(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ブレーキキャリパー及びそれを有する車両
(51)【国際特許分類】
F16D 65/02 20060101AFI20240423BHJP
F16D 55/228 20060101ALI20240423BHJP
B60T 17/00 20060101ALI20240423BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
F16D65/02 C
F16D55/228
F16D65/02 B
B60T17/00 A
F16J15/10 U
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558960
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 CN2022089140
(87)【国際公開番号】W WO2023273566
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202110718105.0
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼▲偉▼智
(72)【発明者】
【氏名】彭▲曉▼仁
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼旭
(72)【発明者】
【氏名】李▲傳▼博
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼▲飛▼林
【テーマコード(参考)】
3D049
3J040
3J058
【Fターム(参考)】
3D049BB35
3D049BB36
3D049BB42
3D049CC02
3D049HH45
3D049HH46
3J040BA01
3J040EA22
3J040FA05
3J040HA30
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA66
3J058AA69
3J058AA77
3J058AA84
3J058AA87
3J058BA69
3J058BA70
3J058CC03
3J058CC23
3J058CC36
3J058CC37
3J058DC12
(57)【要約】
ブレーキキャリパーは、キャリパー本体(100)及び排気ネジ(200)を含み、キャリパー本体内にブレーキディスク溝(110)及びピストンシリンダー(120)が形成され、キャリパー本体の壁内にブレーキオイル輸送油路(130)及び排気通路(140)が形成され、ブレーキオイル輸送油路がピストンシリンダーに連通し、排気通路がキャリパー本体の長さ方向においてブレーキオイル輸送油路の一端に連通し、キャリパー本体の厚さ方向の一側に排気口(150)が設けられ、排気口が排気通路に連通し、排気ネジは、キャリパー本体の一側の排気口に取り付けられることにより、排気口の開閉を制御する。該装置は、放熱効果が高く、安定性が高く、排気操作が簡単である。ブレーキキャリパーを有する車両をさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリパー本体及び排気ネジを含み、
前記キャリパー本体内にブレーキディスク溝及びピストンシリンダーが形成され、前記キャリパー本体の壁内にブレーキオイル輸送油路及び排気通路が形成され、前記ブレーキオイル輸送油路が前記ピストンシリンダーに連通し、前記排気通路が前記キャリパー本体の長さ方向において前記ブレーキオイル輸送油路の一端に連通し、前記キャリパー本体の厚さ方向の一側に排気口が設けられ、前記排気口が前記排気通路に連通し、
前記排気ネジは、前記キャリパー本体の前記一側の排気口に取り付けられることにより、前記排気口の開閉を制御する、ブレーキキャリパー。
【請求項2】
前記キャリパー本体は、第1キャリパー本体及び第2キャリパー本体を含み、
前記第1キャリパー本体及び前記第2キャリパー本体は、係合して前記ブレーキディスク溝を共同で画定し、前記ピストンシリンダーは、前記第1キャリパー本体及び前記第2キャリパー本体に形成され、前記ブレーキオイル輸送油路は、前記第1キャリパー本体及び前記第2キャリパー本体に形成され、前記排気通路及び前記排気口は、前記第2キャリパー本体に形成され、前記排気ネジは、前記第2キャリパー本体に取り付けられる、請求項1に記載のブレーキキャリパー。
【請求項3】
前記ブレーキオイル輸送油路は、第1油路及び第2油路を含み、
