(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】振動装置
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20240423BHJP
B06B 1/06 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H04R17/00
B06B1/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535922
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 CN2022085557
(87)【国際公開番号】W WO2023193186
(87)【国際公開日】2023-10-12
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】朱 光▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
【テーマコード(参考)】
5D004
5D107
【Fターム(参考)】
5D004AA03
5D004DD01
5D004FF08
5D107BB08
5D107CC02
5D107CD03
5D107DD03
5D107DD12
5D107FF10
(57)【要約】
本明細書の1つ又は複数の実施例は、振動装置に関する。該振動装置は、質量素子と、電気信号に基づいて振動を発生させるように構成された1つ又は複数の圧電素子と、少なくとも1つが前記質量素子及び1つ又は複数の前記圧電素子に接続された1つ又は複数の弾性素子とを含み、1つ又は複数の前記圧電素子は、環形構造を含み、電気信号に基づいて振動する方向が前記環形構造の軸線方向と平行であるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量素子と、
電気信号に基づいて振動を発生させるように構成された1つ又は複数の圧電素子と、
少なくとも1つが前記質量素子及び1つ又は複数の前記圧電素子に接続された1つ又は複数の弾性素子と、
を含み、
1つ又は複数の前記圧電素子は、環形構造を含み、電気信号に基づいて振動する方向が前記環形構造の軸線方向に平行であるように構成される、振動装置。
【請求項2】
1つ又は複数の前記圧電素子は、軸線方向に沿った一端が固定された第1圧電素子を含み、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより前記第1圧電素子の前記一端以外の位置に接続される、請求項1に記載の振動装置。
【請求項3】
前記質量素子の前記第1圧電素子の軸線方向に沿った投影は、前記第1圧電素子の軸線方向に沿った投影以内にある、請求項2に記載の振動装置。
【請求項4】
前記質量素子の形状は、環形であり、前記質量素子の前記第1圧電素子の軸線方向に沿った投影は、前記第1圧電素子の軸線方向に沿った投影以外にある、請求項2に記載の振動装置。
【請求項5】
前記質量素子の前記第1圧電素子の軸線方向に沿って前記第1圧電素子から離れた側には、カバープレートが設置される、請求項4に記載の振動装置。
【請求項6】
前記質量素子と前記第1圧電素子とを接続する弾性素子は、複数であり、複数の前記弾性素子は、前記環形構造の周方向に沿って分布する、請求項2に記載の振動装置。
【請求項7】
複数の前記弾性素子は、前記第1圧電素子の軸線方向に垂直な同一の平面内に位置する、請求項6に記載の振動装置。
【請求項8】
複数の前記弾性素子の前記第1圧電素子の軸線方向に沿った投影は、互いに垂直な少なくとも2つの対称軸を有する、請求項7に記載の振動装置。
【請求項9】
1つ又は複数の前記弾性素子の形状は、折れ線形、S字形、スプライン曲線形、円弧形及び直線形のうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の振動装置。
【請求項10】
1つ又は複数の前記弾性素子のそれぞれは、複数の湾曲部を有し、複数の前記湾曲部の湾曲方向が逆である、請求項9に記載の振動装置。
【請求項11】
1つ又は複数の前記弾性素子は、前記質量素子及び1つ又は複数の前記圧電素子にそれぞれ接続された第1螺旋構造及び第2螺旋構造を含み、前記第1螺旋構造及び前記第2螺旋構造は、軸線が同じであり、螺旋方向が逆である、請求項1に記載の振動装置。
【請求項12】
1つ又は複数の前記圧電素子は、第1環形構造を含む第1圧電素子と、第2環形構造を含む第2圧電素子とを含み、前記第2圧電素子は、前記第1環形構造の内側に設置される、請求項1に記載の振動装置。
【請求項13】
前記第1圧電素子の前記軸線方向に沿った一端は、固定され、前記第2圧電素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより前記第1圧電素子の前記一端以外の位置に接続され、前記質量素子の前記軸線方向に沿った投影は、前記第2圧電素子の前記軸線方向に沿った投影以内にあり、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとももう1つにより前記第2圧電素子に接続される、請求項12に記載の振動装置。
【請求項14】
前記第2圧電素子の前記軸線方向に沿った一端は、固定され、前記第1圧電素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより前記第2圧電素子の前記一端以外の位置に接続され、前記質量素子の形状は、環形であり、前記質量素子の前記軸線方向に沿った投影は、前記第1圧電素子の前記軸線方向に沿った投影以外にあり、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとももう1つにより前記第1圧電素子に接続される、請求項12に記載の振動装置。
【請求項15】
前記質量素子の形状は、環形であり、前記質量素子の前記軸線方向に沿った投影は、前記第1圧電素子と前記第2圧電素子との前記軸線方向に沿った投影の間にあり、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより前記第1圧電素子に接続され、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとももう1つにより前記第2圧電素子に接続される、請求項12に記載の振動装置。
【請求項16】
前記第1圧電素子又は前記第2圧電素子は、前記軸線方向に沿った固定端を有する、請求項15に記載の振動装置。
【請求項17】
1つ又は複数の前記弾性素子は、湾曲方向が逆である1つ又は複数の内環弾性素子及び1つ又は複数の外環弾性素子を含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の振動装置。
【請求項18】
前記第1圧電素子及び前記第2圧電素子が受信した電気信号は、位相差を有する、請求項12に記載の振動装置。
【請求項19】
前記位相差の範囲は、45°~180°である、請求項18に記載の振動装置。
【請求項20】
1つ又は複数の前記圧電素子は、少なくとも2つの第1圧電素子を含み、少なくとも2つの前記第1圧電素子は、軸線方向に沿って互いに接続される、請求項1に記載の振動装置。
【請求項21】
前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子により少なくとも2つの前記第1圧電素子にそれぞれ接続される、請求項20に記載の振動装置。
【請求項22】
前記第1圧電素子の数は、2つであり、2つの前記第1圧電素子は、振動過程において軸線方向に沿った変位の変化が逆である、請求項21に記載の振動装置。
【請求項23】
2つの前記第1圧電素子の接続面は、極性が同じであり、電位が逆である、請求項22に記載の振動装置。
【請求項24】
2つの前記第1圧電素子の接続面は、極性が逆であり、電位が同じである、請求項22に記載の振動装置。
【請求項25】
1つ又は複数の前記圧電素子は、少なくとも2つの第2圧電素子を含み、少なくとも2つの前記第2圧電素子の軸線は、少なくとも2つの前記第1圧電素子の軸線と重なり、少なくとも2つの前記第2圧電素子の軸線方向に沿った投影は、少なくとも2つの前記第1環形構造の軸線方向に沿った投影以内にあり、少なくとも2つの前記第2圧電素子は、軸線方向に沿って互いに接続される、請求項20に記載の振動装置。
【請求項26】
少なくとも2つの前記第2圧電素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより少なくとも2つの前記第1圧電素子に接続される、請求項25に記載の振動装置。
【請求項27】
前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより少なくとも2つの前記第1圧電素子にそれぞれ接続され、或いは、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより少なくとも2つの前記第2圧電素子にそれぞれ接続される、請求項26に記載の振動装置。
【請求項28】
前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子により少なくとも2つの前記第1圧電素子及び少なくとも2つの前記第2圧電素子にそれぞれ接続される、請求項25に記載の振動装置。
【請求項29】
前記振動装置は、電気信号に基づいて前記環形構造の軸線方向に沿った振動を発生させるように構成された圧電ビームをさらに含み、前記圧電ビームは、前記質量素子に接続される、請求項1に記載の振動装置。
【請求項30】
前記圧電ビームは、少なくとも1つの第1圧電シート及び少なくとも1つの第2圧電シートを含み、少なくとも1つの前記第1圧電シート及び少なくとも1つの前記第2圧電シートは、それぞれ前記圧電ビームの前記環形構造の軸線方向に沿った両側に設置され、少なくとも1つの前記第1圧電シート及び少なくとも1つの前記第2圧電シートは、分極方向が前記環形構造の軸線方向に沿って逆方向に設定される、請求項29に記載の振動装置。
【請求項31】
前記質量素子は、第1質量素子及び第2質量素子を含み、前記第1質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより前記圧電ビームの中部に接続され、前記圧電ビームの両端にそれぞれ第2質量素子が接続される、請求項30に記載の振動装置。
【請求項32】
1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つと前記質量素子は、共振して第1共振ピークが発生し、1つ又は複数の前記圧電素子は、共振して第2共振ピークが発生する、請求項1に記載の振動装置。
【請求項33】
前記第1共振ピークの周波数範囲は、50Hz~2000Hzである、請求項32に記載の振動装置。
【請求項34】
前記第1共振ピークの周波数範囲は、50Hz~1000Hzである、請求項32に記載の振動装置。
【請求項35】
前記第2共振ピークの周波数範囲は、1000Hz~50000Hzである、請求項32に記載の振動装置。
【請求項36】
前記第2共振ピークの周波数範囲は、1000Hz~20000Hzである、請求項32に記載の振動装置。
【請求項37】
前記第2共振ピークの周波数範囲は、2000Hz~10000Hzである、請求項32に記載の振動装置。
【請求項38】
前記第2共振ピークと前記第1共振ピークとの周波数比の範囲は、20~200である、請求項32に記載の振動装置。
【請求項39】
少なくとも2つの前記圧電素子が互いに接続されることにより、前記振動装置は、振動するときに、第3共振ピークが発生し、前記第3共振ピークの周波数は、前記第1共振ピークの周波数と前記第2共振ピークの周波数との間にある、請求項32に記載の振動装置。
【請求項40】
2つの前記圧電素子は、少なくとも1つの前記弾性素子により接続されて二重環形構造を構成し、前記二重環形構造は、共振して前記第3共振ピークが発生する、請求項39に記載の振動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、音響の技術分野に関し、特に振動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電式スピーカは、一般的に圧電セラミック材料の逆圧電効果により振動を発生させて外部に音波を放出するものである。従来の電磁式スピーカと比較して、圧電式スピーカは、電気機械変換効率が高く、エネルギー消費が低く、体積が小さく、集積度が高いなどの利点を有する。現在のデバイスの小型化及び集積化の傾向で、圧電式スピーカは、極めて広い将来性を有する。しかし、従来の電磁式スピーカと比較して、圧電式スピーカは、圧電音響素子の低周波応答が悪いため、低周波音質が悪い。また、圧電式スピーカは、可聴帯域(例えば、20Hz~20kHz)内の振動モードが多いため、平らな周波数応答曲線を形成することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、可聴帯域内の振動モードを低減するとともに、低周波応答を向上させることができる振動装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書の実施例に係る振動装置は、質量素子と、電気信号に基づいて振動を発生させるように構成された1つ又は複数の圧電素子と、少なくとも1つが前記質量素子及び1つ又は複数の前記圧電素子に接続された1つ又は複数の弾性素子とを含み、1つ又は複数の前記圧電素子は、環形構造を含み、電気信号に基づいて振動する方向が前記環形構造の軸線方向と平行であるように構成される。
【0005】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の前記圧電素子は、軸線方向に沿った一端が固定され、他端が1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより前記質量素子に接続された第1圧電素子を含む。
【0006】
いくつかの実施例において、前記質量素子の前記第1圧電素子の軸線方向に沿った投影は、前記第1圧電素子の軸線方向に沿った投影以内にある。
【0007】
いくつかの実施例において、前記質量素子の形状は、環形であり、前記質量素子の前記第1圧電素子の軸線方向に沿った投影は、前記第1圧電素子の軸線方向に沿った投影以外にある。
【0008】
いくつかの実施例において、前記質量素子の前記第1圧電素子の軸線方向に沿って前記第1圧電素子から離れた側には、カバープレートが設置される。
【0009】
いくつかの実施例において、前記質量素子及び前記第1圧電素子を接続する弾性素子は、複数であり、複数の前記弾性素子は、前記環形構造の周方向に沿って分布する。
【0010】
いくつかの実施例において、複数の前記弾性素子は、前記第1圧電素子の軸線方向に垂直な同一の平面内に位置する。
【0011】
いくつかの実施例において、複数の前記弾性素子の前記第1圧電素子の軸線方向に沿った投影は、互いに垂直な少なくとも2つの対称軸を有する。
【0012】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の前記弾性素子の形状は、折れ線形、S字形、スプライン曲線形、円弧形及び直線形のうちの少なくとも1種を含む。
【0013】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の前記弾性素子のそれぞれは、複数の湾曲セグメントを有し、複数の前記湾曲セグメントの湾曲方向が逆である。
【0014】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の前記弾性素子は、前記質量素子及び1つ又は複数の前記圧電素子にそれぞれ接続された第1螺旋構造及び第2螺旋構造を含み、前記第1螺旋構造及び前記第2螺旋構造は、軸線が同じであり、螺旋方向が逆である。
【0015】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の前記圧電素子は、第1環形構造を含む第1圧電素子と、第2環形構造を含む第2圧電素子とを含み、前記第2圧電素子は、前記第1環形構造の内側に設置される。
【0016】
いくつかの実施例において、前記第1圧電素子は、前記軸線方向に沿った一端が固定され、他端が1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより前記第2圧電素子に接続され、前記質量素子の前記軸線方向に沿った投影は、前記第2圧電素子の前記軸線方向に沿った投影以内にあり、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとももう1つにより前記第2圧電素子に接続される。
【0017】
いくつかの実施例において、前記第2圧電素子は、前記軸線方向に沿った一端が固定され、他端が1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより前記第1圧電素子に接続され、前記質量素子の形状は、環形であり、前記質量素子の前記軸線方向に沿った投影は、前記第1圧電素子の前記軸線方向に沿った投影以外にあり、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとももう1つにより前記第1圧電素子に接続される。
【0018】
いくつかの実施例において、前記質量素子の形状は、環形であり、前記質量素子の前記軸線方向に沿った投影は、前記第1圧電素子と前記第2圧電素子との前記軸線方向に沿った投影の間にあり、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより前記第1圧電素子に接続され、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとももう1つにより前記第2圧電素子に接続される。
【0019】
いくつかの実施例において、前記第1圧電素子又は前記第2圧電素子は、前記軸線方向に沿った固定端を有する。
【0020】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の前記弾性素子は、湾曲方向が逆である1つ又は複数の内環弾性素子及び1つ又は複数の外環弾性素子を含む。
【0021】
いくつかの実施例において、前記第1圧電素子及び前記第2圧電素子が受信した電気信号は、位相差を有する。
【0022】
いくつかの実施例において、前記位相差の範囲は、45°~180°である。
