(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】製造プラントの加工又は組み立てステーション内で適切な位置にワークピース支持フレームを配置するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B23P 19/00 20060101AFI20240423BHJP
B62D 65/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B23P19/00 302P
B62D65/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549675
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 IB2022052923
(87)【国際公開番号】W WO2022208372
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】102021000008147
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590003342
【氏名又は名称】コマウ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】COMAU SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トマシ、ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】ルフィーノ、ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトロ、ティツィアーノ
【テーマコード(参考)】
3C030
3D114
【Fターム(参考)】
3C030DA32
3C030DA37
3D114AA04
3D114BA01
3D114CA09
3D114DA02
3D114GA02
(57)【要約】
製造プラントの加工又は組み立てステーション内で適切な位置にワークピースホルダフレーム(2)を配置するためのシステムは、前記加工又は組み立てステーションの前記作業領域(A)の2つの側に配設された固定支持構造体(9)、及び、前記作業領域(A)の内部で移送ライン(L)に沿って前記ワークピースホルダフレーム(2)を運搬するキャリッジ(8)を備える。前記作業領域の前記2つの側に配設されている前記固定支持構造体(9)は、前記キャリッジが前記作業領域で停止されるとき、前記ワークピースホルダフレーム(2)を前記キャリッジ(8)から離れるように移動させ、予め定められた垂直高さ(Z)に前記ワークピースホルダフレーム(2)を垂直に位置決めするために、前記キャリッジ(8)によって保持される前記ワークピースホルダフレーム(2)に係合しそれを持ち上げるように位置決め及び構成されている、垂直可動支持部材(10)を保持している。前記垂直可動支持部材(10)は、互いから離隔し、それぞれが自体の中心の周囲を任意の方向に自由に回転可能である球体(12)を含む、少なくとも3つの球体支持体(10)を含む。前記ワークピースホルダフレーム(2)は、前記ワークピースホルダフレーム(2)が前記予め定められた垂直高さ(Z)へ上げられたとき、前記ワークピースホルダフレーム(2)は、前記球体支持体(10)の前記自由に回転可能な球体(12)の上方で、任意の水平方向に浮動することができるように、前記球体支持体(10)によってそれぞれ係合される複数の平坦な下部係合面(7)を有する。また、垂直に可動であり互いから離隔した、前記固定支持構造体(9)のうちの少なくとも2つに結合された各補助センタリング部材(22)が存在し、前記補助センタリング部材は、互いに直交する2つの水平方向(X、Y)に沿って、及び前記水平面におけるワークピースホルダフレームの回転に関して、適切な位置に前記ワークピースホルダフレーム(2)を配置するように、前記ワークピースホルダフレーム(2)から下方に突出している係合素子(6)と協働する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造プラントの加工又は組み立てステーション内で適切な位置にワークピース支持フレームを配置するためのシステムであって、
・作業領域及び前記作業領域の両側の固定支持構造体を有する加工又は組み立てステーション、
・前記作業領域の内部でラインに沿ってワークピースホルダフレームを運ぶように構成されているキャリッジ、
・ワークピースホルダフレームに対して予め定められた位置でワークピースを支持するように構成されている、前記キャリッジの上に保持される前記ワークピースホルダフレーム
を備え、
・前記作業領域の2つの側に配設されている前記固定支持構造体は、前記キャリッジが前記作業領域に静止しているとき、前記ワークピースホルダフレームを前記キャリッジから離れるように移動させ、予め定められた垂直高さに前記ワークピースホルダフレームを位置決めするために、前記キャリッジによって保持された前記ワークピースホルダフレームに係合しそれを持ち上げるように位置決め及び構成されている、垂直可動支持部材を保持し、
・前記垂直可動支持部材は、互いから離隔した少なくとも3つの球体支持体を含み、そのうちの2つは前記作業領域の互いに反対側に配設され、それぞれが自体の中心の周囲を任意の方向に自由に回転可能な球体を含み、
