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特表2024-518203コンクリートポンプ車用切断リング、その製造方法、ならびにコンクリートポンプ車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】コンクリートポンプ車用切断リング、その製造方法、ならびにコンクリートポンプ車
(51)【国際特許分類】
   F04B 15/02 20060101AFI20240423BHJP
   B22D 19/00 20060101ALI20240423BHJP
   E04G 21/00 20060101ALN20240423BHJP
【FI】
F04B15/02 D
B22D19/00 P
E04G21/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545942
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(85)【翻訳文提出日】2022-09-12
(86)【国際出願番号】 CN2021124401
(87)【国際公開番号】W WO2023060626
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】202111203865.4
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520411641
【氏名又は名称】シュージョウ コンストラクション マシーナリー グループ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ボー
(72)【発明者】
【氏名】ツイ,ハイシャー
(72)【発明者】
【氏名】ワン,フェン
【テーマコード(参考)】
3H075
【Fターム(参考)】
3H075AA13
3H075BB03
3H075BB24
3H075CC16
3H075CC19
3H075DA07
(57)【要約】
本開示は、コンクリートポンプ車用切断リング、その製造方法、ならびにコンクリートポンプ車に関する。コンクリートポンプ車用切断リングは、環状母材(10)と耐摩耗層とを備え、環状母材(10)は易摩耗性部分を備え、耐摩耗層が易摩耗性部分に配置され、耐摩耗層と母材(10)とは鋳造によって一体に成形される。本開示によると、母材の易摩耗性部分に配置される耐摩耗層は、鋳造によって母材と一体に成形され、耐摩耗層は、成形過程において母材と一体化される。したがって、耐摩耗層は母材に堅牢に接合され、はがれ落ち難い。これにより、切断リングの耐用寿命が大きく延長される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートポンプ車用切断リングであって、
易摩耗性部分を備えた環状母材(10)と、
前記易摩耗性部分に配置された耐摩耗層と、
を備え、
前記耐摩耗層と前記環状母材(10)とは鋳造によって一体に成形されている、コンクリートポンプ車用切断リング。
【請求項2】
前記易摩耗性部分は、前記環状母材(10)の軸線方向に対して垂直な、前記環状母材(10)の第1端面を備え、前記第1端面に溝が設けられ、前記耐摩耗層は第1耐摩耗層(20)を備え、前記第1耐摩耗層(20)は前記溝に配置されている、請求項1に記載のコンクリートポンプ車用切断リング。
【請求項3】
前記溝は前記環状母材(10)の周方向に配置されており、前記第1耐摩耗層(20)は環状である、請求項2に記載のコンクリートポンプ車用切断リング。
【請求項4】
前記易摩耗性部分は、前記環状母材(10)の第1環状面を前記環状母材(10)の内周側に備え、第2環状面を前記環状母材(10)の外周側に備え、前記耐摩耗層は第2耐摩耗層(30)と第3耐摩耗層(40)とを備え、前記第2耐摩耗層(30)は、前記第1環状面の内側に配置され、前記第3耐摩耗層(40)は前記第2環状面の外側に配置される、請求項1に記載のコンクリートポンプ車用切断リング。
【請求項5】
前記第2耐摩耗層(30)および前記第3耐摩耗層(40)はどちらも環状である、請求項4に記載のコンクリートポンプ車用切断リング。
【請求項6】
前記環状母材(10)は、第1線分を有する第1部分(11)と、前記第1部分(11)の2つの側にそれぞれ位置する第2部分(12)および第3部分(13)とを備え、前記第1線分は前記環状母材(10)の円の中心を通り、前記第1線分の2つの端点はどちらも前記環状母材(10)の周縁に位置し、前記第1部分(11)に位置する前記耐摩耗層の材料の種類は、前記第2部分(12)に位置する前記耐摩耗層の材料の種類と同じであるか、または異なり、前記第1部分(11)に位置する前記耐摩耗層の前記材料の前記種類は、前記第3部分(13)に位置する前記耐摩耗層の材料の種類と同じであるか、または異なる、請求項1に記載のコンクリートポンプ車用切断リング。
【請求項7】
前記第2部分(12)に位置する前記耐摩耗層の前記材料の前記種類は、前記第3部分(13)に位置する前記耐摩耗層の前記材料の前記種類と同じであるか、または異なる、請求項6に記載のコンクリートポンプ車用切断リング。
【請求項8】
前記第1部分(11)の総円弧長は、前記第2部分(12)の円弧長と前記第3部分(13)の円弧長との和より大きい、請求項6に記載のコンクリートポンプ車用切断リング。
【請求項9】
