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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】音響出力装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/10 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
H04R17/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541984
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 CN2022089572
(87)【国際公開番号】W WO2023206143
(87)【国際公開日】2023-11-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】朱 光▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲慶▼依
【テーマコード(参考)】
5D004
【Fターム(参考)】
5D004AA02
5D004CD03
5D004CD09
5D004DD01
(57)【要約】
本明細書の実施例に係る音響出力装置は、長手方向に沿って延在する梁構造を有する振動素子と、電気信号に応答して変形する圧電素子であって、前記変形が振動するように前記振動素子を駆動し、前記圧電素子が前記梁構造の第1位置に貼り付けられ、かつ貼り付け領域の前記長手方向に沿うサイズが前記梁構造の前記長手方向に沿うサイズの80%を超えない、圧電素子と、前記梁構造の第2位置に接続された質量素子であって、前記第1位置と前記第2位置が前記長手方向に間隔を隔てて分布し、前記振動素子の振動が前記長手方向に垂直な方向に振動するように前記質量素子を駆動する、質量素子と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って延在する梁構造を有する振動素子と、
電気信号に応答して変形する圧電素子であって、前記変形が振動するように前記振動素子を駆動し、前記圧電素子が前記梁構造の第1位置に貼り付けられ、かつ貼り付け領域の前記長手方向に沿うサイズが前記梁構造の前記長手方向に沿うサイズの80%を超えない、圧電素子と、
前記梁構造の第2位置に接続された質量素子であって、前記第1位置と前記第2位置が前記長手方向に間隔を隔てて分布し、前記振動素子の振動が前記長手方向に垂直な方向に振動するように前記質量素子を駆動する、質量素子と、を含む、音響出力装置。
【請求項2】
前記振動素子は、前記質量素子と共振して第1共振ピークを発生させ、前記第1共振ピークの周波数範囲が50Hz~2000Hzである、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記振動素子と前記質量素子の振動は、第2共振ピークを有し、前記第2共振ピークの周波数と前記第1共振ピークの周波数との比は、5より大きい、ことを特徴とする請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記振動素子と前記質量素子の振動は、前記第1共振ピークと前記第2共振ピークとの間に、少なくとも1つの共振ディップを発生させ、前記第1共振ピーク又は前記第2共振ピークと前記少なくとも1つの共振ディップとの間の振幅差は、80dBより小さい、ことを特徴とする請求項3に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記梁構造の長さは、50mmより小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記質量素子の質量は、10gより小さい、ことを特徴とする請求項5に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記圧電素子の変形方向は、前記振動素子の振動方向に垂直である、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記圧電素子の長さは、3mm~30mmの範囲内にある、ことを特徴とする請求項7に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記梁構造の第3位置に貼り付けられた第2圧電素子をさらに含み、前記圧電素子と前記第2圧電素子は、前記振動素子の長手方向に間隔を隔てて設けられる、ことを特徴とする請求項7に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記圧電素子と前記第2圧電素子との間の距離は、25mmより小さい、ことを特徴とする請求項9に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記梁構造は、固定端を含み、前記圧電素子又は前記第2圧電素子と前記固定端との間の距離は、3mmより大きい、ことを特徴とする請求項9に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記梁構造の振動方向において、前記圧電素子と前記第2圧電素子は、前記梁構造の同じ側に位置する、ことを特徴とする請求項9に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記梁構造の振動方向において、前記圧電素子と前記第2圧電素子は、それぞれ前記梁構造の両側に位置する、ことを特徴とする請求項9に記載の音響出力装置。
【請求項14】
第2質量素子をさらに含み、前記振動素子の長手方向において、前記質量素子と前記第2質量素子は、それぞれ前記圧電素子の両側に位置する、ことを特徴とする請求項7に記載の音響出力装置。
【請求項15】
前記第2質量素子の質量は、前記質量素子の質量より大きい、ことを特徴とする請求項14に記載の音響出力装置。
【請求項16】
前記第2質量素子の質量と前記質量素子の質量との比は、0~10の範囲内にある、ことを特徴とする請求項15に記載の音響出力装置。
【請求項17】
前記圧電素子の変形方向は、前記振動素子の振動方向と平行である、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項18】
前記圧電素子は、振動方向に沿う一端が固定され、他端が前記第1位置において前記梁構造に接続される、ことを特徴とする請求項17に記載の音響出力装置。
【請求項19】
前記梁構造は、固定端を含み、前記第1位置と前記固定端との間の距離と前記梁構造の長さとの比は、0.6より小さい、ことを特徴とする請求項18に記載の音響出力装置。
【請求項20】
第2振動素子をさらに含み、前記振動素子と前記第2振動素子は、前記質量素子の両側に対称に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項21】
前記第2振動素子に接続された第3圧電素子をさらに含み、前記第3圧電素子と前記圧電素子は、前記質量素子の両側に対称に設けられる、ことを特徴とする請求項20に記載の音響出力装置。
【請求項22】
前記振動素子及び前記第2振動素子の前記質量素子から離れた一端が固定して設けられる、ことを特徴とする請求項20に記載の音響出力装置。
【請求項23】
前記質量素子に接続された第3振動素子をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項24】
100Hzより大きい周波数範囲内において、前記第3振動素子は、前記質量素子の振動振幅を増加させる、ことを特徴とする請求項23に記載の音響出力装置。
【請求項25】
前記第3振動素子の長さと前記振動素子の長さとの比は、0.7より大きい、ことを特徴とする請求項23に記載の音響出力装置。
【請求項26】
前記第3振動素子の振動方向は、前記振動素子の振動方向と平行である、ことを特徴とする請求項23に記載の音響出力装置。
【請求項27】
前記第3振動素子に接続された第4圧電素子をさらに含む、ことを特徴とする請求項26に記載の音響出力装置。
【請求項28】
前記第4圧電素子の変形方向は、前記第3振動素子の振動方向に垂直である、ことを特徴とする請求項27に記載の音響出力装置。
【請求項29】
前記圧電素子と前記第4圧電素子が受信した電気信号は、135°より小さい位相差を有する、ことを特徴とする請求項27に記載の音響出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、音響の技術分野に関し、特に音響出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電型音響出力装置は、圧電材料の逆圧電効果を利用して振動を発生させて外部に音波を放出するものであり、従来の動電型スピーカーと比較して、電気機械エネルギー変換効率が高く、エネルギー消費が低く、体積が小さく、集積度が高いなどの利点を有する。現在のデバイスの小型化及び集積化の傾向で、圧電型音響出力装置は、極めて大きな将来性がある。しかしながら、圧電型音響出力装置は、低周波応答が低いなどの問題が存在するため、低周波数(例えば、50Hz~2000Hz)範囲で感度が低いという問題をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、低周波応答を向上させて、低周波数範囲での感度を向上させる音響出力装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書の実施例に係る音響出力装置は、長手方向に沿って延在する梁構造を有する振動素子と、電気信号に応答して変形する圧電素子であって、前記変形が振動するように前記振動素子を駆動し、前記圧電素子が前記梁構造の第1位置に貼り付けられ、かつ貼り付け領域の前記長手方向に沿うサイズが前記梁構造の前記長手方向に沿うサイズの80%を超えない、圧電素子と、前記梁構造の第2位置に接続された質量素子であって、前記第1位置と前記第2位置が前記長手方向に間隔を隔てて分布し、前記振動素子の振動が前記長手方向に垂直な方向に振動するように前記質量素子を駆動する、質量素子と、を含む。
【0005】
いくつかの実施例では、前記振動素子は、前記質量素子と共振して第1共振ピークを発生させ、前記第1共振ピークの周波数範囲が50Hz~2000Hzである。
【0006】
いくつかの実施例では、前記振動素子と前記質量素子の振動は、第2共振ピークを有し、前記第2共振ピークの周波数と前記第1共振ピークの周波数との比は、5より大きい。
【0007】
いくつかの実施例では、前記振動素子と前記質量素子の振動は、前記第1共振ピークと前記第2共振ピークとの間に、少なくとも1つの共振ディップを発生させ、前記第1共振ピーク又は前記第2共振ピークと前記少なくとも1つの共振ディップとの間の振幅差は、80dBより小さい。
【0008】
いくつかの実施例では、前記梁構造の長さは、50mmより小さい。
【0009】
いくつかの実施例では、前記質量素子の質量は、10gより小さい。
【0010】
いくつかの実施例では、前記圧電素子の変形方向は、前記振動素子の振動方向に垂直である。
【0011】
いくつかの実施例では、前記圧電素子の長さは、3mm~30mmの範囲内にある。
【0012】
いくつかの実施例では、前記梁構造の第3位置に貼り付けられた第2圧電素子をさらに含み、前記圧電素子と前記第2圧電素子は、前記振動素子の長手方向に間隔を隔てて設けられる。
【0013】
いくつかの実施例では、前記圧電素子と前記第2圧電素子との間の距離は、25mmより小さい。
【0014】
いくつかの実施例では、前記梁構造は、固定端を含み、前記圧電素子又は前記第2圧電素子と前記固定端との間の距離は、3mmより大きい。
【0015】
いくつかの実施例では、前記梁構造の振動方向において、前記圧電素子と前記第2圧電素子は、前記梁構造の同じ側に位置する。
【0016】
いくつかの実施例では、前記梁構造の振動方向において、前記圧電素子と前記第2圧電素子は、それぞれ前記梁構造の両側に位置する。
【0017】
いくつかの実施例では、第2質量素子をさらに含み、前記振動素子の長手方向において、前記質量素子と前記第2質量素子は、それぞれ前記圧電素子の両側に位置する。
【0018】
いくつかの実施例では、前記第2質量素子の質量は、前記質量素子の質量より大きい。
【0019】
いくつかの実施例では、前記第2質量素子の質量と前記質量素子の質量との比は、0~10の範囲内にある。
【0020】
いくつかの実施例では、前記圧電素子の変形方向は、前記振動素子の振動方向と平行である。
【0021】
いくつかの実施例では、前記圧電素子は、振動方向に沿う一端が固定され、他端が前記第1位置において前記梁構造に接続される。
【0022】
いくつかの実施例では、前記梁構造は、固定端を含み、前記第1位置と前記固定端との間の距離と前記梁構造の長さとの比は、0.6より小さい。
【0023】
いくつかの実施例では、第2振動素子をさらに含み、前記振動素子と前記第2振動素子は、前記質量素子の両側に対称に設けられる。
【0024】
いくつかの実施例では、前記第2振動素子に接続された第3圧電素子をさらに含み、前記第3圧電素子と前記圧電素子は、前記質量素子の両側に対称に設けられる。
【0025】
いくつかの実施例では、前記振動素子及び前記第2振動素子の前記質量素子から離れた一端が固定して設けられる。
【0026】
いくつかの実施例では、前記質量素子に接続された第3振動素子をさらに含む。
【0027】
いくつかの実施例では、100Hzより大きい周波数範囲内において、前記第3振動素子は、前記質量素子の振動振幅を増加させる。
【0028】
いくつかの実施例では、前記第3振動素子の長さと前記振動素子の長さとの比は、0.7より大きい。
【0029】
いくつかの実施例では、前記第3振動素子の振動方向は、前記振動素子の振動方向と平行である。
【0030】
いくつかの実施例では、前記第3振動素子に接続された第4圧電素子をさらに含む。
【0031】
いくつかの実施例では、前記第4圧電素子の変形方向は、前記第3振動素子の振動方向に垂直である。
【0032】
いくつかの実施例では、前記圧電素子と前記第4圧電素子が受信した電気信号は、135°より小さい位相差を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の構成ブロック図である。
図2A】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
図2B図2Aに示す振動素子の長手方向に垂直な方向に沿う音響出力装置の断面図である。
図3A】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
図3B】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
図4】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
図5】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
図6】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
図7】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
図8】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
図9】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
図10】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
図11】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
図12】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
図13】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
図14】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
図15】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
図16】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
図17】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
図18】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
図19】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
図20】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
図21】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
図22】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本明細書のいくつかの例又は実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本明細書を他の類似するシナリオに適用することができる。言語環境から明らかではないか又は明記しない限り、図面において同じ番号は、同じ構造又は操作を示す。
【0035】
本明細書の実施例に係る音響出力装置は、逆圧電効果を利用して圧電素子により振動を発生させて音声を出力することができる。通常、圧電素子は、d33及びd31の2種類の動作モードを用いてもよい。d33動作モードでは、圧電素子の変形方向(変位出力方向と呼ばれてもよい)は、電気的方向(分極方向と呼ばれてもよい)と同じであり、その共振周波数が高く、出力振幅が小さく、低周波応答が低い。d31動作モードでは、圧電素子の変形方向は、電気的方向に垂直である。d31動作モードでは、圧電素子の長さを長くすることで周波数が十分に低い低周波数ピークを提供することができ、出力振幅も顕著に増加するが、このような場合で、圧電素子は、可聴域内(例えば、20Hz~20kHz)に多くの振動モードを有し、周波数応答曲線に多くのピークとディップが現れると表現されるため、音響出力装置(又は圧電型スピーカー)の音質は、依然として低い。
【0036】