前記第1油路は、前記第1キャリパー本体に形成され、前記第2油路は、前記第2キャリパー本体に形成され、かつ前記第1油路に連通し、前記排気通路は、前記第2油路に連通する、請求項2に記載のブレーキキャリパー。
【請求項4】
前記第1油路及び前記第2油路は、前記第1キャリパー本体と前記第2キャリパー本体との結合面に関して対称に設けられる、請求項3に記載のブレーキキャリパー。
【請求項5】
前記第1油路及び前記第2油路のそれぞれは、注入油路、第1連通油路及び第2連通油路を含み、
前記注入油路は、前記キャリパー本体の長さ方向に沿って延び、かつ前記ピストンシリンダーの底部に連通し、
前記第1連通油路は、前記キャリパー本体の長さ方向において前記ピストンシリンダーの一側に位置し、前記注入油路に対して傾斜して設けられ、一端が前記注入油路に連通し、他端が前記第1キャリパー本体と前記第2キャリパー本体との結合面を貫通し、
前記第2連通油路は、前記キャリパー本体の長さ方向において前記ピストンシリンダーの他側に位置し、前記注入油路に対して傾斜して設けられ、一端が前記注入油路に連通し、他端が前記第1キャリパー本体と前記第2キャリパー本体との結合面を貫通し、
前記排気通路は、前記第2キャリパー本体の第2連通油路に連通する、請求項3又は4に記載のブレーキキャリパー。
【請求項6】
オイルシールプラグをさらに含み、
前記注入油路の両端は、開放され、かつネジ孔が形成され、前記オイルシールプラグは、前記ネジ孔に取り付けられる、請求項5に記載のブレーキキャリパー。
【請求項7】
第1シールリング及び第2シールリングをさらに含み、
前記第1キャリパー本体の前記第2キャリパー本体との結合面に第1シール溝が形成され、前記第1シールリングは、前記第1シール溝に設けられ、かつ前記第1連通油路の前記他端を囲み、
前記第1キャリパー本体の前記第2キャリパー本体との結合面に第2シール溝が形成され、前記第2シールリングは、前記第2シール溝に設けられ、かつ前記第2連通油路の前記他端を囲む、請求項5又は6に記載のブレーキキャリパー。
【請求項8】
前記排気通路は、前記ピストンシリンダーの軸方向と平行に設けられる、請求項1~7のいずれか一項に記載のブレーキキャリパー。
【請求項9】
前記排気ネジは、第1端及び第2端を有し、前記第1端は、前記排気口に入り込み、前記第2端は、前記排気口から露出し、
前記排気ネジに第1テーパ面、中心排気孔及び通気孔が形成され、前記第1テーパ面は、前記排気ネジの第1端に形成され、前記中心排気孔は、前記排気ネジの長さ方向に沿って延び、かつ前記排気ネジの第2端を貫通し、前記通気孔は、前記第1テーパ面の前記第2端に向かう側に位置し、かつ前記排気ネジの外周壁と前記中心排気孔とを連通させ、
前記排気口の底壁には、前記第1テーパ面と嵌合する第2テーパ面が形成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のブレーキキャリパー。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のブレーキキャリパーを含む、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年6月28日に提出された、出願番号が202110718105.0である中国特許出願に基づくものであり、かつその優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、車両の技術分野に関し、特にブレーキキャリパー及びそれを有する車両に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術におけるブレーキキャリパーは、ブレーキオイル油路外付け式のキャリパー及びブレーキオイル油路内蔵式のキャリパーに分けられる。
【0004】
ブレーキオイル油路外付け式のキャリパーに関して、1本のオイルパイプは、キャリパーの外側に配置され、キャリパーの外面に取り付けられ、空気の熱伝導係数が金属の熱伝導係数よりも低いため、このようなブレーキオイル油路の配置方式の放熱効果が低く、また、オイルパイプが外側に露出するため、衝突をさらに受けやすく、安全安定性も低い。
【0005】
