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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-24
(54)【発明の名称】安全ニードルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20240417BHJP
【FI】
A61M5/32 510F
A61M5/32 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571687
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-17
(86)【国際出願番号】 EP2022063474
(87)【国際公開番号】W WO2022243387
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/063205
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523195175
【氏名又は名称】テルモ・ヨーロッパ・エン・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルド・ヴィリー・ペー・ダニエルス
(72)【発明者】
【氏名】ピーテル・ニコ・ヤン・キャステレン
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・ヴァルケナーズ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ローラント・ペー・ペー・フリポン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066FF05
4C066LL28
4C066NN08
(57)【要約】
安全ニードルアセンブリであって、安全ニードルアセンブリは、ハブであって、ハブは、ハブの近位エリアに延在するシリンジと接続するための近位端部を有している、ハブと;ハブの遠位エリアにおいてハブの遠位端部から長手方向に延在するニードルと;ハブに枢動可能に接続されているシースと;を含み、シースは、2つの側壁部を有しており、2つの側壁部は、後壁部によって接続されて、ニードルを受け入れるための受け入れスペースをそれらの間に画定しており;シースは、開始位置と、使用位置と、ロック位置と、の間で調節可能であり、開始位置では、シースは、ハブの遠位エリアに実質的に位置決めされ、使用位置では、シースは、ハブの近位エリアにおいて実質的に位置決めされ、ロック位置では、シースは、受け入れスペースの中へニードルを固定するようにロックされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全ニードルアセンブリであって、
- ハブであって、前記ハブの近位エリアに延在するシリンジと接続するための近位端部を有している、ハブと;
- 前記ハブの遠位端部から長手方向に前記ハブの遠位エリアに延在するニードルと;
- 前記ハブに枢動可能に接続されているシースと;
を含み、
- 前記シースは、2つの側壁部を有しており、前記2つの側壁部は、後壁部によって接続されて、前記ニードルを受け入れるための受け入れスペースをそれらの間に画定しており;
- 前記シースは、開始位置と、使用位置と、ロック位置と、の間で調節可能であり、前記開始位置では、前記シースは、実質的に前記ハブの前記遠位エリアに位置決めされ、前記使用位置では、前記シースは、実質的に前記ハブの前記近位エリアに位置決めされ、前記ロック位置では、前記シースは、前記受け入れスペースの中へ前記ニードルを固定するようにロックされ;
前記開始位置では、前記シースは、前記ハブから長手方向に延在しており、前記ハブは、少なくとも1つの第1の協働エレメントを備えており、前記シースは、少なくとも1つの第2の協働エレメントを備えており、前記シースの前記ロック位置では、前記第1の協働エレメントおよび前記第2の協働エレメントは、前記シースをロックするために互いに係合される、安全ニードルアセンブリにおいて、前記開始位置では、前記第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントが、前記シースの前記開始位置を画定するために互いに接触していることを特徴とする、安全ニードルアセンブリ。
【請求項2】
安全ニードルアセンブリであって、
- ハブであって、前記ハブの近位エリアに延在するシリンジと接続するための近位端部を有している、ハブと;
- 前記ハブの遠位端部から長手方向に前記ハブの遠位エリアに延在するニードルと;
- 前記ハブに枢動可能に接続されているシースと;
を含み、
- 前記シースは、2つの側壁部を有しており、前記2つの側壁部は、後壁部によって接続されて、前記ニードルを受け入れるための受け入れスペースをそれらの間に画定しており;
- 前記シースは、開始位置と、使用位置と、ロック位置と、の間で調節可能であり、前記開始位置では、前記シースは、実質的に前記ハブの前記遠位エリアに位置決めされ、前記使用位置では、前記シースは、実質的に前記ハブの前記近位エリアに位置決めされ、前記ロック位置では、前記シースは、前記受け入れスペースの中へ前記ニードルを固定するようにロックされ;
前記開始位置では、前記シースは、前記ハブから長手方向に延在しており、前記ハブは、少なくとも1つの第1の協働エレメントを備えており、前記シースは、少なくとも1つの第2の協働エレメントを備えており、前記シースの前記ロック位置では、前記第1の協働エレメントおよび前記第2の協働エレメントは、前記シースをロックするために互いに係合される、安全ニードルアセンブリにおいて、前記第1の協働エレメントは、前記ハブから延在する前記カニューレに対して平行に、前記ハブから離れる方向に突出しており、前記第2の協働エレメントは、前記シースの前記後壁部から前記側壁部に対しておおよそ平行な方向に前記受け入れスペースの中へ突出していることを特徴とする、安全ニードルアセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の協働エレメントは、前記ハブの前記遠位端部から長手方向に延在している、請求項1に記載の安全ニードルアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の協働エレメントおよび前記第2の協働エレメントは、前記開始位置において互いに係合し、互いに当接することによって前記開始位置を画定する、請求項2に記載の安全ニードルアセンブリ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第2の協働エレメントは、前記シースの前記後壁部から前記受け入れスペースの中へ突出しており、かつ/または、前記少なくとも1つの第2の協働エレメントは、前記シースの少なくとも1つの開口部である、請求項1から4のいずれか一項に記載の安全ニードルアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の協働エレメントおよび前記第2の協働エレメントのうちの少なくとも1つは、前記シースの前記ロック位置においてスナップフィット接続で係合するスナップフィットエレメントとして提供されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の安全ニードルアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の協働エレメントおよび前記第2の協働エレメントは、前記シースの前記開始位置において互いに接触するように構成されている傾斜した接触表面をそれぞれ備えており、前記接触表面は、同じ傾斜角度を有している、請求項1から6のいずれか一項に記載の安全ニードルアセンブリ。
【請求項8】
前記第1の協働エレメントおよび前記第2の協働エレメントは、前記傾斜した接触表面とは異なる角度において、さらなる接触表面をさらに備えており、前記さらなる接触表面は、前記シースの前記ロック位置において互いに接触するように構成されている、請求項7に記載の安全ニードルアセンブリ。
【請求項9】
前記シースの前記開始位置と前記ロック位置との間の前記シースの角度変位は、20度よりも小さく、好ましくは、15度よりも小さく、より好ましくは、8度よりも小さい、請求項1から8のいずれか一項に記載の安全ニードルアセンブリ。
【請求項10】
前記開始位置と前記使用位置との間の前記シースの角度変位は、90度よりも大きい、請求項1から9のいずれか一項に記載の安全ニードルアセンブリ。
【請求項11】
前記安全ニードルアセンブリは、プロテクターをさらに含み、前記プロテクターは、前記シースが前記開始位置にあるときに前記ニードルを保護するために、前記ハブの前記遠位端部と取外し可能に係合可能である、請求項1から10のいずれか一項に記載の安全ニードルアセンブリ。
【請求項12】
前記シースは、前記受け入れスペースの中に配置されているブリッジエレメントを含み、前記ブリッジエレメントは、前記シースの前記開始位置において前記プロテクターを支持する、請求項1から11のいずれか一項に記載の安全ニードルアセンブリ。
【請求項13】
前記シースは、前記シースの前記ロック位置において前記ニードルの遠位端部と係合するための追加的な協働エレメントをさらに備えている、請求項1から12のいずれか一項に記載の安全ニードルアセンブリ。
【請求項14】
前記シースは、ユーザーの指と係合するための凹部領域を含み、前記ユーザーが、前記開始位置、前記使用位置、および/または前記ロック位置の間で、前記シースを枢動させることができるようになっている、請求項1から13のいずれか一項に記載の安全ニードルアセンブリ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の安全ニードルアセンブリと、ハードケースと、のセットであって、前記ハードケースは、キャップおよびケースを含み、前記安全ニードルアセンブリは、前記シースが前記開始位置にあるときに、前記ケースの中に挿入される、セット。
【請求項16】
ケースを含むハードケースパッケージングであって、請求項1から14のいずれか一項に記載の安全ニードルアセンブリが、前記ケースの中に挿入可能であり、前記ハードケースパッケージングは、ハードキャップによって閉鎖可能である、ハードケースパッケージング。