前記第1部分(11)の総円弧長は、前記第2部分(12)の円弧長と前記第3部分(13)の円弧長との和の2倍である、請求項6に記載のコンクリートポンプ車用切断リング。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載のコンクリートポンプ車用切断リングを備えたコンクリートポンプ車。
【請求項11】
コンクリートポンプ車用切断リングの製造方法であって、
環状母材モデルと耐摩耗性材料とを用意するステップと、
前記環状母材モデルの易摩耗性部分に前記耐摩耗性材料をコーティングするステップと、
溶融母材原料液を前記耐摩耗性材料でコーティングされた前記環状母材モデルに注入するステップであって、前記環状母材モデルは加熱によって溶融され、前記溶融母材原料液と前記耐摩耗性材料とを鋳造することによって前記切断リングが一体に成形される、ステップと、
を含む製造方法。
【請求項12】
前記耐摩耗性材料は、耐摩耗性粒子Al、耐摩耗性粒子WC、または耐摩耗性粒子Alと耐摩耗性粒子WCとの混合物、を含む、請求項11に記載のコンクリートポンプ車用切断リングの製造方法。
【請求項13】
前記耐摩耗性材料は、耐摩耗性粒子Alと耐摩耗性粒子WCとの混合物を含み、前記混合物における耐摩耗性粒子Al対耐摩耗性粒子WCの質量分率比は1:1または4:6である、請求項11に記載のコンクリートポンプ車用切断リングの製造方法。
【請求項14】
前記環状母材モデルは、第1線分を有する第1部分(11)と、前記第1部分(11)の2つの側にそれぞれ位置する第2部分(12)および第3部分(13)とを備え、前記第1線分は前記環状母材モデルの円の中心を通り、前記第1線分の2つの端点はどちらも前記環状母材モデルの周縁に位置し、前記耐摩耗性材料を前記環状母材モデルの前記易摩耗性部分にコーディングするステップは、
第1耐摩耗性材料を前記環状母材モデルの前記第1部分(11)にコーティングし、第2耐摩耗性材料を前記第2部分(12)および前記第3部分(13)にコーティングするステップであって、前記第1耐摩耗性材料および前記第2耐摩耗性材料の種類は同じであるか、または異なる、ステップを含む、請求項11に記載のコンクリートポンプ車用切断リングの製造方法。
【請求項15】
前記耐摩耗性材料を前記環状母材モデルの前記易摩耗性部分にコーティングする前に、
前記耐摩耗性材料を予めオーブンで乾燥させるステップであって、乾燥温度は180℃~300℃に設定され、保温時間は1.5h~3hであり、その後、室温に冷却される、ステップと、
粘着剤を前記耐摩耗性材料に追加するステップと、
を更に含む、請求項11に記載のコンクリートポンプ車用切断リングの製造方法。
【請求項16】
前記耐摩耗性材料を前記環状母材モデルの前記易摩耗性部分にコーティングする前記ステップは、
前記耐摩耗性材料を前記環状母材モデルの前記易摩耗性部分にコーティングするステップであって、コーティング厚は、予め設定された厚さより0.5mm~1.5mm厚く、前記予め設定された厚さは、切断リング完成品の対応する位置における耐摩耗層の厚さである、ステップを含む、請求項11に記載のコンクリートポンプ車用切断リングの製造方法。
【請求項17】
前記耐摩耗性材料の前記コーティング厚は4mm~8mmである、請求項16に記載のコンクリートポンプ車用切断リングの製造方法。
【請求項18】
前記耐摩耗性材料でコーティングされた前記環状母材モデルに前記溶融母材原料液を注入する前記ステップであって、前記環状母材モデルは加熱によって溶融され、前記溶融母材原料液と前記耐摩耗性材料との鋳造によって前記切断リングが一体に成形される、ステップは、
元素Fe、Cr、C、およびMnを含む前記溶融母材原料液を溶融するために、炉の温度を1500℃~1550℃に上げ、前記溶融母材原料液が完全に溶融した後、溶融温度1480℃~1520℃で鋳造するステップであって、前記環状母材モデルは、前記溶融母材原料液との遭遇後に溶融し、前記溶融母材原料液と前記耐摩耗性材料とは鋳造によって一体化される、ステップと、
鋳物が840℃~900℃に冷却されたら切断リング素材を取得し、その後、切断リング完成品を得るために更なる機械加工を行うステップと、
を含む、請求項11に記載のコンクリートポンプ車用切断リングの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2021年10月15日に提出された中国特許出願公開第202111203865.4号に基づいており、それに対する優先権を主張する。その開示内容を引用によりその全体を本願明細書に組み込むものとする。
【0002】
分野
本開示は、土木機械の技術分野に関し、特に、コンクリートポンプ車用切断リング、その製造方法、ならびにコンクリートポンプ車に関する。
【背景技術】
【0003】
切断リングは、コンクリートポンプ車のための主要部品である。ポンプ圧送過程では、材料の吸引および給送を実現するために、めがね板と切断リングとが前後に交互に移動する。切断リングは、良好な耐摩耗性ばかりでなく、或る程度の耐衝撃性も必要とする。切断リングは、めがね板に比べ、摩耗し易く、耐用寿命が短い。
【0004】
切断リングの耐用寿命を改善するために、既存業界における大半の切断リングの製作では、硬質合金が鋼母材に嵌め込まれる方法、例えば、単一合金+内孔肉盛溶接、二元合金+内孔肉盛溶接、または全合金、が使用されている。一部の切断リングは、ダイヤモンド材料を使用している。
【0005】
耐摩耗性を改善するために、硬質合金を鋼母材に嵌め込む方法が採用されている。銅ろう付けによって鋼母材を硬質合金と組み合わせることによって、単一合金、二元合金、または全合金が得られる。母材と銅ろう付けとの間の間隙の一部は、耐摩耗性が低い。摩耗後、硬質合金はむき出しになり、衝撃時に亀裂、崩壊、脱落、および他の問題が起こり易い。非耐摩耗性の鋼母材は、コンクリート材料に直接接触し、輸送中にコンクリートにスラリー漏れを引き起こし、切断リングの深刻な損傷を早期にもたらす。そのため、部品の保守および交換のための停止が必要になり、施工の進捗に深刻な影響を及ぼす。
