(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】アルコールを用いて接触させずに食品を調理するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A47J 36/26 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
A47J36/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570354
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 EP2022060521
(87)【国際公開番号】W WO2022242983
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523428671
【氏名又は名称】クーカル エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】プロブスト,ローレン
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA01
4B055BA01
4B055BA22
4B055CA71
4B055CB02
4B055DB09
(57)【要約】
本発明は、食品(1)を収容するように意図された容器(2)と、当該容器(2)の下に配置され、燃焼液体(4)を収容することができるリザーバ(3)と、当該容器及びリザーバを保持するための保持支持体(5)とを備え、当該容器が底部(6)及び少なくとも1つの側壁(7)を備え、底部(6)の中心で測定された底部(6)の厚さが、壁(7)上で測定された最小厚さの少なくとも2倍であることを特徴とする、食品(1)を調理又は加熱するための器具に関する。
本発明は、本発明による器具によって食品を調理又は加熱する方法にも関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品(1)を調理又は加熱するための装置であって、器具は、前記食品(1)を収容するように設計された容器(2)と、前記容器(2)の下に配置され、燃焼液体(4)を収容するのに適したリザーバ(3)と、前記容器及びリザーバを保持するための保持支持体(5)と、を備え、前記容器は、底部(6)と、少なくとも1つの側壁(7)と、を備え、前記器具は、前記底部(6)の中心で測定した前記底部(6)の厚さが、前記壁(7)上で測定した最小厚さの少なくとも2倍であることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記底部(6)の中心で測定された前記底部(6)の厚さが、6mm以上であり、典型的には9mmに等しく、前記壁(7)上で測定された最小厚さが、2~4mm、典型的には3mmに等しい、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記容器(2)が、少なくとも1つの肩部(8)を備え、前記保持支持体(5)が、前記少なくとも1つの肩部(8)のうちの少なくとも1つの少なくとも1つの支え面(9)を備える、請求項1~2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記保持支持体(5)が、少なくとも2つの上向きに延在する支持要素(10)を備え、各支持要素(10)は、前記少なくとも1つの支え面(9)のうちの少なくとも1つを備え、前記保持支持体(5)は、前記容器(2)をその高さ全体にわたって見えるようにするように構成されている前記2つの支持要素(10)間の自由空間を備え、前記容器は、好ましくは透明である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つの支持要素(10)が、前記装置の内部に向かって上向きに傾斜している、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記リザーバ(3)が、深さよりも幅が広い、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記リザーバ(3)が、前記リザーバの前記底部から上方に延在する突出部(11)を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記リザーバ(3)が、少なくとも1つのアーム(12)によって前記保持支持体(5)に固定されており、前記少なくとも1つのアーム(12)のうちの少なくとも1つは、その底部が前記リザーバ(3)に向かって傾斜しているシュート(13)を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記燃焼液体(4)が85%~99%の割合を有するエタノールであり、前記エタノールは、ヒドロキシアルキルセルロースを含み、ヒドロキシアルキルセルロースの量が、100Pa-s未満の動的粘度を得るように制限されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の器具によって食品を調理又は加熱する方法であって、
