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特表2024-518146磁場感応型部材、その製造方法および使用
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  • 特表-磁場感応型部材、その製造方法および使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-25
(54)【発明の名称】磁場感応型部材、その製造方法および使用
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/153 20060101AFI20240418BHJP
   B22F 1/07 20220101ALI20240418BHJP
   B22F 1/08 20220101ALI20240418BHJP
   B22F 5/00 20060101ALI20240418BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20240418BHJP
   B22F 9/00 20060101ALI20240418BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20240418BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20240418BHJP
   C22C 38/54 20060101ALI20240418BHJP
   C22C 33/02 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
H01F1/153 133
B22F1/07
B22F1/08
B22F5/00 Z
B22F9/04 C
B22F9/00 B
B22F1/00 Y
C22C38/00 303S
C22C38/54
C22C33/02 E
H01F1/153 175
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023563250
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 EP2022057642
(87)【国際公開番号】W WO2022218664
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】102021109597.2
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522496116
【氏名又は名称】マグネテック・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ヴェンツリク
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
5E041
【Fターム(参考)】
4K017BA03
4K017BA06
4K018AA30
4K018BB07
4K018BD01
4K018CA07
4K018CA11
4K018DA11
4K018FA08
4K018KA32
4K018KA61
5E041AA11
5E041AA19
5E041BB03
5E041BD01
5E041BD03
5E041CA02
5E041HB03
5E041HB05
5E041NN01
5E041NN06
5E041NN13
5E041NN15
5E041NN17
5E041NN18
(57)【要約】
本発明は磁場感応型部材に関し、この磁場感応型部材は軟磁性材料の粒子を有している。これにより、保磁力が特に小さく、飽和磁束密度が特に高い、可能な限り形状的に柔軟な磁場感応型部材を実現することができ、この磁場感応型部材の構造により、有効透磁率が低減され、それによって飽和磁場強度を有利に増大させることができる。これにより、全体として、磁場感応型部材の良好な熱安定性が生じる。さらに本発明は、磁場感応型部材を製造する方法および磁場感応型部材の使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場感応型部材(10)において、
前記磁場感応型部材(10)は、軟磁性材料の粒子を有していることを特徴とする、磁場感応型部材(10)。
【請求項2】
前記磁場感応型部材(10)は、前記軟磁性材料の前記粒子を10重量%以上の割合で、好適には20重量%以上の割合で、特に好適には30重量%以上の割合で有していることを特徴とする、請求項1に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項3】
前記磁場感応型部材(10)は、10A/m以下の保磁力、好適には5A/m以下の保磁力、特に好適には3A/m以下の保磁力を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項4】
前記磁場感応型部材(10)は、0.1T以下の残留磁場、好適には0.05T以下の残留磁場、特に好適には0.02T以下の残留磁場を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項5】
前記磁場感応型部材(10)は、1T以上の飽和磁束密度、好適には1.1T以上の飽和磁束密度、特に好適には1.2T以上の飽和磁束密度を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項6】
