的に介在するローカル手順をさらに含み、
ローカル手順は、患者からおよび/または医療装置からローカル距離でユーザによって実行され、リモート手順は、患者からおよび/または医療装置からリモート距離でユーザによって実行され、ローカル距離は、リモート距離よりもより短く、
任意で、ローカル距離は10メートルよりも短い、具体的には5メートルよりも短い、より具体的には3メートルよりも短い、より具体的には1メートルよりも短い。
【0080】
先の態様の何れか1つによる第56態様において、リモートデバイス(60)のユーザインタフェース(61)は、ディスプレイ(62)と、設定パラメータ値を入力するための入力デバイス(63)と、の両方を備え、
リモートデバイス(60)のコントローラ(51)は、
-リモートデバイス(60)のユーザインタフェース(61)を介してリモートデバイス(60)に1つ以上のさらなる設定パラメータ値(70)をユーザが入力することを可能にすることであって、さらなる設定パラメータ値は、具体的には患者処方(73)、治療構成(72)、および、患者情報(71)のうち少なくとも1つの設定パラメータ値のうち1つ以上を含む、こと、および/または、
-リモートデバイス(60)のユーザインタフェース(61)を介して、リモート手順中に入力された設定パラメータ値(70)のうち1つ以上をユーザが修正または更新することを可能にすること、
のステップを含む、リモート手順と取得手順との間に時間的に挿入されたローカル手順を実行するように構成され、
ローカル手順は、患者からおよび/または医療装置からローカル距離でユーザによって実行され、リモート手順は、患者からおよび/または医療装置からリモート距離でユーザによって実行され、ローカル距離は、リモート距離よりもより短く、
任意で、ローカル距離は10メートルよりも短い、具体的には5メートルよりも短い、より具体的には3メートルよりも短い、より具体的には1メートルよりも短い。
【0081】
先の態様の何れか1つによる第57態様において、ローカル手順および取得手順は、実質的に同じ場所で、具体的には患者および/または医療装置に対して同じ距離で実行される。
【0082】
先の態様の何れか1つによる第58態様において、光学パターン(80)は、リモートデバイス(60)のディスプレイ(62)に表示され、ディスプレイ(62)に光学パターン(80)を表示するステップは、取得手順の間、および、リモート手順の時間的に後に実行され、具体的にはディスプレイ(62)に光学パターン(80)を表示するステップは、リモートデバイス(60)と医療装置、具体的には体外血液治療装置(1)との間のペアリングの成功に従属し、具体的にはペアリングが成功しない場合に、方法は、光学パターン(80)が表示されることを防止する。
【0083】
先の態様の何れか1つによる第59態様において、リモートデバイス(60)は、ユーザインタフェース(61)、具体的にはユーザインタフェース(61)のディスプレイ(62)および入力デバイス(63)に給電するためのバッテリを備える。
【0084】
先の態様の何れか1つによる第60態様において、リモートデバイス(60)は、設定信号を生成するポータブルデバイスであり、具体的には設定パラメータ値(70)を符号化した光学パターンおよび/または周波数関連信号を生成する。
【0085】
先の態様の何れか1つによる第61態様において、リモートデバイス(60)は、設定パラメータ値を入力するための入力デバイス(63)と、信号生成器、具体的にはディスプレイと周波数エミッタとの間の信号生成器と、の両方を備え、具体的にはリモートデバイス(60)は、単一のポータブルボディを定義する。
【0086】
先の態様の何れか1つによる第62態様において、リモートデバイス(60)のコントローラ(51)は、リモート手順(100)を実行するように構成される。
【0087】
先の態様の何れか1つによる第63態様において、医療装置(1)のコントロールユニット(50)は、取得手順(200)を実行するように構成される。
【0088】
先の態様の何れか1つによる第64態様において、医療装置(1)のコントロールユニット(50)は、整合性手順(300)を実行するように構成される。
【0089】
先の態様の何れか1つによる第65態様において、医療装置(1)のコントロールユニット(50)は、クロスチェック手順(400)を実行するように構成される。
【0090】
先の態様の何れか1つによる第66態様において、医療装置(1)のコントロールユニット(50)は、安全手順(500)を実行するように構成される。
【0091】
先の態様の何れか1つによる第67態様において、医療装置(1)のコントロールユニット(50)およびリモートデバイスのコントローラ(51)は、ペアリング手順(600)を実行するように構成される。
【0092】
先の態様の何れか1つによる第68態様において、リモートデバイス(60)のコントローラ(51)は、ローカル手順(700)を実行するように構成される。
【0093】
先の態様の何れか1つによる第69態様において、リモートデバイス(60)のディスプレイ(62)に光学パターン(80)を表示するステップは、リモート手順または取得手順の一部である。
【0094】
先の態様の何れか1つによる第70態様において、リモートデバイス(60)のコントローラ(51)は、リモートデバイス(60)のディスプレイ(62)に光学パターン(80)を表示するステップを実行するように構成される。
【0095】
先の態様の何れか1つによる第70態様において、リモートデバイス(60)のコントローラ(51)は、リモートデバイス(60)のディスプレイ(62)上の光学的パターン(80)の形態で、または、NFC、RFidまたは無線周波数技術に基づくような周波数関連信号の形態で、設定信号を発信するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
本発明のいくつかの実施形態およびいくつかの態様は、例示のみを目的として提供される添付の図面を参照して以下に説明される。
図1図1は、体外血液治療装置の概略図である。
図2】、
図3図2および図3は、慢性透析治療のための透析および血液回路の概略図である。
図4図4は、患者情報に関連する設定パラメータ値を示すユーザインタフェースを有するリモートデバイスの概略図である。
図5図5は、治療構成に関連する設定パラメータ値を示すユーザインタフェースを有するリモートデバイスの概略図である。
図6図6は、患者処方に関連する設定パラメータ値を示すユーザインタフェースを有するリモートデバイスの概略図である。
図7図7は、設定パラメータを符号化した光学パターンを視覚化するディスプレイを有するリモートデバイスの概略図である。
図8図8は、取得手順中に医療装置に近付いたリモートデバイスの概略図である。
図9図9は、本発明の実施形態による設定方法のステップを含むフローチャートである。
図10図10は、本発明のさらなる実施形態による設定方法のステップを含むフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0097】
定義
この詳細な説明において、様々な図に示されている対応する部分が同じ基準で示されている。図は、非スケール表現によって本発明を図示しうり、したがって、本発明の目的に関連する図に図示された部品およびコンポーネントは、専ら概略表現に関連しうる。
【0098】
上流および下流
上流および下流という用語は、装置の通常の使用中(例えば、治療中)に装置の回路の液体ライン内を流れるように構成された液体の前進の方向または軌道を指す。
【0099】
医療機械を設定するための設定方法1000および関連するシステム90が、以下に詳細に説明される。本設定方法1000および関連するシステム90は、体外血液治療装置1で実行されてもよく、より詳細には、後者は、体外式膜型人工肺装置、限外濾過治療UF、血液透析治療HD、血液濾過治療HFまたは血液透析濾過治療HDFなどの治療を実行するための透析装置であってもよい。透析装置は、慢性または急性治療を対象としうる。代わりに、本方法および関連するシステムは、腹膜透析装置で実行されうる。さらに、本方法および関連するシステムは、注入ポンプで実施されうる。
【0100】
設定方法1000
設定方法1000は、医療処置を実行するために、医療装置に設定パラメータ値70を提供することを対象とする。「医療装置」という表現は、識別された患者に関連する適切な医療処置を開始するために設定手順を必要とするいくつかの異なる医療装置を指しうる。設定手順は、例えば、臨床医によって提供される患者処方73による患者に関連するものである。
【0101】
