(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-25
(54)【発明の名称】炎症性疾患および自己免疫疾患を処置するためのイオン性液体製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240418BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240418BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240418BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240418BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240418BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240418BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240418BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240418BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240418BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240418BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240418BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240418BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240418BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240418BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240418BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K9/08
A61K47/18
A61K47/12
A61K47/04
A61K47/10
A61P29/00
A61P37/06
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P17/06
A61P21/00
A61P1/04
A61P3/10
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K39/395 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568524
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 US2022027794
(87)【国際公開番号】W WO2022235882
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523418971
【氏名又は名称】アイ2オー セラピューティクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,タイラー
(72)【発明者】
【氏名】イプセン,ケリー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA22
4C076AA24
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076BB05
4C076BB13
4C076BB16
4C076BB22
4C076BB25
4C076BB29
4C076BB30
4C076CC04
4C076CC07
4C076DD22
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD42
4C076DD43
4C084AA19
4C084MA13
4C084MA16
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4C084MA35
4C084MA37
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA10
4C084ZA661
4C084ZA891
4C084ZA961
4C084ZB072
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4C084ZB151
4C084ZC351
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C085GG08
4C085GG10
(57)【要約】
対象における状態または疾患を処置するための、イオン性液体を含む組成物、およびその使用が本明細書において開示される。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療剤および少なくとも1種のイオン性液体を含む組成物であって、治療剤が抗体または抗体試薬を含む、組成物。
【請求項2】
少なくとも1種のイオン性液体が、陽イオン性構成成分としてコリンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種のイオン性液体が、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1種のイオン性液体が、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を1:1、1:2、1:3、1:4、2:1、3:1または4:1のモル比で含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1種のイオン性液体が、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:1のモル比のコリン-グリコール酸、2:1のモル比のコリン-グリコール酸、1:2のモル比のコリン-グリコール酸、2:1のモル比のコリン-リンゴ酸、1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、2:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1のモル比のコリン-乳酸、1:1のモル比のコリン-桂皮酸、3:1のモル比のコリン-クエン酸、2:1のモル比のコリン-コハク酸、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
第1のイオン性液体および第2のイオン性液体を含み、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体が異なる、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
第1のイオン性液体が陽イオン性構成成分としてコリンを含むか、第2のイオン性液体が陽イオン性構成成分としてコリンを含むか、またはそれらの組合せである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
第1のイオン性液体および第2のイオン性液体が、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を独立して含む、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
第1のイオン性液体および第2のイオン性液体が、以下:
(i)それぞれ、1:2のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および2:1のモル比のコリン-グリコール酸
(ii)それぞれ、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および2:1のモル比のコリン-グリコール酸、または
(iii)それぞれ、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および1:1のモル比のコリン-グリコール酸
を含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
グリセロールをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種のイオン性液体およびグリセロールを95%:5%、90%:10%、85%:15%、80%:20%、75%:25%、70%:30、65%:35%、60%:40%、55%:45%、50%:50%、45%:55%、40%:60%、35%:65%、30%:70%、25%:75%、20%:80%、15%:85%、10%:90%または5%:95%の比で含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1種のイオン性液体およびグリセロールを以下の比:
(i)10%:90%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含む)
(ii)25%:75%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:2のモル比のコリン-グリコール酸、または1:1のモル比のコリン-桂皮酸を含む)
(iii)50%:50%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1、2:1もしくは1:2のモル比のコリン-グリコール酸、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、2:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1のモル比のコリン-乳酸、または2:1のモル比のコリン-コハク酸を含む)
(iv)75%:25%(少なくとも1種のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-酒石酸または3:1のモル比のコリン-クエン酸を含む)、または
(v)90%:10%(少なくとも1種のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-酒石酸を含む)
で含む、請求項10または11に記載の組成物。
【請求項13】
第1のイオン性液体および第2のイオン性液体を含み、第1のイオン性液体、第2のイオン性液体およびグリセロールを以下の比:
(i)10%:45%:45%
(第1のイオン性液体は、1:2のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む、または
第1のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む)、または
(ii)10%:40%:50%(第1のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む)、
で含む、請求項10または11に記載の組成物。
【請求項14】
抗体または抗体試薬が、アブシキシマブ、アダリムマブ、アダリムマブ-atto、アド-トラスツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、アレムツズマブ、アルイロクマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、バシリキシマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、ブレンツキシマブベドチン、ブロダルマブ、カナキヌマム、カプロマブ、カプロマブペンデチド、セルトリズマブ、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、ダクリズマブ、ダラツムマブ、デノスマブ、ジヌツキシマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、エクリズマブ、エロツズマブ、エボロクマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、ゴリムマブ、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、イダルシズマブ、インフリキシマブ、インフリキシマブ-abda、インフリキシマブ-dyyb、イピリムマブ、イクセキズマブ、メポリズマブ、ナタリズマブ、ネシツムマブ、ニボルマブ、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペムブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムクリウマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レスリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、シルツキシマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブ、サリルマブ、グセルクマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イノツズマブ、アダリムマブ-adbm、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲムツズマブ、ベバシズマブ-awwb、ベンラリズマブ、エミシズマブ、エミシズマブ-kxwh、トラスツズマブ-dkst、インフリキシマブ-qbtx、イバリズマブ、イバリズマブ-uiyk、チルドラキズマブ、チルドラキズマブ-asmn、ブロスマブ、ブロスマブ-twza、エレヌマブ、エレヌマブ-aooe、トシツモマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ、モキセツモマブシュードトクス、セミプリマブ、ポラツズマブ、カツマキソマブ、ポラツズマブベドチン、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
抗体または抗体試薬が、インフリキシマブもしくはそのバイオシミラー、アダリムマブもしくはそのバイオシミラー、またはそれらの組合せである、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
インフリキシマブまたはそのバイオシミラーが、インフリキシマブ、インフリキシマブ-dyyb、インフリキシマブ-abda、インフリキシマブ-qbtxおよびインフリキシマブ-axxqからなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
アダリムマブまたはそのバイオシミラーが、アダリムマブ、アダリムマブ-atto、アダリムマブ-adaz、アダリムマブ-afzbおよびアダリムマブ-bwwdからなる群から選択される、請求項15または16に記載の組成物。
【請求項18】
1種または複数の追加剤をさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
1種または複数の追加剤が、核酸、低分子およびポリペプチドからなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
1種または複数の追加剤が、コルチコステロイド、アミノサリチレート、免疫調節剤、モノクローナル抗体および生物学的製剤からなる群から選択される、請求項18または19に記載の組成物。
【請求項21】
粘膜への送達、粘膜の通過、またはそれらの組合せ向けに製剤化されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
粘膜が、鼻膜、口膜、膣膜またはそれらの組合せである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
胃腸管への投与向けに製剤化されている、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
皮下投与、静脈内投与、局所投与、空腸内投与、経口投与またはそれらの組合せ向けに製剤化されている、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
経口投与向けに製剤化されている、請求項1~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
錠剤、丸剤、カプレット剤、カプセル剤、噴霧剤、エアロゾル剤、シロップ剤、液体剤およびそれらの組合せからなる群から選択される形態で製剤化されている、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
カプセルに封入されている、請求項1~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載の組成物および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項29】
疾患または障害の処置を必要とする対象における、疾患または障害を処置する方法であって、対象に、治療有効量の請求項1~27のいずれか一項に記載の組成物または請求項28に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項30】
疾患または障害が、炎症性疾患、自己免疫疾患またはそれらの組合せである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
炎症性疾患、自己免疫疾患またはそれらの組合せが、超活性免疫系を特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
炎症性疾患、自己免疫疾患またはそれらの組合せが、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
疾患または障害が糖尿病である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
1種または複数の追加剤を投与するステップをさらに含む、請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
1種または複数の追加剤が、核酸、低分子およびポリペプチドからなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
1種または複数の追加剤が、コルチコステロイド、アミノサリチレート、免疫調節剤、モノクローナル抗体および生物学的製剤からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
対象において、組成物を粘膜に送達させる、粘膜を通過させる、またはそれらの組合せである、請求項29~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
粘膜が、鼻膜、口膜、膣膜またはそれらの組合せである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
投与するステップが、対象における胃腸管に投与するステップを含む、請求項29~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
