(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】部品アセンブリから摩擦溶接された要素を取り外すための手持ち式機械および摩擦溶接ジョイントの修理方法
(51)【国際特許分類】
B23B 45/14 20060101AFI20240417BHJP
B23B 49/00 20060101ALI20240417BHJP
B23B 47/18 20060101ALI20240417BHJP
【FI】
B23B45/14
B23B49/00 A
B23B47/18 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571124
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2022063480
(87)【国際公開番号】W WO2022243389
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】102021112905.2
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523430504
【氏名又は名称】エーヨット エスイー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ヴェルクマイスター
(72)【発明者】
【氏名】トニ ミューラー
【テーマコード(参考)】
3C036
【Fターム(参考)】
3C036BB01
3C036BB11
3C036CC09
3C036DD04
3C036EE23
(57)【要約】
【課題】部品アセンブリから鋼製の摩擦溶接要素を除去し、特に摩擦溶接要素によるアセンブリの再接続を可能にするための手持ち式機械、およびそのための方法を提供する。
【解決手段】手持ち式機械(10)は、機械ハウジング(12)と、その中に収容される駆動ユニット(14)とを備える。機械ハウジングに接続される取り付け装置(20)は、機械ハウジングに対して移動不能に配置された第1の構成部品(24)と、第1の構成部品に対して軸方向に移動可能に配置された第2の構成部品(26)とを有する伸縮要素(22)を備える。第2の構成部品は機械ハウジングに対して押圧方向に軸方向にプレストレスされ、取り付け装置は駆動ユニットを介して駆動される工具駆動軸(30)を有し、工具駆動軸は軸受要素(38)によって第2の構成部品上に回転可能に取り付けられ、第2の構成部品に対して軸方向に移動可能に案内される。第2の構成部品は第2の構成部品を部品アセンブリ上に配置することができるコンタクト要素(36)を有し、機械加工工具(32)は工具駆動軸に接続され、さらに、穿孔深さが制限されるストッパ(50)は第2の構成部品と機械ハウジングとの間で作用する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品アセンブリから摩擦溶接要素を除去するための手持ち式機械(10、10)であって、ヘッドを有し、
前記手持ち式機械(10、10)は、機械ハウジング(12)と、その中に収容される駆動ユニット(14)とを備え、
前記機械ハウジングに接続される取り付け装置(20、120)が設けられ、
前記取り付け装置は、機械ハウジングに対して移動不能に配置された第1の構成部品(24、24)と、前記第1の構成部品に対して軸方向に移動可能に配置された第2の構成部品(26)とを有する伸縮要素(22、122)を備え、
前記第2の構成部品は、前記機械ハウジングに対して押圧方向に軸方向にプレストレスされ、
前記取り付け装置は、駆動ユニットを介して駆動される工具駆動軸(30、130)を有し、
前記工具駆動軸は、軸受要素(38、138)によって前記第2の構成部品上で回転可能に取り付けられ、かつ前記第2の構成部品に対して軸方向に移動可能に案内され、
前記第2の構成部品は、コンタクト要素(36,136)を有し、このコンタクト要素によって前記第2の構成部品は前記部品アセンブリ上に置かれ得るものであり、
機械加工工具(32,132)が前記工具駆動軸に接続され、
穿孔深さを制限するストッパ(50,150)は、前記第2の構成部品と前記機械ハウジングとの間で作用する、手持ち式機械。
【請求項2】
前記軸受要素(38、138)が滑り軸受であり、特に滑り軸受スリーブの形態をとることを特徴とする、請求項1に記載の手持ち式機械。
【請求項3】
前記第1の構成部品(24、124)および前記第2の構成部品(26、126)は案内領域(F)において互いに係合し、前記軸受要素(38、138)は、前記コンタクト要素(36、136)の前端部と前記案内領域(F)との間に配置されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の手持ち式機械。
【請求項4】
前記軸受要素(36、136)は、スリーブ形状の設計であり、切り屑排出のために形成された側方凹部(40)を有することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の手持ち式機械。
【請求項5】
前記ストッパ(50、150)は、最大穿孔深さを調節するために変更されるように適合され、調節要素(58、158)を備えることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の手持ち式機械。
【請求項6】
前記ストッパ(50、150)が信号ユニット(54、154)と相互作用することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の手持ち式機械。
【請求項7】
前記取り付け装置(20、120)が、位置ずれのための表示装置(54、72、74)を備えるアライメント補助(60、70)を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の手持ち式機械。
【請求項8】