【請求項17】
請求項1から14のいずれか一項に記載の安全ニードルアセンブリと、請求項16に記載のハードケースパッケージングと、のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全ニードルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
安全ニードルアセンブリは、幅広く知られ、使用されている。典型的に、安全ニードルアセンブリは、シリンジと接続するための近位端部を有するハブを含む。さらに、ハブの遠位端部から長手方向に延在するニードルが存在している。ハブがシリンジに接続されているときに、ニードルとシリンジとの間の流体接続が確立され、シリンジからの流体がニードルを介して注入され得るようになっている。通常、安全ニードルアセンブリは、ハブに枢動可能に接続されているシースを含む。シースは、典型的に、2つの側壁部を有しており、2つの側壁部は、後壁部によって接続されて、ニードルを受け入れるための受け入れスペースをそれらの間に画定している。シースは、開始位置と、使用位置と、ロック位置と、の間で枢動可能であり、開始位置では、シースはニードルから自由になり、使用位置では、シースはニードルから離れるように枢動され、ニードルは露出され、ロック位置では、シースは、受け入れスペースの中へニードルを固定するようにロックされる。ロック位置では、シースは、その使用の後に、意図しない接触、汚染、針刺し損傷などからニードルを保護する。ロック位置では、ニードルは、シースの受け入れスペースの中に受け入れられ、シースによって囲まれることとなり、それによりニードルをカバーしている。
【0003】
使用の前に、ユーザー、たとえば、医療従事者は、ブリスターパッケージングを部分的に開封し、ハブを自由な状態にし、次いで、アセンブリをパッケージングに保持し、ハブをシリンジに接続し、ニードルアセンブリの汚染または起こり得る無菌性違反(sterility breach)を回避する。次いで、ユーザーは、パッケージングをさらに除去し、安全ニードルアセンブリを自由にする。次いで、ユーザーは、シースをその開始位置から使用位置に向けて枢動させ、プロテクターをニードルから除去し、ニードルが使用され得るようにニードルを露出させる。注入の後に、ニードルは後退され、シースは、使用位置からロッキング位置に向けて枢動され、ニードルをシースにロックする。ブリスターパッケージングのハンドリングは、安全ニードルアセンブリの無菌性の汚染を回避するために慎重に行われるべきである。
【0004】
シースの開始位置において、安全ニードルアセンブリは、パッケージングおよび輸送される。典型的に、シースが開始位置にある状態の安全ニードルアセンブリが、ブリスターパッケージングの中にパッケージングされている。開始位置では、シースは、ニードルから自由になっており、シースは、開始位置ではニードルをカバーしておらず、したがって、ニードルを保護するために、追加的なプロテクターが提供されている。安全ニードルアセンブリは、無菌にパッケージングされている。安全ニードルアセンブリは、シースが開始位置において特定の角度にあることに起因して比較的嵩張っており、結果としてかなり大きなフットプリントを生じさせる。開始位置におけるシースの特定の角度は、通常、ニードルに対して比較的大きく、典型的には、約30度である。開始位置、使用位置、およびロック位置の特定の角度は、ときには、ヒンジにおいてまたはスナップを介して固定されている。開始位置におけるシースの比較的大きな角度は、ロック位置においてシースをロックするために必要とされる運動量(momentum)、ひいては、角度に起因しており、また、開始位置におけるシースの堅固な位置決めのためのものである。開始位置は、ニードルアセンブリのパッケージングおよび輸送の間にシースが位置決めされている位置でもあるので、この位置は、好ましくは、シースが非意図的にさらに閉じたりまたは開いたりすることを回避するために、比較的堅固に保持される。したがって、その位置に、いくつかの保持エレメントが、開始位置および/または使用位置にシースを保持するために提供されている。シースをロックするために必要とされる運動量は、ロッキング接続、多くの場合はフック付きの接続、によって決定される。シースを使用位置から開始位置を介してロック位置に向けて枢動させるときに、開始位置は、通過される必要があり、シースは、開始位置を通して押される必要がある。そこから、ニードルの後ろにもしくはハブの後ろにまたはその他の方法でシースを引っ掛けることができるように、したがって、ニードルおよび/またはユーザーを針刺し損傷および汚染などから保護するために、ニードルを少なくとも部分的にカバーすることができるように、角度変位は、十分に大きい必要がある。
【0005】
現在の安全ニードルアセンブリの少なくとも1つの欠点は、これらが比較的嵩張り、比較的大きなフットプリントを有し、それが、輸送およびパッケージングに不利であるということである。また、大きなフットプリントに起因して、個々のニードルアセンブリのパッケージングは、ブリスターパッケージングで行われ、それが、それらをハンドリングし難くする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の欠点のうちの少なくとも1つを解決する安全ニードルアセンブリの必要性がある。
【0007】
そこで、本発明は、請求項1または請求項2による安全ニードルアセンブリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
シースの開始位置がハブから長手方向に延在している安全ニードルアセンブリを提供することによって、シースは、ニードルに対しておおよそ平行に位置決めされ、したがって、開始位置においてすでに全体的にまたは部分的にニードルを囲むことが可能である。開始位置では、シースは、ハブにおけるニードルが延在している側と実質的に同じ側に位置決めされており、したがって、シースは、ハブに対して遠位エリアに位置決めされている。使用位置では、シースは、ハブの他方の側に(ハブの近位エリアに)(そこでは、使用時に、シリンジが接続される)実質的に延在する位置に向けて、ニードルから離れるように枢動される。ユーザーがシースを開始位置から使用位置および/またはロック位置に能動的に移動させる必要がある安全ニードルは、能動安全ニードルとして知られている。このように、ユーザーは、開始位置から離れるようにシースを枢動させることによって、および、ニードルが露出されることを可能にすることによって、シースを作動させる。
【0009】
開始位置においてハブから長手方向に延在するシースを提供することによって、開始位置における安全ニードルアセンブリのフットプリントは、したがって、パッケージング目的のために、はるかに小さくなり、異なるタイプのパッケージングおよび/またはより効率的なパッケージングおよび/または輸送および/または保管を可能にする。たとえば、そのような低減されたフットプリントによって、ハードケースパッケージングが考えられることが可能であり、それは、パックされた安全ニードルアセンブリの自動化されたハンドリングを可能にする。一方では、ブリスターパックされたアセンブリの自動化されたハンドリングは、実際的に不可能であり、結果として、ブリスターパックされたアセンブリが輸送および保管のために手動でボックスの中に収集される必要が生じる。これは、組み立てラインの速度を制限する。開始位置においてハブから長手方向に延ばした位置にシースを提供することによって、安全ニードルアセンブリのよりコンパクトな配置が得られることが可能であり、それは、ハードケースパッケージングを可能にする。そのようなハードケースパッケージングは、自動化されてハンドリングされることが可能であり、組み立てラインの速度が増加することを可能にし、したがって、安全ニードルアセンブリのより効率的な生産、パッケージング、輸送、および/または保管を可能にする。また、ハードキャップを使用することによって、使用するためにニードルアセンブリを準備するための作業の方式は変更されないままである。これは、ユーザーにとって有利である。その理由は、ユーザーが、自分の慣れた手順に従うことができるからである。ハードケースのキャップを除去すると、ニードルアセンブリのハブが、露出され、無菌性を損なうことなく、かつ、起こり得る汚染を回避して、シリンジに接続されることが可能である。シリンジに接続されているとき、ハードケースは、ニードルアセンブリから除去されることが可能であり、シースは、使用位置まで枢動され、シリンジを備えたニードルを使用準備のできた状態にする。
【0010】
さらに、シースが開始位置において長手方向に延在する位置にあるときに、シースによって形成された受け入れスペースは、ニードルを囲むことが可能である。シースは、ニードルに対しておおよそ平行な位置にあることが可能であり、したがって、ニードルは、比較的容易に受け入れスペースの中に受け入れられることが可能である。したがって、シースは、開始位置においてニードルのための保護を形成することが可能である。それによって、ニードルプロテクター(シースが開始位置にあるときにニードルを保護するために先行技術の安全ニードルデバイスにおいて必要である)は、次いで、省略することを考えられることが可能である。
【0011】
追加的にかつ/または代替的に、ハブは、少なくとも1つの第1の協働エレメントを備えることが可能であり、シースは、少なくとも1つの第2の協働エレメントを備えることが可能であり、シースのロック位置では、第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントは、シースをロックするために互いに係合される。有利には、ハブおよびシース上にロッキングエレメントをそれぞれ提供することによって、より堅固なロッキングが、シースのロック位置において得られ、使用後のニードルの保護を提供することが可能である。先行技術のニードルアセンブリ(そこでは、シースがニードル自体の周りにロックすることが可能である)とは対照的に、シースおよびハブ上にロッキングエレメントを提供することは、ロック位置でのシースのより安定した信頼性の高い固定を可能にすることができる。
【0012】