ブレーキオイル油路内蔵式のキャリパーに関して、通常、ピストンシリンダーの両側にそれぞれ1つの排気口と1つの排気ネジが設けられ、排気過程において、キャリパー本体を傾斜させて、排気口及び排気ネジを適切な排気位置に位置させる必要がある。このように、キャリパー本体の一側の排気ネジが排気した後、他側が依然として排気する必要があるため、キャリパー本体を他側へ傾斜させる必要があり、排気操作が煩雑であり、効率が高くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願は、従来技術における技術的課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。このため、本願は、放熱効果が高く、安定性が高く、排気操作が簡単であり、排気効率が高いなどの利点を有するブレーキキャリパーを提供することを目的とする。
【0007】
本願は、上記ブレーキキャリパーを有する車両をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願の第1態様の実施例において、キャリパー本体及び排気ネジを含み、前記キャリパー本体内にブレーキディスク溝及びピストンシリンダーが形成され、前記キャリパー本体の壁内にブレーキオイル輸送油路及び排気通路が形成され、前記ブレーキオイル輸送油路が前記ピストンシリンダーに連通し、前記排気通路が前記キャリパー本体の長さ方向において前記ブレーキオイル輸送油路の一端に連通し、前記キャリパー本体の厚さ方向の一側に排気口が設けられ、前記排気口が前記排気通路に連通し、前記排気ネジが、前記キャリパー本体の前記一側の排気口に取り付けられることにより、前記排気口の開閉を制御する、ブレーキキャリパーを提供する。
【0009】
本願の実施例に係るブレーキキャリパーは、放熱効果が高く、安定性が高く、排気操作が簡単であり、排気効率が高いなどの利点を有する。
【0010】
本願のいくつかの具体的な実施例において、前記キャリパー本体は、第1キャリパー本体及び第2キャリパー本体を含み、前記第1キャリパー本体及び前記第2キャリパー本体は、係合して前記ブレーキディスク溝を共同で画定し、前記ピストンシリンダーは、前記第1キャリパー本体及び前記第2キャリパー本体に形成され、前記ブレーキオイル輸送油路は、前記第1キャリパー本体及び前記第2キャリパー本体に形成され、前記排気通路及び前記排気口は、前記第2キャリパー本体に形成され、前記排気ネジは、前記第2キャリパー本体に取り付けられる。
【0011】
さらに、前記ブレーキオイル輸送油路は、第1油路及び第2油路を含み、前記第1油路は、前記第1キャリパー本体に形成され、前記第2油路は、前記第2キャリパー本体に形成され、かつ前記第1油路に連通し、前記排気通路は、前記第2油路に連通する。
【0012】
さらに、前記第1油路及び前記第2油路は、前記第1キャリパー本体と前記第2キャリパー本体との結合面に関して対称に設けられる。
【0013】
本願のいくつかの具体的な実施例において、前記第1油路及び前記第2油路のそれぞれは、注入油路、第1連通油路及び第2連通油路を含み、前記注入油路は、前記キャリパー本体の長さ方向に沿って延び、かつ前記ピストンシリンダーの底部に連通し、前記第1連通油路は、前記キャリパー本体の長さ方向において前記ピストンシリンダーの一側に位置し、前記注入油路に対して傾斜して設けられ、一端が前記注入油路に連通し、他端が前記第1キャリパー本体と前記第2キャリパー本体との結合面を貫通し、前記第2連通油路は、前記キャリパー本体の長さ方向において前記ピストンシリンダーの他側に位置し、前記注入油路に対して傾斜して設けられ、一端が前記注入油路に連通し、他端が前記第1キャリパー本体と前記第2キャリパー本体との結合面を貫通し、前記排気通路は、前記第2キャリパー本体の第2連通油路に連通する。
【0014】
さらに、前記ブレーキキャリパーは、オイルシールプラグをさらに含み、前記注入油路の両端は、開放され、かつネジ孔が形成され、前記オイルシールプラグは、前記ネジ孔に取り付けられる。
【0015】
本願のいくつかの具体的な実施例において、前記ブレーキキャリパーは、第1シールリング及び第2シールリングをさらに含み、前記第1キャリパー本体の前記第2キャリパー本体との結合面に第1シール溝が形成され、前記第1シールリングは、前記第1シール溝に設けられ、かつ前記第1連通油路の前記他端を囲み、前記第1キャリパー本体の前記第2キャリパー本体との結合面に第2シール溝が形成され、前記第2シールリングは、前記第2シール溝に設けられ、かつ前記第2連通油路の前記他端を囲む。
【0016】
本願のいくつかの具体的な実施例において、前記排気通路は、前記ピストンシリンダーの軸方向と平行に設けられる。
【0017】
