(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】鉄道網、または軌道上を走行する車両に関する測定データを作成するためのコンピュータ実装される方法
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20240417BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240417BHJP
【FI】
B61L25/02 G
G06Q50/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569699
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2022062446
(87)【国際公開番号】W WO2022238307
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521346494
【氏名又は名称】トラック マシーンズ コネクティッド ゲゼルシャフト エム.ベー.ハー.
【氏名又は名称原語表記】Track Machines Connected Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Regensburger Strasse 3, 4020 Linz, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マティアス レーナー
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン スタントナー
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB02
5H161CC13
5H161DD01
(57)【要約】
鉄道網、または軌道上を走行する車両に関する測定データを作成するためのコンピュータ実装される方法であって、車両または軌道に配置されているセンサを用いて測定値を求め、センサと通信しているセンサ計算ユニットによって、車両に配置されている計算ユニットから、時点tを記述する時間値および/または位置を記述する位置値および/または測定パターンが要求され、計算ユニットからセンサ計算ユニットに時間値および/または位置値および/または測定パターンが伝送され、センサ計算ユニットによって、測定値が、時間値もしくは位置値もしくは測定パターンに割り当てられ、これによって時間値および/または位置値および/または測定パターンが測定時点もしくは測定位置を記述し、測定値ならびに時間値および/または位置値および/または測定パターンを含む測定データがデータベースに格納される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道網、または軌道上を走行する車両に関する測定データを作成するためのコンピュータ実装される方法であって、
前記車両または前記軌道に配置されているセンサを用いて測定値を求める方法において、
前記センサと通信しているセンサ計算ユニットによって、前記車両に配置されている計算ユニットから、時点tを記述する時間値および/または位置を記述する位置値および/または測定パターンが要求され、前記計算ユニットから前記センサ計算ユニットに前記時間値および/または前記位置値および/または前記測定パターンが伝送され、
前記センサ計算ユニットによって、測定値が、前記時間値もしくは前記位置値もしくは前記測定パターンに割り当てられ、これによって前記時間値および/または前記位置値および/または前記測定パターンが測定時点もしくは測定位置を記述し、
前記測定値ならびに前記時間値および/または前記位置値および/または前記測定パターンを含む測定データをデータベースに格納する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記時間値を、たとえばNTP、PTP等のネットワークプロトコルに従って、または設定された時間フォーマットに従って作成する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記測定データは、統一された時間フォーマットを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記位置値は、軌道網における相対的な位置情報および/または絶対的な位置情報および/または関連する基準に従って定められた位置情報である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記測定パターンは、期間毎の測定値の算出に関する情報を含む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
時点tにおける基準時間値と前記時間値とを突き合わせ、前記時間値と前記基準時間値との間の時間差を、調整期間において行われる、前記時点tに後続する前記時間値の時間増分の変更によって最小化する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記時間増分の前記変更を、線形にまたは数学的な関数に従って行う、請求項6記載の方法。
【請求項8】
センサ識別が前記センサから前記センサ計算ユニットによって読み出され、前記センサ識別が前記計算ユニットに伝送される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
第1の測定値と第2の測定値とから、改善された測定値を作成し、前記改善された測定値は、前記第1の測定値と前記第2の測定値との平均値によって求められ、または前記第1の測定値と前記第2の測定値とを補間することによって求められ、かつ/または
第1のセンサによって、統一された時間フォーマットによって指定された時点で作成された測定値を含む第1の測定データと、第2のセンサによって、統一された時間フォーマットによって指定された時点で作成された測定値を含む第2の測定データとから、改善された測定データを作成し、前記改善された測定データは、前記第1の測定データと前記第2の測定データとの平均値によって求められる、または前記第1の測定データと前記第2の測定データとを補間することによって求められる、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
基準対象物を記述する基準測定データと前記測定データとを突き合わせ、類似度合いの特定の下で、前記測定データを基準対象物に割り当てる、または
