(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-25
(54)【発明の名称】マイクロバイオリアクタのための容器アセンブリ
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240418BHJP
【FI】
C12M1/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568517
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 US2022028201
(87)【国際公開番号】W WO2022236141
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Beckman Coulter, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 S. Kraemer Boulevard, Brea, CA 92821, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クレマース, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】マイヤージーク, ダーフィト
(72)【発明者】
【氏名】ザトラー, ジーモン
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB02
4B029CC01
4B029DF04
4B029DG01
4B029GA03
4B029GB09
(57)【要約】
ガス補給蓋アセンブリは、ピペッタとも称される、分注/ピペット操作ロボットのピペット操作ユニットのための同時誘導アクセスとともに、一般に、いくつかの実施形態ではマイクロプレートとも称される、サンプル容器のガス密シールを可能にする。コンポーネントは、ガス密シールおよびピペット操作ロボットのための誘導アクセスの両方を可能にする。ガス補給蓋は、同時にいくつかの目的を果たし、非限定的方式において以下の利点、すなわち、ガス密シール、ガス補給蓋を伴わないロボット統合、ガス補給蓋を伴うロボット統合、シール機構、および嫌気性輸送を提供する。サンプル容器のリザーバの上方の体積(例えば、マイクロプレートのウェルの上方の体積)を低減させることは、これが酸素等の高濃度のガスの安全リスクを低減させる点において有利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオリアクタシステムであって、
蓋アセンブリであって、
上部外面と、底部内面とを有する蓋筐体であって、前記蓋筐体は、サンプル容器を被覆するように構成される、蓋筐体と、
前記蓋筐体内に配置される第1の層と
を含み、
前記底部内面は、前記第1の層に向かって張出するシール面を含み、前記シール面が前記第1の層に対して押圧されるとき、気密シールを生成する、
蓋アセンブリ
を備える、バイオリアクタシステム。
【請求項2】
前記第1の層は、個別のガイド要素との整合のために構成される1つまたはそれを上回る第1の開口を含み、各第1の開口は、ピペット先端がそれを通して押動されるときに開放し、前記ピペット先端が除去されるときに閉鎖するように構成される、請求項1に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項3】
前記蓋筐体の上部外面から延在する1つまたはそれを上回るガイド要素であって、前記1つまたはそれを上回るガイド要素はそれぞれ、上部端から底部端まで延設される中空内部部分を有し、前記中空内部部分は、前記底部端においてよりも前記上部端においてより大きい断面積を有し、前記1つまたはそれを上回るガイド要素はそれぞれ、ピペット先端を受容および誘導するように構成される、1つまたはそれを上回るガイド要素
をさらに備え、
前記第1の層は、前記1つまたはそれを上回るガイド要素の個別のガイド要素とそれぞれが整合される1つまたはそれを上回る第1の開口を含み、各第1の開口は、前記ピペット先端がそれを通して押動されるときに開放し、前記ピペット先端が除去されるときに閉鎖するように構成される、
請求項1に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項4】
前記シール面は、前記蓋筐体の底部内面上の第1の陥凹エリアを前記蓋筐体の底部内面上の第2の陥凹エリアから仕切るパーティションを含む、請求項3に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項5】
前記シール面および前記パーティションは、相互と連続的である、請求項4に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項6】
前記蓋筐体の第1の陥凹エリアに接続され、加圧ガスを受容するように構成される第1のガスポートをさらに備える、請求項4に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項7】
第2のガスポートと、第3のガスポートとをさらに備え、前記第2および第3のガスポートは、前記第2の陥凹エリアから1つまたはそれを上回るガスを受容および/または除去するように構成される、請求項6に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項8】
前記蓋筐体の底部内面と前記第1の層との間の付加的陥凹エリアを分離するように構成される1つまたはそれを上回る付加的パーティションをさらに備える、請求項4に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項9】
前記シール面は、リジッド材料から作製される、請求項4に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項10】
前記シール面は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作製される、請求項4に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項11】
前記第1の層の底部側上に配置される滅菌層をさらに備え、前記滅菌層は、前記ピペット先端によって穿刺されるように構成される、請求項3に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項12】
前記1つまたはそれを上回るガイド要素のそれぞれの底部端と前記蓋筐体の上部外面との間に配置される第2の層をさらに備え、前記第2の層は、前記1つまたはそれを上回るガイド要素の個別のガイド要素および前記1つまたはそれを上回る第1の開口の個別の第1の開口と整合される1つまたはそれを上回る第2の開口を有し、前記蓋筐体内の貫通孔へのアクセスを提供し、前記1つまたはそれを上回る第2の開口はそれぞれ、前記ピペット先端が前記第2の開口を通して押動されるときに開放し、前記ピペット先端が除去されるときに閉鎖するように構成される、請求項3に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項13】
前記蓋筐体の底部内面から前記第1の層に向かって延在する1つまたはそれを上回る支柱をさらに備える、請求項3に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項14】
前記1つまたはそれを上回るガイド要素は、前記蓋筐体の一体部分を形成する、請求項3に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項15】
前記1つまたはそれを上回るガイド要素は、前記蓋筐体の上部外面に可撤式に結合される、請求項3に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項16】
前記中空内部部分は、円錐台形形状を有する、請求項3に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項17】
前記1つまたはそれを上回る第1の開口は、スリットである、請求項3に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項18】
前記1つまたはそれを上回る第1の開口は、自己回復する、請求項3に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項19】
前記第1の層は、弾力性ポリマー材料である、請求項3に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項20】
前記第1の層は、シリコーンから作製される、請求項3に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項21】
複数のウェルを備える前記サンプル容器をさらに備える、請求項3に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項22】
前記サンプル容器の第1の部分は、1つまたはそれを上回る第1のウェルを含み、前記サンプル容器の第2の部分は、1つまたはそれを上回る第2のウェルを含み、前記1つまたはそれを上回る第1のウェルは、流体試薬を含有するように構成され、前記1つまたはそれを上回る第2のウェルは、1つまたはそれを上回る細胞を備える流体サンプルを含有するように構成され、前記第1のウェルのうちの1つまたはそれを上回るものは、1つまたはそれを上回る流体チャネルを介して前記第2のウェルのうちの1つまたはそれを上回るものに流体的に結合され、
前記蓋アセンブリは、前記蓋アセンブリが前記サンプル容器に対して圧縮させられるとき、前記サンプル容器の周囲に気密シールを提供する、
請求項21に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項23】
前記気密シールは、前記サンプル容器上の第1のシール面と、前記第1のシール面に対して押圧される前記蓋アセンブリ上の第2のシール面とを有し、それによって、前記第1および第2のシール面は両方とも、前記蓋筐体の底部内面に垂直に作用する、請求項22に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項24】
前記サンプル容器に対して前記蓋アセンブリを圧縮するように構成される偏心レバーと、半径方向に誘導されるボールを備えるボールスリーブとをさらに備える、請求項22に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項25】
プラットフォームであって、前記プラットフォームは、所定の運動範囲内で前記サンプル容器を移動させることによって、前記サンプル容器を振盪させるように構成され、前記所定の運動範囲は、前記ガイド要素のうちの1つまたはそれを上回るもののそれぞれの上部端の内径未満であるとして定義される、プラットフォームと、
ピペット操作ロボットであって、前記ピペット操作ロボットは、前記サンプル容器アセンブリが振盪されている間、前記1つまたはそれを上回るガイド要素を介した前記サンプル容器の中への挿入のために構成される1つまたはそれを上回るピペット先端を有する、ピペット操作ロボットと
をさらに備える、請求項21に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項26】
前記プラットフォームは、軌道移動において前記サンプル容器を移動させるように構成される、請求項25に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項27】
前記プラットフォームは、600RPM~1,000RPMの範囲内の軌道移動において前記サンプル容器を移動させるように構成される、請求項25に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項28】
前記プラットフォームは、600RPM~800RPMの範囲内の軌道移動において前記サンプル容器を移動させるように構成される、請求項25に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項29】
前記サンプル容器の軌道移動の攪拌直径は、1mm~5mmの範囲内である、請求項26、27、または28に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項30】
前記サンプル容器と関連付けられる測定パラメータを入手するように構成されるセンサと、
少なくとも1つのガスを前記蓋アセンブリに提供するガス供給システムと、
コントローラであって、前記コントローラは、前記測定パラメータを処理し、前記測定パラメータに基づいて、前記ガス供給源を制御するように構成される、コントローラと
をさらに備える、請求項21に記載のバイオリアクタシステム。
【請求項31】
細胞を培養する方法であって、前記方法は、
サンプル容器の上に滅菌層を設置することと、
前記滅菌層の上に第1の層を設置することと、
前記第1の層の上に蓋筐体を押圧することと、
前記蓋筐体を前記サンプル容器に解放可能に固着させることと
を含む、方法。
【請求項32】
前記蓋筐体を前記サンプル容器に解放可能に固着させるように、偏心レバーと、半径方向に誘導されるボールを備えるボールスリーブとを作動させることをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記蓋筐体から前記サンプル容器を解放するように、解放ピンを作動させることをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
嫌気性環境内に前記サンプル容器を設置することと、
前記サンプル容器が前記嫌気性環境内にある間、嫌気性細胞を備えるサンプルを前記サンプル容器の1つまたはそれを上回るウェルの中に配置することと、
前記サンプル容器の1つまたはそれを上回るウェルにわたって前記蓋筐体を設置することによって、前記サンプル容器の1つまたはそれを上回るウェルの周囲に気密シールを生成することと、
細胞培養のために非嫌気性環境に前記サンプル容器を輸送することと
をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記非嫌気性環境内に配置されるマイクロバイオリアクタ内に前記サンプル容器を設置することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記サンプル容器および前記蓋筐体は、前記1つまたはそれを上回るウェルの上方のヘッドスペースを画定し、前記方法はさらに、
前記ヘッドスペース内の酸素濃度を0%~5%となるように調節すること
を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記サンプル容器および前記蓋筐体は、前記1つまたはそれを上回るウェルの上方のヘッドスペースを画定し、前記方法はさらに、
前記ヘッドスペース内の酸素濃度を0%~10%となるように調節すること
を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記サンプル容器および前記蓋筐体は、前記1つまたはそれを上回るウェルの上方のヘッドスペースを画定し、前記方法はさらに、
前記ヘッドスペース内の酸素濃度を0%~20%となるように調節すること
を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記サンプル容器が前記マイクロバイオリアクタによって振盪されている間、前記サンプル容器の中にピペット先端を挿入することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記蓋筐体の上方に設置されるガイド要素の最も狭い領域に前記ピペット先端を誘導するように、ピペット操作ロボットを作動させることと、