・前記ワークピースホルダフレームは、前記ワークピースホルダフレームが前記垂直高さへ上げられたとき、前記ワークピースホルダフレームが前記球体支持体の前記自由に回転可能な球体の上方で、任意の水平方向に浮動することができるように、前記球体支持体によってそれぞれ係合されるように位置決め及び構成されている複数の平坦な下部係合面を有し、及び
・また、各補助センタリング部材は、前記固定支持構造体のうちの少なくとも2つに結合されており、垂直に可動であり互いから離隔しており、前記補助センタリング部材は、互いに直交する2つの水平方向に沿って、及び水平面における回転に関して、適切な位置に前記ワークピースホルダフレームを配置するように、前記ワークピースホルダフレームから下方に突出している係合素子と協働するように構成されており、
・前記システムは:
・互いに独立して、前記球体支持体及び前記補助センタリング部材の前記移動を制御するアクチュエータ装置、及び
・前記キャリッジが前記作業領域へとワークピースホルダフレームを運んだとき、前記球体支持体は、上げられ、前記ワークピースホルダフレームに係合して、それを前記予め定められた垂直高さまで持ち上げ、一方で前記補助センタリング部材は、前記ワークピースホルダフレームが前記予め定められた垂直高さに到達するとき前記協働する係合素子に部分的にのみ係合するために同時に上げられ、次に前記補助センタリング部材は、互いに直交する前記2つの水平方向において、及び前記水平面における回転に関して、適切な位置に前記ワークピースホルダフレームを配置するために、前記ワークピースホルダフレームが前記球体支持体の前記自由に回転可能な球体の上方で任意の水平方向に浮動することができるおかげで、前記ワークピースホルダフレームの対応する前記係合素子に完全に係合するまで、その上向き移動を続けるように前記アクチュエータ装置を制御するようプログラムされた電子コントローラ
も備える、システム。
【請求項2】
前記ワークピースホルダフレームの前記係合素子は、前記ワークピースホルダフレームの支持体から下方に突出しており、前記ワークピースホルダフレームの同じ側に、前記ワークピースホルダフレームの2つの互いに反対の端部にそれぞれ隣接して、配置されている、円形断面及び円錐状先端部を有するピンの形態であること、及び、
係合ピンと協働している前記2つの補助センタリング部材は、前記作業領域の同じ側に配設された2つの固定構造体によって保持され、それぞれが前記係合ピンのそれぞれを受けるように構成されているセンタリング開口部を定義する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ワークピースホルダフレームの前記複数の平坦な下部係合面は、単一の理論上の水平面内にあること、及び、前記球体支持体の上部にある、前記球体支持体の前記自由に回転可能な球体は、単一の理論上の水平面に対し全て接しており、
それにより、前記自由に回転可能な球体は、前記ワークピースホルダフレームが上げられるときに、前記複数の平坦な下部係合面を同時に係合する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ワークピースホルダフレームの前記複数の平坦な下部係合面は、互いから離隔した複数の水平面内にあること、及び、前記球体支持体の上部にある、前記球体支持体の前記自由に回転可能な球体は、前記ワークピースホルダフレームの前記複数の平坦な下部係合面の面間の距離に対応する距離だけ互いから離隔した理論上の水平面に接しており、
それにより、前記自由に回転可能な球体は、前記ワークピースホルダフレームが上げられるときに、前記対応する平坦な下部係合面に同時に係合する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ワークピースホルダフレームの水平姿勢を維持しつつ前記ワークピースホルダフレームを垂直に移動するために、前記電子コントローラは、固定構造体に結合されている前記アクチュエータ装置を同時に制御する、請求項3又は4に記載のシステム。
【請求項6】
前記係合ピンのうちの1つは、前記ワークピースホルダフレームの長手方向に対して横断する水平方向に対して、適切な位置に前記ワークピースホルダフレームを配置するために、前記係合ピンが前記各補助センタリング部材と協働するように、2つの互いに反対側にある平坦化された面を有する円形断面を有し、一方で他方の係合ピンは円形断面を有し、互いに直交する上記水平方向の両方に対して、及び、水平面における前記ワークピースホルダフレームの回転に関して、適切な位置に前記ワークピースホルダフレームを配置するように前記各補助センタリング部材と協働する、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記補助センタリング部材のそれぞれは、中心垂直軸の周囲に半径方向に配設された自由に回転可能なローラのセットを備え、自体の軸が、前記中心垂直軸に対し直交する同じ理論上の面の中に全てある、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記球体支持体のそれぞれ及び前記補助センタリング部材のそれぞれは、サーボ制御された電気モータによって駆動される垂直可動スライドから突出しているブラケットによって保持されており、前記垂直可動スライドは、支持体によって保持されているガイドの上にスライド可能に取り付けられており、前記支持体は更に、固定構造体のベースプレートのガイドの上に、前記ラインの長手方向に対して横断する水平方向に、スライド可能に取り付けられているスライドの形態である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記補助センタリング部材を保持する前記ブラケットは、各球体支持体を保持する前記垂直可動スライドによって保持されているガイドの上に垂直に、スライド可能に取り付けられており、