方法1000は、図9のように、ユーザインタフェース61を備えるリモートデバイス60を提供するステップ101と、ユーザインタフェース61によってリモートデバイス60に設定パラメータ値70を入力するステップ102と、入力された設定パラメータ値70に応じて可変である設定パラメータ値70を符号化した設定信号を信号生成器によって生成するステップ103と、を備えるリモート手順100を含む。設定パラメータ値70の変化は、設定信号の変化に対応する。
【0102】
リモートデバイス60は、図4図8に示されるように、ユーザが設定パラメータ値70を入力することを可能にするためのスマートフォン、タブレットまたは電子ツールでありえ、これに関して、ユーザインタフェース61は、ユーザが設定パラメータ値70を入力または選択することを可能にするために、キーボード、マウスまたはタッチスクリーンなどの入力デバイス63を含みうる。具体的には、リモートデバイス60は、容易な運搬に適合する寸法および重量を有する、すなわち、ユーザがリモートデバイス60を手で保持することを可能にする、手持ち式デバイスでありうる。
【0103】
特に、リモートデバイス60と体外血液治療装置のような医療装置とは、互いに分離しており、別個である。具体的には、用語「リモート」は、リモートデバイス60が医療装置1とは分離され、医療装置1から遠く離れて使用可能であり、設定パラメータ値70を入力することを示す。患者は、医療装置に位置する、または、医療装置に非常に近接していることが想定される。
【0104】
例えば、ユーザ、すなわち看護師は、リモートデバイス60を医療装置1から遠く、すなわち、看護師が医療装置を直接操作することを妨げる距離に保持することができ、この段階で、看護師は、患者から離れた場所に居ながら、リモートデバイス60のユーザインタフェース61の入力デバイス63を介して、設定パラメータ値70をリモートデバイス60に入力する。次いで、看護師は、設定パラメータ値70を符号化した設定信号を、信号生成器によって生成するようにリモートデバイス60に命令する。
【0105】
設定信号は、図7に示されるように、バーコード、QRコード、ステガノグラフィ画像などの光学パターン80を含みうる。光学パターン80は、白黒、グレースケールであってもよく、または、カラー、すなわちRGBカラーを含んでいてもよい。したがって、設定信号を生成するステップ103は、ディスプレイ、すなわちリモートデバイスのディスプレイ62に光学パターンを生成するステップを含む。代わりに、または、加えて、設定信号は、近距離無線通信NFCまたはRFid通信技術に基づくなど、周波数関連信号を含みうる。したがって、設定信号を生成するステップ103は、リモートデバイスのエミッタによって周波数関連信号を生成するステップを含む。
【0106】
設定パラメータ値70は、バーコード、QRコード、ステガノグラフィ画像、NFC、または、RFid信号に符号化される。設定パラメータ値70の変化は、光学パターン80または周波数関連信号の変化に対応する。
【0107】
設定パラメータ値70は、医療装置の設定を定義し、識別された患者に関連し、識別された患者のための患者処方73の一部である。具体的には設定パラメータ値70は、体外血液治療装置が体外血液治療などの患者に対する医療処置をその後に実行するための複数の命令を含む。設定パラメータ値70は、医療装置の設定を定義するために、これらのパラメータは、実施される医療処置に必要である。具体的には、治療が実施される方法は、患者処方73に関連する。特に、設定パラメータ値70は、識別された患者に厳密に関連する。
【0108】
リモート手順100は、患者に対しておよび/または医療装置1に対して安全距離で、リモートで実行されえ、具体的にはリモート手順100は、2メートルと100メートルとの間、具体的には3メートルと50メートルとの間、より具体的には4メートルと20メートルのとの間の安全距離で実行されうる。リモート手順は、バリアによって患者とは別に実行されえ、具体的にはリモート手順を実行する担当のユーザは、壁、窓または透明な壁でありうるこのバリアによって患者および/または医療装置1から分離される。より詳細には、このバリアおよびこの安全距離は、患者とユーザとの間の細菌および/またはウイルスの伝播を回避するために、設定パラメータ値70のリモートデバイス60への入力を担当するユーザを患者から隔離するように構成される。
【0109】
設定パラメータ値70は、患者処方73の一部であり、識別された患者の患者液体除去速度PFRと、総体重ロスWL、総治療時間TTおよび限外濾過流量UFRのうち識別された患者の2つのパラメータと、のうち少なくとも1つを含む。特に、患者液体除去速度PFRは、急性透析治療中(例えば、集中治療室で)に患者から除去される液体速度に対応する。急性治療において、患者が数日間、数週間、または、さらにはより長い期間、治療中のままでありうるため、総治療時間は提供されない。したがって、処方は、患者の液体除去速度、すなわち、単位時間当たりに患者から除去されることが意図される液体を含む。患者液体除去速度PFRは、ml/分で寸法的に定義されてもよい。
【0110】
それとは異なり、慢性的な治療において、患者は、予め期間が設定された週に数回のセッションを受ける。各セッションの間、連続したセッションの間に得られる液体の過負荷に対応するため、主に一定量の液体が除去されなければならない。総体重ロスWLは、慢性透析治療中に患者から除去された液体の重量に対応する。総体重ロスは、リットルまたはkgで寸法的に定義されてもよい。特に、総体重ロスWL、総治療時間TTおよび限外濾過流量UFRは、以下の式によって互いに結び付けられ、
WL=UFR・TT
ここで、
WL=総体重ロス
UFR=限外濾過流量
TT=総治療時間
である。
【0111】
したがって、総体重ロスは、総治療時間および限外濾過流量の両方に応じる。ユーザは、総体重ロスおよび総治療時間を設定してもよく、また、上述の式に従って組み合わされる総体重ロスを定義する限外濾過流量および総治療時間を入力してもよい。3つのパラメータのうち2つが設定され、それによって、欠落しているパラメータが定義される。
【0112】
患者処方73はまた、血液流量、プレ血液ポンプPBP流量、シリンジ流量、未使用透析流量、および、置換流体流量などの、体外血液治療装置に設定されるべきいくつかの流量値を備えうる。設定される流量は、選択された治療タイプに応じる。通常(限定されないが)、PBP流量は、血液ポンプの上流の血液に注入される局所抗凝固剤(例えば、クエン酸塩)を必要とする局所抗凝固手順の場合に設定される。そのような場合、一般に、シリンジ流量は、濾過ユニットにおけるカルシウム損失のバランスをとるために、カルシウム溶液の注入(静脈還流ラインへの注入または患者への直接注入の何れか)を指しうる。
【0113】
代わりに、シリンジは、ヘパリンまたは他の全身性抗凝固剤を脱血ラインに注入してもよい。
【0114】
置換液は、HFまたはHDF治療の場合、濾過ユニットの上流および/または下流の血液回路に注入される透析液を含んでもよい。
【0115】
方法は、図6に示されるように、患者処方73をユーザインタフェース61、すなわちリモートデバイス60のディスプレイ62に表示し、ユーザが患者処方73に対する値、例えば、患者液体除去速度PFR(急性フィールド)、または代替的に、総体重ロスWL、総治療時間TTおよび限外濾過流量UFRを入力することを可能にすることを含みうる。
【0116】
設定パラメータ値70はまた、透析治療タイプ、すなわち、医療処置が限外濾過治療UF、血液透析治療HD、血液濾過治療HFまたは血液透析濾過治療HDFであるか否かを含む治療構成72を含みうる。
【0117】
治療構成72はまた、透析治療タイプを表しうる使い捨て液体ラインセットタイプの選択を含みうる。使い捨て液体ラインセットタイプは、血液回路および任意で注入ラインを画定する液体ラインのバッチを含み、具体的には液体ラインは、脱血ライン6、返血ライン7および任意で注入ライン34を含みうる。
【0118】
急性治療透析のための装置の場合、使い捨て液体ラインセットはまた、透析回路を画定する液体ラインを含みうる。代わりに、慢性治療透析のための装置の場合、透析回路は、各治療のためにプライミングおよび滅菌される必要がある常設の液体ラインからなる。
【0119】
特に、各使い捨て液体ラインセットは、特定の透析治療タイプに実質的に対応してもよく、具体的には血液透析濾過治療HDFは、対応する使い捨て液体ラインセットに関連付けられる。代わりに、汎用使い捨て液体ラインセットは、いくつかの異なる治療(例えば、UF、HDおよびHDF)を実行することを可能にするように利用可能でありうる。より一般的には、ある使い捨て液体ラインセットが、すべてではないが複数の透析治療タイプを実行することを可能にする。
