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特表2024-518240再生可能エネルギーを使用して二酸化炭素を高純度化及び変換するプロセス
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  • 特表-再生可能エネルギーを使用して二酸化炭素を高純度化及び変換するプロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】再生可能エネルギーを使用して二酸化炭素を高純度化及び変換するプロセス
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/72 20060101AFI20240423BHJP
   C07C 1/12 20060101ALI20240423BHJP
   C07C 9/14 20060101ALI20240423BHJP
   C07C 9/22 20060101ALI20240423BHJP
   C07C 11/00 20060101ALI20240423BHJP
   C07C 29/151 20060101ALI20240423BHJP
   C10L 1/08 20060101ALI20240423BHJP
   C10L 1/04 20060101ALI20240423BHJP
   C10L 1/02 20060101ALI20240423BHJP
   C10G 2/00 20060101ALI20240423BHJP
   B01D 53/50 20060101ALI20240423BHJP
   B01D 53/52 20060101ALI20240423BHJP
   B01D 53/68 20060101ALI20240423BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20240423BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20240423BHJP
   B01D 53/58 20060101ALI20240423BHJP
   C01B 32/40 20170101ALI20240423BHJP
   B01D 53/54 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B01D53/72
C07C1/12 ZAB
C07C9/14
C07C9/22
C07C11/00
C07C29/151
C10L1/08
C10L1/04
C10L1/02
C10G2/00
B01D53/50 100
B01D53/52
B01D53/68
B01D53/68 200
B01D53/82
B01D53/86 243
B01D53/86 280
B01D53/58
C01B32/40
B01D53/54
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558266
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 US2022000007
(87)【国際公開番号】W WO2022220892
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/258,157
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522402405
【氏名又は名称】インフィニウム テクノロジー,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】INFINIUM TECHNOLOGY,LLC
【住所又は居所原語表記】2020 L Street,Suite 120,Sacramento,CA 95811-4260(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】マクギニス,グレン
(72)【発明者】
【氏名】ライト,ハロルド
(72)【発明者】
【氏名】コールドウェル,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ハンベリー,オリオン
(72)【発明者】
【氏名】マッタナ,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】シュツレ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】シュツレ,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ギャロウェイ,アーニャ,ランプレッカー
(72)【発明者】
【氏名】バッチャー,ジェイムズ
【テーマコード(参考)】
4D002
4D148
4G146
4H006
4H013
4H129
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AA03
4D002AA04
4D002AA09
4D002AA13
4D002AA14
4D002AB01
4D002AC01
4D002AC05
4D002AC07
4D002AC10
4D002BA03
4D002BA04
4D002BA05
4D002BA12
4D002BA14
4D002DA05
4D002DA06
4D002DA08
4D002DA11
4D002DA21
4D002DA31
4D002DA70
4D002EA02
4D002GA01
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB02
4D002GB03
4D002HA09
4D148AA18
4D148AA30
4D148AB01
4D148AB02
4D148BA26Y
4D148BA37Y
4D148BA38Y
4D148BB01
4D148BB17
4D148CD01
4D148CD05
4D148DA03
4D148DA06
4D148DA20
4G146JA01
4G146JB04
4G146JC01
4G146JD02
4H006AA02
4H006AA04
4H006AB44
4H006AC11
4H006AC29
4H006FE10
4H013BA01
4H013BA02
4H129AA01
4H129BA12
4H129BB07
4H129BC43
4H129BC45
4H129NA02
4H129NA45
(57)【要約】
【要約】
本発明は、概して、再生可能エネルギーを使用してCOを高純度化し、低炭素又はゼロ炭素である高品質の燃料及び化学物質へと変換するためのプロセス及びシステムに関する。一態様では、本発明は、少なくとも90モル%のCOを含む流を生成する方法が提供される。いくつかの場合には、CO流が処理され、それによって低炭素燃料及び化学物質を製造する。このプロセスでは、COの少なくとも一部が、逆水性ガスシフト(RWGS)反応器内でHを含む流と反応させられ、それによってCOを含む生成物流を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能燃料及び化学物質の生成に使用するための二酸化炭素流を調製する方法であって、
a.COと汚染物質とを含む汚染されたCO流を提供するステップであって、該汚染物質は、炭化水素、酸素化炭化水素、SO、HS、COS、N、アミン又はそれらの組み合わせを含む、ステップと、
b.前記汚染されたCO流を吸着剤床へと供給するステップであって、それによって出口流を生成し、ここで、前記吸着剤床の出口流は、SO、HS及びCOSの濃度が20ppb未満であり、アミン及びアンモニアの濃度が100ppb未満である、ステップと、
c.前記吸着剤床の出口流をOを含む流と混合するステップであって、それによって燃焼器供給流を生成する、ステップと、
d.前記燃焼器供給流を燃焼反応器へと供給するステップであって、該燃焼反応器において前記汚染物質が酸化され、それによって燃焼器生成物流を生成する、ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記Oが、再生可能エネルギーを使用したHOの電気分解から生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
再生可能エネルギーを使用したHOの電気分解から生成されるHが、前記汚染されたCO流を高純度化するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記燃焼器供給流中のOのモル流量が、O対燃料比を感知するセンサを使用して、前記吸着剤床の出口流と前記Oを含む流との混合物の当量比が1.00未満となるように制御され、それによって燃焼器生成物流を提供し、ここで、該燃焼器生成物流中の炭化水素のモル量は、前記汚染されたCO流中の炭化水素のモル量の5%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記燃焼器生成物流が、加熱されたCO流及びH流と混合され、該加熱されたCO流及びH流中のHとCOとの比は、1.5~4.0の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記H流と前記CO流とは、前記燃焼器生成物流と混合される前に900°F~1,250°Fの間まで別々に加熱される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱された流のそれぞれが、触媒反応器内へと導入される前にさらに1750°Fまで加熱され、該触媒反応器は、1.0~4.0の間の比のHとCOとの混合物を含む合成ガス流を生成する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記合成ガスが触媒反応器に投入され、該触媒反応器は再生可能エネルギーを使用して加熱され、それによって低炭素燃料及び化学物質が生成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記低炭素燃料及び化学物質の炭素強度値がゼロに近い、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも90モル%のCOを含むCO流を生成するための方法であって、
