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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-25
(54)【発明の名称】関節付き内視鏡器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240418BHJP
   A61B 17/122 20060101ALI20240418BHJP
   A61B 17/32 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B17/122
A61B17/32 528
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568323
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2024-01-04
(86)【国際出願番号】 US2022028027
(87)【国際公開番号】W WO2022236021
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】63/184,851
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595033056
【氏名又は名称】ザ クリーブランド クリニック ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】The Cleveland ClinicFoundation
【住所又は居所原語表記】9500 Euclid Avenue,Cleveland,Ohio,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003845
【氏名又は名称】弁理士法人籾井特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリム, トルガ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ, シェンチアン
(72)【発明者】
【氏名】エリム, タンジュ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD19
4C160EE28
4C160KK03
4C160KK06
4C160KK13
4C160NN03
4C160NN04
4C160NN09
4C160NN11
(57)【要約】
プルワイヤ190を動かすアクチュエータに係合することによって関節運動する格納式ツール150、152、154をその端部に収容し、標的部位で処置を行うために器具の先端を平面に沿って角度をつけて動かす内視鏡器具10。器具のツール150、152、154は、別のアクチュエータによって伸長位置から後退位置へ直線的に動かされる。器具は、ツール150、152、154に接続されたプルワイヤ190及び導電性ワイヤ160の双方を保持するハウジングを回転させるための回転アクチュエータを用いて、ツール150、152、154及び器具先端部70の回転制御を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡器具であって、
第1の端部と第2の端部とを備える中心ワイヤと、
第1の端部と第2の端部とを有する少なくとも1つのプルワイヤと、
前記中心ワイヤの前記第1の端部に固定され、前記中心ワイヤを直線的に動かすように構成された第1のアクチュエータと、
前記中心ワイヤの前記第2の端部に固定されたツールと、
前記少なくとも1つのプルワイヤの前記第1の端部に固定され、前記少なくとも1つのプルワイヤの前記第2の端部が前記器具の端部セクションに固定される、第2のアクチュエータと、
を備え、
前記第2のアクチュエータは、前記少なくとも1つのプルワイヤを動かすことによって、前記ツールを単一平面内で角度をつけて関節運動させるように構成される、内視鏡器具。
【請求項2】
前記第2のアクチュエータは、第1の端部と第2の端部とを有する第2のプルワイヤに固定される、請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項3】
前記第2のアクチュエータは、前記プルワイヤのうちの少なくとも1つを動かすことによって、前記ツールを前記単一平面内で±90度にわたって角度をつけて関節運動させるように構成される、請求項3に記載の内視鏡器具。
【請求項4】
前記プルワイヤは、前記プルワイヤを互いから180度に位置決めするためのガイドと直接的に接触する、請求項3に記載の内視鏡器具。
【請求項5】
前記中心ワイヤは、電極である、請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項6】
前記ツールは、電気焼灼ナイフ、スネア、及びクリップからなる群から選択される、請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項7】
前記中心ワイヤの一部分及び前記少なくとも1つのプルワイヤの一部分は、長尺ハウジング内に位置決めされ、前記長尺ハウジングは、絶縁シースによって覆われる、請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項8】
端部セクションを回転させるように構成された回転アクチュエータを更に備え、前記端部セクションは、前記ツールを通過させるように構成された開放端を備える、請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項9】
前記中心ワイヤは、前記少なくとも1つのプルワイヤの前記第2の端部の近傍に位置決めされた可撓セクションを含む、請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項10】
前記中心ワイヤを電源に連結するための電気カプラーを更に備える、請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項11】