【0120】
さらに、治療構成72は、透析器タイプを示す透析フィルタまたはフィルタセットタイプ、または、透析器タイプを含む使い捨てセット、すなわち濾過ユニット2を備えていてもよい。透析器タイプは、患者の年齢などの患者情報に応じて、または、治療タイプに応じて変化しうる。例えば、限外濾過治療UFのための透析器は、血液透析濾過治療HDFのための透析器と技術的に異なりうる。
【0121】
治療構成72は、体外血液治療装置のための抗凝固設定をさらに含んでもよく、具体的には抗凝固は、ヘパリン抗凝固(全身性)および局所抗凝固、例えばクエン酸塩抗凝固の中から選択してもよい。
【0122】
追加して、治療構成72は、体外血液治療装置内の血液加温器の存在(すなわち、必要性)または不存在を示しうる。
【0123】
方法は、図5に示されるように、ユーザが治療構成72の値を入力することを可能にするために、リモートデバイス60のユーザインタフェース61、すなわちディスプレイ62に治療構成72を表示することを含んでもよく、ユーザは、治療構成72に関連する値を入力してもよく、または、治療タイプ、フィルタタイプ、抗凝固設定、および/または、血液加温器の有無を示してもよい。
【0124】
設定パラメータ値70はまた、ユーザ、すなわち看護師が医療処置を開始する前に患者を識別することを可能にするために、名前または識別コードなどの患者識別情報を含む患者情報71を含みうる。特に、治療構成72および患者処方73は、厳密に患者に関連し、したがって、治療を受ける必要がある患者の識別は、治療を開始するための基本である。さらに、患者情報71は、患者の年齢、患者の体重、患者のヘマトクリット値、患者の性別、および、患者の関連疾患を含みうる。患者のヘマトクリット値は、治療を開始する前および/または患者処方73を定義する前に測定されえ、その結果、患者のヘマトクリット値は、ヘマトクリット値に応じて設定されうる。 方法は、図4に示されるように、ユーザが患者情報71の値を入力することを可能にするために、リモートデバイス60のユーザインタフェース61、すなわちディスプレイ62に患者情報71を表示することを含んでもよく、ユーザは、患者の識別など、患者情報71に関する値を入力してもよい。
【0125】
方法は、図9のように、設定パラメータ値70を符号化した設定信号を発信するステップ201、リーダ40を医療装置に提供するステップ202、医療装置のリーダ40をリモートデバイス60に相対的に近付けることによって設定信号を読み取るステップ203、および、読み取るステップを介して設定パラメータ値70を取得するステップ204を含む取得手順200をさらに含む。次いで、医療装置は、設定パラメータ値70の値に基づいて設定される。特に、取得手順200は、リモート手順100の時間的に後に、すなわち、設定パラメータ値70がユーザによって、すなわち、看護師または臨床医によってリモートデバイス60に入力されると実行される。さらに、取得手順200は、患者からおよび/または医療装置1から取得距離で実行され、リモート手順100は患者からおよび/または医療装置からリモート距離で実行され、リモート距離は取得距離よりも長い。換言すれば、取得手順は、患者にローカルに近接して、患者に対して医療処置を実行する医療装置1に近接して実行される。
【0126】
取得手順200の間、取得手順を実行する担当のユーザは、10メートルよりも短い、具体的には5メートルよりも短い、具体的には3メートルよりも短い、より具体的には1メートルよりも短い、患者および/または医療装置からの取得距離にいる。特に、医療装置は、体外血液治療装置1であってもよく、医療処置は、透析治療などの体外血液治療であってもよい。
【0127】
さらに、取得手順を実行するために要求される時間はまた、リモート手順を実行するために要求される時間、すなわち医師/看護師に要求される時間よりもはるかに短い。より詳細には、方法は、リモートタイムインターバルでリモート手順を実行し、取得タイムインターバルで取得手順を実行し、取得タイムインターバルは、リモートタイムインターバルよりもはるかに短い。例えば、取得タイムインターバルは、0.1秒と40秒との間、より具体的には1秒と20秒との間、より具体的には2秒と10秒との間で持続しうる。一方、リモートタイムインターバルは、1分と30分との間、より具体的には1.5分と20分との間、より具体的には2分と5分との間で持続しうる。
【0128】
したがって、取得タイムインターバルは、リモートタイムインターバルよりも少なくとも30%短く、具体的には50%短く、より具体的には80%短く、より詳細には90%短くてもよい。
【0129】
特に、リモートタイムインターバルは、ユーザ、すなわち医師/看護師が、関連する医療処置を実行することができる医療装置または関連する体外血液治療を実行することができる体外血液処置装置のすべての設定パラメータを入力するのに必要な平均時間として定義されうる。この期間は、すべての設定パラメータ値をキーボードに入力する時間を考慮に入れることができる。
【0130】
一方、取得タイムインターバルは、特に、装置1のコントロールユニット50が、取得手順の少なくとも以下のステップを実行するために必要な時間期間として定義され、
-医療装置のリーダ40をリモートデバイス60に相対的に近付けることによって、設定信号を読み取ること、および
-読み取るステップを介して、設定パラメータ値70を取得すること、
-任意で、装置(1)を設定パラメータ値(70)に基づいて設定すること、
である。
【0131】
特に、取得手順が電子コントロールユニット、すなわちコントロールユニット50によって実行されるという事実に基づいて、および、リモート手順の入力ステップがオペレータによって手動で実行されることに基づいて、取得タイムインターバルは、本質的に、リモートタイムインターバルよりも短くなる。
【0132】
取得タイムインターバルがリモートタイムインターバルよりもはるかに短いという事実は、オペレータ、すなわち看護師が、患者の近くで費やされる時間を短縮することを可能にし、それによって、患者の伝染性疾患に曝されるリスクを低減する。
【0133】
設定信号を発信するステップは、設定パラメータ値70を符号化した光学パターン80をディスプレイに表示するステップ201を含みうる。ディスプレイは、リモートデバイス60のディスプレイ62であってもよく、その結果、リモートデバイス60は、ユーザが設定パラメータ値70を挿入することを可能にする入力デバイス63と、設定パラメータ値70を符号化する光学パターン80を視覚化するディスプレイ62と、を単一のボディ内に備える。ディスプレイ62は、LCD、LEDスクリーン、または任意の他の適切な電子スクリーンでありうる。代わりに、光学パターンが表示されるディスプレイが、リモートデバイス60のユーザインタフェース61によって分離され、区別されてもよく、その結果、リモートデバイス60は、ユーザが設定パラメータ値70を挿入することを可能にし、次いで、リモートディスプレイにコマンドを送信し、対応する光学パターン80を表示し、医療装置のリーダ40に示すことができる。
【0134】
特に、ディスプレイ上に光学パターンを表示するステップは、代替的に、リモート手順100の一部であってもよい。言い換えると、ディスプレイ上に光学パターンを表示するステップは、取得距離ではなく、リモート距離で実行されてもよい。
【0135】
光学パターンが使用されるとき、取得ステップは、光学パターンを読み取り情報を複合する必要がある医療装置によってのみ能動的に実行される。
【0136】
設定信号を発信するステップは、代替的に、設定パラメータ値70を符号化したNFC、RFidまたは無線信号などの周波数関連信号を発信するステップ201を含んでもよい。リモートデバイス60は、周波数関連信号を発信するように構成されたエミッタを備えうる。
【0137】
医療装置1のリーダ40は、設定パラメータ値70を符号化した光学パターン80を読み取るように構成されえ、具体的にはリーダ40は、バーコード、QRコード、または、ステガノグラフィ画像を読み取る、または、スキャンするように構成されうる。代わりに、リーダ40は、リモートデバイス60によって発信されるNFC、RFidまたは無線周波数信号などの周波数関連信号を読み取るように構成されうる。特に、読み取るステップ203は、50cmよりも短い、具体的には20cmよりも短い、より具体的には10cmよりも短い距離で、医療装置のリーダ40をリモートデバイス60に近付けることを含む。任意で、読み取るステップは、医療装置のリーダ40をリモートデバイス60に接触させることを含む。