a.炭化水素と、COと、硫黄含有化合物とを含む源流を提供するステップと、
b.前記源流を電解装置から得られるH流と混合するステップであって、それによって低温混合源流を生成し、ここで、前記源流の流量に対する前記H流の流量の質量比が10%未満である、ステップと、
c.前記低温混合源流を混合流加熱器内で加熱するステップであって、該混合流加熱器は、温度が少なくとも600°Fの高温混合源流を生成するように温度を上昇させる、ステップと、
d.前記高温混合源流を水素化脱硫反応器へと供給するステップであって、それによってCO及び硫化水素を含む水素化脱硫生成物流を生成する、ステップと、
e.前記水素化脱硫生成物流を硫黄吸着剤反応器へと供給するステップであって、それによってCO及び炭化水素を含む吸着剤生成物流を生成し、ここで、前記水素化脱硫生成物流中に存在していた硫化水素の10重量パーセント未満が前記吸着剤生成物流中に残存する、ステップと、
f.前記硫黄吸着剤生成物流を電解装置におけるO流と混合するステップであって、それによって燃焼供給流を生成する、ステップと、
g.前記燃焼供給流を燃焼反応器へと供給するステップであって、それによって燃焼反応器生成物流を生成し、ここで、前記燃焼供給流中の炭化水素が少なくとも部分的に燃焼してCO二酸化炭素及びHOとなる、ステップと、
h.前記燃焼反応器生成物流を補助的なH流と混合するステップであって、それによってO除去反応器供給流を生成する、ステップと、
i.前記酸素除去反応器供給流をO除去反応器へと供給するステップであって、それによって高純度化された二酸化炭素生成物流を生成する、ステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記高純度化されたCO生成物流が、低炭素燃料を作成するようにさらに処理される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記高純度化されたCO生成物流の少なくとも一部が、逆水性ガスシフト(RWGS)反応器内でHを含む流と反応させられ、それによってRWGS生成物を生成する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記電解装置のH流が、電解装置におけるHOの電気分解から生成されたHを少なくとも90モル%含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記水素化脱硫反応器が、モリブデンを含む水素化脱硫触媒を収容する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記硫黄吸着剤反応器が、ZnOを含む硫黄吸着剤を収容する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記電解装置のO流が、電解装置におけるHOの電気分解から生成されたOを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記高純度化された生成物流が、前記源流中のCOを少なくとも90重量%含むが、前記源流中に含まれていた硫黄含有化合物を1重量%未満、炭化水素を10重量%未満しか含んでいないような組成を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
再生可能燃料又は化学物質を生成する方法であって、
a.COと炭化水素とを含む供給流を提供するステップと、
b.再生可能電力を使用してHOを電気分解するステップであって、それによってH及びOを生成する、ステップと、
c.電気分解からの前記Oの少なくとも一部を使用して、前記供給流中の前記炭化水素を追加のCOへと変換するステップと、
d.前記CO及び前記Hを再生可能燃料又は化学物質へと変換するステップと
を含む、方法。
【請求項19】
前記炭化水素分子の炭素原子が、8個未満である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記炭化水素が、電気分解からの前記Oによる熱酸化システムを使用してCOへと変換される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記熱酸化システムが、酸素燃焼である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記供給流中の炭化水素の濃度が、約3重量%より大きい、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記炭化水素が、触媒的酸化システムを使用してCOへと変換される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記供給流中の炭化水素の濃度が、約3重量%未満である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記再生可能燃料又は化学物質が、合成ディーゼル燃料である、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記再生可能燃料又は化学物質が、合成航空燃料(SAF)である、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記再生可能燃料又は化学物質が、C-C23の炭化水素、アルコール及び/又はオレフィンである、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記供給流が、COパイプラインからのものである、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記供給流が、製造プロセスからのものである、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
前記製造プロセスが、エタノール、セメント、鉄鋼、石灰又は石油精製製品を製造するためのプロセスである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記供給流が、周囲空気から捕捉されたCOである、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
前記供給流から硫黄化合物及び微粒子を除去するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項33】
前記炭化水素を追加のCOへと変換し、それによって前記供給流中の炭化水素の濃度を約2,000ppm未満まで低減する、請求項18に記載の方法。
【請求項34】
前記炭化水素が、ほぼ大気圧にてCOへと変換される、請求項18に記載の方法。
【請求項35】
前記炭化水素が、約1500℃未満の温度にてCOへと変換される、請求項18に記載の方法。
【請求項36】
再生可能燃料及び化学物質の生成に使用するためのCO流を調製するシステムであって、
a.汚染された二酸化炭素流を出口流へと変換するように構成された吸着剤床であって、ここで、(i)前記汚染されたCO流は、COと汚染物質とを含み、該汚染物質は、炭化水素、酸素化炭化水素、SO、HS、COS、N、アミン又はそれらの組み合わせを含み、(ii)前記吸着剤床の出口流は、SO、HS及びCOSの濃度が20ppb未満であり、アミン及びアンモニアの濃度が100ppb未満である、吸着剤床と、
b.HOを電気分解し、それによってH及びOを生成するように構成された電解装置と、
c.前記吸着剤床の出口流と前記電解装置からの前記Oとの混合物を燃焼器生成物流へと変換するように構成された燃焼反応器であって、該燃焼反応器において、前記汚染物質が該燃焼器生成物流中で酸化される、燃焼反応器と
を含む、システム。
【請求項37】
前記燃焼器供給流中のOのモル流量が、O対燃料比を感知するセンサを使用して、前記吸着剤床の出口流と前記酸素を含む流との混合物の当量比が1.00未満となるように制御され、それによって燃焼器生成物流を提供し、ここで、該燃焼器生成物流中の炭化水素のモル量は、前記汚染されたCO流中の炭化水素のモル量の5%未満である、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記燃焼器生成物流が、加熱されたCO流及びH流と混合され、該加熱されたCO流及びH流中のHとCOとの比は、1.5~4.0の間である、請求項36に記載のシステム。
【請求項39】
前記H流と前記CO流とは、前記燃焼器生成物流と混合される前に900°F~1,250°Fの間まで別々に加熱される、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記加熱された流のそれぞれが、触媒反応器内へと導入される前にさらに1750°Fまで加熱され、該触媒反応器は、1.0~4.0の間の比のHとCOとの混合物を含む合成ガス流を生成する、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記合成ガスが触媒反応器に投入され、該触媒反応器は再生可能エネルギーを使用して加熱され、それによって低炭素燃料及び化学物質が生成される、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記低炭素燃料及び化学物質の炭素強度値がゼロに近い、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
再生可能燃料又は化学物質を生成するシステムであって、
a.再生可能電力を使用してHOを電気分解するように構成された電解装置であって、それによってH及びOを生成する、電解装置と、
b.前記電解装置からの前記Oの少なくとも一部を使用して、供給流中の前記炭化水素を追加のCOへと変換するように構成された変換モジュールであって、ここで、前記供給流は、COと炭化水素とを含む、変換モジュールと、
c.前記供給流中の前記CO及び前記電解装置からの前記Hを再生可能燃料又は化学物質へと変換するように構成された反応器と
を含む、システム。
【請求項44】
前記炭化水素分子の炭素原子が、8個未満である、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記炭化水素が、電気分解からの前記Oによる熱酸化システムを使用してCOへと変換される、請求項43に記載のシステム。
【請求項46】