前記ピペット先端を前記ガイド要素の最も狭い領域を通して前記サンプル容器の中に誘導することと
をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ピペット先端を介して前記サンプル容器からある体積の流体を除去することをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ピペット先端を介して前記サンプル容器にある体積の流体を添加することをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記蓋筐体は、細胞培養の間のガス交換を可能にする前記1つまたはそれを上回るウェルの上方のヘッドスペースを提供し、前記1つまたはそれを上回るウェルの上方の前記ヘッドスペースは、20mL~400mlである、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
前記1つまたはそれを上回るウェルの上方の前記ヘッドスペースは、60ml~90mlである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記ヘッドスペースの中へのガス流動を引き起こすことと、
前記ヘッドスペース内の前記ガスの濃度を測定することと、
前記濃度に基づいて、前記ガス流動を調節することと
をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記サンプル容器内のパラメータを感知することと、
前記パラメータを処理することと、
前記パラメータの処理に基づいて、前記蓋筐体への少なくとも1つのガスのガス供給源を制御することと
をさらに含む、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、PCT国際特許出願として2022年5月6日に出願されており、その全開示が、その全体として参照することによって本明細書に組み込まれる、2021年5月7日に出願された米国仮特許出願第63/185,650号および2021年7月29日に出願された第63/227,210号の利益および優先権を主張する。
【0002】
生物学、薬理学、および医学の多くの分野において、生物系が、他の実施例の中でもとりわけ、好適な生物株、酵素、または好適な培養液培地および培養液条件の選択のためにスクリーニングされる。本文脈では、実験の並列化を介して達成され得る、高いサンプル処理能力に関する必要性が、存在する。
【0003】
マイクロプレートまたはマイクロタイタプレートは、小さい試験管として使用される複数のウェルを伴う平坦なプレートであり、多数の並列動作を達成するために利用され得るデバイスの一実施例である。例証的実施例として、個々のウェルはそれぞれ、培地で充填され、培地の中に細胞を導入するために播種され、振盪インキュベータを使用して特定の温度においてインキュベートされ得る。他のパラメータ値の中でもとりわけ、pH値、溶存酸素(DO)、溶存二酸化炭素、およびバイオマスの濃度等のプロセスパラメータが、成長プロセスの間に個々のウェル毎に連続的に測定され得る。
【0004】
微生物の工業的生産における小型化および並列化が、ここ数十年で経済的重要性を増している。微生物の培養における1つの課題は、生産されている細胞培養液のプロセスパラメータのリアルタイム監視である。栄養素およびpHの供給を制御し、バイオマス成長およびDOを監視することは、小型化されたバイオリアクタにおける細胞培養液の並列最適化を可能にし、活性物質、ビタミン、ペプチド、またはタンパク質の収率を最大限にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一般用語において、本開示は、マイクロバイオリアクタのための容器アセンブリに関する。一構成では、容器アセンブリは、ピペット先端が、マイクロバイオリアクタの内側の攪拌の間にサンプル容器のウェルの中に挿入されることを可能にする、サンプル容器とガス補給蓋との間の改良されたシールを提供する。種々の側面が、本開示に説明され、これは、限定ではないが、以下の側面を含む。
【0006】
一側面は、サンプル容器のガス密シールを可能にするコンポーネントに関する。いくつかの実施例では、コンポーネントは、マイクロプレートのガス密シールを可能にする。
【0007】
いくつかのさらなる実施例では、サンプル容器のガス密シールを可能にすることに加えて、コンポーネントは、同時に、ピペット先端のための誘導アクセスを提供する。ガス密シールおよびピペット先端のための誘導アクセスの両方を可能にするコンポーネントは、時として、これから「ガス補給蓋」または「蓋筐体」または「蓋アセンブリ」と称される。ガス補給蓋は、同時にいくつかの目的を果たし、非限定的方式において以下の利点、すなわち、ガス密シール、ロボット統合、および嫌気性輸送を提供する。
【0008】
ガス補給蓋は、サンプル容器のウェル(例えば、マイクロプレートのウェル)の上方のヘッドスペース体積を有意に低減させることができる。本体積を低減させることは、これが酸素等の高濃度のガスの安全リスクを低減させる点において有利である。
【0009】
ガス補給蓋は、サンプル容器内のより高いO2濃度を安全に可能にする、サンプル容器内の低減されたヘッドスペース、サンプル容器を攪拌する間、ピペット先端の挿入を誘導することに役立つ、ガイド要素、ピペット先端が挿入されるときに開放し、ピペット先端が除去されるときに閉鎖するスリットを伴う、複数の弾力性層、サンプル容器およびガス補給蓋の縁の周囲に最適に圧力を分配し、パーティションを可能にする、シール面、およびサンプル容器が好気性作業空間における嫌気性培養のために単一のユニットとして輸送されることを可能にする、シールを含む、いくつかの利点を提供する。また、ガス補給蓋は、ガス補給蓋が、マイクロバイオリアクタ内にある間にサンプル容器の培養ウェルの中に酸素が進入しないように防止するため、マイクロバイオリアクタの内側の嫌気性培養を可能にする。
【0010】
いくつかの実施例では、少なくとも2つのタイプのガス補給蓋が、存在する。第1のタイプのガス補給蓋は、ウェルの第1のセット内に配置された液体試薬をウェルの第2のセット(培養のための細胞を有する)に結合する、ウェル底部におけるマイクロフルイディクスを有するマイクロ流体マイクロプレートと適合する。これらの蓋は、ウェルの2つのセットを分離するパーティションを含む。本開示は、ウェルを2つのセットに分離する単一のパーティションを有するものとして本第1のタイプのガス補給蓋を説明するが、任意の好適な数のパーティションによって分離される任意の好適な数のウェルのセットが、本開示によって想定される。
【0011】
第2のタイプのガス補給蓋は、非マイクロ流体マイクロプレート(または標準的マイクロプレート)と適合する。これらのマイクロプレートは、ウェルのためのマイクロフルイディクスを有していない。
【0012】
マイクロ流体および非マイクロ流体マイクロプレートは両方とも、例えば、5~50mL/分等の調節可能な流量を伴うサンプル容器の直接窒素(例えば、100%のN2)ガス補給の間に給送およびpH制御が同時に行われることを可能にする。
【0013】
別の側面は、マイクロプレートが好気性環境内にあるとき、嫌気性または微好気性培養、サンプリング、給送、およびpH制御を可能にすることに関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本願の一部を形成する、以下の図面の図は、説明される技術の例証であり、いかようにも本開示の範囲を限定することを意味しない。
【0015】
【
図1】
図1は、マイクロバイオリアクタの等角図である。
【0016】
【
図2】
図2は、
図1のマイクロバイオリアクタの培養チャンバの内側に嵌合する、容器アセンブリの上面等角図である。
【0017】
【
図3】
図3は、容器アセンブリの底面等角図である。
【0018】
【
図4】
図4は、容器アセンブリの分解等角図である。
【0019】
【
図5】
図5は、容器アセンブリの分解正面立面図である。
【0020】
【0021】
【
図7】
図7は、容器アセンブリの弾力性層の詳細図である。
【0022】
【
図8】
図8は、サンプル容器が
図2の容器アセンブリのコンポーネントである、複数のウェルを含む、サンプル容器の実施例の上面図である。
【0023】
【
図9】
図9は、容器アセンブリの蓋筐体の第1の実施例の底面図である。
【0024】
【0025】
【
図11】
図11は、蓋筐体およびサンプル容器の底面等角図である。
【0026】
【0027】
【
図13】
図13は、蓋筐体のガイド要素を通して挿入されるピペット先端を示す、
図2の容器アセンブリの断面図である。
【0028】
【
図14】
図14は、ピペット先端が容器アセンブリから除去された後の
図2の容器アセンブリの断面図である。
【0029】
【
図15】
図15は、シール機構が開放位置において示される、容器アセンブリのシール機構の断面図である。
【0030】
【
図16】
図16は、シール機構が閉鎖位置において示される、
図15のシール機構の別の断面図である。
【0031】
【
図17】
図17は、
図2の容器アセンブリの蓋筐体とサンプル容器との間のシールを示す、断面図である。
【0032】
【0033】
【
図19】
図19は、
図1のマイクロバイオリアクタの基部の上に位置付けられる、容器アセンブリの実施例を示す、上面等角図である。
【0034】
【0035】
【0036】
【
図22】
図22は、
図1のマイクロバイオリアクタの基部の上に位置付けられる、容器アセンブリの別の実施例を示す、上面等角図である。
【0037】
【0038】
【0039】
【
図25】
図25は、
図1のマイクロバイオリアクタのコンピュータ制御システムの実施例を図式的に示す。
【0040】
【
図26】
図26は、
図2の容器アセンブリ下に光学センサを位置付けるための
図1のマイクロバイオリアクタの機械的システムの等角図である。
【0041】
【
図27】
図27は、
図1のマイクロバイオリアクタの培養チャンバを照明するために使用され得る、発光ダイオードアレイモジュール(LAM)の等角図である。
【0042】
【
図28】
図28は、
図1のマイクロバイオリアクタの下に搭載される、LAMの底面等角図である。
【0043】
【0044】
【0045】
【
図31】
図31は、サンプル容器を冷却するように適合される、蓋筐体の実施例の底面等角図である。
【0046】
【0047】
【0048】
【
図34】
図34は、容器アセンブリを使用して実施され得る、嫌気性培養の方法の実施例を図示する。
【0049】
【
図35】
図35は、容器アセンブリを使用して実施され得る、嫌気性培養の方法の別の実施例を図示する。
【0050】
【
図36】
図36は、容器アセンブリの内側での培養プロセスの間の培養時間にわたる溶存酸素、バイオマス利得、および添加された給送溶液を示す、グラフである。
【0051】
【
図37】
図37は、容器アセンブリの内側での培養プロセスの間の培養時間にわたるpHおよび添加されたNaOH体積を示す、グラフである。
【0052】
【
図38】
図38は、容器アセンブリの内側での培養プロセスの間の培養時間にわたるバイオマスを示す、グラフである。
【0053】
【
図39】
図39は、容器アセンブリの内側での培養プロセスの間の培養時間にわたる酸素濃度、pH信号、および添加されたNaOH体積を示す、グラフである。
【0054】
【
図40】
図40は、容器アセンブリの内側での培養プロセスの間の培養時間にわたるバイオマスおよび添加された給送体積を示す、グラフである。
【0055】
【
図41】
図41は、容器アセンブリの内側での培養プロセスの間の培養時間にわたるpH、酸素濃度、およびNaOHの添加された体積を示す、グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0056】
詳細な説明
全ての図全体を通して、同一または対応する要素は、概して、同一の参照番号によって示され得る。これらの描写される実施形態は、本発明の例証として理解されるものであり、いかようにも限定として理解されるものではない。また、図が、必ずしも縮尺通りではなく、実施形態が、図形記号、想像線、図式的表現、および断片的な図によって図示され得ることを理解されたい。ある事例では、本発明の理解のために必要ではない、または他の詳細を知覚することを困難にする詳細は、省略されている場合がある。
【0057】
図1は、マイクロバイオリアクタ100の実施例の等角図である。
図1に示されるように、マイクロバイオリアクタ100は、培養チャンバ104を画定する、筐体102を含む。マイクロバイオリアクタ100は、培養チャンバ104の内側で培養を実行しながら、バイオマス、pH、溶存酸素(DO)、および蛍光等のパラメータをオンラインで測定する。加えて、マイクロバイオリアクタ100は、ユーザが培養チャンバ104の内側の振盪速度、温度、ガス濃度、ガス流量、および湿度を制御することを可能にする、タッチスクリーンディスプレイ106を含む。代替として、または加えて、マイクロバイオリアクタ100は、そのような制御を可能にし得る別個のコンピューティングデバイスに通信可能に結合されてもよい。
【0058】
いくつかの側面では、マイクロバイオリアクタ100は、2012年9月18日に発行された、「Method and Device for Recording Process Parameters of Reaction Fluids in Several Agitated Microreactors」と題された米国特許第8,268,632号、2014年9月9日に発行された、「Microreactor」と題された米国特許第8,828,337号、2015年1月13日に発行された、「Microreactor Array, Device Comprising a Microreactor Array, and Method for Using a Microreactor Array」と題された米国特許第8,932,544号、および2019年9月24日に発行された、「Microreactor System」と題された米国特許第10,421,071号(その全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるマイクロリアクタと類似するコンポーネント、特徴、および機能性を共有することができる。
【0059】
図2および3は、マイクロバイオリアクタ100の培養チャンバ104の内側に嵌合する、容器アセンブリ200の等角図である。容器アセンブリ200は、サンプル容器18に取り付けられる、または別様にそれに結合され得る、蓋筐体8を含む。いくつかの実施例では、サンプル容器18は、マイクロプレートまたはマイクロタイタプレートである。蓋筐体8は、ガス密様式においてサンプル容器18をシールする。蓋筐体8は、安全性が重要なガスが、任意の濃度において、かつ任意の流量においてサンプル容器18の中に給送され、それから排出されることを可能にする。
【0060】
容器アセンブリ200は、少なくともサンプル容器18のガス密シールを含む、利点を提供する。サンプル容器18のガス密シールは、ガスが培養チャンバ104およびマイクロバイオリアクタ100の他のコンポーネントの雰囲気と接触することなく、安全性が重要なガスの制御された導入および排出を可能にする。これは、サンプル容器18の上方のヘッドスペース内のガス濃度に対する高レベルの制御を可能にする。ヘッドスペースは、サンプル容器18と蓋筐体8の底部内面28との間の空間である。さらに、これは、培養の間に容器アセンブリ200内の危険である酸素または他のガス(例えば、可燃性、毒性、窒息させることが可能であるガス等)の高い濃度を維持し、火事または爆発等の安全リスクを低減させることを可能にする。例えば、容器アセンブリ200は、低減された安全リスク下でヘッドスペース内に最大100%の純酸素を維持することを可能にする。加えて、容器アセンブリ200はさらに、従来のシステムと比較して、サンプル容器18の上方のヘッドスペースを有意に低減させることができる。これはさらに、例えば、そのようなガスの全体的体積を低減させることによって、酸素のような高濃度の可燃性ガスによって課される安全リスクを低減させることに寄与する。また、培養チャンバ104のための材料の設計および選択は、重要なガスとの直接接触を考慮する必要性によってもはや制約されず、これは、マイクロバイオリアクタ100を構築するために要求される技術的労力を低減させる。
