IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンメルマン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
  • 特表-ロッド用のシール装置 図1
  • 特表-ロッド用のシール装置 図2
  • 特表-ロッド用のシール装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-25
(54)【発明の名称】ロッド用のシール装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/06 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
F16J15/06 P
F16J15/06 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564223
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2022063052
(87)【国際公開番号】W WO2022243193
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】102021112742.4
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517326486
【氏名又は名称】ハンメルマン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘルミッヒ, エグベルト
(72)【発明者】
【氏名】シュトファーズ, クリスティアン
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040AA01
3J040AA17
3J040BA03
3J040EA22
3J040HA09
3J040HA15
(57)【要約】
本発明は、液体媒体が充填された耐圧ハウジング(3)の高圧チャンバ(31)内で高圧チャンバ(31)と低圧領域(8)との間で並進及び/又は回転的に移動可能なロッド(2)を、シールするためのシール装置であって、ハウジング(3)内で保持されて、シールシリンダ(4)のジャケット外面(42)と高圧チャンバ(31)を区切るハウジング(3)の内壁(32)との間に第1の環状ギャップ間(9)を形成するなシールシリンダ(4)を備え、シールシリンダ(4)のジャケット内面(41)の内径は、ロッド(2)が、動的シールを形成する第2の環状ギャップ(10)が形成されながら、シールシリンダ(4)によって包まれるように寸法が決めされており、第1の環状ギャップ(9)を静的にシールし、シールシリンダ(4)のジャケット内面(41)の一部をロッド(2)の方向に変形させるための押圧リング(5)を備え、押圧リングは低圧側端面(44)付近のシールシリンダ(4)のジャケット外面(42)上に位置し、第1の環状ギャップ間(9)を静的にシールするシールリング(7)は、高圧側端面(45)近傍のシールシリンダ(4)の外面(42)に当接させて配置され、シールシリンダ(4)は、外面(42)から内面(41)まで延在する少なくとも1つの接続チャネル(43)を有し、接続チャネル(43)の位置は、押圧リング(5)から離れた領域でシールシリンダ(4)の変形を防止するために、シールシリンダ(4)の材質に適合して設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧チャンバ(31)と低圧領域(8)との間にて、液体媒体で充填された耐圧ハウジング(3)の高圧チャンバ(31)内を並進移動可能及び/又は回転移動可能なロッド(2)をシールするシール装置であって、
ハウジング(3)内に収容可能で、シールシリンダ(4)のジャケット外面(42)と高圧チャンバ(31)を区切るハウジング(3)の内壁(32)との間に第1の環状ギャップ(9)を形成するシールシリンダ(4)を備え、
前記シールシリンダ(4)のジャケット内面(41)の内径は、ロッド(2)が、動的シールを形成する第2の環状ギャップ(10)を形成しながら、シールシリンダ(4)によって包まれるように寸法が決めされており、
低圧側端面(44)近傍で、シールシリンダ(4)のジャケット外面(42)に当接して、第1の環状ギャップ(9)を静的にシールすると共に、シールシリンダ(4)のジャケット内面(41)の一部をロッド(2)方向に変形させる押圧リング(5)と、