それにより、前記球体支持体を保持する前記垂直可動スライドの垂直移動を制御する前記アクチュエータ装置の作動が、前記垂直可動スライドに結合されている前記補助センタリング部材の同時の移動ももたらし、一方で前記球体支持体を保持する前記垂直可動スライドの前記アクチュエータ装置が停止されるとき、前記補助センタリング部材を保持する前記垂直可動スライドの垂直移動を制御する前記アクチュエータ装置が、前記球体支持体が上記予め定められた垂直高さにおいて停止された後に、前記補助センタリング部材を垂直に移動させ続けるためにアクティブ化されることができる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記キャリッジは、手動トラクションキャリッジ、モータ駆動式トラクタを有する牽引可能キャリッジ、モータ駆動式キャリッジ、AGV又はAMRから選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
製造プラントの加工又は組み立てステーション内で適切な位置にワークピースホルダフレームを配置するための方法であって、
・作業領域及び前記作業領域の両側の固定支持構造体を有する加工又は組み立てステーションが配設され、
・ワークピースホルダフレームが、キャリッジの上の前記ワークピースホルダフレームを運搬することによって、前記作業領域の内部の移送ラインに沿って運ばれ、前記ワークピースホルダフレームは、前記ワークピースホルダフレームに対して予め定められた位置においてワークピースを支持するように構成されており、
・前記作業領域の2つの側の前記固定支持構造体には、前記キャリッジが前記作業領域内で静止しているとき、前記キャリッジから離れるように前記ワークピースホルダフレームを移動させ、予め定められた垂直高さに前記ワークピースホルダフレームを位置決めするように、前記キャリッジによって保持されている前記ワークピースホルダフレームに係合しそれを持ち上げるように位置決め及び構成される、垂直可動支持部材が設けられ、
・前記垂直可動支持部材は、互いから離隔した少なくとも3つの球体支持体を含み、そのうちの2つは前記作業領域の互いに反対側に配設され、それぞれが自体の中心の周囲を任意の方向に自由に回転可能な球体を含み、
・前記ワークピースホルダフレームは、前記ワークピースホルダフレームが前記垂直高さへ上げられたとき、前記ワークピースホルダフレームは、前記球体支持体の前記自由に回転可能な球体の上方で、任意の水平方向に浮動することができるように、前記球体支持体によってそれぞれ係合されるように位置決め及び構成されている複数の平坦な下部係合面を有し、及び
・また、前記固定支持構造体のうちの少なくとも2つは、垂直に可動であり互いから離隔している各補助センタリング部材に結合されており、前記補助センタリング部材は、互いに直交する2つの水平方向に沿って、及び水平面における回転に関して、適切な位置に前記ワークピースホルダフレームを配置するように、前記ワークピースホルダフレームから下方に突出している係合素子と協働するように構成されており、及び
前記キャリッジが前記作業領域へとワークピースホルダフレームを運んだとき、前記球体支持体は、上げられ、前記ワークピースホルダフレームに係合して、それを前記予め定められた垂直高さまで持ち上げ、一方で前記補助センタリング部材は、前記ワークピースホルダフレームが前記予め定められた垂直高さに到達するとき前記協働する係合素子に部分的に係合するために同時に上げられ、次に前記補助センタリング部材は、前記2つの水平方向において、及び前記水平面における回転に関して予め定められた向きを有して、適切な位置に前記ワークピースホルダフレームを配置するために、前記補助センタリング部材が前記協働する係合素子との完全な係合の前記補助センタリング部材の垂直位置に到達するまで、前記ワークピースホルダフレームが前記球体支持体の前記自由に回転可能な球体の上方で任意の水平方向に浮動することができるおかげで、前記ワークピースホルダフレームの対応する前記係合素子に完全に係合するまで、前記補助センタリング部材の上向き移動を続ける、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造プラントの加工又は組み立てステーション内で、適切な位置にワークピースホルダフレームを配置するためのシステム及び方法に関する。
【0002】
本明細書において、及びそれに続く特許請求の範囲において、「ワークピース」という用語は、製造プラントのステーション内で加工及び/又は組み立て操作を受けなければならない、任意の部品、構造体、構造体のサブアセンブリ、コンポーネント又はコンポーネントのグループを示すために、一般的な意味で使用される。例えば、本発明は、電気自動車の電気トラクションモータに電力を供給するためのバッテリパックを組み立てるためのステーションに適用可能である。しかしながら、本発明はまた、他分野において、例えば自動車の車体又はそれらのサブアセンブリのための組み立てステーションの分野へ、等しく適用可能である。
【背景技術】
【0003】