【0006】
加えて、製作工程の観点から、合金嵌め込み構造を有する切断リングの製作手順が多数存在する。その手順は、鋼基板の打抜き→肉盛→合金溝切り→合金板のマッチング→ろう付け→合金表面の研削→穿孔→検査を含むので、製造期間が長い。更に、硬質合金は高コストであり、切断リングの総価格の80%を占めるので、工業化の促進には不利である。
【0007】
本開示の背景の技術部分に開示されている情報は、本開示の全背景の理解を深めることのみを意図しており、この情報構成が当業者に公知の従来技術であると、如何なる形であっても、認める、または示唆する、とみなされないことに留意されたい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施形態は、切断リングの耐用寿命を効果的に延ばすように、コンクリートポンプ車用切断リング、その製造方法、ならびにコンクリートポンプ車を提供することである。
【0009】
本開示の第1の態様によると、コンクリートポンプ車用切断リングが提供される。この切断リングは、
易摩耗性部分を備えた環状母材と、
易摩耗性部分に配置された耐摩耗層と、
を備え、
耐摩耗層と母材とは鋳造によって一体成形されている。
【0010】
一部の実施形態において、易摩耗性部分は、母材の軸線方向に対して垂直な母材の第1端面を備える。第1端面に溝が設けられている。耐摩耗層は、第1耐摩耗層を備える。第1耐摩耗層は、溝に配置される。
【0011】
一部の実施形態において、溝は母材の周方向に配置されるので、第1耐摩耗層は環状である。
【0012】
一部の実施形態において、易摩耗性部分は、母材の第1環状面を母材の内周側に備え、第2環状面を母材の外周側に備える。耐摩耗層は、第2耐摩耗層と第3耐摩耗層とを備える。第2耐摩耗層は第1環状面の内側に配置され、第3耐摩耗層は第2環状面の外側に配置される。
【0013】
一部の実施形態において、第2耐摩耗層および第3耐摩耗層はどちらも環状である。
【0014】
一部の実施形態において、母材は、第1線分を有する第1部分と、第1部分の2つの側にそれぞれ位置する第2部分および第3部分とを備える。第1線分は母材の円の中心を通り、第1線分の2つの端点はどちらも母材の周縁に位置する。第1部分に位置する耐摩耗層の材料の種類は、第2部分に位置する耐摩耗層の材料の種類と同じであるか、または異なる。第1部分に位置する耐摩耗層の材料の種類は、第3部分に位置する耐摩耗層の材料の種類と同じであるか、または異なる。
【0015】
一部の実施形態において、第2部分に位置する耐摩耗層の材料の種類は、第3部分に位置する耐摩耗層の材料の種類と同じであるか、または異なる。
【0016】
一部の実施形態において、第1部分の総円弧長は、第2部分の円弧長と第3部分の円弧長との和より大きい。
【0017】
一部の実施形態において、第1部分の総円弧長は第2部分の円弧長と第3部分の円弧長との和の2倍である。
【0018】
本開示の第2の態様によると、上記のコンクリートポンプ車用切断リングを備えたコンクリートポンプ車が提供される。
【0019】
本開示の第3の態様によると、コンクリートポンプ車用切断リングの製造方法が提供される。本方法は、
環状母材モデルと耐摩耗性材料とを用意するステップと、
耐摩耗性材料を母材モデルの易摩耗性部分にコーティングするステップと、
耐摩耗性材料でコーティングされた母材モデルに溶融母材原料液を注入するステップであって、母材モデルは加熱によって溶融され、母材原料液と耐摩耗性材料との鋳造によって切断リングが一体に成形される、ステップと、
を含む。
【0020】
一部の実施形態において、耐摩耗性材料は、耐摩耗性粒子Al、耐摩耗性粒子WC、または耐摩耗性粒子Alと耐摩耗性粒子WCとの混合物、を含む。
【0021】
一部の実施形態において、耐摩耗性材料は耐摩耗性粒子Alと耐摩耗性粒子WCとの混合物を含み、この混合物における耐摩耗性粒子Al対耐摩耗性粒子WCの質量分率比は1:1または4:6である。
【0022】
一部の実施形態において、母材モデルは、第1線分を有する第1部分と、第1部分の2つの側にそれぞれ位置する第2部分および第3部分とを含み、第1線分は母材モデルの円の中心を通り、第1線分の2つの端点はどちらも母材モデルの周縁に位置し、耐摩耗性材料を母材モデルの易摩耗性部分にコーティングするステップは、
第1耐摩耗性材料を母材モデルの第1部分にコーティングし、第2耐摩耗性材料を第2部分および第3部分にコーティングするステップであって、第1耐摩耗性材料および第2耐摩耗性材料の種類は同じであるか、または異なる、ステップを含む。
【0023】
一部の実施形態において、本製造方法は、耐摩耗性材料を母材モデルの易摩耗性部分にコーティングする前に、
耐摩耗性材料を予めオーブンで乾燥させるステップであって、乾燥温度は180℃~300℃に設定され、保温時間は1.5h~3hであり、その後、室温に冷却する、ステップと、
粘着剤を耐摩耗性材料に追加するステップと、
を含む。
【0024】
一部の実施形態において、耐摩耗性材料を母材モデルの易摩耗性部分にコーティングするステップは、
耐摩耗性材料を母材モデルの易摩耗性部分にコーティングするステップであって、コーティング厚は、予め設定された厚さより0.5mm~1.5mm厚く、予め設定された厚さは切断リング完成品の対応する位置における耐摩耗層の厚さである、ステップを含む。