ばね刃が、ガイドセクションと前記端部セクションとの間に位置決めされ、前記ばね刃は、前記少なくとも1つのプルワイヤを動かすことによって、前記単一平面内で±90度関節運動する、請求項1に記載の内視鏡器具。
【請求項12】
内視鏡器具であって、
第1の端部と第2の端部とを有する長尺ハウジングと、
第1の端部と第2の端部とを有する中心ワイヤであって、該中心ワイヤの一部分が、前記長尺ハウジング内に位置決めされる、中心ワイヤと、
前記中心ワイヤの前記第1の端部に固定され、前記中心ワイヤを直線的に動かすように構成された第1のアクチュエータと、
前記中心ワイヤの前記第2の端部に固定され、前記第1のアクチュエータを使用することによって端部セクションの第1の端部に出入りするように構成されたツールと、
一対のプルワイヤであって、各前記プルワイヤは、第1の端部と第2の端部とを有し、該一対のプルワイヤの一部分は、前記長尺ハウジング内に位置決めされ、該一対のプルワイヤは、該一対のプルワイヤを180度に位置決めするためのガイドと直接的に接触し、前記端部セクションを角度付けすることができる平面を形成する、一対のプルワイヤと、
前記一対のプルワイヤのそれぞれの前記第1の端部に固定された第2のアクチュエータであって、前記一対のプルワイヤのそれぞれの前記第2の端部は、前記端部セクションの第2の端部に固定される、第2のアクチュエータと、
を備え、
前記第2のアクチュエータは、前記一対のプルワイヤを動かすことによって、前記ツールを単一平面内で±90度にわたって角度をつけて関節運動させるように構成される、内視鏡器具。
【請求項13】
前記ガイドは、ガイドセクションに固定され、前記ガイドセクションは、前記長尺ハウジングの前記第2の端部に接続される、請求項12に記載の内視鏡器具。
【請求項14】
ばね刃が、ガイドセクションと前記端部セクションとの間に位置決めされ、前記ばね刃は、前記一対のプルワイヤを動かすことによって、前記単一平面内で±90度関節運動し、前記ばね刃は、その非関節運動形状に戻るように構成される、請求項12に記載の内視鏡器具。
【請求項15】
前記ばね刃は、第1の端部と第2の端部とを有し、前記ばね刃の前記第1の端部は、前記端部セクションの前記第2の端部に固定されるか、又は前記端部セクションの前記第2の端部内へ延在し、前記ばね刃の前記第2の端部は、ガイドセクションの第1の端部に固定されるか、又は前記ガイドセクションの前記第1の端部内へ延在する、請求項17に記載の内視鏡器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節付き内視鏡器具に関し、特に、遠位端又はその近傍の平面に沿った正確な関節運動が可能な内視鏡的剥離ナイフに関する。
【背景技術】
【0002】
ツール又は器具を適用する標的部位にアクセスすることが困難である、内視鏡検査及び腹腔鏡検査等の外科的処置の間、器具を、身体の外側の位置から標的となる器官若しくは組織内で又はそれに向けて操向しなければならない。内視鏡的処置の例としては、S状結腸鏡検査、大腸内視鏡検査、食道胃十二指腸内視鏡検査、及び気管支鏡検査が挙げられる。従来、内視鏡器具の端部は、前方に押すことによって前進させ、後方に引くことによって後退させる。また、器具は、装置の横方向の動きを実現するために、手動で左右に動かすこともできる。ナイフ又は刃等の装置の先端は、捻ること並びに全体的に上下及び左右に動かすことによって方向付けすることができる。多くの場合、この限られた運動範囲により、小さな領域において鋭角で処理することが困難となり、患者に不快感が生じるとともに周囲組織への外傷のリスクが高まる可能性がある。
【0003】
本発明は、処置を行う際に使用者を支援するために、遠位端の近傍で正確な関節運動が可能な器具を提供する。関節運動により、器具の先端を所望の位置に位置決めするために器具を前後に押し引きする又は上下及び左右に動かす必要性が低減又は排除される。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様において、第1の端部と第2の端部とを有する導電性中心ワイヤと、中心ワイヤの第2の端部に固定されたツールと、中心ワイヤの第1の端部に固定され、中心ワイヤを前後に直線的に動かすように構成された第1のアクチュエータと、それぞれが第1の端部と第2の端部とを有する1つ以上のプルワイヤと、1つ以上のプルワイヤの第1の端部に固定され、1つ以上のプルワイヤの第2の端部が、ツールを収納する器具の端部セクションに固定される、第2のアクチュエータとを含む、内視鏡器具であって、第2のアクチュエータは、端部セクションの位置を変化させるために、1つ以上のプルワイヤを動かすことによって、ツールを単一平面内で角度をつけて関節運動させるように構成される、内視鏡器具が開示される。
【0005】
態様1の一例において、第2のアクチュエータは、端部セクション及びツールを単一平面内で90度まで動かすことができる。
【0006】
態様1の別の例において、第2のアクチュエータは、第1の端部と第2の端部とを有する第2のプルワイヤに固定される。第2のアクチュエータは、第2のプルワイヤの第1の端部に固定され、器具の端部セクションは第2のプルワイヤの第1の端部に固定される。
【0007】
態様1の別の例において、第2のアクチュエータは、1つ以上のプルワイヤを動かすことによって、端部セクション及びツールを単一平面内で±90度にわたって角度をつけて関節運動させるように構成される。端部セクション及びツールの単一平面内での角度をつけた関節運動の円弧半径は、0.2センチメートル~10センチメートル、0.4センチメートル~5センチメートル、又は1センチメートル~3センチメートルの範囲内とすることができる。
【0008】
態様1の別の例において、1つ以上のプルワイヤは、プルワイヤを互いに対して180度に位置決めするためのガイドと直接的に接触して、器具の端部セクションを角度付けすることができる平面を形成する。ガイドは、1つ以上のプルワイヤを収容する長尺ハウジングに接続されたガイドセクションの端部上に位置決めされる。
【0009】