上記で示されたタイプの加工又は組み立てステーションにおいて、しばしば、人体工学に基づく状態で、及び完全に安全な状態で、作業することが可能でなければならないオペレータの介入を伴う、自動及び手動モードの両方での操作を実行することを可能にする必要がある。この要件はしばしば、加工ステーション内でワークピースを移動させそれを適切な位置に配置するためのシステムを使用することを難しくし、これにより加工されているワークピースの全ての側からのアクセス可能性を、低減させる、又は阻止さえする。逆に、上記で示されたタイプの適用において、作業される必要のある部分、及びオペレータによって歩行することのできる領域の間の距離は可能な限り減らすことが不可欠である。また、ワークピースを適切な位置に支持及び配置するために提供される設備は、オペレータにとっての障害を生まないことが必要である。それと同時に、加工ステーションが完全自動モードで動作しなければならないとき、加工ステーション内でワークピースを適切な位置に配置する段階は、極めて正確に、しかしながら比較的短時間で遂行されることが、(いかなる事例においても)必要である。
【0004】
上記で説明されたタイプの適用において生じる別の必要は、柔軟なハンドリングシステムの使用のおかげで、加工ステーションをそれぞれの新しい適用又は製品モデルに、容易にかつ迅速に適合させることが可能であることである。
【0005】
示されたように、地上コンベア、「持ち上げ及び移動」システム又はモータ駆動式ローラベッド等の従来のハンドリングシステムは、オペレータが全ての方向から加工される部分へ手が届くことを阻止する固定床構造体の使用を伴う。オーバーヘッドコンベア等の他システムは、床スペースを解放するが、ワークピースへのアクセスを阻み、高価でもある支持フレームの使用を(いかなる事例においても)伴う。
【0006】
最終的に、全ての公知の従来の解決策は、製造における新しいモデルの導入、又はプラントのレイアウト及び製造ラインの経路における変更に、柔軟に適合することが可能ではないという欠点を有する。
【0007】
また、ワークピースを自動ステーションから手動ステーションへと、又は逆に手動ステーションから自動ステーションへと運搬する輸送システムを提供しなければならず、そのことが相対コストを伴う付加価値を有さない動作及び追加の設備の使用を導入することを伴うという結果的な欠点を有する、手動操作及び自動操作が別個のステーションにおいて遂行される製造システムは、公知である。
【0008】
[発明の目的]
本発明の目的は、上記の欠点を解決することである。
【0009】
特に、本発明の1つの目的は、ワークピースに対し全ての側からのオペレータにとってのアクセス可能性を確保しつつ、完全自動及び手動モードの両方で動作できるステーションのために使用され得る、加工又は組み立てステーション内でワークピースホルダフレームを位置決めするためのシステム及び方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、極めて正確な方式で、及び極めて低減された時間内で、加工ステーション内のワークピースを適切な位置に配置することを可能にする、上記で特定されたタイプのシステム及び方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、新しい適用、及び/又は新しい製品の製造への導入、及び/又は製造プラントのレイアウト及び/又は製造ラインの経路における変更に対する、容易な適合性という観点で、高い柔軟性特性を有する、上記で示されたタイプのシステム及び方法を提供することである。
【0012】
本発明の更に別の目的は、単純かつ低コストである手段を用いて実装され得る、上記で示されたタイプのシステム及び方法を提供することである。
【発明の概要】
【0013】
上記目的のうちの1つ又は複数を達成するために、本発明の目的は、
・作業領域及び前記作業領域の両側に固定支持構造体を有する加工又は組み立てステーション、
・前記作業領域の内部のラインに沿ってワークピースホルダフレームを運ぶように構成されているキャリッジ、
・ワークピースホルダフレームに対して予め定められた位置においてワークピースを保持するように構成されている、前記キャリッジの上に保持される前記ワークピースホルダフレーム、
を備え、
・前記作業領域の前記2つの側に配設されている前記固定支持構造体は、前記ワークピースホルダフレームを前記キャリッジから離れるように移動させ、予め定められた垂直高さ(z)に前記ワークピースホルダフレームを垂直に位置決めするために、前記作業領域内で静止している前記キャリッジによって保持されている前記ワークピースホルダフレームに係合しそれを持ち上げるように位置決め及び構成される、垂直可動支持部材を保持し、
・前記垂直可動支持部材は、互いから離隔した少なくとも3つの球体支持体を含み、そのうちの2つは前記作業領域の互いに反対側に配設され、それぞれが自体の中心の周囲を任意の方向に自由に回転可能な球体を含み、
・前記ワークピースホルダフレームは、前記ワークピースホルダフレームが前記垂直高さ(z)へ上げられたとき、前記ワークピースホルダフレームが前記球体支持体の前記自由に回転可能な球体の上方で、任意の水平方向に浮動することができるように、前記球体支持体によってそれぞれ係合されるように位置決め及び構成されている複数の平坦な下部係合面を有し、及び、
・垂直に可動であり互いから離隔しており、前記固定支持構造体のうちの少なくとも2つに結合された各補助センタリング部材も存在し、前記補助センタリング部材は、互いに直交する2つの水平方向(X、Y)に沿って、前記フレームワークピースホルダを位置決めするように、前記ワークピースホルダフレームから下方に突出している係合素子と協働するように構成されており、
・前記システムは:
・互いに独立して、前記球体支持体及び前記補助センタリング部材の前記移動を制御するアクチュエータ装置、及び、