【0023】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の前記圧電素子は、少なくとも2つの第1圧電素子を含み、少なくとも2つの前記第1圧電素子は、軸線方向に沿って互いに接続される。
【0024】
いくつかの実施例において、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子により少なくとも2つの前記第1圧電素子にそれぞれ接続される。
【0025】
いくつかの実施例において、前記第1圧電素子の数は、2つであり、2つの前記第1圧電素子は、振動過程において軸線方向に沿った変位の変化が逆である。
【0026】
いくつかの実施例において、2つの前記第1圧電素子の接続面は、極性が同じであり、電位が逆である。
【0027】
いくつかの実施例において、2つの前記第1圧電素子の接続面は、極性が逆であり、電位が同じである。
【0028】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の前記圧電素子は、少なくとも2つの第2圧電素子を含み、少なくとも2つの前記第2圧電素子の軸線は、少なくとも2つの前記第1圧電素子の軸線と重なり、少なくとも2つの前記第2圧電素子の軸線方向に沿った投影は、少なくとも2つの前記第1環形構造の軸線方向に沿った投影以内にあり、少なくとも2つの前記第2圧電素子は、軸線方向に沿って互いに接続される。
【0029】
いくつかの実施例において、少なくとも2つの前記第2圧電素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより少なくとも2つの前記第1圧電素子に接続される。
【0030】
いくつかの実施例において、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより少なくとも2つの前記第1圧電素子にそれぞれ接続され、或いは、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより少なくとも2つの前記第2圧電素子にそれぞれ接続される。
【0031】
いくつかの実施例において、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子により少なくとも2つの前記第1圧電素子及び少なくとも2つの前記第2圧電素子にそれぞれ接続される。
【0032】
いくつかの実施例において、前記振動装置は、電気信号に基づいて前記環形構造の軸線方向に沿った振動を発生させるように構成された圧電ビームをさらに含み、前記圧電ビームは、前記質量素子に接続される。
【0033】
いくつかの実施例において、前記圧電ビームは、少なくとも1つの第1圧電シート及び少なくとも1つの第2圧電シートを含み、少なくとも1つの前記第1圧電シート及び少なくとも1つの前記第2圧電シートは、それぞれ前記圧電ビームの前記環形構造の軸線方向に沿った両側に設置され、少なくとも1つの前記第1圧電シート及び少なくとも1つの前記第2圧電シートは、分極方向が前記環形構造の軸線方向に沿って逆方向に設定される。
【0034】
いくつかの実施例において、前記質量素子は、第1質量素子及び第2質量素子を含み、前記第1質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより前記圧電ビームの中部に接続され、前記圧電ビームの両端にそれぞれ第2質量素子が接続される。
【0035】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つと前記質量素子は、共振して第1共振ピークが発生し、1つ又は複数の前記圧電素子は、共振して第2共振ピークが発生する。
【0036】
いくつかの実施例において、前記第1共振ピークの周波数範囲は、50Hz~2000Hzである。
【0037】
いくつかの実施例において、前記第1共振ピークの周波数範囲は、50Hz~1000Hzである。
【0038】
いくつかの実施例において、前記第2共振ピークの周波数範囲は、1000Hz~50000Hzである。
【0039】
いくつかの実施例において、前記第2共振ピークの周波数範囲は、1000Hz~20000Hzである。
【0040】
いくつかの実施例において、前記第2共振ピークの周波数範囲は、2000Hz~10000Hzである。
【0041】
いくつかの実施例において、前記第2共振ピークと前記第1共振ピークとの周波数比の範囲は、20~200である。
【0042】
いくつかの実施例において、少なくとも2つの前記圧電素子が互いに接続されることにより、前記振動装置は、振動するときに、第3共振ピークが発生し、前記第3共振ピークの周波数は、前記第1共振ピークの周波数と前記第2共振ピークの周波数との間にある。
【0043】
いくつかの実施例において、2つの前記圧電素子は、少なくとも1つの前記弾性素子により接続されて二重環形構造を構成し、前記二重環形構造は、共振して前記第3共振ピークが発生する。
【0044】
例示的な実施例により本願をさらに説明し、これらの例示的な実施例を図面により詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例において、同じ番号は同じ構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的なモジュール図である。
【
図2】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図3】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の周波数応答曲線図である。
【
図4A】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図4B】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の周波数応答曲線図である。
【
図5】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図6】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の周波数応答曲線図である。
【
図7】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図8】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の周波数応答曲線図である。
【
図9】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図10】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の周波数応答曲線図である。
【
図11】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の周波数応答曲線図である。
【
図12】本明細書のいくつかの実施例に係る弾性素子の例示的な構造図である。
【
図13A】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図13B】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図14A】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図14B】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図14C】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図14D】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の周波数応答曲線図である。
【
図15A】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図15B】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図16】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な周波数応答曲線図である。
【
図17】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図18】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図19】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図20A】本明細書のいくつかの実施例に係る第1圧電素子の例示的な回路図である。
【
図20B】本明細書のいくつかの実施例に係る第1圧電素子の他の例示的な回路図である。
【
図21】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図22】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の周波数応答曲線図である。
【
図23】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【
図24】本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本願の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本願の例又は実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに適用することができる。言語環境から明らかではないか又は別に説明しない限り、図面において、同じ符号は、同じ構造又は操作を示す。
【0047】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」は、異なるレベルの様々なアセンブリ、素子、部材、部分又は組立体を区別するための方法であることを理解されたい。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0048】
本願及び特許請求の範囲で使用されるように、文脈を通して明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的には、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素を含むことを提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は機器は、他のステップ又は要素を含む可能性がある。
【0049】
本願では、フローチャートを用いて本願の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作が必ずしも順序で正確に実行されるとは限らないことを理解されたい。その代わりに、各ステップを逆の順序で処理してもよく、同時に処理してもよい。また、他の操作をこれらのプロセスに追加してもよく、これらのプロセスから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0050】
本明細書の実施例に係る振動装置は、音響出力装置に適用されてもよい。音響出力装置は、骨伝導スピーカ、空気伝導スピーカ、骨伝導補聴器、空気伝導補聴器などを含んでもよいが、これらに限定されない。本明細書の実施例に係る振動装置は、圧電素子を含んでもよい。圧電素子は、逆圧電効果の作用で入力された電圧を変位に変換して出力することができるため、圧電素子により変位を出力する振動装置は、圧電式振動装置とも呼ばれる。圧電式振動装置内の圧電素子の動作モードは、一般的にd33動作モード及びd31動作モードを用いる。圧電素子は、d33動作モードで、分極方向が変位出力方向と同じである。圧電素子は、d31動作モードで、分極方向が変位出力方向と垂直である。圧電素子は、一般的に高い共振周波数を有するため、圧電式振動装置は、一般的に高周波出力を提供することができるが、圧電素子の低周波応答が悪く、可聴帯域内(例えば、20Hz~20KHz)に一般的に多くの振動モードを有し、平らな周波数応答曲線を形成しにくいため、振動装置を音響出力装置に適用する場合に出力された音声音質に影響を与える。
【0051】
圧電式振動装置の低周波応答が悪く、可聴帯域の周波数範囲内のモードが多いという問題を解決するために、本明細書の実施例に係る振動装置は、質量素子及び弾性素子をさらに含み、弾性素子と質量素子との組み合わせ構造を利用して低周波数範囲(例えば、20Hz~2000Hz)内に第1共振ピークを構築するとともに、圧電素子を利用して高周波数範囲(例えば、1000Hz~20000Hz)内に第2共振ピークを構築することにより、第1共振ピークと第2共振ピークとの間に平らな曲線を形成することができる。いくつかの実施例において、圧電素子は、d33動作モードを用いることができ、d33動作モードの圧電素子は、高い共振周波数を有し、圧電素子の可聴帯域の周波数範囲内での動作モードを低減することができ、異なる境界条件(例えば、固定接続境界を有するか又は固定接続境界を有さない)でのd33動作モードの圧電素子を利用して、振動装置の高周波応答の損失を補償することもできる。
【0052】
図1は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的なモジュール図である。いくつかの実施例において、振動装置100は、圧電素子110、質量素子120及び弾性素子130を含んでもよい。いくつかの実施例において、質量素子120は、弾性素子により圧電素子110に接続されてもよい。いくつかの実施例において、弾性素子130は、1つであってもよく、質量素子120は、1つの弾性素子130により圧電素子110に接続されてもよい。いくつかの実施例において、弾性素子130は、複数であってもよく、質量素子120は、1つ又は複数の弾性素子130により圧電素子110に接続されてもよい。いくつかの実施例において、圧電素子110は、1つであってもよく、複数であってもよい。いくつかの実施例において、質量素子120は、1つの圧電素子110に接続されてもよい。いくつかの実施例において、質量素子120は、それぞれ複数の圧電素子110に接続されてもよい。いくつかの実施例において、複数の圧電素子110は、互いに接続されてもよい。いくつかの実施例において、複数の圧電素子110は、直接接続されてもよい。いくつかの実施例において、複数の圧電素子110は、1つ又は複数の弾性素子130により接続されてもよい。
【0053】
圧電素子110は、圧電効果を有する部品であってもよい。いくつかの実施例において、圧電素子110は、圧電セラミック、圧電ポリマーなどの、圧電効果を有する材料で構成されてもよい。いくつかの実施例において、圧電素子110は、電気信号に基づいて振動を発生させるように構成されてもよい。例えば、圧電素子110に交流電気信号を印加する場合、圧電素子110は、往復変形して振動を発生させることができる。いくつかの実施例において、圧電素子110は、振動方向が分極方向と同じであってもよい。いくつかの実施例において、圧電素子110は、振動方向が分極方向と互いに垂直であってもよい。
【0054】
いくつかの実施例において、圧電素子110の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。いくつかの実施例において、圧電素子110の数が複数である場合、複数の圧電素子110は、弾性素子130により接続されてもよい。いくつかの実施例において、弾性素子130により互いに接続された圧電素子110のうちのいずれか1つは、さらに、他の弾性素子130により質量素子120に接続されてもよい。いくつかの実施例において、複数の圧電素子110は、複数の圧電素子110の振動方向に沿って一体に直列接続されてもよく、直列接続された圧電素子110は、弾性素子130により質量素子120に接続されてもよい。
【0055】
いくつかの実施例において、圧電素子110は、単一環形構造であってもよく、単一環形構造は、圧電素子110の軸線方向に沿った投影の形状が単一環形形状である構造を指す。例えば、圧電素子110の数が1つである場合、圧電素子110は、単一環形構造である。いくつかの実施例において、圧電素子110は、多重環形構造(例えば、二重環形構造、三重環形構造など)であってもよく、多重環形構造は、圧電素子110の軸線方向に沿った投影の形状が多重環形形状である構造を指す。例えば、圧電素子110の数が2つである場合、2つの圧電素子110の環形構造は、異なる環形外径を有し、2つの圧電素子110は、1つ又は複数の弾性素子130により接続されてもよく、このとき、2つの圧電素子110とこれらの2つの圧電素子110を接続する弾性素子130とは、二重環形構造を構成する。環形構造(例えば、単一環形構造又は二重環形構造)を有する圧電素子は、高い共振周波数を有し、圧電素子の可聴帯域内でのモード数を低減することができ、構造設計(例えば、弾性素子及び質量素子を接続する)により低周波数ピークを構築した後、低周波数ピークと圧電素子の共振ピークとの間に平らな曲線を形成することができ、振動装置100を音響出力装置に適用する場合、振動装置100又は音響出力装置の出力音声の音質を向上させることができる。
【0056】
いくつかの実施例において、圧電素子110は、単層環形構造であってもよい。いくつかの実施例において、圧電素子110は、さらに二層環形構造であってもよい。例えば、1つ又は複数の圧電素子110は、少なくとも2つの圧電素子を含んでもよく、少なくとも2つの圧電素子は、軸線方向に沿って互いに接続されて二層環形構造を形成する。質量素子120は、1つ又は複数の弾性素子130により少なくとも2つの圧電素子にそれぞれ接続される。いくつかの実施例において、圧電素子110は、より多くの圧電素子により軸線方向に沿って互いに接続された多層環形構造であってもよい。
【0057】