低圧領域(8)においてハウジング(3)に固定され、ロッド(2)の一部の領域を受入れることにより、前記押圧リング(5)を耐圧ハウジング(3)の段差状突起に対して押し付けながら、シールシリンダ(4)のハウジング(3)への押圧を保ち、シールシリンダ(4)のジャケット内面(41)の一部の領域の変形を形成する押圧リング(11)とを備えたシール装置において、
第1の環状ギャップ部(9)を静的にシールするためのシールリング(7)が、高圧側端面(45)近傍のシールシリンダ(4)の外面(42)に当接して配置され、
シールシリンダ(4)は、外面(42)から内面(41)まで延在する少なくとも1つの接続チャネル(43)を有し、
前記接続チャネル(43)の位置は、押圧リング(5)から離れた領域でシールシリンダ(4)の変形を防止するために、シールシリンダ(4)の材質に適合して設けられていることを特徴とするシール装置。
【請求項2】
前記接続チャネル(43)は、前記押圧リング(5)と前記シールリング(7)との間にて、前記シールシリンダ(4)の前記ジャケットの領域に導入され、
前記接続チャネル(43)は、前記押圧リング(5)または前記シールリング(7)から、前記押圧リング(5)と前記シールリング(7)との間の距離の少なくとも10%だけ離間されている、請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記接続チャネル(43)が、押圧リング(5)又はシールリング(7)から押圧リング(5)とシールリング(7)との距離の少なくとも25%だけ離間する、請求項2に記載のシール装置。
【請求項4】
前記シールシリンダ(4)の高圧側端面(45)の近傍に、前記シールシリンダ(4)のジャケット外面(42)に環状の受け部(47)が一体形成され、この中に前記シールリング(7)が受け入れられる、請求項1乃至3の何れかに記載のシール装置。
【請求項5】
前記リングの受け部(47)は、前記シールシリンダ(4)の高圧側端面(45)から前記シールシリンダ(4)のジャケット外面(42)内へ延びる段部として構成されている、請求項4に記載のシール装置。
【請求項6】
前記シールシリンダ(4)の高圧側端面(45)が、リングキャップ(6)によって覆われている、請求項1乃至5の何れかに記載のシール装置。
【請求項7】
前記シールシリンダ(4)は、前記低圧側端面(44)近傍にカラー(46)を有し、低圧側端面(44)から離間する方向に向く該カラー(46)の背面側に、押圧リング(5)が支承されている、請求項1乃至6の何れかに記載のシール装置。
【請求項8】
前記シールシリンダ(4)がセラミック材で構成されている、請求項1乃至7の何れかに記載のシール装置。
【請求項9】
液状媒体で充填された耐圧ハウジング(3)の高圧チャンバ(31)内の並進及び/又は回転可動なロッド(2)の装置であって、
前記高圧チャンバ(31)を低圧領域(8)から区切るために、シールシリンダ(4)が設けられ、該シールシリンダ(4)はハウジング(3)内に受入れられて、シールシリンダ(4)の環状の外面(42)と高圧チャンバ(31)を区切るハウジング(3)の内壁(32)との間に第1の環状ギャップ(9)を形成し、
前記ロッド(2)の一部が、前記シールシリンダ(4)内に受け入れられて、動的シールを形成する第2の環状ギャップ(10)を形成し、
第1の環状ギャップ(9)を静的にシールし、及びシールシリンダ(4)のジャケット内面(41)の一部をロッド(2)の方向に変形させるための押圧リング(5)が、低圧側端面(44)付近のシールシリンダ(4)の外面(42)に対して静止し、
前記低圧領域(8)において、前記ロッド(2)の一部領域を受ける押圧リング(11)は、前記ハウジング(3)に締結されるとともに、前記シールシリンダ(4)を前記ハウジング(3)内に押し込む状態を保持し、一方で前記押圧リング(5)を前記耐圧ハウジング(3)の段差状突起に押圧し、
ここで、シールシリンダ(4)のジャケット内面(41)の一部がロッド(2)の方向に変形することは、押圧リング(11)をハウジング(3)の低圧側端面及びシールシリンダ(4)に押し付けることによりもたらされる装置において、
第1の環状ギャップ部(9)を静的にシールするためのシールリング(7)を、高圧側端面(45)近傍のシールシリンダ(4)の外面(42)に配置し、
シールシリンダ(4)は、外面(42)から内面(41)まで延在する少なくとも1つの接続チャネル(43)を有し、接続チャネル(43)を介して第1の環状ギャップ部(9)が第2の環状ギャップ部(10)に流体が行き来可能に接続され、