投与するステップが、皮下投与、静脈内投与、局所投与、空腸内投与、経口投与またはそれらの組合せを含む、請求項29~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
投与するステップが経口投与を含む、請求項29~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
組成物が単回用量で投与される、請求項29~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
組成物が反復用量で投与される、請求項29~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
治療剤および少なくとも1種のイオン性液体を含む組成物を製剤化するステップを含む、治療剤の溶解度を向上させる方法であって、
治療剤が、抗体または抗体試薬を含む、
方法。
【請求項45】
少なくとも1種のイオン性液体が、陽イオン性構成成分としてコリンを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
少なくとも1種のイオン性液体が、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を含む、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも1種のイオン性液体が、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を1:1、1:2、1:3、1:4、2:1、3:1または4:1のモル比で含む、請求項44~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
少なくとも1種のイオン性液体が、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:1のモル比のコリン-グリコール酸、2:1のモル比のコリン-グリコール酸、1:2のモル比のコリン-グリコール酸、2:1のモル比のコリン-リンゴ酸、1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、2:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1のモル比のコリン-乳酸、1:1のモル比のコリン-桂皮酸、3:1のモル比のコリン-クエン酸、2:1のモル比のコリン-コハク酸、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項44~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
組成物が、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体を含み、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体が異なる、請求項44~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
第1のイオン性液体が陽イオン性構成成分としてコリンを含むか、第2のイオン性液体が陽イオン性構成成分としてコリンを含むか、またはそれらの組合せである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
第1のイオン性液体および第2のイオン性液体が、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を独立して含む、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
第1のイオン性液体および第2のイオン性液体が、以下:
(i)それぞれ、1:2のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および2:1のモル比のコリン-グリコール酸
(ii)それぞれ、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および2:1のモル比のコリン-グリコール酸、または
(iii)それぞれ、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および1:1のモル比のコリン-グリコール酸
を含む、請求項49~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
グリセロールをさらに含む、請求項44~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
組成物が、少なくとも1種のイオン性液体およびグリセロールを95%:5%、90%:10%、85%:15%、80%:20%、75%:25%、70%:30、65%:35%、60%:40%、55%:45%、50%:50%、45%:55%、40%:60%、35%:65%、30%:70%、25%:75%、20%:80%、15%:85%、10%:90%または5%:95%の比で含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
組成物が、少なくとも1種のイオン性液体およびグリセロールを以下の比:
(i)10%:90%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含む)、
(ii)25%:75%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:2のモル比のコリン-グリコール酸、または1:1のモル比のコリン-桂皮酸を含む)、
(iii)50%:50%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1、2:1もしくは1:2のモル比のコリン-グリコール酸、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、2:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1のモル比のコリン-乳酸、または2:1のモル比のコリン-コハク酸を含む)、
(iv)75%:25%(少なくとも1種のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-酒石酸、または3:1のモル比のコリン-クエン酸を含む)、または
(v)90%:10%(少なくとも1種のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-酒石酸を含む)
で含む、請求項53または54に記載の方法。
【請求項56】
組成物が、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体を含み、組成物が、第1のイオン性液体、第2のイオン性液体およびグリセロールを以下の比:
(i)10%:45%:45%
(第1のイオン性液体は、1:2のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む、または
第1のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む)、または
(ii)10%:40%:50%(第1のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む)、
で含む、請求項53または54に記載の方法。
【請求項57】
抗体または抗体試薬が、アブシキシマブ、アダリムマブ、アダリムマブ-atto、アド-トラスツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、アレムツズマブ、アルイロクマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、バシリキシマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、ブレンツキシマブベドチン、ブロダルマブ、カナキヌマム、カプロマブ、カプロマブペンデチド、セルトリズマブ、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、ダクリズマブ、ダラツムマブ、デノスマブ、ジヌツキシマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、エクリズマブ、エロツズマブ、エボロクマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、ゴリムマブ、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、イダルシズマブ、インフリキシマブ、インフリキシマブ-abda、インフリキシマブ-dyyb、イピリムマブ、イクセキズマブ、メポリズマブ、ナタリズマブ、ネシツムマブ、ニボルマブ、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペムブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムクリウマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レスリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、シルツキシマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブ、サリルマブ、グセルクマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イノツズマブ、アダリムマブ-adbm、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲムツズマブ、ベバシズマブ-awwb、ベンラリズマブ、エミシズマブ、エミシズマブ-kxwh、トラスツズマブ-dkst、インフリキシマブ-qbtx、イバリズマブ、イバリズマブ-uiyk、チルドラキズマブ、チルドラキズマブ-asmn、ブロスマブ、ブロスマブ-twza、エレヌマブ、エレヌマブ-aooe、トシツモマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ、モキセツモマブシュードトクス、セミプリマブ、ポラツズマブ、カツマキソマブ、ポラツズマブベドチン、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項44~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
抗体または抗体試薬が、インフリキシマブもしくはそのバイオシミラー、アダリムマブもしくはそのバイオシミラー、またはそれらの組合せである、請求項44~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
インフリキシマブまたはそのバイオシミラーが、インフリキシマブ、インフリキシマブ-dyyb、インフリキシマブ-abda、インフリキシマブ-qbtxおよびインフリキシマブ-axxqからなる群から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
アダリムマブまたはそのバイオシミラーが、アダリムマブ、アダリムマブ-atto、アダリムマブ-adaz、アダリムマブ-afzbおよびアダリムマブ-bwwdからなる群から選択される、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
組成物が、1種または複数の追加剤をさらに含む、請求項44~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
1種または複数の追加剤が、核酸、低分子およびポリペプチドからなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
1種または複数の追加剤が、コルチコステロイド、アミノサリチレート、免疫調節剤、モノクローナル抗体および生物学的製剤からなる群から選択される、請求項61または62に記載の方法。
【請求項64】
組成物が、粘膜への送達、粘膜の通過、またはそれらの組合せ向けに製剤化されている、請求項44~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
粘膜が、鼻膜、口膜、膣膜またはそれらの組合せである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
組成物が、胃腸管への投与向けに製剤化されている、請求項44~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
組成物が、皮下投与、静脈内投与、局所投与、空腸内投与、経口投与またはそれらの組合せ向けに製剤化されている、請求項44~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
組成物が、経口投与向けに製剤化されている、請求項44~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
組成物が、錠剤、丸剤、カプレット剤、カプセル剤、噴霧剤、エアロゾル剤、シロップ剤、液体剤およびそれらの組合せからなる群から選択される形態で製剤化されている、請求項44~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
組成物がカプセルに封入されている、請求項44~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
治療剤および少なくとも1種のイオン性液体を含む組成物を、治療剤の体循環への送達の増強を必要とする対象に投与するステップを含む、対象における、治療剤の体循環への送達を増強する方法であって、
治療剤が、抗体または抗体試薬を含む、
方法。
【請求項72】
少なくとも1種のイオン性液体が、陽イオン性構成成分としてコリンを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
少なくとも1種のイオン性液体が、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を含む、請求項71または72に記載の方法。
【請求項74】
少なくとも1種のイオン性液体が、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を1:1、1:2、1:3、1:4、2:1、3:1または4:1のモル比で含む、請求項71~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
少なくとも1種のイオン性液体が、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:1のモル比のコリン-グリコール酸、2:1のモル比のコリン-グリコール酸、1:2のモル比のコリン-グリコール酸、2:1のモル比のコリン-リンゴ酸、1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、2:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1のモル比のコリン-乳酸、1:1のモル比のコリン-桂皮酸、3:1のモル比のコリン-クエン酸、2:1のモル比のコリン-コハク酸、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項71~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
組成物が、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体を含み、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体が異なる、請求項71~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
第1のイオン性液体が陽イオン性構成成分としてコリンを含むか、第2のイオン性液体が陽イオン性構成成分としてコリンを含むか、またはそれらの組合せである、請求項76に記載の方法
【請求項78】
第1のイオン性液体および第2のイオン性液体が、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を独立して含む、請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
第1のイオン性液体および第2のイオン性液体が、以下:
(i)それぞれ、1:2のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および2:1のモル比のコリン-グリコール酸
(ii)それぞれ、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および2:1のモル比のコリン-グリコール酸、または
(iii)それぞれ、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および1:1のモル比のコリン-グリコール酸
を含む、請求項76~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
グリセロールをさらに含む、請求項71~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
組成物が、少なくとも1種のイオン性液体およびグリセロールを95%:5%、90%:10%、85%:15%、80%:20%、75%:25%、70%:30、65%:35%、60%:40%、55%:45%、50%:50%、45%:55%、40%:60%、35%:65%、30%:70%、25%:75%、20%:80%、15%:85%、10%:90%または5%:95%の比で含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
組成物が、少なくとも1種のイオン性液体およびグリセロールを以下の比:
(i)10%:90%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含む)、
(ii)25%:75%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:2のモル比のコリン-グリコール酸、または1:1のモル比のコリン-桂皮酸を含む)、
(iii)50%:50%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1、2:1もしくは1:2のモル比のコリン-グリコール酸、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、2:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1のモル比のコリン-乳酸、または2:1のモル比のコリン-コハク酸を含む)、
(iv)75%:25%(少なくとも1種のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-酒石酸、または3:1のモル比のコリン-クエン酸を含む)、または
(v)90%:10%(少なくとも1種のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-酒石酸を含む)
で含む、請求項80または81に記載の方法。
【請求項83】
組成物が、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体を含み、組成物が、第1のイオン性液体、第2のイオン性液体およびグリセロールを以下の比:
(i)10%:45%:45%
(第1のイオン性液体は、1:2のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む、または
第1のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む)、または
(ii)10%:40%:50%(第1のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む)、
で含む、請求項80または81に記載の方法。
【請求項84】
抗体または抗体試薬が、アブシキシマブ、アダリムマブ、アダリムマブ-atto、アド-トラスツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、アレムツズマブ、アルイロクマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、バシリキシマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、ブレンツキシマブベドチン、ブロダルマブ、カナキヌマム、カプロマブ、カプロマブペンデチド、セルトリズマブ、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、ダクリズマブ、ダラツムマブ、デノスマブ、ジヌツキシマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、エクリズマブ、エロツズマブ、エボロクマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、ゴリムマブ、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、イダルシズマブ、インフリキシマブ、インフリキシマブ-abda、インフリキシマブ-dyyb、イピリムマブ、イクセキズマブ、メポリズマブ、ナタリズマブ、ネシツムマブ、ニボルマブ、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペムブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムクリウマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レスリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、シルツキシマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブ、サリルマブ、グセルクマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イノツズマブ、アダリムマブ-adbm、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲムツズマブ、ベバシズマブ-awwb、ベンラリズマブ、エミシズマブ、エミシズマブ-kxwh、トラスツズマブ-dkst、インフリキシマブ-qbtx、イバリズマブ、イバリズマブ-uiyk、チルドラキズマブ、チルドラキズマブ-asmn、ブロスマブ、ブロスマブ-twza、エレヌマブ、エレヌマブ-aooe、トシツモマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ、モキセツモマブシュードトクス、セミプリマブ、ポラツズマブ、カツマキソマブ、ポラツズマブベドチン、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項71~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
抗体または抗体試薬が、インフリキシマブもしくはそのバイオシミラー、アダリムマブもしくはそのバイオシミラー、またはそれらの組合せである、請求項71~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
インフリキシマブまたはそのバイオシミラーが、インフリキシマブ、インフリキシマブ-dyyb、インフリキシマブ-abda、インフリキシマブ-qbtxおよびインフリキシマブ-axxqからなる群から選択される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
アダリムマブまたはそのバイオシミラーが、アダリムマブ、アダリムマブ-atto、アダリムマブ-adaz、アダリムマブ-afzbおよびアダリムマブ-bwwdからなる群から選択される、請求項85または86に記載の方法。
【請求項88】
組成物が、1種または複数の追加剤をさらに含む、請求項71~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
1種または複数の追加剤が、核酸、低分子およびポリペプチドからなる群から選択される、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
1種または複数の追加剤が、コルチコステロイド、アミノサリチレート、免疫調節剤、モノクローナル抗体および生物学的製剤からなる群から選択される、請求項88または89に記載の方法。
【請求項91】
組成物が、粘膜への送達、粘膜の通過、またはそれらの組合せ向けに製剤化されている、請求項71~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
粘膜が、鼻膜、口膜、膣膜またはそれらの組合せである、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
組成物が、胃腸管への投与向けに製剤化されている、請求項71~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
組成物が、皮下投与、静脈内投与、局所投与、空腸内投与、経口投与またはそれらの組合せ向けに製剤化されている、請求項71~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
組成物が、経口投与向けに製剤化されている、請求項71~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
組成物が、錠剤、丸剤、カプレット剤、カプセル剤、噴霧剤、エアロゾル剤、シロップ剤、液体剤およびそれらの組合せからなる群から選択される形態で製剤化されている、請求項71~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
組成物がカプセルに封入されている、請求項71~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
対象が、疾患または障害を有しており、
疾患または障害が、炎症性疾患、自己免疫疾患またはそれらの組合せである、
請求項71~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
炎症性疾患、自己免疫疾患またはそれらの組合せが、超活性免疫系を特徴とする、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
炎症性疾患、自己免疫疾患またはそれらの組合せが、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項98または99に記載の方法。
【請求項101】
対象が、疾患または障害を有しており、
疾患または障害が糖尿病である、
請求項71~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
対象において、組成物を粘膜に送達させる、粘膜を通過させる、またはそれらの組合せである、請求項71~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
粘膜が、鼻膜、口膜、膣膜またはそれらの組合せである、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
投与するステップが、対象における胃腸管に投与するステップを含む、請求項71~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
投与するステップが、皮下投与、静脈内投与、局所投与、空腸内投与、経口投与またはそれらの組合せを含む、請求項71~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
投与するステップが経口投与を含む、請求項71~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
組成物が単回用量で投与される、請求項71~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
組成物が反復用量で投与される、請求項71~107のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001]本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2021年5月05日出願の米国仮特許出願第63/184,333号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]炎症性疾患および自己免疫疾患は、超活性免疫系を特徴とする疾患である。進歩があるにもかかわらず、炎症性疾患および自己免疫疾患の新規処置が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
[0003]一部の態様では、治療剤および少なくとも1種のイオン性液体を含む組成物であって、治療剤が抗体または抗体試薬を含む、組成物がとりわけ本明細書において提供される。
【0004】
[0004]一部の実施形態では、少なくとも1種のイオン性液体は、陽イオン性構成成分としてコリンを含む。
[0005]一部の実施形態では、少なくとも1種のイオン性液体は、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を含む。
【0005】
[0006]一部の実施形態では、少なくとも1種のイオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を1:1、1:2、1:3、1:4、2:1、3:1または4:1のモル比で含む。
【0006】
[0007]一部の実施形態では、少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:1のモル比のコリン-グリコール酸、2:1のモル比のコリン-グリコール酸、1:2のモル比のコリン-グリコール酸、2:1のモル比のコリン-リンゴ酸、1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、2:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1のモル比のコリン-乳酸、1:1のモル比のコリン-桂皮酸、3:1のモル比のコリン-クエン酸、2:1のモル比のコリン-コハク酸、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0007】
[0008]一部の実施形態では、本組成物は、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体を含み、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体は異なる。
[0009]一部の実施形態では、第1のイオン性液体が陽イオン性構成成分としてコリンを含むか、第2のイオン性液体が陽イオン性構成成分としてコリンを含むか、またはそれらの組合せである。
【0008】
[0010]一部の実施形態では、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体は、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を独立して含む。
【0009】
[0011]一部の実施形態では、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体は、(i)それぞれ、1:2のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および2:1のモル比のコリン-グリコール酸、(ii)それぞれ、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および2:1のモル比のコリン-グリコール酸、または(iii)それぞれ、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および1:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む。
【0010】
[0012]一部の実施形態では、本明細書において提供される組成物は、グリセロールをさらに含む。
[0013]一部の実施形態では、本組成物は、少なくとも1種のイオン性液体およびグリセロールを95%:5%、90%:10%、85%:15%、80%:20%、75%:25%、70%:30、65%:35%、60%:40%、55%:45%、50%:50%、45%:55%、40%:60%、35%:65%、30%:70%、25%:75%、20%:80%、15%:85%、10%:90%または5%:95%の比で含む。
【0011】
[0014]一部の実施形態では、本組成物は、少なくとも1種のイオン性液体およびグリセロールを以下の比で含む:(i)10%:90%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含む);(ii)25%:75%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:2のモル比のコリン-グリコール酸、または1:1のモル比のコリン-桂皮酸を含む);(iii)50%:50%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1、2:1もしくは1:2のモル比のコリン-グリコール酸、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、2:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1のモル比のコリン-乳酸、または2:1のモル比のコリン-コハク酸を含む);(iv)75%:25%(少なくとも1種のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-酒石酸または3:1のモル比のコリン-クエン酸を含む);または(v)90%:10%(少なくとも1種のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-酒石酸を含む)。
【0012】
[0015]一部の実施形態では、本組成物は、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体を含み、本組成物は、第1のイオン性液体、第2のイオン性液体およびグリセロールを以下の比で含む:(i)10%:45%:45%(第1のイオン性液体は、1:2のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む;または第1のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む);または(ii)10%:40%:50%(第1のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む)。
【0013】
[0016]一部の実施形態では、抗体または抗体試薬は、アブシキシマブ、アダリムマブ、アダリムマブ-atto、アド-トラスツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、アレムツズマブ、アルイロクマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、バシリキシマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、ブレンツキシマブベドチン、ブロダルマブ、カナキヌマム、カプロマブ、カプロマブペンデチド、セルトリズマブ、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、ダクリズマブ、ダラツムマブ、デノスマブ、ジヌツキシマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、エクリズマブ、エロツズマブ、エボロクマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、ゴリムマブ、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、イダルシズマブ、インフリキシマブ、インフリキシマブ-abda、インフリキシマブ-dyyb、イピリムマブ、イクセキズマブ、メポリズマブ、ナタリズマブ、ネシツムマブ、ニボルマブ、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペムブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ(ramucriumab)、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レスリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、シルツキシマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブ、サリルマブ、グセルクマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イノツズマブ、アダリムマブ-adbm、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲムツズマブ、ベバシズマブ-awwb、ベンラリズマブ、エミシズマブ、エミシズマブ-kxwh、トラスツズマブ-dkst、インフリキシマブ-qbtx、イバリズマブ、イバリズマブ-uiyk、チルドラキズマブ、チルドラキズマブ-asmn、ブロスマブ、ブロスマブ-twza、エレヌマブ、エレヌマブ-aooe、トシツモマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ、モキセツモマブシュードトクス、セミプリマブ、ポラツズマブ、カツマキソマブ、ポラツズマブベドチン、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0014】
[0017]一部の実施形態では、抗体または抗体試薬は、インフリキシマブもしくはそのバイオシミラー、アダリムマブもしくはそのバイオシミラー、またはそれらの組合せである。
【0015】
[0018]一部の実施形態では、インフリキシマブまたはそのバイオシミラーは、インフリキシマブ、インフリキシマブ-dyyb、インフリキシマブ-abda、インフリキシマブ-qbtxおよびインフリキシマブ-axxqからなる群から選択される。
【0016】
[0019]一部の実施形態では、アダリムマブまたはそのバイオシミラーは、アダリムマブ、アダリムマブ-atto、アダリムマブ-adaz、アダリムマブ-afzbおよびアダリムマブ-bwwdからなる群から選択される。
