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特表2024-518086能動植込み型医療機器からの情報の管理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】能動植込み型医療機器からの情報の管理
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20240417BHJP
【FI】
G16H10/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570148
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 EP2022062848
(87)【国際公開番号】W WO2022238512
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】21305613.8
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523427803
【氏名又は名称】インプリシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジェンティル,マリカ
(72)【発明者】
【氏名】ダヌーン,カイッサ
(72)【発明者】
【氏名】クラース,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】パールムッター,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ロジエ,アルノー
(72)【発明者】
【氏名】デュランド,ジュリアン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA22
(57)【要約】
本発明は、能動植込み型医療機器(AIMD)を有する少なくとも1人の患者に関する情報を管理するためのコンピュータ実装方法であって、各患者のために、経時的にそれぞれのAIMDの出力を表す少なくとも1つの製造業者情報(20)を受信する工程(110)と、受信した製造業者情報を少なくとも1つの第1の種類の規則(21)に基づいて分析する工程(120)であって、各第1の種類の規則(21)は事前定義された第1のセンサイベントおよび患者の医学的状態に関する少なくとも1人の患者の臨床情報(22)に関連づけられており、この分析は、前記患者の各対応する患者の臨床情報(22)に応じて対応する事前定義された第1のセンサイベントが発生し、かつ診断に関連しているか否かを決定するために、受信した製造業者情報(20)に各第1の種類の規則(21)を適用することを含む工程と、この分析の結果に基づいて製造業者情報(20)にラベル付けする工程(130)と、事前定義された第1のセンサイベントの発生および関連性を考慮に入れた診断のためにラベル付き製造業者情報(30)を表すデータを出力する工程とを含む方法に関する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセンサを備えた能動植込み型医療機器(AIMD)を有する少なくとも1人の患者に関する情報を管理するためのシステム(1)であって、
・少なくとも1つのプロセッサを備えたサーバであって、前記プロセッサは、
・機器製造業者のプラットフォーム(42)から、経時的にそれぞれのAIMDの出力を表す少なくとも1つの製造業者情報(20)にアクセスする工程、
・前記受信した少なくとも1つの製造業者情報(20)を少なくとも1つの第1の種類の規則(21)に基づいて分析する工程であって、各第1の種類の規則(21)は事前定義された第1のセンサイベントおよび患者の医学的状態に関する少なくとも1人の患者の臨床情報(22)に関連づけられており、前記分析は、各対応する患者の臨床情報(22)に応じて前記対応する事前定義された第1のセンサイベントが発生し、かつ診断に関連しているか否かを決定するために、前記受信した少なくとも1つの製造業者情報(20)に各第1の種類の規則(21)を適用することを含む工程、
・前記分析の結果に基づいて前記少なくとも1つの製造業者情報(20)に関連づけられた少なくとも1つのラベルを提供する工程
を行うように構成されており、
前記受信した少なくとも1つの製造業者情報(20)は、前記事前定義された第1のセンサイベントに関連づけられた情報を含むサーバと、
・前記事前定義された第1のセンサイベントの発生および関連性を考慮に入れた診断のために、少なくとも1つのラベル付き製造業者情報(30)を表すデータを提供するように構成された少なくとも1つの出力と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記サーバはクラウドベースのサービス(43)の中に含まれている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、関連していないものとしてラベル付けされた前記少なくとも1つのラベル付き製造業者情報(30)を記録し、かつ関連しているものとしてラベル付けされた前記少なくとも1つのラベル付き製造業者情報(30)を利用するように構成されている、請求項1または2のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項4】
・前記少なくとも1つの製造業者情報(20)は、前記患者の心臓の異常な活動の疑いに関する少なくとも1つのアラート情報を含み、各アラート情報は前記アラート情報が生成された時間を表すタイムスタンプに関連づけられており、
・前記患者の臨床情報(22)は、薬剤の少なくとも1回の摂取および前記患者が前記薬剤を摂取する対応する薬剤摂取時間間隔を含み、
・前記少なくとも1つのプロセッサはさらに各患者のために、前記タイムスタンプが前記薬剤摂取時間間隔に含まれている場合には常に、前記タイムスタンプに対応する前記製造業者情報(20)が前記遠隔監視プラットフォーム(43)によって通知されないラベル付き製造業者情報(30)として自動的にラベル付けされるように、各タイムスタンプを前記薬剤摂取時間間隔と比較することにより前記第1の種類の規則(21)を適用するように構成されている、請求項2~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記アラート情報は心房細動負荷に関するアラートを含み、かつ前記薬剤は抗凝血薬である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記患者の臨床情報(22)は、年齢、性別、医学的スコアもしくはクラス、体重、併存疾患、症状、受けた手術、左心室駆出率のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
各患者のために前記製造業者情報(20)は、時間の関数としての前記患者の生理学的および/または身体的活動を表す少なくとも1つのセンサ情報をさらに含み、前記受信した製造業者情報(20)の前記分析は、前記第2の種類の規則(21)に関連づけられた事前定義された第2のセンサイベントが発生した否かを決定するために、前記センサ情報に少なくとも1つの第2の種類の規則(21)を適用することをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記遠隔監視プラットフォームを介して、各第2の種類の規則(21)に基づいてラベル付けされた前記製造業者情報(30)に関連づけられた少なくとも1つのラベルを通知するように構成されており、前記少なくとも1つのラベルは検出された各対応する事前定義された第2のセンサイベントを表している、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
能動植込み型医療機器(AIMD)を有する少なくとも1人の患者に関する情報を管理するためのコンピュータ実装方法であって、各患者のために
・機器製造業者のプラットフォーム(42)から経時的にそれぞれのAIMDの出力を表す少なくとも1つの製造業者情報(20)にアクセスする工程(110)と、
・前記受信した製造業者情報(20)を少なくとも1つの第1の種類の規則(21)に基づいて分析する工程(120)であって、各第1の種類の規則(21)は事前定義された第1のセンサイベントおよび患者の医学的状態に関する少なくとも1人の患者の臨床情報(22)に関連づけられており、前記分析は、前記患者の各対応する患者の臨床情報(22)に応じて前記対応する事前定義された第1のセンサイベントが発生し、かつ診断に関連しているか否かを決定するために、前記受信した製造業者情報(20)に各第1の種類の規則(21)を適用することを含む工程であって、
前記受信した少なくとも1つの製造業者情報(20)は、前記機器製造業者のプラットフォーム(42)によって生成される前記事前定義された第1のセンサイベントに関連づけられた情報を含む工程と、
・前記分析の結果に基づいて前記製造業者情報(20)にラベル付けする工程(130)と、
・前記事前定義された第1のセンサイベントの発生および関連性を考慮に入れた診断のために前記ラベル付き製造業者情報(30)を表すデータを出力する工程と
を含む方法。
【請求項10】
各患者のために、
・前記少なくとも1つの製造業者情報(20)は、前記患者の心臓の異常な活動の疑いに関する少なくとも1つのアラート情報を含み、各アラート情報は前記アラート情報が生成された時間を表すタイムスタンプに関連づけられており、