・前記キャリッジが前記作業領域へとワークピースホルダフレームを運んだとき、前記球体支持体は、上げられ、前記ワークピースホルダフレームに係合して、それを前記要求される垂直高さ(Z)まで持ち上げ、一方で前記補助センタリング部材は、前記ワークピースホルダフレームが前記要求される垂直高さ(Z)に到達するとき前記協働する係合素子に部分的にのみ係合するように同時に持ち上げられ、次に前記補助センタリング部材は、前記ワークピースホルダフレームが前記球体支持体の前記自由に回転可能な球の上方で任意の水平方向に浮動することが可能であることを活用して、前記補助センタリング部材が前記対応する係合素子の完全な係合の当該補助センタリング部材の垂直位置に到達するまで、2つの前記水平方向(X、Y)において、及び前記水平面における回転に関して、予め定められた向きを有して前記フレームをセンタリングするために、当該補助センタリング部材が前記ワークピースホルダフレームの前記対応する係合素子を完全に係合するまで、当該補助センタリング部材の上向き移動を続けるように、上記アクチュエータ装置を制御するようプログラムされた電子コントローラ、
も備える、製造プラントの加工又は組み立てステーション内で適切な位置に、ワークピースホルダフレームを配置するシステムである。
【0014】
本発明はまた、上記に説明されるシステムによって実装される方法に関する。
【0015】
本発明の更なる特性及び利点は、従属請求項内に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
ここで、本発明の1つの実施形態は、単に非限定的な例として提供され、添付図面を参照して説明される:
【
図1】本発明に係るシステムを使用する加工ステーションの斜視図である。
【
図2】
図1の詳細の拡大スケールでの側面図である。
【
図3】
図1の詳細の拡大スケールでの平面図である。
【
図4】キャリッジの上方でワークピースホルダフレームが保持されている状態の、本発明に係るシステム内で使用されているキャリッジの斜視図である。
【
図5】本発明に係るシステム内で使用されているワークピースホルダフレームの1つの例の斜視図である。
【
図6】
図5のワークピースホルダフレームの下方からの斜視図である。
【
図7】互いから独立して垂直に可動であり、球体支持部材及び補助センタリング部材を提供されている、
図1のステーションの作業領域の1つの側に配設されている固定支持ユニットの斜視図である。
【
図9】垂直可動球体支持部材を備えている、
図1のステーションの作業領域の1つの側に配設されている別の固定ユニットの斜視図である。
【
図10】ワークピースホルダフレームの下部係合面に接して係合状態にある、ステーションの作業領域の2つの側に配設されている球体支持部材を示す正面図である。
【
図11】ワークピースホルダフレームの下部係合面に接して係合状態にある、ステーションの作業領域の2つの側に配設されている球体支持部材を示す正面図である。
【
図12】各補助センタリング部材が、ワークピースホルダフレームによって保持されている対応する係合素子に接して係合状態にある、作業領域の両側に配設されている固定構造体を示す正面図である。
【
図13】各補助センタリング部材が、ワークピースホルダフレームによって保持されている対応する係合素子に接して係合状態にある、作業領域の両側に配設されている固定構造体を示す正面図である。
【
図14】加工ステーションの作業領域内で予め定められた位置においてキャリッジを停止させるための停止装置を保持している、
図1のステーションの作業領域の1つの側に配設されている追加の固定ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1において、符号1は、加工又は組み立てステーションの作業領域A内でワークピースホルダフレーム2を移動及び位置決めするためのシステムを(全体として)示す。
【0018】
上記で示されたように、本明細書において、及びそれに続く特許請求の範囲において、「ワークピース」という用語は、広い意味で使用され、加工プラントのステーション内で加工及び/又は組み立て操作を受けることを意図されている、任意の部品、構造体、構造体のサブアセンブリ、コンポーネント又はコンポーネントのグループを示す。添付図面は、ワークピースホルダフレーム2によって保持されるワークピース又はコンポーネントを示さず、それらはワークピースに対し操作するために意図されている自動又は手動設備を示してもいない。これらの態様は、本発明の範囲外に属し、本発明は代わりにワークピースホルダフレームを移動するため及び作業領域内でそれを適切な位置へと配置するためのシステムに具体的に言及している。図示された例の具体的な事例において、本発明に係るシステムは、電気自動車の電気トラクションモータに電力を供給するためのバッテリパックを組み立てるための加工ステーションに適用するために設計されている。しかしながら、システムは、自動車構造体又はそれらのサブアセンブリの組み立て操作を含む任意の他のタイプの製品及び操作に等しく適用されるであろう。
【0019】
既に示されたように、本発明に係るシステムは、完全自動モード及び(少なくとも部分的に)手動モードの両方で動作可能な加工又は組み立てステーション上で特に有利な方法で使用されるのに適しており、当該システムは、作業領域内に配置されたワークピースを、作業領域において介入しなくてはならないオペレータにとって全ての側から容易にアクセス可能にすることを特徴とする。
【0020】
添付図面の
図5及び