態様1の別の例において、中心ワイヤは、電極である。
【0010】
態様1の別の例において、ツールは、電気焼灼ナイフ、スネア、又はクリップである。
【0011】
態様1の別の例において、中心ワイヤの一部分及び1つ以上のプルワイヤの一部分は、長尺ハウジング内、例えば、コイル状のハウジング内に位置決めされ、長尺ハウジングは、絶縁シースによって覆われる。
【0012】
態様1の別の例において、器具は、ツールを収納する端部セクションを回転させるように構成された回転アクチュエータを更に含み、端部セクションは、ツールを通過させるように構成された開放端を有し、開放端は、器具の端面を画定する。
【0013】
態様1の別の例において、中心ワイヤは、1つ以上のプルワイヤの第2の端部の近傍に位置決めされた可撓セクションを含む。中心ワイヤの可撓セクションは、ツールに固定された中心ワイヤの端部に更に固定される。
【0014】
態様1の別の例において、器具は、中心ワイヤを電源に連結するための電気カプラーを更に含む。一例において、電気カプラーは、第1のアクチュエータに隣接して又はその近傍に位置決めされる。
【0015】
態様1の別の例において、ばね刃が、長尺ハウジングの端部に固定されたガイドセクションと端部セクションとの間に位置決めされ、ばね刃は、1つ以上のプルワイヤを動かすことによって、単一平面内で±90度関節運動する。
【0016】
第2の態様において、内視鏡器具は、以下の特徴、すなわち、第1の端部と第2の端部とを有する長尺ハウジングと、第1の端部と第2の端部とを有する中心ワイヤであって、中心ワイヤの一部分が、長尺ハウジング内に位置決めされる、中心ワイヤと、中心ワイヤの第1の端部に固定され、中心ワイヤを直線的に動かすように構成された第1のアクチュエータと、中心ワイヤの第2の端部に固定され、第1のアクチュエータを使用することによって端部セクションの第1の端部に出入りするように構成されたツールと、一対のプルワイヤであって、各プルワイヤは、第1の端部と第2の端部とを有し、一対のプルワイヤの一部分は、長尺ハウジング内に位置決めされる、一対のプルワイヤと、一対のプルワイヤのそれぞれの第1の端部に固定された第2のアクチュエータであって、一対のプルワイヤのそれぞれの第2の端部は、端部セクションの第2の端部に固定される、第2のアクチュエータとを備え、第2のアクチュエータは、一対のプルワイヤを動かすことによって、ツールを単一平面内で±90度にわたって角度をつけて関節運動させるように構成される。
【0017】
態様2の一例において、長尺ハウジングはコイル状の金属ハウジングである。
【0018】
態様2の別の例において、長尺ハウジングは、第1のアクチュエータと第2のアクチュエータとを収容するハンドピースに一端が固定され、ハウジングの反対側の端部は、一対のプルワイヤのための2つのガイドを有するガイドセクションに固定される。
【0019】
態様2の別の例において、一対のプルワイヤは、互いに対して180度で一対のプルワイヤを位置決めするためのガイドと直接的に接触し、端部セクションを角度付けすることができる平面を形成する。
【0020】
態様2の別の例において、ガイドは、ガイドセクションに固定され、ガイドセクションは、一対のプルワイヤが長尺ハウジングを通過してガイドセクションに入るように、長尺ハウジングの第2の端部に接続される。
【0021】
態様2の別の例において、ばね刃が、器具のガイドセクションと端部セクションとの間に位置決めされ、ばね刃は、一対のプルワイヤを動かすことによって、単一平面内で±90度関節運動することができる。
【0022】
態様2の別の例において、ばね刃は、第1の端部と第2の端部とを有し、ばね刃の第1の端部は、端部セクションの第2の端部に固定され、ばね刃の第2の端部は、ガイドセクションの第1の端部に固定される。
【0023】
態様2の別の例において、ばね刃は、第1の端部と第2の端部とを有し、ばね刃の第1の端部は、端部セクションの第2の端部内へ延在し、ばね刃の第2の端部は、ガイドセクションの第1の端部内へ延在する。
【0024】
態様2の別の例において、ばね刃は、弾性であり、その非関節運動形状に戻るように構成される。
【0025】
上記の態様(又はこれらの態様の例)のうちのいずれか1つは、単独で、又は上記で論じた態様の例のうちのいずれか1つ以上と組み合わせて提供することができ、例えば、第1の態様は、単独で、又は上記で論じた第1の態様の例のうちのいずれか1つ以上と組み合わせて提供することができ、第2の態様は、単独で、又は上記で論じた第2の態様若しくは第1の態様の例のうちのいずれか1つ以上と組み合わせて提供することができ、以下同様である。
【0026】
追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部は、その説明から当業者に容易に明らかになるか、又は以下の詳細な説明、特許請求の範囲を含む、本明細書に記載の実施の形態を実施することによって認識されるであろう。
【0027】
本開示の態様又は例の上記及び他の特徴、例及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読めば、より良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態に係る一例示の内視鏡器具を示す図である。
図2】一実施形態に係る内視鏡器具の一例示のアクチュエータ部を示す図である。
図3】一実施形態に係る内視鏡器具の一例示のアクチュエータ部を示す図である。
図4】一実施形態に係る内視鏡器具の後退位置を示す図である。
図5】一実施形態に係る内視鏡器具の伸長位置を示す図である。
図6】一実施形態に係る内視鏡器具のツールの第1の角度付けされた位置を示す図である。
図7】一実施形態に係る内視鏡器具のツールの第2の角度付けされた位置を示す図である。
図8】一実施形態に係る内視鏡器具の先端部を示す図である。
図9】一実施形態に係る内視鏡器具の先端部を示す図である。
図10】一実施形態に係る内視鏡器具の先端部を示す図である。
図11】一実施形態に係る内視鏡器具の先端部と共に使用するばね刃を示す図である。