・前記患者の臨床情報(22)は、薬剤の少なくとも1回の摂取および前記患者が前記薬剤を摂取する対応する薬剤摂取時間間隔を含み、かつ
・各第1の種類の規則(21)のために、前記分析は、前記タイムスタンプが前記薬剤摂取時間間隔に含まれている場合には常に、前記タイムスタンプに対応する前記製造業者情報(20)が通知されないラベル付き製造業者情報(30)として自動的にラベル付けされるように、各タイムスタンプを前記薬剤摂取時間間隔と比較することにより前記第1の種類の規則(21)を適用することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アラート情報は心房細動負荷に関するアラートを含み、かつ前記薬剤は抗凝血薬である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各患者のために前記製造業者情報(20)は、時間の関数として前記患者の生理学的および/または身体的活動を表す少なくとも1つのセンサ情報をさらに含み、前記受信した製造業者情報(20)の前記分析は、前記第2の種類の規則(21)に関連づけられた事前定義された第2のセンサイベントが発生したか否かを決定するために、前記センサ情報に少なくとも1つの第2の種類の規則(21)を適用することをさらに含む、請求項9~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記事前定義された第2のセンサイベントは、以下の病状:心房細動の最初のエピソード、発作性心房細動の増加、発作性心房細動、持続的心房細動および持続的心房細動の終了のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのセンサ情報は、前記能動植込み型医療機器から得られる時間の関数としての心房細動負荷および/または時間の関数としての両心室ペーシング率(%)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
各患者のために、
・前記少なくとも1つの製造業者情報(20)は、
・前記患者の心臓の異常な活動の疑いに関する少なくとも1つのアラート情報であって、各アラート情報は前記アラート情報が生成された時間を表すタイムスタンプに関連づけられている少なくとも1つのアラート情報、および
・各アラート情報のために、前記アラート情報を生成するために使用される少なくとも1つのセンサ情報
を含み、
・前記患者の臨床情報(22)は、薬剤の少なくとも1回の摂取および前記患者が前記薬剤を摂取する対応する薬剤摂取時間間隔を含み、
・前記受信した少なくとも1つの製造業者情報(20)の前記分析は、前記受信した製造業者情報(20)に少なくとも1つの第3の種類の規則(21)を適用することをさらに含み、各第3の種類の規則(21)は事前定義された第3のセンサイベントおよび少なくとも1つの事前定義された閾値に関連づけられており、前記受信した製造業者情報(20)への各第3の種類の規則(21)の前記適用は、
前記タイムスタンプが前記薬剤摂取時間間隔に属し、かつ前記センサ情報の所定の部分が前記事前定義された閾値よりも低いまたは高い場合には常に、前記タイムスタンプに対応する前記製造業者情報(10)が通知されない製造業者情報として自動的にラベル付けされるように、
・各タイムスタンプを前記薬剤摂取時間間隔と比較すること、および
・各センサ情報の所定の部分を前記事前定義された閾値と比較すること
を含む、
請求項9~14のいずれか1項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、能動植込み型医療機器から収集したデータの分析の分野に関する。特に本発明は、能動植込み型医療機器(AIMD)を有する少なくとも1人の患者の身体的および/または生理学的活動に関するデータおよび一般に前記AIMDからのセンサによって記録された信号を収集する、前記患者に関する情報を管理するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、様々な病状を治療および/または監視するために能動植込み型医療機器がよく使用されている。そのようなAIMDは分析および/またはプログラミングなどのために、当該機器の動作に関する情報を記憶して体外に周期的に送信する場合がある。より詳細には、AIMDは医療提供者による院内または遠隔監視のために情報を記憶して送信する。AIMDを有する患者の遠隔監視は有利には、患者の生理学的活動の異常および/または当該機器に関する技術的問題の早期検出を可能にすることにより、患者の経過観察および結果を提供する。しかし各患者の各AIMDは、患者の身体的および/または生理学的活動ならびに当該機器それ自体の状態に関する多数のデータを生成するため、医療提供者にとって経過観察およびこれらのデータの管理が時間のかかる作業となる。さらに、医療提供者は多数の患者の責任を担っている場合が多い。この状況において医療提供者の作業負荷を減らす必要性がある。
【0003】
特にこれらの観察を念頭に置いて、本開示の各種態様を考案および開発した。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、少なくとも1つのセンサを備えた能動植込み型医療機器(AIMD)を有する少なくとも1人の患者に関する情報を管理するためのシステムであって、
・経時的にそれぞれのAIMDの出力を表す少なくとも1つの製造業者情報を受信するように構成された少なくとも1つの入力と、
・少なくとも1つのプロセッサであって、
・受信した製造業者情報を少なくとも1つの第1の種類の規則に基づいて分析する工程であって、各第1の種類の規則は、事前定義された第1のセンサイベントおよび患者の医学的状態に関する少なくとも1人の患者の臨床情報に関連づけられており、この分析は患者の各対応する患者の臨床情報に応じて対応する事前定義された第1のセンサイベントが発生し、かつ診断に関連しているか否かを決定するために、受信した製造業者情報に各第1の種類の規則を適用することを含む工程、
・この分析の結果に基づいて製造業者情報に関連づけられた少なくとも1つのラベルを提供する工程
を行うように構成されたプロセッサと、
・事前定義された第1のセンサイベントの発生および関連性を考慮に入れて診断のためにラベル付き製造業者情報を表すデータを提供するように構成された少なくとも1つの出力と
を備えるシステムに関する。
【0005】
一実施形態によれば、少なくとも1つのセンサを備えた能動植込み型医療機器を有する少なくとも1人の患者に関する情報を管理するためのシステムは、
・少なくとも1つのプロセッサを備えたサーバであって、プロセッサは、
・機器製造業者のプラットフォームから、経時的にそれぞれのAIMDの出力を表す少なくとも1つの製造業者情報にアクセスする工程、
・受信した少なくとも1つの製造業者情報を少なくとも1つの第1の種類の規則に基づいて分析する工程であって、各第1の種類の規則は、事前定義された第1のセンサイベントおよび患者の医学的状態に関する少なくとも1人の患者の臨床情報に関連づけられており、この分析は各対応する患者の臨床情報に応じて対応する事前定義された第1のセンサイベントが発生し、かつ診断に関連しているか否かを決定するために、受信した少なくとも1つの製造業者情報に各第1の種類の規則を適用することを含む工程、
・前記分析の結果に基づいて少なくとも1つの製造業者情報に関連づけられた少なくとも1つのラベルを提供する工程
を行うように構成されており、
前記受信した少なくとも1つの製造業者情報は事前定義された第1のセンサイベントに関連づけられた情報を含むサーバと、
・事前定義された第1のセンサイベントの発生および関連性を考慮に入れた診断のために、少なくとも1つのラベル付き製造業者情報を表すデータを提供するように構成された少なくとも1つの出力と
を備える。
【0006】
有利には本発明は、製造業者情報の中から診断に関連している発生したセンサイベントに一度関連づけられたもののみを選択することを可能にする。実際に本発明の方法は、さらなる処理にかけられることが予定されるデータの量を劇的に減らし、それにより有利には医療スタッフの非常待機の負担を減らすために、無関連の製造業者情報を全て取り除くことを可能にする。
【0007】
一実施形態によれば、本システムは遠隔監視プラットフォームの中に含められている。
【0008】
一実施形態によれば、サーバはクラウドベースのサービスの中に含まれている。
【0009】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、関連していないものとしてラベル付けされたラベル付き製造業者情報を記録し、かつ関連しているものとしてラベル付けされたラベル付き製造業者情報を利用するように構成されている。
【0010】
一実施形態によれば、
・製造業者情報は患者の心臓の異常な活動の疑いに関する少なくとも1つのアラート情報を含み、各アラート情報はアラート情報が生成された時間を表すタイムスタンプに関連づけられており、
・患者の臨床情報は、薬剤の少なくとも1回の摂取および患者が前記薬剤を摂取する対応する薬剤摂取時間間隔を含み、
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに各患者のために、タイムスタンプが前記薬剤摂取時間間隔に含まれている場合には常に、前記タイムスタンプに対応する製造業者情報が遠隔監視プラットフォームによって通知されないラベル付き製造業者情報として自動的にラベル付けされるように、各タイムスタンプを薬剤摂取時間間隔と比較することにより前記第1の種類の規則を適用するように構成されている。この実施形態は有利には、患者の臨床情報に基づいて患者の診断のために関連していないアラートを取り除くことにより、機器製造業者のプラットフォームまたはAIMDそれ自体によって生成されたアラートを選別することを可能にする。結果として、診断のために選択される機器製造業者のプラットフォームまたはAIMDそれ自体によって生成されるアラートの数を劇的に減少させる。さらに、適切なアラートのみの選択は、より適切な診断を提供するのを助ける。