基準対象物を記述する基準測定データと前記測定データとを突き合わせ、類似度合いの特定の下で、測定データを基準対象物に割り当てる、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の方法に関する。
【0002】
本発明は、鉄道網、または軌道上を走行する車両に関する測定データを作成するためのコンピュータ実装される方法に関し、ここでは、車両または軌道に配置されているセンサを用いて測定値を求める。
【0003】
鉄道網という用語は、実質的に、分岐器、架線、架線柱およびその他の設備と共に、軌道本体内に敷設されたレールおよび枕木を含む軌道本体と解することができる。鉄道網という用語には、軌道本体の周囲の環境も含まれ得る。鉄道網という用語の定義の問いに対する回答が可能な測定空間であってもよく、センサの周囲のこの測定空間は、センサによって求められた測定値によって記述可能である。
【0004】
車両という用語は、軌道上で移動可能である任意の車両を含む。車両は、たとえば機関車、貨車、検測車またはメジャリングホイールであってよい。
【0005】
車両が、軌道によって設定されていない経路上を移動できてもよい。車両は、たとえば、ドローン、飛行物体、または道路上を走行する自動車であってよい。
【0006】
センサは、軌道に位置固定されて配置されていても、車両に位置固定されずに配置されていてもよい。
【0007】
軌道に配置されたセンサは測定値を検出し、これらの測定値は、軌道の現在の状態または測定期間にわたった軌道の状態を記述する。軌道に配置されたセンサは、たとえば、軌道ならびにレール等の軌道の一部の変形および/または加速および/または力状態に関する測定値を求めることができる。車両に配置されたセンサは、たとえば、加速状態および/または動作状態に関する測定値を求めることができ、これはたとえば、車両ならびに車両の一部のエネルギ消費である。ここで例示的に挙げた測定値は、決して限定的なものとして理解されるべきではない。
【0008】
当業者は、軌道もしくは車両の所望の測定値、または軌道の一部もしくは車両の一部の所望の測定値を求めるために適切なセンサを選択することができる。
【0009】
本発明による方法は、基本的には、複数のセンサによって作成された測定値にも適用可能である。
【0010】
本明細書に開示される発明の技術的な課題は、同期化された測定値を作成するための方法を提供することである。本明細書に開示される発明の技術的な課題は、特に、時間および/または場所に関して同期化された測定値を作成するための方法を提供することである。これによって、これらの測定値が比較可能になる。この方法によって、測定場所への測定値の一義的かつ十分に正確な割り当てが可能になる。
【0011】
上述の技術的な課題は、請求項1によって解決される。本発明による方法の解決手段は、測定値が、唯一の時間値および/または位置値に結び付けられることである。この解決手段は、以降で説明する様々な様式で実現され得る。
【0012】
以降に示されている解決手段では、センサによって時点tで作成された測定値が、唯一の計算ユニットによって設定された唯一の時間値に結び付けられることが想定される。
【0013】
本発明による方法を複数のセンサに適用する場合、計算ユニットによって設定された唯一の時間値は、これらのセンサによって時点tで作成された測定値に結び付けられる。
【0014】
時点tを記述する唯一の時間値が存在するという説明は、本発明による方法では、時点tが唯一の時間値によって記述されることと理解される。時間値を、期間を記述するために、時間増分によって増大させることができ、この場合、各時点t+1で常に唯一の時間値だけが存在する。時点tが、ある唯一の時間値によって記述されるのに対し、別の時点t+1またはt-1は、別の唯一の時間値によって記述される。これらの唯一の時間値は、唯一の計算ユニットによって出力される。
【0015】
このことは、本発明によれば、センサと通信しているセンサ計算ユニットによって、車両に配置されている計算ユニットから、時点tを記述する唯一の時間値が要求され、計算ユニットからセンサ計算ユニットにこの時間値が伝送されることによって実現され、ここではセンサ計算ユニットにおいて、測定値に、時点tを記述する唯一の時間値が割り当てられ、これによって、この時間値が測定時点もしくは測定位置を記述し、この測定値および時間値を含む測定データがデータベースに格納される。
【0016】
本発明による方法の基本的な技術的な解決手段は、従来技術による方法とは異なり、個々のセンサによって設定されたセンサ時間値が、関連する時間値として処理されないことを想定している。従来技術では、これらのセンサ時間値は十分に正確ではない。なぜなら、従来技術によるこれらのセンサ測定値は、選択された、基本的に任意の、追跡不可能な時間値に結び付けられていない、またはセンサの動作に起因する変動の影響を受けるからである。
【0017】
特に、多数のセンサによる測定の実行時には、個々のセンサまたはセンサグループのセンサ時間値によって設定された、時点tを記述する多数のセンサ時間値の処理によって、同じ時点で実際に実行された測定値が、異なる時点で実行された測定値として方法に取り入れられてしまう。なぜなら、個々のセンサによって出力されるセンサ時間値が異なっているからである。
【0018】
本発明による解決手段では、測定値が、計算ユニットによって設定された、時点tを記述する唯一の時間値に結び付けられることが想定される。当業者は、この1つの計算ユニットを、場合によってはこの1つの計算ユニットから出力された時間値が十分に正確であるように設計することができる。個々のセンサ時間値の生成を十分に正確に構成することは、この計算ユニットから出力される唯一の時間値を十分に正確に構成することに比べて、複雑で、単に実行不可能なプロセスであろう。したがって、本発明による方法は、効率の技術的な作用を有する。
【0019】
本発明による方法の有利な作用の上述の説明は、実質的に、計算ユニットを備える車両に関する。この効率の技術的な作用は、別の意味において、複数の車両が存在し、各車両上に計算ユニットが配置されている場合にも得ることができる。たとえば車両が複数個の場合には、まさにこの数の計算ユニットだけが、時間値の十分に正確な出力が行われるように制御されればよいということによっても、有利な効率を得ることができる。個々の車両によって、もしくは個々の計算ユニットによって作成されたこれらの測定データは比較可能である。
【0020】
一般的な教示によれば、鉄道網における位置は、時間値tを介して特定可能である。時点tを十分正確に記述する唯一の時間値に測定値を結び付けることによって、測定位置を十分に正確に特定することが可能となる。場合によっては、位置の特定を、とりわけ時間値を用いて、従来技術による別の方法によって補足することができる。
【0021】