いくつかの実施例において、圧電素子110は、分極方向が変位出力方向と同じであってもよい。いくつかの実施例において、圧電素子110の変位出力端を振動端とすることにより、圧電素子110の分極方向が圧電素子110の振動方向と同じになり、理解されるように、圧電素子110は、電気信号の作用で圧電素子110の分極方向に沿って振動を発生させることができる。いくつかの実施例において、1つ又は複数の圧電素子110は、環形構造を含んでもよく、環形構造は、環形端面を有する柱状構造であってもよい。いくつかの実施例において、圧電素子110の分極方向は、環形構造の軸線方向と平行であってもよく、電気信号の作用で、圧電素子110は、圧電素子110の環形構造の軸線方向に沿って振動を発生させることができる。環形構造の軸線は、柱状構造の2つの環形端面の幾何中心と、環形端面と平行な任意の断面の幾何中心とを結ぶ仮想線であってもよい。例えば、環形構造は、円環柱状構造である場合、軸線は、2つの円環端面の円心を結ぶ直線である。また例えば、環形構造は、台形環形柱状構造である場合、軸線は、2つの台形環形端面の幾何中心を結ぶ直線である。いくつかの実施例において、環形構造の軸線方向は、環形構造の環形表面と垂直である。いくつかの実施例において、環形構造の環形端面の形状は、円環形、楕円環形、曲線環形、多角環形などを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、圧電素子110の分極方向は、環形構造の軸線方向と平行であり、電気信号の作用で、圧電素子110は、圧電素子110の環形構造の軸線方向に沿って振動を発生させることができる。
【0058】
質量素子120は、一定の質量を有する素子であってもよい。いくつかの実施例において、質量素子120を振動装置100の振動板又は振動膜とすることにより、振動装置100は、質量素子120により振動を出力することができる。いくつかの実施例において、質量素子120の材料は、金属材料であってもよく、非金属材料であってもよい。金属材料は、鋼材(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼など)、軽量合金(例えば、アルミニウム合金、ベリリウム銅、マグネシウム合金、チタン合金など)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。非金属材料は、高分子材料、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維などを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、質量素子120の振動方向に沿った投影は、円形、環形、矩形、五角形、六角形などの規則及び/又は不規則な多角形であってもよい。
【0059】
いくつかの実施例において、質量素子120は、弾性素子130により圧電素子110に接続されてもよく、圧電素子110から出力された振動は、弾性素子130により質量素子120に伝達されてもよい。いくつかの実施例において、質量素子120とそれに接続された弾性素子130が共振することにより、振動装置100が第1共振ピークを発生させることができる。第1共振ピークに対応する第1共振周波数の大きさは、質量素子120の質量と弾性素子130の弾性係数の影響を受ける。いくつかの実施例において、第1共振ピークの周波数(第1共振周波数とも呼ばれる)は、式(1)で表されてもよい。
【0060】
【0061】
式中、fは、第1共振周波数を表し、mは、質量素子120の質量を表し、kは、弾性素子120の弾性係数を表す。式(1)から分かるように、質量素子120の質量及び/又は弾性素子120の弾性係数を調整することにより、第1共振ピークに対応する第1共振周波数の大きさを調整して、第1共振ピークを所望の周波数範囲内にさせることができる。
【0062】
いくつかの実施例において、質量素子120は、弾性素子130により圧電素子110の内側に接続されてもよい。いくつかの実施例において、圧電素子110が電気信号に基づいて振動を発生させる場合、該振動は、弾性素子130により質量素子120に伝達されて、質量素子120は、圧電素子110の振動方向と平行な振動を発生させる。いくつかの実施例において、質量素子120のその振動方向に沿った投影は、圧電素子110のその振動方向に沿った投影以内にあってもよい。いくつかの実施例において、質量素子120は、圧電素子110の内側に位置する場合、中実の柱状構造であってもよく、例えば、中実の円柱状構造である。他のいくつかの実施例において、質量素子120は、圧電素子110の内側に位置する場合、他の形状構造であってもよく、例えば、外径が圧電素子110の内径よりも小さい環形構造である。
【0063】
いくつかの実施例において、質量素子120は、圧電素子110の外側に位置してもよい。質量素子120は、圧電素子110の外側に位置する場合、形状が環形であってもよく、該環形の内径は、圧電素子110の環形構造の外径よりも大きくてもよいため、質量素子120の圧電素子110の軸線方向に沿った投影は、圧電素子110のその軸線方向に沿った投影以外にあってもよい。
【0064】
いくつかの実施例において、質量素子120は、複数の圧電素子110の間に位置してもよい。いくつかの実施例において、圧電素子110は、直径が異なる第1圧電素子及び第2圧電素子を含んでもよく、第2圧電素子は、第1圧電素子の内側に設置され、質量素子120は、第1圧電素子と第2圧電素子との間に位置する。いくつかの実施例において、質量素子120の形状は、環形であってもよく、質量素子120の圧電素子110の軸線方向に沿った投影は、第1圧電素子と第2圧電素子との圧電素子110の軸線方向に沿った投影の間にあってもよい。
【0065】
いくつかの実施例において、質量素子120の形状が環形である場合、質量素子120の圧電素子110の軸線方向に沿って圧電素子110から離れた側には、カバープレートが設置されてもよい。カバープレートは、質量素子120の圧電素子110の軸線方向に沿って圧電素子110から離れた側を封止することができる。例えば、質量素子120の形状が円環形である場合、カバープレートは、円形構造であってもよく、カバープレートの周側は、質量素子120の圧電素子110の軸線方向に沿って圧電素子110から離れた側に接続される。質量素子120の圧電素子110の軸線方向に沿って圧電素子110から離れた側にカバープレートを設置することにより、カバープレートを振動板として振動信号を伝達することができる。いくつかの実施例において、振動装置100を音響装置に適用する場合、カバープレートは、質量素子120と音響装置の他の構造、例えば、振動膜とを接続することにより、振動装置100が質量素子120により振動膜を振動させるように駆動する。
【0066】
弾性素子130は、外部荷重の作用で弾性変形可能な素子であってもよい。いくつかの実施例において、弾性素子130は、それに接続された質量素子120が良好な振動応答能力を有するように、高い弾性を有する(すなわち、弾性変形が発生しやすい)材料であってもよい。いくつかの実施例において、弾性素子130の材質は、金属材料、高分子材料、ゴム系材料などのうちの1種又は複数種を含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、弾性素子130の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。いくつかの実施例において、質量素子120は、1つの弾性素子130により圧電素子110に接続されてもよい。例えば、弾性素子130の形状は、環形であってもよく、質量素子120と圧電素子110とは、環形の弾性素子130により接続されてもよい。いくつかの実施例において、質量素子120は、複数の弾性素子130により圧電素子110に接続されてもよい。例えば、弾性素子130は、棒状構造を含んでもよく、複数の弾性素子130は、圧電素子110の円周に沿って分布するとともに質量素子120に接続される。
【0067】
いくつかの実施例において、弾性素子130は、振動伝達シートであってもよい。弾性素子130が質量素子120及び圧電素子110を接続する場合、弾性素子130が、圧電素子110により発生した振動を質量素子120に伝達することにより、質量素子120は、振動を発生させることができる。いくつかの実施例において、振動装置100の加工過程をより簡単で迅速にするように、弾性素子130は、振動伝達シートに設置された接続ロッドであってもよい。
【0068】
いくつかの実施例において、弾性素子130は、単層構造であってもよく、単層構造は、1つ又は複数の弾性素子130が圧電素子110の軸線方向に垂直な同一の平面内に位置することを指す。いくつかの実施例において、弾性素子130は、多層構造であってもよく、多層構造は、複数の弾性素子が圧電素子110の軸線方向に垂直な異なる平面内に位置することを指す。
【0069】
いくつかの実施例において、弾性素子130の形状は、折れ線形、S字形、スプライン曲線形、円弧形及び直線形のうちの少なくとも1種を含んでもよいが、これらに限定されない。弾性素子130の形状は、振動装置100の需要(例えば、第1共振ピークの位置、振動装置100を加工する難易度など)に応じて設定されてもよい。
【0070】
いくつかの実施例において、弾性素子130は、複数の湾曲セグメントを有してもよい。いくつかの実施例において、複数の湾曲セグメントの湾曲方向は、同じであってもよい。いくつかの実施例において、複数の湾曲セグメントの湾曲方向は、異なってもよい。いくつかの実施例において、複数の湾曲セグメントの湾曲方向は、逆であってもよい。例えば、弾性素子130の形状が折れ線形である場合、折れ線形は、第1湾曲セグメント及び第2湾曲セグメントを含んでもよく、第1湾曲セグメントの湾曲方向は、最初に第1方向に折り曲げられてもよく、第2湾曲セグメントの湾曲方向は、最初に第2方向に折り曲げられてもよく、第2方向は、第1方向とは逆方向に設定される。弾性素子の湾曲方向及びその設定に関するより多くの説明について、本明細書の
図12の関連説明を参照することができる。
【0071】
いくつかの実施例において、振動装置100の振動過程において、弾性素子130は、湾曲形状を有するため、質量素子120にせん断応力を提供する可能性があり、複数の弾性素子130が質量素子120に提供するせん断応力の方向が同じである場合、質量素子120は、その中心軸を中心として回転する傾向が存在する可能性がある。該せん断応力は、弾性素子130が質量素子120(及び/又は圧電素子110)に提供され質量素子120の振動方向に垂直な任意の断面に接する応力であってもよく、該せん断応力により、質量素子120は、その中心軸を中心として回転する傾向が生じることができる。いくつかの実施例において、弾性素子130の湾曲方向が異なる湾曲セグメントは、弾性素子130に接続された質量素子120にカールが異なるせん断応力を提供することができる。カールは、せん断応力というベクトル場の回転特性を評価するためのベクトル演算子であってもよく、該ベクトル演算子の大きさは、せん断応力というベクトル場の回転程度を評価してもよく、該ベクトル演算子の方向は、せん断応力というベクトル場の回転方向を評価してもよい。カールの方向は、回転方向に基づいて、右手の法則を用いて判断されてもよく、例えば、質量素子120は、弾性素子130が提供するせん断応力を受けて回転(又は回転の傾向)を生成する場合、右手の法則に基づいて、4本の指の湾曲方向は、環形構造の回転(又は回転の傾向)方向と一致し、このときに親指の指向は、カールの方向である。いくつかの実施例において、弾性素子130の湾曲方向が逆である湾曲セグメントは、弾性素子130に接続された質量素子120にカールが逆であるせん断応力を提供することができる。カールが逆であるせん断応力を有する湾曲セグメントを設置することにより、該弾性素子130の異なる部分が質量素子120に提供するせん断応力を互いに相殺することができるため、該弾性素子130全体が質量素子120にせん断応力を提供せず、質量素子120に回転の傾向が存在することを回避する。
【0072】
いくつかの実施例において、弾性素子130の数が複数である場合、隣接する弾性素子130の湾曲方向が異なる。いくつかの実施例において、弾性素子130の数が複数である場合、隣接する弾性素子130の湾曲方向が逆である。いくつかの実施例において、弾性素子130が単層構造である場合、複数の弾性素子130の圧電素子110の軸線方向に沿った投影が互いに垂直な2つの対称軸を有することにより、隣接する弾性素子130の湾曲方向が逆である。例えば、弾性素子130は、X字形を呈してもよく、X字形の弾性素子は、互いに垂直な2つの対称軸を有する。湾曲方向が逆である弾性素子130を設置することにより、湾曲方向が逆である複数の弾性素子130が質量素子120に提供するせん断応力のカール方向を逆にすることができるため、湾曲方向が逆である複数の弾性素子130が質量素子120に提供するせん断応力を互いに相殺することができ、さらに質量素子120に回転の傾向が存在することを回避する。
【0073】
いくつかの実施例において、弾性素子130が多層構造である場合、隣接する層の弾性素子130は、異なる湾曲方向を有してもよい。いくつかの実施例において、弾性素子130は、二層構造であってもよく、圧電素子110の軸線方向に垂直な異なる平面内に質量素子120及び1つ又は複数の圧電素子110にそれぞれ接続された第1螺旋構造及び第2螺旋構造を含んでもよい。いくつかの実施例において、第1螺旋構造及び第2螺旋構造は、軸線が同じであり、螺旋方向が逆であってもよい。螺旋方向が逆である第1螺旋構造及び第2螺旋構造を設置することにより、異なる層の弾性素子130が質量素子120に提供するせん断応力のカール方向を逆にすることができるため、異なる層の弾性素子130が質量素子120に提供するせん断応力を互いに相殺することができ、さらに質量素子120に回転の傾向が存在することを回避する。
【0074】
いくつかの実施例において、振動装置100は、可聴帯域の周波数範囲内に少なくとも2つの共振ピークを形成することができる。いくつかの実施例において、1つ又は複数の弾性素子130のうちの少なくとも1つと質量素子120は、共振して第1共振ピークが発生することができ、1つ以上の圧電素子110は、共振して第2共振ピークが発生することができる。いくつかの実施例において、第1共振ピークに対応する周波数(第1共振周波数とも呼ばれてもよい)は、低周波数範囲(例えば、2000Hzよりも小さい)内にあってもよく、第2共振ピークに対応する周波数(第2共振周波数とも呼ばれてもよい)は、中高周波数(例えば、1000Hzよりも大きい)範囲内にあってもよい。いくつかの実施例において、第2共振ピークに対応する第2共振周波数は、第1共振ピークに対応する第1共振周波数よりも高くてもよい。いくつかの実施例において、第2共振ピークと第1共振ピークとの間に共振谷が現れず、平らな曲線を形成することにより、振動装置100の出力音声の音質を向上させることができる。
【0075】
いくつかの実施例において、式(1)から分かるように、質量素子120の質量及び/又は弾性素子130の弾性係数を調整することにより、第1共振ピークに対応する第1共振周波数の周波数範囲を調整することができる。いくつかの実施例において、第1共振ピークに対応する第1共振周波数の周波数範囲は、50Hz~2000Hzであってもよい。いくつかの実施例において、第1共振ピークに対応する第1共振周波数の周波数範囲は、50Hz~1500Hzであってもよい。いくつかの実施例において、第1共振ピークに対応する第1共振周波数の周波数範囲は、50Hz~1000Hzであってもよい。いくつかの実施例において、第1共振ピークに対応する第1共振周波数の周波数範囲は、50Hz~500Hzであってもよい。いくつかの実施例において、第1共振ピークに対応する第1共振周波数の周波数範囲は、50Hz~200Hzであってもよい。
【0076】
いくつかの実施例において、圧電素子110の構造パラメータ(例えば、寸法、形状、質量、材質など)を調整することにより、第2共振ピークに対応する第2共振周波数の周波数範囲を調整することができる。いくつかの実施例において、第2共振周波数は、圧電素子110の固有周波数であってもよい。いくつかの実施例において、第2共振ピークに対応する第2共振周波数の周波数範囲は、1000Hz~50000Hzであってもよい。いくつかの実施例において、第2共振ピークに対応する第2共振周波数の周波数範囲は、1000Hz~40000Hzであってもよい。いくつかの実施例において、第2共振ピークに対応する第2共振周波数の周波数範囲は、1000Hz~30000Hzであってもよい。いくつかの実施例において、第2共振ピークに対応する第2共振周波数の周波数範囲は、1000Hz~20000Hzであってもよい。いくつかの実施例において、第2共振ピークに対応する第2共振周波数の周波数範囲は、1000Hz~10000Hzであってもよい。いくつかの実施例において、第2共振ピークに対応する第2共振周波数の周波数範囲は、2000Hz~10000Hzであってもよい。いくつかの実施例において、第2共振ピークに対応する第2共振周波数の周波数範囲は、3000Hz~10000Hzであってもよい。
【0077】
いくつかの実施例において、振動装置100の周波数応答曲線が第1共振ピークと第2共振ピークとの間に広い範囲の平らな区間を有し、振動装置100の低周波応答と出力音声の音質を保証するために、第2共振ピークに対応する第2共振周波数と第1共振ピークに対応する第1共振周波数との周波数比の範囲は、20~200であってもよい。いくつかの実施例において、第2共振ピークに対応する第2共振周波数と第1共振ピークに対応する第1共振周波数との周波数比の範囲は、30~180であってもよい。いくつかの実施例において、第2共振ピークに対応する第2共振周波数と第1共振ピークに対応する第1共振周波数との周波数比の範囲は、40~160であってもよい。いくつかの実施例において、第2共振ピークに対応する第2共振周波数と第1共振ピークに対応する第1共振周波数との周波数比の範囲は、50~150であってもよい。
【0078】
いくつかの実施例において、振動装置100は、振動するときに、第3共振ピークをさらに有してもよく、第3共振ピークに対応する周波数(第3共振周波数とも呼ばれてもよい)は、第1共振ピークに対応する第1共振周波数と第2共振ピークに対応する第2共振周波数との間にあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置100は、二重環形構造を有してもよく、第3共振ピークは、二重環形構造の共振により発生してもよい。いくつかの実施例において、圧電素子110は、二重環形構造であり、かつ質量素子120は、最も内側に位置する場合、内側の圧電素子(例えば、第2圧電素子)及び質量素子120(並びに内側の圧電素子及び質量素子120を接続する弾性素子130)は、全体の質量を構成してもよく、該全体の質量は、質量素子120の質量よりも大きい(すなわち、振動質量が増加する)ため、振動装置100の低周波数ピークの共振周波数が低下し、振動装置100の周波数応答曲線における第1共振ピークが低周波数に移行すると表現し、かつ二重環形構造を有する振動装置100は、振動するときに、第1共振ピークと第2共振ピークとの間にある第3共振ピークが発生することもできる。いくつかの実施例において、第3共振ピークの形成は、高周波共振ピーク(例えば、第2共振ピーク)の位置に影響を与えず、また、高周波共振谷を高め、振動装置100の高周波応答を向上させる。