接続チャネル(43)の位置は、押圧リング(5)から離れた領域でシールシリンダ(4)の変形を防止するために、シールシリンダ(4)の材質に適合して設けられていることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部によるロッド用のシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なシール装置は、例えば、ヨーロッパ特許1 353 096号から知られている。
この公報では、ロッドをシールするためにシールリングが用いられ、該ロッドはロッドを案内するハウジングのガイドチャンバの高圧領域と低圧領域との間の遷移領域において移動する。シールリングはロッドを包囲し、押圧リングの助けを借りて高圧領域内の高圧によって部分的に変形されるので、シールリングの変形は、ロッドが所望の量の流体のみを漏出することを許容する程度にシールリングとロッドとの間のギャップを減少させる。
【0003】
このようなギャップシール装置は、実際に実証されている。
【0004】
問題は、特に3000bar(3059kgf/cm)又は4000bar(4079kgf/cm)までの高圧範囲での非常に高い圧力では、シールシリンダの外面に加えられる動作圧力が非常に大きくなるため、シールシリンダの材料の弾性係数によっては、押圧リングの前でもシールシリンダが時々変形し過ぎることがあるということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、シールシリンダの材質に関係なく、耐久動作を確保する高圧機器用のシール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を有するシール装置によって解決される。
【0007】
高圧チャンバと低圧領域との間にて、液体媒体で充填された耐圧ハウジングの高圧チャンバ内を、並進及び/又は回転して移動することができるロッドをシールする本発明のシール装置は、ハウジング内に収容され得るシールシリンダを有し、シールシリンダの外面と、高圧チャンバを区切るハウジングの内壁との間に第1の環状ギャップが形成される。
【0008】
シールシリンダの円周方向内面の内径は、ロッドが、シリンダによって包囲され得る一方で、動的シールを形成する第2の環状ギャップを形成するような寸法にされている。
【0009】
シール装置はさらに、低圧側端面近傍でシールシリンダのジャケット外面に接する押圧リングを備え、該押圧リングは第1の環状ギャップを静的にシールし、シールシリンダのジャケット内面の一部をロッド方向に変形させる。
【0010】
この変形を形成するために、低圧領域でロッドの一部を受入れる押圧リングがハウジングに取り付けられ、押圧リングはシールシリンダをハウジングに押し込む状態を保ちつつ、押圧リングを耐圧ハウジングの階段状突起に押圧し、シールシリンダのジャケット内面の一部の変形を形成する。
【0011】
第1の環状ギャップを静的にシールするために、流体圧力が動的に負荷されるシールリングが、高圧側端面近くでシールシリンダの外面に接触して配置される。さらに、シールシリンダは、その外面からその内面に延びる少なくとも1つの接続チャネルを有する。
【0012】
接続チャネルの位置は、押圧リングから離れた領域にて、シールシリンダの機能を規制する変形を防止するために、シールシリンダの材料に適合されて設けられている。
【0013】
シールシリンダの高圧側端面に近接する第1の環状ギャップをシールし、且つシールシリンダに設けられ、2つの環状ギャップを流体的に連通する接続チャネルにより、接続チャネルの位置によって、シールシリンダのジャケット外面に作用する流体圧力を、絞りギャップとして作用する第2の環状ギャップの流体圧力に、調整することが可能であり、第2の環状ギャップ内で全体的な圧力はシールシリンダの高圧側端面からの距離が長くなるにつれて、第2の環状ギャップ内の接続チャネルの領域の全体的な圧力にまで減少する。
【0014】
その結果、シールシリンダの外面に作用する圧力は、接続チャネルをシールシリンダ内に位置決めすることによって、シールシリンダの夫々の材料に適合させることができるので、シールシリンダの所望の変形および荷重はその弾性係数に応じて適合させることができ、押圧リングの領域でのみ生じる。
【0015】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題事項である。
有利な一実施形態によると、接続チャネルは、押圧リングとシールリングとの間のシールシリンダのジャケットの領域に導入され、接続チャネルは、押圧リングまたはシールリングから、押圧リングとシールリングとの間の距離の少なくとも10%だけ離間される。
【0016】