前記粒子は、3μm以上200μm以下の範囲の延在部、好適には4μm以上100μm以下の範囲の延在部、特に好適には5μm以上50μm以下の範囲の延在部を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項7】
前記軟磁性材料は金属ガラスであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項8】
前記軟磁性材料は、ナノ結晶構造を有することを特徴とする、請求項7に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項9】
前記軟磁性材料は、以下の
【数1】
ここで、a≦0.3、0.6≦x≦1.5、10≦y≦17、5≦z≦14、2≦α≦6、β≦7、γ≦8、であり、M’は元素V、Cr、Al、Znの少なくとも1つであり、M”は元素C、Ge、P、Ga、Sb、In、Beの少なくとも1つである、
原子組成を有していることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項10】
前記磁場感応型部材(10)は、マトリックス材料、特に樹脂ベースのマトリックス材料を有していることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項11】
前記磁場感応型部材(10)は、焼結されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項12】
軟磁性材料の粒子を使用して磁場感応型部材(10)を製造するための方法において、以下の
-前記軟磁性材料の前記粒子を使用して、前記磁場感応型部材(10)のブランクを成形する工程と、
-前記ブランクを強化して前記磁場感応型部材(10)にするために焼き戻しおよび/または硬化する工程と、
-前記磁場感応型部材(10)を脱型する工程、
を特徴とする、方法。
【請求項13】
前記磁場感応型部材(10)は、焼結されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記成形と前記焼結の間、および/または前記焼結中に外部から力を加えることによって前記ブランクが押圧されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記磁場感応型部材(10)は、400℃以上650℃以下の範囲にある温度で、好適には450℃以上620℃以下の範囲にある温度で、特に好適には500℃以上600℃以下の範囲にある温度で焼結されることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記磁場感応型部材(10)は、15秒以上1,800秒以下の時間範囲にわたって、好適には30秒以上900秒以下の時間範囲にわたって、特に好適には45秒以上600秒以下の時間範囲にわたって焼結されることを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記軟磁性材料の前記粒子の他に、前記ブランクを成形するためにマトリックス材料、特に樹脂ベースのマトリックス材料も使用されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記硬化は、前記マトリックス材料の化学反応によって行われることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記軟磁性材料の前記粒子は、ストリップ材料から得られることを特徴とする、請求項12から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項12から19のいずれか一項に記載の方法によって製造される磁場感応型部材(10)。
【請求項21】
電気チョークのための、請求項1から12のいずれか一項および/または請求項20に記載の磁場感応型部材(10)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場感応型部材、その製造方法および使用に関する。特に、本発明は、軟磁性材料の粒子を含む磁場感応型部材、軟磁性材料の粒子を使用して磁場感応型部材を製造するための製造方法およびそのような磁場感応型部材の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
磁場感応型部材は、その透磁率、飽和磁束密度、飽和磁場強度、保磁力および/または残留磁場によって特徴付けることができる。
【0003】
軟磁性磁場感応型部材は、硬磁性構成部材に比べ、飽和磁束密度が比較的高く、保磁力が比較的低い。さらに、軟磁性磁場感応型部材は、硬磁性部材に比べ高い透磁率を有している。
【0004】
いくつかの用途では、特に比較的高い飽和磁場強度が有利である用途の場合、有効透磁率が低下した軟磁場感応型部材が特に有利である。
【0005】
この種の用途としては、とりわけ、エアギャップを有し、および/または材料特性に関して焼きなまし処理で変更された磁場感応型部材の使用が知られている。特に、エアギャップは、磁場感応型部材の飽和磁場強度を増加させるだけでなく、透磁率を低下させ、ヒステリシス曲線を平坦化し、線形化することができ、その際、必ずしも残留磁場および/または保磁力に影響を与えることはない。
【0006】
軟磁性磁場感応型部材の材料要件により、特に飽和磁束密度が比較的高い軟磁性磁場感応型部材は、非常に平坦なストリップを巻くことで作られている。これにより、この種の磁場感応型部材には形状的な境界条件が生じる。というのも、巻付けでは条件付きの形状しか製造できないからである。
【0007】