【0061】
ガスは、制御された様式においてサンプル容器18の中に給送され、それから排出されるため、N2およびCO2等の窒息の潜在性を伴うガスの流動は、必要に応じて増加されることができる。加えて、蓋筐体8は、マイクロバイオリアクタ100の培養チャンバ104の全体ではなく、サンプル容器18の上方のヘッドスペースのみが、加湿およびガス補給される必要性があるため、エネルギーおよびガス消費を低減させる。
【0062】
図4は、容器アセンブリ200の分解等角図である。
図5は、容器アセンブリ200の分解正面立面図である。
図6は、容器アセンブリ200の断面図である。ここで
図2-6を参照すると、サンプル容器18は、それぞれ、細胞培養液または試薬を別個に含有するように構成される、ウェル61の列を含む。サンプル容器18は、蓋筐体8によって完全に被覆されるが、依然として、1つまたはそれを上回るピペット先端(
図13に示されるピペット先端71参照)がウェル61の中に液体を給送するために、またはウェル61からプローブを取り出すためにアクセス可能である。したがって、蓋筐体8は、ガス雰囲気が容器アセンブリ200から逃散することを可能にすることなく、ピペット先端71が容器アセンブリ200に進入することを可能にするアセンブリを有する。蓋筐体8は、ピペット先端71が各ウェルにアクセスするために、ウェル61のそれぞれの上方に貫通孔23を有する。
【0063】
ガイド構造1が、蓋筐体8に解放可能かつ可逆的に結合される。ガイド構造1は、複数のガイド要素2を含む。ガイド構造1はさらに、蓋筐体8上の対応するスロット10に係合し、蓋筐体8上にガイド構造1を可撤式に取り付けるように構造化される、1つまたはそれを上回る取付機構3を含む。
【0064】
取付機構3は、蓋筐体8の外面に対して撓曲し、対応するスロット10の中にスナップ嵌合するように構造化される。取付機構3は、ユーザが、対応するスロット10から取付機構3を係脱させ、それによって、蓋筐体8からガイド構造1を解放することを可能にする、取っ手を含むことができる。代替実施例では、ガイド要素2は、蓋筐体8の一体部分を形成する。
【0065】
第1の弾力性層13が、蓋筐体8と滅菌層16との間に位置付けられる。第2の弾力性層4が、蓋筐体8とガイド構造1との間に位置付けられる。
【0066】
図7は、第2の弾力性層4の詳細図である。図は、同じものとして第1および第2の弾力性層13、4を示すが、いくつかの実施例では、それらは、同じではない。ここで
図4および7を参照すると、第1および第2の弾力性層13、4は、それぞれ、開口15、6を含む。開口15、6は、線形形状を有するスリットとして図示されるが、開口15、6に関する代替形状および構成も、可能性として考えられる。
【0067】
図4に示されるように、第2の弾力性層4の開口6は、貫通孔23と整合し、第1の弾力性層13の開口15は、貫通孔23と整合する。容器アセンブリ200のコンポーネントは、ピペット先端71が、ガイド要素2を通して、第2の弾力性層4の開口6を通して、蓋筐体8の貫通孔23を通して、かつ第1の弾力性層13の開口15を通して挿入され得、したがって、ピペット先端71が、滅菌層16を穿刺し、サンプル容器18のウェル61に到達し得るように配列される。いくつかの実施例では、ガイド要素2、第2の弾力性層4、蓋筐体8、および第1の弾力性層13は、容器アセンブリ200のためのガス補給蓋を形成する。
【0068】
少なくとも第2の弾力性層4は、蓋筐体8の上部外面上のピン21と整合する、孔22を含む。第2の弾力性層4上の孔22とピン21との間の協働は、第2の弾力性層4が蓋筐体8に対して固定されることを可能にする。
【0069】
いくつかの実施例では、ガイド構造1は、蓋筐体8の上部外面上のピン21と整合する、孔22を含む。ガイド構造1上の孔22とピン21との間の協働は、ガイド構造1が蓋筐体8に対して固定されることを可能にする。
【0070】
少なくとも第1の弾力性層13は、ガスが第1の弾力性層13を通して通過することを可能にする、孔14を含む。孔14は、開口15に隣接して位置付けられる。図に描写される実施例では、第2の弾力性層4はまた、開口6に隣接する、孔5を含む。明確化のために、孔5は、何の目的も果たさない。孔5は、第1の弾力性層13の孔14、蓋筐体8の貫通孔23、またはガイド構造1のガイド要素2と整合されず、孔5は、ガスが容器アセンブリ200から逃散することを可能にしない。故に、容器アセンブリ200は、気密である。孔5は、同一の部分が、第1および第2の弾力性層13、4の両方としての使用のために製造され得るように、第2の弾力性層4においてのみ存在する。故に、孔5は、随意である。したがって、代替実施例では、第2の弾力性層4は、孔5を含まない。
【0071】
第1および第2の弾力性層13、4は、シリコーン等の弾力性材料から作製される。第1および第2の弾力性層13、4の弾力性材料は、容器アセンブリ200の内側の汚染および蒸発を低減させ、容器アセンブリ200内で混合することを可能にしないことによって、ガス濃度を所望のレベルに維持することに役立つことができる。
【0072】
第1および第2の弾力性13、4は、それらが変形後にそれらのサイズおよび形状を復元することが可能である点において弾力性である。例えば、下記により詳細に議論されるであろうように、開口15、6は、ピペット先端71(
図13参照)がそれを通して挿入されるときに開放するように構成される自己回復開口であり、開口15、6は、ピペット先端71がそれから除去されるときに自己回復および閉鎖するように構成される。
【0073】
本明細書に説明される構成における少なくとも2つの弾力性層(すなわち、第1および第2の弾力性層13、4)を使用することが、有利であり得る。例えば、底部弾力性層(例えば、第1の弾力性層13)は、サンプル容器18内のウェル61が滅菌性のために被覆された状態を保ち、蒸発を防止することができる。上部弾力性層(例えば、第2の弾力性層4)は、付加的滅菌性を提供することができ、蓋筐体8のヘッドスペース20(
図6参照)内のガス濃度を調整することに役立つように、蓋筐体8の上部をシールする(ピペット先端によって穿刺されないときは常に貫通孔23を被覆する)。いくつかの実施例では、任意の数の付加的層が、追加される利益(例えば、増加された滅菌性および/またはシール)のために使用されてもよい。
【0074】
滅菌層16は、セルロース膜または生体適合性であり、滅菌性を維持することが可能である任意の他の好適な層等の滅菌材料から作製される。例えば、滅菌層16は、微生物および水蒸気に対して透過性ではないように十分に小さく、ガスに対して透過性であるように十分に大きい細孔サイズを有する織物から作製されることができる。
【0075】
接着剤が、サンプル容器18の周の周囲に滅菌層16を固着させるために使用されることができる。例証的実施例として、接着剤は、アプリケータまたは類似する手段を使用して、滅菌層16またはサンプル容器18のいずれかに適用されることができる。いくつかの実施例では、滅菌層16全体が、サンプル容器18上に直接適用され得る接着剤である。
【0076】
滅菌層16は、サンプル容器18とマイクロバイオリアクタ100の培養チャンバ104との間の滅菌境界を提供する。有利なこととして、培養チャンバ104は、サンプル容器18のウェル61の内側の細胞培養液の汚染を防止するために常に滅菌状態に保たれる必要性はない。加えて、滅菌層16は、O2、N2、CO2、空気、および同等物等のガスに対して透過性でもありながら、蒸発を低減させることができる。
【0077】
滅菌層16は、(特に、下記に説明されるようなピペット先端による最初の穿刺に先立って)サンプル容器18のウェル61内の細胞培養液の汚染を防止する、または少なくとも低減させる際に有用であり、また、サンプル容器18のウェル61から出ないように蒸発を防止する、または少なくとも低減させる際に有用である。下記にさらに説明されるであろうように、サンプル容器18のウェル61からサンプルを採取する、またはそれに懸濁剤を添加するとき、ピペット先端71は、容器アセンブリ200の滅菌層16を穿刺する。
【0078】
ピペット先端71が滅菌層16を穿刺する結果からもたらされる孔は、上記に言及される滅菌層16によって提供される効果の一部を低減させ得るが、有効性における低減は、ピペット先端71が滅菌層16を穿刺することから生成される孔が比較的に小さい点において、軽減される。加えて、1つまたはそれを上回る弾力性層(例えば、滅菌層16の上方の第1および第2の弾力性層13、4)は、サンプル容器18内のウェル61(例えば、サンプルリザーバ)の上方のヘッドスペース20をシールすることに役立つことができる。1つまたはそれを上回る弾力性層はまた、滅菌層16が穿刺された後に汚染を低減させ、さらに、蒸発を低減させることに役立つことができる。
【0079】
加えて、1つまたはそれを上回る弾力性層は、サンプル容器18内のウェル61の上方のヘッドスペース20内の必要なガス濃度を制御および維持することを可能にする、気密シールを提供する。蓋筐体8は、ウェル61の上方にヘッドスペース20を提供し、細胞培養の間のガス交換を可能にするように構成される。いくつかの実施例では、蓋筐体8によって提供されるヘッドスペース20は、20mL~400mLに及ぶことができる。いくつかのさらなる実施例では、蓋筐体8によって提供されるヘッドスペース20は、さらに説明されるであろうように、パーティションを有し、マイクロフルイディクスを有するプレートと協働するように構成される第1のタイプのガス補給蓋に関して60mL~90mLに及ぶことができる。いくつかのさらなる実施例では、蓋筐体8によって提供されるヘッドスペース20は、さらに説明されるであろうように、いかなるマイクロフルイディクスも有していないプレートと協働するように構成され、したがって、パーティション化されない第2のタイプのガス補給蓋に関して80~120mLに及ぶことができる。
【0080】
図4および5に示されるように、蓋筐体8は、ガスが、サンプル容器18内のウェル61の上方のヘッドスペース20に進入し、それから退出することを可能にする、ガスポート11、12を含むことができる。例えば、ガスポート11は、入口ポートであってもよく、ガスポート12は、出口ポートであってもよい(または逆もまた同様である)。いくつかの実施例では、ガス入口ポートは、ヘッドスペース20へのガス混合物への供給のための所望の濃度を有するガス混合物を達成するために、2つまたはそれを上回るガス(例えば、酸素、二酸化炭素、および窒素)を混合する、デバイスに結合されてもよい。ガス出口ポートは、所望の流量(例えば、いったん所望の圧力が達成されると、ガス入口の流量に合致する)においてヘッドスペース20からガスを排気するために使用される。図示されないが、いくつかの実施例では、蓋筐体は、異なるガスのための複数の入口を含むことができる。例えば、これは、酸素、二酸化炭素、および窒素のための別個の入口を含んでもよい。
【0081】
図4および5に描写される実施例は、2つのガスポート、すなわち、ガス入口ポートおよびガス出口ポートを含むものとして蓋筐体8を示す。そのような実施例では、蓋アセンブリ8は、非マイクロ流体用途のために使用されることができる。蓋筐体8がマイクロ流体用途のために適合されるとき等の代替実施例では、蓋筐体8は、下記にさらに説明されるであろうように、リザーバウェルから培養ウェルへの試薬の流体流動を制御するように、リザーバウェルの上方の空間(そのような空間は、培養ウェルの上方のヘッドスペースからパーティション化される)に/から加圧ガスを導入または除去するための付加的ガスポートを含むことができる。本開示は、ある数のガスポートを開示するが、任意の好適な数のガスポートが、想定される。例えば、酸素のための入口ポート、CO
2のための入口ポート、窒素のための入口ポート、および同等物等の付加的ガスポートが、異なるガスのために含まれてもよい。
【0082】
いくつかの実施例では、ガスポートは、容器アセンブリ200が、ヘッドスペース20内で広い範囲の酸素濃度を可能にすることによって、極端な嫌気性から好気性の生物からの全範囲の細胞を培養するために使用され得るように、サンプル容器18内のウェル61の上方のヘッドスペース20が0%~100%に及ぶ酸素濃度を有することを可能にする。いくつかの実施例では、ガスポートは、ヘッドスペース20内の酸素濃度を0%~5%、0%~10%、または0%~20%のレベルに調節するために使用されることができる。
【0083】
蓋筐体8はまた、蓋筐体8をサンプル容器18に固着させ、シールするために、偏心レバー7と、シール機構9とを含む。偏心レバー7およびシール機構9は、下記により詳細に議論されるであろう。
【0084】
図8は、サンプル容器18の上面図である。
図8に示されるように、サンプル容器18は、列において配列される、複数のウェル61を含む。
図8に示される実施例では、サンプル容器18は、ユーザが48回の並列培養を実施することを可能にする、合計48個のウェルを含む。サンプル容器18のための代替サイズが、可能性として考えられる。例えば、サンプル容器18は、6、12、24、96、384、または1,536個のウェルのうちのいずれか、およびそれらの間の任意の数のウェル、または任意の好適な数のウェルを含むように定寸されてもよい。
【0085】
図8にさらに示されるように、サンプル容器18は、ウェル61を囲繞する、シール面17を含む。シール面17は、ともに連結され、ウェル61の周の周囲で半円形形状である、複数の湾曲した縁を含む。
【0086】
図9は、マイクロフルイディクスを伴うマイクロプレートのためにパーティション化される、蓋筐体8の第1の実施例の底面図である。
図10は、マイクロフルイディクスを伴うマイクロプレートのためにパーティション化される、蓋筐体8の実施例の底面等角図である。
図11は、サンプル容器18に対してマイクロフルイディクスを伴うマイクロプレートのためにパーティション化される、蓋筐体8の底面等角図である。
図9-11に示されるように、シール面35が、蓋筐体8の底部内面28から張出する。シール面35は、第1の弾力性層13(
図6もまた参照)に接触し、その上に押下するように構成され、これは、したがって、サンプル容器18のシール面17に対して圧縮させられ、それによって、蓋筐体8の内周とサンプル容器18との間に気密シールを形成する。これは、第1の弾力性層13のまた別の利点を図示する。
【0087】
シール面35は、第1および第2の陥凹エリア32、34に対して上昇される。シール面35は、第1および第2の陥凹エリア32、34と容器アセンブリ200の外部との間の境界構造として作用することができる。
【0088】
シール面35は、サンプル容器18のシール面17の形状に共形化し、シール面17の縁に沿って均一な圧力を印加する。シール面35は、内向きの侵入を殆ど伴わずにウェル61の縁を囲繞するように構成される。
【0089】
閾値量の圧力が、シール面17、35の間に気密シールを生成するために、蓋筐体8とサンプル容器18との間に必要とされる。シール面17、35の間の接触の表面積を増加させることは、気密シールを生成するために必要とされる閾値量の圧力を増加させ、これは、サンプル容器18の構造的完全性を損ない得る。シール面17、35の形状は、接触エリアをウェル61を囲繞する最適な領域に低減させ、これは、蓋筐体8とサンプル容器18との間に気密シールを形成するために必要とされる閾値量の圧力を最小限にする。