圧電型スピーカーの低周波応答が低く、可聴域内のモードが多いという問題を解決するために、本明細書の実施例に係る音響出力装置は、振動素子、圧電素子及び質量素子を含んでもよい。振動素子は、長手方向に沿って延在する梁構造を有する。圧電素子は、電気信号に応答して変形することができ、前記変形は、振動するように振動素子を駆動することができる。圧電素子は、梁構造の第1位置に貼り付けられ、かつ貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、梁構造の長手方向に沿うサイズの80%を超えない。質量素子は、梁構造の第2位置に接続されてもよい。第1位置と第2位置は、梁構造の長手方向に間隔を隔てて分布し、圧電素子の振動は、梁構造の長手方向に垂直な方向に振動するように質量素子を駆動することができる。圧電素子と質量素子との共振により音響出力装置の周波数応答曲線は、低周波数帯域(例えば、50Hz~2000Hz)内で第1共振ピークを有することができることにより、音響出力装置の低周波数帯域内での感度が向上する。また、圧電素子及び質量素子の振動により高周波数帯域(例えば、2000Hz~20000Hz)内で第2共振ピークを有し、かつ第1共振ピークと第2共振ピークとの間に少なくとも1つの共振ディップを有し、前記第1共振ピーク又は第2共振ピークと前記少なくとも1つの共振ディップとの振幅差が80dBより小さいことにより、低周波数から高周波数までの範囲内の平坦な振動応答曲線が取得され、さらに音響出力装置の音質が向上する。
【0037】
本明細書の実施例に係る音響出力装置は、圧電素子により梁構造を有する振動素子に貼り付けられ、一定の長さを有する梁構造が提供する弾性と質量素子が提供する質量とで構成された弾性質量システムを利用して振動を出力することにより、音響出力装置の周波数応答曲線は、低周波数帯域内で共振ピークを有し、これにより、音響出力装置の低周波数帯域内での感度が効果的に向上する。いくつかの実施例では、本明細書の実施例に係る音響出力装置は、さらに人間の耳の可聴域内に存在する振動モードを減少させ、例えば、周波数応答曲線に共振ディップがない又は少ないこと、又は共振ピークと共振ディップとの振幅差を減少させることにより、音響出力装置の可聴域内での周波数応答曲線が平坦になり、音響出力装置が高い音質を有することが保証される。
【0038】
以下、図面を参照しながら本明細書の実施例に係る音響出力装置を詳細に説明する。
【0039】
図1は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の構成ブロック図である。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、骨伝導音響出力装置、空気伝導音響出力装置又は骨伝導と空気伝導とを組み合わせた音響出力装置であってもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、サウンドボックス、ヘッドホン、メガネ、補聴器、拡張現実(Augmented Reality、AR)デバイス、仮想現実(Virtual Reality、VR)デバイスなど、又はオーディオ再生機能を有する他のデバイス(例えば、携帯電話、コンピュータなど)を含んでもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、振動素子110、圧電素子120及び質量素子130を含んでもよい。
【0040】
振動素子110は、圧電素子120の変形に基づいて振動することができることにより、音響出力装置100は、質量素子130により振動を出力することができる。例えば、圧電素子120は、電気信号に応答して変形することができ、圧電素子120の変形により、圧電素子120の分極方向に沿って振動するように振動素子110を駆動し、さらに圧電素子120の分極方向に沿って振動するように質量素子130を駆動することができる。いくつかの実施例では、質量素子130の振動方向は、振動素子110の長手方向と垂直である。いくつかの実施例では、振動素子110は、長手方向に沿って延在する梁構造を有してもよく、圧電素子120は、梁構造の第1位置に貼り付けられてもよく、質量素子130は、梁構造の第2位置に接続されてもよい。第1位置と第2位置は、振動素子110(又は梁構造と呼ばれる)の長手方向に間隔を隔てて分布する。例えば、第1位置と第2位置は、それぞれ梁構造の長手方向の両端に位置してもよい。また、例えば、第1位置は、梁構造の長手方向の中心に位置してもよく、第2位置は、梁構造の長手方向の任意の一端に位置してもよい。さらに、例えば、第1位置と第2位置は、それぞれ梁構造の長手方向の任意の2つの位置に位置してもよく、かつ第1位置と第2位置との間に所定の距離が存在する。
【0041】
いくつかの実施例では、圧電素子120は、直接的に接着の方式で振動素子110の第1位置に貼り付けられてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120は、係着、締結などの方式で振動素子110の第1位置に接続されてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120は、物理的堆積又は化学的堆積の方式で振動素子110の第1位置に付着されてもよい。いくつかの実施例では、質量素子130は、接着、係着、溶接、螺合などの方式で振動素子110の第2位置に接続されてもよい。
【0042】
いくつかの実施例では、圧電素子120と梁構造の第1位置との貼り付け領域(すなわち、圧電素子120と振動素子110との実際の接触面)の梁構造の長手方向に沿うサイズを調整することにより、人間の耳の可聴域内での音響出力装置100の周波数応答曲線における平坦な曲線の範囲が増大して、音響出力装置100の音質が効果的に向上することができる。いくつかの実施例では、音響出力装置100の音質を保証し、人間の耳の可聴域内での音響出力装置100の高次モード(又は振動モード)を減少させ、音響出力装置100の周波数応答曲線における平坦な曲線範囲を増大させるために、圧電素子120と梁構造の第1位置との貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズを減少させることにより実現することができる。いくつかの実施例では、圧電素子120と梁構造の第1位置との貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、1mm~50mmの範囲内にあってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と梁構造の第1位置との貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、1mm~45mmの範囲内にあってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と梁構造の第1位置との貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、2mm~40mmの範囲内にあってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と梁構造の第1位置との貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、3mm~30mmの範囲内にあってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と梁構造の第1位置との貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、5mm~20mmの範囲内にあってもよい。
【0043】
いくつかの実施例では、圧電素子120と梁構造の第1位置との貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、梁構造の長手方向に沿うサイズの80%以下であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と梁構造の第1位置との貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、梁構造の長手方向に沿うサイズの80%以下であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と梁構造の第1位置との貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、梁構造の長手方向に沿うサイズの70%以下であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と梁構造の第1位置との貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、梁構造の長手方向に沿うサイズの60%以下であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と梁構造の第1位置との貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、梁構造の長手方向に沿うサイズの50%以下であってもよい。
【0044】
いくつかの実施例では、さらに音響出力装置100のうちの1つ以上の素子に減衰を付加して、音響出力装置100の減衰係数を増大させて、音響出力装置100の周波数応答曲線を人間の耳の可聴域内でより滑らかにさせることにより(例えば、図6に示す曲線L63)、音響出力装置100の音質が向上することができる。例えば、減衰効果を有する材料(例えば、シリカゲル、ゴム、スポンジなど)を用いて振動素子110を製造してもよい。また、例えば、圧電素子120に減衰材料を塗布してもよい。さらに、例えば、振動素子110及び/又は質量素子130に減衰材料又は電磁減衰を充填してもよい。
【0045】
いくつかの実施例では、振動素子110は、さらに、シート状、ロッド状構造などであってもよい。いくつかの実施例では、振動素子110の材料は、振動伝達能力を有する材料であってもよい。例えば、振動素子110の材料は、シリカゲル、スポンジ、プラスチック、ゴム、金属等又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施例では、振動素子110は、高い弾性(すなわち弾性変形が発生しやすい)を有する部品であってもよい。例えば、振動素子110は、ばね(例えば、空気ばね、機械ばね、電磁ばねなど)、振動伝達シート、ばね板、基板など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0046】
圧電素子120は、逆圧電効果を利用して電気エネルギーを機械エネルギーに変換することができる電気エネルギー変換デバイスであってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120は、圧電セラミック、圧電石英、圧電結晶、圧電ポリマーなど、圧電効果(逆圧電効果)を有する材料で構成されてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120は、シート状、環状、菱形、直方体形、柱状、球形などの形状、又はそれらの任意の組み合わせであってもよく、他の不規則的な形状であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120は、その長手方向に沿う梁構造又はシート状構造及びブロック状構造などであってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と振動素子110は、同じ幅を有する梁構造であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120は、一体構造であってもよく、圧電素子120は、振動素子110の一側に位置し、圧電素子120が圧電素子120の分極方向に沿って変形する場合、同じ方向に振動するように振動素子110を駆動することができ、すなわち圧電素子120は、d33動作モードであってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120は、振動素子の対向する両側にそれぞれ貼り付けられた2層の圧電シートを含んでもよい。圧電素子120が圧電素子120の分極方向に垂直な方向に沿って変形する場合、振動素子110は、2層の圧電シートの変形に基づいて圧電素子120の分極方向に沿う振動を発生させることができ、すなわち圧電素子120は、d31動作モードであってもよい。圧電素子120に関するより多くの説明については、図2A図2B及びその説明を参照することができる。
【0047】
質量素子130は、一定の質量を有する質量ブロックであってもよい。いくつかの実施例では、質量素子130は、振動板、振動膜などを含んでもよいことにより、音響出力装置100は、質量素子130により振動を出力することができる。いくつかの実施例では、質量素子130の材質は、金属(例えば、銅、鉄、マグネシウム、アルミニウム、タングステンなど)、合金(アルミニウム合金、チタン合金、タングステン合金など)、高分子材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンゴムなど)などの材質を含むが、これらに限定されない。
【0048】
圧電素子120は、駆動電圧(又は電気信号)の作用で変形することができる。該変形により、振動するように振動素子110を駆動することにより、振動するように質量素子130を駆動することができる。いくつかの実施例では、振動素子110と質量素子130とは、共振して第1共振ピーク(例えば、図6に示す第1共振ピーク621)を発生させることができる。
【0049】
いくつかの実施例では、振動素子110と質量素子130との共振により発生した第1共振ピークに対応する共振周波数は、式(1)に基づいて決定することができる。
【0050】
【数1】
【0051】
ここで、fは、共振周波数を示し、kは、振動素子110の弾性係数を示し、mは、質量素子130の質量を示す。
【0052】
いくつかの実施例では、式(1)から分かるように、質量素子130の質量及び/又は振動素子110の弾性係数を調整することにより、第1共振ピークに対応する共振周波数の周波数範囲を調整することができる。いくつかの実施例では、第1共振ピークの周波数範囲は、50Hz~2000Hzであってもよい。いくつかの実施例では、第1共振ピークの周波数範囲は、50Hz~1500Hzであってもよい。いくつかの実施例では、第1共振ピークの周波数範囲は、100Hz~1000Hzであってもよい。いくつかの実施例では、第1共振ピークの周波数範囲は、150Hz~500Hzであってもよい。いくつかの実施例では、第1共振ピークの周波数範囲は、150Hz~200Hzであってもよい。
【0053】
いくつかの実施例では、振動素子110と質量素子130の振動は、第2共振ピーク(例えば、図6に示す第2共振ピーク622)を有することができる。いくつかの実施例では、上記第2共振ピークは、振動素子110と質量素子130との共振(例えば、第1共振ピークを発生させる共振よりも高次の共振)により発生することができる。いくつかの実施例では、第2共振ピークの周波数と第1共振ピークの周波数との比は、5より大きくてもよい。例えば、第1共振ピークの周波数は、50Hz~200Hzの間にあってもよく、第2共振ピークの周波数は、500Hz~2000Hzの間にあってもよい。さらに、例えば、第1共振ピークの周波数は、100Hz~500Hzの間にあってもよく、第2共振ピークの周波数は、500Hz~5000Hzの間にあってもよい。さらに、例えば、第1共振ピークの周波数は、100Hz~1000Hzの間にあってもよく、第2共振ピークの周波数は、600Hz~20000Hzの間にあってもよい。さらに、例えば、第1共振ピークの周波数は、100Hz~2000Hzの間にあってもよく、第2共振ピークの周波数は、800Hz~20000Hzの間にあってもよい。いくつかの実施例では、第1共振ピークと第2共振ピークとの間に、振動素子110と質量素子130の振動は、少なくとも1つの共振ディップを発生させることができる。いくつかの実施例では、第1共振ピーク又は第2共振ピークと上記少なくとも1つの共振ディップとの振幅差は、所定の閾値より小さくてもよい。例えば、第1共振ピーク又は第2共振ピークと上記少なくとも1つの共振ディップとの振幅差は、200dBより小さくてもよい。さらに、例えば、第1共振ピーク又は第2共振ピークと上記少なくとも1つの共振ディップとの振幅差は、150dBより小さくてもよい。さらに、例えば、第1共振ピーク又は第2共振ピークと上記少なくとも1つの共振ディップとの振幅差は、80dBより小さくてもよい。さらに、例えば、第1共振ピーク又は第2共振ピークと上記少なくとも1つの共振ディップとの振幅差は、50dBより小さくてもよい。さらに、例えば、第1共振ピーク又は第2共振ピークと上記少なくとも1つの共振ディップとの振幅差は、30dBより小さくてもよい。いくつかの実施例では、第1共振ピーク又は第2共振ピークと上記少なくとも1つの共振ディップとの振幅差が所定の閾値より小さいため、第1共振ピーク又は第2共振ピークと上記少なくとも1つの共振ディップとの間の平坦な周波数応答曲線を取得することにより、音響出力装置100の音質が向上することができる。
【0054】
いくつかの実施例では、振動素子110(梁構造)の長さを調整することにより振動素子110の弾性係数を調整して、第1共振ピークに対応する共振周波数の周波数範囲の調整を実現することができる。例えば、梁構造は、長さが大きいほど、その弾性係数が小さくなり、質量素子130の質量が一定である場合、第1共振ピークに対応する共振周波数が低くなる。しかしながら、梁構造の長さが大きすぎると、音響出力装置100の小型化設計に不利である。音響出力装置100が低周波数帯域内で第1共振ピークを発生させることができることにより、該周波数帯域内の感度を向上させるとともに、デバイスの小型化を実現することを保証するために、いくつかの実施例では、梁構造の長さは、20mmより小さくてもよい。いくつかの実施例では、梁構造の長さは、30mmより小さくてもよい。いくつかの実施例では、梁構造の長さは、40mmより小さくてもよい。いくつかの実施例では、梁構造の長さは、50mmより小さくてもよい。いくつかの実施例では、梁構造の長さは、60mmより小さくてもよい。
【0055】