前記熱酸化システムが、酸素燃焼である、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記供給流中の炭化水素の濃度が、約3重量%より大きい、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記炭化水素が、触媒的酸化システムを使用してCOへと変換される、請求項43に記載のシステム。
【請求項49】
前記供給流中の炭化水素の濃度が、約3重量%未満である、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記再生可能燃料又は化学物質が、合成ディーゼル燃料である、請求項43に記載のシステム。
【請求項51】
前記再生可能燃料又は化学物質が、合成航空燃料(SAF)である、請求項43に記載のシステム。
【請求項52】
前記再生可能燃料又は化学物質が、C-C23の炭化水素、アルコール及び/又はオレフィンである、請求項43に記載のシステム。
【請求項53】
前記供給流が、COパイプラインからのものである、請求項43に記載のシステム。
【請求項54】
前記供給流が、製造プロセスからのものである、請求項43に記載のシステム。
【請求項55】
前記製造プロセスが、エタノール、セメント、鉄鋼、石灰又は石油精製製品を製造するためのプロセスである、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記供給流が、周囲空気から捕捉されたCOである、請求項43に記載のシステム。
【請求項57】
前記供給流から硫黄化合物及び微粒子を除去するステップをさらに含む、請求項43に記載のシステム。
【請求項58】
前記炭化水素を追加のCOへと変換し、それによって前記供給流中の炭化水素の濃度を約2,000ppm未満まで低減する、請求項43に記載のシステム。
【請求項59】
前記炭化水素が、ほぼ大気圧にてCOへと変換される、請求項43に記載のシステム。
【請求項60】
前記炭化水素が、約1500℃未満の温度にてCOへと変換される、請求項43に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月13日に出願された米国仮特許出願第63/258,157号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、再生可能エネルギーを使用してCOを高純度化し、低炭素又はゼロ炭素である高品質の燃料及び化学物質へと変換するためのプロセス及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
二酸化炭素(CO)は、多くの工業プロセスによって生成され、通常は大気中に排出される。しかしながら、COは地球温暖化の原因となる重大な温室効果ガスであることが確認されており、そのため、これらのプロセス(例えば、石油精製、発電、鉄鋼製造、セメント製造、エタノール生産)からCO排出量を削減する必要がある。これらのプロセスについて、COの排出量が少ない、及び/又は、排出されたCOを捕捉して(例えば、地層内に)隔離する改良プロセスを開発する取り組みが進行中である。しかしながら、COを捕捉して有用な燃料や化学物質へと変換すれば、単にCOを隔離するよりも優れた経済的利益を得ることができる。
【0004】
COは、電力を用いて燃料や化学物質へと変換され得る。特に、この電力は、そもそもCOを原料として使用する利点を減じたり、あるいは完全に打ち消したりしないように、再生可能な低炭素資源(例えば、風力又は太陽光)から得られるものであることが望ましい。しかしながら、工業用のCO源には、多くの場合において所定の汚染物質(例えば、炭化水素、酸素化炭化水素、SO、HS、COS、N、アミン)が含まれており、これらの汚染物質は、電気化学変換プロセスにおいてこれらの原料を直接使用する妨げとなる。既存の方法でこれらの汚染物質を除去すると、経済的な悪影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、産業用CO源から汚染物質を経済的に除去するためのシステム及び方法について説明する。該システム及び方法は、再生可能電力を使用した水の電気分解から過剰に高純度な酸素(O)が得られるといった相乗的な利点を活用することができる。電気分解からの水素(H)は、(例えば、逆水性ガスシフト(RWGS)反応においてCOから生成される)COと結合されて燃料及び化学物質を生産することができ、同時に、該Oは、CO原料から汚染物質を除去するために使用することができる。思いがけないことに、電気分解からのOを使用すると、(すなわち、Oが空気から得られていた場合のように)窒素(N)がシステム内へと入り込むことを避けることができ、及び/又は、空気からOを濃縮するために必要なコスト及びエネルギーを投入することを避けることができる。
【0006】
一態様では、再生可能燃料及び化学物質の生成に使用するための二酸化炭素流を調製する方法を提供する。該方法は、COと汚染物質とを含む汚染されたCO流を提供するステップであって、該汚染物質は、炭化水素、酸素化炭化水素、SO、HS、COS、N、アミン又はそれらの組み合わせを含む、ステップと、前記汚染されたCO流を吸着剤床へと供給するステップであって、それによって出口流を生成し、ここで、前記吸着剤床の出口流は、SO、HS及びCOSの濃度が20ppb未満であり、アミン及びアンモニアの濃度が100ppb未満である、ステップと、前記吸着剤床の出口流をOを含む流と混合するステップであって、それによって燃焼器供給流を生成する、ステップと、前記燃焼器供給流を燃焼反応器へと供給するステップであって、該燃焼反応器において前記汚染物質が酸化され、それによって燃焼器生成物流を生成する、ステップとを含む。
【0007】
別の態様では、少なくとも90モル%のCOを含むCO流を生成するための方法を提供する。該方法は、炭化水素、CO及び硫黄含有化合物を含む源流を提供するステップと、前記源流を電解装置から得られるH流と混合するステップであって、それによって低温混合源流を生成し、ここで、前記源流の流量に対するH流の流量の質量比が10%未満である、ステップと、前記低温混合源流を混合流加熱器内で加熱するステップであって、該混合流加熱器は、温度が少なくとも600°Fの高温混合源流を生成するように温度を上昇させる、ステップと、前記高温混合源流を水素化脱硫反応器へと供給するステップであって、それによってCO及び硫化水素を含む水素化脱硫生成物流を生成する、ステップと、前記水素化脱硫生成物流を硫黄吸着剤反応器へと供給するステップであって、それによってCO及び炭化水素を含む吸着剤生成物流を生成し、ここで、前記水素化脱硫生成物流中に存在していた硫化水素の10重量パーセント未満が前記吸着剤生成物流中に残存する、ステップと、前記硫黄吸着剤生成物流を電解装置におけるO流と混合するステップであって、それによって燃焼供給流を生成する、ステップと、前記燃焼供給流を燃焼反応器へと供給するステップであって、それによって燃焼反応器生成物流を生成し、ここで、前記燃焼供給流中の炭化水素が少なくとも部分的に燃焼してCO二酸化炭素及びHOとなる、ステップと、前記燃焼反応器生成物流を補助的なH流と混合するステップであって、それによってO除去反応器供給流を生成する、ステップと、前記酸素除去反応器供給流をO除去反応器へと供給するステップであって、それによって高純度化された二酸化炭素生成物流を生成する、ステップとを含む。
【0008】
別の態様では、再生可能燃料又は化学物質を生成する方法を提供する。該方法は、COと炭化水素とを含む供給流を提供するステップと、再生可能電力を使用してHOを電気分解するステップであって、それによってH及びOを生成する、ステップと、電気分解からの前記Oの少なくとも一部を使用して、前記供給流中の前記炭化水素を追加のCOへと変換するステップと、前記CO及び前記Hを再生可能燃料又は化学物質へと変換するステップとを含む。
【0009】
別の態様では、再生可能燃料及び化学物質の生成に使用するためのCO流を調製するシステムを提供する。該システムは、汚染された二酸化炭素流を出口流へと変換するように構成された吸着剤床であって、ここで、(i)前記汚染されたCO流は、COと、炭化水素、酸素化炭化水素、SO、HS、COS、N、アミン又はそれらの組み合わせとを含み、(ii)前記吸着剤床の出口流は、SO、HS及びCOSの濃度が20ppb未満であり、アミン及びアンモニアの濃度が100ppb未満である、吸着剤床と、HOを電気分解し、それによってH及びOを生成するように構成された電解装置と、前記吸着剤床の出口流と前記電解装置からの前記Oとの混合物を燃焼器生成物流へと変換するように構成された燃焼反応器であって、該燃焼反応器において、前記汚染物質が該燃焼器生成物流中で酸化される、燃焼反応器とを含む。
【0010】
前述の概念と、以下でより詳細に説明する追加の概念との全ての組み合わせは、(そのような概念が相互に矛盾しないことを前提として)本明細書に開示される発明の主題の一部であることが企図されることを理解されたい。特に、本開示内における主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される発明の主題の一部であることが企図される。
【0011】
さらなる他の態様、実例、並びに、これらの例示的な態様及び例の利点については、以下で詳細に説明する。さらに、前述の情報及び以下の詳細な説明は、いずれも様々な態様及び例についての単なる例示的な例であり、請求の範囲に示された態様及び実例の性質及び特徴を理解するための概要又は構成を提供することを意図したものであることを理解されたい。本明細書に開示される任意の例は、本明細書に開示される目的、意図及び要求の少なくとも1つと一致する任意の方法によって、他の任意の例と組み合わせることができ、「例」、「いくつかの例」、「代替例」、「様々な例」、「一例」、「少なくとも1つの例」、「この例及び他の例」等についての言及は、必ずしも相互に排他的ではなく、その例に関連して説明される特定の機能、構造又は特性が少なくとも1つの例に含まれてもよいことを示唆することを意図したものである。そのような用語が本明細書にて出現した場合、必ずしも全てが同じ例を指しているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、汚染物質(例えば、無機硫黄及び窒素化合物、アミン、炭化水素及び酸素化炭化水素)を含有するCOを含むCO源流を高純度化するためのプロセスの概略図の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、再生可能エネルギーを使用してCOを高純度化し、低炭素又はゼロ炭素である高品質の燃料及び化学物質へと変換するためのプロセス及びシステムについて説明する。