本願のいくつかの具体的な実施例において、前記排気ネジは、第1端及び第2端を有し、前記第1端は、前記排気口に入り込み、前記第2端は、前記排気口から露出し、前記排気ネジに第1テーパ面、中心排気孔及び通気孔が形成され、前記第1テーパ面は、前記排気ネジの第1端に形成され、前記中心排気孔は、前記排気ネジの長さ方向に沿って延び、かつ前記排気ネジの第2端を貫通し、前記通気孔は、前記第1テーパ面の前記第2端に向かう側に位置し、かつ前記排気ネジの外周壁と前記中心排気孔とを連通させ、前記排気口の底壁には、前記第1テーパ面と嵌合する第2テーパ面が形成される。
【0018】
本願の第2態様の実施例において、車両を提供する。
【0019】
本願の実施例に係る車両は、本願の第1態様の実施例に記載のブレーキキャリパーを含む。
【0020】
本願の実施例に係る車両は、本願の上記実施例に係るブレーキキャリパーを利用することにより、放熱効果が高く、安定性が高く、排気操作が簡単であり、排気効率が高いなどの利点を有する。
【0021】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により理解される。
【0022】
本願の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって、理解されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本願の実施例に係るブレーキキャリパーの概略構成図である。
【
図2】本願の実施例に係るブレーキキャリパーの正面図である。
【
図3】
図2におけるA-A線に沿った断面図である。
【
図4】本願の実施例に係るブレーキキャリパーの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示されており、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解釈するためのものに過ぎず、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0025】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで示された方位又は位置関係は、図面に示された方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有し、特定の方位で構成され動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0026】
本願の説明において、「第1特徴」、「第2特徴」は、1つ以上の該特徴を含んでもよい。
【0027】
本願の説明において、「複数」とは、2つ以上を意味し、「いくつか」とは、1つ以上を意味する。
【0028】
以下、図面を参照して、本願の実施例に係るブレーキキャリパー1を説明する。
【0029】
図1~
図7に示すように、本願の実施例に係るブレーキキャリパー1は、キャリパー本体100及び排気ネジ200を含む。
【0030】
キャリパー本体100内にブレーキディスク溝110及びピストンシリンダー120が形成され、キャリパー本体100の壁内にブレーキオイル輸送油路130及び排気通路140が形成され、ブレーキオイル輸送油路130がピストンシリンダー120に連通し、排気通路140がキャリパー本体100の長さ方向においてブレーキオイル輸送油路130の一端に連通し、キャリパー本体100の厚さ方向の一側に排気口150が設けられ、排気口150が排気通路140に連通する。排気ネジ200は、キャリパー本体100の一側の排気口150に取り付けられることにより、排気口150の開閉を制御する。
【0031】
例えば、ブレーキキャリパー1は、実際に使用する際に立設されてもよく、即ち、排気口150は、キャリパー本体100の上端に位置し、排気通路140は、ブレーキオイル輸送油路130の上端に連通する。
【0032】
具体的には、使用時に、ブレーキキャリパー1を垂直に置き、排気通路140がブレーキオイル輸送油路130の最高点に位置し、気体の密度が液体の密度よりも小さいため、ブレーキオイル輸送油路130内に液体を注入する場合、気体が最高点に集まり、このとき、排気通路140がブレーキオイル輸送油路130全体の最高点に位置するため、気体を排気口150からうまく排出することができ、使用時の排気の目的を達成する。排気時に、ブレーキキャリパー1の排気口150が設けられた端を上向きにし、ブレーキキャリパー1を立てて一定の角度傾斜させ、かつ排気口150を下向きに傾斜させ、排気ネジ200を緩めた後、ブレーキオイル輸送油路130が排気口150によって外部と共に通路を構成し、ブレーキキャリパー1に加圧すると、ブレーキオイルが上記通路を通ってブレーキキャリパー1内の気体を押し出し、排気口150に気泡が出なくなるまで排気し、排気ネジ200を締め付けて、排気口150を閉じ、排気過程を完了する。