時間値と測定値との結び付けは、センサを制御するセンサ計算ユニットが、場合によっては唯一の時間値を計算ユニットから要求し、計算ユニットからセンサ計算ユニットへの唯一の時間値の伝送後に、この時間値を測定値に結び付けるように構成されていてよい。
【0022】
このようにして作成された測定値は、センサによって場合によって作成されるセンサ時間値から独立した値である。本発明による方法の後に続く方法は、計算ユニットによってのみ、設定された時間値が処理されるという特徴を有し得る。
【0023】
計算ユニットによる唯一の時間値の出力および測定値と唯一の時間値との結び付けによって、これらの測定値の同期化が可能である。
【0024】
1つのセンサを考慮する場合には、複数の時点を含んでいる期間の個々の時点における複数の測定値の同期化が可能である。
【0025】
複数のセンサを考慮する場合には、第1のセンサによって求められた第1の測定値を求めることと、第2のセンサによって求められた第2の測定値を求めることとを同期させることが可能である。さらに、唯一の時間値によって記述された時点tで求められている第1の測定値と第2の測定値とを比較することが可能である。
【0026】
本発明による方法はさらに、測定値と共にセンサ時間値を出力するセンサに限定されない。本発明による方法は、センサ時間値を出力するセンサの特性に関連せずに実施可能である。
【0027】
一般的な教示によれば、測定値の他にセンサ時間値も出力するセンサが公知である。発明者の視点によれば、まさにこのセンサ時間値が、鉄道固有の用途の処理には十分正確ではなく、したがって、測定値と、計算ユニットによって作成された時間値とを結び付けることが提案される。センサによって作成されるセンサ時間値は、基本的に、本発明による方法が適用される場合には重要ではない。このセンサ時間値は、本発明による方法の実施時には消去されてよい。しかし測定データは、センサ時間値も含んでいてよい。
【0028】
本発明による方法は、場合によっては、高い効率という点において優れている。個々のセンサ時間値が同期されるのではなく、測定値が、計算ユニットによって中央で設定され、時点tを記述する唯一の時間値に結び付けられるので、これらのセンサ時間値の同期化のステップを省くことができる。
【0029】
本発明による方法の有利な作用を、路線網における車両の位置特定の例に即して説明する。当業者であれば、この有利な作用を、位置特定のためのセンサとは異なるセンサにおける適用によっても得ることができ、これによって、これらの異なるセンサの動作に対してもこの有利な効果を得ることができる。
【0030】
一般的な教示によれば、路線網における車両の位置を、複数のセンサによって特定することができる。個々のセンサを介して求められた個々の位置値、または個々の測定値から導出可能な個々の位置値の突き合わせが、従来技術による方法の適用の下で行われ、これによって、車両の位置を十分に正確に特定することができる。しかし、これらの方法は、本明細書で論じられる方法の発明者の視点では十分に正確ではない。なぜなら、従来技術によるこれらの方法は全て、個々のセンサの個々のセンサ時間値の使用の下での位置特定に基づいているからである。個々のセンサ時間値は、発明者の経験によれば、時間差を有しており、これらの時間差は、従来技術による位置特定の方法を不正確にする。
【0031】
車両の位置特定のための本発明による方法の可能な適用は、位置特定のためのセンサによって求められた測定値に、計算ユニットによって設定された唯一の時間値が割り当てられることである。したがって、複数のセンサによってまたは1つのセンサによって求められた、位置特定のための全ての測定値に唯一の時間値が割り当てられる。本明細書の説明を参照すると、唯一の時間値のこの割り当ては、本発明による方法において唯一の時間値によってのみ規定されている時点tでの測定値の作成も含む。
【0032】
センサの使用時には、この1つのセンサを用いて、計算ユニットによって設定された時点t,t+n(ただしn=1,2,3...)で測定値が求められることが保証される。複数のセンサが使用される場合に、上述の時間差が阻止される。
【0033】
本発明による方法の適用時に、車両の位置特定を、より正確に実行することができる。
【0034】
本発明による解決手段は、センサと通信しているセンサ計算ユニットによって、車両に配置されている計算ユニットから、位置を記述する唯一の位置値が要求され、計算ユニットからセンサ計算ユニットにこの位置値が伝送されることによって得られ、ここではセンサ計算ユニットにおいて、測定値が位置値に割り当てられ、これによって、この位置値が測定位置を記述し、この測定値ならびに時間値および/または位置値および/または測定パターンを含む測定データが格納される。
【0035】
一般的な教示によれば、種々異なる形態の位置データを供給する、鉄道網における位置を特定するための様々な方法が公知である。位置データを求めることは、本発明による方法の一部ではない。ここでは、関連する従来技術を参照されたい。
【0036】
上述の唯一の時間値に類似して、唯一の位置値は唯一の位置を記述する。さらなる唯一の位置値は、さらなる唯一の位置を記述する。
【0037】
唯一の時間値と同様に、測定値を、計算ユニットによって設定された唯一の位置値に結び付けることができる。これによって、本明細書に開示された発明の根底を成す上述の問題は、同様の様式で解決される。
【0038】
ユーザは、1つの測定値または複数の測定値を唯一の時間値もしくは唯一の位置値に結び付ける上述の方法をまとめて見ることができる。このようにして作成された測定データは、1つの測定値または複数の測定値、時間値および位置値を含んでいてよい。
【0039】
1つの測定値または複数の測定値と、唯一の時間値との上述の結び付けは、唯一の時間値によって記述された時点tで求められた測定値に、この唯一の時間値が割り当てられるように構成されている。これに対して付加的または択一的に、位置を記述する唯一の位置値を、1つの測定値または複数の測定値に割り当てることができる。
【0040】
一般的な教示によれば、時点t1,t2...tn(ただしn=1,2,3...)で、または測定位置において測定値を求めることは、測定パターンによって記述可能である。
【0041】
本発明による解決手段は、センサと通信しているセンサ計算ユニットによって、車両に配置されている計算ユニットから、唯一の測定パターンが要求され、計算ユニットからセンサ計算ユニットにこの測定パターンが伝送されることによって得られ、ここではセンサ計算ユニットにおいて、測定値が測定パターンに割り当てら、これによって、この測定パターンが測定時点または測定位置を記述し、この測定値ならびに時間値および/または位置値および/または測定パターンを含む測定データが格納される。