【0014】
COは、再生可能エネルギーを使用して、燃料(例えば、ディーゼル燃料、ガソリン基材(blend stock)、ジェット燃料)及び化学物質(例えば、溶剤、オレフィン、アルコール、芳香族化合物等)等の有用な生成物へと変換され得る。その結果、これらの低炭素製品は、石油及び天然ガスから生成される燃料及び化学物質に取って代わることができ、それによって大気中へのCOの正味総排出量を削減することができる。本明細書にて使用される「低炭素」な燃料又は化学物質との用語は、アルゴンヌ国立研究所のGREETモデルなどの計算機、又はその他のライフサイクル評価ツール等の炭素強度を使用して計算された化石資源から製造される同じ燃料又は化学物質よりも炭素強度が少なくとも20%(より好ましくは少なくとも50%以上)低いことを意味する。低炭素電力との用語は、太陽光、風力、バイオマス、原子力発電所等の非化石資源から、電力が生産されることを意味する。COは、電力、セメント、鉄鋼、石油系の燃料及び化学物質、アンモニア、エタノール、並びに、電池等の日用品の製造に使用される、様々な製造プラントから取得され得る。加えて、汚泥の好気性及び嫌気性消化を用いた都市下水処理システムでは、大量のCOが生成される。COは、直接空気回収(DAC)と称されるプロセスを用いて、大気からも回収され得る。
【0015】
低炭素又はゼロ炭素である燃料及び化学物質は、水の電気分解によって生成される水素を必要とするため、しばしばe燃料(e-fuel)又はe化学物質(e-chemical)と称される。電解装置では、電気及び熱を使用して、水を水素と酸素とに分離する。
【化1】
【0016】
電解装置は、電解質によって分離された陽極及び陰極を有し得る。電解装置の設計が異なるものとなれば、機能もわずかに異なるものとなる。H及びOの生成に使用可能な電気分解技術としては、アルカリ電気分解、プロトン交換膜(PEM)及び固体酸化物電気分解が含まれる。種々異なる電解質が使用可能であり、そのような電解質としてはKOH水溶液及びNaOH水溶液が含まれ、該電解質は活性化化合物を有していても有していなくてもよい。活性化化合物は、電解質の安定性を向上させるために電解質に添加され得る。水素発生反応のためのイオン活性化剤の大半は、エチレンジアミン系の金属塩化物錯体(例えば、[M(en)]Clx、M1/4Co、Ni)及びNaMoO又はNaWOを含む。種々異なる電極触媒が電極上に使用可能であり、そのような電極触媒としては金属と酸化物との様々な組み合わせ(例えば、ラネーニッケルアルミニウム等)が多数含まれ、該電極触媒はコバルト又はモリブデンを合金に添加することによって強化され得る。
【0017】
PtMo、HfFe、TiPt等の遷移金属のいくつかの組み合わせが、陰極材料として使用されており、著しく高い電極触媒活性を示している。
【0018】
固体酸化物電解装置では、陰極における水が外部回路からの電子と結合し、それによってHガス及び負に帯電したOイオンが形成される。Oイオンは、固体セラミック膜を通過して、陽極で反応することによってOガスを形成し、外部回路のための電子を生成する。このようにして、H水素及びOガスの両方が、電解装置内で生成される。いくつかの実施形態では、複数の電解装置が並行して運転される。
【0019】
電解装置は、少なくとも2つの生成物流、すなわち、水素を含む電解装置水素流と、酸素を含む電解装置酸素流とを生成する。低炭素水素流を生成する他の方法もあり、そのような方法には、天然ガス/メタンの熱分解からの「ターコイズH」の生成、水蒸気メタン改質(SMR)又は自熱改質(ATR)を使用してHを生成する(CO排出は煙突から回収される)「ブルーH」の生成が含まれる。
【0020】
本明細書に記載されるCOの利用は、典型的には、COが主成分ではないガス状混合流からCOを分離及び高純度化することを伴う。典型的には、直接接触プロセスにおいてCOをガス流から除去するために、アルキルアミン又は冷却メタノールが使用され、このときCOは、接触する液体内へと優先的に吸着される。該プロセスにおいて使用されるアルキルアミンには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、アミノエトキシエタノール、並びに、他の化合物及び混合物が含まれ得る。CO吸着のためのアルカノールアミンの使用が原因となる機器の腐食は、重大な問題となり得る。この腐食速度は、モノエタノールアミン(MEA)>2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)>ジエタノールアミン(DEA)>メチルジエタノールアミン(MDEA)の順で低減する傾向がある。しかしながら、MDEAはCO吸収能力が高く、CO再生のために必要なエネルギーが少なくなる。
【0021】
アミンと比較して、吸着はCOの捕捉又は分離にかかるエネルギーとコストを低減させることができる。この目標を達成するために、適切な特性を備えた吸着剤が使用され得る。有機金属構造体(MOF)材料は、化学吸着又は物理吸着を使用して希釈された流から二酸化炭素を分離し、それによって該流からCOを捕捉する手段として使用され得る。濃縮されたCOを得る他の方法としては、ケミカルルーピング燃焼が含まれ、このケミカルルーピング燃焼では、循環する金属酸化物材料が空気の代わりに炭素質材料を燃焼させるための酸素を提供し、それによって窒素で希釈されていないことによってCOが濃縮された排気が作成される。化学吸着は吸着の下位分類であって、この化学吸着では、吸着剤とCOとの間の化学反応によって分離が行われる。COの分離に使用可能な材料としては、以下に限定されないが、MgO、CaO、LiZrO及びハイドロタルサイトが含まれる
【0022】
膜分離法は、COを分離するための連続的かつ定常状態の単純なプロセスである。該プロセスは、エネルギー要求が比較的控えめである。しかしながら、低圧用途においては、分離の推進力が小さくなる可能性がある。さらに、他の流からCOを分離するために極低温蒸留が使用可能であり、この極低温蒸留によって、液体COの生成、並びに、その貯蔵及び輸送が可能になる。
【0023】
COを捕捉して圧縮することによって、酸素燃料燃焼の排ガスからCOを分離することができる。いくつかの場合において、原料ガスが高圧で利用可能な際には、極低温分離の費用効果が高くなり得る。
【0024】
工業源又は周囲空気から捕捉されたCOは、多様な不純物を含有していることがあり、そのような不純物は、下流プロセスに対して悪影響を及ぼし得る。不純物の性質は、CO源と、COを捕捉するために使用される技術の性質とに大きく依存する。いくつかのCO源は非常に純粋なものであるが、他のCO源には、SO、HS、COS、元素硫黄及びより重質の有機硫黄種等の硫黄不純物が含まれることがある。有機硫黄種としては、メルカプタン、スルフィド、ジスルフィド及び芳香族硫黄種が含まれる。スルフィド及びジスルフィドは、芳香族であり得る。チオフェンは多核有機硫黄種であって、通常はより重い炭化水素と一緒に存在する。CO中に炭化水素不純物が存在することは一般的であり、そのような炭化水素不純物としては、メタン、エタン、より反応性の高いオレフィン又はアルキンが含まれ、該炭化水素不純物は、変換プロセスにおいてコークスの形成を引き起こす可能性がある。石油精製作業からの排ガス流には、一般的に、より重質の炭化水素が存在している。
【0025】
CO中におけるN、NO、O、Ar等の他の不純物は、上流プロセスにおいて使用される空気に由来する。追加の不純物としては、モノエタノールアミン(例えば、燃焼後捕捉の場合)又はSelexol(登録商標)(例えば、燃焼前捕捉の場合)等、CO分離プロセスのために使用される物質が含まれることがあり、それらの分解生成物もまた、CO流内へと持ち越される可能性がある。
【0026】
下流プロセスでの問題を避けるために、硫黄含有化合物及び炭化水素の除去を含むCOの高純度化が必要になる可能性がある。本明細書に記載の方法を使用して生成される高純度化されたCOは、低炭素又はゼロ炭素の燃料及び化学物質の生成に適している。
【0027】
水素化脱硫(HDS)は、天然ガス及び精製製品から硫黄及び硫黄種を除去するために最も一般的に適用される方法である。該供給物は、水素ガスと混合されて、熱交換器又はガス燃焼式加熱器において300~400℃まで加熱される。次に、該供給物は、絶対圧10~130気圧にて固定床反応器へと供給される。HDSは、典型的にはコバルト/モリブデン又はニッケル/モリブデンからなる触媒(それぞれ「CoMo」触媒又は「NiMo」触媒と称される)の存在下で実施され、種々異なる配合の関連触媒が含有されることもある。このプロセスにより、硫黄含有化合物が水素化され、硫化水素(HS)が生成される。この得られた流は、酸化亜鉛(ZnO)床を通過させられ、それによって硫黄が吸収されて硫化亜鉛(ZnS)を形成するか、熱交換器を通して冷却させられて、HSを除去するためにアミンカラムへと供給される。HSは、通常はアミンガスから回収され、その後に硫酸又は元素硫黄へと変換される(クラウスプロセス)。同時に、供給流中の全ての窒素含有不純物がNHへと変換される。HDSの主な欠点の1つは、硫黄種が完全には除去できないことがあることである。複素環硫黄化合物の反応性は、チオフェン、アルキル化チオフェン、ベンゾチオフェン、アルキル化ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ジメチルジベンゾチオフェンの順に低くなる。それらの場合には、高度な脱硫を達成するには追加の脱硫手段が必要である。また、原料の性質に応じて、HDSに大量の貴重なHが必要となる可能性がある。
【0028】
熱酸化装置(thermal oxidizer)は、産業廃棄物流から汚染物質を除去するために使用され得る。この技術により、有害な大気汚染物質、揮発性有機化合物(VOC)及び(除去されなければ大気中に排出されることになる)廃棄物流からの臭気排出物を除去することができる。熱酸化装置は、触媒性であってもよく、非触媒性であってもよい。炭化水素は、酸化されてCO及びHOを形成する。
【0029】