【0017】
[0020]一部の実施形態では、本明細書において提供される組成物は、1種または複数の追加剤をさらに含む。
[0021]一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、核酸、低分子およびポリペプチドからなる群から選択される。
【0018】
[0022]一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、コルチコステロイド、アミノサリチレート、免疫調節剤、モノクローナル抗体および生物学的製剤からなる群から選択される。
【0019】
[0023]一部の実施形態では、本組成物は、粘膜への送達、粘膜の通過、またはそれらの組合せ向けに製剤化されている。
[0024]一部の実施形態では、粘膜は、鼻膜、口膜、膣膜またはそれらの組合せである。
【0020】
[0025]一部の実施形態では、本組成物は、胃腸管への投与向けに製剤化されている。
[0026]一部の実施形態では、本組成物は、皮下投与、静脈内投与、局所投与、空腸内投与、経口投与またはそれらの組合せ向けに製剤化されている。別の実施形態では、本組成物は、結腸内投与、すなわち結腸への投与向けに製剤化されている。
【0021】
[0027]一部の実施形態では、本組成物は、経口投与向けに製剤化されている。
[0028]一部の実施形態では、本組成物は、錠剤、丸剤、カプレット剤、カプセル剤、噴霧剤、エアロゾル剤、シロップ剤、液体剤およびそれらの組合せからなる群から選択される形態で製剤化されている。
【0022】
[0029]一部の実施形態では、本組成物は、カプセルに封入される。
[0030]一部の態様では、本明細書において提供される組成物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が、本明細書において提供される。
【0023】
[0031]一部の態様では、疾患または障害の処置を必要とする対象における、疾患または障害を処置する方法であって、対象に、治療有効量の本明細書において提供される組成物または本明細書において提供される医薬組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0024】
[0032]一部の実施形態では、疾患または障害は、炎症性疾患、自己免疫疾患またはそれらの組合せである。
[0033]一部の実施形態では、炎症性疾患、自己免疫疾患またはそれらの組合せは、超活性免疫系を特徴とする。
【0025】
[0034]一部の実施形態では、炎症性疾患、自己免疫疾患またはそれらの組合せは、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0026】
[0035]一部の実施形態では、疾患または障害は、糖尿病である。
[0036]さらなる実施形態では、疾患または障害は、肥満である。さらに別の実施形態では、肥満、2型糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患およびGDF15が発現する疾患を含めた代謝性疾患を処置する方法である。
【0027】
[0037]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法は、1種または複数の追加剤を投与するステップをさらに含む。
[0038]一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、核酸、低分子およびポリペプチドからなる群から選択される。
【0028】
[0039]一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、コルチコステロイド、アミノサリチレート、免疫調節剤、モノクローナル抗体および生物学的製剤からなる群から選択される。
【0029】
[0040]一部の実施形態では、本方法は、対象において、本組成物を粘膜に送達させる、粘膜を通過させる、またはそれらの組合せである。
[0041]一部の実施形態では、粘膜は、鼻膜、口膜、膣膜またはそれらの組合せである。
【0030】
[0042]一部の実施形態では、投与は、対象における胃腸管への投与を含む。
[0043]一部の実施形態では、投与は、皮下投与、静脈内投与、局所投与、空腸内投与、経口投与またはそれらの組合せを含む。別の実施形態では、本組成物は、結腸内投与、すなわち結腸への投与向けに製剤化されている。
【0031】
[0044]一部の実施形態では、投与は、経口投与を含む。
[0045]一部の実施形態では、本組成物は、単回用量で投与される。
[0046]一部の実施形態では、本組成物は、反復用量で投与される。
【0032】
[0047]一部の態様では、治療剤および少なくとも1種のイオン性液体を含む組成物を製剤化するステップを含む、治療剤の溶解度を増大させる方法であって、治療剤が、抗体または抗体試薬を含む、方法が本明細書において提供される。
【0033】
[0048]一部の実施形態では、少なくとも1種のイオン性液体は、陽イオン性構成成分としてコリンを含む。
[0049]一部の実施形態では、少なくとも1種のイオン性液体は、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を含む。
【0034】
[0050]一部の実施形態では、少なくとも1種のイオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を1:1、1:2、1:3、1:4、2:1、3:1または4:1のモル比で含む。
【0035】
[0051]一部の実施形態では、少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:1のモル比のコリン-グリコール酸、2:1のモル比のコリン-グリコール酸、1:2のモル比のコリン-グリコール酸、2:1のモル比のコリン-リンゴ酸、1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、2:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1のモル比のコリン-乳酸、1:1のモル比のコリン-桂皮酸、3:1のモル比のコリン-クエン酸、2:1のモル比のコリン-コハク酸、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0036】
[0052]一部の実施形態では、本組成物は、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体を含み、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体は異なる。
[0053]一部の実施形態では、第1のイオン性液体が陽イオン性構成成分としてコリンを含むか、第2のイオン性液体が陽イオン性構成成分としてコリンを含むか、またはそれらの組合せである。
【0037】
[0054]一部の実施形態では、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体は、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を独立して含む。
【0038】
[0055]一部の実施形態では、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体は、(i)それぞれ、1:2のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および2:1のモル比のコリン-グリコール酸、(ii)それぞれ、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および2:1のモル比のコリン-グリコール酸、または(iii)それぞれ、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および1:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む。
【0039】
[0056]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法は、グリセロールをさらに含む。
[0057]一部の実施形態では、本組成物は、少なくとも1種のイオン性液体およびグリセロールを95%:5%、90%:10%、85%:15%、80%:20%、75%:25%、70%:30、65%:35%、60%:40%、55%:45%、50%:50%、45%:55%、40%:60%、35%:65%、30%:70%、25%:75%、20%:80%、15%:85%、10%:90%または5%:95%の比で含む。
【0040】
[0058]一部の実施形態では、本組成物は、少なくとも1種のイオン性液体およびグリセロールを以下の比で含む:(i)10%:90%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含む);(ii)25%:75%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:2のモル比のコリン-グリコール酸、または1:1のモル比のコリン-桂皮酸を含む);(iii)50%:50%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1、2:1もしくは1:2のモル比のコリン-グリコール酸、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、2:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1のモル比のコリン-乳酸、または2:1のモル比のコリン-コハク酸を含む);(iv)75%:25%(少なくとも1種のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-酒石酸または3:1のモル比のコリン-クエン酸を含む);または(v)90%:10%(少なくとも1種のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-酒石酸を含む)。
【0041】
[0059]一部の実施形態では、本組成物は、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体を含み、本組成物は、第1のイオン性液体、第2のイオン性液体およびグリセロールを以下の比で含む:(i)10%:45%:45%(第1のイオン性液体は、1:2のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む;または第1のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む);または(ii)10%:40%:50%(第1のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む)。
【0042】
[0060]一部の実施形態では、抗体または抗体試薬は、アブシキシマブ、アダリムマブ、アダリムマブ-atto、アド-トラスツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、アレムツズマブ、アルイロクマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、バシリキシマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、ブレンツキシマブベドチン、ブロダルマブ、カナキヌマム、カプロマブ、カプロマブペンデチド、セルトリズマブ、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、ダクリズマブ、ダラツムマブ、デノスマブ、ジヌツキシマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、エクリズマブ、エロツズマブ、エボロクマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、ゴリムマブ、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、イダルシズマブ、インフリキシマブ、インフリキシマブ-abda、インフリキシマブ-dyyb、イピリムマブ、イクセキズマブ、メポリズマブ、ナタリズマブ、ネシツムマブ、ニボルマブ、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペムブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムクリウマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レスリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、シルツキシマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブ、サリルマブ、グセルクマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イノツズマブ、アダリムマブ-adbm、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲムツズマブ、ベバシズマブ-awwb、ベンラリズマブ、エミシズマブ、エミシズマブ-kxwh、トラスツズマブ-dkst、インフリキシマブ-qbtx、イバリズマブ、イバリズマブ-uiyk、チルドラキズマブ、チルドラキズマブ-asmn、ブロスマブ、ブロスマブ-twza、エレヌマブ、エレヌマブ-aooe、トシツモマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ、モキセツモマブシュードトクス、セミプリマブ、ポラツズマブ、カツマキソマブ、ポラツズマブベドチン、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0043】
[0061]一部の実施形態では、抗体または抗体試薬は、インフリキシマブもしくはそのバイオシミラー、アダリムマブもしくはそのバイオシミラー、またはそれらの組合せである。
【0044】
[0062]一部の実施形態では、インフリキシマブまたはそのバイオシミラーは、インフリキシマブ、インフリキシマブ-dyyb、インフリキシマブ-abda、インフリキシマブ-qbtxおよびインフリキシマブ-axxqからなる群から選択される。
【0045】
[0063]一部の実施形態では、アダリムマブまたはそのバイオシミラーは、アダリムマブ、アダリムマブ-atto、アダリムマブ-adaz、アダリムマブ-afzbおよびアダリムマブ-bwwdからなる群から選択される。
【0046】
[0064]一部の実施形態では、本組成物は、1種または複数の追加剤をさらに含む。
[0065]一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、核酸、低分子およびポリペプチドからなる群から選択される。
【0047】
[0066]一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、コルチコステロイド、アミノサリチレート、免疫調節剤、モノクローナル抗体および生物学的製剤からなる群から選択される。
【0048】
[0067]一部の実施形態では、本組成物は、粘膜への送達、粘膜の通過、またはそれらの組合せ向けに製剤化されている。
[0068]一部の実施形態では、粘膜は、鼻膜、口膜、膣膜またはそれらの組合せである。
【0049】
[0069]一部の実施形態では、本組成物は、胃腸管への投与向けに製剤化されている。
[0070]一部の実施形態では、本組成物は、皮下投与、静脈内投与、局所投与、空腸内投与、経口投与またはそれらの組合せ向けに製剤化されている。別の実施形態では、本組成物は、結腸内投与、すなわち結腸への投与向けに製剤化されている。
【0050】
[0071]一部の実施形態では、本組成物は、経口投与向けに製剤化されている。
[0072]一部の実施形態では、本組成物は、錠剤、丸剤、カプレット剤、カプセル剤、噴霧剤、エアロゾル剤、シロップ剤、液体剤およびそれらの組合せからなる群から選択される形態で製剤化されている。
【0051】
[0073]一部の実施形態では、本組成物は、カプセルに封入される。
[0074]一部の態様では、治療剤および少なくとも1種のイオン性液体を含む組成物を、治療剤の体循環への送達の増強を必要とする対象に投与するステップを含む、対象における、治療剤の体循環への送達を増強する方法であって、治療剤が、抗体または抗体試薬を含む、方法が本明細書において提供される。
【0052】
[0075]一部の実施形態では、少なくとも1種のイオン性液体は、陽イオン性構成成分としてコリンを含む。
[0076]一部の実施形態では、少なくとも1種のイオン性液体は、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を含む。
【0053】
[0077]一部の実施形態では、少なくとも1種のイオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を1:1、1:2、1:3、1:4、2:1、3:1または4:1のモル比で含む。
【0054】
[0078]一部の実施形態では、少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:1のモル比のコリン-グリコール酸、2:1のモル比のコリン-グリコール酸、1:2のモル比のコリン-グリコール酸、2:1のモル比のコリン-リンゴ酸、1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、2:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1のモル比のコリン-乳酸、1:1のモル比のコリン-桂皮酸、3:1のモル比のコリン-クエン酸、2:1のモル比のコリン-コハク酸、またはそれらの任意の組合せを含む。
【0055】
[0079]一部の実施形態では、本組成物は、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体を含み、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体は異なる。
[0080]一部の実施形態では、第1のイオン性液体が陽イオン性構成成分としてコリンを含むか、第2のイオン性液体が陽イオン性構成成分としてコリンを含むか、またはそれらの組合せである。
【0056】
[0081]一部の実施形態では、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体は、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を独立して含む。
【0057】
[0082]一部の実施形態では、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体は、(i)それぞれ、1:2のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および2:1のモル比のコリン-グリコール酸、(ii)それぞれ、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および2:1のモル比のコリン-グリコール酸、または(iii)それぞれ、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸および1:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む。