有利には、開始位置では、第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントが、シースの開始位置を画定するために互いに接触している。次いで、シースの第2の協働エレメントは、ハブの第1の協働エレメント上に静止することが可能であり、それによって、拘束または停止部が画定されることが可能であり、シースの第2の協働エレメントがハブの第1の協働エレメントを通過することを防止する。このように、シースの開始位置は、協働エレメント自体によって画定されることが可能であり、開始位置におけるシースの信頼性の高い位置決めが得られることが可能である。追加的に、使用位置からロック位置へシースを枢動させるときに、ロッキングエレメントは開始位置を通過し、開始位置の接触を通して押されなければならないこととなり、それによって、ロック位置に到達したという触覚的な指示をユーザーに与える。
【0013】
好ましくは、少なくとも1つの第1の協働エレメントは、ハブの遠位端部から長手方向に延在している。このように、少なくとも1つの第1の協働エレメントは、ニードルに沿ってニードルに対しておおよそ平行な方向にハブから長手方向に延在することが可能である。少なくとも1つの第1の協働エレメントは、フックもしくはフィンガー、または、ロック位置においてシースを固定するために別のエレメントと協働することができる任意の他の突出エレメントであることが可能である。シースの1つまたは複数の関連の第2の協働エレメントと協働することができる1つまたは複数の第1の協働エレメントが提供されることが可能である。
【0014】
少なくとも1つの第2の協働エレメントは、その関連の第1の協働エレメントと対応する位置において、シースの受け入れスペースの中に配置されることが可能であり、ロック位置において、関連の第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントがシースを固定するように係合するようになっている。有利には、少なくとも1つの第2の協働エレメントは、シースの後壁部から受け入れスペースの中へ突出することが可能である。たとえば、フックまたはフィンガーは、後壁部から、または側壁部から突出し、関連の第1の協働エレメント、たとえば、長手方向に延在するフィンガーまたはフックと係合することが可能である。代替的にまたは追加的に、少なくとも1つの第2の協働エレメントは、シースの開口部として提供されることが可能である。次いで、関連の第1の協働エレメントは、この開口部を通して係合し、シースをロック位置に固定することが可能である。開始位置では、第1の協働エレメントは、シースの開口部上にまたはその中に静止し、開始位置を画定することが可能である。開始位置では、第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントは、互いに係合し、たとえば、互いに当接することによって、開始位置を画定している。第2の協働エレメントが開始位置において第1の協働エレメント上に静止している、すなわち、互いに接触しているとき、これは、ロック位置に偶発的に係合する可能性なしに、安定した様式で開始位置を画定する。
【0015】
たとえば、第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントのうちの少なくとも1つは、シースのロック位置においてスナップフィット接続で係合するスナップフィットエレメントとして提供される。たとえば、第1の協働エレメントは、スナップフィンガーであることが可能であり、スナップフィンガーは、第2の協働エレメントとしての開口部の中にスナップし、シースをロック位置に固定する。追加的にまたは代替的に、第2の協働エレメントは、スナップフックであることが可能であり、スナップフックは、第1の協働エレメントとしての長手方向に突出するフィンガーの後ろにスナップし、または、ハブのいくつかの側方突出部の後ろにスナップすることが可能である。当然のことながら、協働エレメントのさまざまな実施形態の組み合わせも可能であり、たとえば、ハブから長手方向に突出するスナップフックと係合する開口部が、シースの後壁部の中に提供されることが可能である。これは、ハブから側方に延在する突出部と係合する、シースの側壁部上のスナップフィンガーと組み合わせられることが可能であり、または、それと交換されることが可能である。多くの組み合わせが可能である。
【0016】
有利には、第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントは、シースの開始位置において互いに接触するように構成されている傾斜した接触表面をそれぞれ備えることが可能であり、接触表面は、同じ傾斜角度を有している。開始位置において互いの上に静止するかまたは互いに当接する関連の接触表面を関連の協働エレメントに提供することによって、開始位置における協働エレメントの信頼性の高い位置決めが得られることが可能である。表面の傾斜に起因して、シースをロック位置に向けてさらに押し進めるときに、表面は、互いに沿ってスライドし、協働エレメントのロッキングを可能にすることが可能である。有利には、第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントは、傾斜した接触表面とは異なる角度において、さらなる接触表面をさらに備えており、さらなる接触表面は、シースのロック位置において互いに接触するように構成されている。傾斜した接触表面およびさらなる接触表面は、次いで、スナップフィット接続を最適に提供するフック形状を提供することが可能である。シースの開始位置では、第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントの第1の接触表面および第2の接触表面は、互いに当接することが可能である。有利には、接触表面の傾斜は、開始位置において、ハブに対するシースの安定した配置が得られるようになっており、たとえば、輸送の間に、協働エレメントの偶発的な係合が存在しないようになっている。また、接触表面の傾斜は、好ましくは、ロック位置に向けた移動のために、ユーザーは、シースをロック位置に押し込むためにいくらかの力を印加する必要がある可能性があるようになっているが、この力は、ユーザーにとって許容可能であるべきである。シースをロック位置に持って行くために必要な力は、そうでないときにシースを移動させるために必要な力よりも著しく大きいものであるべきであり、たとえば、5倍から10倍までの大きさであるべきである。シースをロック位置に持って行くための力は、たとえば、1N~10Nの範囲内にあることが可能であり、好ましくは、2N~7Nの範囲内にあることが可能であり、より好ましくは、3Nであることが可能である。
【0017】
有利には、ハブに装着されている第1の協働エレメントは、ハブから延在するカニューレに対して平行に、ハブから離れる方向に突出している。第1の協働エレメントの遠位表面(第1の接触表面である)は、有利には、傾斜または面取りされており、好ましくは、第1の協働エレメントの長手方向に対して約45度の角度で傾斜または面取りされている。第2の協働エレメントは、有利には、フックであり、フックは、長手方向の本体部およびフック付き端部を含み、フックは、シースから、とりわけシースの後壁部から受け入れスペースの中へ、側壁部に対しておおよそ平行な方向に突出している。第2の協働エレメントの外側端部は、好ましくは、フック付き端部を備えており、それは、長手方向の本体部に対して約90度の角度を付けられている。フック付き端部の端部表面(第2の接触表面である)は、フック付き端部の長手方向に対して約45度で傾斜または面取りされている。いずれにせよ、第1の接触表面および第2の接触表面の角度は同じであり、開始位置における接触表面が互いに当接し、開始位置を画定するようになっている。ロック位置では、第2の協働エレメントのフック付き端部は、第1の協働エレメントと係合し、とりわけ、フック付き端部の上側表面が、長手方向の第1の協働エレメントの底部表面と係合し、フック付き端部が第1の協働エレメントの後ろにスナップされるようになっている。フック付き端部を第1の協働エレメントから解除するための解除力は、たとえば、偶発的な動作または輸送またはさらなるハンドリングによって誘発される力よりも大きく、また、ユーザーが解除するのに十分な抵抗を提供する。次いで、第1の協働エレメントの外側端部は、実際に、フック付き端部およびその長手方向の本体部によって形成された第2の協働エレメントの内側角部の中に捕捉される。
【0018】
有利には、第1の協働エレメントの長さは、ハブの長さよりも短い。第2の協働エレメントは、第1の協働エレメントと係合するように構成されているので、第2の協働エレメントは、ハブに対しても比較的短く位置決めされており、したがって、ハブに対するシースの回転軸線に対して比較的短く位置決めされている。これは、比較的短いモーメントアームを与え、開始位置における第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントの十分な安定した構成を可能にし、たとえば、ハンドリングまたは輸送に起因する偶発的な係合が可能でない。また、短いモーメントアームは、ユーザーがロック位置までシースを押すのに十分な力を適合させることを提供し、ユーザーは、自分が押し通さなければならない抵抗を実際に感じ、したがって、シースがロック位置にあるという確信をユーザーに与える。ユーザーは、この抵抗によってシースがロック位置にあるということを知るためのフィードバックを提供されることが可能であり、また、第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントの係合の間に発生させられる音によってフィードバックを提供されることも可能である。さらに、シース材料が透明な材料として配置されている場合には、ユーザーは、ニードルアセンブリを視覚的に検査することによって、シースがロック位置にあることをより確実に想定することが可能である。
【0019】
好ましくは、シースの開始位置とロック位置との間のシースの角度変位は、20度よりも小さく、好ましくは、15度よりも小さく、より好ましくは、8度よりも小さい。有利な実施形態において、シースの開始位置とロック位置との間の角度変位は、約6度である。そのような限定された角度変位を提供することによって、とりわけ開始位置における、またロック位置における、ニードルアセンブリのフットプリントが、比較的小さくなることが可能である。
【0020】