その結果、シールシリンダの外面に加えられる圧力が減少することにより、シールシリンダに多数の材料を使用することが可能になる。
好ましい態様として、前記シールシリンダの高圧側端面に近い前記シールシリンダの外面にリングシートが形成され、前記シールリングをしっかりと保持する。
【0017】
特に好ましい実施形態では、リングシートは、シールシリンダの高圧側端面からシールシリンダの外側シェル面の中へ延びる段差として構成される。
【0018】
このように、組み立て時には、シールリングを高圧側端面からシールシリンダ上に極めて簡単な方法でスリップさせることができる。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、前記シールシリンダの高圧側端面はリングキャップで覆われている。
【0019】
このような環状キャップを使用する利点は、これにより、高圧領域へのシールに必要な半径のない支持面とは独立して、半径のあるハウジングの自由な低応力構成が可能になることである。
【0020】
さらに好ましい態様によれば、前記シールシリンダは、前記低圧側端面の近傍にカラーを有し、前記低圧側端面とは反対を向くカラーの背面に前記押圧リングが載置される。
【0021】
これにより、押圧リングとシールシリンダ自体の正確な位置決め、特にシールシリンダの長手方向軸の位置決めが可能になる。
【0022】
シールシリンダを耐圧ハウジングに挿入した後、カラーと耐圧ハウジングの段部との間で押圧リングが圧迫されることにより、シールシリンダが第2の環状ギャップの方向に所望の変形を生じる。
【0023】
シールシリンダは、セラミック材料、硬質金属、鋼、特にステンレス鋼、青銅またはプラスチックからなることが好ましい。
【0024】
本発明による液体媒体で充填された耐圧ハウジングの高圧チャンバにおける並進及び/又は回転移動可能なロッドの装置は、低圧領域から高圧チャンバを分離する目的からシールシリンダを有し、該シールシリンダは、ハウジング内に収容されて、シールシリンダの環状外面と高圧チャンバを仕切るハウジングの内面との間に第1の環状ギャップを形成する。
【0025】
ロッドの一部は、シールシリンダ内に収容されて、動的シールを形成する第2の環状ギャップを形成し、押圧リングは第1の環状ギャップを静的にシールし、シールシリンダのジャケットの内面の一部を低圧側端面近くのシールシリンダのジャケットの外面に当接するロッドの方向に変形させる。
【0026】
第1の環状ギャップを静的にシールするため、高圧側端面近傍のシールシリンダの外面にシールリングが配置される。
【0027】
シールシリンダは、その外面からその内面に延びる少なくとも1つの接続チャネルを有し、該接続チャネルを介して第1の環状ギャップが第2の環状ギャップに流体が行き来可能に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
好適な実施形態は、添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。
図1】ロッドとロッドを取り囲むハウジングの断面図であり、ハウジング内に配置されたシールシリンダを備えている。
図2図1に示す装置の断面図であって、装置の圧力行程において、ジャケットの外面とシールシリンダの内面における一般的な圧力を図式的に示す。
図3】装置の吸引ストロークにおける図2に対応する表示である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の図面の記載において、上、下、左、右、前、後等の用語は、夫々の図で選択されたシール装置、ハウジング、シールシリンダ、ロッド、環状ギャップ、接続チャネル等の例示的な表現及び位置のみを指す。これらの用語は、限定的に理解されるべきものではなく、すなわち、異なる動作位置、または、鏡面対称デザイン等が、これらの基準を変更するかもしれない。
【0030】
以下では、静的シールは、互いに移動しない2つの本体間の流体シールであると理解される。以下では、動的シールは、互いに移動する2つの本体の間の許容レベルまでの流体シールまたは流量の減少であると理解される。
【0031】
図1乃至図3は、夫々ハウジング3の高圧チャンバ31と低圧領域8との間に延在するロッド2用のシール装置を示す。ロッド2は、その長手方向軸Lに沿って並進移動Tの方向に並進移動させることができる。ロッド2も回転移動させることができる。ロッド2のその長手方向軸Lを中心とした回転運動も考えられる。
ロッド2の少なくとも1つの部分は、ハウジング3の内部に移動可能に取り付けられている。
【0032】