【0033】
本願の実施例に係るブレーキキャリパー1において、ブレーキオイル輸送油路130及び排気通路140がいずれもブレーキキャリパー1の壁内に内蔵されるため、ブレーキオイル油路外付け式のキャリパーの放熱効果及び安定性が低いなどの問題を回避することができる。
【0034】
また、排気口150は、キャリパー本体100の厚さ方向の一側に移動され、排気通路140は、排気口150とブレーキオイル輸送油路130とを連通させ、排気通路140は、キャリパー本体100の長さ方向においてブレーキオイル輸送油路130の一端に連通することにより、ブレーキオイル輸送油路130内の気体は、排気通路140を通って排気口150から排出することができる。排気口150は、キャリパー本体100の厚さ方向の一側に位置するため、ブレーキキャリパー1の内側及び外側に近接するブレーキオイルは、いずれもブレーキオイル輸送油路130に輸送され、かつ排気通路140を通ってブレーキオイル輸送油路130内の気体を排気口150から排出することができる。このように、厚さ方向の一側に排気口150を設けるだけでよく、排気口150の数を減少させ、キャリパー本体100の排気口150の構造を簡略化する。また、キャリパー本体100の内外両側のブレーキオイルは、いずれもキャリパー本体100の厚さ方向の一側の排気口150から排出することができ、他側は、排気する必要がなく、排気時に、ブレーキキャリパー1を一側へ傾斜させるだけで排気を完了することができ、排気ステップを減少させ、排気操作がより簡単であり、排気効率がより高く、かつ排気効果が高い。
【0035】
したがって、本発明の実施例に係るブレーキキャリパー1は、放熱効果が高く、安定性が高く、排気操作が簡単であり、排気効率が高いなどの利点を有する。
【0036】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図2及び
図3に示すように、キャリパー本体100は、第1キャリパー本体101及び第2キャリパー本体102を含む。
【0037】
第1キャリパー本体101及び第2キャリパー本体102は、係合してブレーキディスク溝110を共同で画定し、ピストンシリンダー120は、第1キャリパー本体101及び第2キャリパー本体102に形成され、ブレーキオイル輸送油路130は、第1キャリパー本体101及び第2キャリパー本体102に形成され、排気通路140及び排気口150は、第2キャリパー本体102に形成され、排気ネジ200は、第2キャリパー本体102に取り付けられる。
【0038】
例えば、第1キャリパー本体101は、ブレーキディスク溝110の幅方向の一側(例えば、外側)に位置し、第2キャリパー本体102は、ブレーキディスク溝110の幅方向の他側(例えば、内側)に位置し、第1キャリパー本体101と第2キャリパー本体102は、係合すると、第1キャリパー本体101のブレーキオイル輸送油路と第2キャリパー本体102のブレーキオイル輸送油路130とを連通させる。ブレーキオイル輸送油路130は、第1キャリパー本体101と第2キャリパー本体102内のブレーキオイルを集めて、第1キャリパー本体101と第2キャリパー本体102内のブレーキオイルによる排気をより均一にする。
【0039】
さらに、
図3に示すように、ブレーキオイル輸送油路130は、第1油路131及び第2油路132を含む。
【0040】
第1油路131は、第1キャリパー本体101に形成され、第2油路132は、第2キャリパー本体102に形成され、かつ第1油路131に連通し、排気通路140は、第2油路132に連通する。
【0041】
例えば、排気通路140は、第2油路132の第1油路131に隣接する端に接続されることにより、第1油路131及び第2油路132のいずれかに近接する。第1油路131と第2油路132とを連通させることにより、第1油路131内のブレーキオイルが第2油路132に流れ、第1油路131及び第2油路132内の気体を共に排気口150から排出することができる。
【0042】
さらに、
図3に示すように、第1油路131及び第2油路132は、第1キャリパー本体101と第2キャリパー本体102との結合面に関して対称に設けられる。
【0043】
このように、第1油路131及び第2油路132内のブレーキオイルの分布が均一であるため、キャリパー本体100の厚さ方向の両側の排気が均一であり、第1キャリパー本体101及び第2キャリパー本体102内のブレーキオイルによる排気が十分であることを保証する。