前記アライメント補助(60)は、少なくとも2つの軸線の周りの加速度を測定することができる少なくとも1つの加速度計を備え、前記位置ずれのための表示装置は電気光学ディスプレイ(54)を備えることを特徴とする、請求項6または7に記載の手持ち式機械。
【請求項9】
前記アライメント補助(70)が、穿孔表面上にパターンを投影することができるダイオード(72、74)を備えることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の手持ち式機械。
【請求項10】
前記信号ユニットは電気光学ディスプレイ(54)であり、前記電気光学ディスプレイ(54)および前記アライメント補助(60)は、同じ表示手段を使用することを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の手持ち式機械。
【請求項11】
前記第1の構成部品(24)が半径方向内側に位置し、前記第2の構成部品(26)が半径方向外側に位置することを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載の手持ち式機械。
【請求項12】
頭部とシャンクとを有する摩擦溶接要素(210)を備える摩擦溶接ジョイント(200)を修理する方法であって、前記頭部は頭部直径を有し、前記シャンクはシャンク直径を有し、前記摩擦溶接要素(210)はベース層(220)を少なくとも1つの最上層(240)に接続するものであり、
前記摩擦溶接要素(210)の前記シャンクは、機械加工工具を有する手持ち式機械で除去され、その除去は、回転する前記機械加工工具を前記シャンクの方向に前記摩擦溶接要素(210)の前記頭部に通し、前記ベース層(240)を有する前記摩擦溶接要素(210)の前記溶接ゾーン(230)が位置する深さまで止まり穴を穿孔することによって、行われ、
前記機械加工工具の外径は、前記摩擦溶接要素(210)の前記シャンクの外径と少なくとも等しく、
穿孔作業の完了後、新しい摩擦溶接要素(210)が前記止まり穴の底を持つ摩擦溶接ジョイント(230)を形成するために挿入される、摩擦溶接ジョイントの修理方法。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の手持ち式機械(10)が、摩擦溶接要素(210)を除去するために使用されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンタクト要素(36)の開口部(44)の断面形状が、前記摩擦溶接要素(210)の前記頭部の断面形状に対応し、前記開口部(44)の範囲が、前記摩擦溶接要素(210)の前記頭部の範囲よりもわずかに大きいことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載されているように、部品アセンブリから摩擦溶接された要素を取り外すための手持ち式機械に関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦溶接要素との摩擦溶接の接合プロセスは、例えば自動車工学において使用されるように、複合設計においても使用される。このプロセスでは、より軟質の材料の最上層が、下に位置するより硬質の材料のベース層に日常的に接合される。その場合、補助接合パートナー、すなわち、頭部およびシャンクを有する摩擦溶接要素が、接触圧力下での回転の結果としての発熱によって、最上層を貫通した後に、ベース層との溶接接合部を形成する。摩擦溶接要素の頭部は、通常、積極的な嵌合で最上層を保持する。ベース層および摩擦溶接要素の両方は通常、鋼で作られ、最上層は多くの場合、アルミニウムまたは繊維複合材料である。
【0003】
この接合プロセスは、摩擦溶接要素とベース層との間に材料結合を生じさせ、この材料結合は通常、薄いシートの金属からなるので、このような結合を手動で切り離すことと、摩擦溶接要素を使用して層を再接合することとの両方が困難である。この別の理由は、機械加工されるジョイント(継手)が個々であり、多くの場合、アクセスが困難であることである。
【0004】
したがって、手持ち式機械を使用してジョイントを機械加工することが可能にされるべきである。この目的のために望まれるのは、手持ち式機械の最も信頼できるガイダンスである。
【0005】
手持ち式機械、特にハンドドリルの信頼できるガイダンスのために、機械的なものから光学的なもの、音響的なものまで様々な概念が知られている。
【0006】
ダボ穴を穿孔するためのハンドドリルのための機械的アライメント(位置合わせ)補助は例えば、AT375292Bから知られている。この装置は、外側スリーブが伸縮自在に案内される第1の静止要素を含む。外側スリーブは、装置がドリルに取り付けられる受け要素に対してバネ荷重を受ける。同様の位置合わせおよび誘導補助は、DE2451292B2から公知である。
【0007】
DE102017128892A1は、アダプタを開示しており、そこでは、工具がアダプタの機械側部分に取り付けられ、工具がチャック内に受け入れられている。ワーク側部分は、機械側部分に対してバネ荷重を受ける。
【0008】
ワークピースに対するドリルの位置合わせの光学的検出は、DE3405498A1に開示されている。この場合、バイアルバブルの助けを借りて整列された光プランメトが使用される。
【0009】
DE4336730A1には、ドリルが開示されており、ドリルの位置合わせも反射測定によって決定される。アライメントは、光ビームまたは超音波を使用して検出することができる。
【0010】
US4078869Aは、表面上のパターンを変化させることによってアライメントを調整することができるレーザアライメント補助装置を開示している。
【0011】
しかしながら、これらの設計は、処理セーフな方法で部品アセンブリから鋼製の摩擦溶接要素を除去するのには適していない。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、処理セーフな方法でそのような部品アセンブリから鋼製の摩擦溶接要素を除去し、特に摩擦溶接要素によるアセンブリの再接続を可能にするための手持ち式機械、およびそのための方法を提供することである。