エアギャップは、構成部品の巻付け後に磁場感応型部材を機械的に再加工することによってどうにか導入することができる程度である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が基礎とする課題は、従来技術に対する改善形態又は代替形態を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に従って、本課題は、軟磁性材料の粒子を含む磁場感応型部材によって解決される。
【0010】
これに関して、以下に用語を説明する。
【0011】
最初に、本特許出願の範囲内で、不定冠詞及び「1つ」、「2つ」などの数の表示は、一般に、「正確に1つ」、「正確に2つの~」などしか意味し得ないことがそれぞれの文脈から明確にならないか、又は当業者にとって明らか、又は技術的に必然でない限り、「最小限」の表示として、すなわち「少なくとも1つの~」、「少なくとも2つの~」などとして理解されるべきであることに明示的に言及しておく。
【0012】
本特許出願の範囲内で、「特に」という表現は常に、この表現によって任意的な、及び好ましい特徴が導入されるものと理解されたい。この表現を、「しかも」及び「すなわち」という意味で理解してはならない。
【0013】
「磁場感応型部材」とは、部材の少なくとも1つの状態変数を変化させることによって磁場に反応する部材、特に強磁性部材であると理解される。磁場感応型部材から、とりわけ導電体とともに、電気的および/または電子的用途に使用できるインダクタを製造することができる。
【0014】
好ましくは、磁場感応型部材とは、軟磁性材料からなる部材であると理解される。
【0015】
「軟磁性材料」とは、磁場中で容易に磁化できる材料であると理解される。好ましくは、軟磁性材料は1,000A/m以下の保磁力を有する。
【0016】
「保磁力」とは、事前に飽和磁束密度まで帯電させた磁場感応型部材を完全に消磁するのに必要な磁場の強さであると理解される。
【0017】
好ましくは、軟磁性材料、特に非晶質軟磁性材料は、鉄、ニッケルおよび/またはコバルトを含む合金を有する。
【0018】
「粒子」とは、磁場感応型部材に対して小さい物体であると理解される。好ましくは、粒子とは、3μmから200μmの間の範囲で各空間方向に延伸する物体であると理解される。
【0019】
ここでは、軟磁性材料の粒子を有する磁場感応型部材が提案される。
【0020】
このとき、磁場感応型部材は、好ましくは軟磁性材料からなる粒子を使用して初期成形される。
【0021】
軟磁性材料からなる粒子を磁場感応型部材に加工するには、好ましくは粉末冶金プロセス、特に軟磁性材料の粒子からなる磁場感応型部材の焼結が考えられる。
【0022】
代替として、磁場感応型部材が、軟磁性材料の粒子の他にマトリックス材料を有し得ることも想定されるであろう。ここでは、とりわけ、粒子をマトリックス材料に溶解させ、その後マトリックス材料を硬化して固体の磁場感応型部材にすることが考えられるであろう。特に、このとき、基本成分と硬化剤をベースとするマトリックス材料を使用することができる。
【0023】
その他のすべての成形方式もまた、ここで説明する磁場感応型部材を製造するのに適していることを明記しておきたい。
【0024】
軟磁性材料の粒子を使用して磁場感応型部材を初期成形することにより、有利には、磁場感応型部材に対するほぼすべての造形が可能になり、それによって指定された用途の特殊な境界条件に対応することが可能になることを達成できる。
【0025】
さらに、磁場感応型部材を後から機械加工する必要なしに、このようにしてエアギャップを有する磁場感応型部材を製造できることから、有効透磁率が低下した磁場感応部型部材の製造を大幅に簡略化することができる。
【0026】
特に合目的的な実施形態によれば、粒子を焼結することによって、または粒子を溶剤と混合することによって、個々の粒子間に細孔を有する磁性部材を実現できることも考えられ、このとき、細孔は周囲の媒体または溶剤で充填することが可能である。ここでは、好ましくは、溶剤がマトリックス材料を有している。細孔は個々の粒子間の磁束を変化させる作用があるため、軟磁性材料を巻くことで作られた磁場感応型部材と比較して、磁場感応型部品の有効透磁率は小さくなる。
【0027】
特に磁場感応型部材の熱安定性が寸法を決定する役割を果たす用途では、飽和磁束密度、飽和磁界強度および/または保磁力が寸法決め要素となる。磁場感応型部材の飽和磁場強度が大きいほど、および/または保磁力が小さいほど、および/または飽和磁束密度が大きいほど、熱安定性を維持するために磁場感応型部材を小型化することができる。
【0028】
ここでは、粒子の材料選択により、保磁力が特に小さく、飽和磁束密度が特に高い磁場感応型部材が提案されており、この磁場感応型部材の構造により、有効透磁率が低減され、それによって飽和磁場強度を有利に増大させることができる。言い換えれば、有利な磁気シアを持つ磁場感応型部材を実現することができる。
【0029】
さらに、有利には、ここで提案された磁場感応型部材は、結果的に磁場感応型部材の柔軟な造形につながり、この造形は、出発材料の巻きやすさの境界条件とは無関係であることから、磁場感応型部材の形状を用途の境界条件に適合させることができる。
【0030】
好適には、磁場感応型部材は、軟磁性材料の粒子を10重量%以上の割合で、好適には20重量%以上の割合で、特に好適には30重量%以上の割合で有している。
【0031】
好ましくは、磁場感応型部材は、軟磁性材料の粒子を40重量%以上の割合で、好適には50重量%以上の割合で、特に好適には60重量%以上の割合で有している。さらに好ましくは、磁場感応型部材は、軟磁性材料の粒子を70重量%以上の割合で、好適には80重量%以上の割合で、特に好適には90重量%以上の割合で有している。さらに好ましくは、磁場感応型部材は、軟磁性材料の粒子を95重量%以上の割合で、好適には97.5重量%以上の割合で、特に好適には99重量%以上の割合で有している。