図6は、本発明に係るシステム内で使用可能なワークピースホルダフレーム2の1つの例の2つの斜視図を示す。この例の事例において、フレーム2は、例えば共に溶接された及び/又はボルト留めされた金属の素子から成る構造体を有し、ワークピースホルダフレーム2に対して正確な位置に、ワークピース、コンポーネント、又はアセンブリを支持及び配置するための、複数の上部支持面3、位置決めピン4及び位置決めブラケット5を含む。ワークピースホルダフレーム2は、円錐状先端部がワークピースホルダフレーム2の側部支持体60から下方に突出しているピンの形態の2つの係合素子6を更に備え、これらは、ワークピースホルダフレーム2の同じ側で、フレームの長手方向において離隔しているとともに、ワークピースホルダフレーム2の前端部及び後端部にそれぞれ隣接している。係合ピン6の機能は、下記で明らかとなる。
【0021】
更に図示された例を参照すると、ワークピースホルダフレーム2は、フレーム2から下方に突出しており、下記でまた機能が明らかとなる下部係合面7(
図6)を定義する、4つの支持体70も有する。図示された例の事例において、2つの支持体70は、ワークピースホルダフレーム2の一方の端部の2つの側に提供され、2つの支持体70はワークピースホルダフレーム2の互いに反対の端部の2つの側に提供される。
【0022】
図示された実施形態の例(
図1及び
図3)において、ワークピースホルダフレーム2は、ラインLに沿って、作業領域Aを通って、
図4中にキャリッジの上方でワークピースホルダフレーム2が保持されている状態で図示されているキャリッジ8によって運搬される。キャリッジ8及びワークピースホルダフレーム2は、係合ピン6及びワークピースホルダフレーム2の平坦な係合面7(
図6)が、ワークピースホルダフレーム2がキャリッジ8の上方に配設されているときでさえ、(いかなる事例においても)下方からアクセス可能であるように、構成されている。キャリッジ8は、それぞれの具体的な適用の必要に応じて、ラインLに沿って、ある方向又はもう一方向に移動され得る。
【0023】
図示された例の事例において、キャリッジ8は、(示された例において、前輪は枢動し、後輪は固定軸を有する)車輪Wの上に取り付けられたフレーム80を含む、単純な、手動で操作されるキャリッジである。再び、図示された例の事例において、キャリッジ8は、ラインLに沿ってそれを引く又は押すオペレータによって駆動される、手動又はモータで補助された操作を伴う小さなトラクタTによって、移動されることを意図されている。オペレータは、キャリッジ8が作業領域Aへと運ばれるまでそれを移動させ、作業領域Aで、本発明に係るシステムは、ワークピースホルダフレーム2をキャリッジ8から離れるように(下記で説明される方式で)持ち上げて、それを垂直方向Zにおいて、及び互いに直交する2つの水平方向X、Yに沿っての両方で、及び水平面における回転に関して、正確な位置へ配置する。このようにして適切な位置に配置されたワークピースに対し作業領域内で(手動及び/又は自動)操作が実行されると、本発明に係るシステムはワークピースホルダフレーム2を、ワークピースがその上方に保持された状態で、キャリッジ8の上方に下げ、その後オペレータはキャリッジをラインLに沿って移動させ、作業領域の外に出し、プラントの後続のステーションへ向かわせる。
【0024】
もちろん、添付図面に図示されている手動で操作されるキャリッジは、任意の他のタイプの、手動で操作される又はモータ駆動式キャリッジで置き換えられ得、特にそれは、AGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)又はAMR(Automated Mobile Robot:自動化移動ロボット)で置き換えられ得る。
【0025】
キャリッジ8が作業領域A内にあるときにワークピースホルダフレーム2を持ち上げるために、本発明に係るシステムは、作業領域Aの2つの側に配設された複数の(例においては、4つの)固定構造体9を備える(
図1、
図3)。固定構造体9は、本明細書で説明される例の事例において、
図7中に示されたタイプのもの、又は
図9中に示されたタイプのものである。両方の事例において、それぞれの固定構造体9は、作業領域内で静止しているキャリッジ8によって保持されているワークピースホルダフレーム2に係合し持ち上げるように位置決め及び構成されている、垂直可動支持部材10を備える。それぞれの支持部材10は、それ自体が公知の任意のタイプの球体支持体によって構成され、ケーシング11を含み、当該ケーシング11から、球体の中心の周囲の任意の方向に自由に回転可能な方法でケーシング11内で支持されている金属の球12が上方に突き出ている。
【0026】
球体支持体10の構造上の詳細は、それらが任意の公知の方法で作成され得るので、及びそれらが単独で取り上げられると本発明の範囲に属さないので、本明細書では説明又は図示されない。
図7中に示されたタイプの固定構造体9の事例、及び
図9中に示されたタイプの固定構造体9の事例の両方において、球体支持体10は、1つ又は複数のガイド15上で垂直に可動であるスライド14に剛性接続されており、それから突出しているブラケット13の上方に取り付けられている。スライド14の垂直方向における移動は、任意の公知のタイプの機械式伝動装置によってサーボ制御された電気モータ28によって制御される。図示された適用の例(
図12及び
図13を参照)において、伝動装置はベルト伝動装置281及びウォームスクリュー装置282を備える。
図7及び
図9を参照すると、電気モータがその作業位置において静止しているときにアクティブである空気ブレーキ装置16も、サーボ制御された電気モータ28に結合されている。
【0027】