例えば、押圧リング11の領域で、高圧チャンバ31を低圧領域8から分離するためにシールシリンダ4が設けられ、このシールシリンダ4は、ハウジング3内に収容されて、シールシリンダ4の周方向外面42と、高圧チャンバ31の境界となるハウジング3の内壁32との間に第1の環状ギャップ9を形成する。
【0033】
また、図1乃至図3に示すスラストリング11は、最初にロッド2を支持し、次にシールシリンダ4をハウジング3内に押圧する働きも果たし、このハウジングにスラストリング11がしっかりと螺合される。
【0034】
ロッド2は、シールシリンダ4のジャケット内面41によって境界付けされたシールシリンダ4の通路を通過する。
シールシリンダ4の内面41の直径はロッド2の外面42の直径よりも僅かに大きく、その結果、ロッド2はシールシリンダ4とともに、ギャップシールとしても知られる動的シールを形成する。このようなギャップシールは、ギャップシールの高圧側端部において、高圧が環状ギャップ10にも存在するが、環状ギャップ10の低圧側端部の方向に徐々に減少するという特徴がある。
【0035】
冒頭にも述べたヨーロッパ特許1 353 096号にも言及されているように、このような極力小さなスロットルギャップを使用した結果としての漏れを維持するために、図1乃至図3に見られるように、シールシリンダ4のジャケット外面42上の低圧側端面44付近には、押圧リング5が設けられ、スラストリング11がハウジング3に螺合されると直ぐにシールシリンダ4の内面41の一部がロッド2方向に変形され、これによりスラストリング5はハウジング3の段形の肩に押し付けられる。
【0036】
このようにロッド2の長手方向軸L方向に加わる力の結果、押圧リング5が変形し、その際に、耐圧ハウジング3によって2つの側面から、また、ロッド2の軸方向において力Fの方向に対して垂直に延びる第3の側面から、シールシリンダ4自体による膨張に対して抵抗を保持し、押圧リング5によって力が発生し、この力は本質的にロッド2に向かって半径方向に向けられ、ロッド2の方向にシールシリンダ4のジャケットの内面41に所望の変形を引き起こす。
【0037】
また、押圧リング5は、シールシリンダ4のジャケット外面42と、高圧チャンバ31の境界を定めるハウジング3の内壁32との間の第1の環状ギャップ9を静的に密封する働きをする。
【0038】
さらに図1乃至図3に示すように、第1の環状ギャップ9を静的にシールするためのシールリング7が、高圧側端面45近傍のシールシリンダ4のジャケット外面42上に載置されている。このように、このシールリング7は、高圧チャンバ31内の圧力が環状ギャップ9に作用するのを防ぐ。
【0039】
さらに、シールシリンダ4は、外面42から内面41に延びる少なくとも1つの接続チャネル43を有し、該接続チャネル43を介して第1の環状ギャップ9が第2の環状ギャップ10に流体が行き来可能に接続される。
これにより、第1の環状ギャップ9は、スロットル間隙として構成される第2の環状ギャップ10内の接続チャネル43のレベルに存在する圧力を受けることができる。
【0040】
その結果、第2の環状ギャップ10にかかる圧力を補償するものとして、所定の圧力がシールシリンダ4の外面42に作用し続け、環状ギャップ9、10の領域におけるシールシリンダ4の機能を制限する変形を防止するか、少なくとも大幅に減少させる。
機能を制限する変形とは、特にロッド2の外面に向かう半径方向のシールシリンダ4の変形を意味し、ロッド2の詰まりを引き起こす可能性があると理解される。
【0041】
押圧リング5とシールリング7とシールシリンダ4内の接続チャネル43とによってもたらされる、両側の第1の環状ギャップ9のシールにより、先行技術から知られているシステムと比較して、シールシリンダ4のシリンダーシェル表面の両側で改善された圧力平衡が形成され、これにより、シールシリンダ4の様々な材料が可能になる。
【0042】
接続チャネル43は、好ましくは、押圧リング5とシールリング7との間のシールシリンダ4のジャケットの領域に導入され、接続チャネル43は、押圧リング5又はシールリング7から、押圧リング5とシールリング7との間の距離の少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%の距離である。接続チャネルの位置決めは、特にシールシリンダ4のために選択された材料に依存する。
【0043】
図1乃至図3に示す実施形態では、接続チャネル43は、低圧側端面44と高圧側端面45との間に概ね中央に挿入される。また、シールシリンダ4の同じ半径面内に延びる複数の接続チャネル43も考えられる。
【0044】