【0042】
測定パターンは、どの時点t1,t2...tn(ただしn=1,2,3...)で、かつ/またはどの場所で、センサによって測定値が求められたかの情報を含んでいてよい。計算ユニットによる唯一の測定パターンの中央設定によって、1つのセンサによる1つの測定値または複数のセンサによる複数の測定値が、唯一の測定パターンに従ってのみ作成されることが達成される。このことには、測定データのみが、データベース内に格納されることが含まれ、この測定データは、唯一の測定パターンに従って作成された1つの測定値または唯一の測定パターンに従って作成された複数の測定値のみを含む。
【0043】
上述の説明は、唯一の時間値および/または唯一の位置値および/または唯一の測定パターンが、センサ計算ユニットによって、計算ユニットから照会される方法ステップを含む。この方法ステップを、省くこともできる。
【0044】
従来技術による方法を用いて、軌道上に存在する車両の位置を、時間値および/または位置値を介して十分に正確に特定することができる。計算ユニットの位置の特定は、まさにこの計算ユニットを介して車両の位置の特定が行われ、処理された時間値が十分に正確である場合に、特に十分に正確に求めることが可能であってよい。後者は、計算ユニットによる時間値の出力によって達成可能であり、これによって生成可能である。計算ユニットによる、唯一の時間値および/または唯一の位置値および/または唯一の測定パターンの設定およびさらなる計算ユニットによる位置特定は、動作変動または使用される計算ユニット間のレイテンシが生じ得るため、回避が容易な不正確さをもたらす場合がある。
【0045】
本発明による方法は、センサの位置ひいては測定が実行される測定位置が十分に正確に特定可能であるという技術的な効果を有する。なぜなら、この位置特定は、計算ユニットによって出力された値または数学的な関数を介して、特に計算ユニットによって出力された時間値および/または位置値および/または測定パターンを介して行われるからである。
【0046】
計算ユニットによって設定された時間値および/または位置値および/またはパターンは、センサのタイミング制御に関連しない。
【0047】
本発明による方法は、時間値が、たとえばNetwork Time Protocol(NTP)、Precision Time Protocol(PTP)等のネットワークプロトコルに従って、または設定された時間フォーマットに従って作成されるという特徴を有し得る。
【0048】
唯一の時間値は、種々異なる時間フォーマットで存在していてよく、この場合、唯一の時点は、種々異なるフォーマットにおいて、計算ユニットによって中央で設定される。上述した、時間値を要求するステップは、センサ計算ユニットが、必要な時間フォーマットでの時間値を要求することを含意している。
【0049】
本発明による方法は、測定データが統一された時間フォーマットを含むという特徴を有し得る。
【0050】
これらの測定データは、時間値と共に上述のフォーマットで格納され得る。測定データに含まれる時間フォーマットを、統一された時間フォーマットに変換することは、本発明による方法の上述の作用には影響しない。なぜなら、時間値は、時間フォーマットの変更によって変更されないからである。
【0051】
本発明による方法は、位置値が、軌道網における相対的な位置情報および/または絶対的な位置情報および/または関連する基準に従って定められた位置情報であるという特徴を有し得る。
【0052】
本発明による方法は、測定パターンが、期間毎の測定値の算出に関する情報、または測定値が求められた測定場所の情報、または車両が進んだ距離区間における測定値の算出の情報を含むという特徴を有し得る。
【0053】
測定パターンは、測定値がどの時間値および/またはどの位置で求められたかの数学的な関数を含んでいてよい。この場合、この時間値および/または位置は、計算ユニットによって中央で設定される。唯一の時間値もしくは1つの位置が存在する。
【0054】
本発明による方法は、時点tにおける基準時間値と唯一の時間値とを突き合わせ、場合によってはこの時間値とこの基準時間値との間の時間差を、調整期間において行われる、時点tに後続する時間値の時間増分の、数学的教示に従った連続的な変更によって最小化するという特徴を有し得る。
【0055】
時間値と基準時間値との突き合わせ、さらには時間値と基準時間値との整合という、本明細書で提案された方法を、基本的には、1つの測定値または複数の測定値を、唯一の時間値もしくは唯一の位置値もしくは唯一の測定パターンと上述のように結び付けることに無関係に実施することができる。時間値と基準時間値との突き合わせ、さらには時間値と基準時間値との整合という方法を、独立した方法として実施することができる。
【0056】
基準時間値は、たとえば原子時計によって規定されていてよい。原子時計は、一般的な教示に従って、データ通信手段を介して問い合わせ可能であってよい。このような問い合わせは、鉄道網の全ての場所において可能であるわけではないので、時間値と原子時間との間の永続的な突き合わせは不可能である。したがって、時間差が発生し得る。調整期間における時間値の整合を、以降の図面の説明において、図面に基づいて説明する。
【0057】
本発明による方法は、時間増分の変更が、線形にまたは数学的な関数に従って行われるという特徴を有し得る。ここでは、従来技術による方法が適用可能である。
【0058】
本発明による方法を、センサ識別がセンサからセンサ計算ユニットによって読み出され、このセンサ識別が計算ユニットに伝送されることによって、上述の、同期された測定値を作成するための方法とは無関係に特徴付けることもできる。
【0059】
センサ識別の読み出しおよび計算ユニットへのセンサ識別の伝送は、独立した方法として実行可能である。これによって、権限のない人によってセンサが交換されることを阻止することができる。
【0060】
本発明による方法は、第1のセンサによって求められた第1の測定値と、第2のセンサによって求められた第2の測定値とから、改善された測定値を作成し、この改善された測定値が、第1の測定値と第2の測定値との平均値によって求められる、または第1の測定値と第2の測定値とを補間することによって求められる、という特徴を有し得る。
【0061】
本発明による方法は、第1のセンサによって、統一された時間フォーマットによって指定された時点で作成された測定値を含む第1の測定データと、第2のセンサによって、統一された時間フォーマットによって指定された時点で作成された測定値を含む第2の測定データとから、改善された測定データを作成し、この改善された測定データが、第1の測定データと第2の測定データとの平均値によって求められる、または第1の測定データと第2の測定データとを補間することによって求められるという特徴を有し得る。