図12】一実施形態に係る内視鏡器具の先端部と共に使用するばね刃を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
例示の実施形態が本明細書において説明及び図示される。これらの図示された例は、本実施形態を限定することを意図していない。例えば、システムの1つ以上の態様は、他の実施形態及び他のタイプの器具において利用することができる。しかしながら、そのようなシステムは、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。様々な図における、必ずしも同じではないが同様の要素は、一貫性のために同様の参照番号によって示される。「第1の」、「第2の」、「前」、及び「後」等の用語は、単に1つの構成要素(又は構成要素の一部若しくは構成要素の状態)を別の構成要素と区別するために使用される。そのような用語は、優先度又は特定の方向付けを示すことを意図していない。
【0030】
本明細書において、5~25(又は5から25)等の範囲が与えられる場合、これは、好ましくは少なくとも5又は5超、及び別個に独立して、好ましくは25以下又は25未満を意味する。一例において、そのような範囲は、独立して5以上、及び別個に独立して25以下を規定する。
【0031】
本開示は、電気焼灼ナイフ等のツールの先端又は遠位端における関節運動を提供する内視鏡器具に関する。電気焼灼器は、電流を使用して導電性ワイヤを加熱し、次いで、この導電性ワイヤは、組織の特定の領域を焼灼する又は凝固させるために、標的組織に適用される。熱は、電極として使用される抵抗金属ワイヤを通過する。次いで、この高温の電極は、処置領域上に直接的に配置され、その特定の組織を破壊する。そのような内視鏡的粘膜下手術は、標的部位に非常に近い高度な器具可動性から利益を得る。現在、アブレーション器具は、非常に限られた可動性を有するアブレーションツールを有し、動作に広い領域が必要となる。本明細書に開示される内視鏡器具は、指全体を屈曲させるのではなく1本の指の最も遠い関節を屈曲させることと同様に、器具の端部の近傍での制御された動きを可能にする。器具の端部の近傍に規定の曲げモーメントを提供することによって、器具は、標的部位の周りでの動きを減少させて操作することができるとともに、処置の間の患者における標的部位での半径方向の衝撃を軽減させることができる。加えて、器具の端部の近傍の曲げモーメントは、標的部位でのより精密な制御をもたらし、より効率的かつ良好な結果につながる。また、器具は、必要に応じて、他の器具と共に内視鏡の作業管腔を通過することができるようにサイズ設定することができる。例えば、内視鏡器具の本体、例えば、絶縁された長尺ハウジング及びツールを収容する先端部は、1mm~4mmの範囲の外径を有することができる。
【0032】
本明細書において説明するように、内視鏡器具は、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)又は電気焼灼(eナイフ)ナイフと接続して使用することができ、単一平面内で器具の先端部において180度まで角度付けすることができ、任意選択で360度まで回転することができ、端部セクション又は標準的なチャネル胃鏡を通って伸長及び後退することができる。ツール(例えば、ナイフ)は、導電性中心ワイヤに接続された格納式先端を有し、導電性中心ワイヤは、直線的に可動であり、ツールに電流を伝送する電源に接続される。関節運動位置から非関節運動位置又は基本位置への、ツールを収容する器具の先端部の可撓性及び角運動を向上させるために、可撓ばね刃を、ツール及び1つ以上のプルワイヤの端部の近傍で器具内に任意選択で配置することができる。器具及びツールの端部セクションの角度付けは、例えば、長尺ハウジング及びハウジングを取り囲むか又は覆う外側プラスチック絶縁スキン内の中心に位置するチャネル内で、器具の長さに沿って中心ワイヤと共に位置決めされ得る1つ以上のプルワイヤを動かすとともに張力をかけることによって制御される。操作者は、指向性アクチュエータノブを回転させることによってツールの先端を動かし、指向性アクチュエータノブは、指向性引張りワイヤ及び器具端部の動きを制御する。より具体的には、ノブ又はディスクの回転運動は、プルワイヤの動きを方向付けて、器具の先端部の角度位置を変化させる。したがって、この器具を用いて行われる手術は、剥離に対する制御の向上、並びに処置の安全性及び長さの全体的な向上を外科医に提供する。
【0033】
図面は、内視鏡器具の様々な実施形態及び特徴を示す。図1は、一例示の内視鏡器具10を示す。本明細書において説明及び図示されるように、内視鏡器具10は、その遠位端に、格納式ツール、例えば、電気焼灼ナイフを備える。内視鏡器具10は、ハンドピースを含み、ハンドピースは、器具を保持するとともにツールの様々な動きを手動で制御するために、処置中に外科医によって使用される。ハンドピースを使用することによるツールの運動は、直線運動(伸長位置及び後退位置における前後)、回転運動、及び単一平面内での角運動を含むことができる。ハンドピースは、第1のアクチュエータ20を含む。第1のアクチュエータ20は、中心ワイヤ又は電極を直線的に動かして器具の遠位端から伸長及び後退させるように構成される。処置中、中心ワイヤ及びそれに取り付けられたツールは、器具の端部から伸長し、次いで、手術後の保管のために、器具のハウジング又は端部セクション内へ後退させることができる。
【0034】
第1のアクチュエータ20は、任意の好適な構成、例えば、動作中に器具を把持して第1のアクチュエータを動かす使用者の手及び指を受け入れるための1つ以上のループを含むことができる。一例において、第1のアクチュエータは、スライダーに隣接して位置決めされた1つ以上の固定フィンガーループを含むことができる。中心ワイヤの一端に取り付けられたスライダーは、中心ワイヤを直線運動で動かしてツールを器具の端部から伸長させたり後退させたりするためにシャフト又はカプラーに沿って摺動することができる。別の例において、図1に示されるように、第1のアクチュエータ20は、器具を把持するための2つの固定フィンガーループと、中心ワイヤを直線的に調整するために中心ワイヤの一端に取り付けられた1つの可動又は摺動フィンガーループ又はハンドルとを含むことができる。