熱酸化装置又は燃焼システムの有効性は、概して、燃料対酸素の比、温度、滞留時間及び乱流によって影響を受ける。炭化水素の燃焼は、以下に示す発熱反応によって表すことができる。
【化2】
【0030】
当量比は、化学量論的な燃料/酸素比に対する実際の燃料/酸素比の比として定義され、燃焼の理解において有用な用語である。化学量論的な燃焼は、全ての酸素が反応で消費された場合(すなわち、それによって生成物中に分子状酸素(O)が存在しない場合)に起こる。
【0031】
燃焼器供給ガス中における窒素又は硫黄含有成分等の他の成分は、SOやNOが生成される要因となる可能性があり、それらは深刻な環境問題を引き起こすため、廃棄物流を環境へと放出する前に除去する必要がある。除害システムは利用可能であるが、燃焼システムからの窒素酸化物(NO)の排出は、引き続き環境問題となる。これらの種は、温室効果ガス及び/又は酸性雨の前駆物質であり得る。燃焼システムにおいてNOが形成されるに至る経路には、大抵の場合、O、CH及びH等のラジカルが燃焼用空気中の窒素分子の三重結合へと挿入されることが伴う。
【0032】
SOは、石灰石(CaCO)又はドロマイト(CaMg(CO)を対流パスへと直接添加し、高温で濾過することによって除去され得る。CaCOの反応には、以下に示すような様々な反応ステップが伴うことがある。
【化3】
CaSOは650℃を超える温度で分解するため、全体の反応は、以下に示すように記述される。
【化4】
【0033】
廃ガスの燃焼はまた、触媒的酸化装置内において行われてもよい。触媒的酸化装置では、燃焼反応速度を高めるために触媒が使用され、廃ガスを予熱するために必要な燃料が少なくなる可能性がある。
【0034】
中程度かつ強い低酸素希釈(MILD)燃焼技術により、従来型燃料と代替燃料との両方の使用に関連する環境問題を軽減できる。MILD燃焼は、無炎燃焼又は高温空気燃焼(HiTAC)とも称され、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)及び煤等の汚染物質の排出を抑制することができる。これらのプロセスによって、燃焼効率及び燃料柔軟性が向上する。
【0035】
ほとんどの燃焼プロセスでは、酸化剤として空気が使用される。空気には、約21体積%のOと、79体積%のNとが包含されている。O強化燃焼を用いることによって、生産性及び熱効率を大幅に向上させることができると共に、排気ガス量及び汚染物質の排出量を低減することができる。高純度化のために熱又は触媒的酸素燃焼を適用すると、典型的には、酸素のコスト及び利用可能性に影響を受ける。しかしながら、本明細書に記載のシステム及び方法では、熱又は触媒的酸素燃焼のためのOは、電気分解及び/又は極低温空気分離ユニット(ASU)によって供給され得る。酸素はまた、水の電気分解によっても生成及び供給され得る。
【0036】
ASU技術は極低温分別蒸留を使用しており、該ASU技術では、各成分はガスを液化するまで圧縮することによって分離された後、成分の沸点まで選択的に蒸留される。このことは非常にコストがかかり、かつエネルギーを大量に消費するため、該ASU技術は、通常は大規模な生産においてのみ適用される。
【0037】
空気を純粋なOに置換すると、燃焼システムの性能が大幅に向上する。O強化燃焼は種々異なる用途に使用可能であり、そのような用途としては、流動触媒的分解、金属加工、硫黄回収、廃棄物焼却、バイオ燃料、石油コークス及び固形燃料、並びに、CO捕捉による酸素石炭燃焼が含まれる。熱酸化装置における燃焼プロセスは、燃焼性能、熱伝達、不純物、及び、空気分離ユニット(ASU)の使用によって生じるエネルギー損失の最小化について最適化することができる。
【0038】
本明細書では、COを含む流を高純度化する方法及びシステム、並びに、低炭素又はゼロ炭素燃料を生成するための該流の使用について説明し、特に、可燃性不純物の除去のためのシステム及び方法について説明する。CO流は、産業プロセスから捕捉することができ、又は、産業パイプラインからも利用可能であって、また、直接空気捕捉等の他のCO源からのものであってもよい。本明細書では、少なくとも90モル%のCO(例えば、90モル%のCO~95モル%のCO、又は90モル%のCO~100モル%のCO)を含む流を生成する方法が提供される。該プロセスは、複数のステップを(例えば、順に)含むことができる。
【0039】
源流は、少なくとも50モル%のCOを含み、また汚染物質を伴い得る。該汚染物質としては、炭化水素、CO、有機硫黄含有化合物、SO、HS、COS、N、アミン、極性有機化合物、又はそれらの組み合わせが含まれる。該源流は、予熱されて酸素燃焼反応器内へと供給され得る。該源流は、電解装置の酸素流と混合され、それによって燃焼反応器供給流を生成し得る。電解装置のO流は、電解装置内における水の電気分解から生成されたOを含み得る。燃焼器供給流は、燃焼反応器に供給され得、該燃焼反応器では、燃焼器供給流中の炭化水素が燃焼してCO及び水となり、それによって燃焼反応器生成物流を生成する。
【0040】
燃焼器システムは、燃焼室を含み得、該燃焼室では、CO中の可燃性成分が酸化される。元のCO供給物の組成に応じて、追加のCOと炭化水素不純物からのCOとが生成され得ると共に、(存在する場合には)有機硫黄化合物からのSOもまた生成され得る。燃焼器内の入口温度は、原料の組成と、コークスを管理する能力とによって決定され得る。該温度は、室温と同程度まで低くてもよく、最大400℃程度までであってもよい。この加熱は、電気加熱器を使用して遂行され得る。いくつかの場合には、電気加熱器において使用される電力は、低炭素プロセスから得られる。利用可能な場合は、下流の廃熱を統合することによって加熱が遂行されてもよい。
【0041】
反応温度は、供給流中の炭化水素の発熱量(heating value)に依存する。組成物の発熱量は、不純物の種類及び量に依存する。廃ガス流中の全有機物(例えば、揮発性有機化合物(VOC)並びに他の炭化水素/有機物)の燃焼によって放出されるエネルギーは、廃ガス流自体の温度を所望のレベルまで上昇させるのに十分ではないことがある。必要に応じて、燃焼器内の炎を維持するために、補助燃料を追加して温度を上昇させてもよい。補助燃料は、水素、メタン又は他の炭化水素であってもよい。このプロセスの炭素強度を最小限に抑えるために、天然ガスを避けて炭素強度の低い水素が使用され得る。
【0042】
SOは、石灰石(CaCO)又はドロマイト(CaMg(CO)を直接燃焼器へと添加することによって除去することができる。CaSOは、650℃を超える温度にて分解し得るため、ユニット内の典型的な動作条件下では、その全体の反応は、以下のように記述され得る。
【化5】
硫黄含有量が高い場合には、ZnO等の追加の金属吸着剤が使用されてもよい。使用され得る他の金属酸化物は、Fe、Cu、Mn、Mo、Co及びVベースである。
【0043】
石灰石又はドロマイトを添加する代わりに、有機硫黄と硫化水素を、燃焼反応器に至る前の(例えば、触媒的水素化脱硫によって)上流で除去し、それによって有機硫黄を硫化水素へと変換することができる。その後、硫化水素を捕捉するために、酸化亜鉛等の材料からなる吸着剤床が使用され得る。
【0044】
燃焼反応器生成物流は、炭化水素及びSOを含むことなく、CO、CO、HO及び過剰のOを含み得る。ここで、該流は追加のH流と混合することができ、それによってO除去反応器の供給流を生成することができる。
【0045】
除去反応器供給流は、O除去反応器に供給して過剰のOを燃焼させ、それによってHOを生成することができ、結果として高純度化されたCO及びHOの生成物流を生成することができる。該HOは、生成物流を冷却することによりHOを凝縮させ、高純度化されたCOから液体HOを分離することによって除去され得る。乾燥した高純度化されたCO生成物流の組成では、少なくとも約90重量%が源流中のCO(例えば、90重量%~95重量%がCO、又は、90重量%~100重量%がCO)であり得る。いくつかの場合には、CO生成物流は、50ppb未満、又は、20ppb未満の硫黄含有化合物を有する。いくつかの場合には、CO生成物流は、2,000ppb未満、又は、500ppb未満の炭化水素(例えば、源流中に含まれていた炭化水素)を有する。
【0046】
さらに、高純度化されたCO流は、低炭素又はゼロ炭素の燃料や化学物質を製造するために使用され得る。この変換プロセスは、CO、HO及び電気を化学物質及び燃料へと変換することを伴い得る。該プロセスは、再生可能電力及び/又は低炭素電力を使用して水をH及びOへと電気分解することを伴い得る。低炭素電力は、風力、太陽光、原子力、バイオマス又はその他の非化石資源から生成される電力であり得る。COは、本明細書に記載されるようなCO捕捉プロセスを使用して収集され得る。COは、逆水性ガスシフト(RWGS)(しばしばCO水素化と称される)反応を使用して過剰のHと反応させられ得、それによってCO及び水を生成することができる。該反応では、反応熱はRWGS加熱器によって提供される。RWGS反応は、内部にRWGS触媒が存在するRWGS反応器内で行われ得る。RWGS触媒は、適切な高表面積基材上に含浸された、ニッケル等の遷移金属を含む固溶体触媒であり得る。CO及びHを含むRWGS生成物流は、液体燃料製造(LFP)反応器内で燃料や化学物質へと変換され得る。該LFP反応器は、燃料及び化学物質として使用可能な長鎖炭化水素を生成するための触媒を使用する。最終生成物は、炭化水素混合物であって、該混合物中の大部分(例えば、60~99体積%)が、炭素原子5~24個の長さの炭化水素である炭化水素混合物であり得る。
【0047】
図面に注目すると、図1は、無機硫黄及び窒素化合物、アミン、炭化水素及び酸素化炭化水素を含有し得るCOを含む流を高純度化するためのプロセスの概略図を示す。このプロセスの高純度化されたCO流は、流6である。高純度化されたCO流は、Hと混合され、別々に又は一緒に加熱されて、反応器104内にて合成ガスへと触媒的に変換される。合成ガス流10は、燃料及び化学物質へと触媒的に変換される。
【0048】
流1は、汚染されたCO源流である。該流の圧力は、典型的には、ゲージ平方インチあたり25ポンド(psig)から500psigの範囲であり得る。流1の温度は、周囲温度、又は、周囲温度に近い温度であり得る。ユニット100は、微粒子、極性無機硫黄及び窒素化合物を除去する吸着剤を含有し得る。
【0049】