【0138】
読み取るステップを介して設定パラメータ値70を取得するステップ204は、設定パラメータ値70を取得するために、光学パターン80または周波数関連信号を復号するステップを含むことができる。復号ステップは、医療装置のコントロールユニット50によって実行されうる。
【0139】
次いで、方法は、体外血液治療、すなわち透析治療などの医療処置を設定するために使用される医療装置のメモリに設定パラメータ値70を格納するステップを含む。
【0140】
方法はまた、実施される医療処置に必要な少なくとも1つの使い捨てコンポーネントを医療装置に提供するステップを含みうる。例えば、使い捨てコンポーネントは、図1のように、体外血液治療装置に取り付けられるフィルタユニット2、すなわち透析器であってもよい。さらに、使い捨てコンポーネントは、透析回路に注入する液体、または、医療用液体および/または血液回路に調製する粉末溶液を収容するバッグ33であってもよい。例えば、使い捨てコンポーネントは、患者の血流中にバイカーボネート液溶液を注入するためのバイカーボネートバッグであってもよい。特に、コンポーネントは、各治療セッションで交換される必要がある使い捨てコンポーネントである。
【0141】
各使い捨てコンポーネントは、コンポーネントタイプを識別するために、コンポーネント上に接着されたラベルなどのそれぞれの識別コードを備える。例えば、識別コードは、透析装置がハイフラックス透析治療用であるかローフラックス透析治療用であるかを識別してもよく、または、透析装置が子供を治療することを目的としているか成人を治療することを目的としているかを識別してもよく、または、注入バッグの組成を識別してもよい。
【0142】
方法は、図10のように、識別された使い捨てコンポーネントと、ディスプレイから光学画像を読み取ることによって取得された設定パラメータ値70と、の間の整合性を検証するステップ303を含む、整合性手順300をさらに含みうる。前述のように、設定パラメータ値70は、透析タイプ、具体的には限外濾過(UF)、血液透析(HD)、血液濾過(HF)、血液透析濾過(HDF)の何れかが実行されるかについての支持を含みえ、整合性手順は、すべてのコンポーネントが透析タイプに適合するか否かを検証することを対象とする。例えば、設定は、希釈前注入流量および透析流量を含んでもよく、透析タイプは、課された流量と適合するべきであり、すなわち、透析ラインおよび注入前ライン(注入前に使い捨て可能なHDF透析タイプである)を含むべきである。代わりに、設定パラメータ値70が、患者が子供であることを示す場合に、整合性手順は、それぞれの識別コードに基づいて、すべてのコンポーネントが子供に適しているか否かを検証する。さらに、設定パラメータ値70が血液加温器の存在を示す場合、整合性手順は、透析機械に関連する血液加温器の存在を検証する。
【0143】
明らかに、整合性手順は、各コンポーネントの識別コードを読み取るステップ301を意味し、コンポーネントの識別コードが光学パターンの形態である場合に、読み取るステップは、医療装置のリーダ40によって実行されえ、その結果、リーダ40は、使い捨てコンポーネントの光学パターンと設定パラメータ値70を符号化する光学パターン80との両方を読み取るために使用されうる。代わりに、使い捨てコンポーネントの識別コードが周波数関連信号の形態である場合に、コンポーネントの識別コードを読み取るステップは、装置のリーダ40とは異なる周波数スキャナによって実行されてもよい。
【0144】
より詳細には、整合性手順300は、コンポーネントの識別コードが所定の整合性リストに従って装置の治療識別情報と一致するか否かを検証すること303を含みうる。治療識別子は、実行される透析治療のタイプを示し、治療識別子は、設定パラメータ値のうち1つでありうる。具体的には整合性リストは、限外濾過(UF)、血液透析(HD)、血液濾過(HF)、血液透析濾過(HDF)、および、任意で腹膜透析(PD)をそれぞれ示す治療識別子を含んでもよく、リストは、処置識別子に一致する整合性がある使い捨てコンポーネントの一連の識別コードのシリーズをさらに含む。したがって、使い捨てコンポーネントと設定パラメータ値70との間の整合性は、各設定パラメータ値を整合性がある使い捨てコンポーネントのうち1つ以上の識別コードにリンクするこの予め定義されたリストに基づいて実行される。
【0145】
次いで、少なくとも1つの設定パラメータが医療装置、具体的には体外血液治療装置のための識別された使い捨てコンポーネントと一致しない場合に、方法は、設定パラメータ値70に基づいて医療装置が設定されることを防止することを含む。逆に、すべての設定パラメータ値70が医療装置、具体的には体外血液治療装置の識別された使い捨てコンポーネントと一致する場合に、方法は、設定パラメータ値70に基づいて医療装置が設定されることを可能にしてもよい。
【0146】
さらに、整合性手順300は、使い捨てコンポーネントの識別コードに基づいて、1つ以上の設定パラメータ値70のそれぞれの閾値範囲を定義するステップ302を含みうる。例えば、整合性手順は、コンポーネントの識別コードに基づいて、識別された患者についての患者液体除去速度PFRと、総体重ロスWL、総治療時間TTおよび限外濾過流量UFRのうち識別された患者についての2つのパラメータと、のうち少なくとも1つについて、それぞれの閾値範囲を定義するステップ302を含みうる。具体的には整合性手順は、識別コードに基づいて、総体重ロスWLの閾値範囲を定義してもよく、総体重ロスWLの閾値範囲は0.1Kgと6Kgとの間に設定してもよい。血流速度の閾値範囲は、50ml/分~600ml/分に設定してもよい。もちろん、適切な閾値は、特定の医療デバイスに依存し、例えば、医療デバイスが急性患者(例えば、血流範囲閾値が50ml/分と300ml/分との間など、合理的に低減される)のためのものであるか、または、慢性患者(例えば、150ml/分と600ml/分との間の血流速度)のためのものであるかに依存する。閾値が設定されると、整合性手順は、1つ以上の設定パラメータ値70がそれぞれの閾値範囲を超えるか否か、すなわち、1つ以上の設定パラメータ値70がそれぞれの閾値範囲から外れている場合、1つ以上の設定パラメータ値70がそれぞれの閾値範囲を超える場合に、方法は、設定パラメータ値70に基づいて体外血液治療装置が設定されることを防止することを含む。
【0147】
特に、それぞれの閾値範囲は、患者情報71のうち少なくとも1つに関連するそれぞれの値を参照してもよく、方法は、装置に搭載された使い捨て部品の識別コードに基づいて、患者の体重および/または年齢に対する閾値範囲を定義302してもよい。例えば、装置に取り付けられた使い捨て部品の識別コードは、18歳と80歳との間または1歳と3歳との間の患者の年齢閾値範囲を定義しうる。患者の実際の年齢がそれぞれの年齢閾値範囲を超える場合に、方法は、設定パラメータ値70に基づいて体外血液治療装置が設定されることを防止する。
【0148】
換言すれば、設定パラメータ値70は、医療装置に取り付けられた使い捨てコンポーネントに応じたそれぞれの閾値範囲内に留まらなければならない。
【0149】
前述のように、設定パラメータ値70は、設定パラメータ値70が関係する患者を識別する、患者の識別、すなわち、患者の名前を含む患者情報71を含みうる。次いで、方法は、医療処置が適切な患者に対して実行されることを確実にするために実行されるクロスチェック手順400を含みえ、換言すると、クロスチェック手順400は、体外血液治療を受けることを意図された患者に体外血液治療装置を関連付けるステップを含む。体外血液治療装置と患者との間の関連付けは、光学パターン80とは異なる情報源からのこの患者の識別を体外血液治療装置に提供すること401によって実行され、例えば、この識別は、医療装置の識別スキャナによって走査されうる、患者の手首のウェアラブルブレスレットなどの識別カードまたは識別ウェアラブルデバイスによって提供されうる。したがって、医療装置は、患者の識別カードをスキャンするように構成された識別スキャナを備えみうる。患者の識別カードは、バーコードまたはQRコードを含むラベルであってもよく、代わりに、識別カードは、NFCまたはRFid回路または無線周波数エミッタを含んでもよい。同様に、識別情報ウェアラブルデバイスは、バーコードまたはQRコードを含むラベルを含んでもよく、代わりに、識別情報ウェアラブルデバイスは、NFCまたはRFid回路または無線周波数エミッタを含んでもよい。代わりに、患者の実際の名前がユーザによって手動で、すなわち看護師によって、キーボードを介して医療装置に入力されてもよい。装置1の識別情報スキャナは、前述の装置1の同じ周波数スキャナであってもよく、使い捨てコンポーネントの光学パターンをスキャンするように構成されてもよく、この場合に、周波数スキャナおよび識別情報スキャナは、患者およびコンポーネントの両方を識別するように構成された単一のスキャナを画定してもよい。