図示された例の事例において、スライド14の垂直移動のためのガイド15は、ラインLの長手方向に対し直交するように向けられた水平ガイド18上に、スライド可能に取り付けられたスライド17によって保持されており、水平ガイド18は、ケミカル又はメカニカルアンカー20によってプラントの床に剛性接続されることを意図されたベースプレート19の上に取り付けられている。ガイド18に沿ったスライド17の移動は、空気シリンダ21によって駆動される。
【0028】
図7、
図8中に示されたタイプの固定構造体9はまた、垂直に可動であり、そしてワークピースホルダフレーム2の底部から突出している各係合ピン6(
図6)と協働するように意図されている、補助センタリング部材22を、それぞれ提供されている。
【0029】
図示された例の事例において、補助センタリング部材22は、それ自体が公知のタイプであり、ケーシング23を含み、当該ケーシング23の内部に自由に回転可能な複数のローラ24が取り付けられ、当該自由に回転可能な複数のローラ24は、センタリング部材22の垂直中心軸の周囲に半径方向に配設され、各軸の周囲で自由に回転可能に取り付けられ、上記中心垂直軸に直交する同じ水平面内に全て配設されている。それ自体が公知の方法で、ローラ24は、対応するピン6に対する補助センタリング部材22の持ち上げに続いて各係合ピン6を受けるように構成されサイズ設定された、中心スペースYを当該ローラの間に定義する。それぞれのピン6は、センタリング部材22がピン6の対応する垂直軸に最初は完全に位置合わせされていない中心垂直軸を有するときでさえ、ピン6の周囲のセンタリング部材22の係合に有利に働く円錐状先端部を有する。
【0030】
再び、
図7、
図8を参照すると、図示された例において、センタリング部材22は、ガイド27の上にスライド可能に取り付けられるスライド26から突き出るブラケット25によって保持されており、当該ガイド27は、再び図示された例の事例において、球体支持体10を保持する上記スライド14によって保持されている。したがって、この実施形態において、アクチュエータ28をアクティブ化することは、球体支持体10及び補助部材22の同期した垂直移動をもたらす。アクチュエータ28が非アクティブ化されるとき、球体支持体10の垂直移動は中断されるが、センタリング部材22を保持するスライド26の垂直移動は、ロッドロック装置を備える空気アクチュエータを備えるアクチュエータアセンブリ100によって制御され得る。
【0031】
再び、図示された具体的な例及び特に
図1、
図3を参照すると、作業領域Aの1つの側に、それぞれが球体支持体10及び補助センタリング部材22を備えた
図7、
図8中に示されたタイプの2つの固定構造体9が設けられ、一方で作業領域Aの反対側(
図3の下側の部分において示されたもの)に、それぞれに球体支持体10のみが設けられた
図9中に示されたタイプの2つの固定構造体9が存在する。したがって、この例において、それぞれの側に対し2つの、合計4つの球体支持体が提供される。理論上、ワークピースホルダフレーム、ワークピースの実際の重さ及び加工力が、3つの頂点が球体支持体10及び支持体70の間の接触点である仮想的な三角形内にかかる場合、2つの支持体が作業領域Aの互いに反対側に配設された状態で、互いから離隔している3つの球体支持体10のみで、要求される垂直高さZにおいてワークピースホルダフレーム2を支持するには十分であり得る。
【0032】
再び、図示された例の事例において、2つのセンタリング部材22は、作業領域Aの同じ側に配設され互いから長手方向に離隔して、代わりに設けられる。
【0033】
図6を参照すると、ワークピースホルダフレーム2の底部から突き出る係合ピン6のうちの1つは、ピン自体の軸に対して対称である、互いに反対側にある平坦化された側面6Aを有し、結果として当該ピン6が各センタリング部材に係合するとき、それは、フレームの長手方向に対して横断する水平方向Yに対してフレーム2を適切な位置に配置し、もう一方のピンに対して回転防止機能として作用する。フレーム2の底部から突き出るもう一方のピン6(すなわち、
図6の視点において観察者に対し最も近いピン)は、代わりに完全な円形断面を有し、結果として、各センタリング部材22に係合するとき、それはフレーム2を互いに直交する2つの水平方向X、Yにおいて適切な位置に配置する。各センタリング部材内の2つのピン6の同時の係合は、互いに直交する2つの水平方向X、Yに沿って、及び水平面におけるフレーム2の回転に関して、ワークピースホルダフレーム2の適切な位置への配置をもたらす。(図示された例において)球体支持体10及びセンタリング部材22の垂直移動のためのアクチュエータ装置を構成するサーボ制御された電気モータ28及びアクチュエータ100は、電子及び電空制御ユニットE(
図7中に概略的に図示されている)によって、予め定められたプログラムに従って制御され、ここで下記に説明される機能を遂行する。
【0034】
キャリッジ8が作業領域A内で停止されたとき、ワークピースホルダフレーム2は、球体支持体10によってキャリッジ8から離れるように持ち上げられて移動され、当該球体支持体10はワークピースホルダフレーム2の各下部平坦面7に係合する(
図6)。持ち上げは、電子制御ユニットEが、スライド14の垂直移動を制御するための固定構造体9に結合された電気モータ28をアクティブ化することによって得られる。
図10、
図11は、球体支持体10がワークピースホルダフレーム2の各下部平坦面7に係合した状態を示す。
【0035】