【0011】
一実施形態によれば、アラート情報は心房細動負荷に関するアラートを含み、かつ薬剤は抗凝血薬である。
【0012】
一実施形態によれば、患者の臨床情報は、年齢、性別、医学的スコアもしくはクラス、体重、併存疾患、症状、受けた手術、左心室駆出率のうちの少なくとも1つである。
【0013】
一実施形態によれば、各患者のために製造業者情報は、時間の関数として患者の生理学的および/または身体的活動を表す少なくとも1つのセンサ情報をさらに含み、受信した製造業者情報の分析は、前記第2の種類の規則に関連づけられた事前定義された第2のセンサイベントが発生したか否かを決定するために、前記センサ情報に少なくとも1つの第2の種類の規則を適用することをさらに含む。
【0014】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記少なくとも1つのラベルが検出された各対応する事前定義された第2のセンサイベントを表す各第2の種類の規則に基づいてラベル付けされた製造業者情報に関連づけられた少なくとも1つのラベルを通知するように構成されている。
【0015】
一実施形態によれば、各患者のために製造業者情報は、
・患者の心臓の異常な活動の疑いに関する少なくとも1つのアラート情報であって、各アラート情報はアラート情報が生成された時間を表すタイムスタンプに関連づけられている少なくとも1つのアラート情報、および
・各アラート情報のために、アラート情報を生成するために使用される少なくとも1つのセンサ情報、
・薬剤の少なくとも1回の摂取および患者が前記薬剤を摂取する対応する薬剤摂取時間間隔を含む患者の臨床情報
を含み、
かつ少なくとも1つのプロセッサはさらに、受信した製造業者情報に少なくとも1つの第3の種類の規則を適用するように構成されており、各第3の種類の規則は事前定義された第3のセンサイベントおよび少なくとも1つの事前定義された閾値に関連づけられており、受信した製造業者情報への各第3の種類の規則の適用は、
タイムスタンプが前記薬剤摂取時間間隔に属し、かつセンサ情報の所定の部分が事前定義された閾値よりも低いまたは高い場合には常に、前記タイムスタンプに対応する製造業者情報が通知されない製造業者情報として自動的にラベル付けされるように、
・各タイムスタンプを薬剤摂取時間間隔と比較すること、および
・各センサ情報の所定の部分を事前定義された閾値と比較すること
を含む。
【0016】
本発明は、能動植込み型医療機器を有する少なくとも1人の患者に関する情報を管理するためのコンピュータ実装方法であって、各患者のために、
・経時的にそれぞれのAIMDの出力を表す少なくとも1つの製造業者情報を受信する工程と、
・受信した製造業者情報を少なくとも1つの第1の種類の規則に基づいて分析する工程であって、各第1の種類の規則は、事前定義された第1のセンサイベントおよび患者の医学的状態に関する少なくとも1人の患者の臨床情報に関連づけられており、この分析は患者の各対応する患者の臨床情報に応じて対応する事前定義された第1のセンサイベントが発生し、かつ診断に関連しているか否かを決定するために、受信した製造業者情報に各第1の種類の規則を適用することを含む工程と、
・この分析の結果に基づいて製造業者情報をラベル付けする工程と、
・事前定義された第1のセンサイベントの発生および関連性を考慮に入れて診断のためにラベル付き製造業者情報を表すデータを出力する工程と
を含む方法にも関する。
【0017】
一実施形態によれば、各患者のために
・製造業者情報は患者の心臓の異常な活動の疑いに関する少なくとも1つのアラート情報を含み、各アラート情報はアラート情報が生成された時間を表すタイムスタンプに関連づけられており、
・患者の臨床情報は、薬剤の少なくとも1回の摂取および患者が前記薬剤を摂取する対応する薬剤摂取時間間隔を含み、
各第1の種類の規則のために、この分析はタイムスタンプが前記薬剤摂取時間間隔に含まれている場合には常に、前記タイムスタンプに対応する製造業者情報が通知されないラベル付き製造業者情報として自動的にラベル付けされるように、各タイムスタンプを薬剤摂取時間間隔と比較することにより前記第1の種類の規則を適用することを含む。
【0018】
一実施形態によれば、アラート情報は心房細動負荷に関するアラートを含み、かつ薬剤は抗凝血薬である。
【0019】
一実施形態によれば、各患者のために製造業者情報は、時間の関数として患者の生理学的および/または身体的活動を表す少なくとも1つのセンサ情報をさらに含み、受信した製造業者情報の分析は、前記第2の種類の規則に関連づけられた事前定義された第2のセンサイベントが発生したか否かを決定するために、前記センサ情報に少なくとも1つの第2の種類の規則を適用することをさらに含む。
【0020】
一実施形態によれば、事前定義された第2のセンサイベントは、以下の病状:心房細動の最初のエピソード、発作性心房細動の増加、発作性心房細動、持続的心房細動および持続的心房細動の終了のうちの少なくとも1つを含む。
【0021】
一実施形態によれば、少なくとも1つのセンサ情報は、能動植込み型医療機器から得られる時間の関数としての心房細動負荷および/または時間の関数としての両心室ペーシング率(%)を含む。
【0022】
一実施形態によれば、各患者のために製造業者情報は、
・患者の心臓の異常な活動の疑いに関する少なくとも1つのアラート情報であって、各アラート情報はアラート情報が生成された時間を表すタイムスタンプに関連づけられている少なくとも1つのアラート情報、および
・各アラート情報のために、アラート情報を生成するために使用される少なくとも1つのセンサ情報、
・薬剤の少なくとも1回の摂取および患者が前記薬剤を摂取する対応する薬剤摂取時間間隔を含む患者の臨床情報
を含み、
かつ受信した製造業者情報の分析は、受信した製造業者情報に少なくとも1つの第3の種類の規則を適用することをさらに含み、各第3の種類の規則は事前定義された第3のセンサイベントおよび少なくとも1つの事前定義された閾値に関連づけられており、受信した製造業者情報への各第3の種類の規則の適用は、
タイムスタンプが前記薬剤摂取時間間隔に属し、かつセンサ情報の所定の部分が事前定義された閾値よりも低いまたは高い場合には常に、前記タイムスタンプに対応する製造業者情報が通知されない製造業者情報として自動的にラベル付けされるように、
・各タイムスタンプを薬剤摂取時間間隔と比較すること、および
・各センサ情報の所定の部分を事前定義された閾値と比較すること
を含む。
【0023】
本発明は、能動植込み型医療機器を有する少なくとも1人の患者に関する情報を管理するためのコンピュータプログラム製品であって、プログラムがコンピュータによって実行された場合に、コンピュータに上に記載されている実施形態のいずれか1つに係る方法の工程を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品にも関する。
【0024】
本発明は、コンピュータによって実行された場合に、コンピュータに上に開示されている実施形態のいずれか1つに係る方法の工程を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体にも関する。
【0025】
定義
本発明では、以下の用語は以下の意味を有する。
【0026】
「心房細動負荷」はパーセントで表される、監視期間、特に1日の間で個人が心房細動状態にある時間の割合である。
【0027】
「プロセッサ」はソフトウェアを実行することができるハードウェアに限定されるものと解釈されるべきではなく、一般的には処理装置を指し、例えばコンピュータ、マイクロプロセッサ、集積回路またはプログラマブルロジックデバイス(PLD)を挙げることができる。プロセッサは、コンピュータグラフィックスおよび画像処理または他の機能のために利用されるか否かを問わず、1つ以上のグラフィックス処理装置(GPU)も包含してもよい。さらに、関連づけられた機能および/または得られる機能を実行することを可能にする命令および/またはデータは、例えば集積回路、ハードディスク、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル多用途ディスク)などの光ディスク、RAM(ランダムアクセスメモリ)またはROM(リードオンリーメモリ)などのあらゆるプロセッサ読取り可能媒体に記憶されていてもよい。命令は特にハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの任意の組み合わせに記憶されていてもよい。
【0028】