【0058】
[0083]一部の実施形態では、本明細書において提供される方法は、グリセロールをさらに含む。
[0084]一部の実施形態では、本組成物は、少なくとも1種のイオン性液体およびグリセロールを95%:5%、90%:10%、85%:15%、80%:20%、75%:25%、70%:30、65%:35%、60%:40%、55%:45%、50%:50%、45%:55%、40%:60%、35%:65%、30%:70%、25%:75%、20%:80%、15%:85%、10%:90%または5%:95%の比で含む。
【0059】
[0085]一部の実施形態では、本組成物は、少なくとも1種のイオン性液体およびグリセロールを以下の比で含む:(i)10%:90%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含む);(ii)25%:75%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:2のモル比のコリン-グリコール酸、または1:1のモル比のコリン-桂皮酸を含む);(iii)50%:50%(少なくとも1種のイオン性液体は、1:1、2:1もしくは1:2のモル比のコリン-グリコール酸、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、2:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1のモル比のコリン-乳酸、または2:1のモル比のコリン-コハク酸を含む);(iv)75%:25%(少なくとも1種のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-酒石酸または3:1のモル比のコリン-クエン酸を含む);または(v)90%:10%(少なくとも1種のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-酒石酸を含む)。
【0060】
[0086]一部の実施形態では、本組成物は、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体を含み、本組成物は、第1のイオン性液体、第2のイオン性液体およびグリセロールを以下の比で含む:(i)10%:45%:45%(第1のイオン性液体は、1:2のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む;または第1のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、2:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む);または(ii)10%:40%:50%(第1のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸を含み、第2のイオン性液体は、1:1のモル比のコリン-グリコール酸を含む)。
【0061】
[0087]一部の実施形態では、抗体または抗体試薬は、アブシキシマブ、アダリムマブ、アダリムマブ-atto、アド-トラスツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、アレムツズマブ、アルイロクマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、バシリキシマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、ブレンツキシマブベドチン、ブロダルマブ、カナキヌマム、カプロマブ、カプロマブペンデチド、セルトリズマブ、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、ダクリズマブ、ダラツムマブ、デノスマブ、ジヌツキシマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、エクリズマブ、エロツズマブ、エボロクマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、ゴリムマブ、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、イダルシズマブ、インフリキシマブ、インフリキシマブ-abda、インフリキシマブ-dyyb、イピリムマブ、イクセキズマブ、メポリズマブ、ナタリズマブ、ネシツムマブ、ニボルマブ、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペムブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムクリウマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レスリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、シルツキシマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブ、サリルマブ、グセルクマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イノツズマブ、アダリムマブ-adbm、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲムツズマブ、ベバシズマブ-awwb、ベンラリズマブ、エミシズマブ、エミシズマブ-kxwh、トラスツズマブ-dkst、インフリキシマブ-qbtx、イバリズマブ、イバリズマブ-uiyk、チルドラキズマブ、チルドラキズマブ-asmn、ブロスマブ、ブロスマブ-twza、エレヌマブ、エレヌマブ-aooe、トシツモマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ、モキセツモマブシュードトクス、セミプリマブ、ポラツズマブ、カツマキソマブ、ポラツズマブベドチン、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0062】
[0088]一部の実施形態では、抗体または抗体試薬は、インフリキシマブもしくはそのバイオシミラー、アダリムマブもしくはそのバイオシミラー、またはそれらの組合せである。
【0063】
[0089]一部の実施形態では、インフリキシマブまたはそのバイオシミラーは、インフリキシマブ、インフリキシマブ-dyyb、インフリキシマブ-abda、インフリキシマブ-qbtxおよびインフリキシマブ-axxqからなる群から選択される。
【0064】
[0090]一部の実施形態では、アダリムマブまたはそのバイオシミラーは、アダリムマブ、アダリムマブ-atto、アダリムマブ-adaz、アダリムマブ-afzbおよびアダリムマブ-bwwdからなる群から選択される。
【0065】
[0091]一部の実施形態では、組成物は、1種または複数の追加剤をさらに含む。
[0092]一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、核酸、低分子およびポリペプチドからなる群から選択される。
【0066】
[0093]一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、コルチコステロイド、アミノサリチレート、免疫調節剤、モノクローナル抗体および生物学的製剤からなる群から選択される。
【0067】
[0094]一部の実施形態では、本組成物は、粘膜への送達、粘膜の通過、またはそれらの組合せ向けに製剤化されている。
[0095]一部の実施形態では、粘膜は、鼻膜、口膜、膣膜またはそれらの組合せである。
【0068】
[0096]一部の実施形態では、本組成物は、胃腸管への投与向けに製剤化されている。
[0097]一部の実施形態では、本組成物は、皮下投与、静脈内投与、局所投与、空腸内投与、経口投与またはそれらの組合せ向けに製剤化されている。別の実施形態では、本組成物は、結腸内投与、すなわち結腸への投与向けに製剤化されている。
【0069】
[0098]一部の実施形態では、本組成物は、経口投与向けに製剤化されている。
[0099]一部の実施形態では、本組成物は、錠剤、丸剤、カプレット剤、カプセル剤、噴霧剤、エアロゾル剤、シロップ剤、液体剤およびそれらの組合せからなる群から選択される形態で製剤化されている。
【0070】
[0100]一部の実施形態では、本組成物は、カプセルに封入される。
[0101]一部の実施形態では、対象は、疾患または障害を有しており、疾患または障害は、炎症性疾患、自己免疫疾患またはそれらの組合せである。
【0071】
[0102]一部の実施形態では、炎症性疾患、自己免疫疾患またはそれらの組合せは、超活性免疫系を特徴とする。
[0103]一部の実施形態では、炎症性疾患、自己免疫疾患またはそれらの組合せは、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0072】
[0104]一部の実施形態では、対象は、疾患または障害を有しており、疾患または障害は、糖尿病である。
[0105]一部の実施形態では、本方法は、対象において、本組成物を粘膜に送達させる、粘膜を通過させる、またはそれらの組合せである。
【0073】
[0106]一部の実施形態では、粘膜は、鼻膜、口膜、膣膜またはそれらの組合せである。
[0107]一部の実施形態では、投与は、対象における胃腸管への投与を含む。
[0108]一部の実施形態では、投与は、皮下投与、静脈内投与、局所投与、空腸内投与、経口投与またはそれらの組合せを含む。別の実施形態では、本組成物は、結腸内投与、すなわち結腸への投与向けに製剤化されている。
【0074】
[0109]一部の実施形態では、投与は、経口投与を含む。
[0110]一部の実施形態では、本組成物は、単回用量で投与される。
[0111]一部の実施形態では、本組成物は、反復用量で投与される。
参照による組込み
[0112]本明細書において明記されている、刊行物、特許および特許出願はすべて、あたかも個々の刊行物、特許または特許出願のそれぞれが、具体的かつ個々に、参照により組み込まれるよう示されているかのごとく、同じ程度に参照により本明細書に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】[0113]酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)による、コリンベースのイオン性液体製剤中のインフリキシマブの安定性を示す図である。
【
図2】[0114]コリンベースのイオン性液体製剤およびインフリキシマブの空腸内投与ならびに静脈内投与後の腸組織におけるインフリキシマブの蓄積を示す図である。
【
図3】[0115]インフリキシマブの静脈内投与と比較した、コリン-グリコール酸インフリキシマブ製剤の空腸内投与後の腸組織中のインフリキシマブの蓄積を示す図である。
【
図4A】[0116]
図4A~4Cは、ナイーブな動物と比較した、コリン-グリコール酸インフリキシマブ製剤の空腸内投与後の腸組織中のインフリキシマブの存在を示す図である。
図4Aでは、Amp HQ IHC染色によって、バックグラウンドの低い腸組織中のmAbの可視化が可能となる(左側パネル)。画像を、組織領域を画定するため、Alにより推進されるIndica Labsハロソフトウェアを使用し、着色領域によって分析する(中央パネル)。画像中のシグナルは特定されており(暗色点)、さらなる定量および分析に使用することができる(右側パネル)。
図4Bは、イオン性液体製剤により、腸組織中のインフリキシマブのシグナルが高濃度であることを示している。
図4Cは、バックグラウンドよりも、組織中の抗TNF-α mAb(インフリキシマブ)シグナルの方が7.5倍高いことを示す。
【
図4B】
図4A~4Cは、ナイーブな動物と比較した、コリン-グリコール酸インフリキシマブ製剤の空腸内投与後の腸組織中のインフリキシマブの存在を示す図である。
図4Aでは、Amp HQ IHC染色によって、バックグラウンドの低い腸組織中のmAbの可視化が可能となる(左側パネル)。画像を、組織領域を画定するため、Alにより推進されるIndica Labsハロソフトウェアを使用し、着色領域によって分析する(中央パネル)。画像中のシグナルは特定されており(暗色点)、さらなる定量および分析に使用することができる(右側パネル)。
図4Bは、イオン性液体製剤により、腸組織中のインフリキシマブのシグナルが高濃度であることを示している。
図4Cは、バックグラウンドよりも、組織中の抗TNF-α mAb(インフリキシマブ)シグナルの方が7.5倍高いことを示す。
【
図4C】
図4A~4Cは、ナイーブな動物と比較した、コリン-グリコール酸インフリキシマブ製剤の空腸内投与後の腸組織中のインフリキシマブの存在を示す図である。
図4Aでは、Amp HQ IHC染色によって、バックグラウンドの低い腸組織中のmAbの可視化が可能となる(左側パネル)。画像を、組織領域を画定するため、Alにより推進されるIndica Labsハロソフトウェアを使用し、着色領域によって分析する(中央パネル)。画像中のシグナルは特定されており(暗色点)、さらなる定量および分析に使用することができる(右側パネル)。
図4Bは、イオン性液体製剤により、腸組織中のインフリキシマブのシグナルが高濃度であることを示している。
図4Cは、バックグラウンドよりも、組織中の抗TNF-α mAb(インフリキシマブ)シグナルの方が7.5倍高いことを示す。
【
図5】[0117]室温で1週間後、円二色性(CD)による、コリン-グリコール酸製剤中の75mg/mLのインフリキシマブの安定性を示す図である。
【
図6】[0118]室温で1週間後の、示差走査蛍光定量法(DSF)による、コリン-グリコール酸製剤中の75mg/mLのインフリキシマブの安定性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
[0119]本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載されている。本発明の特徴および利点の一層良好な理解は、本発明の原理を利用する例示的な実施形態を説明する以下の詳細説明、および以下の添付の図面を参照することにより得られる。
【0077】
[0120]用語「イオン性液体」とは、本明細書において使用する場合、液体状態で存在する、有機の塩または有機の塩の混合物を指す。イオン性液体は、工業的加工、触媒作用、医薬品および電気化学を含めた、様々な分野において有用であることが示されている。イオン性液体は、少なくとも1種の陰イオン性構成成分および少なくとも1種の陽イオン性構成成分を含有する。イオン性液体は、追加の水素結合ドナー(すなわち、-OH基または-NH基を与えることができる任意の分子)を含むことができる。例には、以下に限定されないが、アルコール、脂肪酸およびアミンが含まれる。陰イオン性構成成分および陽イオン性構成成分は、任意のモル比で存在してもよい。
【0078】
[0121]一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約4:1~約1:4のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約4.4:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約4.3:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約4.2:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約4.1:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約4.0:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約3.9:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約3.8:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約3.7:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約3.6:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約3.5:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約3.4:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約3.3:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約3.2:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約3.1:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約3.0:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約2.9:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約2.8:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約2.7:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約2.6:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約2.5:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約2.4:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約2.3:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約2.2:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約2.1:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約2:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1.9:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1.8:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1.7:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1.6:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1.5:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1.4:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1.3:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1.2:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1.1:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:1.1