【0025】
一部の実施形態において、耐摩耗性材料のコーティング厚は4mm~8mmである。
【0026】
一部の実施形態において、耐摩耗性材料でコーティングされた母材モデルに溶融母材原料液を注入するステップであって、母材モデルは加熱によって溶融され、母材原料液と耐摩耗性材料との鋳造によって切断リングが一体に成形される、ステップは、
炉の温度を1500℃~1550℃に上げ、元素Fe、Cr、C、およびMnを含む母材原料液を溶融させ、母材原料液が完全に溶融した後、溶融温度1480℃~1520℃で鋳造し、母材原料液との遭遇後に母材モデルを溶融させるステップであって、母材原料液と耐摩耗性材料とは鋳造によって一体化される、ステップと、
鋳物が840℃~900℃に冷却されたら切断リング素材を取得し、その後、切断リング完成品を得るために、切断リング素材を機械加工するステップと、
を含む。
【0027】
上記の技術的解決策に基づき、本開示の複数の実施形態においては、母材の易摩耗性部分に配置された耐摩耗層は、鋳造によって母材と一体に成形される。すなわち、耐摩耗層と母材とは、一緒に鋳込まれる。成形過程において、耐摩耗層と母材とは一体化される。したがって、耐摩耗層は母材に堅牢に接合されるので、はがれ落ち難い。これにより、切断リングの耐用寿命が大きく延長される。
【0028】
次に、図面を参照した本開示の複数の例の詳細な説明から、本開示の他の特徴および利点が明らかになるであろう。
【0029】
本開示の複数の実施形態または従来技術における技術的解決策をより明確に説明するために、従来技術の説明に使用する必要がある実施形態または図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における図面は本開示の複数の実施形態に過ぎず、当業者は、提供された図面に従って創意工夫なしに他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本開示のコンクリートポンプ車用切断リングの一実施形態の正面図である。
図2図1の断面A-Aに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、各実施形態における技術的解決策を、本開示の各実施形態の図面と組み合わせて、明確且つ完全に説明する。明らかに、記載の実施形態は、本開示の一部の実施形態に過ぎず、全ての実施形態ではない。本開示の各実施形態に基づき、当業者によって創意工夫なしに成された他の全ての実施形態は、全て本開示の保護範囲に含まれる。
【0032】
本開示の説明において、用語「中心(center)」、「横(transverse)」、「縦(longitudinal)」、「前(front)」、「後(back)」、「左(left)」、「右(right)」、「上(upper)」、「下(lower)」、「鉛直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「最上部(top)」、「最下部(bottom)」、「内側(inner)」、および「外側(outer)」によって示されている方向または位置関係は、図面に示されている方位または位置関係に基づいており、言及されている装置が特定の方位を示さなければならないことを示す、または暗示する、ためではなく、本開示の説明を容易にするためのものに過ぎず、本開示の保護範囲を限定すると理解され得ないように、特定の方位において構築および作動される必要があることを理解されたい。
【0033】
図1および図2に示されているように、本開示によって提供されるコンクリートポンプ車用切断リングの一部の実施形態において、切断リングは、母材10と耐摩耗層とを備える。母材10の中心に貫通孔が設けられ、母材10全体は環状である。母材10は易摩耗性部分を備える。耐摩耗層は易摩耗性部分に配置される。耐摩耗層と母材10とは、鋳造によって一体に成形される。
【0034】
上記の実施形態において、母材10の易摩耗性部分に配置される耐摩耗層と母材10とは、鋳造によって一体に成形される。すなわち、耐摩耗層と母材10とは一緒に鋳込まれる。この成形過程において、耐摩耗層と母材10とは一体化される。したがって、耐摩耗層は母材10に堅牢に接合されるので、はがれ落ち難い。これにより、切断リングの耐用寿命が大きく延長される。
【0035】
耐摩耗層が母材に嵌め込まれる関連技術の技術的解決策に比べ、本開示によって提供される切断リングの実施形態における耐摩耗層の安定性および信頼性はより高く、耐摩耗層は母材に堅牢に接合されるので、はがれ落ち難い。したがって、切断リングの耐用寿命が大きく延長される。
【0036】
一部の実施形態において、易摩耗性部分は、母材10の軸線方向に対して垂直な母材10の第1端面を備える。第1端面に溝が設けられている。耐摩耗層は第1耐摩耗層20を備える。第1耐摩耗層20は溝に設けられている。
【0037】
コンクリートポンプ車は、切断リングに合致しためがね板を備える。第1端面は、めがね板の一方の側に近い切断リングの端面である。第1端面の耐摩耗性を向上させるように、第1耐摩耗層20が第1端面に設けられている。めがね板に合致しているとき、第1端面の耐摩耗性が向上するので、切断リング全体の耐用寿命の改善に重要な役割を果たす。
【0038】
一部の実施形態において、溝は母材10の周方向に配置されるので、第1耐摩耗層20は環状である。
【0039】
溝は母材10の周方向に配置され、環状である。これにより、第1耐摩耗層20は環状であり、ひいては母材10の軸方向端面は周方向全体で保護される。