「能動植込み型医療機器(AIMD)」とは、外科的または医学的にヒトの体内に、あるいは医学的介入によって天然開口部の中に全体または部分的に導入されることを目的としており、処置後に残存することが意図されており、かつエネルギ源を包含するあらゆる能動医療機器を指す。本発明の文脈では、AIMDは好ましくは患者の心臓リズムを監視および/または調整することを目的とした機器である。前記機器としては、例えばペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、心臓再同期療法(CRT)機器、心臓ポンプ(例えば、左心補助循環装置(LVAD)、人工心臓)、植込み型心臓モニタ(ICM)および神経刺激器などが挙げられる。一般にAIMDは、さらなる分析のためにそれらのデータを記憶し、かつ機器製造業者のプラットフォームに転送することもできる。AIMDは本発明の文脈では、特に以下:心臓リズムの状態、換気、温度、心室もしくは動脈圧、心筋活動、神経活動、心臓血行動態および心臓力学などの列挙からの少なくとも1つの身体的もしくは生理学的パラメータに関する少なくとも1つのセンサを備えていてもよい。当該センサは、心電図(ECG)、電位図(EGM)、加速度計、経胸腔的もしくは胸腔内インピーダンス、サーミスタ、MEM、筋電図(EMG)および神経電図(ENG)などのうちの少なくとも1つである。
【0029】
「機器製造業者のプラットフォーム」とは、AIMDの製造業者によって提供されるソフトウェアおよびサーバを指す。前記機器製造業者のプラットフォームは、複数の患者の体内に植え込まれたAIMDから受信したデータを記憶し、かつこの分析の結果を健康管理専門家に表示する前またはこの分析の結果を外部受信機に転送する前にデータのさらなる分析を行うように構成されている。またAIMDからのデータは、健康管理専門家にさらなるサービスを提供することを目的とした第三者のソフトウェアのために利用可能であってもよい。
【0030】
「遠隔監視プラットフォーム」とは、AIMDが装着された少なくとも1人の患者に対応する少なくとも1つの機器製造業者のプラットフォームから受信されたデータを受信、記憶および/または分析するように構成された、データ管理のためのあらゆるシステムを指す。「遠隔」という用語は、監視プラットフォームが対象に対して遠隔にあるという事実を指す。一例では、前記遠隔監視プラットフォームは一般に、健康管理専門家が患者の健康状態を見て、文書化し、かつ報告することができるように、患者の1つ以上のAIMDからデータを受信して(そのような機器からのデータ、報告および情報の受信を含む)、それらの患者の看護を管理してもよい。患者または製造業者から、あるいは当該機器からデータを受信する第三者実体から報告されるそのようなデータは、対応する機器、機器プログラミングマシンを含む多くのソースを介して遠隔監視プラットフォームにおいて受信されてもよい。この例では遠隔監視プラットフォームは、そこを介して健康管理専門家または当該プラットフォームの他のユーザがAIMDデータの受信を管理することができる1つ以上のインタフェースも提供してもよい。
【0031】
「製造業者アラート」は、AIMDによって出力されたデータから機器製造業者のプラットフォームによって生成される製造業者情報である。前記製造業者アラートは、AIMDによって出力されたデータに対する検出方法を用いて生成され、前記患者の特定の身体的もしくは生理学的パラメータに関する少なくとも1つのAIMDセンサからの異常な活動の疑いに関して健康管理専門家の意識を高めるために通知することを目的としている。製造業者アラートは、少なくとも1つのAIMDセンサから検出された特定の身体的もしくは生理学的パラメータに関する異常な活動の疑いが発生した時間に対応するタイムスタンプ、および検出された異常な活動の疑いの記載を少なくとも含む。
【0032】
「通知」とは、健康管理専門家が短い遅延時間でメッセージを受信する可能性を高めることを目的とした、Eメール、SMSまたは第三者実体によって健康管理専門家に送信されるメッセージ情報を指す。
【0033】
「製造業者情報」とは、特定の製造業者からのAIMDに関する情報であって、前記機器製造業者のプラットフォームによって医師または第三者実体に転送される情報を指す。前記製造業者情報は、測定値(例えば統計値、時間曲線、ヒストグラム分布)、アラート(例えば種類、タイムスタンプ)、エピソード(例えば、時系列データ、タイムスタンプ、マーカー)を含んでもよい。
【0034】
「製造業者エピソード」とは、AIMDによって特定および記録された有限期間を有するセンサ信号の一部を指す。実際に機器製造業者は、身体的もしくは生理学的(例えば心臓の)異常な活動に関連づけられたセンサ信号の一部を特定し、かつ次いでそれを記録するために感知された信号に対して予備分析を行うために、前記AIMDに識別方法を実装してもよい。前記センサ信号の一部は、患者が記録をトリガーする場合にも記録されてもよい。エピソードは、センサ信号の一部に加えて、記録のタイムスタンプ(日時)および記録の種類(すなわち、患者または識別方法あるいはトリガーされるエピソード)も含む。
【0035】
「ラベル」とは、製造業者情報の再コンテキスト化を指す。
【0036】
「規則」とは、製造業者情報および/または患者の臨床情報を用いる本発明の場合、数学演算を行い、かつ特定の結果を得るための決定方法を指す。
【0037】
添付の図面を参照しながら行う特定の非限定的な例示的実施形態の以下の説明を読めば、本開示がより良く理解され、かつ他の具体的な特徴および利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本開示に従う、能動植込み型医療機器を有する少なくとも1人の患者に関する情報を管理するためのシステムの特定の様式を概略的に表すブロック図である。
図2】第2の種類の規則をさらに含む第2の実施形態に係る、情報を管理するためのシステムの特定の使用様式を概略的に表すブロック図である。
図3】第2の実施形態に係る、本システムによって対応する製造業者情報に関連づけられているラベルが付された時間の関数としての心臓情報AF負荷の表示である。
図4】第3の種類の規則をさらに含む第3の実施形態に係る、情報を管理するためのシステムの特定の使用様式を概略的に表すブロック図である。
図5】情報を管理するためのシステムの特定の使用様式を概略的に表すブロック図である。
図6図1の管理のためのシステムにより実行される連続的工程を示すフローチャートである。
【0039】
図面は一定の縮尺で描かれておらず、同一もしくは同様の要素は同じ参照符号で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書は本開示の原理を示す。従って当業者であれば、本明細書に明示的に記載および図示されていないが、本開示の原理を具体化し、かつその趣旨および範囲内に含められる様々な構成を考案できることが理解されるであろう。
【0041】
本明細書に記載されている全ての例および条件付き言語は、読者が本開示の原理および本発明者によって寄与される概念を理解して当該技術を前進させるのを助けるための教育上のものであることが意図されており、そのような具体的に記載されている例および条件に限定されないものと解釈されるべきである。
【0042】
さらに本開示の原理、態様および実施形態ならびにそれらの具体例を列挙している本明細書中の全ての記載は、それらの構造的および機能的均等物の両方を包含することが意図されている。さらにそのような均等物は、現在公知の均等物ならびに将来開発される均等物、すなわち構造に関わらず同じ機能を行う開発されるあらゆる要素の両方を含むことが意図されている。
【0043】
従って、例えば本明細書において提供されているブロック図が、本開示の原理を具体化している例示的な回路の概念図を表している場合があることが当業者によって理解されるであろう。同様に、あらゆるフローチャートおよび流れ図などは、そのようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かに関わらず、コンピュータ可読媒体において実質的に表現され得、かつ従ってコンピュータまたはプロセッサによって実行され得る各種プロセスを表すことが理解されるであろう。
【0044】
図に示されている各種要素の機能は、専用のハードウェアならびに適当なソフトウェアと連携しているソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を介して提供されてもよい。プロセッサによって提供される場合、その機能は単一の専用のプロセッサ、単一の共有されるプロセッサ、または複数の個々のプロセッサによって提供されてもよく、それらのうちのいくつかは共有されていてもよい。
【0045】
当然のことながら、図に示されている要素は様々な形態のハードウェア、ソフトウェアまたはそれらの組み合わせに実装されていてもよい。好ましくは、これらの要素は、プロセッサ、メモリおよび入力/出力インタフェースを備え得る1つ以上の適当にプログラムされた汎用装置上のハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせに実装される。
【0046】
図1に示されている能動植込み型医療機器を有する少なくとも1人の患者に関する情報を管理するためのシステム1の特定の機能的実施形態を参照しながら、本開示について説明する。
【0047】
システム1は、経時的にそれぞれのAIMDの出力を表す製造業者情報20および患者の医学的状態に関する少なくとも1人の患者の臨床情報22から、ラベル付き製造業者情報30を生成するように構成されている。ラベル付き製造業者情報30は、分析された製造業者情報20およびこの分析の結果に基づいて生成されたラベルを含んでもよい。
【0048】
製造業者情報20は、通信ネットワークを介して製造業者情報20を送信するAIMDから直接受信してもよい。あるいは製造業者情報20は、経時的にAIMDの出力を先に受信し、かつ最終的に前記出力の分析を行った機器製造業者のプラットフォーム(例えばサーバ)によって受信されてもよい。
【0049】