【0079】
いくつかの実施例において、デバイスの小型化の需要を満たすために、振動装置100の振動方向に沿った投影の最大寸法は、60mm以下である。振動装置100の振動方向に沿った投影の最大寸法は、該投影の外輪郭のいずれか2点の距離のうちの最大値を指す。例えば、振動装置100の振動方向に沿った投影の最大輪郭が円形である場合、振動装置100の振動方向に沿った投影の最大寸法は、該円形の直径である。また例えば、振動装置100の振動方向に沿った投影の最大輪郭が楕円形である場合、振動装置100の振動方向に沿った投影の最大寸法は、該楕円形の長軸である。また例えば、振動装置100の振動方向に沿った投影の最大輪郭が正方形である場合、振動装置100の振動方向に沿った投影の最大寸法は、該正方形の対角線である。いくつかの実施例において、質量素子120が振動装置100の最外側に設置された場合、振動装置100の振動方向に沿った投影の最大寸法は、質量素子120の振動方向に沿った投影の最大寸法であってもよい。いくつかの実施例において、圧電素子110が振動装置100の最外側に設置された場合、振動装置100の振動方向に沿った投影の最大寸法は、圧電素子110の振動方向に沿った投影の最大寸法であってもよい。
【0080】
いくつかの実施例において、振動装置100は、質量素子120に直接的に接続されるか又は間接的に接続された圧電ビームを含んでもよい。例えば、圧電ビームは、質量素子120の圧電素子110から離れた側に位置するとともに質量素子120に直接的に接続されてもよい。また例えば、圧電ビームは、弾性素子130により質量素子120に間接的に接続されてもよい。いくつかの実施例において、圧電ビームは、電気信号に基づいて圧電素子110の環形構造の軸線方向に沿った振動を発生させるように構成されてもよい。いくつかの実施例において、圧電ビームは、少なくとも1つの第1圧電シート及び少なくとも1つの第2圧電シートを含んでもよく、少なくとも1つの第1圧電シート及び少なくとも1つの第2圧電シートは、それぞれ圧電ビームの圧電素子110の環形構造の軸線方向に沿った両側に設置される。いくつかの実施例において、少なくとも1つの第1圧電シート及び少なくとも1つの第2圧電シートは、分極方向が環形構造の軸線方向に沿って逆方向に設定されてもよい。すなわち、圧電素子110の環形構造の軸線方向において、第1圧電シートと第2圧電シートは、分極方向が逆である。いくつかの実施例において、第1圧電シートと第2圧電シートは、変位出力方向が分極方向と垂直であってもよい。いくつかの実施例において、第1圧電シートと第2圧電シートは、分極方向が逆であるため、同じ方向の電圧信号が同時に印加されるとき、方向が逆である変位が発生することにより、圧電ビームは、振動を発生させることができる。例えば、第1圧電シートは、環形構造に垂直な軸線方向に沿って収縮することができ、第2圧電シートは、環形構造に垂直な軸線方向に沿って伸長することができるため、圧電ビームは、環形構造の軸線方向に沿った振動を発生させることができる。
【0081】
いくつかの実施例において、質量素子120は、第1質量素子及び第2質量素子を含んでもよく、第1質量素子は、1つ又は複数の弾性素子130のうちの少なくとも1つにより圧電ビームの中部に接続されてもよい。いくつかの実施例において、第1質量素子は、弾性素子130により1つ又は複数の圧電素子110に接続されてもよい。いくつかの実施例において、圧電ビームの両端にそれぞれ第2質量素子が接続されてもよい。いくつかの実施例において、第1質量素子は、1つ又は複数の弾性素子130のうちの少なくとも1つにより圧電ビームの他の位置(例えば、圧電ビームの端部に近接する位置)に接続されてもよい。いくつかの実施例において、振動装置100の振動は、圧電ビームの端部にある第2質量素子により出力することができる。いくつかの実施例において、振動装置100の振動は、第1質量素子により出力することもできる。
【0082】
図2は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図2に示すように、振動装置200は、1つ又は複数の圧電素子210、質量素子220及び1つ又は複数の弾性素子230を含んでもよい。1つ又は複数の弾性素子230のうちの少なくとも1つは、質量素子220及び圧電素子210を接続してもよい。
【0083】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の圧電素子210は、第1圧電素子211を含んでもよく、第1圧電素子211は、環形構造であってもよく、軸線方向に沿った一端が固定され(固定端とも呼ばれる)、質量素子220は、弾性素子230により第1圧電素子211のこの一端以外の他の位置に接続される。本明細書の実施例において、圧電素子(例えば、第1圧電素子、第2圧電素子など)の一端は、該圧電素子の環形構造における1つの環形端面から、環形構造の軸線方向に沿って一定の厚さ(例えば、環形構造の総厚さの0.1%、5%又は0.1%~30%を占める範囲内の任意の厚さ)を有する全ての領域を指す。例えば、第1圧電素子211の軸線方向に沿った一端の固定は、第1圧電素子211の1つの環形端面の固定であってもよい。また例えば、第1圧電素子211の軸線方向に沿った一端の固定は、第1圧電素子211の1つの環形端面の近傍にある、一定の厚さ領域の環形構造の内側面及び/又は外側面の固定であってもよい。いくつかの実施例において、弾性素子230は、固定端の環形端面に対向する他の環形端面に接続されてもよい。いくつかの実施例において、弾性素子230は、環形構造の内側面に接続されてもよく、かつ内側面での接続位置は、固定端の領域に属しない。
【0084】
いくつかの実施例において、質量素子220は、第1圧電素子211の内側に位置してもよく、質量素子220の第1圧電素子211の軸線方向に沿った投影は、第1圧電素子211の軸線方向に沿った投影以内にある。圧電素子210、弾性素子230及び質量素子220は、圧電素子210の軸線方向に沿った投影が外側から内側へ順に配置される。いくつかの実施例において、質量素子220は、第1圧電素子211の内側に位置する場合、形状が柱状(
図2に示す)、環形などであってもよい。
【0085】
いくつかの実施例において、質量素子220及び第1圧電素子211を接続する弾性素子230は、複数であってもよく、複数の弾性素子230は、環形構造の周方向に沿って分布してもよい。いくつかの実施例において、弾性素子230の一端は、質量素子220の軸線方向に沿ったいずれか1つの表面(例えば、圧電素子210に近接する表面)に接続されてもよい。他の実施例において、弾性素子230の一端は、質量素子220の周側面に接続されてもよい。いくつかの実施例において、弾性素子230の他端は、圧電素子210の非固定端のいずれか1つの表面に接続されてもよい。例えば、いくつかの実施例において、弾性素子230の他端は、圧電素子210の質量素子220に近接する環形端面に接続されてもよい。また例えば、いくつかの実施例において、弾性素子230の他端は、圧電素子210の内周側面に接続されてもよい。弾性素子230と質量素子220及び/又は圧電素子210との接続位置は、振動装置200の構造の実現可能性に応じて設定されてもよい。
【0086】
いくつかの実施例において、質量素子220と弾性素子230は、共振して第1共振ピークが発生することができ、第1圧電素子211は、共振して第2共振ピークが発生することができる。第1共振ピークの位置、すなわち、第1共振ピークに対応する第1共振周波数の大きさは、質量素子220の質量と弾性素子230の弾性係数により決定されてもよい。第2共振ピークの位置、すなわち、第2共振ピークに対応する第2共振周波数の大きさは、圧電素子210の構造パラメータ(例えば、寸法)により決定されてもよい。
【0087】
図3は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置200の周波数応答曲線図である。
図3に示すように、横軸は、振動装置200の共振周波数を表し、単位がHzであり、縦軸は、振動装置200の加速度出力強度を表し、単位がdBである。いくつかの実施例において、
図3に示すように、振動装置200は、可聴帯域(例えば、20Hz~20KHz)の周波数範囲内に少なくとも2つの共振ピークを形成することができ、第1共振ピーク310は、質量素子220と弾性素子230の共振により発生するものであってもよく、第2共振ピーク320は、圧電素子210の共振により発生するものであってもよい。いくつかの実施例において、振動装置200の第1共振ピーク310の周波数f1の範囲は、50Hz~2000Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置200の第1共振ピーク310の周波数f1の範囲は、50Hz~500Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置200の第1共振ピーク310の周波数f1の範囲は、50Hz~300Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置200の第1共振ピーク310の周波数f1の範囲は、50Hz~200Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置200の第1共振ピーク310の周波数f1の範囲は、100Hz~200Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置200の第2共振ピーク320の周波数f2の範囲は、1000Hz~20000Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置200の第2共振ピーク320の周波数f2の範囲は、2000Hz~10000Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置200の第2共振ピーク320の周波数f2の範囲は、2000Hz~8000Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置200の第2共振ピーク320の周波数f2の範囲は、2000Hz~7000Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置200の第2共振ピーク320の周波数f2の範囲は、3000Hz~7000Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置200の第2共振ピーク320の周波数f2の範囲は、4000Hz~7000Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置200の第2共振ピーク320の周波数f2の範囲は、5000Hz~7000Hzにあってもよい。第1共振ピーク310と第2共振ピーク320との間の周波数応答曲線は、平らであってもよく、第1共振周波数f1と第2共振周波数f2との間の周波数範囲内に、振動装置200は、高い出力応答能力を有し、振動装置200を音響出力装置に適用する場合、音質が高い音声を出力することができる。
【0088】
図4Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。いくつかの実施例において、
図4Aに示すように、質量素子420は、第1圧電素子411の外側に位置してもよく、質量素子420の第1圧電素子411の軸線方向に沿った投影は、第1圧電素子411の軸線方向に沿った投影以外にあり、質量素子420と第1圧電素子411とは、弾性素子430により接続される。第1圧電素子411、弾性素子430及び質量素子420は、第1圧電素子411の軸線方向に沿った投影が内側から外側へ順に配置される。いくつかの実施例において、質量素子420が第1圧電素子411の外側に位置する場合、質量素子420の形状は、環形であってもよい。
【0089】
いくつかの実施例において、質量素子420が第1圧電素子411の外側に位置する場合、質量素子420の第1圧電素子411の軸線方向に沿って第1圧電素子411から離れた側にカバープレートが設置されてもよい。カバープレートは、質量素子420の第1圧電素子411の軸線方向に沿って第1圧電素子411から離れた側を封止することができる。例えば、カバープレートは、円形構造であってもよく、カバープレートの周側は、質量素子420の第1圧電素子411の軸線方向に沿って第1圧電素子411から離れた側に位置合わせて設置されるとともに緊密に接続される。質量素子420の第1圧電素子411の軸線方向に沿って第1圧電素子411から離れた側にカバープレートを設置することにより、カバープレートを振動板として振動信号を伝達することができる。カバープレートは、質量素子420と振動装置400の他の構造、例えば、振動膜とを接続することもできる。
【0090】
図4Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の周波数応答曲線図である。質量素子420が第1圧電素子411の外側に位置する場合、振動装置400の周波数応答曲線図は、
図4Bに示すとおりである。いくつかの実施例において、振動装置400の第1共振ピーク401の周波数f1(第1共振周波数とも呼ばれる)の範囲は、50Hz~4000Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置400の第1共振ピーク401の周波数f1の範囲は、50Hz~500Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置400の第1共振ピーク401の周波数f1の範囲は、50Hz~300Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置400の第1共振ピーク401の周波数f1の範囲は、50Hz~200Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置400の第1共振ピーク401の周波数f1の範囲は、100Hz~200Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置400の第2共振ピーク402の周波数f2(第2共振周波数とも呼ばれる)の範囲は、1000Hz~40000Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置400の第2共振ピーク402の周波数f2の範囲は、4000Hz~10000Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置400の第2共振ピーク402の周波数f2の範囲は、4000Hz~8000Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置400の第2共振ピーク402の周波数f2の範囲は、4000Hz~7000Hzにあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置400の第2共振ピーク402の周波数f2の範囲は、4000Hz~6000Hzにあってもよい。
【0091】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の圧電素子は、第1圧電素子を含むだけでなく、第2圧電素子を含んでもよく、第2圧電素子は、第1圧電素子の内側に設置されてもよい。いくつかの実施例において、第1圧電素子は、第1環形構造を含んでもよく、第2圧電素子は、第2環形構造を含んでもよく、第2圧電素子は、第1環形構造の内側に設置される。
【0092】
図5は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図5に示すように、振動装置500は、1つ又は複数の圧電素子510、質量素子520及び1つ又は複数の弾性素子530を含んでもよい。1つ又は複数の弾性素子530のうちの少なくとも1つは、質量素子520及び圧電素子510を接続してもよい。
【0093】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の圧電素子510は、第1環形構造を含む第1圧電素子511と、第2環形構造を含む第2圧電素子512とを含んでもよく、第2圧電素子512は、第1環形構造の内側に設置される。いくつかの実施例において、第1圧電素子511の軸線方向に沿った一端(例えば、質量素子520から離れた端)は、固定されてもよく、第2圧電素子512は、1つ又は複数の弾性素子530のうちの少なくとも1つにより第1圧電素子511の固定端以外の他の位置に接続され、質量素子520の軸線方向に沿った投影は、第2圧電素子512の軸線方向に沿った投影以内にあり、質量素子520は、1つ又は複数の弾性素子530のうちの少なくとももう1つにより第2圧電素子512に接続される。いくつかの実施例において、弾性素子530は、第1弾性素子531及び第2弾性素子532を含んでもよい。第1弾性素子531は、第1圧電素子511と第2圧電素子512との間に位置し、第1圧電素子511と第2圧電素子512とは、第1弾性素子531により接続される。第2弾性素子532は、第2圧電素子512と質量素子520との間に位置し、第2圧電素子512と質量素子520とは、第2弾性素子532により接続される。
【0094】
いくつかの実施例において、振動装置500に第2圧電素子512を設置することにより、第2圧電素子512及び質量素子520(並びに第2圧電素子512及び質量素子520を接続する弾性素子)は、全体の質量を構成してもよく、該全体の質量が該全体の質量及び第1圧電素子511を接続する弾性素子と共振する場合、該全体の質量が質量素子の質量よりも大きいため、振動装置500の第1共振ピークが低周波数に移行し、かつ振動装置500は、振動するときに、二重環形構造の共振により、第1共振ピークと第2共振ピークとの間にある第3共振ピークが発生することもでき、振動装置500の周波数応答曲線において、第1共振ピークと第2共振ピークとの間の位置に他の共振ピーク、すなわち、第3共振ピークを追加形成すると表現することができる。いくつかの実施例において、第3共振ピークに対応する第3共振周波数は、第1共振ピークに対応する第1共振周波数と第2共振ピークに対応する第2共振周波数との間にあってもよい。