- 食品(1)を前記容器(2)に入れる工程と、
- 前記容器(2)を前記保持ブラケット(5)上に配置する工程と、
- 燃焼液体(4)を前記リザーバ(3)内に注入する工程と、
これらの最初の3つの工程は、任意の順序で実行され、
- 前記燃焼液体(4)を点火する工程と、
- 食品(1)を調理又は加熱する工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品調理の分野に関する。より詳細には、本発明は、好ましくは食べる前に調理を見せるために適合された、アルコールを用いて調理するための装置及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのアルコール調理器具及びプロセスが提案されている。アルコールを用いて調理するときに考慮すべき多くの問題がある。
【0003】
第1の問題は、使用されるアルコールに関する。制御された調理を可能にするために、調理に必要な熱を放出するために消費されるべきアルコールの正確な量を規定することが必要である。いくつかの従来技術のプロセスでは、アルコールに火を付けるが、残留アルコールが水中で希釈されすぎるために、一定の時間後に炎が消える。他のプロセスでは、放出された熱が調理される食品に適切に向けられない。更に他のプロセスでは、安全性が適切に保証されず、器具が転倒した場合、火が付いたアルコールがこぼれて被害を起こす可能性がある。
【0004】
仏国特許第2897521号には、燃焼液体を収容するのに適したリザーバが載置される支持体を備えるタイプの食品調理又は加熱器具が記載されており、この支持体は、リザーバに対して所定の高さで容器を保持するのに適している。しかしながら、この器具は、発生した熱の多くが放散されるため、確実な調理を提供しない。
【0005】
仏国特許第3004095号には、熱をより良好に利用する調理器具が記載されている。しかしながら、器具が落下した場合に点火したアルコールに関連するリスクは除外されない。更に、容器の支持体が目に見えるため、調理されている食品が見えなくなる。
【0006】
仏国特許第3029094号には、調理されている食品をより良く見えるようにする調理器具が記載されている。しかしながら、調理が容器内で均一に分配されない。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上述の欠点の少なくともいくつかを改善することを意図しており、容器の外側のリザーバ内に配置されたアルコールの燃焼によって、容器内に配置された食品の均質な調理を得ることを可能にする解決策を提供する。
【0008】
本発明の更なる目的は、進行中の調理をはっきりと見ることができる装置を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、改善された安全性のための装置を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、使用中の安全性を改善しながら、使用されるアルコールの量を良好に制御できるようにする調理方法を提案することである。
【0011】
本発明の目的は、食品を中に配置するための容器と、可燃性液体を中に配置するためのリザーバとを備える器具を提案することによって、前述の目的に少なくとも部分的に応えることである。この目的のために、本発明は、食品を調理又は加熱するための器具であって、当該食品を収容するように設計された容器と、当該容器の下に配置され、燃焼液体を収容するように設計されたリザーバと、当該容器及びリザーバを保持するための保持支持体とを備え、当該容器が底部及び少なくとも1つの側壁を備え、底部の中心で測定した底部の厚さが、壁上で測定した最小厚さの少なくとも2倍であることを特徴とする器具を提案する。
【0012】
これらの構成のおかげで、食品は、食品が配置されている容器全体にわたってより均一に分配された熱で調理又は加熱され得る。
【0013】
更なる特徴によると、
- 底部の中心で測定された底部の厚さは、6mm以上、典型的には9mmに等しくてもよく、壁上で測定された最小厚さは、2~4mm、典型的には3mmに等しくてもよく、これは、本発明の単純かつ堅牢な実装を構成する。