有利には、開始位置と使用位置との間のシースの角度変位は、90度よりも大きく、好ましくは、110度よりも大きく、より好ましくは、120度よりも大きい。開始位置と使用位置との間に大きな角度変位を有することによって、シースがニードルから離れ、ニードルは、注入のために完全に露出された状態になる。また、そのような大きな角度変位を提供することによって、ユーザーは、シースを能動的に枢動させる必要があり、ニードルは偶発的に露出し得ない。
【0021】
さらに、安全ニードルアセンブリは、プロテクターを含むことが可能であり、プロテクターは、シースが開始位置にあるときにニードルを保護するために、ハブの遠位端部と取外し可能に係合可能である。しかし、いくつかの実施形態において、プロテクターは省略されることが可能である。その理由は、ニードルがシースの受け入れスペースの中に少なくとも部分的に受け入れられているときに、開始位置におけるシースがニードルに十分な保護を提供すると考えられるからである。プロテクターは、追加的な保護を提供するために提供されることが可能である。また、開始位置から離れるように使用位置までシースを枢動させることによってユーザーがシースを開けるときに、プロテクターは、ニードルの周りに留まっており、偶発的なニードル損傷からユーザーを保護する。そのうえ、プロテクターは、パッケージング、輸送、および/またはハンドリングの間に、シースの作動を防止することも可能である。開始位置を画定する第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントの接触は、輸送および/またはハンドリングの間にアセンブリに働かされる力によって元に戻される可能性があり、それによって、シースによるニードルの保護を元に戻し、または、ロック位置を偶発的に作動させる。ハブと係合しているニードルの周りにプロテクターを提供することは、シースのそのような偶発的な作動を防止することが可能である。プロテクターは、その内側において、ハブときつく係合する長手方向に延在するリブをさらに備えることが可能である。このように、プロテクターとハブとの間の接触面積が低減されることが可能であり、一方では、ハブとの堅固な接続が得られ、また、比較的容易な除去が得られる。好ましくは、ハブへのプロテクターの締まり嵌めが、リブがハブの外径よりもいくらかさらに外向きに突出するによって得られることが可能であり、クランピング係合が得られるようになっている。当然のことながら、プロテクターにおけるリブの代わりに、ハブが、外向きに延在する長手方向リブを備えることも可能である。これらのリブは、好ましくは、プロテクターの内径よりもいくらか大きい外径を有しており、締まり嵌め係合を提供する。
【0022】
追加的に、シースは、受け入れスペースの中に配置されているブリッジエレメントを含むことが可能であり、ブリッジエレメントは、シースの開始位置においてプロテクターを支持する。これらのブリッジエレメントを提供することによって、シースは、第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントが互いの上に静止することによってだけではなく、ブリッジエレメントがプロテクターに当接することによっても、開始位置に保持されることが可能である。これは、アセンブリが力を受ける可能性があるパッケージング、輸送、および/またはハンドリングの間に、追加的な安全をアセンブリに提供する。ブリッジエレメントは、開始位置におけるシースの偶発的な作動を防止することが可能である。
【0023】
シースは、シースのロック位置においてニードルの遠位端部と係合するための追加的な協働エレメントをさらに備えることが可能である。とりわけ、比較的長いニードルでは、追加的な接続ポイントが、比較的長いニードルを受け入れスペースの中に確実に保持することが予見される。追加的な協働エレメントは、受け入れスペースの中に延在するスナップフックとして提供されることが可能であり、シースがロック位置に固定されているときに、ニードルの遠位端部がスナップフックの後ろにスナップフィットすることが可能である。
【0024】
シースは、ユーザーの指、たとえば人差し指または親指、と係合するための凹部領域を含むことが可能であり、ユーザーが、開始位置、使用位置、および/またはロック位置の間で、シースを枢動させることができるようになっている。そのような凹部領域を提供することによって、ユーザーは、シースをより容易に操作することが可能である。代替的に、シースの枢動、とりわけ、シースの開放または作動は、シースの先端部(遠位端部)を硬質の表面、たとえば、テーブルの天板の上に押し付けることによって行われることが可能である。凹部領域は、たとえば、シースの後壁部の中に提供されることが可能であり、シースが単一の指による操作によって作動させられ得るようになっている。代替的に、凹部領域、または、複数の凹部領域は、シースの1つのまたは2つの側壁部の中に提供されることが可能である。
【0025】
本開示のさらなる態様は、安全ニードルアセンブリとハードケースとのセットであって、ハードケースの中にセットが保管される、セットに関し、また、ハードケースであって、安全ニードルアセンブリは、シースが開始位置にある状態で、ハードケースの中に挿入されることが可能である、ハードケースに関し、また、ハードケースと安全ニードルアセンブリとのキットに関する。
【0026】
さらに有利な実施形態は、下位請求項に表されている。
【0027】
これらのおよび他の態様は、例示的な実施形態の図を含む図面を参照してさらに解説される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】安全ニードルアセンブリの分解図である。
図2a】開始位置における安全ニードルアセンブリの斜視図である。
図2b】プロテクターがニードルをカバーしている状態の、使用位置における安全ニードルアセンブリの斜視図である。
図2c】プロテクターがない状態の、使用位置における安全ニードルアセンブリの斜視図である。
図2d】ロック位置における安全ニードルアセンブリの斜視図である。
図3a】開始位置における第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントの詳細を示す図である。
図3b】使用位置におけるシースの詳細を示す図である。
図3c】ロック位置における第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントの詳細図である。
図4】シースの角度変位を示す、シースが異なる位置にある状態のアセンブリの側面図である。
図5a】シースを備えた、開始位置における安全ニードルアセンブリの長手方向断面である。
図5b】プロテクターを支持するシースのブリッジエレメントの詳細を示す図である。
図5c】開始位置における第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントの詳細を示す図である。
図6】長いニードルを備えた、透明なシースがロック位置にある状態の側面図である。
図7】長いニードルを備えた、ロック位置にあるシースの長手方向断面を示す図である。
図8a】ハードシェルケースの中のアセンブリの斜視図である。
図8b】キャップによって閉じられたケースパッケージングの斜視図である。
図9a】シースが開始位置にある状態の、第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントの代替的な実施形態の長手方向断面を示す図である。
図9b】シースがロック位置にある状態の、図9aの実施形態の長手方向断面を示す図である。
図10a】シースが開始位置にある状態の、第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントの代替的な実施形態の長手方向断面を示す図である。
図10b】シースが開始位置にある状態の、図10aの実施形態の横断方向断面を示す図である。
図10c】シースがロック位置にある状態の、図10aの実施形態の横断方向断面を示す図である。
図11a】シースが開始位置にある状態の、第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントの代替的な実施形態の長手方向断面を示す図である。
図11b】シースが開始位置にある状態の、図11aの実施形態の横断方向断面を示す図である。
図11c】シースがロック位置にある状態の、図11aの実施形態の横断方向断面を示す図である。
図12a】シースが開始位置にある状態の、シースおよびハブの長手方向断面を伴う、アセンブリの代替的な実施形態の斜視図である。
図12b】シースが使用位置にある状態の、図12aの実施形態の斜視図である。
図12c】シースがロック位置にある状態の、シースおよびハブの長手方向断面を伴う、図12aの実施形態の斜視図である。
図12d】第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントがロック位置にある状態の、図12aの実施形態の横断方向断面を示す図である。
図13a】ニードルアセンブリのハブの詳細を示す図である。
図13b図13aのハブの正面図である。
図14】ニードルアセンブリのハブの概略図である。
図15図14のハブの概略図である。
図16図14のハブの断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図は、例示的な例として与えられており、本開示を限定するものではないことが留意されるべきである。図面は、縮尺通りでない可能性がある。対応するエレメントは、対応する参照記号によって指定されている。
【0030】