【0040】
一部の実施形態において、易摩耗性部分は、母材10の第1環状面を母材10の内周側に備え、第2環状面を母材10の外周側に備える。耐摩耗層は、第2耐摩耗層30と第3耐摩耗層40とを備える。第2耐摩耗層30は、第1環状面の内側に配置され、第3耐摩耗層40は、第2環状面の外側に配置される。
【0041】
第2耐摩耗層30を第1環状面の内側に配置し、第3耐摩耗層40を第2環状面の外側に配置することによって、切断リングの半径方向外側と内側とを保護できる。
【0042】
一部の実施形態において、第2耐摩耗層30および第3耐摩耗層40はどちらも環状である。これにより、切断リングの半径方向外側と内側とを周方向全体で保護できる。
【0043】
一部の実施形態において、母材10は、第1線分を有する第1部分11、ならびに第1部分11の2つの側にそれぞれ位置する第2部分12および第3部分13、を備える。第1線分は母材10の円の中心を通り、第1線分の2つの端点はどちらも母材10の周縁上に位置する。第1部分11に位置する耐摩耗層の材料の種類は、第2部分12に位置する耐摩耗層の材料の種類と同じであるか、または異なる。第1部分11に位置する耐摩耗層の材料の種類は、第3部分13に位置する耐摩耗層の材料の種類と同じであるか、または異なる。
【0044】
母材10は、第1部分11と、第2部分12と、第3部分13とに分割される。第1部分11に位置する耐摩耗層の材料の種類は、第2部分12および第3部分13に位置する耐摩耗層の材料の種類と同じに、または異なるように、設定される。第1部分11の耐摩耗性は、第2部分12および第3部分13の耐摩耗性と同じであるか、または異なる。
【0045】
複数の異なる耐摩耗性材料がそれぞれ異なる領域に使用されると、作業面の耐摩耗性の改善が容易になる一方で、非作業面の耐摩耗性に対する要件が緩和されるので、コストが節約される。
【0046】
図1に示されているように、第1部分11は、2つの円弧状セグメントを左右に備える。第2部分12は、第1部分11の上方に位置する円弧状セグメントを備え、第3部分13は、第1部分の下方に位置する円弧状セグメントを備える。第1線分は、母材10の外円の直径である。外円は、母材10の最大直径を有する円である。図1において、第1線分は、水平直径である。
【0047】
一部の実施形態において、第1線分は水平に配置され、第1部分11に位置する耐摩耗層の耐摩耗性は、第2部分12および第3部分13に位置する耐摩耗層の耐摩耗性より優れている。
【0048】
切断リングが作業状態にあるとき、第1線分を水平に配置できるので、第1部分11は中央に位置し、第2部分12は第1部分11の上方に位置し、第3部分13は第1部分11の下方に位置する。これにより、摩耗しやすい第1部分11は、めがね板に合致しているとき、より高い耐摩耗性を有する。これにより、切断リングの耐用寿命が延びる。第1部分11に比べ、摩耗し難い第2部分12および第3部分13には、コスト節約のために、耐摩耗性が相対的に低い耐摩耗性材料を使用できる。
【0049】
一部の実施形態において、第2部分12に位置する耐摩耗層の材料の種類は、第3部分13に位置する耐摩耗層の材料の種類と同じであるか、または異なる。第2部分12および第3部分13に位置する耐摩耗層の材料は、実際の摩耗状況に応じて、自由に選択可能である。
【0050】
一部の実施形態において、第1部分11の総円弧長は、第2部分12の円弧長と第3部分13の円弧長との和より大きい。第1部分11の総円弧長を増やすことによって、第1部分11のカバー範囲が拡大され、耐摩耗性が高い領域の面積が拡大されるので、切断リングの全体的な耐摩耗性が効果的に向上する。
【0051】
一部の実施形態において、第1部分11の総円弧長は、第2部分12の円弧長と第3部分13の円弧長との和の2倍である。この設定は、切断リングの最も摩耗し易い部分をカバーでき、適用可能性が高い。
【0052】
本開示は、上記のコンクリートポンプ車用切断リングを備えたコンクリートポンプ車を提供する。
【0053】
本開示は、コンクリートポンプ車の切断リングの製造方法を提供する。本方法は、
環状の母材モデルと耐摩耗性材料とを用意するステップと、
耐摩耗性材料を母材モデルの易摩耗性部分にコーティングするステップと、
耐摩耗性材料でコーティングされた母材モデルに溶融母材原料液を注入するステップであって、母材モデルは加熱によって溶融され、母材原料液と耐摩耗性材料との鋳造によって切断リングが一体に成形される、ステップと、
を含む。
【0054】
母材原料液の注入時に母材モデルを溶融させるように、母材モデルは、加熱によって溶融する材料製とすることができる。母材原料液は、母材モデルの形状に応じて形成される。例えば、母材モデルを発泡体製または他の材料製とすることができる。
【0055】
母材原料液は、全ての元素が金属元素である液体、例えば、元素Fe、Cr、C、およびMnを含む液体、とすることができる。母材原料液は、炭素元素と金属元素とを含む液体とすることもできる。母材は、Q345などの炭素鋼材である。
【0056】
一部の実施形態において、耐摩耗性材料は、1種以上の耐摩耗性粒子を含む。予め設定された耐摩耗性を有する耐摩耗性材料は、耐摩耗性の浪費または低下を回避するように、必要に応じて1種以上の耐摩耗性粒子を採用して調製可能である。
【0057】
一部の実施形態において、耐摩耗性材料は、耐摩耗性粒子Al、耐摩耗性粒子WC、または耐摩耗性粒子Alと耐摩耗性粒子WCとの混合物を含む。
【0058】
一部の実施形態において、耐摩耗性材料は耐摩耗性粒子Alと耐摩耗性粒子WCとの混合物を含み、この混合物内の耐摩耗性粒子Al対耐摩耗性粒子WCの質量分率比は1:1または4:6である。