- 当該容器は、少なくとも1つの肩部を備えることができ、当該保持支持体は、当該少なくとも1つの肩部のうちの少なくとも1つの少なくとも1つの支え面を備え、これは、容器をリザーバに対して正確な位置に安定的に保持する簡単な方法である。
- 当該保持支持体は、少なくとも2つの上向きに延在する支持要素を備えることができ、各支持要素は、当該少なくとも1つの支え面のうちの少なくとも1つを備え、当該保持支持体は、当該容器をその高さ全体にわたって見えるように構成されている自由空間を2つの支持要素間に備え、容器は、好ましくは透明であり、それにより、容器の良好な安定性と、食品の調理を客に見せられる可能性とを与える。
- 当該少なくとも2つの支持要素は、器具の内側に向かって上向きに傾斜させることができ、それによって、リザーバ内の燃焼液体の燃焼から生じる炎を容器の側壁に向け、燃焼液体の燃焼によって放出される熱の使用を最適化することができる。
- リザーバは、燃焼液体が広い表面積にわたって点火され、食品のより均一な調理をもたらすことができるように、深さよりも幅を広くすることができる。
- リザーバは、リザーバの底部から上方に延在する突出部を有することができ、これは、内部に配置された燃焼液体の量を計量する簡単な手段である。
- リザーバは、少なくとも1つのアームによって保持ブラケットに取り付けることができ、当該少なくとも1つのアームのうちの少なくとも1つは、底部がリザーバに向かって傾斜したシュートを備え、容易に直接アクセスできないときにリザーバに燃焼液体を容易に充填することができる。
- 当該燃焼液体は、85%~99%の割合を有するエタノールであってもよく、当該エタノールはヒドロキシアルキルセルロースを含み、ヒドロキシアルキルセルロースの量は、100Pa-s未満の動的粘度を得るように制限され、これにより、容易に引火し、完全に消費され、飛散を回避するのに十分な粘性を有する燃焼液体を有することが可能になる。
【0014】
本発明はまた、本発明による装置によって食品を調理又は加熱する方法に関し、この方法は、以下の工程を含む。
- 食品を容器に入れる工程
- 容器を保持支持体上に配置する工程
- 燃焼流体をリザーバに注入する工程
これらの最初の3つの工程は、任意の順序で実行される。
- 燃焼液体を点火する工程
- 食品を調理又は加熱する工程
これらの構成のおかげで、食品は、食品が配置される容器の底部にわたってより均一に分配された熱で調理又は加熱され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、添付図を参照しつつ、以下の詳細な説明を読めば、理解がより深まるであろう。
【
図1】本発明の好ましい実施形態による装置の縦断面図である。
【
図2】
図1に示された装置のリザーバ及び保持ブラケットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図2に示される器具は、食品1を調理又は加熱するために使用することができる。器具は、調理又は加熱中に食品を収容するように設計された容器2と、容器2の下に配置され、燃焼液体4を収容するように設計されたリザーバ3とを備える。最後に、器具は、容器2及びリザーバ3のそれぞれの位置を保持するための保持支持体5を含む。
【0017】
容器2は、底部6及び少なくとも1つの側壁7を有する。底部6の中心で測定された底部6の厚さは、壁7上で測定された最小厚さの少なくとも2倍である。容器2は、好ましくは底部6の下に配置されるため、この厚さは、底部6が液体4の燃焼によって生成される炎に確実に耐えるための機械的な補強を提供する。加えて、炎と食品1との間に厚い底部6を配置することは、底部6全体にわたるより良好な熱分布、それによる食品1のより均一な調理を確実にする。底部6の中心で測定された厚さは、好ましくは6mm以上、例えば9mmである。壁7の最小厚さは、好ましくは2~4mmであり、例えば3mmである。
【0018】
容器2は、食品1の調理を観察できるように、透明であることが好ましい。容器2は、例えば、調理によって生じる温度変化に耐えるように、Pyrex(登録商標)という商標名で知られているホウケイ酸ガラスなどの低膨張係数を有するガラスから作製することができる。
【0019】
容器2をリザーバ3の上方に保持するために、容器2は、当該保持支持体5の支え面9上への載置に適した少なくとも1つの肩部8を備えることができる。
【0020】
保持支持体5は、鋳鉄、セラミック、又は任意の他の耐熱性材料から作製することができる。これは、少なくとも2つの上方に延びる支持要素10を備えてもよい。各支持要素10は、肩部8が載る支え面9を有する。容器2は、単一の肩部8を備えてもよく、その2つの部分はそれぞれ、支え面9のうちの1つに支持される。代替的に、容器2は、複数の肩部8を備えてもよく、各肩部8は、支え面9のうちの1つに載る。