いくつかの実施例では、質量素子130の質量を調整することにより第1共振ピークに対応する共振周波数の周波数範囲を調整することができる。例えば、梁構造の長さが一定である場合、質量素子130の質量が大きいほど、第1共振ピークに対応する共振周波数が小さくなる。しかしながら、質量素子130の質量が大きすぎると、音響出力装置100の小型化設計に不利である。音響出力装置100が低周波数帯域内で第1共振ピークを発生させることができることにより、該周波数帯域内の感度を向上させるとともに、デバイスの小型化を実現することを保証するために、いくつかの実施例では、質量素子130の質量は、5gより小さくてもよい。いくつかの実施例では、質量素子130の質量は、6gより小さくてもよい。いくつかの実施例では、質量素子130の質量は、8gより小さくてもよい。いくつかの実施例では、質量素子130の質量は、10gより小さくてもよい。
【0056】
いくつかの実施例では、振動素子110(音響出力装置100)の振動は、質量素子130により骨伝導の方式でユーザに伝達することができる。例示的な説明として、振動素子110の振動は、質量素子130によりユーザの顔部の骨格及び/又は筋肉に伝達され、最後にユーザの耳部に伝達される。また、例えば、質量素子130は、人体と直接接触しなくてもよく、振動素子110の振動は、質量素子130により音響出力装置のハウジングに伝達されてから、ハウジングによりユーザの顔部の骨格及び/又は筋肉に伝達され、最後にユーザの耳部に伝達されてもよい。いくつかの実施例では、振動素子110の振動は、質量素子130により空気伝導の方式でユーザに伝達されてもよい。例示的には、質量素子130は、直接的に、振動するようにその周囲の空気を駆動することにより、空気を介して振動をユーザの耳部に伝達することができる。また、例えば、質量素子130は、さらに、振動膜に接続されてもよく、質量素子130の振動は、振動膜に伝達されてから、振動膜により振動するように空気を駆動することにより、空気によりユーザの耳部に伝達されてもよい。
【0057】
いくつかの実施例では、音響出力装置100は、さらに、第2圧電素子140を含んでもよい。第2圧電素子140は、圧電素子120(又は第1圧電素子120と呼ばれる)と類似した構造、材質などを有してもよい。第2圧電素子140は、梁構造の第3位置に貼り付けられ、圧電素子120と第2圧電素子140は、振動素子の長手方向に間隔を隔てて設けられてもよく、かつ圧電素子120と第2圧電素子140が入力した電気信号が同じであり、このように、圧電素子120と第2圧電素子140とが直列接続されると見なすことができる。いくつかの実施例では、圧電素子120及び第2圧電素子140は、d31動作モードにあってもよく、圧電素子120及び第2圧電素子140の変形方向は、振動素子110の振動方向と垂直であってもよい。例えば、圧電素子120及び第2圧電素子140は、分極方向に垂直な方向に沿って往復変形し、分極方向に沿って振動するように振動素子110を駆動する。いくつかの実施例では、梁構造は、固定端及び自由端(すなわち振動素子110は、片持ち梁構造である)を含んでもよく、固定端が音響出力装置100の他の部品(例えば、ハウジングの内壁)に固定されてもよく、自由端が質量素子130に接続されてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向における距離を調整することにより、振動素子110と質量素子130が振動する時に発生した高次モードを減少させるか又は除去することができる。例えば、振動素子110と質量素子130が圧電素子120の駆動で行った振動が中高周波数帯域内(例えば、500Hz~2000Hz)で発生した共振ピーク(又は共振ディップ)と、振動素子110と質量素子130が第2圧電素子140の駆動で行った振動が中高周波数帯域内(例えば、500Hz~2000Hz)で発生した共振ディップ(又は共振ピーク)とが重なり合うことができるため、音響出力装置100の中高周波数帯域内での高次モードが除去できることにより、周波数応答曲線がより滑らかになり、音響出力装置100の音質を向上させることができることが保証される。いくつかの実施例では、重なり合い可能な共振ディップ及び共振ピークは、近い又は同じ周波数を有する共振ディップ及び共振ピークを指してもよい。音響出力装置100の第2圧電素子140に関するより多くの説明については、図9及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0058】
いくつかの実施例では、音響出力装置100は、第2質量素子150をさらに含んでもよい。振動素子110の長手方向において、質量素子130(第1質量素子130とも呼ばれる)と第2質量素子150は、それぞれ圧電素子120の両側に位置してもよい。いくつかの実施例では、第2質量素子150の質量を質量素子130より大きくすることにより、梁構造が第2質量素子150の一側に向かって固定され(すなわち上記固定端に相当)、これにより、梁構造の固定端が音響出力装置100(例えば、ハウジング)内に固定境界を見つけにくく、固定されにくいという問題を解決する。いくつかの実施例では、第2質量素子150の質量と質量素子130の質量との比を調整することにより、第1共振ピークに対応する共振周波数の調整を実現することができる。音響出力装置100が第2質量素子150をさらに含むことに関するより多くの説明については、図7及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0059】
いくつかの実施例では、圧電素子120は、d33の動作モードにあってもよく、圧電素子120の変形方向は、振動素子110の振動方向と平行であってもよい。例えば、圧電素子120が圧電素子120の分極方向に沿って変形する場合、上記変形は、分極方向に沿って振動するように振動素子110を駆動することもできる。いくつかの実施例では、圧電素子120は、振動方向に沿う一端が固定され(例えば、音響出力装置100の他の部品、例えば、ハウジングに固定され)、他端が第1位置に梁構造に接続される(例えば、梁構造に貼り付けられる)。いくつかの実施例では、圧電素子120の梁構造における位置を調整することにより、例えば、第1位置から梁構造の固定端までの距離と梁構造の長さとの比を調整することにより、音響出力装置100の低周波数帯域内での共振ピークに対応する共振周波数を調整することができるため、音響出力装置100の異なる周波数帯域内での感度が向上して、より多くの使用シーンに適用することができる。音響出力装置100における圧電素子120の変形方向と振動素子110の振動方向とが平行であることに関するより多くの説明については、図4及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0060】
いくつかの実施例では、音響出力装置100は、第2振動素子160をさらに含んでもよく、振動素子110(第1振動素子110とも呼ばれる)と第2振動素子160は、質量素子130の両側に対称に設けられる。振動素子110及び第2振動素子160の質量素子130から離れた一端は、それぞれ固定的に設けられる。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、第2振動素子160に接続された第3圧電素子170をさらに含んでもよく、第3圧電素子170と圧電素子120は、質量素子130の両側に対称に設けられ、このように、第3圧電素子170が圧電素子120に並列接続されると見なすことができる。該設定により、音響出力装置100の周波数応答曲線の人間の耳の可聴域内での共振ディップが減少するか又は除去され、音響出力装置100の周波数応答曲線が滑らかになり、高い音質を有することが保証される。音響出力装置が第2振動素子160及び第3圧電素子170をさらに含むことに関するより多くの説明については、図17及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0061】
いくつかの実施例では、音響出力装置100は、質量素子130に接続された第3振動素子180を含んでもよい。いくつかの実施例では、第3振動素子180の長さと振動素子110の長さとの比は、0.7より大きくてもよく、第3振動素子180の振動方向は、振動素子110の振動方向と平行である。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、第3振動素子180に接続された第4圧電素子190をさらに含んでもよい。第4圧電素子190がd31動作モードにある場合、第4圧電素子190の変形方向は、第3振動素子180の振動方向と垂直である。これにより、第3振動素子180と質量素子130の振動による低周波数帯域での共振ピークが振動素子110と質量素子110の振動による共振ディップを補うことにより、音響出力装置100の周波数応答曲線がより滑らかになり、音質がより高くなることができ、また、第3振動素子180は、質量素子130の低周波数帯域内での振動振幅を増加させることにより、音響出力装置100の低周波数帯域内での感度を向上させることができる。音響出力装置が第3振動素子180及び第4圧電素子190を含むことに関するより多くの説明については、図19及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0062】
いくつかの実施例では、音響出力装置100は、ハウジング構造210をさらに含んでもよい。ハウジング構造210は、音響出力装置100の他の部品(例えば、振動素子110、第2振動素子160、第3振動素子180、圧電素子120、第2圧電素子140、第3圧電素子170、第4圧電素子190、質量素子130、第2質量素子150など、又はこれらの組み合わせ)を載置するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、ハウジング構造210は、内部が中空の密閉型又は半密閉型構造であってもよく、音響出力装置100の他の部品は、ハウジング構造内又は上に位置する。いくつかの実施例では、ハウジング構造の形状は、直方体、円柱体、円錐台などの規則的な形状又は不規則な形状の立体構造であってもよい。ユーザが音響出力装置100を装着している場合、ハウジング構造は、ユーザの耳の付近に位置してもよい。例えば、ハウジング構造は、ユーザの耳介の周側(例えば、前側又は後側)に位置してもよい。また、例えば、ハウジング構造は、ユーザの耳道を塞がないか又は覆わないように、ユーザの耳に位置してもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、骨伝導イヤホンであってもよく、ハウジング構造の少なくとも一側は、ユーザの皮膚に接触してもよい。骨伝導イヤホン内の音響ドライバアセンブリ(例えば、圧電素子120、振動素子110及び質量素子130の組み合わせ)は、オーディオ信号を機械的振動に変換し、該機械的振動は、ハウジング構造及びユーザの骨格によりユーザの聴覚神経に伝達することができる。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、空気伝導イヤホンであってもよく、ハウジング構造の少なくとも一側は、ユーザの皮膚に接触してもよく、接触しなくてもよい。ハウジング構造の側壁は、少なくとも1つの音導孔を含み、空気伝導イヤホン内の音響ドライバアセンブリは、オーディオ信号を空気伝導音声に変換し、該空気伝導音声は、音導孔によりユーザの耳の方向に放出することができる。
【0063】
いくつかの実施例では、音響出力装置100は、固定構造220を含んでもよい。固定構造220は、音響出力装置100をユーザの耳の付近に掛けるように構成されてもよい。いくつかの実施例では、固定構造220は、音響出力装置100のハウジング構造210に物理的に接続(例えば、接着、係着、螺合など)されてもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置100のハウジング構造210は、固定構造220の一部であってもよい。いくつかの実施例では、固定構造220は、音響出力装置100をユーザの耳の付近の位置により安定的に掛け、ユーザの使用時に落下することを防止できるように、耳掛け、後掛け、弾性バンド、眼鏡テンプルなどを含んでもよい。例えば、固定構造220は、耳掛けであってもよく、耳掛けは、耳部領域の周りに装着するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、耳掛けは、連続的なフック状物であってもよく、弾性的に引っ張られてユーザの耳部に装着されてもよく、同時にユーザの耳介に圧力を印加して、音響出力装置100をユーザの耳部又は頭部の特定の位置に堅固に固定することができる。いくつかの実施例では、耳掛けは、不連続的な帯状物であってもよい。例えば、耳掛けは、剛性部及び可撓性部を含んでもよい。剛性部は、剛性材料(例えば、プラスチック又は金属)で製造されてもよく、物理的な接続(例えば、係着、螺合など)の方式で音響出力装置100のハウジング構造210に固定されてもよい。可撓性部は、弾性材料(例えば、布地、複合材料又は/及びクロロプレンゴム)で製造されてもよい。また、例えば、固定構造220は、首/肩領域の周りに装着するように構成されるネックバンドであってもよい。さらに、例えば、固定構造220は、メガネの一部として、ユーザの耳部に掛けられる眼鏡テンプルであってもよい。
【0064】
なお、図1に関する以上の説明は、説明の目的のためのものに過ぎず、本願の範囲を限定することを意図するものではない。当業者であれば、本願の説明に基づいて様々な変更及び修正を行うことができる。例えば、いくつかの実施例では、音響出力装置100は、1つ以上の部品(例えば、信号送受信機、対話モジュール、電池など)をさらに含んでもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置100の1つ以上の部品は、類似する機能を実現することができる他の素子により代替されてもよい。例えば、音響出力装置100は、固定構造220を含まなくてもよく、ハウジング構造210又はその一部は、ハウジング構造がユーザの耳の付近に掛けることができるように、人体の耳に合わせる形状(例えば、円環形、楕円形、(規則的又は不規則的な)多角形、U字形、V字形、半円形)を有するハウジング構造であってもよい。これらの変更及び修正は、本明細書の範囲から逸脱しない。
【0065】
図2Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
【0066】
図2Aに示すように、音響出力装置200は、振動素子110、圧電素子120及び質量素子130を含んでもよい。振動素子110は、長手方向(すなわち、X方向)に沿う梁構造を有する。圧電素子120は、梁構造の第1位置に貼り付けられてもよく、質量素子130は、梁構造の自由端112(すなわち、第2位置)に接続されてもよく、第1位置と第2位置は、梁構造の長手方向に間隔を隔てて分布する。いくつかの実施例では、第1位置は、梁構造の長手方向における任意の位置に位置してもよい。例えば、第1位置は、梁構造の長手方向の中心に位置してもよい。また、例えば、圧電素子120は、梁構造の長手方向に沿って梁構造を覆ってもよく、すなわち、第1位置は、梁構造を覆ってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と梁構造との実際の接触面は、圧電素子120の貼り付け領域と呼ばれてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズを調整することにより、音響出力装置200の低周波数帯域で発生する共振ピークに対応する共振周波数及び振幅を調整して、より多くのシーンに適し、音響出力装置200の低周波数帯域内での感度の向上に役立つことができる。圧電素子120の貼り付け領域のサイズを調整することに関するより多くの説明については、図3A図3B及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0067】
いくつかの実施例では、振動素子110は、固定端111及び自由端112を有する片持ち梁構造を有してもよい。固定端111は、音響出力装置100の他の部品(例えば、ハウジングの内壁)に固定されてもよく、自由端112は、質量素子130に接続されて振動を出力してもよい。圧電素子120が圧電素子120の分極方向(すなわち、Z方向)に沿って振動するように振動素子110及び質量素子130を駆動することにより、振動素子110及び質量素子130が低周波数帯域(例えば、50Hz~2000Hz)内で第1共振ピーク(又は低周波数ピークと呼ばれてもよい)を発生させるため、音響出力装置200の低周波数帯域内での感度が向上することができる。
【0068】
いくつかの実施例では、図2Aに示すように、梁構造(又は片持ち梁)は、直方体構造であってもよい。上記直方体構造は、X方向に沿う長さと、Y方向に沿う幅と、Z方向に沿う厚さとを有してもよい。なお、図2Aに示す直方体梁構造は、例示的な説明のためのものに過ぎず、本明細書の保護範囲を限定することを意図するものではない。当業者であれば、本願の説明に基づいて様々な変更及び修正を行うことができる。いくつかの実施例では、梁構造又はその少なくとも一部の構造、サイズ及び材料パラメータを調整することができる。例えば、本明細書における梁構造は、上記直方体構造に限定されず、他の形状であってもよく、例えば、梁構造の長手方向(すなわち、X方向)に沿う断面形状は、三角形、半円形、菱形、五角形、六角形などの規則的又は不規則な形状であってもよい。また、例えば、梁構造における異なる位置での幅及び/又は厚さは、同じであってもよく、異なってもよい。また、例えば、梁構造における異なる位置での形状は、同じであってもよく、異なってもよい。
【0069】
図2Bは、図2Aに示す振動素子の長手方向に垂直な方向(すなわち、Y方向)に沿う音響出力装置の断面図である。
【0070】
いくつかの実施例では、音響出力装置200における圧電素子120の変形方向は、振動素子110の長手方向と平行であってもよく、これにより、圧電素子120の分極方向に沿う振動を発生させるように振動素子110を駆動し、すなわち、振動素子110の振動方向は、圧電素子120の分極方向と平行であってもよい。具体的には、図2Bに示すように、圧電素子120は、2つの圧電シート(すなわち、圧電シート121及び圧電シート122)を含んでもよい。圧電シート121と圧電シート122は、振動素子110(の第1位置)の対向する両側にそれぞれ貼り付けられてもよく、圧電シート121及び圧電シート122の分極方向は、貼り付け面と垂直である。振動素子110は、圧電シート121及び圧電シート122の変形に応答して、貼り付け面に垂直な振動を発生させることができる。
【0071】