【0150】
さらに、装置1の識別情報スキャナは、前述した、設定パラメータ値70を符号化した光学パターン80をスキャンするように構成された装置1の同じリーダ40であってもよく、この場合に、識別情報スキャナおよびリーダ40は、患者を識別情報することと、設定パラメータ値70を符号化する光学パターン80を読み取ることと、の両方を行うように構成された単一のスキャナを画定してもよい。
【0151】
さらなる実施形態において、周波数スキャナ、識別情報スキャナおよびリーダ40は、設定パラメータ値70を符号化した光学パターン80を読み取るように、患者の識別コードを読み取るように、および、使い捨てコンポーネントの識別コードを読み取るように構成された単一のデバイスを画定するように組み合わせられうる。
【0152】
クロスチェック手順400は、光学パターン80を介して読み取られた設定パラメータ値70の患者識別情報と、光学パターン80とは異なる情報源を介して提供された患者に関連する識別情報と、の間の一致をチェックするステップ402をさらに含む。設定パラメータ値70に含まれる患者識別情報と、情報源によって提供されるこの患者に関連する識別情報と、の間に一致が見出されない場合に、クロスチェック手順400は、これらの設定パラメータ値70に基づいて体外血液治療装置が設定されることを防止することを含む。追加して、クロスチェック手順400はまた、アラーム、すなわち、音響または可視アラームを発してもよい。
【0153】
特に、クロスチェック手順400は、患者からおよび/または医療装置1からの取得距離に実質的に等しいクロスチェック距離で実行される。具体的には、クロスチェック距離は、リモート距離よりもとてもはるかに短い。
【0154】
取得手順はまた、設定パラメータ値70を符号化した光学パターン80によって取得された設定パラメータ値70の有効性を検証するステップ500を含む安全手順を含んでもよく、具体的には安全手順は、所定の有効範囲を定義するステップ501と、すべての設定パラメータ値70がこの所定の有効範囲内にあるか否かを検証するステップ502と、を含む。例えば、安全手順は、設定パラメータ値70に含まれる患者の年齢が妥当な範囲内、すなわち3歳と99歳との間であるか否かを検証することを含んでもよい。同様に、安全手順は、設定パラメータ値70に含まれる総重量損失WLが妥当な有効範囲内、すなわち0.1kgと8kgとの間であるか否かを検証することを含んでもよい。設定パラメータ値70のうち1つ以上が有効範囲を超える場合に、方法は、これらの設定パラメータ値70に基づいて体外血液治療装置が設定されることを防止する。さらに、設定パラメータ値70のうち1つ以上が有効範囲を超える場合に、方法はまた、音響アラーム信号または体外血液治療装置のディスプレイに表示されるアラームなど、アラーム信号を発信するように体外血液治療装置に命令することを含みうる。
【0155】
取得手順は、リーダ40を介して光学パターン80を読み取ることによって、設定パラメータ値70を取得するステップの時間的に後に確認手順を含んでもよい。確認手順は、装置1によって実行されてもよく、ディスプレイ、すなわち、装置1のディスプレイに、設定パラメータ値70のうち1つ以上を表示するステップと、装置1によって受信された設定パラメータ値70の承認信号をユーザから受信することを要求するステップとを含む。確認手順は、承認信号が装置1によって受信されたか否かをチェックするステップをさらに含みうる。
【0156】
承認信号は、ボタン、すなわち、装置1のディスプレイに示される物理的ボタンまたは仮想ボタンを押すことを含んでもよく、これに関連して、装置1のディスプレイは、タッチスクリーンであってもよい。
【0157】
承認信号が装置1によって適切に受信された場合に、確認手順は、装置1によって受信された設定パラメータ値70の値に基づいて体外血液治療装置1を設定するステップを実行することを可能にする。逆に、承認信号が装置1によって適切に受信されない場合に、確認手順は、装置1によって受信された設定パラメータ値70の値に基づいて体外血液治療装置1を設定するステップを実行することを防止する。
【0158】
確認手順の要求ステップはまた、装置1によって受信されたすべての設定パラメータ値70の承認を示す1つの唯一の承認信号を要求するステップを含んでもよい。
【0159】
代わりに、確認手順の要求ステップは、設定パラメータ値70を、装置1によって受信されたそれぞれの設定パラメータ値70を含む2つ以上のグループに区分し、設定パラメータ値70のグループごとに承認信号を要求するステップを含んでもよい。設定パラメータ値70は、各設定パラメータ値のカテゴリに基づいて、これらのグループに区分されてもよく、すなわち、少なくとも、体外血液治療装置1を設定するための流量に関連する設定パラメータ値のみを含む流量グループが提供されてもよい。例えば、患者識別情報に関連する設定パラメータ値のみを含む識別情報グループが提供されてもよい。さらに、治療構成72に関連する設定パラメータ値のみを含む治療グループが提供されてもよい。特に、確認手順は、流量グループ、識別情報グループおよび治療グループのうち少なくとも1つ、または、流量、識別情報および治療グループのすべてを提供することを含んでもよい。
【0160】
代替として、確認手順の要求ステップは、設定パラメータ値70の各設定パラメータ値70について、装置1によって受信された各設定パラメータ値70の承認を示すそれぞれの承認信号を要求することを含みうる。
【0161】
方法はまた、認証コードに基づいてリモートデバイス60を体外血液治療装置とペアリングするステップ600を含んでもよく、認証コードは許可されたユーザがペアリングステップを実行することを可能にし、認証コードは、パスワード、シリアル番号、指紋、顔認識アルゴリズムのうち少なくとも1つを含んでもよい。ペアリングはNFCまたはBluetoothプロトコルに基づいてもよく、例えば、リモートデバイス60、すなわちタブレットまたはスマートフォンは、Bluetooth接続を介して医療装置にペアリングされる。
【0162】
ペアリングステップ600が成功した場合に、方法は、取得手順200を実行し、反対に、ペアリングステップが成功しなかった場合に、方法は、取得手順200が実行されることを防止する、または、方法は、設定パラメータ値70が体外血液治療装置を設定することを防止する。
【0163】
特に、方法1000は、設定パラメータ値70がリーダ40によって取得され、読み取られるたびに、リモートデバイス60を体外血液治療装置1とペアリングすること600を含んでもよい。任意で、方法1000は、医療装置のリーダ40によって光学パターン80を読み取る前に、リモートデバイス60をペアリングすること600を含んでもよく、リモートデバイス60が医療装置とペアリングされると、方法1000は、読み取るステップ203および取得手順が実行されることを可能にする。
【0164】
1つの実施形態において、設定パラメータ値70を符号化した光学パターン80は、リモートデバイス60と医療装置、具体的には体外血液治療装置とのペアリングを可能にする認証コードをさらに含みうる。例えば、バーコードまたはQRコードが、設定パラメータ値70および認証コードの両方を符号化して、ペアリングステップを実行してもよい。
【0165】
任意の実施形態によると、リモートデバイス60のディスプレイに光学パターン80を表示するステップ201は、リモートデバイス60と医療装置との間のペアリングの成功に従属し、ペアリングが成功しない場合に、方法は、光学パターン80がリモートデバイス60のディスプレイ62に表示されることを防止する。特に、この任意の実施形態において、リモートデバイス60は、ディスプレイ62と入力デバイス63との両方を備える(すなわち、スマートフォンまたはタブレットとして)。
【0166】
リモートデバイスと医療デバイスとの間のいかなるペアリングも必要としないさらなる実施形態において、オペレータが、取得手順の前に医療デバイスにおいて光学コードの読み取りを可能にしなければならない。例えば、オペレータは、医療デバイスユーザインタフェースを介して直接、自分のIDを入力しなければならず、医療デバイスが光学コードを介して医療デバイスを設定するための適切な権限を検証した場合にのみ、後者は医療デバイスによって取得および/または使用されうる。これは、リモートデバイスと医療デバイスとの間の任意のペアリングまたは双方向通信の必要性を回避する。
