(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】環境を表す3D点群内の隠れた物体を決定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01S 17/89 20200101AFI20240417BHJP
G01S 17/931 20200101ALN20240417BHJP
【FI】
G01S17/89
G01S17/931
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571519
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2022063227
(87)【国際公開番号】W WO2022243262
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】102021205061.1
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】ハーク,ノルマン
(72)【発明者】
【氏名】シュパルベルト,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シュピースベルガー,シュテファン
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA13
5J084AB07
5J084AC02
5J084AD01
5J084EA02
(57)【要約】
本発明は、環境を表す3D点群内の隠れた物体を決定するための方法および装置であって、アクティブセンサ(20)によって3D点群(10)を生成するステップであって、3D点群(10)の各点が、アクティブセンサ(20)による距離測定値を表す、ステップと、3D点群(10)内で背景領域(30)を決定するステップと、3D点群(10)の背景領域(30)内で影(40)を決定するステップであって、影(40)が、3D点群(10)の点が存在しない背景領域(30)内の領域である、ステップと、3D点群(10)の前景内の物体(50)に割り当てることができない、3D点群(10)の背景領域(30)内の少なくとも1つの影(40)を識別することによって、センサ(20)の環境(60)内で、センサ(20)でクロストーク(55)によって隠された物体(50)を決定するステップと、を含む方法および装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境を表す3D点群内の隠れた物体を決定するための方法であって、
アクティブセンサ(20)によって3D点群(10)を生成するステップであって、前記3D点群(10)の各点が、前記アクティブセンサ(20)による距離測定値を表す、ステップと、
前記3D点群(10)内で背景領域(30)を決定するステップと、
前記3D点群(10)の前記背景領域(30)内で影(40)を決定するステップであって、前記影(40)が、前記3D点群(10)の点が実質的に存在しない前記背景領域(30)内の領域である、ステップと、
前記3D点群(10)の前景内の物体(50)に割り当てることができない、前記3D点群(10)の前記背景領域(30)内の少なくとも1つの影(40)を識別することによって、前記センサ(20)の前記環境(60)内で、前記センサ(20)でクロストーク(55)によって隠された物体(50)を決定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記3D点群(10)内の前記背景領域(30)が、
前記3D点群(10)の各立体角ごとに、前記アクティブセンサによって発出された走査信号から生じる最新のエコーがそれぞれ識別される、並びに/または
前記3D点群(10)内で、
前記センサ(20)から所定の最小距離を有する、
前記センサ(20)の主軸に対して所定の角度範囲内で位置合わせされる、および/もしくは
所定の最小サイズを有する
連続する平面が決定される、
ことによって識別される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記隠れた物体(50)のタイプおよび/またはサイズおよび/または位置が、前記物体(50)によって生成される影(40)の特徴に基づいて決定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記背景領域(30)内で決定された、前記前景で隠れた物体(50)の影(40)に関する情報が使用されて、前記前景の領域内で、前記隠れた物体(50)を表す点(70)であって、前記隠れた物体(50)が決定された点(70)で前記3D点群(10)を補完する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記隠れた物体(50)を表す点(70)が前記3D点群(10)に補完される領域の奥行きの広がりの決定時、前記センサ(20)の検知器のデッドタイムが考慮に入れられる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