【0021】
図2に示されるように、支持要素10は、好ましくは、それらの間に自由空間を形成するように配置され、自由空間は、容器2の高さ全体を見えるようにするのに十分である。このようにして、テーブルの周りの食事をする人が、容器2内の食品の調理をはっきりと見ることが可能であり、容器2は好ましくは透明である。
【0022】
支持要素10は、燃焼液体4の燃焼から生じる炎を容器2の側壁に向けることができるように、器具の内側に向かって上向きに向けられることが好ましい。これにより、炎が容器2を迂回して、発生する熱を多く失いすぎることが阻止される。
【0023】
リザーバ3は、深さよりも幅が広いことが好ましい。したがって、燃焼液体4の燃焼が引き起こされるとき、点火される表面積は、リザーバ内の液体4の量と比較して比較的大きい。これは、熱がより大きな表面積にわたって生成されることを可能にし、容器2内に位置する食品1のより均一な調理を促進する。
【0024】
図1に示される好ましい実施形態では、リザーバ3は突出部11を特徴とする。突出部11は、リザーバ3に燃焼液体4を充填するためのマーカーとして使用することができる。これにより、突出部11が燃焼液体によって覆われるまで燃焼液体を正確に注入するだけで、所定量、例えば5mLの燃焼液体4を入れることが容易になる。
【0025】
リザーバ3は、少なくとも1つのアーム12によって保持支持体5に接続することができる。
図2に示されるように、装置は2つのアーム12を有することができ、より安定性が高まる。しかしながら、1つのアーム12で十分であり、例えば美観上の理由から好ましい場合がある。アーム12にはシュート13を取り付けることができ、その底部はリザーバ3に向かって傾斜している。したがって、燃焼液体4がリザーバ3から最も遠いシュート13の端部(遠位端)に注がれると、燃焼液体4はリザーバ3に自然に流れる。これにより、例えば容器2の存在によりリザーバ3へのアクセスが困難な場合に、リザーバ3内に燃焼液体4を配置することが可能になる。
【0026】
本発明で使用される燃焼液体4は、85%~99%の割合を有するエタノールであってよい。この範囲は、エタノールに点火して完全に燃焼することを確実にし、また、残った水部分の除去を目的とする高価なエタノール製造プロセスを回避する。このエタノールは、好ましくは、燃焼液体4の粘度を増加させるために、ヒドロキシ-アルキル-セルロース、例えばヒドロキシ-プロピル-メチル-セルロースを含有し、ヒドロキシ-アルキル-セルロースの量は、100Pa-s未満の動的粘度を得るように、かつエタノールが常に液体であるように制限される。次に、燃焼液体4は、飛散の危険なしに、リザーバ3内に容易かつ均一に入れることができる。
【0027】
これはまた、装置を安全に移動することを可能にする。例えば、本発明による装置は、レストランで顧客に食事を出すために使用することができる。次に、調理場で燃焼液体4を点火し、点火された状態でテーブルに運ぶことを選択することができる。その増加した粘度により、エタノールはこぼれる危険がなく、安全性が保証される。
【0028】
本発明による装置は、以下の工程を含むプロセスに従って食品を調理又は加熱するために使用することができる。
- 食品1を容器2に入れる工程
- 必要に応じて、容器2の肩部8を保持支持体5の支え面9に押し付けることによって、容器2を保持支持体5上に配置する工程
- 燃焼液体を、必要に応じてシュート13を介してリザーバに注入する工程
これらの最初の3つの工程は、任意の順序で実行される。
- 燃焼液体を点火する工程
- 食品を調理又は加熱する工程。
【0029】
例えば、容器内で卵を調理するのに3~5分かかる場合がある。容器2が透明であり、2つの支持要素10の間に空間が空いているため、ゲスト、つまり顧客は、好ましくは調理の進行を観察することができる。
【0030】
炎が消えたら、食べる前に更に数分間待つことを選択してもよい。この場合、容器の底部及び側部に蓄積された熱が食品に伝達され続け、例えば卵が少し硬くなることがある。
【0031】
その結果は、多くの人が楽しむ食事の周りに作られる雰囲気に寄与できるショー効果である。
【0032】
例えば、上記のプロセスは、「温泉卵(oeuf parfait)」又は「シャードエッグ(oeuf cocotte)」を調理するために使用することができる。
【0033】
また、ポワローフォンデュ上で牡蠣のポシェ(poached oysters on leek fondue)を作ることもできる。
【0034】
また、フォンダンショコラ(chocolate mi-cuit)又はモワルーショコラ(moelleux)を作ることもできる。