製造業者情報20は異なる種類のデータを含んでもよい。特に製造業者情報は、AIMDに含まれている1つ以上のセンサによって記録された測定値、および/または前記記録された測定値を用いて機器製造業者のプラットフォームによって計算されたパラメータを含んでもよい。AIMDの少なくとも1つのセンサによって測定された少なくとも1つのパラメータの条件に関する記録された測定値または計算されたパラメータを、本明細書ではセンサ情報とも呼ぶ。AIMDの条件(すなわち電池レベルなど)に関する記録された測定値または計算されたパラメータを、本明細書では機器情報とも呼ぶ。製造業者情報20は、前記記録された測定値および/または計算されたパラメータを用いて機器製造業者のプラットフォームによって生成されたアラートをさらに含んでもよい。
【0050】
ここに記載されているシステム1は汎用であり、かつ代わりまたは追加として実行することができるいくつかの機能が設けられているが、本開示の範囲内の他の実装としては本機能の一部のみを有するシステムが挙げられる。
【0051】
システム1は有利には、言及されている機能を行い、かつ言及されている効果または結果をもたらすように設計または構成されており、かつ/またはそれらに適した装置または装置の物理的部分である。他の実装では、システム1は同じ機械または異なる(場合により遠隔の)機械においてグループ化されているか否かに関わらず、装置または装置の物理的部分のセットとして具体化されている。システム1は、例えばクラウドインフラにわたって分散された機能を有し、かつクラウドベースのサービスとしてユーザに利用可能であってもよく、あるいはAPIを介してアクセス可能な遠隔機能を有していてもよい。前記クラウドベースのサービスは、複数の診療所システムならびに個々の患者通信システムのために1つ以上のポータルサイトを提供してもよい。次いでクラウドベースのサービスは情報プロセッサとして動作して、以下に記載されているように製造業者および臨床情報を処理してもよい。またクラウドベースのサービスは、ポータルサイトを介して処理された情報に基づいて分析結果および他の高度な情報を生成および提供してもよい。クラウドベースのサービスはいくつかの例では、本明細書においてクラウドベースのサービスに帰属する各種動作を行うように構成された複数のコンピュータ装置またはシステムを備えていてもよい。またクラウドベースのサービスは、システム1の外部にある他のシステムと通信し、そこからデータを検索し、かつ/またはそこにデータを送信してもよい。
【0052】
前記診療所システムは、製造業者および/または臨床情報を検索するために診療所スタッフがクラウドベースのサービスによって提供されるポータルサイトにアクセスすることができる診療所アクセスシステム(例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォンなど)を備えていてもよい。診療所システムは、診療所の患者の電子医療記録(EMR)を記憶し、かつそれへのアクセスを容易にするように構成されたEMRシステム、および診療所の患者の健康および臨床情報を診療所システムの外部にある他の計算システムと交換するように構成された健康情報交換(HIE)システムのうちの1つ以上も備えていてもよい。
【0053】
以下では、モジュールは材料すなわち物理的に別個の構成要素ではなく、機能的実体として理解されるべきである。従ってそれらは、同じタンジブルかつ有形の構成要素において互いにグループ化されているものとして、あるいはいくつかのそのような構成要素に分散されているものとして具体化することができる。また、それらのモジュールのそれぞれは場合により、少なくとも2つの物理的構成要素間でそれ自体が共有されていてもよい。さらにモジュールは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの任意の混合形態にも実装される。それらは好ましくは、システム1の少なくとも1つのプロセッサの中に具体化されている。
【0054】
システム1は、1つ以上のロカールもしくは遠隔データベース10に記憶されている製造業者情報20および患者の臨床情報22、ならびに第1の種類の規則、第2の種類の規則および/または第3の種類の規則21を検索または受信するための受信モジュール11を備える。後者は、あらゆる種類の適当な記憶手段から利用可能な記憶リソースの形態をなしていてもよく、これは特に、場合によりSSD(ソリッドステートディスク)内にあるフラッシュメモリなどの、RAMまたはEEPROM(電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ)であってもよい。有利な実施形態では、第1の種類の規則、第2の種類の規則および/または第3の種類の規則21は事前定義されている。あるいは、第1の種類の規則、第2の種類の規則および/または第3の種類の規則21は通信ネットワークから受信される。システム1は、製造業者プラットフォーム42のそれぞれから患者の臨床情報22および埋め込み型医療機器のための関連する製造業者情報20にアクセスして検索するように構成されていてもよい。
【0055】
第1の種類の規則、第2の種類の規則および/または第3の種類の規則21は、論理規則、事前定義された閾値もしくは可変閾値、有限状態機械または機械学習モデルによって定義されていてもよい。
【0056】
システム1は任意に、受信した製造業者情報20および場合により患者の臨床情報22を前処理するための前処理モジュール(図示せず)をさらに備える。前記前処理モジュールは、受信した製造業者情報20が所望の事前定義された形式を有していること、およびそれが一貫していることを確認するように構成されていてもよい。そうでない場合、前処理モジュールは製造業者情報20を所望の事前定義された形式にさらに変換してもよい。この実施形態は有利には、それらがサブミットする情報のために異なる形式を使用する場合がある異なる製造業者から得られた製造業者情報20を分析することを可能にする。
【0057】
システム1は、受信した製造業者情報20を少なくとも1つの第1の種類の規則21に基づいて分析するための分析モジュール12も備える。第1の種類の規則21のそれぞれは、1つの事前定義された第1のセンサイベントおよび患者の医学的状態に関する少なくとも1人の患者の臨床情報22に関連づけられている。分析モジュール12は、患者の各対応する患者の臨床情報22に応じて対応する事前定義された第1のセンサイベントが発生し、かつ診断に関連しているか否かを決定するために、受信した製造業者情報20に各第1の種類の規則21を適用するように構成されている。
【0058】
システム1は、分析モジュール12の結果に基づいて製造業者情報20をラベル付けし、かつこれらのラベル付き製造業者情報30を遠隔監視プラットフォーム43に出力するためのラベル付けモジュール13をさらに備える。
【0059】
モジュール11、12および13による動作は必ずしも時間的に連続的ではなく、重複していてもよく、あるいは平行または交互または任意の適当な方法で進行し得ることに気づくことができる。例えば、ラベル付けモジュール13が先に得られた分析結果に対処している間に、新しい製造業者情報20を経時的に連続的に受信し、かつ分析してもよい。他の例では、複数日にわたる一連の製造業者情報20に対応する1回分の製造業者情報20を、ラベル付けモジュール13にサブミットする前に完全に受信し、かつ分析してもよい。
【0060】
システム1は、それを介して情報をユーザによって入力および検索することができる遠隔監視プラットフォーム43とインタラクトしている。遠隔監視プラットフォーム43は、当業者によってよく知られている以下の手段:画面、キーボード、トラックボール、タッチパッド、タッチスクリーン、ラウドスピーカ、音声認識システムのうちのいずれかまたはいくつかを包含することができる、データ、情報または命令を入力または検索するのに適当な任意の手段、特に視覚的、触覚的および/または音声的能力を備える。
【0061】
製造業者情報20は、患者の心臓の異常な活動の疑いに関する少なくとも1つのアラート情報を含んでもよい。前記アラート情報は、能動植込み型医療機器の出力の分析の結果である。この分析はAIMDそれ自体において、あるいは機器製造業者のプラットフォームによって行われたものである。故にアラート情報は、少なくとも1つのアラートおよびアラート情報が生成された時間を表すタイムスタンプを含む。
【0062】
患者の医学的状態に関する患者の臨床情報22は、薬剤の少なくとも1回の摂取および患者が前記薬剤を摂取する対応する薬剤摂取時間間隔を含む、患者の医学的処方を記録している情報、または限定されるものではないが、患者の性別、年齢、体重、併存疾患(例えば高血圧症、糖尿病)、測定値(例えば左心室駆出率)、医学的スコア(例えばNYHAクラス、CHA2DS2-VAScスコアなど)、症状(例えば痛み)、受けた手術、患者の生理学的パラメータおよび/または信号を測定する接続された装置から得られたデータ、および電子健康記録からのデータなどの他の患者情報などの、製造業者情報20とは独立して収集された情報を含んでもよい。
【0063】
一実施形態では、第1の種類の規則21は、患者の臨床情報22を考慮に入れながら受信したアラート情報の医学的関連性を確認するために定義されている。第1の種類の規則は少なくとも1つの論理規則、事前定義された閾値、有限状態機械または機械学習モデルによって定義されていてもよい。特にクラスタリングの方法(すなわち決定木、オントロジー、機械学習)を患者の臨床情報22に対して使用してもよい。第1のセンサイベントとは、製造業者情報21に含まれているアラートに関連する、アラートまたはラベルの起点にあるイベントを指す。例えば、第1のセンサイベントは、AIMDまたは製造業者プラットフォーム42によるアラートの生成をトリガーする、事前定義された閾値を超えている心房細動(AF)負荷などであってもよい。