【0035】
ハンドピースは、第2のアクチュエータ30を更に含む。第2のアクチュエータ30は、器具の先端部70の動きによって、電気焼灼ナイフ等の器具の中心ワイヤの端部に連結されたツールの位置を、角度をつけて操作するように構成される。第2のアクチュエータ30は、任意の好適な構成、例えば、把持特徴部又はノブを有する回転可能ディスクを含むことができる。また、器具には、第1のアクチュエータ20及び第2のアクチュエータ30を可撓性の長尺ハウジング60、例えばコイル状の金属管の第1の端部50に連結させるために使用されるコネクタ40が装着される。コネクタ40は、概して、プラスチック又は他の好適な材料から作製される中空の絶縁部材であって、ハンドピースと中心ワイヤ及びプルワイヤを収納及び誘導する長尺ハウジング60との間に好適な接続をもたらす1つ以上の部分を含むことができる。コネクタ40は、一端に回転アクチュエータ45を更に含むことができる。回転アクチュエータ45は、例えば、図1に示されるように第2のアクチュエータ30の近傍で、長尺ハウジング60の第1の端部50に固定される。回転アクチュエータ45は、時計回り又は反時計回りに回動して、器具の先端部70に固定された長尺ハウジング60を回転させることができる。回転アクチュエータ45を回動させることによって長尺ハウジング60が回転すると、器具の遠位端にあるツールも同様に回転し、したがって、先端部及びツールの回転制御を使用者に提供する。
【0036】
器具と共に使用するツールに関して、ループ電極、電気外科処置用メス、又は任意の他の好適な先端等の他の外科用ツールを実装し、中心ワイヤに接続することができることを理解されたい。本明細書において説明されるツールは、望ましい場合には、電気外科用途で使用することができることを更に理解されたい。図1に更に示されるように、電気カプラー80を、ハンドピース領域内の任意の好適な位置に位置決めすることができ、例えば、中心ワイヤの他端に位置決めされたツールに電流を提供する電源(図示せず)に中心ワイヤを連結するために、電気カプラー80を、第1のアクチュエータ部20又はその近傍に位置決めすることができる。
【0037】
図2を参照すると、内視鏡器具10のハンドピースがより詳細に示されている。第1のアクチュエータ20は、固定ハンドル24と、可動の操作ハンドル26とを含み、図示されているように、いずれも少なくとも1つのフィンガーループを含むことができ、これにより、使用者による第1のアクチュエータ20の片手操作が容易となる。操作ハンドル26は、長尺ハウジング60を通って器具の先端部まで延在する中心ワイヤの第1の端部に固定される。中心ワイヤの第2の端部は、ツールの第1の端部に固定される。図4及び図5に示すように、第1のアクチュエータ(例えば、操作ハンドル26)を矢印28で示す方向において固定ハンドル24に向けて及び固定ハンドル24から離れるように動かすことにより、器具の先端部70からツール150を選択的に伸長又は突出させる(図5の120)及び後退させる(図4の124)。操作ハンドル26を固定ハンドル24に向けて動かすと、ツールが先端部70から突出して使用可能な状態となり、したがって、第1のアクチュエータ20は、長尺ハウジング60内でのツールの直線運動をもたらす。同様に、ツール150は、ツールを保護及び保管するために、操作ハンドル26により先端部70のハウジング内へ後退させる。第1のアクチュエータ20又は操作ハンドル26の動きは、器具の端部からのツールの所望の伸長長さに応じて、0.5センチメートル(cm)~10cm又は1cm~5cmの範囲内であり得る。
【0038】
また、図2に示されるように、ハンドピースの第2のアクチュエータ30は、ハウジング34と回転可能部分36とを含み、ハウジング34は、1つ以上又は一対のプルワイヤの第1の端部を収納し、回転可能部分36は、回転可能部分36を時計回りに回動させるか又は反時計回りに回動させるかに応じて、一度にプルワイヤのうちの1つを選択的に引っ張るように動作する。すなわち、回転可能部分36は、プルワイヤの端部に直接的又は間接的に固定される。例えば、プルワイヤの端部は、器具の端部セクション及びツールを選択的に関節運動させるプルワイヤに張力をかけて動かすために、回転可能部分36によって制御されるディスクに固定することができる。回転可能部分36は、単一のノブ若しくはディスク又は任意の他の好適な構造体の形態をとることができ、回転可能部分36を容易に操作するために使用され得る突出部又は把持部38を含む。また、突出部38は、内視鏡器具の遠位端の位置の迅速な視覚的表示を提供することができる。
【0039】
図6及び図7は、器具先端部70、ひいては内視鏡器具10の先端部70から延在するツール(例えば、電気焼灼ナイフ)を能動的に位置決めする、ハウジング34に対する回転可能部分36の一例示の回転を示す。図6に示されるように、回転可能部分36を第1の反時計回り方向に回動させると、先端部70の端部セクションは、単一平面(点線として示される)から第1の方向に角度付けられる。長尺ハウジング60の単一平面の長手方向軸に対する先端部70及びツール150の角度αは、回転可能部分36の反時計回り方向の回転量によって制御され、それに依存する。同様に、図7に示されるように、回転可能部分36を第2の時計回り方向に回動させると、先端部70の端部セクション及びツール150は反対方向に角度付けられる。長尺ハウジング60の単一平面の長手方向軸に対する先端部の角度βは、時計回り方向の回転量によって制御され、それに依存する。したがって、単一の回転可能部分36が操作されるとともに1つ以上のプルワイヤに連結される場合、長尺ハウジング60の主要部分に対するα角度方向及びβ角度方向の両方の動きを実現することができる。回転可能部分36が単一のプルワイヤに連結され、したがって、プルワイヤに張力をかけることで1つの関節運動方向をもたらす場合、α角度方向又はβ角度方向のうちの1つのみの動きを実現することができる。1つのみのプルワイヤが使用される場合、回転アクチュエータ45は、先端部70の端部セクション、ひいては中心ワイヤに固定されたツール150を、標的部位で360度回転させて更に位置決めすることができる。したがって、第2のアクチュエータ部30、31及び/又は回転アクチュエータ45、46の動きは、内視鏡器具の先端セクションを制御することができ、それにより、先端セクションは、単一平面内で約180度にわたって、例えば、単一平面に沿ったいずれかの方向において±90度の精度で完全に回転することができる。