さらなるセンサ、特に異なる種類のセンサ、および/または
現在の環境(60)に関するマップ素材
を用いて、
前記決定された背景領域(30)、
前記隠れた物体(50)の存在、
前記隠れた物体(50)のタイプ、サイズ、および/もしくは位置、並びに/または
既存のクロストーク(55)
の妥当性チェックが行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記3D点群(10)の前記背景領域(30)内での影(40)の前記識別が、機械学習法に基づいて行われる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
環境認識システムでの環境認識時に、前記隠れた物体(50)および/または前記隠れた物体(50)で補完された3D点群(10)に関する情報が考慮に入れられる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記センサ(20)が、ライダセンサ、特に輸送手段の環境検出システムのライダセンサである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
環境を表す3D点群内の隠れた物体を決定するための装置であって、
アクティブセンサ(20)、および
評価ユニット(80)を備え、
前記評価ユニット(80)が、前記アクティブセンサ(20)に基づいて、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実行するように設計される、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境を表す3D点群内の隠れた物体を決定するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ライダシステムは、発信されて受信されたレーザ光の往復時間測定に基づいて、ライダシステムの環境内にある離れている物体とライダシステムとの離間距離を決定する、高感度の離間距離測定装置である。典型的には、そのようなシステムは、100m~300mの射程範囲を目標とし、これは、使用されるライダシステムの送受信技術に非常に高い要求を課す。ここで、重要な側面は、実際には、離れている物体によって散乱されて戻った光のみがシステムによって検知され、潜在的に存在する散乱光や干渉光(一般にクロストークと呼ばれる)は検知されないことである。
【0003】
特に、ライダシステムの環境内に高反射性の物体が存在するとき、そこから生じたクロストークにより、そのような物体がライダシステムの検知器によって実際よりも大きく知覚され、その物体に隣接する領域が過剰に照らされ、それにより隠されることがあり得る。そのようなクロストークは通常、クロストーク自体の領域および検知器のデッドタイムから構成される特定の奥行き範囲でのみ生じる。それに対応して、ライダシステムの視点から見てデッドタイム遮蔽領域の背後にある物体を再び検知することができる。
【0004】
DE102018214959A1は、その発明の一態様によれば、環境センサからのデータを評価するための方法であって、少なくとも1つの物体の表面特性が認識され、および/またはデータベースへのアクセスに基づいて決定される、方法を表す。例えば、車両がガードレールの後ろで検知されることがあり、その車両が先行車両によって隠されているため、反射を受けたゴースト車両としてのみ検知される。この方法によって、ガードレールの反射表面を認識する、またはマップから抽出することができる。
【0005】
DE102007048809A1には、道路交通において隠れた物体を認識するための方法が記載されている。一実施形態では、一方では車両の周囲、他方では自車の運動変数がセンサを用いて検出され、これらは、車車間通信用のインターフェースを用いて、環境内の車両に情報として伝達され、環境内の車両によって受信される。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、環境を表す3D点群内の隠れた物体を決定するための方法が提案される。
このために、本発明による方法の第1のステップでは、アクティブセンサによって3D点群が生成され、3D点群の各点が、アクティブセンサによる距離測定値を表す。アクティブセンサは、基本的に任意のセンサでよい。有利には、アクティブセンサは、車両、特に公道走行車両(例えば、乗用車、トラック、バス、二輪車など)の環境センサであるが、そのような用途に限定されない。アクティブセンサとは、環境を検出するために、まず走査信号(音波や電磁波など)を環境に発出し、環境によって散乱されてアクティブセンサに戻ってきた走査信号の成分を適切な検知器を用いて検出するセンサとして理解することができる。次いで、検知器によって生成された測定信号を用いて、それぞれの環境を表す3D点群を作成することが可能であり、この3D点群に基づいて、例えばこの3D点群内の物体を決定することが可能にされる。これに関して、走査信号の特徴については制限がないことに留意されたい。例えば、アクティブセンサは、走査信号を用いて、検出対象の環境の領域を一時点で完全に励起し、別の時点で環境を完全に検出する。代替として、検出対象の領域全体を個別の部分区間に分割し、これらを時間的に順次に励起して検出することも可能である(例えば、環境の点状または線状の走査の形で)。