【0167】
リモートデバイス60のユーザインタフェース61が、ディスプレイ62と、設定パラメータ値70を入力するための入力デバイス63と、の両方を備える実施形態において、方法は、リモート手順と取得手順との間に時間的に介在する、リモートデバイス60のユーザインタフェース61を介してリモートデバイス60に1つ以上のさらなる設定パラメータ値70を入力するステップ701を含む、ローカル手順700をさらに含む。さらなる設定パラメータ値70は、設定パラメータ値70のうち1つ以上、例えば、患者処方73、治療構成72および患者情報71のうち少なくとも1つを含む。代わりにまたは追加して、ローカル手順は、リモートデバイス60のユーザインタフェース61を介して、リモート手順中に入力された設定パラメータ値70のうち1つ以上を修正するステップ701aまたは更新するステップ702を含む。ユーザは、体重またはヘマトクリット値などの、処方または患者情報71に関連する設定パラメータ値を更新してもよい。特に、ローカル手順700は、患者からおよび/または医療装置からローカル距離でユーザによって実行され、リモート手順100は、患者からおよび/または医療装置からリモート距離でユーザによって実行され、ローカル距離は、リモート距離よりもより短い。具体的にはローカル距離は、10メートルよりも短い、具体的には5メートルよりも短い、より具体的には3メートルよりも短い、より具体的には1メートルよりも短い。事実上、ローカル距離は、取得手順の取得距離に対応し、換言すると、ローカル手順700および取得手順200は、実質的に同じ場所で、具体的には患者および/または医療装置に対して同じ距離で実行される。
【0168】
図9は、リモート手順100および取得手順200の主なステップを含む、本発明の実施形態によるフローチャートを示す。
【0169】
図10は、リモート手順100、取得手順200、整合性手順300、クロスチェック手順400、安全手順500、ペアリングステップ600およびローカル手順700の主要ステップを含む、本発明のさらなる実施形態によるフローチャートを示す。具体的には、図10のフローチャートは、これらのステップ100、200、300、400、500、600、700のすべてを含むように方法を限定するものではなく、本法は、実際に、リモート手順100および取得手順200に加えて、図10の横の流れの矢印によって指摘されるように、整合性手順300、クロスチェック手順400、安全手順500、ペアリングステップ600およびローカル手順700のうちの任意の組合せのうち1つ以上を含みうる。
【0170】
システム
本発明はまた、医療装置1とリモートデバイス60との両方を備えるシステム90を対象にする。
【0171】
リモートデバイス60は、図5図8のように、スマートフォン、タブレットなどのポータブルデバイスであってもよい。リモートデバイス60は、ユーザが設定パラメータ値70を入力することを可能にするように構成されたユーザインタフェース61と、ユーザがユーザインタフェース61を介して設定パラメータ値70を入力することを可能にするコントローラ51と、を少なくとも備える。具体的にはユーザインタフェース61は、キーボードなどの入力デバイス63を備える。さらに、コントローラ51はまた、設定パラメータ値70を符号化した設定信号を生成するように構成され、設定信号は、光学パターン80、または、設定パラメータ値70を符号化したNFC、RFidまたは無線周波数信号などの周波数関連信号であってもよい。
【0172】
リモートデバイス60のユーザインタフェース61はまた、コントローラ51に接続され、光学パターン80を視覚化する、すなわち画面に表示するように構成されたディスプレイ62を備えうる。この点に関して、コントローラ51は、光学パターン80内の設定パラメータ値を符号化し、次いで、この光学パターン80をリモートデバイス60のディスプレイ62またはリモートディスプレイ(添付の図には図示せず)に表示するように構成される。同様に、コントローラ51は、光学パターン80内の設定パラメータ値を符号化し、次いで、エミッタを通して周波数関連信号を発信するように構成されうる。
【0173】
さらに、リモートデバイス60は、コントローラ51およびユーザインタフェース61、すなわち、ディスプレイ62および入力デバイス63に供給するように構成された電気バッテリを備える。
【0174】
代わりに、リモートデバイス60は、設定パラメータ値70を符号化するNFC、RFidまたは無線周波数信号などの周波数関連信号を発信するように構成されたエミッタを備える。この場合に、リモートデバイス60は、ディスプレイを備えなくてもよい。
【0175】
1つの実施形態によると、リモートデバイス60は、図5図8のように、少なくともディスプレイ62、バッテリ、入力デバイス63およびコントローラ51を担持するケースを備える単一のボディを画定する。ディスプレイ62および入力デバイス63は、タッチスクリーンを画定するように組み合わされてもよい。
【0176】
代わりに、リモートデバイス60は、少なくともエミッタ、バッテリ、入力デバイス63およびコントローラ51を担持するケースを備える単一のボディを画定する。
【0177】
リモートデバイス60のコントローラ51は、前述のステップ101、102、103などのリモート手順100を実行することを可能にするように構成され、特に、コントローラ51は、ユーザインタフェース61を介してパラメータ値70を設定するための値の入力を可能にするように構成される。方法の説明において既に記述した設定パラメータ値70は、体外血液治療装置の設定を定義し、識別された患者に関連する。設定パラメータ値70は、識別された患者についての患者処方73の一部であり、識別された患者の患者液体除去速度PFRと、総体重ロス、総治療時間および限外濾過流量のうち識別された患者の2つのパラメータと、のうち少なくとも1つを含む。
【0178】
方法に関連する前述の説明は、一般に、簡潔さのための医療装置1に言及することが多い:いずれにせよ、医療装置は、図1に示されるような透析装置などの体外血液治療装置であってもよい。透析装置は、限外濾過治療UF、血液透析治療HD、血液濾過治療HF、または、血液透析濾過治療HDFを実行するように構成されてもよい。透析装置1は、慢性または急性治療を対象としうる。さらに、体外血液治療装置は、COを除去しおよび/または患者の血液に酸素を送り込むように構成された体外式膜型人工肺装置であってもよい。1つの実施形態において、体外血液治療装置は、透析治療を実行し、膜式人工肺でCOを除去するように構成されてもよい(換言すると、装置は、透析治療のための1つの濾過ユニットと、COを除去するための膜式人工肺と、を含む)。代わりに、医療装置1は、腹膜透析装置または注入ポンプであってもよい。
【0179】
本発明の医療装置は、図1に概略的に示される、方法のセクションで前述した取得手順200を実行するように構成されるコントロールユニット50を備える。より詳細には、医療装置は、リーダ40を備え、コントロールユニット50は、光学パターン80を読み取ることによって設定パラメータ値70を取得するようにリーダ40に命令し、次いで、設定パラメータ値70の値に基づいて医療装置を設定するように構成される。換言すると、コントロールユニット50は、前述の読み取りステップ203を実行するように構成される。
【0180】
医療装置1はまた、設定パラメータ値70を格納するように構成された、コントロールユニット50に動作可能に接続されたメモリを有していてもよい。
【0181】
コントロールユニット50はまた、整合性手順300を実行するように構成され、具体的には医療装置1のコントロールユニット50は、各コンポーネントの識別コードを読み取り301、識別された使い捨てコンポーネントと、リモートデバイス60のディスプレイ62から光学画像を読み取ることによって取得された設定パラメータ値70と、の間の整合性を検証する303ように構成される。さらに、コントロールユニット50は、整合性手順内で、コンポーネントの識別コードに基づいて、識別された患者についての患者液体除去速度PFRと、総体重ロスWL、総治療時間TTおよび限外濾過流量UFRのうち識別された患者についての2つのパラメータと、のうち少なくとも1つについて、それぞれの閾値範囲を定義する302ステップを実行するように構成されてもよい。より一般的には、医療装置1のコントロールユニット50は、使い捨てコンポーネントの識別コードに基づいて、1つ以上の設定パラメータ値70のそれぞれの閾値範囲を定義する302ように構成されてもよい。