【0059】
一部の実施形態において、母材モデルは、第1線分を有する第1部分11と、第1部分11の2つの側にそれぞれ位置する第2部分12および第3部分13とを備える。第1線分は、母材モデルの円の中心を通り、第1線分の2つの端点はどちらも母材モデルの外円に位置する。耐摩耗性材料を母材モデルの易摩耗性部分にコーティングするステップは、
第1耐摩耗性材料を母材モデルの第1部分11にコーティングし、第2耐摩耗性材料を第2部分12および第3部分13にコーティングするステップであって、第1耐摩耗性材料および第2耐摩耗性材料の種類は、同じであるか、または異なる、ステップを含む。
【0060】
複数の異なる耐摩耗性材料をそれぞれ異なる領域にコーティングすることによって、複数の異なる領域がそれぞれ異なる耐摩耗性を有することができる。最も高い耐摩耗性に従って全ての領域をコーティングする必要はないので、浪費を回避して製造コストを改善できる。
【0061】
一部の実施形態において、本製造方法は、耐摩耗性材料を母材モデルの易摩耗性部分にコーティングする前に、
耐摩耗性材料を予めオーブンで乾燥させ、その後、室温に冷却するステップであって、乾燥温度は180℃~300℃に設定され、保温時間は1.5h~3hである、ステップと、
粘着剤を耐摩耗性材料に追加するステップと、
を更に含む。
【0062】
耐摩耗性材料を予め乾燥させると、耐摩耗性材料の高含水率によってコーティング時の安定性が損なわれることを防止できる。粘着剤を将来追加するときに粘着剤の接着能を回避するように、乾燥させた耐摩耗性材料を室温に冷却する。
【0063】
一部の実施形態において、耐摩耗性材料を母材モデルの易摩耗性部分にコーティングするステップは、
耐摩耗性材料を母材モデルの易摩耗性部分にコーディングするステップであって、コーティング厚は予め設定された厚さより0.5mm~1.5mm厚く、予め設定された厚さは、切断リング完成品の対応する位置における耐摩耗層の厚さである、ステップを含む。
【0064】
コーティング厚を、0.5mm、1mm、および1.5mmなど、予め設定された厚さ0.5mm~1mmに設定することによって、いくらかの取り代を残すことができる一方で、耐摩耗性の向上が容易になる。
【0065】
一部の実施形態において、耐摩耗性材料のコーティング厚は4mm~8mmである。
【0066】
一部の実施形態において、耐摩耗性材料でコーティングされた母材モデルに溶融母材原料液を注入するステップであって、母材モデルは加熱によって溶融され、母材原料液と耐摩耗性材料との鋳造によって切断リングが一体に成形される、ステップは、
元素Fe、Cr、C、およびMnを含む母材原料液を溶融するために、炉の温度を1500℃~1550℃に上げ、母材原料液が完全に溶融した後、溶融温度1480℃~1520℃で鋳造を行うステップであって、母材モデルは、母材原料液との遭遇後に溶融し、母材原料液と耐摩耗性材料とは鋳造によって一体化される、ステップと、
鋳物が840℃~900℃に冷却されたら切断リング素材を取得し、その後、切断リング完成品を得るために、切断リング素材を更に機械加工するステップと、
を含む。
【0067】
以下においては、本開示のコンクリートポンプ車用切断リングの製造方法の一部の実施形態の実施ステップを説明する。
【0068】
一部の実施形態において、コンクリートポンプ車用切断リングの製造方法は、以下のステップを含む。
耐摩耗性複合材の前処理。原料は、粒径0.5mm~2mmの耐摩耗性粒子AlおよびWCのうちの1種または2種を含む。耐摩耗性粒子を予めオーブンに入れ、温度180℃~300℃で乾燥させ、1h~3h保温する。その後、室温に冷却する。
耐摩耗性複合材の調製。粘着剤を上記の耐摩耗性粒子に追加し、均一に攪拌する。得られた混合物を切断リングの母材発泡モデルの溝、半径方向内側面、および外側面にコーティングする。このコーティングの厚さは4mm~8mmであり、母材平面より約1mm高い。これは、取り代および耐摩耗性の強化のために使用される。耐摩耗性複合材製切断リングモデルのコーティングされた表面を鋳物塗装でコーティングし、その後、乾燥させ、順番に砂箱に入れ、湯口と押湯とを用意する。
鋳造。溶融には、容積1トンの中周波誘導炉を使用する。母材原料は、主に元素Fe、Cr、C、およびMnを含む、金属溶液である。温度を1500℃~1550℃に上げ、金属溶液が完全に溶融した後、温度1480℃~1520℃で鋳造を行う。
砂落としおよび冷却。鋳物が840℃~900℃に冷却されたら、砂を除去し、鋳型を洗浄し、自然冷却によって切断リング素材を得る。冷却時、断熱処理を実施する。その後、必要に応じて機械加工によって、切断リング完成品を得る。
【0069】
本実施形態によって提供される製作および調製方法によって製作される切断リングの鋳造過程では、少量の金属溶液を耐摩耗性材料に浸透させることができる。したがって、耐摩耗性コーティングは、耐摩耗性粒子にFe、Cr、C、およびMnを混合することによって形成された耐摩耗性複合材を含む。この耐摩耗性複合材は、60HRC超の硬度と、0.03%未満の摩耗率と、1700MPa超の曲げ強度とを有する。耐摩耗層は、鋳物全体を形成するために高温鋳造によって母材に接合されるので、はがれ難い。
【0070】
次に、本開示のコンクリートポンプ車用切断リングのいくつかの例を紹介する。
【0071】
第1の例において、切断リングの製造方法は、以下のステップを含む。