【0040】
図3は、第1のアクチュエータ21、第2のアクチュエータ31、コネクタ41、及び回転アクチュエータ46を有する一例示の内視鏡器具10の別の実施形態を示す。第1のアクチュエータ21は、可動スライダー22に隣接して位置決めされた単一の固定フィンガーループ23を有し、固定フィンガーループ23に接続された中心ワイヤと、器具の端部で中心ワイヤの反対側の端部に接続されたツールとを直線的に移動させる。使用者は、コネクタ41に沿ってスライダー22を上下に移動させ、スライダー22は、フィンガーループ23から第2のアクチュエータ31のハウジングの頂部まで走行して、処置中に器具先端部からツールを伸長させるか又は後退させることができる。器具は、ツール(図示せず)に電流を供給する電源に中心ワイヤを連結するために、例えば、ハンドピース領域内又はコネクタ41上の任意の好適な位置に位置決めされる、電気カプラーを更に含むことができる。
【0041】
第2のアクチュエータ31は、図2の第2のアクチュエータ30と同様である。第2のアクチュエータ31は、器具の先端部の端部セクション(例えば、図8の端部セクション140)の動きによって、器具の中心ワイヤに連結されたツールの位置を、角度をつけて変化させるように構成される。第2のアクチュエータ31は、プルワイヤを作動させ、それによってツールの角度位置を選択的に制御するために、回転可能又は可動部分37と係合された回転ディスク又は同様の構造体に固定することができる1つ以上のプルワイヤをハウジング35内に固定する。回転可能部分37は、器具及びツールの端部を或る角度で作動させるために、時計回り又は反時計回りに回動させて、プルワイヤに張力をかけるか又はそれを動かすことができる。回転可能又は可動部分37は、ノブ、ディスク、又は他の好適な構造体の形態とすることができ、使用者が部分37を係合及び操作するための突出部又は把持部39を更に含むことができる。また、突出部39は、処置中に内視鏡器具及びツールの遠位端の位置の視覚的表示を使用者に提供することもできる。
【0042】
図3に示されるように、第2のアクチュエータ31に隣接して位置決めされているのは、回転アクチュエータ46であり、回転アクチュエータ46は、回転アクチュエータ46が固定されている長尺ハウジング60を回転させ、ひいては、器具の端部を回転させるように構成される。回転アクチュエータ46を捻ることによって長尺ハウジング60が回転すると、器具の遠位端にあるツールは、時計回り方向又は反時計回り方向のいずれかに360度まで回転する。回転アクチュエータ46は、コネクタ41に固定され、器具の先端部に望まれる回転方向に応じて時計回り又は反時計回りに回動することができる可動片を含む。長尺ハウジング60の回転を容易にするために、回転アクチュエータ46は、アクチュエータ46の回動が長尺ハウジング及び器具の先端部を直接的に回動又は回転させるようにハウジングに固定される。回転アクチュエータ46を長尺ハウジングに固定することは、任意の好適な手段、例えば、接着剤、クランプ、圧縮フィッティング等によって実現することができる。
【0043】
図8は、本実施形態に係る内視鏡器具10の先端部70の詳細図を示す。先端部70は、2つの端部、そこを通る通路、及び各端部の開口部を有する端部セクション140を含む。端部セクション140の遠位端又は第1の端部から延在するのは、ツール150であり、これは、中心ワイヤ160を直線的に動かす第1のアクチュエータによって伸長及び後退させることができる。中心ワイヤ160は、長尺ハウジング60を通って端部セクション140に入り、これらの全ては、器具の表面に沿った任意の電流に対して保護するために、絶縁シースで覆うことができる。セラミック絶縁体180が、端部セクション140の第1の端部の開口部及びツール150に隣接して設けられる。ツール150は、所望の処置に応じて任意の所望の構成を含むことができる。例えば、ツール150は、尖っている、平坦である、爪のように広がって平坦である、オフセットされている等であり得るナイフであり得る。他の例において、ツール150は、任意の好適なツール、例えば、スネア又はクリップ又は把持具とすることができる。ツール150の一端は、例えば溶接等によって、可動中心ワイヤ160の端部に固定され、可動中心ワイヤは、或る特定の例においては、ツールに電流を供給するために端部セクション140を通過することができる。
【0044】
中心ワイヤ160は、ガイドセクション200を通ってツール150の更に上流に延在し、長尺ハウジングを通ってアクチュエータに戻る。中心ワイヤ160は、電流をツールに提供するための任意の好適な導電性ワイヤとすることができる。中心ワイヤ160は、単一の単繊維、又は複数の繊維、例えば、任意の構成で撚り合わせられるか、若しくは共に組み合わせられた繊維から構成されるワイヤとすることができる。別の例において、中心ワイヤ160は、複数のセクションのワイヤで構成することができ、セクションのうちの少なくとも2つが互いに異なっている。例えば、第1のアクチュエータに接続され、先端部に延在し、ガイドセクション200を通る中心ワイヤの主要部分は、単繊維とすることができ、これは、ガイドセクション200と端部セクション140との間に位置決めされる複数の繊維の編組又は燃線の可撓部分に接続され、これはさらに、端部セクション140又はその近傍において別の単繊維セクションに接続され、一端においてツール150に接続される。ガイドセクション200と端部セクション140との間の中心ワイヤに可撓セクションを組み込むことによって、端部セクションの作動は、プルワイヤ190が第2のアクチュエータと係合されて端部セクション140及びツール150を角度付けするときに増強される。