【0062】
上述の第1のセンサと上述の第2のセンサとは、異なるセンサであってよい。
【0063】
上述の第1のセンサと上述の第2のセンサとは、たとえば異なる時点で測定値を求める同じセンサに関連し得る。公知の方法を参照すると、特に較正走行において、第1のセンサと第2のセンサとは同じセンサに関連し得る。
【0064】
上述の方法ステップは、第1の測定値または第1の測定データを第2の測定値または第2の測定データと比較することにも関連していてよく、ここではこれらの測定値または測定データは、種々異なる測定方法または測定システムを介して特定される。
【0065】
基本的には、第1の測定データと第2の測定データとから改善された測定データが作成され、ここでは、第1の測定データと第2の測定データとの間の、場合によって存在する差が、従来技術から公知の数学的な手法に従って補間もしくは平滑化される。このような数学的な平滑化の最も単純な形態は、個々の測定値を考慮することなく、2つの測定値から平均値を形成することである。この平均値形成を、第1の測定値の第1の重み付けのぶんおよび第2の測定値の第2の重み付けのぶんだけ補足することができる。
【0066】
本発明による方法は、基準対象物を記述する基準測定値と測定値とを突き合わせ、類似度合いの特定の下で、測定値を基準対象物に割り当てるという特徴を有し得る。
【0067】
上述の測定値という用語を、ある時点での1つの測定値または複数の測定値として理解することができ、かつ/またはある期間における測定値の時間的な展開または場所的な展開として理解することができる。ある期間における測定値の時間的な展開または場所的な展開は、一般的な教示の適用の下で求めることができる数学的な関数を用いて記述可能である。
【0068】
本発明による方法は、1つの測定値または複数の測定値に、中央で設定された1つの時間値または中央で設定された1つの位置値を割り当てる(またはその逆)という特徴を有し得る。本発明による方法は、複数の測定値を、中央で設定された複数の時間値または中央で設定された複数の位置値に割り当てる(またはその逆)という特徴を有し得る。
【0069】
1つの時点または複数の時点または位置に割り当てられた測定値は、少なくとも、言及された割り当てに関してより正確である。求められた測定値まで、生じ得る不正確さが低減される。
【0070】
これに相応して、基準測定値を、基準時点で求められた基準測定値および/または基準期間における基準測定値の時間的な展開または場所的な展開として理解することができる。基準期間における基準測定値の時間的な展開または場所的な展開も、一般的な教示の適用の下で記述可能である。
【0071】
したがって、測定値と基準測定値との各突き合わせ、もしくは測定データと基準測定データとの各突き合わせがより正確となる。
【0072】
鉄道産業においては、基準時間値の時間的な展開および/または場所的な展開を伴う測定値の時間的な展開および/または場所的な展開が、例示的に、したがって限定ではなく、鉄道網における対象物の位置特定時に適用される。たとえば、軌間に関する測定値の時間的な展開および/または場所的な展開と、対応する基準測定値との突き合わせを介して、位置特定を実行することができる。軌間に関する上述の測定値はここでは、単に例示的に、限定ではなく、位置特定に適している測定値として挙げられている。軌間に関する測定値に対して付加的または択一的に、一般的な教示に従って、GPS信号等の測定値も使用され得る。
【0073】
時間値を上述のように中央で設定することによって、必要な測定値を1つの時点においてより正確に求めることができる。さらに、測定値の時間的な展開および/または空間的な展開をより正確に求めることができる。基準測定値と測定値との比較に基づいた方法に基づく、位置特定等の後続の方法を、全体的により正確に実施することが可能である。なぜなら、測定値の算出が不正確さの影響を受けることがより少なくなるからである。
【0074】
上述の説明は、測定値および基準測定値に関するものである。当業者は、この説明を、測定データおよび基準測定データの処理にも適用することができる。
【0075】
本発明による方法はさらに、基準対象物を記述する基準測定データと測定データとを突き合わせ、類似度合いの特定の下で、測定データを基準対象物に割り当てるという特徴を有し得る。
【0076】
上述の定義によれば、測定データは、測定データが、1つまたは複数の測定値の他に、時間値および/または位置値および/または測定パターンを含んでいるという点で、測定値とは異なっている。
【0077】
本発明を、図示した以降の実施形態に基づいて付加的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】本発明による方法を実施するための車両における配置構成を示す図である。
【
図2】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
【
図3】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
【
図4】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
【
図5】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
【
図6】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
【
図7】本発明による方法の技術的な作用を示す図である。
【
図8】本発明による方法のさらなる実施形態を示す図である。
【0079】
図示されている実施形態は、可能な実施形態を示しているに過ぎず、ここでは、本発明が、特別に図示されたこれらの実施変形例自体に限定されているのではなく、個別の実施変形例同士の組み合わせおよび実施形態と上述した一般的な説明との組み合わせも可能であるということに留意されたい。これらの別の可能な組み合わせに、明示的に言及する必要はない。なぜなら、これらの別の可能な組み合わせは、本発明による技術的行為の教示に基づいて、この技術分野に従事する当業者の能力の範囲内にあるからである。
【0080】
保護範囲は、特許請求の範囲によって特定されている。しかし明細書および図面が、特許請求の範囲の解釈のために考慮されるべきである。図示されかつ記載された種々異なる実施形態の個々の特徴または特徴の組み合わせは、それ自体独立した発明的な解決手段であり得る。独立した発明的な解決手段の基礎を成す課題は、明細書に記載されている。
【0081】
これらの図において、以降の要素には、その前に記載された参照符号が付けられている:
1 計算ユニット
2 (割り当てなし)
3,4,5 車両におけるセンサ
6 軌道におけるセンサ
7 軌道
8,9 従来技術による測定値に関するグラフ
10,11 本発明による方法に即した測定値に関するグラフ
12,13 基準グラフ
14 期間
【0082】
本発明による、軌道加工機械に基づく測定データを作成するための方法が示される。この方法において処理された測定値は、鉄道網または軌道上を走行する車両を記述する。車両に配置されたセンサ3,4,5または軌道7に配置されたセンサ6によって測定値を求めることができる。
【0083】
図1では、例示的にセンサ3,4,5が車両に配置されている。車両に配置されたセンサ3,4,5は、たとえば、軌道網内の車両の位置特定に関連する測定値を求めることができる。以降の説明において、車両の位置特定に関連する測定値を求めるためのセンサについて言及する場合も、センサは、装置の一部の相対位置または絶対位置を特定するための測定値の算出にも、車両における(部分)装置の制御に取り入れられる測定データを供給することができる。本発明による方法は、関連する測定値またはこのようなセンサの位置特定に限定されない。
【0084】
本発明による方法は、軌道7に配置されたセンサ6にも適用可能である。
【0085】
本発明による方法は、鉄道産業において関連する測定値を特定するための従来技術によるセンサに適用可能である。
【0086】
センサと通信しているセンサ計算ユニット(
図1には図示せず)によって、車両に配置されている計算ユニット1から、時点tを記述する時間値が要求される。もっぱら、本発明による方法において時点tを記述する唯一の時間値が、計算ユニット1からセンサ計算ユニットに伝送される。センサ計算ユニットを用いて、センサ3,4,5によって作成された測定値が時間値に割り当てられる。さらに、上述の説明に即して測定データを求めることができる。
【0087】
センサ3は、たとえば、車両が進んだ距離区間を求めるためのセンサである。一般的な教示によれば、進んだ距離区間から、軌道網における車両の位置を計算することができる。
【0088】
センサ4は、たとえば軌間を求めるためのセンサである。軌間の時間的変化は、従来技術によれば、車両の位置特定のための入力パラメータであり得る。
【0089】
センサ5はGPSセンサであり、このGPSセンサは、GPS信号の可用性に関連して、車両の位置特定を可能にする。
【0090】
一般的な教示によれば、例示的に述べた上述の測定値から、かつ/またはこれらの測定値の時間的な展開から、時点tでの車両の位置を特定することができる。しかし、これは、個々の測定信号が実際に唯一の時点tで求められることを前提とする。本発明による方法は、このことを、もっぱら、本発明による方法において時点tを記述している唯一の時間値の作成によって達成する。もっぱら、この時間値を記述する時間値で測定値を作成することおよびこの測定値をこの唯一の時間値に結び付けることによって、測定値の作成の時間差が阻止される。
【0091】
図2は、本発明による方法の可能な実施形態を示している。
図2には、本発明による方法を実施するための重要な構成要素も記入されている。
【0092】
本発明による方法を実施するための構成要素の配置構成は、測定値を求めるための少なくとも1つのセンサと、センサ計算ユニットと、計算ユニットとを含む。
図2には、言及された構成要素の基本的な構造と基本的な配置構成とだけが示されている。本発明の開示は、言及された構成要素が、1つまたは複数の電子技術的な構成部分にも統合され得ることを排除するものではない。
【0093】
軌道または車両の状態を記述する測定値が、センサによって求められる。ユーザは、本発明による方法を実施するために、従来技術によるセンサを使用することができる。
【0094】
センサは、たとえば車両に配置されていてよく、車両または鉄道網の状態に関する測定値を求めることができる。同様に、センサは軌道に配置されていてよく、まさしくそこに配置されているセンサとして、鉄道網、特に路盤または車両の状態に関する測定値を求めることができる。
【0095】
少なくとも1つの測定値と、場合によってセンサ時間値とが、センサ計算ユニットに伝送される。センサが車両に配置されている場合には、センサ計算ユニットが同様に車両に配置された後で、このデータ伝送は、好適には、限定ではなく、ケーブル接続されたネットワークを介して行われる。センサが軌道に配置されている場合には、このデータ伝送は、好適には無線を介して行われ、とりわけケーブル接続によるデータ伝送は実行不可能である。データ伝送の使用される形態および経路、特にケーブル、スイッチ等のようなケーブル接続によるデータ伝送形態は、好適には、データ伝送経路の間でレイテンシを阻止するために規格化されている。基本的に、当業者は、自身の専門知識によって、適切なデータ伝送手段を確立し、確立されたデータ伝送がレイテンシのような障害の影響をあまり受けないように設計することができる。
【0096】
本発明による方法は、測定値に対して付加的に、センサ時間値を供給するセンサの使用またはセンサ時間値を供給しないセンサの使用を可能にする。センサ時間値を供給することができるセンサの特性は、本発明による方法にとっては重要ではない。
【0097】
本発明による方法は、センサ計算ユニットが、計算ユニットから時間値を要求する方法ステップを含み得る。この要求の際に、照会された時間値の特性が規定され、したがってこの時間値は、さらなるデータ処理のために必要な時間フォーマットで存在している。これは、通信プロトコル、たとえばNetwork Time Protocol(NTP)またはPrecision Time Protocol(PTP)の定義に関する一般的な教示に従って行われる。
【0098】
計算ユニットから、必要な通信プロトコルの考慮の下で、時間値がセンサ計算ユニットに伝送される。伝送されたこの時間値は、本発明による方法の実施の際に、唯一の関連する時間値である。本発明による方法の実施の際に、さらなる時間値が関連する様式で処理されることはない。すなわち、たとえばセンサ時間値等のこれらのさらなる時間値は、さらなる方法ステップに影響を与えず、特に、本発明による方法によって達成可能な、測定値の同期化に対して重大な影響を与えない。
【0099】
計算ユニットは、センサ計算ユニットによって要求された通信プロトコルにおいて、計算ユニットが時間値を供給するように制御されていてよい。時間値の特性は、各照会に整合させられていてよい。
【0100】
計算ユニットが、固定的なフォーマットにおいて、計算ユニットが時間値を供給するように制御されていてもよい。
【0101】