【0013】
この目的は、装置に対しては請求項1の特徴によって達成され、方法に対しては請求項12の特徴によって達成される。
【0014】
従属請求項は、本発明の有利な更なる実施形態に関する。
【0015】
本発明は、摩擦溶接要素の頭部による上部層の積極的な保持が、シャンクよりも直径がわずかに大きい穴を頭部に形成することによって解放され得るという認識に基づく。次いで、ベース層を貫通することなく、使用される摩擦溶接要素の熱影響領域のほぼ端部までシャンクを除去することによって、摩擦溶接要素を使用してアセンブリを再接続することが可能である。
【0016】
本発明は、部品アセンブリから摩擦溶接された要素を除去するための手持ち式機械に関し、この複合アセンブリは最上層と、ベース層と、材料結合によってベース層に接続された摩擦溶接要素とを有し、最上層は、摩擦溶接要素の頭部によって嵌め合い形状的に適所に保持される。
【0017】
手持ち式機械は、機械ハウジングと、機械ハウジング内に受容される駆動ユニットとを含み、駆動ユニットは、機械加工工具に接続され、機械加工工具を回転させる。機械ハウジングは、機械を操作するために使用されるハンドルを有する。
【0018】
駆動ユニットは、好ましくは駆動モータと、必要に応じてギアボックスと、駆動モータによって駆動される駆動シャフトとを備える。
【0019】
特にドリル又はフライスである機械加工工具は、駆動軸を介して間接的に又は直接的に接続することができ、機械加工工具は、工具駆動軸を介して駆動ユニットの駆動軸によって回転させられる。
【0020】
取り付け装置が機械ハウジングに接続される。取り付け装置は、機械ハウジングに対して移動不能に配置された第1の構成部品と、第1の構成部品に対して軸方向に移動可能に配置された第2の構成部品とを有する伸縮要素を備える。第2の構成部品は、ばね構成によって駆動ハウジングに対して押圧方向に軸方向にプレストレス(予圧)をかけられる。
【0021】
第2の構成部品は、第2の構成部品が第1の構成部品と係合する伸縮ガイド部分を含む。伸縮案内部は特に、第2の構成部品が第1の構成部品に対してねじり防止方式で案内されるように、好ましくは第1の構成部品と第2の構成部品との間に引抜き限界が存在するように設計され、第2の構成部品はばね構成のばねプレストレスの下で押圧される。
【0022】
したがって、機械ハウジングおよび第2の構成部品は、ばね力に打ち勝つことによってのみ互いに向かって移動することができる。これにより、動作中の軸方向における手持ち式機械の改善された案内が保証される。
【0023】
その前端部において、第2の構成部品はコンタクト要素を有し、その前端部は、部品アセンブリ上に手持ち式機械を配置するために使用される。
【0024】
加えて、第2の構成部品と駆動ハウジングとの間に作用し、穿孔深さを制限するために使用されるストッパが設けられる。ストッパは、機械ハウジング側に停止面(ストップ面)を有し、コンタクト要素側に停止面(ストップ面)を有する。したがって、ストッパは、最大穿孔深さを設定するために、第2の構成部品と機械ハウジングとの間で間接的または直接的に作用することができる。
【0025】
機械加工工具は、第2の構成部品が引き出し制限と接触するその開始位置から、最大穿孔深さに達したときの停止部までの移動距離にわたって、案内され得る。このプロセスでは、工具が頭部を貫通し、摩擦溶接要素を最大穿孔深さまで機械加工する。頭部の頂部から最大穿孔深さまでの経路は穿孔経路である。穿孔深さは、好ましくは底部構成要素、すなわちベース層の表面から約0.5mm~0.8mm下である。
【0026】
移動距離は、好ましくは穿孔経路よりも長いか、またはそれに等しいように選択される。これは、コンタクト要素が適所にある初期位置において、先端から頭部までの距離が上部部品の表面から除去される摩擦溶接要素の頭部表面の距離よりも大きいことを確実にし、したがって、接触表面が上部層上に確実に配置されることを可能にする。
【0027】
接触面に対する開始点の位置は、異なる長さのコンタクト要素によって、または位置可変の引き出し制限によって調整することができる。これにより、異なる頭部高さに調整することができる。
【0028】
さらに、取り付け装置は駆動ユニットを介して駆動される工具駆動軸を有し、工具駆動軸は、軸受要素によって、工具駆動軸と同軸である第2の構成部品に対して回転可能に取り付けられる。工具駆動軸は、駆動ユニットの駆動軸に取り外し可能に接続され得るか、または駆動ユニットと一体化され得る。
【0029】
本発明は、伸縮ガイド部分とコンタクト要素の前端との間に位置する軸受要素を提供する。軸受要素は、滑り軸受として設計されることが好ましい。これは、約4,000rpmの工具駆動軸の速度範囲内の軸受を達成する簡単な方法であり、軸方向の案内を確実にする。
【0030】
このようにして、機械加工工具を担持する工具駆動軸を支持するための軸受要素は、機械加工プロセス全体にわたって、好ましくは第2の部品の前面領域に、部品アセンブリから所定の距離に配置される。
【0031】
これは、配置中の機械加工工具の非常に正確なセンタリングおよび案内を可能にし、したがって、工具が手動で案内される場合であっても、特に硬質材料で作られた摩擦溶接要素の頭部への大幅に滑りのない貫通をもたらす。この初期貫通後、ばねプレストレスに抗してさらなる軸方向送りを行うことができ、摩擦溶接要素の中心線に沿ってより信頼性の高い機械加工を行うことができる。
【0032】
コンタクト要素の前部から軸受要素までの距離は、好ましくは機械加工工具の外径の2.5~3.5倍である。これは、機械加工工具が、最大穿孔深さの可能な限り大きい部分にわたって、可能な限り「揺れのない」ように案内されることを保証する。
【0033】
軸受要素は、好ましくは機械加工工具の外径の少なくとも3倍の長さにわたって延在する。これは、良好な案内特性をもたらす。
【0034】