シールシリンダ4は、セラミック材料、硬質金属、スチール、特にステンレス鋼、青銅、または前記材料のうちの1つ以上のプラスチック、またはその混合材料からなることが望ましい。シールシリンダが作られる材料または材料混合物の選択、または材料のE-係数に応じて、接続チャネルは、押圧リング5から離れた領域においてシールシリンダ4の変形が防止されるように配置される。
【0045】
図2は、ロッド2の押圧行程において、シールシリンダ4の側面にかかる圧力の一例を示している。
前記で既に説明したように、シールシリンダ4の内面41に作用する圧力piは、第2の環状ギャップ10内で高圧側から低圧側に減少する。
【0046】
また、ジャケット外面42に印加される圧力paは、押圧リング5及びシールリング7によりもたらされる第1の環状ギャップ9のシールにより一定であり、接続チャネル43のレベルでのシールシリンダ4のジャケット内面41における圧力に相当する。
【0047】
その結果、特に第1の環状ギャップ9の低圧側端部付近では、先行技術から知られたシステムに比べて、圧力差は著しく弱まり、第1の環状ギャップ9の低圧側端部の領域でも十分な高圧側圧力が存在することになる。
さらに、シェルの外面42に印加される減じられた圧力paは、押圧リング5上のより低い負荷に繋がる。
【0048】
図3は、ロッド2の吸引ストローク中における図2に対応する構成を示しており、高圧側の圧力が著しく低く、したがって、第2の環状ギャップ10におけるシールシリンダ4のジャケット内面41に対する圧力piが全体的にほぼ一定であり、したがって、シールシリンダ4のジャケット外面42に印加される圧力paもそれに応じて低くなっている。
【0049】
図1乃至図3に示される実施形態において、ロッド2は、高圧システムのプランジャとして構成され、弁座12、好ましくは吸入弁及び圧力弁がロッド2の高圧端部に配置される。
ロッド2をシールシリンダ4を越えて高圧側に案内するためには、好ましくは、スリーブ13が設けられ、該スリーブ13は液体媒体で満たされる高圧チャンバ31をさらに減らす働きをする。シールリング7を受け入れるために、図1乃至図3に示すように、シールシリンダ4の高圧側端面45近傍のシールシリンダ4のジャケット外面42に環状の受入れ部47が形成されている。
【0050】
このリングシート47は、ここではシールシリンダ4の高圧側端面45からシールシリンダ4のシェル外面42に延びる段差として設計されることが好ましい。
また、シールシリンダ4の高圧側端面45はリングキャップ6によって覆われていることが好ましい。
【符号の説明】
【0051】
参照符号のリスト
2 ロッド
21 鞘
22 案内チャンバ
23 高圧範囲
3 ハウジング
31 高圧チャンバ
32 内壁
33 ステージ
34 ステージ
35 低圧面
4 シールシリンダ
41 ジャケット内面
42 ジャケット外面
43 接続チャネル
44 前側
45 前側
46 カラー
47 リング受入れ部
5 第1の押圧リング
6 リングキャップ
7 第2の押圧リング
8 低圧範囲
9 第1の環状ギャップ
10 第2の環状ギャップ
11 押圧リング
12 高圧ノズル
13 スリーブ
14 漏れチャネル
T 並進方向
X 方向
Y 方向
Z 方向
pi 第2の環状ギャップ内の圧力
pa 第1の環状ギャップ内の圧力
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧チャンバ(31)と低圧領域(8)との間にて、液体媒体で充填された耐圧性のハウジング(3)の高圧チャンバ(31)内を並進移動可能及び/又は回転移動可能なロッド(2)をシールするシール装置であって、
前記ハウジング(3)内に収容可能で、シールシリンダ(4)のジャケット外面(42)と高圧チャンバ(31)を区切るハウジング(3)の内壁(32)との間に第1の環状ギャップ(9)を形成するシールシリンダ(4)を備え、
前記シールシリンダ(4)のジャケット内面(41)の内径は、ロッド(2)が、動的シールを形成する第2の環状ギャップ(10)を形成しながら、シールシリンダ(4)によって包まれるように寸法が決められており、
低圧側端面(44)近傍で、シールシリンダ(4)のジャケット外面(42)に当接して、第1の環状ギャップ(9)を静的にシールすると共に、シールシリンダ(4)のジャケット内面(41)の一部をロッド(2)に向けて変形させる押圧リング(5)と、
低圧領域(8)においてハウジング(3)に固定され、ロッド(2)の一部の領域を受け入れることにより、前記押圧リング(5)を耐圧性のハウジング(3)の段差状突起に対して押し付けながら、シールシリンダ(4)のハウジング(3)への押圧を保ち、シールシリンダ(4)のジャケット内面(41)の一部の領域の変形を形成する押圧リング(11)とを備えたシール装置において、