図1は、安全ニードルアセンブリ1の分解図を示している。安全ニードルアセンブリ1は、ハブ2を含み、ハブ2は、ハブ2の近位エリアにおいてシリンジと接続するための近位端部3を有している。シリンジは、図には示されていない。ハブ2は、遠位端部4をさらに有しており、ニードル5は、遠位端部4に接続されることが可能である。ニードル5は、長手方向Lに沿ってハブ2からの遠位端部4から長手方向に延在する。ハブ2の遠位端部4は、そのために、突出部17を備えることが可能であり、ニードル5が、突出部17の中に受け入れられることが可能である。したがって、ハブ2におけるシリンジが接続されることになる側は、ハブの近位側または近位エリアと考えられることが可能であり、ハブ2におけるニードル5が接続される側は、ハブの遠位側または遠位エリアと考えられることが可能である。ハブ2は、たとえば、7.5mmの長さを有するニードルアセンブリに関する適当なISO規格(たとえば、ハブ2の近位側に関係するISO80369-7:2021)にしたがって、ハブ2の遠位側に向けてテーパーになっている内側表面を含むことが可能である(図3aおよびさらなる図を参照)。シリンジをハブ2の近位端部3に接続するために、近位端部3は、たとえば、ネジ山21を備えることが可能である。シリンジとの接続は、ねじ接続であることが可能であるが、同様にルアーロック接続またはスリップチップ接続であることも可能である。ネジ山21は、ネジ山セグメント21a、21bのみを含むことが可能であり、ネジ山セグメント21a、21bは、ハブ2の周囲表面に沿って予め定義されたセクションの中に留まっている。予め定義されたセクションは、たとえば、2つの半円筒状の外側表面を含むことが可能である(図13aを参照)。このように、2部片の型を含む成形加工技法を使用してハブ2が製造されるケースでは、ネジ山は、ネジ山セグメント21a、21bの中に間隙なしに作り出されることが可能である。さらに、ネジ山の端部は、ハブ2の断面に対して平行な平坦な表面21cを含むことが可能であり、たとえば、製造搬送プロセス(manufacturing feeding process)の間に、表面21cの上に直交して力を働かせることによって、ハブ2が移動させられることが可能であるようになっている。これは、図13bに図示されており、図13bでは、灰色にマークされたエリア21dは、所定の手段が製造プロセスの間にハブ2を搬送するためにハブ2に力を働かせることができる場所を表している。ネジ山21は、シリンジが緩くなるのを防止するために、シリンジとの最大の接触表面が提供されるように配置されることが可能である。成形製造プロセスに関係して、シース6が、適当な成形孔部を備え、型の中での可動パーツを防止することが可能である。
【0031】
さらに、安全ニードルアセンブリ1は、ハブ2に枢動可能に接続されているシース6を備えている。枢動接続部7、たとえばヒンジは、ここでは、長手方向Lに対して横断方向に配向された軸棒8として具現化されている。軸棒8は、ハブ2に装着されているリブ10から延在する露出された端部9を有している。シース6は、2つの長手方向に配向されたフランジ11を備え、フランジ11は、その中に開口部または孔部12をそれぞれ有しており、その開口部12は、露出された端部の軸棒端部9の周りに係合し、枢動接続部7を形成する。枢動接続部の他の実施形態も可能である。露出された端部9は、横断方向の面取り部として構成されることが可能であり、それは、シース6の装着を簡単化することが可能である。シース6の対応する開口部12は、それに対応して、横断方向の面取り部として構成されることが可能である。
【0032】
シース6は、シース6の長さの少なくとも一部にわたって延在する2つの側壁部13を有している。側壁部13は、後壁部14によって接続されている。側壁部13および後壁部14は、ニードル5を受け入れるための受け入れスペース15をそれらの間に画定している。
【0033】
随意的に、安全ニードルアセンブリ1は、プロテクター16を備えることが可能である。プロテクター16は、典型的に、長手方向に延在するスリーブとして具現化されており、スリーブは、ニードル5の上に係合されることが可能であり、その端部において、たとえば、波形断面を有するプロテクター16の内側表面を提供することによって、ハブ2の遠位端部4に係合されることが可能である。ハブ2の遠位端部4の突出部17は、そのために、プロテクター16をクランプ可能に受け入れるためのリブまたは溝部などのような係合エレメント17aを備えることが可能である。リブまたは溝部17aは、横断方向におよび/または長手方向に配置されることが可能である。そのようにプロテクター16とハブ2との間の接触面積を低減させることによって、たとえば、プロテクター16を引っ張り抜くために、プロテクター16に働かされる力が、安全ニードルアセンブリ1のユーザーによって、より良好に制御されることが可能である。また、プロテクター16の外側表面は、プロテクター16とハブ2の別のパーツまたはシース6の別のパーツとの間の接触面積を変更するために、リブまたは溝部などを備えることも可能である。また、ハブ2の遠位端部4は、プロテクター16をハブ2により容易に装着するためのストッパー表面34を含むことが可能であり、プロテクター16の端部がストッパー表面34に当接することができるようになっており、追加の安定性を安全ニードルアセンブリ1に提供する。ストッパー表面34は、たとえば、突出部17の外側表面の一部に沿って配置されている表面として構成されることが可能であり、たとえば、突出部17の外側表面からハブ2の一部、たとえば、協働エレメント23へ延在している。プロテクター16は、ハブ2と取外し可能に接続されている。プロテクターは、ここでは、長手方向に延在するリブ16aをプロテクターの内側に提供されている。長手方向に延在するリブ16aは、効率的な様式で突出部17への接触を提供する。リブを提供することによって、より少ない接触面積が可能であり、一方では、それにもかかわらず十分なクランピングが得られることが可能である。好ましくは、リブ16aは、突出部17の外径がリブ16aによって形成されるプロテクター16の内径よりもいくらか大きくなるような高さを有し、信頼性の高いクランピングを保証するようになっており、一方では、比較的容易な除去も可能にする。リブ16aは、プロテクター16の内側に花構造を形成するように配置されることが可能であるが、他の配置も可能であり得る。代替的に、リブは、プロテクター16の滑らかな内側表面に係合する突出部17上に提供されることが可能である。さらに、この例では、プロテクター16は、また、その外側表面に、長手方向に延在するリブ16bを備えている。これらの長手方向に延在するリブ16bは、たとえば、除去の後に、転がることなく、硬質の表面、たとえばテーブルの天板などの上に、プロテクター16を設置することを可能にすることができる。ニードルアセンブリ1を用いて作業する物理学者またはユーザーにとって、すべてのパーツを一緒に維持することが重要であり、離れるように転がっていったかまたはテーブルから転がり落ちたパーツを探さないようにすることが重要である。リブ16bは、そのような転がりを防止することが可能である。当然のことながら、転がることを防止することができる他の構成、たとえば、ウィングまたは他の突出部なども考えられ得る。プロテクター16は、移動の間の、たとえば、輸送の間の、または、ニードルアセンブリ1へのシリンジの取り付けの間の、ロック位置の誤った作動を防止する。使用時に、プロテクター16は、好ましくは、ニードルアセンブリ1の位置間の切り替えを妨げないように、ニードルアセンブリ1から除去される。ユーザーの注意をプロテクター16に引き付けるために、プロテクター16は、たとえば、異なる色、材料、または質感(ニードルアセンブリの他のパーツとは異なっている)によって、所定の見た目で配置されている外側表面を含むことが可能である。このように、プロテクター16の異なる見た目は、ユーザーが使用の前にプロテクター16を除去することを思い出すための視覚的な手がかりとなることが可能である。代替的に、プロテクター16は、それが使用の間に除去される必要がないが、たとえば、適当な材料または材料厚さを選ぶことによって、ニードルアセンブリが偶発的にロック位置に到達することを防止するために、その遮断機能性を依然として提供することができるように配置されることが可能である。
【0034】
シース6は、開始位置と、使用位置と、ロック位置と、の間で調節可能であり、開始位置では、シース6は、実質的にハブ2の遠位エリアに位置決めされ、使用位置では、シースは、実質的にハブ2の近位エリアに位置決めされ、ロック位置では、シース6は、シース6の受け入れスペース15の中へニードルを固定するようにロックされる。図1および図13において、枢動接続部7上に調節構造体27が提供されていることが見られ得る。ここでは、調節構造体27は、凹部およびリブのパターンを含む。凹部の中には、シース6の関連のエレメント、たとえば、リブがフィットし、シース6が前記凹部の中の角度位置に保持されることが可能であるようになっている。リブを越えて次の凹部へシース6をさらに押すことによって、シース6の角度位置は調節されることが可能であり、また、シース6は、次の角度位置において留まることも可能である。凹部およびリブのそのようなパターンを提供することによって、シース6の角度位置は、シース6が調節構造体27のそのようなリブの上に押されるたびに、ユーザーに触覚フィードバックを提供しながら調節されることが可能である。さらに、シース6は、開始位置、使用位置、およびロック位置に加えて、安定したかつ信頼性の高い様式で多くの角度位置に保持されることが可能である。
【0035】
図1の例では、シース6の後壁部14は、ユーザーの指、たとえば人差し指、と係合するための領域18を備えている。領域18は、粗面化されたエリア(たとえば、リップル、リブ、または他の粗面化エレメント19を備えている)であることが可能であり、または、図1の実施形態にあるように、シースの後壁部14の中に凹部領域20として提供されることが可能である。領域18は、滑り止め材料として構成されることが可能である。代替的に、領域18は、シース6の側壁部13上に提供されることが可能である。図1にあるように、凹部20と粗面化エレメント19との組み合わせも可能である。また、シース6の外側表面に沿って複数の領域18を配置させることも可能であり、それは、粗面化されたエリア/粗面化エレメント19を含んでもまたは含まなくてもよい。
【0036】