【0182】
コントロールユニット50はまた、医療処置が適切な患者に対して実行されることを確実にするために実行されるクロスチェック手順400を実行するように構成されてもよく、換言すると、コントロールユニット50は、体外血液治療を受けることを意図された患者に体外血液治療装置を関連付けることを可能にするように構成されてもよい。
【0183】
具体的には、コントロールユニット50は、光学パターン80とは異なる情報源からこの患者識別情報を受信する401ように構成されてもよく、次いで、コントロールユニット50は、光学パターン80を介して読み取られた設定パラメータ値70の患者識別情報と、光学パターン80とは異なる情報源を介して提供された患者に関連する識別情報と、の間の一致をチェックする402ように構成される。設定パラメータ値70に含まれる患者識別情報と、情報源によって提供されるこの患者に関連する識別情報と、の間に一致が見出されない場合に、コントロールユニット50は、これらの設定パラメータ値70に基づいて体外血液治療装置が設定されることを防止するように構成される。
【0184】
コントロールユニット50はまた、設定パラメータ値70の有効性、なわち、設定パラメータ値70を符号化した光学パターン80によって取得される有効性をチェックするために、安全手順500を実行するように構成されてもよい。コントロールユニット50は、方法のセクションで詳細に説明されるように、予め定義された有効範囲を定義し501、次いで、すべての設定パラメータ値70がこの予め定義された有効範囲内にあるか否かを検証する502ように構成される。
【0185】
医療装置1のコントロールユニット50およびリモートデバイス60のコントローラ51はまた、認証コードに基づいて、リモート機器60を体外血液治療装置1にペアリングするステップ600を実行するように構成されてもよい。具体的にはこのペアリングステップは、コントローラ51およびコントロールユニット50の両方によって実行されてもよく、ペアリングステップは、NFCまたはBluetoothプロトコルを使用することによって実行されてもよい。
【0186】
リモートデバイス60のコントローラ51はまた、リモート手順と取得手順との間に時間的に介在するローカル手順700を実行するように構成されてもよく、コントローラ51は、リモートデバイス60のユーザインタフェース61を介して、1つ以上のさらなる設定パラメータ値70をリモートデバイス60に入力すること701を可能にするように構成されてもよい。換言すると、コントローラ51は、ユーザインタフェースから、リモート手順の後に設定パラメータ値をさらに受信するように構成される。さらなる設定パラメータ値70は、設定パラメータ値70のうち1つ以上、例えば、患者処方73、治療構成72および患者情報71のうち少なくとも1つを含む。
【0187】
代わりにまたは追加して、リモートデバイス60のコントローラ51は、リモートデバイス60のユーザインタフェース61を介して、リモート手順中に入力された設定パラメータ値70のうち1つ以上をユーザが修正すること701aまたは更新すること702を可能にするように構成されうる。特に、コントローラ51は、取得手順中に保持される取得距離に実質的に等しい患者からのローカル距離でローカル手順700を実行するように構成される。具体的には、ローカル距離は、リモート距離よりもはるかに短い。
【0188】
図2および図3に示される実施形態によると、体外血液治療装置は、半透膜5によって分離された一次チャンバ3および二次チャンバ4を有する少なくとも濾過ユニット2を備える。体外血液治療装置1は、一次チャンバの入口に接続された第1端部と、患者Pに接続するための第2端部との間に延びる脱血ライン6を備える血液回路をさらに備える。体外血液治療装置は、一次チャンバ3の出口に接続された第1端部と、患者Pに接続するための第2端部との間に延びる、返血ライン7をさらに備える。追加して、体外血液治療装置は、血液回路の血液を循環させるための血液ポンプ10と、二次チャンバ4の出口に接続された排出ライン12と、を備える。コントロールユニット50はまた、少なくとも血液ポンプ10を制御するように構成され、例えば、血液ポンプ10の速度を作動または変更する。
【0189】
以下、本発明の設定方法およびシステムに適合する慢性(長期)血液透析(HD)装置について詳細に説明する。特に、以下の慢性透析回路の説明は、本発明を慢性血液透析に限定することなく、例示的な実施形態として開示される。実際に、本設定方法はまた、急性体外血液治療の場合にも実施されうる。
【0190】
体外血液治療装置1
慢性腎不全の患者のための治療に使用される慢性(長期)血液透析(HD)治療システム。HD治療は通常、1週間に数回(例えば、1週間に3回)実施され、各治療は数時間(例えば、3.5~4.5時間)の平均持続時間を有する。
【0191】
慢性(長期)治療のための体外血液治療のための装置1が、図1および2に示される。装置1は、半透膜5によって分離された一次チャンバ3および二次チャンバ4を有する濾過ユニット2を備える。治療に応じて、濾過ユニット2の半透膜5は、異なる特性および性能を有するように選択されてもよい。
【0192】
血液回路が、濾過ユニット2の一次チャンバ3に結合される。血液回路は、一次チャンバ3の入口3aに接続された脱血ライン6と、一次チャンバ3の出口3bに接続された返血ライン7と、を備える。脱血ライン6および返血ライン7は、患者「P」の心血管系に接続するように構成される。治療中、患者は、血液が体内から流入/流出する2つのアクセス(動脈/静脈)を有し、平均血流は、通常、250ml/分と500ml/分との間である。
【0193】
使用時、脱血ライン6および返血ライン7は、針またはカテーテルまたは他のアクセスデバイスに接続され、次いで、それは、血液が脱血ライン6を通して回収され、一次チャンバ3を介して流され、次いで、返血ライン7を介して患者の血管系に戻されうるように、患者「P」の血管系と流体連通するように配置される。脱気チャンバ8などの空気分離器が、返血ライン7上に存在してもよい。さらに、脱気チャンバ8の下流の返血ライン7上にモニタバルブ9が存在してもよい。
【0194】
血液回路を通る血流は、脱血ライン6または返血ライン7の何れかに作用する血液ポンプ10、例えば、蠕動血液ポンプによって制御される。図2の実施形態は、脱血ライン6のポンプセクションに結合された血液ポンプ10を示す。代わりに、血液ポンプが脱血ライン6と返血ライン7との両方に設けられてもよい。コントロールユニット50が接続され、血流速度を調節するために血液ポンプ10を制御する。
【0195】
透析回路は、濾過ユニット2の二次チャンバ4に接続され、二次チャンバ4の入口4aに接続された透析供給ライン11と、二次チャンバ4の出口4bおよび図示しないドレインに接続された透析排出ライン12と、を備える。透析排出ラインは、使用済みの透析液をドレインに排出する。
【0196】
透析供給ライン11は、未使用の透析液を調製するための調製デバイス13に接続される。調製デバイス13は、未使用の透析液の組成を調節するための調節デバイス14を備える。
【0197】
図2の例において、調製デバイス13は、電解質、緩衝剤またはその他の物質などを、未使用の透析液の調製ライン21に向かって供給するように配された、注入ライン18、19、20のそれぞれに位置する濃縮物の3つの容器15、16、17を備える。濃縮物容器15、16、17は、液体状態または固体状態の濃縮物、例えば、粉末を含みうる。
【0198】
調節デバイス14は、注入ライン18、19、20上に配された注入ポンプ22、23、24を備え、それぞれの注入ライン18、19、20に沿って、例えば水などの液体を供給源25から収集する調製ライン21に向かって液体を移動させる。調製ライン21は、透析供給ライン11の上流に位置し、一端が供給源25、例えば、脱イオン/精製水供給源または逆浸透水プラントに接続され、他端が透析供給ライン11に接続される。供給源25は、図示されるように、水供給源、または、超純液体の供給源を含みうる。
【0199】
濃度または導電率センサ26、27、28が、調製ライン21上に配され、コントロールユニット50に、調製ライン21を横切る液体の所定の物質(例えば、ナトリウム)の導電率または濃度に関連する信号を提供することができ、コントロールユニット50は、透析供給ライン11を横切る液体の導電率Cdまたは濃度、例えばナトリウム[Na]を調節するために、注入ポンプ22、23、24を制御することができる。液体チェック機構29が、液体が必要なパラメータを満たさない場合に、透析ライン21を横切って濾過ユニット2内への液体の通過を選択的に可能にする、または、阻止するために使用されうる。