第1の環状ギャップ部(9)を静的にシールするためのシールリング(7)が、高圧側端面(45)近傍のシールシリンダ(4)の外面(42)に当接して配置され、
前記シールシリンダ(4)は、外面(42)から内面(41)まで延在する少なくとも1つの接続チャネル(43)を有し、
前記接続チャネル(43)の位置は、押圧リング(5)から離れた領域でシールシリンダ(4)の変形を防止するために、シールシリンダ(4)の材質に適合して設けられていることを特徴とするシール装置。
【請求項2】
前記接続チャネル(43)は、前記押圧リング(5)と前記シールリング(7)との間にて、前記シールシリンダ(4)の前記ジャケットの領域に導入され、
前記接続チャネル(43)は、前記押圧リング(5)または前記シールリング(7)から、前記押圧リング(5)と前記シールリング(7)との間の距離の少なくとも10%だけ離間している、請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記接続チャネル(43)が、押圧リング(5)又はシールリング(7)から押圧リング(5)とシールリング(7)との距離の少なくとも25%だけ離間している、請求項2に記載のシール装置。
【請求項4】
前記シールシリンダ(4)の高圧側端面(45)の近傍に、前記シールシリンダ(4)のジャケット外面(42)に環状の受け部(47)が一体形成され、該受け部(47)の中に前記シールリング(7)が受け入れられる、請求項1乃至3の何れかに記載のシール装置。
【請求項5】
リングの前記受け部(47)は、前記シールシリンダ(4)の高圧側端面(45)から前記シールシリンダ(4)のジャケット外面(42)内へ延びる段部として構成されている、請求項4に記載のシール装置。
【請求項6】
前記シールシリンダ(4)の高圧側端面(45)が、リングキャップ(6)によって覆われている、請求項1乃至の何れかに記載のシール装置。
【請求項7】
前記シールシリンダ(4)は、前記低圧側端面(44)近傍にカラー(46)を有し、低圧側端面(44)から離間する方向に向く該カラー(46)の背面側に、押圧リング(5)が支承されている、請求項1乃至の何れかに記載のシール装置。
【請求項8】
前記シールシリンダ(4)がセラミック材で構成されている、請求項1乃至の何れかに記載のシール装置。
【請求項9】
液体媒体で充填された耐圧性のハウジング(3)の高圧チャンバ(31)内を並進及び/又は回転可動なロッド(2)の装置であって、
前記高圧チャンバ(31)を低圧領域(8)から区切るために、シールシリンダ(4)が設けられ、該シールシリンダ(4)はハウジング(3)内に受入れられて、シールシリンダ(4)の環状の外面(42)と高圧チャンバ(31)を区切るハウジング(3)の内壁(32)との間に第1の環状ギャップ(9)を形成し、
前記ロッド(2)の一部が、前記シールシリンダ(4)内に受け入れられて、動的シールを形成する第2の環状ギャップ(10)を形成し、
第1の環状ギャップ(9)を静的にシールし、及びシールシリンダ(4)のジャケット内面(41)の一部をロッド(2)に向けて変形させるための押圧リング(5)が、低圧側端面(44)付近のシールシリンダ(4)の外面(42)に対して配置され、
前記低圧領域(8)において、前記ロッド(2)の一部領域を受ける押圧リング(11)が、前記ハウジング(3)に固定されるとともに、前記シールシリンダ(4)を前記ハウジング(3)内に押圧する状態を保持し、一方で前記押圧リング(5)を耐圧性の前記ハウジング(3)の段差状突起に押圧し、
シールシリンダ(4)のジャケット内面(41)の一部がロッド(2)に向けて変形することは、押圧リング(11)をハウジング(3)の低圧側端面及びシールシリンダ(4)に押し付けることにより、もたらされる装置において、
第1の環状ギャップ部(9)を静的にシールするためのシールリング(7)を、高圧側端面(45)近傍のシールシリンダ(4)の外面(42)に配置し、
前記シールシリンダ(4)は、外面(42)から内面(41)まで延在する少なくとも1つの接続チャネル(43)を有し、接続チャネル(43)を介して第1の環状ギャップ部(9)が第2の環状ギャップ部(10)に流体が行き来可能に接続され、
前記接続チャネル(43)の位置は、押圧リング(5)から離れた領域でシールシリンダ(4)の変形を防止するために、シールシリンダ(4)の材質に適合して設けられていることを特徴とする装置。
【国際調査報告】