【0090】
いくつかの実施例では、サンプル容器18は、マイクロ流体サンプル容器である。そのような実施例では、サンプル容器18(
図8参照)の列AおよびBは、マイクロ流体圧送プロセスを介して給送される培養のための細胞を有する他のウェルの中に給送し得る、リザーバウェル(例えば、培地、試薬、栄養素、pH調整液、または任意の他の好適な液体を含有するウェル)としての役割を果たすことができる。具体的性質を伴う雰囲気が、培養のために使用されるウェル61(本明細書では「培養ウェル」と称される)内に生産されるべきであるが、圧力が、圧送プロセスが実行され得るように、リザーバウェルに印加される必要があり得る。すなわち、加圧ガス(例えば、窒素)が、下記にさらに説明されるであろうように、リザーバウェルの上方の空間の中に導入され、圧力を増加させ、それによって、流体をマイクロ流体チャネルを介してリザーバウェルから培養ウェルの中に運搬させてもよい。培養ウェルの上方のヘッドスペース内の所望の圧力およびガス濃度を維持するために、サンプル容器18のこれらの領域は、分離される必要性がある。したがって、パーティション33が、
図9-11に示されるように、第1および第2の陥凹エリア32、34を分離するために使用される。
【0091】
図9-11に示されるように、パーティション33は、蓋筐体8の底部内面28上にあり、相互から密閉されるウェル61の別個の区分を生成する。いくつかの実施例では、シール面35およびパーティション33は、相互と連続的である。
【0092】
例証的実施例として、パーティション33は、培養ウェルのために指定される第1の陥凹エリア32(明確化のために、第1の陥凹エリア32は、培養ウェルの上方のヘッドスペース20を画定するものである)を画定することができ、さらに、リザーバウェルのために指定される第2の陥凹エリア34を画定する。
【0093】
2つの別個の陥凹エリアが、本実施例に示されるが、蓋筐体8は、ウェル61をさらに細分化するための付加的パーティションを含んでもよい。例えば、酸素等の第1の濃度のガスを必要とする培養のためのウェルの第1のセットが、第1の濃度と異なる第2の濃度のガス(例えば、酸素)を必要とする培養のためのウェルの第2のセットから別のパーティションによって細分化されてもよい。
【0094】
シール面35およびパーティション33は、第1の弾力性層13を圧縮し、それによって、所望のレベルのシールを提供するために、第1の弾力性層13に対して押圧され得る、リジッド材料から作製される。いくつかの実施例では、シール面35およびパーティション33は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のリジッドポリマー材料から作製される。
【0095】
図9に提供される実施例に示されるように、蓋筐体8は、それぞれ、
図4および5に示されるガスポート11、12に個別に接続される、2つの開口部36、37を含む。これらの開口部のうちの一方は、ガスを給送するための入口であり、他方の開口部は、ガスを交換するための出口である。開口部36、37は、第1の陥凹エリア32内に提供され、したがって、サンプル容器18内の培養ウェルに制御された濃度の空気、酸素、窒素、またはCO
2を伴うガスを給送するために使用されることができる。いくつかの実施例では、本ガスは、所望のレベルまで加湿されてもよい。第3の開口部38が、第2の陥凹エリア34内に提供され、リザーバウェルの上方のヘッドスペースを加圧し、したがって、リザーバウェルからの液体をマイクロ流体チャネルを介して培養ウェルの中に移動させるように、サンプル容器18内のリザーバウェルに加圧ガスを給送するために、蓋筐体8上の第3のガスポート25(
図23参照)に接続されることができる。本実施例では、蓋アセンブリ8は、マイクロ流体用途のために構成される。
【0096】
蓋筐体8は、サンプル容器18を環境的にシールする。細胞培養のための所望の雰囲気を形成する混合ガスは、蓋筐体8の下に誘導され、ウェル61にわたって通過する。サンプル容器18がサンプル容器18内の培養ウェルに給送するためのリザーバウェルを含む場合では、リザーバウェルは、蓋筐体8のパーティション33を使用して、培養ウェルから密閉されることができる。
【0097】
パーティション33は、リザーバウェルの上に印加される圧力が、微生物培養液を培養するために使用されるウェルの上に印加される圧力と異なることを可能にする。パーティション33はまた、リザーバウェルにわたるガスと培養ウェル内の成分との混合を防止することを可能にし、したがって、培養ウェルの上方のヘッドスペース内のガスが調整されることを可能にする。
【0098】
依然として
図9-11を参照すると、蓋筐体8は、第1の弾力性層13が培養の間に規定された限界を超えて変形しないことを確実にするように、サンプル容器18を被覆する第1の弾力性層13上に押下する1つまたはそれを上回る支柱30を含むことができる。例えば、第1の弾力性層13は、これがある閾値を上回る熱およびガスに暴露されるとき、拡張し、したがって、外向き方向に変形しやすくあり得る(一時的または恒久的のいずれか)材料から作製されることができる。支柱30は、第1の陥凹エリア32内の底部内面28から張出し、これは、細胞培養のために構成されるウェル61を被覆する。支柱30は、ウェル61に向かって延在し、第1の弾力性層13が、培養の間にウェル61を含む全体としてのシステムから放出される熱、ガス、または他の力に起因して、上向きに(例えば、閾値量を超えて)変形および押動しないように防止することに役立つ。いくつかの実施例では、支柱30は、パーティション33またはシール面35と同程度に遠くまで延在せず、したがって、シールが形成されるとき、弾力性層13に触れない、またはそれに対して押動しない。むしろ、支柱30は、弾力性層13が閾値量を上回って変形するときにのみ触れ得る。
【0099】
図9-11は、蓋筐体8の底部内面28上の2つの支柱を示すが、代替実施例では、蓋筐体8は、1つのみの支柱を含んでもよい、または2つを上回る支柱を含んでもよい。したがって、
図9および10に示される支柱30の配列は、例証的実施例として提供され、蓋筐体8は、本特定の配列に限定されない。
【0100】
図12は、蓋筐体8の別の実施例の底面図である。本実施例では、蓋筐体8の底部内面は、蓋筐体8の底部内面上に単一の陥凹エリア42のみが存在するように、
図9-11に示されるパーティション33を含まない。シール面45が、陥凹エリア42を囲繞する。シール面45は、シール面35と実質的に類似する、または同一である。本実施例では、蓋筐体8の底部内面は、陥凹エリア42から張出する、4つの支柱40を含む。
【0101】
図12に図示される実施例では、蓋筐体8は、
図4および5に示されるガスポート11、12に接続される、2つの開口部36、37を含む。開口部36、37は、それぞれ、入口ガスポートおよび出口ガスポート(例えば、ガスポート11、12)のうちの一方に対応し、単一の陥凹エリア42内に提供される。開口部36、37は、制御された濃度の空気、酸素、窒素、またはCO
2を伴うガスを培養ウェルに給送し、ガスを排気するために使用されることができる。本実施例では、蓋アセンブリ8は、非マイクロ流体用途のために構成される。
【0102】
図13は、蓋筐体8のガイド要素2を通して挿入されるピペット先端71を示す、容器アセンブリ200の断面図である。本実施例では、ピペット操作ロボット70が、ピペット先端71の移動を制御する。
図14は、ピペット先端71が容器アセンブリ200から除去された後の容器アセンブリ200の断面図である。
【0103】
ピペット操作ロボット70は、ピペット先端71の移動を制御するために説明されるが、本明細書の開示は、サンプル容器18のウェル61から流体をサンプリングし、その中に流体を導入することもまた、手動で実施され得ることを想定する。例えば、ユーザは、1つまたはそれを上回るウェル61から流体をサンプリングする、または1つまたはそれを上回るウェル61の中に流体を導入するために、1つまたはそれを上回るウェル61の中に1つまたはそれを上回るピペット先端71を手動で挿入してもよい。
【0104】
図13および14に示されるように、ガイド要素2は、それぞれ、サンプル容器18内の具体的場所(例えば、ウェル61)に向かってピペット先端71を誘導することに役立ち得る、中空内部部分60を画定する。いくつかの実施例では、中空内部部分60は、容器アセンブリ200の種々の層およびコンポーネントを通してピペット先端71を誘導することに役立つために、円錐形または円錐台形形状を有する。これは、特に、培養および/または発酵の間に培養チャンバ104の内側にあるときにマイクロバイオリアクタ100による容器アセンブリ200の攪拌または振盪の間にピペット先端71が挿入および除去されるときに有利である。
【0105】
容器アセンブリ200の軌道振盪運動の間、ピペット先端71は、所望のウェルの上方のガイド要素2の中に挿入されてもよい。中空内部部分60の直径が、培養チャンバ104の内側の攪拌(例えば、振盪)直径よりも小さくなるとすぐに、ピペット先端71とガイド要素2との間の直接接触が、存在する。ピペット先端71およびピペット操作ロボット70への接続の可撓性に起因して、ピペット先端71は、ガイド要素2の最も狭い部分に、最終的に、ガイド要素2を通して誘導される。その後、ピペット先端71は、容器アセンブリ200の種々の層およびコンポーネントを通して押動され、サンプル容器18のウェル61に到達することができる。
【0106】
例えば、ピペット先端71は、これが滅菌層16に到達するまで、第2の弾力性層4の開口6、蓋筐体8の貫通孔23、および第1の弾力性層13の開口15を通して通過することができる。ピペット先端71は、滅菌層16内の孔を穿刺し、その後、サンプル容器18上のウェル61に到達するように十分にリジッドである。故に、ガイド要素2、蓋筐体8の貫通孔23、および種々の層は、サンプル容器18にわたる定常場所にピペット先端71の端部を正確に位置付ける役割を果たし得、孔のサイズは、孔がサンプル容器18の振盪に起因して拡大されないように、サンプル容器18が振盪される際にピペット先端71のサイズに限定されることができ、故に、ピペット先端71がそれを通して通過することから形成される孔のサイズは、最小限にされる。
【0107】
さらに、ガイド要素2によるピペット先端71の正確な位置付けは、滅菌層16が、ピペット先端71の複数の挿入の間に同一のウェルにわたる複数の場所において穿刺されないことを確実にする。これは、単一の実験が、単一のウェルにわたる数百回のピペット操作先端挿入を含み得、同一のウェルにわたる滅菌層16内の複数の孔が、汚染のリスクを増加させ得るため、有利な特徴である。
【0108】
マイクロバイオリアクタ100は、軌道方式において容器アセンブリ200を移動させるように構成される、アクチュエータシステムを含む。連続的振盪は、ウェル61の通気を改良し、ウェルの内側の沈降を防止する。したがって、ウェルの中への、またはウェルから外へのピペット操作の間に振盪を中断することは、望ましくない。第1および第2の弾力性層13、4の開口15、6が摩耗しないように防止するために、ピペット先端71は、開口15、6の側面を害することを回避するために、開口15、6の中間に衝突しなければならない。
【0109】
ピペット先端71を蓋筐体8内の貫通孔23および第1および第2の弾力性層13、4内の開口15、6の中間に誘導するために、ピペット先端71は、ガイド構造1のガイド要素2によって誘導される。ガイド要素2は、ピペット先端71を貫通孔23および開口15、6の中間に誘導し、ピペット先端71を容器アセンブリ200の攪拌の間に本場所に心合された状態に保つための漏斗のように作用する。ピペット先端71が開口15、6から除去された後、開口は、第1および第2の弾力性層13、4の弾性性質を通してそれらだけで閉鎖する。
【0110】
いくつかの実施例では、マイクロバイオリアクタ100のアクチュエータシステムは、600RPM~1,000RPMの範囲内であり、1~6mmの攪拌直径を伴う軌道方式において容器アセンブリ200を移動させるように構成される。いくつかのさらなる実施例では、マイクロバイオリアクタ100のアクチュエータシステムは、600RPM~800RPMの範囲内であり、1~5mmの攪拌直径を伴う軌道方式において容器アセンブリ200を移動させるように構成される。いくつかのさらなる実施例では、マイクロバイオリアクタ100のアクチュエータシステムは、100RPM~1,000RPMの範囲内であり、1~5mmの攪拌直径を伴う軌道方式において容器アセンブリ200を移動させるように構成される。いくつかのさらなる実施例では、マイクロバイオリアクタ100のアクチュエータシステムは、600RPM~800RPMの範囲内であり、3mmの攪拌直径を伴う軌道方式において容器アセンブリ200を移動させるように構成される。いくつかのさらなる実施例では、マイクロバイオリアクタ100のアクチュエータシステムは、100RPM~2,000RPMの範囲内であり、1~30mmの攪拌直径を伴う軌道方式において容器アセンブリ200を移動させるように構成される。
【0111】
滅菌層16がピペット先端71によって穿刺された後、第1の弾力性層13は、サンプル容器18のウェル61にわたってシールを維持する。例えば、第1の弾力性層13は、ウェル61のそれぞれにわたって開口15を含み、開口15は、それらがピペット先端71によって貫通されないときにそれら自体で自動的にシールし得る点において、「自己回復」する。
【0112】
第1および第2の弾力性層13、4は、任意の好適な弾力性および応従性材料から作製されることができる。いくつかの実施例では、第1および第2の弾力性層13、4は、好適な弾力性および応従性を提供する、シリコーンフィルムである。代替として、第1および第2の弾力性層13、4は、軟質ポリマーまたは軟化剤と配合される硬質ポリマーから作製されることができる。
【0113】
ピペット先端71は、上記に説明されるガイド要素2によって第1の弾力性層13の開口15の中に精密に誘導される。開口15はそれぞれ、該ピペット先端71が、滅菌層16を穿刺し、
図13に示されるようにウェル61の中に浸漬し得るように、ピペット先端71の圧力に起因して開放する。ピペット操作手順が終了した後、ピペット先端71は、ウェル61から引き抜かれる。ピペット先端71によって付与される圧力を伴わないと、第1の弾力性層13の開口15は、ガス密様式において自然に閉鎖し、したがって、損傷されるときに滅菌層16にわたってシールを提供する。
【0114】
図13および14は、第1および第2の弾力性層13、4の開口15の自己回復性質を示す。
図13では、開口15は、6は、ピペット先端71が挿入されるときに開放され、
図14では、開口15、6は、ピペット先端71が除去された後に閉鎖される。
【0115】
貫通孔23は、ガスを蓋筐体8のヘッドスペース20から漏出させ得る。したがって、第2の弾力性層4は、蓋筐体8の貫通孔23にわたって適用される。いくつかの実施例では、第2の弾力性層4は、少なくとも1つの側上で自己接着性である。
【0116】
第2の弾力性層4の開口6は、蓋筐体8の各個別の貫通孔23の上方に整合される。開口6は、開口15のように、それらが、ピペット先端71がそれを通して押動されるときに開放するように構成され、ピペット操作手順後、開口6が、ヘッドスペース20をシールするように自然に閉鎖するように、自己回復する。
【0117】
図15は、開放条件におけるシール機構9を示す、断面図である。
図16は、閉鎖条件におけるシール機構9を示す、断面図である。シール機構9は、サンプル容器18を損傷させることなく、蓋筐体8とサンプル容器18との間に気密シールを生成するために十分な量の圧力を伴ってサンプル容器18上に蓋筐体8を押圧するように構成される。
【0118】