1.耐摩耗性複合材の前処理。原料は、粒径0.5mm~2mmの耐摩耗性粒子Alを含んでいた。耐摩耗性粒子を予めオーブンに入れて温度180℃~300℃で乾燥させ、1.5h~3h保温し、その後、室温に冷却した。
2.耐摩耗性複合材の調製。上記の耐摩耗性粒子Alに粘着剤を追加し、均一に攪拌した。得られた混合物を切断リングの母材発泡モデルの溝にコーティングした。このコーティングの厚さは4mm~8mmであり、母材平面より約1mm高かった。これは、取り代および耐摩耗性の強化のために使用された。耐摩耗性複合材製の切断リングモデルのコーティングされた表面を鋳物塗装でコーティングし、その後、乾燥させ、順番に砂箱に入れ、湯口と押湯とを用意した。
3.鋳造。溶融には、容積1トンの中周波誘導炉を使用した。母材原料は、主に元素Fe、Cr、C、およびMnを含む、金属溶液であった。温度を1500℃~1550℃に上げ、金属溶液が完全に溶融した後、温度1480℃~1520℃で鋳造を行った。切断リングの母材発泡モデルを加熱によって溶融させ、金属溶液を高温注入によって耐摩耗性複合材に接合し、鋳物全体を形成した。
4.砂落としおよび冷却。鋳物が840℃~900℃に冷却されたら、砂を除去し、鋳型を洗浄し、自然冷却によって切断リング素材を得た。冷却時、断熱処理を実施した。その後、必要に応じて機械加工によって、切断リング完成品を得た。
【0072】
本実施形態によって提供される製作および調製方法によって製作される切断リングの鋳造工程では、少量の金属溶液を耐摩耗性材料に浸透させることができる。したがって、耐摩耗性コーティングは、耐摩耗性粒子AlとFe、Cr、C、およびMnとの混合によって形成された耐摩耗性複合材を含む。この耐摩耗性複合材は、80HRC超の硬度を有し、花崗岩砂岩に適している。
【0073】
第2の例において、切断リングの製造方法は、以下のステップを含む。
1.耐摩耗性複合材の前処理。原料は、粒径0.5mm~2mmの耐摩耗性粒子WCを含んでいた。耐摩耗性粒子を予めオーブンに入れて温度180℃~300℃で乾燥させ、1.5h~3h保温し、その後、室温に冷却した。
2.耐摩耗性複合材の調製。上記の耐摩耗性粒子WCに粘着剤を追加し、均一に攪拌した。得られた混合物を切断リングの母材発泡モデルの溝にコーティングした。このコーティングの厚さは4mm~8mmであり、母材平面より約1mm高かった。これは、取り代および耐摩耗性の強化のために使用された。耐摩耗性複合材製の切断リングモデルのコーティングされた表面を鋳物塗装でコーティングし、その後、乾燥させ、順番に砂箱に入れ、湯口と押湯とを用意した。
3.鋳造。溶融には、容積1トンの中周波誘導炉を使用した。母材原料は、主に元素Fe、Cr、C、およびMnを含む金属溶液であった。温度を1500℃~1550℃に上げ、金属溶液が完全に溶融した後、温度1480℃~1520℃で鋳造を行った。切断リングの母材発泡モデルを加熱によって溶融し、金属溶液を高温注入によって耐摩耗性複合材に接合し、鋳物全体を形成した。
4.砂落としおよび冷却。鋳物が840℃~900℃に冷却されたら、砂を除去し、鋳型を洗浄し、自然冷却によって切断リング素材を得た。冷却時、断熱処理を実施した。その後、必要に応じて機械加工によって、切断リング完成品を得た。
【0074】
本実施形態によって提供される製作および調製方法によって製作された切断リングが使用される。耐摩耗性コーティングは、耐摩耗性粒子WCをFe、Cr、C、およびMnに混合することによって形成された耐摩耗性複合材を含む。この耐摩耗性複合材は、65HRC超の硬度を有し、従来の石灰岩混合物に適している。
【0075】
第3の例において、切断リングの製造方法は、以下のステップを含む。
1.耐摩耗性複合材の前処理。原料は、耐摩耗性粒子Alと耐摩耗性粒子WCとを含み、この2つの耐摩耗性粒子は、それぞれ50重量%を占め、粒径は0.5mm~2mmであった。これら耐摩耗性粒子を予めオーブンに入れて温度180℃~300℃で乾燥させ、1.5h~3h保温し、その後、室温に冷却した。
2.耐摩耗性複合材の調製。上記の耐摩耗性粒子Alと耐摩耗性粒子WCとを混合し、この混合物に粘着剤を追加し、均一に攪拌した。得られた混合物を切断リングの母材発泡モデルの溝にコーティングした。このコーティングの厚さは4mm~8mmであり、母材平面より約1mm高かった。これは、取り代および耐摩耗性の強化のために使用された。耐摩耗性複合材製の切断リングモデルのコーティングされた表面を鋳造塗装でコーティングし、その後、乾燥させ、順番に砂箱に入れ、湯口と押湯とを用意した。
3.鋳造。溶融には、容積1トンの中周波誘導炉を使用した。母材原料は、主に元素Fe、Cr、C、およびMnを含む、金属溶液であった。温度を1500℃~1550℃に上げ、金属溶液が完全に溶融した後、温度1480℃~1520℃で鋳造を行った。切断リングの母材発泡モデルを加熱によって溶融させ、金属溶液を高温注入によって耐摩耗性複合材に接合し、鋳物全体を形成した。
4.砂落としおよび冷却。鋳物が840℃~900℃に冷却されたら、砂を除去し、鋳型を洗浄し、自然冷却によって切断リング素材を得た。冷却時、断熱処理を実施した。その後、必要に応じて機械加工によって、切断リング完成品を得た。
【0076】
本実施形態によって提供される製作および調製方法によって製作された切断リングが使用される。耐摩耗性コーティングは、耐摩耗性粒子AlおよびWCにFe、Cr、C、およびMnを混合することによって形成された耐摩耗性複合材を含む。この耐摩耗性複合材は、70HRC超の硬度を有し、従来の石灰岩および含礫砂岩混合物に適している。
【0077】
第4の例において、切断リングの製造方法は、以下のステップを含む。