【0035】
更に、バーでバーテンダーが提供するアイリッシュ・コーヒーを作ることができる。
【0036】
上記の説明が特定実施形態に基づいているが、本発明の範囲を決して限定するものではなく、とりわけ、技術的均等物の置換、若しくは、上記で開発された特徴の全部又は一部の異なる組み合わせによって、変更を加えてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品調理の分野に関する。より詳細には、本発明は、好ましくは食べる前に調理を見せるために適合された、アルコールを用いて調理するための装置及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのアルコール調理器具及びプロセスが提案されている。アルコールを用いて調理するときに考慮すべき多くの問題がある。
【0003】
第1の問題は、使用されるアルコールに関する。制御された調理を可能にするために、調理に必要な熱を放出するために消費されるべきアルコールの正確な量を規定することが必要である。いくつかの従来技術のプロセスでは、アルコールに火を付けるが、残留アルコールが水中で希釈されすぎるために、一定の時間後に炎が消える。他のプロセスでは、放出された熱が調理される食品に適切に向けられない。更に他のプロセスでは、安全性が適切に保証されず、器具が転倒した場合、火が付いたアルコールがこぼれて被害を起こす可能性がある。
【0004】
仏国特許第2897521号には、燃焼液体を収容するのに適したリザーバが載置される支持体を備えるタイプの食品調理又は加熱器具が記載されており、この支持体は、リザーバに対して所定の高さで容器を保持するのに適している。しかしながら、この器具は、発生した熱の多くが放散されるため、確実な調理を提供しない。
【0005】
仏国特許第3004095号には、熱をより良好に利用する調理器具が記載されている。しかしながら、器具が落下した場合に点火したアルコールに関連するリスクは除外されない。更に、容器の支持体が目に見えるため、調理されている食品が見えなくなる。
【0006】
仏国特許第3029094号には、調理されている食品をより良く見えるようにする調理器具が記載されている。しかしながら、調理が容器内で均一に分配されない。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上述の欠点の少なくともいくつかを改善することを意図しており、容器の外側のリザーバ内に配置されたアルコールの燃焼によって、容器内に配置された食品の均質な調理を得ることを可能にする解決策を提供する。
【0008】
本発明の更なる目的は、進行中の調理をはっきりと見ることができる装置を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、改善された安全性のための装置を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、使用中の安全性を改善しながら、使用されるアルコールの量を良好に制御できるようにする調理方法を提案することである。
【0011】
本発明の目的は、食品を中に配置するための容器と、可燃性液体を中に配置するためのリザーバとを備える器具を提案することによって、前述の目的に少なくとも部分的に応えることである。この目的のために、本発明は、食品を調理又は加熱するための器具であって、当該食品を収容するように設計された容器と、当該容器の下に配置され、燃焼液体を収容するように設計されたリザーバと、当該容器及びリザーバを保持するための保持支持体とを備え、当該容器が底部及び少なくとも1つの側壁を備え、底部の中心で測定した底部の厚さが、壁上で測定した最小厚さの少なくとも2倍であることを特徴とする器具を提案する。
【0012】
これらの構成のおかげで、食品は、食品が配置されている容器全体にわたってより均一に分配された熱で調理又は加熱され得る。
【0013】
更なる特徴によると、
- 底部の中心で測定された底部の厚さは、6mm以上、典型的には9mmに等しくてもよく、壁上で測定された最小厚さは、2~4mm、典型的には3mmに等しくてもよく、これは、本発明の単純かつ堅牢な実装を構成する。
- 当該容器は、少なくとも1つの肩部を備えることができ、当該保持支持体は、当該少なくとも1つの肩部のうちの少なくとも1つの少なくとも1つの支え面を備え、これは、容器をリザーバに対して正確な位置に安定的に保持する簡単な方法である。
- 当該保持支持体は、少なくとも2つの上向きに延在する支持要素を備えることができ、各支持要素は、当該少なくとも1つの支え面のうちの少なくとも1つを備え、当該保持支持体は、当該容器をその高さ全体にわたって見えるように構成されている自由空間を2つの支持要素間に備え、容器は、好ましくは透明であり、それにより、容器の良好な安定性と、食品の調理を客に見せられる可能性とを与える。