図2a~図2dは、開始位置とロック位置との間でシース6を調節するシーケンスを示している。図2aは、ハブ2に接続されているシース6を示しており、シース6は、開始位置に位置決めされている。開始位置では、シース6は、ハブ2の遠位エリア、すなわち、ニードル5も配置されているハブ2のエリア、に位置決めされている。シース6のこの実施形態では、2つの側壁部13および後壁部14がU字形状の受け入れスペース15を形成しており、ニードルは、シース6の中に受け入れられることが可能である。また、シース6は、開始位置においてニードル5をカバーしている。これは、先行技術の安全ニードルアセンブリとは対照的であり、先行技術の安全ニードルアセンブリでは、開始位置におけるシースは、ニードルから完全に自由になっている。ここで、側壁部13の形状は、ニードル5を囲むようになっているが、代替的な形状では、側壁部13は、ニードル5を部分的に露出させることが可能である。開始位置では、シース6は、ハブ2から長手方向に延在している。したがって、シース6は、好ましくは、ニードル5と同じ方向Lに延在している。いくつかの実施形態において、シース6は、ニードル5に対して平行に配向されていると言うことが可能である。ハブ2から長手方向に延在する位置において開始位置にシース6を提供することによって、安全ニードルアセンブリのフットプリントはかなり限られるようになり、限られた体積を有するパッケージングの中に安全ニードルアセンブリ1がパッケージングされることを可能にする。これは、より嵩張らないパッケージングを提供し、輸送および保管コストを低減させる。有益な実施形態では、パッケージングは、ハードケースパッケージングであることが可能であり、製造および組み立ての間にパッケージングの自動化されたハンドリングを可能にし、それによって、製造コストを低減させる。
【0037】
安全ニードルアセンブリ1をパッケージングから除去した後に、典型的に、シリンジが、ハブに接続され、次いで、ユーザーは、シース6を開くことが可能であり、図2bおよび図2cに示されているように、シース6を使用位置まで枢動させることが可能である。安全ニードルアセンブリ1は、典型的に、能動安全ニードルアセンブリ1であり、能動安全ニードルアセンブリ1では、ユーザーは、ニードル5が露出されることを可能にするために、シース6をその開始位置から離れるように能動的に枢動させる必要がある。使用位置、または、作業位置では、シース6は、ニードル5から離れるように枢動されており、実質的にハブ2の近位エリアに位置決めされている。シース6をニードル5から離れるように使用位置まで枢動させるときに、ニードル5は露出されるようになり、注入のために使用されることが可能である。安全ニードルアセンブリ1が、ニードル5の周りに係合されたプロテクター16を備えている場合には、プロテクター16は、ニードル5の使用の前に除去されることが可能である。
【0038】
ニードル5の使用の後、注入後に、ニードル5は、たとえば、偶発的な接触または他の誤用を防止するために、再び保護されるべきである。使用後にニードル5を保護するために、シース6は、図2dに示されているように、再びロック位置までニードル5に向けて枢動される。ロック位置では、ニードル5は、シース6の中へ固定されている。シース6は、固定様式でハブ2に接続されることが可能であり、かつ/または、固定様式でニードル5に接続されることが可能である。たとえば、シース6の後壁部14からまたは側壁部13からシース6の受け入れスペース15の中へ延在する第2のフックが、ロック位置においてニードルの周りにスナップすることが可能である。シース6の中の第2のフックの位置および形状は、ニードル直径およびニードルベベルに依存する可能性がある。加えて、第2のフックは、開始位置および/または使用位置において、第2のフックがニードルに触れないように配置されることが可能である。第2のフックは、任意の位置において、ニードルがシース6と接触しないように配置されることが可能である。図2dにおいて見ることができるように、ロック位置では、シース6は、シース6の開始位置のときよりもさらにニードル5に向けて枢動されている。したがって、ニードル5をシース6に固定することを望むユーザーは、図2cに示されているような作業位置から開始位置を通って、図2dに示されているようなロック位置に向けてシース6を枢動させることが可能である。
【0039】
開始位置から使用位置へおよびロック位置へシース6を枢動させることによって、ニードル5に対するシース6の角度位置が調節される。ニードル5に対するシース6の角度位置は、図3a~図3cに示されているように、角度アルファによって示されることが可能である。角度アルファは、ニードル5の長手方向軸線Aとシース6の長手方向軸線Bとの間の角度として考えられることが可能であり、典型的に、シース6の長手方向軸線Bは、枢動接続部7の枢動軸線Pを通っている。
【0040】
図3aにおいて見ることができるように、長手方向軸線Bは、長手方向軸線Aに対して平行であるかまたはおおよそ平行である。典型的に、角度アルファは、開始位置において約0度から約20度の間にあり、開始位置におけるアセンブリ1の小さなフットプリントを可能にする。図3bに示されているように、シース6を使用位置まで枢動させるときに、長手方向軸線Bと長手方向軸線Aとの間の角度アルファは、より大きくなり、典型的には、おおよそ160度になり、好ましくは、約120度から約170度の間にある。そのような大きな角度アルファによって、ニードル5は、注入のために完全に露出された状態になる。
【0041】
図3bの使用位置から図3cのロック位置へシース6を枢動させるときに、長手方向軸線Bと長手方向軸線Aとの間の角度アルファは、ゼロからマイナスになる。その理由は、ロック位置が開始位置よりもニードル5に向けてさらに枢動されるからである。典型的に、ロック位置における角度アルファは、約ゼロ度から約マイナス15度の間にあり、好ましくは、約ゼロ度から約マイナス10度の間にあり、より好ましくは、ロック位置における角度アルファは、約マイナス6度である。ロック位置における角度アルファが、開始位置における角度アルファよりも小さいときには、ロック位置における角度アルファは、開始位置における角度アルファに等しくなることができないということが理解される。たとえば、開始位置における角度アルファがゼロ度である場合には、ロック位置における角度アルファは、ゼロ度よりも小さい。
【0042】
開始位置と使用位置との間でシース6を枢動させるときに、図4に示されているように、90度よりも大きい角度変位ベータが行われる。角度変位ベータは、開始位置と使用位置との間のシース6の長手方向軸線Bの角度変位である。好ましくは、角度変位ベータは、90度よりも大きく、より好ましくは、100度よりも大きく、より好ましくは、110度よりも大きい。
【0043】
開始位置とロック位置との間のシース6の角度変位は、ガンマによって示されている。角度変位ガンマ(図4に示されている)は、有利には、20度よりも小さく、好ましくは、15度よりも小さく、より好ましくは、8度よりも小さい。角度変位ガンマは、開始位置とロック位置との間のシース6の長手方向軸線Bの角度変位として得られる。シース6の長手方向軸線Bは、有利には、枢動接続部7の枢動軸線Pを通して配置されている。
【0044】
また、図3a、図3b、および図3cにおいて見ることができるように、ハブ2およびシース6は、開始位置およびロック位置において互いに協働する協働エレメントを備えている。ハブ2は、少なくとも1つの第1の協働エレメント23を備えており、シース6は、少なくとも1つの第2の協働エレメント24を備えている。少なくとも1つの第1の協働エレメント23および少なくとも1つの第2の協働エレメント24は、互いに関連付けられており、開始位置およびロック位置において互いに協働する。開始位置では、第1の協働エレメント23および第2の協働エレメント24は、開始位置を画定するように互いに係合している。ロック位置では、第1の協働エレメント23および第2の協働エレメント24は、シースをロックするように互いに協働している。
【0045】
ハブ2は、延長パーツ36をさらに含むことが可能であり、延長パーツ36は、シース6に向かう方向にかつ突出部17に対しておおよそ平行に、ハブ2から少なくとも部分的に延在しており、それは、シース6と突出部17との間に少なくとも部分的に配置されている。延長パーツ36は、トマホークのような形状の補強パーツを含むことが可能である(図14図16を参照)。その形状は、それに働かされる力を考慮した有限要素分析の使用によって設計されることが可能である。延長パーツ36は、少なくとも1つのさらなる第1の協働エレメント37を含むことが可能であり、少なくとも1つのさらなる第1の協働エレメント37は、ロック位置において、シース6上に配置されている少なくとも1つの対応するさらなる第2の協働エレメントと協働する。少なくとも1つのさらなる第1の協働エレメント37は、突出したエッジとして配置されることが可能であり、突出したエッジは、延長パーツ36から延在しており、たとえば、大きな力を吸収するためのバーブ形状で配置されており、対応する少なくとも1つのさらなる第2の協働エレメントは、シース6から延在するフックとして配置されることが可能である。ハブ2の延長パーツ36のバーブ形状のエッジ、および、シース6のフックは、ロック位置が作動させられるときに係合し、フックがエッジの周りにスナップされるようになっている。
【0046】
図3a、図3b、図3cの実施形態では、第1の協働エレメント23は、突出するフィンガーとして具現化されており、それは、ハブ2の遠位端部4から長手方向に突出している。第2の協働エレメント24は、図3a、図3b、図3cの実施形態では、受け入れスペース15の内側に後壁部14から下向きに延在するフック24として提供されている。ロック位置では、フック24は、フィンガー23の後ろに引っ掛かり、シースをロックし、また、ニードル5をシース6の受け入れスペース15の中に固定する。ここで、開始位置では、フック24は、フィンガー23上に静止している。フック24およびフィンガー23は、互いに接触することができるそれらのそれぞれの端部において、傾斜したまたは面取りされた接触表面24a、23aを有している。面取りされた表面23a、24aの傾斜は、表面23a、24aが互いに最適に接触することができるように同じになっている。有利には、表面23a、24aの傾斜の角度は、45度である。フック24は、その端部においてさらなる接触表面24bをさらに備えており、接触表面24aおよび24bは、一緒にフック形状を画定している。ロック位置では、接触表面24bは、フィンガー23の後ろに引っ掛かり、フィンガー23の下側23bに接触し、したがって、ロックする。第1の協働エレメント23および第2の協働エレメント24は、ロック位置において、第2の協働エレメント24が第1の協働エレメント23の後ろにスナップフィットすることによって、スナップフィット接続で係合する。
【0047】