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:1.2のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:1.3のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:1.4のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:1.5のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:1.6のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:1.7のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:1.8のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:1.9のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:2のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:2.1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:2.2のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:2.3のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:2.4のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:2.5のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:2.6のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:2.7のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:2.8のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:2.9のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:3.0のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:3.1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:3.2のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:3.3のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:3.4のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:3.5のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:3.6のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:3.7のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:3.8のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:3.9のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:4.0のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:4.1のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:4.2のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:4.3のモル比で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約1:4.4のモル比で含む。例示的なモル比(陽イオン:陰イオン)は、以下に限定されないが、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、1:1およびこれらの比の間の範囲を含む。一部の実施形態では、イオン性液体または溶媒は、100℃未満で液体として存在する。一部の実施形態では、イオン性液体または溶媒は、室温で液体として存在する。
【0079】
[0122]一部の実施形態では、イオン性液体は、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-マロン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-マンデル酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-dl-2-フェニルプロピオン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-グリコール酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-デカン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-乳酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-桂皮酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-酢酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-クエン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-リン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-2-オクテン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-シトロネル酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-コハク酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-サリチル酸、または1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1、もしくは1:1のモル比のコリン-安息香酸を含む。
【0080】
[0123]言い回し「薬学的に許容される賦形剤」または「薬学的に許容される担体」は、本明細書において使用する場合、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入物質などの、薬学的に許容される物質、組成物またはビヒクルを意味する。担体はそれぞれ、製剤の他の成分と適合性がある、および患者に有害でないという意味において、「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として働くことができる物質の一部の例には、以下:(1)ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖、(2)トウモロコシデンプンおよびバレイショデンプンなどのデンプン、(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)カカオ脂および坐剤用ワックスなどの賦形剤、(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油などの油、(10)プロピレングリコールなどのグリコール、(11)グリセリン、グリセロール、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール、(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル、(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝化剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質不含水、(17)等張性生理食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝溶液、および(21)医薬製剤に使用される他の非毒性の適合性物質が含まれる。
【0081】
[0124]用語「有効量」または「治療有効量」とは、以下に限定されないが、以下に定義されている疾患の処置を含めた、所期の用途をもたらすのに十分な本明細書に記載されている化合物のそのような量を指す。治療有効量は、所期の処置用途(インビボ)、または処置される対象および疾患状態、例えば、対象の体重および年齢、疾患状態の重症度、投与方法などに応じて様々になり得、これは、当業者によって容易に決定され得る。この用語はまた、標的細胞における特定の応答、例えば、血小板の接着および/または細胞移動の低減を誘発する用量が該当する。具体的な用量は、選択される特定の化合物、従う投与レジメン、該化合物が他の化合物と組み合わせて投与されるかどうか、投与の時機、化合物が投与される組織、および化合物が運ばれる物理的送達系に応じて様々となろう。
【0082】
[0125]本明細書において使用する場合、「処置」または「処置すること」とは、以下に限定されないが、治療的利益および/または予防的利益を含めた、疾患、障害または医療状態に関して、有益な結果または所望の結果を得るための手法を指す。治療的利益は、例えば、処置される根本的な障害の根絶または改善を含むことができる。同様に、治療的利益は、例えば、根本的な障害に関連する生理的症状のうちの1つもしくは複数の根絶または改善を含むことができ、こうして、対象が依然として根本的な障害に罹患している可能性があるかに関わらず、対象において改善が観察される。ある特定の実施形態では、予防的利益に関すると、本組成物は、特定の疾患を発症するリスクのある対象、または疾患の診断がなされていないことがある場合でさえも、このような疾患の生理的症状のうちの1つまたは複数を報告している対象に投与される。
【0083】
[0126]「治療作用」は、この用語が本明細書において使用される場合、上記の治療的利益および/または予防的利益を包含する。予防的効果には、疾患もしくは状態の出現を遅延または排除すること、疾患もしくは状態の症状の発生を遅延または排除すること、疾患もしくは状態の進行を減速、停止または反転させること、あるいはそれらの任意の組合せが含まれる。
【0084】
[0127]用語「共投与」、「組み合わせて投与される」およびそれらの文法的に等価なものは、本明細書において使用する場合、ヒトを含めた動物への2種以上の薬剤の投与を包含し、その結果、両方の薬剤および/またはその代謝産物が、同時に対象に存在する。共投与は、個別の組成物で同時に投与すること、個別の組成物で異なる時間に投与すること、または両方の薬剤が存在する組成物での投与を含む。
【0085】
[0128]本明細書において使用する場合、本明細書において互換的に使用される「薬物」または「治療剤」とは、標的細胞または生物に及ぼす効果を発揮する任意の薬剤を指す。薬物は、化学物質、有機または無機低分子、ペプチド、タンパク質または核酸を含む群から選択され得る。本明細書において記載されている方法に使用するために企図される活性化合物の非限定例には、以下に限定されないが、低分子、ポリペプチド、核酸、抗体、ワクチンが含まれる。
【0086】
[0129]態様のいずれかの一部の実施形態では、活性化合物は、治療用化合物または薬物、例えば、対象における少なくとも1つの状態を処置するのに治療的に有効な薬剤または化合物とすることができる。治療用化合物は、様々な状態に関して当分野で公知であり、例えば、drugs.comでのワールドワイドウェブにおいて入手可能なデータベース、またはcatalog.data.gov/dataset/drugsfda-databaseでのワールドワイドウェブにおいて入手可能なFDAにより承認された化合物のカタログを参照されたい。それらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0087】
[0130]非限定例として、本明細書における活性化合物/治療用化合物として使用するのに好適な例示的な抗体および/または抗体試薬には、下記の一部を組み合わせることによって作製される二重特異的抗体を含めた、アブシキシマブ、アダリムマブ、アダリムマブ-atto、アド-トラスツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、アレムツズマブ、アルイロクマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、バシリキシマブ、ベリムマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、ブレンツキシマブベドチン、ブロダルマブ、カナキヌマム、カプロマブ、カプロマブペンデチド、セルトリズマブ、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、ダクリズマブ、ダラツムマブ、デノスマブ、ジヌツキシマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、エクリズマブ、エロツズマブ、エボロクマブ、エタネルセプト、エタネルセプト-szzs、ゴリムマブ、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、イダルシズマブ、インフリキシマブ、インフリキシマブ-abda、インフリキシマブ-dyyb、イピリムマブ、イクセキズマブ、メポリズマブ、ナタリズマブ、ネシツムマブ、ニボルマブ、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペムブロリズマブ、ペルツズマブ、ラムクリウマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レスリズマブ、リツキシマブ、セクキヌマブ、シルツキシマブ、トシリズマブ、トラスツズマブ、ウステキヌマブ、ベドリズマブ、サリルマブ、グセルクマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イノツズマブ、アダリムマブ-adbm、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲムツズマブ、ベバシズマブ-awwb、ベンラリズマブ、エミシズマブ、エミシズマブ-kxwh、トラスツズマブ-dkst、インフリキシマブ-qbtx、イバリズマブ、イバリズマブ-uiyk、チルドラキズマブ、チルドラキズマブ-asmn、ブロスマブ、ブロスマブ-twza、エレヌマブ、エレヌマブ-aooe、トシツモマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブ、モキセツモマブシュードトクス、セミプリマブ、ポラツズマブ、カツマキソマブ、ポラツズマブベドチン、およびそれらの組合せが含まれる。
【0088】
[0131]態様のいずれかの一部の実施形態では、活性化合物はポリペプチドである。態様のいずれかの一部の実施形態では、活性化合物は、抗体または抗体試薬である。本明細書において使用する場合、用語「抗体」または「抗体試薬」とは、本明細書において互換的に使用される場合、免疫グロブリン可変ドメイン配列または免疫グロブリン可変ドメイン配列のうちの少なくとも1つを含むポリペプチドであって、所与の抗原に特異的に結合するポリペプチドを指す。抗体試薬は、抗体、または抗体の抗原結合ドメインを含むポリペプチドを含むことができる。一部の実施形態では、抗体試薬は、モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体の抗原結合ドメインを含むポリペプチドを含むことができる。例えば、抗体は、重(H)鎖可変領域(本明細書において、VHと略される)および軽(L)鎖可変領域(本明細書において、VLと略される)を含むことができる。別の例では、抗体は、2本の重(H)鎖可変領域および2本の軽(L)鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、複数鎖または単鎖を含む。一部の実施形態では、抗体は、無傷免疫グロブリンを含む。一部の実施形態では、抗体は、天然由来である。一部の実施形態では、抗体は、組換えに由来する。一部の実施形態では、抗体は、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、ナノボディ、イントラボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディおよび多重特異的抗体の形態にある。
【0089】
[0132]本明細書において互換的に使用される、用語「抗体試薬」または「抗体断片」は、無傷抗体またはその組換えバリアントの少なくとも一部を指す。一部の実施形態では、抗体試薬または抗体断片は、抗原を認識してこれに特異的に結合する抗原結合ドメインである。一部の実施形態では、抗体試薬または抗体断片は、抗体の抗原結合性断片(例えば、単鎖抗体、FabおよびsFab断片、F(ab’)2、Fd断片、Fv断片、scFvおよびドメイン抗体(dAb)断片)ならびに完全抗体を包含する。
【0090】
[0133]本明細書において使用する場合、「炎症性疾患および自己免疫疾患」とは、超活性免疫系を特徴とする疾患である。「炎症性疾患および自己免疫疾患」は、全体を通じて使用される場合、本明細書において別段の指定がない限り、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎およびクローン病を含めたすべてのタイプを含む。炎症性疾患および自己免疫疾患の患者は、経口および局所コルチコステロイド、アミノサリチレート、免疫調節剤、モノクローナル抗体および生物学的製剤を含めた、様々な薬物によって処置される。
イオン性液体を含む組成物
[0134]実施形態のいずれかの一態様では、1)本明細書に記載されているカルボン酸である陰イオン、および2)第四級アンモニウムを含む陽イオンを含む少なくとも1種のイオン性液体、ならびに治療剤を含む組成物が本明細書に記載されている。一部の実施形態では、治療剤は、抗体または抗体試薬を含む。一部の実施形態では、本組成物は、抗体または抗体試薬の最終濃度が少なくとも約0.0001、約0.0005、約0.001、約0.005、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、約500、約550、約600、約650、約700、約750、約800、約850、約900、約950、約1000mg/mLとなる、抗体または抗体試薬を含む。一部の実施形態では、本組成物はグリセロールをさらに含む。一部の実施形態では、本組成物は、少なくとも1種のイオン性液体およびグリセロールを約100%:約0%、約95%:約5%、約90%:約10%、約85%:約15%、約80%:約20%、約75%:約25%、約70%:約30%、約65%:約35%、約60%:約40%、約55%:約45%、約50%:約50%、約45%:約55%、約40%:約60%、約35%:約65%、約30%:約70%、約25%:約75%、約20%:約80%、約15%:約85%、約10%:約90%、約5%:約95%、約または0%:約100%の比で含む。一部の実施形態では、本組成物は、少なくとも1種のイオン性液体およびグリセロールを100%:0%、95%:5%、90%:10%、85%:15%、80%:20%、75%:25%、70%:30、65%:35%、60%:40%、55%:45%、50%:50%、45%:55%、40%:60%、35%:65%、30%:70%、25%:75%、20%:80%、15%:85%、10%:90%、5%:95%または0%:100%の比で含む。