【0200】
注入ライン11’が、透析供給ライン11、具体的には調製デバイス13の下流から離れ、返血ライン7に接続されて、未使用の透析液の一部を血液回路に注入する。未使用の透析液の一部を血液回路内に送達するために、補助注入ポンプ45が、注入ライン11’に結合されていてもよい。注入ライン11’は、代わりにまたは追加して、置換液を事前注入するために、妥結ライン6(具体的には血液ポンプ10の下流)に接続されてもよい。
【0201】
限外濾過デバイスは、濾過ユニット2の半透膜5を介して患者からの液体除去を達成するように構成される。限外濾過デバイスは、透析排出ライン12上に配された透析ポンプ30を備える。変形の実施形態において、第1透析ポンプが、透析供給ライン11に結合され、第2透析ポンプが、透析排出ライン12に結合される。第1流量計31が、透析供給ライン11上でアクティブであり、液体チェック機構29と二次チャンバ4の入口4aとの間に配される。第2流量計32が、透析排出ライン12上でアクティブであり、二次チャンバ4の入口4aと透析ポンプ30との間に配される。
【0202】
注入ライン11’は、第1流量計31と二次チャンバ4の入口4aとの間の透析供給ライン11に接続される。第1流量計31および第2流量計32は、コントロールユニット50に接続され、限外濾過率UFRを決定するように構成される。
【0203】
限外濾過率UFRは、二次チャンバ4の出口4bを出る使用済みの透析液と、二次チャンバ4の入口4aに送られる調製済みの未使用の透析液と、任意で注入ライン11’を介して血液回路に注入された液体と、の間の差である(図3)。
【0204】
図3に示されるように、Qb1は、入口3aを介して一次チャンバ3に入る血流量であり、Qb2は、出口3bを介して一次チャンバ3から出る血流量であり、Qinは、入口4aを介して二次チャンバ4に入る流量であり、Qinfは、注入ライン11’を横切る流量であり、ここで、
dial=Qin+Qinf
である。
【0205】
第1流量計31および第2流量計32は、それぞれの流量の瞬間値をコントロールユニット50に提供し、したがって、コントロールユニット50は、瞬間限外濾過率UFRを計算することを可能にする。代わりに、差動センサが透析供給ライン11上および透析排出ライン12上にアクティブに設けられてもよく、したがって、限外濾過率UFRに関する信号を直接提供することができる。流量計の代わりに、バランスチャンバが、透析回路に動作可能に結合されてもよい。バランスチャンバの原理は、透析供給ライン11上の第1チャンバに入る液体の量が透析排出ライン12から出る液体の量と等しくなるように動作する。
【0206】
限外濾過を達成するために、限外濾過ライン(図示せず)が、バランスチャンバの上流の排出ラインに加えられる。限外濾過ポンプが、使用済みの透析液が第2バランスチャンバに到達する前に、所望の量の限外濾過された液体を除去し、それによって限外濾過量を達成する。もちろん、限外濾過ラインを通る絶対ボリューム変動も測定することができる。
【0207】
装置1は、置換液または栄養物質などの注入溶液を収容する1つの注入バッグ33と、注入バッグ33と流体連通する第1端部および返血ライン7に接続され、返血ライン7を介して患者の血管系に溶液を注入するための第2端部を有する注入ライン34と、をさらに備えうる。代わりの実施形態において、注入溶液が、患者の血管系に直接注入されてもよい。注入ライン34を介して注入溶液を送達するために、注入ポンプ35が、注入ライン34に結合される。計量デバイス36の形態のセンシングエレメントが、溶液が注入されている間に注入バッグ33を秤量し、注入バッグ33の重量、したがって、注入バッグ33に含まれる溶液の重量またはボリュームに関連する第1パラメータWの計算を可能にする第1信号を提供するように構成される。一般に、計量デバイス36は、注入ラインを通る注入溶液の実際の流量に直接関連するバッグ重量の時間変化を提供する。実際に、コントロールユニットは、注入ラインの断面を知っており、したがって、対応するバッグの重量/重量の経時変化の測定値から、注入ラインを通る注入溶液の実際の流量を容易かつ非常に正確に計算することができる。任意で、第1パラメータは、経時的に測定される注入バッグ33の重量である。代わりとして、注入ライン上の流量計がセンシングエレメントとして使用されてもよい。
【0208】
最後に、正確さには欠けるが、ポンプ速度が注入ラインを通る流量を決定するために使用されてもよく、速度は、ホールセンサや、抵抗または電力消費などのポンプの電気パラメータに敏感なセンサなどの適切なセンサを通してモニタされる。
【0209】
図1に示されるように、装置1は、地面に載置され、装置1のすべての構成要素、すなわち、濾過ユニット2、血液回路、血液ポンプ10、透析回路、調製デバイス13、計量デバイス36、注入ライン34、注入ポンプ35、コントロールユニット50を収容するベースを提供する本体37を備えうる。計量デバイス36は重量計であり、輸液バッグ33を吊るすように構成されている。
【0210】
コントロールユニット50は、本体37に収容されている。注入ポンプ35および血液ポンプ10は、本体37に支持された蠕動ポンプである。各蠕動ポンプは、ロータに接続されたアクチュエータまたはモータ(図示せず)を備える。輸液ポンプ35のロータおよび血液ポンプ10のロータは、本体37の前面に配されている。
【0211】
血液回路および濾過ユニット2は、使い捨てであり(すなわち、それぞれの血液治療の後に配される)、本体37に取り外し可能に結合される。脱血ライン6のポンプセクションは、血液ポンプ10のロータに取り外し可能に結合される。注入ライン34は使い捨てであり、本体37に取り外し可能に結合される。注入ライン34のポンプセクションは、注入ポンプ35に取り外し可能に結合される。
【0212】
透析回路は、使い捨てではなく、各血液治療後に滅菌されるように構成される。透析液回路のチューブ、ポンプ、センサは、各治療後に交換されるように構成されておらず、保守目的のためにのみ、または、故障の場合にのみ交換されるように構成されている。したがって、透析回路は、本体36に集積され、本体37に固定される。透析ポンプ30は、排出液が交差する容積式ポンプであり、本体37内に取り付けられる。
【0213】
コントロールユニット50は、本体37に内蔵されている、または、支持されている。コントロールユニット50は、血液ポンプ10、計量デバイス36、注入ポンプ35、調整デバイス14の注入ポンプ22、23、24、濃度または導電率センサ26、27、28、第1流量計31、第2流量計32、液体チェック機構29、および、限外濾過デバイスの透析ポンプ30に接続されうる。コントロールユニット50は、計量デバイスを制御し、例えば、取得周波数1ヘルツで、瞬間の重量を測定する。コントロールユニット50はまた、本体37に搭載された表示画面38(図1)に接続されている。
【0214】
コントロールユニット50は、メモリ(または複数のメモリ)を有するデジタルプロセッサ(CPU)、アナログ型回路、または、1つ以上のデジタル処理ユニットと1つ以上のアナログ処理回路との組合せを備えうる。本明細書および特許請求の範囲において、コントロールユニット50は、ステップを実行するために「構成される」または「プログラムされる」ことが示され、これは、実際にはコントロールユニット50を構成またはプログラムすることを可能にする任意の手段によって達成されうる。例えば、1つ以上のCPUを備えるコントロールユニット50の場合に、1つ以上のプログラムが適切なメモリに格納され、コントロールユニット50によって実行されると、プログラムまたは命令を含むプログラムは、コントロールユニット50に、コントロールユニット50に関連して説明および/または特許請求されるステップを実行させる。代わりに、コントロールユニット50がアナログタイプである場合に、コントロールユニット50の回路は、使用時に、本明細書に開示されるコントロールユニット50のステップを実行するように電気的信号を処理するように構成された回路を含むように設計される。
【0215】
コントロールユニット50は、血液治療を実行し、血液治療中に患者に注入製剤を投与するために、センサおよび他の入力からの信号を受信し、信号に従ってポンプおよびバルブに命令するように構成される、または、プログラムされる。コントロールユニット50はまた、表示画面38にデータを表示するように構成される、または、プログラムされる。
図1
図2
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図10
【国際調査報告】