いくつかの実施例では、圧電シート121及び圧電シート122は、圧電効果及び/又は逆圧電効果を提供するように構成されるアセンブリであってもよい。いくつかの実施例では、圧電シートは、振動素子110の1つ以上の表面を覆い、駆動電圧の作用下で変形して、反りを発生させるように振動素子110を駆動することにより、圧電素子120が振動を出力することを実現することができる。例えば、圧電素子120の分極方向(図の矢印BB’に示すように)に沿って、圧電シート121と圧電シート122は、それぞれ振動素子110の対向する両側に貼り付けられ、振動素子110は、圧電シート121と圧電シート122の圧電素子120の長手方向(図の矢印AA’に示すように)に沿う伸縮に基づいて振動を発生させることができる。具体的には、振動素子110の一側に位置する圧電シート(例えば、圧電シート121)は、その長手方向に沿って収縮することができ、振動素子110の一側に位置する圧電シート(例えば、圧電シート122)は、その長手方向に沿って伸長することができることにより、その表面に垂直な方向(すなわち、厚さ方向BB’)に沿って反らせて振動を発生させるように振動素子110を駆動する。いくつかの実施例では、圧電シート121及び/又は圧電シート122の材質は、圧電セラミックス、圧電石英、圧電結晶、圧電ポリマーなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0072】
なお、図2Bに示す圧電素子120は、例示的な説明のためのものに過ぎず、本明細書の保護範囲を限定することを意図するものではない。いくつかの実施例では、圧電素子120における圧電シートの数は、図2Bに示す2つに限定されなくてもよい。例えば、圧電素子120は、1つの圧電シートを含んでもよく、上記圧電シートは、振動素子110(の第1位置)の一側に貼り付けられ、駆動電圧の作用下で変形することができ、これにより、反りを発生させるように振動素子110を駆動し、圧電素子120が振動を出力することを実現する。
【0073】
いくつかの実施例では、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズを調整することにより、音響出力装置の低周波数帯域で発生する共振ピークに対応する共振周波数及び振幅を調整して、より多くのシーンに適し、音響出力装置の低周波数帯域内での感度の向上に役立つことができる。単なる例として、図3Aは、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。図3Aに示すように、音響出力装置300において、圧電素子120は、固定端111から、梁構造の長手方向に沿って、梁構造(すなわち、振動素子110)の少なくとも一部を覆う(貼り付ける)。いくつかの実施例では、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズと梁構造の長さとの比は、梁構造の弾性に影響を与えることができる。例えば、梁構造における圧電素子120が貼り付けられた部分(被覆部分と略称する)の長手方向(すなわち、X方向)に沿う断面の高さが、圧電素子120が貼り付けられていない部分(非被覆部分と略称する)の長手方向に沿う断面の高さより大きい場合、被覆部分の曲げ弾性率は、非被覆部分の曲げ弾性率より大きく、すなわち、被覆部分は、非被覆部分より弾性係数が高く、より曲げにくいと示される。いくつかの実施例では、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズと梁構造の長さとの比が増加するに連れて、梁構造全体の弾性係数が増加することにより、音響出力装置300の周波数応答曲線における低周波数ピークに対応する共振周波数も増加する。
【0074】
図3Bは、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。図3Bに示すように、曲線L31は、音響出力装置300の圧電素子120の貼り付け領域の、梁構造の長手方向に沿うサイズと梁構造の長さとの比(図3Bにおいてperで示す)が0.2である場合の周波数応答曲線である。曲線L32は、音響出力装置300の圧電素子120の貼り付け領域の、梁構造の長手方向に沿うサイズと梁構造の長さとの比が0.4である場合の周波数応答曲線である。曲線L33は、音響出力装置300の圧電素子120の貼り付け領域の、梁構造の長手方向に沿うサイズと梁構造の長さとの比が0.6である場合の周波数応答曲線である。曲線L34は、音響出力装置300の圧電素子120の貼り付け領域の、梁構造の長手方向に沿うサイズと梁構造の長さとの比が0.8である場合の周波数応答曲線である。曲線L35は、音響出力装置300の圧電素子120の貼り付け領域の、梁構造の長手方向に沿うサイズと梁構造の長さとの比が0.9である場合の周波数応答曲線である。曲線L36は、音響出力装置300の圧電素子120の貼り付け領域の、梁構造の長手方向に沿うサイズと梁構造の長さとの比が1である場合の周波数応答曲線である。破線円C内の共振ピークは、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズと梁構造の長さとが異なる比を有する場合、音響出力装置300が低周波数帯域内で発生する第1共振ピークである。
【0075】
図3Bから分かるように、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズと梁構造の長さとの比が増加するに連れて、音響出力装置(例えば、音響出力装置300)の低周波数帯域内での第1共振ピークに対応する共振周波数は、徐々に増加する(例えば、曲線L31~L36における第1共振ピークに対応する共振周波数は、徐々に増加する)。圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズと梁構造の長さとの比が90%に達する場合、曲線L35における第1共振ピークに対応する共振周波数は、曲線L36における第1共振ピークに対応する共振周波数とほぼ同じであり、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズと梁構造の長さとの比が80%以下である場合、曲線L34、曲線L33、曲線L32及び曲線L31における第1共振ピークに対応する共振周波数は、比が小さくなるに連れて低下する。音響出力装置(例えば、音響出力装置300)が低い周波数帯域内で共振ピーク(すなわち、第1共振ピーク)を発生させることができることにより、音響出力装置の低周波数帯域での感度が向上するという目的を達成することを保証するために、いくつかの実施例では、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、梁構造の長手方向に沿うサイズの80%以下であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、梁構造の長手方向に沿うサイズの60%以下であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、梁構造の長手方向に沿うサイズの50%以下であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、梁構造の長手方向に沿うサイズの40%以下であってもよい。
【0076】
また、図3Bから分かるように、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズと梁構造の長さとの比が小さくなるに連れて、曲線L36~L31における第1共振ピークに対応するピーク値が低下し、これは、圧電素子120の梁構造の長手方向に沿うサイズが減少し、それに伴ってその出力力も低下して、共振ピークのピーク値も小さくなるためである。音響出力装置の低周波数帯域での共振ピークが高いピーク値を有することができることにより、該周波数帯域での感度が向上することを保証するために、いくつかの実施例では、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、梁構造の長手方向に沿うサイズの5%より大きくてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、梁構造の長手方向に沿うサイズの10%より大きくてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、梁構造の長手方向に沿うサイズの20%より大きくてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120の貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズは、梁構造の長手方向に沿うサイズの30%より大きくてもよい。
【0077】
図4は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
【0078】
図4に示すように、音響出力装置400と音響出力装置200とは、音響出力装置400における圧電素子120と音響出力装置200における圧電素子120との設定方式及び動作モードが異なる以外、類似の構造を有する。音響出力装置400において、圧電素子120がd33動作モードにある場合、圧電素子120の変形方向は、振動素子110の振動方向と平行であってもよい。具体的には、音響出力装置400において、圧電素子120は、振動素子110の振動方向に沿う振動素子110の一側に貼り付けられる。さらに、圧電素子120は、分極方向に沿う一端が固定され、他端が第1位置で梁構造に接続される(貼り付けられる)。このように設定することで、圧電素子120がその分極方向に沿って変形する場合、同方向に振動するように振動素子110を駆動することができる。いくつかの実施例では、圧電素子120は、積層型構造を有してもよい。例示的な説明として、圧電素子120は、多層圧電シートを含み、多層圧電シートは、圧電シートの分極方向に沿って積層されて圧電素子120となってもよい。
【0079】
いくつかの実施例では、梁構造の長手方向に沿って、固定端111と圧電素子120(又は第1位置)との間の距離が異なり、音響出力装置400の周波数応答曲線の低周波数帯域内での共振ピークに対応する共振周波数が異なる。ここでの第1位置とは、固定端111に近接する圧電素子120のエッジの所在する位置を指してもよい。したがって、固定端111と圧電素子120との間の、梁構造の長手方向における距離を調整して、音響出力装置400の周波数応答曲線の低周波数帯域内での共振ピークに対応する共振周波数を変更することにより、音響出力装置の異なる周波数帯域内での感度の向上に役立ち、より多くのシーンに適用することができる。以下、音響出力装置の周波数応答曲線を参照して詳細に説明する。
【0080】
図5は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【0081】
図5において、曲線L51は、音響出力装置400の固定端111と圧電素子120との間の距離と梁構造の長さとの比(図5においてpで示す)が0.2である場合の周波数応答曲線である。曲線L52は、音響出力装置400の固定端111と圧電素子120との間の距離と梁構造の長さとの比が0.4である場合の周波数応答曲線である。曲線L53は、音響出力装置400の固定端111と圧電素子120との間の距離と梁構造の長さとの比が0.6である場合の周波数応答曲線である。曲線L54は、音響出力装置400の固定端111と圧電素子120との間の距離と梁構造の長さとの比が0.8である場合の周波数応答曲線である。破線円Y内の共振ピークは、音響出力装置400が低周波数帯域内で発生する第1共振ピークである。
【0082】
図5から分かるように、音響出力装置(例えば、音響出力装置400)における圧電素子と固定端との間の距離が大きくなる場合、音響出力装置の低周波数帯域内での共振ピークに対応する共振周波数も増加する(例えば、曲線L51、曲線L52、曲線L53及び曲線L54における共振ピークに対応する共振周波数は、徐々に増加する)。音響出力装置(例えば、音響出力装置400)が低周波数帯域内で第1共振ピークを発生させることができることにより、該周波数帯域内の感度が向上することを保証するために、いくつかの実施例では、第1位置と固定端との間の距離と梁構造の長さとの比は、0.8より小さくてもよい。いくつかの実施例では、第1位置と固定端との間の距離と梁構造の長さとの比は、0.6より小さくてもよい。いくつかの実施例では、第1位置と固定端との間の距離と梁構造の長さとの比は、0.4より小さくてもよい。
【0083】
図6は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【0084】
図6に示すように、曲線L61は、音響出力装置(例えば、音響出力装置400)の減衰係数(図6においてetaで示す)が0であり、音響出力装置の固定端(例えば、固定端111)と圧電素子120との間の距離と梁構造の長さとの比(図6においてpで示す)が0.2であり、かつ圧電素子120がd33動作モードにある場合の音響出力装置の周波数応答曲線である。曲線L62は、音響出力装置(例えば、音響出力装置200)の減衰係数が0であり、音響出力装置の固定端と圧電素子120との間の距離と梁構造の長さとの比が0.2であり、圧電素子120がd31動作モードにあり、かつ圧電素子120の幅が2mmである場合の音響出力装置の周波数応答曲線である。曲線L63は、音響出力装置(例えば、音響出力装置200)の減衰係数が1であり、音響出力装置の固定端と圧電素子120との間の距離と梁構造の長さとの比が0.2であり、圧電素子120がd31動作モードにあり、かつ圧電素子120の幅が2mmである場合の音響出力装置の周波数応答曲線である。いくつかの実施例では、圧電素子120の幅は、梁構造の幅と同じであってもよい。破線円Xにおける第1共振ピーク(又は低周波数ピークと呼ばれる)は、振動素子110と質量素子130との共振によって発生してもよい。該第1共振ピークは、音響出力装置200の低周波数帯域内での感度の向上に役立つ。
【0085】
図6に示すように、いくつかの実施例では、振動素子110及び質量素子130は、50Hz~2000Hzの範囲内に第1共振ピークを発生させることができる。いくつかの実施例では、振動素子110及び質量素子130は、100Hz~2000Hzの範囲内に第1共振ピークを発生させることができる。いくつかの実施例では、振動素子110及び質量素子130は、200Hz~2000Hzの範囲内に第1共振ピークを発生させることができる。いくつかの実施例では、振動素子110及び質量素子130は、500Hz~1500Hzの範囲内に第1共振ピークを発生させることができる。いくつかの実施例では、振動素子110及び質量素子130は、500Hz~1000Hzの範囲内に第1共振ピークを発生させることができる。
【0086】
曲線L61と曲線L62を参照して分かるように、圧電素子120がd33動作モードにある場合に比べて、圧電素子120がd31動作モードにある場合、音響出力装置は、低周波数帯域内でピーク値が高い第1共振ピークを発生させることができる。これにより、いくつかの実施例では、圧電素子120をd31動作モードにすることにより、音響出力装置の低周波数帯域での感度が向上することができる。
【0087】
いくつかの実施例では、音響出力装置に減衰構造を追加して、音響出力装置の減衰係数を増加させて、音響出力装置の振動応答曲線を比較的滑らかにさせることにより、音響出力装置の音質がさらに向上することができる。例えば、減衰材料(例えば、ブチロニトリル)を用いて振動素子110を製造することができる。また、例えば、振動素子110に減衰材料を追加し、例えば、減衰塗料を振動素子110の表面に塗布するか、又は振動素子110の内部に浸透させることができる。曲線L62と曲線L63を参照して分かるように、L63は、L62に対してより滑らかであるが、曲線L61の第1共振ピークのピーク値は、L63の第1共振ピークのピーク値より明らかに小さい。これにより、いくつかの実施例では、音響出力装置の減衰係数を適切に増加させることにより、その周波数応答曲線が平坦になり、それが高い音質を有することができる。しかしながら、音響出力装置の減衰係数が大きすぎると、音響出力装置の低周波数帯域内での第1共振ピークのピーク値が小さくなり、音響出力装置の低周波数帯域内での感度を低下させる。音響出力装置が高い音質を有し、かつ低周波数帯域内で高い感度を有することを保証するために、いくつかの実施例では、音響出力装置の減衰係数は、0~1であってもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置の減衰係数は、0~0.8であってもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置の減衰係数は、0.1~0.7であってもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置の減衰係数は、0.2~0.5であってもよい。
【0088】
図7は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
【0089】
図7に示すように、音響出力装置700の構造は、音響出力装置200の構造を基に変化している構造とみなすことができる。具体的には、音響出力装置700と音響出力装置200とは、音響出力装置200における固定端111が音響出力装置700において自由端111’として設けられ、また、音響出力装置700が第2質量素子150をさらに含んでもよいという点で相違する。振動素子110の長手方向において、質量素子130と第2質量素子150は、それぞれ圧電素子120の両側に位置してもよい。例示的な説明として、質量素子130と第2質量素子150は、それぞれ梁構造の長手方向の両端に接続されてもよく、例えば、第2質量素子150が自由端111’に接続され、質量素子130が自由端112に接続される。
【0090】
いくつかの実施例では、質量素子130と第2質量素子150の質量は、同じであってもよく、異なってもよい。図1に示すように、質量素子130の質量を調整することにより、第1共振ピークに対応する共振周波数の周波数範囲を調整することができる。梁構造の長さが一定である場合、質量素子130の質量が大きいほど、第1共振ピークに対応する共振周波数が小さくなる。いくつかの実施例では、質量素子130の質量は、5gより小さくてもよい。いくつかの実施例では、質量素子130の質量は、6gより小さくてもよい。いくつかの実施例では、質量素子130の質量は、8gより小さくてもよい。いくつかの実施例では、質量素子130の質量は、10gより小さくてもよい。
【0091】
図8は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【0092】