【0095】
いくつかの実施例において、二重環形構造を有する振動装置500の第1共振ピークの周波数範囲は、50Hz~2000Hzであってもよい。いくつかの実施例において、二重環形構造を有する振動装置500の第1共振ピークの周波数範囲は、50Hz~1000Hzであってもよい。いくつかの実施例において、二重環形構造を有する振動装置500の第1共振ピークの周波数範囲は、50Hz~500Hzであってもよい。いくつかの実施例において、二重環形構造を有する振動装置700の第1共振ピークの周波数範囲は、50Hz~300Hzであってもよい。いくつかの実施例において、二重環形構造を有する振動装置500の第1共振ピークの周波数範囲は、50Hz~200Hzであってもよい。いくつかの実施例において、二重環形構造を有する振動装置500の第1共振ピークの周波数範囲は、50Hz~100Hzであってもよい。
【0096】
図6は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置500の周波数応答曲線図である。曲線610は、第1圧電素子のみが設置された振動装置の周波数応答曲線を表してもよく、曲線620は、第1圧電素子及び第2圧電素子が設置され、かつ第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が0°である振動装置の周波数応答曲線を表してもよい。曲線610及び曲線620を比較して分かるように、振動装置に第2圧電素子が追加設置された場合、振動装置の周波数応答曲線620において第1共振ピーク601と第2共振ピーク602を形成するだけでなく、他の共振ピーク、すなわち、第3共振ピーク603を追加形成することができる。いくつかの実施例において、振動装置に第2圧電素子が追加設置された場合、振動装置の周波数応答曲線620において第3共振ピーク603を形成するとともに、第1共振ピーク601と第3共振ピーク603との間に共振谷604を形成することができる。共振谷604は、第1圧電素子と第2圧電素子の共振谷604の周波数位置での振動出力方向が逆であるため、振動出力が相殺されることにより形成されたものである。いくつかの実施例において、共振谷604の位置は、第1圧電素子及び第2圧電素子の形状寸法と弾性素子の形状に関連する。いくつかの実施例において、第1圧電素子と第2圧電素子との間の電気信号の位相を調整することにより、共振谷604を埋めてもよい。いくつかの実施例において、振動装置の低周波感度は、第1圧電素子と第2圧電素子との間の電気信号の位相差の増加に伴って増大してもよい。第1圧電素子と第2圧電素子との間の電気信号の位相差は、振動装置の高周波特性にほとんど影響を与えない。
【0097】
続いて
図6に示すように、曲線630は、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が45°である場合の振動装置の周波数応答曲線を表し、曲線640は、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が90°である場合の振動装置の周波数応答曲線を表し、曲線650は、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が135°である場合の振動装置の周波数応答曲線を表す。曲線630、曲線640及び曲線650を比較して分かるように、他のパラメータが同じである場合、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が大きいほど、第1共振ピークと第3共振ピークとの間に形成された共振谷が浅くなり、振動装置の低周波応答がよくなる。
【0098】
いくつかの実施例において、振動装置の低周波応答を保証するために、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差は、45°~180°であってもよい。いくつかの実施例において、振動装置の低周波応答を保証するために、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差は、60°~180°であってもよい。いくつかの実施例において、振動装置の低周波応答を保証するために、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差は、80°~180°であってもよい。いくつかの実施例において、振動装置の低周波応答を保証するために、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差は、100°~180°であってもよい。いくつかの実施例において、振動装置の低周波応答を保証するために、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差は、45°~120°であってもよい。いくつかの実施例において、振動装置の低周波応答を保証するために、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差は、45°~90°であってもよい。
【0099】
いくつかの実施例において、振動装置は、第1圧電素子及び第2圧電素子を含む場合、質量素子は、第1圧電素子の外側に位置してもよい。
図7は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図7に示すように、1つ又は複数の圧電素子710は、第1環形構造を含む第1圧電素子711と、第2環形構造を含む第2圧電素子712とを含んでもよく、第2圧電素子712は、第1環形構造の内側に設置される。いくつかの実施例において、第2圧電素子712の環形構造の軸線方向に沿った一端は、固定されてもよく、第1圧電素子711は、1つ又は複数の弾性素子730のうちの少なくとも1つ(例えば、第2弾性素子732)により第2圧電素子712の固定端以外の他の位置に接続され、質量素子720の形状は、環形であってもよく、質量素子720の軸線方向に沿った投影は、第1圧電素子711の軸線方向に沿った投影以外にあり、質量素子720は、1つ又は複数の弾性素子730のうちの少なくとももう1つ(例えば、第1弾性素子731)により第1圧電素子711に接続される。
【0100】
いくつかの実施例において、振動装置700は、第1圧電素子711及び第2圧電素子712を含み、かつ質量素子720が第1圧電素子711の外側に位置する場合、質量素子720の第1圧電素子711の軸線方向に沿って第1圧電素子711から離れた側にカバープレートが設置されてもよい。
【0101】
いくつかの実施例において、第1圧電素子711及び質量素子720(並びに第1圧電素子711及び質量素子720を接続する弾性素子)は、全体の質量を構成してもよく、該全体の質量が該全体の質量及び第2圧電素子712を接続する弾性素子と共振する場合、振動装置700の第1共振ピークが低周波数に移行することができ、かつ振動装置700の二重環形構造の共振により、第1共振ピークと第2共振ピークとの間にある第3共振ピークが発生することもできる。いくつかの実施例において、二重環形構造を有する振動装置700の第1共振ピークの周波数範囲は、振動装置500の第1共振ピークの周波数範囲と類似することができ、ここで説明を省略する。
【0102】
図8は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置700の周波数応答曲線図である。曲線810は、第1圧電素子のみが設置された振動装置の周波数応答曲線を表してもよく、曲線820は、第1圧電素子及び第2圧電素子が設置され、かつ第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が0°である振動装置の周波数応答曲線を表してもよい。曲線810及び曲線820を比較して分かるように、振動装置に第2圧電素子が追加設置された場合、振動装置の周波数応答曲線820において第1共振ピーク801と第2共振ピーク802を形成するだけでなく、第3共振ピーク803を追加形成することができる。いくつかの実施例において、振動装置に第2圧電素子が追加設置された場合、振動装置の周波数応答曲線820において第3共振ピーク803を形成するとともに、第1共振ピーク801と第3共振ピーク803との間に共振谷804を形成することができる。共振谷804は、第1圧電素子と第2圧電素子の共振谷804に対応する周波数位置での振動出力方向が逆であるため、振動出力が相殺されることにより形成されたものである。いくつかの実施例において、共振谷804の位置は、第1圧電素子及び第2圧電素子の形状寸法と弾性素子の形状に関連する。いくつかの実施例において、第1圧電素子と第2圧電素子との間の電気信号の位相を調整することにより、共振谷804を埋めてもよい。いくつかの実施例において、振動装置の低周波感度は、第1圧電素子と第2圧電素子との間の電気信号の位相差の増加に伴って増大してもよい。第1圧電素子と第2圧電素子との間の電気信号の位相差は、振動装置の高周波特性にほとんど影響を与えない。
【0103】
いくつかの実施例において、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号に位相差が存在してもよく、位相差の存在により、共振谷804の振幅値に影響を与える。続いて
図8に示すように、曲線830は、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が45°である場合の振動装置の周波数応答曲線を表し、曲線840は、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が90°である場合の振動装置の周波数応答曲線を表し、曲線850は、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が135°である場合の振動装置の周波数応答曲線を表す。曲線830、曲線840及び曲線850を比較して分かるように、他のパラメータが同じである場合、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が大きいほど、第1共振ピークと第3共振ピークとの間に形成された共振谷が浅くなり、振動装置の低周波応答がよくなる。いくつかの実施例において、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差の具体的な設定範囲について、本明細書の他の箇所の説明を参照することができる。
【0104】
いくつかの実施例において、振動装置は、第1圧電素子及び第2圧電素子を含む場合、質量素子は、第1圧電素子と第2圧電素子との間に位置してもよい。
図9は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図9に示すように、いくつかの実施例において、質量素子920の形状は、環形であってもよく、質量素子920は、第1圧電素子911の第1環形構造と第2圧電素子912の第2環形構造との間に位置する。質量素子920の軸線方向に沿った投影は、第1圧電素子911と第2圧電素子912との軸線方向に沿った投影の間にある。質量素子920は、1つ又は複数の弾性素子930のうちの少なくとも1つ(例えば、第1弾性素子931)により第1圧電素子911に接続され、1つ又は複数の弾性素子のうちの少なくとももう1つ(例えば、第2弾性素子932)により第2圧電素子912に接続される。いくつかの実施例において、弾性素子930(例えば、第1弾性素子931及び/又は第2弾性素子932)の形状は、S字形であってもよく、隣接するS字形の弾性素子930の湾曲方向が逆であってもよいため、隣接するS字形の弾性素子930は、質量素子920にカールが逆であるせん断応力を提供することができ、質量素子920が軸線方向を中心として回転する回転の傾向が生じることを回避し、さらに振動装置900が回転モードを生成することを回避する。いくつかの実施例において、
図9に示すように、隣接するS字形の弾性素子930の質量素子920又は圧電素子910(例えば、第1圧電素子911及び/又は第2圧電素子912)での接続位置は、同じであってもよい。他のいくつかの実施例において、隣接するS字形の弾性素子930の質量素子920又は圧電素子910(例えば、第1圧電素子911及び/又は第2圧電素子912)での接続位置は、異なってもよい。
【0105】
いくつかの実施例において、第1圧電素子911又は第2圧電素子912は、軸線方向に沿った固定端を有してもよい。いくつかの実施例において、第1圧電素子911の軸線方向に沿った一端が固定される場合、第2圧電素子912の軸線方向に沿った2つの端面は、自由に設置され、第2圧電素子912は、圧電自由リングとしてもよく、第1圧電素子911は、圧電固定リングとしてもよい。或いは、第2圧電素子912の軸線方向に沿った一端が固定される場合、第1圧電素子911の軸線方向に沿った2つの端面は、自由に設置され、第1圧電素子911は、圧電自由リングとしてもよく、第2圧電素子912は、圧電固定リングとしてもよい。いくつかの実施例において、少なくとも1つの圧電素子910のうちの異なる圧電素子が軸線方向に沿った固定端を有する場合、振動装置900は、異なる周波数応答曲線を有してもよい。圧電自由リング及び質量素子920(並びに圧電自由リング及び質量素子920を接続する弾性素子)で構成された全体質量は、この全体質量及び圧電固定リングを接続する弾性素子と共振することができ、第1共振ピークを低周波数に移行させることができ、かつ圧電自由リングと圧電固定リングとが間接的に接続される(すなわち、第1弾性素子931、質量素子920及び第2弾性素子932により接続される)ことにより、振動装置900は、振動するときに、圧電自由リングと圧電固定リングが共振して周波数応答曲線において第3共振ピークを形成することができる。第3共振ピークに対応する第3共振周波数は、第1共振ピークに対応する第1共振周波数と第2共振ピークに対応する第2共振周波数との間にあってもよい。いくつかの実施例において、振動装置900の第1共振ピークの周波数範囲は、振動装置500の第1共振ピークの周波数範囲と類似することができ、ここで説明を省略する。
【0106】
図10は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の周波数応答曲線図である。
図10における曲線1010以外の周波数応答曲線は、第1圧電素子(例えば、第1圧電素子911)が軸線方向に沿った固定端を有する振動装置(例えば、振動装置900)の周波数応答曲線であってもよい。
図10に示すように、曲線1010は、第1圧電素子のみが設置された振動装置(例えば、振動装置200)の周波数応答曲線を表してもよく、曲線1020は、第1圧電素子及び第2圧電素子が設置され、かつ第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が0°である場合の振動装置の周波数応答曲線を表してもよい。曲線1010及び曲線1020を比較して分かるように、振動装置に第1圧電素子及び第2圧電素子が設置された場合、振動装置の周波数応答曲線1020において第1共振ピーク1001及び第2共振ピーク1002以外の第3共振ピーク1003を形成することもできる。いくつかの実施例において、第3共振ピーク1003は、第1圧電素子及び第2圧電素子が共振することにより発生するものである。いくつかの実施例において、質量素子が第1圧電素子の外側に位置する(或いは、質量素子が第2圧電素子の内側に位置する)ことと比較して、質量素子が第1圧電素子と第2圧電素子との間に位置する場合、振動装置の周波数応答曲線1020において形成された共振谷1004は、第1共振ピーク1001の前にあってもよい。いくつかの実施例において、共振谷1004について、第1圧電素子と第2圧電素子との間の電気信号の位相を調整することにより、共振谷1004を埋めてもよい。
【0107】
続いて
図10に示すように、曲線1030は、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が90°である場合の振動装置の周波数応答曲線を表してもよく、曲線1040は、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が180°である場合の振動装置の周波数応答曲線を表してもよい。曲線1030及び曲線1040を比較して分かるように、他のパラメータが同じである場合、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が大きいほど、第1共振ピークの前に形成された共振谷が浅くなり、振動装置の低周波応答がよくなる。いくつかの実施例において、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差の具体的な設定範囲について、本明細書の他の箇所の説明を参照することができる。
【0108】
図11は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の周波数応答曲線図である。
図11における曲線1110以外の周波数応答曲線は、第2圧電素子(例えば、第2圧電素子912)が軸線方向に沿った固定端を有する振動装置の周波数応答曲線であってもよい。曲線1110は、第1圧電素子のみが設置された振動装置(例えば、振動装置200)の周波数応答曲線を表してもよく、曲線1120は、第1圧電素子及び第2圧電素子が設置され、かつ第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が0°である場合の振動装置(例えば、振動装置900)の周波数応答曲線を表してもよい。曲線1110及び曲線1120を比較して分かるように、振動装置に第1圧電素子及び第2圧電素子が設置された場合、振動装置の周波数応答曲線1120において第1共振ピーク1101及び第2共振ピーク1102以外の第3共振ピーク1103を形成することもできる。いくつかの実施例において、第3共振ピーク1103は、第1圧電素子及び第2圧電素子が共振することにより発生するものであってもよい。いくつかの実施例において、質量素子が第1圧電素子の外側に位置する(或いは、質量素子が第2圧電素子の内側に位置する)ことと比較して、質量素子が第1圧電素子と第2圧電素子との間に位置する場合、振動装置の周波数応答曲線1120において形成された共振谷1104は、第1共振ピーク1101の前にあってもよい。共振谷1104について、第1圧電素子と第2圧電素子との間の電気信号の位相を調整することにより、共振谷1104を埋めてもよい。