【0032】
軟磁性材料の粒子の質量分率に関する上記の値は、厳密な限度として理解されるべきではなく、むしろ記載される本発明の態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回る可能性があることに明示的に言及しておく。簡潔に述べると、上記の値は、質量分率のここで提案する大きさについての目安を提供するものである。
【0033】
特に好適には、磁場感応型部材は10A/m以下の保磁力、好適には5A/m以下の保磁力、特に好適には3A/m以下の保磁力を有する。
【0034】
好ましくは、磁場感応型部材は2A/m以下の保磁力、好適には1.5A/m以下の保磁力、特に好適には1A/m以下の保磁力を有する。さらに好ましくは、磁場感応型部材は0.5A/m以下の保磁力、好適には0.1A/m以下の保磁力、特に好適には0.05A/m以下の保磁力を有する。
【0035】
保磁力に関する上記の値は、50Hzで振動する磁場で適用される。
【0036】
磁場感応型部材の低い保磁力により、特に極性が変化する磁場強度を持つ用途が指定されている場合は、磁場感応型部材内の散逸が低減され、それによって熱安定性をさらに高めることができる。
【0037】
磁場感応型部材の保磁力に関する上記の値は厳密な限度として理解されるべきではなく、むしろ記載される本発明の態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回る可能性があることに明示的に言及しておく。簡潔に述べると、上記の値は、ここで提案する磁場感応型部材の保磁力の大きさについての目安を提供するものである。
【0038】
特に合目的的には、磁場感応型部材は0.1T以下の残留磁場、好適には0.05T以下の残留磁場、特に好適には0.02T以下の残留磁場を有する。
【0039】
これにより、極性が変化する磁場強度において、磁場感応型部材で発生する散逸を追加的に有利に低減することができる。
【0040】
好適には、磁場感応型部材は、1T以上の飽和磁束密度、好適には1.1T以上の飽和磁束密度、特に好適には1.2T以上の飽和磁束密度を有する。好ましくは、磁場感応型部材は、1.3T以上の飽和磁束密度を有する。
【0041】
飽和磁束密度を増加させることで、有利には、熱的に不安定になることなく、基準用途について磁場感応型部材をより小さく寸法決めできることが達成可能になる。というのも、特に、高い飽和磁束密度に伴って高い飽和磁場強度も達成することができるからである。
【0042】
磁場感応型部材の飽和磁束密度に関する上記の値は厳密な限度として理解されるべきではなく、むしろ記載される本発明の態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回る可能性があることに明示的に言及しておく。簡潔に述べると、上記の値は、ここで提案する磁場感応型部材の飽和磁束密度の大きさについての目安を提供するものである。
【0043】
選択的に、粒子は、200μm以下の延在部、特に3μm以上200μm以下の範囲の延在部、好適には4μm以上100μm以下の範囲の延在部、特に好適には5μm以上50μm以下の範囲の延在部を有する。
【0044】
さらに好ましくは、粒子は、7μm以上40μm以下の範囲の延在部、好適には8μm以上30μm以下の範囲の延在部、特に好適には10μm以上20μm以下の範囲の延在部を有する。
【0045】
ここで提案されている粒子の大きさは、少なくとも焼結プロセスによる磁場感応型部材の製造時に、粒子間に生じる細孔径と相互作用する。細孔径は有効な透磁率と相互作用し、この透磁率は熱安定性と相互作用する。実験においては、上記の範囲の粒子径が特に有利な磁場感応型部材をもたらすこと、および/または出発材料から粉砕によって特に簡単に製造可能であることが示された。
【0046】
上記の範囲制限は、本発明のこの態様から逸脱することなく、任意に組み合わせ可能であると理解される。
【0047】
好適な実施形態によれば、軟磁性材料は金属ガラスである。好ましくは、軟磁性材料は磁性非晶質金属である。
【0048】
これに関して、以下に用語を説明する。
【0049】
「金属ガラス」とは、原子レベルでは結晶構造ではなく非晶質構造を有し、それにもかかわらず特性として金属伝導性を有する物質の金属ベース合金であると理解される。好ましくは、金属ガラスは、金属合金成分の他に、非金属合金成分を有してもよい。
【0050】
金属では非常に珍しい非晶質原子配列により、有利には、特殊な物理的材料特性が可能になる。特に、金属ガラスの使用により、磁場感応型部材の保磁力を有利に低下させることができ、および/または透磁率を有利に増加させることができる。さらに、金属ガラスは高い電気抵抗を有することができ、それによって、磁場感応型部材のいくつかの用途では、磁場感応型部材によって引き起こされる渦電流損失を有利に低減することができる。
【0051】
特に好適には、軟磁性材料がナノ結晶構造を有する。
【0052】
これに関して、以下に用語を説明する。
【0053】
「ナノ結晶構造」を持つ材料とは、ナノ微細構造を持つ多結晶固体であると理解され、微細構造とは、結晶材料における、点欠陥、転位、積層欠陥、粒界の種類、結晶構造、数、形状、トポロジカル配置であると理解される。
【0054】
ナノ結晶構造により、磁場感応型部材の物理的特性をさらに改善することができる。特に、軟磁性材料の透磁率を高めることができ、および/または軟磁性材料の飽和を低減することができる。
【0055】