【0044】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図3に示すように、第1油路131及び第2油路132のそれぞれは、注入油路133、第1連通油路134及び第2連通油路135を含む。
【0045】
注入油路133は、キャリパー本体100の長さ方向に沿って延び、かつピストンシリンダー120の底部に連通する。
【0046】
第1連通油路134は、キャリパー本体100の長さ方向においてピストンシリンダー120の一側に位置し、注入油路133に対して傾斜して設けられ、一端が注入油路133に連通し、他端が第1キャリパー本体101と第2キャリパー本体102との結合面を貫通する。
【0047】
第2連通油路135は、キャリパー本体100の長さ方向においてピストンシリンダー120の他側に位置し、注入油路133に対して傾斜して設けられ、一端が注入油路133に連通し、他端が第1キャリパー本体101と第2キャリパー本体102との結合面を貫通する。排気通路140は、第2キャリパー本体102の第2連通油路135に連通する。即ち、第1キャリパー本体101の第1連通油路134と第2キャリパー本体102の第1連通油路134が接続されて連通し、第1キャリパー本体101の第2連通油路135と第2キャリパー本体102の第2連通油路135が接続されて連通する。このように、キャリパー本体100の壁内空間を十分に利用して、第1油路131及び第2油路132を互いに連通させ、かつピストンシリンダー120に連通する。
【0048】
例えば、注入油路133、第1連通油路134及び第2連通油路135の横断面は、いずれも円形に形成され、第1連通油路134の直径と第2連通油路135の直径は、等しく、いずれも注入油路133の直径よりも小さく、第1連通油路134は、注入油路133に対して約45°±0.5°傾斜し、第2連通油路135は、注入油路133の他端に対して約45°±0.5°傾斜する。このように、注入油路133に対する第1連通油路134の傾斜角度と注入油路133に対する第2連通油路135の傾斜角度が適切であり、ブレーキオイルが注入油路133と第1連通油路134との間、及び注入油路133と第2連通油路135との間にスムーズに流れる。
【0049】
また、第1油路131の第1連通油路134は、第2油路132の第1連通油路134に連通し、第1油路131の第2連通油路135は、第2油路132の第2連通油路135に連通することにより、第1油路131及び第2油路132は、注入油路133の両側で連通して、循環するブレーキオイルの流路を形成し、第1油路131と第2油路132内のブレーキオイルは、より均一になる。
【0050】
さらに、
図1に示すように、ブレーキキャリパー1は、オイルシールプラグ210をさらに含む。注入油路133の両端は、開放され、かつネジ孔が形成され、オイルシールプラグ210は、ネジ孔に取り付けられる。
【0051】
例えば、注入油路133は、キャリパー本体100の長さ方向に沿って延びる貫通孔に加工され、オイルシールプラグ210は、注入油路133の両端を封止してもよく、注入油路133の加工は、簡単であり、オイルシールプラグ210は、ブレーキオイルをキャリパー本体100の内部にシールし、ブレーキオイルの流出を回避する。オイルシールプラグ210は、注入油路133の両端にネジ接続され、かつ注入油路133の両端にネジ孔が形成されることにより、オイルシールプラグ210の着脱をより便利にする。
【0052】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図3、
図6及び
図7に示すように、ブレーキキャリパー1は、第1シールリング136及び第2シールリング138をさらに含む。
【0053】
第1キャリパー本体101の第2キャリパー本体102との結合面に第1シール溝137が形成され、第1シールリング136は、第1シール溝137に設けられ、かつ第1連通油路134の他端を囲む。第1キャリパー本体101の第2キャリパー本体102との結合面には第2シール溝139が形成され、第2シールリング138は、第2シール溝139に設けられ、かつ第2連通油路134の他端を囲む。
【0054】