【0064】
特に分析モジュール12によって実行された場合、第1の種類の規則21は、どのタイムスタンプが薬剤摂取時間間隔に属しているかを確認するために、アラート情報の各タイムスタンプを患者の臨床情報22の薬剤摂取時間間隔と比較する。次いでプロセッサは、この第1の種類の規則21を満たす製造業者情報20を、遠隔監視プラットフォーム43によって「通知されない」ラベル付き製造業者情報30(すなわちラベル)として自動的にラベル付けする。「通知されない」というラベルを保有しているこの製造業者情報30は、遠隔監視プラットフォーム43の少なくとも1つの他のモジュールによって受信させるために出力される。「通知されない」というラベルを保有している全ての製造業者情報30は医学の専門家のために、遠隔監視プラットフォーム43の少なくとも1つの他のモジュールによって関連していないものとして解釈されてもよく、従って例えば健康管理専門家に通知をトリガーしない。より詳細には、「通知されない」というラベルを保有しているこの製造業者情報30は、遠隔監視プラットフォーム43を介して医学の専門家にはなおアクセス可能であってもよい(すなわち、「通知されない」というラベルを保有している製造業者情報30を遠隔監視プラットフォーム43に記録してもよい)が、それらは通知を生成しない。有利には、この実施形態は看護の品質を保ちながらも、健康管理専門家に表示されるアラートの量を減らすことを可能にする。
【0065】
1つの有利な例では、アラート情報は心房細動(AF)負荷、特に1日レベルのAF負荷に関する1つのアラートを含み、かつ患者の臨床情報は患者の抗凝血状態(すなわち、その患者が抗凝血薬を摂取することによる抗凝血治療中であるか否か)である。受信した製造業者アラートは、1日レベルのAF負荷が事前定義された閾値を超えている場合にトリガーされるAF負荷アラートであってもよい。但し、患者が抗凝血薬を摂取している場合、血栓塞栓症のリスクは著しく低下し、従って事前定義された閾値よりも大きい1日レベルのAF負荷によって生成されるアラートは、当該患者の血栓塞栓症のリスクを評価するために、もはや関連していない。これは有利には、抗凝血薬で既に治療されている患者のために繰り返されるAF負荷製造業者アラートが医学の専門家に通知されないようにすることを可能にし、従って医学の専門家によって精査される通知の全体的な量を著しく減らす。
【0066】
一例では、一方で患者の臨床情報22は、患者が前記症状を経験したことがある時間を表すタイムスタンプに関連づけられた少なくとも1つの症状を含む。症状およびそれが発生した時間に関する情報は、情報をシステム1に転送するように構成されている患者インタフェースを介して(すなわち、トリガーボタンを押すこと、スマートフォンのアプリケーションにより)、患者によって直接提供されてもよい。他方で存在する場合には、関連づけられたタイムスタンプを含む第1のセンサイベントに関する製造業者情報は、通信ネットワークを介してシステム1によってアクセスされる。この例では第1の種類の規則は、少なくとも1つの第1のセンサイベントに基づいて、1つの症状に関連づけられたタイムスタンプを製造業者アラートに関連づけられたタイムスタンプと比較するように構成されている。この場合、これらの2つのタイムスタンプ間の間隔が事前定義された間隔よりも短い場合、これらの2つのアラートを関連づけられるものとみなし、かつ「リンクされている」とラベル付けする。例えば、この患者のイベント(すなわち、患者によって報告された症状)を同時に生じるセンサイベントと関連づけて、失神の原因(例えば心不整脈、迷走神経放電)を分析することができる。このイベントを少なくとも1つのセンサから同時に生じるイベントと関連づけて、失神の原因(例えば心不整脈、迷走神経放電)を分析することができる。
【0067】
別の例ではAIMDは、リードの端部と対応するペースメーカーケースとの間で胸腔内インピーダンスを定期的に測定および記録するように構成されたペースメーカーである。前記胸腔内インピーダンスを機器製造業者のプラットフォーム42で使用して、心不全減圧(すなわち最初の心臓イベント)に起因する急性肺浮腫のリスクに関するインピーダンスアラート情報を生成する。この例では、患者の臨床情報22は、時間間隔または心不全、代償不全または悪化を引き起こしやすい患者の少なくとも1つの症候群に関連づけられた心不全の程度の少なくとも1つの評価を含み、これは1つの時間間隔における急性肺浮腫の確率に関する知識を提供する。患者の臨床情報22は、時間間隔にわたって測定された(すなわち、心エコー図によって先に測定された)左心室駆出率の値も含んでもよい。関連づけられた第1の種類の規則は、製造業者心不全関連センサの各タイムスタンプ(例えば、加速度計で測定された経胸腔的インピーダンスまたは左心室機械的活動)アラートを、急性肺浮腫の確率の時間間隔および/または測定された左心室駆出率の値のための時間間隔と比較するように構成されている。急性肺浮腫の確率が低く、かつ/または左心室駆出率の値が正常である場合、第1の種類の規則の実行により、前記時間間隔に含まれている1つのタイムスタンプに対応する各製造業者情報を「通知されない」ものとしてプロセッサに自動的にラベル付けさせる。
【0068】
図2は、製造業者情報20が時間の関数として患者の生理学的もしくは身体的活動を表す少なくとも1つのセンサ情報をさらに含み、かつ受信モジュール11が少なくとも1つの第2の種類の規則をさらに受信する第2の実施形態を示す。プロセッサによって実行された場合、前記1つの第2の種類の規則に関連づけられた事前定義された第2のセンサイベントが発生したか否かを決定するために、第2の種類の規則がセンサ情報に適用される。特に、この第2のセンサイベントは患者の心臓リズムの異常な活動である。次いで、この第2の種類の規則による分析の結果はラベル付けモジュール13によって使用されて、検出された第2のセンサイベントに関する医学的関連情報を提供するラベルで製造業者情報20をラベル付けする。従ってこれらのラベルは、第1の種類の規則の「通知されないためのラベル」とは逆に、遠隔監視プラットフォーム43の1つのモジュールを介して医学の専門家に通知されることが意図されている。この実施形態は有利には、機器製造業者のプラットフォームによって検出されない関連しているセンサイベントの発生を検出することを可能にする。
【0069】
一実施形態では、少なくとも1つのセンサ情報は時間の関数として患者の心臓の活動を表す心臓情報である。少なくとも1つの心臓情報は、能動植込み型医療機器から得られる時間の関数としての心房細動負荷および/または時間の関数としての両心室ペーシング率(%)であってもよい。
【0070】
一実施形態では、第2の種類の規則は、1つのセンサ情報に関連づけられた事前定義された閾値、およびセンサ情報が事前定義された閾値と比較される制御期間を含む。当該閾値は事前に定義されていなくてもよいが、モデルに従う時間の関数である。あるいは第2の種類の規則は、有限状態機械などの分類器であってもよい。
【0071】
複数の第2の種類の規則は、心臓情報としてのAF負荷を用いて以下の事前定義された第2のセンサイベントの発生、すなわち心房細動の最初の発生、発作性心房細動の増加、発作性心房細動、持続的心房細動および持続的心房細動の終了を検出するために定義されていてもよい。好ましくは、この場合にAF負荷は心臓情報として使用される。
【0072】
一例では、1つの事前定義された第2の種類の規則は、提供されるAF負荷値のための2つの事前定義された閾値を含んでいてもよい。第1の閾値は1%~50%に含まれる値を有していてもよく、第2の閾値は50%~100%に含まれる値を有していてもよい。1つの好ましい例では、第1および第2の閾値の値のあらゆる組み合わせのために3つの範囲のAF負荷値が定義されるように、第1の閾値は1%~45%に含まれる値を有していてもよく、第2の閾値は55%~100%に含まれる値を有していてもよい。
【0073】
AF負荷値が5~10日間に含まれる制御期間にわたって第2の閾値よりも高い場合には常に、前記第2の事前定義された閾値を超えているAF負荷値が「持続的心房細動」としてラベル付けされるように、第2の種類の規則は、持続的心房細動を検出するために定義されていてもよい(図3)。
【0074】
この第2の種類の規則はさらに、AF負荷値が7日間を超える制御期間にわたって第1の閾値と第2の閾値との間に含まれていることを確認することにより、「発作性AF」を検出するように構成されていてもよい。
【0075】
「持続的心房細動の終了」は、AF負荷値が第2の閾値未満に低下し、その後に先の製造業者情報30が「持続的心房細動」としてラベル付けされていることを確認するように構成されている場合、この第2の種類の規則によって検出されてもよい(図3)。
【0076】
さらに心房細動の最初の発生の発生は、1人の患者についてゼロを超える第1の心房細動負荷値を検出するように構成された第2の種類の規則によって検出される。従って、この第2の種類の規則が1人の患者のために時間の関数としてのAF負荷の曲線に適用される場合、対応する製造業者情報(すなわち心房細動負荷値)は、図3に示すように「第1の心房細動負荷値」としてラベル付けされる。
【0077】
第2の種類の規則は、発作性期間(図3)中に平均AF負荷の10%~50%超の増加が検出された場合には常に、製造業者情報を「発作性AFの増加」としてラベル付けするように定義されていてもよい。
【0078】