【0007】
本発明による方法の第2のステップでは、3D点群内で背景領域が決定される。3D点群の背景領域は、例えば、アクティブセンサの走査信号を散乱して戻す環境内の樹木および/または建物および/または上り坂および/または地面(特に、アクティブセンサがそのような地面の方向で傾斜を有しているとき)などによって生成され、背景領域は、必ずしも3D点群内の連続する領域である必要はなく、場合によっては複数の離散した背景領域からも構成される。さらに、本発明による方法に関して、決定された背景領域がアクティブセンサの主軸に対して実質的に垂直に位置合わせされることは、特に有利であるにせよ、必ずしもそうである必要はない。背景領域を決定するための基準は、本発明の有利な実施形態の説明の過程で、以下でより詳細に説明する。
【0008】
本発明による方法の第3のステップでは、3D点群の背景領域内で影が決定され、影は、3D点群の点が実質的に存在しない背景領域内の領域である。「実質的に点がない」とは、背景領域内に完全な影部があっても、アクティブセンサによる環境検出の過程で例えばノイズや他の影響によりアクティブセンサで生成される個々の点が3D点群内に生成される可能性があることを意味する。言い換えると、背景領域の残りの部分と明確に区別できる低密度の3D点群の点を背景領域の面内に有する背景領域内の領域が、影とみなされる。
【0009】
本発明による方法の第4のステップでは、3D点群の前景内の物体に割り当てることができない3D点群の背景領域内の少なくとも1つの影を識別することによって、光学的および/または電気的クロストークによってアクティブセンサにおいて隠れたアクティブセンサの環境内の(1つまたは複数の)物体が決定される。そのようなクロストークは、例えば、アクティブセンサの環境内の高反射性の物体(例えば、交通標識などの再帰反射体)によって引き起こされる。3D点群の前景とは、アクティブセンサと背景領域との間の領域と理解すべきである。
【0010】
アクティブセンサの視点から見て、高反射性の物体のすぐ近くにあり、アクティブセンサから高反射性の物体と実質的に同じ距離にある物体(アクティブセンサの視点から見て、高反射性の物体の側方および/または上方および/または下方にある物体)が、そのようなクロストークによって特に影響を受ける。さらに、使用されるセンサタイプおよび/または検知器技術によっては、高反射性の物体が、その高反射性の物体よりもアクティブセンサから大きい離間距離にある隣接する物体をクロストークによって隠すこともあり得る。これは例えば、高反射性の物体によって生成されたエコーがアクティブセンサで検出されるとき、アクティブセンサの視点から見て、高反射性の物体の背後にあるデッドタイム遮蔽領域に物体が存在するときに生じる。デッドタイム遮蔽領域は、検知器(例えばSPAD検知器)および/またはアクティブセンサの下流の電子機器のデッドタイムに起因する。
【0011】
上述した本発明による方法に基づいて、特に有利には、影を評価することによって、通常はクロストークにより識別可能でない前景の物体を間接的に識別することが可能であり、それによりアクティブセンサに基づく環境検出の信頼性を改善することができる。したがって、特に、車両の環境検出システムと併せて本発明による方法を使用するとき、そのような車両および/またはこれらの車両の環境内の物体(特に人)に対する保護を改善することが可能である。これは、特に半自動運転車両または自動運転車両に関連して、そのような車両の安全性および/または信頼性の有意な向上を可能にすることができる。本発明のさらなる重要な利点は、本発明による方法を実行するために既存のハードウェア構成(例えばアクティブセンサおよびそれに対応する制御ユニットなどを含む)の変更を行う必要が必ずしもないことから得られる。3D点群の背景領域内の既存の影(すなわち背景領域内での点の欠落)に関するここで使用される情報は、基本的には既存のアクティブセンサによって検出可能であり、またはすでに検出されているが、従来技術では評価されないからである。
【0012】
従属請求項は、本発明の好ましい発展形態を示す。
本発明の有利な実施形態によれば、3D点群の各立体角ごとに、アクティブセンサによって発出された走査信号から生じる最新のエコーがそれぞれ識別されることによって、3D点群内の背景領域が識別される。代替または追加として、背景領域は、アクティブセンサから所定の最小距離を有する、および/またはアクティブセンサの主軸に対して所定の角度範囲内で位置合わせされる、および/または所定の最小サイズを有する連続する平面が決定されることによって識別される。さらに、代替または追加として、背景領域を決定するために、これとは異なる基準を使用することも考えられる。
【0013】