好ましくは、ナノ結晶材料は非晶質材料から製造され、非晶質材料から出発する結晶成長は、熱効果および/または磁気効果の影響によって刺激される。
【0056】
好ましくは、磁場感応型部材は、典型的な粒径が5μm~30μmの範囲にあるナノ結晶構造を有する軟磁性材料からなり、好適には、典型的な粒径が7μm~20μmの範囲にあるナノ結晶軟磁性材料からなり、特に好適には、典型的な粒径が8μm~15μmの範囲にあるナノ結晶軟磁性材料からなる。このことにより、特に透磁率および/または飽和磁場強度に関して、磁場感応型部材の特に有利な物理的特性を達成することができる。
【0057】
特に好適な実施形態によれば、軟磁性材料は、以下の原子組成を有している。
【0058】
【数1】
【0059】
ここで、a≦0.3、0.6≦x≦1.5、10≦y≦17、5≦z≦14、2≦α≦6、β≦7、γ≦8、であり、M’は元素V、Cr、Al、Znの少なくとも1つであり、M”は元素C、Ge、P、Ga、Sb、In、Beの少なくとも1つである。
【0060】
実験の結果、軟磁性材料の上記仕様は、ここで提案されている磁場感応型部材の特に有利な材料特性をもたらすことが判明した。
【0061】
特に、上記の材料仕様により、特に低い保磁力および/または特に高い飽和磁束密度を持つ磁場感応型部材を実現することが可能である。
【0062】
好ましくは、先に指定された軟磁性材料はニッケルを有し、特に4.5重量%以上のニッケル含有量、好適には5重量%以上のニッケル含有量、特に好適には5.5重量%以上のニッケル含有量を有する。
【0063】
選択的実施形態によれば、磁場感応型部材はマトリックス材料、特に樹脂ベースのマトリックス材料を有している。
【0064】
これに関して、以下に用語を説明する。
【0065】
「マトリックス材料」とは、軟磁性材料の粒子を溶解させることができる材料であり、このとき、磁場感応型部材をサポートしてその物理的形状を維持できるようにする材料であると理解される。
【0066】
軟磁性材料の粒子をマトリックス材料に溶解させるとは、粒子を、その材料組成を維持したまま、技術的な意味で可能な限り均質である混合物の中に移行させる、または移行していることであると理解され、混合物は、粒子の他に粒子のための少なくとも1つの溶剤、特に少なくともマトリックス材料を有している。このとき、溶剤は粒子を取り囲み、粒子は接着性相互作用によって溶剤に結合していることが考えられるだろう。
【0067】
好ましくは、溶剤は、マトリックス材料の他に充填剤も有している。これにより、磁場感応型部材の価格を低下させることができ、および/または磁場感応型部材の化学的特性および/または物理的特性を改善することができる。
【0068】
マトリックス材料は、好ましくは液状物質、特にダイラタントまたはニュートンまたは擬塑性またはビンガム塑性またはカッソン塑性の流動挙動を持つ液状物質が考えられるであろう。
【0069】
選択的実施形態によれば、マトリックス材料は、粒子の溶解後、特にマトリックス材料と硬化剤との反応によって硬化されるか、または硬化されている。
【0070】
ここでは、軟磁性物質からなる粒子が固体内にあるのではなく、むしろ液体溶剤に溶解している磁場感応型部材も提案されることを明記しておきたい。この実施形態では溶剤と粒子からなる混合物が成形シェルによって取り囲まれているように設けられる。
【0071】
好ましくは、これにより、粒子間の相互の直接接触が不要な磁場感応型部材を実現することができる。これにより、磁場感応型部材の有効透磁率をさらに低下させることができる。軟磁性材料の粒子と溶剤との混合比により、有利には、細孔径または一般に軟磁性材料の個々の粒子間の距離を設定することが可能であり、それによって、特に磁場感応型部材の有効透過率を設定することができる。
【0072】
特に合目的的な実施形態によれば、磁場感応型部材は焼結されている。
【0073】
これに関して、以下に用語を説明する。
【0074】
「焼結」とは、磁場感応型部材を製造または変更するためのプロセスであると理解される。このとき、軟磁性材料の粒子は加熱されるが、温度は軟磁性材料の粒子の融解温度以下に保たれるため、磁場感応型部材の形状は維持されている。焼結中、磁場感応型部材の寸法の収縮が生じる可能性がある。なぜなら、軟磁性材料の粒子が圧縮され、細孔空間が充填されるからである。好ましくは、軟磁性材料の粒子は、焼き戻し前および/または焼き戻し中に圧縮される。粒子の焼結により、粒子相互の材料結合が実現される。
【0075】
有利には、焼結された磁場感応型部材により、有効透磁率が希望する値に特に正確に合致することが達成される。
【0076】
焼結された磁場感応型部材は、有利には、堅牢であり、200℃~350℃の使用温度でも寸法安定性がある。全体として、焼結された磁場感応型部材は、特に高い熱安定性を有している。
【0077】
本発明の第2の態様によれば、上記課題は、軟磁性材料の粒子を使用して磁場感応型部材を製造するための方法によって解決され、本方法は以下の
- 軟磁性材料の粒子を使用して、磁場感応型部材のブランクを成形する工程と、
- ブランクを強化して磁場感応型部材にするために焼き戻しおよび/または硬化する工程と、
- 磁場感応型部材を脱型する工程、
を特徴としている。
【0078】
これに関して、以下に用語を説明する。
【0079】
「成形」とは、本実施形態において、磁場感応型部材のためにブランクの形を仕上げることであると理解される。
【0080】
好ましくは、軟磁性材料の粒子からなるブランクは、焼結工具内で形を仕上げることができ、焼結工具はネガ型として用いられる。
【0081】
しかし、好ましくは、成形において他の成形プロセスも考えられるであろう。
【0082】