【0091】
[0135]一部の実施形態では、本組成物は、表1に列挙されているイオン性液体から選択される、少なくとも1種のイオン性液体を含む。
[0136]一部の実施形態では、本組成物は、第1のイオン性液体および第2のイオン性液体を含む。一部の実施形態では、第1のイオン性液体と第2のイオン性液体は異なる。
【0092】
[0137]一部の実施形態では、第1のイオン性液体は、陽イオン性構成成分としてコリンを含む。一部の実施形態では、第2のイオン性液体は、陽イオン性構成成分としてコリンを含む。一部の実施形態では、第1のイオン性液体が陽イオン性構成成分としてコリンを含み、かつ第2のイオン性液体が陽イオン性構成成分としてコリンを含む。一部の実施形態では、第1のイオン性液体は、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を含む。一部の実施形態では、第2のイオン性液体は、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を含む。一部の実施形態では、第1のイオン性液体は、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を含み、第2のイオン性液体は、マロン酸、3-フェニルプロパン酸、マンデル酸、DL-2-フェニルプロピオン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、デカン酸、乳酸、桂皮酸、酢酸、クエン酸、リン酸、2-オクテン酸、シトロネル酸、コハク酸、サリチル酸および安息香酸からなる群から選択される陰イオン性構成成分を含む。
【0093】
[0138]一部の実施形態では、第1のイオン性液体は、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-マロン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-マンデル酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-dl-2-フェニルプロピオン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-グリコール酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-デカン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-乳酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-桂皮酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-酢酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-クエン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-リン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-2-オクテン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-シトロネル酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-コハク酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-サリチル酸、または1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-安息香酸を含む。一部の実施形態では、第2のイオン性液体は、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-マロン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-3-フェニルプロパン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-マンデル酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-dl-2-フェニルプロピオン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-グリコール酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-リンゴ酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-酒石酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-デカン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-乳酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-桂皮酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-酢酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-クエン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-リン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-2-オクテン酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-シトロネル酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-コハク酸、1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-サリチル酸、または1:1、1:2、1:3、1:4、4:1、3:1、2:1もしくは1:1のモル比のコリン-安息香酸を含む。
【0094】
[0139]一部の実施形態では、本組成物はグリセロールをさらに含む。一部の実施形態では、本組成物は、第1のイオン性液体、第2のイオン性液体およびグリセロールを100%:0%:0%、95%:5%:0%、90%:10%:0%、85%:15%:0%、80%:20%:0%、75%:25%:0%、70%:30:0%、65%:35%:0%、60%:40%:0%、55%:45%:0%、50%:50%:0%、45%:55%:0%、40%:60%:0%、35%:65%:0%、30%:70%:0%、25%:75%:0%、20%:80%:0%、15%:85%:0%、10%:90%:0%、5%:95%:0%、0%:100%:0%;0%:95%:5%、5%:90%:5%、10%:85%:5%、15%:80%:5%、20%:75%:5%、25%:70%:5%、30%:65%:5%、35%:60%:5%、40%:55%:5%、45%:50%:5%、50%:45%:5%、55%:40%:5%、60%:35%:5%、65%:30%:5%、70%:25%:5%、75%:20%:5%、80%:15%:5%、85%:10%:5%、90%:5%:5%、95%:0%:5%;0%:90%:10%、5%:85%:10%、10%:80%:10%、15%:75%:10%、20%:70%:10%、25%:65%:10%、30%:60%:10%、35%:55%:10%、40%:50%:10%、45%:45%:10%、50%:40%:10%、55%:35%:10%、60%:30%:10%、65%:25%:10%、70%:20%:10%、75%:15%:10%、80%:10%:10%、85%:5%:10%、90%:0%:10%;0%:85%:15%、5%:80%:15%、10%:75%:15%、15%:70%:15%、20%:65%:15%、25%:60%:15%、30%:55%:15%、35%:50%:15%、40%:45%:15%、45%:40%:15%、50%:35%:15%、55%:30%:15%、60%:25%:15%、65%:20%:15%、70%:15%:15%、75%:10%:15%、80%:5%:15%、85%:0%:15%;0%:80%:20%、5%:75%:20%、10%:70%:20%、15%:65%:20%、20%:60%:20%、25%:55%:20%、30%:50%:20%、35%:45%:20%、40%:40%:20%、45%:35%:20%、50%:30%:20%、55%:25%:20%、60%:20%:20%、65%:15%:20%、70%:10%:20%、75%:5%:20%、80%:0%:20%;0%:75%:25%、5%:70%:25%、10%:65%:25%、15%:60%:25%、20%:55%:25%、25%:50%:25%、30%:45%:25%、35%:40%:25%、40%:35%:25%、45%:30%:25%、50%:25%:25%、55%:20%:25%、60%:15%:25%、65%:10%:25%、70%:5%:25%、75%:0%:25%;0%:70%:30%、5%:65%:30%、10%:60%:30%、15%:55%:30%、20%:50%:30%、25%:45%:30%、30%:40%:30%、35%:35%:30%、40%:30%:30%、45%:25%:30%、50%:20%:30%、55%:15%:30%、60%:10%:30%、65%:5%:30%、70%:0%:30%;0%:65%:35%、5%:60%:35%、10%:55%:35%、15%:50%:35%、20%:45%:35%、25%:40%:35%、30%:35%:35%、35%:30%:35%、40%:25%:35%、45%:20%:35%、50%:15%:35%、55%:10%:35%、60%:5%:35%、65%:0%:35%;0%:60%:40%、5%:55%:40%、10%:50%:40%、15%:45%:40%、20%:40%:40%、25%:35%:40%、30%:30%:40%、35%:25%:40%、40%:20%:40%、45%:15%:40%、50%:10%:40%、55%:5%:40%、60%:0%:40%;0%:55%:45%、5%:50%:45%、10%:45%:45%、15%:40%:45%、20%:35%:45%、25%:30%:45%、30%:25%:45%、35%:20%:45%、40%:15%:45%、45%:10%:45%、50%:5%:45%、55%:0%:45%;0%:50%:50%、5%:45%:50%、10%:40%:50%、15%:35%:50%、20%:30%:50%、25%:25%:50%、30%:20%:50%、35%:15%:50%、40%:10%:50%、45%:5%:50%、50%:0%:50%;0%:45%:55%、5%:40%:55%、10%:35%:55%、15%:30%:55%、20%:25%:55%、25%:20%:55%、30%:15%:55%、35%:10%:55%、40%:5%:55%、45%:0%:55%;0%:40%:60%、5%:35%:60%、10%:30%:60%、15%:25%:60%、20%:20%:60%、25%:15%:60%、30%:10%:60%、35%:5%:60%、40%:0%:60%;0%:35%:65%、5%:30%:65%、10%:25%:65%、15%:20%:65%、20%:15%:65%、25%:10%:65%、30%:5%:65%、35%:0%:65%;0%:30%:70%、5%:25%:70%、10%:20%:70%、15%:15%:70%、20%:10%:70%、25%:5%:70%、30%:0%:70%;0%:25%:75%、5%:20%:75%、10%:15%:75%、15%:10%:75%、20%:5%:75%、25%:0%:75%;0%:20%:80%、5%:15%:80%、10%:10%:80%、15%:5%:80%、20%:0%:80%;0%:15%:85%、5%:10%:85%、10%:5%:85%、15%:0%:85%;0%:10%:90%、5%:5%:90%、10%:0%:90%:0%:5%:95%、5%:0%:95%;または0%:0%:100%の比で含む。
【0095】
[0140]一部の実施形態では、ある特定の疾患および障害の処置に有用なイオン性液体を含む組成物が、本明細書において提供される。
製剤
[0141]一部の実施形態では、本明細書において提供されるイオン性液体は、1種または複数の薬物と組み合わせて製剤化されている。一部の実施形態では、イオン性液体は、溶解度および/または送達を増強するための別の溶媒と組み合わせることができる。溶媒は、水性であってもよく、または非水性であってもよい。一部の実施形態では、溶媒の目的は、粘膜または胃腸管が触れるイオン性液体の用量を制御することである。溶媒によるイオン性液体の希釈は、対象への安全用量を送達する目的を果たすことができる。一部の実施形態では、溶媒の目的は、1種または複数の薬物の溶解度を改善することである。このような改善は、イオン性液体の物理化学的環境を制御して、1種または複数の薬物の化学的性質を適合させる溶媒の能力に起因し得る。一部の実施形態では、溶媒は、粘膜を通過する送達を改善する目的を果たすことができる。
【0096】
[0142]使用される溶媒は、非限定的に、滅菌水、生理食塩水溶液、グリセリン、プロピレングリコール、エタノール、油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジルまたは界面活性剤を含むことができる。
【0097】
[0143]一部の実施形態では、溶媒は、イオン性液体とカプセルとの適合性に悪影響を及ぼさないように選択される。
[0144]一部の実施形態では、1種または複数の薬物は、ミセル、または他の自己組織化構造を形成することがある。一部の実施形態では、このような構造は、イオン性液体の存在下でしか起こらないことがある。
【0098】
[0145]一部の実施形態では、1種または複数の薬物は、核酸分子である。核酸分子は、本明細書に記載されている通り、生物への送達が意図される、ベクター、発現ベクター、阻害性核酸、アプタマー、鋳型分子もしくはカセット(例えば、遺伝子編集のため)、または標的分子(例えば、CRISPR-Cas技術用途)、または任意の他の天然核酸分子もしくは合成核酸分子とすることができる。
【0099】
[0146]実施形態のいずれかにおいて、1種または複数の薬物は、局所組織、例えば、腸の粘膜、腸の内張りを処置する目的、遠隔組織、例えば肝臓を処置する目的、または体循環に進入させる目的で設計され得る。
【0100】
[0147]一部の実施形態では、本明細書に記載されている組成物、例えば、イオン性液体および1種または複数の薬物を含む組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含むことができる。好適な賦形剤には、例えば、水、生理食塩水、グリセロール、エタノールなどおよびそれらの組合せが含まれる。さらに、所望の場合、本組成物は、乳化剤、界面活性剤、pH緩衝化剤などの、1種または複数の薬物の有効性を増強する、追加の賦形剤を微量含有することができる。
【0101】
[0148]一部の実施形態では、イオン性液体を含む組成物は、生物への送達を容易にするよう設計されている剤形にさらに封入されてもよい。このような剤形の非限定例には、カプセル剤、錠剤およびシロップ剤が含まれる。
【0102】
[0149]一部の実施形態では、製剤は、賦形剤となる糖(ラクトースなど)、デンプン(トウモロコシデンプンなど)、セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、ゼラチンおよび他の適合性物質を必要とすることがある。
【0103】
[0150]一部の実施形態では、本明細書に記載されているイオン性液体を含む組成物は、1種または複数の追加剤をさらに含む。一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、核酸、低分子およびポリペプチドから選択される。一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、核酸を含む。一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、低分子を含む。一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは、抗体を含む。一部の実施形態では、抗体は、抗原結合性(Fab、F(ab’)2)断片、一本鎖可変断片(scFv)およびナノボディから選択されるいずれかのものを含む。
疾患および障害の処置のためのイオン性液体
[0151]用語「イオン性液体(IL)」とは、本明細書において使用する場合、室温において液体状態にある、有機の塩または有機の塩の混合物を指す。溶媒のこのようなクラスは、工業的加工、触媒作用、医薬品および電気化学を含めた、様々な分野において有用であることが示されている。
【0104】
[0152]一部の実施形態では、本組成物は、イオン性液体を、体積あたり少なくとも0.1%重量の濃度で含む。一部の実施形態では、本組成物は、イオン性液体を、少なくとも0.05Mの濃度で含む。一部の実施形態では、イオン性液体は、陽イオン性構成成分および陰イオン性構成成分を約4:1~約1:4のモル比で含む。
【0105】
[0153]イオン性液体は、少なくとも1種の陰イオン性構成成分および少なくとも1種の陽イオン性構成成分を含有する。イオン性液体は、追加の水素結合ドナー(すなわち、-OH基または-NH基を与えることができる任意の分子)を含むことができ、例には、以下に限定されないが、アルコール、脂肪酸およびアミンが含まれる。少なくとも1種の陰イオン性構成成分および少なくとも1種の陽イオン性構成成分は、任意のモル比で存在することができる。例示的なモル比(陽イオン:陰イオン)は、以下に限定されないが、1:4、1:2、2:1、1:3、3:1、2:3、3:2、4:1およびこれらの比の間の範囲を含む。イオン性液体のさらなる議論に関すると、例えば、Houghら、「The third evolution of ionic liquids: active pharmaceutical ingredients」、New Journal of Chemistry、31巻:1429頁(2007年)およびXuら、「Ionic Liquids:Ion Mobilities、Glass Temperatures、and Fragilities」、Journal of Physical Chemistry B、107巻(25号):6170~6178頁(2003年)を参照されたい。それらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれている。態様のいずれかの一部の実施形態では、イオン性液体または溶媒は、100℃未満で液体として存在する。態様のいずれかの一部の実施形態では、イオン性液体または溶媒は、室温において液体として存在する。
【0106】