図5a、図5b、図5cは、シース6が開始位置にある状態の安全ニードルアセンブリ1の例を示している。第1の協働エレメント23および第2の協働エレメント24は、ここでは、図3a~図3cの実施形態と同様に、突出するフィンガー23および下向きに延在するフック24として具現化されている。安全ニードルアセンブリ1は、プロテクター16をさらに含む。図5aにおいて、および、図5bにおけるその詳細において、シース6は、シース6の受け入れスペース15の中に配置されているブリッジエレメント25をさらに含むことが分かる。ブリッジエレメント25は、図5aおよび図5bにおいて見ることができるように、シース6の開始位置においてプロテクター16を支持している。ブリッジエレメント25は、プロテクター16の外側表面にフィットするように形状決めされることが可能である。開始位置においてプロテクター16を支持するブリッジエレメント25を提供することによって、これらのブリッジエレメント25は、開始位置におけるシースの停止部を提供する。シース6の開始位置は、次いで、第1の協働エレメント23および第2の協働エレメント24が互いに当接することによって画定されるだけでなく、ブリッジエレメント25がプロテクターを支持することによっても画定される。ブリッジエレメント25は、シース6の偶発的な作動を防止することが可能であり、たとえば、(たとえば、輸送および/またはハンドリングの間の力によって偶発的に)シース6が開始位置から移動することを防止することが可能である。プロテクター16を提供することによって、開始位置から使用位置に向けてシースを開くときに、偶発的な針刺しが防止されることが可能である。また、プロテクター16を支持するブリッジエレメント25の組み合わせによって、輸送および操作の間の開始位置からのシースの非作動が未然に防がれることが可能である。また、ハブ2の近くのブリッジエレメント25は、ハブ2へのシリンジの接続の間の相対的な移動を防止することも可能である。複数のブリッジエレメント25は、シース6の受け入れスペース15の中にシース6の長さにわたって分配されて提供されることが可能である。
【0048】
図6は、ロック位置にあるシース6を示しており、角度アルファは、利用可能なシース6と組み合わせた安全ニードルアセンブリの中で可能な最長のニードルによって決定される。シース6は、最長のニードルがハブに接続された状態で、さらに下向きに枢動することができない。その理由は、ロック位置において、ニードル5の遠位端部5aがシース6に当接するからである。このように、シース6の角度変位は限定されている。典型的に、ロック位置における角度アルファは、約マイナス10度であり、好ましくは、約マイナス8度であり、より好ましくは、約マイナス6度である。
【0049】
ハブ2から長手方向に延在する位置においてシース6の開始位置を提供することによって、および、シースの開始位置とロック位置との間の限られた角度変位によって、第1の協働エレメント23および第2の協働エレメント24は、有利には、ロバストであり、信頼性の高いロッキングを提供する。スナップフック24およびスナップフィンガー23と同じようなスナップフィット係合を提供することによって、そのようなロバストなおよび信頼性の高い接続が得られることが可能である。開始位置とロック位置との間のシース6の小さな角度変位に起因して、フィンガー23に対するフック24の実際の変位は、比較的小さく、約6度の角度に対して、これは、約1mmの変位である。約0.8mmであるそのような射出成形された物体の一般的な材料厚さを考慮に入れると、約1mmの変位が、スナップフック24の厚さを克服するのにちょうど十分である。また、ロバストなスナップフィット接続を提供するために、スナップフィンガー23を可能な限り短くすることが有利であるが、しかし、材料厚さを克服するための小さな角度変位および最小高さ変位を所与として、スナップフィンガー23もハブ2から突出するためにいくらかの長さを与えられる必要がある。スナップフィンガー23がロバストなスナッピングのために可能な限り短いときには、スナップフィンガーはより剛性を有し、より少ない材料弾性が、そのような短いフィンガーにおいて可能である。また、ロッキングの後に、第1の協働エレメント23と第2の協働エレメント24との間の接続は、信頼性が高いことが必要であり、それは、たとえば、ハンドリング力に起因して、偶発的に緩くならないことが可能である。しかし、ロック位置において信頼性の高い接続を提供するために、枢動軸線から可能な限り離れたスナップフィット接続を有することが有益である。この要件は、少なくともロバストなスナッピング(そのためには、短いフィンガーが好ましい)のための要件と矛盾する。これらの矛盾する要件を組み合わせることは、シースをロックするためにスナップフィット接続で係合し、シースの開始位置を画定するために開始位置において互いに当接する、第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントを提供する。
【0050】
図7では、シース6は、シース6のロック位置においてニードル5の遠位端部5aと係合するための追加的な協働エレメント26をさらに備えていることが見られ得る。そのような追加的な協働エレメント26(ここでは、ロック位置において遠位端部5aがその上に静止するシート部として具現化されている)を提供することによって、ロック位置において、ニードル5への追加的な支持が与えられ、それによって、たとえば、かなり長いニードルの相対的な弾性を考慮したニードルの曲げに起因する、ニードルの偶発的なロッキング解除を未然に防ぐ。シート部26は、下側において、面取りされたまたは傾斜した表面を備えており、ニードル端部5aがロッキング移動の間にそれに沿って容易にガイドされ得るようになっているが、一方では、シート部は、ニードル端部5aが再び下向きに移動することを防止することが可能であり、または、その逆も同様に、シースがロック位置から移動することを防止することが可能である。
【0051】
図8aおよび図8bは、開始位置におけるアセンブリ1を示しており、開始位置では、それは、ハードキャップ31とともにハードケース30によってパッケージングされることが可能である。開始位置におけるアセンブリ1のコンパクトな体積に起因して、開始位置におけるシース6の長手方向に延在する位置に起因して、アセンブリ1は、比較的小さな体積のハードケースの中にフィットすることが可能である。従来のパッケージング、典型的にはブリスターパッケージングとは対照的に、ハードケースは、製造および組み立ての間に自動化されてハンドリングされることが可能であり、また、輸送および/またはハンドリングの間に、より高いスペース効率を提供する。ハードケース30は、円筒形状の本体部32を有することが可能である。図8a、図8bに示されている実施形態では、本体部は、より矩形の形状のものである。そのような形状は、ハードケース30のハンドリングの間のユーザーのためのグリップを増加させることが可能であり、また、たとえば、注入ニードルの準備の前に、ハードケース30が表面の上に横たわっているときに転がることを防止することが可能である。さらに、矩形の形状は、自動化されたハンドリングを促進させることが可能である。その理由は、それがロボットによってより容易にグリップされることが可能であるからである。
【0052】
アセンブリ1は、ハードケース30(その内側に保持エレメントを備えている)の内側にフィットし、たとえば、ハードケースが逆さまに保持されるときアセンブリ1から偶発的に落下することを防止する。ハブ2は、ケース30と接続するための手段、たとえば、図14に図示されているようなリブ35を備えることが可能であり、それは、ハブ2の外側表面から、ハブ2から離れるように半径方向に延在しており、リブは、ケース30の内側表面に配置されている対応する溝部の中へフィットすることが可能である。これは、ハブ2上へのシリンジの装着の間にケース30に対するハブ2の相対的な移動を防止するために特に有利である。さらに、シース6は、シース6の外側表面上に、たとえば、遠位端部上に、ケース30と接続するための手段、たとえば、凹みまたは溝部を備えることが可能である。ケース30の内側表面上には、対応する接続手段が配置されることが可能である。そのような追加的な接続部を提供することによって、ニードルアセンブリ1は、ケース30の中でさらに安定化され、製品の無菌性がさらに保証される。キャップ31は、たとえば、嵌め込み(clicking)、ねじ込み、クランピングなどによって、ケース30にフィットされることが可能である。アセンブリ1は、ケース30およびキャップ31の中に無菌にパッケージングされる。アセンブリ1の使用の前に、ユーザーは、キャップ31をケース30から除去する。キャップ31上のリブ33は、除去を促進させることが可能である。アセンブリ1がケース30の中に残っている状態で、シリンジが、ハブ2の近位端部3に接続される。次いで、シリンジがハブ2に接続されているときに、アセンブリ1が、ケース30から除去される。次いで、シース6が、ニードル5を露出させるために、開始位置から使用位置に向けて枢動されることが可能である。そして、注入後に、シース6は、シースをロックするためにロック位置に向けて枢動されることが可能である。そのようなハードケース(それは、アセンブリ1を保持することが可能である)を提供することによって、アセンブリのハンドリングは、アセンブリが依然としてケース30の中にある状態で、比較的長く行われることが可能であり、それによって、アセンブリ1の無菌性を最適に維持する。
【0053】
図9aおよび図9bは、第1の協働エレメント23および第2の協働エレメント24の代替的な実施形態を示している。ここで、第1の協働エレメント23は、L字形状でハブから延在するスナップフック23である。協働する第2のエレメント24は、シース6の後壁部14の開口部24である。開口部24およびスナップフック23は、対応する面取りされた表面23a、24aを有しており、それらは、シース6の開始位置において互いに当接し、シース6の開始位置を画定する。ロック位置では、スナップフック23は、開口部24を通ってスナップされ、後壁部14の後ろにクランプする。スナップフック23の表面23bは、ロック位置において後壁部14の外側表面と係合し、堅固でロバストで信頼性の高いスナップフィット接続を提供する。ここで、表面23bおよび23aは、フック23のフック形状を提供することが可能である。傾斜した接触表面23a、24aは、シースの開始位置において互いに接触し、開始位置を画定する。一方では、さらなる接触表面23b、24bが、ロック位置において互いに係合する。接触表面23a、24aおよびさらなる接触表面23b、24bの構成は、シースのロック位置におけるスナップフィット接続を提供する。