特に、ここでは同様に、溶剤、好ましくはマトリックス材料、および軟磁性材料の粒子を含む混合物をネガ型に入れることも考えられるであろう。さらに、混合物をネガ型内で硬化させ、続いて、磁場感応型部材として脱型することができることも考えられるであろう。
【0083】
また、溶剤と軟磁性材料の粒子を含む混合物を密封可能なシェルに注入し、それによって同様に磁場感応型部材を生成することも考えられるであろう。この場合、磁場感応型部材を強化するための温度処理および脱型は不要である。
【0084】
「ブランク」とは、さらなる処理、特に温度処理または化学反応によるさらなる処理のために設けられている成形材料であると理解される。好ましくは、化学反応による硬化のために設けられている、焼結プロセス用のブランクまたは磁場感応型部材のブランクが考えられるであろう。言い換えると、成形ブランクは、下流の再処理工程において強化される。
【0085】
「焼き戻し」とは、特に構成成分の化学反応および/または外部の熱源による、ブランクまたは磁場感応型部材の熱処理であると理解される。
【0086】
「硬化」とは、ブランクまたは磁場感応型部材の化学反応であると理解され、化学反応、特に架橋反応が、ブランクまたは磁場感応型部材の硬度の上昇および/または靭性の上昇および/または融点の上昇および/または溶解度の低下をもたらす。
【0087】
「脱型」とは、磁場感応型部材をネガ型から取り外すことであると理解される。
【0088】
ここでは、磁場感応型部材を製造するための方法、特に本発明の第1の態様による磁場感応型部材を製造するための方法が提案される。
【0089】
先行技術では、これまで、磁場感応型部材は、公知の製造プロセスに由来する境界条件によって、その造形に関して制限されていることが知られている。先行技術におけるこの欠点は、ここで提案される製造方法によって克服できるものである。というのも、ここで提案されている方法により、磁場感応型部材、特にエアギャップを有する磁場感応型部材について、ほとんど任意の造形が可能になるからである。
【0090】
前述したような磁場感応型部材の利点は、磁場感応型部材を製造するための方法にまで及ぶことは自明である。
【0091】
特に好適には、磁場感応型部材が焼結される。
【0092】
ここでは、プランクの焼き戻しを焼結プロセスによって行うことが提案される。
【0093】
これにより、有利には、軟磁性材料からなる粒子を強化して、磁場感応型部材にすることができる。
【0094】
合目的的には、成形と焼結の間、および/または焼結中に外部から力を加えることによってブランクが押圧される。
【0095】
焼結の前および/または焼結中に外部から力を加えることにより、ブランクおよび/または磁場感応型部材を圧縮することができる。
【0096】
実験では、120N/mm以上300N/mm以下の範囲にある押圧力、好適には150N/mm以上250N/mm以下の範囲にある押圧力、特に好適には180N/mm以上200N/mm以下の範囲にある押圧力が特に有利であることが判明した。
【0097】
これにより、有利には、特に堅牢な、焼結された磁場感応型部材を実現することができる。
【0098】
ここで、押圧力についての上記の値は、厳格な限界値と解されるべきではなく、むしろ、本発明の上述の態様から逸脱することなく、工学的な尺度でその値を上回っても良いし、下回っても良いことを明示的に言及しておく。簡潔に述べると、上記の値は、押圧力のここで提案する範囲の大きさについての目安を提供するものである。
【0099】
好適には、磁場感応型部材は、400℃以上650℃以下の範囲にある温度で、好適には450℃以上620℃以下の範囲にある温度で、特に好適には500℃以上600℃以下の範囲にある温度で焼結される。
【0100】
焼結時の温度を上記のように規定した場合、実験において、特に有利な磁場感応型部材を実現することができた。特に、指定された値の温度によって、焼結プロセス中の時間および/または押圧力を縮小することができた。
【0101】
さらに、好ましくは、磁場感応型部材を、700℃を超える温度で焼結しないこと、好適には650℃を超える温度で焼結しないこと、特に好適には600℃を超える温度で焼結しないことが提案される。というのも、これにより、有利には、軟磁性材料の結晶構造の変化を防止することができ、特に非晶質状態に由来する結晶化を防止することができるからである。好ましくは、これにより、磁場感応型部材のインピーダンスを維持することができ、従って磁場感応型部材の熱安定性も同様に維持することができる。
【0102】
好ましくは、磁場感応型部材を、400℃を下回る温度で焼結しないこと、好適には550℃を下回る温度で焼結しないこと、特に好適には600℃を下回る温度で焼結しないことが提案される。というのも、これにより、より高い押圧力が焼結時に必要になり、従って、とりわけ工具費が増加するからである。
【0103】
さらに好適には、磁場感応型部材は、15秒以上1,800秒以下の時間範囲にわたって、好適には30秒以上900秒以下の時間範囲にわたって、特に好適には45秒以上600秒以下の時間範囲にわたって焼結される。
【0104】
特に、磁場感応型部材を、600℃で、15秒以上180秒以下の時間範囲にわたって、好適には20秒以上60秒以下の時間範囲にわたって焼結することが提案される。
【0105】
好ましくは、さらに、磁場感応型部材を、500℃で、500秒以上1,500秒以下の時間範囲にわたって、好適には750秒以上1,100秒以下の時間範囲にわたって焼結することが提案される。
【0106】