シール機構9は、圧入接続によってシール機構9の内側に搭載される、押圧スリーブ82を含む。押圧スリーブ82は、シール機構9の内側のボールスリーブ81と垂直に整合される。ボールスリーブ81は、半径方向に誘導されるボール83に係合する肩部87において終端する。肩部87の垂直位置に基づいて、半径方向に誘導されるボール83は、蓋筐体8と基部支柱85(
図19参照)との間のシールを開放または閉鎖する。
【0119】
ボールスリーブ81は、開放位置に押下されるようにばね80によって付勢される。偏心レバー7が作動されると、肩部87は、引き上げられる。押圧スリーブ82の直径は、半径方向に誘導されるボール83が上向きに引動されるときに減少され、これは、半径方向に誘導されるボール83を軌道振盪プラットフォーム180(
図19および21参照)の基部支柱85の溝88に向かって半径方向に変位させる。これは、蓋筐体8と基部支柱85との間の形態嵌合を生産し、それによって、蓋筐体8を基部支柱85に取り付ける。
【0120】
加えて、シール機構9は、蓋筐体8をサンプル容器18上に押圧させ、サンプル容器18がマイクロバイオリアクタ100の培養チャンバ104の内側に保持されるとき、サンプル容器18の上方にシールされたガス雰囲気を生成する。発生されたトルクに起因して、偏心レバー7は、閉鎖位置において自己係止する。
【0121】
偏心レバー7が、閉鎖位置から開放位置に移動するように動作されると、半径方向に誘導されるボール83は、下向きに押動され、そこで、押圧スリーブ82の直径は、半径方向に誘導されるボール83が、溝88から離れるように半径方向に拡張し、基部支柱85から蓋筐体8を解放するように、増加される。したがって、シール機構9は、蓋筐体8を基部支柱85に取り付け、それから取り外し、かつサンプル容器18上に蓋筐体8を押圧し、それからこれを解放するための容易な方法を提供する。
【0122】
蓋筐体8が、サンプル容器18上に押圧されると、シールが、蓋筐体8の内側のシール面35およびパーティション33およびサンプル容器18上のシール面17の幾何学的に一意の上昇によって、蓋筐体8とサンプル容器18との間に生成される。シール面17、35の形状は、サンプル容器18上に蓋筐体8を押圧するために必要とされるシール機構9および偏心レバー7からの圧力を低減させ、蓋筐体8が、サンプル容器18を損傷させることなく、ガス密様式においてサンプル容器18をシールすることを可能にする。
【0123】
図17は、蓋筐体8およびサンプル容器18の断面図である。蓋筐体8はさらに、サンプル容器18の外部側壁に対して係合し、それ自体を圧縮し、蓋筐体8とサンプル容器18との間の別のシールを提供する、シール90を含むことができる。シール90は、サンプル容器がマイクロバイオリアクタ100の培養チャンバ104の中に挿入される前に、ガスがサンプル容器18に進入しない、またはそれから逃散しないように遮断する、嫌気性シールであり得る。例えば、いくつかの事例では、容器アセンブリ200が、嫌気性チャンバとしての使用のために構成されるように、サンプル容器18の内側の酸素のない雰囲気に関する必要性が、存在し得る。シール90は、酸素がサンプル容器18のウェル61に進入しないように防止することができる。
【0124】
前述を考慮して、サンプルが、嫌気性テント内でサンプル容器18に添加されることができ、サンプル容器18は、培養および/またはさらなる作業のために、容器アセンブリ200が、嫌気性テントの外側に位置し得る、マイクロバイオリアクタ100に持ち込まれる前に、蓋筐体8を用いてシールされることができる。これは、これが、ユーザが、特殊な機器を伴わずに自由に培養液を用いて作業することを可能にする点において有利であり、さらに、マイクロバイオリアクタが、嫌気性テント内に位置付けられることを必要とせず、それによって、よりアクセス可能であり得る点において有利である。故に、サンプル容器18と蓋筐体8との間の嫌気性シールは、開放空気環境における容器アセンブリ200の容易な輸送を可能にする。
【0125】
図18は、容器アセンブリ200の解放ピン19を示す、断面図である。
図18に示されるように、解放ピン19は、それぞれ、Oリング24によってシールされ、サンプル容器18から蓋筐体8を解放するために使用されることができる。例えば、サンプル容器18は、蓋筐体8を保持し、解放ピン19に対して圧力を付与し、蓋筐体8から外にサンプル容器18を押動または射出することによって、蓋筐体8から解放されることができる。
【0126】
図19-21は、非マイクロ流体用途のために構成される、容器アセンブリ200の実施例を示す。本実施例では、容器アセンブリ200は、2つの偏心レバー7を有する。
図19は、軌道振盪プラットフォーム180に搭載される、容器アセンブリ200を示し、
図20は、マイクロ流体ガスチャネル151への接続を伴わない軌道振盪プラットフォーム180に搭載される、容器アセンブリ200の断面図を示し、
図21は、容器アセンブリ200がそれに搭載されないときの軌道振盪プラットフォーム180を示す。
【0127】
図22-24は、マイクロ流体用途のための3つのガスポート11、12、25を含む、容器アセンブリ200’の実施例の図を示す。
図22は、軌道振盪プラットフォーム190に搭載される、容器アセンブリ200’を示し、
図23は、マイクロ流体ガスチャネル151への接続を伴う軌道振盪プラットフォーム190に搭載される、容器アセンブリ200’の断面図を示し、
図24は、容器アセンブリ200’がそれに搭載されないときの軌道振盪プラットフォーム190を示す。本実施例では、レバーが、側面上でオフセットされるため、3つの偏心レバー7が、容器アセンブリ200’上に提供される。第3のレバーを提供することによって、圧力が、アセンブリ全体の周囲に均一に分配されることができる。そうでなければ、オフセットされるレバーは、圧力を均一に分配しないであろう。
【0128】
マイクロ流体ガスチャネル151は、培養ウェルの中に給送されるリザーバウェル内の試薬の流動を制御する、マイクロ流体弁を動作させるために使用される。マイクロ流体ガスチャネル151は、マイクロ流体弁が、圧力がそれらに印加されるときに閉鎖され、いかなる圧力も印加されないときに開放されるように、マイクロ流体弁を加圧するために使用される。マイクロ流体弁が開放および閉鎖される具体的順序を通して、定義された体積の試薬が、培養ウェルの中に給送されることができる。いくつかの実施例では、マイクロ流体弁のそれぞれを個々に制御する、96個のマイクロ流体ガスチャネル151が、存在する。本技術は、2015年1月13日に発行され、「Microreactor Array, Device Comprising a Microreactor Array, and Method for Using a Microreactor Array」と題された米国特許第8,932,544号(その全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる)により詳細に説明されている。
【0129】
図33は、加圧ガス3310が、リザーバウェル3302の上方のヘッドスペースを加圧し、リザーバウェル3302からの液体を流体ダクト3306の中に下に移動させる、マイクロ流体弁構成3300を図示する。マイクロ流体ガスチャネル151から加圧ガス3312を給送する制御されたシーケンスは、流体ダクト3306に沿ったマイクロ流体弁3308を開放および閉鎖させる。マイクロ流体弁3308の開放および閉鎖は、液体を、これが培養ウェル3304に到達するまで、流体ダクト3306を横断して移動させる。
【0130】
微生物培養液は、成長するためのガス雰囲気を要求する。殆どの細胞に関して、酸素は、雰囲気の重要な成分である。しかしながら、純酸素は、生物にとって毒性があり得、したがって、これは、多くの場合、様々な濃度の酸素を伴う空気のような雰囲気を生成するために、窒素で希釈される。雰囲気からのCO2は、pHを調節するために、または光合成を行う光栄養生物のための炭素源として使用されることができる。容器アセンブリ200は、空気、酸素、窒素、およびCO2の混合物を有する、ウェル61のための雰囲気を提供するために使用されることができる。
【0131】
上記に列挙されるガスは、実験の間に混合されることができる。いくつかの実施例では、ガスのうちの2つが、混合されることができる。例えば、雰囲気の酸素濃度を増加させるために、空気が、酸素と混合されることができる。雰囲気の酸素濃度を減少させるために、空気が、窒素と混合されることができる。雰囲気のCO2濃度を増加させるために、空気が、CO2と混合されることができる。いくつかの実施例では、2つのみのガスが、一度に混合される。代替実施例では、2つを上回るガスが、混合されることができる。
【0132】
上記の実施例では、混合物は、各弁が開放または閉鎖される時間の間の比を設定するために、パルス幅変調(PWM)信号を用いて制御される2つまたはそれを上回る弁によって生成される。ガスは、ガス入口ポート(例えば、例示的図におけるガスポート11、12のうちの1つ)を通して給送される。弁が開放される時間が長いほど、弁を通過し得るガスの濃度は、高くなる。ガスが混合された後、センサが、雰囲気中の酸素またはCO2レベルを測定することができる。制御フィードバックは、所定の値に到達するように、それに応じてPWM信号を調節し得るコントローラである。
【0133】
サンプル容器18内の液体の損失を回避するために、蓋筐体8を通して容器アセンブリ200の中に導入されたガスは、湿度で飽和されることができる。これは、細胞培養専用のウェル61内の培地の蒸発を防止する。したがって、ガスポート11、12、25のうちの1つまたはそれを上回るものを通して最終的に給送されるガス流は、ガス流を加湿するように、その流動に沿った好適な点において(例えば、ガスの源と入口ガスポートとの間のある点において)水(またはガス流を加湿するためのある他の好適な液体)で充填されたリザーバを通して導かれ得る。例えば、ガス入口ポート(例えば、ガスポート11、12のうちの1つ)の中に給送されるガス流は、1つまたはそれを上回るガス源(例えば、ガスキャニスタ)において生じ得、別のガスと混合されることができ、次いで、水リザーバを通して通過し、最終的に、ガス入口ポートの中に給送されることができる。いくつかの実施例では、管が、これが水を通して通過する必要性があるように、ガス流をリザーバの底部に誘導してもよい。リザーバ内の水の吸収を最大限にするために、これは、熱パッドによって、室温を十分に上回って設定された温度まで加熱される。いくつかの実施例では、付加的ガスポート25(リザーバウェルの上方の空間の中に加圧ガスを給送する)は、類似するプロセスによって加湿されてもよい。他の実施例では、付加的ガスポート25は、加湿されなくてもよい。
【0134】
図25は、マイクロバイオリアクタ100のコンピュータ制御システム2500の実施例を図式的に示す。
図25に示されるように、コンピュータ制御システム2500は、上記に説明されるように、マイクロバイオリアクタ100の動作を制御するために動作的に結合される、コンピュータコントローラ240を含む。コンピュータコントローラ240は、したがって、上記に説明される機能性を実行するために、ガス供給源、ガス弁、センサ、アクチュエータ、およびピペット操作ロボット(集合的に、242)に動作的に結合される。コンピュータコントローラ240はまた、コンピュータコントローラ240によって実行されると、コンピュータコントローラ240に、上記に言及される機能性を実行させる、コンピュータプログラム製品を有形かつ非一過性様式において記憶する、コンピュータ記憶媒体を備える。
【0135】
別の実施形態は、少なくとも1つの処理デバイス(コンピュータコントローラ240のプロセッサ等)によって実行されると、少なくとも1つの処理デバイスに、上記に言及される機能性のうちの1つまたはそれを上回るものを実行させる、データ命令を記憶する、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体を含む。例えば、一実施形態は、少なくとも1つの処理デバイスによって実行されると、少なくとも1つの処理デバイスに、ガス補給蓋を有するサンプル容器アセンブリと関連付けられる測定パラメータを感知させ、感知された測定パラメータを処理させ、処理された測定パラメータに基づいて、ガス補給蓋への少なくとも1つのガスのガス供給源を制御させる、データ命令を記憶する、少なくとも1つのコンピュータ可読媒体を含む。
【0136】
図26は、マイクロバイオリアクタ100の機械的システム2600の実施例の等角図である。機械的システム2600は、容器アセンブリ200がマイクロバイオリアクタ100の培養チャンバ104の内側に保持されるとき、容器アセンブリ200の下に光学センサ2602を位置付けるために、マイクロバイオリアクタ100によって使用されてもよい。
【0137】
光学センサ2602は、各ウェル内の細胞培養液の測定値を取得するために、サンプル容器18の各ウェル61の下で、またはサンプル容器18のウェル61のサブセットの下で移動される。光学センサ2602の移動は、2つの垂直軸(例えば、XおよびY軸)に沿って機械的システム2600によって制御される。XおよびY軸に沿って光学センサ2602を移動させることは、光学センサ2602が、サンプル容器18の各ウェル61の下に位置付けられ、光で各ウェル61を照明し、ウェル61から戻るように返される散乱光を受光し、バイオマス、pH、溶存酸素(DO)、および蛍光等の1つまたはそれを上回るパラメータの測定値を取得することを可能にする。
【0138】
第1のモータ2604が、Y軸に平行なシャフト2608に沿って摺動するようにアクチュエータ2606に動力供給し、Y軸に沿った光学センサ2602の位置を制御する。アクチュエータ2606は、X軸に平行であり、光学センサ2602に接続される、シャフト2610を担持する。アクチュエータ2606は、シャフト2618に沿って光学センサ2602を移動させ、それによって、Y軸に沿った光学センサ2602の位置を制御するように構成される。
【0139】
第2のモータ2612が、X軸に平行なシャフト2616に沿って摺動するようにアクチュエータ2614に動力供給し、X軸に沿った光学センサ2602の位置を制御する。アクチュエータ2614は、シャフト2618を介して光学センサ2602に接続され、シャフト2610に沿って光学センサ2602を移動させ、それによって、X軸に沿った光学センサ2602の位置を制御する。
【0140】
いくつかの実施例では、第1および第2のモータ2604、2612は、ステップモータである。
図26に示される実施例では、第1および第2のモータ2604、2612は、それぞれ、ベルト2620、2622を引動し、垂直軸に沿ったアクチュエータ2606、2614の移動を制御する。各ウェル61の下に光学センサ2602を位置付けるために、垂直軸に沿って光学センサ2602を移動させるための代替実施例が、想定される。
【0141】
図27は、マイクロバイオリアクタ100の培養チャンバ104を照明するために使用され得る、発光ダイオードアレイモジュール(LAM)2700の等角図である。LAM2700は、アドオンモジュールであり得る。LAM2700からの照明は、明るい日光に類似する。光のスペクトル組成は、変動されることができる。LAM2700は、マイクロバイオリアクタ100内の光栄養微生物の高処理能力培養を可能にする。
【0142】
LAM2700は、筐体2702を含む。いくつかの実施例では、筐体2702は、アルミニウムから作製される。いくつかの実施例では、筐体2702は、約35cm×26cm×9.75cmの寸法である。筐体2702のための代替材料およびサイズ測定値も、可能性として考えられる。
【0143】
図28は、マイクロバイオリアクタ100の下に搭載される、LAM2700の底面等角図である。
図29は、LAM2700の概略図である。ここで
図28および29を参照すると、LAM2700は、マイクロバイオリアクタ100の培養チャンバ104の内側の軌道振盪プラットフォーム180、190(例えば、振盪器)上に設置される、サンプル容器18(例えば、マイクロプレートまたはマイクロタイタプレート)の底部を均質に照明するように構成される。