【0109】
続いて
図11に示すように、曲線1130は、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が90°である場合の振動装置の周波数応答曲線を表してもよく、曲線1140は、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が180°である場合の振動装置の周波数応答曲線を表してもよい。曲線1130及び曲線1140を比較して分かるように、他のパラメータが同じである場合、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差が大きいほど、第1共振ピークの前に形成された共振谷が浅くなり、振動装置の低周波応答がよくなる。いくつかの実施例において、第1圧電素子及び第2圧電素子が受信した電気信号の位相差の具体的な設定範囲について、本明細書の他の箇所の説明を参照することができる。
【0110】
いくつかの実施例において、圧電式振動装置(例えば、振動装置200、振動装置400、振動装置500、振動装置700及び振動装置900)において、質量素子が振動することができるように、弾性素子は、弾性を提供してもよい。したがって、弾性素子の構造設計は、振動装置の振動特性に影響を与えることができる。いくつかの実施例において、弾性素子の弾性係数に対する需要を満たすために、弾性素子を曲線形に設計して、弾性素子の長さを増加させ、弾性素子の弾性係数を低下させることができる。このような設定方式で、弾性素子の形状に回転構造又は非対称構造が存在すると、振動装置の質量素子が振動するときに回転モードを生成することにより、振動装置の出力(周波数応答曲線において共振谷として表現される可能性がある)に影響を与え、さらに振動装置の振動性能に影響を与える可能性がある。したがって、弾性素子の構造を合理的に設計して、振動装置の振動性能を保証することができる。
【0111】
いくつかの実施例において、質量素子及び圧電素子を接続する弾性素子の数は、複数であってもよく、複数の弾性素子は、圧電素子の環形構造の周方向に沿って分布してもよい。いくつかの実施例において、複数の弾性素子は、圧電素子の周方向に対称的に分布してもよいため、振動装置は、回転モードを生成する可能性がある場合、弾性素子の対称性(例えば、弾性素子の回転方向が逆である)を利用して回転モードを逆相で相殺して、回転モードにより発生した共振谷を減少させるか又は相殺することができる。
【0112】
いくつかの実施例において、弾性素子の形状は、折れ線形、S字形、スプライン曲線形、円弧形及び直線形のうちの少なくとも1種を含んでもよい。いくつかの実施例において、弾性素子が異なる形状である場合、弾性素子は、異なる湾曲セグメント及び湾曲方向を有してもよい。いくつかの実施例において、弾性素子の両端を結ぶ線を基準線とし、弾性素子は、基準線の両側に交互に接続されてサブセグメントを形成することができ、複数のサブセグメントが同じ交互規則で構成されたセグメントは、弾性素子の湾曲セグメントである。いくつかの実施例において、湾曲方向は、基準線の両側での複数のサブセグメントの交互規則を表現する方向であってもよい。弾性素子の形状が折れ線形であることを例として、折れ線形は、まず基準線の第1側に向かって折り曲げ、次に基準線の第2側に向かって折り曲げ、そして第1側に向かって折り曲げ、このように循環往復すれば、該折れ線の折り曲げ始める側が位置する方向を折れ線形の湾曲方向と記してもよく、該循環規則が破られると、折れ線セグメントの湾曲セグメントが終了する。
【0113】
図12は、本明細書のいくつかの実施例に係る弾性素子の例示的な構造図である。いくつかの実施例において、1つ又は複数の弾性素子1200のそれぞれは、複数の湾曲セグメントを有してもよく、複数の湾曲セグメントのうちの隣接する湾曲セグメントの湾曲方向が逆であってもよい。例えば、
図12における複数の弾性素子1200のそれぞれは、2つの湾曲セグメントを含んでもよく、この2つの湾曲セグメントは、それぞれ第1湾曲セグメント1210及び第2湾曲セグメント1220であり、第1湾曲セグメント1210及び第2湾曲セグメント1220は、始点と終点が接続されて弾性素子1200を構成する。第1湾曲セグメント1210の湾曲方向は、第1方向であり、第2湾曲セグメント1220の湾曲方向は、第2方向であり、第1方向と第2方向は、弾性素子1200の基準線(
図12の破線で示す)に対して、向きが逆である。いくつかの実施例において、第1方向は、圧電素子の軸線方向に沿った投影平面における、弾性素子の投影の幾何中心に対する反時計回り方向であってもよく、第2方向は、圧電素子の軸線方向に沿った投影平面における、弾性素子の投影の幾何中心に対する時計回り方向であってもよい。
【0114】
弾性素子1200の複数の湾曲セグメントのうちの隣接する湾曲セグメントの湾曲方向を逆に設定することにより、隣接する湾曲セグメントの振動時の回転モードを逆相で相殺して、回転モードにより発生した共振谷を減少させるか又は相殺することができる。
【0115】
図13Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図13Aに示す振動装置1300-1の構造は、
図2に示す振動装置200の構造とほぼ同じであるが、弾性素子の構造が異なるという点で相違する。
【0116】
図13Aに示すように、いくつかの実施例において、複数の弾性素子1330は、第1圧電素子1311の軸線方向に垂直な同一の平面内に位置してもよい。例えば、弾性素子1330は、振動伝達シート又は振動伝達ロッド構造であってもよく、複数の振動伝達シートが同一の平面内に位置し、かつ該平面が環形構造の軸線方向と垂直である。いくつかの実施例において、複数の弾性素子1330は、一定の方式で配列されてもよく、配列された複数の弾性素子1330の第1圧電素子1311の軸線方向に沿った投影は、互いに垂直な少なくとも2つの対称軸を有してもよい。
【0117】
いくつかの実施例において、質量素子1320及び第1圧電素子1311を接続する弾性素子1330の数は、偶数(例えば、4つ、8つなど)であってもよい。
図13Aに示すように、いくつかの実施例において、質量素子1320及び第1圧電素子1311を接続する弾性素子1330の数は、4つであってもよく、4つの弾性素子は、配列されてX字形を構成してもよい。4つの弾性素子のうちの隣接する弾性素子の湾曲方向は、逆であってもよく、対向する弾性素子の湾曲方向は、同じであってもよい。4つの弾性素子1330がX字形に配列される場合、4つの弾性素子1330の第1圧電素子1311の軸線方向に沿った投影は、互いに垂直な2つの第1対称軸1301及び第2対称軸1302を有してもよい。
【0118】
いくつかの実施例において、X字形の弾性素子1330において、単一の弾性素子と対称軸(例えば、第1対称軸1301又は第2対称軸1302)との間に夾角を形成することができ、例えば、弾性素子と第1対称軸1301との間に夾角θを形成することができる。夾角θの角度を調整することにより、振動装置が振動するときの異なる対称軸に沿った転動モードを制御することができる。いくつかの実施例において、振動装置が振動するときの転動モードを可能な限り低減するために、夾角θの角度範囲は、10°~30°であってもよい。いくつかの実施例において、振動装置が振動するときの転動モードを可能な限り低減するために、夾角θの角度範囲は、30°~60°であってもよい。いくつかの実施例において、振動装置が振動するときの転動モードを可能な限り低減するために、夾角θの角度範囲は、60°~80°であってもよい。
【0119】
図13Aに示す弾性素子1330の構造及び接続方式は、前述の環形構造の圧電素子に適用されるだけでなく、他の構造の圧電素子に適用することができる。例えば、
図13Bは、本明細書のいくつかの実施例に示す振動装置の例示的な構造図である。
図13Bに示す振動装置1300-2は、圧電素子1340、第1質量素子1351、第2質量素子1352、接続部材1341及び1つ又は複数の弾性素子1360を含んでもよい。いくつかの実施例において、圧電素子1340は、圧電ビーム構造に構築されてもよく、第2質量素子1352は、圧電ビームの中部に接続されてもよい。いくつかの実施例において、圧電ビームの1つの表面又は1組の対向する表面に圧電シート(該1つの表面又は1組の表面は、圧電表面とも呼ばれる)が貼り付けられてもよく、圧電シートが電気信号に基づいて伸縮変形することができるため、圧電ビームは、電気信号に基づいて圧電表面に垂直な振動を発生させることができる。いくつかの実施例において、圧電ビームの両端に接続部材1341が設置され、圧電ビームは、両端の接続部材1341により複数の弾性素子1360の一端に接続される。いくつかの実施例において、複数の弾性素子1360の他端は、第1質量素子1351に接続されてもよい。いくつかの実施例において、複数の弾性素子1360は、第1質量素子1351の周方向に沿って分布してもよい。いくつかの実施例において、複数の弾性素子1360は、同一の平面内に位置してもよく、弾性素子1360が位置する平面は、圧電ビームの圧電平面と平行である。複数の弾性素子1360の形状構造は、
図13Aに示す弾性素子1330の形状構造と同じであってもよい。例えば、複数の弾性素子1360の数は、4つであってもよく、4つの弾性素子は、配列されてX字形を構成してもよい。X字形に配列されると、4つの弾性素子1330は、対称軸1301及び対称軸1302を有してもよいため、4つの弾性素子1330のうちの隣接する弾性素子の湾曲方向が逆であってもよい。
【0120】
図14Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図14Aに示す振動装置1400-1の構造は、
図13Aに示す振動装置1300-1の構造とほぼ同じであるが、弾性素子の数及び構造が異なるという点で相違する。
【0121】
図14Aに示すように、いくつかの実施例において、質量素子1420及び第1圧電素子1411を接続する弾性素子1430の数は、8つであってもよく、8つの弾性素子は、二重X字形を構成してもよい。8つの弾性素子のうちの4つの弾性素子は、第1X字形1401を構成してもよく、残りの4つの弾性素子は、第2X字形1402を構成してもよく、第1X字形1401と第2X字形1402は、複数の弾性素子1430の二重X字形構造を構成してもよい。いくつかの実施例において、複数の弾性素子1430で構成された二重X字形構造は、平行な二重X字形であっても、垂直な二重X字形(
図14Aに示す)であっても、他の形式の反転対称的な形状であってもよい。平行/垂直な二重X字形は、第1X字形1401の2つの対称軸と第2X字形1402の2つの対称軸がそれぞれ平行/垂直であることを指す。
【0122】
図14Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図14Bに示す振動装置1400-2の構造は、
図13Bに示す振動装置1300-2の構造とほぼ同じであるが、圧電ビームの数、弾性素子の数及び構造が異なるという点で相違する。
【0123】
図14Bに示すように、いくつかの実施例において、質量素子1450及び圧電素子1440を接続する弾性素子1460の数は、8つであってもよく、8つの弾性素子1460は、第1質量素子1451の周方向に沿って分布する。いくつかの実施例において、8つの弾性素子は、二重X字形を構成してもよい。8つの弾性素子のうちの4つの弾性素子は、第1X字形を構成してもよく、残りの4つの弾性素子は、第2X字形を構成してもよく、第1X字形と第2X字形は、複数の弾性素子1460の二重X字形構造を構成してもよい。いくつかの実施例において、複数の弾性素子1460で構成された二重X字形構造は、平行な二重X字形(
図14Cに示す)であっても、垂直な二重X字形(
図14Bに示す)であっても、他の形式の反転対称的な形状であってもよい。
【0124】
図14Bに示すように、複数の弾性素子1460で構成された二重X字形構造が垂直な二重X字形構造である場合、第1X字形を形成する4つの弾性素子は、接続部材1441によりそれぞれ2つの圧電素子1440(例えば、圧電ビーム構造)のうちの同一の圧電素子に接続され、第2X字形を形成する4つの弾性素子は、別の圧電素子に接続され、2つの圧電素子は、同一の平面内に互いに垂直に設置される。2つの圧電素子1440は、第2質量素子1452に同時に接続されてもよい。
【0125】
図14Cは、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図14Cに示すように、複数の弾性素子1460で構成された二重X字形構造は、平行な二重X字形構造である。
図14Cに示す振動装置1400-3の弾性素子と圧電素子との接続形態は、
図14Bとほぼ同じである。第1X字形を形成する4つの弾性素子1460は、接続部材1441により1つの圧電素子1440(例えば、圧電ビーム構造)に接続され、第2X字形を形成する4つの弾性素子1460は、接続部材1441により別の圧電素子1440(例えば、圧電ビーム構造)に接続され、2つの圧電素子1440は、同一の平面内に互いに平行に設置される。第1X字形を形成する4つの弾性素子1460と第2X字形を形成する4つの弾性素子1460は、さらに、それぞれ第1質量素子1451に接続されるという点で相違する。いくつかの実施例において、第1質量素子1451は、1つであってもよく、複数であってもよく、複数の第1質量素子1451は、剛性接続部材(図示せず)により互いに接続されてもよい。2つの圧電素子1440は、それぞれ第2質量素子1452に接続される。いくつかの実施例において、第2質量素子1452は、1つであってもよく、複数であってもよく、複数の第2質量素子1452は、剛性接続部材1453により互いに接続されてもよい。
【0126】
いくつかの実施例において、弾性素子の形状構造が異なる場合、振動装置の振動性能が異なる可能性がある。弾性素子の反転対称性の程度が高いほど、弾性素子の振動による回転モードが少なくなり、振動装置の振動性能が高くなる。
図14Dは、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の周波数応答曲線図である。曲線1401は、弾性素子が単一X字形である場合の振動装置(例えば、振動装置1300-2)の周波数応答曲線を表してもよく、曲線1402は、弾性素子が平行な二重X字形である場合の振動装置(例えば、振動装置1400-3)の周波数応答曲線を表してもよく、曲線1403は、弾性素子が非平行な二重X字形である場合の振動装置(例えば、振動装置1400-1又は振動装置1400-2)の周波数応答曲線を表してもよい。曲線1401、曲線1402及び曲線1403から分かるように、弾性素子の構造が単一X字形、平行な二重X字形及び他のタイプの二重X字形である場合、振動装置の周波数応答効果が高い。なお、弾性素子が単一X字形である場合、曲線1401は、1411Hzの近くで共振谷を発生させ、該共振谷は、弾性素子の回転モードにより発生したものではなく、圧電素子に接続された質量素子と該圧電素子で形成された振動システムが出力端の振動を吸収することにより発生したものである。例えば、
図13Bに示すように、共振谷は、第2質量素子1352及び圧電ビーム1340で形成された振動システムが第1質量素子1351の振動を吸収することにより発生したものであってもよい。
【0127】
いくつかの実施例において、弾性素子は、二層構造に設定されてもよく、二層の弾性素子は、環形構造の軸線方向に沿って上下に分布する。いくつかの実施例において、弾性素子は、環形構造の軸線方向に沿って設置された第1弾性素子及び第2弾性素子を含んでもよい。第1弾性素子及び第2弾性素子は、湾曲方向が互いに逆であってもよい。例えば、第1弾性素子及び第2弾性素子は、複数の湾曲セグメントの湾曲方向がそれぞれ互いに逆である。
【0128】
いくつかの実施例において、二層に設定された弾性素子の形状は、二層の折れ線形、二層のS字形、二層のスプライン曲線形、二層の円弧形などのうちのいずれか1種であってもよい。いくつかの実施例において、二層に設定された弾性素子は、第1層が第1方向に沿って設置された複数の折れ線形弾性素子であり、第2層が第2方向に沿って設置された複数の折れ線形弾性素子である。第1方向及び第2方向は、弾性素子の基準線方向に対して逆である。
【0129】
いくつかの実施例において、弾性素子の構造が二層構造である場合、同一の層に位置する弾性素子のそれぞれに含まれた複数の湾曲セグメントのうちの隣接する湾曲セグメントの湾曲方向が逆であってもよく、また、環形構造の軸線方向に沿って、異なる層面に位置するとともに対向して設置された2つの弾性素子の湾曲方向は、互いに逆であってもよい。
【0130】
図15Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図15Aに示す振動装置1500-1の構造は、
図2に示す振動装置200の構造とほぼ同じであるが、弾性素子の構造が異なるという点で相違する。
【0131】
図15Aに示すように、1つ又は複数の弾性素子1530は、質量素子1520及び1つ又は複数の圧電素子1510にそれぞれ接続された第1螺旋構造1531及び第2螺旋構造1532を含んでもよい。いくつかの実施例において、第1螺旋構造1531及び第2螺旋構造1532は、圧電素子1510の軸線方向に沿って上下に配列されてもよい。第1螺旋構造1531と圧電素子1510との接続位置は、圧電素子1510の質量素子1520に近接する側であってもよい。第2螺旋構造1532と圧電素子1510との接続位置は、圧電素子1510の質量素子1520から離れた側であってもよい。
【0132】
いくつかの実施例において、第1螺旋構造1531及び第2螺旋構造1532は、軸線が同じであり、螺旋方向が逆であってもよい。螺旋方向は、螺旋構造がその軸線を中心として回転する方向であってもよい。いくつかの実施例において、少なくとも2つの弾性素子130は、同一の軸線に沿って逆の方向に向かって回転して、螺旋方向が逆である第1螺旋構造1531及び第2螺旋構造1532を形成することができる。
【0133】
いくつかの実施例において、弾性素子1530を二層螺旋構造に設定することにより、振動装置1500の振動過程における弾性素子1530の回転幅を減少させることができる。また、二層螺旋構造が弾性素子1530の弾性係数を増加させることもできるため、弾性素子1530と質量素子1520が共振して発生した第1共振ピークが右向きに移行して(すなわち、高周波数へ移行する)、振動装置1500-1の振動性能の需要を満たす。