センサ計算ユニットにおいて、測定値が時間値に結び付けられる。ここから作成された測定データが計算ユニットに伝送され、場合によってはデータベースに格納される。
図2には、データベースは記入されていない。
【0102】
計算ユニットは複数のユニットを含んでいてよく、これらのユニットは、相互に個別のタスク(パターン、データベース、...)を有している。
【0103】
さらなる時間値の存在に関する上述の説明に関連して、測定データが基本的にセンサ時間値を含み得ることに留意されたい。しかし、センサ時間値は、本発明による方法または後続の方法の基本的な実施の際に、もはや関連していない。これらの方法を、さらなる時間値であるセンサ時間値を用いずに実施することもできる。
【0104】
センサ時間値等のさらなる時間値は、本発明による方法の実施の際に重要ではないので、センサ時間値を消去することができる、または測定データが測定値と時間値とだけを含むように測定データを構成することができる。
【0105】
図2は配置構成を示しており、この配置構成では、1つのセンサ10のみがセンサ計算ユニット1に接続され、1つのセンサ20のみがセンサ計算ユニット2に接続されている。この例示的な配置構成は、各センサ計算ユニットを備えた多数のセンサの配置構成を排除するものではない。この意味では、多数のセンサ計算ユニットが1つの計算ユニットに接続されていてもよく、これらのセンサ計算ユニットが同様に、1つのセンサまたは複数のセンサに接続されている。
図2は、2つのセンサ計算ユニットと1つの計算ユニットとの接続を例示的に示している。
【0106】
一般的な教示によれば、センサは、特に通信プロトコルによって定められているように、種々異なるフォーマットにおける時間値を必要とし得る。
図2を参照すると、センサ10の測定値の処理にはNTPフォーマットにおける時間値が必要であり、他方でセンサ20の測定値の処理にはPTP時間値が必要である。ここで挙げた時間プロトコルは、単に例示的なものであると理解されたい。概して、センサの測定値の処理は、設定された時間フォーマットを必要とし得る。時間値は、要求されたフォーマットで、計算ユニットにおいて作成され、センサ計算ユニットに伝送される。
【0107】
測定データは、統一された時間フォーマットを含んでいてよい。測定値と、異なる時間フォーマットにおいて存在し得る唯一の時間値との結び付けによって、測定データを、統一された時間フォーマットで格納することが可能になる。
【0108】
時間値を問い合わせる方法ステップは、一般的な説明において上で説明したように、省かれてよい。本発明の開示の枠内において、測定値が割り当てられる時間値が、中央の計算ユニットによって設定されることも可能である。この設定は、たとえば、タイミング制御または測定パターンまたは多数の時間値であってよい。
【0109】
タイミング制御とは、ある期間における複数の測定値を求めることであると理解される。測定パターンの場合、ある期間における複数の測定値が数学的な関数を用いて示される。
【0110】
図3は、本発明による方法の1つの実施形態を示しており、この方法では、センサ計算ユニットが、時間値を問い合わせることはない。
【0111】
上述の説明は、期間毎の測定値の算出に関するものである。同様に、距離区間当たりの測定値の算出が規定可能である。距離区間当たりの測定値の算出は、たとえば距離メジャリングホイールまたは別のセンサならびに位置特定システムによって規定可能である。
【0112】
図4は、本発明による方法のさらなる実施形態を示している。
図4に基づいて示された方法の実施可能性は、場合によっては複数のセンサからの測定値と唯一の時間値との上述の結び付け(
図2を参照されたい)に限定されるものではない。
図4に示された方法を、場合によっては複数のセンサからの測定値を唯一の時間値に結び付ける上述の方法の生じ得る有利な作用とみなすことができる。
図4において説明された方法は、独立した方法としても実施可能である。
【0113】
時間値が計算ユニットによって作成される。しかし、計算ユニットによって出力される時間値が、たとえば原子時計時間等の基準時間と異なる場合がある。ユーザは、時間値と基準時間値との突き合わせによって、このような時間差を阻止するという、ここで生じる課題を解決することができる。好適には、この突き合わせは、時間差の発生を阻止するために永続的に実行される。しかしこのような突き合わせは、計算ユニットと、基準時間を作成するユニットとの間のデータ接続を必要とし、これは鉄道産業においては極めて限定的にしか存在していない。このようなデータ接続は、たとえばトンネル内では存在していない。
【0114】
図4は、計算ユニットによって設定された時間値がx軸にプロットされており、基準時間値がy軸にプロットされている線図を含む。時間値と基準時間との間の時間差を表すグラフは、ゼロ点を通る時間差が存在しない場合に推移し、1:1の勾配を有する。
【0115】
図4に示されている方法を以降のフェーズに分けることができ、ここでは、全てのフェーズが本発明による方法の一部であるわけではない。
【0116】
フェーズ1では、基準時間値と時間値とが一致する。グラフ(またはその線)は、ゼロ点を通って延在し、1:1の勾配を有する。
【0117】
フェーズ2では、基準時間値と時間値との間に時間差が発生する。グラフ(実線)は、基準時間値と時間値との一致を示している破線から偏差している。
図4に示した方法では、時間値が基準時間値と比べて、より短い時間増分で増える。それゆえ、このグラフは、フェーズ2において、破線の下方に延在している。このグラフは、フェーズ2において、破線と比べて、より小さな勾配を伴って延在している。
【0118】
たとえば、フェーズ2において、時間値を出力する計算ユニットと、基準時間を出力するユニットとの間にデータ接続線が存在しておらず、したがって、時間差が確認することができないことが仮定される。フェーズ2からフェーズ3への移行時に、この時間差を確認することができる。この時間差は、
図4において、破線からのグラフの間隔によって示されている。
【0119】
フェーズ3では、時間値が、本発明による方法の適用の下で、「スライド式」で、基準時間に整合させられる。この「スライド式の」整合を、一般的な教示に従った方法の適用の下で行うことができる。例示的に、限定ではなく、ここでは、たとえばウェブサイトhttp://www.ntp.org/に記載されている方法RFC5905が挙げられる。フェーズ3に続くフェーズ4は、唯一の時間値が基準時間と一致することを特徴とする。
【0120】