【0054】
図10a、図10b、および図10cは、第1の協働エレメント23および第2の協働エレメント24の代替的な実施形態を示している。図10aでは、開始位置におけるシース6の斜視図が示されている。シース6は、プロテクター16を支持するブリッジエレメント25を有している。第1の協働エレメント23および第2の協働エレメント24は、開始位置において、図10bに詳細に示されており、ロック位置において、図10cに詳細に示されている。第1の協働エレメント23は、ここでは、ハブ2から長手方向に延在するフィンガー23として具現化されている。第2の協働エレメント24は、それぞれシース6の側壁部13において、シース6の後壁部14から下向きに延在する2つのフック形状のエレメント24として具現化されている。フック24は、一方の端部においてのみ後壁部14または側壁部13に接続されているが、その他では、シース6から自由になっており、したがって、いくらかの弾性を提供する。したがって、フック24は、可撓性であり、または、それらの接続された端部に対して移動可能であり得る。開始位置では、図10bにおいて見ることができるように、フック24は、フィンガー23上に静止している。フック24の表面24aおよびフィンガー23の表面23aは、互いに接触している。フック24は、面取りされたまたは傾斜した表面24aを有しており、それらは、フィンガー23の対応する面取りされた表面23aに当接するように構成されている。フィンガー23は、2つの面取りされた表面23aを備えており、フィンガー23のそれぞれの側に1つの表面23aがあり、対応する関連の表面24aが、それぞれの表面23aに接触することが可能であるようになっている。シース6の開始位置における有利な接触のために、表面23a、24aの面取り部または傾斜は、好ましくは、同じまたは同様である。表面23a、24aの傾斜の角度は、有利には、開始位置において、表面23a、24aが互いの上に容易に静止することが可能であるようになっており、一方では、シース6をロック位置に向けて押すために追加的な力が印加されるときには、表面23a、24aが、次いで、ロック位置に向けて互いに沿ってスライドすることが可能であるようになっている。ロック位置では、フック24の別の表面24bが、フィンガー23の下側23bに接触し、確実なスナップフィット接続を形成している。この実施形態では、フィンガー23は、追加的なリブ23c(フィンガー23の上側で長手方向に延在する)を備えており、追加的な剛性をフィンガー23に提供する。
【0055】
図10b、図10cにおいて、突出部17(ニードル5がその中に受け入れられている)は、リブ22を備えており、プロテクター16がリブ22にクランプ可能に係合することが可能であるということが見られ得る。突出部17上にリブ22を提供することは、図1に示されているようなプロテクター16の内側における長手方向リブ16aに対する代替例として考えられることが可能である。この例では、滑らかな内側表面を有するプロテクター16が、使用することを考えられることが可能である。
【0056】
図11a、図11b、図11cの実施形態は、第1の協働エレメント23および第2の協働エレメント24の代替的な実施形態を示している。図11aの斜視図では、ここでも、シース6は、開始位置においてプロテクター16を支持するブリッジエレメント25を備えていることが見られ得る。開始位置では、シース6は、ニードル5およびプロテクター16と同じ方向に、ハブから長手方向に延在している。図11bは、開始位置における第1の協働エレメント23および第2の協働エレメント24の詳細を示している。図11cは、ロック位置における第1の協働エレメント23および第2の協働エレメント24の詳細を示している。ここで、第1の協働エレメント23は、ハブ2からL字形状に延在する2つのフックとして具現化されている。フック23は、ハブ2から長手方向に延在する共通のベース、フィンガー23lを有しており、そのベース23lから、フック23が上向きに突出している。フック23は、傾斜した接触表面23aを備えており、傾斜した接触表面23aは、図11bにおいて見ることができるように、第2の協働エレメント24の関連の傾斜した接触表面24a上に当接する。第2の協働エレメント24は、ここでは、シース6の後壁部14の開口部として具現化されている。開口部24の側部表面24aは、それらが開始位置においてフック23の傾斜した表面23aに接触することができるように傾斜している。シース6がロック位置に向けてさらに押し込まれるとき、フック23に提供されているさらなる接触表面23bが、図11cにおいて見ることができるように、後壁部14の上側表面に係合する。したがって、後壁部14の上側表面は、ロック位置において第2の協働エレメント23の表面23bと係合するための接触表面24bとしての役割を果たす。
【0057】
図12a~図12dは、第1の協働エレメント23および第2の協働エレメント24の別の実施形態を示している。ここで、第1の協働エレメント23は、突出部17上にリブ23として具現化されており、ニードル5は、突出部17の中に接続されることが可能である。第2の協働エレメント24は、ここでは、シース6の側壁部13に枢動可能に接続されているウィング24として具現化されている。ウィング24は、リビングヒンジを介して側壁部13に接続されることが可能である。開始位置(図12aに示されている)では、ウィング24は、互いに向けて配向されており、ウィング24が互いに向かい合うようになっている。したがって、ウィング24は、シース6の側壁部13に対して横断する方向に配向されており、ウィング24によって受け入れスペース15を閉鎖するようになっている。有利には、ウィング24は、この閉鎖位置に向けて付勢されている。したがって、開始位置では、シース6は、ウィング24がニードル5の下方で閉じられているので、ニードル5を囲んでいる。開始位置から使用位置に向けてシース6を枢動させるときに、ウィング24は、突出部17に沿って通過し、突出部17を通過するときに外向きに押されるが、突出部17を通過した後に、ウィング24は、閉鎖位置に向かって枢動して戻り、ウィング24は閉鎖位置に付勢される。シース6の使用位置は、図12bに示されている。注入ニードル5の使用の後に、安全シース6は、ロック位置に向けて枢動され、シース6の受け入れスペース15の中にニードル5を固定する。シース6をロック位置に向けて枢動させるときに、ウィング24は、リブ23を備えた突出部17に沿って再び通過し、それは、図12cにおいて見ることができるように、今では、シース6の側壁部13に向けて枢動された内向きの位置に押されている。シース6をロック位置に向けてさらに押し下げるとき、ウィング24は、特定の瞬間に、リブ23の端部と係合する。リブ23は、リブ23の中の切り欠き部として、端部表面23aを備えており、その切り欠き部23aの中に、ウィング24のエッジ表面24aが係合することが可能である。閉鎖位置に向けたウィング24の付勢に起因して、ウィング24は、切り欠き表面23aにクランプ可能に係合し、図12dにおいて見ることができるように、リブ23へのウィング24の堅固なロッキングが得られる。
【0058】
第1の協働エレメントおよび第2の協働エレメントの多くの変形例が可能であるということが認識されるであろう。それらの変形例のうちのいくつかが、上記に説明されている。
【0059】
明確かつ簡潔な説明の目的のために、特徴は、同じまたは別個の実施形態の一部として本明細書では説明されているが、特許請求の範囲および開示の範囲は、説明されている特徴のすべてまたはいくつかの組み合わせを有する実施形態を含むことが可能であることが認識されるであろう。示されている実施形態は、それらが異なるものとして説明されている場所を除いて、同じまたは類似の構成要素を有するということが理解されることが可能である。
【0060】
特許請求の範囲において、括弧の間に置かれた任意の参照記号は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。「含む(comprising)」という語は、特許請求の範囲に列挙されているもの以外の特徴またはステップの存在を除外するものではない。そのうえ、「a」および「an」という語は、「1つのみ」に限定されるものとして解釈されるべきではなく、その代わりに、「少なくとも1つの」を意味するために使用されており、複数を除外するものではない。特定の手段が相互に異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。多くの変形例が、当業者に明らかになろう。すべての変形例は、以下の特許請求の範囲において定義されている範囲の中に含まれるものと理解される。
【符号の説明】
【0061】
1 安全ニードルアセンブリ
2 ハブ
3 近位端部
4 遠位端部
5 ニードル
5a 遠位端部、ニードル端部
6 シース
7 枢動接続部
8 軸棒
9 軸棒端部
10 リブ
11 フランジ
12 開口部、孔部
13 側壁部
14 後壁部
15 受け入れスペース
16 プロテクター
16a 長手方向に延在するリブ
16b 長手方向に延在するリブ
17 突出部
17a 係合エレメント
18 ユーザーの指と係合するための領域
19 粗面化エレメント
20 凹部
21 ネジ山
21a、21b ネジ山セグメント
21c 平坦な表面
21d 灰色にマークされたエリア
22 リブ
23 第1の協働エレメント
23a 面取りされた接触表面
23b さらなる接触表面
23l ベース、フィンガー
24 第2の協働エレメント
24a 面取りされた接触表面
24b さらなる接触表面
25 ブリッジエレメント
26 追加的な協働エレメント、シート部
27 調節構造体
30 ハードケース
31 キャップ
32 本体部
33 リブ
34 ストッパー表面
35 リブ
36 延長パーツ
37 さらなる第1の協働エレメント
A ニードル5の長手方向軸線
B シース6の長手方向軸線
L 長手方向
P 枢動軸線
α 角度
β 角度変位
γ 角度変位
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図4
図5a
図5b
図5c
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図11c
図12a
図12b
図12c
図12d
図13a
図13b
図14
図15
図16
【国際調査報告】