【0134】
図15Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図15Aに示す弾性素子1530の二層螺旋構造は、
図15Bに示す振動装置1500-2にも適用可能である。
図15Bに示す振動装置1500-2の構造は、
図14Bの振動装置1400-2の構造とほぼ同じであるが、弾性素子の構造が異なるという点で相違する。
【0135】
図15Bに示すように、いくつかの実施例において、弾性素子1560は、第1質量素子1551の厚さ方向に沿って上下に配列された第1螺旋構造1561及び第2螺旋構造1562を含んでもよい。第1螺旋構造1561及び第2螺旋構造1562は、それぞれ第1質量素子1551及び複数の圧電素子1540に接続される。第1螺旋構造1561及び第2螺旋構造1562は、螺旋方向が逆である。
【0136】
いくつかの実施例において、弾性素子が螺旋構造である場合、螺旋構造の層数が異なり、対応する振動装置の振動性能も異なってもよい。いくつかの実施例において、二層螺旋構造の反転対称性は、単層螺旋構造の反転対称性よりも高いため、弾性素子が二層螺旋構造である振動装置の振動性能は、弾性素子が単層螺旋構造である振動装置の振動性能よりも高い。
図16は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な周波数応答曲線図である。曲線1610は、弾性素子が単層螺旋構造である振動装置の周波数応答曲線を表してもよく、曲線1620は、弾性素子が二層螺旋構造である振動装置の周波数応答曲線を表してもよい。曲線1610及び曲線1620を比較して分かるように、弾性素子が単層螺旋構造であることに対して、弾性素子が二層螺旋構造である場合の振動装置の周波数応答曲線1620において形成された共振谷のピーク値は、明らかに高くなる。
【0137】
図17は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図17に示すように、振動装置1700は、1つ又は複数の圧電素子1710、質量素子1720及び1つ又は複数の弾性素子1730を含んでもよい。1つ又は複数の圧電素子1710は、第1圧電素子1711と、第1圧電素子1711の第1環形構造の内側に位置する第2圧電素子1712とを含む。質量素子1720は、第2圧電素子1712の第2環形構造の内側に位置する。
【0138】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の弾性素子1730は、1つ又は複数の内環弾性素子1732及び1つ又は複数の外環弾性素子1731を含んでもよい。いくつかの実施例において、1つ又は複数の内環弾性素子1732及び1つ又は複数の外環弾性素子1731は、湾曲方向が逆であってもよい。例えば、内環弾性素子1732及び外環弾性素子1731は、形状がS字形であってもよく、S字形の湾曲方向が逆である。
【0139】
いくつかの実施例において、内環弾性素子1732及び外環弾性素子1731は、湾曲方向が逆である場合、振動装置1700の振動過程において、内環弾性素子1732が生成した回転モード及び外環弾性素子1731が生成した回転モードは、逆であってもよいため、互いに相殺(又は減衰)することにより、振動装置1700の振動過程における回転モードを全体的に低減する。
【0140】
図18は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図18に示す振動装置1800は、
図17に示す振動装置1700の構造とほぼ同じであり、弾性素子の形状が異なる。振動装置1800の弾性素子1830の形状は、円弧形である。内環弾性素子1832及び外環弾性素子1831は、円弧形の湾曲方向が逆である。
【0141】
いくつかの実施例において、1つ又は複数の弾性素子は、1つ又は複数の内環弾性素子及び1つ又は複数の外環弾性素子を含む場合、内/外環弾性素子の形状は、S字形及び円弧形に限定されなくてもよく、他の形状であってもよく、例えば、折れ線形、スプライン曲線形などである。
【0142】
図19は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図19に示すように、振動装置1900は、1つ又は複数の圧電素子1910、質量素子1920及び1つ又は複数の弾性素子1930を含んでもよい。いくつかの実施例において、1つ又は複数の圧電素子1910は、軸線方向に沿って上下に分布するとともに互いに接続された2つの第1圧電素子1911を含んでもよい。2つの第1圧電素子1911は、軸線方向に沿って上下に分布して圧電素子1910の二層単一環形構造を形成する。
【0143】
いくつかの実施例において、質量素子1920は、1つ又は複数の弾性素子1930により2つの第1圧電素子1911にそれぞれ接続されてもよい。いくつかの実施例において、1つ又は複数の弾性素子1930は、二層に設定されてもよく、二層の弾性素子1930は、圧電素子1910の軸線方向に沿って上下に配列された二層の第1弾性素子1931を含む。いくつかの実施例において、二層の第1弾性素子1931は、それぞれ2つの第1圧電素子1911の周方向に接続されてもよい。質量素子1920は、それぞれ二層の第1弾性素子1931により2つの圧電素子1911に対応して接続される。いくつかの実施例において、二層の第1弾性素子1931は、湾曲方向が逆であってもよい。
【0144】
いくつかの実施例において、第1圧電素子1911の数が2つである場合、2つの第1圧電素子1911は、振動過程において軸線方向に沿った変位の変化が逆であってもよい。すなわち、2つの第1圧電素子1911のうちの1つは、振動過程において軸線方向に沿った変位が大きくなり(すなわち、伸長する)、もう1つは、振動過程において軸線方向に沿った変位が小さくなる(すなわち、収縮する)。いくつかの実施例において、振動過程における第1圧電素子1911の軸線方向に沿った変位の変化は、第1圧電素子1911の分極方向と電気信号の電極極性により調整されてもよく、具体的には、本明細書の
図20A及び
図20Bの関連説明を参照することができる。
【0145】
いくつかの実施例において、圧電素子1910に含まれた第1圧電素子1911の数は、複数であってもよく、例えば、4つ、6つ、8つなどである。複数の第1圧電素子1911は、軸線方向に沿って順に接続されてもよく、質量素子1920は、それぞれ複数の弾性素子1930(例えば、多層に分けられる)により複数の第1圧電素子1911のそれぞれに接続される。いくつかの実施例において、質量素子1920の数は、複数であってもよく、複数の質量素子1920のそれぞれは、複数の弾性素子1930により1つの第1圧電素子1911に接続されてもよい。
【0146】
図20Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る第1圧電素子の例示的な回路図である。
図20Aに示すように、2つの第1圧電素子1911の接続面の極性は、同じであってもよく、接続面の電気信号の電極極性は、同じであってもよい。説明を容易にするために、2つの第1圧電素子1911は、それぞれ上層圧電素子19111及び下層圧電素子19112と記してもよい。いくつかの実施例において、上層圧電素子19111が下層圧電素子19112に接続された場合、上層圧電素子19111は、上層接続面2010を有してもよく、下層圧電素子19112は、下層接続面2020を有してもよい。いくつかの実施例において、上層圧電素子19111及び下層圧電素子19112は、分極方向が同じである(
図20Aの矢印で示す)場合、上層接続面2010及び下層接続面2020は、印加された電気信号の電極極性(例えば、正極又は負極)が同じであってもよい。このような設定方式で、上層圧電素子19111及び下層圧電素子19112は、内部の電位方向が逆であってもよい。
【0147】
上層圧電素子19111及び下層圧電素子19112の分極方向を同じに設定することにより、上層圧電素子19111及び下層圧電素子19112に逆方向の電位(又は、電気信号)を印加した場合、上層圧電素子19111及び下層圧電素子19112は、逆方向の変位が発生することができる。
【0148】
図20Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る第1圧電素子の他の例示的な回路図である。
図20Bに示すように、2つの第1圧電素子の接続面の極性は、逆であってもよく、接続面の電気信号の電極極性は、逆であってもよい。いくつかの実施例において、上層圧電素子19113が下層圧電素子19114に接続された場合、上層圧電素子19113は、上層接続面2030を有してもよく、下層圧電素子19114は、下層接続面2040を有してもよい。上層圧電素子19113及び下層圧電素子19114は、分極方向が逆である(
図20Bの矢印で示す)場合、上層接続面2030及び下層接続面2040は、印加された電気信号の電極極性(例えば、正極又は負極)が逆であってもよい。このような設定方式で、上層圧電素子19113及び下層圧電素子19114は、内部の電位方向が同じであってもよい。
【0149】
上層圧電素子19113及び下層圧電素子19114の分極方向を逆に設定することにより、上層圧電素子19113及び下層圧電素子19114に同じ方向の電位(又は、電気信号)を印加した場合、上層圧電素子19113及び下層圧電素子19114は、逆方向の変位が発生することができる。
【0150】
図21は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図21に示す振動装置2100の構造は、
図5に示す振動装置500の構造と類似するが、圧電素子の構造が異なるという点で相違する。振動装置500の圧電素子510は、単層二重環形構造であり、振動装置2100の圧電素子2110は、二層二重環形構造である。
【0151】
図21に示すように、いくつかの実施例において、1つ又は複数の圧電素子2110は、軸線方向に沿って上下に分布するとともに互いに接続された2つの第1圧電素子2111と、第1環形構造の内側に位置し、かつ軸線方向に沿って上下に分布するとともに互いに接続された2つの第2圧電素子2112とを含んでもよい。2つの第2圧電素子2112の軸線は、2つの第1圧電素子2111の軸線と重なることができ、2つの第2圧電素子2112の軸線方向に沿った投影は、2つの第1圧電素子2111の第1環形構造の軸線方向に沿った投影以内にある。
【0152】
いくつかの実施例において、2つの第2圧電素子2112は、1つ又は複数の弾性素子のうちの少なくとも1つにより2つの第1圧電素子2111に接続されてもよい。いくつかの実施例において、弾性素子は、第1環形構造と第2環形構造との間に位置する外環弾性素子2132を含んでもよい。外環弾性素子2132は、2つの弾性素子を含んでもよく、2つの第1圧電素子2111及び2つの第2圧電素子2112は、それぞれ外環弾性素子2132の2つの弾性素子により接続される。いくつかの実施例において、外環弾性素子2132は、第2環形構造の軸線方向に沿って一定の厚さを有してもよく、2つの第1圧電素子2111及び2つの第2圧電素子2112は、1つの外環弾性素子2132により接続されてもよい。
【0153】
いくつかの実施例において、
図21に示すように、質量素子2120は、第2圧電素子2112の第2環形構造の内側に位置してもよい(
図21に示す)。質量素子2120の軸線方向に沿った投影は、第2圧電素子2112の軸線方向に沿った投影以内にある。質量素子2120は、1つ又は複数の弾性素子2130のうちの少なくとも1つにより2つの第2圧電素子2112にそれぞれ接続されてもよい。例えば、弾性素子2130は、第2環形構造と質量素子2120との間に位置する内環弾性素子2131を含んでもよい。内環弾性素子2131は、軸線方向に沿って配列された2つの弾性素子を含んでもよく、質量素子2120は、内環弾性素子2131の2つの弾性素子により2つの第2圧電素子2112にそれぞれ接続される。いくつかの実施例において、内環弾性素子2131は、第1環形構造の軸線方向に沿って一定の厚さを有してもよく、質量素子2120及び2つの第2圧電素子2112は、1つの内環弾性素子2131により接続されてもよい。
【0154】
いくつかの実施例において、質量素子2120が第2圧電素子2112の内側に位置する場合、第1圧電素子2111の軸線方向に沿った一端が固定されてもよく、他端が外環弾性素子2132により第2圧電素子2112に接続されてもよい。例えば、外環弾性素子2132は、軸線方向に沿って配列された2つの弾性素子を含んでもよく、2つの第1圧電素子2111は、外環弾性素子2132の2つの弾性素子により2つの第2圧電素子2112にそれぞれ接続される。この場合、第2圧電素子2112を圧電自由リングとしてもよく、第1圧電素子2111を圧電固定リングとしてもよい。
【0155】
いくつかの実施例において、質量素子2120は、第1圧電素子2111の第1環形構造の外側にも位置してもよい。質量素子2120の軸線方向に沿った投影は、第1圧電素子2121の軸線方向に沿った投影以外にある。質量素子2120は、1つ又は複数の弾性素子2130のうちの少なくとも1つにより2つの第1圧電素子2111にそれぞれ接続されてもよい。例えば、質量素子2120は、外環弾性素子2132の2つの弾性素子により2つの第1圧電素子2111にそれぞれ接続されてもよい。
【0156】
いくつかの実施例において、質量素子2120は、第1圧電素子2111の外側に位置する場合、第2圧電素子2112の軸線方向に沿った一端が固定されてもよく、他端が内環弾性素子2131により第1圧電素子2111に接続されてもよい。この場合、第2圧電素子2112を圧電固定リングとしてもよく、第1圧電素子2111を圧電自由リングとしてもよい。
【0157】
いくつかの実施例において、質量素子2120は、第1圧電素子2111の第1環形構造と第2圧電素子2112の第2環形構造との間にも位置してもよい。質量素子2120の軸線方向に沿った投影は、第1圧電素子2111と第2圧電素子2112との軸線方向に沿った投影の間にある。質量素子2120は、1つ又は複数の弾性素子2130により2つの第1圧電素子2111及び2つの第2圧電素子2112にそれぞれ接続されてもよい。例えば、質量素子2120は、外環弾性素子2132により2つの第1圧電素子2111にそれぞれ接続されてもよく、内環弾性素子2131により2つの第2圧電素子2112にそれぞれ接続されてもよい。
【0158】
いくつかの実施例において、質量素子2120は、第2圧電素子2112と第1圧電素子2111との間に位置する場合、第1圧電素子2111又は第2圧電素子2112は、軸線方向に沿った固定端を有する。この場合、第1圧電素子2111と第2圧電素子2112のうちの1つを圧電自由リングとしてもよく、もう1つを圧電固定リングとしてもよい。
【0159】
なお、圧電素子2110は、二層構造である場合、軸線方向に沿った固定端を有しなくてもよいため、振動装置2100は、厳密な固定境界を見つけにくい骨伝導イヤホンにおいて使い勝手がより高い。
【0160】
いくつかの実施例において、振動装置2100に第1圧電素子2111及び第2圧電素子2112を設置することにより、質量素子2120及び第2圧電素子2112が全体の質量を構成することができ、該全体の質量が質量素子2120の質量よりも大きいため、振動装置2100の第1共振ピークが低周波数に移行する。振動装置2100は、振動するときに、第1圧電素子2111及び第2圧電素子2112が外環弾性素子2132により互いに接続されて構成された二重環形構造の共振により、第1共振ピークと第2共振ピークとの間にある第3共振ピークを発生させることもでき、振動装置2100の周波数応答曲線において、第1共振ピークと第2共振ピークとの間の位置に他の共振ピーク、すなわち、第3共振ピークを追加形成すると表現することができる。いくつかの実施例において、第3共振ピークに対応する第3共振周波数は、第1共振ピークに対応する第1共振周波数と第2共振ピークに対応する第2共振周波数との間にあってもよい。
【0161】
なお、圧電素子2110が二層構造である場合、弾性素子が二層構造であってもよく、かつ弾性素子の二層構造の二層の弾性素子の湾曲方向が逆であってもよい。いくつかの実施例において、圧電素子は、多層多環構造であってもよく、例えば、4層4環構造などである。多層多環構造の圧電素子は、二層二環構造の圧電素子と類似し、ここで説明を省略する。
【0162】
図22は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の周波数応答曲線図である。曲線2210は、圧電素子が二層単一環形構造である場合の振動装置(例えば、振動装置1900)の周波数応答曲線を表してもよく、曲線2220は、圧電素子が単層二重環形構造であり、かつ第1圧電素子が軸線方向に沿った固定端を有する振動装置(例えば、振動装置2100)の周波数応答曲線を表してもよい。いくつかの実施例において、振動装置に圧電自由リングを設置することにより、振動装置の周波数応答曲線において第1共振ピーク及び第2共振ピーク以外の第3共振ピークを形成することができる。例えば、曲線2210及び曲線2220を比較すると、曲線2220において、第1共振ピーク及び第2共振ピーク以外の第3共振ピークを形成することができ、かつ第3共振ピークの周波数は、第1共振ピークの周波数と第2共振ピークの周波数との間にある。
【0163】
続いて
図22に示すように、曲線2230は、圧電素子が二層二重環形構造であり、かつ第1圧電素子が軸線方向に沿った固定端を有する振動装置の周波数応答曲線を表し、曲線2240は、圧電素子が二層二重環形構造であり、かつ圧電素子が軸線方向に沿った固定端を有しない振動装置の周波数応答曲線を表す。いくつかの実施例において、二層逆相振動構造の圧電素子を設置することにより、振動装置の可聴帯域の周波数範囲内での感度を向上させることができる。例えば、曲線2220及び曲線2230を比較すると、曲線2230は、曲線2220よりも全体が上向きにオフセットし、感度が曲線2220の感度よりも高い。いくつかの実施例において、第1圧電素子及び第2圧電素子をいずれも自由リングの形態に設置することにより、第1圧電素子及び第2圧電素子(並びに接続用の弾性素子)は、質量素子と共に全体の質量を構成することにより、振動装置の低周波共振ピークが右向きに移行する。例えば、曲線2230及び曲線2240を比較すると、曲線2240の第1共振ピークが曲線2230の第1共振ピークに対して右向きにオフセットすることにより、高周波性能を向上させる。