工具駆動軸の外径は、少なくともガイド領域において、機械加工工具の外径よりも大きいか、等しく、好ましくはわずかに大きい。これにより、接触面と軸受要素との間の距離よりも大きい穿孔深さが可能になり、これにより、工具を接触面又は接触面の上方にできるだけ接近して案内することが可能になる。
【0035】
軸受要素の材料は、好ましくは非鉄金属、例えば黄銅または焼結青銅で作られる。グラファイトベースの固体潤滑も提供され得る。
【0036】
コンタクト要素は好ましくはスリーブ形状であり、側方凹部を有する。好ましくは、接触面と軸受要素との間の領域におけるコンタクト要素の壁厚は、凹部の内径とコンタクト要素の外径との間の距離より少なくとも部分的に小さい。これは貫通点における空間の増加をもたらし、これは貫通点からの切り屑排出を改善することができる。
【0037】
本発明の有利な実施形態では、コンタクト要素が第2の部品の他の部分から取り外し可能であるように設計することができ、したがって、異なるコンタクト要素を選択することによって、工具を、除去される摩擦溶接要素の頭部形状および頭部寸法に簡単に適合させることができる。
【0038】
コンタクト要素の材料は、好ましくは非鉄金属または鋼である。これにより、穿孔チップ(切り屑)がコンタクト要素の接触面に押し込まれることが防止される。これにより、手持ち式機械の均一な配置がより確実に保証される。
【0039】
軸受要素およびコンタクト要素が、第2の部品のワンピースアセンブリを形成することも考えられる。
【0040】
コンタク要素はその前端に、機械加工工具を通すことができる開口部を有し、この開口部は、機械加工される摩擦溶接要素の頭部よりも大きく、その結果、コンタクト要素は部品アセンブリの最上層上の頭部の隣に配置され得る。
【0041】
開口部の断面形状は、好ましくは除去される摩擦溶接要素の頭部の断面形状に対応し、その範囲がわずかに大きいだけである。
【0042】
特に、開口部の断面形状は円であってもよく、その直径はコンタクト要素の内径である。
【0043】
好ましくは、コンタクト要素が、機械ハウジングの方向で開口部から始まるスクレーパを有する。スクレーパは、機械加工工具がスクレーパを完全に貫通することができるように設計されるが、頭部、または頭部のドリル除去後の残りの部分は、スクレーパを通過することが防止される。
【0044】
これにより、ファスナーヘッド、またはファスナーヘッドの残部が、機械加工工具の後退運動中に機械加工工具から削られることが可能になる。これは、特に、機械加工工具がねじれ形状を有する場合に当てはまる。
【0045】
好ましくは、コンタクト要素の側方凹部が開口部とスクレーパとの間に配置される。これは、スクレーパが掘削点から側部凹部への切り屑の排出を妨げないことを確実にする。
【0046】
これは、スクレーパがコンタクト要素の開口部の直径よりも小さい直径の凹部を有する領域として設計される場合に特に有利である。
【0047】
さらに、スクレーパはまた、接触面が適所にあるときに、それが頭部形状の相手を形成し、それに直接隣接するように、接触面に近接して一体化することができる。内径は工具駆動軸の外径よりもわずかに大きいが、接触面の開口の直径よりも小さく、したがって、除去される摩擦溶接要素の頭部の外径よりも小さい。
【0048】
接触面におけるコンタクト要素の開口部の内径は、好ましくは1.75≦x≦2.25で機械加工工具の外径で乗算された係数xに対応する。
【0049】
これは、シャンク直径に対する頭部外径の一般的な比である。
【0050】
したがって、開口部の内径は、摩擦溶接要素の頭部上に、その円周の周りにできるだけ遊びがないように置かれるように選択される。これは、取り付け装置が頭部に対して傾斜することをより困難にし、機械加工工具の中心軸とファスナの中心軸との同軸アライメントを容易にする。
【0051】
頭部に対するコンタクト要素の正確な位置合わせと、軸受要素と接触面との間の小さい距離とにより、摩擦溶接要素上の機械加工工具の正確な案内が可能になり、したがって、硬質材料から作製され得る、頭部の中心合わせされた信頼できるタップが可能になり、その結果、中心合わせされた同軸配置が確実に可能になり、その結果、摩擦溶接要素のシャンクは、シャンクの外径よりわずかに大きい直径を有する機械加工工具で完全に穿孔され得る。このようにして、適切な要素を、得られる止まり穴に溶接することができる。
【0052】
コンタクト要素の外径は、好ましくは機械加工工具の外径の3.5~4.5倍である。これは、緊密な設置状況において、部品上へのコンタクト要素の配置を改善する。
【0053】
さらに、特にコンタクト要素の接触面が小さく、外径が機械加工工具の外径の3.5~4.5倍である場合、取り付け装置は好ましくは位置合わせ補助具(アライメント補助)を有することができ、このアライメント補助は、作業位置からの少なくとも1つのずれの検出を可能にするように設計される。
【0054】
アライメント補助は、作業位置からの逸脱を検出して表示することができる少なくとも1つの加速度計を含むことができる。特に、少なくとも1つの加速度計は、少なくとも2つの軸の周りの加速度を検出する。
【0055】
好ましくは、コンタクト要素が部品上に配置され、作業方向が設定された後に、現在位置が作業位置として初期化される。工具は、機械加工のために作業方向に力を加える必要なく位置合わせすることができる。これは、比較的正確な初期位置合わせを可能にする。作業方向からのずれは電気光学ディスプレイ、例えば、取り付け装置の周りにあり、ずれがある方向の点でリングが点灯するLEDリングによって示すことができる。
【0056】
本発明の別の好ましい実施形態では、位置合わせ補助具(アライメント補助)が部品アセンブリ上にパターンを投影する光学投影装置を備えることができる。投影方向は、パターンが投影される表面に対する作業方向の直交位置をパターンが示すように選択される。これは、特に、ドットパターンが重ね合わされたラインパターンによって達成することができる。これは、作業位置が維持され得るように、除去プロセス中にもパターンがその位置合わせについて監視されることを可能にする。