本発明の特に有利なさらなる実施形態では、隠れた物体のタイプおよび/またはサイズおよび/または位置が、この物体によって生成される影の特徴に基づいて決定される。このために、例えば従来技術から知られている画像認識アルゴリズムが使用される。これに関連して、そのような画像認識アルゴリズムの実行前および/または実行中に、例えばアクティブセンサの主軸に対して垂直ではない背景領域(例えば、前方の道路区間内)に存在する識別された影のパースペクティブ補正が行われることが考えられる。ここで特に有利には、隠れた物体のタイプおよび/またはサイズの識別は、隠れた物体によって生成された影が完全にまたは少なくとも大部分、背景領域内に位置するときに使用可能である。例えば、背景領域に物体のごく一部のみが影として存在する場合、物体のタイプおよび/またはサイズの識別は可能でないことがあるが、それでも、位置の決定により、本発明による方法に基づく環境検出システムの信頼性および/または安全性の有意な向上を達成することが可能である。正確に識別するには十分でない物体の一部が3D点群の背景領域に影として現れるのは、例えば、アクティブセンサの視点から見て背景領域(例えば路面)の前に人の下肢のみが投影され、アクティブセンサの視点から見て空の前に上肢が投影されるときであり、空は、アクティブセンサまでの離間距離により、3D点群に点を生成しない。
【0014】
好ましくは、背景内で決定された、前景で隠れた物体の影に関する情報が使用されて、前景の領域内で、隠れた物体を表す点であって、隠れた物体が決定された点で3D点群を補完する。これは、3D点群を入力データとして使用する下流のシステムがコスト、労力、および/または時間の理由から適応されないときに有意である。このようにして、識別された隠れた物体は、3D点群の通常の(すなわち隠されていない)物体と同様に、下流のシステムに転送される。3D点群に補完される物体は、これらの物体に関する入手可能な情報に応じて、抽象的な形式で(例えば、直方体、円錐、球などの単純な幾何学的図形)または詳細な形式で(例えば、それぞれ識別された物体タイプの3Dモデルとして)3D点群に補完することができる。
【0015】
好ましくは、隠れた物体を表す点が3D点群に補完される領域の奥行きの広がりの決定時、アクティブセンサの検知器のデッドタイムが考慮に入れられる。上述したように、そのようなデッドタイムは、アクティブセンサからそれぞれ同じ距離を有するときだけでなく、アクティブセンサの視点から見て高反射性の物体よりもアクティブセンサから遠い距離を有する物体がそのようなデッドタイムにより隠されているときにも、高反射性の物体の直近の環境内にある物体を覆い隠す可能性がある。有利には、補完され得る点は、それに従って、少なくとも、デッドタイムによる影響を受ける可能性がある奥行き範囲全体に配置される。このようにすると、下流の処理では、隠れた物体の正確な奥行き位置が利用可能でないが、デッドタイムに起因する奥行き範囲をカバーすることによって、隠れた物体との衝突を常に回避することが可能である。
【0016】
有利には、決定された背景領域、および/または隠れた物体の存在、および/または隠れた物体のタイプおよび/またはサイズおよび/または位置、および/または既存のクロストークの妥当性チェックは、さらなるセンサを用いて(例えばカメラを用いて)、特に、異なる種類のアクティブセンサおよび/または現在の環境に関するマップ素材を用いて行われる。妥当性チェックは、例えば、上述した妥当性チェック対象の要素に関する確率または信頼度の計算に基づいており、したがって、それぞれの決定された確率値または信頼度値がそれぞれの所定の確率値または信頼度値を超える場合、それぞれの決定の結果が正しいと結論付けることができる。次いで、妥当性チェック結果に関する情報は、好ましくは、それぞれ対応する3D点群に関する情報と共に下流の処理に伝達される。
【0017】
本発明のさらに有利な実施形態では、3D点群の背景領域内の影の識別が、機械学習法に基づいて行われる。ここで、従来技術から知られている様々な機械学習法を使用することが可能であり、例えば、実際に検出された3D点群および/または人工的に生成された3D点群に基づいて、3D点群のそれぞれの背景領域内で影を確実に識別できるように訓練される。機械学習法に基づいて純粋に影を識別するだけでなく、さらに、そのような機械学習法を用いて、影情報から、隠れた物体のタイプやサイズを決定することも考えられる。
【0018】
有利には、隠れた物体および/または隠れた物体で補完された3D点群に関する情報は、例えば上述した下流の処理または下流のシステムに対応する環境認識システムでの環境認識において考慮に入れられる。
【0019】
本発明のさらなる有利な実施形態では、アクティブセンサは、ライダセンサ(例えば、フラッシュライダ、ラインスキャナ、またはポイントスキャナ)、特に輸送手段の環境検出システムのライダセンサである。そのようなライダセンサの検知器は、例えば、SPADベースの検知器またはそれとは異なる検知器である。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、環境を表す3D点群内の隠れた物体を決定するための装置が提案される。この装置は、アクティブセンサ(例えば、ライダセンサ、レーダセンサ、超音波センサなど)および評価ユニットを備え、評価ユニットは、上記の説明による方法を実行するようにアクティブセンサに基づいて設計される。評価ユニットは、例えば、ASIC、FPGA、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラなどとして構成され、および/またはアクティブセンサ自体の構成部品、もしくはアクティブセンサとは異なるコンポーネントの構成部品として構成される。特徴、特徴の組合せ、およびそこから得られる利点は、最初に述べた発明態様に関連して述べたものに対応するが、繰り返しを避けるために上記の記述を参照する。