【0045】
図8に更に示されるように、第2のアクチュエータ(図示せず)に接続された一対のプルワイヤ190が、長尺ハウジング50の端部に固定されたガイドセクション200を通って延在する。ガイドセクション200は、1つ以上のプルワイヤ190を互いに所定の距離だけ離して位置決めするための1つ以上のガイド210を含むことができる。ガイド210は、任意の好適な形状とすることができ、ガイド穴又はプーリーを含むことができる。ガイドは、引張りワイヤ190を互いに180度に維持し、これは、形成された単一平面に沿って端部セクション140を角度付けすることができる平面を作り出す。ガイドワイヤ190は、ガイド210と直接的に接触し、ガイド210を通して又はガイド210に沿って動き、端部セクション140まで延在し、そこで、任意の好適な様式で、例えば、溶接又は機械的締結具若しくは貫通孔によって固定される。
【0046】
ガイド210は、第2のアクチュエータがプルワイヤのうちの1つを動かして張力をかけるように係合されると、長尺ハウジング内のそれらの相対的間隔と比較して、互いから横方向に更に離れるプルワイヤの動きを容易にする。すなわち、アクチュエータを動かして引張りワイヤのうちの1つをハンドピースに向けて引張り、それによりプルワイヤを他方のプルワイヤと比較して短くする。1つのプルワイヤのこの動きは、モーメントアームをもたらし、これは、端部セクション140を90度までの角度(例えば、上記のα角度及びβ角度)で作動させる。したがって、プルワイヤは、一度に1つずつ張力をかけられることによって、端部セクション140、また、それに取り付けられた中心ワイヤ160及びツール150を角度付けする。端部セクション140は、機械的ヒンジの周りを回転しないが、角度付けされた位置にある端部セクションは、長尺ハウジングに固定され、器具のハンドピース又はその近傍に位置決めされた上記の回転アクチュエータによって回転させることができる。
【0047】
プルワイヤ190は、端部セクション140の一端に取り付けられることによって、図6及び図7に示されるように、曲げモーメントが端部セクション140とガイドセクション200との間の器具の端部又はその近傍に位置決めされることを可能にする。端部セクション140の長さは、器具の端部における角度付けの小さな半径を確保するように選択することができ、例えば、端部セクション140は、5センチメートル(cm)以下、3cm以下、1cm以下、0.8cm以下、0.6cm以下、0.5cm以下、0.4cm以下、0.3cm以下、又は0.2cm以下とすることができる。単一平面に沿って90度まで曲がる、ガイドセクション200と端部セクション140との間の可撓セクションは、端部セクションと同様の長さ、例えば、5cm以下、3cm以下、1cm以下、0.8cm以下、0.6cm以下、0.5cm以下、0.4cm以下、0.3cm以下、又は0.2cm以下の長さを有することができる。器具の先端部70全体は、同様の長さとすることができ、8cm以下、6cm以下、5cm以下、4cm以下、3cm以下、又は2cm以下の範囲とすることができる。先端部70のガイドセクション200に接続された長尺ハウジング60は、実施される処置に応じて任意の好適な長さとすることができる。例えば、長尺ハウジング60は、0.5メートル(m)~5メートル、又は1メートル~3メートルとすることができる。
【0048】
器具の先端部70は、角度付けの際に、端部セクション140がガイドセクション200と位置合わせされるように、単一平面での作動後に中心位置に自然に戻る傾向があるものとすべきである。図8に示されるように、端部セクション140がガイドセクション200と整列することを支援し、プルワイヤが係合されるときに単一平面での作動に沿った走行を促進するために、ばね刃170を、ガイドセクション200と先端部70の端部セクション140との間に位置決めすることができる。ばね刃170は、先端部70が剛性であり、アクチュエータが係合されない限り、単一平面の外側に意図せず屈曲しないことを確実にするように、ガイドセクション200と端部セクション140との間に構造的接続を提供する。ばね刃170は、任意の好適な弾性部材とすることができ、ニチノール、プラスチック、エラストマー、コポリマー、又はそれらの組み合わせ等の1つ以上の弾性金属から構成されるか、又はそれを含むことができる。ばね刃170は、1つの例において、例えば、スポット溶接、締結具、又は接着剤によって、ガイドセクション200及び端部セクション140に固定することができ、したがって、セクション200、140を相互に整列するそれらの自然な位置に戻すことを補助することができる。別の例において、ばね刃170の端部170a、170bは、ガイドセクション200及び端部セクション140内に延在して、セクション間に刃170を位置決めし、かつセクション140、200間の距離ギャップを制御することができる。ばね刃170は、好ましくは、その中心175又はその近傍に狭小部分を含む。端部セクション140に固定又は嵌合されると、ばね刃170の材料、形状、及び構成は、端部セクション140が、例えば、その狭小中心175の周りで屈曲し、プルワイヤ等の力が端部に作用していないとき、自然に真っ直ぐになることを可能にする。単一平面に沿った屈曲に適応し、セクション200とセクション140との間の構造的接続を提供するために、ばね刃170は、薄い材料から作製され、例えば、ばね刃の厚さは、0.01ミリメートル(mm)~0.6mm、0.03mm~0.5mm、0.04mm~0.4mm、又は0.05mm~0.3mmの範囲内とすることができる。
【0049】
図9は、内視鏡器具10の先端部70と共に使用することができるツール152の別の実施形態を示す。先端部70は、2つの端部と、その全長にわたる貫通路と、中心ワイヤ及びツールを通過させるための各端部における開口部とを有する、端部セクション140を含む。端部セクション140の遠位端又は第1の端部から延在するのは、ツール152であり、これは、中心ワイヤ160を直線的に動かす第1のアクチュエータによって伸長及び後退させることができる。中心ワイヤ160は、長尺ハウジング60を通過して端部セクション140に入り、これらの全ては、保護シース又はカバーで覆うことができる。中心ワイヤ160が、本明細書に説明されるように、高温での処置等のために電源に接続される例においては、絶縁シースを、長尺ハウジング及び先端部を含む、器具の表面に沿った任意の電流から保護するために使用することができる。