【0057】
好ましくは、パターンは、駆動シャフトの中心軸線上でそれらの延長線上で交差する2つの線と、中心軸線に対して45°の角度で作成された2つの点とを含み、その結果、シャフトが接触面に対して垂直であるとき、2つの点の各1つが2つの線の各1つ上にある。
【0058】
有利には、光学投影装置を含む位置合わせ補助具が、第2の構成部品上に配置される。これは、投影装置が接触面から一定の距離で取り付けられることを意味し、その結果、接触面内のパターンは現在の穿孔深さに応じて変化しない。
【0059】
締結具の硬度に応じてかなりの力が加えられなければならない機械加工作業中、表示装置は、作業方向に沿った作業位置における手持ち式機械の案内を容易にするために、作業位置からのずれ、特に傾斜の方向の変化も表示する。
【0060】
取り付け装置は、好ましくは接続領域を有し、この領域で取り付け装置は、取り外し可能かつねじれ防止方式で機械ハウジングに接続され得る。
【0061】
穿孔深さを設定するためのストッパは、ストッパに達すると信号を出力する信号ユニットを備えることができる。
【0062】
これは、予め設定された穿孔深さに達したときに機械加工プロセスを即座に停止させることを可能にするので、部品アセンブリへの熱入力を低減する。
【0063】
ストッパに到達したときに信号が付加的に発せられるという事実は、有利である。なぜなら、ファスナを取り外すのに必要な圧力が非常に大きく、使用者は、工具がストッパに達したときそのことを必ずしも感じず、結果として機械加工工具を部品アセンブリ内で不必要に長く回転させてしまうからである。
【0064】
信号ユニットは、電気光学および/または電気音響信号ユニットの形態であってもよい。
【0065】
単純な形態では、電気光学信号ユニットが光源、特にLEDを備えることができる。
【0066】
ストッパは、電気スイッチ、特にいわゆる押しボタンを有することができ、それらは、穿孔深さに達したときに作動される。プッシュボタンを押すと、ユーザが実際に事前設定された穿孔深さに達したことを確認できるように、電子表示信号をトリガすることができる。
【0067】
本発明の別の有利な実施形態では、ストッパが、停止が検出された後に時間遅延信号を出力するタイマを含むことができる。
【0068】
電気光学表示ユニットは、それ自体の電源を有してもよく、または駆動ユニットの電源に接続されてもよい。
【0069】
好ましくは、ストッパの停止点は、穿孔深さを変えることができるように調整されるように適合される。この目的のために、機械ハウジング側の停止面の位置および/またはコンタクト要素側の停止面の位置は、互いからの距離において調整可能にすることができる。
【0070】
本発明の好ましい実施形態では、ストッパが、機械ハウジング側の停止面の位置および/またはコンタクト要素側の停止面の位置を変更するように機能する少なくとも1つの調整要素を有する。
【0071】
調整要素は、好ましくはコンタクト要素側の停止面を調整するのに適しているように設計される。
【0072】
その結果、調整要素は第1の構成部品に対して可動部分によって動かされ、第1の構成部品は機械ハウジングに対してそれに対して動かないように機械ハウジングに接続される。これは、調整要素の接触または接近に応答する押しボタンが機械ハウジングに対する運動から解放されて収容され得ることを意味する。これにより、電気光学ディスプレイを制御するための回路への組み込みが容易になる。
【0073】
調整要素はその位置決めにおいて変位することができ、選択された位置に固定することができるロッドを備えることができる。
【0074】
調整要素は、好ましくは第2の構成部品上に配置され、工具軸の回転軸線の周りに回転可能であるようにされた、ねじ山付きスリーブであり得る。したがって、回転は、調整要素の軸方向位置を変化させる。
【0075】
より好ましくは、調整要素は微調整可能である。この目的のために、調整要素は、好ましくは微細ピッチねじ山を有することができる。
【0076】
機械加工工具は、ドリル又はフライスである。ドリルは、好ましくは140°±5°の先端角度を有する。
【0077】
この角度は、ベース層への摩擦溶接要素の高品質接続を促進する。これは、元の摩擦ジョイント接続部のサイズと同じサイズの領域にわたって、対面接続部を形成する。これにより、均一で堅牢なジョイントを作成することができる。その結果、元々使用されていた摩擦溶接要素の種類及び長さに対応する摩擦溶接要素を補修溶接に使用することもできる。これは、製造中に接合部の検査において欠陥が検出される場合に特に重要である。その結果、ジョイントは、その後、同じ接合装置を用いて、直ちに再度製造することができる。
【0078】
本発明の有利な発展形態では、第1の構成部品が第2の構成部品の半径方向外側に案内されることができる。これは、第2の構成部品をより小さい直径で設計することができ、ばねを伸縮要素内に配置することができるという利点を有する。
【0079】
本発明の別の有利な実施形態では、第2の構成部品が半径方向内側の第1の構成部品の半径方向外側に配置することもでき、プレストレスをかけるばね構成は、好ましくは第1の構成部品の半径方向外側に配置され、螺旋ばねとして設計される圧力ばねである。
【0080】
本発明の別の有利な実施形態では、取り付け装置が機械ハウジングに取り外し可能に接続されてもよい。これは、取り付け装置が市販のドリル等を、複合アセンブリから摩擦溶接要素を除去するための本発明による手持ち式機械に変換するためのレトロフィットとしても使用され得ることを意味する。
【0081】
取り外し可能な構成の場合、バネは、好ましくは第1の構成部品と第2の構成部品との間に支持され、第1の構成部品は機械ハウジングに対して比較的動きのない接続となり、第2の構成部品を機械ハウジングに対してプレストレスをかける。
【0082】