図8において、曲線L81は、音響出力装置700の第2質量素子150の質量が質量素子130の質量よりはるかに小さい(近似的には、第2質量素子150の質量と質量素子130の質量との比(図8においてnpで示す)が0であると見なすことができる)場合の周波数応答曲線である。曲線L82は、音響出力装置700の第2質量素子150の質量と質量素子130の質量との比が2である場合の周波数応答曲線である。曲線L83は、音響出力装置700の第2質量素子150の質量と質量素子130の質量との比が100である場合の周波数応答曲線である。
【0093】
図8から分かるように、第2質量素子150の質量と質量素子130の質量との比が大きくなるに連れて、曲線L81における第1共振ピーク811、曲線L82における第1共振ピーク821及び曲線L83における第1共振ピーク831にそれぞれ対応する共振周波数は、徐々に減少する。例示的な説明として、図8に示すように、第1共振ピーク811に対応する共振周波数は、約350Hzであり、第1共振ピーク821に対応する共振周波数は、約250Hzであり、第1共振ピーク831に対応する共振周波数は、約75Hzである。これにより、いくつかの実施例では、音響出力装置700がより低い周波数帯域内で第1共振ピークを発生させることを保証するために、第2質量素子150の質量は、質量素子130の質量より大きくてもよい。さらに、第2質量素子150の質量と質量素子130の質量との比を調整することにより、音響出力装置700の共振ピークに対応する共振周波数を変化させることができる。具体的には、第2質量素子150の質量と質量素子130の質量との比が大きいほど、音響出力装置700の共振ピークに対応する共振周波数が小さくなる。いくつかの実施例では、第2質量素子150の質量と質量素子130の質量との比は、0~5の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例では、第2質量素子150の質量と質量素子130の質量との比は、0~10の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例では、第2質量素子150の質量と質量素子130の質量との比は、0~20の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例では、第2質量素子150の質量と質量素子130の質量との比は、0~50の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例では、第2質量素子150の質量と質量素子130の質量との比は、0~100の範囲内にあってもよい。
【0094】
いくつかの実施例では、音響出力装置700において、第2質量素子150の質量が質量素子130の質量よりはるかに大きい(例えば、第2質量素子150の質量と質量素子130の質量との比が100以上である)場合、振動素子110(梁構造)は、第2質量素子150の一端に固定される傾向があってもよく、梁構造の第2質量素子150に接続された一端は、固定端と見なすことができ、この場合、音響出力装置700は、音響出力装置200と等価であってもよい。このように設定することにより、第2質量素子150を梁構造の固定境界(固定端)とすることにより、梁構造の固定端が音響出力装置(例えば、ハウジング構造内)において固定境界を見つけにくく、固定されにくいという問題を解決することができる。
【0095】
いくつかの実施例では、音響出力装置700において、第2質量素子150の質量が質量素子130の質量よりはるかに大きい場合、音響出力装置700は、音響出力装置200と等価であってもよい。したがって、音響出力装置200の関連説明から分かるように、音響出力装置700が低周波数帯域内で第1共振ピークを発生させることができることを保証するために、第2質量素子150と圧電素子120との間の距離と梁構造の長さとの比は、0.8より小さくてもよい。いくつかの実施例では、第2質量素子150と圧電素子120との間の距離と梁構造の長さとの比は、0.6より小さくてもよい。いくつかの実施例では、第2質量素子150と圧電素子120との間の距離と梁構造の長さとの比は、0.4より小さくてもよい。
【0096】
図9は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
【0097】
図9に示すように、音響出力装置900の構造は、音響出力装置200の構造を基に変化している構造とみなすことができる。具体的には、音響出力装置900と音響出力装置200とは、音響出力装置900が第2圧電素子140をさらに含んでもよいという点で相違する。第2圧電素子140は、梁構造の第3位置に貼り付けられてもよく、圧電素子120と第2圧電素子140は、振動素子110(又は梁構造と呼ばれる)の長手方向に間隔を隔てて設けられてもよい。
【0098】
いくつかの実施例では、第2圧電素子140と圧電素子120は、同じ又は類似の構造、材質などを有してもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と第2圧電素子140は、振動素子110(又は梁構造と呼ばれる)の長手方向に間隔を隔てて設けられ、かつ圧電素子120と第2圧電素子140が入力した電気信号は、同じであってもよく、このように、圧電素子120と第2圧電素子140とが直列接続されると見なすことができる。いくつかの実施例では、第2圧電素子140及び圧電素子120は、d31動作モードにあってもよく、圧電素子120及び第2圧電素子140の変形方向は、振動素子110の振動方向と垂直であってもよい。
【0099】
いくつかの実施例では、振動素子110の振動方向において、圧電素子120と第2圧電素子140は、梁構造の同じ側に位置してもよい。例えば、図9に示すように、圧電素子120と第2圧電素子140は、それぞれ梁構造の第1位置と第3位置に貼り付けられ、かつ梁構造の同じ側に位置してもよい。いくつかの実施例では、振動素子110の振動方向において、圧電素子120と第2圧電素子140は、梁構造の対向する両側に位置してもよい。例えば、圧電素子120と第2圧電素子140は、それぞれ梁構造の第1位置と第3位置に貼り付けられ、かつ梁構造の対向する両側に位置してもよい。
【0100】
なお、図9に示す圧電素子の数は、例示的な説明のためのものに過ぎず、本明細書の保護範囲を限定することを意図するものではない。いくつかの実施例では、音響出力装置900は、例えば、3つ、4つ、5つなどの2つ以上の圧電素子をさらに含んでもよい。2つ以上の圧電素子は、梁構造の長手方向に間隔を隔てて設けられてもよい。いくつかの実施例では、2つ以上の圧電素子のうちの隣接する2つの圧電素子の梁構造の長手方向における距離は、同じであっても異なってもよい。いくつかの実施例では、図9に示すように、圧電素子120と第2圧電素子140は、質量素子130の同じ側に位置してもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と第2圧電素子140は、それぞれ質量素子130の両側に位置してもよい。例えば、梁構造の長手方向において、圧電素子120、質量素子130及び第2圧電素子140が順に配置される。
【0101】
以下、音響出力装置900の周波数曲線図を参照しながら、音響出力装置900について詳細に説明する。
【0102】
図10は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【0103】
図10は、音響出力装置900の梁構造の長さが50mmであり、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さ(すなわち、圧電素子120と梁構造との貼り付け領域の梁構造の長手方向に沿うサイズ)がいずれも5mmであり、圧電素子120又は第2圧電素子140が固定端から4mm(図においてp1で示す)離れ、圧電素子120と第2圧電素子140との間に梁構造の長手方向に沿って異なる距離(図においてp12で示す)を有する場合の音響出力装置900の異なる周波数応答曲線を示す。圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離とは、圧電素子120の中心点(例えば、重心)と第2圧電素子140の中心点との間の距離を指してもよい。曲線L101、曲線L102及び曲線L103は、それぞれ、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が14mm、18mm及び22mmである場合の音響出力装置900の周波数応答曲線である。破線円Zは、振動素子110と質量素子130が低周波数帯域(例えば、50Hz~2000Hz)内で発生する第1共振ピークを示す。いくつかの実施例では、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離とは、圧電素子120と第2圧電素子140との梁構造の長手方向における間隔領域の長さを指してもよい。
【0104】
図10から分かるように、音響出力装置900の梁構造の長さが50mmであり、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さがいずれも5mmであり、圧電素子120又は第2圧電素子140が固定端から4mm離れ、かつ圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が18mmである場合、音響出力装置900の周波数応答曲線(すなわち、曲線L102)の中高周波数帯域(例えば、200Hz~2000Hz)内での曲線が比較的滑らかになり、具体的には、曲線L102において、中高周波数帯域内で共振ピーク及び/又は共振ディップが小さいか又はなく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が14mm又は22mmである場合、音響出力装置900の周波数応答曲線(すなわち、曲線L101又はL103)において、中高周波数帯域内で共振ピーク及び/又は共振ディップを有することが示される。例示的な説明として、図10に示すように、曲線L101は、200Hz~2000Hz内で共振ピーク1011と共振ディップ1012を有し、曲線L103は、200Hz~2000Hz内で共振ディップ1031と共振ピーク1032を有する。これにより、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離(例えば、18mm)を合理的に設計することにより、音響出力装置900の中高周波数帯域内で発生した共振ディップと共振ピーク(例えば、共振ピーク1011と共振ディップ1012、共振ディップ1031と共振ピーク1032)が重なり合うことができる(又は相殺と呼ばれる)ため、音響出力装置900の周波数応答曲線(例えば、曲線L102)が比較的平坦になることにより、音響出力装置900が高い音質を有することが保証される。
【0105】
図11は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【0106】
図11は、音響出力装置900の梁構造の長さが50mmであり、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さがいずれも5mmであり、圧電素子120又は第2圧電素子140が固定端から5mm離れ、圧電素子120と第2圧電素子140との間に梁構造の長手方向に沿って異なる距離を有する場合の音響出力装置900の異なる周波数応答曲線を示す。曲線L111、曲線L112及び曲線L113は、それぞれ、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が12mm、14mm及び18mmである場合の音響出力装置900の周波数応答曲線である。破線円Mは、振動素子110と質量素子130が低周波数帯域(例えば、50Hz~2000Hz)内で発生する第1共振ピークを示す。
【0107】
図11から分かるように、音響出力装置900の梁構造の長さが50mmであり、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さが5mmであり、圧電素子120又は第2圧電素子140が固定端から5mm離れ、かつ圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が14mmである場合、音響出力装置900の周波数応答曲線(すなわち、曲線L112)の中高周波数帯域(例えば、200Hz~2000Hz)内での曲線が比較的滑らかになり、具体的には、曲線L112において、中高周波数帯域内で共振ピーク及び/又は共振ディップが小さいか又はなく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が10mm又は18mmである場合、音響出力装置900の周波数応答曲線(すなわち、曲線L111又はL113)において、中高周波数帯域内で共振ピーク及び/又は共振ディップを有することが示される。例示的な説明として、図11に示すように、曲線L111は、200Hz~2000Hz内で共振ディップ1111と共振ピーク1112を有し、曲線L113は、200Hz~2000Hz内で共振ディップ1131と共振ピーク1132を有する。これから分かるように、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離(例えば、14mm)を合理的に設計することにより、音響出力装置900の中高周波数帯域内で発生した共振ディップと共振ピーク(例えば、共振ディップ1111と共振ピーク1112、共振ディップ1131と共振ピーク1132)が重なり合うことができる(又は相殺と呼ばれる)ため、音響出力装置900の周波数応答曲線(例えば、曲線L112)が比較的平坦になることにより、音響出力装置900が高い音質を有することが保証される。
【0108】
図12は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【0109】
図12は、音響出力装置900の梁構造の長さが50mmであり、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さがいずれも5mmであり、圧電素子120又は第2圧電素子140が固定端から6mm離れ、圧電素子120と第2圧電素子140との間に梁構造の長手方向に沿って異なる距離を有する場合に対応する音響出力装置900の異なる周波数応答曲線を示す。曲線L121、曲線L122及び曲線L123は、それぞれ、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が10mm、12mm及び14mmである場合の音響出力装置900の周波数応答曲線である。破線円Nは、振動素子110と質量素子130が低周波数帯域(例えば、50Hz~2000Hz)内で発生する第1共振ピークを示す。
【0110】
図12から分かるように、音響出力装置900の梁構造の長さが50mmであり、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さが5mmであり、圧電素子120又は第2圧電素子140が固定端から6mm離れ、かつ圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が12mmである場合、音響出力装置900の周波数応答曲線(すなわち、曲線L122)の中高周波数帯域(例えば、200Hz~2000Hz)内での曲線が比較的滑らかになり、具体的には、曲線L122において、中高周波数帯域内で共振ピーク及び/又は共振ディップが小さいか又はなく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が10mm又は14mmである場合、音響出力装置900の周波数応答曲線(すなわち、曲線L121又はL123)において、中高周波数帯域内で共振ピーク及び/又は共振ディップを有することが示される。例示的な説明として、図12に示すように、曲線L121は、200Hz~2000Hz内で共振ディップ1211と共振ピーク1212を有し、曲線L123は、200Hz~2000Hz内で共振ディップ1231と共振ピーク1232を有する。これから分かるように、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離(例えば、12mm)を合理的に設計することにより、音響出力装置900の中高周波数帯域内で発生した共振ディップと共振ピーク(例えば、共振ディップ1211と共振ピーク1212、共振ディップ1231と共振ピーク1232)が重なり合うことができる(又は相殺と呼ばれる)ため、音響出力装置900の周波数応答曲線(例えば、曲線L122)が比較的平坦になることにより、音響出力装置900が高い音質を有することが保証される。
【0111】
図10図12に示すように、梁構造の長さ、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さが変化しない場合、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端111との間の距離が増加する(例えば、図10図12において順に4mm、5mm、6mmである)に連れて、重なり合った共振ピーク及び共振ディップに対応する圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が徐々に減少する(例えば、図10図12において順に18mm、14mm、12mmである)。これにより、いくつかの実施例では、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端111との間の異なる距離に基づいて、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離を調整することができる。単なる例として、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端111との間の距離が増加する場合、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離を適切に減少させることにより、共振ピークと共振ディップが重なり合うことができるため、音響出力装置900の周波数応答曲線が比較的平坦になり、音響出力装置900の音質が向上する。例えば、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端111との間の距離と梁構造の長さとの比は、0.05より大きく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離と梁構造の長さとの比は、0.5より小さくてもよい。また、例えば、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端111との間の距離と梁構造の長さとの比は、0.08より大きく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離と梁構造の長さとの比は、0.4より小さくてもよい。また、例えば、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端111との間の距離と梁構造の長さとの比は、0.1より大きく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離と梁構造の長さとの比は、0.3より小さくてもよい。また、例えば、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端111との間の距離と梁構造の長さとの比は、0.12より大きく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離と梁構造の長さとの比は、0.25より小さくてもよい。