- 当該少なくとも2つの支持要素は、器具の内側に向かって上向きに傾斜させることができ、それによって、リザーバ内の燃焼液体の燃焼から生じる炎を容器の側壁に向け、燃焼液体の燃焼によって放出される熱の使用を最適化することができる。
- リザーバは、燃焼液体が広い表面積にわたって点火され、食品のより均一な調理をもたらすことができるように、深さよりも幅を広くすることができる。
- リザーバは、リザーバの底部から上方に延在する突出部を有することができ、これは、内部に配置された燃焼液体の量を計量する簡単な手段である。
- リザーバは、少なくとも1つのアームによって保持ブラケットに取り付けることができ、当該少なくとも1つのアームのうちの少なくとも1つは、底部がリザーバに向かって傾斜したシュートを備え、容易に直接アクセスできないときにリザーバに燃焼液体を容易に充填することができる。
- 当該燃焼液体は、85%~99%の割合を有するエタノールであってもよく、当該エタノールはヒドロキシアルキルセルロースを含み、ヒドロキシアルキルセルロースの量は、100Pa-s未満の動的粘度を得るように制限され、これにより、容易に引火し、完全に消費され、飛散を回避するのに十分な粘性を有する燃焼液体を有することが可能になる。
【0014】
本発明はまた、本発明による装置によって食品を調理又は加熱する方法に関し、この方法は、以下の工程を含む。
- 食品を容器に入れる工程
- 容器を保持支持体上に配置する工程
- 燃焼流体をリザーバに注入する工程
これらの最初の3つの工程は、任意の順序で実行される。
- 燃焼液体を点火する工程
- 食品を調理又は加熱する工程
これらの構成のおかげで、食品は、食品が配置される容器の底部にわたってより均一に分配された熱で調理又は加熱され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、添付図を参照しつつ、以下の詳細な説明を読めば、理解がより深まるであろう。
【
図1】本発明の好ましい実施形態による装置の縦断面図である。
【
図2】
図1に示された装置のリザーバ及び保持ブラケットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1~
図2に示される器具は、食品1を調理又は加熱するために使用することができる。器具は、調理又は加熱中に食品を収容するように設計された容器2と、容器2の下に配置され、燃焼液体4を収容するように設計されたリザーバ3とを備える。最後に、器具は、容器2及びリザーバ3のそれぞれの位置を保持するための保持支持体5を含む。
【0017】
容器2は、底部6及び少なくとも1つの側壁7を有する。底部6の中心で測定された底部6の厚さは、壁7上で測定された最小厚さの少なくとも2倍である。リザーバ3は、好ましくは底部6の下に配置されるため、この厚さは、底部6が液体4の燃焼によって生成される炎に確実に耐えるための機械的な補強を提供する。加えて、炎と食品1との間に厚い底部6を配置することは、底部6全体にわたるより良好な熱分布、それによる食品1のより均一な調理を確実にする。底部6の中心で測定された厚さは、好ましくは6mm以上、例えば9mmである。壁7の最小厚さは、好ましくは2~4mmであり、例えば3mmである。
【0018】
容器2は、食品1の調理を観察できるように、透明であることが好ましい。容器2は、例えば、調理によって生じる温度変化に耐えるように、Pyrex(登録商標)という商標名で知られているホウケイ酸ガラスなどの低膨張係数を有するガラスから作製することができる。
【0019】
容器2をリザーバ3の上方に保持するために、容器2は、当該保持支持体5の支え面9上への載置に適した少なくとも1つの肩部8を備えることができる。
【0020】
保持支持体5は、鋳鉄、セラミック、又は任意の他の耐熱性材料から作製することができる。これは、少なくとも2つの上方に延びる支持要素10を備えてもよい。各支持要素10は、肩部8が載る支え面9を有する。容器2は、単一の肩部8を備えてもよく、その2つの部分はそれぞれ、支え面9のうちの1つに支持される。代替的に、容器2は、複数の肩部8を備えてもよく、各肩部8は、支え面9のうちの1つに載る。
【0021】
図2に示されるように、支持要素10は、好ましくは、それらの間に自由空間を形成するように配置され、自由空間は、容器2の高さ全体を見えるようにするのに十分である。このようにして、テーブルの周りの食事をする人が、容器2内の食品の調理をはっきりと見ることが可能であり、容器2は好ましくは透明である。
【0022】