第2の種類の規則は、AF負荷が「持続的心房細動」が検出された後に7日間を超えて5%未満である場合には常に、製造業者情報を「持続的心房細動の終了」(図3)としてラベル付けするように定義されていてもよい。
【0079】
1つの第2の種類の規則は、心室同期の悪化を検出するために時間の関数として両心室ペーシング率(%)に適用されるように構成されていてもよい。例えば、5~10日間での両心室ペーシング率(%)の30%の上昇により、関連する製造業者情報を「心室同期の向上」としてラベル付けさせるようにしてもよい。
【0080】
一例では少なくとも1つの心臓情報は、時間の関数としての胸腔内インピーダンスである。1つの第2の種類の規則は、胸腔内インピーダンスがより高い値に(断続的に)切り換わらないことを確認するように定義されていてもよい。胸腔内インピーダンスがこのより高い値に切り換わった場合、この第2の種類の規則は、医学の専門家に通知されるべきAIMDの故障であるセンサイベントの発生を検出することを可能にする。
【0081】
一実施形態によれば、製造業者情報20は、患者の心臓の異常な活動の疑いに関する少なくとも1つのアラート情報と、各アラート情報のために、アラート情報を生成するために使用される少なくとも1つの心臓情報とをさらに含む。本実施形態では、患者の臨床情報22は、薬剤の少なくとも1回の摂取と患者が前記薬剤を摂取する対応する薬剤摂取時間間隔とを含む。プロセッサは図4に示すように、受信した製造業者情報20に少なくとも1つの第3の種類の規則21を適用するように構成されている。前記第3の種類の規則21のそれぞれは、事前定義された第3のセンサイベントならびに分析下で心臓情報およびアラート情報に影響を有すると思われる患者によって摂取された具体的な薬剤に関連づけられている。より詳細には第3の種類の規則21は、プロセッサによって実行された場合にプロセッサがアラート情報の各タイムスタンプを患者の臨床情報22の薬剤摂取時間間隔と比較し、かつ各心臓情報の所定の部分を事前定義された閾値とも比較するような規則である。次いでプロセッサは、タイムスタンプが前記薬剤摂取時間間隔に属し、かつ心臓情報の所定の部分が事前定義された閾値よりも低い場合は常に、受信した製造業者情報を遠隔監視プラットフォーム43によって「通知されない」ものとして自動的にラベル付けする。
【0082】
1つの第3の種類の規則21を用いたこの実施形態の実装は、結果として心室刺激(すなわち第3のセンサイベント)に関連づけられた閾値の上昇を有し得る不整脈の治療の修正という状況において特に有利である。実際に、製造業者によって提供されるアラート情報は一般に、特定の固定された閾値に基づいている。
【0083】
一実施形態によれば、分析モジュール12はさらに、第4の種類の規則を受信するように構成されており、少なくとも2つの製造業者情報20間の因果関係リンクを確立するのを可能にする。一実施形態では各患者のために、製造業者情報20は、エピソード記録時間を表すタイムスタンプに関連づけられた少なくとも1つのセンサエピソードである少なくとも1つのセンサ情報と、アラート情報が生成された時間を表すタイムスタンプに関連づけられた少なくとも1つのアラート情報とをさらに含む。次いで前記第4の種類の規則は、記録された製造業者センサエピソードをアラート情報に含まれている製造業者アラートに関連づけるように構成されている。実際にAIMDによって検出されたエピソードは、アラートをトリガーして医師に通知するが、一般に製造業者アラートは、対応するセンサエピソードを直接特定するための適切な情報を含んでいない(アラートおよびエピソードは独立した情報として、AIMDから製造業者プラットフォーム42に送信される)。分析モジュール12は、少なくとも1つの第4の種類の規則21を適用することにより受信した製造業者情報を分析するように構成されており、これは、1つのエピソードタイムスタンプと1つのアラートタイムスタンプとの間隔が事前定義された値(すなわち、同時に生じるエピソードとアラートを関連づけるように定義された事前定義された値)未満である場合は常に、アラート情報およびエピソードが1つの同一のラベルでラベル付けされるように、各センサエピソードのタイムスタンプを各製造業者アラートのタイムスタンプと比較する。第4の規則は有利には、製造業者プラットフォームによって同じクラスに関連づけられているセンサエピソードおよび製造業者アラートの中でのみ、センサエピソードのタイムスタンプと製造業者アラートのタイムスタンプとのこの比較を適用することを含む。この例は有利には、製造業者アラートと関連する製造業者アラートの生成をトリガーした製造業者センサエピソードとの関係を確立することを可能にする。
【0084】
この第4の規則のための一例では、アラート情報は、製造業者プラットフォームによって生成される少なくとも1つの製造業者アラートと、例えばアラートボタンを押すかスマートフォンアプリケーションを使用することにより患者が症状(すなわち異常な心臓活動)を経験していることを示す場合に患者によって生成されるアラートである少なくとも1つの患者トリガーアラートとを含む。患者が自身が症状を経験していることを示す場合、患者トリガーアラートの生成の若干前または後にエピソードの記録がトリガーされる場合があるが、機器製造業者のプラットフォームは一般に、前記エピソードを対応する患者トリガーアラートに関連づけない。従って1つの第4の種類の規則は、1つの製造業者アラートのタイムスタンプが1つの患者トリガーエピソードおよび1つの患者トリガーエピソードと実質的に同時に生じる場合に、前記製造業者アラート、前記患者トリガーアラートおよび前記患者トリガーエピソードが1つの同一のラベルでラベル付けされるように、各製造業者アラートのタイムスタンプを患者トリガーアラートおよび患者トリガーエピソードのタイムスタンプと比較するように定義されていてもよい。この例は有利には、製造業者アラートと患者トリガーエピソードと患者トリガーアラートとの関係を確立することを可能にする。
【0085】
1つの他の実施形態では、第4の種類の規則は、一連の連続的センサイベントにおいて因果関係リンクを確立し、かつ対応する製造業者アラートを相対的な過去のイベント「によって引き起こされ得る」ものとしてラベル付けするように構成されている。1つの種類のセンサイベントが第2の種類のセンサイベントによって引き起こされ得る確率の情報を使用してもよい。
【0086】
第5の種類の規則は、センサ情報および/または患者の臨床情報とは独立して、定期的な頻度で(例えば、毎日同時に)生じ、かつ患者の診断に関連していないものと過去にみなされたことのあるアラートを検出し、かつそれらを「関連していないアラート」としてラベル付けするように定義されていてもよい。
【0087】
図5は、情報を管理するための本システムの特定の使用様式を示す。上に開示されているように、AIMD40は機器送信機41に送信される1つ以上の測定値を記録し、前記送信は有線または無線で行われてもよい。次いで、測定値は通信ネットワークを介して機器製造業者のプラットフォーム42に転送され、それが分析測定値を分析して製造業者情報20を生成する。次いで前記製造業者情報は、患者の臨床情報22もホストし得る遠隔監視プラットフォーム43に送信される。遠隔監視プラットフォーム43は、システム1に製造業者情報20および患者の臨床情報22を提供し、かつラベル付き製造業者情報30を受信するために、システム1に動的に接続されている。次いで遠隔監視プラットフォーム43は、その手段のおかげで適切なラベル付き製造業者情報30を医学の専門家44に提供する。
【0088】
動作時に、以下に記載されているプロセスを例えば図4との関連で実行してもよい。異常な心臓活動の疑いを経験している患者の状況において、経時的にAIMDの出力を表す製造業者情報20を提供するAIMDのおかげで、患者の心臓活動は常に監視される。この製造業者情報20は、管理のためにシステム1にサブミットされる。さらに患者の医学的状態に関する患者の臨床情報22がシステム1に提供される。製造業者情報20および患者の臨床情報22から、システム1はそれぞれの患者のためにラベル付き製造業者情報30を自動的に出力する。このラベル付き製造業者情報は、適切な診断を行うために患者の心臓活動を経過観察するための少なくとも補助として、医学の専門家によって信頼されている。
【0089】
その自動動作時にシステム1は、例えば以下のプロセス(図2):
・経時的にそれぞれのAIMDの出力を表す少なくとも1つの製造業者情報20を受信する工程(工程110)、
・受信した製造業者情報を少なくとも1つの第1の種類の規則21に基づいて分析する工程であって、各第1の種類の規則21は事前定義された第1のセンサイベントおよび患者の医学的状態に関する少なくとも1人の患者の臨床情報22に関連づけられており、この分析は、患者の各対応する患者の臨床情報22に応じて対応する事前定義された第1のセンサイベントが発生し、かつ診断に関連しているか否かを決定するために各第1の種類の規則21を受信した製造業者情報20に適用することを含む工程(工程120)、
・この分析の結果に基づいて製造業者情報20をラベル付けする工程(工程130)
・ラベル付き製造業者情報を表すデータを出力する工程30
を実行してもよい。
【0090】
ラベル付き製造業者情報30を表すデータは、遠隔監視プラットフォーム43によって使用されてもよい。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセンサを備えた能動植込み型医療機器(AIMD)を有する少なくとも1人の患者に関する情報を管理するためのシステム(1)であって、
・少なくとも1つのプロセッサを備えたサーバであって、前記プロセッサは、