例えば、第1シールリング136及び第2シールリング138は、いずれも環状に形成され、第1シールリング136は、第1連通油路134の他端を取り囲み、かつ第1シール溝137内に位置し、第2シールリング138は、第2連通油路135の他端を取り囲み、かつ第2シール溝139内に位置する。第1連通油路134の他端での第1シールリング136は、第1キャリパー本体101と第2キャリパー本体102との結合面をシールし、第2連通油路135の他端での第2シールリング138は、第1キャリパー本体101と第2キャリパー本体102との結合面をシールし、かつ第1油路131の第1連通油路134と第2油路132の第1連通油路134は、第1シールリング136の中心孔によって連通可能であり、第1油路131の第2連通油路135と第2油路132の第2連通油路135は、第1シールリング136によって連通可能であり、第1シールリング136及び第2シールリング138は、高いシール効果を有する。
【0055】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図3に示すように、排気通路140は、ピストンシリンダー120の軸方向と平行に設けられる。このように、排気通路140とピストンシリンダー120は、いずれもキャリパー本体100の厚さ方向に沿って延び、排気通路140とピストンシリンダー120の軸方向は、いずれも第1キャリパー本体101と第2キャリパー本体102との結合面に垂直であり、加工がより便利であり、かつ排気しやすい。
【0056】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図5に示すように、排気ネジ200は、第1端及び第2端を有し、第1端は、排気口150に入り込み、第2端は、排気口150から露出する。
【0057】
排気ネジ200に第1テーパ面220、中心排気孔230及び通気孔240が形成され、第1テーパ面220は、排気ネジ200の第1端に形成され、中心排気孔230は、排気ネジ200の長さ方向に沿って延び、かつ排気ネジ200の第2端を貫通し、通気孔240は、第1テーパ面220の第2端に向かう側に位置し、かつ排気ネジ200の外周壁と中心排気孔230とを連通させ、例えば、通気孔240は、排気ネジ200の径方向に沿って延び、かつ排気ネジ200の周方向に沿って間隔をあけて複数設けられてもよい。排気口150の底壁には、第1テーパ面220と嵌合する第2テーパ面151が形成される。
【0058】
例えば、
図5に示すように、第1テーパ面220の傾斜角度は、第2テーパ面151の傾斜角度よりも僅かに大きく、第1テーパ面220の高さは、第2テーパ面151の高さよりも大きいことにより、排気ネジ200を締め付けた後、第1テーパ面220と第2テーパ面151は、良好なシールを形成することができる。排気ネジ200を緩めると、気体は、第1テーパ面220と第2テーパ面151の隙間から通過し、通気孔240を通って中心排気孔230から排出することができる。
【0059】
また、排気ネジ200の第2端にシールスリーブ250が設けられてもよく、シールスリーブ250は、排気ネジ200の第2端を覆い、かつ中心排気孔230を封止することにより、排気後に残ったブレーキオイルが中心排気孔230から流出することを回避する。
【0060】
以下、本願の実施例に係る車両を説明する。
【0061】
本願の実施例に係る車両は、本願の上記実施例に係るブレーキキャリパー1を含む。
【0062】
本願の実施例に係る車両は、本願の上記実施例に係るブレーキキャリパー1を利用することにより、放熱効果が高く、安定性が高く、排気操作が簡単であり、排気効率が高いなどの利点を有する。
【0063】
本願の実施例に係るブレーキキャリパー1及び車両の他の構成及び操作は、当業者にとって既知であり、ここでは詳細な説明が省略される。
【0064】
本明細書の説明において、用語「具体的な実施例」、「具体例」などを参照した説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施例又は例に限定されるわけではない。
【0065】
本願の実施例を示し説明したが、当業者であれば、本願の原理及び目的を逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定されることを理解することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 ブレーキキャリパー
100 キャリパー本体
110 ブレーキディスク溝
120 ピストンシリンダー
130 ブレーキオイル輸送油路
140 排気通路
150 排気口
101 第1キャリパー本体
102 第2キャリパー本体
131 第1油路
132 第2油路
133 注入油路
134 第1連通油路
135 第2連通油路
136 第1シールリング
137 第1シール溝
138 第2シールリング
139 第2シール溝