反応器101は、炭化水素の濃度が約3体積%を超える場合には熱的反応器(非触媒反応器)であってもよく、炭化水素濃度が約3体積%未満の場合には触媒反応器であってもよい。
【0050】
流3は、様々な流量で添加され得、その流量は、熱反応器101内のO対炭化水素燃料の比に依存する。Oは、低炭素電気を使用したHOの電気分解によって生成され得る。熱反応器101内の燃焼を最適化するために、追加の炭化水素又はメタンが別の流4中へと添加されてもよい。流1に含有される炭化水素が3体積%未満である場合、追加の成分を流4中へと添加することが熱燃焼において利用されてもよい。熱反応器101内の燃焼プロセスを化学量論比又はそのわずかに下回る程度にて制御するために、O対燃料比センサが使用され得る。酸素流3の流れは、炭化水素及び酸化炭化水素の燃焼を化学量論比(例えば、0.95~1.00)又はその直前にて保持するように制御され得る。いくつかの場合には、小過剰のOが許容可能となるが、該Oは(ほぼ瞬時に)Hと反応してRWGS反応器内へと入らない可能性がある。反応器101では、流4中のOと炭化水素とが反応し、それによって主にCO及びHOが少量のCOと共に形成される。HS及び他の任意の硫黄含有種は、SOへと変換され得る。流6中のOの濃度は、約500ppm未満まで制御され得る。反応器101内では、消石灰が直接流動化され得る。
【化6】
【0051】
石灰洗浄によって、95%以上のSOと、99%以上のHCl又はHFとが除去され得る。酸性ガスは、亜硫酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム及びフッ化カルシウムへと変換され、(例えば、バグフィルター上に)固体として捕捉される。過剰な消石灰は、石灰の利用率を向上させるために再循環させられ得る。850℃を超える温度においてCa(OH)はCaOを形成し、酸素存在下において、該CaOは1200℃以下で急速に反応して硫酸カルシウムを形成する。
【0052】
追加の高純度COが利用可能な状態のまま(as available)追加されてもよく(流5)、混合流6がユニット102に供給可能であり、該ユニット102では、高純度化されたCO流6が1,750°Fもの高温にまで加熱される。ユニット102を加熱するために、再生可能エネルギーが使用され得る。
【0053】
流7は、ユニット103内において1,750°Fもの高温にまで加熱され得ると共に、所望により加熱流9へと添加され得、それによって1.5~4.0のH/COモル比を生成することができる。ユニット103は、触媒反応器107からのテールガス等である低炭素又はゼロ炭素燃料ガスを使用して加熱され得る。ユニット103はまた、低炭素電力により運転可能な抵抗加熱器又は誘導加熱器でもあり得る。
【0054】
本明細書に記載のシステム及び方法の結果として、流9は、SO、HS及びCOSを20ppb未満含有し得、アミン及びアンモニア濃度が100ppb未満であり得、Oが500ppm未満であり得、汚染物質であるCO流中の炭化水素及び酸素化炭化水素が95%以上削減され得る。
【0055】
加熱流9は、触媒的逆水ガスシフト(RWGS)反応器104内へと供給され得る。触媒的RWGS反応器容器は、断熱又はほぼ断熱であって、熱損失を最小限に抑えるように設計され得る。いくつかの実施形態では、断熱モードでは主反応器容器に熱が加えられず、主反応器容器内の温度は、反応器の入口から出口まで低下し得る。
【0056】
RWGS反応器104は、円筒形の容器(例えば、直径よりも長い長さを有する)とすることができる。反応器容器への入口は、容器の全体の直径より小くされ得る。反応器容器は、加熱された合成ガスと反応しない不活性材料で裏打ちされた鋼製容器であり得る。鋼製容器は、熱損失を抑制するために断熱され得る。環境への熱損失を抑制するために、様々な種類の断熱材を使用することができ、そのような断熱材としては、注入された耐火物若しくはキャスタブル耐火物の裏打ち、又は、断熱レンガが含まれる。反応器のシェルは、最大外表面温度が400°F未満(例えば、200°F~400°F)のコールドウォール容器用の冶金(metallurgy)を含み得る。
【0057】
触媒床は、反応器容器104の内部にあり得る。触媒は、顆粒、ペレット、球、三葉形、四葉形、モノリス、又は、(例えば、反応器全体にわたる圧力降下を最小限に抑えるように)設計された他の任意の形状の形態であり得る。触媒粒子の形状及び粒径は、反応器全体の圧力損失が50ポンド/平方インチ(psi)未満(例えば、10psi~50psi)となるように管理され得、いくつかの場合では、20psi未満(例えば、10psi~20psi)となるように管理され得る。触媒形態のサイズは、1mm~10mmの間の特徴的な寸法を有し得る。触媒粒子は、10m/gを超える(例えば、10m/g~50m/gの間の)内部表面積を有する多孔質材料であり得、いくつかの場合では、50m/gを超える(例えば、50m/g~100m/gの間の)内部表面積を有する多孔質材料であり得る。充填された触媒は、セラミック球上に担持された状態で、ダウンフローとして配置され得る。ラジアルフローもまた用いられ得る。いくつかの場合には、触媒床は、所望の高ガス時間空間速度(GHSV)設計にて、(流量分布に必要な圧力降下を超える)圧力降下を最小限に抑える。いくつかの実施形態では、触媒床の寸法が内径4フィート、深さ4フィートである場合において、GHSVは約26,000h-1となり、この時の担持球及び触媒を通しての圧力降下は6psi(0.21bar)である。種々の触媒材料が、RWGS反応を触媒することができる。いくつかの場合には、RWGS触媒は、高温スピネル上に含浸されたNiMgを主に含む固溶体触媒である。この高性能固溶体Ni系触媒は、汎用性が高いものであり得、RWGS反応を効率的に実行し得る。該触媒は、1,100℃まで(例えば、900℃~1,100℃の間)において高い熱安定性を有し、炭素(コーキング)を形成せず、捕捉されたCO流中に存在する可能性がある汚染物質に対する耐性に優れている。該触媒は、低NiMg濃度(5.0重量%未満)にて高い活性を示す。いくつかの場合には、触媒の性能を高めるために、高価な貴金属を使用する必要がない。
【0058】
RWGS反応器生成ガスは流10であり、該流10は、CO、H、未反応のCO、HO及び少量のCH(メタン化反応によって生成される)を含む。RWGS反応器生成ガスは、種々の方法で使用され得る。該生成物ガスは、冷却され、圧縮されて、下流のプロセスにおいて燃料及び化学物質を生成するために使用される。RWGS生成物ガスはまた、冷却され、圧縮されて、加熱チャンバ102及びRWGS反応器容器104へと送り返されることもあり得る。RWGS生成ガスはまた、第2の加熱チャンバ内で再加熱され、COのCOへの追加の変換が起こり得る第2のRWGS反応器容器へと送られることもあり得る。第2のRWGS反応器生成ガスはまた、第3の加熱チャンバ内で再加熱され、COのCOへの追加の変換が起こり得る第3のRWGS反応器容器に送られることもあり得る。
【0059】
RWGS反応器生成物流10の少なくとも一部は、液体燃料製造(LFP)触媒反応器(ユニット105)へと供給され得る。流10は、ユニット105内へと導入される前に(すなわち、合成ガス流10の運転圧力が低くなり過ぎないように)圧縮され得る。
【0060】
触媒反応器105は、(流10中にある)CO及びHを、主として、液体燃料及び化学物質として使用可能なC-C24炭化水素へと変換し得る。流11は、分離システムであるユニット106へと供給され得る。この分離システム106は、ユニット105からの生成物を、テールガス(C-C炭化水素、及び、未転化のCO及びH)(流12)と、液相生成物(C-C24炭化水素、及び、酸素化炭化水素)(流13)と、少量(典型的には5体積%未満)のC24+炭化水素留分(流14)とに分離する。
【0061】
触媒反応器105は、合成ガスから液体燃料範囲の炭化水素を生成するための触媒を使用し得る。いくつかの場合には、流中の水素対一酸化炭素の比は、1.9~2.2(v/v)の間であるが、生成物の分布を変更するために、1.0~3.0(v/v)の間で変化させられ得る。LFP反応器は、多管式固定床反応器システムであり得る。各LFP反応管の直径は、13mm~51mmである。反応管の長さは、概して長さ6メートルを超え(例えば、6メートル~15メートルの間であり)、いくつかの場合には、長さ10メートルを超える(例えば、10メートル~15メートルの間である)。LFP反応管の長さの大半が、LFP触媒で満たされ得る。該LFP触媒はまた、LFP反応器管内に、かつ、LFP反応器管を通って供給されるLFP反応器供給物の分配を助けるために、シリカ又はアルミナ等の希釈剤と混合されてもよい。LFP反応器内で生じる化学反応は、長さ5~24の炭素(C-C24炭化水素)の大半の炭化水素生成物と水とを含むLFP生成ガスを生成するが、いくつかの炭化水素はこの範囲外である。
【0062】
いくつかの実施形態では、ユニット100は、微粒子除去の後にHDSを含んでいてもよい。Hは、電解装置から得られる過剰なHとして、流2として添加されてもよい。HDS反応器は、水素化脱硫触媒を含有する圧力容器であり得る。ここで、硫黄含有化合物は、HSへと変換される。該水素化脱硫触媒としては、Co及びMo、又は、Ni及びMo、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。HDS反応器生成物は、二酸化炭素、炭化水素、過剰なH及びHSを含む。HDS反応器生成物流は、硫黄吸着剤反応器へと供給され得る。硫黄吸着剤反応器には、HSと反応して該流から除去するZnO等のHS吸着剤が充填され得る。該吸着剤がHSで飽和して該流中に硫黄が侵入した際に、HSを除去するプロセス全体の能力を低下させることなく、使用済みの吸着剤を有する反応器を設備から取り外して該吸着剤を交換することができるように、複数の硫黄吸着剤反応器が、直列、並列又はリードラグ構成で存在していてもよい。いくつかの場合には、ある程度の水素が存在する。源流(流1)中に存在していた所定の炭化水素不純物は、未だに飽和した形態で存在していることがある。
【0063】
いくつかの実施形態では、COの高純度化には、微粒子除去、HDS及び酸素燃焼が含まれていてもよい。このことは、特に、流1中に高レベルの不純物が存在していた場合に当てはまる。これらの状況では、ユニット101内において生じる温度上昇によって、ユニット102内における加熱要件が最小限に抑えられることがある。
【0064】