・機器製造業者のプラットフォーム(42)から、経時的にそれぞれのAIMDの出力を表す少なくとも1つの製造業者情報(20)にアクセスする工程、
・前記受信した少なくとも1つの製造業者情報(20)を少なくとも1つの第1の種類の規則(21)に基づいて分析する工程であって、各第1の種類の規則(21)は事前定義された第1のセンサイベントおよび患者の医学的状態に関する少なくとも1人の患者の臨床情報(22)に関連づけられており、前記分析は、各対応する患者の臨床情報(22)に応じて前記対応する事前定義された第1のセンサイベントが発生し、かつ診断に関連しているか否かを決定するために、前記受信した少なくとも1つの製造業者情報(20)に各第1の種類の規則(21)を適用することを含む工程、
・前記分析の結果に基づいて前記少なくとも1つの製造業者情報(20)に関連づけられた少なくとも1つのラベルを提供する工程
を行うように構成されており、
前記受信した少なくとも1つの製造業者情報(20)は、前記事前定義された第1のセンサイベントに関連づけられた情報を含むサーバと、
・前記事前定義された第1のセンサイベントの発生および関連性を考慮に入れた診断のために、少なくとも1つのラベル付き製造業者情報(30)を表すデータを提供するように構成された少なくとも1つの出力と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記サーバはクラウドベースのサービス(43)の中に含まれている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、関連していないものとしてラベル付けされた前記少なくとも1つのラベル付き製造業者情報(30)を記録し、かつ関連しているものとしてラベル付けされた前記少なくとも1つのラベル付き製造業者情報(30)を利用するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
・前記少なくとも1つの製造業者情報(20)は、前記患者の心臓の異常な活動の疑いに関する少なくとも1つのアラート情報を含み、各アラート情報は前記アラート情報が生成された時間を表すタイムスタンプに関連づけられており、
・前記患者の臨床情報(22)は、薬剤の少なくとも1回の摂取および前記患者が前記薬剤を摂取する対応する薬剤摂取時間間隔を含み、
・前記少なくとも1つのプロセッサはさらに各患者のために、前記タイムスタンプが前記薬剤摂取時間間隔に含まれている場合には常に、前記タイムスタンプに対応する前記製造業者情報(20)が前記遠隔監視プラットフォーム(43)によって通知されないラベル付き製造業者情報(30)として自動的にラベル付けされるように、各タイムスタンプを前記薬剤摂取時間間隔と比較することにより前記第1の種類の規則(21)を適用するように構成されている、請求項2~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記アラート情報は心房細動負荷に関するアラートを含み、かつ前記薬剤は抗凝血薬である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記患者の臨床情報(22)は、年齢、性別、医学的スコアもしくはクラス、体重、併存疾患、症状、受けた手術、左心室駆出率のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
各患者のために前記製造業者情報(20)は、時間の関数としての前記患者の生理学的および/または身体的活動を表す少なくとも1つのセンサ情報をさらに含み、前記受信した製造業者情報(20)の前記分析は、前記第2の種類の規則(21)に関連づけられた事前定義された第2のセンサイベントが発生した否かを決定するために、前記センサ情報に少なくとも1つの第2の種類の規則(21)を適用することをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記遠隔監視プラットフォームを介して、各第2の種類の規則(21)に基づいてラベル付けされた前記製造業者情報(30)に関連づけられた少なくとも1つのラベルを通知するように構成されており、前記少なくとも1つのラベルは検出された各対応する事前定義された第2のセンサイベントを表している、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
能動植込み型医療機器(AIMD)を有する少なくとも1人の患者に関する情報を管理するためのコンピュータ実装方法であって、各患者のために
・機器製造業者のプラットフォーム(42)から経時的にそれぞれのAIMDの出力を表す少なくとも1つの製造業者情報(20)にアクセスする工程(110)と、
・前記受信した製造業者情報(20)を少なくとも1つの第1の種類の規則(21)に基づいて分析する工程(120)であって、各第1の種類の規則(21)は事前定義された第1のセンサイベントおよび患者の医学的状態に関する少なくとも1人の患者の臨床情報(22)に関連づけられており、前記分析は、前記患者の各対応する患者の臨床情報(22)に応じて前記対応する事前定義された第1のセンサイベントが発生し、かつ診断に関連しているか否かを決定するために、前記受信した製造業者情報(20)に各第1の種類の規則(21)を適用することを含む工程であって、
前記受信した少なくとも1つの製造業者情報(20)は、前記機器製造業者のプラットフォーム(42)によって生成される前記事前定義された第1のセンサイベントに関連づけられた情報を含む工程と、
・前記分析の結果に基づいて前記製造業者情報(20)にラベル付けする工程(130)と、
・前記事前定義された第1のセンサイベントの発生および関連性を考慮に入れた診断のために前記ラベル付き製造業者情報(30)を表すデータを出力する工程と
を含む方法。
【請求項10】
各患者のために、
・前記少なくとも1つの製造業者情報(20)は、前記患者の心臓の異常な活動の疑いに関する少なくとも1つのアラート情報を含み、各アラート情報は前記アラート情報が生成された時間を表すタイムスタンプに関連づけられており、
・前記患者の臨床情報(22)は、薬剤の少なくとも1回の摂取および前記患者が前記薬剤を摂取する対応する薬剤摂取時間間隔を含み、かつ
・各第1の種類の規則(21)のために、前記分析は、前記タイムスタンプが前記薬剤摂取時間間隔に含まれている場合には常に、前記タイムスタンプに対応する前記製造業者情報(20)が通知されないラベル付き製造業者情報(30)として自動的にラベル付けされるように、各タイムスタンプを前記薬剤摂取時間間隔と比較することにより前記第1の種類の規則(21)を適用することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アラート情報は心房細動負荷に関するアラートを含み、かつ前記薬剤は抗凝血薬である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各患者のために前記製造業者情報(20)は、時間の関数として前記患者の生理学的および/または身体的活動を表す少なくとも1つのセンサ情報をさらに含み、前記受信した製造業者情報(20)の前記分析は、前記第2の種類の規則(21)に関連づけられた事前定義された第2のセンサイベントが発生したか否かを決定するために、前記センサ情報に少なくとも1つの第2の種類の規則(21)を適用することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記事前定義された第2のセンサイベントは、以下の病状:心房細動の最初のエピソード、発作性心房細動の増加、発作性心房細動、持続的心房細動および持続的心房細動の終了のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのセンサ情報は、前記能動植込み型医療機器から得られる時間の関数としての心房細動負荷および/または時間の関数としての両心室ペーシング率(%)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
各患者のために、
・前記少なくとも1つの製造業者情報(20)は、
・前記患者の心臓の異常な活動の疑いに関する少なくとも1つのアラート情報であって、各アラート情報は前記アラート情報が生成された時間を表すタイムスタンプに関連づけられている少なくとも1つのアラート情報、および
・各アラート情報のために、前記アラート情報を生成するために使用される少なくとも1つのセンサ情報
を含み、
・前記患者の臨床情報(22)は、薬剤の少なくとも1回の摂取および前記患者が前記薬剤を摂取する対応する薬剤摂取時間間隔を含み、
・前記受信した少なくとも1つの製造業者情報(20)の前記分析は、前記受信した製造業者情報(20)に少なくとも1つの第3の種類の規則(21)を適用することをさらに含み、各第3の種類の規則(21)は事前定義された第3のセンサイベントおよび少なくとも1つの事前定義された閾値に関連づけられており、前記受信した製造業者情報(20)への各第3の種類の規則(21)の前記適用は、
前記タイムスタンプが前記薬剤摂取時間間隔に属し、かつ前記センサ情報の所定の部分が前記事前定義された閾値よりも低いまたは高い場合には常に、前記タイムスタンプに対応する前記製造業者情報(10)が通知されない製造業者情報として自動的にラベル付けされるように、
・各タイムスタンプを前記薬剤摂取時間間隔と比較すること、および
・各センサ情報の所定の部分を前記事前定義された閾値と比較すること
を含む、
請求項9に記載の方法。
【国際調査報告】