1.耐摩耗性複合材の前処理。原料は、耐摩耗性粒子Alと耐摩耗性粒子WCとを含み、耐摩耗性粒子Al対耐摩耗性粒子WCの質量分率比は4:6であった。粒径は0.5mm~2mmであった。耐摩耗性粒子を予めオーブンに入れ、温度180℃~300℃で乾燥させ、1.5h~3h保温した。その後、室温に冷却した。
2.耐摩耗性複合材の調製。上記の耐摩耗性粒子Alと耐摩耗性粒子WCとを混合し、この混合物に粘着剤を追加し、均一に攪拌した。得られた混合物を切断リングの母材発泡モデルの溝にコーティングした。このコーティングの厚さは4mm~8mmであり、母材平面より約1mm高かった。これは、取り代および耐摩耗性の強化のために使用された。耐摩耗性複合材製の切断リングモデルのコーティングされた表面を鋳造塗装でコーティングし、その後、乾燥させ、順番に砂箱に入れ、湯口と押湯とを用意した。
3.鋳造。溶融には、容積1トンの中周波誘導炉を使用した。母材原料は、主に元素Fe、Cr、C、およびMnを含む、金属溶液であった。温度を1500℃~1550℃に上げ、金属溶液が完全に溶融した後、温度1480℃~1520℃で鋳造を行った。切断リングの母材発泡モデルを加熱によって溶融させ、金属溶液を高温注入によって耐摩耗性複合材に接合し、鋳物全体を形成した。
4.砂落としおよび冷却。鋳物が840℃~900℃に冷却されたら、砂を除去し、鋳型を洗浄し、自然冷却によって切断リング素材を得た。冷却時、断熱処理を実施した。その後、必要に応じて機械加工によって、切断リング完成品を得た。
【0078】
本実施形態によって提供される製作および調製方法によって製作された切断リングが使用される。耐摩耗性コーティングは、耐摩耗性粒子AlおよびWCとFe、Cr、C、およびMnとの混合によって形成された耐摩耗性複合材を含む。この耐摩耗性複合材は、67HRC超の硬度を有し、従来の石灰岩および含礫砂岩混合物に適している。
【0079】
第5の例において、切断リングの製造方法は、以下のステップを含む。
1.耐摩耗性複合材の前処理。原料は、耐摩耗性粒子Alと耐摩耗性粒子WCとを含み、粒径は0.5mm~2mmであった。耐摩耗性粒子を予めオーブンに入れ、温度180℃~300℃で乾燥させた。1.5h~3h保温し、その後、室温に冷却した。
2.耐摩耗性複合材の調製。上記の耐摩耗性粒子Alおよび耐摩耗性粒子WCにそれぞれ粘着剤を追加し、均一に攪拌した。第1部分11に位置する切断リングの母材発泡モデルの溝に耐摩耗性粒子WCをコーティングし、第2部分12および第3部分13に位置する切断リングの母材発泡モデルの溝に耐摩耗性粒子Alをコーティングした。コーティングの厚さは4mm~8mmであり、母材平面より約1mm高かった。これは、取り代および耐摩耗性の強化のために使用された。耐摩耗性複合材製の切断リングモデルのコーティングされた表面を鋳物塗装でコーティングし、その後、乾燥させ、順番に砂箱に入れ、湯口と押湯とを用意した。
3.鋳造。溶融には、容積1トンの中周波誘導炉を使用した。母材原料は、主にFe、Cr、C、およびMnなどの元素を含む、金属溶液であった。温度を1500℃~1550℃に上げ、金属溶液が完全に溶融した後、温度1480℃~1520℃で鋳造を行った。切断リングの母材発泡モデルを加熱によって溶融した。金属溶液を高温注入によって耐摩耗性複合材に接合し、鋳物全体を形成した。
4.砂落としおよび冷却。鋳物が840℃~900℃に冷却されたら、砂を除去し、鋳型を洗浄し、自然冷却によって切断リング素材を得た。冷却時、断熱処理を実施した。その後、必要に応じて機械加工によって、切断リング完成品を得た。
【0080】
この実施形態によって提供される製作および調製方法によって製作された切断リングが使用される。第1部分11における耐摩耗性コーティングは、耐摩耗性粒子WCとFe、Cr、C、およびMnとの混合によって形成された耐摩耗性複合材を含む。耐摩耗性複合材は、65HRC超の硬度を有する。第2部分12および第3部分13における耐摩耗性コーティングは、耐摩耗性粒子AlとFe、Cr、C、およびMnとの混合によって形成された耐摩耗性複合材を含む。この耐摩耗性複合材は、80HRC超の硬度を有し、石灰岩および含礫砂岩の総合的な加工条件に適している。
【0081】
本開示のコンクリートポンプ車用切断リング、その製造方法、ならびにコンクリートポンプ車の複数の実施形態の説明を通して分かることは、本開示のコンクリートポンプ車用切断リング、その製造方法、ならびにコンクリートポンプ車の各実施形態において、切断リングはインブロックキャストによって成形され、堅牢に接合され、切断リングはより良好な耐摩耗性および靭性を有し、これにより、合金がはがれる問題を解決し、合金のはがれ、崩壊、およびこれらに類するものによって引き起こされるポンプ車用切断リングの初期不良の問題を回避する。本製造方法においては、ビレット打ち抜き、肉盛、合金溝切り、合金板マッチング、ろう付け、および合金表面研削などの加工工程が省かれる。本製造方法は加工工程が簡単であり、製作効率が高く、総合的コストが低く、総コストパフォーマンスが高いので、より多くの選択の余地をユーザにもたらす。
【0082】
最後に、上記実施形態は本開示の技術的解決策を説明するためにのみ使用され、本開示の技術的解決策を制限するためには使用されないことに留意されたい。本開示は、好適な実施形態に言及して詳細に説明されているが、当業者は、本開示の特定の実施形態に対して補正を行い得ること、または部分的な技術的特徴に対して等価交換が行われること、を理解されるはずである。これら補正および等価交換は何れも本開示によって特許請求される技術的解決策の範囲内に含まれる。
図1
図2
【国際調査報告】