【0164】
いくつかの実施例において、圧電素子が二層構造に設定された場合、二層の圧電素子の構造は、同じであってもよい。例えば、圧電素子は、軸線方向に沿って順に配列された2つの第1圧電素子を含んでもよく、2つの圧電素子の構造は、いずれも環形構造である。いくつかの実施例において、圧電素子が二層構造に設置された場合、二層の圧電素子の構造は、異なってもよい。例えば、二層の圧電素子のうちのいずれか一層の圧電素子は、環形構造であってもよく、別の層の圧電素子は、圧電ビーム構造である。
【0165】
図23は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図23に示すように、振動装置2300は、1つ又は複数の圧電素子2310、質量素子2320及び1つ又は複数の弾性素子2330を含むだけでなく、圧電ビーム2340を含んでもよい。圧電ビーム2340は、電気信号に基づいて、圧電素子2310の環形構造の軸線方向に沿った振動を発生させるように構成されてもよい。いくつかの実施例において、圧電ビーム2340は、質量素子2320に接続されてもよい。いくつかの実施例において、圧電ビーム2340は、質量素子2320の圧電素子2310の環形構造の軸線方向に沿って圧電素子2310から離れた側に位置するとともに質量素子2320に接続されてもよい。いくつかの実施例において、圧電ビーム2340は、板状構造であってもよく、板状構造の板面(すなわち、面積が最も大きい面)は、圧電素子2310の環形構造の環形端面と平行に設置される。
【0166】
いくつかの実施例において、圧電ビーム2340は、少なくとも1つの第1圧電シート2341及び少なくとも1つの第2圧電シート2342を含んでもよい。少なくとも1つの第1圧電シート2341及び少なくとも1つの第2圧電シート2342は、それぞれ圧電ビーム2340の圧電素子2310の環形構造の軸線方向に沿った両側に設置される。例えば、第1圧電シート2341は、圧電ビーム2340の軸線方向に沿って圧電素子2310から離れた側に設置されてもよく、第2圧電シート2342は、圧電ビーム2340の軸線方向に沿って圧電素子2310に近接する側に設置される。
【0167】
いくつかの実施例において、第1圧電シート2341及び第2圧電シート2342は、分極方向が環形構造の軸線方向に沿って逆方向に設定されてもよい。すなわち、圧電素子2310の環形構造の軸線方向に、第1圧電シート2341及び第2圧電シート2342は、分極方向が逆である。第1圧電シート2341及び第2圧電シート2342は、変位出力方向がそれぞれの分極方向と垂直であってもよい。いくつかの実施例において、第1圧電シート2341及び第2圧電シート2342は、分極方向が逆であり、かつ同じ方向の電圧信号が同時に印加されるように設定された場合、第1圧電シート2341及び第2圧電シート2342は、逆方向の変位が発生することができるため、圧電ビーム2340は、振動を発生させる。例えば、第1圧電シート2341は、環形構造に垂直な軸線方向に沿って収縮することができ、第2圧電シート2342は、環形構造に垂直な軸線方向に沿って伸長することができるため、圧電ビーム2340は、環形構造の軸線方向に沿った振動を発生させることができる。いくつかの実施例において、圧電ビーム2340は、質量素子2320に接続され、かつ質量素子2320により振動を出力することができる。いくつかの実施例において、圧電ビーム2340は、質量素子2320に直接的に接続されてもよいため、振動装置2300の共振ピークは、圧電ビーム2340の共振により発生した高周波共振ピーク(例えば、周波数範囲が2kHz~20kHzである)を含み、すなわち、圧電ビーム2340は、振動装置2300の高周波ユニットを構成する。
【0168】
いくつかの実施例において、振動装置2300の弾性素子2330の構造は、
図23に示す二重X字形構造であってもよく、反転対称性を有する他の構造タイプであってもよく、例えば、単一X字形、平行な二重X字形、螺旋構造などである。
【0169】
図24は、本明細書のいくつかの実施例に係る振動装置の例示的な構造図である。
図24における振動装置2400の構造は、
図23における振動装置2300の構造とほぼ同じであるが、質量素子の構造及び数、並びに質量素子と圧電ビームとの接続方式という点で相違する。
【0170】
図24に示すように、いくつかの実施例において、質量素子は、第1質量素子2421及び第2質量素子2422を含んでもよい。第1質量素子2421は、1つ又は複数の弾性素子2330により圧電ビーム2340の中部に接続されてもよい。いくつかの実施例において、第1質量素子2421は、弾性素子2330により1つ又は複数の圧電素子2310に接続されてもよく、圧電素子2310は、環形構造を含み、かつ振動方向が環形構造の軸線方向と平行である。いくつかの実施例において、圧電ビーム2340の両端にそれぞれ第2質量素子2422が接続されてもよい。振動装置2400の振動は、圧電ビーム2340の端部にある第2質量素子2422により出力することができる。いくつかの実施例において、振動装置2400の振動は、第1質量素子2421により出力することもできる。いくつかの実施例において、振動装置2400の第1質量素子2421は、1つ又は複数の弾性素子2330により圧電ビーム2340に接続されて振動装置2400の低周波ユニットを構成してもよく、環形構造を有する圧電素子2310は、振動装置2400の高周波ユニットを構成してもよい。
【0171】
いくつかの実施例において、第1質量素子2421は、1つ又は複数の弾性素子2330により圧電ビーム2340の他の位置(例えば、圧電ビーム2340の端部に近接する位置)に接続されてもよい。いくつかの実施例において、圧電ビーム2340の両端は、1つ又は複数の弾性素子2330により第2質量素子2422に接続されてもよい。
【0172】
以上は基本概念を説明したが、当業者にとって、上記詳細な開示は、例として提示されているものに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0173】
また、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」、「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2回以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0174】
また、当業者には理解されるように、本願の各態様は、任意の新規かつ有用なプロセス、機械、製品又は物質の組み合わせ、又はそれらへの任意の新規かつ有用な改善を含む、いくつかの特許可能なクラス又はコンテキストで、例示及び説明され得る。よって、本願の各態様は、完全にハードウェアによって実行されてもよく、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)によって実行されてもよく、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実行されてもよい。以上のハードウェア又はソフトウェアは、いずれも「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」又は「システム」と呼ばれてもよい。また、本願の各態様は、コンピュータ可読プログラムコードを含む1つ以上のコンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。
【0175】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータプログラムコードを搬送するための、ベースバンド上で伝播されるか又は搬送波の一部として伝播される伝播データ信号を含んでもよい。該伝播信号は、電磁気信号、光信号又は適切な組み合わせ形態などの様々な形態を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読媒体であってもよく、該媒体は、命令実行システム、装置又は機器に接続されることにより、使用されるプログラムの通信、伝播又は伝送を実現することができる。コンピュータ記憶媒体上のプログラムコードは、無線、ケーブル、光ファイバケーブル、RF若しくは類似の媒体、又は上述した媒体の任意の組み合わせを含む任意の適切な媒体を介して伝播することができる。
【0176】
本願の各部分の操作に必要なコンピュータプログラムコードは、Java、Scala、Smalltalk、Eiffel、JADE、Emerald、C++、C#、VB.NET、Pythonなどのオブジェクト指向プログラミング言語、C言語、Visual Basic、Fortran 2003、Perl、COBOL 2002、PHP、ABAPなどの従来の手続き型プログラミング言語、Python、Ruby及びGroovyなどの動的プログラミング言語、又は他のプログラミング言語などを含む1つ以上のプログラミング言語でコーディングしてもよい。該プログラムコードは、完全にユーザーコンピュータで実行されてもよく、独立したソフトウェアパッケージとしてユーザーコンピュータで実行されてもよく、部分的にユーザーコンピュータで、部分的にリモートコンピュータで実行されてもよく、完全にリモートコンピュータ又はサーバで実行されてもよい。後者の場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)などの任意のネットワーク形態でユーザーコンピュータに接続されてもよく、(例えば、インターネットを介して)外部コンピュータに接続されてもよく、クラウドコンピューティング環境にあってもよく、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)などのサービスとして使用されてもよい。
【0177】
また、各請求項に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は、他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明したが、そのような詳細は、説明のためのものに過ぎず、添付の請求項は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることを理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0178】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本願の開示を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈すべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例のすべての特徴よりも少ない場合がある。
【0179】
いくつかの実施例において、成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例では修飾語「約」、「ほぼ」又は「概ね」によって修飾されるものであることを理解されたい。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「概ね」は、上記数字が±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例において、明細書及び各請求項において使用されている数値パラメータは、いずれも個別の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例において、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例において、その範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体的な実施例において、このような数値は、可能な限り正確に設定される。
【0180】
本願において参照されているすべての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などの他の資料は、本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本願に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における説明、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0181】
最後に、本願に記載の実施例は、本願の実施例の原理を説明するためのものに過ぎないことを理解されたい。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0182】
100 振動装置
110 圧電素子
120 質量素子
130 弾性素子
200 振動装置
210 圧電素子
211 第1圧電素子
220 質量素子
230 弾性素子
310 第1共振ピーク
320 第2共振ピーク
400 振動装置
411 第1圧電素子
420 質量素子
430 弾性素子
401 第1共振ピーク
402 第2共振ピーク
500 振動装置
610 曲線
620 曲線
630 曲線
640 曲線
650 曲線
603 第3共振ピーク
604 共振谷
1020 周波数応答曲線
1210 第1湾曲セグメント
1220 第2湾曲セグメント
1301 第1対称軸
1302 第2対称軸
1341 接続部材
1531 第1螺旋構造
1532 第2螺旋構造
【手続補正書】
【提出日】2023-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量素子と、
電気信号に基づいて振動を発生させるように構成された1つ又は複数の圧電素子と、
少なくとも1つが前記質量素子及び1つ又は複数の前記圧電素子に接続された1つ又は複数の弾性素子と、
を含み、
1つ又は複数の前記圧電素子は、環形構造を含み、電気信号に基づいて振動する方向が前記環形構造の軸線方向に平行であるように構成される、振動装置。
【請求項2】
1つ又は複数の前記圧電素子は、軸線方向に沿った一端が固定された第1圧電素子を含み、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより前記第1圧電素子の前記一端以外の位置に接続される、請求項1に記載の振動装置。
【請求項3】
前記質量素子の前記第1圧電素子の軸線方向に沿った投影は、前記第1圧電素子の軸線方向に沿った投影以内にある、請求項2に記載の振動装置。
【請求項4】
前記質量素子の形状は、環形であり、前記質量素子の前記第1圧電素子の軸線方向に沿った投影は、前記第1圧電素子の軸線方向に沿った投影以外にある、請求項2に記載の振動装置。
【請求項5】
前記質量素子と前記第1圧電素子を接続する弾性素子は、複数であり、複数の前記弾性素子は、前記環形構造の周方向に沿って分布する、請求項2に記載の振動装置。
【請求項6】
1つ又は複数の前記弾性素子の形状は、折れ線形、S字形、スプライン曲線形、円弧形及び直線形のうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の振動装置。
【請求項7】
1つ又は複数の前記弾性素子のそれぞれは、複数の湾曲部を有し、複数の前記湾曲部の湾曲方向が逆である、請求項6に記載の振動装置。
【請求項8】
1つ又は複数の前記弾性素子は、前記質量素子及び1つ又は複数の前記圧電素子にそれぞれ接続された第1螺旋構造及び第2螺旋構造を含み、前記第1螺旋構造及び前記第2螺旋構造は、軸線が同じであり、螺旋方向が逆である、請求項1に記載の振動装置。
【請求項9】
1つ又は複数の前記圧電素子は、第1環形構造を含む第1圧電素子と、第2環形構造を含む第2圧電素子とを含み、前記第2圧電素子は、前記第1環形構造の内側に設置される、請求項1に記載の振動装置。
【請求項10】
前記第1圧電素子の前記軸線方向に沿った一端は、固定され、前記第2圧電素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより前記第1圧電素子の前記一端以外の位置に接続され、前記質量素子の前記軸線方向に沿った投影は、前記第2圧電素子の前記軸線方向に沿った投影以内にあり、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとももう1つにより前記第2圧電素子に接続される、請求項9に記載の振動装置。
【請求項11】
前記第2圧電素子の前記軸線方向に沿った一端は、固定され、前記第1圧電素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより前記第2圧電素子の前記一端以外の位置に接続され、前記質量素子の形状は、環形であり、前記質量素子の前記軸線方向に沿った投影は、前記第1圧電素子の前記軸線方向に沿った投影以外にあり、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとももう1つにより前記第1圧電素子に接続される、請求項9に記載の振動装置。
【請求項12】
前記質量素子の形状は、環形であり、前記質量素子の前記軸線方向に沿った投影は、前記第1圧電素子と前記第2圧電素子との前記軸線方向に沿った投影の間にあり、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つにより前記第1圧電素子に接続され、前記質量素子は、1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとももう1つにより前記第2圧電素子に接続される、請求項9に記載の振動装置。
【請求項13】
1つ又は複数の前記圧電素子は、少なくとも2つの第1圧電素子を含み、少なくとも2つの前記第1圧電素子は、軸線方向に沿って互いに接続される、請求項1に記載の振動装置。
【請求項14】
前記振動装置は、電気信号に基づいて前記環形構造の軸線方向に沿った振動を発生させるように構成された圧電ビームをさらに含み、前記圧電ビームは、前記質量素子に接続される、請求項1に記載の振動装置。
【請求項15】
1つ又は複数の前記弾性素子のうちの少なくとも1つと前記質量素子は、共振して第1共振ピークが発生し、1つ又は複数の前記圧電素子は、共振して第2共振ピークが発生する、請求項1に記載の振動装置。
【国際調査報告】