【0112】
図13は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【0113】
図13は、音響出力装置900の梁構造の長さ(図においてlbで示す)が37.5mmであり、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さがいずれも5mmであり、圧電素子120又は第2圧電素子140が固定端から4mm離れ、圧電素子120と第2圧電素子140との間に梁構造の長手方向に沿って異なる距離を有する場合に対応する音響出力装置900の異なる周波数応答曲線を示す。曲線L131、曲線L132及び曲線L133は、それぞれ、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が8mmである場合の音響出力装置900の周波数応答曲線である。破線円O内には、振動素子110と質量素子130が低周波数帯域(例えば、50Hz~2000Hz)内で発生する第1共振ピークである。
【0114】
図13から分かるように、音響出力装置900の梁構造の長さが37.5mmであり、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さが5mmであり、圧電素子120又は第2圧電素子140が固定端から4mm離れ、かつ圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が9mmである場合、音響出力装置900の周波数応答曲線(すなわち、曲線L132)の中高周波数帯域(例えば、200Hz~2000Hz)内での曲線が比較的滑らかになり、具体的には、曲線L132において、中高周波数帯域内で共振ピーク及び/又は共振ディップが小さいか又はなく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が8mm又は10mmである場合、音響出力装置900の周波数応答曲線(すなわち、曲線L131又はL133)において、中高周波数帯域内で共振ピーク及び/又は共振ディップを有することが示される。例示的な説明として、図13に示すように、曲線L131は、200Hz~2000Hz内で共振ディップ1311と共振ピーク1312を有し、曲線L133は、200Hz~2000Hz内で共振ディップ1331と共振ピーク1332を有する。これから分かるように、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離(例えば、9mm)を合理的に設計することにより、音響出力装置900の中高周波数帯域内で発生した共振ディップと共振ピーク(例えば、共振ディップ1311と共振ピーク1312、共振ディップ1331と共振ピーク1332)が重なり合うことができる(又は相殺と呼ばれる)ため、音響出力装置900の周波数応答曲線が比較的平坦になることにより、音響出力装置900が高い音質を有することが保証される。
【0115】
図14は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【0116】
図14は、音響出力装置900の梁構造の長さが37.5mmであり、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さがいずれも5mmであり、圧電素子120又は第2圧電素子140が固定端から5mm離れ、圧電素子120と第2圧電素子140との間に梁構造の長手方向に沿って異なる距離を有する場合の音響出力装置900の異なる周波数応答曲線を示す。曲線L141、曲線L142及び曲線L143は、それぞれ、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が5.6mm、6.2mm及び6.8mmである場合の音響出力装置900の周波数応答曲線である。破線円P内には、振動素子110と質量素子130が低周波数帯域(例えば、50Hz~2000Hz)内で発生する第1共振ピークである。
【0117】
図14から分かるように、音響出力装置900の梁構造の長さが37.5mmであり、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さが5mmであり、圧電素子120又は第2圧電素子140が固定端から5mm離れ、かつ圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が6.2mmである場合、音響出力装置900の周波数応答曲線(すなわち、曲線L142)の中高周波数帯域(例えば、200Hz~2000Hz)内での曲線が比較的滑らかになり、具体的には、曲線L142において、中高周波数帯域内で共振ピーク及び/又は共振ディップが小さいか又はなく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が5.6mm又は6.8mmである場合、音響出力装置900の周波数応答曲線(すなわち、曲線L141又はL143)において、中高周波数帯域内で共振ピーク及び/又は共振ディップを有することが示される。例示的な説明として、図14に示すように、曲線L141は、200Hz~2000Hz内で共振ディップ1411と共振ピーク1412を有し、曲線L143は、200Hz~2000Hz内で共振ディップ1431と共振ピーク1432を有する。これから分かるように、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離(例えば、6.2mm)を合理的に設計することにより、音響出力装置900の中高周波数帯域内で発生した共振ディップと共振ピーク(例えば、共振ディップ1411と共振ピーク1412、共振ディップ1431と共振ピーク1432)が重なり合うことができる(又は相殺と呼ばれる)ため、音響出力装置900の周波数応答曲線が比較的平坦になることにより、音響出力装置900が高い音質を有することが保証される。
【0118】
図13及び図14に示すように、梁構造の長さ、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さが変化しない場合、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端111との間の距離が増加する(例えば、図13及び図14において順に4mm、5mmである)に連れて、重なり合った共振ピーク及び共振ディップに対応する圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が徐々に減少する(例えば、図13及び図14において順に9mm、6.2mmである)。これにより、いくつかの実施例では、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端111との異なる距離に基づいて、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離を調整することができる。単なる例として、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端111との間の距離が増加する場合、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離を適切に減少させることにより、共振ピークと共振ディップが重なり合うことができるため、音響出力装置900の周波数応答曲線が比較的平坦になり、音響出力装置900の音質が向上する。例えば、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端111との間の距離と梁構造の長さとの比は、0.1より大きく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離と梁構造の長さとの比は、0.25より小さくてもよい。また、例えば、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端111との間の距離と梁構造の長さとの比は、0.13より大きく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離と梁構造の長さとの比は、0.2より小さくてもよい。
【0119】
図15は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【0120】
図15は、音響出力装置900の梁構造の長さが25mmであり、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さがいずれも5mmであり、圧電素子120又は第2圧電素子140が固定端から4mm離れ、圧電素子120と第2圧電素子140との間に梁構造の長手方向に沿って異なる距離を有する場合に対応する音響出力装置900の異なる周波数応答曲線を示す。曲線L151、曲線L152及び曲線L153は、それぞれ、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が0.5mm、1.5mm及び2.5mmである場合の音響出力装置900の周波数応答曲線である。破線円Q内には、振動素子110と質量素子130が低周波数帯域(例えば、50Hz~2000Hz)内で発生する第1共振ピークである。
【0121】
図15から分かるように、音響出力装置900の梁構造の長さが25mmであり、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さが5mmであり、圧電素子120又は第2圧電素子140が固定端から4mm離れ、かつ圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が1.5mmである場合、音響出力装置900の周波数応答曲線(すなわち、曲線L152)の中高周波数帯域(例えば、300Hz~3000Hz)内での曲線が比較的滑らかになり、具体的には、曲線L152において、中高周波数帯域内で共振ピーク及び/又は共振ディップが小さいか又はなく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が0.5mm又は2.5mmである場合、音響出力装置900の周波数応答曲線(すなわち、曲線L151又はL153)において、中高周波数帯域内で共振ピーク及び/又は共振ディップを有することが示される。例示的な説明として、図15に示すように、曲線L151は、300Hz~3000Hz内で共振ディップ1511と共振ピーク1512を有し、曲線L153は、300Hz~3000Hz内で共振ディップ1531と共振ピーク1532を有する。これから分かるように、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離(例えば、1.5mm)を合理的に設計することにより、音響出力装置900の中高周波数帯域内で発生した共振ディップと共振ピーク(例えば、共振ディップ1511と共振ピーク1512、共振ディップ1531と共振ピーク1532)が重なり合うことができる(又は相殺と呼ばれる)ため、音響出力装置900の周波数応答曲線が比較的平坦になることにより、音響出力装置900が高い音質を有することが保証される。
【0122】
図10図13及び図15に示すように、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さ、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端111との間の距離が変化しない場合、梁構造の長さが減少する(例えば、図10図13及び図15において順に50mm、37.5mm、25mmである)に連れて、重なり合った共振ピーク及び共振ディップに対応する圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が徐々に減少する(例えば、図10図13及び図15において順に18mm、9mm、1.5mmである)。これにより、いくつかの実施例では、異なる梁構造の長さに基づいて、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離を調整することができる。単なる例として、梁構造の長さが減少する場合、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離を適切に減少させることにより、共振ピークと共振ディップが重なり合うことができるため、音響出力装置900の周波数応答曲線が比較的平坦になり、音響出力装置900の音質が向上する。例えば、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離と梁構造の長さとの比は、0.6より小さくてもよい。また、例えば、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離と梁構造の長さとの比は、0.4より小さくてもよい。また、例えば、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離と梁構造の長さとの比は、0.2より小さくてもよい。また、例えば、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離と梁構造の長さとの比は、0.1より小さくてもよい。
【0123】
図16は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【0124】
図16は、音響出力装置900の梁構造の長さが50mmであり、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さ(図においてlpで示す)がいずれも25mmであり、圧電素子120又は第2圧電素子140が固定端から4mm離れ、圧電素子120と第2圧電素子140との間に梁構造の長手方向に沿って異なる距離を有する場合に対応する音響出力装置900の異なる周波数応答曲線を示す。曲線L161、曲線L162及び曲線L163は、それぞれ、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が-4mm、-2.5mm及び-1mmである場合の音響出力装置900の周波数応答曲線である。破線円R内には、振動素子110と質量素子130が低周波数帯域(例えば、50Hz~2000Hz)内で発生する第1共振ピークである。圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離とは、圧電素子120の中心点(例えば、重心)と第2圧電素子140の中心点との間の距離を指してもよい。なお、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が0である場合、圧電素子120の中心点と第2圧電素子140の中心点との梁構造の振動方向に沿う投影が重なると理解されてもよい。圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が正数である場合、1つの圧電素子(例えば、第2圧電素子140)の位置が変化せず、もう1つの圧電素子(例えば、圧電素子120)が梁構造の長手方向に沿って質量素子130に向かってずれる場合の、圧電素子120と第2圧電素子140の中心点との間の距離として理解されてもよい。圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が負数である場合、1つの圧電素子(例えば、第2圧電素子140)の位置が変化せず、もう1つの圧電素子(例えば、圧電素子120)が梁構造の長手方向に沿って固定端111に向かってずれる場合の、圧電素子120と第2圧電素子140の中心点との間の距離として理解されてもよい。
【0125】
図16から分かるように、音響出力装置900の梁構造の長さが50mmであり、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さが25mmであり、圧電素子120又は第2圧電素子140が固定端から4mm離れ、かつ圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が-2.5mmである場合、音響出力装置900の周波数応答曲線(すなわち、曲線L162)の中高周波数帯域(例えば、300Hz~3000Hz)内での曲線が比較的滑らかになり、具体的には、曲線L162において、中高周波数帯域内で共振ピーク及び/又は共振ディップが小さいか又はなく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が-4mm又は-1mmである場合、音響出力装置900の周波数応答曲線(すなわち、曲線L161又はL163)において、中高周波数帯域内で共振ピーク及び/又は共振ディップを有することが示される。例示的な説明として、図16に示すように、曲線L161は、300Hz~3000Hz内で共振ディップ1611と共振ピーク1612を有し、曲線L163は、300Hz~3000Hz内で共振ディップ1631と共振ピーク1632を有する。これから分かるように、梁構造の長手方向に沿う圧電素子120と第2圧電素子140との間の距離(例えば、-2.5mm)を合理的に設計することにより、音響出力装置900の中高周波数帯域内で発生した共振ディップと共振ピーク(例えば、共振ディップ1611と共振ピーク1612、共振ディップ1631と共振ピーク1632)が重なり合うことができる(又は相殺と呼ばれる)ため、音響出力装置900の周波数応答曲線が比較的平坦になることにより、音響出力装置900が高い音質を有することが保証される。