本発明による方法の有利な効果は、次のようにも説明される。従来技術による方法は、個々のセンサによって求められた測定値を、個々のセンサ時間値に結び付けることに基づいている。各個々のセンサ時間値は、基準時間に対する時間差を有することがあるため、個々のセンサの個々の時間値を、上述の方法に類似する個々の単独の方法によって整合させる必要がある。多数のセンサの場合、かつ種々異なる時点で多数の時間差が発生する場合、基準時間値へのセンサ時間値の多数の整合を実行しなければならず、したがって、当業者はもはやこの整合を追跡することはできない。
【0121】
これとは異なり、本発明による方法の適用時には、唯一の時間値を基準時間に整合させるだけでよい。従来技術による上述の方法とは異なり、この整合は追跡可能である。
【0122】
図5および
図6は中央の計算ユニットによって設定された唯一の時間値に結び付けられる、センサによる測定値の作成のための方法を示している。唯一の時間値によって規定された時間に関する、センサ計算ユニットとセンサとの間の通信が示される。ここでは、唯一の位置値によって規定された位置に関する、センサ計算ユニットとセンサとの間の通信は類似のものであるとみなされる。
【0123】
図5については、以降のように述べられる。
図2に示され、かつ上述されたように、センサ計算ユニットは、唯一の時間値(もしくは位置値)を受け取る。センサ計算ユニットは、センサに、この唯一の時点で(もしくはこの唯一の位置値で)測定値を求め、この測定値をセンサ計算ユニットに伝送するように命令を出力する。センサ計算ユニットにおいて、求められた測定値が、場合によっては測定データの作成の下で、唯一の時間値(もしくは唯一の位置値)に結び付けられる。
図5に示されているこの方法は、測定値の算出の設定されていないタイミング制御を伴うセンサの使用に基づいている。
【0124】
図6は、測定値の算出の設定されたタイミング制御を伴うセンサの使用に着目している。センサ計算ユニットは、時点T1で測定値を作成するように命令を与える。タイミング制御と時点T1とは一致しているので、センサは、時点T1と等しい時点t1で測定値を求め、計算ユニットに伝送することができる。
【0125】
しかし、タイミング制御と時点T2とが一致しない可能性もある。それにもかかわらず、命令に即して測定値が求められるべき時点T2と同じ時点t2で測定値を作成するために、時点t2で仮想的に作成された測定値が計算ユニットに伝送される。時点t2において仮想的に作成された測定値は、t2に等しい時点T2を含んでいる期間において求められた複数の測定値から平均された測定値または補間された測定値である。
図6には、例示的に、時点t2.1またはt2.2において作成された測定値が記入されており、ここでは時点t2.1およびt2.2はこの期間内に含まれている。
【0126】
さらに、1つの測定値および1つの時間値から、この測定値およびこの時間値を含んでいる測定データを作成することができる。
【0127】
図7はとりわけ、求められた測定値と基準測定値との突き合わせの枠内における、本発明による方法の技術的な作用を示している。
【0128】
図7は3つの線図を含む。線
図3は、従来技術による方法を用いて求められた測定値の時間的な展開を示している。x軸には時間がプロットされ、y軸には測定値がプロットされており、この原理は、線
図1および線
図2においても当てはまる。線
図3は2つのグラフ8,9を含み、これらのグラフは、従来技術の方法によって求められた測定値を時間の関数として表している。
【0129】
上で詳しく示したように、従来技術による方法では、実際には唯一の時点が、異なる時間値によって記述されるという技術的な問題が存在する。この問題は、この線図において、時間軸であるx軸における、グラフ8,9の時点t1の異なる時間的な位置によって示されている。
【0130】
図7の線
図2は、本発明による方法の適用の下で、特に、時点t1を記述する唯一の時間値の割り当てによって作成された測定値の時間的な展開を示している。本発明による方法は、時点t1が唯一の時間値によって記述され、この唯一の時間値だけが測定値に割り当てられるという技術的な効果を有している。このことは、
図7の線
図2において、グラフ10,11の時点t1が、時間軸であるx軸の同じ位置に割り当てられている形で示されている。
【0131】
線
図1は、基準測定値としてグラフ12,13を含む。
【0132】
従来技術による複数の時間値による時点t1の記述の生じ得る技術的な作用は、ある期間14のグラフ8,9を、この期間の基準グラフ12,13に割り当てることができないということであり得る。グラフ8,9が、たとえばGPS信号、軌間等の、位置を記述するための測定値の時間的な展開に関するケースでは、車両の位置特定が困難になってしまう、またはまったく行われない、または場合によっては不正確になってしまうおそれがある。基準グラフ12,13の経過において、グラフ8,9が高い類似度合いで2つの基準グラフ12,13と類似する単一の期間を見つけることはできない。
【0133】
実験によって、本発明による方法の適用の下で求められた測定値のグラフ10,11を、許容可能なコストで、基準グラフ12,13と突き合わせることができることが示された。既に述べた、グラフ10,11が位置特定のための測定値を記述するケースにおいて、車両は充分に正確に位置特定可能である。
【0134】
グラフ8,9と基準グラフ12,13との突き合わせの下での位置特定は、グラフ8の時点t1とグラフ9の時点t1との間の時間差が最小化される場合にのみ効果的に行われ得る。このような時間差を最小化するプロセスは、たとえば、このような時間差の識別も含む。この識別だけでは不正確さの影響を受けてしまい、この不正確さは、後続の突き合わせに影響を与える。
【0135】
図7の上述の説明は、時間の関数としての、測定値もしくは基準測定値の表示に向けられている。当業者は、この説明を、位置の関数としての測定値の表示にも適用することができる。
【0136】
図2および
図3に対して付加的に、本発明による方法の、
図8に示されている実施形態を参照されたい。この実施形態は、基本的に、
図2および
図3に示されている実施形態に類似している。
【0137】
本発明の開示の意味では、センサ10、センサ計算ユニット1および計算ユニットが、構成要素として形成されていてよい。センサ10は、測定値およびセンサ時間値をセンサ計算ユニット1に伝送する。センサ計算ユニット1は、測定データの形態の測定値と、時間値としてのセンサ時間値とを計算ユニットに伝送する。
【0138】
中央の計算ユニットは、センサ時間値から求められた時間値をセンサ計算ユニット2に伝送する。この方法ステップを、時間値の問い合わせの結果として実行することができ、時間値の問い合わせは、上記で十分に詳細に説明されているように、必ずしも必要ではない。
【0139】
図8に示されている方法は、上述の方法と、時間値がセンサ時間値に基づいて作成されるという点において異なっている。
【国際調査報告】