支持要素10は、燃焼液体4の燃焼から生じる炎を容器2の側壁に向けることができるように、器具の内側に向かって上向きに向けられることが好ましい。これにより、炎が容器2を迂回して、発生する熱を多く失いすぎることが阻止される。
【0023】
リザーバ3は、深さよりも幅が広いことが好ましい。したがって、燃焼液体4の燃焼が引き起こされるとき、点火される表面積は、リザーバ内の液体4の量と比較して比較的大きい。これは、熱がより大きな表面積にわたって生成されることを可能にし、容器2内に位置する食品1のより均一な調理を促進する。
【0024】
図1に示される好ましい実施形態では、リザーバ3は突出部11を特徴とする。突出部11は、リザーバ3に燃焼液体4を充填するためのマーカーとして使用することができる。これにより、突出部11が燃焼液体によって覆われるまで燃焼液体を正確に注入するだけで、所定量、例えば5mLの燃焼液体4を入れることが容易になる。
【0025】
リザーバ3は、少なくとも1つのアーム12によって保持支持体5に接続することができる。
図2に示されるように、装置は2つのアーム12を有することができ、より安定性が高まる。しかしながら、1つのアーム12で十分であり、例えば美観上の理由から好ましい場合がある。アーム12にはシュート13を取り付けることができ、その底部はリザーバ3に向かって傾斜している。したがって、燃焼液体4がリザーバ3から最も遠いシュート13の端部(遠位端)に注がれると、燃焼液体4はリザーバ3に自然に流れる。これにより、例えば容器2の存在によりリザーバ3へのアクセスが困難な場合に、リザーバ3内に燃焼液体4を配置することが可能になる。
【0026】
本発明で使用される燃焼液体4は、85%~99%の割合を有するエタノールであってよい。この範囲は、エタノールに点火して完全に燃焼することを確実にし、また、残った水部分の除去を目的とする高価なエタノール製造プロセスを回避する。このエタノールは、好ましくは、燃焼液体4の粘度を増加させるために、ヒドロキシ-アルキル-セルロース、例えばヒドロキシ-プロピル-メチル-セルロースを含有し、ヒドロキシ-アルキル-セルロースの量は、100Pa-s未満の動的粘度を得るように、かつエタノールが常に液体であるように制限される。次に、燃焼液体4は、飛散の危険なしに、リザーバ3内に容易かつ均一に入れることができる。
【0027】
これはまた、装置を安全に移動することを可能にする。例えば、本発明による装置は、レストランで顧客に食事を出すために使用することができる。次に、調理場で燃焼液体4を点火し、点火された状態でテーブルに運ぶことを選択することができる。その増加した粘度により、エタノールはこぼれる危険がなく、安全性が保証される。
【0028】
本発明による装置は、以下の工程を含むプロセスに従って食品を調理又は加熱するために使用することができる。
- 食品1を容器2に入れる工程
- 必要に応じて、容器2の肩部8を保持支持体5の支え面9に押し付けることによって、容器2を保持支持体5上に配置する工程
- 燃焼液体を、必要に応じてシュート13を介してリザーバに注入する工程
これらの最初の3つの工程は、任意の順序で実行される。
- 燃焼液体を点火する工程
- 食品を調理又は加熱する工程。
【0029】
例えば、容器内で卵を調理するのに3~5分かかる場合がある。容器2が透明であり、2つの支持要素10の間に空間が空いているため、ゲスト、つまり顧客は、好ましくは調理の進行を観察することができる。
【0030】
炎が消えたら、食べる前に更に数分間待つことを選択してもよい。この場合、容器の底部及び側部に蓄積された熱が食品に伝達され続け、例えば卵が少し硬くなることがある。
【0031】
その結果は、多くの人が楽しむ食事の周りに作られる雰囲気に寄与できるショー効果である。
【0032】
例えば、上記のプロセスは、「温泉卵(oeuf parfait)」又は「シャードエッグ(oeuf
cocotte)」を調理するために使用することができる。
【0033】
また、ポワローフォンデュ上で牡蠣のポシェ(poached oysters on leek fondue)を作ることもできる。
【0034】
また、フォンダンショコラ(chocolate mi-cuit)又はモワルーショコラ(moelleux)
を作ることもできる。
【0035】
更に、バーでバーテンダーが提供するアイリッシュ・コーヒーを作ることができる。
【0036】
上記の説明が特定実施形態に基づいているが、本発明の範囲を決して限定するものではなく、とりわけ、技術的均等物の置換、若しくは、上記で開発された特徴の全部又は一部の異なる組み合わせによって、変更を加えてもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】