【0126】
図10及び図16に示すように、梁構造の長さ、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端111との間の距離が変化しない場合、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さが増加する(例えば、図10及び図16において順に5mm、25mmである)に連れて、重なり合った共振ピーク及び共振ディップに対応する圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離が徐々に減少する(例えば、図10及び図16において順に18mm、-2.5mmである)。これにより、いくつかの実施例では、圧電素子120及び第2圧電素子140の異なる長さに基づいて、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離を調整することができる。単なる例として、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さが増加する場合、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離を適切に減少させることにより、共振ピークと共振ディップが重なり合うことができるため、音響出力装置900の周波数応答曲線が比較的平坦になり、音響出力装置900の音質が向上する。例えば、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さと梁構造の長さとの比は、0.05より大きく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離と梁構造の長さとの比は、0.4より小さくてもよい。また、例えば、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さと梁構造の長さとの比は、0.1より大きく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離と梁構造の長さとの比は、0.3より小さくてもよい。また、例えば、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さと梁構造の長さとの比は、0.2より大きく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離と梁構造の長さとの比は、0.1より小さくてもよい。また、例えば、圧電素子120及び第2圧電素子140の長さと梁構造の長さとの比は、0.4より大きく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の、梁構造の長手方向に沿う距離と梁構造の長さとの比は、0より小さくてもよい。
【0127】
図10図16に示すように、圧電素子120と第2圧電素子140との間の距離を合理的に設計することにより、音響出力装置900の周波数応答曲線(例えば、曲線L102、L112、L122、L132、L142、L152及びL162)が中高周波数帯域内で滑らかになり、音響出力装置900が高い音質を有することができる。いくつかの実施例では、梁構造の長さは、50mmより小さくてもよく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の距離は、25mmより小さくてもよい。いくつかの実施例では、梁構造の長さは、50mmより小さくてもよく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の距離は、22mmより小さくてもよい。いくつかの実施例では、梁構造の長さは、50mmより小さくてもよく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の距離は、18mmより小さくてもよい。いくつかの実施例では、梁構造の長さは、50mmより小さくてもよく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の距離は、14mmより小さくてもよい。いくつかの実施例では、梁構造の長さは、40mmより小さくてもよく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の距離は、10mmより小さくてもよい。いくつかの実施例では、梁構造の長さは、40mmより小さくてもよく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の距離は、7mmより小さくてもよい。いくつかの実施例では、梁構造の長さは、40mmより小さくてもよく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の距離は、2.5mmより小さくてもよい。いくつかの実施例では、梁構造の長さは、30mmより小さくてもよく、圧電素子120と第2圧電素子140との間の距離は、-1mmより小さくてもよい。
【0128】
曲線L101、曲線L112及び曲線L123から分かるように、梁構造の長さ、圧電素子120の長さ及び圧電素子120と第2圧電素子140との間の距離が一定である場合、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端との間の距離(例えば、図9に示す第2圧電素子140と固定端との間の距離)が大きくなると、音響出力装置900が低周波数帯域内で発生する第1共振ピークのピーク値が大きくなる。例示的な説明として、曲線L101の破線円Z内の第1共振ピークのピーク値は、約170dBであり、曲線112の破線円M内の第1共振ピークのピーク値は、約175dBであり、曲線L123の破線円N内の第1共振ピークのピーク値は、約180dBである。いくつかの実施例では、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端との間の距離を増加させて、音響出力装置900の低周波数帯域内での第1共振ピークのピーク値を向上させることにより、音響出力装置900の低周波数帯域内での感度が向上することができる。いくつかの実施例では、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端との間の距離は、3mmより大きくてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端との間の距離は、4mmより大きくてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端との間の距離は、5mmより大きくてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端との間の距離は、6mmより大きくてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120又は第2圧電素子140と固定端との間の距離は、7mmより大きくてもよい。
【0129】
図17は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
【0130】
図17に示すように、音響出力装置1700の構造は、音響出力装置200の構造を基に変化している構造とみなすことができる。具体的には、音響出力装置1700と音響出力装置200とは、音響出力装置1700が第2振動素子160をさらに含み、振動素子110と第2振動素子160が質量素子130の両側に対称に設けられるという点で相違する。音響出力装置1700は、第2振動素子160に接続された(又は貼り付けられた)第3圧電素子170を含んでもよく、第3圧電素子170と圧電素子120は、質量素子130の両側に対称に設けられる。いくつかの実施例では、圧電素子120と第3圧電素子170はそれぞれ、質量素子130の両側に位置する2つの圧電梁に設けられ、かつ圧電素子120と第3圧電素子170が入力した電気信号は、同じであってもよく、このように圧電素子120が第3圧電素子170に並列接続されると見なすことができる。いくつかの実施例では、第2振動素子160と振動素子110の振動方向は、同じである。いくつかの実施例では、圧電素子120及び第3圧電素子170は、d31動作モードにあってもよく、圧電素子120及び第3圧電素子170の変形方向は、振動素子110及び第2振動素子160の振動方向と垂直であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120及び第3圧電素子170は、d33の動作モードにあってもよく、圧電素子120及び第3圧電素子170の変形方向は、振動素子110の振動方向と平行であってもよい。いくつかの実施例では、振動素子110及び第2振動素子160の質量素子130から離れた一端は、固定的に設けられる(すなわち、固定端である)。例えば、振動素子110及び第2振動素子160の質量素子130から離れた一端は、音響出力装置1700の他の部品(例えば、ハウジング)に固定されてもよい。また、例えば、圧電素子120と第3圧電素子170は、d33の動作モードにあってもよく、圧電素子120と第3圧電素子170は、振動素子110と第2振動素子160の振動方向に沿う一端が固定され、他端が振動素子110及び第2振動素子160の質量素子130から離れた一端にそれぞれ貼り付けられることにより、振動素子110及び第2振動素子160の質量素子130から離れた一端が質量素子130に対して固定的に設けられてもよい。第2振動素子160と第3圧電素子170に関するより多くの説明については、それぞれ振動素子110と圧電素子120の関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0131】
図18は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【0132】
図18において、曲線L181は、振動素子110と第2振動素子160との間に質量素子が接続されない(又は振動素子110と第2振動素子160の無負荷と呼ばれる)場合の周波数応答曲線である。曲線L182は、振動素子110と第2振動素子160との間に質量素子が接続される(又は振動素子110と第2振動素子160の負荷と呼ばれる)場合の周波数応答曲線である。
【0133】
図18に示すように、曲線L181と曲線L182における隣接する共振ピークの間の曲線は、滑らかであり、共振ディップが存在しない。これからわかるように、圧電シートが並列接続された構造を設けることにより、音響出力装置1700の周波数応答曲線に共振ディップが発生せず、周波数応答曲線がより滑らかになり、音響出力装置1700の音質の向上に役立つことができる。加えて、曲線L181の共振ピーク1811と曲線L182の共振ピーク1821とを比較すると、振動素子110と第2振動素子160との間に質量素子130が接続された場合、共振ピークに対応する共振周波数が小さくなることが分かる。したがって、質量素子130の質量を変化させて、音響出力装置1700が低周波数帯域(例えば、100Hz~1000Hz)で発生する共振ピークに対応する共振周波数を変化させることができる。
【0134】
図19は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
【0135】
図19に示すように、音響出力装置1900の構造は、音響出力装置200の構造を基に変化している構造とみなすことができる。具体的には、音響出力装置1900と音響出力装置200とは、音響出力装置1900が質量素子130に接続された第3振動素子180をさらに含んでもよいという点で相違する。なお、第3振動素子180の振動方向は、振動素子110の振動方向と平行である。さらに、音響出力装置1900は、第3振動素子180に接続されてもよい第4圧電素子190をさらに含んでもよい。いくつかの実施例では、第4圧電素子190がd31動作モードにある場合、第4圧電素子190の変形方向は、第3振動素子180の振動方向と垂直である。いくつかの実施例では、第3振動素子180と振動素子110は、同じ又は異なる構造、材質などを有してもよい。いくつかの実施例では、第4圧電素子190と圧電素子120は、同じ又は異なる構造、材質などを有してもよい。いくつかの実施例では、図19に示すように、第3振動素子180の質量素子130の両側に位置する梁構造は、対称に設けられてもよい。いくつかの実施例では、第4圧電素子190は、質量素子130の両側に位置する2つの圧電シートを含んでもよい。いくつかの実施例では、第4圧電素子190は、第3振動素子180を完全に覆ってもよいか、又は第3振動素子180を部分的に覆ってもよい1つの圧電シートを含んでもよい。第3振動素子180及び第4圧電素子190に関するより多くの説明については、それぞれ振動素子110及び圧電素子120の関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0136】
なお、図19に示す音響出力装置1900は、例示的な説明のためのものに過ぎず、本明細書の保護範囲を限定することを意図するものではない。当業者であれば、本願の説明に基づいて様々な変更及び修正を行うことができる。例えば、第4圧電素子190は、第3振動素子180を完全に覆ってもよいか、又は第3振動素子180を部分的に覆ってもよい1つの圧電シートを含んでもよい。また、例えば、圧電素子120は、振動素子110を完全に覆ってもよい1つの圧電シートを含んでもよい。
【0137】
いくつかの実施例では、振動素子110は、片持ち梁構造を有してもよい。上記片持ち梁は、固定端111及び自由端112を有する。質量素子130は、自由端112で振動素子110に接続される。いくつかの実施例では、第3振動素子180は、梁構造を有してもよい。例えば、第3振動素子180は、少なくとも一部(例えば、長手方向の中心領域)が質量素子130に接続され、両端が自由端である自由梁であってもよい。いくつかの実施例では、第3振動素子180又は振動素子110の振動方向に沿う投影平面において、第3振動素子180の長手方向(すなわち、自由梁の長軸方向)と振動素子110の長手方向との間の夾角は、90°であってもよい。いくつかの実施例では、質量素子130と第3振動素子180との接続位置は、第3振動素子180の長手方向における中心に位置してもよく、すなわち、振動素子110と第3振動素子180は、「T」形構造(又はT形梁と呼ばれる)を形成してもよい。いくつかの実施例では、第3振動素子180の長手方向と振動素子110の長手方向との間の夾角は、90°より小さくてもよいか、又は90°より大きくてもよい。いくつかの実施例では、質量素子130と第3振動素子180との接続位置は、第3振動素子180の長手方向における任意の位置に位置してもよい。
【0138】
いくつかの実施例では、振動素子110と第3振動素子180は、一体成形された「T」形構造又は他の構成の構造であってもよい。他の構成は、振動素子110の長手方向(すなわち、図中のx方向)において、振動素子110の異なる位置の幅(すなわち、図中のy方向)が異なり、例えば、自由端に近いほど幅が大きくなるか、又は自由端に近いほど幅が小さくなるなどを含む。
【0139】
図20は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【0140】
図20において、曲線L201は、圧電素子120が独立して励起された場合に発生する周波数応答曲線(すなわち、振動素子110(又は片持ち梁と呼ばれる)が振動するように質量素子130を駆動する場合に発生する周波数応答曲線)である。曲線L202は、第4圧電素子190が独立して励起された場合に発生する周波数応答曲線(すなわち、第3振動素子180(又は自由梁と呼ばれる)と質量素子130が振動する場合に発生する周波数応答曲線)である。曲線L203は、音響出力装置1900における圧電素子120と第4圧電素子190が同時に励起された場合の周波数応答曲線(すなわち、振動素子110、第3振動素子180及び質量素子130が同時に(又はT形梁と呼ばれる)振動する場合に発生する周波数応答曲線)である。
【0141】
図20に示すように、曲線L201は、人間の耳の可聴域(例えば、20Hz~20000Hz)内で少なくとも2つの共振ピーク(例えば、第1共振ピーク2011及び第2共振ピーク2012)が存在する。第1共振ピーク2011と第2共振ピーク2012との間に共振ディップ2013が存在する。いくつかの実施例では、第1共振ピーク2011の周波数は、50Hz~2000Hzの範囲内にあってもよい。共振ディップ2013の周波数は、約1330Hzである。曲線L202は、人間の耳の可聴域(例えば、20Hz~20000Hz)内で少なくとも1つの共振ピーク(例えば、共振ピーク2021)が存在する。共振ピーク2021の周波数は、約1330Hzである。曲線L203は、人間の耳の可聴域(例えば、20Hz~20000Hz)内で少なくとも2つの共振ピーク(例えば、第1共振ピーク2031及び第2共振ピーク2032)が存在する。図20から分かるように、曲線L203は、第1共振ピーク2031と第2共振ピーク2032との間に共振ディップが現れていない。これは、共振ピーク2021が、周波数が同じである共振ディップ2013を補うため、曲線L203は、第1共振ピーク2031と第2共振ピーク2032との間に共振ディップが現れていないからである。また、100Hzより大きい周波数範囲内で、曲線L203の振幅は、曲線L201より向上している。
【0142】
これにより、いくつかの実施例では、第3振動素子180及び質量素子130が振動して低周波数帯域(例えば、50Hz~2000Hz)で発生する共振ピーク(説明の便宜上、以下、第3振動素子180に対応する共振ピークと呼ばれる)により、振動素子110及び質量素子130が振動して発生する第1共振ピークと第2共振ピークとの間の共振ディップ(説明の便宜上、以下、振動素子110に対応する共振ディップと呼ばれる)を補うことにより、音響出力装置1900の周波数応答曲線は、第1共振ピークと第2共振ピークとの間に共振ディップがなく、第1共振ピークと第2共振ピークとの間の曲線がより滑らかになり、音響出力装置の音質の向上に役立つことができる。
【0143】
いくつかの実施例では、振動素子110に対応する第1共振ピークの周波数fと第2共振ピークの周波数fとの比は、5~30の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例では、振動素子110に対応する第1共振ピークの周波数fと第2共振ピークの周波数fとの比は、6~25の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例では、振動素子110に対応する第1共振ピークの周波数fと第2共振ピークの周波数fとの比は、8~20の範囲内にあってもよい。いくつかの実施例では、振動素子110に対応する第1共振ピークの周波数fと第2共振ピークの周波数fとの比は、10~18の範囲内にあってもよい。