[0154]一部の実施形態では、本組成物は、1種または複数の追加剤をさらに含む。一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、核酸、低分子およびポリペプチドから選択される。一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、核酸を含む。一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、低分子を含む。一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、抗体を含む。一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、ナノボディを含む。
【0107】
[0155]一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、特定のサイトカインまたは細胞表面受容体に結合する抗体から選択される。一部の実施形態では、1種または複数の追加剤は、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブおよびそれらの個々のバイオシミラーから選択される。
【0108】
[0156]別の態様では、本明細書に記載されている組成物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物が本明細書において提供される。
[0157]一部の実施形態では、代謝性疾患または障害の処置を必要とする対象において、代謝性疾患または障害を処置する方法であって、イオン性液体を含む組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。代謝障害には、以下に限定されないが、肥満、糖尿病、脂肪肝疾患または非アルコール性脂肪性肝疾患が挙げられる。
【0109】
[0158]一部の実施形態では、経口投与により糖尿病を処置するために、イオン性液体の使用が本明細書において提供される。経口投与は、丸剤、カプレット剤、カプセル剤、エアロゾル噴霧剤または液体剤を含めた、投与形態のいずれか1つで実現することができる。イオン性液体、またはイオン性液体を用いて送達される1種もしくは複数の薬物は、カプセルに封入され得る。投与形態を含むイオン性液体は、濁りのない無溶媒のイオン性液体、イオン性液体と薬学的に許容される希釈剤との均一な混合物、エマルションまたは懸濁液を含めた、物理形態のいずれかで存在してもよい。経口用量はまた、シロップ剤、噴霧剤またはエアロゾル剤として投与され得る。本明細書において開示されている任意の経口用量の組成物は、所定量のイオン性液体、および場合により1種または複数の薬物を含有してもよく、当業者に周知の調剤方法によって調製されてもよい。
【0110】
[0159]一部の実施形態では、イオン性液体と組み合わせたインフリキシマブの経口用製剤を経口投与するステップを含む、炎症性疾患および自己免疫疾患を処置する方法が、本明細書に記載されている。
【0111】
[0160]本明細書に記載されている通り、イオン性液体は、活性化合物を安全に運び、経口投与の間に遭遇する粘膜を通過させることが可能である。
[0161]本明細書における実施例に記載されている通り、イオン性液体は、1種または複数の薬物と一緒に投与されると、1種または複数の薬物を溶解し、体循環への送達が増強される。したがって、イオン性液体は、粘膜への、および/または粘膜を通過する送達用ビヒクルとして特に好適である。
【0112】
[0162]一部の実施形態では、1種または複数の薬物を送達する方法であって、イオン性液体と組み合わせた1種または複数の薬物を粘膜、例えば、鼻膜、口膜または膣膜に投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0113】
[0163]一態様では、疾患または障害の処置を必要とする対象において、疾患または障害を処置する方法であって、対象に治療有効量のイオン性液体を含む組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0114】
[0164]一部の実施形態では、疾患または障害は、炎症性疾患および自己免疫疾患である。一部の実施形態では、疾患または障害は、炎症性腸疾患(IBD)である。一部の実施形態では、疾患または障害は、潰瘍性大腸炎である。一部の実施形態では、疾患または障害は、クローン病である。
【0115】
[0165]別の態様では、炎症性疾患および自己免疫疾患を処置する方法であって、対象に治療有効量のイオン性液体を含む組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書において提供される。
【0116】
[0166]一部の実施形態では、本組成物は、皮下、静脈内または経口投与により投与される。一部の実施形態では、本組成物は、経口投与により投与される。一部の実施形態では、本組成物は、液体充填カプセル剤として投与される。一部の実施形態では、本組成物は、単回用量で投与される。一部の実施形態では、本組成物は、反復用量で投与される。一部の実施形態では、本組成物は、粘膜に投与される。
抗TNF-αモノクローナル抗体
[0167]インフリキシマブおよびアダリムマブ類は、TNF-αに結合することが知られているモノクローナル抗体である。TNF-αは、炎症において重要な役割を果たすので、TNF-αの作用を遮断する抗体は、炎症性疾患および自己免疫疾患の処置に使用されてきた。抗TNF-αが使用される疾患の例には、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、乾癬性関節炎および強直性脊椎炎が挙げられる。
【0117】
[0168]元の基準製品(インフリキシマブ、アダリムマブ)に類似した効力を実証する多数のバイオシミラーもまた開発されており、炎症性疾患および自己免疫疾患を処置するためにやはり使用される。インフリキシマブバイオシミラーには、Inflectra(インフリキシマブ-dyyb)、Renflexis(インフリキシマブ-abda)、Ixifi(インフリキシマブ-qbtx)、Avsola(インフリキシマブ-axxq)が挙げられる。アダリムマブバイオシミラーには、Amjevita(アダリムマブ-atto)、Hyrimoz(アダリムマブ-adaz)、Abrilada(アダリムマブ-afzb)、Hadlima(アダリムマブ-bwwd)が挙げられる。
【0118】
[0169]一部の実施形態では、イオン性液体と組み合わせたインフリキシマブまたはそのバイオシミラーの経口用製剤を経口投与するステップを含む、糖尿病を処置する方法が、本明細書に記載されている。
【0119】
[0170]一部の実施形態では、イオン性液体と組み合わせたアダリムマブまたはそのバイオシミラーの経口用製剤を経口投与するステップを含む、糖尿病を処置する方法が、本明細書に記載されている。
【実施例】
【0120】
一般
[0171]動物実験はすべて、動物管理委員会のガイドラインおよび実験動物資源研究所(国立研究評議会)の動物の管理と使用に関するガイドに準拠して実施した。
【0121】
実施例1:イオン性液体の調製
[0172]陽イオンとしてコリンおよび様々な陰イオンを含むいくつかのイオン性液体を合成した。イオン性液体を調製するため、4、3、2、1、0.5または0.33当量の重炭酸コリン(80重量%溶液)を250mLの丸底フラスコ中で無溶媒のカルボン酸陰イオンに加えた。重炭酸コリン水溶液と混和しない陰イオンの場合、エタノールなどの共溶媒を、均一な混合物が形成されるまで加えた。CO2の放出が止むまで、この混合物を室温で撹拌した。溶媒を60℃で20分間、回転蒸発によって除去し、各生成物を真空オーブン中、60℃で48時間、乾燥した。
【0122】
実施例2:ELISAによるイオン性液体製剤中のインフリキシマブの短期安定性
[0173]ある割合のイオン性液体およびある割合のグリセロールを使用し、0.1mg/mLの最終の濃度の抗体(インフリキシマブ、Novus Biologicalsから購入したキメラモノクローナル抗TNF-α抗体)と共にイオン性液体製剤を調製した。製剤組成を表1に記載する。抗体含有製剤は、混合後、少なくとも1時間、室温で、そのままであった。10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)および10kDa膜分子量カットオフThermo Scientific(商標)Slide-A-Lyzer(商標)G2透析カセットを使用して、製剤を48時間、透析した。透析後の試料の安定性をインフリキシマブ酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)(Abcamから購入)を使用して評価した。結合およびこのアッセイからの最終的なシグナルは、抗体(インフリキシマブ)が無傷状態にあり、標的に結合することができる場合しか発生しない。
図1および表1に示されている緩衝液だけの条件中のインフリキシマブに対する、各製剤のパーセント安定性を求めた。表1中の太字の列は、>90%のインフリキシマブの安定性をもたらした製剤であることを表す。現行では、異なる陰イオンまたは異なる比の陰イオンまたは異なる量のグリセロールを含有するある特定のイオン性液体が、インフリキシマブ抗体の安定性に影響しない理由は明白ではない。ほとんど例外なく、無溶媒(100%)のイオン性液体を含有する製剤は、抗体の安定性に影響を及ぼす。しかし、安定性は、イオン性液体の割合を低下させることによって、より影響を受けないようになる。一部の製剤は、50~75%のイオン性液体を含有し、このELISAを使用した場合、抗体がその標的に結合する能力に影響を及ぼさない。試験した30種の製剤のなかで、19種の製剤(63%)が、>90%となるインフリキシマブの安定性をもたらした。
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
実施例3:様々なコリンベースのイオン性液体を用いるインフリキシマブの局所送達
[0174]非糖尿病性雄成体Wistarラットを一晩、絶食させたが、水を自由摂取させて、続いて、インフリキシマブおよび様々なコリンベースのイオン性液体のうちの1種を空腸内注射(IJ)により投与した、インフリキシマブおよび生理食塩水をIJにより投与した、またはインフリキシマブおよび生理食塩水を静脈内注射(IV)により投与した。ラットを5時間後に犠牲にし、この時に、各動物から小腸を切除し、PBSにより洗浄した。組織をホモジナイズし、局所小腸組織におけるインフリキシマブをLC-MS/MSによって定量し、
図2に示した。
【0127】
[0175]IVによって、生理食塩水中のインフリキシマブは、5時間時に、小腸組織中に注射した抗体用量の0.95%を有した。IJによる、生理食塩水中のインフリキシマブのネガティブ対照に比べると、インフリキシマブは、存在するインフリキシマブ用量のわずか0.06%であったことによって実証される通り、局所組織への浸透はかなり一層低くかった。
【0128】
[0176]送達されたインフリキシマブの量は、イオン性液体製剤の組成に依存した。75%コリン-クエン酸3:1/25%グリセロールおよび50%コリン-グリコール酸2:1/50%グリセロールを含有する製剤は、局所組織において、低い局所濃度:それぞれ、注射用量の0.03%および0.04%のインフリキシマブをもたらした。50%コリン-リンゴ酸1:1/50%グリセロール、100%コリン-酒石酸2:1、50%コリン-グリコール酸1:2/50%グリセロール、および10%コリン-3-フェニルプロパン酸1:1/40%コリン-グリコール酸1:1/50%グリセロールを用いた場合に、インフリキシマブの局所組織送達の中度の改善が観察され、局所組織におけるインフリキシマブの送達は、それぞれ、0.07%、0.25%、0.27%および0.44%をもたらした。予想外なことに、インフリキシマブを含む50%コリン-グリコール酸1:1/50%グリセロールを含有する製剤は、注射した用量の1.16%を局所組織に送達し、これは、生理食塩水中のインフリキシマブのIV投与と同様である。
【0129】
実施例4:対応する全身性曝露を伴わないで、静脈内注射への送達に同等な、コリン-グリコール酸によるインフリキシマブの局所送達
[0177]非糖尿病性雄成体Wistarラットを一晩、絶食させたが、水を自由摂取させて、続いて、インフリキシマブおよび50%コリン-グリコール酸1:1/50%グリセロールを空腸内注射(IJ)により投与したか、またはインフリキシマブおよび生理食塩水を静脈内注射(IV)により投与した。インフリキシマブの血漿中濃度を求めるため、約250μLの血液を定期的に採取した。ラットを5時間後に犠牲にし、この時に、各動物から小腸を切除し、PBSにより洗浄した。組織をホモジナイズし、局所小腸組織中および血漿中のインフリキシマブをLC-MS/MSによって定量した。局所小腸組織中のインフリキシマブの濃度は、全抗体量(ナノグラム)を分析した全組織(グラム)で除算することによって計算した。体循環中のインフリキシマブの濃度は、ナノグラム×時間の単位を有する、各状態の曲線下面積(AUC)をミリリットルで除算して計算することによって求めた。インフリキシマブの全身濃度に対する局所濃度の比を両方の条件に対してプロットし、
図3に示した。
【0130】
[0178]IVによって、生理食塩水中でのモノクローナル抗体(mAb)であるインフリキシマブの全身濃度に対する局所濃度の比は、0.0117であった。驚くべきことに、先の実施例において概説した通り、局所組織において同等のインフリキシマブの濃度を有するにも関わらず、インフリキシマブを含む50%コリン-グリコール酸1:1/50%グリセロール含有製剤では、インフリキシマブの全身濃度に対する局所濃度の比は5.43となり、IV投与に比べ、局所濃度では450倍を超える改善をもたらした。これは、現行の処置が注射に限定され、炎症性腸疾患のようなこうした疾患の場合、小腸のような標的疾患部位では抗体の割合は低くなるが、抗体薬物の高い全身性曝露のために、標的外作用を受ける胃腸管疾患にとって重要な意味を有する。このようなイオン性液体製剤は、局所組織中に同等の濃度のインフリキシマブを送達することができると同時に、従来の注射に基づく手法に比べて、体循環に到達する量が限定される。
【0131】
実施例5:コリン-グリコール酸によるインフリキシマブの局所送達の可視化
[0179]非糖尿病性雄成体Wistarラットを一晩、絶食させたが、水を自由摂取させて、続いて、インフリキシマブおよび50%コリン-グリコール酸1:1/50%グリセロールを空腸内注射(IJ)により投与したか、または投与しなかった(ナイーブな対照として)。ラットを5時間後に犠牲にし、この時に、各動物から小腸を切除し、PBSにより洗浄した。スイルロール(swill roll)法を各腸組織に行い、10%中性緩衝ホルマリンに固定して、パラフィンに埋め込んだ。インフリキシマブの検出に関しては、Ventana Discovery Ultra Platformを使用して、チラミドのシグナル増幅検出キットであるAmp HQ IHC(Ventana Systems)を組織試料に使用した。抗ヒトIgG Fcウサギポリクローナル抗体コンジュゲートHPR(1:1000)(Abcam)をインフリキシマブの検出に使用し、この抗体は、ヒト定常領域を有する。試験した条件の各々に関し、組織における領域を画定するため、Alにより推進されるIndica Labs HALOソフトウェアを使用して画像を解析し、
図4Aに示した。この技法により、
図4Bに示されている通り、低いバックグラウンドを有する小腸組織において、インフリキシマブの可視化が可能になった。
図4Cに示されている通り、バックグラウンドより7.5倍高い抗TNF-αモノクローナル抗体(インフリキシマブ)シグナルが組織中で観察された。
【0132】
実施例6:室温で1週間後の、円二色性(CD)による、コリン-グリコール酸における高濃度のインフリキシマブの安定性
[0180]最終濃度75mg/mLの抗体を含む50%コリン-グリコール酸1:1および50%グリセロールを含有する製剤を調製した(インフリキシマブ、Novus Biologicalsから購入したキメラモノクローナル抗TNF-α抗体)。この製剤は混合後の1週間、室温で残存しており、次に、10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)および10kDa膜分子量カットオフThermo Scientific(商標)Slide-A-Lyzer(商標)G2透析カセットを使用して、製剤を48時間、透析した。対照として、インフリキシマブを緩衝液(ポジティブ対照)中で新しく調製し、緩衝液中のインフリキシマブを少なくとも20分間、90℃にすることによって熱的に変性させた(ネガティブ対照)。円二色性(CD)によって二次構造を解析する前に、10mMリン酸ナトリウム緩衝液pH7.4を使用し、抗体濃度を0.2mg/mLに調節した。試料(400μL)を矩形の石英製セル(1mm経路長、Starna Cells、1-Q-1)にロードし、Jasco J-815CD分光旋光計を使用して、遠UV領域(195~260nm)におけるCDスペクトルを収集した。
【0133】
[0181]
図5に示されている通り、室温で1週間後の50%コリン-グリコール酸1:1/50%グリセロール中の75mg/mLの抗TNF-α抗体は、緩衝液中で新しく調製した抗TNF-α抗体と比較すると、CDによって同じ二次構造を保持し、抗体の二次構造は、この濃度においてまたはこのような保管条件下では、イオン性液体の存在によって影響を受けなかったことを示している。
【0134】
実施例7:室温で1週間後の、示差走査蛍光定量法(DSF)による、コリン-グリコール酸におけるインフリキシマブの安定性
[0182]最終濃度75mg/mLの抗体を含む50%コリン-グリコール酸1:1および50%グリセロールを含有する製剤を調製した(インフリキシマブ、Novus Biologicalsから購入したキメラモノクローナル抗TNF-α抗体)。この製剤は混合後の1週間、室温でそのままの状態にあり、次に、10mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)および10kDa膜分子量カットオフThermo Scientific(商標)Slide-A-Lyzer(商標)G2透析カセットを使用して、製剤を48時間、透析した。対照として、インフリキシマブを緩衝液中で新しく調製した(ポジティブ対照)。示差走査蛍光定量法(DSF)によってタンパク質融解温度(Tm)を分析する前に、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)を使用し、抗体濃度を0.2mg/mLに調節した。SYPRO(商標)オレンジタンパク質のゲルステイン(5000x)を各試料に加え、5×色素の最終濃度に到達させた。試料(20μL)をMicroAmp(商標)FAST光学96ウェル反応プレートにロードし、光学フィルムにより覆った。デカップル励起フィルターおよび発光フィルターを備える改良QuantStudio6/7を使用し、試料を1.6℃/sの速度で2分間、25℃まで加熱し、0.05℃/sの速度で99℃まで昇温し、99℃で2分間、保持した。検出は、x1-m3(励起波長470±15nmおよび発光波長586.5±10nm)を使用して設定した。熱融解曲線の一次導関数のピークにより、各試料の融解温度(Tm)を定義した。Protein Thermal Shift(商標)ソフトウェアv1.4によりデータを解析した。
【0135】
[0183]タンパク質融解温度のシフトは、緩衝液中で新しく調製した抗TNF-α抗体(インフリキシマブ)(68.7℃)と比べて、室温で1週間後の50%コリン-グリコール酸1:1/50%グリセロール中の75mg/mLの抗TNF-α抗体(68.6℃)に観察されず、
図6に示されている通り、抗体の安定性は、この濃度においてまたはこのような保管条件下では、イオン性液体の存在によって影響を受けなかったことを示している。
【国際調査報告】