いくつかの実施形態では、LFP触媒は、活性金属としてコバルトを含む。いくつかの場合には、LFP触媒は、活性金属として鉄を含む。いくつかの実施形態では、LFP触媒は、活性金属として鉄とコバルトとの組み合わせを含む。LFP触媒は、アルミナ、シリカ、チタニア、活性炭、カーボンナノチューブ、ゼオライト又は他の担体材料からなる群より選択可能な金属酸化物担体上に担持され得る。LFP触媒は、十分なサイズ、形状、細孔直径、表面積、破砕強度及び有効ペレット半径を有し得る。触媒は、様々な形状を有し得、そのような形状としては、3つ、4つ、5つ又はそれ以上のローブ(lobe)を有するローブ付き(lobed)担体(例えば、2つ以上のローブが他の2つの短いローブよりも長く、長いローブの両方が左右対称である)が含まれる。担体の中点又は各ローブの中点からの距離は、有効ペレット半径と称され、C-C24炭化水素に対する所望の選択性に寄与し得る。
【0065】
LFP反応器は、150~450psiの圧力で運転され得る。該反応器は、350°F~460°Fの温度範囲にわたって、より典型的には約410°F(例えば、400°F~420°Fの間)で運転される。LFP又はフィッシャー・トロプシュ(F-T)反応は、発熱性である。該反応器の温度は、LFP反応器管の内部において、反応器管の束が熱交換器内に配置されることによって維持され得、該熱交換機では、LFP反応器管の外側に沸騰水(boiling water)が存在する。ボイラ水(boiler water)の温度は、LFP反応温度よりも低い温度であるため、熱はLFP反応管からより低い温度の水へと流れる。シェル水の温度は、生成される蒸気の圧力を制御することによって維持され得る。この蒸気は、飽和蒸気であり得る。いくつかの実施形態では、触媒LFP反応器は、スラリー反応器、マイクロチャネル反応器、流動床反応器又は他の種類の反応器であり得る。
【0066】
LFP触媒反応器105におけるCO転化率は、パス毎につき40~60モル%のCO転化率に維持され得る。凝縮又は他の許容可能な手段106により、流から目的となる液体炭化水素生成物が分離され得る。LFPテールガスは、未反応のCO、H及びC-C炭化水素を含み、流12として示されている。
【0067】
目的となるC-C24炭化水素を含有する反応器生成物は、分離システム内においてさらに処理され得る。この分離システムは、分画又は蒸留を含み得る。
【0068】
目的となるC-C24生成物は、ガソリンブレンドストック、ディーゼル燃料、ジェット燃料のために使用され得るか、石油又は天然ガス由来の化学物質に代わる低炭素化学物質として使用され得る。一実施形態では、一連の精留塔を使用して、引火点が38~54℃(100~130°F)の間で調整可能な高セタン価ディーゼル燃料と、安定化ナフサ(潜在的にはガソリンブレンドストック又は化学原料)と、軽質ワックス(C24-C40炭化水素)とが作製される。これらの塔の基本的な設備には、以下が含まれる:
【0069】
A.ワックスストリップ塔-このユニットは、蒸気を使用して、ワックス状の材料から燃料範囲成分を回収する。塔頂燃料範囲成分及び蒸気は主分留塔へと送られ、ワックスは冷却されて固体として貯蔵される。ワックスストリップ塔は、凝縮器又は再沸器のない塔で、約170℃(340°F)にて、塔頂蒸気が主分留塔へと入るのに十分な圧力である2.75barg(40psig)で運転される。
【0070】
B.主分留塔-この塔は、原燃料をナフサ成分とディーゼル範囲成分とに分割し、それによってディーゼル引火点を制御する。この塔には、高圧(HP)蒸気加熱再沸器と、水を除去するための3相分離機能を有する還流凝縮器とが含まれる。
【0071】
C.ナフサ安定化塔(任意)-この塔は、リード蒸気圧(RVP)を規格の8psiaに制御する。この安定化塔には、低圧(LP)蒸気再沸器と、還流凝縮器とが含まれる。
【0072】
D.ディーゼル低温流/灯油真空塔(任意)-この塔は、寒冷気候での販売のためにディーゼル流動点を調整し、かつ/又は、灯油又はジェット燃料画分を生成する。この塔には高温再沸器と、還流凝縮器とが含まれる。一実施形態では、この高温再沸器は、電気加熱を使用する。
【0073】
LFP反応器及び分離システム(ユニット106)からの主な液体生成物は、C-C10炭化水素及び酸素化炭化水素である流12である。流13は、主に10~24個の炭素原子を有する炭化水素を含む。
【0074】
一態様では、再生可能燃料及び化学物質の生成に使用するためのCO流を調製する方法が本明細書にて提供される。汚染されたCO流には、COと、炭化水素、酸素化炭化水素、SO、HS、COS、N、アミン又はそれらの組み合わせ等の汚染物質とが含まれ得る。汚染されたCO流は、吸着剤床へと供給され得、それによって出口流が生成され得る。ここで、吸着剤床の出口流は、SO、HS及びCOSの濃度が20ppb未満であり、アミンとアンモニアの濃度が100ppb未満である。いくつかの実施形態では、SO、HS及びCOSの濃度は、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、1ppm未満、500ppb未満、100ppb未満、50ppb未満、20ppb未満、10ppb未満又は5ppb未満である。いくつかの実施形態では、アミン及びアンモニアの濃度は、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、1ppm未満、500ppb未満、100ppb未満、50ppb未満、20ppb未満、10ppb未満又は5ppb未満である。
【0075】
該システム及び方法は、さらに、吸着剤床の出口流を、酸素を含む流と混合するステップであって、それによって燃焼器供給流を生成するステップと、該燃焼器供給流を燃焼反応器へと供給するステップであって、該燃焼反応器において汚染物質が酸化され、それによって燃焼器生成物流が生成されるステップとを含み得る。
【0076】
燃焼器供給流中のOのモル流量は、O対燃料比を感知するセンサを使用して、吸着剤床の出口流と酸素を含む流との混合物の当量比が1.00未満、1.00未満、0.95未満、0.9未満又は0.8未満となるように制御され得る。燃焼器生成物流の炭化水素のモル量は、汚染されたCO流中の炭化水素のモル量の10%未満、8%未満、5%未満、3%未満又は1%未満であり得る。
【0077】
燃焼器生成物流は、HとCOとの比が1.5~4.0の間である加熱されたCO流及びH流と混合され得る。いくつかの場合には、該HとCOとの比は、1.5より大きい、2.0より大きい、2.5より大きい、3より大きい又は3.5より大きい。いくつかの場合には、該HとCOの比は、2.0未満、2.5未満、3未満、3.5未満又は4.0未満である。
【0078】
該H流及びCO流は、燃焼器生成物流と混合される前に、900°F~1,250°Fの間まで別々に(又は、組み合わせて)加熱され得る。いくつかの場合において、これらの流は、少なくとも900°F、少なくとも950°F、少なくとも975°F、少なくとも1000°F、少なくとも1025°F、少なくとも1050°F、少なくとも1075°F、少なくとも1100°F、少なくとも1125°F、少なくとも1150°F、少なくとも1175°F又は少なくとも1200°Fに加熱される。
【0079】
これらの加熱された流は、触媒反応器内へと導入される前に、さらに1750°Fまで加熱され得る。該触媒反応器は、1.0~4.0の間の比のH及びCOの混合物を含む合成ガス流を生成する。いくつかの場合には、これらの流は、少なくとも1300°F、少なくとも1400°F、少なくとも1500°F、少なくとも1600°F又は少なくとも1700°Fまで加熱される。HとCOとの混合物の比は、1.0を超え得る、1.5を超え得る、2.0を超え得る、2.5を超え得る、3を超え得る又は3.5を超え得る。いくつかの場合には、HとCOとの比は、1.5未満、2.0未満、2.5未満、3未満、3.5未満又は4.0未満である。
【0080】
合成ガスは、触媒反応器に投入され得る。該触媒反応器は、再生可能エネルギーを使用して加熱され、それによって低炭素燃料及び化学物質が生成される。低炭素燃料及び化学物質は、ゼロに近い炭素強度値を有し得る。
【0081】
本明細書において提供される方法は、少なくとも90モル%のCOを含むCO流を生成し得る。いくつかの場合には、該二酸化炭素流は、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、少なくとも99.95%又は少なくとも99.99%のCOを含む。
【0082】
該方法は、炭化水素と、COと、硫黄含有化合物とを含む源流を提供するステップと、該源流を電解装置から得られるH流と混合するステップであって、それによって低温混合源流を生成し、ここで、該源流の流量に対するH流の流量の質量比が、10%未満、8%未満、5%未満、3%未満又は1%未満であるステップとを含み得る。該方法は、該低温混合源流を混合流加熱器内で加熱するステップであって、該混合流加熱器は、温度が少なくとも600°F、少なくとも700°F、少なくとも800°F、少なくとも900°F又は少なくとも1000°Fの高温混合源流を生成するように温度を上昇させるステップをさらに含み得る。該方法は、さらに、該高温混合源流を水素化脱硫反応器へと供給するステップであって、それによってCO及び硫化水素を含む水素化脱硫生成物流を生成するステップと、該水素化脱硫生成物流を硫黄吸着剤反応器へと供給するステップであって、それによって二酸化炭素及び炭化水素を含む吸着剤生成物流を生成し、ここで、該水素化脱硫生成物流中に存在していた硫化水素の10重量%未満が該吸着剤生成物流中に残存する、ステップとを含み得る。いくつかの場合には、該水素化脱硫生成物流中に存在していた硫化水素の8重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、又は0.05重量%未満が、該吸着剤生成物流中に残存する。
【0083】
該方法は、さらに、硫黄吸着剤生成物流を電解装置におけるO流と混合するステップであって、それによって燃焼供給流を生成するステップと、該燃焼供給流を燃焼反応器へと供給するステップであって、それによって燃焼反応器生成物流を生成し、ここで、該燃焼供給流中の炭化水素が少なくとも部分的に燃焼してCO及びHOとなるステップと、該燃焼反応器生成物流を補助的なH流と混合するステップであって、それによってO除去反応器供給流を生成するステップと、該O酸素除去反応器供給流をO除去反応器へと供給するステップであって、それによって高純度化されたCO生成物流を生成するステップとを含み得る。