【0144】
いくつかの実施例では、梁構造(例えば、振動素子110に対応する片持ち梁又は第3振動素子180に対応する自由梁)の共振周波数は、式(2)に基づいて決定することができる。
【0145】
【数2】
【0146】
ここで、lは、梁構造の長さを示し、EIは、梁構造の曲げ剛性を示し、ρは、梁構造の単位長さ密度を示し、βlは、第i次共振固有値に関する係数を示す。式(2)から分かるように、梁構造の曲げ剛性EI及びρlが変化しない場合、梁構造の共振周波数は、βlに連れて変化する。
【0147】
いくつかの実施例では、質量素子130に接続された振動素子110(片持ち梁)の周波数方程式は、以下のように表すことができる。
【0148】
【数3】
【0149】
ここで、αは、質量素子130の質量と振動素子110の質量との比を示し、βは、片持ち梁に対応する第i次共振固有値に関する係数を示す。式(3)を解いて得られたβの値は、以下の表1に示される。
【0150】
【表1】
【0151】
いくつかの実施例では、第3振動素子180(自由梁)の周波数方程式は、以下のように表すことができる。
【0152】
【数4】
【0153】
ここで、βは、自由梁に対応する第i次共振固有値に関する係数を示す。式(4)を解いて得られたβの値は、4.730、7.853…(i=1、2…)である。
【0154】
第3振動素子180に対応する共振ピークが振動素子110に対応する共振ディップを補うことができることを保証するために、いくつかの実施例では、第3振動素子180に対応する共振ピークの周波数
【0155】
【数5】
【0156】
と振動素子110に対応する第2共振ピークに対応する周波数fとの比は、2より小さくてもよい。いくつかの実施例では、第3振動素子180に対応する共振ピークの周波数
【0157】
【数6】
【0158】
と振動素子110に対応する第2共振ピークの周波数fとの比は、1.5より小さくてもよい。いくつかの実施例では、第3振動素子180に対応する共振ピークの周波数
【0159】
【数7】
【0160】
と振動素子110に対応する第2共振ピークの周波数fとの比は、1より小さくてもよい。いくつかの実施例では、第3振動素子180に対応する共振ピークの周波数
【0161】
【数8】
【0162】
と振動素子110に対応する第2共振ピークの周波数fとの比は、0.5より小さくてもよい。いくつかの実施例では、第3振動素子180に対応する共振ピークが振動素子110に対応する共振ディップを補うことができることを保証するために、第3振動素子180に対応する共振ピークの周波数
【0163】
【数9】
【0164】
は、振動素子110に対応する共振ディップの周波数付近に位置してもよく(例えば、共振ディップ2013と共振ピーク2021に対応する共振周波数は、いずれも約1330Hzである)、これにより、第3振動素子180に対応する共振ピークの周波数
【0165】
【数10】
【0166】
は、振動素子110に対応する第2共振ピークに対応する共振周波数fより小さくてもよく、すなわち、
【0167】
【数11】
【0168】
ここで、βの値は、4.730であり、式(5)は、以下のように表すことができる。
【0169】
【数12】
【0170】
式(6)及び表1に基づいて、いくつかの実施例では、第3振動素子180の長さと振動素子110の長さとの比は、0.7より大きくてもよい。いくつかの実施例では、第3振動素子180の長さと振動素子110の長さとの比は、1より大きくてもよい。いくつかの実施例では、第3振動素子180の長さと振動素子110の長さとの比は、1.2より大きくてもよい。
【0171】
また、曲線L201及び曲線L203から分かるように、中高周波数帯域(200Hz~20000Hz)内で、曲線L203の振幅は、いずれも曲線L201の振幅より大きい。これにより、いくつかの実施例では、100Hzより大きい範囲内で、第3振動素子180は、質量素子130の振動振幅を増加させることができる。したがって、音響出力装置1900と同じ又は類似の構造を用いることにより、音響出力装置は、中高周波数帯域内で高い感度を有することができる。
【0172】
図21は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【0173】
図21において、曲線L211は、圧電素子120が独立して励起された場合の周波数応答曲線(すなわち、振動素子110(又は片持ち梁と呼ばれる)が振動するように質量素子130を駆動する場合に発生する周波数応答曲線)である。曲線L212は、第4圧電素子190が独立して励起された場合の周波数応答曲線(すなわち、第3振動素子180(又は自由梁と呼ばれる)と質量素子130が振動する場合に発生する周波数応答曲線)である。曲線L213、曲線L214、曲線L215及び曲線L216は、それぞれ、音響出力装置1900における圧電素子120と第4圧電素子190が同時に励起され、励起信号の位相差(図においてthetaで示す)が0°、45°、135°及び180°である場合の周波数応答曲線である。
【0174】
曲線L213、曲線L214、曲線L215及び曲線L216から分かるように、音響出力装置1900における圧電素子120と第4圧電素子190との励起信号の位相差が135°を超えると、音響出力装置1900の周波数応答曲線は、第1共振ピークと第2共振ピークとの間に共振ディップ(例えば、曲線L216における共振ディップ2161)が現れ、これは、振動素子110と第3振動素子180の振動が逆相で打ち消し合うことによって引き起こされる。したがって、音響出力装置1900の周波数応答曲線は、第1共振ピークと第2共振ピークとの間に共振ディップが現れず、大きな平坦曲線範囲を有することにより、高い音質を有するようにするために、いくつかの実施例では、圧電素子120と第4圧電素子190との励起信号の位相差は、135°以下であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と第4圧電素子190との励起信号の位相差は、90°以下であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と第4圧電素子190との励起信号の位相差は、60°以下であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と第4圧電素子190との励起信号の位相差は、45°以下であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と第4圧電素子190との励起信号の位相差は、30°以下であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子120と第4圧電素子190との励起信号の位相差は、0°であってもよい。
【0175】
図22は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の周波数応答曲線図である。
【0176】
図22において、曲線L221、曲線L222、曲線L223、曲線L224及び曲線L225は、それぞれ、音響出力装置1900の第3振動素子180の長さ(図においてlp_d2で示す)が0mm(すなわち、音響出力装置1900が第3振動素子180を含まず、音響出力装置200に相当すると見なすことができる)、20mm、22mm、24mm及び30mmである場合の周波数応答曲線である。振動素子110の長さ(図においてlp_dで示す)は、いずれも20mmである。曲線L221、曲線L222、曲線L223、曲線L224及び曲線L225から分かるように、第3振動素子180の長さが24mmより小さい場合、曲線L221、曲線L222、曲線L223は、2250Hz付近にいずれも共振ディップを有し、第3振動素子180の長さの増加により、音響出力装置1900の周波数応答曲線の中高周波数帯域(例えば、2000Hz~20000Hz)内での振幅のみが増加し、すなわち、音響出力装置1900の中高周波数帯域内での感度が増加することができる。第3振動素子180の長さが24mmを超える場合、曲線L224及び曲線L225は、第1共振ピークと第2共振ピークとの間に共振ディップがないため、音響出力装置1900の周波数応答曲線がより平坦になり、音質の向上に役立つ。また、曲線L224及び曲線L225から分かるように、第3振動素子180の長さが増加するに連れて、周波数応答曲線の振幅も増加し、音響出力装置1900の感度の向上に役立つ。また、第3振動素子180の長さが増加するに連れて、音響出力装置1900の周波数応答曲線は、中高周波数帯域(例えば、2000Hz~20000Hz)内での共振ピークが左にシフトする(すなわち、低周波数にシフトする)。これにより、第3振動素子180の長さを調整することにより、音響出力装置1900の振動性能の要件を満たすことができる。
【0177】
以上のことから分かるように、音響出力装置1900において、第3振動素子180の長さを長くすることにより、音響出力装置1900の感度及び音質が向上することができる。いくつかの実施例では、振動素子110の長さは、20mmであってもよく、第3振動素子180の長さは、24mmより大きくてもよい。いくつかの実施例では、第3振動素子180の長さは、26mmより大きくてもよい。いくつかの実施例では、第3振動素子180の長さは、28mmより大きくてもよい。いくつかの実施例では、第3振動素子180の長さは、30mmより大きくてもよい。
【0178】
以上、基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているものに過ぎず、本明細書を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本明細書に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本明細書によって示唆されることが意図されているため、本明細書の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0179】
さらに、本明細書の実施例を説明するために、本明細書において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本明細書の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本明細書の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0180】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本明細書に記載の処理素子又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本明細書の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単に説明の目的のためのものであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本明細書の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることを理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0181】
同様に、本明細書の実施例の前述の説明では、本明細書を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈すべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例のすべての特徴よりも少ない場合がある。
【0182】
いくつかの実施例では、成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「概ね」によって修飾されるものであることを理解されたい。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「概ね」は、上記数字が±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例では、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも個別の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例では、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本明細書のいくつかの実施例では、その範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例において、このような数値は可能な限り正確に設定される。
【0183】
最後に、本明細書に記載の実施例は、単に本明細書の実施例の原理を説明するものであることを理解されたい。他の変形例も本明細書の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本明細書の実施例の代替構成は、本明細書の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本明細書の実施例は、本明細書において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0184】
100 音響出力装置
110 振動素子
111 固定端
112 自由端
120 圧電素子
130 質量素子
140 第2圧電素子
150 第2質量素子
160 第2振動素子
170 第3圧電素子
180 第3振動素子
190 第4圧電素子
200 音響出力装置
210 ハウジング構造
220 固定構造
300 音響出力装置
400 音響出力装置
621 第1共振ピーク
622 第2共振ピーク
700 音響出力装置
900 音響出力装置
1700 音響出力装置
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2023-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って延在する梁構造を有する振動素子と、
電気信号に応答して変形する圧電素子であって、前記変形が振動するように前記振動素子を駆動し、前記圧電素子が前記梁構造の第1位置に貼り付けられ、かつ貼り付け領域の前記長手方向に沿うサイズが前記梁構造の前記長手方向に沿うサイズの80%を超えない、圧電素子と、
前記梁構造の第2位置に接続された質量素子であって、前記第1位置と前記第2位置が前記長手方向に間隔を隔てて分布し、前記振動素子の振動が前記長手方向に垂直な方向に振動するように前記質量素子を駆動する、質量素子と、を含む、音響出力装置。
【請求項2】
前記振動素子は、前記質量素子と共振して第1共振ピークを発生させ、前記第1共振ピークの周波数範囲が50Hz~2000Hzである、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記振動素子と前記質量素子の振動は、第2共振ピークを有し、前記第2共振ピークの周波数と前記第1共振ピークの周波数との比は、5より大きい、ことを特徴とする請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記振動素子と前記質量素子の振動は、前記第1共振ピークと前記第2共振ピークとの間に、少なくとも1つの共振ディップを発生させ、前記第1共振ピーク又は前記第2共振ピークと前記少なくとも1つの共振ディップとの間の振幅差は、80dBより小さい、ことを特徴とする請求項3に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記圧電素子の変形方向は、前記振動素子の振動方向に垂直であり、前記音響出力装置は、前記梁構造の第3位置に貼り付けられた第2圧電素子をさらに含み、前記圧電素子と前記第2圧電素子は、前記振動素子の長手方向に間隔を隔てて設けられる、ことを特徴とする請求項に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記圧電素子の変形方向は、前記振動素子の振動方向に垂直であり、前記音響出力装置は、第2質量素子をさらに含み、前記振動素子の長手方向において、前記質量素子と前記第2質量素子は、それぞれ前記圧電素子の両側に位置する、ことを特徴とする請求項に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記第2質量素子の質量は、前記質量素子の質量より大きい、ことを特徴とする請求項に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記圧電素子の変形方向は、前記振動素子の振動方向と平行であり、前記圧電素子は、振動方向に沿う一端が固定され、他端が前記第1位置において前記梁構造に接続される、ことを特徴とする請求項に記載の音響出力装置。
【請求項9】
第2振動素子をさらに含み、前記振動素子と前記第2振動素子は、前記質量素子の両側に対称に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記第2振動素子に接続された第3圧電素子をさらに含み、前記第3圧電素子と前記圧電素子は、前記質量素子の両側に対称に設けられる、ことを特徴とする請求項に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記振動素子及び前記第2振動素子の前記質量素子から離れた一端が固定して設けられる、ことを特徴とする請求項10に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記質量素子に接続され、振動方向が前記振動素子の振動方向と平行である第3振動素子をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記第3振動素子に接続された第4圧電素子をさらに含む、ことを特徴とする請求項12に記載の音響出力装置。
【請求項14】
前記第4圧電素子の変形方向は、前記第3振動素子の振動方向に垂直である、ことを特徴とする請求項13に記載の音響出力装置。
【請求項15】
前記圧電素子と前記第4圧電素子が受信した電気信号は、135°より小さい位相差を有する、ことを特徴とする請求項13に記載の音響出力装置。
【国際調査報告】