特に、取り外し可能な取り付け装置では、工具軸が例えばドリルチャックを介して、機械加工工具の出力軸に取り外し可能に接続されることができる。加えて、接続装置が、取り付け装置の第1の構成部品が相対移動なしに機械ハウジングに連結されることを可能にするために提供されてもよい。市販のドリルのいくつかは様々なアタッチメント装置のための接続オプションを既に有しており、その結果、市販のドリルまたはコードレスドリルは、本発明による手持ち式機械のための機械ハウジングを備えた駆動ユニットを構成することができる。
【0083】
取り付け装置をハウジングに取り付けるための手段は、クランプの形態で提供することもできる。
【0084】
別の態様における本発明は、頭部とシャンクとを有する摩擦溶接部材を備え、頭部が頭部直径を有し、シャンクがシャンク直径を有する部品アセンブリの修理方法に関する。摩擦溶接要素は、その頭部を介して上層をベース層に積極的に接続し、そのベース層に摩擦溶接要素が、溶接継手において材料的に接合される。
【0085】
本発明の方法は、摩擦溶接要素のシャンクを除去するための機械加工工具を備える手持ち式機械の使用を提供するものであり、上記の除去は、回転する機械加工工具をシャンクの方向に摩擦溶接要素の頭部に通し、摩擦溶接要素とベース層との摩擦溶接ゾーンとなる深さまで止まり穴を穿孔することによって行う。機械加工工具の外径は、少なくともファスナのシャンクの外径に等しく、穿孔プロセスの完了後に新しい摩擦溶接要素を挿入することを可能にし、その後、止まり穴の底部との摩擦溶接ジョイントを形成する。
【0086】
有利な方法では、上述のような手持ち式機械が、部品アセンブリから摩擦溶接要素を除去するために使用される。
【0087】
使用される手動式機械は、好ましくはコンタクト要素を有し、コンタクト要素の凹部の断面形状は頭部の断面形状に対応し、凹部の広がりは、摩擦溶接要素の頭部の広がりよりもわずかに大きい。
【0088】
これにより、機械加工工具を摩擦溶接要素の頭部上に理想的に中心に配置することができる。
【0089】
さらに好ましい実施形態では、手持ち式機械が、ドリルとして設計され、続いて使用される摩擦溶接要素の先端角度に対応する先端角度を有する機械加工工具を有する。
【0090】
引き続き除去プロセスに使用される摩擦溶接要素は、手持ち式設定装置または自動設定機のいずれかを用いて製造することができる。
【0091】
その結果、摩擦溶接要素が例えば、製造中にすでに欠陥があると判断されたジョイントから、手動で除去される場合、このジョイントは、その後、自動摩擦溶接機によって再び製造することができる。
【0092】
摩擦溶接要素をその初期位置から除去するために、第2の構成部品が引き出し制限に当接すると、最大穿孔深さに達したときに、機械加工工具は、停止部までの移動距離にわたって手動で案内される。
【0093】
頭部は貫通され、摩擦溶接要素は最大穿孔深さまで穿孔される。最大穿孔深さは、摩擦溶接要素の溶接ゾーンの領域内にある。これは、通常、最上層に面するベース層の表面の約0.5mm~0.8mm下である。
【0094】
これにより、ジョイントの製造に元々使用されていた摩擦溶接要素の種類及び長さに対応する摩擦溶接要素を、補修溶接にも使用することができる。
【0095】
特に、移動距離は、コンタクト要素が適所にある初期位置において、先端と頭部との間の距離が、除去される摩擦溶接要素の頭部表面と上部構成部品の表面との間の距離よりも大きくなるように選択される。これにより、接触面を上部構成要素上に確実に配置することができる。
【0096】
本発明のさらなる利点、特徴、および可能な用途は、図面に示される実施形態を参照する以下の説明から明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【
図1】本発明による手持ち式機械の設置前の概略断面図である。
【
図2】設置中の本発明による手持ち式機械の概略断面図である。
【
図3】調整された穿孔深さに達したときの、本発明による手持ち式機械の概略断面図である。
【
図4】作業姿勢からのずれがある場合の、本発明による手持ち式機械の概略断面図である。
【
図5】設置中の本発明による手持ち式機械の別の実施形態の概略断面図である。
【
図6a】直交性がある場合の、
図5に示される実施形態のアライメント補助によって生成されるパターンである。
【
図6b】傾きがある場合に
図5の実施形態のアライメント補助によって生成されるパターンである。
【
図7】本発明による手持ち式機械の別の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
図1は、部品アセンブリ200から摩擦溶接要素210を除去するための本発明による手持ち式機械10の概略断面図である。部品アセンブリ200は、摩擦溶接要素210によって接合された最上層220およびベース層240を備える。摩擦溶接要素210は、溶接ゾーン230を介してベース層240に材料的に結合され、ベース層240に対して積極的に最上層220を保持する。
【0099】
この目的のために、手持ち式機械10は、機械ハウジング12と、その中に受容された駆動ユニット14とを含み、これは、駆動モータ16と駆動シャフト18とを含む。
【0100】
手持ち式機械10は、機械ハウジング12に接続されたアタッチメント装置20をさらに含み、このアタッチメント装置20は伸縮要素22を含み、伸縮要素22は次に、機械ハウジング12に対して移動不能に配置された第1の構成部品24と、第1の構成部品24に対して軸方向に移動可能に配置された第2の構成部品26とを含む。
【0101】
コイルばね28は、第1の構成部品24と第2の構成部品26との間に配置され、第2の構成部品26を機械ハウジング12に対してプレストレスする(予圧をかける)。第2の構成部品26は、その前方端部に機械加工工具32、この場合はドリルを支持する工具駆動軸30によって貫通される。
【0102】
工具駆動軸30は、伸縮要素22と同軸である。
【0103】