スライド14の上向き移動は、制御ユニットEが、ワークピースホルダフレーム2が予め定められた垂直高さZに到達したと検出するとき、当該制御ユニットEによって自動的に停止される。この状態において、ワークピースホルダフレーム2は、キャリッジ8から完全に解放されており、球体12の自由回転に起因して、球体支持体10の上方の水平面内において浮動することが可能であることに留意されたい。この状態において、ワークピースホルダフレーム2は、球体支持体10の上方に(いかなる事例においても)安全に保持され、なぜなら球体支持体10の持ち上げ移動と同時に、電子ユニットEは、ワークピースホルダフレーム2が予め定められた高さZに到達するとき、センタリング部材22が、各係合ピン6の円錐状先端部との係合を既に始めているように、2つのセンタリング部材22の垂直な持ち上げ移動を命じもするからである。この状態から開始して、球体支持体10が到達した垂直高さにおいて留まる一方、センタリング部材22は、それらが各係合ピン6に接して完全係合するまでその上向き移動を続ける。係合ピン6に対するセンタリング部材22のこの上向きの追加ストロークは、互いに直交する2つの水平方向X、Yに沿って、及び水平面における回転に関して、ワークピースホルダフレーム2の適切な位置への配置をもたらす。このセンタリング移動は、球体支持体10によって提供される、水平面において浮動することが可能であることのおかげで起きる。センタリング部材22がピン6に対する完全な係合の垂直位置に到達すると、その移動は自然に停止される。この状態において、ワークピースホルダフレームは、作業領域内でその位置に正確に配置され、加工及び/又は組み立て操作のサイクルは、これらの操作が完全に自動の設備によって遂行される事例、及びこれらの操作が部分的にオペレータによって手動で遂行される場合の両方において、フレーム2によって保持されているワークピースに対して開始されることができる。
【0036】
本発明に係るシステムの上記で説明された構成のおかげで、オペレータは作業領域Aにアクセスできる。自動操作のサイクル中に、キャリッジ8は、作業領域内で適切な位置に留まり得、又は手動操作を遂行するために、作業領域を更によりアクセスしやすくするために移動され得る。
【0037】
図示されたように、本発明に係るシステムの別の利点は、それが、新しい適用、又は新しい製品を製造へと導入する場合において、又は製造ラインの経路の変更の事例において、容易に適合できること、及び、
図3のシステム全体を要求する自動又は半自動ステーション、及び、キャリッジ8、ワークピースホルダフレーム2及びトラクタTの存在のみで十分である純粋な手動ステーションを行き来することが必要な加工にも容易に適合できることである。横断方向に固定構造体9のスライド17を並進させることが可能であることは、これらの構造体が、ワークピースホルダフレームの様々な構成に容易に適合されることを可能にする。更に、固定構造体9は、ラインの長手方向に沿った様々な位置において容易に分解及び再組み立てされ、再びワークピースホルダフレーム2の様々な構成に適合し得る。もちろん、ラインの長手方向において可動であるスライドの上に構造体9のそれぞれが取り付けられることを想定する可能性は、ラインの長手方向において構造体9の位置の調整を自動にするためにも、まったく排除されていない。
【0038】
フレーム2によって保持されるワークピースに対する操作のサイクルが終了すると、フレーム2は、球体支持体10及びセンタリング部材22の下向き移動を制御することによってキャリッジ8の上へ再び下げられ得る。フレーム2がキャリッジ8の上部に置かれると、キャリッジは、フレーム2を、その上方に保持されたワークピースとともに、作業領域Aの外に運ぶために移動させられ、製造プロセスにおける後続の操作へと送られることができる。
【0039】
好ましくは、作業領域A内に、キャリッジ8又はキャリッジ8の上で保持されているワークピースホルダフレーム2と協働することを意図されたクッション付き停止部材30が設けられた停止装置29も、長手方向に沿った作業領域A内での正しい位置の参照を与えるために、存在する。特に、停止ブロック又はパッド101(
図14)は、キャリッジ又はワークピースホルダフレームの固定停止位置を定義する;キャリッジのいかなる逆行移動も回避するために、軸103の周囲での回転が自由な、面取りされた可動バー102から成る逆行防止装置が存在する。このバー102は、キャリッジ自体の進行方向においてのみ、キャリッジを起点に引き下ろされることができるが、バーの重さ又は戻しばねに起因してその静止位置へ当該バーを戻すことによって、それはキャリッジの逆行する動きを阻止する。
【0040】
バー102はキャリッジと相互作用し、キャリッジの下部部分81に係合する(
図4)。
【0041】
逆行防止装置102、停止パッド101及びクッション付き停止部材30は全て、ガイド106に接してスライドし、空気アクチュエータ105によって操作されるスライド104の上に取り付けられている。
【0042】
キャリッジが停止位置に到達する前に、停止装置29は、その移動中にキャリッジを捉えるために、作業領域へのキャリッジの並進軸の中心へ向けて進められる。キャリッジが停止した後に、キャリッジが作業領域を離れることを可能にするために、停止装置29は、キャリッジ並進軸の中心から離れて戻るように移動し、当該キャリッジが自由に作業領域を退出できるようにする。
【0043】
もちろん、本発明の原理に対する権利を毀損せずに、本発明の範囲から逸脱せずに、構造の詳細及び実施形態は、説明及び図示されたものに対して広範に変化してもよい。特に、本発明は、キャリッジの代わりに任意の他の公知のタイプの運搬装置が提供される、添付の請求項1に示されたもののようなシステムを含む。
【国際調査報告】