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の例示的実施形態を詳細に述べる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による方法に基づいて処理すべき第1の3D点群を表す概略図である。
【
図2】本発明による方法に基づいて処理すべき第2の3D点群を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明による方法に基づいて処理することができる第1の3D点群10を表す概略図を示す。簡略化し、より見やすくするために、
図1での図示は、アクティブセンサ20によって生成される個々の点の形では示されていない。実用の際には、それぞれ示されている平面および物体は、適宜、そのような3D点群の一様な点または一様でない点の形で存在する。ここで、アクティブセンサ20は、ライン走査法に基づいてアクティブセンサ20の環境60の走査を実施するライダセンサであり、ここでのアクティブセンサ20の走査線は、垂直に揃えられた走査線である。
【0024】
アクティブセンサ20は、例えば乗用車に配置されたセンサであり、検出された環境情報をそのような乗用車の環境認識システム85に伝送する。このために、アクティブセンサ20によって検出された測定データは、本発明による評価ユニット80に伝達され、評価ユニット80は、上述した本発明による方法を実行し、その方法の結果を環境認識システム85に伝達するように設計される。
【0025】
ここで、アクティブセンサ20の視野22で、特に標識柱90が存在する道路部分が検出される。標識柱90の標識の再帰反射特性により、アクティブセンサ20のSPAD検知器での環境60の走査時にクロストーク55が生成され、クロストーク55は、検知器において、標識柱90の標識の垂直延長範囲に位置する領域を覆い隠す。クロストーク55により、物体50(図示せず)、ここでは標識の下に位置する人が、アクティブセンサ20による環境検出の過程で隠される。
【0026】
3D点群10は、まず3D点群10内の背景領域30を識別するために、評価ユニット80によって分析される。背景領域30は、例えば、前方の森および/または前方の建物、または上り坂などによって得られる。背景領域30は、立体角範囲ごとにそれぞれ最新の入射エコーが決定されることによって決定される。
【0027】
次いで、評価ユニット80を用いて、3D点群10の点が全く存在しないか、またはごくわずかしか存在しない背景領域30内の領域を決定することによって、この背景領域30内の影40、45が識別される。影40、45の識別のために機械学習法が使用され、これは評価ユニット80によって実行される。次いで、識別された影40、45を、これらの影40、45を生成する前景内の物体に割り当てることが試行される。第1の影40について、第1の影40を生成する物体50が3D点群10内で決定可能でないので、第1の影40は、隠れた物体50によって生成されている可能性が高いと判断される。第1の影40の位置および特徴、ならびに第1の影40と第2の影45との位置関係に基づいて、第1の影40を生じさせる物体50の推定位置が3D点群内で決定される。さらに、機械学習法は、決定された第1の影40に基づいて物体50のタイプおよびサイズを推定するためにも使用される。
【0028】
ここで、評価ユニット80は、3D点群10、隠れた物体50の位置、タイプ、およびサイズに関する情報を、環境認識システム85に伝送する。環境認識システム85は、これらの情報に基づいて、例えば乗用車の誘導を適応させる、および/または乗用車と隠れた物体50との衝突リスクがある場合には警告信号を発出するように設計される。
【0029】
図2は、本発明による方法に基づいて処理することができる環境60の第2の3D点群15を表す概略図を示す。ここに示される側面図では、標識柱90の下に隠れた物体50(第1の人)があり、標識柱の標識は、アクティブセンサ20に面する高反射性の表面を有する。アクティブセンサ20、ならびにそれに接続された評価ユニット80および環境認識システム85からなる下流の処理チェーンは
図1での説明に対応し、したがって繰り返しを避けるためにそちらを参照されたい。
【0030】
アクティブセンサ20の検知器での垂直および水平クロストーク55により、隠れた物体50は3D点群15では検出されない。アクティブセンサ20の視点から見て、さらなる隠れた物体52(第2の人)がデッドタイム遮蔽領域100内に位置し、デッドタイム遮蔽領域100内では、クロストーク55が存在するとき、アクティブセンサ20の検知器のデッドタイムにより、さらなる隠れた物体52も同様に検出可能でない。さらに、