第2の構成部品26は、ガイド領域Fを介して第1の部品24と非回転係合するガイドスリーブ35と、ガイドスリーブ35に接続された圧力ピース37とを含む。圧力ピース37内に軸受要素38が受け入れられ、その中に工具駆動軸30が摺動可能に取り付けられる。圧力ピース37は鋼製とすることができ、挿入された軸受要素38は、真鍮製とすることができる。あるいは、圧力ピース37全体が滑り軸受を形成してもよく、したがって、全体が真鍮などの単一の材料から形成されてもよい。
【0104】
次いで、第2の構成部品26はコンタクト要素36で終端し、その前端は、部品アセンブリ200の最上層220上に置かれる。コンタクト要素36は、好ましくは圧力ピース37上に配置される。
【0105】
軸受要素38は、コンタクト要素36の前端付近の前端から始まる。この場合、コンタクト要素の前端からの軸受要素38の距離は、好ましくは機械加工工具32の外径Aの3倍よりも小さい。
【0106】
コンタクト要素36は、スクレーパ33を有する。スクレーパ33は、コンタクト要素36の残りの部分と一体に形成される。したがって、凹部40を有するコンタクト要素36の領域と、工具駆動軸30の外径Bよりもわずかに大きい開口部が形成される軸受要素38との間に境界面が形成される。
【0107】
これにより、機械加工工具32は、スクレーパ33を通過することができる。ヘッドまたはヘッドの部分は、穿孔工程後に、または穿孔工程中に、機械加工工具32から、特に、機械加工工具32のねじれ形状から、スクレーパ33においてこすり取られる。
【0108】
軸受要素38は工具駆動軸30を軸受長さLにわたって支持する。この軸受長さLが機械加工工具の外径Aの3倍よりも大きく、これにより、穿孔深さの広い範囲、特に全範囲にわたって安定した案内を得ることができる。コンタクト要素36は、その側部またはその周囲に、穿孔作業中に除去された切り屑を排出するために使用される凹部40を有する。
【0109】
加工工具32の外径Aは、工具駆動軸30の外径Bよりも小さい。これは、工具駆動軸30が滑り軸受スリーブ内に回転可能に支持されることを可能にし、軸受要素38を損傷することなく機械加工工具32が軸受要素内に引き込まれることを依然として可能にする。
【0110】
コンタクト要素36の前端は開口44を有し、その断面は、摩擦溶接要素210のヘッドの断面形状に一致するように成形される。さらに、開口部44の範囲は摩擦溶接要素210の頭部の範囲と一致し、開口部44の範囲は、摩擦溶接要素210の頭部の範囲よりわずかに大きいだけである。
【0111】
これは、手持ち式機械10が摩擦溶接要素210のヘッドに対して傾斜することをより困難にし、構成要素アセンブリ200の表面、特に最上層220の表面に直交する向きの設定を容易にする。開口部44はまた、摩擦溶接要素210の頭部の輪郭にその軸方向範囲に沿って適合されてもよい。
【0112】
その結果、軸受要素38とコンタクト要素36の前端との距離を小さくすることができ、それでも十分な穿孔深さを確保することができる。
【0113】
本発明による手持ち式機械10の本実施形態では、可能な穿孔深さを制限するストッパ50が設けられる。ストッパ50は、最大穿孔深さに達したときに互いに当接するコンタクト要素側のストップ面52a及び機械ハウジング側のストップ面52bを含む。ストッパ50はまた、調整要素54を有し、それによって、コンタクト要素側のストップ面52aの位置を可変に調整することができる。これは、異なる部品の厚さを考慮に入れることを可能にする。
【0114】
ストッパ50はまた、取り付け装置上に円周方向に配置されたLED54を含む光信号ユニット55を有する。さらに、停止プッシュボタン56が設けられており、停止に達すると、対応する信号をLED54を介して出力することができる。これは、例えば、LEDが点滅することによって表示することができる。機械的停止に加えて、最大穿孔深さに達したときを示す視覚信号もユーザに表示される。これは、停止に達したときにユーザが供給速度の低下を容易に感じないので、特に重要である。その理由は、摩擦溶接された要素の硬度のために、必要な送り力が比較的大きく、摩擦溶接された要素を機械加工するときの送り速度が比較的低いからである。
【0115】
また、例えば、一定の停止時間後に色の変化があってもよい。これにより、機械加工工具32が最大穿孔深さにある時間を短縮することができる。最大穿孔深さに達したときの作業位置を
図3に示す。
【0116】
加えて、取り付け装置20は、作業位置からの手持ち式機械の位置の変化を示すアライメント補助装置60を含む。アライメント補助の機能は、特に
図4を参照してより詳細に説明される。
【0117】
図2は、コンタクト要素36を有する手持ち式機械10が構成要素アセンブリ100の最上層220上に置かれる状態を示す。この場合、コンタクト要素36は、ヘッドの近くに案内される。初期位置では、機械加工工具32の前端がヘッドのすぐ上にあり、工具駆動軸30は軸受要素38内で案内される。
【0118】
摩擦溶接要素210の頭部上のコンタクト要素36の密接な案内は、最上層220の表面に垂直な手持ち式機械10の初期位置合わせを支持する。好ましくは、アライメント補助60の初期化もこの位置で行うことができる。
【0119】
ストッパ50の調整要素58は、ヘッド高さと最上層の厚さとのほぼ距離に設定される。これは、ベース層240が穿孔プロセス中に完全に穿孔されないことを確実にする。このようにして、別の摩擦溶接要素を、後に機械加工領域上に配置することができる。
【0120】
図3に最終穿孔深さに達した機械加工位置を示す。この位置では、停止面(ストップ面)52a、52bは互いに当接している。押しボタン56は、LED54を点滅モードに優先的に切り替えるこのプロセスの間、押される。ばね28は、この位置でオーバープレス(過剰押圧)される。
【0121】