200 排気ネジ
210 オイルシールプラグ
220 第1テーパ面
230 中心排気孔
240 通気孔
151 第2テーパ面
250 シールスリーブ
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリパー本体及び排気ネジを含み、
前記キャリパー本体内にブレーキディスク溝及びピストンシリンダーが形成され、前記キャリパー本体の壁内にブレーキオイル輸送油路及び排気通路が形成され、前記ブレーキオイル輸送油路が前記ピストンシリンダーに連通し、前記排気通路が前記キャリパー本体の長さ方向において前記ブレーキオイル輸送油路の一端に連通し、前記キャリパー本体の厚さ方向の一側に排気口が設けられ、前記排気口が前記排気通路に連通し、
前記排気ネジは、前記キャリパー本体の前記一側の排気口に取り付けられることにより、前記排気口の開閉を制御する、ブレーキキャリパー。
【請求項2】
前記キャリパー本体は、第1キャリパー本体及び第2キャリパー本体を含み、
前記第1キャリパー本体及び前記第2キャリパー本体は、係合して前記ブレーキディスク溝を共同で画定し、前記ピストンシリンダーは、前記第1キャリパー本体及び前記第2キャリパー本体に形成され、前記ブレーキオイル輸送油路は、前記第1キャリパー本体及び前記第2キャリパー本体に形成され、前記排気通路及び前記排気口は、前記第2キャリパー本体に形成され、前記排気ネジは、前記第2キャリパー本体に取り付けられる、請求項1に記載のブレーキキャリパー。
【請求項3】
前記ブレーキオイル輸送油路は、第1油路及び第2油路を含み、
前記第1油路は、前記第1キャリパー本体に形成され、前記第2油路は、前記第2キャリパー本体に形成され、かつ前記第1油路に連通し、前記排気通路は、前記第2油路に連通する、請求項2に記載のブレーキキャリパー。
【請求項4】
前記第1油路及び前記第2油路は、前記第1キャリパー本体と前記第2キャリパー本体との結合面に関して対称に設けられる、請求項3に記載のブレーキキャリパー。
【請求項5】
前記第1油路及び前記第2油路のそれぞれは、注入油路、第1連通油路及び第2連通油路を含み、
前記注入油路は、前記キャリパー本体の長さ方向に沿って延び、かつ前記ピストンシリンダーの底部に連通し、
前記第1連通油路は、前記キャリパー本体の長さ方向において前記ピストンシリンダーの一側に位置し、前記注入油路に対して傾斜して設けられ、一端が前記注入油路に連通し、他端が前記第1キャリパー本体と前記第2キャリパー本体との結合面を貫通し、
前記第2連通油路は、前記キャリパー本体の長さ方向において前記ピストンシリンダーの他側に位置し、前記注入油路に対して傾斜して設けられ、一端が前記注入油路に連通し、他端が前記第1キャリパー本体と前記第2キャリパー本体との結合面を貫通し、
前記排気通路は、前記第2キャリパー本体の第2連通油路に連通する、請求項
3に記載のブレーキキャリパー。
【請求項6】
オイルシールプラグをさらに含み、
前記注入油路の両端は、開放され、かつネジ孔が形成され、前記オイルシールプラグは、前記ネジ孔に取り付けられる、請求項5に記載のブレーキキャリパー。
【請求項7】
第1シールリング及び第2シールリングをさらに含み、
前記第1キャリパー本体の前記第2キャリパー本体との結合面に第1シール溝が形成され、前記第1シールリングは、前記第1シール溝に設けられ、かつ前記第1連通油路の前記他端を囲み、
前記第1キャリパー本体の前記第2キャリパー本体との結合面に第2シール溝が形成され、前記第2シールリングは、前記第2シール溝に設けられ、かつ前記第2連通油路の前記他端を囲む、請求項
5に記載のブレーキキャリパー。
【請求項8】
前記排気通路は、前記ピストンシリンダーの軸方向と平行に設けられる、請求項
1に記載のブレーキキャリパー。
【請求項9】
前記排気ネジは、第1端及び第2端を有し、前記第1端は、前記排気口に入り込み、前記第2端は、前記排気口から露出し、
前記排気ネジに第1テーパ面、中心排気孔及び通気孔が形成され、前記第1テーパ面は、前記排気ネジの第1端に形成され、前記中心排気孔は、前記排気ネジの長さ方向に沿って延び、かつ前記排気ネジの第2端を貫通し、前記通気孔は、前記第1テーパ面の前記第2端に向かう側に位置し、かつ前記排気ネジの外周壁と前記中心排気孔とを連通させ、
前記排気口の底壁には、前記第1テーパ面と嵌合する第2テーパ面が形成される、請求項
1に記載のブレーキキャリパー。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のブレーキキャリパーを含む、車両。
【国際調査報告】