【0144】
LAM2700は、培養チャンバ104を照明するための光を放出する、発光ダイオード(LED)2710のアレイを含み、光を集束させるためのレンズ2712と、光がそれを通して通過することを可能にし、LED2710のアレイおよびレンズ2712を含む、LAM2700の内部コンポーネントを保護する、透明石英板2714とを含むことができる。
【0145】
LED2710は、経時的に相当な量の熱を発生させ得る。したがって、LAM2700は、LAM2700および/またはマイクロバイオリアクタ100の培養チャンバ104を冷却するために使用され得る、冷却プレート2716(
図30参照)を含む。
【0146】
図30は、冷却プレート2716の等角図である。ここで
図27および30を参照すると、冷却プレート2716は、出口2706を通して退出する前にLAM2700を冷却するために、コイル2718を通して流れる液体冷却剤(例えば、水)を受容する、入口2704を含む。コイル2718は、コイル2718の表面積を増加させ、それによって、これを通して流れる液体冷却剤の冷却効果を増加させるために、蛇行形状を有することができる。
【0147】
図31は、サンプル容器18(例えば、マイクロプレートまたはマイクロタイタプレート)を冷却するように適合される、蓋筐体8の実施例の底面等角図である。
図32は、蓋筐体8の上面等角図である。本実施例では、蓋筐体8(例えば、ガス補給蓋)は、一方の端部上でガイド要素2に接続し、サンプル容器18のウェル61の間の間隙62(
図8参照)の中に下向きに延在する、冷却ピン29を含む。冷却ピン29およびガイド要素2は、伝導性材料から作製されることができ、したがって、サンプル容器18から熱を奪い、これを容器アセンブリ200の外側の周囲空気に拡散させるための熱シンクとして作用することができる。いくつかの実施例では、熱をより迅速に放散させ、冷却ピン29とサンプル容器18との間の熱接触を改良するために、サンプル容器18のウェル61の間の間隙62は、脱塩水等の液体で充填されることができる。
【0148】
したがって、冷却ピン29は、サンプル容器18と培養チャンバ104の上側部分内の十分に予熱された空気との間の熱交換を生成することができると同時に、ピペット先端71のためのガイドとしての役割を果たす。冷却ピン29は、サンプル容器18の内側の温度を許容可能なレベルに維持することができ、それは、サンプル容器18内で均一に分配される。また、冷却ピン29は、培養チャンバ104の上側および下側部分の内側の温度を許容可能なレベルに維持することに役立つことができる。
【0149】
図34は、容器アセンブリ200を使用して実施され得る、嫌気性培養の方法3400の実施例を図示する。方法3400は、嫌気性環境内にある間、培養ウェルの上方のヘッドスペース内の酸素濃度を、閾値量を下回る所定の酸素範囲(例えば、0%~5%、0%~10%、その間の任意の範囲)に調節する動作3402を含む。次に、方法3400は、容器アセンブリ200をシールする動作3404を含む。上記に説明される実施例によると、容器アセンブリ200は、偏心レバー7を使用してシールされることができる。
【0150】
方法3400は、次に、容器アセンブリ200の種々の層およびコンポーネントを通して培養ウェルからサンプリングする動作3406を含む。例えば、ピペット先端71が、滅菌層16を穿刺し、サンプル容器18の培養ウェルからサンプルを取得し得るように、ピペット先端71が、ガイド要素2を通して、第2の弾力性層4の開口6を通して、蓋筐体8の貫通孔23を通して、かつ第1の弾力性層13の開口15を通して挿入されることができる。いくつかの実施例では、ピペット先端71は、ピペット操作ロボット70によって動作されることができる。代替として、ピペット先端71は、手で動作されることができる。動作3406は、容器アセンブリ200が、動作3402によって設定されるように、培養ウェルの上方のヘッドスペース内の嫌気性雰囲気を維持する間に実施されることができる。
【0151】
いくつかの実施例では、方法3400は、容器アセンブリ200の種々の層およびコンポーネントを通して培養ウェルに試薬、培地、またはpHを添加する動作3408を含むことができる。例えば、ピペット先端71が、培養ウェルに試薬、培地、またはpHを添加するために、動作3406に関して上記に提供される説明に従って挿入されることができる。動作3406は、容器アセンブリ200が培養ウェルの上方のヘッドスペース内の嫌気性雰囲気を維持する間に実施されることができる。
【0152】
いくつかの実施例では、方法3400は、統合されたマイクロフルイディクスを介してリザーバウェルから培養ウェルに試薬、培地、またはpH調節溶液等の液体を給送し、培養ウェルに給送する、または培養ウェル内のpHを調節する動作3410を含むことができる。動作3410は、サンプル容器18が軌道振盪プラットフォーム180、190等の上のマイクロフルイディクスと統合される実施例において実施されることができる。
【0153】
図35は、容器アセンブリ200を使用して実施され得る、嫌気性培養の方法3500の別の実施例を図示する。方法3500は、サンプル容器18(例えば、マイクロタイタプレートまたはマイクロプレート)のウェル61に嫌気性環境内で細胞および培地を装填する動作3502を含む。いくつかの実施例では、嫌気性環境は、非常に低い酸素濃度を有する嫌気性テントである。
【0154】
次に、方法3500は、シール90を使用してサンプル容器18上に蓋筐体8をシールする動作3504を含む。上記に説明されるように、シール90は、酸素がサンプル容器18のウェル61に進入しないように防止する。
【0155】
次に、方法3500は、容器アセンブリ200を嫌気性環境の外側の非嫌気性環境に持ち込む動作3506を含む。いくつかの実施例では、非嫌気性環境は、実験室の通常の環境等の嫌気性テントの外側にある環境を指す。いくつかの実施例では、非嫌気性環境は、マイクロバイオリアクタ100が位置する場所である。
【0156】
次に、方法3500は、マイクロバイオリアクタ100の培養チャンバ104の中に容器アセンブリ200を設置し、偏心レバー7とともにシール機構9を使用して容器アセンブリをシールする動作3508を含む。
【0157】
次に、方法3500は、培養チャンバ104の内側の容器アセンブリ200を連続的または半連続的に攪拌する動作3510を含む。例えば、容器アセンブリ200は、その上に容器アセンブリ200が着座する、または取り付けられる、軌道振盪プラットフォーム180、190の運動によって攪拌されることができる。
【0158】
次に、方法3500は、培養ウェル内の液体の一部を除去すること等によって、ピペット先端71を用いて容器アセンブリ200の内側の培養ウェルをサンプリングする動作3512を含むことができる。動作3512は、容器アセンブリ200が攪拌されている間に実施されることができる(動作3510参照)。いくつかの実施例では、ピペット先端71は、ピペット操作ロボット70によって動作される。代替として、ピペット先端71は、単独で、またはマルチピペットツールを使用してのいずれかで、手で動作されることができる。動作3512は、方法3400に関して上記に説明される動作3406に類似し得る。
【0159】
次に、方法3500は、ピペット先端71を用いて培養ウェルに試薬、栄養素、または培地を給送する動作3514を含むことができる。動作3514は、容器アセンブリ200が攪拌されている間に実施されることができる(動作3510参照)。いくつかの実施例では、ピペット先端71は、ピペット操作ロボット70によって動作される。代替として、ピペット先端71は、手で動作されることができる。動作3514は、上記に説明される動作3408に類似し得る。
【0160】
次に、方法3500は、統合されたマイクロフルイディクス(例えば、サンプル容器18の底部における説明される空気圧弁システム)を介して培養ウェルに試薬、栄養素、または培地を給送する動作3516を含むことができる。動作3516は、方法3400に関して上記に説明される動作3410に類似し得る。
【0161】
プロバイオティクスは、人体に対して健康増進利益および生物機能的効果を有する、生菌である。それらは、腸内の望ましい細菌の数を増加させ、例えば、抗生物質治療後に腸内フローラを再生するために一般的に使用される。それが、プロバイオティクスまたはプロバイオティクス栄養補助食品に関する市場が大幅に価値を増している1つの理由である。ヒト腸内マイクロバイオームおよびその健康増進利益の研究分野は、栄養産業にとって特に重要である。したがって、マイクロバイオーム様条件下のプロバイオティクスの培養等の嫌気性または微好気性培養技法に関する科学的研究が、不可欠である。プロバイオティクスは、ラクトバチルスまたはビフィズス菌等の全範囲の嫌気性細菌を含む。種々のプロバイオティクス細菌の中でも、ビフィズス菌属は、最も広く使用および研究されるプロバイオティクス細菌種のうちの1つである。それらは、好気性培養条件下で酸素呼吸および成長できないことに起因して、偏性嫌気菌として分類され、それらは、支配的なヒト消化管細菌叢の主要な構成要素である。それらは、乳酸および酢酸の放出を通してpHを制御する際に有意な役割を果たし、これは、多くの潜在的な病原性細菌の成長を制限する。母乳栄養児の腸管では、ビフィズス菌は、優勢な細胞種である。これは、腸内の微生物の80%を上回るものを占める。米国食品医薬品局(FDA)によって一般的に安全と認められている(GRAS)乳酸菌の中で最大かつ最も多様な属である、ラクトバチルスの200を上回る公知の種が、存在する。ラクトバチルス属は、それらの適用される健康潜在性に起因して、乳製品またはプロバイオティクスのための発酵スタータ培養液として広範に展開および研究されている。
【0162】
本願では、嫌気性培養実験が、ガス補給蓋と組み合わせたサンプル容器18を含む、容器アセンブリ200を使用して実施されることができる。容器アセンブリ200は、バイオマス、pH値、液相の酸素飽和度(DO)、および種々の蛍光発光分子またはタンパク質の蛍光強度等の最も一般的な培養パラメータのオンライン監視を可能にする、微生物培養の高処理能力スクリーニングのためのベンチトップデバイスである。高い処理能力を達成するために、培養は、容器アセンブリ200内の最大48個のバッチの同時工程を可能にする、それぞれ48個のウェルを伴うSBS/SLAS標準形式マイクロタイタプレート(例えば、サンプル容器18)内で実行される。さらに、プロバイオティクス細菌であるラクトバチルスカゼイ、ラクトバチルスプランタルム、およびビフィドバクテリウムビフィダムの嫌気性バッチおよびフェドバッチ培養を実施するために、ガス補給蓋を使用することの簡潔さがある。ガス補給蓋の主要な利点は、給送およびpH制御が、ここでは、5~50mL/分の調節可能な流量を伴うサンプル容器18の直接窒素(例えば、100%のN2)ガス補給の間に同時に行われ得ることである。
【0163】
ラクトバチルス株の嫌気性培養
ラクトバチルス属(ラクトバチルスカゼイ DSM 20011またはラクトバチルスプランタルム DSM 20174)の全ての培養は、37℃の周囲温度において、かつ嫌気性条件下でMRSブロス中で行われた。MRSブロスは、培地中の残留分子O
2を低減させることによって、酸化還元電位のための還元剤としての役割を果たす、0.5g/LのシステインHClを富化された。全ての前培養は、250mLの三角フラスコ内で実施された。本目的のために、20mLの調製されたMRSブロスが、1mLの凍結培養液を播種され、次いで、嫌気性条件下で少なくとも24時間にわたって培養された。主要な培養液は、次いで、MRSブロス中でOD
start=1に設定された。後続のマイクロバイオリアクタ培養は、pH制御バッチおよびフェドバッチ培養のためのマイクロ流体丸形ウェルプレート内で実施された。培養は、37℃、600rpm、および有効にされた湿度制御において行われた。培養ウェルの開始体積は、2,000μLに設定され、最大体積は、2,400μLに設定された。バイオマス(利得3)およびpH(LG1)および溶存酸素DO(RF)の測定値のオンライン監視が、マイクロバイオリアクタ100によって実施された。L.カゼイのフェドバッチ培養条件のより詳細な概観が、表1に示される。
【表1】
【0164】
マイクロバイオリアクタ内でのB.ビフィダムの嫌気性培養
ビフィドバクテリウムビフィダムの全ての培養は、37℃において、かつ嫌気性条件下でMRSブロス中で実施された。MRSブロスは、培地中の残留分子O2を低減させることによって、酸化還元電位のための還元剤としての役割を果たす、0.5g/LのシステインHClを富化された。前培養の培養は、250mLの三角フラスコ内で行われた。本目的のために、20mLのMRSブロスが、1つのカプセルの内容物を播種され、次いで、嫌気性条件下で37℃において少なくとも24時間にわたって培養された。主要な培養液は、MRSブロス中でODstart=1.0に設定された。
【0165】
容器アセンブリ200内の主要な培養液に関して、37℃、600rpm、有効にされた湿度制御におけるpH制御バッチおよびフェドバッチ培養、バイオマス(利得3)、pH(LG1)、およびDO(RF)のオンライン監視が、実施された。B.ビフィダムのフェドバッチ培養条件のより詳細な概観が、表2に列挙される。
【表2】
【0166】
サンプル容器18内のレイアウト設定
全てのフェドバッチ培養は、サンプル容器18(
図8)内で行われた。列Aは、1,900μLのグルコース給送溶液を含有し、列Bは、1,900μLのpH調節剤で充填された。ソフトウェアが、ポンプ体積を水性溶液(3MのNaOH)に関して0.30μLに調節し、より粘性の給送溶液(500g/Lのグルコース)に関して0.16μLに調節した。
【0167】
全てのフェドバッチ実験では、給送は、時間駆動され、給送プロファイルは、4μL/時間を伴う一定の給送に設定された。pH制御は、pH6.0に設定された。サンプル容器18内での全ての培養の間の嫌気性条件は、ガス補給蓋を使用することによって達成され、これは、これが調製され、ガス透過性滅菌シリコン箔(F-GPRSMF32-1)を用いてシールされた後にサンプル容器18に取り付けられた。
【0168】
結果
マイクロバイオリアクタ内でのラクトバチルスカゼイのフェドバッチ培養
図36および37では、MRSブロス中のラクトバチルスカゼイの培養プロセスが、示される。
図36では、バイオマスおよび溶存酸素(DO)信号のオンライン信号および添加された給送溶液(500g/Lのグルコース)の体積が、提示される。
図37では、pHのオンライン値およびNaOHの関連付けられる体積が、培養時間に対してプロットされる。
【0169】
ここでは、3つの異なるプロセス設定、すなわち、バッチ培養および2つのフェドバッチ培養が、適用された。一方は、7.5時間後の給送開始を伴い、他方は、10時間後の給送開始を伴う。30mL/分のN2の連続的流量を用いることで、DOは、着実に減少した。45分後、5%を下回るDOに到達し、さらに減少した。4.5時間後、DOは、0.5%を下回るものに到達し、0%に向かって降下し続けた。約6.7時間における培養液の固定相の開始により、指数関数的成長は、停止し、バイオマス信号は、この時点で全ての3つの培養液アプローチにおいて42任意単位であった。バッチ培養液は、9.5時間における最大44任意単位までさらに緩慢に成長し、次いで、これは、培養の終了時に38任意単位の最終バイオマス信号まで着実に減少する。バイオマス信号の増加は、給送溶液の添加と相関される。給送が開始されるとすぐに、バイオマス信号の増加が、可視である。7.5時間フェドバッチプロセスに関する最終バイオマス信号は、76.3任意単位であり、10時間フェドバッチプロセスに関して、これは、30時間後に65.5任意単位の最終バイオマス信号につながった。添加された塩基溶液に関する値は、成長に相関される。3MのNaOHの添加は、いかなるさらなる細菌の酸生産も、成長がないことに起因して行われなかったため、固定相の開始とともに停止された。一定の添加の給送溶液の場合では、酸生産は、継続し、したがって、塩基が、pH6.0のpH設定点値を維持するためにさらに必要とされた。