【0084】
高純度化されたCO生成物流は、低炭素燃料を作成するようにさらに処理され得る。高純度化された二酸化炭素生成物流の少なくとも一部は、逆水性ガスシフト(RWGS)反応器内で水素を含む流と反応させられ、それによってRWGS生成物を生成する。電解装置のH流は、電解装置におけるHOの電気分解から生成されたHを少なくとも90モル%、少なくとも95モル%又は少なくとも99モル%含む。
【0085】
水素化脱硫反応器は、モリブデンを含む水素化脱硫触媒を収容している。硫黄吸着剤反応器は、ZnOを含む硫黄吸着剤を収容している。電解装置のO流は、電解装置におけるHOの電気分解から生成されたOを含む。高純度化されたCO生成物流は、源流中のCOを少なくとも90重量%含むが、源流中に含まれていた硫黄含有化合物を1重量%未満、炭化水素を10重量%未満しか含んでいないような組成を有する。
【0086】
以下は、CO、HO及び再生可能電力を低炭素又はゼロ炭素の高品質燃料及び化学物質へと変換するためのプロセスの特定の実施形態である。
【0087】
実施形態1:再生可能エネルギーを動力とする電解装置に対して、水が供給される。汚染されたCO流を出口流へと変換するように構成された吸着剤床を含むシステムを使用して、再生可能燃料及び化学物質の生成に使用するためのCO流が調製される。該汚染されたCO流は、COと汚染物質とを含む。該汚染物質としては、微粒子、炭化水素、酸素化炭化水素、SO、HS、COS、N及びアミンが含まれていてもよい。該吸着剤床の出口流は、SO、HS及びCOSの濃度が20ppb未満であり、アミン及びアンモニアの濃度が100ppb未満であり、微粒子を含んでいない。該電解装置は、HOを電気分解し、それによってH及びOを生成するように構成されている。燃焼反応器は、該吸着剤床の出口流と該電解装置からのOとの混合物を燃焼器生成物流へと変換するように構成されており、該燃焼反応器において、該汚染物質は、該燃焼器生成物流中で酸化される。
【0088】
燃焼器供給流中のOのモル流量は、O対燃料比を感知するセンサを使用して、該吸着剤床の出口流と該酸素を含む流との混合物の当量比が約0.98となるように制御され、それによって燃焼器生成物流を提供し、ここで、該燃焼器生成物流中の炭化水素のモル量は、該汚染CO流中の炭化水素のモル量の約4%である。該燃焼器生成物流は、加熱されたCO流及びH流と混合され、該加熱されたCO流及びH流中のHとCOとの比は、約2.5である。該H流と該CO流は、該燃焼器生成物流と混合される前に、約1,000°Fまで別々に加熱される。
【0089】
該加熱された流のそれぞれは、触媒反応器内へと導入される前にさらに1750°Fまで加熱され、該触媒反応器は、約2.0の比のHとCOとの混合物を含む合成ガス流を生成する。合成ガスは触媒反応器に投入され、該触媒反応器は再生可能エネルギーを使用して加熱され、それによって低炭素燃料及び化学物質が生成される。
【0090】
実施形態2.システムは、再生可能燃料又は化学物質を生成する。該システムは、再生可能電力を使用してHOを電気分解するように構成された電解装置であって、それによってH及びOを生成する、電解装置と、該電解装置からのOの少なくとも一部を使用して、供給流中の炭化水素を追加のCOへと変換するように構成された変換モジュールであって、ここで、該供給流は、COと炭化水素とを含む、変換モジュールと、該供給流中のCO及び該電解装置からのHを再生可能燃料又は化学物質へと変換するように構成された反応器とを含む。
【0091】
該炭化水素分子の炭素原子数は、8個未満である。該炭化水素は、電気分解からのOによる熱酸化システムを使用してCOへと変換される。該熱酸化システムは、酸素燃焼である。該供給流中の炭化水素の濃度は、約6重量%である。
【0092】
該再生可能燃料又は化学物質は、合成ディーゼル燃料である。該供給流は、COパイプラインからのものである。
【0093】
実施形態3.システムは、再生可能燃料又は化学物質を生成する。該システムは、再生可能電力を使用してHOを電気分解するように構成された電解装置であって、それによってH及びOを生成する、電解装置と、該電解装置からのOの少なくとも一部を使用して、供給流中の炭化水素を追加のCOへと変換するように構成された変換モジュールであって、ここで、該供給流は、COと炭化水素とを含む、変換モジュールと、該供給流中のCO及び該電解装置からのHを再生可能燃料又は化学物質へと変換するように構成された反応器とを含む。
【0094】
該炭化水素分子の炭素原子数は、8個未満である。該炭化水素は、触媒的酸化システムを使用してCOへと変換される。供給流中の炭化水素の濃度は、約1重量%である。
【0095】
該再生可能燃料又は化学物質は、合成航空燃料(SAF)である。該供給流は、セメントの製造からのものである。
【0096】
実施形態4.システムは、再生可能燃料又は化学物質を生成する。該システムは、再生可能電力を使用してHOを電気分解するように構成された電解装置であって、それによってH及びOを生成する、電解装置と、該電解装置からのOの少なくとも一部を使用して、供給流中の炭化水素を追加のCOへと変換するように構成された変換モジュールであって、ここで、該供給流は、COと炭化水素とを含む、変換モジュールと、該供給流中のCO及び該電解装置からのHを再生可能燃料又は化学物質へと変換するように構成された反応器とを含む。
【0097】
該炭化水素分子の炭素原子数は、8個未満である。該炭化水素は、触媒的酸化システムを使用してCOへと変換される。供給流中の炭化水素の濃度は、約2.5重量%である。
【0098】
該再生可能燃料又は化学物質は、C-C23の炭化水素である。該供給流は、石油精製からのものである。
【0099】
上述の実施形態は、数多くの方法のうちの任意の方法において実装され得る。例えば、本実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの組み合わせを使用して実装され得る。ソフトウェアにおいて実装される場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータに提供されるか複数のコンピュータに分散されるかに関わらず、任意の適切なプロセッサ又はプロセッサの集合にて実行され得る。上述の機能を実行する任意のコンポーネント又はコンポーネントの集合は、包括的に、上述の機能を制御する1つ又は複数のコントローラとみなされ得ることについて理解されたい。1つ又は複数のコントローラは、専用ハードウェアを用いた方法や、マイクロコード若しくはソフトウェアを使用して上記の機能を実行するようにプログラムされた1つ若しくは複数のプロセッサを用いた方法等、数多くの方法において実装され得る。
【0100】
この点において、本発明の実施形態の一実装形態は、プロセッサ上で実行された際に本発明の実施形態の上述の機能を実行するコンピュータプログラム(すなわち、複数の命令)によってコード化された、少なくとも1つの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(例えば、コンピュータメモリ、ポータブルメモリ、コンパクトディスク等)を含むことを理解されたい。該コンピュータ可読記憶媒体は、その媒体内に記憶されたプログラムを任意のコンピュータリソース上にロードすることによって本明細書にて説明された本発明の態様を実装し得るように、持ち運び可能であり得る。加えて、実行された際に上述の機能を実行するコンピュータプログラムへの言及は、ホストコンピュータ上にて動作しているアプリケーションプログラムに限定されないことを理解されたい。むしろ、本明細書では、コンピュータプログラムという用語は、本発明の上記の態様を実装するようにプロセッサをプログラムするために使用可能な任意の種類のコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)を示す包括的な意味で使用される。
【0101】
本発明の様々な態様は、単独で使用されてもよく、組み合わせて使用されてもよく、上記の実施形態にて特に説明されていない様々な配置で使用されてもよい。したがって、本発明の様々な態様は、それらを適用するにあたり、前述の記載又は図面に示された構成要素の詳細及び配置に限定されない。例えば、一実施形態において記載された態様は、他の実施形態において記載された態様と任意の方法で組み合わせられてもよい。
【0102】
また、本発明の実施形態は、1つ又は複数の方法として実装されてもよく、そのような方法の一例が提供されている。(1つ以上の)方法の一部として実行される動作は、任意の適切な方法で順序付けられてもよい。したがって、例示的な実施形態では連続的な動作として示されている場合であっても、動作が図示とは異なる順序で実行される実施形態が構築されてもよく、これにはいくつかの動作を同時に実行することが含まれていてもよい。
【0103】
特許請求の範囲において、請求項の要素を修飾するために「第1の」、「第2の」、「第3の」等の序数詞が使用される場合、それ自体は、ある請求項要素の別の請求項要素に対する重要度、優先順位又は方法の動作が実行される時間順序を意味するものではない。このような用語は、所定の名称を持つ1つの請求項の要素を、同じ名称を持つ別の要素から区別するための単なる(ただし、序数詞を使用する)標識として使用される。
【0104】
本明細書で使用される表現及び用語は、説明を目的としたものであり、限定するものと見なされるべきではない。「含む(including)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」及びそれらのバリエーションの使用は、その後に列挙される項目及び追加の項目を包含することを意味する。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明してきたが、当業者であれば、様々な修正及び改良を容易に想起するであろう。そのような修正及び改良は、本発明の趣旨及び範囲内にあることが意図される。したがって、前述の説明は単なる例であって、限定することを意図したものではない。本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義されるようにのみ限定される。
図1
【国際調査報告】