【0050】
ツール152は、所望の処置に応じて任意の所望の構成を含むことができる。図示されるように、ツール152は、スネアとすることができる。スネアは、処置中、例えば消化管内視鏡的処置中に、組織を把持し、剥離し、横切することができる。スネアは、開口部153を有するループを形成するように端部セクション140から延在することができる、例えば、金属ワイヤの格納式ループを含む。ループ開口部153は、処置中に、第1のアクチュエータを用いてツール152を端部セクション140内に後退させ、それによって、所望に応じてループのサイズを低減させることによって、部分的に又は完全に閉鎖することができる。ツール152の一端は、例えば、溶接等によって、可動中心ワイヤ160の端部に固定することができ、或る特定の例においては、ツールを伸長及び後退させるために、端部セクション140を通過することができる。スネアは、円形、楕円形、六角形、菱形等の任意の好適な形状とすることができる。
【0051】
図10は、内視鏡器具10の先端部70と共に使用することができるツール154の別の実施形態を示す。上記で開示したように、先端部70は、全長に沿って貫通路を備えた端部セクション140と、中心ワイヤ160及びツール154を通すための各端部の開口部とを有する。端部セクション140の遠位端又は第1の端部から延在するのは、ツール154であり、これは、中心ワイヤ160を動かす第1のアクチュエータによって伸長及び後退させることができる。中心ワイヤ160は、長尺ハウジング60を通過して端部セクション140に入り、これらの全ては、保護シースで覆うか、又はセクション140の遠位端までの全てを覆うことができる(図示せず)。
【0052】
ツール154は、所望の処置に応じて任意の所望の構成を含むことができる。図示されるように、ツール154は、内視鏡クリップ又はエンドクリップ等のクリップとすることができる。クリップは、手術又は縫合を必要とせずに、表面、例えば、胃腸管内の組織を共に閉鎖又は固定することができる、金属機械装置である。クリップは、ワイヤ160を作動させることによって開閉することができる一対のアーム155を含む。図10は、2つの表面を互いに固定するための所望の位置にツール154を位置決めするための開位置にあるアーム155を示す。第1のアクチュエータは、アーム154を閉じるように係合させることができ、アームが閉じられて所定の位置になると、第1のアクチュエータは、ツール154をワイヤ160から取り外すように更に係合させることができる。クリップは、形状及びサイズを任意で好適に変化させたものとすることができ、例えば、アーム155は、異なる長さとし、異なる間隔で相互いに離して開くことができる。
【0053】
図11及び図12は、端部セクション及びツールの単一平面での関節運動のための器具と共に使用することができるばね刃170の例を示す。図11は、端部セクション140に固定された第1の端部と、ガイドセクション200に固定された第2の反対側の端部とを有するばね刃170の実施形態を示す。ばね刃170をセクション140、200に固定するための取付け領域178が示されており、溶接部、締結具、エポキシ又は他の接着剤を含むことができる。図示されているばね刃170は、端部セクション140の作動時のより容易な屈曲に適応するために、その中心又はその近傍に狭小部分175を有することができる。狭小部分175は、その最も狭い点において、端部セクション140又はガイドセクション200のいずれかの直径よりも小さい幅を有することができる。接続点からセクション140、200までで測定されたばね刃170の全長は、0.2cm~5cm、0.3cm~3cm、0.4cm~2cmの範囲とすることができる。
【0054】
図12は、ばね刃170の別の例を示す。ばね刃170は、端部セクション140の一部分内に延在する第1の端部170aと、ガイドセクション200の一部分内に延在する反対側の第2の端部170bとを有する。ばね刃170の第1の端部170a及び第2の端部170bは、端部セクション140又はガイドセクション200のいずれかの直径よりも小さな幅を有し、端部が双方のセクションの開口部内に延在することを可能にする。図示されていないが、中心ワイヤ160及びプルワイヤはガイドセクション200を通過し、中心ワイヤ160は更に延在して端部セクション140を通過する。ばね刃170の本体部分がセクション140、200内にも延在することを防止するために、ばね刃170は、各端部の近傍に、セクションとの停止又は接触点として作用する拡張セクション、突出部、又は掛かり部176を有する。動作時、ばね刃170は、端部170a及び170bがセクション140、200内に位置決めされたままである間に、屈曲して撓む。また、端部170a及び端部170bは、プルワイヤが作動されていないときに、セクション140及び200に力を提供して、各セクションを自然に真っ直ぐにするように作用する。また、図11に示されるものと同様に、ばね刃170は、端部セクション140の作動時により容易な屈曲に適応するために、その中心又はその近傍に狭小部分175を有することができる。
【0055】
本明細書において説明される実施形態は、例示の実施形態を参照して行われるが、様々な変形が十分に本開示の範囲及び趣旨内にあることが当業者によって理解されるべきである。したがって、例示の実施形態の範囲は、本明細書において限定されない。本開示は、本明細書において開示される、又は過度の実験を伴わずに当業者によって本明細書から確認可能な、全てのそのような変形及び改変を含むことが意図される。本明細書において示される例に従って構成された内視鏡器具は、多種多様な他の処置に使用され得ることが理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】