【0170】
本実験は、容器アセンブリ200が、ガス補給蓋および直接嫌気性ガス補給と同時のpH制御および給送の正常な適用に起因して、嫌気性培養のための好適なデバイスであることを示す。
【0171】
BioLector XTデバイスにおける嫌気性条件の技術的および生物学的検証
培養時間全体の間に嫌気性条件を維持することは、酸素感受性生物の培養の場合では重要な要件である。以下の実験では、外部酸素センサが、ガス補給蓋の技術的機能性を検証し、ガス補給蓋の気密性、したがって、嫌気性雰囲気を証明するために、容器アセンブリ200のガス出口において配設された。
図38および39では、ラクトバチルスプランタルム(L.プランタルム)のバッチ培養の実験データが、示される。
図38では、オンラインバイオマス信号(利得3)が、示される。
図39では、培養ブロス中の溶存酸素のオンライン信号および容器アセンブリ200のガス出口内の酸素濃度、オンラインpH信号、およびpH制御のための添加されたNaOH体積が、示される。
【0172】
2.86時間の遅延時間後、指数関数的成長が、開始された。最終バイオマス信号は、固定相が開始されたときから7.96時間後に155.865任意単位(OD600=9.01±0.07)であった。L.プランタルムの成長の間、乳酸生産が、行われた。その酸形成成長は、pH6を維持するための添加されたNaOH体積に相関される。30mL/分のN2の連続的流量を用いることで、DOは、着実に減少した。39分後、5%を下回るDOに到達し、さらに減少した。4時間後、DOは、0.5%を下回ってさらに降下し、0%に向かって降下し続けた。外部センサは、16時間の培養時間後に0.029%の最終酸素濃度を示した。
【0173】
本培養実施例では、技術的機能性は、検証されたが、ラクトバチルス属がまた、好気性条件下で成長し得、さらには酸素を代謝し得るという事実は、容器アセンブリ200内での嫌気性培養の生物学的検証のための十分な証拠ではない。したがって、偏性嫌気性ビフィドバクテリウムビフィダムが、培養された。本株の正常な培養は、容器アセンブリ200内での嫌気性培養に関する生物学的検証としての役割を果たす。
図40および41では、B.ビフィダムのバッチおよびフェドバッチ培養の実験データが、示される。
図40では、バイオマスのオンライン信号および添加された給送体積が、培養時間に対してプロットされる。
図41では、pHおよびDOのオンライン(オプトード)信号、および3MのNaOHの添付された体積および容器アセンブリ200のガス出口内の外部ガスセンサの酸素信号が、提示される。
【0174】
2.4時間の遅延時間後、指数関数的成長が、開始され、バッチ培養液に関して、バイオマス信号は、147.57任意単位(OD600=8.3±0.57)の最終値に到達した。バッチ培養液とは対照的に、長い指数関数的成長相が、観察可能である。本現象は、給送が6時間後にすでに開始されたため、培地中のより多い量のグルコースによって引き起こされる。23時間の培養後、227.3任意単位(OD600=15.93±0.69)の最大バイオマス値が、達成された。B.ビフィダムの成長の間、乳酸生産が、生じ、その成長は、相関され、これは、pHをpH6に維持するためのNaOHの添加の曲線において観察可能である。合計して、193.56μLの3MのNaOHが、培養液ブロスの中に圧送された。30mL/分のN2の連続的流量を用いることで、DOは、着実に減少した。
【0175】
L.プランタルム(前述で説明されるような)およびB.ビフィダムの培養以降の最初の16時間に関してすでに説明された外部酸素データは、同一の容器アセンブリ200の工程において同時に得られ、したがって、サンプル容器18、ガス補給蓋、および外部ガスセンサが、使用された。DO信号が18時間からわずかに増加することが、観察可能であり、これは、0%の酸素におけるドリフトが1日あたり0.5%のO2未満である酸素オプトードの技術的に調整された信号ドリフトによって解説され得る。外部酸素センサのデータは、23時間後の容器アセンブリ200のガス出口内の0.029%の酸素の値を示し、嫌気性培養条件が培養時間全体にわたって維持されたことを確認した。
【0176】
結論として、容器アセンブリ200内での嫌気性生物の正常に行われた培養実験が、示される。マイクロ流体チップ技術およびガス補給蓋を介した直接窒素ガス補給と組み合わせて、pH制御、給送、および直接窒素ガス補給の同時実施が、小規模培養において実施されることができる。
【0177】
まとめると、嫌気性ガス補給蓋と組み合わせた容器アセンブリ200内でのラクトバチルス属およびビフィドバクテリウムビフィダムのようなプロバイオティクスの培養の技術的および生物学的検証が、示される。ガス補給蓋を介したサンプル容器18の直接窒素ガス補給と組み合わせられるマイクロ流体チップ技術は、小規模培養システムにおけるpH制御、給送、および直接窒素ガス補給の同時実施を可能にする。これは、嫌気性細菌の培養のための好適なシステムである。
【0178】
本開示の付加的側面が、以下の付記に列挙される。
【0179】
付記1.蓋アセンブリであって、上部外面と、底部内面とを有する、蓋筐体であって、蓋筐体は、サンプル容器を被覆するように構成される、蓋筐体と、蓋筐体内に配置される、第1の弾力性層と、蓋筐体の底部内面から第1の弾力性層に向かって張出し、シール面が第1の弾力性層に対して押圧されるとき、気密シールを生成する、シール面とを備える、蓋アセンブリ。
【0180】
付記2.第1の弾力性層は、個別のガイド要素と整合される、1つまたはそれを上回る第1の開口を含み、各第1の開口は、ピペット先端がそれを通して押動されるときに開放し、ピペット先端が除去されるときに閉鎖するように構成される、付記1に記載の蓋アセンブリ。
【0181】
付記3.蓋アセンブリであって、上部外面と、底部内面とを有する、蓋筐体であって、蓋筐体は、サンプル容器を被覆するように構成される、蓋筐体と、蓋筐体の上部外面から延在する、1つまたはそれを上回るガイド要素であって、各ガイド要素は、上部端から底部端まで延設される、中空内部部分を有し、中空内部部分は、底部端においてよりも上部端においてより大きい断面積を有し、各ガイド要素は、ピペット先端を受容および誘導するように構成される、1つまたはそれを上回るガイド要素と、蓋筐体内に配置される、第1の層であって、第1の層は、個別のガイド要素と整合される、1つまたはそれを上回る第1の開口を含み、各第1の開口は、ピペット先端がそれを通して押動されるときに開放し、ピペット先端が除去されるときに閉鎖するように構成される、第1の層とを備える、蓋アセンブリ。
【0182】
付記4.蓋筐体の底部内面から第1の層に向かって張出し、シール面が第1の層に対して押圧されるとき、気密シールを生成する、シール面をさらに備える、付記3に記載の蓋アセンブリ。
【0183】
付記5.シール面は、蓋筐体の底部内面上の第1の陥凹エリアを蓋筐体の底部内面上の第2の陥凹エリアから仕切る、パーティションを含む、付記4に記載の蓋アセンブリ。
【0184】
付記6.シール面およびパーティションは、相互と連続的である、付記5に記載の蓋アセンブリ。
【0185】
付記7.蓋筐体の第1の陥凹エリアに接続され、加圧ガスを受容するように構成される、第1のガスポートをさらに備える、付記5に記載の蓋アセンブリ。
【0186】
付記8.第2の陥凹エリアから1つまたはそれを上回るガスを受容または除去するように構成される、第2および第3のガスポートをさらに備える、付記7に記載の蓋アセンブリ。
【0187】
付記9.蓋筐体の底部内面と第1の層との間の付加的陥凹エリアを分離するように構成される、1つまたはそれを上回る付加的パーティションをさらに備える、付記5に記載の蓋アセンブリ。
【0188】
付記10.シール面は、リジッド材料から作製される、付記4に記載の蓋アセンブリ。
【0189】
付記11.シール面は、PEEKから作製される、付記4に記載の蓋アセンブリ。
【0190】
付記12.第1の層の底部側上に配置される、滅菌層をさらに備え、滅菌層は、ピペット先端によって穿刺されるように構成される、付記3に記載の蓋アセンブリ。
【0191】
付記13.各ガイド要素の底部端と蓋筐体の上部外面との間に配置される、第2の層をさらに備え、第2の層は、個別のガイド要素および第1の開口と整合される、1つまたはそれを上回る第2の開口を有し、蓋筐体内の1つまたはそれを上回る貫通孔へのアクセスを提供し、各第2の開口は、ピペット先端が第2の開口を通して押動されるときに開放し、ピペット先端が除去されるときに閉鎖するように構成される、付記3に記載の蓋アセンブリ。
【0192】
付記14.蓋筐体の底部内面から第1の層に向かって延在する、1つまたはそれを上回る支柱をさらに備える、付記3に記載の蓋アセンブリ。
【0193】
付記15.1つまたはそれを上回るガイド要素は、蓋筐体の一体部分を形成する、付記3に記載の蓋アセンブリ。
【0194】
付記16.1つまたはそれを上回るガイド要素は、蓋筐体の上部外面に可撤式に結合される、付記15に記載の蓋アセンブリ。
【0195】
付記17.中空内部部分は、円錐形または円錐台形形状を有する、付記15に記載の蓋アセンブリ。
【0196】
付記18.1つまたはそれを上回る第1の開口は、スリットである、付記15に記載の蓋アセンブリ。
【0197】
付記19.スリットは、自己回復する、付記18に記載の蓋アセンブリ。
【0198】
付記20.第1の層は、弾力性ポリマー材料である、付記3に記載の蓋アセンブリ。
【0199】
付記21.第1の層は、シリコーンから作製される、付記3に記載の蓋アセンブリ。
【0200】
付記22.容器アセンブリであって、蓋アセンブリであって、上部外面と、底部内面とを伴う、蓋筐体であって、蓋筐体は、サンプル容器を被覆するように構成される、蓋筐体と、蓋筐体の上部外面から延在する、1つまたはそれを上回るガイド要素であって、各ガイド要素は、上部端から底部端まで延設される、中空内部部分を有し、中空内部部分は、底部端においてよりも上部端においてより大きい断面積を有し、各ガイド要素は、ピペット先端を受容および誘導するように構成される、1つまたはそれを上回るガイド要素と、蓋筐体内に配置される、第1の層であって、第1の層は、個別のガイド要素と整合される、1つまたはそれを上回る第1の開口を有し、各第1の開口は、ピペット先端がそれを通して押動されるときに開放し、ピペット先端が除去されるときに閉鎖するように構成される、第1の層とを備える、蓋アセンブリと、複数のウェルを備える、サンプル容器とを備える、容器アセンブリ。
【0201】
付記23.サンプル容器の第1の部分は、1つまたはそれを上回る第1のウェルを備え、サンプル容器の第2の部分は、1つまたはそれを上回る第2のウェルを備え、1つまたはそれを上回る第1のウェルは、流体試薬を含有するように構成され、1つまたはそれを上回る第2のウェルは、1つまたはそれを上回る細胞を備える、流体サンプルを含有するように構成され、第1のウェルのうちの1つまたはそれを上回るものは、1つまたはそれを上回る流体チャネルを介して第2のウェルのうちの1つまたはそれを上回るものに流体的に結合され、蓋アセンブリは、蓋アセンブリがサンプル容器に対して圧縮させられるとき、サンプル容器の周囲に気密シールを提供する、付記22に記載の容器アセンブリ。
【0202】
付記24.気密シールは、サンプル容器上の第1のシール面と、第1のシール面に対して押圧される、蓋アセンブリ上の第2のシール面とを有し、それによって、両方のシール面は、蓋筐体の底部内面に垂直に作用する、付記23に記載の容器アセンブリ。
【0203】
付記25.偏心レバーと、半径方向に誘導されるボールを備えるボールスリーブとをさらに備える、付記23に記載の容器アセンブリ。
【0204】
付記26.バイオリアクタシステムであって、可逆的にシール可能なサンプル容器アセンブリであって、蓋アセンブリであって、上部外面と、底部内面とを有する、蓋筐体であって、蓋筐体は、サンプル容器を被覆するように構成される、蓋筐体と、蓋筐体の上部外面から延在する、1つまたはそれを上回るガイド要素であって、各ガイド要素は、上部端から底部端まで延設される、中空内部部分を有し、中空内部部分は、底部端においてよりも上部端においてより大きい断面積を有し、各ガイド要素は、ピペット先端を受容および誘導するように構成される、1つまたはそれを上回るガイド要素と、蓋筐体内に配置される、第1の層であって、第1の層は、個別のガイド要素と整合される、1つまたはそれを上回る第1の開口を有し、各第1の開口は、ピペット先端がそれを通して押動されるときに開放し、ピペット先端が除去されるときに閉鎖するように構成される、第1の層とを備える、蓋アセンブリと、複数のウェルを備える、サンプル容器とを備える、可逆的にシール可能なサンプル容器アセンブリと、所定の運動範囲内でサンプル容器アセンブリを移動させることによって、サンプル容器アセンブリを振盪させるように構成される、プラットフォームであって、所定の運動範囲は、ガイド要素のうちの1つまたはそれを上回るものの1つまたはそれを上回る上部端の1つまたはそれを上回る内径以内である、プラットフォームと、サンプル容器アセンブリが振盪されている間、1つまたはそれを上回るガイド要素を介したサンプル容器の中への挿入のために構成される、1つまたはそれを上回るピペット先端を有する、ピペット操作ロボットとを備える、バイオリアクタシステム。
【0205】
付記27.プラットフォームは、軌道方式においてサンプル容器アセンブリを移動させるように構成される、付記26に記載のバイオリアクタシステム。
【0206】
付記28.プラットフォームは、600RPM~1,000RPMの範囲内の軌道方式においてサンプル容器アセンブリを移動させるように構成される、付記26に記載のバイオリアクタシステム。
【0207】
付記29.プラットフォームは、600RPM~800RPMの範囲内の軌道方式においてサンプル容器アセンブリを移動させるように構成される、付記26に記載のバイオリアクタシステム。
【0208】
付記30.サンプル容器アセンブリの軌道移動の攪拌直径は、1mm~5mmの範囲内である、付記26、28、または29に記載のバイオリアクタシステム。
【0209】
付記31.サンプル容器をシールする方法であって、サンプル容器の上に滅菌層を設置することと、滅菌層の上に弾力性層を設置することと、弾力性層の上に蓋筐体を押圧することと、蓋筐体をサンプル容器に解放可能に固着させることとを含む、方法。
【0210】
付記32.偏心レバーと、半径方向に誘導されるボールを備えるボールスリーブとを作動させることをさらに含む、付記31に記載の方法。
【0211】
付記33.蓋筐体からサンプル容器を解放するように、解放ピンを作動させることをさらに含む、付記31に記載の方法。
【0212】
付記34.嫌気性細胞を培養する方法であって、嫌気性環境内にサンプル容器を設置することと、サンプル容器が嫌気性環境内にある間、嫌気性細胞を備えるサンプルをサンプル容器の1つまたはそれを上回るウェルの中に配置することと、サンプル容器のウェルにわたって蓋アセンブリを設置することによって、サンプル容器のウェルの周囲に気密シールを生成することと、細胞培養のために非嫌気性環境にシールされたサンプル容器を輸送することとを含む、方法。
【0213】
付記35.シールされたサンプル容器は、非嫌気性環境内に配置される、マイクロバイオリアクタ内に設置される、付記34に記載の方法。
【0214】
付記36.サンプル容器および蓋アセンブリは、1つまたはそれを上回るウェルの上方のヘッドスペースを画定し、本方法はさらに、ヘッドスペース内の酸素濃度を0%~5%に調節することを含む、付記34に記載の方法。
【0215】