温度および/または焼結時間に関する上記の値は厳密な限度として理解されるべきではなく、むしろ記載される本発明の態様から逸脱することなく、工学的尺度で上回るか、又は下回る可能性があることに明示的に言及しておく。簡潔に述べると、上記の値は、ここで提案する温度および/または焼結時間の大きさについての目安を提供するものである。
【0107】
選択的実施形態によれば、軟磁性材料の粒子の他に、ブランクを成形するためにマトリックス材料、特に樹脂ベースのマトリックス材料も使用される。
【0108】
ここでは、軟磁性材料からなる粒子を溶剤に、好ましくはマトリックス材料に溶解させることが考えられるであろう。引き続き、粒子は、マトリックス材料とともに、ブランクまたは磁場感応型部材に形が仕上げられる。
【0109】
選択的に、硬化は、マトリックス材料の化学反応によって行われる。
【0110】
ここでは、マトリックス材料と軟磁性材料の粒子に追加的に硬化剤を加えることが提案される。マトリックス材料と硬化剤の組み合わせが化学反応を引き起こし、それによって、磁場感応型部材が強化される。
【0111】
合目的的な実施形態によれば、軟磁性材料の粒子は、ストリップ材料から得られる。
【0112】
特に金属ガラスは、特に薄い材料層を急速に凝固させることによって製造される。これにより、軟磁性材料のストリップ材料を得ることができる。
【0113】
特に、粒子は、ストリップ材料を細断および/または粉砕することによって製造されることが提案される。これにより、軟磁性材料の粒子を特に低コストで製造することができる。
【0114】
第2の態様の対象は、本発明の上記の態様の対象と有利に組み合わせ可能であり、しかも個別にも、或いは任意の組み合わせで累積的にも組み合わせ可能であることを明示的に指摘しておく。
【0115】
本発明の第3の態様によれば、上記課題は、本発明の第2の態様による方法で製造される磁場感応型部材によって解決される。
【0116】
上述したように、本発明の第2の態様による磁場感応型部材を製造するための方法の利点は、本発明の第2の態様による方法によって製造された磁場感応型部材に直接及んでいることは自明である。
【0117】
第3の態様の対象は、本発明の前述の態様の対象と有利に組み合わせることができ、しかも個別に、又は任意の組み合わせで累積的に組み合わせることができることを明示的に言及しておく。
【0118】
本発明の第4の態様によれば、上記の課題は、本発明の第1の態様による、および/または本発明の第3の態様による磁場感応型部材を電気チョークに使用することによって解決される。
【0119】
これに関して、以下に用語を説明する。
【0120】
「チョーク」とは、インダクタ、特に電気配線の電流を制限するための、特にスペクトル物理的に制限するためのインダクタ、磁場の形でエネルギーを中間貯蔵するためのインダクタ、インピーダンス整合および/またはフィルタリングのためのインダクタであると理解される。
【0121】
上述したように、本発明の第1の態様および/または本発明の第3の態様による磁場感応型部材の利点は、本発明の第1の態様および/または本発明の第3の態様による磁場感応型部材の使用に直接及んでいることは自明である。
【0122】
第4の態様の対象は、本発明の上述の態様の対象と有利に組み合わせることができ、しかも個別に、又は任意の組み合わせで累積的に組み合わせることができることを明示的に言及しておく。
【0123】
本発明の更なる利点、詳細及び特徴は、以下に説明する実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
図1】磁場感応型部材の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0125】
以下の説明において、同一の符号は、同一の構成部品又は同一の特徴を示すものであり、したがって1つの図に関して行われている構成部品の説明はその他の図にも有効であり、説明の繰り返しが回避される。さらに、一実施形態との関連で説明された個々の特徴を、他の実施形態で別々に使用することもできる。
【0126】
図1の磁場感応型部材10は、軟磁性材料の粒子を有している。
【0127】
軟磁性材料からなる粒子を磁場感応型部材10に加工するため、第1の実施形態によれば、粉末冶金プロセスが使用され、特に、軟磁性材料の粒子からなる磁場感応型部材10は、圧力および温度の作用下で焼結される。
【0128】
軟磁性材料の粒子を使用して磁場感応型部材10を初期成形することにより、有利には、磁場感応型部材10に対するほぼすべての造形が可能になることを達成できる。これにより、磁場感応型部材10の成形によって、指定された用途の特殊な境界条件、特に幾何学的境界条件に対応することが可能になる。
【0129】
特に磁場感応型部材10の熱安定性が寸法を決定する役割を果たす用途では、飽和磁束密度、飽和磁界強度および/または保磁力が寸法決め要素となる。磁場感応型部材10の飽和磁場強度が大きいほど、および/または保磁力が小さいほど、および/または飽和磁束密度が大きいほど、熱安定性を維持するために磁場感応型部材10を小型化することができる。
【0130】
磁場感応型部材10は、粒子の材料選択により、特に小さな保磁力と、特に高い飽和誘導を有している。焼結時に生じる粒子間の細孔は、磁場感応型部材10の有効透磁率の低下をもたらす。
【0131】
第2の実施形態によれば、磁場感応型部材10は、軟磁性材料の粒子の他に、マトリックス材料も有している。ここでは、とりわけ、粒子をマトリックス材料に溶解させ、その後マトリックス材料を硬化して固体の磁場感応型部材10にすることが考えられるであろう。特に、このとき、基本成分と硬化剤をベースとするマトリックス材料を使用することができる。
【0132】
第3の実施形態によれば、磁場感応型部材10は、異なる造形方法によって製造される。