この位置では、摩擦溶接要素210のシャンクが部品接合部から取り外され、摩擦溶接要素210のヘッド(頭部)も最上層220またはベース層240にもはや接続されない。この時点で、摩擦溶接要素210を除去するための機械加工プロセスが完了し、回転運動を停止することができる。このようにして、部品アセンブリ200に止まり穴が形成され、止まり穴の底部がベース層240によって形成される。次に、摩擦溶接要素210をベース層240に再度接合することができ、その頭部は、次いで、再度、フォームフィット方式で上部層220を適所に保持する。
【0122】
図4は、アライメント補助60の機能を示す。この実施形態では、アライメント補助60が初期化された作業位置合わせからのずれがあるかどうかを決定するために、加速度計などの位置センサまたは位置変化センサを含む。
【0123】
アライメント補助60は、取り付け装置の周りに円周方向に配置されたLED54をさらに含む。加えて、アライメント補助は、検出された初期作業位置合わせからのずれに応じて、対応するLED 54を作動させる制御ユニットを有する。このようにして、使用者は作業機械10の位置が初期化された作業方向に再び対応するように、補償運動/傾斜が行われなければならない方向を見ることができる。
【0124】
コンタクト要素36の接触面積が小さいにもかかわらず、これは、部品アセンブリ100に対して垂直な作業方向を維持することを改善する。したがって、この実施形態では、LED54が停止部の信号ユニットの一部であってもよく、アライメント補助60の表示手段であってもよい。
【0125】
LED54がストップディスプレイとして機能するか、またはアライメント補助として機能するかの区別は例えば、ディスプレイのタイプによって行うことができる。調整された穿孔深さに達することは例えば、全てのLED54が点滅することによって示すことができ、一方、作業位置合わせからのずれは個々のLED54の連続照明によって示すことができる。
【0126】
2つの状態を電気光学的に区別して表示することができる複数の方法があることは、当業者には明らかである。
【0127】
図5は本発明による手持ち式機械10の別の実施形態であり、本質的に
図1の実施形態に対応するが、レーザアライメント補助の形態であるアライメント補助70の設計において
図1の実施形態とは異なる。この目的のために、アライメント補助70は表面上にパターンを投影する光源を含み、このパターンは、表面に対する傾斜に関して手持ち式機械の向きを識別するために使用することができる。パターンは、好ましくは少なくともそれらの範囲において交差する2つの線と、工具駆動軸の軸線が表面に対して直角に整列したときに互いの頂部上に位置する2つの点とを備える。
図5の実施形態では2つの線がクロスレーザによって生成され、2つの点は2つの点レーザ72、74によって生成される。
【0128】
このようにして、投影されたパターンは、ユーザが動作方向が表面に対して垂直であるかどうかをチェックすることと、穴あけ動作中に動作方向が維持されていることを検証することとの両方を可能にする。
【0129】
代替的に、交差したラインは、2つの対応して配置されたラインレーザを用いて生成することもできる。
【0130】
第2の部品上の配置の利点は、ドリル加工中に表面からの距離が変化せず、したがってパターンの投影が悪影響を受けないことである。
【0131】
図6aは、工具軸の回転軸線が最上層に対して直交するときに対応するパターンである。
図6bは、工具軸の回転軸線の傾きが最上層に対して直交することから外れたときに生成されるパターンである。
【0132】
図7は、本発明による手持ち式機械110の別の実施形態の概略断面図である。取付装置120は、ばね128のプレストレスに対して互いに対して軸方向に移動可能な第1の構成部品124および第2の構成部品126を有する伸縮要素122を含む。
【0133】
この実施形態では、第1の部品124が第2の部品126の半径方向外側にある。伸縮要素122はガイド領域Fを有し、ガイド領域Fに沿って、第2の構成部品126は第1の構成部品124上で回転不能であり、軸方向に移動することができるようにガイドされる。例えば、この領域において、第1の構成部品124は少なくともガイド領域Fにおいてその内面に平坦部分を有することができ、第2の構成部品126は、その上に形成されたフランジ127を有する圧力ピース137を備えることができる。フランジ127は、第1の構成部品124に対する第2の構成部品126の回転防止ロックを達成するために、第1の構成部品124上の平坦な部分に対応する平坦な部分を有することができる。さらに、第2の部品126のフランジ127は、引出制限として、およびばね128のための支持体として働く。
【0134】
第1の部品124には、複数のLED154と、LED154に接続された停止押しボタン156とを含む信号ユニットが取り付けられている。
【0135】
第1の部品124は、取り付けデバイス120を機械ハウジング112に取り外し可能に接続するための接続部分を含む。ばね128は第1の構成部品124と直接接触しているが、第2の構成部品126が機械ハウジング112に対して締結された後、第2の構成部品26にプレストレスをかけ、その結果、使用者は機械を前進させるために機械を配置するとき、ばね力に抗して直接的に押し付ける。
【0136】
したがって、工具駆動軸130および機械加工工具の引き出し限界および長さは、制限位置において、ドリルが接触面を越えて突出せず、好ましくは接触面からヘッド高さよりもさらに大きく離間するように調整される。
【0137】
第2の構成部品126は、コンタクト要素136付近の圧力ピース137の前方端部において圧力ピース127に固定される滑り軸受スリーブ136を含み、そこで工具駆動軸130を支持する。
【0138】
圧力ピースは、その外側にねじ山、特に微細ピッチねじ山と、最大穿孔深さを調整するために使用することができる調整リングとして設計された調整要素158とを有する。最大穿孔深さに達すると、停止面152a、152bは互いに向かって移動する。この停止位置では、押しボタン156が押され、LED154は停止位置に達したことを知らせる。
【0139】
コンタクト要素は、好ましくは
図1を参照して説明したのと同じように設計される。
【国際調査報告】