付記37.サンプル容器および蓋アセンブリは、1つまたはそれを上回るウェルの上方のヘッドスペースを画定し、本方法はさらに、ヘッドスペース内の酸素濃度を0%~10%に調節することを含む、付記34に記載の方法。
【0216】
付記38.サンプル容器および蓋アセンブリは、1つまたはそれを上回るウェルの上方のヘッドスペースを画定し、本方法はさらに、ヘッドスペース内の酸素濃度を0%~20%に調節することを含む、付記34に記載の方法。
【0217】
付記39.バイオリアクタシステムが振盪されている間、サンプル容器の中にピペット先端を挿入する方法であって、バイオリアクタシステムのサンプル容器の上方にガイド要素を設置することと、バイオリアクタシステムを振盪させることと、ガイド要素の最も狭い領域にピペット先端を誘導するように、ピペット操作ロボットを作動させることと、ピペット先端をガイド要素の最も狭い領域を通してサンプル容器の中に誘導することとを含む、方法。
【0218】
付記40.ピペット先端を介してサンプル容器からある体積の流体を除去することをさらに含む、付記39に記載の方法。
【0219】
付記41.ピペット先端を介してサンプル容器にある体積の流体を添加することをさらに含む、付記39に記載の方法。
【0220】
付記42.マイクロプレートのための蓋アセンブリであって、マイクロプレートは、1つまたはそれを上回るウェルを含み、蓋アセンブリは、ウェルの上方のヘッドスペースを提供し、細胞培養の間のガス交換を可能にするように構成され、ウェルの上方のヘッドスペースは、20mL~400mlである、蓋アセンブリ。
【0221】
付記43.ヘッドスペースは、60ml~90mlである、付記42に記載の蓋アセンブリ。
【0222】
付記44.マイクロプレートのウェルの上方のヘッドスペース内のガス濃度を制御する方法であって、マイクロプレートの上方に蓋アセンブリを設置することであって、マイクロプレートは、1つまたはそれを上回るウェルを含み、蓋アセンブリは、ウェルの上方のヘッドスペースを提供し、細胞培養の間のガス交換を可能にするように構成され、リザーバの上方のヘッドスペースは、20mL~400mLである、ことと、ガスをヘッドスペースの中に流動させることとを含む、方法。
【0223】
付記45.ガスの濃度を測定することと、測定された濃度に基づいて、ガス流動を調節することとをさらに含む、付記44に記載の方法。
【0224】
付記46.ガス補給蓋を伴うサンプル容器アセンブリのための制御システムであって、サンプル容器アセンブリと関連付けられる測定パラメータを入手するように構成される、センサと、少なくとも1つのガスをガス補給蓋に提供する、ガス供給システムと、入手された測定パラメータを処理し、処理された測定パラメータに基づいて、ガス供給源を制御するように構成される、コントローラとを備える、制御システム。
【0225】
付記47.ガス補給蓋を伴うサンプル容器アセンブリを制御する方法であって、サンプル容器アセンブリと関連付けられる測定パラメータを感知することと、感知された測定パラメータを処理することと、処理された測定パラメータに基づいて、ガス補給蓋への少なくとも1つのガスのガス供給源を制御することとを含む、方法。
【0226】
付記48.コンピュータプログラム製品であって、コンピュータコントローラによって実行されると、コンピュータコントローラに、ガス補給蓋を有するサンプル容器アセンブリと関連付けられる測定パラメータを感知させ、感知された測定パラメータを処理させ、処理された測定パラメータに基づいて、ガス補給蓋への少なくとも1つのガスのガス供給源を制御させる、コンピュータプログラムコードを有形かつ非一過性様式において記憶する、コンピュータプログラム製品。
【0227】
付記A1.バイオリアクタシステムであって、蓋アセンブリであって、上部外面と、底部内面とを有する、蓋筐体であって、蓋筐体は、サンプル容器を被覆するように構成される、蓋筐体と、蓋筐体内に配置される、第1の層とを含み、底部内面は、第1の層に向かって張出するシール面を含み、シール面が第1の層に対して押圧されるとき、気密シールを生成する、蓋アセンブリを備える、バイオリアクタシステム。
【0228】
付記A2.第1の層は、個別のガイド要素との整合のために構成される、1つまたはそれを上回る第1の開口を含み、各第1の開口は、ピペット先端がそれを通して押動されるときに開放し、ピペット先端が除去されるときに閉鎖するように構成される、請求項1に記載のバイオリアクタシステム。
【0229】
付記A3.蓋筐体の上部外面から延在する、1つまたはそれを上回るガイド要素であって、1つまたはそれを上回るガイド要素はそれぞれ、上部端から底部端まで延設される、中空内部部分を有し、中空内部部分は、底部端においてよりも上部端においてより大きい断面積を有し、1つまたはそれを上回るガイド要素はそれぞれ、ピペット先端を受容および誘導するように構成される、1つまたはそれを上回るガイド要素をさらに備え、第1の層は、1つまたはそれを上回るガイド要素の個別のガイド要素とそれぞれが整合される、1つまたはそれを上回る第1の開口を含み、各第1の開口は、ピペット先端がそれを通して押動されるときに開放し、ピペット先端が除去されるときに閉鎖するように構成される、付記A1に記載のバイオリアクタシステム。
【0230】
付記A4.シール面は、蓋筐体の底部内面上の第1の陥凹エリアを蓋筐体の底部内面上の第2の陥凹エリアから仕切る、パーティションを含む、付記A3に記載のバイオリアクタシステム。
【0231】
付記A5.シール面およびパーティションは、相互と連続的である、付記A4に記載のバイオリアクタシステム。
【0232】
付記A6.蓋筐体の第1の陥凹エリアに接続され、加圧ガスを受容するように構成される、第1のガスポートをさらに備える、付記A4に記載のバイオリアクタシステム。
【0233】
付記A7.第2のガスポートと、第3のガスポートとをさらに備え、第2および第3のガスポートは、第2の陥凹エリアから1つまたはそれを上回るガスを受容および/または除去するように構成される、付記A6に記載のバイオリアクタシステム。
【0234】
付記A8.蓋筐体の底部内面と第1の層との間の付加的陥凹エリアを分離するように構成される、1つまたはそれを上回る付加的パーティションをさらに備える、付記A4に記載のバイオリアクタシステム。
【0235】
付記A9.シール面は、リジッド材料から作製される、付記A4に記載のバイオリアクタシステム。
【0236】
付記A10.シール面は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作製される、付記A4に記載のバイオリアクタシステム。
【0237】
付記A11.第1の層の底部側上に配置される、滅菌層をさらに備え、滅菌層は、ピペット先端によって穿刺されるように構成される、付記A3に記載のバイオリアクタシステム。
【0238】
付記A12.1つまたはそれを上回るガイド要素のそれぞれの底部端と蓋筐体の上部外面との間に配置される、第2の層をさらに備え、第2の層は、1つまたはそれを上回るガイド要素の個別のガイド要素および1つまたはそれを上回る第1の開口の個別の第1の開口と整合される、1つまたはそれを上回る第2の開口を有し、蓋筐体内の貫通孔へのアクセスを提供し、1つまたはそれを上回る第2の開口はそれぞれ、ピペット先端が第2の開口を通して押動されるときに開放し、ピペット先端が除去されるときに閉鎖するように構成される、付記A3に記載のバイオリアクタシステム。
【0239】
付記A13.蓋筐体の底部内面から第1の層に向かって延在する、1つまたはそれを上回る支柱をさらに備える、付記A3に記載のバイオリアクタシステム。
【0240】
付記A14.1つまたはそれを上回るガイド要素は、蓋筐体の一体部分を形成する、付記A3に記載のバイオリアクタシステム。
【0241】
付記A15.1つまたはそれを上回るガイド要素は、蓋筐体の上部外面に可撤式に結合される、付記A3に記載のバイオリアクタシステム。
【0242】
付記A16.中空内部部分は、円錐台形形状を有する、付記A3に記載のバイオリアクタシステム。
【0243】
付記A17.1つまたはそれを上回る第1の開口は、スリットである、付記A3に記載のバイオリアクタシステム。
【0244】
付記A18.1つまたはそれを上回る第1の開口は、自己回復する、付記A3に記載のバイオリアクタシステム。
【0245】
付記A19.第1の層は、弾力性ポリマー材料である、付記A3に記載のバイオリアクタシステム。
【0246】
付記A20.第1の層は、シリコーンから作製される、付記A3に記載のバイオリアクタシステム。
【0247】
付記A21.複数のウェルを備える、サンプル容器をさらに備える、付記A3に記載のバイオリアクタシステム。
【0248】
付記A22.サンプル容器の第1の部分は、1つまたはそれを上回る第1のウェルを含み、サンプル容器の第2の部分は、1つまたはそれを上回る第2のウェルを含み、1つまたはそれを上回る第1のウェルは、流体試薬を含有するように構成され、1つまたはそれを上回る第2のウェルは、1つまたはそれを上回る細胞を備える、流体サンプルを含有するように構成され、第1のウェルのうちの1つまたはそれを上回るものは、1つまたはそれを上回る流体チャネルを介して第2のウェルのうちの1つまたはそれを上回るものに流体的に結合され、蓋アセンブリは、蓋アセンブリがサンプル容器に対して圧縮させられるとき、サンプル容器の周囲に気密シールを提供する、付記A21に記載のバイオリアクタシステム。
【0249】
付記A23.気密シールは、サンプル容器上の第1のシール面と、第1のシール面に対して押圧される、蓋アセンブリ上の第2のシール面とを有し、それによって、第1および第2のシール面は両方とも、蓋筐体の底部内面に垂直に作用する、付記A22に記載のバイオリアクタシステム。
【0250】
付記A24.サンプル容器に対して蓋アセンブリを圧縮するように構成される、偏心レバーと、半径方向に誘導されるボールを備えるボールスリーブとをさらに備える、付記A22に記載のバイオリアクタシステム。
【0251】
付記A25.所定の運動範囲内でサンプル容器を移動させることによって、サンプル容器を振盪させるように構成される、プラットフォームであって、所定の運動範囲は、ガイド要素のうちの1つまたはそれを上回るもののそれぞれの上部端の内径未満であるとして定義される、プラットフォームと、サンプル容器アセンブリが振盪されている間、1つまたはそれを上回るガイド要素を介したサンプル容器の中への挿入のために構成される、1つまたはそれを上回るピペット先端を有する、ピペット操作ロボットとをさらに備える、付記A21に記載のバイオリアクタシステム。
【0252】
付記A26.プラットフォームは、軌道移動においてサンプル容器を移動させるように構成される、付記A25に記載のバイオリアクタシステム。
【0253】
付記A27.プラットフォームは、600RPM~1,000RPMの範囲内の軌道移動においてサンプル容器を移動させるように構成される、付記A25に記載のバイオリアクタシステム。
【0254】
付記A28.プラットフォームは、600RPM~800RPMの範囲内の軌道移動においてサンプル容器を移動させるように構成される、付記A25に記載のバイオリアクタシステム。
【0255】
付記A29.サンプル容器の軌道移動の攪拌直径は、1mm~5mmの範囲内である、付記A26、27、または28に記載のバイオリアクタシステム。
【0256】
付記A30.サンプル容器と関連付けられる測定パラメータを入手するように構成される、センサと、少なくとも1つのガスを蓋アセンブリに提供する、ガス供給システムと、測定パラメータを処理し、測定パラメータに基づいて、ガス供給源を制御するように構成される、コントローラとをさらに備える、付記A21に記載のバイオリアクタシステム。
【0257】
付記A31.細胞を培養する方法であって、サンプル容器の上に滅菌層を設置することと、滅菌層の上に第1の層を設置することと、第1の層の上に蓋筐体を押圧することと、蓋筐体をサンプル容器に解放可能に固着させることとを含む、方法。
【0258】
付記A32.蓋筐体をサンプル容器に解放可能に固着させるように、偏心レバーと、半径方向に誘導されるボールを備えるボールスリーブとを作動させることをさらに含む、付記A31に記載の方法。
【0259】
付記A33.蓋筐体からサンプル容器を解放するように、解放ピンを作動させることをさらに含む、付記A31に記載の方法。
【0260】
付記A34.嫌気性環境内にサンプル容器を設置することと、サンプル容器が嫌気性環境内にある間、嫌気性細胞を備えるサンプルをサンプル容器の1つまたはそれを上回るウェルの中に配置することと、サンプル容器の1つまたはそれを上回るウェルにわたって蓋筐体を設置することによって、サンプル容器の1つまたはそれを上回るウェルの周囲に気密シールを生成することと、細胞培養のために非嫌気性環境にサンプル容器を輸送することとをさらに含む、付記A31に記載の方法。
【0261】
付記A35.非嫌気性環境内に配置されるマイクロバイオリアクタ内にサンプル容器を設置することをさらに含む、付記A34に記載の方法。
【0262】
付記A36.サンプル容器および蓋筐体は、1つまたはそれを上回るウェルの上方のヘッドスペースを画定し、本方法はさらに、ヘッドスペース内の酸素濃度を0%~5%となるように調節することを含む、付記A34に記載の方法。
【0263】
付記A37.サンプル容器および蓋筐体は、1つまたはそれを上回るウェルの上方のヘッドスペースを画定し、本方法はさらに、ヘッドスペース内の酸素濃度を0%~10%となるように調節することを含む、付記A34に記載の方法。
【0264】
付記A38.サンプル容器および蓋筐体は、1つまたはそれを上回るウェルの上方のヘッドスペースを画定し、本方法はさらに、ヘッドスペース内の酸素濃度を0%~20%となるように調節することを含む、付記A34に記載の方法。
【0265】
付記A39.サンプル容器がマイクロバイオリアクタによって振盪されている間、サンプル容器の中にピペット先端を挿入することをさらに含む、付記A35に記載の方法。
【0266】
付記A40.蓋筐体の上方に設置されるガイド要素の最も狭い領域にピペット先端を誘導するように、ピペット操作ロボットを作動させることと、ピペット先端をガイド要素の最も狭い領域を通してサンプル容器の中に誘導することとをさらに含む、付記A39に記載の方法。
【0267】
付記A41.ピペット先端を介してサンプル容器からある体積の流体を除去することをさらに含む、付記A40に記載の方法。
【0268】
付記A42.ピペット先端を介してサンプル容器にある体積の流体を添加することをさらに含む、付記A40に記載の方法。
【0269】
付記A43.蓋筐体は、細胞培養の間のガス交換を可能にする、1つまたはそれを上回るウェルの上方のヘッドスペースを提供し、1つまたはそれを上回るウェルの上方のヘッドスペースは、20mL~400mlである、付記A34に記載の方法。
【0270】
付記A44.1つまたはそれを上回るウェルの上方のヘッドスペースは、60ml~90mlである、付記A43に記載の方法。
【0271】
付記A45.ヘッドスペースの中へのガス流動を引き起こすことと、ヘッドスペース内のガスの濃度を測定することと、濃度に基づいて、ガス流動を調節することとをさらに含む、付記A43に記載の方法。
【0272】
付記A46.サンプル容器内のパラメータを感知することと、パラメータを処理することと、パラメータの処理に基づいて、蓋筐体への少なくとも1つのガスのガス供給源を制御することとをさらに含む、付記A43に記載の方法。
【0273】
本発明は、詳細に示され、説明される本好ましい実施形態に関連して例証および説明されているが、種々の修正および構造的変更が、本発明の精神および範囲からいかようにも逸脱することなく行われ得るため、示される詳細に限定されることを意図していない。実施形態は、本発明の原理および実践的用途を解説し、それによって、当業者が、本発明および種々の実施形態を最良に利用し、特定の使用に適しているような種々の修正が想定されることを可能にするために選定および説明された。
【国際調査報告】