【0133】
第4の実施形態によれば、磁場感応型部材10は、エアギャップ(図示されていない)を有している。磁場感応型部材10の上記に提案した造形方法により、エアギャップを製造することができ、このとき、磁場感応型部材10を後から機械加工する必要はない。これにより、有効透磁率が低下した磁場感応型部材10の製造を大幅に簡略化することができる。
【符号の説明】
【0134】
10 磁場感応型部材
図1
【手続補正書】
【提出日】2022-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場感応型部材(10)であって、前記磁場感応型部材(10)は、軟磁性材料の粒子を有し、前記磁場感応型部材(10)は、10A/m以下の保磁力、好適には5A/m以下の保磁力、特に好適には3A/m以下の保磁力を有する前記磁場感応型部材(10)において、
前記磁場感応型部材(10)は、前記軟磁性材料の前記粒子を95重量%以上の割合で、好適には97.5重量%以上の割合で、特に好適には99重量%以上の割合で有していることを特徴とする、磁場感応型部材(10)。
【請求項2】
前記磁場感応型部材(10)は、0.1T以下の残留磁場、好適には0.05T以下の残留磁場、特に好適には0.02T以下の残留磁場を有することを特徴とする、請求項に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項3】
前記磁場感応型部材(10)は、1T以上の飽和磁束密度、好適には1.1T以上の飽和磁束密度、特に好適には1.2T以上の飽和磁束密度を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項4】
前記粒子は、3μm以上200μm以下の範囲の延在部、好適には4μm以上100μm以下の範囲の延在部、特に好適には5μm以上50μm以下の範囲の延在部を有することを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項5】
前記軟磁性材料は金属ガラスであることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項6】
前記軟磁性材料は、ナノ結晶構造を有することを特徴とする、請求項に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項7】
前記軟磁性材料は、以下の
【数1】
ここで、a≦0.3、0.6≦x≦1.5、10≦y≦17、5≦z≦14、2≦α≦6、β≦7、γ≦8、であり、M’は元素V、Cr、Al、Znの少なくとも1つであり、M”は元素C、Ge、P、Ga、Sb、In、Beの少なくとも1つである、
原子組成を有していることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項8】
前記磁場感応型部材(10)は、マトリックス材料、特に樹脂ベースのマトリックス材料を有していることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項9】
前記磁場感応型部材(10)は、焼結されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の磁場感応型部材(10)。
【請求項10】
軟磁性材料の粒子を使用して磁場感応型部材(10)を製造するための方法において、以下の
-前記軟磁性材料の前記粒子を使用して、前記磁場感応型部材(10)のブランクを成形する工程と、
-前記ブランクを強化して前記磁場感応型部材(10)にするために焼き戻しおよび/または硬化する工程と、
-前記磁場感応型部材(10)を脱型する工程、
を特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記磁場感応型部材(10)は、焼結されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記成形と前記焼結の間、および/または前記焼結中に外部から力を加えることによって前記ブランクが押圧されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記磁場感応型部材(10)は、400℃以上650℃以下の範囲にある温度で、好適には450℃以上620℃以下の範囲にある温度で、特に好適には500℃以上600℃以下の範囲にある温度で焼結されることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記磁場感応型部材(10)は、15秒以上1,800秒以下の時間範囲にわたって、好適には30秒以上900秒以下の時間範囲にわたって、特に好適には45秒以上600秒以下の時間範囲にわたって焼結されることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記軟磁性材料の前記粒子の他に、前記ブランクを成形するためにマトリックス材料、特に樹脂ベースのマトリックス材料も使用されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記硬化は、前記マトリックス材料の化学反応によって行われることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記軟磁性材料の前記粒子は、ストリップ材料から得られることを特徴とする、請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
電気チョークのための、請求項1から10のいずれか一項に記載の磁場感応型部材(10)の使用。
【国際調査報告】