図2は、見えている物体54(第3の人)を示し、物体54は、標識柱90の下に位置するが、アクティブセンサ20のデッドタイムによる遮蔽がない標識柱90からの離間距離に位置する。
【0031】
決定された背景30において、隠れた物体50に対応する第1の影40、標識柱90に対応する第2の影45、さらなる隠れた物体52に対応する第3の影47、および見えている物体54に対応する第4の影49が自動的に識別可能である。これらの影40、45、47、49に基づいて、環境60内の隠れた物体50およびさらなる隠れた物体52のそれぞれの位置が決定される。次いで、3D点群15は、隠れた物体50およびさらなる隠れた物体52が高確率で位置する領域全体を特徴付ける点70で補完される。補完された点70は、この領域を表す直方体を3D点群15内に形成する。
【0032】
さらに、さらなるセンサを用いて、例えばカメラを用いて、隠れた物体50、52の決定された位置を妥当性チェックすることも考えられる。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境を表す3D点群内の隠れた物体を決定するための方法であって、
アクティブセンサ(20)によって3D点群(10)を生成するステップであって、前記3D点群(10)の各点が、前記アクティブセンサ(20)による距離測定値を表す、ステップと、
前記3D点群(10)内で背景領域(30)を決定するステップと、
前記3D点群(10)の前記背景領域(30)内で影(40)を決定するステップであって、前記影(40)が、前記3D点群(10)の点が実質的に存在しない前記背景領域(30)内の領域である、ステップと、
前記3D点群(10)の前景内の物体(50)に割り当てることができない、前記3D点群(10)の前記背景領域(30)内の少なくとも1つの影(40)を識別することによって、前記センサ(20)の前記環境(60)内で、前記センサ(20)でクロストーク(55)によって隠された物体(50)を決定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記3D点群(10)内の前記背景領域(30)が、
前記3D点群(10)の各立体角ごとに、前記アクティブセンサによって発出された走査信号から生じる最新のエコーがそれぞれ識別される、並びに/または
前記3D点群(10)内で、
前記センサ(20)から所定の最小距離を有する、
前記センサ(20)の主軸に対して所定の角度範囲内で位置合わせされる、および/もしくは
所定の最小サイズを有する
連続する平面が決定される、
ことによって識別される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記隠れた物体(50)のタイプおよび/またはサイズおよび/または位置が、前記物体(50)によって生成される影(40)の特徴に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記背景領域(30)内で決定された、前記前景で隠れた物体(50)の影(40)に関する情報が使用されて、前記前景の領域内で、前記隠れた物体(50)を表す点(70)であって、前記隠れた物体(50)が決定された点(70)で前記3D点群(10)を補完する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記隠れた物体(50)を表す点(70)が前記3D点群(10)に補完される領域の奥行きの広がりの決定時、前記センサ(20)の検知器のデッドタイムが考慮に入れられる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
さらなるセンサ、特に異なる種類のセンサ、および/または
現在の環境(60)に関するマップ素材
を用いて、
前記決定された背景領域(30)、
前記隠れた物体(50)の存在、
前記隠れた物体(50)のタイプ、サイズ、および/もしくは位置、並びに/または
既存のクロストーク(55)
の妥当性チェックが行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記3D点群(10)の前記背景領域(30)内での影(40)の前記識別が、機械学習法に基づいて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
環境認識システムでの環境認識時に、前記隠れた物体(50)および/または前記隠れた物体(50)で補完された3D点群(10)に関する情報が考慮に入れられる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記センサ(20)が、ライダセンサ、特に輸送手段の環境検出システムのライダセンサである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
環境を表す3D点群内の隠れた物体を決定するための装置であって、
アクティブセンサ(20)、および
評価ユニット(80)を備え、
前記評価ユニット(80)が、前記アクティブセンサ(20)に基づいて、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実行するように設計される、
装置。
【国際調査報告】